( ＾ω＾)たちがハンドルを握るようです

まとめサイト様

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第三十九話


年が明けて三箇日も終わると仕事が忙しくなる。

ブーンの勤め先の精肉工場もその例にもれず仕事が溢れていた


/ ,' 3「内藤くん、すまないが今夜も残業頼むよ」


( ;＾ω＾)「はいですお……」

年明け……ただでさえ寒いのに、冷凍庫内での仕分けをしなくちゃならない



豚ロース、バラ、ヒレ、モモ……
牛カルビ、ステーキ用肉、挽き肉……

定時からかれこれ二時間……

検品してそれぞれボックスに分け続けるるブーン。パートのオバチャンたちが帰ってしまったため、残った仕事は社員が片付けるのだ

お、珍しい

うはwwwwwマジかwwwww

( ＾ω＾)「……………」



( ＾ω＾)「これは豚、こっちはロース、牛カルビをあっち……」

( ＾ω＾)「えーと……これは馬肉かお、どっちにやるんだっけかお……まあ保留でいいお」

( ＾ω＾)「豚、豚、また豚……次はタン……あ、まちがえた、こっちだお」


こういう単純な仕事の最中は、なにか考えごとをしないと神経がもたない

たとえば今日の晩ごはんは何にしようか……
今度の休日は何をしようかとか、仕事に差し支えない程度の軽い考えごとだ

支援

( ＾ω＾)（僕のZ31は……今度はどこをいじるかお、

こないだ頑張って230キロまでは出たけどそれ以上は怖くなってドクオの70に抜かれてしまったお……とりあえず今夜も湾岸いってトライしてみるかお）


冷凍庫の中で凍った肉を大ざっぱにわけながら、ブーンはクルマのことを考える



……………………………………………………………………………………………………


/ ,' 3「お疲れ様。もうそろそろいい時間になっちゃったから残りは明日にしてアガっちゃっていいよ」


( ＾ω＾)「あ、はいですお。お疲れ様ですお」

このスレうぜーからクタバレカス

時刻は20時30分だった。

ブーンは時計を確認すると後片付けをすませ、着替えてタイムカードを通す


( ＾ω＾)「考えてみればもう……この仕事かれこれ９ヶ月も続いてるのかお。早いもんだお」

もともとブーンの体は丈夫なほうである。そのおかげで仕事は……
時折つまずきながらもなんとか続いているのだ


( ＾ω＾)「冷凍庫の中に比べたらこの外の気温もたいしたもんじゃないお」


会社を出て駐車場のＺのシートに座り、エンジンを掛ける

ブーンが精肉工場社員からＺ乗りへと切り替わる瞬間だ

支援

夜

新制首都高湾岸線


工業地帯の騒音を更に上回るエキゾーストノートが、湾岸を巡る


他のクルマとは一風変わった風格を纏う……シルバーのZ31だった

( ＾ω＾)



300km/hまで刻まれたメーター、

ブースト、水温、油温、油圧、排気温……各種追加メーターもしっかりと働いている。異常はない



( ＾ω＾)「……なら、踏むかお」


ライトをハイビームに切り替え、ギアを4速に落とし、ゆっくりとアクセルを踏み込む



( ;＾ω＾)「………！！」


グウォウォアアアアーーー………



シングルカム、シングルターボのVG30が持てる力を発揮し、ぶっといトルクでＺのボディを前へ前へと押し出す

支援

まるで、うしろから地獄の巨人が唸りをあげながら掌で押してきてるみたいだ。

体がバケットシートにめり込み、頭はヘッドレストに押し付けられて……あまりに押し付けられるものだから血液までもが後方に偏っているようだ

だから、視界も歪むのだろう、と思う



( ＾ω＾)「…………ッ」


いっそのことアクセルを離せば楽になるのに、それでも右足はペダルから離れない

いや……離せなかった

4速6500rpm……


時速約220キロ


水銀燈の列がまたたく間に後方に飛び、クルマは前方の一点に引き込まれていく


それでもVG30ETは加速は終わらない

( ＾ω＾)「速いお……とっても速く感じるお……」

支援

5速へシフトアップ


一瞬むずかりながらもすぐに溢れるようなトルクでZ31は更にスピードを乗せていく


この光景が現実なのかどうか、それすらもわからなくなる




5速6000rpm……時速295キロ




( ；＾ω＾)「………」



夢か、幻か……

そして自分はどこに行くのか


このまま死んだとしても、このアクセルを離すことはないだろう




冬の湾岸、シルバーのZ31はテールランプの残光と共に300km/hの壁を突き抜けた

支援

……………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………………



昨日、湾岸をのんびり流してたらZ31にブチ抜かれた


驚いたよ。一瞬なにに抜かれたのか分からなかった

Z31だと分かったころにはもう遅すぎた。いくらアクセルを踏み込もうがもう追いつけやしなかった……

Z31なんか、カルく20年くらい前の車だ。

フェアレディＺのこたぁよくわからねぇが、Z31っつークルマであそこまで速いのはなかなかいるもんじゃない。



普通ならとっくのとうにスクラップになっていておかしくない年式だ



そいつは夜中の湾岸で……そうだな、おそらく300km/h級にトバしてただろう。さすがにすげぇのがいる、そう思わざるを得なかった


(　#＾Д＾)「…………シブいね、オレと張り合うってか」


ポルシェ911ターボが……このオレがアッサリチギられて黙っていられるはずもない

どーせあのZ31はまた湾岸に来やがるだろう。

そんときにはキッチリ借りを返してやる

(　＾Д＾)「オレは……オレは……」


この場所で、頂点に居たいと……

いまでも、思っている

郊外にある自動車整備工場『ジョルジュオート』

築20年ほどは経過しているだろうか、少しばかり年季の入っている小さな工場の軒先に白いポルシェ911ターボが停まり、いかつい巨体の男が工場の主人を呼びつける

(　＾Д＾)「おーい……いるかぁ？」


(　ﾟ∀ﾟ)「あ、はーい！」


工場の奥でリフトアップされたGT-Rの下回りをいじっていたジョルジュはその声に気付き、ウエス（布）で手を拭いながらプギャーの元へと早足で駆ける

支援

支援

(　＾Д＾)「よぅ社長、オレの911……点検頼めないか？」

スリーピースのスーツで固めた、いかにも威圧的ないでたちのプギャーは唐突に話をはじめる


(　ﾟ∀ﾟ)「ああ、どうもプギャーさん……

そうですね、二時間ほどお時間頂いてもよろしいですか？ちょっと今たてこんでるんですよ」

プギャーに負けないくらいの巨体を持つジョルジュ、冬だというのに汗をかき、上がった息が白く湯気を形成する。

下手なことを言ったら殴りかかってきそうなほどのいかつさだがあくまで客に対する物腰はやわらかだ

�C

(　＾Д＾)「……わかった。それと、ついでに頼むのもなんだが、このクルマもっと速くならないか？」


(　ﾟ∀ﾟ)「……え？……このクルマは現状ブースト1.7で700馬力は出ているはずですが」


(　＾Д＾)「しかし、まだ物足りないんだ………こないだZ31フェアレディＺにブチ抜かれちまったしな」



(；ﾟ∀ﾟ)「Z31に……ですか」

まあ、頑張れよ

(　＾Д＾)「社長、オレはとびっきりのハイクオリティチューンを依頼したはずだ……だからもっとパワーを頼むぜ」


(；ﾟ∀ﾟ)「し、しかしこれ以上はエンジンがパワーに耐えきれなくてブローする危険があります」


(　＾Д＾)「べつに大事にずっと乗ろうってわけじゃあない、多少リスクが高くなろうとパワーがあればそれでいいってのがオレの持論でな

ブローしたらしたでそんとき考えるさ……気にするな」



(　ﾟ∀ﾟ)「……はぁ」

(　＾Д＾)「オレはこないだアンタに784万のチューン代を払った。

にもかかわらずZ32やS15に勝てなかったんだ。たしかにドイツ車で国産のハイチューンドに勝つのは難しいのは分かっている

……だがそれにしたってもう少し速くてもいいと思うんだがな……ちがうか？」



(　ﾟ∀ﾟ)「…………」






(　＾Д＾)「…………」

支援

(　ﾟ∀ﾟ)「わかりました……おっしゃる通りかもしれません、


実際まだマージンを残したセッティングですんでね

……そういうことならしばらくお預かりしてもよろしいでしょうか？」



(　＾Д＾)「よろしく頼むぜ社長、しばらく代車のプリメーラを借りてくからな」

支援

(　ﾟ∀ﾟ)「はい……それでは完成が近くなりましたらまた連絡しますよ」


(　＾Д＾)「ああ……ところで奥のBNR32のGT-Rはなんだ？

だいぶ気合いの入ったクルマみたいだが」


(　ﾟ∀ﾟ)「ああ、アレも預かり車なんですよ。見ての通りの仕様です」




(　＾Д＾)「……ふーん」


………………………………………

支援

夕方

プギャー宅

………………………………………………………………………



(　＾Д＾)「なーんだ。今日もきてやがったのか」


　∧―∧
( ΦωΦ)「にゃあお」


帰ってきたら縁側にはまたそいつが来ていた


来ていた、と言うからには当然この家以外のどっかから出てきたということだ


　∧―∧
( ΦωΦ)「にゃ？」

支援

(　＾Д＾)「腹へってんのか？エサならくれてやるからちょっと待ってろ」


茶トラの猫、もう二年ほどになるだろうか、
たまーに……といっても実際にはちょくちょくウチにやってきてエサを乞いに来るノラネコだ


(　＾Д＾)「ほれ」

キャットフード、こないだ近所のスーパーで580円で買ってきたやつをそのへんの皿に盛って出してやるとすぐさまこっちに寄ってきた



　∧―∧
( *ΦωΦ)「ころころ」

(　＾Д＾)「…………」


こんなオレでも猫はやっぱり可愛いと思う


だが、飼ってみようとは思わない

なぜなら、オレは飽きっぽい性格だからだ


女だって、クルマだってそうだ。同じものを一年、ヘタすりゃ一ヶ月とたたないうちに飽きて追い出しちまう

支援

支援

支援

女やクルマならその後もどこかで立派にやっていけるだろう


だからそれでいいと思うが………猫となると話は別だ



さすがにオレにだって最低限の良心はある



だから、それこそ最初から飼わないほうがずっといい。


どうせ飽きるのに束縛するのは気の毒だ

でも現実問題こいつは毎晩のようにウチに来るんだよな……



　∧―∧
( ΦωΦ)「ふにゃあお」

こいつが皿に顔を突っ込んで……しばらくして顔をまた上げたときにはエサはもう空になっていた


(　＾Д＾)y￣~「食うの早えな……おかわりか？」


　∧―∧
( *ΦωΦ)「にゃ！」


(　＾Д＾)「現金なやつだ……」


おかわりを注いでやるついでに、オレはそいつを撫でてみた。


小さい頭を指先のほうでなぞってやると、そいつは目を細くして体を丸くする


(　＾Д＾)「………」

支援

　∧―∧
( ΦωΦ)「…………」



………いつか、こいつがウチに来なくなる日も、くるだろう

野良猫は、常に明日をも知れない状況にいる

ひょっとしたら、今夜が最後かもしれない


(　＾Д＾)「……それだけは……いつも心得ているんだが……」


別れは来る


飼っていようが飼っていまいが、必ず……

(　＾Д＾)「おろ？」


いい加減オレも腹が減ったもんで自分のメシの用意をしようかと思って台所に立ったらもうそいつは姿を消していた


後に残ったのはまだエサが数粒残った皿だけだ




(　＾Д＾)「帰るなら挨拶くらいしてけっつーの……」

さるさんかな？

(　＾Д＾)

まあ、それもいつものことだ。昨日も一昨日もそうだった



たぶん、明日も来るだろう……





そう独りごちて、オレは冷蔵庫から晩酌用のビールを取り出した




第三十九話　完

キャデラック支援

乙

今回は以上です。

前回投下からだいぶ間が空いてしまい、申し訳ないです

ありがとうございました

乙〜

やべぇｗｗｗｗ久々に興奮したぜｗｗ

乙でした！

乙

>>53
ｷﾃﾀ━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━!!


乙！今から読むよ

乙！

初遭遇
乙