1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
代理DEATH
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 20:44:04.61 ID:M/+fld0/0
う?からす?
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 20:44:18.00 ID:9JAg+bJu0
__
ヽ|'A`|ノ_
、_し ⌒ー'
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 20:47:38.75 ID:BBBboWiIO
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 20:49:06.89 ID:SPWLce7tO
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 20:50:02.27 ID:BBBboWiIO
では第七話いきます。
ドクオとブーンは再びドクオの家に向かう。
帰路の途中、ブーンは不思議そうに、だらだらと隣を歩く小男に問いかけた。
( ^ω^)「烏の能力というのは、結局何なんだお?」
短絡的、しかし至極的を得たものだ。
空を自由自在に飛び回り、物や他人まで浮かせてしまう。
嵐を起こし、風雨を発生させる事も出来る、とも聞いた事がある。
話には聞いていたものの、烏と言う存在自体が理解出来ない。
ドクオは人差し指を舐め前方に突き出すと、先程のブーンよろしく、短絡的に答えた。
('A`)「風、だ。」
( ^ω^)「風?」
訳が分からない、と言った感じで復唱するブーン。
('A`)「あぁ、なんつーか、風だよ。俺達烏は、それを使って色々な事が出来るんだ。」
ドクオの立てた指先が冷えた。
('A`)「この風さえ感じ取れれば空も飛べるし、人や物も飛ばせる。」
( ^ω^)「ほえ〜、なんでそんな事が出来るんだお?」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 20:51:26.07 ID:BBBboWiIO
('A`)「知らねーよ。物心着いた時にゃ、ふわふわしてた。」
と、両手を広げ、パタパタと上下させるドクオを見て、ブーンは少し笑う。
ドクオは更に続ける。
('A`)「能力にも個人差がある。竜巻みたいな天災起こす化物から、小物を浮かせる程度のヤツまでな。んで……、」
と、ここでドクオは一旦話を止めた。
横で話を聞くブーンの顔が、妙にに輝いているからだ。
(;'A`)「な、な、何だよ。」
( ^ω^)「すげえお!めちゃかっこいいお!!ドクオはどの程度の能力があるんだお?」
('A`)「ああ?普通だよ、ふつー。あっ、言っとくけどな、街に帰ったら誰にも言うなよ!」
またも、ブーンと自分の立場を忘れていた様だ、と、ドクオは今一度反省したが、
( ^ω^)「分かってるお。そんな事より…。」
ブーンの質問責めは続いた。
少年の様に瞳を輝かせ、
誰が一番強いのか、
どれくらいの烏がいるのか等、
嬉しそうに聞いてくる大男に、計らずも出来るだけの応答をしてしまった。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 20:54:15.60 ID:BBBboWiIO
ブーンの好奇心は、ドクオの家家に着く頃にようやく落ち着いた。
('A`)「疲れたな。まあ今からが本番か。」
ドクオが大きなため息をついて、家と言うよりは小屋に近い、質素な建物に入る。ブーンは入口で立ち止まり、不安そうに問いかけた。
( ^ω^)「こんな所で待ってて、平気なんかお?いざって時に出遅れちゃわないのかお?」
('A`)「ああ、その辺は心配ねーから、ちっと休んどけよ。」
ブーンに促すと、ドクオは木製の固そうなベッドに転がる。
ブーンも続いて扉を潜った。
屋内の造りも簡単な物で、ベッドとテーブル、そして椅子がわりの切株が転がり、窓は一つだけ。何も無い、という印象しか残らない家だ。
早くも寝息をたてているドクオの向こうにある、小さな窓から外を眺めた。
( ^ω^)「昨日、今日と色々有りすぎたお……。姫……ご無事ですかお?」
風に揺られる木々の隙間から時折顔を出す月が、目の前の烏の間の抜けた寝顔を、柔らかく照らしていた。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 20:55:21.27 ID:BBBboWiIO
思えば、全てはこの烏との出会いから始まった。
烏の襲撃、野盗との戦闘、そして姫が誘拐され、追いかけて行く内に再びこの男と出会い、今に至る。
( ^ω^)「隊長が知ったら、卒倒するんじゃないかお…。」
ドクオが何度となく意識していた事に気付いてはいた。
自分と烏との距離。
目的が一致しているとは言え、元来、国軍兵である自分と、それに仇なす野盗が行動を共にするなどあり得ない。
( ^ω^)「そんな悪い奴らに見えんから、困るお。」
今夜自分が実際に見て、感じた、烏達への率直な印象だ。
本来の野盗としての彼等を見ていないからかも知れないが、少なくとも現時点では東の烏に対し嫌悪感を抱かなかった。
しかしツンの救出の後にどうなるか、ブーンには知る由も無い。
( ^ω^)「…………。」
成れない頭を使ったからか、疲れからか、瞼が重くなり、意識とは裏腹にブーンも一時の静かな眠りに落ちた。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 20:57:18.76 ID:BBBboWiIO
ブーンが昼間、コクオーに救われ何とか越える事の叶った岩山。
その中の一つ、円柱の形をした山の頂上に、焚火で暖をとる集団がある。
<ヽ`∀´>「日が昇る頃に此処を発つニダ。」
灯台の麓は暗い、というやつか。
ニダーの群は思いの他、近くにあった。
目的であるツンの奪取には成功したものの、東の闘将、ショボン率いる部隊より受けた損害は少なくはなかったからだ。
<ヽ`∀´>「しかし、半分もの部下を失うとは、鬼のショボン、やってくれるニダ。」
ニダーは手を使わずに薪をくべながら、回りを見渡す。昼間、百数十と居た大所帯は、彼の言う様に、約半数になっていた。
小さなため息をつき、横で気を失っているツンを見つめる。
<ヽ`∀´>「さて、問題はこれからシナーがどう動いて来るか、ニダ。なあ、クックル。」
目の前に座る男に問いかけた。
巨漢なニダーから更に一回りは大きく、場所が場所なだけに、あぐらをかいた男の姿はまるで岩の様に見える。
ニダーの呼び掛けに、男は低く、聞き取り難い声で答える。
( ゚∋゚)「……『国を統べる赤』はこちらにある。」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:00:14.37 ID:BBBboWiIO
パチパチと小さな薪が音を立て、麟粉の様に舞い上がる火の粉を見つめながら、クックルが続ける。
( ゚∋゚)「『聖盃』、『壷』、そして『国を統べる赤』、何れかが欠けては意味を成さない。」
<ヽ`∀´>「この小娘がこちらにある限り、シナーも奴等も下手にウリに手出し出来ん、ニダね。」
( ゚∋゚)「油断は出来ん。奴等がなりふり構わず、となればそこの娘の代わりは居るからな。」
一瞬、ニダーが固まる。
不安とも、恐れとも取れる様な表情をとるが、次の瞬間には目を吊り上げ、
<ヽ`∀´>「ホルホルホル。奴等にそんな度胸はないニダ。それが可能ならわざわざシナーを雇うなんてしないニダ。」
高らかに笑い飛ばした。
――北、鳥の巣。
夜も深まり、点々としていた灯りも消え、静寂に包まれた『寝城』の屋上にその声を拾う者が居る。
从 ゚∀从「案外早かったかな。まあこんだけ近くに居りゃ見付けてくれってなもんだね。」
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:01:39.92 ID:BBBboWiIO
小柄な体型に少ししゃがれた高い声。
上は長袖、下は短パン、膝までのブーツ、その総てが黒のエナメルで統一されるという何とも珍妙な風体。
伸びきった前髪が垂れ、左目を隠している。
東の烏、ハイン。
彼女はクーの依頼で、ニダーの捜索をしていた。
烏の中でも唯一彼女にのみ使用可能な特殊能力である、風乗せて声や音を運ぶという『音乗せ』を使って。
从-∀从「うん、この気持ちの悪い高笑い、間違い無い。」
手を耳に添え、確認する様に呟く。
よし、と頷くと彼女の瞳が赤く変化する。
从 ゚∀从「ドクオ!ドクオ!」
周りには誰一人居ない。
しかし、彼女はあたかもドクオが目の前に存在するかの様に呼び掛けた。
そして、その声は寝城から遠く離れた我が家で眠るドクオに届く。
('A`)「すぴゃー。」
届いているが、聞こえてはいない。
察したのか、ハインの呼び掛けは叫びへと変わる。
从#゚∀从「寝てやがる。ドクオ!!!起きろ!!!」
(;'A`)「はう!!は、ハインか!早かったな。」
飛び起きたドクオは、耳鳴りに顔を歪ませながら返す。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:03:21.90 ID:BBBboWiIO
从 ゚∀从「人が懸命に仕事してんのに、寝てるってひどいよ!」
('A`)「すまん。で、どの辺りだ?」
言い足りないのか、ハインは不機嫌そうにぶつぶつとこぼしながら答える。
从 ゚∀从「岩山でキャンプしてるみたいだよ。」
('A`)「岩山ってあの岩山だな?分かった、ジョルジュ達にも知らせといてくれ!」
从 ゚∀从「了解。ほんじゃね〜。」
ハインとの『会話』を終え、急いで上着に袖を通すと、ドクオは床で眠るブーンを足で揺する。
('A`)「おい、起きな。行くぜ!」
(;^ω^)「はう!な、どうしたんだお!?」
('A`)「見つかったんだと。姫様が。意外と近くに居るみてーだな。」
ブーンの目が完璧に覚めた。
足元に転がる大剣を手に取ると、ドクオに、
( ^ω^)「早く行くお!飛んで行くんだお!?」
と促す。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:05:45.45 ID:BBBboWiIO
星が流れ、月がそれをより美しく照らそうと輝く夜空を一人の青年と、一羽の烏が森の上を駆ける。
('A`)「森を出るまでだぞ!そんな体力ねーからよ。」
( ^ω^)「そっから近いのかお!?」
('A`)「お前も通って来ただろ?岩山だよ。奴等まだ起きてるみてーだ。寝込みなら楽勝だったんだけどな。」
ニダーは、豪傑揃いである西の烏の中でも、シナーに次ぐ実力者である。
ジョルジュ、ミルナ、そしてドクオ。
鳥の巣の手練である三人をもってしても、予断を許す事の出来ない相手だ。
('A`)「飛ばすぜ。」
ドクオは『飛行』速度を速めた。
未だ眠りについていないという事は、定点に留まっているとは限らないからだ。
ブーンは最初、「おおお」と驚きの声を連呼していたが、少し余裕が出てきたのか上空から森を見渡し、愛馬を探す。
( ^ω^)「見つけたお!コクオー!」
森の入口付近には大樹と言える木が生えていないお陰で、月に照らされ、丸くなる相棒が思ったより簡単に発見出来た。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:07:39.25 ID:BBBboWiIO
('A`)「てめえの馬か!あそこに降ろすぞ。」
ドクオは草むらで足を休める黒光りの怪物の元へ、ブーンを降下させた。
二十五貫は有ろうかという巨漢のブーンが、風に吹かれる落ち葉の様に優しく地面に触れる。
('A`)「着いて来いよ!アゲてくぞ!」
( ^ω^)「了解だお!コクオー、行くお!!」
鼻息を荒げ、主の声に呼応する愛馬に跨る。
コクオーは、前足の蹄を天に掲げると、叫びともとれる様な凄まじい哮りをあげ飛び出した。
あっという間にドクオを抜き去り、夜の闇と同化する様に消えて行く。
(;'A`)「早え〜。」
素直に関心してしまったが、得意気に煽った手前、負けてはいられない。
ドクオも更に加速し、夜の帳に消えた。
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:09:22.15 ID:BBBboWiIO
ドクオとブーンが森を出る数分前。
从 ゚∀从「なんで僕を足に使うかな。クーの依頼はニダーの捜索だけだった筈だよ?」
( ゚∀゚)「堅い事言うなよ。俺達はおめーらみたいに便利な体してねーんだ。」
( ゚д゚ )「アフターサービスというやつだな。」
夜空を駆ける三つの点。
ハインがこぼす愚痴は、二人にあっさりと流される。
彼女は頼まれると断れないタイプ、と言うやつでドクオとの通信の後、寝城に居たジョルジュに直接用件を伝えたところ、体よく使われてしまった様だ。
从 ゚∀从「あそこ、火が昇ってるでしょ?」
ハインの指が示す先、微かだが岩山の頂上に舞い上がる炎が確かに確認出来た。
( ゚∀゚)「ああ、あれだな。ドクオが来るまでに、雑魚は片付けときてーな。」
ジョルジュが目配せに、ミルナが頷く。
その様子を見たハインがうんざりした様に毒突いた。
从 ゚∀从「はいはい、行けばいいんでしょ。でもニダーと闘り合うのは御免だからね。」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:10:54.82 ID:OIkn9Tu3O
割と好き
支援
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:11:09.87 ID:10y6DJu3O
つまんね
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:11:51.77 ID:BBBboWiIO
( ゚∀゚)「ま、ニダーの足止め位はしてくれや。」
从;゚∀从「簡単に言わないでよ。あいつ強いんだよ?」
( ゚∀゚)「そう言われても、俺等じゃ――」
あまり緊張感の見られないジョルジュとハインのやりとりの途中、ぼそりとミルナが発した。
( ゚д゚ )「気付かれたか。」
( ゚∀゚)「!」
灯りが消えた。相手は、まがりなりにも西のNo.2だ。今になって眠るとは考え難い。
こちらの存在に気付き、襲撃に備えて身を潜める為の消灯、と考えるのが妥当だ。
これで迂濶に近付けなくなってしまった。
ジョルジュの声色が変化する。
( ゚∀゚)「やるじゃねーか。まさかニダーが『把握』を修得してやがるとはな。」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:14:26.02 ID:8tVoEkhu0
支援
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:14:46.74 ID:BBBboWiIO
『把握』
『音乗せ』と同様、数有る烏の能力の一つである。
周囲の風の微妙な変化を感じる事が可能で、例えば部分的に風の流れが止まるとそこに障害物がある、と判断する。
それが突然発生、移動しているとなると、何かしらの存在が有る事を意味する事になる。要するにレーダーの様なものだ。
『把握』出来る範囲や、精度には個人差がある。
<ヽ`∀b´>「…………。」
ニダーが右手の人差し指を口にあてがい、左手で周りを制す。
俗に言う、静かにしろ。というポーズだ。
<ヽ`∀´>「ウリの『把握』は完璧じゃ無いニダ。ここまで接近されるとは。北の空に、小鳥が三羽。」
( ゚∋゚)「東の連中だな。西にしては早すぎる。」
クックルが腰を上げ、屈伸を始める。長時間座していたからか、関節がパキパキと音を立てている。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:17:28.34 ID:BBBboWiIO
暫く思案した後、諦めた様な声でハインが溢した。
从 ゚∀从「気付かれたんなら小細工無しでいっちゃう?」
ハインの言葉に他の二人が頷くと、彼女の目が淡い赤色に変化する。
そしてミルナを一番近い山の頂上へ着陸させ、一気に加速、ニダーの待ち構える岩山を、満月の光が照らす空から見下ろす。
从 ゚∀从「烏どうしのいざこざなんてさ、滅多に無いじゃん。」
誰に言うでも無く、小さく呟いた。
( ゚∀゚)「スイッチ入ったか?」
ハインの独り言は隣の男に届いていた様で、ジョルジュが嬉しそうに返す。
从 ゚∀从「今話し掛けないでよ。」
冷たく言い放った。
先程までのどこか飄々とした雰囲気が消えた。頼り無かった瞳が殺気に満ちている。
( ゚∀゚)「鬼姫、か…。」
鬼姫。ハインの烏としての二つ名だ。
柔らかな印象からは想像出来ないが、実は東の烏の中でも最も血の気が多く、好戦的な彼女にふさわしい名だ。
そんなハインの通称をジョルジュが呟くと同時、二人はニダー達の元へ急降下する。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:19:32.22 ID:BBBboWiIO
<ヽ`∀´>「ハインか。」
無表情で吐き捨てると、ニダーは部下にツンを下げさせ、両掌を侵入者へ向ける。
从 ゚∀从「『風壁』か。ジョルジュ、頑張りなね!」
( ゚∀゚)「よっしゃ!」
ハインが右腕を振り降ろすと、ジョルジュの落下が勢いを増した。
文字通り『風の壁』に飛び込むジョルジュ。ニダーの上空五メートルにぼんやりと空気の膜が視認出来る。
(#゚∀゚)「っらぁあぁあっ!!!」
ジョルジュの拳が自然で造られた壁に突き刺さる。
何も無い場所への手応え。その先には瞳を真っ赤に染め、踏み堪えるニダー。
<ヽ`∀´>「ニダニダニダニダニダニダ!!」
从 ゚∀从「もうちょい!!」
ハインの右手に力が入る。ジョルジュへの荷重が更に増し、風壁に僅かな亀裂が入った。
(#゚∀゚)「んなくそぉ!!!」
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:23:23.12 ID:BBBboWiIO
再びジョルジュが気合いの叫びを轟かせる。
ドウッ
血の滲んだ拳が『風壁』を破り、壁を築いていた風が轟音と共に拡散した。
( ゚∋゚)「……射て。」
クックルの号令を受け、ニダーの部下が転がり落ちたジョルジュに照準を合わせる。
( ゚∀゚)「ちっ!」
舌打ちする彼に周囲から向けられる、十数の殺意。
次の瞬間、
从 ゚∀从「させないよ!」
ジョルジュの前に降り立ったハインが腕を右から薙ぎ払い、弓を構えた野盗を吹き飛ばして行く。
<ヽ`∀´>「それはこっちのセリフニダ。」
側面からニダーがハインへ衝撃波を飛ばす。
从 ゚∀从「こんにゃろ!『風壁』!」
ハインが防御に手を取られた隙に、残りの弓矢兵がハインとジョルジュへ向け矢を放った。
二人に迫る、無数の刃。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:26:09.62 ID:BBBboWiIO
――沈黙。
( ゚∋゚)「…………。」
クックルが北の山頂を見据えた。
結論から言うと、二人は全くの無傷だった。野盗達から放たれた倍の数の矢が、両陣の間に点々と転がっている。
( ゚д゚ )「…………。」
弓の名手、ミルナだ。無言のまま背中から数本の矢を取り出し、呼吸を止め、再び構える。
( ゚∋゚)「…来た!」
クックルの声に周囲が反応したと同時、無数の矢が雨の様にニダー達へ降り注ぐ。
<ヽ`∀´>(『風壁』が間に合わんニダ!)
ニダーは大きく後ろへ跳躍、そのまま飛翔した。
その下ではクックルが迫り来る矢をナイフで弾いている。
が、殆どの野盗は次々と襲いかかる兇刃に成す術も無く、倒れていく。
( ゚∀゚)「よし、鬼姫!ニダーは任せるぜ!」
物騒な雨が降り止み、ジョルジュが残った野盗めがけて飛び出す。
从 ゚∀从「了解!!殺す!きっちり殺るぞー!」
ジョルジュの言葉に、明るい声に似合わぬ恐ろしい叫びをあげ、ハインが飛んだ。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:27:07.44 ID:8tVoEkhu0
し
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:27:34.77 ID:BBBboWiIO
ミルナの矢に倒れた敵を踏み越え、残り僅かとなった野盗と対峙するジョルジュ。
( ゚∀゚)「…と、その前に、と。」
戦闘の構えをとったまま辺りを見渡す。
向かい合う十数の敵の奥、山の端に町娘を抱えた男が見えた。
( ゚∀゚)「格好があれだが、ま、フェイントって事ぁ無えだろ。」
ターゲットを確認すると、今一度周囲の敵を睨みつける。
( ゚∀゚)「痛い様にするからよ、根性ある奴から来な。」
ジョルジュの挑発に熱くなった野盗が、三方から飛び掛かる。
左から振り降ろされ、右から薙払われ、そして前方から突き出される刄。
( ゚∀゚)「いよっ!」
前方からの突きを右足の踵で払う。
「うぐあっ!」
軸のぶれてしまった刃先が右手の男を貫いた。
上がったままの右足で左側の男の頬に回し蹴りを見舞うと、その勢いで残った一人に左後ろ回し蹴りを放つ。
自らの手で仲間を突き刺し、動揺した男にジョルジュの蹴りは見えなかった。
顎が砕け、叫ぶ事も出来ずに崩れ落ちる。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:29:30.29 ID:BBBboWiIO
( ゚∀゚)「西の連中てなぁ、なってねーな。突くんなら縦じゃなくて横だ。骨に当たって貫けねえかもしれねえだろ。他の奴も大振り過ぎなんだよ。薪でも割んのか。」
息ひとつ乱さずに、倒れた相手に言い放った。もっとも聞こえてはいないが。
不敵な笑みで残った敵を見渡す。
( ゚∀゚)「さてさて、次にレクチャー受けてぇのはどいつだ?」
ジョルジュがじりじりと野盗達に近付く。その上空では二羽の烏が静かに睨み合っていた。
――その頃、ブーン達は。
(;^ω^)「ドクオ!まだかお?先に行ってていいかお!?」
('A`)「ちょ、ちょっと待って!」
(;^ω^)「こんな時に野グソて……。」
('A`)「朝飲んだコーヒーかな……。」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:29:45.50 ID:dUqixO3+O
二話だけ読んでおもしろかったからまとめなくて困ってたんだよな
暇なときにでも読むわ
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:34:00.86 ID:BBBboWiIO
以上で第七話終了です。
>>29 ありがとう。読んでみてください。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:36:56.04 ID:mvs3OmEFO
乙
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/11/01(木) 21:37:37.75 ID:mvs3OmEFO
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
ほんとだ!!!