( ・∀・)モララーはバイオテロに巻き込まれたようです
1 :
◆5xFishXix2 :
近未来。
エセ軍事もの。
一話、二話をまとめて投下させて頂きます。
キュッ、キュッ、とリングの上をシューズがこする音。
乱れる呼吸。汗と、革と、ワセリンの匂い。
ロープに囲まれた正方形の白地の上、間合いを計るのは二人の男。
一人はがっしりとした体格の巨漢、モララー。
もう一人は絞り込まれた長身の男、ギコだ。
両者共にヘッドギアを着装し、グローブをつけた拳を構えてフットワークと共に間合いを計っている。
が、そのフットワークはかなり鈍い。
――彼らはもう十数分、休憩も無しに打ち合いを続けていた。
(;-Д゚) 「そろそろ……ゼェッ、降参――ゼッ、しやがれ、ゴラァ……!」
ギコの右ストレート。ぎりぎりでモララーがパーリング。
( ;・∀・) 「ハァッ……ま、まだまだ――っ!」
姿勢の崩れたギコに右フック。スウェーバックで回避される。
空振りが辛い、腕を持ち上げていることが苦痛だ。
たった2kgのグローブが、鉛の塊にさえ思えてくる。
乾いてひりつく喉。もつれそうな足。
意志の力でそれを堪えて、モララーは拳を構えた。
ギコが踏み込んでくる。真剣な瞳――決めるつもりだ。
(;゚Д゚) 「うぉおおおおおおおッッッ!!」
( ;・∀・) 「ぁあああぁああああああッッッ!!」
咆哮と共に交差したグローブは、クロスカウンターの形でお互いの頭部に命中。
そして両者共に、ぐらりと崩れ――盛大にダウンした。
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:00:15.45 ID:7VS1aTFO0
期待してやろう
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:00:18.56 ID:jDlAw3yY0
バイオテロか・・・
ここは「wktk」させてもらうぜっ・・・!!!
――◆――
水分を補給しシャワーを浴び、着替えてからジムを出る。
向かいの公園の門を潜ると、芝生の上に大の字に転がった。
晩春の日差しが、ぽかぽかと心地良い。
(,,-Д゚) 「あ〜……」
( ・∀-) 「眠くなってくるねえ」
子供たちの遊ぶ声が聞こえる。視界には、突き抜けるような一面の蒼穹。
春風が、疲れ切った身体を撫でていく。背を預ける芝生に、沈み込んでいきそうな感覚。
――明日は筋肉痛だなあと、ぼんやり思う。
(,,-Д゚) 「一勝一敗一分け……結局、決着つかなかったな」
うつらうつらと、まどろみながらそんなことを語り合う。
二人だけの決闘は、結局両者ノックダウンで引き分けだった。
( ・∀-) 「僕はスーパーへヴィ級で、ギコはミドル級だろ? ギコの判定勝ちさ」
(,,-Д゚) 「それを言うなら俺は軍人で、お前は王子サマだろ? お前が判定勝ちになるかもしれん」
そんな権力におもねる審判はいらねえけどな、とギコが呟くと、どちらからともなく笑いが漏れた。
わはは、と二人で笑って、笑って――何故だかそれが止まらなくて、馬鹿みたいに笑い続けた。
( -∀-) 「……明日にはもう、帰国すんだよね。寂しくなるよ」
(,,-Д-) 「任官期限ばっかりはな……お前の研究、最後まで付き合えなくて悪かったな」
( -∀-) 「あと少しだったんだけどなあ。……<リベレーター>、ギコと一緒に完成させたかったよ」
作りかけだった機械の名前を口にする。
何故だか、見上げる青空が歪んでいた。
(,,-Д-) 「ま、お前はスポーツも学問も才能あるんだからさ。色々言われたって、卑屈になるなよ?」
何故だか、ギコの声が震えている。
(,,-Д-) 「あんまり周りに気兼ねするなよ。金も時間もあるんだし――遠慮なく金メダルなりノーベル賞なり目指せ」
( -∀-) 「きっ、気楽に言って……っ……くれるなあ」
何故だか、自分の声も震えていた。
( -∀-) 「ギコこそ……っ……か、帰ったら隊長に、昇進……だろ? 頑張れよ?」
目元を拭う。多分、汗か何かだ。
(,,-Д-) 「離れても――親友だぜ? いいな」
( -∀-) 「――ああ」
見上げれば、どこまでも蒼い空が広がっていた。
――◆――
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:01:51.48 ID:TkAvvxCfO
(*´Д`)ハァハァ
駐在護衛官として与えられた小さな私室は、今は空だった。
荷は、先んじて故国であるニューソクの家へと送ってある。
一年を過ごしたこの部屋に、敬礼一つで別れを告げて、ギコは部屋を出た。
VIP王国の、ニューソク大使館。
その廊下の窓の外に見えるのは、碁盤目状に区切られた巨大な都市国家、VIP王国の威容。
無数の都市国家がひしめくこの大陸で、ニューソク国とVIP王国は特に友好的な都市同士だと言われていた。
(,,゚Д゚) 「居心地、良かったよなあ」
開拓者の一族を王に戴くこの国は、祖国ニューソク共和国と並んで中原の平和の要石だ。
最先端の科学力。発達したインフラ。モラルの高い人民。
――充実した、日々だった。
(,,゚Д゚) 「モララーの奴、上手くやっていけるかね……」
ボクシングジムで出会った、一人でサンドバッグを打ってばかりの巨漢。
腫れ物を触るように遠巻きにするジムメイトたちが気に入らず、彼にスパーリングを挑んだら敗北した。
次は勝つと宣言して、ムキになって練習をして。
その頃だろうか、彼がこの都市国家の王様の、一つの醜聞から生まれた王子だと知ったのは。
后の子ではない、愛人の子――彼について回るのは、そんな噂だった。
それでも構わないと思った。気にするべきは、いかに体重差を引っ繰り返して勝つか、だった。
(,,-Д-) 「…………」
いつの間にか、友人になっていた。
彼の趣味である機械作り。その動きのモデリングに協力したり。
格闘技観戦に出かけたり、酒を片手に夜通し語り合ったり。
――色々と、あった。
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:03:36.51 ID:Dyin06mT0
ktkr支援
元々、口が悪い。
そのために敬遠されがちだったギコにとっても、モララーは始めての親友だった。
――そんな思い出深いこの地とも、今日でお別れだ。
ギコは小さな鞄一つを携えて、タクシーを拾って空港に向かう。
窓の外を、じっと見つめる。
故国の次に愛したこの国の、平和な光景を目に焼き付けるために。
そして、ギコは故国ニューソクへと帰国を果たした。
VIP国が救難信号と同時に一切の連絡を絶ったのは、その一ヵ月後のことだった。
.
( ・∀・)モララーはバイオテロに巻き込まれたようです
第一話「破滅の足音」
.
(,,-Д゚) 「…………」
夜半。――ふと、何の予兆も無く目が覚めた。
(;゚Д゚) 「何だ?」
スタンドの明かりをつけて、時計を見る。デジタルの置き時計が示すのは、0327時。
なんとなく、背中が汗ばんでいる。胸騒ぎがする。
虫の知らせ。そんな古い言葉を思い浮かべた瞬間、宿舎に警戒警報が鳴り響いた。
(;゚Д゚) 「!?」
軍人としての習い性で、即座に跳ね起きる。
寝巻きをあっという間に脱いで、20秒で軍服に。
ほぼ同時に、宿舎のスピーカーから声が聞こえる。
『VIP王国より救難信号。直後、一切の連絡が途絶。総員、第二種警戒態勢にて待機。繰り返す――』
一瞬、視界が真っ黒に染まった。
闇に染まった視界の中に浮かぶのは、最後に目にしたVIP王国の平和な情景。
そして、いつも寂しげな笑みを浮かべていた親友の顔。
(;゚Д゚) 「クソ……っ、どうなってやがる! ――おい、点呼だッ!!」
悪態一つでどうにか回想を中断。
ドアを勢い良く開け、廊下を駆けると部下たちの部屋に飛び込んで指示を出す。
――胸騒ぎは、当分収まりそうになかった。
――◆――
ニューソク共和国軍の通信室は、蜂の巣をつついたような大騒ぎになっていた。
「駄目です! 通信途絶、通信途絶! VIP国通信管制局、VIP国情報統括本部、全て応答無し!!」
「偵察衛星がVIP上空に到達するまで残り五時間六分! 遅すぎます!!」
「民間用周波数帯、軍事用周波数帯、いずれも沈黙! 恐らく電波妨害です!!」
「ネット回線――駄目です! これにも何らかの妨害が!!」
有線無線を問わず、VIP国側との間に存在する無数の通信経路。
たった一本の救難信号のあと、その全てが沈黙していた。
突然の状況に、詰めていた職員たちも半ばパニックを起こしかけていた。
( ><) 「落ち着くんです!!」
と、ドアを勢いよく開くと同時に放たれた、ビロード少将の叫びに皆が停止し沈黙する。
( ><) 「とにかく、責任者は現状を文章にまとめて司令部に報告するんです!!
ワカッテマス大将はもう、司令室に到着されているんです!!」
その言葉に、最も高い階級章を持つ職員が慌ててパソコンに飛びついた。
( ><) 「そして皆は他の通信部と連携を取りつつ、全力で生きている回線を捜索するんです!!」
その言葉に、残りの職員たちも動き出す。
( ><) 「通信を司る皆の誇りに賭けて、お仕事を果たして欲しいんです!!」
通信室の動きに、徐々に統制と秩序が戻っていく。
半ばパニックを起こして、とにかく動き叫ぶだけだった人々が、全体の状況を勘案して動き始める。
( ><) 「VIPがどんな状況かはわからないんです! でも――」
通信部の中央に位置取ったビロードが、皆の動きを確かめながら言葉を紡ぐ。
( ><) 「VIPはニューソクの友邦なんです!! だから僕らは諦めちゃ駄目なんです!!」
――◆――
( <●><●>) 「……状況は、分かりました」
司令室の執務机に陣取ったワカッテマス大将は、そう呟いた。
( ;´∀`) 「特別議会の招集は、あと四時間ほどで完了しますモナ」
モナー中佐が、報告を行う。
文民統制をモットーとするニューソクで、救援部隊を派遣するとなれば議会の承認は必須だった。
( <●><●>) 「一刻を争う状況なのは、分かっていますか?」
( ;´∀`) 「そ、それは……」
ワカッテマスは、全てを見通すような瞳でモナーを見つめる。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:07:13.23 ID:m+bWHIys0
なんか毎回最初からなんだけど?
( <●><●>) 「事態は不明瞭。時間をかければかけるだけ、状況が悪化する可能性があるのは?」
( ;´∀`) 「わ、分かっていますモナ!! しかしそんな事をすれば――!!」
取り乱したように叫ぶモナーに、しかしワカッテマス大将は穏やかに告げた。
( <●><●>) 「こういう時に責任を取るために私がいるのは、分かってます」
無造作に、ワカッテマスは大将の徽章を肩から引き千切った。
そして、モナーへと告げる。
( <●><●>) 「志願者を募って、救援部隊を組織してください。輸送手段の確保は――」
( ;´∀`) 「ぜ、全部分かってますモナ!! 任せて欲しいですモナ!!」
そしてモナーは踵を返して、司令室の扉を開ける。
そしてワカッテマスへ向けて、静かに敬礼した。
( ´∀`) 「――あなたのような人の下で働けて、モナーは幸せ者でしたモナ」
( <●><●>) 「君の有能さにずっと助けられていたことはわかってます」
そして扉が閉まり、モナーの足音が去っていく。
――あとは自分の名前を使って、彼が上手くやってくれるだろう。
わかってますは無言で椅子に背を預けて、新たに転送されてきた報告書に目を通し始めた。
――◆――
0423時。ギコは部下や他の隊と共に、装備一式に身を包んで飛行場に整列していた。
――いったい誰がどんな魔法を使ったのだろう。
警報から一時間と経たずに先遣の救援部隊の人員、装備、輸送手段が確保されていた。
飛行場をヘリがひっきりなしに飛び交い、強風がアスファルトに吹き荒れていた。
( ´∀`) 「――君たちの勇敢さに、感謝するモナ」
眼前で訓示を行っているのは、やり手と評判のモナー中佐だ。
彼が、これだけのことをしたのだろうか? ――だとしたら、相当なものだ。
ギコは内心で、彼に感謝する。
( ´∀`) 「今更、モナーに言えることは多くもないモナ。君たちの任務は、VIPの現状の把握だモナ。
すぐに後続を送る予定なので、何があっても焦って無茶はしないようにして欲しいモナ」
微笑み顔に小太りのモナー。
柔和そのものといった彼だが、軍服に身を包んだその姿には、言い知れぬ気迫があった。
( ´∀`) 「モナたちは軍人だモナ。自分にできる仕事を、誇りにかけてやり尽くして欲しいモナ」
そう言った時、細められたモナーの瞳に、何かよぎるものがあったように見えた。
( ´∀`) 「良い仕事は単純な努力の堅実な積み重ね――では、君たちの健闘に期待するモナ」
そして、都市迷彩に身を包んだ無数の部隊が、ヘリに分乗して次々に出立していく。
(,,-Д-) 「モナー中佐、ありがとうございました。――幸運を」
去り際、ヘリのローター音に包まれた飛行場で、ギコは小さく呟いた。
その言葉が、聞こえたのだろうか。
( ´∀`) 「……オマエモナー」
背後で皆に敬礼を送る、モナーの言葉が聞こえた気がした。
――◆――
ヘリの内部で、椅子に腰掛けて装備を確認する。
状況が一切不明ということで、とにかくかき集められて積み込まれた装備だ。
(;-Д゚) 「催涙弾に閃光弾は分かるが、焼夷手榴弾っておま――」
いくつかの手榴弾のうちに、攻撃目標を燃やすためのそれが紛れ込んでいることに気付いて嘆息。
これは流石に必要無いのではないだろうか。
(‘_L’) 「まあまあ、隊長。本当に何があったか分からないわけですし」
(*゚∀゚) 「そうそう、とにかく色々あって損は無ぇって」
ミ,,゚Д゚彡 「そうですよ。一応、何があっても対応できる構えにしておくべきです」
と、自分の指揮する分隊の部下たちが、声をかけてくる。
と、ふと気付いた。
(;゚Д゚) 「ちょっと待てやゴラァ! フィレンクト、おま、なんで来てやがる。てめえ先週、ガキ拵えたばっかだろうが!」
週末に飲みに行ったときに、妻と赤ん坊の写真片手に自慢していた。
ずいぶん親馬鹿っぷりを披露してくれたので覚えてる。
(*゚∀゚) 「アヒャヒャヒャ、俺たちも止めたんだけどな」
ミ,,゚Д゚彡 「そうそう、これって明らかに死亡フラグじゃないッスか」
(;‘_L’) 「いやあ、すみません。でもVIPには何人か、大事な友人がいまして、居ても立ってもいられずに――」
妻も納得してくれると思います、とフィレンクト。
(#゚∀゚) 「ノロケの上に死亡フラグ重ねるんじゃねーよ!!」
ミ;゚Д゚彡 「お、落ち着けって、つー!!」
そんな風に騒ぐ三人組に、残りの分隊員たちがお前らこそ落ち着け、とツッコミを入れる。
騒がしい機内の中で、サブマシンガンや拳銃といった武装を確認しつつ、ギコは微笑を浮かべた。
(,,゚Д゚) 「ま、ともかくもうじきVIPだ。俺は先月まで駐在していたし、土地勘もある――」
分隊員たちの頼もしげな視線が、自分に向かってくるのを感じる。
自分の大切な部下。大切な、新しい居場所――
(,,゚Д゚)「全員、気合入れていくぞ!」
応! と皆が声を一つに叫ぶ。
信頼を一身に受ける、充実した感覚。
親友の安否を気遣う、焦燥。
色々な感情が、胸の中で渦巻く。
(,,-Д-) (モララー。……助けに、行くぜ)
ギコは心中で呟くと、装備の点検を再開した。
――◆――
ギコの正体がVIPに到着した0543時には、もう、夜が明けようとしていた。
――VIP国の各所では黒煙が上がっていた。
どうやら幾つかの施設が爆発、炎上しているようだ。
砲撃音なども、まばらに聞こえる。
何らかの戦闘が、この都市国家内で行われていることは間違いない。
だが――
(,,゚Д゚) 「この際、敵が都市外壁の自動防衛機能をどう突破したかは考えないにしろ……妙だな」
ヘリから市内へと降下したギコは、そう呟いた。
(;‘_L’) 「ですね。これは変です――」
(*゚∀゚) 「? どういうことだ? VIPがどっかから攻撃を受けてるんだろ、何が変なんだ?」
ミ;゚Д゚彡 「……なのに、避難する市民が見当たらないのが妙なんだよ」
支援
戦闘の音が聞こえる。通信機の波長を調整してみた限りでは、市内の無線も途絶しているようだ。
なのに、避難しようとする一般市民の姿が見えない。
ゴーストタウン。そんな言葉が脳裏に浮かび、ギコは直後にそれを否定する。
(;゚Д゚) 「人の気配がまったく無い……わけでも、ないんだよな」
まるで、息を潜めて怯え隠れているようだ。
――だとすれば、何に?
(;‘_L’) 「ともかく誰か、生存者を発見しないことには話になりません」
(*゚∀゚) 「万能鍵(マスターキー)使って、そこらへんの家にお邪魔してみるか?」
と、つーが散弾銃を掲げて示す。
万能鍵(マスターキー)を使うとは、散弾銃でドアロックを打ち抜くことの隠語だ。
ミ;゚Д゚彡 「状況が切迫してるならともかく、まだやめとけ。っと……隊長!?」
と、戦闘を進んでいたフサギコが、何かを発見したようだ。
――見れば、大通りの真ん中に人が一人倒れている。
どうやら、火傷か何かを負っているようだ。
(‘_L’) 「生きているでしょうか……? とにかく、私が確かめてきます」
フィレンクトがフサギコの脇を抜けて、サブマシンガンを構えつつ慎重に接近。
つーとフサギコが背後で銃を構え、彼の周辺を警戒する。
ギコが周囲を見渡せば、分隊の他の六人も周辺の警戒を行っていた。
死体は囮として利用されたり、ブービートラップの材料にされる場合もある。
皆に、油断は無かった。
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:12:57.45 ID:mT98cAM80
ktkr支援
――無かった、はず、だった。
(;‘_L’) 「うああああぁあああっっ!!」
一体誰が、予想しただろう。
当の倒れた人が跳ね起きて、フィレンクトの右腕に噛み付くとは。
(;゚∀゚) 「な、何だよコイツはッ!!」
ミ;゚Д゚彡 「やめろ、つー! フィレンクトに当たる!!」
もつれ合うようにして、フィレンクトと人影が転げまわっている。
右上腕を噛まれたフィレンクトは、痛みに呻きながらもサブマシンガンを放棄。
左手で拳銃を抜いて安全装置を外し、人影の脇腹に向けて――至近距離から、三発発砲した。
だが――
(;‘_L’) 「なっ!!」
(;;;;;゚皿。) 「ガァアアアアアアアアアッ!!」
“そいつ”は、止まらなかった。
妙な腐敗臭を漂わせて涎をぼたぼたと零しながら、伸びた牙を剥いて腕に噛み付くそれ。
それは、まるで、ホラー映画の――
(;゚Д゚) 「ゾンビ――?」
ギコの呟きと同時、腕に噛み付いたゾンビがワニのように身を回す。
視界が一瞬、静止したあと。
捻じ切られた、フィレンクトの右腕。
(;‘_L’)「ぐぁあああああああああぁあああああああああッッッ!!!!!!!!」
片腕となった男が発した叫び声は、辺り一帯に響き渡った。
――◆――
――時刻を0323時、事件発生直前まで遡る。
( -∀-) 「zzz……」
モララーは、離宮の一室で眠っていた。……一応、継承権は低くても直系の王族である。
それなりに広い部屋で、家具類も充実している。
と、モララーがベッドの上で寝返りを打つと同時、遠方から轟音が響いてきた。
( ;・∀・) 「!?」
慌てて起き上がり、サイドテーブルの照明をつける。
花火に似た音だが、違う――爆発事故?
――もし事故ならば、延焼の可能性もある。
まさか離宮まで炎が広がることは無いだろうが、一応の備えとしてモララーは着替えを始める。
野次馬と言われるかもしれないが、気になる――見に行ってみようと、考えた。
と、ギィ……と、寝室の扉が軋み、開く音。
( ・∀・) 「誰だい? ノックもせずに」
離宮の警護をしてくれている、近衛連隊の人だろうか?
そんな事を考えながら、ちょうど着替えを終えたモララーは振り向いた。
(;;;゚皿゚) 「あ゙あ゙あ゙ぁあ゙あ゙あ゙ぁ……」
振り向いた先。
サイドテーブルの仄かな照明に照らされて浮かび上がるのは――腐り落ちた、人の顔。
悲鳴すら、あげられなかった。
いきなりの異常に、膝がガタガタと震える。
――なんだ、これは。自分は夢でも見ているのか?
うめき声をあげながら、ずるずると足を引きずり――寄って来る、腐乱死体。
その手が、顔に――
( ;・Д・) 「うぁあああああああぁああああああああっっっ!!」
咄嗟に出たのは、身についた技だった。
突き放すようなボディブロー。
100kgを超える巨漢、モララーの体重の乗った拳だ。
ゾンビの服に拳がめり込み、次の瞬間にはゾンビは2mも吹っ飛ばされる。
だが――
(;;;゚皿゚) 「あ゙あ゙あ゙ぁあ゙あ゙あ゙ぁ……」
まるで効いていないとでも、言うように。
――そいつは、起き上がってきたのだ。
( ;・Д・) 「こ、この!!」
殴りつけるという戦いの動作によって、脳内麻薬の類でも湧いてきたのだろうか。
どうにか混乱から復帰したモララーは、サイドテーブルの上の大きな置き時計でゾンビの頭を殴りつける。
バカンッ、と頭蓋骨の割れる音がして――
(;;;゚皿゚) 「あ゙あ゙あ゙ぁあ゙あ゙あ゙ぁ……」
目や口から濁った血を流しながら、まだ死なない。
( ;・Д・) 「な、何なんだ! いったい!!」
迫るゾンビに壁際まで追い詰められながら、叫ぶ。
――こんなわけの分からない状況で死ぬのか?
――自分は、もう、ここで終わりなのか?
ゾンビの爪が、牙が。迫ってくる。
思わず、目を閉じた。
( ;-Д-) (……ギコ……っ)
瞼の裏に、親友の面影が浮かび――
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:17:07.86 ID:D44z8hUdO
wktk支援
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:17:30.10 ID:/02lxdIU0
すごい支援
30 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:17:58.58 ID:tmnuUKYn0
――三連続の銃声が響いた。
( ;・∀・) 「え……?」
目を開ければ、そこには倒れたゾンビ。
頭部を、撃ち抜かれている。
川 ゚ -゚) 「遅れて申し訳ありません。――ご無事ですか?」
駆け寄ってくるのは、マシンピストルを携えた長髪の女性。
黒と緑に彩られた、軍服。近衛連隊の護衛官だ。
( ;・∀・) 「な、なんとか無事だよ。――ええと、確か素直クール……さん?」
気付けば、床にへたりこんでいた。
川 ゚ -゚) 「それは何より。――そして名前を覚えて頂けているとは、光栄です」
まったく嬉しさを感じさせない口調でそう言うと、クーはモララーに手を伸ばす。
引き起こされたモララーは、クーが自分よりも頭二つは身長が低いことに気付いた。
――これだけ小さな女性に護られたのかと思うと、流石にちょっと恥ずかしい。
川 ゚ -゚) 「このようなゾンビたちが数十体、離宮に侵入した模様で――現在、我々が応戦しております」
王子はご避難を、とゾンビを示して語るクー。
モララーは頷き、彼女の先導に従って部屋を出る。
31 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:19:16.15 ID:tmnuUKYn0
川 ゚ -゚) 「そうだ――私の予備武装です。お持ちを」
と、クーが思い出したかのように、小さな拳銃と予備弾倉を渡してくる。
モララーの筋力からすれば本来軽いはずのそれは、やけにずっしりと重く感じられた。
と、廊下の先からゾンビがまた一体、現れる。
咄嗟に拳銃を構えようとしたモララーに先んじて、クーの三点バーストの射撃がゾンビの頭部を貫いた。
川 ゚ -゚) 「私がいる限りは、射撃は私にお任せ下さい。その拳銃は万が一の際のものです」
( ;・∀・) 「わ、分かった」
そのまま廊下を駆け足に進む。――向かう先は、緊急時のために設置された脱出路だ。
その脱出路は中枢区画を抜けて、一般区画のとある家屋へと繋がっている。
これは中枢に対してテロやクーデターがあった場合に、王族が一時避難をするためのものだ。
廊下を進んでいるうちに、サブマシンガンやライフルを構えた他の護衛官たちも合流してくる。
( ´_ゝ`) 「OK、三体撃破した。先日プレイしたバイオハザードの要領でいけばいいらしい」
(´<_` ) 「流石だが不謹慎だぞ兄者。――とにかく、頭部を打ち抜けば殺せる。こちらは二体撃破だ」
新たに合流した二人は、兄弟だろうか。
息のあった連携で、複数体のゾンビの群れを丁寧に倒していく。
四人で廊下を抜ければ、倉庫のような一室の前を確保する数人の護衛官たちがいた。
32 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:20:41.94 ID:tmnuUKYn0
_
( ゚∀゚) 「よーし、王子サマは到着したな?」
てきぱきと指示を出し、散発的なゾンビの襲撃を跳ね返す男。
確かこの離宮の警備部隊の隊長――ジョルジュ長岡。
_
( ゚∀゚) 「流石兄弟。念のため避難路を先行して、様子を見てきてくれ」
その言葉に、二人が部屋の扉を開ける。
本棚の本の一つを動かすと、隠し扉の本棚が動いて、下り階段が現れる。
ライトを片手に、流石兄弟はその階段を下って行った。
_
( ゚∀゚) 「通信妨害がかけられてるのか、無線が使えない。気をつけろよ!」
その背に向かってそんな風に声をかけるとジョルジュはモララーに視線を向ける。
_
( ゚∀゚) 「よーし、それじゃあ王子サマ。他の連中が到着するまでに現状を報告しておくぜ」
( ;・∀・) 「は、はい」
そうしてジョルジュが口にした言葉は、要約すると、
・通信妨害の類で、無線が使用できないこと。
・有線通信も先ほど断線したため、恐らく管制施設が占拠されたらしいこと。
・それまでの通信によれば、国中の要所の殆どにこのようなゾンビの襲撃があったらしいこと。
・ゾンビに激しく噛まれたり引っ掻かれたりすると、ゾンビ化すること。
・ゾンビ以外に、何やら敏捷な生物兵器らしい存在も確認されたこと。
・つまりこれは、バイオテロの可能性が高いということ。
・ジョルジュはおっぱいが大好きであるということ。
ということだった。特に最後の語りは熱かった。
33 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:21:36.22 ID:tmnuUKYn0
そうこうしているうちに、部屋の前には20人ほどの護衛官が集まっていた。
_
( ゚∀゚) 「よーし、だいたい集まったな。……と、ディクは? ディク・ショナリーはどうした?」
(=;ω;) 「も、申し訳ありませんお……ディクは、ィョゥを庇って――それで、ゾンビに噛まれて」
ぼろぼろと涙を流しながら、小柄な男、ィョゥが報告する。
_
( ゚∀゚) 「そう、か。……あいつは最後に何て?」
(=;ω;) 「奥さんに“すまない”と、それからィョゥたちに“後は頼んだ”と」
その言葉に、皆が静かに黙祷を捧げる。
そして次の瞬間、爆音が鳴り響いた。近い。
_
( ゚∀゚) 「……!! クー。十人ほど連れて、そこの王子サマと脱出しろ」
川 ゚ -゚) 「了解しました」
クーは頷き、それに数人が付き従う。
( ;・∀・) 「そ、そんな! 皆で一緒に行くんじゃ……!?」
_
( ゚∀゚) 「今の爆音聞こえただろ? 敵が来てんだよ、もぬけの殻じゃ隠し通路があるってバレるじゃねーか」
そうそう、と居残り組が苦笑して、残弾の確認を始める。
34 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:22:27.59 ID:tmnuUKYn0
――彼らは、死ぬつもりだ。
理屈も何も無く、モララーはそう直観した。
自分の為に、死のうとしている人たちがいる。
そのことに耐えられずに、モララーは叫ぶ。
( ;・Д・) 「国中がこんなじゃ、逃げ切れるわけないじゃないですか!
だったらせめて――せめて、最後くらいは一緒に戦わせてください!!」
クーから渡された拳銃をぐっと握り締め、そう叫ぶ。
そんなモララーにジョルジュは歩み寄り、おもむろに――その頬を張り飛ばした。
(;#) Д・) 「ッ!?」
_
( #゚∀゚) 「ふざけんじゃねぇ!! 若造が気安く最後とか言うな!!」
いいか、とジョルジュは前置きし、
_
( #゚∀゚) 「……俺たちがこうするのはな、別に諦めたからじゃねえ。お前が生き残れば負けじゃねぇから、
だから勝つために戦うんだ! そのお前が何だ!? 俺たちの死を背負う覚悟もねぇってか!?」
ふざけんな、とジョルジュは叫ぶ。
_
( #゚∀゚) 「逃げ切れねえなら戦ってやればいいじゃねえか! 連中ブチのめしてみせろ!!
王子なんだろ!? この国の未来くらい――テメエの手で、勝ち取ってみせやがれ!!」
それだけを言うと、ジョルジュは踵を返す。
ィョゥを含めた居残り組が彼に付き従い、銃器を構える。
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:23:05.87 ID:NI+4HtP00
支援
とりあえずディク・ショナリーはとインスパイアだと思うんだ
36 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:23:08.19 ID:tmnuUKYn0
呆然とするモララーに対し、背を向けたままのジョルジュが、
_
( ゚∀゚) 「さっさと行けよ。――命令だ。
あと、墓碑銘には『王子をぶん殴り、あまつさえ命令した男。おっぱいへの愛と共に眠る』とでも頼むわ」
その言葉に皆が苦笑し――そして彼らは、振り返らずに駆け出した。
川 ゚ -゚) 「……さあ、行きましょう」
( Д ) 「……分かった」
ぐ、と血が出るほどに唇を噛み締める。――忘れまい、と思った。
彼らのことを。そして、今の不甲斐ない自分を。
モララーは避難路への階段を一歩一歩、下りていく。
背後で、クーが隠し扉を閉めた。
暗闇が周囲を包む。砲声と爆音は、鳴り止まない。
破滅の足音の響くVIP王国で……モララーは再起の炎を胸にして、一歩一歩、歩いていった。
.
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:23:08.90 ID:2WCb3d1q0
紫煙
38 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:23:49.91 ID:tmnuUKYn0
――◆――
_
( ゚∀゚) 「……行ったか」
ジョルジュは廊下を駆けながら、ぽつりと呟いた。
(=゚ω゚) 「隊長、カッコ良かったですょぅ」
_
( ゚∀゚) 「うるせえ。あの王子、昔から暗い顔してて好きじゃなかったんだよ。……殴れてせいせいしたぜ」
ツンデレ乙、などと冗談を飛ばす護衛官を怒鳴りつけ、ホールを陣取り家具類を集めてバリケートを構築。
即席の防御陣地を組み上げ、分隊以下の人数ながら、どうにか抗戦可能な環境を作り上げる。
足音が、近づいていた。
人ならぬ存在たちの乱れた足音と、そして統制された人――恐らくはテロ組織の部隊――の足音。
_
( ゚∀゚) 「いいか、自己犠牲なんざ馬鹿のやることだ。まあ、つまり俺らは馬鹿なわけだが……」
ジョルジュが最後に始めた訓辞に、皆が各々の作業を行いながら耳を向ける。
39 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:24:49.24 ID:tmnuUKYn0
_
( ゚∀゚) 「――それでも、馬鹿は馬鹿なりに粘れ。最後まで諦めんなよ」
分かってますって、りょーかい、などと軽口を叩きながら、皆が銃器を構える。
死地にあっても、彼らは虚勢混じりに楽しげに振る舞う。
――これがジョルジュが育て上げた隊の、気風だった。
_
( ゚∀゚) 「じゃ、悪いがお前らの命、使わせてもらうわ。――持ち場を墓場と心得よ」
(=゚ω゚) 「了解ですょぅ」
ΩΩΩ「了解!!」ΩΩΩ
散弾銃の射撃音と共に、扉が破られる。
_
( #゚∀゚) 「撃てぇッ!!」
ジョルジュの合図と同時。
火線が交差し――戦闘が、開始された。
――第二話に続く
40 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:26:33.48 ID:tmnuUKYn0
一話はこれにて終了です。
少し休憩を挟んで、二話を投下させて頂きますね。
あれです。あまり投下間隔狭く急ぎ足で投下するとさるさん食らう可能性があるから
ちょっとゆっくりでやっても大丈夫かと。
42 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:29:40.44 ID:mT98cAM80
投下間隔もう少しゆっくりのほうがイイヨー
一旦乙
43 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:30:01.05 ID:tmnuUKYn0
すみません、気をつけます。
スレをhtml化できる専ブラで変換させてzipでうpするという手もあるんだぜ
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:31:21.51 ID:mT98cAM80
いやいや、謝ることじゃねぇw
がんばれ
>>44 それじゃあwktkが味わえないよぼく・・・
えと
明日でよければまとめさせて頂いてもよろしいでしょうか?
48 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:34:08.48 ID:D44z8hUdO
49 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:35:00.60 ID:tmnuUKYn0
>>47 あ、ありがとうございます!
是非お願いします。
50 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:35:58.48 ID:tmnuUKYn0
では、そろそろ続きを投下させて頂きますね。
51 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:36:01.45 ID:pAHhqiXNO
誰かまとめお願いします
(´・ω・`)
きてたか支援
53 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:36:56.72 ID:tmnuUKYn0
視線を向ければ、ライトに照らされた、見慣れたVIP陸軍第四基地のゲートがあった。
その手前には、同僚たちが銃を構える姿。
そしてその向こうには――押し寄せる動く死体たち。
| ;^o^ | 「い、いったい何が……」
0324時。VIP陸軍所属の戦車兵、ブーム・クン軍曹は呆然と呟いた。
無理も無い。
突然の悲鳴と怒号にに宿舎から飛び出してみれば、ゾンビの群れが基地へと押し寄せてきているのだ。
柵状のゲートを締めて、その隙間からのフルオート射撃でゾンビを薙ぎ払う同僚たち。
彼らに混じって戦闘を行う上官が、ブームにカードキーを投げると同時に叫んだ。
(;キヮメ) 「ブーム軍曹、多脚戦車を出してくれ! 何だか分からんが連中、市街にも溢れてやがる!!」
命令に押されるようにして、駆け出した。アスファルトの上で、軍靴が硬質の音を立てる。
ブームは息を切らせて、やっとのことで兵器倉庫にたどり着いた。
読み取り機にカードを通すと大扉を開けて、照明を着けて視線を巡らせる。
戦車。――違う。
装甲車。――違う。
パワードスーツ。――違う。
| ^o^ | 「あ、ありました!!」
強靭でしなやかな脚を畳んだ、丸いシルエット。その背に搭載された、ガトリング砲。
市街戦を想定されて作成された、鋼の蜘蛛――多脚戦車<タランチュラ>。ブームの愛機だ。
幸い明日の演習のために、各部には実弾が装填されていた。
慌てて駆け寄ると、その背のハッチに向けて梯子を駆け上がる。
まとめたいと思いつつも敷居が高いイメージがありました。
個人的にもwktkしてますので、頑張ってくださいです。
あ、えと、最近出来たv速+ブーン系小説まとめサイト
というところの管理人にあたります。
明日にまとめさせていただきますね!
55 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:38:48.50 ID:tmnuUKYn0
焦りに震える手指でパスワードを叩き込むと、ハッチを開く。
内部に飛び込み、主電源を入れた。
| ^o^ | 「と、とにかくこれさえあれば……」
多脚型のこのタランチュラならば複雑な市街地でも踏破できる。
主武装のガトリング砲と、副武装のチェーンガンならば威力的にもゾンビ退治には十分だろう。
モニターとランプが点灯し、コンソールに緑の光が走る――システム、オールグリーン。
まるで脈動するように内部に光を宿らせると、鋼鉄の蜘蛛はゆっくりとその身を起こした。
| ^o^ | 「ブーム、いっきまーすっ!」
ブーム軍曹はそう叫ぶと、兵器庫の扉に向けてタランチュラを動かしていく。元気がいいですね。
倉庫内に流れ込む夜気を掻き分けるようにして、タランチュラは前進。
――そして開け放たれたままの扉を抜けた瞬間、タランチュラを猛烈な衝撃が襲った。
| ;^o^ | 「なっ……」
システムが、脚部への過度の加重を警告している。
何が起こったのか、まったくわからない。
だが咄嗟の判断で、強引な機動で機体を振り回したのは正解だった。
56 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:39:14.55 ID:W9GW3OuHO
支援
全力で支援
58 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:40:21.33 ID:tmnuUKYn0
どさり、と音響センサーが重量物の落下音を拾った。
だが、360度を補足するメインカメラの映像に、それが写っていない。
| ;^o^ | 「……」
しかし、サブ画面のサーモグラフィーにそれはいた。
――このVIP国で実戦投入が間近と囁かれていた、ある兵装の存在に思い至る。
| ;^o^ | 「光学、迷彩……?」
,.,.,.,.,.
,'; ;;', 「…………」
正体不明の存在は、人型をしていた。
サブ画面のサーモグラフィーをピックアップ。
熱源の温度は39〜41度、体長は3m――人間ではない。
それだけを判断すると同時、ブームはトリガーを引いた。
先ほど上部に取り付かれたため、ガトリング砲の砲身が歪んでいる可能性がある。
選択したのは副武装のチェーンガン。
狙いやすい腹部にロックオン。
| #^o^ | 「くらえー!!」
25mm弾が連続して吐き出され、多脚戦車はその脚部の鉤爪をアスファルトに突き立て反動を吸収。
硝煙が立ち昇り、夜風に乗って辺りを覆う。
| ^o^ | 「や、やったか!?」
……その台詞を言ってしまった時点で、倒せているはずが無かった。
59 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:41:20.53 ID:JOlHF8QsO
期待C
61 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:41:33.84 ID:tmnuUKYn0
〈;;;;;`゚皿゚'〉 「…………」
硝煙を抜けて現れたのは、巨大な人型の影。
着弾の衝撃で光学迷彩が停止したのか、その姿が露になっている。が――
| ;^o^ | 「な、なんという防弾性能……」
25mm弾を無数に受けながら、その人型の動きにはダメージを見て取ることができない。
ぼろぼろと、ひしゃげた弾丸が人型の身を包むコートのようなものから落下した。
( ^Д^) 「流石はVIP中央研究所の試作品。無理をして強奪した甲斐がありました」
聞きなれない声がした。
見れば、にやにやと印象の悪い笑みを浮かべた男が一人、ゾンビの群れを引き連れて立っていた。
| ;^o^ | 「な……っ!?」
慌ててカメラの一つを望遠に。
拡大されたゲートを見れば――そこに転がるのは、無残に食い散らかされた上官と同僚たちの亡骸。
| #^o^ | 「き、きさまー!!」
ブームがチェーンガンの照準を男に向け――
カリギュラ
( ^Д^) 「やりなさい、<暴君>。あなたの力を見せるのです」
次の瞬間、強烈な異音と共に多脚戦車の姿勢が崩れた。
チェーンガンが咆哮し、その弾丸があらぬ方向に吐き出される。
支援
63 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:42:30.26 ID:tmnuUKYn0
タランチュラの脚のうちの二本が、カリギュラと呼ばれたその存在によって、まとめて抱き折られていた。
| #^o^ | 「このっ!!」
強引に弾いて距離を取る。
チェーンガンが効かないならば、とガトリング砲を照準し――暴発した。
どうやら砲身が、よほど歪められていたらしい。
脚を折られたタランチュラは、衝撃に上手くバランスを保てずに転倒。
(^Д^)9m 「プギャーwwwwwww操縦兵涙目wwwwwwwwww」
男が指を差して笑っているのがカメラの端に見える。
〈;;;;;`゚皿゚'〉 「ガァアアアアアアアアアアアアアアッ!!」
そこに折り取った脚を棍棒のように振りかざして、カリギュラが襲い掛かってきた。
| ;゚ o゚ | 「う、うわぁあああああああああああああああああああっっっ!」
一撃ごとに脚がへし折れ、武装が壊れ、装甲がひしゃげていく。
もはや抵抗の手段はない。――敗北は、時間の問題だった。
| ;゚ o゚ | 「な、なんという化け物……この戦いは間違いなく――」
その先を言うことなく――ブーム・クン軍曹の身体は、愛機もろともに叩き潰された。
支援
65 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:44:43.02 ID:tmnuUKYn0
( ・∀・)モララーはバイオテロに巻き込まれたようです
第二話「抗う者たち」
.
・・・どんまいです。でもおいしいなぁ支援
67 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:45:31.38 ID:tmnuUKYn0
0548時。黎明の空を、暗雲が覆い始めていた。
風が勢いを増し、落ちていた新聞紙がばさばさと吹き飛ばされていく。
街灯が無機質な光で、通りを照らし出していた。
(;’_L’) 「ぐぅぅぅううううぅうう……っ!!」
腕が捻じ切られるのに一瞬遅れて、盛大に血を噴き始めた右肩。
びちゃびちゃと、アスファルトに赤黒い染みが広がる。
フィレンクトはそれを左手で押さえながら、痛みに呻いた。
(#゚Д゚) 「フィレンクト……クソっ!!」
ゾンビとフィレンクトの距離が離れた瞬間、ギコのサブマシンガンが火を噴いた。
放たれたソフトポイントの弾丸はゾンビの腹部に命中し、その衝撃力をゾンビの体内で撒き散らす。
身体をくの字に曲げて崩れたゾンビを尻目に、フサギコがフィレンクトに駆け寄り彼を引き戻した。
(;゚∀゚) 「こっちだ!」
フサギコを待ち構えるかのように、あらかじめ三角巾を用意していたつー。
右の肩から脇にそれを巻きつけると、結び目を作って捩じ上げ、止血点を押さえる。
次いで傷口を押さえると、白布がすぐに真っ赤に染まった。
(;;#;;゚皿。) 「ゲァアアアぁあ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙あ゙……っ」
と、仕留めたと思ったゾンビが再び動き出す。
しかも腹部に炸裂した弾丸によって、腸を垂らしながら、だ。
ミ;゚Д゚彡 「なっ……」
(;゚Д゚) 「こいつ……!!」
支援
ブームクン出てくる小説初めて見たwww支援
70 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:46:52.72 ID:tmnuUKYn0
分隊員たちが驚愕する中、最も迅速に動いたのはギコだった。
なおもフィレンクトに襲い掛かろうとするゾンビに対し、横合いから疾走。
長身のバネと疾走の勢いを込めた強烈な前蹴りを叩き込む。
(;;#;;゚皿。) 「ガ゙あ゙あッ!!」
横合いからの一撃に、バランスを崩され転倒するゾンビ。
(#゚Д゚) 「撃てッ!!」
そこにギコと分隊員たちの射撃が集中する。
硝煙が風に流される頃には、ゾンビの身体は原型を留めていなかった。
(; _L ) 「ぅぅううぅうう……ッ!!」
身をよじり、呻くフィレンクト。
腕をもがれたのだ。失神してもおかしくないはずだが、幸か不幸か彼はまだ意識があるようだった。
(;゚Д゚) 「フィレンクト! 少しだけ我慢してくれ。――皆、すぐにRV地点まで撤退するぞ!!」
突然の出来事に混乱気味の分隊員たちに、ギコが命令を飛ばす。
その声に、分隊員たちは訓練どおりのフォーメーションを組んで撤退を開始しようとした。
だが、ふとギコの鼻をつく臭いがあった。――腐敗臭だ。
(;゚∀゚) 「た、隊長!!」
血の臭いに、惹かれたのだろうか。
建物の影から、路地の裏から、通りの向こうから――いつの間にかそいつらは、ゆっくりと歩いてきていた。
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:47:25.21 ID:W9GW3OuHO
72 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:48:26.95 ID:tmnuUKYn0
(;;;゚皿。)(;;;;゚皿。)(;;;。皿゚) 「あ゙あ゙あ゙ぁあ゙あ゙あ゙ぁ……」(゚皿。;;;)(゚皿。;;;)(。皿゚';;;;)
ミ; Д 彡 「うぁあああああああああああぁあああああああああああっ!!」
(;゚Д゚) 「落ち着け!! つー、フィレンクトを頼む! フサは後ろを抑えてくれ!!!」
叫びつつ、前方の通りのゾンビたちに対してサブマシンガンを構えてセレクタをフルオートに。
サブマシンガンが咆哮し、前方を塞ぐゾンビたちをなぎ倒す。
あっという間に弾切れ。
弾装を交換する間を他の隊員がカバーし、更に別の隊員は横手や後方からの敵に向けて牽制の射撃を加える。
(;゚Д゚) 「背後の群れに焼夷手榴弾だ!! 前方はフルオートでなぎ倒せ!!」
――手榴弾の爆音。フルオートの銃声。怒号と命令が辺りに響いていく。
四方をゾンビに囲まれた危機的な状況がったが、ギコたちの分隊はどうにか無傷で前身していた。
互いの隙を補いながらの銃撃で、爪と牙を武器とするゾンビたちに接近を許していないのだ。
(;゚Д゚) 「大丈夫だ、連中も不死身の化け物じゃない!!」
(;゚Д゚) (いける……! 大丈夫だ、この囲みを抜けられる!!)
数分を戦い――そう、ギコが思った瞬間だった。
支援
wktk
75 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:49:34.61 ID:tmnuUKYn0
(; ∀ ) 「ぎゃぁあああァアアアアアアアアアアアアッッッ!!」
つーの悲鳴が上がった。
振り返ったギコが見たものは――
(;゚Д゚) 「嘘、だろ……」
(;;;‘皿。) 「ぅあ゙あ゙あ゙ぁあ゙あ゙あ゙ぁ……」
ゾンビ化してつーの喉元に喰らい付く、フィレンクトの姿だった。
ゾンビに噛まれたものはゾンビになる――御伽噺の設定そのままの現実が、そこにはあった。
ミ;゚Д゚彡 「フィ、フィレンクト……そんな、嘘だろ? だってお前、奥さんと子供を残して、そんな……」
フラフラと、フィレンクトに近づくフサギコ。
つーを手放し、新たな獲物――フサギコに襲い掛かろうとする『フィレンクトだったモノ』……
(; Д ) 「……っ!!」
家族のことを自慢するフィレンクトの笑顔が、ふと頭をよぎり――
ギコはかつて部下だった存在に向けて、引き金を引いた。
『フィレンクトだったモノ』の頭が――弾けた。
76 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:50:15.91 ID:tmnuUKYn0
ミ; Д 彡 「た、隊長……なんでっ!!」
(#゚Д゚) 「なんでも何もあるかっ! あれはフィレンクトじゃない! 見ろ!!」
ギコが指差した先には、つーの亡骸があった。
頚動脈を噛み破られて、僅か数秒で意識を失い、そして失血死に至ったようだ。
( ∀ ) 「…………」
つーの亡骸は、ただ不思議そうな顔をして――転がっていた。
ミ Д 彡 「ぅ、ぁ……ぅ、ぅお゙ぇぇ……」
仲間の変わり果てた姿、そして親友の亡骸。
フサギコが思わず膝を突き、吐瀉物をぶちまける。
そして――その間にも、ギコたちを囲むゾンビの群れは接近を続けていた。
(;゚Д゚) 「……マズい、な」
気付いた分隊員たちが必死に射撃するが、ゾンビたちは意に介さずに行進を続ける。
前方の仲間の屍を踏み越え、踏み越え。
ただ、生者の血肉に牙を突き立てるために――
(;゚Д゚) 「……クソッ!!」
フィレンクトのゾンビ化に陣形が崩れたことが、致命的だった。
――ゾンビの群れがギコたちのもとへ辿りついてしまうのも、時間の問題だった。
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:50:56.59 ID:m+bWHIys0
せn
78 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:52:12.06 ID:tmnuUKYn0
――◆――
0402時。脱出路を抜けたモララーたちは来た道を封鎖し、出口の家屋で少しの休息を得ていた。
非常時の王族の隠れ家として、VIP国の情報機関が偽名で保有している家だ。
川 ゚ -゚) 「武器、防具と物資――これだけあれば、十分に戦えそうです」
( ・∀・) 「うん、そうだね。……これを、広間に持って行くんだよね?」
クーとモララーは、階段を上がっていた。
小柄なクーの腕には二箱の段ボール箱が。
大柄なモララーの腕には、三箱の木箱が抱えられている。
川 ゚ -゚) 「はい。……申し訳ありません、王子にこのような事を」
( ・∀・) 「気にしないでいいよ。王子だからって、あんまり遠慮とかされたくもないしね」
言いながら廊下を抜けて、広間の前の扉に。
モララーが片手で木箱を支えながら、もう片手でドアを開けると、良い匂いが漂ってきた。
( *´_ゝ`) 「おかえりなさいませー。ご飯にする? お風呂にする?」
ドアの向こう。ピンクのエプロン姿でくねくねと身をよじる兄者。
( ///ゝ/) 「それとも――わ・た・し?」
(´<_` ) 「兄者、自重しろ」
79 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:53:00.34 ID:Dyin06mT0
きめえwwwwwwwwww
80 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:53:09.11 ID:tmnuUKYn0
広間の隅には、装備や物資を収めた木箱と段ボール箱が積み上げられていた。
そして中央で、皆が車座になって食事を摂っている。
(´<_` ) 「悪いが、先に始めさせてもらっているぞ。……二人の分もそこにある」
( ・∀・) 「ありがとう。――美味しそうだね」
皿を並べたトレイの前に、クーと隣り合わせに座る。
カリカリに焼けたトースト。コンソメスープにゆで卵。それに淹れ立てのコーヒー。
決して品目が多いわけではないが、このような状況でこれらは、望むべくも無いご馳走だった。
( ///ゝ/) 「愛情込めて作ったのよ? あ・な・た――」
(´<_` ) 「ちなみに作ったのは俺だから安心して食ってくれ」
( ・∀・) 「はは、ありがとう」
弟者に礼を言うと、狐色に焼けたトーストに歯を立てる。さくりと心地良い触感。
――ふんわりとした中身を感じると同時に、こんがりと良い匂いが鼻腔を擽る。
隣の護衛官が気を利かせてバターを回してくれたので、それを塗ってから、もう一口。
バターの甘さと、トーストの暖かさ。
それらが、この一件がおきてから、ずっと何も食べていなかった事を思い出させてくれた。
空腹感が蘇り、あっという間にトーストを食べ終えると、コンソメスープを啜る。
――恐怖と緊張で冷え切っていた体内に、スープの熱さが染み透るようだった。
( -∀-) 「……美味しい」
もうまさに変態キャラ定着してるな兄者・・・
82 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:54:01.42 ID:tmnuUKYn0
(´<_` ) 「王子様に褒めて貰えるとは光栄だが――さて、これからどうする?」
( *´_ゝ`) 「相手にしてもらえなかったらヤケ食いするわっ! ハムッ、ハフハフ、ハフッ!!」
(´<_` ) 「分かっているだろうが腹六分目にしておかんと、死亡率が高まるぞ。――で、どうだ、クー?」
状況の一切を無視して手早く食事を終えたクーに、弟者が問いかける。
川 ゚ -゚) 「そうだな。……現状、この人数では危険だ。どこかの部隊に合流しなければならないだろう」
モララーは二人の会話を聞きながら、ゆで卵の殻を剥いて、塩を振り掛けるとそれに齧りついた。
黄身は半熟だった。――塩の加減も良く、とても美味しい。
(´<_` ) 「だとすれば、どこがいいだろうか。車庫には、防弾仕様のワゴンが二台あるが――」
川 ゚ -゚) 「ここは第八区だったな。――第四陸軍基地が、この区画にあったはずだが」
――二人の会話を聞きながら、コーヒーを啜る。
僅かな酸味と、香ばしい香り。多分インスタントだが、別にコーヒーに拘りは無いのでどうでもいい。
(´<_` ) 「そうだな、とりあえずは第四陸軍基地を目指すか……?」
( ・∀・) 「――いや、少し遠いけど、第二陸軍基地の方がいいと思うよ」
やっと食事を終えたモララーは、口を開いた。
しかしそれはドーピングコンソメスープだ
84 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:54:35.02 ID:mT98cAM80
兄者きめぇwwwwww
85 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:55:14.10 ID:tmnuUKYn0
自分の発言に、周囲からの注目を感じる。
――以前の自分ならば、ここで竦んでいたところだ。
だが……
川 ゚ -゚) 「何故です? 距離的には第四基地の方が……」
( ・∀・) 「あっちは中枢区域寄りだよね? 第二基地は都市外壁に近い位置にあったはず」
ええと、とモララーは前置きして、
( ・∀・) 「テロ組織が重点的に戦力を配分するなら、やはり中枢部を選ぶんじゃないかな?
それに都市外壁の近くならば、少し待てば他国の救援部隊の到着も期待できる。
だから第二基地に向かうほうがより安全……だと思うんだけど、どうだろう?」
そう言って、モララーは皆を見回した。
――何故か皆、ぽかんと口を開けていた。
( ;・∀・) (しまった……)
やはり自分は何か間違ったことを言ってしまったのだろうか。
軍事のことはあまり分からないから、何かとんでもないヘマをしでかしている可能性もある。
ああ、やはり調子に乗ってこんな事を言うべきでは――
川 ゚ -゚) 「……確かに、仰るとおりです」
( ;・∀・) 「え?」
( ´_ゝ`)b 「てっきり昼行灯かと思っていたが――伊達に王子では無いということか。流石だな」
(´<_` ) 「兄者、そろそろ不敬罪でしょっ引かれるぞ」
兄者自重wwwwwww
87 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:57:10.87 ID:/3SEJBiu0
待ってた支援
88 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:57:11.69 ID:tmnuUKYn0
流石兄弟のやりとりに皆が苦笑しつつ、決まりだな、と動き出す。
ある者はトレイを片付け、ある者は木箱の中から装備や物資を取り出し始める。
川 ゚ ー゚) 「王子。……変わられましたね」
ほんの僅かに口元を歪めて呟くと、クーも装備の取り出しを手伝いに歩き出す。
( ;・∀・) 「あ、僕も手伝うよ――」
モララーも後を追って走り出す。
胸の内で脈打つ、暖かい何かがあった。
不義の子と呼ばれて、卑屈に生きていた頃とは違う――何か、暖かいものが。
そして思うのだ。――自分はこのまま、変わっていけるだろうかと。
――第三話に続く
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:58:02.00 ID:0Dt1aGHvO
>>81 それがデフォルトだと勘違いしてた俺はどうすりゃあいいんだ……
90 :
◆5xFishXix2 :2007/07/31(火) 23:58:36.04 ID:tmnuUKYn0
以上です。支援の数々、まことにありがとうございました。
質問などあれば、可能な限りお答えします。
>>54 ありがとうございます。
wktkしてお待ちしています。
>>89 言われるとAA板時代から兄は変なキャラで弟が突っ込むってスタイルだし普通なのかな
しえ
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/07/31(火) 23:59:00.05 ID:mT98cAM80
乙!
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 00:00:43.71 ID:I+/MK5c7O
乙!
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 00:01:03.01 ID:pRKfnpWM0
乙ー
乙ー
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 00:02:39.61 ID:pRKfnpWM0
途中で送信されたorz
作者さんに質問があります。
上のほうで他のまとめさんもまとめるとの事でしたが
今新しいまとめサイトを作ってるんですがそちらにもまとめてよろしいでしょうか?
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 00:03:43.06 ID:8bcWwDfhO
期待してまつ
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 00:04:16.73 ID:s32EPieYO
乙です
楽しみにしています
100 :
◆5xFishXix2 :2007/08/01(水) 00:04:38.95 ID:ZQcf6GNB0
>>97 私としては、特に構いません。
ありがとうございます。
102 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 00:07:17.86 ID:yIatWxVG0
作者超乙
続き楽しみにさせてもらうんだぜ?
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 00:09:17.44 ID:pRKfnpWM0
>>100 ありがとうございます。
ブーン速!という名前で立ち上げるつもりなので是非よろしくおねがいします。
104 :
◆5xFishXix2 :2007/08/01(水) 00:10:23.16 ID:ZQcf6GNB0
と、言い忘れていました。
所用で今週末はPCに触れられないため、第三話までやや間が空いてしまいそうです……
気長に待ってやって下さると、嬉しいです。
>>103 了解しました。
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 00:13:26.31 ID:aU60utQQ0
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 00:22:37.73 ID:60sJq3lzO
乙です。
つーは男?
107 :
◆5xFishXix2 :2007/08/01(水) 00:26:51.42 ID:ZQcf6GNB0
作者にも分かりません。
多分男じゃないかな……って程度で、もしかしたら女性兵かもしれませんね。
お好みの性別でどうぞ。
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 00:37:27.57 ID:60sJq3lzO
そ、そうでしたか…いやまあ普通に女性だと思ってたんですがなんとなくそれっぽくなくて作者的にはどうなんだろうと尋ねてみましたところお好みでどうぞということですのでもはや何がなんやら次回期待してます
109 :
◆5xFishXix2 :2007/08/01(水) 00:38:29.70 ID:ZQcf6GNB0
つーの元AAって、性別不詳なんですよ。
だからまあ、それに準じた形でして。
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 00:42:28.34 ID:uYyJFfK40
いろんなブーン小説に影響受けまくりと思ったのは気のせい?
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 00:43:47.87 ID:bm9pfDDUO
☆
あらそうなんですか。知らなかった。
話題振っておいてなんですが、作者の雑談を極端に嫌う人も多いので、この辺で。
113 :
◆5xFishXix2 :2007/08/01(水) 00:50:53.54 ID:ZQcf6GNB0
>>110 他の作品も、それなりに読ませて頂いているので……
意識的にパロディを行った部分が幾つかありますし、無意識には更に影響を受けていると思います。
では、そろそろ失礼させて頂きますね。
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 00:55:32.07 ID:tjCeaFYV0
乙ー
続き楽しみにしてる
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 01:04:55.71 ID:bm9pfDDUO
☆
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/08/01(水) 01:21:12.31 ID:bm9pfDDUO
☆
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
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