ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
長編投下の際の注意

・超長編(もしくはSS職人)の場合はコテトリ付けようっ! でも住人の空気もよく読まないとだめにょろよ?
・前の文章とレスが離れてしまう場合は、文頭に安価つけてくださぁいですぅ……あの、お茶どうですかぁ?
・基本はお題フリーです。しかし、主に恋愛系(特にハルヒ)が人気の様ですよ。フフフ、僕とキョンたんの恋愛話も大歓迎ですよマッガーレ
・当初の題目は「キョン×ハルヒ」結婚ネタ……けど、今はほとんど皆無。別に時事ネタでなくてもいい…気にしないで
・キョン君、過度な性的描写はやめようね〜、タンスにエロビデ隠してるのハルにゃんに言っちゃうよ
・台詞や他者への呼称等、その人物に対する統一性は違和感が生じないように推敲が必須だね。もし不安であるのならば、まとめ等を参照すること。
・1レスには最大30行、全角で2048文字、1行全角120文字まで入るのね。文章構成の参考にして欲しいのね
・要するに気楽に投下してくれ。メモ帳にまとめて投下、ってのがお勧めだな
・次スレは970以降、臨機応変に対応してくれ!無理なら他のヤツらに頼むってのもありだな…すまん!ごゆっくり〜
・スレが立ってから三日過ぎたスレッドは>>1000まで行かなくても落ちる……これは僕にとっても既定事項だ
・自分で投下した長編はなるべく自分で編集してください、わかりましたか?んん…!もうっ!
・それじゃ、さっさと投下しなさいっ! いい? あたしを退屈させたら罰金だからねっ!


DAT保管庫(停滞中)  http://haruhiss.xxxxxxxx.jp/
新DAT保管庫+SS推薦 http://vipharuhi.s293.xrea.com/
新まとめサイト      http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/
DATうpろだ        http://www.uploader.jp/home/harussdat/
雑談所(避難所)     http://yy42.60.kg/haruhizatudan/
雑談所携帯用       http://same.u.la/test/p.so/yy42.60.kg/haruhizatudan/
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:16:25.03 ID:H5A/h9KR0
=====業務連絡===========
・まとめwikiの管理人さんが忙しいから、せめて長編だけでもSS作者は自分でまとめなさいっ!
・「SS作者だけど自分ではまとめられん!」と言うヤツは「まとめ要請とまとめ人たちの報告スレッド」に
 まとめ要請を書き込んでみるのも一つの手だな。
 まとめ要請とまとめ人たちの報告スレッド
 http://yy42.60.kg/test/read.cgi/haruhizatudan/1175805203/ PC用 
 http://same.u.la/test/r.so/yy42.60.kg/haruhizatudan/1175805203/ 携帯用
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:17:01.67 ID:uRDr/7iw0
落ちたのか
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:20:16.26 ID:wpXiXlXJ0
>>1
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:21:09.21 ID:lc7SEI/30
大学の夏休みも終わって本格的に人が減ったのもあるんじゃないかな。
俺も書いてる暇ないし。
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:23:10.36 ID:Qg0qphrv0
落ちたか
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:25:05.47 ID:lc7SEI/30
忘れてたがいちもつ!
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:25:45.23 ID:uRDr/7iw0
じゃあ講義中にちまちま長編の構想でも練ってようかな
居眠りするよりは有意義な時間を過ごせそうだ
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:26:16.39 ID:beyN8IzjO
>>1乙!
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:28:02.99 ID:BGg21cwqO
>>8
授業受けろよ
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:28:10.22 ID:m5t9iAfn0
壱乙
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:28:45.98 ID:lc7SEI/30
>>8
そんな余裕があるおまいが裏山
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:29:39.15 ID:+6KEJX1k0
連休明けってのはどのスレも似たようなもんさ
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:30:46.25 ID:uRDr/7iw0
>>10>>12
心配してくれるのかおまいら
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:33:34.96 ID:Qg0qphrv0
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:33:55.58 ID:beyN8IzjO
>>14
長編を書いてほしいという願望と、勉強をしなくていいのかという心配の矛盾した考えな俺。
どっちも頑張れ。
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:37:21.11 ID:uRDr/7iw0
とりあえず
あんま期待しないでくれ保守
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:40:08.19 ID:gMHOKYik0
           〇      〇
            _ヽ___/
           /  l    l \
          /―‐ 、   , -―‐',
          /|  ,-、 ',  / ,-、  |\
        (_/|   !__j l__l !__j  |\_)          朝比奈みんくる
            ヽ    、_人_,.   /
      / rィイ | :.:.ヽ: >r/`<ノ .:.::.}ヽ、\
      / ∧l;l ! :.:.:.://{二 ̄ .} ..:..::リ//ハ.:\
    / .{. ',ヾ、ヽi .:.:.{ /(^`  |.:.:.:.//: : :.}: . ヽ.
   / /  ) ヽ ヾ、ヽ:.ハ ヤ{   ∧/.-‐'": : |:.:. i ',
  ./ .,イ .:..} : :\ヾレ'ハ ∧__ノノハヾ、  : : : l:.:.: .ハ ',
  { /| .:.:ハ : : :i Y {ヾ`Yヽニン'ノ}: : } : : : :/:.:.:/ }:.}
  V | .:.:/:.:|_,ィ' ̄  ヽ三{ `ー-ノ : イ : : :/:.:i.:{  リ
    ヽ:.:{、.:.V     : : ヘ     : : {: : :/:.::∧|
     ヽ! )人    : : :人      : : : / \!
      "  ヽ : : : : :/イ{     :.ノ: : : :.\
          \__///: :\______/: : : : : : : ヽ
           / //: : :|;|: : : : : : i: : : __: : : : ',
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:40:18.98 ID:zBNYUSlQO
落ちるの早いね
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:41:48.59 ID:Qg0qphrv0
>>18
きめぇ保守
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:47:53.95 ID:wpXiXlXJ0
保守
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:51:42.37 ID:oAXbc0td0
過疎気味か…
ならば他のクオリティの高いSSが来る前に投下するのが吉。

先週頭くらいに投下した、「Love Letter from …?」って奴(覚えてますかね・・・)の続きを投下したいんでが、よろしいでしょうか?
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:52:28.12 ID:H5A/h9KR0
>>22
覚えてるような覚えてないような……
とりあえずカモン!
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:54:17.74 ID:wpXiXlXJ0
保守
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:57:10.94 ID:wpXiXlXJ0
>>22
まだ?
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 22:59:08.41 ID:eseCKZ/S0
書いては消し、書いては消し、結構書いたと思ってもまだ70行。
長編とか書く人マジすげえ。
27Love Letter from …?(中編)1/8  ◆SG9FMCTTAI :2007/10/09(火) 22:59:45.91 ID:oAXbc0td0
一応最後まで書いたけど、最後の詰めが甘いので、今回は8レスほど借ります。
中途半端ですみません

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

日は変わって土曜日……ではなく、金曜日。つまり、恋文を手渡された次の日ということだ。
 本来ならこの日一日を説明してもあまり意味はないため、俺的にはさっさと次の日の状況を説明したいのだが、ちょっとハルヒや他の面々の行動が気になっていたので、念のためこの日の状況も説明する事にする。

 俺はいつもの強制トレーニングコースをいつもの13%増しの速度で駆け上がり、そして勢いよく4階の教室目掛けて2段飛ばしで階段を上っていく。
 例の恋文のせいで楽しみが増えた俺は、昨日からテンションが気持ち高めなのである。
 ただ、ちょっと高すぎたためか昨日の夜寝るのに時間を要し、今朝妹のボディプレス一発喰らっても起きない程深い眠りに陥っていたのはご愛嬌と捉えてくれるとありがたい。
 しかし、それも仕方ないだろう?昨日のやりとり――あのハルヒの呆けた顔――は、俺の記憶の中に鮮明書き加えられている。思い出しただけでニヤニヤが止まらない。
 古泉。今ならお前の笑い方にも共感してやるぞ。何せ俺は気分が良いのだからな。

 あっという間に4階にたどり着き、自分の教室の後ろのドアを開く。
 俺の席の後には、窓の外をずっと眺め、こちらには全く顔を向けない団長様の横顔があった。どうやら俺とは対照的に機嫌が悪いようだ。
 何でそんなこと知ってるのかと言われれば、そこは俺がこいつと暫く生活を共にしていれば自ずと分かってくるものなのだと回答せざるを得ない。
 最初に断っておくが、同居しているって意味じゃないぞ。クラスも部活(団活)も同じで、その上入学してからずっと後ろに座しているとなれば、こいつの性質など九分九厘お見通しってもんだ。
 っと、そんなことをムキになって説明しているとまた在らぬ疑いを掛けられてしまうな。この話はここまでだ。
 ともかく、ハルヒは機嫌が悪い。触らぬ神にたたりなしって訳で、あまり話し掛けないほうがいい。
 だが、全く話し掛けないとまた違う意味で機嫌を悪くする。これについては俺の経験と、古泉の相談により発覚した事実である。
 実は以前に今日と同じような事があったのだ。ある日の朝、ハルヒが余りにも機嫌が悪そうだったので、挨拶をしたのみで何も話し掛けなかったところ、1時間目の終わりを告げるチャイムと同時に古泉からのメールがきたのだ。
『涼宮さんのご機嫌を取って下さい』と。
 詳しくは分からないが、こいつは機嫌が悪いからと言って何も対処しないと、一層機嫌が悪くなるそうなんだ。
 中学生の時は大変だったらしい。当時孤立気味だったハルヒに愚痴を言う相手などいるわけがなく、一旦不機嫌になればその度合いは日々増すばかりだったという。
 おかげで古泉の深夜残業は暫く終わる事が無かったそうだ。中学生の深夜バイトは青少年保護条例で違反だぞ。ん?高校生もか??
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:00:50.06 ID:H5A/h9KR0
しえn
29Love Letter from …?(中編)2/8  ◆SG9FMCTTAI :2007/10/09(火) 23:01:03.08 ID:oAXbc0td0
 そんなエピソードもあって、俺はハルヒの不満の捌け口になってやることになったのだ。
 古泉に頼まれた当初はお引取り願いたかったのだが、ものは考え様とはよく言ったものである。
 古泉に借りを作っておくのも悪くないし、ハルヒの機嫌が悪い理由を聞くのはこれはこれで中々楽しいものである。ハルヒは不機嫌である理由を何だかんだ言いつつも語ってくれるからな。
 ○月×日。昨日の晩に食べたニラ玉炒めのニラが奥歯に挟まって未だ抜けなくてイライラする。
 △月◇日。髪の毛の中に一本だけ生えている白髪を抜こうかどうか悩んでいる。
 ♂月♀日。朝比奈さんのメイド衣装をこっそり着て、胸の部分がやたらと余ってしまった事にコンプレックスを感じる。……等等。
 十人十色、三者三様とは人それぞれの性格や趣向が異なることを意味するものであるのだが、ハルヒの不機嫌な理由は正しくその諺がピッタリ当てはまるようで、本当に別人各がいるかのようである。
 もしかして涼宮ハルヒの人格は何処かの誰かみたく24人いるとか、そんな訳ないよな?

 こうしてハルヒが不満を俺にぶちまけるのだが、俺には体面上は特に機嫌が直ったようには見えない。しかし自称特定人物精神科医には分かるようで、夜のバイトが減ったと感謝されていた。
 ハルヒからも一度っきりではあるが、『あんたには言いたい事が好きなだけ言えるからストレスが発散できていいわ』、と誉められた(?)事もあった。
 まあその日の休み時間は全てハルヒの愚痴を聞かされたるため、俺的には実りの無い一日になるんだけどな。

 はい、回想終了。それよりも現状に備えなければいけない。取り敢えずハルヒには普通に接する事にしよう。

「よう」
「………………」


 予想通り、ハルヒは不機嫌であった。
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:01:39.07 ID:H5A/h9KR0
思い出したー!
しえn
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:01:54.25 ID:wpXiXlXJ0
支援
32Love Letter from …?(中編)3/8  ◆SG9FMCTTAI :2007/10/09(火) 23:02:14.13 ID:oAXbc0td0
 時間を少し進めて経って2時間目と3時間目の休憩時間である。
 休憩時間といえば、多少の例外を除けばハルヒは決まって教室を去り、教室外の彼方へと赴くのであるが、本日は多少の例外を行いたい気分だったのだろう、ハルヒは教室の自分の椅子に座したままであった。
 では何をしているのかというと、特に何もしていない。
 もう少し正確に事を伝えよう。ハルヒはHRが始まる前と同じ事をしていた。つまり、自分の席から空を見上げているのだ。
 しかも恐らくではあるが、朝からずっと空を見ているようで、本日俺は後ろからシャープペンでつつかれたり、唾を吐き掛けられたり、襟首を捕まれて引き寄せられたりはしなかった。 
 メランコリーというよりは、魂が抜けたイタコさんのような表情が表立っているようで、唯唯呆然としている。
 それが本日のハルヒであった。

 このままずっと空を見つづけてくれればそれこそご近所様に害を及ぼす事など無いと思うのだが、例の副団長様はそう思わないらしく、1時間目の終わり頃、やはり奴からご機嫌取り催促のメールを受信したのだ。
 やれやれ、そろそろ話し掛けないと団長も副団長も機嫌が悪くなりそうだ。しょうがない、一頑張りと行こうかね。
 俺は『なあ』とハルヒに声をかけてみた。「どうしたんだハルヒ?ずっと空を眺めたりして。鴨が葱背負ってクローバー飛行でもしてるのか?」
「……何よそれ」
 言うハルヒの声はやっぱり不機嫌時のそれであった。
「いや、そんな夢を見たからな。もしかしたら正夢になってるのかと思って聞いてみたんだ」
「ふん、脳天気ね、あんた」
悪かったな。お前のためを思って話題を提供してやったのに何て言い草だ。
 文句の一つも言ってやりたいところだが、ハルヒの機嫌を損ねてしまうと、古泉が必要以上に顔を近付けて俺に精神的ストレスを提供して来るだろう。それは勘弁願いたい。
 とは言え、そうでなくても既に俺のピュアなハートは傷付いており、この精神的ストレスは何かしらの形で償ってもらいたいものである。
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:02:33.59 ID:H5A/h9KR0
しえn
34Love Letter from …?(中編)4/8  ◆SG9FMCTTAI :2007/10/09(火) 23:03:18.37 ID:oAXbc0td0
 そんな思いをハンドミキサーでぐるぐるかき回していると、俺はハルヒが漏らした、愚痴とも不満ともつかない、妙な言葉を耳にしたのだ。
「……あたしがこんなに悩んでいるってのに……」
 俺もハルヒの近くにいたせいか、デビルイヤー並の地獄耳を特殊能力として身に付けたようだ。
 本当は俺に聞こえない声で言うつもりだったのだろうが、そうでなければあの超強気女がこれほど弱気な発言をするとは思えない。

 さて、それはともかく、俺はこのハルヒの発言にクエスチョンマークを点灯させた。
 普段から思い付いた事を突拍子も無く実行に繋げ、気に入らない事は溜め込まずに辺り一面にブチまける、傍若無人天真爛漫大胆不敵なあの涼宮ハルヒ(御年たぶん16)が悩んでるだと?
 なるほど。そういうことか。今日機嫌が悪いのはその“ナヤミゴト”とやらのせいだろう。
 よしよし、その“ナヤミゴト”やらを聞いてやろうじゃないか。そうすればハルヒの機嫌も良くなるし、古泉の奴も俺に感謝するに違いない。
先ほども言ったとおり、本日の俺の機嫌は↑↑状態なのである。今なら我儘な団長さんの愚痴を聞いてやっても太平洋のように広い俺の心が受け止めてくれるってもんさ。

 俺はハルヒにできるだけ朗らかな顔を持って接する事にした。
「どうしたハルヒ。なんだか随分と悩んでいるようだな。何なら相談に乗ってやろうか?」
「…………」 
 だがしかし、この質問にハルヒは答えない。俺はふう、と息をついて言葉を続ける。
「一人でウジウジするよりは誰かにパーッと話して気分もスッキリした方がいいぞ。お前だって昔そんな事言わなかったか?」
「…………」
「何でもいいから言ってみろ。別に笑わないからさ」
「…………」
「甘い物の食べ過ぎで太ったのか?面妖な質屋で奇妙なグッズを買って金が無くなったとか?あ、それとも昨日の抜き打ちテストができなかったんだろ?あれはヒドかったよな。三角関数の和と積の公式なんて全部覚えられねえよ」
「…………」
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:03:35.75 ID:H5A/h9KR0
しえn
36Love Letter from …?(中編)5/8  ◆SG9FMCTTAI :2007/10/09(火) 23:04:27.18 ID:oAXbc0td0
 「ううむ」と唸る俺。本日のハルヒはどうもしぶとい。
 いつもならこの辺で不機嫌である理由を1から10まで語って、『キョン、何とかしなさい!』と言うべきシーンなのだが、今日に限ってはそんな態度をミジンコのミの字すら見せず、ひたすら沈黙を貫いているのだ。
 意固地気味の態度のハルヒに、俺もまた意固地になって様々な理由を上げ、ハルヒはそれに沈黙という形で答えを返していた。そして――

「う〜ん、これでもないとすると……ああ、分かった。あの手紙の事を考えていたんじゃないのか?」
「……!」
 それまで何を問い掛けても無反応だったハルヒだが、僅か、ほんのフェムトジュールも無いくらいの微妙な振動エネルギーだったが、遂にレスポンスを確認することができた。
「ははぁ。どうやら図星だな。なんだ、そんな事で悩んでたのか?ハルヒらしくもない。あんな手紙でオドオドするなんてお前も結構……」



「うるさい!!!黙れ!!!」



――俺の耳元に衝撃波と轟音が響き渡り、そして教室は静寂に包まれた。
 ハルヒの表情は不快指数パラマウントに達していた。これ程不機嫌なハルヒを見たのは、高校に入学して間もなくの、SOS団を作る事を思い付く以前のハルヒ以来ではないだろうか。

「…………」
 ハルヒはそれっきり何も喋らなくなり、更に不機嫌オーラを普段の65.9%程増状態で在らぬ方を向いて動かなくなったのだ。
 ……古泉スマン。ハルヒの機嫌を取ろうと思ってたが、むしろ悪くさせちまったようだ。
 少し責任を感じた俺は、古泉に謝りのメールを入れる事にした。
 これで許してくれるかどうかは知らないが、俺だってハルヒの機嫌を悪くするためにした事では無いし、古泉もその辺は汲み取ってくれるに違いない。
 

 その後の授業も、ハルヒは黒板ではなく秋空に広がるまだら雲を見続けていた。この間に一度も注意されたりも問題を解くよう言われなかったのは奇跡に近い。俺なんか三回も当てられたのに、こんちくしょうめ。
 この差は一体どこから来るんだ?もしかしたらハルヒは透明になる魔法でも知っているのだろうか。機嫌がいい時にこそっと聞いてみる事にしよう。
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:04:56.54 ID:H5A/h9KR0
しえn
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:05:33.01 ID:wpXiXlXJ0
支援
39Love Letter from …?(中編)6/8  ◆SG9FMCTTAI :2007/10/09(火) 23:05:34.50 ID:oAXbc0td0
 授業中、達磨大師のように椅子に根を生やしてその場を動かなかったハルヒであったが、流石に昼休みには席を立ち飯を食べに行ったようである。今ここにハルヒの姿は見あたらない。
 俺はいつもの面子と4時間目の授業で返却された抜き打ちテストの点数についてディスカッションをしながら飯を食べている。そんな中。
「なあキョン、痴話喧嘩は教室の外でやってくれよな」
 冷凍ものと思われるクリームコロッケを頬張りながら谷口が語りかけた。
「何だ、痴話喧嘩というのは?」
「痴話喧嘩じゃないのか?ああ、夫婦喧嘩か。スマンスマン」
 どっちも却下。俺がいつだれとどこでそんなことしたって言うんだ?
「3時間目前の休み時間、涼宮と、教室内で、だ」
「あれがお前の目には痴話喧嘩に見えたって訳だ。谷口、お前の目の機能は人間のそれを逸脱している。今すぐ眼科に行くことをお勧めする」
「馬鹿言え、そう思ってるのは俺だけじゃないぜ。クラス中の奴がそう見えたに決まってるさ。な、国木田?」
「うーん、痴話喧嘩っていうのは些か抵抗があるけど、夫婦喧嘩っていうのには賛同できるね」
 こら国木田。お前まで何を言いやがる。
「キョン、女性には優しくしないといけないよ。たとえ涼宮さんであってもね。涼宮さんだって、それを望んでいるのかもしれないし」
「大丈夫だ。それはない。あいつに限ってそれは断固としてない」
「いいや、わからないぜ。涼宮のやつ、キョンがつれない態度だからああやって気を引こうとしているのかもしれないぜ。ガキのころ、好きな女の子を苛めて気を引こうとしたじゃねーか。それと一緒だよ」
「へえ、谷口はそんなことしてたんだ」
「……っ!!馬鹿言え!!聞いた話だ!」
「どうだか。で、それはうまくいったのか?」
「だから聞いた話だって言ってんだろ?……それより、涼宮と何があったんだ?聞かせろよ」

「うーん……」
 ここで俺は悩んだ。このことを話してもいいものなのかどうなのか……
 まあ、別にいいか。どうせ何時かはばれるんだし。
 俺は二人に昨日の出来事と、先ほどのハルヒの会話を簡単に説明した。
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:05:52.44 ID:H5A/h9KR0
しえn
41Love Letter from …?(中編)7/8  ◆SG9FMCTTAI :2007/10/09(火) 23:06:43.02 ID:oAXbc0td0
「……で、その手紙の事を言った瞬間、いきなり噴火、爆発したって訳だ」

『…………』

 あれ?何で二人ともノーコメント?てっきり谷口辺りが爆笑してくれると思ったのに。
「なあキョン。お前、涼宮が怒った理由がわかんないのか?」
 さて、何でだろうね。ラブレターのことをからかったからだと思うんだが。
『はあ…………』
 二人同時にため息をつく。そんなに俺が悪者か?
「流石に今回は……」
「涼宮に同情するぜ……」
 そう言ってまたしてもため息を同時につくのであった。
 ……やれやれ。俺が何をしたって言うのかね。

「ま、そういうわけで俺は二人の告白の瞬間を見に行こうと思っているんだが、二人ともどうだ?衝撃の瞬間を分かち合わないか?」
「……お前、結構悪趣味だな。涼宮に見つかったらどうするんだ?」
 悪趣味で悪かったな。だが谷口に言われるのは心外だ。
「その辺は抜かりは無い。毎週の団活のせいで、あいつの行動パターンは分かっている」
「……なるほどな。よし、俺は見に行こう。結果はわかっているが、今回涼宮がどんな行動をするのか楽しみだからな」
 そう言って谷口は俺の方を向き、気持ち悪い顔を浮かべて笑っていた。古泉とは違い、下品な笑い方をする奴である。違った意味で寒気を覚える。
「じ、じゃあ土曜日の八時半に駅裏に集合だ。ハルヒは駅から出てくるはずだから、間違っても駅前に集合するなよ?」
「ああ、わかったぜ。国木田はどうするんだ?」
「僕は遠慮しておくよ。こそこそ隠れて見るのは性に合わないしね。結果を月曜日にでも聞かせてもらうよ」

 というわけで、ここに『涼宮ハルヒの告白シーンウォッチ隊』がにわかに結成されたのだった。
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:07:11.59 ID:H5A/h9KR0
しえn
43Love Letter from …?(中編)8/8  ◆SG9FMCTTAI :2007/10/09(火) 23:07:53.91 ID:oAXbc0td0
 そんなこんなで飯が終了し、後片付けをしようと立ち上がった瞬間、俺は窓の外を眺めていた。グラウンドで見知った顔が見えたからだ。
 その見知った顔――素直にハルヒと言っておこう――が、グラウンドでしている行動は、誰の目から見ても奇妙な物に違いなかった。
 腕を組んで頷いていたり、両手を合せて足をクネクネしてみせたり、鉄棒に腕を絡めたり……一体何がしたいんだろうか。
 ハルヒの奇行は今日に始まったことではないので、誰もそれほど気にはしてないだろうが、俺には何故かそれが気になったのである。
 昼休みが終わる直前に帰って来たハルヒにグラウンドで何をしていたのか聞いた。
 だが、まだ機嫌が治ってなかったらしく、ガチョウの嘴よろしく口をひん曲げて、『あんたには関係ないでしょ』と一蹴されてしまった。


更に時間を進めて放課後。ハルヒはようやく俺に話しかけてくれた。
「今日の部活、あたし用事があるから行けないわ。団活は中止でいいから、皆に伝えといて……それと、わかってると思うけど、明日の不思議探索も中止だから、これも皆に伝えといてよね」
ハルヒはそれだけを言い残して早々に帰宅してしまったのだ。
 一応何で早く帰るのか聞いてみたのだが、ハルヒはジト目で睨み、押し殺した声で『明日の準備をしたいのよ』と語ったのみであった。
 明日の準備、ね。なるほど。ハルヒだって女の子だ。それなりに準備が必要なのだろう。
 それに高校生活の思い出として、1回くらいはバッチリキメたハルヒっていうのも見てみたいもんだ。そんな感情が芽生えた俺は、ハルヒにハッパをかけることにした。
「期待してるぜ。誰もが驚くくらい綺麗に着飾ってこいよ。デパートで衣服やアクセサリを購入して、明日の朝イチに美容院でヘアスタイルをセットしてきてくればもう完璧、言うことなしだ」
 俺がそう言うと、ハルヒは「ふんっ」と鼻を鳴らし、拗ねたように顔を背けて俺から遠ざかっていった。

団活が中止になったとは言え、自宅に帰っても特ににすることなどない。暇を持て余してる俺は、いつもの癖で自然と足は部室に向かっていた。
 一日一回は目と舌の療養をしないといけないからな。
部室にはいつもどおり、ハルヒの言い付けを愚直に遵守している朝比奈さんと、これまたいつもどおりハードカバーと睨めっこをしている長門の姿があった。
古泉の姿はない。まだ来ていないだけかもしれないが、もしかしたら世界の平和を守るべく、戦隊ヒーローその1となって灰色の世界で戦っているかもしれない。
俺は朝比奈さんと長門にハルヒの言伝を伝え、そして朝比奈さんとバックギャモンをしていた。
 
 時間がよそ風のように優しく、しかし確実に過ぎていく。
 勝負に熱中しているその時、パタンと本を閉じる音が聞えた。何時の間にか、空の彼方が橙色に輝き始めていた。
結局古泉は姿を現さず、連絡事項を伝えるために、またしてもメールを入れる事になったのだ。


こんな感じで金曜日は過ぎて行った。いよいよメインディッシュの土曜日である。
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:09:15.81 ID:Qg0qphrv0
しえn
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:09:56.64 ID:JpxWH71a0
支援
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:09:58.36 ID:mVha3G9A0
あーあーあーあー 思い出したああああ
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:10:41.63 ID:H5A/h9KR0
乙!
もうドキドキだぜw
死人が出なければ良いが……
続きwktk!
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:11:09.45 ID:oAXbc0td0
ここまでです。支援有難う御座いました。


最初に前編を投下したのを激しく後悔。
オチが結構読めた人も多かったからなorz
このままだとwikiに中途半端な状態で上げることになるので憚っています・・・

後編は14〜15レスくらいの予定で、練り直して週末にでも投下します。
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:12:12.31 ID:uRDr/7iw0
>>48
週末の楽しみが増えたw
いや、遅れても構わんけど
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:12:13.39 ID:JpxWH71a0
乙!
ここまで来るとほんとにハルヒがかわいそうだ
51遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:14:15.77 ID:zgYxGyWD0
>>48
乙です!
ああ、その表現力が少しでも俺に有れば……
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:14:47.59 ID:Qg0qphrv0
>>51
投下すんの?w
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:15:12.59 ID:wpXiXlXJ0

キョンはもう一回朝倉に刺されればいい
54遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:15:19.22 ID:zgYxGyWD0
投下しようかと思って来たんですが……
良いですかね?
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:15:53.65 ID:Qg0qphrv0
おkkkkk
56遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:16:27.51 ID:zgYxGyWD0
第九章 新天地

生まれ育った町を出て、翌日の朝。俺と家族はやっと目的地の駅に着いていた。
……夜行列車なんて初めて乗ったが、いくら寝台席があるとはいえ熟睡なんざ出来るもんじゃないね。
せいぜいうとうとするくらいが関の山だ、ということが身にしみて分かった。それでも、前日までの引っ越し
騒ぎがあったせいで幾分は眠れたらしい。妹は熟睡していたようで、朝起きるといつもの笑顔に戻っていた。
俺としては、いつものボディプレスが無かっただけ、ましかもしれん。

電車を降りた俺たち家族は、思いもよらない寒さに身を縮ませた。寒い。
今3月下旬だよな?なんでこんなに寒いんだ?
慣れない気候に辟易した俺たちは、そそくさと改札に向かった。

改札を抜け駅前に出た俺たちを、ぴかぴかの大型セダンの新車の脇に立った得意満面の親父が出迎えた。
俺の編入試験の時一緒に来て、そのままこちらに残り仕事をしていた親父は、家族の姿を見つけるとまるで
新しいおもちゃを見せびらかす子供のような顔で、車の屋根をポンポンと叩いた。なんだこの車は?
「買った」
マジかよ。
「社長たるもの、車の一つも無きゃな。それより、早く乗れ。引っ越し便がそろそろ来る頃だぞ」

車のトランクに手荷物を押し込み、俺たち家族は車に乗り込んだ。しかしまあ……よくこんな高級車を買えた
もんだ。国産車とはいえ、安いもんじゃなかっただろうに。

「ここらへんじゃ、車がないと生活できないんだよ。交通手段がないからな」
ゆっくりと車を走らせる親父がぽつりと言った。そうなのか?バスとか電車とか自転車とか、いくらでも有り
そうな感じだが。
「まあ、おいおい分かるさ。」
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:17:00.16 ID:H5A/h9KR0
しえn
58遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:17:29.33 ID:zgYxGyWD0

さて、引っ越し先にはまだ荷物は到着していなかったが、それよりも俺と妹は家自体の大きさに驚いていた。
以前の家と比べると、当社比2倍という所か?部屋の数も多いし、庭も広い。ガレージも大型自家用車を2台
楽におけるほどのスペースが有る。周りはいかにも「高級住宅地」って感じの家が整然と建ち並んでいる。

「ここが、今日から我々の新しい家だ」
親父が自慢げに紹介し、親父から鍵を受け取ったお袋が、いそいそとドアを開ける。

家の中からお袋と妹の「へえ〜〜」とか「うわぁ、広〜〜い」等という叫声が上がるのを聞きながら、親父に
尋ねた。どうしたんだ、この家?
「これも買った。中古だがな」
何だと?車にしろ家にしろ、俺んちはそんなものをポンポン買えるほど裕福だった覚えは無いのだが?
「登録上は、この家も車も新会社の資産になってる。いわば、社用車と社宅、だな」
なるほど……って事は、親父が事業に失敗すれば、俺らはここから叩き出され車も没収されるわけだな。
「さい先の悪いこと言わんでくれ。そうならないように、がんばってるんだ」
ブスッとしてこちらを睨む親父。悪い、言い過ぎた。
「まあ、良い、ホントのことだからな。それより中に入ってみろ。驚くぞ」
親父に促されるまま、俺は玄関をくぐった。


「広〜〜い!ねぇねぇキョンくん、あたしの部屋すっごい広いのよぉ〜〜」
妹が自分に割り当てられた部屋を見て、感嘆の言葉を出した。以前の妹の部屋は確か六畳だったはずだが、
この部屋は八畳間か?では、自分の部屋はと見れば……

「キョンくんの部屋、もっと広いねぇ〜〜〜」
……十二畳間でフローリングですか。つか、広すぎないか、これ。

「どう?気に入った?」
下の階から、お袋が声を掛けてくる。
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:17:56.26 ID:H5A/h9KR0
しえn
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:17:59.44 ID:oAXbc0td0
>>54
いや十分だと思う。
てなわけで支援。
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:18:21.89 ID:Qg0qphrv0
しえn
62遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:18:33.72 ID:zgYxGyWD0
「すっご〜〜い、広いの!うん、気に入った〜〜〜!」
大はしゃぎしている妹がお袋の質問に答えながら、階下に手を振る。コイツは悩みがなさそうで良いな。

その時点で、親父がいないのに気がついた。外を見ると車も無い……逃げたか?

「あれ、親父は?」
「何だか、仕事の打ち合わせって言ってたけど、引っ越しの手伝いするのがイヤなんじゃないの?全く自分の
家の引っ越しだってのに、何考えてんのかしら、あの唐変木」
唐変木て。意味分からんぞ、お袋よ。

ぶつぶつ言っていたお袋は、諦めたように俺たちに目を向けた。
「じゃあ、引っ越し便が来るまで自由にしてなさい」
妹は「は〜〜い!」と元気よく応え、部屋に戻っていった。俺も部屋に戻り、前の家から運び込まれる荷物を
どのように配置しようか考えてみた。しかし……以前は六畳間だったから、ほぼ倍の広さの部屋なわけだ。
荷物を配置してもスカスカだろうな。無駄に広いって感じがするが、まあそのうち埋まるだろ。

さて、どのようなレイアウトにしようかと思案していると、携帯が鳴った。


着信:長門由希

長門だった。
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:18:52.70 ID:H5A/h9KR0
有希
支援
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:19:37.27 ID:Qg0qphrv0
しえn
65遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:19:41.75 ID:zgYxGyWD0
「長門か」
「……目的地への到着を確認」
「おう、無事着いたぜ。多少疲れてはいるがな」
「……そう」
「そっちは変わりないか?」
「……ない」
「そうか。生存確認ってワケか、この電話は」
「……貴方に電話したのは、別件」
「なに?」
「……貴方のこと」
「俺がどうかしたのか?」
そこで長門は一瞬言葉を句切り、間を置いた。

「……貴方が涼宮ハルヒの元を一時的に去ることにより、状況に変化が生まれることを情報統合思念体は予想
していた。しかし、今日まで特に大きな情報改変は確認されていない。ただし、貴方が涼宮ハルヒの『鍵』で
あることに大きな変更はないと情報統合思念体は考えている。貴方の身に危険が生じる可能性が増えると情報
統合思念体は判断し、貴方を護衛及び観測するためのインターフェイスを派遣することになった」
つまり、俺も観測対象になったという訳か?

「……そう。私の観測範囲を広げれば、貴方に迫る危険には十分に対応可能であると情報統合思念体に報告
したが、もし貴方に急遽危険が迫った場合、即時対応という意味では不十分と見なされた。そのため、貴方
専用のインターフェイスを付けることとなった。なお古泉一樹の『機関』や朝比奈みくるの組織も、おそらく
我々と似たような行動を取るだろう」
俺専用の護衛兼観察係、ですか。嬉しいんだか悲しいんだか。
そいつらは俺に自己紹介をしてくれるのかね?

「……わからない。情報統合思念体でも派閥によって思惑が違う。貴方に正体を明かした方がよいと判断する
ならば、そのようにするだろう。私にはそれ以上の情報が与えられていない」
そうですか。ただ、お前のパトロンの『派閥』がどうのって話を聞くとだな、脇腹のあたりがズキズキしたり
するのは、俺のトラウマになってしまったんだが。
66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:20:18.57 ID:Qg0qphrv0
しえn
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:20:21.08 ID:H5A/h9KR0
しえn
68遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:20:45.71 ID:zgYxGyWD0
「……頑張って」
ああ、頑張るさ。伊達に2年もSOS団にいたワケじゃあない。多少のことでは驚かなくなってるしな。

「……そうではない。涼宮ハルヒと約束した事柄。私という個体も、貴方がこちらに戻ってきてくれることを
切望している」
……おい、なんでそのことを知ってるんだ?
お前と朝比奈さんはあの時もう居なかったじゃ……って、長門のことだ、知らないことは無いんだろう。

「……ナイショ」
久々の長門の冗談のような台詞を最後に、携帯は切れた。

結局、やっぱりというか、当然というか。ここまで来てもハルヒやSOS団と俺は、縁が切れないらしい。
これじゃSOS団支部ってのを本当に立ち上げてみても良いかもしれないね。

ハルヒや古泉にも、無事到着したと連絡をしようと、携帯のメモリを呼び出していたとき、引っ越し便が到着
した。これからまた肉体労働かと思うとげんなりしてくるが、とりあえずこの引っ越しを終わらせない限りは
寝る場所にも困ってしまうし、飯も食えない。なんせ、俺のベッドも食器もあの荷物の中だからな。

階段を下り外へ出て、なんとなく玄関の脇で引っ越し便を見ていた。
引っ越し便のお手伝い人数は……運転手を含めて5人か。当然、向こうを手伝ってくれた人とは違うようだ。
彼らはトラックの前で点呼を取ると、荷物を下ろし始める。まずは隙間を埋めていた毛布を取り出し、同時に
段ボールをトラックの側に敷き始めた。
流石プロ。手際の良さに感心して見入っていると、助手席からバインダーを小脇に抱えた作業服姿の女性が
小走りにこちらにやってきた。
あれ……??
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:20:55.83 ID:oAXbc0td0
支援
70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:21:28.62 ID:+6KEJX1k0
>>50
まったくだ。ハルヒを泣かしたらお前を丸焼きにしてやるぜw
71遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:21:50.81 ID:zgYxGyWD0
「こんちにわ、お待たせしました。引っ越し便です」
「はあ〜〜い……お待ちしてました」
「では早速作業に掛からせていただきます」
お袋に挨拶し、再び小走りに外に出てきた女性に声を掛けた。

「……何でこんなところに居るんですか?森さん?」
足を止め、こちらを振り向いた女性は『機関』所属にして古泉の上司?森園生さんだった。いつぞやのメイド
ルックやスーツ姿と違って、作業着姿も板に付いている。

「ええ、引っ越しのお手伝いに参りました。それと、あなたにお伝えしたい事がありましたので」
多分、さっき長門から聞いた件なんだろう。
ありがとうございます。わざわざ伝えに来てくれたんですか。
訝しげな顔をした森さんに、俺は先程長門から聞いたことを説明した。

「さすがは長門さんですね。既に連絡済みとは」
いや、俺もその件はさっき聞いたばかりなんですが。
「彼女の言ったことは事実です。というわけで、我々も貴方の護衛を近くに置かせていただきます」
はあ、やっぱりね。出来れば、誰が来るのかを教えて頂くわけにはいきませんか?

「まあ、そのうち分かりますよ。それまでのお楽しみと言うことで」
……まさか古泉が同じクラスに転校して来るというのは無しですよ?
「彼には、涼宮ハルヒの監視という任務がありますので、それはありません。それでも、貴方が全く知らない
方ではありませんよ」
誰ですか?教えて貰うわけには……
人差し指を口元に持ってきた森さんは、輝くような笑顔でこういった。
「……禁則事項です」
……そう言う冗談はやめてください。イヤ、マジで。
72以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:22:14.97 ID:H5A/h9KR0
しえn
73遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:22:54.96 ID:zgYxGyWD0
引っ越し便(実は『機関』)の人たちの、プロ顔負けの手際の良さも手伝ってなのか、荷物の搬入は思いの外
順調に進んだ。引っ越しの荷解きも大体終わり、あとは各々の細かい片付けが残った時点で『機関』の面々は
帰っていった。是非夕食でもというお袋の言葉を「申し訳ありません。我々にはまだ仕事がありますので」と
名残惜しそうに断った彼らは、来たときと同じようにトラックと随伴のワゴン車に乗って、夕闇の中に消えて
いった。

簡単な夕食を掻き込み、部屋に戻ったところで携帯の着信に気がついた。
履歴にはハルヒと古泉、朝比奈さんの名前が載っている。ああ、そう言えば到着の連絡してなかったな。

まずハルヒに……と携帯を取ったところで、電話が鳴った。

着信:古泉一樹

「古泉か」
「はい、ご無事そうで何よりです」
「ああ、無事に付いたぜ。引っ越しも一段落した。その……森さん達のおかげでな」
「……それはそれは。となれば、こちらの用件はもうご存じですね」
俺は、長門から聞いた話を古泉に話した。『機関』の意向を知っているのと知らないのでは、今後の対応が
変わってくるだろうし、何よりコイツには「事情は知っている」ことを話しておかなければと思ったからな。

「そうですか。そこまでご存じならば、僕からは何も言うことはありません」
古泉の、ちょっと困ったようなにやけ顔が頭に浮かんだ。

「ところで涼宮さんにご連絡は?」
ああ、これからだ。今掛けようかと思ったら、おまえから掛かってきたんだ。
「そうですか、これは失礼しました。涼宮さんは、おそらくあなたからの連絡を首を長くして待っておられる
はずです。それでは、また」

それだけ言うと、古泉からの電話は切れた。
74以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:23:12.87 ID:H5A/h9KR0
しえn
75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:23:47.47 ID:Qg0qphrv0
しえn
76遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:23:59.89 ID:zgYxGyWD0
ああ、そうだ。ハルヒハルヒ。

呼び出し音一回で出やがった。
「もしも……」
「遅〜〜〜い!何やってたのよ!このバカキョン!」

いきなりそれかい。
お前な、引っ越しの翌日は荷物整理と片付けだろうが。こっちは大変な状態なんだぞ。
「知らない」
うわ、そこで一蹴しますか、こいつは。

「……心配してたんだから。到着したら、きちんと連絡しなさい!」
ああ、すまんな。それに関しては悪かった。

「そっちは、どう?上手くやっていけそう?」
付いたばかりでまだ分からんが、同じ日本だ。言葉も通じるし、問題ないんじゃないか?
「そっか。じゃあ、受験勉強も大丈夫ってワケね!」
そう言う意味かよ。まあ、日本全国やることは同じだ、大丈夫だろ。やれるところまでやってみるさ。

「ああ、そうだ。引っ越しの時に言い忘れていたけど、SOS団本部からの通達よ!!月イチで不思議報告を
すること!良いわね!」
はあ??何のことだ??不思議報告だと??

「あんたね!SOS団支部長って言う肩書きを忘れたワケじゃないでしょうね。こっちとそっちでは全然生活
環境が違うんだから、不思議の一つくらい見つけるのがSOS団団員として当然のことなのよ!」
イヤ確かに生活環境というか、自然形態も違うから不思議な事の一つくらいはあるかもしれんが……って待て
待て!俺たちは受験生だぞ!しかも俺は、お前の志望大学に入るためには脇目もふらずに勉強しなければいけ
ないんだが?
77以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:24:16.44 ID:H5A/h9KR0
しえn
78遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:25:05.06 ID:zgYxGyWD0
「……う〜〜ん、そう言われればそうよね……ああ、じゃあ不思議なことを見つけておきなさい!調査自体は
SOS団本部がやるわ。そうね、手始めはGWあたりを予定しておくから」
え〜〜と、それはつまり……

「SOS団初の遠征!『GW不思議探索ツアー』決定ね!じゃ!おやすみ!」
おい!まてこら……という俺の叫びも空しく、携帯は既に切れていた。

はあ〜〜、と言う盛大なため息が俺の耳に聞こえてきたのは、空耳ではないだろう。吐いたのは俺だからな。

GWの予想……と言うより惨状を予測していた俺は、ふと時計に目をやった。時計は無情にも23時をとうに
過ぎていた。やばい!朝比奈さんに連絡しなきゃ。

何度か携帯に掛けてみたものの、いっこうに出る気配はなかった。寝ちまったのかな?まあ、深夜に電話する
のもどうかと思った俺は、明日もあるさと思い直し、とりあえずそれだけは確保した寝床に潜り込んだ。
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:25:19.32 ID:H5A/h9KR0
しえn
80遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:26:09.29 ID:zgYxGyWD0
第十章 護衛

新しい学校は家から歩いて15分ほどの所にある公立の中高一貫校で、まだ設立してから10年経っていない
という話だ。新設立の学校には良くある話らしいが、まだ学校の評価が定まっていないためか、在校している
生徒の質は玉石混合、超難関の学校に挑戦できるような優秀な学業成績を納める奴もいれば、そうでない奴も
いるとのこと。
俺と妹はこの学校に馴染めるだろうか。俺はともかく、妹は卒業まで6年間通う学校だから、うまくやって
欲しいものだ。

俺たちは今、近所にある全国チェーンのショッピングセンターにいる。俺と妹の制服を買うためだ。
ショッピングセンター内の制服売り場には、近隣の学校の制服がきらびやかに並べられていた。

「あ〜〜、これだよ、これ!この制服!」

学校側に指定された制服は、男子女子共にブレザータイプで中高共通というものだ。男子の方は北高の制服に
よく似ている。つか、胸ポケットのマーク以外は色合いまで同じなのは何の因果なのかね?女子の方は、光陽
園のブレザーの色違い(ロイヤルグリーンとか言う色だそうだ)といった感じだ。イマイチよくわからんかも
しれんが、俺もよくわかっていない。だからあまり突っ込むな。

試着して寸法合わせをしようかと、側にいた店員さんに声を掛けようとして俺は驚いた。
……何でここに居るんですか、喜緑さん?
「あら、キョン君、お久しぶりですね」

わざわざこんなところまで来て、アルバイトですか。
「ええ」

ふわっとした微笑みは確かに喜緑さんのものだった。あ、もしかして……ってか、おそらくそうなんだろう。
喜緑さんが俺の観測及び護衛に回ったんだな……そこまで考えた俺は、ふと周りを見渡した。
サービスカウンターの向こうから、なにやら眼鏡越しに鋭い視線を向けてくる男が一人。
……生徒会長だ。あ、いや元・生徒会長だな、今は。
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:26:31.37 ID:H5A/h9KR0
しえn
82遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:27:14.51 ID:zgYxGyWD0
「何で会長まで居るんですか?会長もバイトなんですか?」
「いいえ、彼はこのショッピングセンター重役の御曹司なんですよ。ご実家の方針で、高校卒業後の一年間は
現場で社会勉強をするのが決まりなんだそうです」
妹に合いそうなサイズの制服を探しながら、喜緑さんは続けた。
会長の実家が、全国チェーン展開をしている某有名ショッピングセンターの重役様とはね……でもそんな話は
在学中にも聞いたこと無いような気がしますが……

「ええ、ウソですから」
あっけにとられた俺を尻目に喜緑さんは微笑みを絶やさず、妹に合いそうなサイズの制服を選び出す。ああ、
どう見ても一番小さいサイズだな、こりゃあ。

「でも、本当の理由は……ご存じですよね?長門さんから連絡が行っていると思いましたが」
は?ああ、じゃあ『機関』の護衛兼監視員ってのは会長のことだったんですか。でも大学どうするんですか?
喜緑さんも一緒なんですよね、確か。

「そこから先は、僕が説明しよう。喜緑くん、妹さんをあちらのスペースへ」
気がつくと、俺のすぐ後ろに会長が居た。

「はい。妹さんは、じゃあこちらへ」
「は〜〜い」
まるで仲の良い姉妹のように更衣室へ向かう二人を眺めながら、俺は元・会長に疑問をぶつけた。『機関』の
仕事も大変ですね。

「ふん、この数年間耐えに耐えてやっと志望の大学に入ったというのに最後にこれだ。困ったものだ、全く」
それより、さっきの話ですが。
「……このショッピングセンターの重役の御曹司という話は、もちろん全くのデタラメだ。それこそ『機関』
絡みで、色々と有るわけだがな。ま、そうは言うものの、俺は古泉のような『機関』の正式なメンバーでは
ないから、こちらにもそれなりの旨みがなければこのような話は受けんよ」
この人が生徒会長をやっていたときにも感じたが、相変わらず損得勘定の激しい人だな。
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:27:34.41 ID:H5A/h9KR0
しえn
84遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:28:19.23 ID:zgYxGyWD0
「『機関』から要請があったのさ。一年間、君を護衛してくれとな。俺としても、折角入った大学をいきなり
休学してこの仕事に回されても困ると、最後まで駄々をこねたのだ。結局、俺の大学生活中の学費や生活費を
全て機関が持ち、学業成績や就職先も有利にする、という条件で了解した」
確かにそれは美味しい。俺にも少し分けて欲しいくらいだ。

「君は何を言っているんだ?俺のような人間に破格の待遇を与えてまで君を護衛させることの意味が分かって
いないようだな。君の身に何らかのトラブルが及ぶと言うことは、場合によってはすぐ世界崩壊に繋がると
言うことなんだぞ?君は本当に自覚していないようだが」
そう言われましてもねえ。ただ、俺が受験に失敗するとハルヒほどではないにしろ、あちらこちら様々な方に
迷惑を掛けると言うことだけは、よく分かりました。

「うむ、それが分かっていれば良い。受験勉強をがんばれよ。それこそ、俺たちのためにな」
そう言って、会長は喜緑さんの方に目を向ける。ちょうど妹が新しい制服を身につけて更衣室から出てきた所
だった。
まさか、元・生徒会長にエールを送られるとは思っても見なかったな。

「良くお似合いですよ」
「えへへ〜〜〜」
その場でくるりと回った妹は、俺を見つけると大声で叫んだ。
「キョンく〜〜ん、似合ってる〜〜???」
ああ、似合ってるぞ。だから、そんな大声を出すな。躾がなっていない事が周りの人にバレバレだろうが。
85以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:28:32.72 ID:H5A/h9KR0
しえn
86以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:28:55.70 ID:Qg0qphrv0
しえn
87遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:29:23.52 ID:zgYxGyWD0
さて、4月の上旬。妹は明日が入学式で、俺は明後日から新しい学校に登校することとなる。

両親と一緒に学校にやってきた俺たちは、各々のクラス担任と面談した。
初めて入った中等部の職員室で、妹は最初こそ落ち付かなげな顔をしていたものの、先生と話しているうちに
うち解けてきたのか、いつものような人懐こい表情を浮かべていた。
中間一貫校とはいえ中等部と高等部の職員室は別だ。
妹のクラス担任と話し込んでいるお袋と妹を中等部の職員室に残し、俺は親父とともに高等部の職員室へと
向かった。

俺の方はなにやらSクラスとやらに編入されるそうだ。まあ、早い話が北高の特進クラスだな。学業成績の
優秀な人間や、高ランクの大学を目指す人間ばかりを集めたクラスらしい。正直そんなクラスには入りたくは
なかったのだが、ハルヒとの約束があるし、他の人たちにこれ以上迷惑を掛けないためにも、今年一年は
勉学に勤しまなければならないからしょうがないと言える。

クラス担任と挨拶を交わし、今後の学校生活を送る上での注意点などを聞いていると後ろから声が掛かった。
「先生、二年次のクラス日誌のまとめ、ここに置いておきますね」

その声の方を何気なく振り向いて、俺は固まってしまった。
何故、おまえがここにいる?
それは、情報統合思念体の急進派に属するヒューマノイドインターフェース、朝倉涼子に他ならなかった。

「あれ?キョン君?キョン君じゃない!」

固まったままの俺の手を握り、朝倉はぶんぶか振り回した。
88以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:29:39.97 ID:H5A/h9KR0
しえn
89以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:29:54.75 ID:Qg0qphrv0
しえn
90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:30:08.71 ID:pq0gE+Bw0
しえん
91遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:30:29.70 ID:zgYxGyWD0
「やっぱりキョン君だ!どうしたの?転校してきたの?もしかして、ここに通うの?いつから?どこのクラス
なの?」
満面の笑顔で矢継ぎ早に質問を投げかけてくる朝倉。
しかし俺は、顔面を蒼白にしたまま「ああ」とか「うう」とか、情けない声を上げるばかりだった。そりゃ
そうだろう。1年以上前とは言え、2度も死にそうになった原因の女が目の前にいて、俺の手を握っている
んだからな。

「なんだ朝倉、知り合いか?」
クラス担任が朝倉に問いかけた。

「ええ。前の学校で一緒のクラスだったんです。3ヶ月くらいの短い間でしたけど……」
屈託のない笑顔で応える朝倉。

「そうか。彼も転校先に友人がいるというのは良いことだ。ああ、そうだ。ついでで悪いが朝倉、彼にこの
学校を案内してやってくれ」
クラス担任はそう言って、再び俺の方に目を向けた。

「彼女は2年生の時から、Sクラスの委員長をやっているんだ。何でも分からないことがあったら相談すると
良いぞ。じゃあ朝倉、頼む」
「あ、じゃあキョンくんも同じクラスなんだ!そっか〜。勉強頑張ろうね!」

朝倉に手を引かれ高等部の職員室を出た俺は、まず辺りを見回した。明日始業式とはいえまだ春休みのせいか
何人かは視界に入る。おそらく部活の人間だろう。
いくら朝倉とはいえ、こんなところで事は起こさないだろうと考えたが、ナントカ空間に引き込まれたら、
俺には手も足も出ない。マズイ。
しばらく廊下を歩いてホールのような所に出たところで、俺は強引に朝倉の手を振りほどき、2・3歩後
ずさった。

振りほどかれた手に目をやって、朝倉は振り返った。
「どうしたの?キョン君?あたしが怖いの?」
92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:30:48.26 ID:H5A/h9KR0
オールスターだな。
しえn
93遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:31:33.25 ID:zgYxGyWD0
「……なぜお前がここにいる?」
心臓がダンスを踊っているように、バクバクしている。喉もカラカラだ。粘ついた何かで自分の声のような
感じがしない。

「あれ?長門さんから聞いてなかったの?あたしは貴方の護衛をするように言われてるんだけど?」
護衛?ちょっと待て。俺の護衛は喜緑さんじゃなかったのか?

「喜緑さんには長門さんの監視という任務があるから、それは却下されたわ。だから、本来長門さんのバック
アップであるあたしが再構成されて、貴方の護衛に回されたの」
だがお前は……俺を2度も殺そうとしたんだぞ。今更「ハイそうですか」と納得できるわけ無いだろう?
正直、お前は俺にとってトラウマになってしまっているんだからな

「う〜〜ん、その件に関しては本当にごめんなさい。謝るわ。今後はあんな事は起きないと思うから」
思うからってのは何だ?もしかしたら起きるかもしれないって事じゃねーか!

「揚げ足を取らないで。あのね、今のあたしは制限モードでしか動作していないの」
制限モード?そりゃなんだ?パソコンのセーフモードみたいなものか?

「そんなものね。つまりこの星の有機生命体--所謂ヒト--と同じ能力しか持っていないのよ。以前のような
情報操作能力には全てロックが掛けられているから」
すると何か?ナントカ空間だの特異な身体能力だのは使えないって事か?

「そう。だから今のあたしはただの人間。安心して」
安心して、と言われてもな。それに、ただの人間でも人を殺すことは出来るんだぜ。例えば大型のナイフ
とかを使ってな。大体あの時のお前は、俺を殺す気満々だったじゃねーか。

「それなんだけどね、今更言っても言い訳にしかならないけど、聞いてくれる?」
ああ、聞くだけは聞いてやろうじゃねーか。だが、判断するのは俺だ。
94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:31:40.64 ID:oAXbc0td0
200KB超えるんならそれもありかと支援
95以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:32:03.98 ID:H5A/h9KR0
しえn
96以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:32:18.55 ID:Qg0qphrv0
しえn
97遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:32:52.50 ID:zgYxGyWD0
「1度目は涼宮さんの情報爆発観測が目的、2度目は長門さんが作った情報改変後の世界を守るために、
あなたに刃を向けたわ。でもね、あたしの操り主である『急進派』はあることに気付いたの」
朝倉は俺から目をそらし、ホールのタイルの数を数えるように目を下に向けた。

「情報改変後の世界には、情報統合思念体そのものが存在しなかった。例えそれが、長門さんが涼宮さんの
力を借りて作ったかりそめの世界でもね。あの時は元に戻すことが出来たけど、下手すると涼宮さんの一存で
情報統合思念体そのものが消滅してしまうかもしれないと言うことに気付いたの。『急進派』は、恐慌状態に
なったわ」
そう……だな。入院していたときに、俺は長門に同じようなことを言ったことがある。もしお前がどうにか
なってしまうなら、ハルヒを焚き付けてでも……ってな。

「情報統合思念体は涼宮さんの動向を静観することにしたわ。確かに情報爆発を起こして進化の可能性を探る
のも一つの方法だけど、その見返りに情報統合思念体自身が『無かったこと』にされるのでは、あまりにも
リスクが大きいと言うことで、各派閥の意見は一致したわ」
そりゃそうだろう。ミイラ取りがミイラに……ってレベルの話じゃない。

「特に、あなたと涼宮さんの間には強固な信頼関係がある。あなたに何かが起きたら、それこそ世界滅亡……
引いてはこの宇宙の危機なの。だから、あなたを再び涼宮さんの所に無事に返さなければならない。それが
私の新しい任務。私たちヒューマノイドインターフェースは、個々の事象に対してある程度の裁量権を持た
されているんだけど、大元の命令に対しては一切反抗できないようになっているの。だから、あなたは安心
して良いわ」
なるほど、言いたいことはよく分かった。つまり今のお前は、俺に対して殺意を持ってはいない。身体能力
的にも普通の女の子と言うことなんだな?

「そう。私は普通の女子生徒の、朝倉涼子よ」
朝倉は顔を上げ、にっこりと微笑んだ。
ところで、お前がそこまで能力を制限されているって事は、だ。
俺もあまり考えたくはないが、もしも宇宙的事情や未来的事情で、緊急事態になってしまったときはどうする
んだ?護衛として役に立たないって事じゃないのか?
98以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:32:56.64 ID:91QJS76mO
支援
99以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:33:01.60 ID:H5A/h9KR0
しえn
100以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:33:19.95 ID:Qg0qphrv0
しえn
101遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:33:57.26 ID:zgYxGyWD0
「情報統合思念体や他のインターフェースへの連絡回線と、情報データベースにだけはアクセスできるように
なっているの。だから、もしもそんな事態になったら他のインターフェースに連絡を取って、制限モードの
解除を申請。それが通ればロックは外れる。つまり、長門さんや喜緑さんの許可がなければ、私は全ての力を
使えないわ」
他のインターフェースへの連絡回線がどうの、という時点で普通の人間じゃないんじゃないか?という脳内
突っ込みは聞かなかったことにした。
なるほどね。お前の言い分は分かった。だが、その話を信用できる確信を得たい。

「長門さんや喜緑さんに確認を取って貰っても、私は一向に構わないわ。だって、本当のことなんだもの」
俺は携帯を取りだし、長門に電話を掛けようとしてふと指が止まった。考えてみれば長門はまだ団活中の時間
だし、喜緑さんは連絡先が分からん。どうしようか。

朝倉は相変わらず微笑んだままこちらを見ている。
お前ら情報統合思念体とやらを全面的に信用するつもりはないが……と言いかけて、ふと、周りを見回した。
ホールのど真ん中で、制服を着た朝倉と私服の俺が、傍目から見れば言い争っているような状況を、部活中の
他の生徒が物珍しそうに横目で見ながら通り過ぎていく。

うう、転校前からあまり人の目を引きたくはなかったのだが。

「あ、そうそう。私が去年からこの学校にいるというのは長門さんの情報操作だからね。あたしは先週、喜緑
さんに再構成されたばかりなの」
人の流れが途切れた頃に、朝倉は付け加えた。
ああ、だから喜緑さんがこっちに居たわけだな。紛らわしい。
102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:34:05.73 ID:H5A/h9KR0
しえn
103以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:34:17.31 ID:Qg0qphrv0
しえn
104遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:34:46.21 ID:zgYxGyWD0
谷口曰くAA+の微笑みを俺に向けていた朝倉が、ふと目線を外した。
「あ、お父様が来たみたいね。じゃあ、あたしはここで。またね!」
くるりと踵を返し教室棟に向かった朝倉を見ていると、背後から親父が声を掛けてきた。
「学校案内は終わったか?」
ああ……と、まるで気のない俺の返事に気付いたのかどうか。俺の横に並んで朝倉の去った方向を見ていた
親父は、ニヤニヤしながらこちらを向いた。

「えらい美人さんだな。北高で同じクラスだったんだって?」
ああ、そうだな。
「引っ越しの時にお手伝いに来てくれた人も、女性の方が多かったそうじゃないか。しかも、なかなかの美人
揃いと母さんから聞いたぞ」
なんのこった。全部友達だ友達。
「お前は俺に似て、美人に好かれる体質かもな?わははは」
そう笑いながら、親父は俺の背中をばんばん叩き、校門に向けて歩き始めた。
……お前が父親でなければ、この場でぶん殴っているのに。
105以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:34:58.34 ID:H5A/h9KR0
しえn
106以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:35:42.02 ID:91QJS76mO
支援
107遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/09(火) 23:35:44.29 ID:zgYxGyWD0
とりあえず、今日はここまでです。
ご支援、ありがとうございました。
108以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:36:25.90 ID:uRDr/7iw0

登場人物が多いのに上手いなあ
109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:36:36.82 ID:H5A/h9KR0
乙!
パパさん良いキャラだなw
続きwktk!
110以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:37:32.90 ID:Qg0qphrv0
111以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:38:52.22 ID:dNrqcCnF0
支援できんかった乙!

……書きかけの長編のネタを先にやられてしまったぜ、HAHAHA。
112以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:42:48.53 ID:dNrqcCnF0
長編投下後は落下しやすいage保守
113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:44:30.46 ID:lc7SEI/30
>>111
それは厳しい\(^o^)/
114以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:45:59.77 ID:HHAVnvhQ0
115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:46:14.68 ID:oAXbc0td0
乙でした。
続きも気になる。
企画以来長編書いてなかったし、俺も頑張るかな・・・
116以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:46:31.61 ID:beyN8IzjO
GJすぐる!
続きwktkなんだが、小さなミスが目立つな。中身がいいから余計に。
117以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:48:24.84 ID:dNrqcCnF0
>>116
せっかくだから避難所のアドバイススレにでも書いておけば?
まとめ後に修正するのに役立つかも知れないし。
118以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:49:29.18 ID:Qg0qphrv0
119以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:50:29.70 ID:H6O40pTo0
>>107乙!
ところで、前々スレ…だったかな?
「一方その頃、古泉たちは〜」のお題が出来たんだが、投下してもいいかな?
120以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:50:54.61 ID:Ktfunr8w0
ドゾー
121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:57:30.06 ID:vRDdpPPQO
wktk保守
122以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/09(火) 23:57:46.56 ID:91QJS76mO
かむかむ
123ある日の探索日〜古泉と長門:2007/10/09(火) 23:58:43.39 ID:H6O40pTo0
んじゃ投下。
長門視点
「涼宮さん達は置いといて行きましょう」一樹の言葉に私は頷いた。
橘京子、他二名に別れを告げ私は歩き出した。
私はずっと悩んでいる。一樹と一緒に居るのは楽しい。でも、私は笑うことが出来ない。
朝倉涼子、喜緑江美里のような笑顔をする事が出来ない。笑顔を見せない私を一樹はどう思っているだろうか?
「…さん…なが…長門さん!」気が付くと目の前に一樹の顔があった。
「どうしたんですか?さっきからずっと考え事をしているようですが?」ごめんなさい。私はただ謝る事しか出来なかった。
「あ、いえ、謝る事なんて無いですよ。ただ、心配で」一樹は苦笑いしながら言った。私の中に「不安」のエラーが発生する。
私は決心した。私のことを一樹に聞こう。

「一樹、あなたに話したいことがある」
124以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:00:09.03 ID:c/3n1z8c0
125ある日の探索日〜古泉と長門:2007/10/10(水) 00:00:23.25 ID:ldC0EhEg0

古泉視点
公園のベンチで僕は長門さんと座っています。
彼女から話があると言われて僕がここに連れて来たんですが、長門さんは一向に話そうとしません。
「話と言うのは?」僕は長門さんに聞いた「………私の事…」長門さんの事?なんでしょう?
「あなたは私の事をどう思っている?」彼女の意外な問いに僕は一瞬固まった。「好きですよ」今更だがやっぱり恥ずかしい。
「そうではない!」 いつもより少し大きい声を出す長門さんに僕は驚いた。
「私は…私は笑うことが出来ない…」いつもの無表情ではなく、不安そうな表情で長門さんは続けた。
「一樹といるのは楽しい、だが私はそれを表に出せない。笑わない私に一樹が私のことを嫌いになるのではないかと不安になる」
長門さんはそう言って俯いてしまった。確かに長門さんは笑わない、でもそれに僕が不満に思った事なんて一度も無い。
「嫌いになる事なんて絶対ありません」僕は真剣な顔で言った。長門さんは俯いたままだけど僕は続けた。
「表情に出さなくても、長門さんが僕と居て楽しいと思っている。それだけで僕は嬉しいです」すべて本心だ。
「貴女がインターフェースだろうとなんだろうと関係ない。僕は一人の男として、長門有希、貴女が好きなんですよ」
僕の言葉に長門さんが顔を上げた。長門さんは泣いていた。思わず僕は抱きしめてしまった。

その後、泣き止んだ長門さんと服を買いに行ったり本屋に行ったりした。
服屋では長門さんが店員さんにいろんな服装をさせられていた。着替えるたびに「どう?」と聞いてきた。
正直、どれも似合うので返答に困った。結局、その内の半分くらい買っていた。
本屋では目的の本を見つけられなかったようで、少し不満そうにしていたのが可愛かった。
途中、朝比奈さんから電話があった「涼宮さんから伝言で、集合無しで帰って良いそうです」言うだけ言って切られてしまった。
ちょっと機嫌が良くないようでしたが、何かあったんでしょうか?電話をしまうと長門さんが服を引っ張ってきた。
「古泉一樹、貴方に言いたいことがある」何でしょうか?「私は貴方を名前で呼んでいる」は?「貴方も私を名前で呼ぶべき」
長門さんの目は真剣だ。わかりましたよ。正直、名前で呼ぶのは恥ずかしいけど、長門さんの頼みですしね。
僕は心の中で気持ちを切り替えて、いつもの『仮面の笑顔』じゃない本当の笑顔で言った
「さぁ、次はどこに行きますか?有希さん」
126ある日の探索日〜古泉と長門:2007/10/10(水) 00:02:38.36 ID:ldC0EhEg0
以上です、書いている間に別のを書いていたので何かおかしくなったorz
127以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:03:26.86 ID:c/3n1z8c0
128以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:05:58.72 ID:qCtMmLm9O
長門の本気笑顔見たら、一発でノックアウトだろうな。
GJ!
129以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:08:19.85 ID:bYolOk8JO
>>128
本気笑顔より微笑みの爆弾
130126:2007/10/10(水) 00:13:29.69 ID:ldC0EhEg0
橘と藤原編とみくると九曜編は多分そのうち書きます。その前にミヨキチが…
みくると鶴屋さんが空気過ぎるのでなんかお題ください
131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:14:50.41 ID:bYolOk8JO
>>130
みく鶴友情崩壊
132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:22:02.78 ID:qCtMmLm9O
>>130
二人の出会い
133126:2007/10/10(水) 00:23:46.94 ID:ldC0EhEg0
>>131-132難しいけど頑張ってみる。全く別の書いたらゴメン
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:31:05.20 ID:F6Hc6PeXO
135以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:33:54.72 ID:tDuKxCDe0
長編投下してもいいですか?
136以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:34:40.72 ID:tiI00v/O0
かもん
137古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:35:06.49 ID:tDuKxCDe0
―――・・・。

「こんにちは!・・・ふうん、あなたが転校生の、」
また、この夢だ。
僕の記憶にある姿よりも随分と髪の短い、そして何故か北高校のセーラー服を着た彼女が、僕を上から下まで舐め回すように見つめている。
「うん、謎ね。長身のイケメンってところも謎の加点要因だわ!あ、ごめんごめん!自己紹介が遅れたわね!あたし、涼宮ハルヒ!あなたは?」
「古泉一樹です。よろしくお願いします。」
「古泉君ね!よし、行きましょう!」
「えっ、どこへですか?」
「我らがSOS団の活動場所となっている文芸部室へよ!特別に案内してあげるわ!」
そう言って、彼女は僕の手を取る。夢であるはずなのに、この手のぬくもりだけは妙にリアルだ。
「はて、SOS団とは?」
「細かい説明はあとあと!」
強引に僕の腕を引っ張ってずんずんと突き進む。そして、首だけをこちらに向けた彼女が、100万ワットの輝きを持った笑顔を僕に見せるのだ。
「あなたは即戦力なんだからね!」

僕の夢は、いつもそこで終わってしまう。
138古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:36:05.67 ID:tDuKxCDe0
さすがに12月ともなれば朝は一苦労だ。僕の頭上に置かれた目覚まし時計がしつこく鳴り響いているにも関わらず、寒さ故に起き上がることができずにいる。
やっとの思いで体から布団を剥がし、温もりが恋しくならないうちに起き上がると洗面所へ足を進める。
少し寝癖の付いた髪の毛を整え、歯を磨く。朝食は最近取っていない。こうして一人暮らしをしていると、どうしてもきちんとした生活が難しくなってしまうものだ。
昨日アイロンをかけそびれたため少々シワのよった学ランに袖を通し、一通り準備を終えたところで一息ついた。
僕はここ数日、毎晩のようにあの夢を見ている。
見知らぬ教室。突如飛び込んでくる、聞きなれた(いつも聞いている声よりかは、若干トーンが高いのだけれども)声、そして、北高校のセーラー服を身にまとった、セミロングヘアの彼女。
涼宮ハルヒ。
僕の、好きな人。
元気よく登場した彼女は僕を上から下まで見回した後、なんとか団がどうたら・・・とか言いながら、強引に手を引いてどこかへ連れて行こうとする。
そして、いつもその辺りで夢から覚めてしまうのだ。
何なのだろう、この夢は。何故涼宮さんが北高の制服を着ているのだろう。なんとか団とは何のことを言っているのだろう。
そして、何故毎晩のようにこの夢を見ているのだろう。
確かに光陽園学院に転入してきた際涼宮さんが僕を「謎の転校生」と称し、少なからず興味を持ってくれた。今では、特に謎のない僕に飽きてしまっているようだが。
しかし、今まで一度だって、涼宮さんが僕に笑顔を見せたことなど無かった。
139古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:37:17.10 ID:tDuKxCDe0
ピンポーン。
不意に、チャイムが鳴る。我に返った僕は時計を見るなり冷や汗をかいた。すぐに玄関へ向かいドアを開くと、いつもより不機嫌を二倍顔に浮かべた涼宮さんが腕組をしていた。
「今何時だと思ってんのよ?遅刻は罰金よ」
「も、申し訳ありません!つい・・・、寝坊してしまって」
「ふうん、古泉君でも寝坊するのね。てっきり何かあったのかと思ったじゃない」
腰まで伸びた長く綺麗な黒髪を後ろにはらい、
「行くわよ」
ムスっとした声でそう告げる。僕は急いで鞄を取りに戻り、涼宮さんと肩を並べてマンションを出る。
携帯を開くと、着信履歴は「涼宮ハルヒ」で埋め尽くされている状態だった。毎朝涼宮さんと待ち合わせている時間を裕に15分も過ぎている。僕はそんなに考え事に耽っていたのか。
しかし、待ち合わせ時刻を一分でも過ぎようものなら先に学校へ向かってしまいそうな涼宮さんがわざわざ遅刻してまで僕を迎えに来てくれるとは思っておらず、僕の胸は彼女の心情と裏腹に高鳴っていた。
『てっきり何かあったのかと思ったじゃない』
こうして、時々優しい涼宮さんが、僕は好きで好きで仕方が無いのだ。

だからこそ、思う。
この人を笑顔にしてやりたいと。
既に遅刻が確定的なためか諦めてゆっくりと歩みを進めている彼女の横顔を、気づかれないように見つめながらそう考えていた。
140古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:38:30.02 ID:tDuKxCDe0

今日も何事も無く放課後を向かえる。これ以上涼宮さんを待たせてしまうと本気で嫌われるような気がした僕は、いつもより急ぎ足で涼宮さんのクラスへと向かった。
「涼宮さん」
見慣れた後姿に一声かけると彼女は気だるそうに振り向き、そのまま無言で歩き出した。
「今日は、何かありましたか?」
「別に。宣伝用の飛行船がUFOに見えて一瞬のときめきを覚えたくらいね」
前を見つめながら、大きくため息をつく。今日「も」憂鬱なようだ。
「今日はこの後どうされますか?」
「帰る」
短く即答する。
毎日放課後どこかへ出向いているわけではない。ほんの時々だ。昨日は涼宮さんご愛読のUMA雑誌を買いに隣町まで出向き、僕は束の間のデート気分を堪能していたりもした。
勿論、彼女はそんなこと微塵も考えてはいないだろうけど。
下校中僕は彼女に度々声をかけるのだが、どんな話題を振ろうとも、やはり涼宮さんは気だるそうに短い言葉をポツリと返すだけ。僕の話など、どうでもいいのだろう。
いや、彼女にとっては僕などどうでもいいのだろう。わかっている。涼宮さんがこうして僕を隣に置いてくれるのは、単に僕が転校生だからなのだ。
「じゃあね古泉君。明日遅刻したら死刑だからね」
そうこうしているうちに、涼宮さんの自宅へと辿り着く。隣を歩いていた彼女は僕より一歩前に出て振り返り、そう告げる。
「今朝はすみませんでした。明日は、必ず」
軽く頭を下げると、彼女は小さくため息をつき僕に背を向けた。僕も、彼女に背を向け帰路につく。
141以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:39:10.45 ID:tiI00v/O0
支援
142古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:39:31.00 ID:tDuKxCDe0
「古泉君」
数歩歩いたところで突然後ろから名前を呼ばれ、振り返る。
「・・・どうされました?」
言うまでも無く、涼宮さんが僕を呼び止めたのだ。彼女はやや悲しげな表情を浮かべながらアスファルトを見つめている。
既に沈みかけている夕日が、彼女の漆黒のブレザーをほんのり赤く染めている。人通りの少ない住宅街はほとんど無音に等しく、その重苦しい沈黙に、情けなくも僕は逃げ出したい衝動に駆られていた。
「―――自分がこの地球上で、どれほどちっぽけな存在だか、自覚したことある?」
やがて、決心したかのように小さく息を吸い込んだ涼宮さんが沈黙を破った。
投げかけられた突然の問いに、僕は返答を持ち合わせておらず、ただ沈黙した。涼宮さんは僕の答えなど待っていなかったかのように、言葉を続ける。
小学校6年生だった彼女は、野球場の大勢の人間を見て驚愕した。
しかし、そんな溢れんばかりの五万人程の人間も、日本の人口ではほんの二千分の一で。
そして彼女は、そのほんの一部の、ほんの一人の少女。
それに気づいた途端、何もかもがつまらなくなったと。
「高校に入学すれば、・・・少しは何かが変わると思ってた」
話し終えた涼宮さんは、肩を動かし大きくため息をついた。目線は先程と変わらずずっと僕の足元を見つめている。
僕は、ただただ絶句していた。彼女はそんな無言を貫く僕を一瞥すると、「じゃあ」とだけ短く告げ、僕に背を向けた。

しばらく、僕はその場に立ち尽くしていた。
何も言うことの出来なかった自分が、情けなくて、憂鬱だ。

―――これだけの人が居たら、その中にはちっとも普通じゃなく面白い人生を送っている人もいるんだ。そうに違いないと思ったの。
・・・それがあたしじゃないのは、何故?

家路を辿っている途中、彼女の言葉がなんだか酷く胸を締め付けていた。
143以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:40:14.84 ID:qCtMmLm9O
支援
144古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:40:36.17 ID:tDuKxCDe0
―――・・・。

「あなたが転校生?」
腰まである長い黒髪をはらい腕組をした彼女が、意思の強そうな大きな瞳で僕を見つめている。
「こんな時期に転校してくるなんて、謎ね。謎の転校生ね。あ、自己紹介が遅れたわ。あたし、涼宮ハルヒ。」
「古泉一樹です。よろしくお願いします。」
彼女は深くため息をつくと、
「ちょっと放課後付き合ってよね。こんな時期に転校してきた理由を聞かせて頂戴。まぁ、謎の転校生が本当のことを話すとも思えないんだけど。どうせ親の転勤、とか言うんでしょ?」
「え・・・えぇ、まぁ、似たよな感じでして」
「そう。まぁいいわ。行くわよ」
気だるそうな声でそう言い、僕の腕を取った。

これは、僕の記憶だ。
涼宮さんと初めて出会った時の記憶。
そう、僕はこの瞬間から涼宮さんに恋をしていた。一目惚れだったのだ。

僕の記憶の中の涼宮さんは、笑っていない。
今までに一度だって、あの夢のように笑ったことなどないのだ。
僕は彼女を笑顔にしてやれない。
じゃあ、誰なんだ?
「あの」涼宮さんを笑顔にしたのは、誰なんだ?
145以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:41:13.86 ID:tiI00v/O0
支援
146古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:41:27.05 ID:tDuKxCDe0
アラームの音が僕の頭の中にうるさく響き、目が覚めた。今日の夢は、毎晩見ていたおかしな夢ではなかったが・・・何だか酷く目覚めが悪い。
今朝も朝食は取らずに、アイロンをぴっちりとかけてあるブレザーに袖を通す。時計に目をやると、今日は約束の時間までだいぶ余裕があるようだ。
最近の僕は何故夢に悩まされているのだろう。毎晩見ていた夢に出てくる涼宮さんは今日見たものと違って、おかしい。おかしいのだが―――・・・
何故だろう?今日見た、僕の記憶通りの涼宮さんの方が、違和感を激しく感じてしまう。
そして、彼女に握られた手。
何故あのおかしな夢の方が、こんなにも温もりがリアルなのだろう。


今日も何事も無く放課後を迎えた。涼宮さんは相変わらずの不機嫌で、僕は相変わらず彼女の機嫌取りを試みている。
何も変わらない、いつもと同じ放課後だ。このまま、何も起きることなく一日が終わるものだと思っていたのに。
それは、何の前触れも無く突然始まった。
147古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:42:10.98 ID:tDuKxCDe0
「おい!」
校門を差し掛かったところで、すぐ前方から声がした。俯き気味に歩いていた涼宮さんはその声に反応し顔をあげる。
「何よ。ていうか誰よアンタ?ナンパなら他をあたってくれない、そんな気分じゃないの」
目の前に居る、深緑色のブレザーを着た北高生と思われる男に、彼女は冷たい視線を向けている。僕もその男に、無感動な視線を向ける。
すると男は不意に僕へと視線を向け、
「お前ともはじめましてになるのか」
などと、不思議なことを言う。僕は肩をすくめて見せ、それを肯定した。
「どちら様でしたでしょうか」
「ここでもお前は転校生なのか?」
僕の質問は無視し、男は続ける。何故僕が転校してきたことを知っている?そして、「ここでも」とは?
「キカンという組織に思い当たることはないか」
「キカン・・・ですか?どういう字を当てるのでしょう」
わけもわからぬ質問に、僕は顔に微笑を浮かべながら思ったままを答える。すると彼は「やれやれ」とでも言いたげな顔をしてため息をつき、僕の隣に居る彼女へ目を向ける。
「ハルヒ」
彼女がピクリと反応する。
「誰に断ってあたしを呼び捨てにするわけ?なんなのよ、ストーカー?そこをどいて頂戴、邪魔よ」
148以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:42:26.48 ID:qCtMmLm9O
支援
149以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:42:41.87 ID:tiI00v/O0
支援
150古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:42:59.76 ID:tDuKxCDe0
「涼宮」
「苗字だってお断りよ。大体なんであたしの名前を知ってるわけ?東中出身?その制服、北高よね。何でこんなところにいんのよ」
彼女はそこまで言い終えるとぷい、とそっぽを向き、
「行きましょ古泉君。こんな失礼なアホに構うことないわ。」
と、歩みを再開しようとした。
「待ってくれ」
「放しなさいよ!」
男が涼宮さんの肩を掴む。僕が彼を涼宮さんから放す前に、彼女は体勢を沈めて華麗にローキックを決めてみせた。
男は顔を苦痛に歪めたが、それでもひるむことなく涼宮さんを見つめている。何なんだ、この男は。
「一つだけ教えてくれ、三年前の七夕を覚えているか?」
歩き出そうとしていた涼宮さんがピタリと動きを止めた。
「あの日、お前は中学校に忍び込んで校庭に白線で絵を描いたよな」
「それが?」
その話は、僕も涼宮さんと同じ中学だった友人から聞いたことがあった。
「夜の学校に潜り込んだのはお前だけじゃなかったはずだ。朝比奈・・・女の子を背負った男が一緒に居て、お前はそいつと絵文字を描いた。それは彦星と織姫宛のメッセージだ。
内容はたぶん、『わたしはここにいる』―――」
彼がそこまで言うと、涼宮さんが僕の横を離れ、男のネクタイを掴み挙げた。勢いあまって彼女の頭に額をぶつけた彼は、再び苦痛を顔に浮かべ、
「いってぇな!」
と彼女を睨みつけた。
151古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:43:54.01 ID:tDuKxCDe0
涼宮さんは怒った表情をし、かつ戸惑ったような声で、
「どうして知ってんのよ。誰から聞いたの?いいえ、あたしは誰にも言ってない・・・」
彼女はハッとし、至近距離で男の制服を凝視した。
「北高・・・まさか。あんた、名前は?」
「・・・ジョン・スミス」
彼は少しの沈黙の後、息苦しそうにそう答えた。
涼宮さんが彼のネクタイを放し、片手を静止させたまま男が発した名前を復唱した。
「・・・あんたが?あのジョンだって言うの?東中で・・・あれを手伝ってくれた・・・変な転校生・・・」
不意に彼女がよろめき、僕は咄嗟に腕を伸ばして肩を支えてやる。
蚊帳の外の僕はわけのわからぬまま彼の方に視線をやると、何故か激しく安堵したような表情を浮かべながら彼女を見つめていた。
・・・なんなんだ?これは。
「・・・詳しいわけを話したい。これから時間あるか?ちょっとばかり長い話になりそうなんだが」
彼がそう言うと、絶句していた涼宮さん僕から離れ、
「もちろんよ」
と、宣戦布告を受けたかのように言葉を返した。彼は頷き、次は僕に「お前も大丈夫か」声をかけてくる。もちろん、僕も頷いた。
152以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:44:30.40 ID:qCtMmLm9O
支援
153以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:44:43.98 ID:tiI00v/O0
支援
154以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:44:46.17 ID:xikDw0WJ0
wktkwktk
155古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:45:12.17 ID:tDuKxCDe0

とりあえず近くにあった喫茶店に入る。席につくなり彼は落ち着かない様子で語りだした。
「俺の知っているお前は北高にいて、入学式のあとにこんなことを言ったんだ・・・」
彼の話は、到底信じられるものでは無かった。正直、僕は素直に「何だこいつ」といった感想を抱いた。
彼の居た世界では、宇宙人に未来人、そして超能力者――は、僕のことらしい――が揃う団体に、僕達は所属していたらしい。
「世界を大いに盛り上げるための涼宮ハルヒの団。略して、SOS団だ」
テーブルに置かれたホットコーヒーを握った手が、思わずピクリと動いた。
―――SOS団?
毎晩見ていた夢で、涼宮さんが発していた単語だ。
「SOS団が活動していた場所はどちらでしたか?」
「主に文芸部室だが・・・」
「僕はそちらでも転校生だったのですよね?僕が北高にやってきた当時の涼宮さんは、僕を何と称しておりましたか?」
質問攻めの僕に彼は一度驚いた表情を浮かべた。
「そうだな・・・即戦力の謎の転校生、だとか何とか言ってたな・・・。で、何だ?それがどうかしたのかよ」
手が、震える。それを悟られないようにと、手を膝の上へと戻し、ギュッと握る。
「ちょっと古泉君!自分の登場シーンが気になる気持ちはわかるけど、あたしはその先が気になってるの!中断させないでよね!」
「す・・・すみません」
彼は読み取れない表情で僕に視線を向けてくる。僕は、震える拳を椅子へ押し付けて「続きをどうぞ」、と微笑を投げかける。
正直、笑っていられる状況などではない。本当ならば現実だとは言いがたい出来事だが、それと夢が繋がってしまった。
いや・・・あれは単なる夢ではない、ということになるのだ。
156以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:45:39.69 ID:qCtMmLm9O
支援
157古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:46:12.87 ID:tDuKxCDe0
一通り話し終えた彼は、続けてこう述べた。
「こう考えているんだ。俺は元の世界からこの世界へ、パラレルワールドに飛んできちまったのか。それとも、世界が俺を除いてまるごと変化しちまったのか・・・。
なぁ古泉、お前はどう考える?」
僕に話を振った彼は、小声で「俺の知っているお前はこういうことを考えるのが好きだったからな」と付け加えた。
相変わらず手の震えを止めることのできない僕は、一息置いて、思うままを告げた。
「前者の場合ですと、この世界に居た別のあなたがどこへ行ってしまったのかが謎です」
彼がうん、と頷くのを確認し、僕は続ける。
「後者の場合ですと、何故あなただけが放置されたのかが謎です。特に不思議な能力を持たないあなただけが」
彼は再び深く頷く。
「いかにも古泉らしい返答だ」
「・・・しかし」
僕の言葉に、隣の彼女も視線を僕に向ける。
「僕が考えているのは・・・、後者です」
「・・・ほう、何故だ」
言うべきか、言わないべきか。少し迷ったが、どうやら僕の夢は大きな鍵となっているかもしれないと気づいてしまったからには、言わない他は無い。
158以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:46:36.09 ID:SCxgRd6u0
4
159古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:47:22.36 ID:tDuKxCDe0
「実を言いますとここ数日、僕は同じ夢を見ているのです。知らない学校で、北高のセーラー服を着たセミロングの涼宮さんが、僕を文芸部室に連れて行く夢を。
先程貴方が言っていた通り、その時の彼女は僕を即戦力だと言っていた。そして、確かにSOS団という単語も」
「本当か!?」
彼の大きな声で、僕の話は遮られる。僕が微笑を浮かべて頷いてやると、彼は天井を見つめながら深くため息をついた。
「世界が変化してしまったとしたならば、僕が以前の記憶の断片を見ていると考えてもおかしくはないと思うのですが」
「・・・ああ、そうかもしれないな」
不意に僕が彼女に視線をやると、驚くべきことに、彼女は目を爛々と輝かせていた。こんな彼女を見るのは初めてだ。彼女は僕の今の発言など聞いていなかったような様子で、
「その時のジョンが、あんたなわけか・・・うん、信じてみるのも悪くないわね!」
「やけに理解が早いな。」
「だって、そっちの方が断然面白いじゃないの!!」
僕は更に愕然とした。彼女が大輪の花を咲かすような笑顔を、目の前に座った彼に向けている。
あの涼宮さんが、とても楽しそうに笑っているのだ。
―――まるで、あの夢の中の彼女のように。
「その長門さんと朝比奈さんって人にも会ってみたいわ!それに、その部室にも行ってみたい。ねぇジョン、世界を変えたのがあたしだったら、そこに行けば何か思い出すかもしれないし!」
「ああ、反対する理由は無いな」
「じゃ、行きましょ!」
「どこへだ」
「北高に決まってるじゃない!!」
そう言うなり、涼宮さんはスキップしながら喫茶店を出て行った。
160以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:47:49.08 ID:tiI00v/O0
しえん
161以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:47:54.41 ID:qCtMmLm9O
支援
162古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:48:18.05 ID:tDuKxCDe0
伝票を持ち、立ち上がろうとすると斜め前に座っている彼が僕の名を呼んだ。
「やったのはハルヒか、他にこの状況を生み出した奴がいるのか。どっちが正解だと思う?」
「・・・あるいは、あなたの言う涼宮さんが本当に神様みたいな力を持っているのであれば、その彼女がしたのかもしれません」
「他に該当者を思いつかないからな。でもな、そうだとしたらハルヒは古泉だけを側に置いて俺たちをほったらかしにしたことになるんだ。
自分で言うのもなんだが、ハルヒが俺たち以上にお前に執着を持っているようには見えなかったんだが」
そうでしょうね。彼の言葉に、僕はくくっ、と笑い声を漏らした。
「そちらの僕も、彼女に片思いでしたか」
「・・・今、何て?」
彼が少し目を見開きながら聞き返してくる。
「僕は、涼宮さんが好きなのですが・・・そちらの僕は違ったのですか?」
「正気かよ。向こうのお前はそんな素振り微塵も見せてなかったが・・・いや、ていうかありえない」
おかしな物でも見るようにして僕を見つめる彼を尻目に、僕はすっかりぬるくなってしまったコーヒーを飲み干していた。
少しだけ、胸が痛い。
「涼宮さんは、僕の属性にしか興味が無いのですよ。僕が転校生でなければ、隣に置いてもらえる事など無かった。
・・・貴方は、何の属性も無かったのでしたよね?」
彼が真剣な顔をして頷く。僕はそれに対し、力無い笑みを返す。
「だとしたら、貴方は本当に涼宮さんに気に入られたということなのですよ。」
・・・その理由も、わかります。
夢の中の――そちらの世界の涼宮さんも、僕の知っている、涼宮さんも。
彼女を笑顔にしたのは、貴方なんだ。
僕ではなく、貴方が。
「二人とも何してんのー!早く着なさい!」
開かれた自動ドアの向こうで、涼宮さんが実にいい笑顔で怒鳴っている。そんな彼女を見ていると、自然と頬が上がるのを感じた。例え笑顔の理由が僕でなくても、彼女の憂鬱が少しでも晴れるなら。
3人分の飲料代を清算しつつ、僕は外で待つ二人に目をやった。僕には決して見せない、楽しそうな表情を浮かべた涼宮さんが、彼と何やら話しこんでいる。
彼と涼宮さんの間を漂う白い息を見つめながら、僕は思った。
彼が言うように、本当にこの世界が改変されたものだったとしたら。彼の世界とこの世界が繋がって、それが元に戻されることになるのだとしたら。
―――僕のこの気持ちは、どうなる?
163以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:49:31.61 ID:qCtMmLm9O
支援
164以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:49:49.83 ID:xikDw0WJ0
wktkwktk
165古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:49:55.47 ID:tDuKxCDe0
タクシーの中で涼宮さんが小声で話した北高侵入作戦は、北高生に変装するというものだった。
僕が彼の体操着を着て、涼宮さんが彼のジャージを穿き、ランニング帰りの運動部に見せかけてそのまま校内へ侵入する作戦だ。
僕は彼女がそんな大胆な作戦に出ることに驚いたのだが、彼は「お前らしいよ」と関心した表情を浮かべていた。彼は涼宮さんのことをよく知っているようだ。今更だが、僕は本当に涼宮さんのことを何も知らないんだなと痛感した。
北高に到着し、彼が教室へ体操着を取りに行く。二人っきりになった途端に、涼宮さんが口を開いた。
「ジョンって不思議。どうしてこんなに懐かしい感じがするんだろう。一度会ったことあるっていってもほんの数時間だけなのに・・・」
微笑を浮かべながら、涼宮さんが言う。彼女は今自分がどんな表情をしているのかわかっているのだろうか。それは、まるで・・・、いや、言うまい。
「彼の言うことが正しいとするならば、僕達は一度や二度顔を合わせただけの関係では無いということになりますからね。そう考えると、不思議です」
「ねぇ古泉君」
彼女が腰に手を当て、僕と向き合う。
「ジョンの言うことが全て本当で、本当にこの世界が作り変えられたものだったのなら・・・あたしたちが過ごしてきた今までの時間は、何なんだと思う?」
涼宮さんが僕に疑問系で言葉を投げかけてくるなど滅多にないことなのにな、などと考えながら、僕は思いついたままに返事をした。
「僕達が今持っている記憶は、架空の記憶ということになりますね」
「やっぱりそうなるわよね。・・・でもさ」
涼宮さんは顎に手を沿え、付け加える。
「あたしはそれでもいいかもしれないって思える。だって、ジョンの言う世界のあたしの方が断然楽しいに決まってるわ!ね、古泉君もそう思うでしょ?」
「・・・」
思わず、押し黙ってしまう。
まだ見慣れぬ彼女の笑顔に、ほんの少し不安が混ざったところでまずいと気付き、思ってもない肯定の言葉を彼女に返す。
そんなの、いいわけが無い。
確かに僕だって、超能力を持った自分の方が今の平凡な生活よりはよっぽど楽しいかもしれないと思う。そういうものに憧れたことがないと言えば嘘になる。
だけど。
僕が抱いている感情でさえ、創られたものなのか?彼の世界の僕は、涼宮さんに恋愛感情など抱いていないのに。
涼宮さん。この世界を創ったのが、あなたならば・・・、
何故僕に、叶わぬ恋などさせたのですか?
166以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:50:45.66 ID:fnTUYrIk0
支援
167古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:50:51.20 ID:tDuKxCDe0
「ほらよ」
彼が教室から体操袋を提げて戻ってくる。それを受け取った涼宮さんは、何の躊躇も無く着替えを始める。無防備もいいところだ。
この時期に半袖短パンというのは辛いものがあった。本当にこのまま校庭3週ほどして体を暖めたい気分だ。
そして、彼の要望でポニーテールにした彼女の大きな掛け声に合わせて、僕達はいとも簡単に北高侵入を果たした。
涼宮さんの無茶なデタラメによって書道部の朝比奈みくるさん――彼によると未来人の――を連行しつつ、僕は鳥肌のたった両腕をさすり寒さに耐えながら、僕達はついにSOS団の活動場所となる文芸部室へとたどり着いた。
彼が部室の扉をノックする。すると、僕は猛烈な既視感に襲われた。何だか嫌な予感がしたのだが、それこそ光陽園学院にもあるようないたって普通の部室だったからだろうという理由をこじつけておく。
「よう、長門」
開かれたドアの先に居る一女子高生に彼が声をかける。そこには、まさしく文芸部員とでも言わんばかりな控えめの眼鏡少女がパイプ椅子に腰掛けていて、僕を見るなり絶句した。無理も無いだろうが。
「こんにちは!」
僕が毎晩見ていた夢のように、明るく挨拶をする涼宮さん。一通り自己紹介を終えた後、
「ふーん、ここがそうなの。SOS団かぁ・・・。何もないけどいい部屋ね!」
と、目を輝かせながら部室全体を見渡していた。
「さぁ、これからどうする?」
突っ込むまでも無いのだが、ノープランらしい。即席で考えたであろう今後の事をマシンガンのように喋り倒す彼女を見つめながら意味ありげな表情を浮かべた彼が口を開いた途端・・・

ピポ

と、部屋の片隅にあったパソコンが音を上げた。
168以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:51:10.22 ID:tiI00v/O0
支援
169古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:51:44.08 ID:tDuKxCDe0
彼がすばやい動作でPCの前に移動し、何やら落ち着かない様子でディスプレイを見つめている。わけのわからぬ我々も、とりあえず彼の後ろに回りそれを観察する。
ダークグレイのモニタ上に、白い文字が走る。

YUKI.N>これをあなたが読んでいる時、私は私ではないだろう。

彼の安堵したような深いため息が聞こえる。
「何?スイッチも押してないのに。びっくりしたわ」
「タイマーがセットされていたのでしょうか。それにしてもこのパソコン、えらく古いものですね。」
僕達が会話している間も、僕には理解し難い文章がディスプレイに流れていく。

YUKI.N>このメッセージが表示されたということは、そこには貴方、私、涼宮ハルヒ、朝比奈みくる、古泉一樹が存在しているはずである。

僕の名前がディスプレイに表示されているのを見て、少しばかり驚く。貴方、私とあることから、この謎のメッセージは長門さん――ここに居る彼女では無いようだけど――からのものなのだろう。

YUKI.N>それが鍵。貴方は解答を見つけ出した。

その文章は、先程のいやな予感を倍増させるものとなった。・・・まさか。
170以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:51:45.42 ID:5HmVutWP0
支援
171古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:53:13.31 ID:tDuKxCDe0
YUKI.N>これは緊急脱出プログラムである。起動させる場合はエンターキーを、そうでない場合はそれ以外のキーを選択せよ。起動させた場合、あなたは時空修正の機会を得る。
ただし成功は保障できない。また帰還の保障もできない。
このプログラムが起動するのは一度きりである。実行ののち、消去される。非実行が選択された場合は起動せずに消去される。Ready?

末尾で点滅しているカーソルが、文章の終わりを告げる。彼は画面を見つめたまま何やら考え込んでいるようである。
緊急脱出プログラム、時空修正。これだけでは到底理解には及ばないし、彼を問いただしたところでわかることでもないのだろう。だが、大体の状況は把握できる。
Enterキーを押せば、「元の世界」に戻れるかもしれないということだ。
僕の心臓が、悲痛な叫びを上げて高鳴る。おそらく、彼も同じだろう。僕とは違った意味で。
「ちょっと、何なのこれ?ジョン説明してよ。あんたやっぱりあたしをからかってるだけなんじゃないでしょうね」
僕の隣に居る涼宮さんの言葉を無視し、彼は眼鏡を抑えて驚きの表情を浮かべている長門さんに声をかける。
「長門、これに心当たりはないか?」
「・・・ない」
「本当にないのか?」
「どうして?」
長門さんがそこまで言うと、彼はもう一度PCに視線を戻す。わけがわからないと怒りに似た声をあげている涼宮さんを黙らせると、一旦沈黙し、やがてブレザーのポケットから何やらくしゃくしゃの紙を取り出し、長門さんと向き合う。
「長門、すまない。これは返すよ」
「そう・・・」
心底悲しそうな表情を浮かべた長門さんが、震えた手でそれを受け取っている。急ぐように彼が「だがな、」とつけたし、
「実を言うと俺はわざわざ文芸部に入部するまでもなく、最初からこの部屋の住人だったんだ」
と、言う。SOS団のことを言っているのだろうが、何も聞いていないであろう長門さんは顔を伏せたままで居る。
172以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:53:42.05 ID:qCtMmLm9O
支援
173古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:54:55.28 ID:tDuKxCDe0
「・・・古泉」
彼は振り向くと、先程よりも少し低い声で僕の名を呼ぶ。
「お前なら説明しなくてもわかるんだろ」
「・・・ええ」
僕もそれに対して、控えめな声を発する。手が震え、拳をギュッと握り締める。―――寒さのせいか、それとも。
「これも、言わずともお前ならわかると思うが・・・俺は、」
「ええ、わかります」
現実とも言いがたい現実を逃避するように、僕は彼の言葉を遮る。言わなくていい。いや、言わないで欲しい。
「・・・俺が言うのも何だと思うのだが」
彼が僕の震える方を掴み、熱い視線で語りかける。
「これから先どうなるのかは俺にもわからない。もちろん最善をつくすさ。また『この部室で』お前達に会えるように。だが、『お前達』とはどうやらお別れのようなんだ」
「・・・」
「・・・古泉。一生の別れじゃない。ないが、お前には今しか伝えられないことがあるんじゃないのか?」
彼の遠まわしの表現を、理解するのは容易かった。僕は固く唇を結び、隣の涼宮さんに目をやる。どうやら彼女もこの状況を理解したらしく、大きな瞳には決意のようなものが浮かんでいた。
大きく息を吸い込み、もう一度彼に視線を戻す。ほぼ彼と同タイミングでゆっくりと頷き、今度は涼宮さんと向き合う。
「・・・涼宮さん」
「・・・」
これから僕が何を言い出すのかでさえ、もう彼女は気づいているのだろう。以前彼女が恋愛感情は精神病の一種だと言い放っていたことも、今まで言い寄ってきた男をバサバサと切り捨てていたことも、今は関係の無いことだ。
「僕は・・・出会った日から、貴方のことが」
目の前に居る彼女が、夢で見た北高セーラー服の彼女と被って見える。邪魔しないでくれ古泉一樹。あともう少しだけ待ってくれ。
「・・・好きでした」
言ってしまったという実感も無いまま、ほんの少しだけ目を潤ませた彼女に向かって僕は続けた。
「昨日貴方は・・・、自分は世界中のほんの一人でしかないと言いました。でも・・・僕にとって、貴方は誰より『特別』です。
世界中にたった一人しかいない貴方を好きになれて・・・よかった」
ここに居る貴方が、偽りだとしても。
僕のこの感情が、創られたものだとしても。
目の前に居る涼宮ハルヒを愛した古泉一樹だけは、本当だと思うから。
「・・・ありがとう」
優しい言葉と、穏やかな微笑。それを見遣った僕は、最後にカチ、とキーが押される音を耳にした。
174以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:55:51.26 ID:fOVuMsEI0
し得ん
175以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:56:45.25 ID:lF97pOzp0
しえん
176古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:57:15.41 ID:tDuKxCDe0
「―――とまぁ、大雑把に説明するとこんな感じだな」
リンゴの皮を向き続ける僕に、彼がため息交じりで今までの出来事を簡潔に説明してくれていた。
病院独特の匂いが漂う病室で、ベッドに腰掛けたままの彼が小さく声を漏らしながら伸びをしている。彼が目覚めたのは、ほんの数時間前のことだ。
「驚いたぜ。何せお前が、ハルヒのことを好きだなんて言うんだからな」
「魅力的な方だとは思いますけどね」
「それは前にも聞いたぜ。・・・で、」
彼が不意に声を詰まらせる。リンゴに向けていた視線を彼の方へ向けると、「察してくれ」とでも言わんばかりの表情で、目を落ち着き無く漂わせていた。
「・・・魅力的な方だとは思いますが、今の僕に彼女への恋愛感情というものはありませんよ。ご安心を」
「何で俺が安心しなくちゃならないんだよ。まぁ、お前がますます変な方向へ走っちまうんじゃないかと思っていた面では安心したがな」
ご冗談を。
そのうちほんのり頬でも染め出すのではないかと思う程わかりやすい彼に、僕はくすり、と微笑を向けた。

実を言うと、貴方が説明するまでも無く、僕にもあるのですよ。・・・あの数日間の記憶が。
勿論、涼宮さんや朝比奈さんには、その時の記憶は無いのだろう。何故僕にこの記憶が残されたのかはわからないが、僕が見ていた夢が鍵となったということが関係しているのかもしれない。
先程も言ったように、今の僕にはもう、涼宮さんへの気持ちは残っていない。それはあくまで「あの」古泉一樹が抱いていた感情であり、僕ではない。
でも、しっかりと覚えている。
この先もずっと忘れることは無いだろう。
涼宮さんに恋をしていた、僕を。
そして、彼女が最後に見せた、彼ではなく・・・僕がさせた、彼女の笑顔を。

見ていてください、古泉一樹。僕は超能力者として、これからもずっと守ってみせますよ。
彼女が、笑っていられる世界を。
―終―
177古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 00:59:12.36 ID:tDuKxCDe0
支援ありがとう
古ハル書いてみたくなったんだうおっすまんごゆっくりいいい!
178以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 00:59:47.63 ID:0gcKGC4B0
>>177
乙でした
179以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:00:04.61 ID:lF97pOzp0
GJ!
俺も丁度一年くらい前に似たような話を書いたコトがあるが、この雰囲気は出せなんだ。
もう一度GJなんだぜ!
180以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:00:11.00 ID:xikDw0WJ0
>>177乙!
久々に泣きそうになったよ。
181古泉一樹の消失:2007/10/10(水) 01:00:56.88 ID:tDuKxCDe0
>>179
mjdwwwすまんなかぶっちまってw
182以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:01:05.36 ID:qCtMmLm9O
これは珍しい消失だな。
GJ!
183以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:01:34.59 ID:fOVuMsEI0
>>177

っ旦~
184以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:02:49.78 ID:kqQsFf/0O
うーん俺が思う古泉のイメージとは少し違うけど…
作品はかなりいい仕上がりだと思います。
185以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:02:56.82 ID:lF97pOzp0
>>181
ナカーマ(´∀`)人(´∀`)ってことだw
186以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:10:21.63 ID:+MQpSzm+0
半年ほど前のことだろうか、俺もこの手の消失ネタの構想をwikiの雑談室に書いたことがあった
ただそれは、古泉をはじめとした改変世界のSOS団が消失するまでを書いたもので、俺には手に余るものだった
だが>>177の作品を読んでもう一度挑戦してみようと思えたよ
GJ
187以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:10:41.28 ID:bYolOk8JO
>>177
乙なんだぜ!
188以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:11:15.96 ID:tDuKxCDe0
>>184
なんかヘタレみたいになっちまって申し訳ない。
何だか古泉だけは上手く書けないんだよな、どうしてもヘタレヤンデレに・・・
189以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:19:14.67 ID:fOVuMsEI0
190以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:19:39.29 ID:kqQsFf/0O
>>188
言い方が悪かったみたいです。こちらこそゴメン
191以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:26:26.42 ID:jfPU1gO90
GJ。
やっぱり古ハルは報われないのがいいよなー。
こーいうヘタレな古泉は結構好きだw
192以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:28:11.17 ID:Tsa+b16xO
今日から仕事始めてニート脱出した俺の本音…





ニート最高!
ゆっくりSS書きたいよ…保守
193以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:29:13.00 ID:tDuKxCDe0
>>192
ちょww頑張れwwwニート脱おめでとう保守
194以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:35:24.08 ID:9EigBfbNO
消失読んでて気がついたんだが、ハルヒのボタン逆じゃね?
これって既出?
195以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:37:09.82 ID:bYolOk8JO
半年程前にニートになった俺の本音‥‥

ニートになった理由はクソみたいだが、今はばあちゃんの世話してるから働かない、というか働けない。
ばあちゃんが悪いわけじゃないが‥。

ま、ニートだからゆっくりSS書けるんだけどさ。
196以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:41:05.83 ID:+MQpSzm+0
>>194
なんのことだ?
197以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:45:48.88 ID:5HmVutWP0
保守
198以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:53:00.62 ID:9EigBfbNO
>>196
消失の挿し絵のハルヒの制服のこと
女ってボタンする時右が上じゃなかったっけ
199以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:55:46.58 ID:qCtMmLm9O
>>198
のいぢだもの。
200以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:56:11.60 ID:+MQpSzm+0
>>198
そうなのか?
背表紙裏のイラストが初音に見えて仕方ない
201以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 01:57:01.44 ID:lF97pOzp0
「だってのいぢだから」でおk
挿絵の間違いの無い巻の方が稀なんだぞ。
202以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 02:04:09.43 ID:9EigBfbNO
>>201
そうなんだ
203以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 02:13:52.54 ID:5HmVutWP0
保守
204以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 02:16:49.79 ID:xikDw0WJ0
のいぢってモノクロ絵ヘタだよな
205以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 02:18:39.01 ID:lF97pOzp0
あの味のあるモノクロ絵も好きだけどなw
>>202
例えば憂鬱なんかも3箇所間違いがある。大賞受賞作なんだから編集もキチっとみろよってはなしだけどな。
206以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 02:20:20.11 ID:xikDw0WJ0
>>205
憂鬱は朝倉の髪位しか気づかなかったわ。他2箇所についてkwsk
207以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 02:22:12.66 ID:+MQpSzm+0
表紙と比べると、明らかに力の入れ方が違うよな
>>205
最初のカラーでキョンの前が男子生徒になってるな
208以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 02:24:27.97 ID:lF97pOzp0
あと不思議探索でのみくるの服装がなぜか私服でなく制服。
とか、まあ気にしたら負けだw
209以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 02:31:30.81 ID:qCtMmLm9O
本文と挿絵の齟齬が探せるから楽しいんだよな。
210以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 02:37:27.23 ID:vIKPhd0yO
IDの数字の合計が奇数なら短編を、偶数なら長編を先に書く。
テスト
211以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 02:42:18.19 ID:9EigBfbNO
>>208
なるほど確認してくるノシ
212キョンの消失:2007/10/10(水) 02:45:41.04 ID:sG+GwtzL0
前作をまとめにアップできた記念に、
そのおまけを投下しますね。

http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3533.html
↑前作
213キョンの消失 おまけ1/3:2007/10/10(水) 02:47:18.13 ID:sG+GwtzL0
     おまけ
 
「キョンくんごめんねー、ハルにゃんにはバレバレだったのさっ」
そう言って鶴屋さんは店に入ってきた。
「やっぱりねー、キョンからなんか甘い香りがするし、
 朝からなんかそわそわしてるなーと思ってたのよ」と、ハルヒ。
朝比奈さんは、「おいしそうな香りですねー」っと瞳を輝かせていた。
その表情を見れただけでも昨日がんばった甲斐があります。
 
長門は、またいつもの無表情かと思ったが、微妙に違っていた。
この顔は、初めて図書館に連れてった時に似てるな。まあ、無言なのはいつもと同じだ。
 
で、ハルヒ、もしバレバレだったとしても、そこはあえて騙されていてほしかったぞ。
「なにいってるの、一応学校にいる間は騙された振りしといてあげたのよ、感謝しなさい」
へいへい、そうですか。
俺が今日部活に参加できないって言った時、キョトンとしてたのは、
すでに感づいてたからだったのか。なんてこった。
 
「で、キョンの手作りケーキはどれかしら」と言って並んでるデザート艦隊を見回し、
「わかったわ、この不恰好なやつね」と、ひとつのケーキを指差すハルヒ。
不恰好で悪かったな、
だが、ここにあるのはほぼ全部俺の手作りなんだよ。
214キョンの消失 おまけ2/3:2007/10/10(水) 02:48:04.07 ID:sG+GwtzL0
と、言った瞬間、現場の空気が変わった気がした。
「へー」と、店内を見渡す鶴屋さん。これが普通の反応だ。しかし、
「ほぼ全部?」と、ハルヒ。
「キョン君の」と、朝比奈さん。
「……手作り」と、長門。
 
なんだ?あとの三人の反応は。
そんなに俺の手作りじゃあ不安なのか?
そもそも俺にドジっこ属性は無いぞ。
砂糖と塩、小麦粉と片栗粉を間違えたりするなんてベタな事はしてないはずだ。
 
まあ、見た目はいまいちかもしれんが、味は保障しておく。
でないと、俺はともかく教えてくれた新川さんと森さんに失礼だしな。
 
「ち、違うわよ、味はともかく、コレだけの数一人で作ったのが信じられなかっただけよ」
見た目で勝負は無謀だと踏んで、量で勝負しただけだが、
意外とハルヒの感心を得たようだ。
朝比奈さんも、「お菓子作りって結構時間かかるんですよね」と言って頷いている。
休日に家でお菓子作りをしている朝比奈さんを想像する。
うんうん、俺なんかよりよっぽど、お菓子作りが似合いますよ、朝比奈さん。
 
長門は、というと。
すでにトレーとトングを持って、
夢遊病患者のようなステップでふらふらとケーキを物色し始めていた。
なにやら「……手作り、……手作り」とぶつぶつ言ってる様に聞こえる。
図書館に来た時と同じ反応だな。
なんだか分からんが、長門は初めて来た場所で興味がある時はこんな感じになるようだ。
 
と、まあこんな感じでみんなもデザートを物色し始めた。
215以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 02:48:21.75 ID:+MQpSzm+0
>>212
お、逆転の作者さんだったか
まだ読んでないが同人ゲーのパロディか?
216キョンの消失 おまけ3/3:2007/10/10(水) 02:48:46.48 ID:sG+GwtzL0
余談だが、ハルヒと長門の食べっぷりは予想どうりだったが、
鶴屋さんは意外と食べていなかった。
やっぱ鶴屋さんでも普通の人だ、甘い物の大量摂取は何かと不都合な事態になると、
判断したのかもしれん。
代わりに朝比奈さんの方が予想よりも食べていた。
やはり甘い物は別腹か?
とはいっても、あくまでも予想よりもであって、常識の範囲だったわけだが。
 
「キョンくんの手作りデザートはとってもおいしいよっ、
 でもあたしは甘い物よりどちらかっていうと、おつまみとか珍味の方が好みなのさっ」
そう言って鶴屋さんは飲み物の方を所望してきた。

ふむ、たしかに鶴屋さんは洋菓子より和菓子、甘味より珍味って感じがする、
乾き物か燻製物とか好きそうだな。
 
て、古泉、何お前まで食おうとしてんだ!
足りないかも知れませんって言ってたの忘れたのか、おい!
 
今度こそ古泉の頭をハリセンで叩いてやった。

      おわり
217キョンの消失 :2007/10/10(水) 02:55:25.65 ID:sG+GwtzL0
>>215
『涼宮ハルヒの逆転』はページ作る時に無理やり付けたタイトルなんです。
『キョンの消失』はすでに使われてたから…
同人ゲームに同じタイトルがあったとはつゆしらず。
218以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 03:10:12.87 ID:qCtMmLm9O
乙!
219以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 03:47:02.11 ID:a8plruQx0
220以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 04:20:12.67 ID:HFFS0rqiO
長門「……ウェザーブレイク」
221以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 04:25:11.54 ID:rYhEUeIB0
このスレ久しぶりに来たが、やっぱ活気があっていいなw
222以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 05:44:12.66 ID:gOmFrpZJ0
ssを書いては消し、書いては消し…もういやだあああああああああああ!!!!!
223以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 05:44:22.84 ID:rz5SwyVYO
224以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 05:49:18.84 ID:1z6r2zdbO
>>222
すげー分かる!

書きかけのSSが一ヶ月以上前から書き進んで無いorz
時間が欲しい
225以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 06:16:56.53 ID:3mzZr+g80
226以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 06:51:06.15 ID:RACheo4UO
おはよう保守
227以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 06:53:58.01 ID:qCtMmLm9O
アナルアッー!
228以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 06:59:32.97 ID:0p5p5VqR0
うよはお保守
229以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 07:07:34.99 ID:3iCWc4JZ0
携帯が串規制とやらで書き込めないから、携帯に書いてあるSSが投下できません
という保守
230以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 07:18:50.62 ID:FCent1dL0
キ「ハルヒ支度はできたか? そろそろでかけようぜ」
ハ「ねぇキョン、どっちがいいかしら? これはこの前着ていったし……」
キ「…なもんどれだっていいだろ、どれ着たって一緒だ。それより早く出ようぜ」
ハ「ちょっ、どういうつもり! 可愛い奥さんが悩んでるっていうのに旦那のアンタがそれでどうするのよ」
キ「おい早くしないと映画が始まっちまうぞ」
ハ「あぁもうこっちにする!、……キョンどうかしら今日のあたし?」
キ「んっ…あぁいいんじゃないかな…」
ハ「それだけ? ちょっとキョン! あたしが一生懸命選んだのにどういうこと!」
キ「あのなぁ……、お前がとびきり美人で何を着ても似合うってのは今更わざわざいう話でもないだろ、こっちは始めて会った時から良く知ってんだしな」
ハ「……バカ…」

某ラノベからのパクリ保守
231以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 07:27:20.65 ID:ucW65XIeO
なんでアナルすぐ落ちてしまうん?
232サザソのトリヴィア:2007/10/10(水) 07:28:35.12 ID:VIwsg87y0
口がまわってないぞ
233以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 07:28:52.10 ID:cSExOdN50
>>231
それだけ気持ちいいってことさ
234以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 07:46:41.16 ID:vlt/vCOM0
阪中xキョンのって出たのか?
235以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 07:47:35.54 ID:bYolOk8JO
うちなぁ?保守感覚おかしいねん。もうずっと放置気味やねん。

スマン。アナル保守出来んかったorz
236以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 07:48:52.46 ID:bYolOk8JO
>>234
筆が遅くて大変申し訳ないですorz
ちょっと長くなりそうです。
237以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 07:51:21.53 ID:rThVp2Hr0
         ハ,,ハ
        ('(゚∀゚∩_ おいらをどこかのスレに送って!
      /ヽ   〈/\ お別れの時にはお土産を持たせてね!
     /| ̄ ̄ ̄|.\/
       | .モツ煮..|/
        ̄ ̄ ̄
現在の所持品:巡洋艦・ブラウザゲー
238以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 07:58:09.47 ID:0KSZQRoJ0
         _   
        , ^   `ヽ
       イ fノノリ)ハ 
        ('(l|゚ -゚ノ∩_ 私をどこかのスレへ送って……
      /ヽ   〈/\ お別れの時にはお土産を持たせるべき
     /| ̄ ̄ ̄|.\/ 
       | .長門,..|/ 
        ̄ ̄ ̄ 
現在の所持品:カレー 図書カード 腕章(『無口キャラ』) メイド服 赤い球 おでん
239以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 07:59:49.59 ID:vlt/vCOM0
>>236
いえいえ。まだ出してないですよね
240以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 08:01:26.43 ID:bYolOk8JO
>>239
全部出来てからでないと投下しない主義ですので、そこは安心して下さい。
241以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 08:04:15.87 ID:vlt/vCOM0
>>240
良かったです。それでは引き続き頑張って下さい
242以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 08:12:23.72 ID:0KSZQRoJ0
俺は未完成でも前編とかいう名題でうpして自分にプレッシャーをかけるタイプ
そしたら「やっぱやめた」で逃げられなくなるから筆が進む
243以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 08:18:54.54 ID:bYolOk8JO
>>241
はい。良作になるように頑張ります。

>>242
!! なるほど。そういう手もありか。
244以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 08:19:53.29 ID:xp3S9AggO
俺は量と内容によるなあ。
さすがに30レスを超えるのを一気に投下するのは気が引ける。
かと言ってネタバレしそうなやつは全部落とした方がいいし


一番楽なのは、保守用に書いてるのを2,3レスくらい落としていくのかな
245以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 08:38:40.19 ID:c/3n1z8c0
246以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 08:43:26.05 ID:bYolOk8JO
247以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 08:44:45.53 ID:bYolOk8JO
>>244
長編は区切る場所間違えたら‥\(^o^)/
248以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 08:47:54.48 ID:vIKPhd0yO
>>242
それやって現在進行形で後悔中。七割くらい出来てた後半を最初から書き直し始めちまった。
249以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 08:52:58.71 ID:c/3n1z8c0
h
250以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 09:04:47.65 ID:kqQsFf/0O
俺も長編2作品書いてないやwww前半しか進んでない
251以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 09:09:12.55 ID:vlt/vCOM0
橘の香りはまだですか?
あとひなた荘。もう続きが読みたくて眠れません
252以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 09:23:43.61 ID:bYolOk8JO
保守
253以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 09:29:11.12 ID:mQOjoc0y0
>>242
Wikiに上げたやつ以外全部ほっぽってる俺がいたり。
254以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 09:33:43.71 ID:xp3S9AggO
編集中のSS、セーブせずに消してしまった・・・・・・・・
255以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 09:36:30.60 ID:c/3n1z8c0
256以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 09:36:52.64 ID:bYolOk8JO
>>254
俺はそれが怖いから毎回保護してる。
257以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 09:48:26.47 ID:UjAjYowI0
258以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 09:49:59.26 ID:RACheo4UO
俺も前、ちょっとボロいパソコンを使ってたとき
いきなり電源が落ちて1時間の苦労とネタがぶっ飛んだことがある
やる気失せるんだよな
259以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 10:07:47.59 ID:FTBq6dGtO
長門ハルヒ古泉ばっかりでツマランまあそれ以外に書けないんだろうけど
260以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 10:11:23.02 ID:vlt/vCOM0
橘、九曜のあるぞ
俺のお気に入りだがまだ完結してない。
もし違うのが読みたいのなら佐々木のssサイトがあったと思うけど
261以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 10:16:31.44 ID:vIKPhd0yO
脇役がメインの話だと生徒会長の悪辣シリーズとか
262以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 10:18:12.82 ID:vlt/vCOM0
喜緑さんとか森さんあとは国木田とか?
朝倉も良かったと思うが?
263以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 10:32:01.11 ID:bYolOk8JO
自分の好きなキャラが使われないからそう言ってるだけじゃね?
反応するだけ無駄かと思うが。
264以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 10:42:43.67 ID:kqQsFf/0O
前スレでちょっとエッチなSSがまだ、まとめにないな。
265以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 10:58:09.54 ID:bYolOk8JO
保守
266以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 11:18:37.82 ID:UjAjYowI0
>>264
ジョンにしようかどうしようか悩んでるんじゃないかな?
267以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 11:19:13.27 ID:xp3S9AggO
古泉「僕には保守すべき決定権がない」
268以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 11:32:10.17 ID:ZmJO0BOpO
>>267
・・・う・・・うー・・・あ!あるある!!!!!おまんこ!おまんこしよう!!メルアドおしえっから!!!
おまんこしよう!!!!
269以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 11:45:13.47 ID:RACheo4UO
ほし
270以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 11:46:15.69 ID:kqQsFf/0O
まあ俺も勝手に谷口視点かいたから、怒っているかもしれん…
271以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 12:08:26.98 ID:RACheo4UO
ほし
272以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 12:22:27.07 ID:RACheo4UO
273以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 12:34:16.68 ID:xp3S9AggO
ネタ詰まり保守
274以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 12:53:47.13 ID:HFFS0rqiO
保守
275以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 13:06:00.71 ID:bYolOk8JO
保守
276以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 13:17:39.55 ID:RACheo4UO
ほし
277以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 13:40:25.36 ID:qCtMmLm9O
保守
278以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 13:49:13.78 ID:mlbKnwH7O
279以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 14:10:49.55 ID:qCtMmLm9O
保守
280以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 14:25:16.83 ID:UjAjYowI0
281以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 14:25:18.53 ID:RACheo4UO
282以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 14:31:19.91 ID:kqQsFf/0O
●〈き
283以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 14:45:18.88 ID:RACheo4UO
保守
284以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 14:52:09.27 ID:UjAjYowI0
>>270
読み手側としては面白かったが本人にとってはどうなのかな?


>あ、勿論カギは掛けたぞ。もう中断したくなかったからな。
の記述を完全に無視したものだったがな・・・
285以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 15:19:04.80 ID:kqQsFf/0O
>>284
もう二度としないつもりだ。
保守
286以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 15:22:54.85 ID:ak2vFBb00
本人も楽しんでたと思うよ。ただエロ作品だし、まあ上げなくていいやと思ってるだけかもしれん。
287以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 15:39:45.24 ID:RACheo4UO
保守
288以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 15:40:20.75 ID:bEaM0oma0
なあなあ〜なんでハルヒとらきすた のクロスオーバースレ無くなったんだ?
289以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 15:58:37.08 ID:qCtMmLm9O
保守
290以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 16:12:25.53 ID:xp3S9AggO
長門「保守をする。あなたは来ない」
291以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 16:27:03.26 ID:5HmVutWP0
保守
292以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 16:41:26.91 ID:7SOTHxDl0
SSV見るの三回目だが、また泣いてしまった
保守
293以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 16:42:05.64 ID:kqQsFf/0O
294以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 16:51:00.75 ID:VQG5zREh0
「つーことは、俺的美的ランクAメジャーの長門と個室で2人切りか。――お熱いねえ」
「お前なぁ……」
 と、反論しかけて俺はどうでもいいことに気づいてしまった。
「Aメジャー? 長門はAマイナーじゃなかったのか?」
「甘いな、キョンよ。それは昔の話だ。――俺のランクは常時更新されてるんだよ」
 妙に得意げに言う谷口。 ランクの更新までしてたとは、つくづく暇人だ。
「――で、長門のランクが変わった理由は何なんだ?」
 面倒だが一応聞いてやろう。
「昔と違って今の長門は――、なんつーかな、雰囲気が柔らかくなった気がすんだよ」
「ほう?」
 谷口の答えは、ちょっと意外だった。
「相変わらず無口で愛想のないやつだが――、氷が氷水になったとか、機械が生き物になったとか、そんな感じか?」
「悪いが、お前のたとえは何を言いたいのか良く分からん」
 何となく俺は嘘をついた。――実はその意見には痛いほど同感だが。
 谷口の目から見ても分かるぐらいに長門は人間っぽく変わっていたのか。そう思うと少し感慨深い。
「まあ、俺からみて、今の長門は注目の成長株ってとこだな。 ――実際、2ランクアップじゃ足りないくらいだぜ?」
 そういうと谷口は、なぜか俺の顔を見てニヤリと笑う。
「キョンよ、ツバつけておくなら今のうちだぞ?」
「そうかい」
 そんなやりとりを交しながら登校したのは、確か10月の中頃のことだった。

--
キョンと谷口の会話保守。
295以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 16:52:33.53 ID:9OunlymY0
すみませんが、勢いだけの古長っぽいものを投下させて下さい。
もう秋だけどエンドレスエイトネタで。
296以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 16:54:01.79 ID:lF97pOzp0
だめだ



投下しないと駄目だ
297以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 16:56:09.56 ID:9OunlymY0
ありがとう、しちゃいます。



街よさらば



何かがおかしい。
それは奇妙で強烈な既視感。何かの際に、事あるごとに。
僕の意識の片隅に度々現れる。

ここ暫く僕を悩ませていたそれは、ルール違反ではあるけれど意を決して彼女に尋ねれば。
そう。実に簡単に回答が得られてしまった。
そしてその日から。言えない秘密が一つ増えた。



彼の視線を感じる。
注意していたはずだけれど、つい顔に出てしまっていたのかも知れない。
迂闊だった。悟られぬよう気を付けなければ。
しかし彼が僕に直接尋ねてくる事はない。
外的要因が無い限り、彼は気付きはしないだろう。
おそらく事態が発覚する要因になるのは、朝比奈さん。
それくらい僕にだって推測は付く。
逆に言えば、朝比奈さんが気付かない限りは、
現状を確認する術の無い僕に、長門さんの言う事の確証は持てない。
しかし彼女の言う事を信用していない訳では無い。
寧ろ裏表が無い分、彼女が嘘を付く事も無いと解っている。
それこそ彼からすれば、僕の言質などよりも遥かに信用に値するに違いない。
298以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 16:56:50.46 ID:9OunlymY0
「古泉一樹」
浴衣姿の長門さんに声を掛けられた。
夏祭りの夜。今日の僕達は5人揃って縁日に来ている。
スケジュールは着実にこなしていた。
涼宮さんと彼、朝比奈さんの姿はここには無い。
何処かで屋台でも巡っているのだろう。
だからこそ、長門さんが僕に声を掛けてきたと言える。
「どうしました?」
「何故彼らに知らせないのか。その理由を聞きたい」
ああ、彼女はとてもストレートだ。

「あなたのお陰で僕の疑惑は確信に変わりました。
しかしそれには確固たる証拠が無い。
確証が無いのに、彼らを煩わせる訳には行きません」
そして僕は自ら確証を求めようとしていない。
「差し支えが無ければ教えて下さい。今は何回目のリプレイになりますか?」
世間話をするかのように僕は問う。本当は答えは有っても無くても構わない。
過去何回僕達が気付いたのか。何時から何時まで続くのか。
発覚に関して一定の法則はあるのか。解決策はあるのか。
長門さんは必要最低限の範囲で答えてくれた。
やはり僕に出来る事は無さそうだ。そこにあるのはただ無力感。
「大体察しが付きました。ありがとうございます」
付いた所で何の意味も無いけれど。
299以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 16:57:33.59 ID:9OunlymY0
「僕から二人に言う事は無いでしょう。今回は僕一人が既視感を感じてるだけでしょうから」
長門さんの目が問いかけるように僕を見ている。
「それだけのシークエンスを繰り返してきたと言うのなら、今回で偶然にループが終わるとも思えません。
事態が発覚し彼が動かない限り、抜け出す事も無いと思われます。しかし」
緩やかに視線を上げれば、人ごみに紛れて何やら騒いでいる彼らが見える。
「僕の疑問に答えて下さった長門さんには申し訳なく思いますが。楽しんでいる所に水を差すのも。ね」
こうして僕は、リセット前提の日々を過ごす事に決めた。



僅か二週間とは言え、その間の経験が無になる瞬間と言うのは、一体どういう感覚なのだろうか。
果たして記憶が消えると言うのは、どのような物なのだろう。
考えても詮無い事とは言え、ふとした瞬間に気になってしまう。
次々と与えられる日々の予定が、実は有難かった。
そちらに集中すれば、その間は余計な事を考えなくて済むのだから。

市民プールへ行き、縁日で盆踊りと金魚掬いを。
ある日には花火大会に行き。またある日はバイトをこなし。
そして僕の記憶の中だけでは数年振りの懐かしい天体観測。昆虫採集に川遊び。
羅列するのも煩わしい程に目まぐるしい日々だった。
これで実は長門さん流のジョークと言われても、僕は安堵こそすれ怒りはしないだろう。
300以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 16:58:36.78 ID:9OunlymY0
「最近有希と古泉くんって仲良いわよねぇ?」
涼宮さんが言う。朝比奈さんが笑いながら同意し、彼の目線は少々不満げだ。
少し接しすぎていたかも知れない。
「そう思いますか?」
僕は苦笑して流して。でも本当は長門さんと話してみたい事はまだまだあった。

「おそらく既に何度も話しているんだろうとは思いますが」
わざわざ要らぬ前置きをしてしまう自分が情けない。
それでも長門さんは何も言わずに話に付き合ってくれている。
「あなたがその話をするのは今回が初めて」
その場の流れで話した話題に関して、彼女はそうフォローしてくれた。
「そうですか。それは良かった……と、一概に言えるのかは解りませんが。
同じ話題の繰り返しばかりではあなたも飽きてしまうでしょうしね」
「……別に。観測がわたしの存在理由」
長門さんの前では、僕はいつも以上に饒舌だった。
「このループはあなたのせいでは無い。あなたが気にかける事でも無い」
違うんですよ長門さん。
僕はこの日々に飽きているのかも知れないあなたの気を紛らわせる為に、
あれこれと話しているのでは無いんです。
人はあなたが思っている以上に利己的なのですから。
301以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 16:59:39.69 ID:9OunlymY0
着実に夏の終わりが近づいてくる。
長門さんからすれば、また振り出しに戻る日。
そして僕からすれば、今の僕が終わる日。
この僕は、今の思いは何処へ消えるのだろう。

「今まで僕があなたを遊びに誘った事はありますか?」
八月末日を目前にして、僕は長門さんに尋ねた。ごく僅かに首を振られる。
「では、僕とデートしてみませんか?」
僕の思いつきに、彼女は意外にも首を縦に振ってくれた。



終わりの見えない時を延々となぞり続けるだけなんて、流石に嫌になりませんか。
一度くらい、そこから外れてみたいと思いたくはなりませんか。
どうせ消えるのなら、いっその事それも有りですよね。

大した事をする訳でも無い、夏の終わりの、在り来りなデート風景。
会話内容は特に建設的でも無く。この二週間を振り返るような他愛も無い物ばかり。
このループについて出来る限りの追求をしたい気は有った。
しかし僕には切り出せなかった。
302以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:00:04.87 ID:J7rl1tFd0
ああああああ
303以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:00:40.15 ID:9OunlymY0
やがて夕食を摂り終えた頃には、辺りは暗くなっていて。
当ても無く二人で川べりを歩く。
「あと数時間ですね」
僕は今日ずっと時間を気にしていた。
「今回もリセットは確実でしょうか」
「その可能性はとても高い」
「そうですか」
携帯が鳴った。
見れば彼の番号だ。何か有ったのかと慌てて出て、その内容に気が抜ける。
そういえば夏休みの宿題なんて物もありましたね。
当然僕は手付かずですよ。結果が見えているのですから、それくらいの手抜きはしても良いでしょう?
「それでは、また明日」
談笑しつつ電話を終えて、僕は電源を切り携帯を川へと投げ捨てた。
「これで万が一明日が来たら困ってしまいますね」
「あなたの行動が理解出来ない」
「言うなれば僕は少々自棄になっているんでしょう」
「それは何故?」
さて。どうしてなんでしょうね。
あなたはこれだけの時間を繰り返して何を思いましたか?
彼女は静かに見つめ返してくる。
いえ、失礼しました。立ち入った事を聞くつもりはありません。
304以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:01:49.05 ID:9OunlymY0
今回の僕は、あと数時間で消えてしまいますが、長門さんには感謝していますよ。
あなたはもうご存知かと思いますが、僕はとても臆病なので確信が無いと動けないのです。
こうやって携帯を捨てる事すら、いつもの僕なら出来はしないでしょう。
「あなたはわたしの言葉に確証は無いと言った」
ええ、言いました。
「矛盾している」
そうですね。
ところで、あなたは何故今日僕に付き合ってくれたのですか?
長門さんの闇色の目は静かに僕を見ていて。
「……何となく」
あなたが泣きそうだったから──そう言った。

今回は。いえ、今回もと言うべきでしょうか。
あなたは常に頼りになる方ですが、僕は相当甘えてしまっていますね。情け無い限りです。
「別に良い」
でも、と、彼女が言葉を続ける。
「今回、わたしは初めての行動だった」
驚きに僕は二の句が告げない。
「あなたは?」
僕は? 僕が誘った理由は。
──誰でも良かったんです。単に今日を一人で過ごす勇気が無かった。
僕はとても臆病で。その時を迎えるのが怖かったから。
それだけの理由であなたと過ごした。
そういう事にして貰えませんか。
305以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:02:19.94 ID:qCtMmLm9O
支援
306以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:02:31.10 ID:9OunlymY0
「そう」
……いえ、すみません。違います。
いえ、違わないですが、でもそれだけじゃないんです。
「そう」
僕は今とても自分が恥ずかしいですよ。こんな醜態を晒すなんて。
自分の記憶が消える事を歓迎してしまいそうです。
「でもわたしは忘れない」
長門さんの言葉が僕の心に染み渡る。
「あなたがここに居た事をわたしは忘れない」



……今日は僕の我侭に付き合って下さってありがとうございます。
我侭ついでに言ってしまいますが、いっその事このまま何処かへ行ってみませんか。

そう言って差し出した僕の手に、小さく白い手が重なった。
何故彼女はこんなにも優しくなれるのだろうか。
しかし今更理由を尋ねても、もうあと僅かだから。

全てが有耶無耶のまま、ほんの数時間だけ僕達は自由を手にした。
307以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:02:53.66 ID:9OunlymY0
以上です。ありがとうございました
308以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:08:42.71 ID:qCtMmLm9O
GJ!
落ち着いたのは読みやすくて良いね。
309以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:14:02.12 ID:VQG5zREh0
GJ。
小泉のキャラクターは良く知らんから感想は控える。
310以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:17:31.96 ID:mQOjoc0y0
>>309
まずは名前から覚えよう!
311以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:22:11.89 ID:+MQpSzm+0
>>310
いいアドバイス
312以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:24:16.90 ID:5HmVutWP0
保守
313以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:26:32.79 ID:KqLZnCEf0
314以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:28:18.54 ID:VQG5zREh0
>>309は誤記だが、たいして思い入れのないキャラだから間違えるとも言える。
315以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:32:10.79 ID:bYolOk8JO
>>314
単なる記憶力のなさ。
316以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:34:50.61 ID:uUmliRKs0
いや、それだけジュンイチロウ・コイズミの影響が強いってことだ。
317以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:39:36.36 ID:+MQpSzm+0
いま、ここに投下されたSSのパロディを書いてるんだが、よかっただろうか?
新参でそこらへんの事情がよく分からないんだが、俺みたいなやつが前にもいたなら、そのときの反応を教えてほしい
318以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:42:23.84 ID:qCtMmLm9O
>>317
三次創作?
許可ないとまずいと思うよ。
319以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:43:39.28 ID:uUmliRKs0
時間帯によってそういうものに対して強烈に反抗運動する奴と一秒で了承する奴が居る。
まぁ、賛成派が居れば逆もまた然りってこった。
ただ、パロなら自作作品のパロではなく他社のパロならその作者の許可なりなんなりは取った方が良い気がする。

長々門すまない。
320以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:44:38.02 ID:Tsa+b16xO
さすがに許可ないとまずいね。
とりあえずまとめに書きこんで許可もらえばいいよ。

ってか作品タイトルは?
321以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:45:30.50 ID:VQG5zREh0
>>315
「有機生命体の行動には通常何等かのエラーが伴うもの。しかし、『彼』はエラーの主が誤記であると主張しているにもかかわらず、一切の根拠なく原因を記憶力のなさと結論付けた。おそらく『彼』には知性か判断力のどちらかが欠如していると思われる」
「わかりにくいぞ、長門、もっと分かりやすい言葉で頼む」
「つまり――」
322以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:45:55.57 ID:+MQpSzm+0
やっぱり昨日のうちに申し出るべきだったな……

>>320
古泉一樹の消失だ
323以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:51:01.73 ID:mQOjoc0y0
>>321
さすがにそれくらいならキョンでもわかるだろ。あとたいして面白くない。
324以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 17:58:20.36 ID:VQG5zREh0
>>323
「たしかに彼ならば発言を理解できるでしょう。しかし、それならどうして彼は『もっとわかりやすい言葉で』と頼んだのでしょうか?」
「分からないわ? どうしてなの?」
「つまり、彼ではない――、彼よりもはるかに理解力の乏しい他の誰かに、その発言を理解してもらう必要があったように僕には思えるのです。――これは勘ですがね」
325以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 18:06:09.91 ID:AwJ6UPbDO
そんなことよりこなた×キョンについて語ろーぜ
326以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 18:12:08.78 ID:VQG5zREh0
「かがみ×キョン」なら、ちょっと萌えるな。
327以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 18:15:28.52 ID:hO6964750
328以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 18:25:01.18 ID:5HmVutWP0
保守
329以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 18:34:30.87 ID:RACheo4UO
保守
330以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 18:49:21.24 ID:RACheo4UO
ほし
331以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 18:49:45.41 ID:bYolOk8JO
保守
332以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 18:50:48.67 ID:KqLZnCEf0
333以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 19:01:57.12 ID:5HmVutWP0
保守
334以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 19:04:42.98 ID:6OccxR3D0
誰かテーマ下さいな
リアルに影響されて車椅子バスケしか思いつかんのです
335以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 19:06:27.40 ID:5axBdJNZO
最近佐々木がかわいくてしょうがない
そして不安に感じるのだが驚愕が終わると同時に切るということはないよな
336以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 19:06:44.81 ID:RACheo4UO
力こぶ
337以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 19:08:59.16 ID:0p5p5VqR0
>>334
帚星
338以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 19:19:06.97 ID:bYolOk8JO
保守
339以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 19:30:57.15 ID:bYolOk8JO
保守
340以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 19:31:12.33 ID:c/3n1z8c0
341以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 19:40:57.39 ID:hO6964750
保守
342以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 19:50:25.28 ID:lZNKIHjq0
個別スレの佐々木絵がかわいくてしょうがない保守
343以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 19:56:18.46 ID:Oe7xu1BWO
「泉こなキョンの憂鬱」のノリが好きだな
クロススレのは普通に甘いもんだから違和感が拭えない
344以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:01:40.99 ID:TetxumojO
コナンの映画見てからネタがキョナンしか浮かばないどうしよう
345以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:03:35.90 ID:hO6964750
キョナン懐かしいなwwww
346以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:03:44.92 ID:kqQsFf/0O
谷口の怪我とキョンの失望。
347以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:13:58.21 ID:hO6964750
保守
348以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:15:37.90 ID:5axBdJNZO
序盤だけだが投下していいかい
349以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:16:29.43 ID:c/3n1z8c0
ok
350家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/10(水) 20:21:03.85 ID:5axBdJNZO
春休みも中頃にさしかかったある日、俺はいつものように団員全員分の喫茶店代を奢らされた。
探索も終わった後、俺は軽くなった財布の代わりに重くなってしまった足を引きずって帰宅した。

晩飯も食い終わり、部屋で一息ついていると玄関からチャイムが鳴る音が聞こえた。
誰だ夜遅くに、少なくとも俺には関係ないだろう、いやそうであってくれ。

「はーい、どちらさまですかあー。」

一階から妹の声がする。
ああ恥ずかしい。
何でうちの親は妹に行かせるんだ。
誰かは知らんがすみませんね、言っておくけどそいつもう小六になるんですよ。

「わあー、お姉ちゃん久しぶりー。」

なに、お姉ちゃんとな。
それに久しぶりとは、きっと俺にも面識のある奴と考えて間違いない、だとすると余計に恥ずかしい。
俺は読み飽きた漫画を放り投げ、一階に降りた。
351家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/10(水) 20:22:50.03 ID:5axBdJNZO
「キョン、すまないね。」

……ああ、もうどうでもいいさ。
それにお前の頼みとなると断れん、中学のとき散々世話になったからな。
ああ、誰がいるのかって?
今俺の部屋に佐々木がいるんだよ。




「お前何やってんだ?」

これは今から30分前の俺のセリフだ。

「久しぶりに再開した友人にその言葉はないんじゃないかな。」

ククッと独特の笑い声をあげながら、佐々木は続ける。

「急に君の家に訪れた僕も悪かったよ。
だが理由を聞いてはくれないかな。」

「どうしたんだ、また例の奴らに会えなんて言うんじゃないだろうな。
いくらお前の頼みでもそれだけはごめんだぜ。」

「そういうことではないよ。なに僕個人からの頼みだ。」

お前個人の頼み?珍しいこともあるもんだ。
俺ができることならやってやるが。

「じゃあ話は早い。しばらくキョンの家に泊めてくれ。」
352家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/10(水) 20:23:41.11 ID:5axBdJNZO
なんだそんなことかよ。
遠慮するな、好きなだけ泊まr―――――、は?

「ん、聞こえなかったのかい。
僕を君の家に泊めてくれ。実はね──」

佐々木の言うところによると、親と喧嘩して家出してきたらしい。
キチンと荷物も持ってきてやがる。
だが何で俺なんだ、高校の友達とか中学のときの友達とかの女友達の方がなにかと都合がいいだろうに。

「残念だが、高校にはこんなことを告げることができる友人がいないもんでね、中学も然りだ。」

そんなことを言われると断れるはずもなく、佐々木は俺の家に居候することとなった。
353以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:24:26.99 ID:hO6964750
しえn
354以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:27:37.07 ID:KqLZnCEf0
支援
355以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:28:36.37 ID:AwJ6UPbDO
wktk支援
356家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/10(水) 20:31:32.87 ID:5axBdJNZO
そして俺の部屋での会話に戻るわけだ。
ああ、何か知らんがうちの親は異常に物わかりがよく佐々木がうちに居候する事になったのに二つ返事でOKを出した。
本当にいいのかうちの親よ、逆にウェルカム状態だったぞ。


「本当に僕はいい友人をもったよ、キョン。
君は本当にいい奴だ。」

ほめすぎだと思うがお前にそう言われると何か気恥ずかしいね。
俺もそう思うけどよ。
357家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/10(水) 20:32:14.86 ID:5axBdJNZO
佐々木は既に晩飯は食ってあると言った。
だが風呂には入ってないらしい。

「佐々木、先に風呂入れよ。うちの家族のことは気にするな。」

佐々木はすまない、とだけ残して風呂に行った。

しばらく経っただろうか。
やっぱり女の子ってのは風呂が長いんだな。
そんなことを考えていると風呂場から声がしてきた。

「どうした佐々木。」

「キョン、すまないが僕の荷物の中から下着と着替えを持ってきてくれないか。」

「い、いや、お前いくら何でもそれは問題が…。」

「大丈夫だ、今は不問に処しておくよ。」

部屋に戻った俺は佐々木の荷物の前に座った、もちろん正座だ。

ジーーッ

チャックをあける音が妙に響く。
その後のことは割愛させてくれ、恥ずかしすぎて保たん。
だが佐々木の下着は白だった、それだけは言っておこう。
358家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/10(水) 20:35:53.71 ID:5axBdJNZO
今日はここまでです
投下して思ったが短すぎたorz
359以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:38:54.90 ID:+MQpSzm+0
>>358

キョン荷物ごと持ってけよww
360以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:39:52.85 ID:J7rl1tFd0
鞄ごと持って行けば良いだけだろうがww
361以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:40:24.27 ID:hO6964750
佐々木も誘ってるなwww
362以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:45:27.17 ID:AwJ6UPbDO
佐々木確信犯wwww
363以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:45:53.87 ID:Oe7xu1BWO
乙!続き楽しみ!
ササキョンいいね。すごくいいよ
364以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:50:03.32 ID:3iCWc4JZ0
むしろ、「すまない、キョン。着替えを忘れてしまったよ」と言って、バスタオル一枚を体に巻いてキョンの部屋に現れうわ何だお前や(ry
365以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 20:57:32.98 ID:lZNKIHjq0
やっぱりササッキーはキョンのフラクラを利用しちゃうキャラがいいねww
366以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:00:03.36 ID:96AJhkaf0
SS書いてて他のSSの感想なんて言ってられないはずの俺が思わずニヤニヤしてしまった
367以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:11:10.54 ID:hO6964750
保守
368以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:17:26.62 ID:kqQsFf/0O
やばい変態キョンを思いついてしまった
369以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:26:44.30 ID:hO6964750
保守
370以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:28:38.01 ID:UnL1pIkZ0
370
371以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:29:14.42 ID:kqQsFf/0O
佐々木の白い下着を思わず一枚くすねる俺…当たり前だ俺だって健全な高校生だからな!
しかし小さいな。こんなのよく穿けるな。関心するぜ、女って奴は!
俺はとりあえず、ブラから着けてみる。背中に手が回らないと着けられん。ダメだ
次はショーツを穿いてみる。まぁこれらは、一種の実験と言うか男のロマンて奴さ…
足から通すのか?よいしょ…ふむ、何か興奮するぜ!俺は理性の殻を破ったようたぜ。

ガラッいきなり部屋のドアが開いた。
「ねぇキョンくん?お姉ちゃんが早く持ってきてだって!あれ?」
おい!妹よ、部屋に入る時はノックをするんだ。やれやれ、困った奴だな。
「ちょ、ちょっとキョンくん!一体何してんのーーっ!お母さーん!キョンくんがねえー」
バタバタと階段を降りていった。
保守
372以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:32:46.79 ID:UnL1pIkZ0
キョン…
373以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:35:20.08 ID:96AJhkaf0
長門「情報統合思念体は失望した」
374以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:38:40.00 ID:+MQpSzm+0
長門「絶望した!あなたの変態に絶望した!」
375以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:43:09.68 ID:+MQpSzm+0
許可きたああああああああああ
376以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:43:56.43 ID:KqLZnCEf0
長門「でもそんな貴方が好き・・・///」
377以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:47:05.69 ID:fnTUYrIk0
古泉「まさか、あんなことをなさっていたとは…」
キョン「頬を赤らめるな!あれは出来心だったんだ!!」
378以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:50:07.60 ID:bYolOk8JO
>>371
こんなの考えた。

「あれー?キョンくんがお姉ちゃんの着てるー!」
「こ、これは、なんというか‥‥仮装?‥‥そ、そうだ!女装なんだよ!いや、ハルヒに女装しろと言われてだな‥‥」
「ふ〜ん。」
妹とは訝しげに俺を見ていたが、「まあいっか!あ!勉強しなくちゃ!」と言って部屋に戻っていった。
やれやれ。ノック位してほしいものだ。

「その通りだねぇ。」

「ぶふっ!さ、佐々‥!おまっ!出るの早‥じゃなくて!その!こここれはだだな!ハル‥」
「常識位わきまえてほしいものだよ、キョン。」


次の日、俺は学校に向かう足を失っていた。因みに比喩ではない。
379以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:55:00.73 ID:96AJhkaf0
>>378
最後の一行、いや最後の十文字で一背筋が凍ったぜ
380以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:56:29.92 ID:lZNKIHjq0
Nice boat.
381以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 21:57:15.20 ID:+MQpSzm+0
Nice boat.
382以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:03:30.86 ID:bYolOk8JO
>>379
これとどっちにしようか迷った。

世界が一瞬にして暗転した。だが、目がなければ確認のしようもない。
383以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:09:55.32 ID:UnL1pIkZ0
Nice boat.
384しそ:2007/10/10(水) 22:11:24.51 ID:bYwEe8gg0
わっふるわっふる
385以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:11:25.63 ID:+MQpSzm+0
>>382
人間って怖すぎるとふくんだな
386以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:12:40.32 ID:kifX5XZuO

タモリ「平野さんは声優出身と言うことで…」
(サイドでらきすたかハルヒかなんかのアニメの一部分が流れる)

平野「そうなんですよー(妙に高い声に観客席からヒソヒソ声)」
(女声に混じって男の「あーやちゃーん!」の声)

タモリ「へぇ(ここでチラッと観客席を見る) じゃあいろんな声出せるんだ」

平野「そうですねー」

タモリ「なんかやって見てくれる?」

平野「はぁい 分かりましたあ


駄目でしょ? タモリさん(いつもやる大人っぽい声ネタ)」

(観客席の男どもの歓声に混じりどこからか「キモい…」の声)

タモリ「うわぁ… すごいね(苦笑)」
387 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/10(水) 22:13:06.16 ID:5axBdJNZO
なんか佐々木で凄いことなってる(゚Д゚)
388以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:15:49.98 ID:mpIblM+N0
テンション上げるために久々にアニメのDVDを鑑賞してたら、
終わってからもう1年以上経つんだな……と余計に落ち込んだ。

ええい、二期と驚愕はマダか!
389以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:17:43.27 ID:J7rl1tFd0
いつまで待てばいいんだ驚愕
390以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:18:28.41 ID:kqQsFf/0O
ハルヒからのメールをみた。
《ごめん》
これは一体どういう意味だうか?あいつまた俺と不思議探索をしたいのか?やれやれ…
ヤカンのお湯が沸騰し始めた。もう俺はSOS団を辞めるとさっき言ったのに
だが、これは一体どういう意味だ?あいつが俺に謝るのは筋違いだろう?
後ろから誰かの気配がする、多分ハルヒに違いない。
「おいハルヒ、一体お前…うぐっ…マジかよ…」
ハルヒが俺に包丁で切り付けたのだ!
「あんたと佐々木さんが幸せになるのは絶対許せないんだから」
ダメだ泣きながらハルヒは俺の体を包丁で突き刺す。意識が段々薄れていく
391以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:23:23.26 ID:kifX5XZuO
佐々木「お腹すいた」
392以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:26:13.25 ID:3iCWc4JZ0
橘「じゃああたしが食べさせてあげるのです!」
393以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:31:48.49 ID:KqLZnCEf0
佐々木「キョン、あーんしてくれ」
394以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:34:06.58 ID:kifX5XZuO
たかし「ほら あーん」
395以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:40:29.94 ID:dQzSzbIlO
中に誰もいませんよ。
396以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:42:01.07 ID:5HmVutWP0
保守
397以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:44:29.30 ID:0hplAckMO
ハルヒ「・・・!」
ブシュッグチャッ・・・
佐々木「やっぱり・・・嘘だったんじゃないですか。中に誰も居ませんよ」
キョン「いや、京くんが居る」
佐々木「Dir en greyのchild preyのPVネタ言われても解らないよ」
398以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:53:54.00 ID:hO6964750
保守
399以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:55:45.20 ID:HHTIeQ3FO
長門「こ・づ・く・り、しまっしょ♪」
400以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:56:46.34 ID:dQzSzbIlO
泉こなた「キョンくんなら……キョンくんならそこにいますよ、聞いてみてはどうですか?」
401以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:58:10.67 ID:UnL1pIkZ0
402以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 22:58:24.62 ID:0hplAckMO
ハルヒ「うぅっ・・・げほっごほっ」
キョン「どうしたんだい、アリス?」
ハルヒ「首だけだと本当にチェシャ猫みたいだからやめなさい」
403以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:06:51.98 ID:lZNKIHjq0
404以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:10:00.99 ID:yN7gCVbg0
さっきからハルヒのベッドから聞こえてくるカチャカチャという音は、さっき古泉が持ってきた
ルービックキューブの音である。確かに暇つぶしには丁度いいだろう。他人に迷惑をかけないしな。
たまには褒めてやろうじゃないか。グッジョブ古泉。
 
 
・・・・・・まさか1時間やって1面もできないとは思わなかったが。
こりゃ相当イライラしてるな。古泉も計算外だっただろう。・・・・・・閉鎖空間が発生してないといいが。
しょうがない。実はルービックキューブを40秒で6面完成させられる俺が助け舟を出してやろう。
どうやら1面のうち8つは揃っているようだ。こうなりゃ後は簡単だな。
ハルヒ、まずはその右の面を奥に回すんだ。
「・・・・・・」
お、回した。今日はやけに素直だな。じゃあ次は前後の真ん中の奴を右に回す。
で、さっきどかした奴をそこに入れて、あとは戻せば
「できたー!!!!! キョン、ありがと!」
 
今一瞬ドキッとしたのはハルヒの反応が思ったのと違ったからだぞ。
間違ってもその100Wの笑顔にときめいたわけじゃないからな。
 
「・・・・・・ねえ、キョンってもしかしてこれ得意?」
ああ、実は得意なんだなこれが。
「・・・・・・だったらもっと早く教えてくれたっていいじゃない・・・・・・」
すまんな。また詰まったら言ってくれよ。
「今日はこれはもういいわ。なんかおもしろいことない?」
 
やれやれ、結局俺が話し相手になるのか。
 
 
キョンとハルヒの入院生活保守
405以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:17:23.86 ID:yN7gCVbg0
次の日、どうにか片手でルービックキューブができないだろうかと思っていると谷口がやってきた。
来なくていいのに。
「お前せっかく人が心配して来てやったというのにそれはないだろ」
冗談だ冗談。
しばらく3人で適当に世間話をした後、谷口は俺に耳打ちしてきた。
「ところでお前アッチのほうはどうなってる?」
アッチ?
「そろそろ溜まってきた頃じゃねえか?」
溜まる?ああストレスか。
別に溜まってはいない。ハルヒが相手してくれるしな。
「・・・・・・お前、今何と言った?」
いやだからハルヒが相手してくれてるから問題ない、と。
「お前らいつの間にそこまで・・・・・・しかも病院で・・・・・・ナントカ病棟みたいな名前のゲームのやりすぎじゃねえのか?」
何のことだ。
「ちょっと涼宮にも話聞くわ・・・・・・」
と、谷口は向こうのベッドに近づいた。なにやらボソボソと話しているのが聞こえる。
「はあ!?アンタバカじゃないの!?」
「あっちょっと痛い痛いちょっやめルービックキューブは痛いってやめろって角は危ないって」
ガンガンという音が生々しい。
「ちょっとバカキョン!谷口に何喋ったのよ!」
そもそも俺はたいしたことは話していない。谷口はどんな勘違いをしたんだ? ハルヒは顔真っ赤だしさ。
 
谷口がこぶだらけになって帰ったあと、俺はトマトのように真っ赤になって怒っているハルヒを眺めつつ、
無残にもバラバラになってしまったルービックキューブをどうやって修復しようかと考えていた。
 
キョンとハルヒの入院生活保守
406以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:20:07.75 ID:hO6964750
こりゃ谷口も勘違いするわw
407以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:21:59.09 ID:0hplAckMO
ハルヒ「みくるビームだけじゃつまらないし、何か新しい必殺技考えましょッ」
キョン「みくる○○○じゃなくて○○○ビームの方が格好良いぞ」
ハルヒ「そうね・・・でも、みくる○○○の方がらしいっちゃらしいわ」
キョン「みくるレーザーなんてどうだ」
ハルヒ「なんか弱い気がするわよ、それじゃあ」
キョン「みくるランチャー」
ハルヒ「ん〜・・・微妙」
キョン「みくるデストロイ」
ハルヒ「それだわ!威力はゼットンの火の玉の百億倍ぐらいかしら」
キョン「・・・(嫌な予感が・・・)」



急遽、みくるビームの十倍という変更になったのは五日後の事である
408以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:21:59.30 ID:96AJhkaf0
このハルヒはクリーンヒットした
萌える
409以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:29:50.08 ID:RACheo4UO
410以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:29:52.22 ID:5HmVutWP0
保守
411以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:33:35.68 ID:jyzqgwWo0
>405
これはもう朴念仁を通り越した、もはや「何か別のもの」という気がするぜ
412以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:34:35.33 ID:yN7gCVbg0
今考えると谷口がかわいそうだな
413以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:35:53.09 ID:0hplAckMO
谷口は殴られ、なぶられ、虐げられ、怒鳴られなきゃ谷口じゃない
414遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:41:42.24 ID:n0nqa4B00
「遠距離恋愛」の続き、投下したいのですが、OK?
415以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:43:02.01 ID:hO6964750
かもん
416以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:43:04.41 ID:96AJhkaf0
ダメと言われたらどうする
待ちわびた、投下してください
417以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:44:11.49 ID:5GGl/oN70
>>411
いやこれは自然だぞ比較的w
418遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:44:15.91 ID:n0nqa4B00
第十一章 親友

新しい学校への登校初日。
昨日中等部に入学したばかりの妹は、早速気の合う友人を見つけたらしい。昨日の夕食時に、溢れんばかりの
笑顔で報告してくれた。まあ、この調子でうまく学校に馴染んで欲しいものだ。

「おはようございます」
「おう!おはよう!」
一昨日来た高等部の職員室で、担任に挨拶した。朝のSHR前と言うことで、職員室の中はかなり慌ただし
かったが、真新しい制服を着た俺を担任は明るく出迎えてくれた。朝っぱらから進路指導でもしていたのか、
担任の前には女子生徒が座っていた。
「今日からだな。一年間頑張って、良い大学に行ってくれよ」
「はあ……頑張ります」
「何だ何だ、覇気が無いな。そんなので大丈夫なのか?」
担任の呆れたような声を聞き流そうとしたとき、彼の前に座っていた女子生徒がすっと立ち上がった。

「先生、彼はやるときはやる男です。心配要りません」
あれ?どこかで聞いたような声……?それにこの後ろ姿は……

「くくっ、久しぶりだねキョン。また会えて光栄の極みだ」
振り返ったその女子生徒の顔を見た俺は、さぞかし間抜けな表情をしていたことだろう。
佐々木????

「何だ、お前ら知り合いか?……って、同じ事をついこの間言ったような」
記憶の海から過去の事象を引っ張り上げようとしている担任を尻目に、この場にいないはずの俺の親友は、
こう言った。
「これから一年、よろしく」
419以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:44:45.19 ID:hO6964750
しえn
420遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:45:24.96 ID:n0nqa4B00
新学期最初の、新しい学校の新しいクラスでのHRに新たな転校生、と言えば転校生の自己紹介の場と相場は
決まっているわけだ。だがこの学校は転入・転出が激しく、学期の最初と最後には必ず転校生がいる、という
のはずいぶん後になってから聞かされた話だ。だから、新しいクラスの連中も、転校生には特に興味を持って
いないようなのは当然だと言えるかもしれない。
ただ、進学クラスであるSクラスに一気に二人も、そのうち一人は『日本全国、進学校と言えば誰でも知って
いる』学校からの編入となれば、話は別だ。もちろん、それは俺ではなく佐々木のことなのだが。

自己紹介を終わった俺たちは、担任に言われるまま指定された席に着いた。
どうでも良いが、窓際後方最後尾に佐々木、その前に俺という、俺にとっては大変馴染み深いポジションに
収まったのは何故だろうね?ただまあ、後ろに座っているのがハルヒではなく佐々木であり、俺の前がクラス
委員である朝倉であると言うことは、何らかの因縁や思惑が感じられないでもない。

「キョンくん、前後ろの席だね。一緒に受験勉強頑張ろう」
屈託のない笑顔を向けてくる朝倉。昨日の話を頭から信じるほど俺は世間知らずではないつもりだが、今は
場の空気に合わせておいた方がよいだろう。

「ああ、これから一年宜しくな」
……それとなく妙な圧力を後方から受けるのは、多分俺の気のせいだと思う。
421遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:46:39.67 ID:n0nqa4B00
三年生一学期、初日終了後の放課後。
今日はHRと始業式のみの短縮授業で、授業は明日からだ。ここら辺はどこの高校でも変わらないらしい。
そう言えば、転校生というのはどこでも質問攻めにされるらしいが、俺の方は殆ど何も聞かれていない。気が
楽と言えば楽だが、それはそれで何だか寂しい気がする。
その代わりに質問の矢面に立たされたのが佐々木だった。放課後だというのに、佐々木の周りにはクラスの
連中が集まり、佐々木を質問攻めにしていた。色々と歪曲された表現ではあったが質問の内容は一つだった。

何故あの進学校からこんな所に転校してきたのか?

佐々木は色々とはぐらかしていたようだ。確かにその話題には俺もたいそう興味があったのだが、あまりこの
場で根掘り葉掘り聞くのもどうかと思ったので、俺は鞄を持って席を立った。学食で飯でも食ってから……と
考えて、ふと思った。学食ってどこにあるんだろう?そういえば、俺はこの学校の中をまだよく知らない。
朝倉に案内して貰う予定が、アレだったからな。しょうがない、探検気分で色々回ってみるか。
転校なんて初めての経験だから、SOS団その1としてハルヒへの報告のネタにでもなるだろう。

「あ、キョン、帰るのかい?待ってくれよ」
俺が鞄を持って立ち上がったのを見て、佐々木も鞄を持ってクラス連中の輪を抜けてきた。

「あ、キョンくん?一緒に帰ろ?」
佐々木の側にいた朝倉までも付いてきた。

クラスの連中は「キョン??何それ??」と頭の上に疑問符を掲げている。
……ああ、ここでも俺の名前は「キョン」で決まったな、などとバカなことを思いつつ、俺は校内探検に繰り
出した。
422以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:46:46.75 ID:96AJhkaf0
本当にオールスターだなwww
支援
423以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:47:09.63 ID:t+xWAYFf0
しえん
424遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:47:42.23 ID:n0nqa4B00
中高一貫校とはいえ、校内には特別興味を引くものはなかった。強いて言えば、地元の産業や風習を学ぶと
いう授業があることくらいか。地元の人間にとっては当たり前のことなのかもしれないが、他からやってきた
人間にとっては非常に興味深いだろう。ただ、それを授業に組み込むのはどうかと思うぞ。

3人で廊下を歩きながら、改めて朝倉を佐々木に紹介した。
もちろん朝倉がSクラスのクラス委員であることは、朝倉自身が佐々木への自己紹介で話していたのだが、
俺は朝倉がかつては北高で同じクラスだったことや、3ヶ月あまりでカナダに転校してしまい『偶然』この
学校で再会したことなどを伝えた。

「それはそれは。なかなかおもしろい偶然だね。まるで誰かが計らったようだよ」
くくっ、と喉を鳴らす佐々木を見て、ああこいつの勘の良さは変わっていないな、と思った。何故なら、俺は
わざと『朝倉は長門と同じヒューマノイドインターフェースだ』と言うことは伝えなかったからな。それでも
佐々木は何かを感じ取ったようだが。

「それよりキョン、僕のことを朝倉さんに紹介してくれよ」
ああ、そうだな。とは言っても朝倉のことだ。おそらく長門や喜緑さんと同期を取っていて、佐々木のことは
全てお見通しなんだろう。

それでも俺は朝倉に、改めて佐々木のことを紹介した。
中学校3年生の時の同級生であること、同じ塾に通い受験戦争を乗り越えた仲間であること、そして、俺の
『親友』であること。『親友』という言葉が出たとき、一瞬佐々木の顔が固まったように見えたが、すぐ元に
戻った。何だったんだ、今のは?

朝倉に校内の案内をして貰い、学食にて遅い昼食を終えた俺たち三人は帰路についていた。朝倉は学校そばの
マンション、佐々木は俺の家からちょうどショッピングセンターを挟んだ反対側にあると言うことだった。
425以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:47:53.63 ID:t+xWAYFf0
しえん
426以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:48:03.18 ID:hO6964750
しえn
427遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:48:46.93 ID:n0nqa4B00
「ここね、桜並木なんだよ」
朝倉が、規則正しく並ぶ街路樹を指さす。
ほう、桜が満開になったらさぞかし綺麗なことだろうな……って、まだ咲いてないのか?もう四月だぞ?

「くくっ、キョン。君はここら辺の桜開花予想日を知っているかい?」
佐々木が、本当に困った奴だと言わんばかりに俺に問いかけた。
いいや、知らん。

「GW直前なんだよ。だから、まだつぼみが膨らんですらいないじゃないか」
GW直前??そんなに遅いのか?まだ一ヶ月近くもあるじゃないか。あっちでは、俺が引っ越ししていたとき
にはもう咲いていたんだぜ?
一瞬、桜吹雪の中で仁王立ちしているハルヒの姿が頭に浮かんだ。

「それだけ地方によって違うと言うことさ。特に、桜の開花予想や梅雨入り/開け、海開きの日なんかは差が
著しい。こういうのを見ると、日本は上下左右に長いというのが実感できると思わないか?」
確かにそうだな、と日本地図を頭の中に思い浮かべながら俺は答えた。向こうじゃもう桜は散っているだろう
し、こっちはまだだ。下手すると向こうとこっちが同じ日本だなんて思えないかもな。

「じゃあ、また明日」
朝倉がマンションに入っていくのを確認して俺は佐々木の家の方に歩き始めた。色々と聞いておきたいことも
あったからな。とはいえ、どうやって話を切り出そうか迷っていたが、珍しく佐々木の方から話し出した。

「キョン。僕は君に謝らなければいけない」
何のことだ?お前が俺に対して謝るようなことは、俺の記憶の限りでは何もないはずだぞ?

「そう、そうなのかもしれない。キミはどんな状況でも甘んじて受け入れてしまう、そんな優しさと度量の
深さを持っている。だからこそ、僕は君に謝りたいんだ」
悪い、俺はお前が何を言っているのか分からないんだが?
428以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:49:02.72 ID:hO6964750
アナル落下
しえn
429以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:49:04.43 ID:t+xWAYFf0
しえん
430以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:49:56.41 ID:5GGl/oN70
7分で落ちるとは
しえん
431遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:50:05.70 ID:n0nqa4B00
「実はね……今のこの状況を作り出したのは、僕なんだと思う」
……なんだと?どういうことだ?
まさかお前にも世界改変の能力が備わっちまったてのか?

「キミのお父様が勤務している会社と、僕の父の会社がライバル関係にあるのをキミは知っていたかい?」
知らん。初耳だぞ、そんなことは。

「そうか。キミは、もう少しご両親の話をまともに聞いた方が良いのかもしれないな」
ほっとけ、人んちの事情はどうでも良いだろ。それよりどういう事なんだ、さっきのことは。

「そうだな、丁度一年ほど前だ。父の会社が新しい事業を立ち上げることになり、父がそこのリーダーに
なったんだ。社内外からそれなりの人材を揃えてはみたものの、今までの仕事とは全く畑が違うこの新事業を
どのように展開していくのか、グループ内やプロジェクト内でも色々と意見が分かれていたらしいんだ。
僅か半年でプロジェクト内での対立が起きてしまったんだな。ほとほと困った父は、半年くらい前に僕にその
ことを話してくれた。夕食時の会社の愚痴、といった感じだったがね」
俺も親父に新事業とやらの話を聞いたが、さっぱりわからなかったがな。それが今後どうやって商売に繋がる
かは、皆目見当も付かん。

「画期的な事業というのは、最初は何を目的としてどこを目指しているのか、他人の目には全く分からない
ものなのだよ。それで、父の愚痴を一通り聞いた僕は、自分の意見と感想を話したんだ。父は、僕の意見に
痛く感動したらしく、その意見を元に事業計画を修正し、会社に上げたらすんなり通ってしまったらしい。
そのあたりで、同じ事業に参入しようとしていたキミのお父様の会社が、父の会社の動きに気付いて……
ここから先は、キミがよく知っている通りさ。つまり、僕のアドバイスが回り回ってキミがここにいることに
なってしまったと言うことになる」
……なんてこった。じゃあ、あの電話の時には……
432以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:50:30.84 ID:t+xWAYFf0
しえん
433以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:50:34.00 ID:hO6964750
地震スレか。
しえn
434遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:51:12.40 ID:n0nqa4B00
「ああ。あの時はもう僕の家族は引っ越しすることが決まっていて、僕はどうするのかと相談していたとき
だったんだ。一応、全国的にも名の知れた進学校だったし、学校にも女子寮があるから、そこに入ることが
ほぼ決まっていたんだ」
そっか。でも、なんでお前はここに居るんだ?そのまま向こうの寮に入っていれば、大学なんかは選び放題
だったのに。

一瞬驚いたような目で佐々木は俺をまじまじと見つめ、それから視線を足下に落とし、ため息をついた。

「……ある意味、日常に飽き飽きしていたからかな」
どこかで聞いたような台詞を佐々木は呟いた。

「キミは、僕の向こうでの日常生活を知っているかい?毎朝、満員電車に乗って学校へ行く。勉強のための
勉強をしたあとは、受験のためだけの勉強をしに塾へ行く。家に帰ったら学校の勉強のための予習と復習、
塾の勉強のための予習と復習。それが終わったら志望大学の予想問題集に取りかかって……今までの2年間、
僕はずっとそうした生活を過ごしてきた。それでも、自宅に居れば何とか安らぎの時間も持てるんだが、
これが寮になるとなかなかそうもいかない。高校最後の一年間、毎日毎日そんな生活を続けて……これが
キミは楽しいと思うのかい?」
うわ……というのが、正直な俺の感想だった。進学校ってのは、お前でさえそこまでやらなきゃいかんのか?

「気を抜いたら、あっという間に抜かれてしまうからね。そう言った意味では、あの学校で本当の友達なんて
出来ないさ。僕は、もっと余裕を持って勉学に励みたいんだ。だからある意味、北高に進路を取った国木田が
羨ましかったんだよ」
くくっ、と喉を鳴らす佐々木。国木田か。
あいつは飄々と勉学に遊びに邁進してたっけな。そういえば、アイツは三年次のクラスは特進クラスにすると
言ってたが、上手くやってるんだろうか?

「だから、キミからのあの電話が来たとき本当に驚いたんだ。僕がキョンと同じ学校に転校したら……新しい
何かを得られるかもしれないって、そう思った。だから、僕はここにいる」
いつの間にか佐々木は俺の前に立ち、やわらかな微笑みを浮かべていた。
435以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:51:22.48 ID:hO6964750
しえn
436以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:51:47.37 ID:5HmVutWP0
支援
437以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:52:00.40 ID:t+xWAYFf0
アナルも見ておけばよかった。
しえん
438遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:52:15.71 ID:n0nqa4B00
「キョン。キミがどこの大学を志望しているのかは知らないが、出来れば一緒の大学に行きたいと僕は思って
いる。中学三年以来だが、僕と一緒に受験戦争を戦わないか?」
凛とした瞳に宿る力強い光。俺はその瞳に吸い込まれるような感覚を覚え、分かったと言葉を発していた。

「そうかキョン!嬉しいよ!」
更に瞳に喜びの色を加えた佐々木は、俺の手を取って握手した。

「ところで」
すぐ脇の結構大きな家を指さして、佐々木は言った。

「ここが僕の家だ。ここまで送ってきてもらって有り難いが流石にまだ引っ越し荷物が片付いていなくてね。
お茶くらいなら出せるのだが……」
ああ、すまんな。俺は帰るわ。お前の家が分かっただけでも今日はOKだ。
それにな、俺がここにいるのは決してお前のせいじゃない。
俺が転校を決断したからだ。だから、そんなに気に病むな。

「ありがとう、キョン。気をつけて」
「ああ、じゃあな」

道すがら、様々な考えが頭の中を通り過ぎていった。
朝倉がクラス委員の進学クラスで、佐々木と一緒に受験勉強……か。
ハルヒ達と遠く離れ、縁が切れてしまったと思っていた不思議達は、俺のこの巻き込まれ体質が気に入って
しまったのか、新しい縁を提供してくれたようだ。

やれやれだ。
439以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:52:38.46 ID:hO6964750
しえn
440遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:53:18.91 ID:n0nqa4B00
第十二章 決意

家まであと少しというところで、携帯が震えた。

着信:涼宮ハルヒ

「あ、キョン?新しいクラスはどうだった?何か不思議なことはあった?」
いきなりそれかよ。ああ、不思議なことは有ったぞ。
「え!ホント?何?担任がサスカッチとかヒバゴンだったとか?」
お前な、それは一体どこの学校だ?大体、サスカッチやヒバゴンから何を教わるんだ俺は?
「冗談よ。で、不思議って何なの?早く教えなさい!」
ああ、実はな……
俺は今日のことをハルヒに話してやった。
Sクラスという進学クラスになったこと。そこのクラス委員が、俺たちが1年の時にカナダに転校していった
朝倉だったこと。そして……佐々木が同じ学校、同じクラスに転校してきたこと。
最初のウチは「うんうん、それで?」とか聞く気満々で先を促してきたハルヒだったが、朝倉の話あたりから
徐々にトーンダウンし始め、佐々木の話あたりからは「……ふぅん」「……そう」と、相づちしか聞こえなく
なってしまった。

「……何とか上手くやっていけそうじゃない」
ああ、そうだな。特に勉強が出来る知り合いが2人もいるんだ。受験勉強の方は大丈夫だぜ!
「……」
どうした?
「何でもない」
そうか。ところで、そっちはどうなんだ?あれから何か、特別なことがあったか?
441以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:53:32.72 ID:hO6964750
しえn
442以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:54:15.55 ID:t+xWAYFf0
しえん
443遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:54:22.44 ID:n0nqa4B00
「……あたしもね、特進クラスにしたの。受験もあるしね」
9組か。古泉と同じクラスになったって事か?
「そ。有希も一緒なのよ」
長門もか。なんだ、SOS団全員が同じクラスになったって事かよ。
「そうね。あと、国木田や阪中さんも一緒よ」
へえ、あいつらもか。待てよ、そうすると谷口は……
「ああ、あのバカならそのまま3年5組に上がったわ。『やっとこれで涼宮との腐れ縁も断ち切れた〜〜』
とか言ってたから、ちょっとお仕置きしておいたけど」
おいおい、お手柔らかに頼むぜ。あんな奴でも、一応俺の友人ではあるんだからな。
「分かってるわよ……ねえ、キョン」
なんだ?そんな怖い声を出すな。
「あたしの目の届かないところだからって、変な気起こしちゃダメよ?」
何言っているんだコイツ。変な気って何のことだ。意味分からんぞ。
「何でも良いから!約束しなさい!」
へいへい。何だかよく分からんが、約束するよ。
「……よろしい。じゃ、またね」

携帯を切る。と、すぐにまた携帯が鳴り出した。
444以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:54:33.27 ID:hO6964750
しえn
445以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:54:57.33 ID:J7rl1tFd0
言うなよww
446遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:55:26.43 ID:n0nqa4B00
着信:古泉一樹

「涼宮さんとお話しされていたようですが」
ああ。何故分かる?それより電話を掛けるときは、まず『もしもし』から始めるのがマナーだぞ。
「これは失礼しました。では改めまして『もしもし』」
……冗談はやめろ。それより何だ。
「先ほど、涼宮さんと話されていた内容を教えていただこうかと思いまして」
別に話してもいいが、一応プライベートな会話だぜ?その理由を教えてくれても良いよな?
「閉鎖空間が発生しました」
何?ずいぶんと久しぶりだな。
「ええ、先回の大量発生時のあれ以来です。規模はそれほど大きくは無いようですが」
そうか。お前は行かなくて良いのか?
「今回は仲間が対処するようですので、大丈夫です。それで、電話の件ですが」

俺はさっきのハルヒとの会話を古泉に伝えた。別に隠すことなど無かったし、それほど重要な内容であるとも
思えなかったしな。

「……それは……何てことだ」
ぼそりと呟く古泉に、ただならぬ違和感を感じた俺はどういう事かを問いただした。

「いえ、長門さんからあなた用のTFEIが用意されると聞いてはいたのですが、てっきり喜緑江美里だと
ばかり思っていましたもので」
それは分かる。俺だってそう思っていたからな。
「僕は朝倉涼子というTFEIには面識がありませんが、どのような……ああ、これはこちらで調べさせて
いただきます。それよりも、佐々木さんなのですが」
ああ、俺もびっくりしたぜ。偶然とはいえ、こんな事もあるもんだと思ったよ。
447以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:55:37.86 ID:t+xWAYFf0
しえん
448遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:56:31.90 ID:n0nqa4B00
「結果的に見ればそうかもしれませんが、こちらとしてはそうも言ってられません。おそらく閉鎖空間の発生
頻度が、昨年に比べて上がることは間違いないでしょうね」
そうか、ハルヒは俺が居ないって事で、イライラが溜まりやすくなる可能性があるな。俺も来年にはそっちに
戻るつもりだから、それまで悪いがハルヒのご機嫌取りでもしてくれ。

「微妙に本質を外していると言うところがあなたらしいと言えばあなたらしいのですが……分かりました。
今年は涼宮さんと同じクラスですし、何とか凌いでみましょう」
頼むぜ。長門も同じクラスなんだろ?二人がかりなら何とかなるんじゃないか?

「そうですね。僕もあなたと同じ立ち位置になれるよう、頑張りますよ」
俺の立ち位置ってのはハルヒの雑用係その1、だぜ。副団長様が何を抜かすかね?

「はは、そうでしたね。では、また」

携帯を仕舞い込み、既に到着していた家に入る。しかし俺は家の前で何を20分も携帯で話しているのかね?
部屋に入った俺は、未だに片付かない荷物を紐解く気力など無く、そのままベッドへと倒れ込んだ。

ふとベッドの脇に目をやると、でかでかと「SOS団」と書かれた段ボールが目に入った。引っ越し直前に
ハルヒ達がくれたものだ。「新学期が始まるまで開封禁止!」との、団長様の有り難いお言葉に従って、
今日まで開封していなかった。律儀だね、俺は。
しかしまあ、もう開けても良いだろう。何せ、今日から新学期なんだからな。
段ボールを開けると名前が書かれた小包4つ、それぞれに添えられた封書が4通出てきた。結構厳重だな。
449以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:56:44.03 ID:hO6964750
しえn
450以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:56:50.54 ID:t+xWAYFf0
しえん
451遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:57:37.17 ID:n0nqa4B00
長門有希、と綺麗な楷書体で書かれた箱を開けると、中からは薄めの新書版が何冊か出てきた。
「SFはどこまで実現するか」
「SF相対性理論入門」
「相対性理論と宇宙旅行」
……これは何かの解説本か?
同封の手紙を開くと、シンプルな紙の真ん中にきれいな楷書体で「ユニーク。読んで」と一言だけ書かれて
あった。
……長門よ。これだけじゃ全く意味がわからんぞ?一体俺に何をさせたいんだ?


朝比奈みくる、とかわいらしい文字で書かれた箱には、ティーセットが一式入っていた。ああ、朝比奈さん
らしいな。ブランドはHERMES??どこのブランドだろ?有名な所なんだろうが、よく分からん。後で
お袋にでも聞いてみよう。
しかし、朝比奈さんからの手紙にはそんな俺の心に冷や水を掛けるようなものだった。

「キョンくんへ

あなたがこの手紙を読んでいるとき、おそらく私はこの時間平面には居ないでしょう。
既定事項をクリアするために、一時的に元の時空へ帰らなければならないからです。
今はその内容は明らかには出来ませんが、きっと話せるときがやってくると思います。
私は「家庭の事情で、一年間休学」することになっています。これは涼宮さんたちにも伝える予定です。
長門さんや古泉くんはおそらく察してくれるでしょう。鶴屋さんにはもう話してあります。
だから、キョンくんも私の話が出たら、上手く話を合わせて下さいね。
キョンくんはそちらで受験を頑張って下さい。あなたの頑張りが、私たちの未来への道を開くことになるん
です。

また、会える日を願って。

朝比奈みくる」
452以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:57:52.98 ID:hO6964750
しえn
453以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:58:35.61 ID:yN7gCVbg0
ハーメスktkr
454遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:58:43.70 ID:n0nqa4B00
手紙を読み終えた俺は、ああ、それであれから何度朝比奈さんに掛けても電話が繋がらなかったのか、などと
どうでも良いことを納得した。既定事項か。そういえば、以前この引っ越しの話を部室でしたときもそんな
こと言ってたな。


古泉一樹、と書かれた比較的大きな箱を開けると……そこには最新型のノートパソコンの箱が鎮座していた。
っておい、贈り物にしては高額すぎないかこれ?慌てて、同封の手紙を取り出す。

「このパソコンは『機関』からのほんの気持ちと思ってください」

それしか書いていなかった。全く、長門と言い古泉と言い手紙の書き方がなってないぞ。
少しは朝比奈さんを見習え。

ため息をついた俺は、残った最後の箱に手を掛ける。
マジックででかでかと「団長」と書かれた小さな箱は、他の3人の箱に比べてもかなり小さい。
振るとかさかさ音がする。何が入って居るんだろう?変なものは入っていないだろうな?
箱を開けると、有る意味見慣れたものであるがそれ単体で見ると新鮮なものがあった。

リボン付の黄色のカチューシャ。

それはハルヒのトレードマークであり、この2年間ハルヒと会う度必ず俺の目に入ってきていたものだ。
添えられていた手紙を読んでみた。
455以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:58:51.64 ID:hO6964750
しえn
456遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/10(水) 23:59:47.46 ID:n0nqa4B00
「キョンへ

キョンが転校するなんて、考えたこともなかった。
これからもずっと、あたしの側にいてくれるものだと思っていた。
でもそれは、あたしの勝手な思いこみだったんだね。
あの日家に帰ってから、私はずっと泣き通しだった。
悲しさ半分、うれしさ半分って所ね。
もちろん、キョンからあたしに告ってくれたのは嬉しかった。
あの時の言葉はウソじゃないわ。
嬉しくて、嬉しくて。本当に、舞い上がってしまいそうだった。
キョンがあたしの志望大学を受けてくれる……あたしの所に戻ってきてくれるって聞いたときも、夢じゃ
ないかと思ったわ。
でもね。
2年間キョンのすぐ側にいたあたしが言わせてもらうけど、今のキョンの成績じゃ、どうやってもアタシの
志望大学に現役での合格は無理だと思うわ。あの時は「1年間頑張れば」なんて言ったけど、今のキョンの
成績じゃね。奇跡でも起きない限り、無理。
だから、キョンは自分に合った大学に行きなさい。どこの大学でも良いわ。
あんたが行きたいと思ったところにね。
ただし!その際は必ずあたしに相談すること!
それを肝に銘じて、受験勉強頑張りなさい!以上!

追伸
同梱のカチューシャは、あたしからのお守りだと思いなさい。
これはあたしが北高受験の時に付けていた、持っている中では最も古いものよ。
必ず御利益があるはずだから、キョンは毎朝毎晩、これに向かって念を送ること。
そうすれば、必ず合格できるから、勉強机の側にでも置いておきなさい」
457以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/10(水) 23:59:48.36 ID:96AJhkaf0
しえn
458以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:00:20.88 ID:0iE0oS2N0
しえn
459遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/11(木) 00:00:47.16 ID:jDb+uTSV0
よく見ると、少し色がくすんでいるような黄色のカチューシャ。なるほど、ハルヒの思いが詰まった最古参の
もの、か。古泉曰く「神様」のハルヒのものだ、確かに御利益はあるだろうな。
俺はそれを、勉強机のライトに引っかけた。

SOS団メンバーそれぞれの手紙を纏め、机の引き出しに入れた。

Sクラス。朝倉涼子。受験勉強。佐々木。大学進学……そしてハルヒ。
受験勉強をしなければいけない環境に追い込んだのは自分自身だ。分かっているさ。
楽しかったこの2年間の出来事。殆どがハルヒが原因で、俺がとばっちりを食らって走り回るようなこと
ばかりだったとはいえ、一生忘れられないような出来事ばかりだった。
高校最後の一年は、その楽しかった2年間のツケが一挙に回ってきたような感じの、俺にとってはかなり
厳しい受験戦争になりそうだ。
この一年、とりあえずこの一年を頑張れば、またあいつらと……ハルヒと同じ時を過ごせるんだ。その希望に
賭けるしかない。

……ふと、ハルヒの手紙を取り出して、財布に挟み込む。こうやって持っていれば、ハルヒの神様パワーの
ご利益があるかもしれんからな……財布の中身は減っていくかもしれんが。

神様、仏様、ハルヒ様。来年、志望大学に合格できますように。
460以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:01:03.76 ID:0iE0oS2N0
しえn
461遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/11(木) 00:01:51.49 ID:jDb+uTSV0
第十三章 家庭教師

ハルヒ達からの贈り物を目の前に「一年間頑張る」と決意を新たにした俺は、翌週行われた全校全教科試験と
いう第一の難関に挑んだ。が……俺は試験中に絶望していた。

問題の意味が、どういった回答をすれば良いのか解らないのだ。

俺ってこんなレベルだっけ?とあらぬ方向へ行ってしまおうとする頭を無理矢理試験に集中させ、何とか全
教科試験の日程をクリアした帰り道。がっくりと落ち込んだ俺を引き連れながら、佐々木と朝倉は「今日の
試験簡単だったわね」「1年2年の総括問題だしね」などと和やかな会話をしていた。くそ、忌々しい。
こいつらの頭のレベルは半端じゃない事は十分解っている。聞けば朝倉は昨年一年間学年トップの座を譲り
渡すことはなかった(と言うことになっている)そうだし、佐々木は言わずもがなだ。二人とも俺とはレベルが
違いすぎる。これほど自分が無力に感じたことはなかったね。
これじゃあ、一緒に受験勉強をしようとは、おこがましくて言えないじゃないか。せめてもう少しレベルが
上がってから……なんてことを俺は考えていた。

「キョン」
どうやったら「赤点スレスレ低空飛行」どころか「急速潜行深度100宣候」なこの自分の頭と成績をせめて
海上まで浮上させる事が出来るかを考えていたとき、佐々木から声が掛かった。
「そう言えば、キミの志望大学を聞いてなかったね。どこなんだい?」

俺は、常の頭の中にある志望大学を答えた。もちろん、それはハルヒの志望大学でもあったわけだが。

「……キョン、偶然だな。僕もそこなんだよ」
は?何だと?
「キミと僕の志望大学は同じだと言ったんだよ。それにしても、君が北高に行っていた2年間で、そこまで
学力を上げていたとはね。例のSOS団の活動とやらで、勉強する暇など無かったと思っていたのだが」
いや……あくまでも志望だからな?入れるとは言ってないぞ?
462以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:02:19.24 ID:0iE0oS2N0
しえn
463遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/11(木) 00:03:03.93 ID:jDb+uTSV0
「キョンくん、大丈夫なの?あそこは日本の大学の中でも上位の大学よ。あたしの知っているキョンくんの
成績だと、かなり無理があると思うんだけど……」
そんなことは百も承知だ。でもな、朝倉よ。理想は常に高く持たなきゃいけないんだ。

「キョン?それは理想じゃなくて妄想だよ。今のこの時期に妄想しているのはどうかと思うぞ。現在の自分が
志望校に入れるかどうかを客観的に判断できないようではね」
佐々木の言葉が胸に刺さる。今回の試験の手応えだとスタートラインに立つことさえ出来ないだろうな。

「佐々木、朝倉」
俺は決心した。こうなったら、土下座でも何でもしてやる。世界のためなんて戯けたことは言わない。
俺のわがままと取って貰っても構わん。ハルヒの志望大学に受かりたいんだ。
「俺に勉強教えてくれ」


全教科試験の解答用紙が返却された日の放課後、俺たちは朝倉のマンションにいた。
長門の部屋とは違い、女の子らしい装飾のカーテンや小物など、一般的女子生徒の部屋だった。ただ、どこと
なく生活感というか生活臭が感じられないのは長門と一緒だな。
などと現実逃避をしている俺の前には、信じられないといった表情で返ってきた答案用紙と俺の顔とを交互に
見比べる二人がいる。もちろん佐々木と朝倉だ。

「……キョン?」
佐々木はまるで、為す術もなく濁流に押し流されていく自宅を見ているときのような顔で俺に問いかけた。
「キミの志望大学のことなんだが、変更した方が良いんじゃないか?」
顔から火が出るほど恥ずかしい。
「何だか、以前よりも酷くなってない?」
朝倉、お前もそう言うか。考えてみれば、北高での授業は殆ど睡眠学習だったからな。一応、定期試験での
赤点は免れてはいたが。
464以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:03:13.83 ID:0iE0oS2N0
しえn
465遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/11(木) 00:04:08.68 ID:jDb+uTSV0
とはいうものの、一応進学クラスでこの点数はまずかったらしい。いや、マズイのだ。
他の一般クラスを含めた学年全体では赤点ギリギリクリアなのだが、Sクラスではかなり下の方……早い話が
最下位だったのだ。
さすがSクラス、他の一般クラスに比べれば赤点ボーダーラインが平均で20点も上なのは予想外だったぜ。

「しかし困ったな。この点数では志望大学どころか、卒業できるかどうかも怪しいよ」
「それに、Sクラスの平均点が下がってるわ。クラス委員としても、何とかしないといけないわね」
「キョンに勉強を教えるのは吝かではないが、僕も塾があるし、受験生でもあるしね。全教科を教えるのは
難しいし……」
「それはあたしも……」

捕らえた魔女をどのように処刑してやろうかと議論する、スペイン宗教裁判審問官のような会話を聞き流し
ながら、俺は人ごとのように朝倉の部屋の中を見回していた。

「キョン、キミの受験勉強計画が決まったよ」
佐々木の声で我に返った。

「朝倉さんと相談したんだけど、僕たち二人でキミの家庭教師をすることにした」
家庭教師?いや、分からないところを教えてくれるだけでいいんだが。

「それなんだけどね、キョンくん。あなたの答案用紙を見ていて思ったんだけど、どの科目も基礎を理解して
いないようなの。基礎が理解できなければ、応用もダメでしょ?」
あー、つまりどういうことだ。もっと分かり易く言ってくれ。

「具体的に言うと、夏休み前までに高校1年2年の全教科をやり直すってことさ」
な??

「大学進学の第一関門であるセンター試験は、大学進学の基礎学力を計るものだから、その対策として基礎
学力である高校1年2年の復習をやって貰うんだ」
え、ちょっと待て?えーと、2ヶ月半でそんなこと出来るのか?
466以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:04:24.27 ID:0iE0oS2N0
しえn
467遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/11(木) 00:05:12.16 ID:jDb+uTSV0
「もちろん死に物狂いでやってもらうよ。でないとキミの希望は叶わないのだからね。ただ、僕も朝倉さんも
自分の勉強があるから、それぞれ担当を決めてキミの勉強を見ることにする。現時点ではこれがベストの方法
だと思うが、キミはそれでいいかい?」
待ってくれ。その、何だ。俺も進学塾とか言った方が良いんじゃないか?この答案用紙をお袋に見せたら、
進学塾行きはほぼ確定なんだし。それに、俺の1年2年の復習に付き合わされることになるんだが、お前らは
それでいいのか?

「さっき僕が言ったことをもう忘れているのかい?センター試験は、高校1年2年の基礎学力試験だって。
僕たちだって、試験対策で復習をしなければならないことを忘れないでくれ。あと、教えられる方より教える
方が何倍も理解が深くないといけないから、その点でもキミの家庭教師は最適なんだ」
なるほど、よく分かった。だが、塾の件はどうする?

「その件についてだが、僕が直接キミのお母様に説明するよ。塾通いは夏休みが始まってからでも遅くないと
思う。基礎が出来てないのに、理解できない勉強を更に追加したくないだろう?」
そりゃそうだ。基礎工事が出来ていない所に建物は建てられないからな。

「科目の振り分けだが、特にキミは理数系が弱いみたいだからそっちは僕が担当する。文系は朝倉さんに担当
してもらう。僕は今のところ火木金曜日が塾の日だから、月水土曜日だね」
「じゃあ、あたしが火木金曜日ね」
色々と迷惑掛けて済まん。ってあれ?日曜日はどうするんだ?休みか?

殺意すら感じさせる4つの瞳。
スイマセン、ヤスムヒマナンテナイデスヨネ。
「日曜日はここで一週間の成績を見る、理解力テストをすることにしよう。朝倉さん、いいわよね?」
「ええ、いいわよ」
毎週、日曜日に理解力テスト?
日曜日だと、それぞれ予定がある場合もあるだろうし……イイエ、ナンデモアリマセン。
更なる殺人光線を浴びたくなかった俺は、言葉を途中で飲み込んだ。
468以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:05:39.89 ID:0iE0oS2N0
地獄の特訓だな。
しえn
469以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:05:48.72 ID:8axfXWKa0
しえn
470遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/11(木) 00:06:16.68 ID:jDb+uTSV0
「じゃあ、これで決まりだ。今日は水曜日だから僕の番だね。早速キミの家に行くことにしようか」
答案用紙を俺に返却した佐々木は、そそくさと立ち上がった。
これから俺の家に行くのか?まだ、何の準備もしてないぜ?

仁王立ちになった佐々木は、呆れたような目で俺を見下ろしていた。
「……キョン。キミはやる気があるのか、無いのか?どっちなんだい?」

こうして、俺の受験勉強生活が始まった。
471以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:07:21.80 ID:0iE0oS2N0
しえn
472以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:07:37.10 ID:g8RBQmoP0
耳が痛い話だな・・・ホントに・・・。
473以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:07:51.28 ID:8axfXWKa0
これ、本当に初のSSですかい?
面白すぎて困る 支援
474以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:08:23.57 ID:l5TEzbpF0
追いついた支援
475以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:08:28.24 ID:KFjZQx3e0
最初から見させてもらった
面白いよ支援
476遠距離恋愛 ◆FQXicS41TE :2007/10/11(木) 00:08:38.46 ID:jDb+uTSV0
一応、ここで第2部終了です。
こんなに書いても全体のまだ2/5です……
一応、次回あたりで急展開の予定ですが、伏線回収に必死になってます。
次回投下は、ちょっと後になるかもですが、見捨てないでくださいませ m(_ _)m
477以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:09:11.70 ID:8axfXWKa0
>>476
1年だって待ってやるさ
478以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:09:47.84 ID:0iE0oS2N0
乙!
いつまでも待つぜ。
1年経ったら、キョンがハカセくんみたいになってそうだなwww
479以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:10:10.14 ID:446d6JOc0
>>476
おつ〜。
見逃さないようにしているからね。
480以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:11:42.95 ID:l5TEzbpF0
>>476
乙! ここまで徹底的に日常的ストーリーで突っ走っているのも珍しいかも。
次回からの急展開期待(SFとかアクションじゃなくて、修羅場になりそうな気がするが)

しかし、今ので4割か。超長編仲間入りは決定的だな。
481以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:12:07.25 ID:sEyfF4u6O
>476
乙。佐々木がキョンがいるのに女言葉になっている台詞があるんだが仕様?
482以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:12:24.73 ID:aQSnCwX90
アナじめール落ちたーZTO
483以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:13:17.86 ID:8axfXWKa0
>>480
だよな。なんか、細かくて上手い。
4割って聞いて逆に喜ぶほどだぜっ!
484以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:15:10.09 ID:5G5Eq5dJO
乙!




俺の帰る古里(あなる)が無くなった・・・紅贄祭に失敗したか
485以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:17:20.83 ID:pS+DCMPUO
>>476
僕は今浪人生なんだが遠恋呼んでなんか火がついたよ
ありがとう
486以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:17:52.54 ID:N/w2zZDnO
乙だぜ
487以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:18:29.01 ID:l5TEzbpF0
488以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:18:40.21 ID:yLI/Dab0O
まるで桜を見ているような話だったぜwwww
489以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:20:54.23 ID:OUDqRUh4O
乙!
遠恋思ってたより長くて楽しみだ。


…俺も受験生なんだ
頑張らんと…
490以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:24:40.64 ID:7KlJWsqs0
投下が最大手と被ってしまった……orz
古泉一樹の消失の>>173>>176の間のAnother Story的なものを書いたんですが、投下してもよろしいでしょうか?
491サザソのトリヴィア:2007/10/11(木) 00:25:03.50 ID:8aBQ4E9o0
視聴率低そうだな
492以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:26:01.03 ID:l5TEzbpF0
SS書きながら支援するからがんばってくれ。
493以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:27:37.59 ID:8axfXWKa0
支援はできないが見させてもらうよ
かまん
494以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:27:53.02 ID:mKyl21JfO
>>476
GJ!!!www
wktkしすぎて脳味噌溶けるwww
‥‥‥日曜日は3Pか(ボソッ
495以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:29:29.10 ID:7KlJWsqs0
その言葉だけで十分支援になります……。
ちなみに作者ではないので3次創作という形になりますが、その点についても何か意見があればどんどんお願いします。
ではいきます
496以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:29:57.90 ID:l5TEzbpF0
支援
497以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:30:09.64 ID:OQ6XmiZX0
かもん
498以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:31:12.34 ID:7KlJWsqs0
古泉一樹の消失 ―Another Story―


暗闇の中、彼に「朝比奈さん」と呼ばれていた女性の声が聞こえる。

「………や…ん……ずみ…さん」

そういえば彼はどうなったのだろう。うまく元の世界へ帰ることができただろうか。
考えてみれば久しぶりのちゃんとした夢だ。いましばらくこの状況に浸っていたい。

「すずみ…さ……涼宮さん!」

突然周りの世界を埋め尽くしていたブラックアウトが晴れ、僕は自分がさっきまでと同じ部屋にいることに気付いた。
いつの間にか壁に寄りかかっていた体を起こして声のする方へ目をやると、いまにも泣き出しそうな顔をした朝比奈さんが、床に横たわっている涼宮さんの体を揺すりながらその名前を叫んでいる。その横で魔法を唱えるように何かを口ずさんでいる長門さん。
うまく状況を飲み込めない僕は、一通り部屋を見渡してみる。部屋の中の様子は、つい先ほど(で合っているだろうか?)と全く変わっていなかった。
ただ一つ、彼がいないということを除いて。
彼がいないということは、何者か――おそらくあちらの世界の長門さんの力が働いたとみてまちがいないだろう。しかし同時に彼だけがいないという事実は、彼がここからいなくなるうえで何らかの不都合が起きてしまったのではないかという悪い予感を感じさせた。
499以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:31:53.96 ID:7KlJWsqs0
「……『彼の世界』のわたしとの同期に成功した」
突然、薄幸の文学少女が呟く。いや、その雰囲気はさきほどまでのそれとは異なっている。口調にしてもまるで別人だ。
彼から受け取ったくしゃくしゃの紙を、割れ物を扱うようにそっと机の上に置くと、おもむろに眼鏡を外して両の手の平の上に置く。すると、彼女のその繊細な指先が離れた瞬間、手のひらの中のそれは光の粒のようになって消えてしまった。
僕は彼女の一連の動作に釘付けになっている自分に気づく。いまの状況を差し引きしても十分すぎるほど、彼女の振る舞いは可憐で、魅力的だった。
「ドウキとはどういうことでしょう?それにあなた、いま眼鏡が……」
いまだに現状を把握しきれていない僕の質問に答えたのは長門さんではなく、いつの間にか泣き止んでいた朝比奈さんだった。
「長門さんも記憶が戻ったんですね」
その顔からは、書道部から拉致してきたときとはまた違った動揺と、どうして微かな決意のようなものが見て取れた。
「そういえば涼宮さん……涼宮さんはどうされたんですか!?」
「大丈夫、気を失っているだけです。とりあえずそこの椅子にでも座って。」
500以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:32:20.05 ID:l5TEzbpF0
支援
501以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:33:04.14 ID:7KlJWsqs0
どうやら二人には、あちらの世界での自分の記憶が戻ったようだ。しかしいまのところ、僕の思考回路が致命的なイレギュラー分子を観測したという報告はなく、静かに目を閉じている涼宮さんからも、おおよそそのような変化を感じることはできなかった。
「今回の責任は全てわたしにある。すまない」
「ちょ、ちょっと待ってください、いまのこの状況について詳しく教えてもらえませんか?」
その淡々とした口調とは裏腹に、長門さんはむしろ僕の記憶が彼の消失する以前のまま変化していないことに驚いているようだった。
「あなたたちは彼から元の世界のSOS団について聞いたはず」
「おっしゃるとおりです」
「今回、世界が改変されたのは、私が涼宮ハルヒの力を彼女から奪ったせい。そして、あなたたちはこの世界が元の世界を変化させたものだと考えていたが、実際はそうではない」
なぜ長門さんが世界を改変したのかはこの際置いておこう。
「つまり、この世界はパラレルワールドであり、『彼の世界』とは別の次元としてこれからも存続していくということですか?」
502以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:34:51.81 ID:7KlJWsqs0
「未来との連絡が取れないの……」
何かに集中するように目を閉じていた朝比奈さんが、再び口を開いた。心なしか、顔色が思わしくない。
「どういうことですか?」
「彼は先ほどの局地的な情報爆発によって、世界を改変しようとするわたしを止めるために過去へ行った。統合思念体の計算によると、彼があちら側の私と接触するのにあと数時間もかからない」
「そしてもし改変が起こらなければ、この世界が創造されることはない。つまり、少なくとも地球時間で今夜12時までに――」

「この世界は消失する」
503以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:34:54.67 ID:l5TEzbpF0
支援
504以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:35:04.56 ID:r3vknXzw0
支援
505以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:35:35.91 ID:7KlJWsqs0
「何ですって!?もしそれが本当なら僕たちはどうなってしまうんですか?光陽園学院の仲間たちや、やっと記憶の戻ったあなた方、それに涼宮さんは?」
「わたしたちの心配はいらない。たとえこの世界が消失するとしても、あちらの世界に存続し続けられるわたしたちは死の恐怖を感じない。それはあなたの知人についても同じ。彼らにとって絶対的なこの世界の消失によって、彼らが感じることは何もない」
「問題はあなたたち。あなたと涼宮ハルヒはこの世界が終わっても、あちらの世界で存続し続ける。しかし、わたしや朝比奈みくると違って、『彼の世界』のあなたたちは、いまここにいるあなたたちとは全く違う存在」
「いまからあなたたちはこの時間軸であと数時間、自分自身の自己同一性の欠如に苦しめられる」
「……つまり、自分の存在理由を見出せない状況の中で、その存在の終わりという恐怖と闘い続けなければいけない、というわけですか」
「今後の行動についてはあなたの判断に任せる」
506以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:37:20.54 ID:l5TEzbpF0
支援
507以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:38:07.65 ID:7KlJWsqs0
とりあえずここまでで
さすがに遠距離恋愛の後となると霞みますね……。
一応構想は最後まであるんですが、評判が芳しくないようならロムに回ります
508以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:38:48.84 ID:OQ6XmiZX0
ちょww続き気になるwww
自分の作品の続編となるとそれも格段だぜ、GJ
509以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:41:46.95 ID:l5TEzbpF0
ここで止まる方が生殺しだw
どんどん続きを書くべき。

しかし、この話は「クーデター」に通じるものがあるな。
この視点で進むと苦しい展開が続きそうだ。
510以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:41:53.13 ID:mKyl21JfO
>>507
GJ!
だが、最近アナルに構ってちゃんが出没してるせいか、最後の一文に過剰に反応してしまう自分。
511以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:44:34.03 ID:7KlJWsqs0
>>508
ありがとうございます!
まさかご覧になっているとは……。
ちゃんと>>176に繋がるように考えているので、これからもぜひ読んでやってください
512以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:55:52.05 ID:BYFvuMINO
保守
513以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 00:57:58.81 ID:d3KQ7k+sO
みくる「ぼよよんぼよよんぼよよんぼよよんぼよよんぼよよんロックンロール♪」
514以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:00:19.36 ID:mKyl21JfO
ハルヒ「なんでこんなに下がってるのよ!あげなさい!団長命令!」


なんか、500付近だと妙に焦る保守
515以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:02:03.55 ID:SCi8SqYx0
ハルヒ「……ふあ…………キョン…………さっきから…………とまらないの…………」
キョン「…………ハルヒ」
ハルヒ「…………ねぇ…………キョン…………おねがい…………」
キョン「……嫌だと言ったら?」
ハルヒ「……ん…………や………………いじわる…………しないで……………………おねがい…………キョン」
キョン「どうしようかなぁ」
ハルヒ「…………あぁっ…………だめ…………もう…………我慢できない…………」




ハルヒ「っくしゅん!」



ハルヒ「ううう。とっととそこのティッシュ寄越しなさい!」
キョン「おいおい大丈夫かよ。うつすなよ」
ハルヒ「風邪じゃないって言ってるでしょ!うつせるもんならうつすわよ!」

秋の花粉症にかかってしまったハルヒ保守
516以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:08:13.23 ID:H4kuG93O0
>>507
ここまでの部分を読むとなんか台無し…と思わなくもなかったが、期待してる。頑張れ!
517以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:11:25.84 ID:a4w94eZPO
突然だがLost my musicは佐々木の曲にすべきだとオモウ
ほらみんなも佐々木を思い浮かべて聞いてみなさい、涙でそうになるから
518以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:14:34.85 ID:mKyl21JfO
>>517
俺はハルヒでいいと思う。
ハルヒの内なる部分が歌われてる歌って感じがするから。
519以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:14:45.63 ID:BYFvuMINO
>>517
寧ろ、「First Good-Bye」の方じゃね?
520以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:16:16.16 ID:PzIcbWUiO
SS職人は強気に出た方が良いとオモッタ今日この頃
謙遜すると何かと嫌な空気に持ってかれる気がする
そんな俺は読み手と保守ネタオンリーです。サーセンwwwwwwwwwwww
521以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:19:14.16 ID:5G5Eq5dJO
続きを書く気は凄いあって何作か続きが仕上がってるのに投下する気が起きない。
すぐそこにパソコンがあるのに一回でも毛布へ入ると出る気がなくなるのは不思議だな〜。
それが十日以上続いてるから辛い話だ・・・

>>517
シネマならミヨキチ
522以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:20:07.81 ID:5G5Eq5dJO
>>521をほんの少し訂正


一緒に見たシネマなんだからミヨキチ
523以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:20:15.94 ID:a4w94eZPO
>>519
そっちはガチ

俺は佐々木っぽいなと思ったが……歌詞が特にね
524以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:26:05.18 ID:7KlJWsqs0
>>520
いま読み返してみたら、自分の謙虚さにワロタwwwww
なんでか投下するときは下目線になるんだよな〜みんな敬語だし
とりあえず古泉一樹の消失(another story)は、必ずみんなが納得できる形で終わらせるんでよろしく!
525以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:28:02.77 ID:PzIcbWUiO
>>542
おk。楽しみに待ってるぜ!頑張ってくれ!
526以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:41:02.83 ID:BYFvuMINO
保守
527以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:42:23.22 ID:H4kuG93O0
>>524
デカかったらデカかったで叩かれるから結局はそのときの空気だけどなw
528以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:48:25.57 ID:FplYb8T70
完結した、と銘打った話の後日談を投下しても大丈夫でしょうか。
教科書文通【http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3063.html】10後編の少しあと、長門視点の話なのですが。 
529以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:50:13.61 ID:PzIcbWUiO
教科書ktkr!!!是非読みたい!
530Please wait for some day in the rain.:2007/10/11(木) 01:51:24.68 ID:FplYb8T70
では、お言葉に甘えて。
最後だけですがオリキャラ(山田)が出ますので苦手な方にはごめんなさい。
―――――――――――――――――――――――――
「長門さん。 その件で、お話があります。 聞いて、くださいますか。」

 あの日の、あの雨の日の古泉一樹の台詞が頭から離れない。 他のことを考えていても、気がつくとあの台詞が耳に響く。
彼が隣にいない今でも、その声はわたしの鼓膜を打っている、様に感じる。 これは何? 幻聴? エラー?

「長門さん、 僕はずっとあなたが僕の教科書にお書きになった「良好な関係」について、ずっと考えていました。」

 真っ直ぐな瞳だった。 元々古泉一樹は人の目を見て話すタイプの人間ではあったが、
最近は誤解を防ぐためか、はたまた他の理由からか、あまり目をあわそうとはしていなかった。
が、あの日は違った。 あの雨の日。 古泉一樹とより「良好な関係」を築きたいとあのまじないを決行した日。
まっすぐ、まっすぐにわたしの瞳を見つめていたのだ。 まっすぐ、まっすぐ真剣なまなざしで。
そのまなざしに感じるエラーは、不可思議な熱を孕んでいて、痛いほどに心地よかった。

「……でも、結局、僕にはそれが友人としてのそれなのか、また別のものなのか、未だ見当が付きません。」
531Please wait for some day in the rain.:2007/10/11(木) 01:51:54.08 ID:FplYb8T70
心拍数の上昇、体が熱を持ち、目がくらむような、感情。 エラー、エラー、エラー。 今までにないエラー。
彼≠ノは感じない感情。 彼≠ノ感じるのは安心、安らぎ、不安要素がない。 信頼と憧れ。 尊敬もあるかもしれない。
しかし、古泉一樹に感じるのは昂揚、心配、不安要素ばかり。 
誰かが古泉一樹を傷つけるのを許せないと感じると同時に、何故かわたしの中に存在する古泉一樹への加虐心。

「未だ見当が付かないという表現は、適切ではないかもしれません。 僕は決め付けてしまうのが怖かったのです。
 夢を見たかったのかもしれません。 諦めたくなくて、目をそらしていたのです。」

 あの雨の日のまっすぐな瞳と、あたしを濡らすまいと傘を傾けてしまったために濡れてしまった髪、真剣な声音。
彼≠ノは感じない、走り出す緊張感。 体全体が凍った様に動かない。 雨の音が、遠く聞こえる。 すぐ傍を滴り落ちているのに。

「期待していたのです。 あなたが言う「良好な関係」が友情以外の、僕があなたに望んでしまったものであるといいなと。」

 友情以外の、「良好な関係」。 私が望んでいたものはこれ? 古泉一樹を独占したい。私だけを見て欲しいという感情。
古泉一樹に幸せになって欲しいという感情。 それなのに、彼をほんの少し、困らせたいという感情。 これは何?
532以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:52:14.06 ID:BYFvuMINO
支援
533Please wait for some day in the rain.:2007/10/11(木) 01:52:25.01 ID:FplYb8T70
「言おうか、言うまいか、悩みました。 色々考えて、色々悩んで、諦めようかとも思いました。 逃げ出そうともしました。
 でも、やっぱり逃げるほどの勇気も諦める覚悟も僕にはありませんでした。
 でも、勇気や覚悟なしに今の状況を変えることは出来ません。 やはり、勇気と覚悟が必要です。
 ですから、どうせ出す勇気と覚悟なら、伝えることに対する勇気とそれに伴うことへの覚悟をとろうと思ったのです。
 あなたにとっては、ご迷惑なものかもしれません。 僕への信頼を、裏切る行為かもしれません。 
 でも、どうしても、古泉一樹としてあなたにお伝えしたいことがあります。」

そう言って、覚悟を決めるように息を吸いなおした古泉一樹が発した、高くも低くもない耳に残る声がつむいだ台詞が、頭から離れない。

「好きです。 僕、古泉一樹は、あなた、長門有希が、好きです。 どうしても、これだけは伝えたかった。」

 好き、すき、スキ? like? と、返したわたしに古泉一樹は焦ったように言いなおした。 その時の焦った表情が何故か好ましい。

「likeではなく、loveです。 僕は、女性として、長門さんが好きなんです。」

「女性として? それはどういう意味?」

「え……? その、どう表現したらよいか……その……ええと……つまり、僕はあなたに恋愛感情を抱いている、ということです。」

「恋愛感情?」
534Please wait for some day in the rain.:2007/10/11(木) 01:52:50.29 ID:FplYb8T70
「その人に幸せになってもらいたい、その人の隣にいたい、その人と一緒にいると幸せだと思える感情です。
 涼宮さんと彼≠フ間にある感情と同じです。 僕は、あなたに恋をしているのです。」

 涼宮ハルヒと彼≠フ間にある感情。 
そう聞いて真っ先に浮かんだのは、楽しそうに笑う涼宮ハルヒを盗み見る際の彼≠フ穏やかな笑みだった。
次に、チェスで古泉一樹を劣勢に追い込む彼≠盗み見る涼宮ハルヒの照れたような笑顔。
彼≠ゥら伸びる涼宮ハルヒへの庇護欲や涼宮ハルヒから伸びる彼≠ヨの独占欲。
それが、わたしに向けられている? 古泉一樹から? わたしが、古泉一樹へ感じるそれと同じ感情が、恋だというのだろうか。
535以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:53:04.79 ID:BYFvuMINO
支援
536Please wait for some day in the rain.:2007/10/11(木) 01:53:19.91 ID:FplYb8T70
「長門さん? なーがーとーさん! な・が・とさん!」

 あの雨の日の記憶を彷徨っていたわたしを北高の2年6組の教室へと連れ戻したのは、山田美咲だった。
パーソナルネーム、山田みさきは、私が所属する2年6組の女生徒。 
私の隣の席に座しており、大した用もないのによく話しかけてくる、変わり者。 本人曰く、おせっかいキャラ、らしい。
わたしに、「良好な関係」を築くためのまじないを教授したのも、彼女。

「……何?」

「もう授業終わったよ? 次移動教室だからさ、一緒いこ。」

「了解した。」

 山田みさきの言葉にわたしは頷く。 いつの間に2限目が終わっていたのかは不明だがわたしはずっと考え込んでいたらしい。
これはおそらく、あの雨の日の古泉一樹の台詞のせい。 心がかき乱される。 エラー。 でも、悪くない。
 いつもの様に双子の兄がやかましいだの、数学の教師が好ましいだの
取り留めのない話題を振る山田みさきの話に頷きながら、わたしたちは教室を出た。

 次の授業が行われる生物室へ向う廊下で、話に聞くだけだった山田みさきの兄に背中を押されながら、
古泉一樹がわたしを海沿いにあるという水族園に行かないかと誘いをかけたのは、その直後。
537以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:54:40.77 ID:BYFvuMINO
支援
538Please wait for some day in the rain.:2007/10/11(木) 01:54:47.96 ID:FplYb8T70
以上です。 超能力者の動機書いてたら、こっちが書きたくなってしょうがなくなりました。
水族園デートSSも書こうと思っています。
家から歩いていける距離に水族園があるので、ネタ取材に行こうかな、なんて。
539以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:57:30.82 ID:BYFvuMINO
GJ!
まさか不意打ちで続きが来るとはw
デート編もwktk
540以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 01:57:54.46 ID:mKyl21JfO
>>538
乙!じっくり読む‥前に水族園kwsk。水族館とは違うの?
541以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 02:00:01.35 ID:PzIcbWUiO
>>538
投下GJです!是非水族館篇も頼む!
542以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 02:00:46.26 ID:l5TEzbpF0
乙!
543Please wait for some day in the rain.:2007/10/11(木) 02:01:40.51 ID:FplYb8T70
ありがとうございます

>>540
家の近くにあるのが水族園なのでその水族園のイメージで書こうと思い、敢えて水族園にしました。
多分、そう違いはないと思います。
544以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 02:07:50.70 ID:l5TEzbpF0
――見合い相手に拉致された鶴屋さんを救出しにいくみくる。しかし、あっという間に大勢の護衛に取り囲まれてしまう。森さんが助けに来てくれるが、人数差で押され負傷してしまい、劣勢な状態に陥る。
 
森さん「朝比奈みくるさん。あなたの意地、貫き等して通してださい」
みくる「はい! はじめからそのつもりです! 鶴屋さんをこんなことする悪い人に渡しません! 絶対にです!」
 
ハルヒ「(護衛数名を吹っ飛ばして)絶対か……よく言い切ったじゃない、みくるちゃん!」
みくる「涼宮さん!」
ハルヒ「あとあたしの名誉顧問を拉致したチンピラ! よくもやってくれたわね! ただじゃ済まないんだから!」
 
長門「(護衛の半数を衝撃波で吹き飛ばし)あなたの心の叫び、しかと受け取った」
古泉「(火球で護衛を焼き払い)朝比奈さん、あなたの啖呵、しかと聞き取りましたよ」
キョン「(森さんをかばうように抱きかかえ)朝比奈さん、鶴屋さんを助けに来てくれたんですね」
みくる「長門さん! 古泉くん! キョンくんも!」
 
ハルヒ「よっしゃ! お金持ちがなんぼのモンよ! SOS団の恐ろしさ、存分にこいつらに見せつけてやろうじゃない!」
キョン「朝比奈さん! 後は任せて身を隠してください!」
みくる「いえ、鶴屋さんはあたしが迎えに行きます! 迎えに行かないといけないんです」
ハルヒ「…………」
みくる「鶴屋さんはずっとあたしの前に立って歩いてくれました。あたしなんかと一緒にいると、鶴屋さんまで鈍いとか思われてしまうかも知れないのに。
    あたしはただその後ろを歩くだけ。でも涼宮さんたちと一緒にいて沢山のことを学びました。目先のことから逃げ出さず絶対に立ち向かう強さ。それがSOS団!」 
ハルヒ「…………」
みくる「あたし、鶴屋さん――いえ、みなさんと釣り合うような人間になりたい……意地は通します!」
キョン「……ははっ、今日の朝比奈さん、凄く格好良いですよ!」
ハルヒ「ふんっ――その言葉忘れないでよっ!(近くの護衛を殴り飛ばす)」
ハルヒ「(特攻隊長と書かれた腕章をみくるに投げ)行きなさい……!」
みくる「(腕章を着け)はい!」
 
何か熱い展開保守(前後のシチュエーションはお好きなように想像して)
545以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 02:15:49.61 ID:/EgHxdCN0
最後はみくるが自律型超戦士になってチンピラフルボッコか
546以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 02:17:10.95 ID:/EgHxdCN0
保守
547以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 02:24:05.85 ID:PAwEZNJlO
「あんたどれだけキスが好きなのよ。普通なら体触ったりの方が多いんじゃない?」
「なんか愛してるって感じじゃないか? キスって」
「んー……あたしはうれしいからいいんだけどさ」
「あ、それともあれか。ハルヒが触られたいのか。言えば触ってやるのに」
「ばっ……! な、何言ってんのよ! このエロキョン!」
「顔赤いぞ。風邪か?」
「うっさいバカ!」
「痛ぇ! 蹴るな!」

バカップル保守
548以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 02:25:17.81 ID:l5TEzbpF0
>>545
それ続きで考えたけど、もはやみくるのヒットポイントは0よ!状態になったからやめたw
549以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 02:25:46.75 ID:PAwEZNJlO
「はぁはぁ……。バカ! 変態!」
「何を怒ってんだ。浪人する前までは抱いて寝てたんだからそんなに過剰反応することないだろ?」
「う……だ、だけどあんたのキャラじゃないわよ! そんなの!」
「そうか? じゃあほら。半分枕貸すから寝ようぜ」
「え? あ、わかってるわよ」
「おやすみ」
「(これはこれで寂しいかも……)」

バカップル保守
550以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 02:26:50.82 ID:PAwEZNJlO
「…………」
「…………」
「……やっぱり抱きながら寝てくんない?」
「いやだ」
「い、いやだってあんた……。寝れないのよ」
「ほう。そうか」
「……怒ってる?」
「お前はどう思う?」
「むー……。ごめん」
「謝るなよ。お前のキャラじゃないだろ」
「あ、あんたね!」
「はいはい。おやすみ」
「むぐっ!」
「抱いたら寝れるんだろ?」
「……ずるいわよ。バカキョン」

バカップル保守
551以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 02:27:54.40 ID:PAwEZNJlO
「ハルヒ」
「なによ。せっかく眠くなってきたのに……」
「良い匂いだな。お前」
「……あんたもよ。キョン」
「……二人暮らしするか? 大学の近くに」
「へ?」
「6畳の部屋なら安いだろ。ベッド一個置ければ暮らせるさ」
「そうね。しょうがないから二人暮らししたげる。本当にしょうがなくだからね!」
「喜んでくれてなによりだ」

バカップル保守
以上ノシ
552以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 02:29:28.37 ID:/EgHxdCN0

糖分補給完了これで寝れる
553以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 02:41:16.13 ID:BYFvuMINO
糖分補給!
554以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 02:48:06.05 ID:5P26zQvf0
昔、銀さんとキョンを同じ部屋に閉じ込めるスレってあったな
555以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 03:16:21.66 ID:7LcpZfiEO
あぶなぁぁい
556以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 03:35:45.78 ID:oAoDRRIX0
557以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 03:35:59.25 ID:mKyl21JfO
アヌス落下‥‥‥
558以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 03:36:37.34 ID:mKyl21JfO
>>557
スマン。見間違いだった。
559以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 03:49:33.81 ID:PSshq+5BO
ねるほ
560以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 04:14:20.41 ID:mKyl21JfO
保守
561以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 04:16:03.11 ID:iG34124X0
ちょっと書いてみた



私の意思はない
思念体の会議で導き出された合理的判断が私の意思

今回の会議では涼宮ハルヒの処遇が検討された
「近年,他の組織が涼宮ハルヒに介入し始めている」
「われわれの目的の障害となる可能性あり」
「障害を排除すべき」
「先手を取るべき」「賛成」
「涼宮ハルヒは安定している」
「情報爆発を効率よく発生させる必要あり」
「安定の原因となるものを消去するべき」
「原因は○○○○(キョンの本名)」
「対象の消去はヒトの方法ですべき」「賛成」


その後も会議が続き、私と朝倉涼子が彼を殺すことが決定した
562以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 04:32:55.12 ID:pS+DCMPUO
ホス
563以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 04:48:12.90 ID:PSshq+5BO
寝ると言ってから早1時間
まだ寝れないorz
564以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 05:02:12.16 ID:DDcLkxKW0
>>563
だからといって此処に来ては余計眠れまいに・・・
565以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 05:41:13.80 ID:iG34124X0
寝る気がないから眠れないのだろうか。眠たい

>>561
「長門さん、とうとうこの日がやってきたわね・・・」
「昔の私なら喜んで任を引き受けていただろうけれど今の私にはそれがないわ」

「人間ってすごいわね。」
「たった一年でプログラム通りに動いてきた私たちをこうも変えるなんて・・・」
「合理化の是非、進化とは何かを改めて考えさせられるわ」

「まぁ涼宮さんが力を持ち続け、思念体が力をほしがっているのは昔も今も同じ」
「ならば私たちもやらなければならないのよ」
「それが私たちの存在する意義なのだから」
566以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 06:06:31.80 ID:N/w2zZDnO
長門「コーヒー」
キョン「お、ありがとう」ズズ
キョン「しょっぱい!長門塩と砂糖間違ってるぞ」
長門「…ごめんなさい」

ドジッ子長門保守
567以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 06:29:29.04 ID:BJkUGvW9O
>>476
お母様ではなく御母堂じゃなかったか?
続き期待
568以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 06:32:48.86 ID:iG34124X0
すずめが鳴いているから寝る

>>565
朝倉涼子は一年目の放課後の件以来、急進派から退き穏健派に身を置いている
その理由は知らされていないが、彼とあの空間で何かあったと推測される

彼はまことに不思議な力を持っていた
調査では一般の人間という結果がでたにもかかわらず、
不思議な力で涼宮ハルヒを引き寄せた
周りを調和で満たす何らかの力をもっているのかもしれない

私は彼を殺す
彼が特別であろうと、涼宮ハルヒが大切に思っていようと。
それが私の存在意義だから
569以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 06:52:05.56 ID:PSshq+5BO
どうにか寝たもののアラームに起こされたぜ保守
570以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 07:15:18.90 ID:np0wpNj30
571以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 07:35:16.09 ID:np0wpNj30
a
572以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 07:37:20.31 ID:CQpcC8P60
573以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 07:50:29.25 ID:YDPUb2UkO
保守
574以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 07:58:32.66 ID:np0wpNj30
ほっほっほ
575以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 08:17:02.01 ID:kXP2UAM9O
飲み過ぎて二日酔い保守
576以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 08:29:40.88 ID:np0wpNj30
577以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 08:44:55.08 ID:np0wpNj30
578以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 08:58:59.95 ID:PSshq+5BO
ほし
579以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 09:10:35.44 ID:np0wpNj30
580以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 09:26:14.38 ID:BJkUGvW9O
>>358
まとめに上げないの?
581以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 09:26:54.13 ID:5m0L90Ho0
582以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 09:43:39.32 ID:PSshq+5BO
ほす
583以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 09:57:20.91 ID:np0wpNj30
ほほ
584以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 10:19:52.94 ID:PSshq+5BO
保守
585以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 10:47:19.31 ID:4DCnQW1T0
保守
586以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 10:47:57.45 ID:kXP2UAM9O
キョン妹って、佐々木のことを何て呼んでたっけ?
587以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 11:02:16.72 ID:4DCnQW1T0
>>586
呼ぶシーンはないと思う
「おんなのひとー」くらいしかw
588以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 11:23:42.79 ID:np0wpNj30
589以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 11:32:56.24 ID:kXP2UAM9O
じゃあ知らないって事か。
キョン母は佐々木の事を知ってた(はず)だから、妹も知ってると思ったんだが……
590以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 11:45:22.54 ID:PSshq+5BO
ほし
591以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 12:07:29.82 ID:3vrs92+nO
保守
592以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 12:19:41.15 ID:PSshq+5BO
ほし
593以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 12:27:29.80 ID:np0wpNj30
594 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/11(木) 12:35:11.54 ID:a4w94eZPO
>>580
全部投下した後まとめようとおもってます
595以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 12:57:13.53 ID:BYFvuMINO
保守
596以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:04:53.58 ID:a4w94eZPO
597以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:06:21.43 ID:BJkUGvW9O
>>594
期待
598以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:30:25.33 ID:np0wpNj30
599以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:36:42.45 ID:kXP2UAM9O
600以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:38:01.88 ID:np0wpNj30
601以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:39:00.45 ID:rAUNbF9n0
602以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:39:40.92 ID:l5TEzbpF0
603以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:43:06.80 ID:Nvfzd1a40
604以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:47:27.17 ID:YvB40QmEO
605以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:49:19.91 ID:np0wpNj30
606以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:51:59.79 ID:BJkUGvW9O
607以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:54:33.07 ID:rAUNbF9n0
608以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:57:04.31 ID:l5TEzbpF0
609以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 13:59:29.96 ID:Nvfzd1a40
610以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 14:20:03.82 ID:W+xw45VCO
611以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 14:27:37.02 ID:7p36yRJT0
612以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 14:39:14.02 ID:kXP2UAM9O
613以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 14:39:20.85 ID:BJkUGvW9O
614以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 14:44:35.73 ID:Bi12GFRj0
615以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 14:48:59.49 ID:Nvfzd1a40
616以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 14:52:35.87 ID:rAUNbF9n0
617家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/11(木) 14:55:19.01 ID:a4w94eZPO
>>357の続きを投下したいと思います
618以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 14:56:10.74 ID:BJkUGvW9O
家紋
619以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 14:56:12.16 ID:Nvfzd1a40
>>617
あーあ。どうぞ
620以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 14:56:57.31 ID:Bi12GFRj0
いらっしゃい
621以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:00:21.99 ID:np0wpNj30
ちょっとショックwww
622家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/11(木) 15:01:42.31 ID:a4w94eZPO
佐々木に着替えを渡した後、しばらく放心していた俺はいつの間にか部屋に戻ってきた佐々木に気が付かなかった。

「キョン、どうしたんだい?
僕はいいから君もお風呂に入ったらどうだ。」

「……ああ。」

くそ、佐々木のことまともに見れねえ。
こいつさっき俺が渡したやつきてんだよな、佐々木は白がよく似合いそうだな……………変態ですみませんね。

俺は暴走する頭を一振りし風呂場に向かった。
佐々木を待たせるのも悪いしさっさと入るか。
と、服を脱いだところで気付いた。

「おい佐々木、さっきまで着てた服はどうした?一緒に洗濯しとくからもってこい。」

ガチャッ

「ああ、すまないねキョ――」
623家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/11(木) 15:02:41.10 ID:a4w94eZPO
佐々木はここまで言葉を発すると、俺に平手打ちをかまして逃げた。
そしてようやく気付くわけだ、

――ああ俺服着てねえや。

落ち着いて風呂に入ることができなかったのは当然のことだ。
風呂から上がり部屋に戻るなり佐々木に謝られた。
624以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:03:01.19 ID:np0wpNj30
しえn
625家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/11(木) 15:06:06.78 ID:a4w94eZPO
「す、すまなかった、キョン。動揺を隠しきれなくて、つい。」

「いや俺こそすまん。さすがにお前でもあんなの見せられたらな。」

すると佐々木はみるみる顔を赤くした。
熱でもあんのか、いや冗談だ。

「今日はもう寝よう。」

佐々木はそれだけ言うと俺の布団に入った。
俺はどこで寝ればいいんだよ。
さすがに佐々木と一緒に寝ることはできないので、一階のソファで眠ることにした。

また1日目だが凄かった、というかあいつはいつまでいるのかな。
あはは、もうどうでもいいや。
626家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/11(木) 15:07:56.99 ID:a4w94eZPO
佐々木が俺の家に来て次の日の朝。
まともに寝ることが出来なかった俺は6時前に目が覚めてしまった。
もう一眠りするかと考えていると、佐々木が二階から降りてきた。

「あ、キョンおはよー。」
朝早くで寝ぼけているのか佐々木にしては妙に舌足らずな喋り方をしていた。
昨日はよく見なかったがやけに可愛いパジャマ着てんな、それに加えて髪がボサボサになっている佐々木は何かくるものがある。
それにしても佐々木は朝が弱いのか足元がおぼつかない。

「佐々木、顔洗ってこい。風呂場の横に洗面台があるから。」

佐々木は首を縦に傾けるとフラフラと風呂場の方に消えていった。
意外な一面が見れたな、後でからかっておこう。
627以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:09:10.75 ID:BJkUGvW9O
支援
628家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/11(木) 15:10:40.84 ID:a4w94eZPO
佐々木とのやり取りですっかり目が覚めてしまったのでテレビでも見ていると、携帯電話がいきなり震えた。

着信 涼宮ハルヒ

おいおいマジかよ。まだ7時にもなってないぜ。
無視してもいいが後が怖いからな……。

『あら、起きてたの。』
「起きてたのじゃねーだろ、自分から掛けて着といてよ。
何の用だ、用がないなら切るぞ。」

『随分態度が悪いわね。団長の怖さを後できっちり教えてあげなくちゃならないみたい。
というわけで7時半に駅前集合、遅れたら罰金だから。』

ブツッ

はあ、朝っぱらから疲れるな。
だがまだ時間まで充分余裕があるし飯でも食うか。
629家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/11(木) 15:12:27.11 ID:a4w94eZPO
ソファから立ち上がると佐々木が制服に着替えて二階から降りてきた。
いつの間にまた二階に行ったんだろうなあいつは。
起きたばかりのときと比べて髪も整っているし、足元もしっかりしている。

「僕が朝食を作ってあげるよ。お世話になってばかりだと悪いしね。」

「そうか、悪いな。というか何でお前制服なんだ。今は春休みだろ。」

「残念ながら、春休みにも課外というものがあってね。昼まで、というのが唯一の救いだよ。」

そう言いながら佐々木はキッチンに入っていった。
630以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:14:13.13 ID:np0wpNj30
sien
631以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:16:13.82 ID:Nvfzd1a40
支援
632家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/11(木) 15:17:31.72 ID:a4w94eZPO
佐々木はやたら手際がよく、凄いペースで料理を作っていた。
この頃になると母親も起きてきて、佐々木さんがお嫁に来てくれたら嬉しいとかなんとか妄言をはいていた。
少しは佐々木の気持ちも考えてやれと言いたいね。

ところで佐々木が作った料理だが結果から言うととても上手かった、店に出てきてもおかしくないくらいだ。
感想を訊かれた俺が素直にそう言うと、佐々木は安心したようにほっと息を付いた。
隣ではまだ母親が妄言を言っているのが聞こえる。
633家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/11(木) 15:18:29.63 ID:a4w94eZPO
飯を食い終えた俺は着替えもすませ駅前に行こうとしたとき、荷台に人が乗るのを感じた。

「すまないが駅まで送ってくれないかな。ちょっと遅刻しそうでね。」

「遠慮するなよ、俺なんかでよけりゃいつでも送ってやる。別に遅刻するとかしないとか関係なしにな。」

俺がそう言うと佐々木は本当に嬉しそうに笑った。

「本当にありがとう、キョン……。」

俺の背中に顔をうずめている佐々木を見て俺は思った、こいつは高校に入ってずっと独りだったんだな…。と、

「佐々木。」

「何かな。」

「…俺にはいつでも頼っていいからな。」

「……うん。」

佐々木を駅まで送っていく間、俺達は何も話さなかった。
その代わり佐々木はずっと俺の背中に抱きついていた、とても力強く。

駅まで送った俺は帰りも迎えにくるから、と約束し集合場所に向かった。
634家出少女 ◆TJvIWD.URQ :2007/10/11(木) 15:20:00.49 ID:a4w94eZPO
今回はここまでです
明日の夜くらいに続きを投下したいと思います
635以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:20:38.89 ID:Bi12GFRj0
乙!
636以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:26:34.34 ID:pS+DCMPUO
637以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:27:27.55 ID:np0wpNj30
638以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:28:13.07 ID:BJkUGvW9O
639以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:36:12.58 ID:sEyfF4u6O
640以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:40:36.61 ID:PSshq+5BO
641以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:43:11.18 ID:l5TEzbpF0
642以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:44:45.11 ID:BJkUGvW9O
643以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:54:39.31 ID:YvB40QmEO
644以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 15:57:52.05 ID:PSshq+5BO
645以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 16:14:50.43 ID:PSshq+5BO
保守
646以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 16:22:17.04 ID:FpjAxW2rO
>>636-644
『ホモキミキスを見た』
思わず噴いた
647以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 16:42:17.95 ID:3vrs92+nO
648以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 16:51:00.61 ID:d3KQ7k+sO
649以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:03:51.01 ID:pS+DCMPUO
650以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:10:11.23 ID:np0wpNj30
651以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:11:52.91 ID:pS+DCMPUO
652以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:13:46.96 ID:7rsvu/X/O
653以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:16:08.95 ID:PSshq+5BO
654以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:18:17.58 ID:KFjZQx3e0
655以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:19:53.49 ID:PUfES4Oy0
656以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:27:36.77 ID:W+xw45VCO
657以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:31:31.85 ID:PSshq+5BO
658以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:33:47.69 ID:g8RBQmoP0
659以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:34:10.75 ID:pS+DCMPUO
660以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:37:24.90 ID:np0wpNj30
661以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:40:24.39 ID:7rsvu/X/O
662以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:42:20.70 ID:HBPDZeWh0
>>647-659
キョン「止めてくれ古泉!朝比奈さんの着替えシーンを収めた外付けHDDを、
プチプチで梱包もしないまま佐川で俺の家に送るなんて!!」
古泉「大丈夫ですよ、幾多の苦難を潜り抜けてきたあなたの強運なら、きっとHDDは無事です。
それにいざとなれば、長門さんに頼めば修復してくれますよ」
663以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 17:49:59.34 ID:BYFvuMINO
一文字から始まる奇跡かwww
664以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:01:37.01 ID:/EgHxdCN0
保守
665以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:08:44.67 ID:nzY/bTOx0
このスレに「別に」って書くと反応が面白い
http://music8.2ch.net/test/read.cgi/musicnews/1192092588/
666以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:10:17.00 ID:np0wpNj30
667以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:21:26.29 ID:nlhS4tbM0
ちょっと2、3頂くぜ。

教師も慌ただしくなる季節の真っ最中。
あと10日もすれば赤い服に身を包んだ爺さんがトナカイを連れてプレゼントを配って回る。
その1週間前には今でも総毛立つ思い出があるが、もう過去のことだ。
そんな12月のある日、曇り空の下、俺はせっせと北高目指して急勾配を登っていた。
口から息を吐けば、雪のような白い色をしている。
今年はホワイトクリスマスになるだろうか。

見慣れた校門の前には、これまた見慣れた黒塗りの車が停まっていた。
その傍らに立ち、ファストフード店員ばりの笑顔をした人物もまた、自分の知る人間だ。
「お久しぶりです」
「お前も変わってねぇなと思ったが、この車、お前のものになったのか」
「ええ、まあ」
新川さんの中古車ですがね、と微笑みながら話す古泉の吐息も白かった。
こいつの事だから、俺がやってくるよりかなり前に到着して待っていたのだろう。
「とりあえず入りましょう」
「そうだな」
668以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:22:13.29 ID:nlhS4tbM0
>>667
昇降口からは入らず、裏に回って旧校舎へ向かう。
土の部分には霜が降りていて、ざくざくした感触が靴を通して伝わる。
「駅からずっと歩きで?」
「いや、坂の麓までタクシーだ」
「久しぶりに歩いてみたくなった訳ですか」
「そんなとこだ」
そんな会話をしていると、旧校舎が見えてくる。
「着きました」
「鍵はあるのか?」
俺が聞くと、古泉はコートのポケットから古びた鍵の束を取り出した。
「一応、学校側からもらっておいたんです」
ガチャリと音がして、ドアが開く。少し埃臭い。
軋む音が年代を感じさせる階段を上がり、あの場所に着いた。
「文芸部室・・・」
誰に聞かせるでもなく呟いた。
「開けましょう」
そう言って古泉が文芸部室の扉を開錠する。
ガチャリ。
「さあ、どうぞ」
古泉が俺に扉を開けるよう促す。
「あなたが開けるべきでしょう」
「・・・悪いな」
扉を開ける。
669以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:22:50.66 ID:np0wpNj30
しえn
670以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:23:50.48 ID:nlhS4tbM0
>>668
一瞬、SOS団の私物、コンピ研から奪ったパソコン、朝比奈さんのコスプレ服各種が目に映った。
が、実際にそれらはない。
長机二脚とパイプ椅子が数脚。そして元・団長机。
・・・それだけだった。

部屋に足を踏み込んで、本棚に目を向ける。
長門の訳のわからない分厚い大量の本もない。古泉が持ち込んだボードゲームも。
窓の外に映る曇り空がやけにさみしい。
俺はパイプ椅子をひとつ引っ張り出し、かつての自分の定位置に椅子を置いて腰掛けた。
「取り壊し、か・・・」
「ええ、明日には取り掛かるそうです」


───そう。北高の取り壊しだ。


俺達の卒業式の日、ハルヒの世界改変能力は俺がハルヒに想いを告げ、二人が付き合うという形で消え去った。
その日1日であっという間にクラス中にその事実は広まり、果ては鶴屋さんにまで広まっていた。
俺とハルヒは別々の大学だったが、SOS団の集会が週に1,2回あり、それ以外でも休日は二人で出掛けたりしていたので、変にコンタクトを取ったりせずに済んだ。
671以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:24:50.93 ID:np0wpNj30
しえn
672以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:25:11.46 ID:nlhS4tbM0
>>670
卒業後、職についた俺達は結婚して一緒に住むことになった。これは互いの両親にはすでに話してあったし、妙に物分りのいい人たちなのですんなりと了承を得た。
これでなにもかも上手く行って順風満帆かと思っていたある日、仕事場にいた俺はとんでもない凶報を聞かされた。

───ハルヒが交通事故で意識不明の重体。

俺はすぐさま病院に駆け付け、術後三日三晩付き添ったのだが、ハルヒは一度も目を覚ますことなく永遠の眠りに就いてしまった。


それから十数年。今じゃ俺も古泉もすっかりいい歳だ。
「長門と朝比奈さんはどうしてるんだろうな」
「連絡はしてみましたが、繋がりませんでした」
すみません、といった様子で頭を下げる古泉。
「気にすんなって。お前がただの人間になったところを見て、だいたい想像ついたさ」
「気付きましたか」
「もう赤い球にはなれないんだろ?」
「そうですね。それが出来ていたという記憶はありますが、やり方はさっぱりです」
両手を広げるオーバーアクションも懐かしく感じる。
「おや?」
古泉が窓を開けて顔を外に出している。
「どうしたんだ。寒いぞ」
「・・・雪です」
俺も窓から顔を出す。空を見上げると、グレーの雲から白い氷の粉が静かに降っている。
「長門かね・・・」
長門が昔書いた小説を思い出した。自分を雪に見立てた、当時の俺には理解できなかった小説を。
「彼女も、別れを惜しんでいるのでしょう」
673以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:26:39.19 ID:nlhS4tbM0
>>672
窓を閉めて、俺はロングコートのポケットからあるものを取り出して元・団長机の上に置いた。
「懐かしいですね、それも」
ふふっと笑う古泉。
「団長机」と書かれた三角錐。
その頂点に指を置いてカタリコトリと揺らす。

───ハルヒ、見てるか?
明日にはこの学校取り壊すらしい。ここには数え切れない思い出があるってのに。
でも、お前がいたらきっとこう言ってただろうな。

「俺達SOS団は永久に不滅だぜ」

END...
自己満足SSに四円さんくす。
674以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:28:38.19 ID:np0wpNj30
乙でした!
675以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:34:22.27 ID:BJkUGvW9O
切ないぜ…子供でも居れば
676以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:44:53.31 ID:np0wpNj30
677以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:45:16.49 ID:PSshq+5BO
切ねえなぁ…
678以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 18:56:30.34 ID:BYFvuMINO
保守
679以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:00:55.43 ID:mKyl21JfO
目と鼻に水分が集まってきた。
‥切ねえ‥‥
680以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:05:25.01 ID:BJkUGvW9O
ちょっと切なすぎるので追加バージョン

古泉と別れて家路へと着くと、そこにはハルヒの忘れ形見の娘が、寝ないで俺の帰りを待っていた。
「こら!親父ご飯冷めちゃったじゃない、まったく」
相変わらずアイツそっくりな仕草で俺に突っ掛かってくる。まるで生き写しの様に
「ああ…スマンな。古泉と用足しをしていた。今度からは電話するから」
我が娘はアヒル口をしながら、憤慨している。
「まあ、いいわ、次ぎから遅くなったら罰金だからね!お母さんも苦労したみたいだしね」
思わず顔が綻んでくる。なあ、ハルヒ俺はお前と一緒になって良かったよ。
こんな子宝にも恵まれて俺は世界一幸せものだ…と考えていると背後のハルヒの遺影から暖かい視線を感じた。
681以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:15:57.73 ID:mKyl21JfO
内藤×亀田乱立に備えて保守
682以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:17:30.72 ID:BJkUGvW9O
やはり俺才能が無いのが悲しくなる。保守
683以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:20:23.29 ID:nlhS4tbM0
なんか他スレ巡ってたら追加バージョンでてるー
そういやタイトル付け忘れてたな
684以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:20:28.68 ID:RCubofAH0
ちょっと前に「おおきな夢&夢 スキでしょう?」というSSがあったの覚えてますか?
まとめにも上げてないので、最初から投下するか続きから投下する迷ってます。
685以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:20:53.14 ID:vEvoOo2bO
ハルヒ死亡物のSSを読むとどんな内容でもなんかせつなくなるな………
686以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:26:10.41 ID:np0wpNj30
>>685
そうだな
687以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:26:47.73 ID:BJkUGvW9O
>>683
(´・ω・`)ごめんね
688以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:29:54.68 ID:BYFvuMINO
>>684
続きから投下してくれたら思い出すw
689以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:31:31.62 ID:nlhS4tbM0
>>687 いや、全然おkです。
   むしろこんだけ切ない言われると追加版必要かなとか思ったり
690以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:31:43.01 ID:l5TEzbpF0
>>682
才能がないなら、努力で書けばいいのよ by団長

>>684
まとめに上げてから、続きを投下するのを推奨する。
691以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:33:21.36 ID:RCubofAH0
>>690
じゃあ、それにしますw上げてきますねっ
推敲できてないんですが、誤字脱字があれば指摘願います。
692以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:37:02.12 ID:RCubofAH0
実は途中から、色んな電波を受信して他のSSを書きたくなって後からは適当になってしまっているかもしれません。
とりあえず書いたからには、投下しておかないと、という感じのSSなので、無理に見たり感想を述べたりはしなくて全然OKですのでw

おおきな夢&夢 スキでしょう?【http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/3544.html

では、いきます。
693おおきな夢&夢 スキでしょう?(01/10):2007/10/11(木) 19:39:20.37 ID:RCubofAH0
団長様から命令された一人でのシュート練習を黙々とやっていると、誰かが俺の腕の裾を引っ張った。

「…見てて」

そう言っていきなりゴールリングに向かっていったその人は、その小さな体を全身バネのように利用し、自分の身長と同じ高さ位の大ジャンプをして、そのままボールをリングへと叩き込んだ。
こんなことが出来るのは1人しかいない。長門である。
長門はテトテトと俺の元へ歩いてきて一言。

「すごい?」
「ああ、すごいなんてもんじゃないぞ、そりゃ。」
「涼宮ハルヒに教わった。これをすると彼女は喜んでくれる。どうして?」
「ん…長門がバスケ上手くなるのが、嬉しいことなんじゃないかな。」
「あなたも嬉しい?」

俺は少し言葉に詰まったが、出てくる答えはひとつしかない。

「ああ、俺も嬉しいぜ。」
「…そう」

長門はテトテトと歩いて戻っていった。去っていく横顔は僅かに微笑んでいるように見えた。…気のせいかもしれないが。
あいつはつくづく俺の萌えポイントをピンポイントで当ててくるな。

「おぶぇっ!?」
「なあにデレデレしてんのよっ!!」
「ボールを顔に投げつけるのはやめろ!」
「今、ずっと有希のこと見てたでしょ!」
「み、見てねぇよ。」
694おおきな夢&夢 スキでしょう?(02/10):2007/10/11(木) 19:39:51.42 ID:RCubofAH0
「嘘付くんじゃないわよ…!」
「だから見てないって言ってんだろ。」

何だか上手く誤魔化す自信がなくなってきちまった。ここは話を変えるのが最善の策と言えよう。

「それより、朝比奈さんの指導はどうした?」
「みくるちゃん?みくるちゃんは…あんまり上達してくれないからつまんないの。」
「お前なぁ…」
「だから次は特別に、あんたの特別指導してあげるわ!」
「いや、別にいい。」
「な、なんでよ!」
「お前に教えてもらうくらいなら、長門に教えてもらった方が良さそうだしな。」
「なにそれ…あたしより、有希の方がいいって言うの…?」

…少し言い過ぎちまったか?
俺とハルヒの間に、ピリピリとした空気が漂っている。そんな状況にてくてくと入り込んだ朝比奈さんは、ハルヒの機嫌を直そうと努力する。

「あ、あのぅ…お二人とも、そんな強張った顔なんてしてないで…」
「練習続けるわよみくるちゃん!キョンなんて、気に掛けることないんだから!」
「ふぇぇ…いいんですか?」
「べ、別にあたしは何とも思ってないわよっ。ほら、そっちでシュート練習、1000本!」
「そ、そんなの無理ですぅ〜!」
「不可能じゃないわ!人間、やってできないことはないのよ!」

朝比奈さんはハルヒに肩を掴まれて、ずかずかと体育館の隅の方へと押されていった。
どうやらハルヒの機嫌を損ねてしまったようだな、俺は。

「どうやら、涼宮さんの機嫌を損ねてしまったようですね。」

うげ。こいつと思考が重なってしまった。人生の出来事ワースト10に入る大事件だぜ。
695おおきな夢&夢 スキでしょう?(03/10):2007/10/11(木) 19:40:22.53 ID:RCubofAH0
「無闇に閉鎖空間を生み出させてしまうのは勘弁してくださいね。」
「別に好きでやったわけじゃねえ。」
「まあ、今は大会の日まで、淡々と練習をこなしていくしかないでしょう。とは言っても、あと土日を挟んで三日後ですからね。」
「言われなくてもそうするつもりだ。」
「ああそれともうひとつ。」
「なんだ?」
「…今日のうちに涼宮さんに謝っておいた方がよろしいかと。」
「俺が謝る要素はゼロだぞ。逆にこの顔の打撲傷へ謝罪の言葉を貰いたいくらいだ。」
「涼宮さんが怒っていた理由、分からないんですか?」
「ん?…俺が練習をサボってた…からだろ?」

古泉は「お手上げです」とでも言いたげな表情に両腕を上げて掌を上に向けるという動作を加えて「やれやれ。」と呆れたように言葉をこぼした。

「なんだ?他に原因があるっていうのか?」
「乙女心というものが分かっていませんねー。まさかここまでとは思ってませんでしたよ。」

乙女心だと?俺には無縁のものだし、だいたいなんでこいつも乙女心なんか分かるんだ。『機関』はそういう研究もしてたりすんのかね。

「まあ、僕の助言はこれくらいにしておきますよ。くれぐれも、頼みましたよ。」

なんだか知らんが、とりあえず謝ればいいのか。まあいい。俺が謝れば済むならそれでいい。火に油を注ぐような行為はもうしないとずっと昔に心に決めたんだ。

ハルヒに話しかけようと振り返ると、団長様の声が体育館に響いた。

「今日は解散!!明日は市民体育館に1時集合ね!以上!」

そう言ってハルヒはずかずかと体育館から出て行った。俺とすれ違い際、「フンッ!」とそっぽを向くというオプションを付けてな。
…どうやら、今日はもう話しかけない方がいいらしいな。明日でも十分間に合うだろう。

明日また会うとき、ハルヒはどんな顔をしてるんだろうか。
696おおきな夢&夢 スキでしょう?(04/10):2007/10/11(木) 19:40:44.07 ID:RCubofAH0
翌日、タンスの奥に眠っていたジャージを引きずり出して、市が管理している市民体育館へと自転車を飛ばした。
ハルヒは赤いジャージに白いラインが入ったジャージ。朝比奈さんは可愛らしいピンクだ。よく似合っている。
古泉はというと…紫という悪趣味な色をしたジャージを着飾っている。変態色じゃなかったっけか?まあそれが板に付いていることが恐怖に値する。
長門は北高指定のジャージを着ていた。ああ、しまった、俺もそれにすれば良かったか。…等と悠長に団員のジャージチェックをする時間は終わってしまい、即練習の時間となった。
俺がハルヒに謝るタイミングを伺っていると、奥の方から見慣れた顔の5人が此方に迫ってきた。

「やあ、SOS団の諸君じゃあないか。」
「あら、コンピ研のメンバーその1〜その5じゃない。なんでここにいんの?」
「決まってるじゃないか、バスケの練習だよ、バスケの!」
「まさかあんたらも大会に出るわけ?」
「ふっふっふ、随分な愚問をしてくれるね。前回と前々回の優勝チームも知らないのかい?」
「ま、まさかあんたら…」
「そう!今年は三冠を狙っているのだよ、我々コンピ研メンバーは!」

んなアホな。前回と前々回の優勝チームがコンピ研?このどう見てもスポーツに疎そうな5人が?

「信じられない、という顔をしているね。まあいいさ!大会当日に、否が応でも僕たちの実力を見せてあげよう!」

そう言ってジャージで身を包んだ5人は去っていく。あれ?練習はしていかないのか?

「王者からのサービスだよ。今日一日、君らだけでここを使うといい。ではさらばだ、はははは!」

まるで自分たちがここの管理者にでもなったかのような言い草だった。…まさか違うよな?

「っくぅぅ、何よあの態度!天狗にでもなったつもりかしら!?絶対勝ってやるんだから!」
「そうですね、勝ちましょう。」
「わ、わたしも頑張りまぁす!」
「…勝つ。」

SOS団の心がひとつになった瞬間だった。
697おおきな夢&夢 スキでしょう?(05/10):2007/10/11(木) 19:41:23.61 ID:RCubofAH0
俺が謝るタイミングが掴めないままその日が終わり、また次の日が来てしまった。集合場所と時刻は同じである。
日曜の練習は個人練習ではなく、所謂チームプレイというものを練習していた。パスをしあってシュートに持っていったり、まあそんな感じだ。
もうハルヒの機嫌は直ってるだろうとばかり思っていたが、現実はそう甘くはないようだった。
「へい、パス!」と俺の精一杯の爽やかな掛け声もハルヒの心には届かず、奴は俺にパスはしてこない。

「まだ涼宮さんとの仲直りが出来ていないんですか?」
「ああ、なかなかタイミングが掴めなくてな。」
「大会は明日ですよ。きちんと仲直りをすること。いいですか?」

何故こいつは上から目線なんだという疑問が頭を一瞬通り過ぎたが、俺もさすがに世界を破滅へ導く手伝いなんかしたくない。時給が貰えるんならまだしも…いやいや、今の問題はこれじゃない。

「分かった。今日の帰り際、けじめを付けることにする。」
「頼みましたよ。」

この後も着々と練習を重ね、体育館の時計は午後六時を回っていた。そろそろ帰り時だな。

「みんなお疲れっー!大会は明日の放課後、体育館で行われるから!ゆっくり体休めてちょーだい!じゃあ解散っ!」

爽やかな汗で全身を濡らしたハルヒは自分の荷物を持って体育館から出て行く。チャンスはここしかないようだ。
俺も自分の荷物を肩に背負って、すっかり暗くなった夜の道でハルヒを引き止めた。

「待ってくれ、ハルヒ。」
「…何?」

ハルヒは後ろを向いたまま対応する。

「お前がなんで怒ってるかは知らないが、俺が悪かった、すまん。」
「…ダメ」
「え?」
「あたしがなんで怒ってるか当てないと、許してやらないんだからっ…」
698おおきな夢&夢 スキでしょう?(06/10):2007/10/11(木) 19:42:11.97 ID:RCubofAH0
怒っている理由だと?古泉に聞いておけばよかったぜ、その乙女心というやつを。
それから数十秒間、沈黙がその場を支配した。

「…分かんないの?」
「…あ、ああ。」
「鈍感。」
「わ、悪かったな、鈍感で。」
「限度ってもんがあるわよ。鈍すぎ。」

酷い言われようだな、俺。
ハルヒの声は平然としていた。こいつ、本当に怒ってんのかね?

「怒ってるわよ!!」

いきなり耳に響くほどの大きな声をあげたハルヒは、こっちに振り向いて続けた。

「なんで…なんで分かんないのよっ…」
「…ハルヒ?」
「…あたしがこんなに…想ってるのにっ…!」

ハルヒはさっと俺に抱きついてきた。それを理解するまで、俺は数秒のシンキングタイムを要した。

「キョン…あたしねっ…」
「…なんだ?」
「あんたのこと、好き…じゃ、じゃあなくて!!き、嫌いじゃないわよ?」

嫌いじゃない?これは喜んでいいところ…だよな?

「そ、そう!!あんたのこと嫌いじゃないのよ!!」
「…そりゃあ、どうも。」
699おおきな夢&夢 スキでしょう?(07/10):2007/10/11(木) 19:42:48.77 ID:RCubofAH0
はっはーん。なんだか分かってきたぞ。
つまりこいつは、別に怒ってないから安心しろって言いたいわけか。
そうなら早くそう言えばいいのに、素直じゃねぇ奴だな。

「俺もお前のこと嫌いじゃないぜ。」
「あ、あたしもあんたのこと嫌いじゃないわ。」

………ハルヒはまだ俺に抱き付いて離れようとしなかった。なんだ、話はもうついただろ?

「…やれやれ、まったく。見てられませんよ。」
「キョンくん…」
「……はあ。」
「なっ…みんな、見てたの!?」

宇宙人と未来人と超能力者のお出ましだ。古泉は昨日見た困り果てたような顔をし、朝比奈さんは哀れの目で俺を見つめ、長門に至っては呆れて溜息をついている。
一体なんなんだよ。俺にどこか不満があるのか?
ハルヒは一気に俺から離れて距離をとった。何故か顔は唐辛子を100個一気喰いしたように真っ赤だった。

「もうお互い言っちゃえばいいじゃないですかぁ〜。」

朝比奈さんが少し口を尖らせてそう言った。何を言えと言うんだ。

「お互い、好きと伝えればいい。簡単なこと。」
「「なっ…!?」」

俺とハルヒの声がシンクロする。

「ば、ばっかね有希!!なんであたしがこんな奴を好きにならなきゃいけないのよ!!」
「変な言いがかりはやめてくれ…!」
700以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:43:36.73 ID:nlhS4tbM0
しえn
701おおきな夢&夢 スキでしょう?(08/10):2007/10/11(木) 19:43:53.28 ID:RCubofAH0
朝比奈さんは古泉のニヤケ顔が遷ったかのようにニヤニヤと微笑んでいる。そして、嘲笑うかのように言い放つ。

「お二人とも、顔が真っ赤ですよぅ?」
「「なぁっ!?」」

本日二度目のシンクロだ。

「も、もういいわ!今日は帰るっ!!」

そう言って小走りで去っていき、最後に俺に笑いながらハミングという器用な笑顔を見せてくれた。…どうやら、仲直りはできているらしい。

「キョンくん、もっと素直になった方がいいですよっ?」
「見ているこっちがじれったいですよ。さっきのだって、なんですか『嫌いじゃない』ってのは。」
「…好きと言えばいいのに」

3人からの三連攻撃は簡単に聞き流し、俺は自転車でそそくさを帰宅することにした。これ以上居たら、ずっと冷やかされるに決まっている。

「じゃあ明日、頑張りましょう〜!」

という朝比奈さんの声だけには、「もちろんです。」とだけ答えて自転車をこぎ始める。
とりあえず、明日頑張れば今回は切り抜けられるさ。実力を出し切ればそれでいい。そんなことを考えつつ、今日も俺は寝床につくのだ。
702おおきな夢&夢 スキでしょう?(09/10):2007/10/11(木) 19:45:02.62 ID:h2BNHqAS0
大会当日。その日の放課後に、体育館に貼られていたトーナメント表を見てみる。コンピ研は別のブロックか。あたるとしたら決勝戦だな。
全8チーム…ねぇ。随分小規模な大会ってわけだ。この大会で優勝を取ってもあまり嬉しくなさそうであり、名誉もさほど感じられない。
だがそんなことお構いなしにやる気まんまんの団長様は、何やら大きな紙をどこからともなく取り出し、それを広げた。

「じゃっじゃーん!!今日の作戦!」

『嬉しさを集めよう!コンピ研の奴らなんかぶっとばせ!カンタンなんだよこんなの作戦、略してUKK作戦!!』と大きく書かれていたその紙を見て、俺はただただ溜息をはくだけだった。
…設定に無理がありすぎだろ、作者!UKK作戦だと?なんのこっちゃ!
俺がハルヒに突っ込む暇もなく、試合はすぐ開始された。SOS団チームVS一年のバスケ好き団体が1回戦だった。
…はっきり言って、相手にならなかった。ハルヒと長門がスコアラーとして活躍し、ドリブルも甘かったから俺がサッとボールを取ることもできた。
勝負開始から5分も経たぬうちに勝負は見えてきていたのだ。難なく勝利を修める。よし、これでベスト4だ。喜んでいいのか分からないけどな。

「こんなの通過点よ、分かってるわね?みんな!」
「ええ、もちろんです。」
「次も頑張りまぁすっ!」
「…手ごたえなし。」
「楽勝だったな。」

結局のところ、拍子抜けするほどレベルの低い大会だってことが分かった。俺と朝比奈さんが居なくても勝てるほどのチームばかりだったのだ。
それでも勝つ度にハルヒは大喜びして、満面の笑顔を浮かべている。それを見て紅潮している俺がいるのもまた事実である。
こんな美少女と海の浜辺で「追いかけてねっ〜!つかまえてみて〜!」なんて言いながら追いかけあっこをするなんてベタな青春もしてみたいものだ。
そんなこんなで最早決勝戦。相手はもちろん、コンピ研の5人である。

「ここまで勝ち登ってきたようだね。さすがと言ったところか。」
「いつまでも天狗のままでいさせないわよ!絶対あたしらが勝つんだから!!」

キャプテン同士の挨拶が済んだところで、早速試合開始。
別に描写する意味はないと思ったんだがなぁ。まあいい、とりあえず試合の状況だけは説明しないとな。
試合開始早々、長門がスリーポイントシュート連発で点を決めまくり、ハルヒも負けじとどんどんスコアボードの数を積み上げている。
そもそも、ハルヒ&長門のコンビに勝負をしかけるところから間違っているんだ。この2人に勝った奴なんて、俺が見る限り一人もいないぜ。
703おおきな夢&夢 スキでしょう?(10/10):2007/10/11(木) 19:45:52.53 ID:h2BNHqAS0
決勝戦にも関わらず、SOS団圧勝という文字がまさにピンとくるような試合内容だった。
コンピ研の実力は、まあそこそこ上手いけれど世間体から見れば全然まだまだ、程度の評価なのだ。その更に下をいく他6チームもどうかとは思うが。
とにかく、コンピ研が優勝していたのは強いチームが居なかったから、という単純な答えに結びつく。

そうやって、第3回北高バスケットボール大会は幕を閉じた。文芸部室には、優勝の賞状が縁もなく飾られることになった。
ふう、今回の騒動はこれでやっと終了…と思ったんだが、まだやるべきことが残ってるらしい。

「ちゃんと伝えなきゃダメですよぉ、キョンくん!」
「今日、絶対に伝えてくださいね。」
「失敗は許されない」
「お、おいおい。待ってくれよ。そんなこと言われる義理は、俺にはないはずなんだが…」
「「「ダメ」です!」」

…ああ、分かったよ、もう。
宇宙人と未来人と超能力者からの説得を回避できるはずもなく、俺は渋々と承諾した。

下校時、昨日のような清清しい汗をかき、その黒い髪と黄色いカチューシャを揺らしたハルヒを見つける。
この気持ちを伝えなくては。
この胸に込み上げる鼓動を伝えなくては。

「おい、ハルヒ!」
「…?どうしたの?」

腰を捻って振り向いた俺の初恋の人は、頭の上に「?」を浮かべている。

「ああ、実は話がある。大事な話だ、よく聞いてくれ。」



おおきな夢&夢 スキでしょう? おわり
704以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:46:21.37 ID:h2BNHqAS0
さるさん喰らいましたw
後半の方は、ハレ晴レユカイのサビの歌詞を入れるのが苦しくなって投げやりになってますがお許しください。
ご支援ありがとうございました。
705以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:49:40.53 ID:KFjZQx3e0
ディ・モールトいいよ
706以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 19:54:47.84 ID:BYFvuMINO
GJ!
707以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 20:00:38.85 ID:BYFvuMINO
保守
708以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 20:06:30.69 ID:BYFvuMINO
保守
709以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 20:08:13.60 ID:zdi1VnUQO
GJ!!

710以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 20:17:16.14 ID:BYFvuMINO
保守
711以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 20:19:36.65 ID:Mt9f4NJI0
タックルきたw
712以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 20:27:19.27 ID:BYFvuMINO
保守
713以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 20:31:41.90 ID:KFjZQx3e0
保守
714以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 20:38:42.98 ID:h2BNHqAS0
715以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/11(木) 20:41:16.50 ID:7p36yRJT0
716以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
保守