1 :
商人(愛知県):
やあ (´・ω・`)
ようこそ、バーボンハウスへ。
このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。
うん、「本人」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、このスレタイを見たとき、君は、きっと言葉では言い表せない
「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
そんな気持ちになってくれたら僕は嬉しいよ。
そう思って、このスレを作ったんだ。
じゃあ、はじめようか。
( ^ω^)ブーンが半年病のようです
2 :
共産党幹部(兵庫県):2007/03/15(木) 15:13:09.78 ID:IGzTyYOd0
2
3 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:15:28.40 ID:f6unWRrT0
クーの日記
今日もカウンセリングに行ったがブーン君は自分の立場をよく認識しているようだ。
今までの経験上、死を迎えるにあたってそれを受け入れるまでの期間が短いように思える。
だが、単純にブーン君の精神構造が死を受け入れやすい形をしているのかもしれない。
死を思い恐怖しても拒否することはしていないようだ。
半年病の印籠的効果をよく理解していて
使っていい場面とそうでない場面での使い分けが上手い。
不思議だ。なぜそうなったのだろう。興味深い。
しかし彼なら私の考えを理解してくれるような気がする。
理解しないまでも理解しようとする心があると思う。
だが、まだ話さなくてもいいだろう。人によっては私の話を悪とするものもいる。
また半年病に次ぐ印籠的効果が出てしまう。あまり半年病患者には話したくない。
結局それは甘えになってしまう気がするから。
それと気になるのがブーン君の自慰行為だ。
部屋のゴミ箱にそれらしきものは見つからない。
性的に不能になった場合さらに自分を卑下する可能性がある。
ブーン君は大丈夫だろうか。
4 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:16:31.53 ID:f6unWRrT0
チームが結成されて一週間がたった。
この間に大体の方針や機体の構造が決まり
あとは、実際に飛ぶための揚力計算や強度計算、機体の製作をするだけだ。
他にもチーム内でのルールも出来上がった。
集まりは二日に一回。来れない場合は必ず連絡すること。
機体の制作費二百万はブーンが管理し、材料を買ってきたときに
レシートと交換すること。
この二つが主なルールとなった。
特に不満の声は出ず三人はルールを守ると約束しあった。
5 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:17:37.28 ID:f6unWRrT0
三人の大学は工学系だったので工作機械や
計算などは教授に質問すれば大抵のことが解決した。
一番大きかったのはCADが学内で使用できたことだった。
CADはコンピューターを使って三次元の図面を描き
応力計算や流体の計算がシミュレーションできるものだ。
これにより機体の設計が比較的簡単となった。
6 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:19:45.88 ID:f6unWRrT0
大学内、そろそろ一日の授業が終わり学生が帰宅するころ
ある二人が今後の予定を話し合っていた。
('A`) 「ショボン、俺ちょっと教授に揚力計算のこと聞いてくるわ。
だから遅れるってブーンに伝えといてくれ。」
(´・ω・`)「わかったよ、じゃあ僕は先に帰ってブーンの手伝いしているね。」
ブーンは無駄な学費を親に負担させたくないと思い大学を辞めた。
そのため施設を使用できない。
代わりにガレージで今できる作業を行っている。
ドクオが計算でわからない部分を教授に聞きに行き、ショボンは駅へ歩いていった。
7 :
共産党幹部(兵庫県):2007/03/15(木) 15:20:29.01 ID:IGzTyYOd0
支援
8 :
ディトレーダー(関東):2007/03/15(木) 15:21:47.92 ID:ZLLds98OO
あ〜つられ…え?支援?
9 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:22:46.77 ID:f6unWRrT0
流体が専門の教授の部屋へ行きノックするドクオ。
彼はこんな風に質問をしに行くのは初めてだったので少し緊張していた。
部屋の中からどうぞという声が聞こえる。
('A`) 「失礼します。今日はちょっと質問があってきました。」
そう言いドクオは部屋の中に入る。
( ・∀・)「じゃあそこに座って。
質問って何かな?」
('A`) 「実はこれの計算法なんですけど…」
翼の断面図を見せながら質問をする。
本職であるモララー教授がすぐに、飛行機の翼断面だと気づく。
そしてなぜ生徒がこんなものを持ってきたのかが気になり率直に尋ねる。
( ・∀・)「これは、飛行機の翼断面だね。
僕の授業じゃこんなことやってないけど
何でこんなものもってきたの?」
('A`) 「いえ、ちょっとあれでして…」
10 :
ドラム(catv?):2007/03/15(木) 15:23:08.19 ID:qfG/w0CE0
11 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:24:54.78 ID:f6unWRrT0
ドクオは答えをはぐらかそうとする。
飛行機を作るなんて恥ずかしくて言いたくなかった。
多分笑われるだろうから。自分がブーンにしたように。
( ・∀・)「気になるね。なんで?」
あくまで答えを求めようとするモララー教授。
説明をしなければ教えてくれそうにない雰囲気の中
ドクオは俯きながら話した。
('A`) 「いや、あの実は僕、鳥人間コンテストに出場しようと思いまして
それで、揚力計算でわからないところがあったんで聞きにきたんです。」
恥ずかしそうに話す。
12 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:26:37.53 ID:f6unWRrT0
しかしモララー教授はドクオを見ながら、微笑んでいる。
( ・∀・)「そういうことなら、早く言いたまえよ。
なんか楽しそうじゃないか。どれ、どこがわかんないんだ?」
モララー教授が急に嬉しそうに話す。
じつはそんなものだ。
自分が恥ずかしがっていても相手からすれば
羨ましいことかもしれない。
このときはまさにそれだった。
誰しも目標に向かっている人を笑いはしないだろう。
さらに、それが道理にかなった方法だったら。
そんなことに気づきながらもまだ少し恥ずかしそうにドクオは質問をする。
それと大人は、実は青年のそんな青臭いようなことが大好きだった。
13 :
共産党幹部(兵庫県):2007/03/15(木) 15:27:31.97 ID:IGzTyYOd0
私怨
14 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:30:10.05 ID:f6unWRrT0
ショボン家のガレージではブーン、ショボン、クーの三人がいた。
クーはカウンセリングのためきているのだが、つい飛行機が気になって
長居してしまう。
もうショボンもドクオもクーに慣れていた。
理系ではないクーだがどうやって飛ぶか興味があるらしく
作業をしているブーンによく質問をしていた。
ショボンはパソコンで計算値を確認している。
15 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:31:56.35 ID:f6unWRrT0
川 ゚ -゚)「なあブーン君、これはどうやって操縦するんだ?」
基本的なことを聞いてくるクー。
ブーンはこんなクーに教えるのが楽しいらしく作業を中断して教えだす。
( ^ω^)「こんなふうにする予定だお。」
図面を取り出しクーに見せる。
しかし、図面の読み方を知らないクーは理解できない。
川 ゚ -゚)「すまんがよくわからん。」
クーはストレートに言う。
ブーンは教えたいらしく、その辺を見渡し説明できるようなものを探した。
16 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:34:12.63 ID:f6unWRrT0
そして、自転車を持ってきてクーに説明する。
( ^ω^)「これみてお。ペダルを回すとタイヤが回るお。
これのちっちゃいのを二個作って昇降舵と尾翼を動かすんだお。」
と言って簡単な説明をする。
実物の例を見せたほうがイメージしやすくクーも納得する。
川 ゚ -゚)「なるほど、それをここに付けるわけか。
そうなると、映画で見たような操縦桿はないんだな。」
飲み込みが早く、一歩先を答えとして出す。
ブーンは説明のしがいがあるなと満足して作業に戻る。
17 :
映画館経営(アラバマ州):2007/03/15(木) 15:36:37.70 ID:2tledPWa0
支援
18 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:37:58.69 ID:f6unWRrT0
ドクオがやってきた。
何故か小汚いコンポセットを抱えている。
('A`) 「ういーす。サボってんじゃねぇぞ。」
挨拶をしてコンポセットを下ろす。
さらにドクオの鞄からレンタルの袋が見える。
(´・ω・`)「ドックン何それ?」
('A`) 「なにってコンポセットだろうが。
ガレージ内が寂しいから拾って持ってきたんだよ。」
(´・ω・`)「いやそうじゃなくて、それ昨日僕が捨てたの。」
('A`;) 「そうなの?」
(´・ω・`)「まだ使えるけど、古いから捨てたんだよ。」
('A`;) 「まあいいじゃねぇの使えるんなら。」
('∀`) 「とりあえずいいもん持ってきたんだよ。
コンセント借りるぞ。」
笑顔でコンセントにプラグを差し込むドクオ。
レンタルの袋からCDを取り出しコンポに入れる。
歯医者のドリルのような音を出しながら起動するコンポ。
そこから誰もが知っている曲が流れ出す。
19 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:39:34.26 ID:f6unWRrT0
('∀`) 「いいだろこれ。この場所にぴったりだろ。」
ドクオが笑顔のまま同意を求める。
誰もが好きな曲。多分嫌いな人はいないんじゃないだろうか。
そしてそれは、この場にぴったりだった。
ベースのソロから始まるメロディーが特徴的な曲。
〜When the night has come〜
コンポから流れるのはスタンドバイミー。
もちろん、名画スタンドバイミーの主題歌。
この映画を見た人はこんな冒険に憧れたんじゃないだろうか。
一生の思い出に残るような出来事に。
20 :
映画館経営(アラバマ州):2007/03/15(木) 15:41:47.12 ID:2tledPWa0
支援
21 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:42:14.29 ID:f6unWRrT0
皆作業を中断して曲に聞き入る。
サビのダーリンダーリンとスタンドバイミーを歌う部分だけ
クーを除く三人が熱唱しだす。
決して上手くはない。けど三人はその瞬間が楽しかった。
憧れていた、映画のように思い出に残る出来事。
それを経験中の三人はその曲が無性に気に入った。
( ^ω^)「おっおっ、いいお気に入ったお。」
('∀`) 「だろだろ。」
(´・ω・`)「なんか映画の中に入った気分だよ。」
('∀`) 「だろだろ。」
皆が満足したその後、ドクオが質問してきた計算式に値をあてはめ、
数値を出したとこでこの日は解散にした。
スタンドバイミーはずっとリピート再生だった。
22 :
デスラー(大阪府):2007/03/15(木) 15:42:46.21 ID:sgrSZKFU0
SIEN
23 :
共産党幹部(兵庫県):2007/03/15(木) 15:48:10.70 ID:IGzTyYOd0
24 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:49:42.44 ID:f6unWRrT0
何か目標に向かっていると時が経つのは早い。
でも振り返って見るとまだこんな日か、とも思う。
ただ変わったことはブーンが半年病になったこと、それと
ドクオとショボンが教授たちと仲良くなったこと。
校内を歩いている二人を見つけるといつも声をかけてくるようになった。
特にモララー教授。
( ・∀・)「おい、ドクオ君ショボン君待ちたまえ。お昼はもう食べたかね。
よかったら一緒に食べようじゃないか。」
狙っているのか同じ曜日に声をかける。
しかし、お昼代を出してくれるので二人は喜んでついていく。
25 :
共産党幹部(兵庫県):2007/03/15(木) 15:52:30.33 ID:IGzTyYOd0
sienn
26 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:52:49.75 ID:f6unWRrT0
( ・∀・)「どうだね、あれから。
どこまで進んだ?」
話すのはもっぱら飛行機のことばかり。
というか教授も参加したいようだ。
('A`) 「そうですね、後は翼の製作とプロペラの製作ぐらいですかね。」
進行状況を伝えるドクオ。
モララー教授には製作係としてのブーンの存在を教えていた。
けど、半年病のことは言わなかった。
言ったら多分、義憤にかられて手伝いだそうとすると思ったからだ。
手伝ってくれる分にはかまわないのだが、
教授という立場がガレージ内の関係を壊してしまうようにみえた。
対等な立場だからどんな意見も言い合えたが
教授の意見となると、どうしても権威が付きまとう。
そんなふうだから三人で話し合って
わからないところだけを教授に聞きに行くようにしていた。
27 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:55:46.40 ID:f6unWRrT0
( ・∀・)「そうか、プロペラ製作は難しいそうだからな。気をつけたまえよ。
あのライト兄弟もプロペラが一番苦労していたと言っていたよ。」
教授というのは総じて子供っぽい。
モララー教授は結構な飛行機マニアらしくいろんな話をしてくれた。
そして、それが役立つときもあったし、眠くなるような話もあった。
ただ、いつも別れ際に羨ましそうな顔をするため二人は少し心が痛んだ。
28 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:57:28.25 ID:f6unWRrT0
ある日の集まりのない日。ブーンは自宅でクーを待っていた。
いつもの時間にクーが来る。
実はこのころブーンはクーに恋心を抱いていた。
カウンセリングを受けているうちに
クーの考え方や性格、自分自身に厳しいところ、それに話の論理性に惹かれた。
ブーンはこんな聡明な女性がいるんだと知った。
しかしブーンは悩んでいた。言っていいものか。
印籠的効果でクーを悩ませるだけじゃないか。
29 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 15:58:23.33 ID:f6unWRrT0
悩んでいるうちにクーがきた。いつもの言葉。
川 ゚ -゚)「おじゃまします、ブーン君のカウンセリングに来ました。」
もう慣れたものでクーはそのままブーンの部屋へと向かう。
一応ノックをして確かめる。
川 ゚ -゚)「やあブーン君、入るぞ。」
ブーンの返事があるまでクーはその場で待っている。
一度ブーンがトイレに入っていて返事がないときでも
十分ほど待っていたことがあった。
それ以来ブーンはクーが来る時間には部屋で待ったいるようになった。
ブーンがどうぞと声を出しなかに招く。
30 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 16:00:47.38 ID:f6unWRrT0
川 ゚ -゚)「こんにちは。今日はだいぶ顔色がいいな。
睡眠を取っている顔をしている。」
クーは一度も調子はどうだと尋ねたことはなかった。
受け取り側がどんなふうにでもとれる質問をきらっていたからだ。
ただこのころブーンは不眠症になっていた。
寝る前にどうしても死を考えてしまうから。
自分は何者だ、自分はいったい何なんだと考え
もうすぐ来る死を思い起こし恐怖に襲われるからだ。
だから寝る前はいつも睡眠薬を服用する。
31 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 16:02:36.08 ID:f6unWRrT0
( ^ω^)「こんにちわですお。」
挨拶をしてクーを座るように促す。
川 ゚ -゚)「さて今日は何の話をする?」
ここ最近ブーンとクーはよく死について語りあっていた。
お互いに自分が考える死の定義などを話し合い
矛盾した所や、何でそう考えるかを教えあい
理解しあおうとしていた。
32 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 16:08:36.93 ID:f6unWRrT0
( ^ω^)「今日は自分の意識についてですお。」
ブーンは話す内容を前もって考えておいた。
考えていたというより日記に書いた疑問を話すようになっていた。
川 ゚ -゚)「ほう、それはどういうことかな?」
( ^ω^)「死がせまってきてよく考えるんですお。
僕が死んだら意識はどこに行くのかって
パソコンのデータを消すようにまったくなくなるのか
それともどこかに残るのかって。」
川 ゚ -゚)「ふむそうだな。私は、まったくなくなると思うんだがな。
やっぱり人間も一種の機械と考えるとブーン君が言ったみたいに
データを消したときのようにまったくなくなってしまうと考えるな。」
( ^ω^)「そうですかお。」
ブーンは少し悲しそうな顔をする。
33 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 16:09:35.52 ID:f6unWRrT0
そしてクーが続ける。
川 ゚ -゚)「だがな、こうも考えるよ。
私は意識というものは自分は何者だと考えるところにあると思う。
確かに死んだらブーン君の意識はなくなるだろう。
しかし、もしどこかで誰かが自分は何者だろうって考えたらそれは
ブーン君になるんじゃないかな。」
( ^ω^)「どういうことですかお?」
川 ゚ -゚)「例えば二人の少年がいたとしよう。
太郎君が自分は何者だろうと考え、次郎君は考えなかった。
このとき太郎君が死ねば太郎君は存在しない。
だけど、次郎君も自分は何者だろうと考え始めたら
それは太郎君と同じになるんじゃないのかなって。」
34 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 16:11:36.93 ID:f6unWRrT0
ブーンはよくわからない顔をしている。
川 ゚ -゚)「つまり、自分は何者だろうと考えたら
その考えを持つものは皆同じ存在になると考えているんだ。
同じ時間、同じ考え、同じ疑問を持っているんだからな。
答えがあるかわからないが探しているならば道は一緒のはずだろう。」
ブーンは話に聞き入った。そんな考え方もあるんだなと。
そして確信する、やっぱり自分はクーのことが好きなんだと。
( ^ω^)「僕は自分は何者だろうと考えているお。
クーさんもそう考えているなら同じ存在ってことかお?」
川 ゚ -゚)「そうだな、そうなる。自分は何者だろうって考えた瞬間
新しい意識ができるからな。その意識が共通だったら同じ存在だろう。
このことを考えた瞬間、私は君でそして一つの存在になる。
本当にそうかはわからないが、同じ空間を生きているならば
その生きている人の数だけ意識があるわけだからな。」
35 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 16:12:34.81 ID:f6unWRrT0
こんな会話を繰り返しているとブーンは安心する。
自分が死んでも意識を受け継ぐ人がいると思えるから。
クーは自分の考えを言っているだけだがそれでもブーンはそれに救われていた。
またクーも、自分の話を理解しようとするブーンに興味を抱いていた。
川 ゚ -゚)「ブーン君は珍しいな。私の話を理解しようとするものは
半年病患者の中にはいなかったのに。」
そう言うとブーンは照れた。
クーのことが好きだから理解しようとしているのに
その下心と思えるものを褒められたのだから。
もっとクーを知りたいブーンは質問した。
( ^ω^)「そうですかお。
なんで半年病患者には理解しようとする人が
いなかったんですかお?」
36 :
バンドメンバー募集中(茨城県):2007/03/15(木) 16:14:25.49 ID:WxvJYs/F0
しえん
37 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 16:15:59.99 ID:f6unWRrT0
話そうかどうか少し迷い、ブーンなら大丈夫だろうと思い話し始める。
川 ゚ -゚)「そうだな、これは偏見のように思うんだがやっぱり
死の恐怖が関係していると思う。
誰だって恐怖からは逃げたい。ましてや死だ。
宣告された恐怖から考える余裕がなくなるだろう。
そうなると、わかりやすく都合のいい解釈を求めると思うんだ。」
38 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 16:19:00.89 ID:f6unWRrT0
( ^ω^)「例えば?」
ブーンはさらに深く聞こうとする。
川 ゚ -゚)「実際に統計があるんだが、この国の半年病患者のうち40%が新興宗教に入っているんだ。
ただその宗教ではお金を払って壷だの掛け軸だのを買えば
天国へいけると言われるんだ。
この国で暮らしていればお金で買えるものがほとんどだと誰もが思っている。
そしてお金さえ払えばなんでもできると考えているんだな。
その結果、お金さえ払えば天国へいけると思い込み大金をつぎ込むんだ。
大金をかけて安心したいんだろうな。これで大丈夫って。
それまでの経験上からお金を払うという行為を信じてるんだろうな。
もっとも、患者自体が少ないからこのことは問題視されてはいないけどな。」
39 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 16:19:54.47 ID:f6unWRrT0
言い終え時計を見る。
川 ゚ -゚)「おっと、そろそろ時間だ私はもう帰ろう。」
クーはいつも話が盛り上がったところで帰る。
ただブーンは引き止めることはしない。
もし帰る理由を聞いてそれが夕飯の時間だからと言われたら
落ち込むからだ。
自分は夕飯以下なのかと思ってしまうから。
クーが帰った後、今日聞いたことを日記にまとめ自分の意見を書き入れた。
そこであることに気づいた。
まだクーが何でカウンセラーになったのか聞いていなかった。
忘れないように書きとめ今度聞いてみようと思った。
しかし、それが後日ブーンにとって辛い体験となる。
40 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 16:23:09.32 ID:f6unWRrT0
書きだめすると言ったけど
投下してしまいました。
話は後1回か2回で完結します。
今週中には投下します。
41 :
名無しさん@(関西・北陸):2007/03/15(木) 16:25:14.22 ID:FQJpBoFcO
乙です
42 :
割れ厨(北海道):2007/03/15(木) 16:28:27.52 ID:ypSylfxp0
追いついた
ここってまとめとかないの?
43 :
通訳(九州):2007/03/15(木) 16:30:14.31 ID:Bz3wF6pgO
乙
GJ!
好きだよ、この作品
45 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 16:37:42.27 ID:f6unWRrT0
46 :
検非違使(千葉県):2007/03/15(木) 17:22:18.45 ID:x7D4iU730
47 :
割れ厨(北海道):2007/03/15(木) 17:57:42.67 ID:ypSylfxp0
48 :
きしめん職人(コネチカット州):2007/03/15(木) 18:52:26.41 ID:mg2Y3AXdO
乙
雪を降らせるようですの作者か?
違ってたらスマソ
49 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 18:55:46.70 ID:f6unWRrT0
>>48 違います。
少し前に星降る夜に成長するようですを
書いたものです。
50 :
右大臣(新潟・東北):2007/03/15(木) 19:08:02.46 ID:noCujFQsO
知らないな
その話のまとめある?
51 :
映画館経営(アラバマ州):2007/03/15(木) 19:13:56.55 ID:2tledPWa0 BE:153405735-2BP(111)
サンクス
みてみるよ
53 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 20:22:44.83 ID:f6unWRrT0
自分で保守
54 :
ガラス工芸家(九州):2007/03/15(木) 21:22:53.38 ID:rKTvAxnRO
…やっぱ面白いわこの作品
乙!
55 :
商人(愛知県):2007/03/15(木) 21:38:56.07 ID:f6unWRrT0
見てくれた人にお願いします。
なるべくこのスレで終わらせたいので
もしよかったら何でもいいので書き込んでいってください
お願いします。
生意気言ってすいません。
56 :
主婦(関西地方):2007/03/15(木) 21:39:51.73 ID:Y1Xo3jwL0
あれだ
素晴らしい
57 :
モーオタ(群馬県):2007/03/15(木) 21:44:42.75 ID:amtAMnDw0
べ、別に保守なんかじゃないよ!
さっさとこのスレで完結して欲しいだけなんだからねっ
58 :
相場師(関東・甲信越):2007/03/15(木) 21:45:45.94 ID:UDYRWA+6O
わくわくさんがてかてか
59 :
検非違使(千葉県):2007/03/15(木) 21:47:11.13 ID:x7D4iU730
いわゆる「死にオチ」は良くあるのに、素直に感動できる話だと思います
各キャラの思考が、まるでト書きのように表示されていたのが、少し気になります
ですが、とてもためになりました
願わくば現実の人間関係も、ブーンとドクオ・ショボンのようであって欲しいと思ってしまいます
今日は早く寝ようと思ってたんだが…
>>1のせいなんだからっ!!
61 :
ニート(岐阜県):2007/03/15(木) 22:02:18.80 ID:Q6ZKGabR0
ktkr 良スレの予感
62 :
社会科教諭(東京都):2007/03/15(木) 22:16:46.39 ID:SyximwOj0
これは・・・・・・・・
おもしろい
63 :
ガラス工芸家(九州):2007/03/15(木) 22:37:29.72 ID:rKTvAxnRO
ほし
64 :
ガラス工芸家(関東・甲信越):2007/03/15(木) 22:46:34.33 ID:kts4mEJ7O
怒涛のごとく保守
65 :
船員(catv?):2007/03/15(木) 23:15:32.56 ID:AlSvZmoS0
作者さん
好きです
付き合って
66 :
名無しさん@(関西・北陸):2007/03/15(木) 23:53:41.30 ID:FQJpBoFcO
ほす
67 :
巡査長(関東):2007/03/16(金) 00:07:23.67 ID:mAJIDGefO
作者乙
68 :
右大臣(関東):2007/03/16(金) 01:00:58.19 ID:v3M9uS/aO
ほ
70 :
容疑者(コネチカット州):2007/03/16(金) 01:43:45.32 ID:y6N8kY9ZO
あ
71 :
画家のたまご(九州):2007/03/16(金) 02:16:35.34 ID:+VkIVMG2O
寝落ち捕手
72 :
牛(コネチカット州):2007/03/16(金) 03:02:39.84 ID:eFAyJkD2O
☆
73 :
造園業(四国):2007/03/16(金) 03:34:06.07 ID:l4DggRlwO
保守
ほしゅ
75 :
黒板係り(コネチカット州):2007/03/16(金) 07:26:14.39 ID:5HVaUyeJO
ほ
76 :
画家のたまご(関東・甲信越):2007/03/16(金) 08:17:14.50 ID:72V6nQmQO
しゅっしゅっ
77 :
パティシエ(コネチカット州):2007/03/16(金) 08:18:01.92 ID:9uJcN9q4O
ほしゅ
78 :
事情通(コネチカット州):2007/03/16(金) 08:18:37.86 ID:9uJcN9q4O
ほしゅ
79 :
事情通(コネチカット州):2007/03/16(金) 08:19:46.24 ID:9uJcN9q4O
ほしゅ
80 :
パティシエ(コネチカット州):2007/03/16(金) 08:20:29.15 ID:9uJcN9q4O
ほしゅ
81 :
事情通(コネチカット州):2007/03/16(金) 08:21:17.05 ID:9uJcN9q4O
ほしゅ
82 :
事情通(コネチカット州):2007/03/16(金) 08:21:56.18 ID:9uJcN9q4O
ほしゅ
83 :
事情通(コネチカット州):2007/03/16(金) 08:22:45.54 ID:9uJcN9q4O
ほしゅ
84 :
事情通(コネチカット州):2007/03/16(金) 08:23:22.70 ID:9uJcN9q4O
ほしゅ
85 :
事情通(コネチカット州):2007/03/16(金) 08:24:07.56 ID:9uJcN9q4O
ほしゅ
86 :
事情通(コネチカット州):2007/03/16(金) 08:25:37.83 ID:9uJcN9q4O
ほしゅ
87 :
パティシエ(コネチカット州):2007/03/16(金) 08:26:21.43 ID:9uJcN9q4O
ほしゅ
88 :
パティシエ(コネチカット州):2007/03/16(金) 08:26:52.56 ID:9uJcN9q4O
ほしゅ
89 :
事情通(コネチカット州):2007/03/16(金) 08:27:46.33 ID:9uJcN9q4O
ほしゅ
90 :
高専(ネブラスカ州):2007/03/16(金) 09:33:50.00 ID:huV8GET0O
保守保守保守
91 :
北町奉行(愛知県):2007/03/16(金) 10:37:12.87 ID:fIp+RMLe0
h
92 :
ハンター(ネブラスカ州):2007/03/16(金) 12:02:38.82 ID:vVUWsWCZO
スパーキング
93 :
画家のたまご(九州):2007/03/16(金) 12:33:47.97 ID:+VkIVMG2O
エンディングが予想できたかも…ほし
94 :
彼女居ない暦(兵庫県):2007/03/16(金) 13:29:28.31 ID:ajw0G6E+0
ほす
95 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 14:50:23.33 ID:Dx4RVTjx0
ブーンが死ぬ何日か前ついに飛行機が完成した。
しかし、プロペラは力の伝達効率が悪くまだ製作を繰り返している。
ただ、グライダーのように自動車で引っ張り飛ばすことは可能だった。
そこで、せめてブーンに少しでも空を飛ばしてやろうと考えたドクオとショボンが
軽トラックを借りてきて広い場所で飛ばそうと企画していた。
96 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 14:54:31.43 ID:Dx4RVTjx0
三人が集まりのある日、ドクオとショボンが朝早くからガレージに集合し
飛行機を分解していた。
(´・ω・`)「ねえねえドックン、これどうやってはずすの?」
飛行機を作るのに必要な計算をしていたショボンは
いまいち実作業になれていなかった。
一方ドクオは図面を描くことを担当していたので構造は熟知している。
('A`) 「ここは先にこのボルトはずすんだよ。
気をつけろよ、強度が弱い部分もあるからな。」
そう言いながら分解を進める二人。
それでも二人は浮き浮きしていた。
自分たちが作った飛行機が初めて空を飛ぶ。
その瞬間を今日見れるのだと。
こんなふうに目標に向かっていくのは初めてだった。
だからこそ余計に楽しくなっていた。
分解をしながらドクオはそう考えていた。
97 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 14:57:06.22 ID:Dx4RVTjx0
('A`) 「しっかしブーンのやつしっかり作ってんな。
寸法値がかなりの精度だぞこれ。」
寸法値通りに自作するのは根気のいる作業だ。
工学系の二人にはその苦労がよくわかっていた。
それは、そこまでブーンが空に憧れていたということだ。
ただ、ドクオには心配もあった。
この飛行機、飛ばないんじゃないかなと。
確かにブーンの夢は感動を与えることだった。
でも、空を飛びたいに決まっている。
そんなことはよくわかっていた。
ブーンを空に飛ばしてやりたい。しかし失敗したらもうほとんど時間がない。
98 :
右大臣(関東):2007/03/16(金) 14:58:01.97 ID:v3M9uS/aO
支援
99 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:00:15.17 ID:Dx4RVTjx0
(´・ω・`)「飛べなかったらそれはそれでしょうがないじゃん。
ブーンは僕たちを責めないよ。僕たちは三人でやってきたんだ。
計算をしたのは僕、図面を描いたのはドクオ、作ったのはブーン。
でも、どれも三人で納得しながらやってきたじゃない。」
一人がずっとその作業をやってきたわけじゃない。
お互いを手伝い合い、意見を言い合い作ってきた。
ショボンはそのことの意味をよく知っていた。
失敗しても連帯責任だからと甘えるわけじゃない。
そんなショボンの言葉にドクオは少し不安が柔らいだ。
('A`) 「そうだな、飛べなかったらやり直すだけだ。
直し終わったとき、そのときブーンはいないかもしれないけどな。」
100 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:03:03.89 ID:Dx4RVTjx0
その日は晴天。雲がぷかりぷかりと浮かぶ綺麗な空だった。
ブーンが集合時間にやってきた。
分解作業はもう終わっている。
軽トラに積み込み早くも運転席に乗っている二人。
('A`) 「よお。今日はこいつをテスト飛行させに行くぞ。」
ブーンがガレージに入ってくるなり予定を伝えるドクオ。
しかしブーンは軽トラと分解された飛行機を見てすぐ理解する。
( ^ω^)「まじかお、今日いくのかお。」
ブーンにはテスト飛行のことを伝えていなかったのでびっくりする。
だがすぐに満面の笑みに変わった。
これからすることへの期待。
三人が半年近くかけて作ったものの成果を試す期待。
いい笑顔だった。
目の下のくまと、死の不安に怯え表情をのぞけば。
101 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:09:32.20 ID:Dx4RVTjx0
(´・ω・`)「ほら早く乗って。荷台しか空いてないけど。」
('A`) 「特等席だぜ、わざわざ真ん中に機体の座席を置いたんだ。」
ショボンとドクオが急かす。かなり楽しみのようだ。
ブーンが荷台に積んである飛行機の座席部分に座る。
これから空を飛ぶという期待に胸を膨らませ。
しかし、そこでブーンが二人にあるお願いをする。
( ^ω^)「ごめん、ちょっと待ってほしいお。
空を飛ぶとこクーさんにも見せたいお。」
ブーンはガレージによく顔を出していたクーにも見せたいと思った。
また、空を飛ぶかっこいいと思える姿を見てもらいたかった。
別に急ぐわけでもない。今日は一日晴れの予報だ。
二人がブーンを急かしていたのはただ早く飛ばしてみたいから。
102 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:10:29.18 ID:Dx4RVTjx0
ブーンがクーの携帯に電話をかけ了解をとる。
クーがくるまでに一時間ほどかかるようだ。
ドクオがその間にドンキヘ行って
映画に出てくるような飛行服を買おうと言う。
安っぽいものでも雰囲気は大事だ。
三人はドンキに行きそれっぽい服とそれっぽい帽子を買った。
ついでにとバイク用だがゴーグルも買った。
ほかにもいろいろ買いガレージへと戻っていった。
ガレージの外にクーが立っていた。
川 ゚ -゚)「おはよう、ついに飛ばすんだな。」
簡単な挨拶を済ませ軽トラに乗り込む四人。
ショボンがドンキで買ったステッカーを軽トラに貼る。
そのステッカーはこう書かれていた。
最大積載量夢いっぱい。
荷台に飛行機とブーンとクーを乗せ出発していく。
ショボンがクーと席を替わろうとするがドクオがそれを察知し止める。
103 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:14:31.79 ID:Dx4RVTjx0
道路を走っているときブーンはご機嫌で飛行機の座席に座っていた。
それだけでも空を飛んでいる気がした。
交差点を曲がる度にブーンは子共みたいなことを言っている。
( ^ω^)「右旋回だお、次は左旋回。ブーン
敵機発見、赤信号を破壊だお。ダッダッダッダ。」
まるで飛行機の模型を持って走り回る子共のようだった。
そんなブーンを見てクーが笑っている。
それに気づいて我にかえるブーン。
照れくさいのか、それとも恥ずかしいのか
弁解がましくクーに話す。
(;^ω^)「いやこれは、男の子ならみんなやるお。
ていうかやりたくなるお。ねえドクオ、ショボン。」
104 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:18:31.12 ID:Dx4RVTjx0
ブーンが車内にいる二人に話しかける。
だが二人は聞こえないふりをして黙っている。
耳を真っ赤にし俯いているブーンにクーが声をかける。
川 ゚ ー゚)「面白そうだな、ちょっと私にも代わってくれないか。」
笑いながらクーが言う。
ブーンは席を代わりはじめる。
ここに座れば絶対にやりたくなるはずだと思ったから。
信号待ちのわずかな時間に席を交替する。
信号が青になってからけいと軽トラが進みだす。
クーが飛行機の座席に座っている。
だがブーンのやったようにはしゃぐことはない。
105 :
番組の途中ですが名無しです(東京都):2007/03/16(金) 15:19:32.47 ID:M1OtJ2Kj0
ほしゅ
106 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:21:54.11 ID:Dx4RVTjx0
川 ゚ -゚)「なかなかいいもんだな。空を飛ぶってのはこんな感じなのかな。」
素直な感想を述べる。
とても冷静だ。ブーンはさっきの行動を思い返し赤面した。
だが、クーにも先ほどやったことを薦めた。
そうすればもっと空を飛んでる気持ちになれると言って。
それに頷きクーが声をあげる。
川 ゚ -゚)「右旋回だ、次はターン。
私から逃げられると思うなよ。
それ信号機破壊だ。」
107 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:23:03.44 ID:Dx4RVTjx0
映画で見た台詞を真似る。
クーの声はまだまだ続く。
川 ゚ -゚)「このヘナチョコが。
帰ってママにキスしてもらいな。」
クーが自分の世界に入り込む。
それを見てブーンが笑う。
その笑い声でクーが現実に帰ってきた。
川 ゚ -゚)「悪くないな。確かに臨場感が増したよ。」
ブーンが自分の気持ちをわかってくれたと思い笑う。
川 ゚ -゚)「なんで笑う。
ブーン君がやれと言ったんじゃないか。
そんなに笑ったら恥ずかしいじゃないか。」
その一言で車内の二人も笑い出す。
さっきまで大声で叫んでいた者と同一人物とは思えないギャップに。
108 :
事情通(コネチカット州):2007/03/16(金) 15:25:57.87 ID:dSbhJ7NfO
支援
109 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:27:40.55 ID:Dx4RVTjx0
出発して一時間ほどで目的地に到着した。
ピクニックコースが近い川沿いの道だ。
本来車は乗り入れ禁止だがそこには目を瞑り
長い直線の道へと入っていく。
車から降りて三人が飛行機を組み立て始める。
今回はブーンがいるので作業が早かった。
組みあがった飛行機を見て感に浸る三人。
早速ドンキで買ってきた飛行服っぽいものを着る。
順番に思い思いのポーズで飛行機と写真を撮っていく。
最後にクーを入れて四人で写真を撮った。
そしてロープで軽トラと飛行機を繋げる。
110 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:33:25.28 ID:Dx4RVTjx0
('A`) 「ついにこの時がきたな。」
ドクオが緊張のためタバコを何本も吸っていた。
ブーンもショボンもクーも緊張していた。
ドクオが運転席に乗り込む。
ショボンは外から携帯電話でブーンに指示を出す役目。
目的地に着いてから少し時間が経っていたためギャラリーがいる。
それが三人を余計に緊張させた。
('A`) 「そろそろ飛ばすぞ。ロープのフックをうまく外せよ。」
111 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:34:27.91 ID:Dx4RVTjx0
ブーンに軽く注意をして軽トラをゆっくり走らせる。
ロープのテンションがあがり引っ張られる飛行機。
そして徐々に軽トラを加速させていく。
時速37キロになった瞬間、飛行機が浮かび始めた。
(´・ω・`)「ブーン、昇降舵のレバー回して。
ゆっくり高度を上げていって。」
飛行機が少しずつ地面から離れていく。
五メートルほど上昇したところでまた指示を出す。
(´・ω・`)「ブーン、フックを外して。そのままその姿勢を保って。」
フックがはずれ、よたよたと滑空する飛行機。
ギャラリーが歓声を上げる。
ドクオが軽トラを端によせ強引に止める。
急いでドアを開け飛行機を見ようとする。
ちょうどそのときドクオの上をブーンが飛んでいった。
はじめて見る真下からの機体。
興奮を隠し切れず叫びだす。
('∀`) 「いけぇ、ブーン!!
どうだ気持ちは?最高か?」
112 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:35:35.64 ID:Dx4RVTjx0
( ゜ω゜)「ふぉおおおおおお。」
初めて見る景色。
ブーンにとって最初で最後のフライト。
フックを外して機体を安定させてから
ドクオとショボン、ギャラリーそしてクーに手を振る。
その後、飛行機は乱暴に着地した。
軽トラでドクオが迎えに行く。
('∀`) 「どうだったブーン、飛べたな、飛べたな。」
誰かが通報したらしくパトカーがやってきた。
エンジンは積んでいないので航空法にはひっかからず
クーを含め四人がその場で厳重注意を受けた。
そして、その日の新聞に小さくブーンたちのことが載った。
お騒がせ少年、ギャラリーの応援のなか飛行機を飛ばす、と。
113 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:36:31.00 ID:Dx4RVTjx0
帰り道、今度はドクオとショボンが荷台に乗った。
往きでやったように、二人が座席に座り叫んでいる。
軽トラは笑いと充実感を積んで走っていった。
支援
115 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:39:45.72 ID:Dx4RVTjx0
翌日、ブーンが自宅でクーを待っている。
クーがいつもの時間にいつもの声で部屋へと入ってくる。
川 ゚ -゚)「さて今日は何の話をする?」
その日は、昨日の興奮が冷めないブーンが空を飛んだときの話をする。
その熱っぽい口調を見てクーが羨ましそうに言う。
川 ゚ -゚)「いいな、私も飛んでみたいもんだ。」
ブーンは空を飛んだときの興奮をしゃべり続ける。
だが、急に声のトーンが下がった。
( ´ω`)「でも、もうすぐ僕は死んでしまいますお。
もっともっとあんな気持ちを味わい続けたいですお。」
( ;ω;)「いやだお、いやだお、死にたくないお。
まだ生きていたいお。もっと生きていたいお。」
ブーンが突然泣き出す。明るく振舞っていても死が目前に迫っている。
そんな状態で落ち着いてなどいられない。
クーの前でかっこ悪いところを見せたくなかったがどうしようもない。
心臓の奥から冷たい液体があふれ出してくる。
116 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:42:05.52 ID:Dx4RVTjx0
川 ゚ -゚)「落ち着きたまえブーン君。」
一言だけ言う。
クーにかっこ悪いところを見せたと思い
泣きながらもブーンは黙る。
これ以上かっこ悪いところ見せてたまるかと。
心臓にがんばって蓋をする。
川 ゚ -゚)「半年間ブーン君を見てきたが、ブーン君はとても立派だったぞ。
確実に死が迫っている恐怖のなか、自分のしたいことを見つけ
それに向かって努力してきた。普通そんなことはできないぞ。
私はとても立派なことだと思う。」
ブーンを褒める。
慰めでもなんでもなく、クーは思ったことを正直に伝えた。
( ;ω;)「そうですかお。」
川 ゚ -゚)「ああ、君は私が見てきた男性の中で一番かっこいいぞ。」
117 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:48:09.32 ID:Dx4RVTjx0
そう言ったあと、ブーンがクーにお願いをする。
今まで恥ずかしくて言えなかったこと。
拒否されるのがこわかったこと。
( ;ω;)「お願いがあるお、少しでいいから僕を抱いて甘やかしてくれお。」
クーは無言でブーンの近くにより向かい合って座った。
そしてブーンの頭を自分の胸に押し付けた。
川 ゚ -゚)「こんな感じでいいか。」
クーの行動に拒否の感情が見つからなかったので
ブーンはそのままの状態で泣いた。
心臓の音が心地いい。
自分の心臓とはまったく違うものみたいに思えた。
118 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:49:46.81 ID:Dx4RVTjx0
ブーンがまだ聞いてなかったことを、抱きつきながら聞く。
( ;ω;)「そういえば、なんでクーさんはカウンセラーになったんだお?」
ほんの一瞬間クーの体がこわばった。
それを敏感に感じ取るブーン。
聞いてはいけなかったかなと思う。
だがクーが話し始めた。
川 ゚ -゚)「そうだな。私がカウンセラーになった理由か。」
クーにはカウンセラーになった理由があった。
でもそれを誰かに話したことはなかった。
理解してもらえないだろうし、しようともしないと考えたから。
それに説明する過程で相手が自分に引け目を感じると思うような内容だったから。
しかし、ブーンなら理解しようとするんじゃないかという期待もあった。
誰かに理解してもらいたいという感情もあった。
半年間つきあってきて多分ブーンならわかってくれると思ってた。
だから話した。
119 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:53:17.42 ID:Dx4RVTjx0
川 ゚ -゚)「私はな、人間を知りたいんだ。
何でそんな感情になるのか、何でそんな考えになるのか
自分では自分のことしかわからないからな。」
ここまではブーンもおとなしく聞いていた。
だが、ある疑問を口にしてからそれはおこった。
( ;ω;)「わかったお。でも何で半年病患者なんですかお?」
単純な疑問だった。
なぜ普通のカウンセラーではなく半年病のカウンセラーなのか。
患者が恐怖に耐え切れずに、また健康な体のクーを嫉妬して
襲い掛かる可能性もあるのに。
クーの体がまた少しこわばった。
川 ゚ -゚)「それはな半年病患者のほうが都合がいいからだ。
確実に迫る死の中、健康体で死の実感をできず
亡くなっていく人の心の動きが一番身近で見れるからな。
体は健康なのだからその分、心の葛藤が激しいんだ。
私はそんな人の心の葛藤を分解して知りたいんだ。」
120 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:55:24.09 ID:Dx4RVTjx0
何事も簡潔に結論から話すクーの癖があだになった。
誰もがこの話をここまで聞いたら半年病患者を利用しているのかと
思える内容だ。
自分の疑問のために、人の死に向かう葛藤を喜んでいるようにも思える。
ブーンも同じように思った。
自分はクーに利用されていただけだと。
いままでのどんな話もクーが自分のためだけに行ってきたのだと。
クーに抱きついていたブーンだが、途端にクーの体が汚らしいものに思え
体を乱暴に引き離す。
121 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:58:27.76 ID:Dx4RVTjx0
何事も簡潔に結論から話すクーの癖があだになった。
誰もがこの話をここまで聞いたら半年病患者を利用しているのかと
思える内容だ。
自分の疑問のために、人の死に向かう葛藤を喜んでいるようにも思える。
ブーンも同じように思った。
自分はクーに利用されていただけだと。
いままでのどんな話もクーが自分のためだけに行ってきたのだと。
クーに抱きついていたブーンだが、途端にクーの体が汚らしいものに思え
体を乱暴に引き離す。
122 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 15:59:05.16 ID:Dx4RVTjx0
( ;ω;)「ふざけるなお。僕はお前の疑問に答えるために半年病になったんじゃないお。
僕は死にたくないお。なのにお前はそんな人の心で楽しんでるのかお。
今まで話したことは全部、お前の楽しみだって言いたいのかお。」
大声で言い募るブーン。
クーは言い方がまずかったかと思い話を続けようとする。
ここから先は誰にも言ったことがない話。
誰も理解してくれないと決め付けていた話
川 ゚ -゚)「いやブーン君それは違うぞ。
私は昔、だん…」
初めて人に話そうと思ったがクーの言葉をブーンがさえぎる。
( ;ω;)「何がちがうんだお、言い訳なんて聞きたくないお。
出てけ、ここから出てけぇ!!」
123 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 16:02:22.06 ID:Dx4RVTjx0
信じていた相手から裏切られたと思うと、もうその相手の顔も見たくなかった。
ましてや恋心まで抱いていた。
そんな自分が情けなく思いブーンは怒鳴った。
川;゚ -゚)「話を聞いてくれブーン君。私は…」
クーは必死でわかってもらおうとする。
ブーンの前でこんな顔をするのこれまでに一回もない。
だが、怒りと失望感で興奮しているブーンは気づかない。
なおも出てけと怒鳴る。
もうそれしか言わないと決めたように。
川;゚ -゚)「わかった、とりあえず今日は帰ろう。
いつでもいい、落ち着いたら連絡をくれ。」
( ;ω;)「早く出てけぇ!!」
クーが帰っていった。ブーンは見送りもしない。
一人になった部屋で半年病が発覚したときのように
怒りにまかせて物にあたりまくった。
124 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 16:03:03.29 ID:Dx4RVTjx0
( ;ω;)「信じてたのに、信頼していたのに、信用していたのに。」
大声でわめき散らす。
そしてブーンが薬瓶を壁に投げつける。
粉々になり中の錠剤が床に散らばった。
睡眠薬だ。
それを手でかき集め口に入れる。
ガラス片も混じっていたがお構いなしに噛んで胃に流し込む。
もうどうなってもよかった。どうせあと一週間もあれば自分は死ぬ。
そのままブーンは睡眠薬が効いてくるまで暴れ続けた。
125 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 16:04:59.38 ID:Dx4RVTjx0
とりあえず投下終了です。
>>97の次にこれを貼るの忘れていました
('A`) 「なあショボン、これ本当に飛ぶかな?」
ドクオは不安を口にし、ショボンと共有しようとする。
だがショボンは不安な素振りはまったく見せず言った。
(´・ω・`)「大丈夫だよ。計算上は30〜40キロほどで飛べるよ。」
確かに何度も計算した。シミュレーションもやった。
それでもドクオは心配だった。
ショボンから、もしかしたら飛べないかもしれないねと聞きたかった。
そうすれば、ブーンを飛ばせなかったとき自分一人でなく
二人の責任になると思ったから。
しかしドクオはそのことに気づいてなかった。
ただただ不安だった。
ブーンから責められるんじゃないかなと。
('A`) 「そうか、でも不安なんだよ。
ブーンを飛ばせなかったら、あいつどんな顔するかなって。」
まだ同意を求めるドクオ。
それはしょうがないことに思えた。
人が一人死ぬ。
それも一緒にやってきた友達が。
わかっていたことだ。
今まで抑えてきたのにその瞬間が迫るとやはり現実なんだなと実感する。
126 :
林業(富山県):2007/03/16(金) 16:07:09.75 ID:sd7Rgm800
あぁ・・・カナシス
127 :
自衛官(愛知県):2007/03/16(金) 16:11:55.07 ID:Dx4RVTjx0
後一回の投下でお話は終わりになります。
今日投下できるかわからないのですが
IDは
>>91のfIp+RMLe0です。
申し訳ないのですがこのスレで終わりたいので
何か書き込んでいってください。
お願いします。
wktk
129 :
通訳(九州):2007/03/16(金) 16:16:59.25 ID:MnWOw25SO
支援行っとく
130 :
画家のたまご(九州):2007/03/16(金) 16:24:44.29 ID:+VkIVMG2O
もう次が最後?か…泣ける
131 :
クリエイター(関西・北陸):2007/03/16(金) 16:26:54.96 ID:2KnOuSOaO
ワクテカ
132 :
造園業(九州):2007/03/16(金) 16:58:59.01 ID:LPgnzW86O
これはwktk
133 :
画家のたまご(九州):2007/03/16(金) 17:09:52.44 ID:+VkIVMG2O
ほし
134 :
留学生(東京都):2007/03/16(金) 17:27:32.47 ID:+l7GTwwi0
hosyu
135 :
クリエイター(関西・北陸):2007/03/16(金) 17:38:51.56 ID:2KnOuSOaO
ほす
136 :
画家のたまご(九州):2007/03/16(金) 18:15:03.82 ID:+VkIVMG2O
ほし
137 :
俳優(茨城県):2007/03/16(金) 18:46:23.89 ID:99EeBZOY0
の
138 :
クリエイター(関西・北陸):2007/03/16(金) 18:54:09.96 ID:2KnOuSOaO
あ
139 :
留学生(ネブラスカ州):2007/03/16(金) 19:09:32.10 ID:+D+M7Gt9O
ほし
泣いた
のし
142 :
パティシエ(コネチカット州):2007/03/16(金) 19:48:16.58 ID:dSbhJ7NfO
これはいい人間讃歌
GJ支援
143 :
パティシエ(コネチカット州):2007/03/16(金) 20:11:32.91 ID:Tn+VFlzjO
最終回か…もう
泣く自信がある
144 :
画家のたまご(九州):2007/03/16(金) 20:34:25.24 ID:+VkIVMG2O
クーも半年病だったりして
干す
145 :
画家のたまご(関東・甲信越):2007/03/16(金) 20:39:38.33 ID:72V6nQmQO
147 :
画家のたまご(九州):2007/03/16(金) 20:52:03.24 ID:+VkIVMG2O
148 :
理学部(福井県):2007/03/16(金) 21:16:24.10 ID:DTU9FCiP0
ho
149 :
造園業(九州):2007/03/16(金) 21:38:27.32 ID:LPgnzW86O
保守
ほ
151 :
クリエイター(関東・甲信越):2007/03/16(金) 22:53:35.85 ID:mPGQA+O4O
ほ
152 :
事情通(コネチカット州):2007/03/16(金) 23:04:56.13 ID:dSbhJ7NfO
今日の投下はなさそうだな保守
153 :
のびた(東京都):2007/03/16(金) 23:55:42.23 ID:Kz4XmZt/0
守
154 :
画家のたまご(関東・甲信越):2007/03/17(土) 00:19:24.46 ID:5+LU95SzO
保守
155 :
建設作業員(九州):2007/03/17(土) 00:54:31.25 ID:1ossAJkUO
干す
156 :
書記(関東・甲信越):2007/03/17(土) 01:22:51.16 ID:yvtIj+tPO
★
保守
158 :
書記(関東・甲信越):2007/03/17(土) 03:08:22.74 ID:yvtIj+tPO
ほしゅ
ほ
160 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 04:11:11.28 ID:IJhAbRmk0
h
161 :
建設作業員(九州):2007/03/17(土) 05:40:54.27 ID:1ossAJkUO
干す
162 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:03:11.97 ID:IJhAbRmk0
その後四日間ブーンは眠り続けた。
買い物から帰ってきたカーチャンが倒れているブーンを見つけ救急車を呼んだのだ。
ブーンが目を覚ます一日前。
ガレージにドクオとショボンがいた。
ドクオは黙々とプロペラを作っていながら、ただブーンが来るのを待っていた。
木を削る音以外何も聞こえない。
先にその空間を壊したのはドクオだった。
('A`) 「ブーンのヤツ連絡もないな。
死んじまったなら親が連絡くれるはずなんだけどな。」
ドクオの言葉に返事はない。
今、ショボンは何もしていない。
ただいつも座るポジションでじっと目をつぶっている。
ショボンはブーンに対して怒りの感情を育てていた。
163 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:05:57.99 ID:IJhAbRmk0
('A`) 「空を飛んだ日からこないな。」
ドクオが呟く。
その声にはまったくと言っていいほど張りがない。
まるで切れたピアノ線のように。
('A`) 「なあ、そろそろ出場募集の期限がくるんだけどどうする?」
ドクオが話しかけるがショボンは何も言わない。
だが真剣な表情をしている。
自分の信じるものを守るかのような表情を。
また少し時間がたった。
ショボンが急に立ち上がりドクオに向かい宣言した。
(´・ω・`)「僕はもう降りるよ。」
164 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:07:35.63 ID:IJhAbRmk0
突然だった。
('A`;) 「おま、どうした?」
(´・ω・`)「ドックン、何でこの計画をやろうとしたか覚えている?」
急に降りると言い出したショボンがドクオに尋ねる。
('A`;) 「そらお前、ブーンの夢を叶える為だろ。」
ブーンが計画を持ち出したときのことを思い出す。
あの日のことは二人ともよく覚えている。
急に計画を話したブーン。
それを笑う二人。
そしてその後、笑ったことの後悔。
人生の中で一番後悔したことを聞いたら二人はこのことを言うだろう。
165 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:09:13.72 ID:IJhAbRmk0
(´・ω・`)「そうだよ。ブーンの夢をかなえるためだよ。
そのために僕は自分の時間を犠牲にしてやってきた。」
('A`♯) 「お前、犠牲って自分から参加したんじゃねぇか。」
ドクオがショボンの言葉に怒る。
ショボンが時間を犠牲にして、なんて恩着せがましい言い方をしたから。
ドクオは一度もそんなことを思わなかった。
そんなことを思わないためにも参加するときブーンに厳しいことを言った。
自分にも厳しくなるために。
(´・ω・`)「僕はブーンが夢を叶えたいって言ったから参加したんだよ。
目標はコンテストに出て感動を取り戻すことだったんじゃないの。
ブーンがそれをしたいって言うから参加したんだよ。
そのため、いろんなルールを決めたしそれを守ってきた。
でもブーンは空を飛んだ日から来ないんだよ。
もう満足したから来ないと僕たちに思われてもしょうがないよ。
それにもし、そうだったらブーンの言った夢はただ空を飛びたいだけじゃんか。
そのために僕らは利用されただけなんだよ。ブーンのわがままに。
やってるときは犠牲だなんて思わなかったよ。
でもそうとしか思えないから言ってるんだよ。」
166 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:10:56.27 ID:IJhAbRmk0
('A`♯) 「でもあいつだって半年病で苦しんでんだぜ。
ちょっとぐらい許してやろうって思わないのかよ。」
ブーンに言ったことと矛盾しているがそれがドクオの本心だった。
半年病の甘えは見せるなといったが、実際は少しぐらいならいいと思ってた。
(´・ω・`)「思うよ。でもね、僕が参加した理由はブーンの夢をかなえるためだよ。
あの時、僕は別に目標を持っていなかった。少し半年病のブーンが羨ましいと思ったよ。
僕も半年病になれば目標がもてるのかなって。
半年で死んでもそれならいいじゃんって思ったよ。
だけどね、そんな情けない自分が嫌だったよ。
そんな気持ちを抱いたからブーンを手伝おうって思ったよ。
けど、ブーンはもう来ないじゃないか。
僕の目標はブーンの夢を叶えることだったんだ。
ブーンがもう夢を叶えたっていうなら僕はもうやる必要はないよ。」
167 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:11:28.84 ID:IJhAbRmk0
そう言ってガレージから出て行こうとした。
ドクオはショボンを思いとどませる言葉がなかった。
ショボンの言うことは筋が通っていた。
('A`) 「わかったよ。でも俺はブーンのためと自分のためでもあった。
言っただろ。こんなドラマチックなことやってみたかったって。
俺の目標はまだ終わってないんだ。
だからそれまでこのガレージ貸してくんねぇかな。」
(´・ω・`)「それはいいよ。でも僕は手伝わないからね。」
そう言い外へ出て行くショボン。
ドクオは一人では広いガレージでプロペラを削り始めた。
168 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:17:40.25 ID:IJhAbRmk0
病室でブーンが起きたときトーチャンとカーチャンが横にいた。
意識は、はっきりしていなかったが、そのことがブーンには疎ましかった。
信じていたクーに裏切られた、だから信じていた親にも裏切られるんじゃないかと。
ブーンの意識がはっきりしないいままトーチャンが怒鳴った。
(`・ω・´)「ふざけるな!!
お前は一秒でも長く生きるんだよ。
それを何だ。自分から死のうとして。
確かにお前はもう長くない。
だからって私たちに黙って死んで言いわけないだろ!!
もういい、いくぞカーサン。」
それだけいい一人で病室から出て行った。
今のブーンにはその言葉もどうでもよかった。
どうせ裏切るんだ。どうせ自分のためだ、と考えていた。
カーチャンはまだ座っていた。
そしてブーンに伝える。
J( 'ー`)し 「ブーン、お父さんはね、四日間ずっとここにいたのよ。」
どれだけ心配しているかを言わず行動だけを伝えるカーチャン。
しかし、もうそんなこともどうでもいい。
( ´ω`)「どうせ自己満足のためだお。」
169 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:22:29.68 ID:IJhAbRmk0
もうすべてがどうでもよかった。
明日死ぬかもしれない。
なにをしてもどうせ死ぬ。
いっそ早く死んでしまいたいくらいだった。
J( 'ー`)し 「クーさんがこれを渡してくれって言ってわよ。
申し訳ないことしたって。」
カーチャンが封筒を渡そうとするがブーンは見向きもしない。
見る気もない。どうせ自分を弁護するための言葉があるだけだ。
そんなもの見たくもない。
カーチャンが仕方なく封筒を置いていき、最後にこう伝えた。
J( 'ー`)し 「さっきね、クーさんが申し訳ないことしたって言ったけど
それはあなたに対してじゃないわよ。
結果として私たちに迷惑をかけたことを謝ったの。
あなたにはとりあえず読んで欲しいって言ってたわよ。」
そう言ってカーチャンも出て行った。
170 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:24:49.48 ID:IJhAbRmk0
封筒が机の上においてある。
何時間かして、やることのないブーンは見てみる気になった。
どれだけばかばかしいことが書いてあるのだろう。
ブーンはまだ信じ切れていなかった。自分のクーに対する思いを。
実は、まだもしかしたらとは思っていた。
しかし、あれだけ言った手前そんな感情が起こるのを否定したかった。
もしクーが自分を本当に裏切ったのならどれだけクーを憎めるだろう。
そのほうが楽だ。
ただブーンは勘違いをしていた。裏切られたと思っているが信じたのはブーン自信だ。
自分の感情がはっきりしないいままのブーンは
手紙を見てやっぱり自分を裏切ったんだなと確認したくなった。
171 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:31:04.04 ID:IJhAbRmk0
ブーン君へ。
私は今のところブーン君に対して謝るつもりはない。
あの時は確かに結論を急いだため誤解を生じさせたと思う。
だが最後まで私の話を聞いてはくれないだろうか。
私は昔、レイプされたことがあるんだ。
数人の男性によって無理矢理体を辱められた。
とても悔しかったよ。なんでこんなことするんだって。
だけども一番辛かったのは自分の気持ちだったんだ。
私は抵抗したよ。嫌だった。知らない男と急に性行為するなんて。
相手のことはその時も今も許せないよ。
そして自分も。
無理矢理、性行為をされているとき私の体は快感を覚えていたよ。
自分では感じたくないのにどうしても感じてしまうんだよ。
人間のメカニズムかもしれない。
でも自分の感情では最低のことをされているのに
自分の尊厳が貶められてるのにどうしても感じてしまうんだ。
どうしようもなかったよ。
自分では本当に嫌がっているのかもわからなくなった。
とても惨めな気持ちにさせられた。
いや、自分から惨めな気持ちになったんだ。
行為が終わったあと私は警察にいけなかったよ。
少しでも快感を覚えていたから。
自分が悪いと思いながらはいけなかったよ。
172 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:33:58.93 ID:IJhAbRmk0
でもそこで私は考えを変えたんだ。
いやそう思い込もうとした。私はただ男性と性行為をしただけなんだって。
それ以来かな。こんな性格になったのは。
ただ誰にも話せなかったよ。
ブーン君の半年病と似ている。
人にしゃべったらその相手はただ沈黙するだけかなって。
そして私を慰める言葉をかけるだけなんだって。そう思っていた。
でも誰かに理解して欲しかったんだ。
見せ掛けの優しさじゃなく、きちんと私の気持ちを分解してもらいたかったんだ。
だから私はカウンセラーになった。
人の気持ちを分解することで、私のあのときの気持ちも分解できるんじゃないかと。
また少しでも自分の気持ちを理解してもらいたいと。
さっき書いたとおり半年病患者なら私の気持ちと似ているんじゃないかと思ったよ。
特に身に起こったことを伝えるときに発生する印籠的効果が。
だが私は不安だったんだ。
ブーン君に話しても印籠的効果で、ただ私に対して腫れ物に触るように接するかと思うと。
ブーン君が初めて私と話したときと似ているようになるんじゃないかと。
私もブーン君が言ったように誰かに理解されたいんだ。認めて欲しいんだ。
きちんと論理的根拠に基づいて。
173 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:36:33.49 ID:IJhAbRmk0
私がこのことを誰かに伝えるのは初めてだ。
半年間だがブーン君の論理を重んじる性格はよくわかっているつもりだ。
ブーン君なら私の話を聞いて気持ちを分解してくれると思ったんだよ。
ブーン君と話していて君は論理的に間違っていなかったらちきんと認めてくれた。
だから、私がカウンセラーになった理由を話そうとした。
話す順番が下手でブーン君の怒りをかっただけだったがね。
私はブーン君に理解して欲しいと思っているよ。
ブーン君は私と話して楽しいと言っていたが、私も楽しかったよ。
この手紙を読んで、もしまだ私と話をしてくれるならメールをくれないか。
今すぐ話し合わなくてもいい。
まずブーン君がすることは多分ドクオ君とショボン君のとこに行くことだと思う。
私はブーン君が理解してくれようとする姿勢があるだけで嬉しいんだ。
私を理解したいと思ったらメールをくれないか。
メールは間違いのないようにブーン君の夢である【内藤ホライゾン】と打ってくれないか。
私はブーン君の性格を信じている。
これを読んでそのメールを打ってくれたのなら、ブーン君は私を理解しようとしてくれるんだなと信じるよ。
長くなってすまない、ではさよならだ。
174 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:37:14.27 ID:IJhAbRmk0
ブーンはその手紙を読み終えすぐさまメールをクーに送った。
クーさんと話がしたいです。
一時間後××公園にきてください。
内藤ホライゾン。
それだけ打ってすぐに病室を飛び出した。
なに、自分は半年病。しかも賞味期限ギリギリだ。
病院を抜け出したって誰も咎められることはないだろう。
そう思いブーンはひたすら家へと走った。
175 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:39:03.25 ID:IJhAbRmk0
家へと入りすぐさまトーチャンとカーチャンに言う。
( ^ω^)「さっきはごめんだお。
僕はもうすぐ死ぬお。
でもこれだけは言いたいんだお。
産んでくれてありがとう。
トーチャンとカーチャンの息子で本当によかったと思うお。」
びっくりするトーチャンとカーチャン。
なにを言おうか迷っている。
だがブーンにはすることがある。
それをしなければいけない。
使命感に駆られつつトーチャンとカーチャンに別れを告げる。
( ^ω^)「僕はすることがあるから出かけるお。
今まで本当ありがとうだお。」
176 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:43:15.69 ID:IJhAbRmk0
そう言って出かけていくブーン。
呆然とするトーチャンだったがすぐに自分の息子を見送ろうと玄関まで走った。
ブーンはもうすでに見えないとこまで走っていった。
だがトーチャンは大声で叫んだ。
(`・ω・´)「病院ではひどいこと言ってすまなかった!
こっちこそ、お前が産まれてきて本当によかったぞ。
ありがとうなー!
私たちのことは心配するなお前の好きにやってこーい!」
カーチャンがさらに叫ぶ。
J( 'ー`)し 「ブーーン!産まれてきてありがとー!
自分に正直にねー!」
そう言って二人は家へと戻った。
ブーンに聞こえたかどうかはわからない。
でもどうしても言っておきたかった。
二人はブーンが犯罪行為をするとはまったく思わなかった。
そんなことするはずがないとブーンを信じていた。
177 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:44:35.87 ID:IJhAbRmk0
ブーンがショボン家のガレージに着く。
明かりがまだ点いている。
中に入るとドクオがプロペラを削っていた。
( ^ω^)「おいすー、久しぶりだお。」
ドクオがブーンに気づき破顔する。
何か理由があったんだ。だからこれないんだ。
そう思っていたがやはり心細かった。
('∀`) 「どうしたブーン。何かあったのか?」
もうすぐ死んでいくといってもどうしても笑顔になってしまう。
それだけ嬉しかった。
( ^ω^)「すまんお。ちょっと半年病のせいで四日意識がなかったんだお。」
ブーンは嘘をつく。
そういった方がドクオに心配をかけなくていい。
178 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:47:40.11 ID:IJhAbRmk0
('∀`) 「ところでお前まだ忘れてねぇよな。
お前の夢。」
( ^ω^)「もちろんだお。後は頼んだお」
ショボンがいないのに気づきドクオに居場所を尋ねる。
( ^ω^)「ショボンはどこかお?」
ドクオは家にいるとだけ伝えた。
昨日のショボンが降りた話はしなかった。
ブーンは夢を忘れてなかった不可抗力でこれなかったんだ。
わざわざ心配させることはないという配慮だった。
玄関の前まで行きインターホンを鳴らすブーン。
( ^ω^)「ショボーンいるかおー?」
179 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:48:21.60 ID:IJhAbRmk0
インターホンからショボンの声が出てくる。
(´・ω・`)「なに?」
( ^ω^)「僕の夢頼んだお。
勝手だけどお願いするお。」
それだけいい走って行った。
(;´・ω・`)「えっ、ちょっと待ってすぐでてくから…」
それだけいい走って行った。
ドクオが玄関に来たときにはブーンはいなかった。
ちょうどショボンもでてきたときだった。
('∀`) 「あいつはお前を裏切ってなかったよ、もう聞いたか?」
すぐにショボンは理解した。
ドクオの笑顔と言葉で。
そして二人は一緒に大声で叫んだ。
(´・ω・`('∀`)「まかしとけー!すんげえ感動を与えてやるよー!」
180 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:50:36.11 ID:IJhAbRmk0
クーにメールを送って一時間を少し回ったときブーンが公園に到着した。
すでにクーはきていた。
クーが何か言おうとする前にブーンがしゃべりだした。
( ^ω^)「クーさん話があるお。
僕はクーさんのことが好きだお。
僕は半年病で明日にも死ぬかもしれないお。
でも伝えたいんだお。
僕はクーさんのことが好きだお。
もっとクーさんのことを知りたいし
理解したいし、理解されたいお。
別に付き合ってくれって行ってるわけじゃないお。
ただ伝えたいんだお。」
そこまで早口に伝えるブーン。
クーはいつもの調子のままで話す。
川 ゚ -゚)「そうか手紙を読んでくれたな。ありがとう。
ところで、どう思う私のことを。」
181 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:52:50.76 ID:IJhAbRmk0
クーは自分の口からあの単語は発したくないらしく
微妙な質問をする。
それを敏感に読み取りブーンが答えだす。
( ^ω^)「クーさんはそのままでいいお。
レイプされようがなんだろうがクーさんはそこに存在しているお。
クーさんは自分を理解して欲しいって思ってるお
そして僕はクーさんを理解したいと思ってるお。
クーさんも同じだお。
僕に理解されたいと思ってるし
僕を理解したいと思ってるお。
でもお互い、理解したかなんて確認しようがないお。
でもそれでいいお。ふたりで理解しあうお。
その姿勢が大事だお。
僕は、クーさんの話が論理的におかしくない限り絶対拒否しないお。」
傍から聞いたら勝手で無茶な話だと思うだろう。
しかし、手紙を読んだブーンはその答えが一番だと確信していた。
182 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:55:46.80 ID:IJhAbRmk0
川 ゚ー゚)「そうか、ありがとう。
私もブーン君のことが好きだよ。
私もブーン君のことを理解したいし
理解されたい。でももう時間がない。
だがそれだけで十分だよ。
半年間、君と話しているから、君の考えは少しはわかる。
ブーン君がなにを言いたいかが本当に嬉しいよ。」
お互い相手の考えをよく知っていた。
だから言葉は少なくとも相手の言いたいことがよくわかった。
川 ゚ー゚)「どうだブーン君抱きあってみないか。」
そう言ってクーがブーンに近寄る。
そして二人が力強く抱きしめあう。
幸せな時間だった。
だがここでハプニングが起きた。
183 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:57:08.72 ID:IJhAbRmk0
川 ゚ー゚)「ブーン君、勃起しているぞ。」
(;^ω^)「すいませんお。つい愚息が。」
川 ゚ー゚)「ブーン君は確かここ数ヶ月、自慰行為をしていなかったな。」
ブーンはもう何を言われてもそれが間違っていなければクーに対しては素直でいれた。
わかっている。
クーは自分のことを笑おうとしているんじゃない。
自分のことを知って理解したいんだと。
だから答えた。
(;^ω^)「はいですお。半年病になってから僕は勃ちませんでしたお。」
クーが勃起しているブーンに問う。
川 ゚ー゚)「ブーン君。君は私としたいか。」
184 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:58:19.27 ID:IJhAbRmk0
したい。絶対したい。
しかしここでブーンは考えた。
したいと言えば間違いなく自分を受け入れるだろう。
でもここでしたら、もうすぐ死んでいく自分をクーに強く印象付けて
悲しませるだけじゃないだろうか。
でもしたい。クーとしたい。
好きな人としたい。
ブーンがそんな葛藤をしているときクーが話し始める。
川 ゚ー゚)「大丈夫だブーン君。私が君としたいんだ。
君が死んだら私は悲しい。
でもああすればよかったなんて思いたくないんだ。
それに私が君に何かしてあげたいんだ。
この気持ちを理解してくれないか。
ブーン君が死んでも私は君を忘れないだろう。
でも、君にとらわれることはない。
君を思う気持ちは間違いないさ。
君を好きって言ったのに誰かを好きになって
君を思う気持ちが嘘だったなんて思わない。
それで誰かを好きになってはいけないなんて思わないさ。」
185 :
渡来人(関西・北陸):2007/03/17(土) 06:58:45.15 ID:PGtNAac3O
朝っぱらからキテタ━━(゚∀゚)━━!!!
そしてワクテカ
186 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 06:59:30.00 ID:IJhAbRmk0
クーが自分の気持ちを話す。
ブーンは嬉しかった。
でも心配だった。この先のクーが。
そうは言っても自分にとらわれるんじゃないかと。
自惚れのようだが本当にそう思っていた。
川 ゚ー゚)「なにを迷っている。私としたいんだろ。
もし私がこの先誰かを好きになったらこう言うさ。
私には好きな人がいる。
でも、もうその人は死んでしまった。
私はその人を忘れることはできない。
それでもいいなら私と理解しあおうと。
こう言って理解しようとしないものはこっちから願い下げだ。」
その言葉を聞いてブーンは決心した。
クーとしよう。
二人はそのまま近くのホテルに入っていきそこで交わった。
ブーンは童貞だとカミングアウトしたが
クーはそうかと笑っただけだった。
187 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:00:55.20 ID:IJhAbRmk0
行為が終わってからブーンが甘えたいと言い出した。
後ろから抱きつかせてくれと。
クーはそれを了承しベッドに座る。
そしてブーンが後ろから抱きつく。
( ^ω^)「もっとこうしていたいお。」
ブーンの声が少し震えている。
その震えた声を聞いたクーはお腹にあるブーンの手を包み言った。
川 ゚ー゚)「いいさ、そのままで。
男性は行為が終わった後眠くなるんだろう。
このまま寝てくれればいいさ。」
ブーンが口元を上げる。
その顔にはこれまでない複雑な表情をしていた。
ただ、喜びの感情だけはクーに伝わった。
( ^ω^)「いや、このままがいいですお。」
188 :
渡来人(関西・北陸):2007/03/17(土) 07:03:03.00 ID:PGtNAac3O
ヤバイ泣けてきた(´;ω;`)ウッ…
189 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:03:18.08 ID:IJhAbRmk0
そう言ってブーンは抱きついたまま目をつむる。
クーに抱きついた感覚だけをかみ締めるように。
無言の充実した時間の中ブーンはつい眠ってしまった。
穏やかな寝息が聞こえてくる。
川 ゚ー゚)「なあブーン君寝てしまったか?」
寝ているブーンからは返事がない。
クーはブーンを起こさないように抱きつかれたままでいる。
さらに二十分程時間がたった。
クーは自分の背中によりかかっているものに喋りだす。
川 ゚ー゚)「なあ、人間の感情ってなんなんだろうな。
不思議なものだよな。
半年病になったからブーン君は私と出会った。
私はブーン君と出会えて本当に嬉しいよ。
自分を理解してくれるものが現れたんだからな。
もっと君と一緒にいたかった。
でも、もし半年病じゃなかったら君は私と理解しあっただろうか。
死に立ち向かうことで君はなにかを学んだんだろうか。」
190 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:05:27.38 ID:IJhAbRmk0
返事はない。
クーはそれでも続ける。
目から涙を流して。
川;ー;)「なんとか言ったらどうなんだ。
無茶なことだとはわかっているよ。
でも答えてくれないか。
何で人は涙を流すんだろうな。
また、話し合おうじゃないか。
頼むから答えてくれよ。
なあ、ブーン君。」
クーに返事はない。
もうクーの声の届くところにブーンはいない。
すでに、ねむってしまった。
ブーンはこれからずっと自分で立つことはない。
191 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:08:08.32 ID:IJhAbRmk0
ガレージ内。すべてが完成した飛行機を前にドクオとショボンがいる。
コンテストに応募し出場資格を取って、あることについて二人が相談している。
議題は誰が乗るか。
(´・ω・`)「そのことで話があるんだけど。」
ショボンが提案しようとする。
だがドクオも考えがあるらしくポケットから何かを探している。
('A`) 「なあここは後腐れのないようこいつで決めようや。」
ドクオが取り出したのはコイン。
これで勝ったほうが決めようというのだ。
文句なしの一回勝負。
これならいいかとショボンは考えた。
結局どちらかの主張を取り入れなければいけない。
なら公平な方法で決めたほうがいい。
ショボンは自分の提案にドクオが乗る自信があったが
ここはコイントスで決めることにした。
192 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:12:10.06 ID:IJhAbRmk0
('A`) 「じゃあいくぜ。恨みっこなしだ。」
コインを真上にはじき左の手の甲に載せると同時にそれを右手で隠した。
('A`) 「さあどっちだ、ショボンに決めさせてやるよ。」
そういうドクオにはある勝算があった。
日ごろ神様の類を信じないがこの日だけは信じていた。
(´・ω・`)「じゃあ表。」
('∀`) 「じゃあ俺は裏というわけだな。」
なぜか勝利を確信するドクオ。
何度もいいんだなと確認をする。
そんな彼を見てイカサマでもしたかと考えたが実行するとは思えなかった。
ドクオがショボンの不思議そうな顔を見て話し出す。
193 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:14:09.54 ID:IJhAbRmk0
('∀`) 「なあショボン、ライト兄弟が初めて空を飛んだとき
どっちが先に飛んだか知っているか。
弟なんだよな、コイントスに勝ってさ。」
(´・ω・`)「それぐらい知ってるよ、でもそれがどうかしたの。」
('∀`) 「俺思うんだ。もし神様がいたら絶対ここは裏なんだ。
間違いないんだ。
だって初めて空を飛んだときのコイントスも裏だったんだ。
じゃあ初めて空を飛ぶときの俺らのコイントスももちろん…」
(;´・ω・`)「やっぱやめて、僕が裏に…」
慌てて取り消そうとするショボン。
ドクオはもう遅いと言い右手を開けた。
194 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:15:54.60 ID:IJhAbRmk0
大会当日。ブーンが飛んだ日のように空を飛ぶにはいい天気だった。
自分たちの順番が来るまで他のチームを観察するドクオとショボン。
例年通りのチームばかりだなと思う。違うのは二人の機体。
ライトフライヤー号を思わせるような旧式のレトロチックなデザイン。
流線型の多い中でそれは見事に浮いていた。
('A`) 「やっぱ神様なんていねぇのな。あそこは裏を出すべきだろう。」
ドクオが搭乗者を決めるコイントスをまだ愚痴愚痴言う。
それでもショボンは腹は立たなかった。
('A`) 「でも俺と同じ考えしてたなんてな。」
そうどちらが勝っても結果は一緒だった。
ショボンがコイントスに勝利したあとすぐさまクーに電話したのだ。
川 ゚ -゚)「いいのか私で?
今ならまだ変更はきくぞ。」
195 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:19:46.10 ID:IJhAbRmk0
一週間前、クーに電話があった。
ショボンから。飛行機に乗らないかという話だ。
一度断ったものの二人に強引に押されて出場することになった。
('A`) 「いいんですよ。俺らがでるよりそっちのほうが。」
(´・ω・`)「そうですよ。クーさんに出て欲しいんですよ。」
二人が申し訳なさそうにするクーに言葉をかける。
それを聞いてしょうがないなと思いつつ一応言っておく。
川 ゚ -゚)「そうか飛びたくなったらいつでも言ってくれ。」
少し時間がたち何機かが飛んでいった。
予定調和の大会だ。
どの機体が飛ぶかなんて大概わかっている。
そうは思いつつもまじかで見るこのお祭りに三人は興奮していた。
196 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:22:30.53 ID:IJhAbRmk0
三人がスタートの練習をしていると一人の男が近づいてきた。
( ゚∀゚)「やあ、こんにちわ。俺ジョルジュって言います。」
挨拶をしてきた男。
ジョルジュと名乗る男に三人が適当に返事を返す。
ジョルジュは三人の機体を見ながら言った。
( ゚∀゚)「これ、だいぶ前に新聞に載ったヤツですよね。
いいなあ、俺んとこは大人数だから触らしてもくんねーんだよな。
しょうがないっちゃしょうがないけど、やっぱこういうのいいよな。」
独り言なのか話しかけてるのか曖昧な言葉に
なんて返事をしようか迷っていると、ジョルジュは自分のチームに戻っていった。
ジョルジュのチームのほうを見ると彼はチームは大会記録保持の常連チームだった。
197 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:24:53.21 ID:IJhAbRmk0
そしてついに出番がきた。
ブーンが夢を叶えたいといっていたこの舞台。
三人はそこに機体を運んでいく。
それを見る、もう飛び終わりギャラリーとなった参加者。
ギャラリーの視線の中には嘲笑と羨望の眼差しがあった。
最終調整に入る三人。ドクオとショボンは念入りに作業を行う。
そうしたなか、お笑い芸人のリポーターがやってきた。
( ^Д^)「これで飛ぶんですか。大丈夫ですか。」
受け取りようによっては失礼にも感じる台詞だ。
三人は心配ではなく自分たちを馬鹿にしていることがすぐにわかる。
芸人はカメラも回っているのでよく口がすべるようだ。
198 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:25:47.09 ID:IJhAbRmk0
( ^Д^)「めずらしいですね、こんな機体で飛ぼうなんて。
記録出せますかねえ。」
どうやら、三人を馬鹿にするスタンスのようだ。
適当にあしらっていると、もう少し絡めと指示が出たようで
また話しかけてくる。
( ^Д^)「いやぁー、初期のころみたいですね。
あの頃は飛ばずに落ちる機体が多かったですからね。」
なんとか三人と絡もうとするが返事がこない。
少しいらついた芸人が言い出す。
(♯^Д^)「いやぁーたいへんですねぇ。
落ちたらどうしますか?」
三人はいい加減腹が立ってきた。
そんな時、ドクオが黙ってろよと目配せをする。
二人はそれに答える。
ドクオが急に立ち上がり伸びをした。
そしてきわめて自然にタバコを出し火をつけた。
199 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:26:45.46 ID:IJhAbRmk0
それを見て慌てて芸人が注意する。
(;^Д^)「ちょっとここは禁煙ですよ。
なにやってんですか。」
ドクオはああそうかと言ってタバコを咥えたまんま携帯灰皿を探した。
自分の思い通りにいかない事に不満だった芸人が皮肉を言い始める。
(♯^Д^)「早く消してくださいよ。
常識ないんですか、まったく。
何しにきたんですか?
まあそんな機体で記録出そうとしてるんですから
いい意味で常識はずれなんでしょうね。」
まるで記録を出すことが目的のような口ぶりだった。
というよりもこの芸人はそう思っていた。
飛んで当たり前。この大会は記録を伸ばすための大会だと。
そしてドクオが携帯灰皿にタバコを押し付けながら言った。
('A`) 「サーセン。自分ら空を飛ぶという夢を叶えにきたんで。」
そういうと芸人は言葉につまり何も言わずどこかへ行ってしまった。
余程悔しかったらしく歩き方がそれをあらわしていた。
そのときもカメラは回り続けていた。
200 :
ネット廃人(catv?):2007/03/17(土) 07:27:30.39 ID:XtM0DMRJ0
私怨
201 :
渡来人(関西・北陸):2007/03/17(土) 07:28:34.05 ID:PGtNAac3O
がんばれがんばれ
202 :
ネット廃人(catv?):2007/03/17(土) 07:30:04.13 ID:XtM0DMRJ0
私怨
203 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:30:14.12 ID:IJhAbRmk0
そしてついにスタートのとき。
向かい風でちょうどよい速さだった。
クーが機体に写真を貼り付ける。
四人で飛行機の前で撮った写真だ。
一人だけやたらとやつれて見える。
そのときは誰も気づかなかったが今見ると明らかにういている。
写真を貼ってからショボンがスイッチを押す。
スピーカつきのカセットプレイヤーのボタン。
これにはあの曲が入っている。
クーがペダルを回しプロペラを回転させる。
それと同時にアナウンサーの声が聞こえた。
「エントリー番号**番。内藤ホライゾン号です。」
スタートのサイレンが鳴り機体を押す。
自分ができる最大の力を込めてドクオとショボンが押す。
そしてプラットフォームから機体が落ちた。
204 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:31:56.18 ID:IJhAbRmk0
時間がコマ送りのように流れる。
水面5メートルまで落ちたとき、四人が絶叫した。
('A`(´・ω・`川 ゚ -゚)「あがれーーーー!!」
その声はプラットフォームの上から、機体の上から、そして解説席から聞こえた。
クーが昇降蛇を操作する。
水面まで後2メートル、皆が落ちると思ったとき、機首があがった。
('A`(´・ω・`)「飛んでるよ飛んでるよ。」
二人がはしゃぐ。まるで子供みたいに。
そしてそれと同時に空を飛ぶ飛行機のプレーヤーから音楽がなり始めた。
205 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:33:27.72 ID:IJhAbRmk0
〜When the night has come
And the land is dark〜
スタンドバイミーだ。
ボートから機体を写している映像が会場で流れる。
まるで映画だった。
古めかしい機体、それを漕ぐ女性、曲の持つムード。
すべてが完璧のように思えた。
飛行機はまだ飛んでいる。
落ちそうのようだがなかなか落ちない。
206 :
ネット廃人(catv?):2007/03/17(土) 07:34:02.35 ID:XtM0DMRJ0
wktk
207 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:35:54.42 ID:IJhAbRmk0
クーが途中からスピーカにあわせ歌いだす。
川 ゚ -゚)「オァザマウンテイン
ショルダクランボウトゥザシィ」
川 ;-;)「アイウォンクライ
アイウォンクライ
ノォアァイウォンシェアザティア」
川 つ–;)「ジャスタロンァズ
ユスタァンド
スタンバイミー」
割れ気味のスピーカーだったがそれがまたいい味を出していた。
そして2分50秒、曲が終わると同時に着水した。
208 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:37:19.51 ID:IJhAbRmk0
川 ;-;)「ブーン君、君の夢はやっておいたぞ。
これで感動する人がいるかはわからないがすべてやったぞ。」
機体から降りる前にそう言葉を発する。
大会のボートに乗ったクーが沈む機体をずっと見ている。
機体は湖へと沈んでいった。
209 :
ネット廃人(catv?):2007/03/17(土) 07:37:58.36 ID:XtM0DMRJ0
( ´;ω;`)ウッ
210 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:38:24.30 ID:IJhAbRmk0
その日の夜優勝したチームがホテルで騒いでいた。
ジョルジュの所属するチームだ。
だがジョルジュを入れて二人が浮かない顔をしていた。
そして騒ぎの中、誰かが内藤ホライゾン号を馬鹿にしだした。
「あんなんで飛ぼうなんて馬鹿だよなぁ。」
「そうだよな、何勘違いしてんだか。」
笑い声まで聞こえる。
そんな雰囲気に嫌気が差したジョルジュは
ウィスキービンを持って外にでた。
少し歩き、今日大会のあった湖のほとりで一人ごちている。
( ゚∀゚)「あいつらこそ、なに勘違いしてんだよ。
この大会は空を飛びたいやつらが本気で飛ぼうってもんじゃないのかよ。
そういう馬鹿げたお祭りじゃないのかよ。
俺だって記録なんかどうでもいいから飛びたかったよ。くそ。」
211 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:39:00.93 ID:IJhAbRmk0
人数が多ければその分空を飛べる確率がへる。
しかしその事実を直視せずチームに所属していたのは自分だった。
ジョルジュはそんな自分が情けなくなった。
もしかしたら飛ばせてくれるかもと淡い期待をいだいて
先輩たちの言うことを頑張って聞いてきた自分が。
( ゚∀゚)「くそ、やめちまおうかな。」
そう言ってウィスキーを飲む。
ジョルジュは後ろから誰かがやってきたのに気づき振り返る。
( ゚∀゚)「なんだお前か松本。聞いてたのかよ?」
松本と呼ばれた男は黙ってジョルジュの隣に座った。
二人は黙って星を見ている。
212 :
渡来人(関西・北陸):2007/03/17(土) 07:39:27.18 ID:PGtNAac3O
このやろう(´;ω;`)…朝から泣かせやがって
213 :
ネット廃人(catv?):2007/03/17(土) 07:40:06.80 ID:XtM0DMRJ0
( ´;ω;`)もう最後まで見届けるさ・・・
214 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:40:52.94 ID:IJhAbRmk0
そして松本が独り言のように喋りだした。
( ・ω・)「俺も辞めようと思うんだチーム。」
黙っているジョルジュにさらに喋りだす。
( ・ω・)「何で俺チームに入ったか考えたら空飛びたかったからなんだよね。
だけど飛べる人少しだけじゃん。そんなの意味ないって言ったら
言いすぎだけど、やっぱり俺空飛びたいんだよね。」
( ・ω・)「今日のさ、あれ見て思ったんだよ。
別にチームじゃなくても空飛んでるやつがいるって。
プラットホームで言ってたじゃん。
空を飛ぶためにきたって。だから俺辞めようと思うんだよね。」
215 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:41:53.96 ID:IJhAbRmk0
ジョルジュは考えてた。こいつと組もうか。
そしたら飛べるんじゃないかと。
松本も同じ考えだろう。言うことからそう思った
目標ができて喜ぶジョルジュが言う。
( ゚∀゚)「よし、お前俺と組め。
記録じゃなくて記憶を残しにまたここにくんぞ。」
松本はやはりその言葉を待っていたようだ。
ジョルジュにすぐ賛同した。
( ・ω・)「しゃあねえで組んでやんよ。
だけど足ひっぱんなよ。そうなったらぼっこぼこにしてやんよ。」
そう言ってその場でチームを組んだ二人。
その夜はウィスキー片手に話し合った。
くだらない事ばかりだったけど笑いあった。
そして二時間話して決まったのは機体の名前だけ。
それはボッコス長岡号
216 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:42:48.42 ID:IJhAbRmk0
ブーンが死んで目標を終えた後、皆日常に戻った。
( ・∀・)「やあ、見たよテレビ。かっこよかったじゃないの。
ドクオ君の台詞すごくいかしていたよ。」
モララー教授がドクオに言い去っていった。
ドクオはなんであんな台詞を言ったのだろうと今でも恥ずかしがっていた。
ショボンもかっこよかったと言うけれども、自分ではそうは思えなかった。
校内を歩いているとバンド募集のポスターがある。
文化祭で出場するバンドの募集だ。
('A`) 「文化祭か。つまんねんだよなこれ。」
(´・ω・`)「そうだよね、なんか観客を楽しませることしないんだよね。」
217 :
ネット廃人(catv?):2007/03/17(土) 07:43:36.73 ID:XtM0DMRJ0
∧_∧ 名前?ボッコス長岡号にしてやんよ
( ・ω・)=つ≡つ
(っ ≡つ=つ
/ ) ババババ
( / ̄∪
218 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:44:04.65 ID:IJhAbRmk0
二人は日常に戻っていた。
だが以前と違うのは心構えだった。
('A`) 「俺らが出て笑わせてやっかショボン。」
(´・ω・`)「でも楽器なんてできないよ。」
('A`) 「練習すればいいじゃん。それに目標は笑わせることだぜ。
ちょっとぐらい下手でもいいんじゃね。」
(´・ω・`)「それもそうだね。じゃあまたガレージに集合ね。」
219 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:44:51.89 ID:IJhAbRmk0
(`・ω・´)「当社を志望した動機は?」
( ><)「はい、僕は自分の夢をかなえるためです。
僕は大勢の人を幸せにしたいんです。
そのために努力したいんです。」
会社の面接試験官になったトーチャン。
さっきやったビロードのことが忘れられない。
昔の自分と似ていると思ったし、ブーンにも似ていた。
周りが反対するなかトーチャンはビロードの面接結果を押した。
周りが少しだけ変わった。
ブーンのせいかもしれないし違うかもしれない。
でも確実に何人かの心は変わっていった。
220 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:45:56.21 ID:IJhAbRmk0
おいすー、今日もやってまいりましたブーンの日記の時間。
今日は何から書こうかお。いつもはここで迷うブーンですが今日は決まっておりますお。
そう今日は初めて空を飛んだお。イーヤッフゥーーー。
すごい気持ちがよかったお。全部初めて見る景色だったお。
雲も空も人も道路も全部新しかったお。ギャラリーに子供がいたから手を振ったお。
あの子絶対何年経っても忘れないお。ていうか忘れないでおくれお。忘れんなよクソガキだお。
でもなんであんな気持ちになったんだろう。最近は感情の起伏があまりなかったからかお。
明日クーさんに聞いてみるお。
ところで最近よく思うんだお。半年病にならなかったらどうなってたんだって。
半年病になったからこそ自分を見つめることができたし空を飛ぶことができたお。
そう考えるとよかった気もするけど、でもやっぱ生きていたいお。
不思議だお、何もないときはただ生きていればよかったのに
半年病になってから夢を叶えたいと思ったお。
221 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:46:15.96 ID:IJhAbRmk0
ああそういうことかお。そんな簡単なことかお。やればよかったんだお。
いつもブーンはなにかを言い訳にしてやらなかったお。
自分がわがままになるのが怖かったんだお。
でもドクオとショボンはブーンのわがままに付き合ってくれて楽しそうだったお。
案外そんなもんかもしれないお。ああもっと生きていたいお。
ブーンの夢はどうなるだろうかお。気になるお。
だけど、どうせ結果はわからないお。死ぬからじゃなくて確かめようがないんだお。
ブーンはもうすぐ死ぬお。だけどいつ死ぬかわからないお。
だから毎日こっから先のこと書いてるお。
トーチャンカーチャンクーさんドクオショボンに皆皆ありがとうだお。
じゃあ明日の朝起きられることを祈って睡眠薬飲むお。
みんなみんな、バイブー。
222 :
ネット廃人(catv?):2007/03/17(土) 07:47:54.69 ID:XtM0DMRJ0
( ´;ω;`)ノシ
乙乙乙乙、超乙!
朝っぱらから感動と鼻水が止まらないぜ
Gj!
223 :
ネット廃人(catv?):2007/03/17(土) 07:49:02.76 ID:XtM0DMRJ0
あ、まだだ・・・orz
224 :
電話交換手(愛知県):2007/03/17(土) 07:49:02.71 ID:IJhAbRmk0
やあ (´・ω・`)
ようこそ、バーボンハウスへ。
このお話はサービスだから、まず読んで落ち着いて欲しい。
うん、「終わり」なんだ。済まない。
仏の顔もって言うしね、謝って許してもらおうとも思っていない。
でも、このお話を見たとき、君が、きっと言葉では言い表せない
「ときめき」みたいなものを感じてくれたと思う。
そんな気持ちになってくれたら僕は嬉しいよ。
そう思って、このお話を作ったんだ。
じゃあ、さよならしようか。
( ^ω^)ブーンが半年病のようです 〜終わり〜
225 :
ネット廃人(catv?):2007/03/17(土) 07:50:19.73 ID:XtM0DMRJ0
>>1、超乙!
フライングしちゃったけどもっぺん言うよ
感動をありがとう!
226 :
建設作業員(関東・甲信越):2007/03/17(土) 07:51:53.71 ID:TyRp6RqKO
電車のなかだが・・・・
泣いた
227 :
シウマイ見習い(愛知県):2007/03/17(土) 07:53:49.33 ID:FmMpgsLk0
乙
228 :
渡来人(関西・北陸):2007/03/17(土) 07:55:02.58 ID:PGtNAac3O
(´;ω;`)これは間違いなく良作!
感動した!いい話だった超乙です!!
229 :
ネット廃人(catv?):2007/03/17(土) 08:01:57.39 ID:XtM0DMRJ0
このスレは間違いなく俺の記憶に残る!
230 :
西洋人形(東京都):2007/03/17(土) 08:23:36.86 ID:vqvF/Txq0
泣けたよ・・・
感動をありがとう。
231 :
序二段(アラバマ州):2007/03/17(土) 08:43:09.50 ID:+cA2yAnD0
乙
232 :
建設会社経営(東京都):2007/03/17(土) 09:08:47.01 ID:mu6p1xjE0
ありがとう
233 :
AA職人(中国・四国):2007/03/17(土) 09:53:00.08 ID:VIs6EAWBO
作者乙 泣かせてもらった
234 :
黒板係り(コネチカット州):2007/03/17(土) 10:03:52.01 ID:FEYa3lfmO
感動age
( ;ω;)乙
236 :
AA職人(関東):2007/03/17(土) 10:52:27.06 ID:z4+Z3YkSO
遅れた乙
237 :
電気店勤務(関西地方):2007/03/17(土) 11:13:13.89 ID:15uqAWHs0
乙
238 :
山伏(大阪府):2007/03/17(土) 11:14:30.09 ID:gfCHWfBB0
乙、凄く良かった
239 :
AA職人(関西・北陸):2007/03/17(土) 11:28:20.54 ID:ZvPnjfGVO
乙
スタンドバイミー借りてくる
240 :
書記(関東・甲信越):2007/03/17(土) 11:29:31.65 ID:yvtIj+tPO
乙
感動したよ……。
作者乙!
242 :
手話通訳士(千葉県):2007/03/17(土) 11:42:13.56 ID:Y6Ere5Cm0
引きこもりだけど、このスレで勇気が出た
昨日からハローワークとか行ってる
明日も雇ってくれそうな人に電話しようと思う
怖くて泣きそうだけど頑張る
ありがとな
>>1
243 :
狩人(宮城県):2007/03/17(土) 11:45:34.86 ID:0MH5BZlp0
作者さん乙です(´・ω:;.:...
244 :
公務員(九州):2007/03/17(土) 11:48:12.04 ID:dYxrB/NxO
ガチで泣いた
作者さん乙
245 :
配管工(catv?):2007/03/17(土) 11:48:27.00 ID:KILVKHVn0
乙です
涙とまらねぇぇぇぇ!!!!!!
作者さん乙です。
泣けました(:_;)
247 :
公務員(四国):2007/03/17(土) 12:44:55.68 ID:r27qxtO/O
乙!
248 :
建設作業員(九州):2007/03/17(土) 12:51:46.89 ID:1ossAJkUO
249 :
通訳(関西・北陸):2007/03/17(土) 12:57:41.43 ID:LC6STsRkO
GJ乙
感動をありがとう!!乙でした
252 :
宇宙飛行士(岡山県):2007/03/17(土) 13:31:11.06 ID:SeRlTM7/0 BE:807334875-PLT(10220)
>>1 俺を泣かせるなよカス…
涙腺が崩壊してもう…(´;ω;`)ブワッ (´;ω;`)ブワッ (´;ω;`)ブワッ (´;ω;`)ブワッ
253 :
共産党幹部(北陸地方):2007/03/17(土) 13:31:31.40 ID:m6j/Y2wh0
254 :
張出横綱(ネブラスカ州):2007/03/17(土) 13:42:05.72 ID:JtDasOPmO
すごくよかった!!
作者乙!!
もう落ちてるかと思ってたが間に合ってよかった…
乙。
256 :
絢香(広島県):2007/03/17(土) 14:05:06.73 ID:zze9+ljl0
なんという作者
間違いなく天才
乙!
257 :
機関投資家(群馬県):2007/03/17(土) 14:20:51.82 ID:LDoSblJC0
乙
乙!
号泣した
260 :
中小企業診断士(ネブラスカ州):2007/03/17(土) 14:30:28.28 ID:S3XurRI1O
全米が泣いた
261 :
配管工(catv?):2007/03/17(土) 15:08:16.41 ID:KILVKHVn0
みんな読め読めage
262 :
乳母(コネチカット州):2007/03/17(土) 15:25:29.14 ID:JG3wVwjDO
作者乙
もうただ、それだけ。
263 :
通訳(千葉県):2007/03/17(土) 15:41:04.80 ID:SF++D2ZD0
これはすばらしい
264 :
通訳(関東・甲信越):2007/03/17(土) 16:02:03.12 ID:tQYa7grrO
あれ、目が汗が大量に出てる
これはマジで映画化しても問題無い内容
生きることの大切さと力強さと儚さが上手く描かれている
感動した!作者感動をありがとう
266 :
右大臣(東京都):2007/03/17(土) 17:16:54.04 ID:LK79I9uN0
感動をありがとう!
267 :
不動産鑑定士(コネチカット州):2007/03/17(土) 17:37:41.16 ID:mlrM0xPWO
書 籍 化 決 定
268 :
宇宙飛行士(岡山県):2007/03/17(土) 18:22:39.36 ID:SeRlTM7/0
読めよ
心より乙を申し上げる
もうまとめた?
271 :
手話通訳士(千葉県):2007/03/17(土) 19:39:52.54 ID:Y6Ere5Cm0
まだだと思う
272 :
建設作業員(九州):2007/03/17(土) 19:42:52.59 ID:1ossAJkUO
さいですか…これは時々読み返したいな…
>>1の才能に嫉妬
こんなに良いものを読ませてもらったのは久しぶりだ
作者に敬意と感謝の意を表させてもらう
275 :
電力会社勤務(九州):2007/03/17(土) 20:20:12.48 ID:lStkD28MO
すごい勇気もらった
作者ありがとう
276 :
高校生(アラバマ州):2007/03/17(土) 20:20:57.31 ID:1YkD/2fa0
これは映画化したいね
277 :
建設作業員(九州):2007/03/17(土) 20:21:29.38 ID:1ossAJkUO
>>273ありがとう、これは是非たくさんの人に読んでほしいよな、このスレがなくなっても…
278 :
書記(千葉県):2007/03/17(土) 20:48:32.42 ID:QMmadepS0
雲の向こう、約束の場所が見たくなった
279 :
キャプテン(岡山県):2007/03/17(土) 20:54:15.28 ID:jdDA09of0
280 :
書記(千葉県):2007/03/17(土) 20:59:58.64 ID:QMmadepS0
281 :
芸人(大阪府):2007/03/17(土) 21:59:55.17 ID:JIbS/yrT0
ほ
282 :
キャプテン(岡山県):2007/03/17(土) 22:22:18.55 ID:jdDA09of0
age
283 :
配管工(catv?):2007/03/17(土) 22:23:15.76 ID:KILVKHVn0
全てのVIPPERに読んで欲しい作品だ
284 :
AV監督(コネチカット州):2007/03/17(土) 22:32:31.62 ID:hzFTa1ZEO
>>1はマジGJ
ブーン系小説で泣いたのは初めてなんたぜ
285 :
ホテル勤務(福岡県):2007/03/17(土) 23:00:24.24 ID:LIzTZey90
俺スキル無いから出来ないけど
これマジで誰かFLASHとか短編映画みたいなの作ってほしい
286 :
絢香(広島県):2007/03/17(土) 23:49:57.09 ID:zze9+ljl0
age
287 :
書記(関東・甲信越):2007/03/18(日) 00:04:43.36 ID:hfNemK20O
>>278禿同
それにしてもこれは実写化すべき
1乙!
288 :
お宮(神奈川県):2007/03/18(日) 00:13:24.26 ID:SZu0vSFR0
>>279聞きながら最終話見返してたら、数倍泣けた
まじで1乙
289 :
赤ひげ(関東):2007/03/18(日) 00:58:24.59 ID:Op9EzxpUO
すばらしい
290 :
留学生(catv?):2007/03/18(日) 01:24:01.69 ID:rwtOSkbN0
あげるお
291 :
職業訓練指導員(ネブラスカ州):2007/03/18(日) 02:21:50.09 ID:VAyE2I6LO
あがってたから前スレ以来久しぶりに見てみたけど…
予想通り、俺の涙腺はバッキバキだぜ
なんていい作品なんだ…
俺も目標を持って生きよう
感動もしたが、訓話じみたとこもあるよな、そこがまた良いというか…gjとしか言い様がないわ全く
293 :
不動産鑑定士(コネチカット州):2007/03/18(日) 03:14:34.60 ID:Tjs8OTk0O
泣いた。
294 :
但馬牛(千葉県):2007/03/18(日) 04:09:48.00 ID:Mitut3fx0
VIPでマジレスもないと思うが、本当によかった。
この作品を作った作者を尊敬する。
そして、こんないい作品がある事を教えてくれた作者に感謝。
295 :
インストラクター(ネブラスカ州):2007/03/18(日) 04:14:08.47 ID:BSRIcEQmO
おつかれさん
すばらしかったよ
296 :
事情通(コネチカット州):2007/03/18(日) 05:32:53.41 ID:zzlSW7BjO
3年ぶりに泣いた
ありがとう
297 :
中二(神奈川県):2007/03/18(日) 07:07:16.44 ID:fBVLd3Qi0
>>1 乙
このスレに触発されて、俺もSSを書いて、某スレへと投下した。
…出来にイマイチ自信が無いし、ちょっと特殊なジャンル(?)なんで、晒さないけれど。
また、新たな別の物語を書いて、再び皆んなを 「励起」 して欲しく思う。
……
最近VIP来る時間減ってきてるけど、
あなたのような書き手が居る限り、俺はVIP来るのをやめたくない。
ありがとう。
大作かつ傑作、本当に乙。
298 :
アイドル(岡山県):2007/03/18(日) 07:16:20.43 ID:9c4gly2m0
>>297 「勃起」して欲しく思う
と読んだ俺はそろそろやばい
299 :
ハンター(ネブラスカ州):2007/03/18(日) 08:19:47.85 ID:CzhoHDQ9O
保守
300 :
建設作業員(関東・甲信越):2007/03/18(日) 09:56:16.92 ID:lqIVR7Y3O
ほす
バカヤロウ!読み入って携帯の電池減っちまったぜ!!
作者乙華麗^ω^
303 :
留学生(長屋):2007/03/18(日) 13:13:53.41 ID:rwtOSkbN0
ほす
304 :
きしめん職人(コネチカット州):2007/03/18(日) 13:39:28.40 ID:4YoYAV1oO
ほす
305 :
きしめん職人(コネチカット州):2007/03/18(日) 14:11:53.75 ID:4YoYAV1oO
やっと読み終わった!
ガチで久々にブーン系小説で号泣した。
おまい天才だ
>>1超乙
感動とwktkをありがとう
306 :
ドラッグ売人(アラバマ州):