1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
地の文多めです。苦手な方はスルー推奨。
では、いきます
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:21:49.31 ID:bt2JLNjc0
プロローグ
人はなにを感じて生き続け、ときになにを思い過去を振り返るのか。
そんなことを考えるのは、心理研究家達に任せておけばいい。
僕はただそれを受け止めればいいのだ。
僕の住処である、「バーボン・ハウス」とともに。
悩みや苦しみがあれば、是非ここに立ち寄ってほしい。
僕で良ければ、話を聞きますから。
あなたを迎えるときは必ずこう言うでしょう。
ようこそ、バーボン・ハウスへ。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:24:36.80 ID:bt2JLNjc0
( ^ω^)ブーン編
ふぅ、と溜め息をつく。すると、それは白い吐息に変わる。
ニ〇〇七年も残り僅かになり、最近ではコート無しには出歩くことはできない。
全く、冬なんて無くなればいいのに。
人々は自然と家に篭るようになる季節。僕は一人繁華街を歩いていた。
色とりどりのネオンが光を放ち、夜の繁華街は本来の活動を始める。
僕はそんな煌びやかな光を好まない。夜の世界と冬という季節は、僕の性に合わないのだ。
僕はそれらから逃げるように、野良猫の巣窟である暗い路地裏へと逃げ込む。
そして見つけた。「バーボン・ハウス」の看板を。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:26:49.44 ID:wce6Cah10
支援
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:27:39.75 ID:bt2JLNjc0
「バーボン・ハウス」の看板はネオン装飾されているのだが、全くその機能を果たしていない。
この暗く陰湿とした通りに構えるこの店。一体、どこの物好きが入るというのだろうか。
そのとき、ザッという足音が聞こえた。
人の気配を感じてか、店の周りでうろついていた野良猫たちも散り散りになる。
(´・ω・`) 「……きっと君くらいだろうね」
(;^ω^) 「おっ!?」
(´・ω・`) 「気づかないうちに独り言として出てるようじゃ、危ないね」
( ^ω^) 「……」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:29:30.12 ID:bt2JLNjc0
「バーボン・ハウス」の店主、ショボン。
彼は大学からの付き合いで、今でもたまに一緒に飲んだりする。もちろんこの「バーボン・ハウス」で。
愚痴をこぼしたり、互いの近況報告をしたり、喜びを肴に盃をかわしたり。
いつだって、「バーボン・ハウス」は僕を温かく迎えてくれるんだ。
ショボンに促され、僕は店内へと足を踏み入れる。
そこにはかつてと変わらない「バーボン・ハウス」があった。
僕はそんな些細な嬉しさを噛み締め、カウンター席へと腰を落ち着ける。
( ^ω^) 「変わらないって、素晴らしいことだおね」
(´・ω・`) 「……注文は?」
( ^ω^) 「チューハイを一つ」
(´・ω・`) 「ここはバーなんだけどね」
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:31:58.81 ID:bt2JLNjc0
いつの間にか、カウンター越しにショボンがいた。
彼は食器棚からグラスを取り出し、準備に取り掛かる。
(´・ω・`) 「最近はどうだい?」
( ^ω^) 「まあ、ボチボチってところだお」
(´・ω・`) 「嫁さんが亡くなってからもう二年だもんね。そろそろ育児にも慣れたかな?」
( ^ω^) 「……ボチボチだお」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:32:39.48 ID:SK7C2+5CO
支援
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:33:46.01 ID:wce6Cah10
これつまんねーな
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:34:01.57 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「そういえばさ、ドクオが大学病院の勤務に移ったらしいよ」
( ^ω^) 「そんなの前から知ってるお」
(´・ω・`) 「そうか。今度娘さんの顔を見たいな。そういえば、一度も娘さんの話を聞いたことはなかったね」
( ^ω^) 「そうだったけかお? じゃあ、今日は恥ずかしながら娘の話でもするかお」
一通りの雑談を終えて、ショボンがカウンターテーブルにチューハイを置く。
僕はそれを口のところへ持っていき、軽く流し込む。深い、溜め息。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:34:40.62 ID:wce6Cah10
スイーツ(笑)
頑張って小説風にしたが、地の文のレベルはカス。出直せ
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:36:05.63 ID:bt2JLNjc0
( ^ω^) 「……」
(´・ω・`) 「……」
ショボンはバーを経営してるだけあって、聞き手の極意を心得ている。
僕に先を促したりはしない。僕はそれを知っているから、しばらく過去の思い出を振り返っていた。
( ^ω^) (ツンと出会ったのは十年前だったかお……)
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:36:48.59 ID:SK7C2+5CO
支援
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:38:12.79 ID:bt2JLNjc0
今でも思い出せる。初めて見たツンの顔を。
衝撃的だった。それほどツンは美しかった。
それからというもの、僕の懸命なアピールもあってツンとの交際が始まった。
今思うと奇跡かもしれない。こんな優柔不断で頼りない僕に、ツンがついてきてくれたことが。
僕らは二年の付き合いを経て、結婚した。
ウエディングドレスを着たツンは、この世のものとは思えないほど美しかった。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:38:39.27 ID:wce6Cah10
スイーツ(笑)
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:39:34.20 ID:VXOfvIAf0
?エ
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:40:23.93 ID:bt2JLNjc0
翌年、ツンとの間に女の子を授かった。
すごく嬉しかった。初めて見たわが子の顔は、本当に可愛らしかった。
「かわいい子には、旅させろ」という諺もあるが、僕は決してこの子を手放さないと誓った。
そしてその四年後、ツンが死んだ。
突然の交通事故だった。一緒に乗っていた娘を守って、ツンは死んだ。
今でも印象に残っている娘の言葉。
「ママは、笑ってたよ」
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:42:47.40 ID:bt2JLNjc0
( ^ω^) (あれから二年……本当に長かったお)
(´・ω・`) 「……おかわりはいるかい?」
気づけば、グラスの中は空になっていた。
僕はショボンの気遣いを丁重に断る。今夜はあまり飲む気分ではない。
( ^ω^) 「娘は……ツンと一緒で色んなことが出来る子だお」
(´・ω・`) 「やっぱ女の子かな。たとえば、どんなことをするんだい?」
( ^ω^) 「今年の春小学生になってからは、詩を書いたりするんだお!」
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:43:55.16 ID:SK7C2+5CO
しえ
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:44:54.65 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「へぇ……」
( ^ω^) 「丁度持ってきたんだお! 見るかお?」
僕はショボンの返事など待たず、腰のポーチから一冊のノートを取り出す。
表紙にはこう書いてある。丁寧な字で「2007年」と。僕が書いたものだ。
(´・ω・`) 「……読ませてもらおうかな」
ショボンはそう言い、表紙をめくる。
僕は中身を見ずとも、復唱することができる。何度読み返したことか。
僕は今一度、その内容を思い出す。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:47:01.60 ID:bt2JLNjc0
にせんななねん はる
わたしはしょうがくせいになった。
はるはあたたかいです。
はるは、とてもふんわりしています。
はるは、ゆめがいっぱいでてきます。
わたしは、め、というじがあまりうまくかけません。
いまはせんせいにかいてもらいました。
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:48:09.17 ID:5Eq7bRni0
すいません、もう勘弁してください
みてるだけでキツいっす
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:49:10.25 ID:bt2JLNjc0
ショボンがノートから顔をあげる。
そして、僕の顔を見やり、口元だけ微笑ませる。
(´・ω・`) 「字はあまり綺麗じゃないけどね。なかなか詩の才能あるんじゃないか?」
( ^ω^) 「だお!? ひらがなを書けるようになるまでに、二年間も頑張ったんだお!」
(´・ω・`) 「……長いよ」
そこでショボンは、「トイレ」と言って席を外した。
一人取り残された僕は、空になったグラスを見つめながら感傷に浸ることにした。
( ^ω^) (春……ツンと出会った季節だお)
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:49:57.51 ID:wce6Cah10
ダメだスイーツ過ぎる。
新ジャンル出身?
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:50:02.06 ID:5Eq7bRni0
地の文多いだけならいいがヘタすぎなんだよ
話も幼稚だし、モバゲーでやれよ粕
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:51:07.44 ID:bt2JLNjc0
一九九七年の春、僕は地元の三流大学へと進学した。
地元の大学ながら、ここへ進学した地元民は僕だけで、僕はこの大学生活に不安を抱えていた。
( ^ω^) (あー……。誰か知ってる人いないかお?)
( ^ω^) (……お?)
ξ゚听)ξ 「……」
(*゜ω゜) 「……!!」
そんなとき、出会ったのがツンだった。
透き通るような白い肌。クルクルとパーマのかかった栗色の髪。
そしてその可憐で美しい顔立ちに、僕は一瞬でノックアウトされたのだった。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:51:52.06 ID:SK7C2+5CO
支援
29 :
1:2007/10/31(水) 19:52:17.51 ID:5Eq7bRni0
お母さんがもうパソコンやめて宿題しなさいと僕に言ったのでもうやめます。
保守よろしく
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:53:11.12 ID:bt2JLNjc0
( ^ω^) 「ツーン!!今、暇かおー??」
ξ゚听)ξ 「……」
(*゚ー゚) 「また来たわよ、あいつ」
それからというものの、僕は必死にアピールを続けた。
彼女はいつも迷惑そうな表情をしていたが、必ず挨拶だけは返してくれた。
それが、ツンと出会った春。
31 :
1:2007/10/31(水) 19:53:55.55 ID:5Eq7bRni0
掛け算むずかしいな
6の段が苦手です。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:55:07.99 ID:bt2JLNjc0
( ^ω^) (今思うと、やっぱり嫌われてたんだお)
(´・ω・`) 「やあ、待たせたね」
気がつくと、目の前でショボンがハンカチで手を拭いていた。
いつ現れるか気づかないから、なかなか油断はできない。
僕は空のグラスに指を突っ込みながら、ショボンに疑問をぶつける。
( ^ω^) 「ショボン、僕って最初のころツンに嫌われたかお?」
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:55:35.29 ID:7p0UMRqm0
掛け算の鬼門は7の段だろ・・・常考・・・
34 :
1:2007/10/31(水) 19:55:44.38 ID:5Eq7bRni0
おい、なんで勝手に続きかいてんだ
つぶすぞ粕
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:56:33.06 ID:wce6Cah10
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:57:12.92 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「うん、そうだね」
はっきり言われると傷つく。
だが、自分も薄々感づいていただけに、ある種懐かしい感情も湧いてきた。
( ^ω^) 「今思えば、ツンと結婚までできたのはショボンのお陰だお!」
(´・ω・`) 「そう言ってくれるとありがたいよ」
( ^ω^) 「感謝してますおー」
(´・ω・`) 「ねえ、ブーン」
( ^ω^) 「お?」
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:57:22.42 ID:uKtC3Nrn0
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:57:52.35 ID:5Eq7bRni0
もういいよ、お前
だれかに読んでもらってるつもりか?
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:58:57.42 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「なんでツンが君の事好きになったか知ってるかい?」
( ^ω^) 「……知らないお」
今まで「バーボン・ハウス」で色んな話をしてきたが、ショボンから話を切り出すのは初めてだった。
そのせいもあってか、僕はその話にすごく興味をそそられた。
ショボンも僕の様子からそれを感じ取ったんだろう、ゆっくりと語りはじめた。
(´・ω・`) 「僕たちとツンがテニスサークルに所属してたころ、一度だけ合宿があったのを覚えてるかい?」
( ^ω^) 「うん」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:58:57.98 ID:SK7C2+5CO
支援
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 19:59:49.69 ID:M7WiIJ2wO
なにこのくそスレ
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:01:09.64 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「そのときツンがお洒落して、ピンクのリボンがついた白い帽子を被ってきたんだ」
( ^ω^) 「そうだったかお?」
(´・ω・`) 「うん。そして、それが風で飛ばされて木に引っかかってね。みんな大笑いしたんだ」
( ^ω^) 「……」
(´・ω・`) 「ツンの顔はすごく赤かったなぁ。……そしたらさ、みんな大笑いしてる中、一人の男が帽子をとろうと木に登り始めたんだ」
( ^ω^) 「ば、馬鹿な男だお」
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:03:18.53 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「そしたらその男、何度も木からずり落ちてねぇ。みんな大笑いだったよ」
(* ^ω^) 「ほ、本当に馬鹿な男だお」
(´・ω・`) 「それから三十分ほどかな、その男はやっと帽子をとることができてね。そして、ツンに向かってこう言ったんだ」
(* ^ω^) 「……ツンには笑顔が似合うお。だから、この帽子を被ってもう一度笑うお」
(´・ω・`) 「……よく覚えてるね」
(* ^ω^) 「……お互いさまだお」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:04:21.84 ID:7RoyTh/tO
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:05:16.97 ID:bt2JLNjc0
自分でも顔が赤くなっているのがわかり、僕はそれを見られたくないから下を向いた。
ショボンは「ふふ」と笑い、再びノートを手に取る。
(´・ω・`) 「そういえば、まだ読んでる途中だったね」
( ^ω^) 「……」
ショボンはさきほど見ていたページから一枚めくり、黙々と読み始めた。
それほど長くない文にも関わらず、ショボンはしっかりと時間をかけて目を通している。
( ^ω^) (そのページは……夏かお)
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:07:09.46 ID:wce6Cah10
sui-tuwarai
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:07:34.62 ID:bt2JLNjc0
にせんななねん なつ
なつは、あつい。
どのくらいあついかというと、もわっとあつい。
だけど、なつはあかるい。
なにがあかるいかというと、まわりのみんながあかるい。
おとうさんも、せんせいも、みんなあかるい。
わたしもあかるいのかな?
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:08:26.03 ID:SK7C2+5CO
紫煙
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:09:43.00 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「字が少し綺麗になっているね。それにしても……ある意味深いね」
( ^ω^) 「……僕でもなかなか読解できないお」
僕がグラスを右手で持て余していると、ショボンがウイスキーのボトルを取り出した。
少しだけならいいか、と僕はグラスを差し出しついでもらう。
グラスを持ち上げ、勢いよく体内に流し込む。体が暖かくなってきた。
(´・ω・`) 「君らが結婚したのも夏だったね」
( ^ω^) 「だお」
(´・ω・`) 「あのときの君は、本当に幸せそうだったよ」
( ^ω^) 「実際、有頂天だったお。裸で踊りだそうかと思ってたくらいだお」
(´・ω・`) 「……」
( ^ω^) 「……」
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:10:13.68 ID:wce6Cah10
スイーツ笑
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:11:44.96 ID:bt2JLNjc0
ニ〇〇〇年の夏、僕は人生最大の正念場を迎えていた。
大学の近所にある喫茶店で、僕はツンと向かい合っていた。
ポケットの中に、あまり高価ではない指輪を握り締めながら。
ξ゚听)ξ 「……」
(;^ω^) 「……」
ξ゚听)ξ 「さっきから黙ってて、どうしたのよ?」
(;^ω^) 「い、いや……」
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:13:34.29 ID:LA8uSmJw0
しえん
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:13:46.80 ID:bt2JLNjc0
僕はこのとき、早くも企業への内定が決まっていた。
周りの自堕落な大学生活につられず、真面目に講義などを受けていたからだろう。
だからこそ、これから始まる新生活をツンと共に過ごしたい。僕は焦っていた。
ξ゚听)ξ 「今日のブーン、変よ?」
( ^ω^) 「……ツン」
このときの胸の高鳴りようは、今ではもう体験できないことだろう。
プロポーズの場所を喫茶店に選んだこと、結婚指輪を箱に入れなかったこと。
それらのことを考えると、僕がどれだけ緊張していたかわかるだろう。
僕は玉砕覚悟で突っ込んだ。
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:15:45.93 ID:7RoyTh/tO
普通、ひらがな書けたら数字くらい書ける
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:15:59.47 ID:bt2JLNjc0
(;^ω^) 「ぼ、僕と結婚してくださいお!!」
ξ゚听)ξ 「……」
(;^ω^) 「……」
ξ*゚ー゚)ξ 「……よろしくお願いします」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:17:01.69 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「ブーン?」
( ^ω^) 「……お」
いつのまにか自分の世界に入っていたらしい。ショボンが怪訝な表情で、ブーンの顔を覗き込んでいる。
最近、こうやって自分の世界に入り込むことが多い。歳をとったせいだろうか。
(´・ω・`) 「続きを読んでもいいかい?」
( ^ω^) 「もちろんだお」
ショボンが再びノートに目を落とす。
次のページには、秋の詩が待ち構えている。
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:18:17.93 ID:SK7C2+5CO
紫煙
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:19:06.63 ID:bt2JLNjc0
にせんななねん あき
あきはわたしがうまれたきせつです。
だから、すきです。
おとうさん、おかあさんとおなじくらいすきです。
あきは、ほわわんとしたきぶんになります。
でも、もうすこしでさむいさむいふゆになります。
そうしたら、あきはいなくなってしまいます。
だからあきはかわいそうです。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:21:10.68 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「へえ、君の娘って秋に生まれたんだ」
( ^ω^) 「……そうだお」
僕は残りのウイスキーを飲み干す。
そう、秋は娘が生まれた季節だ。
今でもありありと覚えている。娘が生まれた、その瞬間を。
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:23:38.40 ID:bt2JLNjc0
ニ〇〇一年、秋。
入社一年目にも関わらず、僕は一生懸命に仕事にとりかかって周りからの信頼を得ていた。
仕事も順調。ツンもお腹に赤ん坊を抱えていて、いつ生まれるかと待ち望む日々。
僕をとりまく全てが、僕を幸せにしてくれていた。
( ^ω^) (……)
その日、僕はパソコンに向かってデスクワークをしていた。
今度あるプレゼンに向けて、大事な資料作りをしなければならなかったのだ。
( ^ω^) (……)
カタカタとキーボードを叩く作業に集中する。
パソコンをいじるのはけっこう得意だったので、進みは軽快だった。
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:25:41.53 ID:5Eq7bRni0
ないわ、これないわ
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:25:49.62 ID:bt2JLNjc0
( ^ω^) (入社して初めての一事……。ぜったい、成功させるお)
所詮、先輩が考えた内容を文字にするだけの仕事だったが、僕にとっては大事な仕事だった。
自分がプレゼンをするわけではないが、資料作りがいかに大事かを先輩に力説されていた。
だから、一瞬たりとも手を抜くわけにはいかなかった。
( ^ω^) (……明日が締め切りかお。今日は残業だお)
時計の針が六時を指したとき、それはやってきた。
僕の上司であるモナー課長が、血相を変えて僕のところにやってきた。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:25:55.27 ID:DNJo+xV3O
まだ始まったばかりだからね。これから面白くなるよ、きっと
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:27:08.23 ID:5Eq7bRni0
むりむり
どうみてもクソ
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:27:53.74 ID:bt2JLNjc0
(;´∀`) 「ブーン君! 大変だモナ!!」
( ^ω^) 「どうしたんですかお?」
(;´∀`) 「君の奥さんが!! 破水が始まったモナ!!」
(;^ω^) 「えっ!?」
突然の出来事に、僕は焦った。
ここは絶対ツンのもとへ向かいたい。だが、ここで早退してしまうと大事な資料が間に合わなくなる。
僕がその場で右往左往していると、普段温厚なモナー課長がいきなり大声をあげた。
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:30:05.66 ID:bt2JLNjc0
(#´∀`) 「資料作りなんて放っておけモナ!! 早く奥さんのところへ向かってあげろモナ!!」
(;^ω^) 「え、でも……」
(#´∀`) 「資料作りなんて任せておくモナ!! だから早く行ってあげなさいモナ!!」
( ^ω^) 「……ありがとうございますお!!」
僕は荷物をまとめ、一目散に病院に向かった。
あとで聞いたところによると、モナー課長は昔出産に立ち会えなかったらしい。
しかも奥さんの体は出産に耐えられず、そのとき死に目に励ましてやれなかったことで心に傷をおっていたとか。
もちろん、今でもモナー課長には感謝している。
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:30:06.37 ID:SK7C2+5CO
支援
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:32:23.28 ID:bt2JLNjc0
結局出産には立ち会えなかった。
しかし、ガラス越しに自分の子供を見たとき、なぜだが自然に涙が出てきたのを覚えている。
すやすやと寝息をたて、幸せそうに眠る我が子。
( ^ω^) 「ツン、すごく可愛かったお」
ξ゚听)ξ 「……そうね」
( ^ω^) 「あの子は、僕らの宝物だお」
ξ゚听)ξ 「……ええ」
そのとき、僕は誓った。
僕は決してこの子を手放さない、と。
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:32:38.95 ID:MNqnzj0j0
支援
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:34:15.02 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「……ハンカチ貸そうか?」
( ;ω;) 「……お?」
気づけば、自然と涙が出ていた。
情けない姿を見られたな、と思いながらも、僕はショボンからハンカチを拝借する。
涙を拭いたあとで気づいた。このハンカチ、さっきトイレのあとに使っていたやつだと。
(;^ω^) 「……」
(´・ω・`) 「う〜ん」
ショボンが首を捻っていた。
春、夏、秋の詩が書かれた頁を何度も捲っては、再び首を捻る。
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:36:44.48 ID:bt2JLNjc0
( ^ω^) 「……どうかしたのかお?」
(´・ω・`) 「いや、なんかこの詩、変だと思ってさ」
( ^ω^) 「……」
(´・ω・`) 「別に悪いといってるわけじゃないよ。ただ、なんかこう……子供らしからぬものというか」
( ^ω^) 「……」
僕は再び空になったグラスを見つめる。
自分の顔が歪んで映っている。それを見つめていると、段々と不思議な気持ちになっていく。
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:38:32.45 ID:bt2JLNjc0
( ^ω^) 「もう冬だおね」
(´・ω・`) 「ん……ああ」
( ^ω^) 「ツンが死んだのも……冬だったお」
(´・ω・`) 「……そうだね」
「バーボン・ハウス」内の温度が、急激に下がる。
冬ということを意識しただけで、これほど肌寒く感じるものだろうか。
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:40:41.37 ID:bt2JLNjc0
僕とショボンの間に、気まずい沈黙が流れる。
それでいい。それでこそ、ツンへの哀悼の意を送ることができる。
( ^ω^) (ツン……)
あの悲しい出来事があったのは、師走も間近で忙しい時期だった。
あのときのことは、いつ思い出しても胸が痛む。
僕は全ての思いを吐き出すように、ショボンに語り始めた。
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:41:11.92 ID:SK7C2+5CO
紫煙
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:42:22.37 ID:7RoyTh/tO
わー
おもしろーい
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:43:32.96 ID:bt2JLNjc0
ニ○○五年、冬。
娘ももう四歳になり、ひらがな程度の読み書きならできるようになっていた。
そして僕はより一層、仕事に家庭にと精を出していた。
( ^ω^) 「ふー……。お、珍しく定刻だお」
その日の分の仕事を終え、時計を見てみるとまだ五時だった。
ひさしぶりに早く帰ってやれる、と僕は嬉しくなる。
そんな気持ちのせいか、僕は珍しく帰りに、家の近所の商店街に寄った。
ツンの好きなメロンを買っていって驚かしてやろう、と子供じみた心が働いたのである。
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:46:36.07 ID:bt2JLNjc0
僕は青果店で、季節はずれのメロンを購入した。
そしてウキウキ気分で帰路についていると、自分の家の近所で人だかりができているのに気づいた。
( ^ω^) 「……お?」
段々と近づいていく。
人だかりの近くにバンパーが滅茶苦茶になったトラックがあるのを見ると、恐らく交通事故だろう。
僕はあまり野次馬のような行為が好きではなかったので、そのまま素通りしようとした。
しかし自分の家の近所ということもあり、なにか言い知れぬ不安に襲われ、その群集の輪に入ることにした。
「お気の毒にねぇ」 「……さんの奥さんでしょ?」
そんな傍観者たちの言葉を聞きながら、僕は人ごみを掻き分けていく。
本当なら、この後僕も傍観者として哀悼の意を送っていたことだろう。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:48:35.83 ID:bt2JLNjc0
前に進むにつれ、段々とその事故現場が見えてくる。
バンバーの滅茶苦茶になったトラックとは別に、半分ペシャンコになっている真っ赤な軽自動車が見えた。
そこで僕は再び不安を覚える。
つい最近免許をとったツンが、つい最近購入した軽自動車とそのスクラップが酷似していたからである。
(;^ω^) (……ツン)
そうであってほしくない。いや、そうであるはずがない。
そう思ってるはずなのに、僕の心臓の鼓動はどんどん速度をあげていく。
そのときだ、聞き覚えのある子供の泣き声が聞こえた。
( ^ω^) (……!!)
群集をかきわけて確認したのは、数人の大人に囲まれながらスクラップの近くで泣き叫ぶ我が子だった。
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:50:45.89 ID:SK7C2+5CO
支援
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:50:46.89 ID:bt2JLNjc0
(;^ω^) 「すいません!!」
「……パパ!?」
娘も僕に気づいた。だが、決してその場を動こうとはしない。
僕は急いで娘に駆け寄り、頭をなでてあげる。
そして、急いで状況整理を整理をする。
自分の家の車に酷似したスクラップ。
そしてその側で泣いていた我が子。
そしていつも娘と離れることはなかったツン。
……信じられなかった。
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:52:49.38 ID:bt2JLNjc0
(;^ω^) 「ママは! ママはどーしたお!!」
「赤いお車のなか……」
メロンを入れた袋が、手から滑り落ちるのを感じた。
僕の頭はグラッと揺れた。現実逃避するかのように。
薄れ行く意識の中、僕が最後に聞いたのは娘の言葉だった。
「ママは、笑ってたよ」
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:55:01.95 ID:bt2JLNjc0
すっかり冷え切った店内。
ブーンがそれを切り裂くように、言葉を発した。
( ^ω^) 「ツンはなにかを抱きかかえるようにしながら、息絶えていたらしいお」
(´・ω・`) 「……身を挺して、娘さんを守ったんだね」
( ^ω^) 「遺体は、悲惨な姿だったお。あちこちが潰れていたお。でも、顔だけは無事だったんだお」
(´・ω・`) 「……そう」
( ^ω^) 「ツンの顔は歪んでいたお。あの美しいツンの顔が……」
(´・ω・`) (――え?)
再び静まり返る「バーボン・ハウス」。
僕は静かに、冷静に頭の中のもやもやを整理する。
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:56:21.28 ID:SK7C2+5CO
見てるやつ少ないのかな?
支援
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:57:49.84 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) (考えろ、考えるんだ……)
さきほどまで読んでいたノートの違和感、そして今のブーンの発言。
それらが鍵なのだ。なにかがおかしいのだ。
(´・ω・`) (そうだ……)
僕は再びノートを手に取る。
冬だ。冬の詩を見れば、なにかがわかるかもしれない。
頁を捲った。そこには短い詩が、震えた線で書かれていた。
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 20:59:50.56 ID:bt2JLNjc0
め。
やっとかけた。
でもわたしにはわからない。
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:01:53.71 ID:bt2JLNjc0
その瞬間、寒気が走った。
僕は急いで次の頁をめくる。――ない。
(´・ω・`) (冬の詩……。今年の冬の詩が、無い)
それを認識した途端、僕の寒気は一瞬にして鳥肌となり、全身を駆け巡った。
なぜ冬の詩がない。そしてなぜこれほど違和感のある詩なんだ。
僕はその疑問を答えに変える。そして……ブーンを見た。
(´・ω・`) 「ブーン」
( ^ω^) 「……お?」
(´・ω・`) 「君は、光と冬が嫌いだったね?」
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:03:54.57 ID:bt2JLNjc0
( ^ω^) 「……そんなのよく憶えてるおね」
(´・ω・`) 「僕の考えが間違っていなければ……。その理由、やっとわかったよ」
( ^ω^) 「……そうかお」
ブーンはそれを聞くと、「ごちそうさま」と言い席を立った。
僕はブーンを止めなければいけない。そうわかっていながらも、僕の体は動かない。
ブーンが扉に手をかけたとき、やっと出た言葉は本当に伝えたいものではなかった。
(´・ω・`) 「……この詩、さっきから違和感を感じていたんだ」
( ^ω^) 「……」
(´・ω・`) 「でもきっと、君の娘さんは、いい詩人になれる才能を持っているよ」
( ^ω^) 「……ありがとうだお。」
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:05:56.08 ID:bt2JLNjc0
ブーンは例のノートの裏表紙を捲ると、なにかを書き込んだ。
そして「バーボン・ハウス」から出て行った。
きっとブーンの姿は、もう見ることがないだろう。
僕は、さきほどまでブーンが使っていたグラスを叩き割った。
「バーボン・ハウス」に乾いた音が響いた。
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:06:41.45 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`)ショボン編
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:07:22.79 ID:SK7C2+5CO
支援
俺は見てる
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:08:41.41 ID:bt2JLNjc0
静まり返った店内で、僕は一人すすり泣いていた。
かつての旧友の現状を知りながらも、なにもできなかったことに不甲斐なさを感じていた。
(´;ω;`) 「……」
彼がなぜ、ここへ来たのか。
彼はなぜ、過去話を始めたのだろう。
彼はなぜ、例のノートを僕に見せたのだろう。
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:11:10.84 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「……あ」
そのノートが、カウンターテーブルの上にあった。
ブーンは忘れていってしまったのか。それとも、意図的に置いていったのだろうか。
そのノートが語ることはない。
(´・ω・`) 「……ふぅ」
僕はノートをカウンターの下にしまい、一人酒をあおることにした。
他人の過去話を聞くと、不思議と自分も懐かしい気持ちになる。
「バーボン・ハウス」を始めてそろそろ五年の歳月が経過しようとしていた。
その間、色々なことがあった。
ブーン、ツン、ドクオが開店祝いに店の杮落としを手伝ってくれたこと。
そしてそのままドンチャン騒ぎして、店を滅茶苦茶にしていったこと。
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:13:33.52 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) (……ふふ)
そういえば、一度有名人が訪れたこともあった。
そのときは訳ありのようで変装していたが、生で見る芸能人のオーラにはどこか神々しいものがあった。
(´・ω・`) (あとは……)
今思うと、その時期がピークだったかもしれない。
もちろんその後もブーンなどは訪ねてきてくれたし、僕も静かに過ごせることを楽しんだ。
でも、「バーボン・ハウス」は確実に廃れていった。
そろそろ潮時だろうか、僕はグラスを握っていた手を止める。
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:13:58.57 ID:Grj2vV/eO
追いついた
携帯から支援
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:14:44.68 ID:SK7C2+5CO
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:15:35.59 ID:bt2JLNjc0
('A`) 「おいおい、俺だってここは大好きなんだぜ」
(;´・ω・`) 「――ドクオ、なんでいるんだい?」
('A`) 「普通に入ったんだけどよぉ、存在が薄いから気づかれなかったわ」
ドクオは半ば楽しげに、半ば自嘲気味に笑い声をあげる。
彼はいつだってそうだ。自分の存在を蔑むことをよしとしている。
僕はドクオのために、一杯のウイスキーを作ってやる。
手際よくお湯で割り、「どうぞ」とドクオに液体が流し込まれたグラスを差し出す。
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:17:37.17 ID:bt2JLNjc0
ドクオがウイスキーをちびちびと口に運んでいくのを見て、僕の口元はつい綻んでしまう。
ブーンも言っていたが、変わらないということは素晴らしいことなのだ。
('A`) 「……この店閉めるのか?」
(´・ω・`) 「……」
('A`) 「出てたぞ、独り言」
(´・ω・`) 「……参ったな」
ブーンに注意を促した癖に、自分が同じ行為をしてしまうとは。
まだ30代に差し掛かったばかりだというのに、心は老けてしまっているようだ。
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:19:07.85 ID:bt2JLNjc0
長い沈黙。
店内に響くのは、空のグラスでじりじりと液体に変っていき、カランと落ちる氷の音だけ。
その沈黙を先に破ったのは、ドクオだった。
('A`) 「なあ」
(´・ω・`) 「なんだい?」
('A`) 「ブーン、ここに来たろ」
(´・ω・`) 「……すれ違ったのか」
('A`) 「まあ、そんな感じ」
ドクオはグラスを乱暴に掴むと、ガブガブと液体を体に流し込んだ。
一拍おいて、ドクオが苦しそうに咽たのは当然の結果といえよう。
ブーンの話題が出たせいか、僕の疑念に再び火がついた。
そして、それをドクオにぶつける。
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:20:46.52 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「ねえ、ドクオ」
('A`) 「……ん?」
(´・ω・`) 「なんで君たちは、ここへ悩みを打ち明けにくるのかな?」
('A`) 「そりゃあ、ショボンが聞き上手だからさ」
(´・ω・`) 「聞き上手……」
ドクオに言われ、ハッとする。
いつからだろう、僕が「聞き上手」と周囲から認められるようになったのは。
なぜなんだろう、僕が「バーボン・ハウス」を開いたのは。
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:21:08.99 ID:SK7C2+5CO
支援
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:22:23.61 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「ねえ、ドクオ」
('A`) 「ん?」
(´・ω・`) 「今から、僕は自分を探るために過去を振り返ろう」
('A`) 「……」
(´・ω・`) 「少しの間、僕の話を酒の肴にしてくれ」
('A`) 「……わかった」
ドクオが空になったグラスを差し出して、「おかわり」と言った。
そうだな。肴があっても肝心の酒が無ければ、飲むことはできない。
僕は目元を緩ませながら、ゆっくりと自分の過去を探り始めた。
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:24:24.32 ID:bt2JLNjc0
僕は小さい頃から内気な少年だったといえよう。
それは歳を経ても変らない、周りの環境が変ろうと周りの人間が変ろうと。
その長い年月が、僕にあるものを染み付かせた。
「保守的に生きろ」、と。
自分の意見は無理に通さない、他人の意見を尊重しよう。
自己アピールもろくにせず、相手の話をただ聞き続け、最後に相手を肯定する。
そんな僕の保守的な態度は、いつしか「聞き上手」と捉えられるようになっていた。
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:25:33.05 ID:Grj2vV/eO
支援
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:26:01.90 ID:bt2JLNjc0
そして僕は大学生となった。
そこにあるのは今までとは違う、華やかな大学生活。
友達もたくさん出来たし、サークル活動に積極的であったせいか異性との交流も増えた。
そこでもやっぱり僕は変らなかった。そして周りの人間も、僕を「聞き上手」というポジションに置くようになった。
入学してからしばらくして、僕は素敵な女性と出会う。
初めて見た瞬間、体中に電撃が走ったかのような衝撃を受けた。こんな出会いは初めてだった。
その女性の名は――「ツン」と言った。
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:27:12.30 ID:SK7C2+5CO
嫌な予感
支援
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:27:44.95 ID:bt2JLNjc0
静まり返る「バーボン・ハウス」。
それも致しかたないことだろう。ドクオにこのことを話すのは初めてだ。
('A`) 「酒の肴にしては、ちょいとばかり味が濃すぎないかい?」
フゥ、とドクオが浅い溜め息をつく。
僕は苦笑いをして、「少しだけ我慢しておくれよ」と言った。
('A`) 「その時期にはまだ俺らは出会ってなかったからなぁ」
(´・ω・`) 「そうだね。本当は、君に話すべきことじゃないかもしれない」
でも聞いてほしいんだ。
伝えるべき人に伝えることができなかった、その代わりに。
(´・ω・`) 「今夜くらい、保守的じゃなくてもいいだろう?」
('A`) 「……そうだな」
僕は自分のグラスに、ウイスキーを注ぐ。
そして一口含み、ゆっくりと口内を、喉を潤した。
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:29:15.62 ID:bt2JLNjc0
僕はいつだって、遠めでツンを眺めていることしかできなかった。
僕程度の人間があんな素敵な女性と付き合えるわけがない、と半ば諦めの気持ちを抱えながら。
しかし、チャンスは突然やってきた。
ご存知の通り、僕はテニスサークルに属していた。そのサークルに、一月遅れで加入者が現れたのだ。
それがツンだった。
(´・ω・`) 「……君、初心者なの?」
ξ*゚听)ξ 「そ、そうよ! 悪いかしら?」
(´・ω・`) 「最初は誰だって下手さ。僕で良ければ、練習相手になるよ」
ξ゚听)ξ 「あ、ありがとう……」
彼女を目の前にしても、不思議と冷静に話すことができた。
「いつも通り」の自分を出せる。それだけで、とても誇らしい気分になれた。
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:30:27.12 ID:bt2JLNjc0
それからというもの、僕とツンは色々と行動を共にするようになった。
ツンから色々と相談を受けたことを覚えている。小さいものから、深刻なものまで。
高校卒業まで彼女がイジメにあっていたことを告げられたときは、僕も一緒になって涙を流した記憶がある。
そして僕とツンは、小雨滴る陰鬱な季節より、みなに隠れて付き合うようになったんだ。
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:31:24.99 ID:SK7C2+5CO
支援!
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:32:32.33 ID:bt2JLNjc0
('A`) 「……そんな仲までいってたのか」
(´・ω・`) 「ああ、結局キスさえしなかったけどね」
('A`) 「待てよ。ブーンがツンと付き合いだしたのは、大学一年の夏だよな?」
(´・ω・`) 「ああ、二ヶ月ともたなかったよ」
('A`) 「なんでだよ?」
(´・ω・`) 「まあ、落ち着きなよ。それを今から話すんだから」
僕は残りのウイスキーを、ゆっくりと時間をかけて飲み干す。
ドクオは焦らされてイライラしているのか、指先でトントンとカウンターテーブルを叩いている。
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:34:03.57 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) (ドクオは聞き手の心得をわかってないなぁ)
その瞬間、つい声をだして笑ってしまった。
自分の体質に驚いたのだ。自然と「聞き手」として構えようとしている、どうしようもない体質に。
(´・ω・`) (こんなんだから、僕はダメなんだな)
こんな性格だから、ツンに振られたのだろう。
だけど自分の深い根に染み付いた性格は、そうそう変えることはできないのだ。
もう酒はいらないな。
そう判断し、僕は話を再開することにした。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:35:37.16 ID:bt2JLNjc0
季節は夏になった。
その頃、僕たちは付き合いはじめて一ヶ月。
一般的には、お互いそろそろ慣れてきて甘い生活を過ごす時期だろう。
しかし、僕らは違った。
ξ゚听)ξ 「ねえ、ショボン」
(´・ω・`) 「なんだい?」
ξ゚听)ξ 「来週、サークルの合宿あるじゃない? すごく楽しみね」
(´・ω・`) 「そうだね。夜とか楽しいだろうなぁ」
ξ゚听)ξ 「そうね……。ねぇ、ショボン」
(´・ω・`) 「そうだ! みんなで花火でもしようよ!」
ξ゚听)ξ 「……」
ここでも僕は保守的であった。
いや、保守的といっては語弊がある。
恋愛童貞の僕は、漠然と恐れていたのだ。ツンと一線を越えることに。
そのお陰か、僕とツンの関係は、ほんの一部の人間にしか知られることはなかった。
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:37:10.74 ID:bt2JLNjc0
そしてとうとう合宿の日を迎えた。
テニスサークルの合宿とはいえ、ほとんどが旅行を目的にしたようなものだ。
初日は、みんなでワイワイ楽しく観光することになっていた。
ξ゚听)ξ 「こんな自然、都会じゃ見られないわね」
(´・ω・`) 「ああ、来てよかった」
真っ白なワンピース。ピンクのリボンがついた白い帽子。肌を控えめに露出する、白いサンダル。
全てを白で着飾った彼女のその姿はその場にいる誰よりも美しく、まるで女神のようだった。
初日の観光はとても楽しく過ごしていた。
ツンと笑い、何かを見つけ、二人ではしゃいだり。
( ^ω^) 「ツンさん! 見てほしいお! 大きな向日葵だお!!」
ξ゚ー゚)ξ 「あら、とても綺麗じゃない」
( *^ω^) 「き、きききききっと君に似合うお!!」
ξ゚ー゚)ξ 「ありがとう」
(´・ω・`) 「……」
ときに胸を痛めながら。
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:37:11.11 ID:wce6Cah10
今更だが、スレタイの振り返ようですってなんだよwwwwwww
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:37:25.38 ID:SK7C2+5CO
支援
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:38:45.74 ID:bt2JLNjc0
それでも僕とツンにとっては、素晴らしい一日となるはずだった。
いつもは保守的な僕でさえ、今日こそは一線を越えようと考えていた。
日差しも弱まり、だいぶ風も強くなってきたころ、僕らはホテルに向かうことにした。
僕は一日の疲れをやっと休めることができる、と少し安心していた。
その時だ。
僕らの間を裂くように、一陣の突風が吹きぬけていった。
ξ;゚听)ξ 「きゃあっ」
(´・ω・`) 「うわっ。……あ、ツンの帽子」
そのイタズラな風は、ツンの真っ白な帽子を運んでいく。
そして、これでもかと言わんばかりの大きな木の枝の先に落としていった。
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:38:51.36 ID:SK7C2+5CO
支援
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:40:23.72 ID:bt2JLNjc0
ξ゚听)ξ 「……ああ」
ツンがうな垂れたその瞬間、彼女の周りからは大きな笑いが巻き起こった。
その一連の流れのせいか、はたまた彼女の気合をいれた服装が崩されたせいか。
何故だかわからないが、その笑いはしばらく止みそうにはなかった。
僕はそのときなにをしたと思う?
みんなの笑いの的になり、目を潤ませて僕のほうを見る彼女に対して。
僕は……その輪に加わった。
やはり、そのときも怖かった。
僕一人だけが彼女を庇ったら、僕と彼女が付き合っていることがばれるんじゃないかと思って。
保守的であるがゆえに、周りから離されたくないがためにとった、その行動。
僕が輪に加わった瞬間、彼女はかつてないほどに悲しそうな顔をした。
しかしそれも一瞬のことで、「まったくもー」と言いながら、彼女の表情は笑顔に変った。
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:41:11.32 ID:Buh7NvkR0
支援
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:42:11.37 ID:bt2JLNjc0
( ^ω^) 「……」
その時だ。その輪の中から、一人の男が木に向かって駆け出した。
彼はツンの帽子をとるために、その高い木に登り始める。
何度も何度もずり落ちながら、一生懸命に帽子に向かって木に登り続ける。
予想だにしなかった彼の行動に、みなの笑いはより一層ボリュームを増した。
それでも彼は決して登るのをやめない。彼の目はツンの帽子しか見ていない。
そして三十分後、ほとんどの人は興味を無くしホテルへ向かっていってしまった。
しかし、彼は諦めなかった。そしてとうとう彼はそれを掴み取ることに成功した。
傷だらけとなった彼は、ツンの元へと駆け寄ってきた。
その手に、ツンの白い帽子を持ちながら。
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:43:46.10 ID:bt2JLNjc0
( ^ω^) 「……」
ξ゚听)ξ 「……あ」
彼はツンに帽子を差し出す。
そして一言。
( *^ω^) 「ツンには笑顔が似合うお。だから、この帽子を被ってもう一度笑うお」
彼はそう言うと、ツンに帽子を押し付け走っていってしまった。
残された僕とツンは、遠のいていく彼の後姿を呆然と眺めていた。
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:44:27.41 ID:SK7C2+5CO
支援
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:45:18.25 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「……僕らも行こうか」
ξ゚听)ξ 「……ええ」
ツンはそう言うと、その白い帽子をもう一度深く被りなおした。
僕はそんな彼女の行動に不安を覚えながらも、周りに誰もいないことを確認して手を握った。
ホテルへ向かう道中、それまで黙っていたツンが口を開いた。
ξ゚听)ξ 「ショボン」
(´・ω・`) 「なんだい?」
ξ゚听)ξ 「あのとき、ちょっとだけ助けてほしいと思ったの」
(´・ω・`) 「……ごめん」
ξ゚听)ξ 「いつも黙って私の話を聞いてくれて、すごい嬉しい。……でもたまには積極的に動いてほしいの。自分を変えてほしいの」
(´・ω・`) 「性格じゃないんだよ」
ξ゚听)ξ 「さっきのブーン……少し格好良かったわ」
そこで僕らの会話は止まった。
僕はそのとき感じた。おぼろげながら、ツンの気持ちが僕から離れていってしまったことを。
いや、今思うと……。ツンの気持ちは初めから僕に向いていなかったのかもしれない。
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:47:08.13 ID:bt2JLNjc0
時計を見ると、すでに日付が変っていた。
随分と長く話していたらしい。ドクオも良く飽きずに聞いていてくれたものだ。
('A`) 「……淡い恋の物語だねぇ」
(´・ω・`) 「茶化さないでくれ」
('A`) 「それでお前らは別れたのか」
(´・ω・`) 「まさか、そんなわけないさ」
('A`) 「え? まだ続きがあるのか?」
(´・ω・`) 「もちろんさ」
「まじかよ」と呟きながら、空になったグラスを差し出すドクオ。
「もう少しだから」と宥めながら、そのグラスにウイスキーを注ぐ僕。
僕の過去話は、あと少しで終わる。
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:48:13.63 ID:Buh7NvkR0
支援
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:48:57.19 ID:bt2JLNjc0
その夜、サクールメンバーは海岸までいき花火を楽しんでいた。
(´・ω・`) (やっぱり花火持ってきておいて良かったな)
自己満足に浸りながら、僕はみんなのはしゃぎまわる姿を見て悦に入る。
僕は意外と世話好きなのかもしれない。
僕は一人、物陰に佇む。
今日のひと悶着以来、僕はツンと距離を置くようにしていた。
(´・ω・`) (……どうすればいいのかな?)
( ^ω^) 「どうすればいいと思うお?」
(;´・ω・`) 「わっ!」
いつの間にか、彼が僕の隣にいた。
僕がツンと距離を置く原因となった、彼が。
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:51:35.35 ID:bt2JLNjc0
僕は動揺しながらも、疑問系で終わった彼の言葉に返答する。
(´・ω・`) 「なにを、どうすればいいんだい?」
( ^ω^) 「好きな人に、思いを伝えるべきか、だお」
僕の体は急速に冷え切っていった。
彼は、今夜一世一代の賭けをしようとしている。
いつもの僕なら、優しく彼の背中を押してあげたことだろう。
だが、彼の思う人など僕はとうに気づいている。
(´・ω・`) (ツン……)
僕は、さきほどのツンとのやり取りを思い出す。
保守的な僕に不満を漏らしたツン。今でも徐々に僕から気持ちが離れていっていることだろう。
ブーンはツンのことが好き。こう言ってはなんだが、きっと僕よりツンのことが好きに違いない。
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:52:27.87 ID:Buh7NvkR0
しえん
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:53:51.60 ID:SK7C2+5CO
支援
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:57:36.10 ID:SK7C2+5CO
さるか?
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:59:40.62 ID:Grj2vV/eO
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 21:59:50.31 ID:SK7C2+5CO
支援
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:00:45.68 ID:Grj2vV/eO
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:01:39.02 ID:SK7C2+5CO
135 :
さるでした すいません:2007/10/31(水) 22:07:01.72 ID:bt2JLNjc0
保守的な男は、こう呟いた。
(´・ω・`) 「より多くの人が幸せになれるなら、それでいいじゃない」
( ^ω^) 「お?」
(´・ω・`) 「伝えてごらんよ。君の思いを」
( ^ω^) 「……でも怖いお」
(´・ω・`) 「大丈夫、君ならきっといけるさ。昼間、あれだけ頑張っていたんだもの」
(;^ω^) 「ばれとるのかお。……頑張ってみるお」
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:07:19.25 ID:5Eq7bRni0
もうこのまま逃げろって
しんどいぞおまえ
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:07:43.37 ID:Buh7NvkR0
支援
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:07:51.48 ID:YP4RYy2f0
支援
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:08:04.38 ID:SK7C2+5CO
ktkr
支援
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:08:08.53 ID:GMCG5XSp0
>>136 お前は他所のスレに構う前にハップーして来いwww
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:09:06.05 ID:bt2JLNjc0
僕の愛しいツン。
君は何故、僕と付き合ったのだろうか?
独りが寂しかったかい? 再びイジメを受けるのが怖かったのかな?
僕はきっと、その君の傷は癒すことは出来たと思う。
でも、でも……それ以上のことはできない。
君を明るくさせることも、君に楽しい時間を与えることも、君をワクワクさせることも。
きっと僕には、できない。だから、彼に託そう。
君をより笑顔にさせる可能性のある、彼に。
今にもツンの元へ駆け寄らんとしている彼に、僕は問いかける。
長年の疑問を。
(´・ω・`) 「ねえ」
( ^ω^) 「なんだお?」
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:10:05.87 ID:SK7C2+5CO
支援
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:10:36.91 ID:bt2JLNjc0
(´・ω・`) 「どうして君は、僕に相談をもちかけたんだい? ほとんど付き合いもない僕に」
( ^ω^) 「最初は、友達に薦められたんだお。相談事なら、君のところだって」
(´・ω・`) 「聞き上手、とかなんとか言われたんだろう」
( ^ω^) 「そんなところだお。実際、そうだったけど」
(´・ω・`) 「……」
( ^ω^) 「でも、今話してみて違うことに気がついたお」
(´・ω・`) 「え?」
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:12:40.40 ID:bt2JLNjc0
( ^ω^) 「君に相談を打ち明けると、不思議と安心するお。きっと君は――」
( ^ω^) 「人を安心させる、そんな才能があるんだお」
(´・ω・`) 「才能――」
初めて言われたその言葉は、僕に衝撃を与えると共に不思議な安心感を与えた。
僕がみんなに「聞き上手」と言われるのは、保守的だからではないんだ。
僕がみんなを安心させる才能があるからなんだ、と。
その晩、僕はツンに別れを告げた。
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:14:21.10 ID:bt2JLNjc0
「バーボン・ハウス」に、しばらくぶりの沈黙が戻ってきた。
僕の過去話を聞き終えたドクオは、空になったグラスの中で氷を遊ばせている。
(´・ω・`) 「ツンのことは苦い経験だったけどね。僕は二人から教わったんだよ」
('A`) 「……」
(´・ω・`) 「あまり深い関係に持ち込まない限り、僕は人を安心させられる才能があるんだ」
(´・ω・`) 「自分の心を丸出しにしないように接すれば、僕には相談役が向いてるんだってね」
('A`) 「……ふん」
ドクオが不機嫌そうに鼻を鳴らす。
それはそうだろう。ドクオもブーンと同様、今まで僕の「聞き上手」に助けられてきたんだから。
そういった意味で、今回の話を暴露するのは辛いことであった。
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:16:04.89 ID:SK7C2+5CO
支援
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:16:25.38 ID:bt2JLNjc0
だが、今の気持ちは不思議と安らかだ。
自分が本当の「聞き上手」であったこと。こんな寂れたバーを始めたかつての理由。
それらを確認できたのだから。
(´・ω・`) (だけど……)
それを教えてくれた二人は、既にもういない。
僕の人生の恩人ともいえる二人に、もう出会うことはできない。
だからこそ、さっきブーンがいたときに伝えたかった。
自分の過去と……ブーンへの感謝の気持ちを。
(´・ω・`) (それを伝えたとき、ブーンとの関係が崩れるのが怖かったんだ)
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:17:50.26 ID:O4DGm1PH0
支援
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:18:11.41 ID:bt2JLNjc0
僕はいつまでたっても保守的な性格なんだろう。
現状が変らないことを望み、過去にしがみつく。
ブーンも同じだ。すべてが変らないままであることを望み、過去を振り返った。
その結果、今という現実に絶望した。
だが、僕はブーンように行動に移すことはしない。
だって僕は……保守的だから。
「バーボン・ハウス」の時計が、夜中の1時であることを示す。
今日は一日、閑散御礼セールとして店を開放しよう。
そのセールに乗じたのは、独りのバーテンと、カウンター席に腰掛ける一人の男だけであった。
150 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:20:04.95 ID:bt2JLNjc0
今日の投下はここまでです。
支援・ROMしてくれたみなさん、ありがとうでした。
あとタイトル間違ってました。
( ^ω^)ブーン達は過去を振り返るようです です。
指摘してくれた人ありがとうございました。
明日の夜、また同じ時間あたりに続きを投下します。
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:21:34.90 ID:SK7C2+5CO
乙
明日も待ってる
スレはどうすんだ
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:22:42.62 ID:Grj2vV/eO
153 :
◆qRHDA87ceg :2007/10/31(水) 22:25:16.10 ID:bt2JLNjc0
もしスレが残っていれば、そこに続きを投下します。
落ちてればまた自分で立てます。
あと念のため、てきとーに酉つけておきます。
今日はありがとうございました。
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:26:49.69 ID:SK7C2+5CO
乙
個人的に良作の予感
ノートはなんなんだろうな
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:26:59.46 ID:UnLBp1WV0
植物臭がしたのできてみた。
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:31:51.89 ID:SK7C2+5CO
ほし
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:35:11.31 ID:SK7C2+5CO
ほし
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:43:34.77 ID:SK7C2+5CO
ほし
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:50:07.03 ID:SK7C2+5CO
ほし
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:52:20.74 ID:Grj2vV/eO
159 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。 2007/10/31(水) 21:05:25.12 ID:5Eq7bRni0
外にでるとそこは――
ξ;凵G)ξ !! グラマラススカイ
昔本で読んだ、魔法の世界…グラマラス・スカイ
そこはスライムとドラゴンの国
魔法と剣の国
ξ・凵Eξ ポカーン
(;`A´) だからいったのに、外にでるなと…
私は再びノートを手に取る。
冬だ。冬の詩を見れば、なにかがわかるかもしれない。
舞い落ちる雪はかすかに震えて
なんだか今の私をあらわしているようで
すこしクスッと笑えた―――
これは私の物語
カズと私の物語
あれ?一部見慣れた部分が・・・
161 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:58:27.50 ID:SK7C2+5CO
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:58:36.73 ID:Grj2vV/eO
保守
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:58:43.92 ID:5Eq7bRni0
おい、ハッピーの文パクんなよ
才能ないやつはこれだから
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 22:59:33.68 ID:GMCG5XSp0
ハップーの文なら見当たるんだがなぁ
ハッピーってなんぞや?
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 23:02:41.13 ID:SK7C2+5CO
ハップーなんだかんだいって、ちゃんと目は通してるんだな
自己流の支援もするし
いや、読者の鑑だ
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 23:07:34.28 ID:Grj2vV/eO
ハップー乙
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 23:12:15.49 ID:3wfgEfIe0
支援
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 23:15:47.74 ID:SK7C2+5CO
ほし
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 23:25:37.23 ID:SK7C2+5CO
ほし
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 23:33:01.08 ID:SK7C2+5CO
ほし
まとめはないのか
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 23:35:34.26 ID:3wfgEfIe0
ほし
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 23:40:57.00 ID:Grj2vV/eO
ほし
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 23:41:51.99 ID:SK7C2+5CO
ほし
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 23:47:02.01 ID:SK7C2+5CO
ほし
175 :
1:2007/10/31(水) 23:48:47.84 ID:5Eq7bRni0
秋田ので落としてくださってよい
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 23:53:20.64 ID:SK7C2+5CO
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/31(水) 23:56:43.14 ID:3wfgEfIe0
ほし
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
最後の保守
まとめられてることを祈る
明日の朝からまた保守するから、それまで誰か頑張ってくれ!