( ^ω^)ブーンは人体実験の被験者にされたようです

このエントリーをはてなブックマークに追加
1 ◆CnIkSHJTGA

――16時19分 ドルフィンデッキ・ステージ上――



川 ゚ -゚) (……起きないな)

ドルフィンデッキにあるショー用のステージの客席に、クーは息を潜めて隠れていた。
ステージ上で大の字に寝転がっている男に気付かれないよう、ペンライトの明かりは消している。

川 ゚ -゚) (ふう……仕方ない)

いい加減待ちくたびれたらしく、クーは男に近づいていった。
ペンライトをつけて、客席と客席の間の通路を、ステージに向かって真っ直ぐ突き進む。



( ^Д^)「ううん……むにゃZZzz」

川 ゚ -゚) 「……」

ステージに上がり、男の傍まで行くが、それでも男は気付かずすやすやと眠っている。

2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:54:32.02 ID:icneXgTR0
ハップーwww
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:54:47.86 ID:Buh7NvkR0
ハップーw

支援
4 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 21:56:46.42 ID:byF8fiot0


川 ゚ -゚) (……似てる)

クーは男の傍にひざをつき、そっと男の頬に触れた。
子供のような柔肌の弾力が、クーの指先に跳ね返ってくる。



( ^Д^)「……うう……」

川 ゚ -゚) 「……ふふ」



暗闇の中、ペンライトの明かりに照らされた男は、まるで空から振ってきた天使に思えた。

少なくともクーには、そう見えた。

クーはもうしばらく、男を寝かせておくことにした。

5 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 21:57:35.25 ID:byF8fiot0

――16時21分 フィエスタデッキ階段――



ξ;゚听)ξ「……」


ペンライトを持つ手が震え、光が細かく揺れていた。
ツンは足下をペンライトで照らしながら、階段を注意深く上っていた。


フィエスタデッキは各デッキの最下層にあたるので、上りの階段しかない。

まだ自分が船の中だと気がついていないツンは、ここを地下スポーツ施設だと思っていた。
だったら上に上がれば外に出られるだろうという、希望的観測をもって、彼女はゆっくりと階段を上っていた。

6 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 21:58:20.16 ID:byF8fiot0



ξ;゚听)ξ「う……」



突然ツンの体が痙攣し、手に持っていたペンライトを下に落とす。


ξ;゚听)ξ「うう……」


その場で二、三歩よろめいた。
体が倒れそうになるのを、足をふんばってなんとかこらえている。


ξ;゚听)ξ「はあ……やんなっちゃう」


いつものことだ、もう気にしていない、とは思いつつも、やはりツンは不安であった。

気を取り直し、ペンライトを探す。
ペンライトは落ちた拍子にスイッチが切れたらしく、生気を失ったかのように光ることをやめていた。
7 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:01:09.93 ID:byF8fiot0


ξ゚听)ξ「あったあった」


ツンはペンライトを拾い上げた瞬間、ようやく気がついた。


暗闇の中、ペンライトの明かりが消えたのに、何故ペンライトが見えたのか?


答えは彼女の目の前にあった。




ξ;゚听)ξ「え……? きゃああああ!」
(;゚ω゚)「うわああああああ!」




二人の叫び声が重なり、暗闇に絶叫がこだました。
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:01:35.40 ID:4MGLW+2HO
わくてか
9 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:02:45.06 ID:byF8fiot0

――16時22分 バハデッキ――



アロハデッキから降りてきたモナーは、ペンライトをかざし、暗闇の廊下をずんずん進んでいた。
田舎育ちなので、暗いところには慣れていた。


( ´∀`)「……?」


しばらく進んだ後、妙な匂いが漂ってきたことで足を止める。
それがタバコの匂いだと気付いた瞬間、何者かによって後ろから襲われた。


(;´∀`)「うわ!」
???「動くな」


体を倒され、腕を捻られる。
それは鮮やかな手際で、とても素人の技術とは思えなかった。

10 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:03:27.54 ID:byF8fiot0


( ・∀・)「俺が質問をする。三秒以内で答えろ。従わなければ腕を折る」

(;´∀`)「痛い! 痛いモナー!」


限界ぎりぎりまで腕をねじられ、呼吸することさえ困難になっていた。

それを見てモララーは少しだけ腕を緩めたが、モナーは依然耐え難い痛みに襲われている。



( ・∀・)「俺をここに連れてきたのはお前か? 答えろ。三……二……」

(;´∀`)「ひいいいい!」


カウントダウンが始まり、モナーは恐怖で口からよだれを垂らしている。

モララーはいたって冷静に、そして本気で、腕を折ろうとしていた。

11 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:04:07.94 ID:byF8fiot0

( ・∀・)「一……ゼ……」

(;´∀`)「ぼぼぼ、僕も気がついたらここにモナアアアアア!」

( ・∀・)「……」




それを聞いた瞬間、モララーは腕を離し、モナーの上から降りた。

(;´∀`)「ふう……酷いことをするモナ」


解放されたモナーは、傍に落ちていたペンライトを持って立ち上がった。

その時初めてモララーの顔を見たモナーは、彼が自分よりずっと若いことに驚いていた。
モナーは特殊部隊か何かに襲われたものだと思っていたからだ。

12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:04:12.83 ID:wce6Cah10
待ってた支援
13 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:07:02.30 ID:byF8fiot0


( ・∀・)「まあ、俺と同じペンライトを持っていた時点で、大体予想してたがな」

(;´∀`)(じゃあなんで襲ったんだモナ……)


モナーの心の声が聞こえるはずもなく、モララーはあっけらかんとした顔で言った。


( ・∀・)「俺はモララー。あんたは?」

( ´∀`)「……モナーです」


モナーの方がモララーより十七歳も年上だというのに、彼は何故か敬語を使っていた。


( ・∀・)「これで俺一人じゃないってことがわかった。他にも誰かいる可能性が高い。他の階を探すぞ」

( ´∀`)「あ、はい」


最近の若者は怖い、とモナーは思った。

14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:09:44.75 ID:4MGLW+2HO
支援
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:10:27.06 ID:w5BwXUjGO
支援
16 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:10:58.66 ID:byF8fiot0

――16時32分 甲板――



斜めから降り注ぐ日の光を受けながら、彼は甲板を歩き回っていた。
右を向いても、左を向いても、見えるものは海ばかり。


(-_-)「……」


せめて陸が見えていれば、まだ希望がある。
しかしどれだけ目を凝らしても、水平線と空の境界線に囲まれた船に、希望は見いだせない。

底の見えない絶望に飲み込まれそうになった、その時だった。


(;-_-)「……!」

17 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:11:37.50 ID:byF8fiot0

クレーンに繋がれた一隻のボートが、ヒッキーの目に飛び込んできたのだ。

(*-_-)「やった! やった!」

歓喜したヒッキーはボートに駆け寄る。あまりの嬉しさに足がもつれていた。


(;-_-)「……あ」


しかしクレーンに繋がれている以上、クレーンが動かなければボートは出せない。
そしてそのクレーンは、どう考えても電気が通っていなかった。

それでもスイッチをいじくったりレバーを操作したりしてみるが、やはりクレーンは動かない。


(;_;)「うう……あああああ! あああああああ!」


儚い希望は、さらなる絶望を呼び寄せる。ヒッキーの精神は崩壊寸前であった。


いつの間にか、空は夕焼けで赤く染まり始めていた。

18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:11:48.48 ID:QmB3tA1e0
wktk
19 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:13:46.98 ID:byF8fiot0

――16時39分 ドルフィンデッキ・ステージ上――



真っ暗なステージの真ん中で、プギャーはもぞもぞと起き上がった。

( ^Д^)「んん……」

ようやく目を覚ましたプギャーは、目をこすり、大きな伸びをする。


( ^Д^)「ん?」


目を開けているはずなのに、何も見えない。
彼の記憶の中では、ペンライトをつけたまま寝たはずであった。


(;^Д^)「マジかよ……」

20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:14:54.38 ID:4MGLW+2HO
支援
21 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:15:15.09 ID:byF8fiot0

電池の残量が切れたのだと考えた彼は、次第に顔を青ざめさせていった。
唯一の光源であるペンライトが使えなくなったのならば、もはや満足に動くことが出来ない。

胸を焦がすような焦燥が彼を支配してきた、その瞬間。




川 ゚ -゚) 「ばあ」




プギャーの目の前に、突如クーが現れた。


現れた、という表現は少し語弊があるかもしれない。
クーは彼が起きたときも目の前にいて、今彼女がペンライトをつけたことで、その存在が目視出来るようになったのだ。

22 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:17:16.15 ID:byF8fiot0




( ゚Д゚)「ひいいいいいいいい!」



しかしプギャーにしてみれば、驚くのも無理は無い。

目の前に突然、女の顔が浮かび上がれば(しかも光を顎の下から当てているので、顔の陰影がさらに恐怖である)、
叫び声を上げるくらいの反応は当然と言ったところだ。



( ゚Д゚)「ああ、うう、えああぅ……」

川 ゚ -゚) 「落ち着け。深呼吸をしろ」

( ゚Д゚)「すーはー……」


言われるがまま、プギャーは大きく深呼吸をする。
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:17:24.61 ID:4MGLW+2HO
支援
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:18:18.95 ID:gr3JiQj50
>水平線と空の境界線
なんか違和感があるけどスルーして良いかな
25 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:20:00.68 ID:byF8fiot0

川 ゚ -゚) 「驚かせてすまなかった」

(;^Д^)「……あんた誰? なんでここにいるの?」

川 ゚ -゚) 「私はクー。目が覚めたらここにいた。君は?」

( ^Д^)「あ、そうそう。俺も気がついたらここにいたんだ。奇遇だな」


奇遇の使い方に違和感があるが、何はともあれ、二人は同じ境遇であることに、互いに安心感を抱いていた。


( ^Д^)「ここがどこだかわかる?」

川 ゚ -゚) 「船の中だ。さっき客室の窓から、水平線を見てきたよ」

(*^Д^)「ま、マジかよ! 俺船初めて乗った! やっべ! 写メとらなきゃ!」

プギャーはごそごそとポケットを探り始めるが、携帯が無いことを思いだし、肩を落とした。


川 ゚ -゚) (こいつ、馬鹿だな)

プギャーの第一印象は、あまり良くない結果に落ち着いた。
26 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:21:15.58 ID:byF8fiot0

川 ゚ -゚) 「私はクー。君の名前は?」

( ^Д^)「ロックンローラー、プギャーだ!」

川 ゚ -゚) 「ロックくん、他に人がいるかもしれない。今から探しにいこう」

(;^Д^)「あ、えっと、プギャー。俺の名前、プギャー……」

川 ゚ -゚) 「知ってる。冗談だ。真に受けるな」

( ^Д^)(……かわいいのは顔だけだな)


この短時間で、二人ともお互いの性質を理解したようであった。


川 ゚ -゚) 「とりあえず甲板を目指そう。さっき階段を見つけ……」

クーがそこまで言ったとき、プギャーが言葉を遮った。

27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:22:17.65 ID:gr3JiQj50
ロックくんwwwwwwww
28 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:22:43.10 ID:byF8fiot0


(;^Д^)「ちょ、ちょっと待て。あれを……」


プギャーが指さした先で、暗闇の中でゆらゆらとうごめく光が、空中を漂っていた。
それがペンライトの光だと気付くのに、数秒もかからなかった。



( ゚∋゚)「おーい!」



笑顔で手を振りながら走り寄ってくる姿は、見た目の雰囲気と違っていて、妙に滑稽だった。

格闘家といえど、一人ぼっちで暗闇の中にいるのは、精神的に辛いものがあったのだ。

29 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:24:05.76 ID:byF8fiot0

――16時42分 プラザデッキ――



(`・ω・´)「あの叫び声は化け物かと思ったね。いやね、普段はこんな夢見がちなことなんて思わないんだけどさ」

(`・ω・´)「ま、状況が状況だしね。君たちがいて良かったよ。いい加減一人は心細いと思ってたし」

(`・ω・´)「君たちも目が覚めたらこの船の中だったんだろ? びっくりだよね。最初船だとは気付かなかったよ」



( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「……」

ホールのソファーに座っている三人。
ブーンとツンの対面にシャキンが座っている形で、間にあるテーブルには、ペンライトが蝋燭のように立てられていた。

30 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:24:49.06 ID:byF8fiot0

ブーンとツンは、階段で出会ったところから二人で行動を始めた。
第一印象はこうだ。



(*^ω^)「可愛い子だお」
ξ゚听)ξ「さえない奴ね」



まあそれはいいとして、彼らはあの後プラザデッキに上がり、デッキ内を探索していた。

客室の窓から見える景色を見て、初めて彼らは船の中だということを知ったのだ。



その後、ロビーのカウンターの下で縮こまって震えていたシャキンを発見し、今に至るというわけである。

31 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:26:02.27 ID:byF8fiot0

自己紹介をすませた後から、シャキンはずっと喋りっぱなしであった。

ツンとブーンが自分よりずっと年下であるということが、彼から遠慮という文字を消していた。



(`・ω・´)「いい加減早く帰らないと、仕事がたまりそうで怖いよ。あ、私は公務員をやっててね」

(`・ω・´)「いやあ、公務員ってのは中々辛い仕事だね。来る奴来る奴にぺこぺこ頭を下げて……会社員と変わら」

ξ゚听)ξ「あの、シャキンさん」



ずっと黙っていたツンも、いい加減頭にきているらしく、刺々しい口調で話を遮る。

ツンが何故機嫌を悪くしているのか、シャキンはわかっていない様子であった。

きっとこんな状況だから気が立っているのだろう、とシャキンは勝手に決めつけた。

32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:27:42.81 ID:gr3JiQj50
支援
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:27:48.99 ID:4MGLW+2HO
支援
34 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:28:56.91 ID:byF8fiot0

ξ゚听)ξ「ペンライトの電池も限りがあるし、他に誰かいるかもしれないから、探しに行きません?」

( ^ω^)「賛成だお。大賛成だお」

(`・ω・´)「そうだね。まだ僕たち以外にも誰かいる可能性があるからね」


シャキンはソファーから立ち上がり、テーブルの上に立てていたペンライトを手に持った。

(`・ω・´)「さあ行こう」

先導したいらしく、二人を残してさっさと先に歩いてしまう。

ブーンたちは電池の節約の為に、ペンライトを消しているので、シャキンが先に行ってしまっては暗くて困る。
二人は顔を見合わせ、同時にため息をついた後、シャキンのもとへ急いだ。
35 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:29:47.21 ID:byF8fiot0

――16時49分 カリブデッキ――



モララーたちはリドデッキを探索した後、甲板に出ることはせず、バハデッキの下の階の、カリブデッキにやってきた。



( ・∀・)「……」


( ´∀`)「……なんか綺麗モナ」



カリブデッキは、先刻クックルがやった功績により、ほとんどのドアが開かれた状態になっている。

客室の窓から差し込む夕日がドアを抜け、廊下を照らしていた。

36 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:30:26.28 ID:byF8fiot0


( ・∀・)「お前がやったのか?」

( ´∀`)「違うモナー」

( ・∀・)「やっぱり他に誰かいるらしいな。下の階に行くぞ」

( ´∀`)「客室は調べないモナ?」

( ・∀・)「時間が無い。誰かいるなら、早く合流したい」

( ´∀`)「?」



モララーの言う時間が無い、の意味を、モナーは今ひとつ理解していなかった。

そう、時間はもうあまりないのだ。

この夕日が沈んだとき、真の暗闇が、この船を覆うのだから。


37 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:32:43.26 ID:byF8fiot0

――16時51分 ドルフィンデッキ・階段前――



三人になったクー、プギャー、クックルは、ドルフィンデッキの階段前で言い争いをしていた。


川 ゚ -゚) 「甲板に出るべきだろう。脱出路があるとすれば、そこしかない」

( ゚∋゚)「いや、まだ下に誰かいる可能性がある。探し終わってからで良いだろう」

( ^Д^)「どっかの客室で休んでいかね? 俺疲れちった」


三人の意見はばらばらで、階段前から動けないでいた。


( ゚∋゚)「ふん、探す気が無いのなら、俺一人で探しに行く」


あまり辛抱強い方ではないクックルは、一人で下に降りようとする。

川 ゚ -゚) 「待て大馬鹿。この広い船内ではぐれたら、面倒なことになる。別行動は避けるべきだ」
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:33:07.56 ID:4MGLW+2HO
支援
39 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:34:26.87 ID:byF8fiot0

馬鹿、という言葉に、クックルはおおいに反応を示した。
ただでさえきつい目つきを、さらに鋭くし、クーへの敵意を露わにする。


(#゚∋゚)「お前に指図される筋合いはねえよ、ブス」

川 ゚ -゚) 「………………」


クックルの罵倒の言葉に、クーの周りの気温が数度下がったようであった。
冷静に振る舞ってはいるが、瞳の中に高熱度の怒りが見え隠れする。

(;^Д^)「お、落ち着けよお前ら! 喧嘩してもいいことないぜ! じゃ、じゃあ景気づけに俺の歌でも聴けよ」


にらみ合いを続ける二人の横で、流行のポップ歌手の歌を歌い始めたプギャー。
それが逆に、二人の怒りをヒートアップさせたようである。

川 ゚ -゚) 「お前は」
( ゚∋゚)「黙ってろ」

( ^Д^)「……」

本当は仲が良いのではないかと、プギャーは思った。
40 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:35:47.15 ID:byF8fiot0

( ゚∋゚)「誰がなんと言おうと、俺は……」

川 ゚ -゚) 「いや、待て……」


人差し指を唇にあてて、静かに、のポーズを取るクー。

耳をすましてみると、階段の上から足音が聞こえてきた。


やがて階段の踊り場に光があたり、ゆっくりと横にずれてくる。

手すりの影から現れたモララーは、クーたちを見ても特に驚くことはせず、

( ・∀・)「やっほー」

と軽く手を挙げ、まるで待ち合わせていた友人と出会ったかのように、極めて自然体で三人の前に現れた。


( ´∀`)「ひ、人モナ!」

だからなのか、モララーの後ろからついてきたモナーが、大げさに反応したことで、クーたちはほっとした。

41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:38:31.60 ID:4MGLW+2HO
支援
42 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:38:35.97 ID:byF8fiot0

――17時07分 プロムナードデッキ・カフェ――



プロムナードデッキは、サンデッキやフィエスタデッキと同じく、客室のないデッキである。
ただ二つのデッキと違い、ここはかなり広く、カフェや小ステージ(ドルフィンデッキのステージより小さいが、十分広い)、
映画館、売店などが建ち並び、フロア全体がレジャー施設となっている。


そのプロムナードデッキのカフェの一席で、ブーンたちは休憩をしていた。
というのも、ツンが休憩したいと言い出したので、それにブーンとシャキンが付き合っている図式だ。



( ^ω^)「僕と同い年の癖に、体力なさ過ぎだお」

(`・ω・´)「そうだね。若いのにそんなに体力無いなんて。働き出したらもっと大変だよ? 残業やら出張やら……」



ツンはぐったりとテーブルに突っ伏していて、静かに呼吸している。

43 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:39:50.30 ID:byF8fiot0

ξ 凵@)ξ「体力とか、そんな問題じゃないのよ……」

( ^ω^)「じゃあ、何なんだお?」

ブーンの言葉にツンを責め立てようとしているような響きは無く、質問は単なる好奇心からだった。


ξ 凵@)ξ「心臓が悪いのよ……私」


テーブルに突っ伏したまま、ツンはそっと呟く。
思いがけない言葉に、ブーンは酷く慌てていた。

(;^ω^)「そ、そうだったのかお! ごめんお、急かせたりして」

ξ゚听)ξ「べ、別に、怒ったりとかしてないわよ」

ブーンが過剰に反応したことで、ツンは悪いことをしてしまった気分になった。

(`・ω・´)「なんだ、そんなことか。まあお大事に。心臓は替えがきかないからね」

ξ゚听)ξ「……」


今のツンには、無神経な言葉に腹を立てる余裕も、持ち合わせていなかった。
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:41:22.59 ID:kiXLEX5E0
期待age
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:42:05.55 ID:w5BwXUjGO
支援
46 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:42:24.13 ID:byF8fiot0


( ^ω^)「ツン、安心するお」

ξ゚听)ξ「え、どうしたの?」

( ^ω^)「たぶん、もう人捜しは終わりだお」



そう言って、ブーンはカフェの入り口辺りを指さした。

そこにいたのは、手を振る大男、にやついた顔ではしゃぐ青年、すました顔でこちらを見る女、安堵した顔で微笑む男。



( ・∀・)「みーつけた」


そして、かくれんぼでもしているかのような軽い口調で喋る、ペンライトを持っている男。

47 ◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:43:38.82 ID:byF8fiot0


( ^ω^)「よかったお。これだけいれば心強いお」


二人はまだ知らない。


( ・∀・)「お前ら、下の階から来たんだろ? じゃあ人捜しはひとまず終わりにするか」


二人に待ち受ける、長きに渡る宿命の戦いを。


これから歩むことになる、修羅の道を。



二人はまだ――知らない。



続く
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:44:20.35 ID:kiXLEX5E0
otu
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:44:34.10 ID:4MGLW+2HO
乙!
50 ◆CnIkSHJTGA

まとめ
http://boonnews.blog120.fc2.com/blog-category-48.html


↑ 上
展望台
甲板    ・ヒッキー
サンデッキ
リドデッキ
アロハデッキ      
バハデッキ 
カリブデッキ     
ドルフィンデッキ 
プロムナードデッキ   ・シャキン ツン ブーン プギャー クー クックル モララー モナー
エメラルドデッキ
プラザデッキ     
フィエスタデッキ  
機関室         
↓ 下



今回は起承転結の承部分ですか? 各階の構造はまだまとめてません。
ただリーガル・プリンセスという船をモデルにしてますので、デッキのイメージが沸かない人はググってみるのも有りかも。

質問とかあれば、答えますです。