1 :
1 ◆ps3CKPkBXI :
2 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:37:39.46 ID:Qg4GeHJ/0
※
俺とアニーは早速国道の道を外れ街へ出る。
彼のマウンテンバイクも乗り心地が良さそうだ。四つの車輪は軽快にアスファルトを滑る。
ちょっとずつラウンジが遠退いていく。だが、別にいいさ。
('A`)「この辺は全部探したんだよな?」
( ´_ゝ`)「イエス…。いちお、ぜんぶのみち とおった」
('A`)「こういう道は?」
俺は咄嗟にハンドルを左へ切る。アニーが慌てて後に続いた。
一見、気づかないような細い路地を突っ切ると、また新しい街並みが出迎える。
('A`)「ジャパニーズ・ロードさ。細道な」
( ´_ゝ`)「Good!! でも…、やはりここらにも、みつからない」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/29(土) 20:38:05.51 ID:ORZfKKpB0
ktkr
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/29(土) 20:38:50.56 ID:ORZfKKpB0
SHIEN
5 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:38:59.17 ID:Qg4GeHJ/0
('A`)「そんなすぐ見つかるわけないって」
('A`)「でも確かにこの街なんだろ?」
( ´_ゝ`)「ああ。それはまちがいないよ」
(;´_ゝ`)「……でもみつからないんだ」
('A`)「困ったなそりゃ…。とにかく漕ぎ続けるしかねえよ」
少しだけ、空が赤みを帯びてきたような気がしていた。
青に混じって、少しだけ、ほんの少しだけだが…。間違いなく夕方に近づいていた。
ちょっとだけ、不安な気持ちが胸に落ちる。
(;´_ゝ`)「ドクオ…。ぼくは、まっくらになるころには」
(;´_ゝ`)「げしゅく、げしゅくさきへバックしなければならない…」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/29(土) 20:39:26.62 ID:ORZfKKpB0
しえん
7 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:40:00.99 ID:Qg4GeHJ/0
アニーは汗を拭い、小さな息をひとつ地面に落とす。
俺は首を左に右に忙しく動かしていた。しかし、写真の中にあった風景の切れ端も目に飛び込んでこない。
車輪を漕ぐ音が、空しく俺とアニーの間に響いた。
('A`)「下宿…。そうか、下宿先ね」
('A`)「わかったよ」
('A`)「絶対日が暮れるまでに」
( ´_ゝ`)「Thank you」
だが、このままじゃ埒が明かない。茫漠とこの広い町中を二人で走り回っていても効率が悪すぎる。
何かいい方法はないかと思索する俺の視界の先に、とある建物が入ってきた。
('A`)「交番だ!」
( ´_ゝ`)「コバン?」
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/29(土) 20:40:57.09 ID:ClXbbxiYO
久しぶりだな支援
9 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:41:31.70 ID:Qg4GeHJ/0
('A`)「そうだよ、そうだ」
('A`)「交番に尋ねてみればいいじゃないか」
('A`)「っていうか、今まで誰かに……」
「尋ねたりしなかったのか?」
そう言いかけた瞬間、パーキングエリアでアニーを初めて見た数時間前を思い出した。
妙に焦り、妙に挙動が不審な、無精髭で長身の外国人。そして接触を拒むジャパニーズピープル。
貴重な異文化交流は大事にしようぜ。
( ´_ゝ`)「フォ―――!!」
( ´_ゝ`)「ポリス!?」
('A`)「そう」
('A`)「…やっぱ気づかないかな? 異国の人にはこの建物が交番だって」
10 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:42:44.62 ID:Qg4GeHJ/0
入り口の傍に自転車を止め、キーをかけ、交番へと入る。
交番に立ち寄るなんて、小学生の頃… 500円玉を届けに行ったとき以来かもしれない。
('A`)「ちわぁ…」
天井の隅に設置された扇風機が首を振り、俺の髪を揺らす。ああ涼しい。
数十秒待っていると、奥の方から警官が現われた。
彼はいかにも田舎の情緒を含んでいるような、穏やかな顔つきで、俺はギコのおじさんをなんとなく思い出した。
警官はくしゃくしゃの髪を撫で付けながら尋ねる。
「はいはい、何の御用ですか」
('A`)「あの………」
(;´_ゝ`)「This pictさうkhsふぁjかあssw」
('A`;)「まあまあ落ち着けよ」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/29(土) 20:43:11.49 ID:5mIqgrRi0
支援
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/29(土) 20:43:40.80 ID:ORZfKKpB0
しえん
13 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:44:47.17 ID:Qg4GeHJ/0
('A`)「とある場所を探してるんです」
「道案内かい」
(;'A`)「この場所に通じる道を教えて頂けたら、手っ取り早いんですけどね〜」
「?」
('A`)「アニー」
アニーは胸ポケットから写真を取り出し、机に置いた。
('A`)「この風景、この町に確かに、あるらしいんです」
('A` )「彼が探しているんです」
( ´_ゝ`)「ミオボエ、ないか ポリスマン」
14 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:45:53.44 ID:Qg4GeHJ/0
警官は写真を手に取り、ふむふむと頷きながら見つめる。
窓から漏れ出し、俺たちの背中を照らす陽は仄かなオレンジ。
体に染み付いた汗が扇風機の風で乾いていく。
しばらく警官は写真と睨めっこをしていた。
__そして、静かに写真を机へ戻し、神妙な表情でこちらを見つめる。
(;'A`)ゴクリ
「すまん!! この場所知らんわ!!」
(;;´_ゝ`)「マイガ―――――――!!!!」
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/29(土) 20:47:33.06 ID:ORZfKKpB0
支援w
16 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:47:43.57 ID:Qg4GeHJ/0
(;´_ゝ`)「This is a pen! This is a pen!」
( ´_ゝ`)「これは ペン です」
(;´_ゝ`)「What happen!!!????」
('A`)「おまえの頭がワットハップン」
( 'A`)「そうなんですか。やっぱり分からないですか、すいません……」
警官は、朗らかだがどこか残念そうな笑顔で話す。
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/29(土) 20:48:39.49 ID:IElSj63M0
支援
18 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:49:19.25 ID:Qg4GeHJ/0
「いやぁね。私はここに昔っからいるわけじゃないんだ。なんどか転属してね」
「だから昔のここの地理は……」
(;´_ゝ`)「そんなムカシのことじゃないよ Um… 20 years ago」
「ここに来たのは8年前だ。すまんねえ」
( ´_ゝ`)「ハァ………」
19 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:49:42.19 ID:Qg4GeHJ/0
俺とアニーは、朗らかな警官に一つ礼を言って交番を去った。
アニーのため息がどんどん重くなっていく。相変らず自転車の調子は軽快だが。
でも、大丈夫。
('A`)「まだまだ手はあるさ」
( ´_ゝ`)「ホワット?」
('A`)「近所の人に聞いてみようぜ」
( ´_ゝ`)「オーケー!」
まるで初めての御使いに行く兄と弟のような構図だと自分で思った。
アニーの方がいくつも年上なのにな。
人を引っ張っていくのも中々悪くないと感じる。
20 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:51:06.75 ID:Qg4GeHJ/0
('A`)「じゃあこの家にしようか」
( ´_ゝ`)「Um…」
('A`)「どうしたんだ?」
( ´_ゝ`)「このいえに きいたよ」
('A`)「そうなんだ。じゃあ」
( ´_ゝ`)「このいえも」
('A`)「ちょっと進んであの向かいの」
( ´_ゝ`)「たずねた」
('A`)「それなら(ry」
( ´_ゝ`)「このへんはぜんぶたずねてみたよ」
(;'A`)「…………」
この辺一帯には聞き回ったらしい。しかしまだ見つからないということは、有力な情報は何一つ得られなかったということか?
それは少しおかしいぞ。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/29(土) 20:51:33.46 ID:ClXbbxiYO
アニーどんまいw
22 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:52:14.62 ID:Qg4GeHJ/0
__俺とアニーは近場の公園で休憩することにした。
水飲み場で顔を洗うアニーに俺は尋ねる。
23 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:52:37.38 ID:Qg4GeHJ/0
('A`)「なあアニー」
( ´_ゝ`)「なんだいドク」
('A`)「ちょっと失礼なんだけどさ……」
('A`)「写真の場所は本当にこの町にあるのか?」
('A`)「違う町なんじゃないのか?」
( ´_ゝ`)「……」
タオルを片手に、アニーの体が途端に震えだした。
まずい。やはりカチンときてしまっただろうか………。
( ´_ゝ`)「Yeah! ボクもそれおもってたヨー」
⊂( ´_ゝ`)⊃「HAHAHAHA〜」
やっぱりかこの野郎。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/29(土) 20:53:33.46 ID:ClXbbxiYO
www
25 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:54:17.26 ID:Qg4GeHJ/0
俺は写真を受け取り、くるっとそれを裏返してみた。
裏側にマジックペンで書かれた褪せた文字に、俺は絶句する。
/^o^\ ナンテコッタイ
( ´_ゝ`)「どうしたドク?」
('A`)「ここ、ここ見てみろよ」
( ´_ゝ`)
( ´_ゝ`)「OK」
「1987年 アニー5歳 オットー3歳 ニューソク町の野原にて」
( ´_ゝ`)「………」
( ´_ゝ`)「ここは ニューソク町 ちがうの?」
('A`)「違あああああう!!」
26 :
1レス抜かしました:2007/09/29(土) 20:55:03.82 ID:Qg4GeHJ/0
俺とアニーは公園の小屋で作戦を練り直すことにした。
('A`)「いいかアニー、俺思うんだけどな」
( ´_ゝ`)「ん」
('A`)「20年前くらいまではあったのに、昔からここに住んでいる人たちが誰も知らない」
('A`)「そんな秘密の花園みたいな広い原っぱがあると思うか?」
('A`)「というわけで俺はアニーの勘違いだと思うんだ。うん」
('A`)「きっと隣町とか、そういう可能性がある」
( ´_ゝ`)「ソウダナ……」
('A`)「そもそも、なんでこの町にあの原っぱがあるという証拠は?」
( ´_ゝ`)「しゃしんのウラ 見てくれ」
27 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:55:37.40 ID:Qg4GeHJ/0
俺は写真を受け取り、くるっとそれを裏返してみた。
裏側にマジックペンで書かれた褪せた文字に、俺は絶句する。
/^o^\ ナンテコッタイ
( ´_ゝ`)「どうしたドク?」
('A`)「ここ、ここ見てみろよ」
( ´_ゝ`)
( ´_ゝ`)「OK」
「1987年 アニー5歳 オットー3歳 ニューソク町の野原にて」
( ´_ゝ`)「………」
( ´_ゝ`)「ここは ニューソク町 ちがうの?」
('A`)「違あああああう!!」
28 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:56:05.51 ID:Qg4GeHJ/0
('A`)「どうしてだ」
('A`)「なんで勘違いした」
('A`)「ここはサロン県だ」
('A`)「理由を三行であsdrhkhl」
(;´_ゝ`)「うーむ。Sorry」
(;´_ゝ`)「あめなめる?」
('A`)「頂こう」
('A`)
(;'A`)「カーーーーーーーーーーッ!!!」
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/29(土) 20:57:00.99 ID:ClXbbxiYO
支援w
30 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:57:20.49 ID:Qg4GeHJ/0
アニーは素でここをラウンジ県だと勘違いしていたようだ。
それもそのはず。よくある事だが、サロン県と、ラウンジ県には同じ名前の地名が存在する。
ニューソクという地名だ。
サロン県の方のニューソクは”市”。ラウンジ県の方のニューソクは”町”
しかもここはニューソク市ではなくニーソク市だ。名前が似ているから恐らくアニーは根本から勘違いしていたようだ。
( ´_ゝ`)「………」
この事実を告げるとアニーは膝からガクッと体を地に落とした。そりゃそうだ。実は一番ショックなのは彼自身だ。
もうちょっと早く気づけば良かったかもしれない……。
だが俺にとっては好都合だったりする。俺はアニーの肩を軽く叩いた。
31 :
1 ◆ps3CKPkBXI :2007/09/29(土) 20:58:24.53 ID:Qg4GeHJ/0
('A`)「俺、実はさ、ラウンジ県を目指して旅してるんだ」
('A`)「だから俺的にはまったく問題ない」
('A`)「OK?」
( ;_ゝ;)「mjsk」
(*´_ゝ`)「よし、そうと決まれば出発ダネ!」
なんという立ち直りの早さだ。
('A`)「うん、行こう。ラウンジ県に」
('A`)「実はここからだとラウンジ県は目と鼻の先なんだ。そしてニューソク町は県の入り口」
('A`)「全力でかっ飛ばせばなんとかなるさ」
32 :
1 ◆ps3CKPkBXI :
結果オーライで本当に良かったと俺は思った。だが町中を探し回った数時間のことが、実に悔やまれる。仕方のないことだがな。
自転車に乗り込んだ俺とアニーを照らすのは強烈な夕陽。体が金色に染まる。蝉が一日の締めのごとく賑やかに鳴いている。
辺りが暗くなるころにはラウンジ県につけるだろうか。まあ、到達する時点で精一杯だろう。
…じゃあアニーはどうなる?確か下宿先に戻らなければならないといけないのでは………
(;'A`)「うおおおお!!風!俺は風になるぜ!!」
( ´_ゝ`)「Alright,hold tight I am a highway star〜〜♪」
(;'A`)「アニーところでよ!下宿先は、大丈夫なのか!」
(;´_ゝ`)「Don't return!!」
(;'A`)「よっしゃああああああ!!!」
道路を走る自動車が次々とライトを付け始める。薄暗くなった橙の空に俺は輝く星を見つけた。一番星だ。
見つけてみせるさ、絶対に。アニーの思い出の場所だって。
(異郷編2 おわり)