1 :
◆Cs058I7w36 :
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:17:45.74 ID:mdQRQUr20
きたああああああ
3 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:17:49.24 ID:oN2r3W0eO
Episode18、あの日
お姉ちゃんが死んだ?
嫌だ、認めたくない。
込み上げる苦しさに胸が締め付けられる。
ノハ#;;)「そんなの、そんなの嘘だああああっ!!!!」
身体中から黒い炎が溢れ出し、ハインリッヒへと向かう。
从;゚∀从「っ……!」
炎の勢いは止まることを知らない。
それはハインリッヒの姿を覆い隠すに飽き足らず、ひたすら彼女の元へと熱を送り続けた。
ノハ#;;)「なんでっ、なんでこんな!!!!」
これでハインリッヒを生かすという、ばつとの約束を守れなくなっただろう。
それが哀しくて、自分に怒りを覚えて、だけど憎しみは止められなくて……。
様々な感情が私の中で責めぎあい、そしてそれは炎の勢いを更に強めた。
4 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:19:04.21 ID:oN2r3W0eO
ノハ;;)「はあっ、はあっ……」
ようやく炎がおさまった。
部屋の中は煙で満たされ、そのため視界は最悪。
だがしかし、ハインリッヒの命はまず無いだろう。
あんな炎の中で生き残れる筈など無いのだから。
「ハーッハッハッハッハッハ!」
その筈だった。
5 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:20:24.58 ID:oN2r3W0eO
ノハ;゚听)「嘘……」
とてもじゃないが信じられない。
彼女は生身で何分間も炎を浴び続けたんだ。
それで生きているだなんて、そんな……。
从 ゚∀从「ヒャハハハハハハッ、とうとう私はやつに打ち勝ったんだ!!!」
ノハ;゚听)「あなたは……一体何者なの?」
从 ゚∀从「さあな」
そう言って彼女は鎖の先に付いた水色の球を取り外し、
そのまま頭上へと持ち上げた。
从 ゚∀从「私は、既に人であることを止めた。
だからそうだな、強いて言えば"復讐そのもの"だ」
直後、球から私へ向けて強風が放たれる。
しかもこの風、
ノハ;゚听)「っ……!!」
今まで味わったことがないくらいに冷たい。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:22:32.39 ID:mdQRQUr20
支援
7 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:23:36.24 ID:oN2r3W0eO
从 ゚∀从「ヒントにあったニナさんという言葉、あれはそのまま273という数字に置き換えられる」
ノハ;゚听)「何も無いから273引く、それってまさか……」
从 ゚∀从「絶対零度……、モノの例えじゃないぞ?
今は確かにそれほど冷たくは無いが、ほら」
ノハ;゚听)「っ!!!」
風の温度が更に下がり出した。
それはもはや冷たさではなく、全身に痛みをもたらす。
ノハ;゚听)「くっ!!!」
風は広範囲に渡るため、ハインリッヒの正面にいる限り避け切ることはできない。
かといって彼女の後ろに回り込もうとしても、相手に球の角度を変えられては意味が無い。
ノハ#゚听)「たああああっ!!!」
ならばと、必死に怒りを引き出して炎を放つ。
从 ゚∀从「さっき黒い炎が防がれたことを忘れたのか?」
ノハ#゚听)「確かにこれであなたを倒せるとは思わない、それでも私はっ!!!!」
青い炎をハインリッヒに向けて吹き出す。
しかしそれは彼女に届く前に、風によって軽く散らされた。
8 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:25:05.72 ID:oN2r3W0eO
从 ゚∀从「気合いだけでどうにかなるほど、人生甘くねーよ」
ノパ听)「……」
……勝った。
从 ゚∀从「さて、そろそろ温度を最低に……」
从;゚∀从「つっ!!?」
彼女は冷風を発していた球を床に落とした。
炎が手に当たった弾みに力を抜いてしまったのだろう。
从;゚∀从「馬鹿な……」
私の炎は、意志に応じて動きをコントロールできる。
彼女は油断し切って注意散漫になっていた。
だから散らされた炎をひそかに集め、
彼女の後ろから回り込ませて手にぶつけることは造作も無かったのだ。
9 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:26:54.21 ID:oN2r3W0eO
从#゚∀从「うおおおおおっ!!!」
叫びながら球を拾おうとするが、そうはさせない。
ノハ#゚听)「たあっ!!!」
从;゚∀从「ちっ!!」
軽く放った炎で牽制。
彼女が怯んだ隙に私は球に近付き、それを拾い上げた。
ノパ听)「さあ、降参し……」
直後、彼女が姿を消す。
从#゚∀从「おらっ!!」
ノハ;゚听)「がっ!!!」
背中に思い切り拳を打ち付けられる。
急いでそちらに振り向こうとした瞬間、首に手を回された。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:27:16.85 ID:mdQRQUr20
支援
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:27:55.24 ID:57pgnuJk0
支援
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:28:12.75 ID:Omf1a+4R0
sien
13 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:28:12.53 ID:oN2r3W0eO
ノハ;゚听)「っ……」
ギリギリと首を締め付けられる。
息が苦しくなり、次第に視界も定まらなくなってきた。
从#゚∀从「このまま締め殺……んっ?」
そこで言葉を区切り、ハインリッヒは腕に篭めた力を緩めた。
从 ゚∀从「この髪飾りは……」
ノハ#゚听)「たああああっ!!!」
その隙を付き、彼女の鳩尾に肘を飲ませる。
从;゚∀从「ぐふっ!!」
ハインリッヒは呻きながら床へと倒れ込んだ。
14 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:29:37.66 ID:oN2r3W0eO
从;゚∀从「あがっ……」
ノパ听)「もしかして、あなたが攻撃を緩めた理由はこれ?」
そう言いながら、私はばつから貰った髪飾りを頭から外した。
从;゚∀从「……割り切ったと思ってたんだがな」
从 ∀从「そいつは私が昔ばつにやったもんだ。
それをお前が持っているということは、あいつは……」
手で目を覆いつつ、そんなことを言うハインリッヒ。
その声からは、先までの力強さが感じられない。
从 ∀从「……何も無いなら、やはり突き進むしかねぇな」
ノパ听)「えっ?」
从 ゚∀从「悪いが本気でいかせてもらう」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:29:42.93 ID:mdQRQUr20
支援
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:30:00.55 ID:BrE1x0PRO
お、お久しぶりなんて言ってあげないんだからっ////
17 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:31:24.52 ID:oN2r3W0eO
从 ゚∀从「遊びはおしまいだ、手を抜かないのも礼儀の内ってな!」
私、ハインリッヒはそう言って気合いを入れ、ヒートの眼前に"ワープ"した。
このワープには、受信機と発信機が必要だ。
発信機は、当然私が持っている。
対となる受信機だが……ここはヒートと戦うために手を加えた部屋。
炎を物ともしない特殊な床の中に、無数の受信機が埋め込まれているのだ。
ノハ;゚听)「くっ!!」
ヒートが繰り出してくる炎を屈んで回避。
動きに反応される前に、膝のバネを活かして腹にアッパーを喰らわせる。
ノハ;;)「っ!!!」
余程痛かったのだろう、彼女の双鉾は涙に濡れている。
やはり、子供だ。
そう、本来ならこいつは、平和な生活を営んでいた普通の……
从# ∀从「くそっ!!」
ギリリと唇を噛み締め、浮かびかけた憐憫の心を押し殺す。
この哀れな少女を直接作り出したのは荒巻だが、その片棒を担ぎ、
さらにはそうなることを望んだのは他でもない私だ。
せめて幕引きぐらい、スムーズにしよう。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:31:34.43 ID:Omf1a+4R0
支援だぜ
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:32:38.62 ID:BrE1x0PRO
しえん
20 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:32:46.07 ID:oN2r3W0eO
从 ゚∀从「悪いなヒート、私の夢の為に死んでくれ」
そう言いつつ、腹を押さえて床に倒れ込んだヒートの頭に足を乗せる。
肉体強化した私なら、このまま頭蓋骨を踏み砕くことは造作もない。
ノハ )「ねえ、ハインリッヒ」
从 ゚∀从「……なんだ?」
ノハ )「あなたの夢とやらって、一体何なの?
それは……ばつを犠牲にしてでも、叶えたいもの?」
そうか、やはりばつは……。
私がばつにプレゼントした髪飾りをヒートが付けていた訳だし、
色々な状況を総合的に見ても予想がついていたことだ。
だが、なぜだ。
なぜ私は、ここまでの哀しみを覚えている。
从 -∀从「他人にとってはくだらない、だけど私にとっては何より大切な夢さ」
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:33:51.45 ID:mdQRQUr20
支援
22 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:34:04.52 ID:oN2r3W0eO
『無限に存在する科学の可能性を、誰よりも引き出してみせたいんだ』
両親が夢と称し、生前よく言っていた言葉だ。
彼等は科学に生きる人種であり、
私が兵器を開発する道に走ったのも、二人の影響による所が大きい。
私と両親、それに何体かの機械で営む生活はそれなりに幸せだったし、
そんな毎日がずっと続くもんだと信じていた。
あの、忌まわしい日までは。
23 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:35:20.24 ID:oN2r3W0eO
その日。
当時まだ17かそこらだった私は、必要な道具の買い出しに行っていた。
確かネジだっけな。
まあ忘れる程度のことだ、どうでもいい。
从 ゚∀从「ただいま!」
自宅兼研究所に帰ってそう声を張り上げる。
しかし、それに対する返事はない。
といっても私の両親は研究に夢中になると周りの声が聞こえなくなるので、
こういうことは特に珍しくはない。
だからこれもいつもと同じ、単なる日常の一コマの筈だった。
从;゚∀从「親父、お袋……?」
从 ;∀从「なあっ、嘘だろ!!?」
両親の血に塗れた死体を見るまでは、そう信じて疑わなかった。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:36:31.20 ID:Omf1a+4R0
まんものに負けるな!支援
25 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:36:47.65 ID:oN2r3W0eO
他殺だった。
証拠は残されておらず、けっきょく犯人は不明のまま。
警護軍も禄に動いてくれなかったため、私は泣き寝入りを強いられた。
从#゚∀从「あーっ、うざったい!!」
やり場の無い苛立ちが募る。
丁度そんな折に、私はばつと出会った。
|l|*;ー;)「えぐ、えぐ……」
彼女は家の近くにあるしげみの中、一人うずくまって泣いていた。
从 ゚∀从「どうしたんだ?」
|l|*;ー;)「よく分からないのです……」
"ふーん"、普段の私ならそう言って見過ごしていただろう。
しかし私は彼女から自分と似た心の闇、
言うなれば深い孤独を感じ取ってしまった。
从 ゚∀从「家、入るか?」
だから見過ごすことなどできなくなった。
26 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:37:57.61 ID:oN2r3W0eO
('A`)「すみません、この研究所が働き手を募集していると聞……」
从*゚∀从「いよっしゃあああああ、やっときてくれたか!!!
んで、お前は何が得意なんだ!?
いやいや、先に勤務日数を……」
|l|;゚ー゚)「お姉様、落ち着いてほしいのです!
首が思い切り締まってるのですよ!」
(゚A゚)「……」
しまったしまった。
あまりに嬉しくて、つい強く抱き付いてしまったみたいだ。
(;'A`)「げほっ、げほっ!
あー、びっくりした」
从;゚∀从「ごっ、ごめんな?」
('A`)「……もしや俺は、間違って格闘場にでも来てしまったのか?」
从;゚∀从「あー、いやー、ははは……」
結局ドクオは、私達の研究所に住み込みで働くことになった。
そしてそれは、私が荒巻と出会うまで数年間続いた。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:39:12.97 ID:Omf1a+4R0
支援
28 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:39:52.02 ID:oN2r3W0eO
从 ゚∀从「ふうっ」
数秒間に及ぶ過去への旅を止め、視線を現実に戻す。
ノハ;;)「ううっ……」
目の前で頭を踏み付けられて泣いているこいつにだって、
きっと色々な思い出があるんだろうな。
やはりヒートには、聞く権利があるのかも知れない。
从 ゚∀从「私の夢とはな、荒巻の技術を越えることなんだ。
私の両親を殺してから数年、のうのうとそのことを白状したあいつのな」
だから私は教えてやることにした。
エゴと屈辱に塗れた、滑稽な自己満足の全容を。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:41:23.58 ID:BrE1x0PRO
しぇ
30 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:41:42.37 ID:oN2r3W0eO
Episode19、行く末にあるもの
从 ∀从「今、何て言った?」
/ ,' 3「お前さんの両親の仇は、他でもないわし自身だ」
両親が死んでから数年。
突然アポ無しで研究所を訪ねてきた荒巻は、私に向かってそう言った。
从#゚∀从「んだとっ!!?」
/ ,' 3「まあまあ、そうかっかするな」
ふてぶてしくもそんなことをほざく荒巻。
それがあまりにも頭にきたため、私は強引に奴の胸倉を掴んだ。
31 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:43:34.89 ID:oN2r3W0eO
从#゚∀从「ぶっ殺す!!!」
/ ,' 3「……げ、だな」
从#゚∀从「ああっ!!?」
/ ,' 3「わしはまんまと勝ち逃げできるのだな」
从#゚∀从「何がてめぇの勝ちだってんだよ!!!」
/ ,' 3「そんなもの、科学者なら言わずとも分かろう」
从#゚∀从「さっきからお前が言ってること、訳分かんねーんだよ!!」
/ ,' 3「ならば一から説明してやろう。
あの日、わしはここに侵入し、いともたやすくお前の両親を……」
从#゚∀从「黙れえっ!!!」
胸倉を掴んでいるのとは別の方の手で、思い切り荒巻の顔を殴りつける。
やつは勢いそのまま床へと倒れ込んだ。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:43:48.41 ID:Omf1a+4R0
支援
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:44:54.66 ID:mdQRQUr20
支援
34 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:45:08.70 ID:oN2r3W0eO
/ ,' 3「くくくっ……」
口から一筋の赤を流しながらも、肩を震わし笑ってみせる荒巻。
正直、不気味でならない。
/ ,' 3「落ち着いて話を聞く価値はあると思うのだがな」
从#゚∀从「話なら、てめぇの墓前でたっぷりと……」
/ ,' 3「一先ず黙ってくれ」
やつの言葉と同時に、身体中が痺れるのを感じた。
まるで高圧電流を流されたかのようだ。
从; ∀从「てめぇっ!?」
/ ,' 3「科学者なら、こういう手を使う方が合っているだろ?」
そう言って拳骨を作り、口元を歪める。
今畜生、さっき私が殴りかかったことへの皮肉ってか。
/ ,' 3「さて、話の続きだが……」
そう切り出し、やつは語り始めた。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:45:37.79 ID:BrE1x0PRO
支援
36 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:48:42.19 ID:oN2r3W0eO
/ ,' 3「わしがやつらを殺した理由は、お前さんがわしを殺そうとする理由と同じだ」
つまりは誰かの仇討ちという訳か?
やつの言葉などに信は置けないが、もしそれを鵜呑みにするとしたならば、
私の親は何らかの形で誰かを傷つけたということか。
从; ∀从「……続けろ」
/ ,' 3「だからわしを殺したく思う気持ちはよく分かる。
だが、このままわしを殺したら、お前さんの親の夢は一生果たせないぞ。
科学の可能性を誰より引き出したいという夢がな」
从; ∀从「……あの人らは十分優秀な科学者だったよ」
/ ,' 3「ならばたった一つの機械でもって彼等を殺したわしは、
より優秀な科学者という訳だ」
ああ、荒巻の言いたいことがやっと分かった。
私の父と母をこいつが単身殺せたのは、
自分の技術力が彼等のそれに勝っていたから、そう私に主張しているんだ。
つまり"誰よりも"という両親の夢は、果たせていないということだ。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:49:50.86 ID:752Fpixs0
支援
38 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:50:19.88 ID:oN2r3W0eO
/ ,' 3「だがしかし、彼等の娘のお前が真っ向からわしの技術に打ち勝てば、
その認識は改めねばなるまい。
最も三流科学者の娘如きに、この挑戦を受けて立つ度胸など……」
从# ∀从「てめぇ、今何つった」
よりによって三流だと?
胸の奥で何かがフツフツとたぎるのを感じる。
从#゚∀从「いいじゃねえかその勝負、真っ向から受けてたって、
勝って、針山に向けて土下座させてやらぁ!!!」
/ ,' 3「……よくぞ言った」
薄気味悪い笑みを浮かべる荒巻。
なにか乗せられていることには、この時点で感づいていた。
だが私は、両親を馬鹿にされて黙っていられるほど大人ではない。
だから沸き上がる違和感には蓋をすることにした。
他の全てを捨て、大好きだった両親の誇りを、夢を守る。
たとえ荒巻に何らかの形で利用されかけても、やつを凌駕する力で持ってぶっ潰し返す。
そんな馬鹿な、だけど何よりも堅い決意をしたんだ。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:51:11.24 ID:mdQRQUr20
支援
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 22:54:31.72 ID:Omf1a+4R0
支援
41 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 22:55:37.24 ID:oN2r3W0eO
从 ゚∀从「んでま、提示されたルールに従って、私は荒巻とゲームと冠した勝負をすることにした。
とはいえハナっから私の目的は、荒巻の被験者であるお前を、
自分の手で打ち破ることにあったんだがな」
ノパ听)「……」
从 ゚∀从「私がタイマンで荒巻の技術の結晶であるお前に勝つことは、
私が、そして両親が生涯をかけた目標を、同時に達成することになるんだ」
ハインリッヒはそう言い終えると、大きく溜め息をついた。
ノパ听)「貴女にも大変なことがあった、それはよく分かった」
でも、おかしいよ。
両親の死を悲しみ、孤児を可愛がってやれるような人が、
ノハ#゚听)「他人を犠牲にしてでも望みを叶えようだなんて、馬鹿なことを!!!」
从 ゚∀从「どうとでも言え、私はとうに良心を捨てた。
科学者としての両親の仇を討ち、それから荒巻を殺す。
今や私を突き動かせるのは、これら二つの動機のみだ」
畳み掛けるような勢いでそう言うのは、私の反論を封じるためだろうか。
それとも彼女自身が、事の良し悪しについて考えてしまうのを防ぐためだろうか。
42 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 23:00:04.86 ID:oN2r3W0eO
ノハ )「一つだけ聞かせて」
从 ゚∀从「あ?」
ノパ听)「貴女は両親が抱いていた夢を追うため、自分を取り巻く全てを捨てた」
从 ゚∀从「それがどうかした?」
ノパ听)「そうしてたどり着いた先に、
果たして貴女を満足させる物は見つかるの?」
从;゚∀从「それはっ……」
ノハ#゚听)「貴女を慕う人を切り捨てて、その先に何が見えるというの!!?
教えてよ、ハインリッヒ!!!!」
从 ゚∀从「……」
ノハ#;;)「私にはそこに何かがあるなんて、到底思えないよ……」
43 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 23:01:24.73 ID:oN2r3W0eO
从 ∀从「……」
ノハ#;;)「頼むから、教えてよ!!!」
从 ∀从「……何にもさ」
ノハ;;)「……」
从 ;∀从「強いて言えば、少しの虚しさだけだな」
ハインリッヒは私の頭から足をどかすと、よろよろと後ろへ数歩下がった。
ノハ;;)「気がつくのが遅すぎるよ」
从 ;∀从「そう、なのかもな……」
44 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 23:03:15.44 ID:oN2r3W0eO
从 ;∀从「ごめんな、迷惑かけちまった人達。
ごめんな……ドクオ、ばつ」
そう言って、何かを握る寸前のような形にした手を、そっと片胸に添える。
ノハ;゚听)「ハインリッヒ、あなたまさか……?」
从 -∀从「力だけは無駄に強化したからな、心臓を握り潰すなんて朝飯前さ」
目を閉じつつ、しみじみとした様子でそう言ってのける。
瓢々とした雰囲気が、逆に自殺の真実味を増しているように感じた。
ノハ;゚听)「駄目っ、きっと誰も貴女の死なんて望まない……!!!」
从 ゚∀从「生きて罪を背負うにゃ、私は弱すぎるんだよ」
ノハ;゚听)「そんなっ!!!」
从 ゚∀从「んな顔するなって」
そう言って彼女は、乾いた笑い声を上げる。
从 ゚∀从「回りの音が聞こえないよう、必死で耳塞いできたのにな。
全く、今更罪に気付かせんなっての……だから真っ直ぐな人間は苦手なんだよ」
そう話す顔は、発言内容に反して晴々としていた。
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 23:03:24.98 ID:BrE1x0PRO
支援
46 :
◆Cs058I7w36 :2007/12/14(金) 23:05:14.30 ID:oN2r3W0eO
ノハ;゚听)「ばつはこう言った、ハインリッヒを生かしてやって欲しいと!!
あの子は最後の最後まで貴女のことを……!!!」
从 ゚∀从「お前はちゃんと私を生かしたよ」
ノハ;゚听)「えっ?」
从 ゚∀从「復讐に取り殺されていた"ハインリッヒとしての私"をこうして生き返らせたのは、
他でもないお前なんだ」
ノハ;゚听)「だけどばつが言った言葉は、そういう意味じゃ……」
从 ゚∀从「それは分かってるけどよ……気負うんじゃないぞ、ヒート」
ハインリッヒはそう告げて、胸を握る手に力を篭めた。
指がズブズブと胸に減り込んでいく。
从;゚∀从「いてーな、畜生!!」
ノハ;゚听)「駄目っ!!!」
それを止めようと試みるも、近付く度にワープして逃げられる。
既に指は大部分が埋まり、彼女が羽織った白衣は赤に塗り替わっていた。
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 23:05:32.97 ID:Omf1a+4R0
支援支援”!!
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/14(金) 23:06:35.06 ID:mdQRQUr20
うわあああああああああ
49 :
◆Cs058I7w36 :
そんな、ハインリッヒの死が近付いてきた折、
「おおおおおおっ!!!!」
突如鳴り響く掛け声。
次いで大きな粉砕音と共に、この部屋の壁の一部が吹き飛んだ。
ノハ;゚听)「っ!!?」
空いた穴から、何かがハインリッヒに向かって飛び掛かかる。
从;゚∀从「うおっ!?」
(#゚∀゚)「何を馬鹿やってんのさ!!!」
それは先ほど包丁を振り回していた人形。
といっても今は、何も持ってはいないようだ。
(#゚∀゚)「そんなことさせないんだからっ!!!」
そう言って彼女は、その小さな手でもってハインリッヒの腕を取り押さえた。