( ^ω^)ブーンが無罪となり人間と認められるようです
1 :
人民解放軍(愛知県):
この国の首都にある最高裁判所で一つの判決が言い渡されようとしていた。
どこか威厳と育ちのよさを感じさせる風貌をもった裁判長が判決文を読み上げる。
/ ,' 3「では、被告であった有機アンドロイド、ブーン氏に対する判決を読み上げる。」
国中の注目となる判決。
どのような内容でも物議をかもし出すであろう。
裁判長は自分の信念に基づき判決を決めた。裁判長自身どう判決を決めても
国中、いや世界中の話題になることはわかっていた。
しかしこの判決に関しては裁判長の独断と偏見が許される判決でもあった。
それほどに特殊な裁判であった。
/ ,' 3「有機アンドロイド、ブーン氏は最高裁判官である私の判断により人間と認め無罪とする。」
( ^ω^)ブーンが無罪となり人間と認められるようです
2 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:39:34.55 ID:Cg6pmE/O0
いいところのお嬢様のように上品な顔立ちの女性が夜道を歩いている。
勤め先からの帰り道であり自宅へと続く道。一人暮らしのアパートへと向かっていた。
女性は自宅へ帰ってからの一人でいる気楽さとそれに付随する人恋しさを肌で感じながら。
人間はそんなときよく妄想をする。
例えば男性ならば物陰から暴漢が襲い掛かってきて見事にやっつけてしまう妄想だとか、
女性なら、曲がり角を曲がった途端に整った顔の男性とぶつかりそこからロマンスが始まる妄想など。
この女性も同じことの繰り返しの現実から逃避するように
自分の中でこんなことが起きたらいいなと思うことを考えていた。
3 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:40:46.61 ID:Cg6pmE/O0
女性が自分の部屋のある3階に到着したとき倒れている人間を発見した。
見たときはその場の状況が把握できなかったが、女性は倒れいている人間に恐る恐る近づき声をかけた。
ξ゚听)ξ「あの大丈夫ですか。」
大丈夫ではないから倒れているのだが、どう声をかけようか迷った女性は結局その言葉しか思い浮かばなかった。
倒れているのは体格からして男性だと判断した。
また服に血や汚れが無いことから外的な怪我ではなく体の中が原因だと考え
とりあえず返事を待った。
4 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:41:10.35 ID:Cg6pmE/O0
息もしてないように見えたがどう判断して、どう処置をしていいのかわからなかったので女性は
携帯電話を取り出し救急車を呼ぼうとした。
だが一般的な人はこういう状況に出くわしても通話ボタンを押すのをためらう。
何が原因で倒れているのかわからないのでは呼んでいいものかを迷う。
もしかしたらただ寝ているだけかもしれない、そう思うと救急車を呼んだ後に
恥をかくことになってしまい、それを恐れる人が多い。
女性も例に漏れなかった。通話ボタンを押す前にもう一度声をかけてみた。
ξ゚听)ξ「あの、返事が無かったら救急車を呼びますよ。いいですか。」
5 :
接客業(コネチカット州):2007/04/12(木) 15:43:07.43 ID:xqw1q7M/O
wktk
6 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:43:29.93 ID:Cg6pmE/O0
そう言うと倒れている人間が声を発した。
( ^ω^)「食料が無くてエネルギーが足りませんお。何か食べるものをください。」
ξ゚听)ξ「えっ、お腹がすいてるの?」
考えていた事態よりも喜劇的な事態とわかり女性は拍子抜けした。
しかし、お腹がすいただけで人間はこのように倒れるものだろうか。
とにかく本人がそう言っているので部屋の中からチョコレートを持ってきて男性にあげた。
チョコレートをすごい勢いで食べる男性。それは人間業ではなかった。
銀紙を取ってから2、3秒で飲み込んでしまった。
女性は余程お腹がすいていたんだろうと無理矢理自分を納得させた。
7 :
とき(樺太):2007/04/12(木) 15:44:23.18 ID:wDYSZKikO
tktk
8 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:45:55.75 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「大丈夫ですか。そんな勢いで食べて。」
あまりの勢いにたじろいたが、異様といえる食べっぷりに少し心配になり声をかける。
( ^ω^)「大丈夫ですお。少し眠りますお。」
女性は会話になっているのか怪しいが一応意思の疎通はできると考えた。
しかしこんなとこで寝られては困る。
偶然だが関わりを持った以上自分のできる範囲では責任をもとうと思った。
ξ゚听)ξ「あの、ここで寝られては困るんですけど…」
9 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:47:47.79 ID:Cg6pmE/O0
とりあえず自分の意向を伝えようとした。
けれども男性から返事は無い。
倒れていたぐらいだからもし男性が怒ってもそれほど力は出せないだろうと思い
女性は体を揺さぶってみた。
激しく揺すったのだが起きる気配がまったく無い。
男性の顔を覗き込むとまさしく寝ている顔をしていた。
このまま警察を呼ぼうかとも考えたが男性の顔が自分の好みでもあったし
珍しくドラマチックな出来事に遭遇した女性はこの出来事をこれで終わらすのは
もったいないと思い男性を部屋に担ぎこんだ。
ξ゚听)ξ「まあ、かかわっちゃたわけだしね。とりあえず寝かすだけよ。」
返事が無いとわかっているのにそう声を出す。
見知らぬ男性を一人暮らしの部屋に上げる行為に少し躊躇したが
そう言い聞かせることで自分を納得させた。
10 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:50:01.05 ID:Cg6pmE/O0
次の日の朝、女性は7時に目を覚ました。すでに男性は起きていてソファに座って雑誌を読んでいた。
寝てしまうと寝る前の事柄が整理されているのに気づく。
女性はなんでこんな無用心なことをしたのだろうと反省した。
だが男性は部屋を荒らすわけでもなく、女性が起きてくるのを待っていた。
どうやら常識はあるのだなと安心した女性はとりあえずあいさつをした。
ξ゚听)ξ「おはようございます、昨日玄関で倒れていたので運んでしまいましたが
体は大丈夫ですか。」
( ^ω^)「おはようございますお。昨日もらったチョコレートで助かりましたお。」
視線を雑誌から女性へと向け挨拶をする。
女性は何を聞こうか迷ったがまず相手の名前を聞いた。
ξ゚听)ξ「あの、私はツンと言います。あなたのお名前は何ですか。」
( ^ω^)「僕の名前ですか…」
11 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:50:42.77 ID:Cg6pmE/O0
男性は名前を聞かれて視線をツンからはずした。
ただ名前が無いのだから視線をはずしどう言おうか考えたのだが
ツンといった女性はそれを後ろめたい行為があるから言いたくないのだと判断した。
しかし確証がない。とりあえず犯罪者かもしれないといった考えを片隅に置きつつ
話すことにした。
ξ゚听)ξ「ええあなたの名前です。」
( ^ω^)「僕に名前はありません。」
少し戸惑いながらツンが聞く。
ξ゚听)ξ「どういうこと?」
( ^ω^)「そういうことですお。僕に名前はありませんお。」
視線をツンに戻しまじめに答える男性。
ツンは会社では人事部に所属しておりその美貌からよく会社説明会や
学生の面接をする際のアシストをしていた。
そのため相手が言っていることが本当かそれとも言いたくないことかの
判断の仕方をベテランの面接官から教えてもらっている。
その知識で男性を計ろうとするが最低限嘘は言ってないと判断できた。
12 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:52:02.82 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「じゃあ記憶喪失ということ?」
自分の中で納得できるような答えを求めてツンはそう聞いた。
( ^ω^)「違いますお、名前が無いんですお。」
どうにも納得ができない。名前が無い、そして記憶喪失でもない。
一体どうしたものかと考えていると自分では手に負えないと思い
警察に連れて行くことにした。
ξ゚听)ξ「よくわからないわね。じゃあ一緒に警察に行きましょうか。
それならなんとかなるかもしれないし。」
なんとかなるかもというのはツン自身にとってだった。
だが男性はそれを了承し警察へ向かうことになった。
会社勤めのツンは電話をして午前中は休むと伝えた。
13 :
デパガ(東京都):2007/04/12(木) 15:52:22.20 ID:HOOMIPgv0
サザン 野 トリビア
14 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:52:34.89 ID:Cg6pmE/O0
警察署につきツンが受付のものに何が起こったのかを伝える。
するとある部屋へと案内された。
そこで事のあらましを説明してツンは会社へと向かった。
午後から出社し仕事をしているツン。
昨日と今日の朝あった出来事は忘れて仕事に精を出していた。
その出来事を忘れようとする為にやっていたのだが思いのほか
仕事が進んだ。
退社の時間、提示に帰ろうと会社を後にするツンに同僚のドクオが声をかけた。
('A`)「あっ、ツンさん。よかったら一緒に帰りませんか。」
15 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:55:14.74 ID:Cg6pmE/O0
このドクオという男は容姿も悪くなく社内では女性から結構な人気があったが
理系の大学を出ておりドクオは女性が苦手だった。
ツンもドクオのことは知っていたし何度か話したことがある。
ただドクオの煙草を吸うところはあまり好きではなかった。
煙草さえなければ十分恋愛対象にもなったのだが
特に好ましいというわけではなくその一点だけでツンは恋愛対象からはずしていた。
ξ゚听)ξ「あなたまだ敬語なのね。同い年だしもうやめてよね。」
('A`)「いや、まあ入社したのはツンさんのほうが一年早いから
一応先輩ということで。」
そういうドクオの口からは煙草独特の口臭が無かった。
ξ゚听)ξ「別にいいじゃないの。まあいいわ帰りましょう。」
ドクオはツンが煙草嫌いだということを最近知ったのでツンに会う前は
極力吸わないようにしていた。
16 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:55:46.47 ID:Cg6pmE/O0
ドクオが夕飯を食べようと言い、ツンはそれを了承した。
お洒落なレストランに入り二人はメニューを見ている。
ξ゚听)ξ「なににする?」
('A`)「えっとちょっと考え中。」
ドクオが店を決めたのだが、それは雑誌を見てどこに誘うおうか考えた結果だった。
ツンを誘うことには成功したが、何がおいしいのかは覚えていない。
なんとかツンの前で格好をつけたいのだがお勧めのメニューを忘れてしまった。
ξ゚听)ξ「そう、じゃ私はこれにするね。」
格好をつけてこれがおいしいよ、などと自分のお洒落さを
アピールしたかったがツンが先にメニューを決めてしまった。
でも、何を頼めばよくわからないのでツンと同じものを頼むことで
その場を乗り切った。
17 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:57:41.87 ID:Cg6pmE/O0
適度にアルコールも入り女性が苦手なドクオでもあまり緊張せずに話せた。
ツンはドクオが女性に苦手意識を抱いていることを噂で聞いていたが
案外大丈夫なんだなと考えたりしていた。
ξ゚听)ξ「ドクオ君って理系の大学なんでしょ。」
('A`)「ええ、そうです。」
ξ゚听)ξ「理系ってやっぱり女の子は少ないの。」
('A`)「そうですね、やっぱり男ばかりですね。」
ξ゚听)ξ「ふーん、じゃあ女の子が苦手な男の子とかいるの。」
わざとドクオを困らせるような質問をする。
ドクオは自分でも女性を苦手だと思っており、また理系の男は女慣れしていないから
ツンの言ったことは本当のことだと思った。
しかし正直に答えれば自分もその一員に思われてしまうと考えたドクオは
どう答えれば自分はそんなことは無いけれど他の大多数はそうだと伝えれるのか迷った。
理系大学のことを知らないツンにそんなことはないよと言えばいいのだが
そんなかわし方をドクオは知らなかったし、また嘘をつきたくなかった。
18 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:58:07.58 ID:Cg6pmE/O0
('A`)「そうですね、周りは結構いましたよ。女性に苦手意識を抱いているやつは。」
周りにいるということで自分はそうではないと遠まわしにアピールする。
そんなドクオの背伸びがツンの目にはかわいく思えた。
そして二人は食事をしながら会社の話に移った。
ツンは人事部ということもあり、あまり会社の話をするほうではないが
ドクオは人の話を第三者に伝えることをしないので安心して話せた。
19 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:58:40.99 ID:Cg6pmE/O0
いつだったかドクオに口が堅いねと言ったことがあるのだが、
話してくれた人に不利になるような情報は信用を失うから言わないようにしている
といわれた。
そんなドクオだからこそ少し会社のことを話した。
ξ゚听)ξ「私は人事部でしょ。だからあまり誘ってくれる人がいないの。」
そうつぶやいた。暗にもっと誘ってくれと言っていた。
ただドクオはそれに気づかずストレートに受け取った。
('A`)「人事部は大変ですね。」
そう言って話を会社のことに戻す。
本気でそう思っているのがツンにもわかり微苦笑した。
20 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 15:59:14.77 ID:Cg6pmE/O0
食事が終わり二人はレストランを後にし駅へと向かう。
まわりはすっかり暗くなっていた。
('A`)「それじゃあ。俺こっちなんで。」
ξ゚听)ξ「今日はありがとね。奢ってもらっちゃって。」
('A`)「いやいや、いいですよ誘ったのはこっちだし。
それと帰り道気をつけてくださいね。最近このあたりで
通り魔がいるらしいですから。」
ξ゚听)ξ「大丈夫よ、こんなもの持ってるから。」
ツンが鞄から催涙スプレーを取り出す。それを見て笑いあう二人。
それじゃと言ってドクオは改札口に向かっていった。
ツンもアパートに向かうために電車に乗り車内で今日の余韻を楽しんでいた。
駅から歩いて帰る。また今日も何か起こらないかと想像していた。
家に帰ればまた一人っきり。そんな生活に少し疲れていたツンのささやかな楽しみだった。
21 :
デパガ(東京都):2007/04/12(木) 15:59:33.64 ID:HOOMIPgv0
ksk!ksk!ksk!
22 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:01:08.35 ID:Cg6pmE/O0
アパートに着き階段を上がる。
昨日あったことを思い出しているとあれはなんだったのか気になってきた。
神様が退屈な日常に少しスパイスをくれたのかなとメルヘンチックなことを考えていた。
3階につき玄関が並ぶ通路に出たとき一瞬昨日に戻ったのかと思った。
玄関の前に昨日の男性がいたからだ。
驚きの表情が顔についたままのツンに男性が話しかける。
( ^ω^)「こんばんは。今日はお願いがあってここにいますお。」
23 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:01:36.58 ID:Cg6pmE/O0
なぜここにいるの。警察に引き渡したのに。
なんとか解決策を探すが見つからない。
( ^ω^)「こんばんは。今日はお願いがあってここにいますお。」
もう一度言われた。その場の状況を整理すると昨日ここに倒れていた男性が
今日またここにいる。
事実を簡略化し冷静な思考を取り戻そうとした。
落ち着いて男性を見てみると立ち居振る舞いが意外と上品なことに気がついた。
ツン自身厳しく躾けられていたこともありその態度が一朝一夕にできるものではないと知っていた。
だがそれが今の状況とは関係が無い。
24 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:02:03.21 ID:Cg6pmE/O0
( ^ω^)「お話がありますお。」
ξ゚听)ξ「話って何ですか。」
声の質を堅くする。相手に自分は警戒していますよと伝えるために。
そして鞄の中にある催涙スプレーを掴みいつでもかけれるようにしておいた。
( ^ω^)「警察には記憶喪失というということで納得してもらいましたお。
中に入ってお話がしたいんですけどいいですかお。」
ξ゚听)ξ「困ります。何でそんなにお話がしたいんですか。」
( ^ω^)「これを見てくださいお。」
そういうと男性は自分の腕を伸ばし、曲げた。
その曲がり方は関節部分で曲げるのではなく骨のある部分を湾曲させた。
体は人間そのものだが、人間はどう考えてもあのようには曲がらない。
グロテスクな深海魚を見たときのように未知の生物に対する恐怖がそこにあった。
何をされるかわからない、どうなるかわからない。
非現実的な現実を目の当たりにしてツンの感情はそれに耐え切れず意識を遮断した。
男性はその場に倒れこんだツンから鍵を探り、そのまま部屋の中へと運んだ。
25 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:03:16.03 ID:Cg6pmE/O0
朝7時に目覚まし時計がなる。
その音で目を覚ましたツンはどこか違和感を感じた。
服は昨日のまま、化粧も落としていないしお風呂にも入っていない。
なにがあったか思い出せない。
布団から抜け出し周りを見るとそこには雑誌を読んでいる男性がいた。
( ^ω^)「おはようございますお。」
確かこれと同じことがあったはずだと考え込む。
そして昨日あったことを思い出した。
ξ゚听)ξ「ちょっとあんた、なにやってんのよ。」
とにかく威嚇することが第一だと思い、語気を鋭くした。
26 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:03:49.93 ID:Cg6pmE/O0
( ^ω^)「お話がありますお。」
ξ゚听)ξ「あんた昨日もそう言ってたわね。っていうかどうやって部屋に入ったのよ。」
( ^ω^)「あなたのポケットから鍵を探しました。倒れていたので運びました。」
淡々と事実を羅列する男性。
ツンはもしかしたらと思い股間に手を当てた。
どうやら変なことはされていないようだ。
ξ゚听)ξ「一体何なのよ。部屋に入ってきて。」
( ^ω^)「お話がありますお。」
自分の意見を伝え続ける男。
その人間性の無さにツンはどこか現実感をなくし始めた。
27 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:04:46.91 ID:Cg6pmE/O0
そして昨日あったことをはっきりと思い出し、とりあえず話を聞いてみようと思った。
ξ゚听)ξ「わかったわよ、話なさいよ。」
とにかく今は自分の立場の方が不利だと悟った。
携帯電話が鞄にあるが、それを取り出したら男が向かってくるだろうと思えたから。
( ^ω^)「僕は人間ではありませんお。
昨日見せたとおり骨も無く、また人間のような呼吸もしませんお。
チョコレートなどの糖分で動くアンドロイドのようですお。」
28 :
講師(樺太):2007/04/12(木) 16:05:53.28 ID:oSGRysUXO
wktkが止まらない
29 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:06:22.11 ID:Cg6pmE/O0
ツンは言葉にどこかおかしなところを感じる。
自分で自分を説明しているのにはっきりしない。
話を続けようとする男性の言葉を遮ってツンは聞いた。
ξ゚听)ξ「ちょっと待って、アンドロイドのようです?
確かにあなたは人間じゃなさそうですね。
それは昨日のことからわかります。
でも、アンドロイドのようですってどういうこと。」
話を遮られても不快感の表情は出さずに、男性はツンの疑問に耳を傾けた。
( ^ω^)「ようですと言ったのは自分でもわからないからですお。
僕は人間ではない。それはツンさんの見解と一致しますお。
けれども僕が何者かと言われたら
アンドロイドという表現がちょうどいいと判断しますお。」
30 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:07:31.13 ID:Cg6pmE/O0
ツンの質問に答えたら口を閉じてしまった。
話すことがあったんじゃないかと思ったが
どうやら自分の相槌か何かしらの反応を見ているようだ。
ξ゚听)ξ「わかったわ、続けて頂戴。」
( ^ω^)「質問の答えは終わりですお。」
ξ゚听)ξ「話があったんじゃないの。」
( ^ω^)「はい、ありますお。けど質問の答えは終わりましたお。」
その言葉を聞いてツンはくすくすと笑った。
映画や本ではロボットは融通が利かないように描かれている。
どうやらそれは本当のことらしく、自分だけが映画監督よりも小説家よりも先に
体験したことに、またそれらの想像が正しかったことに笑った。
31 :
ハンター(愛知県):2007/04/12(木) 16:07:41.96 ID:ZDoxtz6m0
異端児ktkr
32 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:08:20.07 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「そうね、わかったわ。
じゃあね、あなたが昨日の夜と今日の朝に言っていた
お話したいことについて聞かせて頂戴。」
融通の利かない人に話しかけるように気をつけてそういった。
この時点でツンはこの状況を楽しんでいた。
いつも想像しているおかしな出来事。
今その中にいると思うと現実感が無く、不安や恐怖が消えていった。
33 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:09:28.23 ID:Cg6pmE/O0
( ^ω^)「はい、先ほど話した続きになりますお。僕は21日前からの記憶がありますお。
多分それが、僕が起動した時間ですお。ただ自分が何者かはわかりませんお。
でもどうやら何かをインプットされていたらしく言語や数字の演算はできますお。
しかし人間の行動に関する情報は無く、とりあえず人が大勢いるところで習慣を観察しましたお。
そしてあることに気づきましたお。自分は人間ではないということに。
僕にも生存本能があるらしく、自分を守ろうとしますお。
人間で言うところの死は、多分僕にとって機能停止にあたるともいますお。
この世界で生きていくにはどうやら人間と関わりを持たなければいけないようですお。
でもそのためには僕は人間社会に溶け込まなければいけませんお。
そして人間社会に溶け込むためには人間の真似をしなければいけませんお。
そこで、人間と一緒に暮らすことで、その習慣や感情の発生方法を探ろうと考えましたお。
そしてあなたを見つけ部屋の前で待っていましたお。
ただ、そのときはエネルギーが足りずに倒れてしまいましたお。
それが二日前の夜になりますお。」
34 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:14:12.15 ID:Cg6pmE/O0
男性はここでいったん区切りを入れてツンの顔を覗き込む。
少しの間沈黙が訪れたがツンが話し出した。
ξ゚听)ξ「ということは、私と一緒に住んで私を研究したいわけね。」
( ^ω^)「そういうことになりますお。
今のところ僕は、機能停止に陥ることを防ぐことだけが目的ですお。
そして、それを防ぐためには人間社会に入ることが一番いい案と考えたからですお。」
ξ゚听)ξ「目的はわかったわ、ところであなたは男なの女なの?」
( ^ω^)「僕の存在にはそういった区別はないようですお。
体格や顔つき、声が男のようですから一応対外的には男と言うつもりですお。」
35 :
ボーイッシュな女の子(コネチカット州):2007/04/12(木) 16:15:10.97 ID:9UcZLRxXO
面白い
36 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:15:17.36 ID:Cg6pmE/O0
また沈黙がきた。
男性はツンの答えを待っているようだった。
ツンは男性がアンドロイドだということは信じた。
ただ判断がつかなかった。
ツンの知っているアンドロイドは人間を滅ぼすために行動しているか
人間と共存しているかの二極端だったから。
前者であるならすでに行動していてもおかしくない。
後者であるなら納得できる。
37 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:16:28.21 ID:Cg6pmE/O0
はっきりとした判断材料の無いツンの出した答えは保留だった。
ξ゚听)ξ「あなたの言いたいことはわかったわ。
アンドロイドだということも人間社会に入りたいということも。
私は納得できるわその話に。
でもね、判断がつかないの。あなたの言うことを信じきれないの。
だからね時間を頂戴。今日の夜またここに来て頂戴。
そのときに答えを決めるわ。」
( ^ω^)「わかりましたお。
けど、ここと言うのは、今いるこの場所でいいんですかお。」
38 :
お世話係(ネブラスカ州):2007/04/12(木) 16:16:40.38 ID:vPd71PHvO
追い付いた
wktk
39 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:17:50.84 ID:Cg6pmE/O0
男性が場所の確認をする。
どこかおかしいが、それは自分の言葉に不明瞭なところがあったからだと
気づき訂正した。
ξ゚听)ξ「えっとね、今日の夜9時。私の部屋の前に来て。」
男性にわかりやすいよう伝えるべきことだけを簡潔に伝える。
( ^ω^)「わかりましたお。では僕は外に出ますお。
約束の時間になったらまたきますお。」
男性はそう言ってツンの部屋から出て行った。
40 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:18:50.32 ID:Cg6pmE/O0
その日の正午。ツンはドクオと一緒に食事を取っていた。
ツンからの誘いにドクオは喜びでニヤニヤしそうになるが
それを隠すために苦労した。
なんで素直に感情を出せないのかなと考えもしたがそれが性分だと思った。
ツンはなるべく個室に近い食べ物屋に入った
そこで注文をして、出されたお茶をすする。
普段ならこんな雰囲気の時には居心地の悪くない沈黙があるはずだった。
しかしその日は目的があってドクオを誘った。
41 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:20:47.38 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「あのね、ドクオ君。アンドロイドって知ってる。」
落ち着いた雰囲気を持った店内が急に安っぽくなる。
そんな質問だった。
('A`)「ええ、知ってますよ。
人間のようなもの。
本来そういった意味ですが映画や小説なんかの影響で
アンドロイドと言った言葉自体が人型ロボットを指すようになっています。」
ツンの知らないアンドロイドの定義を話すドクオ。
人間のようなもの。
なんとかのようです、ばかり言うあいつにはぴったりだと思った。
その知識にツンは感心したが、ドクオは少し恥ずかしそうにしている。
どうやらロボットやそういう類が好きなようだが、ドクオ自身それは子供っぽい
志向だと考えているようだった。
42 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:21:36.93 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「へぇ、そうなんだ。
今だとそういうのってどれくらい発達しているの。」
いつもはこんな話をしない。
それにツンはこういった工学系の話は苦手だったはずだ。
ドクオはなぜこんな話をするのか疑問に思った。
('A`)「なんでそんなこと聞くんですか。」
このときドクオはツンを疑っていた。
自分の子供っぽい趣味を聞いて笑おうというんじゃないかと。
43 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:22:24.57 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「弟がね、そういうの好きでよく話すんだ。
ドクオ君なら詳しいかなと思って。」
('A`)「ああ、そういうことですか。」
安心したドクオがアンドロイドや、それにまつわる工学的な話をする。
なるべくツンにわかりやすいように心がけて。
ξ゚听)ξ「へぇ、結構発達してるのね。
弟がアンドロイドは有機的なほうが作りやすいって言ってたけど
そういうこともあるの。」
とりあえず何でも弟が言っていた、と言うツン。
44 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:24:23.36 ID:Cg6pmE/O0
('A`)「弟さん詳しいですね。
確かに科学雑誌では機械だけのアンドロイドより
有機的な物質を使用したほうが製作は簡単だと言ってますね。
まあ、人間を含め動物はとても複雑にできていますから
映画に出てくる機械だけのアンドロイドを作るよりも
動物や人間の細胞から作ったほうが早いかもしれません。
人間のクローン技術はほぼできていて、後は倫理的な問題ですからね。
アクチュエータ、あ、小さいモーターのことです。
アクチュエータを関節にあわせ何十個も開発するよりも
筋肉の大きさを変えるほうが簡単に製作できると書いてありましたね。」
45 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:25:33.11 ID:Cg6pmE/O0
自分の見解と科学雑誌からの知識を話す。
ツンが興味深そうに聞いてくるのでドクオは照れたような顔をした。
ξ゚听)ξ「そうなんだ。
でもそんなのができたら、なんか怖いわね。
アンドロイドが人間を襲ったりしそうで。」
('A`)「確かにそういう心配もありますね。
工場なんかでは作業ロボット、自律的に動くわけではなく
人間の指示によって動くものは使い方次第で怪我を負わせることもできますから。」
ξ゚听)ξ「怖いわね。もし実際にアンドロイドができたら人を襲ったりするの。」
('A`)「ツンさんの言っているのが自律的に動くものだとしたら
あまり考えられませんね。
アイザック・アシモフという作家がロボット工学三原則をつくったんですが
それが自律的アンドロイドを製作する際の基本となっていますからね。」
46 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:26:21.98 ID:Cg6pmE/O0
アイザック・アシモフと三原則についてはツンも多少知っていた。
ただ人に危害を加えないということだけを。
しかし、それが実際に機能するかどうかに疑いがあった。
ξ゚听)ξ「それって人に危害を加えないというのだっけ。」
('A`)「ええ、そうです。乱暴に要約すると
ツンさんの言ったとおり人間に危害を加えない。人間が危険だったら守る。
こんな感じですかね。」
こんな話をしながら食事を取る二人。
聞きたいことは他にもあったが、昼休みの時間が終わりかけたので会計をして店を後にした。
その際ドクオが二人分払うと言ったが、誘ったのは私だからとツンが全部払った。
47 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:27:49.94 ID:Cg6pmE/O0
会社に戻り業務をこなしていると退社時間が迫ってきた。
いつもどおり定時より1時間程遅れて退社する。
いつもの道、いつもの駅、いつもの電車。何一つ変わらない日常のはずだった。
ただアパートへと向かう間にする妄想はなかった。
一人でいる寂しさを感じながら帰るのが日課だった。
しかし、その日は違う。九時になればあの男が来る。
今日は一人じゃない、そう思うと不安半分、嬉しさ半分だった。
48 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:28:27.47 ID:Cg6pmE/O0
ツンの中でほとんど答えは決まっていた。
本音を言えば一人でいる寂しさを紛らわすためだった。
見知らぬ男と一緒に住むというには、ツンの常識から考えて抵抗があったが
そこは人間と一緒に住むのではない、あれはアンドロイドだ、と思い込んで折り合いをつけた。
九時ちょうど、通路に足音が聞こえる。
部屋の中でインターホンが鳴り少し驚くツン。
アンドロイドのことだから、どうせ部屋の前でじっと待っているだろうという、予想が外れたから。
しかし、嬉しくもあった。今日は寂しい夜を過ごさないですむ。
玄関を開け、男を中に招き入れる。
49 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:29:14.71 ID:Cg6pmE/O0
( ^ω^)「おじゃましますお。」
男が部屋に入った。
ソファに座るよう促しツンも椅子に座る。
ξ゚听)ξ「あんた、よくインターホンのこと知ってたわね。
てっきり、部屋の前で待つのかと思ったわよ。」
( ^ω^)「町を歩いていると、似たような行動をとっていましたから
それを真似したんですお。」
ξ゚听)ξ「なるほどね。」
どうやら、自分の思っていたアンドロイドよりも融通は利くようだ。
そう思いながら、ツンはまじまじと男を見詰めた。
やっぱり、礼儀正しさはあるようだ。
しかし、人間としての礼儀はないように思えた。
他人の部屋をきょろきょろと見回しツンにも視線を遠慮なくぶつける。
50 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:29:50.52 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「そんなにきょろきょろしないでよ。」
不快感を覚えたので軽く注意する。
( ^ω^)「わかりましたお。」
男はそれだけ言うと、まるで人間のように視線をふらつかせた。
その仕草がどことなくドクオに似ていると感じ親近感を抱いた。
ξ゚听)ξ「まだ、私には判断がつかないから色々質問したいんだけどいいかしら。」
( ^ω^)「いいですお。」
ξ゚听)ξ「私を部屋へと運んだことがあったよね。
それはなんでかしら。」
( ^ω^)「それは、あのままにしておくとツンさんが危険と判断したからですお。」
ξ゚听)ξ「それは、人間を危険から守るためなの。」
( ^ω^)「ええ、そうですお。」
どうやら、ロボット三原則はついているようだ。
51 :
ジャーナリスト(宮城県):2007/04/12(木) 16:31:08.13 ID:2o/cUG9N0
おいついた
wktk
52 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:31:54.90 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「何で私を選んだの。」
( ^ω^)「とくに理由は無いですお。たまたまツンさんが僕を助けてくれた。そして部屋に上げてくれた。
だから多分今度も僕を助けてくれるんじゃないかと考えたんですお。
人間は一度関わったらそれを忘れるまでなるべく関わろうとする。
そういった習性を持っているようなので、一番僕を住まわせ
てくれる可能性のあるのがツンさんだと判断したんですお。」
誰でもよかった。それがたまたま自分だった。
そこに恣意的なものがないというのが逆に信用できた。
53 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:32:54.29 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「わかったわ。いいわよ、あなたを住まわせてあげる。
でも、まずは一週間よ。それであなたに異常的な部分が見られたら
出てってもらうわよ。」
( ^ω^)「それでいいですお。では一週間住まわせてもらいます。」
ξ゚听)ξ「そういえば、あなた名前無いんだったわね。なんて呼べば言いかしら。」
( ^ω^)「なんでもいいですお。べつに無くてもかまわないんですがお。」
ξ゚听)ξ「そういうわけにはいかないでしょ。何かと不便だしあなただって
名前があったほうが気分がいいでしょ。」
そう言って、この男にふさわしい名前を考え始めた。
54 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:33:55.31 ID:Cg6pmE/O0
その間、男はツンから言われたとおり視線をやたらと動かすことなく
人間らしい目の動かし方をしていた。
ξ゚听)ξ「そうね、ブーンってのはどうかしら。
昔見た漫画でそんな名前のロボットがいたの。」
( ^ω^)「いいですお。ではこれから僕の名前はブーンにしますお。」
この後、部屋に住まわせるブーンに簡単なルールを教えていった。
人として基本的なことや、やってはいけないこと。
ツンは環境の変化にわくわくしていた。
アンドロイドと住む。しかも高性能といえるものと。
不満ばかりの日常を変えてくれるかもしれない、そう考えると
どこか反社会的と思えることも、ツンにとってそれはスパイスとなった。
55 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:36:09.27 ID:Cg6pmE/O0
ブーンを住まわせて一週間が過ぎた。
ツンはこの状況を気に入っていた。
家に帰ればおかえりといってくれるし、ご飯も作ってくれる。
話も聞いてくれるし、的確な意見も言ってくれる。
そんなことに幸せを感じながらアパートに帰った。
( ^ω^)「おかえりなさいだお。」
ξ゚听)ξ「ただいま、今日のご飯は何。」
( ^ω^)「今日は、ハンバーグですお。ツンさんの好みに合わせて
豚肉と牛肉を混ぜましたお。」
ξ゚听)ξ「ありがと、じゃあ早速食べようかしら。」
もう慣れたもので二人でテーブルを囲む。
有機アンドロイドであるブーンも食事を取る。
一人で食べる侘びしさをツンは忘れていた。
56 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:37:00.88 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「今日はね、ドクオ君に何で煙草を吸うか聞いてみたわよ。」
ブーンが昨日、人間はなぜ体に悪いことを進んでするのかを聞いた。
その例として煙草をあげたのだが、吸わないツンにとってはよくわからない。
そのため、ツンがドクオに聞いたのだ。
( ^ω^)「なんて言ってましたかお。」
ξ゚听)ξ「なんかね、結構難しいこと言ってたわよ。
煙草は体に悪い、でもおいしい。
他のものでも代用が利くんじゃないかといわれたらそうかもしれない。
ただ、俺は煙草を吸うこと自体が好きなんだ。
自分でも上手くいえないけど、煙草を吸うっていうのは
俺の中で自分を守るためって。」
57 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:38:54.15 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「煙草の持つ独特の雰囲気や気分が好きなんだって。
私はよくわからないけど、煙草に対する憧れがあるんだって。」
( ^ω^)「憧れ?」
ξ゚听)ξ「親も吸っていたし、好きな映画の主人公も吸っていた。
そういった憧れの存在があるから吸っているんだって。
ドクオ君は煙草にロマンを感じているみたいだったわよ。」
( ^ω^)「なんとなくわかったお。でも、ロマンってなんですかお。」
ブーンが聞くがツン自身も説明できなかった。
ロマンという言葉は使ったりするが、それはなんとなくロマンと思った場合に
感覚的に使うだけで、自分自身では定義ができていなかった。
ツンは本棚へと向かい国語辞典を出して、ロマンの項目を探した。
58 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:40:18.66 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「ロマンは、元はフランス語で小説って意味ね。
ロマンスは現実には無いような事件、出来事、冒険。または男女間の愛情に関する話。
ロマンチシズムは空想的で情緒、感傷を好む精神的傾向。
ロマンチックは空想的、情緒的であるさま。」
ξ゚听)ξ「ドクオ君はロマンス、ロマンチック、ロマンチシズムを混ぜ合わせた感じで使ってるのかな。」
( ^ω^)「なるほど、その本貸してくれませんお。」
国語辞典をブーン渡す。
それを受け取り、何かを探しているようだった。
しかし、そんなブーンに対しツンは疎外感を感じた。
国語辞典で調べるブーンに自分に聞いて欲しい、頼られたいと思った。
59 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:41:06.75 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「なに調べてるの。」
( ^ω^)「情緒を調べてますお。」
ξ゚听)ξ「そんなこと私に聞けばいいじゃない。」
( ^ω^)「でもこっちのほうが正確ですお。」
少なからず苛っとしたが、相手はアンドロイドだ。
悪気は無いのだろうと考え黙る。
( ^ω^)「喜怒哀楽などの心の動きを誘い起こすような気分、雰囲気。
これなら確かに、ドクオさんは煙草にロマンを感じているようですお。」
60 :
プレアイドル(東京都):2007/04/12(木) 16:42:17.49 ID:+kChroGn0
やっと追いついた
支援
61 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:44:14.87 ID:Cg6pmE/O0
自分の思ったとおりじゃないかとツンは思ったが
情緒という言葉に対して定義がはっきりしていないのが気になった。
ξ゚听)ξ「ちょっと貸して。」
ブーンから国語辞典を受け取り、情緒の項目を読む。
ξ゚听)ξ「へぇ、意外ね。〜のような気分なんて、だいぶ曖昧ね。
どんな言葉でもはっきりとした定義があると思ってたのに。」
( ^ω^)「そういったことをはっきり決めないのが人間的なんでしょうかお。」
ξ゚听)ξ「かもね。これはロマンだ、これはロマンじゃないって決めるよりも
人それぞれが勝手にロマンを感じてればいいんだしね。」
62 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:46:20.41 ID:Cg6pmE/O0
一週間の間、ずっとこんな感じだった。
ブーンに影響され会社内でツンはよく人に、何でそんなことしているのと声をかけるようになった。
些細なことで自己主張しているところを見ると、どうも気になってしょうがないのだ。
アンドロイドと人間の違いってなんだろう、人間の定義って。
そう思うと、つい誰かに関わるようになっていった。
だが、それのおかげでツンへの評判は変わっていた。
前は冷たく人間味の無い美人だったのにと。
ツン自身、人と関わるのを避けていたのだが、ブーンと暮らし始めてそれが変わった。
さっきの国語辞典のことだってツンに一言聞けばいいのだがそれをブーンはしない。
ツンは自分が頼りにされてないと思うと少し悲しくなった。
もしかしたら、ほかの人もそうなんじゃないかなと思い、会社で人に頼るようにしてみた。
案外に上手くいった。迷惑ではないだろうと思うことを頼んでみると喜んでやってくれた。
人間は誰かに必要とされていると思うと嬉しくなる。
そんなことを実感した。
63 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:47:02.12 ID:Cg6pmE/O0
ブーンが食事の片づけを終えて、テレビを見ているツンに話しかける。
( ^ω^)「ツンさん。終わりましたお。」
ξ゚听)ξ「あら、早いのね。ありがと。」
( ^ω^)「今日で一週間たちますお。もう少し観察したいのですがいいでしょうかお。」
ξ゚听)ξ「あんたねぇ、言ったでしょ。人を物扱いしたら駄目だって。
その言い方だと、私の立場があんたより下みたいじゃないの。
どっちが上下ってことはないんだから。
まあ居たいって言うんならもう少しいてもいいわよ。」
実際はブーンに出て行かれたくなかった。
たったの一週間だが、この間にツンは一人で暮らす自信をなくしていた。
64 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:47:42.37 ID:Cg6pmE/O0
ξ゚听)ξ「ちょっとブーンこっち来て。」
( ^ω^)「はいですお。」
ブーンをソファに呼び寄せ、座らせた。
ツンはブーンの太ももを枕代わりにして寝転がる。
出て行かれたくない理由だった。
65 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:48:09.58 ID:Cg6pmE/O0
3日前に酔って帰ってきてブーンに抱きついたのがきっかけ。
厳格な父と母に育てられ、あまり甘えることが無かったツンは
甘えたいという感情をなるべく感じないように過ごしてきた。
今に至るまでも。
だが、酔った勢いと、アンドロイドであるブーンに対する気安さから
つい、幼少の頃やってみたかったことをしてしまった。
もう大人なんだからだと自分に言い聞かせても
その心地よさに負けてブーンに甘えてしまう。
そんな自分がみっともないと思うのだが、それが甘えを加速させていった。
どうせ子供なんだから、ちょっとだけだから、親に甘えられなかったから。
そう言い訳をしながら、ブーンに対するツンの幼児退行は進んでいった。
ξ゚听)ξ「頭なでて。」
( ^ω^)「はいですお。」
こうしてブーンとツンの夜が更けていった。
66 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 16:48:56.58 ID:Cg6pmE/O0
(=゚ω゚)「それでどうなるんだょぅ。」
(´・ω・`)「さあてね、とりあえずここで区切ろうか。まだまとまってないんだよ。
1週間以内には終わらせるからまたきておくれ。」
老齢の男性がそう言うと、子供はお邪魔しましたと言って帰っていった。
老人は煙草を口に咥え火をつけた。
そして窓を開けそこから見える公園の銅像に向かい煙を吐いた。
支援
68 :
守銭奴(コネチカット州):2007/04/12(木) 17:07:22.32 ID:f9xtPYJgO
終わりか?
なんか見てて面白いな、この話
69 :
国会議員(樺太):2007/04/12(木) 17:16:35.10 ID:Gv6vT74+O
嫉妬と尊敬の眼差しを送らせて頂きます
70 :
俳優(広島県):2007/04/12(木) 17:21:14.41 ID:C39Adiom0
今日は本物が多い
巧い
71 :
別府でやれ(チリ):2007/04/12(木) 17:22:05.38 ID:Rjvglnm80 BE:194304724-2BP(0)
支援
話がわかりやすいから吸い込まれるな
72 :
中二(千葉県):2007/04/12(木) 17:22:34.80 ID:oM2P88iY0
嫉妬と羨望しか出てこないけど支援
73 :
不老長寿(コネチカット州):2007/04/12(木) 17:47:44.85 ID:AkpmCrRKO
素直に面白い
74 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 18:19:54.70 ID:Cg6pmE/O0
(´・ω・`)「なんだい、まだいたのかい。
もしよかったら何か言っておいてくれないかな]
老人は部屋の片隅に向かい話しかけた。
そこに、目には見えないお話好きの妖怪がいるの老人は知っていた。
75 :
人民解放軍(愛知県):2007/04/12(木) 18:26:27.91 ID:Cg6pmE/O0
(´・ω・`)「わかりづらいね。ごめんなさいしないとね。
君たちがお話を聞いているのは知っているよ。
けどこの世界は時間がたつとなくなるんだ。
君たちはそれを防ぐことができるんだ。
もしよかったら他の人のために何か書いていってくれないかな。
僕には見えないけど、もしかしたら他のお話好きが読むかもしれないからね。」
こんなにじっくり読んだ萌え系じゃない小説は初めてだ
77 :
プレアイドル(東京都):2007/04/12(木) 18:33:17.92 ID:+kChroGn0
お?
78 :
中二(千葉県):2007/04/12(木) 18:53:31.91 ID:oM2P88iY0
VIP歴浅いが、こんなに読みやすく文章力のある小説は初めてだ
80 :
守銭奴(コネチカット州):2007/04/12(木) 19:01:41.25 ID:f9xtPYJgO
僕は妖怪じゃない!
81 :
舞妓(青森県):2007/04/12(木) 19:06:10.17 ID:idm0gp7A0
______
| |
| |
| ・∀・ | フワーリ i'|
| | i' |
⊂ ⊃ i' |
.| | ______ / |
| |/ / `i / |
| | / `i/ /
. | | |\ \ /
`i `i |  ̄ ̄ ̄ ̄
`i `i |
\ \ ノ
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
82 :
とき(樺太):2007/04/12(木) 19:49:40.99 ID:wDYSZKikO
ほ
83 :
ブロガー(千葉県):2007/04/12(木) 20:11:36.29 ID:TXvoLRs70
半年病の人?
84 :
ジャーナリスト(宮城県):2007/04/12(木) 20:35:05.07 ID:2o/cUG9N0
ほす
86 :
わけ(コネチカット州):2007/04/12(木) 20:58:27.22 ID:Fp178FzmO
今読んだ。
乙
87 :
わさび栽培(秋田県):
保守!