ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ?!」
1 :
ハンター(東京都):
2 :
ハンター(東京都):2007/03/30(金) 23:03:54.68 ID:RskOhfQe0
4 :
団体役員(東京都):2007/03/30(金) 23:05:47.59 ID:WTEAXN1z0
5 :
新聞社勤務(アラバマ州):2007/03/30(金) 23:06:03.52 ID:e+Q/Rqsf0
7 :
ボーカル(大阪府):2007/03/30(金) 23:06:26.92 ID:p7FwuW3h0
9 :
数学者(関東):2007/03/30(金) 23:13:50.87 ID:veLUygrVO
>>1 乙
分裂読んで佐々木とキョンの小話が一つ出来上がったが、4月2日までは自分の中でお蔵入りだな
ところで憂鬱を読み返してたら冒頭の確か20pあたりで谷口がハルヒについて「成績はわりと優秀な方」みたいなことをいってんだが
ハルヒってトップクラスの超優秀な方ってイメージがあるんだが、漏れの記憶違いか?
そりゃ授業を真面目に聞いてないような感じで、放課後も勉強してる、ってわけでなく
成績優秀なのだから、そういうイメージであってると思うが。
すると谷口の発言はどういうことだろうな。
負け惜しみって感じかね?
実際、ハルヒが家で何してるか解らないからな…
勉強とかしてるのか?
18 :
図書係り(空):2007/03/30(金) 23:48:02.70 ID:2geQP1Ic0
前スレで投下した「ウソがホントになる世界で」の続きを、6レス投下していいですか?
ちょっと長くなってしまい、後編じゃなくて、中編になってしまいました。
21 :
図書係り(空):2007/03/30(金) 23:50:16.90 ID:2geQP1Ic0
ウソがホントになる世界で 6
「お風呂がね、温泉みたいなのよ」ハルヒは嬉しそうに言う。「すごく広いし、お湯もずっと湧き出てるの」
「そうか」
「入ったら?ここまでくるのに随分歩いたんじゃない? お風呂入って、すっきりしなよ」
「それはそうなんだが……」
「ね、お風呂入りなよ」
ハルヒにせかされるように風呂場に向かった。
脱衣所は広く、これまた見覚えがある。どこで見たのか、それは思い出せないのだが。
洗面台にはごていねいに歯ブラシが二本おかれている。ちと、ご丁寧過ぎやしないかね?
まるで、俺達のために誂えたように見えて仕方がない。
制服を脱いで、適当なカゴに畳んで入れた。
ポケットから滑り出た携帯電話を取り上げた。やはり圏外のままだった。メールも着信もない。
どうやってここから脱出すればいいのか、早いところ方法を考えなきゃいかんよな。こういう時に頼りになる長門がいないのが痛いところだ。
しかし、ハルヒのやつはどうしちまったんだ? こんなとんでもない状況なのに、妙に落ち着いてやがる。
まるで、最初からここにいたかのように。
腰にタオルを巻いて風呂場に入った。なるほど、ハルヒが言うように広い風呂だった。洗い場も、10人は並べるほど広い。
ちゃんとシャワーがあり、リンスやシャンプー、ボディソープもそろっている。
角に積み重ねてあった桶と、腰掛けをとり、洗い場のひとつに腰を落ち着けた。
豪快にシャンプーを使って頭を洗う。メレンゲのようになるまで使うのは、ウチの家では珍しくない。
体を洗いはじめたところで、風呂場の戸が開いた。振り向くと、バスタオルに身を包んだハルヒが笑顔で立っていた。
「おいおい、ちょっとマズイんじゃねえか?」
「大丈夫。あたしたちだけだし。風呂、ここにしかないし」
「そういう問題かよ」
「いいじゃない。別に知らない仲じゃないんだし」
逆をやったら、多分半殺しにされるんだろうな。本当に都合のいい奴だ。
ハルヒは桶だけを取って、俺のとなりに腰を落ち着けた。
「背中、流したげようか?」ニヤッと悪魔が微笑みを浮かべた。次はきっと魂を売り渡す契約書にサインしろというのだろう。
「え……」
「はやくしなさい」ハルヒは口をとがらせて言った。「あたしだって、結構恥ずかしいんだから」
22 :
図書係り(空):2007/03/30(金) 23:51:19.46 ID:2geQP1Ic0
ウソがホントになる世界で 7
「あ、ああ」
俺は泡だらけのタオルをハルヒに渡し、背中を向けた。
ハルヒがごしごしと俺の背中を擦っていく。かなり力をいれているようで、痛みすら覚える。加減しろ、ハルヒ。
しかし、いささか困った問題が発生中だ。このままでは立てない。……男なら分かるはずだ。
「ほら、これでおしまい。あとは自分で洗いなさい」
「あ、ああ」
泡だらけのタオルを渡されて、俺はためらいながらも体を洗い出した。ちらりとハルヒの方を見れば、頭を洗いはじめているところだった。
それなら遠慮することはねえか。俺も本格的に体を洗った。
シャワーで泡を流し、ハルヒに声を掛けた。
「先、入ってるな」
「いちいち断らなくていいわよ」のんびりした声が帰ってきた。
立ち上がろうとしたが、とある事情により、中腰でないと歩けない。
普通に歩くと、腰に巻いたタオルが手品のように上に持ちあがってしまうためだ。
もちろんこれは手品だ。ハルヒに聞かれたらそう答えるつもりだ。
湯船にゆっくりと浸かる。本当に温泉なのだろうか。単純泉ってやつかもしれん。
心地よい暖かさに、思わずため息がでる。体にたまった疲れがお湯に溶け出し、どこかに消えるようだ。
面倒がおこらないように、ハルヒには背中を向ける位置を取った。
湯船の向こうはガラスになっていて、青い空と海が一望できた。空には雲一つなく、やはり遠くまで澄み切っていた。
「体洗うから、こっち見ちゃだめよ」
「ああ、分かってる」湯船に顎まで浸かりながら、俺はそう答えた。
間違いが起こらないように目を閉じて、これまでのことを振り返ってみる。
白い砂浜、青い空と海。どこかで見たような記憶はあるけれど、思い出せない。
青い海と空は水平線の向こうで溶け合っていた。
どこまでも続く白い砂浜には、足跡もなく、どこまでも続いているよう。
カモメの一羽も見かけないのは何故なのか。俺達以外の生物がいない世界。
ここはどこなのか。そしてどうすれば帰れるのか。
あのメールに書いてあったように、ウソで出来上がった世界に俺は来てしまったのか。そうすると……俺やハルヒは本物なのだろうか。
それとも、すべてがウソなのだろうか。
支援
24 :
図書係り(空):2007/03/30(金) 23:53:22.55 ID:2geQP1Ic0
ウソがホントになる世界で 8
ちゃぽんという音の方をみれば、白い足首が見えた。ハルヒの足だった。
きれいに整えられた爪は薄いピンクに彩られていた。結構、マメなんだな。
「あ、バレちゃった」ハルヒが小声でいった。「驚かそうと思ったのに」
「そんな手にひっかかるかよ」
「どうかしら」ハルヒは湯船にゆっくり体を沈ませつつ言った。
ハルヒはすこし泳ぐように移動して、俺と向き合う場所に体を落ち着けた。
残念なことにバスタオルを体に巻き付けたままだ。もっともバスタオルがなければ、俺の理性はもたなかっただろうな。
洗い立ての髪をタオルで包んでいて、後れ毛から水滴がポタポタと落ちている。
ほんの少し赤い顔はいつものハルヒと寸分違わないように見えた。
「初めてね。二人でお風呂入るなんて」
「そうだな。……ちょっとばかり驚いてるぜ」
「何に?」
「この場所と、堂々と風呂に入って来るハルヒに」
「この場所、なんか変よね。あたしたち以外に生き物はいないみたいだし」
風呂の件は、きれいにスルーかよ。
「ああ、カモメの一匹もいやしない。なにか間違ってるぜ」
「でも、いい場所っていえばそうよね」
「それは認めるが、どちらかというと元の世界の方が、俺はいいね」
「そう? あたしも一人でいるのは嫌だけど、別にここでも……」
「どうすりゃ帰れるのかね」
「わかんない。でも、食べるものもあるし、ゆっくり考えてもいいんじゃない?」
「あんまり時間はないかもしれんぞ?」
「焦ってもうまくいかないかもしれないし。今日はのんびりして、明日考えればいいじゃない」
「それはそうだが……」
「そろそろ出ない? ゆで蛸になっちゃいそう」
「……先に出てくれ」
「どうかしたの?」
「非常に具合の悪い事態が起きてるんでな」
ハルヒはなにも言わずに湯船から上がった。顔が赤いのは、お湯であたたまったというだけには見えなかった。
支援
26 :
図書係り(空):2007/03/30(金) 23:54:24.85 ID:2geQP1Ic0
ウソがホントになる世界で 9
俺が脱衣所に入ると、ハルヒはスウェットに着替えていた。スウェットといっても、ボトムがハーフパンツになっているものだ。
「あんたの着替え、そこおいといたから」
ハルヒは洗面台で、髪にドライヤーを当てて乾かしていた。
俺の服をいれたカゴの中に、まっさらのスウェット、そしてTシャツやパンツが用意されていた。
「すまねえな。……制服はどうした?」
「洗えるものは洗濯機。洗えないものはリビングに吊るしといたわ」ハルヒはごく当たり前のように言った。
「重ね重ね悪いな」
ハルヒは聞こえなかったかのように、ドライヤーを続けている。俺は濡れたタオルを別のカゴにかけて、バスタオルで体を拭きはじめた。
「丸見えなんですけどぉ?」ハルヒがぶすっとした口調でいった。「ちょっとは配慮しなさい」
「こっち見んな」俺はパンツを履きながら答えた。「金取るぞ」
「そんないいもんじゃないでしょ?」
ちょっとぐらい涼みたいところだがな。パンツ一枚で体重計乗ったりとかな。
しかしハルヒが鏡経由で睨んでいる。やむを得ず、スウェットを着込んだ。
「ドライヤー、もう一個あるわよ」
「そいつは助かるね」
かくして、二人洗面台で、むすっとした顔を並べて髪を乾かすことになった。
「ふふっ……おんなじ香りがするね」ハルヒがドライヤーを止めていった。
「そりゃ、同じシャンプーやリンス使ったからな」
「なんかうれしくならない?こういうのって」
「そうか?」
「つまんない奴ぅ」ハルヒはため息を付いた。「ま、いいけど」
俺の頭はすぐ乾いたが、ハルヒはまだドライヤーを当てている。ハルヒの髪は結構ボリュームがあるからな。乾かすのに時間がかかるのだろう。
俺はドライヤーを片付け、扇風機のある場所に移動した。
扇風機を強にして回した。気持ち良い風にうっとりしてしまう。
「先、でてもいいよ?」ハルヒが大きめの声で言う。
「別に待ってるわけじゃない」
「あ、そ」
脱衣所を後にしたのは、ハルヒの髪が乾いてからだった。
支援
28 :
図書係り(空):2007/03/30(金) 23:55:34.68 ID:2geQP1Ic0
ウソがホントになる世界で 10
まだ寝るには早い時間であり、リビングに戻った。ハルヒはなにか飲み物を探して来るといってキッチンに消えた。
俺はソファに腰掛け、BGMがわりにTVをつけた。
ちょうど音楽番組をやっている。これまたどこかで見たような気がする。
キッチンに消えたハルヒが、缶ビールを二本持って戻って来た。
「禁酒したんじゃなかったのか」
「今日だけ解禁よ」ハルヒは勢いよくプルトップを開けた。「飲まないの?」
俺も缶ビールを手に取り、プルトップを開けるほかなかった。
「しかしさ、なんであたしたちだけなのかしらね」
「メール見たの、俺達だけだからだろう?」
「そういう意味じゃなくて、なんで誰もいないのかって事よ」
「さぁな」
「……あたしとキョンに用がある奴の仕業なのかな……」
「用があるなら、用件を言えってことだよな」
「あのさ」ハルヒは声を落としていった。「あんたが来るって聞いたって言ったでしょ、あたし」
「ああ」
「それってね、人の気配なんてしなかったんだけど、突然声が聞こえて来たの」
「ほう」
「『彼を連れてきた。しばらく待ってれば会えるよ』って」
「それはいつなんだ?」
「ここに来て、すぐ。時間は覚えてないけど」
「それ以外、なんか聞こえなかったのか」
「『これでも狭かったのか』って独り言はいってたけど」
「訳わからんな」
「最初、彼って誰のことかと思ってたけど、やっぱりキョンで安心したわ」
「ま、それは俺も同じだな……」俺はビールを一口飲んだ。
「あたしでよかった?」ハルヒは視線を逸らせながら言った。
「まぁな」一瞬、体が熱くなるような恥ずかしさを覚えたが、すぐ消えた。
「ふうん」ハルヒは視線を逸らせたまま言った。「そうなんだ」
29 :
図書係り(空):2007/03/30(金) 23:56:27.21 ID:2geQP1Ic0
ウソがホントになる世界で 11
ソファの前のテーブルに、空の缶ビールで山が出来た。かれこれ1リッターは飲んでしまっただろうか。
トイレにいくついでにビールを持って来るのだから、世話はない。
二人とも酔っ払っているわけがない。断じて泥酔状態などということはありえない。
俺がトイレから戻ると、ハルヒが抱きついてくる。そのまま抱き締めてやるのは、抱き枕に最適だからであり、酔っ払って理性を失っているわけではない。
「そろそろ寝る?」ハルヒがとろんとした目で言う。「上に広いベッドルームがあるの」
これはハルヒが眠いことを意味するだけだ。おれもそういう目をしているかもしれないが、これまた眠いことを意味するだけだ。
飲酒による酩酊状態を意味するものではないことを、ここで強調しておきたい。
「そうだな」
「ちょっと、もう……。どこ触ってんのよ」
「ああ、すまん。出来心だ」
「痴漢は犯罪よ」
「痴漢されたことあるのか?」
「いまされてる」口をとがらせてハルヒが言った。
「それでも俺はやってません」
「嘘つき。堂々と痴漢するな」ぺしぺしと俺の腕をハルヒは叩いた。「やらしいんだから」
「ハルヒが可愛いんだからしょうがないだろう?」
「責任転嫁するの?……ちょ、ちょっと。首筋にキスなんてどういうつもりよ」
「すまん。これも出来心だ」
「もう、あっち帰ったら本気で死刑にしてやるから」
「帰れたらな」
「帰れなかったら、ここで住んじゃおうよ」
「それもいいかもしれねえな」
「……ね、上がろう」目を伏せたハルヒがそっとささやいた。
「そうするか」
支援
31 :
図書係り(空):2007/03/30(金) 23:58:12.63 ID:2geQP1Ic0
ウソがホントになる世界で 12
ベッドルームは広かった。俺の部屋より3倍は広い。中央にダブルベッドが置かれている。大きな窓まである。部屋のすみには、オーディオセットまであった。
いやはや、こんな部屋に住むにはいくら稼げばいいんだろうね。
「すごいでしょ、あたしの部屋の二倍はあるわ」
ハルヒはうれしそうにささやいた。足元がふらついていたので、抱き上げてここまで運んできた。
さすがに重いので、そろそろ降りていただきたいのですが。
「ベッドまで運ぶって約束でしょう?」
そんな約束はしていないのだが、ハルヒに水掛け論で勝てる訳がない。俺は素直にハルヒをベッドまで運んでやった。
ちょっとバランスを崩してしまい、ハルヒともどもベッドにダイブしちまった。
ハルヒは気にした風もなく、俺も気にしてはいない。
「ふぅ」
ハルヒは大きくため息をつき、大きな瞳が一瞬閉じられ、またゆっくりと開かれた。
「やだ」短くそういって、ハルヒはかすかに笑った。
「どうした?」
「目がやらしい。キスしたそうな目してる」
「……眠いからだろう」
「ウソつき」
「……酒飲んだからな」
「それもウソ」
ハルヒの唇が誘うように動いている。いくぶん薄めの唇まで、あと1cmもない。
「ウソばっか。……ホントの事教えてくれたら、キスしていいよ」
「…キスしたい」
重ねた唇が熱いうずきのように感じた。
夢中で手のひらを重ね合わせ、しっかりと指を組み合わせた。
それもまた熱い。すべてのエネルギーが、熱に変わり、お互いを一つに溶かしていく。
なにをするにももどかしくて、いらだたしさを覚えてしまう。
もし、すべてが嘘だったとしても、この感情だけは本物であってほしい。
ハルヒと一つに溶け合いながら、それだけを願っていた。
つづく
32 :
通訳(北海道):2007/03/30(金) 23:59:27.56 ID:pWSsdycK0
乙。何というデレデレカップル…
GJ。なんか告白の人思いだしたw
ぐあぁぁぁぁ!乙!
この不思議な空間での新婚夫婦みたいな感じがぁぁぁぁ!
GJ これは良い
ある種の怖さを感じるのは俺だけだろうか
37 :
AV監督(長屋):2007/03/31(土) 00:06:17.35 ID:TiXuMsHV0
GJ!
うぉぉおおおおおお
甘めぇwwwwwwwwww
GJ!
甘いなw
みなさん、ありがとうございました。
日曜日には後編投下できると思いますが、引かれそうでいまから怖いorz
ところで告白の人って誰……? まぁいいか。
またよろしくお願いします。
40 :
船員(東京都):2007/03/31(土) 00:16:53.38 ID:uMhH5wQj0
乙!
驚愕の合間に読んだらギャップが堪らんww
続きwktk!!
41 :
船員(東京都):2007/03/31(土) 00:26:44.70 ID:uMhH5wQj0
驚愕じゃねぇよな……。分裂だorz
保守
43 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 00:56:36.85 ID:itmg1WjO0
44 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 00:57:24.44 ID:itmg1WjO0
それと5レス。
щ(゚Д゚щ)カモォォォン
wktk
47 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 00:58:37.84 ID:itmg1WjO0
「日常じゃない日常」長門サイド 1
わたしが本のページを捲る音と、古泉一樹が時折将棋の駒を打つ音のみがある部室に突然他の音が響いた。
古泉一樹が将棋の駒を床に落とした。
今ここにはわたしと古泉一樹しかいない。とても静か。本を読むには最適の環境。
そのはずなのに、わたしは少し退屈を感じている。他の三人がいないのと何か関係があるのだろうか。
駒を落とした古泉一樹は中々駒を拾い上げようとしない。何を考えているのだろうか。
そんな事を考えながらわたしは、なぜか古泉一樹より先に駒を拾い上げ、差し出していた。
「…あの、長門さん?」
…わたしは何をしているのだろうか。
落とした、と一言告げて、古泉一樹の顔に拾い上げた駒を近付ける。少し困惑しているよう。
なぜだろうか。駒を拾い上げる動作自体に問題はないはず。わたしは少し首を傾げる。
5秒ほどその状態が続き、突如わたしの手から駒を取った古泉一樹は、
「…ありがとうございます、長門さん」
その言葉の後に、わたしの頭を撫でた。
突然の古泉一樹の行動に、わたしは目を少しだけ見開く。
行動の意図が分からない。一体どのような考えを持ってわたしの頭を撫でているのだろうか。
古泉一樹の手はゆっくりとした動作でわたしの頭を撫で続ける。古泉一樹の手の暖かさを感じる。
なぜかわたしは意識をそこへ集中する。さらさらと流れるわたしの髪。古泉一樹は頭を撫で続ける。
この行為にはどんな意味が、と尋ねて、わたしは少しだけ後悔した。
こんな問い方では古泉一樹はわたしの頭を撫でるのを止める可能性が高い。
意識が撫でられる頭の方に向いて、的確な発言ができなかった。なぜ。
支援
49 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 00:59:23.23 ID:itmg1WjO0
2
だが、古泉一樹はわたしの予想に反して行為を止める事をしなかった。
「えーと…こう、相手の好意に感謝したい時に、相手の頭を撫でる事があるんですよ」
「そう」
古泉一樹は手を止めず、わたしの頭を撫で続ける。壊れ物でも扱うかのような優しい手の動き。
古泉一樹の言う事が本当かどうかわたしにはわからない。ただ、この行為は続けて欲しい、と思う。
二人しかいない部室。
通常は退屈なこの時。
わたしは奇妙な充足感を覚えていた。
5分26秒後、古泉一樹はわたしの頭を撫でる事を止めた。
少し、物足りない。わたしのその感情を読み取ったのだろうか、古泉一樹は苦笑した。
突然、手にさらさらとした感触を感じた。ふと右手を見て見ると、
…古泉一樹の頭を私が撫でていた。
「…あの、長門さん?」
古泉一樹が、わたしが将棋の駒を拾った時よりも遥かに大きく困惑している。
しかし、私も困惑している。わたしは一体何がしたいのだろうか。思考する。
支援
51 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 01:00:21.83 ID:itmg1WjO0
3
「あなたに頭を撫でられている間、わたしは奇妙な充足感を感じた。
わたしはこの充足感を与えてくれたあなたに礼をしたい。故にわたしは今、あなたの頭を撫でる」
この言葉は咄嗟に出てきたもの。嘘は付いていない。だけど言っていない事がある。
――わたしは、わたし一個体の願望として、古泉一樹の髪を触りたかった、という事。
…もしわたしがこの事を言ったらどうなるだろうか。
あまり望ましい結果になるとは思えない。困惑されるばかりだろう。
だから、これを知るのはわたしだけ。そうしよう。
指の間を髪が通り抜ける。古泉一樹の笑顔のよう。柔らかい。
―――この時間が長く続けばいい。
この、わたしが感じている充足感を古泉一樹も感じているなら、
わたしは少し、嬉しい。
支援
53 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 01:01:26.23 ID:itmg1WjO0
4
――わたしは、あの日から機会があれば欠かさず実行している事がある。
ある日の事。
「…あの、長門さん」
古泉一樹がボードゲームを取り出そうとした際、それを先に取り、机に乗せる。
次に古泉一樹の手を取り、自分の頭に乗せる。
27秒の待機時間の後、古泉一樹はわたしの頭に乗る手を動かし、撫でた。
またある日の事。
「…………」
二人しか部室にいない時、古泉一樹にお茶を差し出す。
古泉一樹は半ば諦めたかのような表情を浮かべ、わたしの手からお茶を取った。
飲み干すまで見届ける。
「おいしい?」
「…ええ、とても。ありがとうございます」
古泉一樹はいつも同じ返答をする。好意的な返答を返してくれるのは嬉しいが、
少しだけ、不満。
54 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 01:02:21.47 ID:itmg1WjO0
5
そしてわたしもいつも通りに、器から離した古泉一樹の手を取って、自分の頭に乗せる。
古泉一樹は全て了解したように柔和な微笑を浮かべ、わたしの頭を撫でる。
最近はわたしから何も言わずとも、頭を撫でてくれるようになった。
古泉一樹の指の間を通るわたしの髪。ゆっくりとした手の動作。
あの日と同じように感じる、説明の付かない、この奇妙な充足感。
…わたしは、あの日から機会があればこうして古泉一樹に頭を撫でる事を求めている。
わたしの頭を撫でる時の古泉一樹はいつもとは違う笑顔を浮かべている。
それはわたしの目には、少し楽しそうであるように映るが、確証は無い。
けれど。
―――古泉一樹ともっと触れ合ってみたい。
この感情だけは、確か。
終
支援
56 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 01:02:58.37 ID:itmg1WjO0
以上です。
GJ!
良いねー古長。
そして語りが上手い。
☆
59 :
工作員(福岡県):2007/03/31(土) 01:10:22.19 ID:C9xjS6QA0
GJ
古泉の手をとって頭なでを要求する長門かわいいw
60 :
秘書(コネチカット州):2007/03/31(土) 01:37:56.04 ID:+pF8vtNOO
保守
ぬる
●<ぽぉぉぉぉ!
が
アナル落ちた…
65 :
秘書(コネチカット州):2007/03/31(土) 02:18:32.50 ID:+pF8vtNOO
乱立か。
保守
書き込んだ瞬間落ちたからな…
あと5秒早ければ!
67 :
学校教諭(関東):2007/03/31(土) 02:25:44.01 ID:AmFPU1Q/O
ここであえてのage
こりゃ厄介だな。
落ちるペースが早過ぎる。
69 :
学校教諭(関東):2007/03/31(土) 02:32:36.34 ID:AmFPU1Q/O
乱立ウザったいな畜生……
どこに凸するか相談してたwww
あと1時間は起きてれそうだが…
保守
73 :
学校教諭(関東):2007/03/31(土) 02:46:23.02 ID:AmFPU1Q/O
sageたら速攻で落ちるな…
ほ
75 :
留学生(京都府):2007/03/31(土) 02:47:58.66 ID:fvTtY9X/0
ほすしえん
76 :
元祖広告荒らし(新潟県):2007/03/31(土) 02:53:16.24 ID:hhjsaSH/0
ほしゅ
77 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 02:55:35.91 ID:itmg1WjO0
ほす
78 :
留学生(京都府):2007/03/31(土) 02:58:19.94 ID:fvTtY9X/0
ねます
おやすみノシ
今TATESUGI値が32になってて乱立しやすくなったんだよな
まあ、アナルは明日の朝にでも。
81 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 03:01:01.01 ID:itmg1WjO0
ほす
さすが超夜型人間の集まり。
83 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 03:09:13.55 ID:itmg1WjO0
sageじゃ駄目か?
84 :
元祖広告荒らし(新潟県):2007/03/31(土) 03:09:31.75 ID:hhjsaSH/0
あとはたのんだ
85 :
請負労働者(栃木県):2007/03/31(土) 03:10:59.62 ID:IeMlnWXY0
あげましょう
まだ乱立してんの?
87 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 03:14:17.57 ID:itmg1WjO0
ほす
保守
89 :
船員(東京都):2007/03/31(土) 03:22:36.51 ID:uMhH5wQj0
ほしゅ
支援
ザー。
「・・・」
雨の日は憂鬱になる。理由は空が重いから、というわけではない。
いつもいつも大変で疲れる不思議探索は無いが、だからこそ憂鬱なんだ。
マイ・スウィート・エンジェルの朝比奈さんに出会えないからな。
家の窓から外を眺めても、雨は止まない。そりゃそうだ。
妹が隣でせっせと照る照る坊主を作っているが、それが効くかも解らないんだからな。
まぁ、願うなら効き目抜群のを妹が作ってくれる事を祈るさ。
そう思わずにはいられない。
だが、どうしても某魔法陣漫画に出てくる褌穿いた風の精霊にしか見えないんだが。
あれは角があってこれは角は無いけど。
まぁ、効き目があればそれで良いんだ。俺としてはね。
だって、晴れたら会いに行けるからな。
支援
―――ピンポーン。
そんな事を考えていると、玄関で呼び鈴が鳴った。
「キョンくん、出てー。私、照る照る坊主さん作りで大変だから」
そんなん打ち切れ。
って言ったら何だか俺の我が侭のように聞こえなくも無いのでそうも言っていられない。
仕方なく、俺は立ち上がって玄関に向かう。そして、鍵を外してドアを開けた。
「えへへ・・・会いたくて、来ちゃいました」
そこには、ずっと見たかった天使の恥ずかしそうな微笑があった。
「えっと・・・迷惑、でしたか?」
「いえ。俺も会いたくて仕方ないところでしたからね。どうぞ、上がって下さい」
「あ、はい・・・お邪魔します」
俺は二階へと朝比奈さんを連れて上がっていく。
妹を見てみると、照る照る坊主の材料を更にかき集めていた。
・・・何個作るんだ、あの角無しギップリャー!!を・・・。
「あ、キョンくん。熱湯ありますか?」
部屋に入る前、朝比奈さんがふと尋ねてきた。
「えぇ、ありますよ」
「良かった。キョンくんの為だけにブレンドした茶葉を持ってきたんですよ」
朝比奈さんはそう言って手に持っていたカバンを指差す。
そして、にっこりと微笑んだ。うむ、素晴らしいスマイルだ。
「俺の為ですか・・・それは楽しみです」
部屋の扉を開けて、自室へ入る。見慣れた部屋だ。
その俺の後ろを朝比奈さんは少しだけびくびくとしながら入ってきた。
多分、この関係になってから初めて二人きりになるもんだから緊張してるんだろう。しかも俺の部屋だ。
そのせいか部屋に入るや否や、微妙な空気があたふたと溢れかえってくる。
二人で固まる。緊張して、場がどんどんと静まり返る。
呼吸だけしか聞こえない。何もしないせいでどんどんと重々しくなっていく。
支援
支援
支援
仕方ない。俺から話題を切り出そう。
っていうかこれが男の仕事だよな。仕方ないじゃないだろうが、バカキョン!バカ俺!!
「朝比奈さん」
「ひゃ、ひゃい!?」
朝比奈さんは不意に俺が声を掛けたせいか、物凄い裏返った声を出した。
そして顔を真っ赤にして恥ずかしそうにする。可愛い。
そのプリティーな顔で何て話しかけようか忘れちまったぞ。やれやれ。
「熱湯、そこにありますよ」
とりあえずこれしかないよな。話しかけるネタ。
「え?あ、はい。えっと・・・ごめんね、変な声出して」
「いえ、別に構いませんよ。可愛かったですしね」
「そ、そんな事無いですよぉ〜・・・」
からかうとすぐに紅くなる頬。何度見ても飽きない表情ですよ。
「じゃ、じゃあ、お茶淹れますね」
まだ、少し恥ずかしさを引きずっている朝比奈さんの手つきは微妙に危うい。
何か妙に震えてるし、妙にテンポ悪いし。俺は不安で仕方がない。そして、
ガシャン。
案の定、目の前で湯のみを落として割った。ふぅ、安物でよかった。
慌てた様子で謝罪の言葉を並べながらあたふたとしていた。
そして、何を考えたのか素手で割れた破片を集めだした。
「いたっ・・・!!」
「朝比奈さん、大丈夫ですか!?」
「えへへ・・・少しだけ指切っただけですから大丈夫で―――ひゃぅっ!?」
例のごとく可愛い悲鳴を上げる朝比奈さん。理由は簡単。
支援
100 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 03:40:03.86 ID:itmg1WjO0
支援
口の中に、血の味が広がる。その血は朝比奈さんの。
甘くて甘い、気が狂いそうなくらい甘い朝比奈さんの血。
俺は指を口の中に入れていた。
「はわわわわわ・・・!!な、何やってるんですかぁ〜!?」
俺は口にくわえていたその白い指を抜く。
「消毒ですよ?」
「しょ、消毒・・・キョンくんの・・・消毒・・・あぅ〜・・・」
赤の上に赤を塗り重ねたような色の顔に俺は思わず頬が緩んだ。
「湯飲みは、俺が処理しておきますからお茶をお願いします。ちなみにティッシュそこにあるのでそれで拭いてください」
「ひゃ、ひゃい!」
俺はとっとと箒を取りに一階へと降りた。
ふと角無しギップリャー!!もとい照る照る坊主を作っている我が妹が気になって様子を見る。
・・・何か物凄く材料らしき物体が増えてないかね?
それ以前にそれは照る照る坊主なのか・・・?
何だか知らないが、軒下に飾ったら雨が上がるどころか、逆に雨や雪よりも氷が落ちてきそうな見目形だ。
俺は箒と塵取りを手に二階へと、静かに上がった。
何故静かにか、って?朝比奈さんに気付かれぬようにそっと何をしているのか見るのさ。
例えば人が見てない時どんな感じなのか知りたいだろ?見たくない?そうか、俺は見たいんだ。
そっと二階に着くとそっと半開きの扉に足をかけてそっと開ける。
「朝比奈さん」
「!?」
びくっとした朝比奈さんがこっちに振り向く。
さっき、俺が咥えていた指を咥えていた。
「・・・・・・・」
「・・・・・・・」
さて、どうしたものかな。ティッシュに触れた痕跡為し。という事は明らかに俺の唾付きなんだが・・・。
支援
支援
「ひゃ、ひゃのれすね、ひょれは・・・」
「指を口から抜くの忘れてますよ」
「ひゃい・・・あ、えっと・・・えっと・・・お茶淹れました」
明らかな話逸らし。だから、どうした。朝比奈さんのお茶を飲むのが先だろう、常識的に考えて。
「飲みます」
今更ながら、紅茶を急須と湯のみで飲むというのは中々趣なる物だ。
味は俺の為にブレンドしたというだけあってなかなか好みの匂いと味だ。
「凄く美味しいです」
「本当ですか?」
「えぇ。本当に美味しいですよ」
「良かったぁ・・・」
嬉しそうに微笑む。その顔が、可愛い。
可愛い?いや、愛しいというべきかもしれないな。
っていうか、俺はさっきから何回可愛いと心で連呼してるやら。
ふと雨が気になって外を見ると、雨量が恐ろしい事になっていた。
窓の外の様子を目視で確認すること不可なり。そういう状況だ。
苦笑いが出る。これは、間違いなくあの照る照る坊主のおかげに違いない。
「天気こんな状態ですけど、帰り大丈夫ですか?」
俺はとりあえず尋ねてみた。
「え?あ〜、凄い・・・大丈夫かな・・・・・」
「何なら家に泊まっていきますか?」
「ふぇ!?そ、そんな事したら迷惑掛かりますし、冗談ですよね!?」
「俺は、構いませんよ?あ、別に下心があるじわけじゃないんですよ?」
「怪しいです・・・。でも、良いんですか?」
えぇ、当然ですよ。
「貴女は俺の彼女ですからね・・・」
支援
106 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 03:43:55.16 ID:itmg1WjO0
し縁
「彼女、か。何だか嬉しいです・・・えへへ・・・」
そう言って照れ笑い。あ〜、何か抱きしめたくなる衝動が湧き上がってきた。
どうしようか。まぁ・・・とりあえず、
「ひゃっ!?きょ、キョンくん、突然ぎゅっされると恥ずかしいです・・・!」
衝動に逆らわず抱きしめとくさ。
「言っとくけど離しませんよ」
非難の声を上げてるけど抵抗しないんだから。
「良いです・・・逆に、離さないでって言いますから」
さて、こんな時どんなセリフが良いかな。そうだな、あの猫からセリフをいただこうか。
「僕のアリス、キミが望むなら」
で、その後なんだが、朝比奈さんは俺の家で泊まっていった。
それだけだ。何もしてないぞ?本当だぞ?
強いて言えば・・・まぁ、一緒に風呂入った、ぐらいか?
もちろん、タオルはお互いに巻いたぞ?本当だぞ?
朝比奈さんも恥ずかしがっていたが俺も物凄く恥ずかしかった。
うん、そりゃもう恥ずかしかったとも。
ちなみに、我が妹は降ってきた恐ろしい雨量に照る照る坊主を作るピッチを上げていた。
そして翌日の朝。
晴天を隠すかの如く窓を多い尽くす百数十個のぬらりとした笑顔の照る照る坊主に朝比奈さんが悲鳴を上げたのは秘密だ。
今回は以上。キョンクサすぎたかな。いや、これで良いか。
ちなみに、出来たらまた数時間以内に何か投下するかもです。
109 :
舞妓(北海道):2007/03/31(土) 03:46:53.75 ID:itmg1WjO0
甘い、GJ。
それと、乱立はようやく終わったようだ。寝るか…
乙!
キョン、エロス。
GJ!
なんかキョンが男前で素敵だ
112 :
わさび栽培(コネチカット州):2007/03/31(土) 04:01:54.56 ID:+pF8vtNOO
保守
保守
114 :
住所不定無職(コネチカット州):2007/03/31(土) 04:37:38.49 ID:RCz+yZdLO
保守ッ!!
115 :
船員(東京都):2007/03/31(土) 04:45:16.48 ID:uMhH5wQj0
寝る保守
ほしゅ
おはす
どうして俺には月休3日しかないんだとかいう一人突っ込みはおいといて、出勤前に投下していきます。
7〜8レスほど使用
スペース作ってた本屋に今日分裂あるかなー。
朝比奈みくるの未来 第5章
(1)
第5章・デートだよな?
10時20分だ。
まるで、小学生が遠足の日の朝いつもより早く目が覚めちまったので待ちきれずとりあえず集合場所に来ましたって感じだな。俺は朝は超低血圧なのでそんなことは一度もなかったけどね。
そんなことを考えながら、CO-LARGEMAN前のコインロッカーとでかい本屋の入り口との間で、壁にもたれられる場所を確保して朝比奈さんの登場を待った。昨夜から大きな寒波が襲来してかなり冷え込んだ今朝だが、こういう時は寒くても気にならないもんだよな。
待つこと20分…来ない。いつもの朝比奈さんなら遅くとも20分前には待ち合わせ場所に来る几帳面さを持っているのに、いったい今日はどうしたのだろうか。
服を選ぶのに時間がかかってるのか化粧に時間がかかってるのか。女性の外出準備は時間がかかるだろうし、まだ予定の時間でもない。焦んな、じっとしてろ。
更に15分。朝寝坊だろうか? ドジっ娘朝比奈さんならあり得ることだが電話ぐらいは入れたりするだろう。少し心配だ。
気がつくと道行く女性すべてに視線を泳がせている。まだ5分ある。落ち着け。
約束の時間を2分ほど過ぎていろんな可能性が頭の中を駆け巡り、立っている足下の地下街にある噴水のように吹き上がる不安とイライラを押さえきれず朝比奈さんの携帯に電話をかけようと思った頃、危なっかしい歩調で階段を下りてくる人影を見た。
白いダウンの膝丈でちょっともこっとしたコートにピンク色のマフラー。そしていつか転ぶんじゃないかと見る者すべてをはらはらと見守らせる危ういオーラ。俺の朝比奈さんだ。間違いない。
「はぁっ、はぁ・・・あ、あのぉ、遅れてっ・・ごめんなさいっ・・・はぁっ、ふぅ」
息も絶え絶え、胸に手を当てうつむいて呼吸を整えている。電車を降りてから全力疾走してきてくれたのだろう。ヒールのあるブーツも走りにくかったに違いない。
(2)
あまりのいじらしさに抱え上げそうになった。しないけどね。
こういうときに言うセリフは一つしかない。たまらなくクサいがいつになっても変わら
ないお約束だ。
「いえ、さっき来たところですから。でも、朝比奈さんが約束の時間に遅れるなんて珍し
いですね?」
「あのぉ…ホームのベンチで考え事してたらぁ…電車乗り過ごしちゃって」
てへっ、と頭を軽くゲンコツで叩き、可愛い舌をぺろっと出された。
「…マジですか? ひょっとして、寝てました? 朝比奈さん通学中の電車とかよく寝て
ますもんね〜」
「い、いえっ、寝てないですよぉ。キョンくんのいじわるぅ〜〜。うふふ」
ぱっと笑顔の向こうに花畑が広がった。幻覚かもしらんが俺には確かに見えた。
「何か飲みませんか? 少し早いですけど、このままランチしてもいいっすね」
「あっ、はいっ! 走ったので何か飲みたいですぅ。 今日はわたしがお店にご案内しま
すから。こっちですよっ」
朝比奈さんはくるりとコートの裾を翻して180度ターンを決めるとこちらに振り返り
、微笑んで俺が横に並ぶのを待っている。俺はその見た者誰もが考え事などどこかに吹き
飛んでしまう慈愛溢れる笑顔を眩しく目を細めて眺めると、横に並んで歩き始めた。肩が
触れあうくらいの距離だが、今の彼女との心の距離もきっとこれぐらいなんだろうか。
初めて二人だけで並んで歩いた、未来人だと告白されたときだな、あのときは肩が触れ
たらはっと離れる。それはそれで萌えなんだけども、あのころはまだ距離を感じたよ。
手が握れる距離になるにはあとどんなフラグを立てればいいのかなあなどと考えながら
、朝比奈さんの、こっちですよ、そこまっすぐです、と控えめに鳴る鈴の音のような可愛
いナビゲーションボイスに従って歩いていた。
ああ、この時は本当に頭から吹き飛んで忘れちまってたな。彼女が誘ってくれた真意と
か鶴屋さんとの電話の内容までな。
(3)
朝比奈さんお勧めのお店は、駅コンコースと連結したビルの上方階にあるパスタ専門店
で、休日の昼時ともなると行列ができることも珍しくない店らしい。結果的に早く行って
混雑を避けられた形になったわけだ。
俺はカルボナーラのランチセット、朝比奈さんはハーフサイズのタラスパのケーキ付き
セットをオーダーした。食事がくるのを待つ間、以前から思っていた軽い疑問を少し音量
を落としてぶつけてみた。
「あっちの食事って、どうなってるんですか?」
「そうですねぇ、お食事は大きく変わっていません。こっちにはまだないものや、あっち
ではもうなくなったものもありますけど、メニューもレシピもそんなに変わってないんで
すよ」
なるほど、食生活にはあまり変化がないのか。
「それならこちらに来てもそんなに困らなかったでしょう?」
「ええ、これぐらいなら禁則にはならないかな? あっちではね、農作物は畑じゃなくて
工場で大規模生産になっていたり、魚肉類はほとんどが養殖です。人工品も多いです。今
みたいに、人の手をかけて育てたりした物や、天然物ってすごく貴重品なんです。だから
ね、こっちの食事はすごくおいしいですよ。実はね、こっちに来たときに最初に感動した
のはお食事だったんです」
聞いて水産資源減少や森林破壊とか地球温暖化とか、普段ほとんど気にもとめないそん
なニュース映像が浮かび上がっては消える。現人類における俺の責任なんて誤差にもなら
ない程度かもしれないが、こちらの人間を代表して頭を下げたくなった。
「一度、そっちのご飯が食べたいな。朝比奈さんの手作りで」
食べたいなまでは普通に、そこから後はあくまでもぽろっとさり気なく小声でだ、言っ
てみた。
「あっ、はいっ、あのその、あっちにキョンくんを連れて行くことはたぶんできないから
…。でもぉ…こっちの食材でなら…作るのは…言ってくれれば……いつでもぉ…」
うつむかれてしまわれた。最後の方は小声で良く聞き取れなかったが。別に悲しいわけ
ではないだろう。だってな、髪からのぞく耳が明太子のように赤くなりましたからね。
「おまたせしましたー。タラコスパゲッティーとカルボナーラのセットです。タラコのほ
うは…はいこちらですね。ケーキは後ほどお持ちしますね」
(4)
下を向いたまま顔を上げない朝比奈さんを、促すかのような絶妙のタイミングで配膳さ
れたパスタ。ほら、やっぱり照れておられました。顔が赤いなあ。作ってもらうのは今度
お願いしてみよう。くれぐれもハルヒに見つからないようにな。
朝比奈さんは、目の前に置かれたタラスパにトッピングされてる刻み海苔をお皿の隅に
よけると、フォークとスプーンを使ってくるくるちまちまとかわいく食べ始められた。俺
の倍くらい時間をかけて、キャベツをちびちびと囓るウサギのようにちょこちょこと口に
運び、ケーキまで入れると結構な時間となり、食べ終わった頃には店は客で満員で入り口
には行列ができており、食後の会話もそこそこに会計を済ませて店を出た。味のほうは確
かに美味く、また来られるように店の場所をしっかりと記憶しておいた。
昨日のお詫びに支払いはあたしがとおっしゃったので、ここはお言葉に甘えることにし
た。それで彼女の精神的負担が軽くなるならと思ってな。
そこ、ケチとか言うな。ちゃんとこんな日のためにと隠しておいた諭吉を5枚ほど持っ
てきているぞ。ほらっ。
店を出て駅方向に戻りながら、これからどうしましょうか? 聞いてみた。
今日は朝比奈さんにとことん付き合おう。クリスマス直前だけに、キョンくんからクリ
スマスプレゼントが欲しいのってもアリだ。期待しています、朝比奈さん。儚くもその期
待は5秒後には吹き飛ばされたのだが。
「レポート書くのに今は手で書いてるんですけど、ワープロ使ったほうがいいかなって思
って。これからゼミに入っていったら、必需品らしいですし。でも、わたし、あんまり機
械に詳しくないのでぇ、何を買えばいいのか判らなくって。一緒に選んでくれませんか?」
コンピ研からの戦利品のノートパソコンは、卒業時に3台はコンピ研に返還、残る1台
は文芸部用として寄贈した。だので、既に俺たちの手元にはない。
セクハラ捏造写真で巻き上げたデスクトップの方は、ハルヒがちゃっかりと確保し今の
SOS団部室に鎮座している。訳の解らないトップページしかないHPだの一歩間違えば妙な
空間が発生するエンブレムだの電波な自主制作映画など作らされず、誰かのレポート書き
なんかにまっとうに使用される機会も増え絶賛ご活躍中である。コンピューターもさぞ喜
んでいるだろう。当時は高スペックだったが、今は並下ぐらいになってしまったが。
「お任せくださいっ。ここからなら大きい量販店も近いですし、品揃えも豊富ですからそ
ちらに行きましょう。こっちです」
(5)
「はいっ!」
また肩を並べて歩き始めた。さっきより近づいたか。腕がときどき触れる。どきどきだ
。すまん。滑った。俺が悪かった。
そんなこんなでデジカメやら新型携帯やらに時々脱線しながらパソコンを選ぶこと約3
時間、さんざん迷われたが最後は俺がリストアップした中から、デザインが決め手となっ
たマシンとプリンター他一式をご購入され、配達手続きも済まされた。
支払いはカード一括払い。結構な大金が必要だがそのお金はどこから支払われているの
か…はたしてあの領収書は未来へ経費として申請するのか…そう思うと未来組織も身近に
思えるってもんだ。
ああ、セッティングは俺手伝いますから。そう言うと、うんお願いします。と上目遣い
でにっこりと笑いかけてくれる。
はい、電話でも出張でも24時間即日無償サポートいたします。
ついでにフロア上がって家電コーナーも物色。お茶用だろう、温度設定が何パターンか
できる電気ポットも購入され、これも配達してもらうことにした。
店を出ると外はだいぶ薄暗くなっていたが、夕食にはまだちょっと早い時間。次はどこ
に行こう?
「あの、キョンくん…。あそこ、行ってみませんか?」
朝比奈さんが指差したのは、JR駅から北西方向の、空中庭園がある特徴的な外観を持
った設計のランドマーク的高層ビルだった。ここからだと電気量販店の裏あたりにある貨
物駅をくぐるガードを通れば一直線だ。
ええ、いいですよ、と二人並んで歩き始めた。
長い長いほの暗いガード下を歩いていると、少し怖いからと朝比奈さんは俺の腕に自分
の腕を絡めてきた。柔らかい感触を二の腕あたりに感じるから夢じゃないな、このまんま
死んでも悔いはないはないが、もうちょっと味わってからにさせてくれ。
(6)
まず3階まで上って、入場券を購入。二人併せて1400円也。なんでこんな高いのか
ねー(これは俺が出したぞ)。そこから専用エレベーターで上昇する。ガラス張りで景色
が綺麗だが、高所恐怖症なら目を開けてられないだろう。途中でこれまたガラス張りのエ
スカレーターに乗り換え展望室に降り立った。
展望室から眺める世界は、日はほとんど落ち西の空は地の境を濃いオレンジ色の帯に染
め、色々の光の小花が咲いた低木の茂みのように広がる低層の建物の林から、いくつかの
高層ビルが串刺すよう空に向かい、暗い宇宙に今にも飛び出しそうだ。
後ろに目を向けると、既に闇となった空から白と赤と青の光を明滅させ、淡い光の点線
とトリトンブルーのストライプが側面を横切る、全長73.9mの白い巨鳥が羽ばたく代
わりに翼を左右小刻みにユラユラ揺らせながら、グライドスロープという名の滑り台に乗
って目の前を右から左へ滑り落ちていく。
これなら700円もしょうがないかと思いながら、南に面した窓際に朝比奈さんを誘っ
て外を見つめ、あれはO阪城ですね、あれは映画のテーマパークですねとかしなくてもい
い解説をしながら、きっと朝比奈さんも感動しているに違いないと勝手に考えていた。き
らきらとした目でふわぁぁと眺めている、そんな姿を勝手に想像していたのだが…。
違った。
ちらっと横に目を向けたら、上目遣いでこちらを見ていたものの、俺の視線に気づいて
慌てて外に顔を向ける。なんだろうと思うこと30秒。今になって鶴屋さんの言葉を思い
出した。
男の子の仕事を。
「あーそうだ、少し座りませんか?」
「ふえぇっ? あっはい」
窓から離れている上に柱が陰になって外がよく見えないためか、ポツンと人気のないベ
ンチがあった。俺はそこを指さして先に座る。遅れて朝比奈さんも並んで座った。間の距
離は10cmくらい。そうだな、話し易い雰囲気を作ってあげないと。
「…今日は迷惑かけたお詫びだけ、ってわけじゃないですよね」
窓に張り付き、手をつなぎながら夜景を楽しむカップルをしばらくの間なんともなしに
眺めながら、聞いた。
(7)
「………」
返事はない。
俺は前を向いたまま話してるので朝比奈さんの表情は伺いしれないが、おそらくうつむ
いて、じっと俺の次の言葉を待っているのだろう。
「俺たち、もうすぐ4年の付き合いです。いつもの朝比奈さんと違うことくらい、見てて
判ります」
「………」
「昨日のこともあります。今朝のこともあります。何が朝比奈さんを悩ませてるのか、俺
には正直判りません。それも俺のことに関係しているかもしれない」
「そんな…こと…ないです」
ちょっと間を置いて鈴虫の溜息のような小さな声で途切れ途切れに答えた。
「本当に?」
「…はい…」
朝比奈さんの言葉と言葉の間にある『間』を考えれば、何かあることは誰でも判る。だ
が、このまま聞いても彼女は話してくれないかもしれない。
「…何もないならいいんですよ。ちょっと気になっただけだから」
「ありがとう。なんでもないの。気にしないでください」
俺は首を少し回して朝比奈さんに視線を移した。まだ下を向いたままだ。
「じゃあ、俺のお話を聞いてくれませんかね。実はちょっと困ってることがあって」
「あっ、ははい、なんでしょう?」
逆に、俺から悩みを打ち明けられるなんて思ってもいなかったのだろう。しっぽを触ら
れて不思議そうに振り返る子犬のような顔をして俺を見上げた。
「えっとですね、恥ずかしいんですけど、朝比奈さんを見込んで言いますね」
「は、はいっ」
ギリシア彫刻のように美しい起伏を見せる口をきゅっと引き締めて、俺の目を見つめな
がら瞬きもせず言葉を待っている。許されるならこのままずっと見ていたい。
(8)
「…………妹からお兄ちゃんって呼ばれるようにするにはどうしたらいいですかね?」
俺はさんざん引っ張ってから言い放った。
「………ぷっ、くっ、くすっ……もー、何言ってるんですかぁ。真面目に聞いて損しちゃ
った。うふふふ」
一瞬だけ目が点になったあと、口を押さえて小さく吹き出した。ウケてくれたらしい。
寒くなったらここから飛び降りたくなるところだった。
「ありがとう、キョンくん。うん、やっぱり言います。今日はそれで誘ったんだもの。で
も…恥ずかしいから、よく聞いていてくださいね」
はい。一言一句漏らしません。
俺は朝比奈さんに向き直った。彼女も俺に向き合って胸の前で両手を握ると、その吸い
込まれそうな大きな瞳に何か決意のようなものを感じながら、ゆっくりと口を開いた。
初めて彼女と会った年に歩いた河川敷、未来から来たと告げた時と同じ目だった。
第5章 終わり
乙!
乙
129 :
AV監督(コネチカット州):2007/03/31(土) 09:42:22.96 ID:wMQjLxRPO
age
保守
131 :
浪人生(関東):2007/03/31(土) 10:49:29.05 ID:uP7R2wueO
…っ!今日は土曜日…
132 :
名人(東京都):2007/03/31(土) 10:56:31.42 ID:56g3lqyc0
GJ
アナルまだ立ってない?
アナル誰か…
●<立てようと奮闘しているのですがなかなか……
テドドンの方はいつでも臨戦態勢なのですがねwwww
136 :
愛のVIP戦士:2007/03/31(土) 11:18:51.93 ID:TxcsjXV40
要望があるみたいなので立てて参る。
137 :
愛のVIP戦士:2007/03/31(土) 11:27:43.08 ID:TxcsjXV40
138 :
愛のVIP戦士:2007/03/31(土) 11:32:49.93 ID:TxcsjXV40
>>137 タイトル名がプリンになっとる。
何をやっているんだ俺はorz
139 :
愛のVIP戦士:2007/03/31(土) 11:37:10.57 ID:TxcsjXV40
140 :
名人(東京都):2007/03/31(土) 11:44:50.73 ID:56g3lqyc0
普通に平積みされてた『分裂』を買って帰ってきた。
フライングだったのね……
さて。
今書いてるSSの作中時期が御破算なわけだが。
どうしたもんか。
投下したモン勝ち。
投下されたらわたしにも阻止はできない
問題は読み手がしらける可能性だな。そこが怖い。俺は蔵入りにして、リメイクにする。
>>140 明日は日曜でお休みだから、大抵の店には並んでるはず。
まじか!立ち読みしてこよ!
145 :
秘書(コネチカット州):2007/03/31(土) 12:40:24.47 ID:+pF8vtNOO
保守
とらのあなで栞欲しさに分裂4冊買ってしまったorz
まじどうしよこの在庫……
>>147 今なら俺が買う
とか言ったら荒れるのか
>>148 もらえたよー
俺が行った時点ではまだまだ栞あったからね
まあ近所にとらのあなないからアニメイト行く
>>149 買ってくれるならまじ半額ぐらいでも売りよ
154 :
ひちょり(アラバマ州):2007/03/31(土) 13:20:52.12 ID:WXcQsozw0
>>147 つブックオフ
地元地元のブックオフはハルヒの小説の買取額が50円orz
発売当日にブックオフに売るなよ。
それですませる奴がいたら、儲かるのは転売しているブックオフだけ。
原作者には一円の利益も入らない。
って、総合スレと間違えた。失礼しました。
>>152 本屋に入るのが1週間後とかいう田舎だから欲しいが、これ以上はスレ違いになるからな
ヤフオクにでも出せば売れるんじゃね?
>>157 俺もスレ違いになる話題振ってすまんかった
さて、分裂読みながらss投下されるのを待つかな
どのくらいたったら分裂のネタおkかな?
1ヶ月くらい?
160 :
浪人生(関東):2007/03/31(土) 14:10:12.66 ID:uP7R2wueO
なんかこのスレタイ微妙に違うな
ほんとだwwwwww
162 :
名人(東京都):2007/03/31(土) 14:20:40.00 ID:56g3lqyc0
ネットニュースの「朝食のナイフでけが」という見出しが「朝倉のナイフでけが」に見えたり、
「大型くらげ加工マニュアル」の話題で、即興で小ネタを思いついたり。
末期だなぁ。
164 :
名人(東京都):2007/03/31(土) 14:31:30.10 ID:56g3lqyc0
大型クラゲの憂鬱
「ただの海月には興味ありません。
この中に、中華食材、大量発生、漁網破壊、原発停止の海月がいたら、
あたしのところに来なさい。以上」
書いてるSSのネタにつまって即興でやった。
「漢字2文字+カタカナ3文字+の+漢字2文字」という形式なら何でも良かった。
今は反省している。
165 :
住所不定無職(コネチカット州):2007/03/31(土) 15:16:35.09 ID:RCz+yZdLO
ホッシーユ
166 :
秘書(コネチカット州):2007/03/31(土) 15:16:38.09 ID:+pF8vtNOO
保守
167 :
船員(東京都):2007/03/31(土) 15:17:04.34 ID:uMhH5wQj0
保守
保守
保守の嵐www
保守
171 :
受付(コネチカット州):2007/03/31(土) 15:59:07.54 ID:wMQjLxRPO
谷口「アッー!ラ川!」
保守するとなぜかかぶるから困る
173 :
アナウンサー(関西地方):2007/03/31(土) 16:28:27.38 ID:pgb/Uo940
保守
174 :
名人(東京都):2007/03/31(土) 16:42:20.45 ID:56g3lqyc0
ちょっと聞きたいのですが。
今、とある話の続きを書いていますが、ほぼ書きあがってます。あとは細部を詰めるだけ。
分量はいつもより少なめ。でも、話の構成上、その後の部分とは分割する必要あり。
で、問題なのは、分割ポイントまでの締めは、結構思わせぶりで、
しかも分割ポイントの先の話はまだできてない、というか、
どのパターンにしようか迷っている段階。
そして、更にその先はすでに出来上がっているものの、
選択パターンによっては大幅に変更する必要が。
こんなとき、
(1) すべて出来上がってから、数夜連続で投下する。
(2) 出来上がった部分から順に投下して、住人の出方を見る。
あなたなら、どっち?
>>174 書く側としたら2でいくけど読み手としたら1でいってほしい
>>174 ほとんどできてんなら、(2)でいいんでは
(1)でも、多少は出方伺いながら投下できるし
ひゅーひゅー
180 :
養蜂業(アラバマ州):2007/03/31(土) 17:18:27.08 ID:GNLPGnQi0
ファファファファ……!!
181 :
車内清掃員(埼玉県):2007/03/31(土) 17:22:46.47 ID:UZk3Fk6R0
今誰か書いてる人いる?
書いてるときにスレを見たくなるのは俺だけかな
>>181 そんなことは無いと思う
頑張れ!
期待してるよ
184 :
車内清掃員(埼玉県):2007/03/31(土) 17:48:13.21 ID:UZk3Fk6R0
乳母にエラーが発生した…。これは忌々しき事態ですね、大佐。
分裂ネタSSでた?
>>186 正式な発売日までは自重するつもりでいる
じゃあ俺も明日まで蔵に入れとくか
保守
乱立注意!
保守はまめに。
192 :
秘書(コネチカット州):2007/03/31(土) 19:17:15.65 ID:+pF8vtNOO
保守
保守
最後に投下してからずっと変身ヒーローみくるに苦戦している。
口調がいつまで経っても決まらない…
A「待たせたな!
少年少女よ、このお面ライダーみくるが来たからにはもう安心だ!」
B「お、お待たせしました…
お面ライダーみくるです。
もう泣かないで、ハルヒちゃん、キョンくん」
Aかなあ。これさえ決まればすんなり進むのに…orz
196 :
名人(東京都):2007/03/31(土) 19:43:01.88 ID:56g3lqyc0
>194
AとBの中間かなーと。
朝比奈ミクル調で、噛まずに喋るイメージ。
197 :
秘書(コネチカット州):2007/03/31(土) 19:43:52.73 ID:+pF8vtNOO
保守
ヒーローは名乗らないのが相場だとか誰かが言ってたな・・・
妄言だ、忘れてくれ
ありがとう。
一応決めた。書いて来る。
>>197 お待たせしましたぁ! 少年少女のみなさん、このお面ライダーみくるが来たからにはもう安心ですぅ
って感じか?
お面だと長門のイメージが・・・
ならメイドライダーn(ry
ごついバイクにメイド服で登場か…
204 :
名人(東京都):2007/03/31(土) 20:06:26.78 ID:56g3lqyc0
>203
そんな写真、見たことあるような……
205 :
AV監督(コネチカット州):2007/03/31(土) 20:10:48.72 ID:wMQjLxRPO
age
盗んだバイクで(略
207 :
中学生(北海道):2007/03/31(土) 20:30:35.25 ID:cQa9WBGz0
保守
ぬる
ぬる
ぽ
211 :
中二(岡山県):2007/03/31(土) 20:43:03.44 ID:i/D+Z9NR0
華麗に保守
さて・・・いよいよ明日発売だが田舎は一週間後orz
212 :
AV監督(コネチカット州):2007/03/31(土) 20:51:49.09 ID:wMQjLxRPO
ガッ!
保守
214 :
釣氏(東日本):2007/03/31(土) 21:09:00.12 ID:ApTK5lMy0
保守
215 :
中二(岡山県):2007/03/31(土) 21:10:37.35 ID:i/D+Z9NR0
保守
今書いてるのに行き詰まって、放棄したはずのを書いてる
……それが四ヶ月遅れのクリスマスネタなんだorz
8ヶ月早いクリスマスネタだと思えばおk
俺にはクリスマスなんか関係なかったから大丈夫
219 :
名人(東京都):2007/03/31(土) 21:19:14.14 ID:56g3lqyc0
>216
時系列シャッフルは、ハルヒシリーズの持ち味。
何も気にせず筆を執るべき。
>174の結果、(1)が多かったようなので、続きを考えてたら、ハルヒが降りてきたっぽい。
分割ポイント前の部分がどうにも薄かったのが、
そこの部分をガーっと一方的にまくし立ててきた。
こちらが必死で書きとめると、
「じゃ、後はよろしく。」
と立ち去っていった。
……その先の展開も喋っていってくれれば良かったのに。
ようやく新刊を読み終えた。
後は時が来るまで座して待つのみ
県内車で走り回ったけど早売りなんて高望みだたよー\(^o^)/
ファミ通1日遅れの地でフラゲなんて無理があったか。
>>223 「おい、ガキども。あぶねえからさがってな。」
>>216-218 とりあえず書き始めてみた
一度は放棄したやつだし、どうなるかは分からんけど
分裂ゲト
まだスニーカー分も読み進んでないけど眠いから明日にするかい。
睡魔と一緒に、野球チーム(マイナス)妹(プラス)森さん、新川さんでサバイバルゲームネタの電波を受信したんだが、誰かやってる?
サバゲーの描写が書ける自信はないのだが
保守
読んだっぜ!
SSのネタふたたび爆発するよなw特に新キャラ集団内w
230 :
名人(東京都):2007/03/31(土) 22:48:27.59 ID:56g3lqyc0
>229
そういうネタばれはやめとこう。
たとえ手に取ったときに分かるような情報でもさ、
今はまだ、世間に出回ってないことになってるんだから。
>>230 ごめん。
つーことで原作者スレ行って来るノシ
六月まで待って通して読んだ方がって意見もあるけど俺としては今買うべきと思った。
確かに、僕は既に読破したから良いが未読の人々は困るだろう。
正直読んでないのに憤慨までの設定で散々SS書かれてるからどうだっていい
いつも通りに部室へと俺は向かった。
「うぃーっす。古泉以外はきて…」
「うぎゃあぁぁぁぁぁぁぶゎーカキャアア!」
…長門が地面を転がりながら悶絶していた。
「ど、どうしたんだ長門」
「うぎゃあああ」
駄目だ、聞いちゃいない。
ハルヒの方に目をやると呆れたような困ったような表情をしていた。
朝比奈さんは怯えていらっしゃる。
「有希のお気に入りの本の新刊がでるんだって。発売日が待てないらしいわ」
そうか、長門も大変だ。
「おや、長門さん。大丈夫ですか?」
横を見るとニヤケ面の古泉がいた。
俺が説明をしてやると、長門を手招きした。
長門は叫びながら転がり、古泉の足元にやって来た。
古泉は腰をかがめ、長門に耳打ちをし始める。
「実は機関に頼み込んで、買って来てもらいました」
そういうと、鞄から一冊の文庫本を取り出し、長門に差し出した。
「ありがとう、いっちゃん!」
オチなしゴメン
>>234 これは良いwww
長門は月1ぐらいで悶絶してそうだなwww
236 :
名人(東京都):2007/03/31(土) 23:28:56.74 ID:56g3lqyc0
>234
ナイス!
それを見て思いついてしまったものがあるけど、それは禁則事項ですね。
一応、中を見ないと分からないことですからね。
237 :
通訳(アラバマ州):2007/03/31(土) 23:42:28.63 ID:9FDZ1IsB0
保守
ど、どうせ新刊なんてエイプリールだから嘘なんだろ。
俺は騙されないぞ
長門 「赤ちゃんかっ!!!」
長門「俺ぁ、まだ4歳だぜ?」
242 :
舞妓(アラバマ州):2007/04/01(日) 00:07:04.76 ID:ulwrAF/z0
寝る
ノシ
すまない、俺にとっては分裂なんだ
245 :
西洋人形(コネチカット州):2007/04/01(日) 00:34:47.48 ID:TbTtAHE7O
保守
246 :
忍者(関東):2007/04/01(日) 00:35:31.57 ID:cZftlJFaO
保守
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12レス
おk?
サムナンビュリズム−本当に荒い筋−
いろいろあってハルヒに暴言を吐いてしまったキョン。
それが原因でハルヒは自らが事故に遭うことを望んでしまう。
いろいろあって一命は取り留めたものの、ハルヒは仮想現実空間――まあ夢みたいなもんの中に閉じこもってしまう。
ハルヒを連れ戻すために夢の中へと乗り込んだキョンだが……、
夢の中でもいろいろあってジョンスミスという切り札を使うなどの暴挙をしてしまい結局失敗してしまう。
ハルヒはここが夢みたいなもんであることにも、自分の力にも、そしてキョンの気持ちにも気づいてしまった。
その結果、長門の能力がなくなり、キョンの意識が第二のキョンに乗っ取られそうになったところで、
中編終了と相成った。
そして約5ヶ月のブランクが開き、その間の受験戦争にも見事に惨敗を喫してきたということで、
ようやく後編へと突入するわけだ\(^o^)/
一応まとめ貼っときます
http://www25.atwiki.jp/haruhi_vip/pages/724.html
「キョン君起きて……キョン君!」
誰?
「ひぐっ……起きて……キョン君……」
この麗しい涙声は、
「朝比奈さん?」
ゆっくりと目を開けると、そこには涙でそのお美しいお顔を湿らせた朝比奈さんがいた。
「あっ……あっ……キョンくぅん!」
朝比奈さんは俺が覚醒するや否や、凄まじいスピードでいつのまにかベッドの
上に横たわっていた俺の体に飛びついてきて、そのまま嗚咽をもらし始めた。
朝比奈さんに俺の上着でその真珠の涙を思う存分拭い去って貰いたくもあったが、
如何せん、そうもいくまい。
「朝比奈さん。とりあえず落ち着いて下さい」
「あっ、すすすすみません! つい……」
朝比奈さんは俺の言葉に反応しものすごい速度で顔を上げた。見ると、
その愛らしい両目は真っ赤になっている。とりあえず、状況確認をしなければならない。
「一体何があったんですか?」
「……長門さんが、いきなり倒れたんです。それなのに未来からの指示は何もなくて、
どうしたらいいのか分からなくて」
朝比奈さんは赤くなった両目をこすりながら、舌足らずな言葉で懸命に説明してくれた。
「服、ごめんなさい、濡らしちゃって」
いや、上着のことは全然構わないしどちらかといえば喜ばしいことだが、そんなことより、
「それより、長門は今何処に?」
「長門さんなら……」
朝比奈さんはそう言いながらベッド脇の床を促す。俺はそれに従って体を起こす。
そこには見慣れない寝顔を携えた長門がいた。
「倒れたのはいつですか?」
「ついさっきです」
「……そうですか」
おそらく、あの時だ。あの時、あっちの世界の長門は力を失って、こっちの長門が倒れた。
原因はあいつがそう望んだからだろう。
情報統合思念体が消されたのか、長門との接続が断たれただけなのか。
いずれにせよ状況が最悪であることに変わりはない。
不意に、明確な感情を主張していた長門がフラッシュバックする。
しかし、何故俺だけが無事なのだろうか。
……まあ、考えても仕方がないか。そんなことよりも、今は現状を把握するのが先だ。
俺は今一度朝比奈さんに質問をした。
「朝比奈さん、古泉はどうしたんですか?」
「そ、それが――」
と、朝比奈さんの言葉を制するようにドアが開き男女二人組が部屋に乱入してきた。
はかったようなタイミングだ。
「やあ、どうも」
「こんにちは」
前者は古泉、では後者は?
というと、顔見知り程度に面識のある穏健派ヒューマノイド・インターフェース――喜緑江美里さん――がそこにいた。
一体何故?
「あっ、古泉君……と喜緑さん? 何でここにいるんですか?」
どうやら朝比奈さんも知らなかったらしい。
「長門さんに呼ばれて来ました」
喜緑さんは朗らかな笑みを朝比奈さんに投げかけつつそう答えた。
「古泉、お前何してたんだ?」
「ええちょっと。それも込みでいろいろとお話することがあります。
それより、長門さん。ご気分のほうはいかがですか?」
おいおい長門は、
「問題ない」
て、あれ?
長門は何事もなかったかのように二本の足で堂々と直立していた。
待ってた!支援
いつの間に目覚めたんだ?
「一分二十五秒前」
ついさっきじゃねえか。ていうか秒数単位で言われてもいまいち分からん。
「正確に言えば、最初の十六秒間をインターフェースとの互換性の確認に使用、次の八秒間で」
「分かった。もういい」
そんなやりとりを黙って眺めていた古泉だったが、
「時間もあまり残されていないので、説明させてもらいたいのですが……よろしいですか?」
と、いつものアルカイックスマイルで俺に話しかけてきた。
「別に構わん」
古泉はほんの少し間を置いて、
「では――」
と、語り始めた。
古泉の話を要約すると、実はこいつら――古泉と喜緑さん――もあっちの世界に来ていたらしい。
それで、長門の力が消され、俺が危うく完全消滅するってときに、影で待機していたこいつらが何とかした。
そして四人は無事に帰還した、ということなんだそうだ。
しばらくの間、沈黙が部屋を支配していたが、
「これからどうしましょうか?」
と、古泉の言葉によってそれは打ち崩された。
ところで、それは俺に訊いてるのか?
「はい」
「そうか。それなら、そんなことは俺の知ったこっちゃない」
「……本気で仰っているんですか?」
「本気も何もないだろ」
抗議せんと古泉は口を開きかけたが、俺はそれを制し、
支援
255 :
歯科技工士(青森県):2007/04/01(日) 00:51:26.97 ID:yxifi/Y90
「俺にできることは全てやり尽くした。これ以上何を俺から絞り出そうってんだ。
もうあいつに関わるのはこりごりなんだよ。世界の終焉くらい静かに迎えさせてくれ」
俺は古泉の目を真っ直ぐに睨み付けながら一気にまくし立てた。
俺の言葉に場の空気がピンと張り詰めたのが分かる。
だが、それに反比例するかの如く古泉のニヤケ面はさらにニヤニヤ度を増していた。
何だこいつは。気色悪い。
「ふふっ」
かと思ったらいきなり笑い出しやがった。
どうした? 気でもふれたのか?
「いえ、そういうわけではありません」
「だったらどういうわけなんだ?」
古泉はニヤケ面を維持したまま何かを考える素振りをしてみせ、こう答えた。
「強いて言うならば、いつもは冷静であるあなたが珍しく感情的になったから、
とでも言えばいいでしょうか」
「何が言いたいんだ?」
俺は依然として古泉の目を直視していたが、古泉はそれに怯むことなくニヤケ面を維持していた。
「ふふふっ」
だからそこで何故笑う。気色悪い。
「もう少しだけ、お話しましょうか」
古泉はゆったりとした口調と動作でそう述べる。
「何をだ? それに、これ以上話して何になる?」
「別にどうともなりません。まあ、だから話す、と言っても良いかもしれませんね」
相変わらずのニヤケ面と回りくどい言い回しがうざったいね。
「そんな話をして何の意味があるんだ?」
そうですねえ、と考える素振りを見せて、
「少なくとも、長門さんが抱いている疑問の答えにはなると思いますよ、おそらくはね」
俺から長門へとその微笑を投げかける対象を変える古泉。それに対し、
「……」
長門は沈黙を保ったままだ。
「……聴かせて」
256 :
ツアーコンダクター(愛知県):2007/04/01(日) 00:52:07.14 ID:HZjMH7F60
飽きてきたってばよ!
と、思いきやあの長門が古泉に話の続きを促しただと?
長門、疑問って何のことなんだ?
「……」
言葉を探すかのように長門は少しの間沈黙して、
「あなたのこと」
と、捻り出すように言った。
「俺のこと?」
「どうやら、長門さんの聴きたいことと僕の話したいことは一致しているようですね」
一人で納得している古泉を見ていたらなぜだか知らんが腹が立った。
「だったら、さっさと話したらどうなんだ? いい加減、お前の長ったらしい前フリにはうんざりなんだよ」
「ええ、それではそうさせてもらいましょう。単刀直入に言います。今日が何の日か、ご存知ですか?」
何だ、あの事か。
「知ってるさ。去年俺があいつと二人で全く同じアホな夢を見た日だろ?
んで、話ってのはそれだけなのか? 長かった前フリにしてはつまらん話だったな」
古泉は俺が知っていたという事実を知り一瞬だけ驚いた様な顔をした。
「ご存知でしたか。……ですがそれだけではありませんよ」
「まだあるのかよ」
「はい。今日の降水確率についてはご存知でしたか?」
いきなり何言い出すんだこいつは?
「そんなの知るか。こんだけ降ってるんだからそれなりにあるんだろうよ。
で、それが俺とどう関係あるんだ?」
今度は古泉の表情はそのニヤニヤ度を一層に高めた。気色悪い。
「実は今日の降水確率は午前午後ともに0%なんですよ。そうですよね、長門さん?」
古泉に対して頷いて見せる長門。
「今日は移動性の高気圧に覆われて、日本列島は全国的に晴れの見込み……だったんですが、」
窓の外を促し、
「この雨です」
「そういうこともあるだろ」
「確かにそうかもしれませんが、今回の場合はそう単純なことではありません」
「……」
古泉は俺の沈黙をどう受け取ったのか、嘲るような笑みを見せてから続けた。
「それではもう一つ質問します。降水確率が0%であるはずの今日、何故雨が降ったのでしょう?」
「……そんなの知らねえよ」
「ご冗談を」
「……」
「それは彼女が望んだからです。雨が降ることを。では一体何のために彼女はそう望んだのか?」
古泉の一人舞台が続く。
「あんな手を思いついたあなたなら、分かりますよね?」
「……」
「この雨は涼宮さんの心の叫び、それを隠すための手段だったのです。
まあつまり、こう言って差し支えないでしょう」
「……」
「この雨は涼宮さんが流す涙と同義である。違いますか?」
「……俺に訊いてるのか?」
「はい、そうですよ」
「……そんなことはあいつに聞かなきゃ分からん」
「確かに、仰る通りです」
相変わらずのニヤケ面。目に障る。
「……話はそれだけか?」
「いえ。まだあなたについての話があります」
「……俺について、ね」
「ここからは少し長くなりますよ。構いませんか?」
「俺は構わん。さっさと話せ」
古泉は律儀なことに長門、朝比奈さん、喜緑さんへと目で確認を取ってから、最後にもう一度長門の目を見つめながら、
「長門さん。今から話すことが、この人の心です。まず――」
まず、始めに言わせて貰います。僕はあなたがかなりの鈍感、もしくは素直に
なれずにいるだけだと思っていましたが、どうやらそうではなかったようですね。
あなたはただの臆病者でした。
あなたは今日一日中意識的に涼宮さん避けていましたね。
いえ隠さなくても結構です。その兆候はいろいろな所から見受けられましたし、
そうでなければあなたの行動に辻褄をつけられません。
公園でのやり取りもそうですし、病院に着いたときのあなたの言葉からもそれは読みとれます。
覚えていませんか?あなたは僕に対してこう言いました。
『ハルヒはどこだ?』とね。
どこがひっかかるのかと言うと、そうですね。一般例を挙げてみましょうか。
普通、相手の安否が分からない場面で使用されるフレーズといったらこうなります。
『ハルヒは無事か!?』と、少し興奮しながらもまず相手の安否を訊くのが一般的だと思います。
それに対してあなたの言葉は冷静沈着以外の何物でもありませんでした。
あなたは認めたくなかったのでしょう? 涼宮さんの気持ち、それと自分の気持ちを。
それを認めてしまい、その結果、いままでの関係が変わってしまうのが怖かった。
だから、敢えて涼宮さんを避けるような行動、また言動をしていたのでしょう。
そうすることによってあなたは変化を防ぎ、自身の精神の安定を謀った。
ですが、無理をすれば必ず他の所に歪みが生まれます。
そしてその歪みはいつまでも存在し続けるわけにはいきません。歪みは消えなければならない。
しかし、消えるためにはそれ相応の反動が必要になります。
今回の場合、その反動をもろに受け止めたのが、他でもない、涼宮さんです。
それも全て、あなたの策略じみた手によってね。
――ここまでで何か言いたいことはありますか?」
「……長いな」
「ふふっ。すみません。ですが、まだ続きがありますよ」
まだあるのか。
「古泉一樹」
ん? 長門?
「何ですか? 長門さん」
「早く続きが聴きたい」
俺は一瞬耳を疑った。
「……長門」
「何?」
「いや、……何でもない」
「そう」
長門の明確な自己主張。
古泉は、変な顔をしているであろう俺を一瞥、次いで長門、朝比奈さん、喜緑さん、
と続けてから、
「それでは、そろそろ再開しましょう――」
と、語り始めた。
それでは先程少しだけ話に出した、あなたが涼宮さんをこちらに回帰させるために企て、
その結果、冷酷にも彼女を傷つけてしまったその策略の裏舞台について語らせてもらいます。
あなたは涼宮さんの気持ちに今回の件よりもっと前から気づいていましたね。
おそらくは無意識的なものだったでしょうが、今回の件であなたはそれを明確に認めたはずです。
そして、あなたが利用したのはまさにそれ。愛されるという幻をあなたは追いました。
つまり、涼宮さんの気持ちに甘えたということです。
まずあなたは、涼宮さんを『どうすれば連れ戻せるか』を考えたでしょう。
あなたが考ええた方法は、おそらくこう――
涼宮さんに『自分の気持ちを伝え』『全てを理解させる』。
実際、この方法しか残されていなかったと僕も思います。それに、ほぼ間違いなく成功していたでしょう。
しかしここで、あなたはこう考えました。
『ハルヒは俺のことが好きだ』『何だかんだ言っても俺の言うことを聞くだろう』
『だったら、わざわざ俺の気持ちを言わなくてもなんとかなるんじゃないか?』
とね。
つまり、あなたは『自分の気持ちを伝える』という過程を省略して『全てを理解させる』
という行為に及びました。
まず、『従姉妹が交通事故』という会話で涼宮さんが交通事故に会ったことを無意識的に思い出させ、
次に、『ジョン・スミス』の名で彼女の能力を自覚させた。そうすれば、頭の良い涼宮さん
のことですから、あちらの世界のカラクリに気づきます。造られた世界だということにね。
そこであなたが『元の世界に帰ろう』と言って、涼宮さんがそれに頷き、万事解決。
これがあなたのプランでした。
ここまでは申し分ない。満点です。ですが、この後ですね。歯車が狂いだしたのは。
涼宮さんはこの策略の唯一の急所、つけば九仞の功を一簣に虧きかねない致命的な
ウィークポイントに気づいてしまいました。
つまり、涼宮さんは舞台の裏側を覗いてしまったのです。
涼宮さんは何度も確認していましたよね? 『他に言うことはないのか?』と。
あなたの返事は煮え切らないどころか火に掛けられてすらいないものばかり。
自分の好意を知りながらそれに答えず、それどころかそれを利用しようとしたあなたに対して、
涼宮さんは一体どう感じたでしょう。
少なくとも僕がそのような扱いを誰よりも信頼する人物から受けたとしたら、
悲しみと怒りのあまりに何ヶ月も寝込んでしまうかもしれません。
涼宮さんもおそらく似たような感情を抱いたことでしょう。
いえ、きっとそれ以上に、一少女として、その傷は余りにも深い。
あなたは我が身かわいさのあまりに涼宮さんが傷つくかもしれない手段を使った。
そして傷つけた。
――ああそうだ。一つだけ訂正しなければならないことがあります。
あなたは臆病者などではありませんでした。あなたは臆病者などではなく、ただの卑怯者です」
言い聞かせるように古泉は言った。
「……それで?」
「僕の話はこれで終わりです」
「つまり、お前は俺が卑怯者だと言いたいんだな?」
「その通りです」
古泉は俺に対してあまりよくない印象を抱いているらしい。
「それで長門」
「何?」
冷たい瞳が俺を捉える。長門も同じ、か。
「こいつの話を信じるのか?」
一応訊いてみた、が、
「……」
長門は何も答えなかった。
「あ、あのぅ……よく分からなかったんですけど……」
朝比奈さんがおずおずと自己主張する。
「それではもう一度説明しましょうか?」
「よせ」
二人の会話に割ってはいる。
「ですが、朝比奈さんにもしっかりと理解して貰わないと」
「そんな必要はない」
俺の言葉に空気が氷った。それに耐えきれないのか朝比奈さんは今にも泣き出しそうだ。
原因が自分にあると考えているのかもしれない。
「朝比奈さん」
できるだけ穏やかな口調で言った。
「は、はい!」
「俺が説明します」
「え、あ、い、いいんです! 無理して聴きたいわけじゃないし、あたしなんか別に……別に……」
朝比奈さんはそう言って視線を落とす。
分かりやすい嘘だ。いつだって朝比奈さんは何も知らされず、何も知らず、
そしていつだってそれを嘆いていた。
「俺のことですから、俺が説明しますよ」
古泉を一瞥すると少し複雑な顔をしていた。朝比奈さんはものすごくしどろもどろになっている。
「ただ、俺が、悪いんです」
言い聞かせるように言った。朝比奈さんにも、長門にも、古泉にも、喜緑さんにも、そして俺自身にも。
「俺がハルヒを傷つけたんです。自分が可愛いいあまりに」
朝比奈さんはあうあう言っているが、構わず続ける。
「俺はそういう男なんです。軽蔑しましたよね?」
慌てながら、
「い、いいえ! そんなことないです!」
と、大げさに首を横に振った。
「そうですか。でも……いえ、何でもないです」
少なくとも長門と古泉にはそういった類の感情を抱かれているだろう。
さて――
「どちらに行かれるんですか?」
「さあな」
「待ってください」
「何故だ?」
「涼宮さんを助けるにはあな」たの力が必要なんです、とでも言いたかったのだろうが、
俺は無視して病室を出た。
ぐだぐだで本当にサーセン
今日はここまでです
wikiには自分で上げときます
GJ!!
続きwktk
乙!
待ってたぜ。
続きwktk
キタ━━━━━(゚∀゚)━━━━イシテ━━━━━(゚∀゚)━━━━ルヨ!
268 :
西洋人形(コネチカット州):2007/04/01(日) 01:30:55.11 ID:TbTtAHE7O
保守
269 :
通訳(東日本):2007/04/01(日) 01:38:49.99 ID:sttahlvN0
保守
保守
あれ?寝ぼけてんのか?
まとめサイトが●にしかみえないんだが
4月馬鹿キター
274 :
巡査長(岡山県):2007/04/01(日) 02:10:26.47 ID:4nJgX/yp0
改変されてるwwwwwwwwww誰だよwwwwwwwwww
275 :
名人(京都府):2007/04/01(日) 02:13:37.26 ID:DcEiam8+0
俺です。(*・ω・)ノシ
最初は分裂ネタで仕込んでたんですけど、ネタバレで糾弾されそうだったから路線変更しました
276 :
漂流者(関東):2007/04/01(日) 02:14:28.14 ID:bk5zDqkPO
>>275 GJ!としか言いようがねぇぜwwwwww
ってかアナルスレのリンクのスレタイひでぇwww
アナルしかねぇwwwwww
280 :
数学者(関東):2007/04/01(日) 02:22:38.58 ID:0wHzJJhUO
これはGJ。思わず涎出ちまったぜwww
281 :
西洋人形(コネチカット州):2007/04/01(日) 02:34:54.37 ID:TbTtAHE7O
保守
保守
283 :
共産党幹部(コネチカット州):2007/04/01(日) 03:19:41.20 ID:TbTtAHE7O
保守
284 :
神(関西・北陸):2007/04/01(日) 03:36:54.15 ID:O7USRcg5O
保守でしゅぅ
保守
286 :
おたく(神奈川県):2007/04/01(日) 04:37:35.48 ID:SY1Vdt/W0
ほ
287 :
西洋人形(コネチカット州):2007/04/01(日) 05:13:47.61 ID:TbTtAHE7O
ほし
288 :
おたく(神奈川県):2007/04/01(日) 06:53:41.65 ID:SY1Vdt/W0
いも
分裂読んだけど逆に朝倉さんの扱いに悩むことになってしまった・・・
これまであっさりしてたのになんで今回はそんな朝倉さんに執着してんだよ、キョン・・・
290 :
パティシエ(コネチカット州):2007/04/01(日) 08:27:41.77 ID:A0P6eYvJO
いた
291 :
農業(福岡県) :2007/04/01(日) 09:00:45.70 ID:UlwsX8Gn0
読まずにログ取得だけやってる本スレが、伸びがいいなぁ…
分裂読了
なんかこのまま終盤に入っていくような胸騒ぎがしたが。
驚愕待ちだね。
もう本屋は開いてるのかな? 中身に関する話題を口走っても大丈夫かな?
294 :
農業(福岡県) :2007/04/01(日) 09:55:05.64 ID:UlwsX8Gn0
一応、今夜0時までは待ってもらえんか。
…というのが本スレの見解だな。破られまくりだろうけど。
>>293 今日が日曜日な関係で多くの本屋で一昨日もしくは昨日に発売して
すでの売り切れたところもあるらしいぞ
ガンガレ
296 :
名無しさん@(コネチカット州):2007/04/01(日) 10:18:51.60 ID:A0P6eYvJO
俺の地元は明日orz
>294
了解した。当面は禁則事項。
>295
それで普通に平積みしてたのか。納得。
地方だと配送の関係で月曜日発売になるとこもあるみたいだね。
読了するのに2〜3時間必要だろうから、月曜24時までネタバレ禁ということでどうなんだろ?
>>298 今作は内容が薄いから一時間ちょっとだね。
分裂は1ページ16行*38文字
憂鬱は1ページ16行*43文字
分裂という話の仕様上こなってる
301 :
歯科技工士(青森県):2007/04/01(日) 10:59:23.17 ID:yxifi/Y90
病院の廊下はかなり静かで暗い。常夜灯だけが行く先を照らす。
長門も去年の今頃に比べ大分変わってきたが、古泉もそれなりに変わったもんだ。
去年の古泉なら「世界を救うには」とか言ってただろうね。
朝比奈さんだって相当変わった。芯ができたというか、以前に比べればいろいろな面で強くなっている。
あいつだって変わった。明らかに、去年の今頃のあいつと今のあいつは変わっている。
俺はどうなんだろう。少なくとも、イレギュラー的な事への耐性は獲得できたような気はするが。
待合室に着いた。誰もいないだろうと思っていたが、安っぽい革張りの長椅子に座り、
飲み物を啜る人物――おそらく男がいた。病院の薄暗さと自動販売機の逆光のせいで男の顔がよく分らないが、
体格や雰囲気から判断するに荒川さんではないだろう。
なんだってこんな時間までこんな所にいるんだ?
まあ、他人のことは言えないか。それに、今の俺には関係の無いことだ。
構わず病院を出ようとしたが、
「おい」
とんでもなく驚いたね。いや、いきなり話しかけてられたことにではない。
「様子はどうだった?」
そいつが予想外の人物だったことにだ。
「まあ、訊くまでもないか。ただの貧血で検査入院だしな」
そいつは紛れもなく、俺の親父だった。
「何してんだ?」
親父は持っていた缶飲料を一飲みにしてから、
「見て分からないのか? コーヒー飲みながらたそがれてるんだよ」
と答えた。
缶コーヒーだったのか。いやそんなことはどうでもいい。
「なんでこんな時間までこんな所にいんのかっていうのを訊きたかったんだが」
「母さんのそばに居てやろうと思ってね。そんなことより、お前よくこの病院だって分かったな」
あー、俺がお袋の見舞いに来たんだなと完全に勘違いしてる。
「いや、お袋の見舞いに来たわけじゃないんだ」
「ん、そうなのか。じゃあ何しに来てたんだ?」
本当のことを言うべきか、言わないべきか。
「友達の見舞い」
「で、そいつは誰なんだ?」
「谷口ってやつ」
まあ、無難な受け答えだろ。
「悲しいな。父さんに嘘つくなんて。そんな子に育てた覚えはないぞ」
「いや、嘘じゃないって」
なんで嘘だってばれたんだ? カマかけてんのか?
「いいや、嘘だ。お前のその惨めぶった表情を見れば一目瞭然だぞ」
何を言ってんだこの親父は。
「ちなみにこんなことも分かる」
何を言い出すのかと思ったらこの親父とんでもないことを口にしやがった。
「お前が今日見舞いに来たのは……涼宮ハルヒちゃんだろ」
なっ!?
「図星か」
なんで知ってるんだ? この親父は。
「ちょっと横に座れ」
「カマかけたのか?」
「いいから横に座れって、話があるから」
釈然としないが俺は黙って従うことにした。
「まず、そうだな……黒縄地獄って知ってるか?」
「こくじょうじごく? ……八大地獄の一つか何かか?」
「そうだ。んで、この黒縄地獄ってのは殺生の罪や盗みの罪を犯したやつが行くんだ」
この親父は一体何が言いたいのだろうか。いきなり話があるとか言ってきて、
意味の分からんことを語り始めやがった。脈絡という言葉を知ってるかどうか問い詰めたい気分だ。
親父は黙ってた俺にさらに言葉を付け足した。
支援
「加えて、自殺したやつもこの地獄に行くことになってるんだ」
「……だからどうしたんだよ」
「いや、別にな。ただのトリビアだ」
「随分と回りくどく、それでいて勘の鋭いおっさんだ」
「褒めてるのか?」
「自分で判断しやがれ」
「そうかい」と吐き捨てる親父を見て、俺はどうすべきか全く分からなくなった。
「なあ親父」
「なんだ息子?」
茶化したような台詞だったが、親父の目は真剣で俺にはそれがありがたく思えた。
「俺はどうすればいいんだ?」
「そうだな……自分で判断しやがれと言いたいところだが、まず何があったか訊いていいか?」
「……ああ」
俺は事の顛末を親父に話した。
ハルヒの能力などには触れず、俺の責任でハルヒを散々に、肉体的にも精神的にも傷つけてしまったこと。
そしてそれが取り返しがつかないということ。
それに加え、その責任を取るために――自殺しようと思っていたこと。
俺は一通りのことを話して親父の言葉を待った。
「……まず、最初に言っておく」
そう言うとほぼ同時に、親父の拳が俺の頬を貫いた。
「自殺するなんて死んでも言うな。次言ったら殴るぞ」
「も、もう殴ってるじゃねぇか……」
床に踏ん反り返りながら抗議してやったが、この親父完全にシカトしてやがる。
「んで、お前はハルヒちゃんのことをどう思ってるんだ?」
「どうって……」
「好きかそうでないか、訊いてるんだよ」
親父からこんな質問が飛び出てくるとは予想だにしなかったが、俺ははっきりと答えてやった。
「今なら……迷わずに言える。俺はあいつのことが――」
俺は今、古泉、長門、朝比奈さん、喜緑さん、そしてハルヒのいる病室の前にいる。無駄に緊張するな。
さて、そろそろ入ろうかとドアに手を掛けた時、病室の中から聞こえてきた声に耳を疑った。
俺はつい勢いよくドアを開けてしまい、その音に反応した室内の全員が俺を見つめる。
眠ったままの1人、驚きの表情を隠せない1人、喜びの表情を浮かべる1人、無表情な2人、
そしてやたらとニコニコする1人。
数えると俺を含めて7人いるわけなんだが、さておかしいね。俺の記憶違いでなければ明らかに1人多い。
「あら、久しぶりね。元気にしてた? この様子だと涼宮さんとはうまくいってないみたいだけど」
ニコニコ顔が話しかけてきた。
「どうしたの? 黙っちゃって。具合でも悪いの?」
「非常に言いづらいんだが、お前の顔を見ると目眩がするね。それも強烈なやつが」
「失礼ね。今日はナイフなんか持ってきてないのに。ま、ナイフくらい簡単に作れるけどね」
物騒なやつだ。俺はとりあえず無表情なままの長門に説明を求めた。
「長門、これは一体どういうことだ? なんでこいつがここにいる?」
「急進派に協力を要請した」
相変わらず説明が少ない。俺が次の質問をしようとしたら喜緑さんが説明役を買って出てくれた。
喜緑さんの説明によると、ハルヒの力のせいで情報なんたら体の主流派と穏健派の力がなくなってしまった
らしい。このままでは再度ハルヒの夢の中に潜入することが不可能なため急進派に脚光が浴びたそうだ。
だからっていくらなんでもこいつを寄こさなくてもいいんじゃないのか?
「彼女はあの一件を除けばとても優秀なインターフェイスです」
優秀と言われて嬉しいのか、破壊と殺戮の女神と称してもなんら違和感のない宇宙人少女――朝倉涼子は
ニコニコしながら、
「ま、そういうことね」
と、無感動にそう言った。
ちなみに、驚きを隠せていなかったのが古泉で、喜びの表情を浮かべていたのが朝比奈さんだ。
「先程はすみませんでした。少し感情的になりすぎてました」
「いや、別に気にしてない。お前の言っていたことはほとんどその通りだった。
それに謝るのはどちらかといえば俺のほうだろ。すまなかった」
古泉はさらに驚きの表情を浮かべる。そこまでいけば逆に白々しいぞ。
「いえ、本当に驚いてるんです。あなたは先程までどちらにいらしたんですか?」
「ずっと病院にいた。親父はお前の差し金じゃなかったのか?」
その一言で全てを理解したのか、
「なるほど、そういうことですか。いえ、あなたとあなたのお父さんとの会話に僕は関与していません」
本当に察しのいいやつだ。
インターフェイス3人組もこれだけの会話で何があったか理解できたようだったが、
1人だけそうではないお方がおられた。
「あのぉ、よく分らなかったんですけど……」
「朝比奈さん、心配かけてすみませんでした。俺はもう一度ハルヒ連れ戻しに行ってきます。
そして必ず連れ戻してきます、絶対に。分かりましたかね?」
朝比奈さんはそのこじんまりとして可愛らしい瞳に涙をうるうるさせながら、
「はいっ!」
と、いつになく力強い返事をしてくれた。
さて、そろそろ行かなきゃ時間もまずいんじゃないか?
「そうですね、おそらく待ちくたびれてますよ」
「だといいんだがな」
本当にそう思う。ハルヒは俺のことを待っててくれているのか、それとも……。
「大丈夫だと思う」
「何がだ?」
「あなたの心配は杞憂」
長門は俺の目を真っ直ぐに見つめながらそう言った。
「……なあ長門、一つ訊いていいか?」
「何?」
戻って来てから、いや、あっちの世界にいた時から、何となくだけど感じていたことがある。
長門はもしかして――
「感情があるのか?」
2回だけ小さく瞬きをしてから長門は確かにこう言った。
「ある」
予想していたこととはいえ、改めて聞いて驚いた。しかし、驚いたのは俺だけのようで、
朝比奈さんを除いて他のみんなは「そんなこととっくの昔から知ってたぜ!」みたいな顔をしている。
「いつからなんだ? 俺があっちの世界に行った時からか?」
「それ以前。あなたがこの病院に来る前に私はあちらの世界の私と同期した。その際に獲得した」
禍転じて福となすというか、塞翁が馬というか、なんにせよこれは良いことなんだよな、長門にとって。
それにしたって口調が全く変わってないのは何故なんだろう。まあ、いきなり変られても焦るだけだが。
「ところで長門、俺のこと軽蔑してるか?」
「……あなたはハルヒを傷つけ、なおかつその事実から逃げようとしていた。
私があなたを軽蔑するのは当然のこと」
ははは、訊かなきゃよかったかな。こんな剛速球が来るとは。
「でも、あなたは戻ってきた。それが誰かの後押しによるものだとしても、
その決断はあなた自身のもの。だから、」
だから?
「ほんのちょっとだけ見直した」
「ほんのちょっとだけかよ……」
俺は大袈裟に肩を落として見せた。
そんな俺を見て2人が無機質な微笑み、1人が微笑み――というかニヤニヤしてるだけか、
1人が全世界の野郎どもを一撃で葬り去るだけの威力は確実に有しているであろう微笑み、
そしてもう1人が控えめだけど温かで一度見たら二度と忘れられない、そんな微笑みを浮かべていた。
続く
支援
今回はここで終了です
wikiには加筆修正して後で載せます
310 :
スカイダイバー(新潟・東北):2007/04/01(日) 11:08:19.80 ID:BYoXj+I+O
乙〜
乙です。
さて、こちらも8レスほどできました。
先の話も全部できてから連続して投下のほうが良い、とも言われたのですが、
投下して自分にプレッシャー与えないと、このままずるずる引きずりそうなので、
行ってしまおうかと。
許可を。
乙!
キョンならやってくれると信じてる!
313 :
図書係り(コネチカット州):2007/04/01(日) 11:30:21.23 ID:F9VYXZGwO
分裂ネタっていつから解禁なん
>>311 どぞ。
そっちの投下終了したら、こっちも爆撃する。
本スレでは今夜24時
フライングしまくりだが
今日の24時を待てば完璧だと。
あさってまで待ってほしいよ…orz
支援
Report.19 長門有希の憂鬱 その8〜涼宮ハルヒの告白〜
コンコン。
部室の扉がノックされる音。
わたし、涼宮ハルヒ、朝倉涼子の3人は、互いに顔を見合わせた。
「どうぞー。」
結局、ハルヒが返答した。扉が開き、4人の人物が入ってきた。
「ちょっと失礼しますよ。」
喜緑江美里、古泉一樹、朝比奈みくる、彼……通称キョン。
「あんたは、生徒会の……何でここに?」
「実は我々は、長門さんが北高に向かっていたという話を聞いて、戻ってきたところなのですが、
そこでたまたま彼女に会いまして。彼女……生徒会の方でも、何やら長門さんに用があるとかで、
御一緒した、というわけなんですよ。」
古泉一樹が答えた。……話し方が変わっている。
「そんなに睨まないでくださいな。活動状況を簡単に確認するだけですから。」
ハルヒが江美里を睨みつけているのは、先の文芸部会誌を作成した時のことを踏まえてのものだろう。
「文芸部の活動は 極 め て 順 調 やから、どうぞご心配なく!!」
彼女は目を三角に怒らせて、江美里を威嚇している。江美里は全く意に介していないが。
「長門さん……お久しぶりです……」
朝比奈みくるが声を掛けてきた。そういえば、既に会ってはいるものの、まだ彼らには言っていない。
わたしは彼らに視線を向けて、言った。
「ただいま。」
「……おかえり、長門。」
彼が答えてくれた。わたしは、帰ってきたことの『実感』が湧いた、ような気がした。
皆は一様に、わたしの帰還を喜んでいるようだった。
その中で、ハルヒからすれば部外者である江美里が、わたしに向けて口を開いた。
支援
支援
「今年度の文芸部の活動状況についてですが。」
『御承知のように、敵対勢力の排除は完了しました。』
「……」
『協力に感謝する。』
かぎ括弧は声に出した会話。二重かぎは通信の内容。
「昨年度は会誌の発行が、例年に比べてかなり遅延していました。
まあ、内容は充実していたようなので、その点は心配していませんが。」
『《全員で突入する》という要請でしたけど、期待には応えられたでしょうか。』
「……」
『十分。予想以上。』
「ここだけの話ですけど、うちの会長も、口ではああ言ってますけど、
次の刊行を心待ちにしてるんですよ。文芸部の会誌をこっそり読んで、
お腹抱えて笑ってましたから。特に鶴屋さんが書いた小説には、
腹筋を破壊されたみたいでしたね。」
『みなさん、とんでもない戦闘能力を持ってますね。
さすがは涼宮さんに選ばれし兵(つわもの)達、といったところですか。』
「……善処する。」
『……同意する。』
江美里は、絵に描かれた貴婦人のような微笑を浮かべて、
『彼女の感情がそろそろ限界のようなので、会話相手は譲りましょうかね。ほら、あなたもボーっとしてないで。』
『んあ!? ちょっと、急に話を振らないでくれる!?』
涼子が不意を付かれて慌てている。このような反応は、我々インターフェイスのものとは思えないほど人間的だった。
『どうしたのでしょうね。あなたらしくもない。』
『いや、ちょっと……涼宮さんと長門さんの表情に見とれちゃって……』
わたしの表情? わたしは何か表情を浮かべていたとでも言うのだろうか。
涼子はわたしをまじまじと見つめた。
『……本気で言ってるの?』
嘘を付く理由も利益もない。
『……無自覚、か。なるほどね……』
支援
支援
話が見えない。
『長門さん。あなたは、さっき涼宮さんに「ただいま」って言った後、目を細めて微笑したのよ。』
……身に覚えがない。
『じゃあ、無意識のうちに、微笑してたのね。』
わたしに表情を作る機能がないわけではなく、また、
誰にでも分かるほどはっきりと表情を変えることも、できなくはないことは知っている。
実際に、微笑という表情をハルヒには見せたことがある。
しかし、先ほどの会話では、特に表情を作った記憶はない。
『だからさ……それは「自然な表情」って言うのよ。「自然と笑みがこぼれる」っていうやつよ。』
それは、本にも頻繁に登場する表現。しかし、実際にどのような状態なのかは、分からなかったもの。
そのような理解不能だった状態に、わたしがなっていたと言うのか。信じられない。
『……変わったわね。』
『……変わりましたね。』
2人は、嬉しそうに顔を見合わせた。
わたしは、そこまで自由に、任意の表情を浮かべることはできないはず。
それに、なぜ2人が『嬉しそう』なのかの理由も分からなかった。
「有希……有希……!」
ハルヒの声。見ると、人間の言葉で言う『感極まった』様子だった。
「有希ぃーーー!」
彼女は、わたしのそばに駆け寄るとわたしを強く抱きしめた。そして一気にまくし立てた。
「有希! ごめん! ごめんなさい! あんな、あんなことして……!
あんたを突き飛ばして怪我さして! それで、怪我したあんたをほったらかしにして!」
彼女は、泣きながら詫びている。先日の、わたしが消失した日の出来事。
わたしがうっかり、彼女の心にある、侵してはならない領域を侵してしまった、あの日の出来事。
「いい。気にしてない。」
「ほんま?」
彼女は潤んだ瞳でわたしを見つめる。わたしは、誰にでも分かるほど大きく、はっきりと頷いた。
彼女はまたわたしを抱きしめた。そして、人間の言葉で言うと『堰を切ったように』、語り始めた。
わたしがいなくなったことで、どれだけ自分が寂しかったかを。
支援
「……他にも数え上げたらキリ無いけど、とにかく! それぐらい寂しかったんやから!」
「事情はよく分かった。」
わたしは、素っ気無く答えた。本当は、とても嬉しい。彼女にここまで強く気に掛けてもらえて。
「でも、これだけは言わして?」
と、彼女は涙目で言った。
「なに。」
彼女は、大きく深呼吸した。そして、意を決して言った。
「有希ーーー!! 愛してるーーー!!」
ざわ……ざわ……
そんな擬音語を背景につけるのがふさわしいと思った。
わたしと彼女以外のその場にいた者は皆、目を丸くして驚愕している。
彼女は、わたしを強く抱きしめてきた。
「もう、絶対に、あんたを、失いたくない! 離したくない!!」
そして彼女は……わたしの唇を奪った。
『んっ、んっ、んっ……んむ……んむ……』
濃厚な接吻。それも、他人の目の前で。
『んっ……はっぁ……あむ……んっ……』
彼女の口付けは終わらない。彼女の、暖かい気持ちが伝わってくるような気がする。
ようやく彼女の濃厚な接吻が終わった。口を離すと、お互いの唇から唾液が糸を引いて繋がっていた。
彼女は滔々と語り始めた。それは紛れもなく、わたしへの『愛の告白』だった。
支援
支援
支援
「最初は単なる好奇心やった。無口で無表情な娘やなーって。泣いたり笑ったりせえへんのかなーって。
まるで部室の付属物みたいに、存在感のない娘、っていうのが最初の頃の印象やったわ。」
それが、共に過ごすうちに、だんだん見る目が変わっていった。
「毎日なんとなく眺めてるうちに、だんだん気になりだしてん。
あんたは無口で無表情やったけど、万能やった。何でもそつなくこなせた。
その時に思ってたんは、どうやったら有希と仲良くなれるかってことやった。」
彼女は遠い目をして言った。
「決定的やったんは、1年の時の文化祭。気ぃ付いてた? あんたの情熱的なギターは、
いっしょに舞台に立ったあたし達も含めて、その場にいた誰もを魅了したんやで。
あの時あたしは、最高に気持ちよく歌ってたけど、それはきっと、
あんたがギターで支えてくれたからなんやと、今になって思うわ。急遽代役で立った舞台で、
どうなるか分からへん一発勝負。いくらあたしでも、緊張せえへんかった、って言うたら嘘になるわ。
それでもなんとか乗り切れた。今なら理由が分かるわ。それは有希が、
いつもあたし達の期待に応えてくれる有希が、そばにおってくれたから。一緒に舞台に立ってくれたから。
体育祭では、文武両道さを存分に見せ付けてくれたし、バレンタインの時は料理も振舞ってくれた。
あの時作ってくれたうどん、めっちゃおいしかったで。今でも忘れられへんもん。
阪中の家の犬を治したときは、正直感動した。いつもいっぱい本読んどぉけど、ただ読むんやなくて、
ちゃんとその知識を役立たせてるんやから、改めて凄いと思ったわ。それで、
ますます有希から目が離されへんようになった。」
それに、と彼女は続けた。
「あれは夢やったみたいやけど、未だに忘れられへんことがあんねん。
覚えとぉ? 1年の冬休み、鶴屋さん家の別荘に合宿に行った時の事。」
周囲に緊張が走った。
「あの時、あたしはやけにあんたのことを心配しとったやろ?
あれな、あたしの夢の中で、あんたが熱出して倒れてんけど、それはもう、心配したで。
夢から覚めても、全然気が付かずにあんたのことを心配するくらい。それで、気ぃ付いてん。
あたしは、夢にまで見るくらい、あんたのことを意識してるんやな、って。」
その時は『無口で頼れる万能選手』として。
支援
「その時はそう思(おも)てたけど、今にして思うと、既に違(ちご)てたんかもしれへん。
でも、自覚はしてへんかったな。思いが変わった、あるいは自覚したんは、この間のこと。
あたしが変質者を捕まえて新聞に載って、それから、変な奴らに付きまとわれてた時のことやわ。」
彼女はその時のことを思い出すように、
「あの時あたしは……ほんまはめっちゃ辛かった。団員達に……特に有希、あんたに会われへんことに。
それから、変な奴らへの対応も。どうってことないつもりやったけど……やっぱりきつかった。
あたしは、もう、いっぱいいっぱいやった。そんなあたしを救ってくれたんが、あんた。」
ここで彼女は周囲を見渡した。
「みんなの前でこんなこと言うてるなんて、我ながら大胆やと思うけど、どういうわけか、
有希の前やと素直になれるわ。こんな……恥ずかしいことを告白できるくらいに。」
彼女は再びわたしに視線を戻した。
「あの時、あたしがあんたを呼び出した時、あんたは来てくれた。
あたしの恥ずかしい話を黙って聞いてくれた。泣き出したあたしのそばにずっとおってくれた。
色々とあたしに良くしてくれた。それから……あんたの意外な一面も見せてくれた。
あの時のあんたの仕草、反則的なまでに可愛かったわ。」
そして気が付けば、ただの気になる人から、愛しい人に変わっていた。
「あたしは必死でその気持ちを否定した。だって、おかしいやん? 女同士でこんなこと思うなんて。
相手が、宇宙人とかって言うならまだしも、有希は物静かな……可愛い人間の女の子やんか。
でも、今日のことで実感したわ。あたしの中で、あんたの存在がどれだけ大きくなってたか。
それで、あんたの顔を見て思った。もう、この気持ちは抑えられへんって。」
いつのまにか、恋に落ちていた……気が付いたときには、既に。
「さっきあったことを話すわ。また夢を見てたらしいんやけど。」
さきほどの情報統合思念体過激派による襲撃のことだろう。
「夢の中で、あたしと朝倉は、変態に襲われた。ストッキングで覆面した変態。
朝倉がそいつと戦ってたんやけど、ピンチになってん。もう絶体絶命。そこに颯爽と現れたんが、有希。
朝倉にも言われてんけど、その時のあんたは、マジでヒーローやった。かっこよかった。
そのあとそのまま今の場面に続いとぉから、正直、どこまでが夢で、どこからが現実か分からへん。
もしかしたら、今この瞬間も夢かもしれへんし。でも、それでもあたしは確信した。」
彼女はわたしの瞳を真っ直ぐに見据えて言った。
「やっぱりあたしは、あんたが好き。大好き。」
支援
彼女の気持ちは伝わった。今度はわたしが答える番。
わたしは彼女に言った。禁じられた言葉を。
「わたしは……わたしも、あなたを、愛している。」
観測とか、処分とか、そんなものはどうでも良いと思えた。
彼女は、わたしを愛している。
わたしも、彼女を愛している。
それで十分だと思えた。
それでわたしは――幸せだと思った。
「有希、有希っ!」
また彼女が抱きしめてくる。わたしも彼女を抱きしめ返す。
とても幸せで、そして、だからこそ……『悲しい』。
これから、わたしが行うことを思うと、悲しくなった。
わたしがこれから行うこと。
それは涼宮ハルヒへの情報操作。今まで決して許されることがなかった行為。
今回の過激派による襲撃の記憶を消すことだけではない。
わたしは、彼女の『長門有希への思い』を操作する。
彼女のわたしへの感情には、明らかに『性愛』が含まれている。
それは本来、『異性』に対して向けられるもの。
一部に例外はあるものの、大多数の雌雄の別がある有機生命体はそのようにしている。
それが、有機生命体の繁殖に必要不可欠だから。
だから、今の彼女は……『異常動作』。そしてわたしも異常動作。
わたしの口から明確に、わたしの想いを彼女に伝えられた。それだけで十分。
彼女の行動を修正しなければならない。
提案したのは、わたし。情報統合思念体の許可は下りている。
いよいよ、これまで最大の禁則事項だった行為を行う。
わたしは操作を開始した。
支援
「あれ……? なんか急に眠く……」
彼女の身体が崩れ落ちる。わたしは彼女の身体を抱きかかえるようにして支えた。
彼女が完全に眠ったことを確認すると、彼女の精神に干渉する。
そして、彼女のわたしへの想いから、性愛に関する部分を削除する。
今後彼女は、わたしをこれまで通り『無口で頼れるSOS団随一の万能選手』として見るだろう。
ただし、わたしへの想いは大きく発達していたため、元通りとはいかないかもしれない。
それでも、『仲の良い女友達』程度には抑えられたはず。
わたしに、あのような行為に及ぶことは、もうないだろう。
操作終了。
「……」
わたしは無言で、彼女の身体を抱きかかえながら、静かに眠る彼女の寝顔を見ていた。
事態の推移を見守っていた彼が、やっとの思いで口を開いた。
「……長門。お前はハルヒに一体何をしたんや?」
「行動の修正。」
わたしは平坦な声で答える。
「最近の涼宮ハルヒの行動は、明らかに異常動作。先ほどのわたしへの行為もそう。」
わたしは、ぼんやりと彼女の顔を眺めていた。
名残惜しいのだろうか? わたしは彼女の顔から視線を外すことができないでいる。
「修正は完了した。問題ない。」
そう、これで問題ない。何も。
その時、何かがわたしの頬を伝った。
涙が一粒、頬を伝った。
支援
>321-339
以上です。
今回、中盤のハルヒの台詞群は、当初はもっとダイジェストというか、薄かったのですが。
昨夜、突然ハルヒが降りてきて、一気にまくし立ててきました。
必死で書き留めました。ハルヒもよっぽど抑えられられなかったのでしょうね。
有希はこれまでに書いてきたとおりですが、
ハルヒも有希にベタ惚れだったということです。
……続きは、なるべく早急に書き上げたいですね。
支援
乙!
目汁が。・゚・(ノД`)・゚・。
乙!
長門とハルヒがそのままエロエロな路線に行くのかと思ってちょっとハラハラしたwwww
乙です
じゃあ5レスほど投下しますけどいいかい?
家門
苦悶
じゃあいきます。
9巻読んでから多少修正してますがネタバレにはなってないはず。
最終的にwikiの方は少し9巻の影響受けて修正するでしょう。
支援
朝比奈みくるの未来 第6章
(1)
第6章・告白
「…あたし……あたし、キョンくんのことが…好きです。ずっと好きでした。でも、あた
しがキョンくんにしたことがきっかけになって、涼宮さんが世界を作り替えようとしたと
きのこと…それに、キョンくんの未来は『禁則事項』だから…あたしはキョンくんと仲良
くなったらいけないって。だから心にしまっていようと思ったけど…やっぱり忘れられな
くて…。言っちゃえば『禁則事項』になっちゃうからって、ずっと涼宮さんを気にして…
。お仕事だからって、我慢して…。昨日はね、お酒の勢いであんなことして、キョンくん
に軽蔑されてないかなって考えたら、どんどん悲しくなっちゃって、泣いちゃったの。ご
めんなさい、それで迷惑かけちゃって…。 鶴屋さんとたぶん未来の…いえ、言われたの
。誰かに遠慮するのはやめなさい、後悔しないようにって。涼宮さんのことは判ってる。
未来が変わっちゃうかもしれない。でも、後悔したくない、キョンくんを誰にも渡したく
ないの。たとえ未来がなくなっても、あたしの帰るべき未来がなくなっても……」
朝比奈さんは、彼女らしくない長い台詞を一気にはき出して、涙をぽろぽろと流し始め
た。
えーっと、これって…。
俺への告白だよな?
それも朝比奈さんからの。
そこらの陰から、プラカードを持ったハルヒか古泉が現れるんじゃないかと思ったが誰
も現れない。どうやらドッキリではないらしい。
自分のこめかみにデコピンを入れてみた。痛い。夢でもない。
……
これが朝比奈さんが言いたかったことなんですね、鶴屋さん。確かに聞かない方が良か
ったですよ。
支援
(2)
未来のことが関わってくるためか、禁則事項で若干意味のわからないところはあるけれ
ど、朝比奈さんにとっては言葉通り未来の自分を捨てる覚悟の上での告白だったに違いな
い。そのことだけは痛いくらいに伝わってきた。
こんなとき俺はどうすればいい?
古泉なら優しく肩を抱いてハンカチを差し出すのだろうか。
けどな、俺はこんな経験はしたことないんだ。中三のときのあの女とは、よくつるんで
いただけだ。男子生徒とあまり長い接点を持たないやつだったから、単に周りが勘違いし
てただけで、告白とかそういう間柄じゃなかったからな…。
ともかくだ、すべてが「優」評価の女性からこんな告白をされて嬉しくない奴がいたら
そいつはホモに違いない。
ああ、俺もこのまま朝比奈さんを抱きしめて、「ええ、僕もです」と返して、取り囲ん
だ周りの人から拍手のエンディングを迎えたかったよ。
しかし、あいつの顔が頭に浮かんで動けない。
涼宮ハルヒ。
くそっ、あいつの周りにいると誰もが否応なしにあの迷惑な力の影響を受ける。識域下
であれ、非識域下であれだ。恨めしくなってくるが、今考えることはあいつのことじゃな
い、目の前にいる朝比奈みくるさん、彼女のことだ。
俺はなんとかポケットから少し折れ曲がったハンカチを差し出すのが精一杯だった。
「これ…使ってください」
「うん…ありがとう」
少し折れ曲がってはいるが、洗濯したハンカチをおろしといてよかった。いや、そんな
ことはどうでもいい。
「あの…少し場所変えましょうか?」
実に周りの目が痛い。俺が別れ話を繰り出した酷い男のように見られるのも言われるの
も別に構わん。
ただ朝比奈さんを好奇の目に晒すのがいたたまれなかった。
「…はい…」
(3)
朝比奈さんは弱々しく返事をして弱々しく立ち上がった。俺はさりげなく彼女の腰に手
を廻して支えると、下りエレベーターの方向に誘導した。下っている間俺は一言も言えず
、朝比奈さんはずっと涙を拭っていた。
ビルの周りに広がるフリースペース。その隅にあるベンチに朝比奈さんを座らせ、俺は
彼女の前に跪いて目線を同じ高さにした。
まだうつむいて涙を拭っている。
慎重に言葉を選ぶ必要性を感じながら、俺は朝比奈さんが顔を上げるのを待った。
「少し、落ち着きましたか?」
涙は止まっているが、少しでも刺激をすればきっとまた溢れ出すだろう。
さすがにこんな状況ではボケも突っ込みもできるまい。ただ誠実に言葉を紡ぐだけだ。
「朝比奈さん、正直言って俺、嬉しいです。俺も、朝比奈さんが彼女だったらって、数え
切れないほど思ったこともあります。でも…ハルヒです。あいつがいる限りまたあんな状
況になるかもしれないと思うと、考えることも多すぎます。不誠実かもしれないけど、少
し時間を欲しい。ダメですか?」
不機嫌未来人だろうが敵対機関だろうが広域帯宇宙存在なら来るなら来いというレベル
まで到達したものの、さすがに世界と恋を天秤にかけられるほど俺にはまだ経験値が足り
ない。そこまで度胸は据わってないね。
世界を構築し直す強力な閉鎖空間…ニキビどころか悪性腫瘍のように起こしてはいけな
いものとして俺を含む4人は考えていたわけだから。
いくら朝比奈さんが相手とはいえだ。俺はなんて根性なしなんだ。
「だ、ダメです…。あの、その、今日中に…聞かせてください」
真摯な眼差しで俺を見る。何か訳がありそうだ。
「えらい急ですね…もしかして、未来に関わっているとか?」
朝比奈さんは首を横に振りかけてから、縦にうなずいた。
「どうしても、今日中じゃないと。ダメなの。24時まででないとあたし、あたし……。
ごめんなさいっ、今日中なんてあたしの我が侭ですよね。忘れてください!」
朝比奈さんはやおら立ち上がって走りだした。だがそこは朝比奈さんだ。ハルヒならそ
のまま逃走を許しただろうが、俺は10mも進まないうちに彼女の手を掴んだ。
支援
(4)
「ちょっと待ってください! 我が侭とかそんなのわかんないし。とにかく訳を話してく
ださい」
朝比奈さんの手を引いてさっきのベンチに座らせた。俺は彼女の手を握ったまま隣に座
った。
「ごめ…、ごめんなさい…。禁則がかかっているから、たぶんちゃんとお話できません。
でも、言わないとわからないですよね…」
彼女はうつむいて握った手に向かって話しかけはじめた。伏せ字のように禁則事項が織
り込まれるため、その部分は前後関係などから俺の推測で補ってみたが、まとめてみると
こういうことらしい。
・俺に告白することはとりあえず禁則事項ではない。
・彼女の知る規定事項では俺と朝比奈さんと結ばれることはない。
・もし、規定事項を変えて俺と結ばれれば未来が変わり、朝比奈さんはこの時間で過ごす
ことになる。変更された未来はどうなるかわからない。
・未来を変えることは駐在員にとって重罪であるため、もし告白したことが発覚するだけ
でも、処分を受けるかもしれない。彼女は記憶操作を受けるか未来へ強制帰還されてしま
う。が、彼女が言うには、未来が変われば処分されないだろうこと。
・ただし、24時までの間は事情があって処分の手は及ぶことはない。だから告白をした
。こんな機会はもう二度とないかもしれない…
鶴屋さんの言った『シンデレラ』とは、彼女が24時までは未来の制約を受けずにいら
れるからということことなのかね。しかし、朝比奈さんの場合は魔法が解けたらそれで終
わり…ガラスの靴も残らない。持ち主までいなくなってしまうかもしれないのだ。
「まったく、えらく急なことですね」
本当にまったくだが、今の素直な感想だ。それ以外にかける言葉が見つからなかった。
「…ごめんなさい。こんなやり方って、ひどいですよね。あたしの都合だけだもの。キョ
ンくんのこと考えてなくて…ぐしゅ…。でも、今しかなかったの。今日ももっと早く言え
ば良かったのに、拒絶されることを考えたら怖くて……」
(5)
肩を震わせて、また泣き虫朝比奈さんになった。
そんな彼女の手を強く握り直して、俺は言った。
「…少し、一人で考えさせてもらえませんか? 考えがまとまったら、電話かメールしま
す。2〜3時間ぐらいの間には」
展開が急すぎて、妙な展開や理不尽慣れしている俺の頭もさすがに悲鳴をあげている。
とにかく考えをまとめる時間が欲しい。昨日からいろいろありすぎた。
思い出せることは思い出して、考えることは考えてから、答えを出したい。もっと時間
をくれよとは言いたいけどね。
「…はい、わたしもお化粧直したいし…。嬉しい返事が欲しいけど、ダメでもいいの。ダ
メなのが必然だし、それが規定事項だから…。今日中にお返事は聞かせてください…。お
願いします…」
ぐすっぐすっっと鼻をすすりながら、涙を止めようとしている。今にも消えてなくなり
そうなとてもいじらしくて儚げだった。問答無用で抱きしめたくなるね。今すべきことで
はないけどな。
「朝比奈さん…必ずお返事します。一人にさせてしまいますが、すみません」
その重みに答えるには、こちらも全精力を持って返事をする義務がある。ただ少しだけ
待っていてください。
少し距離を開けて歩く朝比奈さんと俺。
無言のまま、長い長いガードをくぐって、私鉄駅と隣接した私鉄系列の大きなホテルの
ロビーの喫茶店の前で、いったん俺達は別れた。
別れ際、彼女は俺の背中に顔を埋め、言った。
「待ってます…待ってますから……」
背中に響く声が痛かった。
第6章 終わり
支援
乙!
GJです!
ハラハラというか、ドキドキというか、とにかく目が離せないです。
乱立注意!
>343
今は……長門の気持ちを酌んでやってください。
>344
前科がありますからねorz
一応今回は、健全な風景のつもりです。ほんとです。ちょっと激情なだけで。……信じて。
このネタを思いついたのは、実に4ヶ月ほど前のことです。
ようやくここまで辿り着けました。長かったなぁ。いや、筆が遅いせいですけど。
362 :
将軍(コネチカット州):2007/04/01(日) 12:25:03.69 ID:nDlOqN6eO
アッガーレ
保守
やっぽーい! ,
/ 〃" `ヽ、 \
/ / ハ/ \ハヘ
|i │ l |リ\ /}_}ハ.
|i | 从 ● ●l小N
|i (| ⊂⊃ 、_,、_, ⊂li|ノ
| i⌒ヽ j (_.ノ ノi|__/⌒)
| ヽ ヽx>、 __, イl |::::ヽ/.
| ∧__,ヘ}::ヘ三|:::::/l| |',:::::ハ
| ヾ_:::ッリ :::∨:/ | | >'''´
やあやあ皆の衆っ、またかって思うかもしれんけど招待状を持ってきたよろ!
ttp://wwwww.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1175263401/ このスレに保守と書き込んでおくれっ!
じゃっ!またねっ。ありがとみくるっ。お茶おいしかったよっ。次回もよろしくっ!
地元の1番でかい本屋が耐震補強工事中で他にまともな本屋ねぇ…orz
これだけで俺の地元が見破られそうな悪寒
>>365 時代はネットだよ、兄者。
まさかフラゲまでできるようになっていたとは思わなかったが。
368 :
農業(福岡県) :2007/04/01(日) 13:00:35.19 ID:UlwsX8Gn0
>341
>昨夜、突然ハルヒが降りてきて、一気にまくし立ててきました。
裏山椎。そんな経験したことないやー。
ほしゅでしょでしょ
370 :
舞妓(アラバマ州):2007/04/01(日) 13:27:10.93 ID:ulwrAF/z0
あげ
もしかしたら「人生最悪の四日間」第六章が投下されるかもしれないけど、別のちょっとした短編が投下されるかも。
どっちがいいか検討中。
分裂売り切れとか言ってっけどうちの近所の本屋では普通に平積みだぞ。
うちに周りにはハルヒファンはいないと見える。
やっべSS書きてぇぇえええ!
けど何書いていいかわかんねぇ!
>>373 キョン×古泉で。
かなり難しい部類かとwww
誘拐×古泉とかwwww
分裂ネタはもう投下おkなんすか?
>>376 一応今日発売だから、明日まで待ったら?
やばい…
キョン×佐々木でSS書きたくなってきた
長門「キョン、大好き・・・///」
キョン「な、ながと!?」
長門「エイプリルフール」
381 :
ぁゃιぃ医者(鳥取県):2007/04/01(日) 14:30:49.77 ID:OhqXhYKm0
キョンの場合
キョン「長門好きだ」
長門「好き・・・?」「
キョン「ああ、好きだ
長門「そう、エイプリルフールね」
キョン「・・・・あ、あぁ」
長くてごめん
古泉「あなたのことが大好きで、夜も眠れません」
キョン「こ、古泉。おまえなにを………」
古泉「エイプリルフールですよ。なにを動揺しているのですか」
キョン「………」
朝比奈さん「キョンくんのこと、だーい好き」
キョン「え………あ、朝比奈さん」
朝比奈さん「やだぁ、エイプリフールですって」
キョン「………」
長門「……愛してる」
キョン「な、長門。おまえ……」
長門「エイプリルフール」
キョン「………」
ハルヒ「あたしだって、キョンの事、大好き!!!」
キョン「エイプリルフール乙」
ハルヒ「………」
ハルヒwwww
385 :
巡査(関東):2007/04/01(日) 15:00:22.51 ID:DGkdl+Z5O
便乗エイプリルフール
ハ「キョン、大好き!」
キ「なっ……!」
ハ「なんちゃってね、エイプリルフールよ四月バカキョン! 本気にした?」
キ「……」
ハ「あー、面白い! 次はぁ……」
キ「……だ」ボソ
ハ「何かいった?」
キ「ハルヒなんか大嫌いだ。二度と側によるな。よく見るとだいぶ顔がキモイ」
ハ「えっ……」
キ「エイプリルフール」
ハ「……ちょっとそこに正座しなさい、キョン」ニコリ
キ「え、いや、嘘だって。なにその金属バット。ちょ……」
ハ「大嫌いよ、キョン」
キ「ハルヒ……」
キ(口の中が甘いぜ)ドキドキ
個人的にエイプリルフールネタは懐かしいなぁ……
お前ら早く付き合えよwwwwww
と思ってしまうなぁw
387 :
ぁゃιぃ医者(鳥取県):2007/04/01(日) 15:00:50.73 ID:OhqXhYKm0
哀れハルヒwww
保守
やべ存外短くなってしまったw推敲して終わりだw
>>390 だがしかし日付変わるまでは投下しないほうがいいように思うw
Yes。だいぶ軽いのでちょうどいいリハビリになりそうですw
394 :
西洋人形(コネチカット州):2007/04/01(日) 15:55:44.74 ID:TbTtAHE7O
保守
395 :
名無しさん@(コネチカット州):2007/04/01(日) 16:02:44.53 ID:A0P6eYvJO
>>395 な、なんだtt
ちなみにTさんのSSですがw
399 :
巡査(関東):2007/04/01(日) 16:21:49.85 ID:DGkdl+Z5O
401 :
巡査(関東):2007/04/01(日) 16:28:31.08 ID:DGkdl+Z5O
>>400 まあ、多分あの人だろ、分裂にも出てきた
鶴屋さん?
さーて保守保守っとー。
403 :
パティシエ(コネチカット州):2007/04/01(日) 16:37:48.42 ID:A0P6eYvJO
>>402 あさってまで待ってくれるんだよね?
待ってくれなかったらマッガーレしますよ?
>>403 明日分裂ネタのSS投下されるようだったらひょうひょうと投下するw
なければしないー。
「明後日まで待てよ」
「待てば投下していただけるんですね?」
「何地方民のくせにお前待てとか言ってるんだよ」
「早く投下しろよ」
などの会話を経て全裸に。
>>299 読むの早いなw
俺なんて3時間かかったぞ。
407 :
ぁゃιぃ医者(鳥取県):2007/04/01(日) 17:24:30.04 ID:OhqXhYKm0
保守
408 :
カメコ(岐阜県):2007/04/01(日) 17:31:20.49 ID:1RZvKViS0
ひさしぶり保守
409 :
グライムズ(アラバマ州):2007/04/01(日) 17:47:41.17 ID:xmz5BY/s0
保守点検作業
410 :
お宮(東京都):2007/04/01(日) 18:00:50.16 ID:AkAKjGwT0
保守。そして分裂設定踏まえてない古長を書き途中。
412 :
ぁゃιぃ医者(鳥取県):2007/04/01(日) 18:43:04.09 ID:OhqXhYKm0
保守
本屋なかったよぉ
密林からさっき届いた。
415 :
パティシエ(コネチカット州):2007/04/01(日) 19:04:31.78 ID:A0P6eYvJO
明日紀伊国屋にでも買いに行くかな
紀伊国屋にならあるはずだ
416 :
司会(空):2007/04/01(日) 19:06:48.82 ID:uulkPBDz0
8レスですが、「ウソがホントになる世界で」の後編、投下していいですか?
417 :
通訳(千葉県):2007/04/01(日) 19:08:26.91 ID:P+u+2zto0
家紋
418 :
司会(空):2007/04/01(日) 19:09:32.84 ID:uulkPBDz0
ウソがホントになる世界で 13
周囲を白い霧が覆っている。霧は深く、なにも見えない。
聞いたことのあるメロディが、どこからともなく聞こえてくる。
即席バンドにしては上手な演奏。とぎれとぎれの記憶が戻らない。
その音に向かって歩きだした。どこまで歩いても霧は深く、たどり着く事ができない。
『いつまで寝ているの?』
聞き覚えのある声が頭の中に響いた。いとおしさといくらかの自己嫌悪を感じる声。そんな感情しか思い出せない。
『早く目を覚まして……』
声が遠く、小さくなっていく。何故か涙が溢れ、頬を濡らす。メロディはかろうじて聞こえているが、いまにも消えそうなほどだ。
声のする方向と音楽が聞こえる方向は同じ。どうすれば、そこにいけるのだろうか。走りだすけれども、声はもう聞こえなかった。
例えようもない絶望感で、心が壊れそうだ。
行かないでくれと、俺は叫んだ。
目が覚めた。ふかふかの布団の中で、俺は涙を流していた。あの夢のこと
「どうしたの?」
ハルヒは淡くぼんやりとした照明を頬に受けている。俺の涙を指で拭った。
「こわい夢でも見たの?」
「……ああ」
「大丈夫? 水もってきてあげようか?」
俺は返事の代わりにハルヒを抱き寄せた。ハルヒは何の抵抗もせず、俺の胸に頭を乗せた。
「いや、しばらくこうしていてくれ」
「いいけど……大丈夫なの?」
「ああ……悪い」
ハルヒはなにも答えない。手を伸ばして、俺の髪に触れた。やさしく髪を撫ではじめてくれる。
「眠れるまで、こうしてあげるよ」
ハルヒの甘い香りを胸一杯に吸い込んで、目を閉じた。
やわらかな手触りを感じながら、俺はまた夢の中に吸い込まれていった。
419 :
通訳(千葉県):2007/04/01(日) 19:10:12.59 ID:P+u+2zto0
支援
420 :
司会(空):2007/04/01(日) 19:10:30.14 ID:uulkPBDz0
ウソがホントになる世界で 14
まぶしさに目が覚めた。風が頬をなでて通り過ぎて行く。
光の中に見えたのは、ハルヒの背中だった。いつか見たことのあるTシャツと、デニムのミニスカートに着替えていた。
ハルヒは大きな窓を開け放している最中だった。カーテンが風に舞い、ハルヒの髪が踊る。ぶつぶつつぶやきながら、髪を手で押さえ付けている。
どこからか、かすかに音楽が聞こえてくる。窓の外からだろうか、それともハルヒがTVをつけっぱなしにしているのか。
ハルヒは振り返り、俺に声をかけてきた。
「ああ、起きた?よく寝れた?」
「おかげさんでな」
「それは良かった」ハルヒはニコリと微笑んだ。「朝ごはん食べる?」
「あ、ああ」
「そう思って作ったげたよ。感謝しなさい?」
「すまんな」
「ほら、顔洗って、歯を磨いてらっしゃい」
まるで母親のようなことをいうね。ハルヒは。
「ふんだ。自発的にやんないのがいけないんでしょう?」腰に手を当てて挑発的な視線で俺をにらみつけてくる。俺は肩をすくめた。
「着替え、そこにあるから」ハルヒはむすっとした口調で付け加えた。
顔を洗い、歯を磨いて、リビングに入った。朝ごはんがリビングのテーブルに並んでいる。
さきほどまでの音楽は止まっていた。TVを見ればニュース番組が写っているが、どうにもこうにも現実感はないね。
俺とハルヒは向き合って、二度目になる二人だけの食事をはじめた。
「なんかさ、こんなことしてたら夫婦みたいじゃない?」
ハルヒは照れたような笑いを浮かべていう。
「ああ……しかし、いつまでもこうしてるわけにはいかんだろう」
「それはそうだけどさ…つまんない奴ぅ」
「すまんな」
「帰り方がわかるまで、ここにいてもいいじゃないの」
ハルヒは口をとがらせながら、トーストを齧った。
421 :
司会(空):2007/04/01(日) 19:11:15.29 ID:uulkPBDz0
ウソがホントになる世界で 15
食後のコーヒーがおいしくて、もう2杯もお代わりしてしまった。
「今日はさ、外を探検して、帰り方を探しましょうよ」
「この中はどうだ?」
また音楽が聞こえはじめた。遠いところから聞こえてくるようで、どんな音楽かも分からない。
俺は辺りを見回したが、どこから聞こえてくるのかも分からない。
「どうしたの?」怪訝そうな顔付きで、ハルヒが言った。
「音楽、聞こえないか?」
「なにそれ?あたしには聞こえないけど」
「どういうことだ……」
「空耳じゃないの?」
「違う、確かに聞こえてくるんだ」
俺は椅子から立ち上がった。すこしだけ、音が大きくなったような気がする。
「ちょっと、キョン。どこにいくのよ」
ハルヒもあわてて立ち上がった。
「帰れるかもしれん」俺はハルヒの手をつかんだ。
「え、帰るの?」
「ああ、いつまでもこんなところにいていい訳がないんだ」
ハルヒはうなだれた様子で、俺をうらめしく見つめた。
「あっちに帰ったら、また前と同じになるんじゃないの?」
「どういう意味だ?」
「そのままの意味よ。……あたしはキョンともっと一緒にいたいってだけ」
「ハルヒ………」
「キョンが戻りたいならいいわよ。一緒に戻ったげる。でも、ちゃんとそこらへん配慮してよね」
「わかった。約束する」
「破ったら死刑だからね」そういってハルヒは笑顔を浮かべた。
……しかし、なぜハルヒには音楽が聞こえないのだろうか。
422 :
通訳(千葉県):2007/04/01(日) 19:11:24.89 ID:P+u+2zto0
支援
423 :
司会(空):2007/04/01(日) 19:11:53.67 ID:uulkPBDz0
ウソがホントになる世界で 16
二人で制服にまた着替えた。帰るとなれば、やはりそのほうがいいだろう。
来る時と帰る時で服装が違えば、かなり説明に困るからな。
記念に写真でも撮っとくかね。ポケットの携帯電話を取り出した。
俺はハルヒを抱き寄せて、2枚ほど写真をとった。頬を寄せる二人が写った。
「恥ずかしい記念写真ね。まあいいけど。……あとであたしにも頂戴」
「ハルヒは携帯もってないのか?」
「もってたはずなんだけどね、ないの。どっかで落としたのかな?」
「じゃ、いくか」
「うん」
ハルヒの手をひいて、音楽が強く聞こえる方向を目指す。屋敷の中をうろついて、結局、ロビーに出た。
やはり、外にあるのだろうか。俺が最初にいた場所。そこに鍵があったんだろう。
重々しい扉のノブに手をかけた時だった。
『あの世界に帰えるかい?』
中世的な声が頭の中で響き、音楽が遠ざかっていく。
「この声……」ハルヒがどこか怯えるような表情でいった。「あたしに話しかけた声だ」
「……だれだ?お前は?」
『僕は僕さ』
「なんだと?」
『メール読んでくれてありがとう。お陰で君をここに連れてこれた』
「俺を?」
『あのメールは、君と彼女の魂をここに連れてくるために僕が送ったんだ。作るのに、ずいぶん苦労したよ』
「何の為だ?」
『君と彼女に興味があった。じっくり観察したかったんだが、邪魔されるものでね。どうしょうもないんで、この世界をつくって、君と彼女を連れてこようと思った。
もっとも連れてきたはいいが、途中から邪魔されてね。
あんな場所に魂を放置することになってしまって、済まなかった』
「邪魔だと?」
『君の仲間は、僕を嫌っているようでね。大事なものを盗まれたとカンカンに怒って邪魔をしてくるんだ』
長門のことを言っているのだと理解するまで、時間がかかった。
424 :
通訳(千葉県):2007/04/01(日) 19:12:26.84 ID:P+u+2zto0
支援
425 :
司会(空):2007/04/01(日) 19:12:56.00 ID:uulkPBDz0
ウソがホントになる世界で 17
「俺とハルヒをどうするつもりだった」
『なにかしようなんて思ってないよ。彼女の力はとてもおもしろい。情報を生み出し、世界の中に閉じた世界を作り出せる。
僕も世界を作ることができる。僕の場合は独立してるけど。まあ、親近感が湧くってものじゃないか。
いま君がいる世界は、君と彼女が共通してもっている記憶を元にしたものだ。悪くはなかっただろう?』
やはりすべてはウソだったわけか。道理でどこかで見たようなものばかりあると思ったぜ。
「………」ハルヒは絶句し、言葉を失っている。
「何で俺もなんだ」
『彼女の力を解放したのが、君だから。何の力もない君が、彼女の力を解放したんだ。ものすごくややこしいやり方でね』
「で、帰してくれるのか」
『ああ。とても興味深い結果が得られたし、帰してあげる。もう二度とこんなことはしないから、安心して欲しい。
もっとも帰らなきゃいけないのは、君だけだけど』
「なんだと?」
『実は彼女の魂を連れてこれなかったんだ。この世界はかなり広いんだけど、それでも彼女の魂を入れるのには狭すぎた。変な話だが、彼女の魂って、部分が全体の総和より大きい。とても扱いにくくて」
「………」なにを言っているのか、さっぱりわからん。
『そんなわけで、僕は彼女の魂を複製した。それが君のとなりにいる彼女だ。
もっとも魂の複製は、彼女が初めてなんだ。ちょっとした違いが出てしまったようだけど。
僕が観察する間、彼女は君と仲良くしてくれていたし、彼女には大変感謝しているよ』
「それが出来るなら、最初からやりゃいいじゃねえか」
『正しい複製が出来たかどうかなんて、わかりゃしないよ。だから本物が欲しかったんだ。たとえ君だけでも本物を観察できてよかったよ』
ハルヒの表情は凍りついたようで、なんの感情も表していなかった。
「この世界はいったいどうなってるんだ?」
『この世界は、魂だけで生きて行ける。そういう風に僕が作った。
だから、彼女はまさに生きている。でも、あの世界で生きるためには、肉体と魂、その両方が必要だ。
ゆえに君のとなりの彼女は帰れない。別に帰る必要もないけど』
「随分、残酷なことをするもんだな」
『なにを言っているのか、よく分からないな。
この世界で生きることと、あの世界で生きることに違いなんかない。
この世界に対する違和感は感じただろうけど、この世界で生きていることに違和感を覚えなかっただろう? それが答えだ』
426 :
通訳(千葉県):2007/04/01(日) 19:13:59.22 ID:P+u+2zto0
支援
427 :
司会(空):2007/04/01(日) 19:14:01.77 ID:uulkPBDz0
ウソがホントになる世界で 18
『音楽が聞こえるはずだ。それは君の仲間がやってることさ。
夢でも聞いたはずさ。君の魂が失われたことを知り、それを呼び戻そうとしているんだ。
僕が君を放置してしまった場所に、再び誘導して回収するつもりだろう。
もっともそこまで行く必要はない。そのドアをあければいいよ』
「あたしはどうなるの……」凍りついた表情のまま、ハルヒが言った。「この世界でひとりぼっち?」
『君には感謝してるよ。だから、君が望むことはなんでも叶えてあげる。とりあえず、あの世界にある、あらゆる魂の複製を用意してきた。
いろいろ妨害もされて時間がかかったんだけど、全部集めた。
だから、ひとりぼっちにはならないよ』
「あたしの言うこと聞いてくれるのね?」まるで能面のような顔でハルヒが言った。
『ああ、君は、それだけのことをしてくれた』
「じゃあ、このキョンをあたしにちょうだい!!!」
ハルヒは肩を震わせ、大声で怒鳴った。ハルヒの目には涙がたまり、いまにもあふれそうだ。
『彼は元の世界に返してあげないと。今なら魂の完全な複製を作ることができるから、それで』
「あんたは黙ってて!!!」
『………』素直な神様だな、俺はそう思った。
「ねえ、キョン。あたしと一緒にこの世界で暮らさない?」
「ハルヒ………」
「あたしね、あんたと一緒にずっと生きて行きたいの。こんなへんてこな世界だけど、どう?あたしと一緒に暮らさない?」
「………」
「何か言ってよ……黙ったまま、あたしを見るのはやめてよ。ね、あたしあんたのことが本当に好きなの。昨日の夜、言ったでしょう?
だから、ここで一緒に生きて欲しい……」
ハルヒの大きな瞳から涙がこぼれ、、頬に伝わった。
「ここで生きるのも、あっちで生きるのも、違いはないんでしょう。だったら、あたしと、こっちで……」
「ハルヒ……」
「ね、もっと名前を呼んで、昨日の夜みたいに抱き締めて、そして……
あんただって、あたしのこと好きだって言ったじゃないの。愛してるって…言ったじゃないの。
もう、好きじゃないの? 複製だって知ったら、もう好きじゃなくなったの?」
ハルヒは流れる涙をそのままに、俺に叫ぶように言った。
428 :
司会(空):2007/04/01(日) 19:15:01.16 ID:uulkPBDz0
ウソがホントになる世界で 19
俺はなにも言葉がかけられないまま、棒のように突っ立っている。
「行かないで。一人にしないでよ。隣にいてよ。あたしを楽しくさせてよ。あたしだって、あんたを楽しくさせてあげるよ」
「………」
「何か言って、もう二度と会えないの?。せっかくうまくいったのに。そんなの……」
つないでいた手が離れ、ハルヒがゆっくりと膝から崩れ落ちていく。
ハルヒの瞳から、涙がぽたぽたと落ちて、ロビーの堅い床に、小さな水たまりを作っていく。
『そろそろ彼を帰さないと、本格的な攻撃が始まりそうだ』
「嫌!連れてかないでよ!」ハルヒは起き上がれもしない。「お願い、そばにいてよ」
『そうしないと、この世界も危ないんだ。君もいられなくなる』
「なんとかしてやれないのか」俺はそれしか言えなかった。
『なんとかするよ。だから、君は目を閉じて、そのドアを開けてくれ。
もう二度と会うことはできないだろうが、最後にありがとうと言っておく』
「こっちのハルヒを頼んだぞ」それしか言えないのが、とても辛く、かなしい。
『ああ。君もあっちの彼女を守ってやって。…君の仲間からね』
「どういう意味だ……」
『そのままの意味だ。早く、そのドアをあけて。このままじゃこの世界が崩壊する。乱暴な連中だ。帰すっていってるのに、攻撃してきた。
いますぐ、そのドアを開けてくれ』
背中にハルヒの嗚咽が聞こえる。かけよって、抱き締めてやりたい。落ち着くまでそばにやりたい。それも叶わねえっていうのか。
『早く、もう時間がない』
知らぬうちに涙がこぼれ、ドアノブに掛けた手に落ちた。舌をかみ切りたい衝動を押さえながら、俺はドアノブを回した。
最後に聞こえたのは、ハルヒが俺を呼ぶ絶叫だった。
あとは、すべて真っ白な光の中にとけていった。
音楽が聞こえた。ああ、これは文化祭のとき、ハルヒ達が演奏していた歌か。
せつない歌詞が鮮明に聞こえてくる。光が戻ってきた。
うっすらと目を開ければ、蛍光灯の光。そして、ハルヒの心配そうな顔だった。
耳元で鳴っているのは誰かのオーディオプレーヤだった。
「気が付いたの?!」ハルヒの声が聞こえ、思わず俺はハルヒを抱き締めてしまう。甘酸っぱい柑橘系の香りを感じて、胸が熱くなった。
「ちょ、ちょっとなにすんのよ!!」
支援
430 :
通訳(千葉県):2007/04/01(日) 19:15:23.33 ID:P+u+2zto0
支援
431 :
司会(空):2007/04/01(日) 19:15:49.06 ID:uulkPBDz0
ウソがホントになる世界で 20
「すまない、一人にしてしまって」
涙が次から次と勝手にあふれ出し、ハルヒの制服に染みをつくった。
「どうしたっていうのよ……」ハルヒはおずおずと俺の頭に手を置いた。「みんな、ちょっと席を外してくれる? 落ち着かせるから」
「もうじき、救急車がきますが」古泉の声が聞こえる。「どうします?」
「待たせとけばいいわよ」ハルヒの声が優しく聞こえた。
部室の扉が開く音、そして閉まる音が聞こえた。
「一体……どうしたのよ。もう大丈夫。落ち着いて」
「すまない。本当にすまない」
「どうして泣いてるのよ。なんでよ? あたしまで悲しくなってくる」
泣きそうな顔のハルヒが、指で俺の涙を拭ってくれた。
「あたしで良かったら、話は聞くわよ?」
すこし鼻声になったハルヒがささやいた。
待たせていた救急車に乗り込んだ。向かった病院ではさまざまな検査を受け、診察されたが、異状なしと診断された。
当たり前の結果に皆ほっとしたようだが、俺もほっとした。
妙な後遺症など残っていたら、たまらない。
人影もまばらな待合室で会計を待つ間、ハルヒがずっと付き添っている。
「ほんとはどこかおかしいんじゃないの?いきなり倒れるし…その、変な夢まで見たわけでしょ?」
「まったくだな」
「自分のことでしょう?」ハルヒがキッと俺をにらんだ。
「すまん」
「まったく、たとえ夢でも団長たるあたしとそんな関係になるなんて。信じられない」
「夢の中だぜ、それぐらい好きにさせろよ」
「………」
口をとがらせたハルヒは、うつむき加減でこうつぶやいた。
「そりゃまあ、ウソがホントになることだってあるかもしれないけどさ………」
432 :
通訳(千葉県):2007/04/01(日) 19:16:17.92 ID:P+u+2zto0
支援
433 :
司会(空):2007/04/01(日) 19:16:27.80 ID:uulkPBDz0
ウソがホントになる世界で 21
ハルヒは、俺をやたらと心配し、結局家まで付き添ってくれた。
「しっかり寝るのよ。夜更かしはだめよ、分かった?」
「ああ」
「ほんとに心配させるんじゃない」
そういって、ハルヒは背伸びして、俺の頭をかるく叩き、帰って行った。
晩飯を家族と食べ、一人で風呂に入った。狭苦しいシングルベッドにもぐりんだのは、いつもより早い時間のことだ。
すべてウソで作られた世界で、作られたハルヒと過ごした一日を振り返る。
長門に聞いてみたが、小首をかしげるだけで、なにも教えてはくれなかった。
分からないのか、それとも俺に教えたくないのか。
あれは本当にあった事なのか。すべてがウソなのか、それすらも分からない。
枕元に置いた携帯電話のどこを調べても、あの世界で撮った写真は入っていない。やはりすべてがウソなのか。それとも。
俺は部屋の明かりを消し、目を閉じた。
どこかから漂う甘い香り。それに抱かれるように、俺は眠りについた。
すべてが俺の見た夢であったとしても、どうかあのハルヒが幸せに暮らしていけますようにと、そう願いながら。
おわり
434 :
通訳(千葉県):2007/04/01(日) 19:17:17.14 ID:P+u+2zto0
乙
しんみりしたよ
この声、まさか…
GJ!
ちょっと泣きそうになったぜ
GJ!
なんか…悲しいな…
うは、GJ!
少し「この胸いっぱいの愛を」思い出した。
そして、声が国木田だと思った俺は死んだ方がいい
作られたハルヒが切な過ぎる…(´Д⊂
何故かわからないが、この話の長門にドス黒いものを感じた。
情報生命体っぽい謎の声の持ち主もろとも模造ハルヒもぬっころしてそうな…
GJでした。
乙
切ねえ・・・
乙
せつな過ぎる…
でもたまにはこういうのもいいな
442 :
司会(空):
みなさん、ありがとうございました。
また、よろしくお願いします。