【雪を】ローゼンメイデンが普通の女の子だったら【見上げる】

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
このスレはもしもローゼンメイデンが普通の女の子だったらという妄想を垂れ流すスレです

ローゼンメイデンが普通の女の子だったら @Wiki
ttp://www9.atwiki.jp/rozenmaidenhumanss/

ローゼンメイデンが普通の女の子だったら画像保管所@Wiki-トップページ
ttp://www9.atwiki.jp/nanasi/

女子高スレ練習用wiki@幼稚園
ttp://www9.atwiki.jp/rosen_kindergarten/

nのフィールド@休憩所
http://jbbs.livedoor.jp/otaku/7014/
携帯からは↓
http://jbbs.livedoor.jp/bbs/i.cgi/otaku/7014/

前スレはどうなったの?なんて言う時は・・・・・
2ch RozenMaiden過去ログ倉庫
ttp://rozen-thread.org/

2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 17:47:00.22 ID:Joa1ysdj0
・『原則「コテ」禁止』
 コテハンの人の書き込みが悪いんじゃなくてコテを付いてるということが荒れる原因になりやすいので原則コテは禁止で。

・スレ・作品と関係ない雑談は控え、気に入らない作品や書き込みはスルーお願いします。

・非常時はまずWikiや雑談所で状況を確認してください。(本スレの消失など)

・長編でレスを大きくまたぐとき(前回の投下は>>51で今回は>>462とか)や前スレから の続きはタイトルやあらすじ、アンカー等付けると読者に優しい職人になれる。

・なるべく自分でWikiを編集できるようになりましょう。どうしても編集できない場合は雑談所の掲載状況スレで依頼しましょう。(簡単な説明の項目の通りである程度できます)

・性的描写はエロパロで。(投下するなら少年誌レベルぐらいまで)

・投下混雑時以外の「投下いいかな?」は不要。投下終了後の「やっぱグダグダだったorz=3」とかも不要。もっと自信持って投下しよう!
(目安として:投下ラッシュは大体22時前後。それ以外なら特に混む事は無し。)

・投下時、他の人と被るが嫌なら投下前のログの再取得は必須!

・未来アンカーやリレー小説はスレストの原因になったり投下し辛い空気にしたりするので控えてください。

・投下するときは「○○ネタだから注意」とか「○○系につき苦手ない人スルーよろ」などと付けた上、
 さらに「メール欄」に、あぼーん用の特定のNGワードを付記するなどの各自配慮をお願いします。
例:yuriyuri(百合)  sinineta(死)  uhouho(男色)  guroino(グロ)

・上記の他、Wikiの「簡単な注意事項」を読んだ上、分からない質問などは>>1のリンクから行ける雑談所やWikiでお願いします。
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 17:55:13.76 ID:4NqM5HIQO
>>1
乙です。
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 17:55:44.11 ID:/QatRQcqO
>>1
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 18:12:22.92 ID:LONCxRUCO
>>1
乙ぅ!
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 18:18:29.15 ID:fi7d9z+SO
>>1乙かレンピカ!
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 18:28:52.31 ID:RMynd//k0
         / ̄\
        |     |
         \_/
          |
       /  ̄  ̄ \
     /  \ /  \
    /   ⌒   ⌒   \      そうだな
    |    (__人__)     |       だからオプーナを買う権利をやる
    \    ` ⌒´    /   ☆
    /ヽ、--ー、__,-‐´ \─/
   / >   ヽ▼●▼<\  ||ー、.
  / ヽ、   \ i |。| |/  ヽ (ニ、`ヽ.
 .l   ヽ     l |。| | r-、y `ニ  ノ \
 l     |    |ー─ |  ̄ l   `~ヽ_ノ____
    / ̄ ̄ ̄ ̄ヽ-'ヽ--'  / オプーナ  /|
   .| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/|    | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/| ______
/ ̄オプーナ/|  ̄|__」/_オプーナ  /| ̄|__,」___    /|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/オプーナ ̄/ ̄ ̄ ̄ ̄|/ オプーナ /|  / .|
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/l ̄ ̄ ̄ ̄| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|/| /
| ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄|
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 18:34:26.81 ID:LONCxRUCO
ジ「ラーメンを食べるぞ」

み「私は断然塩ラーメンね!」
ジ「ふむ。単純でいて奥深い味だな」
み「そしてこれは私の青春でもあるのよ!」
ジ「その心は?」
み「あれは高校二年の夏…人生初のコミケの日!意気揚々と家を出た私はなんと路線を間違えた上に徹夜の疲れがでで爆睡!結果青森まで飛ばされたのよ!」
ジ「ほぉ」
み「それに気付いて全力で帰ってみたらコミケは終了していた…打ちひしがれる私が入ったのは駅のおそば屋さん…その一杯のかけそばに滴る私の汗と涙が、それを極上の塩ラーメンへと進化させたのよ…ああ!なんてかわいそうな私!!」
ジ「(ピー)年前のコミケに行ってた事は置いておいて、それはラーメンではない」
み「だってしょっぱかったもん!油も浮いてたし!」
ジ「とりあえず僕の食欲が無くなった」
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 18:40:15.17 ID:LONCxRUCO
>>8
ジ「ラーメンを食べるぞ」

巴「私は醤油かな」
ジ「むしろ柏葉は醤油だな」
巴「でね、そこにお味噌を入れるの」
ジ「ここでまさかのトランスフォーム。僕は動揺を隠せない」
巴「そして豚骨スープと紅しょうがを乗せて」
ジ「何と言うスベクタクル。味のトライアングルが完成した」
巴「最後にイチゴシロップをかけたのがここにあります」
ジ「捨てよ破棄せよ放棄せよ」
巴「桜田君はこの前貸したのノートを家に忘れてしまい私は凄く困りました」
ジ「正直、すまんかった」
巴「故に、これを食べなさい」
ジ「拷問用か。納得した」
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 18:42:04.48 ID:LONCxRUCO
>>9
ジ「ラーメンを食べるぞ」

め「私は豚骨ね」
ジ「意外と言えば意外だな」
め「昔よく作ったのよ」
ジ「それは凄い」
め「じゃ〜ん!実は今日久々に作ってきました」
ジ「素晴らしい。さっそくいただこう」
め「どうかしら?」
ジ「実にうまい。が…不思議な味だな。普通の豚骨とは何かが違う」
め「それは骨に秘密があるの」
ジ「なるほど。しかし、よく豚骨なんて仕入れられたな」
め「うん。病院の近くにいっぱいあったから拾ってきちゃった」
ジ「・・・」
め「・・・」
ジ「嘘…だよな?」
め「私が嘘つくと思う?」
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 18:50:26.61 ID:4NqM5HIQO
このじわりじわり来る面白さが堪らないww
C∞L&ふたりの方ですか?
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 19:01:53.31 ID:LONCxRUCO
>>11
残念ながら違うです。
が、あの雰囲気のジュンをイメージしてみた。
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 19:19:36.11 ID:7gpKDMr40
保守
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 19:21:27.45 ID:Joa1ysdj0
>>10
ちょメグこええよwww
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 19:47:53.13 ID:LONCxRUCO
保守かしら
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:12:52.66 ID:4HL6giUNP
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:24:23.25 ID:7gpKDMr40
しゅ
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:41:00.23 ID:i8hwpgniO
め「真紅、あの白鳥を追いかけて!」
紅「……? あれは……!?」
銀「!!」
紅「どうして貴女がここに居るの!?」
銀「私は貴女と違って、パイロットだけをやっているわけにはいかないのよぉ」
紅「なんですって!」
め「あれが……水銀燈」
紅「私達と一緒に戦った女が、何で地球潰しを!」
銀「地球に残っている連中は地球を汚染しているだけの、重力に魂を縛られてる人々じゃなぁい」
め「あぁ……だから、夫婦でもいがみ合っていられるんだ」
紅「水銀燈!」
銀「地球は、人間のエゴ全部を飲み込めやしないわぁ!」
紅「人間の知恵はそんなものだって乗り越えられるのだわ!」
銀「だったら今すぐ、愚民どもすべてに英知を授けてみせなさいよぉ!」
め(そうだわ、それが出来ないから……)
紅「貴女をジャンクにしてから、そうさせてもらうのだわ!」
め「真紅! あんた、ちょっとセコイわよ?」
紅「めぐ!」
銀「行くぅ?」
め「えっ……」



め「……っていう夢を見たんだけど」
銀「『CCA』なんか見ながら寝るからよぉ、お馬鹿さぁん」
め「でもその後の展開が全然違ったのよ。水銀燈の部屋に連れ込まれて、二人っきり……」
銀「ちょ、ちょっと……!?」
め「それで『お父様の名を背負うのはつらいわぁ……アナタのような支えがないと』とか言って私を押し倒し……////」
銀「アンタ、いつの間にク〇スからナ〇イにポジション換えしてんのよ……」
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:46:38.13 ID:G5aL9yDi0
>>18
ポジション換えに笑ったw
この配役だと、ジュン君がチェー○?
ラ○ァでもいけるかなぁとか思った、自分のいらん知識が憎い…。
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:47:17.61 ID:G5aL9yDi0
うぃでは、数スレ頂きます。

《さいれん》

(このお話は《甘い保守》のサイドストーリーです)
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:47:53.61 ID:G5aL9yDi0
《さいれん》

―何時の頃からだろう。
 時々、胸に響く『その音』を警告(サイレン)と感じるようになったのは―

今の時期にしては珍しい暖かな陽気に包まれながら、私は校内の中庭で一人、昼食を摂っている。
他の生徒たちがいる教室からも、時間帯的に人が多い食堂からも離れた位置にあるこの場所で、
私の耳に入る音は、自らが発する小さな咀嚼音と箸と容器の触れ合う音だけ。
いつもならば、この時間―昼食―は喧騒に包まれている。
軽口をたたき合う真紅と水銀燈、和やかな金糸雀と薔薇水晶、
機関銃の様に話す翠星石、それを受け止める蒼星石、和気藹々と食べ続ける雛苺と雪華綺晶。
彼女達と過ごす時間は、喧騒が苦手な私でも楽しいと思える、素敵な一時。
楽しい一時なのだ………彼女達だけならば。
ふぅ………と、意識せず微かな溜息が零れる。
今日とて、彼女達は私を昼食に誘ってきてくれた。
私は、その誘いを微笑みと共に受ける――筈だったのに。
彼女達の後ろにいる、一人の男の子を見て、一瞬、言葉に詰まってしまい。
同時に、サイレンの音が鳴り響き、私はその誘いを断った――嘘をついてまで。

彼は私の幼馴染であり―初恋の男の子。
昔から物静かだった私は、同じ様な彼とよく二人で遊び………当然の様に、好意を抱いた。
そっけない言葉、拗ねた様な態度、時折見せる可愛らしい微笑み。
今は捻くれ者と言われる彼だが、昔から余り変わっていない様に、私は思う。
ともかく、そんな彼に私は惹かれていたのだ。
だけれども、所詮は小学生の恋心――私が父の都合で転校した事により、その想いは霧散してしまった。
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:48:24.44 ID:G5aL9yDi0
>>21
この街に再び戻ってきて、彼と再会した時――彼の周りには、彼女達がいた。
ふざけた態度の中に時々可憐な表情を織り交ぜる水銀燈。
賑やかで、周りの者にも同じ気持ちを振りまく金糸雀。
人一倍辛辣な言葉を放つが、人一倍優しい想いを見せる翠星石。
皆を呆れながらもまとめ、優しく見守る蒼星石。
美しさと可愛さを併せ持ち、それでいて嫌味さがない真紅。
大輪の花の様な笑顔で、暖かな気持ちを与えてくれる雛苺。
大人びた容姿と、それに相反した貪欲さと少女らしさを見せる雪華綺晶。
掴みどころがなく、ミステリアスな雰囲気を持った薔薇水晶。
――それぞれが違った魅力を持つ彼女達に、何故か私の胸は、サイレンの音を鳴らした。

出会いより数年たった今、私も、彼と彼女達と共に過ごす時間が増え。
その分、彼女達との仲は近くなり。
――彼との仲は、遠ざける様になってきている。
そうすれば、疎ましく鳴り響くサイレンの音を感じずに済むから。

彼の事を考えたからだろう。
わざわざ、友人達の誘いを断ってまで一人になったと言うのに、サイレンが小さく鳴るのを感じる。
それを疎ましく思い、私はわざと乱暴にご飯を喉に詰め込み、ごくんと音を鳴らして飲み込む。
――それでも、「消えない。サイレンの音が………」

「――ん〜、私には聞こえないけどなぁ、そんな音」

びくん!と背後からの不意な言葉に、私の身体は露骨に反応してしまう。
その為、先程嚥下した筈の白米が逆流し………私は胸元を抑え、けほけほと醜態を晒してしまった。
一人の空間に突然現れた侵入者は、「驚かせるつもりはなかったんだけど」と申し訳なさそうに
言いながら、背をさすってくれる。
「けふ――もう、大丈夫です、草笛先生」
侵入者―私達のクラス担任の―草笛みつ先生は、私がそう言った後も、背を前後に撫でる。
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:48:53.83 ID:G5aL9yDi0
>>22
優しい手の動きにくすぐったい気持になるが、過度に心配させてはいけないと思い、
ちらりと先生を見ると――
「ちっちゃい背中、可愛いなぁ、うへへ」
「………………先生?」
「やん、そんな絶対零度な無垢な瞳で先生を見つめないで!?」
冗談だとは分かっているが―いや、時々、判らなくなるが。
ともかく、私は妙な空気を払しょくする為にも―先程の独り言を誤魔化す為にも、平然と礼を言ってのけた。
「もう、大丈夫ですから。――ありがとうございました」
ぺこりと小さく頭を下げ、再びお弁当に向き合う。
その行為が示すのは、会話の拒否。
先生を避けている訳ではない――ただ、この人は、時々ずけずけと人の心に入ってくる事があるから………
怖かったのだ。
自分の醜い所を見られるのが。
「んー………で、さ。
サイレンの音って、何?」
………空気を読んで欲しい。
もっとも、この人は、読んだ上で突っ込んできているのだろうが。
勝手にした己のフォローに、尚悪い、と思いつつ、口を開く。
「別に、先生に――」
「――関係なくはないんじゃないかなぁ。
私が、貴女に、わざわざ、お昼時間に頼んだ仕事、終わってる?」
一文で言えばいいモノを、わざと区切って伝えてくる先生。
そう、それは私が友人達からの誘いを断った『嘘』の内容―つまり、先生への借り。
此処に来る前に、友人や彼と遭遇したんだろう――先生の恨み節は続く。
「皆に非難されちゃったんだから」
私が罪悪感を感じている所を、的確に突いてくる。
煩わしいほどに巧い交渉術に舌を巻きながら、それでも私はもくもくとお箸と口を動かし続けた。
――先生が、私の前に中腰で立ち、微笑みを浮かべてくるまでは。
「――特に、彼にね」
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:49:21.32 ID:G5aL9yDi0
>>23
音が鳴る――胸に、サイレンの音が木霊する。
先程と同じ様に噎せる私を、先生も先程と同様、背を撫でて落ち着かせようと動く。
向き合う形で対峙していたのだから、抱かれるような格好で。
「あはは、ビンゴだったみたいだね」
茶化した言い方だったが、声色は優しくて。
そっと見上げると、先生の柔らかい微笑みと視線をぶつけられた。
――観念するしか、ないかな。

「………彼を見ていると、考えると、サイレンの音を感じるんです」
「とくん、とくん………って?」
「………はい」
「そっか。――でも、なんで、サイレン?」
「警告の音、だからです。
………初恋の想いは消えたんだから、勘違いするなって」
「――今の『想い』は違うんだ、是は昔の『想い』を引きずってるだけなんだ――かな」

こくん、と先生の補足に頷く私。
そんな私を、先生は――ぎゅっと、抱き締めた。

「あっはっは、可愛いなぁ、巴ちゃん。可愛い女の子だ」
「茶化さないでください!」
「んー、茶化してないよ?
ま、一つだけお節介な事言っちゃおうかな――押し倒しちゃえば?」

麗らかな日差しの下、何を言い出すんだ、この聖職者は。
茶化さないと言っておきながら、直後に口にした事は悪ふざけにしか聞こえず。
私は、ぐぃと先生を押しのけようと腕を伸ばした。
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:49:54.19 ID:G5aL9yDi0
>>24
「わ、私は真面目に答えたのに――!」
「うん、だから、真面目に返したつもり。
押し倒してでも――何かのアクションでもしないと、ずっと、サイレンの音は、警告の音のままだよ?」

だったら、初めからそう言って欲しい――ほんとに、この人は性質が悪い。
抱きしめられていたからその表情は見えなかったが、恐らく悪戯猫の様な笑みを浮かべていたのだろう。
きっと、今向けられているにこにことした表情と同じだっただろうから。

「………この音を、別の感じに変えられるんでしょうか?」
「巴ちゃんが―貴女が、少女から少し、大人になれたらね」
「………先生」
「あっはっは、その半眼に込められた言葉は、穿った見方をし過ぎよ。
――と、それじゃあ、音の原因が来たみたいだから、先生は席を外すね」

膝に着いた草を払いつつ、先生はすくっと立ち上がる。
先生の言葉を意味を飲め込めず、私は疑問符を浮かべるが――。
背後からの呼び声に、その疑問は氷解した。

「――と、柏葉。用事って終わったのか?」

警告、サイレン、さいれん――音が鳴る、鼓動を感じる。

「でも、サイレンねぇ、さいれん。
言い得て妙ってヤツかな、あっはっは」

淑女に相応しくない豪快な笑い声を残し、「じゃね」と手をひらひらと振って、
先生は校舎に戻って行った。
残された私は、此方にとことこと歩いてくる彼に向けて、気持ちを仕切り直す。
だけども―仕切り直そうとした気持ちは、先生の言葉に後押しされて。
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:50:36.62 ID:G5aL9yDi0
>>25
お弁当の蓋をぱたんと閉じ、お箸をケースに直して、立ち上がる。
彼が丁度、私の真向かいに立った時に。

「ぁ、えと………弁当も、食い終わっちゃったみたいだな」
「――うん、今さっき。………どうして?」
「いや、まぁ………いつも、一緒に食べてるから、用事が終わったんだったら、今日も…って」

頬を掻きながら、何故かしどろもどろに告げる彼。
きっと、彼は、私以外の誰かが欠けていたとしても、同じ様に行動するだろう。
その度に、私の胸のサイレンは鳴るだろうと思う。
――その想いは、昔の想い。
――もし、今の想いであっても………叶えられる訳がない、想い。
警告、サイレン、さいれん。
だけど――。

「――って、ご飯粒、頬に付いてるぞ?」
「え………?あ、最後、急いで食べたから………」
「はは、小さい頃みたいだな。――動くなよ」
「ん………――ありがと」

――サイレンの音が鳴る。さいれんの鼓動を感じる。
彼の中にまだ、私のスペースがあるならば。
叶えられない想いじゃ、ない。

「お礼するから、動かないでね。――君」
「お礼って、たかが、あの程度で………え?――」
「――――ん」
「ん――――その………………懐かしい、呼び方だな」
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:51:20.52 ID:G5aL9yDi0
>>26

先生の言ったとおり………そうなったのは、少し悔しいけれど。
確かに、少女から小さく歩を進めた私には、サイレン―警告の音は聞こえなかった。
その代りに、別の音が鳴る。
とくんとくんと、心地の良いリズムを取りながら。

「――それだけ?」
「それだけって………いきなりあんな事されて、他に何を返せばいいんだよ」
「貴方からも」
「ぼ、僕からも!?いや、でも、僕、下手だと思うし、歯とかぶつかっちゃうぞ!?」
「いきなり上手くても、それはそれでショックだけど。
そうじゃなくて………ね?」

私は声に出さず、口だけを動かして、呟く――彼の名前を。
鈍い彼は、ぱちくりと暫し瞬きを繰り返し。
あたふたと口を開いたり閉じたり。
そう言う所も嫌いじゃないけれど――思いながらも、私はじっと見つめ続けた。
さいれんの音を感じながら。

「別に、その、言い方なんて、どうでもいいけどさ、まぁ、ぇと――ともえ、ちゃん」


28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:52:15.95 ID:G5aL9yDi0
>>27

――警告だった音が鳴り響く。サイレンの音が鳴る。さいれんの鼓動を感じる。
――昔の想いじゃなく、今の想いを私に知らせる様に。
――霧散した想いとは別の、だけど、昔から続く想い。
――だから、音は鳴り続けたのだろう。何度でも、何時でも、何処でも。

「ありがとう………――――ジュン君」

――さいれんの音が鳴る。
――とくんとくんと、心地の良いリズムで。
――再び恋せよ、と私に告げる。
――だから、胸に鳴り響くこの音は――再恋の音。



―――――――――――――――――――――――《さいれん》 終
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 20:56:21.00 ID:G5aL9yDi0
投下終りょuuuuuurrrrrrryyyyyy!
いやさ、数字の「0」だとわかっちゃいますが。

と言うわけで、《甘い保守》巴編ノーマルエンドって感じでお送り致しました。
書いている途中に、エロゲのタイトルみたいだなぁって思ったのは内緒。
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 21:09:13.08 ID:7gpKDMr40
感動して、投下宣言で吹いたwww
みたらIDの最後がDIO様だwww
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 21:10:59.13 ID:LONCxRUCO
ぺろっ…これは…恋してる味!!!

いや〜潤ってるな〜…人生のオアシスだねぇ〜…恋、か…
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 21:20:44.55 ID:BscJtFQnO
ぐはワカラネェ

誰かいいあぷろだ紹介してくれないかね
昨日の蒼い子の人です。
結果、バンダナ2だったのでバンダナで描いたけど…
完成ー…けどうp出来ねぇw>あぷろだわからなす
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 21:36:33.48 ID:LONCxRUCO
>>32
イメピタじゃ駄目なの?一応貼るが
http://imepita.jp/m/

あと、こういう雑談は休憩所に書くとよろしい。
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 21:43:39.65 ID:BscJtFQnO
>33
スマンカッタ
以後気をつけ…
そして有難う。
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 21:49:17.26 ID:BscJtFQnO
http://imepita.jp/20080123/783150

完成だー


多分これでいいと思うんだ>イメぴた
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 21:59:43.27 ID:LONCxRUCO
>>35
゜ ゜ ( д )


ちょwwww前の投稿からレベルアップしすぎwwww
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 22:17:23.06 ID:4HL6giUNP
かっこいいなホ
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 22:29:47.01 ID:BscJtFQnO
>36、>37
感想貰えて嬉しいな

Q2
次、バンチ銀描こうと思うんだが、バンチの銀様てどんなイメージ?

正統派ウェスタン、保安官みたいな感じ?

寧ろ露出激しい(ブラックラグーンのレヴィとか。分からない奴ググれ)…みたいな…?

39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 22:32:18.20 ID:BscJtFQnO
ちょw
書き込み反映されないw
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 22:33:01.34 ID:fi7d9z+SO
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 22:33:06.69 ID:BscJtFQnO
反映されてたw

すまぬん
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 22:50:10.56 ID:fi7d9z+SO
500保守
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:00:01.29 ID:4NqM5HIQO
前回の投下の際、続きが云々と言われ、つい書いちゃいましたw
書いたは良いが、先を決めてない…orz
では、投下致します。
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:03:21.83 ID:4NqM5HIQO




さら、さら、さら。




「――此処は、一体何処だ?確か…夢か?いや、其れにしては随分――」

「やあ」

「――うわあっ!」

「ふふ。そんなに驚かなくても良いじゃないか」

「そう言われてましても、後ろから急に呼ばれたら、誰だって、――………」

「………ん?どうか、したのかい?」
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:05:22.68 ID:4NqM5HIQO
「……あ、いや、何でもない。何でもないですよ」

「ん?そうかい。――こんにちは。いや、おはよう、になるのかな?」

「あ、ああ。…こんにちは」

「ふふ。君がこんにちは、と言うのなら、きっと『こんにちは』なのだろうね。改めまして、こんにちは――」




《とある小川での出来事》




さら、さら、さら。




46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:05:57.89 ID:4NqM5HIQO
「――あの、此処は、何処でしょうか?」

「ご覧の通り、小川の在る処だよ」

「いや、そうでは無くて…」

「ふふ。此処が何処だろうと、構わないのでは無いかい?」

「まあ、確かにそうではありますが…」

「なら、良いじゃない。僕はこの場所、結構気に入ってるんだけどな。――この小川の水、とても美味しいんだ。飲んでみないか?」

「…………
 確かに、綺麗な川ですね。どれ、飲んでみるか。…――」

「…どう?」

「……ぷはぁ」

「……ふっ、あはは。そうそう。やっぱり、『ぷはぁ』ってなるよね?」
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:08:16.76 ID:4NqM5HIQO
「ええ。冷たくて、美味しい。思わず、『ぷはぁ』って声が漏れてしまいますよ」

「そうだよね。僕もこの水を飲むと、いつも声に出しちゃうんだよ。
 ――…ぷはぁ」

「ははは、本当ですね」

「……ねえ、君。歳も近い様だし、お互い気を使わずに話そうよ。敬語は、使わないで欲しいな」

「はは、そうか。では、しゃーないので、気兼ね無くいかせて貰うよ」

「…普段から、そんな口調なの?」

「いやいや、ははは。――つい最近、似たような事を女子に言われたものでね。其の娘の、口癖だ」

「へえ、そうなんだ――」
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:10:04.41 ID:4NqM5HIQO



さら、さら、さら。




「――ところで、君はどうして此処に?」

「それが、僕にも良く判らないんだよ。気が付いたら、此の川の前で寝ていた、という次第さ」

「へえ、そうなのか。――気が付いたら、か。其れなら――」

「…どうか、したかい?」

「…や、気にするな。こっちの話だ」

「そう。――それにしても、誰かに逢うのも、随分と久しいなあ」
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:12:06.56 ID:4NqM5HIQO
「…そうなのか?」

「うん。此処を訪れる人は、あまり居ないからね。
 ――此処では、時の経る塩梅が、良く判らないんだ。今は一体何時何分なのか。この水を最後に飲んだのは、一体どれ位前の事だったのか。だから、君の前の人が此処を訪れたのが何時なのかも、判らない」

「…其れはまた不便な話だな。時計が無いとは、なかなか大変だな」

「ううん、そうでも無い、かな。ゆるりと過ごす事が出来るからね。これはこれで、案外楽しい物だよ」

「…そうか…」

「うん…」

「…………」

「…………」

「――此の辺りは、何時もこの景色なのか?」

「…どうして?」
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:13:16.43 ID:4NqM5HIQO
「いや、何と無く、な。何と無く、このままでは無いような気がしてな」

「御名答。その通りだよ。此処は、姿を変える。蓮華草が咲いたり、芝生が生い茂ったり、雪が降って辺り一面白銀の絨毯が広がったり。
 ――でもね、この川と樹は、変わらないんだ。ずっと、此処に在るままなんだ」

「へえ、此の樹もか。…力強い樹だな」

「それでね、他の人が来ると、辺り一面に真っ赤な彼岸花が咲くんだ」

「………な、何だって!?そ、それなら僕は…まさか…」

「ふふ。冗談だよ。案外引っ掛かり易いんだね、君」
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:13:48.06 ID:4NqM5HIQO
「はあ、なんだ…ん?」

「どうかした?」

「いや――はは、ちょっと既視感がね」

「既視感?」

「いや、それもこっちの話だ」

「――君は随分と、そっちの話の多い人だな」

「いやはや、済まない。――話す必要も無い様な些細な独り言なものでね」

「そう…何だか――いや、いい」

「…………」

「――君は、この場所は好きかい?」

「ううん…どうだろうか。確かに、とても綺麗だ。こんな景色、見た事無い。だが…」

「…ん?」

「――物寂しく、感じる。虚ろ、と言ったら良いのかな。とにかく、そんな感じだ」

「そう…」

「…………――」
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:14:21.42 ID:4NqM5HIQO




さら、さら、さら。




「――君が最後に逢った人とは、どんな人だったんだ?」

「大勢で来たよ。どうやら皆戦死した人達みたい。軍服を来ていた」

「そうか…其の人達の表情は、どうだった?」
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:15:10.96 ID:4NqM5HIQO
「様々だよ。――晴れやかな顔、悲哀に満ちた顔、苦虫をかみつぶした様な顔。様々だった」

「そうか……何だか、なあ」

「――君は今、どんな気持なんだい?」

「うーん…――世界は狭い、かな」

「……ふふ、どういう事だい」

「秘密だ」

「そうか。ふふ…」

「君は」

「えっ?」

「君は、一体どういう気持ち何だ?」

「ううん、そうだな…
 ――よく、分からないや」

「分からない?」

「うん、分からない。独りで居るのは、さみしい。でも、こうして沢山の花に囲まれて居ると、独りも悪くない、って思えてしまうんだ。でも、君の後ろ姿を見付けた時に、心がとても弾んだ。
 ――やっぱり、さみしいのかな、って。その気持ちがぐるぐる、頭を廻り続けるんだ」
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:15:42.88 ID:4NqM5HIQO
「そうか…ちゃんと、言えてるじゃあないか」

「えっ?」

「君の、気持ち。ちゃんと言葉に表せているじゃあないか。きっと君は、色々な思いが駆け巡っているから上手く言えない、と思っているのだろうが、それらは全て、君の気持ちだ」

「…うん。そうだね。君の言う通りだよ。君って、何処と無く詩人っぽいね。
 僕はいつも今みたいに物事の答えは『ひとつ』じゃないといけない、と思ってしまう性質の人間でね。こういうの、堅物、って言うのかな?」

「君はとても堅物のような人には見えないんだがな」
「はは。そう言ってくれると、嬉しいなあ。――」




さら、さら、さら。




55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:16:18.46 ID:4NqM5HIQO
「――逆に訊くけど、君は何処からやって来たの?」

「うーん…何処だったかな?解らん。覚えていない」

「そうなの?此処に来る人は大概何処から来たのか憶えているものなんだけど。君はやはり、特別だ。
 ――君は、死んでいない。君は未だ器が死んでいないんだ」

「と、なると――此処は、たましいの世、ということで宜しいのかな?」

「まあ、粗方合っているよ。此処は、器の世を終えた人の来る処なんだ。そう、僕は死んじゃった人」

「…………」

「ふふ、そんなに黙り込む必要は無いよ」

「いや……どういう事なのだろうか、と思ってな。こういう事もあるのか。全く、不思議なものだ、たましいという奴は」

「たましい、か…
 僕は今、きっとたましいだけの存在なのだろうね。そして、此処も。たましいのみで創られた世界。君が此処を虚ろだ、って言ったのもその所為なのかも知れないな、多分」
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:16:53.04 ID:4NqM5HIQO
「でも、君はちゃんと此処に在るじゃあないか」

「それは、どうだろう。もしかしたら、僕は君の創り上げた幻想の人間なのかも知れないよ?――これじゃあ、余りにも不確かだ。器の在る君とは違う」

「…そんなさみしい事、言わないでおくれよ。君は君だ。器が在ろうと無かろうと、今、確かに君は此処に、いるんだ。そして僕は君を『君』だと、そう思っている。これだけでは、まだ不十分なのか?僕は、これだけで十分だと思うのだが」

「――うん、そうだね。
 …ふふ、何だか、君に勇気付けられるのって、くすぐったいな。――ありがとう」

「あ、いや、別にそんなつもりでは…」

「もう、それでいいの。余計な後付けは要らないよ?」

「あ、はい…」

「よろしい。――それにしても、君が元の場所を思い出せないのは何故なんだろう?」

「確かに。…一体、僕は何処からやって来たんだ?全く思い出せないのも、不可思議な話だ」

「ううん…生憎、僕は君の事をよく知らないからね。――そうだ、もし良ければ、君の事を教えてくれないかな?それが君の記憶を取り戻す手助けになればいいかな、と思って」

「ふむ、確かに。そうだな――」
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:17:32.78 ID:4NqM5HIQO





さら、さら、さら。




「――そして、『今日』――本当に今日なのか判らないので、便宜上『今日』にしておこうか――僕は電車に乗ったんだ。目的は無かったのだが、何の気無しにふらりと乗ってしまったんだよ。其処で……――」

「……其処で?」
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:18:13.78 ID:4NqM5HIQO
「ええと…その…とある女性に、出逢ったんだ。相席してな。其の人と暫し話をした」

「どんな話?」

「他愛無い話さ。何処に行くかだの、山が切り崩されて嫌だだの――そんな塩梅だ」

「そう。その時、何かあったの?」

「そうだな…浮浪者、と其の女性に言われたんだ」

「ははは、そうなんだ。確かに、その格好じゃ、仕方がないか」

「うっ…同じことを彼女にも言われてしまった…」

「…えっ、そうなの?御免、怒らないで!」

「はは、其の程度で怒る様な、癇癪持ちでは無いよ。――後は、そうだな…」

「他にも何か、あったのかい?」

「――知り合いに、逢いたくなった」

「――誰なんだい?」

「…先程はまだ言ってなかったのだが、とある幼馴染みの女性だ。戦争で亡くした」

59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:19:15.09 ID:4NqM5HIQO
「そう、なんだ…じゃあ、――君とは、どんな関係だったんだい」

「えっと…それは、その……」

「――ああ、好きな人か。ふふ。そんなに顔を赤くしなくても良いじゃないか」

「な…べ、別に赤くなど…」

「ははっ。墓穴、掘ってるよ。――全く、僕の姉にそっくりだ」

「え…――君の、姉?」

「うん。双子の姉さ。君みたいに気丈に、墓穴を掘る人だったよ」

「…………」

「どうしたんだい?」

「や、何でもない。――なあ」

「何?」

「…良かったら、君の姉の事、話してくれないかな?」
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:19:51.37 ID:4NqM5HIQO
「えっ…」

「――あ、嫌なら構わない。済まなかった」

「いや、良いよ。寧ろ、話しておきたいな。
 ――僕はね、想い出とか、そういう物はね、頭の中の『箪笥』の中に仕舞われてあるんじゃないか、って思うんだよ」

「えっ――」

「そしてね、ずっと想い出を仕舞いっ放しにしていると、想い出が埃を被ってしまい、引き出しも壊れ、何れその事を忘れ去ってしまう。そんな気がするんだ。だから――」

「――だから、たまには掃除をしないといけない、…のかな?」

「…ああ。そうだよ。だから、君にも付き合って欲しいな」

「ああ――構わない」

「そう。有難う。それじゃ、――」
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:20:38.67 ID:4NqM5HIQO
えっと、取り敢えず前半部は投下しました。
後半部は、後程。
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:36:41.35 ID:LONCxRUCO
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:39:12.32 ID:BscJtFQnO
>>61
続きキター
GJだぜ!
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/23(水) 23:42:31.52 ID:4NqM5HIQO
>>59に訂正箇所発見。
『…着丈に、墓穴を…』→『着丈に振舞い、墓穴を…』
です。済みません。
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:02:35.14 ID:V8PsbXSiO
改行の多さがまた雰囲気にあってるな。続きに期待。
66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:10:20.80 ID:oDoGyQpZ0
>>61GJ
この雰囲気、すごく良いですね。



さて!!

Wild Bunch! あらすじ
>SF冒険活劇
>マカロニウエスタン
>儲け話の書かれた地図入手

投下します。

Wild Bunch!   レディィィィーー!! ゴォォォォーーッ!!!
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:11:28.34 ID:oDoGyQpZ0
水銀燈達のアジトの一角…
『作戦会議室』とかかれたプレートのかかった部屋… 
中からバンッと何かを叩く音がして…
扉に張られたプレートが落っこちた。

白衣を着て眼鏡をかけた蒼星石がホワイトボードを叩く。

「…なんで蒼星石はあんな格好をしてるのかしら?」
「……作戦のプレゼンする時の伝統…私が考えた…」

「ちょっとそこ!静かにする!」
こそこそ話す金糸雀と薔薇水晶を、蒼星石が注意する。
それにしてもこの蒼星石、ノリノリである。

コホン、と小さく咳払いをして、蒼星石が作戦概要を伝える。

「つまり、先行してるであろう、3人組のチームに対する遅れを取り戻す為にも、
僕達は最短ルートで施設跡に向かう。
道中での補給が無いから、各自、準備はしっかりしといてね」



   5.右目で見る夢


 
68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:12:41.94 ID:oDoGyQpZ0
目標の施設跡地までの最短距離を、ガタゴトと馬車でひた走る。
時々馬を止め、地図を確認する。

夕日が沈むまで馬を駆り…
星が明るくなり、焚き火を囲む。

銀ちゃんと私は明日に備え、銃の手入れをする。

「さーさー、お待たせですぅ!翠星石特製の○○入りシチューですよ!」

毎度の事ながら何が入っているのかはよく分からないが…彼女の料理はとても美味しい。
ただ時々、食後に眩暈がする。多分、何かの薬の実験を兼ねてるのだろう。
…勘弁してほしい。…美味しいけど。
正直、銀ちゃんの事は好きだけど…ヤクルト鍋やヤクルト煮は……。

そう考えながら翠星石の作ったシチューを食べる。
いつの間にか頬が緩んでる自分に気付いた。

お腹もいっぱいになり、のんびりと辺りを見渡す。

銀ちゃんは、食後の一服中。
…うん。やっぱり、銀ちゃんはカッコイイ。素敵だ。
蒼星石は、周囲の見回りを買って出てくれた。
やっぱり彼女は頼りになる。
翠星石は、晩御飯の片付けを終え、薬を調合しながら黒い笑顔を浮かべている。
…時々、黒いけど…でも、彼女の作る医薬品に何度助けられた事か。
金糸雀が、すやすやと寝息を立ててる。
そのあどけない寝顔は、とっても可愛らしい。…多分、銀ちゃんの次くらいに。
 
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:13:32.57 ID:oDoGyQpZ0
銃の手入れもすっかり終え、その場でうんっと身体を伸ばす。

「薔薇水晶も、見張りの時間まで少し休んでおきなさぁい」

銀ちゃんが言ってくれた通り、少し休む事にする。

その場でころんと横になる。


―※―※―※―※―

仲間に囲まれ…眠りに落ちる…。

眠りに落ちて…夢を見る。

とっても昔の夢。
とっても幸せな夢。

とっても…孤独な夢。



… …

… … …
 
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:15:34.24 ID:oDoGyQpZ0
〜〜〜〜〜


私は放射能に汚染された場所でこの世に生を受けた。戦後生まれとしては、珍しくも無い。

放射能濃度の高い地域で生まれた子供は…
特異な成長が見られることがまれにあった。
それはプラスにもマイナスにも…もっとも、多くはマイナス要素だったが…。

私はそう考えると、とても運が良かった。
ちゃんと人間の形をして生まれてこれた。
病気もハンデも無く、育ってこれた。

だけど、私は皆とは違っていた。

私は目が良かった。
どんなに暗い夜道でも、私が道を見失う事は無かった。
どんなに遠くの、どんなに小さな動物も、私にはその細部まで見えた。

周囲には気味悪がる者もいたが…
お父様はやさしかった。

お父様が注いでくれる愛情が、何より嬉しかった。

そのお父様が、幼い私に突然告げた。
「薔薇水晶、紹介しよう。新しい家族だ…」
お父様はそう言いながら、一人の少女を連れてきた。
「君の…お姉ちゃんになる人だよ…」
 
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:16:48.07 ID:oDoGyQpZ0
彼女は雪華綺晶という名前だった。
遠縁にあたる人物で、孤児となる所をお父様が引き取った、という事だった。

お父様は言う。
「この子は…君と同じで、少し特別な子なんだ…」

この頃の私は…雪華綺晶が嫌いだった。
お父様の愛を奪っていかれる気がして…。

そして…
何より、雪華綺晶が怖かった。



やんちゃだった私は…
よく、壊れたライフルを使って、チャンバラゴッコをしていた。
そんなある日…
遊んでた私は、壊れたライフルを棒のように振り回し…
皿を一枚、割ってしまった。

すると、大人しく読書をしていた雪華綺晶は本をパタンと閉じると、私に近づき、
「こんなものふりまわしたらあぶないよ?ばらしーちゃん」
そう言うと…
素手でライフルを…まるで飴細工でもそうするかのように…へし折った。

私は雪華綺晶のその見た目にそぐわぬ怪力より…彼女の心が怖かった。
私にとって雪華綺晶は、私の大切なものを平然と奪っていく存在にしか映らなかった。

彼女が直接何かしてきた事は無い。全て、私の一方的な思い込み。
だが…幼かった私には、雪華綺晶を嫌う十分な理由だった。
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:18:08.11 ID:oDoGyQpZ0
でも…あれは…あの事は…

今でも、はっきりと覚えてる。

お父様と…雪華綺晶とで、大掃除をした日。

庭の小さな焼却炉の中に、いらない物を片っ端から放り込んだ。

雪華綺晶が苦手だった私は…
多分、何も考えず、早く終わらせようとしか考えてなかったのだろう。

だから、私は気付かずに『アレ』も焼却炉に投げ込もうとした。

「ばらしーちゃん!」

雪華綺晶の突然の叫びに、私は驚いて振り返った。
その動きがやけにスローモーションに見えたのを覚えている。
そして…
私の手から滑るように、それは焼却炉の中に入っていった。

町一番の『技術屋(マエストロ)』だった、父の作った…弾丸を詰め込んだ箱。



気が付くと私は、病院のベッドに横たわっていた。

体中に激痛が走った。
でも、それ以上に、視界が今までとは違う事に違和感を持った。
左側が、何も見えなかった。
 
73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:18:59.72 ID:oDoGyQpZ0
やって来た医者が、私に鏡を見せて言う。

私の左目が失明した事…
雪華綺晶が突き飛ばしてくれなければ、目どころか命さえ危なかった事…
そして…
雪華綺晶の右目は光を失うどころか…それ自体を失ったという事…

私は意味も無く雪華綺晶を恐れた自分を呪った。

そして…
その日から、私と雪華綺晶は、心からの姉妹になった。



私達は、二人でいる時間が多くなった。

私達は、その特別な力で、お父様を守りたいと思った。
腕のいい『技術屋』を我が手にと考える賊は、掃いて捨てる程いる。


でも…
雪華綺晶の、誰にも防げない強力な一撃。
私の、絶対に外さない狙撃。

誰も私達に敵う者など無かった。
 
74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:20:58.60 ID:oDoGyQpZ0
でも…そんな日々も唐突に終わりを告げた。

私も雪華綺晶も大きくなったある日、お父様に突然一枚の手紙が届いた。

その日から、お父様は部屋から出てくる時間が減り、目に見えて元気が無くなっていった。

私と雪華綺晶が理由を聞いても、
「大丈夫…何も心配する事はないよ…」
と、優しく頭をなでるだけだった。

そして…
ある日突然…お父様はどこかに行ってしまった。
お父様の部屋に入ると…
私の名前、雪華綺晶の名前、そして…『愛してる』とだけ書かれた手紙が置いてあった。

私は泣いた。何日も無き続けた。
お父様を思い、延々と泣き続けた。

雪華綺晶は一人、食事の時以外、お父様の部屋で難しい本を読み続けていた。
 
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:21:48.67 ID:oDoGyQpZ0


そして…
私が16歳になり数ヶ月たった日…

突然、お父様と同じように、雪華綺晶までいなくなった。

全ての家族を失った。

その絶望が、私の心を支配した。

…私は…一人ぼっちになってしまった…。

ある日突然、何者かが襲撃してきた。あるいは、お父様がまだここに居ると思った盗賊だろうか…。

私は一人で、それでも銃を取った。

戦う理由もなく、ただ応戦するだけ…。
守る者など、誰もいないのに…。

たった一人の狙撃手に何が出来ただろう。

敵はこれまでに無く統率されていて…
孤独な私は、ジリジリと追い詰められた。

そして…
家に火が放たれ…私は逃げ出した。
 
76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:22:25.80 ID:oDoGyQpZ0
わき目も振らず、ひたすらに走った。
あても無く、逃げ続ける。

お父様の…雪華綺晶の事を思い出すと、涙があふれてくる。
思い出の詰まった家は焼けてしまった。
孤独感に胸が締め付けられる。

泣きながら、荒野を一人で逃げ続けた。



気が付いたら、小さな町をさ迷っていた。

服はボロボロ。財産も家と共に燃えた。

生きる術は、無い。

もう…体を売るしか…
一瞬そう思うも、即座に頭を振って否定する。

そして…
私は別のものを売る事にした。

私は、私の持っている技術を売る事にした。



その日から私は…殺し屋になった。

 
77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:25:39.89 ID:oDoGyQpZ0
以上、薔薇水晶の過去・独白編、投下終了です。

あと>>35!ありがとうございます!!!!嬉しい限りです!!
78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:28:01.40 ID:EG+5HSSxO
御疲れです!
きらきーの姿がセフィロスと被って見えた僕は異端です
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:43:50.63 ID:oDoGyQpZ0
保守
80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 00:46:20.26 ID:KUSfXZ+W0
>>77
そんな黒い翠星石もいい・・・
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 01:13:43.26 ID:V8PsbXSiO
ばらしー…強い子だ。
82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 01:30:39.78 ID:V8PsbXSiO
寝る前ほ
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 02:26:35.06 ID:8fJWEDm1P
84以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 03:24:20.03 ID:8fJWEDm1P
85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 04:29:21.99 ID:8fJWEDm1P
h
86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 06:03:56.92 ID:EG+5HSSxO
ほし
87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 07:42:59.80 ID:awXLoH5Y0
ジュンと雛苺は入れ替わっていましたが、ようやく元に戻ったようです。

巴「割とすんなり戻ったんだ」
J「人格入れ替えなんて引っ張るようなネタじゃないからな。ついにやっちゃった感がある」
巴「あの、あんまりそういうことは…それに王道といえば王道よ。たまにはいいじゃない」
J「まぁ悪くはないけどさ。でも、どうせやるなら柏葉と雛苺だろうに」
巴「そう?」
J「僕が雛苺みたいなことしても気持ち悪いだけだろ、いったい誰が得したんだか」
雛「みんな嬉しそうだったのよ?」
J「雛苺、お前どっから……っていうか、みんなって誰だよ」
雛「ねートモエ、嬉しそうだったよねー?」
巴「え、ええ……まぁ……」
J「柏葉?顔赤いぞ?っつかお前、僕の体でなにしたんだ」
雛「いーっぱい遊んじゃった♪ね?」
J「うお!?お前らいつからそこに!?ってなんでみんな顔真っ赤なんだ!?」

銀「うふふ、堪能したわぁ……」
紅「もう、雛苺ったら……」
翠「まったくチビ苺ときたら、自分の体じゃないと思ってあんな…まったくすばらし…けしからんやつですぅ」
薔「ああ……ビデオもってきていたらよかった……」

J「お、おい……お前、ほんとになにしたんだよ!?なぁ!?柏葉、こいつは僕の体で何をしたんだ!?」
巴「さぁ……」
88以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 07:50:30.30 ID:4xYYV4sk0
遅くなりましたが
>>1

>>87
JUN知らないうちに大人に(w
89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 08:58:48.22 ID:EG+5HSSxO
雛苺が怖いw
90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 09:35:40.67 ID:PKG/WAChO
>>87
さすが雛苺w
チャンスを逃さない
91以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 10:17:19.38 ID:EJeVptNF0
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 10:46:41.48 ID:+h6XFpZDO
93以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 11:23:51.21 ID:V8PsbXSiO
保守かしらー!
94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 12:24:36.23 ID:V8PsbXSiO
保守なのだわ
95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 13:08:33.11 ID:fcUHKZtTO
保守ですぅ
96以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 13:25:40.20 ID:V8PsbXSiO
ジ「お〜い、きらきー」
雪「・・・?」モグモグ
ジ「あ、まだ食事中か。なら食い終わってからでいいよ」
雪「・・・コクリ」むぐむぐ
ジ「しかし美味そうに食べるな」
雪「・・・」パクパク…ごくん
ジ「ん、食べ終わったな。でさ…」
雪「あ、まだですわ」カパ
ジ「は?だって今食い終わったろ?お昼なのにまだ食べるのか?」
雪「いいえ、さっきまでのは朝食です。そして今から昼食に入りますのであと四時間お待ちください」ムシャムシャ
ジ「(°д°)」
97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 13:44:24.33 ID:nuY7pjLKO
>>96
きらきー食い過ぎwwwww


保守
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 14:00:45.47 ID:V8PsbXSiO
きらきーの休日

7:30 起床
7:40〜11:30 朝食
11:40〜16:00 昼食
16:10〜18:00 おやつ
18:10〜22:30 夕食
22:40〜23:50 デザート
00:00 就寝
3:20 空腹により目が覚める
3:20〜4:30 夜食
4:40 再び就寝


雪「これが普通だと思っていた時期が私にもありました」
ジ「(おかしい…明らかに体の体積より食べた量の方が大きい…!)」
雪「本当はもっと食べていたいのに…私には一日が24時間では足りたいのです…」
ジ「まだ食う気か」
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 14:29:21.29 ID:EJeVptNF0
100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 15:00:32.82 ID:5bxNPHTSO
保守だよ。
101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 15:40:28.59 ID:V8PsbXSiO
保守ですわ♪
102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 16:14:48.07 ID:PqzQqQbPO
きらきーの愛用ポケモンはカビゴンだろうな

保守
103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 16:52:46.48 ID:V8PsbXSiO
捕手
104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 17:23:27.70 ID:EG+5HSSxO
保守
105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 18:05:47.10 ID:NZ55keMNO
106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 18:42:49.63 ID:V8PsbXSiO
107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 18:59:02.69 ID:TbH3YrBw0
108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 19:33:10.55 ID:Caf/GUFKO
109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:06:59.55 ID:V8PsbXSiO
「来週はジュン君が来る日。私の知らない事を教えてもらう日…」

「でも私はあの子よりお姉さんなんだから、初々しいだけじゃだめよね…」

「どうしようかな…うん、やっぱり初めては自分でしよう。痛いかもしれないけど…ジュン君を血で汚しちゃうのはイヤだもの」

「前に水銀燈から借りたヤツがあるけど…うそ、こんなのが入っちゃうの!?あの穴に!?う〜ん…怖いなぁ。でも、私はお姉さんなんだから…!」

「んっ…くっ…あ、入りそ…痛っ!」

「やだ、血が出ちゃった…まあ初めてだから当たり前よね。よし…今度こそ」

「ふっ…ああ…んんん…!あはっ…!入った…?入ったの?あはは…凄い…ちゃんとすっかり入っちゃってるわ…これでジュン君にも…」

ガラガラガラ…
「めぐちゃん、検温の…ちょ、めぐちゃん!?」
「うふふ…見て、佐原さん…ホラ、こんなにすっぽり入っちゃったのよ…」
「あらやだ…血が出てるじゃないの…」
「初めてだもの。でも、これで…」


め「ジュン君にお裁縫習う時もバッチリね。やっぱり私は女の子だもの。こういうジャンルで男の子に頼りっぱなしは女が廃るわ」
佐「糸通しくらいで大袈裟ねぇ。ほら、指見せて。消毒とバンテージ貼ってあげるから」
め「いいた…あ、なんか努力してます〜!って感じがするわね。よし、もう一度!」

うん、糸通しなんだ。すまない。
110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:29:03.53 ID:KUSfXZ+W0
まったく期待させおって・・・
111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:29:09.72 ID:X0Ls6WeP0
>>109
謝らないでくれ、期待した俺が馬鹿だったんだから。
それはともかく、ほのぼのオチで良かったぁよ。
112以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:44:31.92 ID:EG+5HSSxO
今なら大丈夫…
昨日の《とある小川での出来事》の続き、投下致します。
113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:44:49.63 ID:EG+5HSSxO




さら、さら、さら。




「――僕らは、小さい頃からよく苛められていたんだ。この眼の所為さ。僕は右が緑色をしているんだけど、姉は逆なんだ。どうやら、この眼が苔が生えてる様に見えたのだろうね。色々言われていたものだったよ。
 姉さん――御免、姉さん、って読んでも良いかな――姉さんは、いつも僕を助けてくれたんだ。怒鳴り返して、男子とも互角に戦って、そして次第に僕達の事をからかう人もいなくなっていったんだ。
114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:45:26.04 ID:EG+5HSSxO
 ――でも、姉さんも平気だった訳じゃない。下手したら僕よりも、とてもとても傷付いていたのかも知れない。たまにね、何も言わずに家を飛び出す事があったんだ。後を追ってみたら、近くの小川に居たんだ。
 其処の小川の畔にはね、大きな樹があるんだ。其処で、泣いていたよ。思い切り、泣いていたんだ。その姿が、余りにも脆く見えてね。平素は気丈に振舞っていても、その内は硝子の様に脆く、壊れ易い。
 いつも護って貰ってばかりじゃ、いつか彼女は壊れてしまう。僕もその頃から、立ち向かうようにしたんだ。これが意外と効いたのか、その頃から徐々に減っていったんだ」

「…………」

「ある日、姉さんと父が田舎の親戚の家に行く事があったんだ。僕はその日風邪を拗らせちゃって、母と留守を任されたんだ。
115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:48:25.93 ID:EG+5HSSxO
 ――その日はね、何故か警報が鳴らなかったんだ。
 気付いたら僕は倒れた箪笥と壁の隙間に居たんだ。隣には母が倒れていた。周りは火の手が上がっていて、僕は足が挟まっていて、動けなかった。
 熱かった、とても。段々、感覚も無くなってきてね、意識も薄れていったんだ。すると、近所の方々が皆で助けに来てくれたんだ。
 幸い、母も僕も助けられたんだけど、火傷が酷くて、動けなかったんだ。仕方がないから、焼け残ったカーテンで担架を作って、近くの広場まで運んでくれたんだ。
 僕はもう、意識が朦朧としていて、姉さんの事しか頭に無かった。姉さんの安否の事ばかり考えていた。
 ――姉さんは、来てくれた。僕も姉さんも互いに、大丈夫で良かった、って言ったんだ。――尤も、僕は声が出せなかったし、口も動かなかったんだけど――本当に安心したんだ。
 そうしたら、ふっ、と体が浮いて。刹那、体が何処かへ運ばれる気がして、気が付くと此処に居たんだ」

「……そうか……そうだったのか…――
 君の姉さんは、本当に優しい方なのだな。最期の最期まで、君を見捨てる事は決して無かった。君の事を最期まで愛していた。そう、思う」

「そう…君がそう言うのなら、きっとそうなのだろうね」

「ん?どうしてだ?」

「だって、君の言葉には、たましいが込もっているもの。君の気持ちも、この言葉に込もったたましいによって僕に伝わってくる。君の言霊が、僕のたましいを優しく包み込んでくれる。――そんな気がするんだ」

116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:48:51.55 ID:EG+5HSSxO
「成程。確かに、僕にも君のたましいが伝わってきている。君の姉に対する想いが、とても強く、痛い程強く伝わってきている」

「ふふ、言葉って、良いね。こうして面と向かって、言葉を伝える事って、大事だと思うんだ。やっぱり、直に気持ちを伝えられるからかな」

「そうだな。文で気持ちを綴るのも良いが、こうして言葉を声に乗せるのも良いものだ」

「君と僕は、気が合うなあ。でもね、姉さんは、面と向かって話すのが恥ずかしいから、言葉を綴る方が好きらしいけど」

「そうか、成程。そう言えば、似た者同士だったものな――」




さら、さら、さら。




「――ねえ、君。そろそろ、お別れの様だよ」

「えっ?何故だ?」

「君の、足。見て御覧」

「…うわっ、消えてる!?」

「どうやら、君の器が君を呼んでいる様だね。君は戻らなくちゃならない、もと居た世界に」
117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:49:23.23 ID:EG+5HSSxO
「そうか……君とも、お別れか。長いようで、短いな」

「そうだね。でも、出逢いなんてそんな物でしょう?唐突に出逢いは訪れ、また唐突に別れも訪れる。
 そしてもう、逢うことは多分二度と無い」

「そうだな…一期一会、と言ったら在り来りになるが、そんな物なのだろうな」

「そうだね…
 でも、この出逢いには必ず意味が有るんだ。僕はね、総て物事には意味が有ると思うんだ。意味の無い事なんて、無い――それこそ、虚ろじゃあないか」

「この邂逅の意味、か…ううん…」

「ふふ。いずれ、判るんじゃない?今は未だ分からない事でも、時が経って顧みてみてはじめて、気付く事だって有るさ」

「…ああ。そうだな。じゃあ、この問題は保留だ」
118以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:50:22.23 ID:EG+5HSSxO
「ふふ。分かったら教えてね。
 ――ねえ、君。伝言を、頼めるかい?」

「ああ、別に構わないが…誰にだ?」

「ええとね…
 『来てくれて有難う。逢えて、良かった。僕の事は忘れて、君の好きな様に生きておくれ』
 って。――ああ、姉さんに、伝えてくれ」

「……分かった。君の言葉、確かに預かった。…だが、僕は君の姉さんに逢っていないのかも知れないのだぞ?」

「ふふ、別に構わないよ。何でだろうね、君はやはり姉さんと逢っている。逢っていないとしても、きっと逢える――そんな気が、してならないんだ」

「そうか…成程、それならばきっと、大丈夫なのだろうな。はは」

「うん。――宜しく、頼みます」

「ああ、分かった。必ず伝える。君の、姉さんに」

「有難う。…ねえ、君。その伝言はね――君宛の伝言でもあるんだよ」

「えっ…」

「御免ね。僕、嘘、ついてた。君に逢うすこし前にね、女の人に逢ったんだ。何処と無く、僕に良く似た人だった。
 その人も、色々な事を話してくれた。…君の話と寸分も違わなかった。
 暫く話をしていたら、急に彼女が黙り込みだして、涙を流したんだ。どうしたのって訊いたら、彼女の想い人が、彼女に話し掛けてきたみたいで。暫く泣き続けていたよ。
 そうして、彼女は此処を去っていった。久し振りに声を聴いたら、安心したって。そして、彼女に伝言を頼まれたんだ。
 まだ生きている人に伝言だなんて、可笑しな事をするものだなあ、って思っていたのだけれど…きっと彼女は、その人が直ぐに此処に来る、と分かって居たのだろうね。
 ――そして、君が此処に来た」
119以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:51:42.50 ID:EG+5HSSxO
「…………」

「…………」

「…彼女は」

「えっ」

「彼女は――どんな表情だった?」

「優しい、表情だった」

「そうか…」

「…………」

「彼女は」

「…………」

「彼女は――何処へ、行ったのだろうか」

「さあ。僕は判らない」

「そうか。――天国なんて陳腐な考えだが、彼女には天国に、居て欲しいな…」

「僕は、天国、在ると思うよ。今頃きっと、楽しくやっているさ。笑っていると思う」

「そうだな…笑っていて欲しいな。ずっと、笑っていられるように――僕は、祈り続ける」
120以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:53:44.59 ID:EG+5HSSxO
「ふふ。君は、優しいのだね。表には出さないのだけれども、君のたましいは、とても優しいのだよ?」

「ははは。そんな事初めて言われたよ。そうかなあ…
 ――だが、これはせめてもの、償いだ。彼女を見捨てた僕の唯一出来る、御祓だ」

「そんな、彼女はもう――」

「いや、良いんだ。此れは僕自身に対する罪の、御祓なんだ。だから――」

「…………」

「――君は、これからどうするのだ?」

「そうだな…僕は此処がそれなりに気に入ってるんだけど。
 ――旅に、出てみようかな。此の世界にも、きっと沢山のものが在る。確かめたいんだ。この眼で、確かに此処に在る、と言うことを。――もし彼女に逢ったら、その時は君にも教えてあげるよ」

「ああ。…楽しみにしているよ」

「…………」

「…………」

「君に」

「ん?」

「君に、逢えて良かった」

「そうか。僕もだ」
121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:54:15.09 ID:EG+5HSSxO
「君は」

「ん?」

「これから、どうするんだい?」

「そうだな…取り敢えず、店をもっと繁盛させなければな。――戦争の所為で、屋台骨が散々蝕まれてしまったのだが、最近漸く持ち直したところでね。これからもっと頑張らなければいけないんだ」

「そう…――お嫁さんは、欲しくないのかい?」

「えっ…いや、今は全く…それに…」

「ふふ…君は律儀な人だ。――大丈夫、彼女の許しは得てる」

「――え?な、何の事…」

「僕は、そのハンカチーフの持ち主と、幸せになって欲しい。
 ――そのハンカチーフ、大事にしておくれよ。それは彼女が大事にしていた物だ」

「え…――い、いつから!?――う…眩しい――」

「――ふふ。君に逢う前に、実は姉さんにも逢っていたんだ。――君と姉さんは、とてもお似合いだ。ああ見えてね――とても淋しがり屋なんだ。誰かが付いていないと、彼女は直ぐ淋しがるから。だから――姉さんを、宜しく頼む――
 ……………………」




122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:54:33.90 ID:EG+5HSSxO
----------




「――…う。
 此処は…そうだった、電車の中だったか…
 何だったのだろうか。夢――では、無いのか…それにしても、不可思議な邂逅だったな…
 伝言、任されてしまったなあ…もう逢うつもりなど全く無かったのに。――あ、ハンカチーフを返さなければならないのか。ならば、序でにでも良いか…
 全く…昨日の今日であの写真の娘に逢うとは…運がよいのか、悪いのか。――宜しく頼む、って言われてもな…まさかあの娘と……って、何を考えているんだ僕は。阿呆か。
 ……あ。駅、過ぎてる。…まあ、いいか。もう少し――」




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--------
------------
ガタン、ゴトン。




《とある小川での出来事》

おしまい。
123以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:55:10.29 ID:EG+5HSSxO
----------

 ――やあ。久しいな。




《Interlude―墓前にて―》




突然君のもとを訪れると、よく怒られていたものだ。女の子はおめかしの時間が必要だから、前以て連絡を入れておけ、とな。――怒っているか?

さて、先ずは君に詫びなければならん。矢張、電車の中のだけではどうも腑に落ちなかったのでな。


124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:55:48.96 ID:EG+5HSSxO
 ――あの時、僕は君から、逃げた。泣いている君から、逃げた。戦場に向かう僕を引き留めようとした腕を、僕は振り払って仕舞った。腑抜けの僕は、君の気持ちを汲み取る器の大きさを持ち合わせていなかった。『それはできん』と、君の腕を――振り払った。

君には、嘸かし悲しい思いをさせてしまった――こんな台詞じゃ言い尽くせない事は分かっている。…でも、言葉が出てこない。
 相応しい――と言ったら大袈裟だが、少くとも、もっと形容出来る言葉は有る筈なのに、出て来ないのだ。

――やめよう。こんな御託ばかり並べてもどうにかなる訳ではないからな。僕の罪が消えるわけでは無い。
何時からだったろうか、僕がこんなに面倒な性格になったのは。



 済まなかった。ごめん。



――こうして、君のもとへ『言葉』を送った。果たして、届いているのだろうか……否、届いているのだろうな、きっと。だって、言葉には、たましいが込もっているのだからな。
 後は僕が一生をかけて償わなければならない。――だから、今はこれで赦してくれ。
125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:56:22.56 ID:EG+5HSSxO
久々に、電車に乗ってな。昨日の話だ。なんとなく、乗りたくなってな――笑わないでおくれよ。
其処で、一人の女性に出逢ったんだ。珍しい瞳の色をしていた。実に可愛――…や、何でもない。そんな言葉、彼女には似合わんのでね。
お転婆と言うか、意地っ張りと言うか…兎に角、あんな性格の娘は、そうそう居ないだろう。

――彼女にも、亡くした人が居てね。妹、だそうだ。写真を見せて貰ったんだ。君に、よく似ていた。何と言うか…凛とした印象でな、心の強そうな人だった。
彼女は妹を大層愛していたよ。羨ましいほどに…


126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:56:45.46 ID:EG+5HSSxO
それでな、互いのハンカチーフを交換したんだ。何故かは――訊くな。小っ恥ずかしい。まあ、それで彼女に洗って返さなければならんのだが…逢える筈も無い人と約束などしてしまって、どうしようというのだろうな、僕は。
――君は、あの娘にまた逢えると、思うか?――や、下らん話だった。もう、逢えんだろうな。…まあ、此のハンカチーフは、大切に仕舞っておくさ。


――此処に来ようと思って、良かった。此処に来なければきっと、死ぬまで後悔の念に囚われて居たのだろうな。――あの娘には、感謝しなければな。


 君は、後悔しているのか?君は、どんな事を胸に抱きながら、そっちに行ってしまったのだ…
 教えてくれ――君は、一体何処に居るのだ。笑っているのか。楽しく、過ごしているのだろうか……

――また来る。




127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:57:11.18 ID:EG+5HSSxO
----------


 ――また、来ちゃったです。




《Interlude―墓前にて―》




また来たね、って私の事を冷やかすのですよね、貴女は――ええ、また来てやったですよ。感謝するです。
此処に来るのも何回目なんですかね…私は未だ、妹離れが出来てないんですかね。ふふっ。


128以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:57:52.41 ID:EG+5HSSxO
最近ね、料理が上手くなったって、おばばに言われたんですよ。この間なんかですね、目分量で牛肉五百グラムぴったし計り取ったんですよ?
良いお嫁さんになれるって。…全く、おばばも恥ずかしい事を言いやがるですよ。
おじじは、相も変わらず時計を弄くってばかりです。偶には、おばばの手伝いをして欲しいものです。もう、歳なんですから。今は未だ、私が付いているから何とかなっているとは言っても、もし私があの家を離れる事になったら――まあ、無いですよね。ふふっ。

今日、電車に乗ったんですよ。理由は、特に無かったですけど。なんとなく、乗ってみたくなって――あ、笑うなですよ!
其処で、とある男と相席したんですよ。あまり背は高く無くてですね――あ、でも私よりは高かったですかねえ――、眼鏡を掛けていて、みすぼらしい袴を着て――あ、でも何やらとっても古いものだったらしいですけど――、何か野暮臭え野郎だったんですよ。
129以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:58:29.85 ID:EG+5HSSxO
でも、何処か饒舌で、物腰も柔らかくてですねえ――あっ、勘違いするなですよ!?これは別に褒めてる訳じゃあ無くて…そう、そういう部分を全部引っ括めたら、何だか浮浪者みたいだったんですよ!
そしたら、私の事も浮浪者だって!全く…失礼極まり無い野郎なんですよ。

――その人も、亡くした人が居たのですよ。結婚をする約束をしたそうなのですが…
あの人も、何と言うか――私と同じだなあって、気がするのですよ。あの人の背中には、その人の影がちらついていたです。

……………
そこまで想われているなんて、羨ましいです……私も――わ、私も負けねぇ位、貴女の事、大好きなのですよ。

130以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 20:59:05.77 ID:EG+5HSSxO
もう、良い歳なのですがね…

――あ、そう言えばですね、その人と、ハンカチーフを交換したんですよ。貴女の話をしていたらつい、涙が出ちゃってですね。何と、その人がハンカチーフなぞ持っていたのですよ?全く、妙な所で気障なんですよね。
それでですね、その人も話をしたんですよ。――泣いていたです。でも、全然格好悪くなど無かったです。好きな人の為に無くなんて、良いじゃないですか。
 ――御免なさい、ハンカチーフ、貸しちゃったです。貴女に初めて貰った、大切なプレゼントだったですのに。ぜったい、返して貰わなきゃですね。

ふふ。私は、行くところができたですよ。――馬鹿ですよね、あの人も。名は明かさないなんて格好付けて、しっかりと名前、書いてあるんですよ。
あの人は、家業の呉服屋を継いだそうなんですがね…あいつ、小さな呉服屋なんて、嘘吐きやがったです。
――そう、彼処ですよ。

今度、行ってくるです。ハンカチーフ、返して貰いに。それに、あの人の事、そんなに嫌いじゃ、ねえですから。――きっと、綺麗に仕舞ってくれているですよね。


――今度来るときは、その話をするですよ。請うご期待、です。
――それじゃあね。




----------
131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:01:46.60 ID:EG+5HSSxO
投下終了です。
書いたは良いが……さあ、どう料理していきましょうか。色々思い浮かぶんですが、中々良いぐあいにに進まないんですよね。
やっぱり力不足なのに思いつきでするべきじゃなかったのかな…
兎も角、頑張ります。
132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:03:38.67 ID:EG+5HSSxO
改行スペースが所々ちゃんとなっていないのはミスです。wiki投下時には推敲しておきます。
133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:14:47.21 ID:5bxNPHTSO
>>132GJ!

蒼い子…!

翠の子が幸せになりますように。
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:30:25.08 ID:zNcfArm5O
>>132乙!!
綺麗な文だなぁ。雰囲気出てていいなぁ。そんな文章を書けるようになりたい。
135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:36:38.59 ID:zNcfArm5O
さて、投下しますので、数レス頂きます。
136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:37:43.09 ID:zNcfArm5O
『―ジュンについて聞きたいって?え?私にとってのジュン?
  下僕なのだわ。それ以上も以下でもなくて。
  …ただ、彼の淹れる紅茶は、どの紅茶よりも美味しいわね』


『―えぇ?私にとってのジュン?面白いおもちゃねぇ。からかいがいのある。
  ジュンで遊ぶのは本当に楽しいわぁ。
  本気で狙っているのかって?うふふ。どうかしらねぇ。
  まぁ、半分位は本気ねぇ』


『―カナにとってのジュンかしら?もちろん大切な友達かしら!
 え?それは恋愛感情になるのかって?どうかしら〜。
カナにはよく分からないかしら。  とにかく、ジュンのことは大好きかしら〜』


『―僕たちにとってジュン君はどんな存在かって?
 ―翠星石にとっちゃ、ただの性格の悪いチビですよ!
 ―そういう割にはよく彼のことを話題にしてるよね。君は。
前、ジュン君が風邪をひいた時には泣きそうになってたし。
 ―な、な何馬鹿なこと言うですか!あれは…そう、そう!あれはただの花粉症ですよ!
 ―ふーん、どうだかねぇ。え?僕にとってはどうかって?友達だよ。
 ―蒼星石だって、ジュンの話をするときは嬉しそうですよ…
 ―えぇっ!?してないよ!?
137以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:38:01.49 ID:zNcfArm5O
  恋人にしたいかって?いや、ジュン君には真紅がいるし、恋愛対象としては見れないなぁ…。
  ん?じゃあ、ジュン君について何か知ってることはあるかって?
  そういえば、前に裸を見ちゃったことがあるけど…、
って翠星石!偶数だってば!上半身だけだしって違う!
  えっと、確か左肩に火傷の跡があったような…。
ちょうど鉄の棒を押し当てたぐらいの。
―ジュン、大丈夫なんですかねぇ、って翠星石はチビのことなんか、少しも心配してないですよ!
  というか、蒼星石!うらやま、ゲフンゲフン!何でもないです。
  何でもないですってば!』


『―桜田君がどんな生徒かって?授業態度は悪いけど、成績はいい子だね。
  もう少しだけ真面目に聞いてくれたらなぁ。
  僕が彼の望んでるのはそれぐらいだなぁ。
  え?彼について知っていることはあるかだって?
  別段ないなぁ、ってそうだ。あぁ、でもこれは吹聴するようなことじゃないよなぁ。
  それを教えて欲しいって?うーん。本人に聞いた方がいいよなぁ。
  って、でも、教えてくれないだろうなぁ。いや、教えられれないんだったな。
138以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:38:30.27 ID:zNcfArm5O
  どういうことかって?どんな内容かは教えてあげられないけど、本人にとっては、重すぎることだからなぁ。
  たぶんそのことについて、意識を閉ざしちゃったんだろうね。
  まぁ、そういうことも含めて、面倒を見るのが、先生の仕事だからね!
  …青春だなぁ。いや、もうひとつのほうかな?いや、両方か!どちらにしても、先生は応援してるからね!
  頑張れ!』


(桜田ジュンについての報告)



DIABOROS 第六話 「Dispar」



深い夢の中。思い出したくない過去。封じこめた悪夢。
深い霧の中。それは開けてはいけなパンドラの箱。
今の“現実”を生きていくための。

2018年7月8日。
この日、姉ののりの高校入学祝いとして、沖縄へ観光旅行をしに来た。
夏休み中ではあるが、名目上は入学祝い。
早めに来たとしても、海開きをしていないため泳げない、という理由でこの時期に来たのだ。
また、両親が仕事に休みを取れたのがこの時期しかなかったのも理由に挙げられる。
当時、僕は小学5年生。旅行と聞き、飛行機に乗れる、と思うだけで、はしゃぐことができた。
139以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:39:00.43 ID:zNcfArm5O
7月10日。
この日は、ひめゆりの塔、健児之塔へと連れて行かれた。ほとんど嫌々だったので、あまり覚えていない。
いや、一つだけ印象に残ったものがある。ひめゆりの塔でのりと同じ位の年齢の少女が、静かに涙を流していたことだ。
ただそれだけなのだが、妙に記憶に残っている。


7月11日。
運命の日。日本そのものを変えてしまった日。
僕らはこの日、嘉手納基地が一般開放され、カーニバルが催されると聞いていたので、そこに行く予定にだった。
そして、その日は3時頃までいた後、夕方には那覇空港へ行き、家へ帰る予定になっていた。
その日の天気は雲一つない快晴。
前日までは薄曇りで、なんで今日に限って、と思っていた。晴れの日に海で泳ぎたかったのだ。
バスに揺られ、着いた頃には不満なんて忘れていたが。

朝からそこで、様々なものを見て回り、そのまま昼食を摂り、戦闘機の中に入って、かっこいい、などとはしゃいでいた記憶がある。
確かに、幸せだった。僕らは。あの時、までは。


3時頃までしかいられないことを惜しく感じながら歩き回っていると、人が集まっているのが見えた。
140以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:39:51.97 ID:zNcfArm5O
何があるのだろうと、さらに人は集まってゆく。僕らも例に違わず。

そこにいたのは数十人の男たち。全員銃を持っている。
今思い出してみると、それはAK-47、カラシニコフだったはずだ。
この時、気付くべきだったのだ。その銃がもたせるイメージに。

しかしこの時、集まった人々は、何かのパフォーマンスとしか考えていなかったに違いない。
米軍基地。そのせいもあるのだろう、銃の存在を異様なものと捉えることができなかった。

リーダー格らしき男が言う。
「我々は“ローザミスティカ”。この日本に、いや世界を変えるために作られた。
世界に反旗を翻すことを、ここに宣言する」

拍手が起こった。無理もない。どんなショーになるのか、これをただの開幕の宣言くらいにしか思ってなかったのだ。

その男は、観客に向けて、銃弾を一発放つ。
音なんて、発砲音しか聞こえない。いや、それすらも曖昧だ。
気が付けば、女性が一人倒れている。
腹部から、赤い何かが流れだす。
その何かとともに、その人の命も減っていくように見える。

141以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:41:50.32 ID:zNcfArm5O
「何の罪もない諸君らには悪いが、今、ここで新世界への礎になってもらう」
芝居がかった、その声だけが響いた。

何が起きたのか、少しずつ皆気付き始め、それはすぐに悲鳴へと変わった。


それから先のことはあまり覚えていない。
手を引かれ、逃げまどい、こけそうになりながら必死で走り、
いつの間にか、米軍兵士が応戦し始め、辺りのテントに火が付き、
そして、気付けば、両親が僕ら姉弟を庇うようにして死んでいた。

揺すっても、話しかけても何の返事もしない二人の体。
死に触れたことはあっ。昔、祖父が老衰で死んでいる。
しかし、これを死とは思えなかった。
不条理すぎて。
理不尽すぎて。
何の、理由もなくて。


見渡すと、他の人の死体。
一般人、米軍兵士、そして、テロリストたち。
テロリストにちょっとした共通点があるのに気が付いた。
左肩には白い、薔薇のタトゥー。
この時、僕は壊れてしまっていたのだろう。
それが、何かの病気のしるしのように見えていた。
それが出てくると、人を殺すようになってしまうような類いの、病。

142以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:42:58.39 ID:zNcfArm5O
そして僕は、無意識のうちに、よく焼けた、鉄の棒に左肩を、だいたいタトゥーがある位置に押し付け、焦がしていた。
決して、何も浮き出てこないように。


そこで、僕の夢は途絶えた。


次は真っ暗な闇。自分の体すら、溶けてしまいそうなほどの。
夢を夢と分かっていても、目覚めることの出来ない状態。
仕方がないから、あの時のことについて考えてみる。
それと同時に、自分が冷静でいることに驚いた。
閉じこめていた記憶を思い出したというのに。
いや、その記憶の中に全ての悲しみを置き忘れたような。
その方が正しいか。

あの時の騒動はただの陽動だったのだろう。
中を素早く鎮圧するための。
内部の人間のどれくらいが、テロリスト側に付いていたのかは分からない。
だが、鎮圧出来るだろうと踏めるほどの人数がいたに違いない。

そんなもののために、両親が、多くの人が殺されたと思うと、やりきれなかった。
だが、怒りがなぜか湧いてこなかった。
そして、そんな武力のさきに、得られるものなんて何もないだろう、と思った。


どうやら、夢から覚めるようだ。
ゆっくりと、夢の底から体は浮き上がって行く。

DIABOROS 第六話 「Dispar」了
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:44:04.80 ID:zNcfArm5O
投下完了です。
沖縄?行ったことありませんよ。
カーニバルがその時期ではない?知ってます。
でも、物語にならないじゃないですか!
144以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 21:58:46.22 ID:V8PsbXSiO
>>143
お帰りなさい。
さて、前作まで読み直す作業に入るか。
145以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 22:17:32.53 ID:KUSfXZ+W0
>>143

沖縄は飛行機から降りた瞬間にああこれが南国の空気かって思った記憶が
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 22:40:34.04 ID:V8PsbXSiO
(保∀守)
147以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:03:38.06 ID:V8PsbXSiO
148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:17:28.12 ID:bJHX3b+Y0
今日は投下が多い、良い日ですね。
どさくさに紛れて、こっそり投下します。

Wild Bunch!
>マカロニ
>ウエスタン
>風味

Wild Bunch!  レディ〜 ゴ〜!
149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:18:16.05 ID:bJHX3b+Y0
薔薇水晶は夢を見る。

孤独になった自分の過去を…

孤独から救ってくれた仲間との出会いを…

仲間に囲まれながら、夢を見る……



   6.左目で見る夢



〜〜〜〜〜
 
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:19:03.79 ID:bJHX3b+Y0
薄汚い町の、薄汚い酒場の、薄汚いテーブル。
私がそこに座ってると、薄汚い男が隣に座った。

男が無言で紙切れを一枚、私に渡す。
私はそれを受け取ると…
なにも注文せず、酒場を後にした。

通りに出て、人目につかない場所に移動する。
薄汚い紙を、スッと開く。

3人が運んでる物品の強奪。
成功報酬で$1000。

「……」

ケチな仕事。その上、どう見ても暗殺の仕事ではない。
この程度しか今は頼める事が無い、という事か…。

ため息をつくも…他人の命より、今日の糧。
当面の糊口をしのぐ為…引き受ける事にした。

いつからこんな風に…感情が死んでしまったのだろう…
いつから…私の見える世界から色が失われたのだろう…

そんな事をぼんやり考える。

やはり…何の感慨も湧いてこない。
つまり、どうでも良い事。そういう事。
 
151以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:19:43.52 ID:bJHX3b+Y0


周囲の地図を広げ、考える。

普通に考えたら、荒野を迂回してくるだろう。
それを狙って網を張るにも、範囲が広すぎる。
なら、どうするべきか…。
自分なら、どのルートを通るか…。

暫く考え、町の裏にある地域に視線を落とす。

地形が悪すぎて、馬での走行は危険な場所。
遮蔽物が少ない上、馬も無いと来ては、賊に出会ったら逃げる事すらままならない。
普通に考えて、物品の輸送路として、こんな所は通るわけがない。

だから、ここには誰も網を張らない。
だから、ここには狙撃手も居ない。

…確かに狙撃には不利な地形だけど…
…けど…だからこそ、並の賊程度なら蹴散らす自信が有る者なら…
『狙撃だけ』を警戒する相手ならここを通る可能性がある。

一か八か…私は自分の予想を信じて、町の裏手に回っていった。


 
152以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:20:24.03 ID:bJHX3b+Y0
炎天下、太陽が容赦なく照りつける中、何時間も待ち続ける。

辛うじて身体を隠せるかどうかという岩陰に身を潜め、周囲を警戒し続ける。

汗が出ようと、虫が寄ってこようと、銃を構えたまま、身じろぎもしない。

自分で予想した目標の進路。
それをひたすらに信じて、何時間も待ち続ける。


すると…
人影が見えた。
(…来た!…三人組…!)

太陽を背に歩いてきてるせいで、発見が遅れてしまったが…
それでも、狙撃には十分な距離だ。

スコープ越しに相手を探る。
依頼にあった人物像と一致している。
どうやら…読みは当たったようだ。

殺さないように荷を奪うのは、殺して奪うのよりずっと難しい。
全員殺すにしても、確実に…より成功の確率を上げる為に、殺す順番を決める。

(…長髪の女は…身のこなしから察するに…そんなに強くない…。
すると…先ず仕留めるべきは…)
そう思い、スコープを短髪に向ける。
 
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:21:07.30 ID:bJHX3b+Y0
瞬間、スコープ越しに、短髪の女と目が合う。
(見つかった!?)

そして短髪は引き金に指をかけるより早く、スコープから消える。
(!!…まずい…)

急いでスコープから目を離し、全体を確認する。
隻眼のせいで、こういう場合はいちいちスコープから目を離す必要があるのがもどかしい。

短髪がこっちに向かって走り…
茶色と銀髪が岩陰を目指して走っている。

(目標の物は…二人のどっちか…)

物品に逃げられたら、そもそもの作戦は失敗だ。
迫ってくる短髪より、目標の品を確保する為に、狙いを定める。

視界に銀髪の女が映し出される。

そして引き金を…

引けなかった。

私の目は、完全に銀髪の女を捉えたまま…
しかし、体は髪の毛一本分も動かす事ができなかった。
 
154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:22:36.57 ID:bJHX3b+Y0
(とても…綺麗…)
これまでに無い、圧倒的な感動が思考を支配した。
弱い電流が体に流れたような感覚が全身に駆け巡った。

鮮やかな銀色の髪が…醒めるような赤い瞳が…モノクロだった筈の私の視界に飛び込んでくる…。

いつの間にか聞こえる自分の鼓動に、数年ぶりに自分が生きている事を自覚する。

地面を蹴る足。
しなやかに伸びる手。
風に揺れる、銀色の髪。
その一つ一つが、頭の中に甘美に揺れる。

永遠とも思える時間…そうして見とれていた。
永遠に、そうして見とれていたいと思った。

(もっと…よく見たい…)
そう思い、目をスコープから外した瞬間 ――
地面を蹴る音が近くでした。

(…しまった…!)
その音で夢から醒め、急いで身を起こそうとしたが…
私の首を挟むように、口を開けた鋏が地面に突き刺さった。
 
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:23:31.66 ID:bJHX3b+Y0


短髪が何か合図をしたのか、残りの二人も私の所にやってきた。

銃は取り上げられ、首筋には鋏が突きつけられている。
地面にチョコンと正座させられる。
もう、絶体絶命。

そして…
銀髪の女性が私の前に屈みこむ。
「あなた…一人なのぉ?」
形のいい唇で、そう聞いてくる。
「……うん…」
正直に答える。

「ふぅん…」
銀髪をかき分けながら、興味なさげに呟く。

サラサラと、髪の一本一本が風に揺れるのが見える。
とってもピンチなのに、何故か、とっても楽しい気分になってる自分に気が付く。

そして…私は、一世一代の大勝負に出る事を決意する。

こんな時には、何って言うんだっけ?
一生懸命、頭をフル回転。
思いついた言葉を、反芻する。
よし、これだ。ここ一番はやっぱり、この言葉しか無い。
 
156以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:25:25.44 ID:bJHX3b+Y0
「……へい彼女…お茶でもしない…?」
精一杯の素敵スマイルを銀髪の女性に向けて、そう言う。
キまった…!完璧に…!もう、100点満点だと自分を褒めたくなる。

とってもドキドキする。
この人は、何って答えてくれるだろう?
胸を高鳴らせながら、返事を待つ…


〜〜〜〜〜〜


「薔薇水晶…交代の時間よぉ。起きなさぁい」
水銀燈の声で、薔薇水晶は目を覚ました。

「うなされたり、笑ったり…夢でもみてたのぉ?」
水銀燈の何気ない問いかけに、薔薇水晶は目を擦りながら嬉しそうに答える。
「すごい…銀ちゃん…私のことよく分かってる…」
 
水銀燈の腕に薔薇水晶がしがみ付き、楽しそうにニヤニヤする。
が…
「ちょっとぉ…疲れてるんだから、休ませなさいよぉ…」
水銀燈は、そんな薔薇水晶を軽く一蹴した。
「ぅぐ…ごめん…」
薔薇水晶が、オズオズと手を引っ込める。
 
157以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:26:13.50 ID:bJHX3b+Y0
そんなしょんぼりした薔薇水晶を察してか、水銀燈が優しく声をかける。
「心配しないでぇ。あなたの事、嫌いななったわけじゃあないからぁ」

薔薇水晶の顔が、パッと明るくなる。
「やった…銀ちゃんからの…愛の告白…!」

その反応に水銀燈は…少し引き攣った笑いしながら煙草を咥えただけだった。



―※―※―※―※―


…その日の夕方頃まで時間は遡る…

小さな町の、小さな酒場に、3人の女が入ってきた。

コートを着た金髪の女。油断無く隻眼を光らす女。…あと…子供?

先客達は、少し珍しそうにその姿を眺めたが…
すぐに興味を失い、自分の世界へと帰っていった。

カウンターに3人が並ぶ。

「紅茶を淹れて頂戴」
「この店で一番大きいステーキを」
「すぱげちー!」

店の主人はギロリと3人を睨んだが…
金髪がコートの中から銃をチラッと覗かせると、そそくさと視線をそらした。
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:26:57.46 ID:bJHX3b+Y0


出された物を口にしながら、金髪が言う。
「雪華綺晶…あなた毎度の事ながら…その細い体で、よく食べるわね」
隻眼の女―雪華綺晶は、微笑んで答える。
「ええ…。力持ちなのはいいんですが、すぐにお腹がすいてしまって…
燃費が悪くて、自分でも困ってしまいますわ…」

「アンマァ!カハァ!ケハァ!」

「そんなに食べると、ご家族も大変だったでしょうに…」
「ほんと…妹の食が細くって心配で…」
少しズレた返事をし、懐かしそうに右目の薔薇飾りを撫でる。

雪華綺晶の目に一瞬、寂しげな影がかかるのを見て、金髪の女は気遣わしげに尋ねた。
「妹を残してきた事…本当に良かったの…?」

「あの子を巻き込みたくなかったですし…。後悔はありませんわ…」
雪華綺晶は寂しそうに微笑みながら…それでも隻眼に力強い意思を光らせた。



 
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:27:39.60 ID:bJHX3b+Y0
― after story ―

「スー…スー」
金糸雀が静かに寝息を立てる。
「…むにゃ…むにゃ……はぅあ!?」
突然、翠星石がブルリと身体を震わせた。

「どうしたのかしら?風邪でもひいたかしら?」
その様子に気付き、金糸雀も目をゴシゴシしながらムクリと起き上がった。

「ち…違うです…もっと恐ろしい…何か…『こいつら二人、完全に空気だな』みたいな予感がしたですぅ…」
「そ…それは切ないかしら〜!?」
「こうなったらチビカナ!何か作戦の一つでも立てるです!」
「いくらカナが策士とは言え、急には浮かばないかしら…」
「だったらせめて、怪我でもして私に治療させやがれです!」
「流石に、危険なのは嫌かしら…」
「大丈夫ですぅ!チビカナは『死亡フラグ』を立ててないから、死ぬ事は無いです!だから…!」
「それでも、痛いのは嫌かしら!」

そう言い、金糸雀は自分の寝袋を持ち上げた。

「ここ居たら、寝てる間に何されるか分かったもんじゃないかしら!
カナは離れた所で一人で寝るかしら!!  …ハッ!?」


「かしらぁぁぁーーー!!」


夜空に金糸雀の叫びが響き渡った。
 
160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:28:37.42 ID:bJHX3b+Y0
投下終了です。
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:35:33.04 ID:5bxNPHTSO
バンチキター

楽しみに待ってましたよセンセー。

白衣+眼鏡蒼が脳内でぐるぐる…ぐるぐる…

描きてぇw描こうw
皆、バンチ版白衣にしてやらぁ…明日。


162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:37:39.05 ID:V8PsbXSiO
>>160
「へい彼女…」のくだりをぜひ動画にして欲しい。かわいすぐる。
で、苺おかしいよ苺。
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/24(木) 23:40:03.89 ID:EG+5HSSxO
乙です。
ヘイ彼女!
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 00:02:26.02 ID:New+2E5/O
保守よぅ
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 00:16:52.40 ID:YssyNF9/0
保守
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 00:37:49.64 ID:New+2E5/O
俺のIDが新しい保守
167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 01:16:53.52 ID:New+2E5/O
168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 01:20:12.20 ID:ZqGec+1f0
電波を受信した

薔薇「全国の乙女のみなさん、電話のお姉さん『薔薇水晶』です、全国乙女相談室の時間です。
   さっそく今日みんなの質問に答えてくれる先生方をご紹介します。
   最初の先生は、食べ物なら何でも食べます、雪華綺晶先生です」

雪華「皆様ごきげんよう、毎日寒いですわね、今日のように寒いと暖かい鍋物が美味しいですわ、
   この間相撲部屋にお邪魔して、ちゃんこ鍋をご馳走になりましたの、
   遠慮なくと言わましたので、本当に遠慮しないで食べましたら50人前がすぐ無くなってしまって
   相撲取りの方々が食べられなくなってしまいました。
   食べ物の質問ならなんでも答えますよろしく御願いしますわ」

薔薇「それは迷惑だよお姉ちゃん、それでは次の先生です。
   全ての謎はこの人から。乙女の父ローゼン先生です、今日は人形や錬金術
   大昔の人の話、いろいろな質問に答えてくれます。

ロー「カリオストロ伯爵・・・え?違う?・・・
   失礼しましたローゼンです、私に答えられないことはありませんので、なんでも質問して下さい。
   得意分野は物理、化学、錬金術、楽器演奏、絵画、お金儲け等です。

薔薇「それでは最初のお電話です」
・・・・・・・pururururu・・・・・・・・
薔薇「もしもしー、お名前かラジオネームを教えて下さい」

赤「赤い絆ックルです」

薔薇「真・・・・・赤い絆ックルさんの質問は何かな?」

赤「なんで薔薇乙女には苗字がないんですか?」
169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 01:21:42.44 ID:ZqGec+1f0
>>168

薔薇「え〜〜。それはタブーです、それでは次の電話・・・・え?答えるの?ではローゼン先生御願いします」

ロー「赤い絆ックルさん、なんで薔薇乙女には苗字が無いかっていうとね、このスレはドラ●ンボールの世界と地続きなんですね、
   どっかの俳優さんも言って他でしょ、あの世とこの世は地続きだ〜って、あれと同じなんですよ
   ドラ●ンボールにも苗字がある人と無い人がいるでしょ?ブ○マが悟◎に言ったように苗字があるほうが珍しいわけ、だからこのスレにはベジータとか出てきてるし、薔薇乙女には苗字がないんだよわかったかな?」

薔薇「赤い絆ックルさん解りましたか?、また解らないことがあったら電話して下さいね。」

赤「解りました、有り難うございます」

薔薇「では次のお電話です」
・・・・・・・pururururu・・・・・・・・
薔薇「もしもし〜、お名前かラジオネームを教えて下さい。」

如「如雨露ですぅ」

薔薇「如雨露さんの質問はなにかな?」

如「おめえなんぞに教えてあげねーです、でもおめーがどーしてもっていうんなら
『ガチャン・・・tu-tu-tu-』薔薇水晶電話を切る

薔薇「翠星石さん質問が無いなら電話してこないで下さいね、次の電話です」
170以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 01:24:53.31 ID:ZqGec+1f0
>>169
・・・・・・・pururururu・・・・・・・・
薔薇「もしもし〜お名前かラジオネームを教えて下さい」

黒「黒い天使じゃないわよぉ」

薔薇「黒い天使じゃないわよぉさんの質問はどんなことですか?」

黒「雪華綺晶の胃袋はどうなってるのぉ?」

薔薇「それではご本人に聞いてみましょう、雪華綺晶先生御願いします。」

雪華「私にも解りませんわ、乙女はトイレにも行きませんし、一見質量保存の法則に反して居るようですが、おそらく『ドラえ○ん』と同じ仕組みなのですわ、一言で言うとハイパーテクノロジーのなせる技で、
   お腹に入った全ての質量は100%エネルギーに転換され、その大部分がエネルギーが拡散しないよう、超強力な磁界を形成、またその磁界のエネルギーが外部に影響を及ぼさないように打ち消す
   エネルギーに使用され、余ったエネルギーが私の新陳代謝に利用されているのですわ、ですから私は食料以外の物、そうですね、たとえばかなり大きいドールでも一食分で食べられるのですわ、
   次は是非『銀様』か『JUN様』を食べてみたいですわ、食料としても性的な意味でも。」

薔薇「お姉ちゃん、銀ちゃんもJUNも食べちゃ駄目、どっちも私のだから」
   「黒い天使じゃないわよぉさんわかりましたか?」

黒「なんか納得行かないわぁ、ほんとこの番組っておばかさん、まあいいわぁじゃあねぇ〜」

薔薇「む・・馬鹿って言う人が馬鹿なんだもん、銀ちゃん酷いよ・・・・
   そんなこんなでお時間になりました、来週は『槐先生』『みっちゃん先生』をお迎えしてマニアックな世界の質問をメインに受け付けます。」

薔薇「それではまた来週」
薔薇、雪華、ロー「さよーならー」

終わり
171以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 01:32:14.84 ID:oyhnUKTc0
ちょ、翠星石のも聞いてやれよwww
ローゼンの説明が電波がかって聞こえる・・・
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 01:35:22.77 ID:ZqGec+1f0
今雑談所見たら転載希望があったので

かなり過去でゴメンw
【涙隠す】【凍る笑み】の97っぽいイメージで
ttp://w3.abcoroti.com/~hina/files/2008012500530102.jpg
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 02:28:05.07 ID:New+2E5/O
この金糸雀人形は凛々しいなw
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 02:56:42.72 ID:YssyNF9/0
保守
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 03:16:11.88 ID:pDLy8QHa0
薔薇乙女魂に溢れる保守

蜘蛛「ほほう・・・いい性能だな。貴様らの作戦目的とIDは!?」

「孤高 水銀燈よぉ」
「深謀 金糸雀かしらー」
「慈愛 翠星石ですぅ」
「信義 蒼星石だよ」
「高潔 真紅なのだわ」
「自由 雛苺なの」
「夢幻 ばらしー・・・」
「清廉 雪華綺晶ですわ」

蜘蛛「で?本当は?」

「自虐 水銀燈よぉorz」
「散漫 金糸雀かしらーorz」
「性悪 翠星石ですぅorz」
「無用 蒼星石だよorz」
「高慢 真紅なのだわorz」
「腹黒 雛苺なのorz」
「淫乱 ばらしー・・・orz」
「暴食 雪華綺晶ですわorz」
176以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 03:25:10.16 ID:ZqGec+1f0
>>175
どんな事でも二面性が有るってことだね

だがそこが良い
177以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 03:45:04.00 ID:YssyNF9/0
>>175
「性技  梅岡だよ!」

保守
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 04:51:33.73 ID:pDLy8QHa0

179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 05:53:58.88 ID:8LJrsKYWP
180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 07:01:04.24 ID:lAnKZxwl0
ho
181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 07:31:18.43 ID:rlVTftSq0
J「お寿司買ってきた」
雛「わーい!お寿司なの、豪華なのー!」
J「といってもスーパーにあるようなやつだぞ」
雛「それでもお寿司はお寿司なの!あ、この玉子はヒナのね!」
巴「はやくない?」
J「節分は太巻き寿司だぞ。だいたい、僕がそういうこと意識するやつだと思うか?」
巴「……ごもっとも。それじゃ、いただきます」
J「いただきます。……柏葉、納豆巻き好きだな」
巴「え、あ、その、そんなことは……」
J「隠すことでもないだろ。ま、らしいっちゃらしいよ」
巴「うー……そう言われるのも微妙……あれ、桜田くん、付属の醤油とわさび使わないの?」
J「ん?ああ、だって両方ともうちにあるし」
巴「そうなの。じゃあ、いらないんだ」
J「そうだな。いつも捨ててるかも」
雛「……トモエ、なにしてるの?」
J「……醤油とわさびを袋に入れて……」
巴「!」
J「……そういうの、集めてるのか?」
巴「……家での癖が……」
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 07:49:45.48 ID:04HRWyGlO
>>181
嫁にしたいような、そうでもないような…
183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 08:17:58.80 ID:oyhnUKTc0
>>181
もうすぐ節分か
なんかもう主婦みたいだなトモエwww
184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 09:29:39.02 ID:TcQ/mr+B0
ほしゅ
185以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 10:13:21.08 ID:xffXJLMOO
186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 10:39:31.66 ID:New+2E5/O
所帯じみた乙女万歳!
187以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 11:37:54.22 ID:Usjobql8O
保守
188以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 11:49:35.81 ID:BrBgdLet0
189以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 12:29:36.51 ID:8LJrsKYWP
190以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 13:02:55.51 ID:TcQ/mr+B0
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 13:04:44.67 ID:New+2E5/O
(´Д`)=Зほっ
192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 13:52:32.89 ID:New+2E5/O
保守
193以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 14:39:58.92 ID:8LJrsKYWP
194これを見ろ!!:2008/01/25(金) 14:44:38.31 ID:oTPwnUsp0

>39 名無しでGO!:2008/01/25(金) 03:20:30 ID:fn7uvgXBO
>アホVIP連中?

>348 名無しでGO! sage New! 2008/01/13(日) 15:44:48 ID:aegMdUnz0
>VIPPERってカスの集まりだな
>集団でしか行動できねーのかよ

http://hobby10.2ch.net/test/read.html/train/1200914562/
JR西日本の社員がvipperを煽ってるお(^ω^)許せないよ↑にAA突撃だお(^ω^)



195これを見ろ!!:2008/01/25(金) 14:44:59.14 ID:oTPwnUsp0

>39 名無しでGO!:2008/01/25(金) 03:20:30 ID:fn7uvgXBO
>アホVIP連中?

>348 名無しでGO! sage New! 2008/01/13(日) 15:44:48 ID:aegMdUnz0
>VIPPERってカスの集まりだな
>集団でしか行動できねーのかよ

http://hobby10.2ch.net/test/read.html/train/1200914562/
JR西日本の社員がvipperを煽ってるお(^ω^)許せないよ↑にAA突撃だお(^ω^)



196以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 15:27:08.62 ID:LMBn4bPZ0
197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 16:35:29.11 ID:Usjobql8O
保守
198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 17:10:59.64 ID:Usjobql8O
保守なのだわ
199以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 17:31:48.15 ID:New+2E5/O
〇月□日、晴れ。

今日僕は姉にお使いを頼まれスーパーへ。久々に人の多い場所へ行く気がする。早く済ませてしまおう。

一階の通販ショップに水銀燈が居た。話しかけようと近づいてみたが
『お姉さん!この包丁は凄いですよ!まな板だってご覧の通りばっさり!』
『…人も切れるのぉ?』
『もちろん!お姉さんに近づく悪漢どもも一刀両断ですよ!』
『ふうん…じゃあ一本いただくわぁ』
なんて話してたのでまぁ止めておいた。

二階の工具屋さんの前では薔薇雪華姉妹を見つけた。何を買うのかと近づいてみたが
『すみません。頑丈なロープかワイヤーをくださいな』
『はい、どんな用途のモノをご要望ですか?』
『調きょ…暴れるものを縛りつけるためです…』
『それでしたらこちらの…』
なんて話していたのでまぁ止めておいた。

200以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 17:32:08.97 ID:New+2E5/O
>>199
その後すぐ、買い物袋をさげた翠星石と蒼星石を見かけた。挨拶しようと近づいたが
『…それにしても最近のジュンのノロケっぷりは目に余るですぅ』
『まあまあ。だからこそ、コレを買ったんじゃないか』
『そうですね。ふっふっふっふ…』
『そうさ。くっくっくっく…』
なんて話していたのでまぁ止めておいた。

三階の薬局で姉に頼まれていた生理用品を購入する。すると真紅が店員と話していたので近づいてみたが
『そうね…一瞬で相手を眠らせる…そんなのがいいのだわ』
『錠剤ですか?それとも薬液でしょうか?』
『なんでもいいのだわ。とにかく素早く強力な…』
なんて話していたのでまぁ止めておいた。

ふう、今日は疲れたな。まさかスーパーであんなに知った顔に会うとは思わなかったけど、気が紛れてよかった。
さて、今日の日記はこれくらいにして、明日に備えて寝るとしよう。


※事件後、被害者宅から押収された日記より抜粋。なお、この日付以降は白紙である。
201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 18:00:15.47 ID:New+2E5/O
202以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 18:14:43.04 ID:Usjobql8O
>>200
水銀燈は事件と無関係…かな?w
203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 18:20:27.52 ID:a4tRNchoO
>>200
容疑者大杉
JUMテラカワイソス
204以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 18:43:08.04 ID:qyHN1gTB0
ho
205以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 19:02:54.61 ID:oyhnUKTc0
>>200
まともなのがいねえwww
のりもジュンに生理用品買いに行かせちゃだめだろw
206以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 19:23:51.90 ID:df3eC7MuO
ローゼンメイデンが幼児だったら、というマニアックなのUPして良いかな?
普通の女の子ではあると思うんだが……
207以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 19:26:26.97 ID:New+2E5/O
>>206
他にもそういう作品はあるし、問題ないと思う。
208以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 19:28:37.08 ID:df3eC7MuO
>>207
ありがと

投下します
「やさしいてんし」



銀「ばーらすいしょぉ♪」
薔「……なーに…?」

ぷにっ

銀「うふふ♪ひっかかったわぁ♪」
薔「……むー…」

薔薇水晶が振り返った瞬間、水銀燈は薔薇水晶のほっぺをつっついたのだ。

ジ「お、おい…水銀燈、薔薇水晶にちゃんと謝れ」
銀「やぁよ〜♪つぎは、すいせいせきをいぢりにいこぅ〜っと♪」

そう言うと、水銀燈は他のみんながいるリビングに向かった。

ジ「あ、水銀燈!……ったく……」
巴「薔薇水晶、大丈夫?」
薔「…だいじょうぶ…、…ばらすいしょう……つよいこだもん……」
209以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 19:30:06.58 ID:df3eC7MuO
>>208

どうやら悔しかったらしく、涙目の薔薇水晶だが、一生懸命涙を拭いている。
「絶対泣いてない」と、主張している様に。
そんな薔薇水晶を、巴は優しく微笑んで、頭を撫でた。

巴「うん、良い子ね。…水銀燈、悪い子じゃないんだけど…よく他の子に悪戯するのよね」
ジ「まぁどれも軽い程度だけど……少し、怒った方が良いよな…?」
巴「うーん………」

「びえぇぇぇぇぇん!!」

二人の耳に聞こえた、かん高い泣き声。

ジ「!?…今の、雛苺か?」
巴「どうしたのかしら…、…行ってみましょう」

二人は急いで、雛苺や、他のみんながいるリビングに向かった。
210以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 19:31:22.28 ID:df3eC7MuO
>>209

ジ「雛苺!どうしたんだ!?」

二人がリビングに入ると目に入ったのは、大泣きしている雛苺と、それをなだめている水銀燈と金糸雀。
雛苺の向かい側に、暗い顔で俯いている翠星石。
どうすれば良いのか分からず、困った顔をしている真紅と蒼星石だった。

巴「一体何があったの?」
蒼「…すいせいせきとひないちごが、さんじのおやつとりあってて…」
紅「そのうちけんかになってしまって、すいせいせきのが、ひないちごのほっぺをたたいてしまったの…」
巴「そっか……」

事情を把握したジュンは、翠星石に視線を向ける。

ジ「翠星石、…本当なのか?」
翠「…………」

肯定もしなければ、否定もしない。
本当の事であり、本人も認めているのだろう。
211以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 19:32:53.53 ID:df3eC7MuO
>>210

ジ「翠星石、雛苺に謝ろう。な?」
翠「…………」

翠星石は黙ったままだった。

ジ「翠星石ッ」
翠「!…………ふぇ………」

翠星石の瞳に涙が溜まり、翠星石は泣き出してしまった。

ジ「!?…わ、悪い!な、泣かせるつもりは……」
翠「うぅ……ひっぐ……」

翠星石の涙は止まらない。
周りは只、オロオロしていた。

銀「………」

その様子を見ていた水銀燈は、立ち上がり、翠星石に近付く。
212以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 19:34:19.83 ID:df3eC7MuO
>>211

翠「………?」
銀「……さっき、ひないちごがいってたわ。「すいせいせきがおこったのは、ヒナがすいせいせきのこと、ばか!っていっちゃったから」って」
翠「…………」
銀「「だから、すいせいせきだけがわるいわけじゃない」って」
翠「……うぅ……」
銀「おたがいあやまって、おわり。それでいい?」
翠「……はい、ですぅ…」

先程二人が喧嘩していた時。
怒った雛苺が、翠星石に「ばか!」と言ってしまい、翠星石はそれに怒って、雛苺を叩いたのだ。
翠星石は、自分だけが責められている様に感じて、泣き出してしまったのである。

翠「………ごめん、なさい……」
雛「ひ、ヒナも…ごめんなさい…」

二人は漸く仲直りを果たした。
213以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 19:36:05.41 ID:df3eC7MuO
>>212

ジ「ごめん、…怒鳴ったりして…悪かった……」
翠「…、……」

翠星石は無言でジュンに抱きつき、再び泣き始めた。

―――――

の「へぇー、そんな事があったのねぇ」

子供達が寝静まった後。
帰ってきたのりを加えて、三人で今日の出来事を話していた。

の「凄いわねぇ、水銀燈ちゃん」
巴「やっぱり、一番お姉さんなのね」
ジ「僕より水銀燈にまかせた方が良いような……」
の「まぁまぁ、ジュン君。これから頑張っていけばいいじゃない」
ジ「…うん。ありがと」

の「ボソッ……水銀燈ちゃんはいつか、優しい天使さんになれるかもねぇ…♪」
214以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 19:38:28.97 ID:df3eC7MuO
>>213

投下終了です

とりあえず水銀燈が長女だという事を書きたかったんだ
幼女なのは作者の趣味
215以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 20:02:37.80 ID:df3eC7MuO
216以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 20:23:32.31 ID:New+2E5/O
…あれ?ちび雛が凄い大人にみえるんだがw
217以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 20:33:47.29 ID:78TEfZsM0
>>214
なごんだ
218以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 20:48:52.59 ID:P1PSIVuG0
>>214
姉さん、すでに水銀燈は十分天使ですぜ。
ちびってだけでもうなんでこうまで破壊力が・・・。

あ、私はロリコンじゃありませんよそんなわけないじゃないですかあははは。
219以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 21:02:52.25 ID:oyhnUKTc0
>>214
うほ、なんだこりゃ
みんなかわいすぎる
220以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 21:25:21.98 ID:df3eC7MuO
221以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 21:31:45.11 ID:Q0PdUtD30
>>214
なんだって『子ども』っていうのは可愛く作られているもんだ。
ネコであれ犬であれ、人間であれ。
だから、そういうのを可愛いって思うのは正常な作用なんだからって、
あーもー、かぁわいいなぁおい!
222以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 22:00:25.62 ID:New+2E5/O
223以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 22:20:26.52 ID:78TEfZsM0
>>214 くんに便乗しておねえちゃんもがんばっちゃうわよぅ


少年時代2.4
224以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 22:23:48.38 ID:78TEfZsM0
「ふぁ… おっきい」

「うん」

ジュンの身体の一部を握りしめながら、初めて見るそれにやや唖然とした響きをもらす
巴。熱としめりを多分に含んだ吐息が桜色のくちびるに触れ、若干のうるみを分け
与えた。

同じく初めてのことを前にしたジュンも、握りしめられた自身の部位が少女の手汗で
湿るのをそのままに、気の抜けた頷きを返している。

「巴ちゃんちもおっきいけど、真紅んちもすごいや」

もはや家というよりもお屋敷と呼んだ方が良いだろう、件のおっきい真紅の家が
初体験2人の声を受けとめる。東洋の地にあって西洋建築の様相をなしている
一軒家は、高級住宅が立ち並ぶ近隣の光景もかすむほどの豪奢な外見と規模を誇って
おり、庭の敷地だけでも他所の家の4、5軒は軽く構えられそうだ。

ピーンポーン

初体験におどおどしている2人と、すでに経験済みなのか場慣れしているもう2人を
尻目に、熟練者の真紅はお屋敷の敷地を囲む外壁に備え付けられているインターホン
とおぼしきボタンを押した。セキュリティへの気遣いは、お金持ちの宿命か。
225以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 22:27:35.79 ID:78TEfZsM0
「お帰りなさいませ、お嬢様」

ジジッと電子の粒が弾けたような音の後、インターホンの真上におわす監視カメラ本体
が、若々しくも落ち着いた調子の女性の声でしゃべりはじめた。顔が見えないため
分からないが、なかの人はおそらくはお屋敷に勤めているお手伝いさんか誰かだろう。

「ただいま。友だちをつれてきたわ、あけてちょうだい」

「はい」

カシャン カラカラカラ

お嬢様からのお達しより2秒後、真紅宅と公道を隔てる引き戸式の門塀がひとりでに
そのいましめを解き、さあどうぞと大口を開けた。

中実のモリブデン鋼を格子状にしたてた頑強きわまる門塀は、普通自動車3台が
ゆうゆうと横並びで通れる幅を単体でふさぐ巨大な図体をしているが、それとは
裏腹に軌道を滑るさまは実に軽やかで引っかかりもない。普段の手入れの入念さも
推して知るべしというところか。

「さぁ、入りましょう」

血も通わずして威圧感を漂わせているお屋敷の敷地を、我がもの顔で平然と踏みしめる
真紅。あたりまえだが。

「おじゃましまーす」

「おじゃましまぁす」
226以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 22:29:39.62 ID:78TEfZsM0
同じく、何の気負いも感じさせない足取りで真紅の後を追いかける雛苺と水銀燈。
威風堂々そのままに胸を張って進み入る水銀燈はもちろんのこと、外見のちんまりさ
とは裏腹に雛苺も気遅れのない様子でテトテトと歩いている。



雰囲気の異なるふたりだが、大物の片鱗を持ち合わせているという点はどちらも同じ
らしい。

「もぉ、ジュンったらどうどうとしなさいよぉ。ほらぁ、手つなぐぅ?」

「ヒナがついてるからだいじょうぶよ。ぎゅーってしたげるのよ」

「う、うん… そんなこといわれても」

あと、男の好みも。

「ムムゥ… さっさと来るのだわッ!」

門塀をくぐってからもおっかなびっくりさを捨てきれないジュンに、前方より飛んで
きたお嬢様の激怒の叱責。前触れ無しの炎上に目を丸くしているジュンは何で
いきなりと首を傾げながらも、べったりいちゃいちゃまとわりついている水銀燈や
雛苺や巴を引きつれ、歩みの幅を少しだけ広くした。

「カリカリしないでよぉ真紅ぅ。 にゅうさんきんとってるぅ?」

ジュンの肩にころんと頭をゆだねて、ふふっと微笑む水銀燈。石鹸の甘い香りを
たたえた少女の汗が頬を伝って、ジュンの首に浮かんだ玉汗と混じりあっている。
227以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 22:32:55.56 ID:78TEfZsM0
「くっ… お母様のヨーグルトパイでとりまくってやるのだわ!」

盛り上がりの無い少年の喉仏に水銀燈の唇が寄るや、真紅の帯びる熱のかげろうが
いっそう濃くなり、噛み締めた歯がぎりりと鳴った。吼える声からは余裕が抜け、ギン
とにらむ目の傾斜も上がっている。

「くふふ… あのコうらやましいのよぉ、わたしたちが」

「え? なんで」

「ジュンってばホントにぶにぶなの。真紅もヒナたちみたいにジュンにくっつき…」

「っくあー! さっさと来ないとヨーグルトパイもベリーパイもおあずけなの
だわッ!」

カッと顔を茹だらせて、水銀燈の言をかき消すように叫ぶ真紅。逆さになった八の字
眉はいよいよ危険な角度に至っており、玄関へと続く石畳を割らんばかりの勢いで
地団駄を踏んでいる。ワンピースの裾からひらひらとお目見えする白く細めなふともも
の疲労と、ついでに自然石製の石畳へのダメージが、赤いサンダルの底がバンバンと
鳴くたび積もり重なっていく。

「水銀燈ちゃん、やりすぎよ」

「あーはいはい。 ごめんなさぁい真紅ぅ、からかいすぎたわぁ」

そっとたしなめた巴のひと言に従い、水銀燈が謝りの意をまあ何はともあれ表した。
自身の元へ小走りに駆け寄る4人の姿に真紅も少しばかり溜飲を下げたらしく、
石畳は怒りの矛先からやっと逃れ命拾いしたようだ。
228以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 22:35:25.51 ID:78TEfZsM0
ときに、そびえ立つ真紅の足の下をよくよく見てみると、石畳にはつい数秒前まで
無かった亀裂が、くっきりと全体を両断する形で走っている。不思議な事もある
ものだ。

「まったく… ジュン、あなたにはまだまだ気がまえというものがなっていないよう
ね。もっとこう、私のこい… あわわ!えーと、んー… し、しもべとしてのじかくを
もつのだわっ!」

面々が間近にまで寄ってきたところで、真紅はこぼしかけた言葉をあらかさまな慌て
模様でわたわたと打ち消すと、ひとさし指をジュンに向かって突きつけた。半袖の口
から伸びた腕はビッと刺突の構えを見せ、しなやかな流線を描きながら少年の鼻先
1センチというところまで肉薄している。

「しもべって?」

「しもべはしもべなのだわ! この真紅をあるじとしてうやまうのよ」

「よくわかんないけど、何で?」

あくまで高みにおらんとし、強引こそが信条ぞと言わんばかりに詰め寄っている真紅。
が、ジュンと面持ちを見比べてみると、はてさてどちらが追い詰められているのやら。

「あぅ… く、口ごたえはゆるさないのだわ!」
229以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 22:37:34.09 ID:78TEfZsM0
どうやら天秤のかたむき具合は本人もよくわかっているらしい。いきづまりをうやむや
にかき混ぜるかのごとく手を伸ばし、ジュンの腕を少女たちの支配下から強引にもぎ
取ると、真紅はツインテールをなびかせながら色濃くなった顔を背け、ズンズンと
玄関戸を目指し再び歩きはじめた。

「だからぁ、ひっぱらないでって」

「だまってついてくるのだわ!」

真紅のかたくなさに呆れたのか、はたまた先ほどから昂ぶりっぱなしな彼女の血管を
心配してか、やれやれと首を揺らす水銀燈、雛苺、巴の3人。だわだわだーわだーわ
と猛りながら子供なジュンを連れて行く少女の背中に、届かないため息と呟きを贈って
いた。

「……ハァ、真紅ったらぁ」

「すなおじゃないのー」

「ほんと…」
230以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 22:38:37.44 ID:78TEfZsM0
続くのよぅ

あと、>>226の不可解な空行の事はわすれてね。おねえちゃんからの
おねがいよぅ。
231以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 22:42:02.09 ID:9Bkaz6RI0
冒頭の文は確実に狙って書いただろw
だわだわだーわだわって……www
232以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 22:58:25.60 ID:78TEfZsM0
ほしゅ
233以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 23:01:40.85 ID:LIZ8NcpO0
このスレって新ジャンル学園のローゼン版みたいな感じ?所見なんだが。
234以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 23:12:09.06 ID:Q0PdUtD30
>>233
はじめまして。
>>1に書いている通り、
「もしもローゼンメイデンが普通の女の子だったら」を妄想しSSにするスレです。
詳しい事は、同じく>>1のWikiに書かれています。
235以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 23:25:50.81 ID:XyUABrC/0
保守
236以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 23:43:47.37 ID:Usjobql8O
保守
237以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/25(金) 23:58:15.70 ID:Whgt9J5IO
筆が少し進んだ保守
238以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 00:10:29.12 ID:0lfyP1uhO
>>230
幼女が好きだと叫ぶスレはここですか?
239以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 00:23:56.57 ID:0lfyP1uhO
240以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 00:36:52.09 ID:ZepdaYgE0
>>230
冒頭よんでおいおいマジかよと思ったのに・・・
241以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 00:42:42.74 ID:dqQYmnoG0
いまさらなのはわかってるけど、
>>137
> って翠星石!偶数だってば!上半身だけだしって違う!
が気になって仕方ない件。誤字脱字に突っ込むのは野暮だとわかってるが、なんかツボった

>>230
最初wwwwwwwww
いい具合にはっちゃけてきたね。丁寧な描写で情景が目に浮かびついニヤニヤ
困り顔のジュンは実によいものだ
242以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 01:10:50.90 ID:nArDZQBoP
243以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 01:27:34.11 ID:Xffq9eld0
しゅ
244以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:00:53.20 ID:Xffq9eld0
保守
245以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:04:00.92 ID:tHWV+Z7J0
数スレ頂きます。

《薔薇国志》 第二章 第二節 ―少年は涙を掬い取り、少女は政庁にて餅を焼く―
246以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:04:28.85 ID:tHWV+Z7J0
《薔薇国志》 第二章 第二節 ―少年は涙を掬い取り、少女は政庁にて餅を焼く―


○永昌―雲南間(邪龍)

「あ・悪党に教える名は持ち合わせちゃぁ、いねぇ。
綺麗で真ん丸な、お月さんの下、汚ねぇ血肉をぶちまけてやる――この、薔薇水晶のぉ,手によって」

眼帯を左目につけた少女―薔薇水晶は、物騒な発言を、儚げな印象を持つ外見から言い放つ。
外套を脱ぎ去った彼女の腕には、いつの間にか、彼女の手には少々大き過ぎる大剣を握っていて。
丸い月の光に照らされ、美しく光るその剣は、彼女の気持ちを投影しているようだ。
―斬・斬・ざーん!―
殺る気満々な少女に、少年―ジュンは、持前の体質により、彼女に聞こえる程の声で突っ込みを入れてしまう。
――彼と彼女の間にいるごろつき達の存在を、一時的に忘れてしまい。
「なんだよ、その変な節は!?
しかも、名乗っちゃってるし!」
しまった!―と、彼が悔やんだ時には、もう遅かった。
ごろつき達は混乱しながらも、後方にいる少年にも警戒の目を向け、己の獲物をおたおたと取り出す。
彼らの手にした武器は、赤錆びて所々にひびが入っている、刀剣と言うよりは鈍器と呼ぶべきもの。
だが、それでも無駄に体力だけはありそうに見えるごろつき達が振るえば、十分に凶器と言えるだろう。
己の愚行に大きな舌打ちをし、ジュンは武器である鉄針の狙いを定め直す。
相手は三人………とは言え、少女の奇矯と自身の登場で戸惑っている。
態勢を立て直されたら不利――思考を疾走させ、気持ちを固める――今しか、ない。

彼がそう決断を下した直後。
どさどさ、どさ………と大きな三つの物音。
そして、妙な節の少女の声。
247以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:04:57.06 ID:tHWV+Z7J0
>>
「ふ………また詰まらぬ者をきってしまったぁよ………」
「………いや。
切ってないだろ、お前」

状況を余り飲み込めていないジュンだったが、少女の持つ大剣に血糊は浮かんでいないので、
思わず茶々を入れてしまう。
半眼で突っ込みを入れる少年に、薔薇水晶は何故か笑みを返す。
微笑でもなく大輪の笑顔と言う訳でもなく、にやぁ、と表現される半笑いの。
じっとりとしたその笑みに、妙な冷汗を感じてしまうジュン。
しかし、咄嗟に入れた茶々は間違ってはいない筈、と改めて思う。
男達が崩れ落ちた理由――少女の動きを、眼で追えたから。
以前、雲南の市場で真紅の早業を視認できなかったのは、真剣さの違いだろう。
あの時はあの時で事の成り行きを真面目に確認しているつもりだったが、先程の様に
自らの危険を顧みず、と言うほどではなかった。
――ジュンが視認できた少女の動きは、以下の様なもの。
言葉にするのが馬鹿らしいほど速く動いて、力任せに的確な人体の弱い部分―鳩尾を強打した。以上。
自分の目が可笑しくなったのかと眩暈を覚えるジュンであったが、
実際にごろつき達は呻き声をあげる暇もなく地に伏してしまったのだ。
自身の確認した事を―少女の出鱈目な強さを、認めない訳にはいかない。
(ひょっとすると、真紅以上かもな………ん………?)
硬直していた頭は、己の太守の名を思った所で動きだす。
―目の前の不確定名・半笑い少女は、先程、何と名乗った?
――真紅は、彼女の姉妹をどう語っていた?

『掴みどころのない薔薇水晶』――(――こいつだ!)

喝采をあげるべきか、途方に暮れるべきか。
この、掴み所がないと言うより掴みたくない少女を前にして、ジュンは数秒間、悩む。
頭に浮かぶのは、真紅の言葉と同時に思い出した、彼女の優しく儚い声色。
248以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:05:27.44 ID:tHWV+Z7J0
>>247
『判らないけれど――探しだすわ。――絶対に………絶対に。
何にも変えられない、大切な………姉妹だもの』

数秒の思考の後に、彼は小さく鼻を鳴らす――ふん。
(訳わかんない奴だけど、武力はあるみたいだし。
僕はどうでもいいけど、こいつに合ってた事があいつにばれると怒るだろうし。
まぁ、ほんとにあいつの姉妹かなんてわからないけど――声をかける位なら)
回りくどい少年が、回りくどい思考の結果を弾きだした時。
彼の目の前――半歩動けばぶつかる距離に、少女は移動していた。

「………二つ。――ありがと」

小さな口を必要最低限に動かし、彼女は礼の言葉を告げる。
耳朶に感じる少女の声は、先程とはうって代わって、何故だかとても蠱惑的で。
ジュンは、弛みそうになる自制心を叱咤しつつ、礼に対する返答をする。

「礼を言われる様な事は、何一つしてないと思うけどな。
あと、何時の間にこんな近づいてきた」
「………つれない人ネェ。
普通に歩いてきたーよ。………ちょっと足音を隠しただけ」
「それは、普通とは言わない!」

軽快に続く会話だったが、その一方を担う少年は頭を抱えたい衝動に駆られていたり。
だが、そんな態度の少年にも、相手たる少女の方はにまにまとした笑みを浮かべている。
――出会って数分の彼に判れと言うのも酷な話だが、その笑みは、
少女が純粋に楽しんでいる証拠であった。
ふと、少女は笑みの質を変える。
放っておくと地団駄を踏みそうなジュンに、少女はそれを意識してかしないでか――。
249以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:06:00.56 ID:tHWV+Z7J0
>>248
「一つ。ぼけに突っ込みは必要」
「あーそーかい!それはどーも!」
「二つ――助けてくれようと、してた」

――半笑いの口を、微笑みに変えた。

「………知ってたのか」
「うん」

自分が木々の影に潜んでいた事がばれていたのは、わかっていた。
けれど、その意思まで読まれていたとはわからなかったし、思わなかった。

「じゃあ、なんで、自分で動いた?」
「震えてた。………ちょっとだけだけど」

不確定名・半笑い少女、蠱惑的に感じた彼女。
それだけだったならば、ジュンは少女の返答に険しい剣幕で突っかかっただろう。
――僕は震えてなんかいないっ。
そうさせなかったのは、彼女の返答と表情が、とても素直で幼く――童女の様に思えたから。
僅かな間に様々な面を見せる少女に、ジュンは確信する。
この少女は、真紅が語った姉妹の一人、彼女の大切な姉妹の一人、薔薇水晶だ――と。

「――薔薇水晶。僕と一緒に、来てくれないか?」

丸く煌々と輝く月の下、少年は、少女に語りかける。
自分自身が己の契約者に誘われた時の様に、真剣な眼差しで。
目の前の少女―薔薇水晶が、真紅だけでなく、自分にとっても大切な仲間となると思ったから。
一拍の時を置き、ジュンの言葉をかみ砕いてから、薔薇水晶は………問い返した。
250以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:06:29.61 ID:tHWV+Z7J0
>>249
「………求婚?」

「なんでそーなる!?」
「そんな雰囲気」
「あーのーなー!」
「フ、おじょーちゃんのお望みにぃ、応えたいのはぁ、やまやまだがぁ」
「誰がお嬢ちゃんだ。あと、その変な節付けは止めろ」
「――この薔薇水晶、ちょいと人探しの、途中でさぁ。
オイラも罪な、女だゼィ」
「人の話を聞け!それに、探しているのって――」

朗々と語る薔薇水晶、突っ込んでも意味がないと判りつつ言葉を挟むジュン。
相性がいいのかな、と少女は朧気に思い、既視感を感じる、と少年は頭痛に襲われる。
だけども、少年の言葉に、少女は語りをぴたりと止め。
彼女の探し人を謡う――素のままの、奇麗な声で。

「私が探しているのは、薔薇水晶が捜しているのは――。
七人の姉妹、一人のお義父様――。
すんすん水銀燈、にこにこ金糸雀、がやがや翠星石――。
きりきり蒼星石、わいわい雛苺、そして、がみがみ真紅――。
皆と一緒だったぽけぽけ薔薇水晶は、何時からか皆とはぐれて――。
お義父様に出会った、でも、また、はぐれた――。
だから、私は独り。寂しくて、切なくて、恋しくて――。
だから、私は捜す。寂しくて、切なくて、恋しくて――また、一緒に居たいから」

瞳を閉じ、謡いあげる少女に、ジュンは見惚れてしまい。
少しの間、二人を静寂が包みこみ。
――先に口を開いたのは、少年の方であった。
251以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:07:03.89 ID:tHWV+Z7J0
>>250
「なぁ、薔薇水晶。真紅には、よく怒られていたのか?」
「うん。いっぱいいっぱい、怒られてた。
でも、その後、金糸雀にいっぱいいっぱい、いい子いい子してもらえた。
それに、真紅が怒ってくれたから、ばらしーには良い事と悪い事、ちゃんとわかる。
だから、真紅も、大好き」
「そっか。―はは、『がみがみ』か。なんか、わかるよ」
「うん、『がみがみ』。えへへ。………え?」

ジュンの共感に、薔薇水晶はきょとんと目をぱちくりさせる。
初めて会話の主導権を握れた事に、少しだけ満足感を得るジュンだったが。
そんな童の様な喜びを若干恥ずかしく思い、その感情を打ち切り、彼女に告げる。
「他の姉妹は――悪いけど、僕もわからない。
でも、真紅なら今、此処から一日二日にある雲南にいるぞ。
あいつも、お前達を――って、おい、いきなり、何を泣いて――!?」
あっさりと主導権を奪われた事にも気付かず、ジュンは突然の薔薇水晶の涙にうろたえる。
大きな瞳から零れ落ちる水滴は、それほどまでに彼の心を穿った。
だが、当の薔薇水晶は己の頬を伝う水分を拭う事も払う事もせず。
震えた声で、ジュンに問い返す。

「――ほんと?ほんとに、真紅がいるの?」
「あ、あぁ。曲がりなりにも太守だから、そう簡単に動ける訳でもないし。
僕は、あいつの軍士だから、一緒に行けばすぐに会えるさ」
「真紅がいる、近くにいる………逢える、すぐに逢える――――嬉しい」

言葉を繰り返すのは、駆けだしそうな気持を抑える為。
目の前の少年は、教えてくれた――自分の姉妹―真紅が、すぐ其処にいると。
少しの間では何所かに行かないと、伝えてくれた。
だから、少女は己の心が落ち着くまで、瞳と口を暫しの間、閉じた。
一人取り残された少年は、その時間を少し持余し―彼女の代りに、流れで続ける水滴を拭う。
252以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:07:48.09 ID:tHWV+Z7J0
>>251
彼らを覆う外気は、夜と言う事もあって冷たかったが、
少年の指に絡まる涙と触れている頬は、その分、とても暖かく感じた。

少女の瞳の蛇口が閉じて、しばらくしてから。
ジュンは触れていた指をそっと離し、瞳を閉じたままの少女におずおずと切り出す。

「――なぁ、そろそろ………」
「――うん、も、大丈夫。
ありがと、真紅の軍士さん」
「………なんであいつの所有物扱いなんだよ」
「………じゃあ、おじょーちゃん?」
「何が『じゃあ』だ!僕の何所が女に見える!?」
「見えない事もないよ?………あ、凹んでる凹んでる。
んと、だって、ばらしー、貴方の名前、知らない」

絶対、体力つけてやる………っ、と背を向けて力なく呟く少年に、何の遠慮もなく
言い放つ薔薇水晶。
尋ねられた事に強烈な既視感を感じつつ――そういや、真紅の時もそうだったな。
こほんと空咳を打ち、少年は、少女に名乗った。

「――僕は、ジュン。桜田ジュン」
「ん。私は、薔薇水晶。朗繕薔薇水晶。ばらしーでいいよ?」
「………とりあえず、場所を移して今日は休もう、薔薇水晶」
「いけずー」

うるさい、とぶっきらぼうに言い、歩きだすジュンに、
にまにまとした笑みを再度浮かべる薔薇水晶。
傍から見たらどう見えるかな――そんな事を思いつつ、薔薇水晶はとことこと彼について行った。
253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:08:19.67 ID:tHWV+Z7J0
>>252
――喧騒が聞こえる以前にいた場所に戻ったジュンと薔薇水晶は、雑談もそこそこに
眠りにつこうとした。
事が起こる前、少年は寝る直前であったし、少女とて同じ様なものであったから、
目下のところ、二人とも睡眠を欲しているのだ。
当然の様に消えている火を再度つけ直し、少年は近くにあった木にもたれかかった。
――直後、もたれかかられた。

「………薔薇水晶?」
「寒い」
「ごもっとも。――じゃなくて、その、僕が寝れそうにないんだけど」
「人肌が恋シイノー」
「やかましい」

ごろごろと大きな子猫の様にすり寄ってくる薔薇水晶に、ジュンは半眼で言い返した。
なんとなく、この少女は言葉の奥域と言うものを理解していないと思ったから。
――それは、半分正解であり、半分間違っているのだが。

「んと、久しぶりに、とっても久しぶりに、独りじゃないから。
だから、ちょっとだけ………」

――駄目?と、薔薇水晶は視線で訴えてくる。
自分が人並み以上の理性を持っている事を悟ってしまった少年は、少女の視線から
逃れる様に顔を背け、ぽつりと呟いた。

「――ふん。寝ちゃえば、ちょっともずっともないじゃないか。
………今日だけだからな」
「――うんっ」
254以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:08:57.35 ID:tHWV+Z7J0
>>253
儚げな印象とは程遠い、元気な嬉々とした声に。
ジュンは苦笑いと共に、自分に暖を求めてくる少女を眺めた。
疲れていたのであろう――少女は、呆気ないほど素早く寝息を立て始め、
少年もそれに続く様に瞼を下ろす。
うとうととした漂う思考の中、ジュンはふと、先程聴いた彼女の詩を思い出し。
疑問に思う――些細な点を。

(探す………七人の姉妹………――あれ、でも………)

――そこで、彼の思考は眠りと共に、落ちた。


○此処でない場所 今でない何時か

少年―と言うよりは、童が一人、綺麗で真新しく、彼の手には長い鉄の針を嬉しそうに並べている。
その針は、童が持っていても危なくない様に、先端が丸くなっていた。
床に並べられた九つの針を―きちんと並べられたからだろう―、童はにこにこと眺める。
至福の表情をしていた童だったが、突然、きぃ………と開いた、厳めしい扉に驚き、
大きな瞳を不安げに其方に向けた。
「………おとうさん?」
違うだろうな、と思いつつも、童は扉の向こうに語りかける。
「うぅん」
扉から出てきたのは、薄紫色の髪をして、左目に眼帯をつけた少女――此方も、童であったが。

「ばらしーは、女の子」

見ればわかるよ――そう言おうとした童だったが、とことこと歩いてくる童を見ているだけで
手いっぱいで、言葉にはできなかった。
もう一人の童は、並べられた針の前にちょこんと座り、一言――「凄い」。
255以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:09:31.73 ID:tHWV+Z7J0
>>254
何がどう『凄い』のかまるでわからなかったが、童は、まるで自分が褒められている様に感じて。

「一つなら、あげるよ」

まだ八つもあるし――童はそう言って、針を手渡した。

「ほんと?――えへへ、………嬉しい」
「うん、ほんと。――あ、僕の名前は――」
「んと、ばらしーの名前は――」

――彼が手渡した針は、彼女の髪色を映し、淡い紫の輝きを放っていた――


○雲南 政庁

ジュンと薔薇水晶が出逢った日から数日後の雲南。
雲南の太守―真紅は、一人、脳内言い訳合戦に陥っていた。
知識ある者が見ればわかるのだが、彼女の装いは、いつもよりも上等なものである。

事の次第は、数刻前の、のりの一言、歩兵士長の戯言。

「俺はただの鍬でいい………農耕器という名の鍬でいい――。
つーか、そうでも思わないとやってらんねぇ!!」
言葉とは裏腹に、数日前よりも確実に上達した動きで田を耕す若者の叫びを流しつつ。
真紅は額に流れる汗を拭いつつ、ふと呟く。
「――もうそろそろ、帰ってくる頃ね」
彼女の独り言を耳にした、のりと歩兵士長は顔を見合せ。
誰が、とは聞かず、話を振る。
「わかるものなの?」
256以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:10:23.94 ID:tHWV+Z7J0
>>255
「なんとなく、ね。――永昌はそれほど遠い所でもないし」
何故かその返答を恥ずかしく思い、真紅はぱっと思いついた妥当な理由を付け足す。
その様をくすくすと微笑むのり。
あっちぃなぁ、と浮かんでいない汗を拭おうとする歩兵士長に、冷たい一瞥を送り、
真紅はのりに口を開く――勿論、早口で。

「のり、何か勘違いしている様だけど。
さっきのは、ジュンの諜報能力と運動能力、雲南から永昌の距離を考慮しての発言なのだわ。
配下の能力を正確に判断するのは太守として当然の事であって、決して、
願望とかそういう類の発言では――」
「そこまで思ってないわよぅ」
「ぅぐ………」

あっさりと墓穴を掘る弟の太守殿に、のりは微笑む。
彼女の名の様に顔を赤くする真紅は、とても可愛らしく思え、もう少し
楽しみたいと願わないでもなかったが。
流石に、今の格好で逢わすのは忍びないと考え、真紅が納得出来る様な形で、
のりは助言を送った。
「ね、真紅ちゃん。
もうすぐジュン君が帰ってくるなら、お着替えした方がいいんじゃないかしら」
「だ、だから、私は別にどうとも――」
「だって、真紅ちゃんは『太守』なんですもの。
配下の報告は、それ相応の格好で受けないと」
――ね?とにこにことした笑顔でだめ押し。
でも、その、と俯く真紅は、年相応の少女にしか見えなかった。
二人の遣り取りを傍で聞いていた歩兵士長は、巧いな、と思いつつ、のりに助勢する。
彼とて、少年と少女の関係に無関心な訳ではない。
「ま、嬢ちゃんが召かしこみゃ、仮に坊主が永昌に『港』を作ってたとしてもっぱぁっ!?」
助勢の言葉が彼の年相応過ぎたのだが。
257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:11:00.20 ID:tHWV+Z7J0
>>256
神速のでこぴんを歩兵士長に打ち込んだ真紅は、くるりと政庁の方に体を向け。
目を回す歩兵士長の額を撫でながら呪いの言葉―痛いの痛いのとんでけー
―をかけるのりに、後を頼む旨を告げる。

「――のりの言う通り、報告を受けるんだから、身なりは正しておいた方がいいわね」
「うん、太守として、ね」
「…………………ありがとう、のり」
「ふふ、どう致しまして」

――その後、真紅は自宅に戻り、身を清め、いつもよりほんの少し、召かしこみ。
心持ち速くなっている心音を持て余しつつ、今に至る。
悶々とした表情で政庁の椅子に座るが、やはりと言うか、太守の顔ではなかった。

(――別に、召かしこむって言っても、髪結いを新しいのにしただけなのだわ。
男性はそういうの、気付き難いって聞くし………それはそれで癪だけど。
………『港』………まさかね、彼がそんな事、出来る訳ないわ。
でも、ほんとにそうなってたら………い、いえ、私は気にしないのだわ、
あ、だけど、任務中だったんだから、怒らないと。………怒らないと)

こめかみをひくひくと動かしながら、不気味な笑みを浮かべる真紅。
衆人が見れば、後にこう伝えただろう―真来来(悪い事していると、真紅が来るぞ)と。
――そんな彼女を知る由もなく。
彼女の軍士殿は、彼女の姉妹をつれ、雲南に帰ってきた。

―――――――――――――《薔薇国志》 第二章 第二節 了
258以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:11:30.34 ID:tHWV+Z7J0
《薔薇国志》 第二章之間乃二

ラ「トリビッッアァァァァル、
  あ、ありのままに今起こった事を話すぜ、俺は架空戦記を読んでいたら
  いつの間にかラブコメを読んでい(ry、裸夫羅素ですぞ」
ジ「うるさいな、そう言う事をしているつもりはない」
薔「ばらしーは、それでもいいけど………」
ジ「あのなぁ………ともかく、能力値の公開をさっさとしよう」
薔「ん。 統率:90 武力:95 知力:35 政治:80 魅力:85 だよ」
ジ「戦事は真紅並、だな。………なんか、知力と政治が不釣り合いじゃないか?」
ラ「そんな事より、ジュン殿」
ジ「………そんな事って。――なんだよ?」
ラ「不能ですか?」
ジ「………………って、何をいきなり言いだすんだ、この兎!?」
ラ「不思議系少女が!85の乳を寄せてきて!一夜を過ごしたと言うのに!
  ――は!?まさか、生粋のぺた乳派!?」
真「《薔薇の龍》!!」
ラ「そんなノベルズのマイナー技でぐほぁ!?」
薔「真紅………語るに落ちてる………。ラプラス、誰とは言ってないよ?」
真「え!?――ま、まぁ、それは置いておいて。薔薇水晶は二通りの可能性があったのだわ」
ラ「ですな。前半で出てくる場合と、後半で出てくる場合と」
薔「早い………。ん、後半だと、原作準拠になる予定だった。だから、駆け引き上手」
真「でも、今回は前半―というか、序盤だったから」
ジ「スレ準拠になった訳か。まぁ今更、あの雰囲気が書けるかどうかわかんないしなぁ」

ラ「ゲーム的な処理は、ジュン殿が雲南付近をふらついていた薔薇水晶殿を登用した、ですな」
ジ「身も蓋もない………その通りだけどさ」
ラ「所で軍士殿。   いつになったら、永昌を攻めるので?  」
ジ「人が気にしている事を………。まぁ、次回あたりでなんとかなるだろ」
ラ「おぉ、血沸き肉踊る戦闘!華やかな一騎打ち!速く戦争になぁれっ」
259以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:13:50.47 ID:tHWV+Z7J0
意外と猿って喰らわないもんだなと思いつつ、投下終了。
段々と長くなっていってるなぁ………。
260以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 02:26:47.42 ID:tHWV+Z7J0
保守。
261以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 03:56:59.68 ID:nArDZQBoP
262以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 06:08:46.83 ID:0lfyP1uhO
>>259
乙wなんかパラだけ見るとばらしーは不思議ちゃんというよりただのおバカさんに…おや?こんな時間から庭に水晶が生えたようだ。
263以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 06:40:17.25 ID:5crtC+QDO
乙です。
次はもしや…まあ、まだ判りませんね。
のんびり書いて下さいまし。僕ものんびり待ちます。
264以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 07:23:59.41 ID:SJ/kL8/WO
携帯からおはよ保守
265以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 08:49:31.70 ID:0/510cgx0
>>259
本当につかみ所がないなぁ、薔薇水晶。
知力35……有能な副将がいないと戦場に出られなーい!?
266以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 09:32:52.92 ID:kFr5dXN4O
267以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 10:56:43.16 ID:Xffq9eld0
しゅ
268以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 11:31:41.30 ID:0lfyP1uhO
ジ「ふ〜…気まぐれに昼間の銭湯に来てみたけど、なかなか悪くないなぁ〜。一人貸し切りだし…風呂はリリンが生み出した文化の極みだねぇ…ふ〜…あ」
ぶっ…コポコポコポ
ジ「あはは、イカンイカン。つい油断を…」
ボシャッ!!!
薔「ぷはっ!?」
ジ「おあ!?ば、薔薇水晶!?」
薔「なんてこと…この私があれくらいで動揺するなんて…じゃあまたねジュン!私、スカトロも耐えられるようになるから!!」ダッ
ジ「あ…いっちゃったよ。何だったんだろ…でもまぁこれで」
ボシャ
翠「ようやく静かに楽しめるですぅ」
ボシャ
銀「銭湯ではマナーは大切よぉ」
ボシャ
蒼「素晴らしい日本の財産…大切にしたいね」
ボシャ
真「ところで金糸雀、薔薇水晶に渡した水中カメラは?」
ボシャ
金「ちゃんとココにあるかしら〜♪」
ボシャ
雛「お風呂上がりのイチゴミルクは最高なの!」
ボシャ
雪「あら、通は普通、コーヒー、イチゴ、フルーツの全てを楽しむものですわ。ね、ジュン様♪」
ジ「やれやれ、きらきーは欲張りだなぁ」
全員「あっはっはっはっは」


アッー!
269以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 12:31:23.91 ID:0lfyP1uhO
270以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 12:56:48.64 ID:SJ/kL8/WO
>>268
昼間から…
JUMウラヤマシス
271以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 13:39:51.16 ID:0lfyP1uhO
272以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 13:56:32.76 ID:yj3NLiJs0
>>159
過去の悲しさと言動・行動のギャップがすごく薔薇しーらしい

死亡フラグがなければ自分で作りに行くのか…www

>>172
うわぁ、びっくりした

>>181
最後の後悔してるような様子がかわいい

>>200
ジュン…
273以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 14:32:13.91 ID:nArDZQBoP
274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 15:14:54.35 ID:0lfyP1uhO
275以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 15:41:24.12 ID:yj3NLiJs0
276以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 16:11:44.48 ID:0lfyP1uhO
277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/26(土) 16:29:48.05 ID:5crtC+QDO
後一時間頑張ろう保守
278以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
これで完走かな?