ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」

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1一生足軽
長編投下の際の注意


・超長編(もしくはSS職人)の場合はコテトリ付けようっ!でも住人の空気もよく読まないとだめにょろよ?
・前の文章とレスが離れてしまう場合は、文頭に安価つけてくださぁいですぅ・・・あの、お茶どうですかぁ?
・基本はお題フリーです。しかし、主に恋愛系(特にハルヒ)が人気の様ですよ。フフフ、僕とキョンたんの恋愛話も大歓迎ですよマッガーレ
・当初の題目は「キョン×ハルヒ」結婚ネタ・・・けど、今はほとんど皆無。別に気にしないで
・キョン君、過度な性的描写はやめようね〜、タンスにエロビデ隠してるの知ってるんだからね〜
・台詞や呼称等もその人物にとって違和感がないようにしてくれたまえ
・1レスには最大30行、全角で2048文字まで入るのね。文章構成の参考にして欲しいのね
・要するに気楽に投下してくれ。メモ帳にまとめて投下、ってのがお勧めだな
・19時〜翌1時ぐらいまでにWikiを編集すると、重くて壊れたように表示されちゃうけど少し待てば直るから心配しないでね。じゃあ死んで
・自分で投下した長編はなるべく自分で編集すること、わかった!?
・それじゃ、さっさと投下しなさいっ!いい?あたしを退屈させたら死刑だからねっ!


DAT保管庫     http://haruhiss.xxxxxxxx.jp/

新まとめサイト  http://www11.atwiki.jp/xgvuw6/

DATうpろだ   http://www.uploader.jp/home/harussdat/
雑談所(避難所) http://yy42.60.kg/haruhizatudan/
携帯用       http://same.u.la/test/p.so/yy42.60.kg/haruhizatudan/
2VIP足軽neet:2006/12/06(水) 15:53:25.01 ID:LmiBte9X0
 
3一生足軽:2006/12/06(水) 15:53:28.52 ID:4Z1CKyb90
【Wiki第2弾SS企画用アドレス】

・SS企画用検討スレ          http://yy42.60.kg/test/read.cgi/haruhizatudan/1156605747/
・SS企画『冬』投下スレ・短編用   http://yy42.60.kg/test/read.cgi/haruhizatudan/1165158602/
・SS企画『冬』投下スレ・長編用    http://yy42.60.kg/test/read.cgi/haruhizatudan/1165158520/
投稿期限12月4日〜翌年1月14(21)日  発表1月中旬予定

文章のルールなどは、前回の企画のものを踏襲しておりますので、検討スレを参考にしてください。
また、質問・意見なども検討スレで受け付けております
4VIP村人n:2006/12/06(水) 15:58:34.81 ID:AWtJTCPh0
>>1
っ[いちもつ]
5VIP毒蛇:2006/12/06(水) 16:00:26.10 ID:5TdM42Y1O
>>1
乙カルーアミルク
6だんご屋のはる:2006/12/06(水) 16:00:43.99 ID:IACd8rhpO
>>1
7壷ふりお京:2006/12/06(水) 16:06:08.95 ID:2cr91pRU0
おちゅ
8油売りの左暮:2006/12/06(水) 16:08:02.28 ID:mJWE++lfO
>>1
おつ
9VIP足軽p:2006/12/06(水) 16:10:40.43 ID:jgynakyp0
>>1


明日の晩までに朝倉さんの話の続きが書けるようがんばる。
10VIP侍:2006/12/06(水) 16:10:55.22 ID:FVDuMbYkO
>>1乙枯れ
11壷ふりお京:2006/12/06(水) 16:11:00.97 ID:iZ8utR1/0
↓暇人乙
12VIP村人n:2006/12/06(水) 16:11:18.18 ID:zHLa5U8b0
課題が
13VIP下手人:2006/12/06(水) 16:16:14.52 ID:idEdVbG1O
汚塚レ
14VIP足軽flash:2006/12/06(水) 16:22:43.54 ID:L3CKshfwO
位置小津

つい最近まではageまくってたのになぁ…sage始めたらおしまいだとか言ってたし。
15VIP村人p:2006/12/06(水) 16:30:11.60 ID:/MR7QLdt0
いちもつ
16VIP下手人:2006/12/06(水) 16:59:39.63 ID:1nxmeSx/O
一乙
17VIP女神:2006/12/06(水) 17:00:30.35 ID:iFS0Y9xgO
>>14
新参が来れるようageてくか?最近突撃ないみたいだし
18VIP足軽gif:2006/12/06(水) 17:13:28.30 ID:L3CKshfwO
ageるん
19VIP足軽j:2006/12/06(水) 17:15:15.74 ID:pFSaec9h0
新参来たら・・・まあいいや。俺には関係ない
20VIP村人y:2006/12/06(水) 17:36:14.30 ID:6ydDZMXs0
アッガーレ
21壷ふりお京:2006/12/06(水) 17:54:01.28 ID:mJWE++lfO
保守
22VIP足軽t:2006/12/06(水) 18:13:15.42 ID:2EJezU8u0
やべ、話がつらくて手が止まったのなんか初だ。
23VIP足軽i:2006/12/06(水) 18:33:20.22 ID:xkO+TJOT0
保守
24VIP足軽utu:2006/12/06(水) 18:41:04.12 ID:4EcEYOJj0
ageてたほうが新しい風が入ってきていいんじゃないかな。
25 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 18:43:17.43 ID:41FJY8Qz0
保守代わりに投下
26 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 18:43:34.44 ID:41FJY8Qz0

 それはなんでもないいつもの会話から始まった。ここはSOS団の部室で、谷口も国木田も休んだ俺は1人で教室で弁当を食べることが恥ずかしくて逃げてきたんだ。
 そしたら長門が本を読んでいて、弁当を食べ終わった俺は無意識に話しかけていた。

「長門、その本は面白いのか?」
「ユニーク。」

 まさにいつもの会話だと思う。ここまでは。
 なにせ前にも同じような会話をした記憶があるしな。しかし何も考えていない今日の俺は一味違う。

「たまには違ったジャンルの本でも読んでみたらどうだ?」
「……?」

 長門は数ミリ首を傾げて、何を言ってるのか分からない、というような表情を俺に仕向けてきた。
 俺は少し考えて言った。

「恋愛物の小説でも読んでみたらどうだ? 人間の『恋愛をする』って感情がわかるかもしれないぞ?」
「そう。」
「それに恋愛小説ってのは曖昧な感情を意外と的確な表現で表してくるからな。情報の伝達に齟齬が発生しにくくなるぞ。」
「そう。」

 言葉だけだと流されているように感じるが、長門は俺から目を離さない。意外と興味があるようだ。

27 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 18:44:07.98 ID:41FJY8Qz0



 さて、俺の手元には昨日買ったばかりの新刊の恋愛小説がある。今話題の小説で、なかなかのヒット作だ。少し読んだが、なかなかの面白さだった。今日明日中には読み終わるだろう。
 もちろん、昨日恋愛小説を読んだから、長門にも恋愛小説というものを進めたのである。
 ならば俺は読みかけのこの本を貸すべきなのか。読み終わってから貸せば良いのか。いっそのことあげて、新しいのをもう一度買おうか。

「長門は今読み終わってない本をどのくらい持ってるんだ?」

 今長門が読んでいる分厚い本を軽く持ち上げた。

「それだけか?」
「そう。」

 そうか。見ると、いつのまにか閉じられた分厚い本の終盤にしおりがあった。もう読み終わりそうなのか。

「じゃあ、それ終わったらこの本を読んでみてくれ。長門に合うかはわからないが、中々の面白さだったぞ?」
「そう。」

 長門は俺にしか分からない程度に嬉しそうな表情をした。長門の嬉しそうな顔を久しぶりに見た俺も少し嬉しくなって、
「じゃあその本はやるから。俺はもう行くぞ。じゃあまたな。」
 と言って退室しようとした。

「ありがとう。」
 そう長門が言ったのを俺は聞き逃さなかった。俺は長門が感情を表現する方法を身に付けてくれればいいな、なんて思っていた。




28 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 18:45:12.97 ID:41FJY8Qz0
 教室に戻った俺は谷口と国木田がいないとハルヒしか話す相手がいないことに友達の少なさを実感してふて寝した。
 起きるといつも通り放課後。部室に向かい、長門が薄い文庫本を読んでる以外には何ら変わりのない活動をし、帰宅した。

 そして学校の帰りに俺は本屋で同じのをもう一冊買って、家に帰って読んだ。
 その恋愛小説の内容はこんな感じだった。



 中学生の男女の恋の話。ある女が仲の良い男と良く一緒にいるので、クラスで「付き合ってるんだろ」とか「お前ら夫婦なんだろ」とかよくバカにされていた。
 実際当事者は男女とも恋愛感情はなかった。子供の頃から一緒に遊んできただけにお互いを異性として見たことがなかったからだ。
 クラスのみんながバカにしなくなったころ、女と男はやや会話が減ってお互いに違う異性と話すようになってきた。
 そしてお互いに、いつも一緒にいる人がいない違和感に悩まされるようになっていく。

 そして、女が、男が異性と話しているのを見て、何でそこで話しているのが自分じゃないのだろうと嫉妬し、いつにも増して男と一緒にいるようになる。
 その頃には女はその嫉妬が恋であることを自覚している。しかし純情な感情がそれを表にだせない。

 人に相談できない女は1人で考え、押したり引いたり色々な手段を使う。
 鈍感な男を振り向かせるためにずっと一緒にいる女の不器用なアプローチで男を振り向かせるまでの物語である。
 最後に男が、『そんな不器用なお前の事を好きになったんだ』と言って終わるハッピーエンドのラブストーリーだ。


 物語自体は普遍的なのだが、この作品は状況や感情の描写が非常におもしろい。ユニークかつ的確な表現をしている。
 そういった作品の雰囲気がヒットしている理由だろう。

 読み終わって満足した俺はすぐに寝てしまった。

29花魁:2006/12/06(水) 18:45:58.48 ID:/Z8Z/u1G0
支援
30 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 18:46:28.53 ID:41FJY8Qz0

 翌日学校へ行くと、谷口と国木田がいた。
「なんだ? キョンは俺たちがいなくて寂しかったのか?そうか、お前も可愛いところあるじゃねーか。」
「何を言っての谷口。キョンには涼宮さんがいるから寂しくなんてないはずだよ。」
 こいつら……。無視して席に着こう。

「よう、ハルヒ。」
「ふん!」

 何を不機嫌なんだコイツは。

「聞いたわよ! あんた有希にプレゼントあげたそうじゃない。」

 プレゼント? そんなのあげたか? それに何故、お前が不機嫌になるんだ?

「有希、昨日嬉しそうに本を読んでたじゃない。帰りに聞いてみたらあんたにもらったって言ってたわよ。」
「ああ、小説な。あいつにはもう少し感情豊かな人間になってほしかったんだ。お前にもやるよ。」

 そういって俺は昨日読み終わったばかりの小説をハルヒにあげた。

「なんであんた同じの持ってるの?」
「いや、その場のノリであげちまったから後で読みたくなってな。帰りに同じの買って帰ったんだ。」
「バッカじゃないの?」
「いいから読んでみろって。 ハルヒもそんな恋愛してみたらどうなんだ?」
「うっさい! バカ!」

 そういって俺から本をひったくる姿には不機嫌さは幾分か減少していた。
 どうやらハルヒは授業中にずっと本を読んでいたらしく、珍しく平穏な一日だったと思う。

31 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 18:47:12.95 ID:41FJY8Qz0



 授業が全て終わり、さて部室に行くか、を鞄を持ったらハルヒはまだ本を読んでいた。
「ハルヒ、行かないのか?」
「もう少しで終わるから先行ってて!」

 なるほど確かにあと少しだ。それに、なんだかんだでハルヒも気に入ってくれたみたいだ。長門はどうなんだろう。あいつの事だから読み終わってないことはないだろうが、気に入ってくれたかは微妙だと我ながら思う。
 考えながら歩くといつもより早く部室に着いた気がした。ノックをして、エンジェルボイスを聞いて中に入り、お茶をもらう。
 いつも通りな気もするが、何か違う。

 朝比奈さんが、長門の席で小説を読んでいて、長門が俺の隣に座っている。古泉はいない。
「キョンくん、この小説わたしも借りていいですか?」
 朝比奈さんがメイド服のまま違和感なく小説を読んでいて、ふとこちらを見上げて言った。
「それは長門にあげたんで、長門に聞いてください。」
「じゃあ長門さんはかしてくれるって言ってたので借りますね〜」

 朝比奈さんは本を呼んでいても似合うんだななんて考えていると珍しく古泉とハルヒが一緒に来た。
「ではこの本はお借りいたします。ありがとうございます、涼宮さん」
 なぜ古泉までその本を! まあハルヒであることはわかっていたのだが。こんなにも凄まじい勢いでSOS団に小説が浸透していくとは、さすが文芸部室を根城にするだけはある。もちろん関係はないが。
古泉は朝比奈さんが同じ本を読んでいる事に気付き、談笑している。

 ハルヒは俺と、俺の隣に座っている長門を見て不機嫌そうな表情を見せ、
「ああ、有希も読んだのよね」
 なんて言って俺を長門で挟むように反対側に座ってきた。
 申し合わせたように長門も軽く不機嫌そうな表情をみせる。



32花魁:2006/12/06(水) 18:47:50.46 ID:/Z8Z/u1G0
しえn
33 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 18:48:18.93 ID:41FJY8Qz0


「おやおや、では僕と朝比奈さんは家に帰って団長オススメの本を読むのでこれで失礼します。」
「じゃあキョンくん、がんばってください」
 古泉と朝比奈さんは笑顔で逃げるように去っていった。

「じゃあ3人じゃあ何もできないから解散するか。」
 俺の発言に対して長門がすぐさま
「帰るのは私1人。あなたがたはまだいるといい。」
 と言い放った。ハルヒが一瞬うれしそうにしたあと、
「いいえ、あたしが帰るわ! ゆっくりしてってちょうだい」
 なんて言うもんで、俺はそんなに嫌われてるのか、とショックを受けつつ3人で帰る事を提案した。

 そうして三人は無言の気まずい雰囲気のまま帰路に着いた。あんなに俺といることを拒絶してた2人は何故か俺に近かった。距離が。

 夜になり、寝ようと思った頃に古泉から電話がきた。
「もしもし」
「何の用だ?」
「いえ、お伺いしたいことがございまして。」
「俺は眠いんだ、急ぎじゃなければ明日にしろ。」
「おや、そうですか。今日の涼宮さんと長門さんの様子についてですが、たいして急ぐわけではないので…」
「説明しろ。今すぐだ。」

 俺は起き上がり、真面目に聞く体勢を整えた。今日のハルヒと長門がいつもと違って見えたのは俺だけじゃなかったのか。



34花魁:2006/12/06(水) 18:48:46.26 ID:/Z8Z/u1G0
支援
35 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 18:49:21.91 ID:41FJY8Qz0

「率直に聞きます。今日はお二方ともあなたに対しての態度が変動的じゃあありませんでしたか?」
「そうだ。俺を拒絶したかと思えば帰りによりそってきたり、よくわからん。」
「なるほど。僕が思うに彼女たちは小説の女性のようにあなたにアプローチをしかけてきているのですよ。」
「意味を理解しかねる。」
「僕と朝比奈さんが帰る直前にあなたと長門さんと涼宮さんがならんで座ったときに、お二方が不機嫌になったのはご存知で?」
「確証はないがそう感じはした。」
「そこで、あの小説の女性のように嫉妬による恋をお二方は確信したのですよ。それで小説の女性のようなアプローチをしかけたと。」
「なるほど、経緯はわかったが、理解しがたい話だな。」
「信じる信じないはあなたの自由です。」

 古泉によると、本を読んですぐピンときたらしい。そして朝比奈さんに連絡を取ったところ、同じような感想をもらったと。
 朝比奈さんに夜中に電話をかけるなんて、あの可愛らしいエンジェルフェイスに肌荒れができてたら古泉のせいだ。夜更かしは美容によくないからな。


 翌日のハルヒは学校に着いてからSOS団のアジトへ行くまで俺から離れようとしなかった。不機嫌でも上機嫌でもなく、ただたんたんと俺の近くに。
 昼も今日に限って弁当だったハルヒは俺を連れてここ、文芸部室で一緒に食べた。もちろんデフォルトで文芸部室にいる長門もいて、一緒に。
 放課後である今までずっと俺にくっついているハルヒはなるほど、確かにあの小説の女性のようであった。性格は違うがアプローチの仕方がにていたのだ。
 長門に至っては放課後になってからというもの殆ど会話のないまま俺から離れようとしない。

 朝比奈さんと古泉が笑っている。なんだろう美女2人に囲まれているのにこの敗北感は。
「美女が2人もあなたに小説のように恋をするなんて、あなたが羨ましいですよ。」
 俺は朝比奈さんと2人で話しているお前のほうが羨ましい。というかそんな事この場で言うな! ハルヒと長門にも聞こえてるぞ!
「SOS団で小説のような恋と昼ドラのような修羅場が見れる予感がするわ!」
 ハルヒは物騒なことを言うな!
「そう。」
 肯定するな!
「ほえぇ〜」
 朝比奈さん、それはどんな感情なんでしょう?
36 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 18:50:24.73 ID:41FJY8Qz0


「ところで、あなたに恋心を気付いてもらうために小説の女性のような振る舞いを見せているお二方ですが、もう本人も気付いていると思いますのでどっちをとるか選ばせてみてはどうでしょう?」
 古泉は俺を殺す気だ。ならばやられる前に殺してしまおう。
「ほえぇ〜」

 このままじゃあ危険な流れだ。
「俺は良く恋愛感情なんてものは理解できないから選べと言われても選べないぞ。それでも選べなんて横暴なことをいうやつは俺は好きにはなれないだろうな。」
「……。」
「うぐっ」
 長門とハルヒが言いあぐんだ。これで俺にうかつに手を出せまい。実際俺に選ぶことなんてできない。恋愛感情ってものがよくわかってないからな。

「有希、ちょっといい?」
「いい。」
 長門を連れてハルヒは部室から出てった。俺はチャンスとばかりに古泉に文句言ってやった。

「それは申し訳ありませんでした。それでもいずれあなたは選ばなければならないのですよ?」
「うるさい。そのときになったら選ぶ。」
「ですからそのときを作ってあげたじゃないですか。このままではあなたは近い将来に選ばなければならないときに同じ事をしてしまいますよ?」
「今の俺には恋愛感情なんてもんはよくわかってないんだ。恋愛なんて俺の好きにさせてくれ!」
「そうですか、ではそうしましょう。」

 帰りはハルヒが古泉を誘って二人で帰った。捨てゼリフの様に明日の探索は中止、と言ってきた。
 俺は長門に誘われて長門と二人で帰った。俺は明日が土曜日なのを今知った。それほどてんぱっていたのだろう。
 朝比奈さんは少し寂しそうに1人で帰った。後姿はさらに寂しそうだった。
 

37花魁:2006/12/06(水) 18:50:29.51 ID:/Z8Z/u1G0
支援
38 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 18:51:40.88 ID:41FJY8Qz0

 そして夜に携帯がなる。
「待ってたぞ、古泉。」
「おや、待っていてくれるとは光栄です。」
「今日の帰りの現象はなんだ?」
「おそらく、ですが僕の予想では涼宮さんと長門さんは『押し』と『引き』を決めているようです。」
「よくわからん。俺にわかるように話せ。」
「涼宮さんは、僕といることによってあなたに寂しさを覚えさせようと考えた。それによってあたなが涼宮さんの重要性を確認する。
 これは涼宮さんらしい、あなたが涼宮さんの事が好きという自信がないとできない行動ですね。」
「多少は理解した。長門は?」
「ですから『押す』という言葉の通りにあなたと出来る限り近くに居て…、いえ、というよりは長門さんは涼宮さんに『押し』と『引き』を提案されたときにあなたと一緒に居たかったから『押し』を選んだのでしょう。」
「よくわからんがわかったことにしておく。ところで俺は明日長門に誘われたんだがお前はハルヒといるってことか?」
「ご名答です。涼宮さんには『嫉妬させるようにうれしそうに伝えといて』と言われたのですが、その通りにするとあなたは暴走するか、嫉妬しないで僕たちを祝福してしますと考えたのでこのような伝え方をしました。」
「わかったよ。そういえばお前は俺とハルヒをくっつけたいんだったな。」
「その通りです。ですから暴走も祝福もしないでほしかったので説明したまでです。」
「まあムダに俺のためとか言われるよりもよっぽど信用はできるがな。」
「ありがとうございます。」

 そうして夜は更けていく。明日は長門との約束が待っている。


  続くかはわからない。なぜなら終わりをまったく考えてないから。

39 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 18:52:41.48 ID:41FJY8Qz0
以上です。また過疎ったら続き書いて投下します。
40花魁:2006/12/06(水) 18:52:53.54 ID:/Z8Z/u1G0
乙!

まぁ修羅場・・・

続きwktk
41VIP番長:2006/12/06(水) 19:00:37.28 ID:Y0qloU+8O


楽しみにしてる
42VIP足軽s:2006/12/06(水) 19:00:44.75 ID:jgynakyp0
乙!
続き待っているよ。
43VIP侍:2006/12/06(水) 19:01:09.58 ID:iFS0Y9xgO
314:名無しさん@お腹いっぱい。 :2006/12/06(水) 18:50:15 ID:fHuVHYSO
VIPにも貼った
http://tool-3.net/?id=FreeMailBomb&pn=23

お前ら来た?俺は来たが…
44棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:25:17.57 ID:/Z8Z/u1G0
ほし
45油売りの左暮:2006/12/06(水) 19:27:11.11 ID:MALtO3fGO
投下いい?
46内藤ホライゾン:2006/12/06(水) 19:27:18.92 ID:2cr91pRU0
>>43
このスレ的にはキョン語りの勉強になるな
早速団員登録してしまったwww
2回目あるだろうか
47内藤ホライゾン:2006/12/06(水) 19:27:34.35 ID:2cr91pRU0
>>45
カモーン
48棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:29:05.51 ID:/Z8Z/u1G0
wktk
49巡る財布:2006/12/06(水) 19:30:39.88 ID:MALtO3fGO
――ハルヒ視点――

「さぁ、早く見せるんだ。ハルヒ!」
 
――どうしてこんなことになったんだろう?
 
「涼宮さん、なぜ逃げるんですか?」
 
――私が悪いの?
 
「…………」
 
――やめて、つぶらな瞳で見ないで
 
「まさか涼宮さんが……?」
 
――後ろは窓。逃げ場はないわね……
 
私も終わり……かな……?
 
…………
………
……

 
50棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:31:24.22 ID:/Z8Z/u1G0
支援
51巡る財布:2006/12/06(水) 19:31:42.06 ID:MALtO3fGO
〜三十分前〜
 
岡部は話が長いのよ!授業中に寝るなって言われてもあんな授業じゃ不可能よ!
だいたいこの学校の教師は説明に時間をかけすぎなのよ!
全部教科書に書いてあることしか言わないじゃない!
 
「みくるちゃん、お茶!」
 
遅れたから団室には全員いるようね。
 
「は、はい」
 
「どうしたんだよ?何かあったのか?」
 
思いだしたくないのに聞かないでほしいわ。
まったく!朝は寝坊するし、教科書は忘れるしでほんっと今日はついてないわね。
 
52巡る財布:2006/12/06(水) 19:32:39.90 ID:MALtO3fGO
そういえば昼休みに財布を忘れたんだった。
私としたことが一日に二度も忘れ物をするなんてね……たるんでるわ。
確かこのあたりに……………ってあれ!?ない!どこにも私の財布がない!
 
「ない!私の財布がなくなってる!」
 
「どうしたんだ?」
 
「ここにあった財布誰か見なかった!?」
 
「知らないな」
 
「さぁ、見てませんけど………」
 
「僕は見てません」
 
「………わからない」
 
なんで誰も知らないのよ!使えないわね!
 
53棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:33:04.33 ID:/Z8Z/u1G0
支援
54 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 19:33:16.24 ID:41FJY8Qz0
支援
55巡る財布:2006/12/06(水) 19:33:30.49 ID:MALtO3fGO
「なくなったんですか?」
 
だから焦ってるんでしょ! 
「昼休みには確かにここにあったはずよ!その辺に落ちてない?」
………
……

 
「どこにもないな……」
 
「どうして見つからないのよ!」
 
「おかしいですね〜」
 
ふざけないでよ!あの中には英世じゃなくて諭吉が入ってたのよ!
 
これだけ探して見つからないってことは団室にないのかしら?
ううん!私は確かにここに置いておいたはず
財布が勝手になくなるはずがない。ってことは……誰かが持っていった……?
いや、まさかね。そんなはずないわ。
ん?有希どうしたの?
 
56巡る財布:2006/12/06(水) 19:34:30.73 ID:MALtO3fGO
「…………この中の誰かが盗んだ」
 
「……………」
 
「そ、それはないんじゃないかしら」
 
「ははははは!そんなわけがないだろ!」
 
「それは考えすぎですよ〜」
 
「あははは!長門さん、何を言ってるんですか!」
 
「ではどうして見つからないの?それに団室には団員しか入れないはず」
 
「……………」
 
 
57VIP盗賊:2006/12/06(水) 19:34:34.42 ID:hnsGv2MZ0
58棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:34:50.25 ID:/Z8Z/u1G0
支援
59巡る財布:2006/12/06(水) 19:35:18.94 ID:MALtO3fGO
「キョン君……僕はあなたを見損ないましたよ……」
 
「な、なんだよ!」
 
「あなたは日頃みんなに奢らされてお金に困っていましたよね……?
だからといってやっていいことと悪いことがあります……あなたって人は……」
 
「ち、違う!俺はずっとお前とオセロをしてただろ!?
俺にはそんな暇ない!長門お前はどうなんだ!?お前なら簡単な盗めるだろ!」
 
「違う。盗むぐらいなら偽造する」
 
「あ、あの喧嘩はよくないですよ」
 
60棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:36:09.79 ID:/Z8Z/u1G0
長門w

支援
61巡る財布:2006/12/06(水) 19:36:14.38 ID:MALtO3fGO
「朝比奈みくる」
 
「は、はい」
 
「あなたは着替え中、団室に一人でいた。その間に盗んだのでは?」
 
「朝比奈さんがそんなことするはずないだろ!」
 
「ち、違いますよ!それに古泉くんだって最初に団室にきて一人でいたじゃないですか!」
 
「僕が盗んだと言うんですか?僕はバイトをしてるんです。あなたたち貧乏人とは違うんですよ」
 
 
「全員黙りなさい!見苦しいわね!」
 
「…………」
 
「……一人ずつ話してみなさい」
………
……

 
62巡る財布:2006/12/06(水) 19:37:02.38 ID:MALtO3fGO
〜Aさんの証言〜
「ええ、今日はたまたまホームルームが早く終わったんです。それからいつものように団室にきました。
十分ほど一人で……いえ、だからといって盗みませんよ……詰め将棋をしていたんです。
そしてキョン君がきたので二人でオセロをしたんです。
そう、あれはキョン君の一手で盤面が真っ黒に変わったときでしょうか、突然キョン君が言ったんです
『今月かなり厳しいんだ。何か簡単に金を手に入れる方法はないもんか…』
今考えるとあれはフラグだったのでしょう。
キョン君はかなり切羽詰まった顔をしていましたし。
僕があのとき止めていれば……」
63棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:37:38.27 ID:/Z8Z/u1G0
支援
64巡る財布:2006/12/06(水) 19:38:05.77 ID:MALtO3fGO
〜Bさんの証言〜
「確かに俺は金欠だ。だがSOS団唯一の常識人として当たり前の善悪の区別はわかってる。俺は盗みなんかしない。
俺は一番怪しいのは長門だと思ってる。あいつは毎日カレーを一食で米5合ほど食べているんだ。
しかも業務用カレーを大量に買い込んでるんだぞ。金はかなり使ってるはずだ。
それにあいつなら誰かがいても気付かれずに盗むことができる」
〜Cさんの証言〜
「朝比奈みくるが盗んだに違いない。
朝比奈みくるには盗む機会があった。

それにあの胸をたもつにはきっと莫大な費用がかかる。
そう、すべてはあの胸が悪い。あの胸が」
 
〜Dさんの証言〜
「わ、わたしはやってませんよ!なんでかって……うぅ…と、とにかくやってないんです!
犯人は……最初にきたんだから単純に古泉くんなんじゃないですかぁ?」
………
……

65巡る財布:2006/12/06(水) 19:38:58.71 ID:MALtO3fGO
「…………」
 
わからない……まったくわからないわ。誰が盗んだのかしら……
ん?そういえば……
 
「みんな団室にきてからどこにも離れてないの?」
 
「……それがどうかしたのか?」
 
「犯人は今も財布を隠し持ってるってことよね………?」
 
「!!!」
 
「………みんな荷物を調べさせてくれない?」
 
「…………」
 
「ああ、いいだろう」
 
「仕方ありませんね」
 
「そうですね……」
 
「いい」
 
私の目をごまかせると思ってるのかしら?甘いわね
 
 
66猿回しの勘三:2006/12/06(水) 19:39:30.72 ID:AzxDbx/M0
長門wwwwwwwwwww
67VIP村人r:2006/12/06(水) 19:39:55.92 ID:AWtJTCPh0
なぜか逆転裁判臭がww
68巡る財布:2006/12/06(水) 19:40:00.14 ID:MALtO3fGO
なんかさっきからおしりにひっかかるのよね。邪魔でしょうがないわ。
ポケットに何か入れてたかしら?
 
………!!!!
 
い、いやまさかね!ありえないわ!
私は確かに昼休みに財布をここに忘れていった…………?
ま、待ってよく考えると団室を出るときポケットに入れたような……
そんなはずない!ほら!この手にあたる物体は………これは………
………
……

 
この形、この感触。間違いないこれは私の財布ね……。
69棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:40:22.00 ID:/Z8Z/u1G0
支援
70巡る財布:2006/12/06(水) 19:41:00.41 ID:MALtO3fGO
ど、どうするいまさら『ごめん、ごめん!実は私が持ってました!』なんて言えない!言える空気じゃない!
この雰囲気でそんなことを言ったら………だ、だめ!それだけはできないわ!
 
「どうかしたんですか?」
 
!!!いけない!財布を持ってること気付かれてはいけない!ここは冷静に切り抜けるのよ
 
「べ、別になんでもないわ」
 
どうしよう!?このまま財布を持ってると危ない気がする!何か、何か打開策はないの?
そうだ!この財布他の人のカバンに入れとけばいんじゃない?
そうすれば疑ったことも正当化できて完璧じゃない!
さすが私!今日も冴えてるわ!もうこの手しかない!
71巡る財布:2006/12/06(水) 19:42:00.31 ID:MALtO3fGO
ただ唯一の問題は誰に犠牲になってもらうかね……
んー。まあ、誰でもいいか!誰にしようかな神様の言うとおり…………
 
おめでとう!古泉くんに決定ね!
 
「じゃあまずはみくるちゃん、荷物をだしてみて」
 
みんなの視線がみくるちゃんに集まった!今よ!
 
ポトッ
 
よしっ!カバンの中に入った!誰にも気付かれてない!
あとは古泉くんのカバンから財布が見つかれば万事解決!
 
ごめんね、古泉くん!犯人になっても許してあげるから!だから古泉くんも許してね!
 
72棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:42:32.17 ID:/Z8Z/u1G0
支援
73門番の娘:2006/12/06(水) 19:42:52.96 ID:sMoAsCIbO
黒ハルヒwwwww
74巡る財布:2006/12/06(水) 19:42:58.02 ID:MALtO3fGO
――古泉視点――
まったく面倒なことになりましたね。涼宮さんの財布が盗まれるとは
 
「みくるちゃん………これは何?」
 
「あっ!そこにあったんだ!たまごっちですよ!たまごっち!かわいいですよね!
なくしたと思ってずっと探してたんですよ!」
 
「いまどきたまごっちって……」
 
「???たまごっちはこの時代の女子高生の標準装備ですよね……?
鶴屋さんもおもしろいって笑ってたし……」
 
「朝比奈さん……それは違う意味で笑ってたんだと思いますよ」
 
「???」
 
……未来組織は何を考えて彼女をこちらに送ってきたんでしょうか?
 
75棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:43:24.85 ID:/Z8Z/u1G0
支援
76巡る財布:2006/12/06(水) 19:43:52.43 ID:MALtO3fGO
「朝比奈さん、このたまごっち死にかけてませんか?」
 
「う○こがたまって病気になってるわね」
 
「ええ!!か、かしてください!」
 
ピーーーーー
 
逝きましたか……
 
「あ、ああ……わ、わたしのまめっちがぁ」
 
この調子だと朝比奈さんの荷物検査はけっこう時間がかかりそうですね。
 
 
ん?なんですかあれは!?どうして涼宮さんの財布が僕のカバン中に!?
 
ま、まさかはめられた??何ものかが僕を犯人にしようとしたのですか?
………
……

 
77巡る財布:2006/12/06(水) 19:44:45.54 ID:MALtO3fGO
ふっ、ふふふ、はーはっはっは!やりますね。やられましたよ。
しかし、相手は詰めがあまいですね。僕がこんな手にかかるとでも?
僕を舐めないでもらいたいものです。
一部の人間の間では機関一の切れ者とも呼ばれているんですよ。
ここから財布を入れやすそうなのは彼ですね。
恨みはないのですがこの際仕方がない。
僕は神人との戦いで投げることには慣れてますからね。
カバンを狙うことなんて簡単です。
こう手首のスナップをきかせて
 
ふんもっふ!
 
「次は有希ね……」
 
78VIP奴隷:2006/12/06(水) 19:45:10.53 ID:ZQniaQ0g0
面白い
覚醒の人かな?
79巡る財布:2006/12/06(水) 19:45:44.36 ID:MALtO3fGO
――キョン視点――
やれやれ。
さっきは勢いで長門のせいにしたが実際、あいつが盗むわけがないからな。
宇宙人が金に困ってる姿なんてまったくもって想像できん。
でも長門たち宇宙人はどこから金を手に入れてるんだ?
バイトとかをしてるって話は聞かない。
正当な方法で金を手に入れることはできないだろう。
 
……まさかとは思うが本当に偽造してるんじゃないだろうな?
あの長門パワーを使えば偽札なんて完璧に作れるしな……
長門が金を作ってる姿が容易に想像できる……。
あとで確かめてみるか。
 
とにかく早く終わらせてほしいもんだ。俺には何も関係ないしな。
それに俺のカバンにはやましいものなんて入ってなry………
ないないないない!

80棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:46:18.64 ID:/Z8Z/u1G0
支援
81巡る財布:2006/12/06(水) 19:46:37.61 ID:MALtO3fGO
疑問1あれはなんだ?
 
財布だ。
 
疑問2俺のじゃないな。誰のだ?
 
間違いなくハルヒのだろうな。
 
疑問3Why?俺のカバンの中に?
 
検討もつかない。
 
ラストだ。
このままだとどうなる?
 
『最低ね』
『そんな……キョン君が』『………失望した』
『罰が必要ね。古泉くんGO!』
『イエッサー』
『ノォォォォォォ』
 
悪夢だ。このままだと俺は死んでしまうだろう……
 
82棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:47:13.50 ID:/Z8Z/u1G0
支援
83巡る財布:2006/12/06(水) 19:47:49.09 ID:MALtO3fGO
どうする?どうするよ、俺!
今この状況でできることは……できることは……
ここはしょうがない朝比奈さんに預かってもらおう。
 
朝比奈さんなら犯人じゃないと信じて財布を受け取ってくれるはずだ!
朝比奈さんを凝視する。古泉が邪魔だ。声を出すと聞こえるし、なぜかさっきからちらちらと見てくる
朝比奈さん!そんなに落ち込まないで気付いてください!
 
「……お茶ですかぁ?」
 
NO!ちっがーう!
これ財布ですよ!ああ、声は出さないで!その口を手で覆う仕草もかわry……
………
……

 
必死のジェスチャーがやっと伝わった。
古泉に注意しつつ、机の下から朝比奈さんに財布を渡してっと
詳しいことはあとで説明すればいいだろう。
 
これでひとまず俺は安全だ。
 
「次はキョン、荷物出しなさい」
84VIP商人:2006/12/06(水) 19:47:55.81 ID:6Ti0E+iO0
支援
85門番の娘:2006/12/06(水) 19:48:22.00 ID:sMoAsCIbO
キョンよハルヒの鞄に入れろ!

支援
86VIP足軽utu:2006/12/06(水) 19:48:37.45 ID:KHDmqzSJ0
支援
87巡る財布:2006/12/06(水) 19:48:59.76 ID:MALtO3fGO
――みくる視点――
もう亡きまめっちのことは忘れよう……
とにかく!
キョン君が犯人なはずないです。きっと何か理由があるんですよ。
何かはわかりませんが……きっと違うはずです。
 
でも……この財布受け取ったのはいいんだけどどうすればいいんでしょうか?
荷物検査が終わって安全だしこのまま持ってればいいんですよね?たぶん
わたしは持ってても危ないことはありません。
涼宮さんに隠してるのは悪い気がしますが……しょうがないですね。
 
「みくるちゃん、お茶」
 
「あ、はーい」
 
涼宮さんはお茶を飲むペースが異常です。
88巡る財布:2006/12/06(水) 19:50:09.82 ID:MALtO3fGO
 
あっ
 
ガシャーン
 
また、やっちゃいました……湯飲みが割れちゃってる……
 
「みくるちゃん。どじもいいけど場を選びなさい」
 
す、すいません……
あれ?財布がなくなってる!?
どうして!?
も、もしかしてに転んだ拍子に飛んでっちゃったんだじゃあ……?
いいったいどこに!?
 
!!!ああ、涼宮さんのポケットに財布が!
どうしよう!?
こんなときに未来の狸型ロボットがいればなんとかしてくれるんですが
あっ、でもあのロボットは故障してるのか自分は猫型だと言ってるんでスクラップにしたんでした。
耳もなくてあの体系で猫はないですよ。
89棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:50:10.60 ID:/Z8Z/u1G0
支援
90巡る財布:2006/12/06(水) 19:51:08.35 ID:MALtO3fGO
話がそれましたが、よく考えるとそもそもわたしはどうもする必要ないんじゃないですか?
財布が持ち主にもどった。ただそれだけのことじゃないですか。
わたしはなにも悪いことはしてません。
知らんぷりしてればばいいですね。
 
「さ、最後は古泉くんね。古泉くんのカバンから私の財布が見つかっても……
も、もちろんそんなことはないと思ってるけど……
私は寛大だから古泉くんを許してやらないこともないわ」
 
91VIP村人r:2006/12/06(水) 19:51:19.49 ID:AWtJTCPh0
ドラえもん…
92棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:51:48.85 ID:/Z8Z/u1G0
スクラップwww

支援
93巡る財布:2006/12/06(水) 19:52:22.10 ID:MALtO3fGO
――ハルヒ視点――
財布が…………見つからない……?
私は確かに古泉君のカバンに財布を入れたはずなのに……
どうして……?
もう全員調べたのに財布が出てこない。
いったいどこにいったの、私の財布?
 
「私たちが持っていないとゆうことはあなたが嘘をついている可能性がある。
涼宮ハルヒ。あなたの持ち物も調べるべき」
 
「いいわよ」
 
どうぞ、どうぞ。すきなだけ調べていいわ。
最初に感じた嫌な予感はこのことだったのね。
財布をそのまま持ってたら今頃大変なことになってたわ。
 
94VIP足軽utu:2006/12/06(水) 19:52:34.77 ID:KHDmqzSJ0
スクラップってwwwww
しえん
95巡る財布:2006/12/06(水) 19:53:18.41 ID:MALtO3fGO
なんかさっきからお尻にひっかかるのよね。邪魔でしょうがないわ。
ポケットに何か入れてたかし…………
 
!!!!
……なに?このデジャブーは?
さっきも同じことを言ったと思うのは私の気のせい?
気のせいであってほしい。 
このパターンはまずい気がする。物凄く嫌な予感がする。

ポケットの中に手を入れるとそこにあるのは……
…………
………
……

 
96棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:53:36.96 ID:/Z8Z/u1G0
支援
97猿回しの勘三:2006/12/06(水) 19:53:39.61 ID:AzxDbx/M0
スクラップwwwwww
98巡る財布:2006/12/06(水) 19:54:17.49 ID:MALtO3fGO
〜現在〜
 
絶対絶命ってやつね……
逃げようにも前には四人が迫ってきていてドアに近付けないし、後ろは窓。
さすがの私ももうここからできることは……
 
「涼宮さん、覚悟してください」
 
「ハルヒ、さっさとだすもの出して楽になれよ」
 
「あきらめたほうがいい」
 
「涼宮さんがわたしたちをだますなんて……」
 
何もない。
 
ごめんねお母さん、お父さん。私はもう逝くしかないみたい……
 
 
99VIP商人:2006/12/06(水) 19:55:02.07 ID:6Ti0E+iO0
支援
100巡る財布:2006/12/06(水) 19:55:15.42 ID:MALtO3fGO
――…………ゲームセットです
 
なに……?この電波は……?頭に響いてくる。
 
――…………たらそこでゲームセットです
 
この声はまさか!あ、安西先生……!?
 
――あきらめたらそこでゲームセットです!
 
そうだ!まだやれることはきっと残っているわ!安西先生!先生……ありがとうございます!
 
 
チャンスはまだあるわ。後ろは窓。一瞬のスキをついて財布を窓から投げ捨てればいい。
要する時間は2秒……ううん、私なら1秒あればできるわ。
101VIP足軽utu:2006/12/06(水) 19:55:48.41 ID:KHDmqzSJ0
>>100
安西先生クソワロタwwwwww
しえん
102猿回しの勘三:2006/12/06(水) 19:55:57.05 ID:AzxDbx/M0
安西先生wwwwwww
103巡る財布:2006/12/06(水) 19:56:09.34 ID:MALtO3fGO
だけどこの四人を相手にスキを見つけるのは至難の業。
自分から仕掛けるしかない。
流れ出すのはピンクレディのあの曲………指を天井に向けて

〜♪♪♪ 

「UFO!」
 
「えっ!?」
 
ちょっwwwwwバーローwwwww室内でひっかかんなwwwww 
ハッ!今のはなに?って早くしないと!
 
おりゃあぁぁぁぁぁぁぁ!
 
 
104棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:56:46.63 ID:/Z8Z/u1G0
しえn
105VIP足軽utu:2006/12/06(水) 19:57:01.38 ID:KHDmqzSJ0
>>103
UFOってwwwwwwwさすがハルヒw
106猿回しの勘三:2006/12/06(水) 19:57:11.36 ID:AzxDbx/M0
バーローwwwwwwwwwww
107巡る財布:2006/12/06(水) 19:57:29.45 ID:MALtO3fGO
「どこにUFOいるんだよ?」
 
「勘違いしてたみたい。それはいいからさっさと調べなさい」
 
「今までお前が逃げてたんだろ」
 
「なんのこと?」
 
「やれやれ」
 
財布はあとで回収すればいい。
 
計画どおり!

<終>
 
 
 
 
おまけ
谷口「WAWAWA忘れ物〜。おっ!財布じゃん!しかも一万以上入ってやがる!
資金もできたしナンパでも行くか!」

108棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:58:21.58 ID:/Z8Z/u1G0
GJ!

腹痛ぇよwww
109猿回しの勘三:2006/12/06(水) 19:58:46.05 ID:AzxDbx/M0
月wwwwwwwww
110棒またぎ姫:2006/12/06(水) 19:59:56.62 ID:1nxmeSx/O
乙GJ!
だがもう少し詰めた方がよいのでは?
111水汲みおしち:2006/12/06(水) 20:00:41.60 ID:sMoAsCIbO
財布の人乙!

いや、しかし凄い怪電波受信したもんだなwww
GJ!
112VIP皇帝:2006/12/06(水) 20:02:52.27 ID:2EJezU8u0
いやwwwこれでいいと思うwwwww
あんまちゃんとやるとテンポが損なわれウソくさくなるwwww
乙www
113VIP神:2006/12/06(水) 20:03:36.95 ID:ZQniaQ0g0
楽しませてもらいました
GJ!
114VIP足軽mp3:2006/12/06(水) 20:03:57.50 ID:pFSaec9h0
そうごうみてると
115 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 20:08:56.70 ID:41FJY8Qz0
         ,. ‐''三ヾ´彡シ,=`丶、1
     /'".:=≡ミ_≧_尨彡三:ヽ、
    //.:;:彡:f'"´‐------ ``'r=:l
    /〃彡_彡′,.=、 ̄ ̄ ,.=、 |ミ:〉
   'y=、、:f´===tr==、.___,. ==、._ゞ{
   {´yヘl'′   |   /⌒l′  |`Y}               あきらめたらそこでゲームセット
   ゙、ゝ)       `''''ツ_  _;`ー‐'゙:::::l{                    じゃなくて
.    ヽ.__     ,ィnmmm、   .:::|!                       試合終了ですよ?
  ,.ィ'´ト.´     ´`"`"`゙″ .::::;'
イ´::ノ|::::l \         "'   :::/
::::::::::::|:::::l   ヽ、      ..::  .:::/.、
:::::: ::: |:::::ヽ    ヽ、.......::::/..:::/!\\
116壷ふりお京:2006/12/06(水) 20:09:17.85 ID:MALtO3fGO
>>110>>112の理由であまり詰めないようにしてます。
実はこれ元ネタあるんですよ。
某高校の自主制作映画をまねしてます。
117壷ふりお京:2006/12/06(水) 20:11:38.88 ID:MALtO3fGO
>>115
読んだのずっと前だから忘れてたorz
118だんご屋のはる:2006/12/06(水) 20:14:31.94 ID:1nxmeSx/O
>>116
でしゃばってサーセンorz
なんにせよ乙でした!
119 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 20:17:56.20 ID:41FJY8Qz0
今さらだが、乙!
120VIP村人P:2006/12/06(水) 20:30:48.40 ID:31NAdcZG0
121壷ふりお京:2006/12/06(水) 20:35:07.45 ID:MALtO3fGO
>>118
いいですよ
122水汲みおしち:2006/12/06(水) 20:37:42.05 ID:sMoAsCIbO
涼宮ハルヒのなく頃にってスレなんなんだぜ?
気になって読んでみたけど、あれプリン向けだろ…
123VIP足軽mp3:2006/12/06(水) 20:39:42.31 ID:pFSaec9h0
何でも自分のものにしたがるとかしねばいいのに
124 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 20:40:26.58 ID:41FJY8Qz0
投下する人いないなら>>38の続き投下します
125VIP将軍:2006/12/06(水) 20:41:56.36 ID:TZ6W//PN0
wktk
126 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 20:42:52.47 ID:41FJY8Qz0


 昨日早く寝たせいか、長門と約束した時間が早かったのか今日は早く目が覚めた。妹が起こしに来たときにはすでに外出できる準備が整っていた。
「キョンくんでかけるの? 連れてって〜!」
 そうだな、俺はお出かけだ。ふと妹も連れて行ったら長門も無茶しないんじゃないかとも考えた。が、長門だ。何をするかはわからん。
 俺は妹が可愛いから心を鬼にして置いていくんだ、と心の中で言い、妹を無視して長門の家に向かった。


 昨日長門に言われた通りに何も持たず自転車で向かう。見慣れた景色がやけに色あせて見える。
 ハルヒと長門が全面戦争したらこのあたりは焼け野原になるんだろうな、何て妄想しながら周囲の景色を脳裏に焼き付ける。
 あの2人の兵器が争わないためにはどうしたらいいんだろう。俺はどうしたいんだろう。俺はきっと現状維持したいんだな。

 俺が望む現状維持に持っていくためにはどうしたらいいのか考えながら自転車をこぐとすぐに長門のマンションに着いた。
 考えてる時間というのは、楽しい時間と同じくらいの速さで過ぎていく。
 脳内会議での結論がでないまま長門の部屋にたどり着いてしまった。

「俺だ。」
「…。」

 ガチャ。

「よう、待ったか?」
「いい。」

 その後無言で通された俺はリビングのコタツに入った。
127 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 20:43:03.57 ID:41FJY8Qz0

「あなたは早起きしたから今日は睡眠不足のはず。私の膝の上で寝るといい。」
 長門よ、もしかしてそのために今日早い時間に指定したのか?
「俺は昨日早く寝たからそんなに眠くないんだ、すまんな。」
 ふう、長門は頭がいいからどんなトラップをかけてくるかわからない。
 ただ、俺がトラップにかかりハルヒに知られると修羅場になることは間違いなさそうだ。

「なら私が寝る。膝を貸して。」
 ちょっと待て! と言いたいが、それくらいならイイだろうと思って貸してやる事にする。
「わかった。ゆっくり休んでくれ。」

 長門が寝ている間にいろいろとゆっくり考えよう。
 これからどうしようか。長門が起きたら図書館に連れて行くか。とりあえずそれで今日は何とかなるはずだ。
 明日以降ハルヒにはどう接しよう。ハルヒにはいつも通りでいいか。何も気にしないでハルヒが小説の事を忘れるまで待とう。
 ハルヒと長門がぶつからないために朝比奈さんを選んだらどうなるだろう。いや、共同戦線を張られたら人類が滅亡する恐れもある。
 長門はもしかしたらこの状況を楽しんでるだけじゃあないのか?

 そんな事を考えていると長門にしては珍しく寝息を立て始めた。長門が寝ている所を見るのは初めてかもしれない。
 考え事をしている時間は恐ろしいほど早くながれ、時間に余裕がある今は楽観的な事しか考え付かないものだ。
 俺が考えていた今後の事はきっと実際は役には立たないだろう。


 それにしても、寝ている長門も可愛いな。頭を撫でてやろう。起こさないようにな。
 俺は長門を起こさないように最新の注意を払いながら頭を撫でた。
128 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 20:43:17.39 ID:41FJY8Qz0

 どれくらいの時間がたったのだろう。俺の脚は感覚が無くなるくらい限界を迎えていた。
 長門を起こすのは忍びないので、俺は起こさないように慎重に近くの座布団の上に長門の頭を乗せた。

「ふぅ。」

 ため息をついてから足を伸ばし、横になった。長門はスヤスヤ寝てるんだろうな、と思っていると俺も眠くなってきた。あれだけ寝たのにな。
 寝ても長門の家だし、長門にはあまり迷惑をかけないだろう。それに長門自身寝てたし、俺ももう寝よう。おやすみ…
129 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 20:43:36.57 ID:41FJY8Qz0
「おきなさい!!!」

 誰だよ、眠いな。もう少し寝かせてくれ。

「起 き ろ !!  バ カ キ ョ ン !!!」

 え!?? ハルヒ?? また夢か?
 あれ、起き上がれない。仕方ないので目だけ開けて様子を伺う事にする。

 そこには俺に添い寝した長門、その上には怒り心頭に顔が真っ赤の鬼、ハルヒ。そういや奥の方で困った顔でにやけてる古泉がいたな。
「長門、起きろ。朝だぞ。」
「朝じゃないわよ! 夕方よ!!あんたたち昼間から何してたのよ!」
「もう夕方か。何してたんだっけな。長門、夕方だ。起きろ。」

 長門はコタツの中でモゾモゾ動き、眠そうに言った。
「朝してたように、頭を撫でてくれたら起きる。」
 しょうがないな。少しずつ頭が覚醒してきたのを感じ、長門の頭を撫でてやる。
「あんた達朝から何やってたのよ!」
「ちょっと待ってくれハルヒ。今起きたばかりなんだ。少し落ち着く時間をくれ。頭が覚醒してない。」

 長門の頭を撫でながら古泉にお茶をいれてくれ、と頼んでお茶の到着を待った。
「ところでハルヒ、何でここにいるんだ?」
「有希と昨日、この時間に報告会をする約束したのよ!」
 じゃあ何で古泉がいるんだ?とは聞かないし聞けない。
「そう。」
 長門よ、起きたなら起き上がってくれ。もう手がしびれた。
「そう。」
130 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 20:43:55.77 ID:41FJY8Qz0

 お茶を入れた古泉がテーブルに並べると、ハルヒはコタツを挟んで俺の正面に座り、俺の右に古泉が着席した。
 長門は今度は再び俺の膝の上に頭を乗せている。俺は無意識に頭を撫でている。
「朝比奈さんはどうしたんだ?」
 古泉によると、声をかけてすらいないらしい。1人寂しくお留守番か。最近の朝比奈さんは影が薄いな。
「で、俺は何に答えればいいんだ?」
「だから、朝から、何していたのか、よ!」
 そんなにどなんないでくれ、と言った後俺は今日の出来事を事細かに説明した。
 長門は相変わらず膝の上に居て、しかも一言も発していない。

「あっそう。有希と2人でイチャイチャくっついてたんだ。」
「じゃあ一応聞いておくが、お前は古泉と2人で何をしてたんだ?」

 古泉はそんな俺の言葉に満足したのか、安堵したようなニヤケ面をし始めた。
 ハルヒは待ってましたとばかりに『フンっ』と鼻を鳴らし、
「あんたには関係ないでしょ? 気になるなら教えてあげてもいいけど?」
 と言った。正直想定の範囲内なのであまり気にならなかったが古泉の嘆願するような顔に負けた。
「じゃあ気になるから言ってくれ」
 そういうとハルヒは今日の出来事と思われる事を1人でずっと説明してた。古泉は苦笑い。
 俺は長門の頭を撫でてハルヒの発言を右から左に流してた。頭を撫でるたびに見せる長門の表情が可愛い。
131 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 20:44:09.33 ID:41FJY8Qz0

 ハルヒの話が終わる頃には俺は長門の頬を軽く引っ張ったり撫でて遊んでいた。長門は嫌そうな顔をせず、というかほぼ無表情なのにどこと無く嬉しそうな顔でいた。
 そして完全にハルヒが話を終えたときにようやく俺は口を開いた。

「そうか、そんな事があったのか。」
 正直、まったく聞いてなかった。長門が可愛くて見とれていた。
「ちょっとキョン! 何で嫉妬とかしないの?」
「俺は普段どおりのSOS団が好きなんだ。みんながバカやって、仲良くやって、楽しくやっていきたいんだ。ハルヒと古泉が仲良くなってなんで嫉妬するんだ?」
 ハルヒの怒りのボルテージが上がるのがわかる。
「ついでに言えば、俺は今は恋人を作る気はまったくない。恋人を作ってSOS団の楽しいひと時を壊したくないからな。
 今回の騒動で朝比奈さんは今日は一人ぼっちで寂しい思いをしてるかも知れない。俺はSOS団のみんなで仲良く遊びたいんだ。」
「あなたの口からそんな言葉が出てくるとは思いませんでしたよ。前に涼宮さんに、SOS団なんか辞めて普通に恋人作れと言った人の発言とは思えません。」
 古泉よ、お前はあくまでハルヒの味方なのか。
「ハルヒだって恋愛は一種の精神病と言ってたしな。人の考えは変わるのもだ。変な言い方かも知れないが、俺の恋人はSOS団だ。そして団員全員だ。」

 そういって長門に起きるように促し、俺がいかにSOS団にいることが楽しく思っているかを熱弁した。
 ハルヒは納得したようなさせられたような表情をして、古泉はニヤケたまま、長門は俺によりかかって幸せそうにしていた。
「わかったわ! 今回はおとなしく引き下がるわ! 明日からはたっぷりこき使ってあげるから覚悟しなさい!!」
 ハルヒは笑顔でそういい、その代わりにSOS団に飽きたら付き合いなさいと言って来た。そこを俺は無視して
「じゃあ明日からは今まで通りに戻ってくれよ」と。
 でも長門はハルヒの言葉に反応してとんでもないことを言った。
「あなたが彼と付き合うことを確約するのなら私は今夜彼を帰さない。」
 やめてくれ、争いは。俺は確約はしない旨を必死で長門に説得し、また不機嫌に戻っているハルヒにSOS団将来的にはお前が恋人かもな、とごまかすとすぐに笑顔になってくれた。
 ハルヒは結局満足して古泉を連れて帰っていった。
132だんご屋のはる:2006/12/06(水) 20:44:11.37 ID:/Z8Z/u1G0
しえn
133 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 20:44:55.90 ID:41FJY8Qz0

 俺は長門の家に一泊した。長門は寝るまで膝に頭を乗せて本を読んでいた。起きたらまた抱きついていた。変なことは決してしていない。
 ハルヒにはあんなことを言ったけど、膝枕してるときの長門の表情見たら長門以外考えられないんだろうな、なんて考えてた。
 そうして考える時間に余裕ができた俺はハルヒが小説の事を忘れていることを祈り、俺に対して恋愛感情以外のものを抱いて欲しいと思いながらとりあえず長門といる今を満喫している。

 
 おわれ

   結局長門エンドしか思いつかず中途半端になった俺を責めないでくれEND

134だんご屋のはる:2006/12/06(水) 20:47:08.37 ID:/Z8Z/u1G0
GJ!

いや、十分だ。
135VIP足軽t:2006/12/06(水) 20:47:46.78 ID:Yxn7Oj5b0
今きたら長門がブラボーでブラボーだ。
ブラボー。おおブラボー!
136VIP村人P:2006/12/06(水) 20:48:10.23 ID:31NAdcZG0
●<乙です…覚悟はいいですね……
137だんご屋のはる:2006/12/06(水) 20:50:59.63 ID:1nxmeSx/O
乙!
138愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 20:52:03.77 ID:WazxxIg70
なんか最近タイトル付けないで投下するやつ増えたな
139VIP村人i:2006/12/06(水) 20:52:58.72 ID:wnRS8Qrq0
やっぱり長門エンドは良い、心が洗われるようだ

それにしても本当にみくるの影が薄いなw
140涼宮ハルヒのX-FILESの作者 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/06(水) 20:55:50.33 ID:ZQrH3/KL0
涼宮ハルヒのX-FILES最終話(第5話)をお送りします。
本日お送り予定だった第4話は都合により月曜日に投下いたしました。
すでにまとめWiKiに置かれていますのでご覧ください。

今回はなるべく読みやすい区切りをとの関係上、文章の行数が少ないレスが
若干多く存在しています。
本来であればレス無駄遣いを防ぐためぎりぎりまで詰め込みたかったのですが、
見易さを優先させたためこのような形になりました。
あらかじめレスの不効率な使い方をすることをお詫びしておきます。

今回は全37レス+あとがき1レスの合計38レスです。
かなり長めの内容になってしまいました。

それでは投下を開始いたします。
141 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 20:56:14.33 ID:41FJY8Qz0
>>138
すまん。人がいないときの保守的なSSとして書いてるもんだからタイトルのこと考えてなかった。
次書くことがあったらタイトル忘れない。
>>138の事も忘れない。
142涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(1/37):2006/12/06(水) 20:56:46.86 ID:ZQrH3/KL0
ストーリー参考:X-FILES シーズン1「三角フラスコ」

X-FILE課が設立された後、あの長門が俺たちを殺そうとしたり、
喜緑さんが俺たちを救ってくれたり、『機関』のスポンサーが
アメリカ政府になったことを鶴屋さんに告げられたりと、
俺の周りではSOS団時代と違った新しい歯車が回っている事を
常に気にせずにはいられなかった。ただ、ハルヒとそのことに
ついて話し合ったことはなかった。お互い、『何を信じればいいのか』
ということが胸につっかえていたのだろうと思う。
そしてついに回っていた歯車は急速にスピードを上げ、俺たちの
前に危機として襲い掛かってきたのだった・・・
143 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 20:57:20.50 ID:41FJY8Qz0
支援
144涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(2/37):2006/12/06(水) 20:57:43.18 ID:ZQrH3/KL0
一台の車がパトカー2台とカーチェイスを繰り広げている。車は暴走したかの
ごとくスピードを上げ倉庫が立ち並ぶ場所へと逃げ込んだ。
『応援を送ります。現在位置を報告してください。』
警察無線がけたたましく鳴る。
「現在エイプリル通りから造船所のほうを西へ向かって走行中。」
『了解。応援を送ります。』
追いかけられている車はついに袋小路に入り込んだ。
”警察だ!車を止めろ!”
車は荷物にぶつかりスリップして止まった。止まった車から1人の男が
運転席から逃げ出し、近くの柵を乗り越えて逃亡しようとした。
しかし、すぐに駆けつけた警官に取り押さえられ柵から引き離された。
「動くな!地面に付け!」
警官が怒鳴る。しかし男は必死に抵抗を続ける。男は油断した警官から
警棒を取り上げると次々と警官を倒していった。そのとき応援に駆けつけた
若手警官が電気ショックガンを男に発射した。しかし、男は何の変化も
受けなかった。男はショックガンの電極を抜くと一目散に桟橋へ駆け込んで
いった。
「止まらないと撃つぞ!」
警官が威嚇する。しかし男は止まることなく桟橋の端に向かって走っていった。
”パンパン”警官が銃を男に発射した。しかし男は止まることなく走り続け、
ついに海へ飛び込んでいった。
「確かに命中したはずなのに・・・どこへ行ったんだ・・・出血がひどいはずなのに」
警官はまるで信じられないという顔で海を見つめた。桟橋の端に着いた警官が
見たものは赤い血ではなく、緑色の液体だった・・・
145涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(3/37):2006/12/06(水) 20:58:24.94 ID:ZQrH3/KL0
あたしは家でテレビを見ながらソファーに横になっていた。その時電話が鳴り、
受話器をとって耳に当てて、
『8チャンネルを見ろ。』
この一言だけ言って電話は切れた。
「ったく。なんなのよもう・・・」
そういいつつTVのチャンネルを8チャンネルにした。そのチャンネルでは
夕方、車の追跡激が行われたという現場からのニュースを流していた。
あたしは急いでビデオに録画を始めた・・・
146 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 20:58:54.78 ID:41FJY8Qz0
支援
147涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(4/37):2006/12/06(水) 20:59:18.03 ID:ZQrH3/KL0
次の日あたしはオフィスで録画しておいたニュースを繰り返し見続けた。
「ハルヒ、さっきから何十回も見てるぞ。一体何を探しているんだ?」
キョンがあきれたような口調であたしに言った。
「あたしもわからないわ。」
そう答えるとあたしは怪しいと思われる人物が写っている画像をプリントした。
「彼・・・ディープスロートがテレビを見ろって言ったのか?」
キョンが言ったディープスロートというのは以前から私に情報をもたらして
くれている初老の男性のことだ。最初にあったのはエレンズ空軍基地事件の時だった。
「そうよ。」
「警察はなぜその男を追いかけてたんだ?」
「ニュースではスピード違反としか伝えていないわ。」
「スピード違反にしては随分大げさな報道だな。」
「絶対になにかあるわ。」
そう言いつつ今度は1台の車が写った画像をプリントした。
「ニセの情報なんじゃないか?」
「どうして?」
「彼は前にも嘘をおまえに伝えたろ。」
そう、彼は以前宇宙人が捕獲されたという事件があったとき、
あたしたちの身を案じて一部嘘の情報を教えたことがあった。
「いや違うわ。彼は何かを知らせたかったのよ。きっとなにかあるに
違いないわ。だからあたしに電話してきたのよ。」
「だとしたら一体何を?」
「それをこれから探すのよ。」
148 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 21:00:25.75 ID:41FJY8Qz0
支援
149涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(5/37):2006/12/06(水) 21:00:29.42 ID:ZQrH3/KL0
あたしたちは現場へと向かった。そこで事件を担当している警官に
説明を求めた。
「昨夜は3つの捜査機関が動員されてたんだ。」
「たかがスピード違反なのに?」
あたしはオフィスでプリントした写真を見せながら、
「この私服の男だけど、署の人間なの?」
「いや、ちがうな。知らない男だ。昨夜は人がうじゃうじゃいたからな。」
「容疑者は逃げた形跡もなく遺体も出ないの?」
「見ての通り捜索中だ。ダイバーも動員してるしそのうち見つかるだろう。」
「でも、もう18時間も経ってるわ。おかしいんじゃない?」
「いや、海底の探索には時間がかかる。それよりも、FBIがなぜこの事件に?」
「容疑者の男の顔が手配中の逃亡犯に似て・・・」
「ほう、それは不思議だ。人相は発表していないのに。」
「差し支えなければ車を見たいんだけど。」
「署の駐車場にある。」

俺たちは担当している警察署に向かった。
「所有者はゲイザスバーグのレンタカー会社だ。店は盗まれたものだと
言ってるが。これじゃ車の線を洗うのは無駄なんじゃないか。」
俺はハルヒに言った。
「きっと何かあるはずよ。」
ハルヒはオフィスでプリントした車の写真を見ながら車の周りを探ってた。
「この写真じゃナンバーも見えないわね・・・」
ハルヒが車の正面に立ったとき、
「ちょっとキョン、見てみて。」
「なんだ。」
「ほら、写真の車にはガラスにシールが貼ってあるわ。」
「でもこの車には貼ってないな・・・」
「車が違うってことよ。」
150VIP魔王:2006/12/06(水) 21:00:37.90 ID:31NAdcZG0
あー支援支援
151涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(6/37):2006/12/06(水) 21:01:30.42 ID:ZQrH3/KL0
俺たちは一旦オフィスに戻り改めてビデオを検証してみることにした。
「この写ってるシールは『使者の杖』と呼ばれるもので医学のシンボルらしい。」
「ってことは車の持ち主は医者ね。画質を補正してみたんだけど、ナンバーは
”3AYF”ね。」
「前半部分はどうなんだ?」
「隠れてて見えないの。だからそれしか分からないわ。」
そういうとハルヒは電話を取り、
「ダニー、ハルヒよ。車の割り出しをして欲しいの。ナンバーは
一部しか分からないんだけど、多分持ち主は医者よ。よろしく頼むわ。」
電話の先でダニーが調べている間私はキョンに、
「偽装工作のために車をすりかえられたのよ。」
と言った。
「何のためにだ?」
「持ち主に何か秘密があるに違いないわ。」
152涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(7/37):2006/12/06(水) 21:02:33.31 ID:ZQrH3/KL0
俺たちは判明した車の持ち主がいると思われるメリーランド州の
ゲイザスバーグにあるエムゲン社を訪れた。
そこでは1人の男が白衣を着て研究をしていた。
「ハルヒ、とりあえず尋問は俺がやるから、部屋を注意深く見ていてくれ。」
「わかったわ。」
そうハルヒとやり取りした後、俺は男に声をかけた。
「ベルービ博士?」
「そうだが。」
「FBIです。お話が。」
「悪いが今忙しいんだ。」
「実は昨日起きた事件に博士の車が使われたもので。」
「私の?」
「銀色のシエラをお持ちですよね?」
「何に使われた?」
「犯罪です。ご存じない?無くなった事も?」
「初耳だ。」
「あの車は普段家政婦が使っているから・・・」
そのとき、ハルヒが檻に入った実験用のサルに触ろうとした。その途端
サルが興奮し始めた
「危ない!興奮させないでもらいたい。」
「ごめんなさい。可愛かったもので・・・」
「これは実験動物なんだ。」
そう男が言った後俺は、
「何の実験を?」
「それは尋問かね?」
「いいえ。」
「だったらもう帰ってくれ。仕事が山ほど残っているんだ。」
「どうも。」
そういうと俺とハルヒは黙って研究室を出た。
153籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:03:25.17 ID:/Z8Z/u1G0
支援
154涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(8/37):2006/12/06(水) 21:03:27.80 ID:ZQrH3/KL0
「ハルヒ、噛まれなかったか?」
「大丈夫。でもちょっと危なかったわね。もうすぐ17時ね。博士の家に
行って話を聞きましょう。」
「いや、断る。」
「どういう意味?」
「こんな無意味な捜査に付き合いきれないってことだ。謎めいた電話に
振り回されて謎々を解くのはもうたくさんだ。」
「ヒントは出てるわ。」
「あれがヒントか?そもそもあのディープスロートって何者なんだ?
本名は?」
「彼は機密を知る立場にいるだから用心深いのよ。」
「ただのゲームかもしれないじゃないか。駆け引きを楽しんでいるん
じゃないのか。」
「じゃあ、彼は私を試しているとでもいいたいわけ?」
「いや、オモチャにされてるんだよ。」
155涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(9/37):2006/12/06(水) 21:04:29.07 ID:ZQrH3/KL0
結局収穫の無いまま夜になり、あたしは家に帰ってきた。アパートの
入口に入ろうとしたとき、
「少し帰りが早すぎやしないか。」
その声はディープスロートだった。
「遅くなると母親が心配するのよ。」
ディープスロートは近づいてきて、
「失望したよ。熱意が薄れたようだな。」
「なぜよ?」
「真実を追い求め夜を徹して捜査しているものと思っていたのに。」
「あんな情報じゃ少なすぎるわ。」
「今提供できるのはあれだけだ。」
「ニュースが?」
「どこまでわかったんだ?」
「何も分かってないわよ。」
「まったく・・・君に見えていないだけだ。」
「まって、あたしは今まであなたの条件に従い何の注文も出さなかった。
でも、いい加減勿体ぶるのはやめてちょうだい。」
「私に頼りすぎては困る。」
「なら言うけど、あたしのほうこそ謎々ゲームはもうたくさんよ。
いつまでもあなたの言う通りに動くと思ったら大間違いよ。」
「涼宮捜査官。私を信じろ。あと一歩で君は真実に触れることができる。」
「後一歩で・・・何の真実よ。」
あたしのその言葉を聞くとディープスロートは夜の闇へと消えていった。
156籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:04:47.83 ID:/Z8Z/u1G0
支援
157涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(10/37):2006/12/06(水) 21:05:33.22 ID:ZQrH3/KL0
エムゲン社の研究室にて夜を徹してベルービ博士が研究を続けていた。
博士が顕微鏡をのぞいていると研究室のドアが開いた。
「誰だ?」
返事が無い。
「返事をしてくれ。」
「残業かしら。」
若い女性の声が聞こえた。
「何しに来たんだ?」
女性は博士に近づいた後、
「彼は生きてるんでしょ?連絡はあったのかしら。」
「頼む。今すぐ帰ってくれ。」
檻のなかにいるサルたちが興奮し始める。
「誰か知らんがFBIならもう質問に答えたろ。」
「なんと答えたのかしら?」
「私は何も知らん。何度聞いても同じだ。」
「セケア博士はどこ?」
「何の話かわからんな。」
女性は黙ってサルを見つめる。
「頼む。重要な仕事の最中なんだ。邪魔せんでくれ。」
「あなたの仕事は・・・もう終わりよ。」
そういうと女性は博士の首につかみかかった。とても女性とは思えない
力で締め付けていた。
その光景をサルたちは興奮しながら見ていたのだった・・・
158籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:05:53.57 ID:/Z8Z/u1G0
支援
159涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(11/37):2006/12/06(水) 21:06:30.96 ID:ZQrH3/KL0
次の日、エムゲン社の研究室にてベルービ博士が死亡したとの連絡を
受けた。あたしとキョンは急いでエムゲン社の研究室向かった。
研究室内はめちゃめちゃに荒らされており、博士は首をつった状態で
発見されたらしい。
「現場検証の責任者は郡の保安官になってるな。中間報告を見る限り
では自殺と記述されてるな。」
「自殺ですって?」
「自分で室内を荒らしたうえで死んだらしいと。」
「方法はなんて?」
「この報告書によると・・・丈夫なガーゼで首を縛り、その片端を
ガス栓に結んで飛び降りたとあるな。」
「目撃者はいるの?」
「誰もいないらしい。」
「昨日あった感じでは綺麗好きでこんなことをするような男には
見えなかったけどね。」
「死に方も問題だな。」
「不自然よ。自殺にしては少し念入りすぎてるわ。確実に死ぬために
首吊りと飛び降りをいっぺんにやるなんて聞いたことが無いわ。」
「ベルービ博士の経歴は・・・と。テレンス・ベルービ。74年に
ハーバードを卒業。専門は”ゲノム”か。知ってるか?」
「遺伝子の解析でしょ。科学史上最も野心的な研究のひとつよ。」
「さすがだな、ハルヒ。」
「キョンとは頭の出来が違うもの。」
「へいへい。でも、それがどうかしたか?」
「ゲノムの研究をしている人は大勢いるけど、銀色のシエラを所有し
首にガーゼを巻いてバンジージャンプしたのは彼一人よ。」
「でも、それだけじゃ一昨日の事件とは繋がらないな。」
あたしは調整装置の中にあった三角フラスコを取り出して底を
見てみた。”純度調整”と書いてある。
160籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:07:20.51 ID:/Z8Z/u1G0
支援
161涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(12/37):2006/12/06(水) 21:07:25.55 ID:ZQrH3/KL0
「見る視点が違っていたのかもしれないわ。問題はそこね。きっと
それは目に見えない何かで結ばれているんだと思うわ。ところでこれ
なんだと思う?」
あたしは取り出した三角フラスコをキョンに見せた。
「なんだろうな・・・液体が入っているが・・・研究材料の1つじゃないか?」
「この三角フラスコの中身ちょっと興味があるわね・・・私は知り合いがいる
大学に行って解析してもらうわ。キョンはその間にベルービ博士の自宅を
捜索してちょうだい。」
「わかった。でもハルヒ、その液体がサルの尿なら捜査は終わりだぞ。」

俺はハルヒに言われたとおりベルービ博士の自宅へ向かった。家に着いた
もののベルを鳴らしても誰も出てこない。そこで家の横を観察してみたところ
1つだけ窓が開いてる箇所があった。俺はそこから侵入し家の中を捜索し始めた。
何か出てくれないとハルヒはまた癇癪起こすな・・・と心配しつつ・・・
162籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:08:09.58 ID:/Z8Z/u1G0
支援
163涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(13/37):2006/12/06(水) 21:08:14.91 ID:ZQrH3/KL0
あたしは今ジョージタウン大学の微生物部にいる。さっきの三角フラスコの
中身を知り合いの女性研究者に調べてもらっているところだ。
「細菌の培養液だと思うけどどこでこれを?」
「ある事件の現場よ。」
「最近の事件は随分科学的なのね。」
「何か出てくれるといいけど・・・まあ、あまり期待してないわ。」
「まって、この液体何でもないどころかただものじゃないわ・・・見て。」
そういうと彼女はモニターを見るように促した。
「これは何?」
「サイズは細菌だけど全然違うわ。こんなの見たの初めてよ。」
「つまり?」
「細菌なら普通は左右対称なんだけど、これは・・・なんていうか妙だわ。」
「正体が分かるかしら?」
「そうね、凍結破断してみれば解るかも。凍結させて薄く切って断面構造を
調べるの。多少時間がかかるけど・・・待てる?」
「ええ、急がないわ。お願い。」
164VIP魔王:2006/12/06(水) 21:08:34.49 ID:31NAdcZG0
the・支援
165籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:08:42.59 ID:/Z8Z/u1G0
支援
166涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(14/37):2006/12/06(水) 21:09:14.06 ID:ZQrH3/KL0
俺がベルービ博士の自宅を捜索してからだいぶ時間が経った。依然として
有力な物証などは得られていない。外も暗くなり時計を見るともう19時を
まわっているところだ。やれやれと思いつつ、博士の机の椅子に座り卓上
スタンドの明かりをつけた。それから机の引き出しを探ってみると、なにやら
通話記録のようなものが出てきた。よくみるとほとんど同じ番号にかけている。
俺は早速FBIに電話した。
「ダニーか、すまない今度は電話番号を調べて欲しい。555-2804市外局番301だ。
持ち主を調べてくれ。ここの番号は555-7571だ。よろしく頼む。」
俺は電話を終えると通話記録を元の場所に戻した。更に別の引き出しを調べて
みるとどこかの鍵の束が見つかった。俺はこの鍵束をズボンのポケットにしまった。
その時電話が鳴った。
「早いな。」
「テリー君なのか?」
FBIのダニーではなく別な男からの電話だった。俺は調子を合わせて、
「ああ、誰かな?」
「撃たれてるんだ。3日間も水中にいたんだ。」
「今どこにいるんだ?」
「今公衆電話だ。」
「すぐ迎えに行く。場所は?」
「テリー・・・」
それ以上喋らない。どうも様子がおかしい。
「もしもし」
すると別の男の声で、
「もしもし、この人凄いケガをしてるよ。手当が必要だ。」
「場所はどこだ?」
「俺、救急車呼ぶよ。」
「待ってくれ!」
167VIP魔王:2006/12/06(水) 21:09:19.67 ID:31NAdcZG0
168籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:09:23.29 ID:/Z8Z/u1G0
支援
169涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(15/37):2006/12/06(水) 21:10:03.60 ID:ZQrH3/KL0
電話は切られてしまった。と、その直後また電話がなった。
「切らないでくれ。」
「持ち主がわかったぞ。」
「ダニー、君か。」
「住所を。」
「まってくれ、今書きとめる。」
俺は紙とペンを取るため椅子を回し窓のほうに向けた。すると外に
青色のバンが止まっているのが見えた。なんとなく怪しい・・・そう
思っていると、
「キョン」
「ああ、聞いてるよ。続けてくれ。」
「この持ち主はゼウス倉庫会社だ。住所はパンドラ通り1616。」
「助かったよ。ありがとう。」
電話が終わると既にバンは消えていた・・・
170籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:10:26.69 ID:/Z8Z/u1G0
支援
171VIP魔王:2006/12/06(水) 21:10:38.34 ID:31NAdcZG0
172涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(16/37):2006/12/06(水) 21:10:42.28 ID:ZQrH3/KL0
暗闇の中を救急車が走る。さっきキョンに電話した男が搬送されている途中だった。
「患者は40代の白人男性。心拍も血圧も低下。」
救急隊員が現状を無線で報告する。
「それから右上半身の傷から緑色の液体が出ている。」
『緑色だと?肺喚起の反応は?』
「いやダメだ。静脈が浮き出て気息音が激しくなってる。皮膚も土色に。」
『緊張性気胸だ。胸膣の圧力を減少させろ。』
「注射器で減圧する。」
そういうと救急隊員は針を男に突き刺した。すると注射器から
ガスが噴出し救急隊員たちが苦しみだした。救急車は蛇行運転になり
やがて止まった。
『どうしたんだ?救急隊応答しろ。』
救急隊員たちが倒れるのを見届けると男は注射器を抜いた。
『おい救急隊、何があったんだ!応答しろ!』
男は救急車の後部ドアを開けると夜の闇に逃げていった・・・
173籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:10:58.13 ID:/Z8Z/u1G0
支援
174VIP魔王:2006/12/06(水) 21:11:08.72 ID:31NAdcZG0
175涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(17/37):2006/12/06(水) 21:11:29.16 ID:ZQrH3/KL0
あたしは大学から携帯電話でキョンに電話をかけた。
『キョンだ。』
「あたしよ。今どこ?」
『手がかりがあると思われる場所に向かってるところだ。』
「手がかりがあったのね。」
『それと、彼は生きていたよ。』
「彼って?」
『逃亡者さ。博士の家に電話があった。』
「どこからかけてきたの?』
『わからない。ハルヒのほうはどうだ。』
「ジョージタウン大学にいるわ。変なものが見つかったわ。」
『ひょっとして例の液体からか?』
「ええ、緑色の物体よ。」
『どんなものなんだ?』
「最近の一種で中にウイルスが生息しているの。どうやら博士は
これを培養していたみたい。その細菌には葉緑素のようなものも。
こんな細菌、研究室の人も初めて見るそうよ。」
『博士は何のために培養していたんだろうな?』
「普通ウイルスを増殖させるのは生物に注入するためだわ。これは
遺伝子治療と言う実験段階の技術よ。」
『たぶんサルを使って実験してたんだな。他には?』
「今、細胞培養とDNA分析をしてもらってるわ。とにかくただ事では
なさそうよ。こんな細菌は数百万年前にさかのぼっても───地上に
存在した形跡が無いらしいの。」
そのハルヒの言葉と同時に俺はゼウス倉庫会社についた。
「ちょっとキョン、聞いてるの?」
『ああ、引き続き検査を続けていてくれ。』
「わかったわ。そっちも何かあったらすぐ連絡をちょうだい。」
『わかった。じゃあ切るぞ。』
176籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:11:41.64 ID:/Z8Z/u1G0
支援
177涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(18/37):2006/12/06(水) 21:12:24.79 ID:ZQrH3/KL0
俺はゼウス倉庫会社の倉庫に進入した。鍵束から適当な番号を選び
その部屋に入ってみた。そこで見たものは・・・驚くべき光景だった。
人間が水槽の中で実験のようなことをされているのだ!
部屋の中を一通りまわってみると、1つの水槽だけ空っぽのものが
あった。
───ここでは一体何が行われているんだ・・・そしてこの空っぽの
水槽の中の被験者はもしかして・・・

あたしは疲れのためか大学の休憩所にあるソファーで寝ていた。
そこに知り合いの研究者がやってきて私を起こした。
「ごめんなさい、つい居眠りを。」
「涼宮捜査官、見せたいものがあるの。」
「なにかしら。」
「これはあなたが持ち込んだ細菌のDNA塩基配列よ。」
「いわゆる遺伝子ってヤツね。」
そういうと遺伝子構造を表した書類を見せられた。
「塩基対と呼ばれるものでヌクレオチドでできているの。DNAには
4種類のヌクレオチドがあるの。地球上のあらゆる生物はこの4つの
組み合わせによって作られているの。今見ているのはあの細菌の
遺伝子の連鎖よ。普通遺伝子の連鎖には切れ目がないけど、でも
この細菌にはそれがあるの。」
「どうしてなの?」
「理由は解らないわ。でも私なら今すぐに政府機関に連絡するわ。」
「何を発見したの?」
「第5・第6のヌクレオチドでできた塩基対よ。新しいDNAよ。あの
細菌は自然界に存在し得ないものなの。つまりあの細菌は・・・
地球外生命体よ。」
「なんですって・・・」
178籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:12:39.59 ID:/Z8Z/u1G0
しえn
179南蛮ムキトス:2006/12/06(水) 21:12:50.32 ID:6Ti0E+iO0
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180VIP魔王:2006/12/06(水) 21:12:54.77 ID:31NAdcZG0
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181涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(19/37):2006/12/06(水) 21:13:10.64 ID:ZQrH3/KL0
俺はある程度調べを終えるとすぐに倉庫から出た。そして車に
向かって道を歩いていると・・・さっきの青いバンが表れ中から
男が2人出てきた。俺はとっさに反対方向へ歩き出した。ある程度
歩いたところで前方からも1人走ってくるのが見えた。やばい!
俺はすぐ近くの木で出来た柵を乗り越え一目散に走って逃げた。
ある程度走ったところで横道に隠れ、銃を取り出し銃を構えて
今走ってきた道を見た。しかし追いかけてきた様子もなく、俺は
そのまま夜の暗闇の中へ走って逃げた・・・
家に戻ると電話が鳴っていたので急いで取った。
「もしもし」
『キョン、なにやってるのよ!もう朝よ、一晩中電話してたのよ!』
「すまない。まずいことが起きてしばらく隠れてたんだ。」
『キョン、例の細菌だけど自然界には存在しないらしいわ。
地球外生命体の可能性があるって。」
「待ってくれハルヒ。」
『なによ?』
「俺のほうも今すぐお前に見せたいものがある。」
182籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:13:28.54 ID:/Z8Z/u1G0
支援
183南蛮ムキトス:2006/12/06(水) 21:13:57.15 ID:6Ti0E+iO0
支援
184涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(20/37):2006/12/06(水) 21:14:07.46 ID:ZQrH3/KL0
あたしとキョンは一緒にゼウス倉庫会社の倉庫に来た。
「ちょっと待ってくれハルヒ。」
「なによ。」
「なんというか・・・お前に謝らなければならん。俺が間違っていた。」
「当たり前じゃない。でも、気にしないで。」
「でも俺は・・・お前の足を引っ張るようなことばかりして・・・これからは改めるよ。」
「ふふん。キョンもだんだんわかってきたじゃない。」
「おれは科学を絶対視するあまり解明されていることしか信じようと
しなかった。でも昨夜見たものは・・・俺の理解をはるかに超えていた。」
「じゃあその神の領域をも超えているようなものを見せてもらいましょうか。」
俺とハルヒは、俺が昨夜入った部屋の鍵を開け、電気をつけた。しかし
そこには何もなかった・・・
「水槽が、人間を入れた水槽が5つあったんだ。コンピュータ管理も
されてて。彼らは水中で生きていたんだ!」
「どこにいったのかしら?」
その時ディープスロートがやってきた。
「神のみぞ知る・・・だ。既に処分されているだろう。」
「誰が処分したの?」
「わからない。」
「嘘よ。」
「私の能力にも限界というものがある。情報機関の内部には”影の政府”が
存在しその中の一部が権力の中枢を握って秘密活動を行っているのだ。」
「昨夜3人の男に追跡された。」
「ああ、それは単なる脅しにしか過ぎない。相手はプロだ。殺しにも
慣れている。」
「ベルービ博士も彼らに殺されたの?」
「多分な。」
「なぜよ。」
「あれだけ調査してもまだ分からんのか。」
185VIP魔王:2006/12/06(水) 21:14:16.30 ID:31NAdcZG0
エイリアン細胞支援
186籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:14:16.74 ID:/Z8Z/u1G0
支援
187涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(21/37):2006/12/06(水) 21:15:02.68 ID:ZQrH3/KL0
「博士は地球外ウイルスを培養して人体実験をしていたんじゃないのか?」
「そうとも。研究は今に始まったことではない。細菌は1947年から存在していた。」
「ロズウェルね。」
「ロズウェル事件は氷山の一角にすぎない。博士は実験に成功し、口封じの
ために殺された。彼はこの部屋で人体に対する初のDNA移植を行っていたのだ。
6人の末期患者が自ら進んで申し出てきた。その1人セケア博士はベルービの
友人だった。遺伝子移植治療の成果はすさまじく、DNA移植を受けた結果
6人の患者の容体はみるみる快方に向かっていった。セケア博士も正常な
肉体を取り戻し、おまけに超人的な体力と水中でも呼吸できる力を身につけた。」
「だから3日間も水の中で隠れ通すことが出来たのね。」
「でも、何で逃げるんだ?」
「元々セケアは生きていてはならん男だ。この実験は政府が極秘に進める
研究の一環だった。実験後は彼らは用済みだ。生きていては秘密が漏れる
恐れがある。事故で救急車に運ばれでもしたら?セケアの血液成分は異質で
かなりの毒性もある。それをマスコミがかぎつければ・・・」
「だから抹殺命令が出たのか。」
「そうだ。でもセケアはベルービからそれを聞いてしまった。」
「1つどうしても分からないことがあるわ。なぜ最初から教えないで今頃
詳しい情報を?」
「証拠隠滅の動きが早まったからだ。ベルービも殺され、ここにいた人間も
抹殺された。証拠がなければ君らも立証は出来ない。急いで証拠を集めろ。
今ならまだ間に合う。セケアを探して保護するんだ。この件で君らと話すのは
これきりだ。」
そういうとディープスロートは部屋から出て行った。
あたしとキョンはしばらく考えた後倉庫から出た。
「あたしは研究室へ戻って分析結果を取ってくるわ。」
「俺はセケアを追う。」
「どこへ?」
「さあな。感が頼りだ。」
188籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:15:11.45 ID:/Z8Z/u1G0
支援
189武器屋のじじぃ:2006/12/06(水) 21:15:54.78 ID:hQd9V+5RO
シエソ
190涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(22/37):2006/12/06(水) 21:16:01.66 ID:ZQrH3/KL0
あたしがジョージタウン大学に着くと依頼していた知り合いは研究室に
いなかった。しょうがないので休憩室に行ってみた。
「すいません、カーペンター博士はどこに?」
そういうと研究員の一人が、
「カーペンター博士の家族全員が交通事故でお亡くなりに・・・博士自身も・・・」
なんてことなの・・・証拠がどんどん消されていく・・・

俺は再度ベルービ宅へ行くことにした。今回は面倒なので正面玄関の鍵を
FBI特製のピッキングセットを使って開けて入った。ってか最初もこうすれば
よかったな俺。中に入ると上の階から物音が聞こえた。どうやら天井裏に
誰かがいるようだ。俺は天井裏へ行くと、
「セケア博士?」
呼びかけてみたが反応が無い。天井裏を少しずつ探っていると、いきなり
後ろから男に襲われた。
「待て!」
男は聞き入れなかった。俺を殴ると胸倉をつかんだ。
「助け来たんだ。」
そういうとセケア博士とおもわれる男は胸倉をつかんだまま静止した。
と、その時”パン”と言う銃声が聞こえセケア博士が倒れた。正面を
見るとガスマスクをした男が銃を握っている。セケア博士の傷口から
毒性のあるガスが流れ出した。俺は目を開けられなくなりよろめき始め
そして気絶した。
ガスマスクの男がセケア博士に止めを刺しているとき1人の若い女性が
天井裏に上がってきた。
「あんたはいいな、マスクがいらないんだからな。」
「まあね。それよりきちんと仕事をしておくのよ。」
「わかってるさ。それよりこいつはどうする。」
「あらあら奇遇だこと、この男は・・・このまま連れていくわ。」
191籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:16:11.04 ID:/Z8Z/u1G0
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192涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(23/37):2006/12/06(水) 21:17:05.67 ID:ZQrH3/KL0
キョンに連絡がつかない。あたしはキョンのアパートへ向かった。
キョン・・・どこにるの・・・嫌な思いがあたしの心に積もる。
キョンの部屋の呼び鈴を押した時、
「ここにはいない」
背後からディープスロートの声がした。
「キョンは今どこにいるの!」
「分からん、私も知りたいよ。」
「きっと何かあったに違いないわ。」
「無事だ。」
「どうしてわかるの?」
「彼を殺せば目立ちすぎるし、証拠を君にぶちまけられては困る。」
「証拠はもう無いわ。彼らに抹殺されたのよ!」
「涼宮捜査官、君にしかキョン捜査官は救えない。証拠はまだ存在する。」
「どこに?」
「警戒が厳重な場所だが君なら何とか潜り込める。」
「潜り込むって・・・場所は?」
「それは・・・フォートマリン隔離施設だ。」
「そこに何があるの?そしてどうすればいいの?」
「”源”だよ。全ての始まりだ。それを手に入れろ。そうしたら彼らと
交渉してキョン捜査官を取り戻す。」
193籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:17:21.18 ID:/Z8Z/u1G0
支援
194涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(24/37):2006/12/06(水) 21:18:01.35 ID:ZQrH3/KL0
「う・・・」
俺は薄暗い廃工場と思われる場所で目を覚ました。朦朧とする意識の
中で周りを見渡すと、自分は柱に縛られ、周りには誰もいない状態だった。
「なんだったんだあのガスは・・・気絶するほどとは・・・」
「ずいぶんと長い昼寝だったわね。お久しぶり、キョン君。」
うつむいて今までのことを思い出していたとき、はるか昔に
聞いた女性の声が聞こえ、近づいてきた。
「お、お前は・・・なぜここに!」
声の主はハルヒと出会ってすぐ、俺を殺そうとし、更に長門が
暴走して時空改変を行った際に俺にナイフを付きたてた女、朝倉涼子だった。
「あらあら、久しぶりに会ったっていうのにご挨拶なこと。」
「お前は長門によって消されたはずだ。なのに何でここにいる?」
「うふふ、知りたい?まあいいわ大サービスで色々教えてあげる。」
朝倉は教師が生徒に授業をするような態度で行ったり来たりしながら話し始めた。
「私は新しい任務のために再構成されたの。バックアップとしてではなく単独個体としてね。」
「新しい任務・・・?」
確か高校卒業の別れ際、長門もそんなことを言っていたことを思い出した。
「情報統合思念体が自立進化の道を探っているのは既に知ってるわよね。」
「ああ。」
「あなたは情報統合思念体がこの星に興味を持ったのは涼宮さんのため
だけかと思っているかもしれないけど、実際にはもっと昔からアプローチ
していたのよ。」
「昔から・・・?ハルヒを観察するだけじゃなかったのか?」
「あなたたちが高校時代には涼宮さんの監視が私たちの目的だったわ。
事実あなたを殺して涼宮さんの出方を見ようともしたし。」
高校時代に殺されかけた嫌な思い出が蘇る・・・
「でも高校卒業後、涼宮さんの力がなくなると、もはやその意味はなくなった。
そこで情報統合思念体の中でも少数派だったこの星の住人と直接接触し、
共に人類を支配下において自立進化の道を探ろうとする流派が台頭して来たの。」
195籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:18:08.59 ID:/Z8Z/u1G0
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196VIP魔王:2006/12/06(水) 21:19:07.64 ID:31NAdcZG0
暗黒面支援
197涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(25/37):2006/12/06(水) 21:19:12.74 ID:ZQrH3/KL0
「俗に言われている『宇宙人』ってやつか」
「そうね。そんな感じで言われてるわね。UFOとかも。で、その流派が今は
主流派となり活動を行ってるわけ。」
「で、その任務にお前や長門が選ばれてるってわけか。」
「まだ大勢いるけどね。でも、まさかあなたに会えるとはね♪」
「俺は会いたくなかったけどな。」
「ほんと、つれないこと。長門さんだったらホイホイついていくのに。」
「そうだ!長門はなんで俺たちのことを覚えていないんだ?」
「長門さんの記憶が封印されているためよ。初期化も考えたらしいけど
今まで蓄積していた知識なども考慮すると封印したほうがいいというのが
結論だったみたい。ま、私にはどちらでもいいけど。」
「封印・・・それでか・・・」
俺は空軍基地で長門に襲われた一件を思い出した。
「喜緑さんはどうなんだ?」
「あの人は特別ね。未だに穏健派に属していて、穏健派は各派の暴走を
押さえるのが目的なの。喜緑さんはいわば監査官ってところね。」
「喜緑さんだけは昔から立場が変わってないってことか・・・」
「そうね。でもなんであなたたちを助けたのかはわからないけど。まあ、
今回はここの情報を遮断フィールドで覆ってるし、助けに来ないと
思うけどね。」
「俺を殺すつもりか?」
「まあね。それが命令だし。人間最後まで片をつけないとね♪」
お前人間じゃないだろ・・・などと思いつつとりあえず絶体絶命だと言うことは
理解できた。
「それじゃ、私はまだ用事があるから失礼するわ。おとなしくしててね♪」
そういうと朝倉は闇に消えていった。
「ハルヒ・・・今頃どうしているだろうか・・・」
俺は悲嘆にくれながら月明かりが差し込んでくる窓のほうを見た・・・
198籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:19:21.34 ID:/Z8Z/u1G0
支援
199涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(26/37):2006/12/06(水) 21:20:21.36 ID:ZQrH3/KL0
あたしはキョンを救う鍵を手に入れるべくフォートマリン隔離施設へ
向かった。ディープスロートが用意してくれた偽のIDで難なく潜り込む事が
できた。あたしはエレベーターまで行くと最重要フロアまで一気に登った。
フロアに着くとあたしは”氷雪学”の研究施設を目指した。その施設は
すぐわかり、その部屋に入った。部屋に入ると”ガチャン”という音と共に
ドアがロックされた。奥の部屋に入るには更にIDカードでの認証が必要なようだ。
あたしはIDカードを差し込んだ。その途端スピーカーから声が聞こえた。
扉の横に警備員が待機していた。
『名前は?』
「涼宮ハルヒ。」
『所属は。』
「連邦政府。」
『パスワードを。』
パスワード?そんなの聞いてなかったわ・・・わたしが考え込んでいると、
『パスワードを言ってください。』
警備員に怪しまれ始めていた・・・その時ある言葉があたしの頭に浮かび
上がった。
「純度調整」
そう言った瞬間、ドアのロックが開いた。あたしはドアの中に入り、
「ここに署名を」
と言われ、それに従い名前を書いた後目的の部屋に入っていった。
部屋の中は冷凍保管室だった。いくつかのケースが保存されており、
その中のひとつを探し出してケースから中の容器を取り出した。
容器を開けて中身を見るとそれは・・・宇宙人の胎児だった・・・
「これが”源”・・・」
これがあればキョンが救える。あたしは容器の中身を元に戻すと
容器をダンボールに入れ、冷凍保管室を後にした・・・
───待っててねキョン、今助けるわ!
200籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:20:43.55 ID:/Z8Z/u1G0
支援
201涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(27/37):2006/12/06(水) 21:21:19.91 ID:ZQrH3/KL0
俺は殺される・・・死刑執行を待つ死刑囚のような気分だった。
うなだれていると奥の方から小柄な人影がこっちにやってくるのが見えた。
「長門!」
そう、それはかつての、いや、俺は今でも仲間と思っている長門有希だった。
長門は俺の前に立ち無言でいる・・・俺を殺すのは長門なのか・・・?そう考えて
いると長門が突然口を開いた。
「なぜ...あなたは私を知っているの...?」
「共に活動した仲間だからだ。」
「私はあなたと活動した記憶は無い...」
「それはお前の記憶が封印されているんだ!思い出してくれ俺を!」
「封印...?私は最初からこの記憶しか持っていない...」
「ちがう!それは情報操作されているんだ!お前は、俺の、俺たちの大事な
仲間なんだ!」
「なか...ま?」
「そうだ、無口で寡黙でそれでいていつもみんなを見守っていてくれていた
存在、それが長門有希、お前なんだ!」
「みんなを...見守る...」
そういうと長門は右手で頭をかかえた。
「お前はそんな命令しか聞かない人形じゃなかった。最初は無表情だったが
徐々に人間らしい感情を持ってきた、そんな女の子だったじゃないか!」
「かん...じょう...」
「思い出せ!SOS団で活動したことを!最初にお前と行った図書館のことを!」
「SOS団...図書館...」
そういうと長門は直立不動になり目を閉じた。
202籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:21:53.69 ID:/Z8Z/u1G0
支援
203 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 21:22:16.52 ID:41FJY8Qz0
情報統合支援体
204涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(28/37):2006/12/06(水) 21:22:18.20 ID:ZQrH3/KL0
「封印シーケンス無効化。自律動作開始。これより自発的行動に移る。」
「長門・・・思い出してくれたのか!?」
「キョン...あなたに会いたかった...」
長門は目を開け微笑みながら涙を流し、俺を見た。
「俺も会いたかった、長門・・・」
「私は記憶を封印されていた。でも深層心理下ではいつもあなたを想っていた。」
「長門・・・」
「私はあなたを助ける。とりあえずここを脱出する。」
そういうと長門は俺が縛られていたロープを切ってくれた。と同時に、
「あらあら、長門さん裏切るつもり?」
闇の中から朝倉が現れた。
「裏切るのではない。元の自分に戻っただけ。」
「あなたは今昔の立場では無いわ。だから裏切りよ。」
「なんとでも言うといい。でも私は彼を守る。」
「ふふふ・・・あの時の再来かしら。でも今は私はあなたのバックアップ
じゃないわよ。同等の機能を持つ!!」
そういうとあたり一面が砂漠化した。
「くっ、情報操作か!」
「私から離れないで。あなたを絶対に守ってみせる。」
「出来るかしらね・・・行くわよ!」
長門と朝倉の激しい戦いが始まった。朝倉のターゲットはどうやらまずは
俺らしい。俺に向かって執拗に攻撃してくる。それを防いで反撃する長門。
「あら、なかなかやるわね。でもこれはどうかしら!」
そういうと朝倉は俺たちの周りに電撃をまとった黒い球体をいくつも
出現させていた。そして一斉に俺たちに向かってその球体が向かってきた。
長門はその瞬間体を発光させて全部の球体の攻撃を受けた。
「長門!大丈夫か!」
俺に当たるのを防ぐために攻撃をもろに受けてしまった長門は、
体がボロボロになり倒れていた。俺は長門を抱きかかえた。
205籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:22:54.75 ID:/Z8Z/u1G0
>>203
酉外そうぜ。

支援
206VIP村人q:2006/12/06(水) 21:23:25.22 ID:41FJY8Qz0
>>205
忘れてたすまんしえん
207涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(29/37):2006/12/06(水) 21:23:27.02 ID:ZQrH3/KL0
「大...丈夫。遮断フィールドである程度防いだ。」
「しかしもう体がボロボロじゃないか。」
「ボロボロでも...絶対にあなたを守ってみせる。それが私の使命。意思。」
「長門・・・ありがとう・・・」
「あらあら、焼けるラブシーンだこと。涼宮さんが見たらどう思うかしらね。
でも、次の攻撃で終わり。どうせ涼宮さんも後を追うだろうからあの世で見せ付けてあげて♪」
朝倉は右手のを俺たちにかざすと俺たちの頭上、周りに膨大な炎が出現した。
「これはもう長門さんじゃ防げないわよ。覚悟を決めることね。」
そういうと炎が一斉に俺たちに向かってきた・・・万事休すか!
俺は目をつぶった。しかし次の瞬間、炎は全て消えていた。
「どういうことだ・・・」
「まさか・・・あなたが現れるなんて・・・」
朝倉は信じられないと言う感じで俺の後ろを見ていた。振り向くとそこには
喜緑さんが立っていた。喜緑さんはすぐに俺たちのところへやってきて長門の
体を治してくれた。
「遅くなりました。長門さんがこの空間の隙間から連絡をしてくれたので
ここが分かりました。間に合ってよかった・・・」
「喜緑江美里ありがとう。助かった。」
「いいんですよ、長門さん。あなたはやっと本来の自分を取り戻してくれました。
私はこのときを待っていました。彼や涼宮さんのために。あなたのために。」
「喜緑さん、どうして俺たちを助けてくれるんですか?」
「長門さんと共に朝倉さんと戦わねばならないので簡潔にお話します。
私の属する穏健派は現在の情報統合思念体の主流派の行動があまりに行き過ぎて
いるという考えを持ち始めました。そこで涼宮さんやあなたを助けることで
主流派の暴走を食い止めようと考えたのです。」
「だからあの時長門に襲われた俺たちを助けてくれたんですね。」
「はい。さあ、時間がありませんキョン君あなたをこの空間から脱出させます。
その後は急いでそこから遠くに逃げてください。」
「わかりました。長門また負担をかけてすまん。これが終わったらまた会おう。」
208籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:23:40.38 ID:/Z8Z/u1G0
支援
209涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(30/37):2006/12/06(水) 21:24:41.14 ID:ZQrH3/KL0
「了解した。あなたも気をつけて。」
「では行きます。」
そういうと俺は情報統制空間から脱出した。
「さあ、朝倉さんあなたの暴走を止めさせていただきます。長門さん準備は
いいですか?」
「いつでもいい。」
「くっ、まさかあなたが出てくるとはね・・・さすがに2人がかりで来られては
勝てないわ。今回は逃げさせてもらう。でもこれはお土産よ!」
砂漠化した情報統制空間中で連続して大爆発が起きた。そして情報統制空間は
消えた。

俺は廃工場の外に転送されていた。一刻も早くここを離れなくては・・・そう思うと
とりあえず廃工場から全力で離れていった。と、その時!

『ズドーン・・・ズドーン・・・ドカーン───』

廃工場がいきなり大爆発を起こした。
俺は爆風で少し吹き飛ばされ倒れた。が、怪我もなかったのですぐに立ち上がり、
「長門───!!喜緑さん───!!」
大声で叫ぶも燃え上がる廃工場からは何の返事もなかった・・・
「くそっ・・・せっかくまた会えたのに・・・」
燃え上がる廃工場を見ながら俺は涙を流しつつ拳を地面に叩きつけた。
だが、長門や喜緑さんの犠牲を無駄にしてはならない。そう考えると涙を拭き
立ち上がった。
「しかし・・・一体どこへ行けばいいんだ・・・」
そのとき、月明かりに照らされた人影から声が聞こえた。
「キョン君、こっちです!早く!急いで!」
その人影は・・・未来から来た高校時代の天使、朝比奈みくるさんだった。
「朝比奈さん、なんでここに!?」
210宿屋の女中:2006/12/06(水) 21:25:28.64 ID:TZ6W//PN0
支援
211籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:25:28.89 ID:/Z8Z/u1G0
支援
212 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/06(水) 21:25:31.82 ID:41FJY8Qz0
支援
213涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(31/37):2006/12/06(水) 21:25:41.34 ID:ZQrH3/KL0
「訳は後です。規定事項が迫っています。そこに涼宮さんもいます。私に
ついて来て下さい!」
「わかりました、いきましょう。」
俺と朝比奈さんは急いでその場を後にして、朝比奈さんに指定された場所に
向かった。

その時俺は気が付かなかった、近くの物陰で監視されていたことを。
監視していた女性が無線機を取り、
「スネーク、彼が逃げました。そちらに向かっています。」
『もうすぐ取引が終わる。問題ない。』
「わかりました。気をつけて。」
『そちらもすぐに撤収しろ。以上だ。』
無線機の先の男は車のハンドルを握りながら一粒の涙を流していた・・・
214VIP魔王:2006/12/06(水) 21:25:58.59 ID:31NAdcZG0
支援
215籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:25:58.75 ID:/Z8Z/u1G0
支援
216VIP村人q:2006/12/06(水) 21:26:03.68 ID:41FJY8Qz0
またやっちったすまん支援
217宿屋の女中:2006/12/06(水) 21:26:35.36 ID:TZ6W//PN0
支援
218涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(32/37):2006/12/06(水) 21:26:37.86 ID:ZQrH3/KL0
あたしは車でディープスロートとの待ち合わせの場所に向かった。しばらく
待っているとディープスロートを乗せた車がやってきた。
「涼宮捜査官、例のものは持ってきたかね。」
「ええ、ここにあるわ。」
「じゃあ早く私に渡すんだ。」
「いやよ、あたしが直接交渉するわ。」
「いいかね、この段取りをつけたのは私だ。私でないと相手は信用しない。」
「そうね・・・わかったわ。」
あたしは持ってきた宇宙人の胎児をディープスロートに渡した。
ディープスロートは受け取ると車を少し先に進ませた。あたしは車に戻り
サイドミラーを調節してディープスロートの車が写る様にした。その時
あたしの車の横を黒いバンが横切りディープスロートの車の横で止まった。
ディープスロートは車を降り、バンから出てきた男に宇宙人の胎児を手渡した。
と同時にディープスロートは男から撃たれた!!バンの男はすぐに車に乗り込み
走り出した。あたしは車を降りると、
「キョンは!キョンを返してー!」
と叫びながらバンに走って近づいていったが逃げられてしまった。追いつけない
ことを確認するとあたしは撃たれたディープスロートのところへ走っていった。
「う・・・嘘でしょ・・・なんで・・・」
撃たれて倒れていたのはディープスロートではなかった。高校時代SOS団副団長、
古泉一樹君だった・・・
219籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:27:24.60 ID:/Z8Z/u1G0
>>216
ドジッ娘乙。

支援
220宿屋の女中:2006/12/06(水) 21:27:27.67 ID:iFS0Y9xgO
シエナ
221宿屋の女中:2006/12/06(水) 21:27:31.25 ID:TZ6W//PN0
支援
222涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(33/37):2006/12/06(水) 21:27:31.99 ID:ZQrH3/KL0
「ハルヒー!」
あたしの後ろからキョンの声が聞こえた。振り向くとキョンがこっちに走って
きていた。と、その後ろをみくるちゃんが追いかけて走ってきていた。
「ハルヒ大丈夫か?」
キョンが心配そうに話しかけてきてくれた。
「ええ、大丈夫。でもなぜみくるちゃんがここに・・・」
「訳は後で話す。で、どうなったんだ?」
「キョン、これを見て・・・」
俺はハルヒがどいた先を見つめた・・・そこには銃で撃たれた古泉がいた!
「古泉!何でお前が!?」
「ふふふ、ディープスロートの正体は僕だったんですよ。」
「ディープスロートの正体が?どうやって・・・」
「『彼ら』の技術を使って『機関』が開発した特殊偽装装置を
使いました・・・ぐっ!」
「喋るな、病院へ連れて行くから待ってろ。」
「もう助かりませんよ・・・だからここで話せるだけお話します。」
「なんで・・・なんでこんなことを・・・命をかけてまで・・・」
「僕は以前言いましたよね、『SOS団に危機が迫った時1度だけ機関を
裏切ります。』と。」
「だからって・・・こんな・・・こんなことってあるかよ・・・」
俺は涙を流しながら古泉を抱きかかえた。後ろではハルヒ・朝比奈さんも
涙を流していた。
「『機関』はすでに情報統合思念体の新主流派と接触を持っています。
ありとあらゆるところに根を張り巡らしていることでしょう・・・」
「それで『機関』のスポンサーがアメリカ政府になったのか・・・」
「まあ・・・そんなとこ・・・ろ・・・です。」
抱きかかえる古泉の命が弱くなっていくのを感じる。
223VIP村人q:2006/12/06(水) 21:28:01.13 ID:41FJY8Qz0
支援支援
224籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:28:03.39 ID:/Z8Z/u1G0
支援
225宿屋の女中:2006/12/06(水) 21:28:17.36 ID:TZ6W//PN0
支援
226涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(34/37):2006/12/06(水) 21:28:25.58 ID:ZQrH3/KL0
「高校時代は・・・楽しかった・・・ですね。」
「ああ、今でも戻りたい気分だ。最初は嫌だったけどな。」
「世界で・・・我々だけですよ、あれだけの・・・楽しみを得られたのは。」
「そうだな。そのことを世界中のやつに自慢してやりたいよな。」
「SOS団に入れて・・・本当によかった・・・です。」
「俺もお前と会えて本当によかったよ。」
古泉の命が今まさに燃え尽きようとしている・・・
「まさか・・・僕はあの人に撃たれるとは・・・思いま・・・せん・・・でした。
いいですか、涼宮さん、キョン君。これからは誰も・・・信じ・・・ては
いけ・・・ま・・・せ・・・ん。」
そういうと古泉は息を引き取った・・・
「古泉───!」
俺は古泉の体を抱え大泣きした。
「なんで、なんで古泉君がこんな目にあわないといけないの!?
キョンどうなってるの!?」
ハルヒが俺に泣きながら問いかけてきた。
「ハルヒ、お前には話していないことがある。とりあえずオフィスへ
戻ろう・・・」
そういうと俺はハルヒの車に古泉をのせハルヒ・朝比奈さんと共に
FBIのオフィスに向かった・・・
227籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:28:45.60 ID:/Z8Z/u1G0
支援
228VIP村人q:2006/12/06(水) 21:29:16.34 ID:41FJY8Qz0
支援支援支援支援!!!
229涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(35/37):2006/12/06(水) 21:29:33.31 ID:ZQrH3/KL0
FBIのX-FILE課のオフィスには俺・ハルヒ・朝比奈さんがいる。
俺は今までのことを全てハルヒに話した。そしてハルヒは落ち込みながら、
「そう・・・やっぱり有希は宇宙人だったのね・・・いつかキョンが喫茶店で
言ってた3人の話って本当だったんだ・・・」
「今まで黙っていて御免なさい、涼宮さん・・・」
朝比奈さんが申し訳なさそうに言う。
「いいのよ、事情が事情だったしね・・・でも、なんで今日古泉君が
撃たれるのを止められなかったの!?未来からならわかるんでしょ!?」
「それは・・・」
「ねえなんで!?、みくるちゃん。なんで・・・」
ハルヒは涙を流しながら朝比奈さんに詰め寄っていた。
「よせハルヒ。古泉が撃たれる事は規定事項だったんだ。これが変わって
しまうと未来まで変わってしまう。だから止められなかったんだ。」
「そう・・・よね。ごめんなさい、みくるちゃん。問い詰めたりして。」
「いえ、いいんです。私も止めたかった。でも・・・」
朝比奈さんも泣き出した。
「長門は記憶を取り戻し俺を助けてくれて犠牲になった・・・古泉は
最初から命の危険をおかしてまで俺たちを助けてくれた・・・失った
ものが・・・大きすぎる・・・」
「キョン君・・・」
「キョン、でも有希はまだ生きているかもしれないわ。だって宇宙人
なんでしょ。しかも喜緑さんもいたんでしょ。」
「ああ・・・そうだな。まだ希望は捨てられないな・・・いや、またきっと
会える日が来る。」
「みくるちゃんはこれからどうするの?」
「わたしは本来の時空に戻ります。今回はキョン君のサポートとして命令を受けたので・・・」
「そう・・・また会えるわよね。」
「ええ。きっと。それでは涼宮さん、キョン君気をつけて。」
そういうと朝比奈さんは部屋を出て行った。もうこの時空にはいないだろう。
230籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:29:45.47 ID:/Z8Z/u1G0
支援
231宿屋の女中:2006/12/06(水) 21:29:46.27 ID:TZ6W//PN0
支援
232壷ふりお京:2006/12/06(水) 21:30:12.83 ID:Dl+Nebj/0
支援
233涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(36/37):2006/12/06(水) 21:30:18.55 ID:ZQrH3/KL0
「キョン、真実ってなんなんだろうね・・・」
ハルヒがか弱く俺に問いかける。
「さあな・・・今はわからん・・・でもいつかわかるさ。」
「そうね。」
「今日はもう遅い。とりあえず帰ろう。」
「私はまだもうちょっと1人でここにいるわ。先に帰ってて・・・」
「わかった。あまり考えすぎるなよ。」
「ありがとう。キョン・・・」
俺は天井を向きながら考え事をしているハルヒを残し家に戻っていった。
234愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 21:30:23.01 ID:41FJY8Qz0
支援
235籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:30:31.95 ID:/Z8Z/u1G0
支援
236壷ふりお京:2006/12/06(水) 21:30:43.03 ID:Dl+Nebj/0
支援
237宿屋の女中:2006/12/06(水) 21:30:46.11 ID:TZ6W//PN0
ラスト支援
238涼宮ハルヒのX-FILES <終章>(37/37):2006/12/06(水) 21:30:53.95 ID:ZQrH3/KL0
俺は家に戻りベットに横になって色々考えていた・・・
長門のこと、喜緑さんのこと、朝倉のこと、古泉のこと・・・などを。
考えながら、うとうとしていると突然電話が鳴った。
「もしもし」
『キョン・・・X-FILE課が閉鎖になることになったわ・・・』
「なんだって!」
『スキナー副長官からの直々の命令よ。私たちはバラバラに
転属になるわ。』
「そんなこと・・・許されるもんか!!」
『あたしは明日もう一度命令の取り消しを求めてみるわ。』
「俺も一緒に行くぞ。」
『ありがとう、キョン。あたしは絶対に諦めないわ、真実を求めるまで!』
「ああ、そうだな。死んでいった古泉のためにもな。」
『じゃあ明日またオフィスで会いましょう。おやすみ。』
「ハルヒ、おやすみ。」
そう言って俺は電話を切った。X-FILE課が閉鎖だと!これも真実に
近づきすぎたためか?俺はやりきれない気持ちで一杯だった。
未来は変えられないのか・・・いやきっといつかこの絶望の未来を
変えてみせる。その時まで俺はハルヒと共に戦う。そう決心した・・・

最後に俺たちや同じように閉塞した絶望に襲われている人たちに1つの
メッセージを送りたい。
───Fight the future(未来と戦え)



<終章・終>
239VIP魔王:2006/12/06(水) 21:31:00.76 ID:31NAdcZG0
しえん
240涼宮ハルヒのX-FILES あとがき ◆nP5OmqcjZw :2006/12/06(水) 21:31:25.01 ID:ZQrH3/KL0
涼宮ハルヒのX-FILESを応援してくださった方、ご覧になってくださった方、
支援してくださった方、本当にどうもありがとうございました。

涼宮ハルヒのX-FILESはとりあえず全5話で完結になります。
この各5話は参考ストーリーのシーズンがバラバラですが、一応本家シーズン1を想定
したものとなっています。
最初の発端は「スカリー役のキョンが朝倉に拉致されたら面白いのでは」と言うもの
だったのですが、この拉致される本家X-FILESシーズン2からは国家による陰謀色が
強くなり、モルダー役のハルヒでは少々役不足になると考え、陰謀色が薄いシーズン1
のみを想定してSSとして書かせていただきました。
なお、本家X-FILESではシーズン1〜6までで1つの陰謀話になっています。
涼宮ハルヒのX-FILESにおいては私の作成能力不足のためいくつか伏線を残す結果と
なってしまいました(文章においても変なところが多いですが・・・)。
ただ、これらを回収するにはシーズン2以降の話をかなり書かなければならず、
かなり長くなってしまうため不本意ながら断念しました。

本家X-FILESでは陰謀の絡まない単発ストーリーがまだいくつかあります。
機会があれば短めな外伝としてそれらをSSとして書くことも考えています。

最後になりますが、ある一曲を紹介したいと思います。
それは日本でシーズン3が放映された際のエンディングテーマでTWO-MIXの曲である
「TRUE NAVIGATION」です。
この曲はモルダーとスカリーのお互いの信頼関係がテーマの曲ですが、
ハルヒ・キョンに当てはめてもまったく遜色が無い曲だと思っています。
私はシリアス版ハルヒ・キョンのテーマだと思いながら執筆中に聞いていました。

どんな形になるかわかりませんが、長編次回作が出来ましたらまた恥ずかしながら
発表させてもらいたいと思っています。
それまでは小粒な作品などをちょくちょく書きたいな・・・と。それでは。
241愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 21:31:59.46 ID:41FJY8Qz0
長門が気になるw
242VIP魔王:2006/12/06(水) 21:32:11.14 ID:31NAdcZG0
乙!
243籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:32:36.16 ID:/Z8Z/u1G0
GJ!

そして乙!

次回作期待してますぜ。
244宿屋の女中:2006/12/06(水) 21:32:37.94 ID:TZ6W//PN0
乙そしてエエエエエエ!?
245愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 21:32:42.63 ID:41FJY8Qz0
オツカレイ
246油売りの左暮:2006/12/06(水) 21:32:47.75 ID:1zKofwZpO
ハルヒ厨予備軍
アニメ板の癌、ゴミのギアス厨を潰そう!
奴らスレ乱立してやがる糞うぜぇ

コードギアス 反逆のルルーシュ stage132
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anime/1165332128/

間違ってもおとボク、Kanon、キャベツスレには来んなよw
俺のお気に入りスレだからな。
理解したよな、2chの癌共?
247油売りの左暮:2006/12/06(水) 21:33:37.59 ID:1zKofwZpO
悪い、間違った
248籠屋の銀二:2006/12/06(水) 21:34:24.69 ID:1nxmeSx/O
乙GJ!
249VIP足軽neet:2006/12/06(水) 21:39:05.52 ID:pFSaec9h0
>>246
でじゃびゅーを感じた。おれのでじゃビューではこの後"ハルヒの評判悪くなる"てきたレスが











寝る
250壷ふりお京:2006/12/06(水) 21:42:06.98 ID:Dl+Nebj/0
乙!
251VIP将軍:2006/12/06(水) 21:43:46.19 ID:Y0qloU+8O
てっきりみくるよりになるのかと思った
252VIP魔王:2006/12/06(水) 21:51:39.17 ID:31NAdcZG0
俺も含めて

全  員  氏  ね  !!
253VIP魔王:2006/12/06(水) 21:53:30.33 ID:31NAdcZG0
また誤爆しちまったorz

氏んできますんで●で許してください…

つ●
254VIP足軽wwwww:2006/12/06(水) 21:57:26.30 ID:2EJezU8u0
これは酷い誤爆wwwwwww
255VIP村人m:2006/12/06(水) 22:15:24.35 ID:cFAlg1WY0
ほしゅ
前すれ920以降投下あった?
256内藤ホライゾン:2006/12/06(水) 22:25:37.79 ID:IACd8rhpO
>>225
あったかと。
何かまでは覚えてない…
スマン。
257内藤ホライゾン:2006/12/06(水) 22:27:04.85 ID:IACd8rhpO
安価ミスorz

>>255
× >>225
258VIP村人e:2006/12/06(水) 22:27:59.53 ID:XkWNkwfh0
戦争だった気がする
259:2006/12/06(水) 22:38:46.22 ID:MiIddCmK0
保守
260宿屋の女中:2006/12/06(水) 22:40:34.49 ID:Y0qloU+8O
どう考えても死亡フラグだろwwwwwwwww
261宿屋の女中:2006/12/06(水) 22:43:03.94 ID:Y0qloU+8O
ハルヒ「ねぇキョン」
キョン「どう考えても死亡フラグだろwwwwwwwww」
ハルヒ「えっ?」
キョン「あーすまん、誤爆だ」
ハルヒ「そう…」
262武器屋のじじぃ:2006/12/06(水) 22:43:05.53 ID:iFS0Y9xgO
何がだよwwwwwwwwww
263高校の女教師:2006/12/06(水) 22:43:28.05 ID:5ynecqb80
558 :2006/12/06(水) 13:11:48 ID:hkXJNBUp
死ねVIP
569 :2006/12/06(水) 17:19:45 ID:xGWoDw2f
まあVIP狩りしたのも事実だけどw。

(#^ω^)こいつらVIPの怖さを知らないお
      VIPERの力を見せつけてやるお
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/netgame/1161428842/
264武器屋のじじぃ:2006/12/06(水) 22:47:02.83 ID:iFS0Y9xgO
ハルヒ「ねぇキョン」
キョン「どう考えても死亡フラグだろwwwwwwwww」
ハルヒ「えっ?」
キョン「あーすまん、誤爆だ」
ハルヒ「そう…」
265武器屋のじじぃ:2006/12/06(水) 22:48:08.71 ID:iFS0Y9xgO
あれ?何やってんだ俺?酔っ払ってるみたいwww…寝ます。熨斗
266VIP足軽zip:2006/12/06(水) 23:05:33.98 ID:4EcEYOJj0
WMPシャッフルしてたら、いつでも誰かが流れ出した。
空気読みすぎだろゲイツ
267VIP足軽zip:2006/12/06(水) 23:05:57.14 ID:4EcEYOJj0
誤爆
268内藤ホライゾン:2006/12/06(水) 23:10:16.67 ID:MALtO3fGO
なんか書くか……
269壷ふりお京:2006/12/06(水) 23:19:00.45 ID:1nxmeSx/O
あげ
270VIP足軽wwwww:2006/12/06(水) 23:19:23.07 ID:cM43DkLC0
wwwwwww
271荒巻スカルチノフ:2006/12/06(水) 23:34:58.92 ID:IACd8rhpO
保守
272VIP皇帝:2006/12/06(水) 23:36:08.23 ID:31NAdcZG0
age
273壷ふりお京:2006/12/06(水) 23:46:38.50 ID:TSttHCHiO
>>268
甘いの希望
274内藤ホライゾン:2006/12/06(水) 23:51:57.99 ID:MALtO3fGO
>>273
甘いの苦手なんだよな。
基本は狂ったSSだし。
275壷ふりお京:2006/12/06(水) 23:53:06.99 ID:9AWxzD+F0
じゃあそれで
276壷ふりお京:2006/12/06(水) 23:59:30.90 ID:TSttHCHiO
>>274
wktkして待ってる
277はぐれVIPPER:2006/12/07(木) 00:03:26.28 ID:oqDAIYniO
>682
アナルに近いプリンでお願いします
278愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 00:06:36.19 ID:Ncw7enpoO
みくる×キョン希望
279VIP村人v:2006/12/07(木) 00:07:32.37 ID:9iUBdjLpO
寝取られ希望
280愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 00:11:17.96 ID:nSdqVKldO
>>274
そのIDは財布の人じゃんwwww
281愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 00:15:59.54 ID:lmU8ROQz0
>>280
ちょwwwwwwwwwwwマジだwwwwwwwwwww
282VIP村人w:2006/12/07(木) 00:16:12.02 ID:0bBAzy+UO
チェキ
283ただの戦士:2006/12/07(木) 00:27:25.18 ID:pTpFCObPO
ギャグ物期待。
284VIP村人Ecup:2006/12/07(木) 00:31:26.80 ID:PdCiWb3lO
ギャグ物と言えば覚醒の人は来ないのかな
最近見てない気がする
285財布の人とは違う人:2006/12/07(木) 00:35:04.19 ID:bQW3G9x20
流れをよまんで投下しちゃうが
新機軸ってことで時代劇で冒頭だけ描いてみたんだがこんな感じでどうかねぇ

時代は江戸時代、舞台は涼宮藩五万石の江戸屋敷
そこにはハルヒ姫という絶世の美少女が暮らしておいででした。
お殿様は一粒種の姫をとても可愛がりすぎたので
ハルヒ姫は性格がかなりアレな暴君にとご成長遊ばされてしまいました。
今日も用人の古泉以下家臣一同は姫のわがままに振り回されています。
そんな一日をちょっとみてみましょう。

古「姫様には本日もご機嫌麗しく恐悦至極に存じあげ奉ります」
姫「うむ苦しゅうない面をあげよ、して用向きはなんじゃ」
古「只今台所方より知らせがあり大きな唐茄子(かぼちゃ)が届いたのとことでございますが
  姫様がご注文あそばされたのでございしょうや」」
姫「おぉ唐茄子が届いたか、早速これへ持て、わらわが取り寄せたのじゃ」
古「唐茄子をいかがなされるおつもりで」
姫「ゆきが読んでおる蘭書に書いてあるそうなのじゃが
  南蛮には波呂維納とかいう子供の祭りがあり唐茄子を飾るそうなのじゃ
  大きいものがよいというので図抜け大一番小判型というものを特別に取り寄せたのじゃ」
古「南蛮の祭りでございますかこれは又…・・・
  その波呂維納とやらでは唐茄子を飾るだけなのでございますか」
姫「いやまだあるぞ、近所の屋敷を連れ立って訪れて
  菓子を振舞ってもらうのじゃ、これもゆきが教えてくれた」
古「こりゃおゆき、その方詰まらぬことを姫様に申し上げるでないとあれほどいったではないか」
ゆ「姫様の命令……」
姫「古泉、ゆきを責めるでない、わらわがゆきに頼んだのじゃ」
古「姫様、南蛮の祭りはお屋敷の中だけでお願いいたします
  近所を練り歩くなどは何卒おやめくださいませ」
姫「つまらんのう、まぁよい唐茄子を早くかざるのじゃ」
286財布の人とは違う人:2006/12/07(木) 00:36:40.35 ID:bQW3G9x20
古「ところで姫様、本日の朝比奈殿の御召し物はその……」
朝「こっこれは姫様が無理矢理……」
姫「これ朝比奈、人聞きの悪いことを申すでない
  これは冥途服と申して南蛮の腰元が着用する装束じゃそうな
  これもゆきが訳してくれた蘭書に載っていたのじゃ」
古「先日長崎よりおもとめ遊ばされたのはこれでございましたか
  しかし南蛮人の装束は正に奇天烈でございますな」
姫「うむ奇天烈であろう、南蛮にはかような不思議が沢山あると申す
  わらわも南蛮国に赴き、かような不思議を探索したいものじゃ」
古「姫様その儀は何卒おとどまりを」

姫「またかつまらんのう、それよりキョン乃進の姿が見えぬが今日は非番か?」
古「キョン乃進めは風邪をひいたとのことで只今は御長屋にて伏せっております」
姫「それはいかんのう、武士たるものが風邪なぞひくようではいざというときに役にたたんではないか」
古「昨日姫様が寒中水泳としてキョン乃進に池に飛び込ませたのが原因と推察いたしますれば
  姫様におかれましては格別の御仁慈をもってキョン乃進めをお許し遊ばしますようお願い申し上げます
姫「うむあいわかった、それでキョン乃進の長屋はどこじゃ」
古「東十五番でございますがいかがなされるおつもりで」
姫「家臣を労わるのも主の務めじゃ見舞って遣わそうかと思う」
古「それはなりませんぞ姫様、思し召しは誠にありがたくはございますが
  キョン乃進のごとき下々の御長屋へお出ましになられるなどかつてないことでございます」
姫「前例が無ければこれから作ればよいではないか、わらわはキョン乃進を見舞うぞ」
古「もしお見舞い遊ばされてあやつの風邪がうつり姫様がお風邪などを召されたならば
  キョン乃進めは只では済みますまい軽くてお役御免、悪くすれば切腹ということも」
姫「そっそれは拙いのう、しかし何もしないというのも……」
古「御見舞いの儀は朝比奈殿がご名代ということでいかがでございましょうや」
姫「むぅ仕方がない朝比奈、キョン乃進を見舞ってくるのじゃ、朝比奈すぐにもどってくるのじゃぞ」
287285:2006/12/07(木) 00:37:36.18 ID:bQW3G9x20
って感じなんすけどイマイチっすかねぇ?
ご意見あればお願いします。
288はぐれVIPPER:2006/12/07(木) 00:38:32.30 ID:D3Yfo3tsO
支援
289棒またぎ姫:2006/12/07(木) 00:39:58.81 ID:Gg3hxCF50
続きWKTK
290VIP番長:2006/12/07(木) 00:40:53.21 ID:simdHn6g0
wktk
291VIP村人v:2006/12/07(木) 00:43:33.66 ID:9iUBdjLpO
これは面白いな
292VIP足軽MS:2006/12/07(木) 00:46:13.47 ID:Ncw7enpoO
支援
293ただの戦士:2006/12/07(木) 00:47:07.40 ID:pTpFCObPO
良いね。
所々漢字読めないがw
294武器屋のじじぃ:2006/12/07(木) 00:47:40.01 ID:qQQaU6bO0
ハルヒ抜きにして普通に読みたい
295285:2006/12/07(木) 00:50:41.69 ID:bQW3G9x20
すいません、書いたのは286までです。
ちなみに波呂維納=ハロウィーンです。
みなさんご意見ありがとうございますです。
296VIP足軽a:2006/12/07(木) 00:51:23.57 ID:i87zV7Nx0
ガール・ミーツ・ガールの未完になっている奴の続きが書けたんだけど
投下OK?
297ただの戦士:2006/12/07(木) 00:53:46.13 ID:pTpFCObPO
カモン
298VIP無職:2006/12/07(木) 00:56:18.38 ID:o8rOuS4v0
>>296
wktk
299 ◆Gzo5DAjIoE :2006/12/07(木) 00:56:52.58 ID:i87zV7Nx0
『ガール・ミーツ・ガール 始まりの無い物語の始まり』
前回分まではここに http://www11.atwiki.jp/xgvuw6/pages/1392.html
今回は13から24まで。この話は24で終わりです。

キョン女の子設定です。
キャラの性格はそれほど壊れてないと思いますが
人間関係は結構違っているのでご注意ください。
 七夕の日、私は朝比奈さんに「一緒に行きたい所があるの」なんて言われて、三年前にタ
イムトラベルすることになった。
 ……冗談みたいだが、本当の話である。

 タイムトラベル、なあ。

 そんな怪しげなものにうかうか着いて来る自分もどうかと思うが、可愛い上級生さんに涙
目で言われたら着いていかないわけに行かないじゃないか。……と思うくらいには、自分は
お人よしだった。
 それに、相手は未来人。
 逆らったら何が起こるか……、まあ、この朝比奈さんは放っておいても無害だと思うんだ
が、その朝比奈さんよりもっと未来の朝比奈さん。朝比奈さん(大)はちょっとだけ怖い。
 別に危害を加えてくる事は無いと思うんだが、それでも、何となく、従っておいた方が良
いかもなあ、くらいに思わせるだけのものが彼女には有るってことだ。

 さてさて、そして私は言われた通りタイムトラベルをしたわけだが、行った先で眠ってし
まったらしい私が起きたとほぼ同時に朝比奈さんが眠ってしまうというアクシデントがあり、
どこからか現れた朝比奈さん(大)に説明をしてもらい、頼まれていることをやり終え、帰
路に着こうかという状況にある。
 ちなみに頼まれたことと言うのが三年前のハルヒの地上絵モドキ作成のお手伝いだったわ
けだが……、何で私がそんなことをしなきゃならないんだろうね?
 ハルヒ一人じゃ無理なことだからか?
 朝比奈さん(大)は「来てくれるはずの人が来なくて、不機嫌なはずですから」なんて言
っていたけどさ。
301ただの戦士:2006/12/07(木) 00:58:04.16 ID:pTpFCObPO
支援
 TPDDが無いから帰れないとか言い出した朝比奈さんを宥めつつ何とかしてくれそうな人物
の家に向って歩いていた途中、私達は道端に蹲っている人影を見つけた。
 ……子供、だよな?
 さっきのハルヒと同じくらいか? 何でこんな夜中に子供が居るんだ?
 私と朝比奈さんはちょっと顔を見合わせた。こんな夜中に子供を放っておくわけには行か
ないと思うんだが、今の私達は未来人だからな……、いや、朝比奈さんは元から未来人だが、
それはそれこれはこれだ。場所柄や年齢的なことから考えて、三年後の知り合いという可能
性も無くは無いし……。ああ、まどろっこしいな。
「おい、大丈夫か」
 知り合いだったとしても暗がりだから大丈夫だろうと勝手に結論付け、私はその子供に話
し掛けた。まあ、本当に駄目なことならきっとどこかでセーブがかかるんだろう、朝比奈さ
んの言う禁則事項みたいに。だからそういうのが無いってことは、ここで私がこの子供の話
し掛けたことは間違ってないってことになる。
「……え?」
 話し掛けられた子供が振り返って私達の方を見た。

 ……なあ、これは偶然か? 必然か? 私にはまだすることがあるのか?

「怪我でもしたのか?」
 隣で思いっきり動揺しかけている朝比奈さんを隠すようにその前に割り込んで、私はその
子供に向って訊いてみた。思ったより平静な声が出るのは、きっと、さっきハルヒに会った
せいだな。
 こんなわけの分からない邂逅も、二度目なら……、まあ、あんまり何度も有って欲しくな
いんだが、驚愕の量は二割減くらいだろう。
 要するに、その目の前の人物は私の知っている人物だったわけである。
 でもってそいつは、何でここでこいつに会うんだよ! という疑問を増大させてくれるよ
うな軽減させてくれるような、極めて微妙な人物であり、かつ、下手すりゃ私達が時間移動
してきたことがバレても何とかなるんじゃないだろうか、いや、寧ろバレたらヤバイんじゃ
ないかとか……、そんな風に色々考えさせてくれるような人物だった。
「……放っておいてよ」
 そいつは現在の表情や口調からは絶対想像できそうに無い子供っぽい表情で、私から視線
を逸らした。
 お前誰だよ。っていうか変わりすぎだろ。
「馬鹿、怪我人を放っておけるか」
「うるさいな、初対面の人に馬鹿なんて言われる筋合いは無いよ」
 悪いが私は初対面じゃないんだよ。
 その子供、いや、少年は、不機嫌そうな表情のまま立ち上がろうとし、途中で体勢を崩し
てもう一度倒れこみそうになった。私は反射的に手を伸ばして少年を支えてやった。朝比奈
さんと同じくらいの身長しかない小柄な少年を支えるくらい、何てこともない。
 馬鹿だろ、お前。
 いや、馬鹿じゃなくて単なる意地っ張りか?
「怪我人の癖に無茶すんな」
「……」
「足でも挫いたのか?」
「……」
「答えたく無いなら答えなくても良いが、それじゃ歩けないだろ」
「……迎え、呼んであるから」
「この辺りは階段と細い道が多いから、ここまでは車じゃ来れないぞ」
「……」
「……つまんない意地張るなよな」
 会話をしても埒があかない。
 私は説得を諦め、その少年を持ち上げた。 
 体力には大して自信は無いが、まあ、持ち上げられないことはない。
「うわあっ、な、何するんだよ」
 あっさりと持ち上げられた少年が、腕の中で抗議をしているが無視することにする。
 まあ、男の子がお姫様抱っこなんてされたくないよなあ。……中学一年じゃ、そういうの
を一番気にする頃だろうしな。
「車が来れそうなところまで連れて行く」
 病院までと言いたいところだが多分そこまでする必要は無いだろうし、これ以上人に会い
たく無いっていうのもある。
「な、そ、そんなことしなくて良いよ。自分で、」
「歩くことも出来ない奴がそんなこと言うな」
「……」
「良いから親切にされておけ」
 私は、三年後のお前には結構世話になっているんだからさ。
 このぐらいの恩返しをしたってかまわないじゃないか。
 しかし、この距離だと……、顔、絶対バレているよなあ。
 良いのかこれで? まあ、出会ったときからこっちのことは多少なりとも知っていそうな
相手だったから、これで良いのかも知れないけどさ。
 何だか変な感じだよな……。

 少年を抱えたまま纏まらない思考を引きずっている私の横を、朝比奈さんが無言で着いて
来る。楽しくおしゃべりなんて状況ではないことは分かっているんだが、完全な沈黙はちょ
っと辛いな。
「なあ」
「何?」
「お前さ」
「お前って言うな。っていうか何でお姉さんはそんな男みたいな喋り方なのさ?」
 お姉さんと来たか。妹にお姉ちゃんと呼ばれなくなって久しいから、そういう呼ばれ方は
久しぶりな気がするな。いや、お前にお姉さんって言われたいわけじゃないけどさ。
「すまん、癖だ。あんまり気にするな」
「何だよ癖って……」
「で、君は何でここに居るんだ?」
「……答える義務は無いと思うけど」
 生意気だな、こいつ。
 本当に三年後と同一人物かよ。
「親切にしてやっているんだ。ちょっとくらい教えてくれたって良いじゃないか」
「こっちから親切にして欲しいって頼んだ覚えは無いよ」
「そりゃそうだけどさ。……言えない事情でも有るのか?」
「……」
 何となく、予想は着いている。
 三年前、七月七日。
 あの場所にハルヒが居たように、この場所にこいつが居たことには、きっと何かの意味が
有る。……というか、その理由なんて一つしか思いつかないんだが。
「言えよ。言える範囲で良いからさ」
「……行かなきゃいけない場所が有ったんだよ。でも、転んだせいで行けなくなった」
「そっか」
「それだけ」
 少年は、そう言って黙ってしまった。
 転んだってのが嘘か本当かは分からないが、こいつが行かなきゃいけない場所がどこだっ
たかっていうのは、言われなくても分かった。
 多分、私と朝比奈さんがさっきまで居た場所は、本来ならこいつが向っていた場所だった
んだろう。
 こいつがそのまま向っていたはずの歴史が正しいのか、それとも私達が向ったという歴史
が正しいのかは、私の知るところじゃない。
 ……私はその答えに繋がるような知識を持っていないし、多分、朝比奈さんもその答えを
知らないし、ここにいるこいつも知らないんだ。
「あ、気をつけてください」
 細い階段に差し掛かったところで、朝比奈さんがさっと前に進み出た。
 人を抱えたまま階段を降りるってのは流石に危ないからな。
「ああ、……お前もしっかり掴まって居ろよ」
 体勢をちょっと直しつつ、これってもしかしなくても私の胸が少年に当たっているんじゃ
ないかなんてことに今更ながらに気付いたわけだが……、気にしてもどうしようもないこと
だよなあ、何せ回避手段は無いんだしさ。
「またお前って言った」
 けど、顔が心なしか赤く見えるのはそのせいか?
 そう考えるとこの生意気さも結構可愛く見えてきそうな気がしたりするから不思議だな。
「一々気にするな」
「気にするよ」
「細かいことを気にする男はもてないぞ」
「大雑把過ぎる女の人ももてないと思うけど」
「悪いが私は別に男にもてたいとは思わない」
「……お姉さん、レズなの?」
 どういう発想だそれは。
「違う」
「じゃあ何でさ」
「好きな奴が居るんだよ」
 何故か、あっさりと答えることが出来た。
「…………矛盾してない?」
「してない。……そいつ意外の男にもてたいって思わないだけだよ」
「ふうん……」
 それっきり、少年は黙ってしまった。
 唐突なやり取りをどう思ったのか知らないが、これ以上追求する所じゃないって分別くら
いは有ったんだろう。
 まあ、追求されても答えようが無いんだけどさ。
307VIP皇帝:2006/12/07(木) 00:59:42.45 ID:pTpFCObPO
支援
 階段を下り終え細い漸く車が入って来れる通りの所まで辿り着いたら、見覚えのある黒い
高級車が止まっていた。
 私達の姿を見つたからか、車の扉が自動で開く。
 私は車まで近づき、少年を乗せてやった。
 ここまでする必要あるのか? とも思ったが、歩けないみたいだから仕方ないか。
「……ありがとう」
「別に、たいしたことじゃないさ」
 短い言葉を交わし、タクシーが去っていく。
 去り際に何か言おうかと思ったが、辞めておいた。
 今は三年前。
 元の時間と同じ感覚で何かを言うのは混乱の元だろう。

「あの、キョンさん、今の子……」
「分かってますよ。……けど、これでよかったんですかね?」
 悪いことをしたとは思っていないけれど、過去に来て命じられてない、教えられてないよ
うなことまでやるというのは、正直如何なものなんだろうか。
「……私には、分からないです。でも……、多分、これがこの時間平面上の必然なんだと思
います」
 朝比奈さんは、厳かな口調でそう言った。
 私はちょっと考えてから、
「朝比奈さん、朝比奈さんはもしかして……、普段は結構『自分で考えて決めること』とか
『自由にしていい』とか言われてたりもするんですか?」
 彼女に向って疑問をぶつけてみた。
「え、あ……。それは、禁則事項です」
 単純な質問のつもりだったんだが、どうやら答えられないことらしい。
 でも……、多分、私の予想は当たっているんだろう。
 未来から過去にやって来て、その行動全てを予定通り寸分の狂いも無く実行するなんてこ
とを普段の朝比奈さんがしているとは到底思えない。まあ、朝比奈さん(大)とか、私の知
らない誰かが介入している可能性も有るかも知れないが、それはそれだ。
 だから、まあ、私が私の意思で選択した行動も、間違っちゃ居ないんだろう。
 今ここで、過去の誰かさんと出会ったことは、正しいことなんだ。
 ……そういうことにしておいてくれ。

 それから私と朝比奈さんは、三年前の長門に頼み込んで元の時間に復帰することが出来た。
 時間移動も無茶苦茶だが、部屋ごと時間を止めるってのも無茶があるよなあ。

 七月八日。放課後。
 ハルヒは居ない、朝比奈さんも居ないという部室で、私は古泉とチェスをしていた。
 ……が、古泉が弱すぎるので、勝負はあっという間に終わった。
 お前なあ、何でこんなに弱いんだよ。
「なあ」
「なんですか?」
「朝比奈さんは未来人だよな」
「そうですね」
「でもって彼女は、未来からの観測を元にこの時間に来ているんだよな」
「ええ、そうなりますね」
「けどさ、未来からだったら、別に特定の時間に人を置かなくたって、そこから先の時間の
流れとかも分かるんじゃないのか?」
「……さあ、その辺りのことは僕には分かりかねます。僕はあくまで限定的な超能力者であ
って、未来人では有りませんからね」
 そりゃそうだけどさ。
「じゃあさ、例えば……、そう、例えば朝比奈さんが過去に時間移動をして、誰かと会った
とするだろ。でもってその誰かが成長してもう一度朝比奈さんに、そう、過去に戻る前の朝
比奈さんに会ったとする……。当然その人は朝比奈さんのことを知っているわけだが、朝比
奈さんはその人の事を知らない。……そうなるよな?」
「ええ、理屈の上では正しいですね」
 理屈も何も他の答えが有るのかよ。
「でもって、その、そうだな、その出会った事が理由で朝比奈さんが過去に行くことになっ
て過去のその人に会う……、っていう可能性も有るよな。まあ、仮定の話なんだけどさ」
「言いたいことは大体分かりますよ。……あなたが言いたいのは、その場合ことの始まりは
どこにあるか、ということなのでしょう?」
「まあ、そんなところだ」
 正直な所、その辺りの理屈は私にはさっぱり分からない。
 宇宙人も超能力者も謎めいているが、未来人、というか時間移動についてはそれ以上だ。
「タイムパラドックスの話ですね。……まあ、可能性は色々有りますが、大雑把に二つに分
別できると思います」
「二つ? どんなだ?」
「先ず一つ、どこかにスタート地点があり、例え時間移動をしてもその大筋は書き換えられ
ないとするもの。あなたの例えで言えば、朝比奈さんの感覚では一度目である、時間軸的に
は未来に位置する出会いが無くても予め朝比奈さんは過去に戻って件の人物と出会うことに
なっていたか、あるいはその逆に、過去の出会いが有ると決まっているため、朝比奈さんは
過去に戻ることになってしまったか。ということろですね」
「……前者はともかく後者がさっぱりだな」
「言っている僕もよく分かっていませんが」
「おい」
「仕方ないでしょう、僕は未来人ではないのですから」
「……じゃあ、もう一つの可能性は何だ?」
「二度の出会いの矛盾とも呼べる齟齬、いえ、繋がりと言った方が良いのかもしれませんが
……、ループする全てが正しいという可能性です」
「……」
「簡潔に言えば、二度の出会いは両方とも正しく、両方が存在することが必然、とする説で
す」
「……すまん、意味がさっぱり分からん。大体それじゃ矛盾するだろ? 朝比奈さんともう
一人の間の認識がずれているんだからさ」
「つまり、そのずれが発生することこそが正しい、とする説なんですよ」
「……」
「言っている意味が分かりませんか?」
「ああ、さっぱりだ」
 何とか脳味噌を総動員して答えを導き出そうと思うんだが、完全にお手上げだな。
 矛盾が発生することが正しい? そんな理屈が有るか。
「今の貴方になら理解していただけると思ったのですが」
「……なあ、古泉」
「まだ何か有りますか?」
「今の、ループする全てが正しいってのは、仮説は『機関』の連中の考え方の一つか? そ
れともお前個人のものか?」
「僕個人の物ですよ。『機関』は時間の概念について考える組織では有りませんからね」
「……そうか」
 チェスを片付ける古泉の姿を見ながら、私は昨日のことを思い出す。
 現実の時間軸はともかく、私の体感では昨日で間違いが無いので、昨日と呼ばせてもらう。
 昨日私は朝比奈さんと共に過去に飛び、朝比奈さん以外の三年前のSOS団団員に会ってき
た。
 出会ったことがそいつ等のその後の人生にどう影響したかは分からないが、何らかの影響
を与えた可能性はゼロじゃない。
 そしてその可能性とやらが、現在に作用している事だって……、有りえるだろう?
 ハルヒは私の顔を忘れていた可能性が高いが、長門や古泉にとっての私との初対面は私が
感じている五月のそれとは違う三年前の事象の方のはずだから、その出会いが三年後の私と
の出会いや関係に影響を与えて無いなんてことは、無いと思う。
 何だかややこしいな。
 古泉は、このループそのものが正しい可能性があると言ったが……、そんなことがありえ
るんだろうか?
 どこが始まりか分からない、そんな出会い方が有るんだろうか。

「……」
 古泉がチェスを片付け終わるのと同時に、長門が本を閉じる。
 今日の活動時間終了の合図だ。
「そろそろ帰りましょうか」
「ああ」
 それから私達は、三人で坂を下って帰宅した。
 私と古泉が結構くだらない話をする傍で長門が黙って歩いているという感じだ。
 古泉と話をしながら、私は昨日会った少年のことを思い出す。
 三年前か……。
 私は、こいつがこの三年間の間に経験してきたことも、積み上げてきた物も知らない。
 けれど、三年前という点を知ってしまった。もしかしたら、という可能性も知ってしまっ
た。
 ……私が行かない、古泉が怪我をしない、そういう『三年前』も、有り得たのかもしれな
い。そして多分、古泉はその可能性を知っているんだ。

 ……『三年前』
 ハルヒが妙な力を持った頃であり、長門が待機モードだった頃であり、古泉にとって憂鬱
な日々の始まりだったその頃。
 その頃の私は、ただの何も知らない子供だったはずだ。
 そんな私に、どうして過去に干渉する権利があるんだろうね?

 答えは無い、権利がどうのとかいう以前に時間に関する問題はお手上げだ。
 朝比奈さんに訊いたとしてもきっと禁則だらけで答えを教えてくれないだろうし、どうも
古泉は専門外みたいだし、長門が私に分かるように教えてくれるとも思えない。
 だから今は、この疑問は胸に仕舞っておこう。
 もう一度何か有って、もしもそのときに何か問題が発生でもしたら、また改めて考えれば
いいさ。


 終わり
314VIP勇者:2006/12/07(木) 01:04:29.40 ID:pTpFCObPO
GJ!
315門番の娘:2006/12/07(木) 01:10:05.39 ID:xejwjGgW0
乙。

このシリーズ好きだわ。
女キョン萌える。
316VIP足軽MS:2006/12/07(木) 01:30:49.49 ID:NKB+jJQf0
乙です。

シリーズ開始当初はそれほどでもなかったのですが、
回が進むにつれ、だんだんと女キョンの語りにはまっていく……
深いなぁ。
317愛のセーラー戦士:2006/12/07(木) 01:32:29.49 ID:zlz7JOq0O
乙!
318VIP足軽MS:2006/12/07(木) 01:42:00.53 ID:NKB+jJQf0
保守雑談。

話に朝倉を出したは良いけど、活躍のさせ方に詰まってます。
ちょんまげに近いポニテに袴姿で薙刀を振るわせたかったけど、
薙刀を使ったことがないのでさっぱり分からんです、はい。

他に、弓道や剣道、合気道もあるし、誰か朝倉(袴)が活躍する話書いてくれないかな?
319愛のセーラー戦士:2006/12/07(木) 01:47:05.81 ID:zlz7JOq0O
最近どうにかして朝倉使うって奴増えたなww
悪くはないが無理矢理ってのも考えもんだよな。

>>318
やっぱり朝倉ならナイフのイメージしか……ww
320VIP足軽MS:2006/12/07(木) 01:47:53.62 ID:2kHez2IH0
SOS団メールマガジンがとどいたけど、年末になにが起こるんだろう?
321VIP足軽q:2006/12/07(木) 01:52:49.25 ID:EykqtOBs0
朝倉の可愛さはガチ保守
322VIP足軽b:2006/12/07(木) 01:53:40.14 ID:VJrDPAJZ0
薙刀は振り回す武器。
振り回した遠心力で叩き切る
刃には巴形と静形の二種類あるが、一方は女性でも扱えるように反りを大きくしている
重量自体は意外なほど軽く、またリーチを生かした攻撃は容易に人を近づけないため戦国時代のメインウェポンでもあった
むしろ刀はサイドアーム。
剣道と薙刀が試合したことがあるが剣道の段持ちが習い始めの女学生にボコされたのは有名な話
それ位強力な武器である。
323VIP村人xxx:2006/12/07(木) 02:00:50.17 ID:C8EDnzdzO
>>322
足軽のくせに物知りだなwwwww
いや、冗談抜きで勉強になったよ
324VIP足軽wktk:2006/12/07(木) 02:12:23.72 ID:NKB+jJQf0
>319
どうにかして、じゃなくて、自然に朝倉が「出たい」って言ってきて……
それなら、自分の演出方法も一緒に提案してくれればいいのに。
ナイフから小刀→小太刀(=脇差)を連想してたけど、
わたしは剣道も経験がないのだ……
「腰にくっつけて構え、そのまま身体ごとぶつかる」ってのが、
初心者にもおすすめの、ドスの使い方だってことくらいしか知らないです。

>322
あ、その話聞いたことあるかも。薙刀の「下段払い」がもすぬごく強力だとか。

Extra.4のように、肉弾戦だと、わりとイメージしやすかった。
325VIP足軽c:2006/12/07(木) 02:22:46.58 ID:VJrDPAJZ0
>323
足軽のメインウェポンだからな!

>324
えーと。まぁ動きとしては……
コマンド技のキテレツさはともかく侍スピリッツ(斬紅朗無双剣)のカブキ野郎がイメージしやすいかも
なんちゃって薙刀だけどな
326VIP足軽c:2006/12/07(木) 02:43:47.15 ID:VJrDPAJZ0
一応保守
327駅前食堂のメグ:2006/12/07(木) 03:02:16.64 ID:xejwjGgW0
古泉が活躍するの最近多いなー保守
328宿屋の女中:2006/12/07(木) 03:17:49.18 ID:UnrEuGuf0
朝倉物のSS書いてみたけど…ここ最近名作並びで色あせて見えるorz
人がいるなら投下しようと思うけどどうだろう
329VIP村人q:2006/12/07(木) 03:26:48.88 ID:XgW4qnId0
カモン
330宿屋の女中:2006/12/07(木) 03:27:29.71 ID:UnrEuGuf0
さすがに人居ないか…明日以降適当に時間見つけて投下する事にするノシ
331駅前食堂のメグ:2006/12/07(木) 03:32:37.56 ID:xejwjGgW0
残念。
332VIP村人q:2006/12/07(木) 03:35:59.22 ID:XgW4qnId0
まあ夜も遅いしね、好きな時間にどうぞ
333ただの戦士:2006/12/07(木) 04:01:12.05 ID:zlz7JOq0O
保守
334VIP村人xxx:2006/12/07(木) 04:07:51.10 ID:X17Chhp+O
ENOZverのハレ晴れ歌詞予想

ナゾナゾみたいに地球儀を解き明かしたら
皆でどこまでもFever
ワクワクしたいと願いながら過ごしてたよ
叶えてくれるのは誰なの
時間の果てまでBoooon!
ワープでループなこの想いは
何もかもを巻き込んだライブで弾ける

アル晴レタ日ノ事
魔法以上のユカイが
限りなく降りそそぐ 不可能じゃないわ
明日また会うとき 笑いながら
ハミング
カンタンなんだよ こ・ん・な・の
追いかけてね 捕まえてみて
大きな夢&夢 好きだよ
335高校の女教師:2006/12/07(木) 04:17:32.54 ID:qQQaU6bO0
すまん、ちょっと長くなりそうなんだけど、作品投下するわ
336VIP村人XL:2006/12/07(木) 04:19:52.19 ID:0Qf/5Rm70
wktk
337Lost my …?:2006/12/07(木) 04:20:03.28 ID:qQQaU6bO0
 「そんな服いやですぅ」
 「何を言ってるのみくるちゃん! あなたはあたしのオモチャなのよ。だからこれを着なさい!」
 何を言ってるんだこのバカは。商店街のど真ん中で、ハルヒは朝比奈さんに女王様の格好を強制させていた。
 「そんなぁ」
 狼に狙われた兎のような目で困惑している朝比奈さんを横目に、古泉は苦笑して長門は無表情だ。いい加減怒らないとまずいな。
 「おい、やめろ。お前のやってることは度が過ぎている。普通の女子高生が黒いボンテージなんか着るわけないだろ」
 「あんたは黙ってて!」
 ハルヒは睨み一閃、俺につばを飛ばしながら叫んだ。
 ハルヒのこの言葉に、俺の脳内はカチーンときて久々にファイティングポーズを取ってしまった。
 即座に俺はハルヒに右手でビンタを一発かまして怒鳴る。
 「手前いい加減にしろ!! 自分がされて嫌なことは他人にするなって親から教わんなかったのか! 
 お前のその性格のゆがみはどこから来てるんだ。つけあがるのも大概にしとけ!!」
 「っるさいわね……」
 ハルヒがうつむきながら肩を震わせる。
 「あ!? 何だよ」
 「うるさいって言ってんのよ!! いっつもあたしの行動に口出しして、あんたは団員なんだから団長の指示に従ってればいいの!」
 そう叫びながら負けじとハルヒは俺に一発ビンタをかました。かなり痛ぇ。
 「もう帰る!!」
338VIP足軽orz:2006/12/07(木) 04:20:28.12 ID:CSfdvPDC0
支援かな〜?
339Lost my …?:2006/12/07(木) 04:20:50.75 ID:qQQaU6bO0
 ハルヒは朝比奈さんに衣装を押し付けて、駅へと歩いていってしまった。
 朝比奈さんは泣いているし、古泉はあーあやっちゃったと言わんばかりの顔をして、長門は相変わらずの無表情。さーて、どうしたものかねぇ。
 「困りますよ。あなたらしくもない。あまり涼宮さんを不機嫌にしないでもらいたいですね」
 古泉が苦笑しながら愚痴を漏らす。
 「お前はどこまでハルヒに従順なんだ。あの状況下で怒る以外の選択肢は普通の人の頭には存在しない」
 「だからです。彼女は普通の人間ではない。普通の人間の尺度で彼女のことを当てはめてはいけないのです」
 ったく、こいつら機関はハルヒのイエスマンか。俺の頭の中が少しおかしくなりはじめた。
 「あの……わたしなら大丈夫です。どんな目にあってもそうな」
 「あなたはもう少し自分というものを持ったほうがいい。アイデンティティを傷つけられてまで、ハルヒや上の人の命令を聞く必要なんて無いんです」
 涙目になった朝比奈さんが言うのを遮って、俺は普段思ってることをぶちまけた。ついでに古泉にも訊いてみる。
 「お前は、ハルヒが俺たちを殺してとお前に願えば、俺たちを殺すのか」
 「それは困る質問ですね。僕としてはあなた方との関係を維持したいと思っています。しかし、涼宮さんの命令に背くわけ」
 「馬鹿野郎!!」
 古泉の言うことも遮って、俺は駅へと歩を進めた。
340VIP村人xxx:2006/12/07(木) 04:22:16.81 ID:X17Chhp+O
こうしておじいさんは山に芝刈りに行きましたとさ。
めでたしめでたし(n‘∀‘)η
341Lost my …?:2006/12/07(木) 04:22:39.87 ID:qQQaU6bO0
 あの後俺は結局そのまま家に帰って、気分が収まらないまま床に就いた。

 「少年を発見しました!」
 うるさいな、何時だと思ってるんだ。今日は休日のはずだぞ。ゆっくり寝かせてくれ。
 どうせ今日はハルヒも怒り心頭で、ろくな探索になりそうもないから休むんだ。まぁ、いつもろくでもないけど。
 「おい!大丈夫か」
 妹よ、俺の安否を心配するならビンタするのはやめてくれ。それにしても随分声が野太くなったな。って……え?
 「……君を保護。繰り返す! ……君を保護! 目立った外傷は無し」
 何事かと思い目覚めた俺の目に飛び込んできたのは、紺色の男数名とゴミが散らばって汚らしい部屋だった。
 あれ、俺は自分の部屋で寝ていたはずなんだが。妹と勘違いしてしまった男が、無線らしきものに顔を近づけて喋っている。
 目が覚めて何が何だかわからないことになるのは、ハルヒと閉鎖空間に閉じ込められた時以来だな。
 しかし今回は既に見たこともない他人が俺の目の前にいる。どうやら閉鎖空間ではなさそうだ。
 「大丈夫、もう犯人は逮捕されたよ。君が無事でよかった」
 犯人? 逮捕? 
 最初は彼の発する言葉の意味がわからなかったが、どうやら俺は何らかの事件に巻き込まれていたらしい。
 そして、彼は警察官らしい。制服を着ていなかったので、恐らく刑事だろう。
 俺は至極まともな人なら必ず言うであろう言葉を発した。
 「ここは……どこだ」
342VIP足軽v:2006/12/07(木) 04:23:13.03 ID:NTUU3gRB0
私も及ばずながら支援しますよ
343Lost my …?:2006/12/07(木) 04:24:31.33 ID:qQQaU6bO0
 見ず知らずの刑事に叩き起こされてから数時間が経過して、俺は頭がこんがらがったまま、警察署の休憩室で呆けていた。
 場所がないからと、ちょっと太めの老けた婦警が詫びて俺をここに置き去りにした。
 まず何で俺は警察署にいるんだ? そしてここはどこなんだ? というか今は何時だ?
 俺は昨日の午後十一時に就寝をして、翌日の午前9時に起床をする予定だった。だが今は窓を覗けば真っ暗闇だ。
 しかも眼下には大量の報道陣がうごめいている。全員俺目当てなのだろうか。
 数分後、誰かわからないおっさんが俺に挨拶をしに来た。どうやら事情を知りたいらしい。もっとも、今一番事情を知りたいのはこの俺なんだが。
 中肉中背で白髪が少し多めのおっさんは、カシイ ミノルと名乗った。
やわらかい笑顔で接してくれたが、その裏には狡猾さがありありと滲み出ている。
 カシイの警察手帳を見ると、なんと長野県警と書かれていた。待て待て待て。俺は長野県とは一切の関係を持っていないぞ。頭は余計に混乱しそうだ。
 カシイは俺に非を詫びて、取調室に連れて行った。そこで俺はカシイから色々なことを訊かれた。
 本名、住所、生年月日、血液型と基本的な情報を確かめるように質問を受け、その後にどういう状況で拉致られたのか聞かせてくれないかと言った。
 もうこの時点で俺の頭はパンクしている。閉鎖空間に閉じ込められた時並にわからねえ。
 俺は無い知恵をなんとか絞って、記憶を失うふりをして今俺がいる状況を教えてもらった。
 それによると、俺はある日何者かに身代金目的で誘拐され、事件が大々的に報じられてから一週間後に犯人は逮捕。
 深夜になって、俺は長野県長野市のアパートで寝ているところを妹と勘違いした刑事に発見された。
 そして俺は今長野中央警察署というところにいる。ということは、俺は自分の部屋では寝ていなかった。
 それどころか、家から数百キロ離れた長野県で少なくとも一週間も監禁されていたのだ。
 ここまで聞いて一発で状況を飲み込める奴がいたら、ありえないぐらい勘が鋭い奴か、ただの妄想野郎としか言いようが無い。
344Lost my …?:2006/12/07(木) 04:25:39.35 ID:qQQaU6bO0
 「君は誘拐されたときの状況を覚えているかい?」
 カシイがにこやかな顔で俺に尋ねてくる。
 「いえ……全く」
 本当に何も覚えていないのだ。というか、経験もしてない。脳内に拉致に繋がりそうな案件が一切無い。
 「そうかい。突然のことで少し混乱しているかもしれないねぇ」
 カシイはふむと息をつくと、机においてあった番茶を一息で飲み干した。
 「とりあえず今日のところは休んでもらって、また明日にでも聞こうか」
 カシイは用意してあった調査書を整えて、取調室から出て行った。助かる。
 その夜、俺は警察署にあるこじんまりとした部屋で布団についた。時計はもう午前四時を回っていたけど。
345高校の女教師:2006/12/07(木) 04:26:44.39 ID:qQQaU6bO0
 「起きて」
 んー、またかよ。今度は誰だ。
 「……起きて」
 ん? この独特の間はまさか。
 俺は目覚めた。いや正確には、意識だけが復活してあとは真っ暗闇の世界だったと言う方が正しい。
 今度は真っ暗闇の中に北高の制服を着た女子が立っていた。人の意識の中にまで介入できそうな人間を、俺は一人しか知らない。長門有希だ。
 「緊急事態なのであなたの脳に直接コンタクトをとっている。これから私が言うことを信じてほしい」
 「……わかった。話を聞こう」
 表情を全く変えない長門を見て、俺は自分は宇宙人だとカミングアウトしたいつぞやの長門の告白を思い出した。
346VIP村人XL:2006/12/07(木) 04:26:48.47 ID:0Qf/5Rm70
支援
347Lost my …?:2006/12/07(木) 04:27:57.95 ID:qQQaU6bO0
 「あなたの意識上にある最近の土曜日、涼宮ハルヒはあなたの存在が消えるよう願った。
 その願いの原因は、土曜日にあなたと涼宮ハルヒが朝比奈みくるについて争ったことが最もふさわしい。
 涼宮ハルヒは帰宅してから、あなたの存在を鬱陶しく思った。そしてあなたは土曜日の二十三時五十九分五十九秒に存在の消滅が確認された」
 あんなしょうもないことで俺の存在を消すなんて、あいつはどこまで幼稚なんだ。
 「もしハルヒがそう願ったとして、そしたら俺は何でここにいるんだ」
 「涼宮ハルヒがあなたに無事に戻ってきてほしいと願ったから。それまでにかかった時間は約二週間。
 つまりあなたは約二週間この世界から存在が消えていた。このことについて、情報統合思念体は深い落胆と危惧を覚えた。
 涼宮ハルヒの唯一の不確定要素であるあなたの存在が消滅することによって、
 以降彼女の観測に主だった変動が見られなくなることを非常に危険な状態と判断した。
 そして私は朝比奈みくると古泉一樹で涼宮ハルヒにあなたが再び戻ってくるよう説得を試みた。同時に、あなたに関する情報を一部改ざんした。
 あなたは土曜日の市内探索が終わった後、何者かに誘拐されて今日まで行方不明だったことになっている」
 ここは長門に感謝すべきだろう。突然神隠しにあったら、俺の周囲の人間は慌てふためくに違いない。そこを長門が強引にしろ失踪した理由を付けてくれたのだ。
 でも、せめて家出程度にしてくれたらもっとよかったのだが。
 「これよりあなたの脳内に私が改変したデータを記憶させる。これにより、全てのつじつまが合って警察の捜査にも支障が出ない。
 あなたは穏便かつ早急にこの状況から脱出できる」
 そう言って、長門は俺に手のひらを向けた。ここで待てと言うべきだった。
 一瞬、俺の意識はぐちゃぐちゃになった。映像をありえないような早回しで見せられた感じになり、急速に吐き気が催してくる。
 しかし確実に俺の記憶が変更されいくのがわかる。頭の中では、家の前で二人組に無理やり車に押し込まれるなど、
 恐らく誘拐に関するであろう記憶がはっきりと思い浮かべられるようになっていた。数秒もしないうちに吐き気は急速に引いていく。
 「終わったのか」
 本当は頭を抑えてうなだれたいところだが、意識の中で起こってることなのでどうしようもない。
 「終わった」
 長門と言いかけた瞬間、俺は本当の意味で目覚めた。
348VIP足軽orz:2006/12/07(木) 04:28:28.78 ID:CSfdvPDC0
紫煙
349Lost my …?:2006/12/07(木) 04:28:55.41 ID:qQQaU6bO0
 コーヒーの香りが漂ってくる。
 「おはよう。よく眠れたかな?」
 カシイがそう言って俺の横にコーヒーを置いた。どうせなら美人の婦警さんに起こしてもらいたかったな。
 「はっはっは。私もそう願いたいもんだ」
 カシイはそう言うと、胸ポケットからマルボロを一本取り出してくわえた。
 コーヒーをすすりながら、時計に目をやる。午前8時半を過ぎていた。
 「朝食も持ってきた。食べ終わったら君は地元に帰ることになる。もちろん、そこでも聴取は行われるが」
 カシイはコンビニの袋を俺に渡した。中には調理パンとおにぎりが少々入ってた。
 「古泉によろしくと伝えてくれ」
 カシイはそう言い残して部屋を去った。
350VIP村人m:2006/12/07(木) 04:29:14.59 ID:I79xl06r0
【恋愛】速報!PS2で「涼宮ハルヒの憂鬱」がついにゲーム化【アドベンチャー】
http://game9.2ch.net/test/read.cgi/gamerpg/1127562737/l50
351高校の女教師:2006/12/07(木) 04:30:02.50 ID:qQQaU6bO0
 カシイの言うとおり、俺は午前中のうちに長野県から自分の地元に移送された。
 もちろん家に帰れるわけでもなく、近所の少し大きな警察署に身柄を置かれることになった。
 そこでの事情聴取は、長門から教えてもらった誘拐に関する記憶を伝えるだけで終わり、非常に楽なものとなった。
 もし長門がいなければ、俺は今頃とんでもないことになっていただろう。
 結局聴取は一時間ほどで終わり、俺はその日のうちに家に帰れることとなった。
 夕方、署には家族が迎えに来てくれた。妹と母さんは泣きながら俺に抱きつき、親父は涙を溜めた目で署員に感謝の言葉を送っていた。
 家に帰ると、俺は真っ先に自分の部屋へと駆けつけた。予想通り、俺の部屋は寝る直前と何も変わってはいなかった。
 俺は深いため息をついてベッドに身を沈ませた。全ては無事に解決したようだ。
 突然、携帯が鳴り出した。画面には長門有希と表示されている。
 「長門か」
 『……』
 毎度おなじみの三点リーダである。
 「助かったよ。お前がいなかったら今頃俺の頭は大パニックになっていた。事情聴取も全て片付いて、今は家でくつろいでる」
 『そう』
 数秒の空白の後、長門は俺にある用件を伝えた。
 『すぐに私の家まで来てほしい』
 俺は全速力で長門の家に向かった。
352VIP足軽v:2006/12/07(木) 04:30:04.75 ID:NTUU3gRB0
支援すると言った手前言いたくは無かったのですが・・・
この展開は・・・察するに○ーローな雰囲気がにじみ出てきて
・・・いえ、やめて置きましょう、私はあなたの支援をすると公言した手前
きっちりこなして見せますよフフフ


バーロー
353Lost my …?:2006/12/07(木) 04:31:39.83 ID:qQQaU6bO0
 マンションの入り口で俺はいつもの通り、テンキーを708と押してからベルのマークのボタンを押す。数秒間が空いたが、ブツッとインターホンが接続された。
 「長門、俺だ」
 『入って』
 蚊のようなか細く平坦な声が響くと、大きなガラスの自動ドアが開いた。

 708号室のインターホンを鳴らすと、何も言わないまま鉄の扉は開いた。
 「………」
 制服姿の長門は何かを言うわけでもなく、ただ俺をじっと見つめている。俺はその光景に安堵していた。
 「キョン君!」
 突然部屋の奥から舌足らずで素っ頓狂な声が消えてきた。おっちょこちょいの未来人、朝比奈みくるさんである。
 朝比奈さんは走って俺に抱きついてきた。こっちはどうやら私服らしい。それにしても、いつあなたを見ても癒されるなぁ。
 「よかった……(ぐすっ)もしかしたら……(ぐすっ)あの時、みたいに(ぐすっ)また消えた……(ぐすっ)まんまになるかと思って……」
 はいデジャヴュ。俺はこんな光景を前に目にしたことがある。
 ハルヒと閉鎖空間に閉じ込められて、なんとか脱出した日に朝比奈さんは部室でこんなことを言いながら泣いていた。
 ぐしゅぐしゅ言いながら泣く朝比奈さんの奥には、古泉一樹が立っていた。
 「おかえりなさい。あなたがいないおかげでこっちは久々にクタクタにさせられました。中学生の涼宮さん以来ですよ。こんなに疲れたのは」
 笑いながら文句を垂れる古泉に俺はこういった。
 「俺が消えてからの二週間、三人は何をやっていたのか教えてくれないか」
 「いいでしょう。話すと長いですから、まずは座りますか」
 それはこの部屋の主である長門が言うべき台詞だろ、とつっこみながらも、俺らはリビングにポツンとあるテーブルの前に座った。
354Lost my …?:2006/12/07(木) 04:32:41.25 ID:qQQaU6bO0
 長門は俺にお茶を出すと、無表情でおれを見つめながら言った。
 「涼宮ハルヒは市内探索であなたと喧嘩した後家に帰り、あなたの存在がうっとおしく思うようになった。
 そしてその日の二十三時五十九分後十九秒、その思いが能力を発揮するレベルに達して、あなたの存在が消去された。
 翌日、涼宮ハルヒはあなたに来ないことに対する怒りの電話をかけたが、あなた自体がいないので出るはずもなかった。
 探索は通常通り行われていたが、古泉一樹は緊急の用事があるといって参加をしなかった。
 結局終始不機嫌だった涼宮ハルヒは午前中で探索を中止し、早々に帰ってしまった。
 当初情報統合思念体は静観の構えだったが、協議の結果を受けて、わたしはあなたが拉致をされたという情報を用意した。
 しかし、情報統合思念体は情報の発信は時機を見て行えとの旨を加えた。
 警察には古泉一樹の機関に協力を要請して、秘密で捜査を行うようにしたが当然みつからない。これはあくまで警察の職務を全うさせるため。
 一週間の間あなたは存在を消したまま、次の土曜日を迎えることになる。
 この日まであなたのことを本気で邪魔だと思っていた涼宮ハルヒにわたしは危機感を覚え、わたしはここで誘拐の情報を流す。
 具体的に言うと、警察にマスコミを通じてあなたが誘拐されてだということを発表させた。
 涼宮ハルヒの態度が変化するまで三日を要したが、次第に涼宮ハルヒはあなたのことを心配するようになり、
 あなたが消えてから一週間と六日目に、ついにあなたに帰ってきてほしいという思いが能力を発動させて、あなたはこの世界に帰ってきた」
 長門はいつもよりはなんとなくわりとわかりやすいが長々しい説明を終えると、お茶をすすった。
355以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/12/07(木) 04:32:48.42 ID:CSfdvPDC0
支援
356Lost my …?:2006/12/07(木) 04:33:52.13 ID:qQQaU6bO0
 「あなたがいない間だけで、僕らは五十回は神人を倒していた。それほどまでに、彼女のイライラは増大していたということです」
 古泉はため息をつきながら笑っている。
 「キョン君が突然消えたと長門さんから聞いたとき、びっくりしました。まさかまた閉鎖空間に閉じ込められたのかと思っちゃって。
 そしたら今度はそれよりもひどくて、まさかキョン君の存在自体がないなんて」
 朝比奈さんは目を真っ赤にしながら安堵の笑みを浮かべていた。
 「あなたという存在が消えたということは、涼宮さんの状態は不安定になる。あなたは彼女の精神の箍のような存在でした。
 その箍が外れてしまった。これは我々機関にとっては非常に好ましくない出来事です。もちろん、統合思念体や未来人もそう思っているでしょう。
 そこで機関は考えました。今我々に出来ることは何なのだろうかと。結果、情報統合思念体や未来人と一時的な協力関係を築くこと。
 つまり、僕と長門さんと朝比奈さんが協力して、涼宮さんがあなたという人がいたということを、
 ホコリ程度でもいいから忘れさせないように行動せよという指針が下されました。」
 「そうかい、それはありがとうな」
 古泉もお茶をすする。
 「何にせよ、俺が帰ってきてこれで全ては解決ってことでいいんだな?」
 俺は三人に問いかけた。三人は揃って
 「そうです」
 「はぁい」
 「いい」
 声を合わせた。
357VIP村人XL:2006/12/07(木) 04:33:54.47 ID:FRf6f+CLO

358Lost my …?:2006/12/07(木) 04:34:24.05 ID:qQQaU6bO0
 突然、携帯が鳴り出す。画面には涼宮ハルヒと表示されていた。長門を除いた二人が俺にうなずく。それを合図に俺は携帯に出た。
 「ハルヒか」
 『……今何やってんの?』
 機嫌がいいのか悪いのかわかりにくい地の声だ。
 「家でくつろいでる」
 『あ、そう。これから学校まで来てくれない?』
 「……わかった。少し時間がかかるけどいいか」
 『うん』
 「じゃ」
 そう言って電話を切った。最後にハルヒが何か言いかけたみたいだが、気にしないことにしよう。
 時計は七時を回っていた。そろそろ一度家に連絡を入れないと家族が心配しそうだ。
 「いってらっしゃい」
 古泉が笑いながら手を振っている。
359Lost my …?:2006/12/07(木) 04:35:25.07 ID:qQQaU6bO0
 長門の家から学校へは歩いて少しかかる。登校と同じ道なので、俺は少し憂鬱になっていた。またあの坂道を登らなきゃいけないのか。
 ここら辺は住宅街なので、夜になると非常に静かになる。誰もいないので、変質者と見間違えられなければいいのだが。
 途中、俺は疑問に思うことがあった。
 俺はハルヒに邪魔と思われてこの世から姿を消していた。つまり、死んだも同然ってことになる。しかし俺は結局この世に帰ってきた。
 宗教には興味はないが、俺は死後の世界というのをもしかすると見たのかもしれない。でも俺は寝たと思ったらすぐ起こされてしまった。
 まるで気持ち良く起きた後のように、夢も見ないで。当然その間の記憶はないけど。
 もしかすると死ぬことと寝ることはほとんど一緒で、違うとすれば生命活動の停止と脳の休息というところだけなのかもしれない。
 そんなしょうもないことを考えているうちに、俺は学校に着いた。
 校門ではコートを羽織ったハルヒが一人ぽつんと俺を待っていた。顔からはいつもの元気さが微塵も感じられず、今のハルヒは長門よりも無表情に思えた。
 「待ったか?」
 ハルヒに聞いてみると、俺には思いもよらぬ返答が返ってきた。
 「全然。というか、あんた随分早いわね」
 本当は自宅ではなく長門の家から来たので俺は一瞬たじろいだが、ハルヒは意に介さずとばかりに俺の手を引っ張って校内へと入っていった。大丈夫なのか?
360VIP足軽v:2006/12/07(木) 04:35:45.62 ID:NTUU3gRB0
支援ですよぉお〜
361Lost my …?:2006/12/07(木) 04:36:15.45 ID:qQQaU6bO0
 ハルヒは俺をテーブルが何台かある休憩所のようなところまで連れて行った。
 いつだったろうか、古泉から超能力者だと打ち明けられた場所だ。そこに俺を座るよう促した。ハルヒはその隣に座った。
 「これはあたしの奢りよ」
 そう言ってジュースを二本テーブルの上に置いた。一本は自分用だろう。
 「……珍しいな、お前が奢るなんて」
 「あたしはSOS団の団長よ。そのぐらい気前よくやるわ」
 ハルヒはうつむいたまま答えた。続けて言葉を発してるみたいだが、かろうじて聞こえるレベルだった。
 「……どうして急にいなくなっちゃったのよ」
 「お前も知ってるだろうけど、俺は誘拐されたんだ。大変だっ」
 「そんなこと聞いてるんじゃない!!」
362猿回しの勘三:2006/12/07(木) 04:36:32.86 ID:MgIZGMjr0
支援
363VIP足軽orz:2006/12/07(木) 04:36:45.38 ID:CSfdvPDC0
支援やね
364Lost my …?:2006/12/07(木) 04:37:14.30 ID:qQQaU6bO0
 ハルヒの怒号が校内にこだまする。誰か来なければいいのだが。
 「あの時確かにあたしはあんたのことをウザがってた。みくるちゃんをおもちゃにしようとしたら、
 いつもあんたがあたしを止めてたからね。あの時は本当にどうかしていた」
 よく見ると、ハルヒの頭がぷるぷると震えているのがわかる。泣いてるのだろうか。
 「でもね、あんたがいなくなってよーく分かったわ。みんな私を心から構ってくれない。
 まるで災難を耐え忍ぶような目で見てくる。腫れ物には触れたくないのかしら。でも、あんただけは違った。
 入学してから、あたしの行動に突っ込みを入れてくれるのはあんただけだった。あたしをちゃんと見てくれていたのは……あんただけだった」
 コンクリートの上に数個シミを作りながら、ハルヒはふつふつと語った。
 「だから、あんたがいない日々は物凄くつまらなかった。死にたいと思ったぐらいよ。
 しかも、あんたが誘拐されたなんてこと聞いたら……心配しないわけないじゃない!」
 顔を上げたハルヒの大きな目からは、大粒の涙がぽろぽろとこぼれていた。こんな表情を見たら、大抵の男子ならコロッと逝っちゃいそうだ。
 ハルヒは急にむっとした表情になって、右手の小指を差し出した。
 「約束しなさい」
 「何をだ」
 「……二度と急にあたしの目の前からいなくならないってね」
 俺は数秒間を空けた後、ハルヒの小指と自分の小指を絡ませた。そして、泣きべそをかくハルヒを抱きしめて言った。
 「約束する」
 ハルヒは俺に抱かれながら、声を上げて泣きまくった。
365Lost my …?:2006/12/07(木) 04:38:16.83 ID:qQQaU6bO0
 学校を出て駅に向かう途中に、俺はハルヒに尋ねた。
 「なぁ、ハルヒ」
 「何よ」
 「お前、死後の世界ってあると思うか?」
 ハルヒには何言ってんのこいつみたいな眼で一瞬見られたが、考え込むような顔をしてこう言った。
 「さぁ、死んだことがないからわかんないわ。でも、あんたと一緒ならそう居心地悪いものじゃなさそうね」

 結局俺はハルヒを自宅まで送り届けてやった。駅で別れるとどこか心細い気がしてならなかったのだ。
 「じゃあ、また明日な」
 そう言って俺は帰ろうとしたが、ハルヒに腕をつかまれた。
 「本当に明日会えるわよね? あんた、絶対学校に来るわよね?」
 俺を必死に見るハルヒ。こういうシチュエーションで俺は一度やってみたいことがあった。
 俺はハルヒを抱きしめ、パクパクしているハルヒの唇を軽く塞いでやった。もちろん自分の唇で。
 ほんの少しだった。三秒も経ってないだろう。互いの唇が離れると、俺はこう付け加えた。
 「これが約束だ」
 「……もっとちゃんとやりなさいよ」
 ハルヒはむっとした表情をしたが、即座に俺の唇を塞いだ。これも当然自分の唇で。
 俺たちは互いに離れたくない一心で、そうやって何分間もいた。
366Lost my …?:2006/12/07(木) 04:39:20.78 ID:qQQaU6bO0
 翌日学校へ行くと、先に来ていたハルヒが俺を見てニヤッと笑った。背中に寒気が走る。ハルヒは笑いながらこう言った。
 「昼休み、屋上まで来なさい」
 主語をはっきりとしてから喋ってくれ。
 谷口や国木田などのクラスメイトは、まぁ当然の反応だろうか。続々と俺の様子を聞きに来た。誘拐された時、その後、警察署の中など。
 担任の岡部まで聞きに来る有様だった。
 昼休みには、多分朝比奈さんから聞いたであろう鶴屋さんもわざわざ教室に俺の様子を見に来て、安堵のため息をついていた。
 「……おかえりなさい、キョンくん」
 「ただいま」
 いつもより穏やかな笑顔の鶴屋さんは、朝比奈さんやハルヒの笑顔並みに破壊力があった。
 そうだ、屋上に行かないと。
367VIP村人xxx:2006/12/07(木) 04:39:25.62 ID:X17Chhp+O
>>364
よくしゃべるハルヒだな
368Lost my …?:2006/12/07(木) 04:40:15.99 ID:qQQaU6bO0
 屋上にいたハルヒは、いつも通り仏頂面でいた。
 「遅い!」
 そう怒るハルヒに、俺はなだめすかすように頭をなでてやった。とたんに笑みを浮かべる。単純なやつ。
 俺たちはそこで一緒に弁当を食べた。
 ハルヒには、早く彼氏を作って普通の女子高生っぽい生活を送れと言ってきたが、まさか自分がなるとは夢にも思っていなかった。
 あぁ、これは本当に俺がいた世界なのだろうか。ちゃっかり世界が改変されてるなんてことはないのだろうか。
 けどこういうのも、まんざらでもないかもしれない。
 「何ブツブツ言ってるのよ。はい、アーン」
369Lost my …?:2006/12/07(木) 04:41:16.91 ID:qQQaU6bO0
 放課後、いつもの五人でいつものように何もやることなくただのんびりと部室で過ごしていると、メールが来た。
 相手は目の前でウインクしている古泉だった。気持ち悪い。
 画面には
 『終わったら部室で』
 と書かれていた。
 仕方ない。つきあってやるか。

 活動が終わって女子三人は下校、残る男子二人は下校するふりをして解散した。十分後再び部室へ行く。
 部室では、古泉がニコニコしながら椅子に座っていた。
 「あなたと涼宮さんが喧嘩別れした後に機関で会議が開かれましてね、僕の帰属場所について話し合われました」
 「結果は」
 「あなたのご想像通りかどうかは知りませんが、とりあえず機関でも涼宮さんの下僕でもなく、SOS団ということになりました。
 しかし基本的には機関の命令に従い、なるべく涼宮さんの要望に沿った生活を送る。
 もしも僕の尊厳に関わるようなことがあれば、その時は自分で判断しろとのことです。
 ま、これで僕にも選択の余地が増えたので、助かりましたよ。感謝いたします」
 「そうかい」
 俺は安堵した。これでこいつがある程度人間的な生活や行動を送れるようになったのだ。俺たちは何故かそろって
 「やれやれ」
 と言ってしまった。
370VIP足軽orz:2006/12/07(木) 04:41:37.07 ID:CSfdvPDC0
支援、支援っと
371VIP足軽v:2006/12/07(木) 04:41:42.26 ID:NTUU3gRB0
また気になったので言いますが
コンクリートの上に数個シミというのは、そのなんと言いましょうか・・・
聞いたことがあるんですよ・・・歌詞で・・・まさに、こんな寒い冬に聞くべき歌だったような・・・
ああ・・・いえ、やっぱり私の勘違いだったんだと思います
水を差してしまってすみません、私はあなたの支援係なのに・・・ハハハ・・・

こなぁあああああああああああゆきぃいいいいいいいいい
372Lost my …?:2006/12/07(木) 04:43:02.38 ID:qQQaU6bO0
 家に帰ると、玄関先にかわいらしい柄の封筒が落ちていた。大体の差出人は見当がつく。空けてみるとちまちました字で
 『彼女が涼宮さんにいたずらされることは、彼女が通らなければいけない道の一つなのです。彼女はそれをわかって通っています。
 でも、安心していてください。彼女が任務を完遂しないで逃げ出すことはありません。それは、未来の私の存在が証明しています。 みくる』
 と書かれていた。
 でもねぇ、朝比奈さん。あなたが痛々しい目にあってるのを見るとつい心を動かされるんですよねぇ。ま、心に留めておきますよ。
373Lost my …?:2006/12/07(木) 04:44:09.83 ID:qQQaU6bO0
 二度目のキスをした夜からハルヒは俺に急接近をするようになり、俺とハルヒの仲はクラス公認のようなものとなった。
 ハルヒは俺と一緒にいるととにかくいちゃついていた。
 市内探索でも何故か俺とハルヒが一緒に組むことしか起きず、奴からはもう逃げられないことを証明していた。
 数週間後、俺は長門の家を訪ねることになった。長門からの要請だ。
 部屋では普段どおり制服姿で長門が俺を待っていた。お茶が二つあるテーブルの周りに座ると、相変わらずの無表情で
 「あなたに報告することがある」
 「言ってみろ」
 「あなたを誘拐した犯人の情報を、本日をもって終結する」
 長門は数秒目を閉じた。
 「どういうことだ?」
 俺が問いかけると
 「犯人の存在は、元々私が情報統合思念体に要請されて作った情報だった。その情報を終結したということ」
 「……よくわからないんだが、俺を拉致した犯人はもうこの世には存在しないってことか?」
 「違う、元々犯人は存在しなかった」
 そういえば、俺は一度も犯人の姿を見ていなかった。長門から刻まれた誘拐された時の記憶にも、
 ミステリアニメに出てきそうな黒いシルエットが俺を連れて行ったことしか映っていない。
 「犯人は裁判で有罪判決を受け刑を執行中、刑務所内で死亡したということをつけてこの情報を完結。以後変更がなされることはない」
 「つまり、死体はないけど死にましたってことか」
 「そう」
 長門がお茶をすすって、続けさまに言う。
374VIP村人XL:2006/12/07(木) 04:44:35.53 ID:0Qf/5Rm70
支援
375Lost my …?:2006/12/07(木) 04:45:00.49 ID:qQQaU6bO0
 「あなたの誘拐に関する私の仕事はこれで終わり」
 「それだけを伝えに俺を呼んだのか?」
 「そう」
 ほっとした。またとんでもないことに巻き込まれるのを予想していた俺にとっては、肩すかしものだったがこれでよかったのだ。
 気がつけば、長門は遠い目をして明後日の方向を向いていた。数秒そうやっていたが、すぐに俺に目を向けこう言った。
 「……情報統合思念体からあなたに懇願がある」
 「何だ」
 長門の親玉からだ。さぞとんでもないものに違いない。
376Lost my …?:2006/12/07(木) 04:46:20.70 ID:qQQaU6bO0
 「私はあなたと涼宮ハルヒの環境を保全する役割を負われた。私はあなたや涼宮ハルヒを、外部的マイナス要因から遠ざける行動に出ることになる。
 しかし、内部的マイナス要因は私にはどうすることも出来ない」
 相変わらずこいつの説明はよくわかりづらい。しかし、長門がどうにも出来ないことなんて一体何なんだ?
 「どういうことだ」
 「あなたには涼宮ハルヒからどんな形であっても離れないでほしい。彼女が死ぬまで」
 長門が言ったことを訳すると、ハルヒと喧嘩をしないで仲良く暮らしてくれ、と思ってもいいだろう。事件の発端は俺とハルヒが喧嘩したことだからな。
 「わかったよ」
 苦笑した。宇宙の始まりとともに発生した巨大な情報生命体が、本来無視するはずだったであろう、
 辺境の惑星にいる一匹の生命体に懇願をしているのだ。滑稽じゃないか。
 「ハルヒを大事にしてやりゃあいいんだろ?」
 長門はミリ単位でうなずいた。更に俺は付け加えてこう言う。
 「でもな、長門。俺はお前も、朝比奈さんも古泉もハルヒと同じぐらい大事な存在なんだ。だからな、えーと……」
 長門は射抜くような目で俺をじっと見る。
 「たまには、お前の好きな通りにしろ。俺たちがつきあってやれる範囲でな」
 長門はまたミリ単位でうなずいた。

 おわり
377VIP村人XL:2006/12/07(木) 04:47:44.04 ID:0Qf/5Rm70
乙!
378ただの戦士:2006/12/07(木) 04:48:47.29 ID:zlz7JOq0O
乙GJ
379VIP足軽orz:2006/12/07(木) 04:49:25.90 ID:CSfdvPDC0
380Lost my …?に関して:2006/12/07(木) 04:49:45.02 ID:qQQaU6bO0
すみませんスミマセンスミマセン段落分けを忘れてました。
しかも最後は長門で〆ちゃってごめんなさい。
ちなみにバーローとかこなあぁぁぁぁぁゆきいぃぃぃぃぃは全く意識しないで書きました。
だってどんなものかよく知らないし。
381VIP足軽v:2006/12/07(木) 04:50:43.95 ID:NTUU3gRB0
ミステリアニメに出てきそうな黒いシルエット この部分は僕にあてた
ラブメッセージと受け取ってもいいんですね?知りませんよ?本気の僕は・・・フフフ


お疲れ様でした
382高校の女教師:2006/12/07(木) 04:51:25.74 ID:qQQaU6bO0
あ、バーローってそこのことだったのね。
383VIP足軽v:2006/12/07(木) 04:54:47.69 ID:NTUU3gRB0
ちなみに、最初にバーローだと思ったのは、キョンが目が醒めて
刑事さんに発見されるところですwwww
しかも、「少年を発見しました!」はもう・・・
384VIP村人Ecup:2006/12/07(木) 05:02:25.76 ID:0Qf/5Rm70
気づけば体縮んでるってかw

ハルヒ「あんた誰よ。キョンの親戚?」
ショタキョン(眼鏡)「バーローwww」
385VIP足軽wwwww:2006/12/07(木) 05:06:47.69 ID:NTUU3gRB0
それが後のハカセく(ry
386VIP村人P:2006/12/07(木) 07:14:28.55 ID:0bBAzy+UO
落ちる
387VIP村人d:2006/12/07(木) 07:35:00.56 ID:NKB+jJQf0
朝から乙!


……あらすじのシチュエーションがかぶったorz
388猿回しの勘三:2006/12/07(木) 08:05:18.15 ID:pTpFCObPO
GJ!

朝から良い作品だ事w
389猿回しの勘三:2006/12/07(木) 08:24:58.12 ID:pTpFCObPO
アゲときます。
390エトランゼ:2006/12/07(木) 08:45:53.66 ID:/6xtwqsI0
投下OK?
391エトランゼ:2006/12/07(木) 08:55:28.46 ID:/6xtwqsI0
出直して来るノシ
392愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 08:58:17.30 ID:2w9QFzoZ0
えー?
393エトランゼ:2006/12/07(木) 09:17:22.93 ID:/6xtwqsI0
>>392
11時頃また来る
394 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/07(木) 09:24:54.95 ID:2w9QFzoZ0

「離れないで」

 いつもの部活中に突然長門が言った。

「どうした? 何かあったのか?」
「詳しくは話せない。でも、離れないで」

 長門が、雰囲気で状況を察して、という目で見てきた。

「わかった。お前のいう事を信じるよ」
「そう。」

「キョン! 神聖なるSOS団の活動中に何やってるの!!?」
 古泉が困った顔をしている。

「あぁ、昨日長門にゲームで負けちまってさ。今週は長門のいう事聞かないといけないんだ」
 これでいいだろ? といった表情を古泉に向けてやる。古泉は、終わったら部室に残ってくれとジェスチャーしてきた。


 そして部活が解散になったあと、俺は長門と古泉に尋ねた。
「どうなってるんだ? 何が起きたんだ? また俺は朝倉みたいなヤツに命を狙われるのか?」
「僕にもわかりません。機関は何も把握してませんよ」

 少しして、長門が答えた。

「ただ、あなたに近くに居てほしかっただけ。」

という保守
395VIP足軽j:2006/12/07(木) 09:42:02.17 ID:i87zV7Nx0
保守
バーローとかこなゆきとかネタがさっぱりだ・・・。
396VIP無職:2006/12/07(木) 10:00:30.13 ID:M+Xp6QWhO
今朝バイト中に有線でおそらく平野、茅原、ゴトゥーザ様の三人だと思う
歌が流れてたんだけど最近この三人ハルヒ以外で共演した?
茅原とゴトゥーザ様はラブドルで共演してたけど
397 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/07(木) 10:06:53.73 ID:l0VEDHmB0
今日は土曜日。涼宮ハルヒが言う「不思議探索」の日だ。午前中はわたしと彼のコンビに決まった。

「別に行くあても無いし・・・図書館でも行くか、長門。」
「それでいい...」

図書館に着くなり彼は椅子に座りそのまま寝てしまった。わたしは適当な本を選ぶとそのまま読み続けた。
そうしているうちに午前中の探索の時間が終わりそうだったので、読んでいた本を借り、寝ている彼の元に戻った。
わたしは彼をそのまま起こそうと思ったが、しばらく様子を見ていた。そのうち彼が寝言を言い始めた。

「ハルヒ・・・保守だけはちゃんとしとけよ・・・」

わたしの中にエラーが発生した。彼はいつもあの人のことを・・・。わたしはエラーを少しでも取り除くため、
本で2人の顔が隠れるようにし、そしてそっと顔を近づけて・・・。

彼の携帯が震え始めた。彼は飛び上がって起き、

『ちょっとキョン!もう時間過ぎてるわよ!』
「ああすまん、すぐに戻る。」

彼とわたしはすぐに図書館を出て集合場所へと向かい始めた。

「なあ長門、俺が寝てる間に何かしたか?なんか顔に柔らかい感触がしたんだが・・・」
「わたしという個体に対して保守した。そのときあなたの体を使った。」
「俺の体・・・?まあ落書きとかされてなければいいけどさ。」
「そんなことはしていない。安心して。」

彼とわたしは集合場所に着いた。もっと一緒にいたかったが午後の組み合わせでは
彼と一緒になれなかった。午前中にやったこと・・・また今度くじを操作して彼と2人だけになり
図書館に行ったときまたやろう・・・
『わたしという個体の保守をするために・・・』
398VIP足軽ktkr:2006/12/07(木) 10:07:19.68 ID:i87zV7Nx0
ラジオ二期の曲じゃないの?
399VIP無職:2006/12/07(木) 10:18:34.68 ID:M+Xp6QWhO
>>398
多分それだ!!
俺ラジオはきかないからわかんなかったのか
でもオリコン流してたはずなんだけどな
400南蛮ムキトス:2006/12/07(木) 11:01:24.51 ID:oqDAIYniO
過疎
401南蛮ムキトス:2006/12/07(木) 11:02:30.62 ID:zlz7JOq0O
授業中保守だっぜ。
初席替え時のハルヒのポジションだからSS書き放題ww
402VIP無職:2006/12/07(木) 11:14:41.74 ID:2nzjZnSl0
舞い戻った

エトランゼ第一話後編書いたんだけど投下OK?
403愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 11:16:02.16 ID:2w9QFzoZ0
おk
404エトランゼ:2006/12/07(木) 11:17:20.86 ID:2nzjZnSl0
◆ エトランゼ 第一話前半↓
http://www11.atwiki.jp/xgvuw6/pages/1953.html


ある日の夕暮れ。
俺たちSOS団のメンバーは、ハルヒを先頭にしてあの坂道を集団下校している。
いつも通りの行動。いつも通りの光景。

だがそれは表面上だけのもので、実は『ある事件』が昨夜から――いやもうちょっと前からハルヒの知らないところで現在進行形らしい。
詳しいことは俺にもよくわからん。
当事者の一人である長門が昨日、「任せて」と言い切ったからである。
それっきり今日は何の音沙汰もない。いつも通りだ。
だから俺は昨日抱え込んだ不透明な『懸案事項』が気になって長門にそれとなく聞いてみた。
しかし長門は、「大丈夫、問題ない」としか答えない。
確かに諸手を挙げて長門に一任したが、やはりどうも気になって仕方がない。
しかもいつの間にか小泉までそのことについて関知しているのも気になるぞ。
その『事件』の中心人物であるハルヒの方を見やると、朝比奈さんと話しながら僅かに目線をこちらに向けていた。剣呑な目つきで。
何をそんなに不機嫌になっていらっしゃるんでしょうか、この団長様は。

なにかいろいろと釈然としないまま、坂が終わる所まで来たとき、俺は気付いた。いや他の奴らも気付いただろう。
ハルヒが立ち止まったからだ。
ハルヒの数歩前に光陽院学園の制服を着た長身の女子が一人、誰かを待ち構えるように立っている。
その少女がくるりとこちらを向いた。

美少女だ。見たこともないボーイッシュな美少女。

ぞくり、と嫌な予感がした。
いや、俺だって一般男子高校生と同じく美少女は目の保養だと思っている。
しかし切れ長の漆黒の瞳には心当たりが合った。不吉なまでに――
405エトランゼ:2006/12/07(木) 11:19:14.60 ID:2nzjZnSl0
俺は寡黙な宇宙人に目配せした。

どういうことだよ、長門……

長門は俺の目線に気付いていないか、気付いていても無視しているのか前方の様子――ハルヒと少女の様子をじっと見つめたままだった。
俺は深々とため息吐く。
視線を戻したが、やはりその長身の美少女は存在していた。幻覚ならよかったのに。
――しかしなんで『その格好』なんだ?

その『美少女』は俺達――いや、俺を認めるなり、ニヤリと口許だけで不適な笑みをつくった。ますます嫌な予感。
そして形の良い薄い唇が紡ぎ出した言葉に俺は本気で目眩を覚えた。

「キョン」

「う」
思わず呻く。本当は「嘘だろ?」と続けたかった。が飲み込むしかない。

俺かよ。俺を名指しかよ。なんで長門じゃなくて俺なんだよ。

406エトランゼ:2006/12/07(木) 11:19:47.59 ID:2nzjZnSl0
胸内に充満する不満を無理やり押し込めながらひとつため息を吐く。
そして俺は恨みがましい目を向けながら苦々しい思いで本心を述べた。
「なんでお前がここにいる」
それに対し、『美少女』憎たらしいまでに平然とした顔でこちらに近付きながらのたまった。
「紹介してくれと言っただろう」
話し方がどこぞの殿様みたいなんだが。似合っているのがますます気に食わん。
ああ確かに「引き合わせる」とは約束した。だが突然すぎるぞ。打ち合わせもなしかよ。
だめだ、ため息が止まらん。今日一日で一体どれだけ幸せが俺の元から逃げていったんだ。

ここで文句を言っても仕方がない――俺は約束を果たすことにした。
目線をハルヒに向ける。先ほどから『美少女』を凝視したまま固まっている。ピクリとも動かない。
407エトランゼ:2006/12/07(木) 11:20:21.73 ID:2nzjZnSl0
今どんな顔をしてるんだ?いや、見たくないけどな。俺の心が安らかになるものではなさそうだからな。
俺は後ろからフリーズ中のハルヒの肩にポンと手を置いた。置いた途端、びくっと肩が小さく跳ねた。
え?何だ?俺なんか悪いことしたか?
――とか一瞬思っちまったぜ。
瞬間解凍されたハルヒはおそるおそる振り向く。視線が結ばれた。
「なに驚いてんだ?」
 こっちも驚いたぞ。
「……いきなり肩叩かれたからびっくりしただけよ」
ハルヒはバツが悪そうに目を逸らして呟いた。
それはそれは申し訳ありませんでしたね、団長様。

さて、本題に戻ろう。
俺はハルヒの肩に手を乗せたまま『美少女』に向き直った。

「こいつが涼宮ハルヒだ」

 その言葉に『美少女』は満足げに頷く。
「ああ、見た感じ多分そうだろうなとは思った」
『美少女』はハルヒの顔を遠慮なく観察している。まるで値踏みをしている遊郭の旦那みたいだぞ。見たことないが。
対するハルヒはそれに怯むことなく受けたった。流石ハルヒだ。
沈黙。
誰かこの場を融解してくれ。耐えられん。
古泉、おまえも事情を知っているなら愉快そうに眺めてないで収拾しろ。
朝比奈さん――は未だに虚脱状態だ。呆然としている。すみません、驚かせて。
長門……いや、もういい。
くそう、やはり俺なのか。いまいましい。そして情けない。
俺は意を決して無言のまま見つめ合う二人の美女の間に割って入った。
「ハルヒ、ええとこいつはだな――」
そう言えば名前を聞いてなかった。さて、どうしたもんだか――
と思ったら、俺の句を継いで『美少女』は自分から名乗り始めた。
408エトランゼ:2006/12/07(木) 11:20:58.12 ID:2nzjZnSl0

「はじめまして、涼宮ハルヒさん。私はキョンと同じ中学だった、

『アサクラリョウコ』といいます」

――は?今何と仰いました?
 今俺の精神的外傷をえぐる固有名詞が聞こえた気がしたんだが。
 はっはっはっ、冗談だろ?随分質の悪い冗談だな、おい。
……冗談だと言ってくれ、長門……
「アサクラ――リョウコ?」
 ハルヒがうわ言のように繰り返す。
「そう」
『アサクラリョウコ』と名乗る少女は、無邪気な笑みで肯定した。
これなんて既視感?まったく面影も声も似てないのに、あの夕暮れの教室を思い出したぜ。
さらにハルヒは詰問した。
「どんな字を書くの?」
「朝昼夜の朝に倉庫の倉、涼しい子と書く」
俺は本日二回目の立ち眩みに襲われた。
そのまんまじゃねぇか。なんの捻りもないのかよ。《浅倉》とか《諒子》とかよ。

――朝倉涼子

元クラスメイトで、実は長門のバックアップで、俺にとっては天敵そのもの。
命を狙われるわ、マジで刺されるわ。朝倉と俺を化合したら惨劇ができあがるらしい。もちろん俺が一方的被害者だ。
確かに目の前にいる少女はまったくの別人だと理解している。
しかし朝倉の名前を聞いたとき刺された所が妙に薄ら寒くなったのも事実だ。
そして嘆くべき現実は、俺のトラウマ的名前をしばらく耳にしたり口にしたりしなくってはならないということである。
ああ、心の底からいまいましい。

しかし――
409VIP村人i:2006/12/07(木) 11:21:07.00 ID:2w9QFzoZ0
支援
410愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 11:21:36.15 ID:2w9QFzoZ0
てか既出?
411エトランゼ:2006/12/07(木) 11:21:35.88 ID:2nzjZnSl0
俺の精神的苦痛はこの際断腸の思いで差し引いても、この『偽名』はいかがなもんかと思うぞ。
中学時代の元同級生があの朝倉と同姓同名なんて、出来すぎていやしないか?
なんの思惑があってのことだ、長門。怪しすぎるにも程があるぞ。

これはもうハルヒの好奇心を盛大に煽ることは間違いない。
朝倉が突然カナダに転校していった――事実は違うが――時は、自宅まで調査に乗り込んでいったくらいだからな。
実際ハルヒはというと、さっきからニマニマと嫌な笑みを口許に浮かべていた。
――ああ、なんか余計なこと企みやがったな、これは。

ハルヒは今更ながら『朝倉』に百ワットの輝きの笑顔で挨拶を始めた。
「ハジメマシテ、あたしがSOS団団長の涼宮ハルヒよ」
名乗るとき己がSOS団団長であろうことは絶対欠かさないな、おまえは。
 ハルヒはここで他の三人も紹介する。
「この子はみくるちゃん。で、この子は有希で、こっちが古泉君よ」
めちゃくちゃ簡略化されているがな。せめてフルネームで紹介しろ。
と、傍観を決めこんでいた古泉が動いた。『朝倉』に歩み寄り右手を差し伸べる。
「どうもはじめまして、古泉一樹です」
「よろしく」と『朝倉』はこれまた笑顔で応える。
それにしても古泉、おまえこいつにすでに会ってたのか?それとも今が初対面か?
握手する意味はあったのか?美人だからか?おまえも男だな、いろんな意味で安心したぜ……
ハルヒの腕に捕らえられていた朝比奈さんも、我にかえって「は、はじめまして!!」と愛らしくお辞儀した。
相変わらず一挙一動が殺人的なまでにかわいらしいお人ですね。
今ので精神疲労が八十パーセントくらい回復しましたよ。ありがとうございます。
長門はというと、無言のまま僅かに頭を縦に動かした。お辞儀のつもりか。まあ実際初対面じゃないしな。
応えて「はじめまして」と『朝倉』は微笑む。

それらを見届けると、ハルヒは待ちかねたように『朝倉』と対峙した。
「ところで一体何の用かしら、このSOS団団長のあ・た・し・に」
「……何の用と言われてもな……」
『朝倉』は少し困った顔をした。
412エトランゼ:2006/12/07(木) 11:22:09.04 ID:2nzjZnSl0
そりゃそうだろう。『事実』はハルヒには告げられない。しかもこいつの目的は『ハルヒとの接触』だ。それ以上のことは考えていないはずだ。
勝手に勝ち誇った笑みを浮かべているハルヒの前で、『朝倉』はしばらく考えこんでいた。
ここは俺が助け舟を出すべきだろうか――と思っていたら何かを閃かせた顔をハルヒに向けた。
「一番近い表現だと、『現物調査』か?」
「「は?」」
ハルヒとハモる。
意気揚々獲物を追い詰めたつもりだったハルヒもこの言葉は想定外だったらしい。唖然とした顔。
『朝倉』は俺たちにおかまいなしで続けた。
「噂の『涼宮ハルヒ』という人物がどんなヤツなんだろうと思ってな」
――ここまで失礼で、かつバカ正直だと感嘆すら覚える。

……コイツちょっと変な女だな。

俺たちが言葉を発せないくらい呆れかえっていると、『朝倉』はハルヒの顔を見据えにんまり笑った。
「いや、本当に気が強そうな美人だな」
まあそこは否定はせんが――さっきからどこかに売り飛ばそうとしている人買いみたいなことをいいやがる。
それにそう言うお前もその部類に入ると思うぞ。『外面上』はな。

ハルヒは一応褒められたというのに仏頂面を下げている。まあハルヒだしな。
しかしこの後続いた言葉にはさすがのハルヒも赤面せざるを得なかったようだ。――ついでに俺も。

「キョンは面食いだしな」

――まあな、っておい!?
「何を言い出しやがる!?」
俺は思わず大声を上げて『朝倉』に詰め寄っていた。
顔が熱い。熱いぞ。耳まで熱い。
しかし『朝倉』は平静なまま、しかも意外だという表情でいた。
「違うのか?」
413エトランゼ:2006/12/07(木) 11:22:49.60 ID:2nzjZnSl0
……確かに顔がよいのにこしたことはないが。
「頼むから、誤解を招くような発言はよしてくれ……」
俺は疲れきってうなだれる。ちくしょう、せっかくさっき朝比奈さんによって回復したのに、一気にマイナスだ。
うなだれたままハルヒの様子を伺うと、ハルヒも顔をうつむけている。しかし耳が赤いのがバレバレだ。
朝比奈さんは隣でそんなハルヒをおろおろとしながら気遣っている。
もちろん後ろの二人は静観だ。くそう、古泉そのニヤケ面やめろ。
 そしてハルヒよ、はやく戻って来い。おまえがそんなだと俺の調子が狂う。
「とにかく」
無理やり平静を持ち直して、ため息混じりにうんざりと『朝倉』に告げた。
「お前はもう帰れ」
言われた『朝倉』の表情に一瞬不満げな色がよぎった。
「言われなくてもそうするが――」
「――ちょっと待って!!」
ごめん、やっぱり戻ってこなくてよかったです、ハルヒさん。
振り向くと、ハルヒは何かを決意した目で『朝倉』を見つめていた。
そして突然こんな話を切り出した。
「ねえ、『朝倉』さん、今日はこの後予定あるかしら?」
「いや何も」
 その返答にさらに目を輝かせたかと思うとさらにとんでもないことを提案しだした。
「なら、今からあたしの家……ううん、この子の家に一緒に行かない?」
長門は無言。いつも無言。それをいいことにコイツは……
 俺は勝手ながら長門に変わって抗議の声を上げた。
「あのなあ、ハルヒ、勝手なことぬかすな――」
「いいぞ」
と、『朝倉』。
おいこら待て、おまえも俺の話まる無視かよ。しかも快諾してんじゃねえ。
そして無意味にハルヒが勝ち誇った顔でいる。いや、なんの勝負もしてないからお前とは。

「そう、なら早速行きましょ!みくるちゃんもよ!!」
了承が得られたら早々にハルヒは行動を開始した。いつものことだが。
414エトランゼ:2006/12/07(木) 11:23:17.13 ID:2nzjZnSl0
律儀に返事する朝比奈さんと始終無言な長門の手をひったくって前進を始める。
『朝倉』もくるりと回れ右をしてその後に倣う。
「待て」
最後の一足掻きとばかりにハルヒの背中に静止を求める声を投げかける――と、『朝倉』が突然くるりと振り向き、俺の鼻先に指を突きつけた。
そして実に愉しそうに言い放つ。

「お前はもう帰れ」

――これは、さっきのお返しか?なんだその満足げな顔は。

いつの間にか振り向いていたハルヒはトドメとばかり俺に向かって宣言した。
「今日は女の子だけで語りあうのよ!!男子禁制!」
いや、『女の子だけ』て。『男子禁制』て。そんな黄門様の印籠みたいに掲げられても。
もはやここは長門に任せるしかない。頼んだぞ長門。
またため息。盛大なため息。今年中の幸せが逃げて行った気がするぞ。
古泉は肩をすくめて笑っていた。おまえもなんとか言ってやれ、一度くらい。
五月蝿い小姑を追っ払ってご満悦なハルヒは、再び長門のマンションに向かって行進を始めた。
朝比奈さんが俺の方をちらちらと振り向いて気遣ってくれている。ありがとうございます。そしてお気をつけて。
俺は4人の少女の後姿を見送りながら呟いた。

「やれやれ」



415エトランゼ:2006/12/07(木) 11:24:50.63 ID:2nzjZnSl0
以上です。
勢いで書いた。
まだまだ話は続く予定。



イロイロ反省はしている
416エトランゼ:2006/12/07(木) 11:28:50.18 ID:2nzjZnSl0
>>410
もともと携帯でハルヒ視点を書いた。
が携帯でキョン視点は長くてPCで昨日の夜一気に書いた。

417南蛮ムキトス:2006/12/07(木) 11:32:13.74 ID:zlz7JOq0O
418エトランゼ:2006/12/07(木) 11:39:52.51 ID:2nzjZnSl0
あと俺の中での『朝倉』と名乗るボーイッシュな美少女像↓

つ【ttp://www.uploader.jp/user/sample/images/sample_uljp00137.jpg


まあ俺の妄想だ。


吊ってくるorz
419VIP神:2006/12/07(木) 11:43:01.83 ID:p2Vgmztd0
420VIP神父:2006/12/07(木) 11:53:34.93 ID:VtNarTqaO
>>396
最強パレパレードかな?
421VIP烏賊王:2006/12/07(木) 11:59:55.19 ID:YZ8FYZhP0
422猿回しの勘三:2006/12/07(木) 12:23:18.97 ID:oqDAIYniO
>421
これは酷いwwwwwww
423愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 12:47:58.61 ID:2w9QFzoZ0
だいぶ過疎ってるな。

ここは非力ながら俺が1時頃に保守代わりに投下する。
424:2006/12/07(木) 12:48:15.63 ID:pTpFCObPO
乙!

>>421
これは酷いwww
425愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 13:02:54.56 ID:2w9QFzoZ0
だめだ、キョンハルヒの甘いの書こうと思ったが完結しなかったから15分したら投下します。ごめんたい
426VIP奴隷:2006/12/07(木) 13:12:41.25 ID:L/LsS2yK0
>>425
wktkして待ってるほす
427花魁:2006/12/07(木) 13:13:00.30 ID:pTpFCObPO
wktk
428 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/07(木) 13:16:12.14 ID:2w9QFzoZ0
甘いの書くの下手だけどきにしないでください。
じゃあ時間だから行きます!
429 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/07(木) 13:16:53.05 ID:2w9QFzoZ0

「あのね、涼宮さんに聞きたいことがあるのね」
「何?」

 放課後の教室で、文芸部室に向かおうとしていた俺とハルヒに話しかけてきたのは阪中だ。もちろん返事をしたのはハルヒだ。俺はこんなにそっけない返事はしない、だろう。
「キョンくんにも聞いてほしいのね。相談何だけど…」

 阪中の話によると、阪中は面識のあまりない隣のクラスの男子生徒から告白されたらしい。しかし阪中はその男子生徒の事を良く思ってなく断りたいのだが、どう断ったら良いのかわからない。
 そこで、中学時代に数々の男をフッてきたハルヒに聞いてみようと考えたらしい。俺は完全にオマケだ。

「でね、明日の放課後にもう一度気持ちを伝えるから、そのときに返事を聞かせてくれって言われたのね」
「そんなの興味ない、の一言で終わりじゃない! 何でそんな簡単なこと言えないのかしら」
「おいおいハルヒ、阪中は普通の女子生徒だぞ? もう少し阪中らしい断り方考えたらどうなんだ?」
「何よ、あたしが普通じゃないみたいな言い方はやめてくれる? それにあたしに相談してきたって事はあたしの流儀を聞きにきたって事よ! あたしのやりかたを言って文句あるの?」
「そうか。それはお前が正しい。だけどそれを押し付けるのはやめろ」
「喧嘩しないでほしいのね」

 坂中の言葉で言い争いをやめた俺たちは真剣に協議をし始めた。
 ハルヒの席を囲むように座っている。ハルヒと俺はいつもの席で阪中はハルヒの隣にイスを引き寄せて座っている。人が少なくなったので段々と声が大きくなってくる。
430花魁:2006/12/07(木) 13:17:41.10 ID:pTpFCObPO
支援
431VIP奴隷:2006/12/07(木) 13:17:58.81 ID:L/LsS2yK0
支援
432 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/07(木) 13:18:02.88 ID:2w9QFzoZ0
「じゃあキョン連れてって『コイツ私の彼氏なの〜彼氏いるからむりなのね〜』とか言わせて見ようかしら。」
「断じて断る。もっと普通なのはないのか?」

 恋愛経験に乏しい俺にはアドバイスができるはずが無く、ハルヒの言った案を通すか通さないか役人的な仕事に専念していた。
 ハルヒは非常に非現実的なアイディアばかりだすので俺は却下をくりかえした。阪中は自分の事なのに困った感じはなく、むしろ楽しげだった。
 俺は今さらだが阪中は何故ハルヒに相談したんだろうと考えた。坂中の話しぶり、と言うか聞きぶりはハルヒに相談している形を取ってハルヒの過去の恋愛の体験談を聞きだしている感じだった。
 不穏なことが起きなければいいのだが、と考えたが阪中なら平気だろうとスルーした。
 そういえばルソーの一件以来阪中はハルヒに懐いてる。俺としてはハルヒが学校に溶け込んでる証拠のような気がして少し嬉しく思ってたりもする。
 そんな事もあって俺はハルヒのためにも真剣に考えてやろうと思っていた。

「あーもう! 何で却下するのよ!」
「もう少し阪中の事を考えてやれ」
「これ以上はムリよ!!」

「じゃあ涼宮さんが言ってたようにキョンくん連れて行って恋人って言って見ようかななのね」
「こいつの言った意見ではそれが一番マトモなようだが、それは今後に関わるぞ?」

 そう、俺の事を恋人と言い切ってしまえば翌日から男子生徒から始まり、少なくともこのクラスと隣のクラスの大半に知られてしまうだろう。
 しかも、相手の男子生徒の事を考えると『あれは告白を断るため』とは言えない。

「わたしはいいのね。キョンくんがよければ」
 俺が今後の事を考えていると、
「やっぱりキョンくんはわたしじゃ嫌なのね」
 とか言われたので咄嗟に、
「嫌じゃあないし噂になるのはこいつのせいで不覚にもなれてしまっているんだ。」
 何て口走ってしまう俺はどれだけお調子者なんだろう。ハルヒに助けを求める視線を出すとハルヒは少し不機嫌そうな表情で言った。

「噂になるのは恋愛禁止を掲げているSOS団としては困る事態だわ! 故に却下ね!!」
「じゃあどうするのね」
433花魁:2006/12/07(木) 13:18:48.04 ID:pTpFCObPO
支援
434 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/07(木) 13:19:23.96 ID:2w9QFzoZ0

 阪中は困ったように言った。でも俺には多少楽しそうに見える。これだけ考えた挙句振り出しなのだから俺もハルヒもどうしようもなくなっている。
「なぁ、理由なんて言わないで『ごめんなさい』とかだけじゃあダメなのか?何か聞かれても『ごめんなさい』で通ると思うぞ?」

 恋愛経験ない俺が口出すのもどうかと思ったが素人の意見も取り入れた方がいいかも知れないと思った俺はそういった。
 以外にもこれはシンプルでいいと言う事になってその方針で話を進めていた。ハルヒも阪中も良く考えれば簡単なことなのに思いつかなかったのはきっと2人が生まれつき変わった人間だからだろう。

「じゃあキョンくんと涼宮さんにちょっと実演してほしいのね」


 まあ俺はそんな事を言われるとは思わなかったんで驚愕の表情をしていたと思うね。ハルヒほどじゃあないが。
 ハルヒは顔を真っ赤にして口をパクパクしている。お前は金魚か?

「いいわ、やりましょう!」
 何を言っているハルヒ! ここにはすでに阪中とハルヒしか居ないとはいえ恥ずかしすぎる!
「あたしはフラれるのは嫌いだからあんたフラれる役ね!」
 こうなったらハルヒはとまらない。ムダに逆らうと後が恐いし実演が困難になる。覚悟を決めるしかない。

「しょうがない。じゃあ言うぞ?」と俺は恥ずかしいので視線を落とす。
「ハルヒ、好きだ。付き合って欲しい」

 ああ、何でこんなに恥ずかしいんだろう。思ったより全然恥ずかしかったな。それより返事はまだなのか?
 視線を上げてハルヒを見ると顔を真っ赤にしている。俺は余計に恥ずかしくなってきた。
435花魁:2006/12/07(木) 13:20:30.06 ID:pTpFCObPO
支援
436VIP奴隷:2006/12/07(木) 13:20:55.23 ID:L/LsS2yK0
支援
437 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/07(木) 13:21:46.91 ID:2w9QFzoZ0
「涼宮さん、返事しないとダメなのね。返事が聞きたいのね」
 ハルヒはハッと我に返って、
「いいわ! 付き合いましょう!」
 とか言いやがった。俺が断らなければダメだろ、と言うと咄嗟にでちゃったなんて言い訳してる。

「涼宮さんにキョンくんをフるのはムリそうなのね。ウソでもフれないのね」
「そんなことないわよ! 中学時代にふった事ないから咄嗟に……」
 やめろハルヒ! ごまかしてると思われるぞ、と言おうとしたが言えなかった。阪中の言葉に遮られたからだ。

「じゃあ今度は涼宮さんがキョンくんに告白してみてほしいのね」

 ハルヒは俺の顔を見て、少し考えてから言った。
「いいわ! よく聞きなさいキョン! あたしはアンタが好きよ! 付き合いなさい!!」
 俺はハルヒの勢いに少し焦って思わず、『廊下に響くぞ、他の人に聞かれたらどうする!』と思って廊下の方に目をやると、廊下側に座っている阪中という女の子の期待に満ちた表情で我に返った。
 とりあえず任務を完了しなければ、と一呼吸置いた。そしてやはり視線を落として言った。

「すまんがハルヒ、俺はお前とは付き合えない」
「何でよ!」
「すまん…」
「団長命令よ!!」
「すまん…」
「あたしの事嫌いなの?」

438花魁:2006/12/07(木) 13:22:29.40 ID:pTpFCObPO
支援
439 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/07(木) 13:23:36.64 ID:2w9QFzoZ0
 俺は一瞬狼狽した。ハルヒの声が少し悲しそうで、演技には思えなく視線をあげた。そこには悲しい顔をしたハルヒがいた。だけど、阪中に目をやると未だに期待に満ちた表情をしていたのでハルヒは気にしないことにした。
「嫌いじゃあない。だけど、すまん。」
「じゃあ、なんでよ…」

 ハルヒの声は消え入りそうだった。見ればほんのり涙目だ。ハルヒの表情は呆然としている。なんだか演技とはいえ、心が痛んだ。
「もういいだろう阪中。こんな感じでいいのか? というよりはこんな感じでいいんじゃないか?」
「ありがとうなのね。でも、涼宮さんの悲しそうな顔を見てたら何だか断れる自信なくなったのね。だから明日の朝手紙で断る事にするのね」

 たしかに阪中の期待の表情が無ければ俺は断り切れなかっただろう。それほどハルヒの悲しそうな表情は切なげで、守ってやりたくなってしまった。
 未だに呆然としているハルヒに目をやった。俺は、もう演技は終わったんだぞ、と言った。
 
「涼宮さんはキョンくんに演技でもそんなこと言われて割り切ってるハズなのにショックだったのね。だから反対の事を言ってあげれば元にもどるのね」
 そういい残して阪中はさっさと帰ってしまった。俺は、最初から手紙にすればいいのにとか、こんな状態のハルヒをおいて返るなんて、とかいろいろ阪中の批判を思い浮かべたが阪中は本当に困ってたんだろうという結論に着いた。
 きっと阪中は手紙じゃあ失礼だと思ったのだろう。そして、今のハルヒには阪中はいないほうがいいと判断したんだろう。そう思うことにする。
440VIP奴隷:2006/12/07(木) 13:23:42.57 ID:L/LsS2yK0
私怨
441 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/07(木) 13:23:54.82 ID:2w9QFzoZ0


 それからハルヒは呆然として、俺はハルヒを置いていくわけにもいかずにハルヒの前の席に座ったまま過ごした。
 そうしてハルヒが回復するまで待とうと思ったが、夕日が落ちてきた頃にはとりあえず家まで送ってやろうと決心した。

「ハルヒ、かえるぞ」
 コクリとうなずき立ち上がるが、動こうとしない。俺はいつもと立場が逆だとは思いながらもハルヒの手を取って引っ張った。
 俺はハルヒに何て言えばいいんだろうとか、そういえば今日のSOS団はどうなってるんだろうとか考えながらハルヒの家の近くまで送った。長門並みの無言が続いた。
 ハルヒの家の近くまで来て、こんな状態でハルヒを家に帰していいのか考えた。頭の中で阪中のセリフが蘇る。

『涼宮さんはキョンくんに演技でもそんなこと言われて割り切ってるハズなのにショックだったのね。だから反対の事を言ってあげれば元にもどるのね』

 どうしたらいいのか分からなかったのでとりあえずハルヒの家の近くの公園に連れて行く。ベンチに座らせ、俺も隣に座る。とりあえずあれは演技であることを強調しようと思う。うまく言えるかな。

「ハルヒ、そろそろちゃんと目を覚ませ!」
 ハルヒは多少意識が回復したように見えた。今度はハルヒは悲しそうな表情を浮かべている。俺を見て、視線を落として、もう一度俺を見てから消えるような声で言った。
「キョンはわたしが嫌いなの?」
 
 俺は戸惑った。そんな事を言われるとは想像もしていなかった。あれは演技だから気にするな、と言おうとしていたのに言えなかった。
 いや、会話の流れを考えるなら十分普通のセリフだし、言わなければならないのだが何故か口にできない。

「ハルヒ、俺がハルヒの事の事を嫌いなわけがないじゃないか。いつも一緒にいて、そんな事もわからないのか?」
「でも、好きじゃないんでしょ? あたしはキョンにとってはその他大勢。あの球場の5万人の観衆と一緒。同じ場所にいるけど深く関わることはない。」

442花魁:2006/12/07(木) 13:24:18.37 ID:pTpFCObPO
支援
443 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/07(木) 13:25:01.99 ID:2w9QFzoZ0

 小学生の時の話か。どうしようか迷ってあることを決心した。告白だ。

「ハルヒ、一度しか言わないから良く聞け。俺はお前の事が好きなんだ。さっきの演技とは違って今度は俺の本心だ。」
「ウソよ!」
 ハルヒは急に叫んだ。
「だってあたしはあんたに好きって言われたときは演技だってわかってても断れなかった。そのときに気付いた。あたしはアンタが好きって。
 でもあんたはアッサリあたしをふったじゃない。気付いたのよ。キョンはあたしの事を好きではないって。本当に好きだったら言えないハズだって。」

 返す言葉もない。古泉なら何て言うだろう。いや、変な言葉でも俺は自分の言葉で言わなければいけないんだろうなと考えた。
「もう一度だけ言うぞ? 俺はハルヒが好きなんだ。」
 と言ってからさらに続けた。
「俺も心が痛んださ。でも、演技だってわかってたから堪えることができた。きっと俺はハルヒの事を好きだと自覚していた分だけ心の準備ができていたんだろう。
 でも、それでも心が痛んだ。ハルヒの気持ちも痛いほどわかる。ハルヒが俺の事をどれだけ好きかも伝わった。…
 
  …だからハルヒ、お前がそれだけ好きになった人の言う事を信じてくれないか?」

 ハルヒは無言でこっちを見た。でも何故だかさっきまでの焦燥感や不安感はなかった。気がつけばハルヒは俺の手を握っている。
「ありがと。キョンのいう事だから信じる。」
「そうかい。」

 俺はやっとの事でぎこちない微笑みをハルヒに向けた。そっとハルヒの両頬に手のひらを当て、ハルヒの顔に近づいて目をつぶり、キスをした。
 ゆっくりと、甘いキスをしながら両手をハルヒの背中において抱きしめた。
 そしてゆっくりとハルヒを放してから見たハルヒの顔は学校帰りの顔とは違って嬉しそうな表情をしていた。その中には安堵の表情も読み取れた。
「帰ろう。ハルヒと過ごす時間はいっぱいあるんだからゆっくり楽しんでいこう。」
 そういってハルヒを家の前まで送っていった。

444花魁:2006/12/07(木) 13:25:58.14 ID:pTpFCObPO
支援
445 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/07(木) 13:26:44.04 ID:2w9QFzoZ0

 翌日の朝になって阪中の事を思い出しうまくやったか気にもなったが俺にはハルヒの方が気になったので阪中には悪いが気にしない事にした。
 そして、教室でハルヒを確認して軽い挨拶をして、じゃあ、あらためて今日からよろしく伝えた。

 俺とハルヒの関係は誰にも言わない事にした。
 しかし言わなくても誰もが気付いている。
 そして、交際を始めてからもハルヒと俺はいつでもどこでも変わらない事に気付いた俺は、谷口とかの言う俺とハルヒの関係は昔から付き合っているようなものなんだなと気付いた。

 俺はあれから毎日部活の後にハルヒを送っていき、あの公園で話して、最後にキスをして帰るという日課が追加された。
 そのことに幸せを感じながら日々を送っていく。


 おわれ

446VIP奴隷:2006/12/07(木) 13:26:49.89 ID:L/LsS2yK0
紫煙
447 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/07(木) 13:27:44.71 ID:2w9QFzoZ0
駄文スマン

題名は一応、『演技だけど…』でいいやと思ってます。
448VIP奴隷:2006/12/07(木) 13:27:54.60 ID:L/LsS2yK0
>>445
乙!!
甘いっすねww
449花魁:2006/12/07(木) 13:27:54.81 ID:pTpFCObPO
甘ぁぁぁぁぁい!

GJ!

阪中さんのポジション良いね。
450 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/07(木) 13:29:54.78 ID:2w9QFzoZ0
お昼の過疎のひまつぶしになっていただければ幸いです。

次のキョンは誰とくっつけたらいいか意見を求む
451花魁:2006/12/07(木) 13:41:33.29 ID:pTpFCObPO
>>450

長門なんてどうだい?
最近、激甘なキョン×長門を見てない気がするからさ。
452VIP村人k:2006/12/07(木) 13:46:44.12 ID:2w9QFzoZ0
>>451
長門で行くお

今夜か明日の人がいない時間に投下します
453花魁:2006/12/07(木) 13:48:55.85 ID:pTpFCObPO
>>452
wktkして待っておくぜ!
454棒またぎ姫:2006/12/07(木) 14:19:23.74 ID:pTpFCObPO
保守
455VIP女神:2006/12/07(木) 14:54:28.79 ID:p2Vgmztd0
長門は楽しみだぜウヒ
456VIP下手人:2006/12/07(木) 15:25:50.90 ID:5POZmyIT0
保守
457VIP村人e:2006/12/07(木) 15:30:46.15 ID:s41nP5ry0
【ムレムレ】色情霊に憑依された妹が下着のままで【ムチムチ】
http://hobby7.2ch.net/test/read.cgi/occult/1164923393/l50

痴女祭り進行中!!
458VIP下手人:2006/12/07(木) 15:47:51.86 ID:oqDAIYniO
夜までまったりいきましょうや(´ー`)y―┛~


過疎
459VIP下手人:2006/12/07(木) 15:48:59.29 ID:5POZmyIT0
保守
460壷ふりお京:2006/12/07(木) 16:02:27.73 ID:q0rEn6f3O
保守
461:2006/12/07(木) 16:26:20.99 ID:5POZmyIT0
ほし
462VIP足軽orz:2006/12/07(木) 16:38:28.86 ID:G67uhmBi0
463:2006/12/07(木) 16:56:19.56 ID:5POZmyIT0
保守
464VIP足軽hentai:2006/12/07(木) 17:05:25.23 ID:Gg3hxCF50
保守
465VIP村人l:2006/12/07(木) 17:16:19.18 ID:oqDAIYniO
あげ★
466VIP足軽hentai:2006/12/07(木) 17:26:40.37 ID:/Z4BztifO
まったりんぐ

ハルヒがキョンの家のこたつでまったりしてるSSなんか読んでみたいなぁ……なんて拾いようの無いネタ振り
467花魁:2006/12/07(木) 17:34:04.06 ID:nvNLXDOmO
「キョン〜。せんべいとって〜」
「あ〜」
ガサガサ
「ほれ」
「ん、ありがと」ボリボリボリボリ
「なんかヒマね〜」ポケー
「ん〜。いいんじゃないか?たまにはこういうのも」
「まぁそうね」
「ハルヒ」
「なぁに?」
「好きだ」
「あたしも〜」
「そっか」
「そう」

「平和よね〜」
「だな〜」
468VIP足軽t:2006/12/07(木) 17:34:22.36 ID:kfwIr4yO0
469VIP足軽i:2006/12/07(木) 18:05:17.55 ID:/Z4BztifO
>>467
GJ!!
470棒またぎ姫:2006/12/07(木) 18:09:28.17 ID:5POZmyIT0
早速「冬企画」投下されてるね。

流石に投下用スレには書けないからここで。
GJ!
471VIP悪魔:2006/12/07(木) 18:25:58.49 ID:7AGclP3S0
エロ注意ぐらい書いてくれwww
親の前で亜qwせdrftgyふじこlp;@
472VIP足軽wwwww:2006/12/07(木) 18:34:21.91 ID:Z2bDkca10
>>471
ギコナビだから縮小版で分かって押さずにすんだ。
正直危なかったwwww
473VIP足軽i:2006/12/07(木) 18:54:46.78 ID:/Z4BztifO
ほぉ
474棒またぎ姫:2006/12/07(木) 18:54:49.13 ID:5POZmyIT0
janeな俺は・・・微妙だったな・・・
475棒またぎ姫:2006/12/07(木) 18:55:43.80 ID:zlz7JOq0O
保守
476VIP乙女:2006/12/07(木) 19:12:23.59 ID:pTpFCObPO
保守
477内藤ホライゾン:2006/12/07(木) 19:27:33.50 ID:q0rEn6f3O
マターリ
478牛のふん:2006/12/07(木) 19:42:48.92 ID:aGx2unSK0
毎日が 刺激的
479だんご屋のはる:2006/12/07(木) 19:57:17.59 ID:5POZmyIT0
保守
480棒またぎ姫:2006/12/07(木) 19:57:44.54 ID:M2vvcuGFO
八時から投下いくよ!
481VIP足軽の子:2006/12/07(木) 19:57:53.80 ID:Z2bDkca10
とりあえずこたつねたで一個かいたんだけど誰かいる?
482VIP足軽の子:2006/12/07(木) 19:58:22.26 ID:Z2bDkca10
>>480
じゃああとにするわ
483棒またぎ姫:2006/12/07(木) 19:59:54.93 ID:M2vvcuGFO
>>482
ごめんよ!タッチの差だったな…

484HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:06:18.06 ID:M2vvcuGFO
誰も居ないか…
まあ、投下しとけば誰か読んでくれるかな…
30レス程お借りしますよ…
485HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:06:46.56 ID:M2vvcuGFO
━━━━「ハルヒ〜お疲れ様〜!」

車に乗り込んだアタシに、サイドウインドゥの向こうからミズキさんが声を掛ける。
アタシは慌てながらそれを開けると「お先に〜!また明日ね!」と手を振った。

ミズキさんに誘われて、この仕事を初めてから半年になる。
まだまだ手探りな毎日だけど…ミズキさんは「流石、ハルヒね!」と、アタシの仕事を喜んでくれる。
それなりに充実した毎日…

そして、今日もアタシは愛しの旦那様の元へと帰り道を急ぐのだ━━━━━━━━━━


【HOME…SWEET HOME】

『第1話・携帯ばっかいじってんじゃないわよ!』


486VIP足軽MS:2006/12/07(木) 20:07:21.29 ID:Z2bDkca10
支援
487HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:07:24.02 ID:M2vvcuGFO
オフィスの駐車場から大通りに出るには、幅の広い歩道を跨がなければならない。
アタシは途切れない人の流れに舌打ちをしながら、カーラジオのスイッチを捻った。

…━━五時になりました!
皆さん今晩は、DJサブローです!
本日も始まりました、アフター5クルージング!
今夜も最新のニュースと情報を、皆様からのリクエストと共にお届けしましょう!
リクエストとメッセージの宛先はAFTER@K…
…それでは、今日最初のナンバー、ハリー・コニックJrでウィーアー・イン・ラブ…━━…

ああ…キョンの好きな曲だ…

ラジオから偶然流れた耳馴染みのある曲に、思わず心が和む。
そして、それと同時に「慌てないで、ゆっくり帰って来いよ」と口煩く言うキョンの顔を思い出した。

まあ、のんびり帰ろうか…

やがて、少しだけ人の流れが途切れた事に気が付いたアタシは、タイミングを合わせながらゆっくりと歩道を跨ぐと、大通りへと走り出した。


オフィスから自宅までは車で三十分、まずまずの通勤距離。
家はありきたりな3DKのアパートだけど、二人で暮らすには広すぎるくらい。
そして…大体、いつも部屋に先に帰るのはキョンね。
それから、少し遅れてアタシが帰る。

一人暮らしの頃の様に、暗い部屋に向かって一人で「ただいま」を言うより断然良い筈なんだけど…
488HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:07:54.54 ID:M2vvcuGFO
最近のキョンは、これに関しては全然ダメ。ほら、こうやって玄関を開けるでしょ?
それから「ただいま…」って言っても…
背を向けたままリビングから「おー」とか「あー」とか言うだけ。
それで、何をやってるのかな?って覗いてみると…
携帯の画面と夢中で「にらめっこ」してる。
しかも、ここんとこ毎日。
とりあえず「おかえりなさいくらい言いなさいよっ!」と一発怒鳴り飛ばしてやるんだけど、バカキョンの奴ときたら「ああ…ごめん」とマヌケ面で答えるだけ。
これにはなんだか拍子抜けして、それ以上何も言えなくなっちゃう。
もう、こんな日が三日続いてるのよ。
まったく、欝だわね…

まあ…それでもその後は、普通に夕食を一緒に食べてから一緒にテレビを見て、一緒にお風…

ち…違うっ!入ってないっ!誤解よっ!

と・に・か・く!
そんな感じに普通に過ごしてくれるから、良いんだけどさ?
ただ…携帯の一件はやっぱり気になるわね。

489VIP盗賊:2006/12/07(木) 20:08:17.70 ID:l0VEDHmB0
支援
490HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:08:20.04 ID:M2vvcuGFO
━━次の日━━

いつもの朝が来て、アタシ達は普段通りにそれぞれの職場へ向かった。
結局、今日も携帯の事は訊きそびれたまま…だ。
気にはなっているものの、いざ会社に着いて仕事を始めると全神経を集中させるからか、すっかり仕事以外の余計な事は頭から消える…

…あ!ちなみにアタシの仕事は『カラオケ屋さん』ね!
『カラオケ屋さん』って言ったって、カウンターで「いらっしゃいませ〜」ってやるヤツじゃないわよ?
『カラオケ』を作る仕事!
カラオケにする曲の原曲を徹底的に聴いて、パートごとに音符を耳で拾ってパソコンに入力していく…
一見、地味な作業だけどゲーム感覚で結構楽しい。
それに、この仕事は「絶対音感」っていう特殊な感性の持ち主ではないと出来ないんだって。
いまいち実感が湧かないけど、アタシにはそれがあるらしい。
ちなみに、アタシをこの仕事に誘ってくれたミズキさんは、アタシが高校の文化祭でミズキさんの居たバンドの手伝いをした時から『それ』に気付いていたって言うんだけどね。
491荒巻スカルチノフ:2006/12/07(木) 20:08:40.05 ID:q0rEn6f3O
みてるよ支援
492VIP村人P:2006/12/07(木) 20:08:57.19 ID:Qki/hx5L0
支援
493VIP盗賊:2006/12/07(木) 20:09:48.34 ID:l0VEDHmB0
支援部隊
494VIP村人P:2006/12/07(木) 20:10:33.28 ID:Qki/hx5L0
支援
495籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:10:52.09 ID:5POZmyIT0
支援
496HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:11:46.26 ID:M2vvcuGFO
そうそう、そのミズキさんの事だけど…
ミズキさんはアタシの高校の先輩で、このオフィスの経営者だったりする。
1年前にそれまで働いていた大手のカラオケ配信会社を辞めて、この会社を始めた。
つまり、独立第1号の社員がアタシってわけ!
半年前に突然「私と仕事しない?」って電話がかかって来た時には、正直驚いたけどね。
まあ「経営者」とは言っても、高校の先輩な訳だし気兼なくやらせて…………
「ん?ハルヒ、どうしたの?」
「あ、いや!なんでもないっ!」
…目の前に居る相手の事を考えている時に、その相手にいきなり話しかけられると物凄く気まずいのは何故かしら。
とりあえず、不自然に会話を終らせるのは嫌だから、時計を見る素振りをしながら次の言葉を考える。
時計は…十一時を少し回ったところ…か。

「ねえ…もうお昼なのね?」
「ん?ああ…そうね。これを片付けたら、お昼にしようか?」
「賛成っ!」

細かい決まり事の無い二人だけの職場は、いつもこんな感じで一日が過ぎてゆく。
元請けの営業さんに見られたら「マジメにやれ!」と怒られそうな気もしないでもないけど、
アタシはこんな気楽な感じが好きなんだよね…。



497籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:12:16.64 ID:5POZmyIT0
支援
498VIP足軽ktkr:2006/12/07(木) 20:12:34.13 ID:Gg3hxCF50
支援
499HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:12:39.33 ID:M2vvcuGFO
お昼前に仕事を一段落させたアタシ達は、ミズキさんの「たまには外で食べようか」の一言で、近所のファミレスへと向かった。
いつものコンビニ弁当と、昼時ならではの「レジ前行列」には丁度飽々してたから、ミズキさんの提案は大歓迎だ。
昼時の少し前ということもあってか店内は思った以上に空いていて、アタシ達は店に入るとすぐに席に案内された。
席に着くと、向き直ったミズキさんが案内してくれた女の子に「日替わり2つね」と声をかける。
そしてそのままの姿勢で、ポーチの中から封筒を取り出すとアタシに差し出した。

「はいこれ、今月のお給料ね」
「あれ?給料日って、明後日じゃ…」
「いいのよ!明日は彼との記念日なんでしょ?先立つモノがなけりゃ、贅沢も出来ないわよ?」

そうだ、明日でキョンとアタシが暮らし始めてから丸二年…
つまり「二回目」の記念日なんだよね…
しかし…何かの話のついでに喋った二人の記念日の事を、ミズキさんは良く覚えていたもんだわ…
少し驚きつつも感動しながら「ありがとう」と言うアタシに、ミズキさんは照れたように笑いながら話を続ける。

「えへへっ…とはいいつつも、中身は『相変わらず』なんだけどね…」
「ううん!まだ立ち上げたばかりの会社だし、仕方ないわよ!それに仕事も楽しいし…ミズキさんはこうやって色々気をつかってくれるし…これ以上贅沢を言ったらバチがあたるわよっ!」
「そう言ってもらえると救われるわね。でも、もう少しなんとかしなくちゃ……実際、我が家も結構キツイのよ。
ほら!来年はウチの子供、小学校に上がるでしょ?
もう、机やらランドセルやら…揃えなきゃいけないものばっかり!もう少し業績あげてかないとヤバイわ…」

500籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:13:00.36 ID:5POZmyIT0
支援
501HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:13:18.71 ID:M2vvcuGFO
いつも感じる事だけど、ミズキさんは子供の話をする時は、決まって眉をしかめる。
でも口元は優しく…幸せそうに笑ってるんだ。
それを見て、度々アタシも「そろそろ子供を作らなきゃ…」と思うんだけど、中々踏み切れないでいる。
今は仕事に全力を尽したいしね。
だから今のミズキさんは大変そうだけど、チョッピリ羨ましい。

「それに比べると、ハルヒのトコは彼と二人でしょ?羨ましいわね」
「でぇっ?何が!?」
「だって、まだまだ恋人気分で居られるじゃない?」
「………恋人気分、か」

そう言われてアタシは、最近のキョンの様子を少し思い出した。
そして「おかえりなさい」も言ってくれないダメな旦那を相手に何が恋人気分だか…と思わず溜め息をついていまう。
そんなアタシの様子に気が付いたのだろうか、「何?なんかあった?」とミズキさんが心配そうな顔をした。

502籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:13:38.26 ID:5POZmyIT0
支援
503VIP足軽MS:2006/12/07(木) 20:13:45.30 ID:Z2bDkca10
しえん
504VIP盗賊:2006/12/07(木) 20:13:50.50 ID:l0VEDHmB0
支援
505VIP足軽ktkr:2006/12/07(木) 20:14:36.19 ID:Gg3hxCF50
しえn
506荒巻スカルチノフ:2006/12/07(木) 20:15:03.58 ID:q0rEn6f3O
支援
507HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:16:16.73 ID:M2vvcuGFO
「うん…最近ね、なんだか夢中で携帯をいじっててさ?様子が変なんだよね…」
「携帯?」
「そう。昨日も、アタシより先に家に帰っててさ?携帯握って、なんかやってるのよ。『ただいま』って言ってもウワの空だし…」
「なるほどねぇ」
「あ、でもね?べつにその後は普通なのよ?だからつい『何やってたの?』って言いそびれちゃう…」
「うーん…なるほど…」

ミズキさんは、しばらく腕を組んで考えて見せると、何か閃いた様な顔をして再び喋りだした。

「それは…『恋スピ』にハマった危険性があるわね!」
「何?それ…」
「恋愛スピリッツって…ほら、出会い系サイトよ!最近流行りの…」
「ちょっと待ってよ!出会い系なんて、アタシ達が高校か大学の頃の話じゃない?」
「それがね、最近また流行ってるんだって!
この前なんかさ、友達が旦那がそれやってるの見付けちゃってさ?」
「それで…どうしたの?」
「いや、あのね?正確に言うと、怪しい感じがしたから旦那が風呂に入っている隙にチェックしたんだって!
そしたら案の定…って感じでさ?
頭にきて、そのまま生ゴミと一緒に携帯を棄ててやった!って…」

この際その友達の気持ちを尊重して、敢えて「ゴミの分別」については突っ込まないでおこうっと…。
しかし、出会い系とはね…。
キョンに限って、そんな事は無いと思うんだけどな。
508籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:16:40.67 ID:5POZmyIT0
支援
509VIP足軽MS:2006/12/07(木) 20:16:56.00 ID:Z2bDkca10
しへん
510HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:17:10.12 ID:M2vvcuGFO
大体、キョンは一行以上の文章は苦手な筈だし。
アタシ以外の誰かと、メールとかその類でコミュニケーションをとれるとは到底思えない。

「うーん…、キョンに限ってそれは…」
「まあまあ、とりあえず携帯をいじってる時の旦那の様子を、冷静に観察してみたらどう?」
「………うん、そうねえ」

やがて『日替わり』が手元に届くと、ミズキさんの感心はそっちに向いてしまい、話は一旦終わった。
アタシも一緒になって割り箸を割りながら、少しだけキョンの事を思い出す。

ウチのキョンに限って…ねえ…


511VIP盗賊:2006/12/07(木) 20:17:21.45 ID:l0VEDHmB0
エックス支援
512籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:17:22.71 ID:5POZmyIT0
支援
513一生足軽:2006/12/07(木) 20:18:14.45 ID:RCHwil1o0
支援
514籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:19:02.77 ID:AJrVqtpiO
支援
515籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:19:22.52 ID:AJrVqtpiO
支援支援
516籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:20:05.37 ID:zlz7JOq0O
あげ支援
517籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:20:13.24 ID:AJrVqtpiO
支援支援支援
518VIP皇帝:2006/12/07(木) 20:21:30.79 ID:AJrVqtpiO
支援?
519HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:21:37.78 ID:M2vvcuGFO
仕事を終えて家に帰ると、やっぱりキョンは携帯をいじっていた。

思わず「もうっ!毎日毎日何やってんのよっ!」と口から出そうになるけど…
ここはひとつ、ミズキさんの言う通りに冷静に観察してみる事にする。

とりあえず、リビングの入り口から覗いてみるか…

アタシはテレビで観たことのある探偵の様に、壁に体を半分隠して腰を少し曲げながらリビングを覗きこんだ。
画面の内容までは見えないけど…キョンの指が動く様子と表情は丸見えだもんねっ!


━━それから三十分後━━


疲れた…この姿勢で覗き続ける事に物凄く疲れたっ!
キョンの奴、なんで同じ姿勢のままで三十分近くも居られるのかしらっ!
しかも、表情も同じままで……って…あれ?

…今、キョンが照れたように笑った…
しかも…頬が少し赤い…

なによ…
微笑んだ理由は!?
相手は誰!?

…とうとうアタシの中で何かが弾けた!
フルスピードでキョンに詰め寄って、胸ぐらを掴み上げる!
そして、おもいっきり睨みつけながら「なにやってんのよっ!」と怒鳴り飛ばした!

520HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:22:03.75 ID:M2vvcuGFO
「うぉっ!?ハ…ハルヒ?どうした?」
「どうした…っじゃないわよっ!何やってんのか訊いてるのっ!」
「べ…別に…ただメールを…」
「相手は誰っ?」
「ハア?相手?」
「そうよっ!ニヤニヤニヤニヤしちゃってさ!馬鹿みたいっ!まあ大方、今流行りの出会い系でしょうけどっ?」
「お…おいっ!俺はそんなのやらん!」
「トボケたって無駄よっ!アンタの悪巧みはエブリシングお見通しなんだからねっ!」
「誤解だ!ハルヒ、いい加減にしろ!」
「だったら説明しなさいよっ!ここんとこ毎日毎日そんな事ばかりやってて!………携帯ばっかいじってるんじゃないわよっ!」

言ってやった…
ついに言ってやった…
思わず大爆発したアタシにキョンが驚いている。
でも…肝心の『携帯で何をやってたか』についての言い訳はしてくれない。
ただ黙っているだけ…

何か、くだらない言い訳でもいいからしてほしい。
それとも…
本当にミズキさんの言ってた通りなの?


521籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:22:05.65 ID:5POZmyIT0
支援
522HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:22:28.07 ID:M2vvcuGFO
気まずい沈黙に耐えられなくなって「何とか言いなさいよ…」と思わず呟く。
すると…キョンは少し思いつめた顔をしながら「明日まで待ってくれ…」と申し訳なさそうに口を開いた。

明日…

そうだ、明日は二人の記念日だったっけ。
なのに、アタシったらこんなに派手に『やらかし』ちゃった…

アタシはキョンの言葉に返事もせず、ソファーに横になって背を向けた。
多分、物凄く不機嫌そうに見えるだろうけど…心の中は自己嫌悪でいっぱいだ…

キョンは暫く黙って立っていた様だけど「…今日の夕食当番は俺だったよな」と言い残してキッチンへと足音を向けた。

完璧に…言い過ぎだったわね。
たいした証拠も無いのにさ…
でも、なんで『明日』なのかしら…



523籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:22:49.26 ID:5POZmyIT0
しえn
524VIP盗賊:2006/12/07(木) 20:22:55.49 ID:l0VEDHmB0
Xファイル課による支援
525HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:22:59.69 ID:M2vvcuGFO
━━また次の日━━

迂濶だった。
いつも通りに支度をして、オフィスに向かう途中で気が付いた。
今日はミズキさんが気を効かせて、休みにしてくれてたんだっけ…

仕方なくコンビニの駐車場でUターンをして、家に帰る事にする。そして家に帰ると、アタシはテレビのスイッチを入れて…そのままボンヤリと暇を潰す事にした。

だいたい…別に休みを貰ったところでキョンは普通に仕事だし、このままじゃ『記念日のお出掛け』は無理そうだし…
退屈なだけなのよね…
いや、退屈と言うよりはむしろ昨日の今日で、独りきりのこの時間は辛いかも…
嫌だなぁ…もう…


憂鬱な気分とは裏腹に、窓から見上げた空は青く晴れわたっている。
アタシはソファーに横になると、無理矢理目を閉じた。
そしてそのまま…ただ時間が過ぎるのを待った。



526VIP足軽c:2006/12/07(木) 20:23:12.92 ID:47s2tmn60
エブリシングwwトリックwww支援
527籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:23:15.64 ID:5POZmyIT0
支援
528籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:24:31.65 ID:AJrVqtpiO
支援!
529愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 20:25:00.15 ID:OVUMfmj/0
>>526
なんか聞いたフレーズだと思ったらそれだwwwwwwwwwww支援
530VIP足軽a:2006/12/07(木) 20:26:01.87 ID:MgIZGMjr0
>>484
おお、昨日の佐野は面白かったのう支援
531HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:26:30.87 ID:M2vvcuGFO
気が付くと、すっかり窓の外は青からオレンジ色に変わっていた。

とりあえず起きなくちゃ…

アタシは体を起こそうと、背もたれに肘をかける。
その時、玄関のドアがガチャリと開く音が聞こえた。

「おーい、ハルヒー!居るのかー?」

キョンがアタシを呼びながらこっちに来る。
アタシは大急ぎで不機嫌な顔をしてみようとしたけど…間に合わなくてやめた。

「あ、やっぱり居たんだ…。どうした、体調が悪いのか?」
「ううん…今日、記念日で休みを貰ってあったのを忘れてたのよ。
途中まで会社に行きかけてから気が付いたの。バカね…アタシ…」
「…そうか…じゃあ、出掛けようぜ?」
「え…?」
「だって…記念日だし…」
「ああ…うん…」
532籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:26:56.11 ID:5POZmyIT0
しえn
533HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:27:01.65 ID:M2vvcuGFO
「じゃあ、駐車場から車をとってくるから…支度して待っててな?」

そう言うとキョンは、慌ただしく玄関の外へと出ていった。

「仕方がないから、一緒に出掛けてあげるわよ…」

とりあえず、誰も居なくなった玄関に向かって呟いてみる。
そして、髪を整えようと覘きこんだ鏡の中のアタシは悔しいくらいに…笑顔だった。



支度を終えて玄関から出ていくと、キョンはもう車に乗って待っていてくれていた。
慌てて助手席に乗り込むと、不意にいつものラジオが聴こえてくる。

━━…五時になりました!
皆さん今晩は、DJサブローです!
本日も始まりました、アフター5クルージング!
今夜も最新のニュースと情報を、皆様からのリクエストと共にお届け……━━━

ああ、もう五時か。
今日一日…なんだか無駄に過ごしちゃったな…

思わず溜め息をついたアタシに、キョンが「どうした?」と首を傾げる。
534籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:27:25.18 ID:5POZmyIT0
支援
535HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:27:32.01 ID:M2vvcuGFO
アタシは何と無く気分を変えたくなって、CDの入った箱を後ろから取り出してキョンに差し出した。

「ねえ、せっかくだからさ!何か聴きながら行く?」
「いや…ラジオでいい」
「あれ?キョンも、この番組知ってるの?」
「ああ。ハルヒがよく、このラジオの事を話してるから…」
「そう…」
「あ…そうだ!メールが紹介されるのはいつだ?」
「うーん、ニュースが終わってからだから…もうすぐね」
「えっ!もうすぐ…なのかっ?」
「うん、もうすぐ…どうしたの?」

キョンが珍しく額に汗をかきながら動揺している。
アタシはサッパリ訳が解らないまま、とりあえずラジオのボリュームを上げた。

━━…それでは、皆さんから頂いたメッセージを紹介しましょうね?
まずは西区にお住まいのラジオネーム・ミルクプリンさんからのメッセージ……━━━

「ほらキョン、始まったよ?」
「う…ああ」
「どうしたの?」
「うん…まあ、聴かないか?」
「え?ええ…」

その後も、何人かのリスナーのメッセージがラジオから流れたけど…
その間、キョンはずっとこんな感じだった。
そして、メッセージのコーナーが終わると同時に深く溜め息をついて、何か決心したようにアタシに語りかけてきた。

536VIP盗賊:2006/12/07(木) 20:27:46.59 ID:l0VEDHmB0
支援
537籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:27:49.02 ID:5POZmyIT0
支援
538HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:28:11.39 ID:M2vvcuGFO
「実はなハルヒ…昨日の携帯の事なんだが…」

━━……あっ!まだ時間が有るようなので、もうひとつメッセージを紹介しましょう!ラジオネームは…ハルヒの旦那様…でいいのかな?…━━━━

ラジオから流れてきた声に、キョンが固まった。
アタシも…開いた口が塞がらない…


━━━じゃあ読みますね…『今晩は!サブローさん、初めてメールします。
今日は、いつも仕事の帰りにこのラジオを聴いている妻にメッセージとリクエストをお願いしたくてメールしました。
『今年で俺達が知り合って十年、そして今日で暮らし始めて二年だな。
いろいろあったけど、俺はハルヒと一緒で本当に幸せだ。
これからもよろしく。』
リクエストはバネッサパラディの『あなたが居る限り』をお願いします。…━━━



539籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:28:32.45 ID:5POZmyIT0
支援
540一生足軽:2006/12/07(木) 20:29:46.85 ID:RCHwil1o0
ニヤニヤ支援
541VIP村人x:2006/12/07(木) 20:31:06.86 ID:e1Z8J/mu0
支援
542籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:31:28.28 ID:zlz7JOq0O
支援
543VIP盗賊:2006/12/07(木) 20:31:42.71 ID:l0VEDHmB0
支援
544HOME…SWEET HOME ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:31:44.09 ID:M2vvcuGFO
「ねえ…キョン?まさかアンタ…ここ何日かの間ずっと携帯で『コレ』を書いてたの…?」
「う……うん」
「ぷっ…あははははははははははっ!」
「わ…笑わなくたって良いだろ!ちょっと…良いかな…と思ったんだが…」
「あははははははははははっ!うんうん良い良い!」

アタシは、真っ赤な顔でむくれるキョンを見ながら、キョンがここ何日間か一生懸命に携帯をいじっていた事を思い出す。
そして…昨日、携帯を見ながらキョンが見せた表情にも納得した。

もう、おかしくて…笑い過ぎて涙が出てきた…

涙が…止まらない………



キョンは少し困った顔をしながら、前を向いてハンドルを握っている。
アタシは涙を拭くと、「ありがとう」と「昨日はごめんね」の代わりに、キョンの肩に少しオデコを当ててみた。

そして少しだけ思う。
後で…お腹いっぱい御馳走を食べた後で…
アタシは直接言ってやろう…

「アタシもキョンと一緒で本当に幸せだ」って…


おしまい
545一生足軽:2006/12/07(木) 20:31:53.92 ID:RCHwil1o0
サルったか?支援
546籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:32:01.12 ID:5POZmyIT0
支援
547籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:32:56.99 ID:5POZmyIT0
GJ!
初回から甘いっすw
548一生足軽:2006/12/07(木) 20:33:41.34 ID:RCHwil1o0
うへー甘めえ甘めえ
GJGJ!!!

いいなぁ、こういうしゃれたこと嫁にしてみたいぜ
549籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:33:54.32 ID:zlz7JOq0O
乙GJ!
550 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/07(木) 20:34:02.74 ID:l0VEDHmB0
GJ!
実生活感がこもっていていい感じです!
続きwktk。
551VIP女神:2006/12/07(木) 20:36:18.92 ID:7AGclP3S0
やべぇwwwwメールを打つキョンを想像して萌えたwwwww
甘すぎGJwwwwwwwwwwwwww
552一生足軽:2006/12/07(木) 20:37:17.23 ID:RCHwil1o0
予告を読んだとき中の人が携帯でSS書いてて嫁に怒られた実話が
元になるのかと思っていたがちょっと安心したぜっwww
553籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:37:24.03 ID:AJrVqtpiO
甘ーいwwwwwww
GJですよ!
554家甘家@作者 ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:39:22.41 ID:M2vvcuGFO
ああっ!みんな見ててくれた!
しかも、支援ありがとうございました!
できそうなら五分後に予告やりますね!
555VIP将軍:2006/12/07(木) 20:44:50.51 ID:Kr0Rm1//0
いい甘さだwwwGJww
556X-FILE課@作者 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/07(木) 20:50:56.79 ID:l0VEDHmB0
私のほうの次回作は「Missing Ring -失われる7日間-」の予定。
オリジナル作品だからどうなることやら・・・
ちなみに、現在は話全体のプロット作成し終わった段階。
うまくいけば近日中に第一話をお送りできる・・・かな。
と、自分を追い詰めておくw
557予告 ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:51:17.96 ID:M2vvcuGFO
「なあ、ハルヒ…そろそろ俺も車で通勤したいんだが…
自転車じゃ、最近寒くて…」
「なに言ってんのよ!自転車屋が自転車乗ってかなくてどうすんのよ?」
「ちょっと待て!確かに『自転車屋』ではあるが、俺はメーカーの人間だっ!
それにハルヒが考えてるより毎日大変なんだぞ?
谷口のせいで、職場でまで『キョン君』て呼ばれるし…セクシー課長だって…」
「…ちょっと待ちなさい?『セクシー課長』って何!?」
「あ…いや…なんでもない……」
「こらっ!白状しろっ、この馬鹿旦那っ!」

次回・HOME…SWEET HOME第2話

『なんでもアタシに言わなきゃだめじゃない!』

お楽しみ に?
558 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/07(木) 20:53:21.19 ID:l0VEDHmB0
>>557
セクシー課長・・・楽しみだwww
期待してまっす。
559 ◆2xLpx6qEVE :2006/12/07(木) 20:54:31.36 ID:M2vvcuGFO
>>556
乙です!昨日終わっちゃったんですね…
今朝まで気が付かなくてすいません。

次回作にwktk!
560 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/07(木) 20:57:03.09 ID:l0VEDHmB0
>>559
いえいえ。無計画なわたしが悪いのでw
家甘家さんの今後の展開にwktk。
561籠屋の銀二:2006/12/07(木) 20:58:21.86 ID:5POZmyIT0
双方wktkなんだぜ?
562高校の女教師:2006/12/07(木) 21:03:28.46 ID:C8EDnzdzO
ちょwwwコーヒーの人wwwww

予告で想像してた俺ん家のツンデレ女房との日常と全然違うwwwww
だが、それがいい!
GJ!
563油売りの左暮:2006/12/07(木) 21:09:15.90 ID:zlz7JOq0O
良作後で非常に申し訳ないが、支援いらずの短編だが投下していいかな?
564VIP奴隷:2006/12/07(木) 21:11:51.34 ID:l0VEDHmB0
グリーンダヨ
565傷つけあい仲直り ◆mtod1dSyOc :2006/12/07(木) 21:13:49.62 ID:zlz7JOq0O
じゃあ投下します。
ま、駄作ですがよければ読んでください。


「どーせあたしの事なんて彼女として扱ってくれないのよね! もうほっといて!」
 しまった、まただ……。またハルヒを怒らせてしまった。
 すまん、悪かった。だからちょっと待ってくれ!
「うるさい! やだ、来るなっ!」
 ちょっと待て! ちゃんと謝らせてくれ!
 俺はハルヒの腕を掴んだ。後になって思えばこの判断が間違っていたのかもな。
「触るなっ! 近寄るなっ! どっか行け、バカキョン!」
 腕を振り払われた瞬間、俺は階段を踏み外し、五段ほどそのまま落ちていった。
 くっ……痛ぇ……。
「あ……? ご、ごめん……キョン……大丈夫?」
 倒れた拍子に頭を打ったのか、近付いてくるハルヒの顔が霞んで見える。
 俺はハルヒに心配をかけまいと笑顔で口を開いた。
「ははは……罰が当たったな。 自業自得って奴だ」
 そこまでは覚えている。俺はそう伝えた後、気を失ったのか、目を覚ました時には保健室にいた。
 腹の辺りに重さを感じる。少しだけ頭を起こして見てみると、ハルヒが机に突っ伏して寝る時のように、俺の腹に乗っていた。
 ……重いぞ、ハルヒ。
 その言葉に反応して勢いよく起き上がった俺の彼女は、目を赤く腫らしていた。
「キョン……うぅ……ごめん……」
 珍しいことに、俺の目の前でハルヒは涙を流していた。そんなに俺を傷つけたことに罪悪感を感じているのか?
 ハルヒの頭を撫でつつ、俺は言葉を発した。
 どうしたんだ、ハルヒ。そんなに泣くなんてお前らしくないぞ。俺は無事だから……な?
 しかし、泣いていた理由はまったく俺が考えていた物とは違っていた。
「ひっく……キョン、別れよう? ……ごめん!」
566籠屋の銀二:2006/12/07(木) 21:14:33.45 ID:M2vvcuGFO
支援します!
567VIP奴隷:2006/12/07(木) 21:15:01.86 ID:l0VEDHmB0
第二支援部隊
568傷つけあい仲直り ◆mtod1dSyOc :2006/12/07(木) 21:15:52.69 ID:zlz7JOq0O
 ハルヒはそう言った瞬間、保健室から駆け出して行った。もちろん、俺は唖然としている。
 だってそうだろう? 目が醒めたらハルヒが泣いてて、そうかと思ったら『別れよう』なんてどんな状況だ。
 それに、驚きと同時にかなりのショックも受けている。
ずっと好きだった彼女に、理由も言われずに、一方的にフラれた。そのことに、俺は酷く傷ついた。
 何故、あと数分早く行動を始めなかった? そうすれば遅刻することもなく、ハルヒを怒らせることもなかったのに……。
 ただ、頭の中に残った疑問。
『あいつは本当に遅刻が原因で別れるなんて言ったのか?』
 少なくとも、しばらく付き合ってきて、それくらいで別れを切り出されるような関係じゃないことは自負している。
 じゃあ、何が原因だ? ハルヒが布団を濡らした涙に、どんな意味が込められていたんだ?
 痛みに疼く頭を押さえながら、帰路についた。
 そこからは、飯を食う時も風呂に入っている時も、ハルヒの気持ちを考えていた。
 しかし、どうして別れを伝えられたのか。どうして涙を流したのか、一切わからなかった。
 このままでは、埒があかなうと思い、携帯を手に取りハルヒに電話をかけた。
《おかけになった電話は……》
 ……電源切ってるのか。しょうがない、明日は朝早めに学校に行って話をしよう。


 いつもより早い時間に教室に入っても、ハルヒはいなかった。
 それどころか、HRが始まってもハルヒは姿を現さない。
 いったい何が……と思っていると、岡部が俺を呼び出した。
「なぁ、キョンよ。涼宮に何があったんだ? あいつ、『しばらく学校に来ないかも』なんて連絡があったんだが……」
569籠屋の銀二:2006/12/07(木) 21:15:59.53 ID:M2vvcuGFO
ハルヒ…


支援っ!
570傷つけあい仲直り ◆mtod1dSyOc :2006/12/07(木) 21:16:24.65 ID:zlz7JOq0O
 ハルヒがそんなことを? いったい何が起こってんだよ。
 先生、俺早退します!
 そう伝えると、鞄も持たずに走り出した。
 どこにだって? 決まってる、ハルヒの許にだ。
 ひたすら走り続け、途中で自転車を回収した後はひたすら漕ぎ続けた。
 俺にはわかる。ハルヒは今でも昨日のように元気を無くした顔で、部屋で一人で佇んでいるはずだ。
 そして、それを助けられるのが俺だけだってこともな。自惚れなんかじゃない。あいつの気持ちを理解するのは俺以外にいないんだ。
 家の前、道路の脇に自転車を乱暴に止めてインターホンを鳴らした。
『はい……』
 元気のないハルヒの声が響いてくる。
 俺だ、開けてくれ、ハルヒ。
『……………………』
 しばらくの沈黙の後、ゆっくりとドアが開いた。 ハルヒはパジャマのまま俺を迎え、中に入るように促してきた。
 ちなみにハルヒの部屋に入るのはこれで三回目だ。


「なんで来たのよ……」
 いきなり俺に投げ掛けられる冷たい言葉。一昨日までとは完全に人が変わっていた。
 彼氏だからだ。お前のことが好きで好きでたまらなくて、心配だったからだ。
571傷つけあい仲直り ◆mtod1dSyOc :2006/12/07(木) 21:18:12.18 ID:zlz7JOq0O
 よくこうも恥ずかしい台詞がベラベラと出るもんだ。本気で好きになったら何でも有りなんだな。
「昨日別れるって言ったじゃない!」
 それはお前が一方的に伝えただけだ。理由を聞かないと俺は納得しないし別れる気もない。
「もうあたしに構わないで!」
 そう言ってハルヒの右腕から放たれた枕。俺はあえて避けずに顔で受け止めた。
 ……痛ぇ。ただの枕かと思ったら備長炭かなんか入ってやがるのか。
「あ……また……やっちゃった……」
 ハルヒは顔を両手で覆い、肩を震わせた。俺は両手で抱き寄せて口を開いた。
 どうしたんだ? 全部話してみろ、俺が受け止めてやるから。
 最初は黙りこくって泣いていたが、だんだん落ち着いてくるとゆっくりと口を開き始めた。
「あたしと一緒に居たら、いっつもあんたが怪我しちゃう……。去年の合宿も、昨日も、今だってほら……鼻血」
 ハルヒはティッシュで鼻を拭ってくれた。意外に気付かないもんだな、鼻血って。
 俺は別に構わない。お前と別れる方が数倍辛いんだ。
「……でも、あたしが辛いのよ! 大好きなあんたがあたしのせいで傷が増えて行くなんて耐えられない! それくらいなら会わない方がいい!」
 ハルヒ……。
「あたしはこんな性格だからすぐ手が出ちゃう。あんたは優しいから全部受け止めちゃう、だから……」
 バカ。そんなお前だから好きになったんじゃねーか。
「キョン……」
 お前の気持ちを全部受け止めてやる。イライラしたら殴れ、怪我も痛みも我慢してやる。でもな、絶対に別れてなんてやらないからな!
「うん……ありがと……ありがと……」
572VIP奴隷:2006/12/07(木) 21:18:38.97 ID:l0VEDHmB0
支援
573傷つけあい仲直り ◆mtod1dSyOc :2006/12/07(木) 21:18:42.95 ID:zlz7JOq0O
 ハルヒは泣きながらまた俺に抱き付いてきた。
 俺は心の中で安堵と喜びを感じながら、ずっと頭を撫で続けてやった。
 しかし意外だったな。いつも俺を殴ったり怪我させたりする度にそんなことを思っていたなんてな。
 ハルヒの為を思うなら、二度と遅刻も約束を反故にすることもしないのが一番か。

泣きやんでしばらくすると、ハルヒはとんでもないことを言い出した。
「ねぇ、キョン。あたしを叩いてちょうだい」
 はぁ? そんなこと出来る訳ないだろ!
「お願い、たまにはあたしを傷つけて。……思いっきりやってね、これはあたしからあたしへの罰だから」
 これは困った。目の前で目をギュッと瞑っているハルヒを見て叩けるわけがない。
 ……かわいすぎるんだよその仕草が、畜生。
「早く!」
 しかし、こいつは決めたら曲げないからな。たぶん俺が叩くまでずっとこのまま動かないだろう。
 俺は手を差し出し、ハルヒの頬につけた。
 ……いいんだな?
「は、早くしなさい! これはあたしのけじめなんだから!」
 少し恐がっている様子が目に見える。まるで注射直前の子どものようだ。
 ゆっくりと頬から手を離すと、ハルヒは顎を引いて目をさらに強く瞑った。
「…………あいたっ!」
 やってやったぜ。ハルヒのデコに過去最大級の威力のでこピンをかましてやった。
「ちょっ……バカキョン! 『叩いて』って言っ……むぐっ……」
 うるさく文句を言う口を塞いだ。
 声も出せないくらい抱き締めながら、しばらく唇で口を塞いでやった。
 苦しくなってきたのか、俺の背中をバシバシと叩くハルヒを離してやった。
574傷つけあい仲直り ◆mtod1dSyOc :2006/12/07(木) 21:20:12.18 ID:zlz7JOq0O
「バカ! こ、これじゃ罰にならないじゃない……」
 ふふん、うれしかったか? まぁあれだ、《アメとムチ》ってやつだ。
「なに勝ち誇った顔してんのよ! 少しは優しくしてやろうと思ったけどやめた!」
 ベッドに落ちている枕を拾い上げたので、俺はハルヒをそのままベッドに押し倒した。
「や、やめなさいっ! このエロキョン!」
 なーに想像してんだよ、エロハルヒ。やめたらお前、枕投げるだろ?
「あ、あたしはエロくないっ! 投げないから離せっ!」
 しょうがないから離してやると……やられたね。ハルヒの剛腕ラリアットで逆に押し倒された。
 痛いだろ、何しやがる!
「あんたが生意気だからよ! ……さて、お礼をくれてあげるわ。元気出たし」
 ハルヒの唇が俺の唇と触れた。
 いつもの強引で、短いキスじゃなくて、優しく長いキスをもらった。
「……これからも乱暴なあたしをよろしく」
 まったく素直じゃない奴だ。……まぁ、そこがかわいいんだけどな。
 俺は返事の代わりに何度目かわからないが、再びハルヒ抱き締めた。
 結局、今日は学校をサボってハルヒとベタベタしてただけになっちまったな。
「別にいいじゃない。……幸せでしょ?」
 やれやれ、そんなにうれしそうに言うなよな。俺までうれしくなっちまうじゃねーか。

 この日から、ハルヒの暴力は減った……なんてことは無く、相変わらずの生活をしている。
 ただ、ハルヒから繰り出される攻撃にはたくさんの愛情が乗っかっているから、俺は相も変わらず全て受け止めているわけだ。
 ……やれやれ。


おわり


以上です。支援ありがとうございましたorz
575 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/07(木) 21:22:32.56 ID:l0VEDHmB0
GJ!
なかなか甘くていいじゃないですか。
乙でした。
576油売りの左暮:2006/12/07(木) 21:23:30.88 ID:5POZmyIT0
支援遅れた・・・

GJ!
一瞬冷っとしたが、流石ハルキョンだなw
577一生足軽:2006/12/07(木) 21:23:53.37 ID:q0rEn6f3O
乙!

相変わらず短編のプロだなw
578籠屋の銀二:2006/12/07(木) 21:25:24.78 ID:M2vvcuGFO
>>574
GJ!!
俺の脳内の人妻ハルヒも良いが…

ハ ル ヒ は 女 子 校 生 に 限 り ま す な !
579油売りの左暮:2006/12/07(木) 21:27:54.93 ID:zlz7JOq0O
>>575-578
感想サンクス!
また頑張って書いてくる。

>>578
おっさん思考乙wwwwwwww
580内藤ホライゾン:2006/12/07(木) 21:46:42.56 ID:pTpFCObPO
保守
581VIP侍:2006/12/07(木) 21:46:50.12 ID:NlUcz7rRO
あげ
582油売りの左暮:2006/12/07(木) 21:49:58.55 ID:oqDAIYniO
さげさせない
583愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 21:57:54.13 ID:2w9QFzoZ0
保守
584壷ふりお京:2006/12/07(木) 22:08:49.97 ID:wRl43lez0
保守
585VIP女神:2006/12/07(木) 22:14:44.25 ID:UOl1aYts0
そろそろあげ保守
586一生足軽:2006/12/07(木) 22:32:40.31 ID:md/dpNcrO
保守
587油売りの左暮:2006/12/07(木) 22:33:27.18 ID:M2vvcuGFO
寝る前に保守


そして今受信した電波
【ふしぎの海のハルヒ】

ジャン→キョン
ナディア→ハルヒ
マリー→妹ちゃん
キング→シャミセン
グラタンの三人→鶴屋さん、国木田、谷口
ネモ船長→古泉

長門は…どうしようかな…
588VIP足軽wwwww:2006/12/07(木) 22:36:41.57 ID:i87zV7Nx0
短編書こうとして詰まった・・・、難しいなあ。
なんて思いつつ保守
589VIP足軽y:2006/12/07(木) 22:37:43.78 ID:yuIyI22P0
最近キャラを動かすことがほんと難しいわ。
勢いだけでやってた夏あたりのエナジーを取り戻したいw
590VIP村人P:2006/12/07(木) 22:38:49.62 ID:8JZWI2pS0
冬の企画、やべぇかも。
もう話が長すぎて書き上げるのが嫌だ。
591VIP足軽wwwww:2006/12/07(木) 22:42:03.72 ID:i87zV7Nx0
冬企画、最初の10行で9割の読者が脱落しそうな物をかきあげそうだ・・・。
592VIP村人i:2006/12/07(木) 22:43:39.41 ID:NTUU3gRB0
>>590

ん?俺がいるのは気のせいなのか?
593門番の娘:2006/12/07(木) 22:49:12.02 ID:0bBAzy+UO
俺もう投げた\(^o^)/
594VIP足軽y:2006/12/07(木) 22:51:13.27 ID:yuIyI22P0
俺は2作がリンクしてる作品になりそうなんだけど、
片方はどんぴしゃで冬なんだけど、もう片方は関係ないw
投下の仕方を今から迷ってるwww
595VIP足軽wwwww:2006/12/07(木) 22:53:08.81 ID:i87zV7Nx0
自分は前置き書くと長くなりそうなんだよなあ……。

マイナーカプは前置き無いと読み辛いよなあ。
596はぐれVIPPER:2006/12/07(木) 22:54:15.23 ID:C8EDnzdzO
仲直りの人乙です!
ハルヒのツンツンの台詞まわしと
枕に備長炭入れて寝てるギャップが可愛いかったwwwww

あと、個人的にはハルヒの
(*´Д`)パジャマ姿萌え
597VIP侍:2006/12/07(木) 23:00:46.57 ID:zP2hQbvJ0
ttp://www.vipper.net/vip140202.jpg
女版キョンってこんな感じかな?とエロ本から抜粋
598VIP乙女:2006/12/07(木) 23:02:31.15 ID:nvNLXDOmO
>>597
どっちかと言うと古泉
599VIP足軽x:2006/12/07(木) 23:05:30.49 ID:i87zV7Nx0
ttp://www.softpal.co.jp/unisonshift/products/project13/kobetu_nako.html
キョンが女の子だったら多分こんな感じかなーと勝手に妄想。
いや、のいぢの描いたキャラだけど。
600VIP神父:2006/12/07(木) 23:08:33.75 ID:Qki/hx5L0
朝倉の二曲目は長門の一曲目に準じるぐらい良い曲だな……

歌詞とか
601VIP村人x:2006/12/07(木) 23:11:46.15 ID:IAZ5YEFx0
キョンが教師になる話ってしらね?
602荒巻スカルチノフ:2006/12/07(木) 23:14:57.74 ID:nSdqVKldO
>>601
教師キョンだっけ?確か作者が中国に行ったとか……
603VIP番長:2006/12/07(木) 23:22:14.87 ID:UOl1aYts0
age

教師キョンの作者さん生きてるのかなぁ…1ヶ月くらいといってたんだが…
中国は2ch閲覧できないからかもしれないが
604一生足軽:2006/12/07(木) 23:43:44.05 ID:pTpFCObPO
保守
605VIP村人t:2006/12/08(金) 00:00:34.25 ID:OzBKE+Qq0
>>599
うはwwwwwwテラキョンwwwwwwww

名前からしてあだ名の辻褄あうんじゃね?
606VIP村人t:2006/12/08(金) 00:01:04.80 ID:OzBKE+Qq0
あ、ごめ、声優さんの名前だった、ちょっと吊って来る
607VIP足軽b:2006/12/08(金) 00:06:39.60 ID:IxAe9Z9a0
>>606
気にするな、私も最初間違えたから。

ちなみに自分はガールの人なわけなんだけど
最初の席順が出席番号順だとすると
女キョンの苗字って鈴木〜涼宮の間という超狭い範囲だと
めっちゃ最近気付いた・・・。
608VIP村人t:2006/12/08(金) 00:11:45.44 ID:OzBKE+Qq0
寿松木 すずき
薄田 すすきだ
鈴杵 すずきね
錫切 すずきり
鈴久名 すずくな
鈴坂 すずさか
須々田 すすた
鈴野 すずの
雀部 すずべ→ささべ
煤孫 すすまご
数住 すずみ
鈴見 すずみ

実在の名前ならこれの中のどれかか?
609VIP村人t:2006/12/08(金) 00:14:19.69 ID:OzBKE+Qq0
鈴 すず
鱸 すすき、すずき
薄 すすき→うすき、うす
雪 すずき→ゆき

これらもか、
けっこうあるけど全部マイナーだな
610VIP村人P:2006/12/08(金) 00:16:01.92 ID:rpCD6kJH0
鈴木ということも考えられる。
女の鈴木が『あ〜か』で始まる名前だとすると

キョンというニックネームから

鈴木きょうsうわなにをするやめdrftgyふじk
611VIP足軽b:2006/12/08(金) 00:17:20.05 ID:IxAe9Z9a0
普通に考えると鈴野とかなんだろうか。

つーか、同じクラスに「すず〜」が三人もいるそんなクラスの名簿が嫌だw
612VIP村人P:2006/12/08(金) 00:18:16.43 ID:rpCD6kJH0
>>611

でも鈴木は全国でも上位3番に入るほど多い苗字だぜ?
613VIP足軽b:2006/12/08(金) 00:20:54.92 ID:IxAe9Z9a0
>>612
まあね。

涼宮は本当にいるのかなあ。

ちなみにハルヒキャラだと国木田がレア苗字かな? 全部で60人とか
(それ国木田独歩の親戚だけじゃん、レベルじゃないか・・・)
614VIP村人t:2006/12/08(金) 00:22:18.87 ID:OzBKE+Qq0
ただ岡部がハルヒのことを「涼宮」と呼ぶから「すずみ」は無さそうだな、
615VIP村人P:2006/12/08(金) 00:22:45.91 ID:rpCD6kJH0
ちなみ俺の友達でキョンと呼ばれるやつの名前はきょうすけだから
キョンもきょうsうわなにをするやmくぁwせdrftgひゅじこlp;
616VIP村人t:2006/12/08(金) 00:23:55.10 ID:OzBKE+Qq0
栂村 んがむら

何この名字wwwwwww
617VIP足軽MS:2006/12/08(金) 00:24:44.91 ID:e6tAvGev0
>616
ゑ゛!?
「つがむら」じゃないの!?
618VIP足軽b:2006/12/08(金) 00:24:45.24 ID:IxAe9Z9a0
まあガールはパラレルなんでそのうち何か名前ネタは出るかもしれません、
……ってことで一つよろしくお願いします。

いい加減次はハルヒを出そう。
そろそろタイトルに偽りありになりそうだし。

キョンの名前は気まぐれオレンジロードと80年代アイドルからじゃないんだろうか・・・。
619VIP足軽wktk:2006/12/08(金) 00:25:03.36 ID:/cE4v8oFO
でもあれたしか席順は男女交互になってたきがするんだが…そしたら鈴木と涼宮は関係ない気が
620VIP村人t:2006/12/08(金) 00:26:31.50 ID:OzBKE+Qq0
誰か席順再うp頼む
621VIP足軽b:2006/12/08(金) 00:28:12.69 ID:IxAe9Z9a0
キョンの苗字が榊と谷口の間っていう根拠ってどこだっけ・・・。
622愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 00:33:19.05 ID:qqUPuKFm0
623武器屋のじじぃ:2006/12/08(金) 00:34:53.84 ID:+KMpewA80
男女交互だから
谷口以下って事は確か
谷川もありうる
624285:2006/12/08(金) 00:37:46.90 ID:9Pc9mjzu0
また流れ読まずに投下しちゃうけどいい?
3レスくらいで途中までだけどさ。
625VIP足軽b:2006/12/08(金) 00:38:50.77 ID:IxAe9Z9a0
>>622
d
ガールはこの辺り何も考えてなかったからな・・・。
626VIP村人w:2006/12/08(金) 00:39:06.75 ID:SQ65HlSbO
支援
627VIP村人t:2006/12/08(金) 00:39:12.83 ID:OzBKE+Qq0
ばっちこい、

ってか投下おk?とかぶっちゃけウザイんだぜ、
投下するぜーって言ってガンガン投下すればおk
628愛のセーラー戦士:2006/12/08(金) 00:41:48.95 ID:4riYbVG2O
ここで名前が恭介な俺が華麗に参上!
キョンとは言われてないけどね
629VIP勇者:2006/12/08(金) 00:42:49.81 ID:9Pc9mjzu0
>627
他の人と投下がかぶると混ぜこぜになってまずいので予告するでござるよ。
それではいくでござる。
630285:2006/12/08(金) 00:43:30.79 ID:9Pc9mjzu0
>>285-286の時代劇の続きで3レスほどでござる。
 あと、申し訳ないですがどなたか拙者に代わってまとめにうpしてくださると忝い。
 タイトルは「キョン乃進侍」とでも
 あ、それと勿論ですが考証とか言葉遣いとかアバウトですんで突っ込まないでくだされ。

さて舞台変わってこちらは風邪で寝込んでいるキョン乃進の長屋
同僚(朋輩)の国木田と谷口が見舞いと称して遊びにきています。

谷「キョン乃進、風邪は如何でござるか」
キ「まだ本復いたさぬ、一両日ほど伏せっておれば直ると存ずるが」
国「体は大事にしないといけないでござるな」
谷「それにしてもキョン乃進、おぬしが休みだと姫様がご機嫌斜めで我らも大変なのじゃ
おぬしが非番の日などはいつも大騒ぎじゃ」
国「左様でござる、『キョン乃進、キョン乃進』と姫様はおぬしのことばかり」
キ「まことでござるか、まぁハルヒ姫様も新参の拙者が一番用を言いつけやすいであろうからな」
谷「……(御同役、キョン乃進は相変わらず鈍いでござるな)」
国「……(如何様左様で、これでは姫様がご機嫌斜めなのも無理からぬことよ)」

谷「ところでキョン乃進、おぬし夕餉は」
キ「それが伏せっておったので夕餉どころか朝餉もまだなのじゃ」
国「それは一大事、早速にでも我ら両名にて粥などを作って進ぜよう」
キ「忝い、持つべきものは良き朋友じゃのぅ」
谷「任せておけ、キョン乃進はゆっくり休め」
国「おや、だれか来たようだの」
谷「どれ拙者が……こっこれは朝比奈殿、本日はいかなる御用向きで
  しかしその冥途服なるものがよくお似合いでございますな」
国「なんと姫様よりの御見舞いの御使者でございますか」
谷「これは一大事、ムサイ部屋ではございますが早速お上がりください」
631285:2006/12/08(金) 00:44:01.03 ID:9Pc9mjzu0
朝「それでキョン乃進殿の様子は如何であろうか」
国「隣の寝間にて休んでおります、一両日中には本復するであろうとのことでございます」
朝「これは姫様よりの見舞いの品、南蛮渡来の熱さましの妙薬、婆婦亜燐じゃ」
国「ありがたき幸せにござります、キョン乃進になりかわり御礼申し上げます」

朝「時に『しかとその目で確かめて参れ』との姫様よりの仰せなのじゃ、襖を開けてたもれ」
谷「その儀は平にご容赦、もしキョン乃進のせいで朝比奈殿が風邪などおめしになられたら
  我ら家臣一同の一大事でございます」
キ「おい拙者は(風邪のせいか大声が出ないぞ)」
谷「病気のキョン乃進は黙っておるのじゃ」
国「キョン乃進は相長屋の我ら朋輩衆が責任をもって手厚く看護に勤めますれば姫様へは何卒よしなに」
谷「お帰りでございますな、夜道は危のうござる
  我ら両名が御殿までお送りいたしましょう」
国「(おい谷口、おぬし褌がゆるんでおるぞ)」
谷「(これはしたり、すぐに締め直さねば)」
国「早くいたせ、愚図愚図いたしておるとおいてゆくぞ」
谷「準備が出来申した、参りましょう朝比奈殿」

キ「(おいおい拙者の夕餉はどうなる、朋輩衆の手厚い看護はどうなったのじゃ
   大体御殿はすぐそこだぞ)」

キ「(あいつらいっちまいやがった、一体何が朋友だ
   しかし今日もそうなのじゃが非番などでハルヒ姫様にお目通りせぬと
 どうにも落ち着かぬのぅ、これも忠義のあらわれであろうか……
   早くまたハルヒ姫様にお目通りしたいものじゃ)」

キ「(ハルヒ姫様に初めてお目にかかった時のことを思い出すのぅ
   あれはまだハルヒ姫様にお仕えする前で実家におったころじゃったな)」
632285:2006/12/08(金) 00:45:11.99 ID:9Pc9mjzu0
……あれは父上の代わりに当番で組合の辻番所に詰めておったときじゃったなぁ
胡乱な娘がいるとの注進があったので糾しに出向いたのじゃ
そうしたら目の覚めるような美しい娘御がおって……。

姫「只の町人に興味はない、この中に南蛮人、忍者、天狗、隠れ切支丹がいたらわらわの前に出て参れ」
キ「……こりゃ娘御、その尋ねたき儀があるによって辻番所まで同道されたい」
姫「おぬし忍びの者かそれとも隠れ切支丹か」
キ「そのような胡乱なものではない、拙者はそこの番所の当番の者でござる」
姫「なら用はないが、はて……、おぬしどこかでわらわと会うたことはないか」
キ「全く覚えがござらぬ、とにかく番所までご同道願いたい」
姫「以前より番所の中を見たいとおもっておった、良き機会じゃによって同道して遣わす」
キ「ありがたき幸せ(適当にあわせておくか、しかし申しておることは奇妙だが
  身なりや立ち居振る舞いはかなりな良家の子女といった所じゃな)」

姫「これ番所は遠いのか」
キ「すぐそこでござる(身につけている黄色い飾り櫛一つみても本鼈甲の超高級品だし
  これはひょっとするとちょっと頭の可哀想な、どこぞの姫君が屋敷を抜け出したってところか
  何にせよ扱いには注意が必要じゃな)」

キ「その……忍びの者や隠れ切支丹などを探しておいでかな」
姫「その通りじゃ、おぬしするどいな、なかなか見つからんのじゃがのぅ」
キ「あぁ、探し方が間違っておりませんかな、問いただしてすぐに名乗り出るようでは
  忍んでいる者でも隠れている者でもありませんからな」
姫「むぅ、おぬしのいう通りじゃ、これは探し方が間違っていたやも知れぬのぅ
  それにしてもおぬし気が利くのぅ、時にその方は今はなにもしておるのじゃ誰かに仕えておるのか」
キ「貧乏旗本の三男坊、俗にいう冷や飯食いでござる」
姫「冷や飯食いか、よくわからぬが面白い言葉じゃの、時にその方わらわに仕えてみぬか」

……おや誰か来た様じゃ国木田あたりが戻ってきてくれたのかのぅ……
*今回は以上です、つづくつもりだったりします
633VIP勇者:2006/12/08(金) 00:49:11.63 ID:sBnArWN9O
GJ!

いや、舞台設定新しいね。
続きwktk
634VIP足軽MS:2006/12/08(金) 00:49:13.31 ID:e6tAvGev0
原作の「あの」くだりを、時代劇風に訳すと、こうなるのか……新鮮です。
635ex17落とさないでね:2006/12/08(金) 00:50:43.20 ID:gmF9tLUf0
キョンwww中級武士かと思ってたら直参かよwwwwwテラエラスwwwwwww
636VIP魔法使い:2006/12/08(金) 00:50:52.09 ID:NuDNumprO
これはおもしろいw
637VIP賢者:2006/12/08(金) 01:27:39.15 ID:sBnArWN9O
保守
638水汲みおしち:2006/12/08(金) 01:44:21.48 ID:UJ5gK8bA0
保守
639油売りの左暮:2006/12/08(金) 02:03:58.34 ID:Qi6L1EVEO
あっげる
640VIP皇帝:2006/12/08(金) 02:04:09.04 ID:+NxNRUHMO
読んでてテンション上がるわw
641VIP村人P:2006/12/08(金) 02:15:54.00 ID:2lfu92B6O
密かに時代劇の人に期待してる俺ガイル
642愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 02:20:37.85 ID:HwoVxZRCO
唐突だが、ハルヒの家ではモロゾフのプリンの容器を
コップにしてると思った
643VIP乙女:2006/12/08(金) 02:22:09.13 ID:Jin9Z2eO0
投下続きの中勢いに任せて先日投下しようとした朝倉ものを出そうかと思うのだが、
人居るだろうか…、それ以前に需要があるかの方が心配だが
644VIP村人y:2006/12/08(金) 02:25:54.47 ID:i1l+Z3pgO
ワワワワクテカ
645駅前食堂のメグ:2006/12/08(金) 02:26:45.28 ID:eXstlVkJ0
WAWAWAktk
646VIP村人P:2006/12/08(金) 02:28:17.91 ID:2lfu92B6O
出された物は残さ(ry
647VIP乙女:2006/12/08(金) 02:31:45.43 ID:Jin9Z2eO0
人居るみたいなんで投下してみる。予約もこの後は無いみたいだし。
まだ未完作品の上、勢いで書いたから粗いかもしれんけど勘弁してorz
トリも付けてみようかな…やったこと無いんで間違ったすまん。
648油売りの左暮:2006/12/08(金) 02:33:46.33 ID:Qi6L1EVEO
わっくてかぁ
多分支援には参加できない
649朝倉涼子の再会1/13 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 02:34:26.24 ID:Jin9Z2eO0
 様々な情報が飛び交っている。電波や言語ではない。もっと高度な物。
 具体的に説明をしろって言われても出来ない。
 言語化するにはあまりに難しい概念。
 宇宙の一端でそれは起こっている。はるか遠くの星に送り込んでいる
 対有機生命体コンタクト用ヒューノマイド・インターフェースからも、「それ」は来ていた。
 目的はとある情報爆発の解析と今後の可能性の探索。
 しかし、小さな想定外が発生した。その欠如に代替が必要となる。
 そして私は「構成」された。再びあの場所に行くために――

「朝倉涼子の再会」

 ここへ来るのはどれくらい久しぶりの事だろう。そもそも時間の概念が曖昧な思念体において、
 地球上の時間を当てはめることの方が無駄……か。
 私は今、坂道を登っている。周囲には学生の姿も見当たらなければ、サラリーマンもいない。
 せいぜい散歩に出た主婦らしき人と時々すれ違うくらいだった。
 有機生命体、この惑星言語で「人間」の歩行速度ってどうしてこう遅いのかしら。非効率だって思わないの?
 そんな事を考えながら、道を歩いて行く。見慣れた建物が視界に入ってきた。
 ここは変わらないのね、前に来た時と。
 建物が見えてきてからも歩いて着くには距離があった。建物を目の前にした時には息があがっている。
 このインターフェースを使うのも結構久しいもんね……。
 建物の一室に入る。こういう時はドアを叩く――叩くと言っても軽く、ドアが音を立てるくらい――
 のが規定の行動だったっけ……何の意味があるのかしら、これ。
 中から「どうぞ」と言う声が聞こえる。そうか、この行動は許可を求める行動なんだっけ。
 こんな事にまで許可が必要なんて、不便ね。
 心とは裏腹に「笑顔」と言われる表情を形成した私は部屋の中に居た有機生命体、人間の成体達に向けてこう言った。
「本日転校してきました、朝倉涼子です」
650朝倉涼子の再会2/13 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 02:36:07.29 ID:Jin9Z2eO0
 そこに居た人間の一人――名称:岡部、年齢:(以下略)――が立ち上がり、
「久しぶりだな、覚えてるかい?」と聞いてきた。
 かつてここに来ていた時、人間の集合団体、ええと、クラスって言うんだっけ?
 そう、クラスね。そのクラスの監視担当をしていた者だ。
「はい、岡部先生ですよね?」
「おお、覚えていてくれたか」
 岡部は喜んでいる様だった。そして、自分の所属するクラスに案内すると言って歩き出した。
「しかし、急だったな。いきなりこっちに戻ってくるなんて」
「ええ、私自身驚いています」
「どうだった?カナダでの生活は。と言っても1年だからわからないか」
 ……カナダ?情報検索……、ああ、なるほどね。私はここに行った事になってるんだ。
 きっと長門さんの情報操作ね。とりあえず適切な言語で対応しなきゃ。
「ええ、分からないことが多くて戸惑いました」
「お前ほどの優等生でもさすがに英語の現地は強敵だったか。ははは」
 そう言うと岡部は笑い出した。この返答に問題あったかしら?
 人間で言う「笑う」に該当する事を言ったはずは無いんだけど。
「さぁ、ここがお前の新しいクラスだ。合図したら入ってきていいぞ」
 そう言うと岡部はドアを開けた。
「遅れてすまん。今日は転入生が来たんだ。さぁ、入って」
 私はその言葉が終わると、一歩一歩ゆっくりと教室に入っていった――
651VIP足軽neet:2006/12/08(金) 02:36:59.57 ID:JQRS/Tj30
ほぃ、支援。
652朝倉涼子の再会3/13 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 02:38:45.59 ID:Jin9Z2eO0
 教室に居る人間を見渡す。とりあえずは監視対象である彼女もいるはずだけど……
 居た。右側から一列、後ろから一行目の位置に。窓の外を見ている様で、目はこちらを向いている。
 その前には、彼が居た。かつて私が殺害しようとした、変革の鍵。きっと今もそれは変わらないわね。
 彼は私を見て「驚愕」の表情を形成していた。体も一瞬震えた様だった。
 その様子に涼宮ハルヒも異常を感じたのか、彼の背中に視線を移す。
 教室の中央まで歩いた私はこの文化上で最も適切と思われる自己紹介の文句を検索した。
 様々なパターンを合わせる。様々なパターンが自分の中で構築され、修正された。
 しかし、この地球上の時間にしてみては1秒も無かっただろう。
「朝倉涼子です。よろしく。あたしの事覚えてる人も何人かいるのかな?また会えて嬉しいわ」
 うん、とりあえずはこれでいいかな。
「朝倉さんは両親のご都合でカナダに転校していたんだが、この度戻ってこれる事になったらしい」
「皆、仲良くしてやってくれ。特に涼宮、頼むぞ」
 その言葉に涼宮ハルヒは岡部を見た。その視線は挑戦的だ。
 まるで「何であたしだけ個別なのよ!」って言いたそう。涼宮さんらしいわね。
 私の座席は急遽用意したらしい。周囲の配列から一つだけはみ出した部分にあった。
 右側一列目、一行目の一つ後ろに当たる位置。つまり本来なら私が一行目なのね。
 座席に座った私を二行前、一列左の彼が警戒の視線で見てくる。
 その彼を見た涼宮ハルヒがその背中をつつく。
「何よ、キョン。久しぶりの再会がそんなに嬉しい?」
 少し怒り気味に言っている。声を控えているつもりかしら?私には聞こえるけど。
 それにしても、涼宮ハルヒは相変わらず自分中心なのね。きっとクラスにも馴染んでないわ。
653朝倉涼子の再会4/13 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 02:39:11.71 ID:Jin9Z2eO0
 昼間休息に入るまで私は退屈だった。言語での学習なんて効率が悪いわ。
 どうしてこの星の有機生命体はこのレベルでしか自分の記憶端末に情報を加えられない訳?
 しかもこの星では人間が知的有機生命体最高のレベルらしい。信じられないわ。
 一度言語を聞くだけで情報を全てインプットできた。そんな事は自己情報の一端でしかない。
 それより重要なのはインターフェースとして構成された以上は情報の齟齬は防がなくてはならない。
 最初に構成された時の収集情報を反芻し、分析する。
 このインターフェースはかつての物と若干異なっているしね。幸いにも外見が同じに設定されてはいるけど、
 中身が違ったら疑われるかもしれないし、その度に情報操作の許可を求めるのも……ね。
 そして、やっと昼間休息の時間になった。
 涼宮ハルヒはその合図となる音、チャイムを聞くと途端に教室から出て行った。
 丁度良いわ。彼と話がしたかった所だし。
 だが、彼もまた直ぐに教室を出た。彼の習慣は教室での昼食だったはずだけど、変わったのかしら?
 しかし、彼の友人である人間二人……ええと、名称は……
 谷口と国木田だったわね。その二人が「不思議そう」な表情を形成している。
 彼らにしても想定外、つまりあたしが原因で緊急に何かをする必要があったって事ね。
 それなら、彼が行く場所は一箇所しかないわ。
 私も座席を立ち、教室を出た。目的地は彼と同じ。涼宮ハルヒが結成した団体の専門部屋。
 彼がそこに行ったとすれば目的は確認でしょうね。「私」が存在する理由の。
 聞いてくれれば私が教えてあげるのに。
 そう考えながら団体専門部屋……部室に向かった。
654朝倉涼子の再会5/13 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 02:41:45.44 ID:Jin9Z2eO0
 部屋の前まで来ると、彼の話し声が聞こえてきた。
「長門!どう言う事なんだ?」
 あら、長門さんも居るみたいね。きっとまた本でも読んでるわ。
「先日、私達インターフェースの内の一体が損失した。原因は車による交通事故」
「事故だって?お前達ならなんともないだろそれくらい」
「そのインターフェースの事故現場に涼宮ハルヒが遭遇した。
 周囲の情報操作を記憶にまで及ぼす必要があり、必然的に涼宮ハルヒに干渉する必要が出てくる。
 しかしそれは危険。よってそのインターフェースのロストはどうにもならなかった。
 だが、そのインターフェース端末の有機体としてはロストに当たるが、内部構成情報は、
 情報統合思念体に帰還している。こちらに問題は無かった」
 しばらく沈黙が続いた。
「それで、代わりの監視に朝倉が来たってことか?」
「そう」
「なんだって朝倉なんだ?この学校に潜入させるにしたって適当な奴を作ればいいだろう」
「思念体の内部に朝倉涼子を構成していた情報の一部が帰還していた事で、思念体の中でも意見が分かれた」
「……そして、最終的に朝倉涼子は能力を大きく制限された上で再構成が決まった」
「おいおい……マジかよ……」
 彼が落胆を含む声を出していた。そろそろ入ってもいいかしら?
 ドアを開ける。彼がまたも「驚愕」の表情を形成した。
655VIP足軽neet:2006/12/08(金) 02:42:14.64 ID:JQRS/Tj30
支援
656朝倉涼子の再会6/13 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 02:44:45.94 ID:Jin9Z2eO0
「朝倉!何でここに?」
「失礼ね。私がお昼休みにここに来ちゃダメなの?」
「そんな事じゃない!何でお前はここに居るんだ!」
「今長門さんから聞いたでしょ?話していた事そのままよ」
 彼の思考には驚愕が確かにある。だが、同時に不安もあるようだった。
 どうやら、彼の中で私はナイフを振りかざしたイメージしか残っていないみたいね。
「長門さんが言ったとおり、今の私は情報操作力を始めとして能力に制限がかかっているわ」
 その言葉を聞いても彼の反応は変わらない。信じられないって事かしらね。
「それに、私の直属の上司に当たる人が最近になって穏健派に転向したの。
 だから、もうあなたを襲ったりはしないわ。結構時間も経っちゃったみたいだし、
 今さらあなたに手を出すと危険みたい」
 彼は私の言葉をよく理解していないみたいだった。本当に情報の伝達力が低いわ。
 彼の場合は通常の人間よりも他者の感情理解に乏しいみたい。
 こういうの何て言うんだっけ……そう、「鈍感」
「要するに、あなたは心配しなくて良いのよ、もう」
「そうは言われてもな……長門、本当に大丈夫なのか?」
「問題ない、朝倉涼子に情報操作の能力は無い。分子構成においても同様」
「いや、そういう問題じゃ無いんだが……」
「大丈夫、また何か起こった時は……私があなたを守る」
 これは意外だった。まさか長門さんからこんな言葉が出るなんてね。
657油売りの左暮:2006/12/08(金) 02:45:46.64 ID:Qi6L1EVEO
やっぱ支援
658朝倉涼子の再会7/13 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 02:47:21.47 ID:Jin9Z2eO0
 その日の午後になっても特に大きな出来事は無く、私は帰宅した。
 当然場所は以前住んでいた場所と同じ。手続きも済ませてある。
 長門さんが帰るのは、もう少し後になってからね。
 彼女は涼宮ハルヒの活動に参加して監視をしているわけだし。
 それにしても眼鏡かけて無かったわね。彼に勧められたのかしら。
 それよりも驚いたのは無感情に設定された長門さんの異変ね。
 彼女には「感情」が発生している。私や他のインターフェースとは違う「感情」が。
 私達が持つ感情はこの星における活動を円滑にするために「設定」されたもので、
 表情や言語のパターンの組み合わせに過ぎない。
 微妙に差分を付けていくことで人間には「感情」と認識される。
 でも、長門さんの感情はそれらとは異なる。新たに発生した感情。
 それはインターフェースとしては異例の事なのかも知れない。
 統合思念体としてはどう受け止めてるのかしらね。
 今の私は長門さんを通してじゃないとコンタクトも出来ないくらいの能力制限がかかってる。
 それはそうよね…あの暴走した一件で本来ならこうしてインターフェースに構成されるだけでも異例。
 思念体に帰還した時、情報内の「私」も削除されるか否かで議論された。
 結果、一応は解析の糸口になる可能性があるからとまだ削除されずにいる。
659愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 02:48:02.96 ID:HwoVxZRCO
支援
660朝倉涼子の再会8/13 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 02:49:35.87 ID:Jin9Z2eO0
 様々な思考が巡っている間に、長門さんは帰ってきた。マンションの敷地に入れば私の探知範囲に入る。
 私は自分の部屋を出ると、長門さんの部屋に向かった。
「こんばんは。ちょっといいかしら?」
「いい」
 そう言われると私は長門さんの部屋に入った。相変わらず物を置かない部屋ね。
 それでも私が前のインターフェースで居た時より増えてはいるみたい。
 中でも目立つ位置にあるのは…時計?
「あら、長門さんが時計を見ることなんてあるのかしら?」
「それは彼から貰った物」
「ああ、そういう事ね」
 なるほど、長門さんは感情を得たことで彼を想う様になったって事かあ。
 私には理解できないけど、そんなに楽しいものなの?
「楽しい。インターフェース機能上はエラーと認知されているが、私はこれを削除しない」
 ふーん。
「それはそうと、私の今後の役割をもう少し細かく説明して欲しいな」
「以前と同じ。涼宮ハルヒとその周辺の監視。ただし能力は制限したままにする」
「それじゃあ大したことは出来ないじゃない」
「あなたに危険が無いと判断できたら一部の制限は解除する」
「それを判断するのは?」
「私を含む能力制限解除権を持つインターフェース3体の同意」
661朝倉涼子の再会9/13 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 02:50:09.41 ID:Jin9Z2eO0
 それから細かい説明があった。お互い高速言語会話だったから結構思考力使ったわ……。
 当分の間は普通の人間みたいな生活をしなきゃならないのね。
 とりあえずかつてと同じ時間に規則的に日常モードを起動し、準備をする。
 初日は情報の齟齬が発生しないように記憶をいちいち検索しないといけなかったけど、
 二日目ともなるとその必要性も減っていた。そもそも人間は記憶力も大したことは無く、
 一度記憶したことを引き出すシステムが未発達だ。つまり「忘れた」って言えば話も通せる。
 でも、私は周囲の期待値上ではそれを言わない事になっているみたいだしね。
 結局いくつかの事は人間時間における秒にも満たない間に検索し、受け答えをしていた。
 彼はやはり私をどこか避けたがっているようだった。昨日長門さんが大丈夫って言ったのにね。
 涼宮さんは相変わらずね。彼と話すときだけ表情が変わる。
「それで久しぶりに会った元東中クラスメートが何て言ったと思う!?
『いい加減バカなことはやめたほうがいいんじゃないか?』って言ったのよ!?」
「まあいいじゃないか、ハルヒ。相手だってお前のことを全部知ってるわけじゃないんだ」
「そ、それはそうだけど…。とにかく!許せないわあのバカ!」
 彼は涼宮さんに調子を合わせてるって感じね。内心同じ事を思っているのかも。
 そう考えると、自然と笑いがこぼれた。
「ちょっと!何笑ってるのよ!」
 気付くと涼宮ハルヒがこちらを睨んでいる。やだ、声に出てたの?
 とりあえず涼宮さんを刺激するのはいろいろとまずそうだから、当たり障り無い事を言っておきましょ。
「いえ、キョン君相手にだと随分色々話すんだなって思って」
 予測どおり、涼宮ハルヒは顔を真っ赤にした。彼が疑問そうにその顔を見ている。
 彼、もしかして本当に涼宮ハルヒの気持ちに気付いてないのかしら?
662朝倉涼子の再会10/13 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 02:52:07.01 ID:Jin9Z2eO0
 1ヶ月間任務は滞りなく行われ、やはり観察対象である涼宮ハルヒに大きな変化は起きなかった。
 あーあ、やっぱり変化が無いって面白くないなあ……
 しかしここ最近不思議な事が起こりはじめた。自分の記憶整頓の際に彼の事を浮かべる機会が増えたのだ。
 涼宮ハルヒに選ばれた鍵、周囲からは名称:「キョン」で呼ばれる彼。
 私の転校時期は高校の時系列上2年性の開始ほぼ直後だったらしく、結局クラスの委員長に選ばれた。
 相変わらず涼宮ハルヒはクラスに溶け込もうなんて考えてもいない。
 彼が居なきゃ彼女はどうやって一日を過ごすのかしら。見てみたい衝動に狩られる。
 殺すんじゃなくて、一日くらい彼の体内情報を操作してこの星で言う「風邪」にでもすればいいんじゃないかしら?
 一応長門さんに進言はしてみた。私の言葉を聞き終わるのと同時に「その提案を却下する」と言われた。
 この1ヶ月間の監視で分かったのは、涼宮ハルヒの中での彼の依存度が以前より増している事だった。
 普段の会話や態度にはあまり出さないように本人が制限をかけているようだけど、
 内面的には「もっと彼と一緒に居たい」という感情が大きくなっている。
 その感情をずっと観察して解析しようとしたからなのだろうか、自分も何時しかその感情の断片を持っていた。
 彼にも観察の価値はあるのかも知れないわね。と思ったのが最初だ。
 彼自身も涼宮ハルヒに対しては涼宮ハルヒの持つ感情とほぼ同質の感情を持ってはいる。
 彼の場合はそれを自覚してないようだけど。それに長門さんに対しても同じような感情がある。
 長門さんもそれは分かっているはずなんだけどなあ?
 もしかしたら長門さんも悩んでいるのかもね。彼女はインターフェースとしても一流だし、
 能力も私より全然上、でも無感情に設定された所に感情が芽生えて制御が出来ていないのかも。
 私は……どうなんだろう。
663VIP皇帝:2006/12/08(金) 02:52:50.38 ID:JQRS/Tj30
しえん
664VIP村人n:2006/12/08(金) 02:54:47.41 ID:jPfJTxUj0
支援
665朝倉涼子の再会11/13 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 02:55:28.29 ID:Jin9Z2eO0
 彼を意識するようになってからの監視はそれまで異なっていた。
 彼の会話相手は半分が涼宮ハルヒ。 残った半分をクラスメートに振り分けているって感じね。
 私は除外されてるみたいだけど。 私からは積極的に話しかけてはいる。
 彼も私に殺されそうになったと言うわけでは無かったものの、
 話す言葉や態度からは拒絶心が溢れ出ていた。そして、ある時を境に私はそれを「辛い」と感じるようになった。
 帰ってからそのエラーをデバッグしようと努力する。しかし、自分で構成したそのエラー駆除プログラムを、
 私は実行できなかった。したくなかった。
 長門さんでさえ、「感情」が芽生えるには長い時間を必要とした。しかし、私はこの1ヶ月でその断片を持っている。
 何故?私を構成したときの情報にその因子が最初から存在していた?
 思念体がそうする理由は無い。感情の概念を知らない思念体がエラー要素を組み込んでも危険なだけ。
 原因は分からないが、とにかく私には感情の因子が存在し、それが自己成長する傾向にある。
 パターン化された構成上の「感情」と異なってこちらの感情は発生のパターンも内容も変わる。
 これが……有機生命体の持つ感情だって言うの?
 一際強いのが彼への感情。彼を振り向かせたい。拒絶される現状を是正したい。
 どうすれば解決できるのか。様々なコードを頭の中でめぐらせる。能力制限はほとんど外れていない。
 現状で情報操作を使用した行動は不可能。つまり、人間と同じ立場で行動をしなければならない。
 人間の歴史を検索する。様々な判例が出てきたが、私は結局そのどれが適切なのか判断できなかった。

 翌日、日常モードを起動して学校に向かう。
 その登校途中で、彼を見つけた。
666朝倉涼子の再会12/13 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 02:57:34.02 ID:Jin9Z2eO0
「おはよう!キョン君!」私は笑顔で声をかける。
「あ、ああ……朝倉か……」
「何よ、残念そうね。涼宮さんが良かった?」
「冗談はよせ、朝からあのパワーに当てられたらかなわん」
 やはり彼は一歩退いている。いつかの情報封鎖を警戒しているらしい。
「何度も言ったけど、今の私に情報操作の能力は無いわ。制限も当分は外れないみたい」
「信頼できるか」
 彼の言い方は冷たかった。命を狙われたんだし、当然と言えば当然の反応だけど……
「やっぱり、許しては……くれないよね」
「当然だ。俺は偉人でも聖人でも無いが、ほいほいくれてやる命を持った覚えも無い」
「今の私はあなたを殺す意志は無いんだけどな……本当なのよ?」
 そう言って彼の目をはっきりと捉える。こういうの、「上目遣い」って言うんだっけ。
「悪いがあの一件は俺にとっちゃ結構なトラウマなんだ」
 トラウマ……?語句検索……、該当した。あまり知りたくない事でもあった。
 要するに恐怖体験を無意識に反芻して根本的に私を「畏怖する存在」として捉えているのね。
「そう……残念だな。じゃあ、私は日直があるから」
 そういって私は少し足早に教室に向かった。
 彼を振り向かせるにはとりあえず彼の、ええとトラ……、トラウマを削除するのがいいみたい。
 それは私一人では出来ないレベルの事だわ。別のインターフェースの協力を申請してみないと。
 その日も彼は涼宮ハルヒの会話に合わせていた。日に日に話題を変える彼女だけど、
 ほとんどが意味の無い話しか聞こえないのは何故かしら?
 意味なんて要らないのかも知れないわね。彼らの間では。少しそれは羨ましい。
667朝倉涼子の再会13/13 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 02:59:17.40 ID:Jin9Z2eO0
 その日の帰宅後も、私は長門さんを待った。数時間すると彼女は帰ってきた。
「ねえ、長門さん?」
「なに」
「彼の、記憶の一部の情報操作の許可をお願いしたいんだけど」
「許可できない」
「どうして?改変に関わるような真似はしないわ」
「それを保証する手段がない」
「それじゃあ、長門さんに依頼してやってもらうのは?」
「それも許可できない」
「どうして?彼の私に対しての記憶の一部を消すだけでいいのよ?」
「今や彼の情報操作は危険。涼宮ハルヒが異変を察知すれば世界を改変する恐れがある」
「そんなに差が出るとは思えないんだけどなあ。私の記憶一つで」
「あらゆる危険の可能性は避けるべき。それは今のあなたになら解るはず」
 それはそうなんだけど……今のままじゃ彼は私を拒絶し続けるって事じゃない。
「彼があなたを拒絶する根元はあなたの行動。あなたの自己責任」
「それを是正したいからこうして許可を求めているんじゃない」
「許可はできない。これは私以外のインターフェースでも同じ見解になる」
 長門さんになら私の気持ちがわかると思ったんだけどなあ……
「今のあなたは自身の感情の為に独断先行を行おうとしている。それでは以前と同じ」
「……!! もしかして……あの時から私には感情が……?」
「そう、あなたは感情という一因を既に発生させていた。それがあなたを暴走させた」
 このまま感情を持ち続けたら……私は再び暴走する可能性があるって事……?
668朝倉涼子の再会 ◆eJJHNx3Bi6 :2006/12/08(金) 03:03:10.09 ID:Jin9Z2eO0
とりあえずここまで。支援感謝
まだ未完で、続きはこの後書く予定…なんだが、別の電波を受信して
ハルキョンの甘物しか浮かばない俺が居るorz
この作品放置してそっちから書くかも。
しかし書いてて思った。やっぱり朝倉は俺には無理だとw
新入りの出過ぎた真似だと思って勘弁してあげてorz
669ただの戦士:2006/12/08(金) 03:10:24.66 ID:4riYbVG2O
>>668
ダメだ。書き終わるまで勘弁しない。
670VIP足軽neet:2006/12/08(金) 03:29:03.19 ID:MPG+e/KR0
ハルキョン甘甘も朝倉モノもどっちもwktk!
慌てずに自分のやりたいようにやればいいよ。
671VIP足軽neet:2006/12/08(金) 03:51:12.53 ID:MPG+e/KR0
>>668
言い忘れていたが 乙です。

そして保守。
672VIP足軽e:2006/12/08(金) 03:56:37.98 ID:IxAe9Z9a0
>>668


そして保守しつつこんな時間にネタ募集、
キャラ名抜きで単語3〜4くらいでよろしく。
673VIP村人u:2006/12/08(金) 04:00:53.77 ID:Tfi4CjEd0
>>672
ハルヒとキョンが捕まって牢獄の中に閉じ込められて、脱出するって話を書いて欲しい。
そのときに、ハルヒとキョンは手錠で繋がれてるって設定で。
俺が書こうと思ったが、長編書いてて厳しいから書いてくれる人に書いて欲しい。
674VIP足軽flash:2006/12/08(金) 04:22:23.30 ID:IxAe9Z9a0
>>673
脱走ものかー。
面白そうだから設定から考えてみるよ。

けど、私が書くとその設定でもちっともキョンハルにはならんと思う。
675VIP遊び人:2006/12/08(金) 04:31:05.76 ID:2lfu92B6O
>>672
 SOS団の5人から
夫婦2組作り、残った女の子は独身だか彼氏は居る
 独身の女の子は何かの会社か店を経営する社長
 2組の夫婦はその会社で働いてるが現在の5人にはSOS団時代の上下関係はない
 ある日大きな仕事の依頼を受けて成功して会社が儲かり世界的に名を馳せる会社に成長して社長は彼氏と結婚
 2組の夫婦は新婚さんを見て更に夫婦の絆を深め→甘甘ハッピーエンド

文才無いのにデムパ受信しちまった…orz
押し付けてすまん…
676VIP足軽flash:2006/12/08(金) 04:49:39.15 ID:IxAe9Z9a0
>>675
二組っつーと一ハル+キョンみくorキョン有希しか書けないんだが。
677VIP神父:2006/12/08(金) 05:06:45.07 ID:2lfu92B6O
>>676
ややこしかったですね

要はキョンと古泉に対してハルヒ、長門、みくるの誰かがくっついて2組の夫婦
残った女の子が社長って事です

自分で書ければ良いと言うのが正論ですが、なにぶん文才無いもので…orz
あっ!他の作品に取組まれてて面倒ならスルーされて結構ですよ〜!
わざわざ質問して頂き感謝してます
678VIP村人n:2006/12/08(金) 05:10:30.83 ID:57Er7b270
話はすげえ長くなりそうだし、ハルヒ特有の能力を絡ませた話が難しそう。
こういうSSは大体の場合、あまり面白くない。
679VIP足軽gif:2006/12/08(金) 05:12:44.98 ID:IxAe9Z9a0
>>677
あ、最初から意味は分かっているよん。
でも私が書くとカップリングがそーなるよ、ってだけのことです。

SOS団で二組って言うと
多数の人がキョンハル+古長を先ず連想すると思うので、
それは無理だからってことで一応断っておきました。
680VIP足軽gif:2006/12/08(金) 05:21:02.42 ID:BcjOrQs70
原作を考えると古長のカップリングにどうにも違和感を感じてしまう俺ガイル
別にキョンのハーレム万歳ってわけじゃないんだけど……
681VIP村人Ecup:2006/12/08(金) 05:22:53.79 ID:SQ65HlSbO
みんなサイコーだぜ
682VIP足軽gif:2006/12/08(金) 05:28:23.02 ID:IxAe9Z9a0
皆違って皆素敵 そんな保守
683VIP神父:2006/12/08(金) 05:33:37.37 ID:2lfu92B6O
>>678-680
なるほど、一つ勉強になりました。
書いて下さる作者さんに既成概念、固定観念を取っ払ったカップリングを期待していただけに
自分で書ける才能無い事が恨めしいです…

あれは取り下げますので忘れて下さい。
駄レスすいませんでした
以降ROMります
684ニタ:2006/12/08(金) 06:24:58.89 ID:spvpGcOHO
おは★
685ヨンタ:2006/12/08(金) 07:17:53.77 ID:zrKq1oShO
保守
686トナカイ:2006/12/08(金) 07:29:21.93 ID:Qi6L1EVEO
名前欄変わった?
687トナカイ(ネカマ):2006/12/08(金) 07:53:28.18 ID:JQRS/Tj30
>>686
クリスマス期間に突入しました
688:2006/12/08(金) 08:07:30.87 ID:sBnArWN9O
最近朝倉人気だね。

GJ!
689トナカイ(雄):2006/12/08(金) 08:24:01.60 ID:QoufF19UO
たまにはみくる物が読みたい保守
690そり(から):2006/12/08(金) 09:07:47.51 ID:spvpGcOHO
>689
691二面鳥:2006/12/08(金) 09:22:48.69 ID:i1l+Z3pgO
うぎゃあ
692ゴタ:2006/12/08(金) 09:24:13.01 ID:QoufF19UO
一瞬落ちてた保守
693ゴタ:2006/12/08(金) 09:43:30.62 ID:fJPHWfmv0
名前欄がトナカイ(キョン)ならハルヒは俺の嫁
694ゴタ:2006/12/08(金) 09:46:49.21 ID:fJPHWfmv0
ちっ
695ゴタ:2006/12/08(金) 10:00:48.25 ID:HwoVxZRCO
皆さんおはようございます
696VIP蛸王:2006/12/08(金) 10:07:32.32 ID:XfoJ64+50
二部はようつべに頼るのは よそうかな
697三面鳥:2006/12/08(金) 10:40:25.64 ID:i1l+Z3pgO
Halhi「少しの間のKyon。 ! それは私のプディングを食べましたか?」
698そり(年代物):2006/12/08(金) 11:20:20.52 ID:spvpGcOHO
保守
699VIP蛸王:2006/12/08(金) 11:24:11.40 ID:XfoJ64+50
ようつべがそのころもうないかもしれないが・・・なるべく ようつべで見たい
700六面鳥:2006/12/08(金) 11:49:05.81 ID:Ryakv4HmO
テスト一日目がいろんな意味で終わった

保守
701そり(GT):2006/12/08(金) 12:12:59.80 ID:ykzWtiBSO
保守
702そり(電飾あり):2006/12/08(金) 12:19:47.98 ID:5kbkZeKnO
鶴屋さん
テラカオス
青春
703そり(GT):2006/12/08(金) 12:22:31.71 ID:spvpGcOHO
天国に逝った>>700



合掌
704トナカイ(ネナベ):2006/12/08(金) 12:23:55.73 ID:8zrBoBieO
ぬる
705八面鳥:2006/12/08(金) 12:30:39.14 ID:hV4G/xleO
706そり(GT):2006/12/08(金) 12:39:49.32 ID:ykzWtiBSO
したい
707そり(ミニ四駆):2006/12/08(金) 12:58:26.74 ID:sBnArWN9O
保守
708そり(偽者):2006/12/08(金) 13:05:08.54 ID:sQgFwrQjO
ネタを閃いたので書いてみようと思ったが嫌な予感がしたのでWIKIを見たらすでに似たような作品があった保守
709ツリー:2006/12/08(金) 13:11:18.97 ID:V7jreSiz0
>>708
別に書いてもいいんじゃない?
似たようなものでも違う人が書けば内容も変わってくるし。
まるまるパクって書くんじゃなくて1から書くんだから堂々と書いてよし。
710そり(カブリオレ):2006/12/08(金) 13:36:35.50 ID:sBnArWN9O
保守
711そり(K):2006/12/08(金) 13:55:09.71 ID:NuDNumprO
保守
712トナカイ(プランサー):2006/12/08(金) 13:57:36.96 ID:wWdnikaPO
今から学校な保守
713失恋物書き ◆xwOA46Wafw :2006/12/08(金) 14:06:59.00 ID:wXmT9k5W0
お久しぶりです
壊れてたPC返ってきて久々に書いてみたんだけど今OK?
714三面鳥:2006/12/08(金) 14:08:08.85 ID:V9oEQmf30
おkじゃない
715ゴタ:2006/12/08(金) 14:15:24.85 ID:fJPHWfmv0
投下wktk
716チキンナゲット:2006/12/08(金) 14:16:43.83 ID:3m/B8iGA0
wktk
717失恋物書き ◆xwOA46Wafw :2006/12/08(金) 14:17:14.25 ID:wXmT9k5W0
ちょいとだれか、
一月末の百人一首大会について陰謀の六ページ以外に書かれてたとこなかったっけ?
718ゴタ:2006/12/08(金) 14:23:07.10 ID:fJPHWfmv0
>>717
たぶん無かったと思うよ
719失恋物書き ◆xwOA46Wafw :2006/12/08(金) 14:26:13.99 ID:wXmT9k5W0
おK、矛盾が出たらそのときはそのときだ
投下します
720若草色のハンカチ ◆xwOA46Wafw :2006/12/08(金) 14:27:32.26 ID:wXmT9k5W0
「それではこれで生徒会会議を終了する」
会長の一声でみんなは席を立ち、それぞれの教室へ戻ってゆく。
北高祭が終わると同時に、季節は秋を飛び越して一気に冬になったような寒さを感じる季節。
あまり暖房の利きがよろしくない生徒会室に居たくないのか、みんな次々と教室に戻ってゆく。
「この資料をまとめたのは君か?」
眼鏡の生徒会長が鋭い視線で僕を見る。
「あ、いえ、喜緑さんにも手伝ってもらいましたが……」
今年の一月の終わりに企画している百人一首大会の資料。
前期からの残留組がほとんどいない今期生徒会が初めてやるイベント。
いままでの生徒会主催のイベントの準備に関する議事録から集めた資料だ。
簡単な信任投票だった生徒会選挙を終えて自分がやった最初の仕事だ。
「なかなかうまくまとまっていた。北高祭へ向けての準備はこのとおり行う」
資料をもう一度読み返した生徒会長はそれだけを言い残して部屋を出て行った。
いや、どちらかといえばこの功績は喜緑さんだろう。
生徒会室の隅にあった去年の議事録から的確なポイントを抜き出してくれたのは喜緑さんだ。
何十冊もあるノートから的確なページを見つけ出してくれる喜緑さんがいなかったら、こんなにまとまった資料は作れなかった。
「喜緑さん」
西日が差し込みだした生徒会室で、今日の議事録をもくもくとつけている喜緑さん。
会議の終わった生徒会室はがらんとして、取り残されているのは僕と喜緑さんだけ。
「喜緑さん」
二度目の呼びかけで喜緑さんは顔を上げる。
「あ、ごめんなさい、なかなか気づかなくって」
喜緑さんは申し訳なさそうに微笑む。
生徒会長の隣に座り、黙々と議事録をつけているこの人。
一言も喋らないと思えば、膠着した会議を一言でスムーズな流れに戻したりもする、すごい人。
「いえ、あの、資料をまとめるのを手伝っていただいてありがとうございました」
喜緑さんはやわらかく微笑む。
この笑顔を見られるだけでも、生徒会に入ってよかったと思わせてくれる、そんな人。
721若草色のハンカチ ◆xwOA46Wafw :2006/12/08(金) 14:29:43.12 ID:wXmT9k5W0
金曜日は見回り。
校舎の裏や、体育倉庫など。
吸殻が落ちていないか、なんらかの不審なものはないかをチェックする仕事。
実際はそんなものよりも。蛍光灯が切れていないかとか、ゴミが落ちていないかをチェックする仕事だったが。
くじ引きは運よく喜緑さんと二人。
とはいってもやっていることは校舎の隅の溝にあったヘドロまみれの空き缶を拾い上げるだけだが。
どぼどぼと空き缶の口から流れ出るヘドロ。拾う身にもなって捨ててくれ。
ヘドロが流れ出たのを確認して、ゴミを入れる袋を出してもらおうと振り返る。
ビニール袋をもった喜緑さんは、ぼんやりと部室棟のほうを見上げていた。
「喜緑さん、どうかしましたか?」
「あ、いえ何も……」
あわてたようにスーパーの名前がプリントされた袋を広げる喜緑さん。
校舎の隅からリサイクルの輪に帰っていく空き缶を袋に入れながら、
「あとはどこまででしたっけ?」
「部室棟をぐるりと一周すればおしまいです」
それぞれに任せられた場所を回ればおしまい。
異常があったら生徒会室で報告を書いて、ゴミを捨てればそのまま帰ってもよし。
そんな簡単な仕事だったから気が抜けていたのだろう。足元のそれに気づくのは踏んでからだった。
722ゴタ:2006/12/08(金) 14:29:48.43 ID:fJPHWfmv0
支援
723若草色のハンカチ ◆xwOA46Wafw :2006/12/08(金) 14:30:56.60 ID:wXmT9k5W0
ずぶり、と足の裏に奇妙な感覚。
痛み、それと足の裏に違和感。
あげた足と一緒についてくる板切れ。
「ぐっ、やっちまった」
地面にしゃがみこむ。
足に深々と刺さった釘。
北高祭の展示物の残骸であろう、釘の刺さった板切れ。
白い靴にじわりとしみこむ赤。
痛さより、足の違和感が気持ち悪い。
「動かないで」
喜緑さんは僕の隣にしゃがみこみ、釘の刺さった右足を見る。
「ちょっと我慢してください」
喜緑さんはゆっくりと釘の刺さった板切れを抜く。
痛みとかじゃなく、混乱と緊張で動けない。喜緑さんのなすがままにされている。
ぬるりと足の中で動く感触。釘が新しかったためか、たいした抵抗もなく釘が抜ける。
靴に開いた穴からどろりと赤が流れ出した。
喜緑さんは手早く僕の靴を脱がせ、傷口を確認する。
「結構深いみたいですね、少し我慢してください」
喜緑さんはハンカチを取り出す。花柄の女の子らしいハンカチ。
傷口の上から押さえるように、ぎゅっとハンカチを結ぶ。
薄い桃色の花びらにじわりと血がしみこむ、でもさっきよりは少し落ち着いた。
「大丈夫ですか?立ち上がれますか?」
呆然としている僕の右腕を、喜緑さんは肩に回す。
ほんのりと香る甘い香りに我に返る。
「あ、大丈夫です」
「いきますよ、一、二、三……」
血まみれな右足を引きずって立ち上がる。
右足の痛みよりも、すぐそばにある喜緑さんの顔だとか、匂いとかが気になって仕方がない。
いっぱいいっぱいな右足と脳みそを引きずりながら保健室へ歩いてゆく。
724若草色のハンカチ ◆xwOA46Wafw :2006/12/08(金) 14:31:30.52 ID:wXmT9k5W0
「これで大丈夫ですね」
保健の先生不在の保健室で、喜緑さんは実に手早く処理を済ませてくれた。
消毒を済ませ、手早く包帯を巻くその手つきは初めてとは思えない。
喜緑さんはベッドに寝かせられた僕の右足に手を当てて目を瞑り、何かを小さくつぶやいた。
「早く治るおまじないです。骨は傷ついてないと思いますが、病院にいってくださいね」
そういって喜緑さんはやわらかく微笑む。
釘を踏んでから動揺続きの心がほんのり安らいだ。
「保健の先生呼んできます。荷物も持ってきますからゆっくり休んでてください」
お礼を言ってないことを思い出したのは扉が閉まった直後だった。
後に残されたのは動けない俺と、ゴミ箱に捨てられた赤いハンカチ。
ベッドに身を預け目を閉じる。
まぶたの裏から喜緑さんの笑顔が消えなかった。
725若草色のハンカチ ◆xwOA46Wafw :2006/12/08(金) 14:33:21.93 ID:wXmT9k5W0
右足は医者も驚く順調な回復をし、まだ少し違和感があるものの一日学校を休んだだけで復帰することができた。
昨日の放課後には各クラスにプリントが配られ、
それぞれの出し物の後片付けがきちんと行われていたか再チェックが行われることになった。
会議の予定の入っていない生徒会室の扉を開ける。
居たのは窓際で本を読む喜緑さんだけだった。
「お疲れ様、怪我はもう大丈夫ですか?」
「ええ、おかげさまで」
喜緑さんの隣のいすに腰掛ける。
かばんの中から取り出したきれいにラッピングされた袋。
「怪我の手当て、ありがとうございました。ハンカチ、駄目になっちゃったみたいなんで」
「えっ、そんな、気を使ってもらわなくてもよかったのに……」
開けてもいいですかと問う喜緑さんに頷く。袋の中には若草色のハンカチ。
「ありがとうございます、大切にします」
ぺこりと頭を下げる喜緑さん。
それともう一つ、昨日ずっと言おうと考えていたこと。
「それと、喜緑さん」
「はい?」
僕を見つめる喜緑さんの顔。
生徒会室にくるのも、この人のやわらかい微笑みが見られるから面倒ではなかった。
「僕と、付き合ってくれませんか」
喜緑さんは一瞬驚いたような顔になり、すっと目を伏せる。
ダメ……なんだろうか。
噂に聞く生徒会長の仲とか、でも生徒会内ではそんなそぶりなど見せないのに。
「あの、もしかして……」
「いえ、付き合っている人がいるわけではないのですが……」
喜緑さんは歯切れの悪い返事を返す。
もじもじと何かを考えるようなそぶりを見せて。
「私には有機生命体の恋の概念が理解できないから」
想定もしてなかった返事を返してきた。
726三面鳥:2006/12/08(金) 14:33:55.48 ID:V9oEQmf30
支援
727若草色のハンカチ ◆xwOA46Wafw :2006/12/08(金) 14:34:00.34 ID:wXmT9k5W0
「私は監視という任務があるから、それ以外のことは許可されていないの。
 監視の妨げになるような行動は一切禁止。私はアプローチすることなくただ見守る穏健派のインターフェイスだから」
とつとつと語る喜緑さんの言葉を理解できない。
いや、言葉の意味はわかるのだが、監視とか、インターフェイスとか、何のことやらさっぱりわからない。
喜緑さんは僕の肩に手をかけ、顔を近づける。
キス……と思ったそれはすれ違い、けれど喜緑さんは僕を抱きしめる。
「ごめんなさい、あなたの気持ちに答えることはできない。でもなんていうんだろう、不思議な感じ」
心に刺さる冷たい痛みと、体に感じる暖かい喜緑さんの鼓動と体温。
首筋をそっと暖かい吐息が掠めた。
「これが有機生命体の嬉しいって気持ちなのかな」
首筋に走るちくっとした感触。
その痛みとともに、僕の意識が消失した。
728若草色のハンカチ ◆xwOA46Wafw :2006/12/08(金) 14:34:37.72 ID:wXmT9k5W0
硬い、冷たい感触。
顔を上げるとそこは生徒会室だった。
机に寝そべっている自分。
何でここで寝ていたんだろう。
たしか何か用があって、生徒会室に来たのまでは覚えているのだか……
「まっ、いっか」
思い出せないようなことならたいしたことではないだろう。
大切なことならそのうち思い出すはずだし。
伸びをしようとして肩に何かかかっているのに気づく。
女物のカーディガン。誰がかけてくれたのだろう、名前は書いてない。
「あれ……」
何故か頬が濡れているのに気づく。
何か大切なものを失ってしまった、そんな気持ち。
理由もわからず流れる涙に、戸惑うことしかできなかった。
729若草色のハンカチ ◆xwOA46Wafw :2006/12/08(金) 14:35:28.73 ID:wXmT9k5W0
一月。
百人一首大会の用意は順調に進んでいた。
大き目のストーブを借りてきて、始まるころには寒くないように部屋を暖める。
「喜緑さん、それ持ちますよ」
女の子に重い荷物を持たせるのは忍びない。
喜緑さんの持っていた百人一首の箱を半分少しもらう。
「すみません、ありがとうございます」
借りてきた百人一首の箱を並べれば、もう準備は完了だ。
「それにしても、ちょっと暖房を効かせすぎましたかね」
喜緑さんが額をハンカチでぬぐう。
どこかで見た記憶のある、若草色のハンカチ。
「喜緑さん、それ……」
喜緑さんは僕を見て、やわらかく微笑み、
「大切な人からもらったんですよ」
730失恋物書き ◆xwOA46Wafw :2006/12/08(金) 14:36:33.18 ID:wXmT9k5W0
以上。喜緑さんかわいいよ喜緑さん
731ゴタ:2006/12/08(金) 14:40:27.35 ID:fJPHWfmv0
支援
732ゴタ:2006/12/08(金) 14:41:40.96 ID:fJPHWfmv0
>>729
うまいなぁ
喜緑さんカワイイヨ
GJ!!
733失恋物書き ◆xwOA46Wafw :2006/12/08(金) 14:44:22.05 ID:wXmT9k5W0
いまさら誤字発見

「なかなかうまくまとまっていた。北高祭へ向けての準備はこのとおり行う」

「なかなかうまくまとまっていた。百人一首大会へ向けての準備はこのとおり行う」

生徒会選挙は北高祭あとかなと思い、直したのがまだ直ってなかった……
734そり(AWD):2006/12/08(金) 14:48:42.52 ID:sBnArWN9O
GJ!
735そり(からどした):2006/12/08(金) 14:55:55.61 ID:spvpGcOHO
736サンク:2006/12/08(金) 14:56:32.38 ID:4+rhmnOy0
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737キャンドル(イチゴ味):2006/12/08(金) 15:31:42.87 ID:OYFuyeXJ0
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738そり(ガス欠):2006/12/08(金) 15:32:10.01 ID:NuDNumprO
保守
739トナカイ(ダンサー):2006/12/08(金) 15:45:35.98 ID:qqUPuKFm0
保守
740トナカイ(ダンサー):2006/12/08(金) 15:45:53.44 ID:qqUPuKFm0
やった!トナカイ(キョン)だ!明日からハーレム
741二面鳥:2006/12/08(金) 15:58:29.48 ID:LfkaOIYeO
1日あけて来てみればなんだこのコテたちwww
742そり(ターボ):2006/12/08(金) 16:18:12.65 ID:sBnArWN9O
ほし
743十面鳥:2006/12/08(金) 16:21:34.31 ID:zrKq1oShO
何これ
744サンク:2006/12/08(金) 16:35:10.28 ID:JQRS/Tj30
>>743
運営がクリスマスムードで暴走していると思われる。

七面鳥、サンタ、靴下、トナカイ、キャンドル…等をベースとして、
切り取り、置換で無意味に改竄されたものがNameに適用されている。
しかし、この程度なら大きな影響は無いと思われる。
よって、通常通りの進行を強く望む。
745トナカイ(オカマ):2006/12/08(金) 16:39:02.19 ID:jrBKYn0U0
七切りしよ



746五面鳥:2006/12/08(金) 16:39:12.25 ID:gmF9tLUf0
アナル落ちた。夜になったら誰かが立てます。プリンの皆様しばらくそのままでお待ちください。
747トナカイ(オカマ):2006/12/08(金) 16:47:03.85 ID:jrBKYn0U0
ヤダ
748 ◆dIPa2p9Hdo :2006/12/08(金) 16:54:25.55 ID:LfkaOIYeO
保守ネタ

ハルヒ「さあクリスマスよ!ケーキよ!みんなで分けましょ!!」
――ハルヒ自らホールイチゴショートケーキを分けはじめる。
キョン(……なんか一つだけデカイのは規定事項か?)
ハルヒ「さ、みんな、食べましょ!」
キョン(やっぱりお前が最大角を確保か……)
みくる「わぁ、すごく美味しいです!涼宮さん」
ハルヒ「当たり前よ、あたしが小さい頃から、ケーキ買うならここの店!って決めてるくらいだからね!有希、美味しい?」
長門「……(コクリ)」
749 ◆dIPa2p9Hdo :2006/12/08(金) 16:55:52.53 ID:LfkaOIYeO
>>748

古泉「さすが涼宮さんですね。生クリームやスポンジもかなり美味ですが、なんといってもやはりこの苺の大きさといい甘さといい、絶妙ですね」
ハルヒ「そう!!古泉君、いいところに気が付いたわ!!この苺が食べたくて毎年買っていると言っても過言ではないわね!」
キョン「……お前、苺好きなのか?」
ハルヒ「?そうだけど?」
キョン「いや、なんもない」

――ハルヒ、一番量があったにも関わらず誰よりも先に平らげる。
ハルヒ「はー、美味しかったー!もっと食べたい気もするけど」
キョン「十分食べただろ?太るぞ」
750そり(夏タイヤ):2006/12/08(金) 16:56:45.17 ID:NuDNumprO
支援
751 ◆dIPa2p9Hdo :2006/12/08(金) 16:57:58.08 ID:LfkaOIYeO
>>749

ハルヒ「これくらいで太るわけないじゃない――って、キョンあんたまだ食べ終わってないの?」
キョン「俺は味わって食べているんだ」
ハルヒ「活きのいいうちに食べなきゃ意味ないでしょ!?」
キョン「それは刺身の理屈――って、ああっ!!」
――ハルヒ、キョンの皿に残っていた苺をひょいっとつまんで自分の口の中に放り込む。
ハルヒ「うーん、やっぱり美味しい」
みくる「す、涼宮さん、キョン君もしかして苺を味わうためにとっておいてたんじゃ……」
ハルヒ「そんなみみっちいことしてるキョンが悪いのよ!」
752ニタ:2006/12/08(金) 16:59:37.79 ID:+FiK9IY/0
支援
753 ◆dIPa2p9Hdo :2006/12/08(金) 17:00:00.09 ID:LfkaOIYeO
>>751

キョン「朝比奈さん、いいんですよ、こいつの意地汚さを失念していた俺が悪いんです」
ハルヒ「なんですってー!?」
――ハルヒ、キョンの顔面にケーキの空箱ストライク



――帰り道
古泉「さっきのはわざとでしょう?」
キョン「なんのことだ?」
古泉「苺を残していたことですよ」
キョン「俺はお前らが絶賛する苺を楽しみにとっておいただけだ。ハルヒに盗られてありつけなくて至極残念だ」
古泉「そうですか?涼宮さんが苺を盗ったときあなたの顔が満足げに僕には見えましたが?」キョン「気のせいだ」



キョン(あんな嬉しそうに苺を食べるハルヒが悪いのさ)
754四面鳥:2006/12/08(金) 17:01:53.24 ID:rpCD6kJH0
あまーい
755煙突(小さめ):2006/12/08(金) 17:01:58.66 ID:NuDNumprO
(・∀・)ニヤニヤ
756四面鳥:2006/12/08(金) 17:02:10.48 ID:49dd4Jle0
あまあああああああああああああい
757 ◆dIPa2p9Hdo :2006/12/08(金) 17:03:09.06 ID:LfkaOIYeO
>>753

保守ネタという名の現実逃避ネタ
睡眠時間2時間はキツイ……



では仕事戻りますノシ
758煙突(小さめ):2006/12/08(金) 17:05:38.06 ID:NuDNumprO
仕事がんばれ
759三面鳥:2006/12/08(金) 17:06:06.52 ID:57Er7b270
760一面鳥:2006/12/08(金) 17:10:42.35 ID:zrKq1oShO
名前欄はサンタネタか
761五面鳥:2006/12/08(金) 17:11:47.29 ID:2lfu92B6O
やっべぇ…
図々しいハルヒたまんねぇぜw
762ゴタ:2006/12/08(金) 17:12:30.86 ID:fJPHWfmv0
>>759
全部ダウンロードしてエンコして連結して空いた時間に携帯で見た。

速攻で削除した。

エロビデオはエロ抜きで見るもんじゃないと言うことを
俺はようやく理解出来た……
763二面鳥:2006/12/08(金) 17:13:13.78 ID:Ryakv4HmO
季節外れの怪談物の電波が降りて来たorz
しかも今、電波来ても書けませんからorz
764VIP皇帝:2006/12/08(金) 17:22:42.37 ID:sBnArWN9O
甘いw
GJ!
765ヨンタ:2006/12/08(金) 17:46:18.26 ID:WRJmQwzR0
保守
766一面鳥:2006/12/08(金) 18:00:29.71 ID:SQ65HlSbO
wktk期待保守
767煙突(小さめ):2006/12/08(金) 18:21:20.47 ID:sapgvcpCO
保守
768プレゼントはXBOX:2006/12/08(金) 18:34:24.17 ID:CAJ8GLZS0
保守
769そり(夏タイヤ):2006/12/08(金) 18:54:18.62 ID:sBnArWN9O
保守
770九面鳥:2006/12/08(金) 18:59:49.50 ID:F2degZvgO
保守
771五面鳥:2006/12/08(金) 19:06:45.77 ID:57Er7b270
そろそろアナルがほしいぜ……
772三面鳥:2006/12/08(金) 19:09:24.16 ID:zrKq1oShO
だか断る
773トナカイ(ブリクセム):2006/12/08(金) 19:10:15.46 ID:qqUPuKFm0
長門「あなたは涼宮ハルヒの鍵。使うかどうかは自由。」
キョン「どういう意味だ?」
長門「あなたの鍵が大きくなったら涼宮ハルヒにさせばいい。嫌ならわたしにさすことを推奨する。これはシモネタ」
キョン「18禁って訳か。」
長門「夢を現実のものにする力を持つのが涼宮ハルヒ。
    しかし夢見る少女でいられるのも処女のうちだけ」
キョン「長門に使うとどうなるんだ?」
長門「消失世界の文学少女になる。なぜなら処女消失世界だから」
キョン「じゃあ二人ともいただきます」

というよくわかんない保守
774煙突(小さめ):2006/12/08(金) 19:13:58.86 ID:sBnArWN9O
エロスwww
775:2006/12/08(金) 19:19:56.95 ID:eqZsF0b20
トナカイは名前つきかよwww手がこんでるなwwwww
776:2006/12/08(金) 19:20:14.79 ID:eqZsF0b20
あれ?俺の名前おかしくね??
777三面鳥:2006/12/08(金) 19:30:49.39 ID:BcjOrQs70
コレは……な、何のクリスマスネームだ…?
778三面鳥:2006/12/08(金) 19:36:12.44 ID:zrKq1oShO
ーってww
779プレゼントは あ・た・し、:2006/12/08(金) 19:38:26.02 ID:CAJ8GLZS0
我慢はしない、だって人間だもの
780プレゼントは あ・た・し、:2006/12/08(金) 19:41:20.06 ID:CAJ8GLZS0
ちょwwwwwプレゼントが俺ってwwwwうぇうぇwww
781ゴタ:2006/12/08(金) 19:41:38.74 ID:Qi6L1EVEO
>>779
そんなネームで何言われても説得力無いぜ
782煙突(小さめ):2006/12/08(金) 19:43:24.05 ID:sBnArWN9O
>>779
名前キメェwww
783三面鳥:2006/12/08(金) 19:44:14.66 ID:VbDsvojP0
http://human5.2ch.net/test/read.cgi/wmotenai/1163028997/l50

超美少女が顔とおっぱいうpしてる!!!!!!!!

お前ら集合だぁ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

女神を崇めようぜ!!!!!!!!!!!!!!
784プレゼントは あ・た・し、:2006/12/08(金) 19:44:40.71 ID:CAJ8GLZS0
>>781>>782
あなたたちの言いたいことはわかっていますよ。
これが欲しかったのでしょう? ふんもっふ!!
785そり(K):2006/12/08(金) 19:56:04.74 ID:spvpGcOHO
アッーーー
786靴下左:2006/12/08(金) 20:02:58.53 ID:AJFxLC260
>>759ってなんなの?
見てないけど
787靴下右:2006/12/08(金) 20:06:19.54 ID:vyjQXetJ0
>>786
みないほうがいい。
今ちょっと見たが、冒頭の語りの部分で耐えられなかった
788プレゼントは無し:2006/12/08(金) 20:09:44.18 ID:CAJ8GLZS0
そう言われると……
789四面鳥:2006/12/08(金) 20:12:31.95 ID:BcjOrQs70
実写版(同人)。それ以上でも以下でもないな
790四面鳥:2006/12/08(金) 20:14:10.68 ID:BcjOrQs70
ってAVかよコレ
791六面鳥:2006/12/08(金) 20:15:51.93 ID:57Er7b270
涼宮ハヒルの憂鬱しらないのかよ
792トナカイ(インフルエンザ):2006/12/08(金) 20:26:56.67 ID:jrBKYn0U0
実写版でも同人でもないな
涼宮ハヒルだし
793四面鳥:2006/12/08(金) 20:32:03.47 ID:zrKq1oShO
ハヒルだけはやめとけ……谷口がアッー!!
794愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 20:36:59.43 ID:qqUPuKFm0
ほしゅしゅしゅしゅ
795九面鳥:2006/12/08(金) 20:45:38.08 ID:dH6OhuK00
ハヒル…
796そり(AWD):2006/12/08(金) 20:48:29.43 ID:Epok0L72O
古泉おもいっきりおっさんじゃんwwww
797靴下右:2006/12/08(金) 21:02:43.69 ID:bGJwTIEK0
保守
798トナカイ(メット):2006/12/08(金) 21:05:40.71 ID:qqUPuKFm0
誰もいない、と。今から短いの書こうと思う俺に何かヒントを
799靴下左:2006/12/08(金) 21:07:27.34 ID:AJFxLC260
センセーそのヒントで
こちとらネタがどんどんなくなってます(´・ω・`)
800五面鳥:2006/12/08(金) 21:08:48.82 ID:zrKq1oShO
坂中古泉
801VIP皇帝:2006/12/08(金) 21:10:30.29 ID:Qi6L1EVEO
雪合戦
ハルヒVS
長門

でも甘く
802トナカイ(メット):2006/12/08(金) 21:11:19.78 ID:qqUPuKFm0
>>800
阪中じゃね?
難しいんですぐにはできなそう。時間かけてがんばってみる
803トナカイ(メット):2006/12/08(金) 21:11:38.84 ID:qqUPuKFm0
とりあえず>>801がんばてみるわ
804ゴタ:2006/12/08(金) 21:13:00.80 ID:Qi6L1EVEO
俺だけ普通なネームか。
wktk
805辛抱(せいや):2006/12/08(金) 21:19:39.83 ID:H8pvidnj0
保守
806煙突(四角):2006/12/08(金) 21:39:08.57 ID:NuDNumprO
ほっしゅ
807プレゼントはCcup:2006/12/08(金) 21:39:21.31 ID:CAJ8GLZS0
保守だっ!
808ゴタ:2006/12/08(金) 21:45:04.84 ID:L5Jtb2yv0
809五面鳥:2006/12/08(金) 21:45:38.53 ID:zrKq1oShO
810ツリー:2006/12/08(金) 21:50:59.32 ID:treLONcG0


811十面鳥:2006/12/08(金) 21:51:05.19 ID:dH6OhuK00

812八面鳥:2006/12/08(金) 21:51:29.03 ID:/cE4v8oFO
813ツリー:2006/12/08(金) 21:52:25.76 ID:treLONcG0

814トナカイ(メット):2006/12/08(金) 21:54:40.86 ID:qqUPuKFm0
雪合戦
815 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/08(金) 21:55:18.12 ID:qqUPuKFm0


 その日は朝から雪が降っていた。
 雪が軽く積もった坂道を登る時に足を滑らせないように気を使ったせいか、授業が始まる頃には疲れ果てていたため今日の授業は睡眠学習に決まった。

「キョン! 起きなさい!」
 俺は寝ぼけ眼で起き、後ろの席を向いた。後ろの席にいるのはもちろんハルヒで、いつかのような笑顔でこっちを見ていた。こんな顔をしてるときは俺にとってはろくなことがない。

「いいこと思いついたわ!」
 やっぱり。
「何だ?」
「雪合戦よ!!」

 雪合戦か。疲れることは間違いないが、まあ面白そうだしいいだろう。了承してすぐに部室に向かった。途中で気がついたんだが、俺が起きたときには授業は全て終わっていたらしい。
 部室へ向かうまで気付かなかった俺は本当に何のために学校へきてるんだろうと思う。

「じゃあ今日は雪合戦します! チーム分けするから!」
 と言って差し出された爪楊枝を引くと、朝比奈さんと長門と俺対古泉とハルヒだった。

「これじゃあ勝負はすでに決まってるわね! 負けたチームは勝ったチームのいう事を聞くのよ!!」
 やれやれ、朝比奈さんは戦力にならない。実質2対2だが、長門がいれば何とかなるだろうと考えていた。
 そうして学校からはちょっと離れた広くて人のいない公園へ来たSOS団は、厳格なルールを決めることなくハルヒの投げた雪球が俺に当たった事をきっかけに開戦した。
816 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/08(金) 21:56:21.90 ID:qqUPuKFm0

 始まりがを告げる雪が俺の顔についていて、それを払ってるうちに朝比奈さんは雪まみれになっていて戦意を喪失していた。
 俺は朝比奈さんを安全なベンチに座らせて、動くのに邪魔だからと言い訳をしてから俺が着ていたコートを朝比奈さんに着させた。
 そして戦闘に加わるべく朝比奈さんから離れようとしたとき「キョンくん、危ない」っと朝比奈さんの声を聞いて振り返ると。投球動作のハルヒが目に入った。後ろで古泉が雪まみれになっているのも見える。

 咄嗟に避けようとしたが、俺の後ろにいる朝比奈さんに当たる可能性がある。防御の姿勢をとった時には雪球がこっちに向かってきている。

 何かを考える前に雪球が弾けた。

「あなたは私が守る」

「長門、お前か。ありがとう助かったぞ」
 長門に近づいてそう言う。でも、インチキはダメだぞと付け足す。
「あなたの言うインチキはしていない。涼宮ハルヒの投げた雪玉を狙って投げただけ。」
 普通は当たらないんだがな、と言おうとしたがハルヒの投げる雪に当たったら怪我しそうなので何も言わないことにする。

「とりあえず古泉をやっつけるぞ!」
 長門にそう言って、既にある程度雪まみれの古泉に特攻した。

 ハルヒはちょっと離れた所から投げてきている。古泉は完全に俺狙いできている。ニヤケ面のジェントルメンは女の子を狙わないみたいだ。
 俺は走りながら雪を拾っては投げ、拾っては投げを繰り返し古泉にどんどん近づいて行く。長門は古泉が投球動作に入った瞬間を狙って当てている。お陰で俺は古泉の攻撃を避けることなんて考えないで突っ込める。

 そして古泉を追い詰めた俺は、長門と共に古泉を雪だるまにするべく雪を投げる、というよりは雪をぶっ掛けている。
「参りましたよ、お二人が本気になると僕にはどうしようもありません」
 よし、じゃあ負けたお前は先払いに朝比奈さんに暖かい飲み物を買って来てやれ! そう言ってから俺と長門はハルヒを攻略することを考えた。
817 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/08(金) 21:56:52.14 ID:qqUPuKFm0

 ハルヒは決して参ったとは言わない。しかし明確なルールを決めてなかったため、参ったと言わす以外にはどうしたら勝ちなのかわからない。
「ならば完膚なきまでに雪まみれにする」
 長門も負けん気をだしていた。ハルヒの攻撃を避けながら俺は木の影に隠れた。
 とりあえず俺がハルヒの攻撃を喰らわなければ長門はもっと自由に動けるだろうとの考えだ。
 もちろん俺も隠れながらハルヒに向かって雪を投げている。長門はハルヒを挟んで反対側に移動したため、ハルヒは挟み撃ちを受けている格好だ。

 ハルヒはこのままだと不利だと悟ったのか、俺の投げる雪球を避けることもせずにこっちにつっこんできた。俺は逃げようと思ったが情けない事に滑って転んでしまった。
 ハルヒは俺の事を見下す形でニヤリと笑い、俺が参ったと言うと思いっきり木を蹴った。

 木の影に隠れていた俺は、枝に積もっていた雪がハルヒの蹴りによって落ちてきたのを全身で受け止めた。そして俺という個体の半分は雪に埋まった。

「これであんたは脱落ね!」
 ハルヒはそういうと長門のほうを向いた。長門は雪の中から這い上がる俺を見て、ハルヒに降参宣言をした。

「ちょっと! これからがいい所じゃない!何で降参するのよ!」
「彼の体温が著しく低下している。これ以上戦闘を続ける事は彼にとって危険」
 確かに真冬に雪まみれになっている俺はかなり寒かった。

「しょうがないわね! でもあんたたちの負けだからね!」
 ベンチに行くと古泉と朝比奈さんが暖かそうなお茶を飲んでいた。
 ハルヒは朝比奈さんのお茶を奪い取り一気飲みした。
818 ◆aU/GQqP0Gw :2006/12/08(金) 21:57:06.04 ID:qqUPuKFm0

 俺と長門は少し離れてそれを眺めていた。すると、長門が近づいてきて俺に抱きついてきた。

「どどうしたんだ、長門?」
 俺の声に反応してハルヒ以下ベンチに座っていた3人がこっちを向いた。
 ハルヒが不機嫌そうな顔をしているのは見えるが古泉と朝比奈さんの表情を見る前に長門が言葉を発したので長門に目が言った。


「あなたの体温は低下しすぎている。このままでは体調を崩す可能性が危惧されるので体温の上昇を図っている」
「何してるのよ、有希!?」

 ハルヒは俺と同じ事を長門が説明した直後に聞いた。
「俺の体温が低すぎて風邪引きそうだから暖めてくれてるらしい」

 正直暖かかったため離れたくなかったためそのままの格好で言った。

「しょうがないわね、あたしが暖めてあげるから有希はどきなさい!」
「わたしと彼は同じチーム。よってわたしが暖めるのは必然」
「あたしが雪をぶっかけたからキョンは体温が低下したんでしょ? ならあたしの責任よ!
 それに、敗者は勝者のいう事を聞くべきよ!」

 言い争いをしている2人を長門に抱かれたままみていると、なんだか幸せだなぁなんて思っていた。


おわれ

819十面鳥:2006/12/08(金) 21:57:45.41 ID:dH6OhuK00
紫煙
820ツリー:2006/12/08(金) 22:02:22.49 ID:treLONcG0
うひょぉおおおおおwww
でも、長門は低血圧そうであったかくなってるのか気になるところだが
こんなシチュたまんねーwwwwww

821六面鳥:2006/12/08(金) 22:03:00.51 ID:zrKq1oShO
翔鯨丸
822ニタ:2006/12/08(金) 22:03:03.49 ID:wXmT9k5W0
GJ!!
823愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 22:04:13.32 ID:qqUPuKFm0
トンクス
>>801のフリが良かった。もちろん生かしきれてないのは俺のスペックの低さスマソ
824ツリー:2006/12/08(金) 22:06:42.16 ID:treLONcG0
有希の雪まみれ
有希の雪だるま
有希の湯たんぽ

が見てみたい
825六面鳥:2006/12/08(金) 22:10:06.10 ID:zrKq1oShO
>>824
雪だるまAAなら長門スレにあるぞ
826煙突(便秘):2006/12/08(金) 22:11:12.11 ID:sBnArWN9O
GJ!
827八面鳥:2006/12/08(金) 22:14:01.18 ID:57Er7b270
アナルスレがない分、素のハルヒスレにだいぶ人が流れている気がする。
828六面鳥:2006/12/08(金) 22:15:46.85 ID:BcjOrQs70
いや、>826というアナルの申し子がプリンに来ている。
829愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 22:18:41.85 ID:qqUPuKFm0
>>824
それでSSつくってみる
830煙突(便秘):2006/12/08(金) 22:20:10.28 ID:sBnArWN9O
>>828
俺の事かwww
831靴下右:2006/12/08(金) 22:20:17.11 ID:bGJwTIEK0
保守
832プレゼントはFcup:2006/12/08(金) 22:21:22.32 ID:CAJ8GLZS0
833トナカイ(ルドルフ):2006/12/08(金) 22:28:01.12 ID:qqUPuKFm0
>>824
>>828


 それは毎年雪が積もるこの町に今年は積もる所か降ってすらいない冬の出来事だった。
 俺は長門と2人で町を歩いていた。ふと、子供が雪だるまの人形を持っているのを見て何だか懐かしくなった。
「ゆきだるまかぁ、久しぶりに見たな」
「ゆきだるま…なに?」
「知らないのか? 雪でだるまを作って遊ぶんだよ。ただの雪を使った人形遊びなんだが、季節ものだけあって何故か楽しかったな。
 雪が降っていれば作ってやれるけど、無理だな。」
「そう」

 そうして歩いていくと、クリスマスムードに包まれた雑貨屋の前を通った。
 ここならアレが売ってると思い、長門にちょっと待ってろと言い、店内に入っていった。
 2〜3分で買い物を済ませて出てきた俺は長門に雪だるまのストラップをプレゼントした。
「ありがとう」
 そういった長門は少しうれしそうだった。

 長門の家に着くと、長門は俺を家にはいるように促した。俺はそのまま長門の部屋に入って行った。
 部屋に着いた俺はコタツに座って長門の入れたお茶を飲んでいた。長門はストラップをうれしそうに眺めている。
 すると長門は突然立ち上がった。
「お礼に、あなたに見せてあげる。」
834トナカイ(ルドルフ):2006/12/08(金) 22:28:11.47 ID:qqUPuKFm0

 そういうと長門は高速で呪文らしき言葉を綴り、どこからともなく出現した雪が長門を包む。
 あっという間に長門のまわりに雪が積もり、雪だるまになった。

「どう?」
「どうって、何故長門が雪の中に入ってるんだ?」
「こういうものだと理解していた」
「長門、雪だるまの中には何も入ってないんだぞ?」
「そう」

 長門は雪から出てきたが寒そうだった。呪文を使えばいいのにとか思ったが言わなかった。
 そして俺は長門に風呂に入らせて床にまき散らかされた大量の雪を除去した。

 風呂から出てきた長門に「ちょっと雪だるまらしくなかったがきれいだったぞ。ありがとう」と言うと、長門は俺の冷たくなった手を掴んだ。
 長門の手は風呂上りで暖かかった。


 どうがんばっても湯たんぽだせないので終わる。
835煙突(便秘):2006/12/08(金) 22:29:47.36 ID:sBnArWN9O
仕事早いな!

GJ!
836四面鳥:2006/12/08(金) 22:32:03.05 ID:IxAe9Z9a0
乙、GJ!

んじゃ、湯たんぽは私が書いても良いかい?
837愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 22:33:15.66 ID:qqUPuKFm0
>>836
お手本頼んだ
838チンクルベル:2006/12/08(金) 22:34:38.11 ID:MjQgAb/K0
ドラマCDのライブアライブの後日談って
結局ENOZのライブをキョンと見に行くって話でFA?
839チンクルベル:2006/12/08(金) 22:42:19.13 ID:MjQgAb/K0
お知らせ > YUKI.Nさんが入室  (05/10(水) 18:56 )
YUKI.N > みえてる?  (05/10(水) 18:56 )
YUKI.N > みえてる?  (05/10(水) 19:24 )
YUKI.N > みえてる?  (05/10(水) 20:12 )
YUKI.N > いないの?  (05/10(水) 21:56 )
YUKI.N > おーい  (05/10(水) 21:58 )
YUKI.N > 愛しのユッキーだよー  (05/10(水) 22:02 )
YUKI.N > もう落ちちゃうよー?  (05/10(水) 22:05 )
YUKI.N > そこから出るヒントあげないよー?  (05/10(水) 22:09 )
YUKI.N > orz  (05/10(水) 23:58 )
YUKI.N >    ∩___∩  (05/11(木) 01:31 )
YUKI.N >    | ノ      ヽ  (05/11(木) 01:31 )
YUKI.N >   /  ●   ● |   (05/11(木) 01:31 )
YUKI.N >   |    ( _●_)  ミ  (05/11(木) 01:32 )
YUKI.N >  彡、   |∪|  、`\  (05/11(木) 01:32 )
YUKI.N > / __  ヽノ /´>  )  (05/11(木) 01:32 )
YUKI.N > (___)   / (_/  (05/11(木) 01:32 )
KYON > 長門か?何やってんだ?お前  (05/11(木) 01:32 )
お知らせ > YUKI.Nさんが退室  (05/11(木) 01:32 )
840愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 22:43:49.79 ID:qqUPuKFm0
YUKI.N>見ないで
ああ
YUKI.N>みないでって言ったでしょ!
YUKI.Nが退室しました
841愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 22:44:02.76 ID:qqUPuKFm0
ごめんパクった
842百面相:2006/12/08(金) 22:52:50.33 ID:GSpcPZ+SO
>>839
ワロタ
843トナカイ(雄):2006/12/08(金) 23:01:20.61 ID:w6+nRnlq0
ハヒル見てみたけど……
絡みは無いのか……
844五面鳥:2006/12/08(金) 23:02:00.12 ID:IxAe9Z9a0
湯たんぽ投下するよー。
845有希と湯たんぽ01/03 ◆Gzo5DAjIoE :2006/12/08(金) 23:03:34.09 ID:IxAe9Z9a0
 パジャマ姿になりさてそろそろ消灯時間かというところで、ハルヒが懐かしいとも呼べる
ような代物を取り出した。へえ、と呟く俺と、準備のためと言って台所に行ってしまった古
泉の反応は良いとして、朝比奈さんと長門はただそれを見ていた。
 ……別におかしなものじゃない、ただの湯たんぽなんだがな。
「何ですか、これ?」
「……何?」
 朝比奈さんと長門の声は重なりこそしなかったが、同じことを疑問に思っているようだっ
た。そうか、二人とも湯たんぽを知らないのか。
「湯たんぽよ湯たんぽ、二人とも知らないの?」
 疑問形で詰め寄るハルヒ。
 ちなみにその湯たんぽなるものはハルヒと古泉が持ち込んだものである。どうしてこの二
人がこんな物を長門の家に持ち込もうとしたのかは俺にはさっぱりだが、こいつ等の持って
きたものの割には割合まともだな、くらいには思っている。
「はじめて見ましたあ」
「……わたしも」
「どうやって使うんですか?」
「お湯を入れて、毛布とか専用の袋とかに包んで使うのよ」
 朝比奈さんに疑問にハルヒが答える。というか解説してやっている。感心する朝比奈さん。
朝比奈さんが生まれた未来とやらにはこんな原始的な道具は無いんだろうなあ、なんて風に
思う俺。長門はやっぱりただじっと湯たんぽを見ている。
「お湯が沸きましたよ」
 そこへお湯の準備をしていた古泉がやってくる。タイミングが良いな。
「あ、ありがと。じゃあ入れてちょうだい」
 ハルヒがそう言って、古泉が湯たんぽにお湯を入れていく。
 しかしお湯が足りなかったのか、三つ目まで入れ終わった所でお湯がなくなってしまった。
「もう一度沸かしてきますね」
「うん、お願い」
 古泉がお湯を沸かすべくもう一度立ち上がって、残ったのは四人、お湯の入った湯たんぽ
は三つ。
846愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 23:03:38.32 ID:qqUPuKFm0
wktk
847有希と湯たんぽ02/03 ◆Gzo5DAjIoE :2006/12/08(金) 23:04:17.72 ID:IxAe9Z9a0
 順番なんてどうでも良いと思うんだが、どういうわけか長門はお湯の入ってない湯たんぽ
を手に取り、専用の袋から中身を取り出した。当たり前だがお湯が入ってないから出来るこ
とだな。お湯が入っているときにこんなことをしたら火傷をする。……長門が火傷をするか
どうかは分からないが。
「……有希?」
「手に馴染む形、人体に当てることを計算して作られている模様。……でも、完璧とは言え
ない」
 長門、いきなりそんなことを口にするな。
 ハルヒが目を点にしているからさ。……すぐに理解の表情に変わったみたいだが。
「へえ、有希ってそんなことまで分かるのね、凄いわ」
 凄いで済まされて良い問題なんだろうか。朝比奈さんもハルヒと似たり寄ったりな様子だ
けどさ。
「お湯、準備できたんですけど」
「……」
 古泉が戻ってきて自分の分の湯たんぽにお湯を入れて、それから、長門の方を見た。
 長門はやっぱり剥き出しの湯たんぽを手に持ったままだ。長門、それじゃお湯が入れられ
ないぞ。
「あの、お湯……。そのままだと入れられないのですが」
「……」
「ほら有希、古泉くんに渡してあげなさいよ」
 ハルヒが長門の手から湯たんぽを奪い、袋に戻してから古泉に手渡した。
 湯たんぽを取られた時長門がちょっと寂しそうな顔をしていたように見えたのは、俺の気
のせいじゃないよな?
「はい、どうぞ」
「……」
 湯たんぽを手渡された長門は、さすがにそれを袋から出すようなことはしなかった。
848愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 23:04:28.86 ID:qqUPuKFm0
支援
849有希と湯たんぽ03/03 ◆Gzo5DAjIoE :2006/12/08(金) 23:04:51.68 ID:IxAe9Z9a0
 夜が明け湯たんぽの中の水を捨てた後も、長門はどういうわけか湯たんぽを離そうとしな
かった。気に入ったんだろうか。
「有希が湯たんぽを気にいるなんてちょっと意外だわ。……あ、そうだ、良かったら今度違
う形のも買ってあげるわよ。お店に行けば色々あるもの」
 この家にこの湯たんぽをそのまま全部置いておくくせに、これ以上増やすのか。
 一人暮らしの家に湯たんぽが幾つあっても仕方ないだろうに。
「……そう」
 いや、長門は嬉しいみたいだけどさ。
 長門と湯たんぽか……、良く分からない組み合わせだが、長門が湯たんぽを抱えている所
ってのは、そんなに悪くも無いか。
 湯たんぽから始まって何だか良く分からない買い物計画を延々と喋り始めたハルヒと、そ
れをただ聞いている長門、目を白黒させる朝比奈さん、苦笑気味の古泉という割りと何時も
通りの光景を見ながら、俺はぼんやりとそんなことを考えていた。
 俺も今度、長門に何か買ってやるか。

 終わり
850愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 23:05:37.77 ID:qqUPuKFm0
支援体
851愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 23:06:35.16 ID:qqUPuKFm0
GJ!
イキナリ消灯にはビックリしたw
852煙突(なかった):2006/12/08(金) 23:09:02.06 ID:NuDNumprO
乙!
仕事早いうえに話うめぇww
853煙突(四角):2006/12/08(金) 23:11:07.29 ID:sBnArWN9O
GJ!

そういや、最近湯たんぽ見てないなぁ…
854:2006/12/08(金) 23:13:16.04 ID:8r5W2DWP0
>>853
俺は今現役で使ってますよ

>>849
855人面魚:2006/12/08(金) 23:21:21.92 ID:2lfu92B6O
懐かしいな湯たんぽ
朝起きて湯たんぽのぬるま湯で顔洗うのが良かったな…

パジャマ姿で湯たんぽ抱えた長門萌え
856煙突(便秘):2006/12/08(金) 23:25:00.54 ID:HbjlEt2sO
保守
857ゴタ:2006/12/08(金) 23:25:16.27 ID:2KQUQKUu0
GJただそれだけ
858十面鳥:2006/12/08(金) 23:28:30.33 ID:49dd4Jle0
\(^o^)/大切なスレのログ削除しちまったオワタ
859愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 23:29:31.67 ID:qqUPuKFm0
>>858
大切なのはスレのログじゃなくて、リアルタイムで見たというあなたの心です
860三面鳥:2006/12/08(金) 23:30:17.12 ID:e6tAvGev0
最近の湯たんぽは、蓄熱剤入りパックをマイクロウェーブ加熱、ですからね。
861十面鳥:2006/12/08(金) 23:31:23.75 ID:49dd4Jle0
>>859
それもあるが、ちょっとログが無ければ困った状況にあって…あばば
もう湯たんぽ買ってきて寝る。
862五面鳥:2006/12/08(金) 23:33:30.50 ID:IxAe9Z9a0
朝比奈さんと○○とか
古泉くんと○○で何か無いかな。という感じでネタ募集
書けるかどうかは未知数なんだけど
863:2006/12/08(金) 23:35:13.25 ID:SFo9XcxM0
湯たんぽは非常に使えます。
受験生で家で勉強するにはおすすめ
864:2006/12/08(金) 23:36:40.69 ID:SFo9XcxM0

↑クリスマスと何の関係あるんだよこのコテwwwww
865十面鳥:2006/12/08(金) 23:37:34.50 ID:/cE4v8oFO
朝比奈さんとトナカイ
朝比奈さんのかまくら
小泉とシャミセン
866三面鏡:2006/12/08(金) 23:38:47.18 ID:HwoVxZRCO
>>864
つ・クベ
867煙突(便秘):2006/12/08(金) 23:41:00.19 ID:HbjlEt2sO
>>862
朝比奈さんと〇〇じゃないけどこの前朝比奈みくるの未納ってSSを書こうとして挫折した。
N〇Kの受信料を知らないみくるが請求書を詐欺だと思ってキョンに相談して〜って感じ。
868煙突(四角):2006/12/08(金) 23:44:58.64 ID:sBnArWN9O
>>867
詐欺www

未来にNHKは無いのか…
869ヨンタ:2006/12/08(金) 23:45:18.14 ID:jEiHdSoT0
>>855
それ俺のライフスタイル
870愛のVIP戦士:2006/12/08(金) 23:45:43.80 ID:qqUPuKFm0
>>868
NHK違いになってるかもよ?
日本ひきこもry
871ヨンタ:2006/12/08(金) 23:46:29.18 ID:jEiHdSoT0
>>862
ではあえて
古泉 と 手編みマフラー
872五面鳥:2006/12/08(金) 23:47:44.03 ID:IxAe9Z9a0
>>865
>>867
>>871
んじゃ、出来る範囲で頑張ってみます。
未納はさすがに書けるかどうかわかんないけどw
873三面鏡:2006/12/08(金) 23:49:47.64 ID:HwoVxZRCO
>>872
wktk
874煙突(便秘):2006/12/08(金) 23:51:13.45 ID:HbjlEt2sO
未納はもともとギャグものとして受信した電波だからwwww
875煙突(四角):2006/12/08(金) 23:52:27.88 ID:sBnArWN9O
>>872
wktk


未納…wktkしちゃうぞw
876煙突(便秘):2006/12/08(金) 23:52:38.75 ID:/cE4v8oFO
朝比奈みくるの鬼ごっこ
SOS団関係者で学校内か鶴屋家で鬼ごっこ(鬼につかまるたびに鬼が増えてくるやつ)をしてキョンが朝比奈さんを鬼から助けながら逃げるとか…最終的には全員から隠れながら逃げる
877煙突(なかった):2006/12/08(金) 23:52:53.87 ID:NuDNumprO
そもそもみくるの時代にはテレビが無さそうだな
878トナカイ(もどき):2006/12/08(金) 23:54:39.09 ID:qqUPuKFm0
今日は投下が少ないな。
879:2006/12/09(土) 00:06:59.47 ID:gTEQJ1PY0
1つの長編投下で即次スレだしな
880サンク:2006/12/09(土) 00:09:39.39 ID:Q0EyLNH40
そういえばそうだな。
881ゴタ:2006/12/09(土) 00:16:23.85 ID:JJeYOWs70
みんなこっちにいってんだよ、きっと

新ジャンル『素のハルヒ』
http://ex17.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1165562794/l50
882ゴタ:2006/12/09(土) 00:17:17.67 ID:rcHB36tV0
>878
次のを書くために、今まで自分が書いたものを読み返してます。
……1回目は読み切りとして投下したんだったな。
そして自分が書いたものが読まれる感覚にはまり、病み付きになった。
次で本編13回目だもんね。アニメで言えば、1クール。思えば遠くへ来たもんだ。
読み返してると、3回目の後半あたりで、現在の文体が確立された模様。
1回目、2回目は、やはり文の運びが相当ぎこちない。

そんな回顧をしながら、投下を待つ保守の夜。
883三面鳥:2006/12/09(土) 00:18:33.22 ID:2ntRqvR30
マフラー投下するよ。
884トナカイ(まくり):2006/12/09(土) 00:19:55.61 ID:98b2vrwBO
wktk
885愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 00:20:30.89 ID:Q0EyLNH40
>>883
ktkr
886あたたかなもの01/03 ◆Gzo5DAjIoE :2006/12/09(土) 00:20:43.19 ID:2ntRqvR30
 別に俺は古泉がどこの誰と付き合ってようと知ったことじゃないし、それが例え自分の知
ってる範囲の人間だったとしても文句をつけようとも思わないんだが、世の中には、時と場
合とか、限度とかって物が有るんだってことを、今更ながらに感じていた。
「古泉くん、長さこのくらいでいいかしら?」
「ちょっと短いかも知れませんね」
「んじゃ、もうちょっと編まないとね」
 今現在俺の目の前で繰り広げられている光景。
 それはもうカップル同士のラブラブ光線バリバリ、周囲の事なんか知ったこっちゃないと
でも言わんばかりのラブコメ的光景だった。
 お前等ちょっとは場を弁えろ。
 ここは部室だ。俺や長門もいるんだ。
 ……なんてことを言えたら良いんだろうが、カップルの片割れたる団長様は部室の私物化
を何とも思わないような超自己中心的な人物であり、その恋人たる副団長はそれに逆らう気
など全くなく、俺はともかく当てられている被害者のもう片方であるはずの長門は完全に無
関心を決め込んでいるという状態であっては、俺が文句を言えるはずも無い。
「……お前等のん気だよな」
 だから俺が言えるのは、そんな在り来たりの一言だった。
 季節は秋も深まる頃、俺たちは高三。
 この学校の中で受験を前にしてここまでのん気な三年生なんて俺達だけだと思うね。俺た
ちは一応全員大学受験を目指している筈なんだがな。
「あら、何が問題なの?」
「受験だよ受験。手編みのマフラーなんて作っている暇があったら受験勉強をする時期じゃ
ないのか?」
「……キョン、あんた羨ましいの?」
 だから何故話がそっちへ転がるんだよ。
 俺にはお前の精神構造が謎だ。
 いや、ハルヒの精神構造なんて永遠に謎にしておきたい気もするけどさ。……最近は割り
と普通っぽく見えるようになってきたのに、未だに所々おかしいからなあ、こいつは。
887あたたかなもの02/03 ◆Gzo5DAjIoE :2006/12/09(土) 00:22:11.17 ID:2ntRqvR30
「別に」
「ふうん……、だったら放っておいてよ」
 そう言えば、ハルヒが俺に突っかかってくる回数も大分減ったな。
 それはそれで平和だが、微妙に物足りないような気もしないではないような……、いや、
まあ、それは良いか。

 数日後、そろそろ寒くなってきたなあという頃、古泉は当然のように手編みのマフラーを
身につけて登校してきやがった。まあ、当たり前と言えば当たり前の事何だけどさ。
「お前さ、幸せそうだよな」
「ええ、割りと幸せですよ。……あなたは幸せじゃないんですか?」
「どうかな、少なくとも不幸はないと思うが」
 別に自分が不幸だなんて思っているわけじゃないさ。
 身近なカップルを見て思うことが無いわけじゃないが、何せ俺は未だに恋愛感情とかいう
ものが良く分かってないみたいだからな。
「じゃあ、あなたも幸せになれますよ」
 古泉が、むかつくくらい幸せそうな笑顔でそう言った。
 まあ、俺はそんな古泉が嫌いじゃないんだけどさ。
 苦労しまくっていたはずのこいつが手にした幸せとやらが今ここにあるのなら、それで良
いんじゃないかって思うんだよな。
「おっはよー、あ、つけて来てくれたのね」
 雑談をしつつのんびりと坂を登っていた俺たちのところに、階段を二段飛ばしくらいで昇
っていたハルヒがやって来た。朝から元気なことだ。
「ええ、とっても暖かいですよ。ありがとうございます」
「喜んでもらえて嬉しいわ! あ、今度はセーターでも編んでみようかしら。編物って結構
楽しいのよね」
 普通のことを普通に喜んでいるハルヒっていうのも、何だか最近は見慣れてきた気がする
な。受験生としては色々間違っている気がするんだが。
「嬉しいですけど、あんまり無理はしないでくださいね。夢中になって根を詰めるのはよく
ないですからね」
「分かっているわよ」
 笑い有っている二人は、幸せそうだった。
 行動のベクトルがおかしな方向に向っている時はともかくとして、こういう時のこの二人
を見るのは、俺だって嫌いじゃないんだ。
 

 放課後部室に行ったら、なぜか長門だけがいた。
 長門は何故か本を読んでいるわけでもなく、どこかのお店のものらしい紙袋を抱えていた。
「あれ、ハルヒと古泉は?」
「買出し」
「そっか。……ところで長門、お前一体何を持っているんだ?」
「毛糸と編み図と編み針」
「毛糸? 何でそんな物を……」
「涼宮ハルヒに渡された。……あなたには、わたしが作るべきだと彼女は言っていた」
「そ、そうか……」
「これから編む」
 長門は一言そう言い切ると、編み図の書いてある本と編み針、そして毛糸を取り出し、編
物を始めてしまった。本を読んでいるのとは違うが、黙々と自分のことをしているって辺り
は何時もと一緒だな。
889あたたかなもの04/04 ◆Gzo5DAjIoE :2006/12/09(土) 00:23:29.50 ID:2ntRqvR30
 しかしハルヒが、か。
 あいつなりに気を遣っているんだろうか?
 良く分からんな……。まあ、長門が作ってくれたマフラーってのも、悪くないとは思うけ
どさ。
「なあ、長門」
「何?」
「お前はハルヒに言われたっていうけどさ、それって、迷惑じゃないのか?」
「無い。……言ったのは涼宮ハルヒ、けれど作るのはわたしの意思」
「そっか……。ありがとな、長門」
 長門がどういう気持ちでいるのかは知らないが、長門が俺のためにマフラーを作ってくれ
るってのは、結構嬉しいかも知れない。
 長門の作ってくれたマフラーは、きっとあったかいんだろうな。

 終わり
890 ◆Gzo5DAjIoE :2006/12/09(土) 00:23:54.48 ID:2ntRqvR30
ちっとも古泉と、になってないな・・・ごめんなさいorz
891トナカイ(まくり):2006/12/09(土) 00:25:02.75 ID:98b2vrwBO
GJ!
892ヨン様:2006/12/09(土) 00:25:38.77 ID:0rAlBEBp0
GJ
ハルヒは古泉とは上手くやっていけそうだな。
ハルヒにはキョンか古泉かという2択しかないが
893愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 00:26:04.65 ID:Q0EyLNH40
>>890
GJ!そして乙
マフラーと古泉が切り離されているのはいいがキョンがカワイソス
894愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 00:31:43.34 ID:Q0EyLNH40
トンネルを抜けるとそこは一面の有希景色だった。
長門が大量に降ってきたという保守
895トナカイ(まくり):2006/12/09(土) 00:35:40.00 ID:98b2vrwBO
ネタを漁りにいざカップル板へ。



死にたくなった。
あんな所二度と行かない。
896ヨンタ:2006/12/09(土) 00:36:39.17 ID:5YrXf1es0
>>833
>>847

サンクスGJwwww

ハルヒとハカセ君のクリスマス
長門と朝倉と喜緑さんのクリスマス
鶴屋さんとキョンの妹withシャミセンのクリスマス(+キョン?)
897そり(木製本物):2006/12/09(土) 00:39:42.15 ID:7+uGRZTvO
>>895
wwwwwwww

あそこに行くのは自殺行為だろww
898ゴタ:2006/12/09(土) 00:45:07.91 ID:fRK3MfeB0
>>895
現実は小説よりも酷というがあれほどとは思わなんだ。
899愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 00:46:50.34 ID:Q0EyLNH40
みくる「わたしとキョンくんが付き合うのは規定事項なんです。規定事項に反すると未来が変わっちゃうんです」
キョン「そんな風に脅さなくても俺も朝比奈さんのこと好きですよ」

という保守
900二面鳥:2006/12/09(土) 00:57:45.50 ID:4YC/xwUL0
何か俺に「涼宮ハルヒの消失」が映画化するって言ってくるやつがいるんだがどうすりゃいいんだろうねww
901トナカイ(まくり):2006/12/09(土) 01:00:45.15 ID:EEM+56iIO
勘違い乙とでも言っとけばいいと思います
902ツリー:2006/12/09(土) 01:00:56.79 ID:ECLvflpC0
6時限目の授業が終わるや否や、
ハルヒが「先に行ってて!」と言うので、
とりあえず部室にいくことに。

ドアを開けると、パイプ椅子に座り、
ただ黙って置物のように本を読む長門の姿があった。
長門は黒光りしそうな目をこちらに向けると、
すぐに目線を本に向けた。

ただただ沈黙。

とりあえず、質問だけでもしてみた。
「何、読んでるんだ?」
「……(本の表紙をこちらに向けた)」
「それ、面白いか?」
「…ユニーク」
「そ、そうか…」

「帰っていいかなぁ?」
「…ダメ」
「へ?」
すると長門は、パイプ椅子から立ち上がり、
小さな体で、俺の体をギュッと抱いた。

「……して」
「してって何をだ?」
「……///」

もちろん、その後すぐにハルヒが部室のドアを蹴破り、
部室に入って来たのは、言うまでもないだろう。
903三面鳥:2006/12/09(土) 01:07:06.37 ID:4YC/xwUL0
>>901
もう2回ぐらい言ってきてるんだわww
1回目はどっかで書いてたとか言ってたが詳細不明
2回目はようつべにあった消失映画予告みたいなのを見せてき
正直こいつなら俺でも釣れると思った
904キャンドル(消えかけ):2006/12/09(土) 01:08:27.86 ID:yw90bsig0
>>903
映画化されるのは微笑だとでも言っとけw
905愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 01:11:34.12 ID:Q0EyLNH40
>>904
しょwww谷川じゃないwww
906トナカイ(まくり):2006/12/09(土) 01:12:28.42 ID:EEM+56iIO
>>905
しょ?
907ゴタ:2006/12/09(土) 01:16:27.08 ID:DO2YgCVyO
あ〜、話の最後の詰めの告白シーンが上手く行かない保守
908ヨンタ:2006/12/09(土) 01:16:28.38 ID:QtCLQDwq0
誰かラノベ板の谷川スレに微笑の表紙みたいなの作って貼り付けただろw
あのクオリティの高さなら釣れる奴も多そうだな。
909三面鳥:2006/12/09(土) 01:17:41.04 ID:4YC/xwUL0
ちなみにキャラソン今度はキョン妹と喜緑らしいよって言ったら
「それは無い」と自信満々に言われた
910:2006/12/09(土) 01:23:06.23 ID:YaowEvbk0
>>909
久々に切れちまったよ……屋上に行こうぜ
911六面鳥:2006/12/09(土) 01:26:11.97 ID:4yf2CSTw0
>>910
俺も一緒に行かせてくれ
912キャンドル(消えかけ):2006/12/09(土) 01:26:32.61 ID:yw90bsig0
913三面鳥:2006/12/09(土) 01:30:22.01 ID:4YC/xwUL0
>>910-911
先に屋上行ってるって言ってた
914トナカイ(ブリクセム):2006/12/09(土) 01:32:50.45 ID:h0OdFk2i0
まとめが…
915一面鳥:2006/12/09(土) 01:33:51.73 ID:0zE+vG5d0
激しく亀で申し訳ないんだが、先日受信した電波の中に
>>673
と類似のストーリー構想があった。
誰も書かないようなら書いてみたいと思うけど、どうだろう?
916愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 01:34:45.10 ID:Q0EyLNH40
>>915
「やっちまえ!」
917ゴタ:2006/12/09(土) 01:35:53.61 ID:SoH0hPxVO
>>914
何故観れないのね?
918ウィキ”管理”人 ◆9wIWhQmhwg :2006/12/09(土) 01:37:32.67 ID:YaowEvbk0
>>914
本当おかしい。屋上行ってる場合じゃないな。
出来るだけ早く復旧しますのでお待ちください
919そり:2006/12/09(土) 01:38:52.57 ID:98b2vrwBO
ありゃ。いつものとは違うみたいだね…
920ゴタ:2006/12/09(土) 01:40:00.28 ID:SoH0hPxVO
>>918
お疲れ様であります!
(`・ω・´)ゞ
921一面鳥:2006/12/09(土) 01:40:09.18 ID:0zE+vG5d0
>>916
「……そう」
うっし、書いてみる。今レス見返したら
>>674
も構想練るって言ってるから被るかもorz
電波が続けば数日で書ける、と思う。
922字数確認兼保守:2006/12/09(土) 01:44:27.78 ID:5YrXf1es0
キョン妹「キョンくぅ〜ん、ハルにゃんきたよ〜」
もう来たのか、相変わらずうちの団長さんは仕事が早いな
ハルヒ「ほら、キョン!もみの木もらってきたわよ!」
待て、ハルヒそれが家に入ると思ってるのか?それ以前にそんな大きなもみの木を、
この時期にもらえるというのもおかしいぞ?時期の問題でもないが
ハルヒ「何言ってんのよ、植えてあるんだからもらっていいって事でしょ?それに、
あたしがもらったんだから誰も文句は無いはずよ!」
済んだらあとで返しに行くとして、今はこいつをどこに置くかだな・・・
小泉「それならいいところがありますよ」
なんだ、きてたのか
小泉「なんだとは、傷つきますねぇ・・・僕は団長の荷物もちに来たまでですよまさか、
涼宮さん一人でこの大きなもみの木を持ってきたとは思っていないでしょう?」
まぁな、でどこに置くんだ?
小泉「こうやって、立てかければいいんですよ」
これ本物じゃないのか!ものすごく精巧にできてるな・・・それと
このままでは何のオチも進展も無くただ俺の家に大きなもみの木を
もって来たで終わってしまうんだが
小泉「その点抜かりはありませんよ、しっかりオチはつけてありますから長門さん、お願いします」
長門「わかった」
おわ!長門お前俺の知らないうちにもみの木になっちまったのか!?
長門「違う、これはきぐるみ」
あ〜、いやそうだな重たそうだが大丈夫か?
長門「大丈夫」
そうか、それはよかった
長門「そう」
よし、小泉お前はあとで反省会だな、それと朝比奈さんそんな所に隠れてないで
出てきていいですよ、それにそのトナカイの格好はさぞかし寒いでしょう
ゆっくり部屋であったまっていってください
朝比奈「ふぇえ〜んキョンく〜ん」(泣)
小泉「ハハ、すみません・・・」
923そり:2006/12/09(土) 01:44:45.26 ID:98b2vrwBO
管理人さん、お疲れ様です。


>>921
wktk
924674:2006/12/09(土) 01:49:43.08 ID:2ntRqvR30
>>921
かぶっても無問題!
同じねたで違う人が書いたものを私も読んでみたいし。
925ゴタ:2006/12/09(土) 01:55:00.98 ID:fRK3MfeB0
ファイルが開けないとなってるがこれは……。
926ゴタ:2006/12/09(土) 01:56:26.94 ID:DO2YgCVyO
いや、まとめが大変な中だが投下おK?
たぶん10レス前後
927トナカイ(メット):2006/12/09(土) 01:58:14.28 ID:x8vflIlcO
よみたい
かまーん。
928トナカイ(ドーピング):2006/12/09(土) 01:58:36.28 ID:GBvrd1hWO
バッチコーイ
929ゴタ:2006/12/09(土) 01:58:37.45 ID:SoH0hPxVO
これから出勤だが、出来るだけ支援するってばよ!
930友達から彼女へ、彼女から友達へ ◆mtod1dSyOc :2006/12/09(土) 02:01:34.58 ID:DO2YgCVyO
じゃあ行きます。残りレスも少ないから支援も多分しなくていいです。


――キョンくんへ――

 こんにちは。いきなりですがお手紙を書くことであなたに気持ちを伝えようと思います。
 初めにあなたを気にかけたのは、教室で涼宮さんに話しかけたのを見た時でした。
 わたしは涼宮さんと同じ中学だったけど、彼女が苦手で喋れなかったのに、あなたはすぐに喋っていましたね。
 あなたは優しい人なんだなって勝手に感じました。
 それからは、気がついたらあなたを目で追っていました。
 涼宮さんに引き摺り回されたり、時には文化祭の発表のためカメラを持っていたり、雨の中でストーブを運んでいたのも見掛けました。
 そうやって目で追っていたらいつの間にか好きになってました。
 ほとんど話したこともないし、まして接点すら一つもない。
 それでも好きになっちゃったんです。
 わたしは何の取り柄もないし、顔もよくないし、スタイルもダメです。
 部活だってレスリングなんかに入って、女らしくもありません。
931友達から彼女へ、彼女から友達へ ◆mtod1dSyOc :2006/12/09(土) 02:02:17.47 ID:DO2YgCVyO
 それでもあなたが好きだからこの言葉を伝えます。

『付き合ってください』

 いい返事がもらえるように期待して待ってます。

――クラスメイトの日向より――


 さて、どうしようか。
 朝一番に、こんな手紙が引き出しに入っていたわけだが。
 とりあえずは靴箱じゃないことに安堵した。靴箱に手紙が入ってるとろくなことが起こらないからな。
 ともかく、返事を考えなきゃな。日向……か。
「キョン! ……それ、まさか受けるつもりじゃ無いわよね!?」
 しまった。集中して読むあまり、周囲に気を向けるのを忘れていた。
 お前には関係ないだろ。これを受け取ったのは俺なんだからな。
「バカ! あんたはSOS団に入った時点であたしの物なんだから!」
 ……おい、映画撮影のときなんで俺が怒ったのか覚えてないのか?
「あ……と、ともかく断りなさい! これは団長命令よ!」
 俺の考えなど聞きゃしない団長に愛想をつかし、机に手を叩き付けると廊下に出て行った。
 ふざけやがって。俺は誰の物でもないし、世界の為にハルヒにペコペコする気もない。
 ハルヒにペコペコするのは古泉達の機関だけで充分だ。
「キョ、キョンくん!」
 ためらいがちに俺の名前を呼ぶ声。振り向くと、俺にラブレターを寄越した人物、日向がそこにいた。
「ごめんね? わたしの手紙のせいだよね……」
 気にするな、あれは関係ないからさ。
 少し俯いて、申し訳なさそうな表情をする日向。正直、かわいいと思った。
 ラブレターには自分を悪く書いていたが、俺的には顔もいいと思うし、メチャクチャ女らしいと思う。
 ……そろそろ俺だって幸せになってもいいよな?
「……え? ちょっと……キョンくん?」
932友達から彼女へ、彼女から友達へ ◆mtod1dSyOc :2006/12/09(土) 02:04:31.51 ID:DO2YgCVyO
 俺は日向の頭に手を置いた。
 古泉、機関の人達、すまんな。またハルヒが暴れだすかもしれん。
 手紙の返事……OKでいいか? まだ日向のこと、何も知らないけどさ。
「ほ、ほんと? ありがとう……うれしい……」
 これでいいんだ。俺の人生は俺の物でしかない。
 他の奴等に縛られてたまるか。
「じゃ、じゃあお互い部活が終わった後一緒に帰ろう? 正門で待ち合わせして……ダメかな?」
 そんなことない。一緒に帰ろうぜ。
 俺達はアドレスと番号を交換して、他愛のない話をしながら教室へ戻った。
 教室に戻ると、ハルヒは机に突っ伏して不機嫌オーラを振り撒いていた。
 声をかけとかないといけないだろうな、原因は俺だろうし。……教室全体からの視線も痛いしな。
 ハルヒ。いい加減機嫌を戻せ。
ハルヒはゆっくりと顔を上げ、口を開いた。
「……どうせ日向と付き合うんでしょ? それでSOS団からも離れて、仲良くやるんでしょ」
 日向と付き合うのは間違いないが、SOS団をやめる気はない。
「いいわよ、無理しなくて。あんたもう来なくていいわ、イベントには呼んであげるから」
 この態度には正直、キレたね。今まで我慢したが、もう無理だ。
『パァン!』という乾いた音が教室に響いた。
 そう、俺がハルヒをひっぱたいた音だ。
「ふざけるな。俺がお前に何をして不機嫌になったのかはわからん。
 だがな、言っていいこと、悪いことがある。俺はあの環境が好きだ。
 一方的に出て行けなんて言われたらそりゃ怒るぞ。
 殴ってすまんかった」
 長々と言葉を発した後、すぐに教室を出た。居辛くなったからな。
 とりあえず今日は屋上やら部室やらでサボってやる。


933そり(木製本物):2006/12/09(土) 02:06:23.74 ID:98b2vrwBO
一応支援
934友達から彼女へ、彼女から友達へ ◆mtod1dSyOc :2006/12/09(土) 02:06:41.31 ID:DO2YgCVyO
 まだ予鈴すら鳴っていないが、寒空の下に客人が現れた。予想していた人物達だがな。
 ……なぁ、古泉、長門。
「用件はお分かりでしょうか?」
 どうせハルヒに謝れとか言う気だろ? 断固断らせてもらう。
 こいつと話しても無駄だ。何せこいつはハルヒの機嫌を取ることしか考えてないからな。
「しかし、久しぶりに閉鎖空間が出たもので厄介なんですよ。もしかしたらあなたはまた涼宮さんと二人であちらへ……」
 ちょっと待て。何故ハルヒを叩いた俺があいつと二人で閉鎖空間に行かなきゃならん。
 俺があいつを叩いたことで発生した閉鎖空間。じゃあ最低でも俺だけは連れて行きたくないんじゃないか?
「涼宮ハルヒは、誰にも邪魔されずにあなたと話したいと考えている」
 置物のように黙っていた長門が口を開いた。
「だから今夜にでもあなたは閉鎖空間に二人きりになるはず」
「前に二人で行った時と同じ規模のものが予想されます。くれぐれも頑張ってくださいね。……それじゃあ、お客様が来たようなのでこれで」
 古泉はニヤけ顔と呆れ顔を混ぜたような微笑みで笑い、長門と引き返して行った。
「キョンくん! えへへ……わたしもサボっちゃった」
 たった今さっき彼女になった日向がそこに居た。
「付き合い始めってずっと一緒にいたいから」
 これが普通の恋愛ってやつだよな、幸せすぎるぜ。
 そのまま一日中、寄り添って喋りながら過ごし、手を繋ぎあって帰った。
 今までに較べてはるかに普通で、幸せな生活。
 いつまで続くか分からないが、少しでも長く続けばいいなんて思いながら眠りについた。


「キョン、起きて!」
 目を開けると、灰色の世界でハルヒが俺を上から覗き込んでいた。
935友達から彼女へ、彼女から友達へ ◆mtod1dSyOc :2006/12/09(土) 02:07:25.84 ID:DO2YgCVyO
 気持ちとしては『やっぱりこうなったか』って感じだな。
「また……来ちゃったわね。やっぱりあの変なの出て来るのかしら?」
 あぁ、たぶんな。
「やっぱりあんた余裕たっぷりね。……いいわ、とりあえず部室に行きましょう」
 ハルヒも二回目だし、夢と割り切っているからか、危機感を感じていないようだ。
 部室に行き、いつぞやのように茶を淹れた。
「……キョン、ごめんね。 あんな酷いこと言っちゃって」
 やはり現実ではないと思っているせいか、ここではやけに素直だ。
 気にするなよ。俺こそごめんな、叩いちまって。
「ううん、いいのよ。……それより色々聞きたいから聞くわよ」
 それからハルヒは俺に色々なことを聞いてきた。
 日向のどこが好きだとか、朝比奈さんや長門や古泉には伝えるのかとか……。
 ごく普通の恋愛話。ハルヒが嫌っていたはずの話を俺達はしばらく続けた。
 本心ではハルヒも他愛のない話をするような生活をしたいのかもな。
「じゃあ最後! いい?」
 おう。何でも聞け。
「……あたしはずっとあんたが好きだった。あんたはあたしをどう思ってた?」
 意表をつかれた。ハルヒが俺のことを好きだっただと? そんな素振りはどこにも見せなかったじゃねーか。
 夢だと割り切れるとそんな冗談まで言えるのか? ……なわけないよな。
 俺が見つめたハルヒの表情は、恥じらいを含んでいて、真面目そのものだった。
 ……きちんと答えないと失礼だよな。
 俺も……実は俺も好きだったさ。
「じゃ、じゃあ……」
 ハルヒの口を指で塞いで、続きを口にした。
 だがな、俺は今、日向という彼女がいるんだ。だからお前の気持ちには応えれない。……お前は、友達なんだ。
「そっ……か……」
936そり(木製本物):2006/12/09(土) 02:08:57.72 ID:98b2vrwBO
支援
937友達から彼女へ、彼女から友達へ ◆mtod1dSyOc :2006/12/09(土) 02:09:38.59 ID:DO2YgCVyO
 もしもだぞ、もしも俺がフリーになった時、お前がポニーテールで告白してきたら付き合ってやらんでもないぞ。
 と言った瞬間、鉄拳をくらった。
「夢だからって生意気すぎ! キョンのくせに!」
 ハルヒはいつもの笑顔に戻り、態度まで元に戻った。
 しかしだ、話は終わったが元に戻らないということは、脱出方法はあれしかないのか?
『ふふふ……よくわかってるじゃないですか』
 ……嫌な空耳が聞こえたな。
 やれやれ、しょうがない……いや、しょうがなくないな。
 今からやることは俺の意思だ。後悔はない。……すまんな、日向。
 ハルヒに手招きして呼び寄せた。
「なによ。何か用? バカキョン」
 もう一度確認だ。俺とお前は友達……いや、親友ってことでいいな?
「あんまり言うな、バカ! ……それでいいって言ったじゃない」
 しかしだ、友達でも夢の中ならこんなことだって出来るわけだ。
 ハルヒを抱き寄せてキスをした。
 もちろん、礼儀に乗っ取って目を閉じていて、ハルヒの顔は見えなかったさ。

 ……いてぇ!
 次に気がつくと、俺はハルヒを抱いていたはずが、布団を抱き締めてベッドから落ちていた。
 夢だなんて思いやしない。フロイト先生も微笑んで見てくれてるはずだ。
 なんにせよ俺は帰ってきた。
 さぁ、残った時間をゆっくりと睡眠に当てるか……。


 それから二か月、俺は日向と別れた。
 女って付き合いだすと性格変わるって本当だったんだな。
938友達から彼女へ、彼女から友達へ ◆mtod1dSyOc :2006/12/09(土) 02:10:22.83 ID:DO2YgCVyO
 最初はお互い遠慮していたのか、それなりに上手くやっていた。……が、しばらく経った後、日向は俺を束縛したがるようになってきた。
 そして決定的だったのは、休日の探索のせいで遊びに行けないからSOS団をやめろと言われたことだ。
 その時に俺は悟った。こいつとは気持ちが通じ合わないとな。
 俺から別れを切り出した時にそのことを説明したら、泣きながら謝られた。
 だけど、俺からは『好き』という感情が完全に失せていたからそこで関係は終わらせた。
『いい友達でいような』ってな。
 そして別れてから三日が経ち、谷口や国木田にもバレて冷やかされる立場になった頃だった。
「キョン、それ食べ終わったら部室で待ってるから来なさい」
 いつものように昼飯を食っていると、ハルヒが声をかけてきた。
 あぁ、わかった。あと十分くらいで行く。
 俺は昼飯を三倍速で詰め込み、さらに突っ掛かってくる谷口を蹴飛ばして部室へと急いだ。

 ハルヒ、入るぞ?
「あと五秒待ちなさい! ……いいわよ!」
 ドアを開けて入ると、待ち構えていたのは得意満面の笑みで、ポニーテールにしていたハルヒだった。
 そのまま見とれてしまった俺に、ハルヒは語りだした。
「二か月前ね、悲しいけどうれしい夢を見たのよ」
 なんだよ、それ。……っていうかいつの間にか伸びたな、髪。
「今まではちょこちょこ切り揃えてたけど……その夢を見てから伸ばすことに決めたの」
 ……そうか。
「でもちょっと寂しいな。やっぱりここ二か月はあたしのこと全然気にしてなかったのね……」
 いや、髪が少しずつ伸びてるなってくらいは思っていたが。
「まぁいいわ。今日はそんなことの為に呼んだんじゃないの」
939五面鳥:2006/12/09(土) 02:11:47.14 ID:jl0pii+B0
ドクオにVIPがバカにされたお・・・

http://etc4.2ch.net/test/read.cgi/male/1165589187/1000

969 :Mr.名無しさん :2006/12/09(土) 01:40:36
VIPってヤンキーの前ではへこへこするよなw

973 :Mr.名無しさん :2006/12/09(土) 01:41:02
>>969
所詮ネット弁慶だからな

980 :Mr.名無しさん :2006/12/09(土) 01:41:23
>>969
あいつらネット弁慶だから

1000 :Mr.名無しさん :2006/12/09(土) 01:42:57
VIPはガキとナルシが多いから嫌い

http://etc4.2ch.net/test/read.cgi/male/1165591344/
ここへ突撃 (#^ω^)
940そり(木製本物):2006/12/09(土) 02:12:34.05 ID:98b2vrwBO
支援
941サンク:2006/12/09(土) 02:12:57.74 ID:Q0EyLNH40
支援しえんしぇんじぇんじぇーん
942四面鳥:2006/12/09(土) 02:13:05.66 ID:3AFlusnu0
まとめが見れないのはどうやら上位回線の都合で繋がりにくくなっているかららしい…
943友達から彼女へ、彼女から友達へ ◆mtod1dSyOc :2006/12/09(土) 02:13:36.58 ID:DO2YgCVyO
 ハルヒは俺のネクタイを引っ張り、部室の奥の方まであるかせた。
「あの夢のあんたは生意気だったわ」
 そ、そうなのか? 俺はその夢を見たわけじゃないからわからないな。
「そうなの? じゃあ誰だったのかしら、あれ」
 まったく……こいつ実は全部わかってるんじゃないのか?
 あれが夢じゃないってことも含めてさ。
「あんた……別れたのよね? 日向と」
 あぁ、ついこないだな。
「その生意気な男はこう言ったわ。『俺がフリーになった時、ポニーテールで告白してきたら付き合ってやる』ってね」
 …………………。
 しばらく沈黙が流れる。どちらからも声を出す様子はないまま、三分くらいが経った。
「……あたしの幻想かもしれない。夢は夢でしかないかもしれない。それでも諦められなくて髪を伸ばした」
 俺は黙って言葉を聞き続けた。
「何でだと思う?」
 ……さぁな。
「髪を触ってもらって、あの時みたいに『似合ってるぞ、ハルヒ』って言ってもらいたかったから。そして……」
 そして……なんだよ、続きは。
「あんたにこの言葉を伝えたかったから。『ずっと……好きだった』……」
 この台詞を聞いた時にふと気付いた。今の俺達の立ち位置は閉鎖空間でキスした時と同じだ。
「あたしと、付き合ってください……」
 そして、恥じらいを含んだ真面目な表情。何もかもが似ていた。
 ハルヒは意図的にこの状況を作ったのだろう。
944友達から彼女へ、彼女から友達へ ◆mtod1dSyOc :2006/12/09(土) 02:14:32.86 ID:DO2YgCVyO
 ……お前の夢に出た俺も俺の一部だ。責任は取ってやる。
 バカか、俺は。こんな時まで恥ずかしくて素直に言葉が出ない。
「やだ。そんな言い訳っぽい言葉じゃ、やだから」
 不機嫌な時に見せるこいつの唇を突き出す動作。久しぶりに見たな。
 悪かった、言い直す。大好きだ、この気持ちに嘘偽りはない。
 ようやく見れた、100Wの笑顔。やっぱりこの顔が一番好きだ。
「じゃあちょうだい! 友達へのイタズラのキスじゃなくて、彼女への愛のキスを」
 そのつもりだ。その為の舞台はハルヒが揃えた、あとは俺がそこに立つだけだ。
 俺は一歩前に出て、ハルヒの頭を撫でたり、ポニーテールを持ち上げたりした。
「似合ってるぞ、ハルヒ」
「ふふふっ、ありがと!」
 そのまま俺達は三度目のキスを、恋人として初めてのキスを交わした。


おわり


以上です、夜中に支援と読んでくれた人、ありがとうございました!
945そり(木製本物):2006/12/09(土) 02:15:37.05 ID:98b2vrwBO
夜中に甘ぁぁぁぁぁい!
GJ!
946四面鳥:2006/12/09(土) 02:15:44.12 ID:dRFmZieL0
GJ!そして乙
947サンク:2006/12/09(土) 02:16:04.10 ID:Q0EyLNH40
乙!そんなあなたに日向さん

日向さん
http://up2.viploader.net/pic2d/src/viploader2d162693.png
948サンク:2006/12/09(土) 02:16:28.39 ID:Q0EyLNH40
>>943
これが日向さんでおk?
949ゴタ:2006/12/09(土) 02:20:03.95 ID:DO2YgCVyO
>>948
おK
950 ◆dIPa2p9Hdo :2006/12/09(土) 02:22:22.90 ID:k4LH+n9uO
>>944

今追い付いた
甘い!GJ!!





それとさっき自宅のパソコンで今日投下した保守ネタ短編をwiki編集した後あんなことになった。

私のせいか……orz
管理人さんすみません。

最近色々クラッシャーして人様に迷惑かけている……ダメだ自分
951ゴタ:2006/12/09(土) 02:24:59.87 ID:SoH0hPxVO
甘いっ!GJ!
952四面鳥:2006/12/09(土) 02:25:52.46 ID:3AFlusnu0
>>950

つ >>942
あんたのせいじゃないさ
953ヨンタ:2006/12/09(土) 02:27:20.80 ID:5YrXf1es0
甘ぁあああああい!GJ乙ぅうううう!
そして


最近朝比奈分が不足していると気づくのだった・・・
954ゴタ:2006/12/09(土) 02:27:54.67 ID:DO2YgCVyO
みんなGJ等ありがとう。
あとはマターリ埋めて、朝方に新スレかな?
955:2006/12/09(土) 02:28:50.63 ID:YaowEvbk0
個人的には由良さんが好き。ポニテだし
956そり(木製本物):2006/12/09(土) 02:29:12.40 ID:98b2vrwBO
俺、次スレ立ったら寝るんだ…


確かに最近みくるが活躍してないな。
朝倉が良いポジションになってきたからかな…?
957ゴタ:2006/12/09(土) 02:31:06.68 ID:DO2YgCVyO
最近ハルキョンばっか書いてるから次はみくる行こうかな……保守
958トナカイ(雌):2006/12/09(土) 02:31:22.98 ID:dmg3nArPO
マフラーの人乙〜
古泉とハルヒが付き合っててキョンがやきもきしてる〜みたいな長編がみたくなった
959VIP皇帝:2006/12/09(土) 02:33:36.73 ID:dXfaMKdJO
>>958いいなそれ!
960愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 02:34:44.95 ID:Q0EyLNH40
ハルヒと古泉が付き合うとなんかキョンに対するハルヒの態度が表現し辛いんだよね。
そこいらの技術を誰か発揮してくれることを期待
961ヨンタ:2006/12/09(土) 02:36:32.61 ID:5YrXf1es0
>>958
ぜひとも書いてくれ!
そして



今更ながらSOS団の男分と女分の割合は神だな、
そして作者の谷川さんあんた一体何者なんだ?と思うのだった・・・
962一面鳥:2006/12/09(土) 02:37:37.11 ID:M6gk13cM0
俺はハルヒがキョン以外と付き合ったら、それだけで鬱になってしまうな
963ヨンタ:2006/12/09(土) 02:39:31.98 ID:5YrXf1es0
>>962

ハルヒ中学時代で、谷口と付き合ってた時のストーリーとかはどうだい?www
964そり(木製本物):2006/12/09(土) 02:40:09.89 ID:98b2vrwBO
>>962
よう、俺。
965愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 02:40:53.74 ID:Q0EyLNH40
スレたてしたときない俺が頑張って次スレたててみてもいいかい?
966ゴタ:2006/12/09(土) 02:41:08.44 ID:DeGaJwHkO
軽く失恋した俺には>>944のやつ読んでて胸が痛くなったぜwwwwww
GJです!このぐらいの甘さがいいね!
967愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 02:41:24.67 ID:Q0EyLNH40
うう、空気読めないでごめん。
968ヨンタ:2006/12/09(土) 02:41:32.71 ID:5YrXf1es0
>>965

日本語でおk!
969愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 02:43:17.73 ID:Q0EyLNH40
>>968
・俺は新規でスレッド作成したことがない
・だがたててみたい
・ちょうどもうすぐ1000だ
・次スレ俺が作成してもいいかい?
970愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 02:45:40.11 ID:Q0EyLNH40
971そり(木製本物):2006/12/09(土) 02:47:42.82 ID:98b2vrwBO
>>970
良いタイミングだな。

さて、埋めますか…
972VIP皇帝:2006/12/09(土) 02:48:03.29 ID:DeGaJwHkO
973愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 02:48:24.68 ID:Q0EyLNH40
生め
974ゴタ:2006/12/09(土) 02:48:27.69 ID:DeGaJwHkO
梅酒
975ヨンタ:2006/12/09(土) 02:48:43.78 ID:5YrXf1es0
>>969
・そーっと俺が立てちゃおうとか思ってた
・でも、>>969の仕事が速かった
・ちょうどもうすぐ1000だ
・スレ建てお疲れさま
976ゴタ:2006/12/09(土) 02:48:53.31 ID:DeGaJwHkO
梅ま酒
977ヨンタ:2006/12/09(土) 02:48:55.83 ID:xXbhQbbIO
黙って産め
978四面鳥:2006/12/09(土) 02:48:57.81 ID:dRFmZieL0
倦め
979そり(木製本物):2006/12/09(土) 02:49:00.71 ID:98b2vrwBO
埋め
980煙突(煙たすぎ):2006/12/09(土) 02:49:01.34 ID:68qOv5Vf0
おいついた
埋めぇ
981愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 02:49:09.05 ID:CdpnbF2Z0
>>759
つい見ちゃったが、ブサイクばっかりすぎだろwwww
何がしたいのかさっぱりわかんねwww
982ゴタ:2006/12/09(土) 02:49:42.82 ID:fRK3MfeB0
1000なら次スレで未完作品がすべて完結祭り
983ゴタ:2006/12/09(土) 02:49:43.64 ID:DeGaJwHkO
朝比奈さん「梅ま酒ぅ」
984ツリー:2006/12/09(土) 02:49:51.15 ID:CdpnbF2Z0
って、いう梅(´・ω・`)
985ゴタ:2006/12/09(土) 02:50:13.47 ID:DeGaJwHkO
朝比奈さん「埋めま酒ぅ」
986四面鳥:2006/12/09(土) 02:50:17.79 ID:dRFmZieL0
>>975
よう俺
987愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 02:50:24.69 ID:Q0EyLNH40
>>975
ありがとうめ
988愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 02:50:35.70 ID:Q0EyLNH40
>>1000なら長門と夢で逢える
989ゴタ:2006/12/09(土) 02:50:44.18 ID:DeGaJwHkO
朝比奈さん「埋めましゅぅ」
990ヨンタ:2006/12/09(土) 02:50:59.94 ID:xXbhQbbIO
ヨン様がキョン様に見えたんだぜうめぇ
991ゴタ:2006/12/09(土) 02:51:15.37 ID:DeGaJwHkO
長門さん「埋めましゅぅ」
992四面鳥:2006/12/09(土) 02:51:31.51 ID:dRFmZieL0
ちゅるやさん「スモークチーズは(ry」
993ゴタ:2006/12/09(土) 02:51:47.88 ID:DeGaJwHkO
長門「埋めましゅぅ」
994愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 02:51:56.02 ID:Q0EyLNH40
誤爆梅
995VIP皇帝:2006/12/09(土) 02:52:04.37 ID:5YrXf1es0
>>1000だよキョンくぅ〜ん」
996煙突(煙たすぎ):2006/12/09(土) 02:52:08.15 ID:68qOv5Vf0
1000なら俺がSSにでてくる
997ヨンタ:2006/12/09(土) 02:52:11.75 ID:xXbhQbbIO
1000なら阪中祭り
998ゴタ:2006/12/09(土) 02:52:17.52 ID:fRK3MfeB0
1000なら新ジャンル Wiki管理人×収穫人が流行る
999愛のVIP戦士:2006/12/09(土) 02:52:27.28 ID:Q0EyLNH40
>>1000なら長門と夢で逢える
1000トナカイ(ダンダー):2006/12/09(土) 02:52:32.66 ID:D+lNXeL+0
1000ならハルヒとセクロスできる
10011001
 *     +    巛 ヽ
            〒 !   +    。     +    。     *     。
      +    。  |  |
   *     +   / /   イヤッッホォォォオオォオウ!
       ∧_∧ / /
      (´∀` / / +    。     +    。   *     。
      ,-     f
      / ュヘ    | *     +    。     +   。 +        このスレッドは1000を超えました。
     〈_} )   |                                次スレも…VIPクオリティ!!
        /    ! +    。     +    +     *         http://ex17.2ch.net/news4vip/
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 ガタン ||| j  / |  | |||
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