【そろそろ】( ^ω^)ブーンがマジ切れしたようです【後半】
1 :
代理:
ワンダーさんが規制を受けたそうなので、
代理で投下させていただきます
読みながら投下なので、間隔が空いたらすいません。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:46:21.58 ID:z5PUgE/+O
支援だよ
3 :
代理:2007/10/05(金) 21:46:36.01 ID:/rjBXgxY0
共通は前スレに貼ってあったので、
そのままワンダーウォールさんのターンとします
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:46:50.35 ID:z5PUgE/+O
支援
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:47:20.36 ID:6F+2eUOYO
支援
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:47:35.46 ID:9OzjbI3f0
支援
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:47:39.38 ID:z5PUgE/+O
支援
8 :
代理:2007/10/05(金) 21:48:03.60 ID:/rjBXgxY0
今日は良い日。
そんな内容の歌が頭の中を繰り返しリピートしている。曲名は……なんだっけ?
のど元まできてるのに思い出せないや。
小高い丘を切り取った上に建てられたマンションの陰で涼みながら、青い空を滑っていく雲を見つめた。
おーい、雲さん。できればその上でがんばってる太陽さんを隠してくれないかなぁ。
ウォルマートとエッソの間を通る道は車だらけ。どの車もハイブリット、もしくは低排出ガス車。
なんて街だ。地球温暖化対策にご協力くださいって、街ぐるみで示してるってか。
エッソさん。できればガソリンはもうちょっと安くしてくださいな。140円台は、流石に厳しいよ。
信号が変わって、ランドセルを背負った小学生が楽しそうに横断歩道を渡る。
水泳のバッグだ。ああ、あたしもプール入りたい。
そういう奇跡の一つ一つがこの街を作り上げて、素敵な街にしてるんだなぁ。
でも、あるひとつの確定事項がこの街をめちゃくちゃな虚偽の街にしてしまう。
影があるから、光がある。影があるからこそ、光は輝きを増す。
この街の人は、そのことを分かってないのかな。
ごみのない綺麗過ぎるこの街は、どこか作り上げられた感じがする。
嘘の街。虚構の街。そんな言葉が頭の中で渦巻いて、走っていく車の車輪の中に消えていった。
('A`)「四年前に町長が変わって以来、この街も変わった」
潔癖症という言葉だけでは収められないくらい、街を綺麗にすることに関する完璧主義。
視界の中だけでも、実に十個のごみ箱が見える。
9 :
代理:2007/10/05(金) 21:51:06.67 ID:/rjBXgxY0
('A`)「確かに綺麗な街になった。そのことに目をつけた企業は挙ってここに進出してきた。
人口も増えて、にぎやかになった。まぁ、良い街になったさ」
得たもののかわりに、失ったものが大きすぎる気がする。目に見える得たものが大きい分、
失ったものは気づきにくいけど、確実に、それはなくなっている。
('A`)「でも、かわりに息苦しい街になったよ。コンビニの袋を持って公園のベンチに座っているだけで、
どこからやってきたかわからない親父に注意されるんだもんな」
一つのリアルもないこの街。見上げたマンションも、なんだかまるで現実味がない。
築10年だというマンションは、昨日建てたばっかりの様に小奇麗だ。
時折感じる孤独感。それが、この街で一番現実味を持ってるなぁ。
('A`)「まぁ、こんな街ですが、僕の街です。どうぞよろしく」
信号がかわり、とまっていた車が再び走り始める。タイヤとアスファルトの擦れる音が、甲高く響いた。
ここは『綺麗な街』。
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:52:28.30 ID:9OzjbI3f0
支援
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:53:17.77 ID:z5PUgE/+O
支援
12 :
代理:2007/10/05(金) 21:53:47.53 ID:/rjBXgxY0
ドクオくんの世界だ。
ブーンがマジ切れしたようです
『 从'ー'从渡辺さんのワンダーウォール ( ^ω^)は綺麗な街に住んでいるようです 』
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:54:19.63 ID:z5PUgE/+O
支援
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:54:58.99 ID:z5PUgE/+O
支援
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:55:44.03 ID:z5PUgE/+O
支援
16 :
代理:2007/10/05(金) 21:56:10.68 ID:/rjBXgxY0
【 今日は良いの日のようです 】
从'ー'从「その1!」
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:56:55.29 ID:z5PUgE/+O
支援
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:57:42.97 ID:z5PUgE/+O
支援
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:58:01.82 ID:VxCV7fffO
キレイのドクオ
クーネジのクー
ワンダーな渡辺
店長なブーン
枯れ苦なショボン
だったよね
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 21:58:51.01 ID:thcG/T4PO
【ダイパと通信】ポケモン金銀リメイク決定!【DS】
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/news7/1191318097/l50 10月4日、任天堂がポケモン金銀リメイク『ホワイトゴールド』『ムーンストーン』をDSで発売する事を発表。
今回の作品は『ダイヤモンド』『パール』と通信が出来る。
また、図鑑は『ダイヤモンド』『パール』と同様、これまでの全ての作品のポケモンを記録出来る。
追加要素はまだ未発表だが、どうやらクリア後に行けるエリアが追加されているらしい。
『ダイヤモンド』『パール』での人気要素『ダブルスロット』や『GTS』についてはまだ未定とのこと。
21 :
代理:2007/10/05(金) 21:59:50.20 ID:/rjBXgxY0
('A`)「市街地はここからもうちょっと行ったところ。ウォルマートは広い土地が必要だったからこの辺に店を構えてるんだ」
なんとなくふてくされたような顔つきで、ドクオくんは言った。
从'ー'从「市街地のほうには何があるの?」
('A`)「んっと、映画館とか。百貨店とか。それなりのものは揃ってますよ」
从'ー'从「やった。あとでちょっと寄っていこう」
(´・ω・`)「住みやすい街だね」
(炎^ω^)「メイド!メイド!」
('A`)「……せいぜい、秋葉っぽいのっていえば、電気屋が市街地に。まぁ、大き目の量販店が二軒くらいあるだけだけど」
(炎^ω^)「じゃあメイドとかはいないのかお……」
('A`)「……この街じゃあ、多分そういうのも風俗に反するってことになると思います」
(炎^ω^)「残念だお」
っつーか、いつもその中に浸ってるんだろ、内藤君。別の世界に来てまで、そんな。
从'ー'从「なんか逆に感心するよ」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:01:11.23 ID:z5PUgE/+O
支援
23 :
代理:2007/10/05(金) 22:02:35.62 ID:/rjBXgxY0
(炎^ω^)「ん?何がだお?」
从'ー'从「あ、いや……」
川 ゚ -゚)「綺麗なんだけど、めんどくさい街だな。息苦しいし」
長髪を揺らして、今まで沈黙を守っていたクーちゃんが言った。いつもとは違い、真剣な顔つきになっている。
从'ー'从「クーちゃんがまともなこと言ってる……」
(´・ω・`)「街の雰囲気に飲まれてるね」
川 ゚ -゚)「かもしれん」
('A`)「まぁ、特に案内する必要はないと思う。みんな目的は違うだろうし、別行動でもいいかな。集合場所だけ決めようか?」
(´・ω・`)「じゃあ、ここでいいんじゃないかな?」
('A`)「じゃあ、ここで。ウォルマートの前の女神像」
女神像。ドクオくんはそう言って近くにあった銅像を指差した。触ると指紋が残りそうな、綺麗な像だ。
いくらかけて作ったんだろうか、という疑問が浮かんだ。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:03:45.33 ID:z5PUgE/+O
支援
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:05:00.85 ID:VxCV7fffO
sien
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:06:26.37 ID:9OzjbI3f0
支援
27 :
代理:2007/10/05(金) 22:07:00.74 ID:/rjBXgxY0
从'ー'从「この世界には何日くらいいるつもり?」
川 ゚ -゚)「あんまり長すぎても……でも短すぎるのも嫌だな」
(´・ω・`)「一日くらいは泊まっても良いかな」
(炎^ω^)「おっおっ。じゃあ一泊二日くらいが妥当かお?」
从'ー'从「あたしはそれでいいと思う」
('A`)「じゃあいいかそれで。ジャムさんの世界に帰るにはどうすればいいんだっけ?」
(炎^ω^)「あー、湖の方に行けって言ってたお」
从'ー'从「そうだったね。湖ってどこにあるの?」
('A`)「湖……ああ、湖ってのは多分ラウン湖。ここからもうちょっと南にいったところにある。じゃあ帰るときはそこまで案内するよ」
从'ー'从「りょうかい」
(´・ω・`)「わかった」
(炎^ω^)「把握だお」
川 ゚ -゚)「こんばんは」
('A`)「じゃあ、そういうことで。また、あとで。とりあえずは自由行動な」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:08:57.76 ID:z5PUgE/+O
支援
29 :
代理:2007/10/05(金) 22:10:06.75 ID:/rjBXgxY0
それなりに活気のある街。だけど現実味がないのは確かで。
路駐を取り締まるお巡りさんと目が合って、なんのやましさもないのに思わず目をそらしてしまった。
怪訝そうな顔をしているお巡りさんの隣を足早に駆け抜け、市街地へと向かう。
从'ー'从「(それにしてもほんっとに綺麗な街だなぁ……)」
模型を見ているような気分で、街を見渡しながら散策を続ける。マンションの白い壁に太陽の光が反射して、一瞬、まぶしさで目を覆った。
从'ー'从「(あ、ここよさそうな喫茶店だ。あとできてみよう……)」
『ファイア』という立て札のある喫茶店の前を通って、駅の前まで。大きな駅ビルの陰で一息つきながらぼーっとしていたそのときだった。
从'ー'从「(……あ)」
ギターの音が聞こえてきた。アンプで増強している音ではなく、ギターの生音。それもとてもクリアな。
路上演奏かな?
自然と足は音のするほうへ向いていた。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:12:31.58 ID:z5PUgE/+O
支援
31 :
代理:2007/10/05(金) 22:13:35.05 ID:/rjBXgxY0
从'ー'从「あ」
人通り激しい駅の前の路上で、「Mother's Milk」とプリントされたTシャツを着ている男がギターを弾いている。
足を止めてその歌を聴いている人の姿は見えない。それでも、そのTシャツの男は熱心に弦をかき鳴らし、声を張り上げていた。
それにしてもマザーズミルク……母乳?
( ゚∀゚)「Maybe I Just Want To Fly
I Want To Live I Don't Want To Die……」
从'ー'从「(この曲……)」
スーツ姿の会社員が、横目でその男性を見ていく。お前、仕事は?といったニュアンスの目だ。
そんな視線を受けながらもギターを弾きつづけるのをやめようとはしない。かわりにもっと声を張り上げて、
全ての人に聞こえるように、男性は歌い続ける。
でも、やはり足を止めて聴いている人は誰一人としていない。
ちょっと、不憫に思った。そして同情した。
从'ー'从「お上手ですね」
だから、その演奏が終わったとき、あたしは構わずその男性に声をかけた。手をたたいて、最大級の賛美をこめながら。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:15:47.69 ID:z5PUgE/+O
支援
33 :
代理:2007/10/05(金) 22:18:37.37 ID:/rjBXgxY0
( ゚∀゚)「ん?」
从'ー'从「ギター、聴いてましたよ」
男性は目を丸くしてあたしの顔をまじまじと見て、ギターのネックを見て、もう一度あたしの顔を見て、
はっとした顔をしてすぐに満面の笑みを作った。
( ゚∀゚)「俺の歌を聴いてくれるなんて。あんたももの好きだね」
从'ー'从「いえ、お上手でしたよ。……ただ」
( ゚∀゚)「?」
从'ー'从「路上でやるのに、oasisのlive foreverはないんじゃないかな」
それを聴いた男はまた目を丸くして、にやりと笑うといきなり笑い出した。
指に挟んだピックをあたしに突きつけながら、男は言った。
( ゚∀゚)「ああ、これ?この曲か?あれか。路上でやるならもっとその、大衆向けの、日本語の曲を歌えってか」
从'ー'从「路上でやるからにはやっぱり。斉藤和義とか、19とか。バンドの曲なら、スピッツあたりが受けが良いんじゃないかな?
そしたら多分みんな聞いてくれるよ。oasisなんて、路上でやってても聴く人は居ないんじゃない?」
( ゚∀゚)「ああ、良いんだよ、別に」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:19:32.68 ID:z5PUgE/+O
支援
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:20:17.92 ID:A0gEhxCvO
支援
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:21:45.40 ID:VxCV7fffO
_ ∩
( ゚∀゚)彡 母乳!母乳!
⊂彡
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:21:54.93 ID:43EynH43O
支援
結局昨晩のが共通だったの?
38 :
代理:2007/10/05(金) 22:25:03.77 ID:/rjBXgxY0
从'ー'从「?」
( ゚∀゚)「俺は人に聴いてもらうための曲は歌わない。俺の好きな、俺の歌いたい曲をやるんだ」
毅然とした声で、男は言う。
( ゚∀゚)「まぁ、それに」
从'ー'从「?」
( ゚∀゚)「あんたみたいな人が、聴いてくれるだろ。こんな歌でも」
にやりと笑いながら、下から覗き込む上目遣いでそう言った。その無邪気な表情に一瞬、あたしの思考は停止する。
そして思わず笑いそうになりながら返事をする。
从'ー'从「確かに、そうだね」
( ゚∀゚)「だろ?」
その顔がまたなんだか幼くて、自然と笑みがこぼれた。口元を手で押さえて、笑い声を押し殺すように笑った。
( ゚∀゚)「?」
ごめん、その顔をこっちに見せないで。もう、無条件で笑えてくるから。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:25:59.17 ID:A0gEhxCvO
支援
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:28:06.73 ID:VxCV7fffO
渡辺俺の嫁だよ渡辺
41 :
代理:2007/10/05(金) 22:29:04.04 ID:/rjBXgxY0
一本100円の販売機でジュースを買って、公園のベンチに並んで腰掛けた。冷たいミルクティが、のどを通っていく。
後ろに手をついて、空を見上げた。ここにきてからずっと思ってたけど、この街の空は高い。
広いまっさらなところで、横になりながら見たらさどんなに気持ち良いだろう。
( ゚∀゚)「俺がジョルジュ長岡。ああ、ちゃんと仕事はしてるよ。最近はあんまり調子いくないけどな……で、たまにこうやってギターを弾いてる。
あんたは?」
从'ー'从「あたしは渡辺。普段は製紙会社で働いてる。今は訳あって休んでるけど」
( ゚∀゚)「ふーん。渡辺さんか。よろしく」
从'ー'从「長岡くんはどんな仕事をしてるの?」
( ゚∀゚)「俺の仕事?うーん……難しいなぁ。街の清掃、もしくは治安維持。そんなところかなぁ」
从'ー'从「警察?」
( ゚∀゚)「いやいや。ある意味では警察に狙われる仕事かも」
从'ー'从「?」
( ゚∀゚)「いや、まぁ、気にしないでくれよ。この街を綺麗にする、そんなお仕事さ」
从'ー'从「っていうとお役所勤め?公務員なんだ」
( ゚∀゚)「んー、そんなもんかな。ははは」
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:29:30.04 ID:z5PUgE/+O
支援
43 :
代理:2007/10/05(金) 22:31:50.53 ID:/rjBXgxY0
笑いながら、長岡くんはプルタブを起こし、オレンジジュースを一口飲んだ。
ギターはすでにケースの中に納まっていて、長岡くんの背中にぶら下がっていた。
( ゚∀゚)「渡辺さんも」
从'ー'从「ん?」
( ゚∀゚)「ギター弾くのか?なんかかなり詳しそうだけど」
从'ー'从「まぁ、ちょびっとね」
( ゚∀゚)「どんなの弾いてる?」
从'ー'从「いろいろだよ。oasisも弾くし、あとverveとかtravisとか」
( ゚∀゚)「UKのバンドばっかじゃん」
从'ー'从「アメリカだとsmashing pumpkinsとか。……あ!」
( ゚∀゚)「どうした?」
从'ー'从「いや、こっちの話だけど。『今日は良い日』っていう歌詞の曲がずっと思い出せてなくて……今思い出した。todayだ。スマパンの、today」
( ゚∀゚)「おお。俺もその曲好きだよ」
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:31:55.58 ID:z5PUgE/+O
支援
45 :
代理:2007/10/05(金) 22:34:00.14 ID:/rjBXgxY0
Today is greatest.
そんな歌詞から始まるのsmashing pumpkinsの代表曲のひとつ。大好きな曲なのに、なんで思い出せなかったんだろう。
从'ー'从「あたしもぼけてきたのかな……」
( ゚∀゚)「なんか言った?」
从'ー'从「いや、なんでもない」
ぐるりとあたりを見渡して、最後に腕の時計を見た。学生の頃、あまりにもお金がなかったから千円均一で買ったひどい安物の時計だ。
百均で新しいベルトを買ったり、店で並んでいた電波時計に時間を合わせたりとしているうちに、自然とあたしもこの時計を気に入るようになってきた。
会社勤めになって、お金に余裕ができてからも、あたしはずっとこの時計を使っていた。
从'ー'从「……」
なんとなく見た時間だけど、まだまだ全然余裕がある。時計から長岡くんに目を移して、あたしは言った。
从'ー'从「ねぇ、この後暇?」
( ゚∀゚)「ん?まぁ、暇っちゃ暇だけど」
从'ー'从「やった。じゃあ、ちょっとあたしに付き合って?行ってみたいところがあるんだ」
あたしは満面の笑みで言った。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:35:44.75 ID:z5PUgE/+O
支援
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:36:38.52 ID:zIQSMG0FO
スマパン支援
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:36:50.09 ID:VxCV7fffO
うふふ
49 :
代理:2007/10/05(金) 22:37:52.33 ID:/rjBXgxY0
あたしはスパゲティが好きだ。
一種類の麺に、多種多様な味付けができる。昨日はナポリタン、今日はボンゴレ。
同じ麺でも、味が違えば結構イケる。少なくともあたしはだけど。
忙しいときとかめんどくさいときは茹で上がった麺にバターと塩コショウだけで味つけした具なしの、のっぺらぼうのスパゲティを作る。
見た目はあれだけど味はそんなに悪くない。
余裕のあるときは、卵黄にパルメザンチーズに白ワインにと、自分でソースを作ったりもする。
最近はナポリタンにはまっていた。ケチャップをフライパンで少し焦がしてから絡めると、香ばしく仕上がる。
油で揚げた茄子なんかをそれに添えると、さらにおいしい。
从'ー'从「……でもまぁ、あれだね」
( ゚∀゚)「ふむ」
从'ー'从「料理というのは自分で好きなように作るのがいい」
( ゚∀゚)「んだ。見た目が良い喫茶店だからって料理がうまいとは限らねぇ」
从;'−'从「はぁ――……」
長岡くんを引き連れて、さっき見つけた喫茶店『ファイア』に入ってみた。メニューを見るとスパゲティがあった。
あたしは歓喜して温泉卵のカルボナーラをオーダーした。
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:38:40.37 ID:z5PUgE/+O
支援
51 :
代理:2007/10/05(金) 22:40:03.20 ID:/rjBXgxY0
カルボナーラ、一皿800円。
目の前で一口だけ食べられた姿をさらしている。……多分、もう口にすることはない。
从;'−'从「自分で作ったカルボナーラのほうがおいしいってどういう了見かなぁ」
( ゚∀゚)「はっは。若いの、そんなに気落ちしなさんな」
フォークを置いて、コップの中の水をあおった。不快指数をマックスまで高めてくれたスパゲティの味は、その洪水に飲まれて消え去っていく。
那由多の果てに帰れ、未完成の味。
( ゚∀゚)「して、何が気に入りませんで」
从'ー'从「……味が薄い。シュレッドチーズが足りない。卵をのせるカルボなら、味が薄くなる分ブラックペッパーは多めに入れないといけない。それをしてない」
( ゚∀゚)「ほほう」
从'ー'从「そして何よりも許せないのが、ブラックペッパーが挽きたてじゃないこと。……あー、ミルくらい用意しとけってんだよぉ〜」
テーブルに額を押し付けて、グーでテーブルをがんがん叩く。他の人から見たら頭が不自由な人に見えるかもしれない。
むくっと顔を起こす。多分、ひどい顔だろう。でも、構うもんか。
52 :
サザソのトリヴィア:2007/10/05(金) 22:40:45.23 ID:xBUUvWrD0
大正屋のよーかん食いてーなー。
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:40:54.65 ID:A0gEhxCvO
支援
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:42:22.72 ID:v4oDk4ujO
支援
55 :
代理:2007/10/05(金) 22:42:42.67 ID:/rjBXgxY0
从'ー'从「……長岡くん、煙草持ってる?」
( ゚∀゚)「エコーなら」
从'ー'从「煙草の柄なんて分からないよ。普段吸ってないのに」
(;゚∀゚)「はい?吸ってない?なんで、それでも要るの?」
从'ー'从「多分、煙草を吸い始めるキッカケってのはこういうもんなんだって思う」
(;゚∀゚)「あー、そうですかい。それなら……じゃあ、はい」
从'ー'从「おう」
受け取った煙草にライターの火を近づけてみる。……つかない。いったん煙草を口から離して火をつけてみるけど、うまくいかない。
( ゚∀゚)「あー、吸いながらじゃないとつかないよ」
从'ー'从「そうなの?」
吸いながらライターの火を近づけて、ついた。と同時に口の中に入ってくる苦い煙。その初めての感覚に、あたしはたまらず咳き込んだ。
从;'−'从「ごほっごほっ」
( ゚∀゚)「あちゃー。ほら、やっぱり駄目なんだよいわんこっちゃない」
从;'−'从「そうみたいだね……」
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:43:36.18 ID:z5PUgE/+O
支援
57 :
代理:2007/10/05(金) 22:45:55.46 ID:/rjBXgxY0
( ゚∀゚)「ほい」
あたしの口からひょいと煙草を取り上げて、長岡くんはそれをためらいなく口にくわえた。
从'ー'从「……あ」
そしてそれを実においしそうに一口吸った。白い煙を吐きながら、灰皿の上でトントンと煙草を叩く。
( ゚∀゚)「ふぅー。エコーはちょっとなぁ」
从'ー'从「……ていうか、それ間接キス」
(;゚∀゚)「ほえ!?ああ、ごめん!」
あわてて煙草を灰皿に押し付ける。それでもう一度ごめん、と言った。
从;'ー'从「ああー……そんなこと気にするような年でもないよね。ごめんね、変なこと言って」
(;゚∀゚)「いやー、俺もデリカシーがなかったわ」
从'ー'从「まさにDon`t look back in angerだね」
( ゚∀゚)「それ言うのは俺じゃねぇ?」
从'ー'从「ははっ、そうだね〜」
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:46:56.37 ID:A0gEhxCvO
支援
59 :
代理:2007/10/05(金) 22:48:23.82 ID:/rjBXgxY0
( ゚∀゚)「そうだよね〜って、分かってんなら最初から言うなっての」
从'ー'从「あははははは」
( ゚∀゚)「笑ってんじゃねぇよ」
从'ー'从「ごめんね〜」
お冷にもう一度口をつけて、煙草の味を消す。隣に置いてある伝票を見てちょっと鬱になる。同じ値段のパフェでも頼んでおけばよかったかなぁ。
从'ー'从「ところでさ、ひとつ聞きたいことがあるんだけど」
( ゚∀゚)「ん?なに?」
从'ー'从「この街って、なんでこんなに綺麗なの?綺麗って言うか、潔癖っていうか……なんか、おかしいくらいじゃない?」
( ゚∀゚)「ん、あ、あ――……確かにね。そりゃあ、そう思うだろね。あんた、この街にきたのは初めてなのか?」
从'ー'从「うん」
( ゚∀゚)「そうか……。驚いたろ?ゴミ箱の量とか、塵一つ落ちていない道とか」
从'ー'从「あたしの街じゃありえないよ」
( ゚∀゚)「そりゃそうさ。この街が異常なんだから」
从'ー'从「行政のせい?条例がひどく厳しいとか」
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:51:21.32 ID:A0gEhxCvO
支援
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:51:39.91 ID:s1zS+oSa0
しえーん
62 :
代理:2007/10/05(金) 22:52:03.52 ID:/rjBXgxY0
( ゚∀゚)「まぁ、そんなところだな。四年前に、町長が変わって以来、こうなった」
从'ー'从「その市長ってどんなひと?」
( ゚∀゚)「詳しくは知らねぇ。ほとんど部屋で仕事してるしな。俺もあんまり会ったことがない」
从'ー'从「長岡くんはそっち側の人間なんじゃないの?」
( ゚∀゚)「そうだけど……俺なんてぜんぜん下っ端の使いっぱだからなぁ。町長のことなんて、よくわからねぇよ」
从'ー'从「……でも、その町長……なんだか、おかしいよ」
( ゚∀゚)「……」
从'ー'从「少なくともあたしはそう思う。こんなの、生きた街じゃない。動きがない。これじゃあ、まるで、一分の一のジオラマみたいだよ」
( ゚∀゚)「さしづめ俺たちはそのジオラマの中の人形ってところか」
从'ー'从「そう……とにかく、この街にはリアルがひとつもない。作られた街、っていう雰囲気を感じるもん」
( ゚∀゚)「だよな……。俺もこれは間違ってると思うよ」
从'ー'从「じゃあ、改善されてきてるの?」
( ゚∀゚)「いや……さっきも言ったけど、俺はほんとに下っ端だから。俺なんかが訴えても、上層部は考えを変えたりはしない。
上は、町長を盲信してるからな」
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:54:53.80 ID:A0gEhxCvO
支援
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:55:50.56 ID:/rjBXgxY0
从'ー'从「……そう」
( ゚∀゚)「いろいろと問題山積みなのさ、この街は」
从'ー'从「問題が上層部にあるんだから、余計性質悪いね」
( ゚∀゚)「まったくだ」
綺麗過ぎる、作られた、リアルのない街。そんな世界に住んでいて、いったい何になるんだろう。あたしには分からない。
確かに、綺麗なことはいいことだと思う。でも、度を過ぎると駄目だ。イームズのチェアは座られてこそ意味がある。
なんとなくこの街は、飾りにされて座ってもらえないイームズやパントンのチェアを思わせる。
从'ー'从「あたしのイームズはフル稼働なのに……」
目の前のカルボナーラを見る。皿は、汚される。なぜなら料理を載せるからだ。汚された皿は洗浄され、再び綺麗になる。
街は、汚れる。なぜならそこには人が住んでいるからだ。そして人は、汚れた街を掃除して、再び綺麗にする。これが普通なんじゃないか。
この街は、料理を乗せてもらえない皿だ。まったく、本末転倒じゃないですか。
( ゚∀゚)「まあ、あんたはこの街に住んでる訳じゃないんだから、そんなに気にすることもないと思うけどな」
从'ー'从「結局そんな言葉で片付けちゃうんですかい」
( ゚∀゚)「だってしょうがねぇだろ。どうしようもないんだから……あ、いや」
从'ー'从「?」
( ゚∀゚)「……なんでもない」
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:56:49.49 ID:z5PUgE/+O
支援
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 22:57:57.84 ID:z5PUgE/+O
支援
67 :
代理:2007/10/05(金) 22:59:08.58 ID:/rjBXgxY0
ちょうどそのとき、曇った顔の長岡くんの後ろの窓の向こうを、白いバンが走り抜けていった。そのバンを横目で追う、長岡くんのその目。
ただ、車を見ている目だけの目だとは思えなかった。
从'ー'从「……やっぱりなんでもあるでしょ」
(;゚∀゚) 「な、なんでもねーよ!」
从'ー'从「どうだかね〜」
まぁ、深くは聞かないでおこう。答えそうにないし。そこまでして聞きだすのも、なんかめんどくさいし。
从'ー'从「じゃあまたギター、弾きに行く?」
( ゚∀゚)「ん?あー、うん」
从'ー'从「分かった、ちょっと待ってて。あたしもギター用意するから」
( ゚∀゚)「え、なに?一緒にやろうって?」
从'ー'从「うん。あたしもたまにやってるし」
( ゚∀゚)「へぇ、みんなちゃんと聴いてくれる?」
从'ー'从「あんまり……っていうか、恥ずかしいから、あんまり人が居るところではやらないんだ」
(;゚∀゚) 「それってやってるって言えんのか?」
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:00:44.71 ID:z5PUgE/+O
支援
69 :
代理:2007/10/05(金) 23:01:32.52 ID:/rjBXgxY0
从'ー'从「まぁまぁ、細かいこと気にしなさんな」
あたしは伝票を手に取った。
ゆるい幸せがだらだらと続いていく。まぁそれはそれでいいことなんだろう。
でも、本当にそれでいいのかと思う自分もどこかにいて、新しい刺激を求めるのも悪くはないのかなぁとも思う。
あたしがギターを始めたのも、そんな理由だった気がする。音楽で世界を変えるとか、そんなことを考えたわけではないけど。
少しは刺激になるかな、くらいの気持ちで。
でも、やり始めてみるとこれが結構楽しかった。気がつくと部屋はCDでいっぱいで、ライブハウスにも定期的に通うようになっていた。
音楽というのは、ある意味では麻薬みたいなものなんだ。
音楽がないと生きていけない。そんな人間は世の中に掃いて捨てるほどいるだろう。あたしも、多分そうだ。
仕事で疲れて、もうどうしようもないときでも、ギターを弾いているときだけは、疲れを忘れることができる。
ipodから流れてくる音を聴いているだけで、あたしは多分一週間は部屋で過ごせる気がする。……今のは嘘だ。流石にそれは無理かも。
でもとにかく、音楽ってのはそういうもんなんだ。今の日本のチャートは商業主義的な音楽ばかりで嫌になるけど、
音楽の本質っていうのは、きっとそういうもんなんだ。
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:04:09.77 ID:z5PUgE/+O
支援
71 :
代理:2007/10/05(金) 23:04:20.08 ID:/rjBXgxY0
日は落ちかけていて、もう夕方近かった。
あたしと長岡くんは、人通り激しい、駅前のロータリー前に居た。
从'ー'从「そこの楽器屋さんで5万」
(;゚∀゚) 「ポールリードスミスか?よく買えたな……しかもアンプ付きときたもんだ」
从'ー'从「いいのいいの。どうせ後で戻ってくるお金だから」
( ゚∀゚)「?」
从'ー'从「タイムリープだよ」
あたしはひょいっと半円を腕で描いてみる。正のx軸から、負のx軸に移動するように。
( ゚∀゚)「……?ま、まぁいいや。渡辺さんが良いって言うのなら」
从'ー'从「そーそー。気にしないで」
( ゚∀゚)「それに、デュオって言ってなかったっけ?」
从'ー'从「最初はアコギにしようと思ったんだけど、バンドサウンドっぽくてもいいかなぁ〜って」
( ゚∀゚)「ほう」
元の世界に戻るときは好きな時間にしてくれるって、ジャムさんは言っていた。だから、ここで使ったお金は、戻ってくる……んだよね?
戻ってこなかったらあたしは……あは(はぁと)。一応値切っておいたけど。
72 :
代理:2007/10/05(金) 23:07:11.30 ID:/rjBXgxY0
( ゚∀゚)「で、で、で。最初は何演ろうか?」
从'ー'从「う〜ん……」
首をひねりながら、地面に置かれたアンプを見た。アンプの電源には、公衆電話の電源を失敬させていただくことにした。
エフェクターは特に用意してない。アンプのゲインくんには頑張ってもらおうかな。
从'ー'从「最初は、はじける曲をやろうよ」
( ゚∀゚)「はじける曲?」
はじける曲、と聞いて、長岡くんはうーん、と唸った。そしてすぐに笑顔になって言った。
( ゚∀゚)「じゃあ、ミッドナイトクラクションベイビーな」
从'ー'从「ミッドナイ……ああ、あれか。おk」
ミッドナイトクラクションベイビー。
Thee Michelle Gun Elephantの名曲だ。Thee Michelle Gun Elephantといえば、有名なのはヴォーカル、チバユウスケのガナリ声。
あれだけは、絶対真似できない。
( ゚∀゚)「知ってんだ?」
从'ー'从「うん。ちょうど最近、ミッシェルは人に教えてもらった」
( ゚∀゚)「そいつはいいや。
ま、声はどうあったって無理なんだ。本家を超えるなんてできねぇよ。リズム隊もいねぇし。ま、そういうわけで、気楽にな」
从'ー'从「うん」
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:07:39.48 ID:z5PUgE/+O
支援
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:09:02.01 ID:Wm5FtPK40
支援
75 :
代理:2007/10/05(金) 23:11:12.44 ID:/rjBXgxY0
ベースとドラムが居ないデュオのスタイルで、この曲。果たして、アコギとエレキ一本ずつでなんとかなるのかしら。それも練習なしで。
やば、緊張してきた。
立てかけたマイクの前に長岡くんが立ち、目をあわせて合図した。一、二、三とカウントを取る。
そら。
あたしのリフのスタートだ。
从'ー'从「……!」
( ゚∀゚)「お」
モナーくんと付き合うようになってから、あたしのギターはかなり上達した。パワーコードはもちろん、スケールも覚えることができた。
もともとアコギのコードプレイしかできなかったあたしが、ペンタ基調のソロくらいなら、即興でできるようになっていた。
从'ー'从「……っ」
アンプから響く轟音に、道行く人は足を止め、こちらを見る。安物のアンプだから、音はちょっと物足りないけど。
一人、二人と見物人の数は増えていく。あたしたちの周りに人だかりが出来始める。
あたしのギターの上に乗っかる長岡くんのギター。そして、さらにその上に、長岡くんのヴォーカルが乗る。
( ゚∀゚)「■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」
チバユウスケを意識したガナリ声。本家には到底及ばないと思う、だけど。
从'ー'从「(これは……)」
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:11:16.80 ID:z5PUgE/+O
支援
77 :
代理:2007/10/05(金) 23:15:26.50 ID:/rjBXgxY0
驚いた。普通に上手だ。あたしの世界のドクオくんのバンドで歌ったら、結構はまるんじゃないか?
そして、オアシスのリアムを意識してるのかどうかはわからないけど、下からマイクをなめるように歌うそのスタイルは、かなり貫禄がある。
从'ー'从「(……やば。あたしもがんばろ)」
ところどころ入る、あたしのコーラス。長岡くんの声に押し消されて、
ほとんどないようなものだったかもしれないけど、それでもあたしも声を張り上げた。
人が、集まってくる。集めているのはあたしのギターじゃない。
単純な、長岡くんの歌唱力。さっきlive foreverを歌っていたときとは比べ物にならない歌声だ。
( ゚∀゚)「――――――!!」
ギターをかき鳴らして、長岡くんは叫ぶ。その声の存在感たるや、二本のギターが遠く霞んでいくほど。
――あ、ねぇ。あれ。
――うん。
――パブロック?路上でやる選曲じゃねーよww
――でも、これ。
――ああ。
スーツ姿の会社員、制服姿の高校生、変な紙袋を持ったお兄さん。そんな人たちがみんな足を止めて、あたしたちの周りに集まってくる。
ぽつりぽつりと、手拍子が始まった。一人がたたけばもう二人が。二人がたたけばもう三人が。
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:15:41.66 ID:z5PUgE/+O
支援
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:16:53.15 ID:z5PUgE/+O
支援
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:18:04.26 ID:VxCV7fffO
僕のマイクも舐めるように舐めて><
81 :
代理:2007/10/05(金) 23:18:49.48 ID:/rjBXgxY0
ギター二本と、ヴォーカルだけのサウンド。その音の薄さを、手拍子がカバーする。
( ゚∀゚)「――――――!!」
どこまでも駆けていく声。どこまでも追いかけていくギター。どこまでもついてくる手拍子。
その、一体感が、グルーヴが。駅前の小さな空間を切り取り、凝縮させる。
夢中でギターを弾いた。さっきそこで手に入れたばっかりで、弦もそのままだったけど、PRSは応えてくれた。
どう手を動かそうとも、ちゃんとついてきてくれた。
从'ー'从「(ああ、この感じだ)」
あたしが好きな、音楽の本質。
――いいな、これ。
――なんて曲だっけ?
――ミッシェルの後期じゃない?
ミッドナイトクラクションベイビー。
以後お見知りおきを。
繰り返されるミッドナイトクラクションベイビーという歌詞。
曲の後半になってくると、チバユウスケはこれを叫ぶことしかしていない。
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:19:37.00 ID:z5PUgE/+O
支援
83 :
代理:2007/10/05(金) 23:20:58.31 ID:/rjBXgxY0
それは、長岡くんも同じ。
そして、曲が。
( ゚∀゚)「――――――!!」
………
……
…
終わった。
84 :
代理:2007/10/05(金) 23:22:15.79 ID:/rjBXgxY0
(;゚∀゚) 「ふぅ……」
从'ー'从「(よかった〜間違えずに弾けて)」
――よかったよ、二人とも。
――っつーか選曲渋すぎだろww
――ねぇ、次は?
(;゚∀゚) 「おk。でもちょっと待って。まさかこんなに人が集まるとは思ってみなかったから……」
从'ー'从「確かに」
気がつくと、あたしたちは大勢のオーディエンスに囲まれていた。二十、三十……もっといるのかな。
(;゚∀゚) 「さっきは誰も聴いてくれなかったのになぁ……。これも渡辺パワーかな」
85 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:23:23.93 ID:z5PUgE/+O
支援
86 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:23:31.30 ID:Wm5FtPK40
支援
87 :
代理:2007/10/05(金) 23:24:23.73 ID:/rjBXgxY0
从'ー'从「なんか言った?」
(;゚∀゚) 「あ、いや。なんでも。次は、何演ろうか?」
从'ー'从「えっと、じゃあね、ワンダーウォールで。わかるでしょ?」
(;゚∀゚) 「まぁ知ってるけど。盛り下げるのかよ」
从'ー'从「クールダウンも必要だよ」
(;゚∀゚) 「下げるポイントはええよ」
从'ー'从「えへへ」
ゲインをさげて、ギターの歪みを抑えた。軽く歪んだギターが、ワンダーウォールのイントロを奏ではじめる。
マイナーコードから始まる叙情あるイントロ。wonderwall、oasisの出世作。
88 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:24:37.88 ID:z5PUgE/+O
支援
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:25:41.98 ID:z5PUgE/+O
支援
90 :
代理:2007/10/05(金) 23:26:05.46 ID:/rjBXgxY0
Today is gonna be the day
That they're gonna throw it back to you……
そしてあたしが一番好きな曲だった。
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:27:39.78 ID:z5PUgE/+O
支援
92 :
代理:2007/10/05(金) 23:27:44.38 ID:/rjBXgxY0
( ゚∀゚)「その2!」
曲が終わって、最初に聞いたのは、拍手でもなく歓声でもなく、
( ,'3 )「くぉらぁ!貴様ら何やってるんじゃ―――――!!」
どっかのお爺さんの叫び声だった。
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:29:57.60 ID:z5PUgE/+O
支援
94 :
代理:2007/10/05(金) 23:30:50.85 ID:/rjBXgxY0
(;゚∀゚) 「げ!あのくそじじい……」
从'ー'从「やばい人?」
(;゚∀゚) 「あ、ああ。早く逃げんぞ!」
从;'−'从「あ、ちょっと!」
長岡くんはマイクスタンドを手早く崩し、マスターボリュームがオフになっていることを確認すると、アンプの電源を引き抜く。その時間、二秒。
(;゚∀゚) 「ほら、そのギターとっととしまえ!」
从;'−'从「あ、うん!」
ポールリードスミスをケースに入れ、背負った。レスポと比べてだいぶ軽いなぁ、なんて思ってるうちに、長岡くんはギターを背負い、あたしの手をひく。
从;'−'从「あ」
(;゚∀゚) 「向こうにマジェを停めてある。走るぞ!」
从;'−'从「ごめんなさーい、通してくださーい」
集まっていた見物人の中を掻き分けて、その場から離れる。改めて、集まっていた人の多さにおどろいた。これ、五十人以上は居るんじゃないか?
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:31:30.93 ID:Wm5FtPK40
支援
96 :
代理:2007/10/05(金) 23:34:39.80 ID:/rjBXgxY0
('A`)「渡辺さん、ジョルジュさん!こっち!」
从;'−'从「ドクオくん!」
(;゚∀゚) 「ようドクオ!見てたのか?」
(;'A`)「話は後っすよ!」
(;゚∀゚) 「まさかバルケンが見てるとは……」
(;'A`)「つかまると面倒っすよ」
从;'−'从「あ、ちょっと」
あたしの手を引いて、駆けていく長岡くん。それを先導するドクオくん。知り合いみたいだったけど、いったいどういう関係なんだろう。
(;゚∀゚) 「俺の歌、どうだったよ?」
(;'A`)「ミッシェルなら『世界の終わり』をやってほしかったなぁ」
(;゚∀゚) 「おう、また今度な……っと」
ここまでくれば大丈夫かな、と言って、長岡くんは足を止めた。ドクオくんも慌てて止まる。
駅から離れた、ビルの裏。
すでに日は落ちていた。その場を照らしているのは、電信柱に取り付けられた街灯だけ。
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:36:36.73 ID:z5PUgE/+O
支援
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:36:56.36 ID:A0gEhxCvO
支援
99 :
代理:2007/10/05(金) 23:37:28.15 ID:/rjBXgxY0
从;'−'从「はぁ……はぁ」
(;゚∀゚) 「ごめんな、渡辺さん。大丈夫かい?」
从;'−'从「だい、じょうぶ」
(;゚∀゚) 「……まぁ、とにかく捕まらなくてよかったな」
从;'−'从「さっきのお爺さん誰?警察?」
(;゚∀゚) 「んー、警察よりももっとやばいもんさ」
从;'−'从「?」
(;'A`)「話はそのくらいにして、とにかくもうちょっとここから離れましょう」
(;゚∀゚) 「……そうだな」
長岡くんはキーを取り出し、路肩に停めてあった黒いバイクのエンジンをかけた。ヘルメットボックスを開けて、あたしにヘルメットを投げてくる。
从;'−'从「わっ……」
( ゚∀゚)「後ろ、乗れよ」
('A`)「ジョルジュさん、マジェスティなんすか」
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:40:17.81 ID:z5PUgE/+O
支援
101 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:41:01.49 ID:MDDL5PyN0
支援
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:41:35.27 ID:Wm5FtPK40
支援
103 :
代理:2007/10/05(金) 23:41:46.99 ID:/rjBXgxY0
( ゚∀゚)「おうよ。そういうお前はZXかよ。DQNバイク乙www」
('A`)「けっ。そっちこそオートマなんて男らしくねぇ」
イグニッションスイッチを押して、エンジンをかける。回転を始めたエンジンの音が、あたりに響き渡る。
('A`)「俺と、渡辺さんの仲間んところに行きましょうか。ジョルジュさん、ついてきてください」
( ゚∀゚)「お前渡辺さんと知り合いなのか?」
('A`)「ええ、まぁ。っていうかジョルジュさんがどうやって渡辺さんと知り合ったのかこそ興味ありますよ」
( ゚∀゚)「んー……まぁ、逆ナンってやつ?って、痛っ」
从'ー'从「しがない演奏を聴いてやったたった一人のオーディエンスだろがあたしは」
(;゚∀゚) 「はいはい……。で、しっかりつかまったか?」
長岡くんの背中から手を回す。
从'ー'从「うん」
( ゚∀゚)「よし、おk。ドクオ、出ても良いぜ」
('A`)「合点」
静寂を破って、二台のバイクは闇を照らしながら走り始める。
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:43:25.45 ID:A0gEhxCvO
支援
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:43:40.77 ID:+qJ70/GD0
支援
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:44:30.18 ID:s1zS+oSa0
支援
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:44:44.27 ID:Wm5FtPK40
支援
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:44:44.60 ID:z5PUgE/+O
支援
109 :
代理:2007/10/05(金) 23:44:58.26 ID:/rjBXgxY0
ハンドルを握る長岡くんの背中はそんなに大きくなくて、この体のどこからあんな声が出るんだろうと思った。
从'ー'从「(まぁ、それはあたしの世界のドクオくんも同じか……)」
頭を押し付けた背中のTシャツは、少し濡れていた。
( ゚∀゚)「つまり」
ふんふんと長岡くんは頷いて。
( ゚∀゚)「君たちはこの世界の人間じゃないと。ドクオ以外は」
('A`)「まぁ、俺も他の世界に行けば他の世界の人間になるんですけどね」
(´・ω・`)「ちなみに他の世界第一号だよ、ここは」
(炎^ω^)「おっおっ。他の世界は新鮮で楽しいお」
川 ゚ -゚)「ここは綺麗なところ以外はあんまり見所がなかったけどな」
从'ー'从「パスタはおいしくないし」
あたしたちの話を目を点にして聞く長岡くん。
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:45:47.15 ID:NtDLpZMDO
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:47:07.61 ID:z5PUgE/+O
支援
112 :
代理:2007/10/05(金) 23:48:22.40 ID:/rjBXgxY0
从'ー'从「明日には帰ることになるかな」
(;゚∀゚) 「へぇ……って信じられるかぁっ!!」
从'ー'从「長岡くん、クールダウン」
(´・ω・`)「信じる信じないは勝手だけど、明日には僕たちはもう居なくなるからね、ここの世界からは」
(;゚∀゚) 「なんでお前らそんな淡々としてるんだ……」
(´・ω・`)「事実だからさ」
(;゚∀゚) 「むぅ」
場所は公園。女神像公園、というらしい。十二個の女神像を模したゴミ箱が並び、息苦しくなるほど手の入れられた草や木。
まさに公園の極みといったところ。
从'ー'从「さっきタイムリープ、って言ったのはそのことだよ。世界を移動するときに、時間を巻き戻してもらえばお金は戻ってくるじゃない」
(;゚∀゚) 「そういえばそんなこといってたな」
再び頭を抱える長岡くん。きっと今、彼の頭の中では常識的な長岡くんと非日常を受け入れる長岡くんが戦っているんだろう。
川 ゚ -゚)「なんならドクオ、君いっかいジャムんとこに帰ってみたらどうだ?」
(;'A`)「なんで俺が」
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:48:56.77 ID:A0gEhxCvO
だが支援する
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:50:44.67 ID:z5PUgE/+O
支援
115 :
代理:2007/10/05(金) 23:50:52.91 ID:/rjBXgxY0
川 ゚ -゚)「君だからさ」
(;'A`)「理不尽だ」
(炎^ω^)「まぁまぁ。でもどこの世界でもドクオは変わらないお」
川 ゚ -゚)「私の世界ではドクオは私の彼氏だぞ」
从'ー'从「あたしんところドクオくんもクーの彼氏だよ〜」
(;'A`)「な、なんで俺は……」
川 ゚ -゚)「くやしいのうwwwwくやしいのうwwww」
(;'A`)「……」
(´・ω・`)「で、どうだい。信じてもらえたかな。もっとも、君が信じる信じないも僕らにはほとんど関係のないことだけどね」
(;゚∀゚) 「わーったよ。信じるよ、信じるしかねぇよもう」
両手を上げて、まさにお手上げって感じで長岡くんは言う。そして、そのままの勢いでベンチに座った。あたしも、その隣に座る。
从'ー'从「よかった、信じてもらえて」
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:52:08.82 ID:z5PUgE/+O
支援
117 :
代理:2007/10/05(金) 23:52:54.88 ID:/rjBXgxY0
(´・ω・`)「で、君たちはどうやって知り合ったのさ。駅前で、あんな目立つことをして」
( ゚∀゚)「ん?あー、それは……」
从'ー'从「長岡くんギターで弾き語り
オーディエンスなし
あたし同情聴いてやる
意気投合」
(´・ω・`)「おk。実に良い三行半だ」
(炎^ω^)「ちょっとコンビニ行ってくるお。何か欲しいものはあるかお?」
(´・ω・`)「うん、じゃあ酒をいくつか。あとドクオとクーのためにもジュースをいくつか」
('A`)「ええー俺も酒が……」
(´・ω・`)「黙れ。ぶち殺すぞ」
(;'A`)「……」
(炎^ω^)「ドクオ、このDQNバイク借りてくお」
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:53:01.90 ID:s1zS+oSa0
支援
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:54:27.05 ID:z5PUgE/+O
支援
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:54:52.71 ID:A0gEhxCvO
支援
121 :
代理:2007/10/05(金) 23:55:07.76 ID:/rjBXgxY0
言うが早いか、内藤くんはキー差しっぱなしのドクオくんのバイクに跨って、公園を出て行った。
(´・ω・`)「それにしても、ずいぶん派手にやってたね。……ジョルジュくん、だっけ」
( ゚∀゚)「ジョルジュでいいぜ」
(´・ω・`)「ジョルジュの声、すごくよかった。チバユウスケには及ばないけど……それでも」
( ゚∀゚)「男に言われても嬉しくねぇよ、クーちゃんはどうだった?」
川 ゚ -゚)b「あの選曲はナイスだ。最初のオーディエンスのひき具合が最高だった」
( ゚∀゚)「それでも、しっかり盛り上げたぜ」
川 ゚ -゚)「ああ、そうだったな。それよりも、私は渡辺のギターのほうに驚いたが」
从'ー'从「あたし?」
('A`)「確かに、ずいぶんヘヴィなリフを弾くんですね」
从'ー'从「ああー……教わった人の影響かも」
モナーくんのギターに自然と似てきたのかな。今度『southern cross』を弾いてみようかなぁ。モナーくんと同じ風に聴こえるかもね。
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:56:56.03 ID:z5PUgE/+O
支援
123 :
代理:2007/10/05(金) 23:57:02.00 ID:/rjBXgxY0
从'ー'从「で、さ。この後、どうするの?」
(´・ω・`)「とりあえずブーンが帰ってくるのを待って……酒でも飲んで……ファミレスとか漫喫で一晩明かすか、ドクオの家に特攻か」
('A`)「俺んち?ああ――……今からじゃ無理なんじゃないかなぁ。カーチャンこのこと知らないし」
从'ー'从「ってことは、どこかファミレス?」
('A`)「朝までやってるファミレスはあったっけなぁ……漫喫もないし」
川 ゚ -゚)「なんと見てくれだけの街か」
('A`)「そういうことは町長に言ってくれ」
(炎^ω^)「おいすー。帰ってきたおー」
(´・ω・`)「ブーン」
原付特有の細いエギゾーストノートの響かせて、内藤くんが帰ってきた。
( ゚∀゚)「ずいぶんたくさん買ってきたんだな」
(炎^ω^)「おっおっ。宴会は楽しく、だお」
从'ー'从「あ、あたし青りんごね」
内藤くんが投げて寄こした缶チューハイを受け取る。
124 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:58:13.50 ID:z5PUgE/+O
支援
125 :
代理:2007/10/05(金) 23:58:32.72 ID:/rjBXgxY0
(´・ω・`)「じゃあ、乾ぱ……ってジョルジュ、飲むのはえーよ」
( ゚∀゚)「あ?あ、悪ぃ……。じゃあ飲みかけだけど、これで」
飲みかけの缶ビールとチューハイとジュースで、全員で乾杯した。何の乾杯だか分からないけど。まぁ、雰囲気は大事だ。
缶チューハイのタブを起こし、一口すする。
从'ー'从「うま」
( ゚∀゚)「騒いだ後の一杯は格別だぜ」
从'ー'从「そうだね〜」
マジェスティに立てかけてあるギターケースを手に取った。ポールリードスミス。ずっしりとした重さを感じる。
从'ー'从「楽しかったね、たったの二曲しかできなかったけど」
( ゚∀゚)「ああ……」
長岡くんはビールをもう一口すする。およそ焦点の合ってないぼんやりとした目で足元を見て、もう一口すすると顔を上げた。
( ゚∀゚)「なあ、渡辺さん」
从'ー'从「ん?」
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:58:58.05 ID:z5PUgE/+O
支援
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/05(金) 23:59:03.59 ID:9OzjbI3f0
支援
128 :
代理:2007/10/06(土) 00:00:28.25 ID:5Wxb+3Da0
( ゚∀゚)「あの、最後走ってきた爺さんの顔、覚えてるか?」
从'ー'从「え、あ、うん。覚えてるよ」
( ゚∀゚)「さっきも言ったけど、この街はほんとに綺麗な町なんだ。ごみもなければ不良もDQNもいない。ごみ箱は数十メートル間隔で置かれている、そういう街なんだ」
心なしかうれしそうな顔つきで、長岡くんは続ける。
( ゚∀゚)「そんな街で、だ。大音量で、大声で、ギターをかき鳴らして歌うなんて、ご法度もいいとこなんだ」
从'ー'从「……」
( ゚∀゚)「それをさ、仮にも街を綺麗にする側の人間が、堂々と駅前でそれをやった」
从'ー'从「……」
そうだった。長岡くんはそっち側の人間だから、本来はあんなことをしてる人を取り締まる側なんだ。なのに、あんなことをした。してしまった?というべきか。
あたしが誘ったんだから。
从'ー'从「……もしかして、処罰とかされるの?減給とか?解雇とか?」
( ゚∀゚)「あ、いや、そういうのは全然良いんだ。俺はもう、あいつらには愛想が尽きてるし。あいつらも、俺に期待なんかしてねーし」
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:02:00.74 ID:7Do+vJNWO
支援
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:02:44.57 ID:qLzuWFY50
支援
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:02:50.76 ID:EoBfNhc4O
支援
132 :
代理:2007/10/06(土) 00:03:25.47 ID:5Wxb+3Da0
从'ー'从「……?」
( ゚∀゚)「あれだけ人に囲まれて、拍手をもらって、そんで、爺さんに見つかって、逃げて」
从'ー'从「……」
( ゚∀゚)「なんつーのかな、渡辺さん。すっげぇ気持ちよかった」
子供のような無邪気な笑顔を、あたしに向ける。その顔が赤いのは、たぶん、アルコールだけが原因じゃないんだろう。
( ゚∀゚)「普段ギターを弾いてたって、誰も見てくれねぇ。注意されることもねぇ。あれは、ささやかな反抗のつもりだったんだよ。この街に対する、俺の、な。
それが、初めて実った。みたか?あの爺さんの顔。思い出すだけでも笑いがとまんねぇww組織ん中じゃいつも俺を馬鹿にしてる奴がだぜww」
缶を握り締めながら、うれしそうに笑う。あたしは何も言わずその言葉に耳を傾ける。
( ゚∀゚)「それも、あんたのお陰だよ、渡辺さん。あんたが居たから、あれだけの演奏ができたんだ」
从'ー'从「あたしは……」
( ゚∀゚)「おっと、何も言うなよ。俺があんたのお陰と言ったんだ。だから、な?こういうときは、そういうことにしておくもんだぜ」
从'ー'从「……」
( ゚∀゚)「ま、とにかく、サンキューな。俺は落ちこぼれだから、そんなことも満足にできなかったんだ。それができたのは、あんたのお陰さ」
そう言って、長岡くんはぐびっとまた缶ビールを飲む。それにあわせるように、あたしもまた一口、缶チューハイに口をつけた。
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:04:19.97 ID:7Do+vJNWO
支援
134 :
代理:2007/10/06(土) 00:05:22.60 ID:5Wxb+3Da0
从'ー'从「あのさ、」
( ゚∀゚)「役立たずでもなぁ―――――!」
長岡くんが急に立ち上がった。ビールを一気にあおって、近くのゴミ箱に投げ捨てた。
( ゚∀゚)「馬鹿にすんなよ!やれるときはやるんだよぉ!CP!見てろよな―――っ!」
星の光る空に向かって、長岡くんは叫ぶ。あたしたちは目を点にして、その姿を見つめるしかない。
( ゚∀゚)「……ふぅ」
街に対する抵抗。
長岡くんはそう言ってたけど、いったいこの街はなんなんだろう。
こんなに興奮するほど、さっきのは意義あることだったのだろうか?ただ、路上で演奏しただけなのに。ただ、それだけなのに。
( ゚∀゚)「してやったりだぜwwCP涙目wwwざまぁwwww」
从'ー'从「だったらさ、長岡くん」
ポールリードスミスのケースをあける。現れる白いボディと黒のストラップ。弦に引っ掛けたピックを指でつまんで、シャラン、とCコードを弾いた。
( ゚∀゚)「?」
从'ー'从「長岡くんが、そう思うのならさ」
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:05:48.90 ID:INa47DcAO
支援
136 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 00:06:48.55 ID:kvvVXkm+0
支援
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:07:45.82 ID:7Do+vJNWO
支援
138 :
代理:2007/10/06(土) 00:08:47.15 ID:5Wxb+3Da0
適当に、簡単なコードを弾いてみる。アンプを通していない生音は頼りなげで、か細いイメージを与えた。
从'ー'从「もう一回さ、やってみない?」
川 ゚ -゚)「どれ、あたしも混ぜてくれ」
いつの間にかあたしの後ろに立っていたクーが、二本の棒を握っていた。それをたたいてカチカチと音を出す。
从'ー'从「スティック?」
川 ゚ -゚)「おう。そこのゲーセンで拾ってきた」
どうみてもドラムマニアのスティックです本当にありがとうございました。
川 ゚ -゚)「もし、やるってんなら、あたしも手伝うぞ」
(´・ω・`)「僕もだよ」
(;゚∀゚) 「いつの間にベースなんて用意したんだよ……」
黒いベースを持ったショボンくん。
(´・ω・`)「そこの楽器屋さんで無料で配ってた」
(炎^ω^)「それはいいことだお。まぁ、所謂盗みってやつだおねwww」
(´・ω・`)「で、まぁしばらく追い掛け回されて、ドクオのバイクはこのザマさ」
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:09:40.65 ID:7Do+vJNWO
支援
140 :
代理:2007/10/06(土) 00:10:34.98 ID:5Wxb+3Da0
(;'A`)「ちょまwwwwおい、いつの間にwwwって、俺の麻子がwww」
(´・ω・`)「タイムリープさ。後でどうにでもなるだろう?」
(;'A`)「……」
( ゚∀゚)「お前ら……」
从'ー'从「よかったじゃない。これで、本格的なバンド編成だ」
(´・ω・`)「せっかくだから盛大にやろうよ。昔ストーンズがニューヨークでやったみたいに……」
(炎^ω^)「トラックで街中に現れて、かお?……かっこよすぎるおwww」
(´・ω・`)「本当なら、僕も自分のミュージックマンを使いたいところなんだけど」」
从'ー'从「そんなこと言ったらあたしもレスポールのが良いよ」
( ゚∀゚)「んなことも言ってられない、ってか」
川 ゚ -゚)「で、どうなんだ?やるのか、やらないのか?ジョルジュ。君の一存にかかっている」
( ゚∀゚)「やるさ」
(´・ω・`)「……」
( ゚∀゚)「やるに決まってるよ。お前ら」
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:11:04.12 ID:7Do+vJNWO
支援
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:11:39.46 ID:EoBfNhc4O
支援
143 :
代理:2007/10/06(土) 00:12:27.72 ID:5Wxb+3Da0
ギターを持って、長岡くんは言う。酒が回ってるのか、ふらりと少しよろめいた。
('A`)「一本で酔ってんのかよwww」
( ゚∀゚)「うっせwwwwwwでもとにかくおまいら」
あいている手を、前に出した。全員の目を見て。
( ゚∀゚)「がんばろうぜ」
長岡くんは言った。
从'ー'从「……」
その上にドクオくんが手を重ねた。クー、内藤くん、ショボンくんが続く。
从'ー'从「……よしっ!」
あたしの手が、その上に重なる。長岡くんの目を見て、にんまりと笑っていった。
从'ー'从「がんばろ!ね?」
( ゚∀゚)「おう!」
手を、振り切った。
公園の木が、風に吹かれてざわめいた。乱れた髪を直しながら、あたしは残った缶チューハイを一気にあおった。
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:13:29.43 ID:7Do+vJNWO
支援
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:13:37.89 ID:INa47DcAO
从'ー'从「頑張ろ!ね?」←俺の嫁
146 :
代理:2007/10/06(土) 00:14:41.11 ID:5Wxb+3Da0
('A`)「その3」
从'ー'从「……およ?」
気がついたら、あたしはだだっ広い野原の真ん中に居た。
从'ー'从「……なんじゃー?」
見渡す限り広がる野原に、ただ一人。これはいったいどういう状況かね。
从'ー'从「……」
とりあえず、目に付いた大きな木の元へ向かうことにする。ざくざくと、踏まれる草が音を立てる。
木の前まで来た。大きな木だ。あたしのアパートよりも背が高そうだ。大きく広がった枝は、周り一面に陰を作っていた。
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:15:09.16 ID:brm38Zxm0
支援
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:15:20.74 ID:7vwIXnz0O
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:15:49.92 ID:7Do+vJNWO
支援
150 :
代理:2007/10/06(土) 00:16:08.26 ID:5Wxb+3Da0
从'ー'从「……誰?」
( ´∀`) 「やぁ」
从'ー'从「……モナーくん?」
木の陰から現れたのはモナーくん。普段どおりの格好で、両手はポケットの中だった。
从'ー'从「ここどこ?」
( ´∀`) 「うーん……まぁ、なんともいえないところなんだけど……」
从'ー'从「?」
イミフ。そんな疑問符いっぱいのあたしを尻目に、モナーくんはてこてこと近づいてくる。
( ´∀`) 「まぁー、そんなことはどうでもいいんだモナ」
从'ー'从「ほうほう」
( ´∀`) 「僕がなんで来たかって言うとー」
从'ー'从「言うとー」
( ´∀`) 「まあ、つまるところ」
从'ー'从「?」
あたしを嘗め回す様に見てくるモナーくん。やだ、なんかいつもと雰囲気が違う。
151 :
代理:2007/10/06(土) 00:17:39.13 ID:5Wxb+3Da0
从;'−'从「(はっ、これってもしかして……)」
無意味に緊張してくるあたし。やば、変なやつに見られるかも。
( ´∀`) 「渡辺さん」
从;'−'从「は、はいっ」
あたしの耳に口を近づけて、モナーくんはささやくように言った。
「浮気すんのはやめろよ、って言いにきたモナ」
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:17:40.31 ID:7Do+vJNWO
支援
153 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 00:18:48.33 ID:kvvVXkm+0
支援
154 :
代理:2007/10/06(土) 00:19:15.57 ID:5Wxb+3Da0
从;'−'从「ひゃぁっくぁwせdrftgyふじこlp;」
飛び起きた。言葉にならない声を上げながら。
从;'−'从「おlp;@:「」……って、あれ?」
目に飛び込んできたのはドラムのセット。そしてその椅子に座ったまま眠るクーちゃんの姿。
从;'−'从「スタジオ?」
さらに見渡す。床に直接寝転がって眠っている内藤くんとドクオくん。ベースを抱きながら壁に寄りかかって眠っているショボンくん。
从;'−'从「あれ……?」
記憶をたどる。公園で、バンドを組んで駅前で演奏してやろう、という話になった。そんで、とりあえずスタジオに行った、そこまで思い出した。
从;'−'从「(ちょっとお酒が入ってたからなぁ……)」
あわせてみて、騒ぎまくって、疲れて、気がついたら誰もしゃべらなくなり……そのあたりで、視界がブラックアウトした。
つまるところ、寝落ちしたと。
从;'−'从「(で、今のは夢か……)」
155 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:20:34.66 ID:7Do+vJNWO
支援
156 :
代理:2007/10/06(土) 00:21:20.42 ID:5Wxb+3Da0
確かに長岡くんと親しくしすぎかな。その辺の罪悪感が、モナーくんを夢で見せたのかな。
从;'−'从「(どこまで純情なんだ……)」
どこの高校生だ、まったく。
起き上がろうとして、手を床につこうとした、その時。何かやわらかいものに触れた。むにゅ、と音がした……感じがした。
从'ー'从「?」
その手の向こう側で何かがごそりと動き、大声を上げた。
(;゚∀゚) 「あじゃぱ――――」
从;'−'从「あ、ゴメン!」
(;゚∀゚) 「お、お、起こすときでも、そこは触るもんじゃないぜ……」
从;'−'从「あ、あたしが触ったのってもしかして……」
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:21:33.48 ID:7Do+vJNWO
支援
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:22:36.57 ID:INa47DcAO
浮気はダメだよ
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:22:52.15 ID:brm38Zxm0
支援
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:22:56.28 ID:EoBfNhc4O
支援
161 :
代理:2007/10/06(土) 00:22:58.89 ID:5Wxb+3Da0
(;゚∀゚) 「……」
从;'−'从「……」
(;゚∀゚)b「……」
从;'−'从「……」
d(;゚∀゚)b「……」
从;'−'从「手、洗ってきますね」
d(;゚∀゚)b 「……なんかショックだ」
162 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 00:23:22.98 ID:kvvVXkm+0
どこのエロラブコメだwwww
支援
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:23:59.72 ID:7Do+vJNWO
支援
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:24:34.05 ID:EoBfNhc4O
支援
165 :
代理:2007/10/06(土) 00:24:44.74 ID:5Wxb+3Da0
キュッと、音を立てて蛇口を閉めた。
从;'−'从「はぁ――……」
ついでに顔も洗う。じゃばじゃばじゃばーと。ハンカチで顔を拭いて、寝癖のついた髪をなおした。
( ゚∀゚)「おう、ずいぶん長かったな」
从'ー'从「……誰かさんのせいでね」
(;゚∀゚) 「俺のせいじゃないんだぜ……」
从'ー'从「まぁいいや。みんなはまだ寝てる?」
( ゚∀゚)「おお。ぐーぐー寝てんぜ。まだ寝かしておいてやろーぜ。退室の時間まで、まだ一時間とちょっとある」
从'ー'从「そうだね。……あたしは、もう眠れそうにないや……」
(;゚∀゚) 「含みのある言い方すんなおい。ま、まぁいいや。ちょっと、そとに出てみようぜ」
从'ー'从「うん」
壁にかかる時計で時間を確認した。朝の五時だ。ちょっと、おなかがすいた。
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:24:59.32 ID:INa47DcAO
ふにゃで良かったね
167 :
代理:2007/10/06(土) 00:25:52.68 ID:5Wxb+3Da0
( ゚∀゚)「まだ日はでてねぇな」
从'ー'从「ほんとだ。まだ暗い」
少し寒い。長岡くんは煙草を取り出して火をつけた。煙草のにおいが、風に乗って運ばれてくる。
( ゚∀゚)「少し、走ってみようか」
マジェスティのシートの下から、昨日と同じようにヘルメットを取り出した。投げられたヘルメットを、あたしは受け取る。
从'ー'从「どこまでいくの?」
( ゚∀゚)「寝起きのお日様でも見に行こうぜ」
エンジンを暖機させながら、長岡くんは吸い終わった煙草を投げ捨てた。完全に消えてない煙が、朝の風に吹かれた。
从'ー'从「捨てちゃまずいんじゃないの?」
( ゚∀゚)「いや、もういいさ」
にやりと笑い、そして言う。
( ゚∀゚)「もともと、反乱でも起こそうって思ってたくらいだからな」
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:27:12.78 ID:7Do+vJNWO
支援
169 :
代理:2007/10/06(土) 00:28:06.20 ID:5Wxb+3Da0
冷たい風を感じながら。長岡くんの肩につかまりながら。
長岡くんの運転するマジェスティは、ほとんど車の通っていない道を進んでいく。
( ゚∀゚)「演奏、合わせんの初めてだったけど、結構うまくいったな」
从'ー'从「まぁ、あたしパワーコード使いまくりだけどね。ソロもわかんないところは省いたし」
( ゚∀゚)「ショボンも結構ルート音だけで済ませてたよな」
从'ー'从「長岡くんも、歌詞が飛ぶのはなんとかしたほうが良いと思うよ」
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:28:17.97 ID:EoBfNhc4O
支援
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:29:26.76 ID:7Do+vJNWO
支援
172 :
代理:2007/10/06(土) 00:29:49.82 ID:5Wxb+3Da0
冷たい風を感じながら。長岡くんの肩につかまりながら。
長岡くんの運転するマジェスティは、ほとんど車の通っていない道を進んでいく。
( ゚∀゚)「演奏、合わせんの初めてだったけど、結構うまくいったな」
从'ー'从「まぁ、あたしパワーコード使いまくりだけどね。ソロもわかんないところは省いたし」
( ゚∀゚)「ショボンも結構ルート音だけで済ませてたよな」
从'ー'从「長岡くんも、歌詞が飛ぶのはなんとかしたほうが良いと思うよ」
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:29:51.18 ID:o2azA2/AO
支援
174 :
代理:2007/10/06(土) 00:30:12.20 ID:5Wxb+3Da0
やべ、二重登校スマン
175 :
代理:2007/10/06(土) 00:30:30.73 ID:5Wxb+3Da0
(;゚∀゚) 「あー……判ってんだけどよ、どうしても飛んじまう。まぁ、もしもの時は歌詞なんか捨てて直接言ってやるさ」
从'ー'从「言うって、何を?」
( ゚∀゚)「言いたいことを、だよ」
バイクはさらに加速する。マンションやビルなどの大きい建物はすでになくなり、道は山道になった。日はまだ見えてこないけど、
薄暗かった世界に少しずつ光が差し始めた。
从'ー'从「良い気持ち」
ゆるい風を受けながら、木で囲まれた道を軽快に走っていく。ただそれだけのことなのに、すごく気持ちいい。
耳障りでないエギゾーストノートがまた、快適さを助長する。将来的にはビッグスクーターに乗ろうかな。
( ゚∀゚)「渡辺さんは普段何に乗ってんだ?」
从'ー'从「ん?あたしはビーノ。2stのね。燃費悪いけど、リミッター解除したら70キロちょい出るようになったよ」
( ゚∀゚)「へぇ」
広かった道はどんどん狭くなり、薄暗かった世界はどんどん明るくなってくる。その中を、あたしたちの乗るマジェスティはぐんぐん進んでいく。
( ゚∀゚)「間に合うかどうか、ぎりぎりだな……少し飛ばすぞ、しっかりつかまれよ」
从;'−'从「わっ……ちょっと!」
( ゚∀゚)「あっはっは、悪い悪い。でも、まだまだ飛ばすぜ」
从;'−'从「はわわわわわわ」
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:31:53.40 ID:7Do+vJNWO
支援
177 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:32:23.51 ID:INa47DcAO
从;'ー'从「はわわわわわわ」←はわわわわわわ
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:33:11.71 ID:o2azA2/AO
支援
179 :
代理:2007/10/06(土) 00:33:12.85 ID:5Wxb+3Da0
当然だけど、あたしの原付なんかとは比べ物にならないその速度。70キロ以上の速度を、あたしは単車で経験したことはない。
自分がハンドルを握れないバイクの後ろは、なんだかジェットコースターみたいで、思わず目を閉じてしまった。
あたしが目を閉じた、その瞬間。
从;´ー'从「あれ?」
急に世界が開けた。まぶたの裏が、急に明るくなった。
( ゚∀゚)「っと、ここだ」
バイクが止まる。長岡くんはヘルメットをとって、ペタンコになった髪を、しゃかしゃかと指で直した。
( ゚∀゚)「着いたよ。なんとか間に合ったな」
从;'−'从「……ここは?」
アスファルトの上。ゆるい左カーブの道の上に、バイクは止まっていた。ウインカーがちかちかと点滅し、エンジンはアイドリング状態だった。
( ゚∀゚)「ほら」
差し出された手をつかむ。長岡くんに手を引かれて、あたしはバイクを降りた。
从;'−'从「っと……」
( ゚∀゚)「大丈夫か?」
从'ー'从「大丈夫。へーき」
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:34:25.14 ID:EoBfNhc4O
支援
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:34:43.83 ID:o2azA2/AO
支援
182 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:34:58.64 ID:7Do+vJNWO
支援
183 :
代理:2007/10/06(土) 00:35:06.56 ID:5Wxb+3Da0
( ゚∀゚)「ほら、見てみ」
ガードレールの近くまで手を引っ張られる。あたしはヘルメットを取りながら顔を上げた。
そして。
从'ー'从「……あ」
その、視界に飛び込んできた光景に、あたしは言葉を失った。
湖だ。
それも、おそろしく透明度の高い。
ゆらゆらと光る水面は、白い光を放っていた。
( ゚∀゚)「すげーだろ?ラウン湖っていうんだ。透明度はバイカル湖並だぜ」
水平線が見える。まるで海みたいだ。森を切り開いたらしく、水につかる木が水際を作っている。ふわっとした風が、その木々をなでた。
从'ー'从「……きれい」
ガードレールから身を乗り出して、その視界に入るもの全てを目に焼きつけようとする。足元にあった石が蹴られてコロコロと転がり、
ガードレールの下の絶壁を落ちていった。
184 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:36:19.43 ID:7Do+vJNWO
支援
185 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:36:36.48 ID:EoBfNhc4O
支援
186 :
代理:2007/10/06(土) 00:37:06.16 ID:5Wxb+3Da0
( ゚∀゚)「あんまりそっち行くと危ないぜ。……っと、そろそろだな」
从'ー'从「そろそろって?」
( ゚∀゚)「水平線のあたりを見てみ」
言われたとおり、横一直線の水平線を見た。風に吹かれて揺れる湖面には朝霧がかかり、幻想的な雰囲気を作っている。
視界の隅で、白い鳥が群れを作って飛んでいった。
从'ー'从「あ」
水面が、わずかにオレンジ色を帯びてきた。薄暗かった湖面が、だんだんと明るくなってくる。
朝霧のフィルターを通して、反射する水面の光もオレンジに染まっていく。
水につかる木々の緑が日に照らされ、視界の中で存在感を増してくる。そこで、空にひとつも雲が浮かんでいないことに気づいた。
そして、ゆっくりと、太陽が水平線から顔を出し始めた。
( ゚∀゚)「日の出の直後数分は、太陽を直接見ても眩しくない。そして、その色は赤ではなくずっとオレンジに近い」
从'ー'从「ちょっと黙ってて!」
(;゚∀゚) 「はいはい……」
太陽を中心とした幾重にも重なる光の層が、湖面と空に広がっていった。薄暗い陸の世界も、ゆっくりと確実に光を帯びていく。
水平線に残る黒い影は、太陽に近づくにつれて薄くなって、やがては消えていく。
薄い空はオレンジに染まり、太陽から離れるにつれて青みを増していく。
从'ー'从「……ああ」
やばい、これ。綺麗過ぎる。今まで見てきた、どんなものよりも。
187 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:38:26.73 ID:7Do+vJNWO
支援
188 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:39:18.48 ID:GfW5T14k0
支援
189 :
代理:2007/10/06(土) 00:39:34.74 ID:5Wxb+3Da0
( ゚∀゚)「これを見せようと思ってたんだ」
やがて、太陽はその姿の全てをさらけ出した。長岡くんが言うように、凝視しても眩しくない。
そして燃えるような色を放っていた。今まで見たどの太陽にも当てはまらない、そんな色。
( ゚∀゚)「俺もたまにここにくるんだ。これを見ようと思って。いつもは一人なんだけどな」
从'ー'从「すごい……。言葉が見つからない」
( ゚∀゚)「俺も最初はそうだった。……今もそうか。仕事がうまくいかなくても、何もかもをなかったことにしてくれるような。
つらいことも、過去にかえてくれるような……そんな気がするよ」
从'ー'从「……そうだね」
どんな人にも、決まって朝がくるんだ。公平な、均一な朝が。だけど、今日の朝は他の人とは違うと思いたい。いや、違うと思う。
今日、あたしが迎えた朝は、今までに迎えたどんな朝とも違う。
今までで一番、素敵な朝だ。雄大で、幸福な朝だ。そして、これからもう二度と迎えることができないだろう朝だ。
いいね、この感じ。こんな朝を独り占め。……もとい、二人占め?まぁ、いいや。そんなこと。
Today ie the greatest.
今日はこれだ。
从'ー'从「今日は良い日、今までで一番」
( ゚∀゚)「スマッシングパンプキンズか?」
190 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:41:42.12 ID:7Do+vJNWO
支援
191 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 00:42:13.31 ID:kvvVXkm+0
支援
192 :
代理:2007/10/06(土) 00:42:22.59 ID:5Wxb+3Da0
从'ー'从「せーかい。よくわかったね」
( ゚∀゚)「昨日も言ってたじゃん。そりゃ、わかるよな」
从'ー'从「えへへへ」
( ゚∀゚)「さて、戻るか。そろそろ行かないと、予定のスタジオの時間切れちゃうだろ」
ヘルメットをかぶりながら、バイクに戻ろうとする長岡くん。あたしは、その背中をTシャツの上から引っ張った。
从'ー'从「待って!」
( ゚∀゚)「もっと見てたい?っつっても、もう数分くらいしかこの状態は続かないぜ」
朝日の光に照らされて、長岡くんはオレンジ色に染まっていた。多分、あたしもそうなんだろうと思いながら、言う。
从'ー'从「うん。あと五分!それだけ!」
( ゚∀゚)「うーん、まぁそのくらいなら。おk、あと五分な」
从'ー'从「ありがと!」
再び太陽とのにらめっこに入る。これも、あともって数分だけ。
今しか見れないこの太陽を、あたしは目にしっかりと焼き付ける。
193 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:43:17.33 ID:7Do+vJNWO
支援
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:43:59.30 ID:EoBfNhc4O
支援
195 :
代理:2007/10/06(土) 00:44:38.24 ID:5Wxb+3Da0
Today is the greatest. The day I`ve ever known.
今日は良い日だ。
それも、知りうる限りでは、一番の。
196 :
代理:2007/10/06(土) 00:45:44.85 ID:5Wxb+3Da0
………
……
…
時刻は夕方。六時ごろ。
先ほど太陽が月とバトンタッチした。バトンをもらった月は、太陽には及ばないものの、柔らか光でふんわりと街を照らす。
その光に照らされる、ヴィップ。異常なほどきれいなまち。
その市街地を、一台のメルセデスが走っていた。運転しているのは見るからに高価そうなスーツを着た男。
車内はエンジン音も聞こえず、ステレオから流れてくるラジオの音だけが響いていた。
と、助手席においてあった携帯電話が鳴った。運転中だというのに、男は臆せずに電話に出る。
(´<_` )「私だ」
『弟者か。俺だ』
(´<_` )「兄者か」
弟者、と呼ばれた男は右折待ちの車に構わず黄色信号で車を直進させた。携帯電話を肩と耳ではさみ、右手でシフトアップする。
『昨日の駅前での件だ。バルケンの報告によると、路上で演奏していたのは男女二人。女のほうのギターは、すぐそばの楽器店で買っていたことが判った』
(´<_` )「ほう。で、おおよその見当はついたのか?」
『店員に聞いたところ、女はしゃべり方が妙な感じだったらしい。のろいというか、とろいというか。
語尾を延ばすというか。それでもしっかりと値切っていったらしいがな』
(´<_` )「この街の住民か?」
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:45:53.28 ID:7Do+vJNWO
支援
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:46:13.39 ID:7Do+vJNWO
支援
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:46:15.64 ID:EoBfNhc4O
ようです
200 :
代理:2007/10/06(土) 00:47:06.18 ID:5Wxb+3Da0
『見たことはないと言っていた。常連ではないらしい。五万……大した金ではないが、そのギターを衝動的に買っていったことになるな』
(´<_` )「それなりに富んだ人物ということか」
『どうなんだろうな。まぁ、女のほうはつまるところ謎だ。で、だ。問題はここだ』
(´<_` )「どうした」
『一緒に演奏していた、男のほう。バルケンの報告では、ジョルジュではないかということだ』
(´<_` )「ジョルジュだと?あの、落ちこぼれか?」
『ああ。まぁ、あの男は確かに何度か路上で歌っているところを発見されている。まぁ、まったく騒がれていなかったから無視していたが』
(´<_` )「それが間違いないなら、あの男は」
『そうだ。処罰の対象だ。まだ、確信が得られたわけではないが。最近、妙な動きもしていたしな』
(´<_` )「……そうなのか?」
『謀反の疑いあり、か?まぁ、あんな落ちこぼれが反乱を起こしたところで、何にもならないがな』
(´<_` )「まさに明智光秀だな」
『おいおい。あいつが明智光秀じゃあ、俺たちは討ち取られちまうぞ?その天下も11日でおわったが』
(´<_` )「はっは。そうだったな」
『まぁ、お前はとにかく現場に向かってくれ。新騒音条例に反する連中を野放しにすることはできない。もし、今日、見つけたら……判ってるな?』
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:47:32.93 ID:7Do+vJNWO
支援
202 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 00:49:02.30 ID:kvvVXkm+0
流石兄弟北
支援
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:49:34.96 ID:EoBfNhc4O
支援
204 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:49:44.01 ID:7Do+vJNWO
支援
205 :
代理:2007/10/06(土) 00:49:57.32 ID:5Wxb+3Da0
(´<_` )「ああ」
『よし、安心した。頼んだぞ。俺はカウントダウンの準備がある。じゃあな』
(´<_` )「ああ」
通話の切れた携帯電話を助手席に置く。弟者はステアリングを両手で握り、運転に集中する。
巨大なマンションの立ち並ぶヒルズを抜け、ウォルマートとエッソの通りを抜ける。
1リットル140円と書かれたプレートを見て舌打ちをして、前を走っていた黒のバイクをパスした。
半ば強引に追い抜いたので、急ブレーキをかけるバイクをミラーで確認できた。
(´<_` )「(バイク程度で、この俺の前を走れると思うな、愚民ども)」
駅前へ。悠々とメルセデスを走らせる。
ヴィップ駅、と大きく書かれた駅ビルが見える。地上十二階の娯楽施設が隣接するその駅は、ここ数年でずいぶんと利用客数が増えた。
CPの美化政策が効いているのだろうか、今では他市の職員からも美化の参考として訪れられることすらがある。
(´<_` )「(まぁ……まさかカウントダウンまで真似できるとは思えないがな)」
ウインカーを出して、メルセデスを路肩に停めた。エンジンを切って車外に出る。夕方の、涼しい風が弟者の体を通り抜けた。
上着のポケットから煙草を取り出す。キャビンの赤い箱が、黒のスーツに映える。
(´<_` )「(マルボロアイスミントは買うべきじゃなかったな……。やはり俺はキャビンだ)」
一息すって、大きく白い煙を吐いた。さっきまで路上で散々なことをやっていた割りに、手には携帯灰皿を持っているあたり、なんだか滑稽に見える。
(´<_` )「(昨日現れたのはこのあたりの時間……。もし今日も現れるならこの時間だろう)」
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:50:36.35 ID:7Do+vJNWO
支援
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:50:55.07 ID:1AQFBemr0
C
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:51:21.73 ID:V7FLY4qKO
支援
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:52:00.71 ID:7Do+vJNWO
支援
210 :
代理:2007/10/06(土) 00:52:11.61 ID:5Wxb+3Da0
煙草片手に、鋭い目つきで駅前全体を見渡す。ふと、ゲームセンターの前でたむろしているDQN風の高校生が視界に入ったので、
レベル2の駆除を電話で指示した。
(´<_` )「(それ以外に、該当なし……か)」
夕方のこの時間。家路を急ぐサラリーマンや、部活帰りの学生、買い物へ向かう主婦。それぞれが別々の目的を持って、この街を歩いている。
(´<_` )「(ジョルジュも馬鹿じゃない。仮にも元候補生だからな。二日連続で路上演奏なんてやれば、我々に見つかることは判っているんだろう)」
二本目の煙草に火をつけ、これを吸い終わったら戻ろう、と弟者は決めた。
キャビンの苦い煙が、風に吹かれて空に消えていった。
弟者は車を走らせて帰っていった。
そのため、駅前に止まったトラックの陰から、ずっとこちらを見ている6人に気づくことはなかった。
………
……
…
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:52:19.55 ID:EoBfNhc4O
支援
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:53:37.45 ID:7Do+vJNWO
支援
213 :
代理:2007/10/06(土) 00:54:17.53 ID:5Wxb+3Da0
(;゚∀゚) 「行ったか?」
(炎^ω^)「おっおっ。もう行ったお」
(;゚∀゚) 「ふぅ……よかった」
(´・ω・`)「あのメルセデスがどうかしたのかい?」
(;゚∀゚) 「いや、なぁ、ドクオ?」
(;'A`)「ええ」
从'ー'从「ま、いいじゃん。これで居なくなったんだし」
( ゚∀゚)「そうだな……。これからが本番だ」
トラックの陰に身を潜めて、あたしたち5人は顔を見合わせてにんまりと笑った。運転席からクーちゃんが降りてきて、言った。
川 ゚ -゚)「じゃあ、手はずどおりやろうか」
('A`)「おk。サブは任せろ」
(炎^ω^)「おっおっ。僕もおkだお」
川 ゚ -゚)「じゃあ、ステージ側。準備はいいか?」
(´・ω・`)「おkさ」
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:55:10.48 ID:7Do+vJNWO
支援
215 :
代理:2007/10/06(土) 00:56:14.39 ID:5Wxb+3Da0
从'ー'从「だいじょーぶだよ」
( ゚∀゚)「おk。いつでもいけるさ」
川 ゚ -゚)「私もおkだ。よし……」
全部で三曲。昨日の今日で、準備できたんだからたいしたもんだ。スコアなんかもないから、みんながもともと知ってる曲から選んだ。
長岡くんが選んだ曲が一曲、あたしが選んだ曲が一曲。あとはショボンくんとクーちゃんが相談して選んだ曲が一曲。
( ゚∀゚)「こんな短い時間でやったんだ。駄目なら駄目でもともとさ。とにかく、がんばろうぜ」
長岡くんの言葉に、全員がおう、と答える。緊張と、期待が入り混じった、居ても立ってもいなくなるような、その感覚。
武者震い。足が落ち着かない。ぶるぶると体が震える。
从'ー'从「じゃあ、いこ」
不安を押し隠すように、あたしは言った。ポールリードスミスを、しっかりと握り締めて。
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:56:22.04 ID:7Do+vJNWO
支援
217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:57:31.73 ID:7Do+vJNWO
支援
218 :
代理:2007/10/06(土) 00:58:06.46 ID:5Wxb+3Da0
今回の為に、まずあたしたちは一台のトラックを準備した。大型の、荷台の側面が開くタイプ。これはステージのかわりにするためだ。
アンプは、スタジオのマーシャルをリースした。結構お金が要ったけど、あれだ、こんなのあとでどうにでもなる。
そうこうして、一通りライブのセッティングは完了した。一度、人気のない山奥まで行って音を出してみたけど、風がない限り大丈夫だった。
从'ー'从「(今、風は、大丈夫……)」
音が流されることはない。トラックの天井にセットした赤灯が、あたしを照らして、ギターを照らして、エフェクターを照らして、内側の壁に消えた。
( ゚∀゚)「テストテスト。音あってるかどうか確かめようぜ」
(´・ω・`)「じゃあ、Aコードで」
从'ー'从「りょーかい。……って、長岡くんなんか違くない?」
(;゚∀゚) 「ありゃ」
(´・ω・`)「熱で狂ったんだね。そこも計算に入れてチューニングしないと」
(;゚∀゚) 「スマンカッタ」
('A`)「うぃーっす。もう開けても大丈夫ですかい?」
(;゚∀゚) 「あーちょっと待て!……っと、これで合ってるか?」
从'ー'从「えっと。うん、合ってる合ってる。ドクオくん、おkだよ」
('A`)「りょーかい。じゃあ、今開けるよ」
从'ー'从「(緊張してきた……)」
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 00:58:56.84 ID:7Do+vJNWO
支援
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:00:09.27 ID:EoBfNhc4O
支援
221 :
代理:2007/10/06(土) 01:00:24.16 ID:5Wxb+3Da0
先に酒でも飲んでおけばよかったかな。なんて、後悔ともいえないような後悔が頭をよぎる。
あたしは酔っ払って失敗とかしたことないけど。
なんとなく、そんな気分だった。
('A`)「開けたらびっくり、なんと10万人の観客が!……なんてことはありえないからな、ただの駅前でやる路上演奏と変わらないんだからな」
( ゚∀゚)「ずいぶん迷惑な音量でやるけどな」
川 ゚ -゚)「その自己中っぷりが良いんじゃないか」
从'ー'从「ははっ、そうだね〜」
緊張はしていても、リラックスを忘れないで。まぁ、あたしたちを見るためだけにここに来てる人なんていないんだ。
単なる自己満足。ただ楽しんで、やればいい。
さ、がんばろう。
目の前の壁が、音を立てて開いていった。夜の街の明るさが、あたしたちを映し出す。
視線を感じた。道行く人が、みんなこちらを見てくる。信号待ちのドライバーも、いきなり現れた変なステージにびっくりしてるみたいだ。
从'ー'从「(まーあ、当然の反応だろうね……)」
どうでもいいか、そんなこと。さあ、皆様聴いてみて下さいな。ついでに、CP?の方たちも。
これはもとから、あなたたちに喧嘩を仕掛けるためのライブなんですから。
足を止めてくれなくても、この音量なら耳に届くはず。まったく、迷惑極まりないだろうね。
( ゚∀゚)「俺イズヒア―――――!!!」
川 ゚ -゚)「おらおらおらっ!」
222 :
代理:2007/10/06(土) 01:03:02.50 ID:5Wxb+3Da0
長岡くんのイミフなシャウトに、クーがクラッシュシンバルでこたえる。その姿に、思わず笑みがこぼれた。あたしも、スケールを無意味に速弾きしてみる。
从'ー'从「(さ、いくよ)」
スティックが刻むリズムに合わせて、あたしは思いっきり弦をピックで引っかいた。
最初の曲は、THE HIGH-LOWS、『胸がドキドキ』。
223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:03:15.62 ID:7Do+vJNWO
支援
224 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:03:22.62 ID:EoBfNhc4O
支援
225 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:04:46.95 ID:7Do+vJNWO
支援
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:04:57.62 ID:EoBfNhc4O
バー…ロー…?
227 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 01:05:15.60 ID:kvvVXkm+0
バーロー支援
228 :
代理:2007/10/06(土) 01:05:38.27 ID:5Wxb+3Da0
(´・ω・`)「その4」
『胸がドキドキ』を選んだのはクーちゃんとショボンくんだ。なんといっても、この曲は初代バーロー。とりあえず、初代バーロー。初代バーロー。バーwwwローwww
CD音源で聴くと、甲本ヒロトの声がかなり若い。ちなみに、この曲は『ハイロウズ』としてははじめてのヒット曲だった。
川 ゚ -゚)「ていっ!」
( ゚∀゚)「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」
駆け上がっていくようなその音に、通行人は例外なく足を止めた。あたしの弾くギターに、長岡くんの声に。ショボンくんのベースに、クーちゃんのドラムに。
厚みのあるリフと、聴きやすいメロディ。そしてメッセージ性の強い歌詞。
あたしはバー……のOPでこの曲を知った。当時、小学生の高学年くらいだった気がする。本編はあんまり興味なかったけど、この曲だけは欠かさず聴いていた。
懐かしさゆえか、もしくは別の理由か。通行人は、足を止めて、こっちを見てくれた。
从;'−'从「(駄目だ……)」
でも、それだけだった。ライブハウスじゃないから仕方がないかもしれないけど、手拍子とか、そういうのは一切なし。それどころか、その場を立ち去る人も居る。
見てくれてる人だって、ただその場に立って、こちらを見ているだけ。
从;'−'从「……」
それでも、一人でも多くの人に見て、聴いてもらえるように、あたしは必死でギターを弾く。ピックが何度も飛びそうになった。
229 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:06:13.47 ID:7Do+vJNWO
支援
230 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:07:17.29 ID:brm38Zxm0
バーローしか言ってねぇwwwww
231 :
代理:2007/10/06(土) 01:07:51.58 ID:5Wxb+3Da0
(;゚∀゚)「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」
ここから見ても判るくらいの、長岡くんの汗。原因は多分、暑さだけじゃないのだろう。
ひしひしと伝わってくる、長岡くんの焦りの感情。単なる自己満足では終わらせられない、そんな気概が、その体の周りに渦巻いている。
从;'−'从「(大丈夫、まだ……)」
がんばれ、あたしのギター。あとで払い戻しなんて絶対しないから、お願い。
(;゚∀゚) 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」
从;'−'从「(お願い、誰か……)」
虚しく響く、その声。絶対、昨日よりも良い声なのに。
……曲が終わった。手ごたえなんて、当然だけど、ひとつもなかった。
見てくれた人の中には、拍手を送ってくれてた人もいたけど、それでも昨日いた人数ほども居ない。
从;'−'从「(まぁ、10、15ってとこかな……)」
浮かれていたのかも知れない。昨日が、あんまりうまくいったから。やっぱり、これが現実なのかもしれない。
(;´・ω・`)「……仕方ないね」
何が仕方ないんだ、と言い返せない。
232 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:08:48.05 ID:7Do+vJNWO
支援
233 :
代理:2007/10/06(土) 01:09:11.23 ID:5Wxb+3Da0
――あれ、なに?
――しらね。うるさいからマジやめてほしいんだけど。
――今の曲何?あれ、全員で厨二病?wwww
――バーwwwwローwwww
从;'−'从「……」
(;´・ω・`)「しょうがない、あきらめよう。これじゃあ、いくらやったって無駄だよ。ドクオに、閉めてもらうように……」
撤退。頭の中に、そんな二文字が浮かんだ。
(;´・ω・`)「ドクオ、聞こえるか、聞こえるなら――」
川 ゚ -゚)「ちょっと待ってくれ」
(;´・ω・`)「?」
狼狽するショボンくんをよそに、クーが立ち上がった。つかつかとステージを歩いていって、長岡くんの隣に仁王立ちする。
川 ゚ -゚)「ジョルジュ、マイク、借りるぞ」
234 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:10:43.62 ID:7Do+vJNWO
支援
235 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:11:11.06 ID:EoBfNhc4O
支援
236 :
代理:2007/10/06(土) 01:11:42.07 ID:5Wxb+3Da0
(;゚∀゚) 「?」
長岡くんを押しのけて、クーはマイクの前に立った。
オーディエンスの目が、クーに集まる。クーは、その全てを嘗め回すように見て、言った。
川 ゚ -゚)「おまえら、かっこ悪いぞ」
一瞬の静寂。
237 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:12:19.21 ID:7Do+vJNWO
支援
238 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:14:15.77 ID:EoBfNhc4O
支援
流石リーダー
239 :
代理:2007/10/06(土) 01:14:40.64 ID:5Wxb+3Da0
川 ゚ -゚)「そうさな。かっこいいものに対するお前らの嫉妬、それこそが厨二病だ。私たちは、そうだ。ある意味では、パイオニア、先駆者、そんなもんだ。
この、くっだらない考えに縛られた、堅苦しい街に対する反抗のな」
「何をいっとんじゃ、お前は!」
外からの叫び声。声のしたほうに、目を向ける。
(#,'3 )「くだらないとは何事じゃ!この街を馬鹿にするな!どんな街よりも清潔で、美しい街じゃ!それを、なんじゃ、貴様は……」
从;'−'从「(あ、昨日、最後邪魔してくれた爺さんだ……)」
川 ゚ -゚)「黙れ、とっとと那由多の果てに帰れ」
(#,'3 )「なにを……!CPの老人会の、わしにむかって―――!ジョルジュ!貴様、何をやっているのかわかっているのか?!
お前の行いは、新騒音条例に著しく反する!厳罰だぞ!判ってるのか!?」
川 ゚ -゚)「黙れといっただろう、貴様が何者だかはわからないが、貴様ごときに、ジョルジュを悪く言う権利はない」
(#,'3 )「なに……!」
川 ゚ -゚)「本当に街のことを思うのなら」
スティックでお爺さんを指した。クーは毅然とした態度で、さらに言う。
川 ゚ -゚)「この狂った街から、人を開放してやろうと思うのが普通じゃないか?」
240 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 01:15:49.69 ID:kvvVXkm+0
支援
241 :
代理:2007/10/06(土) 01:16:26.54 ID:5Wxb+3Da0
(#,'3 )「……」
川 ゚ -゚)「こんな行いが御法度。そんなこと、この街を見れば判る。お前らにとっては、いま私たちがやってることは一級品の犯罪なんだろうな」
おじいさんはしゃべらない。その、周りのオーディエンスも。みんな黙って、クーの言葉に耳を傾ける。
川 ゚ -゚)「この街はおかしい。そんなことに、どうして誰も気づかない。いや、気づいている者もいる。ただ、行動に移さないだけだ。
どこの組合だかわからないが……CP?と言ったか?……まぁ、名前なんてどうでもいい。そんな連中の影におびえて、何もできていない。
心のどこかでは、この街はおかしいと思っている。だけど、わが身可愛さに結局何もしない。事なかれ主義もここに極まりだ。
蜂起なくして革命はありえない。何もしなければ、状況は変わらない」
(#,'3 )「……何が言いたいんじゃ」
川 ゚ -゚)「ジョルジュは、誰もできなかったことをやったんだ」
長岡くんの手を、クーは持ち上げる。
川 ゚ -゚)「いいか!お前ら!こいつはジョルジュ!人呼んでジョルジュ!私が呼んでもジョルジュ!
何故か渡辺だけが長岡というが……まぁKYだ!
こいつは……偉くもないし、立派でもない!
だけど、あしたからこいつは……そうだな、ポイ捨てでも、なんでもするぞ!そんで、ごみ屋敷に住むぞ!車に乗れば、ペンキを垂れ流して走るぞ!
そんなファンキーなやつだ!」
マイクがハウリングするほどの声で、クーは言った。両手を大きく開いて、open arms。まるで教祖だね。
あたりは水を打ったかのようにすっかり静かになってしまった。……なんか気まずい。さっきから、何故か苦笑いがとまらない。
川 ゚ -゚)「……む」
む、じゃねぇよ、もう。
242 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:16:56.42 ID:7Do+vJNWO
支援
243 :
代理:2007/10/06(土) 01:18:08.19 ID:5Wxb+3Da0
そのときだった。まったく何も言わなかったオーディエンスが、応えた。
「良いおっ!もっとやるお!お前らの曲、もっと聴かせろお!」
トラックのすぐ近く。聞いたことのある、その声。
(炎^ω^)「もっとやれ―――俺もこの街には飽き飽きしてたんだおっ!」
(#,'3 )「何を言っておるんじゃ、お前は……」
(炎^ω^)「じじいは黙れお」
(#,'3 )「……な」
内藤くんだ。オーディエンスにまぎれて。何が飽き飽きだ。この街にはまだ、一日しかいないくせに。
(炎^ω^)「まさかそれだけで終わりじゃないおね?!俺は聴いてやるお!さっさとやるお!」
パチパチと、手をたたく。内藤くんの拍手が響く。
(炎^ω^)「何やってるんだお!!みんなで聴くお!ジョルジュの歌をだお!」
ほんと、幼稚な扇動。そんなんじゃ、サクラはできないよ。まったく。
でも、キッカケとしては十分だった。パチパチと、内藤くんに続いて拍手が鳴る。最初は小さかった。だけど、どんどん大きくなってくる。
244 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:18:35.61 ID:7Do+vJNWO
支援
245 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:19:17.59 ID:EoBfNhc4O
支援
246 :
代理:2007/10/06(土) 01:19:38.64 ID:5Wxb+3Da0
――ち、しょうがねぇなぁ。拍手してやんよ。
――ツンデレ乙www
――ねーねー次の曲は――?
ゆっくりと、でも確実に、拍手の数は増えていく。一人、二人、三人……。
50人を超えたあたりから、あたしは数えることをあきらめた。
歩いている人から。車の中から。店の窓から。マンションのベランダから。駅のホームから。
拍手の音は、響いていくる。
(;,'3 )「な……な……」
狼狽するお爺さんを押しのけて、みんながステージの前に集まってくる。
道なんて関係ない!乗り捨てられた車のせいで、もう交通はまともに動いてないんだから。
247 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:19:54.20 ID:brm38Zxm0
支援
248 :
代理:2007/10/06(土) 01:22:15.58 ID:5Wxb+3Da0
――実は俺さっきの曲、結構好きだったんだ……
――何その死亡フラグみたいな言い方。
――確かにwww俺死ぬかもww
あっという間に囲まれた。前の方大丈夫かな……?圧死とかしないよね。
(´・ω・`)「……」
(;゚∀゚) 「……」
川 ゚ -゚)「おー、いいねぇ、お前ら!じゃあ、最高にファンキーなお前らに、最高にファンキーなあたしたちが最高にファンキーな曲をお送りするぜ!」
ちらりと、クーがこっちを見た。
川 ゚ -゚)「いや、もとい。ファンキーではないかもしれない……でもまぁ聴けってんだよ!」
クーが長岡くんにマイクを返した。それを受け取った長岡くんは、大きく息を吸い込んで、言った。
( ゚∀゚)「『世界の終わり』!!!!!!!」
249 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:22:36.37 ID:EoBfNhc4O
支援
250 :
代理:2007/10/06(土) 01:23:19.86 ID:5Wxb+3Da0
超高速ストロークで始まる、スピード感のある曲。この曲は、そういう曲だった。
必死で手を動かす。Thee Michelle Gun Elephant―世界の終わり。ミッシェルのデビュー曲。
ピックが飛ばないように気をつけながら、豪快にも丁寧にピッキングする。この曲は、あたしのギターリフから始まる。
从'ー'从「(クーがこっちを見てきたのはそのためか……)」
あたしのギターをショボンくんのベースが支える。その下で、クーのドラムが全ての土台を作る。おかげで、爆音で疾走しながらも踏み外すことはない。
(;゚∀゚) 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」
その上で、汗を振り撒いてギターを弾きながら、長岡くんは歌う。マイクに向かって、叫ぶ。
从'ー'从「……」
叙情的だけど、ストレートさを失わないメロディ。散文詩的で、哀愁のある歌詞。
(;゚∀゚) 「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!!!」
『パンを焼きながら、待ち焦がれている。やがて来るときを、待ち焦がれている』
从'ー'从「(確かに、そうだったんだろうね)」
ずっと、こんなときを待ってたんだろうね、長岡くん。自分が一人じゃないって、思わせてくれる、こんな状況を。
从'ー'从「あ!」
オーディエンスの一人が、他の人の上に乗って……ダイブだ!下、アスファルトだよ!
251 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:23:37.36 ID:7Do+vJNWO
支援
252 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 01:23:40.94 ID:kvvVXkm+0
支援
253 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:24:32.37 ID:o2azA2/AO
支援
254 :
代理:2007/10/06(土) 01:24:35.18 ID:5Wxb+3Da0
(´・ω・`)「……!!!」
ショボンくんが、長岡くんを煽るようにベースを弾いている。ヘッドを振り回して。なんか、イメージ変わっちゃうじゃない。
川 ゚ -゚)「おららららららららららららっらららrっらららっららっ!!!」
後ろでは、変な掛け声とともにクーがドラムをたたいている。よくそんなんでリズムを失わないね。
从'ー'从「……!」
あたしの出番だ。長い長い間奏の、ギターソロ。みんなの視線が、あたしに集まる。
从'ー'从「(……大丈夫)」
ミスったりはしない。今までに何度も弾いたソロだ。モナーくんに何度も教わったソロだ。
从'ー'从「(……それ!)」
ステージの端まで行って、ギターを掲げてみる。オーディエンスが、それにこたえてくれる。
丁寧にピッキングをする。ミュートも忘れずに。せっかくの見せ場を、台無しにしないように。
そして、最後のサビだ。
(;゚∀゚) 「……」
あたしのソロを聴きながら、リズムを取る長岡くん。最後は、任せたよ。横目で長岡くんを見ながら、あたしはソロを弾ききった。
さぁ。
世界の終わりは、そこで待ってるよ。
255 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:24:41.44 ID:7Do+vJNWO
支援
256 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:24:58.46 ID:EoBfNhc4O
支援
257 :
代理:2007/10/06(土) 01:25:21.37 ID:5Wxb+3Da0
(;゚∀゚) 「……あ」
从;'−'从「!」
(;´・ω・`)「!」
川 ゚ -゚)「…らららっ……ら?」
マイクで拾ってしまった。長岡くんの声。
ばっか……あれだけ言ったのに。
歌詞、飛ばしやがった。
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:25:46.93 ID:7Do+vJNWO
支援
259 :
代理:2007/10/06(土) 01:26:37.57 ID:5Wxb+3Da0
(;゚∀゚) 「あー、あー、いーや、もう!直接全部言ってやる!俺の言いたいこと、全部だ!」
マイクに向かって……もとい……オーディエンス……もとい……そうだ、この街に向かって!長岡くんは叫んだ。
(;゚∀゚) 「クーにほとんど言われちまったけど、そうさ!この街はおかしい!それはお前らもわかってんだろ!
なんでこんなにゴミ箱があるのか、なんであれだけ居た不良がいなくなったのか。なんで、こんなに綺麗なのか。
こんなところ、人が住んでる街じゃない!俺たちは、ジオラマに住んでるんじゃないんだ!
街、『まち』に住んでんだ!多種多様な顔をもつはずの、『まち』に住んでるんだ!俺たちは人形じゃねぇんだ!
なんで、一人のエゴのために、こんな街に住まなきゃいけないんだ。街は、そこに住んでる全員分、別々の顔を持ってるんだ!
一元的じゃない!全員分、存在するんだ!」
ギターをかき鳴らして、長岡くんは叫ぶ。同時に長岡くんのギターだけ、どんどん走っていく。
从'ー'从「(……クー!)」
川 ゚ -゚)「せいっ!」
長岡くんのギターに、ドラムが追いついた。かなり早い。早すぎるペースだ。だけど、不思議と手は疲れない。まだまだ、追いついていける。
(;゚∀゚) 「俺は認めねぇ!絶対、認めねぇぞ!街は、一人のためのものじゃない!みんなのもんだ!
そんなことも判らないようじゃあ、誰もついてこないぞ!!兄者、弟者!聴いてんだろ!」
もう演奏なんてぐっちゃぐちゃだった。でも、それでも確かに、グルーヴはそこに存在していた。
今までに感じたことがないほどの一体感。他の人と、同じ時間を共有している感じ。ステージの上の仲間と。ステージの下の、見てくれてるひとたちと。
260 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:26:53.10 ID:EoBfNhc4O
支援
261 :
代理:2007/10/06(土) 01:27:43.74 ID:5Wxb+3Da0
(;゚∀゚) 「俺は確かに落ちこぼれだ!でも、これだけは判る。お前たちのやってることは、単なるエゴだ!正しさなんて、微塵もない!
俺が生きてるうちは、絶対、認めねぇからな!全てのラウンドで負けたとしても……俺はしっかりと立って!俺が信じる道をいくからな!
そんだけだ!……言いたいこと、以上!!」
言い切った直後に湧き上がる歓声。長岡くんは、大きく右手を突き出した。こら、バッキングサボるな。
一面に広がる人から、送られてくる拍手、歓声、叫び。そしてダイブ。
視界の中にあるのは、それだけだった。
終奏。
最後のワンストロークが惜しくて、みんなで引き伸ばして、引き伸ばして、三人で、クラッシュシンバルとともに飛んだ。着地と同時に、終わる演奏。
……曲が、終わった。
(;゚∀゚)「……次で、ラストです」
響き渡る拍手の中、長岡くんは静かに言った。後ろを向いて、全員の顔を見た。
262 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:27:52.97 ID:7Do+vJNWO
支援
263 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:28:15.41 ID:EoBfNhc4O
支援
264 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:29:14.32 ID:EoBfNhc4O
支援
265 :
代理:2007/10/06(土) 01:29:25.90 ID:5Wxb+3Da0
从'ー'从「……」
(´・ω・`)「……」
川 ゚ -゚)「……」
(;゚∀゚) 「……ラストだぜ」
あたしたちが最後の曲として選んだのは、『champagne supernova』。oasisの、セカンドアルバムラストを飾る曲。
CDの演奏時間は実に7分27秒に及ぶ。大作だ。
最初にやった二曲と比べると明らかにクールダウンな曲だけど。それもいいよねってことで、あたしが選んだ。
これが終われば。もうこの街ともお別れ。長岡くんとも、そうだ。
(;゚∀゚) 「がんばろうぜ」
从'ー'从「……うん」
カチカチと響くクーのスティックの音。
この曲が終われば。
次の世界に行くんだ。
そして今、気づいた。長岡くんは、それを見越して、『世界の終わり』を選んだんだ。
从'ー'从「……」
これでラスト。『champagne supernova』。
266 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:29:30.40 ID:7Do+vJNWO
支援
267 :
代理:2007/10/06(土) 01:31:12.56 ID:5Wxb+3Da0
アコースティックのギターの上に、エレキが重なる。長岡くんのギターの上に、あたしのギターが。
从'ー'从「……あれれ?」
そのはずだったんだけど。
从;'−'从「ちょっと!長岡くん!」
マイクの前の長岡くんを大声で呼ぶ。
从;'−'从「曲が違うよ!」
違う、このイントロは、『champagne supernova』じゃない。そうだ、この曲は。
从;'−'从「これは、『today』だよ!」
( ゚∀゚)「そうだよ」
こっちを見て、長岡くんは言った。さも、当然のように。
从;'−'从「何言ってるのさ!最後の曲はシャンペンだって、決めたじゃない!」
( ゚∀゚)「そうだけど。気が変わったんだ」
从;'−'从「気が変わったって……ショボンくん!」
268 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:31:23.28 ID:7Do+vJNWO
支援
269 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:31:46.02 ID:EoBfNhc4O
支援
270 :
代理:2007/10/06(土) 01:32:01.14 ID:5Wxb+3Da0
(´・ω・`)「あれ、僕も『today』だと思ってたけど」
川 ゚ -゚)「ちなみにっ、わたしも」
グルかよ。こいつらまで。
( ゚∀゚)「ほら、渡辺さん。ここまで来て」
(´・ω・`)「さ」
从;'−'从「なな……」
ショボンくんに後ろを押されて、マイクの前へ連れて行かれる。視線を、感じる。
从;'−'从「ちょ……あたしが!?」
あたしが、このマイクで、この観客の前で、歌えって?!
( ゚∀゚)「そうさ」
ギターを弾く手を止めずに、長岡くんは言う。
( ゚∀゚)「だって、俺、スマパンはわからないもーん」
从;'−'从「今めっちゃ弾いてるじゃんか!」
( ゚∀゚)「まぁ硬いことは言うなよ」
選手交代、みたいに、長岡くんはあたしの元居た場所へ。あたしはマイクの前に取り残される。
271 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:33:03.00 ID:7Do+vJNWO
支援
272 :
代理:2007/10/06(土) 01:33:38.56 ID:5Wxb+3Da0
从;'−'从「……ちょっと」
見えるのは、人、人、人。みんなあたしを見て、みんなあたしを待っている。
(炎^ω^)「うはwwwwボーカルおにゃのこだおwww」
内藤くんにつられて、他の男の人も騒ぎ始める。あんたは……また。これじゃあ、あたしが歌うしかないじゃない!
从;'−'从「……えっと、あの」
苦し紛れに、ピックを持つ右手を上げてみた。途端、湧き上がる歓声。
从;'−'从「……ははは」
歌うんだ。ここで、あたしは。
覚悟を決めた。そして、叫んだ。
从'ー'从「smashing pumpkins、『today』!」
今日は、いい日だ。それも、今までで一番の。
振り上げたピックを、あたしは思い切り振り下ろした。
273 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 01:33:56.42 ID:kvvVXkm+0
支援
274 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:34:48.36 ID:7Do+vJNWO
支援
275 :
代理:2007/10/06(土) 01:35:01.69 ID:5Wxb+3Da0
从'ー'从( ゚∀゚)「その5!」
叫ぶと同時に鳴り響くクーのドラム。ショボンくんのベース。
The smashing pumpkins、『today』。この曲のイントロは、静かなアルペジオから急に爆音リフに変化する。スマパンのギタリスト、イハのように、長岡くんは爆音でギターをとどろかせる。
あたしはその上で、歌ったよ。みんなが作ってくれたバッキングの上。声が裏返らないように、気をつけながら。
視界を埋め尽くす、人。その全員に届くように、あたしは声を振り絞った。
(;,'3 )「貴様ら、いい加減にせい!」
「邪魔だどけじじい!」
(;,'3 )「うわっ、何をする!やめ……って」
阿倍「やらないか」
(;,'3 )「アッー!」
276 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:35:02.66 ID:EoBfNhc4O
支援
277 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:35:37.61 ID:7Do+vJNWO
支援
278 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:36:15.98 ID:EoBfNhc4O
阿部さんwwwwww
279 :
代理:2007/10/06(土) 01:36:30.78 ID:5Wxb+3Da0
Today is the greatest.Day I've ever known.Can't live for tomorrow,
『今日はいままでで最高の日 明日のためになんか生きられない』
この街には、きっとこんな日はなかったんだろう。模範的な、作り上げられたこの街で、こんなことをするなんて日は。
Tomorrow's much too long.I'll burn my eyes out.Before I get out
『明日はどうしたって長すぎる。ここを出て行く前に、僕の目は焼き尽くされてしまう』
でもきっと、明日からは、同じように、この街は動いていくんだろうな。だから、そう、今日は、今までで一番の日。
汗を撒き散らして、ギターを振り回して。長岡くんは、マイクで拾われることはないけど、あたしと一緒に歌ってくれていた。
必死でギターを弾きながら、あたしも負けないように声を出した。
I wanted more Than life could ever grant me.
『人生が、僕に許してくれる以上のものがほしかったんだ』
長岡くんはきっと、ずっとそう思っていたんだ。落ちこぼれと言われても、役立たずと言われても。
自分は、落ちこぼれじゃない。それだけは、自分で認めるわけにはいかない、と。
だから街に立った。ギターを持って。自分の存在を立証しようと。
280 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:37:05.96 ID:7Do+vJNWO
支援
281 :
代理:2007/10/06(土) 01:37:19.09 ID:5Wxb+3Da0
そしてずっと、信じてた。
信じるものにはいつだって、太陽は輝いてくれるということを。
Bored by the chore Of saving face.
『面目を守るために取り繕うのは、もうたくさんだった』
チャンスは与えられた。この世界にとって、まったくの不確定要素だったあたしたちによって。
あたしたちが居なくなっても、きっと長岡くんはうまくやってくれる。明日からのこの街を、変えてくれる。そうだ!だって今日は。
282 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:37:58.53 ID:7Do+vJNWO
支援
283 :
代理:2007/10/06(土) 01:38:23.12 ID:5Wxb+3Da0
oday is
『今日は』
Today is
『今日は』
从'ー'从「……♪」
( ゚∀゚)b「!」
(´・ω・`)「……!」
d川 ゚ -゚)b「らららららららららららららららららららららっ!」
Today is the greatest day
『今日は、いままでで最高の日』
284 :
訂正:2007/10/06(土) 01:39:05.06 ID:5Wxb+3Da0
Today is
『今日は』
Today is
『今日は』
从'ー'从「……♪」
( ゚∀゚)b「!」
(´・ω・`)「……!」
d川 ゚ -゚)b「らららららららららららららららららららららっ!」
Today is the greatest day
『今日は、いままでで最高の日』
285 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:39:54.00 ID:r7/I1lRs0
286 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:39:55.18 ID:7Do+vJNWO
支援
287 :
代理:2007/10/06(土) 01:40:03.71 ID:5Wxb+3Da0
今まで、知ってる中で、最高の。
そんな日なんだから。
………
……
…
288 :
代理:2007/10/06(土) 01:41:29.08 ID:5Wxb+3Da0
拍手は、いつまでたっても鳴り止まなかった。
視界の全てが、なにもかもが、あたしたちを認めてくれていた。
あたしはPRSをかき鳴らす。これ以上ないほどに、これでもかというくらい。
从;'−'从「……ふぅ」
汗をぬぐいながら、一息ついた。
ここに居た人たちと、共有した、この時間。エネルギー。その満足感、達成感。
言葉にできない。
(;゚∀゚) 「やっぱり、渡辺さん、歌うまいな!俺が思ったとおりだぜ!」
(´・ω・`)「ずいぶん思い切ったことをしたよね」
从'ー'从「ははは」
アンコール、と繰り返すオーディエンスを見て、もう一度手を上げる。再びわきあがる歓声。
从'ー'从「で、どうするの?もう一曲やる?シャンペンならできるよね」
(´・ω・`)「そうだね、ジョルジュ、どうするんだ?」
( ゚∀゚)「ん、ああ」
長岡くんはポケットから煙草を取り出して、火をつける。エコーだ。安っぽいデザインが目印の、安煙草。
289 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 01:42:16.60 ID:kvvVXkm+0
支援
290 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:42:57.65 ID:7Do+vJNWO
支援
291 :
代理:2007/10/06(土) 01:43:25.39 ID:5Wxb+3Da0
( ゚∀゚)「そうしたいのは山々なんだけど、無理だ。もう、あんまり時間がねぇ」
从'ー'从「どうして?」
( ゚∀゚)「ああ」
大きく煙を吸い込んで、一気に吐き出した。白い煙が、あたりに広がって消えていく。
( ゚∀゚)「CPがくる。多分、すぐに。だからお前ら、早くもとの世界に戻りな。とっつかまると、どうなるかわかんねぇ」
(´・ω・`)「戻りなって……ジョルジュはどうするんだい?」
( ゚∀゚)「俺の街はここだからな」
短くなっていく煙草を見ながら、長岡くんは言った。同時に、眼下に広がる人を見渡す。ここが自分の街だと、再確認してるみたいだ。
( ゚∀゚)「……ここも、悪くない街さ」
从'ー'从「……そうだよね」
( ゚∀゚)「でーじょーぶ。CPに未練なんてねぇよ。もう、あそこでの生活は十分すぎた。これを機に、俺も一旗上げてやるさ」
煙草を捨てて、足で踏み消した。つかれた、だけど満足そうな表情で、にっこりと笑って見せてくれる。
从'ー'从「……長岡くん」
( ゚∀゚)「……大丈夫さ。ほら、行けよ」
トン、と押された。と同時に、しまっていくトラックの壁。オーディンスから、ブーイングのような声が上がる。
292 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:43:50.65 ID:7Do+vJNWO
支援
293 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:45:09.33 ID:EoBfNhc4O
支援
294 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:45:17.46 ID:7Do+vJNWO
支援
295 :
代理:2007/10/06(土) 01:45:24.67 ID:5Wxb+3Da0
( ゚∀゚)「催促だよ。まったく、ほんとに捨てたもんじゃないな、この街も」
長岡くんが、そう口を開いたそのとき、トラックの後ろの扉が開いて、内藤くんが入ってきた。
(炎^ω^)「っと、戻ったお。……さっきのメルセデスがまた来てたお。今は観客のせいで動けないみたいだったけど、多分じきに……」
( ゚∀゚)「頃合だな」
('A`)「もう、動かせますよ。ショボンさん、運転席お願いできますか?」
(´・ω・`)「わかった。今行くよ」
ベースを置いて、かけていくショボンくん。その背中を、目で追いながら、考える。
从'ー'从「……」
これで、終わっちゃうんだ。この街とも、お別れなんだ。そんな感情が頭の中を駆け巡って、目の前の長岡くんに集まっていく。
疲れてるみたいだけど、にこやかな長岡くんの表情。やりきったような表情しやがって。
あんたは、これで終わりじゃないんだよ?長岡くんには、まだやることがあるんだよ?
川 ゚ -゚)「湖まで行けば戻れるって言ってたな」
('A`)「ええ、確かにそう、ジャムさんが」
( ゚∀゚)「この街の湖ってぇと、ラウン湖か。ちょうどいい。渡辺さん、案内してやってくれよ。俺は、メルセデスをひきつけるからよ」
マジェスティのキーを見せながら、あたしに言う。馬鹿、そんな、言うべきことは、そんなんじゃないだろ。
296 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:46:14.43 ID:7Do+vJNWO
支援
297 :
代理:2007/10/06(土) 01:46:48.84 ID:5Wxb+3Da0
从'ー'从「……」
( ゚∀゚)「覚えてんだろ?道は。大丈夫。いけるさ。安心して、元の世界に帰りな」
从'ー'从「バカ岡……」
( ゚∀゚)「は?」
从'ー'从「は?じゃないよ!まったくもう!」
目が点になっている長岡くんをぽこぽこ殴りながら、あたしは言う。言葉が、どんどんあふれてくる。
从'ー'从「他人の心配ばっかりしやがって!少しは自分のことも考えたらどうなのさ!長岡くん、大変なんでしょ?これから!
なのにそんな、あたしたちの心配ばっかりしてさ!」
(;゚∀゚) 「ちょwww痛いってwwwやめてwww」
从'ー'从「やめるもんか!ばか!」
(;゚∀゚) 「いたいいたい!」
从;ー;从「ばか!」
ぽかぽか殴っていた手に、力が入らなくなってくる。その手に、長岡くんの手が重なる。
その上に、一粒、二粒と涙が落ちていく。
298 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:47:04.31 ID:7Do+vJNWO
支援
299 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:47:32.63 ID:7Do+vJNWO
支援
300 :
代理:2007/10/06(土) 01:48:13.97 ID:5Wxb+3Da0
从;ー;从「う……」
( ゚∀゚)「……俺は落ちこぼれだけど、そんなにバカじゃない。大丈夫、考えなしに、こんなことをやったりはしないよ」
ぽんと、頭に手を置いて、あたしの目を上から覗き込むように言ってくる。
( ゚∀゚)「ずっと、考えてたことがあるんだ。でもそれを実行に移せる、勇気がなかった。でももう大丈夫さ。何度も言っただろう?
渡辺さん。あんたのお陰で、決心がついたんだ。俺はもう大丈夫。嘘じゃない。本当さ」
ささやくような声で。ぽんぽんと頭とたたきながら、長岡くんは言った。
あたしのお陰だって。なんど言えば気が済むんだろう。ばかばかばか!やっぱりバカ岡だ。そんなこと言われたら、何も言えないじゃんか。
从;ー;从「バカ岡……」
( ゚∀゚)「確かに、そうかもな」
ぽんぽんたたいていた手が、今はあたしの髪をなでていた。さらっと、やさしくなでてくれる。
( ゚∀゚)「じゃあな、ほんとに、ありがとな」
从;ー;从「ん……」
(´・ω・`)「ジョルジュ、渡辺さん。そろそろ……」
運転席からの声。同時に、長岡くんの手があたしの頭から離れた。
( ゚∀゚)「おお。わかった。じゃあ、お前らも達者でな」
301 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:48:44.10 ID:7Do+vJNWO
支援
302 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 01:49:36.27 ID:kvvVXkm+0
支援
303 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:49:39.44 ID:7Do+vJNWO
支援
304 :
代理:2007/10/06(土) 01:50:02.34 ID:5Wxb+3Da0
川 ゚ -゚)「ああ、ジョルジュ。お前は、ほんとにファンキーなやつだった。あたしは気に入った。ベロチューぐらいはしてやろう」
( *゚∀゚)「マジで!?よっしゃ!じゃあ、ほら、ほら!」
川 ゚ -゚)「嘘だ。キメェ」
(;゚∀゚) 「……」
(炎^ω^)「ジョルジュの歌、すごいよかったお!『世界の終わり』は、鳥肌がたったお!」
( ゚∀゚)「そうか?」
(炎^ω^)「そうだお!俺は嘘はつかないお!」
( ゚∀゚)「そうか……よかった」
かみ締めるように言って、長岡くんは天を仰いだ。何を考えていたのかはわからない。でも、数秒後、顔を戻したときには、目がなんとなく赤い気がした。
(´・ω・`)「ジョルジュ、この二日間、とても楽しかった。君のお陰さ、ありがとう」
運転席から、ショボンくんの声だけが聞こえた。その背中を見ながら、長岡くんは言う。
( ゚∀゚)b「へっ。たいしたことはしてねぇよ」
満面の笑みで。親指を立てながら。
( ゚∀゚)「じゃあ、俺もう行くわ」
305 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:50:24.63 ID:EoBfNhc4O
支援
306 :
サザソのトリヴィア:2007/10/06(土) 01:50:27.79 ID:UcD89fYE0
ぬるぽ
307 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:50:32.15 ID:brm38Zxm0
支援
308 :
代理:2007/10/06(土) 01:51:01.38 ID:5Wxb+3Da0
長岡くんは、全員の顔を順番に見て、最後にあたしを見た。目が合う、数秒間。あたしは思いっきりにらんでやった。
笑ってやがる。なんだよ、いったい。
そんな顔されると、言いたいことも言えなくなるしょや。
从'ー'从「ジョルジュ」
( ゚∀゚)「ん?」
从'ー'从「死んだら、駄目だからね」
( ゚∀゚)「……しなねぇよ」
ぶっきらぼうに言った、その顔。
从'ー'从「……」
ジョルジュの肩を、がしっとつかむ。そして、ぶんぶんと前後に振る。
从'ー'从「絶対だからね!」
黒い瞳の奥底に向かって、あたしは言い放つ。上目遣いで、微かに笑みを湛えながら。
309 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:51:27.52 ID:7Do+vJNWO
支援
310 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:52:33.70 ID:EoBfNhc4O
うわあああああ
支援
311 :
代理:2007/10/06(土) 01:52:51.16 ID:5Wxb+3Da0
( ゚∀゚)「……おう!約束するぜ」
ぶんぶんと音がするくらいに腕を振りながら、ジョルジュは言った。
从'ー'从「うん!」
再び合う、目と目。何か言葉を探しても、何も見つからない。それはジョルジュも同じらしい。
言いたいことなんて、いっぱいあるはずなのに。
( ゚∀゚)「……じゃあな」
長い沈黙を破って、ジョルジュは静かに言った。二人の距離が、離れていく。
从'ー'从「……あ」
( ゚∀゚)「アデュ!」
一言の後、ジョルジュは振り返って駆け出した。扉の開く音。入ってくる夜の街の光。去っていく足音。
从'ー'从「……ば、バイバイ!」
そして、聞こえてくるバイクのエンジン音。
音が、遠くなっていく。
312 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:53:22.45 ID:7Do+vJNWO
支援
313 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 01:53:28.14 ID:kvvVXkm+0
眠いが支援
314 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:53:36.50 ID:GfW5T14k0
支援
315 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:54:40.01 ID:brm38Zxm0
いよいよか・・支援
316 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:54:56.82 ID:EoBfNhc4O
支援
317 :
代理:2007/10/06(土) 01:55:05.05 ID:5Wxb+3Da0
从'ー'从「……」
……あたしは、一人、残された。
『俺がジョルジュ長岡。ああ、ちゃんと仕事はしてるよ。
最近はあんまり調子いくないけどな……で、たまにこうやってギターを弾いてる。あんたは?』
318 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:56:50.69 ID:7Do+vJNWO
支援
319 :
代理:2007/10/06(土) 01:57:01.09 ID:5Wxb+3Da0
『はっは。若いの、そんなに気落ちしなさんな』
『じゃあ、ミッドナイトクラクションベイビーな』
『おっと、何も言うなよ。俺があんたのお陰と言ったんだ。だから、な?こういうときは、そういうことにしておくもんだぜ』
『日の出の直後数分は、太陽を直接見ても眩しくない。そして、その色は赤ではなく、ずっとオレンジに近い』
『こんな短い時間でやったんだ。駄目なら駄目でもともとさ。とにかく、がんばろうぜ』
『ああ、確かに落ちこぼれだ!でも、これだけは判る。お前たちのやってることは、単なるエゴだ!正しさなんて、微塵もない!
俺が生きてるうちは、絶対、認めねぇからな!そんだけだ!……言いたいこと、以上!!』
『渡辺さん。あんたのお陰で、決心がついたんだ。俺はもう大丈夫。嘘じゃない。本当さ』
『……じゃあな、ほんとに、ありがとな』
(´・ω・`)「……行っちゃったね」
从'ー'从「うん」
(´・ω・`)「……多分きっと、また会えるよ。僕は信じてる」
320 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:57:19.06 ID:EoBfNhc4O
支援
321 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:58:10.70 ID:7Do+vJNWO
支援
322 :
代理:2007/10/06(土) 01:58:55.14 ID:5Wxb+3Da0
遠くで響くバイクの音と、車のスキール音。観客の騒ぎ声。そんな音の中で、あたしは自分の居場所を再確認するかのように天を仰いだ。
頭の中でショボンくんの言葉が反芻して、砕かれて、消えた。そしてあたしは、満面の笑みを作って、ショボンくんに顔を向けて言った。
从'ー'从「あたしも」
あたしも、信じてる。
バイバイ、ジョルジュ。
ジョルジュの歌、絶対忘れないよ。
323 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:58:58.56 ID:7Do+vJNWO
支援
324 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 01:59:39.28 ID:kvvVXkm+0
支援
325 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 01:59:51.55 ID:INa47DcAO
しえ
326 :
代理:2007/10/06(土) 01:59:58.22 ID:5Wxb+3Da0
(´・ω・`)「……渡辺さん、湖まで、案内を」
从'ー'从「……うん」
ショボンくんがアクセルを踏み込んだ。
あたしたちが乗ったトラックは、ゆっくりと湖に向けて動き出した。
………
……
…
327 :
代理:2007/10/06(土) 02:00:26.32 ID:5Wxb+3Da0
(´・ω・`)「……渡辺さん、湖まで、案内を」
从'ー'从「……うん」
ショボンくんがアクセルを踏み込んだ。
あたしたちが乗ったトラックは、ゆっくりと湖に向けて動き出した。
………
……
…
328 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:00:33.80 ID:7Do+vJNWO
支援
329 :
代理:2007/10/06(土) 02:00:41.06 ID:5Wxb+3Da0
また連投、スマン
330 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:00:59.20 ID:7Do+vJNWO
支援
331 :
代理:2007/10/06(土) 02:01:01.95 ID:5Wxb+3Da0
(咒)「渡辺様、お食事の準備ができました」
从'ー'从「はい。ありがとうございます。……でも、すみません。すぐには行けません。みんなには、先に食べてもらっててください」
(咒)「……かしこまりました。では、お料理が冷めてしまわないうちに、お戻りください」
部屋の前から、ジャムさんが消えていく足音を聞きながら、あたしはiPodを取り出した。
窓のそばのベッドに腰掛けて、外を見た。空は真っ暗だ。視界の下のほうで、遊園地の七色の光がキラキラと存在感を放っていた。
从'ー'从「……」
ヘッドフォンをつけて、ベランダに出た。ひんやりとした風が体を通り抜けて、少し寒かった。
こんな気分の時に、ご飯を食べても、きっとおいしく食べられない。ジャムさんやツンさんには悪いけど、今はちょっと、センチな気分に浸らせてもらおう。
真っ暗な空に、たくさんの星が光る。あの朝日を見た空ではない。ジョルジュと見た、あの空じゃないんだ。
从'ー'从「……ふぅ」
こんなときには、音楽を聴くのが一番だ。あたしは今まで、ずっとそうやってきた。そして、これからも。
再生ボタンを押した。ヘッドフォンから、音楽が流れてくる。
332 :
サザソのトリヴィア:2007/10/06(土) 02:01:09.26 ID:UcD89fYE0
グッグッパー
333 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:01:21.04 ID:brm38Zxm0
支援
334 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:02:23.51 ID:7Do+vJNWO
支援
335 :
代理:2007/10/06(土) 02:03:19.79 ID:5Wxb+3Da0
Today is the greatest.
ビリー・コーガン独特の声。そしてジェームズ・イハのギター。心に響くのは、やはりその歌詞。
今まで駄目駄目だったのに、急に手に余るほどの幸福を手に入れてしまったというような、そんな内容。
今日は良い日だ!なんて、飛び上がってる絵が目に浮かぶ。
まるで、あの人みたいだ。
メロディに身を乗せながら、あたしは目を閉じた。深く深く、音楽に沈みこんでいく。
今、世界のすべては音。それ以外のものは何もない。
从'ー'从「ふぅ……」
何度目かのため息のあと、あたしは別の世界の誰かに問う。
336 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:03:45.38 ID:kvvVXkm+0
支援
337 :
代理:2007/10/06(土) 02:04:58.14 ID:5Wxb+3Da0
どうですか?
明日も、良い日ですか?
338 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:05:56.75 ID:EoBfNhc4O
支援
339 :
代理:2007/10/06(土) 02:06:04.73 ID:5Wxb+3Da0
……曲が終わった。再生をやめたiPodの電源が、音も立てずに切れた。
340 :
代理:2007/10/06(土) 02:06:56.45 ID:5Wxb+3Da0
ブーンがマジ切れしたようです
『 从'ー'从渡辺さんのワンダーウォール ( ^ω^)は綺麗な街に住んでいるようです 』
【 今日は良い日のようです 】
Bグループ二日目へ続く
341 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:07:27.19 ID:brm38Zxm0
乙
342 :
◆GoKuglY1Jo :2007/10/06(土) 02:07:54.15 ID:7Do+vJNWO
乙!そして、代理ありがとうございました。
4時間以上も本当にお疲れ様でした。
感謝してもしきれません。
重ねてありがとうございました。
343 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:07:57.06 ID:EoBfNhc4O
乙!
344 :
代理:2007/10/06(土) 02:08:09.88 ID:5Wxb+3Da0
345 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:08:51.72 ID:GQIHuaNn0
乙!
346 :
代理:2007/10/06(土) 02:08:59.70 ID:5Wxb+3Da0
【次】 (゚∀゚ )ノ百年ぶり〜の〜
く/ /
>>
(\_(\
【回】 从'ー'从 せ〜い〜きま〜つ〜
_( ⊃ ⊃
【予】 (゚∀゚ )ノひろいせかい〜へ〜
く/ /
>>
【告】 (\_(\
从'ー'从 飛び出してい〜く
_( ⊃ ⊃
347 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:09:27.71 ID:kvvVXkm+0
乙! ワンダーウォール乙!! 代理のキレイキレイも乙!!!
酉付きで支援してたのに今気づきました。
348 :
代理:2007/10/06(土) 02:09:50.73 ID:5Wxb+3Da0
从'ー'从「Bグループ二日目の明日は、『 ( ^ω^)は綺麗な街に住んでいるようです 』だよ」
( ゚∀゚)「そんでもってタッグの相手が……」
从'ー'从「『 川 ゚ -゚)クーのネジが一本取れてしまったようです 』だね」
( ゚∀゚)「かたやシリアス、かたやカオス……」
从'ー'从「いったいどんなお話になるんだろうねぇ」
( ゚∀゚)「いいね、楽しみだぜ。作者的にもな」
从'ー'从「『綺麗な街』はキャラが良いよね。ジョルジュも、ドクオくんも」
( ゚∀゚)「そうかな?かな?」
从'ー'从「コッサンきめぇwwww」
从'ー'从( ゚∀゚)「「明日もお楽しみに!」」
349 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:10:24.62 ID:EoBfNhc4O
350 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:11:20.66 ID:GQIHuaNn0
>>347 判っててやってると思ってたぜ……
流石アイマス。
351 :
◆tOPTGOuTpU :2007/10/06(土) 02:15:12.31 ID:5Wxb+3Da0
ワンダーウォールさん乙でした!
代理の俺さん乙でした!
超天然なアイマスさん乙でした!
明日は僕です、僕なんです!
口当たりのいい、マイルドな作品を作りました。
明日も会いましょう!
352 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:16:48.51 ID:cbiM2+PgO
コッサンかよw乙!
353 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:17:46.67 ID:INa47DcAO
乙乙
今日は渡辺さんとむふふな夢を見れそうだぜ……
354 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:19:30.23 ID:kvvVXkm+0
>>351 はは。何勘違いしてやがる。
ま だ B チ ー ム の タ ー ン は 終 わ っ て な い ぜ
共通編前編投下します。
355 :
◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:20:18.15 ID:kvvVXkm+0
細部はともかく、全体像としては前スレがおちる前に投下されたものと同じです。
みなさん、ごゆるりとお休みください
356 :
サザソのトリヴィア:2007/10/06(土) 02:20:45.23 ID:UcD89fYE0
わかるwwwww
357 :
◆GoKuglY1Jo :2007/10/06(土) 02:20:48.01 ID:7Do+vJNWO
流石w
支援
358 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:22:59.32 ID:INa47DcAO
うふふ
しえーん
359 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:23:19.06 ID:7Do+vJNWO
流石w
支援
360 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:23:35.04 ID:kvvVXkm+0
円卓に男たちが座っていた。全員黒の礼服を一分の隙もみせずに着こなし、目深に帽子をかぶっている。
おかげで顔を伺い見ることはできない。だが、その声の調子からして、彼らが話している内容が
ただ事ではない、ということだけは見て取れた。
???「くっ、なんてこった」
???「それが世界の選択か……」
???「畜生、俺達は何もできないのか? この事態をただ静観するしかないのか?!!」
(咒)「いえ、はたしてそうでしょうか」
???「!!」
???「……何かあるのですか、メシア翁」
メシアと呼ばれた老翁に皆の視線が集まる。参加している男達のなかで唯一帽子をかぶらず、たくわえた髭を
揺らして柔和な笑みを携えたまま、老人は口を開いた。
361 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:24:44.55 ID:7Do+vJNWO
支援
362 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:25:53.71 ID:5Wxb+3Da0
支援v
363 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:26:16.51 ID:EoBfNhc4O
支援
364 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:26:17.64 ID:kvvVXkm+0
(咒)「以前のDAT騒動と違って、今回のケースでは世界の基盤はしっかりしています。
おそらく自浄作用が働くでしょう。ならば私たちはその手助けをすればいいのです」
???「な、なるほど……」
???「しかし『手助け』といっても、具体的に我々は何をすればいいのでしょう?」
(咒)「実は今回の件に関しまして、ひとつ解決策らしきものを思いつきました。よければこの件、
私に一任していただけないでしょうか? 二週間で世界を戻してみせましょう」
???「二週間で?!」
(咒)「ええ。あなた方からしたら、私のような引退したはずの老人に仕事を奪われるというのは心苦しいこととはおもいますが、
この老いぼれとて、世界の安定を望む気持ちはみなさんとかわらないつもりです」
???「……わかりました。ではジャム・メシア。あなたに今回の一件、一任させていただきます」
(咒)「感謝しますよ」
365 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:27:19.57 ID:GfW5T14k0
支援
366 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:27:44.38 ID:7Do+vJNWO
支援
367 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:28:34.91 ID:EoBfNhc4O
支援
368 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:29:05.47 ID:kvvVXkm+0
見た目は同じだが、その男が会議の中心だったのだろう。彼の言葉を合図に男たちは席を立ち、部屋を出て行く。
やがて、円卓に残されたジャムと呼ばれた老人一人だけになった。
(咒)「さて、それでははじめますか……」
そう言うと老人は音もなく、電気の落ちた会議場の闇の中へと姿を消していった……
・
・
・
369 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:30:29.97 ID:GfW5T14k0
支援
370 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:30:54.35 ID:kvvVXkm+0
代わり映えしない風景が右から左へ流れていく。一定のリズムで電車は揺れ、小さな軋んだ音をたてている。
特に外を見たいわけではなかったが窓際に肘を置き、ドクオはひとり窓から見える景色を眺めていた。
('A`)「わたくし、生まれも育ちもヴィップ町、帝釈天で産湯に浸かり、性はモイタン名はドクオ。
人よんで「スペシャルのドクオ」と申します……」
なんとなく某国民的流浪人の口上を真似てみる。「フーテン」の代わりに「スペシャル」という単語を使ったのはなぜだろう。
CP幹部候補生。普通の高校生だった自分を変えてくれるかもしれない光。それに対する、仲間との対立。
だが、とりあえず今はそんな事は関係ない。少なくとも明日までは喧嘩別れした友人達のことを考えずにすむ。
実家に荷物を取りに行くという、普段なら断る母親の頼みをあっさり受けたのは、そういう打算もあった。
('A`)「そうだよな。何はともあれ今はひとり旅。ロマンでも求めてのんびり行くとするか」
のどかな田園風景に少々飽きがはいり、ほどよく眠気が回る。ちょうどトンネルに入ったところで、
少年──ドクオ・モイタンは静かに目を閉じた。
371 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:30:55.14 ID:EoBfNhc4O
支援
372 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:33:39.90 ID:kvvVXkm+0
ドクオ「……ん」
川 ゚ -゚)「お、ようやく起きたか。おはよう」
从'ー'从「おはよう」
ドクオ「……おはようござい、ま、し、た」
目の前に座る、見知らぬ美女二人。寝起き一番の光景としては至福なのだろうが、ねぼけた頭では
イマイチその幸福を解せない。それよりも、ドクオにはこの状況の不自然さのほうが気になった。
ドクオ「えと、どちらさん?」
川 ゚ -゚)「私はクー。女子高生だ。レアだ」
从'ー'从「あたしは渡辺、OLです。そんなにレアじゃないです」
ドクオ「……ドクオです。男子高校生、普通です」
川 ゚ -゚)「何をいう、高校生にもなって童貞というのはかなりレアだ。自分を偽るのはいけないぞ」
ドクオ「どどど童貞ちゃうわ!」
川 ゚ -゚)「まぁ、魔法使いまではあと十数年か、精進しろよ、ドクオ」
从'ー'从「クーちゃん、何言ってるの……」
373 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:34:03.57 ID:7Do+vJNWO
支援ヌ
374 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:35:29.94 ID:7Do+vJNWO
支援
375 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:35:32.44 ID:kvvVXkm+0
ドクオ「魔法使いはともかく……なんで俺の席の前に座ってるんですか?」
川 ゚ -゚)「嫌なのか? こんな美人二人が前にいるというのに我侭なヤツだ」
ドクオ「いえ、そうじゃなくて……」
平日昼間。ド田舎の沿線。
古びた扇風機が耳障りな音をたてて回っているのがよく似合う、現代社会から隔離されたような車両空間。
首をのばして見回してみても、自分と目の前の二人以外に乗客の姿は見受けられない。
从'ー'从「ごめんね。いきなり目の前に知らない人がいたらやっぱりびっくりするよね」
ドクオ「い、いえ。クーの言ったようにラッキーですよ。はははは」
从'ー'从「そういってもらえたらうれしいな、ありがと」
ドクオ「(おいおいおい、これはもしかして本当に俺の時代が来たのか?)」
ちょっと不思議な言動をするクーも、しっかりとした感じの渡辺さんも確かにかなり美人の部類に入る。
そんな二人が初対面のフツメン高校生である自分と仲良く向かい合って話しているのだ。
これではドクオがフラグでも立ったのかと期待するのも当然である。
376 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:35:44.54 ID:EoBfNhc4O
支援
377 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:36:58.37 ID:7Do+vJNWO
支援支援
378 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:37:50.88 ID:7Do+vJNWO
支援
379 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:38:33.56 ID:kvvVXkm+0
从'ー'从「でね、ドクオ君。あたしたち、君に言わなきゃいけないことがあるの。実は……」
川 ゚ -゚)「君のかわいい寝顔に私たちは心を奪われてしまった。これはもしかしてLOVEの予感というヤツなのかもしれない」
ドクオ「(フラグ飛び越えて告白キター!!)」
从;'ー'从「ちょ、ちょっとクーちゃん」
川 ゚ -゚)「すまない渡辺。思わず先走ってしまった。二番煎じかもしれないが、はやく告白するんだ」
从'ー'从「ちーがーうーの。えっと、ドクオ君……はい」
ドクオ「ん?」
渡辺が差し出した鏡を手に取る。そこに写っていたのは……
川 ゚ -゚)「すまない。君があまりにもバカ面で眠りこけていたからつい……」
(肉'A`)「……」
ドクオの 肉質が 3ポイント あがった!
380 :
サザソ:2007/10/06(土) 02:38:39.36 ID:UcD89fYE0
てst
381 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:39:44.30 ID:INa47DcAO
しえ
382 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:39:51.94 ID:7Do+vJNWO
支援
383 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:41:01.40 ID:kvvVXkm+0
('A`)「実家に里帰りですか。俺と一緒ですね」
从'ー'从「えっ、ドクオ君もなの?」
('A`)「ちょっとお袋に頼まれて、じーさんの所に物借りにいくんです。今日は創立記念日なんで
たまにはひとり旅もいいかな、なんつって」
川 ゚ -゚)「お使いか、まったくこれだからいい子は困る。」
('A`)「そういうクーは平日の昼間っからなんでこんなところにいるんだ? 学校はどうした」
川 ゚ -゚)「あぁ。私は修行中だ」
('A`)「へ?」
从'ー'从「ふふふ、クーちゃんは好きな男の子を驚かせるため、全国をまわって見識を広めているそうです」
川 ゚ -゚)「授業に関しては大丈夫。なんたって私は元・天才少女だからな……」
『次は終点〜『FUJIYAMA』〜『FUJIYAMA』〜』
384 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:42:48.94 ID:kvvVXkm+0
川 ゚ -゚)「むっ、終点か。それでは降りることにしよう。旅は道連れ世は情け。
ドクオも途中まで一緒に行かないか」
('A`)「ああ。じゃあご一緒させてもらいますか、っと。渡辺さんもいいですよね?」
从'ー'从「う、うん。よろしくね」
川 ゚ -゚)「(さて、アイツは間に合うかな……)」
('A`)「(アバンチュールの可能性、まだ死んでないぞ)」
从'ー'从「(おばあちゃんの家までで『FUJIYAMA』なんて駅、それも終点になるようなところあったっけ……)」
三者三様の思いを胸に、電車は駅へと到着した。
('A`)「こーゆう寂れた駅もいいなぁ。俺の町はちょっと味気ないし」
昭和の香りが色濃く残る改札口。駅員に切符を切ってもらい、ドクオは外に出た。
川 ゚ -゚)「悪い、ちょっと待ってくれ」
385 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:44:21.12 ID:kvvVXkm+0
('A`)「どうしたんだ?」
从'ー'从「まさか、切符を落としたとか…」
川 ゚ -゚)「いや。ところでこの切符を見てくれ。これをどう思う」
('A`)「すごく……入場券です」
記載された駅名は青森。どうやってここまで乗り継いでこれたかのほうが不思議だった。
('A`)「うわ……これは精算に時間かかりそう」
从'ー'从「駅員さん、乗り越しでいくらくらいですか?」
青森駅の入場券を見て駅員がギョッとする。奥にひっこみ、やがて時刻表と運賃リストを手に戻ってくる。
駅員「えっと……37564円だね」
('A`)「(なんで端数があるんだ……)」
川 ゚ -゚)「ふむ」
386 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:44:42.02 ID:7Do+vJNWO
支援
387 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:45:59.07 ID:INa47DcAO
支援
388 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:46:05.91 ID:7Do+vJNWO
支支支援援援
389 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:46:23.92 ID:kvvVXkm+0
ザックからかわいらしいキャラクターものの財布を取り出し、クーは口をあけてひっくりかえす。
チャリーンチャリーンチャリーン
川 ゚ -゚)つIII@@@@@@@@
川 ゚ -゚)「さんじゅうはちえん」
3人「「「 こ れ は ひ ど い 」」」
川 ゚ -゚)「案ずるな。すでに手は打ってある」
そう言うと、クーは右手を天に掲げた。
川ドモン ゚ -゚)「出ろぉぉぉっ、ガンダァァァァム!!」
川ドモン ゚ -゚) パチンッ
♪チャチャーチャチャーチャチャーチャチャーチャッチャッ
♪チャチャーチャチャーチャチャーチャチャーチャッチャッ
390 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:47:02.99 ID:GfW5T14k0
支援
391 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:48:05.59 ID:kvvVXkm+0
从'ー'从「このBGMは……って、アレは何?!!」
('A`)「鳥か」
駅員「飛行機か」
川 ゚ -゚)「いや、違う……アレは」
(炎^ω^)「♪赤く煌くサンバイザー あいつがウワサの店長だ
怒涛に迫る客を振り分け 限定グッズを売りさばく 回りで助ける天使たち
限定グッズは売り切れだ すまんこの次またどうぞぉぉぉ♪」
(挿入歌:アニメ店長 歌・内藤ホライゾン 参照:
http://www.youtube.com/watch?v=CPVxAHHUfZ8)
無駄に暑苦しい男が原付きで現れた。ドリフトを試み、見事失敗。
傷だらけになりながらも即座に立ち上がり、額のサンバイザーを煌かせて名乗りをあげた。
(炎^ω^)「俺の名前はブーン、アニメ店長ブーンだお!」
川 ゚ -゚)「よく来てくれたな、アッシー・ミツグ君」
(炎;^ω^)「ちょwwヒドスwwww」
392 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:48:24.36 ID:7Do+vJNWO
支援
393 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:50:07.61 ID:kvvVXkm+0
(炎^ω^)「まったく、クーもクー店長も人使いが荒いお」
川 ゚ -゚)「いや、本当に助かったよ。駅弁の買いすぎでお金がなくなってしまったから親戚の素直姉さんに
頼んだんだが、まさかこんなに早く助けをよこしてくれるとはな」
('A`)「あのアキバハラからここまでスクーターで来たのか……すげぇ」
(炎^ω^)「おっおっおっ、熱血に不可能はないんだお」
从'ー'从「えっと、はじめまして。渡辺です」
(炎^ω^)「内藤ホライゾン、ブーンでいいですお」
(炎^ω^)「(『G@mers』の渡辺さんにそっくりだお……)」
川 ゚ -゚)「私の名はクー、住職と呼んでくれ」
('A`)「……ねぇ。おかしくない?」
川 ゚ -゚)「ひどいぞドクオ。人の名前を笑うなんて……」
('A`)「違う、そんなことじゃなくて」
いつの間にか、霧がでていた。
394 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:51:30.92 ID:7Do+vJNWO
支援
395 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:51:42.28 ID:kvvVXkm+0
(;'A`)「おいおい、やっぱりおかしいぜ」
十数メートル後ろにあるはずの駅もみえない。互い3人の姿を確認するのが精一杯なほど
その霧は濃く、早く広がっていく。
从'ー'从「山の中だからといって……こんなに早くなるものなの?」
川 ゚ -゚)「違う、これは天候の変化じゃない……スタンドだ!」
('A`)「『正義<ジャスティス>』ッ?!」
(炎^ω^)「体に穴が開いちゃうお!」
从'ー'从「(それはないと思うけど……)」
???「残念ですが、ここはJOJOの世界ではありません」
カツーン カツーン カツーン
396 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:53:04.75 ID:7Do+vJNWO
シエンタ
397 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:54:10.34 ID:kvvVXkm+0
はたして、霧の中を歩いてきたのは白い髭を蓄えた老人だった。皺ひとつない黒の燕尾服。
年ゆえか背丈は短いものの、ピシリと背筋をのばし、靴音をひびかせて4人へ向かってくる。
(炎^ω^)「この土の上で靴音がするなんて……新手のスタンド使いかッ」
从'ー'从「ブーン君、失礼だよ! 申し訳ありません、おじいさん」
(咒)「気にしないでください渡辺様。それに内藤様、残念ですが私はスタンド使いではありません」
('A`)「……二人とも、知り合い?」
(咒)「いえ、初対面ですよドクオ様。私の名前はジャム・メシア。しがない管理人です」
ジャムの足が止まる。途端、霧は幻のように消えていく。
霧があけたそこは、どう見ても寂れた駅前ロータリーではなかった。
398 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:54:22.08 ID:INa47DcAO
しえーん
399 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:55:47.68 ID:7Do+vJNWO
支援
400 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:55:59.62 ID:kvvVXkm+0
天井にシャンデリアがつらされている。赤の絨毯が部屋いっぱいに広がり、古めかしくも手入れのいきとどいた
時計がコチコチと振り子を揺らしている。汚れひとつない壁掛かった、どこかで見たような油絵。
サロンのような腰の低いテーブルとクッション椅子。大理石でできたカウンターに白のレースカーペットに乗った
花瓶がひっそりと、白い空間の中で自らの青をアピールしている。
从'ー'从「ホテルみたい……」
(咒)「そのとおりでございます。渡辺様」
('A`)「……まるで夢だな」
(咒)「驚かれるのも無理はありませんが、とりあえずそちらにお掛けになりませんか。
まもなくもうひとりの客人がおいでになります」
ξ゚ -゚)ξ「ジャム様、ショボン様がおいでになりました」
ちょうどそのとき、無人のホールにジャムと4人以外の人間が姿を現した。
いたって普通に奥の廊下からやってきたのは、まだほんの中学生ほどにしかみえないメイド服の少女。
そして土で汚れた服をきたひとりの男だった。眉ひとつ動かさないメイド少女と対照的に、ものめずらしげに
ホールを見渡す男。それだけで、自分たちと同じ来客者だとわかった。
(咒)「はじめまして、ショボン様。今回はこのように手前どもの都合でお呼びさせてしまい、申し訳ありませんでした。」
(´・ω・`)「……まったく、強引ですね」
401 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:57:40.38 ID:kvvVXkm+0
(咒)「返す言葉もございません。あなたの世界は少々特殊でして、こうしてこちらから強制的に
お呼びさせてもらいました。もちろん、今回の埋め合わせは後ほどきちんとさせていただきます」
(´・ω・`)「気になさらずに。案外、これも『虹』に到達するプロセスかもしれないし……おっと。君たちもボクと同じかい?」
('A`)「はい。俺たちも気づいたらここにいたんです」
(´・ω・`)「僕の名前はショボン、『虹』を探している男さ」
川 ゚ -゚)「二次を探しているのか?」
(炎^ω^)「是非アキバハラに来るお!」
(´・ω・`)「……おそらく、僕のいう『虹』と、君たちのいう“ニジ”は別のものだね」
(咒)「立ち話も何ですし、みなさんお座りになりませんか」
402 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 02:57:49.30 ID:7Do+vJNWO
支援
403 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 02:59:11.90 ID:kvvVXkm+0
ξ゚ -゚)ξ「紅茶をお持ちしました」
よく沈むクッションに体を沈め、互いに自己紹介をしていると先ほどの少女が台車を押して戻ってきた。
6人全員にソーサーとカップを並べ、ポットから紅茶を注いでいく。スコーンの載った皿と手受け皿。
ミルクや角砂糖のはいった小さな籠と一緒に中央に置いて軽く一礼し、台車を引いて無言でホールを出て行った。
从'ー'从「……あ、おいしい」
(炎^ω^)「(『Pure ca@rrot』のハインさんにはかなわないけど、十分おいしいお)」
('A`)「(これ、あの子が淹れたのかな……)」
川 ゚ -゚)「まずい、もう一杯!」
(咒)「あの子もなかなかうまく淹れられるようになりましたね」
空になったクーのカップにジャムが紅茶を注いでいく。
(咒)「さて、みなさん見当はついているでしょうが先に申し上げておきます。
ここはあなた達の世界ではありません」
スコーンの皿が半分になり、ティーポッドの中身が空になる。再び戻ってきたメイド少女がスコーンを継ぎ足し、
ポットを変えて持ち去ったところでジャムは唐突に切り出した。
404 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:00:55.45 ID:7Do+vJNWO
支援
405 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:01:25.74 ID:7Do+vJNWO
支援
406 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:01:51.06 ID:kvvVXkm+0
从'ー'从「…………」
('A`)「(世界、と来たか)」
川 ゚ -゚)「やはり、か。まさかnのフィールドに招待されると思ってみなかった。アリスゲームが始まるのか」
(炎^ω^)「俺のローゼンメイデンは誰だお?」
【同時刻? アキバハラ 『ふぃぎゅ@めいでん』店内】
(*´_ゝ`)「この流・翠星石様ですぅ!!!」
(´<_` )「藪から棒にどうした兄者。ついに狂ったか」
(*´_ゝ`)「いや、時空を超えて言わなきゃいけない気がしてな……」
(咒)「残念ながら違います。もちろん、閉鎖空間でも固有結界でも精神と時の部屋でもありません」
(炎;^ω^)「(先読みされたお……)」
(´・ω・`)「……世界の狭間」
(咒)「さすがはショボン様。確かにその言葉がしっくりときますね」
407 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:02:24.37 ID:7Do+vJNWO
支援
408 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:03:13.46 ID:7Do+vJNWO
支援
409 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:03:53.80 ID:7Do+vJNWO
支援
410 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:04:21.21 ID:kvvVXkm+0
(咒)「ドクオ様、渡辺様、ブーン様、クー様。あなたがたはたまたま同じ電車に乗り、たまたま駅で出会いましたね。
クー様とブーン様にはお互い、見識があったとお聞きします」
川 ゚ -゚)「……あぁ。だが、何故それを貴方が知っている」
(咒)「私がそうであるよう、細工をしたからです」
从'ー'从「細工?」
(咒)「はい。『『anim@te』に勤める内藤と、ネジのとれたクーは知り合いである』というように設定をいじらせていただきました。
さらにいうと、ドクオ様や渡辺様の帰省にいたった経緯。どの世界にも存在しない架空の『FUJIYAMA』駅に来るように
仕向けたのも、すべては私の差し金にございます」
从'ー'从「(やっぱり……)」
彼女の記憶に『FUJIYAMA』なんて地名は存在しない。今思い返してみれば、何故仕事を休んでまで
帰省しようとしたのかも吾事ながら朧だった。だからこの人智を越えた事象を目の前の老人の仕業と聞き、逆に渡辺は安心した。
(咒)「あなた方はそれぞれ、異世界の人間なのです。ドクオ様のヴィップ町もブーン様のアキバハラも、
今のあなた方の記憶には存在しても、あなた方本来の世界には存在しないのです」
411 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:04:53.20 ID:7Do+vJNWO
支援
412 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:05:23.38 ID:xJBZkTJR0
支援
413 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:06:19.77 ID:kvvVXkm+0
('A`)「ややこしくなってきたな……」
(咒)「気にしない事をお勧めします。世界の狭間、別世界の住人などとは言いますが、人種や文化にそう大きな違いはありません。
10日後にはみなさん、それぞれの世界に完全に帰還できるよう私のほうで手配させていただきます」
(炎^ω^)「10日間もかお?!」
从'ー'从「(会社どうしよう……)」
(咒)「10日後までの予定については気になさらないでください。みなさまの都合のいい時間軸に送るように致しますので。
私からの願いはこれからこの世界の時間間隔で10日間。ここ『鮫島ホテル』に滞在していただきたいということです」
川 ゚ -゚)「……『鮫島ホテル』だって!」
('A`)「まさか、あの鮫島事件と関係あるのか?!」
建物の名称に何人かが反応する。
(咒)「鮫島事件、ですか……噂には聞いたことがありますがそれとは関係ありません。
このホテルの名前は主の名前から来ております」
(´・ω・`)「ところでジャムさん。聞いてもいいだろうか」
从'ー'从 「ジャムのおじいさん、質問いいでしょうか?」
二人の声がかぶった。
414 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:07:46.77 ID:EoBfNhc4O
支援
415 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:08:08.64 ID:Y3Rv5vNJO
支援
416 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:08:50.42 ID:kvvVXkm+0
(´・ω・`)「渡辺さんだったね。お先にどうぞ」
从'ー'从「う、ううん。ショボン君から先に言ってよ。まだちょっと言葉がまとまってないし……」
(´・ω・`)「じゃあ僭越ながら」
(´・ω・`)「ジャムさん、あなたは何者だい?」
(咒)「見ての通り、鮫島家に仕える執事でございます。現在ではこの鮫島ホテルの使用人監督役ですね」
眉ひとつうごかさないジャム。その返答自体想定内だったのか、口調をかえずにショボンは続けた。
(´・ω・`)「あなたはボク達を──世界の異なるところからボク達を、さらに別の世界へと集めた。
ボクはともかく、渡辺さんやドクオ君たちにはある程度の因果まであたえている。
これだけでも十分、並の人間の仕業じゃないことは明らかだ」
川 ゚ -゚)「ヒソヒソ(設定をいじれば普通にできるよな、それくらい)」
(炎^ω^)「ヒソヒソ(それをできるのはクーくらいのもんだお)」
417 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:09:17.89 ID:GfW5T14k0
支援
418 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:09:56.29 ID:kvvVXkm+0
(´・ω・`)「それこそ“設定いじり”や“DAT”、もしくは“虹”でもないとできる事じゃない」
(咒)「“DAT”を知っているのですか」
(´・ω・`)「これでも死ぬほど勉強しているんだよ。“虹”にたどり着くため、超常現象に関してはね。
そんなあなた──あなた達はここにボク達を呼び出して何をしたいのか、何故10日だけなのか。
そこの所はボク達に話してくれてもいいんじゃないだろうか」
口調こそ丁寧だが、そこには有無を言わせぬの迫力があった。
从'ー'从「うん。私もそれが聞きたかった。ジャムさん、何で私達を呼んだの?」
(咒)「そうですね、それは先にお話しておくべきでした」
カップを手に取り、半分ほど残っていた紅茶を飲み干すジャム。
新たに入れようとする渡辺を制し、再び口を開いた。
419 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:11:07.96 ID:kvvVXkm+0
(咒)「みなさんの住む世界というものは、もともと同一のものが発展してできあがったものです。パラレルワールド、というと
少々語弊が発生しますが、世界というのは無数に、『世界平面』といわれる時空軸上に平行して存在します。
もちろん、世界によっては平和なところもあれば情勢が不安なところもありますし、みなさんのように
『世界』にまつわる研究がされていない世界もあれば、私の世界のように『世界』にまつわる研究が進んでいる世界もあります」
(咒)「今回、原因はわかりませんが世界平面に異常が発生しいくつかの世界が突如混ざってしまいました」
さながらおもちゃ箱をひっくりかえしたようにね。
意味ありげにジャムがそんな事をつぶやいた。
(咒)「あなたたちが所属する5つの世界もまた、混合の危機に瀕していています。現在、私たちはこの『鮫島ホテル』と
『鮫島遊園地』を拠点に、世界の無秩序な混同を回避するため動いています。
あなたたちには、その楔となってほしいのです」
420 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:11:36.93 ID:xJBZkTJR0
支援
421 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:12:42.45 ID:GfW5T14k0
支援
422 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:12:54.57 ID:kvvVXkm+0
(咒)「ここからは見えませんが、ホテルの敷地内には十数個のアトラクションが備え付けられた
遊園地があるのです。といっても、普通の遊園地ではありません。それぞれの遊具が異世界へのワープ装置になっています」
(´・ω・`)「ワープですか」
(咒)「はい。その遊具に入ると、それぞれ決められた世界にワープすることができます。行き先の中にはもちろん、
あなた方のいた世界も存在します。もちろん、そこにあなた方は存在しませんが」
从'ー'从「自分の世界──自分の町には帰れるんですね」
(咒)「一定時間は、ですが。ワープ遊具を使う場合、最長でも3日たてばこちらに強制送還されるでしょう。
くわしい事はこれを見てください」
懐から5枚のパンフレットをとりだし、5人に手渡す。どこぞのネズミ園のパンフレットによく似ていた。
('A`)「本当に遊園地だ……」
(炎^ω^)「クオリティタカスww」
(咒)「ジェバンニが一晩でやってくれました」
(咒)「それで皆様、虫のいい話だとは十分理解しておりますが、どうか老人の戯れに付き合うと思って、
このホテルに滞在し、各世界独立の潤滑油としていくつかの世界を回っていただけないでしょうか?」
423 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:14:54.73 ID:EoBfNhc4O
支援
424 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:15:02.93 ID:xJBZkTJR0
支援
425 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:15:21.33 ID:kvvVXkm+0
(炎^ω^)「任せるお」
从'ー'从「オッケーです」
川 ゚ -゚)「もちろんだ」
(´・ω・`)「かまわないですよ」
('A`)「……わかりました」
ワンテンポ遅れて、ドクオも答えを出した。それを聞いて、ジャムが微笑む。
(咒)「本当にありがとうございます。主やここの使用人を代表し、お礼をいわせていただきます」
そう言って立ち上がり、深く、深く5人に頭を下げた。
426 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:16:17.51 ID:kvvVXkm+0
(´・ω・`)「いえ、気にしないでください。滅多にない経験ですしね」
从'ー'从「他のみんなの世界を観光する、というのも楽しそうだね」
川 ゚ -゚)「いっておくが、私の世界のカオスは108式まであるぞ」
(炎^ω^)「おっおっおっ、面白くなってきたお」
ξ゚ -゚)ξ「ジャム様、お客様の部屋の準備が整いました」
(咒)「ご苦労様です。それではみなさん、これからメイドのツンがみなさんをお部屋にご案内します」
(炎^ω^)「(ツンに似てるお……)」
从'ー'从「(この子、中学のときのツンちゃんに似てるなぁ……)」
('A`)「(なんかツンっぽいな、この子……)」
川 ゚ -゚)「(こっちも貧乳だな……)」
さわぎながらツンについていく5人を見届け、静かに微笑むとジャムは文字通り、そのロビーから姿を消した。
427 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:17:33.72 ID:kvvVXkm+0
ξ゚ -゚)ξ「こちらが最後、ドクオ様の部屋になります」
ドアを開き、ツンは中を確認させた。
ξ゚ -゚)ξ「3階の客室は奇数と偶数で内装は同じとなっています。服や必要と思われるものは全て準備させていただきましたが、
何か入り用なものがありましたら、私や他の使用人にお申し付けください」
从'ー'从「わかったわ。ありがとう、ツンちゃん」
川 ゚ –゚)「ひとつ、質問があるんだが……」
そう言いながらクーは木製の扉が並ぶ廊下に不釣合いな、妙にメカメカしい扉を指差した。
川 ゚ –゚)「あれは何だ?」
ξ゚ -゚)ξ「ゲストルームにございます」
('A`)「ボク達のほかにも、まだ誰かいるの?」
ξ゚ -゚)ξ「いえ……」
428 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:17:41.28 ID:xJBZkTJR0
支援
429 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:18:14.36 ID:kvvVXkm+0
ξ゚ -゚)ξ「ここはゲストを『呼び出す』部屋になります。皆様の世界などから人やモノを
このホテルに招き入れることができます」
川 ゚ –゚)「なるほど……では『顔文字』のクーでも喚んでもらおうか」
(´・ω・`)「『ギアス』のショボンと会ってみたいな」
(炎^ω^)「『アイマス』のリョーコ・モモヤマに会いたいお」
从'ー'从「『ツン止め』のツンさんも呼べますか?」
('A`)「俺はルイズ・フランソワーズ・ル・ブラン・ド・ラ・ヴァリエールちゃん!!」
ξ゚ -゚)ξ「……ある程度常識をわきまえてもらうとありがたいです。
夕食は7時からとなっております。その席で、またジャム様から話があるでしょう」
仕事があるから。
そう言ってメイド少女・ツンは静かに階段を下っていった。
430 :
共通前編 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:19:35.74 ID:kvvVXkm+0
('A`)「まったく、大変なことになったもんだな」
案内された305号室。ダブルベッドが鎮座しているにもかかわらず空間を広く感じる・。高そうなだけでなく
品のありそうな調度品が一流の客室。ホテルらしくテレビや冷蔵庫もしっかり備えられている。
テレビをつけると、なぜかジョジョの5部が放映されていた。
机の上にノートパソコンがあったり、クローゼットには今自分がきているのと同じ服が5,6着、ぴしりとアイロンも
あてられてつるされている。おそらく、他の4人の部屋もそんな感じだろう。
この部屋に戻る前、302号室のショボンの部屋でこれからの事を少し話し合ってきた。一緒になったのも何かの縁、
という事で5人そろって、それぞれの世界を観光する手はずになっていた。
明日は○○の世界。順調に回れば、そのうちヴィップ町に戻ることになるのだろう。
('A`)「(ブーン、ショボン……)」
二人の友の姿が頭をよぎり、思わずダブルベッドに頭から飛び込む。おもった以上に体が跳ねた。
431 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:21:56.07 ID:Y3Rv5vNJO
支援
432 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:25:31.14 ID:EoBfNhc4O
支援
433 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:26:23.43 ID:xJBZkTJR0
支援
434 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:26:56.83 ID:GfW5T14k0
支援
435 :
共通前編訂正 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:28:26.95 ID:kvvVXkm+0
('A`)「まったく、大変なことになったもんだな」
案内された305号室。ダブルベッドが鎮座しているにもかかわらず空間を広く感じる・。高そうなだけでなく
品のありそうな調度品が一流の客室。ホテルらしくテレビや冷蔵庫もしっかり備えられている。
テレビをつけると、なぜかジョジョの5部が放映されていた。
机の上にノートパソコンがあったり、クローゼットには今自分がきているのと同じ服が5,6着、ぴしりとアイロンも
あてられてつるされている。おそらく、他の4人の部屋もそんな感じだろう。
この部屋に戻る前、302号室のショボンの部屋でこれからの事を少し話し合ってきた。一緒になったのも何かの縁、
という事で5人そろって、それぞれの世界を観光する手はずになっていた。
明日は渡辺さんの世界。順調に回れば、そのうちヴィップ町に戻ることになるのだろう。
('A`)「(ブーン、ショボン……)」
二人の友の姿が頭をよぎり、思わずダブルベッドに頭からダイブする。おもった以上に体が跳ねた。
436 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:29:30.37 ID:GfW5T14k0
支援
437 :
共通前編訂正 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:30:53.21 ID:kvvVXkm+0
('A`)「(でけぇ……ダブルベッドなんてはじめてだよ……)」
('A`)「(女の子と来てみたいよな……)」
顔を毛布に埋めながら、改めて現状を振り返る。
清楚なOL、渡辺。
ただの不思議系におさまらない女子高生、クー。
物静かな美少女メイド、ツン。
ひとり旅のさなかに出会った、タイプの違う3人の美人。
('∀`)「これなんてエロゲ的展開」
ニヤケ顔で否定しつつも、ドクオは愉しそうだった。
【共通前編・おしまい】
438 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:34:10.83 ID:EoBfNhc4O
規制解除らしい
アイマス乙!
439 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:34:18.84 ID:brm38Zxm0
乙
440 :
◆OmuricecW6 :2007/10/06(土) 03:34:58.04 ID:xJBZkTJR0
乙です!
早漏っぷりを発揮してすでにまとめてしまったんですが、
共通前編はこちらをまとめた方がいいですか?
441 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:35:09.82 ID:GfW5T14k0
乙!
442 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:36:21.63 ID:brm38Zxm0
おお、オムさんもこんな夜まで乙
443 :
登場人物紹介 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:38:26.03 ID:kvvVXkm+0
川 ゚ -゚) クー 『川 ゚ -゚)クーのネジが一本抜けたようです』の主人公。女子高生。
元は真面目な才女だったが、ある出来事をきっかけに頭のネジが一本抜けてしまい、
これまでとは180°逆の突拍子もない行動を繰り返すようになる。
(彼女の世界の)ドクオとは恋人同士。
(炎^ω^) アニメ店長ブーン(本名:内藤ホライゾン) 『(炎^ω^)ブーンがアニメ店長になったようです』の主人公。元ニート。
ひょんな事からオタク都市アキバハラのアニメグッズショップ『anim@te』で働くようになった元ニート。
普段は倦怠感丸出しの根性ナシなのだが、前店長に譲り受けたサンバイザーをかぶると、同一人物とは
思えないほど熱血を前面に押し出した暑苦しいキャラクターに変身する。
(´・ω・`) ショボン 『( ´ω`)('A`)枯れて苦悩し密室で虹を探そうと生き抜くようです』の登場人物。
とある事情から『虹』を探している青年。
444 :
登場人物紹介 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:38:58.04 ID:kvvVXkm+0
从'ー'从 渡辺さん 『渡辺さんのワンダーウォール』の主人公。
大学を出て一般企業に勤めるOLさん。音楽好き。
これまでの渡辺さんのイメージを払拭しかねないしっかりとした、それでいて遊び心のある女性、
('A`) ドクオ・モイタン 『( ^ω^)ブーンは綺麗な町に住んでいるようです』の登場人物。童貞。
やりたい事もない、力も夢も才能もない……と嘯きながら仲間と青春を謳歌する、いたって普通の男子高校生。
敵(?)組織から『スペシャル』と呼ばれる幹部候補生としての引き抜きをめぐり、仲間とは対立中。
“現行一ドクオらしいドクオ”の名は伊達ではなく、見事なダメっぷりを見せる一般人代表。
445 :
登場人物紹介 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:40:22.33 ID:kvvVXkm+0
(咒) ジャム・メシア(JAM=MESIA)
今合作の影の主人公。『鮫島ホテル』の管理人を名のる謎の老執事。
ξ゚ -゚)ξ ツン(Tun)
中学生くらいのメイド少女。普通のツンと顔文字が微妙に違う。
無口な少女で、必要以上に他人と関わろうとしない。ただし、ジャムは特別な存在らしい。(性的な意味ではない)
アイマス◆YhrftnhMQI的には、『リトルバスターズ』の棗鈴(人見知りver.)のイメージが離れない。
ジェバンニ
何でも一晩で仕上げてしまうボーイさん。もちろん元ネタはあの人。
446 :
登場人物紹介 ◆YhrftnhMQI :2007/10/06(土) 03:44:00.37 ID:kvvVXkm+0
以上で共通編は終了です。こんな時間まで支援、お疲れ様でした。
>>440 いくつか変更した点もあるので、キレイキレイさんとオムさんには申し訳ありませんが、
こちらをまとめてくださるとありがたいです。
それでは、おやすみなさい。明日もお楽しみに。
447 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:45:12.21 ID:EoBfNhc4O
お休み
448 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:45:34.19 ID:xJBZkTJR0
>>446 レスありがとう。了解しました。
おやすみなさいです。
449 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 03:46:34.73 ID:vsPIJ3bYO
乙でした
450 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 04:03:28.26 ID:CUJg/dfu0
乙
451 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 05:03:56.33 ID:INa47DcAO
読む上げ乙
452 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 05:26:00.93 ID:CUJg/dfu0
寝る保
453 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 06:00:23.03 ID:/WUJfv2h0
ほ
454 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/06(土) 07:07:47.98 ID:7Do+vJNWO
何と言う寝落ち……
乙!
455 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
ミッナイクラクションベイベエェェェェェ乙!