1 :
◆7o4joIklfk :
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 19:54:18.79 ID:EotoHSIZ0
六「軍の偉い地位の女と男」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 19:56:05.96 ID:gme9O8tDO
ktkr
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 19:56:12.20 ID:EotoHSIZ0
某国です
その国は悪魔が封印されている国としてもっぱら評判です
その国は緑がたくさんある平和な国です
平和なのには必ず何かのワケがあるのです
例えばそれはその国以外の国が消え去っていたり
例えばそれは犯罪を犯すと死刑だったり
例えばそれは最強の軍事力を持つ国だったり
理由は様々です
この国が平和な理由
それは、「軍が他国の侵略を守り、軍が民を束ねている」です
その国はとても強い軍を持っています
しかし他の国を侵略しようとはしません
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 19:57:52.58 ID:gme9O8tDO
支援
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 19:57:55.91 ID:EotoHSIZ0
川 ゚ -゚) また人斬り……
長髪の女が呟きます
朝食の最中のようです
少し焦げかけた食パンが四等分にされ皿に置かれています
その隣にはイチゴジャムの瓶とスプーン、牛乳が置かれています
それらを無視して新聞紙を読む姿はまるで朝のお父さんです
川 ゚ -゚) まだ捕まらんとか、どんだけー
おかしな独り言と共にばさっと新聞紙をテーブルに置き、朝ごはんを食べ始めます
女はマーガリン、バターは塗らない派です
体重が気になるのです
誰も気にしていないのに、おかしな話です
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 19:59:27.92 ID:EotoHSIZ0
食事を終えて、仕事場へ向かいます
女の仕事場は兵士の訓練場です
この国の地下にはお伽話でしか存在しないと言われている悪魔がいます
封印された悪魔を利用されないように、兵士が強くなる必要があるのです
服を着てから女は気付きます
もう悪魔はこの国にはいないことに気付きます
女は二か月ほど放浪の旅に出ていました
気の迷いと言うやつです
その間に、地下に封印しておいたはずの悪魔が消えました
それと同時に一人の幹部も消えました
いなくなった二つの影
これは何か怪しいです
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:01:06.65 ID:EotoHSIZ0
(´・ω・`) やあ
しょぼくれた顔の男が窓から女に話しかけます
まるで覗きです
女は考える素振も見せずしょぼくれ顔の男に銃口を向けます
川 ゚ -゚) 変態め
(´・ω・`) 失礼な
川 ゚ -゚) 撃つぞ
女はクールです
しょぼくれ顔は動じません
(´・ω・`) まぁまぁ落ち着け
良い話を持ってきてやったんだ
良いかどうかは知らんがな
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:02:44.38 ID:EotoHSIZ0
女は男を渋々家にあがらせます
でも、依然銃口をつきつけています
(´・ω・`) 「黒い旅人」ってのを知っているかい?
川 ゚ -゚) 「白い変人」か?
新聞紙に載っていたことです
ボケに動じずマジメに続けるしょぼくれ顔です
(´・ω・`) 今までにいろんな国で人斬りがあった
どれもこれも同じ太刀筋だ
まあ専門家の受け売りだけど、としょぼくれ男は付け足します
(´・ω・`) 犯人は発見者もろとも殺していると思われている
それほどまでに自分の姿を隠したいんだろう
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:03:22.05 ID:gme9O8tDO
支援
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:05:07.18 ID:EotoHSIZ0
(´・ω・`) だが奴はしくじった
殺し損ねたんだ、一人
朝の柔らかな日差しが窓から入り込みます
その光は今の話には酷く不釣り合いです
(´・ω・`) その生き残った人によると全身黒ずくめで
この辺りでは見たことの無い顔だったと言う
川 ゚ -゚) だから「黒い旅人」だと
(´・ω・`) ああ
川 ゚ -゚) 黒い旅人=犯人か
(´・ω・`) その人は重傷だった
息も絶え絶えに医者にその男の特徴を話したらしい
しょぼくれ顔はトーストの欠片を口に放り込みます
(´・ω・`) それを、元に、似顔絵が、描かれた
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:06:21.74 ID:gme9O8tDO
支援
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:07:05.20 ID:EotoHSIZ0
しょぼくれ男は懐から一枚の紙を取り出します
(´・ω・`) その人は、もう死んだ
やっぱり傷が深かったらしくてね
チラシの裏を使った安上がりな似顔絵用紙です
その紙を見たとき、女の顔が険しくなります
川 ゚ -゚) 私の覚え間違い、見間違いでなけりゃ、こいつは、
世界には同じ顔が三人いると言われています
ドッペルゲンガーと呼ばれていたりそうでなかったりします
その似顔絵は失踪した軍の幹部の顔にそっくりです
そっくり?いえいえそんなことはありません
(´・ω・`) 俺達の上司だよ
チラシがふわりと朝の風に飛びます
[( ^ω^)]
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:07:35.37 ID:EotoHSIZ0
六終
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:08:17.60 ID:EotoHSIZ0
外「黒い旅人」
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:08:18.89 ID:gme9O8tDO
支援
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:10:49.38 ID:EotoHSIZ0
某国で一人の男の子が生まれました
その男の子には大きくなるようにと願いをこめた名前をつけられました
ただ役所で用紙を提出する時に少し字を間違えたようでしたが
その男の子はごく一般、平凡な家庭に生まれました
その後に兄弟姉妹はできず、三人で幸せに暮らしていました
その男の子は他のどの赤ん坊よりも早く二つの足で立ちました
ハイハイはどの赤ん坊よりも遅かったのに、です
男の子は立てたのをいいことに他の赤ん坊をいじめました
叩いては逃げ、叩いては逃げ、時々転びました
ヒットアンドアウェイです
しかしこの攻撃方法が通用しない相手が現われました
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:12:17.07 ID:EotoHSIZ0
( ^ω^) うりゃ!
ξ゚听)ξ ふゃ!
それは幼いながらとても可愛らしい女の子でした
男の子は見境なくヒットアンドアウェイを繰り返したためその女の子にも魔の手が伸びたのでした
何が楽しいかったのかはその後の本人ですら分からない行為でした
ξ゚听)ξ どお!
女の子は足払いのような地面を這うキックを繰り出しました
男の子は情けない声を出し倒れました
そして男の子はびぃびぃ泣き始めました
その様子を二人の母は微笑ましく笑って見ていました
ξ゚听)ξ ひゃう!ひゃう!
( ;ω;) なう!な!
今までの恨みと言わんばかりに皆から攻撃をされていました
リンチです
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:14:00.31 ID:EotoHSIZ0
男の子と女の子はそれから何故か仲良しでした
この頃からSとMがはっきりしていたのかどうかは分かりません
数年が経ちました
二人は会えなくなりました
色んな国で色んな戦争が起こったからです
色んな国で色んな人が死にました
そんな世界の状況を幼い彼らが知っていたわけがありません
父親が家になかなか戻らないわけも
母と家を出たまま家に帰らないわけも
あちらこちらで煙が上がっているわけも知っていたわけがありません
また数年が経ちました
男の子は女の子と再び出会いました
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:15:58.58 ID:EotoHSIZ0
ξ゚听)ξ あ
( ^ω^) お?
お
戦争もそろそろ終結間近の冬のことでした
お店でのことでした
男が残り一つのえのきに手を伸ばしたときでした
女が残り一つのえのきに手を伸ばしたときでした
二人のその日の夜ご飯は鍋でした
それから二年後、男は軍に入りました
軍と言っても攻めるための軍隊ではありません
守るための軍隊です
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:17:04.24 ID:EotoHSIZ0
男が軍に入る三年前に戦争は終結しました
某国は他国の侵略から国を守るため、軍を結成しました
それは自衛隊のような存在でした
無理矢理戦争に行かされるのではなく、任意参加でした
その為、防衛戦にはやる気のあるものだけが参加しました
そして、相手国が制圧されるまでの間、一歩の侵略も許すことなく耐えました
守りに長けた国の誕生でした
それ以後も某国では軍を結成し、いつ何があってもいいようにしていました
そんな軍に憧れをもつ者は少なくありません
にこにこ顔の彼も例外ではなかったのでした
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:20:04.18 ID:EotoHSIZ0
彼は軍に入ることにより、就職しました
ようやく自分で生きていけるようになった男は結婚しました
相手は幼い頃からの付き合いである棘があるけど、優しい女性でした
まだまだ新米の彼は収入も少なかったのですが、二人は幸せに暮らしていました
スーパーのタイムセールは彼らにとって戦場でした
数年後、男は幹部にまでなりました
幹部と言っても自分達は戦争をせずに会議している幹部ではありませんでした
軍にはそんな役割はありませんでした
自らも戦場に立ち、戦うのです
足の速さを生かし、スピード出世でした
そんな実力社会でした
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:22:00.92 ID:EotoHSIZ0
ある日、街で大きな爆発が起こりました
仕掛けられた爆弾が同時にいくつも爆発しました
爆発が終わってみれば街には何も残っていませんでした
その街は二人の住む街でした
男は仕事のため、爆発に巻き込まれませんでした
でも、女は
男は絶望の淵にいました
どこを向いても真っ暗でした
右を向いても左を向いても下を見ても上を見ても後ろを振り返っても
真っ暗な世界は次第に黒に飲み込まれて
その黒は男の心を飲み込みました
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:24:28.72 ID:EotoHSIZ0
またある日、男は兵を辞めることを申し出るため軍の総司令部の扉の前に立ちました
中から聞こえる声を聞いてしまいました
あの爆発はテロなどではないということを
あの爆発はすすんで戦争をしないこの国が開発したものだと
他国に試すわけにはいきませんでした
だから、威力抑えめの爆弾を自国で爆発させたことを
おい
何かが男に話しかけました
黒の世界に何かが入り込みました
おい、止まれ、右右、そうそうそこそこ
気付くと男は軍本部の地下にいました
目の前には何かがいました
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:26:30.59 ID:EotoHSIZ0
それは不思議な鏡でした
鏡は男ではない別の何かを写し出していました
人ではない何か
よう、随分落ち込んでるな
彼は話しました
洗いざらい話しました
満たされない心を満たそうと洗いざらい話しました
人ではない何かに
何かは男に問いかけました
生き返らせたいか?
頷きました
一秒の間も空けず頷きました
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:28:33.62 ID:gme9O8tDO
支援
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:29:01.64 ID:gme9O8tDO
支援
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:29:14.33 ID:EotoHSIZ0
鏡の中のそれは鏡の中で姿を現しました
それはおとぎ話のような姿でした
それは悪魔でした
男は開けてはいけない扉を開けてしまいました
悪魔は言いました
――人の人間を、俺がなる剣で殺せ
血をよこせ
そうすれば生き返らせてやる
良心は叫びました
――死にたい人間のだけしか殺しちゃ駄目だ
殺すことを前提に良心は叫びました
それは果たして、良心と呼べるのでしょうか
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:31:25.87 ID:EotoHSIZ0
男は悪魔を受け入れました
悪魔は男の心に憑きました
「君のためならなんだってする」
ありふれたその言葉が現実となりました
悪魔は剣になり、男は旅人になりました
全身を真っ黒なローブで包みました
旅は何かの目的があります
例え放浪の旅だとしても、何かを探すために旅にでます
男は人を殺すために旅にでました
それは坂道の林檎のように、それはぐるぐる回る扇風機の羽のように
男は止まりません
止まれません
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:31:50.86 ID:gme9O8tDO
支援
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:32:15.64 ID:EotoHSIZ0
外終
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:32:24.92 ID:gme9O8tDO
支援
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:34:05.15 ID:EotoHSIZ0
七「悪魔の男と女と男と女」
34 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:34:50.77 ID:gme9O8tDO
支援
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:35:40.28 ID:EotoHSIZ0
夜です
黒い旅人の正体を知った男と女がいます
本人の口からそれを知ったわけではありません
だから聞き出すことにしました
静かに、そして迅速に彼らは行動を開始しました
これ以上被害が拡大しないようにするためです
波の音がします
それが夜の闇に反射しています
音は大きくなり人々を眠りへ誘います
その音は浜辺を歩く音をかき消します
その音は岩場を歩く音をかき消します
その音は綺麗な音色を奏でます
36 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:36:22.56 ID:gme9O8tDO
支援
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:37:10.78 ID:EotoHSIZ0
从 ゚∀从 はーい、ストップストップー
白の長い髪をまとめも切りもせずだらんとなっている女性です
彼女や周りの人間が光を掲げます
そしてそれらは一斉に黒い旅人へ向けられます
( ^ω^) 懐かしい顔だお
从 ゚∀从 あー、あたしもあんたの顔を見るのは久し振りだね
単刀直入に聞こう
お前がここ最近の人斬りの犯人で、悪魔を盗み出した犯人か?
( ^ω^) へぇ
一体誰からバレたのやら
旅人はにやりと笑います
その笑いが全てを物語っています
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:38:41.49 ID:gme9O8tDO
支援
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:39:37.30 ID:EotoHSIZ0
(´・ω・`) できれば僕達だけでどうにかしたかったんだけどね
川 ゚ -゚) お前がこいつにバレたからだろ
しょぼくれ顔の男により、白髪の女に全てがバレました
仕事中に挙動の怪しい男がいたら誰だって不思議に思います
不思議に思われた相手が悪かったのです
白髪の女はしつこさには定評があります
そして全てがバレた後、善は急げということで海辺へやってきました
从 ゚∀从 おい、お前ら
こいつのバカみたいな強さは知ってるだろ
遠慮はするんじゃねぇぞ
したら死ぬぜ
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:40:58.84 ID:EotoHSIZ0
軍の兵士が一斉に浜辺に走ります
黒い旅人はその人の群れに微動だにしません
兵士達が浜辺に降り立ちます
場に様々な思いが渦巻きます
帰りたい者戦いたい者ただ殺したい者
悪を退治せんとするもの国民の平和を守ろうとする者
愛する人を生き返らせようとする者
普通ではない想いも渦巻きます
夜風が波の音を大きくします
人々はそれを音楽に眠ります
人々はそれを音楽に戦います
人々はそれを音楽にします
41 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:41:25.37 ID:gme9O8tDO
支援
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:42:48.15 ID:EotoHSIZ0
( ^ω^) 一人二人三人四人
流れる動きで次々と兵士を薙ぎ倒します
しかし男も人間です
やはり兵士から斬られます
しかし剣は赤を吸収します
明かりに照らされたその剣はどんどん赤みを増します
剣が赤く、黒くなっていきます
浜辺には一滴の赤も残りません
剣が赤を喰うからです
喰うたびに男の傷は無くなります
風が吹き抜けていくようです
43 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:43:50.29 ID:gme9O8tDO
支援
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:44:22.84 ID:EotoHSIZ0
川 ゚ -゚) 撃て!
男の動きが止まった一瞬を女は見逃しません
幾つもの発砲音が夜の浜に響きます
波の音とそれはまるで正反対の音を奏でます
( ^ω^) ッ!!
にこにこ顔が歪みます
黒のローブに穴があき、赤が漏れ出します
ふっと男の姿が消えます
皆はそれを探します
しかし浜辺しか照らされていないため空を探すことはできません
(´・ω・`) 横だ!
長髪の女に叫びます
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:44:56.00 ID:gme9O8tDO
支援
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:46:11.31 ID:EotoHSIZ0
素早い反応で女は銃口を闇に向けます
向けた方向は闇しか広がっていません
( ^ω^) フェイントっていうのを知ってるかお?
ようやく岩場に明かりが向けられます
整えられていない白い髪が宙を舞っています
川 ゚ -゚) 明かりを浜に向けて浜に降りろ!
長髪の女としょぼくれ顔が浜に降り立ちます
その二人しか浜に降り立ちません
あと一人
黒い旅人の頭に悪魔の声が聞こえます
(´・ω・`) 僕達二人しかもういないみたいだね
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:47:06.40 ID:gme9O8tDO
支援
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:48:02.74 ID:EotoHSIZ0
川 ゚ -゚) 一つ聞こう
何故お前は人を殺す?
旅人は剣を砂浜に突き刺します
( ^ω^) 爆発事件を覚えているかお?
二人に問いかけます
(´・ω・`) 街一つが消え去った……アレか
( ^ω^) ああ。アレだお
あの事件に僕の妻が巻き込まれて死んだお
川 ゚ -゚) そりゃ……ご愁傷様です
( ^ω^) その後、総司令の部屋の前で聞いたお
あれは軍の実験だったんだお
テロなんかじゃなかったお
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:50:07.46 ID:EotoHSIZ0
(´・ω・`) ……確かに、あの事件は不自然だった
軍はいつまで経っても犯人探しを命令してこなかった
( ^ω^) そう
まるで、犯人なんていないことを知ってるかのように
それから僕は悪魔と思われる者と約束をした
「妻を生き返らせる」ことをだお
その為には人をこの剣で殺すことが必要だったんだお
川 ゚ -゚) 狂ってる……
女は汚らわしい物を見るような目で旅人を睨みます
( ^ω^) さあ、話はこれぐらいにしてくれお
あと一人殺せばいいんだお
あと少しでツンが戻ってくるんだお
50 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:51:18.89 ID:gme9O8tDO
支援
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:51:41.00 ID:EotoHSIZ0
女は拳銃を旅人に突きつけます
男は腰から剣を抜き取ります
旅人は黒のような赤い剣を構えます
波の音が夜の闇を渡ります
月光と人工光が彼らを照らします
光が彼らを照らします
影と同化したかのような黒い旅人の影が動きます
女が発砲します
男が斬りかかります
腕が飛びます
52 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:52:31.26 ID:EotoHSIZ0
七終
53 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:52:38.77 ID:gme9O8tDO
支援
54 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:53:33.95 ID:EotoHSIZ0
終「黒い旅人と悪魔」
55 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:54:34.13 ID:gme9O8tDO
いよいよ最後か支援
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:55:26.05 ID:EotoHSIZ0
川 - ) あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!
腕を失った女が叫びます
腹の奥底から叫びます
誰もが耳を塞ぎたくなる叫びです
旅人は女の腕を斬ってから男の剣を防ぎます
(´・ω・`) クソがあああああ!!
唾をまき散らしながら叫びます
男は足を庇っています
先ほどの女の銃弾に当たったようです
腕を斬っただけの赤ではその傷を治すことはできませんでした
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:57:00.62 ID:gme9O8tDO
支援
58 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:59:20.10 ID:EotoHSIZ0
旅人は振り下ろされた男の剣を弾き返します
倒れこんだ男に追撃を試みます
しかし
( ^ω^) がああああああ!!
発砲音です
それは旅人の後ろに倒れていた女の銃撃です
川 - ) 片腕が、なくとも、私は!
旅人にとってこれは非常に不味いです
遠距離と近距離によるはさみうちです
この状況を打破できるのは一体何か考えます
瞬間的に考え即座に考えを導きます
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 20:59:30.22 ID:EyWZJGv6O
支援
60 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:00:54.78 ID:EotoHSIZ0
しかしその驚異的な速さで考えだした答えも二人には敵いません
二人は何も考えていないからです
考えていなければ即座に行動に移せます
剣を持った腕を撃たれます
悲鳴を上げる間もなくしょぼくれ顔がその腕を斬り落とします
それは弧を描いて空を駆けます
腕が飛び、赤黒い剣も空を飛びます
(´・ω・`) 終わりだ!!
剣を失った旅人に最早男に勝つ術はありません
焦点の合わない目と自らの赤で汚れた旅人は絶叫します
その声は全ての音をかき消します
しょぼくれ顔は倒れた旅人に剣を突き立てようとします
61 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:02:00.27 ID:EyWZJGv6O
支援
62 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:02:09.36 ID:gme9O8tDO
支援
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:03:30.38 ID:EotoHSIZ0
その時です
旅人の後ろから黒い煙が吹き出します
(´・ω・`) な、何だ!?
その煙の出所は剣です
女の胸に突き刺さった剣です
女はピクリとも動きません
煙が具現化します
闇夜に何かが生まれます
無から有が生まれます
そこに絶対的な存在が生まれます
その光景を二人は見守ることしかできません
64 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:04:29.24 ID:gme9O8tDO
支援
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:05:00.58 ID:EyWZJGv6O
支援
66 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:06:02.89 ID:EotoHSIZ0
よお
それは二人に話しかけます
俺を出してくれたみたいだな
礼を言おう
それはニヤリと笑いました
二人の背筋は凍ります
それは幼い頃に何度も読んだ絵本にあった姿です
それは悪魔です
おい、男
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:07:29.75 ID:gme9O8tDO
支援
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:07:55.99 ID:EyWZJGv6O
支援
69 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:08:25.47 ID:EotoHSIZ0
( ^ω^) ひっ……
旅人は怯えます
人の倍以上はあるその姿に完全に気圧されています
それが人間としての当然の反応です
俺に頼みごとしてたっけ?
ケラケラと笑いながら問いかけます
岩場の明かりが逆光となってもその禍々しさは簡単に感じ取ることが出来ます
生き返らせることは神にでも頼めよ
悪魔にそんな芸達者なことできるわけねーよ
70 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:09:57.13 ID:EotoHSIZ0
(´・ω・`) あ
男は腹を貫かれます
刃物のように悪魔の腕は男をいともたやすく絶命に追いこみます
旅人はそんな男には目もくれず、悪魔に問いかけます
( ^ω^) ツン、ツンは!生き返らないのk
うるせえよ
波の音だけが浜辺の空間に響きます
叫び声も悲鳴も話し声も呼吸音も心音も聞こえません
ただ、波の音が聞こえるだけです
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:10:17.65 ID:EyWZJGv6O
支援
72 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:10:25.79 ID:EotoHSIZ0
終終
73 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:10:54.37 ID:EotoHSIZ0
世界のとある場所に黒い旅人がいました
その黒い旅人の旅の終わりと共に全てが終わりました
終わりました
74 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:11:29.08 ID:gme9O8tDO
支援
75 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:11:40.06 ID:EotoHSIZ0
以上で「( ^ω^)が黒い旅人になったようです」終了です。
見てくださった方々、支援してくださった方々、
まとめさん、どうもありがとうございました。
質問意見指摘などなどありましたら、是非教えてください。
76 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:12:04.62 ID:EotoHSIZ0
まとめさんへ
>>56 の最初のクーの顔を
川 - ) から 川 - )
に変えてほしいです
ご迷惑をおかけします
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:14:36.50 ID:IyZBb59GO
後味悪っ! 超ビター!
だが、それがいい
乙
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:15:23.11 ID:gme9O8tDO
作者超乙!
こういう救いのない話は好きだ
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:16:49.31 ID:EyWZJGv6O
よかった。乙
V(のようです)書いてた人?
80 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:20:03.20 ID:EotoHSIZ0
81 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:23:30.78 ID:TDipSZxG0
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:23:54.61 ID:EyWZJGv6O
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/09/25(火) 21:26:00.20 ID:EotoHSIZ0
>>81 二日間、本当にありがとうございます
これからも、大変でしょうが、まとめ活動頑張ってください
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
>>83 此方こそありがとうざいます。
次回の作品でも、また、まとめさせて頂いたらと思います
これからも、頑張ってください