【初雪を】ローゼンメイデンが普通の女の子だったら【待ちながら…】
1 :
VIP足軽t:
2 :
VIP足軽t:2006/12/04(月) 21:29:20.66 ID:z8bmPk9W0
・『原則「コテ」禁止』
コテハンの人の書き込みが悪いんじゃなくてコテを付いてるということが荒れる原因になりやすいので原則コテは禁止で。
・スレ・作品と関係ない雑談は控え、気に入らない作品や書き込みはスルーお願いします。
・非常時はまずWikiや雑談所で状況を確認してください。(本スレの消失など)
・投下するときは「○○ネタだから注意」とか「○○系につき苦手ない人スルーよろ」などと付けた上、
さらにNGワード指定するなどの各自配慮をお願いします。
例:yuriyuri(百合) sinineta(死) uhouho(男色) guroino(グロ)
・長編でレスを大きくまたぐとき(前回の投下は
>>51で今回は
>>462とか)や前スレからの続きは
タイトルやあらすじ、アンカー等付けると読者に優しい職人になれる。
・なるべく自分でWikiを編集できるようになりましょう。
どうしても編集できない場合は雑談所の掲載状況スレで依頼しましょう。(簡単な説明の項目の通りである程度できます)
・性的描写はエロパロで。(投下するなら少年誌レベルぐらいまで)
・投下混雑時以外の「投下いいかな?」は不要。投下終了後の「やっぱグダグダだったorz=3」とかも不要。
もっと自信持って投下しよう!
・投下時、他の人と被るが嫌なら投下前のログの再取得は必須!
・未来アンカーやリレー小説はスレストの原因になったり投下し辛い空気にしたりするので控えてください。
・上記の他、Wikiの「簡単な注意事項」を読んだ上、分からない質問などは
>>1のリンクから行ける雑談所やWikiでお願いします。
3 :
VIP侍:2006/12/04(月) 21:31:26.87 ID:YwkaXF+eO
4 :
VIP村人m:2006/12/04(月) 21:36:53.22 ID:9f4nigz80
5 :
水汲みおしち:2006/12/04(月) 21:38:43.94 ID:coLmEEUpO
6 :
VIP村人y:2006/12/04(月) 21:42:50.07 ID:6kkC1OCz0
7 :
姫:2006/12/04(月) 21:56:29.61 ID:KHx/qDe+O
8 :
籠屋の銀二:2006/12/04(月) 22:01:27.65 ID:9EaAU5Ju0
9 :
内藤ホライゾン:2006/12/04(月) 22:18:54.85 ID:VV+RsD/PO
乙。さあ、またーりいきますか。
10 :
VIP番長:2006/12/04(月) 22:20:54.53 ID:XdeLM6pGO
それはいつもの帰り道…
ジ「くしゅん!!うぅ…寒っ…」
雪「ジュン様…大丈夫ですか?」
ジ「あぁ、しかし流石に12月だなぁ…冷え込みが半端じゃないよ…」
雪「あら、ジュン様は冬がお嫌いですか?」
ジ「嫌いって程じゃないけど…やっぱ寒いのは苦手だなぁ。」
雪「そうですか…でも私は冬が好きですわ。」
ジ「へぇ、どうしてだ?」
雪「だってお鍋が美味しいじゃありませんか♪」
ジ「ははは、そこかよ…」
雪「ですが…一番の理由はやはり雪のせいでしょうね。」
ジ「雪かぁ…そうだな、寒いのは苦手でもやっぱ雪って何かいいもんだよな。」
雪「えぇ、一面に降り積もった真っ白な雪も好きですが、一粒一粒の結晶が花のようで綺麗です…」
ジ「…あ、そっか!」
雪「ジュン様?」
ジ「きっと『雪華綺晶』って名前はそこから付けられたんだな。雪の華のような綺麗な結晶…ほんとお前にぴったりだよ。」
雪「改めてジュン様に言われると恥ずかしいですわね…(///)」
ジ「はは…僕のキャラじゃないかな?」
雪「いえ、ジュン様にそう言って頂けて光栄ですわ…ですが…」
ジ「どうした?」
雪「私は本物の雪とは違うところがありますわよ?」
11 :
VIP番長:2006/12/04(月) 22:23:25.82 ID:XdeLM6pGO
>>10 ジ「違うところ?」
雪「ええ、それはこれです。」
『ギュッ…』
ジ「うわっ…いきなり抱きついてどうしたんだよ?(///)」
雪「雪の結晶は温もりに触れるとすぐに溶けて消えてしまいますわ…ですが私はジュン様の温もりに触れていられる…溶けて消えることなく感じていられる…」
ジ「雪華綺晶…あぁ、そうだな…」
『ギュッ…』
雪「あ…ふふ、やっぱりジュン様は温かいですわ…」
ジ「そっか、なぁ…できるなら春がきて、夏がきても溶けない雪でいてくれないか?」
雪「えぇ…私は貴方の前から消えたりはしません…私は貴方の温もりがなくてはならない雪ですから…」
ジ「ありがとう、雪華綺晶…あっ!」
雪「…どうかしましたか?」
ジ「上、見てみなよ…」
雪「上?…まぁ♪雪ですわ。」
ジ「今年の初雪だな…今日は冷え込んだからなぁ。」
雪「綺麗ですわ…」
ジ「あぁ…さてと、早く帰らないと本当に風邪引いちまうな。」
雪「でしたら…家に着くまで手を握ってもよろしいですか?」
ジ「もちろん…さ、行こっか。」キュッ…
雪「あっ…はい♪(///)」
そして雪が降り続く凍てついた道を2人は互いの温もりを確かめ合うように歩いて行った…
終わり
12 :
VIP神:2006/12/04(月) 22:30:56.17 ID:H0ny4SUaO
13 :
VIP将軍:2006/12/04(月) 22:59:25.17 ID:YwkaXF+eO
やばいwwwwwとろける程甘いwwwwww
14 :
VIP足軽v:2006/12/04(月) 23:01:16.04 ID:z8bmPk9W0
>>11 まさにスレタイそのものって感じでいいな!
こっちまで温かくなった
15 :
荒巻スカルチノフ:2006/12/04(月) 23:12:11.82 ID:VV+RsD/PO
うにゅーにハチミツをぶちまけるような甘さっ!!
16 :
VIP足軽j:2006/12/04(月) 23:12:42.43 ID:5fGRUHAo0
寒いのに熱いw
17 :
VIP悪魔:2006/12/04(月) 23:36:41.28 ID:H0ny4SUaO
ほ
18 :
VIP村人z:2006/12/05(火) 00:04:42.41 ID:5tfKfQxYO
星湯
19 :
VIP村人m:2006/12/05(火) 00:21:57.18 ID:NproeeZD0
暖かいってよりアツイアツイヒーwwww
20 :
VIP下手人:2006/12/05(火) 00:22:12.71 ID:FAt/gFPv0
あげ
21 :
一生足軽:2006/12/05(火) 00:49:51.32 ID:Iel+Yu2x0
保守
22 :
VIP賢者:2006/12/05(火) 01:19:53.44 ID:ICMD9ZCp0
お久しぶりです。そしてごめんなさい。三ヶ月って……orz
私事が立て込んでいたのですが、しょうこりもなく続きを書かせてください。ごめんなさい……
【うたかた】フラグメント/ライラック 第八回です いくらか説明をば
全寮制の進学高校へ通う桜田ジュン。かつて彼は服のデザインや洋裁を趣味としていたものの、とあるきっかけで色々なものに『冷めて』しまい、
それ以来日々の生活においてとにかく『適度に過ごす』ことを主眼においている。
学校の保険医であるめぐに告白したものの、玉砕。入り浸っていた保健室に行きづらくなっていたところを、水銀燈のフォローを受けたりするのだった。
とある事象について、発作を起こす体質。
これは、そんな彼の視点を中心として進む、とある日常を描いたものです。そこから外れたところで描かれている部分も、繋がりを持っています。
ジュン以外の人物紹介
雛苺 ジュンの幼馴染。その持ち前の明るさから、クラスの人気者。美術部。ジュンと同じ中学校出身。
両親は既に他界している。美術部に所属していて、将来は画家を目指している。
冬休みの直前から、フランスへ留学することが決定している。
真紅 何かがきっかけで形成された、雛苺の陰に隠れたひとつの人格。子供っぽい気質の雛苺とは正反対で、落ち着いた
気質を持ち合わせている。紅茶が好き。ジュンと雛苺についての過去を知っているようだが……?
柿崎めぐ ジュンの通う高校の保健室の先生。雑学に富んでおり、またジュンの良き話し相手。
他人にほぼ興味を持たないジュンが、唯一校内で『先生』と呼んでいる人物。他を慮る気質は恐らく校内随一だが、
感情の対象が自分に向けられていることに関してはジュン並に鈍い。ジュンの想いに応えられず、断る。
水銀燈 ジュンと同学年の女生徒。保健室で邂逅。かなり成績優秀。
めぐとは元々親戚関係であり、知り合い。ジュンに好意を寄せている。頭良し、器量良し、性格良し。
が、その性格故、苦労性の星を背負っていることに本人も気付かない。
さるさん対策として途中、十分ほど間を空けます。もう引っかかりたくない……
投下が無いようでしたら、ご自由に投下お願いします。では…
23 :
VIP賢者:2006/12/05(火) 01:21:29.89 ID:ICMD9ZCp0
>>22 独り歩く、冬の通学路。
ああ――なんて、なんて青すぎる、空。冬の雲の切れ間、その向こう側に覗く空が、何処までも高い。
この街には雪があまり降らなくて、その代わりに冬には冷たい雨が零れる。青色の空には白い雲がよく似合うと思うのだけれど、今の空の大多数を埋めているのは灰色だった。
青と、灰。その曖昧なコントラストが、何かかたちを為そうとしている――それはまるで幽霊か何かのような――気がして、僕は下を向いてしまう。
これでは中也の様だ――以前、彼女から貸してもらった詩集の一遍を、僕は思い出していた。
何の変哲も無い色をした光景は、自分でも解しがたい感情をもたらすことがある。それは決まって、自分のこころが、虚ろに揺らい
でいる時に起こるのだろうと――何となく思った。自らが揺れているからこそ、普遍の、或る平衡を保っているものに感じ入るのだろう。
『しかはあれ この魂はいかにとなるか? うすらぎて 空となるか?』
――彼女の魂は、何処へ行ったのだ?
また、上を見上げる。僅かに、僅かに、陽が顔を出そうとしていた。灰色の雲の一部に、一層濃い灰色の影が落ちる。少しだけ、コントラストが強くなった。
それも、決して珍しくは無い光景で。
ただ、そんな変哲も無い色が。
確かに、この眼に映っていた『それら』が、どうして。
どうしてこんなにも、かなしい。
【うたかた】―/ライラック8
24 :
VIP賢者:2006/12/05(火) 01:22:36.95 ID:ICMD9ZCp0
>>23 「ジュンの淹れる紅茶が、やっぱりいいわねぇ」
「うーん、そうかもねえ」
「水銀燈の淹れてくれた紅茶も美味しかったって、ヒナは思うのよー」
「あぁ……雛苺はいい娘ねぇ。それに引き換えめぐときたら……ぶつぶつ……」
「な、なによう。其処で切り返さなくたって……」
紅茶くらい静かに飲んでいいだろうにと思ってしまう僕は、野暮なのだろうか。
先日この保健室に顔を出してから、果たして僕は前と変わらぬ給仕役に逆戻りなのであった。やはり来づらかった所はあったのだけ
れど、……その辺りは水銀燈に感謝しなければならないのかもしれない。
「で、おかわりも必要な訳ですね?」
「もちろんよぉ」
「うん。頂こうかな」
「わーい!」
三者三様、しかし内容の一致した言葉が返ってくる。
「はいはい」
少しだけ溜息――だけど其処に、残念な気持ちなど少しも含まれていない――をついて、僕はティーポットに手をかける。
『"はい"は一回でいいのよ、ジュン』
そんな声が、聴こえた気がする。
――真紅。僕は彼女と、暫く"逢っていない"。雛苺は、雛苺のまま。僕と接している。それは正しい、とても正しい、本来の在り方
なのであり――そう。昔からずっと続いてきた、何も変わらない関係なのだ。
25 :
VIP賢者:2006/12/05(火) 01:24:01.20 ID:ICMD9ZCp0
>>24 「出発は冬休みに入った日だっけ? ヒナちゃん」
「そうなの。時期的には少し半端だけど、一年位は向こうにいることになりそうなの」
「生活の方面は、大丈夫そうなのぉ?」
「そこは心配ないの! ヒナ、もともと向こうで生まれたし、おじいちゃんとおばあちゃんは、もう居ないけど……親戚のひとなら、居るの。そこでお世話になるつもりなのよー」
「そうか。夢を叶える為だもんな。頑張れよ、雛苺」
「……えへへ。ありがと、ジュン」
照れたように、彼女は笑う。春の日に咲く花のような、やわらかな微笑みだった。
彼女は、留学する。画家になる夢を叶える、その一歩を踏み出す為に。僕には無い『情熱』の呼べるようなものを、彼女は持ってい
るから。正直、楽な道ではないのだろうけど……きっと、乗り越えていくに違いない。
旅立ちの日まで、あと一ヶ月も無かった。だけど、特別なことをしようなどとは、僕は思わない。
残り少ない時間だからこそ――そもそも、今宵今生の別れという訳でもないのだし――いつもと変わらぬ日々を送るのが、きっと良いだろうと思ったから。
僕は保健室に顔を出し、いつもの面子と顔を合わせて、紅茶を飲みながら談笑する。それでいい。それで、いいんだ。
「……」
三人に気付かれぬよう、そっと自分の胸に手をあてた。
大丈夫だ、 (苦しい、)
静かな息を、 (もっと、息をしなければ、)
していれば、きっと―― (空気が足りない、空気が足りない――)
無理矢理に、落ち着かせる。なんてことは無い。手足だって痺れない。いつもの所作で、僕は紅茶を淹れるのだ。
26 :
VIP賢者:2006/12/05(火) 01:25:55.03 ID:ICMD9ZCp0
>>25 ――――――――
「じゃあ、ヒナはまた絵を描いてくるのー」
「うん、がんばってね」
「僕はそろそろ帰りますね」
「紅茶美味しかったわぁ。ごちそうさま」
ひらひらと手を振って、二人を見送る。保健室に残されたのは、私とめぐ、二人だけ。
ジュンと話したいことがあったけれど、それよりも先に――私はめぐに、確かめなければならないとがあった。
「さっき、無理矢理抑えてたわねぇ」
「……そうだね。気付かれないようにしたのは、彼なりの配慮というか……」
「『沢山の息を吸い込みたがる』――ってこと位しか、ジュンの発作については知らないわぁ。命に関わるものではないっては聞いて
るけど、その……やっぱり心配ねぇ」
私がそう言うと、めぐは困ったような笑みを浮かべて返す。
「フェータルな発作では無い筈だよ。とは言っても、苦しいことには変わりないと思うけどね」
「ねぇ、めぐ」
「何? 水銀燈」
「ジュンに――本当のことを伝える訳には、いかないのぉ?」
流れる、沈黙。――わかっている。そもそも、彼らに関する事情について、私如きが首と突っ込もうとしていること自体が、おこが
ましいのだということ。
27 :
VIP賢者:2006/12/05(火) 01:28:16.74 ID:ICMD9ZCp0
>>26 「水銀燈。真実を伝えることが、いつだって正しいことだとは限らないよ」
「でも……」
「うん。――貴女は、やさしいからね。私とは、違う。ジュン君、彼のことを……心の底から、助けたいと思ってる。ただ彼の場合は、かなり事情が特殊でしょう?」
「……」
「心の問題は、それに立ち向かうとき――『こうすれば、"おおまかに良い"』っていうマニュアル的なものはあるけど。それがいつも
正しいとは限らない。ううん、そもそも、正しい答えが無いというか。だから、手探り探していくしかない。彼は決して、病人なわけではないよ。それは貴女も知ってるよね」
「うん……」
「病気、っていう見地で言えば。病んでいるのはむしろ、ヒナちゃんの方。ただ彼女の場合は、今のところ驚くくらいの平衡を保ってる。
そのバランスを、今崩すわけにはいかないよ」
私は、何も返せない。
「……ってね。最後の言葉は、受け売りに近いんだけど。頼まれたんだ、真紅ちゃんに」
「――え?」
「『真実は、明かさないで欲しい――彼は、考えている以上に、強いひとだから。それを伝えても、受け入れてくれるかもしれない。
けれど、だからこそ。いつか、いつか自分で、思い出す時が来るならば――それを待って欲しい』」
そんなことを、彼女が。『真紅』が、言ったのか。
28 :
VIP村人m:2006/12/05(火) 01:35:41.64 ID:z7qe3cFA0
29 :
VIP村人m:2006/12/05(火) 01:36:14.10 ID:z7qe3cFA0
30 :
VIP村人m:2006/12/05(火) 01:36:47.20 ID:z7qe3cFA0
31 :
VIP賢者:2006/12/05(火) 01:40:11.31 ID:ICMD9ZCp0
>>27 『真紅』。彼女は私の友達で、……初めに話を聞いたときは、驚いたけれど。それでも、別に気にすることは無くて、話もよく合う、――かなしい、存在。
だって彼女は、――『居ない』。『真紅という名前の彼女は、居ない』。おかしなことだ。私はたった今、彼女のことを友達と言った。
それは、確かに存在するということなのに。
今の彼女は、夢のような存在。儚い、泡沫のような――何もない、存在なのだ。なんて矛盾なのだ
ろう。
「いっそ――真紅の幽霊が、雛苺にとり憑いてるんなら、良かったんだわぁ。『彼女の言葉を、ジュンに伝えられる』もの」
「……どうなんだろうね。なかなかファンタジーなことって、起きないものだから。そうだなあ……願うことほど、多分自分の身には
降りかかってこないものなのかも。
ただね、うん……どうなんだろうね。彼女の存在を、望んだことなんて。きっと彼は、覚えてはいない。しょうがないことなんだよ。
ひとは忘れる生き物だから」
そう言って、めぐはふと、寂しげな笑みを浮かべた。
そして私は、気付かない。彼女が望んだその願いを、『彼女自身』が、どう思っていたのかを。
――――――――――
時間、の観念について。普段学校に通っているときなどは、一週間はとても長いものに感じられる。特に何の感慨も無く、僕は授業
を受ける訳なのだけれど。流石に月曜の朝などは、『ああ、また一週間』が始まるのかと。少しだけ沈んだ気分になっている感は否めない。
ただ。一週間という長いスパンを超えて――『一ヶ月』という期間が、そこそこ『あっと言う間』に過ぎていくように感じられるのは、
何故なのだろう。感覚とは、本当に不思議なものだと思う。
32 :
VIP賢者:2006/12/05(火) 01:40:42.37 ID:ICMD9ZCp0
>>31 「どうしたの? ジュン」
「いや、なんでもない。準備は出来たのか? 雛苺」
「ばっちりなの! あとは、此処に置いてた絵をひとつ、持っていくだけ。明日はめぐ先生が車を出してくれるって言ってるから……
皆に見送られて、ヒナ、行ってくるのよ!」
この一月足らずの間、彼女達と、何時も通りの時を過ごしてきたつもりだった。そうしたら何時の間にか、彼女の留学前日となっていただなんて。
何か特別な催しを彼女の為にした訳ではない。あくまで、普段どおり。きっとそれが、昔から一緒に過ごしてきた――僕ららしい在
り方なのではないかと、思ったから。
仰々しい別れは、寂しさを紛らわせる効果もあるのだろう。だけど、それは殊更『別れ』を強調させるものでもある。これが今生の
別れという訳でもないのだから――そんなものは、きっと必要ないのだ。
『美術室に、来て欲しいの』
メールでの、雛苺の言付け。学校は明日から冬休み。天皇誕生日を休みの入りにするだなんて、普通の学校では一般的なことなんだろうか……?
校内に、殆どひとは残っていないのではないかと思う。喧騒というものは普段も滅多に感じられなのだけれど、それでも『ひとの気配』
は、居れば何となくわかる。それすらも、今はないから。僕の眼の前に居る、彼女以外に。
「アッサムでいい? ジュン」
「お、雛苺が淹れてくれるのかあ。珍しいなあ」
いや、本当に珍しい。今までこんなこと……あっただろうか? それにしても何故、美術室にコンロとポット、そしてティーカップ
が備え付けられてるんだろう。前に来た時は気付かなかったのだが、案外と部員だけで密かなお茶会を愉しんでいるのだろうか。ここ
は場所も本館からは離れているし、顧問が寛大ならば大丈夫なのかな。
33 :
VIP賢者:2006/12/05(火) 01:41:27.65 ID:ICMD9ZCp0
>>32 「どうぞ。ミルクは大目にしたのよー」
「サンキュ」
白地に赤い苺の模様があしらわれた、陶製のティーカップを受け取る。香りを少し愉しんでから、口に含んだ。
「美味しいよ。ありがとう、雛苺。こんなんなら、普段も淹れて貰えば良かったなあ」
「保健室、で?」
「うん? まあ、そうかな」
何気ない会話の、つもりだった。けれど、僕の言葉を訊いた彼女の眼に――幾許かの、寂しさの色のようなものが混ざっていくのに、気付く。
「それは、駄目なの。ヒナがね、紅茶を淹れるのは――ジュンの為に。そして……お姉ちゃんの、為に」
「お姉ちゃん? ……って、のり姉ちゃんのこと?」
僕の言葉を、ふるふると首を振って彼女は否定した。
「ジュンは、……ジュンはね。忘れちゃった」
「忘れた? ――何を」
「わからない。わからないの……ヒナだって、忘れちゃいけない筈のことなのに、……ひっく、けどね、ヒナ、苦しいの。すごく、
胸が苦しくなるの……きっと、きっとヒナがね、悪いことを、したの。
お姉ちゃんのこと、ヒナ、覚えてる……っ、お姉ちゃん、お姉ちゃん……」
すぅ、と。少しだけ空いていたらしい美術室の窓から、ほそいほそい風が、吹き込んできた。
34 :
VIP賢者:2006/12/05(火) 01:42:06.26 ID:ICMD9ZCp0
>>33 「……っ」
胸を、抑える。くそ、なんでいきなり、――
雛苺は身を翻して、彼女の後ろ側にあった、布に覆われていたものへと手をかける。
「……」
何も言葉を発さず、彼女はその布を、取り去った。
「それ、は」
雛苺が――コンクールに出すと言っていた、絵だった。
「結局……これとは違う絵を出品したの。ヒナが持っていかなきゃならないものは、これ……」
描かれていた少女の隣にあった空白は、いまだそのまま。
傍にあった椅子に、腰をかけて。
彼女は静かに、眼を閉じた。
とても、とても穏やかな表情で。
伝った涙が、頬を伝っている。
まるで、眠ってしまったかのよう。
幸せな、夢を見ているかのよう――
35 :
VIP賢者:2006/12/05(火) 01:43:07.67 ID:ICMD9ZCp0
>>34 「そう。それが『貴女』の望みなのね、――雛苺」
眼を閉じたまま紡ぎだされた言葉は、……『彼女』のものでは、ない。
「真紅……」
「この娘が、夢を見る。ジュン――貴方とこの娘の夢は、決して重ならない。ところどころ、交わる
ことがあったとしても。同じものには、ならないの。
だから貴方は――私のことなど、忘れてしまいなさい」
「どうして」
「守る為に」
「……守る?」
「そう、たったひとつ、守る為に。そうでなくても、消えてしまってかなしいことは……この世界には、多すぎるのだから」
彼女は、眼を開かなかった。とつとつと語られる言葉に、僕は何を、返すべきだったのだろう。
「白い花模様のドレス。それを貰ったのは――『私』では、ないわ」
それきり、彼女は何も話さなくなる。
「……真紅、どうした……?」
36 :
VIP賢者:2006/12/05(火) 01:44:04.36 ID:ICMD9ZCp0
>>35 呼吸は、何時の間にか落ち着いていた。
何故だろう。
どうして今、
「……っ」
涙が、出てくるのか。
――――――――
以上、【うたかた】―/ライラック8 の投下完了です。
次回、 【うたかた】フラグメント/― 泡沫の夢
彼の声は遠くなり、そして新しい声が聴こえ始める。
私は夢を見る。遠い昔の、彼女の記憶。
うまくいくと、次回分のフラグメントと、エピローグで終了することになると思います。
では、失礼します。
37 :
VIP村人v:2006/12/05(火) 01:46:36.22 ID:0ae//K6EO
久々にきたああああああああ
相変わらず文章が丁寧で凄い……
果たして“お姉ちゃん”とは?
続きwktkしてます
38 :
VIP村人w:2006/12/05(火) 02:00:27.99 ID:0ae//K6EO
39 :
VIP魔法使い:2006/12/05(火) 02:06:49.87 ID:ICMD9ZCp0
>>37 レス感謝です。題名に込めた意味を、一気に纏め上げる予定です。
40 :
VIP村人w:2006/12/05(火) 02:54:04.37 ID:0ae//K6EO
41 :
VIP村人Ecup:2006/12/05(火) 04:32:34.33 ID:FsNrASUOO
保守
42 :
VIP遊び人:2006/12/05(火) 05:30:11.81 ID:WDjJxz1+O
保守
43 :
VIP盗賊:2006/12/05(火) 07:02:26.27 ID:WDjJxz1+O
保守
44 :
VIP盗賊:2006/12/05(火) 08:29:48.28 ID:5tfKfQxYO
星湯
45 :
散髪とめきち:2006/12/05(火) 09:03:54.17 ID:9/CF97lIO
保守
46 :
VIP盗賊:2006/12/05(火) 10:13:40.74 ID:FsNrASUOO
保守
47 :
VIP村人t:2006/12/05(火) 10:54:33.33 ID:sWuj/bi10
>>37 【うたかた】の続き、お久しぶり。このタイトル見ると、いつも方丈記の冒頭を思い出す。
いよいよ語られる真紅と雛苺、ジュンの、昔の秘密とは?
真紅は泡沫人なのか・・・これは続きも目が離せないなあ。
ちょっと改行がずれてて読み辛かったのが残念。
26行規制の影響かな?
48 :
猿回しの勘三:2006/12/05(火) 11:36:39.15 ID:9/CF97lIO
保守
49 :
VIP女神:2006/12/05(火) 11:43:32.42 ID:WitXA3qmO
>>39 キタキタキタキタキタキタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!
続きキタ━━━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━━━!!!
50 :
北町奉行:2006/12/05(火) 12:08:59.73 ID:LQIZiC+mO
期待
51 :
VIP毒蛇:2006/12/05(火) 13:40:25.40 ID:t3my5iPLO
保守
52 :
VIP下手人:2006/12/05(火) 14:28:21.21 ID:9/CF97lIO
保守
53 :
VIP村人c:2006/12/05(火) 15:21:14.60 ID:jwvEBIGVO
久しぶり保守
54 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 16:27:41.28 ID:Ungga4mq0
hoshu
55 :
VIP村人e:2006/12/05(火) 17:19:31.95 ID:jwvEBIGVO
保守
56 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 17:52:38.55 ID:5tfKfQxYO
星湯
57 :
だんご屋のはる:2006/12/05(火) 18:00:11.58 ID:LQIZiC+mO
あげ
58 :
ただの戦士:2006/12/05(火) 18:20:47.75 ID:jbU6kYQo0
59 :
籠屋の銀二:2006/12/05(火) 19:12:35.33 ID:9/CF97lIO
保守
60 :
VIP魔王:2006/12/05(火) 19:22:12.80 ID:z7qe3cFA0
「薔薇水晶。なんだよ、その酔狂な恰好は」
「もはや定番との呼び声高いウサギ耳をつけてみました。ぴおーん」
「とりあえず、そのぴおーんはムカつく。禁止」
「ジュンがまた冷たい。淋しいよ。ウサギはね、淋しいと爆発するんだよ?」
「……。だからお前はそういう訳のわか「ぼかーん「やかましい」
「うさうさ、ざわざわ、うさうさ、ざわざわ」
「……うわ。増えたよ、耳」
「ジュンの反応が薄いから増やした。現在23本ほど生えております」
「23? なんか中途半端だな」
「1匹はヴェトナムからの帰還兵。失ったものは、片耳だけじゃ、ない」
「無駄に重すぎる。――それにしてもよくこれだけ用意したな、ウサギ耳なんて」
「……ジュンの声を聞いていたいから。もっと、もっと」
「なるほど。ところで先々週立て替えたシュウマイ弁当代760円の話だけど」
「それは全然きこえない。ふひひ」
「んー。なんか手触りいいのな、この耳(もふもふ)」
「カシミア100%の最高級品。美食倶楽部のあの人も大絶賛、だって」
「雄山先生はそんなこと言わない。はぁ、うさみみあったけー(もふもふ)」
「……ジュン」
「もふもふもふもふ」
「こっちの耳も……いじって?」
「生憎人間の耳に興味はない。うさみみあったけー(もふもふ)」
「(´・ω・`)」
61 :
VIP魔王:2006/12/05(火) 19:23:02.89 ID:z7qe3cFA0
※あらすじ:薔薇水晶の退屈しのぎにジュンがつきあうよ
( ´・ω・)バラシカワイソス
63 :
VIP村人p:2006/12/05(火) 19:59:12.60 ID:tKWgPsv40
ほす
64 :
VIP村人p:2006/12/05(火) 20:01:51.22 ID:Hz5LPjUr0
23本どこに生えてるんだw
65 :
姫:2006/12/05(火) 20:09:30.04 ID:CYNmiO0vO
66 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 20:27:24.42 ID:8Qn8W2vD0
67 :
姫:2006/12/05(火) 20:31:19.46 ID:0JaWfmaAO
ほ
68 :
VIP村人r:2006/12/05(火) 21:07:42.88 ID:tKWgPsv40
保守
69 :
VIP盗賊:2006/12/05(火) 21:10:07.89 ID:NproeeZD0
>>65 物憂げな真紅とはまた新鮮で可憐だ
黒がよく似合ってる、GJ!
70 :
ただの戦士:2006/12/05(火) 21:26:09.43 ID:DwtDLGHY0
___ ┌──┐ _
く/',二二ヽ> i二ニニ二i ,'´r==ミ、
|l |ノノイハ)) /l ∧ i´ノノノヽ))) 卯,iリノ)))〉
|l |リ゚ ー゚ノl| 〈 |/ノ Wリ゚ -゚ノリ |l〉l.゚ ー゚ノl
ノl_|(l_介」つ(0o) (l_介」) ({'ミ介ミ'})
〈__l__〉 ノ`ヽノヘ ノ,ノハヽ、
. 〈_ハ_〉 く二二二〉 ` -tッァ-'
.ィ/~~~' 、 , .-=- ,、
、_/ /  ̄`ヽ} ヽr'._ r┌- 、,. -┐
_____ ,_ _,》@ i(从_从))________ //`Y.く|_,.ヘ_|〉 , '´ ̄`ヽ
/ `."- ||ヽ|| ゚ -゚ノ/ ヽ i | 丿. ノ イ从|从)、 i ノ '\@
'"'⌒`~"'" ''|!/'i) 卯i つゝ'''"ー"`` ヽ>,/! |ミ|ミ!゚ ヮ゚ノミ!| ヾ(i.゚ ヮ゚ノ
''y /x lヽ `ー -(kOi∞iミつ ' `'' ([{.∞}])
l†/しソ†| (,,( ),,) /__ハ_|
lノ レ . じ'ノ' `もテ′
71 :
ただの戦士:2006/12/05(火) 21:27:12.46 ID:DwtDLGHY0
___ ┌──┐ _
く/',二二ヽ> i二ニニ二i ,'´r==ミ、
|l |ノノイハ)) /l ∧ i´ノノノヽ))) 卯,iリノ)))〉
|l |リ゚ ー゚ノl| 〈 |/ノ Wリ゚ -゚ノリ |l〉l.゚ ー゚ノl
ノl_|(l_介」つ(0o) (l_介」) ({'ミ介ミ'})
〈__l__〉 ノ`ヽノヘ ノ,ノハヽ、
. 〈_ハ_〉 く二二二〉 ` -tッァ-'
.ィ/~~~' 、 , .-=- ,、
、_/ /  ̄`ヽ} ヽr'._ r┌- 、,. -┐
_____ ,_ _,》@ i(从_从))________ //`Y.く|_,.ヘ_|〉 , '´ ̄`ヽ
/ `."- ||ヽ|| ゚ -゚ノ/ ヽ i | 丿. ノ イ从|从)、 i ノ '\@
'"'⌒`~"'" ''|!/'i) 卯i つゝ'''"ー"`` ヽ>,/! |ミ|ミ!゚ ヮ゚ノミ!| ヾ(i.゚ ヮ゚ノ
''y /x lヽ `ー -(kOi∞iミつ ' `'' ([{.∞}])
l†/しソ†| (,,( ),,) /__ハ_|
lノ レ . じ'ノ' `もテ′
72 :
VIP神:2006/12/05(火) 21:38:55.95 ID:2/gR0QIZO
>>65 GJ!
黒と赤の組みあわせは好きなんだぜ
73 :
VIP村人j:2006/12/05(火) 21:39:52.27 ID:o0S3iHN00
74 :
VIP足軽y:2006/12/05(火) 21:52:29.81 ID:edD/gBR00
保守
75 :
VIP村人s:2006/12/05(火) 22:28:28.84 ID:tKWgPsv40
ほしゅ
76 :
一生足軽:2006/12/05(火) 22:45:05.81 ID:ICMD9ZCp0
>>60 こうですかわかりませんシリーズ、すごくすきです。シュールな会話がたまらない……!
ばらしーかわいいねばらしー
>>65 黒いモチーフもなかなか新鮮。他の薔薇乙女たちにも期待してますー
【うたかた】フラグメント/― 泡沫の夢
を投下します。
>>36の続きです。
感想ありがとうございました。26行は、やっぱりちょっと厳しいです。
人死にの表現が出ます。苦手な方はNGワードに【shineta】を設定してください。
さる対策の為、本文8レス程の投下後に十分位休憩を入れる予定です。
ではどうぞ……
77 :
一生足軽:2006/12/05(火) 22:46:03.64 ID:ICMD9ZCp0
【うたかた】フラグメント/― 泡沫の夢
「あ、……ジュン。また頑張ってるのねー」
「え? ……うん。もう少しで出来るかな。全く人遣いが荒いよ」
そんなことを言いながらも、彼はとても嬉しそうだ。
真夜中。此処は、雛苺の家。土曜の夜、次の日の学校は休み。彼はその日、泊りがけで
やらなければいけないことがあった。
決して強制された訳ではない。ただ、彼の心が。それを望んだだけのこと。
両親は既に、眠ってしまっている。いくら中学生とはいえ、男子の宿泊を認める辺り、
その辺に疎いところが何とも『らしい』というか……それだけ彼が、信用における人物
あると評価されているということだろうか?
「お姉ちゃんも、ずっとこっちにいればいいのにね」
「そういう訳にもいかないだろうな。それにしても雛苺、向こうのひとってのはあんなに紅茶が好き
なもんなのか?一日に何杯飲めば気が済むんだ、一体」
「気が済む済まないの問題じゃないのよ、ジュン」
不意に、かけられた声。
「ティータイムを数多く設けるのは、嗜みもあるけど……心の平穏を保つため。
何事においてもリラックスしていられるのは、大事なこと。とても、大事なことよ」
78 :
一生足軽:2006/12/05(火) 22:47:16.28 ID:ICMD9ZCp0
>>77 部屋に入ってきた彼女――これは、『私』。『私ではない、私』。雛苺の親戚で、とても紅茶が好
きなお姉ちゃん。気品溢れ、それでいて優雅な雰囲気を纏った――雛苺の、憧れの存在。
普段は九時頃には寝てしまうのだけれど、自分の為に『作業』を続けてくれている彼のことが気に
かかったのかもしれない。目蓋が、多少重そうだった。
「じゃあヒナ、紅茶淹れるね!」
「ありがとう。気が利くのね、雛苺」
言いながら彼女は、ジュンの方をちらりと見やる。彼はその視線を敏感に感じ取ったようだ。
「はいはい。使えない下僕ですみませんね」
「あら、私は何も言ってないわ。卑屈になるのは、存外に良くないことね? ジュン。
貴方は今、人形のドレスを作っているのだから……そのことについてもっと自信を持つべきなの。
本当、いつまで見ていても、飽きないわ。貴方の指は、優しい旋律を奏でる魔法の指ね」
「……」
彼は顔を赤くして、何も話さなくなってしまった。
「この花模様は……随分と細かいけれど。何かモデルがあるのかしら」
「えっと、図鑑見て適当に選んだから……リラだっけ」
「――そう、良い花ね。五つの花弁のついたリラは、幸せを呼ぶと聞いたことがあるわ。
白いリラの花言葉は――」
79 :
一生足軽:2006/12/05(火) 22:48:46.85 ID:ICMD9ZCp0
>>78 『私』は『私』の言葉を最後まで聞かず。二階の自室を後にして、階段を降り台所へと向かう。
ポットのお湯が、丁度切れてしまっていた。
その時珍しくも、やかんでお湯を沸かそうなどと思ったりしたのだ。 (ああ、)
ポットのお湯は、すぐに沸いてしまうから。 (『私』はそれを、)
少しだけ時間を遅らせてみようと―― (止めることが出来ない――)
そう、考えただけ。 (『私』は、見ているだけだから。)
彼は、――彼女のことが、好きなのかもしれない。
ジュンに裁縫の才能があることを、雛苺は知っていた。
今彼が縫っているのは――『お姉ちゃん』の持っている人形の為のドレス。
白い花模様の服は、ウェディング様のそれに似ているように思った。
そんな、少しの考え事。『私』はこの後、何が起きるのかを知っている。
底抜けに明るく、純粋な心を持つ、雛苺。
ジュンにすきでいてもらえるような――『お姉ちゃん』のように、なれたら。
そんなことを、少しだけ思った。
ぼんやりとしていた彼女が、煮立って吹き零れたお湯に気を取られて――
火が消えてしまったあと。開けられたままのガス栓を止めるのを、失念する。
そうして、紅茶を用意して、部屋へ戻る……
ただ、それだけの。
ただ、それだけの、取り返しのつかないことが、起きる。
80 :
一生足軽:2006/12/05(火) 22:50:12.22 ID:ICMD9ZCp0
>>79 そして。この夢の世界に、おわりのうたが響くのだ。物語をおわらせる、うた。
燃える。真っ赤に、燃える。あつい、あつい。
燃え広がる炎は彼女達を遮り、灰色の煙は呼吸するための空気を奪う。
足りない、空気が足りない、
『私』はこの時初めて、自由に身体を動かせるようになる。
本来ならこの時、『私』は『産まれてもいない』のだけれど。
ここは、夢の世界なのだもの。
まるで雪のように、降り注ぐ灰。
ここは夢の中だから――私はいつまでも、両手を広げ続けるのだ。
だって、どうしようもならないから。
本当は、あの時。雛苺は、既に倒れてしまっていた二人に身を寄せて――
とても大切にしていたスケッチブックを一つ、胸に抱き寄せながら。
そのまま、気を失ってしまったのだ。
これは、彼女の中にある記憶。今はもう、眼を向けられていない夢。
――――――――
81 :
一生足軽:2006/12/05(火) 22:51:59.39 ID:ICMD9ZCp0
>>80 おわりのうたが鳴り響いたあと、『お姉ちゃんと呼ばれた私』は、『居なくなってしまった』。
そしてここで初めて、――『私』が、彼女の中に出来上がる。決して故意ではなかったにしろ、
『お姉ちゃん』の存在を奪ってしまった彼女。彼女自身は、この出来事を忘れようとしていたのかも
しれないが。心の中に在った、自責の念――または、それに近しいものと。彼、――ジュンに好かれ
ていた、『お姉ちゃん』に対する憧れ。それらが相混ざって、『私』は産まれた。本物ではない、雛
苺が作り上げた、偽者。
『私』という存在そのものが、彼女にとっての――重い枷なのだろうとも思う。
この時から、雛苺は。僅かに、しかし確実に、病み始める。実際に居た『私』の存在をおぼろげに
捉えながら。少しだけ間違った曖昧な記憶――泡沫の夢を、形成していく。
そう、彼女の心は。あの日一度、ばらばらに壊れた。純粋で、とても透き通った。とてもうつくし
い、硝子のような彼女の"世界"。その欠片は、今も散らばったまま。『私』という存在として、在り
続けている。
彼は、この物語を忘れてしまった。窒息性の記憶障害だろうと言う事を聞き及んでいる。
――あくまで、表面上は。
『私』は知っている。彼の眼の前で、彼の腕の中で、『お姉ちゃん』が――『眠ってし
まった』こと。やはり彼もまた、この時一度……壊れてしまったのかもしれない。
この出来事に触れると、彼は『発作』を起こしてしまうから――無理に思い出させることもない、
という事に収まった。
苦しむ息子の姿を見て、彼の両親がついた、対処的な嘘。奇跡的なほどに外傷の無かった彼だった
からこそ通じた、咄嗟のそれが、思わぬ功を奏したとも言える。全ての真実を明らかにしたいのなら
ば、それは間違ったことだったろう。
82 :
一生足軽:2006/12/05(火) 22:53:28.98 ID:ICMD9ZCp0
>>81 彼、――ジュンは、何の事故にも巻き込まれなかった。雛苺の両親は、交通事故で亡くなった。そ
んな歪な情報が、周りの『事実』を歪めていく。
事実には、なるべく触れぬよう。あの時、誰も彼もが、弱かった。あまりにも、弱かった。
しかし彼は、無意識の内に――『お姉ちゃん』に渡す筈だったドレスのことを、気にかけたのだろ
うか。燃えてしまった、白い花模様の……人形のドレス。そのデザイン画を、学校に持っていって。
それが見つかってしまい――彼はもう、何もかもが嫌になってしまった。冷めて、しまった。
そんな出来事を――『私』はずっと、見続けてきた。雛苺の意識の、裏側から。
ただ、それらに干渉するのは『私』の役目ではないのだろうし――無駄に話を、こじらせてしまう
だけ。偽者は偽者らしく、雛苺が独りで居るときだけ。密やかに、表に出ていれば問題はない筈だったのだ。
叔父夫婦に引き取られた後。表の雛苺は、穏やかな回復を見せていったように思う。これもひとえに、
叔父と叔母の愛情によるものだろう。
だけど、『私』が消えない。ずうずうしくも、彼女の裏側に潜み続けている。
そして今度は、雛苺が自ら『裏側』へ入り込んでしまい、『私』が表へ出ざるを得ない状況も増え
てきた。――それは、彼女が日本を離れ、留学をする決意し始めた辺りの頃からだったように思う。
『私』が居るということは、彼女の中での罪の意識が消えていないということ。
一時期はそんなことを考え続けて――もう、疲れてしまって。何かどうでもいいような、そんな気
分になったりもした。
83 :
一生足軽:2006/12/05(火) 22:54:50.76 ID:ICMD9ZCp0
>>82 ただ。彼女はもう十分に悩み、苦しんできた。表面上は忘れて、曖昧な記憶を作り上げてしまって
いても。彼女の裏側に居る私には、わかる。『私』という存在を無意識に否定しながら、尚それに向
き合おうとしている。
あの出来事で、彼女を咎める者など居なかった。もういい、もういいのだ。彼女はあの出来事を乗
り越えて、夢に向かって歩き出すべきで――普通の女の子として、生きていく権利がある。
そこで私は思い至る。今まで『私』は、このどうしようもなく『実際に在った出来事』を、いかに
して彼女に伝えるべきなのかということを考え続けてきた。
だけど。この悪夢とも呼べるような――おわりのうたが、ひびいた世界を。見ているのは『私』で、
彼女ではない。いや、彼女がそれを知っているのかどうかはわからないのだけれど――それでも。
彼女は、もう忘れていい。
『私』が悪夢を、引き受けよう。そんなことを、今また夢を見ながら思った。その決意が、ばらば
らに壊れてしまった欠片を、元の曖昧に戻してしまうようなものであったとしても。確かなものにす
る為に、打ち砕く必要は無い。
考えてみると、先生は……『私』に関することを手記に纏めながら、私"達"のことをいつも気にかけてくれていた。
水銀燈は、こんな自分と友達になってくれて……雛苺とも、仲良くしてくれていた。本当に優しい娘だと思う。
84 :
一生足軽:2006/12/05(火) 22:55:29.66 ID:ICMD9ZCp0
>>83 先生も、水銀燈も。『私』の存在を、認めてくれた。
じゃあ、ジュンは? 雛苺は……?
忘れられれば。それは、無かったことに等しくなれる。
私が消えてしまったら、あの夢は"誰"が引き受けることになるのだろう?
いや、そもそも。忘れること自体、正しいのかどうか。その答えも、出ないままで――
もう『私』は、彼の前に現れるべきでは、ないのかもしれない。
たったひとつ、守る為に。
彼女の心を、その、たったひとつを。
ふと、思った。
彼女が描きたい、景色。
追い求める程に、離れていく景色のことを。
いつか彼女は、それを描くことが出来るだろうか? ――
85 :
VIP村人r:2006/12/05(火) 22:57:20.76 ID:Hz5LPjUr0
しえn
86 :
VIP奴隷:2006/12/05(火) 22:57:45.29 ID:NproeeZD0
いちお支援〜
87 :
VIP村人s:2006/12/05(火) 23:02:19.91 ID:Hz5LPjUr0
もひとつ
88 :
VIP足軽a:2006/12/05(火) 23:06:09.80 ID:ICMD9ZCp0
>>84 ―――――――――
「真紅……?」
時間にして、それほど長い時が経ったようには思わない。
ただ、その短い時間が。何故こんなにも長く感じられるのかが、自分でもわからなかった。
「……ん……」
「おい、大丈夫か」
零れた涙を拭って、話しかけた。
「大丈夫よ、ジュン。『私』は此処にいるわ」
今度はその瞳を開けて。真っ直ぐに僕を見据えながら、彼女は僕に語りかける。
「――けど。それももう、これでおしまいかしら」
「どういう、ことだよ」
「ジュン、聞いて頂戴。私は確かに今、此処にいるけど……貴方はもっと、雛苺のことを見つめてあげて。
――貴方は、この娘のことを、大切に思ってる?」
真剣味を帯びた、彼女の声。
「……ああ。大切……というか。見守ってやりたいとは思う」
「そう。……それでも、十分よ」
89 :
VIP足軽a:2006/12/05(火) 23:07:37.19 ID:ICMD9ZCp0
>>88 彼女は言いながら、手元のティーカップに口をつけた。
「ぬるいわ。ジュン、淹れ直して頂戴」
途端、いつもの調子に戻る。なんだ、一体。
僕は備え付けのポットからお湯を汲み、新しいものを居れ直した。それを満足気に飲んで、彼女は静かに微笑む。
「ジュン。貴方は、"世界"について考えたことがある?」
「――せかい?」
「そう。"世界のからくり"とでも言えばいいかしらね。それはとても、とても難しいようで……
とても単純な話。世界には沢山のひとが息をしていて、そのそれぞれに"物語"がある。
それは前にも、言ったことがあったわね。
ただね。そんな"物語"だって、所詮"在るか無いか"でしかないの。
それを乱すのが、曖昧なもの。在るのとも、また無いのとも、"異なるもの"。それが、『私』。
ねえ、ジュン。さっきも言ったけれど、貴方は私のことを忘れなさい。私という存在そのものが、
泡沫の夢のようなもの。そして、ちゃんと雛苺のことを見守って頂戴。
そうやっていつか――彼女が。雛苺が描きたかった景色を、繋ぐことが出来たときに。
その時見えるものは、透明な、透き通った"世界"ではないかもしれない。けど。それでも。
本当にうつくしいと思える色を、見ることが出来る筈だから。それを、……願っているわ」
彼女の言うことは少し難しくて、けれど何処か、思い当たる節があるような……そんな感じだった。
僕は何と返すべきか、ちょっと迷う。
90 :
VIP足軽a:2006/12/05(火) 23:08:23.47 ID:ICMD9ZCp0
>>89 ただ。彼女の言っていた"あるひとつ"がひっかかってしまったから――僕はそれを、伝えたのだ。
また苦しくなりかけている呼吸を、精一杯に抑えながら。
彼女は、自分の存在を。消してしまおうと、しているのではないか?
「"在るか無いか"。そう、言ったよな」
「ええ、そうね」
「じゃあ、真紅。これも確かに、お前が言ったことじゃないか――『私は確かに、此処に居る』」
「……」
「お前が何を思って……はぁっ、消えようとしているのか、わかりかねる。けど……
お前がこうやって此処に居るなら、それはそういう『事実』じゃないか。居なくなる必要なんて、無いだろう?」
「私は、"異なるもの"よ。とても曖昧で、そうね。単に夢を見ているような――」
「――そうじゃない、真紅。夢なら夢で、いいだろう? "在るか無いか"は単純だけど、何だか……
何て言うのかな。少し、寂しい。
生きているなら、夢も見る。それでいいような気もする」
彼女は少し、息を飲んだようだった。そしてまた、言葉を紡ぐ。
「貴方は、とてもやさしいのね。――夢を見る。そう……それならまた、逢えることを……
願ってみることに……しようかしら……」
それが、其処で僕が『彼女』と交わした、最後の言葉。
91 :
VIP足軽a:2006/12/05(火) 23:09:33.84 ID:ICMD9ZCp0
>>90 ――――――――――――
僕は空を見上げるのをやめて、また前を向いて歩き始める。雛苺がフランスへ旅立ってから、まだ
三日も経っていない。
それなのに、この心に――何やらぽっかりと空いてしまった、空虚な穴のようなものは何なのだろ
う? いつも、人懐っこく隣に居た、幼馴染の彼女。彼女は自分の夢を叶える為に、遠い異国の地へ
と向かったのだ。
空港での、去り際。彼女は僕に一言、言った。
『離れていても――同じ空の下に居るの。皆一緒よ? だから……ヒナ、頑張れると思うの。
ジュンも……ゆっくり、ゆっくり、頑張って』
その後ぎゅっと抱きしめられてしまったものだから。一緒にいた先生や水銀燈には、帰りの車の中で
随分と冷やかされてしまった。
「……」
あの時、僕の胸の中で。
彼女は、涙を流さぬまま――
『ジュンは……居なくならないで?』
泣いていたように、思う。
92 :
VIP足軽a:2006/12/05(火) 23:10:17.76 ID:ICMD9ZCp0
>>91 僕も何か、しなければならないのかもしれない。ゆっくりで、いいから……
そうじゃないと、彼女に逢わせる顔がなさそうだから。そうだろう? 真紅。
冬空。年の瀬の冷たい風に吹かれ、ポケットに両手を突っ込んだまま、歩く。ふと、もう一度だ
け空を見上げたら。さっきよりも少なくなった雲の隙間から、陽の光が地に降り注いでいた。
青い青い、空。透明ではない。色のついた空が、確かに在る。
雛苺もこの空を、見上げたりしているだろうか?
93 :
VIP足軽a:2006/12/05(火) 23:11:21.85 ID:ICMD9ZCp0
>>92で、一区切りとなります。支援感謝でしたっ
次回、エピローグ。
【うたかた】―/― はじまりのうた――夢の続き
一つの終わりの後に、新たな始まりがあるとは限らない。
彼らの、世界。欠片の世界。
その物語の行く末を。どうか、どうか――
それでは、また。
94 :
VIP村人s:2006/12/05(火) 23:24:03.71 ID:Hz5LPjUr0
>93
今まで物語の陰に隠れていた過去…こういうことだったとは…
雛苺が少し前に進めたように、JUM君も変わって行けるんでしょうか?
エピローグまで楽しみにしてます。
95 :
VIP足軽wwwww:2006/12/05(火) 23:31:05.35 ID:edD/gBR00
【うたかた】が来た!
ジュンの発作、そして真紅が生まれた理由にそんなことがあったとは!
悲しい思い出をジュンと雛苺は最後まで思い出さないのか?
次の話をいろいろ予想しながら、wktkして待ってます!
96 :
VIP神:2006/12/05(火) 23:38:35.72 ID:NproeeZD0
>>93 とても引き込まれて、あらためてwikiで頭から読んでまた引き込まれて。
この物語はどう結末が付くのか、それとも付かないのか。
エピローグ楽しみにしています。
97 :
だんご屋のはる:2006/12/05(火) 23:41:25.20 ID:0JaWfmaAO
〜SS投下したJUMの悲劇〜
J「ひっく……ぐす…うぅ………」
紅「ど、どうしたというの?JUM…」
銀「な、何があったのぉ?」
薔「話してみて……」
雪「力になりますわ。」
JUM「…聞いてくれみんな……僕が頑張って書いた長編のSSを、投下した後のレスが
『ほ』『も』『アッー!』だったんだ。もちろん感想を期待してたわけじゃない。けど、けど…一言ぐらい感想を残してもバチは当たらないじゃないか!」
98 :
VIP村人n:2006/12/05(火) 23:42:06.55 ID:0JaWfmaAO
銀「そ、それは泣くわね。」
紅「切ない話だわ。」
薔「破壊力のある単語が並んだね。」
雪「JUM様……」
J「はは、決めたよ、みんな。……もうロム専になってやる……」
〜10分前〜
笹「あまりおもしろくなかったな……『ほ』、と」
梅「…『も』」
ベ「アッー!」
こんな悲劇があったとか。
99 :
VIP足軽a:2006/12/05(火) 23:45:36.06 ID:ICMD9ZCp0
レスありがとうございます!
次の最終章を描くための道のりが長かった……!
>予想
以前もちらりと触れたのですが、住民の方々の予想が物語の核心に
触れそうなものが多くてどきどきものなのです。
次回は明日の夜になると思います。ではでは!
>>98 これはwwwwやっぱり梅岡がwwwww
100 :
VIP村人l:2006/12/05(火) 23:46:51.11 ID:o0S3iHN00
101 :
VIP神:2006/12/05(火) 23:49:03.61 ID:NproeeZD0
102 :
だんご屋のはる:2006/12/05(火) 23:50:18.51 ID:0JaWfmaAO
103 :
VIP盗賊:2006/12/05(火) 23:53:58.16 ID:z1fAIFV70
もう続きが投下されるとは、おそるべき執筆速度!
ジュンの発作は、火災による呼吸困難が原因だったのか。
罪の意識に耐えきれず、忘れたフリをしてきた二人だけど・・・
雛苺は、描きたかった世界を描けるのだろうか。
エピローグも楽しみにしてます。
>>98 お前らが犯人だったのかwww
>>101 メチャクチャ上手いっ! 金糸雀のかわいさは異常。
104 :
VIP賢者:2006/12/06(水) 00:01:16.17 ID:HZNEAT2B0
105 :
VIP村人d:2006/12/06(水) 00:26:43.62 ID:VygTRgOJ0
106 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 01:01:40.29 ID:mb6DEEeT0
【ビタミンC】を補給して、なんとか復帰。感謝!
前スレ【白銀の如く】>142-149 >196-201 の続きが書け申した。
短いですけど、夜中にひっそり第三回 投下します。
107 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 01:02:07.70 ID:mb6DEEeT0
店の定休日を翌日に控えた夕方、みつがジュンの集中治療室を訪れた。
宿泊の許可を得たらしい。結構な荷物を持参している。
「今日は久しぶりに、ずっと一緒だね、ジュンジュン」
陽気に軽口を叩いて、少女のように屈託なく笑う彼女を見ていると、
ジュンの心は幸福感よりも、罪悪感で満たされていった。
気苦労の欠片も表さず、献身的に世話を続ける姿は、ジュンに苦痛しかもたらさない。
惨めだ、と思う。何もかも、みつに頼り切りの自分が。
そして、そんな無力な自分を見られるのが、筆舌に尽くしがたいほど恥ずかしかった。
――もう、来ないでくれ。
一言だけでも伝えたい。
いっそ、胸に積もり積もった憂鬱を声にできたら、どれほど気楽だろう。
「この間、ジュンジュンにデザインを頼みたいってお客さんが、お店に来たの。
最近、めきめきと知名度あがってるんだよー」
我が事のように、嬉しそうに語る。
ジュンの話をする時、みつはいつも幸せそうだった。
こんな状態になった今でも、それは変わらない。
何故なんだ? ジュンには、彼女の心境が理解できなかった。
108 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 01:02:32.59 ID:mb6DEEeT0
>>107 知名度が上がろうと、客から依頼があろうと、彼には何もできない。
家や店に居たって邪魔なだけ。招き猫でも置いた方が、よほど店の看板になる。
つまりは、ただのガラクタ野郎なのだ。
こんな足手まといのジャンクなんか、さっさと見限ってしまえばいいのに。
何を好き好んで、この人は苦労を背負い込むのだろう。
意志の疎通もままならない二人を残して、時間は滔々と流れゆく。
午後になって、のりが病室に顔を覗かせた。みつと同様、姉も毎日、彼の元を訪れる。
普段どおりの、どこか間の抜けているような、朗らかな笑顔。
のりが振りまく雰囲気は、病室の重く沈んだ気配を和ませてくれる。
「あらぁ……草笛さん、お疲れみたい」
彼女は、みつが欠伸を堪えて目をショボショボさせている様子を見て、
心配そうに表情を曇らせた。
ハッと我に返り、みつが「平気よ、これくらい」と気丈に微笑む。
けれど、のりは不安げな顔を崩さなかった。
「ダメよぅ、無茶したら。あなたまで病気になったら、どうするの?
ジュン君だって、きっと悲しむわ。ここは私に任せて……仮眠してきて。ね?」
「…………ええ。それじゃあ、ちょっとの間、お願い。
ロビーに居るから、何かあったら遠慮なく呼んでね」
のりの細やかな配慮に感謝の意を示して、みつは財布だけを手に、病室から出て行った。
109 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 01:02:58.57 ID:mb6DEEeT0
>>108 扉が閉ざされ、みつの足音が充分に遠ざかると、のりは微笑みを貼り付かせたまま、
ジュンのベッド脇に置かれた椅子に座った。
そして、慈愛に満ちた眼差しで、無表情の彼の顔を、穴が空くほど見つめる。
優に五分は、そうしていただろうか。
徐に、のりの唇が動き出した。
「ねえ……ジュン君は今、幸せ?」
幸せなもんか! ふざけたこと言うな、お茶漬けのり!
お見舞いに来てくれた人に対して、とんでもなく無礼だと承知しつつも、
ジュンは胸裏で毒突かずにはいられなかった。
彼の心境を知ってか知らずか、のりは小さく吐息して、言葉を続ける――
「そんなワケないわよねぇ。だって……何も、出来ないんだもの。
お姉ちゃんね、ジュン君の身体を元どおりに戻せるなら、何でもしてあげたい。
そう思って、ずぅっと頑張ってきたの」
姉の朗らかな笑顔に、ふぅ……っと、悲しげな影が差した。
「……でもね、もうダメなの。ごめんね、ジュン君。
お姉ちゃん……もう疲れちゃった。ジュン君の姿を見ているのが、辛いのよぅ」
寂しそうな呟きを放つのは、思い詰めた表情の、のり。
ジュンはいまだ嘗て、そこまで悲壮に満ちた姉の顔を、見たことがなかった。
110 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 01:03:21.19 ID:mb6DEEeT0
>>109 「ジュン君も……楽になりたいでしょ?
これ以上、苦しむのはイヤでしょ? だから……ね」
おずおずと差し伸べられる姉の両手が、ジュンの肌に触れる。
秋の風で冷やされた指が、ジュンの首に絡み付いてくる。
そして――
「お姉ちゃんが、ジュン君の望みを……叶えてあげるから」
肩で荒い呼吸を繰り返す姉の両手に、じわじわと力が込められた。
気道と頸動脈が圧迫されて、苦しさが増していく。
けれど、ジュンは何故か、嬉しかった。
自分の本音を理解してくれた姉に、心から感謝していた。
うれしい! 嬉しい!
やっと楽になれる。苦痛でしかない毎日から、解放してもらえる。
(……ありがとう、姉ちゃん。
これで、僕は望みどおり死ねる。もう、誰にも迷惑かけずに済むんだ)
望みが叶うというのは、こんなにも幸せなことなんだな。
ジュンは、段々と薄れゆく意識の中で、漠然と思った。
111 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 01:03:45.79 ID:mb6DEEeT0
>>110 のりの両手から、力が抜けることはなかった。
衝動的な行為ではなく、散々に悩み、葛藤した末の決断だから躊躇がない。
ジュンとしても、それは望むところ。
中途半端に絞められる方が、死を迎えるまで、苦しみが長続きしてしまう。
「ごめんね……ジュン君。ごめ……んね、ごめんね……」
のりの声は、震えていた。
顔に合わない大きさの丸メガネの奥で、つぶらな瞳が絶え間なく涙を溢れさせている。
譫言のように謝り続けながら、眼は真っ直ぐに、弟の最後を見届けようとしていた。
そんな健気な姉に、ジュンは心の中で呟く。恨みっこないだろ、と。
子供の頃から、のりは甲斐甲斐しく面倒を見てくれた。
引きこもっていた時ですら、決して諦めずに、根気よく見守ってくれた。
そして今も、ジュンの願いを見抜き、叶えようとしてくれている。
――伝えたい。今まで言葉にしてこなかった、この気持ちを。
鬱血で顔が破裂しそうだったが、ジュンは姉に向けて、瞬きをした。
まだ、自分の意志で動かせる瞼で、ありったけの感情を表現した。
正しく通じるかなんて解らないけれど、どうしても――伝えたかったから。
ぱちぱちと、一定間隔で、五回のまばたき。
『ア リ ガ ト ウ』の想いを込めた、ラストレター。
112 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 01:04:35.05 ID:mb6DEEeT0
ここまでで投下終了。
前スレ
>>204の方、ご指摘サンクスです。勉強になりました。
そして、前回レス下さった方々にも感謝。
救い? 無い……かも。
鬱エンドまで猫まっしぐら。
このままジュンは死ぬのかとか、すごく続きが気になる。
正座してwktk。
114 :
VIP毒蛇:2006/12/06(水) 01:58:37.44 ID:xPQHvMNV0
ALI PROJECTの新曲「薔薇獄乙女」をオリコン1位にしようぜ
ローゼンメイデンオーベルテューレOP
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12月6日発売の【薔薇獄乙女】
前回のコードギアスED曲がオリコンTOP10入り
今回の一位は不可能な話じゃない
皆で一位にしようぜ
115 :
南蛮ムキトス:2006/12/06(水) 02:03:05.25 ID:ldxvmG3g0
>>112 うわあああああああ
お姉ちゃん早まるなああああああ(´;ω;`)
お姉ちゃんとみっちゃんが後追いとかだけは勘弁な・゚・(つД`)・゚・
116 :
VIP村人w:2006/12/06(水) 03:11:34.93 ID:ewNHDMewO
保守
117 :
VIP村人xxx:2006/12/06(水) 04:31:13.17 ID:B5LxXvcoO
保守
118 :
VIP魔法使い:2006/12/06(水) 05:52:00.05 ID:zXM0z4lOO
>>112 最後は一体どうなるのでしょうか・・・?wktkしながら続き待ってます。
119 :
VIP足軽y:2006/12/06(水) 07:29:26.77 ID:m53Cnj1G0
hosyu
120 :
散髪とめきち:2006/12/06(水) 08:28:23.30 ID:AiFfJnXGO
保守
121 :
南蛮ムキトス:2006/12/06(水) 09:33:07.63 ID:AiFfJnXGO
保守
122 :
VIP村人h:2006/12/06(水) 11:20:51.61 ID:0/ueRFds0
>>112 うわぁ…鬱行きですか…
ラストまで見届けますよ…
123 :
暴れん坊VIPPER:2006/12/06(水) 12:06:25.26 ID:Ekyr8plAO
あげ
124 :
VIP下手人:2006/12/06(水) 13:02:40.90 ID:AiFfJnXGO
保守
125 :
VIP神父:2006/12/06(水) 14:13:34.97 ID:gR6djmTr0
翠「JUM〜、これから一緒に昼食なんてどうですか?」
J「ああ、別にいいけど…。薔薇水晶も一緒でいいか?今日は薔薇水晶の昼食の誘いを受けたんだ。」
翠「……薔薇水晶…ですか…。」
J「ん?どうかしたか?イヤか?」
翠「…別にいいですけど〜…あっ!そういえばさっき薔薇水晶が言ってたですぅ!!
今日は委員会の集まりでJUMと一緒に昼食がとれないとかなんとか!!」
J「えっ!?マジかよ!!そんなこと一言も聞いてないぞ!?」
翠「なんか急だったみたいですよ?」
J「マジかよ〜…てか、薔薇水晶ってなんかの委員だっけ?」
翠「そんなこと聞かれても翠星石は知らんですよ。…さあJUM、待っててもしかたないから、
とっとと行くですよ。」
J「行く?…行くって何処に?」
翠「今日は屋上で食べるですよ。だから屋上に行くですよ。」
J「おいおい…こんな寒いなか屋上で食べんのかよ…。」
翠「そういうのもたまにはいいじゃね〜ですか。ほら、時間もないしとっとと行くですよ!」
J「あ〜はいはい、んじゃ行きますか。」
翠「はいですぅ♪」
薔「…JUM、お待たせ…。さ、昼食食べに行こ…?」
J「えっ!?薔薇水晶!?」
翠(…チッ)
126 :
VIP神父:2006/12/06(水) 14:14:45.76 ID:gR6djmTr0
>>125 薔「……どうしたの?そんなに驚いて…。約束したでしょ…?」
J「約束したけど…お前これから委員の用g」
翠「あ〜あ〜、薔薇水晶。二人っきりで話があるですぅ…ちょっとつきあえですぅ!
さあ、とっとと歩きやがれですっ!!あ、JUMは先に屋上に行ってろですぅ!!」
薔「え?…ちょ…。」
J「ちょ、おい!!…って、行っちゃったよ…。」
翠「さて、ここまで来れば誰にも邪魔されないですね…。」
薔「……翠星…石…?」
翠「薔薇水晶…、オメェどういうつもりですか!?翠星石たちの邪魔してっ!!」
薔「え…邪魔って…どういうこと…?私はただJUMと一緒にお昼を…。」
翠「あのですね〜!このさいだからはっきり言っときますけど、迷惑ですぅ!!」
薔「…迷惑って…別に翠星石に迷惑かけた覚えはないよ…。」
翠「まだ公表はしてないですけどね〜、JUMは翠星石と付き合ってるですよ!!
彼氏にちょっかいだしてもらいたくないですね〜!!」
薔「え…!?……うそだよ…!!…だってJUMは今は付き合ってる人はいないって言ってたよ……!!」
翠「JUMは照れ屋ですからね〜、ホントのことが言えなかったんじゃないですか〜?」
127 :
VIP神父:2006/12/06(水) 14:15:41.81 ID:gR6djmTr0
>>126 薔「だって…私のこと……愛してるって言ってくれたよ……!!」
翠「どうせオメェが言い寄っただけじゃね〜ですか?ほら、JUMって誰にでもやさしいとこがあるから。
ついつい口からでちゃったんじゃないですか?その点はJUMに代わって彼女である翠星石が謝るですぅ。」
薔「でも……!!」
翠「あのですね〜!!こういう事はあんま言いたくないですけどね〜!!JUMも迷惑してるですよ!!
今日だってオメェとの昼食の誘いをどうやって断ろうか翠星石に相談しにきたですよ!?」
薔「…!!?……そんな…!ウソだよ!!」
翠「オメェが来たとき『うわっ来ちゃった!』って感じで驚いてたじゃないですか。それがいい証拠ですぅ。
迷惑じゃないならあんな態度とる訳ないですよね〜?」
薔「……そんな…JUM……。」
翠「まあ、そういう事ですぅ。もうJUMにちょっかいは出すなですぅ!!忠告したですからね!!
…JUMが翠星石のことを心配するといけないから、そろそろ行ってくるですぅ。」
薔「……JUM…JUM……!!ううぅ…。」
翠(イヒヒ。ちょろいもんですね…)
翠「JUM〜、待たせたですね〜♪」
J「…遅いよ。二人で何してたんだよ……。あれ?薔薇水晶は?」
128 :
VIP神父:2006/12/06(水) 14:16:30.45 ID:gR6djmTr0
>>127 翠「あ〜、やっぱ委員の用事で一緒に食べれないって言ってましたよ?」
J「ええぇっ!!…まいったな、今日は薔薇水晶が作ってきてくれるっていうから弁当持ってきてないよ…。」
翠「まったく…自分から誘っといて迷惑な話ですよね〜…しゃあねえから翠星石の弁当を分けてやるですぅ。」
J「いいのか!?…なんか悪いな…じゃあ、お言葉に甘えていただくよ。…って箸がないや…。」
翠「ったく、世話のやける奴ですね〜。ほら、翠星石が食べさせてやるですから口あけろですぅ。」
J「え!?いや、いいよ!恥ずかしいし。迷惑だろ?」
翠「別に迷惑じゃないですよ。それに分けてやると言った手前、後には引けないですぅ。
ほら、早く口あけろですっ!はい、アーン♪」
J「アッ…アーン……うん、この玉子焼きうまいな。もう一つくれよ。」
翠「はいはい、どんどん食べろですぅ♪何なら今度からJUMの弁当を作ってあげてきてもいいですよ?」
J「マジで?…でも、迷惑じゃないか?」
翠「一人分作るのが増えるだけですから、全然問題ないですぅ〜。なんなら、これから毎日作ってきてやるですよ♪」
J「なんか悪いな…じゃあこれから頼むよ。」
翠「任せろですぅ!!」
翠(イヒヒwこうやって既成事実は出来てくんですぅ…w)
こうして二人の穏やかな昼は過ぎていきました。
薔「ハハハ…お弁当……作りすぎちゃった……こんなに一人じゃ食べきれないよ……JUM…JUM……うぅ…。」
おわり
129 :
VIP足軽i:2006/12/06(水) 14:20:44.35 ID:PfLfnqgr0
乙でつ!
(つД`)
130 :
VIP村人f:2006/12/06(水) 14:28:55.43 ID:gSlskqYOO
え?この右手の包丁?
決まってるじゃないか。
翠 星 石 ヌ ッ コ ロ ス
131 :
VIP村人k:2006/12/06(水) 14:44:17.73 ID:0/ueRFds0
待て!これは翠星石の評価を下げ、薔薇水晶の人気を上げようとする罠だ!
そうですね?ばらしーさん?
132 :
愛のセーラー戦士:2006/12/06(水) 14:47:17.95 ID:nDzXRQ5+0
133 :
南蛮ムキトス:2006/12/06(水) 14:52:31.31 ID:gSlskqYOO
とりあえず翠星石の首持ってきたけど、いる人いるかい?
134 :
VIP村人Ecup:2006/12/06(水) 14:57:21.82 ID:KG7v7rqm0
135 :
VIP盗賊:2006/12/06(水) 15:05:09.31 ID:gR6djmTr0
>>134 つД`)・゚・。・゚゚・*:.。..。.:*・゚
136 :
悲しい一人暮らし:2006/12/06(水) 15:12:05.20 ID:nDzXRQ5+0
>>134 翠を殴りたいと思ったのは生まれて初めてだ
137 :
VIP村人e:2006/12/06(水) 15:12:34.01 ID:d39UviXN0
<<こちらD中隊のとある兵士。頼みがあるんだが。…あのみどりを上から爆撃してくれるか?>>
ニアはい
いいえ
<<よし、降ってくるぞ!どこでもいいから隠れろ!急げ! >>
138 :
VIP村人xxx:2006/12/06(水) 15:28:50.03 ID:aqyAyHgr0
>>134 少々小汚いけど
好きな人をひとり占めしたいってゆう翠の気持ちも分かる
139 :
VIP足軽になりたい:2006/12/06(水) 15:31:21.13 ID:Cr0mZl2i0
安価間違えた・・・orz
140 :
水汲みおしち:2006/12/06(水) 16:00:39.83 ID:dmi26KIa0
それでも俺は翠が好きなんだぜ?
【愛の行く末】なんてのもあるし、しゃーないこと。
141 :
VIP村人f:2006/12/06(水) 16:44:03.36 ID:d39UviXN0
あれは薔薇水晶が悪役だったな。最後ブチ切れた水銀燈にメッタ刺しにされてたけど。
142 :
油売りの左暮:2006/12/06(水) 16:54:12.84 ID:YJh6eq+GO
翠が嫉妬深いのは間違いからなあ。やりすぎ感はあるけど、やりそうではある。
いいかい、ボーイ。女の世界は華やかなんてないんだ。
ドロドロの真っ黒くろすけなんだぜ?
143 :
VIP村人n:2006/12/06(水) 17:15:09.24 ID:0/ueRFds0
まさか寝てる間にこんな流れになってるとは
144 :
VIP悪魔:2006/12/06(水) 17:25:20.85 ID:ewNHDMewO
おばあちゃんは言っていた…男は獣、女は魔物だと…
145 :
だんご屋のはる:2006/12/06(水) 17:33:56.60 ID:Ekyr8plAO
ほす
146 :
VIP悪魔:2006/12/06(水) 17:39:07.25 ID:ewNHDMewO
薔薇乙女版『雪女』
昔々あるところにベジータとジュンという木こりがおった…
ある冬のこと、2人が木を切りに山に行ったその夕方に雪がちらつき始め、日が暮れるころにはついに吹雪出してしまったそうな
ジ「ぐぅ…こりゃあ今夜は家に帰れそうにないな…」
ベ「あぁ、確かこの先に山小屋があったはずだ!今夜はそこで乗り切ろう!!」
ジ「よし、わかった!!」
そして2人は吹雪の中を必死に歩き、その山小屋に駆け込んだ…
ジ「うぅ…寒ッ!!」
ベ「無駄な体力は使えんな…今夜は早く寝よう!」
ジ「あぁ、そうしよう…」
そして2人はその日は早めに床についた…そしてその夜遅くのことだった…
ジ「くしゅん!…うぅ、寒くて目が覚めちまった…囲炉裏の火も消えそうだし…」
ジュンが起きて囲炉裏に蒔をくべようとした時…
『びゅううぅうう!!』
ジ「うわっと!!何だ!?いきなり扉が…」
なんといきなり小屋の扉が開き外から冷たい風が吹き込んできたのだ
そしてその風は消えそうだった囲炉裏の火を一瞬で吹き消してしまった
ジ「ぐうぅ…」
あまりの寒さにジュンが身を縮めたその時だった…
147 :
VIP皇帝:2006/12/06(水) 17:40:31.47 ID:ewNHDMewO
>>146 ジ「!?」
ジュンは見た…開いた扉の向こうに立つ白い人影を
やがてその人影はすーっとこちらに近付いてきた
なんとそれは雪のように真っ白なこの世の者とは思えないほどの美しい女性だった…
ジュンが恐ろしさとそのあまりの美しさに言葉を失っていると、その女は眠っているベジータのそばに座り込みひゅーっと白い息を吹きかけた
すると瞬時にベジータの体は真っ白に凍りついてしまったそうな…
そして女は今度はジュンのほうにゆっくりと近付いた
ジ「あ…あぁ…」
殺される…ジュンは恐怖で言葉が出ずただ震えていた
すると女はジュンの顔をゆったりと覗き込み…
女「…ぽっ」
白い顔を赤らめた
女「…タイプですわ…これは最早運命です!!暑苦しい男を殺りに来たら思いも寄らないラッキーですわ♪」
女は立ち上がりガッツポーズを決めた
ジ「あ…あの?」
女「貴方…お名前は?」
ジ「へ…僕はジュンっていうんだけど…」
女「ジュン様…なんと美しい名前でしょう。私は雪女の雪華綺晶…今日から貴方の妻となる者です。」
ジ「はぁっ!?」
雪「不束者ですがよろしくお願い致しますわ…m(_ _)m」
ジ「ちょっ…待っ…」
148 :
VIP悪魔:2006/12/06(水) 17:41:47.26 ID:ewNHDMewO
>>147 雪「そうと決まれば早速婚儀の場へGOですわ♪」
女はジュンの手を掴むとズルズルと引きずり始めた
ジ「お…おい!そんないきなり結婚なんて言われても困る!!」
雪「あら、ですがそれも一理ありますわね…ならば今夜は2人の愛を深めるべくベッドでフィーバーですわ!!」
ジ「おい!それ以前にお前雪女なんじゃないのか!?」
雪「愛の前には無問題ですわ…でわでわ早速参りましょうか♪」
『ズルズル…』
ジ「うわああぁあぁあああぁああっ!!」
そうしてジュンはいつまでも雪女と夫婦として暮らしたそうな…
めでたしめでたし
おまけ…
ベ「ぐうぅ…なんだ?…さ…寒くて体が動かんぞ…」
『ガラッ!』
梅「やぁ、雪男の梅岡だよ♪凍えた君を僕がたっぷり温めてあげよう。勿論体でね…」
ベ「こ…ここからが本当の…うぎゃああぁあぁあああぁああ!!」
ちゃんちゃん☆
149 :
VIP村人c:2006/12/06(水) 18:20:51.57 ID:Cr0mZl2i0
>>148 ベジテラ不死身wwwwwwwwwwwww
150 :
VIP勇者:2006/12/06(水) 18:56:38.68 ID:nDzXRQ5+0
>>148 梅村のオチに気づいていたにも関わらず笑ってしまったwwwww
151 :
VIP足軽zip:2006/12/06(水) 19:30:02.09 ID:HChu/UnI0
>雪男の梅岡
うわあああああああああああああああああああ
152 :
VIP村人p:2006/12/06(水) 19:39:16.55 ID:0/ueRFds0
ほ
153 :
VIP奴隷:2006/12/06(水) 19:59:58.44 ID:j+AnpuH7O
ほ
154 :
VIP村人j:2006/12/06(水) 20:09:36.36 ID:d39UviXN0
なんで誰も梅村につっこまないんだ?
155 :
VIP村人g:2006/12/06(水) 20:24:12.67 ID:/7kBtQU80
触れてはならぬことを。
今すぐ逃げないと
>>154の家に梅村が・・・。
どんな奴かって?怖くて言えないな。少なくとも梅岡より段違いにやヴぁい
156 :
VIP足軽dca:2006/12/06(水) 20:39:40.23 ID:x1uaeU1c0
保守
157 :
VIP足軽e:2006/12/06(水) 21:00:19.95 ID:x1uaeU1c0
保守
158 :
一生足軽:2006/12/06(水) 21:11:17.42 ID:HZNEAT2B0
>>111 ああ……欝エンドが近づいているのですか。少しでも救いがありますように……
>>128 これは切ない。しかしまた、人間模様の確かなヒトコマなのかもしれませんが。
ばらしー……
>>148 やはり梅岡がwwww
三夜連続でお邪魔致します
【うたかた】です。
これよりエピローグを投下しようと思います。
長くなった物語も、これにて終劇と相成りましょう。
>>92の続きとなります。
本文5レス程の投下の後に、十分程間を空けさせていただきます、すみません。
それでは、どうぞ。
159 :
一生足軽:2006/12/06(水) 21:12:13.95 ID:HZNEAT2B0
【うたかた】―/― はじまりのうた――夢の続き
色々なことを、思い出していた。学校での、出来事。保健室での出会い、思い出。それよりももっ
と前の、曖昧な記憶。
雛苺が渡仏してから、年明けの春。あと半年とちょっともすれば、彼女は日本へ帰ってくる。僕は
高校二年生になって、来年は受験生だ。……といっても、大学を受験するつもりはないから、周りよ
りはある程度余裕ではある。そのことを伝えに、僕はこれからフランスへ向かう。我ながら、相当大
胆な行動に出たものだと思う。
出世払い……というとプレッシャーなのだけれど、今回の旅費については家のひとに相当無理を言
ってしまった。姉はなんだか喜んでいたみたいだったが。
本当はバイトをして自分で稼ぎたかったが、山奥の学校ではそれも敵わず。その辺りは、流石に不
便であると思う。
『卒業したらバイト始めなよ、桜田君。いいとこ紹介してあげるから』
『ジュンが働くなら、私も其処でバイトするわぁ』
あの二人は、いつも通り。僕は相変わらず保健室の住人で、時たま紅茶を淹れたりなんかしながら、
穏やかな時を過ごしていた。
『少し、変わったね』と。先生に言われた。何がどう変わったのか自覚はあまりしていないのだけど、
少なくとも悪い方向ではないらしい。
「それなら、いいんだけどな……」
160 :
一生足軽:2006/12/06(水) 21:13:12.12 ID:HZNEAT2B0
>>159 出発の前に、何となく海の青を眺めたくて、衝動的にきてしまった。暫く山の上の生活だったから、
……と言うと、自分でも存外単純な性格かもしれない、と感じる。
荷物はもう、準備してあるから。一度家に帰ろう。彼女は、元気でやっているだろうか……?
――――――――――――
海外の空気に、少なからず緊張を覚えていた。それはそうだ。思っていたより日本人は多いみたい
だったけれど、それでも圧倒的に外国の人達ばかり。
とりあえず空港で待ち合わせ、という手筈になっているのだが……このゲートで合ってるのか?
不安になってくる。
「ジュン!」
聞きなれた、そして懐かしい、声。
「雛苺……久しぶり」
「うん……久しぶりなの。元気だった? 病気とか怪我とかしてない?」
「なんだよいきなり。僕はこの通りピンピンしてる」
「うよ、そうよね。……うんうん、そうね! えへへ」
「全く、変わんないなあお前も」
161 :
一生足軽:2006/12/06(水) 21:14:20.45 ID:HZNEAT2B0
>>160 言いながらも、二年程直に見ることが無かった彼女は。あの時よりも更に大人びてきたような印象
を受けている。僕は僕で背が(少しばかり)伸びたし、それなりに格好つくだろうかと思っていたのは
どうやら浅はかだったようだ。結局のところ、あまり身長に差はついていない。
「じゃあ。れっつごーなの〜」
「おーい、引っ張るなって!」
前もこんなこと、あったな。思いつつ、僕は彼女に手を引かれ、空港を後にする。
――――――
「結構あったかいもんだな、こっちの気候も。なんていうか、過ごしやすそう」
「そうね。夏はちょっと暑すぎるけど……今の時期も、冷えるときはちょっと肌寒くなったりするわ。
ほら、そういう気候にぴったりの花が咲いたり」
彼女の示したその先に、群生した白い花。
これは――
「ライラック。フランス語で、リラ」
「リラ――白いリラか。薄紫は"初恋"だったっけ。ええと……」
不意に、頭に浮かぶ言葉。
「白いリラの花言葉は……"純潔。うつくしい、契り"……あれ? なんでこんなこと知ってるんだ」
「ジュン……」
162 :
一生足軽:2006/12/06(水) 21:15:21.20 ID:HZNEAT2B0
>>161 雛苺は、驚いたような。それでいて、自分でも何に驚いているのか、不思議そうな。きょとんとし
た表情を浮かべる。
そして、すぐに穏やかに微笑んで、言った。
「うつくしい、契り……そう。白いリラは、約束の花なのね……」
「貴方も、いつか。……いつか、――」
――え?
この、気配は。
あの日、居なくなってしまった――
「……ジュン?」
「あ、……いや、なんでもない」
懐かしい、と感じる。一年前に、僕と話をした『彼女』。それよりももっと昔に、僕は……
曖昧な感じにちょっと頭を振り、また歩き出す。
――――
163 :
一生足軽:2006/12/06(水) 21:16:04.42 ID:HZNEAT2B0
>>162 「ようこそ。此処がヒナのアトリエなのよ〜」
彼女の家には、絵を描く為の場所が用意されていた。勿論学校にも通っている様だが、こちらでは
自由に絵を描いているらしい。暫く部屋をうろついて、眺めてみる。
「これ、全部雛苺が描いたのか?」
「そうなの〜。好きなことが出来て、とっても幸せなのよ?」
部屋の隅に雑然と置かれていた、カンバスの数々。田舎ののどかな風景だったり、抽象的なイメー
ジだったり。や、本当に……画家に向かって、一直線って感じだ。
彼女の用意してくれた紅茶とお菓子に舌鼓を打ちつつ、椅子に座って向かい合うかたちになる。
「えっと、雛苺。今回来たのは、久しぶりに顔が見たいってのもあったけど……話したいことが、あってさ」
「なになに?」
「いや、……高校卒業したら、真面目にデザインの勉強しようと思って。それで、お金が溜まったらさ。
僕も此処へ留学しようって。対抗意識って訳じゃないけど……少しでもお前に追いつきたいから」
一呼吸、おく。
「頑張ってみようって――決めたんだ」
「……」
「先達に向けて、宣言しとこうかと」
164 :
VIP村人k:2006/12/06(水) 21:23:15.26 ID:d39UviXN0
支援
165 :
VIP村人r:2006/12/06(水) 21:23:45.87 ID:0/ueRFds0
s
166 :
一生足軽:2006/12/06(水) 21:27:03.24 ID:HZNEAT2B0
>>163 「……」
……いや、何故、黙る。恥ずかしいじゃない、か。
そんな僕に語りかける彼女は。僕の知っている、零れるような笑みを浮かべるのだ。
「ジュン、……うまく言えないけど。ジュンは、すごいのね」
「お前だって留学してるじゃないか」
「ううん、そうじゃないわ。そうやって一歩一歩進んでいくのが、きっと大事なことなの。
とっても、大事なことよ。それに、――」
「それに?」
「それをわざわざ言いに来てくれたのが、……ヒナ、とっても嬉しいの。ありがとう、ジュン」
彼女は椅子から立ち上がり、布に覆われている様子のカンバスに近づいていった。
「ジュン、あのね――ヒナ、ジュンに伝えたいことが、あるの。これ、――」
雛苺は、薄汚れた布を取り外す。
「それ、は――」
それは。二年前、彼女が完成させることが出来なかった、絵。
白と、薄紫の花。それに囲まれて、手を繋ぎ微笑んでいる――二人の、うつくしい少女。
なんて鮮やかな"せかい"、なんだろう。
167 :
一生足軽:2006/12/06(水) 21:27:57.25 ID:HZNEAT2B0
>>166 「描きたかった……絵、っ、ヒナ、描けた気が……するの、よ?」
「ずっと、ずっとずっと――心の中に居る筈なのに、顔の見えない女の子……っ、ひっく、が、居てね?
ヒナ、思ったの。女の子の顔は、見えないんじゃなくて……ヒナが、見ないようにしてたんじゃないかって」
彼女の涙が、床にぽろぽろと零れていった。
僕には、彼女の言っていることが――わかる、気がする。なんとなくだ。呼吸は、乱れない。おか
しいな。彼女が『こんな話』をする時、僕はいつも胸が苦しくなっていた筈なのに。
「こっちに着て、色々大変で……そんな時、女の子が、ヒナのこと、励ましてくれたの……
お姉ちゃんに、そっくりな。えへっ、……っ、変、だよね」
そうか。真紅は……彼女の中から、消えてしまった訳ではなかったんだ。
「いや、変じゃない。……頑張ったな、雛苺」
頭を、撫でる。やさしく、やさしく。きっと昔から――小さい頃から。彼女が泣いたとき、僕はこうしていた。
「うっ……うわぁぁぁぁぁぁぁん!」
強く抱きしめられる。大声をあげて、彼女は泣いた。
彼女は、もう。ずっと、ずっと昔から……こうやって泣くのを、我慢していたのではないだろうか?
僕はそれを、受け止める。少しでも、彼女の心が、軽くなるようにと。そんなことを、願いながら。
168 :
一生足軽:2006/12/06(水) 21:28:46.96 ID:HZNEAT2B0
>>167 思った。
僕も――そして、雛苺も。とある何気ない日常で。とても大事な何かを、落としてきてしまったのではないかと。
それはいつか、取り戻せる――ものなのだろうか?
わからない。
それは、わからない。
けど。それを、ひょっとして、この先……見つけることが、出来たとしたら。
たとえそれが、『見つけなければ良いものだった』としても。
それを尚越えて――歩くことも、あるいは。
……落ち着いた様子の彼女を、座らせる。
そして僕は感じていた。懐かしい、『彼女』の空気を。
「――ありがとうな、真紅」
「……全く、敵わないわね。もう逢う事は無いって言ってたでしょう」
「言いっこ無しだな。もうお前は――雛苺にとって、きっと無くてはならない存在になってる」
「……」
彼女は、暫し無言になった後。少し諦めたような、それでいてやわらかな口調で、僕に語りかける。
「これが――貴方"達"の、望む夢なのね」
「夢、か」
169 :
一生足軽:2006/12/06(水) 21:29:35.51 ID:HZNEAT2B0
>>168 「『生きているなら、夢も見る』。これは、"貴方"の言葉よ、ジュン。『私』だけじゃなく、
きっと貴方達も……一度、"終わった"のかもしれない。ひとつの、夢の物語が。
今はまだ、少しだけ間違っていて。そのままでもきっと、優しい夢を見ることが出来るかもしれない。
けどね。貴方達は――私が思っている以上に、強い存在なんじゃないかって、思うの。本当よ?
貴方達はこれから、はじまりのうたを――唄うのね。いつか見る、夢の続きを繋ぐ為に。
ばらばらに壊れてしまった欠片を集めて、出来上がったもの。
もし、それが見られたのなら。『眠ってしまった、本当の私』に――逢ってあげて、頂戴」
「……わかった」
僕は、――気付き始めている。彼女が、真紅が、言わんとしていることに。
「いい子ね、ジュン。もう、消えるだなんて言わないわ。私は貴方達のことを、見守っているから――」
すぅ、と。彼女の気配が、消えていく。
また『紅茶がぬるいわ、淹れ直して頂戴』だなんて。そんな減らず口を叩く彼女を、これからも相
手に出来るであろうと予感しながら、その様子を見守る。
「ジュン……?」
「ん。僕は此処に居るぞ」
「えへへ……今ね、女の子がまたヒナを、励ましてくれたの。『ちゃんと捕まえてなさい』とか言われちゃった。
ライバルは強敵だから、って」
ぶはっ、と噴出しそうになるのを堪えた。あいつめ……
170 :
一生足軽:2006/12/06(水) 21:30:23.10 ID:HZNEAT2B0
>>169 「――なあ、雛苺」
「なぁに、ジュン?」
「もう一度――郊外を案内してくれよ。リラの花を……見に行こう」
「うぃ、合点承知なの〜!」
連れだって、外へ出る。
空は、これでもかと言うくらいに晴れ渡っていた。
どうしようもなく、此処は現実だから。
僕が彼女と、こうして花を見に行くことも……ひとつの物語として、残されていく。
この世界は。透き通った、きれいなものばかりではない。
けれど、そんな世界の中で。
辛い中でも、やさしい物語を。
出来れば、泡沫のように、儚いものではない――夢の続きを、繋げるのならば。
彼女の言っていた、ばらばらに壊れてしまった欠片。
それらを集めることが、徒労なのかどうかはわからないけど。
時間をかけて、ゆっくりと集めていけばいい。
171 :
一生足軽:2006/12/06(水) 21:31:02.96 ID:HZNEAT2B0
>>170 僕は。いや、僕達は。
今からそれを、約束しにいくのだ。
この地に咲き誇る――ライラックの、花びらへ向けて。
僕達の居る場所に。その香りがもう、届き始めている。
【うたかた】フラグメント/ライラック おわり
172 :
一生足軽:2006/12/06(水) 21:31:50.80 ID:HZNEAT2B0
以上です。お読みいただき、ありがとうございました。
途中支援感謝です……
感想をくれた方々も、本当にありがとう。
細かいことは雑談ぽくなってしまうので、後日wikiにて
あとがきのような物を記してみようと思います。
それでは、またいつか。うたかたでした。
173 :
VIP足軽e:2006/12/06(水) 21:46:47.64 ID:x1uaeU1c0
おつかれです!
あとがきも楽しみにしています。
174 :
VIP将軍:2006/12/06(水) 21:51:42.30 ID:UIFi8p+1O
>>172 うたかたの人、完結乙!楽しませてもらった。ありがとーう!
175 :
VIP悪魔:2006/12/06(水) 21:56:51.10 ID:j+AnpuH7O
>>172 まだ1しか読んでないから読めないけどとりあえず乙!
テストあけたら読むんだぜ
176 :
VIP村人s:2006/12/06(水) 22:01:08.69 ID:0/ueRFds0
>>172 これから二人は過去を探しながら未来へ進んでいくんですね…
そのせいで何が起こるのか、分からないけど、忘れたままじゃ寂しすぎるから。
二人の描いていく夢がどうか優しいものでありますように
どうもおつかれさまでした。いつかまたこの場所で…
177 :
VIP村人x:2006/12/06(水) 22:12:03.18 ID:jxaPbJBg0
そうか……リラとはライラックのことか
綺麗な文章に伏線に感動した
今までオツでした
178 :
VIP盗賊:2006/12/06(水) 22:21:28.02 ID:mb6DEEeT0
>>172 ああ、もう・・・ただただ良かったとしか言い様がない。
はじまりのうた――夢の続き と来たから、もしや?と思ったけど、正直ほっとした。
過去を受け入れた二人、その未来に乾杯・・・。
すばらしい夢をありがとう!
179 :
VIP村人z:2006/12/06(水) 22:28:39.85 ID:VygTRgOJ0
>>172 なんだこれはッ・・・目の前が・・・霞む・・・ッ!
女の子スレの真髄を見た気がする。
本来の原作の「人形」じゃ無理なことで、このスレの「普通の女の子」だからこそ出来た物語、という感じ。
丁寧な人物・情景描写。ストーリー構成。
ああもう二人にお幸せにと言いたくなってくる。
お見事!
180 :
VIP村人f:2006/12/06(水) 22:31:17.55 ID:sJ+54FrQ0
/ _ >r‐r<.,_ ゙、
_} _,.斗-ト、_ |
\ゝ-イ_r‐イ ̄卞 ー-<_^>
,ヘr‐厶ィ l li l l li !Ui i jい
j ィ´ ̄ !l |_|斗j |l !├ト|iイ l ト、
{ ヽ _l リf, =、ハノイx=、个ソ/ )
,ゝ \__Y { ヒナ ヒナ } Yノ イ トゥモエー
く\ \_辷{ "" ) "" !__ イ
≧ヲ⌒ヽゝ、 )マ{ __ ノ___八`丶
. / 了 〉 }`r‐─厂 ト ヽ_∠ァ′ \
. / / / \ o{ _f^X_ ,
| ´ ̄ ̄ ̄`下、 丁\_f' / `ヽ i
| / ハ二二二二)W !
! i|ソ─っ ||i ′
、 ||ソ ゝ-、___」|I /
冫、 |ト、__ア ̄ ̄´\____,. イ 〉
/ >、 ヽレ′ ' \\/
く // ` ̄´ h ハイ
. ト く/ヽ /{ ! / _j
ア /ヽ{ ⊥_ ヽ_ _ イ -代フ
`>' 厂  ̄}「入__工下、_ヽ_く√
ゝ __人 __儿 -┘ }!、 /´
ヽ_ ハ:`ー:イ
ヽ> 、__,.イ| `ー'′
ヽ-rく_>!:| 二二二
_ i::L_X」:{ _  ̄
181 :
VIP奴隷:2006/12/06(水) 22:53:54.57 ID:J2K+hghe0
>>172 楽しませていただきました。お疲れさまでした。
後ほど改めて、もう少し踏み込んだ感想など、
休憩所の感想スレに書き込みたいと思います。
182 :
悲しい一人暮らし:2006/12/06(水) 23:23:51.98 ID:imxXdItA0
ほしゅ
183 :
籠屋の銀二:2006/12/06(水) 23:26:32.73 ID:cvKlxa2lO
184 :
VIP女神:2006/12/06(水) 23:32:14.43 ID:j+AnpuH7O
>>183 GJ!
銀様はやっぱ若干露出が高いほう好きです
185 :
武器屋のじじぃ:2006/12/06(水) 23:42:05.42 ID:UIFi8p+1O
>>183 銀様なら何でもOKに決まってるさ!とにかくGJって言いたい!
186 :
VIP足軽MS:2006/12/07(木) 00:14:01.07 ID:LnZPQ8FG0
ほ
187 :
VIP足軽MS:2006/12/07(木) 00:50:06.97 ID:LnZPQ8FG0
し
188 :
一生足軽:2006/12/07(木) 00:55:28.31 ID:KNbH5VsK0
い
189 :
VIP足軽x:2006/12/07(木) 00:56:34.00 ID:Kot0Y353O
が
190 :
愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 00:57:47.06 ID:/RhA1rjv0
我
191 :
愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 00:58:02.16 ID:/RhA1rjv0
慢
192 :
愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 00:58:16.93 ID:/RhA1rjv0
す
193 :
愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 00:58:37.12 ID:/RhA1rjv0
る
194 :
VIP足軽x:2006/12/07(木) 00:58:52.90 ID:+fBOP14e0
NHKBS女子水泳で放送事故キターーーー1111111111!!!!!!!
丸見えキターーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!!
祭りキターーーーーーーー!!!!!!!!!!wwwwwwwwww
195 :
VIP村人o:2006/12/07(木) 01:14:02.04 ID:30s4fj6b0
「何やってるんだ、翠星石」
「蒼星石のマフラーを編んでいるところです。それ以外の何に見えるですか」
「妹に手編みのマフラーか。お前、本当に蒼星石が好きなんだな」
「当たり前です。自慢の妹です。手ェ出したらタダじゃ済まねえですよ」
「出さないよ」
「なっ。お前にはあの子の魅力がわからねえですか? そのでかい眼鏡は飾りですか」
「……どう答えりゃいいんだか」
「ふふふ。それでですね、蒼星石のクロゼットの中がこれまた結構な乙女空間なのですぅ」
「……」
「こら。人の話はきちんと聞くですよ、ジュン」
「あー、いや。今日の翠星石は楽しそうだなって思ってさ。なんかよく笑うし」
「翠星石は妹バカですからね。たとえジュン相手だろうと、のろけ話ができるのは嬉しいのです」
「そりゃあ良かった。最近ずっと不機嫌そうだったから、気になってたんだ」
「……。不機嫌だったわけでは、ないですよ。ただ――」
「ただ?」
「こっちの話です! さあ今日は赤裸々に語っちまうですよ、蒼星石の少女趣味っぷりを!」
「ま、プライバシーを侵害しない程度に頼むな」
196 :
VIP村人o:2006/12/07(木) 01:15:10.48 ID:30s4fj6b0
>>195 「翠星石。何かいいことあったの?」
「別に。なーんにも、です」
「ジュン君といっぱいお話できた?」
「……見てたですか」
「ううん。カマをかけただけ」
「……! 蒼星石!」
「あははははははっ」
「笑うなですぅ! 蒼星石のおばか!」
「あはは。ごめんね」
「もっと、お話できるようになるといいね」
「ちょっと、難しいですけど」
「大丈夫。きっとうまくいくよ。だってさ」
「何ですか?」
「翠星石は、こんなに可愛い子なんだもの」
「……本気でお前を嫁にしたくなってきたですよ」
「ありがとう。大好きですよ、蒼星石」
後日、秘密を思いきり暴露されたことを知った蒼星石が激怒。
史上空前の姉妹喧嘩に発展したとか、しなかったとか――
どっとはらい。
197 :
VIP足軽wktk:2006/12/07(木) 01:53:02.03 ID:LnZPQ8FG0
いくらJUMと自然に話すためといえ…秘密全部ばらされたら怒る罠www
198 :
VIP村人xxx:2006/12/07(木) 01:54:55.97 ID:6JRYievpO
だが、そんな翠の子が大好きだ
199 :
VIP村人f:2006/12/07(木) 03:06:53.87 ID:MKwLoh6A0
蒼のクローゼット見てみたいwww
200 :
VIP村人y:2006/12/07(木) 04:08:25.77 ID:RrTKB/rUO
金「
>>200はこの金糸雀が鮮やかにー…」
薔「200…いただき♪」
金「かしらー!!」
201 :
VIP村人XL:2006/12/07(木) 06:15:22.37 ID:RrTKB/rUO
保守
202 :
愛のVIP戦士:2006/12/07(木) 07:49:51.49 ID:aV3DWgQy0
保守
203 :
VIP神:2006/12/07(木) 08:25:42.19 ID:pkgueRCnO
ほ
204 :
VIP女神:2006/12/07(木) 10:10:08.34 ID:AaRQPmG8O
保守
205 :
VIP奴隷:2006/12/07(木) 10:47:39.25 ID:ZOKzEu800
保守
206 :
姫:2006/12/07(木) 11:04:37.29 ID:PRYYVqAqO
また真紅が激怒したようです
銀「貧乳貧乳ゥ」
真「(ブチッ)き・・・ず・・・な」 J「止めろ真紅!水銀燈に手を出すな!」
真「( ゚д゚)ポカーン」
銀「あら。ありがとぉ」 J「こんなの当然さ」
二人「「イチャイチャ」」
真「( ゚д゚)
( ゚д゚ )」
雛「こっちみんな なのー」
真「なんですって・・・!!」
翠「ひっ!何でこっち睨むですかぁ!」
蒼「言ったのは雛苺だよ!?」 雛「真紅はジュンに振られたのー?」
翠・蒼「>>雛苺 シーッ!!」
真「貴女達良い度胸してるわね・・・」
翠「だから言ったのはチビ苺ですぅ!」 蒼「僕らは関係ないよ!」
真「貴女達の教育が悪いのだわ」
蒼「理不尽っ!」
真「いくわよっ!!ギャラクティカ絆エクスプレス!」
翠・蒼・雛「たわばっ!!」
207 :
VIP足軽utu:2006/12/07(木) 11:27:59.27 ID:AENtBgVI0
保存
208 :
南蛮ムキトス:2006/12/07(木) 13:02:49.29 ID:5ox2/Q1yO
真「絆パンチ!絆パンチ!絆パンチ!絆キック!オマケなのだわ!絆チョップ!!!!!」
209 :
VIP毒蛇:2006/12/07(木) 14:26:09.13 ID:fZusaJ3C0
ほしゅ
210 :
一生足軽:2006/12/07(木) 15:20:31.35 ID:b2kowYcb0
保守
211 :
VIP足軽a:2006/12/07(木) 16:02:22.62 ID:b2kowYcb0
保守
212 :
VIP足軽a:2006/12/07(木) 16:35:16.19 ID:b2kowYcb0
保守
213 :
宿屋の女中:2006/12/07(木) 17:05:30.12 ID:EFIgb85RO
保守ぅ
214 :
籠屋の銀二:2006/12/07(木) 17:36:41.73 ID:KD5T8UAWO
保守
215 :
VIP賢者:2006/12/07(木) 18:00:49.48 ID:VECJede/0
ほ
216 :
油売りの左暮:2006/12/07(木) 18:08:48.65 ID:v/3GPiFnO
あげ
217 :
VIP足軽c:2006/12/07(木) 18:41:13.25 ID:b2kowYcb0
保守
218 :
VIP足軽dca:2006/12/07(木) 19:18:14.86 ID:b2kowYcb0
保守
219 :
VIP神:2006/12/07(木) 19:36:03.66 ID:3cdk65MZO
ほ
220 :
花魁:2006/12/07(木) 19:44:41.63 ID:37GYTu22O
221 :
VIP神:
>>220 GJ!
耳のよさにいまさら気が付いたwwww