( ^ω^)ξ゚听)ξブーンとツンは夫婦のようです

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1 ◆KE5IbiKkzw
日を空けてしまって申し訳ありませんでした。

まとめが無いので一日目から投下したいと思います。
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 19:35:55.68 ID:BNUCM9PaO
腹減った
3 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 19:36:21.55 ID:iTeCHy5GO
………
……


ξ゚听)ξ「……」

深く、重く閉じられていた瞼を、ゆっくりと開いて行く。

ξ゚听)ξ「ここは……」

目に映るのは、真っ白で染み一つ無い天井。
部屋の中を見渡すと天井と同様に、真っ白な壁が広がっている。
窓の外からは、太陽の陽射しが眩しい程に溢れ込んで来る。

……思い出した。

私は今、病院にいるんだ。

『目が覚めたかお?』

4 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 19:38:22.52 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「……」

ベッドの横に位置するパイプ椅子に腰を掛けている、スーツを身に纏った一人の男性。
そのニコニコとした優しい表情からは何処か、安心感の様なモノを得られる。
確か名前は……。

ξ゚听)ξ「……ブーン?」

( ^ω^)「そうだお、ブーンだお」
( ^ω^)「覚えてくれてありがとうだお」

ξ///)ξ「えへへ」

『ガチャッ』

(´・ω・`)「おはようございます、ツンさん」

病室のドアを開けて中に入ってくる、白衣を着た男性。

5んぬ:2007/10/03(水) 19:38:25.63 ID:5pXkVjRQO
ワクテカ
6 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 19:40:19.11 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「おはようございます、ショボン先生」

医者のショボン先生は、腕を後ろに組んだまま、私のベッドへとゆっくり歩み寄って来る。

(´・ω・`)「それで……気分の方は?」

ξ゚听)ξ「あ、とっても良いです」

(´・ω・`)「そうですか、それは良かった」

ニコリと爽やかな笑顔を見せる先生。
現に今朝は調子が良く、頭痛なども無い。

7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 19:41:16.71 ID:YC02YY/VO
今日はいろいろ荒れてるのに立てる>>1に乾杯
8 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 19:42:25.99 ID:iTeCHy5GO
( ;^ω^)「先生、どうですかお?」

ブーンが立ち上がり、先生の元へと詰め寄って行く。

(´・ω・`)「うーん……」

ブーンの問掛けに対して、考え込むようにして唸る先生。
一体、なんの話だろう……。

(´・ω・`)「……まぁ大丈夫でしょう」

( *^ω^)「ホントですかお!?」

先生からの返答に、ブーンの表情が明るくなる。
でも、何が大丈夫なんだろう……。

9 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 19:44:15.72 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「ブーン……どうしたの?」

( *^ω^)「ツン!」

ブーンが、私の方へとに近付いて来る。
そして元の椅子に再び腰を掛け、私の手を優しく握る。

( *^ω^)「帰れるんだお……家に帰れるんだお!」

ξ゚听)ξ「家に……帰れる?」

( *^ω^)「そうだお!」

ξ*゚听)ξ「やったー!」

10 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 19:46:05.58 ID:iTeCHy5GO
数日前……。
私は、ベッドの上で長い眠りから目が覚めた。

………
……


ξ゚听)ξ「ここは……何処なの?」
ξ゚听)ξ「私は……ここは一体、何処なの……?」

不思議だ……。
目が覚めたのに、何かから目覚めていない感覚……。
何も思い出せない。

ξ゚听)ξ「……怖い」
ξ゚听)ξ「……何も分からない」

( ^ω^)「……ツン?」

ベッドの横で椅子に座っている男性が、何か言葉を口にする。

……ツン?

11 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 19:48:26.51 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「ツン……ツンって何?」

( ;^ω^)「ツン……一体、どうしちゃったんだお?ツンは君の名前だお……」

ξ゚听)ξ「……ツン」

男性が口にした言葉……ツン。
それが私の名前……。
何故、私が私の名前を思い出せないの?
私は私なんだから私が私の名前……。
ワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイワカラナイ……。

『ズキッ』

突然、頭の内側を鋭利なモノで刺されたかの様な痛み……。
それと同時に迫り来る、何もわからないという恐怖。

ξ゚听)ξ「……イヤ」

( ^ω^)「……ツン?」

……何も。
……分からない。

12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 19:49:53.90 ID:C1xhVd8V0
夫婦って設定がだめだなあ。
恋人ならよかったのに。
13 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 19:51:28.00 ID:iTeCHy5GO
ξ;;)ξ「……イヤ」

……何も。
……思い出せない。

ξ;;)ξ「イヤァーッ!」

( ;^ω^)「ツン、大丈夫かお!?ツン!ツン!ツン!」

ξ;;)ξ「イヤーッ!」

14 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 19:53:41.28 ID:iTeCHy5GO
………
……


(´・ω・`)「……アナタの名前は?」

ξ゚听)ξ「……」

私の名前はツン。
それはさっきの男性が教えてくれた。
ワタシノ、ナマエハ、ツン。

(´・ω・`)「何か……病院で目が覚める前のことを……覚えていますか?」

ξ゚听)ξ「……分かりません」

本当に何も分からない。

……分からなと言う言葉に恐怖を感じる。

なんで……。
何がワカラナイんだろう。

15 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 19:55:30.45 ID:iTeCHy5GO
(´・ω・`)「……分かりました」

分かりました?
私が分からないのに、この男には何が分かったんだろうか……。
ワカラナイ。
本当に何も分からないんだ、私。

J( 'ー`)し「先生、お待たせしました」

病室に入って来た、真っ白な服を着た年輩の女性。
恐らく看護師さんであろうか。

(´・ω・`)「あぁ、ありがとう」

ξ゚听)ξ「……」

その後、私は看護師の用意した物で、様々な実験の様なことをさせられた。
御飯の食べ方、歯磨きの仕方、口頭でのトイレの仕方など。
どれも自分の出来ることばかりだったから、少しだけ安心した。
私にも、分かることがあるんだ……。

16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 19:57:39.32 ID:3KXgnMaB0
オムライスです

まとめません
17 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 19:57:44.02 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「……」

先生と看護師が出て行った後、病室内が静寂に包まれる。
一人ベッドで横になりながら、ボーっとする。

……何も考えたく無い。
考えると、再び恐怖が襲って来るから。
……ワカラナイという恐怖が。

18 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 19:59:54.81 ID:iTeCHy5GO
どのくらい時間が経ったのだろうか。
不意に病室のドアが開く。

( ^ω^)「……ツン」

中へと入って来る一人の男性。
私のことをツンと呼ぶこの人は一体、誰なんだろう……。

『ズキッ』

又だ……。
頭が痛い……。
さっきよりもずっと痛い。
割れそうだ……。
痛い痛い痛い痛い痛い。

ξ;;)ξ「痛いよぅ……」

( ;^ω^)「ツン、大丈夫かお!?今、先生を呼ぶお!」

その男性が慌てながらナースコールを押す姿が目に映る。

19 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:02:31.34 ID:iTeCHy5GO
ξ;;)ξ「痛いよぅ……痛いよぅ……」

( ;^ω^)「ツン、大丈夫だお。今、先生を呼んだから大丈夫だお」

そう言ってその男性は、私の手を優しく握ってくれる。
暖かい……。

ξ;;)ξ「痛い……」

……もう何も考えたくない、分からない。
何も分からない、私に教えて……。

頭痛に耐えながらも、喉から声を絞り出す。

ξ;;)ξ「アナタは……誰?」

……私の名前を知る、アナタは?

( ;^ω^)「!?……僕は……」

アナタは……誰なの?

20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 20:04:30.02 ID:2E7cHWuM0
おおきたかしえん
21 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:05:36.72 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「僕の名前は……ブーン」

ξ;;)ξ「……ブーン?」

( ^ω^)「そう、ブーン。そして僕らは……」
( ^ω^)「……夫婦だお」







( ^ω^)ξ゚听)ξブーンとツンは夫婦のようです

22 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:08:16.19 ID:iTeCHy5GO
……私は記憶喪失になってしまった。
医者のショボン先生は、難しい言葉を並べて、私の記憶喪失についての内容を伝えてくれた。
正直、難しい話で理解出来なかった。

……でも大丈夫。
私にはブーンがいるんだから。

そして、記憶喪失を知ってから数日後の昼……。

………
……


ξ゚听)ξ「先生、お世話になりました」

わざわざ病院の外まで見送りに来てくれた先生に向けて、頭を下げる。

23 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:10:10.78 ID:iTeCHy5GO
(´・ω・`)「うん……」

癖なのだろうか、先生は相変わらず腕を後ろに組んでいる。
そして心配だと言わんばかりの目を私に向ける。

(´・ω・`)「……お大事にね」

そう言って、先程とは違って、今度は私に笑顔を向ける。
それがなんだか……嬉しい気持ちにさせる。

(´・ω・`)「それじゃあ……何かあったらスグに連絡を」

( ^ω^)「……分かりましたお」

24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 20:11:04.11 ID:2E7cHWuM0
しえん
25 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:11:37.23 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「先生ーさよーならー!」

(´・ω・`)「……さよなら」

先生は、笑顔を崩さないまま右手をヒラリと振る。

先生に別れを告げ、私達二人は駐車場へと向かう。

26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 20:12:00.66 ID:NByCWTPn0
支援
27 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:13:37.97 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「さぁツン、乗るお」

私の目の前にある……一台の車。
クルマ。

『ズキッ』

……何故だろう。
あの時と同じ様に、再び頭に痛みが走る。

( ^ω^)「……ツン?」

ブーンが心配そうな表情で、私の顔を覗き込む。

( ;^ω^)「……まさか頭が痛いのかお!?」

ξ゚听)ξ「んっ……大丈夫」

……大丈夫。
頭が痛いなんて言ってられない。
これから……ブーンと私の家に帰るんだもの。

28 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:16:00.70 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「立ちくらみよ。そんなに心配しないで」

( ;^ω^)「……でも」

ξ゚听)ξ「大丈夫って言ってるしょ。私はほら!この通り元気!」

そう言って軽く、おどけて見せる。

( ^ω^)「……良かったお」

ブーンのホッとしたような表情をしながら、胸を撫で下ろす。

……良かった。

29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 20:16:39.51 ID:NByCWTPn0
支援
30 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:17:52.78 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「さぁ、行きましょ!」

目の前に用意された車のドアを勢い良く開けて、助手席へと乗り込む。

ξ゚听)ξ「早くー!」

( *^ω^)「おっ!分かったお!」

ブーンが反対側のドアから運転席へと乗り込む。
ポケットから取り出した鍵を車に差し込んで、右に回すとエンジンのかかる音が聞こえる。

( ^ω^)「よーし、帰るお!」

ξ゚听)ξ「イエーイ!」

ブーンがアクセルを踏むと同時に、小さな音を出しながら車がゆっくりと動き出す。

31 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:19:35.01 ID:iTeCHy5GO
国道を走る車の窓は、家を、木々を、沢山の人を映し出す。

『〜♪』

不意に耳から脳へと流れ込んで来る音楽。
綺麗なメロディーに乗せた、女性の声。

ξ゚听)ξ「この歌……」

( ^ω^)「どーしたんだお?」

この歌……何処かで聞いたことある気がする。

ξ゚听)ξ「うん、なんか聞いたことのある歌だなーって」

私とブーンは、その歌に耳を傾ける。

( ^ω^)「……良い歌だけど……悲しい歌だお」

ξ゚听)ξ「……そうね」

……悲しい歌。
確かにそんな感じがする。

32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 20:19:53.64 ID:NByCWTPn0
知らないとこに行くのに不安はないのかな?
支援
33 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:21:37.30 ID:iTeCHy5GO
元気良く走っていた車が、国道から外れる。
立ち並ぶ民家に囲まれた道を、何度か曲がるとある一軒のマンションが目に入る。

そして、車はそのマンションの前に停車する。

( ^ω^)「……着いたお」

ξ゚听)ξ「……ここが」

……私の家。

車から降りて、マンションの前に立ち、改めて眺めてみる。

ξ゚听)ξ「……やっぱり思い出せないなぁ」

口に出してみる。
やっぱり思い出せないんだなぁ。

34 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:23:47.25 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「……思い出せなくたって良いお」

ξ゚听)ξ「えっ?」

ブーンが何気無く口にした言葉……。
その言葉に少しの疑問を持つ。

( ^ω^)「思い出す必要なんて無いお」

ξ゚听)ξ「でも、それじゃあ……」

( ^ω^)「思い出は、思い出すだけの物じゃ無いお」
( ^ω^)「……作って行く物だお」

ブーンの表情は優しいモノだった。
私の目をジッと見つめ、心に語りかけてくれる。

( ^ω^)「ツンが辛い思いをするよりも、これから楽しい思い出を作ってくれることの方が」
( ^ω^)「……ブーンは幸せだお」

35 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:25:33.71 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「ブーン……」

私もブーンの目を見つめる。
いつもニコニコとした、その目を……。

( ^ω^)「愛してるお」

そう言ったブーンは私の体を強く……そして、優しく抱き締めてくれる。

ξ*゚听)ξ「ちょっと……ブーン」

こんな所で……恥ずかしいよ。

( ^ω^)「……なんだお?」

ξ///)ξ「……私も、愛してるよ」

( *^ω^)「おっおっ!」

36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 20:27:06.43 ID:NByCWTPn0
支援
37 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:27:19.74 ID:iTeCHy5GO
ξ*゚听)ξ「さっ、早く中に入りましょう」

恥ずかしくなった私は、ブーンの手を取り、マンションの方へと歩き出す。

( ^ω^)「ツン、そっちじゃないお」

ξ*゚听)ξ「あらっ?」

私が向かったのは、違う方の入り口だった。

( ^ω^)「こっちだお」

今度は、ブーンが私の腕を引いてくれる。
大きくて、暖かい手。

ブーンが開けてくれたドアから、部屋の中へと入る。

ξ゚听)ξ「へぇー……」

中は割りと綺麗で、物が少なく、サッパリとした印象を持つ。
部屋の数は二部屋で、キッチン、風呂場、洗面所、トイレが別々に付いていて、中々広い構造になっている。

38 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:30:09.73 ID:iTeCHy5GO
居間の隣に位置する、恐らく寝室であろうその部屋には、布団が二つたたんで置いてある。

ξ゚听)ξ「ここで寝るの?」

( ^ω^)「そうだお。右が僕で、左がツンの布団だお」

居間へと戻り、二人でソファーに腰掛ける。

( ^ω^)「ふぅー」

ξ゚听)ξ「ふぅー」

『……』

突然、私達を襲う静寂。
病院にいた時とは少し違う、二人だけの空間に緊張を覚える。

ξ゚听)ξ「なんか……変な感じね」

( ^ω^)「……」

ブーンの暖かい手の平が、私の肩をソッと包み込む。

39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 20:30:34.30 ID:ono1Zvl7O
支援
40 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:32:08.13 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「これからは……ずっと一緒だお」

ξ*゚听)ξ「……うん」

これからは、ブーンとずっと一緒。
ドラマに出て来る様な、甘い言葉。

ξ*゚听)ξ「これから……もっとブーンの事を知りたいから……」

ξ*゚听)ξ「だから……これから宜しくね!」

( ^ω^)「……こちらこそだお」






『ピーンポーン』

玄関の方からインターホンの鳴る音が聞こえる。

41 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:34:16.55 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「おっ?誰だお?」

ブーンはソファーから立ち上がり、小走り気味に玄関へと向かう。

『おーっす』
『今着いたばかりか?』

ドアの開く音がしてから、男性と女性の声が聞こえてくる。

ξ゚听)ξ「……誰だろう?」

私もブーンの後を追う様にして、玄関へと向かう。

42 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:36:30.80 ID:iTeCHy5GO
('A`)「おー、ツン!久し振りだなー!」

川 ゚ -゚)「遊びに来たぞ」

そこにはボサボサ頭と、それに不釣り合いなスーツを身に纏う男性と
Tシャツにジーパンと、かなりラフな格好をした綺麗な女性が立っていた。

( ^ω^)「二人はドクオとクー。ブーン達とは高校からの友達だお」

ξ゚听)ξ「はっ……こんにちわ」

うっかり出て来そうになった"初めまして"と言う言葉を、慌てて飲み込んで、こんにちわに変える。

ドクオさんとクーさんとは、高校からの友達なんだ。
初めましてなんて言葉は、変だ。

43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 20:37:43.26 ID:vAquNvytO
支援
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 20:38:13.93 ID:NByCWTPn0
支援
45 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:38:28.71 ID:iTeCHy5GO
('A`)「なんだー、思ってたよりも元気そうだなー」

ドクオさんは、自分の顎にうっすらと生えている髭を、左手でジョリジョリといじりながら、私のことを強い眼差しで見つめる。

ξ゚听)ξ「……」

その目に少しだけ、恐怖を覚える。
この人の目……なんだか恐い。
全てを見透かすような……。

……そんな目。

46 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:40:34.90 ID:iTeCHy5GO
川 ゚ -゚)「そんな目でツンを見るんじゃない」

雰囲気を察したクーさんが、ドクオさんを制する。

('A`)「おースマンスマン、職業柄でな」

クーさんの言葉で、ドクオさんの目が一変して優しいモノに変わる。
しかし、職業柄という言葉……。

ξ゚听)ξ「ドクオさんの職業って、なんなんですか?」

('A`)「あぁ、俺は……」

('A`)「刑事なんだ」

ξ゚听)ξ「刑事……さん」

刑事さんか……。
成程、だからあんな目……でもなんで私をあんな目で見るの?

47 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:42:41.80 ID:iTeCHy5GO
川 ゚ -゚)「ツン」

ξ゚听)ξ「は、はい!」

考え事をしている最中、不意に名前を呼ばれて、慌てて返事をする。

川 ゚ -゚)「……敬語は止めてくれないか?」

ξ゚听)ξ「えっ……」

川 ゚ -゚)「私達は……昔からの親友じゃないか」
川 ゚ -゚)「だから……敬語なんて使わないでほしい」

……そうだ。
例え、私の記憶が無くなって、私自身が一からのスタートになってしまったとしても……。

クーさんの……いやクーさんだけじゃなく、他の人達の中での私は……。
立ち止まること無く歩き続けているんだ。

48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 20:43:39.07 ID:NByCWTPn0
支援
49 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:44:50.72 ID:iTeCHy5GO
ξ゚ ー゚)ξ「……わかったわ」

川 ゚ ー゚)「良かった」

クーがニコリと、私に笑顔を見せてくれる。

ξ゚听)ξ「改めて宜しくね」

川 ゚ -゚)「あぁ、宜しくな」

私とクーは握手をする。
クーの顔は、近くで見れば見る程美しく感じる。
白く透き通る肌に、通った鼻筋。
そして……綺麗な目をしている。

('A`)「俺にも敬語なんていらないからなー」

ξ゚ ー゚)ξ「わかったわ」

改めて痛感させられた、私の記憶喪失。
初めてじゃ無いのに、初めまして。

二人との出会いは……。
今の私では無く、昔の私を遠くに感じてしまう瞬間だった。

50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 20:46:12.50 ID:NByCWTPn0
支援
51 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:47:05.86 ID:iTeCHy5GO
('A`)「じゃあー……飯でも行きますか」

始めからこれが目的だったと言わんばかりに、ニヤリと笑うドクオ。

( ;^ω^)「ドクオ!」

('A`)「あん?」

ブーンが少しだけ強い口調で声を挙げる。

( ;^ω^)「ツンは今日、退院したばかりだお!それに……」

言葉に詰まってしまうブーン。
恐らく、私の身体を気遣ってくれているのだろう。

でも……。

52 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:49:27.95 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「あら、私は大丈夫よ」

( ;^ω^)「ツン……」

でも私は、ご飯に行きたかった。
皆とご飯に行って、お喋りして、色々な事を知りたい。
クーの事やドクオの事。それにブーンの事も。

私だけスタート地点で立ち止まってるなんてイヤ。

川 ゚ -゚)「久し振りに揃ったんだし、良いじゃないか」

('A`)「ツンも乗り気だしよー」

( ;^ω^)「ぅぅ……わかったお」

ブーンが観念したかのように答える。

私とブーンは一旦、部屋に戻って外出の準備をする。

53 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:51:10.18 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「……ねぇブーン?」

( ^ω^)「おっ?」

ブーンは、手に持っているポロシャツに腕を通しながら、返事をする。

ξ゚听)ξ「私の身体のこと……そんなに気遣わなくても良いんだよ?」

( ^ω^)「ツン……」

私は、ブーンの胸元に右頬を寄せる。
始めはゆっくりと刻まれていた鼓動が、早くなって行くのがわかる。

ξ*゚听)ξ「私は……大丈夫だから」

( ^ω^)「……わかったお」

ブーンは手を添えるように優しく、私の体を抱き締めてくれる。
ブーンの鼓動も……私の鼓動も早くなる。

54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 20:52:28.36 ID:NByCWTPn0
支援
55 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:53:14.28 ID:iTeCHy5GO
('A`)「ひゅーお熱いですこと」

( *^ω^)「ド、ドクオ!」

気が付くとドクオは、壁に寄りかかりながら、私達のことをニヤケ面で眺めていた。

ξ///)ξ「い、いるならいるって言ってよ!」

('A`)「だってー二人っきりの世界に入ってたみたいだしー」

へへへと意地悪そうな笑い声を挙げ、左の内ポケットから煙草を取り出す。
中から一本取りだし、口にくわえて火を付ける。

56 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:55:24.75 ID:iTeCHy5GO
('A`)「そんなん帰ってきてからで良いからよー早く行こうぜ」

そう言ってから、火の付いた煙草を再び口元へと運ぶ。
フィルターから煙を強く吸い込んで、一度肺に入って行った煙を外へと吹き出す。

( *^ω^)「わかってるお!」

ξ///)ξ「もう!」

私とブーンは急いで準備を終えて、クーの待つ玄関へと向かう。

川 ゚ -゚)「……随分遅かったじゃないか」

勿論、それ程待たせた覚えは無い。

57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 20:57:37.87 ID:NByCWTPn0
支援
58 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:57:47.82 ID:iTeCHy5GO
ξ///)ξ「べ、別になんでも無いわよ!」

川 ゚ ー゚)「ふぅーん」

クーはドクオと同様に、ニヤリと笑ってみせる。
部屋で行われた会話から、何があったのかは容易に予測出来ているのだろう。

('A`)「へへー実はコイツらよー」

ξ///)ξ「ストップ!」

ドクオの言葉を慌てて遮る。

川 ゚ ー゚)「何かあったのか?」

( *^ω^)「な、なんも無いお!」

('A`)「いや、なんか俺達待たせてコイツらよー」

ξ///)ξ「駄目ー!」

ドクオとクーの二人が私達をからかう。
でも決してイヤな気分になどならなかった。
初めて、こんな大きな声を出した気がする。

59 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 20:59:05.51 ID:iTeCHy5GO
家を出た私達四人は、ドクオの車へと乗り込む。
案の定、車内には煙草の匂いが充満していた。

('A`)「よーし!んじゃあー、適当に走るから適当に飯屋探せよー」

川 ゚ -゚)「全く……君はいつも適当だな」

ドクオのいい加減な発言に、クーが鋭く指摘をする。

生地はしっかりとしているのにシワくちゃなYシャツに、アイロンをかけてパリっとさせる。
例えるならばそんな感じ。

……二人はお似合いだなって思った。

60 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:01:23.51 ID:iTeCHy5GO
('A`)「んーまぁ、取り合えず店探しはお前らに任すからな」

そう言って車にエンジンを掛けて、アクセルを踏む。
ブーンの時とは違い、力強い走り出し。

( ;^ω^)「ドクオ!安全運転で頼むお!」

('A`)「俺はいつだって安全だぜー」

川 ゚ -゚)「この間、電柱にぶつけたのは何処のどいつだ」

ξ*゚听)ξ「アハハハハ」

この光景を見て、思わず笑い声を挙げてしまった。

61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:02:03.35 ID:NByCWTPn0
支援
62 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:04:00.21 ID:iTeCHy5GO
('A`)「へへっ」

川 ゚ ー゚)「ふふっ」

( *^ω^)「おっ!」

釣られて他の三人も笑い出す。

……記憶が無くなったって、私が幸せなのがわかる。

……ずっと、このままでも良いなって思った。

63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:04:48.26 ID:ThH2Ps7rO
支援
64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:05:25.65 ID:NByCWTPn0
支援
65 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:06:26.10 ID:iTeCHy5GO
………
……


空の一番上にいた太陽も逃げる様に去って行き、当たり前の様に月が姿を現していた。

テーブルの上にポツリとある、可愛らしいデザインの置き時計。
それの針は夜の7時00分を少し回った辺りを指している。

ξ゚听)ξ「ふぅー……疲れた」

身体にダルさを感じ、倒れる様にしてソファーに座り込む。

66 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:08:09.86 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「身体……大丈夫かお?」

ξ゚听)ξ「んっ……大丈夫」

何日間かの入院で体力が落ちたのだろうか……。
それとも元々、体力の無い方だったのか。

帰ってきてから、かなりの疲労を感じる。

67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:09:08.03 ID:NByCWTPn0
支援
68 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:10:29.23 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「全く……ドクオもデリカシーが無いお」

私達はドクオの車に乗り込んだ後、たまたま目に付いたラーメン屋さんに入ってちょっと遅めの昼食を取った。
それからゲームセンター、ボーリングを立て続けに楽しんだ。

そして……最後はカラオケボックスで、ドクオのジャイアンリサイタルが開催された。

ξ゚ ー゚)ξ「でも……楽しかったわ」

この言葉に偽りは無い。
今でも、思い出しただけで笑いが込み上げてくる。

69 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:12:03.89 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「ドクオは、昔からマイクを持ったら放さない男だったお」

ξ゚听)ξ「……」

ブーンが何気無く言った、"昔"と言う言葉。
その昔を……今の私は、何も知らない。

……昔の私はどんな女だったんだろう?

( ^ω^)「……ツン?」

ξ゚听)ξ「んっ?」

うつ向いていた顔を上げると、ブーンは心配そうな顔をして、私のことを見つめている。

70以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:13:18.53 ID:NByCWTPn0
支援
71 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:13:57.44 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「顔色が悪いお……大丈夫かお?」

ξ゚听)ξ「大丈夫!……少し疲れちゃっただけ」

( ^ω^)「もう今日は寝るかお?」

ξ゚听)ξ「そうね……寝るかな」

ブーンは
『わかったお』
と言った後、寝室の方へと向う。

布団の用意をしているその間に、私は寝やすいラフな格好へと着替える。

( ^ω^)「準備オッケーだお」

ξ゚听)ξ「うん、ありがと」

ブーンに一言、お礼を言ってから寝室の方へと足を進める。

72 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:15:47.38 ID:iTeCHy5GO
寝室の床には、先程まで畳んで置いてあった布団が、二つ並んで開かれている。

( ^ω^)「じゃあ、ゆっくり休むお」

ξ゚听)ξ「……ブーンはまだ寝ないの?」

電気のスイッチに手を掛けて、寝室から出て行こうとするブーンを呼び止める形になる。

( ^ω^)「寝る準備してくるお、ツンは先に寝てるお」

ξ゚听)ξ「ん……わかった」

( ^ω^)「おやすみだお」

ξ゚听)ξ「おやすみ……」

『パチッ』

私が布団の中に入ったことを確認してから、ブーンが壁に付いているスイッチを押す。
部屋の隅々まで照らされていた光が消えてしまう。

73以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:16:11.23 ID:NByCWTPn0
支援
74 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:17:53.55 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「……」

ブーンが寝室から出て行き、今日初めて一人と言う名の孤独を味わう。

……イヤでも言葉が頭に浮かぶ。

今まで篭っていた病院とは違う、時の経過を感じる。
ここでは……。
無情にも時が進んで行く。
……私の記憶喪失とは無関係に。

ドクオとクー。
二人はとても良い人達だった。
今日だって凄く楽しかった。

しかし……何処か寂しさを覚えたのも事実だ。
記憶が戻れば良いとは思わない。
だけど、この寂しさは……。

75以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:18:50.82 ID:NByCWTPn0
そういうもんなのか
支援
76 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:19:19.39 ID:iTeCHy5GO
………
……


『ギィ……』

どれ程の時間が経過していたのか……。
1分か、30分か、それとも1時間か。
不意にドアの開く音が聞こえて、闇の中に影の姿を見る。

恐らくブーンが寝る準備を終えて、寝室に入って来たのだろう。

『……』

ξ゚听)ξ「……」

ブーンは無言で、私の隣に位置する布団の中へと入る。
布団の擦れる音が聞こえたと思うと……静かになる。

77 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:20:37.45 ID:iTeCHy5GO
『……』

ξ゚听)ξ「……」

未だ目の慣れない暗闇。
布団の中に手を入れて……ブーンの手を握る。
布団の中にあったブーンの手は暖かく、私の手に触れるとピクッ反応する。

……握り合う手と手。

……二人の距離が近くなっていくのが分かる。

……最早、どちらの布団か分からない。

……暗闇の中、二人は体を寄せ合い。

……見えない唇にキスをした。







78 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:22:04.01 ID:iTeCHy5GO
以上で以前、投下した一日目は終了です。
少し休憩した後に、二日目を投下したいと思います。
79以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:23:23.53 ID:NByCWTPn0
おk
支援
80以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:23:35.20 ID:I5KEZtXeO
81以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:28:33.58 ID:6uuJv+T5O
支援
82以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:33:00.77 ID:6uuJv+T5O
支援
83以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:33:11.52 ID:I5KEZtXeO
シェン
84 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:35:29.59 ID:iTeCHy5GO
ありがとうございます。
それでは二日目の投下を開始します。
85 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:37:19.40 ID:iTeCHy5GO
………
……


『チュンチュン』

ξ゚听)ξ「……」

小鳥のさえずりと同時に、軽く閉じられていた瞼を開く。
カーテンの隙間からは、太陽の光が顔を除かせている。

ξ゚听)ξ「ふぁー……っ」

一つ欠伸をして、布団から体を起こす。
そして、乱れた寝巻きを整える。

病院のベッドの上では無く、愛する人の家で迎える、眩しい朝。

86 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:39:16.79 ID:iTeCHy5GO
( ‐ω‐)「ぐぅー……すぅー……」

ξ゚ ー゚)ξ「ふふっ」

そして隣には、その愛する人。
同じ布団で冷たい夜を越え、暖かい朝を迎える。
そんな幸せに自然と笑顔が溢れて来る。

ξ゚听)ξ「……あれ?」

ブーンの寝顔を見つめていると、ここで一つの疑問が生まれる。
今日は、記憶が正しければ平日の朝。

……ブーン、仕事は?

87以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:40:30.24 ID:NByCWTPn0
支援
大した過去もないのに愛せるものなの?
88以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:40:31.74 ID:QncALbNDO
しえ
89 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:41:07.04 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「ねぇブーン、起きて?」

( うω‐)「ぅうーん……なんだお?」

ブーンは強く閉じられた目を擦りながら、眠たそうにかすり声を挙げる。

ξ゚听)ξ「ブーン、今日お仕事は?」

( ‐ω‐)「ぅぅーん……無かった盆休み分をこの間、取ったから今日は休みだお……」

そう言ってブーンは、太陽の日差しが眩しいらしくタオルケットで顔を覆う。
そして、先程と同じ様に寝息を立て始める。

90以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:41:32.47 ID:6uuJv+T5O
支援
91 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:43:56.07 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「……私のため?」

( ‐ω‐)「……」

……眠ってしまったのか。
タオルケットを被ったまま、声を出さないブーン。
それでも私は、言葉を続ける。

ξ゚听)ξ「私が……」
ξ゚听)ξ「私が入院しちゃったから、わざわざ休みを取ってくれたの?」

( ^ω^)「!」

ブーンは覆っていたタオルケットをゆっくりと避けて、私の目をジッと見つめる。
それは何故か、驚いた様な表情だ。

92以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:44:39.05 ID:NByCWTPn0
支援
93 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:46:08.71 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「ごめんね……」

確かに考えてみれば、そうだ。
私が入院している時、いつも側にいてくれたブーン。

……わざわざ私の為に休みを取ってくれたんだ。

( ^ω^)「……そんな謝ること無いお」

ξ゚听)ξ「……でも」

私は知らず知らずの内に、ブーンの負担になっていてしまったのだ。
それを考えると、自然と謝りの言葉が出てくる。

94以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:46:39.56 ID:NByCWTPn0
支援
95 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:47:41.85 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「……良いんだお」

ξ゚听)ξ「でも」

( ^ω^)「良いんだお」

ブーンの柔らかな表情と、喋り口調に私の言葉は途中で遮られてしまう。

( ^ω^)「僕らは……夫婦だお」

( ^ω^)「助け合い、支え合うのは当たり前のことなんだお」

( ^ω^)「だから……もう謝るのは禁止だお」

ξ゚ ー゚)ξ「ブーン……」

……見つめ合う二人。

……今度は、太陽の光に祝福されながら。

……見えるその唇と唇を重ねる。

96 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:49:55.32 ID:iTeCHy5GO
ξ///)ξ「……」

( *^ω^)「おっ!」

改めて、ブーンのことを見つめながらのキス。
それに思わず顔を真っ赤にしてしまう。

( *^ω^)「ツン……可愛いお」

ξ///)ξ「う、うるさい!」

照れ隠しで出てきたその言葉。
ブーンには、届いているのだろうか。

……この幸せな気持ち。

97以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 21:50:23.49 ID:NByCWTPn0
支援
98 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:52:36.12 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「それにしても……今、何時だおー?」

そう言ってブーンは、枕の辺りを右手で探る。
そして、充電器に繋がったままの携帯を手に取り、開いて時刻を確認する。

ξ゚听)ξ「どれどれ」

寄り添う様にして私は、ブーンの肩に顎を乗せて、その開いた携帯を覗き込む。

ξ゚听)ξ「まだ7時半かー」

動くディスプレイの上に位置されている時計は、7時30分を表示していた。

99 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:55:28.29 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「もう目が冴えちゃったお」

ξ゚听)ξ「そうね」

人々は、太陽の目覚めと共に起床する。
しかし、その理由は様々だ。
仕事へと向かう者、学校へと向かう者など。
こんな時間にゆっくりとしていられるのは、休みの者かニートの者くらいだ。

しかし、いざ休みの日になると、することが無いのも事実。
私達二人も例外無く、暇を持て余していた。

100 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:57:51.20 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「どうしよっか」

( ^ω^)「朝から家で、ゴロゴロしてるのもアリだお」

ブーンにとっては、久々に家でゆっくりとすることが出来る休日。

ξ゚听)ξ「……」

( ^ω^)「ゴロゴロ……」

布団の上でゴロゴロと転がっていたブーンの身体が、ピタッと動きを止める。

( ^ω^)「……ツン、何処か行きたい所あるかお?」

ξ゚听)ξ「えっ?」

顔を上げて私を見つめながら、そう問掛けてくる。

……行きたい所。

101 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 21:59:20.71 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「うん……別に」

( ^ω^)「遠慮すること無いお?」

ξ゚听)ξ「……」

遠慮するなと言ってくれたブーン。

……あの約束、覚えるかなぁ。

ξ゚听)ξ「……動物園」

( ^ω^)「おっ?」

ξ゚听)ξ「動物園に行きたい」

……何故だか、凄く動物園に行きたかった。
病院にいる時からずっと。
それを入院中に告げたら、ブーンは必ず行こうって約束してくれた。

102以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:00:03.19 ID:6uuJv+T5O
支援
103 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:01:52.22 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「よし!行くお!」

そう言ってブーンは右手に握り拳を作り、布団から立ち上がる。

ξ゚听)ξ「でも……家でゆっくりしたく無い?大丈夫?」

( ^ω^)「ツンを動物園に連れて行くって約束したお」

( ^ω^)「僕は、約束を守る男だお」

ξ゚ ー゚)ξ「ブーン」

動物園に行きたい。
何気無く、理由も分からずに交した約束。

……覚えててくれたんだ。

その気持ちで私の胸は、一杯だった。

104以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:03:41.24 ID:7eIt9pGo0
105 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:04:15.60 ID:iTeCHy5GO
二人でもう少しだけゴロゴロした後、昨晩お風呂に入っていないことに気付いた。
ブーンの一緒に入ろうかとの言葉を丁重にお断りして、一人シャワーを浴びる。
降り注ぐ暖かいお湯で、昨日の疲れを癒す。

ξ*゚听)ξ「お待たせー」

( *^ω^)「おっ!」

ブーンがシャワーを浴びている間に早々と着替えを済ませて、出掛ける準備に取り掛かる。

なるべく早目に準備を終わらせ、家を出る。
そして車へと乗り込み、動物園へと向かう。

106 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:06:30.62 ID:iTeCHy5GO
………
……


車に揺られること約1時間。
私達二人は、動物園へと到着した。

( ^ω^)「着いたお」

ξ*゚听)ξ「わぁー」

駐車場に車を停めて、動物園までの道のりを歩く。

ξ*゚听)ξ「早くー!」

( *^ω^)「おっ!」

待ちきれず、ゆっくりと歩いていたブーンの手を引く。
動物園の前に立つと"VIP動物園"と書かれた大きな看板が目に入る。

入り口では、係り員が窓口で案内をしているのが見える。

107 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:08:32.14 ID:iTeCHy5GO
( ∵)「あっ、おはよーございまーす」

ξ゚听)ξ「おはようございまーす」

( ^ω^)「大人二枚、下さいお」

( ∵)「はいはい、大人二枚で1200円になりまーす」

窓口を介して、1200円を手渡す。

( ∵)「ありがとうございます!」

( ∵)「それでは……ようこそVIP動物園へ!」

係り員の元気良い言葉に背中を押されながら、園内へと足を進める。

108 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:11:08.73 ID:iTeCHy5GO
ξ*゚听)ξ「わぁー……ブーン!見て見て!」

目の前に広がる動物達。
それらを見て自然とテンションが上がってしまう。

ξ*゚听)ξ「行きましょ!」

( ^ω^)「おっ!ツン、走ったら危ないお!」

私はブーンの手を引きながら、園内を見て回る。

,∩、∩
(・●・-)「……」
【コアラ】

ξ*゚听)ξ「キャーコアラだ!コアラがいるよ!」

( *^ω^)「可愛いお!」

コアラは木の上にぶら下がり、お客さんとは全く別の方向を向いている。
若干、眠そうな雰囲気を出している。

109以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:11:10.91 ID:ATArO2WvP
4
110 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:13:01.08 ID:iTeCHy5GO
∩、_,、∩
し(´⊇`)J「……」
【ゾウ】

ξ*゚听)ξ「わぁーゾウだ!」

( *^ω^)「リンゴ食べてるお!」

ゾウは堂々としたその風格で、長い鼻を器用に使いながら、りんごを頬張る。

ξ*゚听)ξ「ブーン!こっちこっち!」

( *^ω^)「ツン!ちょっと落ち着くお!」

数多く存在する動物達。
それらに私は胸を踊らせ、子供の様にはしゃいでしまう。

111 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:15:47.29 ID:iTeCHy5GO
( ;^ω^)「ツン、ちょっと待ってくれお」

その言葉に私達二人は、一度歩みを止める。

ξ゚听)ξ「どうしたの?」

( ;^ω^)「お腹が減ったお」

ブーンのお腹から微かに聞こえて来る、虫の鳴く声。
携帯を開くと時計は、11時を少しだけ過ぎた辺りを表示している。
考えてみれば、朝食を取っていないのだから、このくらいの時間にお腹が減ってしまうのは仕方ない。

112 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:17:42.64 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「じゃあー……昼食にしようか」

( *^ω^)「おっ!」

⊂二二二( *^ω^)二⊃

ブーンは両腕を横に広げながら、芝生の方へと走って行く。

ξ゚听)ξ「あー、待ってよー!」

私も小走り気味に、ブーンの後を追う。

113以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:18:18.47 ID:7Ng9CS3x0
しえん
114 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:19:14.66 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「ここら辺で良いかお」

立ち止まったブーンは、そう言って手に持っていたシートを芝生の上へと引く。

ξ;゚听)ξ「ふぅー、ブーン足早ーい」

( *^ω^)「早く食べたいお」

ξ゚听)ξ「ちょっと待ってね……」

そう言って私は、持っていた包みをブーンの目の前に広げる。
その中には今朝、時間が無い中で作ったサンドイッチがタッパーに詰まっている。

ξ゚听)ξ「美味しく無いかもしれないけど……」

( *^ω^)「いただきますお!」

ブーンは、私の話が終わらない内にタッパーを開き、サンドイッチを一つ手に取る。
そして、それをそのまま口の中へと放り込む。

115以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:19:52.83 ID:DNb6dNMbO
116 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:21:00.13 ID:iTeCHy5GO
( *^ω^)「おー美味しいお!」

ξ*゚听)ξ「ホントッ!?」

( *^ω^)「美味しい、美味しいお……」

そう言ってブーンは、次々とサンドイッチを口に頬張る。

ξ*゚ ー゚)ξ「たくさん食べてね」

( *^ω^)「おっ!」

本当にお腹が減っていたらしく、凄い勢いでサンドイッチを口の中へと運んで行く。
そんな食べっぷりの良いブーンを見ていると、自然と笑顔が溢れて来る。

117 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:23:31.69 ID:iTeCHy5GO
昼食を終えると私達は、未だ半分も回っていない動物園を二人で歩く。
先程とは違い、ゆっくりと、手を繋ぎながら回る。
外から見れば完全にカップルの様だ。

……当たり前だ。
……だって私達は夫婦だもん。

118以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:23:58.64 ID:sFPDGWs50
わくわく
119 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:25:14.99 ID:iTeCHy5GO
………
……


気が付くと辺りは、園内はオレンジ色の夕日に染まっていた。

ξ゚听)ξ「あー楽しかったわ」

( ^ω^)「僕もだお」

動物園の客も先程とは違い、ちらほらと見られる程度になっている。

ξ゚听)ξ「今日は連れて来てくれてありがと」

( ^ω^)「ツンのお願いなら何処へでも連れて行くお」

ξ゚ ー゚)ξ「……ありがと」

夕日に照らされたブーンの表情は、とても穏やかなものだった。

……心の何処を探しても"ありがとう"という言葉しか見付からない。
……入院してから、ずっと私のことを支えていてくれたブーン。

いや、私が記憶を失うずっと前からきっと……。

120 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:28:05.60 ID:iTeCHy5GO
『……ツンさん?』

ξ゚听)ξ「えっ?」

不意に後ろから、私の名前を呼ぶ女性の声が聞こえてくる。

('、 `*川「あらーやっぱりツンさんじゃない!」

( ・∀・)「こんにちわー!」

そこには、私よりも少し歳上に見える女性と、一人の可愛らしい少年が手を繋いで立っていた。

121以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:29:01.57 ID:QTGhj9Zi0
うふふ
122 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:30:07.23 ID:iTeCHy5GO
('、 `*川「もうお身体、大丈夫なの?」

( ・∀・)「こんにちわー!」

ξ゚听)ξ「……こんにちわ」

繰り返し挨拶をして来る少年に、こんにちわと返す。
昔から私のことを知っているかのような口ぶりの女性。

……恐らく、記憶を失う前までの知り合いだろうか。

ξ゚听)ξ「あのー私……」

('、 `*川「いやー本当に残念だったわねー」

……残念だったわね?

ξ゚听)ξ「あの……」

( ^ω^)「ツン、もう行くお」
ξ;゚听)ξ「あっ!」

そう言って、私の手を引きながら出口へと足を進めて行くブーン。

123 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:33:11.86 ID:iTeCHy5GO
ξ;゚听)ξ「ちょっとブーン!」

それに遅れを取らない様にと、私も必死に付いて行く。

( ∵)「あっ、お帰りですか?ありがとーございましたー!」

( ^ω^)「……」

ξ;゚听)ξ「あっ……どうも」

変わらず元気の良い係り員に、ペコリとお辞儀をする。

……夕日を背に立つ、動物園。

先程の女性と少年は、既に見えなくなっていた。

124 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:34:36.84 ID:iTeCHy5GO
( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「……」

無言で車を運転するブーン。
私は、その横に位置する助手席に黙って座っている。

先程の女性の言葉が頭に浮かぶ。

『お身体、大丈夫?』
『残念だったわね』

……残念だったわね。

この言葉に疑問を持つ。
いや、持ってしまう。

あの女性は、記憶喪失のことは知らないのだろう。
しかし、私の何かを知っている。
そんな口ぶりだった。

……そしてブーンも。

125以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:35:18.06 ID:DNb6dNMbO
ん?
126以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:36:12.53 ID:7eIt9pGo0
127 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:36:42.07 ID:iTeCHy5GO
私とブーンを乗せた車は、今朝来た道を戻る様にして走り続ける。
聞こえて来るのは、エンジン音だけ。

……長い沈黙が続く。

ξ゚听)ξ「ねぇ……ブーン?」

そしてその沈黙を破る様にして、私が口を開く。

( ^ω^)「……なんだお?」

ブーンが口にした、その白々しい言葉。

……次に私の口から出て来る言葉。
……わかってるんでしょ?

128 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 22:39:55.64 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「……帰り際の、あの女性」

( ^ω^)「……」

ξ゚听)ξ「……あの人が言った言葉が、ずっと胸に引っ掛かってるの」

……昨日までとは違う。
……違った感情が生まれる。

ξ゚听)ξ「まるで……私のことを知っているかの様な口ぶりだった」

( ^ω^)「……」

ブーンは、私の言葉に黙って耳を傾ける。
先程と同じ様に、無言で。

129以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:45:53.18 ID:UyjrwCf20
4
130以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:50:35.28 ID:dibK80IvO
支援
131以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:51:45.41 ID:7Ng9CS3x0
しえん
132以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:52:02.57 ID:lKfe+4ml0
s
133以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 22:57:18.21 ID:2gcRUDl+O
支援
134以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/03(水) 23:00:43.01 ID:USSfPYwA0
支援
135 ◆KE5IbiKkzw :2007/10/03(水) 23:02:32.94 ID:iTeCHy5GO
ξ゚听)ξ「ねぇ……教えて?」

……私に生まれた感情。

ξ゚听)ξ「私は……」

……私は。

ξ゚听)ξ「……私は、なんで記憶喪失になったの?」

……知りたくなってしまった。

( ^ω^)「……」

車は、変わらず走り続ける。
止まることを忘れ、自分が今何をすべきなのかがわかっているかの様に走り続ける。

ξ゚听)ξ「……ねぇ、ブーン」

( ^ω^)「……ツン」

ブーンが口を開く。
車内の重たい空気が、私にのしかかって来る。

136 ◆KE5IbiKkzw
( ^ω^)「ツンは……事故がキッカケで……」

( ^ω^)「……記憶を失ってしまったんだお」

ξ゚听)ξ「……そぅ」

意外にあっさりとした会話。
なんとなく、そんな気がしていた。
寧ろ、それくらいしか思い浮かばなかった。

……でもブーンの口から聞くと、改めて実感する。
……私の記憶は事故で失った。

ワタシノ、キオクハ、ジコデ……。