( ^ω^)ブーン達は童話の中に迷い込んだようです
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 20:01:14.55 ID:svBfDl0a0
支援
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 20:01:22.37 ID:7O5ZA7Lu0
从'ー'从『シンデレラは中々良かったねー。みんな演技は下手だったけど、
貞子ちゃんは結構良かったと思うよ。驚きや喜びの表情が、とても上手でした』
从*'ー'从『更に良いお話を作るために、今回からはペナルティをつけたいと思います。
あ、心配しないでね。ただ演技が下手だった人にちょっとおしおきするってだけだから』
从'ー'从『それじゃぁさっそく始めようか?今回のお話は赤い靴、主役はクーちゃんだよー。
準備が出来たら言ってね、またわたしがナレーターしてあげるー』
川 ゚ -゚)「……」
ほこりが溜まった狭い部屋の一番かど、古びた椅子の上でただ黙ってクーは少女の話を聞いていた。
手に持った薄い本の表紙には、丸い字で[赤い靴]と書かれている。どうやら台本のようだ。
パラパラとそれに目を通すと、クーは大きなため息をついた。
川 ゚ -゚)(赤い靴、か)
内容なんて、読まなくても知っていた。
踊り続ける呪いをかけられた赤い靴を履いてしまった少女カーレンが、首斬り役人に自分の足首を切断してもらう。
クーは自分の足が切り落とされるところを想像するだけで怖かった。
川 ゚ -゚)(……やりたくない)
こんな話の主人公をやりたがる者はいないだろう。
しかしやらなければ殺されてしまう。
両足と命を天秤にかけてみる。どちらが大切かは、言うまでもなかった。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 20:02:25.70 ID:7O5ZA7Lu0
シンデレラや赤ずきんちゃんの時に分かっていたことだが、少女はとにかく甘かった。
おおまかなストーリーさえ合っていれば、登場人物の名前やセリフは多少違っても良いらしい。
だからクーは最後に一度台本に目を通すと、少女に声をかけた。
川 ゚ -゚)「用意が出来たぞ」
从'ー'从『おおっ早いねー。まぁクーちゃんはこのお話を知ってるもんね』
クーは少女の言葉が引っかかった。
少女はどうしてクーが赤い靴の内容を知っていると思ったのだろうか。
从'ー'从『言い忘れてたけどね、今回このお芝居をやるのは、ギコ君とクーちゃんの二人だけなの!
あとのみんなは赤い靴を知らないみたいだからー、他の場所で石のスープをやってもらいます。
今わたしの声が聞こえてるのも、ギコ君とクーちゃんだけのはずだよー?』
クーの唇から乾いた笑い声が漏れる。笑わずにはいられなかった。
赤い靴と、石のスープだと。
自分の不幸を呪うと同時に、もう一人の役者、ギコに同情する。
从'ー'从『足りない分の役者は、さっきの話と同じように偽者で代用するから心配しないでね。
じゃぁ、暗い話だけどはりきって行きましょう!
昔々あるところにカーレンという少女がいました……』
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 20:03:54.94 ID:7O5ZA7Lu0
カーレンはとても美しい少女です。けれどもその美しさと同じくらい貧しかったのでした。
ある日、カーレンは靴屋のおかみさんに赤い靴を貰いました。
その日はカーレンのお母さんのお葬式でした。カーレンはお葬式にその赤い靴を履いていったのです。
お葬式にきたある老夫婦が、カーレンを引き取りたいと言いました。
その日から、カーレンは老夫婦の家の子どもになりました。
家に帰るなり老婦はカーレンの赤い靴を酷い靴だと言い、焼き捨てさせてしまいました。
それからカーレンは老夫婦の下で幸せに暮らします。
大きくなり、カーレンは堅信礼を受ける年になりました。
カーレンは新しい着物が出来たついでに、新しい靴を買ってもらえることになりました。
老夫婦とカーレンが靴屋さんに行くと、すばらしく美しい赤い靴がありました。
その靴はカーレンの足に合っていたので、老夫婦はカーレンにその靴を買うことにしました。
けれども老夫婦はその靴が赤いことを知らなかったのです。
もし赤いということに気付いていたなら、カーレンがその靴を履いて堅信礼を受けに行くことを許さなかった筈ですから。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 20:05:16.38 ID:7O5ZA7Lu0
*4 赤い靴 と 石のスープ 前編
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/06/29(金) 20:06:11.70 ID:7O5ZA7Lu0
( ^ω^)「お? ここはどこだお……?」
ブーンは驚いた。彼が意識を失う前、最後に見たのは美しくなった貞子の笑顔。
それは今の光景とはあまりにも違いすぎた。
( ^ω^)「えらく寂れた町だおねぇ」
ブーンはきょろきょろと辺りを見回す。何だかほこりっぽい所だった。
先ほどまでの綺麗なシンデレラの世界とは訳が違う、正反対と言っても良かった。
从'ー'从『ブーン君、町じゃなくって集落ですー』
(;^ω^)「おっ!? 急にビックリしたおー」
从'ー'从『あはは、ごめんねー。今回みんなにやってもらうのは石のスープです!
ちょっとわたし、忙しいから、適当にやっといてくれないかなー?
どんなお話かは、大体知ってるでしょ?主役はブーン君だよ。じゃぁ、そういうことで!』
( ^ω^)「おー……。石のスープかおー……」
少女が早口で一気にまくしたてると、ブーンはほぅっと息をはいた。
石のスープの話は、国際理解の授業で習っていた。おそらくクラス全員が知っているであろう。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
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