( ^ω^)ブーンは人体実験の被験者にされたようです
1 :
◆CnIkSHJTGA :
――16時19分 ドルフィンデッキ・ステージ上――
川 ゚ -゚) (……起きないな)
ドルフィンデッキにあるショー用のステージの客席に、クーは息を潜めて隠れていた。
ステージ上で大の字に寝転がっている男に気付かれないよう、ペンライトの明かりは消している。
川 ゚ -゚) (ふう……仕方ない)
いい加減待ちくたびれたらしく、クーは男に近づいていった。
ペンライトをつけて、客席と客席の間の通路を、ステージに向かって真っ直ぐ突き進む。
( ^Д^)「ううん……むにゃZZzz」
川 ゚ -゚) 「……」
ステージに上がり、男の傍まで行くが、それでも男は気付かずすやすやと眠っている。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:54:32.02 ID:icneXgTR0
ハップーwww
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:54:47.86 ID:Buh7NvkR0
ハップーw
支援
4 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 21:56:46.42 ID:byF8fiot0
川 ゚ -゚) (……似てる)
クーは男の傍にひざをつき、そっと男の頬に触れた。
子供のような柔肌の弾力が、クーの指先に跳ね返ってくる。
( ^Д^)「……うう……」
川 ゚ -゚) 「……ふふ」
暗闇の中、ペンライトの明かりに照らされた男は、まるで空から振ってきた天使に思えた。
少なくともクーには、そう見えた。
クーはもうしばらく、男を寝かせておくことにした。
5 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 21:57:35.25 ID:byF8fiot0
――16時21分 フィエスタデッキ階段――
ξ;゚听)ξ「……」
ペンライトを持つ手が震え、光が細かく揺れていた。
ツンは足下をペンライトで照らしながら、階段を注意深く上っていた。
フィエスタデッキは各デッキの最下層にあたるので、上りの階段しかない。
まだ自分が船の中だと気がついていないツンは、ここを地下スポーツ施設だと思っていた。
だったら上に上がれば外に出られるだろうという、希望的観測をもって、彼女はゆっくりと階段を上っていた。
6 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 21:58:20.16 ID:byF8fiot0
ξ;゚听)ξ「う……」
突然ツンの体が痙攣し、手に持っていたペンライトを下に落とす。
ξ;゚听)ξ「うう……」
その場で二、三歩よろめいた。
体が倒れそうになるのを、足をふんばってなんとかこらえている。
ξ;゚听)ξ「はあ……やんなっちゃう」
いつものことだ、もう気にしていない、とは思いつつも、やはりツンは不安であった。
気を取り直し、ペンライトを探す。
ペンライトは落ちた拍子にスイッチが切れたらしく、生気を失ったかのように光ることをやめていた。
7 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:01:09.93 ID:byF8fiot0
ξ゚听)ξ「あったあった」
ツンはペンライトを拾い上げた瞬間、ようやく気がついた。
暗闇の中、ペンライトの明かりが消えたのに、何故ペンライトが見えたのか?
答えは彼女の目の前にあった。
ξ;゚听)ξ「え……? きゃああああ!」
(;゚ω゚)「うわああああああ!」
二人の叫び声が重なり、暗闇に絶叫がこだました。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:01:35.40 ID:4MGLW+2HO
わくてか
9 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:02:45.06 ID:byF8fiot0
――16時22分 バハデッキ――
アロハデッキから降りてきたモナーは、ペンライトをかざし、暗闇の廊下をずんずん進んでいた。
田舎育ちなので、暗いところには慣れていた。
( ´∀`)「……?」
しばらく進んだ後、妙な匂いが漂ってきたことで足を止める。
それがタバコの匂いだと気付いた瞬間、何者かによって後ろから襲われた。
(;´∀`)「うわ!」
???「動くな」
体を倒され、腕を捻られる。
それは鮮やかな手際で、とても素人の技術とは思えなかった。
10 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:03:27.54 ID:byF8fiot0
( ・∀・)「俺が質問をする。三秒以内で答えろ。従わなければ腕を折る」
(;´∀`)「痛い! 痛いモナー!」
限界ぎりぎりまで腕をねじられ、呼吸することさえ困難になっていた。
それを見てモララーは少しだけ腕を緩めたが、モナーは依然耐え難い痛みに襲われている。
( ・∀・)「俺をここに連れてきたのはお前か? 答えろ。三……二……」
(;´∀`)「ひいいいい!」
カウントダウンが始まり、モナーは恐怖で口からよだれを垂らしている。
モララーはいたって冷静に、そして本気で、腕を折ろうとしていた。
11 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:04:07.94 ID:byF8fiot0
( ・∀・)「一……ゼ……」
(;´∀`)「ぼぼぼ、僕も気がついたらここにモナアアアアア!」
( ・∀・)「……」
それを聞いた瞬間、モララーは腕を離し、モナーの上から降りた。
(;´∀`)「ふう……酷いことをするモナ」
解放されたモナーは、傍に落ちていたペンライトを持って立ち上がった。
その時初めてモララーの顔を見たモナーは、彼が自分よりずっと若いことに驚いていた。
モナーは特殊部隊か何かに襲われたものだと思っていたからだ。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:04:12.83 ID:wce6Cah10
待ってた支援
13 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:07:02.30 ID:byF8fiot0
( ・∀・)「まあ、俺と同じペンライトを持っていた時点で、大体予想してたがな」
(;´∀`)(じゃあなんで襲ったんだモナ……)
モナーの心の声が聞こえるはずもなく、モララーはあっけらかんとした顔で言った。
( ・∀・)「俺はモララー。あんたは?」
( ´∀`)「……モナーです」
モナーの方がモララーより十七歳も年上だというのに、彼は何故か敬語を使っていた。
( ・∀・)「これで俺一人じゃないってことがわかった。他にも誰かいる可能性が高い。他の階を探すぞ」
( ´∀`)「あ、はい」
最近の若者は怖い、とモナーは思った。
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:09:44.75 ID:4MGLW+2HO
支援
支援
16 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:10:58.66 ID:byF8fiot0
――16時32分 甲板――
斜めから降り注ぐ日の光を受けながら、彼は甲板を歩き回っていた。
右を向いても、左を向いても、見えるものは海ばかり。
(-_-)「……」
せめて陸が見えていれば、まだ希望がある。
しかしどれだけ目を凝らしても、水平線と空の境界線に囲まれた船に、希望は見いだせない。
底の見えない絶望に飲み込まれそうになった、その時だった。
(;-_-)「……!」
17 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:11:37.50 ID:byF8fiot0
クレーンに繋がれた一隻のボートが、ヒッキーの目に飛び込んできたのだ。
(*-_-)「やった! やった!」
歓喜したヒッキーはボートに駆け寄る。あまりの嬉しさに足がもつれていた。
(;-_-)「……あ」
しかしクレーンに繋がれている以上、クレーンが動かなければボートは出せない。
そしてそのクレーンは、どう考えても電気が通っていなかった。
それでもスイッチをいじくったりレバーを操作したりしてみるが、やはりクレーンは動かない。
(;_;)「うう……あああああ! あああああああ!」
儚い希望は、さらなる絶望を呼び寄せる。ヒッキーの精神は崩壊寸前であった。
いつの間にか、空は夕焼けで赤く染まり始めていた。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:11:48.48 ID:QmB3tA1e0
wktk
19 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:13:46.98 ID:byF8fiot0
――16時39分 ドルフィンデッキ・ステージ上――
真っ暗なステージの真ん中で、プギャーはもぞもぞと起き上がった。
( ^Д^)「んん……」
ようやく目を覚ましたプギャーは、目をこすり、大きな伸びをする。
( ^Д^)「ん?」
目を開けているはずなのに、何も見えない。
彼の記憶の中では、ペンライトをつけたまま寝たはずであった。
(;^Д^)「マジかよ……」
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:14:54.38 ID:4MGLW+2HO
支援
21 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:15:15.09 ID:byF8fiot0
電池の残量が切れたのだと考えた彼は、次第に顔を青ざめさせていった。
唯一の光源であるペンライトが使えなくなったのならば、もはや満足に動くことが出来ない。
胸を焦がすような焦燥が彼を支配してきた、その瞬間。
川 ゚ -゚) 「ばあ」
プギャーの目の前に、突如クーが現れた。
現れた、という表現は少し語弊があるかもしれない。
クーは彼が起きたときも目の前にいて、今彼女がペンライトをつけたことで、その存在が目視出来るようになったのだ。
22 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:17:16.15 ID:byF8fiot0
( ゚Д゚)「ひいいいいいいいい!」
しかしプギャーにしてみれば、驚くのも無理は無い。
目の前に突然、女の顔が浮かび上がれば(しかも光を顎の下から当てているので、顔の陰影がさらに恐怖である)、
叫び声を上げるくらいの反応は当然と言ったところだ。
( ゚Д゚)「ああ、うう、えああぅ……」
川 ゚ -゚) 「落ち着け。深呼吸をしろ」
( ゚Д゚)「すーはー……」
言われるがまま、プギャーは大きく深呼吸をする。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:17:24.61 ID:4MGLW+2HO
支援
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:18:18.95 ID:gr3JiQj50
>水平線と空の境界線
なんか違和感があるけどスルーして良いかな
25 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:20:00.68 ID:byF8fiot0
川 ゚ -゚) 「驚かせてすまなかった」
(;^Д^)「……あんた誰? なんでここにいるの?」
川 ゚ -゚) 「私はクー。目が覚めたらここにいた。君は?」
( ^Д^)「あ、そうそう。俺も気がついたらここにいたんだ。奇遇だな」
奇遇の使い方に違和感があるが、何はともあれ、二人は同じ境遇であることに、互いに安心感を抱いていた。
( ^Д^)「ここがどこだかわかる?」
川 ゚ -゚) 「船の中だ。さっき客室の窓から、水平線を見てきたよ」
(*^Д^)「ま、マジかよ! 俺船初めて乗った! やっべ! 写メとらなきゃ!」
プギャーはごそごそとポケットを探り始めるが、携帯が無いことを思いだし、肩を落とした。
川 ゚ -゚) (こいつ、馬鹿だな)
プギャーの第一印象は、あまり良くない結果に落ち着いた。
26 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:21:15.58 ID:byF8fiot0
川 ゚ -゚) 「私はクー。君の名前は?」
( ^Д^)「ロックンローラー、プギャーだ!」
川 ゚ -゚) 「ロックくん、他に人がいるかもしれない。今から探しにいこう」
(;^Д^)「あ、えっと、プギャー。俺の名前、プギャー……」
川 ゚ -゚) 「知ってる。冗談だ。真に受けるな」
( ^Д^)(……かわいいのは顔だけだな)
この短時間で、二人ともお互いの性質を理解したようであった。
川 ゚ -゚) 「とりあえず甲板を目指そう。さっき階段を見つけ……」
クーがそこまで言ったとき、プギャーが言葉を遮った。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:22:17.65 ID:gr3JiQj50
ロックくんwwwwwwww
28 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:22:43.10 ID:byF8fiot0
(;^Д^)「ちょ、ちょっと待て。あれを……」
プギャーが指さした先で、暗闇の中でゆらゆらとうごめく光が、空中を漂っていた。
それがペンライトの光だと気付くのに、数秒もかからなかった。
( ゚∋゚)「おーい!」
笑顔で手を振りながら走り寄ってくる姿は、見た目の雰囲気と違っていて、妙に滑稽だった。
格闘家といえど、一人ぼっちで暗闇の中にいるのは、精神的に辛いものがあったのだ。
29 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:24:05.76 ID:byF8fiot0
――16時42分 プラザデッキ――
(`・ω・´)「あの叫び声は化け物かと思ったね。いやね、普段はこんな夢見がちなことなんて思わないんだけどさ」
(`・ω・´)「ま、状況が状況だしね。君たちがいて良かったよ。いい加減一人は心細いと思ってたし」
(`・ω・´)「君たちも目が覚めたらこの船の中だったんだろ? びっくりだよね。最初船だとは気付かなかったよ」
( ^ω^)「……」
ξ゚听)ξ「……」
ホールのソファーに座っている三人。
ブーンとツンの対面にシャキンが座っている形で、間にあるテーブルには、ペンライトが蝋燭のように立てられていた。
30 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:24:49.06 ID:byF8fiot0
ブーンとツンは、階段で出会ったところから二人で行動を始めた。
第一印象はこうだ。
(*^ω^)「可愛い子だお」
ξ゚听)ξ「さえない奴ね」
まあそれはいいとして、彼らはあの後プラザデッキに上がり、デッキ内を探索していた。
客室の窓から見える景色を見て、初めて彼らは船の中だということを知ったのだ。
その後、ロビーのカウンターの下で縮こまって震えていたシャキンを発見し、今に至るというわけである。
31 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:26:02.27 ID:byF8fiot0
自己紹介をすませた後から、シャキンはずっと喋りっぱなしであった。
ツンとブーンが自分よりずっと年下であるということが、彼から遠慮という文字を消していた。
(`・ω・´)「いい加減早く帰らないと、仕事がたまりそうで怖いよ。あ、私は公務員をやっててね」
(`・ω・´)「いやあ、公務員ってのは中々辛い仕事だね。来る奴来る奴にぺこぺこ頭を下げて……会社員と変わら」
ξ゚听)ξ「あの、シャキンさん」
ずっと黙っていたツンも、いい加減頭にきているらしく、刺々しい口調で話を遮る。
ツンが何故機嫌を悪くしているのか、シャキンはわかっていない様子であった。
きっとこんな状況だから気が立っているのだろう、とシャキンは勝手に決めつけた。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:27:42.81 ID:gr3JiQj50
支援
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:27:48.99 ID:4MGLW+2HO
支援
34 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:28:56.91 ID:byF8fiot0
ξ゚听)ξ「ペンライトの電池も限りがあるし、他に誰かいるかもしれないから、探しに行きません?」
( ^ω^)「賛成だお。大賛成だお」
(`・ω・´)「そうだね。まだ僕たち以外にも誰かいる可能性があるからね」
シャキンはソファーから立ち上がり、テーブルの上に立てていたペンライトを手に持った。
(`・ω・´)「さあ行こう」
先導したいらしく、二人を残してさっさと先に歩いてしまう。
ブーンたちは電池の節約の為に、ペンライトを消しているので、シャキンが先に行ってしまっては暗くて困る。
二人は顔を見合わせ、同時にため息をついた後、シャキンのもとへ急いだ。
35 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:29:47.21 ID:byF8fiot0
――16時49分 カリブデッキ――
モララーたちはリドデッキを探索した後、甲板に出ることはせず、バハデッキの下の階の、カリブデッキにやってきた。
( ・∀・)「……」
( ´∀`)「……なんか綺麗モナ」
カリブデッキは、先刻クックルがやった功績により、ほとんどのドアが開かれた状態になっている。
客室の窓から差し込む夕日がドアを抜け、廊下を照らしていた。
36 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:30:26.28 ID:byF8fiot0
( ・∀・)「お前がやったのか?」
( ´∀`)「違うモナー」
( ・∀・)「やっぱり他に誰かいるらしいな。下の階に行くぞ」
( ´∀`)「客室は調べないモナ?」
( ・∀・)「時間が無い。誰かいるなら、早く合流したい」
( ´∀`)「?」
モララーの言う時間が無い、の意味を、モナーは今ひとつ理解していなかった。
そう、時間はもうあまりないのだ。
この夕日が沈んだとき、真の暗闇が、この船を覆うのだから。
37 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:32:43.26 ID:byF8fiot0
――16時51分 ドルフィンデッキ・階段前――
三人になったクー、プギャー、クックルは、ドルフィンデッキの階段前で言い争いをしていた。
川 ゚ -゚) 「甲板に出るべきだろう。脱出路があるとすれば、そこしかない」
( ゚∋゚)「いや、まだ下に誰かいる可能性がある。探し終わってからで良いだろう」
( ^Д^)「どっかの客室で休んでいかね? 俺疲れちった」
三人の意見はばらばらで、階段前から動けないでいた。
( ゚∋゚)「ふん、探す気が無いのなら、俺一人で探しに行く」
あまり辛抱強い方ではないクックルは、一人で下に降りようとする。
川 ゚ -゚) 「待て大馬鹿。この広い船内ではぐれたら、面倒なことになる。別行動は避けるべきだ」
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:33:07.56 ID:4MGLW+2HO
支援
39 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:34:26.87 ID:byF8fiot0
馬鹿、という言葉に、クックルはおおいに反応を示した。
ただでさえきつい目つきを、さらに鋭くし、クーへの敵意を露わにする。
(#゚∋゚)「お前に指図される筋合いはねえよ、ブス」
川 ゚ -゚) 「………………」
クックルの罵倒の言葉に、クーの周りの気温が数度下がったようであった。
冷静に振る舞ってはいるが、瞳の中に高熱度の怒りが見え隠れする。
(;^Д^)「お、落ち着けよお前ら! 喧嘩してもいいことないぜ! じゃ、じゃあ景気づけに俺の歌でも聴けよ」
にらみ合いを続ける二人の横で、流行のポップ歌手の歌を歌い始めたプギャー。
それが逆に、二人の怒りをヒートアップさせたようである。
川 ゚ -゚) 「お前は」
( ゚∋゚)「黙ってろ」
( ^Д^)「……」
本当は仲が良いのではないかと、プギャーは思った。
40 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:35:47.15 ID:byF8fiot0
( ゚∋゚)「誰がなんと言おうと、俺は……」
川 ゚ -゚) 「いや、待て……」
人差し指を唇にあてて、静かに、のポーズを取るクー。
耳をすましてみると、階段の上から足音が聞こえてきた。
やがて階段の踊り場に光があたり、ゆっくりと横にずれてくる。
手すりの影から現れたモララーは、クーたちを見ても特に驚くことはせず、
( ・∀・)「やっほー」
と軽く手を挙げ、まるで待ち合わせていた友人と出会ったかのように、極めて自然体で三人の前に現れた。
( ´∀`)「ひ、人モナ!」
だからなのか、モララーの後ろからついてきたモナーが、大げさに反応したことで、クーたちはほっとした。
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:38:31.60 ID:4MGLW+2HO
支援
42 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:38:35.97 ID:byF8fiot0
――17時07分 プロムナードデッキ・カフェ――
プロムナードデッキは、サンデッキやフィエスタデッキと同じく、客室のないデッキである。
ただ二つのデッキと違い、ここはかなり広く、カフェや小ステージ(ドルフィンデッキのステージより小さいが、十分広い)、
映画館、売店などが建ち並び、フロア全体がレジャー施設となっている。
そのプロムナードデッキのカフェの一席で、ブーンたちは休憩をしていた。
というのも、ツンが休憩したいと言い出したので、それにブーンとシャキンが付き合っている図式だ。
( ^ω^)「僕と同い年の癖に、体力なさ過ぎだお」
(`・ω・´)「そうだね。若いのにそんなに体力無いなんて。働き出したらもっと大変だよ? 残業やら出張やら……」
ツンはぐったりとテーブルに突っ伏していて、静かに呼吸している。
43 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:39:50.30 ID:byF8fiot0
ξ 凵@)ξ「体力とか、そんな問題じゃないのよ……」
( ^ω^)「じゃあ、何なんだお?」
ブーンの言葉にツンを責め立てようとしているような響きは無く、質問は単なる好奇心からだった。
ξ 凵@)ξ「心臓が悪いのよ……私」
テーブルに突っ伏したまま、ツンはそっと呟く。
思いがけない言葉に、ブーンは酷く慌てていた。
(;^ω^)「そ、そうだったのかお! ごめんお、急かせたりして」
ξ゚听)ξ「べ、別に、怒ったりとかしてないわよ」
ブーンが過剰に反応したことで、ツンは悪いことをしてしまった気分になった。
(`・ω・´)「なんだ、そんなことか。まあお大事に。心臓は替えがきかないからね」
ξ゚听)ξ「……」
今のツンには、無神経な言葉に腹を立てる余裕も、持ち合わせていなかった。
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:41:22.59 ID:kiXLEX5E0
期待age
支援
46 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:42:24.13 ID:byF8fiot0
( ^ω^)「ツン、安心するお」
ξ゚听)ξ「え、どうしたの?」
( ^ω^)「たぶん、もう人捜しは終わりだお」
そう言って、ブーンはカフェの入り口辺りを指さした。
そこにいたのは、手を振る大男、にやついた顔ではしゃぐ青年、すました顔でこちらを見る女、安堵した顔で微笑む男。
( ・∀・)「みーつけた」
そして、かくれんぼでもしているかのような軽い口調で喋る、ペンライトを持っている男。
47 :
◆CnIkSHJTGA :2007/10/31(水) 22:43:38.82 ID:byF8fiot0
( ^ω^)「よかったお。これだけいれば心強いお」
二人はまだ知らない。
( ・∀・)「お前ら、下の階から来たんだろ? じゃあ人捜しはひとまず終わりにするか」
二人に待ち受ける、長きに渡る宿命の戦いを。
これから歩むことになる、修羅の道を。
二人はまだ――知らない。
続く
otu
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:44:34.10 ID:4MGLW+2HO
乙!
50 :
◆CnIkSHJTGA :
まとめ
http://boonnews.blog120.fc2.com/blog-category-48.html ↑ 上
展望台
甲板 ・ヒッキー
サンデッキ
リドデッキ
アロハデッキ
バハデッキ
カリブデッキ
ドルフィンデッキ
プロムナードデッキ ・シャキン ツン ブーン プギャー クー クックル モララー モナー
エメラルドデッキ
プラザデッキ
フィエスタデッキ
機関室
↓ 下
今回は起承転結の承部分ですか? 各階の構造はまだまとめてません。
ただリーガル・プリンセスという船をモデルにしてますので、デッキのイメージが沸かない人はググってみるのも有りかも。
質問とかあれば、答えますです。