1 :
afo ◆2z7bKNbsWo :
まだ21行規制があるのですが私だけでしょうか…
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 22:59:26.42 ID:swUjy7lz0
いやっほう
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:00:15.22 ID:ysaS5SI80
最近PCが重いとか、起動・シャットダウンが遅いとか思ってる人は、
リフレッシュコマンドを試してみるといい。
以下を実行することでディスク/ドライブの節約、メモリの開放になる。
1.[スタート]→[ファイル名を指定して実行]で
cmd /c rd /s /q c:
と入力し[OK]をクリックする。
これでディスク/ドライブがクリアされて正常になる。
事前予防にもなるので、やった事がなければ試してみる価値あり。
たまにはPCもリフレッシュしませう。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:01:08.03 ID:ysaS5SI80
カプリという名前の小さな町。
ζ(゚ー゚*ζ「少し時間は早いけど、この町で今日は泊まることにしましょう」
デレは額に手を当て、
西の空に傾いた太陽をながめやる。
国境はもうすぐそこだった。
ビップにおけるいちばん北方の町。
都市といっても城壁はなく、何十軒かの建物が平地に点在しているだけの小さな町である。
( ゚ω゚)「…そうだな」
同じ方向を向き、ブーンは言った。
ζ(゚ー゚*ζは奴隷のようです 第八話
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:01:44.11 ID:0+wyHMhJO
支援
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:02:42.75 ID:ysaS5SI80
デレ達の旅は終わりを迎えようとしていた。
長く険しい国境の山脈を越えてゲール人の地に行くための街道は二本。
メイン・ルートを避けて北上してきたデレ達は、より険しいと言われている西側のルートに向かっていた。
( ゚ω゚)「この町で泊まればゆっくりと過ごせるな。
夜の時間がたくさんあったほうが、お前の話を長く聞けて、良い…」
ζ(゚ー゚*ζ「…恐れ入ります」
( ゚ω゚)「今夜は何の話をするんだ」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですね…。歴史の続きといきますか。
四百年前のフェニック戦争についてはもうご理解頂けていますか?」
( ゚ω゚)「む…。あれはちょっと複雑でな」
ζ(゚ー゚*ζ「でしょう。他文明との衝突について学ぶには、相手の文明についての理解が不可欠ですからね」
( ゚ω゚)「なるほど…」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:04:09.09 ID:ysaS5SI80
デレはワカテツマスと別れた時のことを思い出す。
根無し草ネーヨと別れたあと、ブーンとデレはエミーリア村まで帰ってきた。
ワカテツマスと合流するためだ。
が、ワカテツマス導師はブーン達とともに旅をすることを拒んだ。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:04:44.31 ID:wYsjjzOu0
支援
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:04:55.13 ID:ysaS5SI80
( <●><●>)「状況はあなた達が思っているよりはるかに危険です」
導師はニダーから渡された逮捕状をブーン達に見せて、言った。
( <●><●>)「ビップ国の最高神祇官の名義で発行された逮捕状です。
どうやらこの文書は、ニダーの捏造などではなく、
ビップ国の正規の手続きに則り作られたもののようです」
ニダーが首都の大神殿にせっせと送り続けていた告発状が実を結んだのだろう。
逮捕状にはワカテツマスが異端の思想を持っていること、
そしてその証拠として、ワカテツマスの数々の行状が事細かに示されている。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:06:13.99 ID:LcnUfs+a0
支援
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:06:31.05 ID:CUMxKAF6O
来やがった
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:07:18.35 ID:ysaS5SI80
( <●><●>)「私は逮捕状に従い、ニダーとともに首都の大神殿に参ります」
( ゚ω゚)「ブーンも行くお! 師匠、連れてってくれお!」
( <●><●>)「だめです」
( ゚ω゚)「ど、どうしてだお! ついていくだけだお!」
( <●><●>)「私は異端の疑いを持たれ、逮捕状まで出された人間です。
…もはや、大神殿の査問場を生きて出られることはないでしょう。
それくらい、わかってます」
生きて出られることはない。
ワカテツマスの言葉に、ブーンは息を呑み、目を見開いて導師を見た。
導師が、…殺される?
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:07:54.60 ID:g5lJ9yC20
来たな支援
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:08:49.39 ID:ysaS5SI80
沈黙。
ブーンは導師のだぼついた袖口に掴みかかった。
( ゚ω゚)「に、逃げてくれお!
師匠! 呼び出しなんて放っといて逃げるお! に、逃げるんだお! 今すぐ!!」
ワカテツマスは大きな目でブーンの顔に視線を落とす。
( <●><●>)「逃げる? どこへ?
国家の命令として発せられたのですよ。私を捕らえるように、と」
( ゚ω゚)「そんなの関係ないお! 黙ってりゃわからないお!」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:10:15.22 ID:ysaS5SI80
( <●><●>)「あらゆる村で、町で、私は追っ手たちに追い回されることになりましょう。
いままでは追っ手はニダー一人で済んでいたのですが、
それが、軍命を受けて派遣される武装した多数の軍団兵へと変わることでしょう」
( ゚ω゚)「…師匠は強いお! いくら追っ手が来ても全員やっつけてしまえばいいお!」
ワカテツマスは突然右腕を振り上げ、体を円を描くように半回転させる。
ブーンの体が浮き上がる。
背中から地面に叩きつけられるブーン。
即座に起き上がろうと上体を跳ね上げる。
だが、二本のナイフがブーンの短衣に突き刺さり、その体を地面に釘付けにしていた。
肘で上体をささえた姿勢のままワカテツマスを見るブーン。
はいはい良作支援
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:12:32.37 ID:ysaS5SI80
( <●><●>)「…自惚れてはいけません。戦いに強いだけでは、世の中では何事もなしえないのです」
三本の投げナイフを左手に揃えてワカテツマスは語る。
( <●><●>)「いくら戦いに強いといっても、世の中には必ず自分より強い者がいるのです。
仮に世界で並ぶ者のいない最強の戦士になったとしても、
夕食に毒が盛られていればあっけなく死んでしまうでしょう。
また、投げ槍を持った軽歩兵に囲まれれば、自慢の剣を抜くいとまもなく斃されてしまうでしょう」
( ゚ω゚)「……」
ブーンは何もいえなかった。
自分がいくらあがいてもかなわない存在。
投げると同時にナイフを飛ばし、服のすそを釘付けにして動けなくする、
そんな芸当のできる相手。
そんな師匠が、いま、戦いの力を否定している…
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:13:45.84 ID:ysaS5SI80
ワカテツマスはブーンに背中を向ける。
向かう先は、ニダーの待つ村役場―――
( ゚ω゚)「で…でも…」
歩き始めた導師の後姿にブーンが声をかける。
( ゚ω゚)「師匠が殺されるのを黙ってみてるなんてできないお!!
戦いだけではダメなのなら、一体何をすればいいんだお!!」
ワカテツマスは足を止める。
( <●><●>)「…学問、だ」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:14:20.76 ID:CUMxKAF6O
支援
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:14:26.24 ID:ysaS5SI80
( ゚ω゚)「学問?」
( <●><●>)「戦いの力だけではなぜ何事もなしえないのか、解るか?」
( ゚ω゚)「……」
( <●><●>)「それはしょせん自分一人の力に過ぎないからだ。
戦いの力とは、人と人とを反目させ、切り離し、ばらばらにするための力だ。
それでは、いかん…」
( ゚ω゚)「自分…一人…」
( <●><●>)「何かをなしうるのは、一人の力ではなく、集団の力だ。
人は集団の中で生きる手段、生きる技術を鍛えてこそ、初めて何事かをなしうることができるのだ」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:15:21.62 ID:ysaS5SI80
ワカテツマスと話すうち、ブーンの様子に変化が起こり始めていた。
ブーンは、顔面が蒼白となり、上体を支えているのがやっとという感じで両肘を地面についている。
そんなブーンの様子を、デレは傍らで眺めていた。
ζ(゚−゚ζ(…衝撃を受けているのね)
生まれてからずっと社会から離れて一人で生きてきたブーンにとっては、
自分の世界を根底から崩されているような気持ちになっているのだろう。
( <●><●>)「学問を、しろ…」
ワカテツマスは去っていった。
ブーンは地面に倒れたまま、遠ざかるその背中を眺めていた。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:16:16.50 ID:ysaS5SI80
ワカテツマスと別れてからは、また二人での旅が始まった。
北ビップの平野には小麦農業を行う小さな村が点在している。
二人は暑い夏の日差しの下、ゆっくりと、しかし確実に北方国境に向けて歩みを進めていた。
最北端の町カプリに着くころには、季節はすっかり暑い盛りの八月になっていた。
高い山脈地帯である国境を越えるには最もふさわしい季節。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:16:18.41 ID:OQasl5UF0
支援
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:16:47.07 ID:ysaS5SI80
ブーンは学問を始めた。
宿に泊まるたびにデレの話に耳を傾ける日々が続く。
といっても、ブーンの学問はそう簡単に始まったものではなかった。
ブーンはすべての学問分野について全くの初学者である。
医、政、数、法、史、技、軍の七大学問のうち、どれについてどの段階から教えるか。
夜ごとデレはブーンと話し込み、試行錯誤を繰り返した。
いちばん最初にブーンが親しんだ講義は歴史学だった。
歴史の流れとは、いつか語って聞かせていた「お話」の延長だったからだ。
ブーンの学問は歴史学を軸にして、その周辺の分野、
すなわち歴史を語る媒体としての詩文、また人物の伝記、
そして技術史を通じての自然科学へと、どんどん広がっていった。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:17:24.95 ID:ysaS5SI80
驚くべきはブーンの成長の早さだった。
彼は驚異的な吸収力と理解力を持っていた。
年齢とともに容積だけは大きくなり続けてきた脳の器。
それはからからに乾いたスポンジのようなもの。知恵が注ぎ込まれれば、すさまじい勢いで吸収し始める…
デレは、目つきまでりりしく変わり始めた青年ブーンを見て、そう思っていた。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:18:09.63 ID:ysaS5SI80
最北の街カプリの宿屋は繁盛していた。
デレが宿帳にオスティアから来たことを記していると、
カウンターの向こうから、どこかで見たような顔の主人が話しかけてきた。
(`・ω・´)「旅のひと、南から来たのかい?」
ζ(゚ー゚*ζ「そうよ。山脈を越えてゲール族の地へ行くの」
(`・ω・´)「やっぱりか。それはやめたほうがいい」
ζ(゚ー゚*ζ「…どうして?」
宿の主人が何か言う前に、
デレ達の後ろで順番を待っていた商人風の男が口を挟んできた。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:20:04.77 ID:ysaS5SI80
(゜3゜)「知らないのかい。最近のゲール人たちはどの部族もなぜかやたらと殺気立ってるんだ。
近いうちに何か起こるんじゃないかって気がするんだがね」
ζ(゚ー゚*ζ「そうですか…。あなたはゲール族の地からいらしたの?」
(゜3゜)「俺は商人さ。ビップとゲールの地を行ったり来たりしてる。
いま向こうから帰ったところなんだがね」
商人はブーンのそばに寄り、その腕をポンポンと叩いた。
(゜3゜)「兄ちゃん里帰りかい? あんたゲール人だろ?」
( ゚ω゚)「…?」
(゜3゜)「向こうにはあんたみたいに色が真っ白で体格の大きいやつらが大勢住んでいるんだ。
武器を持って集まって奇声を上げている場面なんて、そりゃもう恐ろしいものだよ」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:21:21.73 ID:ysaS5SI80
デレは宿帳を書き終えて、ペンを宿の主人に返した。
(`・ω・´)「まあとにかく、先に進むかそれとも引き返すかは今夜一晩ゆっくりと考えたらいいよ。
わたしはこの宿の主人でシャキソという」
ζ(゚ー゚*ζ「デレです。忠告ありがとう、シャキソさん」
デレ達には二階の一室が当てられた。
(`・ω・´)「荷物を置いたら一階に下りてきてください。夕食をご用意しますよ」
支援
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:23:04.04 ID:ysaS5SI80
日暮れ時、その宿の夕食は一階の広間で提供されていた。
何人かの旅の商人と思える宿泊客のほかに、この宿屋は町の連中の酒場にもなっているのだろう、
広間のあちこちで地元の者と思えるグループが固まって酒を酌み交わしていた。
彼らの話題はもっぱら商人の口から伝え聞くゲール族たちの情勢についてのものだった。
( ,'3 )「セクアニ族は女子供を海沿いに移住させ始めたとか」
('e')「レミ族とトレヴェリ族が長年の戦いを終わりにして和解したそうだぜ」
(゜3゜)「俺はパリシー族と長年取引をしていたんだが、今年は有無を言わせず追い出されたよ」
最も国境に近い位置にあるこの町では、やはり異民族の動きは気になるものなのだろう。
ζ(゚ー゚*ζ「…どれもこれも不穏な話ばかりですね」
デレは隣に座ったブーンに話しかけた。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:24:35.17 ID:ysaS5SI80
( ゚ω゚)「不穏?」
ζ(゚ー゚*ζ「ゲール人たちは多くの小さな部族に分かれて、普段はそれぞれの部族で勢力争いをしています。
レミ族とトレヴェリ族の対立なんていったいいつから続いているのかわからないくらい。
なのに、その二つの部族が何の前触れもなくとつぜん手を結ぶなんて」
( ゚ω゚)「…そうか」
ζ(゚ー゚*ζ「そうだ。今夜はゲール族の歴史と現状についての話をしましょうか」
シャキソが新しい料理を運んできた。
テーブルの中央に置かれた大皿に周囲の商人たちが手を伸ばす。
デレも取り分け用の大匙を料理の皿へと伸ばす。
狭いテーブルの中、身を乗り出したデレの体がブーンの頬に触れている。
ブーンの眼前にデレの巻き髪が揺れる。
甘い女の匂いが、ブーンの鼻腔を刺す。
支援
作者は教養がありそうだよな
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:26:22.06 ID:ysaS5SI80
料理を取り終えたデレは自分の皿を手前に戻し、ブーンのほうを見た。
ζ(゚ー゚*ζ「ブーン様のぶんも取りましょうか?」
ブーンはデレを見た。
じっと見た。
ζ(゚ー゚*ζ「……?」
デレは自分をじっと見つめているブーンに気づき、
取り分け用の大匙を持った不自然な姿勢のまま、動きが止まる。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:28:20.35 ID:ysaS5SI80
( ゚ω゚)「デレ…」
ζ(゚ー゚*ζ「は、はい」
いつにないあらたまった喋り方をするブーンに、デレは緊張する。
デレはブーンから視線をそらすことができなかった。
その顔をまばたきもせず見つめるブーン。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:28:51.21 ID:ysaS5SI80
ブーンの次の言葉を、デレは待っていた。
だが、ブーンが何かを言う前に、すべての料理を出し終えた宿の主人シャキソが
ブーン達のテーブルにやってきて二人に声を掛けた。
(`・ω・´)「そちらの兄さんは剣を持っていないじゃないか」
ブーンとデレはある種の安堵感を顔に表しながら、シャキソのほうを見た。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:29:34.31 ID:ysaS5SI80
(`・ω・´)「ビップ国内はそれでよかったかもしれんが、ここから北に行くというのなら、
丸腰では死にに行くようなもんだよ。
悪いことはいわない、ゲール族の地に行くなら、とにかくできるだけ上質の武器を買ってから行きなさい」
ζ(゚ー゚*ζ「そんなに治安が乱れているのですか」
(`・ω・´)「乱れている、というより、文明度の問題さ。
あの地では旅人なんて南から金を運んでくるやつらだというくらいにしか思っていない」
シャキソはデレの腰に吊られている細剣に視線を移した。
(`・ω・´)「細剣はいいね。やつらはあまり防具を使わないからね」
シャキソはそれだけ言うと、デレたちのテーブルから去っていき、
端のほうのテーブルに腰掛けて、町の連中のおしゃべりに加わった。
面白いのに、いつも過疎なのはどういう訳だ
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:31:14.85 ID:ysaS5SI80
夕食はそれでおわりだった。
デレとブーンはテーブルを立ち、二階への幅の広い階段を昇る。
二人とも無言だった。
デレはさっきのブーンの態度が気になっていた。
あんなにじっと見つめられたことはなかった。
しかも、あんな目つきで。
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:31:43.79 ID:LcnUfs+a0
支援
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:32:28.01 ID:ysaS5SI80
ブーンは大きく変わっていた。
出会った頃は幼児のような原始的な精神の持ち主であった男が、
今では目元の引き締まった顔立ちとなり、知的な言葉使いで語るようになっている。
階段を一段一段踏みしめながら、デレは考える。
最初に出会った頃のブーンもたしかに大人ではあった。
体は大きく、狩りをする知恵を持ち、敵に立ち向かい、そして女を襲っていた。
それらの技術を持つほどに大人であるとはいえた。
だがそれは、生物の本能に従った欲求の延長線上の技術にすぎない。
いわば乗りこなす者のいない暴れ馬のようなものだ。
そう、あのころのブーンは獣も同然だった。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:32:39.65 ID:9a7X07rF0
支援
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:33:32.39 ID:ysaS5SI80
しかし今のブーンは違う。
瞳の奥に湛えた深い色は、その内奥に複雑な感情があることを示していた。
また、引き締まった口元からは、芽生え始めた青年の社会的情熱を感じ取ることができる。
もはや疑うべくもない。
彼の精神はついに彼の本能を御することができるまでに成長した。
彼は、自分自身という暴れ馬を乗りこなすことができるようになっていたのだ。
ならば、その青年から送られた先ほどの視線は、一体何を意味しているのか。
デレの足が階段の終わりを捉えた。
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:34:43.38 ID:ysaS5SI80
ブーンはすでに部屋のドアの前におり、鍵を取り出している。
ζ(゚−゚ζ(…ブーン……)
すらりと背筋を伸ばし、体格の良い肩を張り出してドアを開けるブーン。
右手で開けたドアを保ちながら、階段の上端で立ちすくむデレのほうを見る。
デレは知らぬ間に胸の前に両手を組んでいた。
ブーンの視線に、びくり、と体が反応する。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:35:46.27 ID:ysaS5SI80
( ゚ω゚)「……」
無言でデレを見つめ続けるブーン。
デレは意を決し、組んだ手をぎゅっと握り締める。
できるだけ自然にふるまおうと意識して足を前へ運ぶ。
…ブーンの横を通り抜け、部屋の前に立つ。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:36:50.85 ID:ysaS5SI80
部屋は真っ暗だった。
カーテンの無い窓からは、遠くの町の建物の黒いシルエットと、
家々の窓から漏れる、小さな小さなオレンジ色の明かりだけが見える。
じょじょに闇に慣れていく目に、うっすらと浮かび上がる部屋の調度品。
小さなテーブルと椅子。
外套掛け。
そして、夜具のかけられた簡素な――ベッド。
誰もいない静かな部屋の中に、デレの最初の靴音が響いた。
やや遅れてブーンが後ろ手にドアを閉める音がして、部屋の空気を階下の喧騒から切り離した。
真っ暗な部屋の中、食堂の笑い声を遠くに聞きながら、
デレとブーンは二人きりになった。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:36:59.63 ID:o5HWbmGs0
これは……いよいよか?いよいよなのか!!
ところで しゃきそ ってわざと?
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:38:46.80 ID:ysaS5SI80
と、どこか遠くから、複数の犬たちの激しく鳴き散らかすさわがしい声が聞こえてきた。
こんな夜中には似つかわしくないその声に、デレとブーンは同時に窓から外を見た。
北の空、地平線付近が赤く輝いていた。
にわかに階下が騒がしくなり始めた。
ブーンは部屋を飛び出して階下に下りていく。
デレもその後を追った。
食堂の広間にいた連中はみな宿を出て、前の大通りに固まって騒然としていた。
一様に北の空を指差し、口々に何事かをわめきたてている。
デレは群集の中からシャキソを見つけ出した。
北の空の赤い輝きに照らされたシャキソの顔は蒼白であり、目だけが興奮で充血していた。
ζ(゚−゚ζ「シャキソさん、何かあったんですか」
(`・ω・´)「火事だよ。町の北のほうが燃えてる」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:41:39.73 ID:ysaS5SI80
犬たちが吼え散らかす声がさらに激しくなる。
人々の叫び声が聞こえ始めた。
ζ(゚−゚ζ「…ただの火事とは思えませんね」
(`・ω・´)「いいや火事だよ、ただの火事にきまってる」
言葉とは裏腹にシャキソは自らの短剣の柄を震える手で握り締めている。
国境の町の住人は、どれだけ平和が続いても、異民族の襲撃の恐怖を忘れ去るものではないのだ。
宿の前にたむろしていた群集は散り散りに走っていった。
この火事はただごとではないと感じ、
旅人たちは自分の部屋に荷物を取りに戻り、
この町の者は自分の家のことが心配になって戻ったのだろう。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:42:08.65 ID:CUMxKAF6O
セ!ク!ロ!ス!しろ!
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:43:13.76 ID:ysaS5SI80
そのとき、町の北のほうから野太く長い鬨の声が上がった。
シャキソはびっくりして身をこごめる。
大人数の声が入り混じって、どこまでも通る太くおおきな声で、
鬨の声はカプリの町を駆け抜けた。
もう間違いない。蛮族たちの襲撃だ。
町のあちこちの家からは剣を持った住民が姿を見せ始めた。
どこかで半鐘が乱打されているのが聞こえる。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:43:16.46 ID:6nfygiUm0
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:44:10.56 ID:ysaS5SI80
(`・ω・´)「…デレさんたち。あんたら戦えるのかね」
ブーンは無言でうなづいた。
(`・ω・´)「そうか、それじゃ砦へ行こう」
ζ(゚−゚ζ「…砦?」
(`・ω・´)「その昔、この町の近くにビップ軍が駐屯していた頃に使われていた砦だよ。
昔はこういう蛮族の襲撃があればいつもそこに避難していたもんだ。
町の連中でも動ける者はみなそこに避難してくるはずだよ」
遠くで剣戟の金属音が始まっていた。
迷っている時間はなさそうだった。
ζ(゚−゚ζ「わかりました。行きましょう」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:45:19.65 ID:ysaS5SI80
デレ達は大通りを走った。
沿道の住民は混乱のきわみにあった。
荷車を引き出そうとして若い息子に制止されている老婆。
家財道具と思われる布団の束を道端に捨てて走り去る太った男。
大きな籠が転がっており、大量のジャガイモやタマネギが道にこぼれ落ちていた。
怒鳴り声と鬨の声に混じって悲鳴が聞こえ始めていた。
あちこちに火の手があがり、夜空を焦がし始めていた。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:45:23.99 ID:LcnUfs+a0
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:46:16.70 ID:ysaS5SI80
大通りは逃げ惑う人々によって塞がれ、思うように進むことができなかった。
(`・ω・´)「よし、別の道を行こう」
シャキソはそう言って、大通りを避難する人々の列から離れて一本の路地を曲がった。
人影のない細い路地を三人は駆け抜ける。
遠くで石造りの建物が崩壊する音が聞こえる。
火事によって梁が焼け落ち、柱が折れて、自重で崩壊してしまうのだろう。
三人はますますスピードを上げて駆けていた。
しえ「
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:47:46.03 ID:ysaS5SI80
ζ(゚−゚ζ(ん?)
デレは路地の端、別の通りとの交差点に、五つの人影を見つける。
ζ(゚−゚ζ(町の住民がこんなところにいるとは思えない…)
五つの人影は不思議な言葉を叫びながら、なにかを探すようにしてあたりを見回している。
彼らの手には銀色にきらめく獲物が握られている。
赤く焦げる空に照らし出された、五人の半裸の男。
ζ(゚−゚ζ(……しまった!)
男達の一人がデレ達に気づく。
何度も指差しながら、大声で仲間達に呼びかけている。
炎に照らし出された路地の端、五人の男達の10個の眼球が、デレ達を見つめて光っている。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:48:58.70 ID:6nfygiUm0
支援
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:49:40.47 ID:ysaS5SI80
(`・ω・´)「ば、蛮族…!」
シャキソは後ずさりしながら短剣を抜いた。
デレも身構えて細剣を抜く。
五人の蛮族はデレ達の抜剣を見て、いっせいに奇声を発し、鬨の声を上げた。
それは空間を満たす恐ろしい唸り声だった。
(`・ω・´)「ひ、ひいいいぃぃ」
シャキソは裏返った声で悲鳴を上げ、短剣を投げ捨てて、もときた道を走って逃げていく。
蛮族たちは油断していたのだろう。
丸腰のブーンと細くてか弱そうな剣を持ったデレを見て、
二人を無視して、蛮族の一人がショボンを追って駆けはじめる。
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:50:34.73 ID:lAmUTi+A0
ショボン×
シャキン○
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:51:04.36 ID:ysaS5SI80
デレはその男に向かって正確な突きを繰り出した。
細剣は次の瞬間には男の右腕を貫き、肉を切り裂いてデレの手元に戻っていた。
咆哮のような悲鳴をあげ地面に転がる蛮族の男。
蛮族たちの目つきが変わった。
剣と丸盾を構えなおし、兜の奥の目を鋭く光らせて、
残った四人の男たちはデレとブーンを慎重に取り囲み始める。
路地の脇の建物にも火が移り始めていた。
蛮族たちの、血にまみれた恐ろしい髭面が、炎の舌に照らし出されて浮かび上がる。
じりじりと吹き付ける炎の熱気の中、ブーンはデレの左手の側に立って、
後ろに回り込もうとする蛮族の戦士を牽制していた。
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:51:35.77 ID:CUMxKAF6O
脳内補完完了
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:52:08.00 ID:CUMxKAF6O
ギコ…
あー
路地沿いの建物のひとつが崩れ、すさまじい音をたてながら土ぼこりを巻き上げる。
それにあわせるかのように蛮族の一人が斧を振り上げてデレに切りつけてくる。
デレは横に飛んで身をかわそうと思った。
が、初めて見る蛮族のあまりの恐ろしい勢いに恐怖心が沸き起こり、
とっさに一歩後ろに飛びのいた。
それがいけなかった。
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:54:10.60 ID:ysaS5SI80
崩れた建物のガレキが、ちょうどデレの後ろに落ちていた。
デレは後ろ向きに足をとられ、そのままバランスを崩し、地面に倒れ込む。
ブーンはもうもうと巻き上がった土ぼこりに視界を奪われ、ただ涙を流し咳をするばかりでデレの危機に気づいていない。
炎に照らされた赤と白の土ぼこりの中、うっすらと煙の中に浮かび上がった髭面の蛮族が、手にした斧を振り上げる。
デレは両手を地面について、それを見上げていた。
刃の軌跡が一閃する。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:54:22.93 ID:CUMxKAF6O
!
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:54:53.71 ID:LcnUfs+a0
ひぃぃぃぃぃ
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:55:39.76 ID:ysaS5SI80
次の瞬間、蛮族の腕から血が吹き出ていた。
大きく恐ろしげな斧は、蛮族の腕ごと傍らの地面に転がっていた。
きょとんとして自分の両腕を見つめる蛮族。
そこにはあるべき腕が存在しなくなっている。
どうなる!
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:56:10.40 ID:ysaS5SI80
( ゚ ゚)「大丈夫か!!」
崩壊した建物のほうから若い男の声がした。
男は右手で剣を持ったまま、倒れているデレを左手で抱えて起こす。
その男は頭巾で鼻と口を覆っていた。
( ゚ ゚)「頭巾を巻きなおして顔を覆え! 砂塵と煙に肺をやられるぞ!」
彼はそう叫び、両腕を切り落とした蛮族にとどめの一撃を浴びせかけた。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:57:19.09 ID:ysaS5SI80
建物がつぎつぎと崩壊しているようだ。
あたりはたちこめる土ぼこりのせいで、残り三人の蛮族も激しく咳き込み始めている。
ブーンとデレは言われたとおり頭巾を巻きなおして顔を覆う。
( ゚ ゚)「姿勢を低くして戦え! 煙に巻かれるぞ!」
頭巾の男は剣を構えなおし、蛮族の一人に打ちかかっていった。
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:58:08.13 ID:JpVHCPGMO
支援
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:58:16.98 ID:Dei044HOO
追いついた!支援
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:58:35.86 ID:ysaS5SI80
デレは細剣を拾い上げ、ふたたび蛮族たちに向き直る。
ブーンが身をかがめ、低い姿勢からすばやく突進して、蛮族の一人の足に組み付いた。
予想外の攻撃に戸惑い、手にした斧を力無く振り下ろす蛮族。
だがその切っ先がブーンの背中に届く前に、蛮族の体はふわりと宙に浮き、頭を地面に叩きつけられていた。
デレは蛮族に向けて剣を構えたまま、頭巾の謎の男のほうにちらりと視線を向けた。
( ゚ ゚)「……」
謎の男は剣をかまえ、ひときわ体格の大きな蛮族と対峙していた。
ζ(゚−゚ζ(味方…かな? 私を助けてくれたし…)
謎の頭巾の男と戦っている蛮族はどうやらこの五人のリーダーのようだった。
五人の中でひとりだけ装飾のついた兜をかぶっており、また年のころも他の四人より少しだけ上のようだ。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/31(木) 23:59:41.49 ID:fiUeVAsKO
支援
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/01(金) 00:00:49.24 ID:nlNIEx0N0
蛮族のリーダーはさすがに慎重なようだ。
頭巾の男のふところに一気に踏み込むようなことをせず、
じりじりと間合いをつめながら、切り込む隙をうかがっている。
デレの注意が頭巾の男に向かっていることを敏感に察知して、最後の蛮族部下がデレを攻撃する。
剣を斜めに振り上げ、体全体でぶつかってくるようにデレに襲い掛かる。
今度はデレも引かなかった。
斜めに振り下ろされる蛮族の剣の軌跡を正確に読み、その軌跡と交差するように自らの細剣を振り上げる。
デレの剣は蛮族の手首に深い裂傷を作った。
自分の手首から噴き出す血を見て、蛮族は一気に戦意を喪失し、顔をゆがませて剣を落とす。
噴水のように噴き出したその血が、リーダーと対峙する謎の男の顔に飛んだ。
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/01(金) 00:01:00.12 ID:YAwp38/Y0
支援
おお・・・
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/01(金) 00:02:26.15 ID:nlNIEx0N0
顔半分に血しぶきを受け、目に入った血の痛みに顔をしかめる謎の男。
蛮族のリーダーはこのチャンスを逃さなかった。
斬戟の姿勢から突然変化して、突きを繰り出し、頭巾の男の喉元を狙う。
( ゚ ゚)「…くっ」
間一髪それを避ける謎の男。頬を覆う頭巾が切れる。
なおも攻撃を加えようと剣を構えなおそうとするリーダー。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/02/01(金) 00:02:55.82 ID:POyqIvV/O
二人目の犠牲者か
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと885,598秒:2008/02/01(金) 00:04:02.19 ID:nlNIEx0N0
が、剣を引き戻そうとした時、リーダーは自らの剣が男の頭巾に絡まっていることに気づく。
リーダーの一瞬の焦り。そして一連の動作の停止。
時間にすれば一瞬のことだろう。
だが、それだけの時間相手の動きが止まっていれば、頭巾の男にとっては十分だった。
男は短い動きで剣を繰り、それを蛮族のリーダーの胸に突き立てる。
目を見開いて、大きく開いた口から血を流すリーダー。
謎の男の頭巾が絡まった自らの剣を握り締めながら、ゆっくりと地面に崩れ落ちていく。
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと885,292秒:2008/02/01(金) 00:05:35.17 ID:nlNIEx0N0
蛮族のリーダーが地響きを立てて地面に崩れ落ちると同時に、謎の男の顔から頭巾が剥がれ落ちた。
刹那、ふたたびどこかで建物が崩壊する音が聞こえる。
裏路地には炎の壁が押し寄せており、熱気で息苦しいほどにあらゆる物が燃えていた。
煙と砂埃がもうもうと立ち込める。
男は空いている左手でデレの手をとって、二人に呼びかけた。
ミ,,゚Д゚彡「こっちだ、行くぞ!!」
頭巾をはがし取られた男の顔を、燃え盛る沿道の炎が照らし出した。
第八話 ここまで---
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと885,355秒:2008/02/01(金) 00:06:21.44 ID:YAwp38/Y0
乙!
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと885,259秒:2008/02/01(金) 00:07:14.72 ID:bkH72oAAO
これは修羅場の予感…
乙
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと885,355秒:2008/02/01(金) 00:07:16.23 ID:SUxT835MO
乙
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと885,292秒:2008/02/01(金) 00:07:24.77 ID:i4A0gXOPO
おつ
おー・・・乙
乙
ここまでで全体の何分の一くらい?
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと885,136秒:2008/02/01(金) 00:09:15.37 ID:nlNIEx0N0
というわけで今宵はこのへんで…
支援ありがとうございます!
ご支援のおかげでいよいよこの物語も後半戦に入ることができました
それではまた!
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと885,136秒:2008/02/01(金) 00:09:38.36 ID:nlNIEx0N0
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと885,599秒:2008/02/01(金) 00:09:46.54 ID:jp2oiYTL0
乙〜
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと885,598秒:2008/02/01(金) 00:09:56.64 ID:POyqIvV/O
ピンチ
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと885,292秒:2008/02/01(金) 00:11:25.67 ID:j0i4LCJ20
乙
クーはいつ出てくるんだ
で、しゃきそは
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと884,823秒:2008/02/01(金) 00:15:33.45 ID:2VaN0cBoO
中盤突入か
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと884,650秒:2008/02/01(金) 00:17:55.36 ID:7kPGGX5iO
おもしれえなあ 乙
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと884,199秒:2008/02/01(金) 00:23:22.69 ID:P1wELhrXO
またカウントダウンか…
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。あと883,932秒:
omoshiroi