1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
ここは筆力のある人・ない人がお題をもらって自由に小説を書き、それぞれの筆力を向上させるスレです
※※※お題をもらわないでの小説投下はスレの主旨と違いますのでご遠慮下さい※※※
各まとめ入口:
http://bnsk.daa.jp/ まとめwikiコラム:
http://bnsk.daa.jp/wiki/index.php?%A5%B3%A5%E9%A5%E0 初心者の方は上記のまとめwikiコラムの他、掲示板を一度ご覧下さい。
小説を書く際の禁則やテクニック等が具体例付で説明されています
(三行テンプレート)
1:お題をもらう(安価より「↓」を推奨)
2:もらったお題に沿った作品を書いて、完成させる。
3:「投下します」と宣言し、作品投下。メール欄は無記入、名前欄には「もらったお題」を表記する。タイトルは無くても可。
・1レスは30行、4096バイトまで、一行は全角128文字まで(読みやすさの為に50〜60文字推奨)
・書きながらの投下は禁止
・お題をもらっていない作品はたとえ投下されてもまとめサイトには掲載されません
詳細は
>>2-3辺りをご覧下さい
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 11:41:43.67 ID:stOVT9tA0
まずはお題をもらいましょう。基本的に過疎スレなので↓でもらうと良いです
→人のお題を使って書くのもありです。作品がたくさん投下されればスレも盛り上がります
▽投下の際の注意点
・投下宣言は「投下してもいいですか?」ではなく「投下します」。投下宣言が被らない限り、許可はいりません
・投下する人は最後に「終」「完」「了」など、投下完了の合図をお願いします
・名前欄 に『タイトル(お題:○○) 現在レス数/総レス数』 (例:『BNSK(お題:文才) 1/5』)を書いて下さい
・まとめる際にコピペがしづらいので、メール欄は空にして投下してください。
・作品を投下する際は、テキストエディタで仕上げてから、完成品をまとめて投下して下さい
▽読み手の方へ
・感想は書き手側の意欲向上に繋がります。感想や批評はできれば書いてあげて下さい
▽保守について
・創作に役立つ雑談や、「お題:保守」の通常作投下は大歓迎です
・落ちた場合は立てられる人が新スレを立てて下さい。人がいる時間を目安に
▽その他
・通常作品でもトリップを付けておくと、wikiで「単語検索」を行えば自分の作品がすぐ抽出できます
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 11:42:11.30 ID:stOVT9tA0
▲週末品評会
毎週木曜日の夜〜土曜日の午前中に、お題が出されます
作品は土曜日の0:00から日曜日の23:30までの間に投稿してください
その後それぞれに評価をして頂き、月曜日の0:00から火曜日の24:00まで投票を受け付けます
▽作品投稿
・ジャンルは自由、時間を過ぎての投稿も選考外ではありますがまとめサイトに掲載します
・スムーズな流れを保つため、メモ帳等の機能を使って全部書き終わってから投下するようにお願いします
・優勝時の本人確認のため、週末品評会参加者は出来れば酉を付けて下さい(酉は名前欄に#と自由な文字列)
→毎回同じコテや酉で出続けると周囲にわかりやすいです
・作品のタイトルは現在レス数/総レス数、酉を除いて、全角二十文字以内にしてください。
▽締め切り間際の作品投稿について
週末品評会では、投下締切時間の間際に集中的に投下が起こります。
それを無管理で放っておくと大変な事になるので、23時から「予約」という形を取り、運営の指示に従って順番に投下してもらいます。
予約締切は23:30で、以降は時間外の扱いになります
▽投票
・本スレへの書き込みでお願いします(複数選択可)
・ぜひ書き手の方も他の人への感想や投票を行って下さい
・簡単でよいので、感想、批評等書いて下さい。書き手の次への糧になります!
・投票は投票用テンプレを使うか、【投票】と書いて書き込んで下さい
▽優勝者特権
・投票で一番支持を得た作品の作者の方には、次回品評会のお題決定権が与えられます
・投票数が同数の場合は、気になった作品の投票数の差で決定します
・お題の発表時間は優勝者に一任されますが、遅くても土曜日の午前中には提示して下さい
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 11:42:56.39 ID:stOVT9tA0
230 名前: ◆D7Aqr.apsM [] 投稿日:2008/01/10(木) 01:18:41.58 ID:32SBw1Rh0
あ。ごめん。待った?
わざわざこんな所まで来てくれて、ありがとう。
こんな時間に。ごめんね?
えーと。
は? か、顔が赤い? 赤くないよ! ちょっと暑いだけだよ!
うるさいな! もう!
え? 用がないなら帰る? まってよ! あるんだよ!
えーと。
その。……ね?
キミのこと――――――。
第九十三回品評会
お題:告白
規則事項:
・5レス以内
・お題の言葉の意味としては「恋愛感情を恋する相手に告げること」とします。
・ハッピーエンド限定
投稿期間: 2008/1/12(土) 00:00〜2008/1/13(日) 23:30
宣言締切:日曜23:30に投下宣言の締切。それ以降の宣言は時間外になります。
投票期間: 2008/1/14(月) 00:00〜2008/01/15(火) 24:00
※品評会に参加した方は、出来る限り投票してください
※それ以外の方の投票、感想の投下も大歓迎です。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 11:49:09.23 ID:yKPQgogy0
いちおつ
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 11:58:43.22 ID:VaBTn/V2O
乙一
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:01:55.15 ID:stOVT9tA0
ブギーポップの新作買ってきたんだけど……なんか入り込めない。
品評会作品、前スレの作品はまとめずみ。
現在の数は5作。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:09:10.05 ID:yKPQgogy0
>>7 そんな!? かどちんらしくていいなあ、かどちん昔より文章悪くなくなってきてるなあ
とか思ってたのに
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:14:48.15 ID:stOVT9tA0
>>8 保守雑談w
もう一回冒頭を読み返したんだけど、台詞回しとかがなんだか妙に「ラノベ」
っぽくなってる気がして。
何かの伏線……だったらいいなあ。伏線とかじゃなかったら、対象年齢下げて
みようって試みなのかなあ。それだったらちょっと嫌だなあ。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:20:24.91 ID:Iw+kL/CMO
ブギーはジンクスショップ辺りから、劣化の一途を辿ってると思う。
個人的には、パンドラが全盛期。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:21:08.53 ID:aM30rGFLP
そのなんとかポップってのを知らないけど、
作者より
>>9自身が変わったんじゃないかと勝手な憶測
好みとか感覚とかさ
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:22:53.86 ID:A3s8a4Lo0
ブギーとやらを読んだことがない俺に、
その魅力を三行で説明してくれないか?
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:24:00.21 ID:aM30rGFLP
ああ憶測は間違ってたらしい
わからない話題に無理矢理割り込むもんじゃないなw
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:27:55.12 ID:Iw+kL/CMO
>>12 ・村上龍が日本で最も美しいと褒める文章
・厨臭いけど惹かれてしまう設定
・作品を包む独特の雰囲気
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:28:26.18 ID:stOVT9tA0
感覚変わったのかなあ。
違和感あるんだよなあ。なんかこう、三国志の中にドラえもんが
でてきてるみたいな違和感。
>>12 世界の敵
自動的に浮かび上がる不気味な泡
口笛。ニュルンベルクのマイスタージンガー
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:30:06.89 ID:yKPQgogy0
>>12 ・別にハッピーエンドってわけでもないのに何故か異常に爽やかな読後感
・ぐじぐじ悩んでいるように見えて結末付近ではある程度の強さを得る登場人物
・作者がジョジョ好き
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:31:10.07 ID:A3s8a4Lo0
>>14 なるほど、今度買って読んでみる。
>>15 読まないと解らないキーワードだなwww
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:32:21.89 ID:yKPQgogy0
誰も言わないからつけたし
『う……うう……』と『じゃねーわよ』
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:33:59.37 ID:A3s8a4Lo0
なんか色々と魅力がいっぱいのようだ。
暇見つけて読んでみるか。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:36:36.54 ID:Iw+kL/CMO
>>17 嵌まると大変だよ?
しばらく自分の書いた物に影響を来す。
小説の書き方って本で、真似して書いたらダメな作家の筆頭に上げられてた。
適度に流し読みするくらいが吉。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:37:17.10 ID:yKPQgogy0
で! ここはかどちんスレじゃねーのよ。
おめーら品評会はかどってんだろうな
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:38:41.75 ID:A3s8a4Lo0
そういえば、今朝おれのIDが
ID:orzOTLorz0
になってる夢を見た。不吉だ。
品評会? 書いてる書いてるwww
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 12:41:53.15 ID:rdjRIWzK0
一乙
品評会?何も浮かばないからなのはでも見てみようかな
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 13:01:11.15 ID:VaBTn/V2O
かどちんはブギーポップよりナイトウォッチの方が好きだ
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 13:02:36.26 ID:yKPQgogy0
>>24 ぼくらは虚空に夜をみるのバスケ部の先輩が好きだ
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 13:12:55.58 ID:stOVT9tA0
しずるさんが最強にきまってるじゃないか。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 13:19:17.52 ID:A3s8a4Lo0
あー、良い文章が思い浮かばねー
書けねー
保守
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 13:47:16.75 ID:rdjRIWzK0
ネタが浮かばないほす
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 13:51:25.93 ID:yKPQgogy0
おかしいな……
いつもより鬱なムードの作品にしようとしてるのに、
いつもどおりのバカなムードになってくるよ……?
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 14:07:13.95 ID:yKPQgogy0
テンション
上
が
っ
て
きたぜ
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 14:12:13.15 ID:stOVT9tA0
さがってるようにしかみえんw
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 14:23:59.62 ID:yKPQgogy0
いやー、お話書くの久しぶりでさー。
これ品評会に出しちゃっていいのかって自分が問い掛けてきやがんのよ
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 14:46:01.35 ID:yKPQgogy0
きた
て
っ
が
下
テンション
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 14:49:03.46 ID:udf/c2Vq0
上がってる上がってるwww
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 14:52:09.42 ID:yKPQgogy0
テ 一
ン が 定
シ ン だ
ョ ぜ
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 14:54:40.49 ID:A3s8a4Lo0
おまえwww
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 14:57:29.47 ID:yKPQgogy0
つーかお前らなんだ! 忙しいのか暇なのかはっきりしろ!
寂しいだろ! 突っ込みだけじゃなくてなんかこう、ZATSUDANの足しになるようななにがしかプリーズ!
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 14:59:23.61 ID:A3s8a4Lo0
そういうお前は品評会大丈夫なのかよ?www
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 15:02:39.57 ID:yKPQgogy0
もう百二十行に到達したよ! 当初三レスで終わらす予定のプロットだから内容が薄い薄い!
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 15:04:03.82 ID:A3s8a4Lo0
うん、32行の俺涙目www
書こう……orz
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 15:14:19.73 ID:yKPQgogy0
>>41 ちょ、行くな―――っ!
保守だけじゃなー、味気ないというか寂しいしな
くそう、もう品評会書き終わってて暇でこのスレに居着いている二十台のおねいさんいないかなぁ
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 15:21:25.80 ID:0T0CeDit0
〜 〜
(Φ Φ ) 幼女です
\く /
|д|
(・)(・)
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 15:24:36.41 ID:yKPQgogy0
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 15:28:07.79 ID:0T0CeDit0
〜 〜
(Φ Φ ) 幼女の姉です
\く / 二十台です
|д|
(・)(・)
としようと、したんだ。
で、なんか用?
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 15:28:11.71 ID:Y/X/NuuMO
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 15:42:18.13 ID:A3s8a4Lo0
ほ
し
ゅ
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 15:42:24.37 ID:0T0CeDit0
〜 〜
(Φ Φ ) 帰るのでお題下さい
\く /
|д|
(・)(・)
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 15:43:01.70 ID:A3s8a4Lo0
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 15:47:46.40 ID:0T0CeDit0
〜 〜
(Φ Φ )
>>49 \く / 本当にお題くれたら帰るしかないじゃない!
|д| 罪なひと///
(・)(・)
51 :
【品評会作品】図式が出来ない!0/4 ◆ZRkX.i5zow :2008/01/12(土) 16:00:53.96 ID:aDSmxxJV0
品評会作品投下します
52 :
【品評会作品】図式が出来ない!0/4 ◆ZRkX.i5zow :2008/01/12(土) 16:01:16.56 ID:aDSmxxJV0
告白しようとした夏の夜は妙に肌寒かった。汗の量が普通ではなかったからだ。家を出る直前にシャワーを浴びても
肌寒かったのは何故かは知らない。月がおれを照らしてるから寒いんだというロマンチシズムな事を思ったら余計寒か
った。もともと閑静な住宅街なのだがとにかく静かな夜だ。その静かさがやけに耳につく。五感が研ぎ澄まされている
のが分かる。
その告白相手が初恋の人であるからだろうか。緊張しているかどうかさえ分からない。
「もっと落ち着けよ」とは俺の横を歩くユミの言だ。いやいや初恋の相手に告白するのに女連れて行くのはどうなのと
傍から見れば思われるだろうが、なに、妹なだけだ。「なんで私が兄貴の告白に付き合わなくちゃならないのよ、恥を
知れ恥を」と最初妹はゴネた。いや今もゴネているが言わないだけだ。「兄の告白シーン見るなんてこっちが恥ずかし
いわボケ」と隙あらばこの状況から逃げ出そうとしているのが分かる。俺よりキョロキョロしていて機会を窺っている
がどっこい、今は夜であるのはコンビニくらいで今頃妹は俺が財布を持たせなかった真の理由に気付いた所だろう。そ
してついに兄の尋常じゃない緊張をほぐそうと「もっと落ち着けよ」と言ってくれたのだ。優しいなあ。
「……なんで兄貴この暑いのに震えているの?」
「え」
「首から手にかけてガチガチ」
自分の手のひらを見ればテカテカ輝いていた。俺は慌てて手のひらをわき腹辺りに擦り付ける。
「だいたい、告白なんて、イマドキそんな事する? 普通」
「なんで今更そんな不安になる事いうかなあ。悪口ならもっと先に言ってくれよ」
「十七歳で告白って……ねえ」
「じゃあこの想いはどう伝えれば良いのさ」
「そんなモン、遊んでるうちにフインキでなってるんじゃないの? ホント、バカじゃないの告白なんて……ロマンス
映画かよ」
「ロマンス映画でもやるべきなんだ、ロマンスなんだから」
「ロマンスを現実に持ち込んじゃいけない」
「かなあ」
会話によって緊張が抜けたのは良いが自信もいともたやすく崩れ去る。ほんの少しだけ考えないでもなかった、ラブ
レター。「いや、でもさそういう理想って、大切だと……」
「現実を知らなかっただけでしょ」
ガシャン。
「それは、お前がちゃらちゃらしてるんじゃないの? もうちょっと価値観のね、違いってのを認めないといけない」
「……うん、まあ良いけどね。私の知った事じゃないし。」
53 :
【品評会作品】図式が出来ない!2/4 ◆ZRkX.i5zow :2008/01/12(土) 16:02:42.88 ID:aDSmxxJV0
「いや、それじゃ困る困る俺がまたガチガチになる」
「ハア? 私に何して欲しい訳?」
「優しく励まして欲しい」
ユミは俺の隣から急に視界を消した。振り返ると立ち止まっていて、顔をしかめている。「ねえ、帰っていいでしょ?」
「何で!? あ、いや、ごめん! あとで何でもするから!」
しぶしぶと言う風に再び歩きだす。もしかしてユミを連れてきたのはマズかっただろうか。いやしかし親はさすがに恥ずかしい。
友達なら失敗しても成功してもからかうようなヤツしかいない。実はユミでさえも相当恥ずかしいのだ。俺だって恥知らずじゃない。
けれど不安には勝てなかった。自分の弱さが悪いのか捻くれた妹が悪いのか、女に惚れた男が悪いのか、あるいは誰も悪くないのか。
ん、誰も悪くないのなら俺が不安を感じているのは何故なんだ? これは意外と深い謎……。
「ねえ」
「なんだよ、もうついて来てくれるだけでありがたいですよ」
「いつその人の家に着くの? っていうか何処で告るの?」」
「……公園? メールで呼び出すとか」
「もしかして今決めた?」
「不安なだけだよっ!」
「何で怒ってるのよ。で、あとどのくらい?」
俺はポケットから携帯電話を取り出して背面ディスプレイを見て時間を確認した。「あと五分くらい」
「もうそこじゃないの覚悟決めろよ」
「ちょ、ちょっと待って」と今度は俺が立ち止まった。彼女の家の近くの公園の前だ。「不安だ」
しばらくの静寂。ユミは髪を一回かき上げてこっちに歩き出した。
「なら最初からするんじゃなかったのね、バイバイ先帰る」
「あ、ちょっと! ねえ!」
……本当に去ってしまった。
54 :
【品評会作品】図式が出来ない!3/4 ◆ZRkX.i5zow :2008/01/12(土) 16:03:01.65 ID:aDSmxxJV0
ああああどうしようどうしよう。今からメールを打つべきか。ここで退いたらカッコが悪すぎる。落ち着こうにも落ち着け
ないなあ。まだ呼び出していないからこの公園には彼女がいない筈なのにここに立ち入る事すら出来ないとはなんとも情けない。
俺は公園を取り囲む植木のレンガに腰掛ける。妹の言った「イマドキ告白なんて」がずっと脳内でループループグルグルグル。
ふと月を見て落ち着こうと思ったけど街灯に照らされた街路樹の葉が邪魔して見えない。汗も今ではイヤな汗に変わってしまい
肌寒さもなくなって今はやっぱり夏だ。プライドと嫌な予感に苦悩する俺は傍から見ればカッコいいかな。女ってのは真剣な顔に
やられるらしいと前に聞いたことがある。ああそうだどういうシチュでやりゃ良いんだ。具体的な事を何も考えていない。アイ
ラブユーを言えないのがこんなに緊張するなんて、今ならヒットするラブソングでも作れるだろうがそれを「マジに恋愛なんか
に持ち込む」とただのイタいやつだと妹の言葉がループループグルグルグル。
と、ずっと思考しているうちにいつの間にか足腕首と虫に食われまくっていた。当たり前だが時間は過ぎていくのだ。迷って
いるうちにあまりに遅くなってしまったら悩む事すら無意味になって残るはただ後悔だけだ。ええい男ならやってみろ、あたっ
て砕けろ、悲観的な一切考えずに行動しつづければ人生の悩みの大半は解けるんだ。
「うわ!」
俺が立ち上がったちょうどその時だった。横から勢いよく白くて冷たいモノが降りかかった。なんだなんだとビックリしつつ
横を向いたらユミが何かのスプレー缶を持って立っている。
「……匂い的に虫よけ?」
「うん」
「遅いよ」
「え、もう告った?」
「まだ。虫には食われたけど」ホントになあ。勢いを殺いでくれるヤツだなあ。虫みたいなヤツ。「お金どうしたの? 財布
持たなかったんじゃないの」
「ん、偶然都合よくポケットの中に三五〇円残ってた」
「都合がいいなあ」
「まだ行かないの?」
「もう行くよ、行きますよ」
「え、なんで急にそんなアッサリと」
「いいじゃんもうなんでも」
55 :
【品評会作品】図式が出来ない!4/4 ◆ZRkX.i5zow :2008/01/12(土) 16:03:38.82 ID:aDSmxxJV0
俺は直接彼女の家の前まで行く事にする。少し遅いけど、告白する直前まで笑って済ましてくれるだろう。自分に覇気と
いうものが一切無いのを確認しながら歩いていくと「兄貴!」とユミが呼びかけてくる。ゆっくりと振り向くと缶を頭上で
振りながら「虫よけ代、払ってよ!」
「……。」
ため息をついて俺はまた歩き出した。まだ背後から声が聞こえるので耳だけはすます。
「もう付き合ってあげたお礼はそれだけで良いから、ちゃんとやれよー逃げんなよー」
やる気が殺がれたなあ妹のせいで。すっかり元の通りになってしまった……。
まあ、緊張がとれたからそれでいっか。
終わり
56 :
◆ZRkX.i5zow :2008/01/12(土) 16:04:18.67 ID:aDSmxxJV0
はいはいどうもどうも
57 :
◆ZRkX.i5zow :2008/01/12(土) 16:11:38.42 ID:aDSmxxJV0
で、今度は品評会お題告白を通常作として出させていただきたいと思います。
一人で2作なんておこがましいと思わんかね。
58 :
【通常作】お題:告白 走って逃げた。1/4 ◆ZRkX.i5zow :2008/01/12(土) 16:12:23.82 ID:aDSmxxJV0
好きですとツトムに告白した。答えはNOだった。けっなんでえなんでえ最近のドラマでもやらないくらいのシチュなのに……と思ったら
まだあいのりがやってんじゃん。男の子はそういうシチュに弱いとは誰が言ってたっけ。そうヒトミに訊けば無情にも「シチュだけの問題じゃ
ないっしょ、好きとか嫌いとか」と言い放たれた。軽く「お前の人格に問題があるんじゃん?」と言われたに等しいと思うと私は沈んだ。
そこでふと私は気がついたのだ。私じゃなくてツトムに悪いんじゃん。アイツはこれまで重ねてきたデートでも純情そうに見せかけておいて、
だけど本当はもっと悪どいヤツだったんだ私だって意外とガードは固いのよそうよそうなんだ。新しい男を見つけよう! ……とは言え私はまだ
花も恥らう高校生なんだ。新しい男なんてこの狭い世界で見つかるワケないし、他の男はバカだしなあ。もうムキだし。私もなんか部活入っと
きゃ他校との付き合いとか出来たかもしれないなあ。けど何よりツトムも私と同級生で毎日顔を合わせないといけないのだ。あの悪どいアイツは
きっと私に告られたと言いふらして、もし私が他の男を見つけたならやれ尻軽女やれヤリマンだなんだと騒ぐのだ。そうヒトミに言ったら「じゃあ
学校の外に出るのよ!」と言われた。「え? 学校サボッちゃって良いの? そういうコト言っちゃうの委員長」「バカ、休みの日に出会いを
探すのよ」
で。
今私たちは遊園地にいる。もしかして逆ナンでもするのかな、そんな大胆なのヒトミ、とはやはり杞憂でただ私を気晴らしさせてくれただけで
持つべきものは友達だなあ。女二人で遊園地って本当楽しい。僻みでもなんでもなく余計な気を遣わなくて済むのが良い。周りの目さえ気にしなければ。
「そーそ、周り気にしちゃ負けよ」と口をデカく開けてホットドックを食べるヒトミ。
「そー思えば大抵カレシとか、そういう所有欲ってーの? 無くなるよ」
「え? ヒトミはそんな達観した人生送ってんの?」と私も大きな声で笑った。さっきそこの上を通ったジェットコースターよりは小さいと思うけど。
「そんな訳無いでしょ、なんで学級委員なんてやってると思ってるの。目立つからよ」
「そんな理由だっけ、内申良くなるとか言ってたじゃん」
「メリットは二つだけとは限らないのよねーそれが。委員会担当のクサノはうざいけど」
「クサノって三年の数学の教師?」
「そー、なーんか神経質っていうか。絶対亭主関白だよこの時代に。体の線細いけど」
59 :
【通常作】お題:告白 走って逃げた。2/4 ◆ZRkX.i5zow :2008/01/12(土) 16:12:57.17 ID:aDSmxxJV0
結局なんだかんだとあの人はこうこの人はこう、なんていつもと変わらない話を遊園地まで来てしちゃうってどうなんだろうな。やっぱり
私たちの世界は閉じられているのだろうかなあ。けどやっぱ楽しいし、考えて見りゃ遊園地で楽しいことしないならおかしいでしょ。他に
何をするべきか、なんてある訳がないのだ。例えばあの直立二足歩行が出来て子供達に風船配ってるかしこーいパンダだって考えるべきこと
なんて持ってないに違いない。もし親に今やるべきことは? って訊いてもどうせ勉強としか答えることが出来ないし、こちとら毎日授業
受けてますと言ってももっと勉強しろとしか言わないんだ。息抜きの大切さを教えるべきなんだと現代の教育について頭のすみっこで考え
ながらヒトミと話していると、私らが座っているテーブルから十mくらい離れている男の子が突然泣き出して、周りに誰もいないし一目で
迷子だと分かった。あー周りに誰もいないってことは私らが向かうべきなんだろうな、と迷った瞬間にはヒトミがその子の所に駆けだして
いて、私はバツが悪くなった。私も向かうと、ヒトミは要領良く「お母さんは?」「どこではぐれたの?」「名前はなんてーの?」と子供を
落ち着かせていて良い保母さんになれるだろうなーと思っているだけの私は更に居心地が悪い。かと言って「じゃああとはよろしく」なんて
言えないし、あ、これ自分が何するべきか分かっていない。カレシよりもおしゃべりよりも大事なことが起きたらどうすれば良いのかなあ。
とりあえずテーブルに引き返して置きっぱなしの二人分の荷物持って、食べかけの食べ物どうしようかな、そのままでいっか。その時気付いた
遊園地内の地図を見て迷子センターは何処か確かめてヒトミのところに戻ると、ちょうど「迷子センターって何処だろうね」と訊かれた。私は
「向こうの方だよ」と言って先に歩く。
こんな時アメでも持ってたらなあ、と試しにバッグのポケットをまさぐるといつ入れたのか分からないポケットティッシュが出てきた。
「これで涙、ふきなよ」ともう大分落ち着いた、ナミくんという女の子みたいな名前の男の子に渡してあげた。その間もヒトミがずっと
話しかけていて、なんだかなあと思いつつも歩いていると、安心したのかナミくんの方からも話しかけてきた。
60 :
【通常作】お題:告白 走って逃げた。2/4 ◆ZRkX.i5zow :2008/01/12(土) 16:13:10.67 ID:aDSmxxJV0
「お姉ちゃん達は、受験するの?」
突然の話題に私は少し驚いた。なんで受験? ヒトミの方も「違うけど、何で?」と訊き返した。
「ナミのお姉ちゃんも受験するって。ずっと自分の部屋で本読んでる」
本って、問題集に向き合っているってことか。そう理解するのに少しかかった。ヒトミはすかさず言った。「何受験するの? 高校とか、大学とか」
「弁護士の受験だって」
「弁護士{{半角}}!?」
私たち両方とも思わず噴出した。スケールが全く違うじゃないか。「うっそー」とヒトミはまた問い返した。「何? お姉ちゃんって頭良いんだねー」
「分からないけど、家にお姉ちゃんの友達来なくなった」
「じゃあ、ナミくんもあまりうるさくしてると怒られるでしょ」
「うん、すごい怒る」
「弁護士とか、凄いね、アキ」
「え?」いきなり話を振られたら誰だって戸惑う。「あ、うん、そうだねー」れでもナミくんは私のその雰囲気を察すことなく話題を提供してくれる。
「お姉ちゃんは、弁護士になるの?」
「うーん、私には無理かな」
「うちのお姉ちゃんがなるんだから、なれるよ」
私はどう返事をしたものか少し迷ってから、言った。「うん、そうだよ良いよね」
もう迷子センターの一歩手前まで来たその時、「ナミちゃん!」と誰か知らないおばさんが駆けて来た。まあ母親だとこれも一発で
分かったけども。どこ行ってたの! と叱りつつも安心している顔をしていて、ああ母親だなあと改めて実感したものだ。
「またね、頑張ってね」とナミくんは手を振って、母親は何度も頭を下げて私たちは別れた。
「なんだか、弁護士になるみたいになってたね」とヒトミは笑った。
61 :
【通常作】お題:告白 走って逃げた。4/4 ◆ZRkX.i5zow :2008/01/12(土) 16:13:45.10 ID:aDSmxxJV0
「なんかゴメン」
「え? 何が?」
「ずっとヒトミが世話してたじゃん」
「いいよー子供は好きだし」
「私は、なんか、やられちゃう気がしたからさ」
「何に?」
「子供の純情さ」
「いいじゃーん、やられちゃいなよ。そうすれば多分好きな人でもカレシでも弁護士でも、何でも出来るってー」ヒトミは声を上げ笑い、
私の肩をバシバシ叩いた。「そしてツトムもぶちのめせばいい」
「ぶちのめす?」
「そうそう。そうだ明日学校で会ったら殴ろうぜー。『あたしを甘く見るんじゃないわよ!』って」
「アハハなにその少女漫画」
「良いじゃん純情じゃん」
そんなことを言って歩いていると鼻の赤いクマがやっぱり直立二足歩行でやってきて、紐に繋がれてプカプカ浮いたヘリウム入り風船を
差し出した。私は「トナカイかよ」とクマを殴って、ひるんだスキにヒトミと走って逃げた。
終わり
62 :
◆ZRkX.i5zow :2008/01/12(土) 16:14:14.91 ID:aDSmxxJV0
さるならなくて済んだ。
感想戴けると嬉しいです。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 16:14:39.91 ID:aM30rGFLP
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 16:16:42.87 ID:aDSmxxJV0
>>63 だって2作なんか出しちゃったら全感想しなくちゃならないっぽいフインキだし、
もししなかったら運営と参加者にぶち殺されそうだもん
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 16:18:45.26 ID:aM30rGFLP
>>64 こないだ2作だして投票しかしなかった俺にさりげなく注意してくれてるのか
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 16:19:32.05 ID:8QRl9HEn0
>>50 ボクはメモ帳で幼女(姉)のパーツをこっちでもないそっちでもないと並べ直していた。
〜 〜
(Φ Φ )
\く /
|д|
(・)(・)
↓↓
( 〜 〜 д
) | | ・)
( く Φ )
\・ /Φ
小説を書くことから逃避していた。
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 16:19:33.39 ID:uj31VG170
今からでも遅くない。どっちも品評会作品ってことにしちゃおうぜ
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 16:19:54.18 ID:2ceHQ/Ms0
これだけの連投でも、さるならんのかー
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 16:31:22.86 ID:A3s8a4Lo0
何か最近、俺ばっかさるされてる気がする
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 16:36:42.95 ID:aM30rGFLP
ID:aDSmxxJV0は今になってさるくらってる予感
違ってればいいけど
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 16:38:41.74 ID:aDSmxxJV0
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 16:42:13.16 ID:aM30rGFLP
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 16:59:43.06 ID:aDSmxxJV0
h
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 17:00:24.46 ID:/gB2drvO0
お題もらって書こうと思ったらVIP規制されてた俺が串を使って保守
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 17:03:15.52 ID:CCyc5uwg0
お題ちょうだい ↓
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 17:04:06.66 ID:VaBTn/V2O
ISBN使って会話するというネタで書こうかと思ったが恥ずかしいから止めた
ISBN4062125684
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 17:06:48.95 ID:CCyc5uwg0
ごめんもっかい↓
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 17:06:49.06 ID:VaBTn/V2O
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 17:07:09.69 ID:CCyc5uwg0
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 17:17:03.73 ID:2ceHQ/Ms0
青春アドベンチャーで、本のタイトルだけで会話をする話があったな
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 17:32:15.26 ID:aDSmxxJV0
h
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 17:41:24.92 ID:aLN7bbRe0
お題をいただこうかな
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 17:41:42.16 ID:hiSWxcrC0
ベートーヴェン
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 17:42:24.24 ID:fp8kZlC6O
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 17:45:05.99 ID:aLN7bbRe0
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 17:56:18.92 ID:yKPQgogy0
テンション上 たりしてた俺だが、たった今品評会あきらめた。
が っ
っ が
たり下
面白くないのだ。自分の作品が。
もう、文才やめゆ―――!
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 18:00:24.77 ID:2ceHQ/Ms0
諦めたらそこで文才終了ですよ…
にしても、中国語のピンインみたいだなww
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 18:15:21.68 ID:2ceHQ/Ms0
ほ
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 18:26:37.39 ID:hiSWxcrC0
最近は起承転結とか、構成にゲシュタルト崩壊してしまったから困る
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 18:29:44.30 ID:Y/X/NuuMO
誰だか知らんがゲシュタルト崩壊使い杉w
91 :
【品評会作品】ファースト・プロポーズ 0/4 ◆DogUP10Apo :2008/01/12(土) 18:41:29.30 ID:Gj9C9oBR0
センターまじやばいけど投下します
92 :
【品評会作品】ファースト・プロポーズ 1/4 ◆DogUP10Apo :2008/01/12(土) 18:42:00.53 ID:Gj9C9oBR0
ある丘の上に二本の樹が生えていて、片方の根元に一人の男が腰掛けていた。彼はそこで一日中、空を飛
ぶ鳥を目で追ったり、白い雲の動きを観察したりしていた。
男の仕事は、ここら一帯の土地を管理することだったが、何も問題が起こらない限りは、いつもここでこうや
って過ごしていた。草木が生い茂り、泉が湧き出し、動物たちが平和に暮らす。この土地では今まで何の問題
も起こったことが無かった。また、男はその体を隠すものを何一つ身に付けていなかった。つまり、全裸で過ご
していたのだが、それもこの土地がいかに安全であるかを示していた。
この日も男は何とはなしに空を眺めていた。他の動物たちと通じ合えないことが、自然と彼を独りぼっちにさ
せた。心地よい暖かさの太陽光を浴びながら、いつしか彼は眠りに落ちてしまっていた。
男は奇妙な夢を見た。夢の中で彼はいつもの丘の上に立っていて、いつものようにそこから見える景色を眺
めていた。しかし、ふと振り返ると、そこに二本あるはずの樹が、たった一本しか立っていなかったのだ。男は困
惑した。それらは二本とも大事な樹だった。それらの樹に生る鮮やかな実は彼にも食べることが許されていな
かった。その内の一本が忽然と姿を消してしまったのだ。この土地を管理をする者として許されない失態だった。
目が覚めると、陽は暮れかけていた。男は今しがた見た夢のせいで、肋骨の辺りが痛む思いがした。自分の
腰掛けている樹と、その隣にそびえる樹、どちらも確認すると、ようやく彼は安堵した。夢は夢でしかなかった。
しかし、すぐに不安は形を変えて現れた。肋骨の痛みが消えてくれなかったのだ。
隣の樹の影が揺らいだのは、そんな折だった。西日を受けて大きく伸びた樹の影が、男の視界の隅で確か
に動いたのだ。先ほどの夢のこともあり、彼は緊張しながら隣の樹に目をやった。すると、驚いたことに、樹の
影から、より短い影が分裂したではないか! 短い影を落としていたのは何か動物のようであった。それは男
の方にゆっくりと近づいてきた。彼は身構えた。逆行でよく見えなかったものの、それは確かに男と同じ形をし
ていた。彼は自分と同じ形の動物を今までこの土地で見たことが無かった。
「怖がらないで、怪しいものじゃないわ」
鳥のように高い声だった。男の目の前に現れたのは、一人の女だった。男と同じようにその身には何も着て
いない。
「君は誰だ? どうしてここにいる?」
男はできるだけ管理者としての義務を遂行しようと、厳格な態度でこれに臨んだ。しかし、内心では恐怖心と
好奇心とが六分四分で渦巻いていた。
「私はあなたの肋骨から作られたのよ」
「僕の肋骨……?」自分にここの管理を任せているあの連中ならそういうこともできるかもしれない、と男は
思った。「ということは、つまり、君も彼らに何か仕事を与えられたのかい?」
「ええ、あなたと一緒にこの楽園を管理するようにって。もしかして……ご迷惑かしら?」
93 :
【品評会作品】ファースト・プロポーズ 2/4 ◆DogUP10Apo :2008/01/12(土) 18:42:30.87 ID:Gj9C9oBR0
「いや……」男は今までの生活を振り返ってみた。
心の通じ合わない動物たち。一人で空を見上げる代わり映えの無い毎日。そんな中彼女の存在はどうだろう?
この向かい合っているだけで張り詰める空気。何かが始まりそうな予感。新しい創造の可能性。連中が彼女を生
み出したのは、ひょっとすると自分の生活に変化を与えるためではないだろうか?
いつの間にか男の中の恐怖心は消え去り、女が現れたことに対しての大きな期待を抱くようになっていた。そし
て、返答を待っている女に対して、快く口を開いた。
「僕も親しみ合える友人がいなくてちょうど退屈していたところだ。君は見たところ僕と似たような性質を持っている
し、きっと仲良くやれるだろう。それに彼らの命令といっちゃ逆らうことはできない。僕は喜んで君を迎えるつもりだ
よ」
「ありがとう。喜ばしい限りだわ」女は清らかな笑みを浮かべた。
その時、男の心に不思議な感情が湧き上がってきた。肋骨の痛みも忘れるくらいに柔らかく、溶けてしまいそう
なふわふわとした気持ちだった。
「とにかく、これからよろしく」
女が手を差し伸べたので、男もそれに答えた。お互いの肌が触れ合い、手をしっかりと握り合った時、彼はその
人生で初めて夕陽に感謝した。なぜなら、その時彼の頬は、赤く染まっていたに違いなかったから。
そうして、二人は一緒に暮らし始めた。といっても、始めのうちはお互い距離を置いて行動していた。男は女に近
づきたいと思いながらも、妙なプライドがそれを許そうとしなかった。女は女で、この世界の自然と戯れることに好
奇心を刺激され、男にはそれほど興味を示さなかった。
そんな二人が心を打ち解け始めたのは、いたって平凡な出来事からだった。
「あれはなんという名前の動物かしら?」
女が草原を駆ける動物を指差して、そう男に尋ねた。
「あれはユニコーンだよ」
男は声を掛けられたことを嬉しく思いながらも、それ以上気の利いたことを言えなかった。いつも女との会話は
二往復くらいで終わってしまう。今回もこれっきりだろうと男は思った。
しかし、女は思った以上に話を続けた。
「ふーん。名前は大事ね。最近になってようやくそれが分かってきたわ。あの子は私のお気に入りなの。でも、より
親密な関係になるには名前が必要だわ。ユニコーン。いい名前ね。あなたが名付けたの?」
「まあね。ここにいる動物はみんな僕が名付け親なんだ」
男は女の意外な食い付きに内心喜びと焦りをもって答えた。
「じゃあ、私の名前もつけてくれない?」女が言った。
94 :
【品評会作品】ファースト・プロポーズ 3/4 ◆DogUP10Apo :2008/01/12(土) 18:43:01.34 ID:Gj9C9oBR0
「君に名前を?」男は驚いた。
男は動物の名前を、ただそれぞれを判別するための道具として考えていた。だから、判別するまでもない女に
名前が必要だとは思ったこともなかった。
「ダメかしら?」
「いや、今考えてるんだ」男はそう言ってから考え始めた。「そうだな……それじゃあ、『イヴ』なんてどうだろう?」
「それでいいわ。あなたの名前は?」
「僕は『アダム』だよ、イヴ」
「アダム、素敵な名前ね」
名前で呼び合うことになってから、二人の関係は急速に縮まり始めた。二人は一日のほとんどを一緒に過ごす
ようになり、以前男が一人で座っていた丘にも、二人で仲良く腰掛けて空を見上げた。そうする内に、男はある確
信を深めていった。それは彼が女のことを愛しているという、紛れも無い真実であった。
ある朝、男は重大な決心を内に秘めて、女の元へ向かっていた。一歩一歩が重たく、途中何度も踵を返したく
なった。今日、あの丘の樹の下で、女に告白するのだ。今日逃げたら、きっと明日もダメになる。男はそう自分に
言い聞かせて、ついに丘の上に辿り着いた。
女はすでに樹の下に座っていて、なにやら頭上を見上げていた。
「おはよう、イヴ。いったい何をしているんだい?」
「あら、アダム。あの真っ赤な実を見て。なんだか美味しそうじゃない?」
「何を言ってるんだ」男は強い口調で言った。「君は彼らに言われなかったのかい? この二本の樹に生っている
実は、決して食べてはならないんだ」
「ごめんなさい、アダム、怒らないで。ただ綺麗だなって思っただけなのよ。食べたいだなんて言わないわ」
男は女に哀願されて、雰囲気を自ら悪くしてしまったことに気づき、慌てて繕った。
「いや、こちらこそ厳しく言ってすまない。そうだ、イヴ。今日僕は君に言いたいことがあったんだ」
「うふふ、突然何かしら?」女は後ろに手を組みながら立ち上がった。
男は覚悟を決めた。大きく息を吸い込んで、伝えたかった言葉とともに一気に吐き出す。
「僕は君のことが好きなんだ、イヴ、大好きなんだ。僕とずっと一緒にいてくれ。ここで子供を産んで、子供たちと一
緒に幸せに暮らそう。僕には君だけしかいないんだ」
言い切ってしまうと、男はもう真っすぐに女の顔しか見なかった。
女は少し呆気にとられていたが、すぐに微笑んで彼の誠実な態度に答えた。
「もちろん私も大好きよ、アダム。あなたとならきっと幸せな家庭が築けるわ」
95 :
【品評会作品】ファースト・プロポーズ 4/4 ◆DogUP10Apo :2008/01/12(土) 18:43:32.35 ID:Gj9C9oBR0
男はそれを聞いた瞬間、感極まって、身体が震えるのを感じた。そして、大きな喜びのままに女をひしと抱き
寄せた。その時、女が「あ」と小さく声を上げた。
何かが地面に落ちて、転がった。女が後ろ手に何かを隠していたらしい。
「これはどういうことだい?」
男が抱擁を解いて、それを拾い上げる。それは頭上に実っている真っ赤な樹の実だった。
「ごめんなさい。実はあなたが来る前に一つもぎ取っていたの」
女はきまり悪そうにしながらも、言い訳をしなかった。むしろ開き直った風にこう続けた。
「スネイクさんから聞いたのよ。あいつらはああ言ってるけど、別にこの実は食べても大丈夫だって。ねえ、ア
ダム、せっかく二人がこうして結ばれたんだから、お祝いにいただきましょうよ。一つくらい平気だわ」
男は彼らに背くことが恐ろしかったが、今はそれ以上に女との絆が深く大切なもののように思われた。
「そうだな、イヴ。これは僕らの結婚祝いとしよう」
男は樹の実にそのまま噛り付くと、次いで女に手渡した。女も同じように噛り付き、樹の実には二つの歯形が
残った。
禁忌を犯した興奮と幸せな未来を感じながら、二人は急に自分たちが全裸であることを恥ずかしく思って赤面
した。
[Happy end?]
96 :
◆DogUP10Apo :2008/01/12(土) 18:44:20.51 ID:Gj9C9oBR0
勉強してきます。
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 18:44:57.25 ID:fp8kZlC6O
>>86 特定しました
それと、あのな、おれだって「コードレス」っていう難しいお題をもらって頑張って頑張ってかんがえて、
やっとこさタイトルを「コードレス中学生」ってするとこまでたどり着いたんだ。
なにごとも努力! これはわすれちゃいかん!
だからきみもがんばれ!
あと新しいお題ください
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 18:46:13.40 ID:kF6BGRKd0
無限
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 18:47:29.17 ID:hiSWxcrC0
>>90 ここで使ったのは初めてだぞw
前スレ辺りでなんか使いまくってる人いたから感化されたw
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 18:47:29.64 ID:2ceHQ/Ms0
センター来週か…
月並みなことしか言えんが、gんgr
>>97 向日葵
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 18:48:52.99 ID:fp8kZlC6O
無限、向日葵、二つとも把握。
まえくれたひとごめんね、いつか消化する
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 19:03:12.26 ID:ooGkQDT30
保守
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 19:18:23.64 ID:3oechMAT0
ほす
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 19:37:07.25 ID:ooGkQDT30
保守
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 19:38:14.25 ID:AX2O5/s1O
ほ
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 19:40:21.11 ID:aM30rGFLP
まるで前回でてた作品の物真似みたいになってきた
決して盗作したつもりはないんだけど控えるべきか
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 19:51:53.36 ID:Y/X/NuuMO
あるあるwww
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 19:54:09.94 ID:7QRSFxdk0
お題貰ったのはいいが書けねぇwwwww
プロットは浮かぶけど文に表せねぇ俺初心者
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 19:55:21.37 ID:aM30rGFLP
>>107 ある?
そしらぬ顔で出しちゃっていいかな
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 19:56:19.57 ID:PU5QuzcAO
お 題 く れ
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 19:57:12.18 ID:aM30rGFLP
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 20:01:19.50 ID:Y/X/NuuMO
>>109 いいんじゃない?
まだ時間あるから考えるのもありだけど
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 20:15:02.34 ID:aM30rGFLP
>>112 時間があるだと!?
無理だムリムリ
気付かなかったふりしてこっそり出すことにする
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 20:30:34.72 ID:EvPBMSth0
保守にあこがれる俺
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 20:33:39.02 ID:+JgQ7cII0
物真似っていうかあれ、良くみたら似てるなってことは誰にでもあると思う
通常作とか自己満で書くぶんにはもうどんどんやれと言うことろだが
評価してくれ、と一応酉まで付けて行う品評会にそれを出すのは
俺だったら絶対しないけどな
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 20:36:46.41 ID:aM30rGFLP
そうかあ
じゃ棄権するか
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 20:39:37.16 ID:Qg4gZEOX0
似てても出したいと思えば出せばいいじゃん
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 20:42:55.53 ID:ZgZzAero0
別に似てても構わないとは思うけど、スレで言われちゃうと意識せざるを得ない
ので、参加することに決めてもここで明言しないで欲しいかな
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 20:49:23.80 ID:aM30rGFLP
>>117 うーん
改めて言われるとそれほど「出したい!」って感じじゃない気がしてきた
今回やめるわー
>>118もありがと
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 20:55:41.62 ID:AX2O5/s1O
通常作品として投下してくれ
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 20:58:34.36 ID:653+SHyS0
そういえばそんな制度もあったな
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 21:14:27.38 ID:2ceHQ/Ms0
ほっほー
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 21:17:33.47 ID:V7LIVVWjO
お題くれ
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 21:21:04.55 ID:A3s8a4Lo0
125 :
◆ecJGKb18io :2008/01/12(土) 21:21:56.09 ID:2K8/G+sp0
品評会用作品投下します
126 :
【品評会用】恋と世界のカラクリ(1/5) ◆ecJGKb18io :2008/01/12(土) 21:25:27.83 ID:2K8/G+sp0
「おかあさん! こっちこっち!」
会場内は一階も二階も、ロビーまでも人で溢れていた。興奮が抑え切れない様子の子
供達は、苦笑いを洩らす大人の事情など知ったことかとガンガンと手を引っ張って会場
を練り歩いている。
「はいはい、太助。別にゆっくりでも向こうは逃げませんよ」
「あ! あそこだ! お母さん早くってばあ!」
今年で八歳を迎える工藤太助もまた会場内の熱気に高揚を抑え切れずにいた。太助の
母、光代はそんな太助の様子に頬を緩ませながらも、早く早くと急かす息子の後をつい
ていくのに必死になっている。
普段の光代なら落ち着きのない太助に対してきっちりと怒っている所なのだが、今日
ばかりはそれも仕方ない。今日は太助が三ヶ月も前から楽しみにしていた日なのだから。
「ああもう、ここからじゃ全く見えないよ」
ただでさえ人が多い中、その展示の前は特に人だかりが出来ていた。百三十センチほ
どしかない太助がどれだけ背伸びをしても、目的の物は見えない。
「太助。ほら、乗りなさい」
光代がその場に屈むと、太助は目をキラキラと輝かせて颯爽と肩に乗る。いつもなら
「そんな恥ずかしい事出来るかよ」なんて一人前に言う癖に。
「どう、見える?」
その一番人気だろうと思われる展示は光代の目線からでも見る事が出来なかった。肩
車に乗っている太助はしばらく言葉を発せず、ただ一点だけを見詰めているようだ。
「ねえ、どうなの? 見えてるの?」
光代が再度そう訊ねると、ようやく太助は我に返ったらしく、「うん」と返事をした。
「凄いや! ねえ、お母さん。やっぱり昔のヒトって凄いよ! 昔の時代になんでこんな
に凄いものが作れるんだろう!」
太助はそれからまたしばらく無言で展示を眺めていたものだから、その間ずっと光代
はここ最近重たくなってきた太助を肩に乗せたままの状態で立っていなくてはならなか
った。
五分経っても十分経っても。太助はまだ例の展示に目を奪われているようだった。
かの、からくり弥助が作ったと言われている十二体のからくり人形に。
127 :
【品評会用】恋と世界のカラクリ(2/5) ◆ecJGKb18io :2008/01/12(土) 21:26:55.62 ID:2K8/G+sp0
「もうあんたとはやっていけません」
生涯唯一の妻、お菊はそう言い残して出て行った。対する弥助はお菊にそう言われた
時ですら振り返りもせずに、黙々と自らの頭の中にある構想を図面に書き起こしていた。
弥助はそれこそ四六時中そういった態度だったから、お菊がほとほと呆れて、離縁状を
叩き付けるような行動に出たのも無理のない話だった。
「俺に必要なのは筆と紙と、後は工具と材料だけだ」
弥助は天才からくり技師だった。西洋の技術が入ってきた室町時代以降、からくりと
称される機械への注目が高まっていき、それに連れてからくり技師の地位も向上してい
った。故に、弥助も生き甲斐であるからくりを生業にして、充分に食べていけるだけの
財産も築くことが出来た。
今はもういないが、嫁を取り家庭も持った。人生においてのすべきを事をほとんどし
終えたと思われる弥助は、後はただ好きなからくりを作ることだけに専念していれば良
かった。
嫁は弥助に愛想を尽かせて出て行ったが、それは弥助の人生にとって何ら支障のない
出来事だった。そもそも互いの両親の都合で結婚した所以もあって、弥助はお菊に対し
てこれといった愛情は持っていなかったし、寧ろ仕事の邪魔だとすら思っていたからだ。
弥助は他人に対して愛情なり友情なりの干渉を持つ事がなかったのだ。
128 :
【品評会用】恋と世界のカラクリ(3/5) ◆ecJGKb18io :2008/01/12(土) 21:29:56.21 ID:2K8/G+sp0
しかしお菊が居なくなって、数週間。意外にも弥助はお菊が居ないことでちょっとし
た不便さを感じるようになっていた。
「茶を淹れるのがこれほど煩わしいものだとは思わなかったな」
そこで弥助はある事を思いついた。ならば作ってしまえばいいのだ。自らの得意とす
所のからくりで。
それから弥助はこれまで以上に仕事に没頭した。仕事とは言うものの、大名に献上す
るものでもなければ、商人に卸すためのものでもない。弥助はこの頃から自らの為のか
らくりを作り始めた。
このからくりの製作は思いのほか難航した。茶運び人形や茶注ぎ人形は早い段階で完
成したのだが、茶を淹れる、特に火を起こすからくりに弥助は苦しんでいた。単純にか
らくりとして難しいものがある上、ここに来て材料の不足という事態も起こっていた。
その内、衰える事はないと思っていた弥助の熱意も段々と薄れていった。思うように
作業が捗らない。気がつけば、自ら茶を淹れる事に慣れてしまって煩わしさも感じない
ようになっていた。
「どうしたものか。このままではからくり技師の名が泣いてしまう」
弥助の言葉通り、その頃から町内では、仕事もせずに家に引き篭もっている弥助に対
して「奇人」だの「変人」だのといった噂が広まっていた。実際、もともとそういった
一面を持ち合わせていた弥助だが、これが意外と辛かった。一層外に出ることはなくな
り、かといってからくりを作る事もせずに家に閉じこもる事が多くなった。
弥助の内なる鬱憤が頂点に達した頃、弥助は初めて心の内を話すことの出来る他人を
欲した。
そうして出来上がったのが、からくり弥助の最高傑作として後世にまで語り継がれる
事になる『頷き人形』である。
「さぁ、お梅。今日も僕の隣にいてくれるね」
頷き人形はこくりと頷いてにっこりと笑う。いつでも弥助の愚痴交じりの話を聞きな
がら、それでもうんうんと頷いて楽しそうに笑うのだ。弥助は毎日、朝から晩まで彼女
に語りかけ、時には身体の手入れをしてやった。
129 :
【品評会用】恋と世界のカラクリ(4/5) ◆ecJGKb18io :2008/01/12(土) 21:31:06.28 ID:2K8/G+sp0
この「頷き人形」の凄い所は多様なからくりと、それを動かす強力なぜんまいにある。
世のからくり技師がやりたいと思っていても出来なかった事を弥助は可能にしたのだ。
それから弥助は再び仕事としてのからくり製作を始めた。どんなに理不尽な依頼をさ
れようと必死に仕事をこなしたし、大名に気に入られるようなからくりも沢山作った。
すると、天才からくり技師としての名も戻ってきて、弥助はしばらく何不自由のない暮
らしを送っていた。
「お梅。君はいつまでも美しい。いつまでもそのままで居ておくれ」
弥助はいつしか自らが作ったそれを愛するようになっていた。もし、町内の噂好きの
人々が弥助の家での様子を覗き見出来たのならば、たちまち「奇人」、「変人」の噂が
再度流れただろう。それくらいに弥助は彼女を寵愛していた。人だとか人形だとかの枠
を超えて弥助は恋焦がれていたのだ。
「ねえ、お梅。答えておくれ。君は僕を愛してくれているかい。僕はこれほど君を愛し
ているけれど」
しかし人形は人形。弥助の悲しくなるほどの告白に彼女が答える事があるはずもない。
だが、弥助は彼女に語り続けた。弥助の愛は、一般的な愛よりもずっと献身的で、そ
こに見返りはないし、また弥助も求めることはなかった。
「家庭を築こう。子供を作るんだ。そして子供がまた子供を産んで、どんどん輪を広げ
るんだ。それはきっと僕らにとって幸せだ」
それから弥助は、頷き笑うお梅を傍らにからくり人形を量産した。既に壮年を迎えて
いた弥助であったが、一体に数年掛かると言われているからくり人形を、弥助は十年で
十体も作り上げたのだ。死ぬまで食べていける程の財産はとうにあったから、弥助はそ
れらを売りに出すことはせずに、十一体の人形に囲まれて生活をしていった。
それは弥助とお梅の子供であり、望んだ世界そのものだった。
そして、弥助が五十一になった春先。弥助は「からくり技師人形」という十二体目の
人形を作った後、からくりにつぎ込んだ生涯の幕をついに下ろした。こくんと頷き、に
っこりと笑う人形に見守られながら、満足そうな顔で天国へと旅立ったのだ。
130 :
【品評会用】恋と世界のカラクリ(5/5) ◆ecJGKb18io :2008/01/12(土) 21:35:15.86 ID:2K8/G+sp0
「お母さん、今日は楽しかったね!」
太助は未だ興奮冷めやらぬ様子で、鼻息荒げに光代に言う。
「あんな時代に、それも十二体なんて!」
季節は夏。「天才からくり技師弥助展」の会場を後にした光代と太助は、家までの長
い直線を二人で手を繋いで歩いていた。高いビルよりもずっと高い位置にある太陽から
降り注ぐ日差しはじりじりと二人の腕を焼く。
「ね、お母さん。僕の太助って名前と、あのからくり技師の弥助って人の名前は凄く似
てるよね。もしかしてあの人の子孫が僕ってことはないのかな?」
よっぽど今日の展示会に感銘を受けたのか、太助は随分からくりとからくり技師であ
る弥助に興味を抱いたようだった。
「まあ、先祖ではあるんじゃない? でも太助はパパとママの息子なんだからね」
「そりゃそうだけどさ」
太助は気に入らなかったのか、口を尖らせて拗ねた真似をする。しかし、すぐに何か
を思いついたのか、再びを顔を輝かせて光代を見上げた。
「でもさ、きっと弥助さんは幸せだったんだろうね。自分の望みが叶ってさ!」
そう言う太助を見て、光代は笑って頷いた。確かに太助の言う通りなのだろう。結局、
弥助は自分の子供達に囲まれて死んでいったわけだ。そして、彼が作った人形達も歴史
上の傑作として、未来にこうして展示されるまでになっている。
弥助の想いは時を越え、続いているのだ。
「そうね。……それより太助、朝家を出る前にちゃんと巻いてきた?」
太助が素っ頓狂な声をあげる。
「あっ! 忘れてた!そろそろ巻かなきゃ。お母さんのは僕が巻いてあげる!」
太助はそう言うと、上着のポケットからぜんまいを取り出して掲げて見せた。
「あらあら、珍しいこともあるもんね。じゃあお母さんは太助のを巻くわね」
光代は苦笑しながら、太助は嬉しそうに笑いながら、お互いのぜんまいを巻く。
弥助の時代よりずっと進んだこの時代。世界は弥助の子供で溢れていた。
それは弥助が望んだ、最も幸福な世界の形。 <了>
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 21:35:18.84 ID:Y/X/NuuMO
さる?
132 :
◆ecJGKb18io :2008/01/12(土) 21:37:28.16 ID:2K8/G+sp0
以上です。ちょっと手間取って申し訳ない。
なんか空白とか行間の関係で書き込みが反映されない場合があるみたいだ。
読みにくかったらこれまた申し訳ないかもわからんね
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 21:43:36.36 ID:2ceHQ/Ms0
空白や行間が関係してるのか
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 21:46:35.29 ID:2K8/G+sp0
いや行間じゃないな。
レス最初の空白が駄目らしい。二行以上だといけたんだが、一行だと駄目ぽいな
よくわからんけど
今回は辞めた
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 21:58:22.07 ID:0LAy+mRq0
人
(_)
(__)
(´・∀・) ウンコー!
( )
| | |
(∩_)_)
| |_∧|
| |゚Д゚) あげ!
| |
| |
./| ∩ |
U U
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 22:07:07.32 ID:R+eNDmDr0
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 22:22:49.92 ID:R+eNDmDr0
ほしゅ
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 22:38:51.51 ID:AX2O5/s1O
ほ
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 22:54:09.80 ID:pvjYcup40
お題を下さい
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 22:55:42.22 ID:0LAy+mRq0
炭鉱
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:05:17.07 ID:VrYTyEBa0
アンプラグド
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:17:57.35 ID:Iw+kL/CMO
今、救済スレから転載出来る人いますか?
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:18:19.95 ID:AX2O5/s1O
階級闘争
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:18:36.59 ID:0LAy+mRq0
凪
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:21:47.92 ID:8buQTM/M0
>>78 の 「ボーダーライン」 できたので投下しまーす。
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:22:16.47 ID:8buQTM/M0
「そこが貴方とわたくし…庶民と王族のボーダーラインです。 越えれば衛兵を
呼びます。」
信じられない程冷たい一言だった。 そして、私の想いなど夢想に過ぎなかったの
だと自覚するには十分な一言だった。
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:22:42.37 ID:8buQTM/M0
私は、生まれた時は貴族であった。下級ではあったが母が姫様の乳母であった為、私
も幼い頃は何度か城の庭で姫様の遊び相手をさせて戴いたこともあった。
しかし、もう15年前になるだろうか、私達家族が乗っていた馬車が野党に襲われ、
皆殺しにあった。幼かった私だけは人買いに売られ、奴隷として遠国に売られることと
なった。
数年後男娼にされそうになったところで逃げ出し…いろいろあってようやく去年故国
に帰ることができた。
予想はしていたが、案の定、私の生家は他人の手に渡っており、私が姓名を名乗ろう
とも容貌が変わり果てた私が貴族を名乗ったところで信用などされるハズも無かった。
さすがに私も現実的な考えくらいは身に付いていたから、あきらめは早かった。
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:23:01.49 ID:8buQTM/M0
その後、やはり故国で暮らしたいと思うに至り、露店で安物の宝石を売っていた時
だった。
「王族の馬車が通る」
と声がかかるや否や賑わっていた人波があっという間に道を空け、一斉に跪く。この国
では王族が通る時は、道を空け、跪き頭を上げてはいけない。
しかし、「姫様だ。」とのひそひそ話を聞いてしまった私は、あの城の庭での姫様の
お姿を思い出し、一目見ようとついつい頭を上げてしまった。
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:24:10.23 ID:8buQTM/M0
運悪く丁度兵士と目が合ってしまった私は数人の兵士にたちまち槍で押さえつけられ
たのだった。
…その時だった。
「おやめなさい」
凛としていてよく透る声。 美しく成長した姫様のお姿はそれでいて、幼き頃の愛ら
しさを失っていなかった。
「離しておあげなさい。」
「しかし姫様、不敬罪は死罪と決まっております。」
と、他の兵士よりも年をとった初老と言って良い年齢の兵士が言った。
「顔を上げただけではありませんか、死罪なんて…わたくしは以前からその法に
は疑問を感じていました。 お放しなさい。」
「私にも警備隊長としての立場がございます。今まで同じように処刑した者も
おります。この者だけを許す訳にはいきません。」
「では…代わりにコレを戴きます。」
と姫様は私が広げていた商品から指輪を一つ摘み上げて言った。
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:24:37.14 ID:8buQTM/M0
そして
「商人にとって商品は命も同然です。それを取り上げるのです。ですから死罪も同然でしょう?」
「さあ、お放しなさい。」
と、にっこりと微笑んでおっしゃった。
初老の警備隊長は、その無茶苦茶な論理に少し笑うと
「であるそうだ。放せ。」
と命令してくれたのだった。
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:24:58.30 ID:8buQTM/M0
「しかし、お前本当によかったなあ。」
と、行列が去った後、隣で雑貨を売っていたハンスが私に話しかけた。
「ええ、そうですね。」
「あの美貌の上、あのおやさしいお心、ホント俺この国に生まれてよかったよ。
それでいて、頭もいいらしいぜ。天が二物を与えたってやつだねーいや三つ?」
「ええ、そうですね。」
「なんだ、お前つれないヤツだなー あの指輪そんなに高かったのか? でも
よー命よりは安かろう? ははっ」
なんで彼はこんなに上機嫌なんだろう?ああ、私が助かったことを喜んでくれてるのか。
「いえ、それがですね。あの指輪は一番安いヤツなんですよ。」
「へえ、どうせなら高いのをもらって戴いた方がよかったんじゃないのか?
ははっ」
「王族の方々から見たら全部ゴミみたいなものですよ。」
と私は答える。 しかし、値札もついてないのに一番安いのをひと目で判別して持っ
て行ってくださったのか…そういえば昔、年上である私よりも明瞭な頭脳をお持ちで…
そしてなにより身分の低い私に対してもやさしかった…。
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:25:20.10 ID:8buQTM/M0
「俺さ、来週の騎士見習い試験、受けてみようと思ってるんだよ。」
ハンスは顔を赤らめて言う。
「こんな季節外れに試験なんかあるんですか?」
「ああ、なんでも、力、俊敏性、戦闘能力、あと面接で成績上位者20名が
採用されるらしいぜ、さすがに騎士見習いと言うからには力自慢ってだけ
じゃ通らないんだろうなあ、まあ、俺のように気品が無いとな!」
「20名がボーダーラインですか…何人くらい受けるんですか?」
「うーん そうだなあ、毎年は200人くらいだけど、今回はこんな変な時
期だからなあ…いつもより少ないだろうなあ、チャンスだぜ!上手く出世す
れば、お姫様の近衛兵になれるかもっ」
(姫様のお側に…)
今思えば、それは私には不相応な考えだったと言うべきだろう。しかし、私は姫様の
お側にもう一度立ちたい。その想いでいっぱいだった。そう、私はあの一件で姫様に心
を奪われていた…いや、幼き日の憧れを思い出していたのである。
そして私はハンスと共に騎士見習い試験に臨んだのであった。
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:25:40.04 ID:8buQTM/M0
私は今まで人並み以上には努力し、苦しい人生を過ごしていたつもりではあったが…
現実は厳しかった。
結果から言うと、私は21番目。他はともかく、戦闘能力が駄目だった。
あと一歩ボーダーラインには届かなかったのだ。
私は諦めきれなかった。もう一度、姫様の笑顔が見たい。その想いが暴走していたの
だろうか、気がつけばあの懐かしの庭に忍び込もうとしていた。 姫様に直接陳情するた
めに。 あと一歩だったのだ。直接お願いすれば…あのやさしい姫様なら…
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:25:59.45 ID:8buQTM/M0
なんて運が良いのだろう。姫様はただひとり庭にいた。私は庭の手前の石畳から姫様に声
をかけた。
姫様と同じ芝生の上などには立てないそう思った。
「姫様っ」
「あら?貴方は確か…宝石を売ってらした方。今日は残念でしたね。」
とにっこり笑いかけてくれた。
(覚えていただけているっ。しかも今日の結果も!)
「はい、しかし、私は21番でした。 上位者に劣るとは思えません、どうか、騎
士団の末席にお加え下さいっ」
「…………」
「姫様っどうかっ」 跪く。頭は上げずに地面につけた。
「それはなりません。」
「姫様っ私をお忘れですかっ。この庭で、幼き頃、遊技のお相手をさせて頂いたこと
もありました。」
顔を上げる。姫様は 私の顔を見つめ…
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:26:22.12 ID:8buQTM/M0
「貴方など知りません。」そう冷たく言い放った。
「そんなっどうかっお慈悲をっ貴方の側に仕えさせてください。」
「貴方は何か勘違いされてるようですね。」
「え?」
「21番目だったのは、貴方の努力が足りなかったのでしょう? それを私に陳情し
ようなどと、情けないにも程があります。」
「わっ私は、私は貴女をお慕いして…」
「私をそんな好色な目で見ていたのですか?汚らわしいっ これだから下賤の者は嫌
なんです。身の程を知りなさいっ」
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:26:39.57 ID:8buQTM/M0
私はよろよろと立ち上がり、フラフラと姫様に近づこうとした。もう何も考えられなか
った。
「そこが貴方とわたくし…庶民と王族のボーダーラインです。 越えれば衛兵を呼
びます。」
姫様は、石畳と芝生の境を指さして言った。冷たい石畳と暖かい芝生。それが私の世界
と姫様の世界の…。
「指輪はお返しします。一度でもこの私が身につけたものです。庶民には過ぎたも
のでしょう。家宝にでもすればよろしいのではなくて?ふふ」
姫様はそう嘲笑すると自らの指から指輪を外し、私に渡して去っていった。
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:27:00.81 ID:8buQTM/M0
私は気がつくと住み家に帰っていた。呆然と帰ってきた割にはよく衛兵に見つからなか
ったものだと後で気がついた。そして私はその日の内に荷物をまとめ、故国を後にした。
その後、あの国でクーデターがあった事を知った。国民に特に目立った不満があった様
子は無かった。隣国が相次いで共和制に変わり、その時代の波にあの国も巻き込まれたの
だろう。 そして王族、貴族は女子供までも処刑されたと聞いた。騎士団も見習いに至る
まで処刑されたと…。
私は捨てられずに持っていたあの指輪を握りしめ、姫様の幼き頃から変わっていなかっ
たやさしさに気づき、そして何かもかもがもう遅いのだという現実に打ちのめされたのだ
った。
終わり
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:27:58.26 ID:EV+XkWZk0
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:28:15.08 ID:EvPBMSth0
えーっとですね……
ちょっと落ち着いて
>>1を読んでみないか?
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:29:23.33 ID:Iw+kL/CMO
>>159 じゃあ今から投下するんでお願いします。
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:29:27.16 ID:G9IBUvX80
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:32:45.96 ID:fLvLADTn0
お題ください
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:33:55.91 ID:8buQTM/M0
>>160 そうですね。ごめんなさい ちょっと焦りました。
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:35:04.72 ID:8buQTM/M0
>>162 釣りでなければ超感謝です。ありがとうございます。
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:37:32.49 ID:qjjyLZA70
>>158 ボーダーラインが横文字な感じで
浮いてたきがするけど面白かった
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:40:10.35 ID:fLvLADTn0
お題ください
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:40:24.83 ID:8buQTM/M0
>>166 うはっやっぱり浮いてましたか。境界線って書きたかったんですけど、お題ですから。 感謝です。
169 :
【品評会】心変わり0/4 ◇0CH8r0HG.A:2008/01/12(土) 23:40:26.87 ID:EV+XkWZk0
救済スレより転載します。4レス
170 :
【品評会】心変わり1/4 ◇0CH8r0HG.A:2008/01/12(土) 23:40:48.92 ID:EV+XkWZk0
どこの学校にもある不思議な話。
曰く、その木の下で告白すれば、必ず結ばれる。
曰く、その木の下で両想いになったカップルは、永遠の愛を手に入れる。
人間はそういったおとぎ話を信じてるのか、そういう木の下で告白する奴らってのは結構多い。
俺はそういう奴らに言ってやりたいね。無駄だ、そんな物に頼る暇があったら自分を磨けってさ。
何でそんな話をするのかって?
俺の目の前に、その伝説の木とやらが生えてるからだよ!
「先輩、好きなんです! 付き合って下さい!」
「ごめんね。俺、もう付き合ってる人がいるんだ」
ほらね?
「俺、お前が好きなんだ。付き合ってくれないか?」
「ごめん。私、貴方をそういうふうには思えない。」
やっぱり。
「にゃーにゃーにゃー」
「にゃ、にゃーなーにゃー」
猫まで玉砕かよ。
俺はこれまで、この木の前で告白する奴らを何度も見てきた。そりゃあ、中には上手くいった奴ら
もいたさ。数は少ないかもしれないが、そいつらの中には結婚まで漕ぎ付けたのもいるかもしれない。
でも、それ以上に失敗する奴らを多く見てきたもんさ。そんな時、その伝説の木はどうすると思う?
何もしてやりゃしないのさ。まぁ当然っちゃ当然だ。木にしてみれば、そんな伝説をくっ付けられたっ
て迷惑なだけで、責任なんて取れるわけが無い。
その木が桜なら、我関せずと花を咲かせ続けるだろうし、イチョウなら銀杏の実をばら撒くだろう。
期待する方がお門違いかもしれん。
でも振られた方にはそんな事情は関係ない。一縷の望みをかけて縋ってきた相手を袖にするってのは、
少々仁義に欠けてるとは思わねぇか?
最近じゃあ、ケータイでメールするってのが最もポピュラーな告白の方法になっちまったらしいが、
それでもそういう馬鹿はいる。中には、この木の下でメールする奴までいるんだぜ?
171 :
【品評会】心変わり2/4 ◇0CH8r0HG.A:2008/01/12(土) 23:41:07.02 ID:EV+XkWZk0
ん? 見てみろよ。噂をすれば、また考えなしの馬鹿がまたやってきたようだぜ? 季節は春先、桜
もまだ咲かないってのに、ご苦労なこった。
「ここにしよう」
おいおい、随分と湿っぽいツラしてるじゃねぇかそんなツラしてちゃあ上手くいくもんもいかなくなっ
ちまうぜ? ちっ、聞こえてやしねぇ。
「やっぱりちょっと怖いな……」
そりゃそうだ。だが、告白なんざしてみなきゃ始まらないんだぜ? ビビッてねぇでさっさとやっち
まえよ。失敗したら、俺がこの木に文句を言っておいてやるからさ。
「…………」
にしても、妙な話だな。こいつ、黙って木を見上げるばっかりで誰かが来る気配もねぇ。かと言って
メールする気配もねぇ。というか、今は春休みだ。学校に人がいる方が珍しいんだが…。
待てよ? おいおい、俺はちょっと嫌な予感がしてきたぜ。ああ、やっぱりだ! おい馬鹿、やめろ!
そんなもんを見せるんじゃねぇ!
なぁ! 誰か、あの馬鹿を止めてくれ! あいつあそこで首を括る気だ!
俺も一度だけ見たことがある。って言っても、かなり昔だがな。人間には分からないかもしれないが、
植物にだって感情はあるんだ。褒めてやれば丈夫に育って美しい花を咲かせるし、悪口や愚痴ばっか聞か
されればしまいには枯れちまう。ましてや、自分の枝にぶら下がって人が死ぬなんて、考えただけでゾッ
とするね。
ああ、こんなことを言ってる間に、あのガキ、ロープを結び終わりやがった! おいガキやめろ!
生きてりゃその内良いことあるだろうが!
172 :
【品評会】心変わり3/4 ◇0CH8r0HG.A:2008/01/12(土) 23:41:30.31 ID:EV+XkWZk0
ギシッ
ああ、ダメだ。ぶら下がっちまった。おい、テメェ! こんな時くらい何とかしてやれよ! テメェだって、
人殺しになんてなりたくねぇだろう! やばい、ツラの色が変わってきてる。本当に死んじまう! 畜生、俺
が動けりゃあのロープをちょん切って、あのガキぶん殴ってやるのに。
なぁ、頼むよ。あんな光景を俺らに見せないでくれ。一度起こっちまったら次が必ずくるんだ。定期的にガキ
の死に様見せられるなんて、俺は御免だ!
ミシッ
ベキベキッ
ドサッ
!
お、おおおおおおおおおおおお! やったぜ! あのガキ生きてるぞ! ん? まさか、テメェが自分で折った
のか? いや、まぁ何でもいい。とにかく良かった……。
「うぇっ、ゲホッゲホッ」
みろ。苦しいだろうが。死ぬってのはすげぇ苦しいことなんだぜ? こんなガキの頃から考えて良いもんじゃ
ねぇんだよ。大体、お前さんが首を括ろうとしたのは、自殺の名所なんかじゃなく、告白のメッカだぜ? 認め
たくねぇが、人が色恋を語る場所で死のうなんざ、無粋もいいところだ。
「ゲホッゲホッ、う、うわあああああああああああああ」
あーあー泣いちまいやがった。無理もねぇ。だがよ、ガキ。考えても見ろよ。お前ロープを渡されて、『これで
私を殺してください』なんて言われたら殺せるか? 勘弁してやってくれ。俺たちだって生きてるんだ。
「あああああああああああ! うわああああああああああ!」
ダメだ、泣き止みゃしねぇ。おっと、騒ぎを聞きつけて先公どもが来たようだな。これで一先ずは安心か。
173 :
【品評会】心変わり4/4 ◇0CH8r0HG.A:2008/01/12(土) 23:41:48.07 ID:EV+XkWZk0
に、してもよ。俺は今回のことで、ちょっとテメェを見直したぜ。人が振られるのを平然と眺めてやがるから、
もっと冷たい奴かと思ってたんだがな。自分の枝を折って助けたやるとは見上げた根性だ。
ん? 何だって? 偶然? はははっ照れるな照れるな。
正直言うとな……、俺は今までお前に嫉妬してたのかもしれん。グダグダ文句は言ったが、人の色恋を見つめ続
けたお前さんは、常にこの辺りで一番綺麗な花を咲かせてたもんな。その綺麗な花を毎年見せつけられて悔しかっ
たんだよ。
実際、俺の所で首括ってたらあのガキは助からなかったかもしれん。変なものを見なくてすんで感謝してるよ。
あん?枝が折れちまったから、花が減って物足りなくなる?
馬〜鹿。そん時は、俺がテメェの分も沢山花を咲かせてやるよ。お互いド派手に咲いて、恋に悩む少年少女に希望を
与えてやろうじゃねぇか!
というわけだ。伝説なんて存在しねぇかもしれねぇが、俺たちはお前らの愛の告白を暖か〜く見守ってやるぜ?
上手くいったら精一杯桜吹雪で祝福してやらぁ。
ん? さっきまでと言ってることが違うって? ほっとけ!
おわり
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:49:29.95 ID:fLvLADTn0
お題ください
175 :
◆0CH8r0HG.A :2008/01/12(土) 23:49:33.72 ID:Iw+kL/CMO
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:50:10.95 ID:Y/X/NuuMO
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:50:39.00 ID:fLvLADTn0
把握
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:51:12.14 ID:EV+XkWZk0
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:51:50.23 ID:VrYTyEBa0
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/12(土) 23:54:48.84 ID:fLvLADTn0
さっぱりもらえないと思ったら今度はたくさんもらえた
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:07:58.05 ID:Gd2bXnjy0
保守
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:13:48.18 ID:nKN60bgu0
久々に書いたらヘンにテンションが上がってきたー!
とゆーわけで お題下さい↓
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:14:36.41 ID:rk5cMnCk0
レモンティー
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:15:00.34 ID:nKN60bgu0
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:15:51.70 ID:rk5cMnCk0
あー、告白がどうしても思い浮かばない
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:38:12.31 ID:57qJeLcq0
保守「しまっていこーぜ〜い!」
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:41:04.77 ID:RxnCAYg60
保守が喋った!保守が喋った!
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:44:58.17 ID:5u1MJkrI0
なにその「クララが立った」みたいな興奮
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:47:44.42 ID:n8uX5R8M0
お題くれ
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:47:44.95 ID:nKN60bgu0
>>189 一瞬「フラグが立った」って読んでしまった。 エロゲやってきます。
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:48:17.75 ID:nKN60bgu0
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:48:39.48 ID:7yv/9Oj00
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:50:36.57 ID:n8uX5R8M0
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:51:37.90 ID:Gd2bXnjy0
十五少年保守記
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:53:09.01 ID:2cDE0Qs6O
>>190 汗
スレ一切読まずに質問で悪いんだが、品評会のハッピーエンド限定ってのは、「一見ハッピーエンド」とか「とりようによってはハッピーエンド」とか、含みのあるオチでも良いの?
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:54:38.39 ID:vc/o6KDY0
救済スレって何?
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 00:55:41.58 ID:rk5cMnCk0
そこら辺はもう投票者の解釈によるんじゃね
おれはバタフライエフェクトみたいなラストもハッピーだと思うし
あれをバッドと見る人も居るだろうし
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:00:54.19 ID:Gd2bXnjy0
>>196 極論すれば作者がハッピーエンドだと言い張れば人が死んでてもハッピーエンドだけどなw
ただ、読まれるものだから、読者による、とも言える。
>>197 本スレが規制で書き込めない人でも作品を投下できるようにしてある場所。
まとめ掲示板にスレがある。
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:01:51.45 ID:7xVhQwbz0
>>196 読み手が「ハッピーエンドだなあ」って思えればいんじゃないでしょうか?
>>197 まとめ掲示板の中にあるひとつのスレッドの名称です。
さる食らったり、規制がかかってしまって本スレに投下できない人を助ける
ためにあります。
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:02:50.67 ID:ClHQ23dMO
>>197 まとめサイトにある掲示板の一つ
規制とか氏ねよ糞狐な時に救済スレを使うと妖精さんが助けてくれる
んじゃ、まとめってどこよ?とか聞かれないことを祈る
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:07:24.35 ID:kYmwrqtV0
流れに乗って
>>197 規制に引っかかった場合に使うスレのこと
間違っても文才なくて書けずうなってる人を助けてくれたりはしない
オレとかorz
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:08:36.02 ID:Gd2bXnjy0
>>202 そっちはM館があるじゃないか。
最近さびれてるけどw
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:08:56.50 ID:2cDE0Qs6O
>>198-200 まとめてサンクス。読者がハッピーエンドと思うのは無理くさい話だったので、見送って別な話考える
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:21:15.80 ID:2cDE0Qs6O
はいはいセルフ保守
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:21:23.91 ID:kYmwrqtV0
>>203 逆にそっちは行ったことなかったり
正式なスレ名前って何だっけ?
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:25:01.22 ID:Gd2bXnjy0
>>206 前スレは「品評会ゼロ票の奴が反省したり慰めあったり」
今は2スレ目で、そのものずばり「M館」になってるw
品評会作品に限らず、通常作品も持ち込んで良いんじゃない?
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:27:29.13 ID:kYmwrqtV0
>>207 おお、サンクス
こんど行ってみるかなぁ
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:31:09.56 ID:JrdyFYXIO
ちょっと今パソコン使えなくて暇だから何かお代を下さいな
書く前に寝そうだけど
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:33:53.62 ID:Gd2bXnjy0
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:34:17.62 ID:Two5hRKW0
魔女
別に今うみねこやってるからじゃないんだからねっ///
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:42:21.99 ID:nKN60bgu0
>>211 うみねこは面白いよねー と横からレスってみる。
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 01:50:40.18 ID:Gd2bXnjy0
ひぐらしが保守るころに
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:01:29.06 ID:QwzQbXqA0
Hoshu/stay night
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:04:14.35 ID:7xVhQwbz0
Hoshu/hollow ataraxia
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:10:28.92 ID:NDG7cQOC0
Hosyu/A22 ラプター
217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:11:13.85 ID:vc/o6KDY0
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:12:18.30 ID:kYmwrqtV0
品評会作品で、今鳥忘れてつけられない状態なんだけど、
この鳥だって示せばそれで纏めてもらえるかな?
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:14:18.45 ID:Gd2bXnjy0
>>218 仮の酉をつけておいて、本当の酉思い出したときに本人確認とれるようにしておけば良いかと。
ただ、まとめの人の手間を考えると、締め切りまでに酉を思い出せー、と言いたくなるがw
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:15:18.24 ID:NDG7cQOC0
酉をぶちこめば調べてくれるソフトあるよw
ただ、品評会終わるまでに答えが出るかどうか分からんけどw
221 :
◆JKt3ekW.Bg :2008/01/13(日) 02:20:58.04 ID:kYmwrqtV0
>>219 だよねぇ…月曜には戻れるけど、遅いよなぁ…
>>220 TXか
このPCスペッコじゃ無理だなwww
ちょっと覚えてるかもしんない旧鳥テスト
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:22:11.70 ID:QwzQbXqA0
品評会に間に合う気がしない……
まず5レス以内に収まりそうに無い。
添削して短くするにしても、どうなることやら。
>>216 ラプタンは俺の嫁だ。
おまえはスホーイでも嫁にしとけ!
223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:24:48.51 ID:7xVhQwbz0
Su-27はもらっておきますね?
224 :
◆6JOB.GblnI :2008/01/13(日) 02:25:04.60 ID:kYmwrqtV0
あーこれじゃないー
気になって作品書けねぇwwww
225 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:25:21.71 ID:TK4ZDdQ2O
酉とかどうでもよくね?
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:26:55.84 ID:w3EMZ+lK0
>>224 余所のスレで思う存分酉テストしてみたらいいんじゃないかな
227 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:27:26.21 ID:NDG7cQOC0
ふふふ……甘いな。
F/A22は延期じゃなかったか?
現存するのはF-22だ、つまり、貴様は存在しないものを嫁にしようとしている。
それは……2次元嫁を得ようとしている行為と同等なのだよ!
228 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:29:01.20 ID:TK4ZDdQ2O
存在しないものに憧れるのは男の性
229 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:29:10.94 ID:ipuayW8W0
↓お題kr
230 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:30:16.88 ID:QwzQbXqA0
流れ的に
つ戦闘機
231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:30:21.11 ID:Gd2bXnjy0
232 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:30:23.26 ID:7xVhQwbz0
233 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:32:57.65 ID:ipuayW8W0
>>230-232 把握
230お題⇔231お題は繋げ易いが、そこに232お題をどう組み込むかだな、いてきま
234 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:36:41.21 ID:QwzQbXqA0
>>233 いてらー。がんばって ノシ
ま、結局俺はブラックウィドウUが一番好きだな。
ギャンに通じるものを感じる。
235 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 02:38:20.09 ID:57qJeLcq0
ハンドル名を以前の酉、で、とりあえず仮の酉をつかって投稿する
とかじゃダメかしら
236 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 03:10:57.55 ID:QwzQbXqA0
ほしゅ
237 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 03:17:08.28 ID:NDG7cQOC0
くそ、この一瞬だけは俺が保守する!
238 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 03:26:08.95 ID:oXgCZwVb0
スレ汚し申し訳ない
>>235の方法でやることにします
あー、ほかごとにかまけてるうちにもうこんな時間か
ここまで騒いで投下できなかったらしゃれにならん
まじめに告白書こう…
という保守
239 :
【品評会作品】白い日と息と(0/5) ◆4oIY5Zvkdw :2008/01/13(日) 03:26:20.63 ID:YKALnzQz0
品評会用に投下します
240 :
【品評会作品】白い日と息と(1/5) ◆4oIY5Zvkdw :2008/01/13(日) 03:27:19.21 ID:YKALnzQz0
それを最初に見つけたのは母だった。洗濯物、あるなら出しなさいよ、と弟の部屋を覗いた時に発見したのだ。
「ヒロ君、これまさか、もらってきたの? ねえこれ、チョコレートでしょう。リボンついてるもの。ねえちょっと」
母の捲し立て攻撃に怯んだ弟は、咄嗟のことにうろたえてしまい、紙袋を隠し損なった。そこにちょうど私が現れてし
まったのだから、もはや隠蔽のしようもなかった。
「あらあんた、チョコレートもらったの? やるわねー。相手は誰よ?」
母の血をばっちり受け継ぐ私がやはり捲し立て、弟は完全に頭を抱えている。
「お前ら、プライバシー侵害だから」
抵抗すること自体も恥ずかしいのか、弟は耳まで赤くしながら、ピンクのリボンが見え隠れする青くて丈夫そうな紙袋
を、死角に隠した。しかし、そんなことにめげる私達ではない。
「ヒロ君がバレンタインにチョコレートをもらうなんて、何年ぶりかしら……」
「小学校低学年の頃は何故か結構もらっていたよね。クラスの女の子達が家に来てさ」
「あぁ、そうだったわねぇ。懐かしいわ。皆にお菓子やケーキを出してあげたのよね」
「それ以来とんとチョコなんて縁がなかったから、私もおこぼれに預かれず白けちゃってたけど」
「今年は、良かったわねぇ」
満足そうに頷く母は、少し涙ぐんでいる。今にも手に持った弟のジャージで目尻を拭いてしまいそうだ。
「とりあえず、お願いだから、出て行ってくれませんか」
弟が心底迷惑そうに、頭を下げた。
その夜の食卓は、弟の話題で持ち切りだった。帰宅した父は、今日一番の重大ニュースとして母からそのことを聞き、
お祝いと称してビールの栓を開けた。
「幸宏も、男を上げたものだ。それ、乾杯」
「乾杯って、俺飲めねーし」
「まぁまぁ、めでたいことに変わりはないじゃん。かんぱーい」
ふくれ面でカキフライをかきこむ弟を尻目に、私も白い泡に口をつけた。ごくごくと喉を鳴らすと、程よいアルコール
成分が流れ込んでくる。
「それで、手紙とかは入っていなかったの?」
今すぐ根掘り葉掘り聞き出したそうなのを堪えている母が、おずおずと聞く。
「入ってねーし」
「どんな女の子? 母さんの知ってる子?」
「さぁ」
241 :
【品評会作品】白い日と息と(2/5) ◆4oIY5Zvkdw :2008/01/13(日) 03:28:25.18 ID:YKALnzQz0
質問には一言以内で答える、とでも誓っているのか、弟の答えは素っ気無い。
「幸宏、そんな態度じゃ、女の子にもてないぞ」
見かねた父がたしなめた。そういえば、父も今日、誰かにチョコレートを貰うなんてことはなかったのだろうか。会社
の若い女の人とかに。ないか。なさそうだな。額や鼻の頭を光らせている父に質問するまでもなく、私はまたビールをす
すった。もてなくて結構だよ、と弟が呟いている。
弟が相談を持ちかけてきたのは、私が一人、リビングでくつろいでいる時だった。
「あのさ、バレンタインって、女にとってなんなの」
だしぬけにそんなことを言う。
「なんなのってなんなの」
私はタオルでぽんぽんと髪の毛をたたきながら答えた。乾かし方が行き届かなかったのか、まだ少し冷たい。
「いきなりチョコだけ貰っても、意味わかんねーよ。付き合いたいってこと?」
「そうとも限らないと思う。渡された時に何か言われなかったの?」
弟はその時のことを思い出そうとしているのか、遠くを見るようにして首を捻った。
「特になかった。これどうぞ、あ、はい、どうも、みたいな」
うーん。今度は私が首を捻った。
バレンタインにおける女性の思惑は人それぞれだろうが、根底に「相手が居なくても誰かにはあげたい。それは女とし
ての義務である」という意識があるのは否めない。特に中高校生くらいの、若い女子においては。ようするにこの場合、
うちの弟が「なんとなくチョコをあげる相手として」適役だった、という可能性もなきにしもあらず、しかし、それを全
て弟に伝えるのは酷な気がした。
「とりあえず、あんたもそんな感じでお返しすればいいんじゃないの」
「とりあえずかぁ」
「全く知らない子って訳じゃないんでしょ」
それを受けて、弟が何か口ごもった。え、なに、と聞き返すと、今度は決心したのか、はっきりと言った。
「七瀬歩。白女の。うちにも前に来てた」
ななせあゆみ……と記憶のページをめくっていくと、栗色がかった髪の毛を耳の下にふわりと垂らしている、色白の女
の子に行き当たった。
「あぁ、ピアノを習いに来てた子か! へぇ、白女に入ったの、あの子。頭良さそうだったもんね」
白木女子はうちの県でも、学力の高さと制服の可愛さで一、二を争う高校である。私にとってはかつての第一志望校で、
受験したが入れなかったというほろ苦い思い出のある所でもあった。
242 :
【品評会作品】白い日と息と(3/5) ◆4oIY5Zvkdw :2008/01/13(日) 03:29:12.19 ID:YKALnzQz0
「あの子なら姉ちゃんも、かなりいいと思うな」
「なに素っ頓狂なこと言ってんだよ」
「いいじゃない。思い出作り。がんばりたまえ」
はぁー、訳わかんねー、と後頭部をばりばり掻く弟の口元が緩んでいたのを私は見逃さなかった。ちょうどそこに、お
風呂から上がってきた母が現れ、最終的に弟が頭を抱える事態になったのは言うまでもない。
「さて、問題のホワイトデーまで、あと一週間を切ったわけだが」
父が神妙な面持ちで宣言する。ダイニングテーブルには四つのマグカップが置かれていて、それぞれコーヒーやほうじ
茶など、思い思いの飲み物が入っていた。
「だからなんで家族会議なんだよ」
弟がうなだれている。そうは言ってもこのところ情緒不安定なのは明らかであり、憎まれ口を叩きながらもこうしてお
となしく作戦会議に参加しているのが、何よりも彼の不安を物語っていた。
「何をあげるのかは、決まっているのよねぇ」
母が緑茶のマグカップを手で包みながら、やはり神妙な顔つきで言った。
「私のチョイスには自信あるから、そこは任せて」
渡す物については、数日前に弟と雑貨屋を回って用意してあった。それも所謂「母親か姉に選んでもらったような、や
たらと可愛らしい物」ではなく、「無骨な男が選びに選び抜いて、店員さんのアドバイスもさんざん取り入れて選んだちょ
っとセンスの良い物」にした。お菓子については弟に責任を持って選ばせた。ラッピングはお店のお任せコース。完璧だ。
「ところで、父さんにいいアイデアがあるんだ」
そういって父は席を立ち、一旦廊下に消えたかと思うとまたすぐ現れた。肩からは愛用のフォークギターを下げている。
「アイラブユー、あーゆーみー、ミーラブユー」
父はおもむろに熱唱し始め、取り残された私達三人は顔を見合わせた。
「大好きなのさー、本当さベイベー、幸宏、カモン」
弟が大きくついた溜息が聞こえているのかいないのか、父はなおも歌い続ける。
「あれ、この歌、知ってる気がする」
私がそう言うと、母はにこにこして頷いている。
「あんた達が小さい頃もよく歌っていたわねぇ。アイラブユー、さーおーりー」
「それ、思いっきり使いまわしじゃんか」弟が口を尖らせる。
「そうそう、ヒロ君の時は、語呂が合わなくておかしかったわ。ゆーきひろー、って」
母が愉快そうに笑っている。
243 :
【品評会作品】白い日と息と(4/5) ◆4oIY5Zvkdw :2008/01/13(日) 03:30:05.05 ID:YKALnzQz0
「もしかして」私は言った。
「お母さんへの告白もこの歌だったとか?」
さあねえ、と母は目尻を下げた。
「そうだったかもしれないわねぇ」
父はまだギターをかき鳴らしている。
目覚めると、ホワイトデーという名前に相応しく、前日までからは想像できないほどの雪が積もっていた。水っぽい雪
に難儀しながら、駅までの道を歩く。こうして泥と混じってしまうとホワイトどころかグレーだ。グレーデーか。弟よ、
君の未来は、分からない。と不謹慎なことを考える。当の弟はといえば、いつもの時間より大分早く家を出たようだ。雪
道に備えたのか、それとも朝コースに決めたのか。
ホワイトデーのお返しを渡すのを、朝にするか夕方にするかで我が家の意見は真っ二つに分かれ、前日の夜にまで何度
も議論が繰り返された。私と母は朝コースを支持した。家に帰る直前に渡されるよりも、朝のうちに貰ったほうが面目も
立つ、というあくまで女サイドからの意見だ。父は父で、夕方に渡すまで、残りの一日をまだまだ作戦を練るなどして有
意義に過ごしたい、と慎重な面を見せたが、弟が結局どちらを採用したのかは謎に包まれたままだ。
駅に着くと、雪のためか普段の数倍増しの人でごった返していた。パネルを見ると、どの電車にも遅れが生じているよ
うだ。あぁ、私も弟を見習ってもっと早くに出るべきだった。と後悔しても後の祭りで、しばらく目当ての電車は動きそ
うに無い。
諦めて職場に連絡を入れよう、と携帯電話を耳に当てて顔を上げた時、人波の向こうに弟が見えた。駅構内の壁に寄り
かかり、誰かを待っているようだ。弟の姿を遠目に見続けながら、チーフに遅れる旨を伝える。弟はダウンジャケットの
ポケットをごそごそしたり、前髪をいじったりと、とにかく落ち着きがない。あれは間違いなく、朝コースだ。
とりあえず、この場を見届けてから会社に行くことにしよう。私はそう決意し、とりあえずコーヒーでも買って温まる
か、と近くの店へと足を向けた。
244 :
【品評会作品】白い日と息と(5/5) ◆4oIY5Zvkdw :2008/01/13(日) 03:30:38.57 ID:YKALnzQz0
「あのー、須藤さんのところの、お姉さんですか」
向こうに声を掛けられるまで気付かなかった。見れば、栗色の髪の毛をふわっと垂らしている、女子高生が居た。襟元
のエンジ色のリボンをきれいに結び、頬と唇を赤く上気させている。
「あ、あなたは……」
おそらく数年ぶりの再会だが、私はこの子を知っている。
「前にピアノを習いに行っていた、七瀬歩です」
なんということだ。遠くから見守る予定であった弟のお相手本人に、会ってしまった。というか、見つかってしまった。
私はそれとなく横にじりじりと歩いて、弟から見えないところへ移動した。
「あぁ、どうも、お久しぶりねぇ」
「お久しぶりです。須藤先生はお元気にしてらっしゃいますか」
「母ならずっと変わらず、元気よー」
ここまで来れば完全に大丈夫だろう、というところまで進んで、内心胸を撫で下ろした。そんな私の不審な動きを気に
も留めずに、彼女がさらに話しかけてくる。
「幸宏君も、元気にしていますか」
そう言って少しはにかんだように、私には見えた。何だかこっちまでどぎまぎして、思わず口走ってしまう。
「そういえば今日はホワイトデーだね! 歩ちゃんは誰かにチョコあげた? 好きな人とかいるの?」
いつもの捲し立て癖だ。私は頭を抱えてしまいそうになる。
歩ちゃんは一瞬だけ目をぱちくりさせて驚いていたが、その後にふわりと微笑み、答えた。
「いますよ」
こちらまで香ってきそうな、甘く優しげな表情だった。この場にもし父がいたら、恋する女は綺麗さー、とギターを鳴
らして叫んでしまうに違いない。
「それって、私の知ってる人、かな?」
えー、それはー、と言いながら、ふふ、と歩ちゃんが笑う。そうして、花のような女子高生は、人波の方に去って行っ
た。
あの方向をさらに進めば、さっきからずっとそわそわしているだろう弟が居るはずだ。やっぱり、あの制服はこの辺り
で一番可愛い。
弟よ、君の未来は、明るい。
245 :
【品評会作品】白い日と息と(了) ◆4oIY5Zvkdw :2008/01/13(日) 03:32:04.00 ID:YKALnzQz0
すいません、最後に「(了)」と入れるのを忘れてしまいました
246 :
◆bsoaZfzTPo :2008/01/13(日) 03:56:35.75 ID:Gd2bXnjy0
続けて品評会作品投下します。4レス。
247 :
【品評会作品】 だから私はゆっくり歩く 1/4 ◆bsoaZfzTPo :2008/01/13(日) 03:59:06.72 ID:Gd2bXnjy0
学校からの帰り道、私は謎の感情に支配されていた。
心の赴くまま声を出して良いのなら、私はたぶん、「ばかやろー」と叫んでいただろう。
何に対して叫びたいのだか、自分でも良く分かっていないのに。
運命とかいう名前の神様か、朝の占いで最下位だった牡羊座か、自分すら理解できない私自
身か、それとも隣を歩いている幼馴染みに、だろうか。
家が隣で、家族ぐるみの付き合いをして十四年。誕生日は三日違い。ただし、私は四月の二
日生まれで、コウちゃんは三月三十日の早生まれだ。
年の差がほとんど一年あるから、昔からずっと、私はコウちゃんのお姉さんだったのだ。
幼稚園の遠足で、私はコウちゃんの手を引いて歩いた。小学二年生のときは、九九をなかな
か覚えられないコウちゃんにつきあって、何日も居残りした。通学路に現れた大きな犬におびえ
て泣いていたコウちゃんを慰めたのも私だ。
コウちゃんだって、私のことを「春子ちゃん、春子ちゃん」と呼んでは後を着いてきていたの
だ。中学にあがってからは、どちらからともなく、ちゃん付けをやめて、普通に下の名前で呼び
合っていたが、私の中では今でもコウちゃんはコウちゃんで、かわいい弟分だったのだ。
ついさっきまでは、そうだったのに、今は違った。不意打ちだった。裏切りだった。
冬休み明けの初日から日直が当たってしまった不運な私は、一人で黒板を消していた。
初日ということで給食なし。当番日誌を書いて、ゴミを捨てて戻ってきたら、クラスメイトたちは
お昼ご飯を食べるためにみんな帰ってしまっていた。
黒板には三学期の予定が書き込まれていたが、担任の宮越が後の人にも見えるようにと気
をつかったせいで、ほとんど最上部から文字が書いてあった。
文字は私が背伸びをしてようやく届くか届かないか、という高さで、少し消しては横に移動して
また背伸びをして消す、と大変面倒くさかった。
コウちゃんはそこに現れた。コウちゃんのおじさんとおばさんは共働きなので、今日のお昼は
私の家で一緒に食べることになっていたのだ。
私は、日直の仕事が終わるまで待ってて、と言ったのだけれど、コウちゃんは小さく笑って、手
伝う、と言ってきた。
もう一つの黒板消しを持ったコウちゃんは、ひょいと手を伸ばして文字を消した。最上段から、
あっさりと。
248 :
【品評会作品】 だから私はゆっくり歩く 2/4 ◆bsoaZfzTPo :2008/01/13(日) 03:59:44.25 ID:Gd2bXnjy0
私がそれに驚いている間に、コウちゃんの腕はざっざっと動いて、まだ半分ほど残っていた黒
板の文字を全部消してしまったのだった。
そして、黒板消しを置いたコウちゃんは、帰ろうか、春子。と言って笑った。
つまりは、それが不意打ちで、裏切りだった。
コウちゃんは――光司は、いつの間にか私よりも大きくなっていた。
私の中に渦巻く謎の感情は、そうやって生まれたのだった。私は何に「ばかやろー」と言いた
いのだろうか。
「春子、俺の声聞こえてる?」
「え?」
唐突に名前を呼ばれて、私は思わず声をあげた。いや、台詞の内容から考えるに、唐突でも
なんでもない。ただ私が話を聞いていなかっただけだ。
「ごめん、聞いてなかった」
謝りながら顔を向けると、目を合わせるために自然と視線が上を向く。ただ私が意識していな
かっただけで、気付いてしまえばはっきり分かるほど、身長に差がついていた。
「別に大したことじゃないけどさ。今日の昼、おばさんが何を作るか分かるか、って」
本当に大したことのない話だった。けれど、いつも通りの私たちの帰宅風景でもある。いつも
通りでないのは、私だ。
「えっと、何だろう。作るの楽だから、丼ものとかかも」
「本当に? おばさんの親子丼、美味いからなあ。俺、あれ好きなんだよ」
私がとっさに考えた適当な返答で、光司は嬉しそうに目を細めた。なんだか罪悪感がわいて
きて、目をそらした。冷蔵庫の中に鶏肉はあっただろうか、と思いを巡らせてみたが、どうせ家
に帰ったころにはもうお昼ご飯ができてしまっているだろう。
「どうした? 難しい顔して」
問われて、眉間にしわが寄っていたことに気付いた。慌てて表情を戻して、笑顔を作った。
「いや、なんでもないよ」
と、顔を向けようとして、思わずのけぞった。光司が体をかがめて、私の顔をのぞき込むよう
にしていたのだ。単純に顔の高さが同じになったというだけなのに、私は顔が近すぎると思い、
焦ってしまった。
本格的に、今日の私はおかしい。きっと、全部、謎の感情のせいだ。
249 :
【品評会作品】 だから私はゆっくり歩く 3/4 ◆bsoaZfzTPo :2008/01/13(日) 04:00:09.88 ID:Gd2bXnjy0
私は普通に歩くふりをしながら、左の方へじりじりと体を移動させる。光司の隣三十センチか
ら、六十センチにまで距離をとった。たぶん、気付かれなかったはずだ。
しばらく歩いていると話題が途切れて、私たちは口を閉じた。
沈黙が気まずい、という話は良く聞くし、理由もわかる。私だって、学校の友達と一緒にいると
きに、長い時間だまり続けているのは気まずいと思う。
けれど、光司ならそれほど気にならない。何か話したいことがあれば、光司は言ってくるだろう
し、それは私だって同じだからだ。
けれど、だまった分だけ、まわりの音が良く聞こえるようになった。
足音が二つ。もちろん、私のと、光司のだ。
光司の足音は、私のものよりゆっくりだ。私が四歩進む間に、光司は三歩しか進まない。
私に合わせているのだ、と気付いて、私の中の感情が、かっと熱くなった。
足に力を込める。大きく踏み出す。ただし、歩調は変えずに。
大股で歩き出して三歩、私はしまった、と思った。突然こんなことをして、光司が変に思わない
わけがないのだ。
だけど、今また元の歩幅に戻すと、さらにおかしな話になるので、私はそのまま歩き続けた。
何か言われるかと思ったが、光司はだまったまま、歩調を早めた。私と光司の足音が重な
る。謎の感情は、大きく、熱くなるばかりだ。
私は、無言でずんずん歩く。光司の気配は、私の右隣六十センチを保持したまま、変わらず
ついてくる。
視線を少し横に向ければ、光司の顔が目に入ることはわかっていたが、今はちょっと見たくな
かった。だから、文字通り脇目もふらずに大股で歩いた。
家の近くの道にさしかかったとき、後から大きな排気音がした。振り返ると、細い道なのに、凄
い速度で、車が走ってきていた。
私はいつもより、三十センチ、車道側にいた。
危ない。
そう考えたのと、右腕が凄い力で引っ張られたのは、同時だったと思う。
「あっぶねえな、あの車」
気付いたら、光司に体ごと抱えられていた。顔が近いどころか、体がくっついていた。
「あ、悪い。突然だったから強く引っ張った。痛かったりしないか?」
光司はそう言って、すぐに手を離した。
250 :
【品評会作品】 だから私はゆっくり歩く 4/4 ◆bsoaZfzTPo :2008/01/13(日) 04:00:36.37 ID:Gd2bXnjy0
「だ、大丈夫。ありがとう」
私がお礼を言うと、光司は気にするな、という風に手を振って笑った。
歩き出そうとしたら、もう一回手を捕まれた。引っ張られて、体の位置が光司と入れ替わる。
「春子、そっちな」
私の現在位置は、光司の右隣、手をつないでいるから、ゼロセンチ。歩道がわにいれられた
のだった。
私は今こそ、謎の感情の正体がわかった。
背が伸びた。顔が近くて驚いた。歩く速度を合わせてくれていた。車から私を助けてくれて、歩
道がわにいれてくれた。
光司は、私の弟分だったコウちゃんは、いつの間にかちゃんと男の子になっていた。
ずっと隣にいたくせして、全然気付かなかった。そのくせ、気付いた途端に光司の男の子くささ
がたくさん見えてきて、とまどっていたのだ。
ばかやろー、と言うべき相手は、どうやら私自身だったようだ。
「急に女の子扱いしないでよ、ばか」
それなのに、私はそっぽを向いて、そう口に出していた。
光司の笑いを含んだ声が耳に入ってきた。
「ばかはどっちだよ。ここ二年ほど、ずっと春子のことを女の子扱いしてたのに」
体中が赤くなったかと思った。一気に二度ほど、体温が上がったような気がした。つないだま
まの手から、光司に伝わってしまうんじゃないかと考えると、さらに恥ずかしくなった。
「いつまでもそっぽ向いてないで、行こうぜ。おばさんが昼を用意して待ってる」
「わかってるわよ」
私は歩き出した。できるだけゆっくり。光司は歩調を合わせてくれるはずだ。
こんな熱い顔のまま、家に帰るわけにはいかない。冬の風にあてて、頬の火照りを冷ましたか
った。
ああ、でも、どうしよう。
この手は、しばらく離したくなかった。離さないと、顔はいつまでも熱いままな気がした。
私は、歩く速度をさらに遅くした。
光司の手が、私の手を、ぎゅっと握った。
<了>
251 :
◆bsoaZfzTPo :2008/01/13(日) 04:01:11.52 ID:Gd2bXnjy0
以上です。
252 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 04:32:24.78 ID:9sSAceLb0
つべを漁っていたらこんな時間・・・
今から品評会書くか、ほす
253 :
【品評会作品】腐女子?食える食える、美味いらしいよ?(0/5):2008/01/13(日) 04:33:22.12 ID:QwzQbXqA0
品評会投下します。
初参戦、疲れた。
254 :
【品評会作品】腐女子?食える食える、美味いらしいよ?(1/5):2008/01/13(日) 04:33:59.46 ID:QwzQbXqA0
「ねえ、私また告白されたんだけどさ……」
俺の部屋でゲームをやりながら、彩乃がそんなことを俺に言う。今こいつがやっているのは、昨日発
売されたばかりのシューティングゲーム。俺が買ってきたものだが、まだやっていない。勿論開封すら
していないし、こいつが勝手にやっているだけだ。そして俺は見ているだけ。自分で買えよ。
「普通彼氏持ちに告白なんてする? 私だったら絶対にしないんだけど……あ、死んだ」
悲しげな音楽がスピーカーから聞こえる。この音を俺はさっきから何十回も聞いている。いい加減飽
きないものか。断言しよう、シューティングはお前に向いてない。
「俺は良いと思うぞ。カッコ良かったらそいつと付き合えばいいじゃねえか。むしろ付き合え」
こういった話は今までに何度も聞いていたので、俺の返事も自ずとワンパターンになってくる。今ま
で何回このやり取りをしたのだろうか。次に綾乃が言う台詞も、一字一句間違いなく俺は予想できる。
「だって、和馬のほうがカッコいいんだもん。あと、彼氏がそんなこと言うもんじゃないわよ?」
誤解無きように。誓ってこいつと俺は付き合っていない。あいつから告白されたわけでも、勿論俺が
告白したわけでもない。単なる噂だ。勿論、仲が良いことは認める。昔からの付き合いだ、そんな噂一
つで邪険にしたりはしないさ。ただ……
「なぁ、毎回毎回思うんだが、俺はいつからお前の恋人になった?」
気がつくと俺はこいつの恋人になっていた。ホント、いつからだっけ。中学校くらいか? よく覚え
てはいないが。
「……ちょっ、ああ! もう、話しかけないでよ! せっかく先に進めそうだったのに……」
また死んだのか。俺を責めるな、お前が死ぬのは時間の問題だったんだ。というか、恋人なら恋人ら
しい会話を心がけたらどうなんだ。これじゃどう大目に見ても、仲の良い友人同士の会話だろう。
「まったく、この戦闘機旋回が遅すぎなのよ。これじゃ避けられるわけ無いじゃない」
「ああそうかよ。俺はお前の腕に問題があると思うけどな」
ミサイルアラートが鳴り響く中、一直線に敵陣突破しようとしたら、そりゃあ撃墜されるに決まって
る。今日びのCPUは高性能だからな、舐めていると痛い目にあうんだ。見ているとそれが良く解る。
「ねぇ、他のゲームは? 新しいの、これだけ?」
「そんなにポンポン新作を買える程、俺の財布は潤っちゃいない。と言うか、お前自分で買えよ。人が
買ったゲームに文句ばっかり付けやがって、少しは俺にもゲームを提供しろ」
255 :
【品評会作品】腐女子?食える食える、美味いらしいよ?(2/5):2008/01/13(日) 04:34:44.52 ID:QwzQbXqA0
俺が買いそうなゲームの発売日を目聡くチェックしては「ねえ、あれ買うの? 買うよね?」と、最
早買えと言っているようにしか聞こえない口調で俺に迫り、いざ購入したとなると真っ先に自分がやる
というこいつの暴挙は、確か小学校の頃から続いている。今まで先にプレイされたゲームはおよそ30本。
その内先にクリアされたのは26本。残りのゲームも話の大筋が解ってしまったので、俺はやる気にはな
れなかった。つまり金の無駄。売ろうかとも考えたが、なんとなく勿体無い気がするのでそれはやめた。
それに、なんだか負けたような気分になるし。
「はいはい、いつかねー。……ふぅ、なんか飽きちゃった」
「そりゃ、三時間死に続ければ飽きるだろうな」
今までやってたことが驚きだ。よくもまぁ飽きもせずここまでやるもんだ。時間は夜の十時。夕飯を
食ってから休まずやり続けている。その間に交わした会話は、先程のものを含めて僅か三回。内容もあ
れ以外はゲームに関するものだった。
「で、さっきの話なんだけどさ……」
「うん?」
ゲーム機の電源を落として、綾乃が言う。珍しいな。この手の会話が続くことなんて、最近は無かっ
たんだが。まあいい、暇つぶし程度に付き合ってやるか。
「そいつ、私に向かって『あんな奴のどこが良いんだよ? 見た目格好良くたって、所詮はオタクじゃ
ないかよ! キモイだろ、そんな奴!』とか言ってきたのよ。まったく、何様かしらね」
へぇ、それはそれは。全く解ってないな、その男。そりゃあ振られるわ、ご愁傷様。出直して来い、
あと百年後くらいに。
何故かって? オタクがそんな事言われれば、大抵は怒るに決まってるだろ。
要は、彩乃もオタクなのだ。それも筋金入り。まぁ、パッと見でそれがわかる奴なんて、そうそう居
ないだろうがな。
「やっぱり、オタクはオタクとしか付き合えないと思うのよねー。正直、私の部屋なんて一般人には見
せられる有様じゃないし」
「確かに、女の部屋にエロゲーが転がってたら、大抵の男は引くだろうな。いい加減に掃除したらどう
だ? 最近、お前の部屋から掃除機の音が聞こえないんだが。あと、変な物言いをするな。部屋が綺麗
なオタクなんて沢山いる。お前が少数派なんだよ……たぶん」
256 :
【品評会作品】腐女子?食える食える、美味いらしいよ?(3/5):2008/01/13(日) 04:35:19.12 ID:QwzQbXqA0
否定しきれないのは、俺の中にも、いわゆるオタクに対する偏見というものがあるからだろう。その
偏見から逃れるため、身嗜みや身の回りの整理整頓には気をつけているのも事実だ。俺もオタクだから
な、だが、そこまで重度のオタクでもない。せいぜいゲーム好きが高じて、自作ゲームを作る程度だ。
一応言っておくが、別に18禁でもなんでもない。自分でゲームを作るソフトがあるだろう? あれでち
ょこっと作るくらいだ。
そして重度のオタクである彩乃の家は、塀を一つ挟んで隣にある。そしてこいつの部屋は俺のすぐ向
い。ゲームでは良く見かけるシチュエーションだが、そこに見えるのがオタクの部屋だったら、どうす
る? しかも汚い。
「別にゴミが散らかってるわけじゃないもん。ちょっと片付けるスペースが足りないのよ。この部屋に
置かせてって言っても、和馬は嫌だって言うし……男がエロゲー持ってる方が自然でしょ?」
確かに自然だが、それでも一般的に見ればそれは異常なんだよ。いい加減に気付いてくれ、この腐女
子が。世間に認知されたとは言え、まだまだ俺達は異端なんだ、マイノリティなんだよ。
「女がエロゲーなんて言葉を口にするな。そもそも俺達は18歳未満だ、最早異常を通り越して違法なん
だよ、ちったあ自重しろ」
俺達はまだ17歳、青春真っ只中にいる。こんな事するより、他にやる事があるだろうに。
「別に、お父さん名義で買ってるから問題ないじゃない。それに、そこまで買ってるわけじゃ……」
「月に五本のペースで買ってる奴が、何か文句でもあんのか?」
こいつが買うゲームっていったら、それこそエロゲーオンリーだからな。そういったものに興味が無
い俺としては、はっきり言って金の無駄遣いにしか見えない。詳しくは知らないが、安くは無いんじゃ
ないのか?
「……まぁ、そこは……ねぇ? お察し下さいというか……なんというか」
えへへーなんて苦笑いしているこいつは、今後もこのペースで買い続けるのだろう。今でこそ親が傍
にいるからマシなものを、一人暮らしでも始めたら、一体どうなることやら。俺も人のことは言えない
が、こいつは間違いなく廃人になる。絶対に、確実に、もうどうしようもないくらい。
「まったく……こんな事言うのも失礼かも知れんが、その内おばさん達が亡くなったらどうすんだ?遺
産食い潰してゲーム三昧か?」
「失礼ね、流石にそこまではしないわよ。いざとなったら働くわ」
いや、俺が失礼だと思ったのは、いまだ壮健でいるこいつのご両親に対してであり、こいつの未来予
想図に対してでは無いのだが。というか、働く気があったのか、こいつは。「いざとなったら」の部分
に若干の不安は残るのだが。
257 :
【品評会作品】腐女子?食える食える、美味いらしいよ?(4/5):2008/01/13(日) 04:36:03.26 ID:QwzQbXqA0
「て言うかー、そもそも働く必要ないし」
「……やっぱり、食い潰すんじゃねえか。おじさんも大変だな、こんな娘を持って」
親の遺産でエロゲーとネトゲ三昧。食いたいときに食って寝たいときに寝る。なるほど、ネオニート
とはこいつのことか。
「別にエロゲーをやるなとは言わないが、せめて自分の将来くらい真面目に考えろ。お前が就職するの
か進学するのかはどうでも良いが、ニートだけにはなるなよ?」
こいつには、進路希望調査票に「第一希望・フリーター」と書いた過去がある。本人曰く「好きなこ
とが出来るって素晴らしい事じゃない!」だそうだが、大抵のフリーターは好きなことは出来ずに、そ
の自由な生活に終止符を打ち、挙句の果てにはやりたくも無い仕事に就く事になるのだ。本当に夢が叶
うフリーターなんて、全体の何パーセントになるのやら。厳しい世の中だ。
「何言ってんのよ。和馬に養ってもらうんだから、働く必要なんて無いでしょ? 私達、結婚するんだ
から」
「は?」
ついに恋人から夫婦にまで話が発展したか。こいつの脳味噌には致命的な欠陥があるようだな。人の
話を聞くという、人とのコミュニケーションに於いて最も大切な機能が、こいつには備わっていなかっ
たらしい。冗談のように聞こえるが、こいつは冗談のような事を本気で言うから困る。
「私は和馬が好きで、和馬は私のことが好き。じゃあ、もう結婚しかないじゃない?」
「いや、待て。俺がいつお前に告白した? つーか、お前はいつ俺に告白した?」
嫁がニートなんて話、聞いたこと無いぞ。そりゃそうだ、ニートってのは労働意欲も学習意欲も無い
人間のことだ。専業主婦とは訳が違う。そして俺は、こいつが家事に徹する様を全く想像できない。
「何? じゃあ和馬は、私のこと嫌い?」
いや、面と向かってそう問われて「うん、嫌い」なんて言える訳無いだろう! いや、別に嫌いじゃ
ない。嫌いじゃないが……
「彩乃が……俺の、嫁に?」
想像がつかない。甲斐甲斐しく「あなた」なんて呼ばれるのも微妙だし、勿論「旦那様」と呼ばれ
るのも御免被る。……「御主人様♪」とは呼びそうな気はするが。なんとなく。
「子供は二人がいいなー。男の子と女の子、一人ずつ。それで、たまには皆で遊びに行って……」
「おいおい……」
彩乃の妄想は加速していく。でた、彩乃お得意の妄想ワールドだ。
258 :
【品評会作品】腐女子?食える食える、美味いらしいよ?(5/5):2008/01/13(日) 04:36:45.19 ID:QwzQbXqA0
「でも、時々二人っきりでデートして……それで和馬が『三人目、欲しくないか?』って……」
アホか。俺にどんな台詞を言わせる気だ。子供は二人で充分……って違う!
「あっ、だめよ和馬……あの子達が起きちゃう……もう、しかたないんだから痛ぁ!?」
そろそろ暴走しかけているので、軽く彩乃の頭を叩く。これ以上は俺のキャラさえ変えられてしまい
そうだ。第一、そういうのはガキの教育によろしくないだろうが。
「もう……ここからが良いとこなのに。こう、背徳感バリバリの……」
「それはもう良いっつーの」
「ちぇー」
ふて腐れながら、彩乃は他のゲームを漁る。まだクリアしていないやつをやろうとしているのだろう。
俺はその様子を黙って見る。
「でも、子供はやっぱり欲しいな」
ふと彩乃がそんなことを呟いた。ディスクをセットし、コントローラーを握る。今度はアクションゲ
ームのようだ。明るい雰囲気のオープニングが流れる。
「男の子と女の子。それだけは譲らないから」
データをロードし、ステージが始まる。あ、早速死んだ。だがそんなことには目もくれず、綾乃は言
葉を続けた。
「頑張ってよね、パパ? 色んな意味で」
なるほど、パパか。そういう風に呼ばれるのは悪く無いかな。
再び悪戦苦闘しているその姿を見ながら、俺はそんなことを考えていた。
了
259 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 04:37:46.60 ID:QwzQbXqA0
以上です。
もう寝ます。
260 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 04:39:04.09 ID:7yv/9Oj00
酉つけたほうがいいんじゃね?
261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 04:43:43.98 ID:QwzQbXqA0
酉の付け方が解らないんだが……どうすればいいんだ?
262 :
【品評会作品】腐女子?食える食える(ry ◆c3VBi.yFnU :2008/01/13(日) 04:52:16.20 ID:QwzQbXqA0
こうするのか!?
263 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 04:54:03.05 ID:7yv/9Oj00
あ、ごめん
それでおkおk
264 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/13(日) 04:56:33.53 ID:QwzQbXqA0
>>263 ありがとう!
まとめの方、面倒をかけて申し訳ない……
265 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 05:10:51.88 ID:57qJeLcq0
保守の王子さま「ぼくにヒツジの絵をかいて」
266 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 05:36:09.70 ID:QwzQbXqA0
ほしゅ
267 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 06:21:16.88 ID:9sSAceLb0
ここは俺に任せて、お前たちは早く書くんだ!
268 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 06:45:26.37 ID:57qJeLcq0
「パト保ッ守、なんだかとっても眠(くて頭が回らな)いんだ……」
269 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 07:13:48.25 ID:9sSAceLb0
何故人は保守をするのか?
それは、失いたくないモノがあるからだ
270 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 07:40:00.00 ID:9sSAceLb0
文字の羅列を読んでるだけなのに、何で面白いと思うのか
言葉が意味を持ってるからなのか、不思議ほす
271 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 07:59:36.83 ID:7yv/9Oj00
50^17個の中に、ありとあらゆる短歌が含まれている
けどそのうち面白いと感じるのは云々(肝心なとこ覚えてねぇw
という話を聞いた
それはそうと、いいタイムだな!
272 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 08:26:25.47 ID:57qJeLcq0
ほしゅ
うま
273 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 09:37:47.92 ID:ncoI50QtO
ほ
いまさら、投稿した品評会作品がハッピーエンドとして認められるのか心配になってきた
274 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 09:53:11.12 ID:7xVhQwbz0
おはようほしゅ。
>>273 きっと読み手がきめてくれるさ
275 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 10:41:26.34 ID:ncoI50QtO
276 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 10:44:14.59 ID:TEdBvtIWO
規制が解けない…。
お題よろ
277 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 10:46:06.71 ID:ClHQ23dMO
封印
278 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 10:48:16.09 ID:TEdBvtIWO
把握
279 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 10:48:19.83 ID:o4UN82Z50
再度
280 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 10:53:11.69 ID:ZVjzzMGh0
お題
281 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 11:09:41.72 ID:ClHQ23dMO
282 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 11:30:14.99 ID:tiuJdvVs0
保守
283 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 11:35:55.92 ID:ZVjzzMGh0
284 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 11:49:59.71 ID:0kmLJS100
乙一の才能に嫉妬してしまった
すげーな、乙一
285 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 12:05:31.04 ID:PZYhDVH3O
プロットは出来てるのに書く気が起きない
今回も諦めよう
どなたかお題くださる?
286 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 12:19:53.75 ID:hCuBVJiG0
287 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 12:24:33.78 ID:PZYhDVH3O
288 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 12:24:40.05 ID:TEdBvtIWO
書きたいプロットはあるけど、書き始めると自分の表現力とボキャブラリーの無さに落胆する。
頭の中にある情景と文章が一致してくれない。
まだ自分の実力が足りてないことを思い知らされる。
289 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 12:28:40.60 ID:PZYhDVH3O
あるあるww
290 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 12:31:39.32 ID:rk5cMnCk0
あるあ……あるあるあるあるwwww
291 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 12:47:25.01 ID:cOWMNu1P0
お題をもらって なんとかアイデアを捻り出した。 でもこれじゃ駄目だな。と思った。
まー書いてたらイイ方向に流れるかもしれん。と思って書いてみた。
完成したが、案の定、全く面白くない。晒すべきか止めるべきか… やめとこう。
とゆーわけでヘタレな私に新しいお題下さい↓
292 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 12:50:36.64 ID:hCuBVJiG0
293 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 12:51:45.80 ID:cOWMNu1P0
294 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 13:23:38.06 ID:hCuBVJiG0
私にもお題下さい
295 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 13:26:22.22 ID:zAhGhZ0n0
略語
296 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 13:38:23.50 ID:jGtZzHd80
お題ください
297 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 13:39:29.80 ID:zAhGhZ0n0
ググれカス
298 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 13:42:38.06 ID:jGtZzHd80
>>297 これお題ですかww
…ちょっと行ってきます
299 :
◆ZIPyTXuL.2 :2008/01/13(日) 13:55:44.36 ID:7Jq/OcJs0
品評会投下します
300 :
幸福論1/2 ◆ZIPyTXuL.2 :2008/01/13(日) 13:56:13.16 ID:7Jq/OcJs0
放課後、僕は彼女を校舎の屋上へと呼び出した。フェンスの向こうに見える太陽は、三分の一ほど沈んでいるだろう。とても綺麗なのだろうけれど、生憎僕は背を向けているので見ることが出来ない。
好きです――と、ただそれだけを目の前の彼女に伝えた。僕の生涯で、最初の告白だ。彼女が出来たことはあるけれど、どれも相手から告白してきたので、僕から想いを伝えることは無かった。だから、とても緊張して、とても怖くて、そして……とても気持ちが良かった。
ほんの数秒の沈黙の後、彼女が口を開いた。
「気持ちは嬉しいけど……ごめんなさい」
ふっ、と目の前が真っ暗になった。彼女とは仲も良かったし、何度かデートのようなこともした。自分で言うのも何だが、容姿も問題ないと思う。正直、良い返事を貰う自信はあった。
僕が返事を受けて、立ち尽くしていると彼女が続けた。
「……好きな人が……いるから。だから……ごめん」
……なんだ。そうか。ああ、とても単純だ。
今までの日々の幸福は全て二人で共有していると、そう思っていたがどうやら違うようだ。いや、幸福の種類が違うというべきか。つまり、今までの幸福に恋愛感情を見ていたのは僕だけだったということだ。
そう確信すると同時に、僕の心の中に満たされていた幸福は全て絶望に変わった。やはり、僕が求めていたものが確かにそこにあった。
「……ありがとう」
顔を上げ、彼女に向かってそう呟いたが、すでにそこに彼女は居なかった。どうやら先に帰ってしまったらしい。彼女のことだから、きっと声は掛けてくれていたのだろうけれど、気づかなかった。
後ろを振り返ると、すでに日は半分以上沈んでいた。相当ショックだったらしく、どうやら長い間、阿呆のように呆然と立ち尽くしていたらしい。
「……我ながら情けないな」
誰に言うでもなくそう呟きながら苦笑し、目の前に立ちはだかる緑のネットフェンスに手を掛け、そのままよじ登った。止める者は居らず、易々とフェンスの反対側にある僅かな足場へと降り立つことができる。自分が思っていたよりも恐怖は無い。
「ありがとう」
もう一度。今度は分かっていながら、そこには居ない彼女に向かって呟く。
そして僕は、眼前に広がる茜色へと飛び込んだ。
301 :
幸福論2/2 ◆ZIPyTXuL.2 :2008/01/13(日) 13:57:35.72 ID:7Jq/OcJs0
僕が彼女を好きになったのは半年ほど前だった。彼女を好きになってからの日々は常に満たされ、幸福を感じていた。
彼女と日曜日を過ごすことで。彼女と携帯の番号を交換したことで。彼女と同じ学校に通っていることで。彼女と同じ空間に存在していることで。彼女と。彼女と。彼女と。
別にそれは今に始まったことでもなかった。前の彼女のときもそうだった。その前の彼女のときも、その前の前のときも。
そうして幸福を感じ続けていると、気づくことがある。
常に満たされていること……。停滞している幸福は、もはや不幸なのだということ。しかし、僕はそれに気づかないふりをしていた。現在の幸福を否定してしまったとき、
僕は何を幸福と感じるのかが、分からなくなってしまう気がしたからだ。そうして僕は、幸福である不幸を誤魔化しながら過ごしていた。
片鱗を見せたのは、八人目に付き合った女性―僕が彼女に告白する前に付き合っていた彼女―との別れのときだった。
その人とは今までで一番長く付き合っていて、一番想いを寄せていて、一緒に居て一番幸福を感じていた。
その黄色く輝いていた幸福が、一瞬にして真っ黒に塗りつぶされたとき、僅かに感じた気がした。停滞する幸福から解放され、絶望が心に広がる。その瞬間こそが僕にとって本当の幸福であるのだと。
しかし、それからは絶望が停滞しているだけで、以前と何も変わらなかった。いや、停滞しているものが絶望である分、以前よりも性質が悪かった。
それから半年後、僕は彼女を好きになった。そして、絶望に代わり、再び幸福の閉塞状態が続いた。
結局、堂々巡りである。どうすれば永遠にあの幸福を味わい続けることができるのだろうか。僕は考え、考え、考え抜いた末に、ようやく一つの術を見つけることが出来た。
死である。停滞からの解放の瞬間を、死によって繋ぎ止めることで、僕の真の幸福は永遠になる。
死後、その幸福が停滞するのではないかとも考えたが、死んだ後は、もはやそれは僕ではないので、あずかり知らぬことだ。
そこまで考えたが、やはり僕には死というものは恐ろしかった。完全に確証のない幸福のために命を張れるわけがない。それに、今の停滞している幸福でも、手放すのは惜しい。では、どうするか――
僕は賭けをすることにした。賭けの内容は彼女に告白すること。受けてもらえれば、このまま今と同じように過ごしていく。断られれば、瞬間の幸福を永遠にする。
告白を賭けにするというのは少々気が引けたが、仕方が無い。
どちらも勝ちのようで、どちらも負けなような気がしたが、それはそのときになれば分かるのだと思う。僕がどちらを望んでいるのかが。
そして翌日、僕は彼女を屋上へ呼んだ――
(了)
302 :
◆ZIPyTXuL.2 :2008/01/13(日) 13:58:07.48 ID:7Jq/OcJs0
以上です
303 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 14:04:09.59 ID:9sSAceLb0
MP3をいじってたら午後二時とか・・・何時間やってんだよ
今から出来るのか、俺に出来るのかほす
304 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 14:30:51.99 ID:9sSAceLb0
この時間帯の間隔がわからん
305 :
アルトリコーダー 0/1 ◆dHfRem3ndk :2008/01/13(日) 14:47:32.19 ID:vc/o6KDY0
タイトルは告白で統一しなきゃいけないのかと思ってたので、
前スレに投下した奴の名前を、「ソプラノリコーダー」にしてください。
で、2作目を投下します。
306 :
アルトリコーダー 1/1 ◆dHfRem3ndk :2008/01/13(日) 14:48:47.72 ID:vc/o6KDY0
俺の体は放送室、俺の皮膚は防音壁、音は外から入ってこない、空気の波からの完全なる密室。
だから完全に遅れて音を出す。手遅れからの自己主張。リズムに対する不協和音。会話は例えるならセッションだと言うのに。
俺は気づかなかった。もうずっと、そうしてくれていたのに気づかなかった。
会話の始まりはいつも自然で、君が気を使ってくれている事に気づいたのは3年の夏頃からだった。
「俺が」君を好きなことに気がついた。天気に関係なく世界が楽しいことに気がついた。
今までと同じように話せないことに気がついた。目線で追ってバレないようにしている自分に気がついた。学校生活が残り少ないことに気がついた。
でも勇気がない自分に気づいたのが一番悔しくて、俺はそんな自分が許せなかった。
だけど運命は一度だけ微笑んで、俺は素直に生きるため何かを振り絞った。
「でね? あなたとわたし以外、みんな気づいてたんだって。何でだろうね?」
君はそう言って俺の顔を見る。瞳をのぞきこむ。
あの時の放課後、二人きりになった時からずっと変わらない笑顔で、一番近い場所からのぞきこむ。
勇気を出せて良かった。君が答えてくれて良かった。
とても幸せな何かの音、密室ではなくなった、ただの部屋。
おわり
307 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 14:50:33.49 ID:vc/o6KDY0
別に何個投下しても良いんだよね?
308 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 14:54:36.72 ID:rUeBrjy90
いいよ
309 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 14:57:21.77 ID:vc/o6KDY0
>>308 ありがとう。
でも今日はもう有栖川有栖の新刊を読む。
310 :
296:2008/01/13(日) 15:06:27.80 ID:jGtZzHd80
すいません。お題を頂いて書いてみたのですが今って品評会の時間なんですね
その場合それ以外のものは載せないほうがいいんでしょうか?
311 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:07:07.83 ID:zAhGhZ0n0
関係ないだろ。品評会のためにこのスレがあるわけじゃない
312 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:07:27.91 ID:vc/o6KDY0
>>310 良いらしいよ。
お題ならキーホルダーでどう?
313 :
296:2008/01/13(日) 15:08:18.48 ID:jGtZzHd80
314 :
タイトルなし 1/4:2008/01/13(日) 15:11:06.76 ID:jGtZzHd80
「よい人生とはよい検索だ」
と言う言葉を聞いたのはどこでだっただろう? 思い出せないがそれを聞いたときなるほどと思ったのは確かだ。
だが実際に「よい人生」なんてものを送っている人というのはどれくらい存在しているだろう?
僕は蛍光灯が一つ外れて放置されたままの室内灯に照らされた部屋の中でパソコンに向き合う。
約束の時間まであとどれくらいだろう? 僕は時間を確認しながらキーボードを叩く。あと一時間もすれば僕はこの部屋を出て友人である赤木と待ち合わせている喫茶店へと向かわなければならない
彼女の言葉を思い出す。
「最近面白い小説を見つけたのね。その作家の別の小説も読んでみたいけどなに読もうか迷ってるの」
彼女に聞かされた作家の名前は僕には初耳で何冊出しているのかどれほどの知名度があるのかも分からなかった。
だがそこで僕は反射的に答えてしまったのだ。
「じゃあ、俺が調べてお勧めの本とか教えてあげるよ」
僕の悪い癖だ。不安定な約束事。
約束を果たした後に訪れるのは喜びではなく落胆だとしても、今目の前の約束をするという喜びに飛びついてしまう。
キーボードをまた何度か叩く。エンターキーを押し右下に表示されるゲージを見つめながら期待するべきものが現れる事を祈る。
だがその結果はあまり好ましいものではなかった。どうやら彼女のお気に入りの作家はあまり有名ではないようだ。ネットで検索をしてみたものの表示されるのは簡単な作者のプロフィールや小説のタイトル。もしくは通販の紹介程度だった。
何度か検索のキーワードを代え繰り返すものの僕自身、そしてそれ以上に彼女を満足させるようなものを見つける事は出来なかった。
パソコンと向き合ってから何本目かになるタバコを灰皿でもみ消しながら、これ以上は埒が明かないと言う結論に辿り着き方法を代える事にした。「2ちゃんねる」を表示させる。
僕は適当な小説関連のスレを検索しレスを書き込んだ。
「○○と言う作家ですが一番お勧めの小説ってなんだろう?」
そう書き込み返事が来るのを待つ。時計を見るとあと30分程経っていた。
このままレスがなければ僕は手ぶらで行かざるを得ない。そんな事を思っているとレスが来た。
「ググれカス」
言われるまでもなく充分検索したよ、と僕はため息を吐く。
315 :
タイトルなし 2/4:2008/01/13(日) 15:11:38.54 ID:jGtZzHd80
「ごめん」
と謝る僕の事を赤木がこれと言って追求するような事はしなかった。
ただその事実はテレビから聞こえてくるワイドショーと同じレベルでの関心しかないと言うように。
「どうせ、そんな事だろうと思った」
彼女は手に持っていたコーヒーカップを静かにソーサーに戻しながら子供へと向けるような笑顔を見せる。僕はそれが嫌いではないけれど、それは少し僕を臆病にさせる。本当に自分が子供になってしまったようだから。
それなりに込み合っているものの落ち着いた造りの店内は静けさに満ちていて、もしも沈黙と言うものにも音があるのならそれは僕の言葉などいとも簡単に飲み込んでしまいそうだった。
「君は本当に思いつきで約束をするよね」
「なんとかなると思ってたんだよ。出来る範囲で探しては見たんだけどさ」
そう言い訳する僕に彼女はソファに置かれた鞄から一冊の本を取り出した。
それを受け取り表紙を見ると、それは確かに僕が彼女から聞いたあの作家の小説だった。
「喫茶店に来る前に本屋に寄って偶然見つけたから買ってみたの」
「へぇ、面白かった?」
その言葉に彼女は首を横に振った。
「全然。前に読んだ小説と全然違うの。こっちの方が新しいらしいんだけどね。ちょっと期待はずれ」
どうやら外れを掴んだらしい。
だが彼女はその行為に後悔はしていないようだった。
「けど他のものは面白いかもしれないしもう一冊くらい買ってみようかな」
そんなやり取りをし、僕らはお互い岐路に着くことにした。僕は彼女の期待に背いてしまった分を補おうとコーヒー代を出そうとしたが彼女に「そういう貸しの返し方はフェアじゃない」と言われてしまった。
「じゃあね」と手を振った彼女の後ろ姿を見送り僕も帰ることにした。
その途中本屋へ寄ってみることにした。あの作家の本を探してみようと思ったのだ
316 :
タイトルなし 3/4:2008/01/13(日) 15:12:10.12 ID:jGtZzHd80
すぐ見つける事は出来ず店員に尋ねてみた。幾つかの出版社から出していたらしく僕は行ったり来たりを繰り返しながら何冊か読み比べる。
その中に彼女に今日見せてもらった小説もあった。
流し読みでだったが僕は彼女が言うほど悪くはないと思った。彼女はこの物語になぜ魅力を感じなかったのだろう? そう考えて逆だと言う事に僕は気が付いた。
彼女が魅力を感じたあの小説の内容こそ僕は知るべきなんだろう。
店員がわざわざ集めてくれた小説の中から彼女が気に入ったと言っていた小説を手に取りページを開く。
僕は僕ではなく彼女の視点で物語を読む。同時に彼女はなにに興味を持ち、どこに惹かれるのかを紐解く。
どれくらいの時間が経っただろう。
店員の視線が一冊取っては戻しまた次の一冊を取るという繰り返しをしている僕に向けられている事に気が付いた時には外に目をやるともう日も暮れようとしていた。
僕は少し恥ずかしさと申し訳なさで慌てて数冊を本棚へと戻す。
そして残った本を抱えてレジへと向かった。
「カバーはお付けしますか?」と言う店員に「お願いします」と言い、それを受け取って僕は本屋を後にした。
その帰り道仕事帰りで込み合った車道の隙間を横断しながら僕はふと考えた。
そうか。検索と言うのはこういう事なのか。
317 :
タイトルなし 4/4:2008/01/13(日) 15:12:41.74 ID:jGtZzHd80
彼女は「はい」と僕が手渡した小説を見て「なに?」と尋ねてきた。
「あの作家の本だよ。あれからまた探してみたんだ。きっと君の趣味に合うと思う」
赤木はそういう僕から視線を本へと移し、しばらく静かにページをめくっていた。
僕は前回と同じあの喫茶店で彼女の手が止まるのをコーヒーを飲みながら待つ。
そうやってしばらくして彼女の手が止まった。本を閉じ、視線が僕へと戻ってくる。
「うん。面白いかも。また後でゆっくり読むね」
「そうか。それならよかった」
そして僕はもう一冊を取り出した。それも彼女に手渡す。
「こっちはね、同じ作家なんだけどあんまり面白くないかもしれない。けど読んでみてほしいな。俺は面白いと思ったんだ」
彼女はそんな僕の言葉に首を傾げて、今度は開く事はせずすぐに返事を返してきた。
「本当に? じゃあ、こっちも今度見てみる。もしかしたら気に入るかもしれないから」
その言葉に少し満足し、僕はカップに残ったコーヒーを飲み干した。
「だからあれってどうなってんだよ! 誰か教えて!」
僕も最近気が付いたんだ。なにかを探すというのは闇雲にゴールを目指すというだけではなく、まずはっきりとしたスタート地点を持つ事だという事に。
そしてそのスタート地点を見つける事に手を差し伸べてやる事も悪くないと。
だから僕は今キーボードを叩く。そこにほんの少し親愛をこめて
「ググれカス」と
「よい人生とは、よい検索である」
それはネットに留まる言葉ではなく。
完
318 :
296:2008/01/13(日) 15:13:14.58 ID:jGtZzHd80
以上です。お題をくれた方ありがとうございました
319 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:25:14.98 ID:jGtZzHd80
……あれ?レスが…止まって…しまった…
320 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:38:35.44 ID:zAhGhZ0n0
>>314-317 面白い言い回しだな。通じるし間違ってはないけど、説明的な修飾語が多すぎて笑える。いやいい意味で。
横に長くて字面がゴミゴミしてるけど、文章はまあまあ読みやすい。
異なる単語が続くときで、漢字やひらがなが並ぶときは「、」読点を打って欲しいというのは個人的な趣味。
また一句が長くなるときは、読み手に息継ぎをいれるポイントとして読点を打って欲しい。
こうやって、一つの意味ごとに、細かく区切られるのも、結構ウザいけど、
文を理解するために脳で変換する必要があるのにそのきっかけをつかませず書き綴るのは読み手に優しくない。
その他には、指示語の多さが目に付いた。
次のステップとして、別の言い回しを考えてみては。
内容的にはまとまりがあってよかった。
新しさや面白さはなかったけど、まあいい話だと思う。
即興で書いたことも考えると、よく出来てると思ったよ。
321 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:42:08.38 ID:vc/o6KDY0
322 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:45:00.60 ID:jGtZzHd80
>>320 いい意味で笑えると言ってもらえましたがやっぱごちゃごちゃしてるんですかね
読点は気をつけてみます
後すいませんが言い回しが面白いとはどういう意味でしょうか?
文章のつくりが珍しいという事でしょうか?
323 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:45:16.74 ID:zAhGhZ0n0
324 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:45:43.26 ID:vc/o6KDY0
>>317 ネットで検索しても、表面しか解らないって事を主人公が理解して成長する物語なんでしょ?
ラストで他人に「親愛の情を込めてググれ」っていうのは酷くね?
俺ふいちゃったんだけどwww
325 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:46:07.04 ID:jGtZzHd80
>>323 あぁ、なるほど
自分でもちょっとうざいところがあるのは感じました
ありがとうございました
また機会があったら書かせて貰いたいです
326 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:47:21.68 ID:jGtZzHd80
>>324 まぁ、ググれって言うのもネットだけじゃなくて自分の足で探したりしてみなさい、という事を込めて、という事なんですが、酷いって印象にしかならないですかね?w
327 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:48:04.92 ID:vc/o6KDY0
>>323 早速「迂遠」をヤフったよ。
で、関係ないけど、迂遠って三国志の武将の名前みたいだなあと思った。
328 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:48:35.70 ID:vc/o6KDY0
329 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:49:36.15 ID:5J4yEZJr0
>>323 脇からで悪いが、いやそこは具体的に教えてほしいの文脈だろwww
『親愛の情を込めてググれ』を踏んでいて面白いが。
330 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:52:31.69 ID:vc/o6KDY0
>>329 人によって見方が違うというのもモチーフだよね。
331 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:53:18.88 ID:jGtZzHd80
>>328 ありがとうございます
また少し勉強してきます
332 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 15:54:39.38 ID:zAhGhZ0n0
>>327 于禁の兄弟みたいだよな
>>329 手取り足取りは嫌いなんだ。だから感想も放り投げたところを残してる。
出来るだけ自分で考えて欲しいからね。
・・・実のところは面倒くさいだけだが。
保守
334 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 16:18:01.87 ID:QwzQbXqA0
保守ついでに
>>314の感想をば。ま、適当に聞き流してくれ。
>彼女は「はい」と僕が手渡した小説を見て「なに?」と尋ねてきた。
流し読みだが、気になった箇所はここ。何というか、書き方が逆になっている気がする。
>ぼくが「はい」と言って手渡した小説を見ると、彼女は「なに?」と尋ねてきた。
まあ、もう少し上手い言い回しはあるだろうけど、取り敢えずこんな感じにすれば、
読みやすいと思う。その他に気になったのは、既に指摘されているけど、句読点をつけること。
正直、読んでいて息が詰まる。もう少し、読み手の「呼吸」というものを考えた方がいいかな。
適度な休憩が無きゃ、どんなトップアスリートだって疲れるからな。それと似たようなもんだ。
でも、短時間でここまで書けるのはすごいと思った。
俺もこのくらい速く書ければなぁ……
335 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 16:25:34.68 ID:jGtZzHd80
>>334 ありがとうございます。読点は今読み返しておっしゃるとおりだと思いました
どこまで続くんだよ!と自分でも突っ込みたくなりました
順序的に見ると確かに修正された文の方がスムーズな気がします
短時間で書きましたが量を増やそうと意識しすぎて無駄な文が増えすぎたかもしれません
もう少し見直す時間を持って削除などするべきだったと思います
初めての投稿でしたが色々意見をいただけて有難かったです
参考にしてまたがんばります
336 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 16:26:39.00 ID:Ff5Jy8mpO
まだ何も書いてない件
337 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 16:32:56.04 ID:38c+VLYE0
お題をおくれなさいよ
338 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 16:34:18.58 ID:QwzQbXqA0
339 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 16:35:08.81 ID:38c+VLYE0
340 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 16:42:25.38 ID:J0QptpK/0
できたので投下するよ
341 :
【品評会作品】 蝋の姫君と愛し男 1/2 ◆faMW5pWHzU :2008/01/13(日) 16:44:25.30 ID:J0QptpK/0
先輩が俺の目の前で椅子に腰掛けて本を読んでいる。
心臓の音がやけに耳障りな、二人きりの部室。
ここだ。今だ。場所はここで、いまが今だ。最高のセッティングだ。ここで言わずして、いつ言うんだ。
俺は乾ききった喉をむりやり鳴らし、なけなしの勇気を体中から掻き集めた。
「先輩、好きです」
そう呟いた。
彼女は動かない。俯いているため、どんな顔をしているのかも見えない。
「ずっと前から好きでした。……って言っても、『出会った時から一目惚れで』なんて安っぽい事は言いません。む
しろ最初に会った時は、ぼーっとした人だなぁ、とか失礼な事思ってました。でも部に入って、だんだん仲良くなっ
て、話したり、笑ったりして、一緒に過ごしているうちに……いつのまにか、好きになってました。先輩の笑ってる
顔が好きです。先輩のぼーっとしてる顔が好きです。先輩の悲しんでる顔や困ってる顔も……すいませんけど、好き
です。後ろから肩叩いてびっくりした時の顔とかも、好きです。先輩の、ころころ変わる表情が全部好きです」
ここで一息つき、深呼吸する。
彼女はまだ読書の体勢のまま、微動だにしていない。だが俺はそんなことに構わず、思いっきり膨れ上がった想い
のたけを吐き出した。
「先輩、俺はあなたの事が好きです! こんなに人を好きになる事があるなんて、思ってもみなかった……あなたで
頭がパンクして、狂いそうです。おかしくなりそうなんです、先輩の事が好きすぎて! ……ずっと、伝えたいと思
っていました。今まで勇気がなくて言えなかったけど、今日こそは言います。先輩! 俺と、付き合って下さい!」
俺は溜まりに溜まっていた激情を全力で搾り出し、叫んだ。
そこまで言い終えると同時に、興奮に押された身体が思わず椅子から立ち上がる。
そこで、俺が告白している間、ずっと本に目を落としていた先輩が初めて顔を上げた。そして話しかけてくる。
[ どうしたの? ]
少し驚いた様子で、しかし優しく微笑む先輩。
そんな彼女に慌てて俺も、ぎこちない、覚えたての手話を返す。
[ いえ なんでも ないです ]
座っていただけなのに息を荒らげて汗を流している俺に、先輩は不思議そうな顔をして頷いた。
そして、日の落ちてきた窓の外をちらりと見てから本を畳む。
[ そろそろ 帰ろうか? ]
先輩が、俺とは段違いに滑らかな手つきで言った。
俺は同意し、すぐさま身支度を整えた。
342 :
【品評会作品】 蝋の姫君と愛し男 2/2 ◆faMW5pWHzU :2008/01/13(日) 16:46:47.13 ID:J0QptpK/0
部室を出て、校舎を出て、校門を出て。
5分経ち、10分経ち、15分経ち。
幸せな時間はすぐに過ぎる。
[ じゃ またね ]
[ はい また明日 ]
先輩と別れの挨拶をする分岐路、俺はいつものように心の中で身悶えする。情けないほどヘタレな自分に。
(チクショウ……本人を前に、何回練習すれば気が済むんだ俺は! 伝わらない事をグチグチ言ってどうする!?)
そしていつものように夕日に誓う。今日はダメでも次こそはと。
(明日は……明日こそは絶対に! ちゃんと告白してやる! 好きだとまっすぐ言ってやる!)
今日もまた固く誓った。何百回目かの、誰にも聞こえない決意を。
(了)
343 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 16:48:21.70 ID:J0QptpK/0
投下したよ
書き終わってから気づいたけど
ハッピーエンドかどうか微妙だよ
344 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 16:48:50.12 ID:vc/o6KDY0
品評会作品って、【品評会作品】って書かなきゃいけないの?
345 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 16:50:03.35 ID:7xVhQwbz0
>>344 書いてもいいし、その前後のレスで「品評会作品」って宣言してもいい。
346 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 16:54:09.16 ID:vc/o6KDY0
>345
トリップをつけたら自動判別かと思ってました。
でもそれじゃ、トリップをつけて普通作品を投下する人に対応できないですよね・・・。
前スレの893と>306は【品評会作品】です。
俺失敗しまくりだ・・・orz
347 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 17:02:49.42 ID:o4UN82Z50
ハードディスクの中整理してたらこんな時間……
品評会間に合うか
348 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 17:15:50.28 ID:ClHQ23dMO
ほ
349 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 17:32:25.85 ID:jXLJLLYL0
何度かチャレンジしようと思ったけどやっぱり恋愛ものは書けん
何かお題をくださいな
350 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 17:38:10.12 ID:9sSAceLb0
炬燵
351 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 17:38:49.53 ID:jXLJLLYL0
352 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 17:42:54.00 ID:kcVmFOjr0
品評会作品投下します
353 :
【品評会】明日もまた夕日が沈む5/5 ◆QAbQXuW886 :2008/01/13(日) 17:46:36.97 ID:kcVmFOjr0
よーし、顔をパチリと挟んで気合を入れた。幼馴染と斎藤のフォローになりつつ、まずは好きな
人をみつけなくちゃな。
こりゃ、明日からが大変だ。そう思いながら俺は家路を歩む。1歩1歩しっかりと地を踏みしめて。
もし、もしもだが、彼女が仮に俺を好きだと言ってくれたとしても、俺たちはそこで終わってい
たと思う。始まりは弟みたいだから、という半端な理由で断られた事が悔しくて努力した。せめて
男として見てもらえるように、と。
でも、そこまでだ。好きと言ってもらえた瞬間、俺は目標を見失うのだから。次第に彼女の心は
俺から離れていって、友達という関係ですらいられなくなっただろう。
そう思うと、これが最高の終わり方なのだと思う。彼女は、見かけではなく内面で本当に好きな
奴を見つけて、相手も地味だが本当にいい奴だった。彼女が幸せになって、本当の意味で俺の恋は
終わったのだ。
俺はそれで踏ん切りをつけられて、次に向かう事が出来る。そう、俺の二度目の恋は夕日で始ま
って、夕日で終わったのだ。
そして、明日もまた夕日は沈む。俺はそう思うのだ。
了
354 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 17:47:42.52 ID:jXLJLLYL0
355 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 17:47:46.91 ID:o4UN82Z50
いきなりクライマックスw
356 :
【品評会】明日もまた夕日が沈む1/5 ◆QAbQXuW886 :2008/01/13(日) 17:50:15.97 ID:kcVmFOjr0
「俺はお前が大好きだ」
夕暮れに染まった公園。俺はブランコに腰掛けた幼馴染にそう告げた。その途端、俺の心臓は破
裂するんじゃないかっていうくらい激しく鼓動し、汗が次から次にふきだす。緊張のため喉は渇き、
目は泳ぐ。はっきり言えば、挙動不審だった。
幼馴染はしばらくの間、そんな俺の顔をジッと見て、ぷっと吹き出した。
「なにそれ、私をからかっているの?」
ケラケラと笑われて、俺の顔がオレンジの空に負けないほど真っ赤に染まる。俺の真剣な気持ち
すら笑われているようで、無性に悔しかった。
「俺は真剣だ!」
なおも食い下がる。真剣だった。俺の言葉に嘘偽りは一切なかったし、ただ彼女の事が好きだっ
た。しかし、幼馴染はひとしきり笑うと、目じりの涙を拭いこう言った。
「ばーか。私にすれば、あんたなんてただの弟。姉に告白する弟なんていないでしょ?」
そんな目で見られているのは薄々気づいていた。しかし、こうもはっきり言われるとショック以
外のなにものでもない。俺は呆然としてその場に固まる。
それじゃあね。と一言だけ言って、長い髪をひるがえし、彼女は公園を去っていった。
「あきらめねぇぞ。絶対好きって言わせてやる!」
俺は沈み行く夕日に誓った。俺の目標が決まった瞬間だ。心に熱いものが宿しながら、拳を握る。
いずれ幼馴染に認めさせてやるのだ。
それからの俺は努力をした。外見面でいえば、ファッション雑誌を買いあさって身だしなみを整
えたり、筋トレをして男らしい体に近づけたり、といった努力を。
内面でいえば、幼馴染と同じ高校に行ける様に必死に勉強をがんばったり、面白い話が出来るよ
うテレビなどを見て話題を探したり、交友関係を広げるためにより沢山の人と会話をしたりといっ
たことだった。
ただただ、幼馴染に見合う男になるように。それだけを胸に秘めて努力し続けた。
そうして2年後。
晴れて幼馴染と高校に通えるようになった俺は、再び幼馴染に告白するタイミングをジッと待っ
ていた。
「ねぇ、ユウキ。バスケット楽しい? なんか見てると結構激しいスポーツだよね、あれ」
357 :
【品評会】明日もまた夕日が沈む2/5 ◆QAbQXuW886 :2008/01/13(日) 17:50:50.86 ID:kcVmFOjr0
幼馴染と一緒に夕暮れの道を歩きながら、たわいない話をする。俺は、幼馴染と一緒に帰るこの
時間が好きだった。風に揺れる彼女の長い髪からは優しい日向の匂いがする。明るい彼女は俺にと
っての目標で、物凄く大切なものだった。
彼女が突然歩みを止めた。俯き、何かを悩んでいるようだった。
「あのさ、ユウキ。ユウキって斎藤君と仲良かったよね」
顔を上げた彼女は、決意に満ちた表情をしていた。
「え? ああ。うん」
斎藤修二、俺のクラスメートで幼馴染と同じ科学部。優しげな風貌とそれにあった性格で、地味
ではあったが、イイ奴だった。
「あの、斎藤君って彼女いるのかな?」
「いや、いないと思うけど……」
そっか、と言って安心した表情を浮かべる幼馴染。なんだろうか、この会話は。まるで彼女が斎
藤に気があるみたいじゃないか。
「私ね。斎藤君に告白しようかと思ってるんだ。それで、そのぉ、斎藤君の趣味とか、好きなもの
を聞いてほしいの」
なにを、言っているんだろうか。俺の頭がぐらりと揺れる。いろいろなものが絡まりあって、頭
の中はぐちゃぐちゃだった。
「なんで俺がそんなことしなくちゃならないんだよ。同じ部活なんだから、それぐらい自分で聞け
よ」
纏まらない考えで、なんとかそれだけを捻り出す。
「だって、斎藤君を見てると、その、恥ずかしくてうまく喋れないんだもん」
本当に恥ずかしそうに、しかし少しだけ嬉しそうに彼女は言う。
「……好きなのか? 斎藤のこと」
つい、耐え切れなくなって、俺はそう彼女に聞いた。俺の勘違いであってほしかった。
「うん。多分、好きなんだと思う」
一目ぼれってあるんだね。なんの迷いもなくそう言って、彼女は笑った。頭がどうにかなりそう
だった。景色がグニャリと曲がる。まるで現実感がない。
「アイツ、地味だぜ。それでもいいのか?」
358 :
【品評会】明日もまた夕日が沈む3/5 ◆QAbQXuW886 :2008/01/13(日) 17:51:32.71 ID:kcVmFOjr0
俺がそう言うと、「違うよ」と彼女は笑いながら否定した。
「まあ、確かに地味だけど。すっごく優しいよ。この前なんてね、迷子になった小さい子をね…
…」
斎藤の事を嬉しそうに語る彼女、本当に嬉しそうに、今が楽しいというように。それを見て思っ
た。ああ、コイツは本当に斎藤が好きなんだ、と。俺なんて頭の端っこにもないくらいに。それで
俺の頭は、先ほどの混乱が嘘のようにクリアになった。
「いいぜ。よーし、俺に任せろ。この俺の手にかかれば、カップルの一人や二人ちょちょいのちょ
いだ。大船に乗った気でいやがれ!」
俺はそう言って、豪快に笑った。彼女も俺を見て、クスリと笑う。そう、俺が好きなのはこの笑
顔なんだ。ここで俺が思いのたけをぶちまけたところで、彼女を困せるだけだ。俺はただ、幸せそ
うな彼女を見ていたいのだ。
それじゃ、頼むね。そう言って、彼女は走り去っていった。まるで、最初に俺が振られたあの時
のように。
「俺、馬ッ鹿みてぇ……あーあ、まるでピエロじゃん」
そう呟く俺のそばには、彼女の残り香すら残されてはいなかった。
夕暮れの校舎に二つの影が伸びていた。俺の幼馴染と、斎藤修二、二人の影だ。俺は、物陰から
それを見ていた。彼女はしばらく迷っていたが、意を決したように何かを言った。そして、斎藤は
照れくさそうな顔でこくりと肯いた。
それからの幼馴染の喜びようといったらなかった。急いでこちらに走ってきたかと思うと、興奮
気味にこう言った。
「やったよ、ユウキ。斎藤君オッケイだって。わぁ、もうすっごく嬉しい! 私嬉しさで、死ん
じゃうかも」
おいおい、せっかく隠れていたのに。こっちまで来ちまったら斎藤に丸分かりだろ? 俺は苦笑
いする。そして、斎藤も俺に気づいて俺のそばまで来ると、やあと声をかけた。
「よかったじゃねぇか、俺も嬉しいぜ。これで俺も、お前のお守りから解放されるってわけだ」
なによぉと彼女はむくれて、俺の頭を叩く。俺は痛そうに頭を押さえる。斎藤がそれを見て微笑
む。なんともない日常。彼女は本当に楽しそうで、これでよかったんだと俺は思う。
359 :
【品評会】明日もまた夕日が沈む4/5 ◆QAbQXuW886 :2008/01/13(日) 17:52:24.24 ID:kcVmFOjr0
「それじゃあね。ユウキ君、またあした」
「ユウキ、おなか出して寝るんじゃないわよ。馬鹿のクセに風邪だけは引くんだから」
それじゃあな、と言って。俺は彼女と斎藤を送り出した。二人幸せそうな表情がとても眩しくて、
なんとなく、お似合いだなと薄ボンヤリした頭で思った。
公園のブランコに、俺は腰掛けた。ぼんやりと空を見る。すでに日は沈み、星がのぞいていた。
公園の近くにある家からは楽しそうな声と、明かりが漏れている。俺の恋は彼女が幸せになるとい
う形で終わった。
「……やべぇ、泣きそう」
あー、とうめきながら、俺は目頭を押さえる。なんだよ、最高のハッピーエンドじゃねぇか。た
だ、目標が一つなくなっただけだ。泣くなんておかしな話だろ? 笑えよ、俺。笑い飛ばしてやれ
よ。
「無理、絶対無理だ。これ……」
ぽたりと、俺の握りこんだこぶしに涙の滴が垂れる。努力した、ただ努力した。少しでも俺に振
り向いてほしい一心で。しかし、蓋を開けてみればこんなもんだ。所詮弟分は弟分、頼られる事は
あっても、振り向いてくれることなんてありはしないんだと、斎藤の事を楽しそうに語る彼女の横
顔を見て思った。
「悔しいなぁ……」
彼女が幸せになって嬉しい思いは確かにあるのに、悔しい気持ちもそれと同じくらいある。頭の
中はグチャグチャで、涙はとめどなく流れた。
「……俺、情けねぇ」
もう終わったと、そう気づいているのに、たかが二度失恋したくらいで、いまだにぐちぐちと悩
む自分が情けなくってしょうがない。
ギィとブランコを漕ぎ出す。思ったよりスピードがあった。風が、俺の涙を吹き飛ばしていく。
「やめだやめだ。俺は次にいくぞ! アイツよりかわいい子をみつけてやる」
ぴょんとジャンプし、加速のついたブランコから飛び降りると、決意を新たにした。俺は目元に
滲んだ涙を拭う。
「悩むのは性に合わないしな。努力努力っと」
360 :
◆QAbQXuW886 :2008/01/13(日) 17:53:18.50 ID:kcVmFOjr0
まさかの最初からクライマックス……
なんという……
361 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 17:54:40.76 ID:fxI14VVqO
362 :
◆QAbQXuW886 :2008/01/13(日) 17:55:33.24 ID:kcVmFOjr0
363 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 18:02:41.10 ID:7yv/9Oj00
どじっこかわいいよどじっこ
364 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 18:12:33.42 ID:kR/hCR+w0
お題下さいな
365 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 18:14:22.76 ID:QwzQbXqA0
366 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 18:15:24.71 ID:/9av9JJU0
品評会のお題見て思い出したんだけど
町田康の作品で「告白」ってあるよね?面白いらしいから古本屋で探してるんだけどなかなか見つからない
367 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 18:15:39.60 ID:se3U4zQo0
368 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 18:19:13.67 ID:kR/hCR+w0
369 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 18:21:05.24 ID:QwzQbXqA0
>>366 「人はなぜ人を殺すのか」
一体どんな告白なのか興味が尽きない。
370 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 18:35:43.99 ID:vc/o6KDY0
371 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 18:41:30.16 ID:I1Ip1nNxP
混む前に誰か規制スレ転載のをできる人いない?
2つあるぽ
372 :
アンダーニース (1/4) ◇QIrxf/4SJM:2008/01/13(日) 18:44:38.14 ID:rUeBrjy90
小岩井まろやかヨーグルトテイスト【牛乳仕立て】が美味しかった。反して、リプトンアップルティーは百二十円の価値がない。
あらかた、部屋の片づけを済ませた僕は、二八〇ミリリットルのペットボトルを叩き潰してゴミ箱に投げ入れた後、ヘッドホンで耳を覆った。周囲の雑音が、少しだけ小さくなる。けれども音楽は流れない。
内部断線という大きな障害が、僕と音楽を離れ離れにしている。ウォークマンは手元にあるのに、音楽とは程遠かった。再生ボタンを連打しても、操作音すら聞こえてこない。
近くて遠くて、もどかしかった。
僕はヘッドホンをつけたまま部屋を出て、一階のリビングに向かった。
階段を降り始めて最初に目に入る、姉が飾った大穴は、その六センチほどの奥行きを生かして可愛らしい人形を置くことによって、絶妙な視覚効果を生み出していた。スポットライトに照らされた、恋人たちの秘密の逢瀬だ。
リビングでは、姉が掃除機をかけていた。高いお金を出して買った、作動音の静かな掃除機である。そして姉は「ちっとも吸ってくれないんだから!」と怒り、予備のノズルをへし折ったものだ。
僕は廊下に立てかけてあったほうきを持って、掃除を手伝った。床の端にゴミがたまるように掃き、一箇所に集める。
「集めたから、吸って」僕は姉を手招きして言った。
姉は何かを小声で言ったようだが、ヘッドホンを貫いて耳に入ってはこなかった。僕はヘッドホンを外して首にかけた。
「ちょっとどいてね」と姉は言った。「こいつが頑張って吸うからさ」
掃除機は静かに、しかも少しずつゴミを吸い取っていく。米粒がタンクの中で舞い、カタカタと音を立てている。
吸いきったと思って姉が掃除機を持ち上げると、そこにはまだ紙の切れ端が残っていた。
「ほんと、使えない掃除機ね」
「拾うからいいって」僕は切れ端を拾って、ゴミ箱に入れた。こんな単純なことも、掃除機にはできないのだ。
「ありがと」
僕は綻びそうな口元をぐっとこらえて言った。「ほうき、しまってくる」
「何か飲む?」僕は聞いた。
「ホットミルク」
「オーケー」
拾ってきた業務用電子レンジで、ミルクを五〇秒温めた。取り出してみると、ぶくぶくと泡が立っている。息を吹きかけると、泡が弾けてミルクの表面に膜ができた。僕は化学的瞬間を目の当たりにしたのだ。ぶくぶく泡ぶく。
僕は車に轢かれて死んだ野良猫の死体を思い出した。彼(?)は口からぶくぶくと血を吐いていて、真っ赤な血の泡が、アスファルトの上に固まっていた。
抱き上げてやると、手には確かな生暖かさが伝わってきた。腕の中で死んでいるこいつは、ついさっき絶命したのだ。僕は野良猫にシーザーという名前をつけて、近くの空き地に埋めてあげた。すごく可哀想な猫だったと思う。
何度か、シーザーの墓に立てた目印を交換したものだ。最後に立てた石碑は、僕と姉の共同制作である。もちろん、今でも残っている。「赤き最後のシャボン猫、シーザーここに眠る」
僕は姉にホットミルクを渡した。彼女は器用に小指を使ってミルクの膜をすくい取り、口に運んだ。
「湯葉、おいしい」姉の頬がぽっと赤くなり、口元からため息が出る。
薄い唇が、ティーカップにくっついて、ずずずと音を立てる。
「湯葉は違うよ」
「他に何て言えばいいの?」
373 :
アンダーニース (2/4) ◇QIrxf/4SJM:2008/01/13(日) 18:45:08.63 ID:rUeBrjy90
「綾波レイ」
「あんたバカ? もういらないから、これあげる」姉はカップを差し出してきた。半分ほど残っている。
「ありがと」
姉は立ち上がってエプロンを外し、ソファの上に放り投げた。「さーて、もう一頑張りするわよ!」と言って、髪を頭の後ろで一つに結いながら、部屋を出て行った。
僕はミルクに息を吹きかけてみた。表面が揺れ、うっすらと浮かんでいた蒸気は吹き飛んだ。けれども膜はできない。同じようで違うミルクだ。
一気に飲み干して、姉の後を追った。引越しの準備は、まだ少し残っている。
「タフロープ買いに行かなきゃ」
姉が出かけると言ったので、僕はそのままにしていた髪を梳かしに洗面所に入った。鏡に自分の姿が映っている。
「綾波レイ」と僕は言い、右手で鏡に触れた。手と手が合わさっているように見える。けれども、僕が触れているのは一枚の鏡でしかない。触れているのに、掴めないものが多すぎる。
髪の毛を整えて洗面所を出た。パーカを羽織って、玄関先で靴を履いている姉に声をかける。「雨降ってるよね」
玄関先に出ると、案の定雨が降っていた。カエルがケロケロ鳴いている。彼らの合唱はよく聞こえるのに、姿はどこにも見えなかった。豪雨にも負けず、一体どこで泣いているのだろう。
「結構降ってるね」
「傘しまっちゃったよ」
「ええ」姉はため息をついた。
引越しの準備は、もう半分以上終わっているのだ。傘もレインコートもどこかのダンボールの中で眠っている。
びゅうと風が吹いた。吹き込んだ雨に顔が濡れて、僕は目を瞑った。
風が止んでから目を開けると、足元にアマガエルが一匹佇んでいた。僕を見上げて生意気にケロケロ鳴いて、ぴょこぴょこ去っていった。
「なんて名前かな、あのカエル」僕は言った。
「ケロ助」
「女の子だったら?」
「ぴょこ美」
「僕たちに、さよならを言いにきたのかな?」
そのとき、アマガエルがもう一匹、僕たちの前を横切った。体を雨粒に打たれながらも、俊敏にぴょこぴょこ跳んでいく。まるで、何かを追い求めるかのように真っ直ぐ前だけを見据えていた。なるほど。この子は、もう一匹に追いつけるだろうか?
「さよなら、ケロ助とぴょこ美」と姉は言った。
僕は心の中でひっそりと、遠ざかっていくカエルを応援した。あんなに近いのだから、きっと追いつく。
「はあ、行く気失せたわ。できるものから箱に詰めていきましょ」
「無くてもなんとかなると思うよ」
引越し屋は、二十時過ぎにやってくる。それまでに、準備を終わらせなくてはならない。
再び風が吹いた。すぐさま目を瞑る。僕の前半分はびしょ濡れだ。
374 :
アンダーニース (3/4) ◇QIrxf/4SJM:2008/01/13(日) 18:45:50.38 ID:rUeBrjy90
目を閉じたまま振り向くと、姉はぷっと吹き出した。
「ひっどい顔ね。――いらっしゃい」
姉に手をひかれてリビングに戻った。姉はダンボールをあさってハンドタオルを取り出し、僕の顔を丁寧に拭ってくれた。
部屋に戻って、ノートパソコンの電源を入れた。起動音がして、綾波レイの謎めいた表情が、画面いっぱいに映し出される。僕は彼女の頬を撫で、そしてパソコンの電源を落とした。
「違う」僕は呟いた。触れることすら叶わない。触れているのならば、掴むことができて当然だ。
ノートパソコンをたたんで電源コードを巻き、専用のケースにしまう。
僕は必要なものを全てダンボールに詰め、ガムテープで封をした。箱は全部で二つになった。
僕はそれらを重ねて持ち、パソコンを脇に抱えて階段を下りた。
リビングでは、姉が食器を新聞紙に包んでダンボールに詰めている。
「二階は終わったよ」ダンボールを廊下に置いて、僕は言った。「勉強道具を合わせて二箱なんて、悲しくなるよ」
「そんなもんでしょ。家具は別なんだし。そこのガムテープ取って」
僕は足元のガムテープを拾い、ダンボールに封をした。姉はサインペンで食器(ワレモノ)と書いた。
外さずに残っていた鳩時計が、十八時を告げる。
「ご飯、何がいい?」
「冷蔵庫の中身、全部使おう」
「そうね」
姉がエプロンをしてキッチンに立っている間、僕はダンボールに物を詰め続けた。
「そうだ、カーテンはずさなきゃ」
僕は外して回ったカーテンを丁寧に折りたたみ、フックは袋にまとめて、同じダンボールに詰めた。ガムテープで箱を閉じ、カーテンと記す。
それから僕は、一つ忘れていることに気がついた。
椅子を踏み台にして窓のカーテンを外した。ついでに窓を開けて、外に手を伸ばす。激しい雨が、僕の手に降り注いだ。
手を引っ込めて、ズボンで雨水を拭うと、窓の隙間から二匹のカエルが顔を出した。
彼らは二匹ならんで窓の前に佇み、喉を膨らませたり萎ませたりして僕を眺めていた。
ケロケロ、とぴょこ美が鳴いた。
ケロケロ、とケロ助が鳴いた。
僕は椅子から降りた。カエルたちは動かずに喉元だけをひくひくさせている。大きな黒目がきらきら光っているようだった。
「よかったね」僕は言った。
ダンボールに窓のカーテンを入れると、鳩時計が十九時を告げた。
「おまたせ」と言って、姉が得意げに料理を運んでくる。
375 :
アンダーニース (4/4) ◇QIrxf/4SJM:2008/01/13(日) 18:46:20.85 ID:rUeBrjy90
それは、紙の皿に盛られた謎のあんかけ料理だった。艶やかに照り輝いて、薄っすらと湯気が立っている。
「千宝菜よ」
次いで、姉はフライパンとコーヒーの入ったデカンタを持ってきて、テーブルの上に置いた。コーヒーを紙コップに注ぐ。
「いただきます」僕たちは向かい合って、割り箸を袋から取り出した。
僕は無言で食べた。味に文句は無かったし、話しかけてこなかったので黙っていたのだ。そして、皿の千宝菜はすぐになくなった。
「食べ終わった感想は?」と姉が言う。
「まずまずかな。だけど足りないからもう少し」
僕がフライパンに残った千宝菜を取ろうと箸を伸ばしたとき、姉はフライパンをひょいと持ち上げて言った。
「そんなことを言う人には、あげないんだから」
僕は席を立ち、姉の側に寄って訴えかけた。「お腹すいてるんだから、冷めないうちに食べさせてよ」
「だーめ。だめったら、だーめ」と姉は言い、フライパンを頑なに庇った。
僕が腕を伸ばし、姉がフライパンを振り上げる。
千宝菜が床に落ちた。僕はあんかけでぬめった白菜を踏み、体勢を崩した。
なんとか持ちこたえようと、姉の服を掴む。
僕は姉に被さるようにして倒れた。弾みで、手にやわらかいものが触れる。
瞬時に悟った。僕の右手は、姉の左胸に触れている。
ケロケロとカエルが鳴いた。
僕はそっと、右手に力をこめた。優しく握り、声を絞り出す。
「好き」
姉の頬はみるみるうちに赤く染まっていった。「それ、セクハラ!」
姉は僕を突き飛ばして立ち上がり、そっぽを向いた。その背中は、あんかけで汚れている。
「ねえ」僕は体を起こして、姉を呼び止めた。
姉の足がぴたりと止まる。
「お願いだから、セクハラで訴えたりしないで」
姉は僕の方を向き、頬を膨らませて睨んできた。
しばらくの沈黙が続いた。僕には、この沈黙を破ることができなかった。
「バカね」突然、姉はぷっと吹き出したのだ。「合意の下ってことにしてあげる」
「え?」僕は白菜を踏み、盛大に尻餅をついた。
「なにやってんの。早くしないと、引越し屋さんが来ちゃうわよ」
窓の方からケロケロと、嬉しそうな鳴き声が聞こえた。
376 :
【品評会作品】悪趣味(1/5) ◇xg3VcqAPFw :2008/01/13(日) 18:47:17.48 ID:rUeBrjy90
放課後、私は今日も相変わらずに屋上でグラウンドを眺めていた。
そこには運動部の連中が駆け回っているのが見える。勇ましく走る姿は私とは違う人種なのではないかと思わせた。
そういえばこの間サッカー部が全国大会に出場したとか。担任が機嫌がいいのはそれと関係があるに違いない。
校内もお祭り騒ぎだった。普段目立たない奴らが瞬く間にスターに祭り上げられていたのは最近のことだ。
しかし、それも私には関わりの無いことだった。もともと運動には興味の無い人種だったし、そもそも私が彼らを褒め
称えようものなら、彼らのほうから逃げていくことは目に見えていた。
私はクラスで一人浮いた存在だった。高校生にもなるとわざわざいじめに走る連中はいなかった。
異端の人間は関わらないのが一番だということを彼らも悟ったのだろう。
カサブタを剥いでいたい思いをするのは幼いころに繰り返した、そういうことなんだと思う。
考えてみると私が人から避けられるようになったのは高校に入ってすぐのことだった。
異端の極みである私の趣味を公開するようになり、それが知れわたったのが原因なのだから自業自得だろうか。
中学生のころの私は至って普通で、人に見せるべきでないものを理解し、隠すことを知っていた。
そして、もともと顔もかわいい系で、性格に難も無かった私は、それを見せさえしなければ人に好かれることもできた。
一時期の私は人生に三度のモテ期を存分に活用し、異性にもてはやされていた。
思い出せば告白されることは一度や二度ではなかったし、付き合ったこともある。
しかし、さすがに同性に好きだと告白されたときには困惑したし、もちろん断った。
残念ながら私に同性愛者の資質はないのだ。こんな趣味を持った私が言うのもなんだが悪趣味だ。
あの時の相手の、小さな体を震えさせて泣いていた顔や声は今でも覚えているのだけれども。
もっとも、その名前は今ではもう思い出せない。
久しぶりに昔のことを考えていると、すでに日が落ちかけていたことに気付いた。
鞄の中の携帯を取り出して時間を確認する……なんともう五時を過ぎているじゃないか。
先ほどまでぐるぐるとトラックを駆け回っていたはずの彼らはいつのまにかサッカーの試合をしている。
彼らはサッカー部だったのか。そういえば教室で一躍アイドルグループになった彼ららしき顔も見えなくも無いか。
私は地味に視力がよかった。それなのにメガネを身に着けているのはかわいいと思ったからだ。
いい加減帰ろうか、そんなことを思った頃、がさっと足音が聞こえた。
こんな時間に、こんな場所に来るのは誰だろう。
377 :
【品評会作品】悪趣味(2/5) ◇xg3VcqAPFw :2008/01/13(日) 18:47:47.96 ID:rUeBrjy90
うちの学校の屋上は、基本的にいつでも鍵は開いていた。だから人が入って来ること自体は不自然ではない。
しかしながら放課後の屋上に用があるような人間は私のような孤独な人間くらいじゃないだろうか。
もしかしたら私のような孤独な人間が、仲間を求めて来たのかもしれない、そんなことも考えた。
だからだろうか、すたすたと歩いて私の傍まで来てしまった彼を邪魔だと払いのけられなかったのは。
「二組の本条さんだよね?」
先に口を開いたのは彼だった。すらっと伸びた背、二番目まで開けられたボタン、男にしては長めの茶髪。いわゆる
チャラい男という風貌に先ほどまで抱いていた願望を捨てる。
「なんの用ですか」
これは介入の拒否。疑問ではなくこれ以上近づかないでほしいという意思を込めた言葉。
それなのに目の前の優男はあっさりと言葉を続ける。
「用は、後でいいんだ。暇そうにしてるからさ、おしゃべりでもしたいな、なんて思ったんだ」
そういいながら彼は私の隣に立つ、まるで恋人かのように、他人だというのに。
「いつも君、ここにいるよね? 何やってるの?」
「……別に、ただ暇だからここにいるだけ。赤の他人の貴方には関係のないことなんじゃないかしら?」
やけに笑顔な彼が、少しだけ笑顔を崩す。そしてすぐに笑顔を作り直す。
いっそそのまま気分を悪くして帰ってはくれないかしら。
「赤の他人じゃないよ、一度会ったら友達で毎日あったら兄弟なんだよ? 小さい頃そういう歌があったと思うんだけど……
だから僕たちは友達だと思うんだ。言い忘れてたけど僕は河野、下の名前は大輔。呼び方は君の好きでいいよ」
「……それじゃ赤の他人さん。私は貴方と友達になるつもりはないの。だから今すぐ帰ってくれないかしら?」
「はあ、困ったなあ……僕は君と仲良くなりにここまで来たというのに。それに僕はまだ帰るわけには行かないんだ」
「用が済まないから? だったら早く済ませて帰って。私は貴方の存在が不愉快だわ」
私の言葉に彼は黙った。そのまま黙って私の屋上から出て行ってほしい。
どうせ彼も私を避けるに決まっている。なら始めから近づかないで欲しかった。
しばらく時間が過ぎ、先に口を開いたのはまたも彼だった。
「あのさ、用を済ませることにした。一瞬で終わらせるから付き合って。僕が不愉快なのはわかった。でも……お願い」
彼は先ほどとは変わり、少し強張った顔でそう言った。今にも泣きそうな彼の言葉に、私はに逆らえなかった。
それでも、素直に従いきれなかったのは最後の反抗だろう。
「……いいけど。何だっていうの?」
それでもやはり素直に言葉にはならない。不愉快だと思いたかった。
「ありがとう。あのさ、えっと……あ、貴女が好きです。付き合ってください」
378 :
【品評会作品】悪趣味(3/5) ◇xg3VcqAPFw :2008/01/13(日) 18:48:20.80 ID:rUeBrjy90
彼女を好きになったのはもう一月も前のことだ。ある日廊下を歩いているときに窓から見えた人影。彼女はその日も
屋上に居た。
そのとき見えたのは黒く長い髪だけだった。けれどもなぜか僕は彼女が気になっていつの間にか屋上に来ていた。
僕はいきなり声をかけられるほど大胆ではなかった。その日はこっそり彼女を覗くだけに留まった。
僕は彼女に一目ぼれしていた。それから何度も放課後に彼女を覗いた。覗くだけだった。
しばらくして思い立ち、顔の広い友人に彼女について尋ねたところ、色々なことがわかった。
彼女の苗字は本条、下の名前は教えてくれなかった。自分で聞いてみろよ、と言った友人がにやついていたのが憎たらしい。
彼女は成績優秀であったがクラスでは孤立していたこと、部活には入っていないこと、クラスは友人と同じ二組であること。
彼女はあまり周りと関わりを持たないらしく聞き出せた情報は期待よりもはるかに少なかった。
最後に彼は、今にも笑いすぎで腹筋を壊しそうなのを堪えながら付け加えた。
「あいつはぁ、やめといた方が、いいと、思うぞっ、お前の、ためだ、あはは、いや、むしろ、頑張れ、俺は、面白いから」
お前に言われなくても僕の恋の思いは止められないなんて格好をつけておいたが友人の真意は知れない。
僕が覗いていた限り、彼女が避けられる理由はわからなかった。顔もかわいいし、とくに奇行を行うような雰囲気ではない
というのに。
そういえば僕が生まれて初めて告白したあいつの事を思い出した。あっさり振られてしまったが。
思い出してみると彼女の苗字は不思議にもあいつと同じだった。彼女とあいつがダブる。まったく似ても似つかないけれ
ど、初恋の相手と今好きな相手が同じ苗字というのは感慨深いものがあるな、振られたのだから不吉なんだけど。
そしてしばらくの間、日課となった、人から見れば変態行為である覗き見を繰り返したある日、僕は堪え切れなくて飛び
出していた。
全力でいい男を演じ、知らない男に警戒心を隠せない態度を取る彼女に対し、僕は諦めず食らいつく。存在が不愉快だ
なんて言われたのはさすがに堪えたが、それでも僕は諦めたくは無かった。今日必ず想いを告げるのだ、それだけを考えていた。
そして僕は、告白してしまった。
379 :
【品評会作品】悪趣味(4/5) ◇xg3VcqAPFw :2008/01/13(日) 18:48:53.71 ID:rUeBrjy90
貴女が好きです、そんな言葉を言われたのは随分と久しぶりだった。最後に言われたのは確か入学してすぐの頃だった。
しかし、その相手も私の趣味を知るとすぐに離れていった。
きっと、こいつも私の趣味を知れば私から離れていく。恐らくはこいつも偶然私の趣味を知らずに私に近づいたのだろう。
だから私は、はっきりと私の趣味を告げて、こいつとお別れしよう。
「貴方とは付き合えない。私はこんな格好をしてはいるけど、男だから。悪いけど同性愛に興味はないの。貴方もオカマと
付き合うなんてできないでしょう? とっとと消えなさいよ」
一瞬の時間が、長く感じた。長身の優男は唖然としていた。そりゃあそうだ。告った相手が男だったなんて思ったら
どうしていいかわからないだろう。ざまあ見ろ。さあ、早く消えてくれ。
「……ああ、そういうことだったのか。だからあいつは俺僕を止めたのか。そしてあの笑い方か、ああそうか……」
そう、絶望して、消えろ。二度と私に近寄らないでくれ。
でも彼は、消えてはくれなかった。そして話を続けていく。
「あのさ、もしかして君の下の名前って、孝じゃないかな? きっとそうだと思うんだけど……」
「え……?」
「君は僕のことをもう忘れてしまっただろう。背も伸びたし髪形も変わった。そもそも時間もたったしね」
どういうことだ? 私にはわからない。前にも会ったことがあるような素振りじゃあないか。私にはこんな奴と会った
記憶はない。
まてよ、河野……大輔……大輔……もしかして……
「まさか……」
「僕は大輔。苗字は変わったけど、中学二年の七月二日に君に告白した、大輔だ……」
380 :
【品評会作品】悪趣味(5/5) ◇xg3VcqAPFw :2008/01/13(日) 18:49:30.46 ID:rUeBrjy90
つまりはあのときの同性愛者がこいつだったわけだ。こいつは私を女だと思っていたみたいだけどまさか二度も同性から、
しかも同じ人間から告白されるなんて思わなかった。
私の最大のモテ期の黒歴史、まさかの同性愛者と、ここでまた会うなんて。
そういえばこいつはあの告白のしばらく後、転校していたから私がこの学校にいることは知らなかったのだろう。
私がこの学校を選んだ理由も、地元から離れていて、元同じ中学の連中に出くわさないからだったし。
私は高校に入ると同時に、今まで誰にも見られないように行っていた女装という趣味を外でも試してみることにした。
もともと私は女っぽい顔をしていたし、変声期にもほとんど声は変わらなかった。女装の技術には自信があったし、人に
見られてみたいという願望も、その頃にはピークに達していた。
結局、孝という名前のせいであっさり男であることはバレ、あっという間に孤立したわけなんだけど。
「あのさ、僕は……ぶっちゃけ男でもいいと思ってる。君は女の子じゃなかったけど、それでもこの気持ちは変わらない」
は……? 何を言っているんだ……? 男でも……良い?
「僕と付き合ってくれ」
彼は真っ赤な顔でさっきと口調は違ったけど、同じ言葉を繰り返した。どうしよう、少し恥ずかしくなってきた。
もしかしたら顔も赤くなってるかもしれない。認めたくないけど。
大輔の顔があの時と被る。見た目はまったく変わってしまった彼だけど、やはり面影は残っているのかもしれない。
私はしばらく考えて、結局こう言うことにした。
「ごめん、やっぱ付き合えないよ」
大輔は落胆する。こうなることはわかっていただろうに、大輔は同じことを繰り返した。
だから私は同じように繰り返さざるを得なかった。でも、あの時と気持ちは少しだけ違っていることに気付いてしまった。
だから私はあの時は言わなかった言葉を付け加えた。真っ赤になっていることも気付いてしまったから。
「でもさ、もう私たち友達だよね。友達なら、良いよ。むしろ嬉しい」
「え……?」
沈黙。私はさらに繰り返す。
「だからさ、一度会ったら友達なんだから。もう友達でしょ? 友達なんだから明日もここに来てよね」
「それは……えっと……?」
「いいから、明日も来るの。今日は私もう帰るからっ」
それだけ言って、私は鞄を持って立ち上がり、走って屋上から逃げ出した。
最後に見えたのは大輔の唖然とする顔だった。
あり得ない事をしたと思ったけれど、もう独りじゃないかと思うと、少しだけ心が弾んだ。
381 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 18:50:30.87 ID:I1Ip1nNxP
転載乙
協力できなくてごめんよ
382 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 18:52:00.42 ID:rUeBrjy90
やれやれ、自分のを書かずになにやってんだか
383 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 19:02:01.91 ID:fxI14VVqO
転載乙
今回の品評会は、二つ(!)も投下するつもり。結構がんばっちゃったよ
まあ二つ合わせて計5レスなんだけどね
感想かかなきゃいけないね
384 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 19:02:15.85 ID:I1Ip1nNxP
んじゃ、いざって時にさる食らわないように今のうちにさる
385 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 19:06:16.99 ID:vc/o6KDY0
>>382 君がしたことは尊いことだ。
日本で評価されにくいだけで素晴らしいことだよ。
断言する。誇って良い。まああまり自分からは言わない方が良いけどね。
386 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 19:17:23.16 ID:I1Ip1nNxP
387 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 19:19:43.67 ID:TEdBvtIWO
>>386 小説か漫画の台詞をパロってるんだとオモ
388 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 19:21:20.71 ID:I1Ip1nNxP
ああそうなんだ
パロディ弱いんだ ごめんね
389 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 19:21:43.41 ID:vc/o6KDY0
390 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 19:26:07.09 ID:TEdBvtIWO
>>389 お前、その前のレスでパロってるじゃねぇかw
勘違いしてゴメンなさい。
391 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 19:27:50.77 ID:ktUPrFue0
392 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 19:28:08.07 ID:vc/o6KDY0
>>390 ああ、俺はその辺柔軟なんだよね。
こだわりとか無いし。
まあなんて言うか、普通のVIPPERって感じ?
393 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 19:38:13.05 ID:fxI14VVqO
>>384 そうだね。あと何回か見直したら、とうかしよ
394 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 19:56:16.16 ID:fxI14VVqO
ほ
395 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 20:10:11.03 ID:fxI14VVqO
だれか保守しててねー
396 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 20:19:10.93 ID:qDauD03A0
ho
397 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 20:24:32.43 ID:8g9XT95l0
お題くれ
できるかはわからないが
398 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 20:31:14.52 ID:rUeBrjy90
豚
お題plz
400 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 20:38:43.60 ID:rUeBrjy90
牛
401 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 20:39:09.39 ID:klyRyYRK0
さがしもの
403 :
省エネの為に電気を消した暗い教室で0/1 ◆/sLDCv4rTY :2008/01/13(日) 20:41:01.21 ID:fxI14VVqO
【品評会】作品投下します。全1レス
404 :
省エネの為に電気を消した暗い教室で1/1 ◆/sLDCv4rTY :2008/01/13(日) 20:42:08.94 ID:fxI14VVqO
僕の前の席に座っている、耳岡さんの頭の両端に、二つ、はえた耳を、僕は、じっとみていた。
後ろから見たら耳は、ひしゃげたしいたけ、のようにみえる。なめらかな肌色の、しいたけ。
その肌色のしいたけが、二つ、耳岡さんの頭の両端にはえている。
みていて、さわりたくなる、耳岡さんのいろっぽい、うなじ。
でも、耳はあまりさわりたくない。それはだって、アブラですこし艶がでていて、
プラスチックみたいな感じになって、暗い教室のなかでもテカテカと光っている……。
テカテカと光っていて肌色でひしゃげたプラスチックのしいたけが、耳岡さんの顔の両端に……。
……しいたけが、しいたけが耳岡さんについている……。
耳岡さんは居眠りをしている……。チョークが教室に軽快な音を響かせる……。
耳岡さんのカレシの、吉田くんも寝ている……。
……おかしい、……おかしい、……しいたけが耳岡さんの顔の両端に、……そういうのって、おかしい……。
……宇宙人がみたなら、奇妙におもえるだろう……、首すじ、頬などとちがって、耳だけが赤黒に近い肌色をしているから、より、歪……。
しいたけ……。肌色のしいたけ……。
宇宙人の目線になって見てみよう……。なにか、判るかも……。
……(宇宙人……)……(宇宙人だ……)……。
……宇宙人の目線になってみてみると、やっぱり、おかしい。
……おかしい。しいたけは、おかしい。
でも、おかしいと気づいた瞬間、僕にも、僕の頭にも、それがついていることに気づいた……。
……居眠りをしている耳岡さんの耳と、僕の耳とを交互にさわり、おなじものがついているとしり、うれしくなって、
とてもうれしくなって、告白、なんてそんなこと、はずかしいことをしようかと思ってた……。
電気を消した暗めの狭い教室で、告白しよう、そう思って、やっぱり、やめた。
だって笑われるだろうし、やめて、よかった。
よかった。
405 :
【品評会】 ◆/sLDCv4rTY :2008/01/13(日) 20:45:40.30 ID:fxI14VVqO
以上です
タイトルが長くて、もしなにか不都合があるのなら
「教室で」
にしてください。
よろしくお願いします。
>>404 ……が過剰な気がするので減らしたほうがいいかと、個人的には思う。
407 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 20:52:23.08 ID:8g9XT95l0
408 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 21:01:39.41 ID:fxI14VVqO
>>406 今回、読点と、「……」を意識的に多くつかってみました。
過剰ということは判っていましたが、前回の品評会(お題:朝)で「読点を極力使わない」と言うことを意識してやってみたら、
なかなかいい勉強になったので、今回もまた、いつもやったことない文体でやってみようと思ってやりました。
まあ過剰って言ってもほどがあるんだけどね。俺のはやり過ぎ。
でもたのしかった。批評ありがと。
どうせ俺のは糞だし自由にやるよ。ウホホイ
409 :
【品評会】小林君の告白0/4 ◆LBPyCcG946 :2008/01/13(日) 21:07:23.91 ID:5MkfmRI30
品評会いきますよ
410 :
【品評会】小林君の告白1/4 ◆LBPyCcG946 :2008/01/13(日) 21:08:24.07 ID:5MkfmRI30
我ながら、寝起きは良い方だと思う。目覚ましをセットしていなくても、毎朝7時にはき
ちんと起床し、パッと目が開けば、すぐにベッドから起き上がれる。しかし、この体質は少
しだけ厄介でもある。なぜなら今日は日曜日、学校は休みだからだ。
しかし目が覚めてしまったからには仕方が無い。私は朝日の光が漏れるカーテンを、少し
だけ右に開いた。するとそこには、よく知った顔があった。クラスメイトの、小林君だ。
「おはようございます! 僕は君の事が」
そこまで聞いて、カーテンをピシャッと閉めた。私の部屋は2階だ。それにしても、車線
とほぼ同じくらいの幅のクレーン車が、朝からこんな住宅街に現れて、近所の人はさぞ迷惑
している事だろう。
きちんとカーテンが閉まっている事を確認した後、パジャマを脱いでジーパンとTシャツ
に着替えた。携帯の受信メールボックスを見ると、小林君から100通も届いている。内容
は見なくてもわかっているので、そのまま全て消去する。
自分の部屋から1階に下りた。トースターで食パンを焼きながら、何気なくリモコンでテ
レビの電源をつけると、星座占いがやっていた。
『今日の1位はおひつじ座。運命の人から愛の告白があるかも〜!? ラッキーパーソンは、
同じクラスの小林君』
1つの番組を買収するにはいくらくらいお金がかかるのだろうか。そんな事を考えながら、
ジャムを塗ったトーストを頬張る。食べ終わるとすぐに出かける支度を済ます。
お財布と携帯電話、それだけ持って、まずは玄関から靴を回収。リビングの方から小さな
庭に出て、ブロックの塀を乗り越えた。玄関から出れば、赤いじゅうたんで迎えられる事は
わかっているから、自分の家だというのに後ろから脱出しなければならない。玄関の郵便受
けに刺さった何十通ものラブレターは、後できちんと焼却処分。
411 :
【品評会】小林君の告白2/4 ◆LBPyCcG946 :2008/01/13(日) 21:08:55.04 ID:5MkfmRI30
とりあえず今日は、本屋へ行こう。好きな漫画の最新刊と、毎週読んでるテレビ雑誌が出
ているはずだ。道中、選挙ポスターに混じって小林君の爽やかな笑顔のポスターを何度も見
かけた。『僕と付き合ってください!』というキャッチフレーズは、いかがな物か。近所の
子供達に変な落書きされない事を、祈るばかりだ。
駅近くの本屋。雑誌コーナーにさりげなく小林君が表紙の雑誌があった。もしかして、と
気になって手にとって開いてみれば、なんとインタビューを受けている。
「――好きになったきっかけは?」
「そうですねぇ……。中学校に入って偶然同じクラスになって……ええ、ひとめぼれでした
ね(笑)まさに運命の出会いを感じた瞬間でした」
「――それでは最後に一言」
「ぼ……」
と、その辺で雑誌を閉じて、肝心の漫画を探す。あった。それとテレビ雑誌も。レジに持
っていくと、3つあるレジの内、左右の2つにはびっしり人が並んでいるというのに、真ん
中1つだけぽっかりと空いている。そこにいる店員は、何やら深く帽子を被っている。嫌な
予感しかしないので、右のレジに並ぶ。が、一向に列は進まない。エキストラの皆さんお疲
れ様です。
渋々と真ん中のレジに並べば、案の定小林君の登場だ。
「やあ! 奇遇ですねえ……僕、ここでバイトしてて」
なんとわざとらしい。雑誌の表紙にまで登場しておいて、バイトも何も無いだろう。
「いやぁ、これって……運命、感じますよね。本当に」
呟きながら本を紙袋に入れる小林君。馴れていない手つきだ。
「ところで、」
財布からぴったりお金を出すと、本をとってそそくさと本屋を後にした。
今日は休日、時間はいくらでもある。私が次に向かったのはレンタルビデオ屋だ。駅近く
には、大きなレンタルビデオ屋と、小さなレンタルビデオ屋が隣接してあり、いつも私が使
うのは、大きなレンタルビデオ屋の方だった。私はいつものように大きなレンタルビデオ屋
の自動ドアをくぐると、すぐに踵を返し、早歩きで小さなレンタルビデオ屋に入った。大き
なレンタルビデオ屋に何か仕掛けを打ってある事は、自明の理、という訳だ。
412 :
【品評会】小林君の告白3/4 ◆LBPyCcG946 :2008/01/13(日) 21:09:25.39 ID:5MkfmRI30
店は小さいながら、作品数自体はそれなりに豊富。私は好きなアクション映画のコーナー
を物色し、1本のDVDを手に取った。
『デパートの警備員ジョン・ケフナーは、元グリーンベレー。業務中、謎のテロ組織にデパー
トが乗っ取られる。警棒を武器に一人で果敢に立ち向かうケフナー。果たして彼の運命やい
かに!?』
B級の臭いがプンプンするそれを、私はレジへと持って行った。レジの店員さんは、いたっ
て普通の店員さんだった。今頃大きなレンタルビデオ屋の方で、今か今かと待っているであ
ろう小林君を思うと、僅かながら心が痛んだが、3秒程でそんな思いも飛んでいった。
帰りも勿論家の裏からだ。ブロック塀を乗り越える所を隣に住むおばさんに不審な目で見
られたが、そんなの気にしない。気にしないったら気にしない。
家に入るとすぐにDVDをセット。再生ボタンを押し、映画の本編が始まった。思った通りの
ストーリー展開。そしてドーピングでもしてるのかと思う程にムキムキのケフナー。流石は
元グリーンベレーだ。
映画は1時間半を過ぎた頃、いよいよクライマックスシーン。人質を持って立て篭もるテ
ロリスト達が、ついに爆弾を作動させる。果たしてケフナーは脱出する事が出来るのだろう
か。ドカーン! 派手な爆音と共に、画面が煙に包まれる。煙の中から出てきたのは、小林
君。あれ!? ケフナーは? というか人質……。などと思っていると、画面内の小林君が
カメラ目線で喋りだす。
「ふふ、君の趣味はリサーチ済みさ。君の心を警備……」
プチ、とリモコンでテレビの電源を切った。日本語喋ってるのに日本語の字幕いらないだ
ろうに。
413 :
【品評会】小林君の告白4/4 ◆LBPyCcG946 :2008/01/13(日) 21:09:56.26 ID:5MkfmRI30
仰向けにねっころがって、今日買ってきた漫画に手を伸ばす。パラパラと最後の方のペー
ジを見たところ、小林君はいない。もしや、と思い著者近影の写真を確認するが、大丈夫だ。
ホッとしつつ、漫画を読み進める。……普通だ。おかしい事が無いなんておかしい。いや、
言ってる事がおかしいかもしれないが、おかしいのが普通になっていて、おかしい事が無い
とおかしく感じる。という意味だ。断じて私はおかしくない。普通だ。
もう休日も夕方に差し掛かっている。ふと騒がしいと思い、テレビを見てみると、野球中
継が盛り上がっていた。9回裏満塁、ホームランが出れば一発逆転サヨナラという場面。バッ
ターがバッターボックスに入る。
「4番、ピッチャー小林君」
小林君はバットでスタンドの方向を指す。かの有名な、予告ホームランのポーズだ。ここ
でカメラがバッターボックスのアップになり、アナウンサーが駆け寄る。野球中継にあるま
じき演出だ。
「もし予告ホームランに成功したら……僕の人生のキャッチャー役になってくださ……」
カメラ目線でそう訴えかける小林君、当然のように別のチャンネルに変える。
さて、そろそろ寝る時間だ。明日も7時には起きるだろう。私は灯りを消して、布団に深
く潜り込んだ。いつになったら小林君は、普通に告白してくれるのだろう。
414 :
【品評会】小林君の告白 ◆LBPyCcG946 :2008/01/13(日) 21:10:27.04 ID:5MkfmRI30
完
書き忘れた
415 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 21:12:43.96 ID:I1Ip1nNxP
意識といえば
今まで感嘆符と疑問符を使わないよう意識してきたんだけどさ、
今風の喋り方をさせると使わないで表現するのは難しいね
416 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 21:15:54.69 ID:qIqDHIKkO
>>408 いや、いいんじゃねーかな。
…が多いと言えば確かに多いんだけどさ、この場合明らかに意図のある多用だし、減らしたからって良くなるもんじゃないと思うんだよね。
これの場合他の表現とか使ってると冗長って言うかくどくなりそうだし。
417 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 21:29:32.98 ID:vc/o6KDY0
418 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 21:31:57.05 ID:LM+62qe40
>>409 主に文章に対しての指摘をします。偉そうでごめん。
動作の表現がおざなりというか、投げやりだよな。
特に動詞の使い方を工夫した方がいいと思う。類語辞書とか使ったらどうだろう。
オチはいいと思うな。ありがといえばありがちだけど、シンプルで上手く全体を纏める事が出来ている。
あとは「自明の理」だとか「踵を返す」だとかいう表現が鼻につく。
文章全体はこれらの言葉を使うにふさわしいレベルまでには達していないのに、
本を読んで知ったであろう、そういう手垢がついた言葉を使われると不快な気分になる。
まあ、多少は仕方が無い部分もあるのかな、とは思うけど。
>>417 陳腐な表現になりがちだからだろ。
419 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 21:36:49.06 ID:I1Ip1nNxP
>>417 俺の時代の国語の教科書では使われてなかったから
今は使われてるけどね
>>418のような理由もある
約物を減らしてどこまでやれるかなあ、と
420 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 21:38:29.24 ID:fxI14VVqO
421 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 21:40:45.00 ID:LM+62qe40
>>420 Yahoo!辞書の[類語]がお勧め。
書店で書籍として出されているような類語辞書とは見劣りするが、
プロでもない限りこれで十分だと思うんだ。勿論無料。
422 :
牛:2008/01/13(日) 21:42:23.18 ID:goRHKUt40
投下します。
品評会とは関係ありません。今の時間帯だめだったら言ってください。
423 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 21:43:25.86 ID:I1Ip1nNxP
424 :
牛[1/5]:2008/01/13(日) 21:43:49.29 ID:goRHKUt40
「牛」
朝。まだ日もでてない時間に俺の朝は始まる。
もう18歳だから。と牛を半分任された。
今日は休みだし、ちゃんと管理ができる。
確かに辛いが、まぁやりがいもある。
牛の餌であるかいばを餌箱に入れていたときだ。
「佑ちゃーん!」
弟の孝助がきた。
「おお、どうした?」
孝祐は俺と結構歳が離れている。
孝祐はまだ10歳で小学生だ。
俺は3人兄弟だったのだが、真ん中の健助は、ある日突然出て行ってしまった。
健助が居た頃は一緒に父さんの仕事を手伝っていた。多分、辛かったんだろうこの仕事が。
まぁ出ていったって別に憎むわけでもない。そういう生き方も良いだろう。
親も無理には捜さなかった。もしかしたら話し合ったのかもしれない。
「これ、俺、や、るから佑、ちゃん休んでて・・・・」
孝助は俺の事を佑助の佑で「佑ちゃん」と呼ぶ。
「だめだ。孝助には孝助の仕事があるだろ?」
「も、もう終わったもん」
「だーめ。これは俺の仕事。母さんの手伝いをしてきなさい」
「・・・・はーい」
少しふてくされた感じで走り去っていった。
でも仕様がないのだ。働かざる者食うべからず。これ家の鉄則ね。
425 :
牛[2/5]:2008/01/13(日) 21:45:26.20 ID:goRHKUt40
「ふー・・・・」
時間が大分経って、日も出てきた。
今日は少し早く終わってしまった。ちょっと牛達の様子を見てくるか・・・。暫く見回っていると、どこか違和感を感じた。ロロの檻の場所だ。ロロは健助と一緒に初めて牛の世話をした牛だ。
・・・だが、いつもはすぐに散らかってしまうロロの檻の中が綺麗に整えてある。
「・・・ま、こんな事も在るか」
そう思ってその場を後にした。
「佑ちゃーん!」
また孝助だ。
「おお、仕事終わったのか?」
「うん、終わった。佑ちゃんは?」
「終わったよ」
孝助は牛舎を見回す。
「佑ちゃん、一人だと大変?」
「ん・・・・まぁ。な」
孝助は俯く。
「・・・・健くんがいなくなったから佑ちゃんが大変なんだよね・・・」
「そんな事いうんじゃありません。健助の事、嫌いなのか?」
孝助は首を横にプルプル振る。俺は孝助の頭をポンポンと叩いてやった。
「孝助、先戻ってろ」
そろそろ朝食の時間だ。
「うん」
孝助は走っていった。
「んー・・・・・・」
背伸びをする。本当にここの空気は美味しい・・・ん?牛舎の出口の所に何か落ちている。
・・・・・白い封筒には「大崎佑助様」と書かれている。差出人の名前は・・・無い。
おかしいな。郵便屋さんまだ来てないのに・・・。気持ち悪さを感じたが、手紙で在る事は間違いない。とりあえず家に帰って、読む事にした。
426 :
牛[3/5]:2008/01/13(日) 21:45:57.98 ID:goRHKUt40
佑助様
急の手紙、失礼します。
名前書けなくて、ごめんなさい。
出てから何度も何度も佑助様に罪悪感を感じてます。本当にごめんなさい。
帰ってこようと、何度思ったか。でも今更帰ることなんてできません。
私はあなたと、母親と父親と弟を裏切りました。とてもじゃないけど、顔なんて合わせられません。
せめてあなたにだけ口で謝ろうかと思いましたが、やはり姿を見せる事ができず。結局手紙だけの謝罪となってしまいました。
本当にごめんなさい。私は馬鹿です。
あなたに今一人でやらせて辛い思いをさせて・・・。
あの時はここから出ないとだめだとか思って出てしまいましたが、
あの仕事の素晴らしさに今気付きました。
ロロの面倒をもっと見て居たかった。
もしやり直せるなら私は、あの頃に戻ってあの頃の私をぶん殴りたいです。
本当に、ごめんなさい。
私は生きてます。
追伸
牛舎のある場所に、あるものを置いていきます。
あなたに返したかった物です。
さようなら。
427 :
牛[4/5]:2008/01/13(日) 21:46:27.91 ID:goRHKUt40
・・・・これ・・・・
健助、か・・・・?
牛舎のある場所・・・・それは多分さっき違和感を感じたロロの場所だ。
牛舎に行き、さっきの場所を探す。
かいばが以上に整ってる場所。
かいばを書き分けて探す。
・・・なにかがコツンと手に当たった。
瓶だ。
中には・・・・。
!!
俺と、健助が作ったタイムカプセル的なモノだった。
作ったときに俺がまず書いて、その後健助に渡して・・・・次の日それごと居なくなってしまった。
「俺らだけで牛の世話みるようになったら開けような」
俺と健助にとって牛はとても大切な存在だった。
特に、2人で世話を見ていた一頭の牛のロロはとても大事だった。
だからそう約束した。中には、2枚の紙。一枚は俺だから、健助も書いたんだろう。
「・・・・・・ッ・・・・」
涙がこみ上げてくる。
牛舎の外に出て、健助を探すが、
そこにはただ寂しく風の吹く北海道の平原が広がっていた・・・・。
428 :
牛[5/5]:2008/01/13(日) 21:47:16.36 ID:goRHKUt40
8年後。
俺は26歳になった。
まだ健助は行方不明だ。
だが今は結婚してるから嫁も居て、娘が一人。幸せだ。
孝助は18歳だ。彼女も居る。
今では俺は牛舎全体を俺が管理している。
この前、ロロが子供を産んだ。
母子ともに良好。ロロは生きてる。
ロロが元気だと、健助も元気な気がする。だから健助はまだ生きている。
ロロの仔牛の名前はララだ。簡単で、覚えやすい。
「ロロー、元気か?」
「ムオー」
いい声だ。健助も今日は元気に頑張っているはずだ。
いつか戻ってきた時の為に牧場の経営はちゃんと続けるし、何年だって待つよ。
無論、タイムカプセルはまだあけてない。
429 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 21:50:08.37 ID:fxI14VVqO
>>421 あ、ありがとう! これつかう!!
勧めようとおもったのに、ぎゃくに勧めめられちゃった! てかいいねこれ! おれぷろじゃねーし
>>420 は無かった事に。文章も意味不明。
430 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 21:51:39.17 ID:LM+62qe40
何だか俺KYみたいだったな。
>>418は無視してくれると有難い。
>>429 喜んでもらえて嬉しい限りだww
431 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 21:52:29.33 ID:vc/o6KDY0
>>418 >>419 陳腐、まあ確かにリアル鬼ごっこに多かったような気がするね。
俺は横書きと感嘆詞の相性は良いと思うけどね。
感嘆詞が多ければ行が伸びて、アクションの時とかの「気合い」みたいな物が表現されると思う。
>429
辞書はinfoseekにもあるよ。
432 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:05:47.47 ID:qIqDHIKkO
ああ、横書きと!とか…とかの記号の相性が良いってのはある気がするな。
縦書きで多用されてると確かに若干微妙な気がするが、横書きだとあんまり気にならないと言うか、割とテンポ良い感じを出せる気がする。
ところで誰か救済スレから転載頼みます。
今回の規制は長いぜ…
433 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:05:50.55 ID:fxI14VVqO
そこもみてみる ほ
434 :
【品評会】 夢の続きは 1/5 ◇7BJkZFw08A:2008/01/13(日) 22:07:49.80 ID:7yv/9Oj00
「行ってきまーす」
そう言いながら扉の外へと駆けだしていく娘を見送ったのはいつの日のことだったろう。
と、正俊はふと考えた。
彼の隣には今、妻の美代子がいる。そして、彼の周りにはたくさんの人々がいる。
彼らは皆楽しげで、幸せそうな顔をしながら、そんな周囲の誰よりも幸せそうな顔をしている娘の芳香を取り囲んでいた。
(結婚式、か)
芳香はこの度、めでたくある商社の青年と結婚することになった。
今日はその結婚式である。
結婚式と言えば、父親はボロボロと泣き崩れているものだ、というイメージがあるのは何も正俊の頭の中だけでもあるまい。
しかし、式ももう終盤だというのに、正俊は未だ涙一つ見せていなかった。
式の間中、麻酔でも打たれたかのようなぼうっとした感覚が頭を襲い、それとともに正俊は様々なことを思い出していた――
あれはずっと昔、芳香が生まれる時の話だ。
正俊は会社で、美代子が産気づいたという電話を受けた。
周りの皆はひどく盛り上がって、正俊に今すぐ病院に行けとしきりに促した。
だが正俊は周りの熱に反比例するように、自分が行ったところで何になるというのだ、などと冷めた考えを内心抱いていた。
しかし、会社を出てタクシーに乗ってみると、メーターが回るにつれて自分の気持ちが昂ぶっていくのを感じずにはいられなかった。
タクシーは病院まで後一歩と言うところで信号待ちを食らった。正俊は昂ぶった心を押さえつけることができす、タクシーを飛び降りて自力で病院へと駆けこんだ。
昔ほどは走れないらしい、そう感じながら上がった息をなんとか整え、受付で美代子の部屋番号を尋ねた。
受付の看護婦は正俊の形相に驚いたらしく、少しの間呆気にとられてさえいた。正俊がせかさなければもうしばらくそのままであったかもしれない。
正俊が病室の扉を突き破らんばかりの勢いで駆け込んだのは、今にも赤ん坊が出てくるかという緊迫した雰囲気の中だった。
美代子が突然正俊が出現した事に気づいて驚いたのが功を奏したのか、その直後、ついに一つの命が無事誕生した。
わが子が血と羊水にまみれたぐちゃぐちゃの姿で取り上げられ、それでも確かに強い生命を感じさせる泣き声をあげたとき、正俊は自分が泣きながら笑っていたことを今も覚えている。
正俊は赤ん坊の芳香が可愛くてたまらなかったが、それでも始終芳香のあげる泣き声には辟易したものだった。赤ん坊の泣き声というのは人の心をかきむしり、妙にいらだたせるものである。
ある時美代子が近くのスーパーへ買い物に出かけ、その間正俊が芳香と二人で留守番することになった。
芳香がむずがるので抱っこして見ると余計泣く、うんちでも漏らしたかとオムツを開けてみても何もない。
終いには芳香の顔が鬼でも見たかのような恐ろしい形相になり、ほとんど金切り声のような声でぎゃあぎゃあ泣きわめくに至って、正俊は一瞬この腕の中で騒ぐ小さな生き物を床に叩きつけたい衝動に駆られたが、そんなことができるはずも無い。
とうとう正俊も半べそをかきながら芳香をあやしているところで美代子が帰ってきて、「あらあら、芳香もパパも泣き虫さんねぇ」などと落ち着いた声をかけた。
435 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:08:27.66 ID:vc/o6KDY0
>>432 救済スレッドってどこにあるの?
文芸創作板ってとこ?
436 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:11:18.53 ID:7yv/9Oj00
あ、まずい
2レス目、32行あるんだけどどうしよう…
437 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:13:23.69 ID:qIqDHIKkO
>>436 二行ずらして下さい。すみません。
気を付けたつもりだったんだがな…
438 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:14:58.91 ID:7yv/9Oj00
了解
gdgdですいません
最初から貼りなおします
439 :
【品評会】 夢の続きは 1/5 ◇7BJkZFw08A:2008/01/13(日) 22:16:13.75 ID:7yv/9Oj00
「行ってきまーす」
そう言いながら扉の外へと駆けだしていく娘を見送ったのはいつの日のことだったろう。
と、正俊はふと考えた。
彼の隣には今、妻の美代子がいる。そして、彼の周りにはたくさんの人々がいる。
彼らは皆楽しげで、幸せそうな顔をしながら、そんな周囲の誰よりも幸せそうな顔をしている娘の芳香を取り囲んでいた。
(結婚式、か)
芳香はこの度、めでたくある商社の青年と結婚することになった。
今日はその結婚式である。
結婚式と言えば、父親はボロボロと泣き崩れているものだ、というイメージがあるのは何も正俊の頭の中だけでもあるまい。
しかし、式ももう終盤だというのに、正俊は未だ涙一つ見せていなかった。
式の間中、麻酔でも打たれたかのようなぼうっとした感覚が頭を襲い、それとともに正俊は様々なことを思い出していた――
あれはずっと昔、芳香が生まれる時の話だ。
正俊は会社で、美代子が産気づいたという電話を受けた。
周りの皆はひどく盛り上がって、正俊に今すぐ病院に行けとしきりに促した。
だが正俊は周りの熱に反比例するように、自分が行ったところで何になるというのだ、などと冷めた考えを内心抱いていた。
しかし、会社を出てタクシーに乗ってみると、メーターが回るにつれて自分の気持ちが昂ぶっていくのを感じずにはいられなかった。
タクシーは病院まで後一歩と言うところで信号待ちを食らった。正俊は昂ぶった心を押さえつけることができす、タクシーを飛び降りて自力で病院へと駆けこんだ。
昔ほどは走れないらしい、そう感じながら上がった息をなんとか整え、受付で美代子の部屋番号を尋ねた。
受付の看護婦は正俊の形相に驚いたらしく、少しの間呆気にとられてさえいた。正俊がせかさなければもうしばらくそのままであったかもしれない。
正俊が病室の扉を突き破らんばかりの勢いで駆け込んだのは、今にも赤ん坊が出てくるかという緊迫した雰囲気の中だった。
美代子が突然正俊が出現した事に気づいて驚いたのが功を奏したのか、その直後、ついに一つの命が無事誕生した。
わが子が血と羊水にまみれたぐちゃぐちゃの姿で取り上げられ、それでも確かに強い生命を感じさせる泣き声をあげたとき、正俊は自分が泣きながら笑っていたことを今も覚えている。
正俊は赤ん坊の芳香が可愛くてたまらなかったが、それでも始終芳香のあげる泣き声には辟易したものだった。赤ん坊の泣き声というのは人の心をかきむしり、妙にいらだたせるものである。
ある時美代子が近くのスーパーへ買い物に出かけ、その間正俊が芳香と二人で留守番することになった。
芳香がむずがるので抱っこして見ると余計泣く、うんちでも漏らしたかとオムツを開けてみても何もない。
終いには芳香の顔が鬼でも見たかのような恐ろしい形相になり、ほとんど金切り声のような声でぎゃあぎゃあ泣きわめくに至って、正俊は一瞬この腕の中で騒ぐ小さな生き物を床に叩きつけたい衝動に駆られたが、そんなことができるはずも無い。
とうとう正俊も半べそをかきながら芳香をあやしているところで美代子が帰ってきて、「あらあら、芳香もパパも泣き虫さんねぇ」などと落ち着いた声をかけた。
440 :
【品評会】 夢の続きは 2/5 ◇7BJkZFw08A:2008/01/13(日) 22:16:50.91 ID:7yv/9Oj00
芳香は美代子の乳を貰うと途端に泣きやみ、泣きつかれたのかすぐに眠ってしまった。
「全く、母親の力には敵わないな」
「ふふっ。そうでしょう?」
二人は眠っている芳香の涙の跡が張り付いた顔を眺めながら、そんなことを言い合った。
芳香が初めて「パパ」、「ママ」と喋れるようになったとき、「よしか」と自分の名前を言えるようになったとき、初めて自分の足で立ち上がり、歩けるようになったとき……
正俊は今もずっと覚えている。
どれも楽しく、幸福で、大切な記憶の数々である。
これはもうしばらく後の出来事。
芳香が中学生の時だっただろうか。もういわゆる反抗期に入った頃の話である。
ある時芳香がふさぎこんで二日ほど部屋から出てこなかったことがある。
正俊は心配でならなかったが、美代子に聞くと「女の子はああやって大きくなるものなんですよ」と笑いながら言われた。
正俊は美代子が何を言っているのかわからないので不安ではあったが、下手に芳香に手を出しても噛みつかれることがわかっていたので、美代子の言うとおり黙って見ていることにした。
その後部屋から出てきた芳香を見たとき、なるほど逞しくなったような気がする、と正俊は感心しながら美代子を見て頷き、美代子は(私の言った通りでしょう)とでも言いたげに、正俊を見て微笑みながら頷いた。。
ふと気付くと正俊はたくさんの人々と一緒に式場の外にいた。
芳香が新郎と一緒に式場から出てくるのを見た時、不意に正俊は自分の頭の痺れが消えていくような気がした。
そして同時に、涙がすーっと流れた。涙腺が壊れたかのようにボロボロと流れて止まらない涙に、正俊は自分でも驚いた。
「本当に、いつまで経っても泣き虫なんだから」
いつの間にか――いや、ずっと一緒だったのだろう美代子が、自分も涙で潤んだ目つきでそう言った。
「まーちゃんをいじめたら、ゆるさないんだからねっ!」
これはもう、ずっと昔の話である。
正俊は小さい頃は体も小さく、気も弱かったので、周りからからかわれる対象としてひどく適当であった。
そんな正俊に「わたしがまーちゃんをまもるね!」などと言って付きまとっていたのが、近所に住む美代子だった。
その頃の美代子は他の男の子達より背も高く、気も強かったので、周りから一目置かれる存在だった。
正俊が友達にからかわれ、泣き出したあたりで飛び出してきては正俊を背に仁王立ちして「あんたたちそれでもおとこのこなのっ!」とぎゃんぎゃん騒いでいたものだ。
実のところ、美代子が出しゃばるほど「やーい、おんなにまもられてやんのー」と陰でからかわれていたのだが、気の弱かった正俊は美代子にやめてくれとも言えず、一人頭を抱えていたのだった……
441 :
【品評会】 夢の続きは 3/5 ◇7BJkZFw08A:2008/01/13(日) 22:17:55.68 ID:7yv/9Oj00
「ホラ、あなた」
美代子が正俊の背中をつついた。
見れば芳香はもう車に乗っていて、こちらを向いて手を振っている。
その姿を見ると、鉄砲水のような涙が正俊の目から零れ落ちた。
正俊は何か言おうと思ったが、こみ上げる嗚咽を抑えるのに必死で、胸を張ってブンブンと大きく手を振ることしかできなかった。
美代子が正俊に付きまとわなくなったのは、いつのことだったろう。
中学校、いや、小学校、もっと昔のことだっただろうか。
高校生になった正俊は、陸上部に入り、そこそこに活躍していた。
正俊ももうそろそろ少年と青年の境の年頃であり、以前ほどの気弱さはもう無い。
美代子は同じ高校に入ってはいたが、正俊と顔を合わせることは少なくなっていた。
後から知ったことだが、実は美代子はずっと正俊の事を見ていたらしい。しかし年齢が生んだ気恥ずかしさから、中々声をかけることができなかったのだと、後に美代子は語った。
そんなある日のことだった、正俊は美代子に呼び出されて――それから二人は、今に至るまでずっと一緒にいることになる。
ずっと一緒にいたとは言っても、高校を卒業すると二人はそれぞれ別の大学へ行った。
二人の大学は互いに県の端と端に位置しており、二人の関係はまあいわゆる『遠距離恋愛』というやつにはなるのだろうが、問題はありながらもそれなりに上手くやっていた。
問題、と言うのは例えば、ある時美代子が正俊の所持品から正俊と女性がツーショットで写った写真を見つけたことがあった。
普段はあまり怒ることのない美代子だが、怒った時は幼い時のように烈火の如くぎゃんぎゃん怒る。
この時も、さては正俊が浮気したかと早合点してひどく騒ぎたてた。
正俊はサークルの会合の際の写真で偶然映りこんだものだと弁明したし、それは事実だったが、美代子の怒りは中々収まらなかった。
結果を言えば、現在二人が幸せそうに暮らしていることが何よりの証拠だが、長期的な面での問題は何も無かった。
ただ、美代子の怒りを鎮めるために甘いものやら何やら資金が必要で、それが正俊の懐を一時寂しくしたことは、まあ問題と言えば問題だろう。
結婚式も終わり、それから家には正俊と美代子だけが残った。
芳香がいなくなると、家全体になんだか寂しい雰囲気が漂うようになってしまった。
二人は今まで通りの生活をしばらくの間続けていたが、家に入りこんだ空虚さは日に日にその強さを増していくようだった。
犬を飼いましょうか、とある日美代子が言った。
それもいい、と正俊は言った。
それから間もなく二人はペットショップに行き、一匹のまだ小さな柴犬を買い求めた。
名前を何としようか、と二人で話し合うことは楽しかった。
442 :
【品評会】 夢の続きは 4/5 ◇7BJkZFw08A:2008/01/13(日) 22:18:50.33 ID:7yv/9Oj00
いろいろと二人で話し合ったが、結局は、ありがちだがポチと言う名前にしよう、ということになった。
それでも、ポチ、ポチと呼んでいるうちに愛着がわくようになり、次第にポチは家族の一員になった。
ポチは二人の寂しさをいくらか和らげるのに十分な働きをした。
ある時は嬉しそうに跳ねまわり、ある時は粗相をして、ある時は病気にかかったりして。
ポチと一緒に暮らすことで、二人は次第に芳香のいない生活に慣れてきた。
正俊と美代子の結婚式は、ごく普通のものだった。
とは言え二人にとっては、かけがえのない幸福な結婚式であったことは間違いない。
ただ別の意味で心に残る出来事も多かった。
正俊は壇上で喋るときに、あがってしまったせいで言葉をとちってしまい、そのせいで余計恥ずかしくなってまたとちり、終いには自分が何を言ってるのかわからなくなって、隣にいた美代子にバシンと背中を叩かれてようやくパニックを抜け出したなどということがあった。
美代子は美代子で、何の拍子かウェディングドレスの裾を踏んづけてすっ転んでしまうということをやらかした。
しかし、今となってはそれもいい思い出である。
正俊にとってはそれらのどれもが、楽しいとは一概に言えない苦労も多かったが、幸福な記憶だった。
もちろん、それは、今だって――――――
――――
――
「ああ、うん?」
正俊は布団から起き上がった。時計を見るともう昼の二時をまわっている。
確か十時ごろにちょっとひと眠りしようと布団に入っただけで、昼前には起きるはずだったのに。
「あら、起きたんですか」
縁側に座っていた美代子が声をかけた。
「お昼ごはんも食べないで、良い夢でも見てらしたの」
いつもと、あの頃と、変らぬ笑顔で美代子が言う。
「うん、夢を見ていた。長い、楽しい夢だったよ」
夢の続きが今この時であることを、正俊は知っていた。
443 :
【品評会】 夢の続きは 5/5 ◇7BJkZFw08A:2008/01/13(日) 22:19:36.72 ID:7yv/9Oj00
もうずいぶん長い年月がたった。
芳香は子供を生み、二人の孫ができた。正俊も美代子ももう立派なおじいちゃん、おばあちゃんである。
「それは良かったわねぇ。……お茶を入れましょうか」
「ああ、頼む」
美代子はパタパタと台所へ入っていった。
しばらくして美代子が二人分のお茶を持ってきた。
二人で並んで、縁側に座る。
お茶をすすりながら、庭に寝そべって昼寝をしているポチを尻目に飛び跳ねている雀を見る。
ポチも人間で言えばとっくに自分達を超えている年齢かもしれない。
「美代子」
ふと正俊が声をかける。
「何ですか」優しげな声で、美代子が答える。
「ずっと、愛しているよ」
ふふっ、と美代子は嬉しそうに笑った。
「私もですよ」
それを聞くと、正俊は美代子にもたれかかりながら、再び幸せそうな顔で目を閉じた。
完
444 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:20:33.21 ID:I1Ip1nNxP
一応さる
445 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:20:41.20 ID:7yv/9Oj00
以上、もう一つあるので、その前に誰かさるよけお願い
446 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:21:17.83 ID:I1Ip1nNxP
さるる
447 :
【品評会】新ジャンルな恋愛1/5 ◇RqM8RwK87E:2008/01/13(日) 22:21:33.66 ID:7yv/9Oj00
「相澤晴香。君が好きだ。俺は、狂ったピエロのように君を愛している」
昨日は「カートコバーンの歌よりも強く激しい切なさで愛してる」で、一昨日は「東京タワーから全裸で飛び降りても死なないタフ
さで俺は君を抱きしめる」だった。その前は憶えていないけど似たようなセリフのはずだ。廊下にいた生徒達は私と先輩に冷ややかな
視線をおくり、事情を知っている友達は見ないふりをしている。先輩は私の頭を撫でている。
「やめてください先輩。キモいです」
「それはすまなかった。だが君が好きだ。そしていつか、この高校の誰もが驚くような方法で君に愛を伝えたいと考えている」
「微妙にスケール小さくないですか?」
「それでいいのだ」
先輩は毎日おかしな日本語で私に愛を告げる。それも廊下ですれ違うときや部活のときなど、私が最も恥ずかしいタイミングで。今
日は後ろから肩をがっしと掴まれ、いきなり告白された。それも舞台役者のような大仰な節回しをつけて。本人は恥ずかしくないのだ
ろうか? 私は東京タワーから全裸で飛び降りるのと同じくらい恥ずかしい。
「セクハラですよ」
「分かった。今度から触らないようにする。それから相澤晴香。好きだ。また校庭で合おう!」
「先輩、キモいです!」
先輩が全力で階段を駆け上がるとチャイムが鳴った。
黙っていればかっこいいのに。
クラスの友達も私と同じように言う。黙っていれば好きになれたかもしれないのに。
「おはよー!今日もラブラブだったね!うらやますぃー」
友達の中でただ一人、沙耶だけが奇怪な先輩を好意的に評価している。
「あれはセクハラって言うの。絶対キモいって」
「ほらきた。きたよ、ツンデレ。早いこと楽になってしまいなさい。とりあえずでいいから、ね」
「そんなの嫌!恥ずかしいじゃん」
先輩があちこちで私に告白するせいで職員室にも私の噂が広まっている。職員室に行けば自分の顔と名前を遠巻きに確認されている
気配を感じるのだ。そんな状態で付き合うなんて考えられない。それに予定調和すぎるのも嫌だ。
「付き合ってみてダメだったら別れればいいじゃない。あんな積極的な人なかなかいないって」
「積極的すぎるから困ってるんでしょ」
雰囲気というものが最初からないのだ。去年の十一月頃、部活中に何の脈絡も無く告白された。明日からテスト期間だから部活が四
時で終わる、といった事務連絡の後にいきなり「好きだ」と言わたのだ。文章に読点をつけるよりも自然な発声で先輩は私に告白をし
たのだ。思わず私もはいそうですかと応えてしまった。それ以降もさりげない愛の告白は続き、年が明けたころからエスカレートして
きて、現在ではこの有様なのだ。
448 :
【品評会】新ジャンルな恋愛2/5 ◇RqM8RwK87E:2008/01/13(日) 22:22:11.50 ID:7yv/9Oj00
「私は普通の人がいいの。だって順番ってあるでしょ?最初はアドレスを聞いたり、遊びに誘ったり……」
「でもどっちにしろチャンスなんだから、行けばいいのよ」
「そういえば、宿題やった?私やってなかったからノート見せて!」
「何それー。つか普通、心折れるって。先輩が離れても知らないからね。そうやって宿題も恋愛も先延ばしにしてると後でせつなーい
ことになっても知らないわよ。そもそもねえ、彼氏が一回も出来ずに卒業するなんてこれ以上サイアクなことってないでしょ。あんた
は恵まれた環境にいるの。早く気づきなさい」
「分かってますって」
まくし立てる沙耶は正しいと思う。同じ立場なら私も同じアドバイスをするだろう。でも未知のものに踏み出すのは恐ろしい。沙耶
は「鴨がネギしょってフグの刺身を腹に詰めて飛んでくる」状況よりもありえないというけれど、恐いものは恐いのだ。我を忘れるく
らい人を好きになったら私はどうなってしまうのだろう。沙耶はそれが恋だなんて知った風な口を聞くけど、彼女だってまだのはずだ。
せめて先輩が普通だったら良かったのに。
私は陸上部で先輩は一つ上の二年生だ。男子と女子が一緒に練習することはないのに、先輩はどうにかして私に接近してくる。気づ
けば近くにいて、そして練習に戻る。
部活前の数分のミーティングは男女一緒に行われる。部長でもある先輩はミーティングを仕切る。解散し、私がトレーニングに向か
う直前に「それと相澤、好きだ」と言う。そのせいで私達が付き合っていると思っている部員もいる。
またある時は縦読みで「あいざわがすき」の言葉を忍ばせた部員募集のチラシを学内に張りまくったこともある。これがきっかけで
私達は学校公認のバカップルにされてしまった。なんてキモいんだろう。
それでもストーカーじみた感じを受けないのは、先輩がどこかで線を引いているからだと思う。「好きだ」があっても「付き合って
くれ」は一度もない。それに、連絡網から知っているはずなのに、先輩からの電話やメールは来ない。だからそこまでしつこい感じが
しないのかもしれない。
でも一番の理由は、私も先輩が好きなのだ。
「あー私もカレシほしーわ。切実に」沙耶がだるそうな顔をした。
*
その日の朝、先輩は来なかった。放課後になっても先輩は来なくて、今日は休みなのだと思った。でも先輩は部活に出席して、いつ
もと同じように校庭の真ん中でストレッチをしていた。
きっと今日は忙しかったのだろう思ったが、ミーティングになっても私と視線を合わせてくれなかった。毎日、百パーセントの頻度
で私に話しかけてくれた先輩が、私を視野に入れようとすらしなかった。
この時はじめて私は自分の気持ちに気づいた。泣きそうな顔になっているのが自分でも分かるくらいだった。
449 :
【品評会】新ジャンルな恋愛3/5 ◇RqM8RwK87E:2008/01/13(日) 22:22:48.32 ID:7yv/9Oj00
「人生は短い」とか「お年寄りは大切に」のような当たり前のことを堂々と言い渡されたような感覚だった。沙耶の言葉は本当に正
しくて、私は先延ばしにして逃げていたのだ。そして、先輩の気持ちが折れてしまったのだ、と思った。
他の部員も何事かを感じ取って、誰も私に話しかけようとはしなかった。それが逆に辛かった。
私達の関係は何も始まっていないのに、終わってしまった。
魂が抜けたまま部活を終え、制服に着替えて部室を出ると、先輩がいた。だらしなくネクタイを緩めたいつもの先輩だった。左手に
携帯、右手にはカバンを持った見慣れた姿の先輩が立っていた。
「相澤、俺は君が好きだし、付き合って欲しいと思っている。君の気持ちを聞かせてくれ」
不意を突かれた。こんな状態で聞かれてもまともに話せるはずがない。
それにいつもと違って先輩は変な風に言わない。はじめて見る先輩の真っ直ぐなまなざしに私はどうにかなってしまいそうだった。
嬉しさや戸惑いが説明のつけられない感情になってこみ上げる。先輩の姿が滲んで、絶対に嫌だと思ったのに私は泣いてしまった。
*
「で、そしたらほんとに先輩が話しかけて来なくなったと?」
「うん」
「うんじゃないよ!あんたはッ!何してんの!」
あの後先輩に何度も謝られた。私は誤解を解こうとしたが嗚咽ばかりが出てどうにもならなかった。
そしてその日から本当に先輩が私を避けるようになってしまったのだ。
「多分ね、先輩も緊張してたんだと思うよ。いつもへらへらしてるから逆にダメだったんじゃないかな。面と向かってマジになるのが」
先輩は「好きだ」と一方的に気持ちを伝えることはあったけど、私の気持ちを確認したのはあの日が初めてだった。沙耶の分析は意
外と当っているかもしれない。彼女が同い年なのに頼りがいのあるカウンセラーに見えた。
「で、晴香が泣いちゃったから、本当に自分はキモかったと思って反省して身を退いたと。先輩はまだあんたが好きなんだけど、また
泣かれても困るから距離を置いてると」
それでも不安なことには変わりない。かれこれ二週間は先輩と話をしていないのだから。実は沙耶の読みはハズレで、先輩の気持ち
は本当にぽっきりと折れてしまって、別の女のところに移ってしまった、なんてこともあるかもしれない。
「沙耶。その話本当?」
「知らないわよ。テキトーよ。あと、カン。こればっかりは本人に聞かないと分からないわー。先輩が晴香に聞いたみたいにね?」
なんて嫌らしくて、それでいて本質的なことを言う友達なんだろう。でもそれは一点の曇りもない正論だった。
「先輩に会えなくて寂しいんでしょ?ならそう正直に話せば良いじゃない。チョコを渡すだけで全てが解決するのよ。先輩はあんたが
450 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:23:21.96 ID:I1Ip1nNxP
さるるる
451 :
【品評会】新ジャンルな恋愛4/5 ◇RqM8RwK87E:2008/01/13(日) 22:23:26.94 ID:7yv/9Oj00
好きなんだから。キーパーのいないゴールにシュートを決めるのと同じくらい簡単なことでしょ」
そういえば。バレンタインだった。
「『そういえば』じゃないっつーの!あんた女のくせに何してんの」
同い年のカウンセラーはまた私をどやしつけた。
チョコを渡せば、あの時の誤解が解ける。そして私の思いも伝わる。
「ちょー簡単よ!明後日の朝までにチョコレートを準備して学校に持参よ。持参。そして先輩の下駄箱に入れちゃえばいいのよ。手渡
しでも良いけどね。私これ以上簡単に説明できないよ!」
「うん。ちょー簡単ね」
私は嘘をついた。ちょー簡単なことはない。だってバレンタインのチョコと言ったらそれはもう大変で、チョコ一つで好意がバレバ
レになってしまう世にも恐ろしいアイテムなのだ。こんなものを先輩に渡したら、それはもう取り返しのつかないことになってしまう
。全国の本命を配る女子生徒たちが朝早くに学校に向かい、しっぽりと意中の男子生徒の下駄箱にチョコレートを収めるのもそのため
だ。もし先輩が私のことを嫌いになっていたら、私のチョコは家族向けの戦利品、あるいは犬のエサになるかもしれない。先輩が犬を
飼ってるかは知らないけど。
ありもしない妄想で私は憂鬱になってしまった。なんて臆病な女。
チョコは駅前のデパートで買った。いかにも私という女が選びそうな、地味なチョコだ。ラッピングもごくありふれたものを選んだ。
私のなんと冒険心のないことか。
渡し方については随分悩んだけど、やっぱり下駄箱に手紙を添えて入れることにした。そもそもこれ以上の勇気、私にはない。チョ
コを買おうとした辺りから、私の中の最高記録は更新され続けている。ちょっとくらい妥協してもいいはずだ。
バレンタンの朝、私はチョコレートを家に置いて登校してしまった。
沙耶は心底呆れた顔をした。
「さすがの私でもそれはフォローできないわ」
私も自分自身に愛想が尽きた。あのチョコ、どう処分しよう。
「犬に食わせちゃえばいいのよ」
それで良いと思った。あんな地味なチョコを選んだ時点でもう勝負はついていたんだ。先輩だってもう私に愛想を尽かしている。世
界中から愛想をつかされた女のチョコなんて縁起が悪い。犬に食わせてしまうのが一番だ。でもそれじゃあ犬が病気になってしまう。
一番の負け犬は私だから、私が一人寂しく食べればいい。私は惨めな雌犬だ。
絶望的な午前を乗り越え、昼休みにたどり着いた。能天気な音楽が放送される昼の時間がたまらなく憂鬱だ。
ところがいつまでたっても音楽が流れない。こんな日もあるだろうと思っていたら、スピーカーから先輩の声が聞こえた。
452 :
【品評会】新ジャンルな恋愛5/5 ◇RqM8RwK87E:2008/01/13(日) 22:24:09.22 ID:7yv/9Oj00
「一年二組、出席番号十八番。相澤晴香。私は陸上部部長だ。先日は泣かせてしまってすまなかった。あれから色々と考えた。だが俺
の何が至らなかったのか、どうしても分からない」
校舎のあちこちからざわめきが聞こえる。スピーカーから教師の怒鳴り声も混ざってきた。私はようやく事態を把握した。
「……だからもう一度君に告白したいと思う。相澤晴香。君が好きだ。俺と付き合って欲しい。俺は今日、君のためにチョコレートを
準備した。もし俺の気持ちを受け止めてくれるのであれば、俺のチョコを貰ってくれ。もし嫌なら、犬にでも食わせるか、ドブに捨て
てくれても構わない。今から教室に行く。そこで待っててくれ」
スピーカーからドアの開く音と、教師の怒声が流れた。
先輩が、来る。
私は放送室に走った。
なんて先輩らしいやり方なんだろう。到底及ばない。
いつか、先輩は私に言った。
「この高校の誰もが驚くような方法で君に愛を伝えたいと考えている」
先輩は本当にやってのけた。そして一番驚いたのは私だ。まさかこんな――
いた。小さな箱を持って先輩が走っている。先輩だ。
私達は正面からぶつかりそうになった。
「受け取ってくれ、相澤晴香。俺の気持ちだ!」
恥ずかしさ、戸惑い。そんなものは捨てた。
「先輩、キモいです。でも私も先輩が好きです」
「相澤晴香。だが俺はもっと君が好きだ!」
先輩は朗々とした声でそう言うと、私を抱き寄せた。
453 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:24:52.01 ID:7yv/9Oj00
以上転載終わり
不備があれば言ってくだしあ
454 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:25:00.24 ID:I1Ip1nNxP
転載乙
455 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:27:29.95 ID:qIqDHIKkO
転載サンクス
456 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:27:55.53 ID:7yv/9Oj00
さるさんthx
>>435 >>1にある まとめ入り口→まとめ掲示板 でいけるよ
457 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:29:41.83 ID:vc/o6KDY0
>>456 ありがとう
転載の手伝いが出来るようなら出来るだけするようにします。
458 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:32:29.13 ID:h4gAnQJE0
お題おくれ
459 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:33:22.31 ID:57qJeLcq0
遠い歌声
460 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:35:15.36 ID:h4gAnQJE0
把握
461 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:35:56.22 ID:ncoI50QtO
恋
463 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:36:39.80 ID:rk5cMnCk0
今回の品評会は見送ろう
というわけで、アンニュイな朝にでも書きたいから
そんなお題をちょーっだい
464 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:37:23.39 ID:dSKT9oI+0
今何作品?多いなぁ
465 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:38:25.30 ID:w3EMZ+lK0
466 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:38:33.91 ID:rk5cMnCk0
把握
467 :
麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 0/5 ◆D8MoDpzBRE :2008/01/13(日) 22:39:51.71 ID:w3EMZ+lK0
品評会行きます。
お題:告白
タイトル:麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語
レス数:5
468 :
麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 1/5 ◆D8MoDpzBRE :2008/01/13(日) 22:40:14.33 ID:w3EMZ+lK0
息を呑むほどに美しい男子、それがレイである。
物心がついた頃には、レイは父親と二人で暮らしていた。いわゆる父子家庭に育った。
彼ら二人を知る者は、皆が共通してある疑問を持つことになる。レイの美しさは一体誰に由来しているのか、と。
その答えを知る者はいなかった。まず、レイ自身が知らない。そしてこの類に質問に対して、レイの父親は寡黙を
貫き通した。
我々が遺伝の法則を信じるのであれば、少なくともレイの父親はその選択枝から真っ先に除外された。残るは
母系のみである。いや、もしかしたらレイは拾い子なのかも知れぬ、とあらぬ噂をたてる者もいた。無理もない。そ
れだけレイとその父親とでは相貌が違いすぎたのである。
しかし、そのような下世話な雑音をものともせず、レイは麗らかに成長した。美の化身として。
地元のハイスクールに進学を果たす頃には、彼は生きた伝説となりつつあった。彼見たさに、近隣地区からその
ハイスクールへの入学者が殺到したのである。無論その大半が女子生徒であった。他の男子生徒にとっては、一
時的にだがここはある意味天国と化したけれども、結局女子生徒の歓心がほとんど一極に集中しているという事
実を受け入れるにつれ、それは単なる地獄へと変貌した。
レイという人物像をつぶさに観察するに当たって、そうした特異な環境がレイ当人に及ぼした影響もあえて無視
することは出来まい。彼自身、己の美貌について何ら疑うことはなかったし、それが故に女性に対してもある種の
遠慮というものがなかった。誰もが自分に惚れて当然なのだ、と思っている節がある。そしてそれは事実だった。
「やあエミリー。今日も可愛いね。僕は君のことが大好きだよ」
「まあ、レイったら。どうせ他の女の子たちにも同じように言ってるんでしょ?」
「アハハ、よく分かったね。君のその聡明なところも好きなんだ」
レイは気に入った女の子に対して、誰彼構わずほとんど見境がないと言っていいくらいに愛の告白を繰り返した。
気に入らない女の子に対しては決してそういった類の言葉をかけないのが彼なりに残された最後の誠意であった
のだが、それがまた一部の女の子たちの不興を買っていた。
しかし、そんなことをレイ本人は知らない。
あまりに軽薄に告白し続ける彼の前では、告白という言葉すらその語本来の意味を失いつつあった。レイには、
女の子に対して抱いた恋愛感情を心の内に秘めておくなどという習慣は端からないも同然であった。とりあえず
言っておけ、減るものでもあるまい、という魂胆すら見え隠れした。そのような心構えで吐き出された言葉が、果た
して告白と言うに相応しいだろうか?
同時に、レイは特定の女の子と交際するということを決してしなかった。八方美人も度が過ぎていた。恋愛とはい
つも誰かに縛られているという過程を伴うものだという概念を受け入れず、それを身勝手な独裁者か何かの妄想
だと常々考えていたようだ。彼は堂々としたものだった。縛られるくらいなら死んだ方がマシなのである。
469 :
麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 2/5 ◆D8MoDpzBRE :2008/01/13(日) 22:40:45.55 ID:w3EMZ+lK0
多くの浮き名を垂れ流し続けるレイに対して、女性たちの反応もまた様々であった。素直にレイの求愛に応じて
数あるレイ・コレクションの一員に名を連ねることを拒まなかった者もいれば、どうしてもレイにとっての特別になら
ねば気が済まず、結果叶うことのない恋愛関係に拘泥する者もいた。彼女たちに共通してみられた姿勢として、レ
イに対する絶対的な神聖視が挙げられた。レイに代替しうる他の男の存在と言うものを想定することが出来ず、中
には妥協のつもりでレイ以外の男子生徒と交際する女子生徒もいたのだが、やはりそれは全くの妥協に過ぎな
かった。
ハイスクール最終学年となる三年目を迎えたばかりの九月、そんな彼にとって生まれて初めてと言ってもいいく
らいの転機が訪れる。
新入生として新たに迎えられた生徒たちの一団の中に、彼女の姿は見出された。
「うわあ。生きながらにして美を体現している、と言えば僕の専売特許だったのに!」
これはレイにとって全く生まれて初めての体験だった。
その一六歳の少女。琥珀と黒曜石をブレンドしたかのようなダークブラウンの髪がセミロングに切りそろえられて
おり、風が吹けばそれらの一本一本が蜘蛛の糸を彷彿とさせる繊細さで宙を舞った。肌は緻密にして均質で、透
き通った乳白色の輝きを艶やかに放っていた。手足はスラリと長い。
レイの行動は迅速を極めた。全く瞬間的と言っていい素早さで、彼は標的への接触を果たした。距離を置かず
に見る彼女の姿態はますます美しく、彼の心を直線的に射貫いた。反射的に言葉が口を突いた。
「やあ、初めまして。今日という日を迎えられて、僕は神に感謝しなければならない。こうして僕と君とを引き合わせ
てくれた運命の神に」
レイの言葉に、少女の目が輝いた。自ら駆け寄ってレイの手を取ると、しっかりと彼の瞳を見据えて言った。
「私も、生きてあなたと出逢うことが出来た僥倖を神に感謝しなければいけないわ。私は運命に導かれてやってき
たのよ、お兄様!」
「な、何だって?」
その少女の名前はジゼルと言い、幼い頃に父・兄と生き別れて母子の二人で生きてきたのだという。彼らの血
族が散り散りになった際の悲喜こもごもについて、その仔細を語るのは別の機会に譲るとしよう。レイにとってそん
なことはどうでも良かったのである。そんな彼にとって最も悲劇的と言えたのは、過去に起こった一家離散の事実
などではなく、今目の前にいる美しい少女が実の妹であったということだ。
「例えばさ、僕と君との間には血が繋がっていないとか、そういった裏話はないの?」
「何を仰るの? お兄様。私たち、共に類い希な美貌を分け合った間柄じゃない。血が繋がっていないはずがない
でしょう」
470 :
麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 3/5 ◆D8MoDpzBRE :2008/01/13(日) 22:41:08.76 ID:w3EMZ+lK0
結果、レイは絶望の淵へと追いやられた。生まれて初めて味わう種類の絶望であった。そもそも、彼は今まで恋
愛に関わる話で失敗を経験したことがないだけに、それは深刻な問題となった。
レイが甘い声をかければ、大抵の女性は彼になびいた。レイのことを軽薄だと軽んじていた女性であっても、彼
の美質まで蔑むなどと言うことはあらかた不可能であり、そのことをレイもよく知っていた。それゆえ、逆に彼の求
愛が受け入れられなかったとしても、それは単に女の方の意固地であると断ずることが出来たし、そのような女に
レイはもはや囚われなかったのだ。
しかし、今回のケースにおいては完全に様相が異なった。
そもそもレイは、ジゼルに対して愛を打ち明けるにすら至っていない。一目見てその美しさに蠱惑されてしまった
ジゼルという少女に対して、ただ遠くから眺めているだけで籠絡することも叶わない。
ただ、ジゼルと血が繋がっているという事実が、彼をひどく臆病にしてしまっていた。インセスト・タブー、すなわち
近親相姦が忌まわしき背徳であるという事実に、レイは決して無自覚ではなかった。だからこそ彼は、この叶わぬ
恋に身悶えたのだ。
賢明な読者諸氏の中には、ようやく告白の舞台が整った、とお気づきの方もいるかも知れない。誠にその通りで
ある。告白が告白であるためには、伝えるべき言葉の中に語り手の煩悶が織り交ぜられて、彼らの魂が乗り移っ
ていなければならない。苦しみ抜いた形跡がなければならない。
さて、レイは悩んだ。近親者であるジゼルに対してたぎる想いをぶつけることが果たして許される行為なのだろ
うか、と悩んだだけではない。レイがジゼルに対して愛の告白を断行すれば、ジゼルもまた同様の問題に悩まな
ければならないだろう、と彼は考えたのである。近親相姦はレイ自らの負い目となるだけではなく、ジゼルにとって
もまた深い傷になるだろう。
レイ自身気付いてはいなかったが、そう思えるようになっただけ、彼はジゼルを愛していたのだ。障壁が高けれ
ば高いほど愛もまた燃え上がるという格言は、ここでもまた真実であった。
だがしかし、レイとジゼルが結ばれることはなかった。愛するがゆえに、レイはジゼルのことを諦めたのである。
そしてある日、レイは忽然と姿をくらました。行き先を誰にも伝えずに。
ただ一枚『探さないで下さい。ほんの数ヶ月もすれば戻ってきますので』と残された手紙だけが、彼の失踪劇に関
わる唯一の手掛かりだった。人々は想像力をかき立てられて、巷には様々な憶測が飛び交った。この学校の女に
飽きてしまったのではなかろうか、行きずりの女を抱くために旅立ったのではなかろうか、自分探しの旅かも知れ
ないね、……エトセトラ。
そのどれもが間違いであるとは言い切れなかった。確かにレイは学園内にいる大半の女子生徒に飽きてしまっ
ていたし(無論ジゼルを除いて。むしろジゼルの存在が他の女の価値を相対的に下げていた、という側面も見逃
471 :
麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 4/5 ◆D8MoDpzBRE :2008/01/13(日) 22:41:40.73 ID:w3EMZ+lK0
せない)、旅先では行きずりの女も抱いた。しかし、それらは本来の旅の目的とは遠く離れていた。
自分探しの旅と言った方がまだ真実に近かった。
これは、自らの系譜の探索である。
おおよその行程はこうだ。レイはまずジゼルの家系を追った。すなわち自らの母系に通じる家系を。かつて血族
が離散した際、ジゼルの母親(すなわちレイの母親でもある)もまた肉親たちとの別れを経験した。ジゼルの母親
には弟がいた。ジゼルやレイにとっては叔父に当たる人物だ。彼もまた、レイやジゼルおよびその母親と同様に美
しい容貌を持っていたという。しかしながら一家が離散した際、彼の手掛かりもまた忽然と失われしまった。レイは
数少ない手掛かりを頼りに、まず彼にとって叔父に当たるその人物を捜すことにした。
捜査は難航を極めた。無理もない、叔父は既に他界していたのだから。レイがようやくその事実に突き当たった
とき、彼にとっての希望は遥か彼方に遠のいたかに思えた。しかしレイは諦めなかった。
自分に似た容姿を持った叔父のことであるから、きっと各地で浮き名を流していたに違いない。そういった事実
を辿れば、必ずや真の目的は達せられるであろう。
レイの信念は固かった。彼は昼夜を問わず街を歩いた。この過程でレイは相当な辛酸を舐めたのであるが、詳
細は割愛しよう。何よりもレイがこの体験を忘れたがっていた。とにかく、長く苦しい過程を経て、ようやく彼は目指
すべき人物に行き当たった。
その少女は突如としてレイの眼前に現れた。とある地方都市の繁華街で。そこはかつてレイの叔父が数ヶ月滞
在したと記録されている土地だった。
そう、その少女。息を呑むほどに美しいその存在。少しばかりのあどけなさを備えながら、その容姿はジゼルの
それにも引けを取らなかった。ダークブラウンの繊細な髪、乳白色に輝きながらも高い透明度を誇るその素肌、全
てが完璧な造形美として現前していた。間違いなく美の遺伝子を継承しているはずだ、とレイは思う。
「ああ、そこの美しいお嬢さん。ちょっと待っておくれ。少し僕と話をしよう」
「一体全体、あなたは何ですか? かく言うあなたも相当に美しいとお見受けいたしますけれども。突然私のような
女の子を掴まえて、ナンパか何かのつもりでしょうか」
レイは少女の腕を掴むと、半ば強引に彼女を近くの喫茶店へ誘い入れた。
少女はリリアと名乗った。で、あなたは何なの? とリリアは先ほどと同じ質問を繰り返した。
「僕の名前はレイ。僕の推論が正しければ、君は僕の従姉妹に当たるはずだ。だから出来れば聞かせてほしい。
君自身の生い立ちや、君の家族のことについて」
リリアはオレンジジュースをすすりながら滔々と語った。生まれ育ってから一度もこの地を離れたことがないこと、
本当の父親は物心がつく前に蒸発したこと、その他諸々を。聞けば聞くほどにレイの確信は深まった。
リリアはほぼ間違いなくレイの従姉妹である。ゆえに関係を持ったとしてもギリギリ非難されるいわれはない。従
472 :
麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 5/5 ◆D8MoDpzBRE :2008/01/13(日) 22:42:04.75 ID:w3EMZ+lK0
姉妹であるならば、本来的に近親相姦のそしりは免れ得るのだ。そう、ようやくレイの努力は報われるはずだった。
ただ一つ浮上した問題さえクリアされれば、である。リリアと出逢った瞬間から、レイの頭の中にはある種の問題
が密かに発生していた。
その問題とは――
「時にリリア、君に聞きたいことがある。君は今いくつなんだ?」
レイは、テーブル越しに向かい合っているリリアの方へ身を乗り出していた。額にはいくつもの脂汗が玉になって
浮いている。
リリアは飲みかけのオレンジジュースを全て吸い尽くし、ゆっくりと味わいながらそれを飲み込んだ。ほぼ同時に、
何も飲んでいないはずのレイの喉元がごくりと音を発した。
リリアがおもむろに口を開いた。
「――十二です」
[fin]
473 :
麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 ◆D8MoDpzBRE :2008/01/13(日) 22:42:25.31 ID:w3EMZ+lK0
いじょですた!
474 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:43:12.76 ID:4hBpRP2R0
みんなさくさく書けててうらやましいな(´・ω・`)
475 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:44:55.93 ID:7yv/9Oj00
すでに20超えとるねー
引き続き転載するます
476 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:45:47.94 ID:lVfp1Jgm0
ようやくプロットが定まったはいいけど
あと45分で全部文章に起こすのは無理ぽw
でも勿体ないし人に読んでもらいたいので、
選考外にはなるけど別の時間に「告白」を投下しますね
477 :
それから僕は1/5 ◇K/2/1OIt4c:2008/01/13(日) 22:45:59.90 ID:7yv/9Oj00
その日、理恵は振袖を振り回しながら人を探していた。成人式の当日である。
中学のころ、僕と理恵は三年間同じクラスだった。一年のころはあまり親しくなかったが、二年になって話す
ようになった。三年にあがるとき、来年も同じクラスだったら良いね、と話していたが、本当に三年も同じクラ
スになった。教室で顔をあわせて、二人で笑いあった。
高校に進学して疎遠になった。高校自体が別だった上に、自宅もそれほど近くなかったからだ。そのまま会う
ことなく、月日はたった。
成人式なら会える、と理恵は考え、その日までにダイエットをし、化粧もうまく出来るように研究した。そし
て、そのどちらも成功した。
中学以来会う僕がどのように変わっているのか、理恵にとってそれだけが楽しみだった。中学のころは低身長
だった僕だが、果たしてそのままなのだろうか。
当日、会場である市民会館へ向かった理恵だが、いくら探しても僕の姿がない。いろんな人たちに聞いて回っ
たが、誰も僕を見ていないと言った。
理恵は少し落ち込んだ。でも、仕方ない。この後開かれる同窓会には出席するだろう、そう考え、式終了後い
ったん帰宅し、せっかくの晴れ着を脱いだ。
夕方、理恵は同窓会のある居酒屋へ足を運んだ。そこにはすでに数人のクラスメイトたちが集まっていた。式
に来ていなかった、僕と理恵の共通の友人が来ていた。
「久しぶり」
理恵は中田に話しかけた。
「久しぶり。あまり変わってないね」中田は笑顔で答える。「黒木がいないみたいだけど」
「来てない? 式にもいなかったんだ」
「へぇ」
僕が来ていないことに、理恵はまた落ち込んだ。もしかしたら会えないのかもしれない、そんな不安がよぎっ
た。
あらかたメンバーが集まったところで、幹事が乾杯の音頭を取った。
「五年ぶり? わかんないけど、それくらいぶりに会ったクラスメイトにカンパーイ!」
皆がグラスを当て合う。
「今日は同窓会なんだけど、村井と黒木に連絡が取れなくて、全員集まりませんでしたけど、みんな楽しんでく
ださい」
幹事が変な日本語でそう言ったのを聞いたとき、理恵はもう帰りたくなっていた。
478 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:46:34.09 ID:rk5cMnCk0
あー質問
30行近くミッチリ詰めたレスを作るのにみんなどれくらい掛かる?
479 :
それから僕は2/5 ◇K/2/1OIt4c:2008/01/13(日) 22:46:36.46 ID:7yv/9Oj00
そのとき僕は、普通にバイトをしていた。
それから一ヶ月がたった。
その日、理恵は彼氏の運転する車の助手席にいた。会うのは一週間ぶりだ。理恵はもう別れるのかと思ってい
たが、何事もなかったかのように彼氏から連絡があった。それで一緒にドライブに出かけることになったのだ。
「最近会ってなかったけど、仕事のほうはどうなの?」
笑顔で運転する彼氏に声をかける。
「仕事……か。今、資格を取るために勉強中。だから今はまだ無職」
別に仕事をしろとは言わない、ただその資格の勉強だってろくにやってないじゃないか、と理恵は思ったが、
口には出さない。もうどうでもよくなっていたからだ。三つ年上の彼氏は、理恵よりずいぶんと幼稚な人生設計
をしていた。
楽しくもないドライブ中、中田からメールが来た。理恵は無言でそのメールを確認する。
『黒木の実家に連絡してたんだけど、やっとつながった。今度一緒に飲み会でもやらない?』
理恵の指が高速で動き、やる、という二文字を返信した。
「誰?」
正面を見たまま、彼氏は理恵にそう聞く。
「友達」
「ふーん」
もう私のことなんかに興味ないくせに、と理恵は思った。
そのとき僕は、読み終わった漫画をもう一度読み返していた。
それから一週間がたった。
中田が指揮を執って飲み会が行われることになった日だ。理恵はいつもよりおしゃれに着飾ってみた。
「なぁにその格好。デート?」
親にそう聞かれ、うん、と冗談っぽく理恵は答えた。
集合場所である最寄り駅に着くと、もうみんな集まっていた。みんなと言っても、三人だが。その三人の中に
いる僕を、理恵はすぐに発見した。
480 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:47:06.49 ID:I1Ip1nNxP
支援さる
481 :
それから僕は3/5 ◇K/2/1OIt4c:2008/01/13(日) 22:47:16.22 ID:7yv/9Oj00
僕は中学を卒業してから身長が劇的に伸びた。二十センチほど伸びたのだろう。百八十センチほどの長身にな
っていた。
思わず、理恵は笑顔になった。そして少し駆け足で僕らのほうへ向かった。
「みんな早いね」
「今来たところなんだ」
僕はそう答えた。
「久しぶりだね」
「久しぶり」
「なんで成人式に来なかったの?」
「普通にバイトしてた」
「普通はバイト休むでしょ」
たわいもない会話だが、理恵は本当にうれしくなった。僕の声も少し低くなって大人っぽくなったけど、昔の
高い声もずっと理恵は覚えている。その変化が感じられて、なぜかうれしかった。
飲み会中、僕と理恵は連絡先を交換した。これでいつでも連絡が取れると思うと、理恵はなんだかドキドキし
てきた。
「彼女とかいないの?」
「いないよ」
「モテそうなのに」
「何を根拠に」
理恵は彼氏がいることを内緒にしていた。いるとわかっただけで幻滅されそうで、それが怖かったからだ。
もしかしたら好きなのかもしれない、そう理恵は思った。
そのとき僕は、飲み屋のビールが薄いことに苛立っていた。
一緒に遊ばない? という中田からの連絡があり、僕は出かけることになった。
中田はつい最近車を買ったらしく、一緒にドライブにでも行きたいとのこと。女の子とでも行けばいいのに、
と僕は思ったが、彼はまったく女性から好感をもたれない人間だったのを思い出した。
待ち合わせ場所である駅前に行くと、少し遅れて中田が車でやってきた。黒い車だが、名前など知らない車だ。
ピカピカにきれいにされた車だ、というのが僕の印象。形は好みではなかった。その車に乗り込む。
482 :
それから僕は4/5 ◇K/2/1OIt4c:2008/01/13(日) 22:47:48.64 ID:7yv/9Oj00
駅を少し離れると、周りは畑ばかりになった。少し先には山が見える。
「この先に小さな滝があるんだ。そこ行ってみよう」
「わかった」
車の中でこんな話をした。
「もしさ、千田さんに告白されたらどうする?」
「なんだよ突然」
「例えばの話だよ」
僕は少し考える。理恵とは中学時代ずっと仲良しだった。そんな関係だ。
「五十パーセントの確率で付き合うかな」
「マジ?」
中田は少し驚いた様子だった。彼が思っていた以上に高いパーセンテージだったのだろう。
「だって、付き合うか付き合わないかの二択だから。五十パーセントでしょ」
「なんだ。そういうことか」
滝のある場所にたどり着いた。すでに駐車場には数台の車が駐車されている。僕らは車を降りて、滝のふもと
まで歩くことにした。
ものの二分くらいで滝まで着いた。が、その周りにはなにやら怪しげな集団がいるのが見えた。全員白装束で、
老若男女さまざまな人たちが滝に打たれている。僕らはそれを遠くから眺めていたが、そこにいた偉そうな人に
睨まれたため、引き返すしかなくなった。
そのとき理恵は、彼氏に別れを告げていた。
理恵は泣いていた。別にもう好きではない。好きではないけど、好きだったときのことを思い出すと、涙が溢
れてきた。
声を押し殺すようにして、ベッドにうずくまった。
なんで別れようなんて言ったのだろう。
こんなに辛いことなら、やめておけばよかった。
泣きつかれて、いつの間にか眠っていた。起きるともう夜になっていた。
無意識に携帯電話に手が伸びる。そしておもむろに僕に電話を掛けた。すぐにでた。
483 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:48:17.41 ID:vc/o6KDY0
484 :
それから僕は5/5 ◇K/2/1OIt4c:2008/01/13(日) 22:48:23.15 ID:7yv/9Oj00
「もしもし」
「……」
電話を掛けたのに、理恵は何も言い出せなかった。
「どうしたの?」
「彼氏と別れた……」
「そっかぁ」
また、理恵の頬に涙が伝わる。なんで泣いてしまうのだろうか。
「仕方ないよ。別れちゃったのは、もう千田さんが彼氏のことを好きじゃなかったからなんでしょ? だから悲
しむ意味がよくわからないかな」
僕は人事のようにそう言う。
「でも、前は好きだったんだ」
「前は好きでも、ずっと好きでい続けるなんて難しいことなんだよ。そうそうあることじゃないよ」
黒木くんのことはずっと好きなんだよ、という言葉を飲み込んで、理恵は黙る。
「そうだ。気分転換にさ、今度映画でも見に行かない? 俺なんかで悪いけどさ」
理恵は涙を拭った。一緒に遊ぼうと誘ってきてくれたことが、すごくうれしかった。
「うん。そうだね。気が晴れるかも」
「気を晴らしてよ」
電話を切ると、すごくすがすがしい気持ちになれた。理恵は途端に元気になった。
うれしくなりたかったから、悲しんだのかもしれない。
悲しかったことなんて、もう忘れてしまった。
きっと好きなのだろう。
好きな人が出来たから、好きだった人を嫌いになったのだろう。
それでいい。
電話してよかった、と理恵は思った。
そのとき僕は、中学のときからずっと言えなかった『好き』という言葉を、次こそは言おうと、そう決意した。
終わり
485 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:49:32.93 ID:7yv/9Oj00
以上、転載終わり
486 :
【品評会】糞みたいなひと(0/4) ◆/sLDCv4rTY :2008/01/13(日) 22:53:36.01 ID:fxI14VVqO
品評会作品投下します。全4レス
今回二作目です
487 :
◆K/2/1OIt4c :2008/01/13(日) 22:53:45.56 ID:aA/yj25yO
転載ありがとうございます。
って焦ってタイトル間違えた。くそぅ。
488 :
【品評会】糞みたいなひと(1/4) ◆/sLDCv4rTY :2008/01/13(日) 22:54:57.12 ID:fxI14VVqO
夕暮れに、赤く染まる校舎。ひとけのない廊下には、青年と少女の、ふたり。
少女はふかくいきをはき、意をけっしたようにくちをひらく。
「あのね……、わたしねなんだか、甲斐くんのこと、すきになっちゃったの。」
バババババーーーーーーーーーーーーーーーーーーーカ。
小田さんが甲斐に告白してんのを、パソコン室にいた俺には窓ガラス越しに見えていて、バアカ、と思った。
馬鹿じゃねえの恋だのなんだの、あほらしい。もうすぐ受験だろお前ら。
しかもなんで相手が甲斐なんだよ、あいつめちゃくちゃ性格悪いってしらねえんだな仲居さん。
もったいないよ、あいつは小田さんを幸せにできないね。
あんな影でグチグチ文句いってて顔もカエルみたいな感じで
何考えてんのか分かんない奴なんかだったら絶対俺のほうがマシ。絶対俺のほうが幸せにできる。ほんとそう思う。
まあ言っても別に、別に俺は仲居さんのこと好きってわけじゃなけどね。たしかに可愛いとは思うけど。可愛いとは。
……まあ、べつにそんなのどうだっていいや。
それよりなんかネットで、小説を書いたら読んでくれるらしくて今それ書いてるんだけど、これがなかなか楽しい。
あ、なに、ハッピーエンドじゃないといけないのか。
んーこれハッピーエンドじゃないかもしれないけど、ま、いいか、投下しよ投下。
489 :
【品評会】糞みたいなひと(2/4) ◆/sLDCv4rTY :2008/01/13(日) 22:56:40.14 ID:fxI14VVqO
◆
青い空。しんとした太陽。
そうげんの、まあんなか。
そのまあんなかで背中まげて二本足で立ち立ちすくむ、一匹のカエル。緑色の身体のうえに緑色のTシャツをきている。
腕はだらん。だらだらりん。よだれもだらん。だらだらだら。
よだれは太陽の光に一瞬きらりと輝いてはしたたる。
このだだっ広くなにもない草原のまんなかでただ立ってカエルは腕とよだれを垂らしていた。
うつろな目には緑色の地平線を映して。
その地平線からはいつものように黒い傘をもった少女がゆっくりと歩いてやってきた。
空に雲がすこしでてきたころになってやっとカエルの近くに着き、カエルの脚にもたれるようにして座って少女はカエルにかたりかけた。
「ねぇ……、なんだか私ね、あなたのこと、すきになっちゃったの。」
少女の躰は“泥”でできていて、太陽が静かに輝くそのしたで、泥の躰はカラカラに乾いていた。
◆
よおし。1レス目投下おわり。
うへへ、あれだな、たしかにスレに書き込まれてるってのをみると、なんかどきどきするね。
◆
「わたし愛してるのよあなたのことがあぁ!!!!」
寄生虫はそのカラフルな細長い躰をうねらせながらそう叫び、尖った尻尾でぶすぶすとカエルの
490 :
【品評会】糞みたいなひと(3/4) ◆/sLDCv4rTY :2008/01/13(日) 22:57:31.70 ID:fxI14VVqO
「でも、わたし、気持ちはかわらない。わたし、宿主と結婚する!
そのために今からちょっくら脳をいじいじしてきてわたしのことを好きになってもらうんだ!!
よし! やるぞぉ!!」
そう独り言を声高にさけんで尻尾を頭上へと力強く突き上げる
寄生虫特有のガッツポウズで決意すると早速彼女は胃をつきやぶり脳髄への遠い旅に出かけた。
それを見ていた幼なじみは、ひとりじゃ危ないと思いすぐに後を追いかけていった。
◆
あいつら手ぇなんかつないで帰っちゃってるよバアカ。まあいいや投下投下。
◆
寄生虫は肉の中を掘りすすみ、脳へ脳へと向かっていった。
肉の中にはいろいろなものが埋まっていて、それはビーダマやワサビや鰤(ぶり)や
ジャングルジムやジャングルジムであそぶ親子連れなどさまざまで、道の途中いくどもそれらにぶち当たった寄生虫は
“まあなんてミステリアスな人”、と宿主のことをより好きになっていった。
しばらくして寄生虫は現在地を知るために、一度そとにでてみることにした。
肉の中を掘りすすみぶ厚い皮を食い破ると眼前には広大なそうげんが広がったが特にそれには興味がなく、
首あたりまで来たんだと知るとすぐに穴に潜りこんでいった。
そのあいだもカエルはぴくりとも動かなくて、そうげんの上には灰色をした雲が漂っていた。
491 :
【品評会】糞みたいなひと(4/4) ◆/sLDCv4rTY :2008/01/13(日) 22:58:40.01 ID:fxI14VVqO
「なんでしゃべらないの? さびしいよ」カエルの足下にすわる、泥の少女はカエルにそう話しかけた。
「せっかく、あなたをみつけたのに。なんでしゃべらないの? さびしいよ。
しゃべってくれたら、わたし、おちんぽだってなめるよ(いってみたけど、ほんとはよく、わからないけど……)」
少女は草原で生まれ草原で育ち、この草原以外の場所はしらなかった。
そして少女を作ったおじいさんが死んでから、小屋の中でずっと一人で生きてきた。
雨がぱらぱらと降ってきた。少女の泥の躰は傘をささないと溶けてしまうけど、まあいいや、と思って少女は差さずにいてちょっとずつとけていった。
そのころ寄生虫は素早くずんずん掘り進み、その寄生虫を追っていた幼なじみは追いつけずに途中で見失ってしまっていた。
そしてその幼なじみは立ちすくみ、彼女(寄生虫のこと)が無事に脳へとたどり着いて
宿主が彼女の事を好きになってくれますようにと願っていたら
横から出てきた違う種類の大きな赤い寄生虫に一口でくわれてしんだ。
雨脚がつよくなったころにはもう、少女は少ししか原型を留めていなかった。
躰の全てがなめらかになり目や鼻の区別がつかなくなり、口があったところにはちいさな黒い穴があいていた。
少女はぼうっとしていた。雨粒一つ一つが泥の皮膚に窪みをつけて流れていった。
雨が降ったことを知るとカエルは眠りからさめ動きまわり、隣の少女の口元に勃起したちんぽを押し付けたりしていた。
なんにもないだだっ広い草原のまんなかでカエルだけが動きまわる。
そのカエルの体内では寄生虫が脳へと向かい、その寄生虫の幼なじみは肉片になって消化されている最中で、
泥の少女はとけきり汚い泥の水溜まりになっていた。
雨の降る、だだっ広い草原。
その真ん中で、カエルがきちがいみたいに踊っていた。
◆
よし。投下終わり。なんてか、自分が書いたのをだれかに読まれるってのもうれしいな。
暗くなってきて、雨も降ってきたし、早く帰ろうか。
うへへ。はずかしいけどうれしいな。
492 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 22:58:45.01 ID:vJ0tA5lk0
さる?
493 :
(4/4) ◆/sLDCv4rTY :2008/01/13(日) 22:59:50.06 ID:fxI14VVqO
以上。完です。
よろしくお願いします
494 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:00:45.62 ID:vJ0tA5lk0
今回は全感に回ろう
495 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:04:18.31 ID:7yv/9Oj00
23時ですよ…?
496 :
◆BNSK/DqMrY :2008/01/13(日) 23:04:42.96 ID:9T3KMG6tO
ではいつも通りに。
以降の投下は投下前に予約を。
締切は23時半。
497 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:05:46.39 ID:o4UN82Z50
だめだ
時間外投下かな
498 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:06:46.60 ID:I1Ip1nNxP
しかしあれだね
酉覚えちゃうと読む前に期待しちゃって駄目だね
冷静に読めないわ
499 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:10:05.03 ID:4hBpRP2R0
家の中で目に付くもの全てにその酉を書くんだ
そのうちその酉を目にしてもなんとも思わなくなるぜ
500 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:11:56.14 ID:ZGJIFuse0
人それを先入観という。
だから俺の鳥を覚えてくれ
501 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:12:04.15 ID:kR/hCR+w0
それを避けるために毎回、酉を変えるという手はありなのかな
ていうか、実際にやってるひとっているのかな
502 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:13:44.98 ID:vJ0tA5lk0
酉で先入観あるよなwww
あれ?この人常連なのに今回まずくね?って感想書いてて思うときある
503 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:14:32.32 ID:5u1MJkrI0
先入観あるのか
まあ俺はそんな心配しなくてもいいだろうが
504 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:15:11.20 ID:vc/o6KDY0
>>502 全部のジャンルで上手くかける人なんて居ないでしょ。
それでも出そうとした精神性にこそ、注目するべきではないか?
505 :
◆/sLDCv4rTY :2008/01/13(日) 23:16:12.02 ID:fxI14VVqO
>>492 さるありがとう
いいわすれたこと1
フィクションです。話の中の作者は私じゃありません。うん……
いいわすれたこと2
ハッピーエンド、のつもりです。むりやりだけど。だめだったらごめん
506 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:16:56.30 ID:9T3KMG6tO
酉の一人歩きもあるよね。
507 :
◆/7C0zzoEsE :2008/01/13(日) 23:17:08.09 ID:n/MawlFl0
予約
508 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:17:22.06 ID:vc/o6KDY0
さるって何?サルベージって事?
どういう意味があるの?
509 :
その想いは疾風の如く(0/5) ◆InwGZIAUcs :2008/01/13(日) 23:18:20.58 ID:26ixkkwB0
予約
510 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:18:34.19 ID:TEdBvtIWO
ただ、酉を覚えて貰えるってのは幸せなことだと思うけどね。
511 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:18:52.51 ID:o4UN82Z50
ここで作家性を語っても仕方ないとは思うが
このお題ならこんな話だろうと無粋な予想をして読んだりw
512 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:21:01.59 ID:9T3KMG6tO
>>507 ◆/7COの人どうぞ
以下順番待ち
◆魔女っこのひと
513 :
品評会用 携帯電話を持ち出して (1/5) ◆/7C0zzoEsE :2008/01/13(日) 23:23:16.06 ID:n/MawlFl0
ピロリロピロリロ。携帯電話の間抜けな着信音が鳴り響く。
喧しくて、目が覚めた。時計を見ると、まだ朝の八時。
……目を覚ますような時間ではない。今日は嬉しい休日だ。
「っんだよっ!」
頭を掻き毟って、面倒くさそうに携帯を開いた。
重たい瞼を擦って、誰から届いたのか確認した。
確認した――と同時に布団を跳ね飛ばした。差出人は、西河榊さんだった。
俺は体を起こして、携帯を強く握り締めた。
「うわぁ、榊さんの方からメールくるなんて……」
歓喜の声を叫びたかった。いつも俺の方からしかメールを送らないのに、
珍しいこともあるものだ。ほくほく顔で中身を見ると、ただ一行分かりやすく、
『あの御手数かけて申し訳ないのですが、御暇でしたら駅前の○×公園に来てください』
とあった。
――――猛烈ダッシュで支度して。
つい数分前まで布団の中に入っていたとは思えない。
寝癖もワックスを付けて、服装もしっかり整えてきた。
公園のベンチにどかっと腰掛ける。
彼女の方から話があるなんて、胸が弾まずにはいられない。
彼女に初めてメールを送ったときと同じくらい緊張している。
514 :
品評会用 携帯電話を持ち出して (2/5) ◆/7C0zzoEsE :2008/01/13(日) 23:23:46.73 ID:n/MawlFl0
学園祭の打ち上げのときに、何気無さを装って彼女からメールアドレスを聞き出した。
それからというもの、ただただ押しの一手で。事ある毎に甲斐甲斐しくメールを送ってきた。
それというのも、彼女と仲良くなりたかったから。
もちろん彼女は嫌そうな顔ひとつせず、丁寧に返信してくれるが、
今まで彼女の方からメールを送ってくるという事は無かった。
もしかしなくても、本当は疎ましがられているのではないだろうか。
彼女に嫌われるのだけは避けたかったから、段々こちらからは送信し辛くなってきた。
そんな矢先に、このお誘いのメール。自然と笑みがこぼれてしまう。
にへら。
休日にこんな所へ呼び出して、一体どんな用があるというのか。
“告白”そんな甘い言葉が嫌でも頭に浮かんでくる。
期待し過ぎて、悲しい思いをするのはごめんだったが。
どんな用だったとしても、お茶くらいは誘ってみよう。
そのために財布の中になけなしのお小遣いを詰めてきたんだ。
そしてその後は、映画にも誘ってみようか。いやいや、それは次の機会……じゃあ次の機会の約束でも――
緩んだ顔で妄想を広げていると、後ろから不意に肩を叩かれた。
「もし……?」
ビクンッっと一瞬体を竦ませたが、両手で襟元を整え、ゆっくり振り返える。
そこには愛しい榊さんの姿が――、無かった。
その代わりに、どこかあどけない顔つきをした、年下の女の子が首を傾げて立っていた。
「あの……この携帯電話の、持ち主の知り合いさんですか?」
「へ?」
すっかり油断して、間抜けな声を出してしまった。
515 :
◆s8ee1DM8jQ :2008/01/13(日) 23:24:07.43 ID:dSKT9oI+0
予約します
516 :
品評会用 携帯電話を持ち出して (3/5) ◆/7C0zzoEsE :2008/01/13(日) 23:24:17.98 ID:n/MawlFl0
数分、話を聞くと大体の事情は分かった。その時点で俺の鋭気はすっかり挫かれてしまっていた。
「それで、この落し物を持ち主に返したいから、登録されてたアドレスの俺にメールしたって訳ね」
「あの……一応他の人にも送ったのですが、貴方から返ってきたのが一番早かったので……」
それもその筈、彼女への返信は至極早くがモットーだ。
「あ、じゃあこの携帯電話返しときますね」
お洒落をしてきた自分が情けなくなった。期待なんてするものじゃない。
彼女に会える口実ができたものの、学校で渡すのなら意味が無い。
休日なら、そこからデートにでも誘えるかもしれないが。休日に会える手立てはない。
何しろ、唯一の連絡手段がここにあるというのだから。
榊さんの携帯電話を胸ポケットにしまった。
木枯らしが吹く中、ため息をついて、寂しく帰ろうとする。
するとどうだろう、その背中に同情されたのか。
女の子はタッと、俺の傍に走ってきて袖を引っ張った。
「あの……、この後ご都合がよろしければ。お茶でも飲みに行きませんか?」
「あ、え、うん。ええ、是非」
戸惑いはしたものの、この後特に予定も無い。
じっくり見ると榊さんに似てなくもない可愛らしい女の子だった。そんな子と一緒にいれるのに断る理由が見当たらない。
何故か榊さんへ対する罪悪感で胸がチクリと痛んだが、よく考えると俺は彼女の彼氏でも何でも無かった。
「よかった、私おいしいケーキのお店知ってるんですけど、一人で行くのは忍びなかったので」
彼女がにっこりと微笑んだ。一瞬心を奪われそうになってしまった。
彼女が連れてきた店は小奇麗で、でもどこか女の子向けの店のような印象を受ける。
俺が店員にケーキセットを頼むと、女の子も同じものを注文した。
俺が女の子の方に正対すると、彼女もどこか身構えたようだった。
「名前、何て言うの?」
「え、ええと。に、新山綾香、っていいます」
どこか、語調がどもりながら聞こえる。知らない男に、名前を教えるのは抵抗があるのだろうか?
いやそれなら誘ったりしないだろう。そういう性格なんだろう、と思うことにした。
517 :
品評会用 携帯電話を持ち出して (4/5) ◆/7C0zzoEsE :2008/01/13(日) 23:25:07.24 ID:n/MawlFl0
「あなたは、萩原修二さんですよね」
「え、どうして?」
ウフッと笑って榊さんの携帯電話が入ったポケットを指差した。
なるほど。という事は、フルネームで登録されているのか、やっぱりどこか他人行儀なんだな。
何を考えても、悪い風にしか考えられない。
せっかく出てきたケーキは美味しいし、目の前にいる綾香ちゃんは可愛いのに。
どうしても気が晴れない。それも失礼だと思い、作り笑いで頬をひくつかせている。
そんな思いも全てお見通しなのか、綾香ちゃんは俺の目をジーッと見つめて聞いてきた。
「修二さんは、榊さんって言う人のこと好きなんですか?」
あまりにも唐突だったので、口に含んでいたコーヒーを吹き出してしまうところだった。
そこをなんとか飲み込んだので、咽てしまった。
「っど、どうしてそう思ったの?」
「女の勘ですよ」
どうなんです? と詰め寄ってきたので、思わず視線を逸らしてしまった。
「まぁ……片思いって感じだけどね……」
ふぅんと彼女が唇を尖らせて、椅子にもたれ掛かる。
どうして、知り合ったばかりの女の子にこんな話してるのだろう。妙な一日だ全く。
「あの、この後、映画見に行きません?」
「え? お、俺と?」
勿論ですよ、そう言って顔を近づける。小悪魔な微笑みは反則的に可愛かった。
「いや、あの、この後はちょっと用事があって」
自分でも何故か分からなかったが、嘘をついていた。榊さんの顔が瞼の裏から離れない。
せっかくの機会を自ら潰していることが分かっていたけども。
「別に、今日じゃなくてもいいんです! 明日でも明後日でも……アドレス教えてくれれば……」
「綾香ちゃん? どうしたの、大丈夫?」
彼女に似つかわしく声を荒げている、他の客がこっちを見てくるのが非常に困る。
彼女は、ちょっと目頭を潤めてキッと俺の瞳を見つめて言う。
518 :
品評会用 携帯電話を持ち出して (5/5) ◆/7C0zzoEsE :2008/01/13(日) 23:26:02.14 ID:n/MawlFl0
「好きになっちゃったんです。私じゃ、付き合ってくれませんか?」
時間が止まったようだった。少なくとも、俺の感覚では。それでも、彼女は俺の返事を待っている。一秒が果てしなく長い。
こんな可愛い子から好意を抱かれて嬉しくないはずが無い。心臓が破裂しそうなほどに高鳴っている。
安心できる暖かな思いに包まれて、恋愛が出来る。メールも送信されてくる。
そして俺は優しい気持ちになることができて、そして、そして榊さんは――――――
「ごめん」
自分で言った後に、唇を押さえていた。それでも不思議と後悔はしていなかった。
彼女は目を瞑って、一度小さく頷くと、
「そろそろ出ましょうか」
と微笑んで言ってくれた。会計は俺が支払おうとしたが、どうしても聞いてくれなかった。
店の外は、やはり肌寒い。彼女は美味しかった、と満足げに落ち葉を蹴り散らしている。
しかし俺はどうしても不思議だったので、尋ねてみることにした。
「あのさ。綾香ちゃんはどうして俺に告白しようと思ったの?」
あんな会って直ぐに、告白されてからに面喰らった俺。一目惚れされるような面じゃないのは良く分かっている。
彼女はあの小悪魔な笑みをもう一度。八重歯を光らせて言った。
「えー、だってお姉の好きな人と付き合うなんて、素敵じゃないですか?」
言った後に、ハッとした顔つきになる。しまった、と確かに顔にかいてあった。
俺は彼女の言った意味がよく分からなかった。分からなかったが、
遠くからこっちに向かって、美しい髪を振り分け小走りで近寄り、綾香ちゃんの頭を小突く人がいた。
「綾香! あんたね、私の携帯電話勝手に持ってったのは!」
「あ……、お姉……ごめん」
木枯らしが、木の葉を舞い散らして。俺の心をざわつかせていく。
(了)
519 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:26:55.41 ID:9T3KMG6tO
>>509 ◆魔女っこの人どうぞ。
以下順番待ち
◆s8eeの人
520 :
◆Bh78QWxHPM :2008/01/13(日) 23:26:59.03 ID:p9FpInGi0
予約します
521 :
その想いは疾風の如く(1/5) ◆InwGZIAUcs :2008/01/13(日) 23:27:12.73 ID:26ixkkwB0
モーニングコールは聞きなれた母親の勇ましい怒鳴り声。月曜日は嫌いではないが、もう少し寝ていたいと思う。
特に冬はずっと布団の中で過ごしたい。まどろむ思考のを巡らせていると、ついに俺の部屋に誰かが入ってきた。
「さっさと起きろ」
声の持ち主は母ではなく……姉貴のだった。そして、嫌な予感を覚えるのが若干遅かった。
「とりゃ」「ぐぇ」
重力を味方につけた姉貴は俺の布団にダイビング攻撃を仕掛けてきたのだ。
「何度も言わせるな。さっさと起きろ」
と申されましてもお姉さま。そのモデルのようにスタイルの良い凹凸が布団越しでも伝わって……余計布団から
出られない次第でございますよ? しかし、そんなことをそのまま伝えては俺の命が無い。ここは、
「千秋姉様。とても重いです、お太りあそばせましたか?」
と誤魔化してみる。
「ふむ……朝立ちなら仕方ない。これでいいだろう、さっさと着替えを済ますことだな」
千秋姉は布団越しに、過激で容赦の無いやくざ蹴りを一撃残し、悠々と立ち去った。
俺は股間を悶絶し瞳を白黒させながら、その黒髪なびく優美な後ろ姿を見送るのであった。
「いってきまあす」
朝から散々な目にあって俺のエネルギーは早くも底を尽きかけていた……が、
玄関前で待っているだろう幼馴染、麻柚(まゆ)のことを考えれば、急がねばなるまい。
「おい静木」
と、玄関の扉まで後一歩の所でまた千秋姉に声をかけられた。
今度はなんだ? と振り返ろうとした瞬間ふわっと良い匂いが俺を包み込んだ。一瞬何が起きてるのかさっぱり分からない。
とりあえず分かるのは、背後から回された手が俺のブレザーの胸元にまで及んでいること。耳元にかかる吐息と髪がとても
くすぐったいこと。そして背中に当たる、芳醇そうな果実の厚み……。
「ち、千秋姉?」
「……元気は出たか? さあ、行って来なさい」
「ハイ。イッテキマス」
片言になるほど元気は吸い尽くされました。というかあんたも今から同じ学校に行くんだろうが……という突っ込みを入れる余裕も無い。
俺はただただ機械的にドアを開けるしかなかった。とりあえずもう学校に行こう。学校ならば高一の俺が高三の千秋姉に会う機会も少ないだろう。
開けた扉の向こうは寒くも良い天気だった。雲が早い……。
522 :
その想いは疾風の如く(2/5) ◆InwGZIAUcs :2008/01/13(日) 23:27:28.26 ID:26ixkkwB0
「オハヨウゴザイマス」
ドアを開けた第一声の挨拶は俺のもの。しかし、応えたのは住宅街を縫うように吹く風の音だけだった。
点になった目の焦点はいまだ何処かを彷徨っていたが、俺は思わず首を傾げる。
いつもなら家の前で待っている筈の麻柚がいない。
今朝はどうしたことだろう? 千秋姉はやたら絡んでくるし麻柚は居ないし……。
仕方なく、俺は突き刺すように冷えた空気の中、重い足取りを学校に足を向けることにした。
深く考えても仕方ない。姉は日ごろから何を考えてるのか分からない変な奴だし、麻柚は多分部活の朝練でもあるのだろう。
そういえば弓道の全国大会が近いとか言ってたし……。うん、やっぱり深く考えないでおこう。
幼馴染で同じクラスという、美少女ゲームの設定からとってつけたような可愛い女の子が麻柚だ。
そして今朝いつものように姿を現さなかった彼女だが、風邪を引いて休んでいるわけではなかった。
チョコンという佇まいで机に座り、鞄の中から教科書を出している。
「おはよ。今日は朝練か何かだったのか?」
一人の登校は結構つまらない。ちょっとした愚痴を零すついでに、何気ない話題を振る。
「おはよ。じゃあ次は移動教室だから……」
「へ? あ、おい!」
麻柚はツンと言い放ち、教室から出て行ってしまった。もとい、俺から逃げるように立ち去ってしまった。
というか質問の答えになってませんよお嬢さん?
「……俺何かしたっけか?」
ふと今朝の出来事が思い浮かんだ。玄関で姉に抱きつかれていたこと……ひょっとして隙間から見てて、
嫉妬でもしてるのか? なんて麻柚の気持ちなど全く知らないのだが、妄想を膨らませてみる。
そうかー麻柚が俺のことをなー、困ったなー、まいっちゃうなー。……やっぱり流石に空しいわ。
しかしそんな妄想なんてなんのその、その日麻柚は凍えそうになるほど冷たかった。
子どもの頃から今日まで、ここまで冷たくされたことがあっただろうか? これは焦る。
「なあ麻柚、俺何かしたか?」
「別に?」
おい! お前はそんな冷たいことを言える子じゃなかっただろう! これでもかって程天然で優しい子だったじゃないか!
「じゃあ何でそんなに怒ってるんだよー」
「怒ってないよ。じゃあ私……その、お、お手洗い行くから。ついてこないで」
523 :
その想いは疾風の如く(3/5) ◆InwGZIAUcs :2008/01/13(日) 23:27:43.68 ID:26ixkkwB0
一体何だってんだ?
本当に疲れた。なんだろう、肩もこったし精神的に疲れた。
こんな状態では部活の剣道に身が入るわけも無く、早々に帰らされてしまった。他から見たらまさしくうわの空だったのだろう。
そして当然麻柚の弓道部は活動している時間帯。どうせこの調子だと帰りも麻柚は待っていてはくれないだろうと踏んで、俺は一人帰路に立った。
つるべ落としの空はあっという間に夕暮れに染まり、家につく頃にはだいぶ暗くなっていた。この辺は街灯がそこらにあるので、
道を見失う暗さはないが、残念なことに綺麗な星は見ることができない。
そういえば今日、部活で千秋姉の姿が見えなかったのを思い出す。俺達姉弟は、同じ剣道部に所属しているのだ。
一体どこで何をしているのやら……。そんな思いを溜息に孕ませた矢先のことだった。
「静君止まって!」
な、なんだなんだ? 突然の声に従い、俺は自宅前の街灯の下で立ち止まった。
「絶対に、動かないで!」
動くなと言われると動きたくなるのが人間の性! 俺は遠慮なく振り向いて――動きを止めた。ついでに両手を挙げ降参の意を示すのも忘れていない。
「ま、麻柚……さん?」
弧を描いた長弓と矢の向こうにいたのは麻柚だった。的を、つまり俺を見る瞳が怖いんですけど……。
「動くなあ!」
最後に見たのは俺の胸に突き刺さった一本の矢。
最後に聞いたのは麻柚の掛け声と空気を裂く矢の高い音。そして、何故か千秋姉の声が聞こえた気がした……。
「ん、ん……?」
頬に何かが当たっている……水? 涙?
「あ、静君! 良かった、目が覚めたんだね?」
俺の顔を覗いていたのは泣き顔の麻柚だった。その後ろには見慣れた自室の光景が広がっている。
俺はベッドの上で寝ているのか。
「良かった! 死んじゃったかと思った!」
「ち、ちょっと痛いって!」
ほんとに痛い。力いっぱい顔に抱きつくな首の骨がいい感じで軋んでるぞ……ん? そうだ、俺は確か麻柚に胸を射抜かれた筈だ。
「そうだ! なんであんなことをしたんだよ!」
524 :
◆s8ee1DM8jQ :2008/01/13(日) 23:27:50.00 ID:dSKT9oI+0
◆/7C0zzoEsE 氏 割り込みすまんかった・・・
525 :
その想いは疾風の如く(4/5) ◆InwGZIAUcs :2008/01/13(日) 23:28:05.78 ID:26ixkkwB0
ガバッと俺は麻柚の肩を掴み引き離した。相変わらずキョトンとした佇まいで俺を不思議そうに見ている。
そして彼女は、思い出したように傍らに置いてあった矢を差し出した。
「これを見て欲しくって……」
「これは、矢文?」
昔テレビで見た時代劇に使われていた物と同じような紙が、矢に巻かれていた。
その紙を丁寧に解き、中を開いてみる。
『静君の朝立ちだって受け入れられるくらい……私静君のことが好きです! 付き合ってください!』
「な、なんじゃこらあぁぁぁぁ!」
そこに書かれていた告白よりも、その前置きに目が行ってしまった。
畜生! ということは千秋姉がグル、いや黒幕ということか!
「よし、私が説明しよう」
タイミングよく部屋の扉をぶち開けたのは今回の黒幕である千秋姉だった。
俺の大声と、突然の来訪者に麻柚は固まっていたが、気にしている余裕はない。
「千秋姉! どういうことだよ!」
「簡単なことだ。この可愛くて天然な幼馴染は、お前のことが好きだという。なので、微力ながらも私が力添えをしたのだ」
「突っ込むところが満載過ぎるだろ!」
しかし俺の突っ込みは基本無視。目がマジだ。こうなったら千秋姉は止められない。
「今朝、お前の醜態を把握し麻柚に伝えた。それでもお前のことが好きかどうか聞いてみたのだ」
おそらく朝立ちのことを指しているのだろう……くそう。これは酷い。
「私は、静君の朝立ちなんて気にしないです!」
勇敢にも顔を真っ赤にして叫ぶ麻柚。ああ、本当にお前は意味分かってるのか?
「そして、朝学校に行く前に胸ポケットに厚手のメモ用紙を仕込み、準備は万端……さらに今日の麻柚はツンデレになってもらい、
お前の気持をくすぐった」
なるほど、朝突然抱きついてきたのはそれか。さらに今日麻柚が冷たかったのもそのせいか。
恐ろしいほどの計画性だな。目標へはこれでもかというほど外れているが。
「そして仕上げはこの矢。矢を向けられるという恐怖から期待されるつり橋効果によって、麻柚への愛着度は限界を突破していた
はずだ。だが、ここで一つの誤算があった……お前だ。お前がたった一度矢を受けただけで倒れてしまうとはな……正直残念だよ」
「当たり前だあぁぁぁ!」
526 :
その想いは疾風の如く(5/5) ◆InwGZIAUcs :2008/01/13(日) 23:28:22.91 ID:26ixkkwB0
思わず叫ぶ。が千秋姉の常識には今一歩追いついていないらしい。
胸元をいじると、確かに胸ポケットに穴の開いた厚手のメモ帳が入っていた。気づかない俺も俺だけど……まあ通りで肩がこったわけだ。
それにしても麻柚、一から十まで姉の言うことを納得して実行したのか? 天然もここまでくると病気だぞ。
「それで? この恋文の返答はどうするんだ?」
傍らに居た麻柚がゴクリと固唾を呑む音がする。
確かにこいつらの頭の中は恐らく常人の半分も常識が詰まっていないだろうが……真剣だったんだろう。
付き合いも長いし、分かる。俺のことを真剣に考えてくれていたのだ。だから俺も中途半端に応えてはいけない気がした。
「俺は」
「俺は?」
「千秋姉が好きなんだ!」
世界が凍った。少なくともその場にいた三人は。きっと時計とかも止まってるに違いない。というか止まってくれ。
心臓は沸騰している。場の気温が下がれば下がるほど沸騰していく。
「……」「ふむ……」
順に麻柚、千秋姉。俺はおそるおそる千秋姉を見る。その目には珍しく驚愕の色がとって見えた。
そして、再びの沈黙を次に破ったのは、苦虫を潰したような顔の麻柚だった。
「静君……シスコンだったんだ……あの、その、私お邪魔しました!」
麻柚は立ち上がると踵を返し部屋を出て行く。ちょいと待ってくれ!
「あ、待って麻柚! その、ごめん!」
「謝らないで……そのちょっと私急にその……またね!」
麻柚は振り返らずに去っていった。
ひょっとしてシスコンに反応したのか? 人を陥れる計画には無頓着なのに、変なところで常人回路を持っているな。
で、当の千秋姉はというと。「ふむ……そうか、そうだったのか。そうだな、私も静木は嫌いでない。付き合うか?」と言う始末。
そして断らない俺。
「……よろしくお願いします」
その頃麻柚はといえば、一目散に自分の部屋に転がり帰っていたらしい。
「静君、流石にシスコンは受け入れられないよ……きんしんもうそうは流石に私……」
無駄に知識だけ多い麻柚。そして俺に対するその想いは、まさに疾風の如く冷めていったそうだ。
麻柚にそのことが聞けたのは彼女が立ち直った後日のこと、たった三日後のことであった。 <終わり>
527 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:29:15.73 ID:9T3KMG6tO
>>515 ◆s8eeの人どうぞ。
以下順番待ち
◆Bh78QWの人
528 :
◆6BMoPw49xY :2008/01/13(日) 23:29:16.87 ID:qDauD03A0
予約
予約
530 :
◆VXDElOORQI :2008/01/13(日) 23:30:01.59 ID:rUeBrjy90
楽々予約
531 :
◆VXDElOORQI :2008/01/13(日) 23:30:40.97 ID:rUeBrjy90
おっと初めて予約失敗したぜ。まあいいや。時間外投下はしないから無視してね
532 :
【品評会】鼓動と追いかけっこ1/5 ◆s8ee1DM8jQ :2008/01/13(日) 23:30:47.79 ID:dSKT9oI+0
それが癖なのか何なのか知らないが、浅川は何かにつけてふらりと姿を消す。放っておけばいいと分かってい
ながら探しに向かう俺の足は、何か悪い磁石でもついてしまったのだろう。屋上へ続く、重く堅い扉を開けて、
冷たい風に触れた。浅川は金網にもたれかかり、いつものように不敵に笑って俺を見る。その、憎たらしいこと
といったら。悔しさで金輪際止めようと誓うのに、結局、こうしてまた同じ事を繰り返してしまうのだ、俺は。
そんな自分に呆れかえりながら、目の前の性悪顔を見つめた。
「まぁた来たの、あんた。暇人だねぇ」
「実験中にいなくなるって最悪だぞ、お前。せめて休み時間に消えろよ」
「へいへい」
「先生怒ってたぞ。チームワーク乱すな、って」
「チームワークねぇ…」
浅川にまるで似合わないその言葉は、俺の口から勢いよく飛び出したくせに、だらりとした浅川にふれた途端、
ぽとりと地面に落ちたようだった。俺と浅川の会話はいつだってそうだ。
風が乱す長い髪を邪魔そうに振り払って、浅川はおもむろに制服のポケットから煙草を取り出した。そしてそ
の先端に火を付けて、ふうぅ、と吐き出す。薄い煙は、どんよりとした今日の曇り空に重なって消えた。
「そんなに暇なら、彼女でも作りなよ」
「お前はどうなんだよ、ばーか!」
「何キレてんの」
一瞬にして俺の、鼓動のリズムが乱れる。止まったものが慌てて動き出したみたいにガタガタだ。
俺だって、可愛い彼女の一人や二人作って、青春を謳歌したい。だけれど、人生の華の時代と言われるこの高
校生活の始まりに、それを狂わせたのはどこのどいつだ。そんなこと、浅川はこれっぽっちも自覚してやいない
のだろうが、間違いなくそれは浅川だ。あのとき、あの場所で。俺がこんな風に、意味のない行動をくりかえし
てしまい、ぶつける先の分からない憤りを感じるのだってそれが原因だ。
お前だよ、お前。浅川のせいなんだよ。
533 :
【品評会】鼓動と追いかけっこ2/5 ◆s8ee1DM8jQ :2008/01/13(日) 23:31:40.61 ID:dSKT9oI+0
「いいの?」
「いいんだよ、大体なぁ、彼女なんて作ろうと思って出来るもんじゃ」
「いやいや、何の話だよ。鳴ったけどいいのかって言ってんの」
「は?」
「予鈴」
耳に単純な音のつながりの最後が聞こえた。途端、傘が開くときのようにぶわっと顔を赤く染めた俺を、ニヤ
リと浅川が笑う。居たたまれない、と思いつつも俺は、教室へこのまま足を向かわせる気にはなれなかった。理
由なんてもう、自分でもよく分からない。
そんな俺に、浅川が口から煙を吐き出すと同時に、話しかけた。
「まぁ、あんたみたいな意地っ張りを好きになる子なんていないだろうけど」
「自分だってそうだろ。悪くねぇのに、顔は」
「顔は、って何。悪いとこは何なの」
「だからその、アレな行動とかだよ」
「ふらふらしてんのは性分ですー」
「自覚あんじゃん」
俺の青春を狂わせたのは、高校生活初日の放課後。担任が今後の予定を黒板を使って一通り説明したあと、じゃ
あ、下校、とつぶやいた。
新しいクラスメイト達は、その言葉を聞くとそそくさと荷物をまとめ始め、担任も余ったプリントを整理し、
教室を後にしようと足を進めた。そして出て行く寸前、担任は、あ、と何かに気付き、一番前に座っている生徒
に声をかける。
「お前、悪いけど黒板消しといてくれなー」
その生徒が浅川だった。
俺はその真後ろの席で、ご愁傷様、と浅川に視線を送った。入学早々運の悪い奴。めいっぱい使われた黒板は、
黒というより白だった。面倒くさそうに、浅川はだらりと立ち上がり、黒板を素直に消しにかかった。俺は、普
通ならその行動を気にも止めず帰るのだが、だらだら文字を消す浅川を俺は終わるまで眺めてしまった。何故っ
てその消し方だ。
534 :
【品評会】鼓動と追いかけっこ3/5 ◆s8ee1DM8jQ :2008/01/13(日) 23:32:38.78 ID:dSKT9oI+0
上から下へ、普通に消せばいいものを、黒板消しを両手にはめて、あっちへせかせか、こっちへせかせか。浅
川なりにさっさと終わらせたい一心での行動だったのかもしれないが、めちゃくちゃに動かされた黒板消しの跡
で、黒板はむしろ書いてあった方が綺麗だった、と言わんばかりの仕上がりだった。消し終わるころ教室には、
眉間に皺を寄せて立ちすくむ俺と、両手に黒板消しをはめたまま俺を見る浅川だけ。
それに気付いた俺は、まだ話したこともない女子と二人、その空気に居たたまれなさを感じ、手元の荷物を引
っ掴む。しかし、ずんずんとこちらへ向かってくる浅川に、身体はそのまま動かなかった。
そして目の前に来たかと思うと、ばふ、という音と共に目の前に白い粉が舞った。
「な、なにす…」
浅川は俺の頭上で自分の両手をたたいたのだった。
「ぼーっと突っ立ってるくらいだったら、手伝えよばーか」
むすりとした顔で、浅川は俺にそう言ってのけた。その瞬間俺の心臓は一瞬動くのをやめ、次にドクドクドク
とリズムを乱してまた動き始めた。本当に口から何も出せなかったし、何も入る気配がなかった。俺の息は止ま
ったのだ。
ぽかんとする俺をそっちのけにして、両手の黒板消しを俺の机にぽいっと置くと、浅川はすたすたと教室を後
にした。
「ちょ、…てめぇ、まてコラァア!」
その時からなのだ。俺と浅川の追いかけっこのような関係。もしかしたら降り注いだチョークの粉は、何かの
魔法だったのかもしれない。
呆れて俺はその場にすとんと腰を下ろした。悪いとわかっているのならやめてくれ、と浅川には聞こえないよ
うにつぶやく。つぶやいて、その言葉の可笑しさに少し笑った。別に浅川がどうしようが勝手で、嫌なら追いか
けなければいいんだ。一体俺はこの思考を何度繰り返すつもりだろう。
ため息を吐き出すのと一緒に、首を垂らして足下に目をやった。入学時はまっさらだった上履きが、もうぼろ
ぼろだった。ふいに視界に入り込んだ、もう一つの上履きは浅川のもの。同じようにぼろぼろだ。近づいてきた
浅川は、煙草を咥えたまま、俺を見下ろした。
こんな俺をまたいつものように顔を歪めて笑うのかと思いきや、いやに真面目な顔をして俺を見つめている。
俺がなんだ、と見つめ返すと、そんな見慣れない顔をした浅川が口を開いた。
535 :
【品評会】鼓動と追いかけっこ4/5 ◆s8ee1DM8jQ :2008/01/13(日) 23:33:20.85 ID:dSKT9oI+0
「もう、いいんじゃないの」
俺は浅川の顔を、ただ見上げながらぽかんとしてしまった。なにがもういいんだ。俺は眉間に皺を寄せたまま
浅川に聞いた。
「あたしはあんたが意地っ張りだって知ってるし、あんたはあたしがふらふら、どうしようもないことも知って
んじゃん」
最後はまるでヤケにでもなったかのような言い草だった。浅川は煙草を口から離し、俺の足下に落とし、踏み
つぶした。それに、あぶねえ、と言う余裕もなく、ただずっと俺は浅川を見上げていた。
「あたしらいつまで、相手を作れだのなんだのって会話続けんのよ。お互い、意地っ張りだからしょうがないの
かもしんないけど、もう、いいんじゃないの」
気付かないフリすんの、もう飽きた。
いい加減、はっきりしようよ。
「ねぇ、西原」
気がつけば、先ほどより、空を大きく雲が覆っていた。もしかしたら、下校時には雨が降るかもしれない。
冷静にそんな事を考えてみるものの、耳の奥はドクドクと激しく脈を打って、熱くて熱くて堪らない。西原、
と名前を呼ばれて、俺の心臓はまたぴた、と動くのをやめた。もうこれで、浅川に心臓を止められたのは何度目
になるのだろう。息を吐くことも吸うこともしないまま一秒、そしてガタガタに乱れた鼓動が、早く、早くと暴
れ出す。腹の奥からざわざわと気持ちが溢れかえった。
すき、意識をすり抜けて俺の口から飛び出た言葉は、案外綺麗に耳に届いた。
「すきだ」
「浅川が」
「すき」
ぼろぼろとこぼれるその言葉をなんて幼稚な言葉だと思った。まるで幼い子供のようだ。だけれどそれにして
は大きな意味を含む言葉。
口に出してしまえば、よく分からない俺の数々の行いもすんなり解決だ。消える浅川を何度も探してしまうの
は、すきだからだ。ほんのちょっとしたことに心臓が止まるのも、すきだからだ。教室に向かわなかった俺の足
は、脳より賢いのかもしれない。
何度と繰り返したこの不毛な追いかけっこも、単なる意地の張り合いだった。
536 :
【品評会】鼓動と追いかけっこ5/5 ◆s8ee1DM8jQ :2008/01/13(日) 23:33:59.61 ID:dSKT9oI+0
浅川は、表情を変えることなくそのまま、じっと俺を見下ろしていた。一分。いや、三分は経った。時間が経
つにつれて熱さを増す俺の頬はもう、限界だった。
「だから、…っすうーきいーでぇーすうー!!」
「うるさいよ。別に耳が遠いわけじゃないんだけど」
「じゃあお前なんか言えよ! 何黙ってんだよ!」
「なんかって何」
「ああー! もう、本当ムカつく! ほんっとムカつく!」
俺は自分の口から出た言葉を思い出すと頭が沸騰しそうだった。
「返事! 返事を言えっつってんの!」
「だからなんの」
「ちくしょう、お前、わかってんだろ。お前も言えよ!」
「何のことだか全然わからないなぁ」
ニヤニヤとあくどい笑みを浮かべた浅川は、すとんと、俺の左横に腰を下ろした。お前本当に意地っ張りだな、
と俺が吐き捨てると、俺の左手をほんのり暖かいものが包んだ。また、俺の心臓が止まる。暴れ出すかと思った
鼓動は、予想外にゆっくりと、微かに鳴り始めて、少し驚いた。
「やっぱり告白は男がするもんだよ」
「お前、何時代の人?」
なんだか気が抜けて左手はそのままに、屋上のコンクリートに背中をつけた。見上げた空は変わらずどんより
と曇っている。
繋いだ手が答えなら、どこにだって探しに行ってやるから、朝も昼も夜も、俺の息を止めてくれよ、浅川。
おしまい
537 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:34:30.47 ID:9T3KMG6tO
>>520 ◆Bh78QWの人どうぞ。
以下順番待ち
◆6BMの人
◆uwの人
>>530 また来週ー。
538 :
兄貴の一目惚れ(1/5) ◆Bh78QWxHPM :2008/01/13(日) 23:34:52.77 ID:p9FpInGi0
十二月も半ば。本格化し始めた冬の寒さと、迫り来る大学受験と期末試験の重圧から逃げるかのように、十枝勝也は家路を急いでいた。
駅前の交差点。冷蔵庫の中かと錯覚しそうになるくらいに底冷えした寒さが、信号待ちをする人々を襲う。誰
もが早く家に帰ることを願い、信号が青に変わるのを待ち焦がれていた。短くも長い待ち時間。勝也は、マフラー
に顔を埋めたまま、視線だけを所在無さげに左右に巡らせた。その時、偶然視界に入った少女に、勝也は目を奪
われた。通行人の誰しもが、身を刺す寒さに凍えながら信号が変わるのを今か今かと待ち望んでいる中、その少
女だけは、凛とした態度のまま、ただまっすぐ前だけを見つめ佇んでいた。まるで、そこだけが真冬の寒さから
逃れ、春の陽気に包まれているかのように、勝也の目には映った。信号が変わり、大衆の波がせきを切ったかの
ように流れ出す。勝也も、その波に飲まれ流されて行くが、視線だけは、少女の姿をしっかりと追っていた。や
がて人の波が引き、道路を車が往来し出す。再び人ごみが横断歩道の前に溜まりだす中、勝也は自分の胸に突如
生まれた感情が理解できず、しばらくの間、呆然とその場に立ち尽くしていた。
それが一目惚れだということに勝也が気づくには、あと二十分ほど時間が必要だった。
「で、その娘が、あたしの通っている女子高の制服を着ていたと」
ここは勝也の家。勝也と、彼の妹の三華は、炬燵を挟んで向かい合うようにして座っていた。勝也はいたって
真面目な表情で話をしていたが、三華の方はあまり興味がなさそうだった。ふーん、と無関心な相槌を打った三
華は、兄の話を聞きながら剥いていたミカンを一房、口の中に放り込んだ。
「おい、俺は真剣な話をしてるんだよ。ちゃんと聞けっての」
勝也は身を乗り出して、三華の剥いたミカンを一房奪い、同じく口の中に放り込んだ。三華は一瞬不愉快そうな顔をしたが、抗議はせずに会話を続けた。
「私に、その女の子との仲介役をしろって言うんでしょ? 嫌よ、そんなめんどくさいこと」
「そんなこと言うなよ。兄妹だろ」
そう言って、勝也はまた三華のミカンを取って食べる。三華の片眉がぴくりと動いた。
「だったら、大(まさる)に頼めば? 大は優しいから、きっと力になってくれるわよ」
大とは、来年で中学三年になる彼らの弟のことだ。
勝也が、またまたミカンを奪う。三華の両眉が、ぴくぴくと動いた。
「学校が同じのお前の方が色々と便利だろ。それに、弟に恋愛相談なんてしてたら、兄の面子が潰れるだろ」
「妹ならいいんかい……」
「なぁ、頼むって」
言いながら、勝也は三華のミカンに手を伸ばした。三華のこめかみに青筋が浮かび上がった。
「だーっ! さっきから人のミカンを取るなーっ!」
「頼む。彼女の趣味だけでもいいから、探ってくれ」
539 :
兄貴の一目惚れ(2/5) ◆Bh78QWxHPM :2008/01/13(日) 23:35:33.43 ID:p9FpInGi0
「人の話を聞きなさいよっ!」
「お前が了承してくれるまでやり続ける」
「な、なんて低レベルな脅し……! こんな人が兄貴だなんて、あたしゃ哀しいよ」
「ふふふ、早くしないと、どんどんその兄貴が堕ちて行くぞ。終いには、お前の赤ボールペンのインクを黒に換
えて、学校で採点する時に赤丸をつけるはずが黒丸になってて、ちょっとブルーな気持ちになるようにするぞ」
「分かった、分かりました! やりゃいいんでしょ、やりゃ」
「それでこそ我が妹だ。兄として嬉しいぞ」
満足そうな笑みを浮かべながら、勝也は最後の一房に手を掛けようとして、三華の全力ビンタによって阻止された。
兄に協力すると約束した後、とりあえず三華は問題の少女が誰なのかを知るために、その特徴を訊いてみたの
だが、兄が話す特徴を聞いただけで、三華はその人物をある程度特定することができた。一つ年上、二年の神里瀞久(しずく)ではないかと、三華は予想した。
容姿端麗、頭脳明晰。運動は、標準よりはやや上。噂では、どこかの大企業の専務の娘だとか。学内で結構有
お嬢様だ。名な高嶺の花とは言うが、これはあまりにも高すぎる。まるで深海のチョウチンアンコウが、チョモ
ランマの頂に咲く花を欲するがごとしだと、三華は思った。約束したからには、ちゃんと手伝おうと思っていた
三華だったが、相手がアレだと分かると、途端にやる気がなくなってしまった。無理に決まっている。それに、
もし仮に、神様が間違いでも起こして二人がくっつくことになったりしたら……。あの馬鹿兄貴が、あんな綺麗
な人を彼女にするだなんて、考えただけで無性に腹が立つ。
そんなこんなで考えた末、三華は、勝也を適当にからかって、後はうやむやの内に無かったことにしようということで結論を下した。
「私の調査の結果、勝兄が惚れた相手は、神里瀞久さんだと判明したわ」
もちろん、実際は調査などしていない。三華は、とりあえず自分の知っている限りの神里情報を、勝也に教え
てやったのだ。そうとは知らずに、勝也の方は妹が真面目に取り組んでくれていることに感謝をして、三華の話す情報をしっかりと頭に叩き込んでいた。
「で、彼女の趣味なんだけど、友達伝いに聞いたところ、川柳が好きらしいわ」
ちなみに、これは嘘である。三華の勝手な作り話だ。
「川柳。確か、五・七・五の歌のことだよな」
「そう。で、提案なんだけど、勝兄が告白するときにさ、気持ちを川柳にして伝えるってのはどう?」
「彼女の趣味に合わせた告白か。なんか良さそうだな」
「でしょ? でさでさ、作る川柳には比喩表現をふんだんに盛り込むべきだと思うの。比喩を上手く使えば、何
か知的に見えるでしょ? きっと、神里さんの心をゲットできるわよ」
勝也はしばらく黙考した後、おそらく告白して成功している未来の自分の姿を想像したのだろう、晴れやかな
540 :
兄貴の一目惚れ(3/5) ◆Bh78QWxHPM :2008/01/13(日) 23:36:14.10 ID:p9FpInGi0
笑顔を浮かべると、「そうだな! その手で行こう!」と言って、三華に右手を差し出し握手を求めた。三華は
その手をしっかりと握り返す。兄妹の絆を象徴するかのように、二人の手は堅く握られていた。
夕方。勝也は想い人の姿を、初めの時と同じように、信号待ちする人ごみの中に見つけた。今度は流されない
ように、しっかりと彼女の後を追う。そして、人通りがある程度少なくなった時、勝也は意を決して目の前を歩く少女、神里瀞久に声を掛けた。
「あ、あの、神里瀞久さん!」
「……?」
ゆっくりと、神里が勝也の方を振り向いた。
「俺の思いの丈を聞いてくれ!」
「……?」
勝也は、ポケットから一枚の短冊状の紙を取り出た。そこに書き綴られている川柳は、昨夜勝也が徹夜で書き
上げたものだ。思いの全てを、今歌にして愛しい人に届ける。
「春の花 色鮮やかに 我が胸染める」
神里を色鮮やかな花に例えた川柳。勝也の、神里を愛する気持ちを込めた比喩の歌は果たして――
「………………?」
全く伝わらなかった。
「大好きだこんちくちょー!」
泣き叫びながら、勝也はその場から逃げ去った。
「おい、駄目だったぞ。全く伝わらなかった」
「残念ねぇー」
本当に残念とは全く思わずに、三華はせんべいを齧りながら嘯いた。初対面の人相手にいきなり川柳を、しか
もあんな遠まわしな表現で言われたら、誰だって頭の上にはてなマークを浮かべるだろう。しかし、勝也は馬鹿
なのだ。だからそれに気づけない。
「どういうことだよ。お前の調査には間違いがあったんじゃないか?」
「そうなの、実は神里さんは、そんなに川柳のことが好きではなかったの」
「なにっ、やっぱりか!」
「安心して。ちゃんと新情報を得てるから。なんでも、神里さんのタイプは、アフリカ原住民族のパサイ族みたいな人なんだって」
もちろん嘘である。
「パサイ? マサイじゃなくて?」
541 :
兄貴の一目惚れ(4/5) ◆Bh78QWxHPM :2008/01/13(日) 23:37:01.20 ID:p9FpInGi0
「そう、パサイ」
翌日の夕方。前日と同じように、勝也は神里に声を掛けた。
「あ、あの、神里瀞久さん!」
「……?」
ゆっくりと、神里が振り向く。するとそこには、全身に黒い塗料を塗り、謎の民族衣装を着た勝也が立っていた。
「オポレ! ポ・デ・モンテュトゥ! デボン・ゲバン!」
「きゃぁっ!」
手に持った槍のような棒を天高く掲げ、トランポリンの上で飛び跳ねる子供のように、勝也はジャンプを始めた。
説明しよう。パサイ族とは、アフリカ大陸のサバンナに住む、気高き部族のことだ。男子は成人すると一本の
槍を持たされ、それを持って意中の女に告白をして妻を得るのだ。勝也が口走った言葉は、プロポーズの意味になっている。(全て三華の嘘です)
勝也の、神里を愛する気持ちを込めた求愛行動は果たして――
夜遅く。家の扉が開かれた。手製の民族衣装を身にまとった勝也は、満身創痍の様子で玄関に倒れこんだ。そ
こに三華がやってきて、肉まんを頬張りながら質問した。
「遅かったわね。何してたの?」
「通行人に通報されて、今まで警察で事情聴取を受けてた……」
「残念ね。周りに誰もいなければ、今頃神里さんは勝兄のお嫁さんになってたんだけどね」
「くそっ! 通行人めっ!」
「でも安心して、実は最後の手段があるの」
勝也は、妹の言葉に反応して、首だけを持ち上げて三華の方を見た。三華はしゃがみこみ、床に倒れている兄に顔を近づけて、小さな声で言った。
「神里さんね、爬虫類が大好きなの。特にエリマキトカゲには目がなくて、『俺とエリマキトカゲについて語り
合おう! ついでに愛とかも!』って言えば、きっとOKしてくれるわよ」
「本当か! よっしゃー、やるぞー!」
勢いよく立ち上がった勝也は、きたる明日へ備えるため自分の部屋へと消えていった。
「……どんだけ馬鹿なのよ」
馬鹿であるがゆえに純粋。自分の兄の、あまりにも一途なその姿に、心動かされなかったと言えば嘘になる。
さすがに、そろそろ本当に協力してあげていいのかもしれない。あれだけ頑張っているのだから。そんな風に、三華は思うようになっていた。
「……仕方ない。人肌脱ぎますか。大ーっ! ちょっときなさい!」
542 :
兄貴の一目惚れ(5/5) ◆Bh78QWxHPM :2008/01/13(日) 23:37:46.57 ID:p9FpInGi0
今日こそはと意気込む勝也。片手には黒い大きなボストンバッグを持ち、昨日、一昨日と同じ場所で神里に声
をかけようとした。が、その前に別に人間が神里に声をかけた。二メートルはありそうな大柄な男で、革ジャン、
ジーパン、サングラスと、全身を黒一色で統一している。男は、卑しい笑みを浮かべながら、神里の腕を掴んだ。
神里は男の腕を必死になって離そうとするが、大柄の男の腕力はそれを完全に押さえ込んでいる。これはただ事
ではない。すぐさま悟った勝也は、何の躊躇いもなく、男と神里の間に割って入った。
「何してるんだ。嫌がってるだろ!」
男は突然の乱入者に驚き、神里の腕を掴んでいた腕を放す。自由になった神里を、勝也が抱き寄せて自分の後
ろへとやった。勝也が大男を睨みつける。射るような勝也の視線に恐れをなしたのか、大男は諦めたように手を
ぱたぱたと振ると、「何だよ、野郎連れかよ」と言って、去っていってしまった。
「大丈夫?」
「あ、え……あ、はい。大丈夫です。その……ありがとうございました」
二人の姿を、遠くのビルの陰から見守る姿があった。勝也の妹、三華だ。実は、さっき神里を襲った大男は、
彼女の弟、大だったりする。中学二年生でありながら二メートルを超す大は、普段は温厚な性格だが、それなり
の格好をすると、すぐさま不良へと変身する。それを神里にけしかけさせたのだ。普通なら、声を聞けば大男が
弟だと気づけるはずなのだが、勝也は馬鹿だから気づけない。そんな兄の馬鹿さを利用した見事な作戦だった。
「今よ! 告白するのよ、勝兄。今しかないでしょ!」
物陰からヤジを飛ばす妹。そんな妹の気持ちが届いたのか、勝也はいつになく神妙な表情になり、なにやら神
里に話し出していた。三華は心の中でガッツポーズをとる。が、そのガッツポーズが、次の瞬間には崩れ去るこ
とになる。勝也が、何やら思いだしたような顔をして、さっきのどたばたの時に地面に置いていた黒いボストン
バッグを持ち出したのだ。嫌な予感がした。と同時に、三華の頭の中では、昨日の自分の言葉が再生されていた。
『神里さんね、爬虫類が大好きなの』
「まさ……か」
そのまさかだった。勝也がボストンバッグから取り出したのは、体長五、六十センチほどのエリマキトカゲだった。
「俺とエリマキトカゲについて朝まで語り合おう! あとついでに愛とかも!」
勝也の言葉に、神里は一瞬息を呑んで、次の瞬間――
「はいっ! 語り合いましょう、朝まで! あと愛とかも!」
目を爛々と光らせて、勝也の持つエリマキトカゲに抱きついていた。神里瀞久は爬虫類、特にエリマキトカゲには目がなかったのだ。
遠くのビル陰で、何かが盛大に倒れる音がした。 おわり
543 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:38:06.22 ID:9T3KMG6tO
>>528 ◆6BMの人どうぞ。
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◆uwの人
544 :
夢みたあとで、甘い夢1/5 ◆6BMoPw49xY :2008/01/13(日) 23:38:19.75 ID:qDauD03A0
公園の砂場か何かだろうか、と思った。
気がつくと、そんな所に立っていた。こんな場所、小学生の頃しか来た記憶がないし、そもそも俺はさっきまで英語の授業の受けていたはずなのだ。
とにかく出口を探そうと辺りを見回す。英語担当の黒野先生は、普段は綺麗だが怒るとすごく怖い。さっさと学校に――
「智也くん、どうしたの?」
ふと名前が呼ばれる。声の方へと振り返ると、小学生くらいの女の子が小さなスコップを持って首を傾げていた。
ちょうど良かった、この子に道を聞けばいいと思って、
「ううん、なんでもないよ」
そんなことを口走っていた。いや、なんでもないわけがない。ここはどこなのか、とか。ここの出口は、とか聞きたいことはいっぱいある。
「そう、ならいいの。でね、さっきの話の続きなんだけど……」
良くない。全然良くない。だというのに、頑張って口を開こうとしてもガムテープが貼られてるみたいに全く開かない。
自分の意思に反することは簡単に開くのに。そもそもおかしい、どうして小学生くらいの女の子と目線の高さが一緒なのだ。
「私のこと、お嫁さんにしてくれる?」
衝撃発言。動揺してる俺をよそに、俺の体は迷うことなくその問いに頷く。すると女の子は満面の笑みで、
「ありがとう、智也。すごく嬉しい」
小学生の体から、突然高校生サイズの女の子へと変身する。うちの高校の制服と、どこまでも真っ直ぐストレートで、肩の辺りで切り揃えられた黒髪。
見知った幼馴染。おそらく今は俺と同じ教室で英語の授業を受けているであろう早瀬の顔と体つきに、その姿は瓜二つだった。
「僕もだよ、千鶴ちゃん」
ええい、鳥肌が立つ。その呼び方は中学校卒業と同時に卒業したんだ。その呼び方をしてたせいで俺がどれほどクラスのやつらにからかわれたか。
「じゃ、誓いのキスだな」
ちょ、待て。などと言うまでもなく電光石火のスピードで俺の口が早瀬の口で塞がれて――そこで、目を覚ました。
「のわあっ!」
口をガードして思わず椅子から飛び上がる。唇の感触は全くない。不思議に思って辺りを見回してみる。
公園の砂場なんてものはどこにもなくて、机があって、椅子があって、呆然と俺を見るクラスメイトがいた。早瀬もその一員だった。そこでようやく気づく。
「なんだ、夢か」
何事もなく着席する。さて、教室のそこかしこから笑い声が聞こえてもおかしくないのだが。不思議なことに、誰もが息を飲んで教壇を見つめていた。
「睡眠学習も結構ですが」
ぼきっ、と何かの折れる音。ついでごりごりとすり潰されるような音が聞こえる。多分、さっきまで持っていたチョークが犠牲になっているのだろう。
教壇に立っている首から上は誰もが見惚れる笑顔、首から下は怒りに震える英語教師。黒野先生は、女神のような顔と、鬼神のようなオーラを纏って、
「あんまり授業の邪魔をするようなら……捻り潰しますよ?」
「二度しないから許してくださいお願いします」
545 :
夢みたあとで、甘い夢2/5 ◆6BMoPw49xY :2008/01/13(日) 23:38:40.83 ID:qDauD03A0
こってりと、もうこれでもかというくらいこってりと絞られて職員室を出る。とりあえず頭を砕かれなくて良かったと思う。
「はぁ」
それにしても、酷い夢だった。なんというか、なまじ記憶の片隅にあんな出来事があった気がするだけにダメージが大きい。
「早瀬も忘れてるようなことだろうに、なんで今更思い出すんだろう」
「私がどうしたって?」
声がした方へと振り返る。
早瀬だった。なんだか似たようなことをさっき見た夢の中でもやったような気がする。
「いや、なんでもないさ」
精一杯にいつも通りを装って、気だるげに首を左右に振る。夢の内容だけに、意識するなというのはなかなか難しいようだ。心音がそう言ってる。
「そっか、ならいいんだけどな。にしても災難だったね」
そう言って早瀬が俺の肩をポンポンと叩く。誰のせいだ、誰の。いや、俺のせいなのか。居眠りしてたし。
「聞いて驚け、ホームルームを早め切り上げてたった今終わったところのお説教と、テストに出ない英単語100選の書き取りだけで済んだ」
「はは、それは随分と寛大な処置だね」
けらけらと早瀬が笑った。他人事だと思って、気楽なもんだ。つられて俺も顔をニヤけさせるが、そんなことをしてる場合ではない。
下手なことをしてはまた、中学時代みたいにからかわれてしまう。こんなところをクラスのやつらに見られたら確実にアウトだ。
「えっと、それで、俺になんか用か?」
我ながら見事なハンドルさばきだった。あまりに突然すぎたことを除けば百点満点だったと言っていい。あまりに突然すぎたことを除けば。
早瀬はほんの少し戸惑ったような表情をしたが、すぐいつも通りのクールな面構えに戻し、
「ああ、それなんだけどね。村田、今日は暇かな。ちょっと手伝って欲しいことがあるんだ」
「手伝って欲しいこと?」
鸚鵡返しのように言う。
最近ではあまり話すこともないが、中学時代の恩もあるので力にはなりたいと思う反面、早瀬が頼みごとなんてよほどのことだろうと身構える。
「いや、大したことじゃないんだ。図書委員の仕事でね。本を運んで欲しいんだ」
俺が警戒してるのに気づいたのか、苦笑い気味に早瀬が仕事内容を説明する。
にしても、拍子抜けだった。もっとこう、校舎全てのトイレ掃除とか、下駄箱掃除とかそんなのかと思っていたのだが。
「おう、そんなことなら喜んで手伝うよ」
俺の快諾に、早瀬はほっとしたように笑い、
「助かるよ。女の子に力仕事は大変だし、気心知れた男子は村田くらいしかいないからね」
早瀬の言葉に、俺はふと首を傾げる。
たかが本なのに、そんなに力仕事になるのだろうか。どれだけの量を運ばされるのか、少し嫌な予感を覚えながら姿勢よく歩く早瀬の後を追った。
546 :
夢みたあとで、甘い夢3/5 ◆6BMoPw49xY :2008/01/13(日) 23:39:00.73 ID:qDauD03A0
前言撤回。そして嫌な予感は見事に大当たり。
「……重っ」
本と言っても、ダンボール箱一杯に詰められた本では流石にキツい。
やっぱりだ。やっぱり早瀬がそう簡単に頼みごとをするわけがない。大抵のことは自分ひとりでやってしまうのだから。
「やっぱり手伝ったほうがいいんじゃないか? かなり重いから二人くらいで運んでくださいね、と黒野先生も言っていたし」
両手に本の入った紙袋を提げて早瀬が問う。ああ、そういや今年から図書委員の担当は黒野先生になったんだっけ。
俺も前期は図書委員だったけど、こんな仕事した覚えがない。いや、ほんとにどれだけ本が増えるんだ図書室。
「い、いや大丈夫。あと少しだし……って、着いたか。早瀬、ちょっとドア開けてくれ。前が見えない上に手が塞がってる」
「あ、そうだな。ごめん」
俺の後ろを歩いていた早瀬が、少し歩調を速めて扉をガラガラっと勢いよく開ける。人の気配がないからか、今日の図書室はほんのり冷たい空気だ。
「おっし、さんきゅ。で、どこに置けばいいんだこれ」
「ああ、今立ってる場所で構わないよ。そこからは押していけばいいんだし」
言われるままに、足元にダンボール箱を降ろす。どさっという音が重量を物語ってるな。自分で自分を褒めてあげたい気分だった。
「ありがとう、助かったよ本当に」
早瀬も紙袋を適当な机に置いて、俺を労うように肩に手を置く。こいつはこうやって平気でスキンシップを試みるから誤解されやすいんだよな、と
ほんの少し中学時代を思い出した。
「いや、なに。中学の時はたくさん世話になったからな。勉強とか、こんくらいならいつでも使ってくれ」
「中学の時、か」
ほんの少しだけ、早瀬が寂しそうな顔になる。次いで、少しだけ顔を歪め、最後には決意したような顔で、
「あの、さ。もう少し手伝ってくれないか。ちょっと一人じゃ、時間がかかりそうなんだ」
もっともだと思う。あれだけの量を整理するのは結構骨だろう。というか他のやつらも手伝うべきなんじゃないだろうか。なんで早瀬が一人だけで
仕事をしてるんだ。一人でやらせて欲しいとかでも頼まない限り、こういう仕事は複数でやるもんだが――
「おう。そうだな。まあ、これでも前期は図書委員だ、そこらの男子よりいい仕事するぞ」
これでも黒野先生が担当する前には、上半期ベストオブ図書委員に選ばれた男だ。俺一人で、図書委員三人分の働きになると言わせしめたこともある。
早瀬が一人なら、俺が手伝ってやれば早い話だし。
早瀬はまた寂しそうに笑って、
「ありがとう。今日は優しいんだな」
その言い回しに少しだけ違和感を覚えた。まるで俺がいつもは優しくないと早瀬が言ってるみたいだったから。
「何言ってんだ、いつも優しいだろ。俺は」
まあ、早瀬なりの冗談なのかと思い、笑ってそう答える。早瀬はあんまり冗談を言うタイプじゃないしな。小学校の頃からなんでも真に受けるやつだったし。
547 :
夢みたあとで、甘い夢4/5 ◆6BMoPw49xY :2008/01/13(日) 23:39:19.78 ID:qDauD03A0
すると早瀬は、
「……そうだね」
ほんの少し口調を崩して。やっぱり寂しそうに笑った。
ベストオブ図書委員、健在。
見事な仕事ぶりで、あれだけあった本も正味30分程度でほとんど片付いてしまった。早瀬が終始無言だったのもあってか、お互い仕事に精が出てとにかく
仕事が早く終わった。来年は図書委員でもやってみようか。
「よし、あと8冊か。意外と早かったな。じゃ、あと4冊ずつということで」
比較的軽そうな本を早瀬に渡す。
「え、ああ」
どこか上の空だが、早瀬はそれを受け取ってラベルを見るとさっと本棚に移動する。どこか掴みどころのないやつだが、今日はそれが顕著だ。
俺の本棚に移動して、目的の棚を探す作業に入る。
あなたもできる! 上手い世渡り、か。誰が読むんだこんな本。
「あのさ、村田」
向こう側にいる早瀬の声。本棚を挟んでるせいか、その声にいつもよりもずっと弱々しく聞こえる。
二冊目、よくわかる護身術〜痴漢に悩む君へ!〜か。なんというか、なんでこうハウツー本が多いんだろう。誰が選んでるんだこれ。
「高校に入ってから、私に冷たくないか?」
ほんの少し、手の動きが止まった。
こんなことを言われる心当たりは全くないわけじゃない。中学の頃よりも、話す機会はずっと減った。最初は照れ隠しで避けていたけど、その内自然と
話さなくなっていって。よく考えたら、今こうやって長い間話すのは久しぶりなのだ。
三冊目、タイトルもろくに読まず適当な棚に突っ込んだ。
「確かに、話す機会はずっと減ったよな。でも冷たくしてるわけじゃないんだ。ほら、なんていうか恥ずかしいってかさ」
幼稚園、小学校、中学校とべったりだった。小学校くらいまでは俺は早瀬と結婚するもんだと思ってたし、大好きだった。
けど、中学校の時にいつも一緒にいることを指摘され、からかわれてから俺の中で何かが変わった。早瀬は気にしてないと言ったけど、正直俺は辛かった。
いつの間にか、俺は好きな女とべったりするのは恥ずかしいってのが当たり前の認識になった。まあ、思春期の男子が通る道なのかもしれないが。
四冊目、ようやくまともな小説。恋愛小説っぽい本を整理し終える。
「よっし、終わった。早瀬、そっちは――」
「智也」
突然呼ばれた下の名前に、背筋に電撃が走ったような感覚を覚えた。ああ、ともなんだ、とも返事をする間もなく早瀬は止まらない。
「好きです、大好きです。付き合ってください」
548 :
夢みたあとで、甘い夢5/5 ◆6BMoPw49xY :2008/01/13(日) 23:39:38.03 ID:qDauD03A0
まるで、雷に打たれたような気分だった。いや、多分それ以上の衝撃。さっき見た夢みたいに、思い通りに体が動いてくれなかった。
「……高校に入ってからさ。疎遠な時期があったじゃないか」
いや、今もかな。と本棚の向こうから寂しげな笑い声、俺の動揺などお構いなしにさらに早瀬は続ける。
「なんというか、それで気づいた。ああ、好きだったのかって。恋人でもないのに当たり前いた時はまるで姉と弟のような気分だったけど」
少しだけ、冷静になってきた。とりあえず、そこは兄と妹じゃないのかと突っ込めるくらいには。
立ち上がって、とりあえず早瀬の顔を見て答えないと。イエスか、ノーか。多分、こんなに早く動くんだ。答えは決まってる。
「なにか、言ってくれよ」
本棚を挟んだからとかそんなこと関係なく、早瀬の声は弱々しかった。それもそのはず、塞ぎこんで話してれば小さくも聞こえる。
「とりあえず、顔上げろよ。今答えるから」
体育座りで塞ぎこむ早瀬を見下ろせる位置までくると、俺もそこにしゃがみこむ。顔を見るだけならこれ以上の特等席はないだろう。なにせ顔を上げればもう
向かいあってるのも同然なんだから。
「それは出来ない相談だね。今の顔を見られたら、ただでさえ不利な状況がもっと不利になってしまう」
顔を見られないために、この場所を選んだんだから。と早瀬は目の前ですら聞こえるかどうかの危うい声でぼそぼそ言う。俺は聞き逃さなかったが。
「大丈夫、俺も似たようなもん」
待つ、1秒。2秒。3秒。そこから数えるのをやめて、無言に耐え切れなくなった早瀬が根負けして顔を上げた。ほんの少し目が赤いだけで、戦況には全く影響
はなさそうだった。
「あのさ、あの約束。覚えてるかなあ、公園の」
早瀬は少しの逡巡のあと、
「ああ、私が智也にプロポーズしたあれか」
しっかりと覚えていた。俺は今日の6限目まですっかり忘れてたっていうのに。ああ、またからかわれるんだろうか、まあ、それも悪くはないか。
いや、むしろ今度は堂々と胸を張れると喜ぶべきか。
「誓いのキスってあったじゃん。あれって、たしか千鶴から俺にしかしてないよな」
千鶴という名前に、千鶴がぴくっと反応する。やっぱりまだ少しだけ恥ずかしいな、これは。
咳払いをひとつ。
「だからさ、今度は俺が千鶴に誓うってことで。つまり、答えはイエスです、俺の方こそよろしくお願いします」
恥ずかしすぎだった。千鶴の表情が、いつものクールさを飛び越えて満天の笑顔に変わる。そこが、妥協できる許容範囲。これ以上はもう限界だった。
「私も――むぅっ」
皮肉を言うのかか、それとも感謝を言うのか。どちらにしてもこの告白に対するコメントは恥ずかしすぎるので一気に口を塞ぐ。
火照った体に、図書室の冷たい空気がちょうど良い。千鶴、この場所を選んで正解みたいだ。それにしても、あとどれくらい口をつけてればいいんだろう。
549 :
◆6BMoPw49xY :2008/01/13(日) 23:39:51.32 ID:qDauD03A0
いじょ
550 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:40:30.37 ID:9T3KMG6tO
551 :
君は美しい1/2 ◆CYR3fna/uw :2008/01/13(日) 23:41:04.62 ID:wzFtF7Cd0
ある所に美しい女性と使用人がいた。
その女性と使用人は仲むずましく立場は違えどお互いを愛し合っていた。
無論周囲の反対は凄まじかったが二人は決してそれに負けることなく周囲を説得続けた。
長い間の説得によりようやく父親が折れ二人は晴れて付き合うことが許された。
「ようやく、あなたと一緒にいられるのね」
「ええ、ようやく、ですね」
二人は喜び抱き合う。
そんなある日事件はおきた。
家が火事となり女性は巻き込まれる。
命に別状はなかったが顔半分に火傷をおってしまった。
火傷は酷く、皮膚移植しても元には戻らないほどである。
病院で目覚めた女性はショックを受けて彼が来ても決して合おうとしない。
何度も彼が尋ねるうちにようやく仕切りカーテン越しに会話するようになった。
「大丈夫です、どんなになっても私の気持ちは変わりません」
彼が何回そう言っても女性は決して受け容れない。
「そんなことはないわ、あなたも私の顔を見ればきっと気が変わるわ」
枕に顔を伏せて泣く。
それが心配になり彼が立ち上がり仕切りカーテンを開こうとする。
その気配に彼女は勘付いた。
「お願い開けないで、それとお願いもうこないで。今の私は美しかった私じゃない。あなたの愛してくれた私じゃないのよ! だからお願い」
愛しい彼女の涙声による懇願。
彼は手の爪が掌に食い込まんというくらい強く握り締める。
そしてこれ以上ここにいることが彼女を悲しませると分かるとその場を立ち去る。
それから何日もして見舞いに来た母親に彼女は告げる。
「ねぇ、彼に私と別れるように言って。私は気にしないから。こんな火傷後の酷い女なんて彼にふさわしくない。私はもういい……」
元々二人の交際に賛成していた母親は考え直さないかと言ったが彼女は頑なに否定する。
彼女の顔を見ればすでに生気はなかった。
仕方なく母親は家に帰って働いている使用人の彼を呼び止めその事を告げる。
552 :
君は美しい2/2 ◆CYR3fna/uw :2008/01/13(日) 23:41:37.33 ID:wzFtF7Cd0
彼は驚き、さらに彼女に生きる気力がない事を知り思案していたことを話す。
「これは奥様や旦那様に迷惑をかけることになります」
そう言って母親の耳元で声を小さくして話す。
母親ははっとなって彼の顔を見返す。
「私はお嬢様が好きです。そのお嬢様のためなら後悔はしません」
母親はそれを聞き父親に話す。
父親はそれを聞いて腰を抜かさんばかりに飛び上がる。
だが娘の幸せのためにそれを許可した。
それから三日後彼が彼女の病室を訪ねる。
いつものように彼女は拒むが彼はそれを物怖じせず仕切りカーテンを開ける。
「お願い、見ないでよ!!」
ヒステリック気味叫びカーテンの開く音のした反対側を向く。
「大丈夫です、お嬢様私を見てください」
その声に戸惑いながらも彼の方を向き、彼女は驚愕する。
彼の目の所に包帯がしてある。
「見てくれましたか? 大丈夫です私の中では永遠に美しいままのお嬢様です」
そういって手探りながらベッドに近寄る。
「私は後悔などしておりません、お嬢様の側にいられるのならばこの目は、惜しくない」
ただただ彼女は涙する。
「だからお嬢様、安心して下さい。たとえみんなが離れてもこの私はあなたの側にいます」
ベッドに足を取られ、彼は転び彼女のベットに顔を埋める。
その頭をやさしく彼女は抱く。
「馬鹿ね私は、私のためにこんなことして。ホントに、ホントに……」
彼女は涙を流す。
自分のせいで彼を失明させたことを、そして彼を信じられなかった自分の愚かさに。
「私は幸せ者ね、こんなに醜い顔になっても彼は受け容れてくれる」
彼女は彼の頭を抱きしめ、彼は彼女の体を抱きしめる。
お互い二度とはなれぬように。
553 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:42:12.71 ID:wzFtF7Cd0
終了です
554 :
◆BNSK/DqMrY :2008/01/13(日) 23:42:55.37 ID:9T3KMG6tO
あ、運営酉つけずにやってたwwwまぁいいやwwwww
そんなわけで、終わりー。
555 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:45:55.26 ID:ncoI50QtO
劇しくおつ〜
556 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:46:33.78 ID:vJ0tA5lk0
今回は何作品かしら?
557 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:47:00.00 ID:qDauD03A0
現在、週末品評会XXthの投票受付中です。今回の品評会お題は『告白』でした。
投稿された作品は■まとめ
http://yy46.60.kg/bnsk/ -週末品評会93th- にてご覧頂けます。
投票期間は2008/01/15(火)24:00:00までとなっております。
感想や批評があると書き手は喜びますが、単純に『面白かった』と言うだけの理由での投票でも構いません。
毎回作品投稿数に対して投票数が少ないので、多くの方の投票をお待ちしております。
また、週末品評会では投票する作品のほかに気になった作品を挙げて頂き、同得票の際の判定基準とする方法をとっております。
ご協力ください。
投票には以下のテンプレートを使用していただくと集計の手助けとなります。
(投票、気になった作品は一作品でも複数でも構いません)
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: <<タイトル>>◆XXXXXXXXXX氏
―感想―
<<タイトル>>◆YYYYYYYYYY氏
―感想―
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携帯から投票される方は、今まで通り名前欄に【投票】と入力してください。
たくさんの方の投票をお待ちしています。
時間外の方も、月曜中なら感想、関心票のチャンスがあります。書き途中の方は是非。
558 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:47:08.28 ID:I1Ip1nNxP
進行乙
みんなも乙
559 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:47:14.20 ID:o4UN82Z50
諦めたらそこで試合終了とはよくいったものだね
時間外と決めたら一気にモチベーションが下がった…
560 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:47:40.84 ID:o4UN82Z50
あ、運営の方乙ー
561 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:49:11.10 ID:fxI14VVqO
乙
今回何作品だ
562 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:49:50.22 ID:uMFHnjcn0
おつつー
563 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:50:03.83 ID:vc/o6KDY0
564 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:50:22.04 ID:rUeBrjy90
誰もまとめてないから不明
まあ俺もまとめる気ないけど。不参加だし
565 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:51:14.03 ID:9T3KMG6tO
実は、まだ品評会作品全然まとめられてないのよねー。
まぁ、ぼちぼちやっとく。
566 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:52:27.89 ID:vc/o6KDY0
567 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:56:10.84 ID:NDG7cQOC0
>565
おざーっす
568 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/13(日) 23:56:58.18 ID:7yv/9Oj00
みんなみんなおつー
25-30作品くらいかね
569 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:03:44.19 ID:+OItaRPU0
やめた
餅食って寝る
570 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:04:45.93 ID:8RUBeJDwO
今救済覗いたら、すでに一人全感来てたw
速すぎだろw
571 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:05:17.94 ID:+OItaRPU0
転載する
572 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:05:37.09 ID:+OItaRPU0
全感いきます。
暇があれば転載してやってください。
No.1 凍らない雪 ◇A9epGInhJg
正直、前半部分の村の崩壊から二人が恋に落ちるまでには、描写が足りな過ぎると思います。
この流れなら、むしろ二人が結ばれない方が自然です。
告白の流れも無理矢理過ぎる気がしました。
それと、雪女の口調も気になります。
超常的な存在を表現する為の口調なのでしょうか?
No.2 賽切 ◇dHfRem3ndk
えーと…。
これは歌の歌詞でしょうか?
小説としては抽象的過ぎる表現が多い気がします。
笛の存在も、この話に必要なアイテムだとは思えませんでした。
No.3 さびしいどうし ◇NEETwgvYaU
文体、世界観はファンタジー路線だというのは分かります。
ですが、ファンタジーにもその世界なりの理屈があるべきです。
唐突に取り出された脈打つ心臓、脈絡も無い想像、意味の分からない主人公の使命感。
そのどれもが、読んでいて納得できませんでした。
573 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:06:03.13 ID:+OItaRPU0
No.4 布団の手記 ◇wb/kX83B4.
>僕が考えるに、自己中心的な人間だからだろう
これは間違いなく自己診断です。
目指している文体は何となく分かるのですが、まだ貴方にそれを表現し切れていませんね。
慌てずに、まず普通の文章から書くことをオススメします。
加えて言えば、幻想的な表現にはそれを必要とされるだけの構成が重要となります。
これは気に入った表現を突っ込んでいるだけ。
酷く不恰好に思えました。
No.5 外罰的な、あまりに外罰的な ◇Br4U39.kcI
これもそうですね。
使いたい言葉を背伸びして使っているのが読んでいるだけで伝わってきます。
内容的にこういった文体が必要だったのかもしれません。
ですが、無理をしなくてもこの話であれば面白くすることは出来たと思います。
勿論、挑戦ということなら否定するつもりはありませんが。
No.6 図式が出来ない! ◇ZRkX.i5zow
最初の三行で疲れてしまいます。
肌寒い→汗のせい→シャワーを浴びたのに肌寒い→月が俺を照らしているから
訳が分かりません。
会話も所々でいきなり文体が変わっていますね。
洒落た会話文にしたいなら、せめて文体だけは揃えるべきだったと思います。
No.7 ファースト・プロポーズ ◇DogUP10Apo
話は好きです。
ただ、これをハッピーエンドと考えることは僕には厳しかったのですが。
まぁ、それは個人の好みでしょう。
粗さはあるものの、読んでいてそれほど不自然さもなく、あっさりと読めました。
文体をより耽美的にすることでもっと神聖な雰囲気が出せるかもしれませんね。
まぁ、それも好みの域を出ないのでしょうけど。
574 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:06:31.57 ID:+OItaRPU0
No.8 恋と世界のカラクリ ◇ecJGKb18io
文章は良かったと思いますし、話も嫌いじゃないです。
ただ、一言。
感情表現のせいで話に入っていけませんでした。
主人公の感情、考えを全く理解できなかったんです。
ということは、主人公の行動を理解出来ないということで…。
まぁ、僕が未熟なせいかもしれませんが。
No.9 心変わり ◇0CH8r0HG.A
擬人法ですね。
ただ、ひたすら文章が読みづらいです。
何故このような口調にしたのでしょうか?
木にキャラクターを付けるためだけというなら、効果は微妙です。
話の雰囲気を、妙に粗い口調が壊してしまっていますね。
ストーリーにも一貫性が感じられませんでした。
No.10 白い日と息と ◇4oIY5Zvkdw
良いですねぇ。
まず最初の感想が、この家族うぜぇwでしたが、それは僕が話に入り込んでいた証拠だと思いますw
文章も過不足なく、情景描写も最低限。
それでしっかりと頭のなかに映像が浮かんできました。
とても好きな話です。
No.11 だから私はゆっくり歩く ◇bsoaZfzTPo
話に入っていけません。
感情の発露が唐突な上、意味不明であるため、キャラクターが収束していないように感じました。
ところどころ日本語のおかしい所も見受けられます。
575 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:07:05.51 ID:+OItaRPU0
No.12 腐女子?食える食える、美味いらしいよ? ◇c3VBi.yFnU
接続詞の使い方、……の使い方で気になる点が幾つか見受けられました。
話としては、これはこれで良いとおもいます。
ですが、少々主人公が突っ走り過ぎて、読者を置いてけぼりにしているような気がしました。
No.13 幸福論 ◇ZIPyTXuL.2
このような文章を書いている人は他にもいますね。
正直、『詩的な表現』の意味を誤っている気がします。
書いた本人にしか分からないのであれば、それは表現ですらありません。
No.14 アルトリコーダー ◇dHfRem3ndk
上に同じ。
これは小説ではないです。
No.15 蝋の姫君と愛し男 ◇faMW5pWHzU
話としてはとても好きなんですが、描写が足りません。
出来れば制限目いっぱい使って書いてほしかった。
いくらでも膨らませることが出来たと思うだけにとても残念です。
No.16 明日もまた夕日が沈む ◇QAbQXuW886
個人的に一つ気になったこと。
>明日もまた夕日は沈む
ここは、むしろ日は昇るの方が良かったのでは?
確かに夕日で始まったのかもしれませんが、沈んじゃったら終わってしまうのでは…。
No.17 悪趣味 ◇xg3VcqAPFw
好きな話です。
多少説明的に過ぎる気はしますが、読みづらいほどではないですし。
何となく先が予測出来てしまったのが残念ですね。
もう少し驚かせてほしかったというのは、過剰な期待でしょうか?
576 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:08:33.37 ID:+OItaRPU0
No.18 省エネの為に電気を消した暗い教室で ◇/sLDCv4rTY
…が多すぎて、見た目でまず読む気が起こりません。
句点の打ち方も独特…というより不自然です。
何か狙いがあるとしても、このマイナスを引っくり返すほどの効果は出せていません。
読み辛い以上の感想は持てませんでした。
No.19 小林君の告白 ◇LBPyCcG946
最後の一行で裏切られました。
悪い意味で。
設定は良いですし、文章も気になる所もありますがスルー出来るレベル。
このオチが許せないのは、僕だけなんでしょうかね。
そうだとしたら、僕個人の好みなんで気にしないで下さい。
No.20 夢の続きは ◇7BJkZFw08A
まず、もう少し一行の文字数を少なくすべきかと。
加えて、文章が一々くどいです。
>彼らは皆楽しげで、幸せそうな顔をしながら、そんな周囲の誰よりも幸せそうな顔をしている……
長い上に似たような単語が並んでいるので、読んでいて疲れてしまいました。
文を分けるか、もっとシンプルにしてしまった方が良いと思います。
No.21 新ジャンルな恋愛 ◇RqM8RwK87E
所々で入る、妙な例えは蛇足だと思います。
先輩の妙な日本語は必要であるとしても、周りの人物が言うには違和感ありまくりです。
それと、学校の皆は驚いたのかもしれませんが、読者は驚かないと思います。
『びっくりするような方法』と最初に言ってしまったことで、ハードルが上がってしまった感じですね。
この辺は考慮の余地があったかと。
577 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:09:16.68 ID:+OItaRPU0
No.22 麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 ◇D8MoDpzBRE
ちょっと表現が大仰、あるいは稚拙過ぎる気がします。
耽美な雰囲気を出そうとしたにしろ、少しやり過ぎかと。
話の展開も唐突過ぎた気がします。
前回の作品も読ませていただきましたが、今回のは新たな挑戦と言った所でしょうか?
こういうことを言うのは反則だと思いますが、前回のような暖かい物語を期待していただけに少し残念です。
No.23 それから僕は ◇K/2/1OIt4c
まず最初の五行で読む気が無くなってしまいます。
>〜なった。〜なった。〜あった。
文が一つ一つブツ切れになってしまっているんです。
これでは箇条書きと変わりません。
文と文の繋がりを意識してみて下さい。
会話文も同じです。
「久しぶりだね」に対して「久しぶり」……この返しに違和感を感じないでしょうか?
会話には決まった形は無いと思いますよ?
No.24 糞みたいなひと ◇/sLDCv4rTY
書きたいものは分かります。
漢字をわざと平仮名にしているのも狙いでしょうか?
ただ、いかんせんチョイスが良くない。
『雨脚』が漢字で『つよくなった』が平仮名ならば、『黒い』や『踊る』などは平仮名であるべきかと。
まぁ、規則は本人が決めれば良いと思うのですが、これには規則がありません。
狂った中にも計算があるからこそ、文章として成り立つのだと思います。
ただ狂っているだけなら、それは人に読ませるものではないのですから。
正直、このジャンルはとても難しいです。
形だけを真似しても、本質を描こうとしなければそれは単なる模倣で終わってしまいます。
ただ、これはあくまで僕の個人的な見解です。
反論はあるでしょうし、貴方自身のやり方を貫いてほしいと思います。
578 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:10:06.33 ID:+OItaRPU0
No.25 携帯電話を持ち出して ◇/7C0zzoEsE
少し展開に無理がある気がしました。
>お姉の好きな人と付き合うなんて素敵
すいませんが、悪趣味にしか思えませんでした。
あと、台詞が説明的過ぎる気が……。
No.26 その想いは疾風の如く ◇InwGZIAUcs
所々でおかしな日本語が見受けられます。
単語も所々おかしいですね。
ストーリーはまるでエロゲ。
でも、それはそれでいいと思います。
No.27 鼓動と追いかけっこ ◇s8ee1DM8jQ
これもまたエロゲちっくなw
文章ではやはり不自然な日本語が目立ちます。
単語の選択も所々おかしい気がしますね。
最後の行は読んでいて、にやけてしまいました。
ただ、文章に合っているかと聞かれると?ですけど。
No.28 兄貴の一目惚れ ◇Bh78QWxHPM
すいません。
表現に違和感が多すぎて、読んでいて耐えられませんでした。
とりあえず幾つか。
冷蔵庫と底冷え→組み合わせとして微妙
凛とした佇まい→その前の待っているという文と合っていない
凛とした佇まいと春の陽気→結びつかない
僕個人の偏見も入っているかもしれないので、取捨選択してください。
ただ、一つ言えること。
文体に一貫性を持って下さい。
579 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:10:22.22 ID:+OItaRPU0
No.29 夢みたあとで、甘い夢 ◇6BMoPw49xY
エロゲ(ry
好きですよ。
No.30 君は美しい ◇CYR3fna/uw
推敲してください。
最初の段落だけでミスが幾つもあります。
こういったミスは、人に読ませる上で非常に大きなマイナスです。
展開も唐突……というより、場面転換が無茶苦茶です。
書き終えた後、一度音読することをオススメします。
総感
カッコいい文章を書こうとして、文体にばらつきが出ている人が多いなと思いました。
誤解してほしくないのは、それは決して悪いことではないということです。
偉そうに批判していますが、最初から全ての単語を上手く使える人なんていないわけですし。
ただ、難しい単語を使わなくてもカッコいい文章は書けるのだということも覚えておいてください。
変に誇張した表現や、単語の誤用はとても目立ってしまいます。
文章はバランス…これは僕の持論ですけどね。
最後に、上から目線で批判ばかりしてスイマセンでした。
580 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:13:13.31 ID:IWCeQlif0
>>579 全感乙
しっかし、30作品あんのか!
9作品目まで感想書いた
寝るまでに投下予定
581 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:15:35.46 ID:h4eOdB2E0
ぜんかのつー
582 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:16:09.60 ID:+IdiQqzw0
なるほど、説明されなくても解ったぞ、全感というのは、全部の感想を書くって事だな。
583 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:16:14.46 ID:ZE+V5+Rx0
空気読めない俺がここでお題貰う↓
584 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:16:50.64 ID:2rmBz3X40
鶏
585 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:17:00.34 ID:+OItaRPU0
全感
586 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:17:04.56 ID:IWCeQlif0
587 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:17:58.42 ID:ZE+V5+Rx0
鶏だけ貰いますねー
588 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:18:45.75 ID:h4eOdB2E0
589 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:21:35.58 ID:8RUBeJDwO
>>579 全感&転載乙
こいつは見事なフルボッコだ…。
590 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:22:08.56 ID:IWCeQlif0
>>588 本当は全ての作品に敬意を払いつつ感想を述べるの略なんだけどね
591 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:24:24.53 ID:7/aLK+ME0
>>582 全身が性感帯になりそうなぐらいドキドキしちゃう! の略でもある。
592 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:24:31.92 ID:w+wyvvhGO
めらっさ早い全館乙
甜菜も乙
593 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:25:49.17 ID:94ulBbCJO
早い全感乙
今回は全感諦めるか…投票はするがな。
規制解けたら投下するための通常作品書くからお題くれろ
594 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:27:12.76 ID:w+wyvvhGO
掌
596 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:27:47.62 ID:KuAppb400
597 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:28:46.13 ID:2rmBz3X40
俺にもお題よこせよ
598 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:28:47.60 ID:94ulBbCJO
599 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:29:48.48 ID:w+wyvvhGO
600 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:29:54.30 ID:94ulBbCJO
601 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:30:24.08 ID:IWCeQlif0
602 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:37:52.07 ID:w+wyvvhGO
寝る前の保守
603 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:39:55.07 ID:9Iu/QJ+p0
それじゃ、俺は寝る前にお題をもらうことにするよ
604 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:40:42.38 ID:tdyekV5Y0
606 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:44:05.17 ID:9Iu/QJ+p0
607 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:48:28.93 ID:+IdiQqzw0
608 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:54:01.60 ID:Xv2n+OltO
お題くだしあ
609 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:55:01.06 ID:KuAppb400
610 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:55:26.54 ID:IWCeQlif0
611 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:57:08.94 ID:Xv2n+OltO
612 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:57:45.44 ID:xCX2OpLO0
びびって品評会投下しなかった俺へ、お題をお願いしやすw
613 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:58:33.41 ID:KuAppb400
614 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 00:59:07.81 ID:Xv2n+OltO
鶏肉
615 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:00:12.49 ID:xCX2OpLO0
もういっちょくらいこいやー!
616 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:00:31.40 ID:IWCeQlif0
>>612 告白
さぁ、書いたものを今投下するんだ
617 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:01:22.39 ID:IWCeQlif0
618 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:01:24.62 ID:xCX2OpLO0
とりあえず締め切るw
619 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:09:03.74 ID:IWCeQlif0
半分書いて心折れたww今日中には無理だわ
まとめスレにまとめてくれている人乙です
620 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:11:06.67 ID:xCX2OpLO0
>616
くだらない歴史とはいえ、俺の心に新たな黒歴史を刻み付けるのかと思うと、
どうしてもねぇ……w
悪いがそれだけは無理だw
621 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:12:45.80 ID:KuAppb400
弱虫!
_, ,_ パーン
( ‘д‘)
⊂彡☆))Д´)
>>620
622 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:14:43.81 ID:/DY7MYwEO
暇だからなんかお代くだしあ
623 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:14:48.46 ID:h4eOdB2E0
なんかワロタwwww
624 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:15:12.14 ID:mn9jyNF60
>>620 好き放題やってその上で全力を傾けたなら、それは黒歴史じゃなくて青春の思い出になるんだぜ
俺は初期の作品読み返して死にそうになるのは二作だけだ!
625 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:15:29.19 ID:h4eOdB2E0
626 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:16:18.57 ID:IWCeQlif0
>>624 俺、推敲の段階で悶え死にそうになること多々あるわwww
627 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:17:40.85 ID:xCX2OpLO0
(T_T)ブタレチャッタ
でも、今回はプロットのいい練習になった。つうか初めてちゃんと
プロットを作って、そこから書いた。
これだけでも凄い経験だったと思う。
おまけにきっちり行数もレス制限に収まったし。
……次の品評会、お題まだぁ?
628 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:18:38.61 ID:mn9jyNF60
629 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:19:07.17 ID:IWCeQlif0
>>627 そこまで言ったら投下するしかないだろ!!
630 :
以下,名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:19:18.28 ID:5US0Orol0
631 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:21:03.07 ID:/DY7MYwEO
>>625 空気嫁ない携帯厨の僕にぴったりですね!
632 :
報告:2008/01/14(月) 01:22:21.14 ID:pTfaE8v60
633 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:23:40.34 ID:h4eOdB2E0
>>631 違うよ 全然違うよ
俺自身に向けた自虐の言葉だったんだよ
煽ってるようにみえてごめんよ
少なくともこのスレで携帯で小説書いてる人は、ホントに凄いと思ってる
634 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:29:23.29 ID:/DY7MYwEO
>>633 いやオレもそんなつもりじゃないから気にしないでくれよ
それと携帯で書いてる人は凄いけどオレみたいな地雷がいるから気をつけてくれ
635 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:30:38.33 ID:A2acmdWV0
636 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:32:25.89 ID:pTfaE8v60
>>635 ありがとうございます。
そして、まとめてくれた人も超乙!
637 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:34:18.36 ID:A2acmdWV0
No.01 凍らない雪 ◆A9epGInhJg
No.02 賽切 ◆dHfRem3ndk
No.03 さびしいどうし ◆NEETwgvYaU
No.04 布団の手記 ◆wb/kX83B4.
No.05 外罰的な、あまりに外罰的な ◆Br4U39.kcI
No.06 図式が出来ない! ◆ZRkX.i5zow
No.07 ファースト・プロポーズ ◆DogUP10Apo
No.08 恋と世界のカラクリ ◆ecJGKb18io
No.09 心変わり ◆0CH8r0HG.A
No.10 白い日と息と ◆4oIY5Zvkdw
No.11 だから私はゆっくり歩く ◆bsoaZfzTPo
No.12 腐女子?食える食える、美味いらしいよ? ◆c3VBi.yFnU
No.13 幸福論 ◆ZIPyTXuL.2
No.14 アルトリコーダー ◆dHfRem3ndk
No.15 蝋の姫君と愛し男 ◆faMW5pWHzU
No.16 明日もまた夕日が沈む ◆QAbQXuW886
No.17 アンダーニース ◆QIrxf/4SJM
No.18 悪趣味 ◆xg3VcqAPFw
No.19 省エネの為に電気を消した暗い教室で ◆/sLDCv4rTY
No.20 小林君の告白 ◆LBPyCcG946
638 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:34:53.15 ID:A2acmdWV0
No.21 夢の続きは ◆7BJkZFw08A
No.22 新ジャンルな恋愛 ◆RqM8RwK87E
No.23 麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 ◆D8MoDpzBRE
No.24 それから僕は ◆K/2/1OIt4c
No.25 糞みたいなひと ◆/sLDCv4rTY
No.26 携帯電話を持ち出して ◆/7C0zzoEsE
No.27 その想いは疾風の如く ◆InwGZIAUcs
No.28 鼓動と追いかけっこ ◆s8ee1DM8jQ
No.29 兄貴の一目惚れ ◆Bh78QWxHPM
No.30 夢みたあとで、甘い夢 ◆6BMoPw49xY
No.31 君は美しい ◆CYR3fna/uw
今回の一覧表だってさ、作った人に感謝
639 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:39:24.68 ID:h4eOdB2E0
30超えてたのか…
中の人、超絶乙!
640 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 01:44:40.12 ID:pTfaE8v60
No.2の作品についての分析
890 名前:賽切 ◆dHfRem3ndk [] 投稿日:2008/01/12(土) 00:15:52.43 ID:G9IBUvX80
投下します。
お題:告白
920 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。[] 投稿日:2008/01/12(土) 01:01:43.52 ID:G9IBUvX80
まてよ?作品にタイトルをつけなきゃ駄目なのか?
う〜む
305 名前:アルトリコーダー 0/1 ◆dHfRem3ndk [] 投稿日:2008/01/13(日) 14:47:32.19 ID:vc/o6KDY0
タイトルは告白で統一しなきゃいけないのかと思ってたので、
前スレに投下した奴の名前を、「ソプラノリコーダー」にしてください。
で、2作目を投下します。
以上のレスより作者の本意は、
No.2 ソプラノリコーダー ◆dHfRem3ndk
とすることだと思われる。
最初に名前欄に『賽切』と入力したのはコテのつもりだったんじゃないかと。
641 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 02:01:54.53 ID:h4eOdB2E0
ほしゅかな
おだい、くだいさ!
643 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 02:17:12.96 ID:A2acmdWV0
嘘つき
644 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 02:18:10.09 ID:Aq4VrFjj0
嘘つき 把握!
いってきます
645 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 02:50:27.01 ID:j24BFzVn0
ho
646 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 02:58:53.57 ID:Aq4VrFjj0
投下するよー
お題・嘘つき
レス数は2つのよてい
647 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 03:04:06.39 ID:Aq4VrFjj0
ん、できない?
648 :
嘘つきは○○のはじまり? 1/2(お題:嘘つき) :2008/01/14(月) 03:07:06.45 ID:Aq4VrFjj0
僕の幼なじみは、嘘つきだ。
子供か、こいつはってくらいに、とにかく嘘をつく。
縁側で漫画を読む彼女を見て、流石の僕も堪忍袋の緒が切れた。
「お前、また嘘をついたな?」
「んー……? 何のこと?」
「とぼけるなよ!」
詰め寄ると、件の幼なじみたるユカリはアイスキャンデーを咥えたまま僕を見た。
読んでいる漫画雑誌に溶けたアイスが垂れて、丸い染みを作った。
「駅前! バニーガールのコスプレをした女の子なんて、どこにも居なかったぞ!」
「あぁ……そんなことも、言いましたっけ?」
「言った!」
「言ってない?」
「言ってない!」
「ほら、言ってないんじゃん」
ユカリは再び漫画と向き合う。
不覚だった。なんという言葉の魔術か。
「とにかく、居なかった」
僕は腰を下ろして言い放つ。
怒気を込めたその言葉から、何かを感じ取って欲しいものである。
畳の上、下着同然の格好で寝そべるユカリを直視しつつ観察してみる。
相変わらず、出るとこは出ている良い体をしている。
「もー、なんでそんなに、バニーガールにこだわるのよ」
ふと、ユカリはそんなことを言った。
「別に、バニーにこだわっているわけじゃない」
「じゃあ、何なのよ」
「僕は、確かにバニーが好きだ!」
それは認めざるを得ない事実である。力強く断言をして、言葉を繋げる。
649 :
嘘つきは○○のはじまり? 2/2(お題:嘘つき):2008/01/14(月) 03:08:09.27 ID:Aq4VrFjj0
「お前がそうやって、嘘をつくのを当たり前と思っているのがいかんのだ」
「いつものことでしょ。嘘だって疑いもしないあんたも悪いよ」
「信じてんだよ」
「……はい?」
ユカリが振り向いて、以前に一度だけ触れたことのある、柔らかそうな唇が目に飛び込んできた。
「僕は、ユカリを信じてる。だから、嘘だって分かってても、『本当かもしれない』って、同時に思ってる」
「い、いやでも、あたし、嘘つきだしっ?」
今度はユカリが動転し始める。こんな風に慌てるユカリは珍しいと思った。
というか、自覚してたんだな、この女。
「嘘つきでも、お前はお前だろう? 僕は、それでも、ユカリのこと――」
そう言って、ユカリに接近してみる。
顔と顔の距離は次第に縮まっていき、彼女の小さな吐息が聞こえてくる。
耳をすませば、心臓の鼓動でさえ聞き取れそうだ。
「あ……」
ユカリが目を瞑り、唇を尖らせた。
「なーんてな」
僕は無防備になったユカリの額を、指で弾いてやるぱちん、と乾いた良い音がした。
「え? あ、え?」
しかしユカリは、まだよく状況を把握できていないらしい。
額を両手で押さえて、目を白黒とさせている。
「嘘だよ、ばーか」
ユカリのその様子がおかしくて、僕は笑い転げてしまう。
「もー! 知らない!」
追いかけてくるユカリと、逃げる僕。
ユカリが落としたアイスキャンデーは、畳の上で溶けていった。
半分は本当だってことは、黙っておこうと思う。
<おわり>
650 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 03:09:11.56 ID:Aq4VrFjj0
文字数制限に引っかかったみたいでした
651 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 03:10:16.19 ID:c7vijVYsO
品評会、途中まで書いてたのに友達からの急な呼び出しで完成出来ず
無念だ
652 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 03:34:03.70 ID:+IdiQqzw0
93回の全部の感想
俺も全感やるぜ!
自分の作品は反省点を書く。
No.1 凍らない雪 ◇A9epGInhJg
新ジャンル「雪女」
最初の長老ぽいジジイが俺のツボだった。
舌っ足らずな女の子フェチ?
解ってる解ってる、隠すな同士よ!!
No.2 賽切 1/1 ◇dHfRem3ndk
反省点:
タイトルの付け方が解らなかったけど、自分ではソプラノリコーダーってつけたかった。歌の歌詞っぽい。
このお題はこっぱずかしすぎて死ぬかと思った。
三人称の練習を火曜日からする事が課題にしよう、そうしよう。
No.3 さびしいどうし1/5 ◇NEETwgvYaU
俺の読解力は人並みなので、タイトルの意味が判らなかったけど、
>言われたとおり心臓を持ち上げると、扉の外から光が漏れた。
中からだよね。脳内補整完了
長編小説っぽい、続きがあるっぽい気がした。
No.4 布団の手記 1/4 ◇wb/kX83B4
主人公が告白してハッピーエンドにならなきゃいけない気がする。
あと邪教の館で筋肉少女帯の歌と合体させたい主人公。
電波系の小説方面に向かって突っ走れば、良い出汁が取れると思われ。
653 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 03:34:40.05 ID:+IdiQqzw0
No.5 外罰的な、あまりに外罰的な1/5 ◇Br4U39.kcI
フリーダムすぎて解らんwww
告白でホモネタが来るなんて想定の範囲外だしこれからも範囲外に置いておきたい。
もし腐女子なら、ロリなどという偽装を行わずそのままフリーダムに突っ走るべきだ。
あと、フリーダムという単語が好きになった。
・・・ガンダムシードとか言う奴か?やっぱり腐女子か?
No.6 図式が出来ない! 1/4 ◇ZRkX.i5zow
>横から勢いよく白くて冷たいモノが降りかかった。
フヒヒwwwサーセンwww
あと告白してない気がする。
No.7 ファースト・プロポーズ 1/4 ◇DogUP10Apo
スタンダードで良いと思った。
おっぱいの描写が欲しいです先生。
No.8 恋と世界のカラクリ(1/5) ◇ecJGKb18io
SF大好き。星新一っぽい。
告白じゃないから投票できないけど良いね。
最後のゼンマイの無理っぽさも良い。
> 太助はそう言うと、上着のポケットからぜんまいを取り出して掲げて見せた。
でも蒔くのはねじで、ゼンマイは動力部分だ。
オレSFスキ、ココ厳シイ。
No.9 心変わり1/4 ◇0CH8r0HG.A
樹が樹に告白してるの・・・か?
今回のお題はともかく、不可思議な世界観をもっと暴走させたのが見たい。
654 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 03:35:14.88 ID:+IdiQqzw0
No.10 白い日と息と 1/5 ◇4oIY5Zvkdw
相手に恋愛感情を告げてハッピーエンドなら、主人公が告白しなくても良いのか。
なるほど、今解ったw
No.11 だから私はゆっくり歩く 1/4 ◇bsoaZfzTPo
身もだえするw
お題だから告白すれば完璧だったのにw
NO.12 腐女子?食える食える、美味いらしいよ?◇c3VBi.yFnU 1/5
腐女子と付き合いたいってスレがVIPにたまに立つけど、
腐女子ってどこにいるのかなあと思った。
あと、本文はお題をクリアしてると思う。
だからタイトルをもっと良い感じに出来るんじゃね?
NO.13 幸福論1/2 ◇ZIPyTXuL.2
え?死ぬの?
NO.14 アルトリコーダー 1/1 ◇dHfRem3ndk
反省点:
そういやニコニコ動画にメルトがあったなと思って無理矢理作った。
色々無理だった。
あと関係ないけど、メルトはオタクが指輪を贈る奴が一番好きだ。
NO.15 蝋の姫君と愛し男 1/2 ◇faMW5pWHzU
なるほど耳が聞こえないのか。
でも多分耳が聞こえない人って雰囲気で色々判断するから、
強引にハッピーエンドな展開にしてもOKだったと思う。
655 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 03:35:46.01 ID:+IdiQqzw0
NO.16 明日もまた夕日が沈む1/5 ◇QAbQXuW886
せつねえと思うのだ。
振られてるけどハッピーエンドだと思うね。
NO.17 アンダーニース (1/4) ◇QIrxf/4SJM
情景描写うめぇwwwwwwww主人公テラアホスwwwwwwww
アンダーニースはググっても解らなかった、NEATHはイギリスの地名らしい。
NO.18 悪趣味(1/5) ◇xg3VcqAPFw
……。
BL小説って奴か?
コミケのカタログで、サス×カカとか色々書いあるのを見て小一時間悩み、
そうか!!これは攻めと受けとか言う奴だ!!と閃いたときは、
マジで役に立たない知識を閃いたなとしばし落ち込んだ。
需要があるって事は市場もあるって事じゃねえかな。解らんけど。
NO.19 省エネの為に電気を消した暗い教室で1/1
お題はともかく電波系小説の妄想の一部として転用できると思う。
もっとぶっ飛んだ妄想をまき散らして本物と間違われるぐらいの文章が出来たら、
それはそれで見せて欲しいwww
クトゥルーとかと混ぜても良いかも。
NO.20 小林君の告白1/4 ◇LBPyCcG946
おもしれえ!!
変な世界観の状況描写も、アクションの状況描写も、小道具もみんなコミカルだった。
ハッピーエンドはほど遠いと文章に力説された気がする。
656 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 03:36:17.43 ID:+IdiQqzw0
NO.21 夢の続きは 1/5 ◇7BJkZFw08A
一生分を一気に駆け抜けた気がする。
老後につなげるまでが上手い。
その安定感が羨ましい。
NO.22 新ジャンルな恋愛1/5 ◇RqM8RwK87E
お〜。
蓬莱学園というゲームを連想した。
リアリティーのないキャラクターだなと思ったのは最初の内だけで、
最後はテンションが上がった。
もう俺の頭の中でアニメ化されて音楽が鳴り響いてスタッフロールが流れてる。
NO.22 麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 1/5
>賢明な読者諸氏の中には、ようやく告白の舞台が整った、
>とお気づきの方もいるかも知れない。
俺の読解力はあくまで自称人並みなので全く気がつかね。ごめん。
というか、シェイクスピアっぽいイメージが湧いた。
美形かどうかにこだわりすぎる主人公にムカつく俺は、
あくまで自称人並みの容姿なのだ。畜生!
NO.24 それから僕は1/5 ◇K/2/1OIt4c
テレビドラマか、モーニングの漫画っぽいなあと思った。
俺は個人的に萌え要素が欲しい。
657 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 03:36:48.37 ID:+IdiQqzw0
NO.25 糞みたいなひと(1/4) ◇/sLDCv4rTY
清涼院流水の19ボックスぽさが少しあるかなと思った。
甲斐?小田さん?仲居さん?誰が誰に告白してるのか解らない。
わざとやってるのなら洒落にならない電波系だと思う。
ホラー系の物を見てみないことには解らん。
楽しい電波系の文章が書けたら、そっちの方が人を喜ばせられるのに。
NO.26 携帯電話を持ち出して (1/5) ◇/7C0zzoEsE
フランス書院文庫だとこの後どうなるのか想像が付くのに!!
爽やかな感じのまま引っ張られたら俺は欲求不満にな・・・いや俺のことはどうでもいい。
NO.27 その想いは疾風の如く(1/5) ◇InwGZIAUcs
そう言えば俺、エロゲー全然やってねえなあ…って思った。
「素直クール」は俺も好きだが。身悶え感がほしい。とても欲しい。
NO.28 鼓動と追いかけっこ1/5 ◇s8ee1DM8jQ
ひょっとして新ジャンル「不良クール」でスレッド立てられるんじゃね?
女の設定が斬新かも。
NO.29 兄貴の一目惚れ(1/5) ◇Bh78QWxHPM
最初の書き出しが、後にコメディに変化するとは予想できなかった。
兄カワイソスwww
NO.30 夢みたあとで、甘い夢1/5 ◇6BMoPw49xY
スタンダードで安心して見ていられた。
お題もクリアしてるし安定感があると思った。
658 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 03:37:19.71 ID:+IdiQqzw0
NO.31 君は美しい1/2 ◇CYR3fna/uw
男怖い。やり過ぎだろw
まあハッピーエンドで良かったけど、
登場人物のこれからの人生を考えたらちょっとキツイ物が残った。
659 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 03:41:18.38 ID:+IdiQqzw0
>>640 その通りです。
トリップつけろと言われたので、コテハンをつけなきゃいけないのかと勘違いしました。
660 :
◆NEETwgvYaU :2008/01/14(月) 03:52:39.56 ID:z+VJErT80
全感の人たち乙
>>572 いろいろ端折りすぎたせいで
理解を妨げてしまったみたいです
次気を付けます
>>652 文法は深刻な課題です
タイトルは最後に感覚でつけてしまいました
ありがとうございました
661 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 04:03:50.28 ID:+IdiQqzw0
【投票】: <<No.11 だから私はゆっくり歩く>>◇bsoaZfzTPo氏
―感想―
告白してないけど、身悶えしまくったので一票。
<<NO.22 新ジャンルな恋愛>>◇RqM8RwK87E氏
―感想―
最初は非常識なキャラクターかなと思ったけど最後は好感が持てた。
俺この世界に存在してたら、こいつらに拍手するわ。
気になった作品:<<NO.15 蝋の姫君と愛し男>>◇faMW5pWHzU氏
―感想―
ハッピーエンドなら一票入れてた。
気になった作品:<<NO.17 アンダーニース>>◇QIrxf/4SJM氏
―感想―
小ネタ以上に情景描写が上手い。
気になった作品:<<NO.20 小林君の告白>>◇LBPyCcG946氏
―感想―
小林も女も余裕がある奴らだと思う。タフな感じがして良い。
662 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 04:04:56.04 ID:hLH+pIkx0
感想書いてくれる人は例えば「これはない」みたいな感想もくれるのか?
663 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 04:06:52.74 ID:+IdiQqzw0
テーマと関係なかったらあるんじゃない?
664 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 04:09:24.28 ID:hLH+pIkx0
>>662 そうなんですか。傷の舐めあいかとおもいました。批評してもらうほうが効きますしね
665 :
ニワトリファミリアー(お題:鶏) 0/3:2008/01/14(月) 04:09:38.73 ID:ZE+V5+Rx0
何故かこの時間に通常作投下だぜ! 出来てしまったから仕方ないぜ!
666 :
ニワトリファミリアー(お題:鶏) 1/3:2008/01/14(月) 04:10:05.45 ID:ZE+V5+Rx0
それはある週末の土曜日。同居人である宮崎果歩と街へ買い物に行った帰り道でのことだった。
「……果歩。お前もうクローゼット入るとこない、って言ってたのに何でこんなに買う訳?」
腕が抜けそうだ。肩の角度が狂いそうだ。俺の我慢も限界いっぱいだ。
「別に服だけじゃないよー。買ってるとこ見たじゃん駒崎くん」
「ああ、更にかさ張る旅行鞄とか、更に無駄そうな健康グッズとかな」
せめて袋一つくらい持って欲しいが、何だか意地を張ってしまう辺り、自分が少し悲しい。
交差点で止まった時に荷物を地面に降ろし、ようやく一息付けた。
「仕方ないじゃない。最近運動不足なんだし。それに旅行鞄は」
「あー、はいはい。ごめんごめん。俺たちの旅行の為だもんな」
メールをしていた手を止め、果歩の方に向き直る。
果歩は、分かればよろしい、という風に得意そうに笑った。ダメだ、やっぱこいつには勝てん。
「はぁー、でもしばらく贅沢出来んよ、こんなに買ったから」
「いいよ、私は。駒崎くん居てくれれば」
信号が緑に変わったのを見て、荷物を再び持って歩き始める。
角を曲がって百メートルも歩けば、もう我らが愛の巣だ。
「あー、そろそろ苗字で呼ぶの止めね? 自分も駒崎ン為るんだし」
「……ちょっとー、たまには恥ずかしがらせてやろうと思って言った、
私の赤面台詞が丸々スルーってどーゆーことよ。私だって恥ずかしかったのに」
あ、やっぱ自分もさっきの恥ずかしかったのか。
「いや、それは悪かったけどさ、俺の話……」
「いいわよ! 呼び方変えれば良いんでしょ変えれば!」
怒ったような素振りを見せて、十歩前を歩き始めた。おのれ、
自分はハンドバックしか持ってないからって身軽そうに。
667 :
ニワトリファミリアー(お題:鶏) 2/3:2008/01/14(月) 04:10:18.64 ID:ZE+V5+Rx0
「俺が悪かったからさー、無視したのは謝るからさー。機嫌直そうぜー」
「うるさいわね! 私にそんなにダーリン呼ばせたいのか変態!」
恥ずかしすぎて、きっと引っ込みつかなくなってるんだろうなぁ。
今だこんなに初々しいのは可愛いなぁ。のろけですけれど。「いや、ごめんってー。あとダーリンでもいいぞー」
「うるさいっ! 今日から犬って呼んでやるっ!」
なんだその人聞きの悪い、等と考えていると、もう其処は家の前だった。
アパートの敷地に入っていくと、先に歩いていた果歩が入ったところで立ち止まっていた。
「ん、どうした、何かあったか?」
「…………これ」
ん、と指で下を指してくる。
指先を追うと、そこには『誰か拾って下さい』と書かれたダンボール箱が。
そしてその中には、一匹の、元気そうに丸々とした今も、くっくくっく鳴いている鶏が──
「何で鶏なのよ! ふつー犬か猫でしょこのパターンは!」
まぁ、珍しくはあるな。
「それに面白いな、何だこの意外性は。ここまで考えて捨てたのだったら、捨てた奴は神か悪魔か」
「単なる馬鹿よ。動物を捨てたりする奴は問答無用で馬鹿」
668 :
ニワトリファミリアー(お題:鶏) 3/4:2008/01/14(月) 04:10:35.72 ID:ZE+V5+Rx0
そうか、それより俺は、家の前まで来てるのだし、早く中に入って、この俺を
圧死させようとしているかもしれない荷物どもを、一刻も早く下ろしたいのだが。だから言ってみた。
「なんだったら、飼えばどうだ? その鶏」
俺の言葉が意外だったのか、果歩はこちらを見て目が点になっている。これまた珍しい。
「飼うって、ウチで? この鶏をぉ?」
「別に世話さえ出来れば構わんだろ。室内ペットは大丈夫だった筈だし、そいつは雌鳥だ」
卵を産んでくれれば食費がちょっと浮くかもしれん。ちょっと。
「……いいの? 本当に?」
おう、と俺は首を縦に振る。
「これも何かの縁だしな。お前動物好きだったろ。管理人には俺から言っとくし」
「ありがと駒崎くん超嬉しい!!」
全力で抱きつきに来る果歩を、惜しいけれど全力で回避。今やられたら荷物で死ぬ。
「あー、嬉しいな嬉しいなー。名前は何にしようかなー、ねぇー、あなた何が良いと思う?」
早速嬉しそうに鶏を抱きかかえて話かける果歩を見て、
何だか俺も幸せな気分になりながら、俺は部屋へと先に向かった。
669 :
ニワトリファミリアー(お題:鶏) 4/4:2008/01/14(月) 04:11:09.71 ID:ZE+V5+Rx0
その後。
果歩は俺も一緒に行くと言ったのにも関わらず、
一人で駒崎クン(鶏の名前らしい。紛らわしい)の餌を買いに行ってしまった。
まぁそのお陰で、俺は疲れた腕と肩をゆっくりと家で一人で癒していられるのだが。
寝転んでいる俺の横を、くっくくっくと鳴きながら駒崎クンが歩く。
それをなんとなく捕まえて、自分の上に持っていった。
「…………お前、あんま可愛くねぇな」
鶏と顔を突っつき合わせている自分が何をしているのか、本気で分からなくなった。
そういえば、と思い出し、電話を友人にかける。待っていたのだろう。3コール程で出た。
『上手くいったか親友ー。俺の仕事は完璧だったろ』
「あぁ、お前の仕事は完璧だったよ。飼うことにもなった。……ただ、な」
下ろしていた駒崎クンをもう一度抱えあげながらぼやく。
『はは、最後の最後でトチったか。お前はいっつも、ちょっとの度胸足りねぇよなぁ』
「言葉も無いよ。まぁ、ありがとう、後はこっちでどうにかするわ」
『今日は会えなかったしな、今度なんか奢ってくれ。じゃあな』
「ああ、おっけ。じゃな」
マナーとして、先に通話を切断する。肩で押さえていた携帯をそのまま床に落とした。
「──結局、お前が本命の誕生日プレゼントだって言えなかったなぁ」
駒崎クンは俺のそんな呟きなぞ気にせず、ただくっくくっく鳴いている。
それにしてもお前、大人しい上に人間に懐きすぎじゃないか?
病気とかじゃねぇよなぁ、と疑ってみるが、答えは俺には出せる訳無かった。
その時、外から階段を上る音が聞こえてきた。本当にこのアパート階段の音は響くなぁ。
「ダーリーン! 駒崎クーン! 開けてー!」
恥ずかしげもなく外から響く声に、俺はちょっと笑った後、立ち上がって玄関へと向かった。
もう少し稼げるように俺がなったら、三人目の家族と一緒に、もうちょっと音漏れしないアパートに引っ越そう。
そう思った。
終。
670 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 04:11:43.39 ID:ZE+V5+Rx0
以上ですー。最初レス数間違ったすまん
671 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 04:15:51.01 ID:hLH+pIkx0
誰かいるカナー?眠れないからお題ください↓
不眠症
675 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 04:50:42.64 ID:j24BFzVn0
ho
676 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 05:19:29.18 ID:j24BFzVn0
ほ
>>657 全感おつ
> 甲斐?小田さん?仲居さん?誰が誰に告白してるのか解らない。
うわ、それ誤字です。
甲斐=告白されている男 で
中井さんと小田さんは同一人物で、告白している女の子です。
678 :
No.25 糞みたいなひと ◆/sLDCv4rTY :2008/01/14(月) 06:14:23.09 ID:MR+BAEqbO
きちんと言っておこう
No.25についてですが、1レス目の「中井さん」を「小田さん」に脳内変換してよんでもらえればうれしいです。
特に意図とかはない、酷すぎる誤字でした。
あと、まとめの人と全感の人乙
679 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 06:35:44.64 ID:z+VJErT80
ほ
まとめの人乙
680 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 06:59:52.72 ID:x6fHoftU0
保守らんマン推参!
/ ̄ ̄ ̄\
.fiヾ、n |... |
.ヽ`´ j |::: ○) ○)| <保守するなんて言った覚えないね!
. (ヽ_')、 ヽ:::::::....∀...ノ_
. ゝ、_ノ`ナヽ、 __,)ヽ
. ゝ、_ノ j ` ̄ ̄ `ソ、
. `ーt、`''ー─‐ '' ´ )ノ、
. (`ー----─イノヽ
. (`ー--i--‐'´ナL_ノ、
. (ヽ--イー‐イ {弍)
. (ヽーイヽ‐-‐)
. (ヽ_二フ ゝ二イ
. ゝ、_ノ ゝ‐r'
. / =〈 ( =ヽ
. (__ノ ` -‐'
681 :
insomnia(お題:不眠症)0/3:2008/01/14(月) 07:00:42.72 ID:pcQaVqAa0
よしできた!実は処女作だから人目につかない時間に投下するZE!
682 :
insomnia(お題:不眠症)1/3:2008/01/14(月) 07:01:33.68 ID:pcQaVqAa0
なぜだろう、とても目が冴えてしまっている。布団の中の温度は俺の体温で気持ちいいくらいに暖かい。
時計に目をやる。時刻はすでに午前二時。こんな時間まで起きてるのなんて何年ぶりだろうか。
大学に入ったころの俺は、親の心配など考えもせずによく夜中に友達と遊びに行ってたっけ。
――やめやめ、そんなくだらない思い出にふけっているともっと眠れなくなってしまいそうだ。
俺はベッドからずり落ちかけてたかけ布団を引っ張り上げ、明日もはやいんだから、と自分に言い聞かせるようにして目を閉じる。
……時計が時を刻む音だけが、カチカチと響く。カチ、カチ、カチ、カチ……
時計は狂うことなく、一定のリズムを刻んでいる。カチ、カチ、カチ、カチ……
なんの前触れもなく、カチカチという音が止んだ。俺は、やっと眠りにつけたのだなと思った。
「ねぇ」
俺を呼ぶ声がする。俺は一人暮らしのはずなのだが。
「ねぇってば」
ああ、そうか。コレは夢なのか。
「ちょっと、起きてるんでしょ? 返事くらいしてよ」
うるさいな、やっと眠れたんだからそっとしておいてくれ。
「はあ? なにいってんのよ。 眠ってるなら私の声なんか聞こえないでしょ?」
それもそうか、でもそれだと君がなんで俺の部屋にいるかが説明できないな。
「そんなの、どうでもいいでしょ。 それより寝れないんでしょ? ちょっと付き合ってよ」
……断る。俺は明日はやいのだ。だからとっとと寝てしまわないと、体に障る。
「なんでよ、いいでしょ! ちょっとくらい付き合ってくれたって!」
……だから、イヤだって。明日は重要な会議があるのだ。万全の体調でいかないと。
「私の用事だって重要なの! ねぇ! お願い!」
わがままなヤツだな、どこかのお嬢様なのだろうか。
「私の話聞いてる!? あなたも関係することなの! だからあなたに頼んでるのに!」
何? 俺に関係するだって? そういうことは早めに言ってもらわないと困る。
俺はガバッと起き上がり、部屋を見渡す。するとベッドに中学生くらいにしか見えない少女が、ちょこんと腰掛けていた。
「あ、やっと付き合ってくれる気になった?」
肩の辺りまである夜空のように真っ黒な髪の毛をくるくると弄りながら、彼女は言う。
自分と関係あると知ったら、付き合う以外の選択をとる人間はいないと思うのだが。
「それじゃあ、いこうか」
彼女は立ち上がり、俺に手を差し伸べてきた。
683 :
insomnia(お題:不眠症)2/3:2008/01/14(月) 07:02:41.99 ID:pcQaVqAa0
具体的に俺は何をすればいいのだろうか、すたすたと夜の街を歩いていく少女に尋ねる。
「いいから、ついてきて」
彼女はちょっと怒ったような顔をする。暫くは黙ってついていくしかないな、と思った。
十分ほど歩いたところで、彼女の足が止まった。どうやら目的地についたらしい。
そこは俺の住んでるアパートからちょっとしたところにある、小高い丘だった。小さいころに友達と遊んだ記憶がある。
「とりあえず、上まで登るわよ」
彼女は丘の頂上を指差す。ちょうど頂上と月が重なって、まるで丘に月が不時着したみたいだった。
頂上へと続くなだらかな道を進みながら、いい加減なにをするのか教えてくれないかと彼女に聞くと
「私の落し物を探してもらうのよ」
と彼女は答えた。落し物ねえ、その落し物は何なのだろう。俺とどう関係があるのだろう。と考えてるうちに興味が湧いてきた。
落し物への興味が絶頂に達したころ、丘の頂上が見えてきた。
「さあ! 探すわよ!」
と彼女は頂上につくなりダァーっと駆けていってしまった。こっちは落し物がなんなのかも教えてもらってない。すでに八方塞だ。
頂上は公園のようになっており、ベンチやブランコなどといったどこの公園にでもあるような遊具が申し訳程度に設置されている。
その中でも一番近いベンチに俺はドカっと座り込んだ。ベンチには先客がいた。真っ赤なリボンだ。
お前もアイツに連れてこられたのか? なんてくだらないことを考えているうちに彼女がこっちに駆け寄ってきた。
「ちょっと! 見つけたなら見つけたってはやくいってよね!!」
なんの話だよ、と反論する間もなく
「やっと見つけたー! 私の大事なリボンー!」
とベンチの先客をひょいと拾い上げた。え? それなの? 落し物って。俺に関係ある落し物って、それ?
「そうよ。言ってなかったっけ?」
言ってない。絶対に、言ってない。出鱈目なヤツだなと怒る気も失せてしまった。
ところで結局それは何なんだ、俺に関係あるって話はどうなったんだ、と彼女を問いただすと
「え? ああ、あはは! お兄さん私助かっちゃった! ありがとね!」
と言い終わるのと同時にものすごい勢いで走り去ってしまった。
……結局俺は何をしにきたんだろう。彼女は何者だったんだろう。あのリボンはなんだったんだろう。わからないことだらけだった。
どうしても何もわからないことがわかると、俺はアパートへの帰路へつくのだった。
684 :
insomnia(お題:不眠症)3/3:2008/01/14(月) 07:03:38.55 ID:pcQaVqAa0
朝日が目にしみてまぶしい。いつの間にか俺は寝ていたらしい。
寝不足で冴えない頭を奮い起こし、いつもと変わりない朝支度をはじめる。結局昨日のアレはなんだったのだろうか。
ソワソワして落ち着かない。まったく、今日は重要な会議があるっていうのに、まったく身が入らない。
そうこうしているうちに、時計は出勤時間をさしていた。今日の会議で使う書類をカバンに詰め込み、アパートを出る。
駅に向かう道の途中も、昨日のことばかり考えていた。やはり、アレは夢だったのだろうか。
それならば一番合点がいく、そうだ。夢なのだ。第一、一人暮らしの部屋に少女がいきなり現れるなんてありえるわけがない。
こんな夢を見てしまうとは俺もそうとう疲れてるのかな、とため息まじりに呟いた。
すると、‘にゃあ’とネコの鳴く声が聞こえた。ふと振り向くと、夜空のような色の黒猫がスッと道を横切った。
その首には、赤いリボンが巻いてある。どこかで見た組み合わせだな、いやいや、きっと偶然さ。アレは夢だったんだ、と自分に説明する。
そんな心を見透かしたかのように、ネコはもう一度‘にゃあ’と鳴いた。
終わり。
えー、以上で終わりです。読み返してみるとなんかメッチャクチャな気もしてきましたヨ
686 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 08:00:46.69 ID:/TnKB+/m0
もっとめちゃくちゃなのが読みたいな
冒険するのは楽しい事だ
687 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 08:25:22.28 ID:EyXtFtb5O
ほ
688 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 08:38:49.99 ID:h1PikaYI0
>>684 読んだ。
やっぱり「あなたも関係ある」と言ったからには、
主人公じゃないと駄目な理由付けが必要だと思う。
見た感じ、黒猫と主人公に関係があったようには見えなかったから。
いや、俺が読み落としているのかもしれないけどね。
それと、展開も急ぎ気味かなぁと思った。
いきなり女の子が家に上がりこんできたというのに、主人公は
全然驚いていないし、関係があるといわれただけであっさりと
信じてしまうし。その辺は、どうも不自然に思えた。
こっちの方にも、何か納得できる理由がいると思う。簡単でもいいから。
>丘に月が不時着
これはいい表現だな、と思った。
それと、丘を登るにつれて、気持ちも高まっていくところ、なんかも。
だけど、やっぱりこれも、どうして丘に登ると気分が高まったのか。
という説明がないから、効果が薄れているように思えた。
とまぁ、こんなことを思った。
全般的に、理由付けが足りないように思えたらしい。俺は。
そこらへんを意識して書いてみるといいかもしれない。
まぁ適当に聞き流してくれ。
689 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 09:40:24.74 ID:w+wyvvhGO
ほー
690 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 10:16:14.08 ID:soeDAU/N0
文才がある文章ってどんな文だろうねほす
691 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 10:44:40.71 ID:3vRYB8wK0
692 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 10:58:40.38 ID:cZIHy2J3O
お題がほしいって気がするよ
693 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 11:00:10.54 ID:3vRYB8wK0
694 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 11:29:54.91 ID:cZIHy2J3O
今朝の朝食はマヨネーズパン把握
695 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 11:45:02.22 ID:dHXyXhdG0
祝日なのに出勤だよ保守。
お題くれるイケメン募集。
696 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 11:49:21.63 ID:MR+BAEqbO
697 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 11:51:12.28 ID:dHXyXhdG0
>>696 なんかすごいお題だなおい。
でも把握した(`・ω・´)
698 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 12:18:28.28 ID:3vRYB8wK0
全感書きつつ保守
699 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 12:23:22.74 ID:JFlopZ60O
なるたけ書きやすそうなお題を
700 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 12:28:07.84 ID:MR+BAEqbO
701 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 12:42:19.14 ID:l4tCiU2V0
>699
寄り道
先生質問です、時間外投下っていつぐらいまで許されますか?
702 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 12:44:24.66 ID:KuAppb400
投票の終わりまで、だっけ?<時間外
703 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 12:54:11.08 ID:xCX2OpLO0
投下自体に期間の制限はなかったはず>時間外投下
ただ、投票期間が終わるとさすがに関心票を入れてもらえない。
それだけの話。
704 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 12:55:30.78 ID:l4tCiU2V0
705 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 12:56:17.82 ID:xCX2OpLO0
ちなみに、火曜日の夜に投下して、関心票を貰った人を見たことがある。
706 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 12:58:20.27 ID:EkY23fgP0
救済スレの投票は転載済みのやつかね。
707 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 13:08:16.70 ID:EkY23fgP0
未転載のようなので転載
243 名前: ◆RqM8RwK87E :08/01/14 02:36:33 ID:ezJGw9qI
集計頼み申した。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:
No.8 恋と世界のカラクリ(5/5) ◇ecJGKb18io氏
No.9 心変わり4/4 ◇0CH8r0HG.A氏
気になった作品:
NO.12 腐女子?食える食える、美味いらしいよ?5/5◇c3VBi.yFnU氏
NO.30 夢みたあとで、甘い夢5/5 ◇6BMoPw49xY氏
********************************************************
708 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 13:23:40.87 ID:8RUBeJDwO
救済スレに投票したんで、転載をお願いしたい。
709 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 13:27:06.66 ID:EkY23fgP0
以下、救済スレより投票転載です。
245 名前:文才無しさん :08/01/14 13:21:50 ID:Wrrt2fto
投票します。
転載よろ
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:
No.10 白い日と息と ◆4oIY5Zvkdw
凄く好きな話。
こういう姉貴って良いよなぁ…。
ただ、こんな両親はイラネw
気になった作品:
No.15 蝋の姫君と愛し男 ◆faMW5pWHzU
話としては投票したNo.10より良いと思う。
ただ、他の人も言ってるけど短すぎ。
これからって所で終わってしまう。
それに、耳の聞こえない女の子がどういうキャラクターなのか伝わってこなかった。
絶対もっと面白くなるので、出来ればいつかより完成した物を読みたいです。
是非書いてくれ!
********************************************************
710 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 13:36:50.86 ID:JFlopZ60O
711 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 13:37:36.22 ID:E4Ukt/5OO
712 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 13:49:34.29 ID:dHXyXhdG0
通常作品のモテモテができたので投下します。
投稿規制にひっかからないようにこまめに分割しちまいましたが、気軽にさらっと見て下さればと思います。
713 :
モテモテ1/7:2008/01/14(月) 13:50:15.21 ID:dHXyXhdG0
これは夢に違いない。
仮に夢でなかったとしたら、僕は何かの拍子に気が狂ってしまったのだろう。いやしかし、
自分が狂った事を自覚しているのは、狂っていると言えるのだろうか。正常――とも言い難
いが。
「どうしたのだ」
そいつは言った。平然とした口調だった。淡々としたその声が、僕をますます混乱させる。
やはり夢か。それにしては、やけにリアリティがある。
僕のアパート。その台所。古ぼけたコンロと、その上に乗っているヤカン。そうだ、ここ
までは普通だ。何の変哲もない。
ただ、そのヤカンの注ぎ口から、煙と一緒に――
「さあ、願い事を言うがいい」
おとぎ話で聞いた、ランプの精(ヤカンの精?)が出てくるなんて!
714 :
モテモテ2/7:2008/01/14(月) 13:50:48.67 ID:dHXyXhdG0
浅黒い肌にアラビア風の装束をまとい、太いを腕を組んでふんぞり返るそいつは、挿絵で
しか見た事のないランプの精そのものだった。
こいつをどこか別の場所で見かけたのなら、ただのコスプレ好きの外人だろうと思うのだ
が、何しろ空中に浮かんでいるし、下半身がヤカンの注ぎ口から出ている煙と一体化してい
るし、願い事を言えとか偉そうにしているし――
あらゆる点から考えて、こいつはランプの精なのだろう。いや、そんなものがこの世に存
在しない事ぐらい分かっている。だから夢か、あるいは精神的におかしな事になっているか
のどちらかだ、と考えたわけだ。
「先程から何だというのだ。呆けたように目も口も開けおって」
ランプの精が口を尖らす。流暢な日本語だ。精霊の世界にも、日本語学校などがあるのだ
ろうか。
「いや――僕はコーヒーを飲みたかっただけで――」
「なるほど! それが願いという事だな。それでは最高級のブルー・マウンテンの香りをそ
なたに」
「ままま待って! そういう事じゃなくて!」
慌てる僕に、ランプの精が舌打ちをする。
落ち着け、落ち着くんだ。深呼吸をして――そう、考えるんだ。
715 :
モテモテ3/7:2008/01/14(月) 13:51:23.53 ID:dHXyXhdG0
僕は言った通り、コーヒーを飲もうと湯を沸かした。いい具合に水が沸騰した頃、やけに
湯気の量が多い事に気が付いた。
もくもくと際限なく立ち上る湯気が、やがてコンロの上方で塊になって……
ヤカン一千回使用記念おめでとう、とか何とか言われた気がする。ああ駄目だ、ここから
は記憶が曖昧だ。
――きっと、僕はコンロに火をかけ、コタツに入っている間に眠ってしまったのだ。
僕が今見ているものの全ては、妙に現実感があるものの、夢だ。夢なんだ。
「そうに違いない」
「何がだね」
ランプの精は、小首を傾げて僕を見ている。これが可愛い女の子だったらズキュンとくる
事は間違いないが、プロレスの悪役を地でいく凶悪な面構えでやられても、何とも思い難い。
716 :
モテモテ4/7:2008/01/14(月) 13:52:01.51 ID:dHXyXhdG0
「願い事、だっけ」
夢を見ているのだ、と割り切ると、僕もいくらか落ち着いた。
夢だとすれば、こういう類の状況はよくある事だ。せいぜい願い事を言って、望み通りに
なって、ウハウハしたところで目が覚める。
それなら、特別においしい思いのできる願い事を言わなければ損だ。
「願い事……いくつまで?」
「一つ」
今度は僕が舌打ちをする番だった。一つとはまた少ない。こういう場合は三つが定番なの
に。
「じゃあ、願い事を百回に増やすのが願い事」
「ワタシ、日本語ワカラナイヨ」
「駄目なら駄目って言ってくれていいから……」
「じゃあ駄目」
何というケチなランプの精だろう。確かに、どのおとぎ話を見てみても、こんな願いが受
け入れられたためしはないが――暗黙の了解という奴だろうか。それにしても、意地悪そう
にニコニコしているのは気味が悪い。これが可愛い女の子だったら……いや、まあいい。
――僕ははっとした。可愛い女の子。そうだ、これだ。
彼女いない歴イコール年齢の僕にとって、最も重要なのは可愛い彼女の存在だ。
これが夢で、一つきりとはいえどんな願い事もかなうなら、身長低めだけどナイスバディ
で色白で、肩にかかる程度のショートカットがよく似合い、瞳が大きくて唇が艶っぽい、少
しドジっ子だけど夜はウフフな彼女を出してもらう事こそ本望じゃないか!
717 :
モテモテ5/7:2008/01/14(月) 13:52:35.43 ID:dHXyXhdG0
「この助平め」
何故かランプの精は頬を染めている。気色悪い事この上ない。
「いいか、僕の願いは――」
「言わずとも分かっておる。精霊にとって、人の考えを見抜く事など容易いのだ」
なるほどそういう事か。
「じゃあよろしく」
「良いのだな? 変更や修正はできんぞ」
そう言われると困ってしまう。完全無欠の理想の女性が出てきたとしても、どこか好みと
食い違う部分があるかもしれない。美人は三日で飽きるとも言うし。
僕は、さっきまでランプの精がそうしていたように、腕を組んだ。コンロの前に立ち尽く
して考え込む姿はけして格好の良いものではなかったが、一つきりの願い事をかなえるとな
ると、場所やスタイルなどはどうでもいい。
「そうか」
ふと、僕の脳裏に閃光が走り、思わず声を出していた。犯人の巧妙なトリックを見破った、
探偵のような表情をしていたに違いない。目指すものは明らかに低俗だが。
かなえる願い事が一つきりなら、願いをかなえた結果について、幅を持たせてやればいい。
つまり――
「モテモテにしてくれ」
「モテモテ?」
そう。モテモテだ。
あらゆる女性が僕に恋焦がれるようになれば、僕は彼女を選び放題だ。何しろモテモテな
のだから、声をかけるだけで、どんな女性も僕の虜。これはいい。実に素晴らしい。ひょっ
として僕は天才なのだろうか。
「とことんそなたは助平だな」
ランプの精はまた顔を赤くしている。さあ、そんな気持ちの悪い顔はやめて、はやく僕の
願いをかなえるんだ。この夢から覚めてしまう前に。
718 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 13:52:39.62 ID:+OItaRPU0
osaru
719 :
モテモテ6/7:2008/01/14(月) 13:53:09.31 ID:dHXyXhdG0
「では……」
ランプの精は太い腕をくねくねと動かして、何か呪術的な儀式を行っているようだった。
やがて木炭のような指が淡く発光し、その光がランプの精を離れて、すっと僕に吸い込ま
れる。
「これでそなたはモテモテだ」
こんなにあっさりしたものだとは思わなかったが、ランプの精は自信たっぷりに胸を張っ
ているし、僕の願いはかなえられたのだろう。
「本当にモテモテ?」
「間違いなく……モテモテ……」
問いに対する返答が、なぜか吐息混じりだ。見ればランプの精はもじもじしている。何だ
というのだろう。さっきから本当に不気味だ。
――そんな事はどうでもいい。これから夢の中の街へ繰り出して、僕のビューティフル・
ライフを満喫するのだ! 先ずは前々から気になっていた、ゼミのあの子を。その子をああ
してこうして……
「待つがよい」
「まだいたの」
着替えを済ませ、玄関でいそいそと靴をはいていた僕を、ランプの精が呼び止めた。奴の
呼吸が荒い。汗もかいている。
「そなた、実に男前だのう」
何だ、こいつは何を言っているんだ。
「わしの婿に相応しい」
婿。婿というのは嫁の対義語で、夫婦でいえば夫。
――え?
720 :
モテモテ7/7:2008/01/14(月) 13:53:48.48 ID:dHXyXhdG0
「さあ、契りを交わそうぞ。わしも精霊界では何人もの男から求婚されるゆえ、容姿には自
信がある。良い妻になる事、受け合いだ」
「ちょっと待てあんた女だったのか――やめっ、触るな! いやあああっ!」
ランプの精のたくましい腕が、僕を抱きしめる。生肉をそのまま喰らいそうな口から真っ
赤な舌が伸びて、僕の顔を舐め回した。
さらにランプの精が指を一振りすると、僕の着ていた服が次々と脱がされていく。それも、
やけになまめかしく。
「わしには七人の姉妹がおってな。いずれもわしに劣らず美人だ」
「それはあんたらの世界での事だろうが! あぁっ、そこ舐めたら……おぉぁ!」
「精霊界では一夫多妻が常だ。そなたはモテモテであるから、姉妹のいずれもそなたを気に
入ろう。姉妹丼とは羨ましい奴よ」
「羨ましくねぇ! うらや、あっもうほんとだめっ、ちょ、アッー!」
僕はランプの精に全裸状態で弄ばれ、そのままずるずると引きずられた。くんずほぐれつ
の結果、ランプの精も半裸になっているが、鍛え抜かれた肉体が見え隠れするばかりで、こ
れから僕が何をされるのか、想像する事もできない。想像したくもない。
「さあ行こう。今夜は寝かさぬぞ」
「頬を染めるんじゃねぇ! たすけ、誰か助けてえええっ!」
台所が、コンロが、そしてあのヤカンが近付く。
ランプの精は、叫びもがく僕の全身にいやらしく手を這わせながら、僕をヤカンの注ぎ口
へ引きずり込んだ。
こんな悪い夢を見るなんて――最悪だ!
「夢じゃないよ?」
ヤカンの注ぎ口から侵入した、真っ暗な世界をどこまでも降下していく中――
僕にしっかりと絡み付いたランプの精が、そっと耳打ちをした。
おしまい(´∀`)
721 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 13:56:29.43 ID:+IdiQqzw0
>>720 中国の笑い話を思い出した。
骸骨を供養したら張飛が来る奴w
722 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 13:56:37.40 ID:dHXyXhdG0
投稿してから誤字脱字が見付かるとかもうね・・・orz
推敲が足らなかったなあと反省(´・ω・`)
723 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 13:57:57.78 ID:dHXyXhdG0
>>721 ああ、戸を叩く人が「ヒ」と名乗って、最初はヨウキヒがくるけど、次はチョウヒだったって奴かww
あれは確かに面白かったw
読んでくれてありがとう(´∀`)
724 :
◆wb/kX83B4. :2008/01/14(月) 14:06:01.74 ID:YdeOraWl0
全感をくれた方にお礼を申し上げます。
>>573 >これは間違いなく自己診断です。
これはどういう意味でしょうか?
>目指している文体は何となく分かるのですが、まだ貴方にそれを表現し切れていませんね。
>慌てずに、まず普通の文章から書くことをオススメします。
>加えて言えば、幻想的な表現にはそれを必要とされるだけの構成が重要となります。
>これは気に入った表現を突っ込んでいるだけ。
>酷く不恰好に思えました。
全く持っておっしゃるとおりです。元ネタの作品をもっと読み込んだり、文章の練習を続けて、
皆さんに楽しめる作品を作りたいと思います。ご指摘をありがとうございます。
ただ、幻想的な表現にしたつもりはありません。中学生が、布団被って独り言を言っている状況です。
>>652 電波な話ってどういうお話でしょう?
感想ありがとうございました。
725 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 14:28:23.29 ID:YdeOraWl0
ほす
726 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 14:38:25.45 ID:8RUBeJDwO
>>724 田山花袋の蒲団って読んだ?
読んでないならオススメ。
あそこまで人間性をさらけ出すくらいしないと、日記で終わっちゃうとオモ。
小説を面白くするために、必要な要素の一つがリアリティだからね。
アニメならそれでもいいけど、貴方が書きたいものは違う気がした。
どんな方向性でもいいから突き抜けちゃわないと、面白くならない希ガス。
727 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 14:48:57.55 ID:pcQaVqAa0
>>688 感想ありがとうございます。
たしかに読み返してみると置いてけぼりにされてる感じがありますネ。
そしてついでにお題くだちい↓
728 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 14:57:33.68 ID:3vRYB8wK0
729 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 14:58:50.23 ID:pcQaVqAa0
>>728 把握。まともにクラシックなんてきいたことねえよチクショウ
730 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 15:15:49.83 ID:3vRYB8wK0
>>729 ピアノならラヴェル。
オーケストラならワーグナーが個人的にお勧め。
特に、ラヴェルの「水の戯れ」はガチで勧める。
っていうか今聞いてる。
731 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 15:26:41.80 ID:MR+BAEqbO
投下します。全1レス
732 :
お題:無限(1/1) ◆/sLDCv4rTY :2008/01/14(月) 15:27:35.88 ID:MR+BAEqbO
先週に、私の兄が死にました。
兄は病床に着いてから、何処からか拾ってきた一本の黄色い棒を、部屋中に、繁殖させることのみが趣味でした。
その黄色い棒は軽石のように無数の穴があいており、とても軽くありました。
兄は、毎夜、寝る前にその棒を真ん中から、パキリと二つに折ってから寝ていました。
そして、暗い部屋で朝を迎えると、二つに折られたその棒は、
なぜかは判らないが、数は折られた二本のままに、長さが折られる前の長さになっていました。
兄は毎夜棒を折り、棒は増え、部屋を占拠していきました。
そうして、数が増える度に兄は少し笑い、また、棒が増えていくさまを見る事が、兄の唯一の生き甲斐だったようでした。
そしてまた、棒は、折る度に、より軽くなっていきました。……
兄の体から、すっぱい、顔が引き伸ばされるような、酷い臭いがするようになり、その二日後に、兄は死にました。
虚無のような黄色い棒だけが何百本も部屋に散らばり、私と共に残りました。
私は、兄の形見としての一本だけを残して、すべての棒を棄てました。
そのとき、私は、この棒の山が、兄の数百日分の生きた証だと思うと、
右手にもった一本の形見の棒の、この軽すぎる
すいませんミスりました。
再投下します
734 :
お題:無限(1/1) ◆/sLDCv4rTY :2008/01/14(月) 15:30:46.26 ID:MR+BAEqbO
先週に、私の兄が死にました。
兄は病床に着いてから、何処からか拾ってきた一本の黄色い棒を、部屋中に、繁殖させることのみが趣味でした。
その黄色い棒は軽石のように無数の穴があいており、とても軽くありました。
兄は、毎夜、寝る前にその棒を真ん中から、パキリと二つに折ってから寝ていました。
そして、暗い部屋で朝を迎えると、二つに折られたその棒は、
なぜかは判らないが、数は折られた二本のままに、長さが折られる前の長さになっていました。
兄は毎夜棒を折り、棒は増え、部屋を占拠していきました。
そうして、数が増える度に兄は少し笑い、また、棒が増えていくさまを見る事が、兄の唯一の生き甲斐だったようでした。
そしてまた、棒は、折る度に、より軽くなっていきました。……
兄の体から、すっぱい、顔が引き伸ばされるような、酷い臭いがするようになり、その二日後に、兄は死にました。
虚無のような黄色い棒だけが何百本も部屋に散らばり、私と共に残りました。
私は、兄の形見としての一本だけを残して、すべての棒を棄てました。
そのとき、私は、この棒の山が、兄の数百日分の生きた証だと思うと、
右手にもった一本の形見の棒の、この軽すぎる重みには、兄の一日の、いや、人間の一日の、全があると言うことなんだろうか、……と、
そんなことを、ぼんやりと思っていました。
私の右手の、手の平と五本の指にかかる、この軽すぎる、一日の重み。……
735 :
◆/sLDCv4rTY :2008/01/14(月) 15:31:27.73 ID:MR+BAEqbO
以上です。失礼しました
736 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 15:41:51.68 ID:YdeOraWl0
>>734 棒の発想がいいね。
ところで、棒を毎日一本ずつ増やしていったってこと?
737 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 16:01:31.93 ID:MR+BAEqbO
>>736 うん、そう、毎日一本。
批評ありがと。やっぱりわかりにくい文章になっちゃったかな。
他にもおかしい所があると思うので、引き続きだれか批評お願いします
738 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 16:19:35.89 ID:YdeOraWl0
出来るかどうかわからないが、お題↓
739 :
◆ba/RH2FpPo :2008/01/14(月) 16:19:40.78 ID:l4tCiU2V0
16時間遅ればせながら参加させてください。
品評会『告白』時間外投下。
レス数5・題名『バック・ナンバー』
740 :
【品評会時間外】バック・ナンバー1/5 ◆ba/RH2FpPo :2008/01/14(月) 16:19:56.25 ID:l4tCiU2V0
『真夜中にコンビニに来る人たちは、きっと誰かを求めている。
言葉を交わす必要はない、ただ自分と同じ今この瞬間に動いている他人が欲しいのだ。
時は現代、隣の家の窓に繁華街の方角に、明かりを確認することはた易いけれど。
すれ違ってでもみなければ、今生きて動いている人間が自分ただ一人じゃないって、
どうして確認できるだろう?』
うそだよ。私はあくびを噛み殺し、レジカウンターの下でこっそり広げていた雑誌を閉じた。深夜の店内に人はまばらで、レジスター
をするにも退屈だ。けれども暇つぶしにと商品棚から拝借した雑誌の内容はもっと退屈だった。エッセイと称して何やら感傷的な文章
が多く並んでいる。この雑誌は商品棚の、いわゆる成人男性向けコーナーに紛れて置かれていたのだが、相応しい内容とも思えない。
このコンビニでアルバイトを始めてまだ一か月足らずの私でも分かる。真夜中に来るコンビニに来る人たちは、ビールを煙草を求めて
来るのだ。スルメだっていい。無人販売だろうと万能自動販売機だろうとなんだって良いのだ。ただ深夜に要りようになったものを供給
してさえくれれば。
そんな詮無いことを考えているうちに、東の空が白み始めた。夜明けは日に日に早くなってきているようだ。とはいえこの町の三月は
まだまだ冷え込む。シフト終了後は中華まんでも買って帰ろうか。つまらないといいつつ折り癖をつけてしまったこの雑誌も、買わない
わけにはいくまい。そう思って財布を確認すると、ぎりぎり雑誌一冊買えるだけの小銭が残っていた。さよなら肉まん。私の小さな贅沢は
打ち砕かれた。
と、レジに新聞とコーヒー、スルメが差し出される。お客さんだ。私は慌てて笑顔を作り、顔を上げた。商品に伸ばした手が固まる。
知っている顔だった。私のシフトがあと十分ほどで終わることを告げると、待っていると言ってくれた。
「守屋先輩」
こっそり呟いた声はなんだか力が抜けていて、嬉しいのか悲しいのか自分でもよく分らなかった。
二人で店を出た。歩き出すやいなや先輩に頭を叩かれる。軽い動作。背の高い人はずるいと思う。
「女の子がこんな時間までバイトするか、普通」
「守屋先輩だって去年してたじゃないですか」
「俺は女の子じゃねえよ」
「じゃあ私も女の子じゃないです」
坂を上るにつれて、地平線から顔を出す朝日は大きく、大きくなる。
先輩がすっかり説教モードに入りそうで、私は慌てて言い訳を始めた。アルバイトは、高校を卒業してから上京し大学に行くまでの
一ヶ月限定であること。来週が最後になること。上京には何かと資金が必要で、金欠状態であること。
741 :
【品評会時間外】バック・ナンバー2/5 ◆ba/RH2FpPo :2008/01/14(月) 16:20:20.42 ID:l4tCiU2V0
「ま、俺がやめろって言ってきくようなやつじゃなもんな、未春は。とにかく気をつけろ」
そんな言葉と共に、右頬に熱いものを押し当てられる。ホット・ミルクティの缶。
「くれるんですか? てっきり部屋で待ってる人のぶんかと」
「ああ、あいつは朝は水しか飲まないから」
部屋にいる人がいることは否定しないで、先輩は言う。私は首に巻きつけていたマフラーを解き、ミルクティの缶を包み込んだ。こうして
おけば缶も冷めず、マフラーも温まり一石二鳥なのだ。
「飲まないのか?」
「今は寒くないからいいんです」
坂を登りきると、一軒の木造アパートがある。この二階の部屋で、守屋先輩は二年前から一人暮らしをしているのだった。駐車場にもう
一人、懐かしい顔を見つける。朝の光の中で煙草の煙と茶色い髪をなびかせているのは、葵先輩だった。早朝に守屋先輩のアパートにいる
人、といえばこの人しかいないと思ってはいたけれど。
「おう未春じゃん。恵も一緒だったの」
「お前、それ逆じゃね?」
二人が二年前に高校を卒業してからは、私も数回会うだけだった。しかし、彼らの間には今もなお変わらない時間が流れているように思え
た。故郷を離れる前に馴染み深い二人の先輩に会えたのは幸せだったのかもしれない。葵先輩とも二言三言交わし、私が家路に着こうとし
た時だった。守屋先輩がいつになく改まった調子で言う。
「未春。俺、手術受けることにしたから」
「そうですか。良かったですね、葵先輩」
葵先輩はありがとう、と笑う。こんなにそつなく優しい笑い方ができる人を、私はこの人より他に知らない。手術のため、守屋先輩は一週
間ほど入院するのだそうだ。それだけ聞いて私は今度こそアパートを離れた。マフラーを首に巻き直す。その温もりを、まるで守屋先輩
のもののように感じてしまう自分を戒めながら、足を速めた。
バイトを終えて家に帰り着くと、いつもはすぐにソファに突っ伏して寝てしまう。けれども今日はそんな調子でもなく、朝風呂に入ること
にした。長風呂にする態勢で先ほど買い取った雑誌を持ち込む。が、家で開いたところで内容は変わらず、ページを捲るのも億劫になる。
742 :
【品評会時間外】バック・ナンバー3/5 ◆ba/RH2FpPo :2008/01/14(月) 16:20:32.13 ID:l4tCiU2V0
守屋先輩の手術。語弊を恐れずに言うならば、記憶調整手術というものらしかった。過去のある記憶を改変する。一日単位まで対象を
絞り、現在への影響を必要最低限にする技術が開発されたことで可能になったらしい。周囲はずっと彼に手術を勧めていたのだが、頑と
して本人が受け入れなかった。……そうか、やっと。
守屋先輩は、私が出会うよりもっと前、中学の頃にひどい体験をしたのだそうだ。
「恵が毎晩うなされるのは私のせいなの」
珍しく守屋先輩のいなかった放課後。校舎裏で聞いた葵先輩の悲痛な声が、今も耳に残っている。守屋先輩と葵先輩は、ここから少し離
れた町の中学に通っていた。二人とも、高校へは親元から一時間ほどの時間をかけて電車通学していた。二人の中学時代を、私はそれほ
ど詳しく知らない。ただ、守屋先輩が初恋の葵先輩に惚れこんでいたこと。葵先輩が、中一の頃から危ない場所へ足を運んでいたこと。
前者は過去形ではないけれど、そんな話をそれぞれ本人から聞いていた。そしてその日初めて、葵先輩は守屋先輩に助けられた時のこと
を教えてくれた。警察沙汰になる寸前で、彼女は抜け出そうにも抜け出せない状態で。それを知った守屋先輩が駆け付けた。そうして大
きな怪我と引き換えに、葵先輩を助け出したのだそうだ。
「馬鹿だよね、どっちかって言うとインテリなのに。眼鏡は似合わないけど。
そうそう、似合わない眼鏡かけるようになったのもその時の怪我のせい。
全部、私のせい」
事件の記憶は、トラウマとなって守屋先輩の体を蝕んでいるらしかった。人間の身体というのは、あまりに悲惨な記憶を時に消してしま
うようにできているらしい。ならば先輩のその時の記憶も消してしまえばいい。彼の親はそう言った。事情を知る者は皆口をそろえてそ
う言った。誰より、葵先輩がそれを望んだ。それでもしかし、彼は言うのだ。
「消したくない。葵との大事な記憶の一つだから」
そんな彼が手術を受けようと決めたのはなぜか……なんて知らないけれど、やっぱり葵先輩のためなのだと思う。
葵先輩からその話を聞きながら、申し訳ないことに私は別なもう一つのことを考え始めていた。私もまた彼に救われたのだということ。
守屋恵という人間が、どうしようもなく今の自分を作っているのだということ。
記憶はどんどん遡る。高校一年の初夏、校舎裏のシダレザクラが葉桜に変わる頃。私は見事に五月病にかかっていた。腐っていた。
たぶん割り箸で突いたら刺さるぐらいには。昔の知り合いの少ない高校で、口下手な私は新しい人間関係に疲れていたのだ。善良なクラス
メイトの中で仲間外れにされることはなかった。ただ、彼女らの優しさをわかった上で言わせてもらえるなら――その優しさが重荷になる
こともあったのだ。口数の少ない私に、誰かが気を使って話を振る。私はそれに冷や汗を流しながら答える。その場の皆は、私の面白くもない
返事に笑う。そんな時私は、自分を透明な水の中に漂う一片の水垢のように感じるのだ。
743 :
【品評会時間外】バック・ナンバー4/5 ◆ba/RH2FpPo :2008/01/14(月) 16:20:52.14 ID:l4tCiU2V0
そんな私が昼休みに逃亡するのにおあつらえ向きの場所があった。校舎裏だ。そこには温かな人の気配はなかったけれど、狭い空とシダ
レザクラがあった。私はすぐにそこで弁当を広げるのが好きになった。
けれどもすぐに梅雨前線がやってきて、そこに行けない日々が続いて。窓から見えるシダレザクラを見ていたら、
「未春ちゃん?」
私を呼んだのは、もちろん桜じゃなくクラスメイトの女の子だった。
「どうしたの、いきなり……泣いて」
言われて初めて、頬を伝うものに気づいた。泣いているんじゃない。ただ涙が流れているだけ。心の中でそう言いながら、私は席を立っ
た。教室を出る。後ろから私を呼ぶ声に、なぜだかごめんと答えてしまった。
歩いていたつもりが急ぎ足になって、いつしか走っていた。息を切らして辿り着いたのは校舎裏。傘をさしていないのは気にならなかっ
た。雨が涙の跡を消してくれる。早く、いつものシダレザクラの下に。しかしその日その場所には先客がいた。
一つの透明なビニール傘に二人で入って、キスをしていた。至近距離でその光景を見てしまった私は、慌てて引き返そうとした。とこ
ろが、男の人のほうが私を見つけて言うのだ。
「待って。君、泣いてる?」
どうして雨との区別がついたんだろう。そんなことを思いながらも、私は逃げようとする足を止めない。
「待てよ、どうして」
「関係ないでしょう。あなたは私を知らないし、私もあなたの名前すら知りません」
それは私の素直な心境だったけれど、言葉となって口を吐いて出たことに自分自身も驚いた。ところが彼は表情一つ変えず、答えるのだ。
「俺、三年の守屋恵」
それから私は守屋先輩と、その彼女の葵先輩と校舎裏でよく会うようになった。なぜかいつも雨の日だった気がするけれど、それはさ
すがに気のせいだろう。他愛無い話の連続の中、彼は私に、素直な気持ちを言葉にする術を教えてくれた。
――手足の指の皮がふやけてきていた。浴槽を出る前に雑誌をもう1枚だけ捲ってみる。バックナンバーの紹介らしい、と思いながら読むと
すぐに間違いに気づいた。
『バック・ナンバー。どうしても知りたい、過去のあの人に会える!?』
どうやらそれは雑誌のバックナンバーではなく、新手のサービスの広告らしかった。詳細はお問い合わせください、と電話番号が添えてある。
私は風呂からあがるとすぐに電話をかけた。
「お電話ありがとうございます。このサービスは、一定時間だけ他人の過去の時間に入り込めるというもので……」
申し込みを終えて気づく。向こうの声は、『お掛けになった番号は、現在使われておりません……』というあのメッセージのものとよく似ていた。
744 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 16:27:26.03 ID:MR+BAEqbO
さる?
745 :
◆ba/RH2FpPo :2008/01/14(月) 16:33:05.11 ID:7X4OgsMRO
携帯からです。
すみません、なぜか5/5を書き込めなくなってしまいました。
さるして頂いたのでもう一度試しましたが、どうも上手く行きません。
746 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 16:34:47.35 ID:+OItaRPU0
747 :
【品評会時間外】バック・ナンバー5/5 ◆ba/RH2FpPo :2008/01/14(月) 16:35:40.36 ID:l4tCiU2V0
翌日、私はその電話の指示で、とある公園に出かけた。園内はすいている。桜の下のベンチに少年が一人、座っているだけだった。私は
黙ってその少年の隣に腰かけた。彼は一瞬こちらを見る。その顔を見て確信した。彼は六年前の守屋先輩だ。葵先輩を助けた日の彼なのだ。
先輩も私も、ただぼんやりと昼下がりの公園を見ていた。最初に沈黙を破ったのは彼の方だった。
「あなたも人を待ってるんですか?」
まだ眼鏡をかけていない先輩の目が、こちらを見ていた。
「待っているといえば、ずっと待ってるのかもしれません。も、ということはあなたも?」
「ええ」
「彼女さんですか?」
「彼女になる予定の人です。正午に待ち合わせてたんだけど、何かあったのか」
先輩は時計を見ながら立ち上がった。それを追うように私の言葉が零れ出る。
「守屋恵先輩。私は」
切るつもりのなかった言葉が、喉のところでつかえる。それは確実に形を持って私の呼吸を苦しくさせた。
「私はあなたが好きです」
上京の朝、私が始発の新幹線を待っていると守屋先輩が見送りにやってきた。葵先輩は実家に帰っていて来れなかったそうだ。
「記憶はきれいさっぱりですか」
「さっぱりです」
それなら問題ない。私の伝えた言葉も全部、跡形もなく消えたのだ。それにしても、せっかく家族も振り切って来たというのに、
いちばん会いたかった人に来られたら、堪えようがないじゃないか。溢れてくる涙の訳を問う代わりに、先輩の手が私の頬を軽く拭った。
「手出して」
言われるままに右手を出すと、痛いぐらいに握りしめられた。
「頑張れよ」
新幹線に差し込む朝陽の中、私は目を閉じている。先輩の掌がとても温かかったこと。今手の中にあるぬくもりは今度こそ、
本物であるということ。餞別には充分すぎる。
守屋恵先輩。私はあなたが大好きでした。
-了-
748 :
◆ba/RH2FpPo :2008/01/14(月) 16:39:22.72 ID:l4tCiU2V0
>>746 ありがとうございました、一行目の空白が問題だったようです。
みなさんご迷惑おかけしました。
>>738 お詫び
749 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 16:39:32.43 ID:YdeOraWl0
お題下さい↓
750 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 16:39:56.50 ID:YdeOraWl0
751 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 16:45:02.87 ID:JDHWSgXb0
752 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 16:45:54.93 ID:w+wyvvhGO
753 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 16:48:14.37 ID:YdeOraWl0
754 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 16:56:18.29 ID:XGmqh0F10
ho
755 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 17:15:58.74 ID:w+wyvvhGO
ほぁああああぁあぁぁぁっっしゅ
756 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 17:20:42.27 ID:3vRYB8wK0
全感書いたんで投下します。結構書かせていただきました。
最初に言っときます。
ホント偉そうな事言ってごめんなさい怒らないでぶたないで
757 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 17:21:25.20 ID:3vRYB8wK0
No.1 凍らない雪 ◇A9epGInhJg
雪女と六郎の感情の変化が解り辛い。お互いが相手のどこを好きになったのかが描かれていると、
もっと楽しめたと思う。あと、単位の書き方。この物語がいつの時代かはわからないが、「キロ」
と言う単位に若干の違和感を感じた。もう少し、物語の雰囲気に合った言葉を探して欲しかった。
No.2 賽切 ◇dHfRem3ndk
>「でね? あなたとわたし以外、みんな気づいてたんだって。何でだろうね?」
この場面への切り替わりが急すぎる。主人公の感情を淡々と描くのがこの作品の特徴だとは思うが、
ただ感情を言葉で表しているだけで、物語に感情移入出来ない。壁越しに言葉を聞いている気分。
つまり、その情景や場面が想像できない。お互いの相手に対する気持ちを「笛」として表現してい
るようなので、どうせやるならもっと極端に比喩しても良いと思った。
No.3 さびしいどうし ◇NEETwgvYaU
設定は面白いと思った。俺はファンタジーは苦手なので、こういった発想が出来る人を羨ましく思
う。ただ、主人公と少女の容姿に関する描写を付け加えて欲しかった。自分で想像すれば良いのだ
が、作者の考える人物像というものを、少しでも読み手に与えても良いのでは? あと、展開が急
すぎる。もう少し丁寧に描写して欲しい。
No.4 布団の手記 ◇wb/kX83B4
>もうずっと前から自己中心的な生き方だ。というのも、保育園生の時から、
>先生からたくさん叱られたり、習い事で隔離されたりしていたから、15年の間
>ほとんどそんな生き方だったに違いない。
なぜ? 心理学的な見地から判断されるのかどうかは知らないが、「そういった環境が、何故人格
を自己中心的なものに形成するのか」その説明がないと、読み手としては主人公に感情移入しづら
い。実際読んでいて、俺は終始主人公に対して「?」という感想を持ってしまった。あと、これは
個人的な感想なのであまり気にしないで欲しいのだが、この主人公、どうしても俺は好きになれな
い。万人に受け入れられる人物像などそうは無いが、この人物は少々アクが強すぎると思った。
758 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 17:21:37.96 ID:+OItaRPU0
さる
759 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 17:22:18.42 ID:3vRYB8wK0
No.5 外罰的な、あまりに外罰的な ◇Br4U39.kcI
正直読みにくい。語彙が豊富なのは結構だが、あらゆる言葉が乱発されて、結果的に全体としての
統一感を失っている。俺が言うのもおこがましいが、小説は単語の羅列ではない、という事を考え
て欲しい。まずは等身大の言葉を使ってみることをお勧めする。たとえそれが幼稚だと思っても。
自分が使いこなせる言葉で文章を紡いでいくことが大切なんだと思う。
No.6 図式が出来ない! ◇ZRkX.i5zow
これは告白していないよな? まあ、そこは作者に思うところがあったのだろうから追求はしない。
余韻が残る終わり方も良いと思う。
全体的な印象としては、もう少し句点をつけて欲しいと思った。呼んでいて息が詰まる。以前通常
作の感想でも書いたが、読み手の呼吸というものを考えて欲しい。あと、妹は結局何がしたいのか、
俺には分からなかった。兄に好意を持っているのか? 視点が一人称である以上、ある程度人物の
心理描写が書きづらいのは良く解るが、主人公の憶測でも良いから、妹の心理描写を入れて欲しい
と思った。
No.7 ファースト・プロポーズ ◇DogUP10Apo
旧約聖書のオマージュだな、これは。高校がカトリックだったので原文を読んだことがある。
その上で言いたいことは、どうせなら原作をもっと壊して欲しかった。聖書では、知恵の実を食べ
た二人は、急にお互いの性を意識し、遂には神の命令に背いた罰として地上に落とされ、そこで子
を産み、人の世界を築いていく、といった話だと思うんだが。
何が言いたいのかというと、元々ハッピーエンド(?)の原作をオマージュするのは、今回に限って
は若干の無理があるのでは、ということ。どうせなら一旦バットエンドにするくらいの気概が欲し
かった。その上でハッピーエンドに向っていく様子を描くというような感じだと、楽しめたと思う。
正直、原作を知っている者としては、インパクトに欠ける。因みに俺はクリスチャンでは無い。一
応言っておく。
760 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 17:23:03.38 ID:3vRYB8wK0
No.8 恋と世界のカラクリ ◇ecJGKb18io
申し訳ない。この作品の感想に関しては、本当に俺個人の意見として、あぁ、こういう奴もいるん
だな、程度に考えてくれ。読みづらい部分もあるし、舞台の変化に追いつきづらいといった感想も
あるが、何より気になったことが一つ。
この結末は、ハッピーエンドなのか? 俺にはそれが分からない。
むしろ空恐ろしい雰囲気さえ感じる。恐らく世界はからくりで一杯の世界になったのだろうが、人
間達はどうなってしまったのか? という疑問が最後に残った。あと、主人公が人形に抱く感情は、
最早狂気といっても良いのではないだろうか。恐らくこんな感想を持つのは俺一人だろうし、設定
自体は面白いと思うので、あまり気にしないで欲しい。すまないな、こんなことを書いてしまって。
No.9 心変わり ◇0CH8r0HG.A
>正直言うとな……、俺は今までお前に嫉妬してたのかもしれん。
告白の部分はここなのだろうか? もしそうなら、お題の意味を取り違えているように思うのだが。
仮にそうでは無いとしても、今まで抱いていた「嫉妬」という感情が、いきなり「好き(恋愛的な意
味)」に変化することなど、そうそうないと思う。もしそうだとしたら、些か展開が強引すぎるので
はないだろうか。一人称視点で物語を描いているのだから、少年に対する感情と同じかそれ以上に、
「樹」に対する感情を描いても良かったのでは?
No.10 白い日と息と ◇4oIY5Zvkdw
>「あの子なら姉ちゃんも、かなりいいと思うな」
>「なに素っ頓狂なこと言ってんだよ」
素っ頓狂という形容詞は、突然調子のはずれた声を出したり、間の抜けた振る舞いをする様子の事。
この会話で使われるのは少々おかしい。弟の語彙が足りないという設定ならまだしも、そういった
描写も見受けられないので、この点はミスというべきだろう。その他にも、個人的に「?」と思う
ような表現が幾つかあった。勿論この作品に限った事ではないが、偶々目に付いたので指摘させて
いただく。実際、自分の作品を読み直しても思った事だ。品詞の用法には、たとえ自信があっても
一応確認しよう、という話だ。
761 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 17:23:17.97 ID:+OItaRPU0
さる
762 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 17:23:44.10 ID:3vRYB8wK0
No.11 だから私はゆっくり歩く ◇bsoaZfzTPo
「コウちゃん」の感情が解りづらい。主人公の相手に対する恋愛感情は嫌というほど伝わってくる
が、それを相手はどう捉えているのか? そもそも気付いているのか? 作品を読む限り、単なる
片想いの様な気がした。只の優しい幼馴染、というのが、「コウちゃん」に対する俺の印象だ。
>「ばかはどっちだよ。ここ二年ほど、ずっと春子のことを女の子扱いしてたのに」
この一言だけで「コウちゃん」の心中を察するのは、俺には些か困難だ。もう少し会話の中で、読
み手の妄想を膨らませるやり取りが欲しかった。ただ、こういった物語、俺は嫌いじゃない。
NO.12 腐女子?食える食える、美味いらしいよ?◇c3VBi.yFnU
あぁ、俺の作品か。折角なので反省点を述べる。
何だ、この誤字の多さは。登場人物の名前くらいきちんと変換しろ。加えて文章を区切りすぎてい
る。これでは話の流れが悪くなってしまう。読み手にも負担になるだろうから、今後はもっと文章
をまとめられるように努力したい。
口語的な表現が多すぎる。頭に浮かんだ一句を、そのまま文章にしている印象を受ける。心理描写
も良いが、もう少し周囲の状況も描写するべきだ。例えば主人公の部屋。一人称視点の利点は、心
理描写もそうだが、見たままの感想を述べる事ができる点だ。この利点を生かしきれていない時点
で、まだまだ勉強不足だと痛感する。それに、一番肝心な「彩乃」の容姿を表現していないとはど
ういうことか。「読み手の想像にお任せします」そ言ってしまえばそれまでだが、ある程度の基本
的な情報(例:髪型 体型 服装)は必要だろう。
題名はは、正直すまんかった。反省している。
NO.13 幸福論 ◇ZIPyTXuL.2
>放課後、僕は彼女を校舎の屋上へと呼び出した。
書き出しのこの文章に違和感を覚えた。こういった書き方は、それまでの物語の流れがあって初め
て機能する書き方なのでは無いだろうか。何というか、唐突すぎる気がする。
物語の流れも、複雑でよく解らなかった。結局主人公は死んだのだろうか? 抽象的な表現も結構
だが、明確にするべき場面、箇所はきちんと描写して欲しい。
あと、またこれも個人的な意見だが、この主人公は好きになれなかった。考え方が短絡的だし、行
動そのものが見ていて腹立たしい。加えて、あまり後味の良い結末には思えなかった。
763 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 17:24:27.12 ID:3vRYB8wK0
NO.14 アルトリコーダー ◇dHfRem3ndk
「No.2 賽切」と対になっている作品のようなので、感想は割愛させていただく。感想、印象共に
No.2とほぼ同じ。
NO.15 蝋の姫君と愛し男 ◇faMW5pWHzU
登場人物が少ない分、背景描写にもっと力を入れて欲しい。室内はどのような様子なのか。どのよ
うな雰囲気なのか。それを付け加えるだけで、物語に「奥行き」が出ると思う。「先輩」の様子に
ついても同じことが言える。「先輩」は言葉を話せないようだが、それを逆手に取った人物の表現
手法、というものを模索して欲しいと思った。正直、俺には思いつかないのだが、頑張って欲しい
と思う。
NO.16 明日もまた夕日が沈む ◇QAbQXuW886
全体的に話がまとまっているように思える。「一般的な」ハッピーエンドでは無いものの、最後で
の主人公の前向きな姿勢には、良い印象を受けた。
ただ、どこかで見たような話だな、というのもまた印象に残った。展開が容易に想像できたので、
もう少し内容を捻ったものにしていれば更に良かったと思う。バランスが良い書き方だったからこ
そ、惜しいと思った。次回作に期待している。
NO.17 アンダーニース ◇QIrxf/4SJM
全てが淡々と描かれている印象。表現があっさりしすぎて、こちらとしても事務的に単語を拾って
いっているような感覚になってしまった。
>内部断線という大きな障害が、僕と音楽を離れ離れにしている。ウォークマンは手元にあるのに、
>音楽とは程遠かった。再生ボタンを連打しても、操作音すら聞こえてこない。
最初に読んだとき、主人公には聴覚的な障害があるのかと思ってしまった。読み進めると、どうや
らそうでは無い、という事は解った。だが、個人的には解りづらいというか、ややこしい表現だと
思う。
764 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 17:24:38.76 ID:C78NxNh00
俺思ったんだけどさ、文才無いなら書かなきゃいいんじゃね?
765 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 17:25:14.89 ID:3vRYB8wK0
NO.18 悪趣味 ◇xg3VcqAPFw
改行が多すぎる。その割りに最初の改行がされていない。後者は今後気をつければ良いが、前者に
関しては、もう少し文章の構成というものを考えたほうが良いと思う。改行は、時に文章とその読
み手に対して様々な効果を発揮するが、この作品に関しては少々やりすぎなきらいがある。
改行は本来、場面の切り替わりなど、「シーン」を追うごとに使われるものだと思うが、この作品
に関しては、不必要な改行が大変多い。読み手としても、一文ごとに改行されては目が疲れてしま
うだろうと思う。勿論、それが気にならない人もいるだろうし、俺の個人的な意見だが、心に留め
ておいてほしい。
NO.19 省エネの為に電気を消した暗い教室で ◇/sLDCv4rTY
正直に言おう。さっぱり解らない。
NO.20 小林君の告白 ◇LBPyCcG946
最後の一行で全てが解決しているが、正直物足りない。何が物足りないかというと、「小林君」の
キャラが中途半端な印象になってしまうのだ。彼の奇行がキャラを物語ってはいるのだが、主人公
があまりに冷静すぎて、逆に二人の温度差が感じられなくなる。主人公が慌てふためく様子を書い
てくれれば、もっと楽しく読めたと思う。まぁ、これも個人的な好みの問題ではあるのだが。
NO.21 夢の続きは ◇7BJkZFw08A
この作品も改行が多すぎる。もっと文章をまとめて欲しいと思った。あと、三人称視点で描くのだ
から、登場人物の心理描写をもう少し増やして欲しい。三人称視点の利点は、その名称の通り、第
三者の視点から物語を描く事ができる点だ。風景描写は一人称視点でも出来る。登場人物の心理を
物語にもう少し絡ませたら、更に良い作品になると思う。これも惜しい作品。
766 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 17:26:15.73 ID:3vRYB8wK0
NO.22 新ジャンルな恋愛 ◇RqM8RwK87E
結局どの辺りが「新ジャンル」なのか解らなかった。なんとなく、どこかで見たような気がする。
あと、会話文が多い。多い事が悪いとは俺も思わないが、自分の作品を読み直して、少々思った事
がある。それは、「会話文はあくまで小説の中のスパイスであり、決してメインディッシュではな
い」ということ。無ければ物足りないし、有り過ぎると物語の良さを打ち消してしまう。会話文で
物語を進めると、どうしても読み手が取り残されてしまうように思うのだ。例えば、会話の中から
登場人物の心理を的確に読み取れる事は可能だろうか? 恐らく、よほど深読みすることが出来な
い限り、不可能だと思う。極端に言うなら、会話文の羅列に感情移入できるか?という事だ。この
作品はテンポが良く、実際読み易くはあったが、どうしても会話文が必要以上に配置されているよ
うに思えた。ただ、これは俺の持論であり、他人に押し付けるべき事ではない、というのも解って
いるので、参考程度に聞き流してくれると助かる。
NO.22 麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 ◇D8MoDpzBRE
全体的に、大仰な表現が目立つ。そして、それが結果的に物語のテンポを悪くしてしまっているよ
うな気がする。No.22の感想でも述べたが、適度に会話文を入れてみてはどうだろう。特に3/5と4/5。
ひたすらに説明文を読んでいるような気分になる。もう少し軽めの文章だったら、気持ちよく読め
たと思う。物語自体は中々面白かっただけに、少し残念だ。
NO.24 それから僕は ◇K/2/1OIt4c
少し酷い言い方かもしれないが、敢えて正直に言わせて貰う。退屈な文章だと思った。
というのも、文章が殆ど「〜だった。〜た。」で締められているからだ。誰々と会った、何々を食
べた、何々をした。この様な文章で、読み手を期待させる事は難しい。小学校の頃、嫌々書いた夏
休みの日記帳があったら読み返してみるといい。恐らく似たような文章が羅列されていると思う。
「きょうは海にいった。みんなと泳いだ。たのしかった。」といった文章では、読んでいても面白
くは無いだろう。
何故ここまで言うのか。それは、書き方次第では、相当化ける話だと思ったから。もし作者が狙っ
てこの様に書いたのであれば、それは個人的にはお勧めできない。物語に合った書き方をしたほう
が読み手も喜ぶし、何より勿体無い。次は期待している。頑張ってくれ。
767 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 17:26:47.81 ID:3vRYB8wK0
NO.25 糞みたいなひと ◇/sLDCv4rTY
>その真ん中で、カエルがきちがいみたいに踊っていた。
差別用語だ、気をつけろ。仮にも人の目に触れるんだから、少しは書き方に配慮した方が良い。
NO.26 携帯電話を持ち出して ◇/7C0zzoEsE
物語の展開が急すぎる印象。加えて、この物語の結末をどう捉えるべきか、俺には分からなかった。
何とも言えないというのが、正直な感想。
NO.27 その想いは疾風の如く ◇InwGZIAUcs
言い回しが少々くどい。物語のテンポ自体は良いと思うので、もう少しスマートな文章を心がけて
みてはどうだろう。あと、誤字脱字の見直しはきちんと。一段落目で早速発見してしまうと、読み
手の意識を下げてしまうと思う。いや、俺にも言えることなのだが。こういったドタバタ劇は嫌い
では無いので、今後の作品も期待している。
NO.28 鼓動と追いかけっこ ◇s8ee1DM8jQ
擬音がやや多い。確かに行動の様を表す上で擬音は効果的ではあるが、あまり使いすぎると稚拙な
文章に見えてしまう。もう少し、別の言い回しを考えてみてはどうだろう。日本語には「比喩」と
いう便利な表現手法もあるのだから、試してみるのも良いのでは無いだろうか。
NO.29 兄貴の一目惚れ ◇Bh78QWxHPM
>まるで深海のチョウチンアンコウが、チョモランマの頂に咲く花を欲するがごとしだと、三華は
>思った。
比喩の一番良いところは、考えなくてもその様子が解る事にあると、俺は思う。この一文を見た時、
一瞬何を言っているのか解らなかった。確かに面白い表現だが、もう少しわかりやすい例でも良い
と思う。
物語の展開は中々面白かった。ただ、やはり会話文が多すぎる気がする。会話だけで物語の展開を
しないように気をつけたほうが良いのでは?
768 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 17:27:17.68 ID:3vRYB8wK0
NO.30 夢みたあとで、甘い夢 ◇6BMoPw49xY
一部を除き、登場人物の会話が淡々としすぎている気がした。恐らくは彼らの性格なのだろうが、
もう少し話し言葉に人間臭さを出して欲しかった、というのが個人的な意見。でも、このままでも
悪くなかった。王道ともいえるべき展開で、感情だけでなく、状況の描写も安定していると思う。
贅沢を言うなら、あと少し、最初の夢の部分を幻想的に描いて欲しいと思った。これもまた俺の好
みの問題だが、やはり描写が淡々としすぎている気がした。
NO.31 君は美しい ◇CYR3fna/uw
まず、きちんと推敲する事を勧める。明らかな誤字、変換ミスがある。尚且つ、変換するべき漢字
が平仮名のまま。句読点を付けるべき箇所にそれが無い。こういった事には細心の注意を払うべき。
他に気になった点は、やはり文章が説明的に感じる。外面だけの描写が目立ち、登場人物の内面の
描写が殆ど無い。これでは感情移入したくても出来ないので、今後は気をつけて欲しい。
769 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 17:29:10.68 ID:3vRYB8wK0
以上です。ホント、偉そうな事言ってすみませんでした……
他の方への批評はそのまま自分にも当てはまります。精進します。
今後も頑張って生きたいんで、よろしく。
770 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 17:29:28.11 ID:+OItaRPU0
さる
771 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 17:30:23.32 ID:3vRYB8wK0
あと、さるしてくれた方、有難うございます!
772 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 17:46:25.94 ID:TxzEcgg30
ほす
773 :
◆ecJGKb18io :2008/01/14(月) 17:53:32.34 ID:d7JZ8lDz0
出来立てほやほやの全館、投票、総評いくんだぜ。
774 :
◆ecJGKb18io :2008/01/14(月) 17:54:09.71 ID:d7JZ8lDz0
No.1 凍らない雪 ◇A9epGInhJg
凍らない雪、というのは矛盾した愛情の比喩としては面白い。
だけど、最後の着地点までの過程が今ひとつといった印象。
視点もコロコロ変わる割りにそこに意味を感じ取れなかったし、
むしろ統一感に欠ける点でマイナスになっている。
No.2 ソプラノリコーダー ◇dHfRem3ndk
これも成立した愛と笛の二重奏をかける意味では決して間違ってはいない。
けれどそこに物語があるかと言われれば疑問を感じる。
もっと面白く出来ただろーっていう感じ。
No.3 さびしいどうし ◇NEETwgvYaU
面白かった。綺麗に纏まっていていいんじゃなかろうか。
一つ言うならば、キーアイテムである心臓と少女との繋がりが不鮮明だったこと。
その辺りまで伏線で繋げられていたらもっと良かった。
中々不思議な方向性で進んだものの、意外とドストレートな作品だと思う。
No.4 布団の手記 ◇wb/kX83B4
捻くれている割に着地点は普通。個人的にこういう書き方は
結構好きなんだけど、全てにおいて冗長な感想。というのも、やはり着地点が
元の場所でもある上、普通だから、そう感じたのかもしれない。
この文体は好み出るだろうけど、俺は好き。
蛇足だけど、こういった書き方が一番映えるのは狂った描写かと。
775 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 17:55:29.34 ID:d7JZ8lDz0
No.5 外罰的な、あまりに外罰的な◇Br4U39.kcI
モロにSSですって感じのお話。意図的な文体も表現もらしさが出てて、
良かった。だけど、展開が薄い。もうちょっと動きのある展開をしても
良さは充分に出ると思った。だけど、何の変哲もない出来事を違った角度から
面白おかしくみることもこういう類の作品の良さではあるからなんともいえない。
No.6 図式が出来ない! ◇ZRkX.i5zow
結局告白をする前に終わってしまうとは。ものすごく不安だったということは
伝わってきた。ちょっと読みにくいかな。自問自答で結構自由な書き方をする時は
段落もちょくちょく欲しい。勢いが出てる感はあるんだけど。
ほのぼのとしつつも緊張感がある。強いて言うならオチが欲しかった。
No.7 ファースト・プロポーズ ◇DogUP10Apo
オリジナリティが欲しかった。アダムとイブを使うのならば、もっと奇抜な設定を
使っても良かった。文章は難なくといった感じ。ちょっと気になる部分もあった
けど、それは多分単純なミスだろう。
No.8 恋と世界のカラクリ◇ecJGKb18io
文章が単調な部分があって読みにくい。後、絶望的に台詞のセンスがない。
もっと印象的な締め方があったのではなかろうか。
後、指摘があったようにぜんまいの使い方が違う。
自作品。
No.9 心変わり ◇0CH8r0HG.A
こういう作品嫌いじゃないんだな。勢いもあるし、統一感もある。着眼点もいい。
ただこういうのは好みが出るんだろうなと思う。俺も小説はやっぱり小説らしく
あるべきだと思ってるけど、何せ面白いものには敵わない。面白かった。
最初らへんだけかな。最初の方だけ少しねちっこかった。
776 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 17:56:19.50 ID:d7JZ8lDz0
No.10 白い日と息と ◇4oIY5Zvkdw
なんというニヤニヤSS。面白かった。これだけ雰囲気作れればSSとしては
良質に間違いない。小粋な姉視点は中々新鮮で、尚且つ展開もスパイスが効いて
いて最終的にとても爽やかな気分になれた。やっぱりキャラを立てると強い。
これは短い中にもしっかりとキャラを立てたいい例だ。キャラクターは大事。
NO.11 だから私はゆっくり歩く ◇bsoaZfzTPo
これもニヤニヤSS。巧く、二人の関係性とその変化を描いているなと思った。
締めも悪くないし、いい作品かと。こうやってみると、小説の技法ってやっぱり
大切なんだと気付く。対比だとか、そんなん分かってるわって思うけど、実際
こうしてうまく使うと作品が締まるね。
NO.12 腐女子?食える食える、美味いらしいよ?◇c3VBi.yFnU
悪い話じゃないし、そこまで文章に難があるわけでもない。
だけど、面白みに欠ける。結局、腐女子である女の子の良さを言ってる作品で
終わってるような感じがする。要は起承転結がないってことだと思う。
でもそれにしてはそこまで悪くないっていう、妙な感じ。
NO.13 幸福論 ◇ZIPyTXuL.2
こういう切り口もありかもしれない。SSとしても成り立っている。
でも「受ける」作品の類ではないし、面白いかどうかは判別に苦しむ。
「死」については万人がそれぞれの見方を持っているから尚更。
ただ、「死」そのものを肝にするのか「死の賭け」を肝にするのかで
書き方、魅せ方は変わってくる。その意味で、これはどっちつかずだったと言える。
NO.14 アルトリコーダー ◇dHfRem3ndk
こういう作品にするのなら、No,2とくっつけるべきだと思う。まとめて一作品に
するという意味で。感想はNo,2と同じ。
777 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 17:58:08.02 ID:MR+BAEqbO
さる
778 :
◆ecJGKb18io :2008/01/14(月) 17:58:13.30 ID:d7JZ8lDz0
NO.15 蝋の姫君と愛し男 ◇faMW5pWHzU
これは面白い作品。設定勝ちで、魅せ方も巧かった。
やけに台詞押しだなーと思ってたら、なるほどと。このオチもありだね。
もう一つのオチは完結系だと思うけど、これはこれで巧いSS。
NO.16 明日もまた夕日が沈む ◇QAbQXuW886
ど真ん中直球だけど、だからこそ清清しさってあるよね。何も際際変化球じゃなくて
もいいんだなって思わせられた。だけど、ちょっと物足りなかった。多分、主人公の
葛藤の部分が割りとあっさりしてたから。その代わり、告白成功後の苦悩の感じは結
構リアリティあって面白く読めた。
NO.17 アンダーニース ◇QIrxf/4SJM
イマイチ見えてこなかった。オブラートに包んでそれに更にモザイクかけて白黒に
加工したようなそんな印象。だからこその綺麗さもあるんだけど、一番重要な部分
にまでぼかしがかかっていたから、理解出来なかった。
でも、文章には品があると思う。何故か姉のおっぱいの柔らかさが想像出来た。
NO.18 悪趣味 ◇xg3VcqAPFw
こりゃ悪趣味だ。うーん、と思いつつ読んで言って、面白い展開が来て、この作品も
いいなーって思ったら、最後にまたうーんとなった。でもよく考えると、納得出来る
か、というワケの分からない感想。確かにこれは着地点が難しいかもしれん。
最後に孤独が解消の方向にいくわけだけど、それまでに孤独らしい孤独を描いているか
と言われれば、そうでもない。浮いた存在なのは確かだったけれど、最後の一行に
いくまでに飛躍があるように感じたかな。多分、ほんの少しなんだけど。
779 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 17:58:17.16 ID:+OItaRPU0
さる
780 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 17:59:16.73 ID:XGmqh0F10
saru
781 :
◆ecJGKb18io :2008/01/14(月) 17:59:21.41 ID:d7JZ8lDz0
NO.19 省エネの為に電気を消した暗い教室で◇/sLDCv4rTY
これは凄い作品だと思う。ガチで。もとより意味が分からんのは嫌いなんだけど、
これはそれを一段越えて芸術の域にいってるんじゃなかろうか。
誰がどう酷評しようと、俺は笑った以上、面白いと言わざるを得ない。
まるでセンスの塊。無駄に見える一文一文が異様に研ぎ澄まされていて、うっかり
触れられない。本当はこういうの馬鹿じゃないの?って一蹴したいんだけど、
これは白旗あげるしかない。でも、きっと万人には評価されない。告白関係ないし。
そういう意味でも面白い。例外。
NO.20 小林君の告白◇LBPyCcG946
上手な作品。ちょこっとずつ、それでも着実に世界観に引き込む辺りは素直に上手だと
思ったし、面白かった。最近はこういうコミカルというかSS独特のスパイス効いた
作品が多くていいね。いいSS。
NO.21 夢の続きは ◇7BJkZFw08A
良い話といえばそうなんだけど、話があっちこっちへ飛んで分かりにくかった。
読むほうも散漫になってしまったことがマイナス点。
全部ひっくるめて夢でしたっていうある意味でのトリックなんだけど、こういう
書き方をしてまでやるべきかとなったら難しい所だと思う。
特に娘の部分とかが活きていないかなと思った。
NO.22 新ジャンルな恋愛 ◇RqM8RwK87E
先輩がいい感じに濃いな。告白というお題をここまでガッチリとテーマにした
作品もないんじゃないか。途中、独特の表現もあって印象深かった。使いすぎ
ない程度にユニークな表現を使うのは良いよね。
782 :
◆ecJGKb18io :2008/01/14(月) 18:00:47.39 ID:d7JZ8lDz0
NO.23 麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 ◇D8MoDpzBRE
タブーに次ぐ、タブー。レイはこの後、おそらく止まったであろうから
そういう意味ではハッピーエンド。この作品は途中から明確に読者を意識して語られる。
二度ほど割愛の言葉があったが、あの度に肩透かしを食らわされた気分になった。
でも、文章も丁寧だったし、上手だった。強いて難癖つけるなら、オチが突発的だということ。
NO.24 それから僕は ◇K/2/1OIt4c
どういう意図でこんな書き方をしたのだろうと考えてみた。が、分からなかった。
読まされたという感想を持ったから、成功してるのかもしれないけど、
どうだろう。期待していたオチが違って、尚更そう思った。
この視点はちょっと無茶じゃないかな。面白い書き方だとは思うんだけど
面白い読み物にはなっていない。
NO.25 糞みたいなひと ◇/sLDCv4rTY
ああもう、ここにきてこういうのは非常に体力を使う。それはそれとして
体力を使った挙句、うまく理解出来ないときた。大体分かる。分かるんだけど。
でも、ミステリアスな部分を抜きにして、そこに必ず付随する正体不明の魅力も抜きにして、
それで見ても、ちょっと面白い。こういうのは難しいんだよなあ。
上手いのかもしれん。カエルと寄生虫、幼馴染はいいとして、泥の少女がイマイチ腑に落ちない。
そう表現しちゃうかっていうのを感じた。まあこういう作品もあっていいし、
ただの電波に成り下がってはいないから、こんな感想。
NO.26 携帯電話を持ち出して ◇/7C0zzoEsE
悪くないけど、ちょっと薄いかなって印象。オチがよめるとかは関係なくね。
これは別にそこのオチで輝くって感じで書かれたものでもないと思ったから。
描写が薄いのかな。妹さんの描写だって可愛いとは書かれているものの、
全然イメージが湧いて来なかったから。まあ、書きすぎるとオチが弱まるっていう
側面もあったんだろうけど、そのへんはもうちょっと図太くいってもいいかなと。
783 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:02:12.08 ID:+OItaRPU0
さる
784 :
◆ecJGKb18io :2008/01/14(月) 18:02:16.36 ID:d7JZ8lDz0
NO.27 その想いは疾風の如く ◇InwGZIAUcs
タイトル通り、スピード感があり、勢いのある作品。姉のいない一人っ子が妄想しましたって感じ。
それはいいとして、良かったんじゃないか。やたらコミカルな作品が今回多いけれど
個人的に寒くない程度のコミカルは好きなので、面白かった。
途中の展開は無茶があるけど、こんくらいじゃないとつまらんしね。
NO.28 鼓動と追いかけっこ ◇s8ee1DM8jQ
女の子いいキャラだ。でもちょっと構成がおかしい。
台詞と地の文の使い方というか、台詞の時は台詞だけみたいになってるのが惜しい。
意図的でないのならば。表現もしばしばおかしい部分が見受けられた。
それがマイナスだけど、雰囲気は良かった。
不思議なもので、問題点があっても何故か雰囲気がいいのを書ける人っている。
NO.29 兄貴の一目惚れ ◇Bh78QWxHPM
よく出来てる。オチ自体はベタだけどそこに至るまでの過程で、書き手の
世界観に引き込めたら勝ちだ。ニヤニヤしながら読んだ。
テンポもいいし、個人的には好きな雰囲気。
面白い。
NO.30 夢みたあとで、甘い夢 ◇6BMoPw49xY
これもニヤニヤSS。女の子が魅力的な雰囲気は持っているんだが、
イメージ出来なかった。口調からある程度は想像出来るけど、普段の彼女を
描いていないから。
良い話。良い話なんだけど、惜しい。一押し足りない。
NO.31 君は美しい ◇CYR3fna/uw
雑な感じ。描かなくてはいけない部分すら描いておらず、全然ピンと
こなかった。意図的であれ、+面はないように思える。
もっと書き込んだほうがいい。あとミスも多く見られた。
785 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:02:48.60 ID:XGmqh0F10
sary
786 :
◆ecJGKb18io :2008/01/14(月) 18:03:15.90 ID:d7JZ8lDz0
お題がお題なのとハッピーエンドという縛りのためか、明るい作風の作品が
多かった。コミカルな作品に関しては、感想以外、まともな批評はしていない。
なんというか意外にストレートな作品が多い事に驚いた。が、妙なオチをつける
よりは良かったりするもんで、ニヤニヤ作品も多かった。
個人的にはもっと冒険した作品も読みたいとも思った。
王道で感心させるにはそれ相応の実力がいるし、何より似通った作品も多いから。
そういう意味では、今回抜きん出た作品はなかった。
告白→成功or失敗、というのを軸にした場合、
その一般的な流れでどれだけSSとして書けるのかっていう意味での
挑戦的な作品も少なかったかな。
そこに他の人とは違うSSとしての魅力を意識しながら書いてたのかなっていう。
別に奇をてらうオチという意味ではなくて。
あぁこれは優勝するだろうなって思った作品はあったけど。
後、ハッピーエンドに対しての個人の受け取り方も面白かった。
ハッピーエンドは読み手にとってそうなのか、それとも登場人物にとってそうなのか。
ただ前者はしようと思って出来るものではないし、仮に出来たとして個人的にそこに意味は感じなかったし
面白いとも思えなかった。
だからそういう縛りをつけるのならば、書き手としては後者にこだわるべきだと。
個人的には。
しかし30は多いな。読み疲れてちょっと雑になった感想もあるかもしれないけど
それはそれで。日本語おかしい\(^o^)/
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: <<No.10 白い日と息と>>◆4oIY5Zvkdw氏
―感想―
一番後味が良かった。
********************************************************
787 :
◆ecJGKb18io :2008/01/14(月) 18:03:39.63 ID:d7JZ8lDz0
以上終わり。さる支援助かったぜ
788 :
◆ZRkX.i5zow :2008/01/14(月) 18:04:01.13 ID:XGmqh0F10
じゃあ次は私の全感想
789 :
◆ZRkX.i5zow :2008/01/14(月) 18:04:26.54 ID:XGmqh0F10
マエガキ
久しぶりに品評会に出ようとスレを見ればお題は「告白」。おいおい甘い話を書けって
言うの?俺にはステレオタイプな恋愛も書く事が出来ず、何より思春期初恋ハッピーエンド
と言う三つの条件があるし、それを僕がクリアするには……そうだ告白なんて直接書かなければ
良いんだ。という訳で結局妹グダグダさせてしまった。反省。
文章については何も言わないので他の方の感想を見てネ。では全感想。敬称略。
No.01 凍らない雪 ◆A9epGInhJg
特別な力を持った主人公ね。おじいさんからの力って、なんかドラクエ8を連想した。
まあ置いといて。結局結ばれてエンドってのは良いと思うけど様々な伏線になりえる要素のせいで
モヤモヤが残る。ぜひ長編で。短編としては消化不良。
No.02 ソプラノリコーダー ◆dHfRem3ndk
タイトルはこっちでいいんだよね?好意を笛の音と例えての最後の〆。もっと暗示的でも
良かったかも。
で、気になるのは大きい2つ目の段落。「〜良かった。」と終わるところね。そこを見て、ああ、
こういうの書きたいのねと思った。こういう詩的(?)な部分の連続っていうのは書いてる分には
韻とか考えて楽しいかもしれないけど読んでる分には別になんてことの無い好意の羅列でしかないわけで
甘ささえなく気持ち悪い。その気持ち悪さは狙ったとしても、読むこと自体気持ち悪いんだからしょう
がないや。
No.03 さびしいどうし ◆NEETwgvYaU
2レス目「粗末にするわけにも〜」ここは珍しいものだからという理由じゃないの?なぜ粗末に
してはいけないかを書くべきじゃあ。そして全体を見ると童話チックで良い雰囲気だけど、童話
って何かテーマとか格言とかがあると思うのです。それにしちゃあそういう部分は見えにくい。
最後には「旅人」という意味が薄れているし。あえてここからテーマを見出したら……と考えて
いたら、ふとこれはハナから少女視点で不幸を描いていれば良かったんじゃないかなあ。それなら
前半の旅人の「旅に対する心持ち」とかどうでも良い事がなくて旅人はあくまで白馬の王子様と
していられたのに……。とはあくまで俺の妄想。悪魔よ去れ。
790 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:04:42.36 ID:+OItaRPU0
さる
791 :
◆ZRkX.i5zow :2008/01/14(月) 18:04:50.33 ID:XGmqh0F10
No.04 布団の手記 ◆wb/kX83B4.
変わった視点の語りだなあ。二人称?どういえば知らないけど。
置いといて、これはどう見てもバッドエンド。ただありがちな事を独白(ああ、独白体形式か。
あれ、誰に独白してるんだ?)させているだけで特に言う事なし。独白ってのは話の筋が
面白くなきゃ難しくない?なんせ振り返ってるだけなんだから。
No.05 外罰的な、あまりに外罰的な ◆Br4U39.kcI
まあ僕はチョコレートが好きでよく食べる。例えばデパ地下とかで試食していたら、カレールーが
混ざっていたような、そんな気分。
つまりこーいうのって完全な好みだからカレーのルーを食べない僕はどうも言えない。
とりあえず、萌えポイントぶちこんだだけじゃ笑えないし萌えない。カレーとして食べたいなあ。
もっと具を入れろよ。おお、我ながら良い例えじゃあないかこれ。
No.06 図式が出来ない! ◆ZRkX.i5zow
文体フラフラと言われました。5であんなこと言ったけどこれもそうよね。自分で読んでもそう思う。
No.07 ファースト・プロポーズ ◆DogUP10Apo
ああなるほどまさに初恋。しかしこれ、原典と殆ど変わらなくない?いや、原典を読んだことないけどさ。
No.08 恋と世界のカラクリ ◆ecJGKb18io
こりゃあ4レス目まで読んだらオチに期待するしかなく、そして期待通りだった。予想はついたけど面白い。
票候補。
792 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:05:02.81 ID:d7JZ8lDz0
さる
793 :
◆ZRkX.i5zow :2008/01/14(月) 18:05:04.45 ID:XGmqh0F10
No.09 心変わり ◆0CH8r0HG.A
キターエロゲー的伝説!……とそれだけでニヤニヤですが、さてタイトルが不穏だぞ。……で読んでみれば
そういう事ね。うーん真正面から書いた勇者現れず?え、俺が書け?ならお前が書けよ。
特に言う事なし。
No.10 白い日と息と ◆4oIY5Zvkdw
いい家族って素晴らしいなあ。多分出題者的にはこーいうのが良いんだろうなあ。ツッコミはナンセンスだよね
と見つからなかった言い訳。
No.11 だから私はゆっくり歩く ◆bsoaZfzTPo
あー。身長というアプローチの仕方ねー。あーあー。あー。
あー。
あまりこーいう話好きじゃないのになあ。あー。文章が上手いから。あー。
身長がツボついたので票候補。
No.12 腐女子?食える食える、美味いらしいよ? ◆c3VBi.yFnU
これこそまさにエロゲー。こういう話に突っ込みは不要か。っていうかツッコミの仕方を知らない。
No.13 幸福論 ◆ZIPyTXuL.2
これはまあ極端にいや自分語りでしかなく、僕はそれにストーリーをつければ良くなるという論の持ち主です。
自分語りが過ぎて、物語内の時間の流れが告白シーンしかなくそれは一分にも満たないのなら、せめて
十分にすればいいのだ。この文こそエラソーな自分語りですか?小説についての幸福論はどこにあるのかしら。
No.14 アルトリコーダー ◆dHfRem3ndk
とりあえず5・7調にすりゃいいってもんでもあるまいに。ナンバー2への感想と同じ。
794 :
◆ZRkX.i5zow :2008/01/14(月) 18:05:16.68 ID:XGmqh0F10
No.15 蝋の姫君と愛し男 ◆faMW5pWHzU
無限ループの哀れな話。哀れにももう一癖欲しいな。
No.16 明日もまた夕日が沈む ◆QAbQXuW886
まあ現実には主人公である男が、そう何年も変わらない訳が無い。何年も好きな人が同じな訳がないのだ。
……無意味な指摘。だってこれは変わる物語だもんね。僕が言ってるのは昨日だって夕日は沈んでいたはず
なんだという事か。ふーむ。
No.17 アンダーニース ◆QIrxf/4SJM
以前氏の作品が「春樹っぽい」と言われてて、そうかあ?と思ったものだがなるほど納得。2レス目
「なくてもなんとかなる〜」とか。安心感のなかに不安定な要素が漂っているとか。4レス目ではちょっと
はっちゃけてるけど。そのギャップが気に入ったので票候補。これはもしやツンデレと共通してるのだろうか?
No.18 悪趣味 ◆xg3VcqAPFw
いかん、これも痛々しい語りと冷静な自己分析とのギャップが何故かクスリときた。
ただそれは1レス目だけで、最後には真面目に(?)恋愛したのでそれで終わり。
No.19 省エネの為に電気を消した暗い教室で ◆/sLDCv4rTY
これで終わりなのかよ!?ナンセンスならナンセンスなりにもっと笑わして欲しい。
No.20 小林君の告白 ◆LBPyCcG946
嫌いじゃない、こういうの。っていうかスキだ。小林君ってもしかしておぼっちゃまくんつながり?
だめだ、マジに笑った自分が恥ずかしい。オチにも負けた。投票するにはちょっと勇気がいりますね、これ。
795 :
◆ZRkX.i5zow :2008/01/14(月) 18:05:30.75 ID:XGmqh0F10
No.21 夢の続きは ◆7BJkZFw08A
思い出話でためてためて、オチはどうくるかと期待したけどそのまま終わってガックシ。予定調和すぎて。
個人のホームビデオを見せられるとこういう気分なのかな。
No.22 新ジャンルな恋愛 ◆RqM8RwK87E
何で俺はオチに若干感動しているのだろう。つくづく自分の好みが把握できてないなと思い知らされる。
No.23 麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 ◆D8MoDpzBRE
「レイ」という何は条件反射で好意を寄せています。それが男だろうと。
あらやだわたくしったらこんな壮大な悲劇をそんな目でみるなんて!そしてこれが5レスで収められてるなんて!
氏はそういう、無理やり詰め込んでいると思わせるホントギリギリでまとめますね。さて凄いのかどうか。
今回ちょっと票候補多い。
No.24 それから僕は ◆K/2/1OIt4c
ものすっごい視点の乱れはきっと何かあるのだろうと何とか読み進めてみてもついに理解できず。
何?僕って誰?ごめんなさい。深く読み込んでトリック分かっても別になにもなさそうなんで感想言えず。
No.25 糞みたいなひと ◆/sLDCv4rTY
せめてメタフィクションにした理由と本文中小説についての答えを出して欲しい。これから何を想像すればいいの?
No.26 携帯電話を持ち出して ◆/7C0zzoEsE
これもツッコミ無用。
No.27 その想いは疾風の如く ◆InwGZIAUcs
2レス目「美少女ゲームの設定から〜」に自虐を感じる。してみれば僕もこんなこと書いたなあ。なるほどこんな
事を書いてはいらぬ心配が生まれると知った。皮肉る余裕なんていらないから徹したほうがいいのか。いやいや思い知った。
これも完全な好みなので突っ込みはなし。
No.28 鼓動と追いかけっこ ◆s8ee1DM8jQ
告白シーンの緩急が良いとおもった。しかし全体としては何もあらず。
796 :
◆ZRkX.i5zow :2008/01/14(月) 18:05:40.34 ID:XGmqh0F10
No.29 兄貴の一目惚れ ◆Bh78QWxHPM
これもツッコミなし。好みの問題。
No.30 夢みたあとで、甘い夢 ◆6BMoPw49xY
まあね、恋愛には葛藤が大事だよね。いいと思う。しかしもう疲れた。これは作品が悪いんじゃないけど。
上手い。
No.31 君は美しい ◆CYR3fna/uw
深い愛ね。ふーむ。俺は男に感情移入してないから「何やってんの」と思ったけれど。
アトガキ
最後の方は深読みしてないから作品に丸投げしてるところありますがごめんなさい。
っていうか萌えだけの作品に「好みの問題」って連発してるけどこれはどうなのだろう。
そもそも今回の自作を自分で読んでもそういうだろうに。確かに萌えというのは自己完結したものだから
あれやこれや言ったってしょうがないだろう。そして文章への指摘は初めから放棄してるんだからなんとも役に立たない感想だ。
好みの問題と突き放しているからには好きではない。かと言って嫌いでもない。無関心なだけです。決してそういうものは
書くなと言ってるんじゃなくて、作品としてはまとまったものだとおもいますよ、殆ど。しかしこぢんまりしてるよりもナンバー22、23
みたいにぶっとんだ方がなあとは思う。うーん難しい。無関心の中にも好きと嫌いを見出して指摘出来ればなあと思う。
今回の投票は上で言った通りギャグ要素が強いのを選んだ。17は関心票か投票か迷ったけど上手いので投票。関心票候補は8、10、22、30。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】:
No.20 小林君の告白 ◆LBPyCcG946
No.23 麗しきレイとジゼル、そしてリリアの物語 ◆D8MoDpzBRE
No.17 アンダーニース ◆QIrxf/4SJM
気になった作品:
No.11 だから私はゆっくり歩く ◆bsoaZfzTPo
********************************************************
797 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:05:54.03 ID:d7JZ8lDz0
さる
798 :
◆ZRkX.i5zow :2008/01/14(月) 18:06:08.28 ID:XGmqh0F10
お終い。感想くださったかた、アリガトウです。
799 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:14:08.16 ID:MR+BAEqbO
あ、あ、あのね。ちょっとまえね、通常さくひんとして
>>734とうかしたんだけど、あんまり批評もらえなくて、
で、んで、批評ほしいんだけど
1レスとみじかいので、ぽーんと読んで保守がわりに
「こんなつまんねーもん短くても時間の無題なんだよハゲ」
とでも言ってもらえば、おれ、
きっとうれしくなっちゃうとおもうので(うるせーお前が死ね糞ハゲこの尿が、っておもうかもしれないけど)
よろしくお願いします
800 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:14:40.89 ID:w+wyvvhGO
全館の御三方おつです
801 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:15:44.73 ID:MR+BAEqbO
いいわすれた全感超乙
てかみんな書くのはやいね
802 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:24:24.71 ID:dHXyXhdG0
全感の方々、お疲れ様でした。
>>799 直前に7レスも消費して通常作品投下した身で感想を書くなんて!
と思っていましたが、何というか
>>799がツボったので感想書かせてもらいます。
何を伝えたいのか、という点はぼんやりと伝わってきました。
病床のお兄さんが生きた証=わけのわからない棒、という事で、何とも言えない暗くて切ない気分になりますね。
一方で死んでいくもの、一方で増えていくもの、この対比は面白いと思いました。
ただ「無限」というお題に対しては、ちょっと逸れている感じがしてしまったというか……
無限に増えていく棒、という事でお題を消化するつもりだったかと思いますが、お兄さんの死の方がインパクトが強かったような気がしますね。
最後に、一文の中に繰り返し同じ表現が使われている箇所がありましたので、その点に注意してみてはどうかと思いました。
今後もお互い頑張りましょう(´∀`)
803 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:29:32.04 ID:d7JZ8lDz0
>>799 兄の死と、謎の増える棒ってのがミソだと。
棒は兄が病室で過ごした日にちの分だけあって、
死へと向かう兄の命を象徴するように軽くなっていく。
兄の命、引いては兄の全てを比喩する棒ってのは面白いけど、
そこに力を入れすぎて、肝心の兄の死が蔑ろにされてるような。
最終的に、命の儚さを言ってるわけだから死の扱いを軽くすると
読み手としては分かりづらいんじゃね。
手段が目的になってしまっているのかな。
804 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:29:41.42 ID:AZAQuNfh0
>>799 批評は出来ないけど感想
棒の数=兄の一日ってことでいいかな?
こういう雰囲気系は多少分かりにくい方がいい感じに仕上がると思うので、これでいいと思うよ
でも、無限じゃないように思うよ。数百日分しか残っていないわけだし、有限なのだと思う。
もしくは、棒が兄に与えた生きがいが無限のものだったという意味で書いていたのなら
自分は理解力がたりないんだろうね。いや、棒には人間全体の重みがあったっていう意味な
のかな。だとしたら、ある意味無限だね。
あと、棒に対して繁殖ってなんかおかしいような?
雰囲気がとっても良く、個人的には好きですよ。強いて言えばもっと長いものも見たかったかな。
805 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:39:12.22 ID:v3XBmmn60
品評会零票臭いからお題くれ
806 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:40:02.17 ID:AZAQuNfh0
にぎり飯
807 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:40:09.47 ID:C1u6iuaI0
808 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:40:15.57 ID:v3XBmmn60
はあく
809 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 18:48:38.71 ID:MR+BAEqbO
>>802 > ただ「無限」というお題に対しては、ちょっと逸れている感じがしてしまったというか……
> 無限に増えていく棒、という事でお題を消化するつもりだったかと思いますが、お兄さんの死の方がインパクトが強かったような気がしますね。
無限に増えていく棒、というので考えていました。ほんとですね、だいぶん離れちゃってますね。次はお題にそえるようなものを書きます。
> 最後に、一文の中に繰り返し同じ表現が使われている箇所がありましたので、その点に注意してみてはどうかと思いました。
繰り返しも意図しているのならいいんでしょうけど、今回は無意識にやってました。気をつけます。
> 今後もお互い頑張りましょう(´∀`)
頑張りましょう。批評ほんとうにありがとうございました。あと顔文字がうっとうしいです
810 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 19:09:08.02 ID:MR+BAEqbO
批評返しのまえに ほ
保守ついでにお題をくれ
812 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 19:16:51.62 ID:H2ydUGld0
813 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 19:17:20.23 ID:TxzEcgg30
今回全感多いな 俺はやんなくてもいいな
はあくした
815 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 19:19:20.30 ID:H2ydUGld0
全感の人たち乙
てか、今回初めて品評会に出してみたけど、
めちゃくちゃ怖いな。俺弱すぎ
816 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 19:21:04.83 ID:MR+BAEqbO
>>803 全感おっつー
> そこに力を入れすぎて、肝心の兄の死が蔑ろにされてるような。
> 最終的に、命の儚さを言ってるわけだから死の扱いを軽くすると
> 読み手としては分かりづらいんじゃね。
>
> 手段が目的になってしまっているのかな。
うーん自分でもなんか軽いな、と思ったんですが、その時はどう直せばいいかわかりませんでした。
いま思えば、直接死ぬところを描写しなくてもいろいろと方法がありましたね。
死んだ後のその人がいた痕跡とか、生きているときの細かな行動とかを描写して、リアリティをだしときゃよかったんですね。
勉強になりました。批評ほんとうにありがとうございます。
>>804 > 棒の数=兄の一日ってことでいいかな?
そーです
> こういう雰囲気系は多少分かりにくい方がいい感じに仕上がると思うので、これでいいと思うよ
そうなんですかね。よくわからないです。
とにかく本気でわかりやすくしようとしてこれなので、もっとわかりやすいものを書けるようにしたいです。
> でも、無限じゃないように思うよ。数百日分しか残っていないわけだし、有限なのだと思う。
ああほんとだこれだめじゃん。もっとお題について考えるべきですね。気をつけます
> あと、棒に対して繁殖ってなんかおかしいような?
ええおかしいですとも! 気をつける!
批評ほんとうにありがとうございます。
817 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 19:25:35.38 ID:C1u6iuaI0
ODAIをくれ!!
818 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 19:29:12.19 ID:AZAQuNfh0
SUSHI
819 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 19:30:44.76 ID:AKk+4Axo0
>>799 今日このスレを発見したばっかりの新参だけど思ったことをちょっと
他の人も言っていたように、棒とかの発想はすごく面白いと思った。
文章的なことに突っ込みを入れさせてもらうと
>そして、暗い部屋で朝を迎えると、二つに折られたその棒は、
なぜかは判らないが、数は折られた二本のままに、長さが折られる前の長さになっていました。
この一文が若干読みづらく感じたので、もう少しスッキリさせたほうがいいかなーと
あとは読点が多いと思ったぐらいです。でしゃばってすいません。
820 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 19:32:12.33 ID:3vRYB8wK0
少し遅くなったが、総評として、今回の品評会での反省点と気になったことを書く。あと投票する。
やはり「告白」と言うお題上、どうしても恋愛要素は絡む。実際絡めなきゃダメだったし。
恋愛経験ほぼゼロの俺は、エロゲーやりながら必死に考えた。
考えた結果、如何にオリジナル要素を取り込むか、そこに全ては集約するのだと思った。
ところが実際自分で書いてみると、これが想像以上に難しい。
リアリティを求めるか、ファンタジーを追求するか。
王道で突っ走るか、変化球で攻めるか。
苦労したが、こうやって悩む事が自分の力になるのだ。それを痛感した。
他の作品を読んでみると、成程、皆良く考えている。世界設定、人物描写、台詞回し。
俺の場合、「告白=恋愛=○○」と言う図式をまず組み立ててしまう。
その点、自由な発想が出来る人は羨ましい。
「へぇ、こういう展開もあるのか」そう感じたのは一度や二度ではない。
捉え方によってはまるで違う感想を抱かせる作品もあった。
「おいおい、これ以上俺をパソコンの前でニヤニヤさせるなよ。そろそろHP無くなるぜ?」
そんな作品も確かにあった。でも、やはり気になる箇所は出てくるもんだ。
誤字脱字、ちょっとしたミス。勿体無いと思った。
だから批評があんな感じになった。もっと良い作品をこれからも読ませてもらいたいから。
そして自分も、もっと人を楽しませたい。
批評には確かに厳しい意見がある。だが批評はそうでなくてはならない。作者のため、読み手のために。
「告白」というお題ありきで批評してしまったので、不愉快な気分にさせてしまった方もいると思う。
こういった事に対して、俺は頑固になってしまうんだ。申し訳ない。
***********************【投票用紙】***********************
【投票】: NO.30 夢みたあとで、甘い夢 ◇6BMoPw49xY
気になった作品: NO.16 明日もまた夕日が沈む ◇QAbQXuW886
**********************************************************
最後に言わせてくれ。
俺、お前らの作品、大好きだよ。
821 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 19:34:31.63 ID:C1u6iuaI0
822 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 19:34:34.23 ID:3vRYB8wK0
だからお題くれ。
823 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 19:36:12.44 ID:MR+BAEqbO
824 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 19:37:35.52 ID:AZAQuNfh0
825 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 19:38:00.20 ID:3vRYB8wK0
826 :
◆c3VBi.yFnU :2008/01/14(月) 19:38:36.24 ID:3vRYB8wK0
ごめん、二つ把握。
827 :
月光、にぎり飯:2008/01/14(月) 19:39:27.64 ID:v3XBmmn60
夜だというのに満月のおかげで外は明るい。窓からの明かりで十分と部屋の電気は消えていた。
そんな幻想的な部屋で旋律が奏でられていく。
少し音楽に携わるものなら誰でも知っているであろう、ベートーベンのピアノソナタ『月光』。
美しい旋律を奏でているのはまだ年端もいかない少年のようだ。少年は無表情に鍵盤をたたいていく。
ふいに――。
譜面にはおよそ載らないような高い音が響く。
「うう」
少年の表情は激しい憤りにゆがんでいた。
「何回やってもだめだ」
「どうしてもうまくいかない」
少年の悲痛な叫びが部屋に響いていく。窓の向こうを見る。そこには満月が闇を打ち消さんと輝いていた。ベートーベンはどんな気持ちでこの曲に月光と名づけたのだろうか。満月はどうしてこうも人の心を惹きつけるのか。
少年がさっきまでの嘆きを忘れ満月を見ていると、視界にある満月をすっぽり隠すようにおにぎりが現れた。
「音穏、また失敗したのー? あはは」
耳元で能天気な声がする。音穏と呼ばれた少年は能天気な声の主にため息混じりに応える。
「うるさいよ姉さん。せっかくの満月を無骨なおにぎりで隠さないでよ」
「お、生意気だねぇ。せっかくお姉さまが差し入れを持ってきてあげたのに」
「それはそれはどうもありがとう」
音穏は姉の手からおにぎりをひったくり口に入れた。海苔と鮭の香りが口に広がる。
「見た目よりは美味しい」
「はははこいつめ」姉は笑いながらいう。
「私も聞いててあげよう。さぁ心ゆくまで弾きなさい」
音穏はため息をつく。しかし、姉の差し入れへのお礼にと鍵盤に手を置く。
こんどは上手く弾けそうな気がすると胸の内で思いながら。
828 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 19:56:24.98 ID:MR+BAEqbO
>>819 > >そして、暗い部屋〜長さが折られる前の長さになっていました。
> この一文が若干読みづらく感じたので、もう少しスッキリさせたほうがいいかなーと
あーそこはきついよね。自分でよんでちょっとでも駄目だと思ったら、つきつめて考えてみるべきですね。気をつけます。
> あとは読点が多いと思ったぐらいです。
それ、ちょっと意識してやってみてたりして。
前の品評会(お題:朝)の時、読点ほとんどなしでやってみたらかなり楽しくて(ほとんど票もらえなかったけど)、
んで、こんどは、読点多くしてみようってやってみたんだ。
> でしゃばってすいません。
でしゃばしゃば でしゃばしゃばしゃば 蛙かな
批評ほんとうにありがとうございます!
829 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 20:06:55.16 ID:AZAQuNfh0
>>827 終わり、でいいんだよね?
とりあえず、テンプレにある通り、最後に終わりの言葉をつけてくれると
読む人にとっては親切ですよ。
雰囲気ってむずかしいよね。情景を書き連ねれば、よい雰囲気が
作れるって訳ではないし、またその逆も叱りで。
この話は、姉弟の触れ合いを書きたかったのかな? だとすれば、
ごめん。あんまり伝わってこなかったかな。どうしても心理描写が
少なくて、なかなか感情移入がしにくかったもので……
でも、心理描写を使わないで、雰囲気を伝えられるよう努力してい
る方なのかもしれません
そしてその努力は、次の作品に生きていくのだと思います。
それこそ、見た人が思わず唸るような素敵な文章ができると思い
ます。
以上、感想でした。
830 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 20:09:40.70 ID:v3XBmmn60
831 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 20:16:59.59 ID:l2YTW5UR0
832 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 20:34:16.82 ID:5L0GUwyy0
1が2を訪ねたのは桜の散るころだった。
1「宝くじが当たる確率ってどのくらいかわかる?」
2「数学の問題か?計算すんのめんどくせーよ。」
1「僕は結局のところふたつにひとつだと思うんだよ。」
2「…?」
1「当たりかはずれのふたつにひとつ。そう思わないかい?」
2「…結果がすべてといいたいのか?」
1は微笑とさえ言えないほどの薄さで口もとをゆがめる。
2「俺はもうあそこにはもどらねーよ。未練もない」
1「あの事件のこと、所長はまだ証拠集めをしているみたいだけど。」
2「…」
1「気が変わったらいつでも来てくれ。それじゃあ。」
すべてを変えたあの日。あの「はずれの日」はいまだに2をしめつける…。
つづく
中2病全快wwwwサーセンwww
834 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 20:49:26.79 ID:KakCh1N+0
別にリア厨がvipにいても構わないがそれと分からないようにしていて欲しいと常々思う
俺はリア充じゃないやい!
ちなみにちゃんとお題をふくんだはなしになるんだぜ?
1は女です。ただ「はずれの日」から男として生きています。
書きたいけど明日試験www何してんだおれwww
836 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:02:25.26 ID:ZRKlQ+UW0
文章を書くときも、試験を受けるときも後悔のないようにな
837 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:03:50.65 ID:l2YTW5UR0
>>833 別にリア充でもキモオタでも良いけど、テンプレは読んで欲しいなと思う。
>>1-3にあるから。
ごめん…
うまい伏線がつくれたからはしゃいじゃって…
839 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:09:23.49 ID:C1u6iuaI0
840 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:11:03.99 ID:l2YTW5UR0
>>838 良くあること、良くあること。
お題でも持って行くか?
つ「追試」
841 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:19:54.30 ID:l2YTW5UR0
>>827 にぎり飯を思い浮かべながらひく月光てどんなだよw
表現のこと。二つ。
>「何回やってもだめだ」「どうしてもうまくいかない」
なぜ二つに分けたのだろうか。読点で区切るとか、間に地の文を挟むとかしたい。
たとえば、これが口から出たものでなく、思考という形で心の中を飛び交った言葉である、
という効果を狙うならば、三つ、四つと「」で括りだして列挙するという表現もありかな、と思う。
> 少年の悲痛な叫びが部屋に響いていく。
悲痛って言われても、どれくらい悲痛なのか、わからない。
直前で、鍵盤をばーん、と叩くのは、映像向きではあるけど、基本に忠実で良い表現。
でも、これは悲痛さというより、その前の憤りを表している。
悲痛さを表すアクションを、少年に取らせると、それだけでも説得力が増す。
どうでも良いけど人によっては重要なこと。
>音穏
この短い話の中で、少年の名前をわざわざ出す必要は薄い。
あと、そもそもなんと読むのかわからない。
凄く細かいこと。一行目。
>窓からの明かりで十分と部屋の電気は消えていた。
この一文、とても違和感ががある。
その直前の文と、その後のピアノをひいている描写は、かなり引き気味の視点だ。
けれど、この一文は、「窓からの明かりで十分」と判断した誰か(少年)の主観が混じっている。
これが作品の後半に出てきたのなら違和感はなかったかもしれない。
後半では、視点が少年の中に移っているから。
842 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:28:45.64 ID:bdyVhnwv0
昨日までいい調子で書けてたのに書けない・・・
843 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:32:22.06 ID:TC+kPSrr0
題次第↓
844 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:33:21.58 ID:yOQacVnH0
最近深夜にしか通常作投下してないなぁお題頂戴↓
845 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:35:21.19 ID:K4SVN28P0
846 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:36:20.40 ID:/DY7MYwEO
>>625の出来たから投下する
初めて書いたから内容とか文法とか色々アレだけど
あと携帯だから時間かかるかも知れない
他の方と被ったらすいません
847 :
間が悪い:2008/01/14(月) 21:37:11.92 ID:/DY7MYwEO
道の両側、余す所なく出店が並ぶ。
あと少しで夏祭りも終わり。少し遊び足りないが、一応受験生ということで友人とは早めに別れを告げた。
お土産に綿菓子を買って帰路に着こうとすると、あるものを見つけた。
商店街の丁度出口のところで小さな女の子がベンチに腰をかけて泣いていたのだ。
多分、小学一年か、二年か、それくらいの年齢であろう。
もう時刻は10時になろうとしている。こんな暗い道でこんな小さな子が一人というのはおかしい。
周囲を見渡すが、保護者らしき人影はない。
無視して通り過ぎようか迷ったが、結局、声をかけた。
「どうしたの?お母さんとはぐれちゃった?」
うつ向いていた少女が、問いかけに反応して顔をこちらに向けた。
浴衣に、細く長い髪を後ろでまとめた髪型の、可愛らしい女の子だった。
袖ですぐに涙を拭ったが、それでもまだ涙でうるんだ目でこちらを少し見つめ、首を小さく横に振った。
「お母さんに捨てられちゃったかも知れない」
か細い声で、少女は言った。
え?捨て子?
私は正直、困惑した。
「お母さんに…はぐれたらここで待ってなさいって言われた…」
しかしその困惑はすぐに晴れた。
848 :
間が悪い:2008/01/14(月) 21:37:41.97 ID:/DY7MYwEO
「そっか、だけどお母さんが来ないんだ」
そうまた問いかけると今度は少女は頷いた。
なるほど、なら放っておいても問題ない。
しばらくしたら親が迎えにくるはず。
「じゃあ、お母さんが来るまで、いい子にして待ってるんだよ」
そう言って、立ち去ろうとした、が。
腰に何かが抱きついてきた。さっきの少女だった。
「置いてかないで!」
何だかとても悪いことをしてる気分だ。
「ど…どうしたのかな?」
腰に抱きついたまま離れようとしない。
「うーん、じゃあお母さんが来るまで待っててあげるから、ね?」
しがみつくのをやめると、少女はまた泣き出した。
「大丈夫だよ、お母さんすぐに来てくれるよ」
そういって頭を撫でてあげた。
私よりもずっと細くて、柔らかい髪だった。
しばらく撫でていると少女は泣き止み、落ち着いたところでまたベンチに腰をかけた。
ちょこんとベンチに腰をかける少女がまた可愛らしかった。
「お名前はなんていうの?」
「奈々…」
「奈々ちゃんか」
無意識の間にまた頭を撫でていた。
だけど、なんだかくすぐったそうにしているのですぐにやめた。
849 :
間が悪い:2008/01/14(月) 21:38:18.05 ID:/DY7MYwEO
「そうだ、これをあげよう」
お土産に買った綿菓子を少女に手渡す。
「いいの?」
少し遠慮がちにこちらを見つめてくる。
「うん、いいよ、あけてあげる」
袋から綿菓子を出して、奈々ちゃんに手渡した。
「ありがとう、お姉ちゃん」
「どうぞ」
下の兄弟のいない私とってお姉ちゃんなんて言われるのは初めてだったので、何ともくすぐったかった。
こんな可愛い子が妹がいたらいいのに。
奈々ちゃんが綿を小さく千切って、口に入れる。
「美味しい?」
「うん」
「そっか、よかった」
ついつい笑みが溢れる。
見ると奈々ちゃんも笑っていた。
最初から泣いていたので初めて見る笑顔だ。
やはり泣いているより笑っている顔の方がずっと愛らしい。
「お姉ちゃんも食べる?」
綿菓子を千切って目の前に差し出された。
「うん、じゃあ頂こうかな」
「口開けて」
促されるままに口を開けると奈々ちゃんが食べさせてくれた。
「美味しい?」
「うん、とっても」
そういうと、奈々ちゃんがたまらなく嬉しそうな顔をした。
850 :
間が悪い:2008/01/14(月) 21:39:01.31 ID:/DY7MYwEO
正直、私はあまり綿菓子が好きじゃない。
母親に頼まれて買ったもの。
結局のところこれはただの砂糖だ。味は単調だし、ベタベタするし、何より高い。ただの砂糖が少し加工されただけで300円なんかで平気で売られる。子供騙しだ。
しかしそんなことを思うようになったのはいつからだろう。
少なくともこの子くらいの年齢じゃ、そんなことは思わなかった。
むしろ喜んで食べていたはずだ。
成長とは素晴らしいものだと思ったが、実は悲しいものなのかも知れない。
「今、何年生?」
「二年生だよ」
奈々ちゃんと話していると、もう出会ってから大分、時間が経っていた。
携帯で時間を確認すると、もう20分以上経っている。
大きな綿菓子ももう食べ終わってしまった。
親は何をしているのだろう。こんな子供を置いて。
いや、もしかすると事故か何かのトラブルに巻き込まれたのかも知れない。
そうすると警察や交番に連れていくべきだろう。
「やっぱり捨てられちゃったんだ、悪い子にしてたから」
奈々ちゃんに先程の笑顔が無くなってきた。
851 :
間が悪い:2008/01/14(月) 21:40:40.89 ID:/DY7MYwEO
「そんなことないよ、いい子にして待ってるじゃない、お母さん探しに行こうか」
しばらく考えるように黙りこんでいたが、しばらくするとこちらを見て、
「うん」
と頷いた。
交番や警察所は遠い。商店街の中の夏祭り運営本部に、迷子センターがあったはずだ。
警官もいるし、そこに預けるのが一番だろう。
「はぐれないように手を繋ごうか」
手を差し出すと、すぐに小さな手が重ねられた。
柔らかく、あたたかい手だった。
人混みもまばらになってきた。迷子センターを目指し、歩いていると。
「お姉ちゃん、兄弟いる?」
私を見上げながら奈々ちゃんが聞いて来た。
「うん、兄と、姉がいるね」
「ふぅん」
そう鼻をならし、また目線を前にやり歩きだした。
「お姉ちゃんが本当にお姉ちゃんならいいのに」
意外な言葉が奈々ちゃんから発せられた。
「そうだねぇ…」
私もこんな妹がいたらいいのにと思っていただけに、嬉しかった。
そうして話をしているうちに、もう迷子センター前までついてしまった。
この子とも、もうお別れかなと思うと何だか寂しい。
852 :
間が悪い:2008/01/14(月) 21:41:17.02 ID:/DY7MYwEO
「奈々ちゃん、ここで警察の人とお話してれば、きっとお母さん来てくれるから、ちゃんと待ってるんだよ」
手離そうとするが、またすぐにその手を掴まれる。
「お姉ちゃんもう行っちゃうの?」
「うん、もう帰らないと、お母さんすぐに来てくれるといいね」
そう言うと、奈々ちゃんは手を掴んだまま下を向いてしまった。
肩が、ふるふると震えていた。
そしてわぁんと大声で泣き出した。
私は突然の出来事に反応が出来なくなった。
周囲の視線が一点に集まる。
奈々ちゃんが泣き出したことで軽いパニックに陥った私に追い討ちをかけるように、
「誘拐犯!」
女性の叫び声が聞こえた。
そして、奈々ちゃんがしがみついている手とは逆の手を掴まれる。
見れば若い男の警官が私の手を掴んでいた。
「少し、お話を聞かせてもらいましょうか」
何が起きているのかわからない。
物事の展開が早すぎる。
しがみついていた奈々ちゃんが離れた。
そして、大声を上げた女性に向かって、走り出し、抱きついた。
「お母さん!」
その女性は奈々ちゃんを両腕でしっかりと抱き寄せながらも、私に視線を向けた。
というか睨んでいた。
奈々ちゃんと同じ柄の浴衣を着ている、若い女性。
853 :
間が悪い:2008/01/14(月) 21:42:19.21 ID:/DY7MYwEO
多分、奈々ちゃんのお母さんだろう。事情を話すために近寄ろうとしたが、その方向とは逆に手を引っ張られていた。
「こっち来て貰える?」
警官が高圧的に言う。
促されるがままに椅子に座らせられ、次々に質問される。
住所、年齢、親の名前、親の年齢、電話番号。様々なことを聞かれる。
なんでこんなことになったのかわからない。涙が出てくる。
しばらくすると泣きながら私の両親が来た。
どうしてこんなことをしたんだ。
と、警官が、母親が、父親が問い立てる。
事情を話そうとしても、上手く言葉にまとまらない。
そうしてただただ戸惑っていると、「ごめんなさい」と、また大きな声が聞こえた。
奈々ちゃんのお母さんだった。
奈々ちゃんから事情を聞いたお母さんが、警官と、私の両親に代弁をしてくれた。
奈々ちゃんが必死に私の弁護をしてくれたらしい。
奈々ちゃんのお母さんが言うには、奈々ちゃんとお母さんがはぐれてしまい、
奈々ちゃんはすぐに待ち合わせ場所である商店街の出口に向かって行ったが、
お母さんの方は完全に取り乱し、待ち合わせ場所のことを忘れて、
本部の迷子センターに直行、捜索をしていたということだった。
854 :
間が悪い:2008/01/14(月) 21:42:44.46 ID:/DY7MYwEO
お母さんのうっかりで食い違いが出来てしまったのだ。
それが九時頃のこと、つまり奈々ちゃんは一時間以上、健気に待ち続けたということだ。
捨てられた、などと言い出すのも不思議ではない。
そして、私が奈々ちゃんを連れてくると、出会したお母さんに誘拐犯と叫ばれてしまった。
ずっと探してた我が子を、一時間以上も連れ回した誘拐犯と見られても無理は…ないのか?
そしてこんな騒ぎにまでなってしまい、今は奈々ちゃんのお母さんに泣きながら謝られている。
何だか自分が本当に悪者になった気分だ。
「間が悪かっただけですよ、気にしないでください」
そう言って、全て解決したのは11時を過ぎた時のこと。
奈々ちゃんは椅子に腰をかけて眠っていた。
両親や警官にも謝られたが、何とも複雑な気分だ。
本当に間が悪いと誰にも信用されて貰えないものだなぁと思った。
更に間が悪いと言えば、噂好きな女子に誘拐犯と叫ばれた所を見られたことだ。
学校での誘拐犯扱いされることになったが、先生や、事情を知った友達が、しっかりと学校の人間に話してくれたおかげですぐに噂は絶ち消えとなった。
855 :
間が悪い:2008/01/14(月) 21:43:05.42 ID:/DY7MYwEO
意外なことに奈々ちゃんの家は私の家のご近所さんだった。
たまに遊びに来てくれるし、とてもなついてくれて、本当に妹ができた気分だ。
間が悪かったために、いろいろと被害はあったが、変わりに私には小さな友達ができた。
終わり
856 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:53:55.82 ID:++r8Vnrj0
お題くりよ
↓
857 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:57:41.80 ID:BylZ8Ua60
弾丸
858 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:58:11.98 ID:K4SVN28P0
マロン
859 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 21:59:44.50 ID:++r8Vnrj0
サンクスコ
860 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 22:00:19.00 ID:+OItaRPU0
品評会かけたー
861 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 22:09:13.22 ID:+OItaRPU0
ほ
862 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 22:11:16.56 ID:v3XBmmn60
>>841 >>829 感想ありがとう
姉弟の触れ合いを書きたかったわけでもなく
主人公はおにぎりを思い浮かべて弾いたわけでもないけど
品評会でも言われた心理描写とか対話が上手くいかないですね
人が何を考えてるのかよくわからんです
863 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 22:23:44.23 ID:+OItaRPU0
こ
864 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 22:24:03.44 ID:0BDFYP+GO
ほ
865 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 22:34:30.57 ID:BylZ8Ua60
ふ
866 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 22:40:09.71 ID:IWCeQlif0
だめだ……全感する体力残ってねぇ
途中までだけど投下します
867 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 22:40:32.45 ID:IWCeQlif0
No.1 凍らない雪 5/5 ◇A9epGInhJg
人称を固定してないのは注意した方がいいかと
三人称、人間、雪女、全部の視点で書いちゃってる
作者が描きたいことを描けてないのかなと思った
文字の語感に頼り過ぎてるかな
No.2 賽切 1/1 ◇dHfRem3ndk
タイトル読めね、ggrksですか、そうですね
詩的なのktkr、すまん、こういうのはわからない
笛の音は何の比喩だったんだろう?
詩のような小説を書いてる作家っている?
長野まゆみは個人的に詩的だとは思うけど違うもんなぁ
知ってたら教えて欲しい、読んでみたい
No.3 さびしいどうし5/5 ◇NEETwgvYaU
キャラクターに感情移入できなかった
もうちょい余分な部分を切って
コンパクトにしたら良かったんじゃないかな?
肝心な部分に時間が割かれていない気がする
868 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 22:40:53.08 ID:IWCeQlif0
No.4 布団の手記 1/4 ◇wb/kX83B4
告白せずに自分が傷つかずに済んだ
これこそがハッピーエンドっていう発想は無かった
ものすごい変化球でなるほどそうかと思った
ただ、やっぱ自己中心的な性格っていう説明を
2レスにわたってされるのは辛い
終盤を読むまで、最初の2レスは無駄とさえ思ってしまった
「さて」って多いなww
No.5 外罰的な、あまりに外罰的な5/5 ◇Br4U39.kcI
ワロタwwwがしかし!ハッピーエンド?
No.6 図式が出来ない! 1/4 ◇ZRkX.i5zow
小説のメインテーマが妹が兄を思いやる気持ちになっちゃってる
告白という場面だけどテーマとずれてる感じがしました
あと、ハッピーエンド?
No.7 ファースト・プロポーズ 1/4 ◇DogUP10Apo
ハッピーエンド?
前にも品評会で旧約聖書からのネタ引用を見た気がする
あと、ユニコーンと旧約聖書って世界観違うんじゃないか?
神獣大好きな俺としては、気になってしょうがなかった
869 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 22:41:13.21 ID:IWCeQlif0
No.8 恋と世界のカラクリ(1/5) ◇ecJGKb18io
捻りもあるし、文章も上手い
感想じゃなくて質問
このオチは告白から直結して思いついた?
それともオチ考えたあとに告白部分を付け足した?
かなり興味深いです
良かったら教えてください
No.9 心変わり1/4 ◇0CH8r0HG.A
これ、なんて初代ときメモ?
と思ったら、絶望先生www
俺、てめぇが誰かかなり把握し辛かった
木が複数あるってことだよね?
擬人法じゃなくて、三人称じゃだめだったのかな?
ハッピーエンド?
No.10 白い日と息と 1/5 ◇4oIY5Zvkdw
ストレートな作品がようやく来た感じがする
それでいて、姉視点で書くことでありきたりを回避してる
文章もやわらか
ただ、3月中旬に雪って北国かな?
ホワイトデーってマシュマロあげるからホワイトなんじゃないっけ?
言葉遊びだからそこまで神経質にならなくていいかw
870 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 22:41:33.93 ID:IWCeQlif0
No.11 だから私はゆっくり歩く 1/4 ◇bsoaZfzTPo
恋を謎の感情というくらいだから相当幼いと思い読み進めた
けれども、終盤になると男の子が女の子を抱えている
年齢層が結局わからずじまいで終わったのが悲しい
日直って小学生から高校まであるしなぁ
流石に高校はないんだろうけど……
時間軸が飛んだのかなとすらも思ってしまった
NO.12 腐女子?食える食える、美味いらしいよ?◇c3VBi.yFnU 1/5
タイトルがエロい
就職の話するのやめてぇぇぇぇ!俺、心痛くて死んじゃう!
男性一人称でこういう性格の人間って普遍化してんのかな?
最近、ものすごく違和感を感じるようになった
没個性化というか性格が定型化しちゃってて
読んでると何かがっかりしてくる
ステレオタイプとも何か違うんだよね
871 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 22:41:55.18 ID:IWCeQlif0
NO.13 幸福論1/2 ◇ZIPyTXuL.2
1レス目だけで良かった気がする
1レス目を読んで、文章上手いなと思ったけれど
2レス目でカットバックしちゃってもったいないと思った
時系列はやっぱ乱さない方が無難かと
三点リーダー多いなという印象をもった
台詞上、しょうがないかな?
NO.14 アルトリコーダー 1/1 ◇dHfRem3ndk
デジャブ?似たような作品が上の方にあった気が……
同じ作者かな?語感で文を繋がない方がいい
単語や文章に対して気を使ってほしい
暗喩を使うのはいいんだけれども
作者しかそれがわからない状況にするのはよくない
楽器はやってないよね?
872 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/14(月) 22:42:41.60 ID:IWCeQlif0
すまん、ここまで
風邪ひいて読む気力ないから昨日書いたところまで……
投票すらできてねぇ orz
人称を固定してないのは注意した方がいいかと
三人称、人間、雪女、全部の視点で書いちゃってる
これってわざとやっちゃいけなかったんだっけ?
>>840 素敵なお題ありがとうw
短いし小説ともいえないけど感謝とお詫びをこめて投下します。