1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
ずっと音信不通で申し訳ございませんでした。
受験に追われたり書く気が起こらなかったりと色々ありましたが、
16話、投下します。
ho
3 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 19:50:43.50 ID:sdrZDtNl0
机と椅子、それに小さな窓が付いているだけの質素な部屋。
天井には剥き出しの電球が取り付けられ、
本来暗闇に包まれているであろうこの場所を淡い光で照らしている。
今ここには二人の人物がいた。
一人は銀髪で片目を隠した女。
もう一人はオールバックの黒髪を後で束ね、どこか狂気じみたものを瞳の奥に湛える男。
互いに、似ても似つかない存在だ。
しかし一つだけ共通点がある。それは、“天才”という称号。
( ^Д^)「はっ。しけた部屋だな。……で何だ。説教ならお断りだぜ」
腕を組み、靴をつけたままの足を無造作に机の上に投げ出している男――プギャー。
いつもどおりの嫌味な笑顔だが、心なしか不機嫌そうにも見える。
从 ゚∀从「説教ではない。ただお前に頼みごとがあるだけだ」
( ;^Д^)「へ? 随分珍しいこと言ってくれるじゃないの。変な物でも食ったか?」
4 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 19:52:42.78 ID:sdrZDtNl0
入隊以来の仲であるヒッキーならいざ知らず、
どちらかと言えばそりが合わなかった自分に彼女が頼みごとをしてくるとは考えてもいなかった。
目を点にしたプギャーとは視線を合わせず、ハインリッヒは話を続ける。
从 ゚∀从「私とてお前などに頼みたくは無い。……だがヒッキーがあの状態では、な」
( ^Д^)「フン。で、何だよ。頼み事ってのは」
古い木製の扉を開けて入ってきた給仕が、二人の前にコーヒーで満たされたカップを置いた。
湯気が立ち昇り、何とも言えないいい香りが辺りに広がる。
从 ゚∀从「そう難しいことではない。ただ、暫くここを警備してくれればいいだけだ」
( ;^Д^)「はぁ? 警備?」
彼女の意図が全く理解できないながらも、プギャーは説明を促す。
ハインは頷きつつ、コーヒーを一口。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 19:53:52.83 ID:J3Mdty8X0
魚おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお
6 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 19:54:22.03 ID:sdrZDtNl0
从 ゚∀从「あくまでも予想の域を出ないが、近い内、ここを共和国が攻めて来るだろう」
( ^Д^)「ここにだと? んな馬鹿な。この間連中はグラント砦を攻めたばかりだろうが」
大なり小なり共和国も戦力を消耗している筈だ。
主力軍がある程度立ち直ったとはいえ完全ではない。連戦は控えてくるだろう。
普通の人間ならそう思うはずだ。
从 ゚∀从「まぁな。だが、前回の戦いで出てきたのは陸軍だけ。海軍と空軍はなおも戦力を温存している」
( ^Д^)「海軍と空軍、ねぇ。つまりは海から攻めて来るってわけか?」
从 ゚∀从「多分な。もしかしたら例の遊撃隊も混ぜて陸と海両方から攻めて来るかもしれん。
……まぁ海から攻めたほうが“アレ”は近いんだがな」
( ^Д^)「アレねぇ。……ま、いいぜ。とりあえずやりたいことはやっちまったしよ」
組んでいた腕を解き、カップを鷲掴みにして豪快に中のコーヒーを飲み干す。
……が、これがいけなかった。
プギャーの動きが一瞬止まる。
かと思うと、彼の顔は瞬時に蒼白となり、まだ完全に飲み終えていなかったコーヒーを辺り一面にぶちまけた。
ハインリッヒはこの事をあらかじめ予測しておいたのだろう。
いつの間にかコーヒーの軌道上から離脱していた。
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 19:55:11.68 ID:9a9AT4eo0
ゾイドサーガ2はクソゲー
8 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 19:58:06.45 ID:sdrZDtNl0
( ;^Д^)「ベフッ、ゴホッ、畜生! 誰だコーヒーに塩なんて入れた馬鹿は!」
从 ゚∀从「プギャーm9(^Д^)」
(#^Д^)「………」
从 ゚∀从「……ま、冗談はこの辺にしておいて」
プギャーがプギャーをされた。
屈辱で憎悪と怒りを露にするプギャーをいなし、ハインは軍帽を被る。
从 ゚∀从「それともう一つ」
( ^Д^)「あ?」
少しの間流れる謎の沈黙。
何事かを考えてるようだったハインは、ちょっとだけ残念そうな表情で言った。
9 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:00:00.44 ID:sdrZDtNl0
从 ゚∀从「……ジェノブレイカー。あれにあまり長いこと乗らないことだ」
( ;^Д^)「?」
顔を伏せ、ハインは足早にその場を去っていく。
その後姿はいつもの彼女とは違って、どこか頼りなさ気だ。
( ^Д^)「……何を言いかけたんだ? アイツ」
誰もいない部屋。
プギャーは独りで呟いた。
10 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:01:56.99 ID:sdrZDtNl0
夕刻。
悲哀に満ちた鳥の鳴き声が木霊し、世界は僅かな間橙色一色に染まる。
山も、海も、人工物も自然の物も何もかも。
当然彼も、そして彼が眠る清潔感溢れるこのベットも例外ではない。
( ‐ω‐)「………」
彼は眠っていた。
ずっとずっと、一時も目を覚ますことなく。
穏やかな寝顔。微かな寝息。
一見普通に、安らかに眠っているように見える。
だが顔の半分以上を覆う包帯が、その隙間から覗かせる血色の悪い肌が、
決してそうではないことを物語っていた。
彼のいるのは単純な造りの部屋だ。
ベットを除けば、あるのは小物入れに花瓶に、そして天井の上からぶら下る粗末な電球だけ。
しかし取り付けてあるドアは見るからに頑丈そうな鉄製で、
窓もとてつもなく厚い強化ガラス。
どう見ても、彼の傍まで行って看病してあげられる雰囲気ではない。
11 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:04:18.58 ID:sdrZDtNl0
(´・ω・`)「………」
その強化ガラスに、先程からずっとへばり付いている人物がいた。
短く切りそろえられた黒髪に下がり眉毛の下から覗かせる丸い瞳。
いつもと変わらぬ顔をした彼、ショボンだ。
('A`)「……何でこんなことに、なっちまったんだよ」
(´・ω・`)「すまない」
壁にもたれ掛かっているドクオからの、咎めるような鋭い視線。
ショボンはそれを避けるかのように、首を動かさず短い返事を返した。
同時に、ドクオの顔が熟したトマトのように真っ赤に染まる。
そこから大股の早歩きでショボンとの距離を一気に詰め、彼の胸倉を掴みあげるまで二秒も掛からなかっただろう。
無駄に横に開いた空間に、悲しみと怒りに満ちた悲鳴のような叫び声が木霊する。
12 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:06:15.91 ID:sdrZDtNl0
(#'A`)「テメェ! わかってんのか!? ブーンは二度と目を覚まさないかも知れねぇんだぞ!」
(´・ω・`)「………」
言い訳など出来なかった。
ブーンをあの基地まで誘ったのは他ならぬ自分だし、また彼を助けることが出来なかったのも自分なのだから。
( ´_ゝ`)「時に落ち着け、ドクオ」
アニジャの長い手が間に割って入り、彼等を引き離す。
彼は二人よりずっと身長が高い。傍らから見れば、まるで生徒と教師のようにも見えた。
(´<_` )「ブーンがああなったのはプギャーのせいであり、ショボンのせいではない。それくらいわかるだろう」
(#'A`)「だけど!」
やり切れない憤り。
人は、このような時誰かに感情をぶつけたくなるものなのだ。
それを知っているからか、アニジャもオトジャもそれ以上何も言わなかった。
ただ、二人が殴り合いの喧嘩でも始めないよう見張るだけ。
13 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:08:35.65 ID:sdrZDtNl0
(#'A`)「………」
(´・ω・`)「………」
沈黙。
長く、そして痛い沈黙だ。
時間だけが、ただいたずらに過ぎていく。
そんな最中だった。彼女が現れたのは。
ノパ听)「おいすー^^」
(´<_` )「流石に^^は不謹慎だと思いますが」
ノパ听)「ですよねー」
いつもと変わらぬ口調の彼女。
だがその顔は決して笑ってはいなかった。
ノパ听)「………」
無音の廊下に響く高い靴音。
窓際で項垂れるショボンの肩に、彼女はそっと手を置いた。
14 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:10:08.31 ID:sdrZDtNl0
ノパ听)「安心しなさいよ。アイツはきっと大丈夫」
(´・ω・`)「………」
確証はない。しかし、確信はある。
そう言いたげな彼女の声は自信に溢れていて、彼女の言ったことなら何でも実現しそうな気がしてきた。
(´・ω・`)「……そうですね」
小さい。しかし確かな声。
ショボンの顔には少しだけ、生気が宿った。
('A`)「……本当にそう思ってるのか?」
(´・ω・`)「え………」
突然背中から響くのは、どす黒い怒りの感情。
振り向くと、先程ではないにしろやはり顔を歪ませたドクオがそこにいた。
('A`)「本当にそう思ってんのかって聞いてんだよ」
馬鹿じゃねぇのか、と彼は続ける。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 20:10:26.19 ID:QqOhEsrlO
もう来ねえもんだと思ってた!
支援
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 20:13:11.77 ID:huxqI1UKO
携帯からで申し訳ないが
支援させてもらうッ!
17 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:13:46.66 ID:sdrZDtNl0
('A`)「ブーンの傷は並じゃない。下手すりゃあのまま、運がよくても後遺症が残る」
若干眉間に皺を寄せたオトジャが一歩前に歩み出る。
しかし、それを止めるのはヒート。
('A`)「テメェのせいだ。テメェのせいでブーンは永久に苦しむんだ!
それに、奇跡的に無事ですんだとしても――」
パチン。
感情に任せ吐き続けようとした声。
それが、途中で乾いた音によって遮られた。
(;'A`)「……え?」
そっと頬に触れる。
ピリッとした痛みが神経を通り、体中を駆け抜けた。
恐る恐る視線を動かす。
鬼のような形相をして目前に立ちはだかるヒートの姿が見えた。
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 20:13:51.07 ID:Dm3VohCLO
支援
まとめあんのか?
19 :
まとめ>>オムライスさん:2007/10/02(火) 20:15:03.01 ID:sdrZDtNl0
ノハ#゚听)「アンタばかぁ!?」
巨大な声が呆然とする男共の耳を突き抜ける。
その某パイロット顔負けの音量に、こっそり拡声器でも隠し持っているのかと疑ってしまう。
ノハ#゚听)「ブーンがああなって、一番辛い思いをしてるのは誰か、よく考えてみろ!」
(;'A`)「一番、辛い思い……?」
そんなこと、わかるわけないじゃないか。
戸惑うドクオに業を煮やしたのか、更に畳み掛けるべくヒートが口を開く。
すると、
(´<_` )「この中で一番ブーンと付き合いが長い奴、それを考えるんだ」
ノハ;゚听)「ちょ、何ヒント与えてんのよ!」
(´<_` )「申し訳ございません。しかしこれ以上でかい声出されたら俺らの鼓膜が持ちませんので」
既に、オトジャの足元にはあまりの音量に頭を痛くしたアニジャが蹲っていた。
最早破壊兵器と言っても過言ではない。
20 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:19:19.19 ID:sdrZDtNl0
(;'A`)「一番付き合いの長い人……」
考えるまでもない。
ブーンが幼き頃より行動を共にしてきた彼を置いて、他に誰がいるというのか。
('A`)「ショボン……」
(´・ω・`)「………」
忘れていた。
ショボンにとって、ブーンは親友とも呼べる存在だ。
そんな彼を、ショボンは助けることが出来なかった。
わざわざ責めなくとも彼は十二分に後悔してるだろう。
なのに、自分は……
('A`)「……すまん、ショボン」
(´・ω・`)「うん、いいよ。これくらいで落ち込むほど柔じゃない」
21 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:21:04.55 ID:sdrZDtNl0
彼の表情は変わらない。
責められても、謝られても。また励まされても。
彼の過去に一体何があったのか。
少しだけ、ドクオは気になった。
しかしそれを聞くことは敵わなかった。
基地内のありとあらゆるスピーカーから陽気な声が流れ、彼等の会話を遮る。
( ・∀・)『あーあーアテンションプリーズ? はい、関係ないですね。すいません』
ノハ;゚听)「大将? 何時のまにここに来てたのかしら」
神出鬼没に加え全く空気が読めない。どうにも扱い難い大将だ。
小さな小さなため息を誰かが漏らした。
( ・∀・)『第三、第十二、第十五、第二十五部隊の皆さんは至急司令室まで集まってください。拒否権はありませんよー』
ノパ听)「え、私達も?」
(´<_` )「久々の任務ですかね。腕が鳴ります」
( ´_ゝ`)「全くだな」
( ・∀・)『あぁ、そうそう。第二十五部隊のオトジャ大尉とアニジャ大尉、それにワタナベ少尉は来なくていいです』
22 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:23:39.50 ID:sdrZDtNl0
( ゚_ゝ゚ )
( ゚<_゚ )
ノパ听)「こっちみんな×2」
ショックで打ち拉がれる二人。
それをよそに、呼ばれたヒートはさっさと歩き出す。
ノパ听)「頑張りなさいよ」
そう、ショボンに囁きながら。
23 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:27:27.88 ID:sdrZDtNl0
グランドパロスのそれとは比べ物にならないほど巨大な、グラント砦の司令室。
いつもは主力軍の面々で埋め尽くされるここも、僅かな遊撃隊の面々だけでは寂しいくらいにがら空きだ。
そんな部屋の中央、ぽっかりと空いた穴。
うぃーんという音を鳴らし、せり上がってくるのは床。その上に乗るのは神出鬼没大将モララー。
( ・∀・)「やぁ、集まってくれましたか」
彼は眼の前に集まった選りすぐりのエリート達を見渡し、どこか満足げそうに言った。
ノパ听)「任務ですか」
( ・∀・)「ザッツラァーイト。今回攻めて頂くのは、ここです」
お馴染みの動作でお馴染みの地図が、あまりお馴染みではない巨大画面に映し出される。
モララーが指し示すのは、以前クー隊が完全体、否、例の蠍型ゾイドの設計図を奪取したあの場所だ。
ノパ听)「セリシア山……」
24 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:29:31.42 ID:sdrZDtNl0
( ・∀・)「あ、失礼。少しずれてました。ここですここ」
ノハ;゚听)「ちょwwww」
赤い点が消え、少し下の方に再度現れる。
それを見た途端、ヒート達遊撃隊の面々の顔色が変わった。
ノハ;゚听)「こ、ここは……」
(;*゚∀゚)「セリシア半島。ってことは攻撃目標はアレかー」
ノパ听)(あれ、誰だっけこの人)
隣から聞こえた聞き覚えのない声に少し戸惑いつつも、
やがて第三遊撃隊の人間であることを思い出す。
( ・∀・)「そうです。攻撃対象はあの有名な、“大型大砲”です」
25 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:31:12.32 ID:sdrZDtNl0
セリシアの大型大砲。
大砲、と聞いて何を思い出すかと質問すれば、
十中八九この答えが返ってくると言われるほど有名な大砲だ。
その主砲の性能たるや凄まじく、最重要拠点レッドリバーすらその射程圏内にすっぽりと収まっている。
( ・∀・)「いずれレッドリバーを落とす際、この大砲があっては極めて作戦がとり難くなりますからね」
いつかはやらなければならないと思っていたが、こうも早いとは。
一同のどよめきは治まらない。
……と思ったら。
( ・∀・)「もしセリシア半島を落とせば、私達は一躍ヒーローですよ? うっはうはですよ? どうですか、悪くないでしょう」
一発でどよめきは消え、代わりに喚声が上がった。
特に、ブーンやショボンのように最近どっからかスカウトされてきた階級なし連中の反応は凄まじかった。
目の色を変え、我先にと一歩踏み出す。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 20:33:36.11 ID:/HHLzgcf0
やったああああああwwwwwwww
待ってたんだぜwwwwwwwwwww
27 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:35:23.48 ID:sdrZDtNl0
(・ω・)「その任務引き受けたッパ!」
ミ,,゚Д゚彡「我が力、存分に振るえそうだな」
( ´ー`)「これは頑張るしかねーよ」
(;・∀・)「あ、あぁ、頑張ってください」
モララー自信、予想以上の効果に多少戸惑う。
何て現金な連中だと心の中で思いつつ、そして
( ・∀・)「なお、陸上から行ってもセリシア山に阻害される上に、
大型砲台から狙い撃ちされてしまいますので今回は海から攻めます」
ノパ听)「あ。だからアニジャにオトジャ、それにワタナベはいらないって言ったわけですね」
(^o^)「オレノ カツヤク キタコレ」
( ・∀・)「そういうことです。陸戦ゾイドじゃどうしようもありませんからねぇ」
(^o^)「エ、ムシッスカ」
ミ,,゚Д゚彡(? 妙だな)
(^o^)「オーイ」
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 20:35:50.65 ID:QqOhEsrlO
支援
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 20:38:52.75 ID:/HHLzgcf0
支援
30 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:39:37.52 ID:sdrZDtNl0
皆が張り切る中、第十二遊撃隊のエースフサギコは、モララーの言う言葉に多少の疑問を感じていた。
ミ,,゚Д゚彡(セリシアの守備についている戦闘ゾイドの多くは海戦用。陸戦用はあまり配備されてないと聞く。
いくら大型砲台があるからといって、海から一方的に攻めるというのは少しおかしくないか……?)
しかし彼はそれを口にはしなかった。
変な事を言って上官の機嫌を損ねてはまずいし、何より彼は自分の腕に絶対の自信があった。
どんなに敵がいようとも負けはしない、そう思っているのだ。
( ・∀・)「詳しい作戦とかはそちらで決めてください。
前にも誰かに言いましたが、私にはそういう才能はないので」
(^o^)「ダカラー」
そこで一息おいた後、モララーは腕を伸ばし窓の外を指差した。
張りのある、威勢のいい声が指令室内に木霊する。
( ・∀・)「さぁ皆さん、セリシアの連中に共和国の本当の実力を思い知らせてやりましょう!」
(^o^)「ソロソロナクゾー」
喚声が上がる。
その際、モララーの口元が不自然に釣り上ったのに気づいたのは、誰一人としていなかった。
31 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:41:28.90 ID:sdrZDtNl0
この星で戦いが起こらぬ日などない。
いつも、どこかで、誰かが戦っている。
その戦いに正義は無い。
その戦いに悪は無い。
あるのは自分と敵、勝利と敗北、そして生と死。
今日だってそうだ。
土砂降りの大雨と雷鳴の中、“蒼”と“黒”が交差し互いの血を求め合う。
「いつでも〜心を、満たすのは、空の青さと風の声」
炎と煙が無数に生じ、鉄片に肉片に砂塵が舞う。
リアルで血生臭い光景の中、場違いな声が流れていく。
その突如として生じた不協和音に戸惑うのは蒼の者達。
一瞬呆然とし、しかしすぐに我を取り戻す。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 20:43:29.11 ID:t71TqOBUO
支援
33 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:45:48.01 ID:sdrZDtNl0
「ひとつひと〜つのおもいを〜つ〜ないで〜」
橙色にも、黄色にも、赤にも見える光が煌いた。
今日何度目かの光景だ。
どこか狂気染みたそれが、宙に浮かび上がり地面へと激突する度に蒼の者達の悲鳴が轟く。
(; ̄ー ̄)「化け物、という奴ですか……」
肩まで伸ばした藍色の髪。
目に掛かるそれを首を振って退け、男は思わず笑みを浮かべた。
戦況は不利。それも、かなりだ。
機体数では勝っているようだが、それもいつまで保てるか。
(; ̄ー ̄)「ぐっ!」
背後から忍び寄る強烈なエネルギー。
前身の毛が逆立ち、脳が絶え間なく危険信号を発する。
自分の勘を頼りに、右へ跳躍。
ほぼ同時に己の左を閃光が霞め、次の瞬間には遥か遠くへ消え去っていった。
34 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:47:07.45 ID:sdrZDtNl0
死角からの攻撃。
避けれたのは本当に運がよかったからだ。
一撃で地面を抉る光速の物体は、当たれば恐らく一撃で自分と愛機の命を奪うだろう。
(; ̄ー ̄)「いけますか……? シールドライガー」
男の呼びかけに、かつての獣王は口元の鋭利な牙を尖らせ、獅子の名に恥じぬ咆哮を上げる。
頼もしい。そう思った。
( ̄ー ̄)「流石です……。では、いきますよっ!」
青き疾風は青き鬣を広げ、己を守る盾を作り出す。
淡い桃色を帯びた光の壁が、獅子の顔を覆うように現れた。
「中尉殿! 危険です!」
( ̄ー ̄)「うおぉぉぁぁぁぁぁ!」
35 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:48:45.55 ID:sdrZDtNl0
危険なのは重々承知。
だが、危険を冒さずしてこの状況を打破することなど不可能だ。
葬った機体をハイエナのように解体していた黒が、首をこちらに向ける。
互いの目と目が合い、同時に咆哮。
お互いの距離が縮んでいく最中、雷が轟き一瞬ではあったが“黒”の姿がはっきりと映った。
小柄ながら、攻撃的なフォルム。
足はすらりと長く、見ただけで高機動型ゾイドとわかる。
その形を一言で言い表すなら、豹と言ったところか。
しかし豹と決定的に違っているのは、背中に背負う自分の身体ほどもある二門の砲塔。
見るからに重そうで、おおよそ高速ゾイドの武装とは思えない。
( ̄ー ̄)「ぉぉぉぉぉ!」
再度、絶叫する。
操縦桿を握る手に更に力を込めて、距離が残り百メートルほどにまで縮まった所で跳躍。
体中に感じる浮遊感、そして落下感。
重力によって威力衝撃共に倍増された爪を振るう。
必殺の間合い。
相手は動きを止め、こちらを呆けたように見上げている。
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 20:48:49.55 ID:t71TqOBUO
支援
37 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:50:49.10 ID:sdrZDtNl0
「たとえどんな〜に明日が遠く〜ても……」
( ̄ー ̄)(馬鹿めっ――!)
数瞬後、右手に伝わる感触。
間違いない。ライガーの爪が、奴の砲塔を抉った。
やった。
確信する。
今まで何度も味わってきた勝利の感覚を噛み締め、男の口元が若干緩んだ。
尤も、それも僅かな間であったが。
(; ̄ー ̄)「!?」
確かに敵を切り裂いた、そう思っていたのに。
相棒の爪が切り裂いていたのは、何も無いただの地面。
何だこれは。幻覚?
いや違う、残像――?
38 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:54:07.31 ID:sdrZDtNl0
不思議と恐怖は感じなかった。否、感じることが出来なかった。
思考が、理解が、全てが追いつかない状況。
そんな彼の耳に、またあの声が踊り込んできた。
「か・す・ん・で見えても〜」
それを合図にするかのように、横っ腹に衝撃が迸る。
大きく揺さぶられる視界の中で、必死に危機的状況を訴えている『DANGER』の文字。
部下が何かを叫んでいるようだったが、聞こえない。
代わりに感じたのは何かで切り裂かれたような鮮明な痛み。
そして二度目の衝撃を感じたと思えば、機体が横倒しになっていくような間隔を覚えた。
尤も、本当に横倒しになっているのかはわからないが。
次いで襲いくるのは刺すような痛みと熱風。少しして目を潰されるような光も感じた。
徐々に薄れていく意識、霞んでいく視界。
その最中、殆ど役に立たなくなっているモニターに映る、敵のパイロットの顔を確かに見た。
39 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:57:45.12 ID:sdrZDtNl0
――(#゚;;-゚)――
金色に輝く短髪、あどけない表情、小柄な体格。
顔中に残る痛々しい傷跡にさえ目を瞑れば、そこら辺にいる極普通の少女だ。
あんな、自分の半分ほども生きていない少女にやられたのか。
悔しさ、驚き、様々な感情が入り混じる中、男の意識はそこで途絶えた。
――数分後
「でぃ、そっちは終ったか?」
(#゚;;-゚)「終ったよー。びぃ」
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 20:58:55.67 ID:t71TqOBUO
支援
41 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 20:59:11.64 ID:sdrZDtNl0
暗闇の中で、二つの“黒”が互いを呼び合っていた。
姿はほぼ同じ。機体も、パイロットも。
ただパイロットの方は、身長差が大分あったが。
(#゚;;-゚)「さて、コアの回収するー?」
(#゙;;-`)「当然だ。そのために襲ったんだからな」
(#゚;;-゚)「ふぅ、めんどくさい。“アイツ”が死んでなけりゃなー。もう少し楽だったのに」
(#゙;;-`)「つべこべ言わずやれ」
はーい、と可愛らしい声が凛とした声に向かって言葉を返す。
のそりと動き出した“黒”は、その鋭い爪をもって今しがた仕留めたばかりの“蒼”を解体し始めた。
ばきごきと鈍く聞くに堪えない音が絶えず響く中、でぃと呼ばれた小さめの少女が独り言のように呟く。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:02:15.13 ID:mqh51LTk0
支援
43 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 21:03:24.65 ID:sdrZDtNl0
(#゚;;-゚)「やっぱ速いねー。サイクスは。シールドライガーがカノントータスに見えるよ」
(#゙;;-`)「何せ、帝国の最新鋭機だ。これくらい性能がなくては困るよ」
しかし、と今度はびぃと呼ばれた二十歳前後の女が口を開く。
その口調は、実に面白くなさそうだ。
(#゙;;-`)「この任務だけは気に入らんな。我等“MK”が、ゾイドコア漁りなど……」
(#゚;;-゚)「じゃ、やめちゃう?」
(#゙;;-`)「そういうわけにもいかん。命令だからな」
その後暫く、会話が飛び交うことはなかった。
互いに黙々と仕事をし、数十分でそれを片付ける。
44 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 21:05:05.88 ID:sdrZDtNl0
(#゙;;-`)「よし、終わりだ」
(#゚;;-゚)「やっぱあの蠍野郎に任せるべきじゃないね。私達がやった方が数倍いいよ」
(#゙;;-`)「そう言うな。元々、アレはこの任務用に作られたものではないのだから。前回は、たまたまだな」
(#゚;;-゚)「へぇー、そうなんだ。じゃ、サイクスはこの任務用に作られたの?」
(#゙;;-`)「そういうことだ」
クスクス、とでぃが殺したような笑い声を出す。
何がおかしい? と聞くでぃに対し、びぃは、
(#゚;;-゚)「だってさー。サイクスはヒョウでしょ? なのに仕事はハイエナみたいじゃない。
そう思ったら、つい」
(#゙;;-`)「ハイエナ、か。それはサイクスじゃなく、私達のことかもしれんな」
(#゚;;-゚)「あははー言えてるー」
45 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 21:06:38.87 ID:sdrZDtNl0
再度笑い声。
しかし今度は抑えず、腹の底からのケタケタという声だ。
周りの景色さえ見なければ無邪気な光景。
二人は仲睦まじい姉妹のように見える。
しかし、いったん周りを見てしまえば。
全てが全く違う印象を与えてくる。
そう、まるで――
――地獄に巣食う、悪鬼のような。
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:09:24.88 ID:19qmSCbkO
びぃとは珍しい
47 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 21:10:58.54 ID:sdrZDtNl0
終わりです。
支援ありがとうございました。
ここでですがちょっとすいません
ブーンの新愛機についてなのですが完全オリジナルにしようか既存のゾイドにしようか迷ってます。
私の独断もどうかと思いとりあえず安価を取らせて下さい。
>>60までで多い方にしようかと思います。ハイ
優柔不断で申し訳ないです。
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:11:55.43 ID:nzG6uhRG0
既存だけど年代にそぐわないもの希望
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:14:04.15 ID:t71TqOBUO
乙
既存に一票
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:16:17.41 ID:19qmSCbkO
敢えてコマンドウルフ
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:16:47.34 ID:jdNdhqWfO
ギルベイダーしかないだろ…
乙
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:18:28.68 ID:lzxD5oSlO
2ヶ月ずっと待ってたぜ
支援支援
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:26:21.40 ID:nzG6uhRG0
ブーンの愛機が決まるまで保守
個人的には主役はやっぱライガー系かな
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:31:23.54 ID:t71TqOBUO
ほ
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:31:31.51 ID:lzxD5oSlO
ダークスパイナー!
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:39:13.54 ID:lzxD5oSlO
保守
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:39:37.96 ID:WEBkVTiFO
ライガーゼロ
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:40:24.39 ID:1KsZFTZT0
ディバイソンとかぴったりじゃね?
59 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 21:45:37.18 ID:sdrZDtNl0
60いってないですけど既存と言うことは決定ですのでこれにて終了します。
ご協力ありがとうございました。
書かれた機体名は候補に入れさせて貰います。
流石にギル様は無理ですけど\(^o^)/
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:47:40.21 ID:nzG6uhRG0
ライガーゼロでオリジナルCASとかは?と言ってみる
61 :
作者さん@リアルに歩行:2007/10/02(火) 21:48:25.52 ID:sdrZDtNl0
>>60 ごめんなさい、ゼロは既に乗る人が決定してますので……
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/10/02(火) 21:49:50.43 ID:1KsZFTZT0
ディバイソンの砲塔全部ソードにするとか
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
乙
もうマッドサンダーでいいじゃん