1 :
◆RGIa7NKSss :
2 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/16(日) 23:16:30.18 ID:fKrUL8QT0
ひとまず最終目標が見えた兄者だったが、
基本的に書物庫で本を読んで過ごし、空腹を覚えれば狩りに出て、
姉者の村へ行き一家の様子を見守るという日々は変わらなかった。
変わったと言えば、まだ歩けもしなかった赤子が
羽織袴を着て一人前の男子と認められるような年齢になり、
それだけの年月が経てば、一つの戦場だけを狩り場としていた兄者が
その場にいた亡者を狩り尽くしてしまっていてもおかしくない訳で。
3 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/16(日) 23:20:30.35 ID:fKrUL8QT0
( ^ω^)「おっお、兄者だお。おいすー」
( ´_ゝ`)「呼び捨てにすんな。『さん』を付けろ『さん』を」
それともう一つ、いつのまにかブーンと仲良くなっていた。
ブーンはよく書庫の奥の休憩所で寝ていたので、
殆どの時間を書庫で過ごす兄者と接する機会が多かったのと
ブーンの人なつっこい性格の賜物だろう。
4 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/16(日) 23:24:48.50 ID:fKrUL8QT0
( ^ω^)「僕の方が長く死に神やってるんだお。
何で先輩が後輩にさん付けしなきゃいけないんだお」
( ´_ゝ`)「お前どう見ても俺より年下だろ。先輩風吹かれるとむかつくんだが」
(#`ω´)「死に神になると年取らないんだから仕方ないお!!」
ブーンはぷくーっと膨れてそう言うと、どすどすと休憩所へ入っていった。
( ´_ゝ`)oO(中身もそのままお子様だしなぁ……)
兄者はそう思いながら、ブーンの背中を見送った。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:25:27.91 ID:WXJrXuaMO
支援
6 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/16(日) 23:26:55.31 ID:fKrUL8QT0
( ´_ゝ`)「さてと……狩りにでも行きますか」
いくら兄者がブーンを下に見ていようと、
ブーンの方が長く死に神をしているというのは事実だ。
兄者は狩り場にしていた古戦場に降りた後、
ブーンに習ったやりかたで空に舞い上がった。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:26:57.65 ID:SG7Sduc7O
支援
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:28:33.90 ID:WXJrXuaMO
支援
支援
10 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/16(日) 23:30:55.16 ID:fKrUL8QT0
いつの間にか戦乱の世というのは終わりを迎えていたようで、
空から地上を眺めても、死者の霊が彷徨う場所などそうそう有るものではなかった。
その代わり、死にそうな人の居る場所が分かるようになった。
いや、本来ならば死に神になったら備わる能力らしいのだが
空の飛び方と同様に、備わっているからと言って知らなければ意味がない。
兄者は上空で、目を閉じ耳を澄まし、魂の声に耳を傾けた。
これも、ブーンに教わったのだった。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:33:06.62 ID:WXJrXuaMO
支援
12 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/16(日) 23:35:00.34 ID:fKrUL8QT0
潮の匂いが風に乗って運ばれてくる。
魂の声を頼りに北に向かうと、荒々しく寄せては帰す海が見えた。
しかし、たどり着いた先に漁村や釣り船など見あたらない。
そもそも砂浜すら無い場所だ。
あるのは高い断崖絶壁。
その岸壁に立ち、表情もなく下を見つめる女が一人。
( ´_ゝ`)「自殺者か……めんどうだな」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:36:26.78 ID:WXJrXuaMO
支援
支援
15 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/16(日) 23:39:50.26 ID:fKrUL8QT0
そもそも海という場所自体が面倒なのだ。
水は亡者に力を与える。
力を得た亡者が、既に失っている自らの生に固執して
消えるのは御免だと死に神を追い返す。
そうして狩られずにいるとどんどん力を蓄え、
今度は仲間が欲しいと生きている者を海に引きずり込むようになる。
彼女もそうして引きずり込まれようとしている所なのか。
兄者は地上に降り、ぼんやりと海を見つめる女の横に並んだ。
そして断崖の下、岸壁に打ち付ける波間を、目をこらしてよく見てみる。
案の定、水面から何本もの白い腕が、何かを掴もうとするかのように伸びていた。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:41:24.92 ID:WXJrXuaMO
支援
17 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/16(日) 23:44:24.03 ID:fKrUL8QT0
( ´_ゝ`)「うへぇ気持ちわりぃ……」
にょろにょろと蠢く幾本もの腕は、確かに見ていて気持ちの良いものではない。
兄者は率直な意見を述べると、目線を横に立つ女の方に移した。
ξ゚听)ξ「兄者……さん……?」
女は驚いた顔で兄者を見ていた。
兄者はそれ以上に驚き、その場で固まってしまった。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:45:24.71 ID:WXJrXuaMO
うです
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:48:30.67 ID:WXJrXuaMO
変な文字打たさった
支援
20 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/16(日) 23:49:59.62 ID:fKrUL8QT0
( ´_ゝ`)「…………え?」
その一声が出るのに、どれぐらいの時間を要したのか。
ξ*><)ξ「ごっ、ごめんなさい!人違いです!あんまり似てたんで、つい……」
( ´_ゝ`)「いや、俺は確かに兄者だけど、あんたは……?」
恥ずかしさに顔を赤くしてその場を去ろうとする女を呼び止める。
何だこの女?だとか、
何故自分の事を知っているんだ?とか、
それ以前に何故自分が見えるんだ?とか、
突然の事態に兄者の頭は次々と疑問を生み出し、混乱気味だった。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:51:52.48 ID:WXJrXuaMO
支援
22 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/16(日) 23:52:06.21 ID:fKrUL8QT0
すまんちょっと中断。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:53:57.17 ID:WXJrXuaMO
眠い最後の保
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 00:05:40.92 ID:Bozg/kJh0
ほ
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 00:18:39.34 ID:Bozg/kJh0
し
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 00:18:48.06 ID:pRJe7kHEO
し
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 00:19:23.33 ID:Fk42IToDO
し
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 00:27:29.95 ID:OdyhpdC8O
ほ
29 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/17(月) 00:40:20.14 ID:8Yi3J3Pj0
保守ありがとう!!!!!!
30 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/17(月) 00:40:56.46 ID:8Yi3J3Pj0
年の頃は16か17、
兄者よりもやや年下と言った所か。
緩やかに巻いた豊かな黒髪に、人形のように整った顔立ち。
しかし、その顔は憂いに満ちていて、
今にも散ってしまいそうな儚さを感じさせた。
ξ゚听)ξ「私はツンと言います。あなたが、私の夫にそっくりだったもので」
( ´_ゝ`)「なんと!人妻でしたか!」
ξ゚ー゚)ξ「私の夫も兄者という名前でした。でも、あなたとは別の人間」
( ´_ゝ`)「俺も結婚した記憶なんて無いですからね」
ξ゚−゚)ξ「それに……私の夫はもう、とうの昔に亡くなってしまいましたから」
私怨
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 00:50:06.11 ID:5AyaqPwb0
支援
33 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/17(月) 00:53:34.32 ID:8Yi3J3Pj0
こんなに若いのに未亡人とは!
兄者は少し驚いたが、ほんの何年か前までは各地で戦火が挙がっていたのだ。
それに、十代の半ばで嫁に行くのが当たり前の時代。
嫁に行ってすぐに夫が死んだのだとしたら、辻褄が合わないでもない。
ツンの年齢は見た目よりも上なのかも知れない。
兄者はそう納得した。
34 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/17(月) 00:58:43.63 ID:8Yi3J3Pj0
( ´_ゝ`)「あっ、後追い自殺はダメですよ!!!!」
ξ゚听)ξ「へ?」
言ってから、「しまった」と思った。
断崖絶壁で下を向いていたならば
誰だってこれから自殺をしようとしているように見えるというものだが
兄者の説得に返ってきたツンの返事は、
どうやらそれが取り越し苦労だった事を示していた。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 01:04:51.84 ID:A+GqmZWv0
支援
36 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/17(月) 01:08:07.63 ID:8Yi3J3Pj0
ξ゚听)ξ「あ、ごめんなさい……あんな所で崖下なんて見てたら、まるで自殺する人でしたね」
( ´_ゝ`)「全くですよ!!自殺は絶対にダメです!!!!」
「面倒くさいから」と、うっかり続けそうになったが、それは喉の奥に押し込めた。
自殺者の魂は、飢えを満たしてくれない。
死に神になるからだ。
死に神になる者の魂は、食べても情報が移ってくる事はない。
食べてもすぐに吐き出す事になるのだ。
そして、死に神になる者の魂を狩ってしまった死に神は腹ペコのまま
冥府までその魂を連れて行かなければならない。
新たな死に神として罪を償わせるために。
37 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/17(月) 01:13:43.48 ID:8Yi3J3Pj0
中途半端ですが時間的にここまでです……!
書きためてたのは実は
>>30までだったという。
中断はツレに呼ばれたとです。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 01:15:37.29 ID:vJknOAIcO
乙
39 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/17(月) 01:17:38.39 ID:8Yi3J3Pj0
なんという遅筆/(^o^)\
あと兄者とツンの組み合わせってどうなんですかね?
40 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/17(月) 01:18:35.12 ID:8Yi3J3Pj0
最終的にツンにはブーンだろとは思ってますが。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 01:19:47.14 ID:4vILkfguO
乙
いいんじゃないかね
そもそも兄者が誰かとくっつくのはあんまり見ないが
42 :
◆RGIa7NKSss :2007/12/17(月) 01:24:38.68 ID:8Yi3J3Pj0
確かに兄者と女性キャラの組み合わせ見ないですね。
そういえば普通は弟者とセットですしね。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 01:27:55.12 ID:A+GqmZWv0
あまりない組み合わせが見れるのは俺は好き
決まってるもんじゃないし、新しい可能性もある
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 01:28:48.67 ID:4vILkfguO
ドクオがツンとくっつくのも結構見るし、ブーンもクーとくっついたりするし
まぁ作者の思うままにカップリングすればいいんじゃないかと思う。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 01:40:39.19 ID:Bozg/kJh0
乙ー
46 :
◆RGIa7NKSss :