( ^ω^)ブーンが無罪となり人間と認められるようです
1 :
ブロガー(愛知県):
2 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:04:22.54 ID:j61cttQY0
週末、ツンはブーンと一緒に映画を見に来ていた。
ツンから誘ったものであり、二人にとって始めて一緒に外出したことになる。
( ^ω^)「なんで、僕も行かなくちゃいけないんですかお。」
ξ゚听)ξ「別にいいでしょ、一人で映画見るのは恥ずかしいんだから。」
本音をそのまま言うことで、相手にそれが本音だと悟られないことをツンは知っていた。
3 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:04:46.08 ID:j61cttQY0
百万人が涙した、というのがキャッチフレーズの映画だったが
内容はたいしたことなく、ありきたりのお涙頂戴話だった。
男女の恋物語だが目新しいとこはない。
だがそれゆえに泣く人もいる。
映画が終わり泣きながら席を立つ人達。そんな人間を見てブーンが尋ねる。
( ^ω^)「なんで泣いてるんでしょうかお。」
ξ゚听)ξ「さあね、主人公がかわいそうだって泣いてるんでしょうね。
それ以前に自分は感受性の強い人間だってアピールしてるんじゃないの。」
( ^ω^)「さっきツンさんが一人で見るのは恥ずかしいと言ったけど
それと似たような感情ですかお。」
ξ゚听)ξ「そうね、似ているけど真逆だと思うわ。
私は周りからの視線を避けるため、あの人たちは周りの視線を集めるため。」
ブーンはそれに納得したかのように相槌を打った。
二人はそのまま食事を取りに映画館を出てレストランへと向かおうとした。
4 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:05:30.26 ID:j61cttQY0
ブーンはそれに納得したかのように相槌を打った。
二人はそのまま食事を取りに映画館を出てレストランへと向かおうとした。
(*゚ー゚)「あら、ツンじゃないの。久しぶり。」
ツンがその声のもとに振り向くと大学時代の同級生である、しぃがいた。
ξ゚听)ξ「しぃ、久しぶり。」
(*゚ー゚)「あっ、紹介するね。こちら私の友達のツンちゃん。」
しぃの隣にいた男が挨拶をした。
(,,゚Д゚)「こんにちは。ギコです。」
(*゚ー゚)「こっちは私の彼氏のギコ君。」
ξ゚听)ξ「よろしく。」
(*゚ー゚)「そっちはツンの彼氏さん?」
5 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:06:14.40 ID:j61cttQY0
ただの会話なのだろう。
しかしツンはなんと答えればいいのか、わからなかった。
彼氏でもなければ友達でもない。
自分にとって都合のよいアンドロイドとはいえない。
またブーンが会話を上手く合わせられるとは思わなかった。
( ^ω^)「僕はツンの彼氏ですお。」
しぃがツンのためらった表情に気づく寸前、ブーンが答えた。
ツンが黙った違和感をも拭い去るほどの自然な言葉遣い、態度で。
6 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:06:38.57 ID:j61cttQY0
(*゚ー゚)「やっぱそうなんだ。かっこいい彼氏じゃない。
あっ、そろそろ映画始まるから行くね、今度遊ぼうね。」
先ほど見た映画を見に行くらしく、しぃとギコは連れ添い歩いていった。
ξ゚听)ξ「ちょっと、何で私があんたの彼氏なのよ。」
( ^ω^)「このままだと、ツンさんが一人で映画を見に行くと思われると判断しましたお。」
ツンの言葉を忠実に守ろうとするブーン。
勝手に彼氏扱いされて憤りを感じていたが、ブーンの答えを聞いて
憤りが、嬉しさへと変わっていった。
ξ゚听)ξ「まあ、それならいいわよ。」
7 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:07:31.89 ID:j61cttQY0
そして、この日は食事を取って後、服を買いに行った。
ツンが試着してブーンに見せる。
ブーンはどこか明後日の方を向いている。
ξ゚听)ξ「何とか言ったらどうなの。」
( ^ω^)「何とかって?」
ξ゚听)ξ「綺麗とかよく似合うとか、さっき見た映画でも似た場面があったでしょ。」
( ^ω^)「とても綺麗ですお、よく似合ってますお。」
ξ゚听)ξ「あんた馬鹿にしてんの。」
怒ったようでもなくブーンを咎める。
まあいいわ、と言ってツンは試着した服を購入した。
8 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:08:13.37 ID:j61cttQY0
紙袋を受け取り店を後にすると、ブーンがツンの手から紙袋を取ろうとした。
ξ゚听)ξ「ちょっ、何するの。」
ツンは手を握られたと勘違いした。
けど、そこに拒むようなしぐさは無かった。
( ^ω^)「荷物を持とうと思いましたお。」
ξ゚听)ξ「手をつなぐと思ったじゃないの。
それなら、そうと言いなさいよ。」
( ^ω^)「でも、さっきの映画では黙って女性から荷物を取りましたお。」
ξ゚听)ξ「あれは、お互いに信頼してるからでしょ。
女性が荷物を持ったら、男性が持つというふうに。
そういった、暗黙の了解的なものがあるのよ。」
( ^ω^)「じゃあ、これからは僕が荷物を持ちますお。」
ξ゚听)ξ「そう、ありがとう。」
9 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:08:45.32 ID:j61cttQY0
ブーンと暮らしてさらに1ヶ月となる。二人は問題なく過ごしていた。
ただ、ツンはこの頃になると流石に非現実的な暮らしに不安を抱いていた。
表面上はなんら問題ない。しかしブーンはアンドロイドである。
この暮らしを今後も続けていくのか、それともブーンと別れるのか。
別れるにしても、どうやって別れる。
それに人間社会に溶け込むと言ったブーンの考えはどうなっているのか。
10 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:09:17.26 ID:j61cttQY0
ξ゚听)ξ「ねぇ、ドクオ君今日あいてる。」
会社での昼休み。
どうしようか迷った末にドクオに相談することを決めた。
('A`)「空いてますよ。」
ξ゚听)ξ「じゃあ、ちょっと頼みたいことあるんだけど
会社が終わったら、ちょっと付き合ってくれない。」
いいですよとドクオが言い了解が取れる。
待ち合わせ場所を決めて二人は仕事に戻った。
11 :
女流棋士(北海道):2007/04/15(日) 16:10:11.73 ID:fAekHrrh0
支え
12 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:13:06.04 ID:j61cttQY0
そして、就業時間。
約束どおりドクオが喫茶店で待っていた。
ツンは何も注文せずにすぐ店を出た。
('A`)「どこ行くんですか。」
ξ゚听)ξ「ちょっと見せたいものがるの。」
それっきり会話は無くなった。
ツンは俯いて歩いている。
それを見てドクオはこんなとき気の利いた話をでない自分を恨んだ。
ツンのアパートに着いてドクオを部屋に上げる。
いつもどおりブーンがおかえりと言ってくれた。
13 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:13:41.36 ID:j61cttQY0
('A`)「どちらさまですか。」
恋人かと思ったが、それだったらわざわざ自分を呼びはしないだろう。
ドクオは、一体見せたいものってなんなのだろうと考えていた。
ξ゚听)ξ「あのね、アンドロイドの話したこと覚えている。」
('A`)「ええ、だいぶ前に」
ツンがもじもじしながら話す。
ξ゚听)ξ「あのね、この人ブーンって言うんだけどね。
アンドロイドなの。」
実際にアンドロイドなのだが、それをドクオが信じるかどうかは疑問だった。
もしかしたら、おかしい人と思われるんじゃないかと妙な心配をしていた。
14 :
留学生(東日本):2007/04/15(日) 16:13:52.45 ID:n13TRtF20
支援
15 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:14:22.76 ID:j61cttQY0
('A`)「この方がですか。」
ブーンを見つめて、不思議そうに聞く。
ξ゚听)ξ「そう、ブーンあれ見せてあげて。」
そう言うと、ブーンは腕を伸ばし前にツンに見せたように
間接ではなく、人間なら骨のあるはずの部分を曲げた。
目を開いて呆然とするドクオに説明する。
ξ゚听)ξ「おかしいでしょ、人間ならこんな動きしないはずだもんね。
私も始めは信じれなかったわよ。でも本当なのよ。」
ドクオは表情を変えずに立っているブーンに近づいて腕を取った。
曲がったままの腕を触りその感触を確かめる。
(;'A`)「そんな、義手でもこんなのはまだできてないはず。」
16 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:14:44.32 ID:j61cttQY0
自分の常識を打ちのめされて、どう反応すればいいかの判断もつかなくなった。
とにかく落ち着こうと思ったドクオは、ツンの前だが煙草を吸おうとした。
だが、他人の部屋ということもあり、一応了解を取ろうとする。
(;'A`)「ちょっと、煙草吸ってもいいですか。」
ξ゚听)ξ「いいけど、ベランダでお願いね。」
ドクオとは対照的に落ち着いた声を出す。
ドクオはベランダに出て、何が起こっているのかを整理し始めた。
いくら考えても、結果は同じだった。
結局のところ、自分の常識を捨てるしかないんだなと判断した。
そして、煙草に火をつけ一服する。
( ^ω^)「煙草吸ってますお。」
ξ゚听)ξ「そうね。」
17 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:16:22.01 ID:j61cttQY0
部屋の中からはドクオの姿がよく見える。
ブーンが歩きだしベランダのガラス戸を開けて外にでる。
煙草と夜の風独特の匂いが入ってきた。
ツンも続いてベランダに出る。
ξ゚听)ξ「ドクオ君、前に何で煙草吸うか聞いたわよね
あれね、ブーンが知りたがったから聞いたのよ。」
(;'A`)「そうですか。」
自分に興味があったのではなくブーンのために聞いたと知り、少しがっかりした。
それと同時に最近ツンが変わったのはブーンのせいと思い嫉妬した。
18 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:17:19.70 ID:j61cttQY0
( ^ω^)「おいしいですかお。」
煙がふわっと宙に舞ったところでブーンが質問する。
けれどもドクオは煙草を吸うことを、格好つけてるんじゃないか、と
思われることを嫌っていたのでストレートな質問に戸惑った。
(;'A`)「まあ、なんだったら吸いますか。」
ブーンに煙草の入った箱を差し出しすすめる。
( ^ω^)「いや、僕は吸えないんですお。
僕は肺が無く、人間で言うところの皮膚呼吸をしていますお。」
確かにブーンは肩を揺らしたり、胸を膨らますことが無かった。
そろそろ考えがまとまり、ブーンはアンドロイドだと認める気になった。
しかしそれならそれで疑問がわいてくる。なぜここにいるのか。
室内に戻りテーブルを囲んで三人が座る。
19 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:18:54.76 ID:j61cttQY0
('A`)「なんで、ここにアンドロイドがいるんですか。」
ドクオの素朴な疑問にツンが今までのいきさつを答えた。
そして、ドクオに新たな疑問が生まれた。
('A`)「で、俺を呼んでどうしようというんですか。」
ξ゚听)ξ「これからどうすればいいのかなって。
ブーンと暮らしていて居心地がよかったのよ。
一人暮らしだったけど、家に帰ればご飯も作ってくれるし
話し相手にもなってくれるし。
でもこんな生活がずっと続くわけ無いじゃない。
だってブーンはアンドロイドなんだもの。
それで、今後どうすればいいのかを相談したかったのよ。」
20 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:19:23.71 ID:j61cttQY0
('A`)「どうするも、ツンさんはどうしたいんですか。
この生活を続けたいのか、それともやめたいのか。」
ξ゚听)ξ「そうね、続けられるならこのままの生活がいいわ。
でも、それがいいのかどうかわからないの。」
('A`)「ちょっと、煙草吸ってきます。」
ドクオはまたベランダの外にでて、煙草を吸った。
どうしたものかと考えるが、何も思い浮かばない。
思うのはブーンに対する嫉妬だけだった。
21 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:20:40.57 ID:j61cttQY0
少し時間がたつと、ブーンもベランダに出てきた。
( ^ω^)「こんばんわですお。」
('A`)「ああ、こんばんは。」
ブーンは挨拶をすると、そこから見える夜道を見つめた。
まるで、なにか隠れているものを見つけ出そうとするかのように。
22 :
ツアーコンダクター(愛知県):2007/04/15(日) 16:20:58.86 ID:FjwIK9Mi0
バーボン回避
23 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:21:58.00 ID:j61cttQY0
。
そして、それと同じように煙草に視線を変えた。
数十秒のことだったが、その視線に耐えられなくなったドクオは
これがアンドロイドかと苦笑しながら聞いた。
('A`)「そんなに、吸いたいんですか。これ。」
( ^ω^)「ええ、吸ってみたいですお。
人間に溶け込むため色々知りたいんですが
実際にやってみなくちゃわからないこともありますお。」
('A`)「いや、別にいいもんじゃないですよ。体に悪いし。」
24 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:22:24.78 ID:j61cttQY0
( ^ω^)「そこがわからないんですお。
いくら嗜好のためとはいえ体に不利益なことをするなんて。
でも、こう思うんですお。
この場合煙草のように体に悪いことでも、自分にとって神聖なものに
するようなことこそが人間なんじゃないかって。」
確かにどこか情緒的なものを感じていたが、ブーンのように
大げさに大上段に振りかざした言い方をされるとちょっと照れた。
吸い終わると部屋に戻った。
25 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:23:46.81 ID:j61cttQY0
ξ゚听)ξ「どうすればいいと思う。」
こんなときは大概自分の中で答えが決まっている。
ただその答えに確信が無いから誰かに後押ししてもらおうとする。
しかしこの場合は違った。本当にどうすればいいかわからなかった。
('A`)「ツンさんの好きにしたらいいんじゃないですか。
何者かわからないけど、一緒に住みたいって言うなら
それでいいんじゃないですか。」
ξ゚听)ξ「そんなこと言ったって、どうすればいいのよ。」
('A`)「だからツンさんのしたいようにすればいいんですよ。
ブーンさんがアンドロイドだって言わずに
暮らしていれば多分ばれませんよ。」
26 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:24:22.44 ID:j61cttQY0
ドクオはツンがこんな答えを求めているんじゃないと知っていた。
この非現実的なことに対しどう対処すればいいのかを現実的に考えて欲しいんだろうと思った。
しかし、ブーン対して嫉妬を抱いていたドクオは冷たくそう言いツンの反応を待つ。
ξ゚听)ξ「そう。」
ツンはそれだけ呟くと黙ってしまった。
('A`)「じゃ俺、帰りますね。」
27 :
都会っ子(青森県):2007/04/15(日) 16:24:30.15 ID:nmVcxpkk0
wktk
28 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:25:44.50 ID:j61cttQY0
ドクオが帰って、部屋の中にはブーンと二人きりになった。
自分ひとりでは解決できない問題にあたって、さらには助けを求めた相手に冷たくされて
何もできない自分が卑小な人間に思えた。
( ^ω^)「顔色が悪いですお。大丈夫ですかお。」
ξ゚听)ξ「大丈夫よ、それよりもこっち来て。」
( ^ω^)「はいですお。」
ξ゚听)ξ「ねぇ、抱っこして。」
ブーンはツンの体をお姫様抱っこした。
ツンがブーンの胸に顔を押し付け喋りだす。
29 :
ペテン師(東京都):2007/04/15(日) 16:26:07.09 ID:jGNq2wpo0
ksk!ksk!ksk!
30 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:26:46.71 ID:j61cttQY0
ξ゚听)ξ「ドクオがね冷たくするの。私のこと嫌ってるんだ。」
( ^ω^)「そんなことないですお。」
そう言いながらツンの髪をすき頭をなでる。
ξ゚听)ξ「でもね、でもね前はあんな言い方しなかったの。
前は、もっと優しい言い方だったの。」
( ^ω^)「大丈夫ですお。明日には元通りですお。」
ξ゚听)ξ「ほんと、嘘じゃない?」
( ^ω^)「僕は嘘ついたことはないですお。」
ξ゚听)ξ「約束してくれる?」
( ^ω^)「もちろんですお。」
31 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:27:35.58 ID:j61cttQY0
これまでにない甘え方だった。
ツンもわかってはいるが止まらない。
こんな自分を受け入れてくれる。ブーンは優しくしてくれる。
そう思うと、恥ずかしさもすぐに忘れ、幼児ごっこに没頭してしまった。
次の日ツンが起きるとブーンの姿は無かった。
部屋の中のどこにもいない。
テーブルの上に、「ツンさんへ」と書かれた封筒があった。
32 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:28:24.85 ID:j61cttQY0
(=゚ω゚)「その手紙にはなんて書いてあるんだょぅ。」
(´・ω・`)「さあねえ、なんだろうね。
お話はとりあえずここまでさ。またおいで。」
(=゚ω゚)「気になるょぅ。」
(´・ω・`)「すまないね。まだ先は考えていないんだよ。」
(=゚ω゚)「そうかょぅ、またくるょぅ。」
子供は立ち上がり、玄関から出て行った。
33 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:28:49.63 ID:j61cttQY0
老人は暖炉のある部屋で独り言を呟いた。
(´・ω・`)「さてどうしたもんかね。僕の知ってるのはここまでなんだよね。
あの子が今度来るまでに考えておかなきゃ。」
そう、この話は老人が考えたものではない。
老人の住む村にひょっこり現れた人物から聞いたものだった。
この話は一回聞いただけで覚えているのはここまでだったから。
老人は暖炉の前に置いてある、ゆり椅子に座り目を閉じてこの先を考え始めた。
暖炉からでる暖かい空気を全身に受けながらつい眠った。
34 :
都会っ子(青森県):2007/04/15(日) 16:30:31.61 ID:nmVcxpkk0
wktkが止まらない
35 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:32:59.02 ID:j61cttQY0
ここはどこだ。ぼくは誰だ。
目を覚ますと暗闇の中だった。何も身につけていない自分以外は確認できない。
体を動かすと、どうやら思い通りに動いてくれるようだ。
何十分か色々確認していたら、エネルギーを摂取したいという衝動が出てきた。
よくわからないが、僕はその衝動に身を任せエネルギーとなるものを探した。
36 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:33:22.24 ID:j61cttQY0
目が慣れてくると、この場所がわかってきた。
多分ここは、工場の敷地内のようだ。
とりあえず周りを見渡しエネルギーとなりそうなものを口に入れる。
先ほどの衝動が時間をかけ消えていった。
どうやら、有機物を摂取することによってエネルギーとなるようだ。
敷地内を後にすると大げさな建物が乱立している。
衝動が消えた僕は何をすればいいのかわからないので、とりあえず歩いてみた。
夜道を歩いていると前方から、僕に似た格好の有機物が近づいてきた。
とりあえず、エネルギーを摂取しようと思ったが、僕の格好を見て、踵を返し走っていった。
37 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:33:48.34 ID:j61cttQY0
なぜ逃げるのかと考えた。僕の体とさっきの有機物はほとんど同じ格好をしていたのに。
なにか、違うところがあるのだろうかと考えたが思い当たるふしはなかった。
しかし、よく自分の体を観察すると
有機物は服を身に纏っていたのに対し僕にはそれが無かった。
多分それが問題であったのだろうと思い、近くにぶら下がっていた服を取り身に着けた。
38 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:34:45.87 ID:j61cttQY0
やがて夜が明けて、有機物が多く現れてきた。
どうやら、エネルギーの心配はなさそうだ。
しかしどうも多すぎる、ここは有機物のテリトリーらしい。
有機物を観察すると僕と同じ言葉を話すらしく
試しにおはようと真似たら、おはようと返してくれた。
39 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:37:05.84 ID:j61cttQY0
歩きながら観察すると、有機物は何かしらの行動を取っている。
始めは疑問だったが、有機物は群れることで生活しているようだ。
しかし、目に映るものはその名称がでてくるのだが有機物に関してはそれが無い。
僕は特にやることが無いので図書館に行ってみた。
さまざまな本があり、有機物に対しての知識を得ようと考えたからだ。
有機物は「人間」という名称で、この惑星を全体にわたって支配していることがわかった。
人間について調べていたら、閉館の時間になり追い出されてしまった。
40 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:38:27.95 ID:j61cttQY0
またエネルギー補充の衝動が沸いてきた。
しかし、ここは人間のテリトリーである。
なるべく見つからないようにしなければ。
人通りの少ない道を歩いていたら、人間がやってきた。
僕はその人間を殺して、お金を取った。
そのお金で食糧を買いエネルギーを摂取した。
何故か人間を食べるという発想は僕に無かった。
41 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:38:55.80 ID:j61cttQY0
図書館に通いつめたり、人間を観察することで僕にある感情がわいてきた。
誰かと話したい。
僕は一人でいたが、どうも心細い。
けど僕は人間を殺した。
もしそれが発覚したら、制裁を受けるのだろう。
僕は人間のテリトリーに溶け込むことができるのかな。
42 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:39:26.00 ID:j61cttQY0
どうしようか迷っていると、僕の目の前を一人の女性が通った。
僕と同じような表情と歩き方をしている。
僕と同類かと考えたら、心が弾んだ。
後をつけると彼女は大勢で仕事をする建物に入った。
僕はどうしても彼女が気になり、観察する決心をした。
夕方になると彼女が建物から出てきた。
同類かどうかわからないので、まずは見つからないように後をつけた。
43 :
ブロガー(愛知県):2007/04/15(日) 16:41:05.07 ID:j61cttQY0
どうやら、彼女は一人で暮らしているらしい。
でも彼女が同類かどうかわからない。
僕はそれが気になってしょうがない。
これが僕の使命なのかとも思ったが、別のようだ。
エネルギーをとりたいと似ているようで違う。
僕が目覚めてから19日がたった。
彼女と話したい気持ちはあの日以来ずっとだ
ずっと迷っている。同類かどうかの判断がつかない。
44 :
留学生(東日本):2007/04/15(日) 16:41:21.51 ID:n13TRtF20
支援
45 :
社会科教諭(広島県):2007/04/15(日) 16:43:13.95 ID:gkoaj7VP0
wktk
46 :
ブロガー(愛知県):
結局、僕は彼女の部屋の前で待つことにした。
だけど、エネルギーを補充するのを忘れていて倒れてしまった。
このままではまずい。体が動かない。意識が朦朧としてきた。
「あの大丈夫ですか。」
女性の声が聞こえた気がした。
でもなんだかはっきりしない。
「あの、返事が無かったら救急車を呼びますよ。いいですか。
どうやら本当に女性がいるようだ。
食料が欲しい。
「食料が無くてエネルギーがたりませんお、何か食べるものをください。」
僕がそう言うと、女性はチョコレートを持ってきた。
それを一気に食べると、その女性が彼女であることに気づいた。
しかし、今すぐのエネルギーが足りないため、僕は眠りについた。