実際の侍の設定とも異なるし、舞台は日本ではありませんのであしからず
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これは、ある美府国という東洋の国の、およそ150年前のお話です。
いろんな店でにぎわう通り。季節は夏で、空からさんさんと太陽の光が照っています。
そんな中、よれよれの着物を着て、刀を差し、背を曲げながら、とぼとぼ歩く一人の男。
( ^ω^)「まったく今日もあっついおー」
彼の名は内藤 蕪雲 穂来存。たいていの人は彼をブーンとか旦那とか呼びます。
彼の職業は侍。唯一合法に武器をもてる人たちです。
おや、通りの魚屋から威勢のいい声が掛かりました。
( ゚∀゚)「いよお旦那!お勤めは終わったのかい!」
( ^ω^)「ああ、終わったお」
( ゚∀゚)「へええ、そいつあご苦労さん!それよりさ、な、いいタコが入ったんだ!でけえでろ!
少々値は張るがあ、旦那のためだ!安くしといてやらあ!こいつをさ、ちょいと小さく切って、
肴にして、きゅぅと一杯やってみな!そらあ、極楽にいけるぜ!」
(;^ω^)「ううう」
ブーンが戸惑っていると、向かいの酒屋の主人も大声を張り上げます。
(=゚ω゚)ノ「おうおうこんタコ坊主!客を独り占めすっじゃねえぞ!おい旦那!肴買うんなら、酒が
いるだろ!買ってけ!安くしといてやるよ!」
すると乾物屋からも声が掛かります。
从 ゚∀从 「タコなんざあ肴にしてどうすんだい、旦那ぁ!こっちにゃ塩辛も、ちりめんもあるぜ!
こいつあ買わないと損するぜ!さあさあ、買った買った!」
駄菓子やもなぜかしゃがれ声でしゃべります。
('、`*川「あんた、甘い物もいいよ。ふ菓子に、ほれ、団子も。甘いもん食って、精つけなされ」
この調子で通りのあちこちから次々に、声が掛かりました。
騒々しさと恥ずかしさに耐え切れなくなったブーンは言いました。
(;^ω^)「わ、わかったお!全部買うお!」
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/27(月) 16:47:47.48 ID:z/MSLA4TO
4 :
◆AOGu5v68Us :2007/08/27(月) 16:48:12.42 ID:dTNndQ130
「まいどありい!」
数分後、そこには両腕一杯に荷物を抱えたブーンの姿が。
(;^ω^)「こんなに買ってしまったお、今月のお金はもうほとんど無いお……。こんな大きなタコなんか、
カーチャンと二人でも全部食べきれないお。」
憂鬱な顔で、家路を急ぐ彼。
人通りの少ない道を歩いていると、脇道から、何やら声がします。
5 :
◆AOGu5v68Us :2007/08/27(月) 16:48:28.36 ID:dTNndQ130
( ^ω^)「なんだお?」
ブーンは声のする脇道を覗き込みました。
するとそこでは、二人のがらの悪い男たちが小さな女の子を囲んでいたのです。
(:::::::::::::::)「あんまり傷をつけるなよ、汚れ物を犯したくはねえ」
と一人の男が腕組みし言います。
(,,゚Д゚)「と親分も言ってんだ!ぎゃあぎゃあ騒がずにさっさと黙りやがれ!」
このもう一人の男は必死に少女を押さえつけようとします。
ξ;凵G)ξ「いやよ!離して!」
(,,゚Д゚)「このやろう!暴れるな!」
どうやらこの男たち、少女を犯そうとしているようです。
しかし、ブーンは臆病でした。ただ、じっと様子を伺うだけで、
なかなか助けに行くことが出来ません。
(;^ω^)「ひい、怖いお、でも、助けないといけないおね」
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/27(月) 16:48:57.48 ID:/MyZAXyzO
だな
7 :
◆AOGu5v68Us :2007/08/27(月) 16:49:23.59 ID:dTNndQ130
(:::::::::::::::)「てこずってるようだな、俺も手伝ってやる」
そういって腕組みしていた親分格の男が腕を解き、少女に近づきます。
ξ;凵G)ξ「いやあ!こないで!」
バシッ!
そのとき、少女の払った手が、親分格のほおを打ちました。
ξ;凵G)ξ「……」
(,,゚Д゚)「……」
(:::::::::::::::)「……いい気になりやがって、もう許さん。殺れ」
(,,゚Д゚)「……はい」
男は、懐から包丁を取り出し、大きく振り上げました。
(,,゚Д゚)「一瞬だ、覚悟しな!」
ξ;凵G)ξ「きゃあああああ!」
( ^ω^)「待つお!」
(,,゚Д゚)「ん!」
(:::::::::::::::)「何だ!」
突然ブーンが男達の前に立ちふさがり、叫びます。
8 :
◆AOGu5v68Us :2007/08/27(月) 16:49:49.77 ID:dTNndQ130
(#^ω^)「貴様らの人あるまじき行為、すべて儂が見ておったわ!いますぐ散れい!」
ξ゚听)ξ「……?」
少女はキョトンとした顔をしています。
(,,゚Д゚)「なにをいうか貴様、この方こそ無く子も黙る大悪人、その名もインキン肉棒ぺにす丸様だ!」
(:::::::::::::::)「ふふふ、照れるな」
(,,゚Д゚)「親分が本気を出せば、貴様などあっという間に豚の餌だ!」
ブーンは差していた刀を抜き、悪人に突きつけます。
びゅうと吹く風。
悪人達はぞっとした寒気を感じました。
(#^ω^)「儂は」
(#^ω^)「美府国内藤家三代目侍、内藤 蕪雲 穂来存である!この刀の錆びになりたくなければ
さっさとこの童の前から消え去れ!いいな!」
(,,゚Д゚)「さ、侍か!」
(:::::::::::::::)「ちっ、面倒なことになる、退くぞ!」
(,,゚Д゚)「くそう、侍だからっていい気になるなよ!」
そう捨て台詞を残し、男達はあわてて走り去っていきました。
9 :
◆AOGu5v68Us :2007/08/27(月) 16:50:14.13 ID:dTNndQ130
(;^ω^)「ふひぃ、怖かったおー」
男達が逃げた後、ブーンは震えた声で呟きました。
ξ゚ー゚)ξ「ありがとう、お侍さん」
少女はブーンにお礼をいいます。
( ^ω^)「いや、平気だお。それよりお嬢ちゃんは、怪我してないかお?」
ξ゚听)ξ「うん、へーきだよ」
( ^ω^)「お嬢ちゃんのなまえは?」
ξ゚听)ξ「わたしツンっていうの」
ブーンは襲われた状況を聞きました。
( ^ω^)「襲われたのは最初からこの場所だったのかお?」
ξ゚听)ξ「うん」
( ^ω^)「怖かったおね」
ξ゚凵G)ξ「うん」
10 :
◆AOGu5v68Us :2007/08/27(月) 16:51:00.82 ID:dTNndQ130
ツンはブーンにいろいろな事を話してくれました。
ξ゚听)ξ「あたしね、おっかあがいないの。おっとうも、かえりがいつもおそいの、かまってくないの」
( ^ω^)「そうか、ツンちゃん、カーチャンがいないのかお」
ξ゚听)ξ「うん」
ブーンはこのツンという少女に同情しました。彼女はまるで自分のようだったからです。
そして、ある事を思いつきました。
( ^ω^)「よし、じゃあ、毎日僕のお勤めが済んだら、遊んであげるお!」
ξ*゚听)ξ「えっ!いいの!」
( ^ω^)「いいお、どうせお勤めも短いし」
ξ*゚听)ξ「やった!本当!ありがとう、お侍s( ^ω^)「ブーンでいいお」
11 :
◆AOGu5v68Us :2007/08/27(月) 16:51:38.81 ID:WazD04/30
ムで始まるトリはバグてるからダメだ
12 :
◆AOGu5v68Us :2007/08/27(月) 16:51:52.74 ID:dTNndQ130
ξ*゚听)ξ「へっ!?」
( ^ω^)「お侍さんなんて堅苦しくていけない、旦那っていうのも変だし、ブーンって呼んで
いいお」
ξ*゚听)ξ「……わかった!毎日あそぼ、ブーン!」
ツンの顔は明るくなりました。
( ^ω^)「うんうん」
ξ゚听)ξ「じゃあ約束やぶらないように指きりしよう!」
ξ゚听)ξ(^ω^ )「♪ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんの〜ます、指切った」
( ^ω^)「じゃあ、明日の今ぐらいにこの辺で待っててお」
ξ*゚听)ξ「うん、じゃあね、絶対だよ!」
( ^ω^)「うん、絶対行くお!じゃあね」
ツンは嬉しそうな顔でその場を去っていきました。
( ^ω^)「いい子だったおね。明日が楽しみに感じるお。さて、僕も帰るお」
ブーンは、悪者に向かっていく前に道におきっぱなしにしていた、荷物を取りました。
しかし
(;^ω^)「タコがないお!」
魚屋で買ったタコだけまったくなくなっていたのです。
驚いたブーンがあたりを見渡すと、一匹の猫が通りかかりました。
その猫の口になんとタコが、咥えられていたのです。
(#^ω^)「この野郎!タコ返すお!」
ミ,,゚Д゚彡「にゃーん!」
ブーンの恐ろしい顔におびえた猫は、ものすごい速さで逃げていきます。
( ;ω;)「高い金出して買ったのに……」
ブーンは悔し涙を流しながら家へと帰りました。
14 :
◆dv0zg20IfE :2007/08/27(月) 16:54:02.80 ID:dTNndQ130
町から少し離れた場所。平屋が沢山並ぶこの地域に、ブーンの家はありました。
( ^ω^)「カーチャン!ただいまだお!」
J( 'ー`)し「お帰り、ブーン」
家の中ではブーンの母親が夕飯の支度をしていました。
ブーンは母親と一人暮らしです。ブーンの父親はブーンの小さい頃に結核でポックリ逝ってしまい、
カーチャンに苦労をかけさせないためにブーンは体が弱いにもかかわらず侍になりました。
( ^ω^)「今月は生活が苦しいお、ごめんおカーチャン」
そういうとブーンは袋から、さっき買った駄菓子やら干物やら酒やらを取り出しました。
勿論、タコはありません。
J( 'ー`)し「まあまあ、どうしたんだいこんなに。賭場でも行って来たのかい」
とカーチャンが驚いて言うと、ブーンはムッとして言いました。
(#^ω^)「僕が賭場なんか行くような人と思えるかお」
J( 'ー`)し「思えないねえ」
二人は一緒に笑い出しました。
笑いが収まると、ブーンは話し出しました。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/27(月) 16:54:18.48 ID:ImWLpY3p0
めでたし、めでたし
16 :
◆dv0zg20IfE :2007/08/27(月) 16:54:40.12 ID:dTNndQ130
( ^ω^)「カーチャン、明日からちょっと帰るのが遅くなるお」
J( 'ー`)し「どうしたの、お勤めが、長くなるの?」
ブーンはツンの事について話しました。
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J( 'ー`)し「そうかい、昔からお前はお人よしだからねえ、その子と遊んで上げなさい」
( ^ω^)「うん」
カーチャンは快く許してあげました。そのツンという少女の片親がいない境遇が、ブーンに少し似ていた
からです。
父親を亡くしたあと、弱虫で軟弱なくせに、家族のため、厳しい訓練を積み、侍になったブーン。
侍というのは、合法に武器を持てる代わりに、国の命令を絶対受けなければなりません。
その命令はさまざまですが、一番多いのはお偉いさん方の護衛です。これをお勤めといいます。
強盗や暗殺者など、お偉いさん方を狙う物の楯にならねばならないのですから、
大変危険で、いつ命を落としてもおかしくありません。
ブーンはこの町の富豪で、国に大金を寄付しているという荒巻家の護衛をしています。
荒巻家の護衛をしている侍はブーンのほかにもたくさんいるので、体の弱いブーンでも大丈夫です。
まあ、その代わり給料は安めですが。
17 :
◆dv0zg20IfE :2007/08/27(月) 16:56:49.44 ID:dTNndQ130
次の日、お勤めが終わるとブーンは一目散に昨日の場所へ行きました。
( ^ω^)「あっ!いた!」
ツンは、その場に座ってブーンを待っていました。
ξ゚听)ξ「本当に来てくれたの!」
( ^ω^)「あたりまえだお。ブーンは約束を守る男だお」
ブーンはどんと胸を叩きそういいました。
ξ;凵G)ξ「……ぐす」
ブーンの言葉を聞き、ツンはいきなり泣き始めました。
(;^ω^)「おいおい、どうしたんだお。どこか痛いのかお?」
ξ;凵G)ξ「わたし、うれしいの、ほんとにうれしいの」
ξ;凵G)ξ「わたしの、こと、かまってくれて、」
18 :
◆AOGu5v68Us :2007/08/27(月) 16:57:03.35 ID:/MyZAXyzO
ふむ
19 :
◆dv0zg20IfE :2007/08/27(月) 16:57:21.02 ID:dTNndQ130
( ^ω^)「……」
ブーンは、ツンの頭をやさしくなでてあげました。
( ^ω^)「ツン、なくことないお、僕がいるお」
( ^ω^)「僕は、ツンのことを精一杯守ってあげるお」
( ;ω;)「だから、だから……」
ブーンも、泣き始めました。トーチャンが死んでからの、自分の苦労が一気に思い出されたからでした。
思えば、彼はいままでカーチャンのため国のため、必死でがんばって来ました。
その過程で貯めてきた思いは、このときブーンの中で一気に放たれたのでした。
ξ;凵G)ξ「ブーン!」
ツンは、ブーンに抱きつきました。
ξ;凵G)ξ「あたし、ブーンが大好き!」
20 :
◆dv0zg20IfE :2007/08/27(月) 16:59:06.33 ID:dTNndQ130
( ^ω^)「僕も、ツンの事、大好きだお!」
二人は互いに抱きしめあいました。
夕焼けはそんな二人をやさしく照らしていました。
21 :
◆dv0zg20IfE :2007/08/27(月) 16:59:24.90 ID:dTNndQ130
その次の日からも、ブーンは約束どおりお勤め後、ツンの元へ行き遊んであげました。
( ^ω^)「今日は歌を教えてあげるお」
ξ*゚听)ξ「なあに!」
( ^ω^)「やにょのどっくん、って歌だお。カーチャンがいっつも僕に歌ってくれたんだお」
ξ゚听)ξ「ブーンあまえんぼー」
( ^ω^)「そうだお、ブーンは甘えん坊だお、じゃあ歌うお」
22 :
◆dv0zg20IfE :2007/08/27(月) 17:00:16.52 ID:dTNndQ130
♪どっくん どっくん どこへいく
ねしょべん なおしに いようんとこまで
やめとけ やめとけ なおりゃせん
なくこもだまる うしみつときにゃ
どっくん ないて しもぬらす
どっくん どっくん どこへいく
(jasrac)
23 :
◆dv0zg20IfE :2007/08/27(月) 17:01:05.27 ID:dTNndQ130
( ^ω^)「どう?」
ξ゚听)ξ「変な歌だねー、でもブーン歌うまいね」
( ^ω^)「ありがとう、ツン」
ξ*゚听)ξ「えへへ……」
二人の幸せな時間は、毎日こうして過ぎていきました。
24 :
◆AOGu5v68Us :2007/08/27(月) 17:01:07.86 ID:/MyZAXyzO
こんな簡単なトリダメだろw
25 :
◆dv0zg20IfE :2007/08/27(月) 17:02:31.49 ID:dTNndQ130
そんなある日、いつものようにお勤め後ツンのもとへ行こうとすると、魚屋から声を掛けられました。
( ゚∀゚)「聞いたかい?旦那!」
( ^ω^)「何がだお?」
( ゚∀゚)「なんでも、こん美府国がついに、羅胡ン辞(ラウンジ)と手を結んだってよ!」
ラウンジというのは、数年前から美府国と同盟を結ぼうと誘ってくる西洋の国で、
猛狼(モーウルフ)というこれも西洋の国と緊迫状態にあり、いつ戦争を起こしてもおかしくない状態です。
平和を保とうと、ラウンジとの同盟を断り続けていた美府国でしたが、ついに結んでしまったのです。
これが意味するのは、モーウルフとの戦争がすぐそこまで迫っているということです。
しかし、魚屋にはそこまで頭が回らないのか、
( ゚∀゚)「西洋文化かなんだか知らねえが、俺はどうもあのパンって奴が好きじゃねえな、美府人はやっぱり
白い飯だ、うん」
そしてブーンも、ツンのことで頭が一杯で、
( ^ω^)「ごめん、おいちゃん!ちいと用事があるから急ぐお!じゃあな!」
と戦争の不安は感じることが出来ないようでした。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/27(月) 17:16:34.09 ID:gcGlg/m8O
支援
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
はて,はて,これからの展開やイカに
皆様,こう、ご期待
つづく