1 :
代理:2007/09/27(木) 23:12:30.92 ID:z2oLTj0J0
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:12:37.01 ID:kRPBV5F90
, -―<_ ヾ ', ヽ__/_,-――-、
| トー- 、_/ ⌒ヽ ̄  ̄`<こ)-―-、
| ヾ, '´ /, '´ /⌒ヽ  ̄ニ==ュ、
ヽ, V / :/ :| :l l :l .\ `ヽ
< l、 ,' / / ! :| l | ! :! l l 、 ト ヽ
レ' {、`i: ,' ! _./|__! l ! |__l | | | |ヽ }
.く { `:l l: ,l'´/リ|/| /! /! ,| !`!ヽ! l! :| リ
|: \/!、 ! rh||/|/レ|/ レ' |/ レ'.| /レ| /| i! :!
| / |ヾ! i!l h r≠=x ' r≠=k、 |/ |/
|/ | / :i!| !l " " " , " " !'}`l ’
>>3さん?
レヽ _.|/ !i l ヽ、 'ー' ,レ' :}!
/ ./ ! l ヽ、 " , '´ / |、 ふふ♪
>>2を取れなかった気持ちはどう?
./ ./ :{ ' , \ }'、__, ィ ' ,/ ,' ! i
/ /:l ', !フ l,ーv-、 l :{ ,' | :|
/ /,' l ヽ ', :/. l |'"ri"'! .l :l l ト、
. / / i / ヽ ./ l :l =!l= ! l l ! ヽ
/ /!/ __ V l :| || | ,l V :〉
{ l { '´ >、/ ∧' i i.∨:l ヽ_ /
.!:l ヽ r '´ / ./ :| :i i / ,! ヾ } :/
.| ! `ー| // / ! | ! !/ ,' l l∨
リ... |(! ' / /!::| i !{ ,' ∧ ! |
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:14:32.09 ID:DOa4joVS0
きたーwwwwww
4 :
1:2007/09/27(木) 23:16:26.98 ID:xx1dvQvv0
五
(*゚ー゚)「あの、どうですか?」
俺の目の前、浅葱色のノースリーブのワンピースを着たしぃが、若干恥ずかしそうに頬を染めて立っていた。
('A`)「えーと、いや、似合ってるよ、ほんと。かわいいよ」
(*゚ー゚)「えへへ、よかったぁw」
素直に感想を述べると、しぃの頬がさらに赤みを増した。
なんだか、こちらまで恥ずかしくなってくる。
('A`)「お披露目も終わったところで、そろそろお昼にしようか?
昨日、食材買ったばっかだから、リクエストにお応えできる範囲で何でも言ってよ」
ここ一年、ぐーたらな生活を続けてきた俺ではあるが、料理だけは例外だった。
無論、そうは言っても素人なので、レパートリーはそれほど多くはないが。
それでも、それなりの料理は作れるつもりだ。
(*゚ー゚)「えーっと、それじゃ……」
胸を張る俺をしばらく見つめた後、しぃは腕を組んで黙考し始めた。
そしてなぜか握りこぶしを作りながら――
(*゚ー゚)「プリン!」
5 :
1:2007/09/27(木) 23:18:57.78 ID:xx1dvQvv0
(;'A`)「……あの、いちおう昼食なんだけど」
(*゚ー゚)「プリン」
しぃの瞳がキラキラと輝いているのを見て、俺は説得をあきらめた。
('A`)「買ってないから……作る?」
しぃがコクコクと首を縦に何度も振る。
よっぽどプリンが好きらしい。
苦笑しながら俺は冷蔵庫へと移動し、中身を確認した。
('A`)「牛乳と卵……生クリームも買ったな。
よし、じゃあ、特別おいしいのを作ってあげるよ」
(*゚ー゚)「やったぁ! ありがとうございます!」
しぃがなんだか尊敬の眼差しっぽい感じでこちらを見ている。
('A`)「あー、ただ、作ってすぐは無理だからね。
食べるのは、夜。我慢出来る?」
(*゚ー゚)「はいっ!」
しぃは気合の入った返事を返した。
これでもし失敗したら、ドロップキックどころでは済まないかもしれない。
6 :
1:2007/09/27(木) 23:20:11.81 ID:xx1dvQvv0
('A`)「で、プリンは作ってあげるけど、お昼ごはんは――」
(*゚ー゚)ノ「はいっ! 私が作ります!」
しぃが元気に返事をした。
この様子だと、いくらか料理も出来るらしい。
ちょっと肩に力が入り過ぎているところがなんとなく怖いけど。
('A`)「うん、じゃあ、お昼ごはんは任せるよ。
そんな凝ったものじゃなくてもいいからね」
俺の言葉にしぃは力強く頷いた。
……
…
7 :
1:2007/09/27(木) 23:20:58.29 ID:xx1dvQvv0
一時間後、俺の目の前には何故か真っ黒に焦げた主食らしき何かと、
やはり、真っ黒に焦げたおかずらしき物体が皿の上に乗っていた。
なんだろう?
これはもしかして、俺に対する嫌がらせとかだろうか?
('A`)「……」
ちらりとしぃを見る。
(*;゚ー゚)「ごめんなさい」
一応、これが失敗作であるという認識はあるらしい。
8 :
1:2007/09/27(木) 23:22:27.62 ID:xx1dvQvv0
(;'A`)「で、これは何?」
しぃは消え入りそうな声で
(*゚ー゚)「炒飯と野菜炒め……です」
しぃは消え入りそうな声で言った。
確かにどちらも炒める料理ではある。
だが、はたして何処をどうしたら、ここまで痛々しい姿に変わるのだろうか。
(;'A`)「料理したことは?」
(*;゚ー゚)「家庭科の時ちょっと……」
('A`)「成績は?」
(* ー )「……1」
まあ、そうだろう。
さすがにこの出来で1以外の評価を下せる勇気ある教師はいないと思う。
9 :
1:2007/09/27(木) 23:23:35.69 ID:xx1dvQvv0
俺がため息を吐き出すと、しぃの体がビクリと震えた。
(*゚ー゚)「あの、ホントにすみませんでした……」
('A`)「まあ、それも一緒に勉強していくとして……。
場の勢いだけで返事するのはやめようね」
俺が目の前の食材の成れの果てを持って、流し台に向かうと、背後からしぃの「はい」という力無い返事が聞こえてきた。
10 :
サザソのトリヴィア:2007/09/27(木) 23:24:18.47 ID:Jf0I1Ys10
シャワー浴びて面接の準備する(`・ω・´)
11 :
1:2007/09/27(木) 23:24:44.89 ID:xx1dvQvv0
※ ※ ※
(*゚ー゚)「へ〜、カラメルソースってこんな風に作るんですね〜」
('A`)「簡単だろ? でも、油断すると焦げすぎちゃうから気をつけないといけないけどね」
とりあえず、即席ラーメンで手早く昼食を片付けた俺たちは、さっそくプリンの製造に取り掛かった。
ガスレンジの上に置かれた小さな鍋の中で、煮詰まったグラニュー糖が、透明から茶色へと徐々に色を変え始める。
程よく色付いたところで火を止め、鍋の中の液体を、表面に薄くバターを塗った二つの金属性のプリン容器に注いでいく。
空になった鍋を流し台に置き、しばらく冷ました後に少し水をいれて、再び火にかけた。
茶色に固まったグラニュー糖が解け出したのを確認すると、鍋の中身を流し台に捨て、すぐに鍋をタワシで洗う。
12 :
1:2007/09/27(木) 23:26:09.00 ID:xx1dvQvv0
('A`)「そっちももういいだろ? 火、止めて」
しぃには、牛乳と生クリームの入った鍋にグラニュー糖を混ぜた後、弱火でかきまぜさせていた。
しぃがガスレンジの火を止める。
それを横目で見ながら、俺は、フライパンを流し台に置き、そこに水を張った。
('A`)「冷ますから、それ、ここに入れて」
(*゚ー゚)「はい!」
俺の言葉を受け、しぃが慎重に鍋を持ち上げて、プライパンに張った水の中に沈めた。
ザパッと水が溢れる。
('A`)「さ、次は卵。普通はそのまま使うんだけど、今回は黄身だけを使うから」
空いたガスレンジに水を入れた蒸し器を置いて火をかけると、冷蔵庫から卵を4つ取り出した。
それらを小さめのタッパの上で割り、白身の部分だけをそこに流し落とすと、残った黄身をフライパンにつけた先程の鍋の中に入れていく。
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:27:40.41 ID:FD1Xq7DmO
支援
14 :
1:2007/09/27(木) 23:27:50.99 ID:xx1dvQvv0
(*゚ー゚)「これも何かに使うんですか?」
俺のすぐ横で、腰を屈めながら真剣な眼差しで一連の動きを眺めていたしぃが言った。
('A`)「もちろん使うよ。もったいないからね。
これに牛乳入れて、レンジで温めると卵白豆腐の完成。
簡単で結構美味しいんだよ、これ」
(*゚ー゚)「へぇ〜」
しぃは感心しながら、タッパの中の白身を見つめる。
俺はそんなしぃの姿に苦笑を漏らしながら作業を進めた。
黄色い月が4つ浮かんだ白い液体の入った鍋をフライパンから取り出し、箸できれいに混ぜ合わせる。
それから、小瓶に入ったバニラエッセンスをそこに数滴垂らして、再び混ぜ合わせた。
('A`)「よしっ。プリン液も完成、と――」
(*゚ー゚)「あびゃっ!」
横から奇声が聞こえた。
横を見ると、なんだか、あわてた様子で舌を出すしぃの姿があった。
その手にはバニラエッセンスの小瓶。
どうやら、匂いの誘惑に負けてなめてしまったようだ。
15 :
1:2007/09/27(木) 23:30:37.00 ID:xx1dvQvv0
('A`)「言うの忘れたけど、バニラエッセンスってそのままなめても甘くはないよ。
て言うか、むしろ痛い」
ただ今絶賛体感中だろうしぃに、水を注いだコップを渡してやる。
それを奪い取るようにしてしぃは一気に飲み干した。
(*゚ー゚)「……っぷは! 先に言ってくらはい!」
なんだか、語尾が変だと怒っていても迫力に欠けるな。
それに、さすがに今回のは自業自得じゃないだろうか。
そう思ったが、口には出すとさらに怒られそうなので言わなかった。
(*゚ー゚)「バニラエッセンスが刺激物だとは知りませんでした。
あんなに良い匂いなのに……」
俺はできたばかりのプリン液を少しコップに注ぐと、パタパタと舌を手で扇いでいるしぃに渡してやった。
('A`)「はい、口直し」
しぃはコップを受け取ると、今度は慎重に口に含んだ。
(*゚ー゚)「あっ! おいしい!」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:32:13.61 ID:UGmk7XxEO
支援
17 :
1:2007/09/27(木) 23:32:17.23 ID:xx1dvQvv0
しぃの顔が瞬時にして喜びに彩られる。
それをほほえましく眺めつつ、プリン液を濾しながら先程カラメルソースを注いだ容器に入れる。
蒸し器の中の水が沸騰しているのを確認すると、火を小さくして、プリン液を入れた容器を静かに置き、蓋をした。
('A`)「あとは蒸し上がるのを待って、冷蔵庫で冷やして完成」
(*゚ー゚)「おー」
隣にいたしぃが感嘆の声を上げつつ手を打ち鳴らした。
なんだか少々照れ臭くもあるが、こうして誰かと楽しく食事を作るのも悪くないかもしれない。
('A`)「夜までには良い感じに冷えると思うから、晩ごはんの後のデザートにしよう」
(*゚ー゚)「はいっ!」
('A`)「じゃあ……せっかく教材も買ったことだし。
それまでの間、勉強でもしようか?」
(*゚ー゚)「……はーい」
しばらくの沈黙の後、見事にトーンダウンした声で、小さい返事が返ってきた。
とりあえず俺は、しぃの成績が全て家庭科並でないように、と、心の中で神に祈ることにした。
18 :
1:2007/09/27(木) 23:33:53.38 ID:xx1dvQvv0
――…
―…
(*゚ー゚)「プッリン、プッリン、プッリッン〜♪ プルプル、プルプル、プッリッン〜♪」
勉強を終え(意外なことに、家庭科以外の教科はなかなか優秀だった)、晩ごはんをきれいに平らげたしぃが、
スプーンをグーで握りながら、御機嫌でおかしな歌を歌っていた。
そのしぃの前に冷蔵庫から取り出したプリンを置いてやる。
(*゚ー゚)「おー、プリン! 私のプリン!」
ものすごくハイテンションだ。
すぐさまがっつきそうな勢いのしぃに「まだだよ」と言うと、俺はしぃの前に小皿を置いた。
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:34:54.17 ID:UGmk7XxEO
支援
20 :
1:2007/09/27(木) 23:35:51.11 ID:xx1dvQvv0
('A`)「せっかくだから、お皿に乗せて食べようよ。
俺が先にやるから見ててね」
自分の分のプリン容器を傾けながら回していく。
表面にバターを塗っているので、容器からプリンが簡単に剥離する。
一回転したところで、プリン容器に小皿を乗せ、一気に引っ繰り返した。
(*゚ー゚)「おぉ〜……」
スプーンを握り締めたままのしぃが息を飲む。
それを視界の隅に収めながら、ゆっくりと容器を持ち上げていった。
('A`)「そぉい!」
ブブッ、ブブッ、という空気の流入する音を響かせながら、滑らかな肌色の物体が滑り落ちて行く。
そして、最後、プリンが容器から完全に顔を出すと、底にたまっていたカラメルソースが、プリンの側面を流れ落ちて小皿に溜まった。
(*゚ー゚)「お、お、お、おー! すごいすごい! とってもきれい!」
('A`)「だからどうしたって言われても困るんだけどさ、
何かきれいにお皿に開けられると妙な達成感があるんだよ」
(*゚ー゚)「わかります! その気持ちすご〜くわかりますよ!」
俺の言葉に、しぃがコクコクと同意する。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:36:21.88 ID:6oNRR9D40
しぃモエス
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:37:06.23 ID:UGmk7XxEO
これはいいしぃ
23 :
1:2007/09/27(木) 23:38:18.33 ID:xx1dvQvv0
('A`)「さ、今度は君の番だよ」
しぃがスプーンを置いて、神妙な顔でプリンの容器を手にとった。
そして、それを傾け、ゆっくりと回していく。
(*゚ー゚)「もういいですか?」
プリン容器から目を離さずにしぃが尋ねる。
俺が頷くと、しぃはプリン容器に慎重に小皿を乗せ、「えい!」という気合と共に引っ繰り返した。
(*゚ー゚)「いきますよ。いきますよ」
しぃが時限爆弾の電気コードでも切るような真剣さで、ゆっくりと容器を持ち上げていく。
ブブッ、という音が響くたびにしぃの体がビクッと固まるのが、傍から見ていて妙におかしくて、ついつい笑ってしまった。
(*゚ー゚)「よし……もう少し」
だが、しぃは俺の笑い声など全く耳に入ってないかのような真剣な眼差しで作業を進める。
(*゚ー゚)「うわっ、できた! ねえ、ドクオさん、見てください! きれいにできました!」
('A`)「おお、うまいうまい」
小皿にきれいに乗ったプリンを見て、しぃが自分に拍手を贈っている。
なんだだか非常に微笑ましい光景だ。
昼間の出来事がこれで帳消しになるなんて事はないのだろうけど、
それでも、こうして明るい笑顔を浮かべてくれるのを見るとほっとする。
24 :
1:2007/09/27(木) 23:40:04.28 ID:xx1dvQvv0
('A`)「さ、食べようか」
(*゚ー゚)「はい!」
待ってましたとばかりにしぃがスプーンをがっちり握る。
だが、その後スプーンは、なかなかプリンをすくおうとはせず、プリンの前を行ったり来たりしている。
('A`)「どうしたの?」
(*゚ー゚)「……なんだか食べるのがかわいそうな気がします」
('A`)「じゃあ、代わりに食べてあげようか?」
即座にしぃの手が動き、プリンの入った小皿を持ち上げた。
(*゚ー゚)「これは私のです!」
(;'A`)「いや、冗談だから。
……なんて言うか、君は将来食べ物で失敗するタイプだね」
(*゚ー゚)「ほっといてください! はむ、はむはむっ!」
しぃはビシッとそう言うと、手に持ったスプーンを、プリンにザクッと突き刺した。
もうその動作には、微塵の迷いもなかった。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:40:30.95 ID:UGmk7XxEO
支援
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:40:58.64 ID:Sf4CyuAK0
支援
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:41:32.96 ID:UGmk7XxEO
いいねいいねえ支援
28 :
1:2007/09/27(木) 23:41:51.47 ID:xx1dvQvv0
※ ※ ※
('A`)「ちょっと聞きたいことがあるんだけど、いいかな?」
プリンを完食し、その余韻に浸っているのか、呆けたまま、時々ニヤニヤと笑みをこぼすしぃに話しかける。
(*゚ー゚)「むはぁー……」
('A`)「ねぇ」
(*゚ー゚)「なめらか〜……」
完全に自分の世界に入ってしまっているようだ。
('A`)「……えいっ!」
(*゚ー゚)「痛っ!!」
とりあえず、思いっきりデコぴんをしてみた。
思いのほか威力があったようで、現実世界に戻ってきたしぃは、おでこを押さえながらうずくまって動かない。
29 :
1:2007/09/27(木) 23:43:22.21 ID:xx1dvQvv0
(*゚ー゚)「痛い……すっごく痛いです! いきなりなにするんですか!」
しぃがガバッと起き上がり、俺に指を突き付けながら言った。
('A`)「いや、ついつい誘惑に負けてさ。メンゴメンゴ」
(*゚ー゚)「反省の色がかけらも見られません!」
('A`)「ん〜、アイムソーリー♪」
(* ー )「……よっく、わっかりました。
つまり、ドクオさんは私にケンカを売っていると理解してよろしいんですね?」
しぃがこめかみを押さえながら、怒りにぷるぷると体を震わせている。
まずい。
どうやら本気で怒らせてしまったらしい。
(;'A`)「えーと、あの……ごめんなさい。悪気はなかったんです。
だから怒りをお静めに――」
(* ー )「問答無用!」
しぃが飛んだ。
浅葱色のワンピースが大きく捲れて、花柄模様の下着が思いっきり見えているが、
興奮状態のしぃは気にならないらしい。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:44:07.20 ID:bv/4MTXUO
支援
31 :
1:2007/09/27(木) 23:44:30.35 ID:xx1dvQvv0
今度は見惚れる事なく、体を少し横にずらしてしぃのドロップキックを避ける。
('A`)「ふっ、甘いな。このドクオ様に同じ技が何度も通用すると――」
(*゚ー゚)「甘いのはそっちです!」
(;'A`)「ぐぇっ!」
しぃの足が開いて、僕の首をガッチリと挟み込んだ。
(*゚ー゚)「さあ、念仏でも唱えなさい!」
(;'A`)「ちょ、待て! て言うか、女の子なんだから、ちょっとはパンツとか気にしろよ!」
(*゚ー゚)「あ……! へ、変態!」
しぃが体をエビ反らせ、床に手を着いた。同時に体に捻りを加える。
体が浮き上がるおかしな感覚が襲った直後、俺は脳天から堅い床に叩きつけられた。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:44:49.29 ID:UGmk7XxEO
支援
33 :
1:2007/09/27(木) 23:46:23.21 ID:xx1dvQvv0
――…
―…
目が覚めると、しぃの顔が目の前にあった。
(*;゚ー゚)「すみません……やりすぎました」
起き上がろうとすると、頭の天辺と首に鈍痛が走った。
しばらく横になっていた方がよさそうだ。
('A`)「本物のお花畑を見た気がするよ。
あと、死んだ両親にも会った気が……」
まさか、女子中学生にプロレス技をかけられて、臨死体験をすることになるとは夢にも思わなかった。
(*;゚ー゚)「すみません……」
('A`)「許さない」
即座に俺がそう言うと、しぃが泣きそうな顔になった。
('A`)「ほっぺにちゅーで許してあげるよ」
泣きそうだったしぃの顔が瞬時に赤く染まる。
(*゚ー゚)「うぅ……私が悪いんだし……でも……うぅ……」
一応悩んでくれるくらいには嫌われてはいないらしい。
34 :
1:2007/09/27(木) 23:48:10.44 ID:xx1dvQvv0
('A`)「冗談だよ。元はと言えば僕が悪かったんだし」
(*゚ー゚)「よかったぁ……」
しぃがほっと胸をなでおろす。
その姿を苦笑混じりに下から見上げながら、先程の質問をもう一度繰り返した。
('A`)「あのさ、ちょっと聞きたいんだけど、いいかな?」
しぃは少し首をかしげながらも「はい」と頷いた。
('A`)「君は……元に戻りたいよね?」
しぃが口元を引き結びながらコクリと頷いた。
('A`)「俺も君が元に戻るのを手伝ってあげたいと思ってる。
……でも、肝心のその方法が全く解らないんだ」
(*゚ー゚)「私にも……解りません」
しぃの絞り出すような声に「うん」と頷く。
('A`)「だから、いろいろ調べてみようと思うんだけど……どうかな?
君がもし、そういうことを少しでも忘れていたいと思うなら、やらないけど」
そう、原因を究明しようとする限り、しぃはそこに付いて回る嫌な思い出を、いつまでも引きずらなければならない。
たとえ、状況が改善されないままだとしても、しぃ自身がそれを望まないなら、それも仕方がないと思う。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:48:15.08 ID:UGmk7XxEO
萌えた
36 :
1:2007/09/27(木) 23:49:51.35 ID:xx1dvQvv0
('A`)「調べるにしても、原因が特定できる可能性は低いかもしれない。
それに、たとえ原因が特定出来たとしても、元に戻れるとは限らない……」
正直に伝える。
下手に希望を抱いても、絶望を大きくするだけだ。それでも――。
('A`)「それでも……俺は君を元に戻してあげたいと思ってるんだ」
(*゚ー゚)「っ!」
しばらくの沈黙の後、ポタ、ポタ、と、しぃの顔から温かい雫が降ってきた。
('A`)「つらい?」
(*;ー;)「……」
しぃは涙を流しながら、ふるふると首を横に振った。
('A`)「じゃあ、どうして泣くの?」
(*;ー;)「どうして……どうしてドクオさんはそんなに私に親切にしてくれるんですか?」
しぃが問う。
だが、残念ながら、俺自身にもその答えは分からない。
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:51:42.23 ID:UGmk7XxEO
支援
38 :
1:2007/09/27(木) 23:52:13.68 ID:xx1dvQvv0
('A`)「自分でもよく分からない。俺は……駄目人間のはずなのに」
(*゚ー゚)「ちがいます。ドクオさんは――」
反論しようとするしぃの前に手を翳して黙らせる。
('A`)「いいから、聞いて……。
俺は、両親が死んでからずっと抜け殻みたいに過ごしてきたんだ……。
大学は一応卒業したけど、それだって、本当はどうでもよかったんだ。
ただ、なんとなく今までやってきたことを続けただけで、きっかけさえあれば大学も辞めてたと思う」
('A`)「大学を出てからは、本当に何にもする気が起きなくて、毎日家の中でぼーとしてた。
本当に何にもしなかった。それに疑問を持つことすら億劫な、正真正銘の駄目人間だったんだ……」
このままゆっくりと社会から切り離されて、消えていくのも悪くないとさえ思っていた。でも――
('A`)「君に会うまではね。……最初は、たぶん同情だったんだと思う。
でも、今はそうじゃない。俺にもまだよく分からないんだけど、たぶん心の奥底でずっと変わりたい≠ニ思っていたんだ。
そのためのきっかけをずっと探していたんだと思う。君が……そのきっかけを与えてくれた。
だから、これは、君のためでもあるけど、俺のためでもあるんだよ」
39 :
1:2007/09/27(木) 23:53:43.84 ID:xx1dvQvv0
うまく言えてる自信はないけど、これが俺の正直な気持ちだった。
('A`)「俺は俺のためにも、君を元に戻してあげたい。
それが出来たら、俺はもっと変われそうな気がするんだ……」
これは俺のわがままなのかもしれない。
現段階では、しぃをさらに傷つけてしまう可能性のほうが大きいのだから。
(*;ー;)「ありがとう、ございます……」
涙を流しながらしぃが礼を言う。
('A`)「お礼なんて言わなくていいよ。
でも、ほっぺにちゅーでもしてくれたらもっとやる気が出るかも」
軽口を叩いて笑っていたら、突然、柔らかものが俺の唇に触れた。
(*゚ー゚)「やる気出ました?」
涙で濡れた顔で、しぃがいたずらっぽく笑う。
なんて言うか……最近の中学生はなかなか積極的だ。
('A`)「……あ」
しぃの柔らかい唇の感触を反芻しながら、俺はそう思った。
40 :
1:2007/09/27(木) 23:54:32.10 ID:xx1dvQvv0
第五話は以上で終わりですよん。
次回は明日のこの時間らへんに投下できたら来ますー!!
では!!!
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:55:48.52 ID:UGmk7XxEO
支援
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:56:14.54 ID:UGmk7XxEO
乙
今日のしぃは特に萌えた
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:56:26.43 ID:SnpitviB0
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:58:51.25 ID:kNZ5e+9zO
乙!!
45 :
1:2007/09/27(木) 23:58:52.11 ID:xx1dvQvv0
>>43 このフットワークの軽さ、これは間違いなくありがとうございまししたアーッ!!!
今日は眠いのでここらへんで!
平日の夜更かしはだめよ。ではでは
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/27(木) 23:59:13.56 ID:tvQ8qlkQO
すーきとってーみーえーるーんだー
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 00:02:10.58 ID:RpY5hClk0
('A`)「……えいっ!」
(*゚ー゚)「痛っ!!」
とりあえず、思いっきりデコぴんをしてみた。
思いのほか威力があったようで、現実世界に戻ってきたしぃは、おでこを押さえながらうずくまって動かない。
ここに激しく萌えた
乙、台詞回しが好きだな。
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/28(金) 00:20:27.85 ID:6P0hUNnXO
くるったーまちーかーどーきーらきらー
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
乙