【ショタ】ダメ…僕……男の子だよぉ…あ…んっ…【保守】
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 21:05:49.45 ID:AEGVLTRyO
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 21:06:21.03 ID:Q/qD2aBZ0
〇〇と濃厚なエッチがしたい
〇〇と濃いセックスがしたい
〇〇と特濃の性行為がしたい
全裸で抱き合って、汗とか擦り付け合って
びんびんの物を扱き合ったり舐め合ったり
外も中も互いが互いの精液まみれになって
体の隅々まで触り、舐め、生殖器を押し付け
お尻の穴を弄り合ったり舐め合ったり、
正常位で、バックで、騎乗位で、
様々な体位でショタセックスしまくりたい
何度も何度も何度も何度も何度も何度も
〇〇のお尻の穴をちんぽで貫きまくりたい
〇〇のお尻の中を精液でとぷとぷにしたい
玉袋の中身を全部〇〇に移したい
玉袋に精液が溜まるたびに〇〇に排出したい
〇〇の玉袋の中身も全部欲しい
〇〇の玉袋に精液が溜まるたびに
場所も構わず絞り出して俺の物にする
〇〇大好き〇〇大好き〇〇〇〇〇〇〇〇
〇〇のとこには自分の好きなショタの名前を入れて、携帯のメモ帳にでも張っておこう
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 21:11:16.37 ID:lZBGhXnu0
/ | ハ \ //// ヽ
! l |l、、\ ` 丶 、'´_ 、 、
! l ‖\、 \_ _ /, -`ヽ }
、 l ‖_ >:=‐  ̄ ̄「 l| l } 、 ヽ んっ んんっ…
ヽ 、i`─ '´ ___ | ll ⌒; j 、 ヽ
\ヽ r,ニ、‐‐'‐' u .l ll '_ノ 、 ヽ
` \"\):、 | l| `、 ヽ 、 ヽ
ヽ ゞ'^ ! ll `、 ヽ 、 ヽ
丿 .:::. | l| \ ヽ、 、 ヽ
丶、_ | l|/lヽ `>=‐- ミヽ `、
`⌒ヽ_ | l| | ハ /´ `ヽ 、
チュパ / /. `´| l| | l / 〃 `、 、
チュパ / / | l| | l' 〃
【ゴールデンレス】
このレスを見た人はコピペでもいいので
10分以内に3つのスレへ貼り付けてください。
そうすれば14日後好きな人から告白されるわ宝くじは当たるわ
出世しまくるわ体の悪い所全部治るわでえらい事です
うにゅぅ…
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 21:44:35.91 ID:Q/qD2aBZ0
10時に小説投下します
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 21:59:25.36 ID:uN1P1AcG0
wktkwktk
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:04:00.54 ID:ajH7jC3k0
もう帰りたくないなあ。そう呟いたのが1時間前、塾から夜の町並みに踏み出した時の事だ。
そして今、僕の向かい側で電車の扉が開く。ぼくの家の駅だ。ぎゅうぎゅうだった電車が、
一気にガラガラになる。
帰りたくないなあ。
ぼくは降りなかった。
電車が走り出す。
今日は水曜日。毎週日曜日に行われる定期テストの成績が返って来る日だ。
成績票と、ぼくの答案用紙が大きな封筒に入れられて戻ってくる。ぼくは成績表を一目見ただけで、
すぐに中身を戻した。答案用紙を見て、どこを間違えたかチェックする必要なんて無い。解いた問題は
大抵合ってるし、あとは全部解けなくて空欄にした問題に決まってる。
言っとくけど、ぼくは別にバカってわけじゃないんだよ。学校のテストなら目をつぶってても満点くらい
楽々に取れるんだ。
でもこの塾じゃ全然話が違うわけ。受験、ってやつでね。みんな必死になって勉強してるから、
どいつもこいつもバカみたいに頭が良い。そんなやつらが集まってる塾のテストだ、簡単に
良い点が取れちゃったら、サギってもんでしょ。
とは言っても、どの科目もダメってわけじゃないんだ。国語はいつも90点台をキープしてるし、
社会や理科だってどんなにダメでも70点を切った事は無い。
算数なんだよね。ダメなのが。
どんなに頭をひねっても、解けやしない問題ってあるじゃん。考えて考えて時間だけが過ぎちゃって、
結局諦めて次に行っちゃうやつ。うちのテストはそればっかりなんだ。諦めて次に行っても、
次も解けないからどんどん次に行っちゃって、気付けば問題用紙の最後まで来ちゃって、
仕方ないから最初からまたループしちゃうわけ。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:05:26.01 ID:msrstfKH0
「最初はみんなそうなんですよ、まだ塾のテストに慣れてませんから。そのうち解けるようになりますよ」
保護者面談で先生がそう言ったのが、よく考えてみればもう1年前。この1年間、
ぼくは全く進歩しないまま、この塾にい続けてるわけだ。
中学受験まであと2ヶ月弱。先生も他のみんなもピリピリしちゃって、その空気につられて
ぼくもちょっとピリピリしちゃうんだけど、だからといってそれで問題が解けるようになるのかというと、
当然それは関係無い話で。
今回の算数の成績、32点。
笑っちゃうね。
笑えないけど。
8つ上の兄ちゃんがいる。兄ちゃんはめっちゃくちゃ頭が良くて、父さんと母さんの自慢の息子で、
今はアメリカの大学にいる。大学に受かったのが2年前で、それ以来兄ちゃんは忙しくて
帰って来れなくて、だからずっと会ってない。
だけどきっかり1週間に1度、兄ちゃんの名前が必ず母さんの口から出てくる時がある。
ぼくの成績票を見たあとだ。
「俊介はね、こういうテストは全部満点を取って帰って来てたのよ」
俊介がぼくの兄ちゃんの名前だ。ちなみにぼくの名前は啓太っていうんだけど、こういう時は
母さんはぼくの事を"あんた"としか言ってくれない。
「あんたもそれくらい出来ないと、将来いい大学に入れないでしょう。海外留学した兄が
いるって言うのに、あんたがダメな中学にしか入れないって言うなら本当にうちの恥よ。
もっとちゃんと勉強しなさい」
うっせえばばあ。この問題解いてみてから言えってんだ。
「いい?学校のバカな子達と遊んでちゃダメよ。あんなのと遊んでるから、あんたまで
影響を受けて頭が悪くなるのよ。学校が終わったら遊んでないですぐ帰って、先に塾に行って
自習しなさい」
友達の悪口言うなばばあ、ぶっ殺すぞ。
なあんて、ウソウソ。"キレた子供"なんて、テレビの中だけで十分だ。ぼくまであんな風になっちゃったら、
かっこ悪いこの上ない。
ちなみに、成績票について父さんは何もコメントしない。大学で教授やってる父さんは
ぼくの成績票を一目見て、かすかにため息をついて、すぐに他の事をし始める。ぼくなんて、
とうの昔に見限っちゃったんだ。
母さんも説教こそ長いけど、ぼくに関してはとっくに諦めちゃってる。ぼくが受験で全部滑って、
近所の公立中学に通い出しても、たぶんもう何も言わないだろう。ただ、時々思い出したように
兄ちゃんの名前を持ち出しながら、ぼくに嫌味を言ってくるんだろうけど。
たぶん、今頃二人とも凄く後悔しているに違いない。兄ちゃんがアメリカに行った時、
ぼくはまだ受験勉強を始めてなくて、二人にとってはまだ学校の優等生で、だからぼくのために
二人とも日本に残った。でも、きっと今はぼくなんか適当に親戚に預けてアメリカに行くべきだった
と思ってるんだろう。
兄ちゃんは父さんと母さんの自慢の息子で、ぼくは父さんと母さんの自慢の息子じゃない。
ただの息子だ。
さすがにまだ息子だとは思ってくれてるはずだけど、仮に母さんが、優秀な兄がいるから
あんたもういらないわ、と言い出したところで、ぼくは何も驚かない。
でもその時になったら、一つだけ口走っちゃうんだろうな。
てめーらばーか、と。
もういい加減ウンザリだ。だから家出してやる。
一応説明しとくと、別に今日の成績票を見て思い付いたわけじゃない。ずっと前からずーっと
思ってたけど、なかなか実行に移せてなかっただけで、今日はたまたま実行する気になっただけ。
だから、この駅で降りたのも、たまたま降りる気になった、それだけの理由だ。
ホームでぼうっとするぼくの目の前で、仕事帰りの大人たちが改札をくぐって、駅前の
マンションへと吸い込まれていく。
周りに人がいなくなると、夜の風が一層冷たくなった。寒い寒い。ぼくはホームから改札口に入り、
コートの前を合わせて、口をマフラーに埋める。
さてと、どうしようか。家出すると言ったものの、本当に気紛れでやっちゃったから、
本物の家出みたいに着替えだとか持っているわけじゃないし、お金もコンビニでお弁当を買った時の
お釣りくらいしか残っていない。おまけに家の駅から乗り越してるから、清算をしたらお金が
なくなっちゃうかもしれない。
「あーあ」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:09:05.66 ID:msrstfKH0
「あれ?」
後ろで声がした。どこか聞き覚えのある声に振り向くと、知っている顔がそこにあった。
学校でぼくと同じクラスの、梶田君だ。思いがけない所で思いがけない人を見たような
顔をして突っ立っている。って、当たり前か。
とりあえず、挨拶してみた。
「おっす、梶田」
「誰かと思ったらやっぱり園田か。こんな所で何してんだよ」
「梶田君こそ、何してるのさ」
当たり前だけど、同じ学校に通ってるんだから駅も同じだ。こんな時間にこんな所にいるという点では、
ぼくも梶田君も変わらない。
「じいちゃんちで遊んでた」
「へえ、こんな所に住んでるんだ、梶田んちのおじいちゃん」
梶田君は寒そうに半ズボンの膝を擦り合わせた。
「で、園田は何してんだよ。塾帰り?こんな時間までやってんの?」
ちょっと迷った。塾帰りってウソをついたほうが色々と楽な気がしたけど、本当の事を
言ったらどうなるんだろう。オレ、家出してるんだ、って。びっくりしちゃうのかな。でも、
なんだか面倒臭そうだなあ。
ふと、母さんの言葉を思い出した。
――あんなのと遊んでるから、あんたまで影響を受けて頭が悪くなるのよ
思い出した途端、カチンと来た。梶田君とはそんなに仲が良いほうじゃないけど、
こうなったら梶田君と仲良くなって、母さんに座まあ見ろって言ってやる。ちなみに、
梶田君の成績、残念ながらクラスでも下のほう。
ぼくはすっと息を吸って、さらりと言った。
「オレ、家出中なんだよね」
案の定、梶田君は目をまん丸にした。
「はあ?何言ってんだよお前」
ぼくは全部説明した。ぼくの兄ちゃんの事とか、塾のテストの点数とか、
母さんに言われてる事とか、へらへらと吐き捨てるように何もかも喋った。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:11:06.16 ID:msrstfKH0
梶田君は最初は普通に聞いていたけど、だんだんと呆気に取られたような顔になっていった。
まあ、無理も無いよね。普通に公立に上がる梶田君と、親に受験させられてるぼくじゃ
全然違うんだから。
話が終わって、梶田君は確認するように訊いた。
「それで、今どうするか何も決めてないのか?」
「まあね。このままじゃ警察に補導されちゃうから、ちょっと困ってる」
素直に答えた。まあ、梶田君だって小学生なんだから、そんな事言われてもどうしようもないよね。
やっぱり諦めて帰るしかないのかなあ。
「じゃあさ、うち来いよ」
おっとっと。
そんなわけで、ぼくは梶田君ちに居候する事になった。
服とか持って来てないし、もちろん取りに帰るわけにもいかないから梶田君のを借りた。
ぼくより背が高いので、ぼくが着るとぶかぶかだ。
塾から直接来ちゃったから、学校の教科書は持ってない。でも、すぐにそんな事は
どうでもいいと気付いた。だって、家出してるんだから、学校なんかに行ったらすぐに家に
連絡されちゃう。だから、家に帰ろうと思うまでは学校もサボっちゃえ。
梶田君はお父さんと二人で暮らしている。お母さんは病気で亡くなっていて、お父さんは
いつも仕事で朝が早くて帰りが遅いので、いつも梶田君が家事をしているという。ぼくと比べると、
梶田君は意外にしっかりしていて、大人だった。
梶田君のお父さんには、ぼくの両親の仕事の都合で、しばらく泊める事になった、
と梶田君がウソを伝えておいた。お父さんは何も疑う素振りを見せなかった。
朝起きるとお父さんはすでに仕事に出かけている。梶田君と一緒に朝ごはんを食べて、
梶田君は学校へ、ぼくは家に残る。下手に出歩いて誰かに見られて、うちに連絡されたら
大変だからね。梶田君のいない間は、部屋で漫画を読んだり、音楽を聴いたりして、
お昼は梶田君の用意した料理を食べた。
梶田君が帰って来ると、教科書を借りて、その日やった部分を復習した。梶田君の宿題を
手伝ってやったりもした。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:12:21.29 ID:msrstfKH0
「園田って学校でやってるのは何でも分かるのに、塾じゃダメなの?」
ちょっと違うと思ったけど、こう答えた。
「上には上がいるんだよ」
なんちゃって。そんなにカッコ良くはないんだよね。でも梶田君はしきりに感心しちゃったから、
まあいいや。
学校では、ぼくの家出は全然話題になってないらしい。先生はぼくが家出したとは
一言も言ってないし、むしろ優等生のぼくが何日も欠席してる事を不思議に思ってるみたいだ、
と梶田君は教えてくれた。
「捜索願、出してなかったりして」
「そんな事あるかよ」
梶田君は信じられないような口調でそう言うけど、今頃二人ともぼくがいなくなって
せいせいしてるんじゃないかな。もしかしたら、これはチャンス、とアメリカに行く準備をせっせと
してたりして。
「お前、そんなに親に好かれてないのかよ」
「だってさ、オレが学校に来ない事を不思議に思った先生は、きっと家に電話するじゃん。
普通だったら、家にも帰って来ないんですよって答えて、学校でも騒ぎになるでしょ。
なのに学校で何も話が出て来ないって事は、病気で家で休んでるんですよ、とかでたらめ
言ってるんじゃないの」
梶田君は納得のいかなそうな表情で、そんなアホな事あるかよ、と小さく呟いた。
ふと、梶田君がとてつもなく羨ましくなった。きっと梶田君とお父さんは、物凄く仲が
良いんだろうな。話を聞くと、梶田君のお父さんも物凄く良い大学を出ていて、
物凄くエリートなんだって。でも、梶田君がどんなに悪い点数を取って帰って来ても、
ちょっと叱るだけでいつまでもネチネチ言わないし、頑張れる所まで頑張ればいいんだ、
とか言って無理矢理に難しい問題を解かせたりしない。
うちの母さんが聞いたら、放任主義のいい加減な親だ、とか言ってぷんぷんしちゃうんだろうなあ。
ばーかばーか。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:13:27.90 ID:uN1P1AcG0
ほ
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:13:55.84 ID:i4/W9LHs0 BE:278654235-2BP(1111)
hoshu
梶田君ちに来て、1週間が経った。相変わらず学校では何も聞かないと梶田君は言うし、心配した母さんがクラスメートの家に片っ端から電話を掛けてくる、なんて事も無かった。
ぼくは、まるで忘れ去られたみたいになっていた。ただ1人、梶田君を除いて。
梶田君のベッドは一人用の小さなベッドだったけど、頑張れば2人並んで寝る事が出来た。
床でいいよと言ったけど、梶田君は絶対ダメだ、と言って譲らなかった。
パジャマを借りて、ぼくは梶田君と体をくっ付けるようにして布団に潜る。
「やっぱり狭いよ」
「いいのいいの」
そういえば、前にもこんな事があった。それも、物凄く昔の話のような気がする。記憶を
辿っていってようやく思い出したら、ふっと頬が緩んだ。
「何にやにやしてるんだよ」
少し気味悪そうに、すぐ横で梶田君がささやく。ぼくは目をつぶって、頭の中でその時の事を
思い出しながら言った。
「オレ、小学校に上がったばっかの頃に、たぶん怖い映画かなんか観た後だと思うんだけど、
兄ちゃんの布団に潜り込んだ事があるんだ。なんかその時と似てたから、ちょっと笑っちゃった。
兄ちゃん怒るかなって思ってたけど、全然気にする様子も無くて、むしろオレの事ぎゅってして
頭撫でてきたからさ、びっくりして『やっぱり狭いから良いよ』って言ったら、『そんな事気にすんなよ』
ってちょっと怒られちゃった」
あの時の兄ちゃんの体温を思い出して、不意に寂しくなった。塾に行かされて、父さんや母さんの
ため息が増えたのは兄ちゃんがアメリカに行った後の事だ。もし兄ちゃんが留学しないで、
今でもうちにいてくれてたら、ぼくももうちょっと幸せな気分が味わえたんじゃないかな。
すぐそばの梶田君の体温が、なんとなく心強い。少し兄ちゃんの体温と似ている気がした。
兄ちゃんの事、好きなのか嫌いなのかはよく分からない。母さんの口から兄ちゃんの名前が
出て来る時は、ぼくは兄ちゃんが物凄く嫌いになってるんだと思う。だけど、兄ちゃんと
一緒にいた頃の事を思い出してると、やっぱりぼくは兄ちゃんの事が大好きなのかな、
と思えてくる。
「園田の兄ちゃんは、園田には優しかったのか」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:15:50.12 ID:msrstfKH0
梶田君の声で我に返った。
「優しかったというか、兄ちゃんがいた頃は父さんや母さんも普通だったんだ。あの時は、
まだ塾に通い始めてなかったし、オレはまだ学校の優等生として、二人の自慢の息子だったと思う。
兄ちゃんがアメリカに行っちゃったから、じゃあ啓太も、って言い出して、それからなんだ」
「……大変なんだな」
言いづらそうに梶田君が言った。そりゃ、こんな話をされても困るだけだよね。
でも、一度言い出しちゃうとなかなか止まれない。
「兄ちゃんがまだうちにいたら、兄ちゃんはオレをかばってくれるんじゃないかって思うんだ。
父さんや母さんが兄ちゃんの成績見て喜んでた時も、兄ちゃんはなんかウザそうにしてたし、
本当はアメリカに行きたくなかったってこっそりオレに愚痴った事もあったんだ。でも、
父さんや母さんが持ち上げるからさ。そんなのと離れられて、結果的に兄ちゃんも
せいせいしてるんだろうけど」
梶田君は何も言わない。
「あーあ、タイムマシンがあったらなあ。兄ちゃんがいた頃に戻りてえ」
そう呟いた瞬間、手をぎゅっと握られた。びっくりして梶田君を見ると、梶田君もぼくを見ていた。
暗くて、表情はよく見えない。
「オレが、園田の兄ちゃんになってやるよ」
は?
梶田君が、ぼくの兄ちゃん?
一瞬、何を言っているのか分からなかった。
次の瞬間、ぼくはぷっと噴き出しちゃった。
「ばか、真剣なんだぞ、笑ってんじゃねえよ」
少し怒った声で梶田君は言う。いけないいけない。ぼくは必死に笑いをこらえながら、
言った。
「だって、いきなり変な事言い出すからさ」
「変な事って何だよぉ」
「梶田、誕生日何月だよ」
「……8月」
思わずまた笑いそうになって、ぼくはぐぐっと我慢した。
「オレ、5月なんだけど」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:17:00.19 ID:NI/bpGUR0
すると、梶田君はうっと小さく声を上げてから、すねているような声でぼくの笑い声を遮った。
「う、うるせえな、いちいちそんな細かい事気にすんなよ」
ホント、何言ってるんだろ、梶田君。ぼくより年下なのに、急に兄ちゃんになるとか
言い出すんだもんな。どっちかっていうと、ぼくの弟って感じじゃん。勉強もぼくが教えてあげてるし。
でも、梶田君は家事なら何でもやるし、どことなく大人っぽいし、何よりこうして
一緒の布団に入ってると、ちょっとだけ兄ちゃんと一緒にいるような感じがする。
梶田君がぼくの兄ちゃんになるのも、案外悪くないんじゃないかな。
それにしても、何で急にそんな事言うんだろう。
そんな疑問をぶつけると、梶田君は口ごもりながらこう答えた。
「だって今のお前、すげえかわいそうだって思ってさ、お前の父ちゃんや母ちゃんの代わりに
オレがお前の家族みたいになれてやれたらなあ、って」
ぼくの、家族?
胸がどくんと鳴った。
「なんでまた、そんな事思うんだよ」
今度はだいぶ間が空いた。
「だって、オレ」
よく聞くと、梶田君の声が少し震えている。僕の手を握る手の平にうっすらと汗を感じる。
つばを飲み込むように息を吸って、梶田君は一気に言った。
「園田の事、好きだもん」
吸い寄せられるように梶田君とキスをしたのは、30秒後の事。
次の朝、リビングに下りるとテレビのニュースが目に入った。どこか外国の建物を、
ヘリコプターから見下ろしている映像だ。激しく揺れながら、ゆっくりと視点が旋回している。
何だろう、と思っていると、アナウンサーの声が入った。
『また、アメリカの学園で発砲事件です。日本時間今日午前1時、現地時間6日午前11時頃、
アメリカニューヨーク州の大学で発砲事件があり、学生教師合わせて14人が死亡、9人が負傷した
との情報が入っております』
朝ごはんを作った梶田君が、お皿を持ってリビングにやって来た。お皿一杯に並んだサンドイッチ。
ことん、とお皿をテーブルに置くと、梶田君も朝っぱらからの物騒なニュースに目をやった。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:18:29.89 ID:Q/qD2aBZ0
どうしてだろう。この時、ぼくはすでに予感していたのかもしれない。言いようの無い
胸騒ぎがしていた。
「なんだ、またアメリカ――」
梶田君が何か言いかけた時、ぱっと画面が変わった。
この瞬間を、この先ぼくは永遠に忘れられないかもしれない。
まるで、画面が一瞬で大きくなって、ぼくの視界全部を埋め尽くしたような感じだった。
どこを見ても終わりが見えない大きな画面がぼくの前に立ちはだかり、ぼくが目を逸らせないように
それを映し出していた。
梶田君が何か言った。聞こえない。
ぼくは画面に釘付けだった。
なんで?
なんで?
なんで、兄ちゃんの顔が映っているの?
アナウンサーの声がする。
『警察当局の情報によりますと、犯人は日本人留学生の園田俊介20歳で、すでに拳銃で
自殺していたとの事です。詳しい情報は入り次第――』
ぷつん。
不意に画面が消えた。梶田君が、リモコンでテレビを消したんだ。だけど、ぼくの目にはまだ
兄ちゃんの顔が、耳にはまだアナウンサーの声がこびり付いて離れてくれなかった。
兄ちゃんが人を殺した。拳銃で、人をたくさん殺して、自殺した。
兄ちゃんが。
父さんと母さんの自慢の息子の、ぼくの兄ちゃんが。
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:19:08.38 ID:Q/qD2aBZ0
あはっ。
何でだろう。笑っている場合じゃないのに、笑いがこみ上げてきた。
あははははっ。
梶田君がぎょっとして僕のほうを見る。
「おい園田、大丈夫か」
大丈夫だよ。ははっ、ははははははははははははは。ざまーみろ。
「園田、園田ぁっ」
あはははははははははははははははは、ざまーみろ、はははははっ、はははははははははははは、
ざまーみろ、ざまーみろ。
「園田っ、しっかりしろ!」
あははははははははははははははははははははははははははははははははははははっ、
ざまーみろ、ははははははははは、ざまーみろ、ははっ、あはっ、はっ、はっ、は――
笑いが不意に中断された。
唇が温かい。梶田君の唇だ。
ぎゅっ、と抱き締められている。背中の腕が少し震えている。
どれくらいキスしていたんだろう。少なくとも、ぼくが落ち着くには十分な時間だった。
唇を離すと、ぼくらはなんとなく見つめ合って、そしてぼくはなんとなく梶田君の肩に顔を
当てて、それから、少し泣いた。
父さんのためなのか、母さんのためなのか、兄ちゃんのためなのか、それともぼくのためなのか。
誰のために泣いたのかは、分からなかった。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:20:00.31 ID:Q/qD2aBZ0
ぼくの震えが治まる頃には、もう学校に行くには遅すぎる時間になっていた。
「ごめん、学校、遅刻になっちゃうな」
「ばか、お前置いて学校に行けるかよ」
そう言って、梶田君はぎゅっとぼくの手を握り締める。ちょっと痛いくらいに。
これからぼくはどうなっちゃうんだろう。警察とかマスコミとか、たくさんの人がぼくんちに
押し掛けて来るに違いない。そうなったらもうダメだ。普通の生活はきっともう出来ない。
どこか遠い所に引っ越しちゃうのかな。ぼくと父さんや母さんは一緒に住めなくなるのかな。
父さんも母さんも、もうどうでもいい。兄ちゃんが死んだからといって、今さらぼくにすがってもムダだ。
ただ、どうなってもいいけど、梶田君と離れるのは嫌だなあ。
そう思いながら、ぼくは梶田君の胸に頬を当てた。
ESCAPE・終
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:20:43.77 ID:i4/W9LHs0
乙
23 :
fz ◆SKY/RainEk :2007/12/08(土) 22:21:42.85 ID:Q/qD2aBZ0
以上です。なんかネットワークがぶつぶつ切れてIDころころ変わって、結局最初のIDに戻ったようです
猿さん防止してくれたID:uN1P1AcG0とカヲルありがとう
最後エロに繋げようかとも思ったけど思いとどまったのは内緒
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:30:20.14 ID:Po7unC3m0
エンタの神様で小学生の兄弟漫才コンビwwwwwwwwwwwwwwwww
エンタにショタ
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:51:24.16 ID:AEGVLTRyO
ほしゅ
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 22:54:32.57 ID:PBlKT3qn0
まえだまえだ可愛かったな
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 23:06:48.56 ID:8jMiAICm0
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 23:08:40.37 ID:y47ykoab0
9歳と7歳か
可愛い盛りじゃないか
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 23:12:07.61 ID:uN1P1AcG0
>>23 GJ!!!!
家出少年(*´Д`)はぁはぁ
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 23:34:08.01 ID:AEGVLTRyO
ほしゅ
あー保守機のことすっかり忘れてパソ電源切ってたorz
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 23:40:57.42 ID:y47ykoab0
>>34 そうなのか
実況スレで大人気だからここでも人気あると思ってた
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/08(土) 23:49:13.53 ID:y47ykoab0
あーいや、俺個人の勝手な感想だからwwwww
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/09(日) 00:04:14.61 ID:eid8IWAx0
>>33 俺も無理。。。かな。
髪型が・・・orz
髪型で好き嫌いも別れてしまうもんなのか
この世界は奥が深いな
どんな子でもモヒカンやアフロにレゲエとかだったら萌えられないわ
3次は些細なことで好み分かれるしね
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/09(日) 00:30:30.18 ID:7d4Vtk2L0
ho
うにゅぅ…
ギコナビをアップグレードしたら今までのdatがなくなったかと思って焦った
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/12/09(日) 01:01:45.00 ID:7d4Vtk2L0
ageて書き込むと自動保守が喜んでくれるよ!
うにゅぅ…
じゃああげるかな
うにゅぅ…