( ^ω^)が男なのに女子高に入学しちゃったようです

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
まとめサイト。ありがとうございます。
http://boonnews.blog120.fc2.com/blog-category-30.html

ちいとばかし手直しを加えた第一話から始まります。
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:10:23.88 ID:vnScPydJ0
みゅかちゅきゅのーーーー
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:10:27.53 ID:PPrhL5LrO
支援しようか
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:11:20.09 ID:aR1gfulP0


『ついているかついてないかが問題なのではない。
 それはお前の包茎みたく小さな問題でしかない。


      ――――そう。女は女であるが故に女なのだ。』



       ( ^ω^)が男なのに女子高に入学しちゃったようです


5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:13:20.01 ID:aR1gfulP0
第一話



( ^ω^) ぜんぶの 始まりのはなし だお



第一話



卒業式を終え、春休みでのんびりしている三月、春。


卒業生のハズな僕は、何故か進路室に呼び出されていた。
どんな用事かは皆目検討もつかないが、僕を呼び出した進路部の沢村先生は
酷く沈痛な面持ちのまま、ジィっと窓辺に佇んでいる。

……進路室の無言の空気が、今はとてつもなく痛い。
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:14:20.64 ID:aR1gfulP0
先生は窓に垂らされたブラインドから、刑事ドラマのボスみたいに外を覗き込んでいる。
パイプ椅子に座ったまま、僕はそれをみていた。

ふいに、低い声が響いた。


(-v-)「なあ、内藤。内藤は何校の高校を受験した?」

( ^ω^)「貴様は今まで食ったパンの数を、」


(-v-)「シャラップ黙れ。何校だ」

( ^ω^)「…………おっおっおー」


言いたくないからはぐらかしに掛かる。
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:15:21.85 ID:aR1gfulP0
(-v-)「全国合わせて510校だな?」
つもりでいたら先生が言い当てやがった。
数もぴったりあってて、きっとそれは僕が食べてきたパンの数よりも多く、

( ^ω^)「Exactly!(その通りで御座います) 」

(-v-)「いい発音だこの野郎。で、何校落ちた」

ブラインドを指ではじく沢村先生。パチンといい音。
……なるほど、ここは進路室じゃなく取調室だったか。
ともすれば僕に言い逃れ出来るハズもなく、覚悟を決めてあっさりとゲロる。


( ^ω^)「…………手当たり次第受けて、全校落ちましたお」



(-v-)「Exactly!(その通りで御座います) 」

( ^ω^)「いい発音だこの野郎」

(-v-)「締めるぞ。……なあお前、わかってんのか?」
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:18:00.11 ID:aR1gfulP0
先生が振り向いた。ガッチリとあった視線には痛烈な同情の色。
やめやがれグットコップバットコップ。


(-v-)「……内藤。このままじゃ高校浪人だぞ」

真剣な声色だった。


( ^ω^)「俺は高校生をやめるぞージョ」

(-v-)「シャラップ。そのまま人間やめるか?」

せっかくの決め台詞を途中で遮った先生がため息を吐く。
白髪混じり(僕みたいのが迷惑掛けるからだ、といつか笑っていっていた)の髪の毛を
ガリガリと掻き、とてもとても言いにくそうにこう切り出す。


(-v-)「で、だ。内藤。そんなお前に、最高に良いニュースと
    最低な悪いニュースがある。どっちから聞く?」


ごめんなさい先生、どっちも死亡フラグの匂いがビンビンします。
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:19:38.05 ID:aR1gfulP0
( ^ω^)「どっちも聞かない、と言う選択肢は――」
言い出して、先生のまた目が合った。
真一文字に結ばれた口元。その瞬間悟った。


( ^ω^)「ないんですおね」

無言で頷く先生。
ふう、と一つため息吐いてから


( ^ω^)「じゃあ良いニュースからでお願いしますお」


言う。
……あ、いや。ほら、プールでもまずはつま先から水浴びしていくお?
あんまり関係ない思考が走り、それは先生の


(-v-)「本当は伝えたくなかったんだがな、最終手段だ」


の言葉で引き戻された。
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:20:10.94 ID:aR1gfulP0

    (-v-)「内藤、お前さ、高校受かってたぞ」


そして贈られるこの言葉。
緊張のせいか胃液が多分どぼぁあって位出たのだろう。きゅん、と締まる内臓。
先生の言葉を理解した次の瞬間、気が付けば拳上げて立ち上がっていた。


(*^ω^)「おっおっおっー!!?」


イィヤッホォォォオオ!!並みのテンションだった。
座っていたパイプ椅子が盛大な音を立てて倒れる。

……ん?

いや、

あれ?

解凍されて行く思考。今のが、いいニュースだとすれば。
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:20:45.31 ID:aR1gfulP0
( ^ω^)「……あの、で、悪いニュースと言うのは?」


スッ、と何か冷たい物がが背中を通る。
先生がまた深く重い、固形物みたいなため息を吐いた。



(-v-)「お前が受かった高校な、聖マリアンヌ記念学園、」



ああ、聞き知り慣れた名門高校は



       (-v-) 「  女子高だ  」


ったようです。
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:21:05.93 ID:aR1gfulP0

     【 ≪ (; ^ω^) 酷い話だお ≫ 】


(; ^ω^)「じょ、じょ――――」

わなわなと震える。
思考は停滞してから、再稼動し、


( ゚ω゚)「女子高!?」


爆発した。

と言う事は先刻のジョジョネタは伏せ、いやいやいやいやいや。
そんなものは今はどうでもいいって言うか伏線だとしてもどうでも良いわ。

(-v-)「びっくりするのもまあ、仕方なしだわな」

先生も心なしか動揺しているみたいだった。
当たり前だ。男子の女子高入学者、なんて前代未聞過ぎる。
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:23:53.31 ID:aR1gfulP0
(; ^ω^)「ど、ど、どう言う事ですかお!?」

(-v-)「まあ落ち着け童貞」

(; ^ω^)「ど、ど、ど、童貞ちゃうわ!!」

(-v-)「ネタが古い。……もちろん、先方も無理難題だとはわかっているそうだ」

動転する僕を軽くいなして、先生はまた踵を返した。
いじらしくブラインドを指で弄んでいる。可愛くねぇからやめろ。
背中に向けて質問する。

( ^ω^)「と、言うと」



(-v-)「お前が男だと解っていても、入学して欲しい。だとさ」



ほうほうなるほど。んん、いや待て。って言うかな。
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:25:21.86 ID:aR1gfulP0
(; ^ω^)「合格って言う事は、僕が受験した前提で話が進んでませんかお?」

当然の疑問が出た。


(-v-)「ああ、そうだな」

(; ^ω^)「って、確かに手当たり次第受けましたけど、女子高なんて流石に――」

言いかけて、背中越しにチッチッチッ、と舌を鳴らす音がした。
多分指も左右に振られているだろう。ピックル沢村、英語教師。


(-v-)「進路部の先生を誰だと心得る!」

(; ^ω^)「そりゃ、沢村先生ですお」


今僕の目の前にいる先生だろう。
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:25:49.51 ID:aR1gfulP0

(-v-)「いえす あい くっくどぅー」

……ふと。

最高だけれど、最悪な予想が脳裏を過ぎった。
私立受験の申請書類の送信などを統括するのは、進路部の先生だと代代決まっている。

するってーと、

するってーとぉ……

(; ^ω^)「……まさか、」


(-v-)「すまん、間違って申請書類送っちまった!」


てへっ☆ と定年前の英語教師、ピックル沢村。
なるほど。先刻いじらしくブラインドを指で弄んでいたのは、
先生はドジっ子と言う一種の属性の伏せ、いやいやいやいやいやいやいやいやいや。
そんなものはメテオ級にどうでもいい。
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:26:22.51 ID:aR1gfulP0
ようは、


( ゚ω゚)「おま、お前のせいかおぉぉぉお!!!!!」


口角泡飛ばしながら吼える。
もう一度てへっ☆ とピックル沢村、定年前の英語教師。
可愛くねぇ。全然可愛くねぇ。その白髪交じりを全部白髪にしたろうか。
先に見える絶望と幸福が僕を飲み込み、


(-v-)「人間誰でも間違いはある!」


他人の人生を左右する間違いをしてそれはねぇだろうとツッコミたくなる先生の言葉。

これが、始まりの始まり。
夢の一時が始まる前のプロローグ。……ただし悪夢とも言える内容の、だけど。


ああ、こんな時こそ僕は思う。
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:26:31.24 ID:8Je3jfuBO
支援
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:26:38.55 ID:aR1gfulP0
『ついているかついてないかが問題なのではない。
 それはお前の包茎みたく小さな問題でしかない。


      ――――そう。女は女であるが故に女なのだ。』

と。


第一話  終



( ^ω^) つーか諸悪の根源って、沢村先生じゃね?



第一話  終
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:28:02.56 ID:aR1gfulP0
つー訳で、ここまでが昨日の投下分でした。
第二話投下始めます。

いろいろ考えた結果こんなん出ました。昨日のスレの皆さんありがとう。
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:30:50.14 ID:dhtqXSZcO
期待支援
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:31:54.87 ID:HdAsYsnc0
支援
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:32:38.81 ID:aR1gfulP0
第二話



( ^ω^) じじいの ゆがんだ 愛の 話だお



第二話


聖マリアンヌ記念学院――


明治39年創立の、格式高い名門学校。
幼、小、中、高、大とエスカレータ式で、その上全寮制故か
外界との交流はきわめて少なく、生徒は希少価値、特別天然記念物並の扱い。
「文化に深い興味を持ち、国際的に活躍できる才女の育成」を教育指針に、
レベルの高い指導を提供している学院、


のハズなのだが。
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:33:29.40 ID:ViBm/tLa0
ナイス溜め書き!

昨日は投下遅いとか言ってスマンかった
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:34:50.67 ID:aR1gfulP0
( ´ω`)「……一体全体、なんでこんな事になってんだかお」

で、僕は件の聖マリアンヌ記念学院の正門前にいた。
積み上げられし赤レンガ、鉄製ヨーロッパ調の門扉。
両脇、いつまでも長く続く塀に優雅に絡みつく色とりどりのバラ。


……素直に言おう。もはやこれはマリみてだ。マリみての世界だ。
ごきげんようあらごきげんよううふふふふ、レベルの世界だ。



立ちつくし、うちのめされ、そして僕は始まりの始まりの日を思い出す。
――――現実逃避とも、言うが。


(-v-)「……内藤、で、どうするんだ?」

( ^ω^)「どうするって、そりゃぁ、これ怪しすぎますお」
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:35:13.83 ID:MU33XPmVO
まずその薄ら寒いジョジョネタをなんとかしようか
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:36:10.90 ID:aR1gfulP0
あの名門がむざむざ自分の名を汚すような行動を取るとは思えないし、
なおかつ僕は学術試験や面接を受けた覚えがない。


ともすれば、新手の詐欺か、ぐらいしか考えつかないのが現状だ。
いや、詐欺にしてもありえねぇ上に意味解らないんだけどこの手法。


(-v-)「ふ、まあ確かに知れれば人生\(^o^)/ オワタだものな」

(# ^ω^)「てめぇ諸悪の根元がどの口で言うかお」

(-v-)「イエス アイ クックドゥー」


うわ、だめだスッゲーむかつく。
臓物がふつふつと熱されていく。拳を握りしめる。
いっそここで殴って置いた方がいいのかもしれない。僕の尊厳的に考えて。


ところが、
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:37:05.30 ID:t4WjQFGL0
>>25
むしろジョジョネタがいい
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:37:44.76 ID:aR1gfulP0


(-v-)「先方もその事に関して、説明したいそうだが」



急に真面目な顔つきになった先生に臨界点は簡単に下がった。
そして手渡された一枚の紙切れ。


(-v-)「これ、学院までの地図だ。日時の指定もあるみたいだから間違えるなよ。
     ……内藤ホライゾン、強く、生きろよ」

肩を優しくたたかれる。


( ^ω^)「せ、せんせい……っ!」


いや、と言うかな。
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:38:05.94 ID:MjGxAzBY0
これは支援
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:38:24.11 ID:aR1gfulP0


(# ゚ω゚)「お前が間違ったからこんな事になってんだろおぉぉぉお!!!!」


(-v-)「ちっ、ごまかせなかったか」

(# ゚ω゚)「 当 た り 前 で す お ! 」

少し流されそうになったのはここだけの秘密だ。
あぶねぇ。油断ならねぇお沢村先生。


(-v-)「まあ、聞くだけ聞いてくればどうだ。結論はそれからでも遅くない」

苦笑い気味に先生が言う。
その笑顔が半端なく優しく、そして同情に満ちたものだったから。


( ´ω`)「……先生、スゴイ他人事のように言いますおね」


結局肩の力を抜くしかなかったんだ。
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:39:44.13 ID:HdAsYsnc0
支援
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:39:47.12 ID:o4WmNbyQ0
だいぶ支援
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:41:18.10 ID:aR1gfulP0
…………はい、回想終了。

結論はそれからでも遅くない、って、やっぱり悪いのはアンタじゃねぇかと言う結論に至る。
なんかもう、ホント色々もうダメだろあの先生。

ため息一つ吐き、希代のダメ教師から渡された紙切れと向き合った。


( ^ω^)「日時オーケー、場所オーケー、じゃ、まあ、あとは」


覚悟はオーケー?


ふっ、と息をついて一言。


( ^ω^)「行きますかお」


突撃、女の花園。

     【 ≪ (; ^ω^) 逃げちゃダメらしい。 ≫ 】
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:44:46.68 ID:o4WmNbyQ0
4円
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:44:47.37 ID:aR1gfulP0
そんな訳で校長室前。
目の前にはでーんと木製の夫婦扉。空気は極めて厳格。


…………ええい、ままよ。


( ^ω^)「失礼しますお」
扉を叩く。コンコン。うおいい木使ってんな。


「うむ、入ってくれたまえ」
扉から声。渋かった。うおいい声してんな。どうでもいいわ。


( ^ω^)「失礼、しますお」
再度言い、取っ手に手を添え引く。
キィ、と帳が軋む音がした。


ひかり、が――――
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:48:33.58 ID:aR1gfulP0
/ ,' 3 「……待っておったよ」

声。
前方を向けば、社長椅子に座る晩年の老人。


( ^ω^)「あなたが……?」

/ ,' 3 「左様。ワシが校長をしておる、荒巻と言う」

重厚そうに頷く荒巻、もとい校長先生は
長くのばしたヒゲをなぞり、僕を一瞥してから言う。


/ ,' 3 「戸惑っているようだの」

(; ^ω^)「そりゃ、当たり前ですお」

割と即答気味で答える。
これで肝座ってる奴がいたら是非みて見たい。
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:48:34.15 ID:+nzAwA/tO
前回のスレみてたぞ
5、600円はらう必要がないので>>1とVIPに感謝だ
38以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:51:18.25 ID:aR1gfulP0

/ ,' 3 「ほほっ、即答か。予想はしておったよ。じゃあ一つ、話をしようか」


( ^ω^)「…………」

ゴクリ、と息を呑む。話して貰おう、僕が此処を通った理由を。
どうして男が女子高に合格したのかお。


ややあって、校長は語りだした。それは、


/ ,' 3 「ワシにはな、孫娘が居るんじゃよ」


え? なに? 孫自慢?


(; ^ω^)「…………はい?」

意図がわからず聞き返す。
ただしそれも虚しく、始まるのは爺のマシンガントークショウ。
39以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:53:13.75 ID:aR1gfulP0
/ ,' 3 「こっれがまた可愛いて仕方がなくてな、それこれ目に入れても痛くないと言うか
むしろ進んで入れたいと言うかいや別にマゾヒストと言うわ「タンマですお」じゃなく
そうそう、この前の敬老の日なんか……「待てって」これにはワシ大感激!
死んだ婆さん思い出す勢いじゃ「ちょいこら」……なんじゃい」

ジロ、と睨まれる。よし何とか中断させれた。助かった。
ここはクチバのポケモン大好きクラブかオイ。


( ^ω^)「まさか爺さんの孫自慢を聞かせる為にわざわざ、」

/ ,' 3 「ほっほっほっほ」

( ^ω^)「いやそこは否定してくださいお」


思わずため息が出る。
いつから僕の周りの大人はこんなのばっかりになったんだ。
僕の世界の中枢が揺らいでいくのを確かに感じながら、僕は荒巻先生を見る。

晩年の爺は飄々と笑っている。
40以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:55:29.39 ID:aR1gfulP0


/ ,' 3 「なぁに、さっきのは挨拶変わりみたいなもんじゃ。本題に移ろう」


愉快そうに切り出すが荒巻先生。
最初のあの校長オブ・ザ・イヤーな雰囲気はどこに言ったのだろうか。



/ ,' 3 「内藤君、ワシはな、楽しいことが大好きだ」


そう言いだす荒巻先せ、ああもうジジイでいいや。
いきなり言い出すジジイ。その社長椅子から今すぐ退け。

(; ^ω^)「…………はっ?」

/ ,' 3 「と言うのもな、先刻話した可愛いワシの孫娘に、ちぃとばかし困っておるんじゃ」

( ^ω^)「と、言うと……?」
41以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:57:20.39 ID:nNqn2JpWO
しえん
42以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:57:21.59 ID:aR1gfulP0



/ ,' 3 「うむぅ……男がな、嫌いなんじゃよ」



(; ^ω^)「…………はい?」


いやいや。んん、いや。


/ ,' 3 「これから高校、大学を卒業し社会へ出、永劫に独り身とはあまりにも淋しいじゃろ」

( ^ω^)「………………」


待った待った。ないないないない。
あるあ……ねーよwwww それはねーよwwwww
頭で否定するけど、どうもちらつく予想を完全に拭い去る事は出来ないようで、
43以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:59:26.17 ID:+nzAwA/tO
wktk
44以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 19:59:33.48 ID:aR1gfulP0

/ ,' 3 「じゃあ、普段からちょいちょいと男に触れ合って置けば、
もしかすればもしかするやもと思ってなぁ……で、内藤君」

( ^ω^)「………………」


ない。いや、なし。それは、なしだろ。あんまりにも。
そして振りかざされる決定打。



/ ,' 3 「孫娘の男嫌い、直してはくれんかのぉ?」



ねーーーよwwwwww そして僕の頭を支配するその一念。
いや、ともすれば、このボケジジイは、


( ゚ω゚)「その為だけに僕を合格にしたんですかお!?」
45以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:03:20.40 ID:JD3x98IlO
支援
46以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:03:59.66 ID:aR1gfulP0
/ ,' 3 「ほっほっほっほっほっ」

(; ゚ω゚)「そこは否定しろお!」


本日二度目のやりとり。

掴み係りそうになるのを理性を全稼動させてなんとか持ちこたえる。グッジョブ僕。
ごくごく一般的に、凡人にはエジソンやらアインシュタインやらの
天才の考える事はまったく解らないって言うが、ボケジジ、いやもうコレでいいや
コレがそれと同類ならば馬鹿と天才は紙一重なんて言う言葉も信憑性を帯びる。


/ ,' 3 「言ったろう? ワシは楽しい事が大好きじゃ。
ネタで女子高なんぞに書類送ってくる君ならば、と思ったんじゃよ」


ネタじゃねぇお!


つま先まで出てきた言葉を飲み込み、僕は弁明に掛かった。
ダメだコイツなんとかしないと。
47以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:08:59.58 ID:399MswBEO
支援
48以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:13:59.40 ID:Tjme1Q5K0
ho
49以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:14:14.11 ID:aR1gfulP0
(; ^ω^)「いや、あの、それは、」

/ ,' 3 「内藤君。君は何校の高校を受験した?」

( ^ω^)「貴様は今まで食ったパンの数を、」

/ ,' 3 「シャラップ黙れ。何校だね?」

( ^ω^)「…………おっおっおー」
言いたくないからはぐらかしに掛かるつもりでいたら、


/ ,' 3 「全国合わせて510校じゃろ?」

バッチリ言い当てられていた。
数もぴったりあってて、きっとそれは僕が食べてきたパンの数よりも多く、
いや、いや。いや、それよりも問題は、


( ゚ω゚)「なんでその事知ってるんですかお!?」


この一点だ。また嫌な予測が頭の中を駆け巡る。
受験校の中には明らかに僕の頭のレベルでも大丈夫、って所もあった。
それなのに全部落ちたって理由。まさか。いや、まさか。
50以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:14:36.24 ID:h414patwO
ん〜……ブックセンターのパロ?
51以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:17:55.04 ID:rRM4+ReP0
試演
52以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:17:56.01 ID:bHOgSeZMO
wktk
53以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:18:34.25 ID:aR1gfulP0
/ ,' 3 「大変じゃったぞ、根回しは」

ねーーーよwwwwww


(; ^ω^)「じゃ、じゃあ僕が受けた509校は、」

/ ,' 3 「もちろん受かっていたものもあるぞい?」


盛大にねーーーーーよwwwww
一歩ジジイに近づく。襟首つかみかかった方がいいのかも知れない。僕の人生的に考えて。

/ ,' 3 「その拳を下ろしてはどうだね。なぁに、ワシにも考えというものがある」

( ^ω^)「…………」

歩みを止める。
まあ辞世の句くらいは読ましてやってもいいかお。

/ ,' 3 「もし無事に、孫娘の男嫌いを直してくれれば――」
54以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:22:21.03 ID:ViBm/tLa0
支援
55以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:23:48.80 ID:MU33XPmVO
ツッコミ混じりの地の文があまり好きじゃないけど内容は気になるんで支援
56以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:24:30.82 ID:aR1gfulP0
( ^ω^)「くれれば?」

復唱するジジイの言葉。
視線が合う。彼は至極楽しそうな目で僕を見ていた。


ああこの人生粋のダメ人間だなと直感する。



/ ,' 3 「君にはVIP高校の編入を認めよう」


竜王のように、ジジイはそう言う。ゴクリ。生唾を飲み込む。
そうして理解した。これは、ジジイとの会話でなく。悪魔との取引である、と。

そう。VIP高校、と言えば――


(; ^ω^)「あのVIP高校ですかお!?」


聖マリアンヌ高校の対局をなし、この界隈では秀才の代名詞とも言われる
エリート育成高校、あのVIP高校――?
57以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:28:07.67 ID:o4WmNbyQ0
wktk
58以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:28:29.24 ID:aR1gfulP0
/ ,' 3 「ワシそこの理事長も兼ねてんの」


今この瞬間に地に落ちたなVIP高校。


/ ,' 3 「む。これこれ、そう露骨に嫌そうな顔をするなよぃ」


察せられて指摘された。ケラケラと笑いながらジジイ。
大変魅力的な商談だ。しかし当然それにはリスクが付きまとう。
僕は少し震える声で聴く。最悪の展開になった場合のこと。

(; ^ω^)「でも、もしこの学校に男がいるとバレたら?」

/ ,' 3 「君の人生\(^o^)/ オワタ」

随分と軽く言うジジイ。
碇指令みたく手を前に組み、幾分かキツイ視線で僕を見る。

/ ,' 3 「その上で我が校との関連は完璧に否定した上で報道機関をねじ伏せる」

(; ^ω^)「えげつねぇ……」
59以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:32:08.16 ID:aR1gfulP0
僕の声を聞き、それでも悪魔は耳元で囁くのだ。

/ ,' 3 「やるかね――?」

にんまりと。そう、まるで玩具を見つけた子供のように笑いながら。
そのオーラに気圧される。もう返答は決まっていた。

エリート高校に入学するチャンスと人生終わらせるリスク、

天秤にかければ一目瞭然だ。


( ^ω^)「帰りますお!」

強く言い捨て踵を返した。
人生はやり直せる。高校浪人がなんだってんだ。


/ ,' 3 「ドキ、女だらけの林間学校」

背中にかけられるジジイの言葉。

ビクッ

体が反応する。
60以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:33:52.77 ID:3U4cNEtbO
わっふるわっふる
61以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:34:00.62 ID:rRM4+ReP0
wktk
62以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:34:24.44 ID:aR1gfulP0
/ ,' 3 「ウフ、女だらけの文化祭」

背中にかけられるジジイの言葉。

ビビクッ、

理性が抵抗する。


/ ,' 3 「アハ、女だらけの水泳大会。ハーレムハーレム」

背中にかけられるジジイの言葉。


ビビビクッ、


本能が――


(*^ω^)「身を粉にする勢いで尽力致しますお!」

勝った。
63以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:34:31.78 ID:o4WmNbyQ0
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64以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:36:46.79 ID:aR1gfulP0
ガッチリとする男の握手。
片手間でジジイが何かの書類に判を押した。
どうやら、僕の入学手続き書らしいかった。

ペラ、と左手でそれを掲げながら。


/ ,' 3 「孫娘についてのヒントはやらん。自力でさがせ」


はい――?


/ ,' 3 「誰かに質問するのも無し。あくまで、自力じゃよ?」


バレたら終わりなのにですかお……?

ああ。くそ。そしてやっとわが身で知った。
これは、ジジイとの会話でなく。悪魔との取引である、と。
65以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:37:50.06 ID:5+Eg2gbFO
なんという終焉フラグ……
66以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:39:25.05 ID:o4WmNbyQ0
あらら
67以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 20:40:22.00 ID:HdAsYsnc0
支援
68サザソのトリヴィア:2007/09/28(金) 20:41:02.21 ID:VEOlToNw0
ちょこっと参戦してみようかしら
69以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。
/ ,' 3 「言ったろう――?」

ジジイが、いや。悪魔が笑う。
老人とは信じられない握力で掴まれる右手。



/ ,' 3 「ワシは楽しい事が大好きなんじゃ」



これが、始まり。
呆然とする僕をよそに、ああ、と付言するジジイ。


/ ,' 3 「もう判押しちったし、やっぱなしって言うのはもう無理ね」


幻想に足を突っ込んだ僕は、そのまま引き釣り込まれる事になる。

ああ。こんな時こそ僕は思う。

幻は、遠目で見てるのが一番いいんだって。