( ^ω^)ブーンが駆逐するようです

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
明けましておめでとうござい。


一部改変したために初めから投下させていただきます。

もし待っていた人がいたら、本当に期限に間にあわなくてすいませんでした。
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:45:40.26 ID:Q20amxjg0
「なぁ、知ってるか?世界で単種隆盛した生物って二種類しかいないんだぜ?」
「何と何?」

「一つは藻wwwww」
「藻?wwwwwwwwwwwww」

「そう、当時大気の二番目の主成分をほとんど吸い取って、猛毒だった酸素を吐き出したらしいwwww」
「それ聞いたことある。結局全滅すんだろ?wwwww」
「そうwwwwあんまり増えすぎたせいで酸素も増えすぎて結局それは絶滅したwwwwwwww」

「やっぱり地球ってうまく出来んなwwwwwwwwでもう一つって何?www」
「何だと思う?wwwwちなみにそれが生まれてから他の生物の絶滅速度が一万倍早くなったwwwwwwwww」
「ちょwwwwww死にすぎだろwwwwなんだろ?恐竜?wwwwwww」

「あれは単種とはいえないだろwwwwwwwwwwww」
「あ〜わっかんね。何?wwww」
3涼宮ハルヒ ◆HARUHIYFnQ :2008/01/01(火) 06:46:13.98 ID:5PVyNeR30
くだらないわ
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:46:21.23 ID:EswPCyVfO
アレか?アレなのか?釣りじゃないよな?wktk
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:46:53.38 ID:Q20amxjg0
「人wwwww間wwwww」
「……そういやそうだなw」

「だから人間もこのままだとその藻の二の舞かもなwwwwww」
「あ〜、なんか人間も毒吐き出しまくりって感じだもんなwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「完全に藻のあと追ってるなwwwwwwwうはwwwwww絶滅確定wwwwwwwwwwwwwwwww」
「KOEEEEEEEEEEwwwwwwwwwwww」

「まぁ俺達が生きてる間は滅びないだろwwwwwwwwwwwww」
「今何年だっけ?www」
「忘れんなwwwwwwww2028年だろwwwww」
「把握wwwwwww」
「あと何年で滅びるか賭けようぜwwwwwwwwwwww」
「おkwwwwwwwwwじゃあ俺後300年wwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

「じゃあ俺は後20年wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
「早wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:48:06.78 ID:Q20amxjg0
第一話「逢う魔」

2035年7月2日、日本、某所

( ^ω^)「うはwwww避難民の中に超可愛い子発見wwwwwwwwwwwwwww」
  _
( ゚∀゚)「司令マジッスかwwwwwwwwwどこ?wwwwwwwwwwwwww」

( ^ω^)「アレwwwwww黒髪の子wwwwwwwwww」
  _
( ゚∀゚)「うおwwwテラカワユスwwwwwwwwwてか司令wwwwwwwwwwww」

( ^ω^)「うはwwwwwあの金髪の子もなかなかだおwwwwwww」
  _
( ゚∀゚)「司令wwwwwwwwwwwwwww」

( ^ω^)「うっせーおwwwwww今忙しいおwwwwwwwwwwwww」
  _
( ゚∀゚)「避難民wwwwwww助けなくていいんですか?wwwwwwwwww」

( ^ω^)「wwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:48:48.28 ID:Q20amxjg0
  _
( ゚∀゚)「司令wwwwwwwwwwwwwwwwwww」

( ^ω^)「……」
  _
( ゚∀゚)「……」

( ^ω^)「避難民ヤバスwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
  _
( ゚∀゚)「助けましょうよwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」

( ^ω^)「おkwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww」
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:49:34.49 ID:Q20amxjg0
数百人の人間が荒廃した市街地を、蜘蛛の子を散らすように駆け抜けていた。
あたりにはライフルを持った男達が中心部の女、子供を包み込むように警護している。
そして彼らの後方30mほどには黒くおぞましい巨大な昆虫が群れをなして追走していた。

その数、およそ八百。
個体の大きさは体長0.5m、体高は0.3mほど。およそ普段目にする昆虫とは比べものにならない大きさである。
巨大な”フンコロガシ”のような形態が、黒光りする甲殻で覆われている。


兵士1「くそっ!!防衛都市はすぐそこだってのに!!」
兵士2「にげろ!にげろ!!もうすぐ都市の警備兵の救援があるぞ!!」

必死に警護する兵士もその蟲から逃れるために後退せざるを得ない。
逃げ遅れた人間が、一人また一人と黒い群れの中に吸い込まれていく。

男「うわぁぁぁ、まって、たすっ、助け……あああああああああああああああああああああ!!!!!」

そこは悲痛な悲鳴と銃撃の轟音に満ちていた。
逃げ遅れた人間はその蟲たちに踏み潰され、食いちぎられ、咀嚼されてくずとなっていく。
銃撃に少しずつ削られていく蟲の群れは、しかし進行速度の減衰も見せることなく確実に人の群れを飲み込もうとしていた。
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:50:20.17 ID:Wgkspg+aO
おいいいいぃぃぃぃぃぃぃぃ!!!!!!!!!!!!!

ずっと待ってたぞ!


wktkwktkwktkwktkwktk!
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:50:46.20 ID:Q20amxjg0
  「突撃ーー!!!!」

ちょうど大きな廃ビルの横の旧大通りを、人の集団が半分ほど駆け抜けたとき突然その号令は響きわたった。
廃ビルの陰に潜んでいた武装集団が逃げゆく者の中に割り込むように突撃した。
  _
( ゚∀゚)「構えーーーー――」

統率された軍隊は一斉に3段に銃口を構える。
  _
( ゚∀゚)「――っっっ撃ええぇぇぇ!!!!!!!!」

一斉射撃の轟音に大気が震え、硝煙が彼らの視界を薄紫に翳らせた。
  _
( ゚∀゚)「装填――」

兵士は撃ちきった空のマガジンを交換し始める。

( ^ω^)「ジョルジュ」
  _
( ゚∀゚)「はっ!」

( ^ω^)「もういいお、敵は撤退しているおw」
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:51:55.27 ID:Q20amxjg0
( ゚∀゚)「しかしまだ掃討戦が」

( ^ω^)「今回は救出作戦だおw」
  _
( ゚∀゚)「はっ!申し訳ありませんでした」

( ^ω^)「ギコ!」

( ,,゚Д゚)y ̄~「何でしょう?」

( ^ω^)「彼らを避難民キャンプに案内するお。
      その後、救出した人数と年齢、性別情報を作って提出してくれお」

( ,,゚Д゚)y ̄~「了解。……俺の管轄の1〜3班の奴らは今から俺について来い。事後処理だ。」


( ^ω^)「ジョルジュ、しばらく抜けるお。後を頼んだお。」
  _
( ゚∀゚)「了解しました。気を付け下さい。ここもまだ安全とは言い切れません。」

( ^ω^)「分かってるおw」
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:52:37.32 ID:Q20amxjg0
  _
( ゚∀゚)「全兵士に告ぐ、作戦終了だ!帰るぞ。酒を用意しとけ!!」

歓声を上げながら帰ってゆく兵士達を見送ったあと、
ブーンは百数十匹ほどの蟲たちの死骸を見つめた。


5年前に突然この世に生まれ出た未知の生物。人類の天敵。
まだその情報はほとんど明るみに出ていない彼らを、多くの人はただ「蟲」とだけ呼んでいた。



突如現れた彼らは瞬く間に中国を制圧。
大量の人間及びその生産物を資源として、世界中へと進出した。
圧倒的な繁殖力に対抗手段が見つからないまま、人類は戦線を徐々に後退させ
現在では、人類の総人口は一割ほどにまで減ってしまっていた。

幾度の焦土決戦にもかかわらず、その存在は今まさに増え続け、栄華を極めた人類は
あと数年もすればまさに絶滅の危機に瀕するところまで追い詰められていた。

( ^ω^)「もうこんなところまで蟲が来ているのかお……。」

蟲は各個体に数十発の銃弾が撃ち込まれ、その穴から吹き出した体液がアスファルトと自身の外殻を溶かしていた。

( ^ω^)「蟲の酸こえーおwww」
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:52:41.18 ID:Wgkspg+aO
嬉しすぎるお年玉だ。
支援
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:53:31.96 ID:Q20amxjg0


   「きゃああ!!!」



( ^ω^)「っ!?」

不意に若い女の悲鳴がどこから上がった。
視界に入るビルから、まだ少女の体つきを残した女の子が不意に飛び出した。
後をついで、2匹の蟲が彼女を追いかける。
ここからやく40mほど離れた場所だ。

( ^ω^)「こっちだお!」

ここからライフルで射撃しては彼女を傷つける可能性がある。

ξ゚听)ξ「え!?あ、はい!」

彼女は一直線にこっちへ駆け出し、それにあわせて後を追う蟲も追走する。
手にしたライフルを構えて黒い甲虫に狙いを定めた。
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:54:00.72 ID:Wgkspg+aO
ブーンの正確なAAは ( ^ω^) だぞ。
支援
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:54:15.02 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「はぁ、はぁ、はっ、はぁ……」

彼女が僕の横を走り抜けるのと同時に引き金を引いた瞬間、乾いた銃声が鳴り響く。
一瞬の閃光と炸裂音の後、肉を引きちぎる鈍い音が僅かにこだました。
着弾は急所をはずしたが追撃する力は奪っただろう。

( ^ω^)「逃げるお、後はほっとけば勝手に死ぬお」

僕はその少女の手をとって自分の都市に向けて走りだした。

ξ゚听)ξ「え?ちょっと!なに?あなた誰!?」

( ^ω^)「後で説明するお、今は逃げるお。後続の蟲が来る可能性が高いお!」



やがて彼らは高い防壁に囲まれたまだ人の気配の残る都市の中へ入った。
この最後の避難民を迎え、物語の幕は上がる。

戦略的な重要性は何もない弱小地方都市。
戦車等の武器はおろか、補給物資さえ満足いかない。

後方は海に囲われ、最も近い人類生存地区への道は蟲によって制圧されている。
そんな危うげな環境に覆われた地区は、ついに最後の時を迎えようとしていた。


                          ( ^ω^)は駆逐するようです
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:55:22.31 ID:Q20amxjg0
第二話「道酔い」


  _
( ゚∀゚)「司令、無事でしたか? さっき銃声が」

( ^ω^)「大丈夫だお。それよりスカラベの斥候を発見したお」
  _
( ゚∀゚)「それでは先ほどのは……」

( ^ω^)「僕のだお。敵本体が来るかも知れないから、すまんが警戒していて欲しいお」
  _
( ゚∀゚)「了解しました。適当なのを充たらせます」

街の北に位置する防壁入り口付近で帰り待っていたジョルジュに指示を出し、先ほど女の子に向き直った。
彼女は走って息を上げている。流石に女の子の体にあの距離は辛かったらしい。

先は十分に観察する余裕はなかったが、改めて見ると顔立ちの整った綺麗な子だった。
まだどこか子供っぽい様子が伺えるのは成熟しきっていない女性らしさと華奢な体つきのせいだろう。
服装が乱れているのは先に蟲に襲われたからだろうか。
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:55:51.37 ID:Wgkspg+aO
支援
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:56:13.43 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「大丈夫かお?」

ξ゚听)ξ「はい、一応……」

( ^ω^)「それは良かったお、避難民キャンプに案内するお。そこで親類や知り合いの人を探すんだお」

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「どうしたお?」

ξ゚听)ξ「あの、もうそういう人はみんな……」

( ^ω^)「……」

ξ )ξ「さっきのでよくしてくださったおばさんも……」

彼女の言葉から推測するに、両親はもういないのだろう。

ξ )ξ「怖いんです……」

( ^ω^)「それは大丈夫だおwここは蟲の心配は――」

ξ )ξ「そうじゃなくて!」

( ^ω^)「?」
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:56:43.17 ID:7r2vaEqgO
インドは?
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:57:12.23 ID:Wgkspg+aO
支援
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:57:16.25 ID:Q20amxjg0
ξ )ξ「その……怖いのは、人……です。」

一瞬、彼女が何を言っているのかわからなかった。

ξ )ξ「実はさっきもあなた達の銃撃が終わった後に、知らない男に突然……」

( ^ω^)「……」

ξ )ξ「結局その人は何もする前に後ろから蟲にやられちゃったけど……」

この子ほどくらい綺麗ならこんな世の中いつ襲われても不思議ではない。
まして誰もが逃げるのに必死で、敵が撤退するその時なら、人が一人いなくなっても気付かない。
後で気付いたにしても、死んだと思われるのが自然だ。

なるほど、頭がいいというか――底抜けに馬鹿な人間がいたようだ。

彼女が落ち着くのを待って僕は再び質問を開始する。

( ^ω^)「歳はいくつだお?」

ξ゚听)ξ「18歳。一応、アメリカで大学を卒業してます」

(;;゜ω゜)「アメリカの大学!?」

ξ゚听)ξ「ええ。馬鹿みたいに勉強ばかりしてたから……」
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:58:12.29 ID:Wgkspg+aO
支援
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:58:54.25 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「そうなのかお。……とりあえずうちで働かないかお? 身の安全は保障するお」

ξ゚听)ξ「えっと……働くって?」

( ^ω^)「僕はこの町の防衛関係の仕事をやってるんだお。だから事務のことでもやってもらえばいいと思ったんだお」

ξ゚听)ξ「いいんですか!?」

( ^ω^)「ちょうど人手が足りなかったお。遠慮はいらないし、歓迎するお」

ξ゚听)ξ「……ほんとに助かります」

彼女の声がはっきりしてきた。どうやら大分落ち着いてきたようだ。

( ^ω^)「名前はなんて言うんだお?」

ξ゚听)ξ「ツンです。あなたは?」

( ^ω^)「ブーンだお。まだ28歳だけどこの街の防衛総責任者だお。ブーンと呼んでくれれば良いお。よろしくツン」

ξ゚听)ξ「あ、はい。よろしくお願いします」

彼女は礼儀正しくお辞儀をする。
長くて綺麗なウェーブのかかった金髪が、今の淀んだ世界には不釣合いなほど輝いて揺れた。
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:59:14.08 ID:Wgkspg+aO
支援
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 06:59:24.13 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「ところで大学では何を専攻してたんだお?」

ξ゚听)ξ「生命工学です」

一瞬固まってしまう。

ξ゚听)ξ「?」

不思議そうに見つめ返す彼女をみて、すぐに僕はいつも通りの笑顔を作る。

( ^ω^)「いや、何でもないお。女の子だったからちょっと意外と思っただけだお」

実際、そこにも少し驚いてはいるのだが。

( ^ω^)「とりあえず、今から本部に戻って皆に紹介するお」

ξ゚听)ξ「今からですか?」

( ^ω^)「早い方がいいお。ジープだから乗り心地はよくないかも知れないけど、これからは慣れて欲しいお」

彼女をジープに乗せると僕は街の中心地へ車を走らせた。

( ^ω^) (生命工学科専攻ですかお……)
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:00:08.08 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「……というわけで、これからここで働くようになったツンちゃんだお。」

一通りの説明をして後に待っていたのは盛大な歓声だった、主に男性側の。
  _
( ゚∀゚)「可愛ぃこちゃんだあぁぁ!」

男性兵士「しゃああぁぁぁ!!」

( ,,゚Д゚)y ̄~「いい大人が落ち着けよ」
  _
( ゚∀゚)「戦場の華だあぁぁぁ!」

男性兵士「しゃああぁぁぁ!!」

( ,,゚Д゚)y ̄~「戦場へは出ないだろ」
  _
( ゚∀゚)「ようやくここにも麗しの御仁が」

男性兵士「ギコ隊長のむさ苦しさもこれで何のその」

( ,,゚Д゚)y ̄~「やかましいわ!」
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:00:32.70 ID:Wgkspg+aO
支援
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:00:43.25 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「まぁ、彼らなりの歓迎なんだおw」

ξ゚听)ξ「あ、いえ。ちょっと、驚いてただけです。すごい活気だなぁって」

( ^ω^)「君みたいな可愛い子がいると自然と士気が高まるんだおw」

ξ///)ξ「そ、そうなんですか?」

( ^ω^)「本当だおw」

ξ///)ξ「は、はぁ」

(;^ω^)「ま、まぁ。そうだお、上司を紹介するお。ハイン」

从 ゚∀从「はっ!」

ハインリッヒ高岡は元から自衛隊に所属していた女傑だ。
さばさばした男勝りな性格できっちり部下の面倒を見ることができる優秀な部下。
数少ない女性上官で、男女問わず部下からの信頼が厚い。

( ^ω^)「さっきの紹介したツンだお。しばらく見てやって欲しいお」

从 ゚∀从「了解中佐。よろしくね」

ξ゚听)ξ「はい。こちらこそよろしくお願いします」
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:01:32.21 ID:Q20amxjg0
从 ゚∀从「はい、よろしくね。ここはバカばっかだから一人落ち着いた子がいてくれると助かるよ」

ξ゚听)ξ「あ、ありがとうございます」

从 ゚∀从「ん、じゃあ適当に仕事、って言っても雑務だけど、内容を説明するわ。まず――」

ハインに連れられ、ツンは部屋を出て行った。


( ^ω^)「さて……。ジョルジュ、外の様子はどうだお?」

『外』というのは防壁に囲まれているこの街の区画以外の場所のことだ。
先ほどまではしゃいでいたジョルジュも急に真面目な顔つきになる。

彼も自衛隊所属の人間で、僕の直属の部下だった。
今はもう政府が機能しておらず、自衛隊も全く司令部が麻痺、

というよりほぼ壊滅させられているので惰性的に今の関係になっているだけだが。
彼らが元のまま僕のことを「中佐」と呼ぶのは元の地位がそれに相当するからだ。
  _
( ゚∀゚)「はい、今のところ何も報告はありません。どうやら単なる”はぐれ”だったようですね。」

( ^ω^)「わかったお。引き続き警戒するよう頼むお」
  _
( ゚∀゚)「はっ」
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:01:46.19 ID:Wgkspg+aO
支援
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:02:11.81 ID:Wgkspg+aO
支援
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:02:17.71 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「ギコはあの報告書――」

( ,,゚Д゚)y ̄~「提出しておきました。あの襲撃で大分人数が減ったようですね」

( ^ω^)「……」

( ,,゚Д゚)y ̄~「男女比率はほぼ五分五分。平均年齢は大分若いですね。
        というより年配の方はアレでは生き延びれないでしょう」

( ^ω^)「分かったお。新たな武器調達はどうなってるかお?」

( ,,゚Д゚)y ̄~「順調と言うには程遠いです。この時勢ではどこも武器は欲しがってますからね。
        食物の自給自足で手いっぱいの現段階では入手は困難かと。」

( ^ω^)「それでも集めて欲しいお。近々嫌なことになりそうだお」

( ,,゚Д゚)y ̄~「本当に嫌な話ですね、たださえあなたの勘は当たるのに」

( ^ω^)「なんとかならんかお?」

( ,,゚Д゚)y ̄~「出来る限りのことはやってみます。一つ二つ心当たりがあります」

( ^ω^)「頼んだお。じゃあ今後ことについて詳しく――」
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:02:56.33 ID:Q20amxjg0
防衛関係の議論は多くの時間を使う、いつからかハインからの説明を終えたツンが
所在無さ気にこちらの様子を伺っていた。

( ^ω^)「あ〜」
  _
( ゚∀゚)「ん?」

( ^ω^)「今日はここまでだお」

( ,,゚Д゚)y ̄~「まだ有事の各防衛線の最終ラインが決まっていませんが」

( ^ω^)「ハインに一任するお。現場に近い方が適切な判断が出来るお」

( ,,゚Д゚)y ̄~「分かりました。伝えておきます」

( ^ω^)「たのんだお。ちょっと新人さんと話があるんで失礼するお」
  _
( ゚∀゚)「例の可愛い子ですか?司令まさか手篭めに……w」

( ^ω^)「ねーおw」
  _
( ゚∀゚)「本当ですか〜?w早速噂になってますよw」

( ^ω^)「まぁなかなか美人さんなのは確かだお。最初はみんな騒ぐもんだお」
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:03:34.02 ID:Q20amxjg0
( ,,゚Д゚)y ̄~「そいやハインも入隊当初は男どもからわいわい言われてましたからねw」
  _
( ゚∀゚)「まぁ、昔からの付き合いで本性を知ってた俺らは幸いだったなwwwwww」

( ,,゚Д゚)y ̄~「全くだ。ふたを開けたらど根性親父よろしくの鉄血女だからなwwwwwwww」

( ^ω^)「ん?」

ツンがなにやら慌てたような表情でこちらを見ている。

(;^ω^)「……!!!」
  _
( ゚∀゚)「何人かの馬鹿は奴の素性を見抜けずに撃沈したしなwwwwwwwwwww」

( ,,゚Д゚)y ̄~「撃沈した?違うな……撃墜されたんだwwwwwwwwwwwwww」
  _
( ゚∀゚)「違いないwwwwwwwwww」

(;;^ω^)「し……失礼するお。ツン、行こう」

ξ;゚听)ξ「えっと……はい。そのほうが良さそうですね」
  _
( ゚∀゚)「あれ?司令もう行くんですか?今から奴の武勇伝のオンパレードですよwwwww」

( ,,゚Д゚)y ̄~「そうだ、せっかくだからツンちゃんも聞いておけよww」

ξ;゚听)ξ「あ、いえ。遠慮しておきます」
36幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 07:03:56.00 ID:98OXAE/M0 BE:1775863679-PLT(12011)
シレン
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:04:00.47 ID:Wgkspg+aO
支援
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:04:33.63 ID:Q20amxjg0
  _
( ゚∀゚)「ええ〜!!そんなこと言わずにさぁ。ほら聞く人がいた方が俺達も楽しいし」

从 ゚∀从「……そうか。では私がきいてやろう。」

手にはライフル、顔には氷の笑顔。

(;^ω^)「じゃあ僕らは外出だお、さいならw」

ξ;゚听)ξ「お疲れ様でした」
  _
(;゚∀゚)「ちょwwwwwwwおまえらwwwwwwwwwwww仲間を見捨てる気か?wwwwwwwwwww」

( ;;゚Д゚)y ̄~「司令、見損なったぞ!!!!」

从 ゚∀从「そんなことよりぜひ先ほどの話の続きを伺いたい」
  _
(;゚∀゚)「OKハイン。まずは落ち着いてその構えたライフルを下ろすことから始めよう」

从 ゚∀从「あはは、安心しろ。ゴム弾だ。先ほど取り替えてきた」

( ,,゚Д゚)y ̄~ (わざわざ撃つために入れ替えてきたのか……)
  _
(;゚∀゚)「いや、アレだぞ俺達はハインが綺麗だなってことを話してたわけでなwwwwwwwwww」
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:04:40.66 ID:Wgkspg+aO
支援
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:05:01.82 ID:Q20amxjg0
从 ゚∀从「そうか。武勇伝と聞こえたが」
  _
(;゚∀゚)「いや、聞き違いだ。きっと歴代美人列伝2035かなんかの聞き間違いだ」

从 ゚∀从「ふむ、なるほど私の武勇伝ではなかったのか」
  _
(;゚∀゚)「あ、当たり前じゃないか!!そんなハインの――」

从 ゚∀从「ならば私自ら聞かせてやろう。その身で私の武勇とやらを味わうと良い」

彼女は最早清清しさすら感じる笑顔をたたえる。

(;^ω^)「ギコ、ジョルジュ……長い間世話になったお……。お前らのことはあと2週間くらい忘れない……」
  _
(;゚∀゚)「短っ――!!!」

それから先の言葉は銃声で聞こえなくなった。
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:05:16.12 ID:Wgkspg+aO
支援
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:05:44.41 ID:3+/QijvVO


もう……待ってたんだから////
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:05:51.54 ID:Q20amxjg0
第三話「夢乞い」

僕は彼女の日用品をそろえるために買い物に出向いていた。

ξ゚听)ξ「すごい……。まだこんなに活気が溢れている」

街の中心部にある本部からでてすぐの市場に彼女は驚いていた。
あたりは様々な店が立ち並び、買い物客で賑わっている。

( ^ω^)「ここは中心地だから特に活気があるんだお」

ξ゚听)ξ「管理通貨制度が保ててるんだ。この街は平和ね」

彼女の街だけではなく、他のほとんどの地域ではもうお金なんか何の価値もない。
蟲のために物資は配給制になっているのだ。
まだ管理通貨制が残っているこの街は、彼女の言うようにここが平和で、ある程度の余裕を持つことが出来ている証拠である。

( ^ω^)「さて、必要なものをそろえるんだお」

ξ゚听)ξ「あの、でも私お金……」

( ^ω^)「心配いらんおw 今回は僕が払ってあげるおw」

初めは遠慮していたものの、最後には申し訳なさそうな顔をしてお金を受け取った。
適当にお店を見てまわって日用品を揃えていく。下着を買うところに何気なくついていくのは
彼女の視線が厳しかったのでやめておいた。無念。
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:06:37.67 ID:Q20amxjg0
最後に入った雑貨屋で彼女はノートと筆記具を購入した。

( ^ω^)「それは何に使うんだお?」

ξ゚听)ξ「えっと、日記でも書こうかなって。こういう環境だから
      自分を落ち着かせることにもなるかも知れないし」

( ^ω^)「なるほどだおw」

ξ゚听)ξ「ごめんなさい。こんな大変な状況のなかで暢気な事と思われるかもしれないけど」

( ^ω^)「そんなことはないお。君はもっと楽にしていても良いんだお」

ξ゚听)ξ「いえ、でもたださえ迷惑をかけているのに……」

( ^ω^)「嫌でなければ家族みたいなものだと思ってくれれば良いおwww家族にはそんな気遣いはいらないおwww」

ξ゚听)ξ「家族……ですか?。」

( ^ω^)「多分、これから辛いことはいっぱいあるおww君はまだ子供なんだから大人に頼っても全然おかしくないおwwwww」

ξ゚听)ξ「でも……」
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:06:45.94 ID:Wgkspg+aO
支援
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:07:12.34 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「すぐに慣れなくても良いお。肩の力を抜かないと疲れちゃうお」

ツンはしばらく無言でうつむいて、「……ありがとうございます」とだけ小さく言ってちょっと居ずらそうにしていた。
ただ僕の家、といっても防衛部隊本部の一部なのでさっきまでの場所に戻っているのだが、に帰って
他の幹部との共通の夕食を食べる彼女は来たときより和んでいて、表情には元の笑顔が戻りつつあった。

( ^ω^) (やっぱり女の子は笑ってるときの方が可愛いお)

从 ゚∀从「何にやついてるんですか?」

( ^ω^)「何でもないおwwちょっといい事があっただけだおwww」

从 ゚∀从「?」

なんだか今日の夕食はやけにうまい気がした。


47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:07:29.93 ID:Wgkspg+aO
支援
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:07:45.01 ID:Q20amxjg0



(;^ω^)「……しまったお」

夕食が終わって皆が帰った後、僕達は本部の一番端のやたら生活感のある大きめな部屋にいた。
ここは僕の自室で、本部には僕らの他に数人の警備及び連絡隊員が残っているだけだ。
と、言ってもここは使われていなかった小学校を改装したのでかなり大きく、

従って僕の私生活に彼らの存在が介入することはほとんどない。
蟲も夜にはほとんど活動していない。

ξ゚听)ξ「どうしたんですか?」

(;^ω^)「君の部屋のことを考えてなかったお」

ξ゚听)ξ「部屋?」

( ^ω^)「大きさ的にはこ人間二人生活するには何の問題もないお。だけど……」

ξ゚听)ξ「いやでも大丈夫ですよ。あなたが襲うとか思ってませんから」

それは男として認定されてないということだろうか?

( ^ω^)「フヒヒwwwそれはわからんおwwwwwwww」
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:08:11.83 ID:Wgkspg+aO
支援
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:08:24.03 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「……」

(;^ω^)「冗談だお、そんな怖い目で見なくてもwww」

ξ゚听)ξ「そういう冗談はやめてください。私が怖い目にあったこと知ってるんですから」

( ^ω^)「すまんお。軽率だった、許して欲しいお」

ξ゚听)ξ「いえ、そんな……」

言い過ぎたと思ったのか、ツンはちょっと申し訳なさそうにした。

( ^ω^)「そうだ、お風呂入ってくるといいお。水が自由に使えるのはこの街の自慢だお」

ξ゚ー゚)ξ「本当ですか!お風呂なんて前のとこでは時々しか入れなかったから気になってたんです」

( ^ω^)「ゆっくりしておいでお」

場所を説明すると彼女はすぐにお風呂の用意を持って部屋を出ていった。
やはりお風呂が好きなのはこの国に住む者達の共通項のようだ。

( ^ω^)「……」

なんとなく見回したいつもの自分の部屋。
彼女が出て行った後の部屋はなぜかいつもより少し広く感じる。
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:09:06.12 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「家族……かお」

僕は、彼女の家族たるほどに信頼できる人間だろうか?

( ^ω^)「……」

さっきの一瞬の、ほんの一瞬の表情が目に焼きついていた。
本当に怯えている時の、見ていると悲しくなる瞳。

( ^ω^)「うーむ」

まぁ、それでもちょっとは彼女は元気になっただろう。
今はそれで良い。


一人の人間が他人にこうなって欲しいと思ってしてやれることは、そんなにない。
むしろ自分の意識しないところで他人は自分から影響を受けている。
だから、せめて誰かの笑顔がちょっと多くなるような生き方を。
そうしてちょっとづつ積み重ねて、その誰かが最後に幸せになってくれればそれで良い。


( ^ω^)「……そう思うのは僕の傲慢かお?」

考えるのは、やめておいた。
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:09:37.36 ID:Wgkspg+aO
支援
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:09:51.08 ID:Q20amxjg0


お風呂から帰って来たツンはこぎれいになって、より可愛く見えた。
無防備ささえ感じるパジャマ姿はあえて意識しないでいたのに、

女の子独特の爽やかな甘い匂いで妙な気分を抑えるのに必死になってた。
お風呂上りで紅潮した頬と濡れた長い金髪がツンに歳不相応な妖艶さを与えていた。
これは慣れるまでに苦労すると思って、慌てて部屋から逃げるように風呂へ向かった。

――家族に。

そう言いだしたのは自分なのに。

彼女はまだまだ子供なのに。

( ^ω^) (うはwwwwwロリコンwwwwwwwwww)

そうして軽い考えに走った先には、彼女のあの怯えた瞳が待っていた。

(;^ω^)「まったく、とんだ地獄だおw」

でもなんだかうれしかった。こんなことを考えられるほど、まだこの世界は破壊されきっていなかった。
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:10:22.15 ID:Wgkspg+aO
支援
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:10:22.40 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「地獄?そんなに戦況が悪いんですか……?」

( ^ω^)「ああ、違うおwそれはこっちの話だお。さてもう寝るお。歯は磨いたかお?」

ξ゚听)ξ「はい。……あの本当に私がベッド使ちゃって良いんですか?」

( ^ω^)「構わんお。僕はソファがあるおwww あとこれを渡しておくお」

差し出されたのは一丁の小型の拳銃だった。

ξ゚听)ξ「え……あ、はい。ありがとうございます。護身用の銃まで」

( ^ω^)「護身用……まぁ、今はそれでいいお」

ξ゚听)ξ「?」

( ^ω^)「じゃ、電気消すお。明日は6時起床。おやすみツン」

ξ゚ー゚)ξ「はい。おやすみなさい」

それから、真っ暗な中で僕は落ち着かない気持ちを整理していた。
ツンがこちらの様子を伺っていたようだったけど、しばらくすると寝返りをうって整ったかすかな寝息を立て始めた。
僕はゆっくり目を閉じて、やがて息を整えた。
56 【豚】 【865円】 :2008/01/01(火) 07:10:44.33 ID:and++Cu00
78
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:10:49.67 ID:Q20amxjg0


月が明るい。ここのソファからは普段見慣れた空が良く見れる。
彼女の寝息が時々僅かに乱れる。どうやら完全に寝たようだ。
僕は静かにソファから身を起こすと、彼女の寝るベッドをもう一度覗き込んで寝ていることを確認した。

( ^ω^) (うーん……ここまで無用心なものどうかと思うおw)

彼女は気持ち良さそうに寝ている。
学生の頃はこんな美人な子が彼女だったらと妄想したような気もする。

( ^ω^) (これはひょっとして襲うフラグかお?……とか、さすがにねーおw)

その寝顔は見ているこちらがうれしくなるくらいに気持ち良さそうだった。
その無邪気な幸せさはどこか子猫ににている。

( ^ω^) (……さて、お仕事としゃれ込みますかお)

部屋の扉を慎重に閉め、僕はいつものように司令室へと向かった。
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:11:17.07 ID:Wgkspg+aO
支援
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:11:26.39 ID:eMAcnMBSO
しえん。
あけましておめでたし
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:11:36.35 ID:Q20amxjg0
第四話「落ち影」

ツンが眠りに付く約6時間ほど前、ちょうど夕焼けがあたりを赤く染め始める頃。
街の北部の避難民キャンプから少し離れたところ、普段から『外』も近く人通りのない路地だった。

男1「おいおい、そんなに急ぐなよ」

川 ゚ -゚)「離せ」

髪の長い若い女を3人組の男が取り囲んでいた。

男2「つれねぇな〜」

男3「全くだ。もうちょっと楽しくやろうぜ」

川 ゚ -゚) (しまったな、逃げられそうもない……)

女はその長い黒の艶やかな髪に男の一人が手をかけた。

男1「おお、いい髪してんじゃん!こういうの見ると、なんかさ思うんだよね――」

男は見る者を不愉快にさせる醜い笑い方をしながら女に近づいていく。

男1「――どろどろに汚してみたくなるってね」

女は本気で不快な顔をしたあと、すぐに恐怖でその端整な顔を歪めた。
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:12:00.72 ID:7r2vaEqgO
支援
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:12:08.50 ID:Q20amxjg0
男2「はい、捕まえた!」

男3「どっから剥ぎ取って欲しい?特別にリクエストを聞いてやるよ」

ナイフを突きつけ、楽しそうに嘲笑する。


それは別に珍しいことではない。
いつ終わるとも知れない、しかも蟲という未知の生物との抗争は全ての者に多大なストレスと不安を与えていた。
そんな環境のなかだと、治安の決して悪くないこの街でもそういうことは起こるのだ。

まして、それがこの街に不慣れな避難民の女であれば、なお”行為”をするには都合が良い。

逃げ切られることは少ないし、助けを呼ばれることもある程度防げる。
いなくなっても、気に留める者は少ない。


男2「おお!かなりいい体してんじゃん!」

川 ゚ -゚)「くそっ、やめろっ! ……はなせ!!」

男の手は女の体をまさぐる。女は不快に身をよじらせた

男1「おいおい、暴れんなよ。痛い目みたいか、ああ!!?」

喉元につきつけられらたナイフは、皮膚を薄く刻んで紅い血を滴らせる。
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:12:17.28 ID:Wgkspg+aO
支援
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:12:31.14 ID:7r2vaEqgO
支援
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:12:52.84 ID:Wgkspg+aO
支援
66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:13:05.18 ID:Q20amxjg0
川 ゚ -゚)「……っん……っく……」

彼女の目には涙が滲んでいた。


なんで自分はこんな目にあわなければならないのだろう?
蟲に追われて街を棄て、逃げてきた土地ではこの様だ。

悔しい。

自分はこんなにも無力だ。
涙で霞んだ視界、この憎むべき男達の顔もまともに捕らえられない。
この霞む視界みたいにこいつらも消えていなくなってしまえば良いのに。

そんな虚ろの視界に何故目に入るものがあった。
ただはっきりと、その顔が網膜に焼きついた。


('A`)「……」

通行人のそいつと一瞬目があって、その肩に背負ったライフルを見つける。

川 ゚ -゚)「助け――」

私がそう叫ぼうとするのと、男達が第三者の存在を認めるのと、
そいつが何の感慨もなさそうにライフルを構えるのはほとんど同時だった。
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:13:21.03 ID:7r2vaEqgO
支援
68以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:14:00.22 ID:Q20amxjg0
川 ゚ -゚) (まずい、今のままじゃ私は足手まといの人質に――)

そうならないように逃げ出そうした時、――パンパンパン――何だがおもちゃみたいに可笑しな乾いた銃声が通り過ぎていく。

顔の横を何かが掠めた気がした。
数瞬の間をおいて男達の悲痛な叫びがあがる。

男1・2・3「ああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!」

私は服にかかった温かい液体を気にする間もなく男の拘束から逃れてその通行人の許へ駆けた。

男1「てんめぇーーー!!」

ナイフを持っていた方の手を打ちぬかれたらしい男は、もう一方の手で通行人に殴りかかろうとして、

男1「あがッ!!」

その男の手に持つライフルで殴り飛ばされた。
残りの男は既に逃げ出していて殴られた男は悪態をつきながらそれに続いた。

('A`)「大丈夫か?」

そいつは手にしたライフルを下ろすとそれだけ聞いた。

川 ゚ -゚)「ああ……。助かった。ありがとう、礼を言う」

('A`)「避難民だな?キャンプで大人しくしていろ。行動する時は複数人で動け」
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:14:03.73 ID:Wgkspg+aO
支援
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:14:46.29 ID:Q20amxjg0
川 ゚ -゚)「あ……ああ、わかった」

答えにつまったのは彼の妙に落ち着いた様子じゃなくて、その昏い瞳を見たからだった。
夕闇が近づいていて暗くなる空よりも、遥かにその双眸の闇は深くて昏い。

('A`)「なに呆けてる?また襲われたいのか?」

川 ゚ -゚)「いや……そうだな、すまない」

('A`)「早く帰れ。ろくなことがない」

川 ゚ -゚)「と言っても、避難民キャンプも安全ではない。帰るところがない」

('A`)「キャンプが安全じゃない?」

川 ゚ -゚)「君はこの街の兵隊じゃないのか?今の3人組はキャンプの警護兵だぞ?」

一瞬彼は言い淀んだ。どうやら意外な事実だったらしい。

('A`)「そういうことか。そこまで治安が落ちてるとはな」

川 ゚ -゚)「安全な場所を教えてほしいのだが」

('A`)「……」

彼はしばらく考え、やがて落胆したような様子で口を開いた。
71以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:15:18.95 ID:Q20amxjg0
('A`)「俺のところに来るか? 身の安全と食事は保障してやる」

川 ゚ -゚)「いいのか?」

('A`)「あんたみたいなのいかにも襲われそうな人間を放っておけるほど、まだ俺の感覚は壊れてない」

川 ゚ -゚)「そうか。すまんな、押しかけるみたいで」

('A`)「気にするな。どうせこれも俺の責任が……。まぁいい、あの廃ビルの屋上だ。行くぞ」

彼の責任?
少なくとも今の所彼に責任はないと思うが。
よく分からなかったが、私を全く待たずにビルへ入っていく彼の後を追うことにした。
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:15:34.13 ID:Wgkspg+aO
支援
73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:15:45.91 ID:7r2vaEqgO
74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:16:08.29 ID:Q20amxjg0


('A`)「……ああ、射撃した。避難民キャンプの警備らしい。シフトの変更を頼む」

彼はビルの屋上でトランシーバーのようなもので連絡を取っている。

('A`)「すまんな、ハインリッヒの部下で有能なのを付けておいてくれ。避難民が落ち着くまででいい」

5階建てビル屋上には、彼の家らしき小屋がぽつんと存在しているだけだった。
小屋の中は銃器に関する装備、連絡設備、それと小さなベッドに僅かな本だけだった。
おおよそ生活感のない部屋。

('A`)「……ああ、こちらは引き続き警戒に当たる」

どうやら連絡が終わったようだ。

川 ゚ -゚)「ここは君一人なのか?4階には他の警備兵もいた様だが」

('A`)「あいつらは俺を気味悪がって近寄らないからな」

川 ゚ -゚)「何故だ?」

('A`)「……そのうち分かる。代えの服には小さめの軍服しかないがいいか?」
75幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 07:16:11.42 ID:98OXAE/M0 BE:169130232-PLT(12011)
支援
76以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:16:28.77 ID:Wgkspg+aO
支援
77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:16:32.87 ID:7r2vaEqgO
しえん
78以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:16:39.87 ID:eMAcnMBSO
面白い!
新年そうそう乙!
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:16:54.19 ID:Q20amxjg0
彼の手には男性用の軍服が握られている。

川 ゚ -゚)「ああ、構わん。むしろ好都合だ」

('A`)「1階に風呂がある。そこで湯に浸かって来い。その時に着替えればいい」

川 ゚ -゚)「風呂?そんなものが使えるのか? 珍しい街だな」

('A`)「うちの司令は優秀だからな」

川 ゚ -゚)「そうか」

('A`)「……」

川 ゚ -゚)「どうした?突然黙り込んで」

('A`)「いや……」

川 ゚ -゚)「?」

('A`)「いいからさっさと行け。風呂の間は俺が見張っておいてやる」

川 ゚ -゚)「覗くなよ」

('A`)「のぞかねーよ」

彼は真っ赤になった顔を背けた。

意外にかわいい一面もあるんだな
80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:17:42.61 ID:Wgkspg+aO
支援
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:17:42.82 ID:Q20amxjg0
それから彼は「早く行け」とだけ言って、後は防壁の外に視線を向けていた。
階段を下りるときには4階の兵士数人とすれ違ったが、彼に何も言うことなく通り過ぎた。
どうも彼らの間には溝があるらしい。
風呂場まで着くと彼は無言で背中を見せて座り、手だけで「入れ」と合図した。
久しぶりの風呂は心底気持ちが良かった。


――なんか落ち着く。


風呂のことではなく、彼の近くにいることが。
不思議だった。私はどちらかと言うとあまり他人に依存することは少ないほうなのに。
助けられて私の警戒心は麻痺してしまったのだろうか。

それもなんだか違う気がした。


川 ゚ -゚)「ふう。いい湯だった。ありがとう」

軍服に着替えた私は再び彼の小屋がある屋上にいた。
私にはちょっとぶかぶかだったが、それもなんだか楽な気がする。
82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:18:16.22 ID:Wgkspg+aO
支援
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:18:30.52 ID:7r2vaEqgO
支援
84以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:18:32.04 ID:Q20amxjg0
川 ゚ -゚)「しかし、やはり胸の辺りが少しきついな」

('A`)「……」

川 ゚ -゚)「ん? やらしいことを考えるなよ」

('A`)「……考えてねーよ」

川 ゚ -゚)「君は意外と面白いな」

('A`)「言ってろ」

無口だと思っていたが、決してそうではないらしい。
ただ、会話慣れしていないというか、どこか人に対して壁を作る癖があるようだった。

川 ゚ -゚) (む……。親しくない人間をあまり観察するのは良くないか)

彼は北の彼方を警戒して見ている。
手にするのは、先ほどの突撃仕様のライフルではなく、狙撃用の大型のものだ。
あたりはほとんど日が暮れ、まもなく夜が訪れようとしていた。

('A`)「飯にするか。夜になれば蟲も大規模な活動はしない」
85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:18:47.58 ID:7r2vaEqgO
支援
86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:19:00.37 ID:Q20amxjg0


インスタントラーメンと適当な野菜を炒めて作ったご飯を食べたあと、私は早々に彼の小屋で寝ることにした。
この街に来るので体力を消耗していたのと、ここ数週間蟲による襲撃であまりよく眠れていなかったからだ。
無論彼には「襲うなよ」と言っておいたが、彼は「早く寝ろ」とだけ顔も見ずに返した。

でもなんだかその様子が子供っぽくて可笑しかった。
年齢を聞いてみると28歳で私よりも5歳も年上なのに。

ベッドは男の独特な汗臭さがあったけど、ほとんど気にならなかった。
相当疲れているみたいで、あっという間に眠りへ落ちていった。


こんなに気持ちよく寝れたのは久しぶりだった。
87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:19:30.72 ID:Wgkspg+aO
支援
88以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:19:31.86 ID:7r2vaEqgO
支援
89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:19:42.61 ID:Q20amxjg0


ズウゥゥゥン――!!!

不意のやけに低くて伸びのある轟音で目が覚める。
一瞬見なれぬ小屋の中を見渡して、ここが彼の小屋だと気付くのに10秒くらいかかった。
小屋の時計は午前4時を示している。

――ッカキン

川 ゚ -゚) (薬莢が落ちる音!?)

慌てて扉を開ける。
特に屋上には特に変化はなかった。
ただ月の薄明かりしか届かない屋上で、彼が体を伏せてスナイパーライフルを構えている。

ズウゥゥゥン!!!

再びあの独特な銃声。
しばらくしてドシャッと何かが崩れ落ちたような音が遠方で聞こえた。
彼がコッキングして、薬莢が排出される。

――ッカキン

やたら大きな薬莢。実際に狙撃用の銃弾を見るのは初めてだった。
通常の銃弾とは比べ物にならないほどの大きい。
90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:20:04.30 ID:7r2vaEqgO
支援
91以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:20:27.57 ID:Q20amxjg0
('A`)「…もういないか。すまんな、起こしたか?」

川 ゚ -゚)「いや、気にしないでくれ。それより何を撃っていたんだ?」

('A`)「決まってる。蟲しかない」

川 ゚ -゚)「蟲? 夜には活動しないんじゃ……」

('A`)「ほとんどはな。でも中には偵察か警戒か知らないが夜うろついてるのもいるんだよ」

川 ゚ -゚)「そうなのか。一晩中ずっと見張りしているのか?」

('A`)「ああ。というより、一日中だな」

彼は初めてこちらを真っ直ぐに見つめた。
月明かりの中で彼の双眸は驚くほど爛々と光を湛えていた。

昼間には気が付かなかったが、珍しい暗赤色の瞳。

異様にその瞳に引き込まれたのは、そのせいだったのかもしれない。
決して気持ちのいい色ではないはずなのに、不思議とそれは澄んで見える。
まるで夜の闇が、真っ赤な花を染め上げたような。

川 ゚ -゚)「その眼……」
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:20:34.12 ID:7r2vaEqgO
支援
93以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:20:41.17 ID:Wgkspg+aO
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94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:20:53.10 ID:7r2vaEqgO
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95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:21:05.15 ID:eMAcnMBSO
わくてか
96以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:21:18.38 ID:Q20amxjg0
('A`)「ああ、気付いたか?うちの家系の呪いみたいなもんなんだと」

川 ゚ -゚)「呪い? なにかあるのか?」

('A`)「別に大した事じゃないんだがな、夜眠れない、というより眠る必要がなくなる」

夜眠れない?
どこかで聞いた話だと思って記憶を探る。

川 ゚ -゚)「……君はもしかして”トコヨミ”か?」

('A`)「!」

川 ゚ -゚)「やはりそうか。私の伯母も君の家系の人と結婚したんだ」

('A`)「それで、知っているのか?」

川 ゚ -゚)「ああ。一度聞いたことがある。しかしなんでそんな男がこんなところにいる?
      君の家系随分裕福だろう? その嫡男がしがない兵士をやっているとは思えないが?」

('A`)「いろいろあってな。俺はあの家の人間じゃないんだよ、血は受け継いでいるがな」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「ふん、まさか”常夜見”まで知ってるとはな。伯母さんが俺の家系の人間と結婚したってことはあんたは七瀬の人間か?」

川 ゚ -゚)「もと……な」

('A`)「道理で綺麗なわけだ」
97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:21:32.90 ID:7r2vaEqgO
支援
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:21:36.28 ID:Wgkspg+aO
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99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:21:58.77 ID:Q20amxjg0
七瀬の人間は政界、財界方面ではある程度名が通っている。
政界や財界の有望な人物の許に七瀬の女達を嫁がせ、その結びつけを強める一族。
その女達は子供頃から良妻賢母を目指して徹底的に教育される。

男は生まれた瞬間から七瀬の人間ではなくなり、その分家に移される。
女も12歳の時に七瀬の女としての素養がないと判断されればその分家に移されるという徹底振りだ。

子孫を安定して残すために、七瀬は国内外をとわず孤児院などから養子に引き取っていた。
それがさらに日本の血と掛け合って、異様ささえ滲む美しさを生み出していた。

つまり言ってしまえば、いい女を渡すからその家の力をよこせというわけだ。
その性質上多く持つコネを最大限生かし、間接的な利益を上げ続ける寄生虫のような一族。

それが七瀬。

そんな酷評が下っても七瀬が繁栄し続けたのはやはりその女達によるところだろう。
七瀬の家筋を支える中核がいかに腐っていようと、そのいわば「商品」である七瀬の女は
どこまでも純粋で理想的な女だったから。


彼が「道理で……」といったのはそういう背景があるためだ。
100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:22:04.25 ID:7r2vaEqgO
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101以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:22:41.67 ID:Wgkspg+aO
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102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:22:52.88 ID:Q20amxjg0
しかしそんなことは今の世界ではほとんど無意味だった。
何せ、政界も財界もほぼ消滅してしまっているのだから。

川 ゚ -゚)「君は……」

彼が急に視線を別の方向に集めたので、言いかけた言葉を飲み込んだ。

('A`)「見ろよ」

気付かぬうちに白み初めていた空の方向を指さした。
何も遮蔽物のないここからの眺めは格別に美しい夜明けが見れる。

川 ゚ -゚)「綺麗だな……」

('A`)「これが毎朝見れると、夜眠れないって気味の悪い俺の性質も悪くないと思う」
103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:23:02.60 ID:7r2vaEqgO
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104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:23:21.24 ID:Q20amxjg0
川 ゚ -゚) (そうか……)

人は異端なものを狂気的に嫌う時がある。
本来そこまでにならないでも、彼の独特の壁を作る癖が悪く影響してしまった。
実際、寝ないなんてことを私は想像できないが、それだけの時間を与えられるということは
きっと同時に多くのものを失うことなのだろう。

そして私は不意に気が付いた。

朝焼けを見つめる彼の暗赤色の瞳の中に見た哀しさは、私が心に持っているそれと同じなのだということを。
だから落ち着いたんだ。彼の中に自分と同じ欠落を見つけてしまったから。
私の視線に気が付いた彼と視線が交錯する。
闇に溶けた紅の瞳に、引き込まれるような錯覚。
立ち尽くした私に彼は穏やかに微笑んで「綺麗だな……」とやけに小さな声で告げた。



105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:23:41.90 ID:7r2vaEqgO
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106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:23:47.96 ID:Wgkspg+aO
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107以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:24:23.49 ID:Q20amxjg0
第五話「浮き舟」

男性兵士1「おい、知ってるか、事務に入った女の話?」

男性兵士2「知ってる知ってるw金髪の巻き毛の娘だろ?」

男性兵士1「そうwめっちゃ可愛くね?」

男性兵士2「顔可愛いけど性格きつくね? あんま話したことないから知らんけどw」

男性兵士1「いや、ハインさんにも気に入られてるみたいだしそれはねーよw」
  _
( ゚∀゚)「こら、仕事しろっつーに」

男性兵士1「うぉ!隊長!」
  _
( ゚∀゚)「ったく。まぁ良いけどよ。どうだ、異常ねーか?」

男性兵士2「はい。今のところどこからも。連絡も定時通り入っています」
  _
( ゚∀゚)「そうか。ま、お前らそんな話題出せるくらいだから平和なんだろうなぁ、この街は」

男性兵士2「最近警備厳しくしてるみたいですけどなんかあるんですか?」
  _
( ゚∀゚)「……まぁ、避難民が入ってきたのもあって治安問題とかがあるんだろうよ」

男性兵士1「? ……なんか含みのある言い方ですね?」
108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:24:36.58 ID:7r2vaEqgO
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109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:25:14.34 ID:Q20amxjg0
  _
( ゚∀゚)「中佐がな、嫌なことがありそうだってよ。あの人の勘は当たるからな」

男性兵士2「中佐ってブーン司令ですよね? 長い付き合いなんですか?」
  _
( ゚∀゚)「いや、そういうわけでもない。3年位だろうな、あっという間に中佐になっちまったw」

男性兵士2「あの人ってその辺謎が多い人ですよね。軍にコネかなんかあるんですか?」
  _
( ゚∀゚)「さぁな。だが若い頃にアメリカの大学を飛び級合格して、
       向こうで米軍研究者だった時期があるらしいからその影響もあるんじゃないか?」

男性兵士1「へぇー、超エリートだったんだ。」
  _
( ゚∀゚)「ああ、だが学歴を抜きにして考えても並じゃないぞ」

男性兵士2「そうですね。ここら一帯でまともに抵抗戦線張れてるのウチと
      海越えた対岸のショボン司令の所だけじゃないですか?」
  _
( ゚∀゚)「ああ。なんにせよ、優秀な統率者の下に入れるというのは幸せな事だな」

男性兵士1「俺は美人さんの下で働きたい……w」
  _
( ゚∀゚)「気持ちは分かるがなw」

男性兵士1「そういえば、最近事務仕事やってツンちゃんって避難民って噂本当ですか?
       それが司令が見初めて建前上事務やらせてるって」
110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:25:37.13 ID:Wgkspg+aO
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111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:25:41.59 ID:7r2vaEqgO
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112幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 07:25:53.57 ID:98OXAE/M0 BE:1381227277-PLT(12011)
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113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:26:06.29 ID:Q20amxjg0
  _
( ゚∀゚)「ああ、彼女が避難民というのは本当だが、中佐が雇用した理由は彼女がアメリカの大学でた
     優秀な娘だからだろ。実際仕事はうまくやれてるしハインの評価も高いからな」

男性兵士1「うへぇー、なんか硬い感じすると思ったらそんな女なのかよ」

男性兵士2「諦めるんだな。もとからお前には何の縁もなかったんだろう」

男性兵士1「畜生ー!せっかくの上玉なのに!久々にときめく予感がしたのに!!」
  _
( ゚∀゚)「お前はどこの乙女だwwwww ま、そんなことが考えられる程俺らは平和なのさ」

男性兵士2「そうですね。今のところは……ですけど」
  _
( ゚∀゚)「まぁな。でも俺らに出来るのは愚直に毎日を必死に生きるしかない。
      それで、せめて自分の手で救える位のものを救えればそれで良いんだよ」

男性兵士達「……」
114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:26:28.44 ID:7r2vaEqgO
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115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:26:49.97 ID:Wgkspg+aO
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116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:26:51.53 ID:Q20amxjg0
  _
( ゚∀゚)「そんで、自分の大切な人が幸せするんだよ。そのためには俺達は戦場で死んではならん。
      生き残れ。自分の大切な人を守れ。今日できうることを全てやれ。
      努力したからといって必ず成功するとも限らんが、成功のために必ず努力は必要だ」

男性兵士1「隊長ちょっとかっこいいこといいましたねw」
  _
( ゚∀゚)「ま、全部中佐の受け売りだがな。俺はあの人に全て賭けるよ。それでダメでも後悔しないからな」

男性兵士2「ウチの司令ってやっぱすごいんですね」
  _
( ゚∀゚)「そ。それで本人はまるで自覚無しっての怖いなw」

ジョルジュはブーンのどこか遠くを見るときの表情を思い出していた。
あの瞳には何が幻視されているのだろう?

遥かな輝かしい未来だろうか?
苦難しかない絶望を必死に見据えているのか?
それともそうではないどこか別の未来を展望しているのだろうか?
  _
( ゚∀゚) (考えても分からんことか……。)

どうせ、自分には予測すら出来ないのだ。
  _
( ゚∀゚)「無駄話が過ぎたな、仕事を進めるぞ。まずは救援物資の状況確認だが――」

それならば今日出来うることを全てやってしまおう。
その先にあの男が見る未来がある。
117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:27:18.28 ID:7r2vaEqgO
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118以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:28:09.09 ID:Wgkspg+aO
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119以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:28:14.64 ID:Q20amxjg0


ツンが来てから2週間が経ったある日。
外は最近まれに見る大雨が降り注いでいた。


ξ゚听)ξ「……」

会議室は緊張に包まれている。
ブーン、ギコ、ハインの部下のしぃ、それから掃除のおじいさんが真剣な顔で向かいあっていた。

(*゚ー゚)「……」

しぃの手が多大な緊張のためか、僅かに震えている。

( ^ω^)「さぁ、早く切るんだお」

術数権謀に長けた軍師を思わせるような高圧的な態度と、幾重に張り巡らされた罠がしぃを追い込んでいく。

おじいさん「司令、あんたも悪ですなぁ」

( ^ω^)「……なんの事だお?」

( ,,゚Д゚)y ̄~「いやぁ、しぃちゃんにまでその毒牙にかけようってんだからですよ」

おじいさん「それも部下が自分の上官からの催促とあっては焦らざるを得ませんからのぉ」

( ^ω^)「クク、知らないお。僕はただ少し待つのが苦手なだけだお」
120以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:28:23.30 ID:7r2vaEqgO
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121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:28:54.98 ID:Q20amxjg0
そんな腹黒い大人をやり取りをツンだけが冷静な、いや、氷点下の視線で見つめていた。
その瞳は明らかな不快感が見て取れる。ついで、憎しみにも似た蔑みがそれに続いた。
しかし彼ら4人はそんな視線の干渉を許さない世界へとのめり込んでいく。

(*゚ー゚)「じゃあ、これ!!」

バシッとしぃは手元の牌から一枚を切った。

( ^ω^)「うはwwwwwwwwwwwwロ――」

おじいさん「ほほ、ロンじゃwww」

( ^ω^)「ちょwwwwおまwww人にアレだけ言っといて自分がwwwwwっうぇwwwwっうぇwwww」

( ,,゚Д゚)y ̄~「この腐れ老獪が……」

(;゚ー゚)「ええーーー!!またふりこんだの私なの……。」

おじいさん「これも全ては歴史の必然よwwwwwwwwwwwww」

( ^ω^)「wwwwwwwっうえwwwwそんな歴史の一つや二つ僕が変えてやるおwwwwwwwwwwwww」

(*゚ー゚)「司令、言ってることはかっこいいですが、使う場所がおかしいです」

( ^ω^)「これ勝てば初の3連勝だったんだお!!あと!!あと一歩のところで!!!」
122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:29:14.33 ID:7r2vaEqgO
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123幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 07:29:16.92 ID:98OXAE/M0 BE:1268473695-PLT(12011)
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124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:29:47.95 ID:Q20amxjg0
( ,,゚Д゚)y ̄~「ふぅ、大分お互いの手の内が読めてきていますからね、疲れますよ。」

おじいさん「とりあえず賞品のツンちゃんの肩揉み券ゲッツ☆」

( ^ω^)「うわああぁあぁぁああ、3連勝はツンの手料理+膝枕で耳掻きだったのにwwwwwwww」

( ,,゚Д゚)y ̄~「いや、それはまずいだろう」

ばしぃぃぃん!!!!!

4人「……」

彼らは怒りの鉄槌という平手が叩きつけられたテーブルから、その腕の先を見つめた。

ξ^竸)ξ「……」

(:^ω^) (え、笑顔がwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww)

( ,,>Д<)y ̄~ (何も知りません>< って顔しておこう)

おじいさん「ほひ……」

ξ^竸)ξ「……なんで仕事サボって会議室で麻雀してるんですか?」

( ,,>Д<)y ̄~「司令に誘われました、俺は悪くありません><」

ξ゚听)ξ「黙りなさい。あなたには聞いてないわ。根性焼きもらいたいの?」

根性焼きってあのタバコの火を押しつけるやつね。とっても熱くて痛いから良い子は真似しないでね。
125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:30:11.74 ID:7r2vaEqgO
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126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:30:20.79 ID:Wgkspg+aO
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127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:30:27.52 ID:Q20amxjg0
(;^ω^) (ってことは質問対象は僕オンリーですかお?wwwwwwwwwwwwwww)

( ;;゚Д゚)y ̄~ (こいつ……目がマジだ)

ξ^竸)ξ「それでなんで司令様がこんなことを?」

(;;^ω^)「いや、今日はほらする仕事も一通り終わらせて、後は連絡待ちだったし……」

ξ^竸)ξ「――しかも私を賭けの対象にして」

;;;^ω^) (カーチャントーチャン、ぼかぁもうダメもかもわからんねwwwwwwwwwwwww)

ξ゚听)ξ「……」

(;^ω^) (無言の重圧、といより最早殺意……これはもう最終手段を使うしかwwwwwwwwwwwwwww)

( ゚ω゚)カッ
128以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:31:02.89 ID:Q20amxjg0
第六話「静追い」

本部会議室

从 ゚∀从「頬どうしたんですか?」

(#)^ω^)「痛てーお……」

从 ゚∀从「さっきツンが怒って出て行ったようですが。」

(#)^ω^)「麻雀してたら見つかったおwwwwwwwwwwwwwww」

从 ゚∀从「あなたって人は……」

( ^ω^)「ツン最近大分元気になったお。前はあんな表情できなかったお。
      他人にしっかり怒ってやれるのは余裕があることだお。それに楽しそうだったお」

从 ゚∀从「そうですか。じゃあ私にも一発殴られる覚悟はおありですね?」

(;^ω^)「いやwwwwwwちょwwwwwおまwwwwwwwww待てwwwwwwwwww
      なぜ殴ると言って銃口を向ける?wwwwwwwwwwwwwww
      
      僕は君には感謝してるんだお!僕は君をツンの上司にして良かったと思うお。
      君みたいな優秀な人材はなかなかいないお。

      だから撃たないで」
129以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:31:07.03 ID:7r2vaEqgO
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130以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:31:51.34 ID:Q20amxjg0
从 ゚∀从「しかし、こんな時にわざわざ……」

( ^ω^)「む……。やはりあの街からの連絡が途絶えたかお?」

从 ゚∀从「ええ。もうここが最後の砦のような状態です。日本ではここ以北の人類生存地区は存在しません」

( ^ω^)「……」

从 ゚∀从「司令、間違いなく近いうちにここが標的にされます。いえ、敵の行軍履歴を見る限り
     ここを落とすための立ち回りですから、それを考えればもう2週間以上前から標的だったのでしょう」

( ^ω^)「……今日7月の19日かお?」

从 ゚∀从「はい」

( ^ω^)「……全く。あと少しだったのに。おしいお」

从 ゚∀从「何がですか?」

( ^ω^)「いや、気にしなくて良いお。ハイン、まともにやり合ったらこの街は何日持つお?」

从 ゚∀从「一日も持ちません。6時間が限度でしょう」

( ^ω^)「今すぐにショボン司令のところまで逃げ切るのにどれほどの犠牲がつく?」

从 ゚∀从「全人口の約5%かと。しかし、そんなことをすれば移動後の街で深刻な食糧難を招きます。
      あの狡猾な男がそんな無謀な受け入れをするとは思えません」

( ^ω^)「そうだろうお。どの道、逃げただけでは逃げ延びた場所で殲滅されるのがオチだお」
131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:32:01.00 ID:7r2vaEqgO
支援
132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:32:25.21 ID:7r2vaEqgO
支援
133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:32:38.13 ID:Wgkspg+aO
支援
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:32:52.59 ID:Q20amxjg0
从 ゚∀从「……撤退戦、ですか?」

( ^ω^)「やるしかないお」

撤退戦は指揮が難しい。
兵士の士気は上がりづらく、指揮系統は情報過多で麻痺しやすい。
そして最も死亡する人数が多いのもまた撤退戦なのだ。

从 ゚∀从「しかも包囲脱出の後の撤退戦ですからね……」

( ^ω^)「生き残れる見込みはどれくらいかお?」

从 ゚∀从「……」

( ^ω^)「ハイン?」

从 ゚∀从「……0.00%です」

( ^ω^)「コンピューターの予測に過ぎんお」

从 ゚∀从「司令……」

( ^ω^)「ショボン司令の領内に行くにはどうしても海を通らねばならんかお?」

从 ゚∀从「……え?はい、そのはずですが」

( ^ω^)「たしか、海底トンネルがあったはずだお。そこからのルートは考えたかお?」

从 ゚∀从「……いえ、しかしトンネル内では一度蟲に追いつかれたら全滅しますよ」
135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:33:20.92 ID:7r2vaEqgO
支援
136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:33:23.57 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「海上を船舶で行くよりはずっと生存率が上がるはずだお。至急調査してくれお」

从 ゚∀从「はっ」

駆け出すように部屋を飛び出した彼女を見送ったブーンは、それとは対照的にゆっくりと部屋を後にした。

( ^ω^)「0.00%かお……。懐かしい数値だお」

雨はやがて上がろうとしていた。


137以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:33:38.26 ID:Wgkspg+aO
支援
138以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:33:51.35 ID:7r2vaEqgO
支援
139以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:34:06.34 ID:Q20amxjg0


ξ゚听)ξ「ここか……」

私の口からちょっと気が重そうな声がこぼれた。
目の前の部屋には司令室と書かれたプレートがつるされている。
司令が麻雀なんて、とジョルジュさんに愚痴ったら逆に彼に窘められてしまった。


「司令はそんないい加減な人間じゃない。あの人がリラックスしてる時はそうしてもいい時ってことだ」


と。
実際ブーンさんはもう今日の仕事は終わっていたらしい。
それを知らずとも上官に対してああも言うのは非礼だったと自分でも思う。

だから、まぁ、謝っておこうと思ったのだ。

ξ゚听)ξ「一応、けじめはつけないといけないし……」

踏ん切りのつかない自分を声で納得させて彼の部屋をノックする。

ξ゚听)ξ「司令! ちょっと良いですか?」

返事はない。
おかしいな、ジョルジュさんは司令とハインさんがここにいるって言ってたのに。
140以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:34:36.61 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「入りますよ」

ガチャリ、とドアをあけ中に入る。
中に人はいない。電源を消し忘れたのかコンピューターだけが低い機械音を上げている。
司令室にはとても彼の趣味には合わなさそうな荘厳な雰囲気を持つ絵画がかけられていた。
それぞれ年齢の違う4人の人間が自らの世界に浸っているようだ。

ξ゚听)ξ (変わった絵ね……)

やけにこの絵に引き込まれる。
いや、確かに絵は美しい。
きっと私は知らないが名のある人が描いたのだろう。
だけど私の胸に一番最初に芽生えたのは、そんな不思議な魅力やその美しさではなかった。

ξ゚听)ξ (歪んでる)

そう。確かにそう思った。この絵は歪んでいると。
いや絵の内容ではない。
ここから語りかけられるモノが歪んでいるのだ。
私はしばらくその絵に目を奪われていた。

絵の中の暗い部屋の中で卑屈な笑みを浮かべる男は何故だか見覚えがある。
見覚え……とは少し違う気もする。
141幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 07:34:37.12 ID:98OXAE/M0 BE:1578545287-PLT(12011)
蟲って泳げるの?
142以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:36:11.92 ID:Wgkspg+aO
支援
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:36:51.30 ID:Q20amxjg0
おじいさん「およ? ツンちゃん司令に用事かい?」

中を覗き込んだままの私に、通りかかった掃除のおじいさんが声をかけてくれた。

ξ゚听)ξ「はい。どこにいるか分かりませんか?」

おじいさん「さっき用事があると言って出て行ったよ。今夜は遅くまで帰らないらしい。」

ξ゚听)ξ「……そう、ですか。」

不思議な絵と彼の不在で、意気込んでいたものが空振りしてしまった。
私は掃除のおじいさんにお礼を言った後、ブーンさんが消し忘れたPCを消そうと思って中に入った。
現在日本でははネット回線がダウンしているため、文書作成などがメインの目的のようだ

デスクトップは何の変哲もなかったが、私は一つだけ英語で書かれたその項目が妙に気になった。
もちろん、司令のPCの中身を勝手に見るなど規律違反だ。
見つかったら大変なことになるかも知れないが、好奇心がその恐怖感を上回った。

ξ゚听)ξ「The Ark? 何これ?」

ダブルクリックで開いてみると、広がったウィンドウには画面いっぱいの英文と簡易な図が現れた。

ξ゚听)ξ「研究資料? でもこれって……」

それは一度は見たことがある資料。
私がアメリカの大学で研究中だったもの、つまり蟲の関する遺伝子研究データである。
144以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:37:43.30 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「そっか、そういえば司令もアメリカの大学で研究してたって言ってたっけ」

それならば別にここにこれがあっても――

ξ゚听)ξ「――あれ?でもそれだと……」

ブーンさんが日本に来たのは6年程前だったはずだ。
蟲が最初に現れ始めたのもちょうどそれから1年後くらいの時だった。
蟲の遺伝子研究が本格的に行われ始めたのは約4年前。

その頃にはもう日本のネット回線なんかとっくに蟲に破壊されている。
当然アメリカになんか物理的手段で到達できない。

この研究データの入手経路が存在し得ない。

ξ゚听)ξ「しかもこの資料、私見たのよりずっと詳しい……いや、そうじゃなくて」

研究データは確かに私が研究していたものより詳しい。だけどそれとは別の違和感がある。

ξ゚听)ξ「……」

何だろう、この違和感は。
何かは分からないがはっきりと知覚できる。
このデータはどこか根本的におかしいのだ。
145以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:38:18.57 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「……なんだろう? 別に資料的にはおかしくないのに」

その資料には蟲たちの特性がそれぞれ細かく書かれ、次に工学的な見地からの検証が為されている。


蟲は全部で5種類いる。

最も数が多く、繁殖力が強いスカラベ。
巨大なハエを思わせる体長3mくらいのフライ。
ムカデのような外見と機動性が高い体長5mくらいのワーム。
巨大な体躯と特に頑丈な甲殻を持って突撃を仕掛ける家のように大きなアーム。
そして人類の電子兵器をことごとく無効化してきた体長200mをこえるエレ。

これらを総称して人類はその存在を蟲と呼んできた。

特にエレは世界で数匹しか確認されておらず、
特殊な電磁波を出して人類の近代兵器に対抗し、未だ一度も撃墜されていない。
まさしく人類の恐怖の象徴だった。

ξ゚听)ξ (エレに関するデータは……ないか)

エレに関するデータなんてあるはずがない。だってまだサンプルの死骸や
体の部分さえ人間は手に入れられていないのだから。
私は少し安心する。もしここに『あるはずのないデータ』まであったら……。


あったら、それは何を意味するのだろうか?
146以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:38:40.84 ID:Wgkspg+aO
支援
147以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:39:06.01 ID:Q20amxjg0


   「ツーンちゃーん?」

ξ゚听)ξ (まずい……)

私は急いでコンピューターをシャットダウンして司令室を飛び出した。
扉から出たところでしぃさんに捕まる。

(*゚ー゚)「どこ行ってたの? もう晩御飯だよ」

ξ゚听)ξ「あ、すいません。司令を探してて」

(*゚ー゚)「そっか、司令が出かけちゃったこと知らなかったんだ。
     あ! 今日は流しそうめんだから早く行かないと全部食べられちゃうよ?」

ξ゚ー゚)ξ「そうですか。じゃあ急いでいきましょう」

いつもより少し歩調を速めて歩くしぃさんの会話は全然頭にはいってこない。
私の関心はさっきの資料に9割以上寄せられていた。

……蟲は一体何なのだろう?
単なる進化の途中で生まれ出た一生物なのだろうか?
それとも、人を殺すために生まれ出てきた存在だったりするのだろうか?

そんなことあるはずない。
148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:39:45.84 ID:Q20amxjg0
けれど、何なのだろう?
蟲は何なのだろう?

思考がループする。

わかりっこないことを考えてる?
そうだ、わかりっこないことを考えている。
本当に?
何かを見落としている気がする。
見逃してる?
そう。けど、それは……。

何を?                                       分からない。
                         何を?
何を?                                       人……?
                         人を?
え?                                        違う、蟲。
                         人?
人を。                                       誰?
                         人?
誰?                                        アレ?
                         彼を?
彼?                                        違う。
                         ブーン……さん?
見落としてる?                                   違う。
                         蟲?
違う。                                       違う。
                         何が?
人だ。                                       違う。
                         何が?
149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:40:30.16 ID:Q20amxjg0

何が?



ξ゚听)ξ (ダメね……頭の中がおかしくなりそう)

思考に靄がかかってはっきりしない。

ξ゚听)ξ (情報が足りない……、もう一回詳しくあの資料見てみなきゃ。蟲のことが分かるかも知れない)

そもそも何故あんな資料があそこにあるのだろうか?
しかも、彼がアメリカにいたときのものだと考えるとアレはもう6年以上前の資料ということになる。
蟲が蔓延るようになったのは5年前だから、そんなことはありえないのだ。

(*゚ー゚)「ツンちゃんどーしたの? ぼうっとしちゃって?」

ξ゚听)ξ「いえ。……そうだ、しぃさんって司令といつから知り合いですか?」

(*゚ー゚)「んっと彼が中佐になってからだから……4年前くらいからかな?」

ξ゚听)ξ「それから司令ってアメリカに行ったことありますか?」

(*゚ー゚)「いや、ずっと日本にいたよ。私達の街をずっと守ってくれてる」

ξ゚听)ξ「そう……ですか」
150以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:40:31.25 ID:Wgkspg+aO
支援
151以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:41:17.49 ID:Wgkspg+aO
支援
152以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:41:21.87 ID:Q20amxjg0
(*゚ー゚)「なんで?」

ξ゚听)ξ「いえ、たいしたことじゃないんですけど」

(*゚ー゚)「あー!!やっぱり先に食べてる!!待ってて言ったのに!」

しぃさんは私の手をもって小走りに駆け出した。

やはり今はまだ情報が少なすぎる。
もう一度資料を見直してみよう。


屋外に設置された流しそうめんの食卓は、幹部と通信兵の人たちで既に盛り上がっている。

从 ゚∀从「早く来ないとなくなるぞ〜。」

私達を視界に捉えたハインさんが大きく手を振る。
今だけはみんなが蟲の恐怖を忘れて夕暮れ時の晩餐を楽しんでいた。
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:41:47.84 ID:Q20amxjg0
少し前の買出しに行った時、ブーンさんが言っていたことを思い出す。
『僕はこの笑顔をずっと見ていたいお』と。
はしゃいでいた子供だったか、それを見た彼は静かにそんなことを呟いた。

次々と死に絶えてゆく同胞をみながら、彼はこの街で必死に蟲に抗い続けてきたのだろう。
そして彼が守ってきたこの街では確かにそこに守りたい日常があった。
彼がこの様子を見たらきっと大喜びするだろう。
それとも、一緒になってはしゃぐのだろうか。
彼が守り続けてきた笑顔は確かに街のなかに芽生えていた。

今はただ、私もそれを楽しむことにした。


154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:42:45.58 ID:Q20amxjg0
第七話「霞遥か」


夕暮れ・ビル屋上

川 ゚ -゚)「おいしいか?」

('A`)「……ああ」

川 ゚ -゚)「ふふふ、作った側としてはもう少し良いリアクションを期待していたのだがな」

('A`)「お前の飯がうまいのはもう分かりきってる」

川 ゚ -゚)「そうかそうか。君も素直でないな」

('A`)「……知ってるよ」

ちょうど日が暮れた時間帯、彼はいつもこの時刻に仕事を一旦休息する。
その時を見越して私が料理を用意しておくのが日課になっていた。

川 ゚ -゚)「しかし勤勉だな君は。ずっと休むことなく警戒にあたっているじゃないか」

('A`)「いつ蟲が襲ってくるとも限らんしな。最近は特に活動が活発になって来てる」

私は彼が休んでいるのを見たことがなかった。この2週間たった一度だって。
155以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:43:05.11 ID:Wgkspg+aO
支援
156以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:43:26.90 ID:Q20amxjg0
川 ゚ -゚)「いつ襲ってくる、か……。そんなことよりもいつこの状態が終わるのかの方がよほど興味がわくな」

どことなくトゲのある言い方になってしまったかもしれない。
別に彼に当たってもしょうがないのは分かりきっているのに。

私の不安は私を彼に甘えさせてしまうようだ。

('A`)「……クー、ちょっといいか」

川 ゚ -゚)「? かまわないが」

('A`)「お前最近、夜に空見上げたことあるか?」

川 ゚ -゚)「そう言えばないな」

('A`)「見上げてみろ」

彼の言われた通りに上を向く。そこには満天とはいかないまでも十分に美しい星空がっていた。
煌く星々を見ていると空の大きさが良く分かる。

いつからだろう?こんな美しい夜空を見上げなくなったのは。

川 ゚ -゚)「綺麗だな」

('A`)「……もともと、ここから見える星空はこんな澄んではいなかったんだ」

川 ゚ -゚)「そういえばそうだな。私の小さな頃より大分綺麗に見える」

('A`)「蟲って何なんだと思う?」
157以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:43:59.89 ID:Wgkspg+aO
支援
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:44:18.32 ID:Wgkspg+aO
支援
159以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:44:28.66 ID:Q20amxjg0
川 ゚ -゚)「? なぜ突然そんなことを聞く?」

('A`)「クー、人間は地球にとって癌のような存在だと考えたことはないか?」

川 ゚ -゚)「癌? 環境問題のことか?」

('A`)「いや、それに限ったことじゃない」

川 ゚ -゚)「まぁ確かに増えすぎてはいたな、人類は。現在ではもう1割程度しか残っていないようだが」

('A`)「そう、ちょうど今から5年くらい前の蟲が現れる直前のことだ。
     あまりにも増えすぎて人間は環境をどうこう言ってられなくなった」

川 ゚ -゚)「中国やアフリカを中心にした人口増加に伴う食料問題も過激化してたからな」

('A`)「ああ。初めて蟲が出現した中国はもう食糧問題で戦争を起こしそうな状態だった」

川 ゚ -゚)「第三次世界大戦、核の戦争の火種か? あんなものは所詮外交上の話で――」
160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:45:07.56 ID:Q20amxjg0
('A`)「そう、そのはずだった。アメリカがあの政策を打ち出すまではな」

川 ゚ -゚)「政策?」

('A`)「アメリカの遺伝子工学技術が異常に発展しているのは知っているだろう?」

川 ゚ -゚)「ああ」

('A`)「アメリカは開発しちまったのさ、夢みたいな技術をな」

川 ゚ -゚)「夢のような技術? 生産性と栄養価が高い作物かなにかか?」

('A`)「いや、ほとんどの作物の生産性を上げる技術そのものだ」

川 ゚ -゚)「それの何がいけないんだ?」

('A`)「それ自体は問題ない。だけどアメリカはその技術を金で世界に売ろうとした」

川 ゚ -゚)「なるほど、もしそんな作物があれば外交上有利に話を進められるしな」

('A`)「そうだ。だけど中国はそれを良しとしなかった。世界的な危機を前に金を要求するのかってな」

川 ゚ -゚)「そして中国とアメリカがあんなにもこじれていたのか」

('A`)「まぁ、他にも様々な問題があったんだろう。下手したら本当にそんな戦争が始まるかも知れないって時だった」

川 ゚ -゚)「そこにちょうど蟲が現れたのか」
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:45:19.52 ID:Wgkspg+aO
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162以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:45:52.06 ID:Q20amxjg0
('A`)「蟲にしてみれば中国は餌の宝庫だからな。中国の人口が半分になるのに5日とかからなかった」

川 ゚ -゚)「なるほど、それからは良く知っている。もう蟲が世界のあらゆるところで目撃されていたからな」

('A`)「そうか? お前はその後の中国の様子を知っているか?」

川 ゚ -゚)「……いや。なにかあるのか?」

('A`)「蟲が中国を喰い尽くしたあと、そこに何が残ったと思う?」

川 ゚ -゚)「……? わからない。何が残っていたんだ。」

('A`)「単純だ。人間を喰いっぱぐれて飢え死にした蟲と喰い散らかされた人の死体と使用者のいない人工の建造物だ」

川 ゚ -゚)「だからどうしたって言うんだ?」

('A`)「ところがだ、衛星写真に移った中国のその後の様子にはあるものが決定的に欠けていた」

川 ゚ -゚)「あるもの?」

('A`)「そう。何だと思う?」

川 ゚ -゚)「……わからんな。なんだ?」

('A`)「建造物さ。あるはずだろ。たった十数日前までは人が住んでいたんだから」

川 ゚ -゚)「なくなっていたのか?」

('A`)「きれいさっぱりな。都市部でもほとんど荒野になっていた」
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:46:21.71 ID:Wgkspg+aO
支援
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:46:53.46 ID:Q20amxjg0
川 ゚ -゚)「そんなことが……しかし何故?」

('A`)「……蟲が喰ったんだ。コンクリートも、金属も、科学樹脂も何もかもな」

川 ゚ -゚)「それって……」

('A`)「見方によっては一種の浄化かもしれない。人間の存在に侵されたこの世界の全て無に返す」

川 ゚ -゚)「……」

('A`)「さらに数ヵ月後にはどうなっていたと思う?」

川 ゚ -゚)「森……か?」

('A`)「察しがいいな。森とまでは行かなくても急速な緑化が進んでいた。
     人間に蟲の死骸、それに急速に自然分解された様々な物質が溶け込んだ肥沃な土壌が作られているからな」

川 ゚ -゚)「じゃあ、蟲の存在は……」

('A`)「あまりに増えすぎた人類への粛清だったのかもな。なんで俺が星空のこと言い出したか分かるだろう?」

川 ゚ -゚)「世界の浄化、それが蟲の存在意義ってこと? あまりに救いがないな……」

('A`)「だろう? 世界はこんなにも平等だ。一種の生物の隆盛を許さない」
165以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:47:34.22 ID:Q20amxjg0
彼はなんだか自嘲的に笑ってその哀しい暗赤色の瞳を夜空に向ける。
私も再び空を見上げる。雲のない大きな空は星を大量に映し出していた。
確かに、しばらく前はこんな綺麗な星空は目に出来なかった。

世界は人を葬って確実に美しくなっている。
そんなことをこんなにも美しい星空が実感させてくれるなんて。

('A`)「だからな……」

川 ゚ -゚)「?」

('A`)「いや、やっぱりいいわ」

川 ゚ -゚)「……ふふ」

('A`)「何がおかしい?」

川 ゚ -゚)「いや、君は本当はそんなに良くしゃべるんだなと思ってな」

('A`)「お前が来ちまったからな、変わったのかも知れない」

川 ゚ -゚)「ほほぅ。今日はやけに素直じゃないか。酒でも飲んでるのか?」

('A`)「飲んでねぇよ。ちょっとしゃべりすぎはしたがな」

川 ゚ -゚)「ふふ、そうか」
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:47:49.62 ID:Wgkspg+aO
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167以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:48:12.80 ID:Q20amxjg0
('A`)「クー」

川 ゚ -゚)「なんだ?」

('A`)「なんでお前はここにいてくれるんだ?」

川 ゚ -゚)「他に行くところもないからな。迷惑か?」

('A`)「それはない、いやむしろ感謝してる」

川 ゚ -゚)「今日は本当に素直だな」

('A`)「なぁ、クー」

川 ゚ -゚)「なに?」

('A`)「……いや、やっぱいい」

川 ゚ -゚)「言いかけてやめるなよ、気になる」

('A`)「何でもない。もう寝ろ」

川 ゚ -゚)「寝るにはまだ早いな」

まだ夕食を終えて一時間程しかたってはいない。
しかし、特にやることもない、そんな中途半端な時間。
ここに来てからはいつも彼と他愛ないことを話していた時間なのに、今日はなんだか様子がおかしい。
168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:48:33.51 ID:Wgkspg+aO
支援
169以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:48:55.79 ID:Q20amxjg0
('A`)「……ちくしょう」

川 ゚ -゚)「何が?」

('A`)「何でもねぇよ。あれだ。風呂入って来い」

川 ゚ -゚)「ああ、そうするつもりだ。見張り、頼んでいいか?」

('A`)「おう」

川 ゚ -゚)「覗いてもいいぞ」

('A`)「の、のぞかねーよ」

川 ゚ -゚)「ふふ、やはり君は面白いな」

本当に覗いていないのに動揺するところが、特に。

('A`)「くそ。もう早くいけ。こっちは夜も見張ってなきゃいけないんだからな」

川 ゚ -゚)「ご苦労様。おかげで私は銃声の中でも安心して眠れるよ」

('A`)「悪かったな、銃声がうるさくて」
170以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:49:20.11 ID:Wgkspg+aO
支援
171以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:49:32.10 ID:Q20amxjg0
川 ゚ -゚)「気にするな、最近は安心するようになってきた」

('A`)「それもどうかと――」

川 ゚ -゚)「いや、今日も真面目に仕事をしてるみたいだから襲われる心配はないなと」

('A`)「ああそうかよ! 俺は理性的なんだよ畜生!!!」

川 ゚ -゚)「意気地がないだけじゃないのか?」

('A`)「うるせぇよ!」

川 ゚ -゚)「さてそれでは見張り頼んだぞ。君意外にはあまり覘かれたくないからな」

('A`)「どういう意味で言ってやがる……」

川 ゚ -゚)「そのままの意味さ、じゃあ風呂に行きますか」

その後彼は「……糞っ」だけ小さく呟いていつものように私の後についてきた。


きっと私は幸せな人間だ。
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:50:25.56 ID:Q20amxjg0
第八話「陽無し」




男は何気ない街の風景を描いた。一つは生活のため。一つはそれが本当に好きだったから。
いつしか男の作品は世界中の誰もが知るような有名なものになった。

しかし男は決してそんな風景画以外を描くことはなかった。
男にとって、他の題材は全て無価値だった。

市街風景の中に人が描かれることはあっても、それはあくまで風景として捉えられていた。
だから彼が生涯で描いた4枚の人物画は酷く歪んでいた。
いや、絵としてはそれは確かな技術の伴う素晴らしいものだったと言えるだろう。
だが鑑賞者はすべからくそれに歪みを感じたのだった。

四枚絵画の題材は「Sight-Alterers(改景者達)」と銘打たれた。

精悍な青年が旗を掲げ、遥か彼方の空を見やるその絵画の名は「Hero(英雄)」
壮年の男が敵兵に囲まれながら爛々と瞳を輝かせるその絵画の名は「Monster(怪物)」
卑屈そうな中年の男が暗い部屋で不適に笑うその絵画の名は「Gifted(天才)」
人の良さそうな老人が穏やかな微笑みを浮かべるその絵画の名は「Demon(悪魔)」
173以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:51:05.60 ID:Q20amxjg0
「何故急に人を題材にした絵を描こうと思ったのですか?」というある記者の言葉に男はやや戸惑ってこう答えたそうだ。
「わからない。でもきっと僕は彼らを人間とは思わずに描いたと思う」と。

男は続ける。

「彼らは僕が見てきた『景色』という世界に干渉してきた『モノ』なんだ。
 彼らだけが僕の世界に影響する。彼らだけが僕の見ている『景色』を変えていく。
 彼らの作る歴史は人を変える。
 彼らが変える歴史は多くの人間に影響を与える。
 彼らに影響された人間はやがて僕の見ているこの『景色』を作った。
 だから彼らは『景を変えゆくもの達』なんだ」

記者は言葉を続けられなかった。この男が見ているものが理解できなかった。
いや、そこに居合わせたほとんど人間も彼の世界を共有出来なかった。

男は最後に告げた。

「おそらく僕の伝えたいことは言葉じゃ伝わらない。だから僕はこの絵を描いた。あとはこの絵が語ってくれる」

男が描いた最後の絵は酷く歪んだ4人の人間だった。
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:51:35.29 ID:Wgkspg+aO
支援
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:52:05.16 ID:Q20amxjg0


夜・ブーンの部屋


( ^ω^)「なんでツンちゃんは生命工学を専攻したんだお?」

私があの奇妙な資料を見かけた日から2日後の夜、突然彼はそんなことを聞いた。

ξ゚听)ξ「理由……ですか?」

最近では私と彼の間には初めてあった時のような緊張感はほとんど消えていた。
彼の親しみやすい性格とまめな気配りのおかげだろう。

( ^ω^)「普通はなかなか女の子が目指すような科ではないと思うお」

ξ゚听)ξ「そうですね。私も12歳のその時まで夢にも思いませんでしたから」

私はこの人に興味がある。惹かれているといっても良いかもしれない。
追い続けてきた人の影にどことなく似ているからだろうか。

( ^ω^)「12歳? そんな時に決めたのかお?」

ξ゚听)ξ「ええ。まぁ、私の家柄では12歳って時はほとんど人生が決まる時なんですけどね」

( ^ω^)「?」
176以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:52:57.58 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「”七瀬の女”って言えば分かりますか?」

( ^ω^)「……聞いたことがあるお」

ξ゚听)ξ「じゃあ話が早いですね。私は12歳の時、七瀬のしきたりで許婚の人挨拶しに行ったんです」

( ^ω^)「七瀬でってことは、それはつまり……政略結婚ということかお?」

ξ゚听)ξ「そうでしょうね、七瀬はそうやって生き延びてきたんですから」

当時はそんなことは知らなかったが、私の家はそういう正当ではない結びつきが多い家として有名だったそうだ。

ξ゚听)ξ「私の家ではその時に結婚する人が決まっているのは当たり前と教えられていたから、なんとも思わなかったんです」

彼は黙って話を聞いている。

ξ゚听)ξ「だけど、私が会いに行ったその許婚はわたしとの婚約を断ったんです」

徐々にその時のことを思い出す。

ξ゚听)ξ「私の顔も見る前に先方がそう言って来たから、お母さんは少し不満そうでした。
      でも相手方の話を聞いて納得したようで、両親はもう帰ろうとしてました。
      だけど私はわけがわかんなくて、泣き出しちゃって。
      両親が困ってると許婚の人が話をしたいって言ってきたんです」

ずっと追ってきたあの人の影。

ξ゚听)ξ「和風の部屋に連れて行かれて障子の向こうにその許婚がいました」

その時から気付かないうちにもう6年が経ってしまった。
177以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:53:33.28 ID:Wgkspg+aO
支援
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:53:59.11 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「障子はあけてくれませんでした。心残りが出来てしまうからって」

あの人の顔はまともに見たことはほとんどない。

ξ゚听)ξ「だけどその人が色々話をしてくれて私をなだめてくれたんです」

その声は覚えている。そういえばブーンさんに似た優しそうな声だった気がする。

ξ゚听)ξ「その時に彼がアメリカで生命工学を研究してるって言ってたんです。
      本当かどうか分からないけど、夜眠らなくていいから一晩中勉強してて
      その人はすごく頭が良いって自分で言ってました」

( ^ω^)「……それでアメリカまで行って研究したのかお?」

ξ゚听)ξ「いや、途中からはちゃんと自分なりに目標があって目指したんですけど、
      目指したきっかけはその人への憧れみたいなモノですね」

( ^ω^)「なるほどだお」
179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:54:27.21 ID:Q20amxjg0
その時の帰り際に一瞬あの人の顔を見ることが出来た。
暗がりにいたからほとんど分からなかったが、一つだけ印象的だったのはその瞳の色。
ほんの少し紅い瞳が妙にその暗がりの中で光っていた。

ξ゚ー゚)ξ「その人が最後に言ってたんです。『自分はこの家を捨てる。
      だからもし私に七瀬の家とか政治とか関係なく会えたらまた二人で話をしよう』って」

( ^ω^)「じゃあまだ会えるかも知れないお」

ξ゚听)ξ「そうですね、今はもうどこにいるのかも分からないし、あっても分かんないでしょうけど」

結局なんでその人が家を捨てるのか、なんで私との婚約を破棄したのか等の疑問は全く分からなかった。
けれど、私にも七瀬の家の拘束があったようにその人にとってもその家の拘束が疎ましかったのだろう。

( ^ω^)「む……すこし長く話し過ぎたみたいだお。今日はもう寝るお。ツンおやすみ」

ξ゚听)ξ「そうですね、そろそろ寝ないと。おやすみなさい」

そうして私はいつものようにまどろみへ落ちていく。
180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:54:41.31 ID:Wgkspg+aO
支援
181以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:55:27.69 ID:Wgkspg+aO
支援
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:55:38.26 ID:Q20amxjg0


深夜、3時。ドクオは珍しく小屋の通信室に居た。
ほこりを僅かにかぶっていた通信機器を慎重に持ち出す。

途中小屋の中に眠るクーを起こさないように慎重に運んだ。

野外には夏の夜独特の心地よい風が吹いている。

『外』を見据えながら、久しく使っていない通信機の電源を入れた。
ジージーと、あの独特の機械音が数回こだました後、無線の応対が聞こえた。

('A`)「よう、久しぶりだな」

『そっちから無線なんて珍しいおwwwwwどうしたお?www』

('A`)「もうすぐ終わりだな、と思ってな」

『もう一波乱ありそうだおw』

('A`)「所詮ここの地域の話だろ。俺が言いたい『あの計画』のことだ」

『……アークかお?』

('A`)「ああ。……なぁ、俺達は本当に正しかったのか?」

『それは誰にもわからんお』
183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:56:02.78 ID:Wgkspg+aO
支援
184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:56:30.22 ID:Q20amxjg0
('A`)「そうだったな。すまん、昔の蒸し返しだった」

『アメリカの大学出てすぐ軍に入ったぐらいの時かお?』

('A`)「ああ。そこで初めてお前と会ったんだ」

『懐かしいおwwあの時はお互いビックリしたもんだおwwwwww』

('A`)「お互いに変な遺伝子持ってるからな」

『そういえば、最初は僕は自分の遺伝子の研究したくて生命工学の道を選んだったおwwwwwwwww』

('A`)「俺もだ。それでお互いあんなもん創りだす道に入っちまったのは”血を分けた……”ってところだな」

『全くだおwwww』

('A`)「話は変わるが、近々また蟲と戦うのか?」

『……撤退戦だお』

('A`)「……!! この街を棄てるのか!?」

『こっちの10倍くらいの戦力があるお。生き残れるかどうかもわからんお』

('A`)「……最後の最後でか。」
185以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:56:47.91 ID:Wgkspg+aO
支援
186幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 07:56:48.71 ID:98OXAE/M0 BE:1775863679-PLT(12011)
この絶望感、まさしくI AM LEGEND
187以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:57:18.86 ID:Q20amxjg0
『今まで良くもった方だお』

('A`)「そうか。いや、そうだな……」

『嫌そうだおww女でもできたかお?ww』

('A`)「……ああ」

『らしくないおww』

('A`)「うっせーよ。そっちこそどうなんだよ?」

『結構前から狙ってる子がいるおwwww』

('A`)「まだ何もしてないのか?」

『もったいなくて迷ってるおwww』

('A`)「? どういうことだ?」

『秘密を持ってるとどうしてもばらしたくならないかお?』
188以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:57:36.35 ID:Wgkspg+aO
支援
189以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:57:56.66 ID:Q20amxjg0
('A`)「一般人にアークを伝える気か!?」

『もっと面白いことだおwwwwwwwwww』

('A`)「……何を教えようとしてやがる?」

『秘密だおwwwだけどその子は真実を見つけられるかもしれないおwwwww』

('A`)「どういうことだ?」

『知らない方が良いおw』

('A`)「……お前がそういう時は本当に知らない方が良い時だろうな」

『そこで引けるのはドクオの美点だおww』

('A`)「付き合い長いからな」

『ああじゃあ、この辺で。仕事がたまってるおwww』

('A`)「相変わらず勤勉なことだ」
190以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:58:20.39 ID:Wgkspg+aO
支援
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:59:11.05 ID:Wgkspg+aO
支援
192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 07:59:37.63 ID:Q20amxjg0
『お互い様だおwww』

('A`)「うるせーよ」

プツリと気持ちよく無線は切られた。
夜はまだ明けていない。

('A`)「俺達は正しかった……それで良いんだよな? 俺『達』で、いいんだよな?」

ひたすらに空が白み始めるのを待っていた。


夜が明ける前の夏の朝。風が少しだけ冷たい。



193以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:01:37.39 ID:5qWO8Lnu0
支援
194以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:01:58.08 ID:Wgkspg+aO
支援
195以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:02:38.41 ID:Wgkspg+aO
支援
196以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:03:37.72 ID:DjgAe4K20
保守
197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:06:17.45 ID:dSOjKrQkO
wktk
198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:08:02.87 ID:eMAcnMBSO
雑煮たべてこよ
199以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:09:16.82 ID:TmOPxYTnO
wktkがとまらん
200以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:10:29.78 ID:ULOywigkO
保守
面白いなこれwww
この状況の中でDIO様がどこかで奮戦してるのを想像してしまうwww
201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:12:48.09 ID:wrTmEG7KO
wktk
202以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:17:28.23 ID:u6VuNcGE0
hoshu
203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:21:15.90 ID:DjgAe4K20
  ,,,,.,.,,,,
 ミ・д・ミ <ほっしゅほっしゅ!
  """"

204以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:27:15.42 ID:uwX2y+e9O
やっと追いついた
205以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:29:41.69 ID:3+/QijvVO
た、ただwktkしてるだけなんだからねっ
206以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:33:17.30 ID:hDfb517hO
>>1
今日、完結するの?
207以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 08:40:29.06 ID:DjgAe4K20
保守
208幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 08:46:00.07 ID:98OXAE/M0 BE:2029558289-PLT(12011)
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     ホッシュ [Sred Hossu]
     (1875〜1934 イギリス)
209以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 09:01:01.59 ID:DjgAe4K20
保守
210 【1721円】 :2008/01/01(火) 09:11:19.55 ID:zoBtxM/dO
C
211以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 09:14:20.58 ID:jCXIktWo0
ほしゅ
212以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 09:24:24.31 ID:rdIsCHs9O
本物なのか?
213以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 09:32:04.09 ID:p5ps9OzxO
一時間半経過…
214幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 09:36:10.14 ID:98OXAE/M0 BE:1775863297-PLT(12011)
待ってます
215以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 09:45:31.03 ID:TmOPxYTnO
wktk保守
216以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 09:47:20.46 ID:EswPCyVfO
再開マダー?
217幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 09:54:05.80 ID:98OXAE/M0 BE:676519946-PLT(12011)
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     ホッシュ [Sred Hossu]
     (1875〜1934 イギリス)
218以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 09:54:09.68 ID:uwX2y+e9O
>>1
おまいは冨樫か
良いとこで止めやがって
(゜Д゜;)
219幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 09:56:23.30 ID:98OXAE/M0 BE:676519283-PLT(12011)
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     ホッシュ [Sred Hossu]
     (1875〜1934 イギリス)
220幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 09:57:03.26 ID:98OXAE/M0 BE:1775863297-PLT(12011)
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     ホッシュ [Sred Hossu]
     (1875〜1934 イギリス)
221幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 10:18:16.87 ID:98OXAE/M0 BE:1268474459-PLT(12011)
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     ホッシュ [Sred Hossu]
     (1875〜1934 イギリス)
222以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:37:01.75 ID:wrTmEG7KO
223以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:44:26.00 ID:Q20amxjg0
第九話「問い鏡」

――夜・司令室

从 ゚∀从「司令」

( ^ω^)「お?」

从 ゚∀从「蟲が集結し始めています。おそらく2日後には攻撃が開始されるでしょう」

( ^ω^)「準備は?」

从 ゚∀从「万端……とはいえません。必要最低限をギリギリで上回るくらいです」

( ^ω^)「十分だお。この短い期間に良くやってくれたお」

从 ゚∀从「ギコが相当苦心したようです。今回は彼の手柄が大きいでしょう」

( ^ω^)「この戦いが終わったら酒をたっぷり振舞舞わないといけないみたいだおw」

从 ゚∀从「そうですね。……司令、その……」

( ^ω^)「なんだお?」

从 ゚∀从「この戦い、本当に終わりがあるんですか?」
224以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:44:57.87 ID:krFbc1FxO
支援
225幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 10:45:13.03 ID:98OXAE/M0 BE:1127532285-PLT(12011)
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     ホッシュ [Sred Hossu]
     (1875〜1934 イギリス)
226以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:45:25.09 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「あるお」

从 ゚∀从「それは……?」

( ^ω^)「どちらかの種が死に絶えればそれで終わりだお」

从 ゚∀从「……私達は生き残れますか?」

( ^ω^)「わからんおwそれは誰にも分からんことだお」

从 ゚∀从「そうですね。……その、子供っぽい話かも知れませんが、我々は何のために生きている? とか考えませんか?」

( ^ω^)「それは人が何故生まれたか、とか何故理性を持つのかとかそういうことかお?」

从 ゚∀从「いえ、……いや、そうかもしれません。司令はそういうことを考えたことはありませんか?」

( ^ω^)「何故理性を持つか、を極論すればそれは生存競争のために帰結するだろうお」

从 ゚∀从「そうですか……じゃあ、司令個人としてはなんのために生きてるんですか?」

( ^ω^)「……僕が生きる理由かお?」

从 ゚∀从「はい。そういうのありませんか?」

( ^ω^)「君は英雄の存在を信じるかお?」

从 ゚∀从「英雄、ですか?」

( ^ω^)「僕は英雄になれたら良い、と思うお」
227以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:46:39.56 ID:Q20amxjg0
从 ゚∀从「それが司令に生きる理由ですか?」

( ^ω^)「まぁ、それに近いものかもしれないお」

从 ゚∀从「司令は、もしかたら既に英雄かもしれません。私にとっては、いえ、この街に住む人はみな
      あなたがいなければもうとっくに死んでしまっていたかも知れない。
      あなたはもう十分に我々にとっては英雄ですよ」

( ω )「     」

从 ゚∀从「え?」

( ^ω^)「いや何でもないお。無駄お話はここらで終わりだお。緊急会議だお、すぐに皆をあつめるお!」

从 ゚∀从「了解!!」
228以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:47:17.15 ID:Q20amxjg0


――通信室

ξ゚听)ξ「……じゃあ、今夜はいないんですか?」
  _
( ゚∀゚)「そうだな。今回は撤退戦になるからな。一旦北部地域で戦線を展開してくる」

ξ゚听)ξ「撤退戦!?」
  _
( ゚∀゚)「ああ。しょうがねぇさ、なんせ敵さんはこっちの10倍の兵力だからな」

ξ゚听)ξ「10倍って……」

(  ∀ )「全滅も有り得るぞ、覚悟はしとけ。」

ξ゚听)ξ「そんな」
  _
( ゚∀゚)「ま!なんとかなるだろ。じゃあ、司令からの伝令は伝えたからな」

ξ゚听)ξ「はい、確かに。それじゃあお気をつけて。みんなの無事をお祈りしておきます」
  _
( ゚∀゚)「そいつは頼もしいな! さて、また遅れるとハインにどやされる。じゃあな」

ξ゚听)ξ「はい」
  _
( ゚∀゚)「っと、忘れるところだった。司令から『seventh riffleはもう見たか?』だそうだ」

ξ゚听)ξ「なんですか? それ?」
229以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:47:53.52 ID:Q20amxjg0
  _
( ゚∀゚)「俺にもわからん。伝えてくれとだけ言われた。心当たりはないのか?」

ξ゚听)ξ「ええ。一応心に留めておきます。ありがとうございました」
  _
( ゚∀゚)「おう!」

戦況はどうやら最悪のようだったが、戦場に立たない私にはいまいち実感がわかない。
それよりも、私にはこの前に見た資料のことが気にかかっていた。
ブーンさんは普段司令室にいる上に、夜は早く寝なければいけなかったのでなかなか見直す機会が得られなかったのだ。

ξ゚听)ξ (あの資料、詳しく見てみればもっと色んなことが分かるかも知れない)



夜になって通信兵が仮眠に入る時間をまって司令室に入った。
もう、ばれたらただの規律違反じゃすまないだろう。

ξ゚听)ξ (ま、どうせ乗りかかった船だしね……)
230幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 10:48:25.95 ID:98OXAE/M0 BE:1804051788-PLT(12011)
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     ホッシュ [Sred Hossu]
     (1875〜1934 イギリス)
231以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:49:08.07 ID:Q20amxjg0
PCの電源をいれ、The Arkのファイルを開いた。
この前と同じ資料が現れる。
しかし今度は誰も邪魔が入らないとわかっている分だけ、より細部まで目を通すことが出来る。
この前は表面的なことしか見ていなかったが、今なら私が研究していた生命工学の見地から詳しく分析できる。

ξ゚听)ξ (何だろうこの違和感……この前と同じ)

どこかおかしい。それははっきりと分かるのに、何がおかしいのか理解できない。



調べ始めてから2時間ほど経った時、意外なところから『それ』は姿を見せ始めた。

ξ゚听)ξ (あれ……? なんで蟲がこんな長い寿命を)

やはり私が見つけられた異常は遺伝子に関するものだった。
蟲の本来の寿命は約3ヶ月ほど。だけど私が見つけたデータのその寿命は――

ξ゚听)ξ「5年も……いや、あれ?」

そこには確かに約5年にもなる蟲の寿命が存在していた。
232以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:49:43.66 ID:Pqy5aWQr0
待ってた、待ってたんだ・・・
233以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:50:14.21 ID:Q20amxjg0
寿命というのは、つまるところ細胞の更新限度である。
細胞というのは常に体の中で更新され続けている。
そのサイクルがゆっくりになっていくことこそが、つまり老いである。

そして細胞の更新限界数は個々の個体によって決まっている。
これは30年以上前に研究されていたクローン技術によって判明している。
例えば30歳の人間からクローンを作ったとしよう。

そのクローンは当然胎児の状態から成長し、やがて成人になった。
このクローンオリジナルの20歳の時は全く異なった個体となる。
仮にそれが育った環境が全て同じ条件であったとしてもだ。

なぜならそれは『細胞の更新限界数は個々の個体によって決まっている』からである。

さて、オリジナルの30歳の人間の寿命は後40年あると仮定しよう。
この人間の細胞には遺伝子の中に後40年分の細胞の更新限度回数が設定されている。

当然オリジナルから作られたクローンには後40年分の細胞の更新回数しか遺伝子に記録されていない。
そう、20歳になったクローンはその実、細胞の更新が緩やかになった50歳のような状態なのである。

これはあくまでで分かりやすくした例えであるため、実際は他に様々な要素が絡まりあい複雑にはなるのだが、
こと寿命に限ってはこれがほぼ同じ結果が得られる。

実際クローンであるあらゆる個体はその肉体が若さを十分に保っているにもかかわらず、
オリジナルの寿命が近付くと急激に老化し、ほとんど同時期に死んでしまうのだ。

では逆に言えばその更新回数さえ増やしてしまえば人間も不老不死は夢ではないのだが、
それは様々な問題(それは必ずしも倫理的なものだけではない)を抱えるために研究はあまり行われていない。
234以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:51:03.05 ID:Q20amxjg0
話を戻そう。蟲の遺伝子には何故か『二つ目の寿命』が存在していた。
紛れもなく本来の寿命である3ヶ月程のものもある。
つまり、蟲はその身のうちに3ヶ月と5年という二つの寿命を内包していることになる。

ξ゚听)ξ (こんなの私の研究データにはなかった……けど別にあってもなくても3ヶ月で死ぬことにかわりはないか)

再び私はデータに目を通すと、どうやら全ての個体が2つの寿命を持つ訳ではないらしいことが分かった。
蟲発見当初では0.001000%だったそれは
そのデータの最新では4年前の時点で全体の約2.200%。それがちょうど2年半後に90.00%を越え、
3年後、つまり昨年の時点で100.00%になっている。

ξ゚听)ξ (だけどなんでこんなデータが? 別に関係のない寿命のデータなんてなんの役にも立ちはしないのに)

どうやら、また行き詰ってしまったようだ。
わけの分からないデータが多すぎる。
今みている場所は生命工学の分野だから理解はできるが、他の分野では英文の読解自体に
神経を使わなければいけないために、なかなか思うようにはいかない。

仕方なく再び昨年からのデータの統計を見る。
やはり、この奇妙な寿命に関する記述はない。
235以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:51:39.47 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ (……記述がない?)

あまりに明確な違和感であったために、私は気が付かなかった。
今にして思うと自分にあきれ返ってしまう。

ここまで年度別と予想のデータまで統計されていて、それに関する『記述がない』のである。
研究していた私には分からなくて、しかもそれに関する記述が一切ないデータ。
記述が一切ないということは、逆に言えばこのデータの管理者は『記述する必要がなかった』
なぜならばそれ自体が『この管理者が記述する必要もないくらいに』そのデータの内容を把握していたから。

ξ゚听)ξ (じゃあこれがこの研究資料のメイン……ってこと?)

実際私がそれを確信するまでそんなに時間はかからなかった。
だってそれはとても単純だった。

ξ゚听)ξ「嘘……」

それでも思わず、声が漏れる。
蟲は私達には無い物を遺伝していた。遺伝させられていた。


――――寿命を

236以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:52:43.95 ID:Q20amxjg0
無理矢理付け加えられたこの5年の寿命を、蟲は遺伝していた。
いや、それは正確な記述ではない。
『付け加えられた当時5年だった寿命』を遺伝していた。

それが付け加えられてから、もう後1週間ほどで5年を迎えようとしていた。
そして、その遺伝率は100.00%。

ξ゚听)ξ「これって……じゃあ、蟲はもう……」

確かに害虫を駆逐する際に、遺伝子を組み替えて生殖活動を出来なくする方法が取られたことはある。
それは国単位などの大規模な被害が出たときなどで使われる方法だ。
但し莫大な予算と多大な時間がかかる上にいつ終わるかも知れないからあまり一般的ではない。
今回のはその方法に酷似している。

そういえばブーンさんは言っていた「あと少しだったのに……」と。

それはこれのことを言っていたんだろうか?
これを知っていたから、彼は希望をもって戦い続けて来れたのだろうか?
そういえば、初めて彼にあった戦場で余裕の表情で戦っていなかったか?
いや、いつだって彼は余裕の表情でそこにいなかっただろうか?
それは全部このことを知っていたから……?
237以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:53:48.32 ID:Q20amxjg0
誰もが終わりの見えていなかった、この人類駆逐戦線で彼だけはいつも未来を見据えていると。
兵士のみんなはそう楽しそうに言っていた。
まるで、彼が物語に出てくる『英雄』であるように。

司令室にかけられた4枚の絵画を見る。
「Hero(英雄)」と名づけられたその絵画の青年は遥かを見つめて、皆を導くように旗を掲げている。
この旗の元が彼らがいるべき場所だと、その瞳で語りかける。

その表情は険しい。

その理由はちょっと前に彼が言っていた。
未来に幾重に重なる苦難があることを知ってなおも、その未来に進む決意のためだと。
そこに確かに見据える未来があるから、英雄はどれほど傷ついても進むのだと。

その時彼の顔は少し哀しそうだった。
何故だかは分からない。
まるで遠い昔に諦めた何かを懐かしむような、そんな表情は確かに哀しそうだった。
だけど顔にはいつものように微笑みを浮かべていた。

だから、私はむしろ彼は英雄ではなく……。
238幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 10:54:48.69 ID:98OXAE/M0 BE:1268473695-PLT(12011)
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239以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:55:44.09 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ (……そんなわけないか)


わかったことは二つ。
蟲はどうやら、あと数週間のうちに『寿命』よって死ぬということ。
そして、どうやらこのThe Arkというファイルは蟲の駆逐に関する計画であることだ。
しかし彼がこの事実を知っていたなら、何故それを皆に告知しなかったのか?

一応自分の中で答えは出ている。

これを発案したのはアメリカで間違いないだろう。
彼は向こうの軍で研究していた経歴からその守秘義務を守っているかもしれないし、
もしくは成果が上がる前にこれを告知してしまった場合の蟲の一部が残った時に発生する精神的なダメージが
出ることを避けているためかもしれない。

だけど、どれも違うような気がした。
なんの根拠もない、ただの勘だ。

ξ゚听)ξ「考えても分からないこと、か」

これ以上、蟲に関する情報は出てこないだろう。
一旦資料のファイルを閉じる。

ξ゚听)ξ (そういえばsventh riffleはもう見たか、ってどういう意味なんだろ?)
240以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:56:45.68 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ (……そんなわけないか)


わかったことは二つ。
蟲はどうやら、あと数週間のうちに『寿命』よって死ぬということ。
そして、どうやらこのThe Arkというファイルは蟲の駆逐に関する計画であることだ。
しかし彼がこの事実を知っていたなら、何故それを皆に告知しなかったのか?

一応自分の中で答えは出ている。

これを発案したのはアメリカで間違いないだろう。
彼は向こうの軍で研究していた経歴からその守秘義務を守っているかもしれないし、
もしくは成果が上がる前にこれを告知してしまった場合の蟲の一部が残った時に発生する精神的なダメージが
出ることを避けているためかもしれない。

だけど、どれも違うような気がした。
なんの根拠もない、ただの勘だ。

ξ゚听)ξ「考えても分からないこと、か」

これ以上、蟲に関する情報は出てこないだろう。
一旦資料のファイルを閉じる。

ξ゚听)ξ (そういえばsventh riffleはもう見たか、ってどういう意味なんだろ?)
241幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 10:57:39.66 ID:98OXAE/M0 BE:2029558098-PLT(12011)
誤爆かわいいよ誤爆
242以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:58:06.92 ID:Q20amxjg0
ジョルジュさんが去り際に言っていたブーンさんからの伝言だ。
seventh riffleを直訳すると<七番目の早瀬>になる。
彼が『七瀬』のことを暗示していることは間違いないだろう。
だけど『七瀬をもう見たか?』ってのは意味が分からない。

ためしにPCから「sevnth riffle」を含む文字列を検索してみる。

ξ゚听)ξ「……あった!」

ファイルを開こうとするとパスワードが要求された。
試しに「七瀬」と打ち込んでみるとファイルは驚くほどあっさり開いた。

そこに現れたのは、たった一枚の写真だった。
私にも見覚えがある、随分懐かしい写真。

蟲に襲われた私の家には、もうその写真は残っていなかった。

ξ゚听)ξ「嘘……でしょ……?」

声が震える。当然だ、私は泣きそうになっていた。
243以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:58:48.86 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「もう、会ってたんだ……」

まだ僅かに声は震えている。
画面には一枚の写真。一綴りの文字列。

ξ゚听)ξ「あなたが、内藤ホライズンだったんですね……!」

写真に写されているのは幼い頃の自分、ちょうどあの許婚の家に行った時の。
そして、写真の下にひとことだけタイプされていた。

「久しぶりだお」


244以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 10:59:18.98 ID:Q20amxjg0
第十話「逆織り」


明け方・ビル屋上

下には昨日の夜についた、防衛本部の兵士が朝からせわしなく働いていた。
彼は黙ってその様子を見下ろしている。
今日はその喧騒もあって起きた私はまだ少し眠い。

川 ゚ -゚)「蟲との戦いか?」

('A`)「ああ、今回は酷いことになりそうだ」

川 ゚ -゚)「そうか、辛いな」

('A`)「そうでもないさ」

川 ゚ -゚)「……私がつらい」

('A`)「心配してくれるのか?」

川 ゚ -゚)「何故笑う? 当然だろう?」

('A`)「いや、そうか。うん、まぁ、ありがとう」
245幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 10:59:37.84 ID:98OXAE/M0 BE:169130423-PLT(12011)
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246以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:00:18.83 ID:Q20amxjg0
川 ゚ -゚)「……行くな」

('A`)「……無茶言うな」

川 ゚ -゚)「そうだな。すまん、忘れてくれ」

('A`)「気が向いたらな」

川 ゚ -゚)「また今日は一段と素直じゃないな」

('A`)「俺だからな」

川 ゚ -゚)「全く……」

('A`)「そうだ、北部の人間は早めに避難するんだった。先に南の海底トンネルを通って
    対岸のショボン司令の地区まで逃げ込むらしい」

川 ゚ -゚)「む……、もう避難が始まってるな。行って来る」

下では避難民も含めたこの地区の住人達が列を作って兵士の指示に従っていた。

('A`)「クー、ちょっと」
247以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:00:48.22 ID:Q20amxjg0
支度しようと小屋にかけたところで、彼はためらいがちにこっちに近づく。

川 ゚ -゚)「どうした?」

彼は黙って後ろに回りこんで、私に銀鎖をかけた。
何の装飾もない、ただの銀の鎖。

('A`)「お守り代わりだ、大事にしろよ」

川 ゚ -゚)「ああ。でもいいのかこんな戦時の時にこんなものもらって」

('A`)「気にすんな。じゃあ、俺も行ってくる。召集かかってるからな」

川 ゚ -゚)「待て」

('A`)「ん?」

川 ゚ -゚)「……ありがとう。大切にする」

('A`)「おう」

振り返らない背中は、なんだかいつもより大きく見えた。
248以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:01:26.34 ID:Q20amxjg0
それから約1時間後

北部戦線臨時基地

( ^ω^)「住民の避難は完了したかお?」

( ,,゚Д゚)y ̄~「はい。日没までには全地区の住民の避難も開始できるでしょう」

( ^ω^)「分かったお。ハイン、蟲はどうかお?」

从 ゚∀从「どんどん数が増えてますね。おそらく予定通り10倍くらいの兵力になると思いますが」

( ^ω^)「よてーどうり、よてーどうり。そうてーのはんいないデスオー」

从 ゚∀从「司令、おそらくこのままでは全滅しますよ」

( ^ω^)「……何とかするお。ジョルジュ」
  _
( ゚∀゚)「はっ!」

( ^ω^)「避難住民の中から40代以上の人たちを集めて欲しいお」
  _
( ゚∀゚)「はっ。了解しました」
249以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:01:53.94 ID:wrTmEG7KO
支援
250以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:02:16.69 ID:Q20amxjg0
( ,,゚Д゚)y ̄~「そんな中途半端な戦力集めてどうする気ですか?」

( ^ω^)「……死んでもらうお」

从 ゚∀从「!!」

( ,,゚Д゚)y ̄~「……」
  _
( ゚∀゚)「……それが、最善なんですよね?」

( ^ω^)「最善かどうかはわからないお。ただ最終的に生き残る人数は最大になるお」

( ,,゚Д゚)y ̄~「それで、その方々は納得するんですか?」

( ^ω^)「強制はしないお。彼らには僕が直接言うお」

( ,,゚Д゚)y ̄~「……」
  _
( ゚∀゚)「……手配してきます」

( ^ω^)「ハイン。明日、明朝から蟲の攻撃が始まると予想されるお」

从 ゚∀从「はい。おそらく防衛ラインは2時間も持ちません」

( ^ω^)「戦線を徐々に後退させながら南進するお。その際後退の際に先ほどの戦力を当てるお」
251以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:02:29.23 ID:Ou4V29Vk0
252以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:02:58.41 ID:Q20amxjg0
从 ゚∀从「フライはどうします? 制空権は一方的に向こうにあるんですよ」

( ^ω^)「大丈夫だお。所詮おっきなハエは叩き落されるのが宿命だお」

从 ゚∀从「? どういうことですか?」

( ^ω^)「秘密だおwとにかく君たちは地上戦線の維持を第一目標としてもらうお」

从 ゚∀从「はっ!」

( ^ω^)「じゃあ各部署への伝達も含めた最終ミーティングを始めるお」

( ,,゚Д゚)y ̄~「了解。集合をかけてきます」


晴れた空。夏の日差しがあたりを照らす。
その北、ちょうど彼らから霞んでギリギリ見える位置。
群れを成す蟲が暗雲のように集まりつつあった。

253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:03:38.23 ID:Q20amxjg0
中央本部・司令室

あれから、ずっと憧れて追ってきたあの人がブーンさんだと知ってから、
私はなんだかぼうっとして、意識も定かではないうちに部屋に戻って寝てしまった。

朝、起きてみると本部に残った通信兵の人たちは急がしそうにせっせと対応していた。
通信関係の仕事は手伝えることはないので、彼らに簡単な朝食を作ってあげた。
やけにうれしそうに食べるから、見ていたこっちがちょっと可笑しくなってしまった。

とりあえず、彼らは仕事に囚われているようなので私の行動には気を払う余裕はなさそうだ。

ξ゚听)ξ (蟲は、もうすぐ死に絶える……)

それは、まだ確定ではないにしても確かな希望だった。
いや、そのはずだ。実際それを知った時の驚きと喜びは大きかった。
だけど、時間が立つにつれてだんだん心にもやもやした何かが巣食いだした。

漠然とした未来への希望に対する不安ではない。

何かが、噛み合わない。
歯車はかみ合っているのに、それはどこか奇怪な感じがする。
254幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 11:03:56.90 ID:98OXAE/M0 BE:676520238-PLT(12011)
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255以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:04:28.33 ID:Q20amxjg0
あの資料を見たときに一番初めに感じた違和感がぬぐえていない。
蟲の遺伝に関することばかりに気が集中して、あの資料自体が持つ違和感を忘れていた。

ξ゚听)ξ (もう一度、良く整理してみよう……)

私は周りに人が居ない事を確認して再び司令室に忍び込んだ。
自然と壁にかけられた4枚の絵画に目が移る。

どれも酷く歪んでいる。

その中の一枚を見つめて、すぐに目を離す。
その絵を見た刹那、歯車が噛み合ったような錯覚。

そんなはずはない。それはただの絵でしかない。

蟲とは何も関係がないはずの一枚の絵画。
何故そんな感覚があったのか。
答えは出ないまま、私は立ち上がったPCから「The Ark」のファイルを開いた。

ξ゚听)ξ「……」

やはり、あの違和感の正体はつかめない。
だけど、昨日はほとんど気にかからなかった些細な違和感を思い出す。
あの寿命のデータだ。
256以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:05:13.03 ID:Q20amxjg0
そのデータでは研究した当時から3年後、つまり昨年の時点であの遺伝率は100.00%になっている。
昨日見たときは何気なく見過ごしていた。

自分の中では、その一年は単なる予備期間だと思っていた。

いかに数値の上では100.00%とは言っても、実際にそうなることはなかなかない。
蟲は少しでも数が残れば、その繁殖力で再び一気に再興する可能性がある。
だから確実に全ての蟲を駆逐するための予備期間だと考えた。

しかし、その予備期間はあまりに長すぎる。

一年という時間はとてつもない被害を生み出した。
ちょうど各国の物資が途絶え始めたのだ。
この一年で蟲に呑まれた国はかなり多い。

ユーラシアの最後の砦だったフランスを失い、続けて加速度的に侵攻が早まったイギリスも陥落した。
南半球では抵抗を続けていた最大勢力のオーストラリアがエレ3体を擁する大勢力に為すすべなく敗北を喫したらしい。
これで南半球は完全に蟲に制圧されたことになった。

日本もが陥落したのはちょうどそんな時だった。
アメリカで蟲の研究を続けていた私は、同盟国である日本への物資支給航空軍に同行して日本に帰国した。
257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:06:06.78 ID:Q20amxjg0
アメリカに居ても安全だという保障は当時どこにもなかったし、
どうせ死ぬなら、最後の時は生まれた国で家族と死にたかった。

結局戻ってみたそこにはもう既に朽ち果てた自分の家しかなかったが。
家族の行方は知れなかった。
近所の人の話によるとおそらくは……。

その悲しみを噛み締めたり後悔する暇はほとんどなかった。
度重なる蟲の襲撃で、生き残ることに必死だった。

おそらく、世界のほとんどがそんな状態なのだろう。
もはや国としての存続を保ち続けているのはアメリカくらいのものだ。
当然といえば当然だ。あらゆる最新技術を備えているアメリカの防衛体制に蟲は戦線を上げられるはずもなく、
エレによる電磁防衛体制も超長距離からの爆撃にかろうじて被害を減少させる程度だった。

それにもかかわらず、アメリカは蟲に押されていた。
蟲が際限なく増殖するのを防ぐ手段がない限り、いつかはアメリカも
その命運を他国と同じようにするだろう。

それで、アメリカが撃って出たのがこの「The Ark」という蟲駆逐作戦なんだろう。
そこで最初の疑問が頭をよぎる。何故この予備期間が1年もあるのか。
258以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:06:44.00 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ (予備期間……じゃないの?)

一瞬とんでもない想像が思考に入り込む。
いや、それはもうほとんど妄想の域だった。
しかし足りないジグソーパズルの一ピースがすっぽりと収まるようにカチリと図面に、はまった。
刹那、歯車が噛み合ってその全貌を描き出す。
戦慄すると同時に自分でも笑い飛ばしたくなるような奇妙な感覚が襲った。

だけどそれなら、その一年の意味も、あの最初の違和感も、なぜ彼がこれを隠していたのかも説明できる。
なんで、こんなことになったのかも。

ξ゚听)ξ「全部……逆だったの?」

だとしたら、そうだとしたら――

ξ゚听)ξ (――無ければいけないデータがある。)

逆なのだ。

ここまでの思考が反転していく。
あるはずのないデータが無ければいけないデータになる。
意味の無いはずの期間が途端にその意味を導きだす。

ξ゚听)ξ「だからThe Ark……『方舟』!!」

方舟によって救われる人間には限りがある。
259以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:07:05.87 ID:wrTmEG7KO
支援
260以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:07:12.10 ID:uefmoMqhO
おかえり支援
261以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:07:33.78 ID:Q20amxjg0
検索をかける。文字列は「Ark」

検索結果にめぼしいものは現れない。


再検索「方舟」


検索結果、1件該当。

ξ゚听)ξ (やっぱりあるんだ)

もう、後戻りはできない。これの中身は確認しなくても予想はつく。
ファイルを開くこうするとまたパスワードの提示が要求された。

「Ark」「The Ark」「七瀬」「内藤ホライズン」「sevnth riffle」etc…

どれもパスを通過できない。彼の一つ目のパスワードが「七瀬」だったことから考えて、
今回のパスも似たようなものだろう。

ξ゚听)ξ (しまったな……。全然検討もつかない)

不意に思いついたものを入れてみる。
「ツン」と。
262以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:08:04.24 ID:Q20amxjg0
あっけなくそのファイルは開いた。開いてしまった。

ξ゚听)ξ「……」

開かれたファイルには、やはりずっしりと英文に注釈されたある蟲の図とそれに関する様々な研究結果だった。
これで決まりだ。そこには本来ならあるはず無いデータが、いや最早無ければいけないデータがあった。

人類駆逐の最前線に存在しながら何一つ分からなかった怪物、エレのデータ。
詳細を頭の中にインプットしていく。

ξ゚听)ξ「……愚かね」

何故エレのデータが出回らなかったのか良く分かる。
こんなもの見つかってしまえば一発で不審に思われる。

263以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:08:40.95 ID:Q20amxjg0


生物って言うのはその構造にある程度完成された美しさがある。
それは昆虫であっても哺乳類であっても同じことだ。
長い生存競争の中で洗練されている生物には、人が手にできない完成美がある。

だけど、エレにはそんなものは一切無かった。
その生物のベースは神経を犯す寄生虫のようなものだったんだろう。
そうでなければ体に電気を流す機関なんか『創れない』

無理矢理巨大化されて、それは外見だけではなく中身から醜かった。
生体として生きているのが不思議なほどのバランスだった。

こんなものあの寿命なんか与えなくてもそのうち死に絶えるだろう。
まるでつぎはぎだらけのぼろ人形のようだった。
当たり前だ。だってそれはあるべき本来の洗練過程は何一つ無いのだから。

エレは――『人工物』なのだから。
264幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 11:09:08.36 ID:98OXAE/M0 BE:761084093-PLT(12011)
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265以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:09:32.83 ID:Q20amxjg0

ξ゚听)ξ「方舟ね。良く言ったものだわ」

だけどもしこれが私の予想した通りの計画なら、果たしてそれは本当に国単位でやってのけれるものだろうか。
こんな計画、たとえそれが結果的に人類を救済するものだとしても、どう考えても独走している気がする。

ξ゚听)ξ (ブーンさん……、まだ何か隠してるの?)

通信兵「ツーンさーんー!!? どこですかー!?」

ξ゚听)ξ「どうしたの?」

PCの電源を素早く落として、司令室から出る。
ちょうど角を曲がってきた通信兵と出くわす。

ξ゚听)ξ「どうしたの? そんな慌てて?」

通信兵「北部戦線の後退が予定かなり早いんです!! ここもすぐに戦場になります! 早く逃げる準備を!!!」

ξ゚听)ξ「私も戦場に出るわ。けが人の手当てくらいなら――」

通信兵「そんな状態じゃないんですよ!!!!」

ξ゚听)ξ「っごめんなさい」

あまりの剣幕に押されてしまった。相当戦局はよくないようだ。
266以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:10:20.32 ID:Q20amxjg0
通信兵「すいません、取り乱してしまって」

ξ゚听)ξ「何か異常事態?」

通信兵「……敵勢力が予想の約2倍になりました。」

聞き間違いかと思った。たださえ、多く見積もっても10倍だって言っていたのに。
その2倍?
可笑しささえ感じてしまうでたらめな数字だ。

通信兵「逃げて下さい!! まだ間に合うかもしれない!」

ξ゚听)ξ「……嫌です」

通信兵「何を言って――」

ξ゚听)ξ「もうここも戦場と変わりません。会いたい人が居るんです。戦場に行かせてください!」

通信兵「あなたがいたって足手まといになるだけです」

ξ゚听)ξ「わかっています。でもブーンさんにッ!」

通信兵「だから生きのこって司令に会うためにここから逃げてくださいと言ってるんです!!」

それは、確かにそうだ。
思考をクリアにして、適当に納得させるような説明の筋道を立てる。
267以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:11:11.23 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「……無理です。こちらの20倍の戦力ならもう完全に包囲されています。おそらくトンネルまで
      たどり着けずに死にます。今行けというのは死ねと告げるのと同じようなものですよ!!」

もちろんその言葉にはなんの根拠もない。案外事実かもしれないが。

通信兵「しかし……」

ξ゚听)ξ「お願いします。」

通信兵「……分かりました。俺が司令にぶっ飛ばされれば良いんですね。分かりましたよ!!」

ξ゚听)ξ「ごめんなさい。ありがとう」

急にあたりがざわめき出す。
轟音が鳴り響いた。続いて人の絶叫、悲鳴。

通信兵「冗談だろ……もうここまで侵攻されてるってのか!?」

ξ゚听)ξ「出ましょう!!本隊に合流できなくなるかもしれない」

二人で駆け出す。
本部の小学校を出るとあたりは兵士が駆けて後退していた。
いや、それは最早後退ではなく逃避だろう。
それもそのはずだ。

ξ゚听)ξ「なにこれ……!!」

北方の空を見て目に映ったのは、黒の嵐だった。
いや、幾万という群れを為して飛ぶ巨大なハエ、フライが空を埋め尽くしていた。
268幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 11:11:16.28 ID:98OXAE/M0 BE:169130232-PLT(12011)
支援
269以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:11:42.35 ID:Q20amxjg0
地上はその十倍はあろうかというスカラベが侵攻しているのだろう。
先行したスカラベが兵士を追随し、それを上から急降下したフライが磨り潰す。

自動車と同じような速度で動くワームが、逃げゆく兵士をその巨体で取り囲み肉を食いちぎり、その身を鮮血で紅く染める。

地獄だった。逃げ場なんてあるはずがない。
彼が生きてることなんか考える余裕はなかった。
私はここで死ぬんだという事実だけが思考を奪って私を硬直させていた。

だから、私は気付きもしなかった。

この時私の背後から飛来してきた巨大な『それ』に。

ξ゚听)ξ「――!!」

声は出なかった、爆音がうるさいと思ったがすぐに何も聞こえなくなった。
視界がホワイトアウトする。
直後凄まじい爆風で私はどうにか吹き飛ばされたことは自覚できた。

数瞬の浮遊感の後、私は気を失った。
最後にあの懐かしい声が私を呼んでいるような気がした。

270幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 11:13:12.79 ID:98OXAE/M0 BE:845649465-PLT(12011)
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271以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:13:34.11 ID:Q20amxjg0
第11話「咎喰い」

時は3時間ほど遡る。
廃ビルに設置された臨時北部戦線基地にあわただしく兵士が入っていった。

兵士「緊急報告!! 蟲が侵攻を開始しました!!!」

切羽つまった兵士の声が北部戦線臨時基地の中に響き渡る。
なにやらこれからの相談をしていたらしい幹部は即座にその表情を変えた。

从 ゚∀从「何だと!?」

兵士「海岸線から突如出現したフライの軍勢が北西方向から侵攻!
    それにあわせて集結した蟲たちが侵攻を開始したようです!!」

( ^ω^)「フライの遊撃の群がこんな時にwなかなか素敵なことになってるおwww」

从 ゚∀从「司令、指示を。」

( ^ω^)「撤退……違った、ハイペースで戦線を下げるお。至急各部署へ伝達!!」

兵士「はっ!!」

兵士はこわばった表情のまま走り出す。

( ^ω^)「ハイン、敵の密度が最大になる時間と位置の測定。今から3分でやってお」
272以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:14:33.99 ID:Q20amxjg0
从 ゚∀从「最大? 最小ではなくてですか?」

彼女がわざわざ聞き返したのは、通常は攻撃というものは最も敵が薄い所を狙うからだ。

( ^ω^)「どうせ最小でもあの数に反撃したらこちらの被害の方が大きいお」

从 ゚∀从「分かりました、今調べます。」

ハインは愛用のPCに向かっていった。こんな時でもすぐに冷静さを取り戻して
与えられた仕事を的確にこなせるのは彼女の優秀さ故だろう。

( ^ω^)「ジョルジュ、集めろって言った人材はどうなってるお?」
  _
( ゚∀゚)「予定通り南部地域に集めていますが今からじゃとても援軍は間に合いません」

( ^ω^)「いやちょうど良い位置かもしれないお。もう武器の支給はできてるかお?」
  _
( ゚∀゚)「はい! なんとか間に合いました」

( ^ω^)「良くやったお。ギコ、北部地域に居る兵士を若年兵を集めるんだお」

( ,,゚Д゚)y ̄~「分かった。30分ほどかかるぞ」
273以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:15:09.51 ID:EswPCyVfO
やっと追いついた支援
274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:15:28.23 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「ギリギリだお。それから集まった若年兵にはそのまま南部のトンネルまで行ってそこを死守するように!」

( ,,゚Д゚)y ̄~「了解!指揮は誰に任せますか?」

( ^ω^)「北部防衛隊長のドクオという男に任せるんだお。腕はたつお」

( ,,゚Д゚)y ̄~「分かりました」

PCを操作しているハインの方へ向き直る。

( ^ω^)「ハイン、結果は出たかお?」

从 ゚∀从「はい、かなり大まかな見積もりですが。おそらく街に侵攻してきてた時に増援のフライの
      侵攻が一旦とまって、地上のスカラベとワームと合流を図る北部と中央との間辺りかと。
      時間はこちらの抵抗関係なく今から2時間半後あたりです」
  _
( ゚∀゚)「こちらの抵抗に関係なくって、それつまりwwww」

( ^ω^)「それ以上は言うなおwwww」

从 ゚∀从「なにか作戦があるんですか?」

( ^ω^)「まぁ、作戦というか……どちらかって言うと賭けの類だおw」
275以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:16:20.22 ID:Q20amxjg0
  _
( ゚∀゚)「大丈夫ですか?w」

( ^ω^)「まぁ、何とかなるおw」

('A`)「良く言う」

( ^ω^)「お? ギコに呼ばれたかお?」

('A`)「お前が呼んだだろ。俺が指揮を執れって」

( ^ω^)「頼りにしてるおww」
  _
( ゚∀゚)「誰ですか?」

( ^ω^)「さっき言ってたドクオという男だお」
  _
( ゚∀゚)「全然司令に敬語使ってないですけど親しいんですか?」

( ^ω^)「アメリカ軍に所属していた時に共同研究者だったお」

('A`)「しかし賭け事とはな。謀り事の間違いだろう?」

( ^ω^)「何のことかわかりませんおww」

('A`)「アークはまだ知らせてないのか?」

( ^ω^)「知らせてないお。ただ一人は勝手に知ってるかもしれないおw」
276以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:17:15.58 ID:Q20amxjg0
('A`)「勝手に知ってる? 冗談はよせよ。知らせてるんだろう?」

( ^ω^)「さて、どうだかわからんおw」

('A`)「まぁいい。本題をがある。なんでトンネルなんか守らせる? あそこは安全圏だぞ。」

( ^ω^)「ところが蟲に奇襲されたお」

('A`)「……なんだと?」

( ^ω^)「奇襲されたお。先行した避難民の一部が亡くなったお」

('A`)「詳しい被害者の情報は!?」

( ^ω^)「落ち着けお。まだ分からないお。早く確認するために行って欲しいんだお。
      ドクオが例の女のこと考えられながら戦場にいてもらっては迷惑だおw」

('A`)「わざわざ確認させるためにそこへ行かせるってか?」

( ^ω^)「助かってることを願うおw」

('A`)「……すまん、恩に着る」

( ^ω^)「気にすんなおw」

('A`)「ギコ隊長と集合を手伝ってくる。……生き残れよ」

( ^ω^)「了解。そっちもだお」

ドクオは軽く頷いてやはり駆け出して出て行く。
277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:17:29.58 ID:EswPCyVfO
支援
278以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:17:52.98 ID:Q20amxjg0
从 ゚∀从「司令、おそらく一時間後には蟲の先行部隊が到着します。迎撃準備どうしますか?」

( ^ω^)「侵攻が一日早くなってるからフライの攻勢を初めに片付けなければならんお。
      地上の蟲は人類の生み出した偉大な『悪魔の兵器』で足止めを食らってもらうおw
      とにかくフライだけに意識を集中して中央まで逃げ切るお」
  _
( ゚∀゚)「『悪魔の兵器』って地雷ですか!?そんなものどこから?」

設置は容易、生産コストは安価で、その殺傷能力は保障済み。
20世紀に大量にばら撒かれ、以降その解除の難解さと厄介な殺傷能力、あまりの数の多さから
それは『悪魔の兵器』と呼ばれるようになった。
そして蟲の登場後も蟲と人間、区別無くその歯牙にかけ、皮肉にも人類は自ら呼称する『悪魔』を使い続けることになった。

( ^ω^)「米軍から昔のコネで無理矢理通してきたおwwじゃあ二人で若年兵の召集と平行して隊を整えてくれお」
  _
( ゚∀゚)从 ゚∀从「はっ!」
279以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:18:25.22 ID:VfNngKQv0
投下早いね
支援
280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:19:30.58 ID:EswPCyVfO
支援
281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:19:48.02 ID:EswPCyVfO
支援
282以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:20:03.86 ID:EswPCyVfO
支援
283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:20:44.69 ID:Q20amxjg0
装備を確認して外で待機している各兵長を呼びに二人は出て行った。
北部戦線基地には彼一人だけが残る。
ブーンはドクオが上からわざわざ運んできてくれた無線をに手をかけ
手馴れた様子で周波数をあわせて対応を待つ。
しばらくして聞こえたのは戦場にはまるで似つかわしくない穏やかな声だった。

『やぁ。どちら様かな? 僕のところにわざわざ繋げてくるのは?』

( ^ω^)「ブーンですお」

『ああ、君かい? 本部から繋げていないってことは緊急事態かい?』

( ^ω^)「蟲の侵攻にフライの遊撃が重なりましたおwww」

『援護を早めろ、ということかな?』

( ^ω^)「はい。時刻は今からちょうど3時間後。場所はこの街の中央地区と北部地区の境界でお願いしますお」

『……自分の街を焼き払う気かい?』

( ^ω^)「本当は街じゃないところで今すぐにやってもらいたいですお。しかしそっちも準備時間がかかりますお」

『ま、それもそうなんだがね』
284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:21:49.57 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「何かを守るために、犠牲がつかないことは……ないですお」

『前に言ったろう?それをするのが”英雄”なんだよ』

( ^ω^)「僕は英雄にはなれそうにないですお」

『今回は随分弱気だねぇ』

( ^ω^)「先が見通せてしまうのも考え物ですお」

『誰かを失うのが怖いかい?』

( ^ω^)「そのようですおw……っと無駄話が過ぎましたお、それではですお」

『ああ、無事を祈ってるよ』

( ^ω^)「対岸で会いましょう、ショボン司令」

『了解』

ブーンは静かに無線を置いた。外ではあわただしく兵士が行きかっている。
ブーンはもの思いに沈むように一瞬視線を落としたが、すぐに置いてあったライフルを手に持って外に出かけた。
予想外の早さで若年兵の召集を終えたドクオがブーンを見かけて声をかける。

('A`)「準備が完了した。一足先に行ってくる」

( ^ω^)「頼んだお。脱出経路の確保は士気に影響するお」

('A`)「まかせとけ」
285幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 11:21:53.12 ID:98OXAE/M0 BE:676519283-PLT(12011)
支援
286以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:22:26.76 ID:Q20amxjg0
ドクオは若年兵をまとめたジープ数台を先導しながら、南のトンネルに向かった。
ハインとジョルジュはそれぞれ隊をまとめて『外』に地雷を設置しに行った様だ。
臨時基地の周辺には通信兵と衛生兵、そして控えの兵士が十数人居るだけだ。

どの兵士もその表情が硬い。

これから起こる戦闘を考えれば当然のことだ。
たださえ10倍という圧倒的兵力差にさらに増援がついたのだ。
敗戦は確定。被害の最小限を祈るだけだろう。

しかし極度の緊張に晒される彼らの表情を見てもブーンは顔色一つ変えなかった。
上が少しでも揺らぎを見せれば、それはすぐに下まで伝染することを彼は熟知していた。
逆に上さえ気丈に振舞えば、その分下の兵士達が勇敢になることも。


「それをするのが英雄なんだよ」

そう告げた人を思い出す。

( ^ω^) (……英雄にはなれそうにありませんお)

かつて「俺達は正しかったのか?」という言葉を、それは誰にも分からないと返した。
自分だって分からなかった。それが正しいことなのか、そんなことは知らなかった。
287幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 11:22:56.19 ID:98OXAE/M0 BE:2283252899-PLT(12011)
支援
288以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:24:29.65 ID:EswPCyVfO
支援
289以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:24:49.66 ID:krFbc1FxO
支援
290幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 11:26:09.25 ID:98OXAE/M0 BE:1183909076-PLT(12011)
支援
291以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:26:33.48 ID:Q20amxjg0
内藤ホライズンは弱者だった。彼は自身の明晰さゆえ、彼がいかに無力であるかもう十分知っていた。
だから犠牲を払わなければならない。救うものの対価に等しい犠牲を。

その犠牲の第一番は自分でなければならないはずだ。
                       、、、、、、、、、
ただそれで救えるものがあるなら、いや、それで失わなくて良いものができるなら、
自分なりに最善を尽くそうと決めたのだ。

仮面をはめた。自分を偽るためでも、他人を偽るためでもない微笑の仮面。
どれほど罪悪であろうとも、そこにある自分が描いた理想を実現させようと思った。

そのために、彼は自分の感情をかき消した。
やるからには、中途半端ではいけない。それはさらなる罪だ。

そんな罪悪感に身を悶えさせるなんて余分なことはいらない。
それが人間らしくないと思われてもかまわない。
もうすで自分は人間かどうか分からなかった。

だから、仮面をはめた。

自分の心も、他人の心も見ない枷、微笑の仮面。
一心に、描いた理想を顕現させるための狂気の仮面。

憤怒も、憎悪も、悦楽も、哀愁も、ない。
292以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:26:59.98 ID:wrTmEG7KO
支援
293以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:27:11.34 ID:Q20amxjg0
その笑顔は穏やかだった。
ただ一つ、たった一つの自分の理想のためにある仮面は、
その純粋さゆえに美しく、穏やかだった。

だけどそれは英雄とは呼ばれない。
分かっている。自分は英雄とは程遠い存在だった。


英雄は、何も失わせない存在だと思った。
違った。何も失いたくないと願った、その人間がどれほど自分が傷つくことかなど考えもせずに、
一心に見つめた未来に進むその姿を人は英雄と呼ぶのだ

その英雄は魅力的だった。


一つ決意を固める。

振り返れば全ての行動が打算だったような気さえしていた。
だから願った。どうせ最後の時くらいは、自分が追い求めて追い求めて
それでもやはり打算で諦めた幻想を抱いてみるのも、悪くはない気がした。
294以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:27:57.32 ID:Q20amxjg0
時は彼が思ったよりも早く流れたようだ。
防壁の門から、ジョルジュとハインが兵を率つらねながらブーンに近づくのを気付いた彼は慌てて顔を上げた。

从 ゚∀从「準備完了しました」

( ^ω^)「ご苦労様だお」
  _
( ゚∀゚)「もうフライの一部が肉眼で確認できます! 迎撃体制を!!」

ジョルジュは興奮気味に叫んだ。
あたりの兵士も興奮と緊張が入り混じった表情だ。
ブーンはジープの運転席の上に上がって、それを黙って見上げる千数百人の兵士をを見下ろした。

その中に30歳以下の兵士は居ない。死線になるここでの攻防からできるだけ遠ざけるために
あらかじめ南の脱出経路の守りを固めるように命じておいた。

最悪、ここにいる人間が全滅してもその先攻部隊は生き残るだろうという算段だ。

( ^ω^) (この状況を作ったのは自分なのにとんだ傲慢だお……)

統率された兵士はブーンを見上げた。
曲がりなりにもブーンはここの街を4年間守り通してきた。
彼らにとって間違いなくブーンはその統率者だった。
295以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:28:28.70 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「おそらく、これが最後の戦闘になるお」

兵士は意味を図りかねているのか対応しかねている。

( ^ω^)「蟲はもうあと数日のうちに全滅するお」

今度はあからさまに動揺が広がった。ハインやジョルジュ、ギコも驚いて見上げている。

( ^ω^)「蟲の体に欠陥的な遺伝子が発見されたらしいお。アメリカで公式声明が発表されているお」

ブーンの体に虚偽を吐き出す痛みは貫かなかった。いつしかかき消した痛み。
その声明は数ヶ月前に作られ、発表されたものだ。なにせ、蟲を野に放ったのは他でもないアメリカ軍上層部の決定なのだから。
発表を遅らしたのはアメリカよりも情報が遅れている日本にも、その情報が浸透し始めているからだ。

それをまるで、最近の研究で分かったように見せかけるのだ。
いずれ真実は全て露見するだろう。全てが終わった後で。

( ^ω^)「これが最後の戦いだお。みんな生き残るお! 死んではならんお!!」

うおおおぉぉぉと低い歓声が響いた。
兵士の士気の高さを確認したブーンは北方を見た。数千匹のフライが空を黒く染めかけていた。
その下にフライに追従するするようにして五百以上のワームが、さらに後方には数千のスカラベが続く。

その群れに飲まれれば、人など数十分で跡形もなくなるだろう。
296以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:29:06.79 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「まともにやっても勝てる数じゃないお。迎撃と戦線離脱を繰り返して
      中央まで全力で戦線を後退させながら維持するお!!」

それまで、幾戦と蟲の侵攻を妨げてきた幹部クラスも胸に動揺を押し隠した。

( ,,゚Д゚)y ̄~ (なんだあの数……こっちの十倍どころじゃねぇぞ。逃げ切れるのか……)

ギコはブーンを不審そうに見上げる。
本来、人間千数百人でまともに戦えるのはせいぜいワーム、フライが各100体、スカラベ千匹前後だ。
正式な軍隊並みの装備でさえ相手にできる数ではなかった。

それでも、ブーンは焦る様子はどこにもない。
ギコの目に映るブーンはいつもの穏やかな笑顔を浮かべたままだ。

( ,,゚Д゚)y ̄~ (この人に……恐怖心はないのか?)

( ^ω^)「ギコどうしたお?」

( ,,゚Д゚)y ̄~「いえ。何でもありません!」

( ^ω^)「気を張らなくていいお。さぁ!! 行くお!!!」

再び兵士がおおおおぉぉと声を荒げる。
ブーンがそこに居るだけで兵士は陽気ささえ感じるような顔を見せる。
誰もが盲目にブーンに従っていた。
297以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:30:32.77 ID:Q20amxjg0
やがてあたりにかすかに地響きが響き始める。
蟲が近づいているのだ。

ムカデが巨大化したような巨大な体躯で、深い毒々しい緑色の甲殻をもつワームは
気色の悪い数百本もの態足をうごめかして高速で移動する。
その進行速度は人の全力疾走にも劣るスカラベの比ではない。

体長は5〜6mに達しようか。防壁などまるで見えていないかの様に一直線突進する。
空からはフライが突出した数百のフライが襲いかかる。

3mの巨大な黒甲殻が迫るその突撃は、しかし統率された兵士を一遍も乱すことはなかった。
ジープの上からからブーンが叫ぶ。

( ^ω^)「構えーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!!!」

普段これを行うジョルジュの指示などとは比べ物にならない声量。
その咆哮にあたりの空気は激震する。

兵士が対空武器を一斉に構えた。
千を越える銃口、砲塔の先端が黒の群れに狙いを定める。
ライフル、バズーカ、機関銃。物資のすくない中、短い期間にありったけ集めた火力の結晶だ。
フライが防壁を飛び越して瞬間、そこに居た兵士すら蟲が戦慄したのを感じ取っただろう。
ブーンの手は振り上げられたまま、『外』で轟音が響き渡る。

防壁に突っ込もうとしたワームが仕掛けられた小型対戦車用地雷に吹き飛ばされたのだ。
298以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:31:21.59 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「っ っ っ 撃 っ っ え え え え え え ! ! ! ! ! 」

ブーンが勢い良く腕を振り下げると同時に放たれる千の砲撃。
群れからはなれ突撃をかけた数百のフライは、一匹残らず地上に落下して、自らの重みで醜く潰れた。

外ではワームが更なる爆撃で100匹以上が原型をとどめず爆死している。
兵士の歓声が上がった。しかしその歓喜も長くは続かない。

まるで何事もなかったかのように残ったワームの半数は突っ込み、いともたやすく防壁は破壊された。
  _
( ゚∀゚)「退避ーーーー!!!!! 急げ!!!! 死にてぇのか!!!!!!」

ジョルジュが絶叫する。
防壁から新入するワームは即座に獲物を見つけて、本能の赴くくまその凶暴性を発揮しようとしていた。

距離は約300m。ワームなら20秒もかからず追いつき、30体程でここにいる人間を半分以下に殲滅できる。
それだけではない。空からは千を悠に越えるフライが侵攻しようとしていた。

兵士は即座にジープと戦車に乗り込み退避を開始する。

从 ゚∀从「退くぞー!!! 全軍退けえええぇぇぇ!!!!」

ハインの叫びともに兵士は一斉に退く。
機動力のあるジープに乗り込んだ者は全力で南へ向かって走り出す。
初速も遅い戦車に乗り込んだ者達は、砲塔を後ろに向けたままワームに対抗する。
299以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:31:55.02 ID:Q20amxjg0
戦車兵1「撃て!! 撃てぇ!!!」

戦車砲が轟いて、ワーム一匹を粉々に粉砕した。
しかし刹那の間もなく十数のワームが追撃をかける。

戦車兵1「くそ野郎がぁ!!!!!!!!!!!!」

砲撃をかいくぐったワームが酸の垂れる大口を広げて戦車に喰らいつく。
戦車の装甲に食い込んだワームの強靭な顎は、さながら地獄の魔手の如く戦車の進行速度を緩めた。
戦車上部にいた兵士がライフルで直接喰いつくワームの頭に鉛玉をぶち込む。

鳴り響く銃声に酔ったその兵士は、頭上から迫るその影に気付かない。

戦車兵1「はははは、死ね死ねs――」

不意にその上半身が消し飛んだ。
進行速度の緩まった戦車は空から奇襲をかけるフライの格好の餌食となっていた。
食い千切られて残った下半身から鮮血が吹き上がる。

戦車兵2「うわああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!」

なかで操縦していた兵士の悲鳴が耳を劈(つんざ)く。
さらにその戦車に4体のワームが絡み付いて酸を吐きかける。

戦車兵2「あああああああああああ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”
     熱いいい熱いいいいあづいいい”い”い”い”い”い”い”い”!!!!!!!!!」
300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:32:39.55 ID:Q20amxjg0
フライが2匹の急降下してへばりつき大量の酸を雨のように振り掛け、
ワームがどろどろに熔けた金属ごと原型すら怪しい中の人間を食い荒らした。
一台だけではない、他の2、3の戦車兵も同じ運命を辿る。

先ほどの僅かな勝利の美酒に酔いしれる暇など片時もありはしない。
兵士の恐怖感が限界まで高まる。

もはやパニック寸前だった。

( ^ω^)「――――撃ってえええええええええ!!!!!!!!」

不意に再びブーンの咆哮が上がる。
ブーンのジープに乗っていた兵士達は対戦車砲を放った。
戦車ごと人間を食らおうと集まっていた蟲達は、その直撃を受け体を無数に引き裂かれ吹き飛んだ。

( ^ω^)「進めええええええ!!!!!!!!!!!!! 銃撃を休めるなお!!!
      撃ちつづけるお!!!!!! 中央地区まで突っ切るんだお!!!!!!!!!」
  _
( ゚∀゚)「恐れるな!!!!!!!! 突き進め!!!!」

二人が必死に叱咤し、ぎりぎりのところで兵士の正気を保つ。
追撃してくる200体以上のワームと数千のフライを、抵抗というにはあまりに微弱な火力で対応する。
それでもかろうじて機動力で勝るブーンたちは、中央まで逃げ切っていった。
301以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:33:30.62 ID:Q20amxjg0
しかし2時間半後、蟲に尻焼かれながら中央にたどり着いたブーンの部隊には
20台以上あった戦車は一つとして残らず、ジープの数も三分の二ほどになっていた。

その総兵士数は当初の半分を割りそうになっている。
ワームは50体まで減りこそしたものの、数百体以上殺したフライはその数が衰えたようには見えず、
荒れ狂う黒の群れはさらにその数を増していた。

再び絶望の色が濃くなり始めた時、2体のワームと十数体のフライを残して蟲が進行方向を反転した。
  _
( ゚∀゚)「なんだ……?」

( ^ω^)「人間と資材を喰い漁ったスカラベと合流するんだお」
  _
( ゚∀゚)「また共食いですか?」

( ^ω^)「ワームの数が多いから栄養補給が必要だったんだろうお。だけどこれだと予定より大分早く――」

ブーンのジープはちょうど本部だった小学校を通りすぎた時だった。

( ^ω^) (今、本部に人影があったお……!!)


兵士1「あああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!」

ブーンの思考を兵士の絶叫が妨げる。

ブーンの後方30mのところで人が乗りすぎて遅れていたジープがフライの急降下からの奇襲を受けたのだ。
降下したフライが兵士の上半身と隣に居た兵士の肩から腕を根こそぎ食い千切っていた。
302以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:34:27.38 ID:Q20amxjg0
周りの兵は酸を浴びせかけられくぐもった悲鳴を上げる。
顔はただれ皮膚からは焦げたような匂いと共に薄っすらと煙が上がった。
まともな運転能力を失ったジープに2体のワームがすかさず迫ろうとする。

不意にブーンの視界は、本部から飛び出す見覚えの在る後ろ姿をとらえた。
やはりこの世界には不自然なほど綺麗な金髪が揺れる。

その女の子は絶叫の出所を見据えて硬直していた。

その視線、ワームに追随を許した兵の恐怖の様子の先には、
更なる増援で膨れ上がったフライの数万もの群れが完全に空を漆黒へと変貌させている。

ワームに追いつかれた兵士達は為す術無くその体を引きちぎられ、
千の肢をもつ深緑の甲虫を真紅にその血で染め上げた。
彼女は声も上げることができずにそのまま直立している。

( ^ω^)「まずいお!!!助けるお!!!!」

ブーンが手近にあったグレネードを兵を食い物にして群がる蟲に投げるのと、
”それ”が飛来するのはほとんど同時だった。

放物線を描いて真っ直ぐ蟲に向かうグレネードとは対照的に、三本の”それ”は

真っ直ぐ大気に筋を残して超高速でフライの群れの手前へと突き進んでいく。

( ^ω^)「ショボン司令の――!!」
303以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:35:20.65 ID:Q20amxjg0
大型のミサイルは白煙を吐き出しながら突き進む。
しかし、予想より早くスカラベとの合流を図った蟲はその直撃を免れるを免れるだろう。
最後の希望が撃ち崩れかけていた。

皮肉にもそうしたのはブーンたちの奮戦だった。

( ^ω^) (ここまでかお……)

電子統制されたミサイルは正確にその航路を目標地へ向ける。
蟲はその戦力の1割すら失うこと無いだろう。
そしてここの街の人間は一人残らず蟲に食い荒らされ、その生活の跡は一遍も無くなり、
世界のいたるところに急速に増え続ける森林へと変貌する。
内藤ホライズンが夢見た世界になる。

それで、終わりだ。

残ったのはこの星に適した数の人類とかつてのような青と緑の大地。

いつか人間が再び増えすぎ、滅びようとも構わない。
それまでに新しい人の在り方が見つかればそれで良い。
内藤ホライズンは結局のところ、英雄たる理想を描けなかった。
だから、代わりに理想をつなぐ世界を欲した。

それが彼の理想。

内藤ホライズンが示す『方舟』が選定した在り方。
ここで死ぬのならば、それはブーンの願いが選定されなかっただけのこと。
他には何もない。

だから、それはきっとこの物語の終わりだった。
304幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 11:38:06.93 ID:98OXAE/M0 BE:281883252-PLT(12011)
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305以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:39:03.88 ID:krFbc1FxO
支援
306以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:40:42.20 ID:Q20amxjg0
でも、と
ブーンの本能が告げる。

内藤ホライズンにはまだ果たしていない約束がある。

( ^ω^) (もうちょっと頑張ってみますかお)

その時だった。それまで直進していたミサイルが不意にぐらつきその進行方向を変えた。

( ^ω^)「!!!」

前方ではグレネードが爆発して、人を食い漁っていたワームとフライが吹き飛ぶ。
残りの十数匹のフライはすでに兵士の銃撃によって撃墜され、地を這うだけだ。

ミサイルの2本が蟲の大群へと直撃し、蟲がその火球に呑まれてゴミ屑へと変貌していく。

残りの一本は突如急降下し、予定よりもずっと近くに落ちようとした。

( ^ω^)「伏せるおおぉぉぉ!!!!!!!!!!!!!!!」

衝撃と爆風に耐えるために兵士が伏せる中、ツンだけが放心状態で突っ立っていた。
突如、瞬間的な轟音の後に視界がホワイトアウトする。

その刹那、ツンが吹き飛ばされるであろうこと予想したブーンがジープを飛び降りた。
真っ白な視界の中、ブーンはその身を吹き飛ばされたツンをしっかりと抱きとめながら
触覚だけが残る体でその凄まじい破壊から逃れようと必死に彼女を守りながら身を小さくする。

全ての感覚が虚ろになりかけたその体に、妙に腕の中の人の温かみが残留した。
307以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:41:48.86 ID:Q20amxjg0
第十二話「物の怪」



司令室に掛けられた4枚の絵画。
入り口から近い順に数えて2番目の絵画には「Monster(怪物)」と銘打たれたものがある。


描かれた一人の兵士は敵兵に囲まれながら爛々とした目を輝かせて対峙している。
その体に傷は無く、その表情に怯えは無い。
ただ返り血で昏く紅く染まった兵装と、灯火を映して朱に晃る瞳はどこか哀しかった。


ここの絵画はレプリカながらも、実物を忠実に再現していた。
「Monster」の絵画を裏返して見ると、そこには絵師が書き残したと思われる一節の文章が書き残されていた。
308以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:41:58.80 ID:r4OQu0q5O
AA厨自重しろ


支援
309以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:42:34.53 ID:Q20amxjg0
『彼の者は誰にも理解されなかった
 彼の者は孤独に歩んだから

 彼の者は誰からも愛されなかった
 彼の者は孤独を愛したから

 彼の者は人の温もりを知っていた
 彼の者は孤独の冷たさを知っていたから

 彼の者は想い人を見つけてしまった
 彼の者は孤独ではなくなっていた
 彼の者は普通の人間になっていた


 だからきっと想い人を失った彼の者は、既に普通の人間ではないのだろう』


再び絵画に目を向ける。当然何一つ変わりはしない。

だが鑑賞者はすべからく、そこに初めになかったはずの暗い赤色の、愛しさにも似た哀しみを幻視した。
酷く歪んでいたはずの絵画は、気付けば完全な調和を孕んでいた。
310幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 11:42:47.80 ID:98OXAE/M0 BE:676520238-PLT(12011)
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311以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:43:56.08 ID:Q20amxjg0
ブーンよりも早く南方へ出発したドクオはさらにその進軍速度を速めていた。
南へ先行して逃げた避難民が奇襲を受け、その一部が殺害されたというブーンの告知が頭の中を埋め尽くしていた。

('A`) (クー、無事でいろよ……)


途中、南部地域でブーンが特殊編成した老人になる直前の人間を中心とする300人ほど部隊に、
指示された通り中央地区で合流と指令を伝達する。

老兵達は火力と呼べる重火器は何も所持していない。
せいぜいスカラベに対抗できるくらいのライフルが配布されているだけで

身を守るための防具はほとんどないと言っていい。
ただ、全員が背負うように背中に装着している薄型の直方体が気になった。


伝達を終えたドクオたちはさらに南を目指す。当初の目的地の海底トンネルの防衛をするためだ。
海底トンネルまでたどり着けばあとは、ショボン司令の自治区まで一直線に駆け抜けるだけ。
空からフライが襲われる心配が無いトンネル内は、入り口さえ守ってしまえば中の避難者の安全は保障される。
逆にワームを通してしまえば中はろくな抵抗が出来ないまま惨劇が巻き起こるだろう。

今ブーンが街を諦めた以上、ショボン司令領は日本最北の防衛拠点となった。
もともとたいした防衛拠点としての意味が無かったブーンの地区とは違い、
ショボン司令領は重要性は高く、ミサイル設備を有するほどの戦力を持つ。

たどり着けば身の安全は確保されると言って良いだろう。
仮にショボン司令領が落ちることがあるなら、どこへ逃げても生き残ることはない。

ジープにのって行軍しトンネルが近づき始めた時、ドクオ一行は一匹のスカラベの死骸を見つけた。
312以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:44:40.99 ID:wrTmEG7KO
支援
313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:44:41.97 ID:Q20amxjg0
('A`)「……」

どうしても嫌な予感が先走り、直後にそれを意識的に振り払う。
トンネル前に着き、先に防衛を任されていた兵士達を見つける。
数は50人程度だろうか。みなドクオ達と同じように20歳になるかならないかといった若年兵だ。
全員が緊張した様子で、到着したドクオ達を見つめていた。

二人の兵士がドクオ達のジープを出迎える。
どこかおどおどした様子の青年兵二人、いずれもドクオより2、3歳は年下だろう。

('A`)「本隊からの支援だ。この隊の隊長はどこだ?」

青年兵1「隊長は先の蟲の奇襲で……」

('A`)「……分かった。俺はこの隊の指揮を任されているドクオだ。肩書きは北部防衛隊長。
    今からお前らを管轄に入れることにする。……お前、全員を集めてもらえるか?」

青年兵1「え、あ、はい。了解しました」

('A`)「それからお前。被害者はどうなってる?」

青年兵2「ええと……全部で200人程度の避難民被害者の内、60名程が死亡。
       護衛は67名の内隊長、副隊長を含む15名が死亡です」

('A`)「多いな……スカラベの奇襲じゃなかったのか?」

青年兵2「はい。一回目の奇襲は被害者は僅かで済んだのですが、1時間ほど前にちょうどトンネルへ着こうとした矢先に
       ワーム2匹を含むスカラベ100体前後に追撃されました。おそらくそれはまだ報告がいっていなかったのでしょう」

それまで正確な報告を行う貴重な人材に感心していたドクオの表情は途端に強張った。
314以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:45:30.63 ID:Q20amxjg0
('A`)「ワームの追撃か……、まずいな。厄介なことになっているかもしれん」

青年兵2「何かあるんですか?」

('A`)「いや、今はいい。死亡者はどこだ?」

青年兵2「あちらに安置してあります。」

青年はトンネルの入り口の脇にある大きなシートで被せられた物体を指差した。

('A`)「分かった。なかなか優秀だ。今から指示を出すがちょっと残ってろ。話がある」

青年兵2「了解」

青年兵1「集合完了しました。これで全員です」

ドクオの前に若年兵が集まる。元から任されていた兵士とあわせて百人を僅かに超えるくらいだろう。

('A`)「4列を作ってくれ、俺の隊じゃない奴らは適当な順番で良い。
    ……よし、指示を与える」

テキパキと指示を与えていくドクオは僅かに焦っていることを自覚した。

('A`)「……あと残りの10人、気になる事がある。30分後俺と一緒に偵察に着いてきてくれ。装備をしっかり整えておくように」
315以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:46:32.37 ID:Q20amxjg0
言いつけられた青年兵達はしっかりとした返事を残したあと、装備の確認へ向かった。
それを頼もしそうに見届けたドクオは、横に控えていた青年に声をかける。

('A`)「避難民のことで一つ聞きたいことがある」

青年兵「はっ。何でしょう?」

ドクオは先ほどのシートに包まれたものをみる。
そこにはとても人間60人分の大きさなどない。
当然だ。蟲に襲われた人間がその原型を留めていくことなどほとんどない。
多くはその体が部分的に残り、遺族はどうしようもない悲嘆にくれるだけだ。

('A`)「長い綺麗な黒髪の女が居なかったか? 銀の首飾りをつけていたと思うんだが?」

青年兵2「……」

('A`)「記憶に無いか?」

青年兵2「いえ、見当がつきます。とても綺麗な方が居ましたので……ですが、その……」

('A`)「どうした?」

青年兵2「その人がトンネルをくぐったような覚えがありません……」

その言葉を聞き終わる前にドクオは急に歩きだした。
316以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:47:22.58 ID:Q20amxjg0
青年はそれに従うがドクオは省みることなく、その表情を強張らせながら早足にシートに向かった。
音を立ててシートをめくり上げる。

青年兵2「うっ……」

青年は錆びた鉄と僅かな腐敗が雑じった匂いに思わず吐き気を覚えた。
さらに視覚に入った光景がそれに追い討ちをかける。
凄惨という言葉では、あまりに生易しいとさえその青年は思った。

人間だったものの手足が散乱し、その一部は解け落ちている。
体の半分以上が無い死体が十数体、残りはほとんどが原型を留めない。

あらゆるところから出血し、それが地面を紅く染め上げている。
小学校くらいに見た地獄絵図の方が遥かにマシだと彼は心の中で毒づいた。

それでもドクオの表情は先ほどと同じように強張ったままで、祈るようにその光景から何かを見つけ出そうとしていた。
いや、見つからなければいいと思っていた。

不意にドクオがその地獄の中にむかって足を踏み入れた。
散乱した死骸の中から、何かを拾い上げる。
所持者の血がかかって乾いたのだろう、何の模様も無い暗赤色の鎖の束をドクオは拾い上げていた。
銀で作られたものだったのか、一部血に濡れなかったところが光を弾いて輝いている。


ドクオはそれをみて、確かに微かな笑いを浮かべた。


青年は戦慄した。しかし彼はその戦慄の理由はわからない。
目の前の人間の何かが音を立てずに壊れるところを青年は一度も見たことはなかったから。
317以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:47:26.17 ID:UQL9ZhmqO
支援
318以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:48:10.76 ID:Q20amxjg0


('A`)「……紐を持ってるか? 材質は何でも良い」

青年兵2「本隊からの支給品の中にありました。取ってきましょうか?」

('A`)「ああ、頼む。トンネルの前で待っている」

青年は急いでそれを取りに行った。
一つはその人の死と直面する場所から一刻も早く離れたかったから。
もう一つは、異常な違和感を感じたドクオのあまりに普通な様子に恐怖のような感情を覚えたから。

支給品から紐を持ち出して、トンネルの前で待つドクオのところに行く頃には
その心も落ち着き、そんな感情もいくらか薄れていたが。

ドクオの腕には長さの異なる太めの二本の木の棒と布に包まれた棒状の物体が抱えられていた。

('A`)「……ありがとう。すまんな。すぐ戻る」

それだけ言うとドクオは一人で海底へ続くトンネルの中に入って行ってしまった。
トンネルの直径はちょうど車道4車線分ほどという比較的な大きなものだった。

ドクオの纏う空気は静かだがどこか狂気的だった。彼は20分ほどで戻って来た。
その手には先ほど持っていたものは無く、いつも手にしているあのライフルがしっかりと握り締められている。
319以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:48:53.23 ID:Q20amxjg0
('A`)「偵察の班員は揃ってるか?」

その声は何も着いた時のそれと変わらない。

むしろ、ドクオが纏う空気は彼が本来持っているもののように自然で、そしてどこか恐ろしかった。

ドクオの帰りを待っていた青年は、彼の問いかけに答える。

青年兵2「はい。いつでも出れます」

('A`)「行くか」

ドクオが先ほど指示を出していた場所に集まっている。
ちょうど、その兵士達に声をかけようとした時だった。

青年兵「おい!!!! あれ!!!!! 北を見ろ!!!!!!」

全員がとっさに振り返る中、ドクオだけがそれとは反対の南から来る音に注意を向けていた。
青年兵が振り返った先には数万のフライの群れが空を漆黒に染め上げている。
予想を遥かに越える敵の数にその場いるドクオ以外の兵士は平常心を失った。

しかし逃げろと叫ぶ声すら上がらない。平常心を圧倒的な何かが凌駕していた。
恐怖がじわりと広がりを見せようとしたその時、空に轟音が響き、一筋となった白煙が線を引く。
それは漆黒にそまった空に突き進み、巨大な火球へと姿を変える。

ショボンの放った3本のミサイルだった。
320以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:49:35.18 ID:Q20amxjg0
('A`)「派手にやってるな」

青年兵2「今のは……!?」

('A`)「ショボン司令の援護だろうよ。一回で3発とはなかなか本気だな」

青年兵2「偵察を実行しますか?」

('A`)「やめる理由が無いしな。むしろブーン達が生き残ってる可能性が高くなったから余計に必要だ」

青年兵2「気になることがあるって言ってましたよね? 何なんですか?」

('A`)「行けば分かる。……行くぞ。ぐずぐずしてると手遅れになるかもしれん」

青年兵「はい!!」

ドクオを含む11名が偵察部隊、残りの約90名は防衛部隊だ。
本来ならドクオが指揮を取って守るところだが、ドクオにはどうしても気になることがあった。

('A`) (蟲の奇襲にワームが混じってた。……北から来てる蟲が迂回路を通って包囲してる可能性がある)

もしそうならば、ブーン達は確実に殲滅されるだろう。
ジープの機動力のおかげでかろうじて逃げ切れているのに、たとえスカラベの群れでも前方に障害があれば
その進行速度は著しく落ち、瞬く間に空に舞うフライに飲まれるだろう。
321以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:50:59.00 ID:Q20amxjg0
先ほどの爆撃で半分以上は呑まれたといっても、おそらくまだ少なくとも一万、多ければそれにさらに
八千の数が加わる。今の本隊千数百人を殲滅するには十分過ぎる数だ。

ドクオはやや急いで、南進してきた道をジープで戻っていく。
蟲に奇襲された場所に辿り着いた。

あたりに蟲の影はない。ドクオが杞憂かと胸を撫で下ろした時、兵士の一人が鋭く叫んだ。

青年兵「蟲だ!!!」

ドクオ達の北200mほどに蟲の姿が捉えられる。

その数、およそ800。下手したら本隊も足止めされかねない。

('A`) (まずいな……)

ドクオはすぐに無線で連絡を図る。
しかしジージー、と無意味な音を上げるだけで全く反応がない。

('A`) (やられたのか……?いや、それにちゃ早すぎるか)

無線を諦めたドクオは蟲を観察する。
ワームは数十体、スカラベおよそ800体を含む中規模集団。
進行方向は北。このままでは確実に本隊とぶつかるだろう。
そうなれば追撃の手を逃れられない本隊は30分と立たずに全滅する。

('A`) (この人数じゃ何も出来ないな。応援を呼んで、専用の装備を整えて……間に合うか)
322以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:51:29.11 ID:IMe1xe9m0
ウヒョー!ずっと待ってたんだぜ支援
323以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:52:30.39 ID:rzXDRg9LO
支援
324以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:52:35.85 ID:Q20amxjg0
青年兵2「一旦引き返しましょう」

('A`)「ああ。装備を整えて出直す。うまくすれば本隊と挟撃出来るかもしれない」

青年兵2「はい」

一連のやり取りを聞き、やや焦りを感じつつ振り返った瞬間、その場に居た全員が戦慄した。
ドクオ達偵察部隊の装備は整っていない。
全員に配布されているのはライフルぐらいのもので、後はそれぞれが支給物資から適当に取り出したグレネードやらが精一杯だ。
本隊のように対戦車砲はおろか、機関銃すらまともに配備されていない。

もともと物資が少ない中を無理矢理やりくりしてきた部隊ではそれが当然なのだ。
だから、偵察に主眼を置いた部隊は蟲相手にしては相当な軽装備だ。

そのドクオ達の部隊に突進する二つの影があった。

青年兵「ワーム!!?」

距離はもう50メートルほどだった。その後方にはスカラベ20体ほどがさらに迫っていた。
一方ドクオ達はワーム二体を相手にするにはあまりにも微弱すぎる戦力だった。
秒速30メートルを越えるワームが猛追する。

青年兵の一人が慌てて運転席に向かい、アクセルを入れようとした。

('A`)「動かすな!!!!!!」

ドクオの一喝とともに響く銃声。バーストと呼ばれるセミオート仕様独特の射撃音。
二重の銃声が二度響いたのを聞き取れたものは居なかっただろう。
325以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:53:46.24 ID:UQL9ZhmqO
支援
326幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 11:53:59.03 ID:98OXAE/M0 BE:986590875-PLT(12011)
  ,.- '´  ̄ ̄ `  - 、
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       l'.......-―.:::::: ̄ ̄:::::::::::‐.`L.._
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  .l::::::::::i:rヽヾ  ri't:Tヾ、 ;::::- 、 !:::::::::::::::::::/
    ヽ:::::lヽ.、     ̄ノ :.'`-'ヽ`ir' )::::::::::;r'
     ` ヽニ:.      ,.   ::.`   'i:.r'::;;-'´ 
        l::.   ,,..--`-:く   /'-' ´
        イ :.  "'''''''"';;;;:ミ .!          支援
    r:::'::::::l  :..      `/
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::::::::::::::::::::::::::::::i,.--ヽ._,〃´l:::::::::ヽ、
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327以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:54:12.79 ID:Q20amxjg0
あと20mというところまで猛進していたワームが奇声を上げて突然悶える。
体長5mを越すワームの頭の下30cmほどから噴出した強力な酸が自身を溶かしていた。

まるで弓を放つように体を斜に構え、肩までライフルを引き絞って狙いを定める。
青年兵がこの危機を忘れるほど、流麗で無駄のない動き。
ライフルから放たれた銃弾がワームの頭蓋を砕く。
痙攣するそのおぞましいワームの様子を見ることなく、後方のスカラベへ銃弾を打ち込んでいく。

乾いた銃声が、今度は重なることなく的確なリズムを刻む。
一つの銃声が響くたび、進行するスカラベが動きを止めていった。

30mを越えたあたりでようやく青年兵達にも何が起きているのか理解できた。
ドクオの放った銃弾はその一つ一つがスカラベの頭部を貫き、そこから彼らの持つ酸が垂れ流されていた。
ドクオが装弾数いっぱいの30発を打ち切る頃には、スカラベの数は5体まで減りすでに撤退を開始していた。

('A`)「急ぐぞ!! 時間がない!!」

呆然としている兵士達に叱咤を飛ばして、ドクオ達はトンネルへ急いだ。

ジープの兵士からしばらく会話が為されない。
生きた心地がしないというのもあるのだろう。
十人という少人数で数百を越える蟲の進行を目撃し、なおかつワーム2体を含む蟲に奇襲されたのだから。
この人数なら全滅しても全く不思議ではない状況だった。
328以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:54:16.55 ID:IMe1xe9m0
寺支援
329以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:54:37.05 ID:rzXDRg9LO
支援
330以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:54:54.46 ID:Q20amxjg0
それをたった一人の人間が、ライフルだけでその状況を変えてしまった。
その異常な事態の処理を、その場の青年兵はどうしていいのか分からなかった。
もう少し、せめて一発でもはずしたりミスがあれば受け入れることも少しは容易だったろう。

しかしドクオの弾丸は確実に蟲の急所を捉え、追い払ってしまった。
あまりに人間離れしてる。
結果兵士の間に最初に広がった感情は尊敬でも信頼でもなく、ある種の畏怖だった。

青年兵2「あの、さっきの……」

('A`)「ん?」

青年兵2「ワームをライフルで撃ったのですけど……」

('A`)「ああ、蟲って酸吐くだろ? 体に酸を精製する特殊な器官があるんだがそこを狙えればライフルでも何とかなる。」

青年兵2「そんなこと可能なんですか?」

('A`)「ずっとやってるからな」

青年兵2「……そうですか」
331以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:55:18.84 ID:Q20amxjg0
('A`)「怖いか?」

青年兵「……」

その問いに青年兵は答えを窮し、視線を下げた。

('A`)「大丈夫だよ、俺はお前らを殺さない」

それは青年の考えていたこととは無縁のようにあって、実は真実であったかもしれない。

青年兵2「分かりました。とにかく急ぎましょう。救援が間に合わなくなるかもしれません」


青年はもやもやした自分の感情を飲み込むように、ジープのアクセルを踏み込んだ。


332以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:55:29.52 ID:IMe1xe9m0
支援
333以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:56:01.72 ID:Q20amxjg0
第十三話「架け橋」


ツンを抱きとめたブーンはその衝撃とさらに爆風によって自身も吹き飛ばされ、ジープに体を叩き付けられようとしていた。

( ^ω^)「ちょwwwツン思ったより重ぇwwwwwww」

などと受け止めた後の浮遊中に言ったことを、気を失っていてツンが聞かなかったのは幸いだったろう。

( ^ω^)「げふぅ……ツンのせいでダメージ2倍だおw」
  _
( ゚∀゚)「司令、聞かれたら戦場で不慮の死に遭遇しますよw」

( ^ω^)「うはwwwwwデッドエンドktkrwwwwwwwwww」
  _
( ゚∀゚)「相手がツンだと洒落になってねぇwハインでも洒落になってねぇがw」

从 ゚∀从「お前は今すぐ地獄に送ってやろうか?」
  _
( ゚∀゚)「OKハイン。でもこれ以上戦力がなくなるのはまずいと思うんだ……常考」

从 ゚∀从「司令も――」

( ^ω^)「パスwwwwww」

ジープの上から自身の上官に一喝しようと意気込んだハインに、ブーンはとりあえず抱えていたツンを放り投げた。
334以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:56:34.51 ID:Q20amxjg0
从 ゚∀从「うわ――っとと」

慌てて抱きかかえたハインが女の子を乱暴に扱うなとさらに叱責しようとしたが、
既にジープに乗り込み無線に手をかけているブーンを見て断念した。

( ^ω^)「ショボン司令ですかお?」

『ブーン……ん……ったかい?』

通信状況が著しくよくないらしい。無線は途切れ途切れに電気信号を音声を変換していく。

『……やく……ろ!!! エ……が来た!!!!!』

その声は切羽詰っている。向こうは必死で何かを伝えようとしていた。

( ^ω^)「どうしたんですお? それよりも司令ミサイルのことで――」

一瞬ジッっと無線が鳴った後、急に無線が調子を取り戻した。

『エレが来た!!!!! 早く逃げろ!!!!!!!!!!』

電子でその通信機の向こう側で必死に声を張り上げていた。
それを最後に無線はジジッと音を上げてその機能を果たさなくなる。
335以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:57:21.27 ID:Q20amxjg0
日本がまだ蟲との徹底抗戦を続けられる状態にあった時、
一匹のエレが日本軍の前に立ちはだかり、瞬く間にその戦線を崩壊させていった。

レーダー等の電子制御されている軍事物は、エレの特殊な電磁波にたちまちに役立たずになっていった。
その恐怖の対象が今、なぜこんな僻地に居るかは分からない。

( ^ω^) (それでさっきのミサイルの軌道が……)

( ,,゚Д゚)y ̄~「どうしますか?」

( ^ω^)「とりあえず蟲も先の爆撃で運悪くかなりの被害が出たみたいだお。
      南地区に集めていた兵士と合流して予定通り南の海底トンネルまで逃げ切るお。
      エレが来ても、こちらの戦力じゃどうせ電子統制されているものは少ないから直接の影響は多くないお。
      増援があるかも知れないからとにかく早く逃げるお!」 

( ,,゚Д゚)y ̄~「了解!」

( ^ω^) (おそらく、蟲が進行を開始するのは30分後くらいだお。それまでに逃げ切るお)

ブーンたちの本隊は南を目指して再び進行を開始した。

その北方1kmの地点ではその数3分の1まで減らしたフライが再び結集し始め、
火球に呑まれて灰になった同胞と後続のスカラベを喰らうワームがひしめきあっていた。

ブーンはさらにその遥か北方の空を見た。
雲ひとつない空。未だ、空にエレの姿は見えない。
336以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:57:46.20 ID:Q20amxjg0


体長200mを悠に越すエレが空を浮遊する姿はまさに空中の要塞のようであった。
土色の体は芋虫のように丸く、蜻蛉の如き薄い18枚の巨大な羽がその巨躯を宙に浮かべている。
体からは時折青い電気のほとばしり、それが自身を痛めつけているようにも思われた。

それはあまりにも醜かった。

その外見だけではない。その肉体は内側から改変され生物としての機構の美しさを完全に消失していた。
もともと大きくなかった体は無理矢理巨大化され、より多くの電子の本流に耐えられるようにするため、
ありとあらゆる生態改造がその身に施されていた。
生物の構造を良く知るものなら、吐き気がするほどの凄惨な状況だ。

もしこの世界に生物を創った神が居るとしたら、それは正しく神への反逆だった。
歪な醜い、生きているのがやっとなほどの創られた生命体。

                    ――未だ、その悲鳴に気が付くものは居ない。

337以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:58:19.09 ID:Q20amxjg0


夢を見ている。


何故それが夢だって分かったのかって言ったら、そこには私の知ってるあの人がいつに無く困った顔をしていたらからだ。
私は、この人こんな表情は一度だって見たことがない。

「ツン、ごめんお」

その人は何故だか私に向かって謝った。
私は何を謝られているのかも分からないまま、その人を許してしまう。

その人は酷く申し訳なさそうな表情で、それでも少しだけを気を楽にしたようだった。
そんな表情、私は知らない。
あの人はいつだって微笑んでいた。
辛いことがあっても、過去の哀しい思い出を語っている時も、いつだって微笑んでいた。
その表情は穏やかで、そして酷く人間味に欠けていた。
338以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:58:57.55 ID:Q20amxjg0
だってそうだろう。

人間は悲しいときには悲しい顔を、辛い時には辛い顔を、うれしい時にはうれしい顔をするものだ。
顔は人の心を映すのだ。だけど、私が見ていた彼にはそれが無かった。

たとえその表情がなんとなく悲しさを漂わせていても、その顔はあの微笑を湛えたままだ。
仮面のような表情だった。
だから私は彼が英雄だと言ってるのを他人から聞いた時、強い違和感を覚えた。

司令室に掛けられた4枚の絵画の入り口からもっとも遠い4番目。
逆に司令である彼から最も近い場所にあるその絵画は「Demon(悪魔)」と銘打たれている。

絵画に描かれた老人は椅子に座って穏やかな微笑を浮かべ、一心にそれを見るものを見返していた。
人を試すように、そしてどこか見守るように。
私は心のどこかで、それと彼を重ねていた。

だけどその「悪魔」という語が意味も無く私の良心を苛むような気がして、
私は無意識のうちにその感情をしまい込んでいた。
339以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 11:59:40.47 ID:Q20amxjg0

   
逃げていたのは……私?

目の前の彼はあのいつもの微笑を浮かべない。
どこか頼りなくて、そして私が初めて会った時のあの時のように優しそうだった。
彼の顔には様々な感情が入り混じっていた。

不安と、苦痛と、そして決意。

あの人のそんな表情を私は知らない。
彼は告げる。

「じゃあ、僕は行くお。」

どこへ、とか、何で、とかそんなことを聞こうとしたけど私はただ頷いただけだった。
彼は行くと決めたのだ。
340以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:00:15.97 ID:Q20amxjg0
痛みにぼろぼろになった彼を幻視してしまう。
壊れると思った。このままでは確実に彼は彼の理想の圧死すると。
そんなことはわかっているのだろう。

それでも彼の決意は揺るがない。

「さよなら、ツン」

彼が最後に微笑みを浮かべる。
その顔はあのいつもの様子と変わらない。
変わらないのに、なぜこんなにもその違いが分かるのか。
彼の自然な笑顔だった。なんの違和感もない、純粋な笑顔。


私は初めて彼の笑顔を見た気がした。


341以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:00:47.64 ID:uefmoMqhO
支援
342以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:01:05.05 ID:Q20amxjg0


ジープの中に保護されたツンが「んんぅ……」と小さなうめき声を上げて薄っすら目を開けた。

ξ゚听)ξ (変な夢だったな……)

徐々に意識が覚醒される。
と同時に私は悲鳴を上げた。

ξ///)ξ「きゃ!!!」

(#)^ω^)「いでぇ」

ゴスっという鈍い音が車内に響いた。
ツンを抱えていたブーンに驚いて、手を振り上げた拍子にその拳がブーンの下顎を捉えたのだ。

いやいや、手を振り上げる時にグーですか? って話なんだけどグーなんです。

ξ///)ξ「え!? あ、ごめんなさい! ビックリして!」
  _
( ゚∀゚)「いや素晴らしい拳だった。司令が急所からかわしていなかったら意識を刈り取りそうな勢いだった」

ξ///)ξ「だって起きたら抱きかかえられてたし! 何で私いきなり抱えられてるんですか!?」
  _
( ゚∀゚)「ジープの中は全部で元から8人が乗っており、とてもツンちゃんを乗せる余裕は無かったのだが
      結局どこのジープにもそんな余裕はなかったので、仕方なく司令が抱えていた次第さ」

( ,,゚Д゚)y ̄~「説明ご苦労」

(#)^ω^)「いでぇ」
343幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 12:02:04.72 ID:98OXAE/M0 BE:789273247-PLT(12011)
支援
344以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:02:24.82 ID:Q20amxjg0
ξ///)ξ「あ……えと……ごめんなさい」
  _
( ゚∀゚)「まぁ、自業自得ってことで」

ξ///)ξ「?」

(#)^ω^)「……」
  _
( ゚∀゚)「いやだってほら、ツンちゃんみたいなを抱えていたら悪戯したくなるのが男の性」

ξ゚听)ξ「……なんかしたんですか?」

(#;)^ω^)「……」

( ,,゚Д゚)y ̄~「汗が出てるぞ司令」

( ^ω^)「おっおっおっ」

再び車内に鈍い音がこだました。数回ほど。
345以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:02:38.34 ID:wrTmEG7KO
支援
346以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:03:07.92 ID:Q20amxjg0
(#)ω(#)「前が見えんお」

( ,,゚Д゚)y ̄~「そうでしょうね」
  _
( ゚∀゚)「まぁ、司令が俺達をハインに売った時もありましたしね」

(#)ω(#)「そんなこの話のレス数にして150レス以上前の恨みを……」

( ,,゚Д゚)y ̄~「なかなか反撃の機会無かったですしね」
  _
( ゚∀゚)「ゴム弾痛かったですしね」

( ,,゚Д゚)y ̄~「ですしね」
  _
( ゚∀゚)「death死ね」

(#)ω(#)「ツンの胸柔らかかったなりぃ」

ゴスっ

(#)#(#)「……」

ξ#゚听)ξ
  _
( ゚∀゚)「AAかどうかも怪しいな」

( ,,゚Д゚)y ̄~「ああ。哀れだな。こうはなりたくない」
347以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:04:23.79 ID:Q20amxjg0
<幕間>
(#)#(#)ウィーン

(#) # =(#)ヒュ

(#) #   =(#)     (゚ー゚*)ノシ

(#) #       バシ(#)С(゚ー゚*)バシ

(#) #    (#)=    (゚ー゚*)

(#) # (#)=       (゚ー゚*)

(#)#(#)          (゚ー゚*)

(#))((#)ギュムム         (゚ー゚*)

( ^ω^)ポム         (゚ー゚*)

(^ω^)           (゚ー゚)

 _
(;゚∀゚)「!!!」

( ,,゚Д゚)y ̄~「眉毛ずれてるぞ」
</幕間>
348以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:06:42.86 ID:Q20amxjg0
第十四話「疾駆け」


ブーン達の本隊は南地区に集められていた老兵隊200人と合流を果たそうとしていた。
50歳くらいから、60歳くらいまでで編成されている特殊な歩兵部隊だ。
前方から駆けてくるその隊をブーン達の歓声が迎え入れる。

その合流を喜んだのは、ほんの一瞬だった。
次の瞬間その歓声は鋭い警告に変わる。
  _
( ゚∀゚)「蟲だ!!!!!!!」

老兵達はスカラベの群れに追われていた。彼らを追うスカラベの数は約400。
ワームこそ居ないが、先を急ぐブーン達には巨大な壁となる。

まだ姿は見えない、北から侵攻する蟲も南進を開始しているはずだった。
ここで足止めされていてはその蟲に追いつかれることになる。
一刻も早く南へ抜けなければ行けなかった。

( ^ω^)「迎撃するお!!! 全員ライフルを持って構え!!!!」

ジープを降り、ライフルを構えて老兵のやってくる方向の蟲に狙いを定める。
老兵とともにスカラベが近づき、兵士がブーンの号令に意識を集中した時だった。

( ,,゚Д゚)y ̄~「蟲が退いていく……」

それまで一心に逃げる老兵を追っていたスカラベの群れが突如南へ後退を始めたのだ。
349幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 12:07:30.03 ID:98OXAE/M0 BE:1014778894-PLT(12011)
支援
350以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:07:52.22 ID:Q20amxjg0
( ^ω^) (まずいお……)

おそらく、今蟲が退いて行ったということはその後続の部隊がいるということだろう。
それと合流して殲滅に追い込むためだ。
老兵が次々と合流する。これでジープに乗れない歩兵を連れて歩くことになったが、
どうせスカラベ400体が引き返すほどの増援が待ち伏せていると分かれば最早進行速度の減衰など問題にならない。

( ^ω^)「老兵長はいるかお?」

一人の男が進み出た。50を越えるほどの年齢だが、その表情は精気に溢れている。

( ^ω^)「蟲はアレだけだったかお」

老兵長「いえ、さらにワーム4体が付いていました」

アレだけの距離を走ってきた老兵長の顔には僅かな疲労の様子が伺えたが、その報告はテキパキとしていた。

( ^ω^)「そのワームはどうしたお?」

老兵長「『アレ』で返り討ちにしました」

老兵長は背中に背負っている薄い直方体を顎で指して得意そうな表情を浮かべる。

( ^ω^)「うまくいったかお?」

老兵長「はい。周りのスカラベ十数体も巻き込めます」
351以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:08:40.58 ID:xvW1WHrPO
支援
352以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:08:57.18 ID:Xvooa/HXO
wktk
353以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:09:04.01 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「……すまんお」

老兵長「いえ。どうせ我々はもとは足手まといですから」

( ^ω^)「……すまんお。ちゃんとうまくやるお」

老兵長「そうです。そうでないと我々が報われない。さぁ、早く指示を下さい」

ブーンは頷くと周りで北と南の蟲の様子を伺っていた兵士達に向けて声を張り上げた。

( ^ω^)「聞けお!!!! 蟲が包囲し始めてるお!! 下手をすると全滅しかねないお!!
      今から予定通り最短ルートで南のトンネルを目指すけれど蟲の妨害が予想されるお!!!
      それを強行突破して一人でも多く生き残るお!!」

兵士がおおぉと声を揃えて、歓声を上げる。
それを見ていたギコは思わず軽く笑ってしまった。

( ,,゚Д゚)y ̄~ (まだ生き残る気か?)

何も知らない兵士と違って、幹部はある程度蟲の現状を把握している。
あの400匹の蟲が退き返した瞬間、ギコは完全に生存を諦めていた。
あの数が引き返すということは、最低でも千を越えるスカラベと50体以上のワームが後続としているということだ。
354以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:10:57.26 ID:Q20amxjg0
合流した老兵とあわせてもブーン達の数は800。
今まで数が圧倒的に不利でも何とか持ちこたえていたのはジープの機動力があってこそだ。
その機動力があればまずスカラベと戦闘することは避けられるし、ワームだって数は多くないから対処が出来る。
フライは羽を打てば機動力を大きく奪えた。

それが今度はまともにやりあわなければならないのだ。

さらに背後には北から進行する蟲の群れが迫っており、それはエレの出現もあっておそらくさらに数を増しているだろう。
ギコだけではない。ハインやジョルジュだって揃って絶句したのだ。
それを近くにいたブーンが知らないはずが無い。

そんな絶望的な状況の中でも、ブーンはあの笑顔を浮かべたまま冷静に指揮をとっていた。
誰よりもこの絶望的な状況を把握していながら、誰よりもそれに最後まで最大に抵抗しようとしていた。

不思議だった。ギコはまるで本当に生き残れるような気さえしていた。
他の人間も同じなのだろう。
誰もが根拠はなくともその絶望を感じ取っていた。

けれども、そこに一人だけ生きろという者が居た。
たった一人の人間がそこにいる人間達の意識を変えていた。
それが幻想であろうともかまわない。

どうせ他に信じるべきものなんかない。
ならば幻想でも、それを信じてみる価値はあるではないか。
355以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:11:43.12 ID:Q20amxjg0
そう思わせる不可思議な何かをブーンは持っていた。
最早ギコはこれからのことなんかまるで分からなくなっていた。

だから歩兵の進行速度にあわせて南へ1km進んだ時、目の前に対峙する蟲の群れを見ても何も思わなかった。
その数は約1500。ワームは70、スカラベは1400程度、その距離は約500m。
状況は絶望的だった。しかし兵士の中に怯えを見せる者はいない。
誰もがそのたった一人の人間に付いて行こうと決めていた。
後方から僅かに地響きが聞こえ、蟲が迫っていることを知らしめていた。

( ^ω^)「歩兵部隊50名、先行して切り開けお!!!!!!!!!」

ブーンが大声で指示を飛ばす。

( ,,゚Д゚)y ̄~ (歩兵部隊だけ突っ込ませるのか……!!)

老兵部隊が突撃を開始し、それにあわせて蟲も進行を開始した。
両者はすぐに近接し、老兵達は必死にライフルを放ってその進行を阻止しようとした。

しかしたかだかライフルごときの装備でワーム70体の進行を止められるはずも無く、
せいぜい3体ほどを戦闘不能にした後、老兵達は為す術無くワームの餌食になろうとしていた。

二匹のワームが先行していた一人の老兵に同時に襲い掛かりその体を引き裂いた。
瞬間、爆炎と轟音が生まれ出た。

老兵の背負っていたあの長方形の物体が炸裂したのだった。
襲い掛かったワームは粉々に吹き飛び、それに注意をそらされて一瞬立ち止まったワームは容赦ない銃撃で蜂の巣にされた。
356幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 12:11:58.85 ID:98OXAE/M0 BE:1014779849-PLT(12011)
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357以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:12:20.48 ID:IMe1xe9m0
しえn
358以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:12:35.51 ID:wrTmEG7KO
支援
359以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:13:21.11 ID:Q20amxjg0
ブーンが特殊編成した老歩兵部隊は、その背に通常ワームが踏んでも爆発しない対大型戦車地雷を改良したものを背負う特攻部隊だった。
流動的な状況で地雷を設置することがあまり有効ではなかったために、ブーンが思いついた苦肉の策がここにきて功を奏していた。
迷うことなく突撃をかけていたワームが戸惑ったのを見てすかさずブーンは無線を取った。

( ^ω^)「突撃するお!!!!!!!!! 突っ込めお!!!!!!」

それまで停止していたジープが一斉に走り出した。
勢いを失ったワームの群れは瞬く間に撃墜されていく。
しかしワームは近くに居る人間に喰らいつき、その人間とともに爆死していった。

僅か1分ほど攻防で歩兵50人、ワーム70体が消えてなくなった。
残るはスカラベ1400。
ワームの進行が早すぎるために追いつけず、ブーン達のようには支援が出来ないアドバンテージの差は大きい。

しかしその数はブーン達の約2倍で、行く手を黒く染め上げていた。
ブーンたちは突撃の速度を一旦落とし、歩兵が突っ込ませる。

爆炎で開いたスカラベの群れの穴に次々と攻撃を加えていくが、戦車を失ったその火力では思うようにスカラベの数は減らなかった。

兵士「後方から蟲です!」

ブーン達が足止めくらっている間に後方からワームとフライの混合部隊が迫っていた。
もうすぐスカラベの群れも到達するだろう。

( ^ω^)「歩兵部隊後方を固めるお!!!!!!!!」
360以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:14:13.11 ID:Q20amxjg0
スカラベに囲まれかけた部隊が二つが分かれる。
  _
( ゚∀゚)「前へ進めえええええええ!!!!!!!! 追いつかれた死ぬぞ!!!!!」

完全にブーン達の部隊はスカラベの部隊に囲まれていた。
時折歩兵が前に肉を引き千切られながら前へと進み、爆炎が新たな道をこじ開ける。
味方のジープに数十体のスカラベが張り付き、酸を吐きかけている。

援護に回ることは迫り来るスカラベが許さない。
個々の部隊がそれぞれ群がるスカラベの掃討で手一杯なのだ。
後方で爆音が響いた。
北から侵攻してきた蟲達と先にブーン達の後方へ抜け出た歩兵部隊がぶつかったのだ。

( ^ω^)「操縦手を残して全員ジープを降りるお!!!!!! 僕が切り開く!!!!!!!!!」

無線で怒鳴るとブーンはジープから飛び出て群がるスカラベの群れに銃撃を放つ。
数瞬遅れて他の兵も慌てて飛び出しそれに続く。
当初800人いたその数は既に500人ほどまで減っていた。

( ^ω^)「固まれおおおおおおお!!!!!!!! このまま一気に突っ切るお!!!!」

味方が一つに小さく固まるの確認してブーンがスカラベ数百の群れに単身で突っ込む。
その背中を見たジョルジュを始めとする兵士は刹那の時にその光景に見とれた。
361以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:14:52.17 ID:Q20amxjg0
ドクオのような特別の技術があるわけではない。

ブーンはそれ自体はただの人間である以上、そのまま行けば必ず死ぬ。
囲むスカラベはさらに数を増すが手に持つライフルで手当たり次第にそれを撃ち払う。

( ^ω^)「おおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!」

ブーンが咆哮が大気を大きく振動させる。
ほとんど距離のないスカラベに射撃し、ライフルで突き刺し、脚で蹴り飛ばす。

いつ死んでもおかしくない。いや、今そこで生きているのが不思議なくらいな目茶苦茶な戦い方。
それでも少しでも前へと進もうしている。
  _
( ゚∀゚)「司令を死なせるなあああああ!!!!!!!!!! 突っ込むぞ!!!!!」

ジョルジュが叫び、後続の兵がすかさずその突撃に加わる。
362以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:15:26.74 ID:IMe1xe9m0
しえん
363以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:15:41.08 ID:Q20amxjg0


一人の人間が確かにそこにいる人間達の意識を一つに変えていく。
死に最も近いところで、恐怖は勇気に、絶望は希望に姿を変える。

とっくに諦めていたはずのことを、何故かその人間を見ているだけでもう一度信じたくなる。

ブーンに特別な戦闘技術はない。
ただ先陣を切って一心に進むべき未来を指し示した。
戦場を征くその姿は美しかった。

特にそれは生死が何の覆いもなく晒される戦場という特殊な環境では「ある呼称」が付いた。
たった一人の無力な人間が、一心に進む姿を大昔の人々は敬意を込めたその呼称で呼んだ

――英雄――と。

364以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:16:21.42 ID:Q20amxjg0
ブーンを囲むスカラベがジョルジュを先頭にする部隊に突撃され吹き飛んだ。
その突撃は勢いを落とすことなく、さらに南へとスカラベの群れを切り裂いて進行する。

後方では歩兵部隊の爆発が徐々に近づいている。
圧倒的な数の北からの蟲に、徐々にその数を減らしながら戦線を下げざるを得ないのだ。

一点突破を試みたブーンの部隊が左右から挟まれたら即全滅する。
生死を賭けた突撃はいよいよ敗けの色が濃くなっていた。

ブーン率いる数は約400。スカラベは600ほどまで減ったが、このままでは後続の蟲に追いつかれ殲滅される。

一瞬見据えた蟲の彼方に爆発の刹那の輝き、続いて爆音がこだまする。
南から現れた数台のジープ、そこからからでた人影が対戦車砲でスカラベの群れを切り崩していく。

('A`)「出し惜しむなよ!! なんとしてもここを突破させろ!!!」

大声で怒鳴るように指揮するドクオがライフルに持ち替えてさらにスカラベを殺す。

( ^ω^)「増援だお!! 一気に突っ切るおおおおお!!!!」

増援に勢いづいた味方は瞬く間にスカラベを蹴散らし蟲の包囲網を突破した。
その瞬間、100メートル以上後方で一際大きな爆音が響き渡り、巨大な爆炎に蟲が焼かれていく。

( ^ω^)「速やかにジープに乗り込めお!! 一刻も早くトンネルへ向かうお!!」
365以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:17:04.35 ID:Q20amxjg0
死地を出した兵は、もとの千数百人から三百人前後まで減っていた。
乗り込んだジープの中でブーンはいつものあの穏やかな微笑のまま、誰もしゃべらない車内を見渡した。

老歩兵部隊、戦車兵部隊、ともに全滅。
加えて主力部隊、半壊。都市民救済率約20%

( ^ω^) (だいたい計算通り、になってしまったお……)

その微笑をただツンだけが厳しい表情で密かに見返していた。

ブーンはその視線に気が付かないようにまっすぐ目の前を見つめ、

( ^ω^) (そしてこのまま計算通りだと約2時間後、僕達主力部隊が――)

そして疲れたようにゆっくり瞼を閉じた。





            ――全滅するお



366以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:18:41.61 ID:uefmoMqhO
支援
367幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 12:18:59.86 ID:98OXAE/M0 BE:986591257-PLT(12011)
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368以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:19:07.39 ID:DJQ349VB0
乙。行ってら
369以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:19:30.63 ID:xvW1WHrPO
支援
370以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:19:51.08 ID:UQL9ZhmqO
いてらー
371幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 12:20:24.76 ID:98OXAE/M0 BE:338260526-PLT(12011)
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372幽霊 ◆4t4444444g :2008/01/01(火) 12:22:05.78 ID:98OXAE/M0 BE:1127532285-PLT(12011)
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373以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:23:34.88 ID:TmOPxYTnO
374以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:25:45.66 ID:IMe1xe9m0
一時乙
375以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:28:50.69 ID:TJ7y6K0nO
乙かれ保守
376以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:32:20.75 ID:Xvooa/HXO
保守
377以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:36:18.70 ID:Q20amxjg0
第十五話「君み影」


トンネルに着いた私達は私達はそこを守っていた青年兵をジープに乗せることも兼ね、一旦ジープを降りて、
生存者の確認と何とかして全員ジープに乗り込むための工夫をしていた。

( ^ω^)「武器は捨ておけお!! どうせトンネル内で戦闘になったら勝ち目はないお!
      とにかく一人でも多く生き残るんだお!」

从 ゚∀从「ジープに乗る隊員が決まり次第すぐに出発しろ!! 急げ! 時間がないぞ!!」
  _
(;゚∀゚)「慌てるなー、とにかくちゃっちゃと終わらせるぞ」

ブーンさん達が檄を飛ばす中、一人所在無さ気にしている私にライフルをもった男が近づいてきた。
どこか見覚えのある暗赤の瞳。だけど、明らかに会ったことはない男だった。

('A`)「なぁ、あんた。聞きたい事があるんだが」

ξ゚听)ξ「え? あ、はい。何ですか?」

('A`)「The Ark を知ってるか?」

ξ゚听)ξ「!!」
378以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:37:12.92 ID:Xvooa/HXO
保守
379以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:39:26.26 ID:Q20amxjg0
('A`)「知ってるか?」

ξ゚听)ξ「……ええ。でも何であなたが――」

('A`)「俺もアークの関係者だ。察しはついてると思うが、内藤もな」

ξ゚听)ξ「……」

('A`)「一つ。頼まれて欲しいことがある」

ξ゚听)ξ「何ですか?」

('A`)「全てが終わった後、内藤を殺してくれ」

ξ゚听)ξ「そんなことできるわけが――」

('A`)「分かってる。無理は承知の上だ。だけど、頼む。これはあいつが望んだことなんだ」

ξ゚听)ξ「意味が分かりませんし、内藤さんが言ったかどうかも分かりません」

('A`)「内藤がそう言った根拠はある。あんたはアークの計画の内容を知ってるはずだ。アレが単なる蟲の駆逐計画じゃないってことを」

ξ゚听)ξ「……なんでそんなことまであなたが知っているんですか?」

('A`)「内藤が言っていた。アークの情報を知らせた女がいるって」

ξ゚听)ξ「それは違います。だって私は内緒で見ていたんですから」

('A`)「違う。あんたは意図的にその情報を知らされていたんだ」
380以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:40:20.30 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「どうしてそんなことをする必要があるんですか? おかしいですよ、私みたいな一般人に教えるなんて!」

('A`)「あんたは一般人なんかじゃないだろう。蟲に関する知識を多く持ってる。大学で研究していたはずだ。内藤は知っているぞ」

ξ゚听)ξ「それが何の関係があるんですか!?」

('A`)「おおありだ。他の軍の奴らならアークの資料を見たって何も分からない。だけどあんたになら分かったはずだ。
    情報を伝える人間を限定できる。内藤はあんたにだけ、それもあんたに気付かれないようにアークの情報をリークできる」

ξ゚听)ξ「それは……」

('A`)「俺にも理由は分からない。だけど内藤はあんたにアークの情報を意図的にリークしたんだ」

ξ゚听)ξ「でも、だからって何で私がブーンさんを殺すことになるんですか?」

('A`)「内藤がそう俺に頼んだからだ」

ξ゚听)ξ「じゃああなたが――」

('A`)「出来るならやっている。だけど、あいつは全てが終わったらって言ったんだ。今はまだ全部終わっていない。
    まだ、おそらくは大丈夫だが、蟲が全て死なない可能性がある。その時に、内藤がいないとまずい」

ξ゚听)ξ「全部終わった後であなたがそうすればいいでしょう。もちろんその時は全力で止めさせてもらいます」

('A`)「出来るならやっている!! できないからあんたに無茶なことを頼んでるんだ。
    常識的に人を殺せなんてことそうやすやす頼めるわけがないだろう!!」

ξ゚听)ξ「なんで出来ないって決めつけるんですか!?」

('A`)「……あんた今どういう状況か、わかって言ってるのか?」
381以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:40:33.09 ID:Xvooa/HXO
ktkr
382以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:41:06.18 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「どういうって……あと少しで逃げ切れる――」

('A`)「ワームの最高速度はジープなんかよりずっと早いぞ。トンネルを抜けるには最低でも2時間。
    本当に逃げ切れると思っているのか? 
    スカラベを喰らって、万全な状態のワームから、それもトンネル内の密閉空間の中を」

ξ゚听)ξ「でもブーンさんなら……」

('A`)「出来ん。あいつなら今頃もう全滅することをとっくに承知している。
    だからこんなところでこんなことやっているんじゃないか!?」

ξ゚听)ξ「……」

('A`)「一刻も早く安全圏に逃げ込みたい時に、わざわざ何故ここで留まる必要がある。
    本当に最大限の人間を救いたいなら、青年兵を諦めて、ここは通り過ぎるべきだった。
    でも、そうしない。どうせ死ぬことは分かってるから、最後に混乱の中醜く死ぬことを避けたんだ」

ξ゚听)ξ「そんなこと……」

('A`)「……」

言葉が続かない。

確かに、この男の言うことは筋が通っている。
ブーンさんは壮年の人はどうせ助からないと言って、特攻させたこともある。

最大限の人間を助けるために、彼は犠牲を払うことを厭わない。

ξ − )ξ「でも……じゃあ、どうせ死んじゃうなら私が殺さなくたって」
383以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:42:13.86 ID:Q20amxjg0
('A`)「俺がお前らを生かしてやる。必ずだ。あんたはあのアークってのがどれだけ悲惨な計画か知っているはずだ。
    俺もアークに関わった。こんなことで罪滅ぼしできるなんざ思ってない。
    だけど、俺に出来ることがある。まだあんたらを救える」

ξ゚听)ξ「だったら……! だったらなんでアークなんてっ!!」

('A`)「仕方がなかった。時間がないから詳しくは説明できないがあの時はそうするしかなかった。
    あんたは内藤がアークの立案と実行をしたときの苦悩を知らないだろうがな、
    俺はずっとそばで見てきた。それで あいつがアークを実行に移す時、あの馬鹿は俺に頼みやがった。
    全部が終わった後で、自分を殺してくれって」

ξ゚听)ξ「なんで!? 罪を償うつもりなら生きて償うべきです。それで死ぬなんて卑怯じゃないですか!」

('A`)「分かってる。俺だって最初は断った。あんたと同じように説得した。
    ……でも、ダメだった。あいつは全部分かった上で自分の殺してくれって頼んでた。
    あんただってあいつが馬鹿じゃないこと知ってるはずだ。
    俺にはあいつが責任を投げ出して死ぬような人間には思えない」

ξ − )ξ「……でも、どうして……?」

('A`)「分からん。あいつは最後まで俺達アークのプロジェクトメンバーにも隠してることがあるみたいだった。
    それが、あるいはあいつを殺す要因なのかもしれん」

ξ゚听)ξ「じゃあ、それが分かれば……!!」

('A`)「もしかしたら、内藤は生きるかも知れない。……だが分かるのか、あんたに?」

ξ゚听)ξ「今の時点では、まだ……。でもアークに関することに間違いはないはずです。
      それでアークにいくつか疑問があるんですが、聞いていいですか?
      それが彼を生かすかもしれない」
384以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:46:44.67 ID:FeMTH2vQ0
支援
385以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:47:19.15 ID:Q20amxjg0
('A`)「ああ。俺が知っていることなら。どうせあんたはもう関わっちまったしな。
    ただ時間がない。もうすぐブーン達が最後のジープに乗る。あんたもそれに乗るんだろ。手短にしてくれ」

ξ゚听)ξ「分かりました。じゃあ2つだけ。エレはあれは本当は別の何かを作るために生まれたのではないですか?
      いくらなんでも、生体構造がめちゃくちゃ過ぎます。それか、やたら創造に時間がかかったとか。」

('A`)「すまんがわからん。アレは内藤が独自に研究してたものだからな。
    エレを創造したことで内藤の功績が認められたわけだし、だからこそアーク計画が実現された」

ξ゚听)ξ「ブーンさんが独自に研究……ですか。分かりました
      あと、最後、ブーンさんは普段からあんまり悩まない方でしたか?」

('A`)「いや、なんかある時はいつもグジグジ悩んでたな……そんな質問でいいのか?」

ξ − )ξ「……そうですか、ええ結構です。ありがとう」
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( ゚∀゚)「北部防衛隊長、例の爆弾仕込んできたが役に立つのか?
      あんなに大量に爆発させたらトンネルが崩落しちまって俺達まで巻き込まれるぞ」

('A`)「ありがとうございます。司令官殿。アレは最後の時に使います。なるべくなら使わないでおきたいですが」
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( ゚∀゚)「……ああ、そういうことか。なるほど、使わないことを祈るばかりだな」
386以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:47:57.40 ID:Q20amxjg0
('A`)「ええ、『何か』が蟲を30分位足止めしてくれると使わなくて良さそうなんですけどね」
  _
( ゚∀゚)「ははw お前今の状況よくわかってんじゃねーかw」

('A`)「内藤とは昔からの知り合いですから」
  _
( ゚∀゚)「さて、行こうかツンちゃん、大丈夫だ。必ず俺達は生き残るぞ。司令がいるからなw」

彼が陽気に笑って、私の手を引っ張ってブーンさんの乗るジープに私を乗せる。

運転席に乗っていたハインさんはあの男を見つけて、

从 ゚∀从「おい! お前何やってる? 早く乗り込まないと――」

('A`)「起爆係りがいるでしょう? その役を仰せ使ったので」

从 ゚∀从「お前……」
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( ゚∀゚)「ハイン行こう。あいつは俺達と同じ程度かそれ以上に状況を飲み込めてる奴だった」

从 ゚∀从「……」

( ^ω^)「……」

押し黙った車内、ブーンさんとあの男は一瞬だけ目を合わせた後、ジープは走り出した。
387以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:48:31.67 ID:Q20amxjg0
从 ゚∀从「糞……ちくしょう。……せめて……半分だけでも……」

私は車内にこだまするハインさんの嗚咽をぼんやり聞きながら、単調なトンネルの暗闇を見つめていた。

その視界に十字に組まれた木が映る。

ξ゚听)ξ (お墓……?)

もう過ぎ去ってしまったそれには、一部黒ずんだ銀鎖がかけられていた。
だからこそ、こんな不自然な場所にあるあの木を墓だと思ったのだ。


なぜ、そんな場所に真新しいお墓があるのか、私は考えたくなかった。

388以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:49:17.79 ID:Q20amxjg0


もう他に誰もいなくなったトンネルの入り口にたった一人、男が立っていた。
暗赤の瞳は、しかしやはり澄んだまま。

大型の狙撃銃を構えて、数百メートル前方の森林の様子をずっとスコープ越しに見つめる。

友軍は数分前にこのトンネルをくぐっていった。

そろそろ蟲がここに押し寄せる頃だろう。
人を喰らい、人が創りし物を溶かし、人のために生まれ、そして人のために死ぬ哀れな蟲が。

ワームの最高速度はジープを上回る。
銃撃を受けず、さらにスカラベを喰って十分に栄養を補給すれば、やがて一時間ほどで味方の部隊に追いつくだろう。

トンネルをジープで抜けるには2時間はかかる。
つまりこのまま行けば逃げ場のない細いトンネル内での戦闘に突入する。

その時点で全滅がほぼ確定する。トンネルの天井を這って移動し、進行妨害するワームをどうしようもないからだ。

('A`)「さて、本日最後の一仕事とまいりますか」

森の奥、僅かにスコープの視界に入った蟲、それを認知した直後引き金が引かれる。
389以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:49:42.54 ID:BnqQRxc70
支援支援!
390以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:49:58.09 ID:Q20amxjg0
ズウゥゥゥン

独特の間延びする銃声が響いて、小さなキィという奇声が彼の耳に届いた。

――ッカキン

薬莢を排出、その間に刻々と蟲の軍勢が押し寄せる。

ズウゥゥンッキン――ズウゥゥゥン――ッカキン――ズウゥゥン――

淀みなく機械的に射撃する彼の体に、狙撃用のライフルの凄まじい衝撃が襲う。
それでも照準はぶれることなく、直進するワームの頭蓋を確実に砕いていった。

頭部を打ちぬかれて悶えうつワームから吹き出た酸が他の蟲の外殻を侵していく。

ッカキンと軽やかな音を立てて最後の狙撃銃の薬莢が排出された。
既にその生命活動を停止したワームが十体を越えている。

('A`)「勲章もんの働きだよな、これだけで」

誰もみてねぇのが残念だ、と彼は少し大げさにため息をついてトンネルに中へと向かった。
391以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:50:37.45 ID:UQL9ZhmqO
支援
392以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:51:10.66 ID:Q20amxjg0


暗いトンネルの中には50mくらい進んだところに場違いな木の棒が立っていた。
二つの長さの異なる木の棒は紐によって括り付けられ、十字を結んでいる。

そこに乾いた血がこびり付いて、一部変色してしまった銀の鎖がまるで首飾りのようにかけられている。
もとは首飾りとして存在していたそれは、今はその血のせいでただの鎖になってしまっていた。

('A`)「粗末な墓ですまんな」

誰に言うでもなく、真っ直ぐ前をみてドクオは呟いた。
彼が『墓』と呼んだその場所の周りには、友軍が置いていったライフルが大量に残されている。

どうせ、ライフルを使うほどに追いつかれたら死ぬしかない。
最早こんなものはゴミだとうち棄てられた銃だ。
中にはグレネードなどもある。

ないものといえばドクオが本来乗って逃げるべきジープくらいのものだった。

彼の体が少しずつ大きくなる振動を捕らえ、数百を越えるワームが目前にまで迫ってきていることを知らせる。
毒をライフルを引き絞ってトンネルの入り口へと狙いを定めた。

弓を射る者のように体を縦に構えて、暗赤の瞳で真っ直ぐ見据える。
393以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:53:05.45 ID:Q20amxjg0
やがて砂塵舞うのが微かに視界に映る。ワームの姿もある程度視認できたがまだ引き金には手がかかったままで動かない。
ワームがトンネル内の入り口に差し掛かった時、あの独特得の重なる銃声がトンネル内に断続的にこだまする。

('A`)「はい、いらっしゃい糞蟲ども。せっかくここに墓場があるからお前らも一緒に埋まっていけよ。供養はしながな」

地上とトンネルの側壁、天井を縦横に這うワームがドクオが引き金を引くたびにもんどりうって停止していく。
30発の弾丸を打ち切ると同時にさらに入り口付近に殺到するワームに向かってグレネード4つまとめて投げつけ、
即座にマガジンを入れ替えて近づいてくるワームを迎撃していく。

一発も急所を外せばそれが命取りになる。一瞬でも反応が遅れれば地獄までの最短ルートが目の前に広がる。
その中で、彼は相も変わらず機械的に射撃と爆撃を繰り返していた。

入り口から彼までの50mにワームの死骸が満遍なく敷き詰められ始めた頃、弾薬がちょうど半分ほどに減っていた。
約三十分間、ひたすらワームを掃討続けた結果、流石の蟲も押し通ることは不可能と判断したのか、一時的にその侵攻を止めていた。

束の間の休憩が彼に与える静寂、それが彼に空気の変質を悟らせる。

('A`)「ああ、やっぱ来てたか。どうも無線の調子がおかしいと思ったわ」

警戒して銃を構えながらトンネルの入り口付近まで進んだドクオは北の空に浮かぶ巨大な一匹の蟲を視界に入れた。
蜉蝣のような薄い九対の羽を蠢かせて、不恰好な巨躯を浮かす人類最高の敵ともなった蟲、エレ。

時折その体から青い電気の迸りが生じて、危なげにその大きな体を傾かせる。
394以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:54:41.18 ID:Q20amxjg0
('A`)「そろそろ限界か――」

と言いかけたところで、エレは躯から大量の電気を放出して、青い閃光とともに傾くとそのまま地上へと墜落した。
突如の撃沈。
今まで悪夢のように人類の上に君臨してきた蟲は、奇しくもその最後まで夢の終わりのように突然だった。

('A`)「アーク、ここで完成するか……」

特に何の感慨もない。つまらない終わり方だ。浸る余韻すらありはしない。
しかし現実とはいつでもそのようなものかもしれない。

そしてドクオが耳障りな金属が擦れ合う不快な音を聞くのと、『それ』が視界に入るのはほぼ同時だった。

銀白色に輝く外殻が陽光を反射しながらそれはだんだん近づいてくる。
幾百の足を蠢かして、約百匹のワームの群れ。
しかしワームにあって、それはそれの原型とも言うべき暗緑色の外殻とは異なった様相だ。

('A`)「やっかいだな」

喰らい尽くした金属を外殻の組織に融合させて機動力の変わりに圧倒的な耐久性を備えた蟲、メタル。
国家の主要戦力を滅ぼした後、世界中で民間人を徹底的に殲滅する際に登場するワームの亜種だ。

迷うことなく密集しているメタルに残り一発の対戦車砲を放つ。
メタルの群れはそれをよけることもなく、
一定の速度を保ったままトンネルの入り口まで一直線に進む途中でその弾頭にぶつかった。
395以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:55:17.30 ID:Q20amxjg0
直撃を受けた一体だけはばらばらに飛び散るが、残りは依然その進行速度を落とさず突き進む。

('A`)「蟲らしく五、六匹はまとめて死ねよな」

彼の悪態など気にせず、徐々にその不快な金属音は大きくなって耳に入ってくる。
紛れもなく其れは死の気配を伴って。


震えない。体も。心も。
もうそんな死なんてものに怯えるほど、まともな神経を持ち合わせていない。

通信機を引き抜いた。
エレが堕ちた今、それを阻害するものは存在し得ない。

周波数は元のまま。
ドクオは、ブーンですお、と電子音を出して答えたそれに

('A`)「約束守れんなくてすまん。じゃあな」

とだけ告げて放り投げた。
迫り来るメタルの集団に適当にグレネードをばら撒いて、あの墓まで一息に駆ける。
396以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:56:22.16 ID:Q20amxjg0
そこに戻って銃口を構えなおす時にはメタルとワームの混成がトンネルの入り口に殺到していた。

重なる銃声が響く。もうほとんどその射撃音に間はない。
索敵、照準、射撃。全ての動作がほとんどノンタイムで行えるほど、蟲の密集率が高い。

メタルの頭部に直撃した弾丸は、しかし、彼らの動きを少々鈍らせる程度の効果しかない。
ライフルの銃弾ではその外殻は貫けない。

最初の二連でそのことが分かると、ドクオの弾丸はメタルよりも僅かに先行するワームに吸い込まれていった。

マガジンを取り替える時間などない。
打ち切った銃はその場で投げ捨て、すぐに次のライフルに持ち帰る。

その間に、サーチをかけた蟲は10m以上進む。

再び、索敵、照準――高速で動くワームの急接近に、僅かにぶれた照準を修正――射撃

しかし、そのロスが更なるワームとメタルの接近を促し続ける。
ワームが近づけば近付くほど、エイミングの幅は広がり、更に蟲が近付くという悪循環。

加えてワームの死骸がつくりだした死角を利用して接近するものもいる。
全ての状況が一気にドクオの不利に傾いていく。

天井を這うワームを打ち落とし、一瞬消えた視界に、次の瞬間メタルの突進が顕現する。

弾がぶれないように銃を腰で固定、照準、トリガーをロックして全弾斉射。

('A`)!!!
397以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:57:43.18 ID:Q20amxjg0
吹き飛ばした頭部から吹き出す酸に身を翻した時には既に遅い。
焼けるような痛みとともに、酸が左肩からその腕まで侵す。

('A`)「あああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」

しかし銃撃は止まない。痛みゆえか、それとも自我を保つための咆哮か、誰も、彼自身すらも判断はつかない。

先の回避行動とともに取り替えたライフルを右手だけで持ち、ぶれる照準のまま引き金を引く。
当然頭部に当たらない銃弾では、ワームを止めることも出来ずに無慈悲に彼の眼前に蟲の姿が映し出される。

動かなくなった左手の重みに耐えかねて、彼の体はぐらりと揺れてその背後の粗末な木の十字架にもたれかかった。

('A`)「すまん……最後、お前を守れなかった」

誰に言うでもない。ここには蟲しかいない。

けれど彼の視界に映るのは、蟲の死骸と、最後に別れた時の彼女の顔。

('A`)「すまん……」

聴覚には、狙いが定まらぬまま放たれる炸裂音と、夜明けに口ずさむ彼女の唄。

('A`)「畜生……最後……ここさえ通り抜ければ……」

触覚には、もう全てが麻痺して何も分からないのに、何故か彼女の温度が残っている。
意味もなく、記憶の中の彼女は生きる力を与えてくれる。まだここで死んではいけない――気がして――

目の前に突進してくる蟲に本能的に弾丸を放つ。
398以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 12:58:49.71 ID:kWjhiIK2O
支援
399以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:00:24.82 ID:UQL9ZhmqO
ドクオ…。゚・(つД`)・゚.
400以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:00:40.83 ID:DJQ349VB0
うわああああああああ
401以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:02:01.14 ID:Q20amxjg0
しかし頭部には当たらず、肉の軋む音の後に、ワームが巨大に広げた口で銃ごと腕を飲み込んだ。

('A`)「あ、ああ”ア”あ”あ”あ”あ”あ”あ”あ”!!!!!!!!!!!!!!!!」

喰らいつかれた右肩はほとんどなくなり、残った体組織は酸に侵されて悲鳴を上げる。
狂った様に咆哮した彼は、悶え倒れた視界の隅に、彼女の血に染まる銀鎖に上塗りされた自分の紅い血液を捕らえた。

彼女の墓が音を立てて崩れ倒れた。
カチリと微かな音の後、トンネルの奥で爆音が響き、やがてそれは連続して此方に近づいてくる。

これで終わりだ。いかにメタルであろうと、埋まってしまったトンネルは進めない。

('A`)「ああ”、は、あ……はぁ、ク、クー……」

虚ろな視界。されどその暗赤の瞳は彼女を幻視するやも知れぬ。

('A`)「最後……すまん……でも、一つだけ……伝えたく――」

言葉は続かない。メタルの突進が内臓ごと彼を蹂躙し押しつぶしていた。
口から押し出され血液が彼の言葉を殺してしまう。

けれど、その唇は紡ぐべき言葉を表して確かに動いていた。



         「――会えてよかった……」


爆発と土砂が全てを押しつぶす。
誰も知らぬ、二人だけを埋めて。
402以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:03:10.76 ID:ZccmTwsN0
(´;ω;`)ブワッ
403以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:04:26.85 ID:Q20amxjg0
第十六話「得し夢」


彼の者は最も人に近く、それ故、最も人から遠かった。

彼の者は哀しみにくれている。
彼の者は知ってしまった。
知るべき真実と知らずにありたかった事実を。

笑ってしまう。誰にでもなく。
それは自分のためですらなく。
彼の者は未だに知らない。

絶望を前にどんな表情をすればよいのかを。

与えられた物は望んだ真実と浮き上がる事実。

人はカの者を賞賛する。

彼の者は「与えられし」者だと。

404以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:04:28.95 ID:lLUrGhgb0
うわああああああああああああああああああああああああああ
405以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:05:23.58 ID:Q20amxjg0


司令室にかけられた4枚の絵画の3番目。

絵画の男は卑屈そうに笑う。
されど、その者は何故笑うのか。

彼は真実を知ったから笑うのだ。
彼は天賦の才与えられたから笑うのだ。
彼はその表情を知らないから笑ってしまったのだ。
彼は自身の無力さを打開する術を与えられないから笑ってしまったのだ。


その絵画は「Gifted(天才)」と銘打たれた。

今はなきその絵画の裏には手で歪に刻まれた一綴りの英文があった。

God gifts the ability.
Demon gifts the ark.

406以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:06:10.24 ID:Q20amxjg0


チッチッチッと確かに一秒ごとを刻む時計の針は私を眠らせてくれない。
私一人しかいない小さな部屋に微かに、響く秒針の音が神経を逆なでする。
逃げ込んだショボン司令が管理する宿舎、その一室で私はまだ見慣れぬ天井とにらめっこしていた。

もう世界に蟲はいない。数日前に全て死に絶えてしまった。
いや、まだ正確なところはわからないが、いずれにせよ人間を駆逐する力は最早残っていない。

生き残ったのだ。あの地獄のような場所から。

ショボン司令領では、蟲の壊滅によって活気づいて、多くの人が日に日に笑顔を取り戻している。

私だってうれしい――はずなのに。
気分は依然として晴れはしない。
知ってしまった真実があり、知らなくても良かった事実が、ある。

ブーンさんとは此方に来て以来、部屋が別になったこともあって事務的な会話以外はしていない。

もし、このまま私が何も知らないフリしたままでいたら?
それは、それで一つの方法だ。
でも、同時に私の中から内藤ホライズンは消えてなくなる。
彼自身も、彼が犯した罪も、ある意味では私の両親を殺したって事実も。
407以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:07:45.00 ID:Q20amxjg0
だけど、もし私が真実を打ち明けてしまったら?
当然彼は非難され、そしておそらくは殺されるだろう。
それが本来の正しい道かもしれない。
罪を犯した人間は裁かれるべきだ。

だけど――それは本当に罪?

そもそも彼の、この『方舟』の目的はなんだったのか。
人間に侵食された世界を元に戻すこと?

それは違う。だったら人間を滅ぼす寿命を蟲に与えれば良かった。

では、アメリカの独裁を許すため?
今国家としてまともに機能しているのはアメリカだけ。
そして、このアークと言う計画はアメリカで発案されたものだ。

けど、何故内藤ホライズンがそんなことをする必要がある?
それに何故わざわざ日本に戻ってきた?

答えが出ない。

彼に直接聞いてみようか?
しかし、もしそれで彼がその何らかの理由はあれどその大罪を認めてしまったら。

やっぱり私の記憶の中の優しかった内藤ホライズンは消えてしまう。
どうなっても、私の中から内藤ホライズンは消えてしまうのだ。
408以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:10:11.84 ID:Q20amxjg0
私はおそらく内藤ホライズンに、そして多分彼すらも無意識のうちに、親愛のような感情を刷り込まされている。
同じような家柄と言う拘束に縛られながらそれを振りほどいてしまう彼に、私は無意識に憧れていた。

理屈では私はずっと七瀬の女であることを受け入れながら、しかしやはりどこかでそれに反抗していた。
教養などと適当な理由付けをして、その反抗が形となったものが海外留学だ。
絶対に会えないことを分かっていても、私が進む道の延長線上に彼がいることが
私の運命を決め付けた七瀬へのささやかな反抗になっている。

両親を失い、家を失い、そしてある意味で敵役として私を支えていた七瀬を失って、私は虚ろだった。
でもまだあの記憶の中の優しかった内藤ホライズンに会えるかもしれないという希望が、
かりそめの柱として私を支えている。

絶対に会えるはずなんてないということが、逆に私には好都合だった。
その希望に私は絶対に裏切られることはないのだから。

409以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:10:51.80 ID:Q20amxjg0
まだ、私はブーンさんに会っていても、内藤ホライズンには会っていない。

選択権は私の手の中にある。

何も知らないふりをして、内藤ホライズンを消してしまうこと。
おそらく誰も傷つかず、一番安全で簡単な道。

全てを全ての人に知らしめて、内藤ホライズンも、ブーンさんも、社会的に、あるいは物理的に殺してしまうこと。
これが、多分きっと一番多くの人が納得する。

内藤ホライズンに会い、そして私の中からブーンさんを消してしまうこと。
結果、記憶の中の優しかったはずの内藤ホライズンも消えてしまうかもしれない。


南中していた満月はいつの間にか傾き、窓から月光が私の瞳に入り込んだ。
眩しくて翳した手に落ちる青みがかった光は澄んでいる。

眺めた夜空には蒼月と満天の星。
蟲が再生した、青き本来の地球の夜空。

彼の望んだ世界。美しい――

――けれど、その下には、信じられないほどの人間の犠牲が。
410以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:11:57.44 ID:Q20amxjg0
でも人間だってそうかもしれない。
かつて栄華を極めた人間という種族はその下に信じられないほどの犠牲を積み上げてその地位を獲得した。

それもわかっている。でも、だからって彼の方法は正しくなんかっ……!
……正しくなんかないはず、なのに。


ξ ー )ξ「だめだ……考えても全然分からない」

どうせ、私の中のブーンさんか内藤ホライズンは死んでしまう。
ならば覚悟を決めよう。


ポーカーと同じだ。
カード切る者だけが、次のカードを得ることが出来る。

411以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:13:59.23 ID:Q20amxjg0
ちょうど今なら人もいないだろう。
ベッド抜け出した私は、なるべく音を立てないように扉を開けて忍び足で彼が寝る部屋に向かった。
心臓の鼓動が少しだけ早くなる。夏の夜、少しだけ肌寒い空気が心地いい。

彼の扉の前にたって躊躇なくノックしてから、私はようやく彼が寝ているかもしれないという可能性を思いついた。
何故か何の疑いもなくそこへ行けばいつでも会えると思い込んでいた。
しまったと思って引き返そうとしたのと部屋から「誰ですかお?」とちょっと驚い声が聞こえるのはほとんど同時だった。

ξ゚听)ξ「あ、えと……」

( ^ω^)「ツンかお? こんな時間にどうしたんだお?」

がちゃりと開いたドアからブーンさんが声をひそめて問いかける。

ξ゚听)ξ「あの、話があるんですけどいいですか?」

( ^ω^)「構わないおw じゃあ中に――」

ξ゚ー゚)ξ「いえ。外へ行きませんか? 夏の夜はなかなか素敵ですし、少し長くなるかもしれませんから」

( ^ω^)「わかったお」

二人で宿舎を出て、北の方角へ進んでいく。
私達が脱出した海底トンネルの方角だ。
412以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:14:02.15 ID:5EQb7iLq0
複アカ無限増殖をメッセすると教えてくれるよ

http://mixi.jp/show_friend.pl?id=15213064







413以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:14:49.87 ID:Q20amxjg0
ξ ー )ξ「月、綺麗ですね」

( ^ω^)「綺麗だお。昔はこんな綺麗な月は都会だったこの辺りじゃみれなかったお」

歩きながら、二人は上を見上げて進んでいく。
ビルもこの辺りはほとんどなくて視界は開けていて、
窓からみるのとは比べ物にならないくらい大きな夜空が広がっている。

ξ − )ξ「これって蟲が生まれたから、こんなに綺麗なんですよね?」

( ^ω^)「そうだお。フライが空気中の化学物質を分解して、自分の酸に変えているんだお。
      他にも全部の蟲が様々な形でこの星の緑化を急進しているらしいお」

ξ゚听)ξ「そうですね、私も研究していましたから多少は知識はありますよ。蟲の生態について」

( ^ω^)「知ってるお。ツンは生命工学科って言ってたお」

ξ ー )ξ「ブーンさんも生命工学科ですよね。蟲専門の」

( ^ω^)「僕の頃は蟲がまだいなかったから蟲を専門的に研究してはいなかったおw
      なんで蟲専門って思ったんだお?」

ξ − )ξ「『The Ark』 聞いたことありますよね?」

( ^ω^)「あるお。 Seventh Riffle はもうみたかお?」
414以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:14:53.70 ID:uefmoMqhO
支援
415以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:15:28.38 ID:Q20amxjg0
ξ − )ξ「見ましたよ。”内藤ホライズン”さん」

( ^ω^)「黙っていて悪かったお。だけど僕はもう内藤ホライズンを棄てたから」

ξ − )ξ「……そうですか。
      でもじゃあなんで最後まで忘れさせたままでおいてくれなかったんですか? そうすれば……私だって」

( ^ω^)「内藤ホライズンがかつてそう望んだから。それでは満足できませんかお?」

ξ − )ξ「……まるであなたと内藤ホライズンは全くの別人みたいな言い方するんですね」

( ^ω^)「僕はもう既に内藤ホライズンではないのだお」

ξ − )ξ「……そうでしたね」

( ^ω^)「アークの話だったお。それがどうかしたのかお?」

ξ − )ξ「公式発表では蟲の駆逐計画がアークとなっていますが、事実と違いますよね? 」

( ^ω^)「……」

ξ − )ξ「答えてください」
416以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:16:01.60 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「どうしてそう思ったんだお?」

ξ − )ξ「失礼とは思ったんですが、あなたのPCのファイルを見させてもらいました。
      そこで The Ark というファイルを見つけたんです」

( ^ω^)「アークプランに関する資料だおw 僕は一応アメリカ軍の研究所に勤めていたんだお」

ξ − )ξ「ええ、知っています。でも、おかしくないですか? あなたが日本に来たのは6年前。
      蟲の研究が本格始動したのは4年前。あなたがあの資料を手に入れられるはずがありません」

( ^ω^)「インターネットを経由して手に入れたんだお」

ξ − )ξ「いいえ。あんな資料がまとまる頃にはネット回線は蟲に食い尽くされていました」

( ^ω^)「軍関係の特別なルートで――」

ξ − )ξ「それもないでしょう。もう自衛隊に所属していたあなたに米国がそんな情報も流すとは思えません」

( ^ω^)「……」

ξ − )ξ「それに、他にもあの資料には不審な点が多すぎます。蟲の第二の寿命の取得率が100.0%になってからの
      不必要に長い一年間。過去のものにしては詳しすぎる資料。
      そして決定的なのが『方舟』ファイル、あるべきないはずのエレに関する研究資料」

( ^ω^)「『方舟』ファイル……中を見れたのかお?」

ξ − )ξ「ええ」
417以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:16:52.12 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「The Ark から疑問点の炙り出し、考察、情報収集……君は随分勘が鋭いお」

ξ − )ξ「……絵ですよ」

( ^ω^)「絵?」

ξ − )ξ「私が最初にあの資料を疑いの目で見るようになった要因です」

( ^ω^)「……どういうことだお?」

ξ − )ξ「ブーンさん、あなたはいつでも常に微笑んでいること、自覚していますか?」

( ^ω^)「していますおw 笑う角には福来るって昔から言うお」

ξ − )ξ「命が危ない時、仲間が無蟲に喰われていくのを眼前で見るとき、 
      戦場で号令をかける時、いつもですよ? それって異常じゃないですか?」

( ^ω^)「……」

ξ − )ξ「今、私と話している時もです。人って悲しいときは悲しい顔をするものじゃないですか?
      辛い時には辛い顔に、うれしい時には笑顔になるものでしょう?
      ……でもあなたには一切それがない。いつでもあなたは今みたいに微笑んだまま。
      だから、あの司令室に絵画の一枚があなたに重なるんです」

( ^ω^)「『Demon』、かお?」

ξ − )ξ「ええ。それで私は無意識にあなたのことを悪魔かもしれないと刷り込ませれていたのかもしれません。
      だから、あの資料から漂う悪意に敏感になっていたんだと思います」
418以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:17:07.80 ID:s+pvXufH0
誰か・・・夜10時ほどまで保守を頼めないか・・・
419以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:17:28.63 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「悪意?w」

ξ − )ξ「ええ。そうでしょう? アークは蟲を駆逐する計画なんかじゃない……『人間を駆逐する計画』
      そう考えれば、エレの存在意義も、あの一年の余分な期間も、6年前に蟲に関する資料が存在することも
      全て納得出来ます」

パチパチパチ、と。唐突に冷ややかな夏の夜の空気に無感動な拍手の音が響いた。

( ^ω^)「ツン、君は素晴らしいお。ほとんど正解だお」

ξ − )ξ「……うれしそうですね」

( ^ω^)「うれしいに決まってるお! 君はアークをほとんど僕のヒントなしに見破った。
      アークが人間駆逐計画であることまでだお!」

ξ − )ξ「なぜ…… 人を駆逐したんですか?」

( ^ω^)「決まってるお。地球に人間が増えすぎていたせいだお。過剰分は削除しなければいけないんだお」

ξ − )ξ「それだけ?」

( ^ω^)「十分過ぎる理由だおw」

ξ − )ξ「私の両親は蟲に殺されました。……あなたに殺されました、そういっても過言ではないですよね?」

( ^ω^)「違うおw 僕は世界を救済したんだお。世界を救うのに犠牲はつきものだお。
      君の両親のことは不運な事故と同じだお」
420以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:18:02.54 ID:Q20amxjg0
ξ − )ξ「……」

( ^ω^)「もし仮にあのまま僕が何もしなかったら、どうせアメリカと中国の核戦争で世界はダメになっていたおw
      だから僕はそれを阻止するために、このアーク計画を実行したんだお」

ξ − )ξ「……そう、ですか……」

( ^ω^)「君はエレの違和感に気がついたかお?」

ξ − )ξ「違和感? エレの構造がぐちゃぐちゃなことですか?」

( ^ω^)「そうだお。だけどそうなのはエレが副産物みたいなもんだからだおw
      君はアレが元は神経系を侵す寄生虫だってこと知ってるはずだお」

ξ − )ξ「それは電磁気を操るために――」

( ^ω^)「違うお、逆だお。神経系を侵すから電磁気系統に干渉できる蟲を開発できたんだお。
      エレはもともと、神経を侵す寄生虫用につくられたんだお」

ξ゚听)ξ「何……ですって?」
      
( ^ω^)「アークはとても国の方針としてまともに受け入れられる計画じゃなかったお。
      だけど、僕が創ったその寄生虫はそれを可能にしたんだお。
      脳の神経を侵すその寄生虫。効果は簡単だお。
      人間を賢くするんだお。みんな、どうすれば一番いいか分かるんだおw
      だからアークが実行できたんだお」
421以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:18:54.53 ID:Q20amxjg0
ξ゚听)ξ「人を賢くする?」

( ^ω^)「そうだお。皆が合理的な判断が出来るようになるんだお。
      迷ったりしないお。これで誰も苦しまないお」

ξ ー )ξ「……そっか。そういうことか」

( ^ω^)「納得してくれたかお? アークは素晴らしい計画だおw」

ξ ー )ξ「ええ。多分そうなんでしょうね」

( ^ω^)「ツン。君はやっぱり見込み通りの娘だお! 
      すんなりこの計画の素晴らしさを寄生虫なしで理解した人間は他にいないお!!」

ξ ー )ξ「そうですか。ところで、私あなたの友人にあなたを殺してくれって頼まれたんです。
      それでそう頼んだのは内藤ホライズンさん、あなた自身らしいんです。記憶にありますか?」

( ^ω^)「そんなこと僕が言うわけないおwww」

ξ ー )ξ「そう聞いて安心しました。これで――」





               「――あなたを殺すことが出来る」



422以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:21:52.62 ID:lLUrGhgb0
( ゚ω゚ )
423以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:22:36.12 ID:Q20amxjg0
真っ直ぐにブーンさんに銃口を向ける。
私がブーンさんにあったその日にもらった拳銃だ。

狙いは頭。この距離ならはずさない。はずせない。

( ^ω^)「……何故だお。どうして分かってくれないだお!!
      僕は世界を救ったんだお!! 何で誰もそれをわかってくれないだお!?」 

ξ ー )ξ「いいえ。違います。アークが救ったものなんて関係ないんです。
      あるのは内藤ホライズンの遺志ですよ」

( ^ω^)「何言ってるんだお!? 僕が内藤ホライズンだお!!」

ξ ー )ξ「あなたが自分でもう内藤ホライズンではないと言ったじゃないですか」

( ^ω^)「そんな言葉遊び――」

ξ ー )ξ「言葉遊び? 違いますよ。事実、あなたは内藤ホライズンじゃないんですから。
      私はあなたを生かしたかったんですよ。生きてあなたの為すべきことをさせようと思っていました。
      だから、私はあなたを生かす鍵を探してた。
      でも見つかったのはあなたを殺す鍵。内藤ホライズンがあなたを殺さなければいけない鍵です」
424以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:22:43.41 ID:UQL9ZhmqO
>>422
なんかわろたwww
425以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:23:40.71 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「何を言っているんだお!? ツンはやっぱり他の人間と同じように屑だったお!
      どうして僕の正しさが分からないんだお!? わざわざ、君が気付くように間接的に教えてやったのにだお!」

ξ ー )ξ「……私があなたを殺す理由、あなたに分かりますか?」

( ^ω^)「分かるわけがないお! 君はただの狂った殺人者だお! 合理性のカケラもないお!!!」

ξ ー )ξ「じゃあなぜ内藤ホライズンは殺してほしいと頼んだか分かりますか?」

( ^ω^)「だから僕はそんなこと言ってないお!」

ξ ー )ξ「あなたではないです。あなただった内藤ホライズンが言ったんです。未来の自分を殺せって」

( ^ω^)「……」

私の言葉に彼は黙って私を見つめた。
その瞳の奥に微かな戦慄。
426以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:24:43.41 ID:Q20amxjg0
ξ ー )ξ「瞳、黒くしちゃったんですね。昔はもっと綺麗な紅だったのに」

( ^ω^)「……ただのカラーコンタクトだお。僕はこの瞳の色は吸血鬼みたいで嫌いだったんだお」

ξ ー )ξ「そっか。今はなんだかあの時の内藤ホライズンと話してるみたい」

( ^ω^)「おかしいお……なんで君を見ても僕は何も感じないんだお……
      確か、そう。たしか君は僕にとって大切な人だったはずなんだお!」

ξ − )ξ「……」
      
( ^ω^)「なんでだお!? 僕は、それで君は確かに、大事だったはず。僕は君のことが好きで……
      でも、そうだ、家柄とかあって、それで……僕は」

ξ − )ξ「アークはただの人間が実行するにはあまりにも残酷な計画だった。
      世界中の人を殺して、それでも飽くまで実行者は冷静でいなければならなかった。
      その罪科の重みに発狂することも、その責任から逃れることも出来ない。
      でも、内藤ホライズンはそれを実行する必要があった。

      だって内藤ホライズンはおそらく誰よりも世界情勢を読んでいた。
      アメリカが21世紀初頭に構想した相互核防衛理論の崩壊も」
427以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:25:23.74 ID:Q20amxjg0
そもそも相互的な核の防衛は所有国が大国であることを前提をしたものだった。
核ミサイルを保有する潜水艦による報復攻撃がある限り、敵国土を一瞬で焼き払うことに意味はない。

しかし、時間の経過による文明発展は本来ならば持つべくなかったアジアを中心とする小国にも核所有を可能にさせた。

結果、世界は何度地表の生物が滅んでもおかしくない量の核を抱えたまま、
いつ核戦争が勃発してもおかしくない状況が構築される。
世界中で起こっている紛争が、いつ核を誘発するか分からないほどにまで。

結果的に、各地でも戦争は自粛された。
一見良い方向に進む様にみえたこのベクトルは、しかし、確実に破滅への道を進んでいた。

アメリカの軍需産業の停滞と、代わって台頭する科学食物産業が大きな問題となった。

2005年時点で非公式ながらも「次の戦争は食料を媒介とする」とアメリカの国防総庁長官が明言しただけあって、
アメリカの動きは早かった。

各食品、作物の品種にDNAの特許制化、及び、品種改良と各貿易国に対する農地の確保。
軍事産業の衰退を補って余りある利益をアメリカは独占しかけていた。
428以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:25:55.92 ID:Q20amxjg0
一方他国は衰退するばかりだった。
アメリカの寡占に加え、産業革命以来増加し続ける人口が悪循環的に食糧不足を深刻にさせていった。

そんな中アメリカに各国を代表して噛み付いたのが中国である。

発展途上国を中心とする世界諸国に反アメリカの号令をかけた中国とアメリカとの緊張はひび高まっていく。

そんな折、アメリカはついに全食物類に応用可能な総合農学工業の技術を開発する。
それを莫大な資本と引き換えに交換すると言うアメリカに、しかし、中国を中心とする反アメリカは一歩も譲らなかった。
実際問題、アメリカの提示額は他国を国として機能させるのにギリギリを下回る水準であったと言われる。

かくして反アメリカの動きは世界中に広まる。
このままではいつ核戦争が起きても不思議ではなかった。
中国は、既に準備段階をほぼ全て終え、交戦まで最早日は遠くないと思われた。

ξ − )ξ「だけど、たった一人の人間が全てをぶち壊した。
      ううん、でも結局彼自身は出来なかった。
      彼が思いついた計画は精巧で美麗でそれでいてどこまでも残酷だった。
      人ではない何かが、悪魔みたいなものが考えた計画だった」
429以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:26:49.88 ID:Q20amxjg0
( ^ω^)「……」

ξ − )ξ「それはとても人間が実行できるものじゃなかった。
      それなのに、やっぱり内藤ホライズンはどこまでも人間だった。
      彼は迷ってしまう。罪悪を感じてしまう。その重みに耐えかねて狂ってしまうかもしれない。
      でもその悪魔の計画は彼にそんなことを許さない。

      どこまでも冷徹に、合理的に、狂いなく進めなければいけない計画。

      だから、内藤ホライズンは人であることをやめた。
      内藤ホライズンではなくなった。彼はいつの時も微笑む悪魔になった。
      そうせざるを得なかった。そこで滅ぶような愚かな人間ならば滅んでしまえと言い切れなかった」

( ^ω^)「悪魔になったのかお。それが僕……なのかお?」

ξ − )ξ「おそらくそうです。だからあなたは迷わない。罪も感じない。
      あなたは自分が正しいと思うように内藤ホライズンに作り出された、あの人自身の悪魔なんです。
      寄生虫の一番最初の被験者はあなただったんです。
      このアークは悪魔の死で完結する。一度産み落とされた悪魔は何を考えるか分からない。
      蟲よりも遥かに危険な因子になるかもしれない自身の悪魔の行動までは、内藤ホライズンも予測できなかった。
      そして、悪魔になる前に彼は自分の友人に最後に自分を殺すように頼んだんです。
      だから、あなたを殺すのにアークが救ったものなんて関係ありません。あるのは彼の遺志だけ」
430以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:26:52.86 ID:UQL9ZhmqO
支援
431以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:27:38.90 ID:Q20amxjg0

( ^ω^)「いやだお!! なんで僕が死なければ――」


自分でも驚くくらい、冷静に引き金を引いた。

痺れるようなリコイルショックの後に銃声が通り過ぎて、
風船が弾けるような鮮血の光景に、小さく水音が残響した。

青い月が照らす夏草が、彼の血液を弾いて揺れる。

ξ ー )ξ「もう、遅いよ……内藤ホライズンはとっくに死んじゃってるんだから……」

ゆっくり彼に近づいて、ぴくりと痙攣する彼の体のそばにしゃがみこんだ。
吐き気なんかしなかった。私も悪魔なのかもしれない。

あはは。私は無機質に笑った。

432以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:28:29.68 ID:Q20amxjg0
見上げると、遮蔽物の何もない満天の夜空。
辺りは緑で生い茂っている。どこからともなく、美しい旋律を奏でる虫の音。

綺麗で優美な、内藤ホライズンが創った世界。

ξ ー )ξ「綺麗だな……」

きっとこの景色を二人で見れたら、私はそれだけで幸せになれるのに。

ξ ー )ξ「もし次会えるときは、幸せにしてね」

穏やかに笑って、拳銃のトリガーを引く。




満天の星空、そこに流れる箒星一つ。

このお願いをあの星は叶えてくれるだろうか。


                             終わり
433以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:29:07.73 ID:z/lTMS3y0
>>1もつ 楽しませてもらった
434以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:29:16.52 ID:UQL9ZhmqO
乙!
435以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:29:26.57 ID:uvYnMfmi0
おつかれさん!!面白かったぜ!!
436以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:29:32.49 ID:kWjhiIK2O
乙でした
437以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:29:59.76 ID:dSOjKrQkO
ブゥラボゥ!
438以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:30:18.05 ID:FH0Zs0gV0
乙でした
439以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:30:53.77 ID:snAs5v+60
乙!鬱エンドとはいいきれないこの終わり方まさに見事だ
440以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:30:59.58 ID:ZccmTwsN0
乙カレー!!

その辺の小説よりよっぽど面白かった
441以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:32:26.81 ID:KF2/AefXO
新年早々乙!
442以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:32:37.80 ID:uefmoMqhO
乙ーずっと完結を待ったかいがあった
443以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:33:57.97 ID:oy4VQ3mKO
444以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:35:38.38 ID:BnqQRxc70
乙!
445以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:35:40.48 ID:uJxmQ3ku0
乙!! 待っていた甲斐があった!!!
446以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:41:09.52 ID:5gzsE1p6O
インドどうだったー?
447以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:41:38.58 ID:BfyHRtDo0
面白かったぜ、乙

個人的には、最後の最後が(ry
448以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:42:01.47 ID:lLUrGhgb0
( ゚ω゚ )乙
449以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:43:51.16 ID:LdwUNL3h0
450以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:47:08.92 ID:/n1KfK5tO
お疲れ様ー
451以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:47:44.81 ID:wrTmEG7KO

今年で1番感動した
452以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:48:17.46 ID:Xvooa/HXO
新年早々いいもん見せてもらった乙
453以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:48:34.42 ID:LdwUNL3h0
>>451
至って普通だなw
454以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:49:31.46 ID:FzKKkeJuO
映画化決定!
455以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:49:31.84 ID:DJQ349VB0

これが俺の中でブーン系最高の作品になった
456以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:49:49.91 ID:FeMTH2vQ0
457以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 13:53:45.03 ID:Wgkspg+aO
乙!!
半年近くも待たせやがって……!その間に、何回読み返したと思ってるんだ!

やっとスッキリできた。
458以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 14:08:03.65 ID:NN59noPDO
面白かった。
乙乙
459以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 14:18:18.34 ID:HCdZUSmmO
乙。新年初っ端から良いものをみた。
460以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 14:29:55.67 ID:TmOPxYTnO
禿乙!!!!!
今年はいい年になりそうだ
461以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 14:57:53.46 ID:EswPCyVfO
乙!
今年最高の作品だったぜ
462以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 14:59:34.41 ID:L1766EBFO
読むほ
463以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 15:07:46.66 ID:jMnOTfi2O
乙!
のめり込んでよんでしまったwww
素晴らしかった!
464以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 15:20:54.69 ID:+ECjHPpfO
465以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 15:36:10.12 ID:dbWDqA1iO
ちょっと待て、来てたのか
466以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 15:45:15.12 ID:OCJh9zOYO

楽しませてもらった
467以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 15:49:28.92 ID:aBFnyJHUO
なんか微妙だった。本物か?
468以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 15:49:39.85 ID:DUKClmwcO
よむほ
469以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 15:52:04.51 ID:HeR74YCnO
470以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 15:58:46.43 ID:FAlcMBVsO

かなり面白かった
471以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 16:01:37.90 ID:C3oMK+j+O
これは偽物臭がぷんぷんする

鳥つけろや
472以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 16:15:11.12 ID:DUKClmwcO
473以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 16:25:53.43 ID:DUKClmwcO
474以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 16:48:05.19 ID:H3AjNcOFO
展開がすこしなぁ。ちょいものたりなかった
475以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 17:07:01.03 ID:r4OQu0q5O
>>471
元から酉ついてないだろうが
476幽霊 ◆pHeDv3r/jw :2008/01/01(火) 17:22:34.04 ID:2n1I/tlW0 BE:451013344-PLT(12011)
       ,.- '´  ̄ ̄ `  - 、
        r'   _,. -―-- .、  ヽ
       l r '´        `ヽ  l
       l'.......-―.:::::: ̄ ̄:::::::::::‐.`L.._
     ,-:::´::::::::::-::‐ ''  ̄ ̄  ‐-、:::::::::::::ヽ
   r':::::::::::::::::::/          lヽ:::::::::::::::i
  .i'::::::::::r:、:::::l   _       i:::::::::::::::::::::!
  .l::::::::::i:rヽヾ  ri't:Tヾ、 ;::::- 、 !:::::::::::::::::::/
    ヽ:::::lヽ.、     ̄ノ :.'`-'ヽ`ir' )::::::::::;r'
     ` ヽニ:.      ,.   ::.`   'i:.r'::;;-'´ 
        l::.   ,,..--`-:く   /'-' ´    乙
        イ :.  "'''''''"';;;;:ミ .!      
    r:::'::::::l  :..      `/
 ,.-:':::::::::::::::::!ヽ   、.    i'
':::::::::::::::::::::::::::i ヽ    ̄ /!ヽ、
::::::::::::::::::::::::::::::i,.--ヽ._,〃´l:::::::::ヽ、
::::::::::::::::::::::::::::::l  _/_i_l   ,!、:::::::::::::::ヽ
477以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 17:32:57.90 ID:p5ps9OzxO
これは記念乙
良作過ぎて誤字脱字が残念に思えるぜ 
あと、もう少しボリューム欲しかったかな
478以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 17:39:15.53 ID:jy402MiE0
おもしろかった…
元旦からいいもの見たよ

乙!!
479以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 17:40:41.93 ID:TmOPxYTnO
まとめ待ち保守
480以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 17:43:35.71 ID:eMAcnMBSO
同じく☆
481以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 17:46:38.89 ID:4L4sydKLO
482以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 17:54:17.60 ID:eMAcnMBSO
483以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 17:54:28.76 ID:Wgkspg+aO
まとめは boon novel がやってくれるはず。
484以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 17:54:36.54 ID:i9MxDc2DO

ケータイで読むの時間かかったお
485以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 17:56:24.37 ID:IMe1xe9m0
486以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 17:59:27.71 ID:xyNeEaAOO
く、駆逐だとぉぉぉぉぉッ!?
ずっと待ってたんだぜ!

今から読むほ
487以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 18:00:04.45 ID:vRh1VWilO

ブーン系小説で、初めて泣いたお( ^ω^)
488以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 18:00:46.97 ID:U4j83YRjO
今北。読むど
489以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 18:20:18.41 ID:He/Zh27DO
乙、ずっと続き待ってたぜ
490以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 18:47:54.97 ID:xyNeEaAOO
読みオワタ乙

面白かった
491以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 18:48:06.74 ID:nhw7oA1oO
osz
492以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 18:48:43.64 ID:OBMRgtPeO
493以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 18:49:24.15 ID:OBMRgtPeO
494以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 18:53:08.93 ID:I2m6Y+tr0
よみおわた!
乙!
495以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 18:58:52.57 ID:ZxuhERxxO
ホントに待ってた甲斐があったよ。面白かった。
496以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:22:08.61 ID:eMAcnMBSO
ところで作者はスターシップトルーパーを意識したのかな?
面白かったから良いけどね!
497以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:26:47.37 ID:hIOQFXvpO
>>496
懐かしいwww
498以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:46:22.58 ID:WfjbtfBvO
ちょっぴりナウシカっぽい気もした
499以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:46:29.82 ID:4104nAk5O
よむほ
500以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:53:59.68 ID:+if4tR6MO

アルファベット並にハマったぜ
501以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 19:56:09.95 ID:kuUTY5Oq0
>>1
うおー!!帰国したのか!!?
いちばん大好きで、一生忘れられないブーン小説だよ!!!!!!最高のお年玉だ
これから読ませてもらいます!!!!!!
502以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 20:02:24.90 ID:UKL186TqO
503以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 20:18:28.35 ID:9IyryhFqO
504以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 20:22:03.88 ID:FcPDHHmgO
乙!
面白かったよ!!
505以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 20:40:45.40 ID:C3oMK+j+O
駄作じゃねぇかこれ

文才スレ池
506以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 21:04:04.59 ID:kuUTY5Oq0
保守
それにしても過疎だなw
507以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 21:29:42.35 ID:0PC5cwRvO
ホス
508以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 21:37:07.34 ID:nhw7oA1oO
今年一番目の作品。

文の構成は良いと思ったよ。けど人物描写が根本的に間違ってると思うんだ。

ブーンの性格描写が最初からあったのにもブーンがいきなり悪魔の性格に変わっちゃったよね。
やはり始めからブーンの黒い性格を少しずつ描写した方が個人的に良かったと思ったよ。


とりあえず次回作に期待ということで楽しみにしています。
509以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 21:56:22.03 ID:kuUTY5Oq0
俺個人的には、わざと最初からブーンの性格をはっきりと描写せず、ぼやかして描写して、同時にどこか陰というか、引っかかる部分も同時に書いていっているから、すごく効果的でいいと思ったなw
510以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 22:00:02.15 ID:brnZ/6s+O
これがおもしろかった奴は
漫画版ナウシカを読みなさい

インスパイア乙
511以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 22:00:32.50 ID:hIOQFXvpO
でも俺は、最後は引き金を引かせる為に演じてるんだと思ってたぜ……
512以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 22:02:41.64 ID:DJQ349VB0
>>511
ですよねー
内藤ホライズンじゃツンが殺さないと思ったから敢えてブーンで最後接したと思うんだよな
でっていう
513以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 22:05:24.30 ID:Wgkspg+aO
黒いと合理主義は違うような。

>>511
俺もそう思った。
じゃないと、最初の方でツンに銃を渡した時の言葉と食い違うよな。
514以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 22:25:50.44 ID:nhw7oA1oO
なるほど

確かにそうだな……
俺は馬鹿だったわ。ブーン小説を読むのに値しない人物だな俺は………
515以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 22:30:42.56 ID:Wgkspg+aO
ちょwww極端すぎwww

誰でも気軽に読めるのがブーン系だ。
そんなに気にする事でもないぞ。
516以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 22:35:42.12 ID:DJQ349VB0
そんなに深く読むと肩こるからね
頭空っぽにして軽く読むのがベター
ただの個人的意見ですけど
517以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 22:39:44.81 ID:WfjbtfBvO
しかし どうして中々良作が多いのもブーン小説
そ こ が い い
518以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 22:49:12.06 ID:aeLu4v8iO
よむほ
519以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 22:51:35.08 ID:I2m6Y+tr0
個人的には、番外編的な感じでブーンとドクオの過去とか、常夜見・七瀬
一族の関係なんかを明かして欲しいな。
もちろんドクオとブーンの関係と、ツンとクーの関係も。
520以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 23:13:12.92 ID:KpwQQWYpO
よむほ
521以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 23:19:08.47 ID:4104nAk5O
番外編希望!
522以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 23:27:26.68 ID:8NcmMrcUO
これは面白かったわwwww
523以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 23:44:54.52 ID:Ob5jd7l3O
524以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/01(火) 23:48:57.07 ID:JgZOwqtw0
525以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 00:01:23.54 ID:npx9SUJ8O
>>510
マンガ版ナウシカ読むわ
526以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 00:15:28.79 ID:XefbRztvO
保守
527以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 00:26:03.44 ID:Ae6nnlxK0
保守
528以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 00:42:47.41 ID:aVLuE0BP0
保守
529以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 00:57:45.69 ID:9N/hx3ObO
530以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 01:01:04.43 ID:eZUntidj0
今読み終わった
531以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 01:13:12.38 ID:4wBFNrVqO
結局器の大きさでは、ブーン>ツン なんだな。安心した
ツンが最後にブーンが演技してることに気付いていたかどうか…
まあ、もしかしたらこの考えは間違ってるかもしれんが


ドクオ最高保守
532以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 01:14:40.75 ID:fvHbC4x00
ドクオの格好良さは異常
533以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 01:19:18.97 ID:4IaS5qBpO
乙!

こんな名作に会えるとは今年は幸先いいわー
534以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 01:33:48.42 ID:62rg9e+0O
他になんか書いてる?
535以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 01:39:33.18 ID:Pft3jCDz0

しかし合理的な判断をするわりに、
ツンにボコボコに殴られるような発言をするんだな。ブーンって奴は。
それともあれは場を和ませるためか。
536以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 02:31:56.69 ID:bKjlfvjSO
537以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 03:05:47.82 ID:YHWnYGHaO
>>535
それはネタだろ…
538以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 03:42:46.76 ID:cUEvKHG70
これは・・・凄い・・・
539以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 04:14:09.99 ID:UOIT3CQ/O
すごく・・・番外編を読みたいです
540以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 04:34:25.06 ID:HzCrI1K+O
541以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 04:38:33.60 ID:q0lVtpRMO
何で保守してんだ?
BOON NOVEL の掲示板にログ貼ってあったから、もう保守はいらんだろ。
542以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 04:41:10.10 ID:r5fsSw8Y0
気分だろ



543以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 04:55:36.18 ID:9cOHo6eLO
保守することによって誰かの迷惑になるのか?
続き物でもないのに何でそんなに落としたがるんだよw

保守
544以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 04:58:18.60 ID:c1o62ZdI0
今読み終えた
>>1

他人の評価なんてそれぞれだが、俺からすりゃ素晴らしかったよ
もうドクオ最高
545以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 05:17:15.38 ID:r5fsSw8Y0
546以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 05:21:17.09 ID:eqGkKybJ0
うああああああああ
おもしれぇwwwwwww
乙wwwww
547以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 06:32:36.97 ID:cUEvKHG70
・・・この物語のもっと深い部分が知りたい・・・
548以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 06:50:01.52 ID:XpeIqy4hO
とても楽しませてもらった、充分過ぎるお年玉だww
549以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 07:20:05.33 ID:vorYj8r80
保守
550以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 08:14:38.03 ID:vorYj8r80
文章に変な部分はあったが、脳内補正かければ気にならない

新年初のブーン小説、面白かったぜ
551以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 09:02:35.48 ID:HmQFI5QMO
ハイキック
552以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 10:13:21.29 ID:79QEA4rWO
読んだよー面白かった
最後ブーンがトチ狂った感じになったのは、演技なのか、
それとも本当に寄生虫で頭おかしくなってたのか、どっちなんだろう
553以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 10:14:12.97 ID:Et2dmel40
>>552
最初から寄生済みでは
554以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 10:33:10.65 ID:79QEA4rWO
>>553
やっぱりそうなのかな
ちょっとそう思えないところがあったような気がしなくもない
555以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 10:33:24.38 ID:NHbbUUapO
用事があって途中から見れなかったけど今読み終わった
ドクオ。°・(>_<)・°。
>>1
保守してた人も乙
助かった
556以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 11:17:04.87 ID:iS9jANe9O
557以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 11:58:47.49 ID:r5fsSw8Y0
こんな時間まで残ってやがる
558以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 12:21:27.88 ID:9cOHo6eLO
559以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 12:35:34.46 ID:npx9SUJ8O
>>537
曖昧なところは読者の嫁想像にまかせますってオチを知らんのか
560以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 13:30:47.12 ID:9cOHo6eLO
561以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 14:20:59.14 ID:9cOHo6eLO
562以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 14:40:31.29 ID:cBa5hL3Q0
1乙!
まさか再び遭遇出来るとは思っていなかったよ
とても面白かったです。ありがとうございました
563以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 14:41:24.21 ID:0qLmvK4U0
1乙!
564以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 15:34:44.50 ID:9cOHo6eLO
565以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 16:24:25.33 ID:9cOHo6eLO
566以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 16:32:11.28 ID:YgxCDH3d0
1おつ!いいお年玉だったぜ
567以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 16:50:31.14 ID:NNlwNL8qO
ほし
568以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 17:11:01.81 ID:9cOHo6eLO
569以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 17:31:00.91 ID:62rg9e+0O
もしゆ
570以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 18:07:20.09 ID:9cOHo6eLO
571 ◆IGfK3fyxFE :2008/01/02(水) 18:21:59.68 ID:Op2PMd+V0
◆KU4rKuhvug 様へ

七瀬の資料に不備があったので報告したいのですが、メール間違えて消してしまい…
もしまだみてたらメールお願いします。
5日には向こうに行くのでそれまでに…

<チラ裏>
気になったから例の常世関連を調べて見ましたw
常夜見は江戸〜明治辺りに創作された妖怪だから、常世の神々とは関係ないっぽいです。
言霊的には神格を持つから結構上位のようですが。
ちなみに常夜見は皇極紀とか神代紀とかの辺りが起源みたい。
内藤の血筋は旧家だけど明治生まれなら洋館もよくないですか?
</チラ裏>
572以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 18:28:51.93 ID:9cOHo6eLO
おーまたインドに行くのか…頑張れ!

絶対に生きて帰って来てまた何か書いてください
573以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 18:58:28.54 ID:Op2PMd+V0
書かないよw
574以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 19:34:21.97 ID:Op2PMd+V0
メール来るまで保守
575以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 20:06:24.61 ID:9cOHo6eLO
書かないのかよ!orz 乙〜
576以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 20:13:35.64 ID:Op2PMd+V0
ごめんね
577以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 20:46:07.67 ID:9cOHo6eLO
578以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 20:55:47.69 ID:q0lVtpRMO
そういえば、以前に、これがラストって言ってたなぁ……。

裏設定とかがあるなら教えて欲しいものだ。
579以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 21:18:30.07 ID:9cOHo6eLO
580以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 21:57:54.93 ID:Op2PMd+V0
あ、保守してくれた人ありがとう


裏設定かー、じゃあ今回やたら必要ないのに深い意味がありそうな
七瀬と常夜見についてとか?

聞きたい人います?
581以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 22:00:07.25 ID:9cOHo6eLO
ノシ
582以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 22:05:35.81 ID:GyKMlZtP0
ノシノシ
583以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 22:08:33.35 ID:luZ2/VG10
裏設定は聞きたいような野暮なような
584以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 22:09:55.60 ID:Op2PMd+V0
じゃあ保守してくれた人が聞きたいって言うし、あとこのスレの保守も兼ねて

同性愛っつーか百合(女の子同士でにゃんにゃんしてるの)の話題が入るから苦手な人は逃げてねw


で、そもそもこの七瀬と常夜見って昔作ったままお蔵入りになった設定だったわけよ

昔一緒に書いてる人がいてね、ていうか俺が設定とか考えて相手が書く人。

まぁ設定と言うか俺の妄想を形にしてくれた人が居たわけだ
585以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 22:18:23.15 ID:Op2PMd+V0
んで、ある時百合とか面白そうじゃないって話題になった。
でも普通に百合かいてたら面白くないからひねろうよってなったわけ。

清純系なのはマリ見て(マリア様が見てるシリーズ)あるけど
どろどろしたのないから百合でどろどろさせてみようかなとw

で、いろいろ考えた結果女の子同士ではどろどろするというかぐちゃぐちゃする。
なんか考えても面白くないし、てゆーか年頃の女の子内面とかかけるか!ってなった

……ああなんか七瀬とか遠い。
586以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 22:19:38.40 ID:q0lVtpRMO
ほうほう。
◆KU4rKuhvugはその人か。
587以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 22:24:32.09 ID:Op2PMd+V0
で、苦し紛れに考えたのが女体化w
そう、男の子を女の子にしちゃえ! っていう無理矢理企画。

でもこれおいしいんだよね。
だって見た目女の子で中身男の子。
やったこれで内面の心理描写も楽になるじゃん!
しかも元男だから女の子好きなっちゃうのも道理(←?)じゃん!
で、女の子になっちゃったばっかなのは結構あるけどある程度女の子になってからの話は結構珍しいじゃん。



でもやっぱりなんかたりねぇな……と
そこで常夜見がでてきた。
588以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 22:26:48.19 ID:9cOHo6eLO
ほうほう
589以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 22:27:25.86 ID:zaIA4Iie0
ふくろうがいるスレはここですか?
590以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 22:34:52.40 ID:Op2PMd+V0
分かった!どろどろが足りないんだ!
なぜかそう確信した俺は主人公を女体化させる方法に血筋の呪いみたいなのを思いついた。

でもせっかく常夜見なんて結構面白そうな妖怪持ってきたんだからそれも混ぜようってなった。

結果色々あって決まったその呪い(笑)の内容がこれ

一、生まれる子供は3人まで。
一、一人目、二人目の子供は必ず男が生まれる。
一、長男は15歳位から眠れなくなる。子供が生まれなくなる。
一、次男は15歳位で女になる。

ああ、馬鹿なこと考えてたなぁ……w

今もだけどw
591以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 22:47:14.39 ID:Op2PMd+V0
俺「で、家は名家ね。ありがち上等」
奴「……名家で長男が子供生めないってダメじゃね?
  しかも次男……いや、次女か?は嫁行くし。三男に賭けるの?
  でも三男女だったら婿? なんかすぐ滅びそうな家柄だな」

俺「いやだから、そこがどろどろじゃーん」
奴「そんなどろどろいらね」
俺「違うって。伝統的に次女が生んだ長男がその家を継ぐの。
  つまり次女が生んだ子供に常夜見の呪いが行くわけだ。
  なんか昔は不愉快なほど長男優遇されてたじゃん?
  だからきっと妖怪との契約もそんな感じだったんだってw」
奴「何?いまお前の頭の中ではいつの間にか妖怪との奴は呪いじゃなくて契約になったの?
  まぁいいや。てか、なんで契約したの?」

俺「名家を繁栄させるためとかでよくね? 夜寝むれなくてでも少年時代だから
  一晩中あれこれ悩んで大人になっていくのですよ。
  だからちょっと同年代の子よりも大人っぽい男の子の出来上がり」

奴「うーん。正直言って微妙……」
俺「えー」
592以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 22:50:27.23 ID:q0lVtpRMO
確かに微妙だ……。
593以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 23:02:00.90 ID:Op2PMd+V0
奴「普通に女になって百合でよくね?」
俺「なんかなー」
奴「少年を女の子に落として女に堕とすんでしょ? 結構いろいろかけそうだけど」
俺「うーむ」

俺はいろいろ考えた。
普通に女の子でいい気もしたけど、くやしいからそれは止めておくことにした。

で七瀬が出てきた。
594以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 23:08:29.69 ID:Op2PMd+V0
最初は長男と次男(長女)の精神的支柱になってくれる子がいるなーって必要性から生まれた子だった。
長男の苦しみを和らげてくれて、他人の子供でも育ててくれて、長女の苦しみもわかってくれる子。

それであの七瀬の設定が生まれた。



同じように家柄での苦悩を知っている。美人。良妻であり賢母でもあるように教育された子。



人である前に女。



人間なんだけど商品。




でも、やっぱり外見は綺麗で、社交的で、明るい。
595以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 23:15:28.80 ID:Op2PMd+V0
本質的にはすごいいい子。
そして同時に、誰も、本人すら気付かないけど真っ黒なものを持ってる。


この子はいいと思った。


人の持ってる黒い物を映す綺麗な鏡になる。




それで、かなり強い思い入れが七瀬に出来た。
596以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 23:26:23.82 ID:q0lVtpRMO
支援
597以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 23:30:01.68 ID:Op2PMd+V0
そういう思い入れが出来ると、他のキャラを考えるのが楽しくなる。


常夜見の家も一人一人の人物像が鮮明になってくる。


長男は色んな意味で強くなるのと同時に長女は弱くなった。


その代わり、長男は抱える闇がどんどん大きくなって、長女は成長にしたがってその心の内は温かくなっていく。


すると、長男も七瀬と似たような黒さを共有できる。
でも七瀬はその黒さを自覚するのは初めてってことになる。


そうするとまた七瀬に焦点を中てられる。
598以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 23:40:14.50 ID:Op2PMd+V0
物語のキャラクターが人の心を移す鏡になる。


それで、読者がどっか心で持ってる闇を鏡を通して見れる。


読者が当てた光がストーリーの中でいくつもある鏡に乱反射して、色んな形で外に出ていく。


これは結構面白そうだと思った。


最初は、萌とかのジャンルの皮をかぶった何か別のものを創れるぞって。




でもねー、無理だった。
599以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 23:42:18.68 ID:q0lVtpRMO
ありゃま
600以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 23:54:27.37 ID:Op2PMd+V0
「これは、形に出来んわ……」

そんなこと言われるの初めてだったから、最初は冗談だと思ったわ。
てか、うわー自己満足になったかー、やらかしたなー、とか考えて軽く落ち込んだ。


だって相方の顔がすげー暗かったから真面目に俺の自己満足ぶりに失望されたのかと。


「悔しいな……これもっと練りこめば絶対面白そうなんだよな……」


で、……は?って感じ。オモシロソウって言った?みたいな。
じゃあ書こうよ!っていっても無理だわっていわれるだけだった。


「こんな心理描写、俺じゃ出来ん。書いても内容が空虚になるだけだと思う。
 心理移動が閉塞感を与えすぎる……」


とかなんか他にも色々。正直小説なんて書いたことない俺には全く理解できない内容だった。


分かったことはどうもこれは廃案だってことくらいだった。
601以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/02(水) 23:59:34.94 ID:q0lVtpRMO
支援
602以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 00:03:33.84 ID:4w88cA7B0

で、まぁ、駆逐に使ってしまったと。

マジね。思い入れがあったんだな。

でも奴が書けないっていったんだから俺には無理だろうってことで
中途半端な登場のしかたになっているわけだ。



オチもなく終了。文才ねーなー俺w
603以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 00:10:44.79 ID:h5epcJniO BE:237846825-2BP(0)
ははぁ、なるほどね。

まだ聞きたいんだが、ドクオの、あの家の者じゃない、って発言は?

ブーンが家を捨てたのは長男であるが故に?

あと、ショボン司令は完全にちょい役?
604以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 00:12:16.36 ID:h5epcJniO
あ、スマン。
べっかんこにスレスト祭の時の公開垢が残ってた……。
605以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 00:22:08.28 ID:4w88cA7B0
君は完全に裏設定を聞くねw俺があえて避けてるのにw

ドクオの発言はそのままの意味だわ。
ちなみに完全にどうでもいいけど二卵性双生児って設定。
一遍に二人も常夜見生まれちゃったから内藤家的には困惑気味なわけだ。
で、結果ドクオは追い出されたと。本当は殺される予定だったけど
七瀬のお母さんが止めたって感じ。
ブーンが家を棄てたのはその辺のごたごたが絡んでる。
こんな古い血に縛られてちゃいけない。
糞遺伝子なんか俺がどうにかしてやるって。
それで彼は遺伝子研究にいったわけだ。
全然そんなこと書いてないけどなw

ショボン司令はちょい役だねw多分顔文字も出してないはずw
606以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 00:27:38.09 ID:h5epcJniO
この目のおかげで、遺伝子研究に行ったって書いてなかったっけwうん。

なるほど、二卵性双生児ね。
やっともろもろの発言に納得できた。
ショボン司令は、狡猾とか言われてたから何かあるのかな、と思った。

あとさ、撤退に使ったトンネルって青函トンネルでおk?
607以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 00:36:08.35 ID:4w88cA7B0
お前すごいなwwwそう、モデル青函トンネル。
でも俺詳しく知らないからあえて明言しなかった。
実際車で行ったらどれくらいかかるか分からんしw

普通夜っていっても日本の夏の夜はそんな冷たくないでしょw
でもよく夜風が冷たいって書いてあったらとこからも北海道あたりの意識はしてた。
南に行けって行ったしね。
608以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 00:44:47.57 ID:h5epcJniO
やはりか。
うーん、風も伏線だったか。
これは見抜けなかった。

途中から、ギコがずっと出ないが、蟲に殺されたの?
609以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 00:56:54.85 ID:9B+9XT3U0
あー、アレ青函トンネルだったのか。まぁ日本にはほかに陸と陸をつなげるトンネルなんて関門トンネルくらいしかないし、
関門トンネルは車通れないっていうかそもそも短いし、でも青函トンネルだとすると北海道にまだ人間の領地があったのか、
ていうか冬が厳しそうな土地を防衛する理由は、とかいろいろ考えて架空のトンネルを中国四国間に作ったのかと思ってたわ
610以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 00:58:28.47 ID:4w88cA7B0
いや、ギコは途中から避難民を連れてショボン領に行ってる。
だから北部戦線あたりからいない。
彼はそういう役まわり。
事後処理とか、最初逃げてきた避難民のデータをブーンに言われてや取らされたりしてるっしょ。
まぁ領民管理だね
611以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:01:18.36 ID:XVM4gDvdO
保守
612以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:02:16.47 ID:9B+9XT3U0
この日本の防衛都市ってのは擬似的な政府機構を持っていたの?
それとも軍(のようなもの)による力による統治のみだったの?
613以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:04:51.11 ID:4w88cA7B0
>>609
虫って基本的に変温動物だから北には侵攻しにくいかなと。
でも、仮想的に北海道をえらんだ最大の理由は農地。
貿易なんか出来ない日本だと食糧調達が重要になってくる。

自給自足で手一杯みたいな発言があるように、ある程度自給自足が出来る環境が欲しかった。
都市機能なんか全然求められてないわけだ。

それなら四国でもいーじゃーんってことになるけど、トンネルがなかったんだよなー

トンネルないとドクオが完全役立たずになるしねw
614以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:08:29.36 ID:9B+9XT3U0
>>613
瀬戸大橋を落とすという一大イベントはどうっすか^^

あ、フライが防げないか…あとこいつ等一応昆虫が基本モデルだよね?なら水上は安全かな?
615以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:10:09.27 ID:4w88cA7B0
>>612
どっちかっていうと後者だね。政府なんて存在できない環境だし。

でも力の統治ってわけじゃないはず。
ていうか逆で、軍としてはある程度戦力を確保するためには人員が必要で、
民衆的には身の安全を確保するために戦力があるところに集まるわけ。

で、軍と自分は運命共同体だから民衆も戦うと。

まぁ簡単に言うとこんな構図になってるわけです。
616以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:11:28.83 ID:XVM4gDvdO
保守
617以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:13:44.65 ID:4w88cA7B0
>>614
水上はハエがやばそうだね……おっきいしね。酸吐くしね。溶かされそうかな…
最大の急所は移動が遅い。
大人数逃げれないとかね。あとドクオの見せ場が(ry


個人的に一回瀬戸大橋は落としてみたいけどねw

618以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:15:11.48 ID:h5epcJniO
>>610
あ、そういう事か。
御勤めを果たすため、先にジープに乗り込んだのね。

>>127の後の

(;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;^ω^)

おっおっおっ

終われ。

ってなくなったんだな。今気付いた。

ところで、蟲はどうやって、海を越えて、オーストラリアやアメリカまで行ったんだ?
フライやエレが運んだのか?
619以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:18:42.77 ID:h5epcJniO
スマン。アメリカには普通に行けるな。
620以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:25:10.76 ID:4w88cA7B0
>>618

消えたねww


ワームはフライが運んでる。多分スカラベは泳げる。
泳げるっていうか浮ける。漂流だわな。

ちなみにエレは蟲ではないので運べません。アレは生態兵器みたいなもんだから。

ていうかあと気がついたんだけど、なんか蟲全部が人工物みたいに読めるかも。
蟲は天然100%。エレは80%人工物な感じw
621以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:31:38.10 ID:h5epcJniO
しぃの百合妄想も消えてるなwww


エレは生態兵器。
つまり、スカラベ、フライ、ワームに仲間と認識されてない?
622以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:34:09.75 ID:9B+9XT3U0
蟲たちは生殖活動によって増えてるの?
だとすると巣があったりするのかな。エレはともかく、他の4種は何故共存可能?そういう風に改良されたから?
っていうかまあ動目標を人類及び人工物のみに設定出来る程に思考操作出来ればその程度は余裕か。

ああそうだ一番聞きたかった事を忘れてた。
蟲たちが駆逐したのは人類及びその文明圏のみ?自然動物や植物等はスルーしたの?
623以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:39:54.65 ID:4w88cA7B0
>>621消えてるねぇwwww

うん、何あのでかいの?って感じ。
でも、エレ周辺は電子機器が誤作動するから、蟲としては移動する有利条件みたいなもんだ。
天候と同じようなもの。
624以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:47:50.23 ID:4w88cA7B0
>>622
生殖活動でふえる。そうじゃないと遺伝しないでしょ。

4種は共存可能っていうか、逆で4種いないと生存できない。
実は6種いないと本来の蟲の生態系を創れない。
裏設定でブーンに消されてるけどね。

蟲はもちろん人間も含めあらゆる動物を駆逐する。
でもそれがどこまでかはあえて明言しなかった。必要もなかったし意味もなかったから。

蟲は植物食べないけど。代わりに土食べる。金属とか化学樹脂とかも。
625以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:53:22.84 ID:h5epcJniO
へぇ、まだそんな設定があったのか……。

アームをすっかり忘れてた。
物語に一回、それも説明だけでしか出て来ないから、影が薄いよ……。


流石に蟲でも海の中には入れないよな?
潜水艦で逃げてる奴も居そうだ。
626以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:59:07.20 ID:4w88cA7B0
>>625
どう考えても日本にアームがいる意味ないからね。
スカラベとワームとフライがいれば十分でしょ。エレすらいらない。
本当はあまりにも形状がナウシカのオームだったから出せないってのも……w


潜水艦は指揮系統終わってるからな…アメリカの潜水艦のみ影でいろいろしてそうだ
核実験とか、蟲のサンプル回収とか。
627以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 01:59:59.12 ID:9B+9XT3U0
え、動物も駆逐すんの…?
植物たべなくても土食ったら土壌が壊滅してしまわないか?
土壌ってヤツは様々な要因によって環境が保たれてるから、一度刷新してしまうと二度と元には戻らないぞ。

>>625
原子力潜水艦は生き延びてるだろうな。ロシアのソレは特に。無補給で理論上10年イケるらしいし。
アメリカ以外で唯一核戦力を持つ武力となるか。この後の世界の終りッぷりも中々どうしてそそられるなw
628以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 02:15:00.79 ID:4w88cA7B0
>>627
蟲が土壌を食べるのはミミズみたいなもんだな。
壊滅するって言うよりも浄化される。緑化するみたいなことがあったっしょw

多分世界中の潜水艦はアメリカに帰順するんじゃないかな…
そこまで考えてなかったからわからんけどw
629以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 02:16:59.82 ID:h5epcJniO
10年……。先に基地をやられてなかったら、生きてるな、そりゃ。

この後の世界かぁ。
潜水艦が生きてれば核戦争……か?
いや、人居ないし、好きな所に住めるから食糧問題とかも何とかなるか。

それに、また国を作るなら、戦争どころじゃなさそうだ。
アメリカも疲弊してるだろうし。

むしろ、潜水艦組は、残ったアメリカや日本で友好的に共存するかもしれんな。
630以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 02:26:52.18 ID:4w88cA7B0
メール来てたよ……2時間以上前に……
631以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 02:29:01.90 ID:9B+9XT3U0
/(^o^)\
632以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 02:30:22.85 ID:4w88cA7B0
ナンテコッタイ
633以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 02:30:33.97 ID:h5epcJniO
おまwwwwww
ちょうど裏設定を話し始めた辺りだなwww
634以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 02:37:58.93 ID:4w88cA7B0
ああ、全ての元凶はお前か…
635以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 02:45:18.72 ID:h5epcJniO
いいえ、ケフィアです。

うん、すまない。全く反省してないんだ。
まぁ、色々と裏設定が聞けてよかったよ。
さて、これで創作活動も終わりなんだな。お疲れ様。

改めて、乙!!!
636以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 02:46:28.83 ID:tAReYBAkO
保守
637以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 02:47:12.81 ID:9B+9XT3U0
俺もいろいろ聞けて楽しかったよ。個人的な創作活動のこやしにさせてもらいます><

乙!
638以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 02:52:15.24 ID:4w88cA7B0
>>635
どうもw

>>637
がんばれ!!


俺の個人的な暇つぶしに付き合ってくれてありがとw徒労だったがw
おやすみ
639以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 03:21:02.96 ID:0dAWWdIRO
まだいるかな?
ブーンが人を賢くする寄生虫を開発してたけど、あれの元ネタって何?
天使の囀り?
640以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 04:20:16.09 ID:027YWPhQO
641以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 05:07:56.84 ID:AKgsCBnzO
642以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 06:20:31.13 ID:027YWPhQO
643以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 06:59:00.23 ID:vjFIIfSu0
644以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 07:35:04.49 ID:vjFIIfSu0
645以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2008/01/03(木) 07:46:23.81 ID:TTcJAMPaO
作者、乙

正月からイイもん読まして貰ったZE!!
646以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
おもしろかった、この一言に尽きるわwww

乙でした