1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
でゃーりだがや
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:17:01.36 ID:zYQuJ3tN0
劣化ウラン=ピノコ
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:18:10.12 ID:BDM6Is2HO
>>1 代理ありがとうございます!
軽く説明。
『*****』で場面転換です。
携帯からの投下のため見にくいかもしれませんがご了承お願いします。
では投下。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:21:36.30 ID:BDM6Is2HO
アスキーサロン国、ある地域の、ある病院。
面会許可をもらって、僕はその個室のドアを開けた。
( ゚∀゚)「何の用ですか」
開いたドアの奥、窓際のベッドの上には座っていたのは痩せた少年。
だがその瞳は、まるでかつてこの空を悠々と飛んでいた猛禽のように鋭い。
(´・ω・`)「聞きたいことがあるんだ」
そう、君に聞かなければならない。
僕たちの知らないこの戦争の真実を。
僕たちの知らないこの世界の現実を。
正義を語るあの国の犯し続けている凶悪な罪の現状を。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:23:10.18 ID:pOn6tqA6O
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:24:22.02 ID:BDM6Is2HO
*****
グランドに、汗を流しながらサッカーボールを蹴る少年がいた。
よく焼けた肌に、アジア系だが掘りの深い顔が凛々しい。
( ゚∀゚)「いくぞー!」
( ・∀・)「うおっ」
一方、ゴールキーパーをしていた少年は細くしなやかな両手を目一杯伸ばしてボールを掴もうと跳躍。
しかしその手を超えて球はネットに吸い込まれていった。
数瞬の沈黙。
そしてボールを蹴った少年の顔に笑みが広がる。
( ゚∀゚)「へへへーんw」
( ・∀・)「ちくしょー!お前のボールは速過ぎるんだよ」
( ゚∀゚)「だって俺、サッカー選手目指してるもん!」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:26:21.93 ID:u/Y53vixO
しえん
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:26:45.92 ID:BDM6Is2HO
キーパーをしていた少年は、名をモララーという。
彼は、服についた砂を払いながら、にっと目を細めた。
( ・∀・)「ちぇっw有名になったらサインくれよ?」
( ゚∀゚)「もちろんやんよ!」
眩しいほどの笑顔で返事をした彼はジョルジュ。
少年らは2人とも十代前半である若さゆえか、あるいは性格なのか、笑顔がごく自然にこぼれる。
やがて2人は砂ぼこりの舞うグランドを後輩達に譲り、校庭脇の石段に座りこんだ。
ジョルジュが校庭で走り回る後輩を見ながら、ぽつんと呟く。
( ゚∀゚)「俺、中学校いくんだ
サッカー続けたいから」
( ・∀・)「中学校……
俺も、理由はサッカーじゃないけど、いきたいな」
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:28:41.09 ID:BDM6Is2HO
( ゚∀゚)「え、どんな理由?」
( ・∀・)「偉い人になるんだ
んで、戦争を終わらす」
( ゚∀゚)「おーガンガレモララー!応援してんぞ!」
( ・∀・)「うす!ジョルジュもガンガレ」
「私だって中学生になりたいもんっ!」
( ・∀・)!?(゚∀゚ )
後方上側から聞こえた声に二人が振り返ってみると、そこには腰に手を当てて立つ女の子がいた。
頭にかぶったスカーフから溢れる茶の巻き毛と、少し吊り気味の大きな目が印象的だ。
ξ゚听)ξ 「また私をのけ者にしてサッカーなんてずるいよ
やりたかった訳じゃないけど……」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:30:09.30 ID:pTnF7wBb0
私怨
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:30:35.80 ID:BDM6Is2HO
彼女はツン。モララーの1つ年下の妹だ。
そのため、親同士が仲が良いことも手伝ってジョルジュとも兄妹のような関係である。
ξ゚听)ξ 「私も中学生になるの!
お医者さんになって、お母さんの病気を治してあげるんだもん」
( ゚∀゚) 「クーさんのか……」
こくりとツンが頷く。
モララーは苦笑いをしながら立ち上がり、ツンの頭をくしゃくしゃと撫でた。
そして、その手をそのまま彼女の肩に置くと急に真面目な表情に変わる。
ツンもつられて、背筋を伸ばしモララーのほうを向いた。
( ・∀・)「絶対だぞ」
ξ゚听)ξ「うん」
( ゚∀゚)「何があっても負けんなよ、ツン」
ξ゚听)ξ「負けないよ!」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:32:46.95 ID:BDM6Is2HO
彼女は強い視線でモララーとジョルジュを見やり、口をへの字に曲げた。
その表情は、怒りではなく決意。
( ゚∀゚)「じゃあみんな、自分の夢を叶えるの、約束な」
( ・∀・)「もちろんだ」
ξ*゚听)ξ「ぜったい、お医者さんになるんだから!」
暮れてきた太陽の下でグランドで彼らはお互いを見据え、誓い合った。
この国で中学生になれるのはおよそ3人に1人である。
だからこそ彼らは友に自分の夢を宣言することで意志を固めたかったのだ。
やがて、ジョルジュらは日が暮れるまでサッカーボールを蹴り続けた。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:35:02.77 ID:BDM6Is2HO
隣同士に住んでいる彼らの帰り道は一緒だ。
日が落ちてきたため、ジョルジュ達はふざけあいながら家路についた。
从 ゚∀从 「よう、おかえり」
( ゚∀゚)「ただいま」
ξ゚听)ξ( ・∀・)「こんにちはー」
玄関先の砂を掃きながら軽く手を振って挨拶したのはジョルジュの母親、ハインだ。
家の外にいるため、宗教的な要因で、ツンよりも大人しい色のスカーフで顔を隠しているが、彼女は口調にしばしば男らしさが表れる。
それは、一般的に見れば奇異だが、彼女はこの国の「女らしさ」に疑問を感じているため、直す気はないと言う。
彼女の夫や、モララーたち、そしてその両親はむしろそのさばさばとした性格を好いているのだ。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:38:19.05 ID:BDM6Is2HO
从 ゚∀从「日が暮れるから家に入れよー」
( ゚∀゚)「じゃーな!モララー、ツン」
ξ*゚听)ξ「うん、また明日ね」
( ・∀・)ノ「じゃな」
ハインの言葉に沈みゆく夕日を背に浴びて彼らは各々の家に帰ってゆく。
子どもたちの健やかな姿を見る彼女の目は優しかった。
その夜、ジョルジュはサッカーボールを磨きながら、窓際に貼られたサッカー選手のポスターを見つめて呟いた。
( ゚∀゚)「明日も……平和でありますように」
最近では、夜静かになると町からつい数km離れたところから爆音が聞こえてくる。
皆、嫌な予感がしていた。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:41:02.92 ID:BDM6Is2HO
翌週には、町は地獄へと変貌していた。
銃声。
しばらくの静寂。
遠くから誰かの笑い声。
再び銃声と鋭い破裂音。
先週まで彼らがサッカーをしていた学校は、沢山の老若男女で溢れていた。
校舎を囲う塀。その壁近くで1人の女性が憎々しげに、しかし声を殺しながら叫ぶ。
从#゚∀从 「ふ ざ け ん な !
この町にテロリスト?なんでそれでツンちゃんが撃たれてんだ!!」
ξ;--)ξ「痛いよう……」
(;・∀・)「ツン、しっかりしろ!!」
ツンは、乾いた地面に敷かれた申し訳程度の布のマットに寝転んだまま身動きをとらない。
モララーの慰めすらも聞こえていないのか、苦悶の表情を浮かべて目を閉じたままだ。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:43:51.78 ID:BDM6Is2HO
校庭、校門近くの塀の脇。そこにはジョルジュとモララーの家族がいた。
皆が疲れきった様子でぐったりとしている。
从#゚∀从ξ;--)ξ川 ゚ -゚)(;・∀・)(;゚∀゚)(^ω^;)
二日前、この町にオカルト兵が来た。
そして、テロリストを捕えるという名目で町に戦車や装甲車を配備し、一般人や住居に向けて機関銃を乱射し始めたのだ。
町の住民は恐れおののき、慌てて各指定避難場所へ移動した。
理不尽な暴力になすすべもなく死傷者も既に数多く出ているという。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:45:52.47 ID:BDM6Is2HO
昨晩、ツンは一人、避難場所に指定されている小学校を抜け出して、蜂の巣状態になった商店街から水を拝借しようとしたのだ。
しかし、見つからずに諦め、小走りで学校を目指していると、校門の直前でいきなりツンの目の前が光った。
それが跳弾した銃弾の散らした火花だと気づいた時には、モララーの叫び声ともう一発の銃声が同時にツンの耳に届いていた。
そしてツンは、当たった後に破裂するタイプの銃弾で右太股を撃たれた。
右脚は元の三倍近くに腫れ上がり、黒みがかった紫色になっている。
そのうえ、止血はあくまで応急処置のみであり、消毒薬もない。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:47:19.08 ID:BDM6Is2HO
( ・∀・)「どうして……」
モララーがもう何度目かわからないその言葉を呟く。
それに連鎖するようにハインも再び怒りを露わにした。
从#゚∀从「オカルトは何を考えてんだよ糞どもが!
ツンちゃんがテロ活動したとでも言うのか!!?」
怪我をしたツンを運ぼうとして、
彼らが校門から身を覗かせようものならば銃弾が飛んでくるのだ。
皆、苛立っていた。
身動きがとれない悔しさと憤り、向ける相手のいない憎しみが渦巻いたまま、この状態を維持する他ないからだ。
ξ;--)ξ「うぅ……」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:49:37.20 ID:BDM6Is2HO
時間がなかった。
何とかしなければ今も確実に彼女の生命は鉛の弾に蝕まれているのだ。
現に、彼女は先ほどから高熱を出して苦しんでいる。
川 - )「助けて」
そして、いつもは冷静で聡明なツンの母親クーが肩を震わせていることに、周囲はより陰鬱な雰囲気になる。
ツンの隣にしゃがみこんでいるため、長い黒髪が俯いた顔を隠してはいるが、泣いているのは明らかだ。
いつも笑顔だったモララーも、眉根を寄せてじっとツンを見ている。
( )「今日の深夜」
その一言で皆が振り返る。
声の主は気弱そうな笑顔が張り付いたような顔つきの男。ジョルジュの父でありハインの夫でもあるブーンだ。
しぇ
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:52:11.94 ID:BDM6Is2HO
彼は皆の目線を感じ、すがっていた壁から身を離して、背筋を伸ばした。
( ^ω^)「今日の深夜に、僕が囮になって連れ出せばいいお」
一瞬、辺りが静まり返った。
しかしすぐに彼の妻が口を開く。
从#゚∀从「却下、悪いが今の状況で男手はいくらあっても足りないんだ
だいたいそんな絶望的な作戦できるか!」
苛立ちと不安が入り混じった声は、ブーンに、凄みよりもむしろ弱々しさを感じさせた。
だがそれでも彼は言葉を続ける。
( ^ω^)「でもツンちゃんは僕らの娘も同様だお
守るべき、慈しむべき子どもをこんなことで死なせちゃいけない」
そして、その言葉に、俯いていたクーは顔を上げた。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:53:32.22 ID:07y0URA9O
支援
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:54:34.30 ID:BDM6Is2HO
*****
ジョルジュくんはそこまで話すと、ふーっとため息をついて窓の外を見上げた。
そして、刻々と色彩が橙から紫へと移りゆく暮れかけた空に少しだけ目を細める。
( ゚∀゚)「でもね、親父は結局囮にはならなかった
何故だかわかります?」
(´・ω・`)「え……」
( ゚∀゚)「ツンが夜を待たずに死んだんです」
(´・ω・`)「……殺されたのかい?」
ベッドの上に佇む彼の顔が、影の濃さを増した気がした。
( ゚∀゚)「んー違うといえば、違うかな
とりあえず、続きを話しますね」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:55:10.13 ID:oNaFzvmc0
この前のか 支援
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:56:58.13 ID:BDM6Is2HO
*****
乾燥した火薬の臭いの空気の中、彼女は涙の跡を頬に残したまま、しかし凛と、祈るように細い両手の指を組んだ。
川 ゚ -゚)「ナイトウさん……無謀です
どうかおやめください」
( ^ω^)「けれど他に方法はないお……」
川 ゚ -゚)「確かに、夜闇に紛れて誰かがツンを運び、
誰かが狙撃する彼らの注意を引けば何とかなるかもしれません」
( ^ω^)「だからその囮を僕が……」
川 ゚ -゚)「いけません」
相手が全てを言い切る前に毅然として彼女は突っぱねた。ブーンが面食らったように目を丸くする。
すると、彼女は痛みに歪むツンの頬を撫でながら声のトーンを落として言った。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:59:13.71 ID:BDM6Is2HO
川 ゚ -゚)「私が囮になればいいでしょう
どうせ私は全身に転移している癌で先が長くないのですから」
(;^ω^)「クーさん……!!!」
ブーンは続きを言葉にできなかった。
この場で何を言っても誰かを傷つけることに他ならないからだ。
しかし、それでも肯定の意思を持たないことは表情から伺える。
川 ゚ -゚)「だから私が出来うる限り彼らの注意を引きつけます」
ξ;--)ξ「ぅ……ぁ…」
そのとき、ツンの手が、頬に触れる母親の袖を掴んだ。
そして何か言おうとするように口を動かすものの、声が伴わない。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 00:59:30.77 ID:/46QtqTu0
支援支援」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:00:21.41 ID:07y0URA9O
支援
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:00:48.73 ID:/46QtqTu0
( ゚∀゚)支援!!支援!!
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:01:23.90 ID:BDM6Is2HO
川;゚ -゚)「ツン?どうした!?」
ξ;--)ξ「……だ、め……」
クーは慌ててその手を握り返したが、ツンはそれ以上何も言わずに小さく痙攣を繰り返した。
そして、彼女の呼吸は徐々に呼吸が浅く速くなってゆく。
从;゚∀从「多分ツンちゃん、脱水症状を起こしてる……」
まる1日以上水を摂取しておらず、熱を出しているのだ。
当然すぎる結果であった。
( ^ω^)「僕が校内にいる町の皆に水をもらってくるお!!」
(;゚∀゚)「俺も!」
このままではツンは助からない。
ジョルジュとブーンは、すぐさま校庭と校舎内にそれぞれ駆けていった。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:02:35.60 ID:/46QtqTu0
( ゚∀゚)ガンバレツンガンバレ1
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:03:03.25 ID:nBkig/lh0
( ゚∀゚)o彡゚ 支援!支援!
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:03:39.59 ID:BDM6Is2HO
( ・∀・)
その時、モララーは複雑な表情で妹と母を見下ろしていた。
母親の口から吐かれた絶望的な台詞と妹の置かれた状況に、思考も、感情も、まして行動も、付いていかない。
目の前で妹の命の炎が消えようとしている。しかし彼は感情を上手く表せなかった。
するべきことのわからないまま、ただ棒立ちに今起きている事象を見ているのだ。
すると、不意にモララーは肩を叩かれた。
もちろん後ろにいるのはハイン。
从;゚∀从「モララーくん、ツンちゃんを励ましてあげて
わかってる、気休めなのはわかってるけど……」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:06:25.81 ID:BDM6Is2HO
ハインのその言葉を皮切りに、モララーはふらふらと数歩だけ歩いた。
そして先ほどまでは見下ろしているだけだったツンの隣に座る。
( ・∀・)「……」
ξ;--)ξ
しかしモララーは何も言わない。かけるべき言葉が見つからないのだ。
目線を上げると、ツンを挟んで向かい側のクーと目が合った。
そしてそれは、彼が今まで見た母親の眼の中で、最も悲しそうなもの。
川 ゚ -゚)「モララー……」
( ・∀・)「かあさん……」
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:09:25.81 ID:BDM6Is2HO
乾いた喉から発されたモララーの声はかすれている。
泣きそうな顔で、絞り出すように彼は言葉を紡いだ。
( ・∀・)「父ちゃんは仕事で帰ってこれなくて
ツンは今こんな状態で
なのに母さんまで死ぬの?」
そして、目にいっぱい涙を溜めて、モララーは俯いた。
( ;∀;)「生きてよ……」
クーはモララーとツンを一緒に抱きしめることしかできなかった。
少し前よりずっと細くなった母親の腕に、モララーは更に現実を突きつけられ、涙を止められない。
川 - )「ツン、モララー……ごめんな、愛してる……」
そう言って、更に腕に力を込める。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:11:57.76 ID:BDM6Is2HO
やがて安心したかのように、クーの腕の中でツンの震えは止まっていった
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:13:41.82 ID:07y0URA9O
支援
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:15:51.59 ID:BDM6Is2HO
从 ∀从「……ちくしょう」
その姿を見ていたハインは、血が滲むほど強く拳を握りしめた。
表情は険しく、まるで体から怒りや憎しみなどの負の感情を迸らせているようだ。
从#゚∀从「俺は……いつかオカルトに復讐するぞ、絶対に」
何かを睨み付けるように空を見、言葉を噛み締める彼女。
しかしその呟きを聞いている者はいなかった。
それから、半刻ほど過ぎ――
(;゚∀゚)「ツン!!!!」
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:19:14.13 ID:BDM6Is2HO
(;゚∀゚)「ツン!!水をくれた人がいたぞ!」
ジョルジュは自らの頬を伝う汗を拭おうともせずに、四分の一ほどだけ水の入った水筒を手に持ち、ツン等のところへ駆け寄った。
そして息切れしながら、クーの肩を叩き、水筒を突き出して見せる。
だが、クーは振り向かず、モララーは下を向いたままがちがちと震えていた。
嫌な予感を堪えきれずに、ジョルジュはクーの肩越しにツンを見る。
ツンは、目を閉じたまま、もう痙攣さえせずに……
( ゚∀゚) 「……あ……」
ξ--)ξ
川 - ) 「ツ、ンは……もう、水を飲めな、い……」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:19:47.31 ID:/c87WUmv0
支援
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:22:46.01 ID:iJUtJJJw0
これは伸びる
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:24:57.90 ID:BDM6Is2HO
*****
( ゚∀゚)「耳を塞ぎたかった……。
目の前に横たわるツンがどこか非現実的でした。
本当に夢だったら、どんなによかったか」
淡々と話す彼の瞳に涙はない。
しかし握り締められたシーツが、彼に何かを堪えさせていた。
(´・ω・`)「辛いことを話させてしまって、すまない」
( ゚∀゚)「いえ、ショボンさんが、この国の現状をビップ国民にも知ってもらいたいっていう目的だから話すんです」
ジョルジュくんは、僕を見て、ほんの少しだけ悲しそうに笑った。
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:26:44.54 ID:BDM6Is2HO
(´・ω・`)「そうだね、だからこそ東の島国からはるばる来たんだ
さて、外も暗くなってきたし今日は帰ろうかな
今日はありがとう、明日また来るね」
( ゚∀゚)「はい」
夜の帳が落ちた外を窓からちらりと見て、ジョルジュくんは頷いた。
そして僕はもう一度お礼を言って、病室の外に出た。
扉の前では、僕がこの国で初めて仲良くなった人物であり、ガイド役を勤めてくれているギコが待っていた。
(,,゚Д゚)「ずいぶん長く話し込んでたな」
(´・ω・`)「うん」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:27:14.22 ID:07y0URA9O
支援
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:29:46.23 ID:BDM6Is2HO
僕たちはそのまま急ぎ足で病院を出て、ギコの車に乗り込んだ。
テロリストや誘拐犯の標的になりうる東洋人の僕が、そこらをうろうろしているのは好ましくないからだ。
助手席から何気なくハンドルを握るギコの横顔を見ると、ずいぶん疲れているように見えた。
すまないな、と思いつつ、僕は今日の感想を述べる。
(´・ω・`)「彼みたいな子どもが戦争の犠牲になってるのを見ると胸が痛いよ」
(,,゚Д゚)「同感だぜ、悔しくてならねえ
それにしてもショボン、ずいぶんとニーソク語、上手くなったよな」
(´・ω・`)「勉強の成果かな」
(,,゚Д゚)「ああ、かなり流暢だぞ
あれから一年で変わったもんだ」
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:33:00.38 ID:BDM6Is2HO
車に巻き上げられた砂埃がライトに反射する様子や、ギコの言葉に、ふと懐かしいような気持ちが蘇る。
(´・ω・`)「一年前を思い出すね
僕はこのトラックの積み荷になってたっけ」
(,,゚Д゚)「はは、無茶したよなあ」
(´・ω・`)「お互いね」
空は真っ黒だが、星は見えない。
話しているうちに車は、僕の泊まるホテルに到着していた。
一話 了
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:34:25.50 ID:BDM6Is2HO
以上で今日の投下終わりです。
スレたて、支援、ありがとうございました。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:34:38.81 ID:nBkig/lh0
乙
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 01:35:07.90 ID:07y0URA9O
乙乙
乙
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 02:04:02.64 ID:q9E9iZ/YO
乙
乙
乙
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 03:15:26.26 ID:pTnF7wBb0
あ
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 05:32:53.92 ID:JVyDd6pWO
は
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 09:24:09.21 ID:WWsx0MxrO
よむほ
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 11:41:04.95 ID:VvO/KUiGO
ほ
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 11:51:09.49 ID:Ue9evcYyO
これはのびる
作者だけどまだ残っててフイタ
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/10(月) 13:22:43.00 ID:yGPqhSuMO
読んだ乙
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
続きのスレが経ったのかと思いきや、残っててフイタ
最近落ちないなぁ