ブーンと街

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
たつかよ
2たまご ◆EGGMAN.XJI :2007/12/16(日) 20:47:15.51 ID:8yJzcCZD0
       ト、
 ':,      '「::::\┐___,,.. -‐ ''"´ ̄ ̄`"'' ー 、.,        /
  ':,   r-‐'へ::::::::!_'´ __,,,,......,,,,,__      `ヽ.       /  み み
   ':,  >:、:;::::::>''"´         `"''      ヽ.    ,'   ょ  ょ
    ':,└─ァ''"'   /   ,'´        ヽ.     ':,   i.  .ん  ん
. \    ,' /   /  ,'  !      ;   ',  ヽ    ':,  |   み 
   \  / ,'   ,'!  /!  !   ;  /!   i      .!.  .!.   ょ
     ∠__,!   / !メ、」_,,./|   /! / !   ハ!   |   |.  |.   ん
`"''  、..,,_  !  / ,ァ7´, `iヽ| / |ヽ、」ニイ、 |   .|   |.  |.   ! !
       i,/レイ i┘ i. レ'   'ア´!_」 ハヽ|   |   | ∠ 
─--     /   !  ゝ- '       !    ! !   |   |  `ヽ.
      /   7/l/l/   、     `'ー‐ '_ノ!   |  i  |    ` ' ー---
,. -──-'、  ,人    `i`ァー-- 、  /l/l/l |    !. |  |
       ヽ.ソ  `: 、.   レ'    ',   u ,/|    |  !  |
 み  み  i  /ーナ= 、 '、    ノ  ,.イ,カ    !  |  |
  ょ   ょ  .|ヘ./|/レへ`>-r  =ニi´、.,_ |  i  ハ  ! ,'
 ん   ん   !     _,.イ´ヽ.7   /  /:::| /レ'  レ'レ'
 み  み   |   /7:::::!  ○O'´  /::::::レ'ヽ.        ___
 ん   ょ   |  /  /:::::::レ'/ムヽ.  /::::::::/   ヽ.    ,. '"´  `ヽ.
 ! !        ! ./  ,':::::::::::!/ ハ:::::`´:::::::::::;'    ',  /        i
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 20:49:48.75 ID:oYw73TTYO
あぁたっちった
どうしよう
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 20:51:02.35 ID:oYw73TTYO
ちょっとだけ投下してみるか…
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 20:53:55.43 ID:oYw73TTYO
ブーンは背負っていた荷物をコンクリートの壁にたてかけると、側の窓から身を乗り出した。
外は暗くなりかけており夕日が最後の光をはなっていた。
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 20:56:59.54 ID:iiBfPcqt0
とりあえず見てるから
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 21:11:43.15 ID:oYw73TTYO
風が吹きすさぶ。
「このビルもか」
後ろで声がした
「どっくん、どうしたもんかお」
ドクオは肩をすくめる
「どうもこうも」
手荷物から煙草をとりだしながら続ける
「店もやってなけりゃ自販機もからっぽ。なにより」
袋をとりだす
空だ
「人がいないんじゃあ話にならねぇ」
くしゃくしゃと丸めるとそれを放った
綺麗に孤を描き、窓からそれは落ちていった
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 21:12:24.17 ID:oYw73TTYO
>>6
どうもね
でもゆっくりだから後できてもらってもおkです
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 21:23:13.48 ID:oYw73TTYO
夜になった
辺りを暗闇がおおい、空気が濃く、しかし澄んでいく
ただあるビルの一室だけが明るい
「どっくんご飯にするおー」
ブーンは東亜重工製の簡易萬年電灯をつけ、荷物の中からカロリーメイト(ピルタイプ)を取り出すと、窓から身をのりだして暗視望遠鏡を覗いているドクオに声をかけた
「んぁ…」
生返事をかえすドクオ
「だれかいたのかお?」
「いねーよ…」
「ならこっちきてはやくたべるおー」
「またピルだろ」
ドクオは、しかしのろのろと電灯の側へやってくる
「はいいただきます」
「おっおっ」
一口でピルをのみこむと、水筒からやはり一口水をのんだ
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 21:30:43.26 ID:oYw73TTYO
「ごちになりました」
また窓へとよっていく
よくあきないお、ブーンは小さく呟く
「…でけぇビルビルビル」ドクオもまた呟く
「ビルとビルを繋ぐ高架橋、それの上をいく幹線道路、高速歩道、空中庭園、ショッピングモール」
暗視望遠鏡はひどく見にくい巨大な建造物群を映しだす
ああ
「だれもいねぇ…」
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 21:40:51.93 ID:oYw73TTYO
ブーンはそれをみるともなしにみていた
が、ふぃと手荷物を掴むと
「トイレいってくるおー」
「んぁ」
懐中電灯をとりだすと側の出入口からでていった
「……」
ドクオは飽きずに街を見続ける
暗い
人もいない
なぜ
こんな街ばかりだった
なぜ
山々の向こうからきた彼らには、皆目見当がつかない
「撃たないでほしい」
聞き慣れない声が響いた
はっとして振り返るとそこにはまったくしらない男がたっていた。年齢が判りにくい顔立ちをしている
「頼むから…」
手には大口径ライフルがにぎられていた
(やべ)
しかし
男はそれを構えるどころか、寧ろ哀願するような調子である。
「そういうなら」
男の後ろ、暗闇が立ち込める出入口から声がした
「まずその銃をすてるお」
ブーンが男の頭に軍用拳銃を押し当てていた
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 21:50:13.23 ID:iiBfPcqt0
なんで顔文字がない?
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 21:51:42.80 ID:oYw73TTYO
    *
ドクオは男をロープでしばりあげた
「ようやくみつけた人が」
まさか殺人鬼だったとはなぁ、最後の部分は口にはださなかった
ブーンは拳銃を向けていたが縛りあげられるのを見届けるとその手をおろした
「気付いてたんなら教えてくれよなぁーおい」
「おっおっおっ」
全く、いつものにやけ顔である
「おいマジで。殺されてたぞおい」
「いやーどっくんがちょうどいい場所にいたんだお。この人どっくんしか目に入ってなかったんだお。やりやすかったお!」
あ餌だったのか、ドクオは胸の内で溜息をつく
「さて、で…」
ブーンは男に銃をつきつける
「何の用でしたかお?」
にやけ顔のまま、そう問う
男はキョロキョロと目を動かしていたが、一言呟いた
「明かりを消してくれ」
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 21:52:50.03 ID:oYw73TTYO
>>12
顔文字あまり好きじゃないんですー

飯いってきます
保守(する方もいないでしょうけど)いりません
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 22:09:40.34 ID:oYw73TTYO
どれだれがいるかわかりませんが続きいきます
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 22:20:58.52 ID:oYw73TTYO
「は?」
「明かりを、消してくれ」
男は絞り出すように言った
「んでだよ?」
「くるんだ」
「何が?」
「ねおりべ」
一拍、男はそこで言葉を止めた
「ねおりべがくる」
ブーンとドクオは眉をひそめた
なんじゃそりゃ
その様子を見た男はあぁあぁそうかと合点がいったように一人でなおもつづける
「君達『我が国』生まれだね」
「『我が国』?」
あぁあぁそうかそうか
男はまたそのフレーズを繰り返した
「共通語(ベーシック)ではこの読みが君達の国を表す固有名詞なんだよ、君達の国ではそれが『我が国』て意味になってるんだ…君達山々の向こうからきたんでしょ?」
「わかるのか!」
ドクオが驚きの声を上げる
「あぁ特徴的な訛りがある…とにかく明かりをけして、早く」
にやにや
ブーンは拳銃を手の中でもてあそぶ
「その手にはのらないおー」
男は一瞬ひどく顔を歪めた。焦っているのが手にとるようにわかる
「なんなんだよねおりべって」
「化け物」
「は?」
「化け物だよ、誇張虚飾は一切なく」
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 22:29:51.30 ID:oYw73TTYO
「おいブーンこいつさ」
「頭オカしい人みたいだおね」
ブーンが大きな溜息をついた
「せっかく会えた人なのになぁ」
「嘘じゃない!」
男が目を剥く
「はやく!」
「急に必死になりだしたなぁーああん?」
ドクオが顔を男に近づける
男の瞳の中に貧相な顔がうかんだ
「違う!はやく!」
「はいはい」
「はやく!はやく!」
「んーどうしようかなこいつ」
「ねえってば!」
哀願する男をドクオが弄る
そして男の声が絶叫にも似てきたとき



パッと電気が消えた
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 22:42:57.28 ID:oYw73TTYO
おい
一瞬なにがおきたかドクオはわからなくなる
次の瞬間には手に自分の荷物がおしつけられていた
「ブーンか?何の真似だよ」
急に暗闇の中に放り込まれたドクオの目は光量の急激な変化に適応できず何もとらえることはできない
しかし気配で側にブーンがいることがわかる
「おい何してる?」
彼はそれに返事することなく何かを取り出し───瞬間、男の縄が滑り落ちた
「おいなにしむぎゅ」
手で口が塞がれた
「安全な所まで案内しろお」
男をブーンが急かす
「あぁこっちだ」
男はさっきとはうってかわって落ち着いた声音になり、動きだした
「おいブーンなんでだよ!?」
ドクオの非難を背中で浴びながら、ブーンは暗視ゴーグルを被る
「何かくるお」
とだけ言うと、男にも予備の小形暗視ゴーグルを渡した
「どっくん、急ぐお」
くそこの地獄耳ヤロウ
ドクオは自分の荷物から急いでγ社製多機能マスクをとりだし被ると、進みだしていた二人の後をおった
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 22:48:48.69 ID:oYw73TTYO
廊下をでて側のエレベーターに乗り込む
男は『地下』のボタンを押した
「なんなんだお、ねおりべって」
ブーンは男に聞いた
男の手にはライフル、ブーンの手には拳銃があった
「聞いてくれるかい」
「おいブーン」
「いいお」
「おいブーン何がくるんだ」
ブーンは邪険にドクオをにらんだ
「しらないお、けど、人じゃないお」
「じゃあ一体──」
ごほん
男がわざとらしく咳をする
「ねおりべっていうのは」
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 22:55:56.73 ID:mkVcB2w00
みてるお(´・ω・`)/ガンガレ
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 22:57:19.59 ID:oYw73TTYO
この国にはかつて新自由主義者(ネオリベラリスト)が政権を握っていた
彼の政策のもと、多くの近隣諸国の企業がこの国にはいりこんできた
従来の経済共同体は滅び、大企業が支配する、格差を特徴とする経済体系が構築されていった
巨大ビル群が生まれて栄える一方、スラム街が半地下にうまれた
人々の繋がりは希薄になり、代わりにいいようのない倦怠感、不安感が社会を覆っていった
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:06:48.43 ID:oYw73TTYO
閉塞感とともに技術もたかまっていき、この国はぐらぐらとした基盤の上に繁栄期を迎えた
すると、一つの機械が生まれた
社会システムという子宮がそだてた、一つの機械である
それは「いるもの」と「いらないもの」を徹底的に分けるという機能を積んでいた
これにより社会の不要なものを取り除くことが、結果として経済を回復するとうたわれた
これは低所得層向け(すでにそれが大衆と化していたが)の宣伝であったが、メディアによる偏った報道、教育を満足にうけることができない大衆はその機械を肯定した
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:08:48.93 ID:oYw73TTYO
>>20とんです!!!!!
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:15:51.15 ID:oYw73TTYO
機械は順当に稼働していった
街からゴミが消えた
次に店に侵入し嗜好品を選別、排除していった
この時点ですでに失敗したとさとった政府はその機械の破壊を軍に要請した
今度は自身の行動を邪魔する軍を不必要なものと判断した機械は軍を壊滅させた
もともと維持に金がかかるという理由でぎりぎりのコストで成り立っていた軍は機械の急激な方向転換に対応できずあっさり壊滅した
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:21:55.05 ID:oYw73TTYO
機械はさらに活動を続けた
街から娯楽がなくなり、やがて家庭用品がなくなり、そして最低限の衣料品と食料がのこった
人々は抵抗したが、した者も不必要と見做され排除されていった

国から人が溢れ出て、難民となった

そして無人となった国の中、機械は自身を最終的に不必要と判断し、機能を停止した
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:30:43.30 ID:oYw73TTYO
機械は結局の所誰かの「いるもの」(利益)は誰かの「いらないもの」(不利益)であるという事を理解できなかったのだ
無駄の無くし方
これがわからなかったのだ

「おいあんた」
ドクオが男の話は終わったとみてわりこんできた
「なんでそんなもんを作ったんだよ」
「そういう時代だったんだよ」
男はそういった
「みんなが何かに幻想を抱きたかったんだ」
「まだあるお」
ピン『チカニトウチャクシマシタ』
エレベーターからおりるとブーンがいった
「機械がとまってるならなんで今動いてるんだお?」
「不測の事態の備えてってことなんだろうね、コアシステムを積んだ奴を残してたみたい」
一行は男に導かれすすんでいった
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:44:20.86 ID:oYw73TTYO
「ネオリベラリストのつくった社会が生んだ機械、だからねおりべ」
男はそうしめくくった
「そいつでヤれないのか?」
ドクオ目で男のもつライフルを示す
「無駄だったよ…」
男は寂しそうに呟いた


「まつお」
ブーンが言った
指で指し示す
誰か立っている
1メートル後半といったところか
暗くて顔や姿はみえない
しかし
「ねおりべだ!」
男が絶叫した
「え人じゃね───」
ドクオがいいきる前に、ライフルが爆音を発した
弾は人影目掛けてとんでいき────ガキンと鈍い音を立てて弾かれた
「ああくそなんで先回りされてやがるんだ!」
さらに撃ち込む
同じ結果だった
そして
ドクオはぼうっとしてしまった
男の頭を細い線が貫いていたからだ
人影からなにかが飛び出している
線はほんの一瞬現れただけで消えたが、男の命はそれより前に消えていた
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/16(日) 23:57:10.37 ID:oYw73TTYO
(あぁやっべぇぇぇ)
ドクオは男のかっと目を見開いた死に顔をみてそう思った
これはマジでやばいでしょ───
「我排除不必要物即時」
よくわからない事を、機械はなにやら呟いた
ブーンが拳銃を構える
「無駄少口径銃」
またなにかいった
「逝けお」
ブーンは拳銃についているめもりを全開にした
そして引き金がガチリと押し込まれる
猛烈な気流がまきおこり、次いで機械の頭がけしとんだ
線みたいなものは僅かに逸れ、ブーンの頭数ミリ先をかすめるにおわった
反動でブーンもふっとばされるが、綺麗に受け身をとるとめもりを絞り、さらに数回撃ち込む
機械の体が跳ねた


機械はうごかなくなった
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 00:02:11.02 ID:CzfhgiM5O
     *
朝日が昇ると二人は高速歩道にのり街を後にした

「なぁブーン」
「なんだお?」
「寂しい街だな」
「おー」


都市も社会も人なしには成り立たない筈なのに人を疎外する


「こんな街がまだまだ続くのかな」
「そうは思わないお」
「じゃあどうなると思うんだ?」
「わかんないお!」
「それみたことか」
「でもそれでいいんだお」
「そうかな」
「おっおっおっ」

………

おわり
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/17(月) 00:04:14.02 ID:CzfhgiM5O
うむおれ乙
糞みたいな文章かきなぐってきたけど逃亡作者にならんくてよかった
逃亡は一番よくない
なんかあったらかいてってくだしあーねむい
誰もいないようなら僅かにいらっしゃった方々に感謝しつつ寝ます
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
>>1
もう寝たかな…乙!