1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
諸注意 このお話には房津チックな表現、キャラ設定が使用されており
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━━!!!!
さすがクリスマス!
現行もりだくさんだぜ!!
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:14:49.02 ID:81lxEDVB0
ようやく、今回で一章が終わりです。
ついでに今まで投下した分も加筆修正したので、最初から投下します。
そんなわけで今回は長くなりますが、
今日のクリスマス、よければご一緒させてください。
最www初wwwwからwwwwww
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:17:27.93 ID:81lxEDVB0
【プロローグ】
明るい時間と暗い時間、そして過ぎていく季節。
暗くなれば眠り、明るくなれば活動を始める。
そうやって、ただ過ぎ去る夜と、変化を数える。
空に浮かび上がる月は、季節の変化とともに自らの色を変える為、その目印になった。
最も例外もあれば、他にも事細かな内事情があるが…ここでは語らないでおく。
季節の一巡は、四季と365の夜から成り。
四季はそれぞれ月の色を元にこう呼ばれる。
暖かい陽気に、命が咲く 白季。
とても暑い日と、大空の 蒼季。
涼しくて、彩りが綺麗な 紅季。
寒くて凍える、終わりの 透季。
そして日が昇り、陽が落ち、月が昇り夜が訪れる回数を節と呼んだ。
これが彼等の世界における 【 季 節 】
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:18:24.28 ID:81lxEDVB0
そして世界には、人と称される沢山のAA達が暮らしている。
同時に、その人以上に多種多様な動物達が息づいていた。
人と動物達は基本的には相容れず、距離を置いて生活している。
なぜなら生態の違いから、お互いにコミュニケーションが取れないからだ。
そうして言葉を話せない動物は獣と呼ばれ。
人をはるかに超えた身体能力を持つ獣は恐怖され。
人に様々な面で劣る動物達はしいたげられた。
だが、そんな中にも言葉を理解し、言葉を話す獣もごく僅かに存在する。
虎の様な大きな体を持ち、けれど争いを好まない穏やかな性情の獣。
本を好み、よく学び、人々と共に暮らす猫種の獣。
彼等は言葉と、そして【 心 】を以って人と文化を解した。
そんな彼等はかつて 【 文猫 】 と、呼ばれていた。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:18:50.24 ID:81lxEDVB0
∧,,∧
∧ ∧ 【 季節を旅する文猫冒険記のようです 】 ('ミ゚Д゚,,彡
( ^ω^) ゞ,, つ
と つ ミ ミ
〜(__) し`J
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:19:17.01 ID:SoPHw+7IO
最初からかよwwwwwwww
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:19:54.71 ID:81lxEDVB0
《 白季 84節 》
( ^ω^)「…お?」
見上げた先の光景に、思わず声が漏れた。
そこには青をどこまでも深くした夜の空が広がり。
散りばめられた星々が輝く空と、山の頂上から大きなマルが顔を出す。
それはまるでフィルターを被せた様な、水色をした月だった。
( ^ω^)「…白季も、もう終わりかお」
(´・ω・`)「今季は84節か…ちょっと短かったね」
変色する周期はおよそ90夜に一度と言われている、そういえば前よりも少し早かったかもしれない。
僕の胴体に体を預けて寝息を立てる二人を起こさぬよう、極力静かに話をした。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:21:18.86 ID:81lxEDVB0
村を出て、何度目かの夜。
長いこと歩き続けて、里を五つほど越えた山の中。
道行く先でたどりついたのは、幹と枝だけで構成された大樹。
その大樹を中心に張り巡らされた太い根っこは、絡み合い、地面に剥き出しになっている。
夜の山中であるにも関わらず、周囲は薄い緑色の明かりに包まれていた、
ふいに、一匹の蝶がヒラヒラ羽ばたきながら前を通り過ぎていった。
あれも僕等と同じ様に、この光に誘われてきたのだろう。
いくつもの淡い光は、僕等の頭上から降り注いでいた。
葉のない枝にぶらさがった沢山の丸い物体。
不定期に、けれど一年中、その枝に発光する実をみのらせる天然の灯り樹。
樹の名はホタル、自ら光を放つ事からそう名付けられた。
登ってみる、今宵は、この根の上を寝床とする事にした。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:23:04.49 ID:81lxEDVB0
( ^ω^)「きれーだお」
(;´・ω・`)「…でも、なんか…この辺のホタルは変な形してるね」
(;^ω^)「お? そうなのかお?」
(´・ω・`)「うん、僕のとこだとまんまるで…あんなひょうたんみたいじゃなかったよ」
(;^ω^)「むむ…やっぱり土が違うから違うのかお?」
(´・ω・`)「たぶん、そうじゃないかなぁ」
( ^ω^)「じゃあじゃあ、もっと別の場所に行けばもっと変な形のもあったりするのかお?」
(;´・ω・`)「え…どうだろ…」
( ^ω^)「ヒトデ型とか!」
(;´・ω・`)「いや…それはさすがに…」
「ぅうん………ん…?」
(;^ω^)「と…騒ぎすぎたかお」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:24:00.75 ID:LZJqs9Fb0
よし、付き合わせてくれwww
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:25:11.76 ID:81lxEDVB0
(´・ω・`)「…もう寝よっか?」
( ^ω^)「お…じゃあ、その前に……」
そうして、僕はノートを開いた。
まずは「 白季 84節 」と書かれたその下に「 蒼季 1節 」と新たに書き出し、
特にこれと言って何もなかった今日の出来事を綴っていく。
やがて数行で書き終えてしまった事が寂しく感じて。
ページをめくり、少しふりかえってみることにした。
めくれば、めくるほど、想いが溢れて。
書いていてよかったと心から思える瞬間だった。
やがて、最初の一ページ目に辿り着く。
これは平穏平和な村を出て、ここから始まった旅の記録。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:27:39.02 ID:81lxEDVB0
第一章 遠い地を目指したハジマリ
其の一 「 一人が寂しければ俺を連れて行けばいいじゃない! 」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:28:18.33 ID:81lxEDVB0
《 白季 73節 》
「俺はいつかこの村を出るから!」
「そして色んな場所を見てまわるから!」
「僕も行くお!」
「もっともっと世界の事を知りたいんだお!」
彼は見るため、僕は知るために。
二人で、いつか遠い地を目指す事を約束した。
この広い世界に旅立つ、それを語るたびに夢を膨らませ、
なんどもなんども、約束をした。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:28:59.47 ID:81lxEDVB0
……。
……。
ミ,,゚Д゚彡б「だからさぁ、やっぱ逝くならあっちだろ」
∂( ^ω^)「お、でも海は向こうだって聞いたお?」
ミ,,゚Д゚彡「あー…海は捨てがたいよなぁ」
僕と会話を弾ませるのはフサ。
頭の上には三角形の耳、腰からは尻尾が生えていて、それぞれ感情を表すように揺れ動く。
正式名称ギコ・フッサール、全身をふさふさに覆われた長毛種の人。
僕のともだち、いやかぞくと言ってもいいんじゃないかと思う。
そうして毎日飽きる事無く、色々な話をした。
それはいつも旅のお話や、世界に関する事ばかりだった。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:30:07.01 ID:LZJqs9Fb0
支援〜
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:31:07.27 ID:81lxEDVB0
この世のどこかにはアレがある。
この空の果てにはコレがある。
そして遠い地を目指しどこまでも歩き続ける旅人への憧れとか。
世界を巡り、数多の謎を探し求め、時には凶暴な獣に立ち向かう冒険者への憧れ。
いつかそれが現実になる事を願いながら。
けれど憧れはあこがれ、あくまで夢物語。
お互いにそれについては理解している。
実際、旅ってのは簡単に出きる事じゃないから。
何時だったか今より遠い昔、会話の流れから勢いあまって村を飛び出した事もあった。
けど結局その時は散々迷った挙句、泣く泣く帰ってきた。
その時は、なにせ村を出たはいいけど道は分からないし、お腹は減るし。
準備が足りなかった、色々と問題も多々あった、
そうやって、理由をつけて逃げていた。
けれど結局の所、一番の理由は怖かったからだ。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:32:03.22 ID:81lxEDVB0
先の見えない旅路はまるで暗闇に向かって進んでいるようで、一歩踏み出すたびに不安で。
もう帰らない事を願ったはずの場所にもどれないんじゃないかと思うと辛くて。
ただ、ひたすらに怖かったのをよく覚えている。
そんな不安とか、今まであった居場所を失う恐怖とか。
…そして今まで生きてこられた誰かの情、与えられた恩恵、とかもそうだ、
だから、そんな幼い頃のトラウマもあってか、僕等はここから動けないでいた。
しがらみというのは容易い、けれどそれだけでは語り尽くせない何かがある。
自分が縛られているのか、みずから縛っているのかも分からぬまま、
遠い日を夢見るだけで……いつか訪れてくれると信じた、何かを。
きっかけを、ただ待っていたんだ。
僕は…そんな事を思い出しながら遠く見える山々をみつめていた。
すると、隣から声が聴こえた。
ミ,,゚Д゚彡「あ、もうこんな時間か…」
( ^ω^)「お?」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:33:13.03 ID:81lxEDVB0
4本の柱が支える木造の高台の上、空を見上げたフサが呟く。
僕もそれに習って空を仰ぐと、そこには既に白い月がランランと輝いている。
今日も夜が来た、今日も何事も無く終わったのだと思うと、休まるような、寂しいような…変な感じがした。
ミ,,゚Д゚彡「もう帰ろうぜ、まーた怒られちゃう」
( ^ω^)「そうするお!」
それを合図に、支柱の間にある螺旋階段を下り歩き始めた。
僕等が今居るこの場所は、つー族の暮らす平和な村。
向こうの山に向かって真っ直ぐに伸びた道、その間に点々とある家々からは黄色い明るみが漏れ出し、
それ以外はモノクロの風景の中、僕等は黙ったまま並んで歩く。
やがて前方から二人組が楽しそうに語らいながら向かってくる。
フサはそれを見ると、通りすぎ様に軽く会釈した。
ミ,, Д 彡「…ども」
「……」
けどすれ違う人は聞こえない素振りで通り過ぎていく。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:34:05.03 ID:81lxEDVB0
それに対していまさら思うところもない、いつもの事だった。
僕はその二人組みを避けつつ、フサへと寄り添った。
( ^ω^ミ,,゚Д゚彡「…なんだよ」
「人肌恋しいんだお」( ^ω^ミ,,-Д-彡「そーかい」
つー族は短毛種の人達だ、そしてフサは長毛種。
そして他にもつー族は色々と謎の多い人たちだ、
フサは異端児の如く扱われ、今日まで生きてきた。
ミ,,゚Д゚彡「ほら、もう着くから離れろって」
( ^ω^)「お? 照れんでもいいんだお?」
ミ,;゚Д゚彡「ガチホモかよ…」
(;^ω^)「なんちゅう言い草!?」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:37:03.94 ID:81lxEDVB0
だから、本当なら理由があるとは言え、細かい事は考えずに村を出てしまいはずだ。
けどそれをしないのは、そうならないのは、何も全てが彼を拒否している訳じゃないから。
僕もそうだし、そして何より…。
居場所とも呼べる家族が居たから。
つー族の長が暮らす一番大きな屋敷、そこが僕等の……家だった。
ミ,,゚Д゚彡「ただいまぴょーん」
「おせぇんだよこのモップ風情が!!」
扉を開き、二つの発声とほぼ同時。
銀色の物体がヒュンと風を切り裂き、フサの頬のすぐ横をどえらい速さで通り抜けた。
思わず固まる僕のまえに毛がパラパラと降り注ぐ。
(;^ω彡)「お?」
ミli゚Д゚)「ひぃ!?」
しばしの間を置いて、自らの身に起きた事象に戦慄の声をあげるフサ、
目の前には、包丁かたてに息を荒げる鬼が居た。
(*゚∀゚)「アヒャヒャ、覚悟はできてんだろーな?」
ミ,;゚Д゚)「つつ、つーちゃん!? なん、な、なんばしよっとるねんか!?」
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:37:50.85 ID:/0a5tffO0
支援
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:38:18.69 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「何じゃねーよ、てめぇ…今日は早く帰って来いと言っといたはずだろ?」
(;^ω^)「あ、そういえば…今日はつーちゃんがご飯作るから早く帰ってくるように、と」
(*゚∀゚)「そーゆーこった」
ミ,;゚Д゚)「俺知らないから! 聞いてないから!」
(* ∀ )「そうか…そんなにオレの飯は食いたくないか…」
ミ,;゚Д゚)「え」
(*゚∀゚)「お前、今日、飯、抜き、な?」
ミ,;゚Д゚)「えええ!?」
<ちょちょ、ちょっと待ってほしいから!
<ヒャヒャヒャ、うるせーモップだな
<あらあら、二人ともおかえり
<ただいまだおー
<もう用意してあるからね
<わーいだおー
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:39:54.79 ID:81lxEDVB0
ミ,,TДT)「ひどいから! こんなのってないんだから!!」
(*゚∀゚)「泣かない泣かない、ほらちゃんとあるから」
ミ,,;Д;)「あう?」
(*゚∀゚)「チッ…あまいぜお袋」
(*゚∀゚)「さあ、たんと食え」
ミ,,;Д;)「う、うん! ありがとう! お…」
ミ,,゚Д゚)「…」
ミ,,゚Д゚)「おとう…おか? あれ…?」
(*゚∀゚)(*゚∀゚)「?」
ミ,;゚Д゚)(…ど、どっちがお母さんで、どっちがお父さんだ…)
つー族、性別不詳、見た目もそっくりなのが多い種族だ。
フサは未だに二人の分別がついていなかった。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:41:16.78 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 <ソレカラドッタノ
ミ,,,,,,,,,,ミ
白季 74節
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:41:59.82 ID:81lxEDVB0
次の日、朝起きるとフサはすっかりふさふさになっていた。
一日経てばたとえ丸刈りにされても再生する、それがフサの最大の特徴だ。
つ,゚Д゚彡つ「おはようぴょーん」
ちなみに当の本人はそんな事を言いながら、元気に布団の上でポーズを取っている。
ちょうどそこへ入ってきたつーちゃんが白い目で見ていたが、あまり気にはしないようだった。
つ,゚Д゚彡つ「…」
(*゚∀゚)「…」
ミ,,゚Д゚彡「どったの?」
(;*゚∀゚)「あ? ああ、なんか村の入り口に行き倒れが居たんだってさ」
ミ,,゚Д゚彡「へえ、こんな場所に珍しい…」
(*゚∀゚)「見に行くか?」
ミ,,゚Д゚彡「うん」
( ^ω^)「僕も行くお」
まとめあるなら教えて、無いなら依頼して。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:43:26.76 ID:81lxEDVB0
そうして僕等は家を出た。
まだ昇り立ての柔らかな日差しの中、3人並んで道を行く。
明るい中であらためて見直せば、周囲は田畑が広がり、細い道がいくつも走っている。
そして四方八方を山に囲まれた、ドが付く田舎の村。
僕等はそんな自然に囲まれた中で、野生の動物を狩ったり、畑を耕したりしながら暮らしている。
道を歩けば生き物が前を横切り。
空を見れば大きな鳥がピーヒョローと声を上げた。
おだやかで、平和なこの村では誰もが急ぐ事を忘れ、ゆっくり歩いていく。
そうして、ろくに舗装もされてない道を、石ころ蹴りながら進むことしばらくして…。
( ^ω^)「なんか人だかりができてるお?」
入り口であるアーチ状の門の下に人が集まり「ざわ…ざわ…」している。
早速つーが近寄ると、そこらの一人に声をかけた。
(*゚∀゚)「どうしたんだ?」
村民「おおつー、いやなんでも…文猫みたいなんだよ、倒れてるの」
(*゚∀゚)「文猫が?」
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:43:39.19 ID:/0a5tffO0
支援
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:44:38.46 ID:81lxEDVB0
ミ,,´_ゝ`彡「ぷっ…おおつー、乙ーだって」
(*゚∀゚)「そこに直れ」
ミ,;゚Д゚彡「ごめんなさい!!」
<ぎゃー
( ^ω^)「…文猫、かお?」
その単語に思わず耳が反応する、
どうやら行き倒れの人が文猫らしい。
人ごみ掻き分け奥へと進むと、そこにはなんだかしょぼくれた顔の大きな猫が突っ伏していた。
∧,,∧
つ´-ω-`)つ …
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:45:51.39 ID:81lxEDVB0
( ^ω^)「ほんとだお、仲間だお」
(*゚∀゚)「へぇ、ブーン以外の文猫って初めて見たぜ」
( ^ω^)「僕そっくりだお」
(*゚∀゚)「そうかぁ? まあ口元は似てるけど…」
(;^ω^)「ていうか生きてるのかお?」
(*゚∀゚)「ああ、息はしてるな」
( ^ω^)「おっおっ、それは良かったお」
(,,;Д;)「ぐす…いや、じゃあ早く助けてやろうよ」
(;^ω^)「…フサかお?」
いつの間にやら、全身の毛を刈られたフサが言う事ももっともなので、
とりあえず村長の家。つまり僕等の家へと連れて行く事にした。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:47:11.33 ID:81lxEDVB0
(´-(li゚Д゚)「お、おもい…」
(*゚∀゚)「ガンガレ」
(;^ω^)「…」
(´-(,,゚Д゚)「ねえ、なんで俺が一人で運んでるの? ねえなんで?」
(*゚∀゚)「アヒャヒャ、男だろてめーは」チラ
(´・(li゚Д゚)「う…っ」
(;^ω^)「やっぱ、僕手伝うお」
(*-∀-)「よせ、ブーン…あいつに恥をかかせる気か?」ギラ
(´-(li゚Д゚)「ひっ!?」
(;^ω^)「でも…」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:48:03.69 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「ここで手を貸せば確かにあいつは楽だろう…だが、それでいいのか?
あいつの成長はそこで止まる、それはあいつ自身もちゃんと分かってるのさ
口ではああやって弱音を吐いても、それでもああやって頑張ってるのが証拠だろ?
それなのにお前は自らあいつの進化を止めてしまうのか?」
Σ(;^ω^)「あっ…!」
( ^ω^)「僕…間違ってたお、フサごめん…」
(*゚∀゚)つニフ「気にするな」チラチラ
(´・(,,;Д;)「…つーちゃん、もう分かったから
さっきから何か言うたびに包丁ちらつかせるのやめてほしいから…」
(´・(,,;Д;) <モウカルトコナイヨ ウルセーナァ> (゚∀゚*)
(´・(,,゚Д゚)「…ん?」 ン?> (゚∀゚*)
(´-(゚Д゚,,)「…ん?」 ア…> (゚∀゚*;)
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:49:15.90 ID:81lxEDVB0
(´・(,,゚Д゚)「気のせいか…」<ナンカケハイガ イヤ…> (゚∀゚*;)
…もっと…しずかにはこんでほしいな…> (´-(,,゚Д゚) <……
…それに…きみ、なんだか、毛がチクチクしていたいよ…> (´・(,, д ) <…………
しばしの間、そしてフサがパッと手を離した。
背負われていた巨体が地面に情けなく倒れこむ。
∧,,∧
つ´;ω;`)つ「ぃだい……」
(♯゚Д゚)「意識あんじゃん! 言えよ! 起きろよ! 立てよ!」
(´;ω;`)「おなか空いて…もう動けないんだよぉ…」
(,;゚Д゚)「はぁ…? いや、まあそうか、行き倒れだもんな」
(*゚∀゚)「ふーん? まあ鼠でよければその辺からとっ捕まえてくるけど?」
Σ(´゚ω゚`)「ねずみぃ!?」
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:49:37.27 ID:/0a5tffO0
支援
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:50:00.00 ID:81lxEDVB0
( ^ω^)「お? この辺の山鼠はでかくて美味い…」
(((´ ω `)))ガクガクブルブル
(;^ω^)「お?」
(´;ω;`)「やややだやだやだ!ねずみこわいねずみきらい!!」
(;*゚∀゚)「ああ?」
(´;ω;`)「やめてねずみやめて」
そうして、しょぼくれた顔の文猫はそのままわんわん泣き出してしまった。
鼠が嫌いって…猫なのに、ドラ○もんか?
それとも逆に僕が文猫としてはおかしいのか?
(´;ω;`)「えぐ、えぐ…僕…猫なのに情けないんだけど…ねずみは駄目なんです…」
よし、この言い草だとおかしいのは向こうのようだ。
ちょっと安心。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:51:03.38 ID:81lxEDVB0
(;*゚∀゚)「そ、そっかい、じゃあ…鳥でいいか?」
(´;ω;`)「鳥って…」
(,,゚Д゚)「鳥は鳥、こじゃんと美味いぞ」
(´;ω;`)「う、うん…どれ?」
(*゚∀゚)「ほれ、その辺に飛んでるじゃねーか」
(´;ω;`)「その辺…って……スズメさん!?」
(;*゚∀゚)「…さん?」
(´;ω;`)「あんなに小さい鳥を…か、かわいそうだよ…」
(*゚∀゚)「…」
(,,゚Д゚)「…」
( ^ω^)「…」
(´;ω;`)「…あ、あの…なんで黙っちゃうの?」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:51:23.62 ID:/0a5tffO0
支援
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:52:32.45 ID:SoPHw+7IO
支援
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:52:36.14 ID:81lxEDVB0
彼は何を言っているのだろう。
僕等は思考がどこかへ、自分の中の小宇宙へとダイブしていた。
…なんとなく目配せアイコンタクト。
フサは意図を汲んだらしく、一歩踏みより声をかけた。
(,,゚Д゚)「…なんと?」
(´;ω;`)「え、だからスズメさんを食べるなんてかわいそうだと…」
(,;-Д-)「あー、あのさ、聞いていい?」
(´;ω;`)「うん…うん?」
(,,゚Д゚)「お前…いままで、飯とかどうしてたのさ」
(´・ω・`)「えと…僕、植物とか詳しいから…それで」
(,;-Д-)「草くってたのか…」
(´・ω・`)「う、うんっ」
(,,゚Д゚)「それでよくもまあ、平気だったな」
(*´・ω・`)「えへへ…」
(,;゚Д゚)「褒めてないから」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:54:05.64 ID:81lxEDVB0
それから、フサの言葉にしょんぼりと落ち込む彼を連れ、やはりとっとと家まで戻る事にした僕等。
詳しく聞いてみると、なんでも生き物を殺すのが単純に怖くて狩りができないそうだ。
それでよく今まで…と思ったが、現に倒れていたので非常に納得した。
(*゚∀゚)「うし、んじゃ行くぞ」
(,;゚Д゚)「…また俺が運ぶの?」
(*゚∀゚)「とーぜんだろ」
(,,;Д;)「あんまりだ…」
(*゚∀゚)「そういや、おまえ名前はあるのか?」
(´・ω・`)「う、うん…ショボ、って言いいます」
(*゚∀゚)「オレはつー、ただのつーだ」
(,,゚Д゚)「俺はフッサール、でもフサでいいから」
(´・ω・`)「つーさん、にフサルさん…」
(,;゚Д゚)「ふさる!?」
( ^ω^)「僕はブーン、君と同じ文猫のブーンだお、ショボ、よろしくだお!」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:55:34.14 ID:/0a5tffO0
支援
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:56:31.17 ID:81lxEDVB0
(;´・ω・`)「うん……うん? 文猫の?」
( ^ω^)「そうだお?」
(;´・ω・`)「え?」
(;^ω^)「お?」
(*゚∀゚)「どうした?」
(;´・ω・`)(ああ、そっか……なんか変な言い回しをするなぁ)
(;^ω^)「なんだお?」
(;´・ω・`)「あ、ううん、何でもない、よろしくブーン」
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:56:54.42 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 <ソレカラドントコショ
ミ,,,,,,,,,,ミ
白季 74節
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:57:59.75 ID:81lxEDVB0
村長の家までどうにか辿り着いた僕等。
というか一人で担いでいたフサがどうにか辿り着き。
お腹を空かせたショボへと遅めの朝食が振舞われた。
(´;ω;`)「おいしいよぅ…おいしいよぅ…」
大きな川魚の塩焼きを前に、ショボは大口開くと、こんがり焦げた魚に皮ごとかぶりつき。
内部の白身を確かめるように何度も租借すると、そのまま骨をボリボリと噛み砕き。
それはそれはおいしそうに、涙をぼろぼろこぼしながら何度も頬張った。
(;*゚∀゚)「味付けの必要は無さそうね…」
まさに涙の味。
今日のお魚はしょっぱそうです。
(*゚∀゚)「はっはっは、俺の釣った魚がそんなにうまいか!」
(´;ω;`)コクコクモグモグコクコク
そうして、全長130センチ、まだ鯉に似た姿を保っていた頃、
一般的に草魚と呼ばれた魚は、ほんの5分たらずでこの世から姿を消した。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:58:43.46 ID:/0a5tffO0
支援
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 17:58:49.42 ID:81lxEDVB0
(*´・ω・`)「ごちそうさまでした、物凄くおいしかったです」
(*゚∀゚)「お腹膨れた?」
(*´・ω・`)「はい、おかげさまで」
(,,゚Д゚)「…お前、魚食わないんじゃなかったのか?」
(;´・ω・`)「いや、それはその…食卓に出されると別っていうか…」
(,;゚Д゚)「そ、そうか…分かるような分からんような…」
( ^ω^)「ね、ね、それでショボはどっから来たんだお!?」
(´・ω・`)「えと、芸大陸から…」
(,,゚Д゚)「芸大陸…?」
(;*゚∀゚)「…て、海の向こうじゃねーか!」
(,;゚Д゚)「海の…って、え!?うそ!?そうなの!?」
(;^ω^)「じゃあショボは別大陸から来たのかお!?」
(´・ω・`)「うん、確か白季に入って半ばだったかな…芸大陸から船でこの房津大陸まで来たんだ」
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:00:30.44 ID:81lxEDVB0
(;^ω^)「それで…なんで村の前で行き倒れてたんだお?」
(;´・ω・`)「それは……うん、と…」
(*゚∀゚)「ははーん…分かったぞ、おまえ里伝いにここまで来たんだろ?」
(;´・ω・`)「あ、う、うん」
(,,゚Д゚)「どゆことつーちゃん?」
(*゚∀゚)「…簡単な話だ、この村は入り組んだ山道が多い房津大陸の中でも、
ずっとずーっと奥地にあるのは知ってるな?」
(,,゚Д゚)「おう、それくらいは」
(*゚∀゚)「じゃあ、この村と、港付近の町との生活の違いは?」
(,,゚Д゚)「そりゃあ…」
(;^ω^)「…!」
それこそ、かつて僕等がこの村を旅立とうとした時に立ちはだかった最初の壁だった。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:01:14.25 ID:/0a5tffO0
支援
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:01:21.35 ID:81lxEDVB0
この村では基本的に自給自足、そして村人一丸となって助け合い生きている。
山や川に住む生命を狩り、糧とし、そして田を起こし食物を作る。
もちろん、田起こしは自分等の為でもあるが、
その作った食物は決して独占はせず、山や川に放ったりもする。
すると、それは同時に他の動物達の糧となり、生命は絶えず続いていく。
そうやって出来上がった命の循環によって、この村の生活は保たれている。
だが、どうやら村の外はそうでは無いらしい。
少し離れた里では、物々交換が基本とされ、更に離れた地、
港町と言う場所では通貨なる物があって、その変な金属の塊を使えば…。
なんとご飯が食べられたりするらしいのだ。
現に、聞いた話では時折この村までやってくる「ぎょうしょうにん」って人は。
見た事も無い道具を持ってきては、この村の食料と物々交換し、
それを更に離れた地で、その通貨とか言う金属と交換して生計を立てているらしい。
…そんな訳のわからない物、僕等には理解できよう筈もなく。
僕等はこの【世界】を諦めようとしていたのだ…。
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:02:41.35 ID:81lxEDVB0
(,;゚Д゚)「…ま、待てよ? じゃあ…ショボは俺と逆で
その通貨ってのでしか飯を食えないから…行き倒れたって事か?」
(;´・ω・`)「うんっ、うんっ、そうなんだよ! 港町じゃ使えたのに
里まで行ったら急に通貨じゃ物を買えないって言われちゃって…」
(´;ω;`)「そんなの初めてで…道もよくわかんなくて…
それでなんだか…とりあえず彷徨ってるうちにどんどん山にきて…
ぼく…ぼくはもうどうすれば…いいのか……って、ぐすっ」
(*゚∀゚)「ほらほら、泣かないの…」
(*゚∀゚)「大変だったんだな…」
(´;ω;`)「うあああああああああん!!」
(,, Д )「……!!!」
(*゚∀゚)「…フサ?」
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:05:00.35 ID:6/yQ4Udw0
支援
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:05:17.94 ID:81lxEDVB0
それきり、フサは黙り込んでしまった。
つーちゃんが訝しげに色々訪ねてはみるも上の空で、曖昧な返事を返すだけ。
一度だけ、僕等は目が合った気がした。
それで、フサが何を考えているか、僕には分かった。
ようやく、来た、これが…きっかけ。
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:05:57.01 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 <ヨクジツ!
ミ,,,,,,,,,,ミ
白季 75節
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:07:05.16 ID:/0a5tffO0
支援
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:07:15.49 ID:81lxEDVB0
(´・ω・`)「あ、おはy…」
つ,,゚Д゚彡つ「おはようぴょーん、と」
( ^ω^)「おいすー」
明くる日の早朝、僕はフサに叩き起こされた。
そしてショボが一人になった隙を見計らい、二人で特攻した。
(;´・ω・`)「え、あえ? どちらさま?」
ミ,,゚Д゚彡b「俺々、フサだから!」
(;´・ω・`)「ええええ!? だって昨日は…」
ミ,;゚Д゚彡「あ、そっか…昨日って俺刈られたままだったっけ…」
(;^ω^)「フサは村唯一の長毛種族で、昨日はちょっと刈られてて、そんで一日で毛が生え揃うんだお」
(;´・ω・`)「ああ、そうなんだ…」スゴク・・セツメイクチョウ
ミ,,゚Д゚彡「んでさ、ちょいと聞きたい事があるんだよ」
(;´・ω・`)「え、な、なに…?」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:08:02.25 ID:81lxEDVB0
ミ,,゚Д゚彡「…一人旅ってさ、どう?」
(´・ω・`)「どう…って?」
ミ,,゚Д゚彡「寂しくない? 辛くない? 大変じゃない? 心細くない?」
(´・ω・`)「え」
ミ,,゚Д゚彡「そこんとこ、どう? 本音ぶっちゃけちゃってほしいから!」
(´ ω `)「……」
ミ,;゚Д゚彡「あれ、もしもーし」
(´;ω;`)ブワッ
Σ(;^ω^)「おお!?」
質問一つ目にして、ショボはとつぜん涙腺を決壊させた。
それも言葉は何一つ発する事無く、ブルブル震えながら涙を流している。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:08:11.63 ID:6/yQ4Udw0
支援
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:08:39.56 ID:/0a5tffO0
支援
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:09:20.98 ID:81lxEDVB0
ミ,;゚Д゚彡「な、なんだ!? どうした!?」
(;^ω^)「なんだお!? なんか触れちゃまずい部分だったかお!?」
(´;ω;`)「寂しいよ!!寂しいに決まってるじゃないか!!」
(;^ω^)「ぉ…」
慌てふためく僕等を他所に。
まるで言葉の洪水を浴びせかけるように、僕等へ思いの丈をぶつけるショボ。
…よほど今まで辛かったのだろう、それだけに、僕等は自然とこぼれてしまう笑みを抑え切れなかった。
(´;ω;`)「だからずっと人里を伝ってきたんだよ! 寂しいんだもん!夜は怖いんだもん!」
ミ,,゚∀゚彡「は、ははっ、そうか、そっかそっかぁ!!」
(´;ω;`)「ひっくひっく…なんだよぉ…笑わなくたっていいじゃないか…ぐす、僕だって
…僕だって、うっく、好きで一人旅してるわけじゃ」
ミ,,゚∀゚彡「よし、じゃあショボ最後に一つ質問だ」
(´;ω;`)「…なに、さ…」
ミ,,゚Д゚彡「その旅ってのは、絶対一人じゃなきゃ駄目なのか?」
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:09:34.56 ID:i4CdrW/N0
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:10:22.77 ID:81lxEDVB0
フサは浮かべていた笑顔を消して、真剣な目で見つめた。
ショボは少し気圧されながら、首を強く横に振った、
もう何を言わんとしているか気付いたのかもしれない。
今の今まで悲しく歪んでいたその口元が、表情が、目が、少しづつ…。
何か、希望を求めるように変わっていくのを僕は見逃さなかったから。
ミ,,゚Д゚彡「じゃあ聞いてくれ、お願いがあるんだ」
(´ ω `)「う、うん…」
ミ,,゚Д゚彡「俺を…」
三( ^ω^ミ,,゚Д゚彡 !
言いかけた所で、僕はその背中に思い切り飛びついた。
フサはそんな僕を見ると一度だけ頷き、前を見据えて仕切りなおし。
( ^ω^ミ,,゚Д゚彡「俺達をお供に…お前の旅に連れてってくれ(お)!!」
答えは、間髪居れずに返ってきた。
(´;ω;`)「 よ ろ こ ん で !! 」
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:13:19.21 ID:6/yQ4Udw0
支援
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:13:36.42 ID:81lxEDVB0
それと同時。
僕等の声に応えるように風が木々を揺らした。
一匹の野うさぎが立ち上がり、ざわめきに耳を立てて。
舞い落ちた葉が流れる小川の水面下、大きな魚が悠々と泳ぎ。
上空を一羽の鳥が歌うように鳴き、空を羽ばたき、山の奥へと飛び去った。
釣られて見上げれば。
遠くに見える空は陽光。
細かい理屈なんていらない、小さい体裁すらない。
間違いなく、これがずっとずっと待ち続けたきっかけだと確信できる。
だから。
限りない夢を、今度は自分の中じゃない、その先に詰め込んで。
僕等は今、旅立とうとしていた。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:14:27.27 ID:81lxEDVB0
|* ∀ )
|* 。。) ……
| )
|
気付かぬ不安を、隠したままに――――。
其の一 → 其の二 へとつづく。
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:16:15.97 ID:gkh8VVR00
支援
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:16:57.26 ID:81lxEDVB0
支援ありがとうございます。
変更点はわりと些細ながら大事な部分でして、すみません。
続きは30分頃に始めます。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:20:05.93 ID:/0a5tffO0
支援
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:21:04.31 ID:/0a5tffO0
支援支援
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:21:26.25 ID:6/yQ4Udw0
待ってるぜ
支援
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:28:40.84 ID:gkh8VVR00
支援
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:31:14.27 ID:81lxEDVB0
「外の世界に…?」
きっとさ、知らない場所じゃ何もかもが違うと思うんだ
「…意味わかんねーよ」
うんと…ほら、例えば風の匂いとか、空とかも
そういう見るもの全てがここで見える物とはきっと違くて…
「そんなもんかねぇ」
でも、なんかグッと来ない?
俺なんか考えただけで胸が熱くなるんだけども
「まあ、わからんでもない」
だよね! そうだ、なんなら…
「?」
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:32:44.73 ID:81lxEDVB0
……その、一緒に、どう?
「……なんでオレが」
あ、いや…あはは、冗談だから!
「別に…かまわねーけど」
ほ、ほんと…?
「そりゃ、な…オレだってあいつ等みたいに外の世界に興味はあるし」
じゃあ、じゃあ約束だよ
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:32:46.64 ID:/0a5tffO0
支援
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:33:59.98 ID:81lxEDVB0
(一緒に行こう、つーちゃん)
(*-∀-)「……」
(*。。)「ウソツキ野郎め」
「何処へでも、行っちまえ」
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:34:53.87 ID:6/yQ4Udw0
支援
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:35:14.29 ID:81lxEDVB0
∧,,∧
∧ ∧ 【 季節を旅する文猫冒険記のようです 】 ('ミ゚Д゚,,彡
( ^ω^) ゞ,, つ
と つ ミ ミ
〜(__) し`J
第一章 遠い地を目指したハジマリ
其のニ 「いいわけないお、素直にならなきゃ、だめだめお」
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:35:45.09 ID:81lxEDVB0
《 白季 75節 》
(;^ω^)「…」
(;´・ω・`)「…」
つい今朝方、旅立ちを決心した僕等だったけれど。
早くも修羅場が訪れてしまった。
…> (*゚∀゚) (゚∀゚*) <…
ミ; 彡 <…ア、アノ
両親にその事、つまり村を出ることを伝えるも、二人は返事のないただの屍のように黙りこみ。
フサが懸命に反応を請うも動きはないまま。
既にかれこれ一時間近く膠着状態は続いていた。
恐ろしく長く感じるであろう無言の60分間は、もはや見ているこっちがダウン寸前。
フサは喉をならし、意を決した様子で何度目かの発言をした。
ミ,;゚Д゚彡「そ…それで、ですね」
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:36:42.22 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「うん、なあに?」
するとようやく言葉が帰ってきた。
少しだけ安心した面持ちでフサが言葉を続ける。
ミ,;゚Д゚彡「えと、外についてとか、旅に必要な事とか
そういうのはショボが教えてくれるって言うし…」
ミ,;゚Д゚彡「だからその、なんだ、後は俺の体一つというか…」
(*-∀-)「出て、どうするんだ?」
しどろもどろながら、とにかく伝えようと必死に話すフサ。
対して、左側のつーさんはわざと聞かないふりをするように言葉を遮った。
ミ,;゚Д゚彡「…そりゃ、世界を見て回って、俺の足でどこまでも歩いて…それで」
(*゚∀゚)「つまり、ちゃんとした目的はないのね?」
そこへすかさず右側のつーさんが突っ込みを入れる。
…そろそろつーさんつーさん分けるのが辛くなってきたので以下、会話抜粋。
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:36:50.25 ID:6/yQ4Udw0
支援
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:38:06.82 ID:/0a5tffO0
支援
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:39:50.98 ID:HpJ3fza/0
sien
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:40:00.28 ID:81lxEDVB0
ミli゚Д゚彡「う…」
(*゚∀゚)「まあ…それはいいわ、それで、ここに帰るつもりはあるの?」
ミ,;゚Д゚彡「わかんない、です」
(*゚∀゚)「なんだ? お前はすぐ帰るつもりで旅に出たいなんて言ってるのか?」
ミ,;゚Д゚彡「ちがうよ、ぜんぜんちがうよ」
(*゚∀゚)「じゃあ何? 嫌になったら帰ってこようとか、そういう考え?」
ミ,;゚Д゚彡「いや、俺は、その……」
(*゚∀゚)「どうなの? はっきり言いなさい」
ミ,;。。彡「……」
ミ,;゚Д゚彡「もう…ここには帰らない…かな、と」
(*-∀-)「…」
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:40:00.73 ID:LZJqs9Fb0
支援
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:40:28.43 ID:PPvtD0eM0
http://dblog.jp/ageha12style/ ●●飼っている子猫を殴って殺したカップル(バツイチ子持ち男×DQN女)の日記です●●
2007 12/19(水)17:00
【後悔と涙】
(中略)寝室の壁紙剥がしてけっこぅな穴が開ぃてた
それに気付ぃたRyoが揚羽を呼び
ゲーム中断して見に行った
そして
Ryoゎテンを殴った
(中略)口の中の色がみるみる
血の気がひぃて
舌が真っ青になった
(中略)ふと、ぉ尻を見たら
辺りゎォシッコでべしゃべしゃで
便が出かかってた
2007 12/22(土)23:06
【お願い】
(中略)
多分彼氏ゎ猫虐待で捕まるょり
違ぅものでパクられると思ぅけど
(中略)付き合っていられますかって
揚羽前から別れたぃって何回も言ってますけど
(中略)ケンカ早ぃんでごめんなさぃ
(中略)揚羽の言葉がまだ綺麗なぅちにぉひきとり下さい
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:40:58.65 ID:/0a5tffO0
支援
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:41:05.86 ID:81lxEDVB0
(;´・ω・`)「…え?」
その言葉にはショボだけが驚いた様を示し。
それからしばしの沈黙という間を置いてから、
フサは困ったような、申し訳無さそうな面持ちで下を向き、言葉を続けた。
ミ,;。。彡「その、立ち寄る事は、もしかしたらあるかもしれないけど…
帰ってくるって事は…無い、と思う、たぶん」
(*゚∀゚)「…そうか」
ミ,;。。彡「…」
(;´・ω・`)「え? え? どういう事? なんでなんで?」
(;^ω^)「落ち着けお」
二人がフサに対して聞いた事は、一見すれば旅に出ることの覚悟を聞いているように思える。
けど実際は違う、問いているのはむしろ逆の覚悟だった。
実を言えば、この村から旅立って行った人は、今までにも何人か居た。
そして彼等は大抵そとの世界に自分の居場所を見つけて、二度と帰って来なくなる。
もう何度も繰り返されてきた事だ。
だから、それは「帰って来てくれるのか?」という願いにも似た、そういう問いだった。
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:42:29.20 ID:6/yQ4Udw0
支援
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:43:29.93 ID:81lxEDVB0
だから、返事は言う方も言われる方も心苦しい物になる。
きっと帰ってくるよ、なんて嘘をつくのはあまりにも簡単で、気安い。
けどそれじゃただの裏切りになってしまう、言うべき事は言わねばならない。
僕は内心でよく言ったと褒めつつも、やはり哀しい気持ちで一杯だった。
(*゚∀゚)「まあ、そうなるだろうな」
(*゚∀゚)「…ありがとう、正直に話してくれて」
ミ,;゚Д゚彡「あ…と」
(*-∀-)「いずれ…こういう日が来るとは思っていたわ」
(*゚∀゚)「寂しいものだが、やはり子には縛られず自由にしてほしいと思うのが親心だ」
ミ,,゚Д゚彡「…」
(*゚∀゚)「とはいえ、流石にこうまで突然だとは思わなかったがな」
ミ,, д 彡「ごめんなさい…でも、俺にとっては…違うから…」
ミ,,゚Д゚彡「ずっと待ってたんだ、突然じゃない…ようやく、なんだ
これを逃したら次はあるのかさえ分からない…だから」
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:44:56.42 ID:6/yQ4Udw0
支援
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:47:17.06 ID:/0a5tffO0
支援
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:48:42.98 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「ああ、わかってるよ」
(*-∀-)「明確な何かを探すんじゃなくて、探し求めてやまない何かを見つける事
それが…あなたがずっと願っていた夢なんだもんね」
ミ,,。。彡「…うん」
ミ,,゚Д゚彡「行っても、いい?」
(*゚∀゚)「駄目だと言ったら、お前はやめるのか?」
ミ,,゚Д゚彡「…それは」
(*゚∀-)「ふふ、そう言ったらあなたやめちゃうでしょ?」
ミ,;゚Д゚彡「そそ、そんなことはっ」
(*゚∀゚)「でも、迷っちゃうでしょ? もう気になって気になってしょうがないでしょう?」
ミ,;-Д-彡「…………」
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:49:11.72 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「お前はそういう子だ、今まで育てて貰ったから、とか…恩があるから、とか
そう言って、私達を裏切ってしまう行為が怖い、そう思っているのだろう?」
(*-∀-)「だから、そうやってわざわざ聞いてるのよね?
どうしても行きたいなら、言うだけ言って勝手に出て行けばいいんだもの」
ミ,,。。彡「…」
(*゚∀゚)「だからね…私達から言えるのはこれだけ」
ミ,;゚Д゚彡「…うん」
(*-∀-)「行きなさい、フッサール…ショボって子と一緒に、この村を出なさい」
Σミ,,゚д゚彡「…!」
(*-∀-)「ふっ…いつまでも私達の傘に入っていてもしょうがないだろう?
お前もそろそろ自分で雨をしのいで、その先の晴れた空を見つけだせ」
二人の話をずっと落ち着かない様子で聞いていたフサだったが。
ここに来てとうとう黙り込んでしまった、見れば口元は震えている、
きっと言葉を捜しているのだろう。
けど、それすらも察したのか、二人は尚も言葉を続けた。
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:50:33.17 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「いい?夢を追うってのはね、ただ想像するだけとは全然ちがう、
”したいこと”より”すること”の方がずっと難しいから……。
それを恐れる時もある、不安とかも色々あるでしょうね。
…でもね、あなたは今チャンスを見つけた、そして願った。
なら目をこらしなさい、慎重になるのは今じゃないでしょ?」
ミ,,。。彡「……」
(*゚∀゚)「こういうのは何より本人の意思が大事だ、周りがどうあれ、最後に決めるのは自分だけ
どんな事を成すにしろそれは変わらない、それに……もう、決めたんだろ?
なら、後悔をあやふやにする為の逃げ道なんかいらない、そうだろ」
ミ,,-д-彡「…」
ミ,,゚Д゚彡「ありがとう、俺…行くよ」
前に進みたいという意思は後押しされ、背中を押され。
今度は疑問符も、そして何の迷いも持たない強い言葉になった。
二人はそんな言葉に今度は表情を和らげ、それぞれ肯定を示していた。
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:50:42.85 ID:/0a5tffO0
支援
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:51:41.85 ID:81lxEDVB0
( ;ω;)「なんという家族愛だお、涙ちょちょぎれちゃうお」
(;´・ω・`)「…ねえ、ブーン?」
( ;ω;)「なんだおショボ」
(;´・ω・`)「えと、なんか水差すようで言い辛いんだけど…」
(;´・ω・`)「…ふたりともおなじ顔で…その…区別できなくて
僕にはなんだかカオス空間にしか…」
( ^ω^)「それなら大丈夫だお、たぶんフサもどっちがどっちだかわかってないお」
(;´・ω・`)「…え」
( ^ω^)「その証拠にさっきから一度も「お父さん」とか「お母さん」って呼んでないお」
(;´・ω・`)(…台無しだ…)
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:52:32.64 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「それで? 出発はいつ?」
ミ,,゚Д゚彡「えと、明日には行こうかな、と…だよな、ショボ?」
(;´・ω・`)「え、う、うん……あまり長居してる訳にもいかないし…」
ミ,,゚Д゚彡「…と、いうわけでして」
(;*-∀-)「ほんとに…何から何まで急ねぇ」
ミ,;-Д-彡「ご、ごめん…」
(*゚∀゚)「まあいいわ、準備はしてあるの?」
ミ,,゚Д゚彡「まだ、これからしようかと思ってるよ」
(*゚∀゚)「そう、じゃあ手伝ってあげるから早いとこ済ませましょう」
ミ,,゚Д゚彡「うん!」
(*゚∀゚)「したら今日は送別会だな…うし、ちょっと気合入れて狩りに逝って来るか」
そうして各自、行動を開始した…ところで、
狩りに行くと立ち上がったつーがフサへと向き直し、
なにか思い出したように呼びかけた。
ミ,,゚Д゚彡「なに?」
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:53:48.26 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「そういえばお前、あいつにはもう話したのか?」
そんな言葉に、ギクリとした様子でフサが硬直する。
「あいつ」とはとどの詰まり、二人の子供の方のつーちゃんの事だ。
ミ,;゚Д゚彡「ま…まだ、だけど…」
(*゚∀゚)「まさかとは思うが…何も言わずに行く気なんじゃあるまいな?」
ミli゚Д゚彡「やや、イヤデスネ! そんなわけないじゃないデスカ!!」
物凄くカタコトの敬語だった。
いくら何でも、あからさま過ぎやしないかと疑いの目を向けるも間もなく。
(*-∀-)「フサ…たしかにお前の好きな様にしろとは言ったがな…
あれを悲しませるような事だけはしないでくれよ」
ミ,,。。彡「…でも…」
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:54:13.84 ID:/0a5tffO0
支援
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:55:24.81 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「これは…私の親としての願いだ……それが、どんな事を意味するとしてもな」
ミ,;゚д゚彡「え…それって」
(*゚∀゚)「じゃーちょいといってくるよ」
それだけ言うと、壁に立てかけられている物体。
包丁というにはあまりにも大きすぎて、大きく、ぶ厚く、重く、
そして大雑把すぎた、それはまさに鉄塊だった物体を手に、つーは家を出て行った。
ネタを仕込もうとするのはいいが、非常に見づらくて適わないので訂正しておく。
要するにどでかい包丁を持って出てったのだ。
結局わかりづらい?
気のせい。
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:55:58.62 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 <ソレカラソレカラ
ミ,,,,,,,,,,ミ
白季 75節
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:56:50.47 ID:/0a5tffO0
支援
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:57:57.07 ID:81lxEDVB0
旅立つまえの準備といっても、そう何かをアレコレ用意するわけでもない。
ただ、二人は何かを名残惜しむように談笑しながら、ゆっくりと作業を進めていた。
そしてお昼時、既に手を休めて思い出話に華を咲かせていたが、
不意につーさんが立ち上がり、昼食を用意すると言ってその場を去った。
僕は入れ違いにフサへと近づく。
ミ,,-д-彡 =3「…ふぅ」
( ^ω^)「乙だお」
ミ,,゚Д゚彡「おうよ」
「……」
なんとなく、僕等はあいさつだけ交わして沈黙。
長い時間を過ごした家の内装を、感慨深い思いで見つめていた。
( ^ω^)「…」
そういえば、さっきから気になっていた事があった。
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:58:55.86 ID:81lxEDVB0
ミ,;゚Д゚彡「え?」
(;^ω^)「だから、つーちゃんだお」
ミ,;゚Д゚彡「いや、わかってるよ、ちゃんと言うよ、そんなみんなして言わんでも」
(;^ω^)「違うお、そうじゃなくて」
ミ,,゚Д゚彡「?」
( ^ω^)「なんか今日は朝からつーちゃん見ないお、変じゃないかお?」
ミ,,゚Д゚彡「…そういえば…どこ行ったんだろなぁ」
居ないのでは仕方ない。
さもそう言いたげにフサはあさっての方向を向く。
……このままじゃ、いけない。
僕は漠然とそう感じて。
( ^ω^)「…それで、いいのかお?」
ミ,,゚Д゚彡「…なにがさ」
( ^ω^)「つーちゃんに…つーちゃんも、一緒に行こうって言わなくて…」
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 18:59:55.46 ID:81lxEDVB0
ミ,;゚Д゚彡「あらまあイヤデスワ! なに言い出すのカシラネこの子は!」
( ^ω^)「だって…本当は来て欲しいって思ってるんだお?」
ミ,,゚Д゚彡「んなわけないだろ常識的に考えて…
つーちゃんなんか連れてってみろ、俺の毛が持たないっての」
(;^ω^)「お…」
ミ,,,-Д-彡「それにすぐ怒るし、アヒャってるし、包丁で脅すし…ていうかすぐ毛を刈るし
口も悪いし、ひねくれてるし、やたら人を束縛するし、
やーっとそんなのから離れられるっていうのに、絶対ごめんだね」
(;^ω^)「ちょ」
ミ,,゚Д゚彡「そりゃーね? 狩りの技術って点で言えば凄いと思うよ?
確かにハンターの素質云々では、つー族の中でもずば抜けてるみたいだし?
一緒に行けばご飯にも困らないかもしれないよ?」
(;^ω^)「そ、そうだお、僕等は狩りはけっこう苦手だk」
ミ,*゚∀゚彡「だがしかぁし! これから目指そうって世界はそうじゃない!
食べる為には狩りにハツラツしなくてオフコース、これからは通貨の時代、
つーの時代じゃないんだよ!! あーはははは!!」
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:01:00.72 ID:81lxEDVB0
(;^ω^)「…」ナンノコッチャ
そう言って高笑いするフサの笑顔は、僕には違和感のかたまりにしか見えなかった。
それに…自分で言ってて気付いてないのだろうか。
さっきから、口にする事の前提がおかしいという事に…。
ミ,, Д 彡「まあ……それにさ…」
( ^ω^)「……お?」
ミ,,。。彡「つーちゃんは……この村の」
「そうかい」
(;^ω^)「あ」
ミ,;゚Д゚彡「!?」
と、フサが表情を少し曇らせ、ボソボソ呟くように何かを言いかけた所で、
その言葉を遮るように、どこからともなく声が響く。
見れば、いつの間にか声の主は部屋の入り口に立っていた。
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:02:03.43 ID:81lxEDVB0
(;^ω^)「つーちゃん…」
(*゚∀゚)「安心しろ、俺もな、これからの時期どんどん暑くなる事だし…
てめえのそのむさっ苦しいモップ姿を見ないで済むと思うと清々するよ」
ミ,;゚д゚彡「…そ」
(*゚∀゚)「だいたい、そうでなくてもてめえは普段から見苦しいんだよ
ナヨナヨしてっし、すーぐどもるし、単純バカな癖して優柔不断だしな」
ミ,;゚ -゚彡「…そう…そりゃよかったね、でも…それは俺もだから
毎回いろいろ小言うるさいし、刈られるし、これからはそんな不安なく過ごせそうだから」
(*゚∀゚)「アヒャヒャそうだな、お互い大助かりじゃねーか」
ミ,,゚Д゚彡「全くだね」
(*゚∀゚)「まーでもあれだ! 今まではてめえが歩くと床の埃が取れて便利だったよ!
ダスキン要らずだったし、それについてだけは勿体無いかもなぁ」
ミ♯゚Д゚彡「ちょ、そこまで言うか!?」
( ^ω^)「……埃がとれるどころか、抜け毛の処理で大変だってよく言ってたお」
(;* 。。)「…ぅ」
ミ,;゚д゚彡「……」
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:02:23.44 ID:/0a5tffO0
支援
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:02:59.30 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「ちっ…まあいいさ、それより出るのは明日だったか」
ミ,,゚Д゚彡「…まあね」
(*゚∀゚)「ブーンも行くんだろ?」
(;^ω^)「お…だお」
(*゚∀゚)「そか…」
(*-∀-)「…」
( ^ω^)「お?」
つーちゃんは、何処か迷うような素振りを見せると、軽く溜息を一つ吐いた。
その後、二人は互いに顔を見合わせようとせず、なんとも気まずい時間が流れるも、
やがてつーちゃんが僕の頭にいちど手を置いてその場を去った。
なんとなく、取り残される形になった僕等はそのまま黙り込んでしまう。
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:03:10.61 ID:/0a5tffO0
支援
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:03:13.65 ID:LZJqs9Fb0
支援
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:03:37.49 ID:/0a5tffO0
支援
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:05:11.25 ID:81lxEDVB0
( ^ω^)「…フサ」
ミ,,゚Д゚彡「…なんだよ」
( ^ω^)「さっき、散々つーちゃんも来たら困るみたいな事言ってたお?」
ミ,,゚Д゚彡「…」
( ^ω^)「……それって、誘ったら絶対に来てくれると思ってる…そういう事だお?
それにつーちゃんだってああは言っても、行かないとは一言も…」
ミ,,。。彡「…しょうがないだろ」
ミ,,゚Д゚彡「つーちゃんは仮にもここの村長の跡継ぎで、あの二人のたった一人の子供なんだから…
帰ることの無い旅になんか…一緒に行くわけにはいかないよ…」
( ^ω^)「その二人が言ってたじゃないかお、悲しませないでやってくれって…
それに、フサだって実際来て欲しいんだお?
だから会い辛くて、さっきもまともに別れを言えなかったんじゃないかお」
ミ,,。。彡「そんなんじゃ、ねえよ…」
( ^ω^)「思うこと…言えばいいお、言わなきゃ駄目だお
こんな時に二人してツンデレしてる場合じゃないお」
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:05:58.53 ID:81lxEDVB0
ミ,,゚Д゚彡「……言えねえよ」
吐き捨てるようにフサは言う。
意外な事に、後者へと突っ込む言葉は無かった。
どうやらわりと重症らしい、ああポイズン、なんてポイズン。
(;^ω^)「……僕には、わかんないお」
……。
……。
…。
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:07:16.29 ID:81lxEDVB0
そして、夜の帳がくだり始めた頃。
恐らくお父さんの方であろうつーが大量に食材を持ってきて。
残った二人のつーがさっそく調理を始めた。
(;^ω^)「つーつーつーと…もう何がなにやら…」
ミ,,゚Д゚彡「?」
その間、僕等は4人で会話に華を咲かせていた。
話の種はやはり気になる事はいっしょなのか、外の世界の話。
そして質問攻めにあったショボがそろそろ涙目になりはじめると…。
(*゚∀゚)「できましたよー」
そんな声と共に、ぐつぐつ湯気をたてる大きな鍋を手にしたつーさんが現れ、
更に奥からは荒っぽい声があがった。
<おらー運ぶの手伝えー!
ミ,,゚Д゚彡「あ、今行くよー!」
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:09:03.56 ID:81lxEDVB0
<うわ、すごいから!
<アヒャヒャ、落とすなよ
<まかせてちょ
<…あ
<なにやってんだてめえ!!
<ごごごめん! わざとじゃ
<うるせえ問答無用!!
<ひぃ!?
<こらこら、二人ともやめなさい
<だってよぉ…
奥からわいわい楽しそうな声が聞こえてくる。
昼間はあんな事があったし、どうなる事かと少し不安だったけれど、
不思議なことに、気付けば何でもない、いつも通りの二人になっていた。
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:11:01.78 ID:81lxEDVB0
けれど、そんな普通が僕にはひどく悲しい物だと思えた。
確かにフサが言っていた事もわかる。
だけど…それでも、やっぱり気になって仕方がない。
自分を誤魔化していたってしょうがない、そんなの無意味じゃないか。
(;^ω^)「…はあ」
(´・ω・`)「あれ……どうしたの?」
( ^ω^)「あの二人だお」
(´・ω・`)「二人…?」
不思議そうに首をかしげるショボ。
僕はそれとなく視線をフサとつーちゃんへと向けた。
(´・ω・`)「ああ、うん、何かあったの?」
( ^ω^)「まあ…あれだお」
僕は、そんな悶々とした思いに耐え切れず、
ショボをこっそり部屋の端っこに連れ、簡単ないきさつを話しつつ、
同時に自分の思っている事を吐露した。
…少しヒートアップし過ぎた感もあるが、それはご愛嬌
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:12:00.26 ID:/0a5tffO0
支援
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:12:12.95 ID:81lxEDVB0
(;´・ω・`)「なんか…大変なんだね…」
( ^ω^)「お…どうしたものやら、だお」
(´・ω・`)「ふーん……」
( ^ω^)「あ! そうだお、ショボから何かさりげなく言ってみてくれないかお?」
(;´・ω・`)「え…? な、何を?」
( ^ω^)「二人に、なんかこう上手い事すなおになったほうがいいお〜みたいな
僕が言ったところでどうせ聞かないだろうし…」
(;´・ω・`)「えええ!? むりむり! そんなのぼくにはとても…」
(;^ω^)「あー…冗談だお」
(´・ω・`)「…で、でも」
(*゚∀゚)「おーい、何すみっこで縮こまってんだ? 準備できたぞー」
( ^ω^)「お、はいだおー」
(;´・ω・`)「ぁ……」
…まあ、自分で頼んでみておいてなんだけど。
ショボは明らかにそういうの苦手そうだし、聞いてはみたが冗談半分、期待半分で。
その返答にこれ以上何かを求めるつもりはなかった。これが間違いであり、正解だった。
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:13:18.93 ID:81lxEDVB0
むしろ言いたい事いってすっきりした、というのも少なからずあるけども。
というか、それどころじゃない、なんだあれは。
(;^ω^)「って、これはちょっと、多いっていうか…なに?」
テーブルを見れば、そこには凄まじい量の食べ物が。
いや、そもそもこれは本当に食べ物なのか?
そんな疑問が浮かぶような盛り付けをされた物がおしくらまんじゅうしていた。
その詳細はあえて割愛しておく、一つ一つ書いていたらキリがない。
…けれど一つだけ例を挙げるならば。
細長い大きな魚が積み上げられ、巨大な三角形を作っているのは如何な物か。
(*゚∀゚)「がんばったからな」
ミ,;゚Д゚彡「ねえ、このグロテ、いや人みたいなの…何?」
(´・ω・`)「あ…なんかこれいい匂い…」
( ^ω^)「それは穴鼠だお」
(´゚ω゚`)「ねずっちょ!!」
そうして、宴はてんやわんやと盛り上がり。
みんなでテンションを壊しつつ、楽しい最後の夜は更けていった。
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:14:16.72 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡') <アサー アサダヨー アサゴハンタベテー ガッコウイクヨー
ミ,,,,,,,,,,ミ
白季 76節
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:15:19.04 ID:81lxEDVB0
そして…いよいよ旅立ちの時がやってきた。
嬉しい事に天気もよく、澄み渡るような青空と、差し込む朝の日差しの中。
家の前に3人のつーが佇み、思い思いの言葉をかけてくれた。
(*゚∀゚)「次に…もし会う時は、もっとでっかい男になってろよ」
ミ,,゚Д゚彡「タイプワイルドだね!」
(*゚∀゚)「そうだ、元気ハツラツ?」
ミ,,゚Д゚彡b「オフコース!!」
ちなみに、本当は村の入り口までは一緒に。みたいに言われていたけど。
フサがここがいいと言うので、見送りは家の前までとなった。
なんでも「俺が旅立つ場所はこの家だから」とかなんとか。
(*゚∀゚)「でも…これだけはぜったいに忘れちゃ嫌よ?
あなたは今までも、そしてこれからも…どこにいても…
ここの子、私達は家族なんだからね」
ミ,,゚Д゚彡「…うん、今までありがとう…お父さん、お母さん」
(*゚∀゚)「あら珍しい…ちゃんとそう言ってくれたのはどれくらいぶりかしら?」
(*゚∀゚)「どうやら今日は雨が降りそうだな、早いところ行ったほうがいい」
ミ,;゚Д゚彡「ちょ、ひど!」
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:15:57.47 ID:/0a5tffO0
支援
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:16:04.23 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「アヒャヒャ、てめえは濡れると困るだろうが」
ミ,;゚д゚彡「そうだけど、そうじゃなくてね?」
(*゚∀゚)「なんだよ?」
ミ,,。。彡「……その」
ミ,,゚Д゚彡「元気でね、つーちゃん」
(*゚∀゚)「あー? オレは別に今まで通りだ、なんもねーよバカ」
(*。。)「けど……まあ、ガンバレよ」
ミ,,゚Д゚彡「うん…ありがとう」
結局、この二人はこれくらいしかまともに挨拶を交わす事はなかった。
言いたい事も、言うべき事もたくさんあるだろうに。
……でも、あれからずっと考えて、今は少し、これでいいんだと思い始めていた。
二人がそうするべきだと思った上での事だろうし、
ここでとやかく言っても、逆に辛くなるだけなんだろう。
だからせめて普段と変わらぬままで。
明るく、前を向いているために。
…しょうじき、あまり納得はしていないけど。
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:17:07.93 ID:/0a5tffO0
支援
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:17:49.66 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「…ブーンも、元気でね? ショボ君、二人をよろしくね」
( ^ω^)「あいおー」
(;´・ω・`)「は、はいっ」
(´・ω・`;)ソワソワ
(;´・ω・`)ソワソワ
(;^ω^)「お?」
と、見ればショボが落ち着かない様子でキョドっている事に気付いた。
(;^ω^)「どうしたんだお? トイレ?」
(;´・ω・`)「え、あ、あの、いや…えっと…」
(;´・ω・`)「よ、よよよぉし…」
ミ,,-д-彡 =3
ミ,,゚Д゚彡「さて…と、んじゃま、行くとしますか!!」
ショボが謎の意気込みをみせる中、フサが声を張り上げた。
色々と思うところはあれど、そんな言葉には高揚が抑えきれない。
僕もそれに応えようとした……ら。
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:19:10.90 ID:81lxEDVB0
(;´・ω・`)「ちょ、ちょっとまって!」
ショボが、いつになく必死な様子でそれを止めた。
突然のことに困惑する僕等をよそに、ショボはおどおど言葉を続け、
…驚くべきことを言い出した。
(;´・ω・`)「あ、あの……つーさん、も…一緒にきませんか…?」
(;*゚∀゚)「は…?」
(;´・ω・`)「えと…昨日、ブーンが言ってたんだけど…」
( ^ω^)「……」
(;^ω^)(……!!!)
僕は、そこで昨夜の事を急激に思い返していた。
そしてふと、思い浮かんだ事があった。
…そういえば、昨日ショボから何か言ってくれと軽い気持ちで頼んだ時。
無理だと言いつつ、なにか、最後に、言いかけていた、ような。
何故かはわからない。
けれど、まずい、と得体の知れない悪寒を感じた。
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:19:48.62 ID:/0a5tffO0
支援
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:20:08.32 ID:81lxEDVB0
(;´・ω・`)「だ、だって…本当はつーさんも行きたいんですよね…?
僕はその、ぜんぜん、むしろ…多いほうが嬉しいっていうか」
(;*゚∀゚)「あ…あ?」
(;´・ω・`)「フサさんも、来て欲しいんですよね?
そう言ってたって聞きましたよ」
ミ,;゚д゚彡「…え、と?」
(;´・ω・`)「そ、それで…ほんとうは…二人とも、一緒に行きたいって思ってるのに…
だけど誰も見てない体裁を気にしてるんだ、って」
あえて言うならば、ミシと何かが軋む音が。
(* ∀ )「…」
ミ,, д 彡「…」
(;´・ω・`)「そうやって二人して無理してかっこつけてる、すっっっごくバカみたいだ、って」
おお、ちゃんとバカって単語に凄い力いれてくれてる、律儀だNE。
あえて言うならば、ビシと何かが割れる音がががが。
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:20:33.92 ID:SoPHw+7IO
支援
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:20:35.65 ID:/0a5tffO0
支援
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:21:14.11 ID:81lxEDVB0
(♯ ∀ )「……」
ミ♯ Д 彡「……」
(;´・ω・`)「あれ…? えっと…そうそう、あと…」
自分が発言すればするほど場が静かになっていく、
ショボは困った様子ながらもどうにかしようと思ったのだろうか。
(;´・ω・`)「の、乗りたい風に乗りおくれた奴を何ていうか知ってるか」
(*´・ω・`)「そういうのはマヌケって言うんだ!! …って…!」
(li^ω^)「ショ…ショボ…ちょ、ちょっと…あの…」
(*´・ω・`)「…ふ、ふぅーー…言ったよ! ブーン!」
血の気が引くのを感じつつ、止めに入ると。
ショボはなんていうか、凄く達成感あふれる表情で言った。
空気嫁、ていうか、こやつ何を考えている、なぜそこまで言うのか。
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:22:05.02 ID:81lxEDVB0
(゚∀゚*)
ミ゚Д゚,,彡
二人はゆっくりと僕を見た。
こっち見んな、とか言ってる場合じゃ無い。
空気よんでください、ほんとに。
(;^ω^)「あ、いや、ちが…」
(♯゚∀゚)「アヒャー、この猫ちゃんたら…ずいぶん言ってくれるじゃないの?」
(;^ω^)「口調かわってますお?」
(*゚∀゚)「かえてんのよ」
<尻尾の毛、全部刈ってやんよ〜♪
<アッー!!
咄嗟に僕は逃げようとするが時はすでに遅く。
銀にかがやく刃がそっと尻尾にあてがわれ、
今まさにジョリジョリと刈られそうになったところで…。
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:22:53.48 ID:6/yQ4Udw0
支援
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:23:05.69 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「…つー、今のは本当かい?」
(;*゚∀゚)「…う」
( ;ω;)「ごめんなさいごめんなさいもうしません」
助け舟が舞い降り。その隙を逃さぬよう必死で懇願した。
僕はフサみたいに一日で毛が生えそろう変な体をしていない。
このまま刈られようものなら、僕は尻尾だけ毛の無いという辱めを受けながら旅する事になる。
これはちょっとした恐怖ですよ。
そして、ふと顔をあげればフサが僕を見下ろしていた。
直視することが出来ず、表情はみとれなかった。
( ;ω;)「あうぅぅ……」
ただ…きっと怒られるんだ、そう思って。
初日からなんという事だろうと、僕はたまらず下を向いた。
けれどいくら待っても、あるのは沈黙だけだった。
不思議に思って…こっそりと上を盗み見る。
すると、まるでタイミングを合わせたように沈黙が破られた。
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:24:22.40 ID:6/yQ4Udw0
支援
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:24:25.90 ID:81lxEDVB0
ミ,,゚Д゚彡「……俺は、つーちゃんに来て欲しいと思ってるよ」
僕はびっくりして、がばっと顔を上げた。
そんな様を、どこか諦めたようなふいんきで見下ろすフサが視界に入った。
(;^ω^)「え…フサ…?」
ミ,,゚д゚彡「…まぁ、約束破ったうしろめたさみたいなの残して行くのも、な」
( ^ω^)「約束…?」
(;*゚∀゚)「…おま……覚えて」
(*゚∀゚)「…だ、そうだぞ? お前はどうなんだ?」
(;*。。)「お、オレは…」
(*-∀-)「つー」
(;*゚∀゚)「ん…お袋?」
(*゚∀゚)「はい、持ってきなさい」
(;*゚∀゚)「は!? ちょ、これ」
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:26:17.89 ID:/0a5tffO0
支援
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:27:33.06 ID:81lxEDVB0
そう言って手渡されたのは、円錐型のさきに紐がついたバッグ。
つーちゃんが反射的に受け取ると、それは何かガチャガチャ音を立てた。
(*-∀-)「あなたに必要な物は全部はいってるはずよ、安心しなさい」
(;*゚∀゚)「いやそうじゃなくてよ、これはどういう」
(*゚∀゚)「行きたいのだろう? 知ってるぞ…
というか、お前が自分で言ったんじゃないか」
(;*゚∀゚)「え…いや、あれは」
ミ,,。。彡「…ごめんなさい」
(*゚∀゚)「あら、なんで謝るの?」
ミ,,。。彡「だって…」
(*゚∀-)「ふふ…なにか誤解してない? 例えば…つーが私達にとって唯一の…とか」
ミ,;゚Д゚彡「お、ぉぉぅ…」
(*-∀-)「さっきも言ったでしょ…あなたは私達の大事な子供って
これだけ言っても…まだわかってくれないの?」
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:28:07.60 ID:81lxEDVB0
ミ,;゚Д゚彡「いや、それは、そうじゃなくて…だからこそ、二人ともなんて…」
(*゚∀゚)「つーも、お前も、どっちかとかじゃない…
私達にとっては二人とも変わらん、そしてこうも言ったはずだぞ」
(*゚∀゚)「縛られず、自由に生きて欲しいと…な」
ミ,, - 彡「…っ」
(*゚∀゚)「ははは、大体かんがえてみろ、その場合、縛ってるのは私達なんだぞ?
親にしてみれば、そっちの方がよほど辛いってものさ……」
ミ,,;Д;彡「うん゛…やっぱり、ごめんなさい」
(*゚∀゚)「慌てるな、まだ泣く時間じゃない」
ミ,,つД;彡「仙道乙」
(;^ω^)「ぉ…ぉぉ」
しゃがみ込んだその上で繰り広げられるスペクタクルに、
僕は動けずにいた、というか空気をよんで動いちゃいけないと思った。
けっこう辛いものがあった、しかし静観を続けた。僕も頑張ってます。
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:28:58.94 ID:81lxEDVB0
とか言ってる間に、フサはちょっぴり涙模様の表情を拭い、
呆然としているつーちゃんへと向き直し、言った。
ミ,,゚Д゚彡「つーちゃん、一緒に行こう」
すると、すぐに我にかえったつーちゃんは、
あきらかに慌てている。
(;*゚∀゚)「いやちょっと待ちやがれ、オレは行くとは…」
ミ,,゚Д゚彡「だから質問してるから」
(;*゚∀゚)「ぐっ…てめえ…」
(*゚∀゚)「つー」
(;*゚∀゚)「な、なんだよ」
(*゚∀゚)「…ゴチャゴチャ言ってないで逝け」
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:29:21.95 ID:6/yQ4Udw0
支援
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:30:08.63 ID:81lxEDVB0
(;*゚∀゚)「……あ?」
(*゚∀゚)「いつまでも引っ張るな、どんどん行数が増えていくだろうが
早く行くと言え、いいから逝ってよし」
(;*゚∀゚)「おい、誰の願いだそれ」
(;^ω^)「あの…僕も…来て欲しいお、つーちゃんは、
この村で弾かれ者だった僕等を、いつも周りを気にせず引っ張ってくれたお
それがいつだって、凄く嬉しかったんだお…僕はそんなつーちゃんが大好きだお…
だから、もしまだ一緒に居られるなら…そのチャンスを逃がしたくないお」
僕は、ここぞとばかりに言ってやった。
けれど紛れもない本心だから。
ここにきて、やっとわかったんだ。
ずっと悶々としていた理由が。
フサがどうとか色々言っても、結局のところ僕自身がそれを願っていたんだ。
(;*-∀-)「っ〜〜〜〜…」
(*゚∀゚)「はぁ…わかったよ、オレも――――」
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:30:57.43 ID:6/yQ4Udw0
支援
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:31:28.02 ID:/0a5tffO0
支援
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:31:53.37 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 <ソウシテ ヨウヤク!
ミ,,,,,,,,,,ミ
白季 75節
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:32:29.52 ID:81lxEDVB0
そうして、つーちゃんも一緒に村を出る事になった。
やはり両親の二人には申し訳ない思いがあったが、
それについては安心できることができた。
(*゚∀゚)「ああ、そういやあ最初に言っておくが…」
どうやらつーちゃんには明確な旅の目的があるようで。
それを果たしたら村に帰るつもりらしい。
…まあ、聞かなかった僕等もアレだったのだが。
何にせよ、もう帰らないつもりでいた僕等にとって、
それは寂しくもあり、ありがたいとも思える事だった。
…かに思えた、のだが。
ミ,,゚Д゚彡「へぇ、それで…なんなの? 目的って」
(*゚∀゚)「ああ、ちぃと外大陸の包丁に興味があってな」
(*-∀-)「それが…あなたの夢だもんね」
(*゚∀゚)「ああ、俺も昔は憧れたもんだ…外世界の包丁」
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:33:20.53 ID:81lxEDVB0
ミ,,゚Д゚彡「……」
ミ,;゚Д゚彡「…なんと?」
(*゚∀゚)「とりあえず目星はついてっけど、ひとまずオレに馴染む包丁探しつつ
心ゆくまで世界の包丁ってやつを見て回りたいんだ
その為にはお前と行くのが一番都合がいいからな」
ミ,;゚Д゚彡「都合…え、ちょ、まさか…」
(*゚∀゚)「それと…まあ、こっちは夢みたいなもんなんだがな
世界のどこかには伝説の白と黒の包丁があるらしくてよ
それを―――」
ミ,;゚Д゚彡「ちょっと待ったぁ!!」
(*゚∀゚)「ああ? なんだよ」
ミ,,゚Д゚彡「え? 包丁探しの旅?」
(*゚∀゚)「ああ」
ミ,;゚Д゚彡「…あ、あの…つかぬ事をお聞きしますが…
もしかして…その、俺と行くのが都合がいいってのは…」
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:34:39.75 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「ああ、もちろん……試し切り、できるだろ?
お前の毛って刈り応え抜群だし、すぐ生えてくるし」
試 し 切 り
ミ,, Д 彡「…」
(;^ω^)「…」
(;´・ω・`)「…え?」
それだけ聞くと、フサが動かなくなった。
でも何でだろう、同じ事を考えている気がする。
新たな場所! → 新たな包丁! → 毛を刈られる!! → 新たな場所! →以下ループ
というより、映像がはっきりと浮かんだ気がする。
ミ,, Д 彡「…い」
ふとそこで、ぎぎぎ、と。
異音が聞こえてきそうな動作でフサが振り向き。
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:34:50.58 ID:6/yQ4Udw0
支援
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:35:17.49 ID:81lxEDVB0
(;´・ω・`)「な、なに…? って」
ミli゚Д゚彡「いやだああああああああああああ!!」
・`;)「わぎゃああああああああ!!!?」
とつぜんショボの尻尾を掴んだと思えば、ものすごい速度で駆け出した。
ていうか、ほとんど消えたと表現していいと思う。
ちなみにショボは全力で引きずられている。
<いだいいだいいだいいいいいいいいいいいい!!!
<刈られる旅なんていやああああああああああ!!!
遅れて、二人分の悲鳴が聞こえてきた。
真っ直ぐに伸びた道には、二人が通った道筋に尾をひくように砂埃が舞っている。
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:36:06.45 ID:81lxEDVB0
それにしてもどんどん姿が小さくなっていく、なんて速さだ、人はああも早く走れるものなのか。
それもショボを片手で引いてあの速度、信じられない。
だいたい先日連れて来たときはあんなに大変そうだったのに、とんでもないパワーだ。
あれが火事場の馬鹿力というのだろうと思う。
(*゚∀゚)「…」
( ^ω^)「…」
(*゚∀゚)(*゚∀゚)「…」
(;^ω^)「って、そんな冷静に考察してる場合じゃないお!?」
Σ(*゚∀゚)「はっ…」
(♯゚∀゚)「ぁあ〜んのやろう…!! 待ちやがれええええええええ!!!!」
そうして、つーちゃんが荷物を肩に背負い込み駆け出した。
ガチャガチャ音がするのは、包丁なんだろうなぁ…。
そして叫んで飛び出したつーちゃんも尋常じゃない速度だった。
ちなみにそれが特別驚くことじゃない、素であれだから困る。
まさに電光石火、いやしんそくか。
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:37:24.47 ID:/0a5tffO0
支援
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:38:40.25 ID:81lxEDVB0
<逃がさねえぞそこのモップ!!
<こ、来ないでいいからあああああああああ!!!
<いたいたいたい!!もうはなしてよおおおお!!うあああああん!!!
気付けば…僕は一人ぽつんと取り残され。
遠くなっていく3人を眺めていた。
(;^ω^)「あ、あわわ…」
( ;ω;)「お、おいてかないでくれおーーーー!!!!!」
そうして、僕も前を行くみんなを追いかけ、走り出した。
同時に背中を押す風がふいて、声が聞こえた。
「いってらっしゃい」って、そう聞こえた。
少しだけ振り返ると、家の前で二人が笑って手をふっていた。
こんどは前を見ると、道の先で二人がそれぞれ手をふっていた。
白い季節の風、それはきっとスタートを告げる暖かい音。
蹴り出す足に力をこめて、思い切り駆け出した。
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:39:36.66 ID:81lxEDVB0
それから。
なかなか追いつけなくて、大変だった。
しばらく走ると、フサが倒れていた。
つーちゃんは息もきらしていなかった。
結局、フサが疲れて立ち止まるまで、僕は追いつけなかった
動物としてのプライドはズタズタだった。
でも…それ以上にショボが、尻尾がちぎれるって泣いてたっけ…。
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:40:11.45 ID:81lxEDVB0
それで、最後には…笑ってた――――。
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:41:34.88 ID:81lxEDVB0
《 蒼季 1節 》
淡い緑色の灯りが照らすなかで。
僕は緩む頬をこらえながら、開いていたノートを閉じた。
…何故か、その思い出はまだ新しいはずなのに、ずいぶん昔のことに感じた。
隣を見れば、ショボがもう寝息を立てている。
( ^ω^)「…そろそろ、僕も寝るお」
ホタルの樹の下、腕に頭をのせて目を閉じる。
まぶたの裏に柔らかな光を感じて、それがなんとも心地よい。
まるで光に抱かれている……そんな気がして。
瞳を閉じているのに、灯りの中に沈んでいくような。
そんな不思議で暖かいまどろみの奥底に、僕はゆっくりと沈んでいった。
其の二 → 其の三
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:44:02.33 ID:81lxEDVB0
再度、支援ありがとうございます。
疲れてしまうかもしれませんが、夜はまだこれから。
続きは8時頃に再開します。
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:45:32.14 ID:6/yQ4Udw0
支援
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:45:43.50 ID:zsQrynBO0
乙! 八時にまた来る保守
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 19:53:35.47 ID:yLujXGeL0
支援できなかった分
全力で保守
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:01:07.10 ID:6/yQ4Udw0
保守
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:08:09.35 ID:gkh8VVR00
保守
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:11:16.72 ID:/0a5tffO0
保守
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:12:49.73 ID:6/yQ4Udw0
保守
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:13:13.05 ID:/0a5tffO0
保守
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:14:09.29 ID:81lxEDVB0
すいません、遅れました。
保守ありがとうございます。
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:14:44.09 ID:81lxEDVB0
(´・ω・`)(はい、ブーン)
(;^ω^)(お、なんだおこれ?)
村を旅立った最初の夜、僕はショボから一冊のノートを渡される。
何でも、これからの出来事を書いたり、
毎夜の月の色を見て、季と節を記していこうと言う話だった。
( ^ω^)(なんでまた…)
(;´・ω・`)(君も、協会の…いや文猫なんでしょ? なら必要でしょ?)
理由を尋ねてはみたものの、そんなよく分からない事を言われた。
けど不思議な事に、僕はそうやって記録するのが楽しくて、なにより自然に感じて。
気付けば毎夜書き連ね、今では十数ページに渡ってずらりと綴られていた。
たとえば、そう、村を出てからの様々な事柄とかをね。
今宵はその辺を振り返ってみよう。
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:15:24.36 ID:6/yQ4Udw0
支援
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:16:23.74 ID:81lxEDVB0
第一章 遠い地を目指したハジマリ
其の三 「歩いて歩いて、ようやく見えた新たな一歩だから」
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:17:14.84 ID:81lxEDVB0
山の狭間にある草原、みごとなまでに何も無い平野。
流れる小川、崩れた崖、石のアーチ、ポツンと点在する小さな木々。
歩けばあるくほど、様々な景色があった。
《 白季 80節 》
( ^ω^)「先は長いお、僕の背中に乗るといいお」
ミ,;゚Д゚彡「いや…まだまだ」
すぐ後ろにはショボと、その背に腰掛けるつーちゃんの姿。
(*゚∀゚)「アヒャヒャ、無駄なことするやつだな」
ミ,;゚Д゚彡「無駄じゃないから! この一歩を自分で歩くことが大事だと思うから!」
(;´・ω・`)「それよりおなかすいたよ…」
人は二本足で歩くからぼくらと違って歩きつづけるのは大変そうだ、
背中に乗せて走り抜ければもっと早く先へ進めるけれど。
フサがそれを拒否したおかげで、山一つ越えるのも時間がかかる。
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:18:09.87 ID:yLujXGeL0
支援
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:18:30.12 ID:81lxEDVB0
ミ,,゚Д゚彡「おっしゃー! なんか里が見えたから!」キター(・∀・)ー!
( ^ω^)「おっおっ、もうちょっとだおショボ」
(;´・ω・`)「う、うん…」
<おーい、はやくこいよー!
(;^ω^)「って、もうあんな遠くに!?」
けど、そんなゆったりとした時間はとても心地がいいものだ。
後になればなるほど、それは実感できる。
175 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:19:12.47 ID:yLujXGeL0
支援
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:19:56.65 ID:/0a5tffO0
支援
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:20:38.89 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 <ミズモ ショクリョウモ ナケレバ!
ミ,,,,,,,,,,ミ
白季 84節
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:21:32.62 ID:6/yQ4Udw0
支援
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:23:40.83 ID:81lxEDVB0
長いこと里にたどりつけないと、お腹が減ってしまう。
そんな時は僕らお得意の狩りの時間だ。
( ^ω^)「えーと…お、いたいたお」
ずらーっと茂る木々の間、大小さまざまな石が並び、
そこを縫うように流れる川は穏やかで、
水中から頭を出した石からは白い波が音を立てていた。
ミ,,゚Д゚彡「…」
フサは大きな石の影に身を潜めるように座り、
長めの木の棒をかたわらに、じーっと水の流れを見つめている。
僕もそれにならって横へ座り込んだ。
( ^ω^)「釣れてるかお?」
ミ,,゚Д゚彡「ぼちぼちー」
見れば小さな魚が群れを作ってうごめいていて、
ときおりそこへ大きな魚が割り込んでは群れを崩していた。
フサはそんな中へ、糸をゆっくりゆっくりと手探りで流し込んでいく。
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:24:30.05 ID:81lxEDVB0
釣りといっても、ちゃんとした仕掛けは用意していない。
あるのは針と糸だけ、しかしそれだけあれば充分だった。
石を持ち上げれば餌なんかいくらでもあるし、
浮きなんかは枯れ落ちた枝をちょうどよく折ればできあがり。
(;^ω^)「お?」
すると、浮きがちょこちょこ上下運動をしているのに気がついた。
フサは合わせる為に傍らの木の棒を手にする。
棒を使って斜め上にひっぱり、竿の代わりとする為だった、しかし。
ミ,,゚Д゚彡「んー……」
眺めたまま動かず、やがてゆっくりと糸を引き戻していく。
何の抵抗もなく引き寄せられたその先には、目当ての姿は無く。
糸を伝う水滴がなにもついていない針へと移動し、石の上に滴った。
( ^ω^)「とっとと引かないからだお…」
ミ,;゚Д゚彡「違うから、あんな小さいのに用はないだけだから」
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:24:54.15 ID:yLujXGeL0
支援
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:25:44.67 ID:81lxEDVB0
( ^ω^)「お、でも充分釣れてるじゃないかお!」
川の隅には石でかこんだ堤防がある。
小さな水溜りになっているそこには、中々の大きさの魚が数匹、
口からエラ部分に通した紐で連結された魚が横たわっていた。
ミ,,゚Д゚彡「うん、じゃあこれでラスト」
(;^ω^)「なんかあるのかお?」
ミ,,゚Д゚彡σ「ほら、あそこ…どーも怪しいんだよね」
( ^ω^)「?」
そう言われて見れば、そこにはこれまた巨大な石がせりだし、
水面に大きな影を落としていた。
ようするにそこに大物の気配がするとかで、一発狙いたいそうだ。
ミ,,゚∀゚彡「……さあ、おっぱじめるか…」フフフ・・・
(;^ω^)(…誰だお)
183 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:25:54.77 ID:yLujXGeL0
支援
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:26:20.35 ID:81lxEDVB0
……。
……。
(;´・ω・`)「こんなもんかな…」
(*゚∀゚)「お、食草さがしか?」
(´・ω・`)「う、うん…つーさんh」
(;´゚ω゚`)「どえええええ!!」
(*゚∀゚)「アヒャヒャ、なかなか大物だろ」
そう言って笑うつーちゃんの背後には、血まみれの猪。
どうやらどこからか狩ってきたらしい。
(´;ω;`)「ひぃぃ…こわいよぉ」
(;*゚∀゚)「わかった、悪かったから…」
……。
…。
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:26:29.89 ID:yLujXGeL0
支援
186 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:27:52.71 ID:81lxEDVB0
そうして、待ち合わせた川原へと戻ってきた二人。
だがそこにはフサ達の姿が見当たらない。
(*゚∀゚)「んー、あいつらどこいった?」
<き、きき、キター(・∀・)ー!
(´・ω・`)「あ、居た」
声のする方では、フサとブーンがなにやら川沿いに駆け回っている。
あの様子をみるに何か大物がかかったようだ。
<いいお! こっちきてるお!
<よっしゃ、持ってろブーン!
<ええ!?
<とう!
見れば、バシャと大きな水音を立て、
飛沫をあげながらフサが川へと飛び込んだ。
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:29:03.52 ID:yLujXGeL0
支援
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:29:10.18 ID:yCmBJ0+ZO
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:29:23.83 ID:6/yQ4Udw0
支援
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:29:55.01 ID:81lxEDVB0
(;*゚∀゚)「なにやってんだか…」
(;´・ω・`)(釣りって…あーゆうものだっけ)
あろうことか、かかった魚をその場で釣り上げるのではなく。
みずから赴いて直接捕らえるつもりらしい。
<お、おもいお…っ!!
<がんばれ! もうちょっとだ!!
<ぬおーっ
<しゃー! とったどーーー!!
…。
…。
彡,;'д`ミ「うへぇ…毛が重い…」
その後、ばかでかい魚を抱えて川から出てきたフサだったが。
見るも無惨な…いや凄いことになってた。
191 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:30:44.94 ID:81lxEDVB0
彡,;'д`ミ「うぅ…」
(;^ω^)「…」
(;´・ω・`)「うぁ…」
(*゚∀゚)「…カワウソみたいになってるぞ」
彡,;'д`ミ「…ちょっとさむい」
(;^ω^)「…まあ、泳ぐにはまだちょっと時期が早いお」
(*゚∀゚)「よし、刈ってやろう」
彡,;゚Д゚ミ「やだ!!」
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:31:07.77 ID:6/yQ4Udw0
支援
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:31:11.75 ID:yLujXGeL0
支援
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:32:07.64 ID:81lxEDVB0
《 蒼季 1節 》
里民「おんや、もう行ってきたとね!」
(*゚∀゚)「アヒャヒャ、容易いもんだぜ」
たどりついた大きな里では、さっそく物々交換で必要なものを揃える事にした。
ついでに色々と頼まれ物を依頼されたりと、色々あるものだと。
既に様々なできごとに胸を踊らせていた。
ミ,,゚Д゚彡「んで、これが頼まれものだから」ホタルノミト ヤドリグサト エッケンシガニ ダカラ!
ちなみに今回頼まれていたのは、例の夜に光る樹の実。
そして虫に寄生する変な植物と、目が二つ飛び出したヘンテコな蟹だった。
ついでに動物や魚もいちおう狩ってきたのだった。
里民「おーお、はいよ、あんがとさん〜」
代わりに貰ったのは水と、里で収穫された穀物や山菜野菜類、
…を、これまた大量にいただいてしまった。
(;^ω^)「おお…いっぱいだお!」
ミ,;゚Д゚彡「こ、こんなに…!?」
195 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:33:51.75 ID:6/yQ4Udw0
支援
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:33:56.95 ID:81lxEDVB0
里民「ほっほっ…あんたら海を目指してるんじゃろ?
ほんだら先はまだまだ長かとね、こんでも足りないくらいじゃて」
(*゚∀゚)「すまねえな、ばあちゃん」
里民「おおそうじゃ、これも持ってくとええ」
ミ,,゚Д゚彡「なんぞこれ」
里民「保存食ってやつじゃよ」
渡されたのは、布でくるまれた物体。
ほどいて見れば、くすんだ茶色い肉塊が入っていた。
ミ,,-д-彡「おお…肉のにおいが…」
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:34:16.14 ID:yLujXGeL0
支援
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:35:18.84 ID:81lxEDVB0
( ^ω^)「お?」
ほのかに香るこおばしい匂い。
少しちぎって食べてみた。
塩漬けベーコンウマー。
(*゚∀゚)「あー、燻製か」
(´・ω・`)「燻製…煙であぶって作るやつだよね」
(*゚∀゚)「お、よく知ってんじゃねーか」
(*´・ω・`)「えへ…この本に書いてあったんだ」
(;*゚∀゚)「ん…ウォーキングYOUDESU…? 」ナンジャコリャ
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:36:05.84 ID:81lxEDVB0
《 蒼季 10節 》
ミ,;'Д`彡「うぼぁー、疲れたー、ちょっと休もうよー」
(*゚∀゚)「ああ? だったらブーンに乗せてもらえばイーだろうが」
( ^ω^)「お? いつでもおkだお?」ノッテク?
ミ,;゚Д゚彡「だだ、駄目です! 男がコレと決めたからには!」
(;^ω^)「むぅ…」
(´・ω・`)「…いまどのへんなんだろう」
(*゚∀゚)「まだ半分もきてないと思うぜ?」
ミ,;゚Д゚彡「うえ…そうなの?」
(*゚∀゚)「あー、確か里をあと5、6個こえないとだったはず」
ミ,;-д-彡「げぇー…マジかよ」
200 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:36:19.45 ID:yLujXGeL0
支援
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:37:56.43 ID:81lxEDVB0
(;^ω^)「お…でも目新しいものがたくさんで、僕はぜんぜん楽しいお!」
ミ,;。。彡「そりゃそうだけどさ…」
(*゚∀゚)「なんだ? まさかてめえ…飽きたとかいうんじゃ…」
ミ,,゚Д゚彡「いや、それは断じてないから」
(;*゚∀゚)「…じゃあなんだよ」
ミ,,。。彡「その…実は…」ガマンシテタンダケド
ミ,*゚Д゚彡「 はやく海がみたい!! 」
(*゚∀゚)「は?」
ミ,,゚Д゚彡「山はそろそろいいよもうー、海がいいー、海が見たいー」
(;^ω^)「…むぅ、同意せざるを得ないお」
ミ,*゚Д゚彡「だっしょー!?」
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:38:28.03 ID:81lxEDVB0
(*-∀-)「…さて、行くか」ツキアイキレン
(;´・ω・`)「え? う、うん」
(,;゚Д゚)(;^ω^)「お、おいてかないでー!」
<ってフサ!? ちょww毛がwww
<えええええ!?いつの間に刈られたの俺!?
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:38:30.11 ID:yLujXGeL0
支援
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:39:28.49 ID:/0a5tffO0
支援
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:39:52.79 ID:81lxEDVB0
《 蒼季 27節 》
ミ,,゚Д゚彡「しかしあれだな、俺たちでもこんだけ時間かかるのに
よくショボはあんな短期間で村までこれたよなぁ…」
(*゚∀゚)「そういや、白季の半ばにこっちの大陸に来たって言ってたな」
(;´・ω・`)「え、うん…と…」
ミ,,゚Д゚彡「しかも道中迷ったりしたんだろ?」
(;´・ω・`)「里につくまでは…とにかく必死で…その
ずっと全力疾走してたから…そのせいかな、と…」
ミ,;゚Д゚彡「…そ、そうかい」ナキナガラガメニウカブ
(*゚∀゚)「じゃあそうするか?」アヒャー
ミ,;゚Д゚彡「イイデス!!」
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:41:26.70 ID:81lxEDVB0
《 蒼季 45節 》
(;´・ω・`)「ずいぶん…暑くなってきたね」
というわけで、ダイジェストでおおくりした蒼季も、いよいよ半ばに入ろうとしている。
ちかごろ空気が変わってきているのがよくわかる。
みあげた空は一点の曇りもない青空だし、周囲の緑はどんどん深まってるし。
そして…何より、じりじりと照らしてくる太陽から逃れるべく、
逃げ込んだ木陰の涼しさが何よりの証明であると僕は思う。
しかしながら油断は禁物だ、なにせこれから更に変化は続く。
明るい時間がどんどん増えて、どんどん暑くなってゆくのだから。
彡,;'д`ミ「ううぅ〜〜…あぢぃ〜〜」
だが、特にフサなんかは正直見ているだけで暑くなる。
既に汗とか湿気とかで毛がどえらい事になってるし。
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:41:38.62 ID:/0a5tffO0
支援
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:43:07.76 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「涼しくしてやr」
彡,,゚Д゚ミ「だが断るから!」
正直そうした方がいいんじゃないかと思うが、
それでも頑なに刈られるのを拒むのは、何故なんだろう。
<ギャー
まあそれも無駄な努力に終わるのも、最早いつもの事だ。
つ:-Д-:)「すずしい…」
(*゚∀゚)「アヒャヒャ」
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:44:31.94 ID:81lxEDVB0
《 蒼季 56節 》
と、そんなこんなで、ふりかえってみれば時間はあっという間に過ぎ去って。
流れた時間を証明するように、ノートの日付には。
もう、こんなに経ったんだと思わせるには充分な数字が書かれていて。
そして、とうとう僕等は……。
( ^ω^)「お…?」
彡,;'A`ミ「うぅー…?」
(*゚∀゚)「どうしたブーン」
緩やかな坂道がつづく山道を進んでしばらくの事。
もう日も山の向こうに隠れてしまい、そろそろ本日の寝床を探そうとする僕等の前に。
突然あらわれたのは、まるで向こう側を隠すような大きな坂道。
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:44:52.64 ID:yLujXGeL0
支援
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:45:21.17 ID:/0a5tffO0
支援
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:45:38.32 ID:81lxEDVB0
( ^ω^)タッ!
(;´・ω・`)「え?」
なんだか不思議な予感を感じて、僕は駆け出し、一気に上った。
坂の頂上にくると、そこには広場があって、その先に…それは見えた。
そして言葉も忘れて、ただその光景に見惚れることしかできなかった。
まず見えたのは、見慣れた太陽の姿。
続いて見えたのは、遥か遠くに広がる空との境界――――
――――水平線、そして沈むというより溶けていく様なオレンジの日の丸、
…あれが。
彡,,゚Д゚ミ「…海?」
(*´・ω・`)「うん」
(*゚∀゚)「へぇ…しかしこいつは…」
いつの間にか、みんなが僕の隣に立っていて。
同じ様に見惚れたようすで、オレンジに染まるそれを眺めていた。
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:45:51.18 ID:/0a5tffO0
支援
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:47:04.18 ID:81lxEDVB0
彡,,゚Д゚彡ピョコン
ピョンミ,,゚Д゚彡
ミ,, Д 彡「ぉ、ぉぉ…」
ミ,*゚Д゚彡「おおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!」
(*゚ω゚)「おーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!」
僕等は思わず、両手を掲げて太陽にほえた。
ミ,*゚Д゚彡「すっげぇ! でけえよ! なんだあれ!!」
(*^ω^)「あれ全部水かお!? ていうかものすごく綺麗すぎるお!!」
ミ,*゚Д゚彡「ああ、太陽沈んでるぞ!」
( ^ω^)「きっと水が反射してるんだお!」
ミ,*゚Д゚彡「きっれーだな!」
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:48:11.38 ID:81lxEDVB0
もう興奮しすぎて、お互いに何を言ってるのかよくわからない。
今度は二人で両手を広げた、なんだか見るもの全てを受け止めているような、
そんな気がして、嬉しくてうれしくて、そんで気持ちよくて。
ミ,*゚Д゚彡「くぁ〜ったまらん! いこうぜ!!」
(*^ω^)「おkだおーーーーーーーーーー!!」
そのまま、フサは両手を広げ、下り坂をまるで空を飛ぶように駆け出した。
僕も背中の腕を広げて、そうしたかったけれど、二本足では流石に走れない。
だから代わりに叫ぶ事にした。
ミ,*゚Д゚彡「待ってろ海野郎ーーーー!! 今行くぞーーーー!!」
(*^ω^)「おーーー!! ブーーーーーーーーーーーン!!!!!!」
(*゚∀゚)「…やれやれ」
(;´・ω・`)「あ、坂道であんなに走ったらあぶないよ…」
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:49:05.33 ID:6/yQ4Udw0
支援
217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:49:19.29 ID:/0a5tffO0
支援
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:49:28.80 ID:81lxEDVB0
二人、ほんとうに馬鹿みたいに叫んだ。
そして走った、走って、また叫んだ。
もうずっと前から感じていた、けれど違う。
今度こそ間違いない、これが見たくて僕等は旅立ったんだ。
と言っても海が見たかった、とはまた少し違う。
見たことの無い、まったく見たことのない世界への第一歩。
それがずっと見たかった。
今までの苦労が相成って、感動は大きく。
そして次なる感動への想いが胸を焦がして。
あそこにはきっと、全てが違う、そんな何かがある。
もう、立ち止まってはいられない。
…そう。
僕等はまだ、この長い長い坂道を下り始めたばかりなのだから…。
なんてね。
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:49:55.63 ID:81lxEDVB0
∧,,∧
∧ ∧ 【 季節を旅する文猫冒険記のようです 】 ('ミ゚Д゚,,彡
( ^ω^) ゞ,, つ
と つ ミ ミ
〜(__) し`J
其の三 → 其の四 へつづく。
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:50:49.10 ID:6/yQ4Udw0
支援
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:51:43.29 ID:yLujXGeL0
支援
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:53:25.78 ID:81lxEDVB0
またしても支援ありがとうございます。
おかげで様でさるは見る影もありませんでした。
ようやくその四に追いつきました。
しかし、ここからがまた長丁場。
続きは20分後くらいに始めようと思います。
223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:56:12.29 ID:yLujXGeL0
いったん乙!
そして保守るぜ
224 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:57:27.04 ID:6/yQ4Udw0
もしかして今日さるない?
保守
225 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 20:59:08.21 ID:/0a5tffO0
保守支援
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:00:29.05 ID:gkh8VVR00
ほ
227 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:10:11.96 ID:yLujXGeL0
保守
228 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:11:49.63 ID:6/yQ4Udw0
保守
229 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:12:04.40 ID:SQx0+0pC0
ク また今年もひとりきり 「あれ?今日はクリスマスなのにどこも行かないの?」 ギシギシ
リ セ 呼ばれないクリスマスパーティー アンアン
ス 襲 ク 彼 「あれ?暖房つけてるのに寒いよ?」
マ っ ロ 多分来ない年賀状 女 そして来年もひとりぼっち
ス て ス 童 あのトーチャンとカーチャンも性夜を…
く 今年のクリスマスは中止(笑) ○ 貞
寂 る ラ /\ みんな幸せそう
し 明石屋サンタ ブ / \ 街は 「お前呼んでないし」
さ 気になるあの娘も ホ / ̄ ̄ ̄\ カップル
彼女イナイ暦=年齢 DQNとズコバコ / ─ ─ \ だらけ 2次元が恋人
イチャイチャ/ <○> <○> \ クリスマスも2ch
「俺、今日仕事だから」(笑) ラブラブ| (__人__) |
聖 嫉 \ ` ⌒´ / 男友達と過ごす
夜 中学生ですら・・・ 妬 / \ メリークリスマス!!
230 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:18:11.80 ID:6/yQ4Udw0
保守
231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:18:34.03 ID:81lxEDVB0
メリー クリムゾン スマッシュ!
∧,,∧
∧ ∧ 【 季節を旅する文猫冒険記のようです 】 ('ミ゚Д゚,,彡
( ^ω^) ゞ,, つ
と つ ミ ミ
〜(__) し`J
第一章 遠い地を目指したハジマリ
其の四 「黒い水の中でおやすみなさい、だお」
232 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:19:03.73 ID:9PGXeRAA0
支援
233 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:19:19.61 ID:yLujXGeL0
キタ!!支援
234 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:19:50.34 ID:81lxEDVB0
《 蒼季 60節 》
照りつける眩しい太陽、そして夏虫のやかましい鳴き声がこだまする雑木林。
その間に伸びた広く長い砂利道の上を、僕等は並んでテクテク歩いていく。
落とした視線を上げ、日差しの眩しさに目を細めながら見渡せば、
真上に昇った太陽に照らされる遠景は揺らいでいた。
その延長線上にある空は透き通った青でありながら、底の見えない深い色をしている。
不思議とひっぱられるような感覚があって、このまま空さえ飛べそうな気がした。
けれど、そんな思いは空を旋回する大きな鳥が打ち消した。
鷹かトンビか、翼を広げて空を泳ぐ姿からその判断はつかないが、
僕はその姿を見て羨ましいと思ってしまったから。
235 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:19:53.65 ID:nXUeYdEV0
始まった! ぃやっほぉぉぉぉ!! 支援。
236 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:20:35.91 ID:gkh8VVR00
支援
237 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:21:28.35 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「どうした? 急に立ち止まって」
そんな事を考える僕の足は、気付けば止まっている。
なんでもないと答えてから慌てて前行く影を追いかけた。
目的地は緩やかな傾斜がつづく道の先、山の反対側にあり。
その山頂からは、視線で形を追ってしまう入道雲が顔を出していた。
蒼季も後半に入っている。この頃がいちばん暑くなる時季だ。
現に空気は熱気にあふれて、立ってるだけでもどんどん体力気力を奪っていく。
喉はすぐに水分を欲し、気を抜くと頭が呆けるのに加え、溜まった疲労で結構辛いものがある。
けれど山頂から見えたあの海の存在が心を奪い、自然と疲れさえも薄れさせていた。
そうして数え切れない数の木々を追い越し、うねる山道を抜け。
ゆっくりと風の匂いが変わっていくのを感じつつ、
胸の鼓動と歩みが早まる旅路の最中のこと。
238 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:21:37.82 ID:6/yQ4Udw0
支援
239 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:21:46.06 ID:yLujXGeL0
支援
240 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:23:06.24 ID:81lxEDVB0
彡,;'∀`ミ「えへ、えへへ…」
(;^ω^)「フサ?」
(*゚∀゚)「どうした、頭逝かれたか?」
彡,;'∀`ミ「ああつーちゃん、今日もかわいいから」
(;*゚∀゚)「…あ? 何をいきなり」
彡,*'∀`ミ「つーちゃあああああああああん!」
(;*゚∀゚)「な!?」
241 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:24:15.02 ID:81lxEDVB0
三 ∧,,∧ ∧ ∧
三 彡*'∀ミ (∀゚*;)
三 彡つ つ (つ |つ=ニフ
ン?
↓ ∧ ∧
∧,,∧ (゚∀゚*)
彡*'∀ミ (つと|
・・・・
∧∧
↓ (。。*)
∧,,∧ | |
ダイジョウウブカ オマエ
∧ ∧
(。。*;)
↓ | と|
モウダメポ
242 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:24:44.15 ID:yLujXGeL0
支援
243 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:26:21.49 ID:81lxEDVB0
とうとうフサは熱にやられたのか、気が狂ったように叫びつつ倒れた。
その様はよく言えば燃え尽きる前の蝋燭、普通に言えばきがくるっとる。
まあそれはともかく。
ただでさえ長毛に覆われて暑そうなのに、一人歩き続けていたから当然といえば当然だ。
というわけで、僕等は木陰に避難し休憩をとる事にしたのだが…。
(li Д )')「……さ、さあ…そろそろしゅっぱつだぁ…」
(*-∀-)=3「そういうのはせめて一人で立てるようになってから言え」
しばらくして。
つーちゃんに毛を刈られたおかげもあってか、
少し回復してきたようで一安心するも束の間。
どうやら今度はいつまでも休んでいるのが不服なご様子で。
(,; Д )')「…だいじょうぶ…だいじょぶ…だいじょおぶ……さあ逝こう」
244 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:26:39.91 ID:yLujXGeL0
支援
245 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:27:54.75 ID:6/yQ4Udw0
支援
246 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:28:04.50 ID:81lxEDVB0
(;^ω^)「無理すんなお」
(,;TДT)「待ってるから、海が俺をまってるんだから……」
もうはってでも先を進もうという勢いだった。
凄い情熱だ、でもそれなら僕の背に乗ればいいものを、
それは断固として拒否するもんだから、もう手に負えない。
(*゚∀゚)「焦らなくても海は逃げねえって、それより」
(,;゚Д゚)「で…も…」
(♯゚∀゚)「しつけえ、ちょっと寝てろ!」
♯)゚д゚):∵ブベラッ
(メ Д )「…」
(;^ω^)ウゴカナクナッタ
(*゚∀゚)アヒャ♪
247 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:28:16.96 ID:yLujXGeL0
支援
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:29:49.02 ID:6/yQ4Udw0
支援
249 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:30:01.97 ID:81lxEDVB0
(*゚∀゚)「さて、んじゃちょいと道を変えるか」
(;´・ω・`)「この炎天下じゃ同じ事を繰り返しそうだもんね…」
( ^ω^)「でもどうするんだお?」
(*゚∀゚)「あの山の上から見たかんじだと、確かここらは」
(メ Д )つ「う…う…み……」
(;´・ω・`)「うわっ」ゾンビ!?
(* ∀ )「浅かったか」チッ
/ ゲシッ ゲシッ
オラオラオラ! ガスッ
チョ、マッt
ガッシ! ボカ! アシハヤメt
シヌッテ アヒャヒャヒャヒャ
\
250 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:31:30.75 ID:6/yQ4Udw0
支援
251 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:31:50.12 ID:/0a5tffO0
支援
252 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:32:08.50 ID:81lxEDVB0
(´;ω;`)「こわいよう…」
( ^ω^)「大丈夫、なあに」カエッテ タイセイガ ツク
そうして、フサが気を失っている間に確認した結果。
森をまっすぐに迂回すれば恐らく海に出るだろうという事で。
フサが目を覚ますのを待ち、充分に体を休めた後。
目的地である港町へと続く一本道を外れ、
木々が視界を遮る中へと進んでいったのだった。
253 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:32:17.15 ID:yLujXGeL0
支援
254 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:32:26.28 ID:kwLbeSooO
最初からやってんのか。
とりあえず支援。
255 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:33:47.49 ID:6/yQ4Udw0
支援
256 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:33:50.91 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 <チャオ ソレッラー
ミ,,,,,,,,,,ミ
蒼季 60節
257 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:34:02.71 ID:yLujXGeL0
支援
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:34:21.28 ID:81lxEDVB0
(,,゚ω゚)「あーなんか落ち着く」
(;^ω^)「その顔やめろお」
まるで色を失くしてしまったような深い森の中。
心地よい涼しさを含んだそよ風がやさしく吹いて、深く息を吸いこんだ。
冷たい空気が体中に染み込み、溶け込んでいく。
(;´・ω・`)「ぼ、僕はあんまり…こういう雰囲気は苦手だよ…」
(,,゚Д゚)「涼しくっていいじゃない」
(;´・ω・`)「でも薄暗くて…なんか怖いよ…」
(,;゚Д゚)「でかい図体して情けない猫だなぁ」
(;´・ω・`)「うわ!! なんか居る!?」アソコノ クサムラ!
(,,゚Д゚)「ただの鳥だから」
(;´・ω・`)「痛っ! ひいいい!?」イマ アシヒッパラレタ!
(,;゚Д゚)「ちゃんと下見てないと危ないぞ」ネコガ ネッコニヒッカカル
259 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:34:42.67 ID:yLujXGeL0
支援
260 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:34:50.31 ID:6/yQ4Udw0
支援
261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:35:02.46 ID:nXUeYdEV0
しええーーーーん。
262 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:35:08.54 ID:/0a5tffO0
支援
263 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:36:03.04 ID:81lxEDVB0
段差だらけの中、石ころと低い草木が更に行く手をはばむ。
そんな道無き道をぼくらは手探りで進んでいく。
(*゚∀゚)「ほいほいっと」
同じ様な景色がつづき、立ち止まって見渡すと方向をすぐに見失ってしまう。
つーちゃんはショボから降りて、迷わぬようにと木に包丁で印をつけながら歩いていた。
ちなみに最初はバツ印とかだったのが、段々とレベルアップしていく。
(;^ω^)「…題名、木々に群がる鳥…?」
いまや僕等の通り過ぎた木々には芸術的な絵の数々が描かれ。
ちょっとした美術館のようになっていた。
(*゚∀゚)「アヒャヒャ、なんか楽しくなったきた」
(;^ω^)「なんだおこの精度は、すごすぎるお」
(*゚∀゚)「今度は一本まるまる使って彫刻でも作るか」
(;^ω^)「意外な趣味だお」ムシロ メザメ?
264 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:36:11.48 ID:yLujXGeL0
支援
265 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:36:56.85 ID:6/yQ4Udw0
支援
266 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:38:09.29 ID:81lxEDVB0
そんなこんなで時間は流れ、やがて不思議な匂いが鼻をくすぐった。
第一印象は臭い、でも不思議と不快には思わない、そんな空気だった。
( ^ω^)「なんだおこの」
(´・ω・`)「潮のにおいだ…」
(,,゚Д゚)「しお?」
(´・ω・`)「うん、これは海の匂い、つまり…もう海が近いって事だよ」
ショボは珍しく冷静な様子で、どこか自慢気に言うと、自ら前にでて先行し始める。
僕等は返事のかわりに小さく歓声を漏らした。
色々と情けない子だったけど、この落ち着き払った様子。
やはり旅の先輩は違うものだなと感心していた。
(*´・ω・`)♪
だが、その背を見れば尻尾がぴんと上を向き、歩みに合わせて楽しそうに揺れている。
うん、体はとても正直だね、僕等はニヤニヤしながらその背を追いかけた。
267 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:38:17.68 ID:yLujXGeL0
支援
268 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:38:25.51 ID:/0a5tffO0
支援
269 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:38:41.22 ID:6/yQ4Udw0
支援
270 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:39:41.54 ID:81lxEDVB0
それからもうしばらくして。
潮の匂いは更に強まり、風はまとわりつくような湿気を帯び始めると、
はるか前方、木々の隙間に光が見える、待ちわびた出口のようだ。
近づけば近づくほど、どこからか紙袋を潰すような音が定期的に響いてくる。
不思議に思いながら足取りは軽く、早足で森を抜けると一気に視界が開けた。
日差しは相変わらず眩しく、目の前には一面みどりの草原が広がっている、
好き放題に伸びた雑草は風にあおられ、緑の中に白いさざ波を作った。
その先には赤色レンガの積み重ねられた大きな塔があり、
横に付いたいくつものプロペラがそれぞれゆっくりと回っている。
みどりの中にぽつんと存在するそれはまるで、
ここへ置き去りにされてしまったような、儚くも哀しげな印象を受けた。
271 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:39:50.07 ID:yLujXGeL0
支援
272 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:40:13.96 ID:6/yQ4Udw0
支援
273 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:41:20.20 ID:81lxEDVB0
(,,゚Д゚)「…」
(*゚∀゚)「…」
けれど、それ以上に。
この先のあまりの光景に言葉を失って、風の中、僕等はその場で立ち尽くしていた。
ずっと聞こえていた音はますます強くなり、すぐ奥から聞こえてくる。
僕等は感極まったまま、確かめるように音のする方へ向かうと草原が途切れ、
前にはゴツゴツとした岩肌がむき出しの崖があった。
眩暈がするような高さの崖の上。
そこに立った瞬間、それを見た瞬間に、全身に電気が流れる。
体中の毛が逆立つような感覚と共に、耳がぺたんと後ろに寝そべった。
あえて言葉にすれば、それは足元まで続く色違いの空だった。
視野に収まりきらない青空は、中心で色の溶け合う事無く上下に割れて線を作り、
途切れた下の部分が真っ直ぐに目下足元へと伸びている。
どんなに目を凝らしても先なんてまったく見えない。
274 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:41:32.33 ID:yLujXGeL0
支援
275 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:42:42.05 ID:6/yQ4Udw0
支援
276 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:42:59.76 ID:81lxEDVB0
この先には果てなんか無いんじゃないかと思えて。
もしかしたら、これが世界そのものなんじゃないか、なんてロマンチックな事も思った。
自分が今まで居た場所がいかに閉鎖されていたのかよくわかる。
どんなに広い場所でも、どんなに遠くを見たって、山があった。
色とりどりな山々に囲まれていた。
別にそれが嫌だとか言うわけじゃないけれど。
だからだろう、単純に目の前の光景が信じられなかった。
こんなに広いのに、こんなにも単純な色しかない世界があるなんて。
(;´・ω・`)「ど…どうしたの? 固まっちゃって…」
と、そんな感動する僕等に対し、ショボはあまり感心がないのか、
相変わらず空気のよめない事を言ってくる。僕は軽く舌打ちした。
(;´・ω・`)「え…あ、あの…」イマ チッ ッテ
( ^ω^)「これ見て、ショボは凄いと思わないのかお?」キノセイ キノセイ
277 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:43:04.25 ID:yLujXGeL0
支援
278 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:44:19.86 ID:6/yQ4Udw0
支援
279 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:45:34.99 ID:81lxEDVB0
(;´・ω・`)「うん…ぼく海辺で育ったし、こういうのは見慣れてるから…」
(;^ω^)「ふむ」
(´・ω・`)「それより山の景色のほうが凄いと思うけどなぁ…」
( ^ω^)「ないわー」
(*゚∀゚)「まあ、普段みる物が違けりゃそうだろうな」
( ^ω^)「そんなもんかお」
(*゚∀゚)「そんなもんさ」
と、僕等がそんな話をする間もフサは一人呆けたまま、
じっと波打つ空を見つめていた。
(,,゚д゚)「すっげぇ…」
やがて搾り出すような声でそれだけ言うと小さく溜息をつき、
一呼吸おいてから、くしゃくしゃな笑顔で誰にともなく呟いた。
「これが…海なんだ」
280 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:45:42.71 ID:yLujXGeL0
支援
281 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:46:15.59 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 <ソンデモッテ
ミ,,,,,,,,,,ミ
蒼季 60節
282 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:46:59.16 ID:81lxEDVB0
それから、そろそろ先を行こうとショボが切り出した。
言われて視線を横にむけると、ゆっくりとカーブを描く湾岸沿いの遠い先。
山の中腹から海辺までを埋め尽くすような建物群が見えた。
港町、房津。
内陸と水上をむすぶ唯一の交易の町で、この大陸の名そのままに呼ばれる。
聞いた話では、よい温泉がある事でも有名らしい。
たしかに遠目ながら、湯気のような白いモヤがそこかしこから上がっているのがわかる。
そうして僕等はショボに色々訪ねながら町へと向かって海沿いに歩き出した。
( ^ω^)「さっきの赤い塔はなんだお?」
(´・ω・`)「あれは灯台だよ、夜になるとあそこが光って
船が迷わないようにと目印になるんだ」
(,,゚Д゚)「あれの横についてるなんか変な、回ってたやつは?」
(;´・ω・`)「詳しい部分はしらないけど…風を受けてあれが回ることで
光を出せるようになる仕組みなんだって」
283 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:47:38.88 ID:kwLbeSooO
支援
284 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:48:11.72 ID:81lxEDVB0
(,,゚Д゚)「…中の人が回してるんじゃないのか」
(;´・ω・`)「え…? いや人は居ないと思うよ」
(,;゚Д゚)「なにぃ!? 誰も住んでないの?」
(;´・ω・`)「う、うん…」
(,,゚Д゚)「勿体無いなぁ…あんな立派な家なのに」
(;´・ω・`)「家じゃないよ」
( ^ω^)「あ! 船だお!!」
(;*゚∀゚)「ん、んん? なんか縮尺おかしくねえかあれ?」
(,,゚Д゚)「そうなの?」
(*゚∀゚)「だってよぉ、家があのサイズだろ……んで船がこれくらいだから…」
285 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:48:32.96 ID:yLujXGeL0
支援
286 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:50:15.50 ID:81lxEDVB0
( ^ω^)「しかし、なんかカッコいい船だお」
(,,゚Д゚)「Nice boat」
(*゚∀゚)「ぶち殺すぞ」アト ソウカンガエタヤツ アトデ ウラマデコイ
(´・ω・`)(…あれ、なんだろこの喪失感)
(;*゚∀゚)「うーん、5、60bは軽くありそうだ」
(,,゚Д゚)「ふーん」
(,,゚Д゚)「…」
ミ,;゚Д゚彡「でかっ!!」
Σ(;´・ω・`)(毛が生えた!?)
287 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:52:22.67 ID:kwLbeSooO
支援
288 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:52:40.29 ID:yLujXGeL0
支援
289 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:52:44.05 ID:81lxEDVB0
ミ,;゚Д゚彡「ええ…なんでそんなに、てか平気なのかそれ」
(´・ω・`)「う、うんと、陸と違って場所とかを選ぶ必要がないし…
とにかく大きいほうが物を運ぶのに都合がいいからね」
( ^ω^)「すごいお」ヨク ワカランケド
(;´・ω・`)「…いや…むしろ、この位置からあんな豆みたいなのを見て
目測できるつーさんの方が凄いと思う」
(*゚∀゚)アヒャ?
…………。
…………。
( ^ω^)「じゃ、町へ向けて出発だお!」
ミ,,゚Д゚彡「と、その前に…」
290 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:53:10.74 ID:yLujXGeL0
支援
291 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:54:54.80 ID:81lxEDVB0
ミ,,゚Д゚彡「もっと海の近くに行ってみたいから!」
(´・ω・`)「うん、じゃあ……あそこにちょうど砂浜があるし、寄っていく?」
ミ,,゚∀゚彡「そーすんべ、そーすんべ」
………。
………。
ミ,;゚Д゚彡「ぶわっ! しょっぱ!! なんだこの水、こんな綺麗な癖して!」
( ゚ω゚)「ゲホッ、ゲホッ!! おぇ、思いっきり飲んじゃったお」
(´;ω;`)「ひぃぃ! 足の裏が熱い! 肉球が焼けるう!!」
(;*゚∀゚)「うーん、なーんか体がざらざらベトベトすんなぁ」
ミ,;゚Д゚彡「げ、 砂が毛に絡まってやがる!」
292 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:55:14.69 ID:yLujXGeL0
支援
293 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:55:58.93 ID:/0a5tffO0
支援
294 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:56:18.02 ID:6/yQ4Udw0
支援
295 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:56:33.69 ID:81lxEDVB0
……。
……。
ミ,,゚Д゚彡「なんか…あれだね、こう、見てるだけの方が楽しいね、海」
(;^ω^)「そう思うお」
(*゚∀゚)「まあ、猫だしな、オレたち」
ミ,,゚Д゚彡「だよね」
ミ,,。。彡「…?」
ミ;゚Д゚彡「フサは犬だから!!」
(*゚∀゚)「クマー」
…。
…。
296 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:57:29.64 ID:yLujXGeL0
支援
297 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:57:43.68 ID:/0a5tffO0
支援
298 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:58:01.69 ID:81lxEDVB0
ミ,;゚Д゚彡「ひ、人だらけ…」
(;^ω^)「壁だらけだお…」
そんなこんなで、木柵に囲まれた町中へと辿り着いた。
町中を見渡せば、石畳のでっかい通路を中心とした一本道が山の上まで伸びている。
その道沿いには木造の家屋が整列し、隙間にはいくつもの横道があって、
そこかしこにちらほらと人が歩いているのがも見えた。
(;^ω^)「ん、あのでっかい四角形の建物はなんだお?」
(´・ω・`)「倉庫か、造船所かなぁ」
ミ,;゚Д゚彡「へぇ…しかしなんだあの丸いの?」イエノマエニ オイテアル
そう言うフサの視線の先には、中央が膨らんだ円筒系の物体。
木が鉄の輪で縛られたような丸い箱が転がっていた。
(´・ω・`)「樽の事?」
ミ,,゚Д゚彡「樽ってのいうのか、あれ」
(´・ω・`)「うん、バラ荷を入れたりできる、運搬用の箱だよ
基本的にはお酒とかを入れるのが多いみたいだけど」
ミ,,゚Д゚彡「ふーん…?」
299 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 21:58:42.15 ID:gkh8VVR00
支援
300 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:00:10.01 ID:6/yQ4Udw0
支援
301 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:00:49.83 ID:81lxEDVB0
通りには二階建ての家が並んでいて、それらは一階部分がお店になっているのが大半で。
ずっと奥の港方面にはここへ来る前に見た、灯台に似た塔が頭一つ抜きん出てそびえ立っていたり、
逆に横方向に大きな倉庫があったりと、多種多様だった。
そしてそれ以外にも沢山の露店があって、その前を人と喧騒が飛び交い。
隅で輪を作り談笑する人、荷台を転がす動物、元気に走り回る子供、などなど。
なんとも活気に溢れていた。
僕等がキョロキョロと周囲に興味をひかれていると、
ショボは船の手配をしようと言い出し、よくわからないが歩き出した。
すると道の途中、布貼りの屋根の下から僕等を呼ぶ声があがった。
見ればそこにはモサモサしたしっぽを持つ、煙草をくわえたキツネ族の男がいた。
ミ,,゚Д゚彡「…ん?」
爪'ー`)y‐「そうそう、そこのモップみたいな兄ちゃん!」
ミ♯゚Д゚彡「誰がモップだ! ごるぁ!」
(*゚∀゚)「アヒャヒャ、自覚してんじゃねーか」
302 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:01:04.65 ID:yLujXGeL0
支援
303 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:01:54.47 ID:kwLbeSooO
支援
304 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:02:36.33 ID:81lxEDVB0
爪'ー`)y‐「まあまあそれより、ちょっと見ていかない?」
そんな誘いにほいほい乗って出店の一つに近づくと、
布が敷かれたテーブルの上には、キラキラ輝く金属の光物が並べられていた。
ミ,,゚д゚彡「おお、なんか綺麗だけど…なにこれ?」
爪;'ー`)y‐「なんだ? 物珍しそうな顔して、アクセサリーだよ知らんのか?」
(*゚∀゚)「装飾品、ってやつか」
ミ,;゚д゚彡「……食べ物をよく噛むこと?」
(;^ω^)「それは咀嚼」
爪'ー`)y‐「で、どうだい、そこの恋人にプレゼントでも!」
ミ,,゚д゚彡「……こい…びと?」
305 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:02:55.99 ID:yLujXGeL0
支援
306 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:03:45.52 ID:6/yQ4Udw0
支援
307 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:04:01.21 ID:81lxEDVB0
爪'ー`)y‐「お? まーたとぼけちゃって! そこのでっかい猫に乗った子だよ!」
(;´・ω・`)「え…僕の?」
(*゚∀゚)∂「……?」
爪'ー`)y‐「ん、こいつは珍しい、よく見りゃつー族じゃないか!
いや兄ちゃん! こんなべっぴんさん連れて憎いね!」
ミ,;゚Д゚彡「は? え?」
爪'ー`)y‐「それで、猫をお供にデートかい? いやー若いってのはいいねえ!」
(♯ ∀ )「…」
ミli゚Д゚彡「はっ!」マズイ オコッテル
ミ,;゚Д゚彡「い、いやいや違うから! そんなんじゃないから!」
爪'ー`)y‐「またまた、きみら港に行こうとしてるんだろ? それも目的は海に出る事と見た」
( ^ω^)「おお、よくわかったお」
308 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:05:39.67 ID:81lxEDVB0
爪'ー`)y‐「おうよ、こんな商売やってるとな、自然と目がよくなる
そんで二人っきりで船旅なんざしようってに何も無いわけないだろう?」
(;^ω^)「て、僕等の存在はスルーかお」
爪;'ー`)y‐「ありゃ? 喋ってる、てことは君は書本猫か! こらまた凄い組み合わせだな」
( ^ω^)「……お?」イマ ナンテ?
ミ,;゚Д゚彡「いやそれより、そんなんじゃないってのに」
爪'ー`)y‐「はっはっは、照れるなって! 男なら贈り物の一つや二つ、
ぽんとくれてやるくらいの甲斐性なきゃ駄目だぞ」
ミ♯゚Д゚彡「照れてねえ! 誰がこんな」
(* ∀ )「…」ギロ
ミli゚Д゚彡「うっ…」
309 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:05:50.05 ID:yLujXGeL0
支援
310 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:06:38.03 ID:6/yQ4Udw0
支援
311 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:06:58.22 ID:xzAHBjj60
支援
312 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:07:04.16 ID:81lxEDVB0
爪'ー`)y‐「なんだ、ほんとに違うのかい?」
ミ,;゚Д゚彡「いや、その…」
(*゚∀゚)「その、なんだよ、言ってみろ」
ミli゚Д゚彡「え、ええええ…」ナニ コノ ジョウキョウ
(*゚∀゚)「…お、包丁もあるんだな」
爪'ー`)y‐「ん、なんだ? それ気に入ったの?」
(*゚∀゚)「…どれどれ」
ミli゚Д゚彡「ひっ!?」
<イヤー!!
(;^ω^)「????」
(´・ω・`)「ブーン、どうしたの?」
313 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:07:37.61 ID:yLujXGeL0
支援
314 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:08:33.19 ID:6/yQ4Udw0
支援
315 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:08:59.18 ID:81lxEDVB0
(;^ω^)「お…いやさっき」
<テメエ! ニゲンジャネエ!!
<ギャーミセガーーー!!
<ヤメ アブナイカラ! ムシロ メイワクダカラ!
<アナタニ イッポン!!
<ウワッ ナンカトンデキタゾ!?
<ペロッ コレハホウチョウ!
<サナエ!? サナエーーーーー!!!
Σ(;^ω^)「ってなんか凄い事に!?」
(´;ω;`)「ひぃぃいい」アビ キョウカン
( ^ω^)「…」
(;^ω^)(あれ…? 僕は何を気にしてたんだっけ?)
316 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:10:01.52 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 <ソレカラ ドントコショ♪
ミ,,,,,,,,,,ミ
蒼季 60節
317 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:12:01.38 ID:81lxEDVB0
怒り暴れるつーちゃんと逃げ回るフサ。
ふたりの暴動とも言える行為が、周囲に被害を充ニ分に与えた頃。
< オ、オレハ・・・ボウドウ・チガ・・カラ
爪;'ー`)y‐「これやるから、頼むからもう勘弁してくれ」
(*゚∀゚)「そ、それは…!!」
差し出されたのは吉宗と文字が刻印された包丁。
つーちゃんはそれを見た瞬間、ミミとしっぽをピンと立て動きを止めた。
なにやらけっこう名高い一品のようだ。
そうして機嫌をよくしたつーちゃんを連れ、僕等はその場をそそくさと逃げ出した。
僕はさっき何かがひっかかっていたのだが、頭から抜け落ちた物は帰って来ない。
まあその内思い出すだろう、と考えている間に港に到着。
(´・ω・`)「ちょっと待ってて」
ミメ"Д゚彡「おう」
318 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:12:04.85 ID:/0a5tffO0
支援
319 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:12:13.84 ID:6/yQ4Udw0
支援
320 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:14:04.53 ID:81lxEDVB0
(´・ω・`) …
ミメ"Д゚彡 ?
(;´・ω・`)「あの…お願いだからもう問題起こさないで…ね?」
ミメ"Д゚彡b「オフコース」コレイジョウ ボコボコニサレタラ シヌカラ
そうして、ショボはテイキセンって物に乗るのに予約がどうこう言い残し、
一軒の張り紙だらけの家の中に入っていった。
ちなみに家の屋根の部分には、船券販売と書かれた看板が掛けられ。
壁に貼られた紙を見れば、格安、予約割引、キャンペーン実施、などなど
よくわからない言葉がたくさん羅列されていた。まあどうでもいいけど。
ミ,,゚Д゚彡「おーすげえ、船がイパーイあるから」
( ^ω^)「あのでっかい船がないお」
(*゚∀゚)「だなぁ」
321 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:14:42.28 ID:yLujXGeL0
支援
322 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:15:14.24 ID:6/yQ4Udw0
支援
323 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:16:41.40 ID:81lxEDVB0
防波堤を越えると、海上には木造の橋がいくつか、沖合いへ向け伸びていた。
そこにはロープで繋がれた小船が、ところ狭しと並んで停泊している。
なんだか興味を惹かれて、僕等はその桟橋の一つへ向かった。
ミ,,゚Д゚彡「うひゃー透き通ってら!」
( ^ω^)「お、なんか居たお!」
(*゚∀゚)「はしゃぎ過ぎて落ちんなよ」
(;^ω^)「それとフサ、なんか毛についてるお?」
ミ,;゚Д゚彡「…塩の結晶だ」ソウイエバ クルマエ アラッテナカッタカラ
歩くたびにギシギシと音を立てる橋の上。
辺りには、白い大きな鳥が変わった声で鳴きながら、海の上を飛んでいる。
そうして僕等は談笑しつつ、海辺の雰囲気を満喫していた。
すると、そこへ船が一隻到着し、見知らぬ二人組みが降りてきた。
324 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:17:14.78 ID:yLujXGeL0
支援
325 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:18:13.06 ID:81lxEDVB0
(,,・Д・)「ん? おろ、同族ハケーン」
ミ,;゚Д゚彡「あ、どもっす」
人が4人並んだら目一杯の細い橋の上。
彼等はこちらをみると立ち止まり、声をかけてきた。
どうやらフサと同じ『ギコ族』の人らしい。短毛種みたいだけど。
(,,メД゚)「ここらじゃ見ない顔だな、なんか用かゴルァ」
ミ,;゚Д゚彡「え? 用って…なんで?」
(,,メД゚)「は? …ああ、なんだもしかしてお前さん、ここは初めてか?」
ミ,,゚Д゚彡「そうだけど…」
(*゚∀゚)「なんか不味かったか?」
(,,メД゚)「いや、別に不味いってこたぁねーぞゴルァ、
ただこの橋はうちの連れが停泊する場所だからな、気になっただけさ」
326 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:18:40.51 ID:yLujXGeL0
支援
327 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:19:26.64 ID:6/yQ4Udw0
支援
328 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:20:19.71 ID:81lxEDVB0
ミ,;゚Д゚彡「あー、それは失礼を」
(,,・Д・)「ニャハハ、だから別に悪かないって」
(,,メД゚)「それよりお前さんがた、これから海に出るつもりか?」
ミ,;゚Д゚彡「うーん…多分」
(,,メД゚)「そうか…まあ、胸に留めておく程度でいいけどよ、
今日明日に海に出るなら気をつけたほうがいいぞゴルァ」
ミ,;゚Д゚彡「どうゆうこと?」
(,,メД゚)「今この港には嵐野郎が来てるらしい
もしも噂どおりなら…危ない目に合う、かもしれない」
(*゚∀゚)「嵐野郎?」
329 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:21:32.45 ID:6/yQ4Udw0
支援
330 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:21:57.57 ID:yLujXGeL0
支援
331 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:22:19.12 ID:81lxEDVB0
聞くと、ある男が行く先は、常に荒れ事が付き纏う事から、
その男はそう呼ばれるようになった、といった話で。
その人が今ここ、房津港に訪れているらしい。
それだけではいまいち意味がわからないと、問い詰めてはみたものの、
彼等はkwskは知らんと言って豪快に笑い、町中へ消えてしまった。
…フサもそうだけど、ギコ族というのは適当な性格がデフォなのだろうか。
ミ,;-д-彡「…わるかったね」
(*゚∀゚)「ブーン、それは違うぞ」
(;^ω^)「お?」
(*゚∀゚)「こいつは馬鹿なだけだ」
( ^ω^)「なるほど」
ミ,,゚Д゚彡 え?
332 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:22:39.16 ID:yLujXGeL0
支援
333 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:24:11.96 ID:81lxEDVB0
……。
……。
その後、ショボと合流してからしばらくして、
港にとても大きな船が白い帆をあげてやってきた。
ミ,;゚Д゚彡「うおぉ…あれってあの時見たやつ?」
(*゚∀゚)「いや、違うっぽいな」
ちなみにその巨体ゆえ港に入る事ができないようで、沖合いに停泊している。
乗船するには案内の人に従い、小船で向かわなければいけないようだ。
さっそく僕等は、船と言うよりもボートに近いそれに乗り込み、
大海にそびえる巨大な塊を目指した。
(;*゚∀゚)「な、なんかフワフワして落ちつかねぇな…」
(;^ω^)「僕も…なんかちょっと怖いお」
ミ,;゚Д゚彡「それより、下がすげえ、ムチャクチャ高いぞ、落ちたら死ぬんじゃね?」
(;´・ω・`)「いや、高所ではあるけど……」
334 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:24:25.07 ID:yLujXGeL0
支援
335 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:24:26.24 ID:6/yQ4Udw0
支援
336 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:25:51.29 ID:81lxEDVB0
海面をのぞき込むと、海底は遥か下、ゴツゴツした岩が並んでいる。
水中はあまりに青く澄んでいて、底の様子がよく見える。
なんだか空から地上を見下ろしている気分だった。
そうして沖合いに辿り着き、船を見上げると。
年季を感じさせる船体は、黒みがかった茶色に白線の装飾が成され。
これまた更に見上げてしまうほどに高い高い柱が5本並んでいる。
柱はどれも 末 ← こんな形をしていて、
沢山のロープがその柱を支えるように伸びていた。
ショボが言うにはなんでも、この船は快速輸送船。
クリッパーを更に大型化した物だとなんやかんや息巻いて説明していたが、
ほぼ意味がわからないのでスルーしておく、そもそもどうでもいい。
(´;ω;`)「…ブーン、君ってたまに結構さりげなく毒舌だよね……」
( ^ω^)「そんなことないお?」
ミ,,゚Д゚彡「そうそう、腹黒いだけだもんな」ネコカブッテルシ ネコダケニ
(;^ω^)…
337 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:26:20.27 ID:yLujXGeL0
支援
338 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:28:17.24 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 < ノリコメ ヤロードモ!
ミ,,,,,,,,,,ミ
蒼季 60節
339 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:28:44.98 ID:6/yQ4Udw0
支援
340 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:30:20.95 ID:81lxEDVB0
やがて海に向かって階段がおろされ、他の乗客が次々に登って行く。
前に習い、早速乗り込んだ僕等を待っていたのは船長からの挨拶だった。
(長´д`)「皆様方、ほんじつは私ども自慢の船、
さくらんぼキッス号へようこそおいでくださいました」
ミ,,゚д゚彡「変な名前…」
(長♯´д`)「なんだと!!?」
ミ;゚Д゚彡「え、ごめんなさい」
(長´д`)「…ゴホン、えー、船と言うものは何かを象徴する存在であります
そしてこの船にかけられたのは童貞の呪い、そう、護るべきものです
こんな時だからこそ、そんな気持ちを忘れないで欲しい。
そして童貞すら守れない奴がいったい何を守れるというのか、そんな願いといっしょに
皆様方を安全確実かつ速やかにという」
(;*゚∀゚)「おい、とりあえずどこから突っ込めばいいんだ」
(長*´Д`)「え? じ、じゃあその…尿道に…お願いします///」
<ざわ…っ
341 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:31:34.28 ID:81lxEDVB0
(;・B・)「船長!? また発作が!」
(長*´Д`)「見て!みんな! 淫らなあたしを見て! 視線で犯して!!」
(♯・C・)「おい誰か! こいつつまみ出せ!!」
(長*´Д`)「そんないきり立って…じゃなくていきなりなんて!」
(;・D・)「挨拶はこれまでです! 皆様いったん部屋へとお戻りください!!」
(長*´Д`)「つまんじゃらめえええええええらめなのおおおおおお」
(♯・E・)「船長おおおおおおおおおおおおお!!」
以下、僕等は何事も無かったかのように行動を再開した。
(*゚∀゚)「さーてどうすっかね」
342 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:31:49.63 ID:6/yQ4Udw0
支援
343 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:32:48.53 ID:kwLbeSooO
ちょwww支援
344 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:33:24.08 ID:81lxEDVB0
ちなみに出航まではもう少し時間がかかるという事で。
僕等は船内の階段をおりた先、割り当てられた部屋を確認したり。
あたりを見て回ったり、ちょっとした探検気分でもう一度甲板へとやってきた。
「よーし、錨を上げろーー!!」
するとちょうど出航の時間になったらしく。
叫ぶ声に叫ぶ声が応えると、そこら中で人が慌しく駆け回り。
巻き戻された鎖がジャラジャラと音を鳴らしている。
続いて帆が一斉に下ろされ、頭上に白が広がった。
いよいよ出航だ、ワクワクテカテカ、胸が高鳴る。
ザザ、と波を掻き分ける音が響き。
船がゆっくりと動き始めると、風が徐々に強まっていく。
なんだかドキドキしてきた。
僕はこの思いを共有しようとフサへと向きなおした。
345 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:33:36.02 ID:yLujXGeL0
船長w
支援
346 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:34:21.91 ID:6/yQ4Udw0
支援
347 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:35:22.99 ID:81lxEDVB0
けれど、興奮する僕を他所に、フサとつーちゃんの二人は甲板の端へと移動し、
手すりに体を預けて港の方を神妙な顔つきで眺めていた。
……多分、お別れを告げているんだと思う。
あまり見る事のない、二人のなんだかいい感じな様子。
これは邪魔をしたらいけない、僕はショボを連れてその場を離れることにした。
しかし、ショボはそんな二人を見るなり「あれ? どうしたんだろう」
とか言って側に行こうとしやがった、本当にアレな奴だ。
(;^ω^)「待てお」
(;´・ω・`)「え? なに? なんで?」
( ^ω^)「いいから…どっか行くお」
(;´・ω・`)「ええ…? じゃあ二人も呼ばないと」
348 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:35:53.92 ID:6/yQ4Udw0
支援
349 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:36:06.06 ID:yLujXGeL0
支援
350 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:37:04.33 ID:81lxEDVB0
(;^ω^)「いや、遠慮しろって言う話だお」
(;´・ω・`)「遠慮…? なにに…?」
( ^ω^)(あー…なーんでわかんねーかなぁ、この莫迦は)
(;´・ω・`)…!
( ^ω^)?
(´;ω;`)ブワッ
(;^ω^)!?
(´;ω;`)「ご…ごめん…」ウウッ
(li^ω^)「お? あれ、え?」ドクシンジュツ?
351 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:37:57.23 ID:yLujXGeL0
ショボw
352 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:38:08.71 ID:6/yQ4Udw0
支援
353 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:38:32.10 ID:81lxEDVB0
(´;ω;`)「そんな ひっく つもりじゃ ぐす なかったんだ…」
(li^ω^)「あわわ…! ごめん、ごめんだお、僕が悪かったお」
(´;ω;`)「……お、怒って…ない?」
(;^ω^)「もちのろんだお!」
(´;ω;`)「ほんと…?」
(;^ω^)「ほんとほんとも味の素だお! だから泣いちゃ駄目お! ダメダメお!」
(´;ω;`)「う…うん」
(;^ω^)((こやつ、侮りがたし…!!))
今度は読まれないように心の奥底で囁いた。
354 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:40:06.92 ID:h9UX1A0c0
きてた! 支援!
355 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:40:26.48 ID:6/yQ4Udw0
ショボン可愛いw
支援
356 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:40:38.39 ID:81lxEDVB0
それから、僕等がその場を離れてから少しして。
ここは船内、階段をおりた先にある、両側にドアが並ぶ細長い通路。
特に行く当てもなく、適当にぶらついていた僕等だったが、
何処からか、騒がしい声が聞こえてくる事に気付いた。
それに疑問をもって間もなく。
ギギ、何処からか軋む音が聞こえたかと思うやいなや、船が一度大きく揺れ。
続いて足元から湧き上がるような、籠もった低音が辺りを包んだ。
(((;´・ω・`)))「わ、わわわ、うわ!?」ヒィ
(((;^ω^)))「ななな!?」
僕等は咄嗟に身をかがめ、床に爪をたてて必死に堪えた。
壁のそこかしこからはギィギィと悲鳴が上がり、足元はあっちへこっちへ傾く。
やがて音は反響し、こだましながら揺れと一緒に遠ざかり、ゆっくりと消えていく。
357 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:41:38.45 ID:6/yQ4Udw0
支援
358 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:42:15.06 ID:81lxEDVB0
(;゚ω゚)「……なんだお…今の」ビックリ シタ
(;´・ω・`)「いたた…わかんない」ドキドキ
(;^ω^)「って…またっ!?」
困惑する頭で何が起きたのかを考えるも、その暇も無いままにもう一度大きな振動。
それも今度はさっきよりも酷く、強い揺れが続いた。
地に足がついていない、上下左右にぐるぐると船体が傾くのを感じた。
(´;ω;`)「わー!! わー!!」
(;^ω^)「っ…ショボ、大丈夫かお!?」
(´;ω;`)「うあああんこわいよお!」
(;゚ω゚)「ほら、僕のしっぽに捕まっtギャース!!」
(;^ω^)「ちょ、強く噛みすぎだお!!」
(´;ω;`)「だって、だってええ!!」ガブガブギリギリ
( ;ω;)「痛い!! いたいいたいいたい!!」キレルキレル!
359 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:42:42.15 ID:kwLbeSooO
支援
360 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:43:01.18 ID:yLujXGeL0
この二人いいなw
361 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:43:11.28 ID:h9UX1A0c0
最初から読んでくる支援
362 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:44:21.83 ID:81lxEDVB0
あちらこちらで悲鳴が上がり、そこら中で何かが暴れまわっているような騒音が聞こえる。
やがて、揺れも多少の収まりを見せ始め、おっかなびっくり立ち上がった。
( ;ω;)「止まっ…た…?」
(´;ω;`)「うっうっ…」
(;^ω^)「うう…しっぽきれてるんじゃないかお…」
(´・ω;`)「切れてないよ、きれさせたら大したもんだよ…」
( ^ω^)「黙れ」
(´;ω;`)「…ごめんなさい」
相変わらずギシギシと嫌な音が聞こえてくる中。
僕は全身から黒いもやを発しながらショボを睨んだ。
363 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:44:37.83 ID:6/yQ4Udw0
支援
364 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:44:56.20 ID:yLujXGeL0
支援
365 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:45:11.97 ID:kwLbeSooO
小力www
366 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:46:10.62 ID:81lxEDVB0
それから少しして、周囲のどよめきもざわめきに変わり。
揺れもなんとか収まり一安心。落ち着いたところで、ずきずきと痛みが襲ってきた。
舐めて痛みを和らげたいところだが、どんなに体をひねっても届かない。
僕は歯形のついたしっぽを追い、その場でぐるぐる回っていた。
(♯;ω;)「ふー! ふー!」トドカナイ!
(;´・ω・`)(犬みたい…)
すると、奥のほうから船員さんが声を張り上げ駆けてきた。
「みなさん、こちらで誘導しますので落ち着いて甲板へ移動を!」
(;´・ω・`)「え!?」
(;^ω^)「何がどうなってんだお…」アウアウ
「そこの猫ちゃん達もおいで、ここに居たら危ないよ」
(;^ω^)「危ない? いったい何があったんだお?」
367 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:46:59.65 ID:6/yQ4Udw0
支援
368 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:48:11.97 ID:81lxEDVB0
「大丈夫、何でもないよ、ちょっと海が荒れてるから、このままじゃ出航できなそうなんだ
だから一度港に戻ってもらって、落ち着くのを待とうってだけだよ」
僕の問いかけに、船員は額に汗を浮かべ、引きつった笑顔でそう答える。
間違いなく、混乱が起きないようにする為の口上だった。
どうやら本当に不味い事になってるらしい。
( ^ω^)「……わかったお」
空気をよんだ僕はしっかりと頷き、笑顔でそう伝えた。
その人は少しほっとした様子で僕を見ると、向こうへ、と行く先を示した。
そんな船員の人達の努力あってか、現状ではそう酷いパニックは起こっていない。
通路には不安げな声が響き、嫌な空気が充満しているが、
それでも、どこか落ち着いた雰囲気で人々が列を作って歩いていく。
僕等もそれに習って人波に混ざって歩き出した。
こんな状況になっているというのに、不思議と僕の心は落ち着いている。
それどころか、不謹慎だろうけど、これは面白いことになったと喜ぶ自分が居た。
369 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:48:13.76 ID:yLujXGeL0
EX85SL
370 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:48:57.09 ID:yLujXGeL0
ぎゃあ間違えた
支援
371 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:49:03.70 ID:6/yQ4Udw0
支援
372 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:50:11.29 ID:81lxEDVB0
と、そんな時だった。
(´・ω・`)「……あ、あの…」
ショボは、誘導を行っていた船員の前で立ち止まり。
おどおどと声をかけた、おいおい今度はなんだよもう勘弁してくれよ。
(;´・ω・`)「もしかして…この船、沈むんですか?」
(;・□・)「え゛――――――!? そそ、そそそそそんな事は!!」
(;^ω^)「わかりやすい反応すんなお」
(;´・ω・`)「だから、今避難してるんですよね……?」
(;・□・)「――――ちがうよ、ぜんぜんちがうよ」
(´;ω;`)「やっぱり!! きっと浸水してるんだ!! この船はもうすぐ沈むんだ!!
今頃この下からはどんどん海水が迫ってきていて後ろの人は飲み込まれちゃうんだああ!!」
(;^ω^)「…もしかしてわざとやってるのかお?」
373 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:51:40.38 ID:6/yQ4Udw0
支援
374 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:52:47.47 ID:81lxEDVB0
(´;ω;`)「さっきの揺れはきっと船底に穴があいた衝撃によるものだったんだ!
そして今のこの安定は海水が浸入している事による一時的なもの…っ!!」
(;・□・)「なな!? 何故そこまで知っているの!?」
(;^ω^)「あんたどんだけ動揺しやすいんだお」
<ざわざわ!!
<おい聞いたか今の
<ああ、まさか…
(;・□・)「く…こうなっては仕方ない…そうだよ、その通り…この船はもうじき沈む…
でもただでは済まさない!! こうなればみんな道連れだ!!」
( ^ω^)「なんでだお」
375 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:53:25.00 ID:6/yQ4Udw0
支援
376 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:54:28.58 ID:kwLbeSooO
それにしてもこの船員、ノリノリである
377 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:54:54.28 ID:6/yQ4Udw0
支援
378 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:55:04.96 ID:yLujXGeL0
支援w
379 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:55:07.73 ID:81lxEDVB0
(;´・ω・`)「え、えええええええ!?!?」
<な、なんだと!? 貴様、ただの船員かと思えば…!!
(;^ω^)(ノリがいいなぁ)ドンダケー
( ・□・)「ふふ…助かる方法は一つ、このきのこを食べる事さ!」
(;´・ω・`)「そ、それはっ……(検閲削除対象の為、表示できません)」
(*・□・)「さあ、みんなで一緒にコイツをキメて、ヘブンズスイミングしよう!!」
(;´・ω・`)「そんな…!」
<ふざけるな!! 貴様等の思い通りにはさせんぞ!!
(li'ω`)「……この船…乗ってる奴にろくなのがいやがらねえ…」
380 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:57:10.90 ID:81lxEDVB0
( ・□・)「ふぅん! もう遅い!! 足元を見るんだね!!」
( ^ω^)「?」
( ゚ω゚)「ってほんとに海水迫ってきてるーーーー!!」
言われて見れば、いつの間にやら目下足元を水がさらさら流れている。
段々毛に染み込んできてめっさ冷たい。
しかもよく見れば、その水は黒く、墨のような色をしている事に気付いた。
(;´・ω・`)「つめたい!!」
(;^ω^)「…? なんだおこの水、変な色し」
(♯・□・)「これがぼくの闇の力だ!! ヒャダルコを喰らえ!!」
(♯゚ω゚)三つ「うるせえ黙ってろお!!」ネコパンチ!ネコパンチ!
三つ*・□・)「ああん、ぷにぷに!」ヌレテル ケド
<なんという
<…いいなぁ
<羨ましい
381 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:57:12.25 ID:6/yQ4Udw0
支援
382 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 22:58:03.36 ID:yLujXGeL0
支援
383 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:00:03.68 ID:81lxEDVB0
(♯゚ω゚)ノシ「ええい! いいから早く避難汁!!」シッシッ
( ・□・)「はい」
<はい
(´・ω・`)「はい」
<はい、ですが肉球の慈悲を
こうして、突然の避難と浸水によって。乗員は一時大パニックを起こしながらも、
どうにか混乱はおさまり、避難は再開され。
徐々に水位が上がっていく中、階段前にて僕は最後の一人を見届けた。
( ^ω^)「あとは僕等だけかお」
( ・□・)「うん、そうだね」
(;^ω^)「ふぅ…やれやれだお」
その頃になると、既に両足のつけねまでが黒い海水に沈んでいた。
僕にとってすれば顔を上げていないと溺れてしまう水位だ。
384 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:00:28.48 ID:6/yQ4Udw0
支援
385 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:01:16.08 ID:81lxEDVB0
( ・□・)「いや、本当にありがとう、君のおかげで混乱も収まって、凄く助かったよ」
(*^ω^)「いやいや、おっおっお」
( ^ω^)「……」
(li^ω^)(あ…れ? ていうかなんで僕までここに残ってるんだお……?)
( ・□・)「名前を聞いてもいいかな?」
(;^ω^)「僕はブーン、文猫のブーンだお」
( ・□・)「へえ、あんたもNANAって言うんだ」
( ^ω^)「へえあんたもブーン? 同じ名前かお」ムシ ムシ
( ・□・)「でも、そっかあ…さすがは協会の書本猫だね…しっかりしてて」
(;^ω^)「お……きょうかい? しょぼん?」
( ・□・)「え? どうしたの?」
386 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:02:32.54 ID:6/yQ4Udw0
さっきから見たことあると思ったら勇者の奴かw
支援
387 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:03:48.31 ID:81lxEDVB0
そうだ、ようやく思い出した。
ひっかかっていたのは、町でも言われたこの言葉だ。
考えてみたら、ショボにもそれっぽい事を何度か言われた覚えがある。
なんだかよく分からないからスルーしていたが、どういう事なんだろう。
(;^ω^)「その、しょぼんとか、きょうかいって」
(;゚ω゚)「なんなんだぐごぼぼぼぼぼぼっ!!」
(;・□・)「あ、沈んだ」
そこで、先まで穏やかな川のようだった水の流れに変化が起きはじめた。
水が白波をつくり、奥から奥から押し寄せてくる。
それも一つ波が迫るたび、水位が急激な勢いでぐんぐん上がっていく。
(li・□・)「こ…これって、まさか…っ」
(;゚ω゚)「ぶはっ! おおお、溺れ―――」
388 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:04:41.88 ID:6/yQ4Udw0
支援
389 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:05:27.68 ID:81lxEDVB0
どうにか水面に顔を出そうとするも、波が邪魔してうまくいかない。
ちょっぴりみずからの最後を覚悟した。
(;・□・)「た、大変だ…っ、ブーン!! 行くよ!!」
(;゚ω゚)「ぶはっ、ちょ、まっ!」
(;・□・)「早く! …不味いんだよ! 急がないと!!」
(;゚ω゚)「おお、確かにまずいお!! ガチで死ぬお! 氏ぬじゃなくて死ぶぼぼぼぼ!!」
(;・□・)「あれ? どこ行った?」
ぼくと同じ名をした彼が、僕を探す。
どうやらこの黒い海水のせいで位置が分かり辛いらしい。
ならば、と僕はしっぽをピーンと伸ばした。
(;・□・)「あ、居た」
390 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:06:06.83 ID:yLujXGeL0
支援
391 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:06:40.31 ID:6/yQ4Udw0
支援
392 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:06:54.41 ID:j+UYS28h0
支援
393 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:07:09.34 ID:81lxEDVB0
(;・□・)「さあ行くよ! 鉄砲水が来る前に!!」
がしっ、としっぽが掴まれる。
(;;゚ω゚)(!!!!!!!!)
( ・□・)「ん?」
(lli゚ω゚)(くぁswでfrgtyふじこlp;@:!!!!!!!!!!!11)
そこは、先程ショボに激しく噛まれた部位。
痺れるような激痛が全身を走りぬけ、ビクンと体が跳ねる。
しかし、ここまだ水中、僕は声にならない悲鳴を閉口したまま叫び、じたばたと暴れた。
ちょ!!!!! ラスカル!!!!
みたいな声が聞こえた気がした。
いや、誰がラスカルやねん。
394 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:07:33.97 ID:6/yQ4Udw0
支援
395 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:08:52.55 ID:ZPGMGr+M0
支援〜
396 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:09:12.89 ID:81lxEDVB0
みたいな声が聞こえた気がした。
誰がラスカルだ。
けどそれ以上に響く音があった。
それはまるで地鳴りのようで。
水中なのに、振動が体のあらゆる場所から伝わってくる。
嫌な予感、なんてもんじゃない悪寒が走る。
そして、物凄い圧力が全身に襲いかかった。
耳は何か凄い音がしたと思った瞬間になにも聞こえなくなった。
手足が踊るようにふりまわされ、抗う事は許されないままに流されていく。
黒い水は文字通り、僕を深い暗闇に沈め。
全身にぶつかる幾つもの衝撃の中で、僕の意識すらも飲み込んでいった。
第一章 終了
397 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:09:41.76 ID:6/yQ4Udw0
支援
398 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:12:24.70 ID:81lxEDVB0
あ、最後の最後で…最後のレス、の上二行はスルーしてください…
それにしても、本当に長い時間、沢山の支援をありがとうございました。
これにて第一章は終了になります。 嘘ですが
399 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:13:14.76 ID:kwLbeSooO
嘘つき!
今日はこれで終わり?
400 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:13:29.46 ID:h9UX1A0c0
追いつかない……NANAwww
401 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:14:48.24 ID:yLujXGeL0
乙かれー
402 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:14:52.81 ID:ZPGMGr+M0
終わっちゃうのか・・・?
403 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:16:16.39 ID:6/yQ4Udw0
終わりかな乙
404 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:17:49.66 ID:kwLbeSooO
終わりか。乙!
作者、アンタ漢だぜ……!
405 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:18:32.88 ID:81lxEDVB0
諸注意 これはブーンが書く記録には含まれない為、適当な物となっております。
406 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:19:16.16 ID:6/yQ4Udw0
支援
407 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:19:40.69 ID:kwLbeSooO
お、まだあったか。
408 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:20:32.73 ID:ZPGMGr+M0
終わるか・・・。
>>1 約六時間に亘る投下、お疲れ様〜。
楽しかったよ。
409 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:20:37.96 ID:yLujXGeL0
し!え!ん!
410 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:21:35.42 ID:ZPGMGr+M0
支援!支援!('(゚∀゚∩
411 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:22:31.74 ID:81lxEDVB0
アレ?
∧,,∧
【 季節を旅する文猫冒険記のようです 】 ('ミ゚д゚;彡
ゞ,, つ
ミ ミ
し`J
412 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:23:29.76 ID:81lxEDVB0
第一章 遠い地を目指したハジマリ
其の四(裏) 「 みんなのヒーローがやってくる!! 」
413 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:23:39.19 ID:6/yQ4Udw0
支援
414 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:24:12.44 ID:yLujXGeL0
(裏)とな!支援!
415 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:24:42.65 ID:81lxEDVB0
一方その頃。
そんな訳で。
二匹の猫達がフサから離れた後。
外の二人がどうなってるかをここでは追います。
海の上は、いまや悲鳴と、助けを求める叫び声が場を埋め尽くす、正に地獄絵図でした。
今、海には半分になった船首が海面から直角に伸び、縦になって浮いていた。
一体何がどうしてこうなったのか、船は真っ二つに分断されてしまったらしく、
既に半分より後ろは海中に沈み、海面には大量の木片やらが漂っていた。
海に落ちたのであろう人々はその木片を浮きにして、どうにか難を逃れようとしている。
中には一際目立つ、白い帆を広げた巨大な柱も浮かんでいて、そこにも沢山の人がしがみついていた。
一見、死者が溢れかえる悲惨な現場になっているように見えるが。
意外にも、こうなる前にほとんどの乗員が脱出できたので被害は少なかった。
416 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:26:23.69 ID:81lxEDVB0
特に船内から出てきた人々は、慌てるどころか恍惚の表情を浮かべながら出てきて。
そう混乱も起きず、非常にスムーズに避難と脱出が行えたようだ。
ちなみに、みな口々に「ぷにぷに」「肉球」などの言葉を呟いていて、
これは一匹の猫の協力があったおかげだと、後に語られている。
すでに港の方からはこれまた沢山の船が現場に到着し、
船乗りたち総出による救出活動が進んでいる。
そして防波堤では、そんな事態を固唾をのんで人が群れをなして見守っていた。
更に言えば、幸いな事にいまの時季は蒼季。
海に落ちたところで、寒さに凍える心配はなく。
むしろ人によっては心地よいくらいだろう、という事も救いだった。
417 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:26:33.20 ID:yLujXGeL0
支援
418 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:27:42.37 ID:6/yQ4Udw0
支援
419 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:27:59.72 ID:81lxEDVB0
< お、おい…あれ
< 見ろ! 人がまだ残ってるぞ!
ただ、一部を除いて。
まるで海上にそびえ立つような、縦になった船首の先。
手すりになった部位に3名ほど、人が取り残されている。
そして、その中にはこの二人の姿があった。
ミli゚Д゚彡「ひ、ひぇええ…」
(*//Д/)「ぅ…あ、あ、あんまりひっつくんじゃねえ!!!」
ミliTДT彡「そそそ、そんな事言ったってええ!!」
(’e’)「若いもんはええのう、ほっほっほ」
船の先端部分にある手すりに、三人、性格には二人がぶら下がっている。
まずつー、そのつーにフサが正面から抱きつき、
その隣では老人が同じ様に手すりに掴まり、そんな二人を眺めていた。
420 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:29:34.86 ID:6/yQ4Udw0
支援
421 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:30:59.82 ID:81lxEDVB0
(;*゚∀゚)「てめえは、自分で掴まれよ!!」
ミli゚Д゚彡「動けないから! 落ちるから!」
(;*゚∀゚)「だ、だったら…せめて背中に…」
ミ;゚Д゚彡「え? う、うん」
(;//∀/)「くぅ…ぁ…くび、に、息かけんなぁ…」
ミ,;゚Д゚彡「よっ…」
(;*゚∀゚)「ヒャン!? てて、てめ、どどどどこ触っていやがる!!」
ミ;゚Д゚彡「うわわ!? ごめん!?」
(;* ∀)「ぁ…く、もう…いい…動くな、そのままでいろ」
ミ*゚Д゚彡「…ハァハァ」
(’e’)(おっきした)
(♯ ∀ )「アトデ コロス」
ミli゚Д゚彡「ひっ!?」
422 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:31:37.54 ID:yLujXGeL0
支援
423 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:31:51.45 ID:81lxEDVB0
なぜ二人がこんな状況になったか、時はブーンと二人が別れた辺りに遡る。
∧∧
ミ*゚∀゚彡 < マキモドシ!
ミ,,,,,,,,,,ミ
蒼季 60節
424 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:32:07.70 ID:6/yQ4Udw0
支援
425 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:32:07.97 ID:yLujXGeL0
支援
426 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:33:29.47 ID:81lxEDVB0
ミ,,゚Д゚彡「いよいよだから」
(*゚∀゚)「…そーだな」
甲板の上、フサとつーは船の端にて、手すりに体を預け、
寄り添いながら徐々に離れ始めた港を眺めていた。
強まる海風は潮の匂いそのままに、見える景色さえも変えてしまう。
つーは一度、港の更に奥、山の方へと手を伸ばし、ゆっくりと引っ込める。
そんな様を見たフサは沈黙を破り、前を見つめたまま口を開いた。
ミ,,゚Д゚彡「つーちゃん、ありがとう」
(*゚∀゚)「はあ? 何が」
ミ,,。。彡「……一緒に、来てくれて」
(*゚∀゚)「別に…」
それから、再び沈黙が訪れた。
気まずいわけでもなく、ただ、不思議と言葉は必要じゃない。
これが自然だと思えるような、そんな空気だった。
427 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:33:52.70 ID:6/yQ4Udw0
支援
428 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:34:39.05 ID:yLujXGeL0
支援
429 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:35:40.75 ID:81lxEDVB0
けれど、つーは何か思うところがあったのか、
決心したように首をまわし、視線を横に移した。
それに気付いたフサも姿勢を変え、疑問を浮かべた表情で視線を交わした。
(*゚∀゚)「それより、だ…いい加減、話してもいいんじゃねーか?」
ミ,,゚Д゚彡「なにが?」
(*゚∀゚)「お前、この旅の目的はなんだ? 何を目指してる?」
ミ,;゚Д゚彡「何って、俺はただ世界を見てみたいと思って」
(*゚∀゚)「本当にそれだけか?」
ミ,;゚Д゚彡「そう、だけど…なんでさ、そんなに変かな」
(*。。)「そうじゃねえけど……お前、知りたいんじゃないのか?
あれを、あの日のことを…」
ミ,, д 彡「え、あ……」
(*゚∀゚)「お前の言う、当ての無い見つけたい物、それは…」
430 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:36:06.55 ID:6/yQ4Udw0
支援
431 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:37:01.21 ID:81lxEDVB0
ミ,;゚Д゚彡「ちょっと待った、それはちg」
< うわ!! なんだこりゃああああ!!
その時だった、空気を読まない叫び声が響き渡り。
二人は驚き、そちらを見た。するとそこには海を指差す人々の姿があった。
習って海をみてみれば、青く澄んだ海の色が変色していく、
影が覆いつくすように黒く染まっていった。
船員や、他の乗客達が「何だこれは」と騒ぎ始める中。
その例に漏れず、フサ達も困惑した様子で海を見つめていた。
ミ,;゚Д゚彡「え、なになに、何が起きてんの? これは不味いの?」
(;*゚∀゚)「わかんねえ、他の連中の騒ぎっぷりからしてただ事じゃないみてえだが…」
船体に打ち付ける波は強まり、海は見るからに荒れていく。
ぐらぐらと足元が振動し、船体が大きく傾く、
ふと下の方から、何か砕けるような物凄い破裂音が響いたかと思うや否や、
荒れ狂う海にあやつられるように、激しく上下し、揺れに揺れる。
432 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:37:29.07 ID:6/yQ4Udw0
支援
433 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:37:57.22 ID:ZPGMGr+M0
支援
434 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:38:35.20 ID:yLujXGeL0
支援
435 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:38:58.72 ID:81lxEDVB0
しばらくして、先の大荒れが嘘のように静まり。
海は変わらず黒く染まったままだったが、波は静かに揺らめいていた。
しかし、その反対に船の上では大混乱が起きていた。
船員が慌てふためき、叫びながら駆け回っている。
ミ;゚Д゚彡「だからなんなんだ? サパーリわからないから!」
(*-∀-)')「ちょっと静かにしてろ、んー……」
ミ,,゚Д゚彡「?」
(*゚∀゚)「わかった、船底に馬鹿でかい大穴が開いたんだと」
ミ,;゚д゚彡(相変わらずなんでもアリだなぁ…)
ミ,,゚Д゚彡「んで、それって不味いの?」ソレニシテモ ドンナ ミミシテルンダカ
(*゚∀゚)「さあ? 知るか、でもまあこの様子だと不味いんじゃねーの?」
ミ,,゚Д゚彡「そっかー、でも普通に浮いてるしね」ヘイキソウ
436 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:38:58.74 ID:kwLbeSooO
支援
437 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:39:44.53 ID:6/yQ4Udw0
支援
438 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:40:52.26 ID:81lxEDVB0
そうして、船についてよく分かってない二人は何がなんだか分からないまま。
慌しい船上の様子をぼけーっと眺めていたが、すぐに避難するようにと促された。
避難ってどうするのか? と訪ねれば。
なんと帆の貼られた巨大な柱を倒し、海に落とすから、
それに掴まって救助を待てと言う。
いや、どんなだよ、という突っ込みも虚しく。
もう港のほうに信号を送ったからとかなんとか、
抗議の言葉は無理矢理丸め込まれてしまった。
じゃあ仕方ない、そうしようか、と人の波に混ざろうとしたフサ達だったが、
そこでブーンとショボが居ない事を思い出し、船の奥から次々に出てくる列を睨んだ。
人々は誰もが不安げに、混乱した様子でぞろぞろと歩いてくる、
これでは下手に探しに行く事もできない。
そう考えた二人はその場で留まり、あの二匹が出てくるのを待つ事にした。
439 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:41:38.72 ID:6/yQ4Udw0
支援
440 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:42:20.57 ID:81lxEDVB0
だが、いつまで待っても列にその姿が現れない。
いい加減収まりつかなくなった頃、段々と出てくる人の様子が変わっていく事に気付いた。
何やら誰もかれもが気持ち悪い
…いや、嬉しそうな顔をしていた。
そしてこんな会話を耳にする事になる。
「いやー、あの猫のパンチはききましたなぁ…」
「もう一度喰らいたいものです…」
猫、と聞いてあいつらだと確信した二人は更に待った。
あの会話からして、あの二匹は無事で、これから出てくるのだろうと思ったからだ。
するとそれは的中した。
人波の中に、尻尾をだらりと垂れ下げた一匹の大きな猫を発見、ショボだった。
声をかけて二人が近づくと、その猫は安心したように泣き出した。
(´;ω;`)「怖かったよう…」
441 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:43:18.32 ID:6/yQ4Udw0
支援
442 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:43:59.81 ID:q/R2fLDw0
shien
443 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:44:11.01 ID:81lxEDVB0
そしてここからは大まかに事態を説明する。
尚、これが正しい事象か否かについては不明である。
浸水の続いた船は、そのまま沈んでいく事は無く、
重量の多い後部へと海水を溜め込み始める。
すると船尾が先に海の中へ沈み、シーソーのように船首が上へと上がっていく。
だがその過程、ただでさえ船底には穴が空き、傷ついているのもあり。
船体は自らの重量を支えきれず。持ち上がった船首が上に行く事を嫌うように、
悲鳴の様な音を立て、真っ二つに折れた。
船尾はそのまま沈んで行くが、まだそう遠い沖でも無いため。
海底に衝突し、巨大な波を作りながら横たわり、沈んでいった。
ついでに黒かった海水も流されたのか、霧を払うように青色に戻っていく。
そして、今度はそれを嫌がる事無く、船首が持ち上がり。
折れた部分を海面に沈め、縦に立ち上がった。
そして、船首には3名ほど。
最後まで彼の猫を待ち続けた二人と、不運な老人が取り残される形となった。
444 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:45:24.70 ID:81lxEDVB0
∧∧
ミ*゚∀゚彡 < マキモドシ オワリ!
ミ,,,,,,,,,,ミ
蒼季 60節
445 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:45:30.23 ID:q/R2fLDw0
支援
446 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:45:36.57 ID:6/yQ4Udw0
支援
447 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:47:03.93 ID:81lxEDVB0
(;*゚∀゚)「はぁ…にしても…参ったなこりゃ」
ミ*´∀`彡(ああ…と、吐息が…)
(* ∀ )「…」
ミ;゚Д゚彡「!!」
ミ,;゚Д゚彡「あ、そこの爺ちゃん、大丈夫!?」シズマレ マイサン
(’e’)「大丈夫じゃて、わかいもんには負けんぞ」マダマダ ゲンエキジャ
正に絶対絶命の窮地。
だがそんな時。
遠い港から、海上に浮かぶ救助に勤しむ小船から、救助を待つ人々から、
わあ、と大きな歓声が上がった。
それは誰かの名を呼ぶ声だった。
448 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:48:02.70 ID:6/yQ4Udw0
支援
449 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:48:35.72 ID:yLujXGeL0
支援
450 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:49:06.44 ID:81lxEDVB0
困惑するフサ達だったが、隣でぶら下がる爺さんが「あれを見い!」と叫んだ。
そうしてそちらを見れば、海面の上、腕を組みながら仁王立ちする誰かの姿があった。
( ゚∋゚)「……」
ミ,;゚Д゚彡「なんだ!?」
(’e’)「あれはクックルさんじゃ!! 海の英雄、みんなのヒーロー、
クックルさんが来てくれたんじゃ!! これで助かるぞ!!」
クックルと呼ばれたその人はどうやら鳥族。
両腕に生えた羽がロックスターのように風になびいている。
そして何より、全身を白い羽毛に覆われているが、
隠しきれないガチムチの肉体が見て取れる。
「クックール!! クックール!! クックール!!」
「海の英雄!! クックルーーーー!!」
人々の声は風に乗り、全ての音を掻き消してしまうほどに響き渡る。
爺さんは、そのクックルさんの素晴らしさを、よだれを垂らしまくって熱弁していたが。
それも周りの喧騒にかき消されて聞きとる事はできなかった。
451 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:49:30.89 ID:6/yQ4Udw0
支援
452 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:50:12.00 ID:ZPGMGr+M0
支援。
453 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:50:26.08 ID:q/R2fLDw0
支援
454 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:50:48.34 ID:kwLbeSooO
支援
455 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:51:38.85 ID:81lxEDVB0
ミ,;゚Д゚彡「…どうでもいいけど、あれ、海の上に立ってない?」
(’e’*)「そりゃそうじゃて、彼は鳥じゃからな、水面に浮いて当たり前じゃ」ダラダラ
ミ;゚Д゚彡「ああ、そうゆう…」シカシ キタニャイ カラ
大歓声のなか、クックルはゆったりとした動作で組んだ腕を解き、
スッ、と船を指差した。すると応えるように、ピタリと大歓声が止んだ。
( ゚∋゚)「私は英雄などではない、そう、もしも居るとしたならば…
それは私をここへ呼んだ君達の心、そして助けを求める君の言葉だ!」
「「おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」」
456 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:52:57.38 ID:6/yQ4Udw0
支援
457 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:53:01.93 ID:81lxEDVB0
( ゚∋゚)「私は君達の求めが生み出した、心の具現、心の化身!!
レスキューシグナルあるところ在りし存在!
そう、私は求めに応えし者、求応のクックル!!!
( ゚∋゚)「さあ!! 君は何を求める!? 君達の願いは何だ!?」
「「あの船をなんとかして!! 残された人を助けてください!!!!」」
一斉に叫ぶ声は見事にかさなり、海上に轟いた。
クックルは羽根の生えた腕を晴天に掲げ、声高々に叫んだ。
( ゚∋゚)「この胸に響いたその求め!! この翼が応えよう!!!!」
「「わああああああああああああああああああああああ!!!!!」」
(’e’)「うわあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
(*゚∀゚)「そんなこと言ってる間に爺さん落ちたぞ」
458 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:53:16.20 ID:j+UYS28h0
支援
459 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:53:33.98 ID:ZPGMGr+M0
支援
460 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:54:00.55 ID:6/yQ4Udw0
支援
461 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:54:32.58 ID:kwLbeSooO
そのネタやると思ったwww
462 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:56:28.68 ID:81lxEDVB0
ミ*゚Д゚彡「ハァハァ…つーちゃん…」モウ ガマンガ
(♯゚∀゚)「てめえも何考えてんだ!!」
ミli゚д゚彡「ごふぅっ!!」
つーは身をひねるように振り回し、フサの体が浮き上がる。
そこへ鋭い膝が腹部へ突き刺さった。
ミ,;゚Д゚彡「ぢ、ぢょ、まっ」
そのまま足裏を押し当て、ふわりと浮き上がらせた体に。
(♯゚∀゚)「アヒャヒャヒャヒャ!!!!」
目にも止まらぬ連続蹴りをその身に叩き込まれ。
フサは奇妙な声を上げながら宙をおどり。
やがて大きく吹き飛ばされながら海へと落ちていった。
ミ;゚Д゚彡「うわあ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜」
463 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:57:05.46 ID:6/yQ4Udw0
支援
464 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:57:13.87 ID:vJn/tqLx0
セントジョーンズwwwww
465 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:58:33.07 ID:81lxEDVB0
こうして、そのご、みんなクックルにたすけられた。
きょうもうみのへいおんはたもたれた。
そして、これからもうみのへいわをめざして。
がんばれ、クックル。
まけるな――――――クックル。
其の四(裏) 終了
466 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:59:20.13 ID:6/yQ4Udw0
支援
467 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:59:39.51 ID:j+UYS28h0
乙
468 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/24(月) 23:59:55.02 ID:vJn/tqLx0
乙w
今から読んでくるわ
469 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/25(火) 00:00:45.21 ID:yg4XqwVj0
はい、これにて、ちょうど12時。
長い長い時間、支援していただきありがとう御座います!
今度こそ終わりとなります。
質問などありましたら、今宵だけはご自由に。
そしてクリスマしておめでとうございます。
470 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/25(火) 00:01:06.12 ID:sUlwlzR0O
乙!色んな意味で、乙!
471 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/25(火) 00:02:46.79 ID:tgMQ9i8g0
乙
472 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/25(火) 00:05:11.24 ID:LFlkfr8j0
473 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/25(火) 00:07:22.97 ID:nsCE2WBe0
まとめは! まとめはおらんか!
474 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/25(火) 00:08:06.41 ID:yg4XqwVj0
>>472 予定では全4章となっております。
ですが、最近プロットの組み立てをしてる内に3章の方がいい気がしています。
475 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/25(火) 00:08:10.28 ID:wBpg5NsY0
乙&メリ栗!
476 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/25(火) 00:13:57.14 ID:LFlkfr8j0
>>472 ありがとう、程よい長さだな。
完結する日を夢見てwktkしてるよ
477 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。: