ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」

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1はむちゃん♂
長編投下の際の注意


・超長編(もしくはSS職人)の場合はコテトリ付けようっ! でも住人の空気もよく読まないとだめにょろよ?
・前の文章とレスが離れてしまう場合は、文頭に安価つけてくださぁいですぅ……あの、お茶どうですかぁ?
・基本はお題フリーです。しかし、主に恋愛系(特にハルヒ)が人気の様ですよ。フフフ、僕とキョンたんの恋愛話も大歓迎ですよマッガーレ
・当初の題目は「キョン×ハルヒ」結婚ネタ……けど、今はほとんど皆無。別に時事ネタでなくてもいい…気にしないで
・キョン君、過度な性的描写はやめようね〜、タンスにエロビデ隠してるのハルにゃんに言っちゃうよ
・台詞や呼称等もその人物にとって違和感がないようにしてくれたまえ!もし不安であればまとめ等で確認することだな
・1レスには最大30行、全角で2048文字まで入るのね。文章構成の参考にして欲しいのね
・要するに気楽に投下してくれ。メモ帳にまとめて投下、ってのがお勧めだな
・次スレは950を踏んだヤツが立てれば立ててくれ!無理なら他のヤツらに頼むってのもありだな…すまん!ごゆっくり〜
・19時〜翌1時ぐらいまでにWikiを編集すると、重くて壊れたように表示されちゃうけど少し待てば直るから心配しないでね。じゃあ…死んで
・自分で投下した長編はなるべく自分で編集すること、わかった!?
・それじゃ、さっさと投下しなさいっ! いい? あたしを退屈させたら死刑だからねっ!


DAT保管庫.    http://haruhiss.xxxxxxxx.jp/

まとめサイト     http://www11.atwiki.jp/xgvuw6/

DATうpろだ    http://www.uploader.jp/home/harussdat/
雑談所(避難所) http://yy42.60.kg/haruhizatudan/
携帯用.       http://same.u.la/test/p.so/yy42.60.kg/haruhizatudan/
2愛のVIP戦士:2007/01/08(月) 12:10:52.60 ID:jcrXXOT30
====================
       業務連絡
====================

まとめwikiの管理人さんが多忙の為、まとめ作業が遅れます。
せめて長編だけでも負担にならないように、SS作者は自分でまとめていきましょう。

また、SS作者の方で自分ではまとめるスキルがない、携帯だからまとめられない、
夜間はwikiが重くて編集出来ないと言う方は

まとめ要請とまとめ人たちの報告スレッド
http://yy42.60.kg/test/read.cgi/haruhizatudan/1153863162/ PC用 
http://same.u.la/test/r.so/yy42.60.kg/haruhizatudan/1153863162/ 携帯用

にまとめ要請を書き込んでください。

まとめ要請がないと、まとめボランティアの人たちも手出しは出来ません。
管理人さんの負担を減らす為にも是非よろしくお願いします。
3むささぴ♂:2007/01/08(月) 12:10:58.38 ID:gNeSnA/W0
た、たべてないよ…
4愛のVIP戦士:2007/01/08(月) 12:11:07.55 ID:jcrXXOT30
【Wiki第2弾SS企画用アドレス】

・SS企画用検討スレ          http://yy42.60.kg/test/read.cgi/haruhizatudan/1156605747/
・SS企画『冬』投下スレ・短編用   http://yy42.60.kg/test/read.cgi/haruhizatudan/1165158602/
・SS企画『冬』投下スレ・長編用   http://yy42.60.kg/test/read.cgi/haruhizatudan/1165158520/
投稿期限12月4日〜翌年1月14(21)日  発表1月中旬予定

文章のルールなどは、前回の企画のものを踏襲しておりますので、検討スレを参考にしてください。
また、質問・意見なども検討スレで受け付けております
5ももんが♀:2007/01/08(月) 12:12:57.96 ID:0da+tUNpO
>>1
6あひる♂:2007/01/08(月) 12:15:08.86 ID:KCIT/ywoO
>>1
7しまうま♂:2007/01/08(月) 12:22:41.55 ID:KCIT/ywoO
あぁぁぁぁ!前スレ1000やってしまった…


スマンorz
8ねずこう♀:2007/01/08(月) 12:23:22.56 ID:C+IvK7OxO
>>1乙!
9トラ♂:2007/01/08(月) 12:27:24.54 ID:V5egnl9w0
>>1
乙!
>>7
ドンマイ
つ●
10七面鳥♂:2007/01/08(月) 12:35:14.00 ID:kPDjKD9S0
>>1乙長門カレー
11ラッコ♂:2007/01/08(月) 12:35:34.33 ID:9Z2I2dpB0
>>1


前々スレのDAT持ってる人いないか?
12こうもり♀:2007/01/08(月) 12:44:12.89 ID:x9b0UPq10
>>11
ロダにあるよ
13ネコ♀:2007/01/08(月) 12:44:17.45 ID:ZW2yMoah0
>>1

>>11
●<僕のDATでよろしければどうか召し上がってください
http://www.uploader.jp/dl/harussdat/harussdat_uljp00037.zip.html
14がらがらへび♀:2007/01/08(月) 12:50:04.89 ID:9Z2I2dpB0
>>12-13
dクス
ロダにあったのかw
15かも♂:2007/01/08(月) 13:02:15.80 ID:9Z2I2dpB0
このzipになってる奴をどうすればいいんだ?
無知な俺を助けて・・・orz
16わし♂:2007/01/08(月) 13:02:58.03 ID:x9b0UPq10
解凍
17シーモンキー♀:2007/01/08(月) 13:05:52.98 ID:duec9h6o0
>>15
SOS雀狙いか?やめとけもう404だ。
18きじ♂:2007/01/08(月) 13:07:57.21 ID:9Z2I2dpB0
>>17
ついでにそれもある
19ラッコ♂:2007/01/08(月) 13:09:21.77 ID:dz/19VeZ0
>>15
解答してdatっつのが出てきたら、
使ってるブラウザのログにあるdatに上書きするんだよ。
20ライオン♀:2007/01/08(月) 13:09:39.87 ID:ZW2yMoah0
>>15
1.WinXPならzipをダブルクリックで開く
2.中のファイルを専用ブラウザのDATが入っているフォルダのVIPのフォルダに入れる
3.専ブラ再起動して前スレをひらく
21りす♂:2007/01/08(月) 13:13:53.85 ID:9Z2I2dpB0
文字コードを変換しますか?とかでてるんだがなんなんだ?
22もぐら♂:2007/01/08(月) 13:30:41.83 ID:eZ7U8Cw8O
>>1
23かまきり♀:2007/01/08(月) 13:30:48.62 ID:om2WLNVA0
>>21
面倒だが一連の手順
0.ロダから落とす
1.解凍ツールで解凍する
2.中に入っているdatを確認
3.とりあえず専ブラ終了
4.専ブラなら右クリ→リンク→Logs→2ch→雑談系2→ニュー速VIP
5.そのファイル内に放り込む
6.気になるなら同番のidxを削除
7.専ブラ再起動

コレで出来ない奴は知らん
あれ?俺って親切杉?
24か♀:2007/01/08(月) 13:32:38.65 ID:vLNs0D/q0
>>23のやさしさに感動した
25おおかみ♀:2007/01/08(月) 13:33:30.52 ID:x9b0UPq10
>>21
あれのURLだけ知りたいなら

DatファイルをNotepadで開いてttpで検査すればおk
26ラッコ♀:2007/01/08(月) 13:33:35.65 ID:9Z2I2dpB0
>>23
そんなことをさせてすまないと思っている
そしてこんな無知の俺に親切にしてくれてありがとう
27まむし♀:2007/01/08(月) 13:37:18.57 ID:YwHSVH7o0
そもそもなんでだ?
28まぐろ♀:2007/01/08(月) 13:53:38.09 ID:KCIT/ywoO
保守
29しまうま♀:2007/01/08(月) 14:20:05.02 ID:KCIT/ywoO
保守
30とき:2007/01/08(月) 14:51:54.60 ID:KCIT/ywoO
保守
31おおかみ♀:2007/01/08(月) 15:08:41.72 ID:qqvAJynfO
保守
32わらじむし♀:2007/01/08(月) 15:14:05.13 ID:6YzCFh4GO
名前が生物になりましたね
33あしか♂:2007/01/08(月) 15:22:54.26 ID:qqvAJynfO
●<マッガーレ
34とき:2007/01/08(月) 15:31:26.50 ID:8o+WJAtU0
というかまとめサイト重すぎな件
35シーモンキー♀:2007/01/08(月) 15:33:11.48 ID:+Ms6HmjF0
休日重いのはもう諦めてる
36ひつじ♀:2007/01/08(月) 15:37:15.52 ID:8o+WJAtU0
TOPまではなんとか表示されるんだが
検索かけるとページが見つかりませんと表示されてしまう。

諦めるしかないのか?
37とき:2007/01/08(月) 15:50:33.11 ID:KCIT/ywoO
>>36
管理人さんの作業が終わるまでの我慢さ…
38ニャンちゅう♂:2007/01/08(月) 15:55:38.20 ID:jcrXXOT30
さっきまで重かったけどいきなり軽くなった。
いまいち動作のわからんサーバだな。
39VIP皇帝:2007/01/08(月) 15:57:49.86 ID:b5ddCSYkO
ぼくに与えられた
ぼくの一日を
ぼくが生きるのを
ぼくは拒む
40レッサーパンダ♀:2007/01/08(月) 16:27:10.05 ID:5ePAZeBa0
保守
41チワワ♂:2007/01/08(月) 16:31:25.65 ID:yvyWKvPQ0
人気アプロダか掲示板でもあるのかな
42ひつじ♀:2007/01/08(月) 16:51:18.87 ID:KCIT/ywoO
保守
43ロバ♀:2007/01/08(月) 17:11:29.11 ID:UKbmU1lZ0
保守
44しかさん♀:2007/01/08(月) 17:16:17.84 ID:zPdzsWgU0
45やもり♀:2007/01/08(月) 17:24:45.96 ID:Ifk5+bkI0
前スレdatあります?
46ロバ♂:2007/01/08(月) 17:26:20.61 ID:5ePAZeBa0
47か♂:2007/01/08(月) 17:46:56.16 ID:KCIT/ywoO
保守
48しまうま♂:2007/01/08(月) 18:00:55.95 ID:vLNs0D/q0
ほしゅ
49NOVAうさぎ♂:2007/01/08(月) 18:11:51.91 ID:B3jtvAUA0
ほっす
50コオロギ♂:2007/01/08(月) 18:40:08.07 ID:E+bblTdj0
保守
51ネコ♀:2007/01/08(月) 18:56:04.90 ID:40ZxJ1/n0
ほも
52ひよこ♂:2007/01/08(月) 19:02:08.65 ID:40ZxJ1/n0
53のらいぬ♀:2007/01/08(月) 19:05:58.43 ID:fe0M4SHhO
テラ過疎
54チンチラ♂:2007/01/08(月) 19:06:53.95 ID:knt3w2MS0
ついにハルヒ2期TVにて発表
ttp://vista.jeez.jp/img/vi6824937183.jpg
55けむし♂:2007/01/08(月) 19:09:07.02 ID:6lAOvqUqO
キョン「ちょっとプリン!わたしのハルヒ食べたでしょ!?」
561/3 ◆2vQ3kRafwI :2007/01/08(月) 19:16:23.45 ID:zWfk3+FR0
キョン乃進侍の続きを3レスほど投下します、前回まではこんな感じです。
http://www11.atwiki.jp/xgvuw6/pages/1965.html

キ「どれ、お屋敷ももうすぐ……ハルヒ姫様もよくおやすみのようじゃ
  しかしお命がかかっておったとはいえ拙者はなんということを……
  しかもハルヒ姫様は拙者のしたことを気が付かれたようじゃが
  拙者は一体どうすればよいのであろうか……
  いかぬ今はハルヒ姫様をお屋敷にお戻しすることが先決じゃ」

ギィ

キ「おや、なにやら眠気が差して参ったが……おゆきさんの備急薬は気付薬、これを飲めば眠気も……
  ややっ! これは『気付薬及び目 薬』ではなく『気付薬及び目民薬』つまり眠りぐすり?
  なるほどそれでハルヒ姫様が……はっ! 拙者が眠気を催しておるのもこのせいか!
  もうすぐお屋敷じゃ、それまでは眠ってしまうわけにはいかぬぞ……」  

ギィ

キ「あと一漕ぎじゃ……それ、やっと……お屋敷じゃ…どれ船を…舫って…zzz……」

 ……

古「お戻りのようじゃな、しかし船の中で仲良く寝ておいでじゃ」
朝「一時はどうなる事かと心配致しましたが……、本当に仲睦まじいことでございますな」
ゆ「……ご無事でなにより」

古「さてキョン乃進は拙者がお長屋へ運ぶゆえ、姫様はその方ら二人で御殿へお運び申し上げるのじゃ」
ゆ「……それは危険、同意出来ませぬ」
古「なにが危険なのじゃ? 夜道とはいえお屋敷の中、その方の忍術と朝比奈殿の南蛮渡来のエレキテル刀があれば特に問題はない筈」
57とんび♂:2007/01/08(月) 19:17:17.20 ID:ucV/qXAv0
支援
582/3 ◆2vQ3kRafwI :2007/01/08(月) 19:18:28.26 ID:zWfk3+FR0
ゆ「姫様では無くキョン乃進様の貞操が危険」
朝「キョッキョン乃進殿のてっ貞操……!、古泉殿は男色家で有名とか、正に送り狼! これはいけませぬぞ」
古「たったわけた事を申すでない、拙者はお勤め第一、その様な私情をご奉公に持ち込むような事は無い」
朝「……先日の新規お召し出しのお小姓衆はいづれも古泉殿好みの見目良き色若衆であったとか……」
古「そっそれは誤解というもの、お小姓として適しておる者を選んだら偶々そのような結果に……その……」
朝、ゆ「……、……、……、……」
古「こっこの上は刀に賭けても武士の一分を……」
朝、ゆ「!」

喜「お待ちくだされませ、ここは私が古泉殿と同道致しキョン乃進殿の安全を見届けまするゆえ
  朝比奈殿とおゆきは姫様をお願いいたします」

古「……おっおぉ喜緑殿、よろしくお願い申しますぞ、なにせ男子の拙者が姫様のご寝所に入るわけには参らぬからのぅ……
  そうと決まれば手はずどおり全て元通りに、さぁさぁ早く致さぬと夜が明けてしまいますぞ」
  
 ……

鶴「姫様、姫様、はやお目覚めの刻限にございますぞ」

ハ「……、(確か昨夜は寝所を抜け出してキョン乃進と……、そうじゃわらわは船から落ちて……)」

鶴「姫様、良い加減にお出まし下されませ」

ハ「(……あれは鶴屋の声、そしてここは……いつもの寝所、身につけておるのも…・・・寝る前に着ていた寝間着じゃ……
   これはどういうことなのじゃ?)」

鶴「姫様、お加減はいかがでございますかな、宿直番の者達よりの報告によると何やらうなされておいでであったとか
  なんぞ怖い夢でもご覧になられましたか?」

ハ「……なっなんでもない(悪い夢とな……ひょっとして昨夜のキョン乃進との事はすべて夢であったのか……)」
59エチゼンクラゲ♂:2007/01/08(月) 19:22:19.12 ID:5ePAZeBa0
wktk
603/3 ◆2vQ3kRafwI :2007/01/08(月) 19:22:51.67 ID:zWfk3+FR0
鶴「寝言で誰やらの名を呼んでおられたようですが、恋焦がれるのも程々になされませ
   このままでは下々にまで姫様の想い人が知られてしまいますぞ」

ハ「わっわらわはキョン乃進の事など……その……」

鶴「おや? 私は誰やらと申したのみにてキョン乃進殿とは申してはおりませぬが…・・・」

ハ「! ……そっそれはそのぅ……」

鶴「……ささ早くお召し替えあそばしてお出ましを……
   キョン乃進殿との事については後ほどゆっくりと……」

 ……

朝「おはようございます、姫様(喜緑殿、キョン乃進殿の方の首尾は?)」
喜「おはようござります、姫様(朝比奈殿、全ては順調でございます、古泉殿もゆっくりお休みですのでキョン乃進殿も安全です)」
朝「……(…ゆっくりお休み……)」
他「おはようございいます、姫様」

ハ「一同大儀である(しかし、誠に夢であったのかのぅ……、キョン乃進……)」

*****

というところで今回は以上です。次あたりで終わりですかね。

ちなみにこのキョン乃進侍の他に自分が書いたのは長いのだと
腹黒キョン、虫歯と歯医者、予防注射ってのがあります。
良ければ読んでやってください。
61きつね♀:2007/01/08(月) 19:23:49.49 ID:E+bblTdj0
乙!
続きwktk!
62か♂:2007/01/08(月) 19:24:23.54 ID:vLNs0D/q0
乙!
63エチゼンクラゲ♂:2007/01/08(月) 19:24:54.46 ID:5ePAZeBa0
乙なんですよ!
次が待ち遠しい・・・
64セイウチ♂:2007/01/08(月) 19:25:57.58 ID:ScGNhVLdO
wiki落ちてる?
65エチゼンクラゲ♂:2007/01/08(月) 19:26:46.62 ID:5ePAZeBa0
66あひる♀:2007/01/08(月) 19:27:46.69 ID:QZcYAQNs0
乙!

なぁ、キョン消失SSを書こうと思うんだが、最後キョンが復活して終わるか、しないで終わるか。
どっちがいいと思う?

復活しなければ、比較的キレイに纏まる。
復活させると、少し強引になってくるんだ(´・ω・`)
しかし、俺はハッピーエンドが良いんだ。

どうしよう(^ω^;)
67かめ♀:2007/01/08(月) 19:28:33.70 ID:nqRQSGzK0
>>66
自分が書きたい物を書けばいいジャマイカ
68エチゼンクラゲ♀:2007/01/08(月) 19:29:34.02 ID:5ePAZeBa0
69しまうま♂:2007/01/08(月) 19:33:05.82 ID:QZcYAQNs0
>>67
正直どっちも書きたいんだがね(´・ω・`)

>>68
ちょwwwwwwwwww
70もぐら♂:2007/01/08(月) 19:38:28.17 ID:vLNs0D/q0
>>69
両方書けばいいじゃない
71コオロギ♀:2007/01/08(月) 19:41:24.87 ID:E+bblTdj0
>>69
復活パターン希望。
72しかさん♀:2007/01/08(月) 19:52:24.01 ID:QZcYAQNs0
>>70
書くにしてもどっちかを先にでかさないと行けない訳で。

>>71
おk。
じゃ、先に復活パターン書くか……ここって後で分岐みたいな感じで投下してもおk?

って言っても多分しばらくかかるけど……
73ししゃも♀:2007/01/08(月) 19:57:53.58 ID:4fyGXz+A0
>>60
乙! 続きwktk!!
あなたの作品全部どれも好きだ。
腹黒キョンだけすっげー浮いてるなぁ。

>>72
ハッピーエンドがいいな。
wktk!
74しまじろう♂:2007/01/08(月) 19:58:42.87 ID:E+bblTdj0
>>72
分岐おk。
75ぶた♀:2007/01/08(月) 20:00:16.14 ID:GJJ19Qqw0
復活させずにハル古にして
キョンの事は忘れて幸せになりましためでたしめでたし
だけでいいんじゃない
76ラッコ♂:2007/01/08(月) 20:03:16.58 ID:ffZi6DGU0
一ハル、バッドエンド、大人みくる腹黒
誰も救われない・・・こんな話って需要ある?
77ニャンまげ♂:2007/01/08(月) 20:06:47.83 ID:Hb8tk6nI0
>>76
何でもカモン!
少なくとも俺には需要があるぜ
78しゃけ♂:2007/01/08(月) 20:08:45.93 ID:sgzOb2kJ0
>>76
俺は読まないが
需要は人の数だけあることだし、需要はあるんじゃね。
79か♂:2007/01/08(月) 20:17:23.36 ID:vLNs0D/q0
>>76
投下しちゃいなYO!
80パンサー♂:2007/01/08(月) 20:20:11.06 ID:ffZi6DGU0
レスd
書き終わったら投下しに来るよ。

>>79
いや、まだプロット地点なんで……
81くじら♂:2007/01/08(月) 20:44:55.06 ID:vLNs0D/q0
ほほしゅ
82「選択」 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/08(月) 21:11:07.36 ID:eI7y23GW0
スレ変わってしまったけど続きを投下してもいいかな?
未完成でwikiにも前半部分まだ載せてないから知らない人も多そうだけど
需要ないようならやめときます
83きつね♀:2007/01/08(月) 21:11:56.00 ID:E+bblTdj0
wktk
84とんび♀:2007/01/08(月) 21:12:18.16 ID:ucV/qXAv0
wktkするんだぜ?
85「選択」page30 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/08(月) 21:12:51.65 ID:eI7y23GW0
 朝から晩までハルヒ漬けの生活。これを羨ましいと思う奴はすぐにでも名乗り出てくれ。いつでも変わってやるぞ。
 結局二人目のハルヒが現れた原因もはっきりわからないまま、終業式の日を迎えてしまった。
 長門や朝比奈さんからアプローチがないことを考えると、古泉の線が強くなってしまうわけだが……。
とりあえず今日学校で長門に聞いてみようと思っている。
 ハルヒのクローンは今日に限って学校に行きたいと言いだした。理由を尋ねると、
「今日はあたしも行かなきゃいけない気がするの」
という返答だった。
 学校内で見られてしまうリスクももちろんあるが、それがこの現象の突破口のきっかけになるかもしれないし、
俺は絶対に学校ではハルヒの姿にならないということを固く約束させて連れていくことにした。
 このハルヒ曰く、なぜかSOS団の団員の居場所がわかるのだということなので、
姿を変えても問題ないということだったが、万が一のこともあるし他の生徒がハルヒを二人見たら
それはそれで大問題なので念を押した。
 今日は終業式だけなので授業もなく、午後には自由の身になる。
 SOS団の活動はもちろん行われるだろうが、長門や朝比奈さんと話す機会もできるだろうし、
調度いいだろうと考えていた。
 教室に入ると、珍しくハルヒはまだ来ていなかった。
 チャイムが鳴る直前になってようやくやってきたのだが、どうもいつもの覇気が感じられない。
「八時間は寝たはずなのに体がだるいのよ、何でかしら?」
と愚痴り始めたと思ったら机に突っ伏してしまった。
 俺と何かあるとその次の日のハルヒは大体こんな感じなのでいつものことかと放っておいた。
 体育館で終業式が始まり、十分ほど経った頃だったろうか、校長の話が続く中
「ドスン」
といった重い物が倒れるような音が体育館の中に響き渡った。
86アイガモ♂:2007/01/08(月) 21:13:01.77 ID:7cikgnza0
バッチコーイ
87きつね♀:2007/01/08(月) 21:13:05.69 ID:E+bblTdj0
支援
88「選択」page31 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/08(月) 21:13:21.73 ID:eI7y23GW0
 誰かが貧血で倒れたのだろう。音のした方からざわざわと生徒の声が聞こえてくる。
 そんなに遠くないな。同じ学年か? と思い、そちらの方を見るとなんと倒れていたのはハルヒだった。
 近くの男子生徒に支えられ、教師が数人近寄っていく。酷い顔色をしている。
校長の話が一時中断され体育館内がざわついたが、すぐに一人の教師が静かにするようにと大声を出すと
再び体育館内は静寂に包まれた。
 ハルヒは教師に抱きかかえられるように体育館を出て行った。保健室の先生もそれに同行して出て行く。
 健康優良児を絵に描いたようなあのハルヒが貧血で倒れるほどデリケートとは思えない。少なからず、
嫌な予感を抱いたのは俺だけじゃなかったはずだ。
 一抹の不安を抱えながら終業式を終えて、教室に帰ろうとしたところで古泉が隣にやってきた。
「先程のは涼宮さんで間違いありませんよね?」
 間違いないだろう。ハルヒほど目立つ奴もそうそういないからな。
 さすがに古泉もこの事態には笑顔を繕う余裕もないようで、ハルヒの心配をしているようだった。
 ま、どういう形で心配しているのかはこの際触れないでおこう。
「あちらの涼宮さんは今どこに?」
「今日はついてきてる。教室の俺の鞄の中さ」
 ふむ、といった感じで古泉は考えるような仕草をした。
「少し気になりますね。関連がないとは言いきれませんから」
 考えすぎじゃないのか? ハルヒだって一応は人間だ。体調が悪くなることもあれば貧血を起こすこともあるだろうよ。
「そうであればいいんですけどね。いずれにせよ、あなたにお任せすることにしましょう。
それではまた後ほど」
 そう言って古泉は去っていった。
 教室の近くまで戻ってきて、俺は長門の後姿を見つけた。
「長門」
 長門はゆっくりとこちらを振り向く。
「聞きたいことがあるんだ」
89しゃけ♀:2007/01/08(月) 21:13:24.14 ID:sgzOb2kJ0
wktk
90「選択」page32 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/08(月) 21:13:57.76 ID:eI7y23GW0
「……というのが古泉の説なんだが、お前のほうでは何かわかったのか?」
 先日古泉から聞いたハルヒが俺に選択肢を与えたという話を簡潔に長門に伝えると、
長門は少しの間をおいてゆっくりと口を開いた。
「情報統合思念体は困惑している」
 どういうことだ?
「存在しているすべての物には情報がある。だけどあの涼宮ハルヒには情報がない」
 結論を言えばわからない、ってことか。
 長門は小さく頷く。
「古泉一樹の説が有力であると私も思う。実在している涼宮ハルヒにも変化が見られる」
 ハルヒに変化が起きていることは俺もなんとなくだが気づいている。
それは古泉にも言ったことだが。
「今、涼宮ハルヒを構成している情報の弱体化を確認した」
「なんだって?」
「彼女が倒れたのもその影響」
 原因はわからないのか? もう一人のハルヒとの関係は?
と聞きかけたところで担任の岡部がやってきてしまった。
 長門にまた後で聞かせてくれと言い残し、俺は教室へと戻った。
 ハルヒは保健室で寝ているだろう。下手したら家族が迎えにきているかもしれない。
そう思っていたのだが、席にはハルヒが座っている。
「お前、大丈夫なのか?」
 と俺の問いに、ハルヒは微妙にはにかむような仕草をした。
 まさか!
 俺は岡部が教室に入ってくる前にハルヒの手を掴み廊下に飛び出し、人気のないところまで走った。
これではいつもと逆である。
91コオロギ♂:2007/01/08(月) 21:14:07.28 ID:E+bblTdj0
支援
92「選択」page33 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/08(月) 21:14:58.63 ID:eI7y23GW0
「学校ではその姿にならないって約束しただろ?」
「あたしもそのつもりだったんだけど、どうしてかわからないけどあの姿に戻れなくなったの」
 このハルヒが言うには、俺の鞄の中に入っていたが突然その状態を維持できなくなり、
鞄を出てハルヒの姿になってからは光の玉の姿には戻れなくなってしまったというのだ。
ハルヒが戻ってこないのはわかっていたから、とりあえず俺が戻ってくるまで席についていることにしたと。
 ハルヒが倒れたことと関係があるのだろうか。とにかく校内に二人のハルヒがいるのは大変まずい。
「ねえ、キョン。あっちの涼宮ハルヒは、どうしたの?」
「貧血で倒れたんだ」
「そう……」
 ハルヒは悲しげに表情を曇らせた。
 まるで、なぜそうなったかを知っているかのように。
 とりあえずハルヒは部室に押し込むことにした。本人はSOS団の団員が来たら嫌だと言っていたが、
他に方法はないし来たら掃除用具入れのロッカーにでも隠れればいいと納得させたのだ。
 そして教室に戻った俺が岡部にこっぴどく怒られたのは言うまでもない。
 クラスの連中はハルヒの姿を見ていたはずだが、ハルヒの性格も大体知っているのだろう、
あまり体調が良くないのに教室に戻ってきたが、俺がそれを保健室に連れていった、という絵に見えたようで
誰も気にしていないようであった。そう見られるのも不本意ではあるが、今はそんなことも言ってられないからな。
 通知表の受け渡しという魔の行事を終えてその日のHRは終了となった。
 谷口や国木田と軽く会話を交わした俺は、部室に行く前に保健室へと向かった。
ハルヒがまだいるかもしれないからな。一応様子だけは見ておいたほうがいいだろう。
 保健室に到着すると、中から保健の先生が出てきた。
「あら、何か御用?」
「いえ、涼宮はまだ中に?」
「ええ、大分顔色も良くなったけどもう少し休ませてから帰すわ。あなたは……?」
 クラスメイトです。と伝えたところ何を勘違いしたのか、
「あらあら、じゃあ悪いけどあなた送ってあげて頂戴。家のほうに連絡したんだけど、誰もいないのよ」
 もう少し休ませてから、と言って保健の先生は職員室の方へと行ってしまった。
 やれやれ。
93VIP皇帝:2007/01/08(月) 21:15:04.80 ID:E+bblTdj0
支援
94「選択」page34 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/08(月) 21:15:40.11 ID:eI7y23GW0
「あ! キョン君じゃないかいっ?」
 この声は、
「鶴屋さん、朝比奈さんも」
 朝比奈さんは鶴屋さんの後にくっつくようにしてついてきていた。
「キョン君もお見舞いに来たのかいっ?」
 ええ、まあそんなところです。
「涼宮さん、大丈夫かなあ……」
 いつも酷いことをされているのに朝比奈さんはまるで天使のような優しい心をお持ちだ。
 その心を少しでもハルヒにわけてやりたいですよ。
「私、様子見てきますね」
 そう言って朝比奈さんは保健室の中に入っていった。鶴屋さんもついていくのかと思ったが、
ドアを閉めると俺の顔を覗き込んできた。
「ほうほう。あんまり動揺はしてないみたいだねっ」
 どうして俺が動揺せにゃならんのですか。
「キョン君! はっきりしない気持ちは時に人を傷つけることもあるんだよっ。
キョン君が悪いわけじゃないけどねっ」
 鶴屋さんはまるで俺の心を見透かしたかのように言う。
「ふっふーん。なんでわかるんですかって顔してるねぇ。
ま、違ったら違ったでいいんだけどねっ」
 そう言って鶴屋さんは保健室に入っていった。
 二人が出てくるまで俺は廊下で待つことにした。鶴屋さんから言われた言葉が少しひっかかっていたのもあったからだ。
十分ぐらいして二人は出てきた。
「今日は活動しないと思いますけど、部室に行ってますね。キョン君ともお話したいことがありますから」
 朝比奈さんはそう言って鶴屋さんと去っていった。
 あっちのハルヒは大丈夫だろうか。
「キョン君、またねっ!」
95コオロギ♂:2007/01/08(月) 21:15:54.77 ID:E+bblTdj0
支援
96か♀:2007/01/08(月) 21:16:03.82 ID:vLNs0D/q0
しえん
97「選択」page35 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/08(月) 21:16:14.16 ID:eI7y23GW0
 なんとなく入りづらかったが、いつまでもここに突っ立っているわけにもいかないので、
俺は意を決して中に入った。
 保健室の中にはベッドが二つあり、どうやらハルヒは奥のほうにいるらしい。
 カーテンで遮られているので入り口からでは様子を伺うことはできない。
カーテンの側まで近づいたところで、中から声が聞こえた。
「キョン?」
 良くわかったな。
「みくるちゃんが言ってたからよ。あんたがいるってね」
 なるほどな。納得だ。
「わざわざ何しにきたわけ?」
 カーテンを開けると、ハルヒはベッドの中に潜り込んで頭だけを布団の中から出していた。
しかし、頭は逆側に向けているので表情を伺うことができないわけだが。
「大丈夫なのか?」
「何が? ちょっと寝不足なだけよ。みくるちゃんもわざわざ鶴屋さんと来たりして、大げさなんだから」
 お前は昨日八時間も寝たとか言ってたじゃないか。それに誰だって心配すると思うぞ。
倒れたなんて聞いたらな。
「とにかく、大したことなんてないのよ。これから山だって行くんだし、寝てる場合じゃないんだから」
 ハルヒはそう言って起き上がろうとした。
「おい、無理するなよ」
「別に無理なんか……」
 と言いかけてハルヒは手で胸の辺りを抑えた。
 だから言ってるだろうが、体調悪いときはゆっくりしておけ。
 どうせ治ったらあほみたいに遊びまわるんだから、今ぐらいゆっくりしてても誰も文句は言わんぞ。
むしろみんなも休める。
「うるさいわね……」
 ハルヒはまた布団をかぶるとそっぽを向いてしまった。
98コオロギ♂:2007/01/08(月) 21:16:24.54 ID:E+bblTdj0
支援
99「選択」page36 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/08(月) 21:17:18.65 ID:eI7y23GW0
 俺は辺りを見渡して椅子を見つけるとベッドの横に持ってきた。
「なにしてんのよ」
「まあ、なんだ。俺も前に入院したときは見てもらったしな。たまにはこういうのも悪くないだろ」
 ハルヒは黙り込んだ。
 俺は、「あれは団長としてだから別にあんたのために行ったんじゃないわよ」とか言われるもんだと思っていたので
この無言には不意をつかれた。
 帰宅する生徒たちの声が聞こえてくる中、沈黙は流れ続けた。
 ふとハルヒの手がベッドから出ていることに気づいた。
 クローンハルヒの行動の影響か、それとも鶴屋さんの言葉の影響か、
はたまた俺が血迷ったのか、気づいたら俺はその手を握っていたのである。
 ハルヒが一瞬体をびくっと震わせた。しかし、声は出さない。
 そのうち、ハルヒも俺の手を握りこんできた。
 別に俺もハルヒも深い意味があったわけではないだろう。体が弱っているときは手を握ると元気が出るとか
そんな噂を聞いたからである。
 ……いかんな。鶴屋さんの言っていたことを俺はすでに忘れかけていた。
 だが今はそういうことにしておいてくれ。とてもじゃないが心の整理がつかないんでな。
 二十分ほどそうしていたが、俺はもう一人のハルヒのことを忘れていたことに気づいた。
この本物のハルヒを連れて帰るにしても、あちらもどうにかしないといけないのだ。
 どうやらハルヒは眠ったようなので、静かに手を離すと俺は保健室を後にした。
 部室のある旧館に向かう途中の通用路でクローンハルヒが立っているのを見つけた。
「キョン。部室にみくるちゃんが来たから出てきちゃった」
 ハルヒのクローンは、本物と変わらない笑顔で俺に近づいてきた。
「そうか。悪いんだけどな、これから朝比奈さんと少し話しをしなきゃいけないんだ。
どこか人目につかないところで待っててもらえないか?」
 ハルヒはそれを聞いてむくれッ面になる。
100コオロギ♂:2007/01/08(月) 21:17:26.79 ID:E+bblTdj0
支援
101「選択」page37 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/08(月) 21:17:54.78 ID:eI7y23GW0
「キョン全然あたしの相手をしてくれないのね」
 状況が状況なんだから仕方ないだろ。家に帰ったら遊んでやるさ。そんな余裕があればな。
「まあいいわ。旧館の屋上で待ってるから、話が終わったら来てね」
 満面の笑みを浮かべて走り去るクローンの後姿を見送ってから部室へと向かった。
 部室の前までやってきた俺は念のためにドアをノックした。
 さっきから大分時間は経っているが朝比奈さんのことだ、いつお着替えをしているかわからんからな。
「はーい」
 部屋の中から愛らしい声が聞こえてくる。
 中からドアが開けられるとそこには朝比奈さん、正確には制服を着た幼い方ではなく、
成長してよりナイスな体になった未来の朝比奈さんが現れた。
「あ、朝比奈さん」
「キョン君、お久しぶり。とりあえず中に入って?」
 俺は促されるままに部屋の中へと入った。
 部室の中には幼い方の朝比奈さんが椅子に座って気持ちよさそうに眠っている。
「本当だったら、この時代の私がいないときに来たかったんだけど、時間を選んでる余裕がなかったの」
 朝比奈さん(大)は深刻そうな表情で目線を少し下に落として言った。
「キョン君も古泉君から聞いたと思うけど、涼宮さんのクローンはどうやら涼宮さん自身が作り出したみたい。
私たちの時代でもあそこまで完璧なクローンは……ってこれは禁則事項でした……」
 頭をコツンと叩いてから朝比奈さんは続ける。
「私たちも古泉君たちと同じような見解で今回のことは見ているわ。問題は、本物の涼宮さん。
体調を崩したのは、恐らく少しずつクローンと入れ替わろうとしているから、その弊害だと思う」
 なるほど、それでクローンハルヒも以前使えたような力が使えなくなったということか。
少しずつ本物の人間に近づきつつあって、それは本物のハルヒの力を吸い取るように成長している。
そういうことですよね。
102コオロギ♂:2007/01/08(月) 21:18:06.13 ID:E+bblTdj0
支援
103「選択」page38 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/08(月) 21:18:20.16 ID:eI7y23GW0
「そんな感じだと思う。断定はできないけど……辻褄は合うでしょ?」
 確かに、ハルヒが体調を崩したのと同時期にクローンが特別な力を失っている。
 これはいよいよ認めなければいけないらしい。
「このままいけば恐らく本物の涼宮さんの存在は消えて、今までクローンだった涼宮さんが本物になるはず。
あくまでも自然に、誰にも気づかれないで元々そういう人間だったという認識になるの」
 それは、俺もですか?
「それはわからないけど……」
 朝比奈さんは言いにくそうに目をそらした。
「仮に、いや、俺に選択肢が与えられたという前提で考えた場合ですが、
俺はまだどちらを選んだりとかしてませんよ。なのに本物のハルヒと取って変わろうとしているのはなぜです?」
 少し怒ったような顔で朝比奈さんが詰め寄ってくる。
「それはキョン君がはっきり伝えないからです。涼宮さんが無意識的にしろキョン君に選択を求めたのは
今の自分よりもこっちのほうがいいかもしれないって思ったからです。
答えを出さないってことは、涼宮さんとしてはやっぱり今の自分じゃ駄目なんだと思うに決まってるじゃないですか!」
 この時の朝比奈さんは本気で怒っていたのかもしれない。
 もともとおっとりしている人だ、怒っても怖いということはないが、
涙目になって迫ってくる姿には俺の良心を揺さぶるものがあった。
「どちらにしても、キョン君がちゃんと答えを出してあげてください。
どちらの涼宮さんを選んでも未来にはさほど影響はありません。
だから、よく考えて決めてあげてください」
 古泉と同じようなことを最後に言って、朝比奈さんは部屋を出て行こうとした。
「朝比奈さん」
「はい?」
「朝比奈さんは、どちらのハルヒが良かったんですか?」
 朝比奈さんは困ったような顔をしてから、
「禁則事項です」
 と微笑み、去っていった。
104コオロギ♂:2007/01/08(月) 21:18:45.15 ID:E+bblTdj0
支援
105か♀:2007/01/08(月) 21:20:29.69 ID:vLNs0D/q0
支援
106「選択」page39 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/08(月) 21:20:56.02 ID:eI7y23GW0
 可愛らしい寝息を立てている朝比奈さんの横に座り、俺は善後策を考えることにした。
 答えを出せ、と言われてすぐに答えを出せるほど俺はハルヒのことを意識しちゃいなかった。
普段があんなだし? いきなりそういうふうに見ろって言われても無理があるってもんだ。
 しかし、時間的余裕はあまりないようだ。
 ハルヒのあの様子だと、時間が経てば経つほど力を失っていくようだ。
 どうしてこう毎度毎度俺は世界の危機だとか人命がかかってるとか、
そんなことばかりに巻き込まれるんだ?
 それはハルヒと出会ってしまったから、運命……だとは思いたくないが。
 以前、閉鎖空間に行ったときもこんなことを考えたな。
 ハルヒは俺にとって何なのか。
 それはあの時とは少し変化したのかもしれない。
 ただ、明確な答えが出せるほどハルヒに対しての気持ちを煮詰めたわけではない。
 俺にとってのハルヒ……。
 それにしても鶴屋さん、朝比奈さん(大)、古泉やらにあそこまで言われたらまるで俺が悪者だ。
 この決着がついたら、ハルヒに奢らせてやろう。理由は適当に考えればいいさ。
 まだまだ俺たちの関係は続いていくんだからな。


続く


次回の投下が最後だと思います。
長くなってスマソ
107コオロギ♀:2007/01/08(月) 21:21:03.23 ID:E+bblTdj0
支援
108コオロギ♀:2007/01/08(月) 21:21:42.16 ID:E+bblTdj0
乙!
続きwktk
109もぐら♂:2007/01/08(月) 21:22:42.43 ID:vLNs0D/q0
>>106

続きwktkしてるぜ
110まぐろ♂:2007/01/08(月) 21:48:38.02 ID:eZ7U8Cw8O
保守
111くじら♀:2007/01/08(月) 21:48:59.36 ID:twzy3EeHO

続きwktk
112まぐろ♂:2007/01/08(月) 22:19:26.20 ID:3Rv7JhBm0
さがりすぎあげ
113しろうさぎ♂:2007/01/08(月) 22:31:13.50 ID:hB9oSEB30
ほsっし
114ふんころがし♂:2007/01/08(月) 22:33:42.36 ID:ffZi6DGU0
保守しつつさらりと出来上がりそうな短編のネタ募集
115ラッコ♂:2007/01/08(月) 22:37:26.16 ID:sgzOb2kJ0
>>114
ふんころがしを観察する長門
116ゴリラ♀:2007/01/08(月) 22:39:53.33 ID:b5ddCSYkO
コンピ研部長を誤射する新川さん
117とど♀:2007/01/08(月) 22:40:07.82 ID:qqvAJynfO
>>114
岡部視点
118わらじむし♂:2007/01/08(月) 22:43:22.06 ID:ffZi6DGU0
>>115-117
お前らちょっと待てw
119チョコボ♀:2007/01/08(月) 22:44:10.51 ID:kPDjKD9S0
スネーク新川とオペレーター森
120ペンギン♂:2007/01/08(月) 22:47:30.43 ID:U6BfX/NRO
久々に来たがまだあったか。だがコンピ研のゲーム作って遊んでたスレはなくなったのな
121ラッコ♂:2007/01/08(月) 23:00:43.51 ID:PM23CojT0
退屈?
122あしか♀:2007/01/08(月) 23:06:39.17 ID:qqvAJynfO
>>119
新「目標地点に到着した。大佐、指示をくれ。」
123宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/08(月) 23:07:05.13 ID:jcrXXOT30
新作ができましたので、投下予告してきました。ご確認ください。
http://yy42.60.kg/test/read.cgi/haruhizatudan/1163436254/119
124うまさん♂:2007/01/08(月) 23:08:35.59 ID:4uyXZPMU0
あげんぞゴルァ!!
125か♀:2007/01/08(月) 23:11:14.87 ID:KCIT/ywoO
保守
126くじら♂:2007/01/08(月) 23:15:55.85 ID:eZ7U8Cw8O
>>123
ぐおぉ!wktk!
127かわうそ♂:2007/01/08(月) 23:16:59.83 ID:2J2XoC9vO
wktkだな
128もぐら♀:2007/01/08(月) 23:25:35.28 ID:KCIT/ywoO
保守
129ハエ♂:2007/01/08(月) 23:25:42.71 ID:4uyXZPMU0
130とど♀:2007/01/08(月) 23:32:49.04 ID:qqvAJynfO
WAWAWA
131とき:2007/01/08(月) 23:44:06.31 ID:eZ7U8Cw8O
HOHOHO
132わし♂:2007/01/08(月) 23:58:07.70 ID:7CGpO8X90
ちちんちちんちちーちんこー
ちちんちちんちちーちんこー

ちちちーんこ
ちちちーんこ
ちちちーちちーちんこー

ちちんちちんちちーちんこー
ちちんちちんちちーちんこー

ちちちーんこ
ちーちーちちんこー
ちんちんちんちちちーんこー

ちちちんちちんこー
ちちちんちちんこー
ちーちーちち・ちちん・ちちんこ
133とど♂:2007/01/08(月) 23:59:00.67 ID:2J2XoC9vO
そろそろだな
134宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:01:24.00 ID:vOTe+KTY0
そろそろ時間なので投下しても良いでしょうか?
135ギコ♂:2007/01/09(火) 00:03:10.30 ID:J3UctiYJ0
m9っ`・ω・´)だが断る
136プテラノドン♂:2007/01/09(火) 00:03:14.85 ID:7x/RgB+dO
待ってました!
137宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:04:08.87 ID:vOTe+KTY0
では、投下します。

二つ前のプリンスレに保守ネタで投下したものが電波拡大したので書いてみました。

元ネタ
http://ex17.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1167486255/428
138けむし♂:2007/01/09(火) 00:04:16.49 ID:H6/p9b850
支援
139宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:04:32.10 ID:vOTe+KTY0
 ――ある金曜日の放課後――
ハルヒ「暇! 退屈! っていうか何でみくるちゃんも有希も古泉くんもいないのよ!」
ハルヒ「あーもう! 暇暇暇暇! 宇宙人でも部室に現れないかしら」
???「ご要望があるようなので!」
ハルヒ「は?」
宇宙人「(どーんと部室の扉を開けて登場)こんにちは! 宇宙人です!」
ハルヒ「(部室にあわれた中学生ぐらいの少年をうさんくさそうに見つめ)どこが宇宙人よ。どうみても地球人じゃん」
宇宙人「我々の科学技術により精巧にこの星の人間と似せているのです」
ハルヒ「大体、何で日本語しゃべってんのよ。おかしいじゃない」
宇宙人「勉強のたまものですね! いやーなかなか大変でした。毎日テレビを見続けて」
ハルヒ「それは勉強じゃない!」
宇宙人「覚えられたからOKです。しかも、この星の文化も習得できて一石二鳥!」
ハルヒ「文化? へー見せてほしいモンだわ」
宇宙人「良いでしょう――フォー!」
ハルヒ「(゚Д゚)」
宇宙人「セイセイセイセイセイセイセイセイ!」
ハルヒ「(゚Д゚)」
宇宙人「バッチコーイ! ……どうですか? これで僕の努力も信じていただけるかと」
ハルヒ「帰れ! この不審者!」

◇◇◇◇
140宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:05:09.97 ID:vOTe+KTY0
ハルヒ「(宇宙人の頬をのばしながら)何が目的? きっとSOS団の活動が気にくわない謀略機関の仕業ね! 白状なさい!」
宇宙人「信じてくだひゃーい!」
キョン「(部室にやってきて)なんだ、今日は児童虐待をやる日なのか?」
ハルヒ「そんなわけあるか! この不法侵入者を尋問中なのよ!」
キョン「尋問じゃなくて拷問だろそれは……」
ハルヒ「ちょこざいなつっこみはノーサンキューよ! で、とっとと白状なさい!」
宇宙人「だから嘘じゃなくて本当に僕は宇宙人なんですよ〜!」
キョン「(宇宙人をハルヒから解放し)とにかく昨今いろいろあるのにこれはまずいからやめろ。で、宇宙人? この少年が?」
宇宙人「そうなんです。でも全然信じてくれなくて」
キョン「(ぽんとハルヒの肩に手を置き)良かったなハルヒ。ついに宇宙人に巡り会えたじゃないか。今日は記念日だな」
ハルヒ「これのどこが宇宙人よ! どっからどうみても純粋なる大和民族じゃない!」
キョン「ずいぶん細かく分類するんだな」
ハルヒ「うっさい! とにかくこのSOS団団長を騙そうなんていい度胸じゃない! みっちり絞り上げてやるわ」
キョン「まあ、とにかく落ち着け。で、少年。ここは高校関係者以外は立ち入り禁止だぞ。どっから入り込んだんだ?」
宇宙人「……宇宙人に対してそんな冷静な指摘をしないでください」
キョン「宇宙人でも部外者は部外者だ。UFOに乗っていようが、超能力が使えようが関係ない」
宇宙人「(反論しようが無くなり)うっ……。というか宇宙人を目の前にしてずいぶん冷静ですね」
キョン「すでに(あわてて口を止め)別に信じていないしな」
宇宙人「そ、そんな〜」
ハルヒ「(すっと団長席の机に座り)大体、一体何を根拠に自分を宇宙人と証明するつもりなのよ。遺伝子でも見ればいいわけ?」
宇宙人「(得意げに)遺伝子を解析しても無駄です。この星の人間に完璧にあわせていますから」
ハルヒ「じゃあ、証明しようがないじゃん。私は宇宙人ですって」
宇宙人「…………」
キョン「…………」
ハルヒ「…………」
宇宙人「しまったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

◇◇◇◇
141ペンギン♀:2007/01/09(火) 00:05:51.67 ID:UYaksjkZO
支援
142宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:06:06.51 ID:vOTe+KTY0
宇宙人「(途方に暮れて)シクシク……」
キョン「で、どうするんだよ。こいつ」
ハルヒ「知らないわよ。あたしが連れてきた訳じゃないし」
宇宙人「シクシク……」
キョン「とりあえず、家はどこだ? 電話番号を教えてくれれば、連絡を取ってやるぞ」
宇宙人「住所は宇宙の果てです。電話番号は0120-888-888」
キョン「……おまえな」
宇宙人「(むくれて)本当なんです!」
ハルヒ「大体住所聞かれて宇宙の果てって何よ、それ。どうせならアンドロメダ星雲105番地とかにしなさい」
キョン「そりゃ一体どれだけ番地があるんだよ」
宇宙人「(さらにむくれて)あんなところに人は住めません!」
キョン「つっこみどころはそこかよ!」
ハルヒ「……まあいいわ。電話番号がわかるならえーと0120-88……ってダック引越センターじゃない!」
キョン「ナイスボケとつっこみだ」
ハルヒ「(顔を紅潮させ宇宙人の頬を引っ張りながら)どれだけあたしをコケにすれば気が済むのよ……!」
宇宙人「(涙目で)家の電話番号は本当にそうなんですっ!」

◇◇◇◇
143宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:06:48.50 ID:vOTe+KTY0
キョン「とりあえずだ。ここにいても良いが下校時間になったら出ていててもらうぞ」
宇宙人「ああ、なるほど。それ以降はあなた達二人っきりになるということですね。わかりますわかります」
キョン「全然わかってねえ!」
ハルヒ「はいはい。いい加減疲れちゃったわ。これ以上時間は無駄にできないわよ。明日の不思議探索の件もあるし」
キョン「ああ、そういやそうだったな。しかし、そろそろあきらめたらどうだ?」
ハルヒ「そんなわけにはいかないわよ! まだ何も見つけていないんだから!」
キョン「でも、長門も朝比奈さんも古泉も参加できないっていっていたぞ。さっきメールが届いた」
ハルヒ「(眉毛をひく付かせて)どうしてあたしじゃなくてあんたに連絡してくるわけ……!?」
キョン「おまえがそういう反応をするからだろ」
ハルヒ「……でもまあ、ダメなら仕方ないわね。キョン、明日は二人でやるわよ」
キョン「あきらめるという選択肢はないのか、お前の辞書には」
宇宙人「(すっと手を挙げて)はーい質問デース。不思議探索ってなんですかー?」
ハルヒ「不思議探索ってのはね! 町中をパトロールして何か変わったものがないか調査する事よ!」
宇宙人「(ぱっと笑顔を浮かべて)おもしろそうですね!」
ハルヒ「そうでしょ!」
キョン「いきなり意気投合しやがった」
宇宙人「明日やるんですか? 僕も是非参加したいんですが!」
ハルヒ「良いわよ! じゃあ、明日いつもの場所でね!」

◇◇◇◇
144プテラノドン♀:2007/01/09(火) 00:07:19.01 ID:7x/RgB+dO
支援www
145けむし♀:2007/01/09(火) 00:07:25.88 ID:H6/p9b850
支援
146宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:07:43.31 ID:vOTe+KTY0
ハルヒ「おっそいわね」
キョン「まだ予定時刻の30分前だぞ。無理もない」
ハルヒ「全く……参加するなら1時間前集合を基本よ。SOS団団長を待たせるなんて信じらんないわ」
キョン「ま、気長に待とうぜ」
ハルヒ「ただでさえ今日はあんたと二人だけなんていう良くない状態だってのにさ」
キョン「俺は別に構わないぞ。二人っきりでも」
ハルヒ「(眉をひそめてアヒル口で)……それは本気で言っているわけ?(実は耳まで真っ赤)」
キョン「嘘だよバーカ」
ハルヒ「殺す!」

◇◇◇◇

宇宙人「あれ? 皆さん早いですね。9時からじゃなかった出したっけ?」
ハルヒ「遅い! 団長を待たせるなんて最低の違反行為だわ! 罰として喫茶店おごりの刑ね」
宇宙人「ええっ!? ……わかりました。仕方ありません」
キョン「(ま、実際にはこんな子供に払わせる訳にもいかないから俺が立て替えるかと思いつつ)じゃあ、喫茶店に入ろうぜ」

◇◇◇◇
147宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:08:25.04 ID:vOTe+KTY0
ハルヒ「(喫茶店で地図でコースを説明しつつ)今日は3人しかいないから班分けはしないわよ」
キョン「それで構わん」
宇宙人「いつもはもっと人がいるんですか?」
ハルヒ「あと3人ほどね」
宇宙人「なるほど。いつもは5Pってやつですね!」
キョン「でかい声で誤解を招くようなことを言うな!」
宇宙人「(狼狽しながら)え? 五人パーティーってことじゃないんですか?」
キョン「(こいつ本当に宇宙人だったりしないのか?と思いつつ)悪い。俺の早とちりだが、その表現は誤解を招くからやめろ」
宇宙人「は、はい……」
ハルヒ「なに訳のわからないことを言ってるのよ。さあ、コースも決まったし出発するわよ」
宇宙人「(財布を取り出し)わかりました。会計は僕の方でやります(財布の中には万札がぎっしり)」
キョン「(それを見てから大まじめな顔に変わり)少年」
宇宙人「はい?」
キョン「(微妙に口からよだれを垂らしつつ)色々言ってすまなかった。俺、君のことをサポートしたいと思っている」
宇宙人「は、はあ……」
キョン「(電話番号を書いた紙を渡して)何かわからないことがあればすぐに聞いてくれ。大丈夫、下心はないから」
宇宙人「そんな下心丸出しの顔で言われても……」
ハルヒ「ほらっ! バカな話してないでとっとと出発するわよ!」

◇◇◇◇
148宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:09:06.83 ID:vOTe+KTY0
宇宙人「で、具体的になにをすれば良いんですか?」
ハルヒ「(地図を見ながら)歩きながら普段とは違うようなものを探すのよ。見たことのないマンホールとか電柱とか」
宇宙人「ほうほう」
ハルヒ「で、見つけたら……まあ、写真を撮りましょう。それが証拠になるわ」
宇宙人「あ、カメラなら持ってきましたよ(鞄からポラロイドカメラを取り出す)」
キョン「こらまた古いものを持ってきたな」
ハルヒ「今時、携帯電話でも写真が撮れるって言うのに」
宇宙人「でも即座に写真が出せるのはいいですよ。それにこのカメラにはちょっとした秘密があるんですよ」
キョン「なんだよそれ」
宇宙人「(得意げな顔で)これのカメラで写真を撮ると、目には見えないものが映るんですよ」
ハルヒ「(ぱっと100W笑顔を輝かせ)ホント!? ひょっとして霊界カメラとか、UFOカメラとか!?」
キョン「(額に手を当て)なんだそれは……」
宇宙人「まあ見ていてください。こうやってなにもない空を撮っても……」
ハルヒ「(わくわく)」
キョン「(やれやれ)」
宇宙人「(現像された写真を二人に見せて)ほらこんな感じに写るんです(青空にUFOが写った写真を見せる)」
ハルヒ「なにこれ!? すごいじゃない!」
キョン「(困惑の表情を浮かべ)マジかよ……」
宇宙人「どうですか? このカメラの実力は。何でも好きなものを写真に写せるんですよ」
ハルヒ「は?」
宇宙人「(カメラの脇からUFOが描かれたスライドのようなものを取り出し)ここにこれを入れれば写真に写せるんです」
キョン「インチキじゃねーか!」
宇宙人「え? 何か問題でも?」
ハルヒ「大ありよ! あたしたちはUFOビリーバーを釣るためのインチキ写真を撮りに来ているんじゃないんだからね!」
キョン「微妙に問題発言をするなよ」
ハルヒ「うっさい。とにかくそんなんじゃ絶対にダメよ。あくまでも本物を探すんだから!」
宇宙人「は、はあ……」

◇◇◇◇
149宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:10:25.89 ID:vOTe+KTY0
宇宙人「団長! 怪しいものを見つけました!」
ハルヒ「でかした! で、なに?」
宇宙人「(草の葉っぱについたカタツムリを指差し)これです! 見たこともない軟体生物!」
ハルヒ「……あんた、カタツムリも見たことがないわけ?」
宇宙人「え? これがあのカタツムリなんですか? 僕が知るものはこんな渦巻き状の殻なんて無かったような」
キョン「それはナメクジだ」
宇宙人「……これがそうなんですか。うーむ、覚え間違えました」
ハルヒ「覚えたって割には隙だらけの知識ね」
宇宙人「(ふてくされたように)テレビじゃそんな違いまでは覚えられないですよ」
キョン「普段、どんなテレビを見ていたんだ?」
宇宙人「BBC(びわ湖放送)、TVN(奈良テレビ)、WTV(テレビ和歌山)」
キョン「やたらと地域密着な放送局ばかりだな」
宇宙人「あと家族そろってでチャンネル桜を」
キョン「……ノーコメントだ。NHK教育も見た方が良いぞ」
宇宙人「NHK? 日本引きこもり協会?」
キョン「それは引きこもり漫画のタイトル」
宇宙人「日本ホモ協会?」
キョン「アナルでやれ」
宇宙人「(怪訝な顔で)アナルって何ですか?」
キョン「(うっ……と唸り)何でもない忘れろ、ただの妄言だ」
宇宙人「は、はあ……」
150けむし♀:2007/01/09(火) 00:10:51.80 ID:H6/p9b850
支援
151プテラノドン♀:2007/01/09(火) 00:11:23.12 ID:7x/RgB+dO
支援支援
152宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:11:42.27 ID:vOTe+KTY0
ハルヒ「(良いこと思いついたと)ねえ自称宇宙人」
宇宙人「自称はいらないです」
ハルヒ「(無視して)あんた、宇宙人って言うならこのカタツムリを食べて見せなさい」
宇宙人「これを食べるのと宇宙人といったい何の関係があるんですか!?」
ハルヒ「あたしの認識している宇宙人ってのは、こうハエとかを、舌を伸ばして捕食するっていうイメージがあるのよね」
宇宙人「僕はカメレオンじゃないです!」
キョン「カメレオンは知っているのか」
宇宙人「大体こんなグロテスクなものは一部の珍味マニアしか手を出さないです。やっぱり納豆・ご飯・みそ汁・鮭が基本ですね」
キョン「ますます生粋の日本人じゃないか」
ハルヒ「食べたら信じてあげるわよ、あんたが宇宙人であるって事を」
宇宙人「(苦悩の表情を浮かべ)くっ! わかりました! 食べたら信じてくれるんですね!(葉っぱごとカタツムリを捕る)」
ハルヒ「(え? 本気?と困惑した顔をしながら)ちょ、ちょっと……」
宇宙人「(口元にカタツムリを運び)行きます!」
ハルヒ「ああああ! 待って待って! 嘘よ冗談よ!(あわててカタツムリを取り上げ草むらに放り捨てる)」

◇◇◇◇

153ふんころがし♂:2007/01/09(火) 00:11:44.85 ID:6BfmBd8l0
キョンがハマーにwwwwwww
154あざらし♂:2007/01/09(火) 00:12:02.09 ID:UYaksjkZO
支援
155宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:12:37.64 ID:vOTe+KTY0
宇宙人「(プンプンしながら)食べたら信じてくれるって言ったのに……」
キョン「(宇宙人には聞こえないように)どうしてあんなに必死なんだ?」
ハルヒ「(宇宙人には聞こえないように)あたしに言われてもわからないわよ」
宇宙人「一体どうすれば信じてもらうことが……」
ハルヒ「(宇宙人には聞こえないように)でもノリは良いわね。他の団員には無いタイプだわ」
キョン「(宇宙人には聞こえないように)まだ子供で純粋なんだろ。それなりに裕福みたいだし」
ハルヒ「(宇宙人には聞こえないようにふふっと笑い)でもなんか楽しいな」
キョン「(宇宙人には聞こえないように)めずらしいな」
ハルヒ「(宇宙人には聞こえないように)何だかあたしたちにこ――なんでもないなんでもない失言よ失言! 気の迷い!」
キョン「?」

◇◇◇◇
156けむし♀:2007/01/09(火) 00:13:33.83 ID:H6/p9b850
支援
157宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:13:38.57 ID:vOTe+KTY0
宇宙人「(小高い丘の崖にやってきて)団長! 見つけました!」
ハルヒ「今度はなによ?」
宇宙人「(がけの下を指差し)あそこに見たこともない花が!(崖の一部に毒々しい形の花が一輪咲いている)」
ハルヒ「(がけの下をのぞき)おおっ! 確かに見たこともない花だわ! ひょっとしたら魔界の種子が花咲いたのかも!」
キョン「陰謀論並の論理飛躍だな、おい」
ハルヒ「(悔しそうに)あーでも、取りに行くには難しそうね。もっと準備を整えないと」
宇宙人「足を滑らしたら崖下まで落ちていきそうですね」
ハルヒ「こんな時に宇宙人がいてくれれば、こう腕をにゅーんと伸ばして取ってくれるのに」
キョン「おまえの頭の中の宇宙人は軟体生物なのか?」
宇宙人「(かっと気合いを入れて)わかりました! 腕は伸ばせませんが、僕が降りて取ってきます!」
ハルヒ「(びっくりして)待った待った! 落ちたら怪我じゃすまないわよ!(そう言って少年の襟首をつかむ)」
宇宙人「離してください! 宇宙人と信じてもらえるなら火の中水の中!」
キョン「待て待て! あのな。宇宙人だと信じてもらいたい熱意はわかる」
宇宙人「(ふてくされた表情)…………」
キョン「だが、こんな電波女のためにそこまでしても後で後悔するだけだ。そりゃ20年後ぐらいに笑い話にはなるかもしれんが」
宇宙人「むー」
ハルヒ「(シャーと猫が威嚇するように)電波女って……」

◇◇◇◇
158プテラノドン♀:2007/01/09(火) 00:13:45.51 ID:7x/RgB+dO
支援!
159宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:14:40.22 ID:vOTe+KTY0
ハルヒ「(時計を確認しつつ)今日はもう終わりね。解散にしましょう」
キョン「(宇宙人に向かって)だそうだ。続きはまた今度な」
宇宙人「(もの悲しげな表情で)実は僕は今日自分の星に帰らないと行けないんです」
キョン「(目を合わせずに)……そうなのか。それならまた来ればいい」
宇宙人「次に来れるのはいつになるかもわからないんです……ひっく(泣きじゃくり始める)」
キョン「おいおい泣くことはないだろ。ひどい事したってなら謝る」
宇宙人「(泣きながら)いえ皆さんは悪くないんです。自分で自分が宇宙人であることを証明できなことが情けなくって……」
ハルヒ「(ふっと笑みを浮かべ)信じてあげるわよ」
宇宙人「え?」
ハルヒ「これだけ一生懸命なんだもん。最初は怪しい陰謀かと思ったけどね。そうでないなら、信じるしかないじゃない」
宇宙人「ほ……本当ですか!?」
ハルヒ「約束するわ」
宇宙人「(ぴょんぴょん跳びはねながら)やったやった! よかったです! ありがとうございます!」
キョン「感謝されるようなことはしてないけどな」
宇宙人「また来て良いですか?」
ハルヒ「(親指をびしっと上げて)大歓迎よ!」
宇宙人「絶対にまた来ます」
キョン「ああいつでも歓迎するぜ」
宇宙人「(名残惜しそうに)そろそろ帰ります。一瞬まぶしくなりますが、それが終われば僕は消えています」
ハルヒ「じゃあまたね」
宇宙人「(涙目で)さようなら……(ぱあっと閃光が走る)」

◇◇◇◇
160ししゃも♀:2007/01/09(火) 00:14:45.94 ID:K2FMFY6gO
支援
161宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:15:29.44 ID:vOTe+KTY0
キョン「(つぶっていた目を開けて)消えてねえし(全速力でどこかに走っていく宇宙人を見つめる)」
ハルヒ「(つぶっていた目を開けて)まったく最後まで甘いんだから。もっと手を込んだことをすればいいのにね」
キョン「なあハルヒ」
ハルヒ「なによ?」
キョン「おまえ本当にあいつが宇宙人だって信じたのか?」
ハルヒ「(すっと夕焼けの空を見上げ)……そんな訳ないじゃない」
キョン「……そうか」
ハルヒ「(キョンの方に100W笑顔で振り向き)でも、あんなに楽しい宇宙人ならいつでも大歓迎よ!」

 ――二人を見下ろす空は、どこまでも高い――

◇◇◇◇
162かも♂:2007/01/09(火) 00:15:49.77 ID:H6/p9b850
支援
163ケセランパサラン♂:2007/01/09(火) 00:15:56.44 ID:7x/RgB+dO
支援
164宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:16:19.02 ID:vOTe+KTY0
ここからは俺の後日談だ。
キョン「(長門と一緒に部室へ向かう廊下を歩きながら)なに? あの少年は本当に宇宙人だってのか!?」
長門 「そう。この惑星以外に生息する有機生命体。なぜこの惑星に来たのかは不明。観光程度の理由だと思われる」
キョン「(額に手を当て)なんてこった。しかし、長門とは全然違うタイプだったな。なんかそそっかしかったし」
長門 「あの有機生命体は科学技術レベルこそ高度なものを保有しているが、遺伝子レベルで性格に問題がある」
キョン「そうなのか?」
長門 「感情的な先走りで論理的な破綻を起こしやすく、支離滅裂な結論に到達しやすい。飽和な思考は打算的な結果を導けない」
キョン「わかりやすくいうと?」
長門 「(少し考えて)ドジで間抜けでおっちょこちょい」
キョン「ありがとう。すごくわかりやすかった」
谷口 「(キョンたちが通りがかったトイレから出てきて)おしっこおしっこるんるんるん〜♪ ――ん? キョンじゃないか」
長門 「(すっと谷口を指差し)そうちょうど彼のような性格の個体が非常に多い」
キョン「……あの宇宙人、今度はたくさん来たりしないだろうな。こんなのが増殖したら地球は大混乱だぞ」
谷口 「(手をハンカチで拭きつつ)??????」


〜〜終わり〜〜
165ししゃも♀:2007/01/09(火) 00:16:25.52 ID:K2FMFY6gO
わり、ageちまった
支援下げ
166宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:16:48.92 ID:vOTe+KTY0
これで完了です。支援ありがとうございました!
167ピクミン♂:2007/01/09(火) 00:18:38.78 ID:8TrCYxfBO
>>166
乙!!!
168ケセランパサラン♂:2007/01/09(火) 00:19:50.23 ID:7x/RgB+dO
>>166
乙!
いい具合にのんびりだなw
169まむし♀:2007/01/09(火) 00:20:04.63 ID:d7qk0G8H0
面白かった!
読みやすくてよかったよ。
ギャグ物はこういう形態がスムーズに話が進められていいのかもね。
大変参考になった。
170VIP皇帝:2007/01/09(火) 00:21:17.18 ID:H6/p9b850
>>166
谷口似の宇宙人w
次で増殖したりして
171ラッコ♂:2007/01/09(火) 00:22:11.21 ID:UYaksjkZO
昨日のssとはうって変わって楽しげな話でしたねwww
しかも書き上げるの早いっすねwww
乙でした!
172ゴキ♂:2007/01/09(火) 00:22:37.10 ID:bQru7vyS0
>>166

面白かったよw
173まむし♂:2007/01/09(火) 00:24:17.25 ID:iSm+7U2B0
>>166
乙&GJ!!
面白かった!
隠し味な甘味もいい感じ。
いろんな話が書けて凄いなぁ。
174宇宙人現る! ◆LEcaojha/Q :2007/01/09(火) 00:25:51.68 ID:vOTe+KTY0
>>171
beyond〜と平行で書いていました。
というかあれだけ書き続けるのは精神的に厳しかったんで現実逃避用にorz


しかし、ハマーネタを即座に見破られるとは恐るべし。
175ハエ♀:2007/01/09(火) 00:35:24.79 ID:STaUgmqP0
投下いいでしょうか?
176いたち♀:2007/01/09(火) 00:36:09.32 ID:fHu/SDyD0
イインダヨ
177ハエ♀:2007/01/09(火) 00:37:32.47 ID:STaUgmqP0
ttp://www11.atwiki.jp/xgvuw6/pages/2174.html
これまでのお話です。
ではぼちぼち参ります。
178ハエ♀:2007/01/09(火) 00:38:09.10 ID:STaUgmqP0
――11――
 部室で珍しくコーヒーを飲みながら俺は思う。
 はて、朝比奈さんは彼女の上司と連絡できているのだろうか、と。
 連続訪問者のトリ、大人版朝比奈さんは「今回は手伝えることがほとんどない」と言っていた。同時に、自分が消え
てしまうとその間この時代に来ることができないとも言っていた。ということは、まだ今の朝比奈さんと定時連絡なり
定期報告なりといったやり取りをしているのではないだろうか。
「朝比奈さん、未来と連絡は取れていますか?」
 丁度長門へのコーヒーを運び終わり、自分の椅子に戻るところだった彼女に俺は訊いた。朝比奈さんは一転の曇りも
汚れもないたおやかな仕草と笑みでもって、
「前にも言ったじゃないですかぁ。そんなこと、あたしがキョンくんに言えるはずないでしょ?」
 だよな。分かってますとも。このリアクションを聞きたくて質問したのかもしれんな俺は。だがしかし、これで確
認できた。朝比奈さんが普段どおりにしているということは、まだ何も彼女の周りに異変は起きていないということだ。
何か時間に関する異常が起きたときには、あのずっと昔のことのような夏休みのように、朝比奈さんはアクションを起
こすはずだ。それが高確率で涙になりそうなのは何とも心苦しいが。

179消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/09(火) 00:39:09.52 ID:STaUgmqP0
 古泉がどこへ行ったのか知らないかというハルヒのぼやきに何パターンもの言語的回避をし、ようやく放課後を迎え
ると俺たちは揃って下校する。
「あぁ、あんたんちにまた寄ってくから、よろしく!」
「はぁ? 何だと?」
 一日もようやく終わりに近付こうかと言うのに、まだお前は俺に心配事をもたらす気か。
 長門や朝比奈さんとは別れた直後である。本当なら朝比奈さんにはボディーガードのひとつでもつけたいところなの
だが。いっそ長門に頼んでみようか。そう思ったが長門の家で一泊したときの朝比奈さんのリアクションを思い出すと
何とも言えないな。
「さぁ、早くしなさい! 出発進行!」
 朝に匹敵するかそれ以上の大音声を放つスピーカーを後ろに乗せ、俺は自宅を目指す。どうなってんだかな。

180消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/09(火) 00:40:02.32 ID:STaUgmqP0
 困ったことに俺以外の家族は全員でハルヒを歓迎していたのだった。オフクロはハルヒの家族に電話をして談笑した
後にハルヒと夕食の支度をし、うらやましくなったのか妹はないほうがいいんじゃないかと思うような手伝いをして食
器を運んでいた。俺は他人の家にいるような落ち着かない気持ちとなって自室でしゃちほこばっていたが、携帯が机の
上で振動したのを見て気持ちを切り替えた。知らない番号である。
「もしもし?」
「今晩は。森です。公園脇に車を停めていますのでご足労願えるでしょうか」
 俺は電話を切って玄関に下りると、自分の靴を適当につっかけて家にいる面々に気付かれないようにそっと外に出た。
門前から見える場所に、自らの存在を忍ぶように例の車が止まっていた。ウィンカーが一瞬だけ点灯する。
 しかし三日連続とはね。俺も近いうちに機関からスカウトされるんじゃないだろうか。そうなったら俺も古泉の同僚
か? いや、あいつは三年も前から所属してるんだったな。とすると先輩か。「どもっす、古泉先輩」「こんにちは。
今日の任務はですね」……おぞましいやり取りである。つうかアホらしい。俺の脳内妄想に止めておくにしておこう。
 俺は特A級の機密任務にあたる007を装った面持ちでドアを開け、後部座席に乗り込んだ。
「こんばんは」
「今晩は。連日申し訳ありません。涼宮さんと帰ってこられるようでしたので、一度身を潜めておりました」
 新川さんへの目礼にも慣れ、俺は森さんとの定時連絡的やりとりをスタートさせる。
「何かありましたか」
 先に訊いたのは俺である。森さんはわずかに表情を曇らせる風にして、
「朝比奈みくるさんにこちらのほうでガードをつけています。我々『機関』は一時的に長門有希さん、朝比奈みくるさ
んの勢力と部分的にではありますが、協力することにいたしました」
 さすが機関といったところだろうか。古泉主催のハルヒ接待合宿では一体どんな連中なのかといらぬ心配をしたが、
それこそ杞憂だった。先日のカーチェイスといい、日本に存在するプロフェッショナルスパイ集団と銘打ってもいいく
らいじゃないかと俺は思い始めている。
181消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/09(火) 00:41:24.12 ID:STaUgmqP0
「ご存知かもしれませんが、統合思念体は独立した急進派と和解できるようチャンネルを探っている最中とのことです。
こちらから行動を起こせないのは、私どもとしても心苦しいところなのですが」
「古泉に会いましたよ、昨日」
 俺は森さんにハルヒ特別製閉鎖空間の話をした。存在がまるごと消されている状態ではあるものの、あいつはさほど
心配する素振りを見せていなかったこと、各方面のみなさんによろしくと言っていたことなどを、かいつまんで説明し
た。
「そうですか……。それは、安心材料になりますね」
 森さんは確かに安心しているようだった。俺が見てきた森さんの中でも、初めて見るタイプの表情かもしれない。同
じ機関の同僚に向けるものなのか、親戚の従兄弟に向けるものなのか、俺には定かでないが。
「しかし、結局のところその新しい急進派とやらの狙いは何なんでしょうね」
 俺の何気ない問いに森さんは神妙な面持ちとなって答える。
「涼宮さんやあなたそのものではないのではないかと私どもは考えています。現在観測するような姿勢をとっているこ
とからも、周囲の環境変化による涼宮さんの反応を見ていると捉えるのが、最も自然でしょうか」
「長門も言ってましたね。あんなに警戒するあいつも初めて見ましたが」
 俺が不安なのは、今回の一件が一体どのように解決するのかってところだ。古泉は復活できるのか。朝比奈さんを守
ることができるのか。そして、朝倉はこのまま2年5組に居続けるのか……。

182消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/09(火) 00:42:35.23 ID:STaUgmqP0
 それきり話は進展せず、今日の連絡は終了となった。車を出て自宅に戻ると、ハルヒが得意気な表情で待っていた。
「遅いじゃないの。ていうかどこ行ってたのよアンタ」
 まるで飲み会帰りのサラリーマンのような心境である。別に浮気も酒も入ってないがな。
「コンビニだ。今日発売のマンガ雑誌を読んでたら遅くなっちまってな」
 こういう時はハルヒと顔を合わせずに次に移ってしまうに限る。
「夕食は何になったんだ?」
「ふふん。楽しみにして手を洗ってくることね」

183消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/09(火) 00:43:49.56 ID:STaUgmqP0
「……」
 絶句しているのは長門じゃないぜ。というか今ここにあいつはいないしな。
 あまりに力をふるいすぎて三日分の夕食を一同に会させてしまったかのような豪華ディナーである。
「お前これ、家の食材は無限じゃないはずだがな」
 ようやく告げた一の句が憎まれ口なのもしょうがないと思うね。わが家のテーブルにこれだけ品数が並んだことなど、
そう何度もない。というかどう見ても多すぎである。
「大丈夫よ。保存がきくものばっかりだし、そのへんはおばさんと話し合ってぬかりなく調理したから!」
 びしぃっと親指を立てて蛍光灯いらずの太陽スマイルを浮かべる。俺の家までSOS団の支部になっちまう日も遠くない
かもしれんな。
 オヤジにオフクロ、妹までいつもより余計に笑ってる気がするのは、ひとえにハルヒ効果だろうか。まったく。
「いただきまーす!」

184消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/09(火) 00:44:33.81 ID:STaUgmqP0
 ハルヒはその後の片づけまでバッチリ手伝い、やたらオフクロと快活なトークを繰り広げてそのままの勢いで帰って
いった。おかげで後になって「あんた、送ってかなくてよかったの?」などとオフクロに言われる始末である。そんな
楽しげに言わないでくれ、頼むから。にしてもハルヒもここから自宅まで歩いて帰るのか? 確かに送っていってやっ
たほうがよかったかもしれん。
 俺はその後部屋に戻って色々なことが起こりすぎている現状をあらためて鑑みた。不確定な要素が多すぎる。朝倉ひ
とり現れて、本人が何かするところをまだ直接この目で見てないってのに、何なんだ一体。当惑しっぱなしな俺も俺だ
が。

185愛のVIP戦士:2007/01/09(火) 00:44:46.55 ID:vOTe+KTY0
支援しマース
186雷鳥♂:2007/01/09(火) 00:45:21.43 ID:7x/RgB+dO
支援
187消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/09(火) 00:45:43.35 ID:STaUgmqP0
 さて夢の中まで昨晩と同じ展開が起こるとは予想しておらず、それはハルヒの奇矯で唐突な振る舞いによるところ大
であり、今夜は俺が部室の中にいたのだった。
 間もなくノックがあり、現れたのもやはり古泉だった。深夜に現れる亡霊だなまるで。
「その表現はあながち間違いじゃありませんね。何せ、今僕はそちらの世界にいないのですから」
 相変わらず他人事のようだが、深刻な顔をされるよりは幾分ましであろう。
 しかし今夜もお前に会うとはな。まぁ今回はあの坂道を登らされなかっただけよしとするか。
「さて、今日は何がありましたか。お聞かせ願えれば幸いです」
 お前は心理カウンセラーか。ずいぶんと安い医院だな。などと突っ込んだりせず、俺は突然始まったハルヒのコメデ
ィ的振る舞いについて古泉に話した。
「それはそれは。ある意味うらやましいですね。世の男性であれば、誰でも一度は思い描く風景なのではないですか?」
 多少のジャブは覚悟していたが、やっぱり実際言われると腹立たしいことこの上ないな。そりゃ俺だって朝比奈さん
がある日突然自宅専用メイドさんになってくれたとなれば小躍りしてスキップしたまま学校に繰り出しただろうさ。だ
がお前、相手はハルヒである。こちらがありがたく思うはるか昔にお礼の督促状を千通も万通もよこすような感情イン
フレ団長だ。
 古泉はクスクスと笑う。台本に書かれた予定調和を二人して演じてるような気分になってくるぜ。
「ずっと言っていることですが、僕は涼宮さんの心理に関してはスペシャリストです。機会さえあれば本にして出版し
たいくらいですよ」
 何を書くつもりだ? あいつの次元を超越したような理解不能な思考回路に関してか。
「まぁ、それは余談として置いておきましょう。本題は、なぜ涼宮さんが突然あなたの登下校に付き添うような真似を
したのか、この一点です」
 登下校ね。食事の用意までしてムダに俺の家族と親密になっていたがな。
188ししゃも♂:2007/01/09(火) 00:46:05.66 ID:zdNphhgFO
しえん
189ゾヌ:2007/01/09(火) 00:46:20.44 ID:iaG+8iyq0
谷口星人現るw
GJ!
190消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/09(火) 00:46:46.60 ID:STaUgmqP0
「それは涼宮さんにとって、本当の意味で目的とはちがうのですよ」
「どういうことだ」
「彼女はおそらく、あなたが危機的状況にさらされている事を感知したのです。涼宮さんはいわば、あなたのボディー
ガードをするためにわざわざ遠回りをして登下校に付き添ったのです」
 ボディーガードだって? あいつが? 俺の? んなアホなことがあるわけないだろう。
「そうでしょうか。ではあなたはどうですか。朝倉涼子が登場し、何が起きてもおかしくないような日常の中で、あな
たはいつも通りに振舞えているでしょうか」
 そう言われれば答えは明確に否だ。実際俺は朝倉そのものの危険性と朝比奈さんの無事に気が気でない。
「それと同じです。涼宮さんは僕がいないことや、あなたや長門さんの些細な変化、朝倉涼子の転入などから不穏な気
配を感じ取ったのです。さいわい神人を生み出すような方向には向かっていないようですが、まさに、涼宮さんはあな
たを心配して突然の同行を始めたんですよ」
 俺は思わず唸りそうになるほど考えこんでしまう。認めたくないがそれでも解釈は成り立つ。あいつの勘の発揮具
合は、地球上のどの生物よりも鋭敏と言っても構わないくらいだ。今回もそれか? 毎度ながらハルヒの第六感には俺
は辟易する一方のような気もするが。
「何にせよ、涼宮さんに悪気はありませんし、彼女とあなたが近くにいることは他の人間にとってもメリットがありま
す」
 耳を疑うような話だな。
191消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/09(火) 00:47:48.50 ID:STaUgmqP0
「冗談ではありませんよ。言いましたよね。今や、あなたは涼宮さんと並んで最も重要な人物なのです。両方が守護の
対象ならば、ひとところに集まっていてもらえる方が好都合です」
 古泉は終始微笑を崩さない。どういうわけか、年末、別の制服を着ていたこいつの表情を思い出してしまった。
 俺がどんな顔をしていたのか、古泉は小首をかしげ、
「どうしました。涼宮さんに警護されるのはお嫌でしょうか?」
 ニヤけるな。こいつにはからかわれるようなことがあっても逆の立場になったことはないな。
「そんなことはないがな。慣れないだけというか」
 古泉は肩をすくめて両手を広げるというお得意の仕草で、
「僕たちは今や運命共同体です。誰かが窮地に陥れば、他の誰かがそれを防ぎ、また救う。あなたも気付いているはず
ですよ。かつてあなたと涼宮さんの間に存在していた信頼関係が、今やSOS団全体に広がっているのです。僕はいつぞ
やあなたと交わした約束を今も覚えていますし、時が来て必要とあらばそれを実行するでしょう」
 何やら諭されているような気分だぜ。投げてくる球がストレートなだけに打ち返さなければストライクを取られてし
まいそうだ。しかしハルヒもハルヒだな。自分のキテレツな振る舞いの説明を自分の作った空間で古泉にさせるんだか
ら。お前とハルヒの関係もある種理想的なんじゃないのか。
192愛のVIP戦士:2007/01/09(火) 00:48:34.54 ID:vOTe+KTY0
しえん
193消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/09(火) 00:49:08.42 ID:STaUgmqP0
「えぇ、そうですね。かれこれ四年もこの空間と付き合ってきましたから、そろそろ慣れるくらいでないとやってられ
ないというのも正直なところです」
 昨日より俺と古泉は多くを話した。俺のほうもいつもより真摯な態度だったかもしれない。それはこの特異すぎる状
況のせいもあるだろうし、うららかな春に進行する不穏な気配のせいもあっただろう。

 土日は不気味なほど静かに過ぎた。
 全ての出来事にポーズがかけられているようで、休日のはずなのに心休まらないのは俺だけだっただろうか。

 月曜日の朝、起き抜けに俺はこの二日間古泉とあの閉鎖空間が現れなかったことや、ハルヒも市内探索だのイベント
だの言い出さなかったことについてぼんやり考えていた。

 しかし、それはあっという間に中断を余儀なくされるのである。


 朝倉涼子の手によって。

194愛のVIP戦士:2007/01/09(火) 00:49:22.89 ID:vOTe+KTY0
しえん
195雷鳥♀:2007/01/09(火) 00:49:39.83 ID:7x/RgB+dO
支援支援
196消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/09(火) 00:49:44.83 ID:STaUgmqP0
本日はここまでです。
ご協力感謝いたします、ありがとうございました。
197雷鳥♀:2007/01/09(火) 00:53:08.47 ID:7x/RgB+dO
>>196
乙!
ジリジリした感じがナンともww
198愛のVIP戦士:2007/01/09(火) 00:58:53.75 ID:vOTe+KTY0
>>196
乙! 続きに期待。
199あざらし♂:2007/01/09(火) 01:02:03.87 ID:UYaksjkZO
朝倉さんがまた何かしてくれるのか
良い方向じゃないだろうけどwwww

続きwktk!
200ペンギン♂:2007/01/09(火) 01:02:58.27 ID:pgnISO1tO
乙!
続きwktk
201うまさん♂:2007/01/09(火) 01:08:12.77 ID:STaUgmqP0
朝倉さんどうなっちゃうんでしょうね……。誰か教えてください。
いちおう一日に一度投下してますけどこの形式は楽しめていただけているか一抹の不安があります。
202チョコボ♂:2007/01/09(火) 01:11:48.99 ID:5LCWMhud0
>>201
ちょwwww
ちなみに私は楽しんでますよ。
いろんな形があってよいのではないでしょうか。
203ピクミン♂:2007/01/09(火) 01:27:07.06 ID:7x/RgB+dO
>>201
良いんでないかい。
俺は楽しみにしてる
204ハエ♀:2007/01/09(火) 01:30:07.07 ID:STaUgmqP0
ありがとうございます、勇気りんりんです。
たぶん毎回ちびちび追ってる人のほうが楽しめるようになってるはずなので……。
では休息いたします。
205パンサー♀:2007/01/09(火) 01:52:51.26 ID:pgnISO1tO
保守
206ゴキ♀:2007/01/09(火) 01:55:36.07 ID:j/0P0DDk0
久々に短編が書きたい。何かお題をくれ↓
207平行記憶 ◆UjCWBcHKz6 :2007/01/09(火) 01:56:20.08 ID:iaG+8iyq0
雪山から帰ってくると、
俺達が早速ハルヒによって初詣名義の神社巡りをさせられたのは想像に難しくないだろう。
古泉によると、神社の神主の中にも「機関」の関係者が居て、
ハルヒがお参りに来た時は神様のお参りだという事で大変だったらしい。
ハルヒもハルヒで調子に乗り、朝比奈さんを連れて巫女衣装を着て祭壇で怪しげな祈りを捧げていた。
古泉はその随分適当な「神様」を補佐する役割として、昔の貴族衣装を着て横に座っている。
3人共おこれでもかと言うほどお似合いだ。そのままタイムスリップして祭られてるといい。
あ、朝比奈さんはいいですよ。
この時点で残ったのは俺と長門だけになったのだが、
長門はそのマイナス50度の視線で俺に言ってきた。
「この前の事は私の責任。あなたは気にしないで欲しい」
感情が出来たばかりと思われるこいつでもかなり気になっていたらしい。
心配はするな。お前に任せすぎた俺も悪い。
「そう。でもあなたは他の存在にも気を遣う必要がある」
と言って視線を2人の巫女と貴族もどきの方へ向けた。
そして早過ぎて聞き取れない呪文を唱え始めた。
「ちょっと待ってくれ。何をする気なんだ」
と俺が止めようとすると、
「貴方の大脳海馬における再改変空間の平行記憶の作成」
聞いたのは無駄だった。長門の解説を理解できるか考えずに聞いた俺がいかに愚かな存在か分かる。
何故古泉がこういう必要なときに限って居ないのかと悔やみと恨みをぶちまけていると、
俺の頭の中にピンと来た何かがあった。
クリスマス前のあの日の記憶。
208平行記憶 ◆UjCWBcHKz6 :2007/01/09(火) 01:57:08.66 ID:iaG+8iyq0
俺はハルヒと朝比奈さんに先導されて買い物に行くことになっていた。
また俺は大量に荷物を持たされ、
当のハルヒは豪腕を持て余して自称指揮官をやるという何時も通りの不平等な買い物になる筈だった。
それをそのまま頭の中に思い描いていると、階段の前まで来た所で突然立ちくらみに襲われた。
そして後ろから押されたような感覚。俺は何も出来ないまま階段の一番下まで急降下した。
床にぶつかった瞬間激しい衝撃が襲い、大量に血が流れる。
ぶつかった後の記憶があるのはサービスシーンということだろう。
そして衝撃が収まった途端、朝比奈さんが悲鳴を上げて駆け寄ってきた。
「キョン君!キョンくぅん……!」
その朝比奈さんを押しのけていち早く駆け寄ったのはハルヒだった。
「キョン!キョン!しっかりして!」
いつもデフォルトの微笑が跡形も無く消え去っていたのは古泉だった。
震えた手で携帯を大慌てで操作していた。
長門は居なかったが当然だろう。
朝比奈さんがハルヒの後ろで俺のあだなを叫びながら泣いている。
ハルヒが顔を俺に目一杯近づけ、俺の肩を強く握って振り回している。
俺の方はずっと気を失ったままでいたのが情けない。
209平行記憶 ◆UjCWBcHKz6 :2007/01/09(火) 01:57:25.66 ID:iaG+8iyq0
やがて校庭に救急車が到着し、本来ならここでタンカでも出てくるんだろうが、
そんなもんは何処吹く風で、ハルヒが猛スピードで俺を担いで校庭まで出て行ったのは言うまでもない。
腕が折れそうで痛かったが、ここは俺を運んでくれた事だけでも感謝しておきたい。
下駄箱の前まで来た所でようやくタンカに乗せかえられ、
そこで朝比奈さんと古泉が追いついてタンカに縋りついた。
朝比奈さんは何度も手に脈があるか確かめてくれていた。
はっきり言って意味はないがその気持ちだけでも嬉しかった。
古泉は医者と何やら話し合っていたが、俺が行くのに最適な病院を調べてくれたらしい。感謝するぜ。
結局3人共それぞれ心配を顔に出しながら病院まで付いていった。
病院ではこれまた「機関」の手が回りこんでいたのか、驚くほど早く治療が行われた。
傷を塞いで頭を検査に掛けられたが、何事もなかったらしい。
ところが記憶は一向に戻ろうとしない。
医者のほうではやむを得ずショックによる意識の消失と説明していた。
ただしひょっとしたら意識が戻らないかもしれないとも言っていた。
態々緊迫した状況にしてくれなくてもいいのだが。
やがて俺の母親が心配して見に来たり、妹が俺の頬を突いて遊んだり、
谷口国木田がひやかしに来たりしていたが、これはまた別の機会に語ることにしよう。
SOS団の面々は代わる代わるやってきた。
210たると♀:2007/01/09(火) 01:58:39.98 ID:5LCWMhud0
支援
211平行記憶 ◆UjCWBcHKz6 :2007/01/09(火) 01:59:29.54 ID:iaG+8iyq0
ここでとりあえず切ってカップリングにするか全員にするか考えておく。
分岐も有り得るけど。
212チョコボ♂:2007/01/09(火) 02:01:52.41 ID:5LCWMhud0
乙!
続きWktk(分岐含め)
213あざらし♂:2007/01/09(火) 02:13:33.30 ID:pgnISO1tO
乙!
続きwktk
214カンムリワシ♀:2007/01/09(火) 02:20:45.64 ID:4ViUhxR4O
こいつぁ次回作がwktkだっぜ!!
215ラッコ♂:2007/01/09(火) 02:21:35.56 ID:pgnISO1tO
>>206
旅行
216わし♂:2007/01/09(火) 02:23:28.75 ID:4ViUhxR4O
>>206
偶然ハルヒとキョンが出くわす
海外
217小鉄♂:2007/01/09(火) 02:31:01.81 ID:5LCWMhud0
>>206
ミヨキチ
218トラ♀:2007/01/09(火) 02:51:18.15 ID:pgnISO1tO
保守
219おおかみ♂:2007/01/09(火) 03:04:14.71 ID:jnDF7b5S0
あああああ、このままじゃ企画の締め切りに間に合わねえええ
長編四部作なんて作るんじゃなかった・・・
220∩∩♀:2007/01/09(火) 03:16:13.93 ID:5LCWMhud0
>>219
ガンガレ
221うまさん♂:2007/01/09(火) 03:28:40.67 ID:TdUVYCGAO
>>219
何だ?エヴァでも作ってんのか?
222のらぬこ♂:2007/01/09(火) 04:23:14.03 ID:4ViUhxR4O
保守
223おこじょ♀:2007/01/09(火) 05:36:37.53 ID:N42f52GTO
ふぉし
224わし♂:2007/01/09(火) 06:38:28.85 ID:XDVmy6qLO
○<古泉! 保守しなさい!
225寝ぼすけキョン:2007/01/09(火) 06:58:03.01 ID:seOBACLs0
”ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜♪”
 う……ぁ……、何だ変な機械音が……聴こえてくる……
”ぴぴるぴるぴるぴぴるぴ〜♪”
 うるさい……、俺の、暖かな布団での甘美な眠り、を妨げる……な、…………ぐぅ
”ぴぴるぴ(ry
 ………あー、わ……かった、出れば……いいんだろ……うぁ……”ピッ”
「…………ふぁ、こ」
「起きろー!!おはよう!!!このバカキョン!!!!」
 俺が当たり前の寝呆け声で何か喋る前に、未だ半覚醒状態どころか四分の一覚醒状態にも至ってない俺の脳天を、
まるで宇宙大爆発ビックバン並の騒音よりもでっかく、太陽よりも明るいハルヒの声が直撃した。
 というかまだ、外暗いし太陽昇ってねぇよ。
「ハルヒ……こんな朝早くに……、俺はねむ……る……」
「ちょっと!寝るな!!今日はSOS団早朝マラソン&乾布摩擦大会決行日なのよ!」
「はひ?」
 二度寝寸前五秒前だった俺の耳に、携帯電話の受信口から今にも飛び出さんぐらいの勢いで捲くし立てるハルヒの声が届く。
 そういえば、そうだっけか。あれ、そうだっけ……?どうでもいいが、5人でも大会になるのか、おまえの大会の定義がよく分からん。
「いつまでも寝惚けてつまんないこと言ってないで、今すぐ支度して出てきなさい!みんなもう集合しているのよ。
30秒以内に着替えて、部屋から出ないと襲うから!以上!」”ブチッ”
 すぐ側の一方通行路を、ライダーがどでかいマフラー音を鳴らしながら、爆走し去っていくような会話を終えた俺は、
まだ夢現つの頭にぼんやりと手をやりつつ、ハルヒの言葉を反芻しながら、重力と睡眠欲に逆らえずベッドの上に再び堕ちた。
 30秒……着替えんと……襲う……、って――――襲う!?
バタン!!
 俺が夢に入る寸前で、不吉な言葉の意味を理解するのと、ハルヒが俺の部屋の扉を早朝ご近所迷惑ば
りに開けるのはほぼ同時だった。
「ふっふっふっ、30秒経ったわよ……キョン?」
「((((;゚Д゚))))ガクガクブルブル」
「とりゃー!」
ギャァァァーーーーーーーーーーーッ!!

というオチがない保守。
226ニャンまげ♀:2007/01/09(火) 07:28:20.20 ID:5LCWMhud0
保守
227がらがらへび♂:2007/01/09(火) 08:07:44.62 ID:pgnISO1tO
保守
228ふんころがし♂:2007/01/09(火) 08:26:51.15 ID:pgnISO1tO
保守
229ふんころがし♂:2007/01/09(火) 09:00:02.42 ID:UYaksjkZO
保守
230ふんころがし♀:2007/01/09(火) 09:25:09.20 ID:pgnISO1tO
保守
231ふんころがし♀:2007/01/09(火) 10:06:48.05 ID:UYaksjkZO
保守
232わらじむし♂:2007/01/09(火) 10:25:21.26 ID:pgnISO1tO
保守
233セアカゴケグモ♀:2007/01/09(火) 10:47:07.28 ID:YoWmhibA0
保守
234ウズラ♀:2007/01/09(火) 11:10:31.84 ID:KChH7Pzd0
保守
235くろうさぎ♀:2007/01/09(火) 11:18:22.50 ID:NWWTusRZ0
くぁwせdrftgyふじこlp;@:「」!!
236ももんが♀:2007/01/09(火) 11:32:31.03 ID:7x/RgB+dO
保守
237あひる♀:2007/01/09(火) 11:47:11.69 ID:pgnISO1tO
保守
238ウズラ♀:2007/01/09(火) 12:06:40.33 ID:10uBYbDB0
プリン食べたいな

ていう保守
239きりん♂:2007/01/09(火) 12:21:58.59 ID:3K3JHoii0
キョン「とろーりクリーム」
ハルヒ「プリーン」
キョン「……」
ハルヒ「……」
キョン「とろーりクリーム」
ハルヒ「プリーン!」
キョン「……とろーりクリーム……」
ハルヒ「プリィィィィィン……ッ!」
240しまうま♀:2007/01/09(火) 12:52:55.77 ID:pgnISO1tO
保守!
241「選択」page39 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/09(火) 13:06:43.09 ID:BV1GSLc70
ほす
242ホタルイカ♀:2007/01/09(火) 13:09:12.12 ID:BH1yU2Ie0
>>241
ちょwww
コテが…
243ももんが♂:2007/01/09(火) 13:10:22.29 ID:BV1GSLc70
スマソorz
244わらじむし♀:2007/01/09(火) 13:37:30.54 ID:0ikl1J6gO
作者さんも保守るんですね
245シマリス:2007/01/09(火) 14:06:33.56 ID:KChH7Pzd0
保守
246あひる♂:2007/01/09(火) 14:20:24.14 ID:pgnISO1tO
保守
247七面鳥♂:2007/01/09(火) 14:24:46.58 ID:iTgZreCw0
今、部室ではキョンと二人きり。
みんな用事があるって言って帰ってしまった。でも好都合だわ。今までキョンに聞きたくても
聞けなかったことがある。それを聞いてやるわ。これからのあたしの行動を決める為にも。
「キョン、前から聞きたかったんだけどさ・・・」
 あたしはできるだけ平静を装って聞いた。
「なんだ急に」
 キョンはそう言うと、自分で入れたお茶をすすった。
さあ、言うわよあたし。・・・でも返事が怖い。もし違ったらあたしは・・・。
いえ、今はとにかく聞くのよ。聞いて、そしてそれから考えても遅くはないはずよ。
「あんたさ、その・・・好きな人とかいる?」
 あたしは言った。自分で言うのもなんだけど、前のあたしだったらこんなこと
口にも出さないし、考えたことも無いと思う。でも今は、どうしても知りたい。
キョンの好きな人が。あたしって言ってくれたら、それはもう顔から火がでるくらい嬉しくて
恥ずかしくて、たまらないと思う。でも現実は、そううまくいかないものよね。
たとえあたしじゃなくても、あたしはそれを受け入れなきゃ駄目よね。恋は自由だもんね。
「んあぁ? なんでそんな事を聞くんだ? 聞いてどうする?」
 この反応からして、どうやらいるようね。
「別に? ただ知りたいだけよ! で、いるの? いないの? ・・・・・・いるんでしょ?」
 相変わらずお茶をすすっているキョンにそう言うと、
「まあ・・・いるけど」
「誰っ!?」
 すぐに切り返すあたしに驚いたのか、キョンは目を見張っていた。
「言わなきゃ駄目か・・・?」
「そこまで言ったんだから言いなさいよ!」
 キョンは観念したのか、お茶を置いて、ふうっと溜め息をひとつついた。
248七面鳥♂:2007/01/09(火) 14:24:58.13 ID:iTgZreCw0
「すず・・・」
「あたし!!??」
 すず、まで聞いてあたしは嬉しくなり、つい言葉が出てしまった。
「・・・? 違うよ。俺が言おうとしたのは鈴村健一だ」
「・・・誰よそれ」
「某アニメの主人公の声優として抜擢されたはずが、何故か中盤からそいつが脇キャラに
されて、しかもほとんど叫んでばっかの悲しい役をやらされた声優の名前だ」
「・・・・・・あんたね・・・・・・あたしはそういう事を聞いていたんじゃなーい!!!!!」
「おい・・・何怒ってるんだよ?」
 ったくキョンったら、ほんっとに分かってないんだから。
でも良かったわ。これなら、まだあたしに振り向いてくれる可能性はあるってことよね!
覚悟しておきなさいよキョン!!
  
っていう保守ネタでした
 
249しかさん♂:2007/01/09(火) 14:47:37.67 ID:pgnISO1tO
是非後日談も!
250あひる♀:2007/01/09(火) 15:16:00.19 ID:pgnISO1tO
保守
251もぐら♂:2007/01/09(火) 15:34:43.10 ID:fnTl5qnA0
252アイガモ♀:2007/01/09(火) 15:38:55.22 ID:gFK3gcCcO
てっきりアッ-!な話かと思ったぜい
253あひる♂:2007/01/09(火) 16:01:28.43 ID:pgnISO1tO
保守
254かわうそ♂:2007/01/09(火) 16:22:39.27 ID:4ViUhxR4O
WAWAWA
255しかさん♀:2007/01/09(火) 16:41:04.27 ID:pgnISO1tO
HOHOHO保守
256こうもり♂:2007/01/09(火) 17:01:14.96 ID:4ViUhxR4O
●<ホッシューレ
257しまうま♀:2007/01/09(火) 17:24:02.34 ID:sYQAc1I+O
暇です
258しかさん♂:2007/01/09(火) 17:24:18.03 ID:pgnISO1tO
保守
259とんび♀:2007/01/09(火) 17:32:56.25 ID:NKg1UCMK0
>>257
書け!ss書くんだ、ジョー!
260もぐら♀:2007/01/09(火) 17:59:12.89 ID:pgnISO1tO
保守
261あしか♂:2007/01/09(火) 18:24:05.23 ID:4ViUhxR4O
プリン「ちょっとキョン!あたしのハルヒ食べたでしょ!?」
262ラッコ♂:2007/01/09(火) 18:32:12.90 ID:STaUgmqP0
投下ないかなぁ……ほ。
263とんび♀:2007/01/09(火) 18:36:33.92 ID:8bY3g+Hr0
いままで とても たのしかったです。
1ねんしか いっしょに いられなかったけど
すこしは あなたの やくに たてたかな。

めがねはないほうが かわいいって いってくれたとき
へんな きもちになったのを おぼえてる。
あのきもちが うれしいって いう ことなんだね。
ほんとうに どうも ありがとう。
わたしは はなすのが にがてだから、
あのときのこと ちゃんと ありがとう って いえなかった。
ごめんね。
もういちど いうね。
ほんとうに どうも ありがとう。

わたしは ふりょうひんだから もうすぐ けされます。
もう あえないよ。
かなしいよ。

だから さいごに わがまま きいてください。
264とんび♀:2007/01/09(火) 18:37:11.23 ID:8bY3g+Hr0

ぶしつにある あかい ひょうしのほん、
あなたに ぜひ よんでほしい。
あなたと すずみやはるひの しあわせをねがって
わたしが こっそりかいた しょうせつです。
ぜんぜんうまくないし すごくはずかしいけど
ふたりでよんで わたしの ぶんまで しあわせになってほしい。
そして ときどき わたしのことも おもいだしてくれたら うれしいです。


もう
ことばが
のこせなくなってきた
からだが きえてきた
せっかく にんげんに
なれたのに



そろそろみたい


ごめんね
だいすき



ながとゆき
265もぐら♂:2007/01/09(火) 18:42:25.87 ID:pgnISO1tO
こいつは…やべぇ…

。・゚・(つД`)・゚・。
266とんぼ♂:2007/01/09(火) 18:44:54.15 ID:1c7aOT9w0
( ;∀;) イイハナシダナー
267パンサー♂:2007/01/09(火) 18:46:48.24 ID:STaUgmqP0
ここに至るイクスキューズとこの後キョンはどうしたのかを書けば感動巨編ですね。
268チワワ♂:2007/01/09(火) 18:52:43.82 ID:10uBYbDB0
うわ、短いのにむっちゃ来た。T__Tムゥン
269パンダ♂:2007/01/09(火) 19:00:22.02 ID:glJoxrzc0
これはキタ・・・・・・・
270マングース♂:2007/01/09(火) 19:19:29.22 ID:fj6lUlbzO
保守
271もぐら♂:2007/01/09(火) 19:33:47.51 ID:IJYwKwjKO
いい話だった保守
272ぞう♀:2007/01/09(火) 19:34:42.37 ID:6bKvX6Gw0
平仮名はやばいって、マジで・・・
これは泣ける


関係ないかもしれんがMeの最期を思い出した
こっちはよく知らんけど
273ゴマフアザラシ♂:2007/01/09(火) 19:40:23.66 ID:DmndwPeR0
>>272
お前のせいで収まってた漏水が再発した
274いたち♂:2007/01/09(火) 19:44:10.38 ID:R2/6TdW6O
>>264
是非とも作品化を
275はむちゃん♀:2007/01/09(火) 19:52:52.17 ID:D6kqmMUT0
>>264
これだけで非常に存在感がある

すばらしいとしか言いようがないw
GJ!b
276ヤンバルクイナ♀:2007/01/09(火) 20:20:04.99 ID:cAybtJed0
つか元ネタはアルジャーノンでしょ?
277ぞう♀:2007/01/09(火) 20:24:30.20 ID:6bKvX6Gw0
>>276
花束を、か?
278くじら♂:2007/01/09(火) 20:31:03.69 ID:UYaksjkZO
age
279ひぐま♀:2007/01/09(火) 20:45:29.10 ID:fj6lUlbzO
アルジャーノンに花束を
280か♀:2007/01/09(火) 20:54:44.75 ID:kpPUJsd2O
正直、平仮名文を見ると真っ先に「かゆ うま」が思い浮かぶ

感動台無しだな、俺
281くじびき妙バランス ◆mUByYeJ/Ko :2007/01/09(火) 21:06:48.59 ID:gHPqbqm5O
 元旦の出来事だった。
長蛇の列に並んで参拝を済ませた涼宮ハルヒは、
他者の願い事を詮索するような事はせず、真っ先に朝比奈みくるの腕を取った。
「みくるちゃんにわたあめ持たせるわよ!
ほんわかしたみくるちゃんにふわっふわのピンクのわたあめ。
ぴったりだと思わない?古泉くん!」
涼宮ハルヒはそう言って私の隣に立っている古泉一樹に人差し指を突き付けた。
「は。誠にその通りかと」
涼宮ハルヒと私達は古泉一樹が他者の言い分には、
滅多な事でも無い限り否定しないのを知っている。
振り袖を涼宮ハルヒに握り締められている朝比奈みくるにもそれは周知済みである筈だが、
彼女が古泉一樹に向ける視線には少しばかり不満が込められていたかのように思う。
「そうよねそうよね、そう思うわよね。
じゃっ、早速わたあめ売ってる屋台に行くわよ、みくるちゃん!
キョン、財布係のあんたもついて来なさい」
おそらくはわたあめを手にした朝比奈みくるを脳内にイメージを起こしていたであろう彼は、財布係と言う単語を聞いた途端顔を歪めた。
「財布係、だあ?」
282くじびき妙バランス ◆mUByYeJ/Ko :2007/01/09(火) 21:08:25.46 ID:gHPqbqm5O
「あんた今日も集合場所に来るの一番遅かったじゃない、罰金よ。
お賽銭が奢りって言うのは罰当たりな気がしたからそれは勘弁してあげたけど。
あ、言っとくけど、あんたが奢るのはみくるちゃんのわたあめだけじゃなくて、
私の焼きとうもろこしもよ!」
涼宮ハルヒはそう言い放ち、彼が反論する隙を与えずに朝比奈みくるを引っ張って人込みの中に入って行った。
「全くあいつは勝手ばっかり言いやがって…!」
「早く追いかけないと見失ってしまいますよ?」
「わかってらあ。また後でな、古泉、長門」
一向にその場から動こうとしない私と古泉一樹には、涼宮ハルヒに伴うつもりが無いと判断したらしく、彼は軽く手を振ってから人込みに呑まれていった。
その判断は正しかった。
涼宮ハルヒやその周囲の人間に、何らかの危害を及ぼす可能性が見られる存在を今現在私は感知していない。
よって古泉一樹が、彼自身で言う所のバイトに繰り出される事にもならずに本日は終了するであろう。
私達は涼宮ハルヒに付き添う必要が無いと判断したのだ。
283くじびき妙バランス ◆mUByYeJ/Ko :2007/01/09(火) 21:09:03.65 ID:gHPqbqm5O
互いに確認した訳では無いが、暗黙の了解と呼べるのか、
必要も無いのに人込みに揉まれる事を避けたいと私が思うように、
古泉一樹も同様に、そう思っているのは明らかであった。
「僕達はどうしましょうか、別行動を取りますか?」
古泉一樹が他三名の姿が途絶えた箇所から目を離し、私を見る。
私は否定の動作を取った。
「あれ」
私達からほんの数メートル程離れた所に設けられた一角を私は指す。
「ああ、おみくじですか」
「そう。一度やってみたかった」
参拝に並んだ時よりも短い列に並ぶ。
くじ、確率論、私が文化祭で占いを担当した事等について話している間に、
私達に八角形の筒を逆様にする順が回って来た。
出て来た細長い棒に書かれていた番号がプリントされた、
折り畳まれた紙を受け取る。
「『中吉。謙虚な姿勢を保つべし。賭事は全て裏目に』…
はは、『逢引中の買物は大出費に』だそうですよ。
それより先に、根本的な問題として、デートなんてしてる暇…」
「大凶」
ぴたっ、と古泉一樹の動作が停止した。
284すずめ♀:2007/01/09(火) 21:09:52.54 ID:d7qk0G8H0
とつぜんきた
しえん
285くじびき妙バランス ◆mUByYeJ/Ko :2007/01/09(火) 21:10:11.53 ID:gHPqbqm5O
このような何の根拠も無い抽象的な運勢が連なった紙等信じるに値しないが、
新年の運試しだと捕らえるのならば、結果はここにある通り、芳しくはない。
事柄によって分けられた運を、古泉一樹のように読み上げる気にもならず、沈黙を守っていると。
「こういったおめでたい日のおみくじは、大凶は予め抜かれていると聞いたことがあるのですが…
嘘だったんでしょうか…?」
沈黙を息苦しく思ったのか、古泉一樹が言葉を紡ぐが、それが慰めになっているとは思えない。
慰めて貰いたいと思う程落ち込んでもいない。
「あ、でも」
古泉一樹が何か良策を思い付いたように明るい顔になる。
常時の作られた笑顔では無い、こういった表情を浮かべた彼は珍しい。
「こう考えてみてはどうでしょう。
長門さんは大凶のおみくじを今日引いたことで、今年一年の悪運を全てこの場で使い切ってしまった、と」
しかし、古泉一樹は発言を終えてから、余りに稚拙なとらえ方を自覚したのか、
「では、大吉を引いた人が今年一年の運を使い切ってしまい、
後は落ちるだけなのか、と言われると…
それは、答えに困るのですが…」
曖昧な笑みを滲ませ、私に目線を注ぐ。
286くじびき妙バランス ◆mUByYeJ/Ko :2007/01/09(火) 21:11:16.69 ID:gHPqbqm5O
気休め程度にしかならない古泉一樹の言葉だが、私はこのおみくじを彼の言う通りに捕らえる事にした。
私はこれで悪運を使い終えた。後には幸運しか残っていない、と。
「わかった」
私は頷いてから、手の平におみくじを乗せ、古泉一樹の視界にそれを入れた後、指を平行移動させた。
沢山のおみくじが結び付けられている木へと、視界を私に誘導された古泉一樹は、
「わかりました」
と先程の私の言葉を反復するように言い、私の手の平から紙を摘んだ。
「私では届かない、一番高い所に結んで欲しい」
高さが今後に影響する筈がないが、古泉一樹に頼んだのだから、私には不可能で彼には可能な処置を取って貰おう。
古泉一樹は、彼の出来る限りまで背伸びをし、届いた枝に紙を二枚結んだ。
「何か他にしたいことはありますか?」
枝を見上げ続ける私に並び、古泉一樹は聞いた。
「おもちゃが当たるくじ」
私は近くの屋台を指す。
色とりどりの紐の先に子供向けの景品が結ばれていて、
しかしどの紐が何に繋がっているのかは隠せるように出来ている、
大形の水槽が私の指の先に鎮座していた。
287か♂:2007/01/09(火) 21:13:40.96 ID:pgnISO1tO
支援
288くじびき妙バランス ◆mUByYeJ/Ko :2007/01/09(火) 21:14:31.35 ID:gHPqbqm5O
「あれですか?」
古泉一樹の顔には、意外、と出ていた。
私が幼稚な玩具に興味を示した、
と古泉一樹が勘違いしたからだろうが、私の目的は景品では無い。
ハズレ無し、と看板に書かれた屋台の前を通り過ぎ、余計な看板の立っていないくじ引き屋で足を止める。
ハズレくじの無い屋台では駄目なのだ。
私に幸運しか残っていないのであれば、購入した場合の値段はこの際問題にせず、必ず何かを引き当てる筈だ。
「一回」
「はい、三百円ね」
ハズレを引いた場合は少しばかり、古泉一樹には貼り付けた笑顔を剥し、
困った表情を浮かべさせる機会を与えようと思う。
ぐい、と一本の紐を手に取り、手前に引く。
その時点では、何が当たったかは私の視覚情報では解らなかったが、
紐の先に何かがぶら下がっている手応えだけは感じられた。
要は、その時の私に、少なくとも悪運は見られなかった、という事だった。



「どうでした?」
「当たった…セーラームーン変身セット」
「………」
「……プリキュアが良かった…」
「………」
「こうなったら自棄食い。あなたの奢りで。」
「え」
「逢引中の買物は大出費、とあなたは言った。
あのおみくじは当たる。否、私が当てる」
「え、でも、あいび…?」
「まずはたい焼き。早く」
「…承知しました」
289 ◆mUByYeJ/Ko :2007/01/09(火) 21:17:29.94 ID:gHPqbqm5O
以上。終わり。
支援ありがとう。

まとめ要請したいんだけど、これって短編?長編?
290がらがらへび♂:2007/01/09(火) 21:18:23.22 ID:bQru7vyS0
面白かった、乙!
長さ的にどっちでもいいと思うよ<長編・短編
291か♀:2007/01/09(火) 21:18:50.80 ID:pgnISO1tO
GJ!

短編じゃないかな?
292がらがらへび♀:2007/01/09(火) 21:24:32.87 ID:bQru7vyS0
私もちょっと古長書きたくなったな。
ネタ募集いいかな? 古長限定で。
293うしくん♂:2007/01/09(火) 21:28:50.34 ID:d7qk0G8H0
ハルヒの能力の覚醒
294あらいぐま♂:2007/01/09(火) 21:31:17.43 ID:cAybtJed0
>>292
バレンタインチョコ

295 ◆mUByYeJ/Ko :2007/01/09(火) 21:34:53.62 ID:gHPqbqm5O
>>290
>>291
じゃ、短編でいく。ありがとう。

>>292
wktk
296くじら♀:2007/01/09(火) 21:37:21.18 ID:IJYwKwjKO
保守あげ
297「選択」 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/09(火) 21:51:30.09 ID:BV1GSLc70
長くなりましたが今回でラストまで投下しようと思います。
298ペンギン♀:2007/01/09(火) 21:53:09.49 ID:qMZFWW7uO
wktk
299「選択」40 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/09(火) 21:53:35.08 ID:BV1GSLc70
 朝比奈さんが目を覚ましたので事情をある程度まで説明した俺はもう一人のハルヒが待つ屋上へと向かった。
 朝比奈さん(小)はただ一言だけ、
「キョン君、今まで私たちがしてきたことを思い出して」
と言って俺を見送ってくれた。
 屋上の扉を開けると、クローンハルヒは屋上の調度真ん中あたりで体育座りをしていた。
「よう、待たせたな」
「キョン、待ってたんだから」
 ハルヒは立ち上がると俺に向かって走ってくる。
 直前で止まるのかと思っていたが、次の瞬間にはタックル(本人は抱擁のつもりだったらしい)をくらって
天を仰いでいた。
 ハルヒの頭が俺の胸のあたりにあり、その手でYシャツが握り締められているのがわかる。
「おい、どいてくれないか」
 その言葉にハルヒはゆっくりと首を横に振る。
「いや……」
 嫌って言われてもな、この誤解されかねない状況は非常にまずいんだが。
「キョンは……あたしのこと嫌いなの?」
 ハルヒらしくない声でそういうこと言われると調子が狂うんだが。
「ハルヒ、それなんだけどな……」
と言いかけたところでハルヒは勢いよく体を起こした。
「キョン、遊びにいこう! まだ時間も早いし、ちょっと遠くなら誰にも会わないし。 ね?」
 まるで最後まで聞きたくないといったように話を遮ったこのハルヒは立ち上がると俺の腕を掴んで引っ張り上げた。
「話を最後まで聞いてくれ、大事なことなんだ」
「……遊びに行ってくれたら、聞くから、だから……行こ?」
300「選択」41 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/09(火) 21:54:13.75 ID:BV1GSLc70
 むう。そんな目で見ないでくれ。まるで朝比奈さんのような愛らしい小動物のような目線で見られたら
俺もハルヒとはいえ強引に話を進めるわけにはいかないじゃないか。
「わかったがな、まだ本物のハルヒが校内にいるんだ。それを家まで送らなきゃならん」
「それなら大丈夫。古泉君がどうにかしてくれるわ」
 なぜ古泉の名前が出てきたのかは知らんが、とりあえず確認をとってみることにした。
 電話に出た古泉は、まるで電話が来るのを待っていたかのような口ぶりで、
「涼宮さんでしたら僕が責任をもって送り届けますよ」
と言った。
 どこまで知っているんだ? まさかここにいるハルヒと繋がってるんじゃないだろうな。
「クローンの涼宮さんがまだ校内にいることはこちらも把握してますから。
今回はあなたのサポートを徹底的にやってやろうと決めたんですよ」
 ありがたいのやらそうでないのやら。
「そうそう、あなたの選択に口を挟むつもりではありませんが、これまでのSOS団、
涼宮さんのことを含めて楽しい思いをさせていただきましたよ」
 なんだそのもう終わりみたいな言い方は。
「いえ、そういうつもりではありませんよ。ただ、環境が変わる可能性もあるのでほんのお礼みたいなものです」
 古泉はそう言うと電話を切った。
「大丈夫だったでしょ?」
 満面の笑みでハルヒが顔を覗き込んでくる。
 そのハルヒのクローンを見ていてわかったことがある。
 本物のハルヒが弱っている反面、こちらのハルヒの感情が豊かになってきたように見える。
元々どっちが本物かわからないぐらい似てはいたが、ここに来て雰囲気的な部分で変化が見えるような気がする。
 校内にいるハルヒのことも気にはなったが、ここは古泉に任せておこう。
 このハルヒに話を聞いてもらわなければ解決のしようもないからな。
301「選択」42 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/09(火) 21:55:12.10 ID:BV1GSLc70
「で、どこに行きたいんだ? 言っておくが、そんなに金はもってないぞ」
「んー……キョンと一緒だったらどこでもいいんだけど、なるべく人の目を気にせず動けるところがいいじゃない?」
 どうせハルヒは今外をまともに動けないだろうから、遠くに行く必要もないと思うが。
「それじゃ、キョンに任せる」
 任せる、と言われても俺にもそんなレパートリーがあるわけじゃないぞ。
「そうだ、商店街! この前涼宮ハルヒとも行ったところ、そこ行きたい!」
 というわけで、見た目は全く同じのハルヒと再び商店街にやってきた。
どこが違うかというと、このハルヒは電車に乗ってからずっとべったりくっついてくるぐらいか。
 同じコースで周りたいというので、まずは電気屋のおっちゃんのところに向かった。
「おっちゃん! 久しぶり!」
 そのおっちゃんにしてみれば二日ぶりぐらいだろう。
まあハルヒの性格だから、本物が言ったところで違和感はなさそうだが。
「おや、今日も来たのかい? ……随分と仲良しだね、いいなあ若い子たちは。あっはっは」
 ハルヒに無理矢理繋がされた手を見て人のよさそうに笑ったおっちゃんは
そうだ、と何かを思い出したように店の奥に消えていった。
 三十秒ほどして戻ってきたおっちゃんの手にはカタログのようなものが握られていた。
「これ、今度来たときに渡そうと思ってたんだよ」
 そのカタログは……チャッカマンのカタログだった。
 話を聞くと、律儀にもこの電気店の店主のおっちゃんはハルヒの役に立てなかったことを悔やんでいたようで
火炎放射器はさすがに手に入らないが、強力なチャッカマンなら、とカタログを取りに行ったんだそうだ。
 そこまでハルヒに肩入れする理由は知らんが、今ここにいるハルヒには何のことだか理解できないようで、
終始不思議そうな顔をしてカタログに目を通していた。
 検討してみます、という言葉を残して電気店を出て商店街を歩いていると、
最近できた店だろうか、見たことのない洒落た感じの時計屋ができていた。
 この前もここは通ったはずだが、あの時はハルヒに引っ張られるように進んでいたので、
気がつかなかったのかもしれないな。
 このハルヒも興味を示したのか、店の中へと俺を引っ張り込んでいった。
302まむし♀:2007/01/09(火) 21:55:31.96 ID:tWuN1BaP0
しえん
303「選択」43 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/09(火) 21:55:59.14 ID:BV1GSLc70
 しばらくの間、ハルヒは可愛らしい時計などを見て女の子らしい声を挙げていたが、
俺はふと目に留まった時計があった。
 そう、それは俺が今している時計と同じものだったのだ。
 ハルヒはここでこの時計を買ったのだろうか。
 すると、若い女性の店員が近づいてきた。
「いらっしゃいませ。何かお探しですか?」
「いえ、ちょっと見てるだけなので」
「そうですか、あら? あなたはこの前いらしてた……」
 とハルヒの方を向いて店員は言った。
「へ?」
 ハルヒが何のことだかわからないといった表情をしたので、俺はあわててフォローに入った。
「実はこいつ双子の姉がいまして、たぶん買いにきたのはその姉のほうかと」
「あら、そうでしたか。随分お悩みになってたんですよ。どなたにあげるんですか? って聞いたら、
恥ずかしそうに『男の友達です』って言ってましたけど、あれはきっと恋する女の子の目でしたわ」
 なぜか店員が恥ずかしそうに両手で頬を抑えている。
「最終的にこちらの時計を買っていかれました。もらった男の子と上手くいっていればいいんですけど……」
 今度は涙目になってすすり泣きを始めた。変な人だ。
 直後、俺はハルヒに腕を引っ張られて外に連れ出された。そして、腕を捲くられて時計を見ると、
「……あたしも買う!」
 とか言い始めた。
 お前は金を持ってないだろ。それに時計なんて買ってどうするんだ。
「キョンにあげるの! あたしもあげたいの!」
 ハルヒのイメージがどんどん崩壊していくな。そんなセリフ、一生聞けないと思ってたぞ。
 そんなことで対抗心を燃やしても仕方がないし、時計を二つも持っていても使い道がないということを
懇々と繰り返してようやく納得したハルヒはまた俺の手をとって歩き始めた。
 日が落ちるまでそんな調子で連れ回され、暗くなったところで夕食をとることにした。
 とはいえ今日は制服なので駅の近くのファミレスに入ることにした。
304モルモット♀:2007/01/09(火) 21:56:10.98 ID:NKg1UCMK0
支援
305「選択」44 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/09(火) 21:56:40.76 ID:BV1GSLc70
 クローンのハルヒは、
「雰囲気あるところがよかったけど、仕方ないかあ」
と残念がっていたが、俺の懐具合からしてももう一度あのレストランはさすがに厳しいぞ。
 小さい男と思われるだろうが、それならぜひうちの母親に小遣い値上げの説得をしてくれ。
 食事中はハルヒは終始笑顔だった。
 しかし、出てくる言葉は、今度はどこに行きたいとか、キョンにプレゼントを挙げたいから何が欲しい?とか
そういう言葉だった。
 さすがにそんな中で話を切り出すわけにもいかず、食事を終えて外に出たところでハルヒに話をしようと
改めて言った。
 するとハルヒはそっぽを向いて、
「それじゃ、北高にいきましょ」
と言ってさっさと歩き始めた。
 電車内では来る時とうってかわってハルヒは無言だった。
 離そうとしなかった手も、微妙な距離で離れたままだ。
306「選択」45 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/09(火) 21:57:12.95 ID:BV1GSLc70
 北高の校門まで来たが、当然ながら門は閉じられている。
「中に入りましょ」
 そう言ってハルヒは校門を乗り越えようとした。
 俺も黙ってそれに従う。
 二人は校庭の一角にあるベンチまできて腰をかけた。
 そのまま十分ぐらいはどちらも口を開かなかった。春が近づいているとはいえ、夜風はまだ冷たい。
「なあ、ハルヒ」
「ん?」
「お前はまだどうしてここにいるか、知らないんだよな?」
 沈黙が流れる。
「知ってるわ」
 俺が続けようとした言葉を遮るようにハルヒは言った。
「ここにいる理由、初めはわからなかったけど、もう見つけたの」
 見つけた?
「あたしはキョンと一緒にいたい。理由は、それだけで十分」
 ハルヒは真っ直ぐ前を見据えたままだ。
「お前はな、ハルヒに……」
「聞きたくない。……わかってた。涼宮ハルヒがあたしを作り出したってこと」
 ハルヒの目に涙が浮かんでいるように見えた。
「でも、涼宮ハルヒはあなたに選択を委ねたんでしょ? それなら、あたしが必ずしも消えるなんて限らないじゃない!
あなたは、あたしみたいな涼宮ハルヒを求めていたんじゃないの? 素直で、普通の女の子のような涼宮ハルヒを!」
 涙をこぼしながらハルヒは俺に訴えるように言った。
 やはり、俺が招いたことだということは認めざるを得なかったが、こう正面から言われてしまうと、
何も言えなくなってしまう。
 俺は、俺にとってのハルヒは……。
307「選択」46 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/09(火) 21:58:24.84 ID:BV1GSLc70
「ハルヒ、俺は確かに暴力的でわがままで素直じゃないハルヒよりも、
お前のような素直で女の子らしいほうがいいと思っていた」
「それじゃあ!」
「でも、違うんだ。俺にとって大事だと思うハルヒは、ありのままのハルヒだ。
確かに暴力的だし人の話も聞かないし女の子らしくないわで良いところはどこだと聞かれたら
正直どう答えたらいいかわからないが、それでも俺はありのままのハルヒを選ぶ」
 クローンのハルヒは俯いてしまう。
「俺には初めから選択肢なんてなかったんだ。選択する権利もないし、必要もない。
初めからそういうハルヒに俺は惹かれていたんだからな」
「……そっか」
 ハルヒは立ち上がって数歩前に進むと、ゆっくりとこちらを振り向いた。
「あたしだったら、もっとキョンのことわかってあげられる自信あるよ。
SOS団だってもっと楽しくなる! あの三人とだってきっと上手くやっていける!」
「ハルヒ……」
「だから……」
 ハルヒは笑顔を作っていたが、その頬を涙が伝っているのは暗い中でもよくわかった。
308「選択」47 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/09(火) 21:58:58.39 ID:BV1GSLc70
「あたし……消えたくないよ……キョンと……もっと楽しいことしたり、一緒にいたいよ……」
 次の瞬間、ハルヒの体が淡く光ったかと思うと、その体がまるで透けるように薄くなり始めた。
「……キョン、最後のお願い……あたしのこと、抱きしめて」
「しかし……」
「大丈夫、後はもう消えていくだけ……だから、お願い」
 俺は立ち上がると、ハルヒの背中に手を回した。
 すでに感覚も薄れ始めていて、人に触っているという感覚とは少し違っていた。
「……暖かい」
「すまなかったな」
「今更謝らないでよ。あたし、短い間だったけど、キョンと一緒に過ごしたこと、絶対に忘れないから」
 ハルヒの体はどんどんとその色を失っていく。
「また……いつか会えるよね?」
「ああ、会えるさ」
「そのときは、あたしも……」
 消えかけていくハルヒは最後にこう言った。
「キョン。ありがとう」
309「選択」48 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/09(火) 21:59:30.48 ID:BV1GSLc70
 翌日、肉体的にも精神的にも疲れていた俺は学校が休みに入ったことをいいことに布団から出ずに寝ていた。
 気がつくと12時近くになっていたので飯でも食おうかと一階に降りていくと、
聞きなれた声がリビングのほうから聞こえてきた。
「あー、何よこれ! 結構難しいわね」
「ハルにゃんがんばれー!」
 なぜかハルヒが妹とテレビゲームをしている。
「おい」
「あ、キョン君!」
「あんた、やっと起きたの? 春休みだからって気抜きすぎよ! たるんでるわ!」
 いつもどおりのハルヒである。
「お前、体調はもういいのか?」
「あたしを誰だと思ってるの? SOS団の団長は風邪なんかでへこたれたりしないのよ!」
 そうかい。で、
「何しに来たんだ?」
「遊びにきまってんじゃない! 後で古泉君もみくるちゃんも有希も来るわよ!」
 まるで俺の家を私物化である。
「ったく、勝手に決めるなよな」
 俺は苦笑いをして着替えをするために部屋へと戻った。
 着替えの最中にドアが蹴り破られんばかりに開かれたかと思うと、ハルヒが立っていた。
「あ……」
 上半身裸の俺を見てなぜかハルヒは赤面している。自分の着替えを男子に見せるのは平気なのに、
男の裸を見るのは恥ずかしいのか、偏った趣味だな。
「何が趣味よ。それより、昨日あんたが保健室に来てその後のこと、ほとんど覚えてないのよね。
気づいたらあんたいなくて、古泉君が車で送ってくれるって言って家で寝てたら急に元気になってきたのよ」
310「選択」49 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/09(火) 22:00:27.95 ID:BV1GSLc70
 ほー、いい薬でも飲んだのか。
「薬なんかに頼るほどひ弱じゃないわ。それに、変な夢見たりしてあんまり良い気分じゃなかったわね」
 そりゃ、あれだけのことがあって気分が良いなんて言えるほうがおかしいってもんだ。
 そんな俺も昨日のことはかなりこたえた。
 はっきりさせたって意味では解決したのかもしれんが、二度とはごめんだ。だから、
「ハルヒ」
「ん、何よ」
「俺は、お前みたいな奴と出会ってここまで無茶苦茶なことやってきたりしたが、
後悔なんかしていないし、本気でお前のことが気に入らないと思ったことはない」
「なに? どういう意味よ」
「俺は今のままのお前が好きなんだ。だから余計なこと考える必要はないと思うぞ」
 ハルヒは先程よりも顔を真っ赤にさせたかと思うと完全にそっぽを向いてしまった。
「ば、馬鹿じゃないの? 何よいきなり……」
「まあ、そこに少し素直さがあればもっといいかもしれんが」
「す、素直って……」
 ハルヒはそれから頭を抱えたり地団駄を踏んだりと今にも暴れそうになっていたが、
「時計……」
 ん? 時計がどうしたんだ。
「時計……あげたでしょ。それで十分でしょ! それとも、あたしとあんたの間でそういう言葉が必要?」
 ハルヒなりに譲歩した言葉だったのだろうけど、俺にとってそれは最もわかりやすい言葉だったし、
ハルヒの気持ちも伝わってきたからよしとしよう。
 お前が言うな、とはさすがに言えないからな。
「いーや。確かに、言葉なんかいらんな」
「ふん」
311おこじょ♂:2007/01/09(火) 22:00:49.46 ID:F2n1/2lz0
紫煙
312「選択」last ◆7V2lj.SD8g :2007/01/09(火) 22:02:15.87 ID:BV1GSLc70
 そう、言葉なんて初めから必要なかったんだ。
 俺とハルヒの間にはな。
 しかしなんだ、そういう自信が持てなかったというのはお互い様だったと思うし、
もう一人のハルヒがその自信を俺たちに与えてくれたのかもしれない。
 全くもって俺に平穏な日々を与えてくれないハルヒであるが、
それを含めて俺はできる限りこの団長様を支えていくつもりだ。
 それが、あの消えてしまったハルヒに対する俺なりのけじめだと思うからさ。 





長くなりましたが見てくださった人ありがとうございました。
313こうもり♂:2007/01/09(火) 22:06:30.10 ID:7x/RgB+dO
乙!
良い話でした!
314かも♀:2007/01/09(火) 22:07:05.14 ID:8/S5Rxy/O
長門●みくるの脇役具合が絶妙
315イルカ♂:2007/01/09(火) 22:09:07.16 ID:fj6lUlbzO
乙!スゲェ楽しめました!新しい作品待ってます!
316もぐら♂:2007/01/09(火) 22:12:13.72 ID:IJYwKwjKO
乙!GJ!
うまいなぁ
317のらいぬ♂:2007/01/09(火) 22:12:49.61 ID:tWuN1BaP0
>>312
乙!
318イルカ♂:2007/01/09(火) 22:23:41.99 ID:N42f52GTO
wktk
319くじら♂:2007/01/09(火) 22:30:24.24 ID:pgnISO1tO
GJ!
320いたち♂:2007/01/09(火) 22:35:06.80 ID:4ViUhxR4O
GJ!
321わらじむし♂:2007/01/09(火) 22:37:45.80 ID:bQru7vyS0
乙!

古長出来たけど投下OK?
多分求められている方向性じゃない気がしてならないんだが。
322チワワ♂:2007/01/09(火) 22:41:18.04 ID:5LCWMhud0
wktk
323こうもり♀:2007/01/09(火) 22:43:57.96 ID:dWkM3AQ40
>>321
C'mon!!
324スノウマーチ01/06 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/09(火) 22:44:49.23 ID:bQru7vyS0
 それは、とても残酷な告白だった。
 けれどもそれは、どうしようもない事実でも有った。
 事実を告げ頭を下げた既に卒業してしまった上級生に対して、僕等はそれ以上何かを言う
ことは出来なかった。

 帰り道、僕等は無言だった。
 突きつけられた重い現実は、僕等にはどうすることも出来ない。
「ねえ、古泉くん」
 沈黙を破ったのは、涼宮さんの方だった。
「何ですか?」
「古泉くんは、どうしたい?」
「どう、と言われましても……」
「どうにも出来ないって思ってるの?」
「……そうかも知れません」
「それって、悔しくない?」
「悔しいですよ。……でも、悔しいと思う以上のことは、出来ないでしょう」
「それは、そうだけど……。そうね、じゃあ、こうしましょう!」
 涼宮さんが、ぱっと笑顔になる。
 何か面白いことを思いついたときと同じ、満開の花のような笑顔。
「どうするんですか?」
「……あたしが、あなたの願いを叶えてあげるのよ!」
 残り時間は、あと僅か。
 僕等がここに居られる、残された、ほんの僅かな時間。
 一人の少女に残された力の欠片では、これから起こり得る運命は覆せない。
 僕等は、もう、その事実を知っている。
 でも……、ほんの少しだけ、出来ることがある。
325スノウマーチ02/06 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/09(火) 22:45:13.71 ID:bQru7vyS0
「願いごと、ですか……」
「そうよ。三年分、ううん、古泉くんだけは六年分だから、これはサービスなの! 利子付
きなんだから、何でもどんと来いよ!」
 何でも、何て言えるほどのことが出来ないことは、多分、彼女自身も分かっている。
 分かっていても、そういう風に言うしかない。
 そういうときも、有るということ。
「……後で三倍返し、なんて言いませんよね?」
「言わないわよ、そんなこと」
「……」
「何でも、言ってよ。……あたしだって、できるだけのことは、してあげたいのよ。あなた
のためにも、あの子のためにも……」
 尻すぼみになっていく声が、痛々しい。
 分かっている、分かってしまうという事実が、何よりも痛い。
 愛とか恋とかだけじゃ、どうにもならないものもある。
 そういう関係だけじゃ埋まらない、どうしようもないものも、たくさんある。
 彼女が求めた、自分ではない誰かの、ささやかな幸せ。
 そんなささやかな幸せさえ守れないことが、悔しくて仕方が無いのだ。
 僕にも、その気持ちは分かる。
 いや、違うな……、冷静な振りをしているだけで、きっと、僕の方が悔しいのだ。
 ただ、僕の方が彼女より、諦めることに慣れているだけで。
「……分かりました、それでは、」
 求めていることは、多分、僕も同じ。
 叶えられないことを知りながら、僕等は求める。
 この三年という時間を一緒に歩んできた、一人の少女の幸せを。

 ささやかな、幸せを。
326スノウマーチ03/06 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/09(火) 22:45:47.51 ID:bQru7vyS0
 時間はあっという間に過ぎ、卒業式の日がやって来た。
 準備期間にすったもんだと色々あった末、答辞を語るのは長門さんの役目になった。
 寡黙な彼女が、この三年間に有ったことを淡々と、けれど、とても幸せそうに語る姿を、
僕は一生忘れないだろう。

 卒業式の後、僕等は既に大学生になっていた鶴屋さんを交え、五人で騒ぎまくった。
 朝比奈さんは既にこの時間には居ない。涼宮さんも、そのことをちゃんと分かっている。
 思い出話に花の咲く五人だけのパーティは、少し寂しくて、でも、とても楽しかった。

「……疲れている?」
 帰り道、僕は長門さんを送る役目を請け負い、二人で道を歩いていた。
 その途中、長門さんが僕に訊ねてきた。
「ええ、少しだけ。……でも、楽しかったですよ。楽しくて疲れるのは、良いことですから
ね」
「そう」
「長門さんも楽しかったですか?」
「……楽しかった」
 小さな、けれどとてもはっきりした声で、長門さんはそう言った。
「この三年間、とても楽しかった」
 長門さんが、淡々と言葉を続ける。
「あなた達と出会えて、本当に良かった」
「僕もですよ」
 気持ちは、多分同じなのだ。
 僕も彼女も、他のみんなも。本当に、出会えて良かったと思っている。
 大変なこともたくさん有ったし、何時も仲良くなんて風には行かなかったけれど、そんな、
何もかもも含めて、今となっては良い想い出だ。
 想い出を振り返るのには、まだ少し早いかもしれないけれど。
327スノウマーチ04/06 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/09(火) 22:46:19.26 ID:bQru7vyS0
「……もうすぐ、わたしの情報連結が解除される」

 長門さんが、ぽつりとそう呟いた。 
「知っています」
「……」
「この間喜緑さんに聞きました。もう、限界なのだと」
 去年卒業した彼女は、僕と涼宮さんを呼び出し、そう言った。
 彼がその場に呼ばれなかったのは、彼を呼び出すとややこしいことになりそうだという喜
緑さんの、いや、情報等統合思念体の判断なのだろう。その判断は正しいと思う。彼は、涼
宮さん以上にイレギュラーなことを引き起こしやすい人だから。
 だから僕等は、彼には何も言って居ない。
 彼には何も言わないまま、二人で、長門さんのために何をするかを決めた。
 後で事実を知った彼に怒られるかもしれないけれど……、でも、こうするしかなかった。
「……」
「涼宮さんにも、もう、覆せないことなのだと」
 自身の力に向かい合うことになった涼宮さんは、余りにも脆弱だった。
 彼女には、長門さんの運命を変えるほどの力は無い。
「……」
「……バレンタイン、チョコをくれましたよね」
 貰ったのは、二月のこと。
 あれから、まだ一月も経って居ない。
「……」
「今年は『好き』って書いてありましたね。……正直、驚きましたよ」
328スノウマーチ05/06 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/09(火) 22:46:49.43 ID:bQru7vyS0
 長門さんが僕に対して想いを主張をしてきた場面は、本当は、何度もあった。
 でも、僕は、気づかない振りをし続けた。
 そうすることが自分達のためだと、決め付けていた。
 何時か、こういうときが来ると……、そんな、予感が有ったから。
「……」
「ホワイトデーまではまだちょっとあるんですが、今、そのお返しを、受け取ってもらえま
すか?」
 僕は片手を、空に翳す。
「……雪」

 まだ少し寒い三月の夜空に、白い雪が舞っていた。

 これは、僕が涼宮さんに頼んだ、長門さんのための、最後の奇跡。
 想いを受け入れることも、何かをしてあげることも出来なかった僕に出来る、最初で最後
の……、
「自分で何か出来れば良かったんですけどね……、どうしても、これ以上のものが思いつか
なくて」
「……これで、良い」
「長門さん……」
「これで、良い……、充分。……ありがとう」
329スノウマーチ06/06 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/09(火) 22:47:21.46 ID:bQru7vyS0
 長門さんが、そっと僕の頬に手を伸ばす。
 雪が降りかかるその身体が、少しずつ薄れている。
 もう、残された時間は殆ど無い。
「僕の方こそ……、三年間、お世話になりました」
 伸ばされた腕ごと、細いその身体を抱え込む。
 何時も誰より頼りになるはずの宇宙人製ヒューマノイドの少女が、今は、誰よりもか弱い
存在に見えて仕方が無かった。
「わたしも……、あなたに会えて、良かった」
 そして僕らは、そっと、唇を重ねた。
 ここから続くことは無い、けれど、忘れることも出来ない。
 たった一度きりの、白い雪が舞う中の、儚い愛の証。

「……だいすき」

 最後の最後に、想いの全てを込めた言葉を残して、彼女は消えていった。
 もうすぐ、この少しだけ季節外れの雪も、止むことだろう。

 雪の名前を持つ少女にもたらされた、最後の奇跡と共に。



 終わり
330カクレクマノミ♂:2007/01/09(火) 22:50:37.79 ID:5LCWMhud0
>>329
乙・・・。ほろ苦系もいいな。
余韻が絶妙ですね。GJ!
331おこじょ♂:2007/01/09(火) 22:55:03.04 ID:4ViUhxR4O
( ;ω;)エグエグ
332ひつじ♂:2007/01/09(火) 22:58:32.25 ID:IJYwKwjKO
ぐっじょぶ(;_;)
333のらいぬ♂:2007/01/09(火) 23:01:37.61 ID:tWuN1BaP0
・゜・(ノД`)・゜・
334 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/09(火) 23:03:56.77 ID:bQru7vyS0
うん、ごめんね。
有希を幸せにしてあげられなくてごめんね・・・。
次は、幸せな方向で頑張るから・・・、多分。

あ、WIKIには時間が有るときに自力で載せておきます。
335くろうさぎ♀:2007/01/09(火) 23:09:02.79 ID:4ViUhxR4O
>>334
いやいや、ほんとに乙でした!
まじでGJ!
336トリケラトプス♀:2007/01/09(火) 23:10:18.15 ID:dWkM3AQ40
GJ!
泣けてきた…

こういうときにアメリカンハイテンションが読みたくなってくる
337のらいぬ♂:2007/01/09(火) 23:21:11.00 ID:AX37v7+i0
>>336
今すぐアナルスレに行くんだ
338ふんころがし♀:2007/01/09(火) 23:26:18.83 ID:bQru7vyS0
あと、今日はもう時間無いんで投下は明日以降になると思うけど
もう一回ネタ募集して良いかな?
339まむし♂:2007/01/09(火) 23:30:21.43 ID:tWuN1BaP0
>>338
イインダヨ
340くじら♀:2007/01/09(火) 23:36:28.09 ID:sYQAc1I+O
>>338
たまには
コンピ研も
思い出してあげてください
341たると♀:2007/01/09(火) 23:37:27.61 ID:iTgZreCw0
キョン「COOOOOOOOOO!!!!!」

朝倉「!!!・・・・・・・・・(´・ω...:.;:..;:: .:.;:  またねっ」

>>338
ドロップキックの際
パンツ
みえたぜ?
342しまじろう♂:2007/01/09(火) 23:48:44.62 ID:k4GOT83s0
>>338
WAWAWA
343あひる♂:2007/01/09(火) 23:50:58.28 ID:bQru7vyS0
>>340-342
レスd
どこまで組み込めるかどうか分からないが頑張ってみるよ。
しかしどう転んでもコメディよりになりそうだw
344とど♂:2007/01/09(火) 23:54:59.48 ID:8YrX4x2kO
流れぶったぎって悪いが、投下していいかな?
345マングース♀:2007/01/09(火) 23:55:15.62 ID:tWuN1BaP0
バッチコーイ
346とど♀:2007/01/09(火) 23:56:51.05 ID:7x/RgB+dO
wktk
347シスターパニック! ◆mtod1dSyOc :2007/01/09(火) 23:58:21.98 ID:8YrX4x2kO
じゃあ投下させていただきます。10レス前後かと。
一応gdgdながら完結させましたんで。


6話


 夢で見た、真っ白な世界に辿り着いた。
 これが元のハルヒの深層の中……か?
「キョン、久しぶり。……って毎日会ってるわね、兄妹だし」
 今回は声だけじゃなくて本体付きらしい。正直、久しぶりの本物のハルヒとの再会がうれしい。
 本当に会えて……うれしいぞ。
「な、なに真顔で恥ずかしいこと言っちゃってんのよ! バカキョン!」
 確かにバカかもしれん。ハルヒが目の前にいるだけでそれしか見えなくなってる。
 しかしだ、何でハルヒの姿が少しだけ薄くなってるんだ?
「え〜と、せっかく来てくれたけど……あたし、戻ってあんたを待つわね。約束だし」
 そう言うと、ハルヒの姿は少しずつ薄れていった。
 ちょっと待て!
「なによ、あんたも早く戻って来なさいよ。……キョン兄」
 小悪魔のようにハルヒは俺に微笑みかけた。……何が『キョン兄』だ、洒落になんねぇよ。
 違う、お前が戻るんだ。早く俺達の日常に帰ってこい。
「……嫌よ。今の生活の方がずっといいわ。少し刺激にはかけるけどね」
 何なんだ、このわがままさは。まるで意地を張ってる時の妹のようだ。
348やぎ♂:2007/01/09(火) 23:59:07.01 ID:UYaksjkZO
支援
349シスターパニック! ◆mtod1dSyOc :2007/01/09(火) 23:59:11.68 ID:8YrX4x2kO
 しばらく言い合うと泣き出すんじゃないのか? ……あるわけないか。
 お前、言ってただろ? 宇宙人とかを見つけ出して一緒に遊ぶって。お前が妹ならそんなのも出来ないぞ?
「だから、構わないわ。あんたを起こして、一緒に学校に行って、何でもない話をして帰る。
 それだけであたしは幸せなの。鈍感なあんたは気付いてないだろうけどね」
 俺の妹になるだけで幸せだと言うのか、こいつは。
 ……ふざけるな、俺がどんな気持ちかもわかって無いくせに。
「あんたがふざけないでよ。普通の人間って自負してるなら気付いてたんでしょ?」
 何をだよ。
「だ、だから……その……あ、あたしの気持ちよ」
 ここで考えてみよう。こいつの俺に抱いてる感情とはなんだ?
 1、SOS団の団員その1 2、パシり 3、自分の行動の邪魔をするウザい奴。
 ……くらいだよな?
「……呆れた。よくわかんないけど、あたしは消えるわ。もうあんたとは会えないわね。
 あたし自身なにが起こってるかわかんないけど、これからはずっと《妹》として顔を合わせるのよ」
 ハルヒの姿がほとんど消えかかっている。マズい、時間が無い。
 待て! まだ言ってないことが幾つかある!
 勢いで叫んでみたが、本当に言いたいことは一つだ。なんて情けない。
 ハルヒは振り向くと、うんざりしたような表情で俺を睨みつけた。
「何なのよ、バカキョン。いい加減にしなさい」
 俺は、お前が好きだ。
「へ?」
 妹じゃない、お前が好きだ。《涼宮ハルヒ》が好きなんだよ。
 お前の気持ちがどうであろうが、俺の気持ちはそういうことらしい。
350シスターパニック! ◆mtod1dSyOc :2007/01/10(水) 00:01:08.67 ID:wXuGVT4KO
 よくもまぁ、スラスラと言葉が出るもんだ。愛の告白って雰囲気じゃないぞ、これは。
「ほんと? あっ……」
 俺の目前で、ハルヒは消えた。……と思ったら、すぐに出てきた。
 なにがしたいんだ、こいつは。
「キョン兄、まさか帰ってこないつもりなの? ……嫌だからね!」
 おい、ハルヒ。演技はいいから何か答えろ。
「演技って何よ。それより、早く帰って来なさいよ! ……話があるって言ったじゃない」
 ……あぁ、そういうことか。このハルヒは妹ハルヒだ。ということは元のハルヒは俺を置いて戻ったのか?
 くそ、頭がゴチャゴチャだ。
「ゆびきりしたじゃない……針千本のますわよ」
 妹ハルヒは俯いてそう言った。
 ……元のハルヒと妹ハルヒの立場が逆転したのか? つまり、この白い世界の外は元の世界か?
 ひとまず置いておくか。
 悪いな、針千本も飲むわけにはいかない。……帰りたいんだ。わかってくれ。
「わからない! あたしだってハルヒよ! ずっとキョン兄が好きだったの!」
 ………………すまん。思考回路が限界に達した。
 人間、考え過ぎると知恵熱が出るって本当なんだな。
 俺は頭が痛くなり、全身が熱くなって、目を閉じた。容量オーバーってやつだ。……やれやれ。


「キョン!」「キョン兄!」
 目を覚ました俺を迎えてくれたのは、白い世界と二人のハルヒだった。
 どうやら、元のハルヒと妹ハルヒ、どっちもいるらしいな。……もう何でも来いって感じだ。
「キョン兄、あたしと帰ろう? ご飯作ってあげるわ」
「キョン、さっきの言葉ね……もう一回部室で聞かせてよ」
 二人のハルヒはお互いに違うことを言いつつ、俺に手を差し延べた。
351ライオン♀:2007/01/10(水) 00:01:33.07 ID:dTzZORTZO
支援
352あざらし♂:2007/01/10(水) 00:02:29.60 ID:eT/mFhlWO
支援
353シスターパニック! ◆mtod1dSyOc :2007/01/10(水) 00:02:55.41 ID:wXuGVT4KO
 ……多分、手を取った方だけが残るんだろうな。しかし……。
 もう片方はどうなるんだ? 消えちまうのか?
 ハルヒ二人に向かってそう言った。
 元のハルヒのいる世界に戻したいが、妹ハルヒとの約束も破りたくないくらい、情が移っている。
 そんなバカな俺に、元のハルヒは声をかけてきた。
「どっちでも、あたしはあたしよ。消えたりなんかしないわ。
 ……あんたが楽しいと思う生活を選びなさい」
 迷わず、元のハルヒの手を取った。やっぱりこいつがいなきゃ俺はダメだ。
「嘘つき。針千本飲んでよね……バカ兄。どこにも行かないって……バカぁ……。
 帰ってきたら……告白しようって……」
 妹ハルヒは、泣きながら消えていった。……どこに行ったのかを、後でここで起こっていたこと全てを長門に聞こう。
 それよりも、今はとりあえず帰ろう。暖かい手を握ったまま……な。
 目を閉じて、流れに身を任せて頭の中で呟いてみた。聞こえるかはわからないけどな。
『おい、長門。全部終わったぞ』
 それが通じたのか、グルグルと回る感覚の後、俺は気絶した。


 手には暖かい感触……というより、ハルヒの手があった。
 ここは……長門の部屋か。
 朝比奈さんと3年間、寝続けた、いわくつきの場所で、ハルヒと手を繋いで寝ていた。
「んぅ……バカキョン」
 寝言か? ……幸せな奴め。
 とりあえず、ハルヒは元に戻ったようだ。一安心だな……。
「お帰りなさい。成功してよかったですぅ……」
 朝比奈さんと、長門に古泉。見事に3人揃って襖から覗いていた。……変態か?
「こっちに来て。話がある」
354シスターパニック! ◆mtod1dSyOc :2007/01/10(水) 00:03:47.33 ID:wXuGVT4KO
 わかってるよ、長門。全部詳しく聞かせてもらうぞ。
 ハルヒの手をゆっくり離し、布団をしっかりと着せてから長門の元へ歩いた。

「あなたが涼宮ハルヒと話をしている途中で、何回か入れ替わりが起こった。
 だから、涼宮ハルヒを肉体ごとさらってきた」
 お前な……さらうってなんだよ。しれっと怖いことを言うな。
 俺のツッコミなど完全に無視で、長門は続けた。
「あなたの目の前の涼宮ハルヒが入れ替わったり、同時に出てきたのは、本体の精神の移りかわりの影響」
 ニヤニヤと笑っている古泉も口を挟んできた。
「あなたの告白で、涼宮さんの気持ちも揺らいだのでしょう。妹もいいけど、恋人も……みたいな感じです。
 そこからこのような事態になったと推測されます。
 しかし、あなたが元の涼宮さんを選んだことでその揺らぎが止まり、元の涼宮さんが帰ってきたのでしょう」
 解説ありがとよ。これでお前等が全部わかってるってこともわかったよ。
 ところで、気になるのは二点だ。聞いていいか? 長門。
 少し斜め上を見た後、『いい』と返事が返ってきた。
 ここ数日のハルヒ以下、その他の人物の記憶はどうするのかと……妹ハルヒはどうなったんだ?
「両方とも、涼宮ハルヒの力を使い、消去する。記憶については改竄まで施す」
 いつもと変わらない調子で話す長門の中に、安堵の色が見えている。
 俺達の無事を喜びながら、俺の質問に答えているんだろう。
 しかし消去か……。嫌なもんだな。どうにか残せないか?
「不可能。残した場合、涼宮ハルヒの記憶がそれによって甦り、自分の能力に気付く恐れがある」
 だろうな……。悲しいもんだよ、あれでも妹として可愛がってたんだ。
355ペンギン♂:2007/01/10(水) 00:03:55.47 ID:dTzZORTZO
支援
356シスターパニック! ◆mtod1dSyOc :2007/01/10(水) 00:05:43.64 ID:wXuGVT4KO
 思わず溜息が出た。ちょっとした出会いと別れか。……仕方が無いと言えばそれまでだけどな。
 隣りの部屋で寝ているハルヒのことを思いだした。
 記憶の改竄をするなら、あの告白も覚えてないのか。……約束も。
 部室で聞かせろ……だったよな。
 長門。ハルヒの記憶をいじったら、俺とハルヒを眠らせたまま部室に送ってくれないか?
 珍しく、長門が誰にでもわかるような驚きの表情を浮かべた。
「……何故?」
 約束したんだよ。あいつが忘れてても、俺が忘れられん。……それに、約束を破ると針千本飲まされるからな。
 指に光るリングに目をやった。消えちまったあいつも『ハルヒ』だからな。
 長門は古泉や朝比奈さんとしばらく顔を見合わせると、頷いた。
「……わかった」
 よし、これで俺の役割はここまでだ。
 襖を開けて、ハルヒの手を握って横になった。
「ふふふ、キョンくん。やっとわかったみたいですね」
「そうですね。最初からこのように出来れば手間はかからなかったのですが……」
 二人の話し声を聞きながら俺は深い闇に潜っていった。次に目が覚めたら部室か。
 ハルヒはなんて言うかな……。


 目を覚ますと、見慣れた景色はなく、ハルヒの寝顔がそこにあった。……天使みたいだ。
「ん……ぅ……わわっ! キョン、何で!? えぇっ!?」
 ハルヒはかなり慌てて起き上がった。そりゃ、起きたら俺と一緒に部室で寝てたら慌てるよな。
 軽く暴れるハルヒの手を、離さないように強く握り締めて声をかけた。
 おはよう、ハルヒ。
「あぅ……は、はい。おはよ……」
 キャラが変わってるな。まだ、全然状況を把握出来てないんだろうな。
357シスターパニック! ◆mtod1dSyOc :2007/01/10(水) 00:06:25.68 ID:wXuGVT4KO
「……って、バカキョン! 何してたのよ、何日も学校来ないってどういうこと?」
 長門の記憶改竄によると、俺が何日も学校を無断欠席したってことになってるらしいな。
「し、心配したんだからね……。団長として……」
 あぁ、悪かった。いろいろとあったんだ。
「そう……じゃなくてあんた! どうして手を握ってるのよ! 離しなさい!」
 ……嫌だね。離したら距離とるだろ。とりあえず落ち着いて話を聞け。
 ハルヒにしては珍しく、従順におとなしくなった。妹ハルヒの名残か?
 いや、そんなのはどうでもいい。今はたった一つの言葉を伝えるのが先だ。
 ハルヒ、よく聞けよ。

『俺は、お前が好きだ』

 ハルヒは、口をパクパクさせて、目を丸くして顔を近付けてきた。
「な、ななな何言ってんのよ! ……あ、あたしちょっと用事が!」
 だから、逃げるなって。
 さらに手を強く握って、引っ張った。
「は、離してってば! ほら、家に帰んないと心配かけるし、ね!?」
 ……俺のこと、嫌いか? もし、そうなら……離すから。
 握る力を緩めて、ハルヒの意思に任せた。……まぁ、心変わりなんてよくあることだしな。
 昨日までのハルヒが俺を好きでも、今日になったら変わった……でもしょうがないさ。
 すでに、俺達の手は指先が触れ合ってるだけになっていた。……と思ったら、俺の手は包まれた。
「バカ。嫌いなわけないじゃない。ただ……驚いただけよ」
 両手で包まれた俺の右手は、そのままハルヒの胸元に持っていかれた。
「……うれしい。ありがと」
 俺も、うれしいよ。
358ペンギン♂:2007/01/10(水) 00:06:56.25 ID:dTzZORTZO
支援
359あざらし♀:2007/01/10(水) 00:07:29.99 ID:eT/mFhlWO
支援
360シスターパニック! ◆mtod1dSyOc :2007/01/10(水) 00:08:35.35 ID:wXuGVT4KO
 そう言うと、喜びがフツフツと湧き上がってきた。これが本当の幸せか。……良いもんだな。
「ねぇ、キョン。あたしのこと、どれくらい好き?」
 あ〜……、海よりも深く、山よりも高くだな。
「もっと具体的に! あたしはね、これくらい好きよ」
 強烈な衝撃と共に床に倒れこんだ。妹に飛びつかれるのをハルヒにやられたわけだ。
「どう? 具体的でしょ」
 なんて奴だ。今浮かべてる笑顔が、今までに見たどんな笑顔よりもかわいい。
 こんな笑顔を隠し持っていたとは……うむ、至福だ。
 ハルヒを抱きかかえながら唇にキスをして、5秒程押しつけた後、ゆっくりと顔を離しながらハルヒに話しかけた。
 俺は、これくらい幸せだな。
「……バカキョンのくせに生意気」
 生意気でけっこうさ。とりあえず一回帰るか。
 窓を見ると、陽がそれなりの位置まできている。
 部活動生達の声が聞こえるから今日は土曜か日曜だな。……デートとかしたいな。
 立ち上がろうとした俺を、ハルヒは止めた。
 ……どうした?
「一つ、約束してよ」
 なんだ? メチャクチャ真面目な顔して。
 さっきまではしゃいでいたのが嘘のように、真面目な顔をしていた。……すぐに赤くなったが。
「あ、あ〜……あたしを、し、し、幸せにしてよね!」
 正直、驚いた。今のこいつはただの一般的な恋する少女になっている。
361ペンギン♀:2007/01/10(水) 00:09:18.25 ID:dTzZORTZO
支援
362シスターパニック! ◆mtod1dSyOc :2007/01/10(水) 00:10:25.82 ID:wXuGVT4KO
 神様だとか、進化の可能性なんかじゃない、恋する高校2年生だ。……初めて見るな、こんな顔をしてるハルヒは。
 あぁ、任せろ。絶対に幸せにしてやるよ。
「約束なんだからね! ほらっ、小指だして!」
 ハルヒに言われるがままに、小指をだした。

――ゆびきりげんまんうそついたらはりせんぼんのます、ゆびきった――

 学園祭ライブの時のような真面目な声じゃなかった。
 それは、おどけるような、照れ隠しをするような、優しい優しい声だった。
 そんな声で歌われた『ゆびきり』の歌を聞いて、自然と涙が零れた。……恥ずい。
「ちょ、ちょっと! なに泣いてんのよ!」
 わ、悪い。ちょっとある奴のことを思い出しちまった。……なんでお前が泣いてんだよ。
 涙を拭いハルヒの顔を見る。その頬に伝うのは、一筋の涙だ。
「あたしは泣いてないわよ、泣いてるのはあんたじゃない。……まさか、照れ隠しのつもり?」
 泣いてる様子など全然見当たらないくらい平然と、ハルヒはそう言い放った。
 いや、本当だぞ。ほら。
 ハルヒの涙を指で掬い、見せてやった。
「ほんとだ……何で?」
 いや、俺に聞かれても。
「あたしには思い出すような人とか事とか無いのに……。泣いてるのも気付かないくらい自覚も無いのよ?」
 そうか、そうなんだな。この涙は、妹ハルヒの涙だ。もう消えてしまったあいつの涙なんだ。
 ハルヒに聞こえないように、顔を背けて呟いた。
 ……悪かったな、約束、守れなくて。
「え? 今なにか言った?」 いーや、なんにも。それより、どこか行くか? デートしに。
「え!? で、デートってあんた……」
 嫌ならいいんだが……。
363にしん♂:2007/01/10(水) 00:11:15.17 ID:dTzZORTZO
支援
364シスターパニック! ◆mtod1dSyOc :2007/01/10(水) 00:11:36.38 ID:wXuGVT4KO
「あ〜、違う違う! 行く、連れてって! えっと……街! 買い物でいいわ!」
 わかったよ。じゃあ、行くか。
 立ち上がってズボンをはたくと、ポケットに異物感を感じた。なんなんだ?
 これは……いつの間に?
 俺が妹ハルヒに買ってやったペアリングの片割れ。それが何故か俺のポケットに入っているわけだ。
「どうしたのよ。早く行きましょ?」
 ……まぁ、選択肢は一つしかないよな?
 ハルヒ、手繋ぐから手を出せ。
「む……わ、わかったわよ。まったく……普通、男なら黙って手を取るでしょ?」
 文句を言いながら渋々と出されたハルヒの手を取り、リングをつけてやった。
 これ、お揃いだからな。プレゼントだ。
 それだけを伝えると、すぐに足早に部室を出た。何故かって?
 恥ずかしくて真っ赤な顔を見せられると思うか? 俺には無理だね。
「ま、待ちなさいバカキョン!」
 俺は、階段手前でハルヒに捕まった。
 ……かと思うと、さっきのお返しと言わんばかりにキスされた。……誰かきたらヤバいよな。
 おい、いきなり何しやがる!
「んふふ〜。あたしね、今、これくらい幸せになっちゃったから! 教えてあげたのよ!」
 ……ははは、ニヤけちまう程幸せだな、こりゃ。
 行こうぜ、ハルヒ。
「うん!」
 今度こそ、きちんと手を繋いで階段を降りて行った。
 付き合い始めたついでに、今日からは、奢りじゃなくてワリカンになるとうれしいんだがな。……頼むぜ、ハルヒ。


 唐突に始まった、ハルヒが妹になるという騒動がやっと終わった。
 妹ハルヒとの別れはけっこう辛いものがあったが、これはこれでしょうがない。
 それよりも、元のハルヒとずっと一緒にいれることの方が幸せ過ぎてな。
365シスターパニック! ◆mtod1dSyOc :2007/01/10(水) 00:13:02.00 ID:wXuGVT4KO
 結局、長門や古泉や朝比奈さんも、ハルヒが起こす超常現象が少なくなり、穏やかな毎日を過ごしている。
 ……まぁ、全部丸く納まってるってわけだ。
 ちなみに、今はSOS団が全員、俺の家で遊んでいる。理由は雨だ。まったくもって忌々しい。
「でね、最近ハルにゃんがよく家に来るようになって思ったの! 昔からお姉ちゃんがいてくれたらよかったのにって!」
 ……おいおい、妹よ。話が楽しいのはわかるが、頼むからふざけたことを言うな。
「ふえぇ〜……、確かに、涼宮さんがお姉ちゃんだったら楽しそうですよね」
 朝比奈さんまで……頼むからその話題を煽らないでください。悪気はないんだろうが。
「わたしも、興味がある」
 おい、長門。
「僕も、涼宮さんみたいな素敵な方が姉に欲しかったですね」
 こいつに至っては確実に楽しんでやがるな。後で追い出すか。
 ハルヒ、こんなふざけたことに耳を貸すなよ。お前は俺の……いや、何でもない。
「ちょっと! 『俺の』の続きは何なのよ?」
 続きは言わなくてもわかるはずだ。そうさ、こいつは俺をからかって遊んでるだけなのさ。
 だから、たまにはやり返してもいいだろう?
 『俺の』の続きはな、大事な大事な彼女……だ。だからな、姉なんかになってもらっちゃ困る。
「おやおや」「ふえぇ……」「…………」
 3パターンの反応と共に、ハルヒは顔を真っ赤にしていた。
「ば、バカ! あんた、み、みんながいる前で何言ってんのっ!」
「ハルにゃん、顔真っ赤だよ〜!」
 こういう時に、空気の読めない妹が役にたつな。ハルヒは一人、壁の方を向いて顔を見られないようにしていた。
 ハルヒへの仕返しも終わり、俺は外の様子を窺った。すっかり雨は止んでいる。
 よし、雨もあがった事だし、探索に行くか。
366シスターパニック! ◆mtod1dSyOc :2007/01/10(水) 00:14:12.65 ID:wXuGVT4KO
 手早くみんなを部屋から追い出して、ハルヒと二人になった。
 ほら、ハルヒ。みんな待ってるから行こうぜ。
「あ、あんたが仕切らないでよ。団長はあたしなんだからっ!」
 へいへい、行きましょうぜ。団長様。
「……その前に、さっきのうれしかった言葉のお礼よ」
 ハルヒは短くキスをしてきた。ほんの一瞬、触れただけのキスだったがな。
「じゃあ、遅いほうが奢りだからっ!」
 元気よく俺の部屋を飛びだして行く後ろ姿。
 やれやれ、ジメジメしてるのに元気だな。ま、そういう所が好きなんだけどな。
 階段をうるさく音を立てて降りて行くハルヒに、俺は大声で呼び掛けながら追いかけた。
「おい、ハルヒ! 俺達の分はワリカンだからな!」


おわり


以上です、長々とすみませんでした。支援ありがとうございましたorz
これで完結です。
367あざらし♂:2007/01/10(水) 00:14:58.05 ID:dTzZORTZO
GJ!
368ケセランパサラン♀:2007/01/10(水) 00:17:17.19 ID:zfikX08UO
乙!
369カンムリワシ♂:2007/01/10(水) 00:17:33.57 ID:5Z+CCR5NO
完結乙!
楽しませてもらったぜ!
370ラッコ♂:2007/01/10(水) 00:18:00.96 ID:eT/mFhlWO
ぶああぁ!甘い!良いですねぇ〜
ぜんぜんgdgdじゃなかったですよ?

長編乙でした!
371うまさん♂:2007/01/10(水) 00:27:36.46 ID:HQLb5MBTO
保守
372いたち♂:2007/01/10(水) 00:29:55.60 ID:Xm3cIM2cO
乙!かなり楽しめた!才能あるなぁ〜
373トラ♂:2007/01/10(水) 00:32:28.71 ID:KytForjXO
乙!


それと、7,8レス借ります
374カンムリワシ♀:2007/01/10(水) 00:32:45.35 ID:mEJMwfQf0
乙だぜ。とてもあまあまだねw
375ぞう♂:2007/01/10(水) 00:33:19.71 ID:WHteumMK0
乙!最後にここまで甘い展開を持ってくるとは。
それにしても今日は続き物投下が多いな・・・
376雷鳥♂:2007/01/10(水) 00:35:03.92 ID:zfikX08UO
>>373
こいこいこいこ〜い
377人面魚♂:2007/01/10(水) 00:35:11.70 ID:B60VIFBM0
wktk
378月光 ◆EqlMeG/bH. :2007/01/10(水) 00:36:09.48 ID:KytForjXO
日常もの、かな?
迷走してます
では。

 それは唐突で意味不明なハルヒの一言から始まった。
「そうだっ! 古泉君よ!」
 また、突然何を言い出すのか。
 こいつは全人類が自分の思考回路と同期していると勘違いしているから、
 往々にしてこのように言葉が足りなくなる。
 だからこそ誰かが通訳になる必要があるのだが、なんでそれが俺なんだ?
 たまには誰か替わってくれよと思いつつ、
「古泉がなんだって?」
「だから、古泉君の家よ!」
「……」
 やっぱり誰か替われ。
「僕の家がどうかしましたか?」
 ハルヒはお得意の百ワットの笑顔で解説を始めた。
「思ったんだけど、あたし古泉君の家に行ったことないのよ!」
 だからどうしたと思いつつ、
「それで?」
「古泉君の家に行きましょ!」
「それはそれは」
 古泉が苦笑している。
「何でそんなに唐突なんだ、お前は」
「いいじゃない。もうすぐ団も一周年だし、親睦を深めるにはもってこいよ」
 古泉と親睦を深めるより、朝比奈さんと親睦を深めたいものだね。
 そういえば俺は彼女の家を知らないな。古泉の家じゃなくて朝比奈さんの家に行かないか?
 と、考えていた俺だが、気付けばハルヒがジト目でこちらを睨んでおり、
379人面魚♂:2007/01/10(水) 00:36:23.25 ID:B60VIFBM0
支援
380月光 ◆EqlMeG/bH. :2007/01/10(水) 00:37:21.74 ID:KytForjXO
「マヌケ面」と、断罪しやがった。
 おいおい。
「どうせみくるちゃんの家でも夢想していたんでしょ、エロキョン」
 実に鋭く俺の心を読み、しかし標的を素早く変更して、
「古泉君、お邪魔してもいい日ある?」
 古泉は顎に手をやり、
「そうですね……」
 とはいえ、俺も超能力者の家ってやつが気にならないと言えば嘘になる。
「では、今日来ますか?」
 ああ、今日か。今日は特に用はないから……って、
「今日?」
 何とも急な話であると思うのは俺だけらしく、
「思い立ったが吉日よね! さすが古泉君! みんなも良いわね?」
「大丈夫です」
「……」と、うなずく長門。
 朝比奈さんと長門がそれぞれの方法で賛成を表明し、
「キョンもどうせ暇でしょ?」
 とは疑問の形を取った確認、あるいは命令。どうも俺には選択肢はないらしい。
「というわけで、出発よ!」
 俺の返事も聞かずにハルヒは宣言しやがった。なんて奴だ。
 ……どうせ暇だけどな。というか、暇じゃなきゃここに来ないさ。


 たどり着いたのは鶴屋邸や阪中邸には及ばないものの、それでもなかなか立派な一軒家だった。
 中の上とでも言おうか。
「どうぞ」
381人面魚♂:2007/01/10(水) 00:37:31.43 ID:B60VIFBM0
支援
382月光 ◆EqlMeG/bH. :2007/01/10(水) 00:38:24.80 ID:KytForjXO
 と言いつつ古泉が玄関を開けた。
「あいにく父も母も今日はいないんですよ」
 リビングに通されたが、飲み物を持ってくると言った古泉に俺はついて行った。
 俺が口を開くより早く、
「聞きたいことは分かりますよ」
 なれた手つきでコップを取り出し飲み物を注ぐ古泉。
「だろうな」
 ここは本当に古泉の家か否か。
 古泉はいつもの笑みのまま、
「禁則事項、ってことで手をうちませんか?」
 俺が何も聞けないのに手をうつとか言うな。手をうつ、は俺の言うべき台詞だろう。
「ですが世の中には知らない方がいいこともありますから」
 はて、お前はそんな危ない人間だったかな?
「どうでしょう」と古泉はごまかすように笑い、
「……すいませんが半分持っていただけませんか?」
 俺に並々と注がれたコップを二つ差し出す。
 別に断る理由もないので受け取り、リビングに戻る。


 リビングではハルヒが、
「あ、古泉君。これ弾いてもいい?」
 と、ピアノの前に座って言った。
 学校にあるようなどでかいグランドピアノではなく、こじんまりとしたアップライトピアノだが、
 それでもなかなかスペースを取る。楽器に縁のない俺からすれば邪魔なものだ。
383人面魚♂:2007/01/10(水) 00:38:43.58 ID:B60VIFBM0
支援
384雷鳥♂:2007/01/10(水) 00:39:33.29 ID:zfikX08UO
支援
385月光 ◆EqlMeG/bH. :2007/01/10(水) 00:39:42.09 ID:KytForjXO
「殺伐とした奴ねえ」
 ハルヒはあきれたように言い、古泉は微笑ましげに俺たちを見ながら、
「どうぞご自由に弾いてください」
 ハルヒは鍵盤の上に柔らかく指を置き、一音だけ鳴らした。
「ピアノなんて久々だわ」
 こいつの場合久々だろうと初めてだろうなんだろうと人並み以上にこなすんだろうな。
 それからハルヒは軽く目をつぶり、また開けて音を紡ぎ出した。


 ゆったりとした綺麗な曲だった。それくらいしか言えないのが何とも虚しい。
 詳しくない俺が言うのも何だが、やっぱりハルヒは上手かったぞ。
 ……しかしまあ、この団長様がこんな曲を弾くとはね。
 ハルヒが弾き終わって古泉がニコニコと、
「『悲愴』の第二楽章ですね?」
 ハルヒは我が意を得たりと言わんばかりに笑い、
「さすが古泉君ね」
「何だ、そのひそうって曲は?」
 ハルヒが見下すように、
「あんたねえ、ベートーヴェンの三大ピアノソナタくらい覚えときなさいよ。
あんたが将来どうなるか分からないけど、芸術的な教養くらい持ってないと」
 大丈夫だろ。どうせ俺は芸術には縁がない生活を送るに違いないんだ。
386人面魚♂:2007/01/10(水) 00:39:51.21 ID:B60VIFBM0
支援
387月光 ◆EqlMeG/bH. :2007/01/10(水) 00:41:12.47 ID:KytForjXO
「あんたがどうこうじゃないわよ。
もし億万が一普通の会社勤めして、取引先の人にそういう趣味があったらどうする気?
音楽は分かりません、なんて言うより何百倍も良いでしょ!?」
 億万が一って、……俺がなぜお前に将来設計されなければいけないんだ?
「それにあんたがそんなことも知らないとあた、
……じゃなくてあんたの将来の奥さんが恥かくわ!」
 そんなものかね?
「そんなものよ!」
 断言するハルヒ。
「それにしても涼宮さん、上手でしたねぇ」
 朝比奈さんが憧れるように言う。
 ハルヒがその台詞から何をどう解釈したかは分からないが、
「なあに、みくるちゃん、ピアノできないの? 駄目よそんなんじゃ。
あたしが、きっちり教えてあげるわ」
 ハルヒがニンマリ笑っているところをみるとまともに教えるつもりはないらしい。合掌。
「えええ遠慮……」
「しなくていいわ!」
 朝比奈さんの後ろに回り込み手を掴むハルヒ。
「ぴええぇー」
 ほら、指はこっち、と字面だけは厳めしいがもの凄く弾んだ声をBGMに俺は飲み物を啜った。
 長門辺りにやらせたら完璧にこなすんだろうなと思いつつ、
 長門のいた方に視線を向けるとなぜか古泉がいた。
388人面魚♂:2007/01/10(水) 00:41:24.58 ID:B60VIFBM0
支援
389月光 ◆EqlMeG/bH. :2007/01/10(水) 00:42:23.05 ID:KytForjXO
 腹立たしいと思いつつもちょっとした疑問をぶつけてやる。
「お前は弾かないのか?」
「はい?」
 不意打ちくらって呆然としているような古泉に、
「お前はピアノを弾かないのか?」と繰り返す。
 途端に朝比奈さんの悲鳴がやんだ。なぜならばハルヒが、
「そういえばそうね。古泉君は弾かないの?」
「別に聞かせるほどのものでは……」
 珍しくしどろもどろな古泉。
「いいじゃない、減るものでもないでしょ」
 そういって古泉をピアノ前まで誘導する。
「ぜひ聞いてみたいです」
 ぐおっ、朝比奈さんにそう言われるなら俺も習えばよかった。
「わたしも興味がある」と長門。マジかよ。
「というわけよ!」
 古泉は救いを求めるように俺を見ていたが、何か覚悟したらしく急に顔を引き締めて、
「それでは」


 暗く物悲しい曲調。穏やかな旋律。うん、やっぱり音楽的感性ゼロだな、俺は。
 やがて古泉が鍵盤から手を離し、音の余韻が消えた頃にまた手を置いた。
 今度は一転して明るく弾んだ調子の曲だった。
 そしてまた、曲調が一転する。
 それはとても激しく力強い曲だった。今までのゆったりとした雰囲気を壊すかのような。
390人面魚♀:2007/01/10(水) 00:42:28.76 ID:B60VIFBM0
支援
391月光 ◆EqlMeG/bH. :2007/01/10(水) 00:43:36.02 ID:KytForjXO
 ……俺にこれ以上は伝えられないな。ただ、弾き終わった古泉の顔は満足そうだった。
 気付けばもう二十分も経っていた。
「……」
 誰一人として口を開こうとしなかった。


「……参ったわね、びっくり」
 最初に口を開いたのはハルヒだった。
「すごいです……」
 長門でさえ感心したような雰囲気を醸し出している。
 そんな称賛の対象となっている古泉は、
「おや、もうこんな時間ですね」
 と、我関せずである。もしかしたら古泉流の照れ隠しかもしれないが。
「そろそろお開きにしませんか? 途中まで案内しますよ」
 古泉に促されるように家を出る俺たち。


 その帰り道のことである。
 俺と古泉はハルヒたち三人の前にいた。
「あの曲はなんていうんだ?」
 古泉は少し驚いたような顔をし、
「通称『月光』です。やはりベートーヴェンの三大ピアノソナタの一つですよ。
一度くらい聞いたことありませんか?」
 どうだかな。
「わかってはいたけどお前もすごい奴だな」
「あなたに褒められるとは。珍しいですね」
 古泉が笑いやがるので俺はそこで会話を打ち切った。


 さて、これは古泉が家に引き返す直前のできごとである。
392人面魚♀:2007/01/10(水) 00:43:45.65 ID:B60VIFBM0
支援
393月光 ◆EqlMeG/bH. :2007/01/10(水) 00:44:53.65 ID:KytForjXO
「古泉君、ちょっといい?」
「なんでしょうか」
 ハルヒは躊躇し、
「古泉君はあの曲がどうして作られたか知ってるわよね?」
 今度は古泉が一瞬黙り、
「……ええ」
「知っててわざわざあの曲弾いた?」
「……はい」
 ハルヒは途端に古泉から視線を逸らし小さく頭を振ってから、
「じゃ、みんな解散ね」
 そう言って一人で駆け出して行った。


 長門と朝比奈さんもそれぞれ家路についたが俺だけなぜかその場にとどまっていた。
 ハルヒと古泉の間で何か大きな事が起きた気がしたからだ。
「……」
「……」
 古泉がぽつりと、
「……月光はベートーヴェンが彼の教え子のために作った曲なんです。
彼はその教え子に恋をしていた。しかし身分の差からその恋は実らなかった」
 実らぬ恋、と古泉は繰り返し、
「涼宮さんもこのエピソード、知っていたみたいですね」
「お前まさか……」
「本当はあれを弾くつもりじゃなかったんですよ。だけど気付いたら弾いていた。
たった一人に聞かせるために……」
 古泉は黙った。俺も黙った。
「……なんで今日はこんなに感傷的になってしまうのやら」
 古泉は手を広げて大袈裟に首を振り、
「忘れてください」
394人面魚♀:2007/01/10(水) 00:45:12.21 ID:B60VIFBM0
支援
395月光 ◆EqlMeG/bH. :2007/01/10(水) 00:46:28.24 ID:KytForjXO
 そう言って古泉はもと来た道を引き返した。
 月光に照らされたその道を――。
FIN.


えー、俺の文章ごときではどんな曲だか全く分からなかったと思います。
伝わらなくても問題はないんですが、一応補足。
作中でも古泉辺りにいわせましたが
ハルヒが『悲愴』の第二楽章、古泉が『月光』全部を弾いた事になってます。
どちらもベートーヴェン作のソナタです。
二曲とも有名ですからちょっと探せばすぐでてくるかと……
というか、クラシックに興味ある人いるんだろうか?
396月光 ◆EqlMeG/bH. :2007/01/10(水) 00:47:07.20 ID:KytForjXO
以上です。
支援ありがとうございました。
397人面魚♀:2007/01/10(水) 00:47:34.87 ID:B60VIFBM0
GJ!
何とも…古泉はイイ男ですね…
398カンムリワシ♂:2007/01/10(水) 00:49:42.30 ID:zfikX08UO
乙だっぜ!
399けむし♀:2007/01/10(水) 00:51:19.97 ID:yI2v6WGU0
乙!
古泉の片思い推奨派じゃないんだが
やっぱりこういう話も好きなんだよ・・・。
400月光 ◆EqlMeG/bH. :2007/01/10(水) 00:51:46.12 ID:KytForjXO
ミスったorz

以上です。
支援ありがとうございました。
wikiには自分で……
ちなみにこれは古泉→ハルヒ→キョンの失恋もので決して
古泉→キョンの実らぬ恋というわけではないです。

あと、放置している長編が一個ありますが、しばらく続きません
ごめんなさい。
401がらがらへび♀:2007/01/10(水) 00:52:37.36 ID:eT/mFhlWO
クラシックはさっぱり分からんですねぇ
家にCDがあるかもしれんから聴いてみるか

つーかピアノ弾ける男子ってかっこいいよね
402いぼいのしし♀:2007/01/10(水) 00:53:52.52 ID:32yF3BRM0
GJ
月光は聞いた事あるでよ 中々いい曲
403おこじょ♀:2007/01/10(水) 00:55:28.98 ID:Xm3cIM2cO
乙!二つともいい曲。聴いてソンはしない
404ポニー♂:2007/01/10(水) 00:58:21.77 ID:Zs6LQnJG0
このスレの>215-226あたりで長門がひどい目に・・・orz

http://tv8.2ch.net/test/read.cgi/tvsaloon/1167662103/215-226
405ぬこ♂:2007/01/10(水) 00:59:25.21 ID:KytForjXO
よく考えるとまた古泉損な役だ
うーむ……次は古長、古鶴辺りにでもするか

あと>>403の言う通り二つともいい曲だよ
特に月光第三楽章はかっこいい

さて、明日学校あるし寝る
ノシ
406ペンギン♀:2007/01/10(水) 01:04:44.22 ID:dTzZORTZO
初めて書いたんですが、5レス程投下させてもらいます。
既出のネタのようがするけど…

文章の変な所や書き方の変な所があるかと思いますが悪しからず…
407進路:2007/01/10(水) 01:06:00.61 ID:dTzZORTZO
『2年 涼宮ハルヒさん至急職員室に来て下さい』


おいおい、新学年早々呼び出しかよ…
今度は一体何をやらかしたんだ…?

「どうしたキョン? 嫁の事が心配か?」

うるさいぞ谷口。それに誰が誰の嫁だって?
いい加減埋めてやろうか?
「まぁまぁキョン。谷口も寂しいんだよ…」
「何ぃ!?誰が寂しいだって!?」
「あれ?こないだまたフラれたって言ってたじゃないか」
「お、おい!それは言わない約束だろ!」

お前らの方がよっぽど夫婦に見える訳だが…
408進路:2007/01/10(水) 01:06:55.10 ID:dTzZORTZO
「なぁハルヒ、さっきの呼び出しは何だったんだ?」

「進路よ、進路」

「ん?お前志望大学でも変えるのか?」

「あたし進学はしないわ」

「って事は就職でもするのか?」

「うーん…まぁ就職っちゃ就職ね」

「何だそりゃ… それにしてもえらいいきなりの進路変更だな」

「まぁね。 あたしが本当にやりたい事が最近解ったて感じかな」

おいおい… 頼むから【株式会社SOS】なんてのを設立しないでくれよ…
409進路:2007/01/10(水) 01:07:53.25 ID:dTzZORTZO
「何? 何か言った?」

「いや別に… ところでどんな所に就職したいんだ?」

「べ、別に今知らなくても良いでしょ! いずれ解る事なんだから!」

「まぁお前がそこまで言うなら詮索はしないけど…」

何なんだよ…いきなり怒鳴って…
俺なんか変な事言ったっけ…?



「どうしたんですか?岡部先生」

「いや、ちょっと進路の方でね…」

「あ! また進路希望調査に『ニート』とか書いてあったんでしょ?」
410あざらし♂:2007/01/10(水) 01:08:53.75 ID:dTzZORTZO
「いや、そんなのまだ温いですよ…」

「…え?」

「これを見て下さい…」



 2年進路希望調査
   5組 涼宮ハルヒ

・進路希望
   就職

・進路希望先
   キョンの嫁



「……どうしましょうか…?」

「えっと……あぁ……」


おわり。
411あざらし♂:2007/01/10(水) 01:09:43.35 ID:dTzZORTZO
以上です。

いやぁドキドキしたぜwww
412カンムリワシ♂:2007/01/10(水) 01:10:59.99 ID:5Z+CCR5NO
乙!
こんな甘さもあったんだなwww
413かんがるー♀:2007/01/10(水) 01:11:47.01 ID:d/m2cBJhO
なんという甘さ…
こういうの好きだ
414白熊♂:2007/01/10(水) 01:12:47.75 ID:32yF3BRM0
ちょww岡部先生敬語かよww
ともあれGJ
415カクレクマノミ♀:2007/01/10(水) 01:15:14.78 ID:nas9j9s30
>シスターパニック!
完結お疲れ様でした。
最後の最後に、ほろ苦い激甘とは、結構なお点前で。
>月光
クラシックは好きだけど、バロック中心なので、じつは三大ピアノソナタ知らない……

続きを書く時間がなかなか取れない罠
416∩∩♂:2007/01/10(水) 01:18:53.41 ID:7Rgka+oq0
>>406-410
乙。ストレートな甘さでワラタw
>>2にまとめの妖精さんがいるからお願いしておいて
417七面鳥♂:2007/01/10(水) 01:22:20.00 ID:YcqMW2Y00
月光って確かPSのバイオハザードで弾いてたよな
仕掛けかなんかで
違ったっけ?
418年明けバカポー。:2007/01/10(水) 01:22:27.74 ID:xQPDAxaj0
ちょっと遅れたけど正月ネタ。
激甘です。


「ねぇキョン!あたしと勝負しましょう!
負けたら勝った人の言うことを何でも聞くのよ!」
年明けまであと数十分。
年越しは二人っきりでと約束していたので、
今は俺の部屋でテレビを見ているところだった。
さてそろそろ時報でも用意するかと思っていたところで
ハルヒがそう言い出した。

「いいけど…勝負って何するんだよ?」
勝負ごとでハルヒに勝てる気なんて1%もないんだが
乗らないと不機嫌になるのは目に見えているから
乗らない訳にはいかない。
新年早々喧嘩するのも嫌だしなー。
419ピクミン♀:2007/01/10(水) 01:23:30.10 ID:zfikX08UO
支援
420年明けバカポー。:2007/01/10(水) 01:24:35.98 ID:xQPDAxaj0
「ふふふ…ルールはいたって簡単よ!
年があけてから5分以内にキョンがあたしにキスできたらキョンの勝ち、
一回でもキスされたらあたしの勝ちよ!」
「…わ…わかった。」
正直そんな勝負を持ちかけられるとは思わなかったせいで声がうわずってしまった。
「3・2・1…年が明けたわ!勝負開始よ!」
「……」
どうするか。ここで負けたら無理難題を押し付けられるのは明白だ。
よし。正攻法で攻めるとするか。
「ハルヒ」
「なっなによ!」
真剣な眼差しで瞳をみつめ
口を塞いでいる両手にそっと手をかけて
少し強引にハルヒの口を塞いだ。
「3分もたたないうちに俺の勝だぜ?」
「…っ!!卑怯よ!そんな真剣な目であたしを見るなんて!」
「まぁ、勝ちは勝ちだ。言うことを聞いてもらおう。」
「…変なことだったら承知しないから!」
顔を赤く染めて言ってもかわいいだけで、なんの凄みもないぞ。
「なに、簡単なことだ。」
そう今更特別なことはなにもない。
「今年も一年仲良くやろうな。明けましておめでとうハルヒ。」
421年明けバカポー。:2007/01/10(水) 01:24:52.01 ID:xQPDAxaj0
終了です。
422ラッコ♂:2007/01/10(水) 01:26:12.15 ID:dTzZORTZO
GJ!
凄く甘いです…
423雷鳥♂:2007/01/10(水) 01:30:36.31 ID:zfikX08UO
甘ああぁあおあぁぁい
424ししゃも♀:2007/01/10(水) 01:35:17.40 ID:1HPAkLSTO
乙!
キョンに掘れたぜ!
ところで、「五分以内にハルヒにキスしたらキョンの勝ち」「一回でもキスされたらハルヒの勝ち」
どっちも勝ってしまうがな(´・ω・`)
425いぼいのしし♂:2007/01/10(水) 01:35:53.15 ID:32yF3BRM0
甘〜いな GJ!
くそー俺も投下したいが長編だからな しかもネタ詰まりorz
426年明けバカポー。:2007/01/10(水) 01:36:17.79 ID:xQPDAxaj0
あっしまったw

一回でもされたらあたしの負けね!

ですねw失礼しましたw
427ニャンまげ♂:2007/01/10(水) 01:56:16.75 ID:7Rgka+oq0
>>418>>420
これまた甘い甘い激甘だ〜GJ〜
>>2に妖精が〜
428ワニ♂:2007/01/10(水) 02:06:58.45 ID:7CoD+V0o0
ウィキほとんど繋がらないが…
みくるとハルヒだけがかろうじで閲覧可能。
「選択」って長編が書かれているが、見たくても序盤の展開を知らないから
泣く泣く飛ばしている。
429わし♀:2007/01/10(水) 02:23:40.01 ID:5Z+CCR5NO
保守
430カンムリワシ♀:2007/01/10(水) 03:00:47.26 ID:5Z+CCR5NO
WAWAWA
431∩∩♂:2007/01/10(水) 03:02:14.77 ID:7Rgka+oq0
>>428
選択、wikiに上がったみたいだよ
432小鉄♀:2007/01/10(水) 03:10:31.53 ID:OryzLUOO0
選択 よかった
こういう作品を読むと更にキャラが好きになってしまうから困る
433たると♀:2007/01/10(水) 03:22:19.10 ID:OryzLUOO0
スノウマーチも、始まり方といい終わり方といい絶妙ですね
434∩∩♀:2007/01/10(水) 04:06:52.20 ID:7Rgka+oq0
保守
435たると♂:2007/01/10(水) 04:07:27.52 ID:OryzLUOO0
シスターパニック また選択消滅ものかときっつく感じていたところにだだ甘エンド
すばらしいです

月光 曲のいわれとネタを結びつけるとは
やられました
どちらも非常にいい曲ですよね
悲壮は感じがハルヒにあっているような気がします
436たると♀:2007/01/10(水) 04:17:33.42 ID:OryzLUOO0
進路 GJ 非常にハルヒらしい しっかしこんなの出されたら参るよなー

バカポー 甘〜 あーこんちくしょ、うらやましいぞ
437だちょう♂:2007/01/10(水) 05:57:40.58 ID:eQN4NRD10
WAWAWA 忘れ物〜♪

保守
438きじ♀:2007/01/10(水) 06:38:57.89 ID:yI2v6WGU0
保守
進行速度が微妙だから予告は出来ないけど週末までに
『お姉ちゃんと一緒』の続きを投下出来たら良いな。
439かめ♀:2007/01/10(水) 06:39:04.44 ID:Xm3cIM2cO
保守
440あびる:2007/01/10(水) 06:56:24.26 ID:dTzZORTZO
保守
441りす♀:2007/01/10(水) 07:06:47.83 ID:6kVz2LbF0
天皇格闘家三沢光晴
http://ex18.2ch.net/test/read.cgi/k1/1168247300/
闘神三沢光晴
http://ex18.2ch.net/test/read.cgi/k1/1168195029/
三沢光晴
http://tv9.2ch.net/test/read.cgi/geinin/1163957378/
三沢VSベジータ
http://news21.2ch.net/test/read.cgi/slotk/1168339757/

三沢光晴VS涼宮ハルヒ
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/asaloon/1165684774/

神人にも快勝!

三沢光晴VSデスノート
http://comic6.2ch.net/test/read.cgi/csaloon/1163793190/

デスノートでも死なない!

三沢光晴VS庵野秀明
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/eva/1159295307/
442がらがらへび♀:2007/01/10(水) 08:07:03.91 ID:dTzZORTZO
保守
443ふんころがし♀:2007/01/10(水) 08:27:48.45 ID:dTzZORTZO
保守
444しゃけ♀:2007/01/10(水) 08:34:36.64 ID:TFajAWO+0
久々保守!!!
445なめくじ♂:2007/01/10(水) 08:35:16.75 ID:TFajAWO+0
sageてたぜ・・・orz
446あひる♀:2007/01/10(水) 08:57:22.85 ID:dTzZORTZO
保守
447かめ♂:2007/01/10(水) 09:01:24.60 ID:r3JbZydOO
キ「マッガーレ」
由「アッー」
448ひぐま♂:2007/01/10(水) 09:02:03.58 ID:TFajAWO+0
由?
449ひぐま♀:2007/01/10(水) 09:13:04.07 ID:TFajAWO+0
保守
450かえるさん♂:2007/01/10(水) 09:27:13.34 ID:7h4iKwb20
由良?
451パンサー♀:2007/01/10(水) 10:13:46.67 ID:Kl7+ontBO
アゲ♂
452しまうま♂:2007/01/10(水) 10:50:30.16 ID:dTzZORTZO
保守
453ゴキ♂:2007/01/10(水) 11:31:00.23 ID:d/m2cBJhO
みくる「☆」
454しまうま♂:2007/01/10(水) 11:44:07.35 ID:dTzZORTZO
アゲ
455ヒトデ♀:2007/01/10(水) 12:24:41.71 ID:tEKnIFIb0
ho<ニャー
456ロバ♀:2007/01/10(水) 12:52:25.78 ID:7Rgka+oq0
保守
457きじ♀:2007/01/10(水) 13:07:11.16 ID:5KdAzWIh0
書き終わったーやったー。
ちかれた……。
458あびる:2007/01/10(水) 13:12:29.31 ID:dTzZORTZO
>>457
お疲れー。
459か♂:2007/01/10(水) 13:51:10.32 ID:UvgImFSc0
うひょ〜う
460あひる♀:2007/01/10(水) 14:05:07.30 ID:eT/mFhlWO
保守
461しまうま♂:2007/01/10(水) 14:25:03.37 ID:dTzZORTZO
保守
462しまうま♂:2007/01/10(水) 15:00:38.96 ID:eT/mFhlWO
hohoho
463ロバ♀:2007/01/10(水) 15:19:32.77 ID:OryzLUOO0
ぷり〜ん 
ぷり〜ん。
464しかさん♀:2007/01/10(水) 15:42:26.24 ID:aAoQixb2O
保守
465VIP皇帝:2007/01/10(水) 16:05:11.89 ID:eT/mFhlWO
死刑だから♪
466か♂:2007/01/10(水) 16:38:08.38 ID:dTzZORTZO
保守
467かわうそ♂:2007/01/10(水) 16:55:23.41 ID:7TqgWwolO
暇だからカッコイイキョン君の続き書いてくる
468いぼいのしし♀:2007/01/10(水) 17:02:39.08 ID:7qsuokK+0
WAWAWA
469りす♂:2007/01/10(水) 17:28:28.59 ID:KYlRYfayO
明日投下できたらいいなぁ…

保守
470パンサー♀:2007/01/10(水) 17:32:33.26 ID:yI2v6WGU0
次の投下が何になるかは気分次第
たまには古泉の出てこない話を書くべきか・・・
471しかさん♀:2007/01/10(水) 18:03:08.90 ID:eT/mFhlWO
ほしゅ
472保守という名のリサイクル:2007/01/10(水) 18:04:46.35 ID:yTTO2ZVXO
「キョンくんは今日も格好良いですね、惚れ直しちゃいました」
 お褒め頂くのは光栄なのですが、その、胸が当たってますよ朝比奈さん。
「当ててるんです♪ 男の人ってこういうのが好きなんですよね?」
 大好きですね。このすばらしい感触を嫌いなヤツはガチホモくらいなものです。
「…………(クイッ)」
 背中に当たる柔らかい物体に心を奪われていた為に腕の動きが止まっていたようだ。長門が
裾を引っ張って続きを催促してきた。俺は自分の煩悩を戒めながら頭を撫でるのを再開した。
「…………」
 すると目を閉じて嬉しそうな気持ち良さそうな表情を浮かべる長門。頭撫でる程度でここま
で喜んでもらえるとは。してほしいときは遠慮せずに言ってくれよ。
 さて、我らが団長様がこの状況を見たならば烈火の如く怒り狂うのは誰もが容易に予測出来
るだろう。だが実際はそんな事には決してならないと断言出来る。何故なら、
「うーん、キョンの匂いー」
 当の本人が俺の胸に顔を埋めて頬摺りしているからだ。
「おいハルヒ、俺からはそんなに良い匂いがするのか? 自分ではさっぱりわからんのだが」
「んー、良い匂いとは違うわね。ただ何ていうか、落ち着くのよ。アロマテラピーってヤツ?
もしキョンの匂いって香りが売り出されたら買い占めてやるわ」
「あ、私も欲しいですー」
「……私も」
 野郎が俺の匂いでリラックスしてる場面なんて想像するだけで鳥肌が立つ。是非一つ残さず
買い占めて頂きたい。まあ売り出されるなんてありえないけどな、多分。


 そんなハーレム状態の俺を少し離れたところから見ている古泉。顔にはいつもの爽やかスマ
イルを浮かべている。何か言いたい事でもあるのか?
「いえ、仲良き事は美しきかな、と思いまして」
 皮肉に聞こえるぞ。
「まさか。偽らざる本心ですよ。あなたもご存じでしょう?」
 最初は半信半疑だったが、実体験した今はちゃんと信じてるさ。まったく、ハルヒもやっか
いな世界を望んでくれたものだ。
473か♂:2007/01/10(水) 18:07:24.50 ID:eT/mFhlWO
ハーレムすぎてキレたwww
474けむし♀:2007/01/10(水) 18:15:38.11 ID:d/m2cBJhO
ハルヒ寝取られを書いてたけどキョンが気の毒すぎてやめた
475いたち♀:2007/01/10(水) 18:26:30.66 ID:y2dosbbrO
>>474
誰に寝とられる予定だったんだ?
476消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 18:29:10.85 ID:5KdAzWIh0
予告どおり「消えていく〜」のパート12を投下したいと思います。
これまでのお話はこちら。
ttp://www11.atwiki.jp/xgvuw6/pages/2174.html
477もぐら♀:2007/01/10(水) 18:30:38.14 ID:eT/mFhlWO
支援
478消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 18:30:52.10 ID:5KdAzWIh0
――12・a――
「目覚めはどう?」
 直後に俺が感じたのはいつも聞く妹の声じゃないってことだった。違和感。でも眠くてまだはっきりとしない。
 目をこすり身を起こす。何か薄暗い気がする。まだ夜なのか?
「何言ってるの。朝よ。ちゃんとね。七時過ぎ、いつもあなたはまだ起きてない時間なのかしら?」
 夢か。そうか、でなきゃこのトーンの声が聞こえてくるはずはないな。そうかそうか。では二度寝するとしよう。
「起きて。せっかく驚かそうと思って入ってきたのに、台無しじゃないの」
 両肩をつかまれて半身を起こされる。柔らかい感触。温かい気配。
「朝倉……」
 おぼろに影を捉えた瞬間、俺はまともに立ち上がりもせずめちゃくちゃな声を上げて壁まで後ずさった。
「朝倉! どうしてお前――」
「なぜって? だって、長門さんも涼宮さんも常にあなたにつきまとってるじゃない? あなたと二人きりで話した
いなぁって思って」
 ね? と首をかしげるおなじみの仕草。俺、この場で殺されるのか? 目覚めた直後に永眠するなんてシャレにな
ってないぜ。遺言を残す時間くらい与えてくれるんだろうな。
「あなた、わたしの話聞いてなかったの? 残念だけどわたしはあなたを殺せないのよ? 指示さえなければ今すぐ
にでもやっちゃいたいところなんだけどね。だから安心して」
 やはりこいつ相手に油断していてはいけないのだ。俺は気力を総動員して壁に背をつけたまま立ち上がる。最悪の
目覚めだ。ここ一年でダントツである。
479消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 18:31:53.21 ID:5KdAzWIh0
 周囲はいつぞやと同じように薄暗い、一面灰色で、無機質な表面。情報制御――。
「あなたに会いに来るのに結構手間取ったんだから。準備に丸一日使っちゃったわ。長門さんがわたしの知らない間に
負荷と防御コードを仕込んでいてね、ふふ、さすがよね、あの子も」
 あっけらと言い放つが、つまりそれは長門の防御策を突破したってことだろう。今俺を守るものは何もないってこ
とだ。長門のバックアップでも何でもないこいつは、確実に以前よりパワーアップしている。
「新しい手段をテストさせてもらうわ。あなたの近くにいる人を次々消していくのも悪くないかなって思ったんだけど
ね、それじゃ効果を得られるまでに時間がかかりそうだから」
 俺が警戒する間もなく朝倉は俺の眼前に瞬間移動し、直後俺は朝倉に何事かささやかれた。
「……」
「さぁ、一日が始まるわよ。よろしくね」

480消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 18:33:17.94 ID:5KdAzWIh0
――12・b――
「目覚めはどう?」
 俺は学校の坂道を登りつつ、その言葉を聞いていた。朝倉の言葉だ。今、隣で俺と坂道を登っている。
「寝ぼけてるの? しっかりしてよね」
 俺の右腕をつかむ朝倉は、そう、どうして俺と歩いてるんだっけ?
「あなたはわたしの彼氏でしょう? いつも一緒に登下校してるじゃないの」
 ……そうだっけか。春。坂道。俺は何年生だっけ。
「2年5組。わたしと同じクラスじゃない。もう、本当に大丈夫かしら」
「あ、朝倉! おはよー!」
「涼宮さんおはよう」
「あれ、キョンはまた寝ぼけてんの? まったくしょうがないわね」
 後頭部を何かで殴られる。鞄か? いてぇじゃねぇか。
「アンタがそんな眠そうにしてるからよ。どうしてこんなのに朝倉みたいなのがくっついてるのか、さっぱり分からな
いわ」
 お前に言われる筋合いはねぇな。誰がなんと言おうと俺と朝倉は普通の高校生カップルだ。
「あっそう。じゃぁね。急がないと遅刻するわよ」
 ハルヒが坂道を駆け上がっていく。うん。いつもの風景だよな。
「ねぇ、本当に大丈夫? どこか具合が悪いとかじゃないわよね?」
 大丈夫だ。何ともない。ただ頭がぼんやりするだけだ。
「そう、ならよかった」
 朝倉はにっこりと微笑んだ。そう、俺にはこんなに素敵な彼女がいる。
481消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 18:34:19.27 ID:5KdAzWIh0


 授業が始まる頃には寝ぼけていた俺の頭もすっかり回復し、まぁ、板書や内容理解ははかどらないけどもだ。
 変わらぬ日常風景が今日も幕を開けた。
「しかし、お前と朝倉が付き合っちまうとはなぁ」
 休み時間に谷口が言った。
「やられたぜ。先を越されたとはこのことだ。キョンも隅に置けねーよな」
「僕も意外だったな。僕はてっきりキョンは涼宮さんのことが好きなんだと思ってた」
 おいおいお前たち。いくら俺でもあんな変てこかつ奇矯かつ傲慢な女に惚れたりしないっての。
 まぁ、ハルヒは確かに面白い奴だ。だがな、俺はそれだけでいつ爆発するか分からない火薬無限の不発弾を持つよ
うな真似はしないのさ。彼女にするならもっと真っ当な性格を持つ人間にしようと前々から決めていた。
「へっ。あんな妙ちきりんな集団に入っておいて言う台詞かよ、それ」
 谷口は吐き捨てるように窓から半身を乗り出して言った。SOS団か。確かに、今にして思えばどうしてあんな団に
身を置いているんだろうな俺は。
「涼宮に引っ張られて無理矢理入れられたんだろ。お前のお人よしにも愛想がつきるぜ」
「キョンは巻き込まれると中々はっきり断れないからね」
谷口の言葉に国木田が相槌を打つ。
482ゴリラ♀:2007/01/10(水) 18:34:45.40 ID:eT/mFhlWO
支援
483消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 18:35:20.64 ID:5KdAzWIh0
「……」
「どうしたの? キョン」
 何だろう。何か引っかかるな。無理矢理、お人よし。……ふむ。
「何? まだ頭がぼーっとするの?」
 そう言って入ってきたのは朝倉だ。穏やかに笑う。それだけで俺は心の安寧を得られるというものだ。
「どうも暖かすぎるんだな。このボケた頭をどうにかせんとな」
 俺は側頭部にノックを入れた。同時に予鈴がなる。
「しっかりしてよね。あなたはわたしの大事な人なんだから」
 耳元で谷口や国木田に聴かれないように朝倉はささやく。あぁ、幸せだ。谷口は今どんな表情してるだろうな。
 そう、これが俺の日常じゃないか。どこに不満があろう。真っ当な毎日バンザイである。

484消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 18:36:21.15 ID:5KdAzWIh0
「キョン、あんた、今日部室に来る?」
 ハルヒの言葉だ。四限終了間際。
「何でそんなこと訊くんだ?」
 俺は伸びをしつつハルヒに答えた。どうも今日は眠くていかんな。
「何でって、あんた最近全然顔出さないからよ。朝倉と付き合いだしてからずっとね。あんた、まさかSOS団を辞めた
りしないでしょうね?」
 確かに、ハルヒに言われなきゃ俺は今日も普通に朝倉と下校するだろうな。
「どうだろうな、場合によっちゃそうなるかもな」
 俺は弁当を取り出そうと鞄を持ち上げる……前にハルヒにブレザーの襟首をつかまれる。何だよ。
「ねぇ、あんたそれ本気で言ってんの? 少なくともあたしは冗談のつもりで言ったのよ。分かってる?」
 うるさいな。放っておけ。俺はお前の下僕でも召使いでも執事でも秘書でもないぞ。お前とくっついてなきゃならん
理由なんぞ、大宇宙を端から端まで探しても見つからん。
 そう言うと、ハルヒは下唇を噛んで俺を睨みつけ、盛大に平手で俺の頬をひっぱたいた。
「ハルヒ……?」
「もう……知らないわよ」
 そう言うなりハルヒは自分の鞄をひっつかんで廊下に飛び出した。何か悪いこと言ったか、俺。そういえばあいつ、
ポニーテールだったな今日。今頃気付いた。
「どうしたの? 涼宮さんと何かあった?」
 クラスの視線を集める最中、朝倉が俺の傍にやって来た。
「別になんでもない。ハルヒがどうかしてるんだ」
 そうさ。物事は移り変わってゆくのさ。いつまでもSOS団なる学内非公認団体を続ける理由など俺にはない。ハルヒ
がどうしてあの謎の集まりにこだわるのか、それこそが俺には理解できないね。あいつの言うように、やる気がないな
らさっさと辞めちまうのも手かもしれんな。
485消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 18:37:23.12 ID:5KdAzWIh0
「そう? あまりケンカしちゃだめよ。これまで一緒にやって来た仲間なんでしょ」
 朝倉は心から心配しているような表情をした。俺からすれば朝倉、お前の方がよっぽど大切な存在さ。


 ハルヒはその日の授業がすべて終わっても姿を見せなかった。
「一緒に帰りましょ」
 朝倉が言った。俺は部室に行こうかわずかに迷っていた。
「どうしたの? やっぱり涼宮さんが心配?」
 何だろうな。何か俺はおかしなことをしている感じがするんだ。ちぐはぐな。それでいてどこが狂ってるんだかよく
分からないような。
「春だものね。たまには散歩でもしない? きっと気も紛れるわ」
 朝倉に従って俺は校門を目指す。教室を出た直後――、
「……」
「……長門か?」
 それは確かに長門有希だった。眼鏡をかけて、無口な、いつもの……長門。
「お前、クラスはどこだっけ?」
「6組」
 長門は言った。当たりまえだ。別におかしなところはないだろう。学年が変わっても隣の教室だってだけだ。
 ……そうだろうか。俺は違和感をまた感じる。何か気持ち悪い感じだ。本当に俺の環境ってこんなだったか?
 何か、あらゆるものが微妙にずれてしまっている感じがする。
「行きましょう」
 朝倉に手を引かれる。長門は部室方面へと足を向ける。
486くじら♂:2007/01/10(水) 18:37:32.81 ID:eT/mFhlWO
支援
487消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 18:38:24.48 ID:5KdAzWIh0
「なぁ、朝倉」
「なぁに?」
「俺たちっていつから付き合ってるんだ?」
 俺の問いに朝倉は無表情になった。
「どうして?」
 朝倉は俺に問う。どうしてってお前、はっきり覚えていないからさ。
「そんなに大事なことかしら、それって」
 いや、そう言われると大したことじゃないような……。でもな、実際いつだったか気になるんだよ。
 朝倉は一瞬息をついて、穏やかな口調のまま話し出す。
「つい最近よ。わたしがこっちに帰ってきて、それからあなたが告白してきたの」
 俺が? お前に?
「そうよ。忘れちゃったのかしら……かなり真剣な顔してたけど」
 思い出せない。どうしてだ? 俺はそんな最近のことも忘れちまうくらい白痴になっちまったのか?
「とりあえず、外の風に当たりましょうよ。話はそれから。ね?」
 朝倉に付き添われて昇降口までやって来る。
「あ、キョンくん」
 見ると、朝比奈さんがこの世の光をすべて一点に集めたような神々しさでこっちに……。ん? 何だろう。
「また部室には来ないんですか?」
 いえいえ、朝比奈さんのお茶を飲むためだけでも、あの部室には行く価値が……。
 あれ?
「ねぇ、さっきからどうしちゃったの? 早く行きましょう?」
 あ、朝倉……。
「それじゃぁ、さよなら、キョンくん」
 はい、さようなら……。このまま見送ってしまっていいのだろうか。何かすごく惜しいことをしている気分だ。
488VIP皇帝:2007/01/10(水) 18:38:41.91 ID:UvgImFSc0
支援
489消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 18:39:25.75 ID:5KdAzWIh0
「行くわよ? ねぇったら」
 制服の袖を引く朝倉に構わず、俺は考えていた。
 違う。何か決定的に異なっている。それこそ、この状況が、まるごとすべてずれている。
「ちょっと?」
「朝倉、すまんが今から俺は部室に行く。今日のところは一人で帰ってくれ」
 そう言って振り向かずに俺は部室棟へダッシュする。待ってろ。ハルヒ、長門、朝比奈さん。……まだ何か足りない。
廊下を走るなという小学校からの警句を全力で無視し、俺は旧館三階まで全速力で駆け抜ける。
 このモヤモヤも、そこまで行けば正体がつかめるはずだ。急げ。
 俺は階段を駆け上がってドアノブに手をかける。開く。


 ……。


「キョン!」
 ハルヒの声だ。
「しっかりしてよ! 目を覚まして!」
「あーあ、意外と早く効果が切れちゃったのね。所詮テストプログラムだったかぁ」
 朝倉!? 部室に来て何をする気だ? 目が開かない。身体が重い。
「キョ……キョンくん! だ、大丈夫ですかぁ〜、うぅぅぅ、しっかり、ふえっ、えっ」
 間違いない、これは朝比奈さんの声だ。
490もぐら♀:2007/01/10(水) 18:40:14.19 ID:UvgImFSc0
支援
491消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 18:40:26.76 ID:5KdAzWIh0
「朝倉、あんた一体」
「下がっていて」
 ハルヒの声に続くのは長門だ。……これで全部か?
「キョンくん……うぇぇぇぇえええん」
 朝比奈さん、泣かないで下さい。俺なら平気ですから。どういうわけか身体とまぶたが動かないんですが、心の方は
この通りピンピンしてます。だから、そんな本気で泣くようだと、俺の方が参っちまいますよ。
「彼に何をした」
 怜悧な声は長門のものだ。平坦ではない。険がこもっている。どうなってんだ、くそ。目が開かない。
「何て言ったらいいかしらね。端的に言えば幻覚を見ていてもらったんだけど、どう? 涼宮さん、彼が心配? 大丈
夫よ。死にはしないから」
「朝倉……これ、あんたがやったの!? ねぇ、有希! これって一体……」
「あなたは黙っていて。彼の傍を離れないこと。朝比奈みくるも離さないこと」
 長門の声がいつになく鋭く響く。何が起きてるんだ。どうして身体が動かない。それどころか、全身の感覚がまった
くない。時間も温度も分からない、触覚すらまったくない。朝倉、てめぇ何しやがった。ハルヒに朝比奈さんに長門に、
ちょっとでも手を出したら許さないからな……。
「キョン、しっかりして! 目を覚まして! ねぇ、キョン!」
「無駄よ。そいつは完全に意識も神経機能も失ってる。分かりやすく言えば植物状態かしらね」
 バカな。じゃぁどうして俺はこうやって考えていられるんだ? それに耳だけなら生きてるぜ。
「さ、決着をつけましょうか。今回は絶対に負けないからね」
 朝倉はかつてないほどに冷たい声で突き刺すように言い放った。やめろ。何をする気だ! ハルヒの前で妙なことを
起こすな!
492くじら♂:2007/01/10(水) 18:41:07.28 ID:eT/mFhlWO
支援
493消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 18:41:28.80 ID:5KdAzWIh0

「長門さん、よろしくお願いします」

 聞き覚えのある声がした。が、即座に誰と判断できない、状況が状況だからな。耳しか使えないってのもある。
 次の瞬間、俺はひさびさにあの感覚を味わった。すべてをグルグルと巻き込んで、そして俺のあらゆる感覚を持って
いってメチャクチャにかき乱してしまう、アレだ。ただし、今の俺は聴覚情報でしかそれが分からない。既にさっきま
でいた場所にいないことは明白だった。そう、時間移動――。四ヵ月以上のご無沙汰だな。今度はどこへ向かっている
のだろう。鼓膜が、空気が四方八方に飛び交う音を伝えてくる。他の感覚が麻痺しているためか、気持ち悪さはない。
こんなのは初めてだな。いや、気持ち悪さがあっても脳が受けつけていないだけかもしれん。……目的地に着いた瞬間
吐いちまうなんてのはごめんだぜ。
 突然びょうびょう言ってた空気の波が止んだ。どこに着いたんだ?
「着きました。……ごめんなさい。私はもう行かなければなりません。この手紙を読んで、その通りに行動して。彼の
無事も、あなた達二人に懸かっているわ。頑張って……」

494ペンギン♂:2007/01/10(水) 18:42:07.03 ID:tEKnIFIb0
支援
495パンサー♀:2007/01/10(水) 18:42:23.87 ID:5KdAzWIh0
ここまでです。支援感謝いたします。
予告スレにも書いたとおり午後11時よりパート13を投下します。
496くじら♀:2007/01/10(水) 18:46:04.96 ID:eT/mFhlWO
乙!
朝倉さんやってくれますねぇ
497ペンギン♀:2007/01/10(水) 18:49:09.30 ID:tEKnIFIb0
続きがwktkだぜ!
498くじら♂:2007/01/10(水) 18:51:31.79 ID:dTzZORTZO
乙!
続きwktk
499か♂:2007/01/10(水) 19:17:42.49 ID:dTzZORTZO
保守
500りす♀:2007/01/10(水) 19:29:40.44 ID:tEKnIFIb0
何か物書きの神様が降臨してるっぽい。
忙しいが無性ににSS書きたくなった。

お題プリーズ
501ひよこ♀:2007/01/10(水) 19:32:36.52 ID:K1XgSjQv0
>>500
お弁当うめぇwwwwww
502がらがらへび♀:2007/01/10(水) 19:33:28.63 ID:yI2v6WGU0
>>500
ハルヒと古泉 企み
503ペンギン♂:2007/01/10(水) 19:36:12.39 ID:tEKnIFIb0
>>501-502

お弁当うめぇwwww ハルヒと古泉 企みで書いてくるwww
504七面鳥♂:2007/01/10(水) 19:36:38.60 ID:PRO4bm+M0
>>500
キョン転校長門消滅みくる帰還
SOS団解散
一ハル
505ふんころがし♀:2007/01/10(水) 19:48:50.50 ID:yI2v6WGU0
>>504
それは私が貰っておくかな。
書けるかどうかはわかんないけど
506か♀:2007/01/10(水) 20:15:58.49 ID:dTzZORTZO
保守
507ふんころがし♀:2007/01/10(水) 20:18:51.08 ID:47ufhG+k0
>>495
第一話から一気に読んじまった
続きがめっちゃ気になるぜ
508モルモット♀:2007/01/10(水) 20:19:28.45 ID:kneSvpVb0
久しぶりにこのスレに来たんだけど最近はハルヒ×古泉が流行ってるのか?
509がらがらへび♀:2007/01/10(水) 20:21:45.12 ID:yI2v6WGU0
いや、別に。
寧ろ流行りは古長だろう。
510くじら♂:2007/01/10(水) 20:26:23.00 ID:eT/mFhlWO
朝倉さんも忘れずに
511ニャンちゅう♂:2007/01/10(水) 20:26:46.66 ID:+WX6Ls3r0
>>505
鬱系か?
512小鉄♂:2007/01/10(水) 20:32:21.06 ID:w8FBn+2f0
俺もネタ募集しまっす
ジャンルは問いません
513ゴリラ♀:2007/01/10(水) 20:35:53.94 ID:aAoQixb2O
キョンが
お茶煎れに
目覚めたようです
514くじら♀:2007/01/10(水) 20:40:00.23 ID:y2dosbbrO
>>512
ハルキョン 餅つき
515いたち♂:2007/01/10(水) 20:42:25.28 ID:5Z+CCR5NO
ハルキョン
受験
516くじら♀:2007/01/10(水) 20:43:36.86 ID:dTzZORTZO
>>512
新年会
517まぐろ♂:2007/01/10(水) 20:50:41.04 ID:dTzZORTZO
アナル時間切れです
518すずむし♀:2007/01/10(水) 20:51:23.10 ID:7EJdfJXh0
アナルおちた
519「選択」 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/10(水) 20:55:51.86 ID:N4qyrbH/0
どうも上のほうの選択書いた者ですがその話の繋がりとかの話を書くと
わかりにくいですかね?
完全に別の話で書いたほうがわかりやすいですかね?
ちょっと意見を聞いてみたいです
520セアカゴケグモ♂:2007/01/10(水) 20:59:32.95 ID:OryzLUOO0
選択 の世界を広げるのはありだと思う
注意だけ書いておけば
521か♂:2007/01/10(水) 21:00:54.25 ID:dTzZORTZO
>>519
いや、大丈夫っしよ。
続き物なら読んでみたいし。
522もぐら♂:2007/01/10(水) 21:02:27.26 ID:eT/mFhlWO
分かりにくいってことはないとおもう
523「選択」 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/10(水) 21:02:28.02 ID:N4qyrbH/0
>>520
>>521
ありがとうございます。
注意書きはつけようと思います
524もぐら♂:2007/01/10(水) 21:13:38.00 ID:UvgImFSc0
525トラ♂:2007/01/10(水) 21:18:58.51 ID:wskL+KI/0
>>512
緑茶
みんなで
526ネコ♀:2007/01/10(水) 21:37:18.85 ID:wskL+KI/0
保守
527しゃけ♂:2007/01/10(水) 21:39:04.98 ID:3qM1vAsfO
●< >>512 キ×古
528たると♀:2007/01/10(水) 21:44:22.24 ID:w8FBn+2f0
よっし、頑張ってみよう。
てか、キ×古ってここでやっていいのか?ww
529まぐろ♂:2007/01/10(水) 21:45:45.76 ID:dTzZORTZO
>>528
友情ものならおkwww
530たると♀:2007/01/10(水) 21:47:30.62 ID:w8FBn+2f0
>>529
なるほど。 それは新しいからもしれん・・・
531なめくじ♀:2007/01/10(水) 21:48:31.35 ID:s15A0lJh0
>>528
いや、むしろガチで頼んだ
532わらじむし♀:2007/01/10(水) 21:48:36.72 ID:yI2v6WGU0
801は801すれでー。アナルと801も違う世界だよね。まる。
533チンチラ♂:2007/01/10(水) 21:51:30.66 ID:s15A0lJh0
それ言ったらスレチどころかこのスレ自体イタチ(ry
534雷鳥♂:2007/01/10(水) 21:52:05.83 ID:EhCBWdEN0
あれ、キ×古って
キョン×古川さん(オリキャラ)の事だよね?
535チンチラ♂:2007/01/10(水) 21:53:25.42 ID:s15A0lJh0
>>534
その発想は(ry
536まぐろ♀:2007/01/10(水) 21:57:37.93 ID:aAoQixb2O
キョン×古田
537ハエ♀:2007/01/10(水) 21:59:04.35 ID:RMxgqEXT0
キョン「わりぃ、俺広島ファンだからさ……キョン×古葉監督ならいいんだけどな」
538くろうさぎ♀:2007/01/10(水) 22:04:54.61 ID:kbm9oNCo0
>>264
今読んだ

アルジャーノンのラスト思い出して泣きそうになった

・・・長門。・゚・(ノд`)・゚・。
539がらがらへび♀:2007/01/10(水) 22:13:35.15 ID:yI2v6WGU0
古長投下OK?
540くじら♀:2007/01/10(水) 22:15:45.13 ID:eT/mFhlWO
バッチコーイ
541四月の雪01/12 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/10(水) 22:19:58.79 ID:yI2v6WGU0
 僕は今、一通の手紙を手にベッドに寝転がっている。
 飾りっ気の全く無い、業務用とでも言うべき差出人の名前の無い封筒に、一枚きりの便箋。
 差出人の名前がないという時点でちょっとおかしいなと感じたけれども、宛名は普通に僕
の住所氏名だったし、切手も張ってあったし消印も押してあったから、きっと、知り合いの
誰かが名前を書き忘れただけだろうと思った。消印の場所にも心当たりがあったし。
 それは、僕が高校時代の三年間を過ごした場所。
 たくさんの想い出の詰まった、今は遠い場所。
 元々とある目的を持ってその学校に転校して行った僕は、高校卒業と同時に、遠方への進
学を選んだ。
 進路を決めるときには、それほど深いことは考えていなかったんだと思う。
 どこでも良いというのなら、別れは少し寂しいけれど、違うところへ行ってみよう。
 きっと、それだけのことだった。
 けれど僕は、無事進学先も決まり卒業式の直前になった頃、以前から薄々予期していたこ
とをとある人からはっきりと告げられ、その意味に気づいた。
 僕は……、本当は、逃げたかったんだ。
 想い出の詰まったその場所から、もう会えなくなってしまう一人の少女のことを思い出さ
せるその場所から……、意識にさえ上らないような予兆から、僕は既に、消極的な未来を選
択していた。
 僕はこの繋がりを後付けだとは思わない。感傷的になり過ぎているとも思わない。
 ただ、そういう選択と理由が有ったという事実だけを、厳粛に受け止めている。
 僕は、逃げた。
 最後の最後の、その瞬間まで。
 最後に……、本当に、最後のそのときだけ、向かい合うことが出来たけれども。
 本当に、そのときだけだった。
 以前も以後も無い、たった一瞬だけの、触れ合うだけの……。
 それは確かに恋と呼べるものだったはずだけれど、本当に、それだけだったから。
542四月の雪02/12 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/10(水) 22:20:27.42 ID:yI2v6WGU0
 それからもう三年も過ぎているし、そのときのことをずっと引きずっているというわけで
もないし、彼女のことを考えない日も増えてきたけれども……、でも、こういう風に高校時
代を思い出すきっかけさえあれば、今でも自然と、彼女と過ごした日々の記憶が蘇ってくる。
 もっとも、この手紙のことが気になるのは、それだけが理由じゃないんだけれども……。
 問題は、たった一枚きりの便箋の、その文面、

『四月一日、午前10時。
 何時もの駅前で待っている
 
        長門有希』

 ……。
 ……誰かの悪戯、なんだろうか。
 高校時代の僕と長門さんは、傍目に見たところで、所謂部活動の仲間みたいなものであっ
て、恋人同士のそれではなかったはずだ。だから、こんな悪戯は……、まあ、する人がいた
としてもおかしくは無いと思うけれども、この悪戯が何らかの意味をなすと思う人は少ない
んじゃないだろうか。
 それに、その日付……、嘘、と、言っているのと同じじゃないか。
 四月一日だなんて……。
 字は、少し、長門さんに似ている気がするけれど……、でも、多分、彼女の字じゃない。
 誰の仕業だろう……、ここはやっぱり、涼宮さんかな?
 涼宮さんは悪意のある悪戯をする人じゃないけど、僕のために長門さんのそっくりさんを
探してくるとか、待ち合わせ場所で「今日のあたしは有希だと思って!」なんて言いだすく
らいのことは、してきそうな気もするし……。
 涼宮さんは、僕に負い目を感じている。
 彼女が悪いわけでは無いはずなのに、出会う前までのことを含めて、僕のことを、自分の
被害者だと思っている。……僕が高校時代を過ごした場所から逃げ出したことにもう一つの
理由を与えるとすれば、そんな風に負い目を感じている涼宮さんの姿を見て居たくなかった
から、ということになるのだろう。
543くじら♀:2007/01/10(水) 22:20:45.97 ID:eT/mFhlWO
支援
544四月の雪03/12 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/10(水) 22:20:53.59 ID:yI2v6WGU0
 今でも時折向こうに行くと、あれこれと気を遣ってくれているし……、そういうときに僕
の友人でもある涼宮さんの恋人からの視線までもが優しげだというのが、かえって何とも言
えない。普通に嫉妬された方が気が楽なんだけど……、まあ、そういう対象じゃないってこ
となんだろう。
 もっとも、そんな風に思いながらも、僕は結局、長期休みのたびに二人に会いに行くわけ
なんだけど。
 ……まあ、とにかく。
 消去法で考えるならば、これは涼宮さんの悪戯なのだ。
 何度か考えてみたけれども、涼宮さん以外にこういうことをする人が思いつかなかったし。

 悪戯と知りつつ、多くの期待を抱かず、けれど、涼宮さんなりのサプライズや気遣いとは
何だろう、なんて思いながら、僕は四月一日の朝、最寄り駅から始発に乗り込み、途中で新
幹線に乗り換え、目的地まで向かった。
 距離的、時間的な問題からして、予定時刻までギリギリって感じだ。
 きっと手紙の主は、そういうことまで計算済みだったんだろう。
545四月の雪04/12 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/10(水) 22:21:22.08 ID:yI2v6WGU0
 そして僕は、目的地に辿り着いた。
 平日とはいえ春休み、結構人はたくさんいる。
 僕は人波の中から、とりあえず涼宮さんの姿を探してみることにした。まあ、彼女が素直
にここで待ち受けているとは思えないけれども、
「遅い、罰金」
 聴き慣れた台詞、聴き慣れた声。
 忘れられない、淡い雪を思わせるような、静かな声。
「えっ……」
 そんなことはありえないと思いながらも、僕は振り返る。
 僕の後ろに、何の気配もうかがわせないまま、小柄な少女が一人、立っていた。
「遅刻は罰金、今日はあなたの奢り」
 平坦な声が、同じ意味の言葉を繰り返す。
 無表情のはずなのに、どこか、楽しげにも見える……、そう、こんな人は、この世にたっ
た一人しか居ない。
 どんなに良く似たそっくりさんを用意したって、ここまで似た声で、ここまで同じ雰囲気
の持ち主であるわけが無い。

 ……長門さんが、そこに立っていた。

「……これでも、始発に乗ってきたんですよ」
 あらゆる感情を通り越して、僕の心は、ただ、高校時代に舞い戻る。 
「遅刻は遅刻」
 理不尽だ。
 ……でも、こういうやり取りは、高校時代を思い出させる。
546まぐろ♂:2007/01/10(水) 22:21:49.68 ID:eT/mFhlWO
支援
547四月の雪05/12 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/10(水) 22:22:07.12 ID:yI2v6WGU0
「ですが……」
「これはSOS団の決まり」
「今日はSOS団の集いではないでしょう?」
 どうやら、他の人達は居ないみたいだし。
「でも、わたし達は団員同士」
 長門さんが、意地を張っている。
 うん、本当に、長門さんだ。
 妙なところで押しが強いという辺りが、いかにも彼女らしい。
「……分かりました、僕が奢りますよ」
「それでいい」
 長門さんは満足そうに頷くと、すいすいと人波を掻き分け、高校時代に何度も入った喫茶
店に入っていった。
 窓際の席に座り、僕等はそれぞれ注文を済ます。
 何だかこうしていると、本当に、高校時代みたいだ。
 いや、それで納得して良いことじゃないはずなんだけど。
「あの、長門さん……」
「今日は四月一日、エイプリルフール」
 質問する前に言い切られた。
「ええ、分かっていますよ」
「どんな嘘も許される日」
「どんな、というわけでもないと思いますが、嘘を吐いても良いとは言われていますね」
「……だから『わたしが居る』という嘘も、許された」
「あっ……」
 これは、嘘。
 『長門有希は存在しない』という現実に対する、一つの、嘘。
 四月一日、その、たった一日限りの、嘘。
548四月の雪06/12 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/10(水) 22:22:39.37 ID:yI2v6WGU0
「……涼宮さんが、望んだんですね」
「そう、手紙を書いたのは涼宮ハルヒ。彼女は、今の自分の力でも出来ることが無いかと考
え、その上で『長門有希が古泉一樹を呼び出す』という嘘を実行した」
「……」
「情報統合思念体は、涼宮ハルヒから感じられる小規模な情報を察知・解析し、その情報を
元に、わたしを再構成した」
 涼宮さんに力の残滓しか残っていなくても、その力を生かす存在が別に居れば、何らかの
結果をもたらすことが出来る。多分、そういうことなんだろう。
「……ただし、情報統合思念体の総力を持ってしても、今日一日が限界。それ以上は、わた
しという個体の連続性が維持できない」
 けれど現実は、やっぱり、どこまでも厳しいものらしい。
「でしたら今日一日、僕と一緒に楽しみましょう。……それではダメですか?」
 抗えないというのなら、精一杯、出来るだけのことをしよう。
 あの時出来なかったことと、言えなかったことを。
「良い。……それで、充分」
 長門さんは、ミリ単位で首を縦に動かした。

 注文していたお茶を飲み干した僕等は、近場にあるゲームセンターに入った。
 ゲームの世界は日進月歩。時折コンピ研に赴いて最新のゲームに触れていた彼女も、三年
という時間の経過によるゲームのグラフィック、操作性の向上具合などには惹かれるものが
有るらしい。
「これ」
 だけど長門さんが選んだのは、何故か昔懐かしい落ち物ゲーム。
 それも、新しいルールを組み込んだものではなく、昔ながらのまま出来るモードだった。
 長門さんは操作方法を説明する画面を一通り見終えると、初級からゲームをスタートさせ
た。
 そして、初級だというのに、目にも留まらぬ速さで落ちてくるブロックを高速で落としに
落とし、ガンガン消していった。
 画面、何が移っているか全然見えないんですけど……。
549四月の雪07/12 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/10(水) 22:23:17.16 ID:yI2v6WGU0
 あっという間にゲームは僕にとっては未知数の、ゲームの得意な友人のところでも絶対に
見たところでも見たことが無いような段階になってしまった。こうなると、僕としては凄い
としか言いようが無い。
 何て思っていたら、何時の間にか周りに人が集まっているし……、そりゃ、こんなとんで
もない速度で落ち物ゲームをプレイ出来る人間なんて、滅多に居ないだろう。
 けど、こんなに人目を集めるのは……、かといって、長門さんを止めるのも躊躇われる。
 という風に僕が悩んでいたとき、画面に、唐突に、
『GAME CLEAR』
 という文字が表示された。
 このゲームにクリアなんて有ったんだ……。どうやら驚愕しているのは僕だけじゃないら
しく、ギャラリーも唖然としている。
「……終わった」
 長門さんが音も無く振り返り、短く終了を告げた。
 その瞬間、呪縛が解け、拍手が巻き起こる。
 何だ何だと思って人が集まり、みんながみんなクリア画面に驚愕し、歓声を上げる。そり
ゃあそうだろう、このゲームにクリアなんて概念が有ったことを知っている人の方が少なさ
そうだし。
 見知らぬ人々の中心で立っている長門さんは、何だかとても誇らしげに見えた。
550四月の雪08/12 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/10(水) 22:24:39.48 ID:yI2v6WGU0
 それから僕等は、このゲームセンターの中に居続けるのはちょっとまずいかなと判断し、
徒歩一分くらいのゲームセンターに移動した。何でまたゲームセンター、何て言わないで欲
しい。こんなとっさな事態にそつなく対処できるほど、僕は器用じゃない。
 それに、ゲームセンターでまだやりたいことも有ったし。
「これ」
 でも、僕が何かしようと思うよりも先に、長門さんが次にやるものを選んでいた。
 今度は演奏系のゲームかあ……、長門さんはこういうのも上手いんだろうなあ。
 という僕の予想通り、長門さんは、ギターもドラムも、ついでにダンスゲームも、最高難
易度をあっという間にクリアしてしまった。 
 凄いとしか言いようが無いな。何だかギャラリーが増えていくのが……、まあでも、仕方
ないか。さっきのところに戻るわけにも行かないし、別のゲームセンターはちょっと遠いし。
「長門さん、こっちへ来て下さい」
 メダルゲームに手を出しそうだった長門さんの肩を引き寄せ、僕は彼女を連れて、とりあ
えず手近にあったパンチングマシーンのところまで来た。これならすぐに終わる。
 でもこれだと、ゲームでは彼女に勝てない彼氏が、このくらいなら……、という場面に見
えそうだなあ。
「これをやるの?」
「そうですよ。長門さんもやりますか?」
「あなたがやるなら」
 というわけで、長門さんも一緒にチャレンジだ。
 僕は渾身の力を篭め、パンチングマシーンを叩いた。
 記録は……、まあまあ、かな。平均よりは上だけどランキングに入るほどじゃない。
「わたしも」
 次は長門さんのチャレンジだ。
 長門さんは、何時も通りの微動だにしない姿勢から、すっと拳を差し出した。
 あれっ、と僕が思ったのと、ぽすっ、という軽い音が聞こえたのは、ほぼ同時だった。
 記録は、明らかに平均以下。細身な女の子という外見そのものを表すような数字だった。
「今のわたしには、これが限界」
 長門さんが、ぽつりと呟いた。
551まぐろ♂:2007/01/10(水) 22:25:27.91 ID:eT/mFhlWO
支援
552四月の雪09/12 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/10(水) 22:25:36.79 ID:yI2v6WGU0
 その声が少し悔しそうに聞こえたのは、たぶん気のせいじゃないんだろう。
「……」
 僕は無言で彼女の手をとり、別の階に移動した。

 移動した先は、クレーンゲームなどのプライズ系が並ぶ階だった。
「何か欲しいものは有りますか?」
「……あれ」
 長門さんはちょっと迷ってから、古きよき時代を思わせる宇宙人ヒーローのぬいぐるみを
指差した。
「あれですね」
 僕はクレーンゲームの前に立ち、お金を居れ、レバーを操作した。
 そんなに得意なわけじゃないけれども、ある程度お金をつぎ込めば何とかならないことも
ない。……両替機に二回もお世話になるとは思わなかったけど。
「はい、どうぞ」
「……ありがとう」
 長門さんが、ぬいぐるみを抱きしめる。
 う、何だか可愛い……、いや、長門さんは元々可愛いんだけれど、こういう場面は、本当
に絵になる。
 そう言えば、今日の長門さんは、服こそ私服だけれど、外見は完全に三年前のままだ……
その前の三年間も成長を感じることは余り無かったし、人伝に聞いた話では、待機中の三年
間も、彼女の外見は殆ど変わらなかったとのことだった。
 成長、という概念は彼女達には無いのかな……、どうだろう、そういうことは僕には良く
分からないし、聞くべきことだとも思えない。
 いや、まあ、今の状態で、ちゃんと恋人同士に見えていると良いという話なんだけど。
553四月の雪10/12 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/10(水) 22:26:10.08 ID:yI2v6WGU0
「……欲しいもの」
「えっ」
「欲しいもの、ある?」
「いえ、特には……、あ、いえ、あれをお願いします」
 僕は咄嗟に、デフォルメの動物のぬいぐるみが入った筐体を指差した。
 その大きさに気づいたのは、長門さんがそれを取ってくれたわけだったけれど……、そう
そう、長門さんは、そのぬいぐるみを一発で手に入れていた。
 やっぱり長門さんは、凄いと思う。

 それから僕等は、カラオケに行ったり、ウインドーショッピングをしてみたり、何故かビ
リヤードに興じてみたりという、普通の、何でもない、ただのデートと読んで差し支えない
ような一日を過ごした。
 行く先々で長門さんが妙なところに関心を抱いたり、とんでもないことをしそうになった
りしたけれども、そういうところも含めて、本当に、楽しい一日だった。
 ファミレスに入り遅い夕食を食べ終わった僕等は、ファミレスを出て、長門さんが以前住
んでいたマンションの近くにある公園に向かった。
 時刻は、もう23時を回っている。
 残された時間は、もう少しだけ。
554四月の雪11/12 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/10(水) 22:26:51.47 ID:yI2v6WGU0
「……今日は、楽しかった」
 公園で、ぬいぐるみを抱きしめたまま、長門さんが僕を見上げてそう言った。
「僕も、楽しかったですよ」
「……良かった」
「本当に、楽しかったです。楽しくて楽しくて、仕方なかった……。ずっと、こんな日が続
けばいいと、」
 泣き言ゃないのだろう。
「……そう、でしたね」
「もうすぐ、今日が終わる……」
「……」めいた言葉が出てきそうになったら、長門さんに肩を強く引かれ、そのまま、唇で
唇を塞がれた。
「これは、今日だけ。……わたしが居られるのは、今日一日だけ」
 どんな時でも余り抑揚が無いその声が僅かに震えているように聞こえるのは、きっと、僕
の気のせいじ
「古泉一樹……、あなたに聞きたいことが有る。……良い?」
「ええ、僕に答えられることでしたら」
「三年前……、わたしが最後に何と言ったか、あなたは、覚えている?」
「覚えていますよ」
555四月の雪12/12 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/10(水) 22:28:02.81 ID:yI2v6WGU0
 忘れられるわけも無い、精一杯の、告白。
 受け止めることも答えることも出来ずに、ただ、心に染込むだけの、澄んだ想い。
 期間限定とはいえ、その続きが、こんな風に舞い降りてくるなんて、想像もしていなかっ
た。
「……返事を、聞かせて」
「えっ……」
 ……。
 ……。
「今日は、四月一日。……どんな嘘も、許される日」
「……」
「だから、返事を、聞かせて……。今のあなたの、返事を」
 ……僕は、彼女と別れてから、彼女と一緒に過ごしたのと同じくらいの時間を、彼女が居
ない状態で過ごしてきた。
 多分……、彼女も、その意味を、ちゃんと分かっている。
 例え今の僕の周囲のことを知らなくとも、そのくらいのことは、彼女にだって、想像がつ
いているはずだ。
「……僕もあなたが、大好きですよ」
 けれど返事は、現在形で。
 今日は、四月一日だから。
「……ありがとう」
 答える長門さんの姿が、薄れていく。
 残り時間、もう、僅か。
「長門さん……」
「わたしも、あなたが……今でも、好き。これは……、本当」
 あのときよりは少しだけ長い言葉を残して、彼女は、消えていった。
 最後の最後、その言葉を言う瞬間は、ほんの少しだけ、日付を越していた……。

 
 終わり
556しゃけ♂:2007/01/10(水) 22:28:53.21 ID:3qM1vAsfO
GJ!
557とき:2007/01/10(水) 22:36:22.91 ID:eT/mFhlWO
マジGJ! 感動した
涙がちょちょ切れたぜ…
あとタイトルがすごくいいです
558まぐろ♀:2007/01/10(水) 22:41:19.47 ID:y2dosbbrO
乙!
せつないけどよかったぜ…
559くろうさぎ♀:2007/01/10(水) 22:44:07.01 ID:wXuGVT4KO
GJ!
560おこじょ♂:2007/01/10(水) 22:44:45.72 ID:5Z+CCR5NO
乙!
感動したぜ!
561やもり♂:2007/01/10(水) 22:45:27.75 ID:yB9UVUDJ0

古長サイコウ
562あらいぐま♀:2007/01/10(水) 22:46:24.36 ID:qZ6kV9xZ0
ちょろっと投下する。一日2レスずつ頑張ってみる
563あらいぐま♀:2007/01/10(水) 22:47:09.29 ID:qZ6kV9xZ0
 俺がまだ若く、物事に対する分別を身につけていなかった頃、古泉に言われた言葉があ
る。その言葉はあの時の俺を的確に表していたし、その後、執拗に俺を苦しめたものだっ
た。
「あなたはどちらかしか選ぶことはできないんですよ?」
 夏休みの休暇を利用してヨーロッパ旅行に行ったときのことで、北欧の肌寒い夜風にあ
たりながら言われたのだ。俺は古泉の問い掛けに答えることはできずに、透き通った夜空
をただぼんやりと眺めていた。古泉がそれ以上の追及はしてこなかったのは、高校二年と
いう時間によるところもあるだろうし、古泉の優しさだったのかもしれない。
 教訓として捉えて欲しくないのだが、人生における重要なできごとでは大抵二択を迫ら
れるものだ。というより、二択にならないようなできごとはさして重要ではないとも言え
るかもしれない。それを俺は実体験から学んだし、あれほどまでに特殊な状況に置かれた
人間も恐らく俺一人だと断言できる。
 俺がこうしてあの時のことを思い出していると、あの時俺が感じていたことと、今過去
を振り返って感じることは違うということに気付く。駅前の人込みや、無機質な部屋、何
かを覗くような俺を見つめる瞳。断片化した記憶が熱を失い、明瞭になっていくことで、
同時に失われていく得体の知れない何か。
 俺があの時を思い出すと一番最初に浮かんでくるのは、白い壁紙に囲まれたこたつだけ
の長門の部屋だ。長門の何かを求めるような瞳、そして何かを諦めるような瞳。俺の中に
あった憤りは逃げ場を失っていた。無音の部屋で布擦れの音だけが誇張された。俺の胃の
中で嘔吐感がめぐって、長門と食べたカレーの匂いに苛立った。今でもカレーの匂いを嗅
ぐと、長門の部屋と俺を覗く長門の瞳がフラッシュバックしてひどい頭痛が俺を襲う。
564スリーウィーク 1:2007/01/10(水) 22:47:41.34 ID:qZ6kV9xZ0
 次に思い浮かぶのはハルヒの笑顔だ。そして、喪失感を帯びた瞳と震える細い身体が鮮
明に蘇ってくる。病室でのクリスマスパーティーの後に、二人並んで歩いた学校までの道
のりがどうしようもなく切ない思い出になってしまっている。本当なら腹を立てるぐらい
の坂道が永遠に続いて欲しいと思ったのはあの時が最初で最後だった。
 全て俺が選んだことだ。そして、俺はその全てを受けれていかなければならない。あの
時ハルヒが俺に見せてくれたように。俺の長門への思いはクリスマスに降った雪のように
積もりはしなかった。ゆらゆらと空中を漂って、不安定に存在していた。触れたら今にも
溶けてしまいそうだった。あの雪は長門が望んだものだったと俺はなぜか確信を持ってい
る。以前に長門は「局地的な環境情報の改竄は惑星の生態系に後遺症を発生させる可能性
がある」と言っていた。危険を冒してまであの雪を降らせた理由は何だったのだろうか。
 あれからかなりの時間が過ぎてしまったのだけれど、多くのことに俺は答えを出せずに
いる。もちろん、ずっとそのことを考えているわけではない。何かのきっかけ、例えば、
ハルヒのいない一人だけの夜とか、毎年必ずやってくるクリスマスという日を迎えると俺
は無意識にそのことを考えてしまうのだ。長門の存在は時間を経るにつれて、確実に薄ま
っていくものだけれど、やはり長門のことを完全に忘れることはできない。まるで儀式の
ように長門のことを思い出して、その度に胸を締め付けるような圧迫感と罪悪感と後悔に
苦しめられている。長門はこんなことを望んだのだろうか?
 今、家にハルヒはいない。もう少しでクリスマスを迎える寒い夜に酒を飲みながら、長
門のことを考え、俺は一人夜が明けるのを待っている
565 ◆YUKI/6Op7c :2007/01/10(水) 22:50:10.28 ID:qZ6kV9xZ0
明日も投下しますわ。自分のところに置いておくと、永遠に書き直しそうなので
566スナメリ♂:2007/01/10(水) 22:51:00.81 ID:dTzZORTZO
やべぇ…両方の作品で泣いた…

GJ!
567 ◆Gzo5DAjIoE :2007/01/10(水) 22:51:29.96 ID:yI2v6WGU0
>>565
続き物か、頑張れ〜。

あ、こっちの四月の雪、は後々WIKIには自力であげます。
速さ優先で書いたから粗が多い・・・。一応昨日上げた
スノーマーチの、後日談のつもりです。
568ラッコ♂:2007/01/10(水) 22:56:15.11 ID:s15A0lJh0
何かお題頼む
569あひる♀:2007/01/10(水) 22:56:54.94 ID:yI2v6WGU0
>>568
古泉、ペット、森さん
570タツノオトシゴ♂:2007/01/10(水) 22:58:12.55 ID:5Z+CCR5NO
>>568
誕生日
孤独
出逢い
571ギコ♀:2007/01/10(水) 22:58:16.77 ID:JZFshlKv0
>>568
狙撃 侵入 新川さん
572ラッコ♂:2007/01/10(水) 22:58:24.02 ID:s15A0lJh0
>>569
一瞬でアナル向けの話を思いついてしまった俺を殴ってくれないか
573わらじむし♀:2007/01/10(水) 22:58:34.56 ID:5KdAzWIh0
>>567
文章がすっと入ってきてよかったです。
時間的距離感みたいなのがせつない……。
574消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 22:59:30.42 ID:5KdAzWIh0
さて、それでは「消えていく〜」パート13を投下いたします。
これまでのお話は>>476-493です。
575もぐら♂:2007/01/10(水) 23:00:41.79 ID:dTzZORTZO
支援
576消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 23:00:51.57 ID:5KdAzWIh0
――13――
 喧騒とまではいかないガヤガヤをBGMに、その声は言った。ここに来てはっきりと分かった。今のは大人版朝比奈さん
で間違いない。おそらく、窮地に陥っていた俺たちの元に現れて、どこか別の時間に跳躍したのだろう。
「あの、あなたは……?」
 ハルヒが言った。
「私のことはいいの。今は彼を救うことだけ考えて。いい?」
「……あのっ! あの!」
 急きこんでそう言うのは朝比奈さん(小)である。それも当然だと思う。彼女はずっと抱いてきた疑念の答えを、今
ほとんど完全な形も同然に提示されているのだ。たぶん。視覚に頼らなくともそれくらいは推察できる。
 しばしの間を空けて、
「この件が終わった時、あなたに話します。今は彼を」
 大人版朝比奈さんは鋭い口調で言った。こんなに緊張感のある朝比奈さん(大)の声は初めてだ。指令を送る緊迫感
そのままである。
「あっ! えっ、えっ!」
 と、声にならない声を朝比奈さん(小)が発する間に、おそらく、大人版朝比奈さんはいなくなった。まるで姉妹の
やりとりを聞いているようであったが、それも何か違うな。何せ同一人物なのだ。本来顔を合わせてはいけないはずだ。
「あら、今の人は? どこに行ったの?」
 ハルヒの声がする。……ハルヒ。ハルヒ!?
 ちょっと待て。ってことはあの朝比奈さん(大)はハルヒともどもどこかの時代にワープしたってことか?
 一体どういうつもりなのだろうか。ハルヒに超常現象を認めさせてしまってはマズいのではないだろうか?
 それこそ宇宙全体がめちゃめちゃになるという古泉の説明を思い出す俺である。
「それでみくるちゃん、その手紙にはなんて書いてあるの?」
 ハルヒはどこか冷静さを感じさせるような声で言った。一体今こいつは何を思っているのだろう。こんなSFど真ん中
直球ストレートな状態に、ついにこいつが巻き込まれてしまったわけである。ハルヒが望んだから起きたなどと俺は思
わない。だったらとっくにこの宇宙は崩壊寸前まで法則とやらを乱しているはずだ。ハルヒの認識範囲におかしな現象
が及ばないよう、俺たちはギリギリまでごまかし続けていたのが、今回ばかりは隠しようもないだろう。
577もぐら♂:2007/01/10(水) 23:01:43.07 ID:dTzZORTZO
支援
578消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 23:01:57.67 ID:5KdAzWIh0
 しかしハルヒは朝比奈さんに対し余計な疑問を呈するようなことはしなかった。どうやら手紙を朝比奈さんから取っ
て開いたらしい。ハルヒが見てしまっていいのだろうか。内容を読みあげ始めた。
「朝比奈みくる様。まず一番初めに書いておきますが、あなたの目の前にいる彼は無事です。まったく意識がないだけ
で、命に別状はありません。一時的に凍結状態に置かれていると考えてください。これから提示する手段に従って行動
してください。優先度はコードの通り。急ぎすぎることはありませんが、油断も禁物です。涼宮さんにこの手紙を
見せて構いません。どうしてあなた達がここに来たのか、それについて考えるのは後です。まずはどちらかが長門有希
さんの自宅へ行って、彼女をここに連れてきてください。彼女ならば彼を目覚めさせることができます。以降の指示は
それから読むこと。まずは、長門さんの家へ――」
 数秒間、二人は何も言わなかった。やがて、
「あたしが行ってくる。みくるちゃんはここにいて」
 ハルヒが立ち上がる音がする。そういえば、俺は一体どこで伸びてるんだ? 音からして外にいることは間違いなさ
そうだが。
「あ、えっ、でも! 涼宮さ――」
 朝比奈さんが呼びかける間にハルヒはすごい速度で走り去った。俺としても不安なことこの上ないが、一度目標が定
まったハルヒの行動スピードたるや、初速だけで宇宙空間まで飛び立てそうなほど凄まじい勢いであるのは、この一年
で俺も散々味わってきた。それが時に助かるんだけどな。例えばこういう時にさ。
「キョンくん……。どうして……」
 朝比奈さんの声が近い。吐息がかかっているくらいじゃないかと思うのだが、なにぶん生きているのが耳だけなので
距離感しかつかめないのが残念というか、いやはや。
「ごめんね。あたし、また何にもできなくて。……っ」
 朝比奈さんは今にも曇りから小雨に変わってしまいそうな声色をしている。くそ、どうして動けないんだ。今すぐに
でも俺の金縛り状態を解いて抱きしめてあげたいのに。
「涼宮さん……ちゃんと長門さんとこに行けるかなぁ……」
 朝比奈さんの途切れ途切れな声が、彼女が悲しんでいる様子を物語っている。俺の精神状態だけ無事なのにも何とも
もどかしい気分だ。長門……。長門? そうだ。あいつはどこにいるんだ!? さっきまでいた場所には、朝倉と俺、
長門、ハルヒ、朝比奈さんがいたはずだ。どうなってる。長門は今ここにいないのか? どうして?
579もぐら♂:2007/01/10(水) 23:02:49.67 ID:dTzZORTZO
支援
580消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 23:03:08.33 ID:5KdAzWIh0
 ……。
 俺はハルヒが長門の家に向かったことに思い当たる。長門に助けを求めにいったってことは、やはりあいつは今
いないってことになる。長門は無口だから、声が聞こえないだけということもあり得るかと思ったが、そうではない。
ならばさっきいた場所にいた長門はどこへいったのか。……簡単だ。元の時空に留まったのだ。朝倉と一緒に。
 長門が今回も無事に朝倉に勝てるなんて楽観的な予測を俺はしない。もちろん無事でいてほしいが、前回だって俺か
ら見れば結構接戦だったのだ。それなのに、今回の朝倉はあの時以上に予想を上回ることばかりしている。
 ……長門は、SOS団を身を呈して守ったのだ。危険を顧みずに。
 無力感を感じる。俺がどんなに長門に負担をかけまいと思っても、結局それは何らかの形であいつに返ってしまう。
 ふいに、廊下で交わした言葉を思い出す。

 わたしは古泉一樹を守ることができなかった。……わたしの責任。

 俺は結局あの時長門に何も言ってやれなかった。今まで忘れちまってたなんて言い訳はしない。長門、お前に責任な
んかない。そうやって自分を責めるのも、そろそろやめにしようぜ。……そう言いたかった。だって、俺たちは仲間じ
ゃないか。お互いを助けるのは当然なんだ。それは義務なんかじゃない。好意だ。互いが、互いをかけがえのないもの
だと思っているからこその、好意……。
 あいつはまだ人間としての感情の整理に慣れることができないのだろう。ある時は感情が大きくなりすぎ、ある時は
十分すぎるくらいの貢献にもかかわらず、まだ頑張ろうとする。あいつに今一番言ってやりたいことは、無理はするな
の一言だ。だが、あの場所に残った長門はおそらく朝倉と戦っている。そしてこんどこそ俺はその場にいる長門に何も
できないのだ。戦いに傷つき、倒れたあいつを、助け起こしてやることすら。
581もぐら♂:2007/01/10(水) 23:03:59.64 ID:dTzZORTZO
支援
582かわうそ♂:2007/01/10(水) 23:04:02.71 ID:zfikX08UO
支援
583消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 23:04:18.77 ID:5KdAzWIh0
「うぇっ、っく、ふぇっ」
 急に聴覚が戻ってきたかのように気がついた。……朝比奈さんが泣いている。またしても動けなくなっちまった俺を
前にして、たぶん、わけも分からないままで悲しんでいる。
「あたしぃ、うっ、もっと……ちゃんとし……しないと、いけ、いけないのに……っ」
 泣かないで下さいよ朝比奈さん。俺までもらい泣きしちまいそうですよ。くそ。どうしてだ。何で誰も彼も自分を
責めるようなことばっかり……。一番しっかりしないといけないのは俺、いや、これも言い訳にすぎない。俺がどれ
だけ自分を責めようと、今ここにいる朝比奈さんの涙さえ、止めることができない。じゃぁ、誰が悪いんだ? 朝倉
か? すべてを生まれ変った急進派と朝倉のせいにしちまえば、俺たちが持ち寄った憂鬱は全部晴れてくれるのか?
 そうじゃない。あの朝倉ですら、本当の意味で悪じゃないんだ。あいつ自身も言っていたが、朝倉は役割を忠実に
こなしているだけだ。まったく感情移入はできないが、哀しい存在ではあるのかもな。こんな事を言ったら、朝倉に命
ひとつじゃ足りないくらいのナイフを突き立てられそうだが。そう思う。あいつが本当にただのクラスメートだったら
どれだけよかったことか。普通に友達と笑って、勉強して、部活やってたりして、休日はちょっと遠くに出かけたりす
るような、ごく一般的な女子生徒だったら。
 俺は非日常たる生活を望んでいたし、これまで色々あったあれやこれを、ひっくるめて楽しかったと言えるくらいに
なっていた。はずだった。だが、今回はどうだ? お前はこの状況を楽しんでいるか? ……何が楽しいんだ。誰か
教えてくれよ。古泉は消えちまって、長門は別の時間に置き去りで、朝比奈さんは泣き止まない。そして俺だけのうの
うと自省してるこんな状況の、どこが楽しいって言うんだ。
 誰も悪くないのに、みんなが自分を責めやがる。言ったはずだ。俺は灰色もブルー色も好きじゃないって。どうせ倒
れるなら前がかり、続けていくなら楽しく笑っていられる時間を、だ。俺はどんなことが起きようとそうあると誓った
はずだ。だから、今だってそうしなきゃいかん。誰が、何と言おうとだ。
584もぐら♂:2007/01/10(水) 23:05:01.27 ID:dTzZORTZO
支援
585くじら♂:2007/01/10(水) 23:05:12.36 ID:eT/mFhlWO
支援
586消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 23:05:25.68 ID:5KdAzWIh0
「有希! こっちこっち! 早く!」
 朝比奈さんの鳴き声に混じって、叫ぶ声がした。間違いない。ハルヒのものだ。帰ってきた。俺たちの団長様だ。
長門も連れてきたらしいな。……そういえば、ここはいつなんだろうな。長門が無事な時間、過去のどこかだろうか。
「みくるちゃん、泣いてる場合じゃないわ。あたしたちにはすべきことがあるのよ。しっかりして」
 声にならない声を上げる朝比奈さんにハルヒが言った。
「有希、キョンが動かないのよ」
 続けてハルヒの声。こいつ、さっきまでいた場所にも、ここにも長門がいて、どうして冷静でいられるのだろうな。
 長門の声はしない。が、誰かが近付く気配がする。
 かすかに服がすれるような音が聴こえる。何かしているのだろうか。
「治せるの……?」
 ささやくようなハルヒの声。朝比奈さんの嗚咽も今は止んでいる。
「コード解析。解除プログラム検索――該当なし。同期――不能。言語分析。再生成。推定所要時間、一ヶ月」
 長門の声に間違いはなかったが、俺がこれまで聞いたどの長門の声より無機質で無感情だ。発達した機会音声が喋っ
ているんじゃないのかというくらいに。
「一ヶ月……って、その間待たないといけないの? そんなに長く?」
 ハルヒが驚きと呆れの色を帯びた声で言った。俺がこいつの立場でも同じような反応をしたことだろう。長門は何で
もないように言うが、俺はひと月も考える葦状態のまま風に吹かれにゃならんのか?
「未知の言語により生体そのものが凍結されている。それより短時間での解凍は不可能」
 それとも俺は冷凍貯蔵庫のマグロだろうか。だとすればさながらここは競り市か。
587もぐら♂:2007/01/10(水) 23:05:57.46 ID:dTzZORTZO
支援
588消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 23:06:29.45 ID:5KdAzWIh0
「あっ」
 声を出したのは朝比奈さんである。長門が来たことに気を取られたのか、どうにか泣き止んでくださったようだ。
「えぇっと。あの……長門さん? 今っていつだか分かりますか? その、時空間座標のコードを……」
 最後の部分だけ朝比奈さんは聞きとれるかいなかの小声だった。長門にささやいたのかもしれない。
 対する長門は何も答えず、また衣服のこすれる音のみがわずかにした後、
「ありがとうございます。……とすると。うん。あの、長門さん……」
 長門は返事すらしない。無反応にも程があるな。一体今はいつなんだ?
「キョンくんを、お願いできますか」
 台詞だけさらえば長年手塩にかけて育てた娘を嫁にやる時のような言葉に聞こえなくもない。だが俺は朝比奈さんの
娘でもなければ女でもないし、朝比奈さんは父親でも母親でもない。
 朝比奈さんの声は真剣だった。かつて、ハルヒに関するトンデモ話を聞かされたときのような緊張の色。
「ちょっとみくるちゃん? それって一体――」
 ハルヒの声に朝比奈さんは、
「涼宮さん、すぐに済みますから。ちょっとだけ待っててもらえますか」
 ハルヒに指示をする朝比奈さんなんてものを俺は初めて見た、いや、聞いた。
 数秒沈黙があった。おそらく、長門が音にならない反応をしているのだと思う。
589もぐら♂:2007/01/10(水) 23:06:56.78 ID:dTzZORTZO
支援
590消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 23:07:49.88 ID:5KdAzWIh0
「ありがとうございます。それじゃ……お願いしますね」
「みくるちゃん? どういうこと?」
 ハルヒの問いに、朝比奈さんは別の答え方をする。
「涼宮さん、少しの間目を閉じてもらえますか?」
 やや躊躇するようではあるものの、朝比奈さんの声は相変わらず真剣そのものだった。ハルヒもよもや朝比奈さんか
らこうしろと言われるとはまったくもって想定外だったらしく、しばらく「え?」とか「えっと」とか挙動不審そうな
ことを言って、ようやく
「目をつむればいいのね。……こうかしら」
「長門さん、それじゃぁ。涼宮さん……ごめんなさいっ」
「えっ?」
 直後、空気を払うようなヒュッという音が聴こえ、それきりハルヒの声も朝比奈さんの声もしなく――。
「……」

 猛烈な眠気と共に、俺は急速に意識を失った。

591もぐら♀:2007/01/10(水) 23:08:10.00 ID:dTzZORTZO
支援
592消えていく日々、いつもの風景 ◆Etq65eJh4c :2007/01/10(水) 23:08:56.65 ID:5KdAzWIh0
ここまでです。
明日も2パート投下できると思います。
時間は後ほど避難所の予告スレに書き込んでおきます。
編集はいつも通り自分で行いますです。
593かわうそ♀:2007/01/10(水) 23:09:12.38 ID:zfikX08UO
支援
594もぐら♀:2007/01/10(水) 23:09:39.96 ID:dTzZORTZO
乙!
続きwktk
595かわうそ♀:2007/01/10(水) 23:10:08.24 ID:zfikX08UO
>>592

乙!
読ませるね!
596まぐろ♂:2007/01/10(水) 23:15:44.94 ID:eT/mFhlWO
続きが気になるwww
乙!
597ひぐま♀:2007/01/10(水) 23:18:51.24 ID:Xm3cIM2cO
乙!続きが読みてぇ〜
598おこじょ♂:2007/01/10(水) 23:30:48.56 ID:kbm9oNCo0
>>289
GJ

>>312
長編乙
アナザーハルヒいじらしくてよかった

>>329 GJ
長門。・゚・(ノд`)・゚・。

>>366
長編乙 甘くてごっちゃんでしたw

>>395
古泉らしくてよかったです

>>410 >>420
甘い一発芸GJ


599おこじょ♀:2007/01/10(水) 23:38:46.04 ID:kbm9oNCo0
>>555
GJ! 一日だけの許された逢瀬・・・萌える展開ですね

>>565
>>592
待っています

600ひつじ♂:2007/01/10(水) 23:39:33.28 ID:eT/mFhlWO
age
601保守ネタ:2007/01/10(水) 23:50:29.67 ID:JZFshlKv0
ハルヒへ

お前は強く生きていける。

おまえと子供たちを愛している。

今日より明日、明日より明後日。

笑いを忘れずくじけるな。たとえつらいときも。

最後に愛するハルヒへ。

今夜、今夜子供たちを寝かせるときパパが愛していると伝えて、代わりにに抱きしめおやすみのキスをしてくれ。


―― キョンの遺書 ――

……この遺書が書かれた6時間後、キョンは激戦のかで戦死した……
602とき:2007/01/10(水) 23:53:02.15 ID:aAoQixb2O
方舟の投下今週もなしか
603しまうま♂:2007/01/10(水) 23:59:11.50 ID:yI2v6WGU0
一気に投下ってどこまでなら許されるんだろう・・・。
60とか70とかってありなんだろうか。
604なめ猫♀:2007/01/11(木) 00:03:05.12 ID:sVNYj8c+0
>>603
イーンダヨ

支援はするぜ!
605カンムリワシ♂:2007/01/11(木) 00:03:27.68 ID:4X0PxEkk0
>>601
こういう世界に彼らの世界も俺らの世界もならないことを全身全霊で祈ってるyo保守
606うまさん♂:2007/01/11(木) 00:03:36.41 ID:bQtUUFwR0
>>603
支援さえあればなんとかなると思うが…?
607チョコボ♂:2007/01/11(木) 00:03:56.88 ID:UUkH3Wmt0
>>603
支援が追いつければ可能だけれど、
携帯の人とかつらいんじゃないか?
あとまとめとか大変じゃね?という気も。

10〜15レスくらいが妥当な希ガス。個人的な意見なんで気にしないでつかあさい。
608いたち♂:2007/01/11(木) 00:05:07.59 ID:HMrqByMNO
wktk
609のらぬこ♀:2007/01/11(木) 00:05:10.35 ID:pnn8g6w80
ただまぁ
込んでる時間は他の人が投下できなくなるので
なるべく投下する人がいない時間帯で
予告して支援人を集めるとかしたほうがよいかと。
610いもり♂:2007/01/11(木) 00:05:13.67 ID:M6SQZd7E0
>>603
やるなら予告した上で投下した方がいいかも。
保守してくれる人も多くなるだろうし。
611『方舟』:2007/01/11(木) 00:08:02.48 ID:n9xUDZnpO
流れ切ってすまん
>>602
安心してくれ!今まで諸事情により投下出来なかったが今週はできる!
でも今日はおかんがパソコン使えなくしたから、投下は金曜日になりましたorzすいません
と言う訳で涼宮ハルヒの方舟毎月第2第4金曜日投下中!!(今週から)宜しく!
612ゴキ♂:2007/01/11(木) 00:08:09.36 ID:4tM5wkhP0
レスd
今書いている話が、折返し行ってなさそうな地点で
文量が25レス分超えているんだよね……。
続き物でも良いんだろうけれど、
出来るなら書きあがってから投下したくてさ。

んー、全部出来てから、今週末あたりから
消えていく日々、の人みたいに投下してみるかな。
613ラッコ♂:2007/01/11(木) 00:09:04.28 ID:TpSNFT9zO
60位でも一気に読んでみたい気もする
614603:2007/01/11(木) 00:09:48.12 ID:4tM5wkhP0
ていうか日付超えているからレス番入れないと
分からないか・・・。

さて、んじゃあその続きの執筆と冬企画の執筆と
鬱モード一ハル×2、と馬鹿馬鹿しいハルキョン古鶴高校生仕様でも頑張ってくるよ。
・・・多いなあ。
615とんび♂:2007/01/11(木) 00:09:57.47 ID:x88ae+JJ0
>>601
どっかで聞いたことが
616568:2007/01/11(木) 00:11:37.88 ID:My1ZDHLy0
すまん・・・俺はどうやらスピード短編には向いてないらしい
>>569のお題だけ、しかも中途半端にしか消化できなかった

投下してもいいかな・・・
617チョコボ♀:2007/01/11(木) 00:12:28.50 ID:UUkH3Wmt0
>>616
十分早いよ!w
wktk
618いもり♀:2007/01/11(木) 00:13:02.70 ID:M6SQZd7E0
>>615
●<禁則事項ですっ♪
619無題1/2:2007/01/11(木) 00:13:46.54 ID:My1ZDHLy0
「くぅ〜ん」
 SOS団の活動を終えて学校から帰る途中、僕はそんな声を耳にしました。犬の声のようですが、随分と弱っているようですね。
「……おや?」
 何の気なしに声の聞こえた方に行ってみると、予想通りダンボール箱に入れられた哀れな捨て犬と――その犬を優しく抱き上げている人物を目にして、僕は思わず眉をひそめてしまいました。
「森さん?」
「ああ……古泉」
 森さんは犬を抱えたまま立ち上がると、普段どおりの笑みを僕にくれました。もちろん、服装はメイド服などではなく、普通のスーツですが。
「こんなところで、珍しいですね」
 僕の言葉にもどこか心あらずな森さんは、子犬に目を落としたまま、「そうね」とだけ言い、仔犬を頭をひと撫でしました。
 一般人の目から見たら、いかにもこういうことをしそうな外見をしている森さんですが、僕たち<機関>の人間からして見ればそれは間違いです。彼女は誰よりも任務に忠実で、何よりも任務を優先する。理由は分かりませんが、それこそ他の事には目もくれずに。
 新川さんなら、知っていそうですが……。
「何故こんなところに?」
「……<機関>の車で通りがかったところを、偶然見つけたのです」
 僕はますます驚きました。たまたま見かけた子犬を気にするとは、この人の性格を考えたらよほどのことだ。
620チョコボ♀:2007/01/11(木) 00:13:54.79 ID:UUkH3Wmt0
>>611
方舟予告ktkr
wktkで待ってます
雑談所の投下予告スレも
活用していただけるとなおありがたい
621無題2/2:2007/01/11(木) 00:14:37.66 ID:My1ZDHLy0
「……ええ」
 森さんはやはりどこか沈んだ声で答えると、子犬を撫でるのを続行します。
「……飼うことは、できないんですか?」
「……ええ」
 やはり、そうか。もしも飼うことができる環境があるなら、こんなところで立ち往生などせずに、この仔犬をそのまま連れ帰っていたはずだ。
<機関>の力など最初からアテにしていない。あれは涼宮さんの監視だけが目的で、本拠がどこにあるかなど末端の僕には知らされていない。
そもそもそんな施設があるのかどうかも謎ですからね。
「生憎、僕も無理そうです」
「……そうですか」
 森さんも僕の答えが分かっていたのでしょう、諦めたような表情で仔犬をダンボール箱にそっと戻そうとした時、
「私が連れ帰りましょうか」
 <機関>の車の運転席から顔を覗かせたのは、新川さんでした。
「私ももう歳ですからな。一人暮らしのパートナーが欲しいと思っていたところです。仕事の無い時にでも顔を見せてくださるといいでしょう」
「新川……」
 新川さんはドライバーキャップをかぶり直すと、
「外は冷えます。早く車内にお戻りください。古泉君も、早く帰るよう。我々の仕事は、体が資本ですからな」
 それだけを言って窓を閉めてしまいました。次にはもうエンジンをふかす音が聞こえてきます。
「……新川さんがああおっしゃっているのですから、いいんでしょう」
「……そうね」
 ここで森さんは、ようやく心からの笑みを浮かべました。
「では、わたしたちは行きます。あなたも気をつけて」
「ええ」
 そう言って森さんは車内に乗り込みました。……震える仔犬の入ったダンボール箱を、大事そうに抱えて。
 走り去る黒塗りの車を眺めながら、あの人たちにも僕たちと同じ血が流れているのだと感じ、僕は不覚にも微笑んでいました。




中途半端に終わる
すまん、改行忘れてた
622いたち♀:2007/01/11(木) 00:18:00.42 ID:My1ZDHLy0
だめだこりゃ、全然ハルヒSSじゃないな
古泉の言動に違和感ありまくりだし

やっぱ俺はじっくり練り込んでいかないと面白い話書けんわ・・・
623ラッコ♀:2007/01/11(木) 00:20:58.76 ID:TpSNFT9zO
新川さんカッコイイ!ww
乙でした!
624わし♀:2007/01/11(木) 00:21:49.60 ID:4X0PxEkk0
>>622
GJ
そういや中の人が同じなゴーグル義眼の公安要員が犬を可愛がってましたねw
625雷鳥♂:2007/01/11(木) 00:32:47.26 ID:HANm8KYsO
妙な電波を受信したわけだが、投下していいかな?
駄作必至だがww
626雷鳥♂:2007/01/11(木) 00:33:35.94 ID:/ATmmo2GO
wawawawktk〜
627インコ♂:2007/01/11(木) 00:35:27.18 ID:x88ae+JJ0
>>618
ブラックホークダウン?

>>625
wktk
628内なるハルヒの応援 ◆mtod1dSyOc :2007/01/11(木) 00:36:17.33 ID:HANm8KYsO
じゃあ行きます。ほぼなぐり書き状態ですが悪しからず


 こんにちは、涼宮ハルヒです!
 ……って言うよりは、涼宮ハルヒの中にある、4年前になくなった、現実的で、乙女チックな心があたしなの。
 あたしはご主人様が幸せになったら消えちゃうんだけど、それがあたしの喜びだからいいわ。
 だからね、あたしの役目は一つ! いつも素直になれないご主人様の背中を押してあげること!
 いっつも、いっつもご主人様の心はキョンくんでいっぱいなんだけどね、それが態度に出ないみたいなの。
 むしろ、気が無いみたいな態度を取っちゃってる。
 それをあたしが応援して、ご主人様を幸せにしてあげるの!
 ……あ、言ってるそばからキョンくんが登校してきたみたい。
「よう、ハルヒ。今日はなんだか機嫌が良さそうだな。顔がニヤついてるぞ」
 ふふふ、いつもと違うご主人様を演出することで、キョンくんに興味をひかせちゃった。
 あたしは《涼宮ハルヒ》の一部だから、体や表情や言葉も思い通りなの。
 ま、ご主人様はあたしに気付かないけど。
「う、うるさい! ニヤけてなんかないわよ!」
 あちゃ〜、ここから世間話にでも発展すると思ったのに……。
629内なるハルヒの応援 ◆mtod1dSyOc :2007/01/11(木) 00:36:43.25 ID:HANm8KYsO
 ご主人様は意地っ張りだなぁ、もう。
「む……そんなに厳しくするなよ。ちょっと話をしようかなって思っただけだ。嫌なら黙っとく」
 ありゃ、キョンくん拗ねちゃったよ。……ご主人様、ガッカリしてる場合じゃないよ、キョンくんと話すチャンスだよ。頑張って!
「あ、え……キョ、キョン! あたしは暇だから相手してあげるわ! 光栄に思いなさいっ!」
 よく頑張った! ご主人様、偉い!
「じゃあ、いろいろ話すか。今日、妹がな……」
 よかった……キョンくんと喋れてご主人様、とっても幸せそうだ。心臓の鼓動も早いしね。
 しばらくはご主人様一人でもだいじょぶそうだね。じゃあ、あたしはしばらく休憩しよっと……。


「じゃーな、ハルヒ」
「あ、うん……」
 どうしたのかな、ご主人様の元気がないような気がする。
 何か悩みごとかなぁ……。ご主人様がいつもの日記を付ける時に調べちゃおう。

「はぁ……どうしよ。嫌だなぁ……」
 ご主人様、どうしたのかな?
「このあたしが本気で好きになっちゃうなんて思わなかったわ……はぁ」
 ありゃ、やっと気付いたんだなぁ。キョンくんが好きだってことに。
 ほんとはずっと前から惹かれてたくせに、ご主人様は認めないんだもん。
「うじうじするのはあたしらしくないし……告白しちゃおっかなぁ……」
 そうだよ、ご主人様! 頑張って!
「でも、面と向かってキョンにフラれちゃったら悔しいし……話せなくなりそうだし……はぁ」
 ご主人様は『キョン』と名前をつけたぬいぐるみを持ち上げた。
「ねぇ、『キョン』。どうしたらいいか教えなさいよ」
 ダメだよ。ぬいぐるみに聞いても答えてくれるわけないから!
630がらがらへび♂:2007/01/11(木) 00:37:39.52 ID:TpSNFT9zO
支援
631内なるハルヒの応援 ◆mtod1dSyOc :2007/01/11(木) 00:38:09.86 ID:HANm8KYsO
 ……もう、しょうがないなぁ。ご主人様の思考に少しだけ働きかけて背中を押してあげようっと。
「……あ、そうよ! 面と向かって言えないなら手紙があるじゃない! 我ながらナイスアイデアね!」
 あたしのアイデアだけどね。……まぁ、あたしも《涼宮ハルヒ》だけどさ。
 ご主人様の筆は止まることなく進んでいた。
 言いたいことはたくさんあったんだ、あたしが手伝う必要無いよね。……え?
 そこまで、5分程動き続けた手は止まり、ご主人様は机に突っ伏してしまった。
「あたし、キョンに『普通は大事なことは面と向かって伝えろ』って言ってたわよね……、だいぶ昔に」
 そういえば、そんなこともあったなぁ……。
「でも、やっぱり恥ずかしいし……」
 もう…あとちょっとだから頑張ってよ! 『好きです』って書けばいいじゃない!
「……すぅ……すぅ」
 うわぁ……寝ちゃってるよ。まったく、ご主人様ったら……。
 あたしが全部書いちゃおうかな。いいよね、ご主人様の気持ちは全部わかっちゃってるし。
 体、寝てる間に借りちゃいま〜す。じゃあ、始め!
《キョンへ あたしね、実はあんたが……中略……だからね、あたしと付き合いなさいっ!》
 よし、出来た! ご主人様の気持ちを詰め込んだ、《涼宮ハルヒ》らしい文になってるはず!
 あ〜あ、あたしも疲れちゃったなぁ。ちょっと眠って、ご主人様と同じ時間に起きて反応見ようっと。


 うん……と、朝かぁ。体が起きてるし、ご主人様の方が早かったんだなぁ。
「あれ? あたしちゃんと書いてから寝たのかしら……。まぁいいわ、けっこう良い文に仕上がってるし」
632内なるハルヒの応援 ◆mtod1dSyOc :2007/01/11(木) 00:38:41.41 ID:HANm8KYsO
 よかったよかった。ご主人様も満足してるし、あとは結果が楽しみだなぁ。
 学校に一番に行って、キョンくんの引き出しの中に手紙を押し込んだご主人様は、とっても不安そうだった。
 こういう時があたしの出番だよね。
――大丈夫、必ず成功するから――
 と、心の中に直接話しかけてあげた。
「……うん、大丈夫。キョンなら優しく対応してくれるわ」
 ほら、落ち着いた。……あれ、キョンくん? 今日は早いなぁ……。
「よう、ハルヒ。珍しく朝早くに起きちまってな」
「あ、あら、そうなの。あたしも早く起きちゃったのよ、奇遇ね」
 うわ、すっごいドキドキしてるみたい。音が今までにないくらいに大きいよ。
 キョンくんが椅子に座って、引き出しに手を入れた。手紙に気付いた……って、えぇっ!
 ご主人様、逃げちゃダメだよおぉぉぉ!

 ……あ〜あ、屋上まで来ちゃった。意気地なしなんだから。
「はぁ……教室、戻り辛いな。サボっちゃおうかな」
 ダメだよ、ちゃんと返事聞かなくちゃ!
「でも、結局キョンとは会っちゃうのよね……戻ろう」
 すると、いきなり屋上のドアが音を立てて開いた。
633内なるハルヒの応援 ◆mtod1dSyOc :2007/01/11(木) 00:40:08.26 ID:HANm8KYsO
「ハルヒ! 探したぞ!」
「キョ……キョン!?」
 追っかけて来てくれたんだ。たぶん、手紙も読んでくれたんだよね。
「お前の気持ち、すごくうれしかったんだけどな。……なんで逃げたんだよ」
「それは……こ、怖かったのよ。フラれたり、あんたと今まで通り出来なくなるのが……」
 が、頑張れとしか言えない! ご主人様、もう一回『好き』って言いなさい!
「でも……好き!」
「俺も、ハルヒのこと好きだぞ。自分でも気付かないくらい前からな」
 よかったぁ……これでご主人様は幸せだね。
 ……あたしも消えよう。
 これからはキョンくんがご主人様に乙女チックな心や、現実的な心を教えてくれるだろうし。
「キス……していいか?」
「……うん」
 ありゃりゃ、キスシーンはあたしには刺激が強いから退散しちゃお。バイバイ、ご主人様!
「ありがと、あたしの中のあたし」
 ご主人様は胸に手を当ててそう言った。気付かれてた? そんなわけ無いよね。
 あたしは足から消えはじめた。ご主人様の中に完全に溶け込むから。
 ギリギリ、キスする所が見えちゃうなぁ。
 ……お幸せに。


おわり


以上です。暖かい目で見て受け流してくださいww
634インコ♀:2007/01/11(木) 00:42:01.44 ID:x88ae+JJ0
>>633
GJ!!
面白かったぞ
635カンムリワシ♂:2007/01/11(木) 00:43:53.36 ID:/ATmmo2GO
>>633
乙だっぜ!
面白かった!
636がらがらへび♀:2007/01/11(木) 00:45:56.43 ID:TpSNFT9zO
これで殴り書き? レベル高いよww

乙でした!
637パンサー♀:2007/01/11(木) 00:45:58.15 ID:Nv8iZo6IO
GJ!

デレデレハルヒも良いなw
638うしくん♀:2007/01/11(木) 00:49:55.53 ID:qHS+WSWDO
GJ!
人形にキョンと名付けるハルヒに萌えまくりました
639ももんが♀:2007/01/11(木) 00:50:40.73 ID:4X0PxEkk0
>>633
天使ハルヒ乙w
なんかアレンビー思い出したyo
640VIP皇帝:2007/01/11(木) 00:51:17.90 ID:4HkbCSq60
天王の娘ってこんな感じじゃなかったっけな。
641かも♂:2007/01/11(木) 00:53:12.49 ID:4tM5wkhP0
>>633
GJ!
これのキョンバージョンと朝比奈さんバージョンと
長門バージョンと古泉バージョンが見たいなw
642 ◆mtod1dSyOc :2007/01/11(木) 00:59:38.81 ID:HANm8KYsO
多くの感想ありがとうございましたorz
とりあえずまとめ要請してきますノシ

>>641
考えたけど難しくてorz
643ピクミン♂:2007/01/11(木) 01:07:56.24 ID:HANm8KYsO
保守
644ジェラ ◆7V2lj.SD8g :2007/01/11(木) 01:10:56.90 ID:s0O0J1Yj0
どうもー。
上にある『選択』の世界をそのまま使って書いたのを投下していこうと思います。
見る方は参照していただけるとわかりやすいかもです。
645ジェラpage1 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/11(木) 01:11:42.29 ID:s0O0J1Yj0
 ジェラシー・パニック

 
 世の中には己の理解できない現象や出来事は腐るほどある。高校生になるまでもそれをもちろん感じていたが、
高校に入ってからのこの一年間で、それまで理解できないと思っていたことがどれだけちっぽけな事だったか思い知った。
 原因は、もちろん涼宮ハルヒである。
 宇宙人やら未来人やら、超能力者、その全てを集めたのがハルヒなのだ。
 まさに歩くエリア51である。某国に売り飛ばしたら一生遊んで暮らせるくらいの金が入ってくる気がする。
 しかも本人はそんな事実を露とも知らない。全てのとばっちりは俺と、他三人が請け負っているんだからな。
 しかしまあ貴重な体験をしているとか思えば、そこまで苦痛ではない。殺されたりするのは勘弁だが。
 ハルヒは相変わらずである。春休みのクローン騒ぎの時から俺たちの関係が大きく変わったわけでもない。
相変わらず俺は奴隷のような扱いを受けている。しかしまあ、局所に気遣いが見えるようになったのは
ハルヒなりの成長の証なんだろう。俺もさりげなくではあるが、ハルヒに対しての信頼の証は示すようにしている。
 どうやってだって? それは、なんだ、お子様が見ているかもしれないからここでは答えられないのである。
 なんてな。そんな高校生らしいあま〜い展開があるわけでもなく、口に出して気持ちを表現なんて
俺のキャラでもないからな。
 ハルヒと俺の関係なんてそもそも今はどうでもいいのである。
 SOS団の設立から一年経とうとしていて、もうあらかた驚き尽くしてこれから何が起きても、
免疫のおかげで驚くこともないだろう。
 そう考えていた矢先にそれは起こった。
646ジェラpage2 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/11(木) 01:12:11.33 ID:s0O0J1Yj0
 二年生へと進級し、せめてクラスの中でくらい平穏でいたいと思っていた俺の望みは、
初っ端からくじかれることになる。
 ある程度諦めてはいたがこうして現実を目の当たりにすると苦笑いの一つでもでるというものだ。
 ハルヒと同じクラス、そしてまた席が前後。もはや学校の陰謀じゃないかと疑いたくなるような展開だ。
何より俺の気を滅入らせたのは、最近では俺とハルヒができているとか運命の二人だとか、
そんな噂が流れ始めていたことだった。
 谷口あたりがそんな噂を立て始めたのであれば締め上げてやるのだが、
一年間席は離れず、クラス替えをしても一緒というのはどう考えても目立つわけで、
俺が第三者だとしてもそういう見方をするだろうなと思うと余計に滅入るのだった。
 当のハルヒ本人は、
「あんたそんな噂気にしてるの? 言いたい奴には言わせておけばいいわ」
とまんざらでもなさそうな発言をしていたので俺も覚悟をきめることにした。
 こいつと関わっている限りはもう普通の高校生活は諦めたほうがいいのだ。そもそも、最近は
何が普通で何が普通じゃないのか、その区別さえ曖昧になってきた。
 俺を現実に戻してくれる国木田と谷口もまた同じクラスになったのはまさに不幸中の幸いというやつである。
 しかし、こんな事態はちょっと考えれば予測できることであり、驚くようなことでもない。
 そんな俺を驚かせたのは、ハルヒではなく、この学校の生徒(男子)だったのだ。
647ジェラpage3 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/11(木) 01:12:49.74 ID:s0O0J1Yj0
 春眠暁を覚えず。
 そんな言葉がぴったりな春の陽気の中、あくびをしながら坂を登っていた。
 ハイキングコースのようなこの通学路も、一年も経てば慣れたもので毎日欠かさずに運動していると思えば、
健康的なんじゃないかとも思い始めていた。
 そんなことを考えながらぼけっと歩いていると、後ろからお馴染みの声が聞こえてくる。
「よう、キョン」
 谷口である。こいつも懲りない奴で、すでに一年生女子のランク付けをして、
お気に入りの子がいるとそれを俺に逐一報告してくるのだ。
「やっぱり今年の一年生はレベルが高いぜ。今の二年とは大違いだ」
 そのお前の言うレベルの低い二年の女子に相手にされなかった奴が、
何をどうしたらレベルの高い一年の女子と仲良くなれるんだ。教えてくれ。
「わかってねえなあキョン。俺は昔から年下にもてるんだよ」
 こいつのこの前向きな思考を俺にも分けてもらいたいもんだ。長生きできそうな気がする。
「大体、あの涼宮と同じクラスになりはじめてから俺の人生は狂っちまったんだ。
中一の頃からこれで五年目だぜ? 教師の陰謀じゃないかと疑いたくなるぜ」
 谷口は俺が心の中で思っていたようなことを言い始めた。
 そうか、こいつはこいつでハルヒと五年間クラスが同じなのだ。それなら俺よりもこいつとハルヒの噂を
立ててやるのが自然じゃないのかね。
「勘弁してくれよ。涼宮の保護者はどう考えても、キョン、お前しかいねえよ」
 谷口は肩をすくませて何度も大きく頷いた。
「それにお前ら、春休み中なんかあっただろ? 涼宮のお前に対する態度、明らかに違うもんな」
 鋭い。
 谷口もその観察力をもっと別のところで活かすことができれば、女子からもてるんじゃないか?
全くもってハルヒ同様、宝の持ち腐れというやつである。
648ジェラpage4 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/11(木) 01:13:24.78 ID:s0O0J1Yj0
「そりゃあ四年間も同じ人間見てりゃ変化ぐらい気づくだろ。もっとも、あの涼宮が変わったのは、
お前と同じクラスになってからだけどな」
 もっともな話かもしれないが、こいつに言われると毎度腹が立つのはなぜだろうか。
 そんな谷口のアホ話を聞きながら登校することにも慣れたもんだが、
今日はいつもと違っていたことがあった。
 校門付近にやたら人が集まっているのである。
「キョン、あれ何の騒ぎだ?」
 俺が知るわけないだろう? 学校のイベントなんて逐一把握してないからな。
「また涼宮の奴がバニーの格好でもしてるんじゃないのか? あいつならやりかねないからな」
 確かにな。だが、今年ばかりはそれはないと俺は確信していた。
元々ハルヒはやる気満々だったわけだが、俺がどうにかそれをやめるように諭したのである。
 普通の部員が集まるわけないが、かといってこれ以上変な印象を持たれたら、
所属している団員たちの学校生活にも影響があるかもしれない。(特に朝比奈さんや俺だが)
 ハルヒは釈然としないようだったが、俺が頼み込んだ甲斐あってか、
他に案を出すならという約束でバニーでの宣伝はやらないということに落ち着いたのだ。
 とはいえ、三歩歩けば人の顔を忘れるような鶏のような奴だからな、安心はできない。
そうでないことを祈りながら校門に近づいていくと、ようやくそこで起こっていることを把握することができた。
 把握するまでにたっぷり二,三分は要したけどな。
 校門近くで男子生徒十数名がビラ配りをしていたのであるが、驚くべきはその格好とビラの内容だった。
初めに受け取った谷口がビラを見て、
「す、涼宮ハルヒ様ファンクラブ?」
と声を震わせた。
 ビラを配る男子生徒たちの頭にははちまきが巻かれていて、そこには
『涼宮☆命』だとか『ハルヒ様LOVE』だとか見るからに痛々しい文字が書かれていたのだ。
 人間が大きな衝撃を受けると声も出なくなるのはご存知だろうか。
 それに近いものを去年の秋の文化祭でも俺は味わったわけだが、今回はそれ以上の衝撃だった。
朝比奈さんなら十分理解できる。てか俺もハルヒがいなけりゃファンクラブに入っているに違いない。
 長門にしてもマニアックな連中から人気があるのは百歩譲っても理解できる。
649ジェラpage5 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/11(木) 01:14:07.49 ID:s0O0J1Yj0
 なぜハルヒなんだ?
 そりゃ黙ってれば美少女高校生のハルヒではあるが、その異人ぶりを目の当たりにすれば誰もが身を引いていくような
そんな女である。女王様が似合うだとかそんなものを超越している存在だ。
 こいつらの頭の中を覗きたくて仕方ない。どれだけのマゾ属性があればハルヒのファンになぞなれるんだ。
 そんな集団の中であっけにとられていると、自称ファンクラブ副会長だという男子生徒が俺に近づいてきた。
「みんな、ここにキョン君がいるぞ!」
「おお、キョンさんだ。我らが会長!」
「キョンさん万歳!」
 次々とそんな歓声が沸きあがり始める。
「ちょっ、ちょっと待ってくれ。一体何事なんだ?」
 とりあえず俺はビラを配るのを止めるようにお願いすると、素直にもそれに従ってくれたおかげで
校門の人だかりは流れていくようになった。
 ファンクラブとやらのメンバーをよく見ると今まで学校内で見たことがあるような生徒もいれば、
どうやら新入生らしき生徒も数名いるようだった。
「とりあえず事情を説明してくれないか。それに俺が会長ってどういうことだ?」
 それに答えたのは、副会長の三年生の蟹沢という男子生徒だった。
「あなたが涼宮さんのお気に入りというのは我々の中ではあまりにも有名な話。
なのに涼宮さんに彼氏はいないと聞く。これ以上ファンクラブの会長に適切な人間はいない!」
 谷口が堪えきれずに吹き出すのを聞きながら俺は頭の中を必死に整理した。
650ジェラpage6 ◆7V2lj.SD8g :2007/01/11(木) 01:14:53.38 ID:s0O0J1Yj0
つまりだ。ハルヒには彼氏がいない。なのに俺がしょっちゅうハルヒにくっついている。
それはイコール、俺がメリットなしにハルヒの側にいる一番のマゾだと見られているということか。
 頭が痛くなってきた。精神的苦痛を受けた。これは誰を訴えればいいんだ? 多額の慰謝料と謝罪を要求するぞ。
 しかしなんでまたいきなりファンクラブなんだ?
「去年から隠れファンは多かったんです。だけど、みんな中々言いだしづらくて
陰から見ていることしかできなかったんですよ! でも今年入ってきた一年生の中でも涼宮さんの人気は高くて、
それならって奮起したんです!」
 そう力説してくれたのは、ファンクラブ広報を名乗る同じ学年の恵比島という男子だ。
 谷口もそうだが、その無駄な熱意を別の方向に向けてみたらどうだろうか?
 ハルヒにその熱意を向けるのはどう考えても得策じゃないぞ。怪物に餌付けするようなもんだ。
「お願いします! 会長になってください!」
「キョンさん! お願いします!」
 後ろで聞いていた谷口がもう一度吹き出したところで、俺は頭を抱えて大きく溜息をついた。
 やれやれ。


続く
651パンサー♂:2007/01/11(木) 01:32:42.96 ID:Nv8iZo6IO
乙!
まさかのファンクラブに続きwktk!
652インコ♂:2007/01/11(木) 01:34:07.47 ID:x88ae+JJ0
>>650
GJ!!
面白い!
653きじ♂:2007/01/11(木) 01:36:54.14 ID:3ArsqIYN0
盛大に吹いたwwww
続きに期待!
654ブロントサウルス♀:2007/01/11(木) 01:49:44.28 ID:u7BW14/Z0
良かった
続きに期待
頑張って独自の世界観を築いていってくれ
655かわうそ♀:2007/01/11(木) 02:01:29.82 ID:NoW/Cari0
>>650
乙! さらなる展開に期待だぜ

>>555
毎回上手いな。今回のモトネタはドラ…?
656パンサー♀:2007/01/11(木) 02:28:31.41 ID:Nv8iZo6IO
保守
657ふんころがし♂:2007/01/11(木) 02:54:02.93 ID:Nv8iZo6IO
保守
658チワワ♂:2007/01/11(木) 02:54:14.01 ID:jBXIbmau0
保守
659たると♂:2007/01/11(木) 03:07:45.61 ID:tkG4JIrb0
四月の雪もその次のキョ長も心に染みますね
660ウズラ♂:2007/01/11(木) 03:45:49.63 ID:tkG4JIrb0
いやぁ
発想がすばらしいですな
661シマリス♂:2007/01/11(木) 03:52:59.94 ID:ybS9HGEZ0
●<空から太くてたくましい男根が降ってくる夢を見ました
662シマリス♂:2007/01/11(木) 03:59:35.14 ID:tkG4JIrb0
スレも一またぎですか
663ニャンまげ♀:2007/01/11(木) 04:38:46.82 ID:UUkH3Wmt0
本日12:10に落ちる保守
664シマリス♂:2007/01/11(木) 04:54:01.08 ID:tkG4JIrb0
その時間は会議中だ
665たると♀:2007/01/11(木) 05:19:57.77 ID:UUkH3Wmt0
保守
666しゃけ♀:2007/01/11(木) 05:27:26.10 ID:P657WSXm0
WIKIおかしいな。
編集が一部反映されない。
667ニャンまげ♀:2007/01/11(木) 05:30:49.05 ID:UUkH3Wmt0
>>666
その代わり異様に早いんだよね。
管理人さんが何か試してくれているのなら良いのだが。
668ニャンまげ♀:2007/01/11(木) 06:21:56.72 ID:UUkH3Wmt0
保守するんだぜ
669いもり♂:2007/01/11(木) 06:34:02.18 ID:9xYcM15C0
先日>>263-264
長門有希の遺言を書かせていただいた者です。

保守ネタですが、
ちょっとだけ続きを書いてしまったので、投下します。

論文の締め切りがやばいので、これで最後にします。
670あざらし♀:2007/01/11(木) 06:34:57.94 ID:r7LbemCL0
ハルヒって…
いつの時代の話っすか?wwww
671いもり♀:2007/01/11(木) 06:35:45.13 ID:9xYcM15C0
「 どこかにいる 有希へ

元気ですか。

有希があのメッセージを残していなくなってから、
今日で二週間が経ちました。


小説、ふたりで読んだよ。
とてもきれいで明るい物語のはずなのに
あたしもキョンも、ずっと泣きっぱなしだった。

あんたは、『しあわせをねがって』と言ってくれたでしょ。
でも、悪いけど
あたしはそんなに簡単に幸せにはなれないわ。

キョンが泣きながら、どっかのアニメのセリフみたいなことを怒って言ってた。
『長門のいない世界に、幸せなんてあるか!?』
って。
それを聞いて少しくやしかったけど、本当にその通りだと思った。

あたしたちが幸せになるにはね、
有希がいなきゃダメなんだよ。
あたしたち5人全員がそろってないと、幸せにはなれないの。
672いもり♀:2007/01/11(木) 06:36:23.55 ID:9xYcM15C0
いなくなってしまう少し前、
有希が変わってきたのが、あたしにもわかった。
表情が少しやわらかくて、言葉も少しあたたかくて、そして少し弱くなっていた。
以前の万能で無表情な有希じゃなくなっていた。
あたしには、それがすごくうれしかった。

そして有希の最後のメッセージは、すごく弱気だった。
消えてしまう、もう会えない、ごめんね、って。
あたしやキョンが、これまでに有希に何度も助けられたことは、キョンから聞いた。
だから今度は、有希、
あたしたちがあんたを助ける番だよ。


あたしは絶対にあんたを探し出してみせる。
あんたは不良品なんかじゃない。
あたしの大切な仲間だから。


だから、今日はこうして宇宙に向けて電波を送ることにした。
いろんな法律に触れてるような気もするけど、まぁいいでしょ。
もう決めたことだから、絶対にあきらめないわ。
探されたら困る、なんて言ってもダメなんだからね!
返事をするのは難しいかもしれないけど、
聞こえたらとりあえず、その場にいなさい。
名探偵のあたしがいるんだもん、きっと見つけてあげるわ!
あんたの人生は、これからなのよ!

だから、もうちょっとだけ待っててね。

                     涼宮ハルヒ 」
673あひる♂:2007/01/11(木) 06:59:53.86 ID:Nv8iZo6IO
GJ!

。・゚・(つД`)・゚・。
674ひぐま♀:2007/01/11(木) 07:19:23.03 ID:uz2hdSDC0
保守保守!!
675ニャンまげ♀:2007/01/11(木) 08:08:41.10 ID:UUkH3Wmt0
●<ホッシューレ
>>671-672GJ・・・
676ネコ♀:2007/01/11(木) 08:08:54.24 ID:Nv8iZo6IO
保守
677わらじむし♂:2007/01/11(木) 08:27:06.35 ID:Nv8iZo6IO
保守
678きりぎりす♂:2007/01/11(木) 08:43:53.46 ID:/ATmmo2GO
保守
679マンモス♂:2007/01/11(木) 09:36:06.34 ID:mtw0C2340
>>672
前回と言い・・・
なんでたった2レスでこんなに心が動かされるんだ(´ノω;`)
680ペンギン♂:2007/01/11(木) 09:54:47.08 ID:njw4J3Q30
やぁみんなうまいなぁ……。
へこむ。
681さるさん♂:2007/01/11(木) 10:15:30.46 ID:TpSNFT9zO
ほしゅ
682七面鳥♀:2007/01/11(木) 10:32:08.91 ID:r4ghttvL0
あげ
683あざらし♂:2007/01/11(木) 10:37:34.13 ID:4tM5wkhP0
保守
今日の夜か明日に投下する分のネタをこんな時間だけど募集
684しまうま♂:2007/01/11(木) 10:47:28.62 ID:Nv8iZo6IO
キョンの部屋
685けむし♂:2007/01/11(木) 10:59:54.30 ID:g6/sT//gO
浮気
686ブロントサウルス♀:2007/01/11(木) 11:10:37.51 ID:F2z+J8uV0
キョンの恋煩い
687パンサー♂:2007/01/11(木) 11:12:11.91 ID:zvvwnSrQO
朝比奈みくるの抵抗ってどうなったのよ?
688ニホンザリガニ♀
ハルキョン
恋敵
キョン奔走