ハルヒの世界にローゼンのドール達を登場させてみたい
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
こないだ初めてローゼン見た。
そしたらなぜかハルヒの世界と混ぜてみたくなって、そのまま勢いでちょっとだけ書いてみた。
どっちのSS投下スレにも、クロスオーバー物は投下する勇気ありません。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:14:34.18 ID:o29mHCroO
どうぞ
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:16:00.46 ID:bCzr16oC0
森羅万象全ての物に魂が宿っているという多神教の考えを信じているだろうか。
いささか堅苦しい言い回しだが、別にこれから哲学だとか宗教だとかの教えを言及しようというわけではない。簡単に言うと、アレだ。「手のひらを太陽に」の歌詞を思い出して欲しい。
それに触れてあるように、つまりは皆生きているってことだ。
今回の話は、厄介にもその曲の歌詞があらぬ物にも当てはまる事態になり、俺にしてみればその曲がトラウマにな
るんじゃないかと思わせるようなものだった。
もちろんお察しの通り、その事態が日常的というものにカテゴライズできる可能性はVXガスの致死量よりも僅かであり、早い話が要するに非日常な出来事というわけである。
そう、ミミズだってオケラだってアメンボだって、そして人形だって。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:17:16.37 ID:bCzr16oC0
夜。俗にゴールデンタイムと言われる辺りを短針が振り切ろうとする頃。
大して疲れてもいない体を湯船に浸らせて癒していると、いやに楽しそうに妹が俺に子機を押し付けてきた。
「キョンくーん、電話だよー」
終始スキャットでやたらと楽しそうに歌うその姿は、とてもじゃないが行く末を案じずにはいられない。
いつもながら何がそんなに楽しいんだこいつは。箸が転げてもというか箸を見るだけで笑う年頃とかなんだろうか。
「こら。勝手に風呂の扉開けるんじゃありません」
反省の色を見せるようなタマではないが、ある程度の小動物ですら反復すりゃ嫌でも覚える。一応叱っておくとしよう。
予想どおり妹は、てへっ、とお決まりの仕草をかまして俺に子機を手渡すと、
「女の人からだよ〜」
と妙なところでませた一面を披露するや否や、我役目果たしたりとすぐさま風呂場を後にした。
別に対抗したわけではないが、俺もお決まりのあの台詞を口にし、割と耐水性の高い子機を耳に付ける。
女の人か。そうなるとSOS団三人娘に候補は限られてくるな。
まず長門だが、俺から電話するようなことはあるとしても、逆に長門の方から掛けてくることはほとんどないので却下。となるとハルヒか朝比奈さんのどちらかに絞られるな。
我ながら寂しい交友録に、溜息の一つでも吐き出してやろうかと首を前に傾けた時、電話特有の粗悪な音質でその声は届いた。
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:19:08.02 ID:bCzr16oC0
だが子機から俺に届けられたその声は、俺の予想をかすりもしないものだった。
『まきますか〜。まきませんかぁ〜』
新手のセールスか何かだろうか。えらく可愛らしい声だが、そんなもんにホイホイと騙されるなんざ日本中探してても谷口か谷口くらいのもんだろう。
「えー、すみません。間に合ってますんで」
俺はセールスを断る際の常套句で、早速この通話を打ち切ろうと試みる。
『まきますか〜。まきませんかぁ〜』
だが相手も小慣れているのか、再び述語のみのセールストークを始め出した。
まったく、何を売りたいのか知らんが、売る気があるのかこいつは。もしくはすでに今月のノルマを達成して、ダラダラとやっつけ仕事に至っているだけなんだろうか。
「はいはい、まきますから。切りますよ」
「巻く」なのか「撒く」なのかもよく解らんが、とにかく面倒なので一方的に切ってやった。
だが電話を切った直後、俺は自分の台詞を思い返して後悔した。
しまった。「まきます」と答えたのはマズかったかもしれん。それは相手にしてみれば、買います、と同意義を持つと解釈されかねん言葉だ。
後日に高級羽毛布団とかが届いたところで、何て親に言い訳しろってんだ。この歳にしてローンなど組もうもんなら、俺は退学届けを用意することになりかねん。それは勘弁願いたい。
日本野鳥の会にアイダーダックも守ってもらえないものかと願いを込めつつ俺は風呂から上がり、どう見ても高級とは程遠い自分の布団に身を包んで、その日は眠りについた。
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:21:15.18 ID:N6f2uYwx0
_(こ^)、_
〃、__ノノ、__,ヽ
{.っ> <っト、
(⌒i (千于`ー┴'─────┐
(O人 `ー| |
/⌒ヽ(^うつづきは見せられ|
`ァー─イ ないよ!|
/ (0::|__________|
/\____/
/ / ⌒ヽ
___/ / ̄ ̄`) ノ
(__r___ノ (.__つ
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:21:16.34 ID:bCzr16oC0
翌日。そして放課後。普段となんら変化のない文芸部室。
いい加減、いちいち描写するのも飽きてきた変わり映えのしない五人での光景である。
「昨日、うちに変なセールスの電話が掛かってきたんだが、まさかお前らの仕組んだ寸劇ではないだろうな」
対面で香車を突進させている古泉に、俺はそれとなく吹っかけてみる。
「何の販売でしょう。高級羽毛布団か何かでしょうか?」
揃いも揃って同じような発想してんのか俺たちは。
長い付き合いで色々と似通ってくるのは結構なことだが、相手がお前となるとまた話は別だ。
「ふふ、羽毛布団はそういうものの定石のイメージですからね。それはそうと、神に誓って僕は何もしていませんよ」
なら本当に単なるセールスだったのか。いや、ていうか俺が勝手に相手をセールスに仕立て上げているだけだが。
最悪、ローンが二世代に及ぶようなことだけは避けたいもんだ。可愛い自分の子供にまで、俺の巻き込まれ体質を継がせたくはない。
「それほど心配することでもないでしょう。今時、そこまで強引な手を使うセールスはほとんどないでしょうから」
まあそうか。ひと昔前ならともかく、今は色々な法律に引っ掛かりそうな感があるしな。
「ちょっと、なんか変なもん届いたらまずあたしに見せなさいよ。面白そうだから鑑定してあげる」
趣味悪く聞き耳を立てていたのか、ハルヒが横から口を出してきた。
「そのあと買い取ってくれるのなら一向に構わんぞ」
「嫌よ。あんたが買ったんだから、あんたが自分の家でも担保に掛けてローン組めばいいじゃない」
やっぱりローン地獄なのか。それこそ家を担保に掛けにゃならんほどのもんが届いた日には、まず勘当は免れんだろうな。
「心配ないわ。ここで寝泊まりすれば万事解決よ」
自動的に皆勤賞だな。休日まで含めて無駄に皆勤なのも学校側に評価してもらえるんだろうか。
並べたパイプイスをベッド代わりに、暗い校内で一人眠りにつかなければならない状況を思い描きつつ、俺は思案顔で腕を組んでいた。
もしかしたら何か知ってるんじゃないかと、俺は長門の方へチラッと視線を向けてみるが、すぐさま俺にしか解らないであろうアイコンタクトが返ってきた。知らない、と。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:22:43.17 ID:0HpOTLQ10
ハルヒ知らないけどwktk
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:23:15.76 ID:bCzr16oC0
毎度お馴染みの長門のカードカバーを閉じる音で、本日のSOS団の活動もつつがなく終了し、各々が帰路につく準備を始める。俺も鞄を手に取り、着替える朝比奈さんを尻目に部室を後にした。
その頃にはもう昨日の電話のことなど、すでに脳裏から押し出されそうになっていたのだが、家に辿り着いて俺はガックリと膝を着くことになる。
「あ、キョンくんおかえりー」
シャミセンを頭に乗っけているのが無駄に似合う妹を、朝比奈さんから貰った飴玉をエサにリビングへ追い返してから自分の部屋へと向かう。
十六年で何度開け閉めしたかわからない自分の部屋の扉に、特に何の感慨もなく手を掛ける。ここまではいい。いつもどおりだ。問題はそのあとである。
扉を開けて俺の目に飛び込んできた光景は、それはいかんともし難いものだった。
「なんだこのでかい鞄は」
ベッドの上に全く見覚えのない大きな鞄が、これ見よがしに放置されていた。
まさかこれが昨日のセールス品とか言うんじゃないだろうな。中身が、ハズレ、とか書いてある紙ならまだマシだが、これが宝石とかだったら目も当てられん。速攻で働かねば。
「……最悪だ」
いよいよ俺もドカタデビューかとこれからの人生を嘆いていると、まだ中身を確認していないことに気付いた。
俺は蓋を持ち上げようとする。鍵が付いているが、どうやら掛かってはいない。
恐る恐るゆっくりと蓋を開けていくと、やがて視線が中身の物を捉える。
寒気がした。
「に、人間かっ」
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:24:04.13 ID:UQa82Of4O
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:24:54.14 ID:bCzr16oC0
いや、違う。人間にしては小さい。やたらと精巧に出来てはいるが、これは人形だ。
可愛らしい顔立ちで、栗色の長い髪にはフリルをあしらった頭巾を被り、どこかヨーロッパあたりの民族衣装っぽいグリーンの服を身に纏っている。顔に触れてみると、まるで人肌のように柔らかい。
瞼を持ち上げてみると、カラーコンタクトをしているかのように瞳に色が付いている。左目がグリーンで右目が赤だ。
よく出来てるな。つうか、これは高いだろ。残念ながら間違いなく俺の小遣いで賄えるもんじゃなさそうだ。
俺はその精巧な人形を持ち上げつつ、どうやってクーリングオフするかに思いを馳せていると、
「ん? これはネジ穴か」
背中にネジを差し込むであろう穴を見つけた。そこで鞄の中に目をやると、都合良くそれらしきネジがある。
動くのだろうか。すげえなこれ。
興味本位で早速ネジを手に取り、穴に突っ込む。ギリギリというレトロ感漂う音を響かせながらネジを回し、しばらく待ってみる。
するとやがて錆び付いたロボットのように動き始め、自らの力で地に足を着ける。次第に動きが滑らかになるにつれ、俺は再び背筋につららを差し込まれたような寒気を感じた。
「……なっ」
なんてスムーズな動きだ。これはゼンマイ人形なんて安っぽいもんじゃない。まるでアンドロイドじゃないか。
俺の知っている無口な有機アンドロイドの顔を思い浮かべつつ驚嘆していると、とうとう俺の頭では処理し切れない事態にまで発展した。
その人形はゆっくり瞼を開けて、その二色の瞳で俺を見据えると、
「ひいぃっ。きき気安く触るなですぅ!」
13 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:25:18.19 ID:jvQ+pDPq0
ハルヒ×ローゼン
何て腐るほどあるんだぜ
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:26:39.40 ID:UQa82Of4O
ハルヒはいい加減飽きた
と、いうかハルヒ厨がウザすぎるから大嫌い
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:27:48.34 ID:vQ28RYdR0
>>15 といいつつもこんなスレを開いてしまうツンデレめ
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:27:54.37 ID:E2pH8WGD0
神IDがいると聞いてとんできますた
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:27:59.49 ID:jvQ+pDPq0
アンチのほうがウザイけどナ
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:28:46.79 ID:bCzr16oC0
>>13 そうなのか。そんなにあるとは知らなんだ。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:29:58.78 ID:vQ28RYdR0
>>13 ハルヒ「ちょっとケツの穴貸しなさいよ」
お父様「アッー」
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:29:59.76 ID:SJhwKtHB0
>>20 小説風に仕立ててるのはいいじゃないか。SSじゃなくて。
結構長いんじゃないの?
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:30:15.17 ID:bCzr16oC0
おい、誰だ今、甲高い声で叫びやがったのは。
いや待て、今ここには俺以外誰もいない。なら単なる幻聴だったのか? 朝比奈さんの声の幻聴なら、いかなる時も脳裏でリピートさせていただきたい所存だが、残念ながら朝比奈さんの声ではない。
ていうか今のは聞き慣れた声ではないし、幻聴にしてはあまりにもリアルすぎる。
……そうなるとだな。
「しゃ、喋りやがった!」
待て待て待て! これは一体どういうことだ。なぜ人形が喋っている。喋るシャミセンの次は喋る人形なのか? だが今回はもともと生き物ではないだけに余計にタチが悪い。
となるとこれもハルヒの仕業なのか? なんのつもりだハルヒ。
「まったく、油断も隙もありゃしねえですわ。お前みたいな無節操な人間に巻かれたなんて反吐が出るですぅ」
動き出すや否や暴言を吐きつつも、その人形は怯えるように机の影に隠れている。
ここで普通の人間ならば卒倒しているところだろうが、こちとらこういう事態にはある程度免疫が付いている。
とにかく俺以外が第一発見者ではないことが不幸中の幸いだ。
いや、妹なら人形が動いて喋っているという事実をすっとばして、目を輝かせて狂喜するかもしれんが。それはそれで別の意味で心配だ。
「この翠星石に見合う人間には到底思えないのですっ」
その小さな口を尖らせ、人形はハルヒばりのアヒル口で喚き続けている。
さて、まず俺はどうすべきかと考え、とりあえず携帯電話を取り出す。
「きいぃぃっ。聞ーけーでーすぅー! この翠星石を無視しやがるなんて、お前には百万時間早いのですぅっ!」
相変わらずずっと喚いているが、こっちはそれどころじゃない。早速コールする。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:32:53.95 ID:bCzr16oC0
>>22 まだ全然序盤部分しか出来てないんだ……。
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:33:42.65 ID:bCzr16oC0
『おや。どうかしましたか?』
3コールで古泉が出た。
「なんだかのっぴきならん事態になった」
『ほほう。それはどういったことでしょうか。とりあえずこちら側が観測できるような変化、つまり涼宮さんの精神的な要素にイレギュラーな事態は起きていないようですが』
「だがこれはハルヒの仕業としか思えんような事態だ」
『その説明を聞く前に、あなたの傍から聞こえる可愛らしい声について説明してもらいましょうか』
エセスマイルのくせに妙な勘違いをするなややこしい。
「その可愛い声が事態の全てだ」
『それはどういう?』
「俺が部屋に女を連れ込んでいるとでも勘違いしているのかしらんが、残念ながら女ではない。ていうか人間じゃない」
古泉は電話の向こうで少し考え込んだように間を置き、
『なるほど。シャミセン氏の時と同じようなものと捉えていい、ということでしょうか』
「シャミセンよりもタチが悪い」
『それは一体』
「人形だ」
一瞬沈黙が部屋を包み、
『……なるほど、それが本当なら確かにのっぴきならない事態です』
古泉がそこまで言ったところで、どうやら人形はしびれを切らしたようで、
「くうぅ〜。無視するなですぅー!」
「痛てえっ!」
ローキックをかましてきやがった。
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:34:49.27 ID:bCzr16oC0
「な、何しやがる!」
「やーっと口を開きやがったですかぁ。人の話を最後まで聞きやがれですっ!」
腰に手を当て、大きな身長差のせいで俺を見上げるようにして、その綺麗な瞳には似つかわしくない暴言を吐いている。どこぞのトンデモ娘を思わせるような素振りだ。
「とにかくそういうことだ。切るぞ古泉」
このまま通話を続けると、俺のくるぶし辺りがどうにも正常な状態を保てそうにないので、俺は早々に古泉との電話を打ち切ることにした。
電話を切ってからまず俺は、
「えー、まずは質問させてもらおう。キミは一体なんなんだ」
傍から見れば、人形に話掛けている年頃のあぶない少年にしか見えんのだろうな。
「お前なんかに名乗ってやるほど、この翠星石は落ちぶれたドールじゃないのです」
「とりあえず名前はスイセイセキというのか」
俺がその名前を口にすると、人形は「ひぇあっ」とか言って重ねた両手で口を覆い、
「……翠星石としたことが、とんだ失態ですぅ」
今度は小さな人形らしい細々とした声で何か呟いている。
「とととにかくっ! この翠星石が来てやったんですから、さっさと手厚くもてなせですポンコツ!」
なんだ、俺なんて反吐が出るんじゃなかったのか?
「うううるさいですっ!」
そう言って、このスイセイセキと名乗る人形は部屋を出ようとしているのか扉へと向かい……、
って、
「ちょっと待て! 部屋から出るのはやめろ!」
こいつが妹を始め他の人間に見つかるのは非常にマズい。それこそハルヒにでも見つかるようなことがあれば何が起こるか解ったもんじゃない。
こいつが消えてくれるか、最悪普通の人形に戻るまでは俺の部屋から一歩も外に出さない方がいいだろう。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:37:28.54 ID:bCzr16oC0
「どうして止めやがるですかっ。翠星石はキッチンへ向かうのですぅ!」
「なんでキッチンなんぞに行かねばならん」
「食べ物のある場所はキッチンと相場が決まっているです! そんなことも知らねえですか?」
「……お前、食うのか」
人形のくせに食い意地が張ってるってのは、一体どういう原理だ。
「当たり前じゃねえですか。お前は何も食べなくても生きていけるとでも言いやがるですか?」
いや、まあ今の医療技術を駆使すればできんこともないだろうが、今はそういう問題ではない。動いて喋って食うなんて、これで人間じゃないってんなら長門の仲間と変わらんじゃないか。
しかしながら凄まじく酷い言葉遣いだな。これがオウムみたく人の言葉をマネする類のもんなら、一度前の持ち主を拝んでみたいもんだ。
「わかったわかった。食べ物は俺が持ってきてやるから、お前はここでジッとしてろ。いいな」
「きいぃー。その命令口調が余計腹わたを煮えくり返らせるですぅ」
人形は拳を握って俺を睨んでくるが、所詮は俺と比べて4回りも5回りも小さな人形である。どうにも迫力に欠けるな。
そんな怒髪人形を俺は無視し、部屋を出て適当な食い物を漁るべくキッチンへと足を運ぶことにした。
そうして、しばらくキッチンでゴソゴソやっていると、
「あれー、キョンくん。何やってんのー?」
「ちょいと小腹が減っただけだ。あっち行ってろ」
面倒な奴に出くわしてしまった。
ここで悠長にしているのは得策ではないな。さっさと適当に持ってくか。
俺は戸棚から即席ラーメンを取り出し、足元に絡み付いてくる妹をお菓子でいなしつつ手早く調理する。
五分で調理を終えると割り箸を一つ掴んで足早に自分の部屋へと向かった。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:38:11.34 ID:bCzr16oC0
無事妹を振り切って扉を開けると、
「おーそーいーでーすぅっ!」
「いでっ!」
額に消しゴムミサイルが直撃した。
「おい、何やってんだ! ラーメンの中に入るとこだっただろうが」
ついでに人の物を勝手に投げるんじゃありません。
「ラーメン?」
乱暴人形は首を傾げて、頭にクエスチョンマークを浮かび上がらせている。どうやらラーメンを知らないらしい。
「なんだ、知らないのか。うまいぞ」
俺がそう言うと馬鹿にされたとでも受け取ったのか、乱暴人形は頬をピクピクさせて、
「し、しし知ってるに決まってるですぅ。ラーメンなんて基本中の基本に違いねえのですわぁ」
無駄に負けず嫌いなところとかも、どうにもあの暴走女と被ってやりづらい。下手すりゃ当分、学校でも家でも似たような奴の相手をせにゃならんのか。
「……やれやれ」
割り箸を割ってやってから人形に手渡してやり、ラーメンを啜る音をBGMに俺はベッドに突っ伏した。
「どうだ。うまいか?」
ようやく静かになった乱暴人形に、俺はなんとなく感想を求めてみる。
「ま、まあお前にしては上出来と言ってやらないこともねえです」
「そうか。なら良かった」
黙々とラーメンを平らげていく小さな人形を横目に、俺は盛大に溜息をついた。
やれやれ、とんだ来訪者にかち合ったもんだ。
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:40:27.81 ID:bCzr16oC0
そして翌日。話は早いがSOS団の活動も終え、学校から帰宅した直後である。
「なあ、ちょっといいか? 付いてきて欲しいところがあるんだが」
先ほど学校で、特別属性持ちであるSOS団三人衆にこの不思議人形について相談し、原因追求の為に今から俺が長門のマンションに連れて行く手筈になっている。
「どこに連行しやがる気ですかぁ。あ、わかったです。人気のないところに連れ込んであんな恐ろしいことやこんな……とんだ鬼畜野郎ですぅ」
「アホか。人間ならともかく、人形を襲うわけないだろうが」
いや人間の方が大問題だが、と心の中でセルフつっこみを入れつつ、小さな両肩を押して鞄の中へと押し込む。
「いひぃ。なな何しやがるですかぁ。やっぱり鬼畜野郎ですぅ〜」
駄々っ子のように手足をバタつかせながら、不思議人形は抗議の声を上げて抵抗する。
「外へ出なきゃならん。スマンが目的地に着くまで鞄に入っていてくれないか? 安心しろ。別に変なところに連れて行くわけじゃない」
「暴れてやるですぅ。外で絶対暴れてやるですぅ〜」
「……それは勘弁してくれ。あとでふた玉ラーメン作ってやってもいいから、静かに頼む」
俺がそう言うと、不思議人形は綺麗な二色の瞳を七色かと思うほど輝かせて、
「ふ、ふた……。しょ、しょうがねえから静かにしてくれてやるですっ」
なんて単純な。
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:41:10.61 ID:bCzr16oC0
そして数十分後。重い鞄が俺の歩みを阻害するも、ようやく長門のマンションに到着する。
なんと殊勝なことに、人形は見事に一言も発さなかった。恐るべしインスタントラーメン。今度、日清食品に平身低頭で謝辞を述べに行こう。
『…………』
「あー、俺だ。人形を連れてきた」
『入って』
エントランスですっかり慣れた長門とのインターホン越しのやりとりを交わし、708号室へと向かう。
部屋に入ると、すでに古泉も朝比奈さんも到着しており、長門が淹れたであろうお茶を啜りながらコタツテーブルに腰を落ち着かせていた。
「大きな鞄ですねぇ」
朝比奈さんは、しげしげと人形が入った鞄を見つめている。
「では、披露していただきましょうか」
どうぞ、と掌を上にする形で古泉は俺に手を向ける。
それを合図に、俺はむき出しのフローリングの床にゆっくりと鞄を下ろし、
「もう出てきてもいいぞ」
コンコン、と軽く鞄を叩いてやる。
するとゆっくりと蓋が開き、
「ふあぁ。やーっと着いたですか。うすのろ過ぎて寝ちまったですぅ」
眠そうな目を擦りつつ、不思議人形は長い髪を引きずって鞄から這い出てきた。
「わあ、可愛いなぁ」
朝比奈さんはそれを見るや否や、目を輝かせて感嘆の声を上げる。
「これはこれは」
「…………」
古泉と長門はなんとも言い難い表情をしてくれている。いや、長門に至ってはなんとなくだが。
とにかくお披露目が済んだところで、俺は本題に入ることにした。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:41:36.62 ID:SJhwKtHB0
>>24 これで序盤とな。
長編になるならサイトでも作ってそこにうpしたほうがいいんじゃね?
いろいろストーリーの発展とか詳しく書きたいみたいだから長くなりそうだし。
でもvipでやるなら短編じゃないときついのでは。描写抑えて淡々と書いた文章じゃないとあまり読まれないんじゃない?
まあサイトなんて作ると更新が大変だが。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:42:34.56 ID:LltkAgwd0
sneg
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:42:38.01 ID:bCzr16oC0
「なあ、昨日訊きそびれちまったから改めて訊きたい。お前は一体何者なんだ?」
「そ、そその前にこいつらはなんなのか説明しやがれですぅ」
不思議人形は、何やら俺のパンツの裾を掴んで足元に隠れている。
なんだお前、人見知りとかすんのか。
「うううるさいですっ。さっさと説明しやがれですぅ」
「……わかった、わかったから足を揺するな」
そのねだるような仕草もさることながら、小柄すぎる体も相まって、まるで小さい頃の妹が絡み付いてくるような錯覚に陥ってしまう。どうにもやり辛い。
俺は仕方なしに手早く紹介を済ませようとすると、
「古泉一樹です。まだまだ未熟者ですので至らぬ点も多々あるかと思いますが、どうぞよろしくお願いします」
古泉は自ら名乗り出ると、握手を求めて手を差し出した。
「ちち近寄るなですぅ」
すると差し出された手から逃げるように、掴まれたパンツの裾にさらに力が込められた。
「おやおや。ずいぶんと嫌われてしまったようですね」
CM入りまーす
そ〜れ そ〜れ
乳酸菌飲料〜♪ ハイッ♪
____
〆'- ―‐‐ -、`ヽ、.
/ \;;ヽ、.
/ / / ', Vハヽ ,. -n'ニn''n‐n、 最近怒りっぽくないですか?
,' / l l i l l } Vハ.', />'′ 〈7d}}ァ゙く!、 乳酸菌飲料には
. l / /! ハ八 j / ! / j |;;;| l ./ >′_,. tr‐tr-n、 ゙<}、 イライラを静めるカルシウムのほか
レ! l{ V__ヽ\/リ _j/ レ' l;\| ,/イ|ト<}7´/ / | ll {>、_}己! 腸の調子を整える乳酸菌も入っています
ハ ! }´ ` ´ `/イ j;;;;;.// ∽ // / /! || | l| ||'ヘヽ\
/;;ヽVゝ"/> "" /ー‐-/// ||]_{トリ|| リ }! | |!| |<}、ヽ あなたも乳酸菌飲料を飲んで
./;;/\jl/ッ'≧r‐‐ァ<//――.,'〈}ハ} N (_:,ハ l|/ノノァ'‐ノ /}lト、 〉 健康な一日を過ごしましょう
rr也丁孑 ヽ∠_ '´ヽ;;;;;;;;;;;;;i | | |l | (;乃'ノ//| | }
マj_」厶> ..\ \ ヽ. ,' ! l! | lヘ. ー′ /イ | l |ノ
// \ヽヽ\ヽ、l / ! ハ ! | !:`ー=、7「!| |l l!| ! /〉 /_ -‐
∠ ;;_{ 二 二ニ ̄``ヽ\ >‐‐-、_,rヘ、',! !∧::::::Lノ」 l|⌒ヽlV "´ ニ二分
ヽ -‐ニ /:::::::::::::::V}、 ヽV └く リ!リ::::::::::\ =ギ ‐-
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..へ /く:::::::::::::::::::::::::V}、 └''┘ _{V::::::::::::::::/| \\ `丶、`ヽ、
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//////-一'7::::::::::/ l|ハ:::::::::::::::::::::::::::::::::/く:::::::::::〉ヽ\ヽヽ \ヽ\\
/// ' //:::::::::/w!ト、{.}::::::::::::::::::::::::::::::::〉|ハ:::::::::゙、 〉 \ ヽ \
「::::::::::{ ヽ::::::::::::::::::::::::::::{'´´ ヽ::::::::L 「乳酸菌、足りてますか?」
./:::::::::::/ 〉::::::::::::::::::::::::〈 ヽ:::::::::{ − 乳酸菌推進委員会 −
35 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:47:03.63 ID:bCzr16oC0
>>31 そうか。
なるべくハルヒの原作準拠にしたかったんだ。
俺は結構好きだが…
37 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:49:53.90 ID:SJhwKtHB0
>>35 まあ叩かれない限りは好きにすればいいと思うけど。
それにしても小説に関しては、読みやすいし、やらたと文章力あると思う。小説書くのこれが初めてなら評価する。
38 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:50:20.82 ID:bCzr16oC0
今書いてあるのはここまでなんだが、完成したら別のところでやる方が良さげっぽいな。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:2007/05/13(日) 00:53:54.15 ID:2AOBhJBDO
ようやく追い付いたこのwktkはどうしたらいいんだよ
40 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします。:
なるべくその 別のトコ 今日中に頼む