ハルヒ「ちょっとキョン!あたしのプリン食べたでしょ!?」
1 :
駅前食堂のメグ:
乙
3 :
愛のセーラー戦士:2006/12/04(月) 00:54:25.15 ID:D5d2vvTBO
4 :
駅前食堂のメグ:2006/12/04(月) 00:56:30.55 ID:uXMYF5LV0
5 :
VIP足軽MS:2006/12/04(月) 00:58:24.45 ID:roXcywfN0
>>4 乙、でも、「ここから下をお願いします」の下を貼ったほうがよかったんでねえの?
6 :
駅前食堂のメグ:2006/12/04(月) 00:59:16.92 ID:uXMYF5LV0
>>5 すまん気が付かんかった
次があれば気をつける
7 :
愛のセーラー戦士:2006/12/04(月) 01:02:22.89 ID:gQV4+eU50
1000 VIP村人t [sage] 2006/12/04(月) 01:01:53.31 ID:QpKIKkQc0 New!!
1000なら書きかけのを
今日中に書き上げて明日投下する。
乙
8 :
駅前食堂のメグ:2006/12/04(月) 01:09:48.37 ID:w/F59gygO
乙カレー
9 :
VIP村人t:2006/12/04(月) 01:10:16.63 ID:QpKIKkQc0
10 :
愛のセーラー戦士:2006/12/04(月) 01:10:53.80 ID:rSUIlW7HO
前スレ1000乙。
WikiにあるTHE谷口って今日投下されたの?
続きwwww
11 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 01:11:51.92 ID:a4kpTtG2O
さて企画頑張る前に
勉強しよっと
12 :
VIP村人f:2006/12/04(月) 01:12:33.80 ID:kPAf4KqR0
13 :
VIP村人a:2006/12/04(月) 01:25:29.61 ID:tsn07J0U0
ハルヒを読み直したんだけど、谷川さんって文章力こんなもんだったっけ?
なんつーか、同人的というか、ありきたりというか。
憂鬱と消失は上手く書かれてたけど、短編はまずいだろこれ。
14 :
VIP足軽b:2006/12/04(月) 01:29:12.11 ID:g9x6h9M70
>13
それはSSの読みすぎで、あなたの目が肥えたのではないですか?
もしそうだったら……SS職人達、GJ!ってことに。
17 :
13:2006/12/04(月) 01:32:15.50 ID:tsn07J0U0
>>17 どういたしまして。じゃあな、あっちで健闘祈る。
19 :
高校の女教師:2006/12/04(月) 02:02:58.70 ID:3/FSF7KAO
20 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 02:03:33.15 ID:QpKIKkQc0
いるいる。
21 :
高校の女教師:2006/12/04(月) 02:05:06.69 ID:3/FSF7KAO
じゃあチョロッと投下していいかな?
23 :
愛のセーラー戦士:2006/12/04(月) 02:06:35.24 ID:c25w+086O
イーンダヨ
24 :
I believe... ◆mtod1dSyOc :2006/12/04(月) 02:09:45.33 ID:3/FSF7KAO
じゃあ投下します。
人がいなくても大丈夫だとは思いますww
ハルヒ視点でハルヒがキョンと付き合ったらこんな気持ちかな……と。
「正直になろうじゃねーか。ハルヒ、好きだ。付き合ってくれ」
……うん。あたしも好き。……ありがと、キョン。
こうして、あたしはキョンと付き合うことになった。
クリスマスの二週間前、周りから見れば焦って彼氏を作ったって見られるかも。
それでもいいわ、だってあたしは本当にキョンが好きだから……さ。
それからだった、異変が起こったのは。
あたしがキョンに話しかけても、会話が途切れ途切れになる。……というより、キョンが話を切ってくる。
『悪い、今忙しいんだ』とか、『呼び出されててさ』とか、わかりやすい《嘘》であたしとの会話を断ち切る。
これじゃ付き合う前より楽しくない。一緒に登校するより、一緒に帰るより、あたしは話していたいのに。
それともう一つ。
あたし以外の女子、……特にみくるちゃんや阪中さんと話す時間があたしより多い。
確かにキョンが誰と話そうと勝手だし、束縛する気もない。
だけど、なんだかあたしがないがしろにされてる気がする。
「そ、そんなことないって!ハルヒ、俺を信じろよ!」
あ……うん。あたしが悪かったわ、ごめん。
25 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 02:10:42.72 ID:QpKIKkQc0
いきなりあまーいwwwww
支援
26 :
I believe... ◆mtod1dSyOc :2006/12/04(月) 02:11:02.52 ID:3/FSF7KAO
「……じゃあ帰ろうぜ」
あたしの手が優しく握られる。あたしはこの温もりを信じていようと思った。
キョンのあったかくて、あたしより大きな手を……。
「悪い、今日は一人で帰ってくれないか?」
付き合って五日目、あたしは初めてキョンに一緒に帰ることを断られた。
団長机でパソコンを弄りながら聞いたその言葉は、あたしに疑念を抱かせた。
《実は他に好きな人がいる?あたし、遊ばれてる?》
そんな訳ない。だって告白をした時のキョンは本気の目をしてた。
だけど……付き合ってからこんなに冷たくされると疑いが出ちゃう。
キョン、ちょっと来なさい。
あたしはそう言って部室の外へと出た。
「なんだよ」
最近……さ、なんだかあんたと気持ちが離れてる気がする。
「おいおい……、別れ話は勘弁だぞ」
違うわよ。ただ……ちょっと前みたいに何でも話せる関係じゃないみたい。
「心配しすぎだ。俺はお前のことを考えなかったことなんて一時もない」
真面目な表情。この顔をしてる時のキョンは嘘はつかないのよね……。
わかったわ。ごめん、なんかあたし束縛してるみたいよね!忘れて!あ〜寒い……。
掌を擦り合わせ、あたしは部室の中へと戻ろうとした時だった。
頬を持ち上げられ、キスをされた。
最初は驚きに目を開いていたけど、気持ちよくなってあたしは目を閉じた。
しばらく、その状態になった後、ゆっくりと唇を離された。
「ごめんな、ハルヒ。お前を不安にさせる様な態度を取っちまってさ」
顔が熱い。さっきまで感じていた不安は全て吹き飛んで、幸福感だけがあたしに残った。
「さっき言った通り今日は一人で……な?俺は用事があるからもう帰るよ。悪い」
頭を二度、ポンポンと叩かれてキョンは鞄を取って帰って行った。
shienn
28 :
I believe... ◆mtod1dSyOc :2006/12/04(月) 02:13:17.23 ID:3/FSF7KAO
もうなんだって信じる。あたしはそう誓った。だって、あたしはこんなにキョンに愛されてるんだから……。
部室に戻ると、財布を開けた。お金が残ってるうちにクリスマスプレゼントを買おうと思ったから。
一人で街に出て、一人でキョンの為にプレゼントを買おう。
去年までの、《恋愛なんて精神病》なんて感情はもうない。
普通の《彼女》って立場が、そんな生活が今はなによりも幸せだから。
有希が本を閉じる音を立てた瞬間、部室を飛び出した。
とびっきりのプレゼントを選ぶために。
コートを着込んだまま、街中を何往復もした。同じ店にも何度も入った。
キョンの喜ぶ顔だけが見たくて、あたしは何個も何個も商品を手に取った。
「……これ、いいかも」
あたしが気に入ったのは、ちょっと高価な腕時計。これならキョンも喜んでくれるかな……。
すぐにレジに持って行き、包装はしてもらわなかった。自分でやった方が心がこもる気がしたから。
あたしは幸せの絶頂にいたのがわかった。だって世界が全て明るく見えていたから。
そんな時に、あたしは見たくないものを見てしまった。
「キョン?何でここに……それに、朝倉?」
街中の道の端の方で、キョンと朝倉が話しているのが見えた。
それだけじゃなかった。朝倉がキョンにキスをした。放課後、キョンがあたしにしたのと同じ手順だった。
何で……?確かめなきゃ……。
「キョン!!」
あたしはありったけの声で叫び、大股で二人の元に向かった。
「は、ハルヒ!?何でここに……」
何よ、今のキスは。
そこで朝倉は口を挟んできた。
「お久しぶりね、涼宮さん。ちょっとだけカナダから帰って来たの。だから向こうでやってる方法でキョンくんに挨拶しちゃった」
shienn
30 :
I believe... ◆mtod1dSyOc :2006/12/04(月) 02:13:58.32 ID:3/FSF7KAO
うふふ、というわざとらしい笑い声を無視して、あたしはさらにキョンに言葉をかけた。
「何で避けなかったのよ!来るってわかったんでしょ!?」
「そ、そんなのわかるかよ!朝倉がいることに驚いてるスキにやられたんだ!」
わかってる、わかってるけど言わなきゃ済まない自分が惨めになる。
じゃ、じゃあ……あたしもキスする!
キョンの頬を持ち上げて、キスしようと唇を近付けた瞬間だった。
キョンの暖かい掌があたしの口を押さえていた。
そう、あたしのキスは拒否されたのだ。
何で……何で避けるの?あたし達……付き合ってるんじゃないの?
「それとこれとは話が別だろ!」
朝倉のは避けなかったじゃない……。
「そ、それは……」
絶望感に襲われた。それは、キョンと朝倉がキスしたことじゃない。
あたしがキョンに拒絶されたことに対してだった。
「どうして……?あたしはこんなにあんたを想ってるのに、あんたは応えてくれない。去年あんたが言った、《普通の恋愛》だってしてるじゃない!」
辛い。何であたしだけ辛いのよ。
sshienn
32 :
I believe... ◆mtod1dSyOc :2006/12/04(月) 02:15:42.78 ID:3/FSF7KAO
「ひどい……ずっと、キョンだけはあたしをわかってくれてると信じてたのに。あたしだけを好きでいてくれるって信じてたのに!」
ポケットからさっきの腕時計の箱を取り出した。
「信じてたのに、信じてたのに、信じてたのに!バカバカバカッ!」
キョンの足下にそれを叩き付けて、あたしは走り出した。もう終わりだ。絶対に終わりだ。キョンはあたしを好きじゃなかったんだ。
そんな喪失感と絶望感から、走りたくなくなり、あたしは近くの公園に入ってブランコに腰を下ろした。
こんな時……漫画とかならキョンが来て『ごめん』って必死に謝ってくれるのよね。……ううん、キョンなら来てくれる。
三秒以内に来たら、許してあげるんだから。
1……2……さ
あたしの肩に何かが置かれた。ほら、やっぱり来てくれた。さっきのこと、ゆっくりと聞き出そう。
「キョン、あたしに言いたいことは?」
そう言って振り向いた。……そこには、あたしの求める景色はなかった。
「涼宮?キョンと約束してたのか?」
谷口……だけ?キョンは?
あたしは必死に辺りを見回した。何回も首を振って見回しても、この辺りにいるのは二人だけだった。
終わっちゃった。本当に終わっちゃったんだ……。
「谷口ぃ……ほんとに終わっちゃったよぉ……うあぁぁぁん!」
あたしは泣き続けた。谷口にしがみついて。
かっこわるいけど涙が止まらない。声をあげてしまう。
「おい……宮……した……よ!」
谷口があたしに何か声をかけてるけど聞き取れない。
あたしはずっと、ずっと自分の気持ちのままに暗闇の公園で谷口にしがみついて泣き続けた。
shienn
34 :
I believe... ◆mtod1dSyOc :2006/12/04(月) 02:16:24.53 ID:3/FSF7KAO
あたしが少し落ち着いた時には、鶴屋さんが一緒にいた。谷口が呼んだのかな……。
「大丈夫かい?ハルにゃん……全部吐き出しちゃいな。あたし達が全部聞いて、受け止めてあげるから」
鶴屋さんの声。あたしを軽く抱き留める谷口の体。
その二つに安心感を覚えて、あたしはまた泣き出した。泣き出しながら自分の気持ちを言葉にした。
「あたしが何したっていうのよ!キョンのことをずっと想って!一人でドキドキして!それで返って来たのは拒絶だけ!うぅっ……あたしが、何したっていうのよぉ……」
あたしは悪いことなんてしてないのに。むしろキョンの為に努力してるのに。
「プレゼントだって買った!喋りたいのも我慢した!キョンともっと触れ合いたかったのも我慢してたのに!なんであたしはぁ……こんなのひどすぎるよぉ……」
号泣っていうのはこんな感じなんだろう。あたしの涙はずっと止まらなかった。
谷口の胸を叩き、腕に爪を食い込ませながらあたしはさらに泣き続けた。
「もうやだ……せっかく普通の生活だって面白くなってきたのに……」
二人に自分の思いを全てぶつけた。
今までがどんな気持ちだったのかも。
shienn
36 :
I believe... ◆mtod1dSyOc :2006/12/04(月) 02:18:01.19 ID:3/FSF7KAO
今でもキョンが好きなのにってことも。
全てを打ち明けて、あたしは落ち着きを取り戻した。
「もういいかい?落ち着いたらあたしの家に来なよ、ゆっくり話そう」
……うん。ありがとう、鶴屋さん。
「谷口くんも、ね?あたしが治療したげるさっ!」
治療?あたしは疑問を感じて、谷口の体を見回すと、爪が食い込んで血が流れ出していた。
「あはは……じゃあお言葉に甘えさせていただきます……いてて」
鶴屋さんに背中を押され、あたしは歩きだした。
妙にスッキリした頭と、涙で濡れた頬が風に吹かれて気持ちよかった。
つづく
とりあえずここまでです、支援ありがとうございました!
遅くにすみませんでしたorz
乙、GJ!
続きを期待してるよ。
38 :
高校の女教師:2006/12/04(月) 02:23:45.12 ID:3/FSF7KAO
>>37 ありがとう。こちらこそ乙と言わせてもらいますww
39 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 02:25:43.51 ID:QpKIKkQc0
>>36夜中に乙。
続きはキミの方にかかってるんだからねっ!?
だからさっ、頑張って書くにょろよ?
40 :
高校の女教師:2006/12/04(月) 02:30:35.11 ID:3/FSF7KAO
みんな保守は任せたww
続き書きながら世界バレー決勝見るノシ
41 :
VIP足軽c:2006/12/04(月) 02:32:35.55 ID:g9x6h9M70
「運命的事件の幸福」のAメロ?が
「スーパーマリオブラザーズ」の海の面の曲を思い出させる。
という保守。
42 :
VIP神:2006/12/04(月) 02:59:21.39 ID:vruQ/sUg0
高原ハット記念保守
43 :
VIP村人z:2006/12/04(月) 03:46:10.99 ID:HO/uCAqwO
皆さんまとめて乙です保守
44 :
VIP村人v:2006/12/04(月) 03:50:53.98 ID:TWR1JfP3O
時代はハルヒ寝取られ
45 :
(´;ω;`) :2006/12/04(月) 03:54:33.25 ID:pT6hmwN30
時代はキョン寝取られ
ハルヒ「あんたたち、何をしてたの…?」
古泉「いやちょっとだけキョンたんと肉体の会話をですね」
46 :
愛のセーラー戦士:2006/12/04(月) 04:00:02.15 ID:jXQswAz3O
前に出てたハルヒがキョンに恐怖を覚える。てやつで書いてるんだが……どうやってもありきりにしかならん
47 :
愛のセーラー戦士:2006/12/04(月) 04:04:33.29 ID:jXQswAz3O
48 :
VIP村人o:2006/12/04(月) 04:54:17.58 ID:ncPp+ZEM0
今の今まで同人的なSSだけは避けてた俺が微笑を読んだ
本にしたら金とれたんじゃね?www
って誤爆したwwww
49 :
VIP村人q:2006/12/04(月) 06:37:48.04 ID:Gwt03DOd0
保守
50 :
愛のセーラー戦士:2006/12/04(月) 06:48:43.41 ID:J/Q9F5UfO
51 :
VIP商人:2006/12/04(月) 06:55:53.61 ID:CeDNyQVGO
保守
52 :
VIP村人XL:2006/12/04(月) 07:18:08.76 ID:a4kpTtG2O
ああ、保守ですね
53 :
14才のひろゆき@どうやら管理人:2006/12/04(月) 07:18:15.06 ID:InnwxuKJ0 BE:70720122-2BP(121)
Be見ろ
54 :
壷ふりお京:2006/12/04(月) 07:36:09.34 ID:iHYil3EoO
55 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 07:43:06.29 ID:e/fTn6IK0
暇だから保守SS投下
56 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 07:43:20.02 ID:e/fTn6IK0
俺は今SOS団にいる。団員は全員いる。
「じゃあ今日は解散!」というハルヒの一声によって本日の業務は終了した。
ハルヒは解散と同時に帰宅したようだ。古泉は爽やかに帰宅した。俺が帰り支度をしていると長門と目が合った。
「どうした?」
「あなたに聞きたい事がある。」
「なんだ?」
長門は手紙のような物を俺に差し出した。
「読んで。」
「わかった。」
簡単に説明すると、長門はラブレターと呼ばれる物をもらったようだ。
「わたしはどうすればいい?」
「お前はどうしたいんだ?」
「どうしたいとは?」
「その人と付き合ったりしたいかって事だ。」
「しない。」
「会って話したりは?」
「しない。」
「じゃあ何を聞きたいんだ?」
「彼が何を求めているか。」
「その人は長門と一緒に居たいんだろ。で、許可を求めてるんじゃないのか?」
「そう。」
「で、どうするんだ?」
「この場合に許可は与えられない。」
「そうか。じゃあそう伝えればいい。」
「そう。」
それにしても長門にラブレターとは。そういえばこいつは谷口評価でAマイナーだったか。
57 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 07:43:37.37 ID:e/fTn6IK0
「どうしたんですかぁ?」とは朝比奈さん。
俺は長門を見て、長門がわずかにうなずいたので朝比奈さんに事情を説明した。
「そうなんですかぁ。いつ返事出すんですか?」
「ついてきて」
「ひぇ〜?」
もしかして今なのか?長門よ。
「あなたも」
俺もか!?
そして3人様々な事を考えてかデフォルトなのかは疑問だが、無言で長門についていった。
着いた場所は屋上。背の低い古泉のような、爽やかな好青年のような印象を受けた。
「俺たちは何のためにつれてこられたんだ?なんかしなきゃいけないのか?」
と俺は長門にこっそり聞いた。
「あなたたちはわたしの横に立ち、わたしに話を合わせていてくれればいい。」
そう言うと屋上の古泉似の彼の方へ歩いていった。
「行きましょう、朝比奈さん。長門がああ言うのは何か考えがあっての事ですよ。」
「はいっ」
朝比奈さんは興味津々といった表情をしている。それよりいったい長門は何をするつもりだろう。
58 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 07:44:04.97 ID:e/fTn6IK0
「来てくれたんだね長門さん」
彼が口を開いた。俺と朝比奈さんには気付いてはいるが何も気にしていない様子。
無言で返す長門。俺しかわからない程度に頭が上下に動いた。
「手紙読んでくれた?読んだからここにきてくれたんだよね。それで、うん、ちゃんと言います。
僕はあなたの事が好きです。あなたと一緒にいたいです。付き合ってもらえますか?」
こいつは俺と朝比奈さんの事置物程度にしか思ってないのかな?
まあ俺と朝比奈さんは置物のように黙っているんだが。
「そう。」
ようやく口を開いた長門はチラリとこちらを見て
「わたしは今、彼をめぐって彼女と三角関係にある。」と言った。
朝比奈さんは驚愕といった表情を見せている。俺は、正直意識がとんだ。
「よって、あなたの期待に添えられない。」
「そっか。でも彼は涼宮さんと付き合っているんじゃなかったかな?」
「断じて違う!」
と言い放ったこの言葉こそ、俺がこの人に発した最初の言葉だった。
「なんで俺とハルヒの事を知っているんだ?」
「君たちは有名だからね。それに、好きな人が所属する団体だし。」
ああ、なんとなくわかるわ。もちろん最後の発言だぞ?
長門はまた俺を見た。嫌な予感がする。
「訂正する。涼宮ハルヒを含めた私たち4名による四角関係。」
もういい。俺は何も言わない。朝比奈さんは最初から何も言える精神状態じゃなさそうだし。
「そっか。わかったよ。最後に彼に聞きたいことがあるんだ。」
「なんだ?」
「誰が本命なんだい?」
「知らん!」
「じゃあもう一つ。僕は遠回りに振られたんだよね。」
俺が何か言おうと考えてるうちに彼は「さよなら。」と言い帰ってしまった。
59 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 07:44:20.45 ID:e/fTn6IK0
誰もいない様な静寂が屋上に佇む。
いろいろなことが頭の中を駆け巡ってる俺。最初からオーバーヒートしてる朝比奈さん。いつでも無口な長門。
「帰るか。」 帰って寝たい、と思った俺はそう言った。
「あなたに一つ言っておく。」
「なんだ?」
「四角関係なのは事実。私という個体は人間の感情で『好き』という感情を抱いている。朝比奈みくるも涼宮ハルヒも。」
「なななな長門さん!そそそれはそそそそんなこといいい言っていいんですか??」
「大丈夫、情報操作は得意。」
60 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 07:44:39.93 ID:e/fTn6IK0
ん?ここは?そっか、昨日は早めに寝たんだっけ。
なんかやけにリアルな夢を見たな。本当に四角関係だったらどうしよう。
そんな事を考えながら学校へ向かった。
朝比奈さんと会ったとき、朝比奈さんは顔を赤くして狼狽していた。
長門に会ったとき、表情に若干の変化は見られたが俺にはまだわからないようだ。
ハルヒは笑顔で昨日の事を聞いてきた。
ハルヒによると昨日長門が手紙をもらったのを知っていて後をつけていたらしい。
そこでようやく長門に記憶を消されていた事に気付いた。
やっぱり長門が最後に言ったセリフと呪文みたいな言葉は情報操作だったのか。
今はハルヒをごまかして、放課後になったら長門を問い詰めよう。
なぜ情報操作をしたのか。なぜハルヒは知っているのか。
そして、本当に四角関係なのかだけは聞かない事にする。
61 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 07:45:04.74 ID:e/fTn6IK0
おわれ。
62 :
VIP皇帝:2006/12/04(月) 07:53:12.68 ID:1nWkXRL1O
続きキボン
63 :
VIP足軽MS:2006/12/04(月) 07:54:39.05 ID:NbkuMMJ60
64 :
VIP皇帝:2006/12/04(月) 08:02:02.18 ID:NbkuMMJ60
65 :
VIP商人:2006/12/04(月) 08:31:33.36 ID:D5d2vvTBO
乙!
66 :
VIP盗賊:2006/12/04(月) 08:45:40.80 ID:lemsjMh50
あげ
67 :
VIP村人a:2006/12/04(月) 09:18:16.24 ID:1nWkXRL1O
保守
68 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 09:59:53.47 ID:e/fTn6IK0
人いるなら投下する。いないなら学校行ってくる
69 :
暴れん坊VIPPER:2006/12/04(月) 10:04:03.55 ID:k1+yttq+0
居るぜ!
っておそいか?
70 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 10:05:40.84 ID:e/fTn6IK0
投下すんぜ!
71 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 10:06:31.68 ID:e/fTn6IK0
完結してない上オチも決まってない短編
72 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 10:06:43.83 ID:e/fTn6IK0
コンコン
「どうぞ。」
ガチャ
「失礼します。どうしたんですか?喜緑さん。」
「今日はちょっと涼宮さんについて試してみたいことがございまして、あなたに協力していただけないかと。」
「なんでしょう?」
俺はこのとき、俺にできることならなんでもやるつもりだった。
「涼宮さんが今まで他の人にしてきた行為と同じ事を他の人に涼宮さん自身がされたらどういった反応を示すのか試して見たいのです。」
「えっと、具体的にはどういった事をするんですか?」
「こうするのです。」
喜緑さんはいきなり自分の服を乱暴に脱ぎ、半裸になった。
「何してるんですか喜緑さん!服着てくださいよ!」
「あなたが着させてください。それまでは私は服を着ません。」
俺は逃げればよかったんだろうけど、あまりの出来事に脳はショートしていた。
喜緑さんも宇宙人という先入観も手伝ってとりあえず服を着せてやろうとした。
73 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 10:06:58.91 ID:e/fTn6IK0
その瞬間。
カシャ!
なんと生徒会長が写真を撮った。
「え!!???」
「じゃあそういう事だ。詳しいことは喜緑くんに聞いてくれたまえ。」
そう言うと生徒会長はこの部屋を出て行った。
「どういう事なんです?とりあえず服着てください。」
「このままでいいじゃないですか。それに言ったはずですよ?『今まで他の人にしてきた行為と同じ事を他の人に涼宮さん自身がされたらどういった反応を示すのか試して見たい』と。
簡単に言いますと、朝比奈みくるさんとパソコンを奪った方法でSOS団から部室を取り上げようとしているのです。生徒会長はこれから現像してSOS団に乗り込みます。」
「何を言ってるんですか喜緑さん!そんなことして何になるんですか?」
このとき俺はハルヒが俺を切り捨てて終わるんじゃないかとか、長門が何とかしてくれるとか考えていた。古泉も、朝比奈さんもいる。
つまりSOS団自体には俺がいなくなる可能性があるだけで変わらないと思ってた。
思ってたから喜緑さんに説明すれば撤回してもらえると考えたんだ。だからこのとき俺はそこまで焦っていなかった。生徒会長を追わなかった。
74 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 10:07:17.71 ID:e/fTn6IK0
「あなたの考えている事はわかります。しかし我々思念体の判断は、涼宮ハルヒはあなたの不祥事に対し閉鎖空間を発生させます。
この場合の閉鎖空間は相当な大きさになり、まず古泉一樹は自由に行動できないでしょう。」
「長門がいる。あいつは俺の事を信じてくれるハズだ。」
「長門さんは、そうですね。あなたの事を信じているから、今回は静観することに納得してくれました。
あなたと長門さんはこの問題が終わるまで連絡を取ることはできませんが伝言を承っております。」
「なんです?」
「誤解は解ける。あなたを信じている。」
そうだ、何故か俺が悪いことをした雰囲気に持ち込まれているが、俺は何もしてないんだ。
「そうですね、長門の言うことを信じて誤解を解こうと思いますよ。まだSOS団を脱退したくないんでね。」
「あなたならそうおっしゃると思いました。私もあなたなら誤解を解くと思っています。」
「なら何故こんなことをするんです?」
「長門さんと同様、私も穏健派なんです。自体の急変は望まない。なぜなら対応できない事態に陥ったときのリスクが大きいと判断しているからです。」
「じゃあやめてくださいよ。」
「しかし、長門さんの観察により、涼宮ハルヒはあなたを信頼しているため、誤解が解けると判断されました。
ならば、自体を急変させ、観察し、誤解を解かせる。平穏に事態は収拾されます。」
「リスクがないから異常事態を発生させるんですか?」
「平たく言えばそういうことになります。」
「ついでに、朝比奈みくるの異次元同位体からも伝言を承っております。」
「なんでしょう?」
「『この時間帯の私は事態を把握していません。邪魔にさえなりかねませんが、この誤解が生まれる事は決まった事なんです。』と。」
「なら誤解を解くしかないのでしょう。ところで、長門が俺のと連絡取れなくなるのは何故です?」
「うふふ、禁則事項です。」
そこでウィンクですか。似合ってはいるが、朝比奈さんほどではないなとか考えていると、
「そろそろですね。がんばってください。」
と言い、急に喜緑さんは泣き始めた。
「どうしたんですか?大丈夫ですか?」
75 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 10:08:13.00 ID:e/fTn6IK0
俺は焦って近寄った、瞬間
ドーン!!
「ちょっとキョン!!!どういうこと!!?この写真は!!???」
泣く喜緑さん。喜緑さんに近づく焦った俺。そういえば喜緑さんの服は…
という学校行くから保守できない代わりのSS。
続きは誰か書いてくれたら非常に嬉しい。
学校から帰ってくるまでに続かなかったら俺が書くという保守
www
wktkが止まらんGJ。
帰ってきたら続き書いてくれ
77 :
南蛮ムキトス:2006/12/04(月) 10:49:31.58 ID:D5d2vvTBO
保守
79 :
VIP村人c:2006/12/04(月) 11:31:40.90 ID:1nWkXRL1O
★
80 :
牛のふん:2006/12/04(月) 12:10:53.91 ID:+d0USbL/0
81 :
VIP足軽c:2006/12/04(月) 12:17:37.43 ID:tf0S+Gc3O
82 :
VIP遊び人:2006/12/04(月) 12:19:21.41 ID:a4kpTtG2O
83 :
VIP商人:2006/12/04(月) 12:29:00.72 ID:w/F59gygO
84 :
VIP足軽c:2006/12/04(月) 12:36:32.58 ID:tf0S+Gc3O
キョンです。ただいま何故かミヨキチと街中を歩いてます。
本来なら居るべき某起床専用小型強力爆撃機が何処へやら何事やら途中で離脱。
で、こうして街中を歩いてるわけだ。意味が解らんね、うん。
まぁ、気分は悪くない。相手は小学生ではあるがなかなかの美少女だ。
○葉原に連れて行けばきっと何人もの男が群がるだろう。
・・・いや、彼等にも良識はあるからそれは無いか。むしろ俺の方がヤバい。
今、人ごみではぐれぬように手を繋いでいるのだが正直ドキがムネムネしているのだ。
俺はロリコンじゃないはず。そのはず。・・・うん、そのはずだよな?
・・・言い切る自信が徐々に喪失していく自分に気付いて溜め息を吐く。
「あの・・・えっと・・・最近夜になるのが早いですね」
「ごめんね、気を使わせちゃったね。さっきの溜め息はそういうのじゃないから」
「こちらこそすいません・・・」
「・・・」
「・・・」
気まずい。くそ、鶴屋さんの元気や某進藤並みのマシンガンが欲しい。
・・・いや、鶴屋さんの元気はともかくマシンガンだと逆に白けるかもしれない。っつか延髄チョップか。
俺の何がいけないのか。某ニヤニヤ男ならばこの気まずい状況を打破出来るのだろうな。
85 :
VIP足軽c:2006/12/04(月) 12:37:34.04 ID:tf0S+Gc3O
「あの、お兄さん?」
「ん?」
「私と居て退屈じゃありませんか?」
「いや、そんな事はないよ。こんな可愛らしい子と歩けるんだからね」
やれやれ、俺は子供相手になんて事を言ってるんだか。言っとくが俺はロリコンじゃないぞ。・・・守備範囲が広いだけだ。
「え・・・あ・・・ありがとうございます・・・」
しかし、恥じらう顔もまた可愛らしい。年齢差が悔やまれるでありますな。
「あの・・・お兄さんは・・・その・・・えっと・・・彼女さん居られるですか?」
「ぶふっ!?」
思わず口から無いお茶を吹き出してしまった。
藪から棒になんて事を聞いてくるんだこの子は。恋愛漫画か?恋愛小説か?この展開・・・なんてエロゲー?
いやいやまだまだ決まったわけじゃない決まったわけじゃない。KOOLになれキョンKOOLになれキョン。
だいたい相手はまだまだまだ小学生だぞ。いや、そりゃまぁ高学年だが。いやそれにしたって・・・なぁ?あれだろ?あれ。
「そうですか・・・・・・・・・」
なんでそんな安心したような顔をしとるん。くっ!期待してまうやろ!って、なんで関西弁やねん!
「・・・」
ぎゅっ。手を握る力を強くするミヨキチ。その顔はかなり赤い。
86 :
VIP足軽c:2006/12/04(月) 12:38:46.92 ID:tf0S+Gc3O
ん〜まさか俺の手を握っただけで赤くなるわけないしなぁ。
「ちょっとおでこ借りるよ」
「へ?あ・・・あのぉ・・・」
「ん〜・・・熱は無いな」
と、なるとどうして赤いのだろう。何か病気か。それとも緊張してるのか?照れてるのか?
って、ええい。期待しているんじゃないぞ、キョン。俺はあまりモテない高校生だろ!
・・・いや、自信はあるんだが実績が伴わないんだ。ハルヒと関わらなければ今頃は・・・。
まぁ、古泉には負けるけどな。あいつの面の良さは認めない事を能わず。あ〜ぁ、なんか悔しいぜ。
「さて、何しようかな・・・」
可愛い子と居るんだから少し頭を捻る。捻らない頭を捻る。ん〜・・・捻れない。相手は小学生だよな。少し金は使うがあそこで良いかな。財布の中を見る。うん、大丈夫だ。妹が居たらこんな事出来ひんな。
「なぁ、遊えn・・・」
「公園行きませんか?」
「・・・え?あ、うん、良いよ」
なんか複雑な心境。まぁ、一時は金の消費は抑えられるし良しとしよう。まぁ、ジュースぐらいなら買ってやるとしよう。
以下、学校の教師に見つからぬように省略されました。
続きを読みたい時はフェルエリア・フォン・エターナリティとお叫び下さいませ。
87 :
VIP悪魔:2006/12/04(月) 12:50:11.44 ID:iThILRn6O
フェルエリア・フォン・エターナリティ
88 :
VIP村人d:2006/12/04(月) 12:53:31.63 ID:1nWkXRL1O
>86
あなたは元キャラスレの住人さんですか?
89 :
VIP遊び人:2006/12/04(月) 13:25:23.98 ID:TWR1JfP3O
鶴屋「キョン君は女の子を弄んでいる」
90 :
VIP村人r:2006/12/04(月) 13:52:52.51 ID:kPAf4KqR0
鶴屋「古泉君は男の子を(r
鶴屋「阪中さんは女の子をry」
92 :
VIP番長:2006/12/04(月) 14:32:07.93 ID:6D6v7Z3pO
キョン「なあ?」
朝倉「ん?」
キョン「朝倉と朝食ってにてないか?」
朝倉「・・・」
キョン「うっひょひょーい!!いただきまんこ!!」スポポーン
朝倉「アッー!もうお昼だから!!」マンコカパック
93 :
VIP盗賊:2006/12/04(月) 14:35:33.89 ID:a4kpTtG2O
94 :
VIP皇帝:2006/12/04(月) 14:41:47.19 ID:tf0S+Gc3O
95 :
VIP村人z:2006/12/04(月) 15:05:45.62 ID:XQH58Iuj0
フェルエリア・フォン・エターナリティ
96 :
VIP奴隷:2006/12/04(月) 15:10:54.13 ID:a4kpTtG2O
くるくる回るw
97 :
VIP足軽mp3:2006/12/04(月) 15:11:59.79 ID:TlYgaEoe0
続き物に詰まった。
ちょいと小ネタ募集−。何か三単語くらいでよろしく。
98 :
VIP足軽b:2006/12/04(月) 15:23:35.60 ID:h+FjdUZU0
99 :
VIP下手人:2006/12/04(月) 15:25:33.49 ID:rSUIlW7HO
万引き
謝罪
逮捕
100 :
猿回しの勘三:2006/12/04(月) 15:26:22.92 ID:1nWkXRL1O
海
告白
ラーメン
101 :
VIP女神:2006/12/04(月) 15:26:59.33 ID:azIsXNvwO
102 :
VIP女神:2006/12/04(月) 15:35:22.70 ID:pVRLJQyTQ
期末試験
雨
自動販売機
んじゃ順番に行きます。
先ずは
>>98の桜、キス、川、で。
古泉困る
キョン助ける
古泉感謝
このパターンないよね?
あたしたちは今、桜の木の下で川の字になっている。
間にキョン、両隣にあたしと有希。
えーっと、古泉くんとみくるちゃんはどこに行ったのかしら?
全然覚えてないわ……、あー、頭痛いわねえ。何でかしら、ええっと……、
「飲みすぎだ、馬鹿」
「うっさいわねえ……。あんただって飲んでたじゃない」
うう、自分の声が頭に響くわ。
「自業自得」
有希までそんなことを言うのね。
まあ、自業自得と言えば自業自得だろうけど……、っていうかなんで有希まで寝ているの
よ。あんたは酒に強かったんじゃなかったの?
いや、あんまりよく覚えてないんだけど……。
「彼と古泉一樹の要望により、アルコールに対する抵抗力を一時的に低下させている」
何言っているのかしら、よくわからないわ……。
「長門……、そういうことはハルヒに言わなくていいぞ」
何それ、二人だけの秘密だとでも言うの?
なんだか気に食わないわ……。あたしは重い身体を引きずりつつ、上半身だけを起した。
……うわ、キョンったら間抜けな顔。
まあキョンが間抜けなのはいつものことだけどさ。
「何だよ」
あたしの方を見たキョンが、顔を顰める。
「別に、何も」
そんなキョンの顔を見ると、なんだか毒気が抜けちゃう。
酔いが覚めるってわけじゃないんだけど、別に何か言わなくても良いかなって思っちゃう
のよ。
何か言っても頭に響いて後悔する羽目になるだけだし……。
うう、でも、本当に頭痛いわ。
あーもう、お酒だけは駄目ねえ。
「なあ、ハルヒ」
「何よ」
「お前、断酒を誓ったんじゃなかったか?」
「忘れたわ、そんなこと」
「……馬鹿だろ、お前」
「うっさいわねえ。キョンだって似たような物じゃない」
「いや、俺はお前に巻き込まれただっ……、って、おい」
ええっと、あたし、何したんだろう?
キョンが五月蝿いなあって思って、その唇を塞ぐために……、あ、あれ、ええっと……。
あー、うーん、えっと、えっと……、うん、まあ、良いわ。
酔った勢いってことにさせてちょうだい。
でなきゃ、言葉を塞ぐために唇で唇を何て……。あー、言ってて恥ずかしいわ。
「黙んなさい」
「……」
「ねえ」
「何だよ」
「みくるちゃんと古泉くんは?」
「水を買いに言った。古泉は俺達より酒に強いし、朝比奈さんは最初から飲んでないからな」
「そう……」
107 :
VIP村人t:2006/12/04(月) 15:44:25.34 ID:QvvZ7IXB0
はええな、もうできたのか
あたしは身体を半分起したまま、ぼんやりと桜を眺めていた。
あたし、何しているんだろうなあ……、酔った勢いで、かあ。
有希も居るのに……。あ、いや、それは……、そう言えば、有希はどう思っているのかし
ら?
って、有希、完全に寝ているし……、ううん、気付かれてないのかしら?
それならそれで良いんだけど……。
「なあ、ハルヒ。さっきの、」
「忘れなさい」
「……」
「団長命令よ、忘れなさい」
「……分かった」
キョンったら、反論一つしないのね。
まあ、良いけど……、でも、なんか癪ねえ。
そりゃ、覚えられていても、困るけど……、そう、困るのよ。
こんなこと……。
あーあ、あたし、何しているんだろうなあ。
あたしはキョンから視線を外し、もう一度桜を眺めた。
宵闇の中で桜が舞い散る光景は、幻想的で、凄く綺麗だった。
終わり
109 :
VIP毒蛇:2006/12/04(月) 15:46:56.14 ID:HO/uCAqwO
110 :
VIP奴隷:2006/12/04(月) 15:49:16.72 ID:a4kpTtG2O
111 :
VIP毒蛇:2006/12/04(月) 15:55:20.70 ID:HO/uCAqwO
112 :
VIP女神:2006/12/04(月) 15:56:15.35 ID:pVRLJQyTQ
113 :
VIP下手人:2006/12/04(月) 15:58:21.99 ID:rSUIlW7HO
114 :
姫:2006/12/04(月) 15:59:28.79 ID:D5d2vvTBO
早いなwww
GJ!
115 :
姫:2006/12/04(月) 16:01:18.52 ID:rSUIlW7HO
>>115 99は飛ばすかも・・・、書き出してみたらあっという間に詰まったorz
まあ一時間以内に
>>100投下します。
俺たちは今海の家に居る。
そして、海の家の不味いラーメンを食っている。
「この不味さこそ、海の家って感じよね」
どういう理屈だハルヒ。
「ええ、そうですね」
お前も頷くな古泉。
っていうかお前等なんで自ら進んで不味い物を食おうとするんだよ。
俺には理解が出来ん。
いや、海の家のラーメンは不味いものだって認識は分からないでも無いが……。
しかし、店のおっちゃんもおっちゃんだよな、こんなことをでかい声で言われても全然気
にしている様子が無いもんな。慣れっこなのか?
「ほえええ、やきそばがくっついたままですようっ」
朝比奈さん、その程度のことで一々驚かないでください。
いやまあ、こんな出来そこないのやきそばモドキめいた物に苦戦する朝比奈さんというの
もまた可愛くてよろしいものだとは思うのですが。
「……」
長門は、無言でラーメンを眺めている。
どうした、長門? 食べないのか? 不味いけどさ。
「……わたしには、不味い物を食べたがる涼宮ハルヒと古泉一樹の趣向が理解出来ない」
正直だな、長門。
そのお前の正直な告白のせいで、ハルヒがちょっと苦い顔をしたけどさ。
「あのね有希、これは日本の夏の風物詩なのよ」
ハルヒがそんな風に長門に切り替えした。
どんな風物詩だよ……。こら、古泉、頷くな、朝比奈さんも感心しない!
「風物詩?」
「そう、風物詩よ。わざわざ海まで来て、楽しんで、たいして美味くも無い、ううん、むし
ろ不味いとさえ思える海の家のラーメンで一応腹を満たす。これこそ夏の風物詩よ!」
……お前、絶対、風物詩って単語の意味間違えているだろ?
反論する気も沸いてこないけどさ。
「そう」
っておい長門、お前納得したのかよ!
「納得は出来ない。でも、そういう習慣が有ることは理解した」
理解ってなあ……。
「で、食べるの? 食べないの? 食べないならあたしが貰うわよ」
「食べる。……お腹は空いているから」
宇宙人でも食欲は味に勝るんだな。
「そう、それでいいのよ」
ハルヒはうんうんと頷くと、残っているラーメンをあっという間に平らげ、朝比奈さんが
食べているやきそばを強奪しにかかった。
いや、違うな。
「ほらほらみくるちゃん、これはこうやって切って食べるのよ!」
「そうそう、そうよ」
食べ方の解説を始めやがった。いや、一部を奪って食べても居るけどさ。
しかしだな、ハルヒよ。
宇宙人と未来人に変な知識をつけるのは……、いや、まあ、そんなことを今更言っても仕
方が無いか。
俺は溜息を隠し、ラーメンを啜った。
海の家のラーメンは、やっぱり不味かった。
終わり
海、告白、ラーメンはこんな感じで。
99はやっぱり無理かも、102は今日中に書きます。
120 :
籠屋の銀二:2006/12/04(月) 16:18:37.43 ID:k1+yttq+0
はええ!なんつう速さで執筆して居るんだ!
しかも雰囲気がいいよ!GJ!!
121 :
姫:2006/12/04(月) 16:19:17.82 ID:rSUIlW7HO
122 :
花魁:2006/12/04(月) 16:20:25.20 ID:D5d2vvTBO
GJ!
123 :
VIP村人h:2006/12/04(月) 16:22:00.75 ID:1nWkXRL1O
俺が出したお題です
ありがとうございます
ラーメンのCMみてつい…
124 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 16:28:00.90 ID:kPAf4KqR0
いい早業…
125 :
VIP足軽l:2006/12/04(月) 16:44:37.54 ID:bnPf+DQH0
保守
126 :
VIP皇帝:2006/12/04(月) 16:51:49.02 ID:pVRLJQyTQ
>>119 早くも2作目か‥‥、GJw
ちなみに
>>102は、今週期末試験で
今日は11時には試験終わったのに
まだ教室に残って勉強してる自分ですww
とにかく期待wktk
127 :
華の人:2006/12/04(月) 16:57:36.57 ID:Fwalc70tO
覚えているかもわかりませんが
華第三章を本日十時に投下します。
そんなに長くもないので支援いらずだとは思います。
一応予約しときますよ
128 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 16:58:13.57 ID:QvvZ7IXB0
>>119 続き物詰まるとなぜか他の作品がすげえ筆が進むんだよなぁ……
非常によくわかる。
ガンバ
129 :
花魁:2006/12/04(月) 16:59:50.38 ID:D5d2vvTBO
ハーレムwktk
130 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:05:08.84 ID:e/fTn6IK0
131 :
VIP村人v:2006/12/04(月) 17:06:53.99 ID:QvvZ7IXB0
お帰り!まってたわよ!
132 :
棒またぎ姫:2006/12/04(月) 17:06:55.35 ID:D5d2vvTBO
カモン
133 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:11:22.15 ID:e/fTn6IK0
>>75から
「えっ?キョン?何してんの?ウソでしょ?」
しまった!最悪のタイミングだ。
「ハルヒ、落ち着け!」
「落ち着ける訳ないじゃない!!なんなのよアンタいったい!!」
ハルヒがそう言い終わった直後に朝比奈さんと古泉が来た。
「キョンくん…」
朝比奈さんは泣いていて、今にも倒れそうなほどショックを受けてるのがわかる。
「キョン!!なんとか言いなさいよ!!」
「だから、落ち着け。俺は何にもしてない。全ては誤解だ。」
「喜緑さん泣いてるじゃない!!そんな風にしといてよく誤解だなんて言えるわね!!」
コイツは人の話を聞かないことを忘れていた。
「申し訳ありませんが、状況を把握できていないので説明してもらえませんか?」
まるで俺に弁解するチャンスをくれるように言ってきた。だが表情はいつもより硬い。
「古泉くん、さっき生徒会長が来たでしょ!??そんでこの写真渡されて、お宅の部員が生徒会の役員に卑猥な事を強要してるって言うのよ!
信じる訳ないじゃない??いくら写真に写ってても、偽造とか疑うでしょ??そしたらこの部屋に行ってみろって言われたの!!来たらこのありさまよ!!」
「あなたからも説明してもらいたいのですが?それと朝比奈さん、彼女を保健室まで連れて行ってくれませんか?」
「はい…。」
さて、誤解を解くか…。
134 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:12:02.77 ID:e/fTn6IK0
っ!!しまった!ハルヒの前で説明できない!どうする?考えるんだ。落ち着け、俺。
「何も言わないの!??アンタそんな人間だったの??」
そうだ、襲われたのは喜緑さんだ。古泉ならわかってくれるかもしれない。
「少し古泉と二人で話したいんだが、ダメか?」
「ダメに決まってるじゃない!!アンタどうせ逃げるんでしょ?それとも男なら気持ちわかるだろとか言って古泉くんを仲間にするつもり?」
なんの仲間だ。
「そうか。古泉、良く聞け。お前は、本当に俺が、喜緑さんを襲ったと思うか?いや、襲えたと思うか?」
喜緑さん、という単語を強調してみた。女性が喜緑さんだとわかってか、古泉の顔がニヤケた。いつもはウザいが、今日は朝比奈さん並みの笑顔に見える。
「俺は何にもやっていない。」
「なるほど。あなたの言い分はわかりました。僕個人としてはあなたを信じているのですが、この状況では僕には何もできそうにありませんね。」
もしかしたら、古泉は宇宙人の思惑にまで気付いてくれているのかもしれない。だが、古泉まで『涼宮さんとあなたなら誤解は解けるでしょう』とか思ってたら最悪だ。
135 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:12:46.35 ID:e/fTn6IK0
「古泉くんはこのバカキョンの事を信じるのね。」
「ハルヒは信じてくれないのか?」
「あいにく、あたしは自分の目で見たことしか信じないの。」
ハルヒらしいな。
「じゃあ、ハルヒは俺が襲ってる所を見たのか?」
「見てないわよ。だからアンタにも弁解の余地をあげる事にするわ。」
やれやれ。弁解のしようによっては誤解は解けるかもな。もしかしたら誤解は解ける事が未来では決まっていたのかも知れない。
そうだ、いい事を思いついた。朝比奈さんとお前がコンピュータ研のパソコンを奪ったときを例にあげて、朝比奈さんに害が及ばないようについでに注意しとくか。
どうせ誤解は解けるんだし。
「ハルヒ、今の俺の状況は、お前が朝比奈さんを使ってコンピュータ研のパソコンを奪ったように生徒会長が喜緑さんを使って俺をはめ、SOS団を解散させようとしたんだ。
もう一度言う。俺は何もやってない。」
「ウソよ!喜緑さん泣いてたじゃない!」
「朝比奈さんだって泣いてたじゃないか。朝比奈さんは翌日学校を休んだんだぞ?言い換えればお前は俺に怒ってることと同じ事を朝比奈さんにやってるんだ。」
「え…」
ハルヒはとまった。目には涙が浮かんでる。
携帯の着信音が聞こえる。すごい速さで遠ざかっている。
やはり古泉の姿は消えていた。
喜緑さんと朝比奈さんは保健室。古泉はおそらく閉鎖空間。長門はいない。つまり俺とハルヒは二人きりだ。
「なあハルヒ、俺を信じてくれないか?」
「違うわ!!あたしとあんたとじゃあやってること全然違う!だってあたしは女でアンタは男じゃない!!」
しまった。少し言い過ぎたか。こうなるとハルヒは人の言うことを聞かなくなる。
「そうだな、少し言い過ぎた。だけど、俺は何もしていない。」
「何よそれ。意味わかんない。こんな状況で何を信じろって言うの?」
「そうだな。俺と古泉が逆の立場だったら信じられないかもしれない。」
「…喜緑さんにも話を聞いてくる。あんたは部室にいなさい!逃げたら死刑だからね!!」
「わかった。」
136 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:13:11.14 ID:e/fTn6IK0
はあ、本当に俺は何にもしてないんだけどな。ハルヒも落ち着けばきっと信じてくれるだろう。
それよりも喜緑さんが余計なこと言わなければいいが、あの人もこれ以上は危険だってことはわかるだろう。いくら穏健派でも。
そんな事を考えてたら部室に着いた。ノックしないで入るのは久しぶりだな。
ガチャ
「えっ?長門??なんで??」
なぜ長門がここに?この件が終わるまでは俺の前にでないんじゃなかったのか?
「あなたは未来を書き換えた。よって誤解が解けない可能性がでた。それが私がここにいる理由。」
「どこで俺は未来を書き換えたんだ?」
「おそらくあなたは未来を予想した。本来なら弁解しかしない所、涼宮ハルヒに反論してしまった。
これにより涼宮ハルヒはあなたに対する信頼を低下させた。低下した信頼とあなたの誤解が解ける可能性は共に未知数。」
「そうか、俺は余計な事をしたんだな。どうすりゃいいんだ?」
「どうにもならない。」
えっ?
「もう誤解は解けないのか?」
「そうではない。誤解が解ける可能性はあくまで未知数。わたしにもわからない。あなたに賭ける。」
まるでいつぞやの閉鎖空間のようだな。ただあの時は答えがでてた。今回は同じ解答をすると取り返しのつかない事になるのは目に見えている。
「そうか、なら俺は誠心誠意誤解を解く努力しますよ。」
やれやれだ。
「わたしも協力する。」
そうか、助かるよ。
137 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:14:02.01 ID:e/fTn6IK0
ガチャ。
「あんたいったいどんな脅しをしたの?喜緑さんは『彼の言った通りです。』しか言わないわ。」
「だから俺の言った通りなんだって。」
さて、どんな弁解をしよう。一番簡単なのは古泉が生徒会長に暴露させることなんだけどな。居ないけど。
「あの〜キョンくん、本当に何もやってないんですか?」
朝比奈さん、来てたんですね。平気そうで何よりです。ただ、信用してもらえないのはちょっと、いえ、結構傷つきます。
「彼は何もやっていない。」
長門、何故お前が言い切る。逆に不自然だぞ?
「ちょっと有希!あんた何か知ってるの?」
「何も。」
「なんで有希までキョンを庇うのよ!古泉くんも庇ってるみたいだったし!」
「あの〜涼宮さん、やっぱり私もキョンくんはそんな事するとは思えないんですけど。」
そうか、長門の正体を知ってる朝比奈さんなら長門の言うことの信頼性がわかるのか。俺は信じてもらえなかったけど。
「みくるちゃんまで?決定的証拠まであるのよ?」
「でも、わたしも喜緑さんと同じ事させられたんですけど。でもコンピュータ研の部長は無実じゃないですか。だからやっぱりそれは証拠にはならないんじゃないのかなって。」
「そう。わたしは証拠がないなら彼を信じる。」
朝比奈さん、長門!ナイスコンビネーション!!
「でも…」
ハルヒがごもった。これは誤解が解けるかもしれない。
138 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:14:14.99 ID:e/fTn6IK0
「私は彼を信頼している。彼がどのような人間か知っている。彼はやってない。
それにもし彼が襲うとしたら、より弱者である朝比奈みくるを狙う。」
「狙わん!」
「わたしは信じてます。キョンくんがそんなことしないって。それに、キョンくんって意外とモテるんですよ?」
「キョンがモテるって?そんなわけないじゃない!仮にモテたとしても、関係ないわ!」
「彼が本当に暴走する人間なら私と言う固体を使ってエラーを除去する。」
「ちょっと有希!それどういう意味よ!」
「そうですね、わたしもキョンくんが本当にそんなことする人間だったらわたしにすればいいのにってちょっとだけ思いますよ」
長門、朝比奈さん。そこまで俺を信用しないでくれ。俺だって一般的な高校生なんだ。普通の高校生なんだ。
「あんたたちそれはどういう意味?」
「そのままの意味。」
「でもね、本当は私たちよりもっとキョンくんの事を好きって人を知ってるんです。」
朝比奈さん達のさっきの言葉には『俺の事好き』って意味も含まれてたのか。それはとても感無量だ。説得するためとはいえ、そんなこと言ってもらえるなんて。
ところでもっと俺の事好きって人?いったい誰だ?
「誰よこいつのこと好きってヤツは!」
「その人は、キョンくんがそういう事しないって信じてるからこそ今回の事件で取り乱したの。
でも本当は何故自分にそういう事しないんだって憤りも感じてるの。それに気付いてないから怒ってるんだと思う。
それに、その人はキョンくんに好かれている事をわかってると思う。」
「そう。」
長門に朝比奈さんのコンビって意外と強力だな。ところで誰なんだ?ハルヒにはわかったのか?
「まあいいわ。今回は有希とみくるちゃんに免じて特別あんたを信用することにするわ。その代わり言ってることが違ったら、わかってるわね?」
「ああ。わかってる。俺は本当に何もしていないから問題はない。」
ところで問い詰めないところをみると俺の事好きな人ハルヒは誰だかわかってるんだな。
誤解もほとんど解けたし、後は古泉に任せよう。そして帰りに俺の事好きだなんていう奇特な人の名前も聞いておこう。
139 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:14:27.29 ID:e/fTn6IK0
「じゃあキョン!帰るわよ!」
「おいおい、俺の事疑っといて謝罪の言葉もなしか?」
「関係ないわ!疑われるようなことするあんたが悪いのよ。」
やれられ。余計なこと言わなければもっと早く信じてもらえたのかな?
「ところで朝比奈さんに長門。俺の事好きだって人、誰だ?」
「有希!みくるちゃん!こんな強姦魔には何も言わなくていいからね!」
顔が赤いぞハルヒ。
「いい。彼に襲われる事に問題はない。」
顔が青いぞハルヒ。
「でもキョンくんはその人以外にはしませんよ、涼宮さん。
それより、その『好きな人』がキョンくんと付き合っちゃえばそんな事しなくなるし安全じゃないですか?」
また顔が赤くなったぞ、ハルヒ。
「それより朝比奈さん、俺はそんな事してないですししないですよ?」
「そうでしたねっ」
「キョン!帰るわよ!!」
やれやれ。もうちょっと信用あると思ってたんだけどな。
140 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:14:38.48 ID:e/fTn6IK0
帰り道はハルヒと二人だった。
「なあハルヒ、そろそろ教えてくれよ。いったい誰なんだ?」
「みくるちゃん言ってたじゃない!アンタの事を好きな人は、アンタが好きな人よ!」
なるほど。
「そうか、ようやく理解したよ。」
「他にいう事はないの?」
「違ってたらすまん。…ハルヒ、好きだ。」
「バカ。」
「違ったのか?すまん。だがコレは俺の本当の気持ちだ。」
「バカ。」
「ごめん。」
「バカ。」
「泣いてるのか?」
「あんたが鈍感すぎるのがいけないのよ!」
「すまん。早とちりだった。」
「本当にアンタは早とちりしすぎよ!」
「だからすまんって。」
「いい加減気付きなさいよ!あたしだってアンタの事好きなのよ!」
141 :
棒またぎ姫:2006/12/04(月) 17:15:18.55 ID:D5d2vvTBO
支援
142 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:15:56.72 ID:e/fTn6IK0
イチャイチャしてる所を書くのは苦手なのでここまでで終わりたいと思います。
強引な展開とかいろいろ読みにくい点もありますが気にしないでください。
143 :
棒またぎ姫:2006/12/04(月) 17:15:59.74 ID:D5d2vvTBO
支援
144 :
棒またぎ姫:2006/12/04(月) 17:16:37.69 ID:D5d2vvTBO
GJ!
145 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:17:28.02 ID:e/fTn6IK0
あ!題名はどうしよう。何かないですか?
>>142 乙です、良い感じかと。
ところで
こっちは
>>102が書き終わったんですが投下大丈夫ですかね?
147 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:20:02.01 ID:e/fTn6IK0
カモン!
148 :
暴れん坊VIPPER:2006/12/04(月) 17:21:08.65 ID:1nWkXRL1O
支援
149 :
棒またぎ姫:2006/12/04(月) 17:22:44.48 ID:D5d2vvTBO
wktk
最初の1文字分をあけます。
「部長は誰?」
笑いつつも横柄にハルヒが言い、一人が立ち上がって答えた。
「僕だけど、なんの用?」
コンピュータ研部長、名も知れぬ上級生は〜〜〜〜。
こんな感じです。 ◆Gzo5DAjIoEさんのは全文、そうなっているでしょ?
セリフ中、間に ! や ? をつける時は後ろに1つ空欄を設けましょう。
「マッガーレ!! マッガーレ!」
こんな感じですね。
三点リーダーは → …… これです。6つで1つですね。
原作などでもこうなっていますので、よろしかったら確認してみてください。
151 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:24:37.77 ID:e/fTn6IK0
>>150 理解しました。以後書くことがあれば気をつけます
関係ないけど
>>142の題名は喜緑さんの陰謀ということで。
期末試験開始の一日、朝からちょっとだけ気がかりなことがあった俺は、一時限目のテス
トが終わると同時に9組まで行き、入り口近くに居た女子生徒に古泉を呼び出してもらった。
「あの、一体……」
「お前、熱あるだろう」
徐に手を取ってみる。
古泉の手は、予想通り熱かった。
「えっ、あ、あの……」
「……今朝お前と会った後、朝比奈さんに会って話を聞いたんだよ」
朝方通学路で偶然古泉を見たときから、なんだか様子がおかしいなあとは思っていたんだ。
そうしたらその後出会った朝比奈さんが、昨日有ったことを教えてくれた。
俺がハルヒに臨時家庭教師を受けているその日、朝比奈さんと古泉は一緒に帰ったらしい。
羨ましい話だ、俺に代われと言いたいね。いやまあ、今問題なのはそういうことじゃなく、
雨だというのに傘が古泉の持ってきた一本しかないから相々傘状態で、それはそれで羨まし
い話だが、別れ道のところで、古泉は朝比奈さんに傘を手渡し自分は濡れて帰ったという…
…、まあ、そういうことだ。
「そうでしたか……。でも、今日は試験ですから、休むわけにもいきませんし……」
「保健室に行くぞ、保健室でも試験は受けれる」
俺は有無を言わさず古泉の手を引っ張った。
途中、古泉のクラスの女子に理由を告げておく。
「あの、一人で……」
「放っておいたら無茶しそうな奴を一人に出来るかよ。それに、俺のことは心配しなくて良
い」
古泉を引っ張って保健室まで特攻するってのは、既にハルヒに伝えてあるからな。
保健室で、クラスの違う友人と一緒に試験を受けるってのも変な感じだよな。
まあ、俺は3時限目以降は教室に戻ったんだけどさ。
昼休み、昼食を取り終えた俺は見舞いのつもりで再び保健室に向った。
「やあ、どうも」
ベッドの中から上半身を起した古泉は、結構辛そうだった。
「寝てろよ」
「いえ、でも」
「いいから寝てろ、無茶すんな」
「はい……」
「……なあ、テストは出来たのか?」
「4時間目はちょっと出来ませんでした。追試組と一緒になりそうですね」
「お前ならそれでも大丈夫だろう」
事情が有ってテスト当日に出席できず後で追試組みと一緒に受ける場合は、点数が1割減
か2割減って扱いだったか?
詳しいことは覚えてないが、まあ、古泉ならそのくらい楽勝だろう。
「まあ、それはそうですが」
くそ、あっさり肯定するなよな。忌々しい。
「とりあえずこれでも飲んどけ」
俺はさっき自販機で買った暖かいホットレモンを差し出してやる。
忌々しいしむかつくことも有るが、今のこいつは病人だからな、これくらい親切にしてや
らんことも無い。
「あ、ありがとうございます……。でも、なんだか変な感じですね」
「何がだよ」
「いえ、あなたが僕に親切にしてくださるなんて」
「だったら返せ」
「いえ、いただきますよ」
そう言った古泉は、力なく微笑んだ。
……こんなときまで無理に笑おうとするなよな。
そのままそこに居るといわなくて良いことまで言いたくなりそうだったので、俺はさっさ
と立ち去ることにした。
「あの……、今日はありがとうございます」
「別に、たいしたことじゃないさ」
俺は振り返らずにそう言って、保健室を出た。
保健室の外では、SOS団の女子三人が揃い踏みで待っていた。
本当はこいつ等も入って来たかったんだろうが、俺が遠慮してもらったんだ。
男は、弱った所を女の子に見せたくない物なのさ。
「古泉くん、大丈夫だった?」
廊下を歩きながら、ハルヒが話しかけてくる。
「ちょっと辛そうだったが、まあ、明日明後日には回復するんじゃないか」
「そう……」
「ふええ、わたしのせいで……」
「朝比奈さんが悪いわけじゃないですよ」
「でも、でも……」
「あいつも、朝比奈さんが風邪をひくよりは自分が風邪を引いてよかった、くらいには思っ
ているはずですよ」
確かめては居ないが、きっと、そういうことなんだろう。
というかそう思ってなかったら殴ってやりたい所だな。
ハルヒのいる前でならともかく、一対一のときに朝比奈さんを見捨てるような男だったら、
俺は古泉をとっくに見限っているだろう。
「そうなんでしょうか……」
「そうですって」
「ううん、でも……」
うーん、朝比奈さんをここで説得するのは難しいんだろうか。
朝比奈さんは何も悪くないし、何か有るとしてもそれは不可抗力的なものであるはずなん
だが……。
「みくるちゃん、何時までもめそめそしないの! みくるちゃんが何時までもめそめそして
いたら、古泉くんも浮かばれないでしょう!」
なあハルヒ、古泉は別に死んだわけじゃないんだぞ?
いや、言いたいことは分かるんだが。
「あ、す、すみません……」
「あなたはもっと元気出して、テストでいい点とって、それから、元気になった古泉くんに
また美味しいお茶をいれてあげればいいのよ!」
「は、はい!」
ハルヒが発破をかけ、朝比奈さんがぐっと両手の拳を胸の前で握り締める。
どうやら、朝比奈さんも元気になってくれたようだ。
良かった良かった。
これで古泉の体調が元に戻れば、元通りだな。
「ん、長門?」
と思ったら、長門が俺の服の袖を軽く引っ張っていた。
何だ何だ?
「これ」
長門が何故か、俺達に向ってホットレモンを差し出していた。お前、こんなもの持ってい
たのか。ハルヒと朝比奈さんの影に居たから全然気付かなかったぞ。
これって俺が古泉に差し出したのと同じやつだよな。こいつも自販機で買ったのか?
1、2……、ちゃんと四つ有るな。
「わたしたちも、風邪を引かないように」
長門は淡々とそう言った。
「あら有希、気が利くじゃない」
「あ、ありがとうございます」
「……ありがとな、長門」
俺達はそれぞれ礼を言いつつ、長門からホットレモンを受け取った。
そうだな……、風邪なんて引かないにこしたことはない。
それに俺は古泉と違って、追試組に巻き込まれたら結構ヤバイ部類だからな。
「んじゃ、古泉くんの分までテスト頑張りましょうね!」
ホットレモンを一気に飲み干したハルヒが、高らかに宣言する。
なあハルヒ、さっきから思うんだが、お前何か間違えてないか?
「はい、頑張りますっ!」
「……頑張る」
「ほらほら、キョンも何か言いなさい、あんたの成績が一番心配なんだからね」
「分かったよ。俺も頑張るって。……落第したくないからな」
「そんな消極的じゃ駄目よ、もっといい成績を取るって気持ちでいきなさい!」
「無茶言うな」
「無茶じゃないわ、それに、無茶って思ったら何も出来ないままよ!」
「あのなあ」
「良いからあんたも頑張るのよ! さあ、午後の試験も頑張りましょう!」
最近はゆとり教育とやらの皺寄せで、一日辺りの試験の数も多いんだよなあ。
くそ、忌々しい……。ってそんなこと思っている時間も惜しいな。とりあえず教室に戻っ
て最終チェックだな。
「皆、頑張るわよ!」
ハルヒがもう一度宣言し、俺達は教室に戻って次の試験を受けることになった。
全く、元気な奴だよな……。お前、その元気さを古泉に分けてやれよ。そうしたら古泉も
あっという間に元気になるんじゃないか?
こいつならそれくらい出来そうだし……、いや、まあ、良いか。
別に誰かが凄く困っているってわけじゃないんだ。
それに、弱っている古泉とか、朝比奈さんを元気付けるハルヒとか、気を遣う長門とかが
見れたしな。
だから、今回はこれで良いって事にしておくさ。
終わり
これで
>>102の分は終わりです。
一応
>>104の分も盛り込んでみたつもりなんですが、如何な物でしょうか。
158 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:29:09.39 ID:e/fTn6IK0
GJ!
159 :
棒またぎ姫:2006/12/04(月) 17:30:04.35 ID:D5d2vvTBO
GJ!
仕事早いね。
160 :
VIP無職:2006/12/04(月) 17:31:34.62 ID:DXLE0JTq0
冒頭いきなりアッー!な展開かと思ったwwwwwww
161 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 17:36:27.30 ID:e/fTn6IK0
じゃあ
>>150を意識して練習のために
>>99を使って何か書いて見る。
駄作ができるのはわかりきってるので今のうちに言っておく
すまん。反省はしていないししないつもり
162 :
棒またぎ姫:2006/12/04(月) 17:42:46.52 ID:D5d2vvTBO
誰が捕まるか…
163 :
VIP女神:2006/12/04(月) 17:49:00.80 ID:YXdE13JU0
164 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 18:00:15.86 ID:e/fTn6IK0
165 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 18:00:30.45 ID:e/fTn6IK0
いつも通りの放課後、SOS団でオセロに飽きた俺は古泉を放置して何故か持ってる新聞を読み出した。
「おや? あなたが新聞を読むなんて珍しいですね。」
うるさい。 たまには見聞を広げるのもいいだろ?
「そうですね。 ところで気になる記事でもありますか?」
最近は犯罪ばっかりで面白い記事なんてないな。
「そうですか。 犯罪と言えば犯罪者はどんな気持ちで犯罪をしているのでしょうか。」
俺に聞くな。 俺は犯罪者じゃないからわからん。
「それは失礼しました。 では犯罪者の周囲の人間がどのような反応をするのか実験してみましょう。」
何をするんだ?
「ここは高校生らしく万引きなんてどうでしょう?」
そうか。 がんばれよ?
「あなたがやるんですよ。 では放課後この店で万引きしてください。」
とか言ってルーズリーフに書いた地図を渡してきやがった。
「安心してください。 機関の関係している店ですので。」
そういう事か。 ハルヒ達の反応を見るって事だな?
「そうです。 では放課後に。」
166 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 18:00:48.91 ID:e/fTn6IK0
そして放課後。 俺はハルヒと朝比奈さんとスーパーへ行った。
「ハルヒと朝比奈さん、買う物は決まってるんで外で待っててもらえませんか?」
「ちゃっちゃと行ってきなさい!」
そして案の定俺は捕まった。 店から出てハルヒたちと合流しようとしたら警備員に取り押さえられた。
ハルヒの奥に長門と古泉の姿が見える。 古泉は驚いた様子を見せている。 名演技だぞ、古泉。
「キョン! あんた何したの?」
ハルヒと朝比奈さんは何がなんだかよくわかってない様子だ。
じっくり見ていたかったが警備員に強引に連れ去られた俺は後でハルヒたちがどんな様子だったか古泉に聞こうと考えてた。
そうして俺は取調べ室に連れてかれた。
「なんでこんな物盗んだんだ?」
あれ?機関の関係してる店じゃなんですか?
「機関?なんだそれは?」
えっ?もしかして古泉に嵌められたのか?
ガチャ
「遅くなって申し訳ありません。」
167 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 18:01:06.61 ID:e/fTn6IK0
古泉、信じてたぞ! 一瞬疑ったが。
「あんたは誰だい? なんでこの部屋に入ってきてるんだ?」
「すみませんが諸事情でご迷惑をおかけしました。 コレをお受け取りください。」
そういって古泉はある程度厚みのある封筒を店主らしき男に差し出した。
「おい、古泉。 ここは機関の店じゃあないのか?」
「すみません説明不足でした。 機関の店は隣です。」
俺は驚愕したね。 手違いで犯罪者になっちったんだ。 それは驚愕もするさ。
「ですから、彼はドッキリをやろうとして店を間違えたのです。
彼に悪気はないですし、反省もしていてもう二度としないのでコレで勘弁してもらえないでしょうか?」
「そうは言ってもなぁ。」
「他にも問題はあるのですか?」
「もう警察呼んじゃったんだよ。」
168 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 18:01:43.10 ID:e/fTn6IK0
こうして俺は逮捕された。取りあえず古泉も共犯にしといた。
聞くところによるとハルヒたちが居たあたりにあったもの全てが壊されており、器物は損という罪も背負う事になった。
「災難でしたね。」
うるさい。お前が変なことを思いつかなければこんなことにはならなかったんだ。
「それにしても、涼宮さんたちの罪も被るなんてあなたらしいですね。」
あれは明らかにハルヒ達の仕業だからな。
「それにしても二人で仲良く留置所なんて面白いですね。」
ちっとも? なんでお前はそんなに余裕なんだ?
「そろそろ森と荒川が迎えにくるからですよ? 犯罪者の気持ちはわかりましたか?」
お題が難しかったからもう終わる
169 :
VIP下手人:2006/12/04(月) 18:05:26.45 ID:WF9cLLc80
GJ!
店間違えるとはwww
170 :
VIP村人w:2006/12/04(月) 18:06:21.66 ID:QvvZ7IXB0
「。」のあとは空けなくていいんだよ。「!」と「?」だけ1マス空ける。
171 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 18:10:03.46 ID:e/fTn6IK0
172 :
VIP将軍:2006/12/04(月) 18:17:16.21 ID:pVRLJQyTQ
>>156 遅くなったがGJ!!!
(ケータイな上にちょうど地下鉄だったものでレス出来なかったw
とてもよかったサンクス
>>172 気に入っていただけた用で何よりです。
しかしテストで風邪引いたら云々は自分の通っていた学校のことなんですが
今の高校生はどうなんでしょうね・・・。
174 :
VIP下手人:2006/12/04(月) 18:38:19.39 ID:WF9cLLc80
>>173 うちの学校はテストは保健室で受けれるし、休んだら願いを
提出したら試験受けれる。
>>174 情報d
やっぱり現役生の知識は頼りになりますね。
保守
177 :
宿屋の女中:2006/12/04(月) 19:08:55.34 ID:pVRLJQyTQ
>>173 ウチの高校は、保健室受験も可能だと思うけど、
実際そういう人見たことないから分かんないですw
ただ欠席の場合は再試験は受けれず、追試扱いになる。‥‥正直腑に落ちないよね^^;
まぁ教科担任によってはこっそり再試験やってくれる事もあるけど。
ここだけの話、中学の時に俺、試験中に腹痛で気を失ってw 目が覚めたら目の前が教室の床だった時は正直何が起こったのか分かんなかったよ‥‥。
その時に走馬灯ってヤツも経験したしな
>>177 俺の中学時代は
テスト前日に新作ゲームを購入
テスト勉強なんぞ放置して徹夜でゲーム進行
気が付いたら外が明るくなってる
そのままシャワー浴びて朝飯食って学校へ
HRまでは耐えるがテスト時間は睡魔が襲ってくる
速攻20分でテスト終わらして惰眠を貪る
これを午前中繰り返す…テスト用紙にヨダレの痕があったりする
で、何故か成績は悪くなかったな
悪い奴は赤点ギリギリだけど得意なので取り返してたし
…高校でも同じような事したが上の方にいられたしな
179 :
VIP女神:2006/12/04(月) 19:22:35.58 ID:a4kpTtG2O
>>178 今受験生で同じことしてる俺。ディスティニーおもすれ〜
180 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 19:30:49.08 ID:e/fTn6IK0
保守
181 :
VIP足軽q:2006/12/04(月) 19:31:32.96 ID:TlYgaEoe0
学生ども勉強しろ〜。
182 :
宿屋の女中:2006/12/04(月) 19:33:30.47 ID:pVRLJQyTQ
183 :
VIP女神:2006/12/04(月) 19:46:35.59 ID:a4kpTtG2O
>>181 どうせ一生独身だから自分が食うだけの金あればいいやとか思って勉強してない俺\(^o^)/オワタ
184 :
VIP村人P:2006/12/04(月) 20:03:42.08 ID:UT7vvI8S0
★ミ
ところで焼いた芋〜ifのみくキョン古バージョンが書きあがったんだが
投下しても良いかね?
186 :
水汲みおしち:2006/12/04(月) 20:12:22.25 ID:4EJpznP5O
187 :
花魁:2006/12/04(月) 20:13:34.87 ID:WF9cLLc80
wktk
(※作者許可済み別人作、プロローグからは続いていません)
一度で良いから、木枯らしの吹く並木道、寒空の元を親族以外のカッコいい男の子達に囲
まれてつれづれなるままに歩いてみたい、なんて思ったことは有りませんか?
甘酸っぱさを残すような青春の一ページを望むのは、女の子だったら当然のことですよね。
えーっと、わたしも……、うん、普通じゃないけど、やっぱり、女の子なんですよ、そう
いうところは。
あ、うん、今、まさにそういう状況に居るんです。
えっと、この状況だったら羨望のままに……、って、あれ、そういうことは無いんでしょ
うか?
うーんうーん、何でですか?
カッコいい男の子に……、うーん、でもでも……。あれ、キョンくん、何でそんな表情し
ているんですか?
え、俺の真似なんかしなくていい?
これ以上解説されると虚しくなるだけだからやめて欲しい?
えー、全然意味分からないですよう。だってキョンくんだって……、あ、でも一般的な相
対的評価によると、古泉くんの方が……、あ、はい、これ以上は言わないです。
でも今の言い回し、何だか長門さんぽかったかも知れませんね。長門さんの真似かあ、そ
ういうのも面白いかも知れませんね。
あ、そうそう、この状況なんですけど、キョンくんと古泉くんとわたしの三人だけなんで
す。
四文字で言っちゃうと『両手に花』ってことですよね。
これって本来なら逆の状況に使う言葉だと思うんですけど、涼宮さんがこの組み合わせを
見てそう言っていたので、多分、これで合っているんだって思うことにします。
じゃあ、前置きがちょっと長くなっちゃいましたけど、これから今日の探索の話をします
ね。
「何にも無いですねえ」
「ええ、何も無いですね」
「……」
「あれ、キョンくん、どうしたんですか?」
「どうせ『お前達なんでそんな真面目に不思議を探しているんだよ』とでも思っているんじ
ゃないですか」
「思ってねえよ」
「ええ、キョンくんそんな風に思っているんですか? 酷いです……」
「思っていませんってば」
「そっかあ、それなら良かったです」
「……」
「おや、どうしてまた黙るんですか?」
「うるさい古泉、ごちゃごちゃ言うな」
「あ、喧嘩は駄目ですよう!」
「いや、朝比奈さん、これは喧嘩じゃなくて……、あ、焼き芋カーですね」
「おや、本当ですね」
「ほええ、焼き芋カー?」
キョンくんが指差した方向に、一台の車が止まっています。
えっと、あれが焼き芋カーなんでしょうか?
焼き芋……、あ、焼き芋は分かりますよ。
でも、焼き芋カーなんて車を見るのは始めてなんです。
190 :
花魁:2006/12/04(月) 20:16:11.96 ID:WF9cLLc80
支援
「朝比奈さんは焼き芋カーを見るのは始めてなんですか?」
「あ、はい……」
「焼き芋といえば、焼き芋はダイエットに良いらしいですね」
古泉くんがいきなりそんなことを言い出しました。
それは初耳ですね。
「本当かよ」
「ええ、本当ですよ。繊維質が多いですからね。甘い割にカロリーも控えめで、ダイエット
の時のおやつとしては良いそうですよ」
「そうなんですかあ……」
「まあ、朝比奈さんにダイエットの必要は無さそうですけどね」
「え、あ、そ、そんな……」
ううん、ダイエットですかあ。
あんまりそういうことを考えたことは無いんですけど、食べても太らないって言うのは、
やっぱり魅力的な気がしますよね。焼き芋って、美味しいですし。
「どうします? 食べますか?」
「え……、あ、はい、食べたいかも……です」
「じゃあ、買ってきますね。一人一本で良いですよね? ああ、ここは僕が奢りますよ」
古泉くんがそう言って、焼き芋を買いに焼き芋カーの所まで向いました。
朝はキョンくんに奢って貰って、ここでは古泉くんに奢って貰って。
ちょっと申し訳ない気もするんですけど、なんだかわたし、幸せ者ですよね。
古泉くんが、焼き芋を持って戻ってきました。
でも、ちょっと浮かない顔かも知れません。何ででしょうね。
「どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
あれ……、でも、わたしとキョンくんが受け取ったら、古泉くんの分が無いみたいですよ?
「二本しかないのか?」
「ええ、ちょうどこれで終わりだそうです」
ええ、そうなんですか!?
「お前は良いのかよ?」
「ええ、僕は無くてもかまいませんから」
「あっ、そんなの駄目ですよ!」
「朝比奈さん……」
「美味しい物は、皆で一緒に食べるから美味しいんです。はい、どうぞ」
私は手にしたお芋を割って、半分を古泉くんに渡しました。
せっかく三人で居るんですから、やっぱり三人で食べたいですよね。
「ありがとうございます」
お礼を言われるようなことじゃないですよ。
だってこれは、古泉くんの奢りじゃないですか。
「……じゃあ、皆で食べましょうか」
なんだかちょっと居心地の悪そうな表情をしたキョンくんが、場を仕切りなおします。
何でこんな表情なんでしょうか……、ううん、よくわからないです。
でも、美味しい物を食べたら元気になれますよね!
193 :
花魁:2006/12/04(月) 20:16:58.06 ID:WF9cLLc80
しえn
それから私たちは、三人でお芋を食べました。
焼き芋、美味しいなあ。
そうそう、半分を食べ終わった所で、キョンくんがまだ食べてない部分をわたしに差し出
してくれたんですよね。
えっと、わたし、そんなに食べたがっているように見えたんでしょうか……、あ、でも、
貰ったお芋はちゃんと食べましたよ!
やっぱり、食べたいですし……。あ、意地汚いとか言わないでくださいね。
わたしだって、全部で一本しか食べてないんですから。
でも、今日はちょっとキョンくんにも古泉くんにも余計な気を遣わせちゃったかも知れま
せん。焼き芋は美味しかったから良いんですけど……、そうだ、今度二人に何か作っていっ
てあげれば良いですよね!
うん、そうしましょう。
ううん、何が良いかなあ……。
fin
195 :
花魁:2006/12/04(月) 20:18:40.28 ID:WF9cLLc80
GJ!
焼き芋食てぇ・・・
何故かトリが取れてましたがあんまり気にしないでください。
ってことでこれで終わっておきます。
197 :
油売りの左暮:2006/12/04(月) 20:20:43.36 ID:D5d2vvTBO
GJ!
焼き芋シリーズ人気だなw
198 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 20:20:47.35 ID:e/fTn6IK0
GJ!!
199 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 20:33:49.64 ID:e/fTn6IK0
YUKI.N>人がいない
どうすりゃいい?
YUKI.N>保守
のんびりしたモノローグが本人ぽくていいなあ
GJ!
201 :
VIP村人l:2006/12/04(月) 20:50:09.22 ID:1nWkXRL1O
芋の天ぷら食いテェ
202 :
VIP番長:2006/12/04(月) 20:58:46.47 ID:a4kpTtG2O
まとめ重すぎて見れないの俺だけ?
203 :
VIP村人r:2006/12/04(月) 21:00:33.13 ID:ezkXISbLO
さっきゲーセンでハルヒのアニメ流れてたw
204 :
門番の娘:2006/12/04(月) 21:12:18.63 ID:azIsXNvwO
さっきHEY!3でハルヒの曲がランクインしてた
205 :
VIP遊び人:2006/12/04(月) 21:12:34.01 ID:Gwt03DOd0
今日は投下予定は無いのかな・・・
206 :
棒またぎ姫:2006/12/04(月) 21:17:34.52 ID:WF9cLLc80
207 :
涼宮ハルヒのX-FILES作者 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/04(月) 21:19:35.86 ID:Gwt03DOd0
水曜日に投下予定していた涼宮ハルヒのX-FILES第4話、
今日誰も投下予定がなければ投下しちゃっていいですかね?
それとも予告守った方がいい?
208 :
涼宮ハルヒのX-FILES作者 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/04(月) 21:21:02.46 ID:Gwt03DOd0
>>206 あ、既に予約入ってますね。
じゃあ予定守って水曜日に投下します。
209 :
VIP足軽l:2006/12/04(月) 21:23:26.17 ID:tf0S+Gc3O
フェルエリア・フォン・エターナリティを言ってくれた人が居るから一応投下するつもり。
深夜の0時前後にするつもり。
210 :
VIP魔王:2006/12/04(月) 21:35:28.64 ID:UT7vvI8S0
wktk
211 :
棒またぎ姫:2006/12/04(月) 21:35:46.53 ID:WF9cLLc80
今夜もwktk!
212 :
VIP侍:2006/12/04(月) 21:42:18.67 ID:a4kpTtG2O
今日も勉強できねww
wktk
213 :
駅前食堂のメグ:2006/12/04(月) 21:43:44.89 ID:4EJpznP5O
勉強しろ!
と自分に言ってみる
明後日テストだorz
214 :
VIP足軽i:2006/12/04(月) 21:45:22.32 ID:iHYil3EoO
この投下をリアルタイムで見るために、今しっかり勉強するんだ!と自分に言ってみよっかなぁ……(´・ω・`)
215 :
VIP遊び人:2006/12/04(月) 21:47:06.38 ID:Gwt03DOd0
>>213 テスト前日に教科書を全て暗記すればOK。
だから安心してプリンスレを見ようwww
今夜も眠らせなーい、今夜も勉強させなーい、それがプリンスレ。
216 :
VIP侍:2006/12/04(月) 21:49:05.29 ID:a4kpTtG2O
もう早稲田\(^o^)/アキラメタ
もうリアルタイム参加すんぜw
217 :
華の人:2006/12/04(月) 21:57:00.40 ID:Fwalc70tO
すみません。諸事情により、十時半から投下します。
もしその前後に投下したい方いたらどうぞ
すみませんでした
218 :
VIP遊び人:2006/12/04(月) 21:58:35.13 ID:Gwt03DOd0
30分勉強タイムw
219 :
VIP乙女:2006/12/04(月) 22:00:41.05 ID:D5d2vvTBO
華の人から勉強タイム貰ったぞ!w
220 :
VIP将軍:2006/12/04(月) 22:00:47.77 ID:a4kpTtG2O
仕方ない勉強してくるw
221 :
VIP村人i:2006/12/04(月) 22:02:44.58 ID:8yHQCW2J0
入試は実力ではない
運だ
受験生に
悪魔のささやきを呟くスレはここですか?
223 :
VIP足軽t:2006/12/04(月) 22:04:54.11 ID:TlYgaEoe0
頑張れ受験生。
とりあえず受験に失敗した浪人生のみくるがキョン達と一緒に頑張る話とかが浮かんだが……。
224 :
VIP足軽zip:2006/12/04(月) 22:05:43.57 ID:L8yN+MH/0
テストが終って久しぶりに来たが・・・
このスレには
>>215みたいな鬼がいたのかwww
225 :
VIP村人i:2006/12/04(月) 22:06:57.52 ID:8yHQCW2J0
定期試験は実力ではない
暗記だ
226 :
VIP足軽t:2006/12/04(月) 22:10:20.44 ID:TlYgaEoe0
夜中の投下用に今からネタ募集
キャラ一人+単語二つくらいでよろしく。
,, ―- 、_
/ '' - ,,
/ '' - ,,
/ ヽ
i / /ヽ !
,i ./ / ''―、 !
i ,、 n て'' ノノ ヾ !
i ノノノ ノ ノ ''´ ! /
j ' ´ ノ ( ヽ |
>-,, / ,,=━━・!' ,ノ━== ! ノ
!・ ヽ | ’ニンniii、 :::::i/ィ7iii= i ) 関係ねーよっ!!受験勉強なんかよぉ!
\(てi iヽ ^' ~ -' /}
`i_ 、 \ i_ l_j
`┐ i /(,,, ,n 〉 /\\
 ̄ ̄へ ! ' T'' l | \
| ! i ン=ェェi) i ソ )
| i´\! ,, -ェ`、_ン ノノ 〈
| | \\,, `―''´// |
| つ !、_''''''''''''' / 7
228 :
VIP皇帝:2006/12/04(月) 22:12:48.93 ID:Gwt03DOd0
>>226 キャラ:長門
単語:妹、嫉妬、頭なでなで、甘えまくり
でどうだ!w
229 :
壷ふりお京:2006/12/04(月) 22:15:18.55 ID:rSUIlW7HO
みくる。姉属性。キョン妹。
>>226 キャラ:妹
単語:キョンに恋 ほのぼの
231 :
VIP村人i:2006/12/04(月) 22:17:06.27 ID:8yHQCW2J0
シャミセン・猫視点・家庭
232 :
高校の女教師:2006/12/04(月) 22:19:43.93 ID:4EJpznP5O
233 :
だんご屋のはる:2006/12/04(月) 22:19:44.15 ID:w/F59gygO
>>226 キャラ:みくる(大)
単語:お茶、思い出
234 :
高校の女教師:2006/12/04(月) 22:21:20.30 ID:4EJpznP5O
いつのまにこのスレはsage進行になったんだ?
おかげで上げちまったぜorz
235 :
だんご屋のはる:2006/12/04(月) 22:25:40.52 ID:w/F59gygO
>>234 最近、パートスレに突撃とかあったからなぁ。
そのせいじゃあないかな
236 :
VIP足軽j:2006/12/04(月) 22:29:37.34 ID:iHYil3EoO
237 :
宿屋の女中:2006/12/04(月) 22:30:55.31 ID:sRU8n315O
238 :
高校の女教師:2006/12/04(月) 22:31:19.05 ID:4EJpznP5O
いや、オレの友人に口調が似てて…
人違いならスマンm(_ _)m
239 :
籠屋の銀二:2006/12/04(月) 22:31:21.17 ID:9gQzZ1be0
頻繁にあげてるSS総合はどうなる
240 :
華〜第三章〜:2006/12/04(月) 22:35:37.40 ID:Fwalc70tO
お待たせしました。
少し遅めに投下になるかと思います
では
241 :
VIP神父:2006/12/04(月) 22:36:17.44 ID:Gwt03DOd0
>>235 今日は平穏のようだけど・・・大丈夫かな
242 :
VIP足軽j:2006/12/04(月) 22:36:46.29 ID:iHYil3EoO
>>238 多分絶対必ず人違いだろうねぇ。
やっぱsage慣れないぜ…
243 :
華〜第三章〜<一>:2006/12/04(月) 22:36:56.45 ID:Fwalc70tO
古泉が言うには、この世界はハルヒが再構築した俺が居た世界とは似て異なるものであり、元の世界からこの世界に移動してきたのはハルヒと俺だけという事だ。
ハルヒには以前の記憶や意識は無く、俺だけにはその記憶は残されていた。
元に戻る方法も見つからない上、更には元の世界はハルヒによって消滅させられた可能性もあり、もう元には戻れないかもしれないと言う。
この世界が構築された理由は恐らく古泉達機関の面々が恐れていたこと(恐らく何らかの原因により、ストレスが爆発したとからしい)が実際に起き、それにより俺とハルヒはこちらの世界に飛ばされたと推測されるらしい。
この世界の主な元の世界と違う特徴としては、まず本来居た宇宙人、未来人、超能力者のうち、現在確認が取れたのは超能力者集団である機関の人間だけしか存在していないということがある。
しかし、宇宙人、未来人は存在しないと確証を得たわけではなく、まだ必ずしも存在しないというわけではない。
実際は、(元と表記していいものか判らんが)元宇宙人である長門や元未来人である朝比奈さんはこの世界で存在はしている。
そして、いない筈の朝倉が恐らくは普通の人間として存在しており、上級生だった筈の鶴屋さんと朝比奈さんが同学年になり、長門とともにこの二人も同じクラスに居る。
244 :
VIP乙女:2006/12/04(月) 22:37:22.74 ID:D5d2vvTBO
支援
245 :
VIP神父:2006/12/04(月) 22:38:16.21 ID:Gwt03DOd0
支援
246 :
VIP村人t:2006/12/04(月) 22:38:43.56 ID:roXcywfN0
shien
247 :
華〜第三章〜<二>:2006/12/04(月) 22:38:46.41 ID:Fwalc70tO
さて……この世界を約一カ月程過ごしていき、認めたく無かったのだが……認めなければならない絶対的な相違点があった……それは……
「はい、キョン? あ〜んは?」
「ちょっと涼宮さんだけズルいわよ! 私も食べさせてあげたいのに……」
「キョン……おいしい?」
「キョンくん〜お茶入りましたよ〜」
「あっはっはっ! キョンくんはモテモテでツラいねぇ! どれ! あたしにも食べさせてあげさせてくれよっ!」
谷口、国木田は一番端の席で机を向かい合いながら、国木田は苦笑を浮かべながら、谷口は殺気ともとれる視線を俺に向けながら飯を食べている。
そう。この世界の絶対的相違点。それは……「異常なまでに俺がモテている」
オイそこ。笑うなよ。お前。羨ましく思ったか? なら変わってみるか? 正直かなりツラいぞ。心身共に、だ。
さすがに初期の戦場のような雰囲気は無くなりはしたが、みんながみんな迫ってくるせいで一人の時間があまり無い。
なんだよこの世界。今更だが、俺は元の世界に戻りたかった。だが未だ手掛かり無し。一ヶ月過ごしてやっと状況が整理出来るぐらいにはなったぐらいだ。
さて……俺の一日がどんなにツラいかを説明してやろう。こらそこ。そんな鈍器持ってきても鶴屋さんの……遅かったか……
248 :
VIP乙女:2006/12/04(月) 22:39:04.06 ID:D5d2vvTBO
支援
249 :
VIP皇帝:2006/12/04(月) 22:39:36.00 ID:roXcywfN0
shien
250 :
華〜第三章〜<三>:2006/12/04(月) 22:39:58.15 ID:Fwalc70tO
朝。どんな目覚ましよりも正確かつ、有効な妹のヒップドロップにより目覚め、妹とともに顔を洗い、
更に妹とともに歯を磨き、はたまた妹とともに朝食を取り、最終的には妹と共に家を出る。
兎に角家での朝は妹づくしなのが、別にこれにツラいということでは無い。……まぁ言うならば、妹には年を考えてもらわねばというこだ。
しかし、ここから、この世界での俺のツラい一日が始まる……
「おはよ! キョン♪」
と、朝っぱらからやたらとハイテンションかつ、甘ったるい声で飛びかかってきそうとするハルヒを宥める。
妹の手前、そんな飛びかかれたら困る。妹には教育上悪いからな。いや、妹が居なくても精神的にキツいから止めてほしい。
俺が宥めようとするとハルヒは例のアヒル顔をして頬を膨らませて俺を上目遣いで見る。これは正直ぐっとくるものがあるが。
「ハルにゃんおはよ〜!」
「おはよ妹ちゃん! じゃあ行きましょうか!」
何故か判らんが、入学式の翌日以降、ハルヒと妹と途中まで歩き、妹と別れた後はハルヒと二人乗りして学校まで行くことが規定事項となってしまった。
これはハルヒが毎朝律儀に家の前に居ることで、自然とそうなってしまった事であり、まぁ俺自身そうしたいと夢見た事は……あるにはあるが、
俺はこんな狂ったような世界でのこのような事を想い描いていた訳でもなく、ましてはハルヒと一緒にだなんて思いもしなかった訳だ。
しかし、毎朝感じるこの背中に当たるすこぶる柔らかく、それでいて弾力がありるような未知の感触はどうにかしてほしいものだ。
「――当ててんのよ――」
何故こんなにも俺が地獄耳になってしまったのかも、もはやもうどうでもいいことである。
251 :
VIP村人t:2006/12/04(月) 22:40:10.28 ID:roXcywfN0
shien
252 :
VIP乙女:2006/12/04(月) 22:41:12.39 ID:D5d2vvTBO
甘いぞ支援
253 :
華〜第三章〜<四>:2006/12/04(月) 22:41:25.16 ID:Fwalc70tO
学校へ行くために避けては通れぬ魔の坂の少し手前にある駐輪場にチャリを停め、いざ坂を登らんとするときに、
「キョンくんおはよ〜。涼宮さんもおはよう。今日はいい天気ねぇ」
「……おはよう」
と、朝倉が長門を引き連れるようにして、朝倉は元気一杯な笑顔で、長門は少し眠そうに時々目をこすりながらやって来る。
やはり長門と朝倉は同じマンションだそうで、朝倉曰わく、
「長門さんは寝ぼすけさんだから、毎朝起こしに行って一緒に朝ご飯食べてくるの」
と、いうことで毎朝二人仲良く登校してくるようで。そうしていつもこの辺りで落ち合い、みんな仲良くご登校というわけだ。これも互いに落ち合おうと決めた訳でもなく、自然になったことだ。
そうそう、これは極まれのことなのだが、坂道を登っている最中に谷口に会うこともある。しかし、谷口とは一緒に校舎に入ったことはない。
谷口は俺達の集団を見ると、すぐさま俺に殺気ムンムンの視線を送る。だが、そうするとこちらはハルヒが俺にはわからないような熱視線を谷口に浴びせる。
それをモロに受けた谷口は意気消沈とし、足早に学校へと向かおうと去っていってしまう。哀れ谷口。やはりハルヒには勝てないか。
254 :
VIP神父:2006/12/04(月) 22:41:31.99 ID:Gwt03DOd0
支援
255 :
VIP村人t:2006/12/04(月) 22:41:37.63 ID:roXcywfN0
shien
256 :
華〜第三章〜<五>:2006/12/04(月) 22:42:31.79 ID:Fwalc70tO
そうして、教室にみんな揃ってたどり着くと、
「おはよ〜キョンくんっ! みんなも揃っておはようさんっ! 朝からキョンくんはモテモテだねぇ〜!」
と、朝から眩い限りの笑顔とハイテンションな鶴屋さんからの朝の挨拶と、
「皆さんおはようございます〜。キョンくん、おはようございます」
と、朝比奈さんが朝から素晴らしく柔らかなハートフルエンジェルボイスで挨拶をしてくれる。
これがあれば、どんな戦争の極地に独りきりで取り残されて朝を迎えても、朝の眠気や疲れが残っていても全て吹き飛んでしまうことだろう。
朝のホームルームまでの時間は相変わらず俺の席の真後ろにいるハルヒと話している。少しでも改変を終わらせるヒントが、
普段の会話の中に隠れてないか探るためだ。でもまぁ元の世界でもいつも朝の時間はハルヒと話していたので、実際習慣付いたものが抜けてないだけかもしれん。
今日はいつもと違い、一限目のLHRの時間には初の席替えをした。結果を簡潔に言うと、ハルヒと俺は元の定位置に落ち着いた。が、
俺の前には長門が着き、その隣には朝比奈さん、その後ろ、つまり俺の隣には朝倉が陣取り、その後ろは鶴屋さんという、
まさに籠の中の小鳥のように、切羽詰まられた席になってしまった。これだけ見事に固まると、他の生徒達は陰謀めいた目で俺を見てくる。
谷口の目線がなかなか強烈だが、あえて流してやる。というかハルヒよ。いくら、仮に、万が一にも優しい気持ちを持っていたとしても、流石にここまで集めることは無いだろう。
「あら、またキョンの後ろね! やっぱり私たちの赤い糸は切っても切れないものなのよ!」
頼むからそんな恥ずかしいことを堂々と宣言しないで欲しい……ほら谷口、こっちみんな。
257 :
VIP村人t:2006/12/04(月) 22:42:42.64 ID:roXcywfN0
shien
258 :
VIP乙女:2006/12/04(月) 22:43:19.46 ID:D5d2vvTBO
支援
259 :
VIP神父:2006/12/04(月) 22:44:08.81 ID:Gwt03DOd0
支援
260 :
華〜第三章〜<六>:2006/12/04(月) 22:44:48.48 ID:Fwalc70tO
このような席になってからは、授業中、休み時間問わず、この五人に付きまとわれるようになった。授業中は前を向けば長門が綺麗な姿勢で座って授業そっちのけで本を読みあさり、
その隣で数学の問題に朝比奈さんが唸っていて、鶴屋さんは退屈なのか、消しゴムをちぎっては俺に投げつけ、俺が後ろを向いて注意しようとすると腹を抱えて笑い、
俺がいざ真面目に問題に取り組んで唸っていると、隣の朝倉が丁寧に順序を立てて教えてくれた。下手すると前の先生よりも教え方が上手いかもしれない、すぐに理解できた。
一方そんなやりとりに強烈な熱視線を送っているハルヒは、たまの朝倉との話に盛り上がりをみせると、俺の背中にシャーペンでつつく、というより刺す、といった表現が素晴らしく、
更にいかにも、「なぁ〜にいちゃついてんのよこのバカキョン!」と、いう言葉を視線に込めてくる。それに俺が振り向いて応えると、一瞬見えた不機嫌顔が分かり易い喜びの表情に変える。
これらのやりとりに、一切先生は口出しをしてこないし、何故ハルヒは嫉妬するようのなら、皆をこんな集まりにしたのかは、
やはりこの世界は狂っているからなのだろうな……嫉妬、か。何を根拠にそう言えるのだろうね。
261 :
VIP村人t:2006/12/04(月) 22:45:03.57 ID:roXcywfN0
shien
262 :
VIP村人i:2006/12/04(月) 22:46:02.56 ID:8yHQCW2J0
し
え
ん
263 :
華〜第三章〜<八>:2006/12/04(月) 22:47:25.98 ID:Fwalc70tO
そして今は五月のゴールデンウイーク明け。本来ならここでのハルヒとの会話が分岐点となり、SOS団作成まで至る筈なのだが、
ハルヒとの会話イベントは既に成立しており、更には変な方向へ進んでいる……兎にも角にも、元の世界に戻るヒントを少しでも多く得るためには、
「部活を作る……ですか」
「俺がいた世界ではSOS団という部活ともとれる変な団体があった。やはり、ヒントを得るためにも必要だと思う」
「僕としては構いませんが、何より喜緑がいますから」
「……そこはなんとかしろ。俺に協力する気は無いのか」
「僕にしましてはここがリアルワールドですし、あなたがどうなろうと……」
「……お前って結構薄情なのな……」
「まぁ冗談です。しかし、涼宮さんが許してくれるでしょうか」
「……そこはなんとかしよう。とにかく、俺はハルヒに部活を作るようにふっかけてみる」
「健闘をお祈りしておきます。では僕はこれで。喜緑との約束があるので」
ここの世界の古泉は憎ったらしさ約三割増しだな……まぁしかし、古泉にささやかながらの仕返しをしてやるとも。楽しみにしていろ古泉よ。
264 :
だんご屋のはる:2006/12/04(月) 22:48:03.89 ID:w/F59gygO
支援支援
265 :
華〜第三章〜<九>:2006/12/04(月) 22:48:24.80 ID:Fwalc70tO
「なぁハルヒ」
時間は朝のホームルーム前のわずかにあるハルヒとの会話の時間。体を後ろに向けてそう切り出した。
「なによ? 明日の休みにデートのお誘い? いいけど、あたしを退屈させないようにせいぜいリードするがいいわ!」
「なんの話だ、なんの。それよりどうだ。部活でも作る気は無いか? お前の求める普通じゃないことが起こるかもしれんぞ。」
「普通じゃないことならもうあたしは見つけたもの」
「ほう、なんだ一体」
「……キョンを想うと……」
「ストップ。やっぱいい。だがな、もっと面白いことがあるかもしれんぞ」
ほら、そう不機嫌な顔をしなさんな。そりゃこんな所で言わせたくは無いさ。恥ずかしいし、朝倉やら長門やらの視線が痛いんだからな。
「面白いことって何よ」
「そうだな。宇宙人には会えるかもな。未来人もいるかもしれない。超能力者なんてはゴロゴロといるから会えるだろうな。」
ハルヒは分かり易く目の色を変えた。こんだけ言えばハルヒが惹かれない訳がない。
「なんでそうって決めつけられるの?」
「そうだな……勘、だな」
「何それ? バカみたい」
まぁ以前の世界ではお前の知らないところで俺は会ってもいたし、とんでも事件に巻き込まれていたしな。今現在進行形でもある。
「まぁキョンがどうしてもって言うなら……それで、まずは名前を決めなくちゃ! やるからには気合いを入れるわよ、キョン!」
「名前は既に決めてある」
「あらそう? どんなの?」
俺は一息を大きく吸い込み、胸一杯にため込んでから言った。この選択は幸か不幸か知る由もなしに。
「SOS団、だ!」
第三章 了
266 :
VIP乙女:2006/12/04(月) 22:49:04.73 ID:D5d2vvTBO
支援
267 :
VIP村人i:2006/12/04(月) 22:49:52.45 ID:8yHQCW2J0
支援
もとい
乙
268 :
VIP神父:2006/12/04(月) 22:50:53.57 ID:Gwt03DOd0
乙!
GJ
269 :
だんご屋のはる:2006/12/04(月) 22:51:01.98 ID:3/FSF7KAO
乙
270 :
VIP乙女:2006/12/04(月) 22:51:14.83 ID:D5d2vvTBO
GJ!
すこぶる甘いな。
キョンが憎いぜw
271 :
華の人:2006/12/04(月) 22:53:00.75 ID:Fwalc70tO
番号間違えてましたorz
八→七
九→八
でしたorz
とりあえず第三章完です
続きは……多分今週か来週中には多分……
272 :
VIP神父:2006/12/04(月) 22:55:04.94 ID:Gwt03DOd0
次投下まであと1時間か・・・X-FILES投下しちゃっていい?
273 :
VIP将軍:2006/12/04(月) 22:55:58.31 ID:a4kpTtG2O
NOOOOOOOOO!!!!!!!!出遅れた!!!
GJ
274 :
VIP村人t:2006/12/04(月) 22:58:32.32 ID:roXcywfN0
275 :
VIP神父:2006/12/04(月) 22:58:58.37 ID:Gwt03DOd0
それでは投下したいと思います。
276 :
だんご屋のはる:2006/12/04(月) 22:59:10.02 ID:w/F59gygO
乙!
今後の展開にwktk
277 :
涼宮ハルヒのX-FILESの作者 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/04(月) 22:59:54.26 ID:Gwt03DOd0
涼宮ハルヒのX-FILES第4話<クリスマス・イブ>をお送りします。
一度は断筆宣言したものの、色々な人に励まされて復活し、
何とか書き上げることが出来ました。
特に厳しく叱咤激励してくださったコーヒーさんには大変感謝
しております。
駄文ではありますが、今作はコーヒーさんおよび復活に向けて
励ましてくれた方々に捧げたいと思います。
それでは投下開始いたします。
278 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(1/27):2006/12/04(月) 23:01:11.79 ID:Gwt03DOd0
ストーリー参考:X-FILES シーズン6「クリスマス・イブの過ごし方」
早いもので今年ももうクリスマス・イブである。
ハルヒとX-FILE課を設置してから色々な事件があった・・・
それらの嫌なことをすべて雪が洗い流してくれると思いたい。
さて、俺のクリスマス・イブの予定だがあいにくハルヒとの
約束は無い。
なぜなら成長し朝比奈さんに似るようになった妹がクリスマス頃に
遊びに来る予定だからだ。
成長した妹との再開が楽しみであり、毎日のように顔をあわせている
ハルヒから逃れるのもいいだろう・・・と、考えたのが甘かった。
クリスマス・イブの昼、ハルヒからメリーランド州のある屋敷の
前に夜来るように電話が来た。
もちろん『来なければスキナー副長官のカツラ用にあんたの髪の毛
刈るからね!』ときたもんだ。
しかし、あいかわらず上司のことを無礼に言うな、こいつ。
279 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(2/27):2006/12/04(月) 23:02:20.22 ID:Gwt03DOd0
〜メリーランド州 古い洋館前 PM10時〜
私は今【立入禁止】と書かれた古い洋館の前で車の中でキョンがくるのを待っている。
まあ、昼に急に電話をかけたのは悪いと持ってるけど、今日は
どうしてもここに来たかった。
色々と考えているうちにキョンの車がやってきた。
「遅かったわね!罰金!」
「すまんすまん、でも罰金はないだろ。この時期だ、車が込んでて
しょうがなかったんだ。」
「もう来ないかと思ってたわ。」
「妹が遊びに来るんでちょっと用意があってね。それで出発が
遅かったんだ。」
「あら、妹ちゃんが来るの?随分会ってないし是非会いたいわね。」
「ところでここで何やってるんだ?」
「張り込みよ。」
「クリスマス・イブにか?」
「こっちの車に乗ってちょうだい、詳しいことを話すわ。」
やれやれ、俺は自分の車から降りハルヒの車に乗り込んだ。
「で、どういうことなんだ?」
「あんた興味ないんでしょ?」
「おいおい、わざわざ遠くまで呼んでおいてそれかよ。ところで
あそこの家はなんだ?」
「空き家よ。」
「じゃあ誰の張り込みをしてるんだ?」
「元の住人よ。」
「戻ってくるのか?」
「と、いう話だけど。」
「なるほど・・・幽霊屋敷、いや呪われた館ってわけか。ハルヒ、
まさかクリスマス・イブに幽霊探しをしようってんじゃないだろうな?」
280 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(3/27):2006/12/04(月) 23:03:34.76 ID:Gwt03DOd0
「【超自然的存在】って言ってちょうだい。」
「さっきも言った通り妹が遊びにくるんだ。あまり長居はできん。」
「それじゃ要点だけ急いで言うわ。...1917年人々は暗いクリスマスを
迎えた。多くの若者がヨーロッパで戦死し、国内ではインフルエンザで
多数の死者が出ていたわ。人々は深い悲しみと忍び寄る絶望感に打ち
ひしがれていたの。」
「それで?」
「しかし、その当時この館に住んでいた相思相愛の2人の命を奪ったのは
悲惨な戦争でも疫病でもない、お互いの純粋な愛だったのよ。」
「続けてくれ。」
「男の名前はモーリス。理想に燃える若者だった。恋人のライダは
輝くばかりに美しい娘だったらしいの。まるで天使のような汚れを
知らない2人には世間の風は冷たすぎた・・・」
「んで、どうなったんだ?」
「この世に絶望し永遠の契りを交わしたわ。いつもクリスマスを一緒に
過ごせるように。」
「つまり・・・心中したってことか?」
「それ以来イブには2人の幽霊が・・・」
「まあ、面白い話だったが・・・俺は信じないな。」
「幽霊を信じないわけ?」
「まあ、不思議現象を追いかけるお前ならではだが・・・他の日なら
付き合っても良かったが、今日はダメだ。」
そういうと俺はハルヒの車を降りた。
と、同時にハルヒも車から降り、
「妹ちゃんによろしくね。」
「おいハルヒ、どこに行くつもりだ?お前は約束とかは無いのか?」
「ちょっと見てくるだけよ。」
281 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:03:44.09 ID:D5d2vvTBO
支援
282 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:04:12.76 ID:roXcywfN0
shien
283 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(4/27):2006/12/04(月) 23:04:42.67 ID:Gwt03DOd0
俺も行くか・・・と思ったが年も改まることだしばかばかしいのでやめた。
早速車に乗ろうと思って服のポケットを探したが・・・無い。
車にも刺さってないし、ハルヒの車にも見当たらない。
くそっ、ハルヒのヤツ持って行ったな。
しょうがないので俺もハルヒを追いかけ館へと足を運ぶことにした。
あたしは館の正面玄関のドアを開けて、懐中電灯を取り出し周りを見渡した。
古く蜘蛛の巣が張ってなどしているがかなり豪華な家具などが置いてある。
さぞ裕福な家庭だったに違いない・・・そう思っていると突然雷が鳴った!
「きゃあああ!」
あたしは雷だけはダメ。音を聞いたとたんにしゃがみこんでしまった。
と、その時、
「おい、ハルヒ大丈夫か?」
「キョ、キョン?」
「ああ。」
あたしは立ち上がると冷静になり、
「なに?探索に付き合う気になったの?」
「いや、お前俺の車の鍵を持って行っただろ。」
「あんたの車の鍵なんて持ってきてないわよ。」
「冗談はよせ、早く返してくれ。」
「なんであたしが?」
「だからたまたま・・・うっかり持ってきてしまったとか。何かの間違いで。」
「幽霊の仕業よ・・・」
そうあたしが言った途端、上の階から物音がした。
それと同時に柱時計が大きく鳴り響いた。
「なんか寒いわ・・・」
「冷気が入って来てるな・・・どこかが開いてるのかもしれん。」
「天気予報の情報とかだと雪のクリスマスになるかもって言ってたわ。」
そういったと同時にまた雷が鳴り、それと同時に開いていた正面玄関の扉がひとりでに閉まった。
284 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:04:53.73 ID:roXcywfN0
shien
285 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(5/27):2006/12/04(月) 23:05:48.43 ID:Gwt03DOd0
あたしは震えながら、
「ちょちょっと・・・どういことよ・・・」
キョンが玄関の扉に向かっていき、ドアノブを回してあけようとしていた。
「くそっ、いくら回しても開かない!」
「うそ・・・あたしたち閉じ込められちゃったわけ!?」
キョンは必死にドアを開けようとしている。
「やっぱり幽霊の仕業かしら・・・」
「ハルヒ、冗談はこれくらいにしてドアを開けてくれないか。」
「ちょっと待って。上から足音が聞こえない?」
「おいおい。」
「またよ・・・」
「俺、早く帰らないとならないんだが。」
「あら、キョンは男のくせに怖いわけ?こんなか弱い女性を残して
帰っちゃうんだ。」
「失礼だな。怖くなんて無いさ。しかしどこがか弱いんだか・・・」
「なんですってぇ〜・・・まあいいわ。でも幽霊は悪さはしないでしょ
・・・普通はね・・・」
そういうとハルヒは玄関広場から奥の方へ向かっていった。
「おいおい、脅かしたつもりか。」
俺は時計を見る・・・結構遅いな。
「ハルヒ、俺本当に帰らないとならないんだが。」
と、言うと同時に雷がまた鳴った。
その稲光の中、横の部屋を見ると一瞬初老の女性が見えた・・・
286 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:06:23.91 ID:roXcywfN0
shien
287 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:06:25.06 ID:D5d2vvTBO
支援
288 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(6/27):2006/12/04(月) 23:06:50.13 ID:Gwt03DOd0
俺とハルヒは2階に向かって行くことにした。
「ハルヒ、幽霊なんてばかげてると思わないか?どの話を聞いても
同じようは服装、場所、結局信じる方に問題があるんじゃないか?」
「うるさいわね。」
2階にはいくつか部屋があったのでハルヒが端からドアノブを
まわしてみたがどこも開かなかった。
俺とハルヒが色々とあーだこーだと言っている時、急にさっきは
開かなかったドアが”キイイイ”という音と共にひとりでに開いた。
「まだ・・・怖くない?」
「いや・・・怖いことは怖いが理性は失ってないな。」
外では頻繁に雷が鳴っている。
俺は意を決してその部屋に近づいてみることにした。
「あたしは後ろで待機してるわ。」
部屋に近づいてみると・・・明かりがついていた。
「なあハルヒ、本当にここには人は住んでいないのか?」
「そのはずよ。」
「でもおかしいぞ。さっき外から見た時は明かりはついてなかったが、
今この部屋には明かりがついてる。誰か人がいるんじゃないか?」
2人で部屋に入ってみると、ソファーにカバーがかかっているものの
蜘蛛の巣などはなく、誰かがいそうな雰囲気の部屋だった。
どうやら2階層からなる書庫の部屋のようだが・・・
「ハルヒあれをみろ。」
おれは懐中電灯を1階部分の暖炉に向けた。
2人で降りて暖炉を見てみると、消えたばかりのようだった。
「どうやら消えたばかりのようだな・・・がっかりしたかハルヒ?」
「誰が呪いの館に住むっていうのよ。」
「幽霊の次は呪いかよ・・・」
「80年間に3組が心中しているのよ。それも皆クリスマス・イブの晩によ。」
と、ハルヒが話終わったと同時に部屋の電気が一斉に消えた。
289 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:07:11.38 ID:D5d2vvTBO
支援
290 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:07:20.18 ID:roXcywfN0
shien
291 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(7/27):2006/12/04(月) 23:08:01.73 ID:Gwt03DOd0
ギシギシ・・・ギシギシ・・・
「またあの音がするわ。」
2人で懐中電灯をいろいろなところに向けていると、あたしたちのすぐしたの床の
色だけが色あせてなく新品のようになっているのが分かった。
キョンは椅子やテーブルをどけると床を叩いて何か無いか確認していた。
あたしはすぐそばのドアを開けようとドアノブを回したが、やはり開かなかった。
ふとさっき下りた階段を見ると・・・階段が無い!
「キョン・・・これみて・・・」
といいつつキョンのほうを振り向くと・・・キョンがライトを顔の下から当てて
あたしを驚かした。
「きゃあああ!驚かさないでよキョン!今度やったら射撃場の的にするわよ!!」
「それよりハルヒ、どうやら床下に何かありそうだ。」
「どうする気?」
「誰か監禁されているのかもしれない。そうだったら助けないと。」
キョンは暖炉の火かき棒で床の木を持ち上げて1枚床板を外した。
外した床板の下にはミイラ化した死体があった。
「やっぱり人はいたが・・・」
キョンは床板をそのまま数枚外した。
「おい、ハルヒ、見てみろよ。」
最初の死体の横に女性のミイラ化した死体が横たわっていた。
「女性のようね・・・お互い銃で撃ち合ってるわ。」
「ああ。」
「ちょっとまって!変だわ・・・この死体あたしと同じ服を着ている・・・」
「どういうことだ・・・」
「男の方はキョン、あなたと同じ服装よ・・・」
俺は死体の服装と今の自分の服装を見比べてみた、確かに同じ服装だ・・・
「つまりこれって・・・」
「俺たちってことか・・・」
あたしたちは急いで部屋の隅にあるドアから他の部屋に移った。
292 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:08:22.89 ID:roXcywfN0
shien
293 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(8/27):2006/12/04(月) 23:09:00.16 ID:Gwt03DOd0
が、しかし・・・
「ハルヒこれって・・・」
「同じ部屋よ・・・」
元の部屋に戻り今度は違うドアから次の部屋に移動してみた。
「やっぱり同じか・・・」
移動した先もさっきと同じ死体のある部屋だった。
「キョンはここに立ってて。あのドアから出たらここに戻ってくるはず・・・」
「わかった。」
あたしは部屋の奥のドアから次の部屋に移っていった。
ハルヒが部屋を出た後、ハルヒは俺がいる位置に出てこない。
俺は最初のドアを戻ってハルヒがいないか確かめてみた・・・が、
ハルヒはいなかった。
ハルヒがいないことを確認するともう一度部屋を戻り、さっきハルヒが
出て行ったドアへ向かった。
「ハルヒー!」
「キョンー!」
別々の部屋で呼び合った後、俺のいる部屋のドアがひとりでに
閉まってしまった。
294 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:09:08.34 ID:roXcywfN0
shien
295 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(9/27):2006/12/04(月) 23:09:58.48 ID:Gwt03DOd0
あたしはキョンを呼んだ後、ひとりでに閉まったドアへ向かった。
幸いこのドアは開くようだ・・・早速ドアに入り元の部屋に
戻った・・・が、キョンがいない!
「キョンー!」
まったく応答がなかった・・・
他のドアを開けようとしても開かない。
「キョン、そこにいるの!」
返事は無い。
しょうがないので銃で鍵を撃ち壊してドアを開けた。すると・・・
ドアを開けた先はレンガの壁で覆われていた・・・
その時、
「おい」
あたしは振り向くと声の方向へライトを当てた。
声の主は帽子をかぶった初老の男性だった。
「誰?」
「私はここの住人だ。君こそ誰だね?」
そういうと男性は電気のスイッチを入れて部屋の電気をつけた。
「わかったぞ、空き巣狙いか?」
「ちがうわ。」
「じゃあ帰れ。ドアはそこだ。」
「冗談でしょ?」
「どういうことだ?」
「ドアの向こうはレンガで覆われた壁になってるわよ。」
「なるほど・・・」
「悪戯が過ぎやしない?」
「あいにくだが私はそんなマネはせん。」
「じゃあ何?あたしたちを脅そうっていうの?」
「君のほかにも連れがいるのか?」
「とぼけるのがうまいわね。」
296 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:10:30.11 ID:roXcywfN0
shien
297 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:10:59.08 ID:D5d2vvTBO
支援
298 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(10/27):2006/12/04(月) 23:11:02.25 ID:Gwt03DOd0
そういうと男性は大声で笑い、
「なーんだそうか。銃に脅かされたが君も幽霊退治に来たんだな。
で、私を幽霊だと?」
確かに幽霊などには見えないけど・・・
「ここに来る連中は皆、おかしな装置を抱えてくるが、銃持参は君が始めてだ。」
「ここにくる連中?たとえば床下にいた2人も・・・」
とさっき死体のあったところを指差すと・・・普通の床になっていた。
「どうやったの?」
「一体何をだね。」
「さっきはこの床下に死体が埋まっていたわ。」
「まあ、ちょっと椅子にかけたらどうだ。」
あたしは椅子に座りながら頭を抱えていた。
「アル中か?それともヤク中かな。」
「まさか。」
「君は人に関心をいつも自分に引きつけたいと思ってるのでは?
私は精神科医でね。躁病や様々な精神障害、とりわけ超常現象への
執着を専門にしている。」
「そんな病気あったかしら。」
「私自身は【魂の喪失】と呼んでいるがね。君のようにここを訪れる
訪問者との対話を元にその症状を分類し体系化したのだ。君たちのような
魂の喪失者にはある共通の特徴を持っている。」
「どんな特徴かしら?」
「極端なほど自信過剰で過大な自己ナルシスト。」
「凄いわね。」
「自分では下向きの性格かと思っているかもしれない。でも脅迫精神症と
紙一重だ。仕事中毒で反社会的、このままいけば最後は恐らく廃人同様に
なるだろう。」
「ふふふ、あたしには当てはまらないわ。」
299 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:11:25.59 ID:roXcywfN0
shien
300 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:11:57.79 ID:D5d2vvTBO
支援
301 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(11/27):2006/12/04(月) 23:12:07.61 ID:Gwt03DOd0
「そうかね。まともな人間が銃を振り回すかね?ドアの向こうに壁があるだと?」
あたしは椅子の後ろにあるさっき開けたドアを見た・・・やはりレンガの壁で出口がふさがれていた。
「ひょっとして、『宇宙人を見た』などと言うんだろ。なぜ君が
そんなものを見るか分かるかね?」
「もちろんそこにいるからでしょ・・・多分(有希や喜緑さん・・・)」
「いや、孤独だからだ。孤独な人間と言うのは自分を慰めるために
幻想を追う。これを【擬似的自慰行為】と言う。人生に意味を見出すが
逆に言えば社会に適応できない君は幻想に逃げ込むしかない。」
「そんなことないわ!現に有希や喜緑さんは・・・」
「君は周囲の人間に誤解されていると思っている。違うかね?」
「【擬似的自慰行為】ですって?あたしはこの目で見たし、命も狙われたわ!」
「君は誰からもまともに相手にされんだろ。」
「ちょっとまってよ。少し言いすぎよ。」
「毎年クリスマスも独りか?」
「いいえ、独りじゃないわ。」
「今度は自己欺瞞だ。」
「本当よ。相棒がこの家のどこかにいるわ。」
「壁の後ろか?」
「車のキーを隠したんだろ。なぜそんなことを。彼の長演説を
聞くためではあるまい。それは君が孤独を恐れているからだ。図星だろ?」
あたしは反論できなくなってしまった・・・事実そうだったから・・・
「相棒を探さないといけないわ。」
「いいとも。簡単さ。朝飯前さ。すぐ見つかる。」
そういうと男性は隣の部屋に向かっていった。
「壁は・・・頭の中だ。恐れるな、君も試してみろ。」
あたしは少し考えた後、意を決して男性のほうへ向かった。
が、ドアを通過しようとした直前レンガの壁にぶつかってしまった。
「なんなのよ!もう!」
そして部屋の明かりが消え稲光だけが部屋を照らすようになった・・・
302 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:12:47.83 ID:roXcywfN0
shien
303 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:13:03.16 ID:D5d2vvTBO
支援
304 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(12/27):2006/12/04(月) 23:13:10.13 ID:Gwt03DOd0
「ハルヒー!」
俺は取り残された部屋を懐中電灯で探りながらハルヒを呼び続けた。
その時、部屋のドアが開き初老の女性が入ってきた。それと同時に
部屋中の電気がついた。
「うおっ!」
「きゃああああ!」
俺は急いで腰に手を当て銃を取り出そうとした。
「落ち着いて。大丈夫、何もしないわ。」
「俺はFBIだ!手を上げろ!」
俺は女性に向かって銃を向けそう叫んだ。
しかし女性はそのまま臆せず俺のほうへ向かってきた。
「なんていったの?」
「FBIだ!」
「あなた一体誰なの?」
「FBIだ!銃が見えないのか!本当に撃つぞ!俺は捜査官の・・・
もし疑うようなら身分証を・・・」
「ふふふ、てっきり幽霊かと思ったわ。」
「冗談だろ、俺は生身の人間だ。相棒を探していて迷っているんだ。」
「もしかしてかわいらしい顔立ちの女性の方かしら。」
「見たのか?」
「さっき、玄関ホールでね。彼女も幽霊かと思ったわ。」
「あの時の人影は・・・あんただったのか。」
「私もあなたを見たわ。でも、寝ぼけていたから夢かと思ったわ。」
「申し訳ない。脅かすつもりはなかったんだ。ただ・・・死体を見て
気が動転してしまっんだ。」
「どこに死体が?」
「そこだ。」
305 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(13/27):2006/12/04(月) 23:14:08.03 ID:Gwt03DOd0
俺はさっき死体のあった床付近を懐中電灯で照らした。
が、そこの床はきっちりはめられていて死体などなかった。
「ひょっとして幽霊の仕業かも。実はこの家には昔から住み着いているの。」
俺はマジかよ・・・といった顔つきで女性を見た。
そして恐る恐る銃を女性のほうへ向けた。
「あなたは・・・誰なんですか?」
「私はここの住人よ。」
「相棒はどこだ?」
「なぜ私に銃を向けるの?」
「そこに死体があったからだ。」
「あはははは、あれはきっと幽霊の悪戯よ。」
女性がそう言っている間に俺は手近なドアを開けようとした。
「幽霊なんか信じないぞ!」
ドアが開いた・・・しかし目の前の光景はレンガで埋め尽くされた壁だった・・・
「どうかしたの?」
「相棒はどこだ?」
「彼女は幽霊を信じるわ。」
「まあな。」
「可哀相に。ついてなかったわねぇ・・・今日は年に一度のクリスマス・イブ
なのに。彼女に付き合って信じてもいない幽霊探しに付き合わされるなんて。」
女性はどんどん俺のほうに近づいてきた。
「近寄るな!」
「図星みたいね。あなたは無意識に他人を通して充足を得ようとする。つまり
【共依存症】よ。」
「なんだって!?」
「ここへ来たのも相棒への忠誠心などではなく、本当は彼女の誤りを正すため。
それがあなたの生きがいよ。」
306 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:14:08.90 ID:roXcywfN0
shien
307 :
VIP村人g:2006/12/04(月) 23:14:18.22 ID:DT3vJYc10
刺縁
308 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(14/27):2006/12/04(月) 23:15:08.27 ID:Gwt03DOd0
「いいかげんなこというな!初対面で何がわかるってんだ。
それに住人なんて嘘だろ?」
「なぜ、そう思うの?」
「家具にカバーがかかってるじゃねえか。」
「改装中なのよ。」
「じゃあ、クリスマスツリーが無いのはどうしてなんだ。」
「うちはユダヤ系なの。」
その時背後のドアが”キイイイ”と共に開き、帽子をかぶった初老の男性が
姿を現した。
「動くな!撃つぞ!」
「ははは、とんだ迷惑な客だな。」
「ハルヒは!?」
「彼女か?」
「今どこにいるんだ!?」
男性は何も答えなった。
「2人とも部屋の中央へ行け!早く!」
「こんな扱いは人権侵害だ。擁護団体に訴えるぞ。」
「両手を挙げろ!」
初老の男女は同時に両手を上げた。
その時、女性の腹部を見ると・・・穴が開いていた・・・
俺は男性がかぶっている帽子を恐る恐る取った・・・すると頭にぽっかり
穴が開いていた。
それを見た瞬間、俺は気絶した・・・
309 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:15:32.74 ID:roXcywfN0
shien
310 :
VIP村人s:2006/12/04(月) 23:15:33.30 ID:PVOPeMvq0
支援
311 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:15:50.35 ID:D5d2vvTBO
支援
312 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(15/27):2006/12/04(月) 23:16:11.67 ID:Gwt03DOd0
「こんな安っぽいトリックはどうも好かん。おもしろくない。我々も
ヤキがまわったな。」
初老の男性が言う。
「そりゃあ昔は時間をかけられたからよ。でも、今は一晩だけ。」
初老の女性は言い返した。
「心理学では真の恐怖は与えられん。最後に大成功を収めたのは
いつだったか?」
「あの心中のこと?・・・でも家が没収されてからはゼロよ。」
「こんな子供だましはたくさんだ。プライドが許さん。」
「ねえ、私達が頑張らないとこのままでは観光スポットから
外されるわ。」
「ああ、でもなぜクリスマスなんだ。ハロウィーンでは?」
「あははは、人々が一番孤独と絶望を感じるのはいつよ?
年に一度のクリスマスでしょ。」
「確かにそうだな。その点今年の2人は絶好のカモだ。クリスマスが
どんなに孤独なものか教えてやろう。」
「ええ、そう来なくちゃ。」
その途端部屋の明かりは消え稲光の光だけが部屋を照らす。
その部屋では男女の笑い声が響いていた・・・
313 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:16:29.24 ID:roXcywfN0
shien
314 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:17:21.71 ID:D5d2vvTBO
支援
315 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(16/27):2006/12/04(月) 23:17:30.10 ID:Gwt03DOd0
あたしは消えた書庫の階段のところを椅子を下敷きにして
よじ登っていた。
登り終わった時、2階部分のドアが開いて初老の女性が現れた。
「あなたが、ハルヒさん?」
「あなたは誰?」
「私の椅子を踏み台にして何をしているのかしら。」
「ここから出たいのよ。」
「ここから出る?」
「ええ。」
「ここからは出られないわ。」
あたしは女性を人差し指で恐る恐る触ってみた。
女性は紛れも無い実体のようだった。
あたしは女性をどけると、
「化け物。」
と言ってドアを開けた・・・しかし、またもレンガの壁で
覆われていた・・・
「今のはどういう意味?失礼だわ。手荒く扱った上に
侮辱的な言葉を言うなんて。」
女性はあたしがさっき登ってきたところに何故か現れた
階段を使って1階部分に下りて行った。
「あなた、幽霊でしょ?」
「なんですって?」
女性はさっきあたしが下敷きに使った椅子を元の位置に戻していた。
「なぜここで心中事件が発生したの?」
「若気の至りね。カーっと燃え上がってやっちゃったの。」
「じゃああなたは・・・ライダ?さっきの彼はモーリスね。しかし・・・
老けたわね。」
「お互い顔の話しはやめにしましょう、ハルヒさん。」
316 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:17:42.50 ID:roXcywfN0
shien
317 :
籠屋の銀二:2006/12/04(月) 23:18:46.09 ID:w/F59gygO
支援
318 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(17/27):2006/12/04(月) 23:18:50.12 ID:Gwt03DOd0
女性は書棚の方へ向かっていき、
「さて、どこだったかしら。」
そう言って右手の人差し指で書棚を指すと、書棚の本がところどころ
ひとりでに出たり入ったりし始めた。
「違う違う・・・違う違う・・・違う違う・・・あったわ。」
女性は1冊の本を手にした。
本のタイトルは『クリスマスを盗んだ幽霊』というものだった。
「私も昔はあなたみたいに美しかったのよ。」
そういうと女性は椅子に向かい腰掛けた。
女性は本を読みながら、
「昔はモーリスもハンサムだったわ。」
そういうとひとりでに暖炉の火が付きあたしは驚いた。
あたしが部屋の中を隅々まで見ていると、女性は本をあたしに向けて、
「スマートだったし。」
渡された本を見てみると1組のきれいな男女が写っていた。
「あまり期待しない方がいいわ。」
「どういうことかしら?」
「あなたたちは何しにここに来たの?」
「あなたを探しに来たのよ。」
「どうかしら。彼と2人が永遠に結ばれるためじゃないの?」
「まさか。」
「孤独な人生に絶望して。」
「あたしが?」
「じゃあ彼のほうかも。」
「何がなんなの。」
「だってここは幽霊屋敷よ。ここへ来る前によく話し合うべきだったわ。
私は経験から言ってるの。」
「どんな経験?」
「一旦心中しちゃったら終わりよ。後悔しても遅いわよ。」
319 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:18:53.88 ID:roXcywfN0
shien
320 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(18/27):2006/12/04(月) 23:19:49.04 ID:Gwt03DOd0
「永遠の契りは?」
「あははは、なんと美しい響きだこと。でも現実は悲惨なものよ。」
そういうと女性はあたしに服をめくって腹の部分を見せた。
穴がぽっかり開いていてあたしは思わず目をそらした。
「あなたには特別に見せるわ。」
「何であたしだけ?」
「この世での最後のクリスマス。あの世へのはなむけよ。」
「キョンがこのあたしを撃ち殺すとでも?彼は絶対にそんなことは
しないわ。」
「撃つのは、あなたの方かも。そしてその後自殺を。」
「そんなことはありえないわ。」
「彼が自分で・・・。」
「あたしが絶対にさせないわ!」
「床下の死体は、多分彼とあなたの潜在意識の現われだわ。」
「恋人として永遠に結ばれたいのよ。」
「はあ・・・恋人じゃないわよ。残念だけど。」
「そう決め付けるのは早いわ。あなたたちはとても魅力的だし、
心を通わせあう時間はたっぷりあるわ。さあ、この銃を取って。」
そういうと女性はあたしに銃を手渡たそうとした。
あたしは腰のホルダーを見てみたが、銃が抜き取られていた。
「さあ、孤独な人生に別れを。」
そういうと女性は姿を消し、あたしの手には銃が残った。
321 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:19:59.27 ID:roXcywfN0
shien
322 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:20:02.17 ID:D5d2vvTBO
支援
323 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(19/27):2006/12/04(月) 23:21:11.33 ID:Gwt03DOd0
「う・・・」
俺は気絶から目を覚ますと、急いで床に落ちていた懐中電灯と銃を拾った。
近くの扉から隣の部屋に行こうとしてもまったく開かなかった。
奥の方の扉にも行ってみたがやはり開かなかった。
その時、
「鍵をかけた。」
後ろから初老の男性の声が聞こえた。
俺は咄嗟に銃をそっちの方へ向けた。
「君のためにな。」
「出口はどこだ?どこなのか教えないと引き金を引くぞ!」
「その意気だ。それなら相棒が来て襲ってきても心配ない。」
「襲うってどういう意味だ?」
「彼女は今、妄想に取り付かれている。だから君をこの家に
連れてきた。」
「これは全て悪い夢だ。現実じゃない。」
「ではなぜ銃を振り回す。相棒と同じだ。」
その時さっき開かなかった最初のドアから”ドンドンドン”と
いう音と共に、
「キョンー!」
というハルヒ声が聞こえた。
「彼女は今、非常に危険な状態だ。孤独と憎悪で我を
見失っている。」
「キョンー!」
「君の車のキーだ。」
男性は俺に車のキーを見せている。
「どうしてあんたが・・・」
「彼女は孤独なクリスマスに耐えられなかった。それで君に
『永遠の契り』の話を。」
「そのキーを一体どこで手に入れたんだ?」
324 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:21:43.17 ID:roXcywfN0
shien
325 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:21:46.84 ID:D5d2vvTBO
支援
326 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(20/27):2006/12/04(月) 23:22:11.21 ID:Gwt03DOd0
「孤独への無意識の恐怖が彼女を狂気へと駆り立てる。」
男性がそういうと再び”ドンドンドン”という音が聞こえ、
「キョン!どこにいるの!」
「ここだ、ハルヒ!」
「早くドアを開けて頂戴!」
俺は男性から車のキーを奪い返すと、
「早くドアを開けろ。」
と男性に銃を向けて命じた。
男性はだまってドアの方へ行き、
「私はこの家で何度も悲劇を見てきた。」
「信じないぞ。さあ、早くドアを開けろ。」
「だが・・・」
「早くドア開けろ!」
男性は観念しドアの鍵を開けた。
それと同時にハルヒが入ってきた。
「キョンはどこ?」
ハルヒは男性に問いかけた。
「ここだハルヒ。」
俺はハルヒに向かって言った。
その時、ハルヒは俺にめがけて銃を撃ってきた・・・
327 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:22:40.61 ID:D5d2vvTBO
支援
328 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(21/27):2006/12/04(月) 23:23:13.19 ID:Gwt03DOd0
ハルヒが撃った弾は間一髪でそれて近くの椅子に当たった。
「なにするんだ!」
ハルヒは銃を向けながら無言で近づいてくる。
さらに1発銃を撃ち、後ろの花瓶に当たった。
「ハルヒ!」
俺はじりじりと後ろの方へ下がっていった。
「ここからはもう出られないわ。あきらめて。」
そういうとまた1発発射し、横の壁に当たった。
「やめろハルヒ!それ以上近づくな!銃を捨てろ!」
「あたしを撃つ気かしら?」
「何を言ってるんだ!なぜ俺がおまえを?」
「どうせ撃ちあうのよ。問題はどっちが先ってこと。」
「やめろ!なぜこんなマネを?」
「うるさい!」
「ここから出よう、ハルヒ!」
「いやよ。孤独はもうたくさんなのよ!クリスマスなんて
クソくらえよ!」
「落ち着けハルヒ。どうかしてるぞ。」
その時ハルヒが俺に向かって銃を発射した。
その弾丸は・・・俺の胸に当たっていた・・・
俺は放心状態になりそして・・・倒れた。
ハルヒは倒れた俺を見下して、
「メリークリスマス。」
そしてハルヒは自分の頭に銃を突きつけていた・・・
329 :
油売りの左暮:2006/12/04(月) 23:23:24.64 ID:9gQzZ1be0
sine
330 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:23:34.85 ID:roXcywfN0
shien
331 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(22/27):2006/12/04(月) 23:24:18.72 ID:Gwt03DOd0
ハルヒに化けていた初老の女性が自分の頭に銃を
突きつけながら、下を見て、
「そしてハッピーニューイヤー。」
と言った。
俺はまだそれがハルヒだと思っていた。
ハルヒが引き金を引く直前、そばにいた初老の男性が
ハルヒを押さえつけた。
「はなして!はなして、お願いだから!死なせてー!」
男性はハルヒを引きずって消えていった。
その光景を見て俺は気を失った・・・
「キョンー!」
あたしはドアを開け部屋に入っていった。
そしてそこで見た光景は・・・キョンが撃たれて床で倒れて
いるところだった!
「キョン!」
「ハルヒ・・・」
あたしはキョンの頭を持ち、
「どうしたの!?」
「まさか本当に撃つとはな・・・」
「どういうこと!?」
「撃つとは思わなかった・・・今度は俺が・・・」
そういうとキョンは、
「メリークリスマス」
といいながらあたしの胸を撃った。
あたしは呆然とし、そして倒れた。
「キョン・・・」
そしてあたしは気を失った・・・
332 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:24:35.80 ID:roXcywfN0
shien
333 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:25:24.68 ID:D5d2vvTBO
支援
334 :
VIP皇帝:2006/12/04(月) 23:25:29.37 ID:TlYgaEoe0
支援
335 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(23/27):2006/12/04(月) 23:25:29.90 ID:Gwt03DOd0
キョンに化けていた初老の女性は横になりながら、
けたたましく大声で笑っていた。
その瞬間、レコードが自動的に動き出し、音楽を奏ではじめた。
俺は気を取り戻し、這いずり回りながら移動した。
そして玄関ホールまでたどり着いた。
あたしは気を取り戻し、ふらふらになりながら
1階への階段を下りて行った。
そして玄関ホールにたどり着きそして倒れた。
そこには必死に倒れながらも出口へ行こうとする
キョンの姿見えた。
「キョン・・・」
聞こえてないのだろうか・・・
「キョン・・・」
あたしが2度目に言った後、キョンはあたしのほうへ向き、
そして銃を構えた。
あたしもそれをみてキョンに照準を合わせて銃を構えた。
「もうダメだ・・・」
「ええ・・・」
あたしはキョンの方へ這いよった。
「あたしも一緒に行く・・・」
「俺たち死ぬんだな・・・俺、怖い・・・」
「あたしもよ・・・」
そういうとあたしは仰向けになった。
「あんたが悪いのよ。」
「おまえこそ。」
「あんたが先に撃った。」
「いいや、撃ったのはお前の方だ。」
336 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:26:13.39 ID:roXcywfN0
shienn
337 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:26:19.79 ID:D5d2vvTBO
支援
338 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(24/27):2006/12/04(月) 23:26:27.06 ID:Gwt03DOd0
2人が倒れる中、稲光が走る。
あたしは撃たれた場所を確認すると起き上がった。
「キョン。」
「なんだ。」
「起きて。」
「そんなの無理だ。」
「立ってみて。血は付いてるけど撃たれて無いわ。」
「なんだって。」
「全てトリックよ。」
そういうとあたしはキョンの腕を持ち起き上がらせた。
お互いに無事を確認した後、一目散に館の玄関から出た。
と、同時に体を見ると血などお互いについてなかった。
あたしたちはそれを確認すると逃げるように屋敷を後にした・・・
屋敷の柱時計が0時を告げる。
部屋には暖炉の前で初老の男女が椅子に腰掛けていた。
「あら、クリスマスよ。」
「やれやれ・・・また失敗だ。」
「後もう少しだったけど。」
「へへへ、惜しかったな。」
「寂しそうなカップルなのに・・・」
「もう済んだことだ。」
「それにしてもあの2人何しに来たのかしら。」
「わからんな。最近はクリスマスの意味も薄れてしまった。」
「本当ね。」
「しかし・・・我々にとっては永遠に特別な日だ。」
そう男性が言うとお互いに手を取り合った。
そして初老の男女は消えた・・・
339 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:27:15.37 ID:roXcywfN0
shien
340 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(25/27):2006/12/04(月) 23:27:29.98 ID:Gwt03DOd0
俺は今自宅でテレビを見ている。
その時ドアを叩く音がした。
ドアを開けてみるとハルヒがいた。
「何だか寝付けないの。それで・・・入っていい?」
「ああ。」
「キョン、今日は妹ちゃんが来るんじゃないの。」
「いや、FBIの友人に迎えを頼んだんだがまだ到着してないんだ。」
「そう。」
「ハルヒ、今夜起きた事はすべて錯覚だよな。」
「だと思うわ。」
「自分の誤りに気が付いたわけだな。」
「あなたがそれを証明したと。」
「お前はそのために俺を呼んだんじゃないのか?」
「あなたのためよ・・・。ごめん、悪かったわ・・・いかにも自信過剰で
自己中心的な言い方だったわ。」
「いや違う。たぶん俺も確かに興味があった。」
しばらく2人で見つめあった後、
「そうそうキョン、面倒くさいからプレゼントの交換はしない
約束だったけど・・・受け取ってもらえる?」
そういってハルヒは俺にプレゼントを渡してくれた。
「実は・・・俺も」
俺は買っておいたプレゼントをハルヒに渡した。
ハルヒは満面の笑みをし、
「さあ、早くお互い開けてみましょ!」
といい、ソファーに座った。
「ああ。」
341 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:28:10.37 ID:roXcywfN0
shien
342 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(26/27):2006/12/04(月) 23:28:30.42 ID:Gwt03DOd0
俺とハルヒがプレゼントの包みを開けていると、ドアの
ノックの音が聞こえた。
「多分妹だな。」
そういってドアを開けると・・・成長し、朝比奈さんそっくりに
なった妹が立っていた。
「メリークリスマス、キョン君!」
「さあ、中に入れよ。」
「おじゃましま・・・あ、ハルヒさんお久しぶりです。」
「えっ!みくるちゃん!?」
「ははは、違うよハルヒ。俺の妹だよ。」
「いつもキョン君にも『おまえホント朝比奈さんに似てきたな』って
言われてます。」
「ほんと、みくるちゃんそっくりね。」
「胸はまだまだだけどな。」
「キョン君ってホントえっちいんだから。」
「ほんとよねぇ・・・エロキョンは変わってないわね。」
「クリスマスに2人から攻撃かよ・・・勘弁してくれよ。」
「あー、キョン君とハルヒさんプレゼント交換してたんだ。いいなぁ」
「安心しろ、お前の分もちゃんとあるぞ。」
「わーい。キョン君大好き。そうそう、ここにくる途中にケーキ買って
きたんです。3人で食べませんか。」
「ほんと!やっぱり妹ちゃんはキョンとは違って気がきくわぁ」
「悪かったな、気がきかなくて。」
「さ、早くケーキ切ってプレゼントの中身開けっこしようよ、キョン君。」
「そうだな。さ、始めるか。」
外ではロマンチックに雪がふわりふわりと降り続いていた。
世界中、全ての人にこのクリスマスがいい日でありますように・・・
───メリークリスマス!
343 :
籠屋の銀二:2006/12/04(月) 23:29:16.47 ID:w/F59gygO
支援
344 :
涼宮ハルヒのX-FILES <クリスマス・イブ>(27/27):2006/12/04(月) 23:29:18.41 ID:Gwt03DOd0
「ところでキョン君とハルヒさんは結婚しないの?」
「ぶっ!何言ってるんだお前。」
「そうよ妹ちゃん!」
「えー、仕事でもいつも2人で一緒なんでしょ。いっそのことくっつちゃえば
いいのに。」
「仕事は仕事、プライベートはプライベート。妹ちゃん分かった?」
「はーい。でも残念。『ハルヒ姉さん』って呼びたいのになぁ。」
「おまえは親の刺客か。」
「あ、ばれた?でもさっき言ったことはホントだよん♪」
「もう、さっさとケーキ食べましょ!」
ハルヒは怒涛のごとく言い放った、でもハルヒ、おまえ顔真っ赤だぞ。
「それはキョン君もね!」
<クリスマス・イブ・終>
345 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:29:30.13 ID:roXcywfN0
shien
346 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:29:44.32 ID:roXcywfN0
乙!GJ!
347 :
涼宮ハルヒのX-FILES おまけ4 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/04(月) 23:29:56.08 ID:Gwt03DOd0
???「お久しぶり、キョン君。」
キョン「お、お前は・・・なぜここに!」
----------------------------------------------------------
ハルヒ「キョン・・・どこにるの・・・」
???「涼宮捜査官、君にしかキョン捜査官は救えない。」
ハルヒ「どうすればいいの!」
???「それは・・・」
----------------------------------------------------------
キョン「思い出せ!SOS団で活動したことを!最初にお前と行った
図書館のことを!」
???「SOS団...図書館...」
----------------------------------------------------------
???「キョン君、こっちです!早く!急いで!」
キョン「なんでここに!?」
----------------------------------------------------------
ハルヒ「う・・・嘘でしょ・・・なんで・・・」
キョン「なんで・・・なんでこんなことを・・・」
----------------------------------------------------------
ハルヒ・キョンのX-FILE課に絶体絶命の危機が!!
次回 涼宮ハルヒのX-FILES 最終話 <終章>
キョン「いよいよ最終話か。」
ハルヒ「忙しいことになりそうね。」
古 泉「作者さん、いよいよ最終話なんで気合入れるように。
書けなかったら掘ります。」
作 者「('д')もう完成しているだなんてアナルが裂けても言えない・・・」
X−FILEの人も華の人も乙!
349 :
籠屋の銀二:2006/12/04(月) 23:31:41.47 ID:3/FSF7KAO
乙!GJ!続きwktk!
350 :
涼宮ハルヒのX-FILESの作者 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/04(月) 23:31:47.24 ID:Gwt03DOd0
本来水曜日に投下予定でしたが、投下欲に
負けてしまい本日投下しましたw
支援してくださった方。どうもありがとうございました。
351 :
牛のふん:2006/12/04(月) 23:31:55.86 ID:D5d2vvTBO
いやぁ、待った甲斐があったぜ!
GJ!
352 :
VIP女神:2006/12/04(月) 23:32:38.09 ID:1N3npDPjO
353 :
水汲みおしち:2006/12/04(月) 23:33:50.27 ID:HO/uCAqwO
354 :
水汲みおしち:2006/12/04(月) 23:38:52.72 ID:HO/uCAqwO
投下終了したから聞くが、オリジナルキャラとか出すSSに嫌悪感抱く住人って結構いる?
まあキョンの中学時代の変な女関連なんだが。
俺は無問題
356 :
VIP村人o:2006/12/04(月) 23:40:03.74 ID:1nWkXRL1O
もつ
357 :
愛のVIP戦士:2006/12/04(月) 23:40:12.25 ID:JpsGoBu00
嫌悪感抱く人は、読まない。
読みたい人は読む。
人の目なんて気にすんな、どんとこい。
358 :
VIP盗賊:2006/12/04(月) 23:41:11.01 ID:Gwt03DOd0
>>354 固有名詞出すと結構存在が強烈になるよな。
原作で苗字だけのキャラいるのってそのへんの印象抑えてるんじゃないかと思う。
360 :
VIP神父:2006/12/04(月) 23:42:07.75 ID:UT7vvI8S0
>>354 ものによるかな。
読む前からパスって事は無いが。
362 :
VIP乙女:2006/12/04(月) 23:43:43.75 ID:rSUIlW7HO
>>354 実在するキャラならいんじゃない。勝手に名前つけたりはよくないと思うけど。
363 :
水汲みおしち:2006/12/04(月) 23:45:35.78 ID:HO/uCAqwO
皆トンクス
実はまだネタとして頭に浮かんだだけなんでSSにできるかどうか…
でもちょっと頑張ってみたい。
要はハルヒがハルヒらしく、キョンがキョンらしくあればいいのかね?
364 :
宿屋の女中:2006/12/04(月) 23:46:41.98 ID:a4kpTtG2O
風呂はいってる間にまた投下が……
GJ
365 :
226:2006/12/04(月) 23:48:26.98 ID:TlYgaEoe0
366 :
VIP村人u:2006/12/04(月) 23:48:29.15 ID:roXcywfN0
>>354 オリキャラったって、原作だって新キャラが出てくればオリキャラだよな。
要は、オリキャラが出てくることに必然性があればいいんじゃないかな?
キョンの中学時代の「変な女」というからにはやっぱり
原作から類推されるような「変な女」じゃないと反発買うだろうね。
要は、世界観にあってりゃいいんでしょ?
もっとも、あってないから投下しちゃいかんとは思わないけどね。
そういういみじゃあ
>>357に賛成。
367 :
VIP盗賊:2006/12/04(月) 23:51:56.10 ID:Gwt03DOd0
>>365 姉属性・妹属性についてはお察しくださいw
368 :
水汲みおしち:2006/12/04(月) 23:53:22.32 ID:HO/uCAqwO
>>366 いや変な女『関連』で実は変な女所か……あばばばば、ちょっとネタバレしてしまう。
まあちょっと気になるが皆が思い描いてる変な女像ってどんなの?
変な女ねぇ…
男らしい女かな…?
変な女≒女キョン
某SSの影響じゃないよ。
371 :
VIP足軽MS:2006/12/05(火) 00:04:14.24 ID:EqIeC8cpO
キョンの妹はハルヒさんとは呼ばない
372 :
VIP村人u:2006/12/05(火) 00:04:51.93 ID:Dpc9+2fDO
チェキ
373 :
VIP村人x:2006/12/05(火) 00:05:32.02 ID:zUVbMeVzO
>>369 うはwwwめちゃビンゴだwww
これは練ってくる
スマン色々聞いて
冬企画関連なんだけど、西宮周辺で、クリスマスシーズンにデートに行ってもおかしくない
遊園地ってどこ?東京近辺しかしらなくてさ。東京だと東京ドームの脇の遊園地なんかのイメージなんだが。
そういうのってあるか?
376 :
VIP下手人:2006/12/05(火) 00:11:52.42 ID:FAt/gFPv0
変な女か…
ハルヒと似たようなタイプだったのかもね。
>>371 今の時点では「ハルにゃん」ですが、ハルヒ・キョンが
FBIに入る時期の妹ちゃんの年齢を考えたらこの呼び方は
恐らくしないと思うので「ハルヒさん」と呼ばせるようにしました。
「涼宮さん」かどちらかとも迷ったのですが・・・
その呼び方で不快でしたら脳内変換してください。
378 :
VIP悪魔:2006/12/05(火) 00:15:03.28 ID:7psLtbQi0
USJだろ、常識的に考えて……
あとはポートピアとかしあわせの村……は違うか。
そういや皆西周辺ってことをどこまで意識して書いているの?
自分は全然考えてない時の方が多いんだけど・・・。
380 :
VIP村人u:2006/12/05(火) 00:16:36.80 ID:Dpc9+2fDO
>>374 ほら、ルミナリエだったかそんなような名前のやつなかったか兵庫県
遊園地じゃないって?サーセンw
381 :
VIP村人l:2006/12/05(火) 00:18:48.52 ID:PL3YXK6O0
>>378 ポートピアと見たらヤスしか頭に浮かばない・・・w
382 :
VIP村人P:2006/12/05(火) 00:19:18.67 ID:akBbFn9Z0
ぼちぼちそのへんにしとこうか。
過度な馴れ合いはやめとけ。
そういう話は雑談スレとかでやったら?
>>378 USJって西宮から遠くないのか?よくしらないんだよ。
>>379 俺は土地勘無いし、いろいろ困るんだよね。
>>380 ルミナリエね、感じはいいんだけど。
やっぱUSJかなー。ありがとう。
>>382 そうだね、ごめん。
384 :
VIP悪魔:2006/12/05(火) 00:24:20.50 ID:7psLtbQi0
西宮の人間だってUSJは行くよ。埼玉や神奈川の人間がTDRに行くようなもんだ。さすがに京都は遠いからおいそれとは行くまいが。
もしくは西宮じゃなくて国立に住んでるとか津田沼に住んでるとか小田原だとか鴻巣だとかにしてしまえ。
投下OK?
ガール・ミーツ・ガールの話。
未完の『始まりの無い物語の始まり』じゃなくて新作です。
wktk
ある日のこと。
帰宅部の僕は何時ものように帰りのホームルームを終え、帰宅しようとしていた。
何時もと違うことと言えば、今日の僕は一人だって事くらいかな?
最近は、大抵は谷口と一緒だからなあ。ああ、今日は谷口は日直なんだ。
そういうわけで、特に誘う相手もいなかった僕は今日は一人で帰宅、と思っていたんだけ
ど、玄関のところで、ちょっと意外な人物が一人で立っているのを見つけた。
女の子にしては少し背の高い、すらりとした細身の体躯と結い上げられた長い黒髪が印象
的な少女。……いや、まあ、キョンのことなんだけどさ。
「あれ、キョン、どうしたの?」
「ああ、国木田か。……いや、傘が無いんだ」
外は雨、でもキョンは傘を持っていないらしい。
まあ、今日の予報では降水確率は40%前後だった気もするから、もっていなくても不思議
ではないんだけど。
「SOS団は?」
僕が気になったのは傘よりこっちの方。
キョンは五月頃から高校に入ってから同じクラスになった涼宮さんに巻き込まれて、SOS
団なる団体に加えられ、日々その活動に振り回されているんだよね。
どうして今日は一人なのかな。
「今日は休みだってさ」
ああ、そういう日もあるんだね。
「ふうん……。じゃあ、一緒に帰る? 傘なら入れてあげるよ」
そう言って僕は傘を取り出す。
「悪い、世話になるな」
相手が僕だったからかな、キョンは躊躇いもせず僕の申し出を受け入れてくれた。
そういうキョンの態度は嬉しいけれど、同時に僕にある種の虚しさを思い起こさせる。
「良いよ、このくらい。じゃあ帰ろう」
「ああ」
それから僕達は、二人で帰宅することになった。
俗に言えば相々傘ってことになるんだろうけど、キョンはそういうことを気にしている素
振りを全く見せないというか、多分、全く気にしてない。
まあ、中学時代からこんなことは珍しくも何とも無かったしね。
「ねえ、キョン」
「何だ?」
「SOS団って、楽しい?」
「……それなりに、かな」
「そっか、それなら良かったね」
「ああ」
何気ない会話も、変わらないと言えば変わらない。
内容自体は全然違うけど、僕等の間に有る物は変わってないってことになるのかな。
キョンは本当に、僕を異性として全然認識していないし、僕の方も、表面上はずっとそん
な感じだしね。
「そういや、お前と二人きりで帰るのも久しぶりだよな」
「うん、そうだね」
中学の頃は、こういうことは良くあった。というよりも殆ど毎日がこんなだった。
中学時代の僕等はよくつるんでいる仲間同士の二人って感じだったんだけど、僕等二人だ
けが他の友人達と家の方向が違ったからね。
だから、毎日一緒に帰っていた。
「何か懐かしい感じだよな」
「中学を卒業してからまだ半年も経ってないよ?」
「分かっているよ。……ただ、そう思っただけだ」
懐かしいと思うのは、今が充実しているからじゃないかな。
中学の頃が楽しくなかったとは言わないけど、今のキョンは多分、中学の頃よりずっと充
実した日々を過ごしている。
正直、僕はそんなキョンがちょっとだけ羨ましいし、そういうことを考えると、少し寂し
くなったりもするんだね。
別に僕とキョンの間が何か変わったわけじゃないし、これからも変わらないと思うんだけ
ど、でも、やっぱり、違うんだなあって思う。
溝を感じるってわけじゃないんだけど……、ううん、これはちょっと説明し辛いな。
「おや、奇遇ですね」
信号待ちのところで、僕等は後ろから声をかけられた。
まあ、声をかけられたのは僕じゃなくてキョンだけじゃないかって気もするけど。
「ああ、古泉か」
キョンが振り返り、キョンが濡れないように傘を動かしつつ僕も振り返る。
背の高い、これでもかというくらいのハンサム美少年がそこに立っていた。
同じ年でこれだもんなあ……、普通に考えて、勝ち目が有るって考える方がどうにかして
いると思うし、幸か不幸か、僕はそういうところは極めて普通の考えの持ち主なんだよね。
情けないことに。
「そちらも帰宅途中ですか」
「ああ、そっちもか?」
「ええ、そうですよ」
何だか社交辞令みたいなやり取りだけど、キョンもちょっとは緊張しているんだろうな。
僕と一緒の所を見られたのが嫌なのかもね。……普段は意識して無くても、流石にこの状
況は、ってくらいには思うのかも。
というか、そうとすら思ってもらえなかったらそれはそれで寂しいし。
「ほら、行きなよ」
僕はひょいとキョンの背中を軽く押して、古泉くんの傘の中に放り込んでやった。
行きたいってのは雰囲気で分かったし、多分、向こうも迷惑とは思ってないだろうしね。
だから、これで良いんだと思う。
「え、あ……」
「じゃあ、また明日」
それっきり、僕は振り返らずに早足で帰ることにした。
shienn
「おはよう、キョン」
翌朝のホームルームの時間、僕はちょっと居心地悪そうな感じで席についたキョンに自分
から話し掛けてみることにした。
ううん、昨日のあれ、もしかしたら逆効果だったのかな?
一応、良かれと思ってやったんだけどなあ。
「ああ、おはよう……。国木田、昨日はすまなかったな」
「良いよ、だってキョンは古泉くんと一緒の方が良かったんでしょ?」
「それは……」
「僕達親友だろう? 親友だったら、迷っているときに背中を押すくらい当然だって」
白々しいにもほどが有るなあって自分では思うんだけど、キョンに気付かれないなら、そ
れで良いんだ。
別に、気付いて欲しいわけじゃないからさ。
僕は君を苦しめたいわけでも、傷つけたいわけでも無いんだからさ。
「国木田……。ありがとな、そう言ってもらえて嬉しいよ」
そう言って笑ったキョンは、可愛かった。
キョンは可愛いってタイプじゃないし、女の子にしては背が高くて、どちらかと言えば綺
麗と言うか、凛とした感じで男の子より女の子にもてるタイプだと思うんだけど、こうやっ
て笑うと、すっごく可愛いんだよね。
まあ、本人は気付いてないんだろうけど。
可愛いなんて言うと、嘘だろうとか冗談はやめろとか言い返してくるタイプだしなあ……、
まあ、そういうところも含めて可愛いんだけどね。
「どういたしまして」
僕も笑って、キョンに答えた。
そう言えば、僕も笑うと、いや、童顔で女顔だからかな、普段から結構可愛いって言われ
たりするんだよね。
いや、男がそう言うことを言われても全然嬉しくないんだけど……、言う方はそういうこ
とを全然分かってないんだろうなあ。
shienn
お昼休みの時間。キョンは、何時ものようにお弁当を開く変わりに僕と谷口の机に小さ目
のタッパーを一つずつトントンと置いた。
「何これ?」
「作りすぎた弁当のおかずの余り」
答えたキョンは、自分の弁当箱を手に立ち上がろうとしていた。
何だか、弁当箱が何時もと違うような……。二人分か三人分は有りそうだよね。
「……お前が作ったのか?」
ぽかんとしていた谷口が、我を取り戻しつつ訊ねる。
そういや、谷口はキョンに惚れているんだよね……。キョンは全く気付いてないみたいだ
けど、僕には、いや、クラスの半分くらいにはバレていると思う。でも、それ以上の人間が、
キョンが別の男子のことを好きなのを知っていたりもするんだよね。
叶わぬ恋かあ。
谷口の場合、そう思っているかどうかちょっと怪しい気もするんだけど、谷口のそういう
おめでたい所はあんまり嫌いじゃないんだ。
僕みたいに、一人で勝手に考えて勝手に納得して勝手に諦めるよりは良いんじゃないかな。
「そうだよ」
「へえ……」
「キョンはどこに行くの?」
感心する谷口を無視して、僕はキョンに訊ねる。
「九組」
予想通りの回答。
谷口がちょっと苦い顔になって、でもキョンはその意味を正確には理解していない様子で、
僕はただなんでもないことのように笑う。
そして、キョンを見送ってから、僕と谷口、男二人の、何時もより少し寂しい昼食の時間
が始まった。
shienn
キョンは、昼休みも終わるギリギリの頃になってから教室に戻ってきた。
「喜んでもらえたの?」
「……ああ、一応な」
やっぱり、喜んでもらえたんだ。
「そっか、良かったね。ああ、ハンバーグ美味しかったよ、ありがとね」
そうそう、キョンが持ってきてくれたタッパーの中にはいっていた小さ目のハンバーグと
付け合せのサラダは、とっても美味しかった。
調理実習の時以外でキョンの料理を食べたのなんてこれが始めてだけど、結構上手いんだ
ね。
「あ、いや、ついでだったし」
ううん、本当についでとしか思って無さそうだ。
まあ、谷口はともかく、僕はこんなことで今更傷つくようなキャラじゃないってことにな
っているから、そういう態度の方が助かるんだけどさ。
「でも、僕は嬉しかったよ」
「そっか、それなら良かった」
「明日も作るの?」
「どうかな、まだ決めてないんだ」
「ふうん。……まあ、作っていて余りそうだったら僕等にも何かちょうだいよ」
谷口は何も言ってこないけど、まあ、あいつも反論する気は無いんだろう。
お零れでもなんでも、惚れた女が作ったおかずにありつけるんだしね。
「ああ、そのときはそうさせてもらう」
キョンの言葉には、嫌味の欠片も無い。
本当に、僕のことも谷口のことも、友人としか思ってないんだろうなあ。
いや、それで良いんだけどさ。
shienn
「何であんな奴がいいんだろうなあ……」
帰り道で、谷口がぽつりと呟いた。
今日はキョンはSOS団の活動があるみたいだから、僕は昨日と違って何時ものように谷口
と二人で帰宅だ。
「古泉くんのこと?」
「そうそう、あんな怪しい奴」
「怪しい? 何で?」
涼宮さんみたいに、五月の転校生は怪しいとでも思っているんだろうか。
「転校初日に涼宮に掻っ攫われてそのまま着いていけるなんて、変な奴に決まっているじゃ
ないか」
谷口、そういう決め付けは良くないと思うよ。
改めてそう言われると、そう言えばそうかもなあ、くらいには思わなくも無いけど。
でも、こういう場合は、
「あのSOS団の中に古泉くんの本命がいるんじゃないかな。それか、キョン達を放っておけ
なくなったとか」
このどっちかのパターンなんじゃないかな。
僕としては、何となく前者で、前者だったら本命は、多分……、っていう風に思っていた
りもするんだけど。
「そうかあ?」
「そういうもんだと思うよ」
「ふうん……。なあ、国木田」
「何、まだ何か?」
「一つ聞いて良いか。……お前とキョンって中学から一緒だよな?」
話の風向きがいきなり変わった。
何だろう、どうして今更そんなことを確認するんだろう。
キョンのことで聞きたいことでも有るのかな?
「うん、そうだけど」
「お前さ、キョンと付き合ってたのか?」
shien
「……違うよ」
谷口の、直球過ぎる質問に対して、僕は首を振った。
まさかそう来るとはね。僕とキョンが付き合っていた? そんな風に訊ねて来たのは谷口
が始めてだよ。中学の頃から僕とキョンは仲の良い友人で、それ以上でもそれ以下でもなか
った。
そりゃあ、キョンに言い寄る男が現れたりしないように、僕が色々と……、まあ、これは
良いか。
「本当かよ」
「本当だよ」
「じゃあ、」
「何?」
「じゃあ、何で答えるまでに間があるんだよ」
こいつは馬鹿なくせに、こういう勘だけは結構良い。
恋愛事になると途端に勘が鈍ったり良くなったりなんていう人自体は別に珍しくも無いと
思うんだけど、それって一体どういう仕組みなんだろうね。
僕にはよく分からないや。
「……僕がキョンを好きだったのは本当」
いいや、認めちゃおう。ここで黙っておくのも変だしね。
「……」
「でも、告白したことは無いし、キョンは多分何にも気付いてないんじゃないかな」
「……」
「まあでも、昔の話だよ」
「嘘吐け」
「嘘じゃないよ、昔の話だって」
「お前、今でもあいつのこと好きなんだろ?」
「違うよ、今は、」
「強がるな」
谷口は、何時もとは全然違う随分と低い声でそう言った。
そんなにどんどん投下してサルにならないかshien
402 :
VIP侍:2006/12/05(火) 00:51:27.67 ID:1T6YRXE30
女verのキョンの顔みてみたい
「……何で、分かっちゃうかなあ」
降参、僕の負けだね。
本当は、誰にも言うつもりは無かったんだけどな。
「見てりゃ分かるって」
「そういうもの? でも、多分他の人は誰も気付いてないと思うよ」
「馬鹿、俺だから分かったんだよ」
「そっか、そうだね」
まあ、そういうことにしておいておこう。
僕が高校に入ってから一番話している相手は、確かに谷口なんだし。
「なあ」
「何?」
「お前、このまま諦めるつもりなのか?」
「どうかな、分かんないよ。……でも、僕はキョンが幸せならそれでいいかな」
「……滅茶苦茶クサイ台詞だな」
「うん、分かっている」
そんなこと、分からないで言うほど馬鹿じゃないよ。
分かっていれば言えるくらいの馬鹿ではあるみたいだけど。
「良いのかよ、それで」
「良いんだよ、これで」
「……」
「あのさ」
「何だよ?」
「キョンには言わないでね」
「言うか、馬鹿」
shien
「キョンはね。別に地味なタイプってわけじゃないんだけど、そんなに目立つ方でもなくて
……、でも、割ともてる方なんだよね。まあ、異性より同性にもてるタイプみたいだけど」
「……」
「僕は一年の時から同じクラスでさ。席が近いから何となく一緒に話すようになって、それ
から結構仲良くなったんだ。……付き合っているって勘違いしている奴も結構居たのかな。
キョンが男に一度も告白されたこと無いのは、多分そのせいだね」
僕の知る限りというか、以前キョン自身が僕に言っていたことが正しいならば、キョンは
今のところ男から告白されたことは一度も無い。勘違いっていうか、僕がそう仕向けていた
面も無いわけじゃないんだけど……。
全く、告白する勇気も無かったくせに、僕は一体何やっていたんだろうね。
「僕の知る限りじゃ、キョンから誰かに告白ってのも無いみたいだけど。……多分、古泉く
んにも直接言っては居ないんじゃないかな」
「あいつの名前を出すな」
「でも、キョンが古泉くんを好きなのは事実だしさ」
「キョンはあの男に騙されているだけだ!」
谷口はそう言って手を振り上げた。
元気というか前向きというか都合がいいというか……、いや、そういうところはちょっと
羨ましいなあ、とも思うけどさ。
「ねえ、谷口」
「何だよ」
「谷口もキョンが好きなんだよね?」
「なっ、そんなわけねえだろっ」
「いや、バレバレだから」
そりゃあもう、僕なんかより全然ね。
キョンは鈍いから気付いてないみたいだけどさ。
「……」
「隠さなくたって良いじゃない」
「……そうだよ。俺はあいつが好きなんだよ」
うん、良い返事だ。
shien
「そっか」
「キョンには言うなよ」
「言わないって」
「なあ、国木田」
「何?」
「お前、恋愛と友情だったらどっちを取る?」
「ううん、そのときによるかな」
「馬鹿かお前、こういう時は友情って答えるもんだろ!」
「そんなこと言っても、いざとなったらどうなるか分からないじゃん」
「お前なあ……」
「良いじゃん、別に今答えを出さなきゃいけないわけじゃないんだしさ」
別にお互いに同じ人が好きだからと言って、だからどうなるってほど単純な問題じゃない。
まあ、その好きな女の子には他に本命が居るからってのも有るんだけどさ。
谷口も、口じゃあんな風に言っているけど、キョンが本当に騙されているとまでは思って
ないんじゃなかな。多分、そういう風に思い込もうとしているんだろうね。
「そりゃそうだが……」
「まあ、こういうことはなるようにしかならないから、あんまり気にしても仕方ないと思う
よ」
「悟ったようなことを言うな」
「別に悟ってなんか居ないって」
「ったく……」
谷口は、それきり黙ってしまった。
もしかしたらもっと言いたいことが有ったのかも知れないけど、これ以上僕に何か言って
も仕方ないって思ったのかな。
まあ、仕方ないと言えば、仕方ないのかもね。
shienn
谷口がどう思っているか知らないけど、結局僕は、自分の気持ちをキョンに伝える気は無
いんだよね。
中学の三年間、一番近くにいて、一緒に馬鹿をやって、一緒に笑って……、それだけで充
分って言うつもりはないけどさ、まあ、それで良よかったかなって思わないわけでも無いん
だ。
もしかしたらこの先、他の人を好きになるかも知れないしね。
だから、悶々と考えつつも機会を窺っている谷口を見ても、特にどうとも思わないし、抜
け駆けするななんて思ったりもしない。
まあ、応援する気も無いんだけど……、うん、これはもう、なるようにしかならないから
ね。
とりあえず僕は、キョンが幸せになれるよう祈ることにするかな。
終わり
乙!GJ!
投下終了です。
支援ありがとうございます。
何かもう原作から離れ捲くりですね・・・。
あ、キョンの中学時代を語る国木田が書けて満足です。
>>401 実は午後から一度もサルっては居ないです。
支援してくださる方々のおかげですね。
>>402 絵も描けないことは無いんで、
機会が有ったら描いてみようかと思っては居ます。
まあでも私の考える女キョンの外見イメージは
ななついろドロップスの撫子嬢(いとうのいぢ画)なのですが。
GJ!
キョンは女になってもモテるのか…
羨ましいぜw
413 :
駅前食堂のメグ:2006/12/05(火) 00:57:46.79 ID:DOh6DdP5O
乙GJ!
414 :
VIP勇者:2006/12/05(火) 01:07:02.87 ID:0xZn7r+LO
乙!
ハルヒがまったく出て来ない話は珍しいね
保守、
貰ったネタに苦戦中。
つキョン「俺には姉属性も妹属性も無い!」
416 :
VIP村人v:2006/12/05(火) 01:28:13.61 ID:/w0ERC+e0
なんかホワっとしたGJ!という保守
すみません、やっとこさ投下できる状態に持って行けました。
今から投下したいと思います。
418 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 01:28:51.06 ID:Caee3Yn90
「おかえりなさいませ、ご主人様」
夕焼けで学校が赤く染まる頃、学校にようやくたどり着いた俺を待っていたのは、変態野郎からの気色悪い発言だった。
あまりの不気味さに、俺はその言葉を発した古泉に銃を向けたぐらいだ。
古泉は困った顔を浮かべて両手をあげて、
「失礼しました。いろいろつらい目にあったようですから、癒しを提供して差し上げようかと思っただけです」
「癒されるどころか、殺意が生まれたぞ」
俺はあきれた口調で、銃をおろす。まあ、本気で撃つつもりもなかったけどな。どうせなら朝比奈さんを連れて……う。
あの後、俺たちは北山公園を南下して無人の光陽園学院に入ったが、敵に動きが悟られないように、
そのまま数時間そこで待機していた。もちろんハルヒには連絡を入れておいたが。
俺はしばらく学校内を見回していたが、古泉が勝手に解説を始める。
「北高の方はほとんど無傷ですね。敵歩兵の襲撃もありません。涼宮さんに作戦失敗を印象づけるには、
北山公園に僕らが入ったのと同時に学校を襲うのがもっとも効果的だと思いますが、
どうして敵はその手を使わなかったんでしょうか。僕が相手の立場なら必ずそのようにしますがね。
ま、大体察しはつきますが」
「しらねえし、今はそんなことを考える気分でもないな」
古泉を無視しつつ、俺は学校内を歩き回る。どこにいるんだ?
ふと、俺の目に学校の隅に並べられている黒い物体が目に入った。見るのもいやになるその形状は、
明らかに死体袋だった。あの中に谷口も入れられているのだろうか。
「死者52名、負傷者13名。これが北山公園攻略作戦で出て犠牲です。
死者よりも負傷者が少ないという事態が、今の我々の力のなさの現われかもしれません」
やや声のトーンを起こした古泉が言う。俺の小隊も合計16人の命が失われた。
鶴屋さん小隊なんて生き残った方が少ないし、ハルヒや古泉の小隊の損害もかなりあるはずだ。
と、そこでスマイル野郎が重苦しくなった空気を変えるようにわざとらしくぽんと手を叩き、
「ああ、なるほど。涼宮さんを探しているのですね。それなら、前線基地に詰めていますから、学校にはいませんよ」
「なんだと?」
古泉に向けた俺の表情は、鏡がないんだから確認しようがないんだが、どうやら抗議めいたものだったらしい。
めずらしくあわてたように、
「いえいえ、僕はきちんと止めましたよ。いつもとは違い、かなり食い下がったつもりです。
涼宮さんと言い争い一歩手前までいくなんて初めてでしたからね。閉鎖空間が発生しないかヒヤヒヤものでした。
しかし、どうやってもあそこにいると言い張りまして。ああなったら、てこでも動かないことは
あなたもよくご存じでしょう?」
しかし、何でまた前線基地にいるんだ? 敵の襲撃が予想されるのはわかるが、
総大将がいる必要もないだろうに。
「何となく予想がつきますけどね」
古泉はくくと苦笑し、
「涼宮さんはあなたの帰還を学校でただ待っているなんてしたくなかったんですよ。
ぼーっとしているといろいろ悪いことを考えたりしますからね。何かして気を紛らわせたかったんでしょう。
あとは……」
古泉がちらりと背後を見る。そこには朝比奈さんが相変わらずのナース姿でこちらに走ってきていた。
「鶴屋さんのことを直接言いたくなかったんではないでしょうか。これはあくまでも僕の推測ですけどね」
「キョンく〜ん!」
息を切らせて走ってくる朝比奈さんに、俺は激しく逃げ出したい衝動に駆られた。こんな気分は初めてだ。
「よかった……無事だったんですね……!」
感激の涙を浮かべる朝比奈さんに、俺の心臓はきりきりと痛んでしまった。この後、確実に聞かれるんだ。
鶴屋さんのことについて。
「本当に心配したんですよぉ……。学校からはなにも見えなくて、どうなっているのか全然わかりませんでしたから」
「ええ、いろいろありましたが、無事に帰って来れてなによりです」
「あ、あと、鶴屋さんは?」
この言葉とともに、俺は心臓がつかみ出されたのではないかと言うぐらいの痛みが全身に走った。
だが、次に朝比奈さんが言った言葉は予想外のものだった。
「古泉くんから聞いたんですけど、鶴屋さん、足を怪我してどこかの民家に隠れているんですよね?
あたしもう心配で心配で……」
俺ははっと古泉の方を振り返ると、ウインクで返してきた。この野郎、しっかりと朝比奈さんに事前に告げておいたのか。
変なところで気が利きやがる。でも助かった。そして、つらいことをいわせちまってすまねえ。
「鶴屋さんは無事ですよ。いつものまま元気です。ただ、ちょっと動くには厳しそうなんで、
ばかげたドンパチが収まるまで隠れていた方が良いと思います。幸い、隠れ家には食料もあるらしく、
3日間隠れるには十分だそうですよ」
「無線とかではなせないんですか? あたし、鶴屋さんの声が聞きたくて」
俺はぐっとうなりそうになったが、ぎりぎりで飲み込む。
「えーあー、無線ですか、あー無線なんですけど、なにぶん学校から離れたところにいる関係で、
あまり連絡できないんですよ。敵に――そう敵に傍受されて発信源を突き止められたらまずいですからね」
「そうなんですか……」
がっくりと肩を落とす朝比奈さん。すみません、本当にすみません……!
でも、朝比奈さんはそんな俺の大嘘を信じてくれたのか、
「仕方がないですね。みんな大変なんですから、あたしばっかりわがままは言えませんし」
「3日経てば、また会えますよ。それまでがんばりましょう」
何とか乗り切れたか。こんな嘘は二度とつきたくねえ。
と、朝比奈さんはいつものかわいい癒しの笑顔を浮かべて、
「あ、そういえば、皆さんご飯まだなんじゃないですか? 長門さんがカレーを作ってくれたんです。
ぜひ食べに来てください」
神経が張りつめたままだったせいか気がつかなかった。学校中を覆うカレーのにおいに。
「食べて」
食糧配給所になっていた教室で待ちかまえていたのは、迷彩服の上に割烹着を着込んだ長門だった。
これだけ見ると、あの正確無比な砲撃の指揮官とは思えない。ちなみに朝比奈さんは作業があると言って、
またぱたぱたとどこかへ行ってしまった。
「すまん、もらうぞ」
「いただきましょう」
俺は紙製の皿にのったカレーを受け取ると、がつがつとむさぼるように食いついた。
よくよく考えれば、15時間近くなにも食べていない。戦闘中は携帯していた水筒の水ぐらいしか口にできなかったからな。
「おいしいですよ、長門さん」
こんな時まで格好つけたように、優雅にカレーを食する古泉。全くどこまで行っても余裕な奴だぜ。
しかし、長門は大丈夫なのか? 相当疲労もたまっているはずだろ。
「問題ない。身体・精神ともに異常は発生していない」
そうか。それならいいんだが、あまり無理はするなよ。
「今のわたしにできるのはこのくらい。できることをやる。それだけ」
「でも、あきらめるのが少し早すぎるのではありませんか?」
背後から聞こえた最後の台詞は俺でもないし、古泉でもない。どこかで聞き覚えがあるようなと思って振り返ると、
「なぜ、ここにいる」
長門の声。トーンはいつもと変わらないが、内面からにじみ出ている感情は【驚】だとはっきりと見えた。
声の正体はあの喜緑さんだったからだ。生徒会の人間であり、また長門と同じく宇宙的超パワーによって作られた
対有機生命体インターフェース……で良かったんだよな? 北高のセーラー服を纏っているが、
やたらとそれが懐かしく見えるぜ。
424 :
VIP乙女:2006/12/05(火) 01:31:33.84 ID:B9ZdDm7T0
楽しみにしてたけど
眠すぎるからもう寝る。あとでまとめて読みまする、おやすみくる。
「私の空間・存在把握能力で確認した限り、ここには存在していなかったはず」
「この固定空間での時間座標で10分ほど前にこちらに来ました」
ひょうひょうと喜緑さん。ちょっと待て、最初はいなくてさっき来たと言うことは……
長門はカレーをすくってお玉から手を離し、喜緑さんの元に駆け寄る。
「この空間に干渉する方法を有していると判断した。すぐに提供してほしい」
「残念ながら、それは無理です」
「なぜ」
「外側から必死にアクセスを試みて、本当にミクロなレベルのバグを発見することができました。
ここにはそれを利用して侵入しましたが、現在は改修されています。同じ手で、ここから出ることはできません。
思った以上にこの世界を構築した者は動きが速いです」
喜緑さんの言葉に長門はがっくりと肩を落として――いや、実際には1ミリすら肩を動かしてもいないんだが、
俺にはそう感じた。
「不用意。打開のための機会を逃したのだから」
「すみません。外側から一体どんな世界になっていたのかわからなかったんです。
まさか、こんな得体の知れないものが構築されているとは思いもよりませんでした」
めずらしく非難めいたことを言う長門を、あの生徒会室で見せていたにこにこ顔で受け流す。
「しかし、一つの問題からこの世界に介入することが可能だったのは紛れもない事実です。
なら、まだ別の方法が残されていると思いませんか?」
「…………」
喜緑さんの反論じみた台詞に、長門はただ黙るだけだ。
どのくらいたっただろうか。俺のカレー皿が空になったが、空腹感が埋まるにはほど遠くおかわりがほしいものの、
なんだか気まずい雰囲気の中でそれもできずにどうしたものかと思案し始めたくらいで、
「わかった」
そう返事?を長門はした。さらに続ける。
「協力を要請する。この空間に関しての情報収集及び正常化を行いたいと考えている。
ただし、私一人では効率的とは言えない。状況は悪化の一途をたどっているため短時間で完了する必要がある」
「もちろんです。そのためにここに来たのですから。お互い、意志は別のところにありますが、
現在なすべき目的は一致しています。問題はありません」
なにやら交渉がまとまったらしい。二人は食糧配給所の教室から出て行こうとする。
おいおい、こっちの仕事はどうするんだ?
「するべきことができた。そちらを優先する。現在の仕事は別の人間に変わってもらう。問題ない」
「砲撃の指揮はどうするんだ?」
「そちらは続行する。今持っている情報を精査した中では、私がもっとも的確にそれが行えると判断しているから」
長門の言葉にほっと俺は胸をなで下ろす。あの正確無比な援護射撃がなくなったら、
正直この先やっていく自信もない。しかし、一方でこの非常識世界をぶっ壊してくれるならそうしてほしいとも思うが。
「どちらも行う。状況に応じて切り替えるつもり。その時に最も有効な手段をとる。どちらにしても」
長門は俺の方に振り返り、
「私はあなたを守る」
さて、なにやら長門が頼もしい事を言ってくれたし、
少しながらこのばかげた戦争状態から脱出できる希望が見えてきたわけだが、
どのみちもうしばらくは俺自身もがんばらなければならないことは確実だ。
そのためにはいろいろとやるべきこともあるだろうが、
「台車でカレーを運搬するのを護衛するのは何か違うんじゃないか?」
「いいじゃないですか。腹が減っては戦はできぬというでしょう。これも生き延びるためです」
俺の誰に言ったわけでもない愚痴を、古泉がいつものスマイル顔で勝手に返信してきた。
今俺たちは、学校から前線基地へ移動中だ。別に散歩しているわけではなく、
2台の台車に乗せたカレー満載な鍋とご飯の詰まった箱を載せて、それを護衛している。
まあ、ストレートに言うとハルヒたちに夕飯を届けている最中というわけだ。
しかし、武装した10人で護衛して運搬するカレーとは一体どれだけの価値があるんだ。
「美味しかったじゃないですか、長門さんのカレー。犠牲までは必要ありませんが、厳重・確実に
涼宮さんたちに届ける価値は十分にあると思いますよ」
「それに関しては別に否定しねえよ」
実際にうまかったしな。腹が減っているからという理由だけではないほどに美味だったぞ。
護衛を担当しているのは、俺と古泉、他北高生徒10名だ。とは言っても、俺と古泉の小隊の生徒はいない。
さすがに疲労の色も濃かったので、今の内に休ませている。国木田もだ。今ここにいるのは、
その辺りをほっつき歩いていた生徒をかき集めて編成している。だんだん気がついてきたが、
生徒一人一人の戦闘における能力は全く同じだ。身体能力も銃の扱いも。そのため、生徒を入れ替えても
大した違和感を感じない。
そんな中、俺と古泉はカレー護衛隊の一番後ろを務めていた。古泉がこの位置を勧めていたのだが、
どうせ何か話したいことがあるんだろ。
「せっかくですし、お話ししたいことがあるんですが」
「……俺にとって有益なら聞いてやる」
「有益ですよ。それも命に関わる話です。ただし、内容はいささか不愉快なものになるかもしれませんが」
気分を害するような話は有益とは言えないんじゃないか? まあ、そんなことはどうでもいいが。
古泉は俺が黙っているのを勝手にOKと解釈したのか、いつもの解説口調で語り始める。
「まず、率直にお伺いしますが、あなたが生き残って鶴屋さんが亡くなった。この違いはなぜ起こったと思いますか?」
「俺は腰を抜かしてとっとと逃げ帰った。鶴屋さんは勇敢に戦い続けた。それだけだろ」
「言葉としては同じですが、意味合いは違うと思いますね」
どういう意味だ。もったいぶらないでくれ。
「敵は最初からあなたと鶴屋さんが植物園まで撤退することを阻止しようとしていなかったんですよ。
だから、あなたは犠牲者は多数でましたが、意外とあっさり戻れています。
これは、敵の目的は涼宮さんに自らの決定した作戦でぼろぼろに逃げ帰ってくる生徒たちの姿を
見せつけようとしていたのではないでしょうか」
「おい待て、それだと鶴屋さんもとっとと逃げれば死ななかったって言う気かよ?」
「率直に言ってしまえば、その通りです」
なんだかむかっ腹が立ってきたぞ。おまえは鶴屋さんの命をかけてやったことを非難するつもりなのか?
どうやら俺の内心ボイスが表情に浮かんできていたのか、古泉はあわてて、
「いえ、別に鶴屋さんの判断が間違いだったとは言っていません。逆に、敵から主導権を奪い去ったという点では、
これ以上ないほどの英断だったと思いますね。おかげで敵は一部の作戦を変更する必要までできた」
「公園南部を散らばった鶴屋さん小隊を追いかけ回す必要ができて、さらにロケット弾発射地点を守る必要ができた。
そのくらいなら俺にだってわかる」
「それだけではありません。敵は鶴屋さんを仕留める必要に迫られたんです。
必死にあなたたちを鶴屋さんと合流させなかったのはそれが理由だと考えていますね」
「何だと?」
「敵は涼宮さんに逆らう――そこまで行かなくても反抗する人物なんていないと踏んでいたのでしょう。
見たところ、ある程度は涼宮さんとその周辺の人物の下調べも行っているようですし。
ところが真っ先に鶴屋さんは涼宮さんの指示を拒否して、自らの意志で行動した。
これはこの状況を仕組んだ者にとって脅威であると映るはずです。明らかに予定外の人物ですからね。
だから、あの場で確実に抹殺する必要に迫られた。今後の予定に影響を及ぼさないためにも」
古泉の野郎の言うとおりだ。なんだかだんだん不愉快になってきた。有益な情報はまだか?
「今、これを仕組んだ者はこう考えているでしょう。何とか鶴屋さんは抹殺できた。
ところがどっこい、今度は別の人間が涼宮さんに反抗――それどころかある程度コントロールした。
ならば、次の標的は当然あなたですよ」
古泉の冷静な言葉に俺はぞっとする。突然、周辺の見る目が変わり、その辺りの物陰に敵が潜んでいて、
今にも俺を狙撃しようとしているんじゃないのかという不安が頭の中に埋まり始めた。
「ご安心ください。そんなにあっさりとあなたを仕留めるつもりはないと思いますよ。
なぜなら、あなたは涼宮さんにもっとも影響を与える人物です。敵も扱いは慎重になるでしょう。
下手に傷つけて一気に世界を再構築されたら、元も子もありませんからね」
古泉は俺に向けてウインクしてきやがった。気色悪い。
まあ、しかし、確かに有益な情報だったよ。敵が俺を第一目標としながら、早々に手を出せない状態らしいからな。
うまく利用できるかもしれん。珍しくグッドジョブだ古泉。
「僕はいつもそれなりに良い仕事をしているつもりですよ」
古泉の抗議じみた声を聞いた辺りで、ようやく前線基地の到着した。
なにやら前線基地ではあわただしいことをやってきた。窓を取り外したり、どこからか持ってきた鉄板を廊下などに
貼り付けている。ハルヒはここを要塞にでもするつもりか?
そんな中、ハルヒはトランジスターメガホン片手に指示をとばしまくっていたが、
「くぉらあ! キョン!」
俺の姿を見たとたんに、飛び出してきた。やれやれ、どうしてこいつはこう元気なんだろうね。だが――
「あんたね! 帰ったなら帰ったと一番にあたしに報告しなさいよ! いい? あたしは総大将にして総指揮官なの!
常に部下の状況を把握しておく必要があるってわけ! 今度報告を怠ったら懲罰房行きだからね!」
怒っているのに、顔は微妙に笑顔というハルヒらしさ満点だ、と普通の人なら思うだろ。
でもな、付き合いが長くなってくると微妙な違いに気づいちまったりするんだ、これが。
ハルヒは運んできた台車上のカレー鍋をのぞきこみ、
「なになに? カレー? すっごいじゃん、誰が作ったの?」
「長門だそうだ」
「へー、有希が作ってくれたんだ。じゃあ、みんなで遠慮なく食べましょう」
ハルヒは前線基地の建物に戻ると、
『はーい! よっく聞きなさい! 何とSOS団――じゃなくて、副指揮官である有希からカレーの差し入れよ!
いったん作業を止めて休憩にしなさい!』
威勢の良い声が飛ぶと、腹を空かした生徒たちがぞろぞろとカレー鍋に集まり始めた。
ただ、その中にハルヒはいない。
「では、僕はいったん学校に戻りますね。あとはお願いします」
そう古泉は何か言いたげな表情だけを俺に投げつけて戻っていった。言いたいことがあるならはっきりと言えよ。
俺は前線基地とされている建物の中に入り、
「おいハルヒ。せっかくの差し入れなのに食わないのか?」
そう玄関口に寝っ転がっているハルヒに声をかける。
「あたしは最後で良いわ。あんなにいっぱいあるんだし、残ったのを独り占めするから。
その方がたくさん食べられそうだしね」
「そうかい」
俺はヘルメットを取り、ハルヒの横に座る。
じりじりと日が傾き、もう薄暗くなり始めていた。がやがやとカレー鍋に集まる生徒たちの声が建物内に響いているのに、
「静かだな……」
「そうね……」
俺とハルヒは共通の感想を持った。
「あんなにいた敵はどこに行っちゃったのかしら。てっきりすぐにまた攻撃して来ると思ったのにさ。
ちょっとひょうしぬけしちゃったわ」
「来ないに越したことはないだろ。まあ、そんなに甘くはないだろうけどな」
――またしばらく沈黙――
「大体、何で連絡くれなかったのよ。いろいろ考えちゃったじゃない」
「何だ、心配してくれたのか?」
「あったりまえでしょ! 部下の身を案じるのは上官なら当然よ、トーゼン!」
――ここでまた会話がとぎれる。そして、もう日がほとんど降りてお互いの表情も見えなくなった頃――
「ねえ……キョン……あ、あのさ……」
「なんだ?」
「その……」
「はっきり言えよ。どもるなんて珍しいな」
――それからまた数分の沈黙。俺はただハルヒが話を再開するのを待ち続け――
「その……鶴屋さんなんだけどさ。なんか……言ってなかった?」
「何かって何だよ?」
「……恨み言とか」
俺はハルヒに気づかれないように、視線だけ向けてみる。しかし、もう辺りは薄暗く、その表情は読み取れなかった。
「そんなこと言ってねえよ。また学校で会おうだってさ。いつもと同じだった――最期まで」
「そう……」
ハルヒが俺の言葉を信じたのか信じていないのかはわからなかった。ただ、明らかに落ち込んでいるのはわかった。
いつものダウナーな雰囲気どころではない。完膚無きまで叩きのめされているような感じだ。あのハルヒが。
それを認識したとたん、激怒な感情がわき上がる。額に手を当てて必死に我慢しないと、すぐに爆発しそうなほどだ。
あのハルヒをこんなになるまでめちゃくちゃにしやがった。絶対に許さねえ……!
433 :
一生足軽:2006/12/05(火) 01:33:46.79 ID:GWtMerwc0
支援
今日のところはここまでです。
明日夜に予定が合えば続きを投下したいと思います。
ありがとうございました。
435 :
VIP皇帝:2006/12/05(火) 01:50:48.91 ID:GWtMerwc0
>>434 乙
いや、しかし、あれだな、
面白いけど素直にGJと言い辛いね・・・。
ごめん、ハルヒには珍しく人が死ぬ話だからかな。
436 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 01:52:18.52 ID:Caee3Yn90
437 :
VIP足軽の子:2006/12/05(火) 02:10:33.16 ID:jcuxnHLA0
乙です。
なんか、こう、はらわたのあたりが重く締め付けられるような感覚に囚われます。
キョンとシンクロしてる?
ところで、1文字下げ実践者が増えていますね。
わたしも、感嘆符と疑問符の後は1文字開けることを取り入れましたが、
PC標準のプロポーショナルフォントだと、効果があまり実感できないのが悩みどころ。
携帯で読んでる人には、等幅フォントなので違いが分かるんでしょうか。
438 :
VIP遊び人:2006/12/05(火) 02:44:52.79 ID:jshs0inC0
保守あげ
439 :
VIP村人x:2006/12/05(火) 03:19:30.41 ID:wv4AUqQl0
ほ
440 :
VIP村人P:2006/12/05(火) 03:51:44.42 ID:FqV+0MHE0
>>434 今回も良かったよ。まとめ読みすればいいんだけど、どこを移動してるとかの地図があると嬉しい。
普通のSSなら全く必要ないんだけど。
441 :
籠屋の銀二:2006/12/05(火) 04:34:35.54 ID:W/VEcJWRO
今追い付いたぁ〜
GMG乙!!
442 :
花魁:2006/12/05(火) 05:36:14.88 ID:VnJ/8TTo0
そうはい神崎!!
443 :
VIP村人v:2006/12/05(火) 05:37:45.17 ID:JrEvI6is0
保守、
戦場の続き超wktkwwwwwwww
444 :
I believe... ◆mtod1dSyOc :2006/12/05(火) 06:14:01.93 ID:DOh6DdP5O
人がいないタイミングで勝手に投下します。
>>24-36の続き
鶴屋さんの家で、あたし達は三人で座っていた。
冷たい体をコーヒーで暖めつつ谷口の治療を見ていた。
……谷口、ごめん。胸とかも叩いたし……痛かった?
「はははっ、涼宮らしくねぇな。まぁあんな一面も見れたからそんなに痛くねぇよ」
あんた……このこと誰かに言ったら殺すからね。
「わかってるよ。それでこそ涼宮だな」
谷口に助けられるなんて初めて。だけど今は本当にいてくれて助かってる。
「それでさ、ハルにゃんはどうするんだい?キョンくんとは別れちゃうのかな?」
そんなの別れたくないに決まってるわ。だけど……。
「また拒絶されるのが怖い……かなっ?」
あたしは沈黙を保ったけど、図星だとわかってるはず。
あの時、唇に触れたキョンの掌の感触が蘇る。また涙が滲んできた。
「涼宮、泣き足りないならまた泣いてもいいぞ」
……うっさいわよ。
「つまりハルにゃんはキョンくんが朝倉って娘とキスしたことより、自分がキスしようとしたのを拒絶されたことがショックだったんだね?」
というより、キスじゃなくてあたし自体が拒絶された気がしたの。
445 :
I believe... ◆mtod1dSyOc :2006/12/05(火) 06:14:41.73 ID:DOh6DdP5O
「ふ〜ん……なら呼ぶしかないね!谷口くん、よろしくっ!」
「了解しました、姉御!」
ちょ、ちょっと!
あたしの制止を振り切って、キョンはここに来ることになった。合わせる顔がない。
コーヒーを飲んで落ち着こうとすると、手が震えているのに気がついた。
「大丈夫だから落ち着きなって。ほら、お姉さんがついてるにょろよ」
鶴屋さんに抱かれ、あたしがゆっくりと呼吸を落ち着けていると、キョンはやってきた。
「ハルヒ……」
キョンの目が赤い。さっきまで泣いていたのだろうか。
「ごめん、ハルヒ。ごめん……」
鶴屋さんの手の中からキョンの手の中へとあたしは移動させられた。そのあたしを抱いたままキョンは涙を流していた。
何で……あんたが泣いてんのよ。
「お前を拒むつもりはなかったんだ、許してくれ……」
痛いくらいの力でキョンはあたしを抱き締めてきた。よかった……キョンに嫌われなくて。
もういいわよ。許すから……泣かないで。
頬を伝う涙を拭ってやり、頭を撫でてやった。キョンに何があってあたしに冷たかったのかはわからない。だけどもういい。
こうやってお互いの気持ちを伝えあうことが出来るようになったから。
あたしは鶴屋さんと谷口に礼を言って、泣き続けるキョンを連れて出て行った。
「畜生……こんなにお前に愛されてるのに、何で俺は上手く気持ちを伝えられないんだよ……傷つけちまった」
キョンは自分の目を拭いながらずっと自分を責めていた。
お互いにお互いを想いすぎてすれ違っているのかな……。
「……お前を突き離してたのはな、隠れてプレゼントを買うためだったんだ。信じてくれ……」
446 :
I believe... ◆mtod1dSyOc :2006/12/05(火) 06:16:23.48 ID:DOh6DdP5O
そう言ってあたしの目の前に小箱を泣きながら突き出してきた。
その突き出した右手には、さっきまで新品だった、あたしが叩き付けた壊れた腕時計が巻かれていた。
キョン……それ……?
「一足早いクリスマスプレゼント、もらったぞ。それはお返しと思ってくれても構わない、開けてくれ」
包みを剥がして箱を開けると、そこには指環が入っていた。
「……18になったら結婚してくれ。お前の気持ちすらわからないバカ野郎だが、本気なんだ」
うれしかったプレゼント、それを上回る驚き。……今なんて言った?
待ちなさい、キョン。あんた……正気?
「正気だ。……またお前を嫌な気持ちにさせるかもしれん。それでもまだ好きでいてくれるんなら……結婚してくれないか?」
あくまでも真面目な顔でキョンは返事をした。あたしも真面目に答えなくちゃいけない。
付き合えただけで幸せだった。それ以上は我慢してたのに、いきなり結婚とか言われてもビックリする。
それでも……うれしかった……。
保留……ね。これから18になるまで、ずっとあたしだけを愛し続けてくれたら結婚してあげる。だから、これは受け取っとくわ。
あたしはそう言うと、左手の薬指に指環をはめた。
「ハルヒ……ありがとう。もう、ずっと離さないからな……」
暗い夜道で、街灯に新品の指環と壊れた腕時計を照らされながらあたし達はキスをした。
あたしの心をもう一度幸福で満たすようなキスを、キョンはくれた。
あと一年近くかぁ……長いわね。でも大丈夫。いまからもう一度キョンとの関係を築きあげて行こうと誓ったから……ね。
一年後、さらに幸せであることを祈りながら、あたしはゆっくりとキョンの頬にキスをした。
おわり
以上です。スレ汚しスマソ
447 :
VIP村人e:2006/12/05(火) 06:33:45.64 ID:aHvEJ7ga0
448 :
VIP村人P:2006/12/05(火) 06:37:32.21 ID:i+N2abQVO
449 :
VIP村人b:2006/12/05(火) 06:39:16.36 ID:gApb9eDl0
450 :
ただの戦士:2006/12/05(火) 06:44:29.29 ID:DOh6DdP5O
>>449 話を長くしようと思ったけどネタ切れだったのさorz
ほんとはキョンとハルヒが付き合い出したタイミングで復活して、キョンにちょっかいを出してハルヒに絶望感を与えて涼宮ハルヒの出方を見るって話も書こうと思った。
451 :
VIP村人b:2006/12/05(火) 06:49:32.12 ID:gApb9eDl0
452 :
南蛮ムキトス:2006/12/05(火) 07:36:45.33 ID:0xZn7r+LO
おはよう保守
453 :
VIP商人:2006/12/05(火) 07:48:40.67 ID:vZr4RODTO
GJ!
454 :
散髪とめきち:2006/12/05(火) 08:15:17.40 ID:vZr4RODTO
保守
455 :
VIP村人Ecup:2006/12/05(火) 08:15:36.82 ID:NIll60vyO
朝の憂鬱な通勤電車から保守だぜ。混んでないのが唯一の救い……
456 :
VIP村人a:2006/12/05(火) 08:32:55.89 ID:MbUtDkGNO
>455
朝が空いてるなんてうらやましいな
田園都市線の朝はそりゃもう地獄だorz
457 :
VIP村人h:2006/12/05(火) 08:48:01.17 ID:S6vI1SqU0
458 :
VIP足軽c:2006/12/05(火) 09:15:25.66 ID:H+WUl8p30
6レスほど投下するです。一応以前書いたものの続きなんですが
文体とか統一感がないのは勘弁してくだちぃ。
459 :
458 1/6:2006/12/05(火) 09:18:49.38 ID:H+WUl8p30
虫歯と歯医者の下校編の続きです、今回は公園ー受付編で6レスほどです。
これまではこんな感じです。
http://www11.atwiki.jp/xgvuw6/pages/1627.html http://www11.atwiki.jp/xgvuw6/pages/1752.html 後ろにハルヒをのせ、ハルヒが指し示す歯医者の方向へと俺は自転車を押して公園内を移動した。
自転車に乗らないのは自転車に乗るなという公園の注意書きに従ってのことだったりする。
そしてさっきから何かいいたそうにしていたハルヒがやっと口を開いた。
「ねぇキョン」
ん、なんだハルヒ。
「キョンは何色が好きなの?」
さっきいわなかったっけか、青だな。しかしハルヒの声なんだか上ずってないか?
「青以外でよ、例えば黄色とかピンクとか白だとどれが好き」
おいそれってさっき俺がSOS団のみんなを例えた奴じゃ…
ハルヒお前はなんてわかりやすいんだ?
たしかハルヒが黄色で朝比奈さんがピンク、長門が白だったよな。
それにしてもさっきスーパーで言いかけてたのはこれだったのか。
ここで黒とか答えるほど空気が読めないわけではない俺だが
さてなんて答えたものか……。
ハルヒの様子を伺うと不安と期待が入り混じったような様子でこっちを見ている。
そんなハルヒを見ていたら正直に答えようかとも思ったが
さぁどうする、俺。
「キョン?」
あっあぁ色の話だよな、色、黄色だ、うん黄色がいいな。
「ホントに?」
嘘じゃないさ、黄色だ。俺はとっさに自分の正直な気持ちを答えていた。
そしてハルヒの表情が笑顔に変わり、それにつれ俺は自分の顔が赤くなっていくのを感じた。
それを悟られまいとして俺は更にハルヒに話しかけた。
460 :
458 2/6:2006/12/05(火) 09:21:17.38 ID:H+WUl8p30
そっそれにハルヒだって黄色が好きだろ?
今日だって黄色いのだし、と俺はハルヒのカチューシャを見ながら答えた。
「うんあたしも好き……えっ今日が黄色って、ちょっとなんで知ってるのよ?」
なんでって見ればわかるだろ?
それにしてもなんでハルヒはこんなに血相を変えてるんだ?
「みくるちゃんは毎日みてるけど大抵ピンクだし、合宿やプールの時の有希はいつも白だわ」
すまんハルヒ話が見えないんだが……。というかテンション高すぎないか?
「古泉君はしらないけどあんただって今日青だったじゃないのよ、しらばっくれないでよ!」
朝比奈さんは大抵ピンク……、長門はいつも白、そして俺は今日青?
ハルヒがいった言葉が俺の記憶を呼び覚ます。
部室をノックする習慣が無かった頃、幸運にも目に飛び込んできた着替え中の朝比奈さん
彼女が素肌に身に着けていたのはピンク色のそれだったような……。
次は教室に横たわり上履きに書かれている「長門」という文字を眺めていたとき
そういえば寝ころがった俺の視界の片隅でスカートの奥に白いものがチラチラしていたような覚えが……。
そして俺が今はいているのは青のトランクス。
つまりハルヒがいっているのは俺が彼女達の下着の色を……。
するとハルヒ、お前今日は黄色(ゴンッ!)、ハルヒにグーで殴られた。
「なっなんてこというのよ、このスケベ!」
おいハルヒ落ち着け誤解だ、俺にはそんなつもりはない。
「うるさいわね、このエロキョン!変なこと想像しないでよね」
だから誤解だってハルヒ、俺の話をきけ。
俺ともみ合っているうちにバランスを崩したのかハルヒは自転車の荷台から落ちそうになった。
そして冷静さを欠いていたためか運動神経抜群のハルヒにしては珍しく隣の芝生へと倒れこんだ。
早くも甘いぜ支援
462 :
458 3/6:2006/12/05(火) 09:23:26.68 ID:H+WUl8p30
芝生の上にうつ伏せに突っ伏しているハルヒをみて、あぁ確かにハルヒは今日黄色なんだなと俺は確認した。
つまりそのなんだ小学生あたりがよく言う「パンッ、2ー、○、見え」な状態、それが今のハルヒだった。
俺は自転車を置き倒れているハルヒに近づきとりあえずハルヒのスカートの乱れを直した。
まわりに人が見当たらないとはいえどこから人がくるかわからないからだ。
「ちょっとキョン! 変なところ触んないでよ!」
おっハルヒ大丈夫か? 怪我はないか?
「平気よ、芝生がクッション代わりになったから」
そうかハルヒが無事でよかったな。しかし真っ赤だなコイツ、まぁ当然といえば当然か?
「まぁいいわ、一回だけあんたの言い訳を聞いてあげる、下らない言い訳だったら死刑よ死刑!」
俺に恥かしい格好を見られたのを誤魔化すかのようにハルヒは唐突に話を変えた。
但し立ち上がったハルヒの顔は赤いままなのであまり効果はなかったが。
まぁいい、よし俺の話を最後まで聞いてくれ
まず俺が黄色いといったのはお前の頭にのってるカチューシャのことでそれ以外の意味はない。
「えっ黄色ってこれのこと?」
そうだ、それに朝比奈さんがピンクってのも彼女のイメージをそのまま口にだしただけだ。
お前だって朝比奈さんを色にたとえるとピンクだと思うだろ?
「それはそうだけど……」
長門の白だってさっきもいった通り有希=雪って連想からだ。
「そっそうなの?」
そうだ全部お前の早とちりだ。
「でもさっき見たでしょ、あたしのその……、そっちはどうなのよ」
あれは不可抗力で偶然の事故だ、誰の責任でもない。
「それでもキョンに見られたのには変わりないわよ、キョンが悪いに決まってるわ!」
トコトン理不尽な奴だな、まぁショックだったというのはわからんでもないが……。
仕方が無い奥の手を使うか。
463 :
458 4/6:2006/12/05(火) 09:31:02.66 ID:H+WUl8p30
まてまてハルヒ逆に聞きたいんだが
ハルヒはなんで俺の今日のトランクスの色を知ってるんだ?
「しっ知らないわよそんなこと、話をそらさないで」
嘘をつくな、さっき青っていってただろ。いつみたんだ?
「……午前の時よ、保健の自習が退屈だったんで外を見たら男子は体育でラグビーしてて
そしたらアンタがタックルされてジャージが半分脱げてそれで……」
それで俺のトランクスが見えたと……。
「そっそうよ、悪い?偶々よ偶然、別にずっとキョンを見てた訳じゃないわよ」
ハルヒはかなり照れてるようだ顔を真っ赤にしながら答えている。
まぁ偶々ということにしておこう、俺だって体育のときのハルヒを目でおってしまうことがある。
もちろん偶々で偶然にだ、そこっ笑うな。
なんだ結局ハルヒだって俺の見たんじゃないか。
「ちょっとくらいいいじゃない、見たって減るもんじゃなし!」
そう来たかこいつめ、よしわかったお前も俺のを見たんだよな?
だからこれでおあいこだ、いいな?
「えっおあいこって駄目よ、キョンのとあたしのとじゃ引き合わないわ!」
俺の一回じゃ足りないのか? じゃぁ明日も俺のを見るか、多分赤いトランクスだが。
なんだったら明日といわず今週一杯見せてもいいぞ。
「ちょっとキョン莫迦なこといわないでよ」
ハルヒはちょっと笑いながら俺に話しかける。機嫌が直ったようだ。
「でもいいわ許してあげる、さぁ歯医者にいくわよ!」
笑顔を取り戻したハルヒを自転車の後ろに乗せ俺達は歯医者へと向かった。
464 :
458 5/6:2006/12/05(火) 09:35:01.76 ID:H+WUl8p30
「あらここみたいよ」
あぁそうらしいな。
一見するとごく普通の歯科診療所だが実は機関御用達。
しかし外見に惑われてはいけない、油断は禁物って奴だ。
インターフォンを押し来意をつげると、歯科衛生士と思しきひとが俺達を中に招じ入れた。
「とりあえず受付をしましょう、この問診票に記入してください」
渡された問診票に記入する俺達。
えぇと住所、氏名、性別、生年月日とそれとアレルギーはないよな。
痛みありでと痛みは急にと……。
なんだ?妊娠中若しくはその恐れがあるか? ってのは、あぁなんだ女性だけへの質問か。
俺には関係ない、が……まさかハルヒは妊娠とかそんなことないよな?
少し不安を感じた俺はそれとなくハルヒの様子を伺った。
「ちょっと何のぞいてんのよ、やらしいわね」
コイツは相変わらず感が鋭いな、あぁハルヒ書き終わったのか?
「キョンこそどうなのよ、どれ見せて頂戴」
こら人のを勝手にとるな。相変わらずハルヒは行動が素早い。
「いいじゃない、見たって減るもんじゃなし」
またそれかよ……。
465 :
458 6/6:2006/12/05(火) 09:36:51.84 ID:H+WUl8p30
すると「書き終りましたか?」と後ろから声をかけられた。
服装から判断するにこの人が歯医者さんのようだ。
いかにも日本のお母さんって感じの先生、この人なら任せても大丈夫そんな安心感を感じた。
機関の人選も中々のものだ、歯医者が怖いハルヒでもこれなら安心して治療を受けられそうだ。
とはいえ腕の方も超一流に違いない。
意外と大学のエライ先生だったりするんじゃないだろうか。
二人してお母さん先生(と勝手に呼ばせてもらうが)に挨拶をし
「終わりました、よろしくお願いします」といってハルヒは俺の分の問診票も合わせて
お母さん先生に渡してしまった。
ハルヒがなんて書いたのか気になったがいまさら見る訳にはいかない。
お母さん先生は俺達の問診票を確認し俺達に話しかけた。
「……お二人ともアレルギーは無しで投薬の制限も無しと……」
薬の制限無しか、するとハルヒは心あたり無しに○か……、まぁそうだよな。
わかってはいたことだがおれはちょっとだけほっとした。
「それでは二人一緒に診察します、お二人ともこちらに来てください」
ハルヒの表情がちょっとだけ曇ったが俺はハルヒに声をかけ一緒に診療室に入るように促した。
466 :
458:2006/12/05(火) 09:38:42.62 ID:H+WUl8p30
以上です、失礼しましたです。
GJ!!!
歯医者に行く前から甘甘でどうするwww
これは歯科医の陰謀かっっw
468 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 09:51:22.80 ID:gApb9eDl0
GJ!
俺も長いのかいてみようかな
470 :
VIP盗賊:2006/12/05(火) 10:27:19.79 ID:zUVbMeVzO
>>373だけど今起きた
ヤベ午前の授業全滅orz
歯医者の人GJ!
で昨日言ってたヤツはじまりだけ書いたんだけど、投下OK?
471 :
VIP村人c:2006/12/05(火) 10:33:08.97 ID:MbUtDkGNO
>460
乙です
>470
合掌
472 :
VIP盗賊:2006/12/05(火) 10:37:49.21 ID:zUVbMeVzO
#携帯だとめちゃ書きにくい…
一応第一話前半(?)
8レスほど
↓んじゃ投下します
ある日の夕暮れ。
あたし達SOS団のメンツは、あの坂道を集団下校で下っている。
いつものようにみくるちゃんと話をしながら、時々後ろでなにかコソコソ話しているキョンと有希がさっきから気になって仕方がない。
古泉君もたまに口を挟んでいるけど、それだけじゃあたしの微かな苛立ちは消えなかった。
――キョンのバカ。
自分の苛立ちをもてあそびながら、坂が終わる所まで来たとき、あたしは気付いた。
光陽院学園の制服を着たショートカットの女子が一人、電柱にもたれ腕を組んで立っている。
様子からして誰かを待っているみたい。
と、その少女がくるりとこちらを向いた。あたしは少なからず驚く。
あら美少女だわ。
美少女といっても、みくるちゃんとはタイプが違う。
あたしより身長も高めでスレンダーな体格。
スカートからのぞく足は細いながらも健康的で、モデルみたい。
そして何よりも強い意志を漆黒の闇に宿した切れ長の目。吸い込まれそうなほどキレイ。
同じ女であるあたしが惚れ惚れとしてしまう程の美人は、あたし達を見るなり、口許だけでわずかに笑った。不敵な笑み。
そしてその美少女の形の良い薄い唇が、次の瞬間紡ぎ出した単語にあたしは固まるしかなかった。
「キョン」
後ろでキョンの「う」と呻く声が聞こえた。
それがこの少女とキョンがただの顔見知り程度の関係ではないと物語っていて益々あたしは血の気が引いた気がした。
戦慄。
あたしの頭には、
――誰、この子?
がリフレインして不協和音を奏でていた。
キョンはひとつため息を吐くと、
「なんでお前がここにいる」
と苦々しく云った。
対する少女はキョンの態度を意に介することなくこちらに近付きながら話す。
「紹介してくれと言っただろう」
話し方が男の子みたいな子ね。似合っているけど。
再びキョンのため息。
二人の遣り取りに内心首を傾げていると、突然あたしの左肩にポンと手が置かれた。
びくっと思わず肩をすくめてしまう。
ゆっくり頭を動かしてキョンを振り向くと、キョンの方もビックリした顔であたしを見下ろしていた。
「なに驚いてんだ?」
「……いきなり肩叩かれたからびっくりしただけよ」
あたしが目をそらしながら答えると、キョンは「そうか」とだけ云って、前に向き直った。
「こいつが涼宮ハルヒだ」
『こいつ』って言うな。
――って、紹介ってあたしのこと?
「ああ、見た感じ多分そうだろうなとは思ったけど」
前にいる少女はあたしの顔をまじまじと眺めながら言った。
ぐらついていた精神を持ち直しはじめたあたしは、それを怯むことなく受けたつ。
負けたくない。『何に』かはわからないけど。
数秒の沈黙。それに耐えれなくなった情けないキョンの声があたし達の間に割りこんできた。
「ハルヒ、ええとこいつはだな――」
と紹介しようとしたキョンを遮って少女があたしに向かって名乗った。
「はじめまして、涼宮ハルヒさん。私はキョンと同じ中学だった、
『アサクラリョウコ』といいます」
――は?
今何て言ったの?
「アサクラ――リョウコ?」
「そう」
まったくこちらの反応を気にせず、『アサクラリョウコ』と名乗る少女は、少年みたいな無邪気な笑みでにっこり笑ってみせた。
あたしは『アサクラ』の顔を凝視しながら訊く。
「どんな字を書くの?」
「朝昼夜の朝に倉庫の倉、涼しい子と書く」
その言葉にあたしは息を飲んだ。
朝倉涼子――
突然1学期の途中でカナダに転校した元クラスメイトを思い出す。
親しくなかったけれど、この目の前にいる少女はまったくの別人だということは判断できた。面影すらない。
だけど――と思う。
キョンの元同級生が同姓同名?出来すぎている。キョンからそんな話題一言も聞いてないし。
怪しい――凄っく怪しい。
あたしは猜疑心よりも強く好奇心を抱きはじめた。
思わず口許が綻ぶ。
これは調査の必要ありね。
あたしは『朝倉』に微笑み返した。
「ハジメマシテ、あたしがSOS団団長の涼宮ハルヒよ」
そして隣で呆然としたままのみくるちゃんの肩を勢いよく引き寄せる。
「この子はみくるちゃん。で、この子は有希で、こっちが古泉君よ」
と、後ろにいた有希と古泉君を指しながら紹介した。
「どうもはじめまして、古泉一樹です」
古泉君は前に進み出て『朝倉』に握手をもとめた。
「よろしく」と『朝倉』は差し出された手を握り返す。
うーん、古泉君なんかちょっと積極的じゃない?相手が美人だからかしら。やっぱり男の子なのね。
あたしの腕の中で縮こまっていたみくるちゃんも我にかえって「は、はじめまして!!」と深々とお辞儀した。
相変わらず一挙一動かわいらしいわね……
有希はと言うと無言で僅かに頭を縦に動かした。お辞儀……かしら。
「はじめまして」
みくるちゃんと有希の方を見ながら『朝倉』は微笑んだ。
さあ。
ここからが本題よ。
あたしは『朝倉』に向き直った。
「ところで一体何の用かしら、このSOS団団長のあ・た・し・に」
「……何の用と言われてもな……」
『朝倉』は少し困った顔をした。
ふふん、これは勝ったわね。
そこ。『だから何に』というツッコミは却下よ。
『朝倉』はというと、少し考えこんでから、何かを閃かせた顔になり、あたしに向かってさらりと言い放った。
「一番近い表現だと、『現物調査』か?」
「「は?」」
キョンとハモった。
今まで渋面をつくって黙っていたキョンも、この言葉は寝耳に水だったらしい。心底唖然としている。
『朝倉』は人の反応におかまいなしという性格らしく、さらに続けた。
「噂の『涼宮ハルヒ』という人物がどんなヤツなんだろうと思ってな」
――ほんっと失礼な言い草ね。しかもバカ正直。
……コイツちょっと変な女だわ
あたしが黙ったまま呆れかえっていると、『朝倉』はにんまり笑った。
「いや、本当に気が強そうな美人だな」
美少女に美人と言われた。
言った本人の顔からして嫌味でもなんでもないみたい。純粋にそう思ってるみたいね。
なぜかあまり嬉しくないけど。
しかし、この後続いた言葉にはさすがのあたしでも赤面せざるを得なかった。
「キョンは面食いだしな」
――え、え、えぇえ!?
「何を言い出しやがる!?」
キョンの大声が響いた。横目でちらりとうかがうと、キョンの顔も赤い。
対して『朝倉』は詰め寄るキョンにも平然と、
「違うのか?」
「……確かに顔がよいのにこしたことはないが……頼むから、誤解を招くような発言はよしてくれ……」
キョンは疲れきったようにうなだれる。
あたしは赤くなった顔を隠すためにうつむいたまま、
――何を誤解?
――誰が誤解?
と頭の中で繰り返した。
「とにかく」
平静を持ち直したキョンはため息混じりにうんざりと『朝倉』に告げた。
「お前はもう帰れ」
「言われなくてもそうするが――」
「――ちょっと待って!!」
あたしはすかさず声を上げた。
その声にキョンがギョッとした顔で振り向く。
あたしは思い付くまま話し始めた。
「ねえ、『朝倉』さん、今日はこの後予定あるかしら?」
「いや何も」
「なら、今からあたしの家……ううん、この子の家に一緒に行かない?」
と、背後にいた有希を引き寄せた。有希は無言。
「あのなあ、ハルヒ、勝手なことぬかすな――」
「いいよ」
抗議しかけたキョンを無視して、『朝倉』はあたしの提案に快諾した。
その横でキョンがヒクヒクと口許をひきつらせている。
ふふん、あたし達が親交を深めると何か困ることでもあるのかしらね?
「そう、なら早速行きましょ!みくるちゃんもよ!!」
と有希とみくるちゃんの手を両手にとって引っ張る。
みくるちゃんは「は、はーい」と慌てながらついてきた。有希は相変わらず無言。
そしてあたし達の後を『朝倉』が、さらにそこにキョンが「待て」とか往生際悪く抗議しながら追い掛ける気配。
もう、いちいちうるさいわね!
あたしはキョンに向かって一喝しようと振り返ると――
『朝倉』がキョンの鼻先に指を突きつけ言い放った。
「お前はもう帰れ」
実に愉しそうな『朝倉』の顔。
反面顔を思いきりしかめるキョン。
その様子を見てたら、なぜかあたしも負けじと何かを言いたくなった。
「今日は女の子だけで語りあうのよ!!男子禁制!」
はいキョンの負け。
あたしの言葉にがっくりと肩を落として、盛大なため息を吐くキョン。
その後ろで古泉君が肩をすくめて笑っていた。
あたしは満足して再び有希のマンションに向かって行進を始めた。他の女子3人も後に続く。
後ろの方でキョンの「やれやれ」というぼやきが微かに聞こえた。
続く
以上です。
続きはでき次第投下する予定ッス
481 :
VIP勇者:2006/12/05(火) 10:50:33.43 ID:xeh2Oyti0
gj
482 :
VIP村人c:2006/12/05(火) 10:54:04.51 ID:MbUtDkGNO
乙
いつ出来るかな?
483 :
VIP奴隷:2006/12/05(火) 11:12:58.94 ID:zUVbMeVzO
>>481d
>>482d
気のむくまま書いているから、正直わからん。今週中には第一話後編を書きあげたいと思う。
しかし携帯だと漢字変換ままならねえ…
学校のパソでも使うかな…
484 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 11:21:26.91 ID:gApb9eDl0
人いないなぁ。
なんかお題くれ!暇つぶしに書いて見る。
485 :
VIP遊び人:2006/12/05(火) 11:28:31.48 ID:M6aq2oJQO
冬 危機 世界
486 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 11:41:05.17 ID:gApb9eDl0
487 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 12:05:31.18 ID:gApb9eDl0
誰もいないけど灯火
488 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 12:05:44.83 ID:gApb9eDl0
「ふう、寒い。みんな寒くねえのか?」
真冬も真冬。高校三年生となったSOS団のメンツ(朝比奈さんは大学生)は同じ大学を受験する為にみんなで某大学へ向かっていた。
みんな同じ教室で試験を受けるんだ。どこまでも仲の良い集団だ。まあハルヒがそう望んだんだろうが。
「ホント、嫌になるくらい寒いわねぇ。」
「その通りかと。」
「そう。」
何のコントだ? と聞きたくなるようなタイミングで同意を得た俺は実は、今日不合格をもらったら浪人が確定するのだった。
「キョン!昨日はしっかり勉強したの?」
「そりゃ必死に勉強したさ。」
「SOS団全員そろって同じ大学行くのよ! 危ないのはアンタだけなんだからね!」
そうだった。朝比奈さんはもう去年合格している。長門とハルヒはとんでもなく頭はいい。古泉も頭はいいが、学部が俺たちと違い、レベルが高くなってるがコイツなら受かるだろう。
489 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 12:05:56.68 ID:gApb9eDl0
古泉が俺にだけ聞こえる音量と距離で話しかけてくる。
「実は僕も受かるかどうかあやしいんですよ。最近、涼宮さんが「キョンが落ちたらどうしよう」と閉鎖空間を頻発してまして。
おかげで勉強する時間はおろか寝る時間もないのです。それも、閉鎖空間がどんどん巨大化してます。もしあなたが落ちたら世界は崩壊するか再構築されるでしょう。」
古泉よ、俺がプレッシャーに弱い人物だって知っていたのか?
「キョン! 何を話てるのよ! 今日は試験なんだから単語帳でも読んでなさい!」
はいはい、と。えーっとコレは何て意味だったかな? あれ?
「危ないキョン!!」
490 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 12:06:09.51 ID:gApb9eDl0
ズフォ
俺は盛大に雪の上で滑った。
「受験当日に滑って転ぶとはとんでもない縁起の悪さですね。それともギャグですか?」
何を!?と文句を言おうとしたが古泉の顔色がさえない。目が「閉鎖空間が発生した」と言ってる。
受験生はそんなにナーバスなのか?
「大丈夫?」
ああ、ありがとう長門。長門の手を取って立ち上がると、また俺は吹っ飛んだ。
「何よキョン! 何でそんなに平然としていられるの? 今日はみんなが同じ大学に入れるか決める日なのよ!??
みんなと居たくないの? もっとしっかりしなさいよ!」
ああ、俺はハルヒに殴られたんだな。長門は何で俺の前にいるんだ?
そうか、俺が手を取ったままだったからお前まで巻き込んでしまったんだな。
「すまん長門。」
抱きかかえたような格好の長門に着いた雪を払ってやって、抱き起こした。
491 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 12:06:19.69 ID:gApb9eDl0
「何で有希に謝るのよ!」
「いや、すまん。俺が無神経すぎた。」
「古泉君も何か言ってあげて!」
「そうですね、もう少し緊張感をもっていただけないか、と。」
「すまん。返す言葉もない。昨日は徹夜で勉強していたので寝不足気味なんだ。」
「ウソよ! 昨日アンタの部屋の明かり消えてたじゃない!!」
うちまで来てたのか。そんなに不安だったのか。
「俺の部屋の電気は消えていたかもしれないが本当に勉強してたんだ。」
「彼の言っている事は本当。今日起きられる自信がなかった彼は私に起こす事を依頼した。
私は彼の望みに近い結果を伴うよう、私の部屋で勉強を教えた。
それによって彼は寝不足であるが、学力は向上して試験に受かるだろうと予測される。」
ハルヒの表情が曇る。
古泉の携帯がなる。
俺は固まっている。
長門は無表情。
492 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 12:06:34.84 ID:gApb9eDl0
「遅刻する。急ぐべき」
長門のこの一言によって取りあえず進もうとした。
「申し訳ありません。先に行っててもらえないでしょうか?最初の試験に間に合うように帰ってきますので。」
そう言い、俺にコッソリと
「仲間が多数、神人に殺されました。なおも閉鎖空間は拡大を続けています。このままでは飲み込まれてしまいます。
僕は機関の力でなんとか合格しますのであなたもがんばってください。」
古泉は力なく笑って走っていった。
そうして一同無言のまま試験会場に着いた。
古泉の空席が目立つ。
そしてチャイムがなった。古泉は間に合わなかった。
俺は取りあえず試験に取り組んだ。そして一通り解いたあとに事件は起こった。
「さて30分たったのでここからは遅刻者は認められません。欠席になった生徒はこの後の試験も認められません。
そして、試験が終わった人は提出して退室して…」
そして世界は灰色になった。
493 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 12:06:47.33 ID:gApb9eDl0
ハルヒは古泉が落ちたと思ったんだろう。俺はハルヒに説明してやろうと思った。
しばらく見知らぬ土地(閉鎖空間)を歩いているとハルヒがいた。
「ハルヒ!」
返事はない。
「ハルヒ!!!」
返事はない。
駆け寄って俺が見たのもは…
古泉のしたいらしきもの。ハルヒの泣き顔。
俺は信じられなくて古泉のポケットをあさった。
『受験番号○○○○○古泉一樹』
そうして世界は崩壊した。
494 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 12:07:47.66 ID:gApb9eDl0
受験生のみなさんごめんなさい。浪人エンドにしようとしたけど世界崩壊させてしまいました。
受験生の方は、世界を崩壊させないように合格してください
495 :
散髪とめきち:2006/12/05(火) 12:21:39.88 ID:20nw44/J0
俺は去年(いや正確には今年か)合格したから気楽に読んだ。
甘いのばかりじゃなく、たまには鬱っぽいものがなくちゃな。
496 :
VIP神父:2006/12/05(火) 12:21:40.69 ID:M6aq2oJQO
>>494 俺の採用されたのか笑。
GJ!!
BADENDキタコレ
497 :
VIP村人x:2006/12/05(火) 12:29:09.49 ID:PL3YXK6O0
まあ、「すべる」「落ちる」「ころぶ」など言うと落ちるとか、
歩いていて転ぶと落ちるとか、そういう「落ちる」迷信は
頭に考えず、自分の力を信じて試験と戦ってください。
>>受験生ALL
498 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 12:30:23.55 ID:gApb9eDl0
たまにはBAD ENDもいいかな、とw
人いなさすぎるんで今度は甘めの投下しますか。
GJ!
甘いの期待。
500 :
VIP足軽j:2006/12/05(火) 12:57:22.80 ID:3B/Nsncm0
暮れてゆく年
去年よりものの増えた部屋
窓から見える変わらぬ景色
空から降り行く無数の粉雪
あの人から、あの人たちからもらったたくさんの大切なもの
言葉にはできないけど、とても大切なもの
私は私の部屋でゆっくりと感じていた
- ピンポーン -
突如鳴り響く来訪者のベル
私はゆっくり席を立ち、来訪者を迎え入れた
「おでんできたから一緒に食べましょ?晩御飯はまだだよね?」
「まだ」
前のような偽りではない笑顔
紺色の長い髪
朝倉涼子を、部屋に招きいれる
501 :
VIP足軽j:2006/12/05(火) 12:58:28.71 ID:3B/Nsncm0
If Story
- 朝倉涼子と長門有希の日常 -
502 :
散髪とめきち:2006/12/05(火) 12:59:05.93 ID:Y+yddBNVO
BADENDktkr
甘々なの頼むよ
503 :
VIP足軽ktkr:2006/12/05(火) 13:03:45.64 ID:3B/Nsncm0
………
……
…
「相変わらず、殺風景な部屋ね」
「そう」
朝倉涼子は部屋を見渡し、呆れる様に語る
「ま、キョン君が来てから多少物は増えたかな」
クスクスと笑ってコタツの上におでんの入った鍋を置いた
私は台所から二人分の食器を運んでくる
「さ、食べましょ」
笑顔で私に笑いかける彼女
彼女に促されて私も席に着く
大根
はんぺん
こんにゃく
etc...
舌が火傷してしまいそうな熱さの物を、ゆっくりと口に運ぶ
そして香りと味を感じる
504 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 13:05:06.38 ID:gApb9eDl0
支援
「相変わらずよく食べるわね?太っちゃうわよ?」
朝倉涼子が私を見てからかいながら言う
「問題ない、涼宮ハルヒの観察という任務においてエネルギー消費量は通常より高い」
私はいつもどおりの返事を返す
「そういうこと言ってるんじゃないんだけどなぁ」
「?」
朝倉涼子が少し身を乗り出す
「おいしい?長門さん」
そうやって純粋に聞いてくる
私は無言でうなずいた
「あは、よかった」
その笑顔は、とても綺麗だった
彼が来てから変わったのは私だけじゃない
朝倉涼子も同じように変化した
最初は任務の為に、その結果の為だけに動いてた朝倉涼子
しかし彼との出会いが、彼女に意思と言うものを与えた
そう、私と同じように
506 :
VIP下手人:2006/12/05(火) 13:12:02.34 ID:vZr4RODTO
支援
507 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 13:12:09.66 ID:gApb9eDl0
支援
508 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 13:14:36.26 ID:gApb9eDl0
長門「シュールに支援」
キョン「どんな支援だよ!」
何事もない、静かな日常
何事もない、緩やかな日々
三年前の私とは違う
何事もない、充実した生活
決して変わることのない運命、命令、任務
しかしそれを遂行していく日常のほうが変化していく
これは決して嫌なことではない
私と朝倉涼子の間にあった距離も、確実に縮まっていた
それは、何より
そう、嬉しいことだった
「長門さん」
朝倉涼子が言葉を発する
「何」
「明日の土曜日、ヒマ?」
無言でうなずく
確か今週の不思議探検は涼宮ハルヒの都合で中止されたはず
「そ?よかった、じゃあ一緒にどっか遊びに行かない?」
「何処へ?」
「まだ行ったことない動物園とか遊園地とか」
その笑顔は無邪気で、まるで子供のようだった
でも、その笑顔が、何より好きだった
510 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 13:17:40.15 ID:gApb9eDl0
長門「激しく支援する」
キョン「あまり激しいと逆効果だぞ?」」
私は無言で頷く
彼女の笑顔をもっと見ていたかったから
「ホント?じゃあお弁当の準備もしなきゃね」
そのあとは適当な世間話、そしていつもの情報統合思念体に対しての定時報告
そうやっていつもの日常を繰り返す
「じゃ、私はこれで」
朝倉涼子は席を立ち、私にウィンクしながら語る
「そう」
私も、じっと彼女を見送る
彼女を少しでも長く見ていたかったから
私とは違う、私の別の可能性
彼女は私の、大切な”トモダチ”
明日の予定を思いながら、私は窓の外の景色を眺めた
大切な日常
大切な仲間
大切な友達
世界にはありふれたもの
でも、ありふれているのは、それが本当に大切なものだから
誰しもが持っていたものを、私は持っていなかった
そう、彼が来る前まで
大切な長門有希としての日常
大切なSOS団の仲間
そして、大切な朝倉涼子という友達
私はそれが嬉しかった
だから、決して離さないと、離したくないと願った
そんな、ありふれた大切な物語
-fin-
唐突にごめんなさい、そしてサラバ
もう誰も覚えてないかもしれないけど朝比奈みくるの抵抗はもうちと待ってくださいm(_ _)m
>>513 朝比奈みくるの抵抗ずっと待ってました!
wktk!
515 :
VIP神父:2006/12/05(火) 13:43:25.12 ID:Y3Z3bhNMO
516 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 13:52:47.95 ID:gApb9eDl0
そしてこのタイミングで一時間前に予告した投下します
人がいたらだけど。
517 :
VIP神父:2006/12/05(火) 13:54:45.59 ID:Y3Z3bhNMO
wktk
518 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:55:17.00 ID:gApb9eDl0
俺はその日、朝から何かおかしかったんだ。
「キョンくんおっはよ〜!」
いつものように妹に飛びつかれて起こされた俺は何故か目覚め一番からテンションがありえないくらい高かった。
普段なら「妹よ、もっと優しく起こせないのか?」 くらい思うハズなのに
「おお、おはよう。いつもありがとうな。」 なんて口走っていたのだ。
「えへへ〜! ご飯だよ?」
よし! と、妹を抱っこしてしたまで降りてった。
「キョンくんやっさしぃ! 今日はどうしたの?」
そんな気分なんだ。嫌ならやめるが? と言った頃には下に着いていた。何でこんなに気分が乗ってるんだろうと考えたが気にしないことにした。
たまにはいいものだ。みんなに優しくしてやろう。うん、今日はそんな気分なんだ。
wktk
520 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:55:28.71 ID:gApb9eDl0
いつもよりハイテンションで学校へ行くと、俺とは正反対に不機嫌そうなヤツがいた。と言っても、あいつの場合は良くある事なんだが。
もちろんハルヒである。だけど今日はハルヒに話しかける前に国木田と谷口に捕まった。
「おはようキョン。」
「よう、キョン。」
ああ、おはよう。今日はクラス全体的に空気が沈んでないか?
「お前の後ろの席から出てる不機嫌オーラのせいじゃないか? キョンが中和してくれるのをみんな待ってたんだよ。」
そうなのか? 確かにクラスを見渡すと俺に期待の視線を込めてるヤツが多々いる。
「キョン!責任持って行ってこい!」
しょうがない団長様だな。よし、任せとけ!
「キョンが積極的に行くなんて珍しいね。じゃあ悪いけど任せたよ。」
521 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:55:43.88 ID:gApb9eDl0
「ようハルヒ。おはよう。何かあったのか?」
「何にもないわよ。」
ハルヒは窓を見ながら言った。
「そうか。それにしては多少不機嫌に見えるんだが気のせいか? 何かあったんじゃないのか?」
「気のせいじゃないわ。それに不機嫌になるのに理由なんてないわ。ただイライラする、それだけ。」
「なるほど。だがな、ハルヒは笑ってた方がいいぞ。いつも一緒に居る俺が言うんだから間違いはない。俺にできることがあるなら今日は遠慮なく言ってくれ。」
「考えておくわ。それよりアンタこそ何かあったんじゃないの? 妙に機嫌がいいみたいだし。」
ここでようやくこっちを向いた。多少機嫌が治っているようだ。
「そうなんだ。朝起きたら何故か機嫌が良くてな。理由はないんだが今日はみんなに、特にお前に優しくしてやらなきゃいけない気がしてな。機嫌がいいから優しくしてみようと思ったわけだ。」
「何それ? いつも優しくしてないって事? 機嫌で決めないでいつも優しくしなさいよ!」
「言い方が悪かった。いつもハルヒには優しいんだ。でも今日はその優しさが素直に表現できるんだ。」
ハルヒは少し驚いた顔でいたが、やがてまた窓に目をやって言った。
522 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:56:04.65 ID:gApb9eDl0
「あんた変よ。それに機嫌がよさそうなのが逆にムカつく。」
そこでチャイムが鳴り、同時に岡部が教室に入ってきた。クラスの雰囲気はいつも通りに戻ってる。
ハルヒよ、「ムカつく」とか言いながら少しうれしそうだったぞ?
さて俺は授業中機嫌が良すぎて真面目に授業受ける気にはならなかった。何があろうとあまり授業を受ける気にはなれない人種らしい。
そこで俺は機嫌が良い理由をふと思い出した。そうだ、昨日の事だ。なるほど、ここまで機嫌が良くなるのか。こんなに世界が変わって見えるのか。
523 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:56:22.80 ID:gApb9eDl0
昨日の事である。SOS団がハルヒの不機嫌によって中止になり、みんなに伝えようと部室に行ったら古泉と長門がいた。朝比奈さんはもう帰ったらしい。
「知っている。」
俺はまだ何も言ってないぞ? 何を知っているんだ?
「涼宮ハルヒの不機嫌による活動の中止。」
長門、もしかしてお前も不機嫌なのか? ハルヒが突然活動中止にしたから怒っているのか?
「そうではない。」
古泉はニヤニヤしてる。こいつのツラ見てたら不機嫌になりそうだ。何でコイツは笑顔でいられるんだろう。しかも今日に限っていつもより幸せそうだ。
「体内データを改ざんしてわたし自身を不機嫌という状態にしている。古泉一樹には逆に機嫌を良くなるよう改ざんした。」
なるほど。それをハルヒにやってやれ。世界は安定するぞ?
「それは推奨しない。彼女は特異なため異常に気付かれる恐れがある。」
そうかい。じゃあ俺の機嫌も良くしてくれないか?明日一日が終わるまででいいからさ。
「了解した。」
長門は不機嫌そうに呪文を唱え始めた。一瞬俺はブラックアウトした。
あれ、何で俺は部室にいるんだ? 意識が回復した俺は最初にそう思った。
ああそうだ、長門に機嫌を良くしてもらおうとしたんだ。
524 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:56:36.75 ID:gApb9eDl0
「お目覚めですか?」
ああ。なかなかの目覚めだ。おはよう、古泉。
「そう。」
おはよう長門、そしてありがとう。
「あなたのためにやったのではない。有機生命体のデータ取得のため。」
そうか。でも俺には何でもいいんだ。それとな、長門。不機嫌そうなお前もかわいいぞ? もちろんうれしそうなお前が一番可愛いがな。
「そう。不機嫌が治るメカニズムを解析した。満足した。帰る。」
そうかい。じゃあ明日はもっとうれしそうな顔を見せてくれよ?
「確約はしない。」
長門はそう言うといなくなった。
さて古泉。どうするか?
「機嫌がいいあなたはなかなか素直なようですね。」
そうかい。ありがとうよ。確かに機嫌が良いと悪いことは考えなくなるな。
「そうでしょう。涼宮さんにも、先ほど長門さんの機嫌を治したように接してもらえますか?」
いいだろう。ただ、この機嫌が持つ限りだがな。 そういって俺は思わず微笑んだ。
「うれしいですよ。ではそろそろ帰りましょう。」
そうだな、と言って帰宅した。
帰り道で古泉はこんな事言ってたな。
「僕が機嫌が良いのは今日までです。明日は普通の状態ですが、あなたは明日まででしょう?あなたは一見変に見えるくらい変わってます。周りの反応が楽しみですよ。特に涼宮さんの。」
まかせとけ。明日はハルヒが不機嫌になることはないだろうよ。
きっと機嫌が良くてこんな事言ったんだろうな。まあ機嫌が良い限り約束は守るつもりだが。
525 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:56:48.05 ID:gApb9eDl0
そんな回想をしていると何時の間にか昼休みになっていた。ハルヒは不機嫌そうだな。
「ハルヒ、これ持って部室に行っててくれないか?」
そういって俺は俺の鞄を渡した。
「何よ。あたしはこれから学食に行くのよ。後にしてくれない?」
「最近ハルヒと二人きりで話す事が殆どないからたまにはどうかと思ったんだが、ハルヒは学食だったんだよな、悪い。」
「何よ。本当にあんたキョン? まあいいわ。すぐに来なさいよ!」
ハルヒは俺の鞄を持って教室を出た。クラスからの好奇の視線はもはや気にならない。さて、と。
そうして俺は購買でパンとオニギリを買ってすぐ部室に向かった。
526 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:56:59.80 ID:gApb9eDl0
「遅かったじゃない。で、何?」
長門がいるかとも思ったがいなかった。そこにはハルヒが1人でいつも俺が座ってる席に着席していた。
「何って、俺はハルヒとたまには二人で食事もいいかなって思っただけだぞ?」
「なんだ、重要な話があるんじゃないのね? あたしはお弁当持ってきてないから学食で食べてくるわ。話ならその後でいいでしょ?」
「いや、その鞄に入ってる弁当食べていいぞ? 俺はこれを食べる。」
そういってパンとオニギリを見せた。
「用意いいわね! ありがたく頂戴するわ!!」
「ああ、がんがん食べてくれ。」
ハルヒは、俺が言い終わる前に食べ初めて、パンとオニギリの2つを俺が食べ終わる前に食べ終わってた。早すぎだろ。
「これじゃあ足りないわね。そうだ! 帰りにどっか食べに行きましょう」
「そうだな。ハルヒは何食べたいんだ?」
「そうねえ、有希にでも聞いてみましょう。じゃあキョンは後でみんなに言っておいてね!」
「わかった。いや、そうだな、たまには二人で行かないか?」
「えっ?」
「だから、俺とお前の二人で。別に変な意味じゃないぞ?」
「わかったわ! じゃあ何食べるかは考えといてあげる! もちろんキョンのおごりよ!」
「はいはい。」
その後は取り留めのない話をして昼休みは過ぎていった。
527 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:57:13.51 ID:gApb9eDl0
教室に帰って授業を一コマ受けた後の休み時間に長門、古泉、朝比奈さんの順に今日の活動は中止だという事を伝えた。
隠せば良かったであろう中止の理由を告げたら、長門には明日、ハルヒにした事と同じ事を長門にもしてほしいと言われた。
古泉は「がんばってください」の一言だけ。朝比奈さんは顔を赤くして「でででデートですかぁ?」何て言ってたり。
機嫌が良い日というのはあっという間に過ぎるものらしく、放課後俺はハルヒと二人で坂を下っている。
「決めたわ! 今日はキョンの家で夕飯ご馳走になるわ!」
ああ、親に聞いてみるよ。
「あんた本当に今日は機嫌よさそうね。どうしたの?」
何にもないが、そんなに変か?
「変じゃあないけど変よ!」
ははっどっちなんだ、と言ってから家に電話した。二つ返事でOKらしい。
「ハルヒのおかげで夕飯が少し豪勢になる予感がするぞ、ありがとうよ。」
「感謝しなさい!」
「感謝してるさ。ありがとう。」
528 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:57:32.46 ID:gApb9eDl0
そうして家に着いた俺はハルヒを部屋に通すと何故か部屋には妹がいた。
「キョンくんおかえりー! あーハルにゃんだぁ!」
「こんにちわ、妹ちゃん。」
「えへへ〜、キョンくんが朝から機嫌が良かったのはハルにゃんが家にくるからだったのかなぁ?」
「違うぞ妹よ。ハルヒがくるから機嫌が良かったのではなく、機嫌が良かったからハルヒが来ることになったんだ。」
「なによそれ。あたしが来ても機嫌は良くならないみたいじゃない。」
「すまん。そうじゃなくて、もちろんどちらにしろうれしいが、今回は違うという事だ。」
「キョンくん早速尻に敷かれてるー。」
妹よ、俺はそんな自分が嫌いじゃないんだぞ?
そうして夕飯の時間になった。親父は今日は遅いらしい。
「娘ができたみたいでうれしいわ」
「ハルにゃんこれちょうだい!」
「ダメよ妹ちゃん、この世は弱肉強食なの! だからキョンのもらいなさい!」
「ほら、持ってけ。」
「えへ!ありがとー」
529 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:57:54.11 ID:gApb9eDl0
こういう時に母親がしてくる気まずい質問が飛んでこないのは母親が空気を読める人間なんだろう。
「ハルにゃんってキョンくんと付き合ってるの??」
こういう時に母親は空気を読めても妹には読めないらしい。
「まだ付き合ってはないわよ!」
まだって…まあいい。ハッキリ言ってくれたほうが気まずくはならないからな。ありがとうハルヒ、と心の中で呟く。
「じゃあこれから付き合うんだねー! じゃあハルにゃん一緒にお風呂入ろ?」
「お風呂くらい入ってらっしゃい?」
「じゃあお言葉に甘えて入らせていただきます。」
うお、テンポはええ! まあいいか。
「本当に娘ができたみたいね。お姉ちゃんができて喜んでる妹を見るのはどう?」
これでは娘ができたんじゃなくて、娘が居たところに息子(俺)が来たようなものじゃないのか?
「人が喜んでる姿を見て嫌がるヤツはいないだろ。」
「そうね。それよりキョンが女の子連れて来るなんてね。」
「キョンくん、風呂あいたよ〜」
「キョン! 妹ちゃんと遊んでるから入ってらっしゃい!」
「あらあらキョンたらもう尻に敷かれてる。」
そんな会話は気にしないで、いや、気にならないで俺は風呂に入っていた。
530 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:58:09.29 ID:gApb9eDl0
風呂から出ると、多少のぼせてる俺よりも顔の赤いハルヒがいた。
「どうしたんだ?」
「なんでもないわよ!」
母親と妹がニヤニヤしてる。
「母さんが何か変なことでも言ったのか?」
ハルヒの解答を遮る用に母は言った。
「キョン、もう遅いから送ってくか泊めるかしなさい?」
「えーハルにゃんもう帰っちゃうの??」
「ごめんなさい、今日は帰ります。今日はありがとうございます。そして大変ご迷惑おかけしました。ほらキョン! 行くわよ!!」
そうして俺はハルヒに連れられて外に出た。母親と妹がいまだにニヤニヤしてるのを確認してから自転車を出し、後ろにハルヒを乗っけて走り出した。
「まったく羞恥プレイもいいとこだわ!」
「悪かったな、うちの家族が。妹も、母さんも、ハルヒが来てうれしかったんだよ。」
「別にいいわよ。嫌じゃなかったし。それに、キョンの恥ずかしい話も聞けたし。」
数え切れないくらい恥ずかしいことをしてきた俺にはどの話をされたのか検討もつかなかった。
「俺の恥ずかしい話はみんなには言わないでくれよ?」
「バカね! これはあたしの切り札よ! あんたが造反したら全校生徒にいいふらすんだから!」
「そうかい、じゃあハルヒには逆らわないようにするさ。」
「いい心がけね! じゃあここまででいいわ! 明日もちゃんと学校来なさいよ!」
531 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:58:22.73 ID:gApb9eDl0
ハルヒが見えなくなるまで見送ってからすぐ家に帰ってベッドに寝転んだ。
ああ、今日は機嫌が良かったから全てがうまくいったななんて考えて、今日の事を思い出しながら幸せな気持ちで眠りにつこうとした。
ああ…俺は何て恥ずかしい事をしてきたのだろうか。明日はどんな顔で学校に行ったらいいのか。急に不安になった。
時計を見ると12時を過ぎていた。呪文の効果が切れたのか。まあいい。明日は普通に生活しよう。そして今日は寝よう。
翌日からは普段どおりで過ごした。周りに対して違和感はあまりなかったみたいでよかった。
俺の後ろの席のヤツは不機嫌になることが減ったように思う。そして俺とハルヒとの距離が少し、いや、だいぶ近くなった。
授業中も放課後も学校外でも一緒に居ることが多くなり、たびたび我が家を訪れるようにもなった。
たまにはあんな機嫌の良い日があってもいいかな、ハルヒの機嫌が良くなるなら、と思う平日の一日だった。
532 :
上機嫌:2006/12/05(火) 13:59:25.86 ID:gApb9eDl0
終わります。
ハルヒがキョンにじゃなくてキョンがハルヒに甘くしたら中途半端になっちった。
533 :
VIP足軽l:2006/12/05(火) 14:00:48.82 ID:3B/Nsncm0
GJ!
デレキョンに萌えたwww
534 :
VIP盗賊:2006/12/05(火) 14:27:42.91 ID:Y3Z3bhNMO
長門が気になるな
535 :
暴れん坊VIPPER:2006/12/05(火) 14:33:07.74 ID:eQy06Z6hO
乙
デレキョンいいよいいよー
536 :
だんご屋のはる:2006/12/05(火) 14:41:44.32 ID:qPfJsBp40
キョンデレいいな
最高に萌えた
GJ!!
537 :
VIP毒蛇:2006/12/05(火) 15:05:51.87 ID:xIEYk68t0
投下OK?
深夜分と言いつつもう午後何だけど
ちなみに
>>228の分です。
539 :
花魁:2006/12/05(火) 15:29:38.43 ID:vZr4RODTO
カモン
ある日のことだ。
SOS団の面子全員が俺の家で遊びまくっていたその一日、俺は籤引きにより長門を家に送
っていくことになった。
「……わたしはあなた達が羨ましい」
歩く間中無言だった長門は、別れ際に唐突にそんなことを言い出した。
「は?」
長門に羨ましいと思われる心当たりなど一つも無いし、複数形だというのが余計に謎を深
める。はて、あなた達とは俺と誰のことだ?
「あなたとあなたの妹」
「妹?」
「そう」
「何で妹、いや、俺と妹なんだ?」
「……兄弟姉妹といった人間同士の関係は、わたしには縁が無いもの」
長門は淡々と、しかしどこか寂しげな様子を纏いつつ答える。
そういや、長門は宇宙人製ヒューマノイドだからな。
「あー……」
さて、どう答えたものか。
長門が俺を羨ましがっているのは分かるんだが、俺はこういう時に有効に回答するスキル
を持っていない。
俺の知り合いには天涯孤独なんて奴は居ないし、そういうことを俺に向って訴えてくるよ
うな奴も居ない。
「わたしはあなた達が羨ましい」
長門はもう一度同じ言葉を繰り返した。
「……なあ、長門。お前にもお前の同類ってのは居るんだよな?」
俺の頭の中にナイフを持った女と生徒会書記の先輩の顔が過ぎっていく。
前者は名前を出しても大丈夫だろうが現在はもう地上に存在しない上俺が積極的に名前を
出すことに躊躇いが有り、後者は長門の前で名前を出して良いかどうかが分からない。
「居る」
「そういう人たちは、親戚みたいな物なんじゃないか? ええっと、同じ親……、っていう
のか、同じ存在に作られた者同士なんだし」
「……」
「そりゃあ、人間の血縁関係とは違うんだろうが……」
何言っているんだろうなあ、俺。
こういう時は何でも言いくるめられる古泉や何でも勢いのまま丸め込んでいけるハルヒが
羨ましいよ。
「そう、わたしたちは人間でいう血縁関係という概念を持たない」
「……」
「でも、」
「でも?」
「……あなたの考え方は気に入った。情報統合思念体に申請してみる」
ああ、そうか、気にいってもらえて良かったよ。
しかし、申請って何だ?
どこかの原子力を積んだロボットよろしく他のヒューマノイドを家族として作ってみると
かか?
俺はその辺りのことを長門に訊ねたかったが、長門はあっという間にマンションに入って
いってしまったので、俺は何も訊くことが出来なかった。
ふむ、一体なんだろうね。
まあ、今更いきなり長門の家族なるものが出てきた程度で、たいしたことはなさそうだが。
俺が認識の甘さを悟ったのは翌朝のことである。
通学路の坂道でハルヒと古泉に出会った俺は、くだらない話をしつつ三人で坂を登ってい
た。
ハルヒが比較的早足で俺と古泉も一応それに合わせているので、俺達はどんどん他の生徒
たちを追い抜いていく。朝から元気な団体だとでも思われてそうだ。
「あら有希じゃない、おはよう」
先頭を行くハルヒが、長門の姿を見つける。
「あら、その人は……」
小柄なショートカット娘の隣にいる人物を見つけたハルヒの目が、大きく見開かれる。
そこに立っていたのは、喜緑江美里さんだった。
喜緑さんは長門の同類だが、事情を知らないハルヒから見れば憎き生徒会の手先その1く
らいの存在だろう。
何故喜緑さんが長門と一緒に登校してるんだ?
という俺の些細な疑問は、次の長門の爆弾発言によって解決……、したかどうかは分から
ないが、一応答えには近づいたらしい。
「あ、おはようございます皆さん」
「何であなたが有希と一緒なのよ」
「ああ、それは、」
喜緑さんが言う前に、遮るように長門が言った。
「喜緑江美里はわたしのお姉ちゃん」
……。
……。
……Why?
いや、この場合の疑問符はWhyではなく……、という問題じゃなくてだな。
長門、お前今何を言った。
喜緑さんが……、長門の、姉?
面食らう俺、ハルヒ、古泉。おお、さすがに古泉でもびっくりか!
そりゃあそうだよな、いきなりお姉ちゃんだもんな、俺もびっくりだよ。
何となく事情のからくりが理解できないことも無さそうな俺や古泉がこうなんだ、ハルヒ
なんてもう言うまでも無いだろう。
「どどどどどど……、どういうことーっ?」
ハルヒ、動揺しすぎだ。
いや、俺だってお前の気持ちは分からなくも無いが……。
「喜緑江美里はわたしのお姉ちゃん」
長門、それじゃ何の回答にもなってないぞ。
「お、お姉ちゃんって、お姉ちゃんって……、ちょ、ちょっと待ってよ。だって今まで、そ
んな素振りを一切見せなかったじゃない!!」
そりゃそうだ。多分昨日までは姉妹じゃなかっただろうからな。
俺は昨日の長門との会話を思い出す。きっかけは絶対あれだろう……。
しかし長門よ、だからっていきなり翌日から喜緑さんと姉妹になること無いじゃないか。
おかげでハルヒが大混乱状態だぞ。
「昨日までは言えない事情が有った。でも、事情が変わって今日からは言っても大丈夫にな
った」
「そ、そう……」
まてハルヒ、お前それで納得するのか!
苗字だって違うのに……、いや、それが『事情』って風に解釈したのか?
「そう」
「そう……、そういうことなのね。良かったわね、有希、お姉ちゃんと仲良くするのよ!」
「……」
長門が無言で首肯し、喜緑さんが笑う。
うーん、外見も雰囲気もちっとも似て無い気がするんだが、悪い組み合わせでは無さそう
な気はするな。
しかし長門が喜緑さんの妹か……、良いのか、これで?
「良いんじゃないですか、別に」
放課後、まだ俺と古泉しか居ない部室で古泉にこの話題を振ってみたら、やたらあっさり
と切り替えされた。
「お前なあ……」
「今のところ何の問題も起きていませんし、これからも特に困ることは無いでしょうからね。
別に世界が改変されたわけでも無いようですし」
「記憶操作とかも無しってことか?」
「ええ、その必要は無かったでしょうからね」
「どういうことだ?」
「こんなのは、長門さんと喜緑さんの戸籍をちょっと書き換えればすむことなんですよ。そ
れが学校に提出する必要が無い範囲の部分であれば、学校にある記録に手をつける必要すら
ありません」
「ふむ……」
古泉は多分、その長門や喜緑さんの戸籍上の情報とやらをある程度把握しているんだろう。
俺にはそういうことはさっぱりだし別に取り立てて知りたいとも思わないが、古泉の言っ
ている理屈は分からないことも無い。
「ここからは仮定の話になりますが、正直な所、こういうことは非合法な手段や超常的な手
段を全く使わなくても出来ないことはないですからね」
「……結婚とか離婚とか、養子縁組とかか?」
「そういうことです」
なるほどな。
結局の所俺は長門がどんな手段を取ったか全く持って知りようが無かったわけだが、古泉
の解説を聞いて何となく納得できたような気はした。
古泉が楽観的なのは、この辺りのカラクリが分かっているから何だろう。
545 :
VIP村人XL:2006/12/05(火) 15:36:46.54 ID:T/sojUbf0
支援
「しかしだな、喜緑さんは生徒会の書記だぞ? そんな立場の人が長門の姉で良いのか?」
「特に問題は無いでしょう」
「生徒会は敵キャラ設定じゃなかったのか?」
「敵味方に分かれた姉妹だなんて、話を盛り上げるのに良いじゃないですか」
「あのなあ……」
「多分、涼宮さんもそう思ってくれると思いますよ」
……まあ、俺もそんな気がするけどさ。
しかしこれで良いのか?
いきなり姉だ妹だって……。別に何も悪いことはおきてないけどさ。
「やっほー、おまたせえ」
そのとき、扉がでかい音を立てて開いた。
立っているのは声の主のハルヒ、それに長門、そして何故か喜緑さん……、いや、長門の
お姉さんか。
「二年の教室まで行っていたら手間取っちゃってさあ」
ハルヒは悪びれもせずそんなことを言う。
喜緑さんは相変わらずの穏やかな笑顔のまま空いている席につき、長門がお茶を淹れに行
く。
うーん、不思議な光景だ……。
「はい、お姉ちゃん」
「ありがとう、有希ちゃん」
うお、有希ちゃんと来たか!
長門は俺達にもお茶を配ると、喜緑さんの隣の席に腰を下ろした。
そんな長門の頭を、喜緑さんがなでなでしている。
ううう、なんとも言えない光景だ……。微笑ましいんだか微笑ましくないんだか。
「お姉ちゃん」
「何、有希ちゃん?」
「本、読んで」
そう言って長門が差し出したのは、分厚い洋書だった。
長門……、本の選択が間違っている気がするぞ。
いや、それ以前に年齢とか場所とか、もっとツッコミたい部分が有るわけだが……。
「ここで?」
「そう」
「でも、今は学校だし……」
「……駄目?」
うおお、長門が上目遣いだ!!
困惑する喜緑さん、思わず注目する俺、ハルヒ、古泉。
「しょうがないですね、有希ちゃんは甘えん坊なんですから」
喜緑さんは俺達に向って微笑むと、長門に渡された洋書を読み始めた。
さすがインターフェース。洋書の発音も完璧だ。俺には何を言っているかさっぱりだけど
な。
「すみませーん、遅れまし……、ほえ?」
遅れて部室にやって来た朝比奈さんが、入り口の所で呆然と突っ立っている。
そりゃあそうだろう、俺が逆の立場でもきっとこうなるさ。
「ああ、こんにちは朝比奈さん」
「こ、こんにちは。え、えっと……、どうして喜緑さんがここに?」
「ああ、わたしは、」
「喜緑江美里はわたしのお姉ちゃん」
どうやら長門は自分で主張したいらしいな。
548 :
VIP村人XL:2006/12/05(火) 15:38:08.57 ID:T/sojUbf0
支援
「どえええええええ? お、おね、おね……、お姉ちゃん!?」
「そう、喜緑江美里はわたしのお姉ちゃん」
「そういうことなんです」
いやいや喜緑さん、そういうことって言われても、多分朝比奈さんにはさっぱり通じない
と思いますよ。
「でででででも、今までそんな素振りなんて、それに、苗字だって……」
こういう時の朝比奈さんを見ると、やや不安を感じる。
いや、長門の、まあ長門だけじゃなくハルヒや古泉も含めてなんだが、そういう特殊な背
景もちの個人のプロフィールを忘れているんじゃないかと……、そんな風に思うのは、俺の
気のせいだよな?
「事情がある。だから苗字は違う」
「そ、そうなんですが……」
「でも、彼女は私のお姉ちゃん」
「……う、うん、分かりました。お姉ちゃんなんですね。それなら納得です」
納得したんですか……、いや、まあ、ここで深く追求とかになられても困る……、いや、
誰も困らないか? 多分喜緑さんが適当に交わすだろうし。
「あのう」
「何、お姉ちゃん?」
「朝比奈さんも来ましたし、私はそろそろお暇しようかと、」
「駄目」
「でも……」
「駄目、ここに居て」
長門は強い意思を篭めた口調でそう言って、喜緑さんを引き止めた。
喜緑さんがいる状況でSOS団でどうのというわけにもいかず、その日は喜緑さんの洋書朗
読を聴く『だけ』という何時にも増して何の生産性も無い部活動の時間が終わり、俺達は帰
宅することになった。
平穏だが疲れる一日だったな……。
「なあ、長門」
俺は帰り道でちょっと合図をして、別れ道から戻ってきた長門に話し掛けた。
「何?」
「お前、楽しいのか?」
「……分からない」
「分からないって……」
「喜緑江美里は、わたしのお姉ちゃん。……でも、妹として振舞っても、何かが満たされな
い。あなた達には届かない」
「そりゃあ、昨日の今日だからな」
「わたしと喜緑江美里では、姉妹にはなれない?」
「そう言う意味じゃない。……一朝一夕にでは無理でも、仲良くしていれば、何時か人間の
姉妹みたいになれるさ」
「そう……」
「明日からもこのままなんだろう?」
「そのつもり」
「じゃあ、このまま姉妹として過ごせば良いさ。ああでも、SOS団のことも忘れないで居て
やってくれよ。部活の時間に何時までも今日みたいだと、この先支障がありそうだからな」
「……分かった」
「けど、家では存分に甘えておけ」
「分かった、そうする」
「じゃあ、またな」
「また、明日」
それから数日後、喜緑さんと話をした。
「……有希ちゃんみたいな妹が出来て、わたしも嬉しいんですよ。有希ちゃんが最初申請を
したときには驚きましたけど」
「そりゃまあ、普通は驚くでしょうね」
「ええ。でも、わたしにも彼女にもいい経験になるだろうということで、情報統合思念体は
許可したんです。……結果として、いい方向へ向っているようですしね」
「それなら何よりです」
原因は俺だからな……、これで妙なことになって迷惑をかけていたりしたら、喜緑さんに
一生頭が上がらなくなる所だったのだろう。
「これからも、妹のことをよろしくお願いしますね」
外見も雰囲気もちっとも似ていないが、俺に向って頭を下げた喜緑さんは、すっかり長門
の姉だった。
「分かっていますよ」
お願いされなくても分かっていることだが、姉に言われたのであれば尚更だ。
瓢箪からコマとでも言うのか……、いや、まあ、これ以上何か言う必要は無いか。
長門は幸せそうだし、喜緑さんも幸せそうなんだ。
だったら、これで良いんだろう。
fin
552 :
VIP奴隷:2006/12/05(火) 15:42:33.85 ID:mhE7ptHZ0
GJなんだぜ
553 :
VIP皇帝:2006/12/05(火) 15:48:38.03 ID:vZr4RODTO
GJ!
朝倉入れて三姉妹も良かったかもなw
しかし、長門は妹キャラが良く似合う。
554 :
花魁:2006/12/05(火) 15:49:37.29 ID:vZr4RODTO
気付いたらアナル落ちてた…
555 :
北町奉行:2006/12/05(火) 15:50:17.71 ID:20nw44/J0
これの続きが見たいぜ
556 :
VIP村人h:2006/12/05(火) 15:53:30.81 ID:MbUtDkGNO
乙
あとついでに
●<誰か立ててくれませんか
557 :
涼宮ハルヒのX-FILESの作者 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/05(火) 16:02:10.70 ID:PL3YXK6O0
涼宮ハルヒのX-FILES最終話(第5話)ですが、昨日第4話を投下したばかりですが、
元々第4話を投下する予定だった明日(12/6)の21時頃を再予約しその時間に
投下したいと思います。
よろしくお願い致します。
558 :
VIP村人Ecup:2006/12/05(火) 16:03:08.61 ID:PL3YXK6O0
>>556 立てられるかどうか解りませんが一応試してみます。
559 :
VIP村人Ecup:2006/12/05(火) 16:05:24.81 ID:PL3YXK6O0
>>558 だめでした。ホストで弾かれました。
他の方お願いします。
560 :
棒またぎ姫:2006/12/05(火) 16:21:42.06 ID:vZr4RODTO
保守
561 :
暴れん坊VIPPER:2006/12/05(火) 16:30:45.50 ID:MbUtDkGNO
自分もたてられなんだ
誰か…
保守しつつ立てに行ってみるよ
564 :
棒またぎ姫:2006/12/05(火) 16:47:52.93 ID:vZr4RODTO
565 :
暴れん坊VIPPER:2006/12/05(火) 16:49:43.09 ID:MbUtDkGNO
>563乙
566 :
暴れん坊VIPPER:2006/12/05(火) 16:56:31.35 ID:20nw44/J0
567 :
VIP足軽p:2006/12/05(火) 17:07:30.69 ID:GWtMerwc0
568 :
だんご屋のはる:2006/12/05(火) 17:12:49.47 ID:vZr4RODTO
カモン
我輩は猫である。
名前はシャミセンという。
とある家に住む、人間のいう所の『飼い猫』にあたる。
性別は……、ふむ、人間の分類学上で言うと両性具有に近い物となるらしい。
まあ我輩の説明は良いとしよう。
我輩は今、朝比奈みくるという人物の持った猫運搬用のバスケットなる物の中にいる。
「わーいわーい、みくるちゃんとおっでかけえっ」
バスケットを持った朝比奈みくるの隣、頭一つ分ほど背の低い少女が楽しそうにはしゃい
でいる。この少女は我輩の本来の同居人の一人である。
「妹ちゃん、気をつけてね」
少女の兄と朝比奈みくるが同じ学内団体に所属しているという関係にあるため、朝比奈み
くるは少女のことを妹ちゃん、という呼び方で呼んでいる。
別に名前を知らないわけではないと思うが、妹ちゃんという呼び方は如何な物か。
それは個人を個として見るのではなく誰かの付属物的存在と見ていることを表すようなも
のであって、結果として呼んでいる相手を軽視しているということにならないだろうか?
「はあい」
しかし、この少女はそんなことを気にする素振りを見せない。
朝比奈みくるに妹ちゃんと呼ばれることで「お姉ちゃんが出来たみたい!」と回答するよ
うな娘である。
ちなみにこの少女は同様のことを涼宮ハルヒと古泉一樹にも言い、何時だったか古泉一樹
に対面したときに「古泉くんみたいなお兄ちゃんが居たら良いなあ」などと言い出した挙句
実兄を大いに落胆させたというエピソードがあるのだが、それはまた別の話である。
さて、現在ここにいるのは朝比奈みくると、少女と、我輩だけである。
周囲を見渡せば無関係の人物も目に入るのだが、そういう人物はこの二人にとって物の数
には入らず、また我輩も付属物的扱いであるので、
「みくるちゃんと二人っきり〜♪」
という少女の発言もあながち間違っては居ないということになる。
ちなみに何故今日の面子がこういう風になっているかと言えば、それは少女の兄を始めと
した朝比奈みくると同じ団体に所属する他の者達が学内の用事で遠方に泊りがけで出かけて
いるという状況にあるからだ。
朝比奈みくるがそれに参加していないのは学年が違うからという単純な理由であって、そ
れ以上でも以下でも無い。
「ここのお店ですね」
朝比奈みくるが、予約をしていた店に少女と共に入る。
わざわざ予約をしたのは我輩を連れて入るためだというから、頭の下がる話である。
「わーい、綺麗なお店〜」
「妹ちゃん、あんまりさわいじゃ駄目ですよ」
はしゃぎ回る少女を朝比奈みくるが優しくたしなめる。
まるで姉のようだと思うのは、この二人が他人の割に似ているからということだけが理由
では有るまい。
出会った頃には分からなかった、この朝比奈みくるという少女は他者に対して姉のように
振舞う所がある。
もっともそれは、我輩が朝比奈みくるが年少者と接している場面をよく見ているからとい
う理由に過ぎない気もするのだが。
朝比奈みくると少女が食事を取る光景を、我輩はバスケットの中から眺めている。
こういう光景も悪くない。
外食だというのに何故か家庭的な雰囲気を感じてしまうのは、店のメニューとか内装によ
る所も多いだろうが、この朝比奈みくるの雰囲気による所も多いのだろう。
そうそう、我輩の同居人である少女は、年齢の割に幼く、ここにおいてもその幼さをいか
んなく発揮しているという状態にあるようだ。
「妹ちゃん、零れていますよ」
「ああ、それじゃ行儀悪いですよ」
「ほら、ちゃんと野菜も食べないと駄目ですよ」
我輩の位置からでは詳細全てが分かるわけではないのだが、これら朝比奈みくるの指摘を
聞けば、状況など容易に掴める。
同居人の我輩からすれば、少女にはもう少し年齢相応になって欲しいと思わなくも無いの
だが、この微笑ましい様子が描かれている要因が少女の幼さにも有るということを考えると、
これもまた悪くない、などというふうに思わなくも無い。
もっとも、我輩がどういう風に思おうとも我輩は所詮猫なので、少女と朝比奈みくるの関
係に口を挟むことは出来ないのだが。
比較的長い昼食の時間が終わり、朝比奈みくると少女、そして朝比奈みくるに抱えられた
ままの我輩は帰路についた。
バスケットに入ったままの我輩を連れてきた意味がどこにあるのかという疑問は有ったが、
時折我輩のことを話題に出したり我輩に話し掛けたりしているというこの二人の行為は、我
輩にとっても心地よい物だった。
バスケットの中は狭いが、家の中で一匹で残されるよりは良かった、ということにしてお
こう。
「じゃあ、またね、妹さん」
「うん、またねみくるちゃん」
少女の家の前で、二人が別れの挨拶をする。
予定ではこれから数時間後に少女の両親が帰ってくることになっている。
少女は朝比奈みくるから我輩の入ったバスケットを受け取り、家の玄関口で開いた。
「シャミもお疲れ様、狭かったでしょう」
「にゃあ」
「じゃあ、シャミのご飯も今用意してあげるね」
少女はそう言って、パタパタと台所に向っていく。
台所には我輩用のキャットフードなる物の買い置きが有るのである。
できればキャットフードよりも我輩専用に何か作って欲しいと思うところであるが、少女
の料理の腕には人間的な意味でも我輩達猫側からみた意味でも全く持って期待できないので、
その要望はまだ保留にしておくことにしよう。
我輩は身体を伸ばし、リビングのソファに飛び乗った。
やはり窮屈なバスケットの中より、このような場所の方が良い。
「はいシャミ、ご飯だよ」
「んにゃあっ」
少女が床に我輩の食事を用意してくれたので、我輩はソファから降り食事にありつくこと
にした。
新しい銘柄らしいキャットフードの味は、まあまあだった。
バスケットの中は疲れたが、こういう一日も悪くはあるまい。
終わり
573 :
だんご屋のはる:2006/12/05(火) 17:18:31.29 ID:vZr4RODTO
GJ!
シャミセン語り久しぶりw
574 :
VIP村人f:2006/12/05(火) 17:27:12.84 ID:TaHn6SBQ0
乙!!
575 :
VIP下手人:2006/12/05(火) 17:28:24.44 ID:DOh6DdP5O
乙GJ!
576 :
VIP勇者:2006/12/05(火) 17:50:54.74 ID:7psLtbQi0
>>456 支線だから豊島園〜池袋は空いている車両もあるんだ
577 :
VIP足軽flash:2006/12/05(火) 17:52:30.94 ID:W/VEcJWRO
ずいぶん久しぶりに投下する。冬企画参加準備にリハビリがてらにさらっと書いた。
俺の知り合いのハルキョン夫妻の実話が元になって居るんだがこの話心当たりがあるなんて言う人は
絶対に黙っておいてくれ。
以下7レスほど
今から一年前の事。会社帰りの電車の中。
隣に座った人の週刊誌をチラ見しながら、いつも通り携帯でネットをさまよっていると、ついに電池が切れて
しまった。
最近の携帯は、多機能にはなってきたが、やたらと電池の消耗が早い気がする。
携帯が通じないのは昼間なら困り果てるところだが、会社の電話は拒否したいし、家からの電話がかかって
きたとしても、もうすぐ帰り付くのだ。問題はないだろう。
そんなことを思っていると、電車は静かにいつもの駅に滑り込んだ。
駅のホームには北風が吹きすさみ寒さがやたらと身にしみる。そして、ホームから見える駅前の商店街からは
赤や緑のきらびやかな光が見え、定番のあの歌が響いてくる。
この季節のこの時間になると暖かい家や人がやたらと恋しくなるのは一体何故だろう?
俺はそんなことを考えながら、何となく早足で歩き出すと、唐突に後ろから聞き慣れた声が響いた。
「よう!キョン!こんなところで合うとは奇遇だな」
その声の主は、新婚ホヤホヤの谷口だった。あの『万年もてない王』もようやく相手に恵まれ、ついには先月
の良き日に結婚式と披露宴を執り行った。新婚旅行から帰ってきたの待ちわびて、俺達夫妻と国木田夫妻で新居
にお邪魔したのだが、その熱々新婚ぶりを俺たちに見せつけてくれたのはつい先週のこと。
あの後、その熱々ぷりに張り合おうとするハルヒをなだめるのには苦労したもんだ。
「あの涼宮ならやりかねんが、さっそく惚気返しかよったく」
「たまには逆に惚気させろ。付き合いが長いと新婚気分ていうのは案外短いもんだ。俺にとって新婚気分なんて
半年程度だったな。気が付けば今では高校の頃にSOS団でこき使われていた俺とハルヒの関係とあまり変わら
ない気がするな」
「お前達は高校の頃から夫婦だったからな、ハッハッハ……」
谷口はそう言うとゲラゲラと笑い始めた。
580 :
壷ふりお京:2006/12/05(火) 18:05:03.22 ID:0xZn7r+LO
wktk
昔から夫婦だったと言うヤツは多いが俺にはいまだに納得できないでいる。あのころの俺とハルヒは、
そう言う関係じゃなかったと日々常々言っているだろう。
「そう言うなら今から呑みに行くか? 先週、嫁さん達の前では出来なかった昔話でもしようぜ。お前と涼宮が
廻りから客観的にどう見えていたのかをたっぷりと語ってやる」
甚だ残念だがお断りだな。どうせいつもの惚気話になるのは確実に見えている。こいつ甘々エピソードなど
先週の分でいまだにお腹一杯だ。それに新婚さんが嫁を待たせてどうするんだ?
「それもそうだな。愛しのマイスイートハニーが俺の帰りを首を長くして待っているんだった。悪い、言い出し
たのは俺だが気が変わった。例のいつものメンバーの新年会の時にまた語ってやるよ」
やれやれ。新年会もこいつの惚気ビームが延々放出されるのか。誘うんじゃなかったぜ。
俺の毒舌ももろともせず、谷口はニヤニヤと古泉のように薄ら笑いを浮かべてやがる。確信的に惚気て
やがるなこいつは。
「まあ、そんなことよりも、噂になっているだろうが、最近この辺で誘拐未遂事件が多発しているらしいぜ。
お前のところの娘はまだ一人で歩き回ったりしないだろうが、成人女性も狙われているらしいからな。
気を付けた方がいい」
すっかり忘れていたが、そう言えばお前は警察官だったな。こんな奴が警察に入れるなんて日本の治安維持
活動の低下を憂いてやまないぜ。
そんな俺の心配をよそに、谷口は「じゃあまた今度」と言いながら別の方向へと駆けだした。
さて、俺もハルヒと子供が待っている。早く家に帰ろう。俺は、谷口を見送ることなく、再び暖かい我が家へ
と足を向かわせたのだった。
俺たち親子三人の家は犬が庭で洗えるほど大な庭付きの家ではなく、ごく普通の賃貸マンションだが
今の三人の家としては十分すぎるほど広い住まいだ。
その玄関の鍵を開け、中に良く聞こえるように「ただいま」といいながらドアを開けるが、いつものように
ハルヒが出迎えてくれない。
いったんどうしたんだ?
廊下を抜けリビングに通じるドアを開けると、子供はベビーベッドで就寝中のようだし、ハルヒもリビングに
いるのだが、やたらと真剣な顔で電話をしていた。
何か大事な話なのだろうと勝手に理解して声を掛けず、荷物を置き、服を着替えようと寝室に行こうとするが、
何となくハルヒの様子が変だ。
「はい……今帰ってきました……ありがとうございました……」
なんて、滅多にない神妙な声でしかも礼など言ってやがる。
相手は一体誰なんだ?
真剣な面持ちのまま、ハルヒはゆっくりと電話を切ると、俺の方を何とも言えない惚けたような目で見てる。
そして……
「バカバカバカキョン―――――!!!」
そう大声で叫ぶとその場に突っ伏して泣き始めたのだった。
初めて見る取り乱したハルヒ。そしてそれに混乱する俺。
何がなんだかまったく解らない。 だが、ハルヒをそのままにしておく訳にもいかず、ハルヒに近づき慰める
ように肩を抱くと、俺の胸の中に飛び込んで再び声をあげて泣き始めた。
ハルヒはそのまましばらく泣き続けたが、俺は訳がわからないまま、優しく抱きしめ頭を撫でてやると
次第に落ち着きを取り戻していった。
「一体何があったんだ?さっきの電話が原因なのか?」
そう問うとハルヒは
「今思えば、グズッ……やっぱりただのいたずら電話だと思うんだけど、グズッ――――」
と、涙ながらにようやくゆっくりと語り始めたのだった。
583 :
籠屋の銀二:2006/12/05(火) 18:06:14.22 ID:vZr4RODTO
支援
5時頃だったかしら?
いつも通り夕ご飯の支度を終え、ぐずっていた子供を寝かしつけたところに、家の電話が鳴り響いた。
やっと子供が寝たところなのに起こしてくれたらどうするのよ!そう思いながらも何気なくあたしは電話に
出たわ。そしたら相手はあたしが喋る前に唐突に話し始めたの。
『奥さんですか?』
「はい?どちら様?」
あたしがそう答えると、相手はちょっと間をおいてゆっくりと言ったのよ。
『――実はお宅のご主人を誘拐致しました』
はあ?何いってんの?これはイタズラ電話ね。
そう思いながらも、あたしはつい相手にしてこう言ってしまった。
「何かの間違いでしょ?うちには身代金を払えるほど裕福な家じゃ無いんですけど。うちの旦那の給料は安月給
なのよ!」
「間違いじゃありません。○○さんのお宅ですよね?」
なんで?どうして、原作ですら語られていないうちの名字を知っているわけ?やっぱりイタズラじゃなくて
本当なの?
あたしはコードレスの電話を持って黙ったまま、イタズラかどうか確かめるいちばん簡単な方法を思いついた。
テーブルの上に置いてある携帯を取りキョンの携帯を呼び出してみる。
『お客様のおかけになった電話は現在電波の届かない場所におられるか電源が……』
その後に、反対の耳から誘拐犯の声が聞こえる。
『旦那さんの電話がつながりませんでしたか?』
ウソ……本当に誘拐犯?
『いいから、今すぐご用意できる金額を教えろ!!!」
電話の向こうの男は、急に凄みのある声にかわりあたしの心を揺さぶり始めた。
585 :
籠屋の銀二:2006/12/05(火) 18:06:35.00 ID:vZr4RODTO
支援
「だから、本当にお金なんて……」
『指一本ぐらいなら死にやしないよなぁ』
急に、足がガクガクとふるえ出す。そんなはずはない……でも最近、この近くで誘拐未遂事件が起きたって
聞いた事がある。それと何か関係有るんじゃ……
「今すぐ用意できるお金は10万くらいよ……」
『あのなあ、そんなハシタ金で俺が満足すると思ってるのか?』
「で、でも、明日になれば銀行からもう少し用意できるわ……」
『今すぐじゃないとダメだな」
「じゃあどうすれば……」
『別に、お金が欲しい訳じゃない。お前が誠意を見せてくれれば、旦那を帰してやる』
「誠意ってなによ?」
『俺の言うことを聞けるか?』
「いやよ!何であんたみたいな誘拐犯の言うことを……」
『気が強い女だな。そんなに旦那が帰ってきて欲しくないのか?』
あたしは言葉につまった。キョンが誘拐されるわけない。
でももしこれが本当だったとしたら……ロープで縛られ、犯人に殴られるキョンの姿が目に浮かんだ。
「わかったわ。あんたの言う通りにする……」
『よし、じゃあ今から俺の質問に答えろ――――』
「――――って感じで犯人の言う通りにイロイロ質問に答えて話していたら、だんだん下着の色とか変なこと
聞き始めて、最後にエッチな事をしろとか言い出して。
絶対いやだっていったんだけど……その……覚悟を決めたところに、あんたが帰ってきた音がしたのよ。
それに感ずいた犯人が『お前が思ったより誠実だったから、旦那を帰してやったぞ』なんて言うもんだから
思わず、ありがとうございますなんて言って……」
なるほど、そこで俺が帰ってきてあの会話だったわけだな。
しかしなあ、どう聞いても下着の色を聞く時点でおかしいと思わないか?
「だから、あんたの電話が通じなかったから、頭の中がパニックになっちゃって……
おかしいとは思ったんだけど、犯人の演技がすごく迫真に迫っていたから……あ――!!もぅ――!!
何で、あたしはイタズラ電話の相手にありがとうございますなんて言っちゃったのよ――!!
全部キョンが電話に出ないのが悪いんだからね!!!」
ハルヒはそう言いながら、顔を真っ赤にしながら、いつも通りの、
――いや少し照れたような顔でプンスカ怒り始めた。
そんなハルヒに俺は構わずに苦笑いしながら、再び抱き寄せた。
588 :
破滅のブラックホール ◆RSKWGP.BH. :2006/12/05(火) 18:07:15.05 ID:aadRMY+CO
うるせーな板違いも理解できねー腐れオタクどもが
さてその後、いろいろとあったに後に、ようやく俺はハルヒに携帯の電池が切れていた事を謝り、
イタズラ電話の犯人が調子に乗ってこの家に来たとしても俺が絶対守ってやると約束し、
谷口に電話し絶対に犯人を捕まえるように締め上げることを誓うと、
明日の休日にイタ電防止機能付きの電話と俺の携帯の予備電池を買うことを提案したのだった。
さて、次の日、親子三人で買い物に出かけ、その年のクリスマスプレゼントも一緒に買おうとすると、
迷惑料としていつもの倍以上の品物をよこせと言われた。
FAX付きの最新の電話に、携帯の予備の電池、ハルヒと娘へのプレゼント。
お金では買えない価値が有るのかもしれないが、おかげで正月の俺の財布はスッカラカンだの予定だ。
妹にやるお年玉はどこから拈出すりゃいいのかね?
ちなみに1年たった今でも、残念ながら犯人はいまだに捕まっていない。
イタズラ電話ごときで警察もいちいち動かないんだろうが、
谷口曰く、電話帳を調べ、旦那が帰宅中の時間を狙いアパートやマンションの若夫婦を狙った
不特定多数ねらいのイタズラ電話が結構発生しているらしく、手を焼いているのだそうだ。
犯人に対して俺はいまだに憤り、甚だ許し難い事だとは思う。
だがしかし、いまだに取り乱したハルヒを思い出すたびに、アイツの意外な一面を見れたのが
実はちょっぴりうれしかったりするのは内緒だ。
おしまい
しまった。一年後だったのに最後間違えた。
やっぱり久しぶりに書くと粗が多いな。
お目汚しスマソ
591 :
VIP村人P:2006/12/05(火) 18:10:43.97 ID:T/sojUbf0
乙
592 :
籠屋の銀二:2006/12/05(火) 18:11:53.83 ID:vZr4RODTO
GJ!
谷口の相手が気になる所だw
593 :
壷ふりお京:2006/12/05(火) 18:16:55.79 ID:0xZn7r+LO
乙!
こんな変態電話があるのかww
594 :
姫:2006/12/05(火) 18:18:56.23 ID:DOh6DdP5O
乙GJ!
エロに入るかと冷や冷やしたぜwwww
595 :
籠屋の銀二:2006/12/05(火) 18:43:29.92 ID:vZr4RODTO
保守
596 :
油売りの左暮:2006/12/05(火) 19:09:38.33 ID:vZr4RODTO
保守
597 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 19:09:56.42 ID:i+N2abQVO
保守
598 :
VIP足軽orz:2006/12/05(火) 19:21:26.23 ID:Z1OeycaE0
599 :
『不思議の定義』 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/05(火) 19:26:22.90 ID:PL3YXK6O0
今日は土曜日、いつもと同じように不思議を求めるべく市内探索をする日だ。
俺が集合場所に付いた頃には”情報操作でもされてるんじゃないか?”という
感じでいつも最後だ。
「遅い!罰金!」
ハルヒのいつものセリフがこだまする。
俺たちは集合した後いつもの喫茶店に入り俺のおごりで飲み物を飲んだ後、
恒例の班分け作業を行った。結果・・・ハルヒ・長門・朝比奈さんの3人、
俺・古泉の2となった。
「今日こそ何か不思議なものを見つけるのよ!遊んでたら承知しないからね!」
今日もハルヒのテンションは高い。
「とりあえずどこへ行きましょうか。」
「まあ、公園辺りでいいだろ。時間も潰せるし。」
「そうですね。じゃあ公園に向かいましょう。」
俺と古泉は他の3人と別れた後、公園へと向かった。公園に向かっている途中
俺は、
「なあ、古泉。『不思議』ってのは何を示すんだろうな。」
「涼宮さん曰く”そんじょそこらにあるようなものじゃないもの”のようですが・・・」
「でもさ、それって『不思議』っていうんじゃなくて『珍しい』って言わないか?」
「そうですね。確かに言われて見ればそんな気もしますね。」
「大体、不思議の考え方も個人個人違うと思うんだが。」
「確かに。僕が超能力を使うことを僕が不思議と思わないように、長門さんも
その力を使うことを不思議と思わないでしょう。朝比奈さんもそうでしょうし。」
600 :
『不思議の定義』 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/05(火) 19:27:03.62 ID:PL3YXK6O0
「結局自分自身に起こっても不思議だって思えないようなものは、他人から見ても
珍しいとしか見えないかもしれないな。」
「それも一理ありますね。」
「と、すると・・・この市内探索ってのは意味あるんかね。」
「まあ、涼宮さんが意味があると思っているからいいんじゃないですか。」
古泉は相変わらずのスマイルで答えた。
結局俺と古泉は公園で雑談をし、昼の時間になったのでいつもの喫茶店に
戻った。
「なんかあった?」
「いいや、別に特に何もなし。」
「あっそ。ま、あんたには期待してないけど。」
そんな感じの会話で昼食が始まった。昼食を食べている途中、俺はさっき
古泉と話したことをハルヒたちにも話した。もちろん、3人の素性は隠して
あくまで宇宙人・未来人・超能力者がいて・・・という風にだ。
「ふーん。あんたも結構考えるじゃない。」
「わたしもキョン君の言うとおりな気がします。」
「同意する...」
「僕たちは少々漠然と探しているのかもしれませんね。」
「まあ、今のままじゃそんな感じだろうな。」
「じゃあ、『不思議』の定義っていうのはなんなのかしら。」
「結局”自分にとってもありえないこと”とかなんじゃないのかねぇ。」
「そうなるとますます市内探索は難しくなるわね・・・」
ハルヒはそういうと考え込んだ。まさか”来週からは日本・いや全世界に
するわよ”とかいいそうな気がしないでもない。
601 :
『不思議の定義』 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/05(火) 19:28:00.72 ID:PL3YXK6O0
「僕の知り合いで交通機関を割安で・・・」
「お前は黙ってろ。」
古泉はやはり同じようなことを考えていたようだった。これ以上
飛びまわされたんじゃ体がもたん。
「う〜ん、一体何があるのかしら。」
「わかりませんねぇ。」
「結局今まで通りにやっていくしかないんですかね。」
「アイスコーヒーおかわり...」
結局午後の探索は無くなり、皆で頭をひねって考え込んでいた。もっとも
長門だけは延々とアイスコーヒーをおかわりしていただけだったが。結局
結論が出ないまま夕方となってしまった。
「どうやら今日はわかりそうもないし解散しましょ。」
「そうだな。」
俺たちは勘定を払うと店を出て駅前の広場に向かって歩いた。と、そのとき
前方から見慣れた人物が歩いてくるのが見えた。谷口だ。
「よう、みんな今日も活動か。」
「まあな。」
「よくやるよな、お前らも。」
「ところで谷口、チャック開いてるぞ。」
「えっ!またかよ。いっつも閉めても閉めてもいつの間にか開くんだよなぁ
不思議なもんだよ。」
その会話を聞いたとたん、ハルヒが水を得た魚のような勢いで、
602 :
『不思議の定義』 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/05(火) 19:28:43.27 ID:PL3YXK6O0
「それよ!!それが不思議なのよ!!」
「へ?」
谷口はいまいち事情が飲み込めない様子だった。まあそうだろうな。
「みんな、谷口君のチャックのようなものが『不思議』なのよ!」
「そういえばそんな感じがしますね・・・」
「僕もそんな気がします・・・これは不思議ですよ。」
「ユニーク...」
「おいおい、皆で何言ってるんだよ・・・俺が不思議?」
「あんたじゃなくてチャック現象がよ!」
こうしてSOS団内では不思議1号として”谷口のチャック”が認定された。
不思議ってのは意外と身近に潜んでるもんなんだな。そんなことを考えつつ
週明けの放課後、部室で古泉が面白い話しをしてくれた。
「僕の知り合いに探偵がいるので谷口君の家系について調べてもらったん
ですよ。そうしたら、谷口君のお父さんも同じようにチャックが開き、
おじいさんや先祖の人もふんどしが取れたりなんだリと同じようなことが
起こっていたらしいんですよ。」
「まさしく不思議ね・・・」
まったく、谷口だけじゃなくてその家系まで不思議だったとは・・・俺も
それを聞いたときには仰天というかなんと言うか・・・まさに驚きだった。
「当面のSOS団の目的はこの”谷口君のチャック”を上回る不思議の
発見よ!」
ハルヒは俄然やる気をみせた。
603 :
VIP村人y:2006/12/05(火) 19:28:48.24 ID:hYFs8cFs0
しえん
604 :
『不思議の定義』 ◆nP5OmqcjZw :2006/12/05(火) 19:29:18.92 ID:PL3YXK6O0
「それにまず市内だけじゃダメね。日本中、いえ世界中に行く必要が
あるわ!」
「それでは僕の知り合いで交通機関を割安で・・・」
「お前は黙れ。」
俺はハルヒを説得しなんとか市内探索だけで探していこうということに
させた。とてもじゃないが海外まで行って罰金取られたんじゃ割に
合わないし金が続かないしな。
「それにしても『不思議』って定義が難しいわね。」
「だから『不思議』なんだろ。」
「たまにはキョンもいいこというじゃない。
こうして『不思議の定義』騒動は終わりを告げた。しかし、第2、第3の
谷口のチャックがいつか現れるかも・・・しれない。
おしまい。
605 :
VIP村人h:2006/12/05(火) 19:44:30.37 ID:TaHn6SBQ0
乙!!
606 :
壷ふりお京:2006/12/05(火) 19:45:14.31 ID:EqIeC8cpO
朝倉さんのハレ晴れ微妙だ・・・
607 :
壷ふりお京:2006/12/05(火) 20:04:11.92 ID:vZr4RODTO
GJ!
谷口は異世界人なのかもなw
608 :
門番の娘:2006/12/05(火) 20:06:20.87 ID:d2+IBX+sO
>>不思議の人
最後の台詞で巧くまとめた感が絶妙でした!
GJ!
609 :
VIP村人a:2006/12/05(火) 20:21:32.46 ID:ZjKkTELM0
610 :
VIP侍:2006/12/05(火) 20:27:46.91 ID:Dpc9+2fDO
611 :
内藤ホライゾン:2006/12/05(火) 20:33:51.27 ID:EErrAHvK0
めがっさ好奇心がバラード系だったことの方が残念だった
612 :
VIP村人z:2006/12/05(火) 20:43:36.11 ID:hYFs8cFs0
「雪、無音、窓辺にて」を聞いてると長門のSSがすんなり沸いてくる。
めちゃくちゃうまい。
613 :
VIP村人m:2006/12/05(火) 20:44:39.22 ID:MbUtDkGNO
あげ
614 :
VIP村人a:2006/12/05(火) 20:58:07.25 ID:ZjKkTELM0
>>610 俺みたいなのが沸くから頼むからやめてくれ
615 :
壷ふりお京:2006/12/05(火) 21:00:32.89 ID:HGwHqGwMO
続きの原案を忘れた
代わりになんかお題たのむ
616 :
VIP村人XL:2006/12/05(火) 21:03:16.22 ID:hYFs8cFs0
古泉、青春、暴走
617 :
水汲みおしち:2006/12/05(火) 21:03:25.77 ID:RSJpczalO
校内放送ジャック
618 :
壷ふりお京:2006/12/05(火) 21:10:29.14 ID:HGwHqGwMO
古泉が暴走だとアーッ!な展開しか思いつかないのだがwww
とりあえずいく
むしろ
>>617を混ぜながら
619 :
VIP村人b:2006/12/05(火) 21:20:24.78 ID:ZjKkTELM0
620 :
三者の人:2006/12/05(火) 21:26:13.62 ID:MUzKl1m20
どうもです。
10:00から、第1話、いきます。
題名は「キョンの○○○○」です。
全4話くらいの話の予定です。
古「あっ、神人さん。丁度良かった。これあの店の新作何ですが食べませんか?」
神「えっと・・・何ですか、それ?芋っぽいけど」
古「ギガデラックススーパーハイパーウルトラカマイタチメガケンタクンミカヅキ芋だそうです」
神「な、なんか名前が凄く怖い・・・けど食べます」
古「じゃ、食べましょうか」
神「うんッ」
翌日。二人は「ミミミミミミミミミミミミーー!!!」と叫びながら、
鉈を振り回してケンタ君人形をお持ち帰りしていたという。
二人はその後、三日月島の雛見沢で目撃されたのを最後に行方が解らなくなっている。
しかし二百年後、彼らは光輝の末裔としてその姿をバルディアで現す。
それはまた別の話。だがやらない。
622 :
VIP皇帝:2006/12/05(火) 21:29:22.73 ID:ZjKkTELM0
キョンの禁則事項
キョンのキンタマ
キョンの朝倉涼子
キョンの古泉一樹
623 :
だんご屋のはる:2006/12/05(火) 21:32:39.48 ID:MbUtDkGNO
>621から流れがアナルww
624 :
VIP村人b:2006/12/05(火) 21:33:54.20 ID:ZjKkTELM0
625 :
籠屋の銀二:2006/12/05(火) 21:37:25.64 ID:agmg4HHI0
やあ (´・ω・`)
突然だけど君たちに一章童貞になる呪いをかけた。
しかしこの呪いも絶対ではなくてね、ある方法をされると簡単に解かれてしまうんだ。
その方法とは
[email protected]に
ワックスをたくさん万引きするなんていけないと思います。 みくる
と送るだけだ。簡単だろう?
では健闘を祈る。
626 :
VIP足軽MS:2006/12/05(火) 21:38:25.60 ID:jGeGqAzH0
627 :
VIP足軽mp3:2006/12/05(火) 21:42:01.99 ID:yJwGyDNuO
どぅー見ても誤爆です。だが今更投稿し直すのは面倒だ
628 :
VIP将軍:2006/12/05(火) 21:46:38.36 ID:Dpc9+2fDO
>>626 イヤッーホーイ!!!!!!!!!!!!!!
629 :
VIP足軽v:2006/12/05(火) 21:54:43.61 ID:AHg7c6A30
まじか!!!!!!!!!!!!!!!!いよっしゃぁ!!!予想より遥かに早いwwww
これは今書いてるのそれまでに投下しないとまずいなwwww
630 :
VIP将軍:2006/12/05(火) 21:56:02.85 ID:tqQ+7tHt0
新刊出るのか、考案中のネタが台無しになる可能性もあるな・・・
631 :
VIP足軽v:2006/12/05(火) 21:56:50.76 ID:AHg7c6A30
冬企画がもろに発売日またぐことになるなwww
未来を読んでネタを考えないとwww
632 :
VIP将軍:2006/12/05(火) 21:57:29.60 ID:Dpc9+2fDO
633 :
VIP将軍:2006/12/05(火) 21:59:36.47 ID:tqQ+7tHt0
新刊で朝倉が復活したり学年上がったりしたらオシマイだ
まあそんときゃそんときだな
634 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 22:05:00.13 ID:gApb9eDl0
635 :
三者の人:2006/12/05(火) 22:05:07.22 ID:MUzKl1m20
某BBSより。
>どうもはじめまして。
>今回の件ですけど、出版社から既に一部書店に向けて発注の案内がありました。
>あ、拙者は一応出版関係のお仕事してます。
>で、タイトルは「(仮)」が付いてますが、多分このまま行くと思われます。
>問題は発売日の方で、最初は12月末頃発売という案内だったのですが、
その後年内は無理で1月も難しいという発売延期の告知がありました。
>つまり最短で2月、という事であり、正確には「2月以降」という事です。
>おそらく発売日がある程度固まれば、出版社の方から大々的に告知があると思いますので、
現時点では来年の春頃に新刊が出る予定である、という認識で留めておくのがよいと思われます。
>現時点で知りえる情報はここまでで、長編なのか短編集なのかとかいった内容に関する事は
>一切拙者は知りません。
>この辺りも、続報待ちといった感じですね。
>
>No.1475 - 2006/11/20(Mon) 20:40:09
だそうですよ、要するに2月以降じゃないですかね?それではいきます。
支援
今日も滞りなく授業が終わり、日も暮れかけた教室で。
部室にも行かず、俺は自分の席に座ったまま、アイツを待っていた。
午後5時。もうそろそろだろう。
「どうしたの? キョン」
入ってきたら最初になんて声をかけようか、なんて考えていた俺の頭が一瞬にして真っ白になる。
ガラガラと後ろ手にドアを閉め、そいつはこちらへ向かってきた。
「お前に、話がある」
「キョンがそんなに真剣に話をしてくるなんて、珍しいこともあるもんだね」
「そんな感想はいらん、はっきり答えろ」
俺の言葉に肯定も否定もせず、教室の中ほどまで進んで歩みを止め、笑顔のままたたずむコイツ。
「お前は…………」
言いながら、俺はこんな状況になった、そもそもの原因をフラッシュバックした。
そう、最初は本当に、何気ない日常会話だったんだ。
──それは、ある日の昼休みのこと。
「キョン、たまにはナンパ付き合えよ、今日の放課後」
弁当の唐揚げを箸で持ち上げながら、谷口がそう言った。
その誘いには丁重にお断りする。
お前ら二人でやってろ。
「はぁ〜、本当付き合い悪いなお前は」
溜め息をつきながら目を細めるという、なかなか高度な顔芸を披露する谷口。
「まぁ、俺と違ってお前は変な女が好きなヤツだからな〜。ナンパで付いてくる女なんて興味ねぇか」
またその話か。だいたい、お前の好みのタイプが普通の女だなんて定義を、
俺に押しつけるのはおかしいだろう。
それに、どうせお前はかわいい子なら誰だっていいんだろうに。
「そりゃそうさ、お前はかわいい子嫌いなのか?」
もちろん嫌いではないがな。性格次第だ。
谷口は、へんっ!と、さもつまらなさそうな返事をして
「国木田、お前はどう思うよ?」
弁当を食いながら、今まで俺達の会話を静観していた国木田に、谷口が話を振った。
そういえば中学時代、コイツとこういう話をした覚えがあまりないな。
お前はいるのか?好きな女とか、いなけりゃこんな人がタイプだとか。
639 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 22:12:49.22 ID:gApb9eDl0
支援
「え? 僕?」
キョトンとした顔で俺と谷口を交互に見る国木田。
お前以外に国木田って苗字のヤツはこのクラスにはいないだろう。
「──好きな人は、いるよ?」
事もなげにそう答えた。
「なにぃ! そうなのか? 誰なんだよ? 教えろよ、話によっちゃあ協力してやるぜ?」
興奮した谷口が一気にまくしたてた。
……知ったところでどこをどういうふうに協力するのかはわからんが、
正直俺も興味があったので、黙っておくことにした。
誰にも言わない、とのお決まりの約束を俺達にさせ、
「う〜ん……」
しばらく思案するそぶりをみせる国木田。
ふと俺のほうをちらりと見やり──そして、こう言った。
641 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 22:14:38.11 ID:gApb9eDl0
支援
「涼宮さん、かな?」
…………
………
……
…
3人の時が止まった。
いやいや俺の聞き違い、そうだよな? クニキダクン?
もう一度、たった今爆弾発言をした男の顔を見た。
当の本人は頬を赤くしながら、とうとう言っちゃった的な顔をしている。
おいおい、気は確かか!?
「どうして?ステキな人だと思うけど」
思わずコイツの額に手を当ててみる。熱はないようだ。
頭を打ったって可能性もあるが。
「ひょっとしたらさっきの体育の時間、バレーボールに頭をぶつけた時に……」
「あれぶつけたの確か谷口だろ? お前のスパイクが強すぎるから……」
「いやいや、俺のせいじゃねぇよ、あれだって軽めに打ったんだぜ?」
「だが他に可能性がないってことはやっぱり……」
「僕はいつだって正気だよ」
すっかり密談モードになっていた俺と谷口を(と言っても目の前なので丸聞こえなのだが)
遮るように国木田がそう言った。
643 :
VIP足軽utu:2006/12/05(火) 22:17:24.28 ID:i+kfnBeH0
しえん
俺のほうに身体を向けていた谷口は素早く向き直り、
「けっ、お前も結局顔かよ。あいつはやめとけって言ってるだろうが。
だいたいだな、……」
と、いつか俺に言ったような話をまた始めた。
それを軽快に無視しつつ、
「それにしてもお前がねぇ……。それで、アイツのどういう所に惹かれるんだ?」
「そうだなぁ……」
また少し考えた後、
「どんな事があっても、自分を通す所かな」
……こいつ、本気だ──
単なる我侭を、自分を通すって単語に置き換えられるあたり、なかなか重症のようだ。
「キョンとは付き合ってないんでしょ?」
「ああ、そうだが……」
というか誤解のないように言っておくが、ハルヒと俺は、単なるクラスメイトであり、
かつSOS団団長とその団員という関係でしかない。
「じゃあ、別にいいよね?」
別にいいってどういうことだ?
……なんだか無性に腹が立ってきた。
645 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 22:20:55.03 ID:gApb9eDl0
支援
──まぁハルヒに言い寄るようなヤツは、それだけでアイツ的不合格者だと思うんだがね。
「でも、これまで断ったことってないんでしょ?涼宮さんって」
中学時代はそうだったらしいな。今はどう思ってるのか知らんが。
最初に俺と会った時は、恋愛感情なんて一時の気の迷いとかなんとか言って……
ってなんだ国木田、そのちょっと意外そうな目は。
「いやぁ、なんだかキョンがいつもより饒舌だなぁなんて思ってね」
……どこかの超能力者を思わせるような笑顔でそう答える。
ますます気にくわない。
「別に。お前の好きにしたらいいさ」
国木田はため息をついて小さな声で、確かにこう言った。
「──素直じゃないなぁ」
その時の俺がどんな顔をしていたのかはわからない。鏡なんて持ってないしな。
……聞こえなかったふりをし、返事は返さなかった。
647 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 22:21:22.40 ID:tqQ+7tHt0
支援?
結局この会話が引き金になったんだろうな、次の日。
朝のHRが始まるまでのわずかな時間に、俺は珍しい光景を目にすることになる。
「涼宮さん」
不機嫌そうな顔で窓から外を眺めていたハルヒの前まで行き、
無謀にも話しかけるヤツがいた。言うまでもない、国木田である。
その手には、表紙と題名を見れば一目でわかるような、最近の超常現象か何かの雑誌を持っている。
ハルヒはチラッと自分を呼んだ相手の顔を見て、すぐさままた外に目を向ける。
「ちょっとこれ、見てほしいんだけど」
ハルヒは答えない。
そりゃあ普段は全く会話もしないようなヤツが、いきなり馴れ馴れしく
自分の前に雑誌なんぞを持ってくれば、十中八九いたずらか、
それともなにかの罰ゲームをやらされているのかと考えるだろう、常識的に考えて。
何か反応がこないだ待っていた国木田だったが、
「あれ? こういうのは興味なかったかなぁ?」
右手を後頭部にまわしてポリポリ頭を掻きながらそう言うと、
少し残念そうな顔をして自分の席に戻って行った。
……お前らしくもない事をいきなりやろうとするからだ。
そう思いつつ国木田を見る俺の目の端に、
こちらを睨みつけるような目を向けているハルヒの姿が映ってしまった。
やっぱり俺のせいになるんですな……
棘のようにチクチクと刺さってくる視線に耐え切れなくなった俺は、
観念して、ハルヒの方を向いた。
「今の、どうせあんたの差し金でしょ!!? 何考えてんの!?」
「そんな暇な事俺がやるわけないだろう?」
「どうかしらね? どうせアホの谷口と組んで何か企んでるんでしょ?
さっきアイツを見てた時、なんかニヤニヤしてたしね、さっさと言いなさい」
言いながら顔を近づけて俺に白状させようとするハルヒ。
俺がいつ国木田を見ながらニヤニヤしたんだなんてツッコミを口の中に封印し、冷静に返答を考える。
一応、友人の恋心ってやつを、俺から言ってしまうってわけにはいかないので
「知らないって言ってるだろ? たまには俺を信用したらどうだ?」
「ふんっ」
ますます不機嫌オーラを周囲にまき散らかしながら、ようやく俺の釈明は終わった。
国木田よ、お前のせいだからな。
席についたアイツの後ろ姿をにらみつけ、絶対協力なんぞしてやらんと心に誓う俺であった。
以上です。
支援ありがとうございました。
たぶん4話編成になると思います。
たいした文でなくてすみません、それでわ。
651 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 22:26:56.28 ID:gApb9eDl0
GJ!
652 :
籠屋の銀二:2006/12/05(火) 22:30:11.55 ID:DOh6DdP5O
乙!
653 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 22:30:57.00 ID:tqQ+7tHt0
投下の気配がなかったから一瞬何事かと思った・・・
俺が総合の対策用に「○」をNGNameに登録してただけだった
ともかく乙!
乙
どうやら新刊12月発売には疑問視があちこち出てるようです
655 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 22:31:16.70 ID:gApb9eDl0
キョンと誰くっつけたらいいかわかんね
656 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 22:32:05.81 ID:tqQ+7tHt0
新刊が2月ならまだ救いはある
俺に
657 :
VIP村人P:2006/12/05(火) 22:32:06.18 ID:/WJWymPi0
658 :
VIP女神:2006/12/05(火) 22:32:48.30 ID:LdY7ABm40
>655
谷口
659 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 22:34:18.20 ID:gApb9eDl0
>>658 アナル行けって言うのか?俺は甘いの書きたいだけなのに
660 :
VIP足軽neet:2006/12/05(火) 22:34:44.24 ID:yJwGyDNuO
661 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 22:35:01.97 ID:tqQ+7tHt0
ここであえて大人みくるとくっつけてみるのはどうだろう
662 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 22:35:14.66 ID:Dpc9+2fDO
2月なら受験終わってるな。まぁ俺は私大だからか…
663 :
VIP女神:2006/12/05(火) 22:35:16.64 ID:LdY7ABm40
ネタだ。 そうカリカリなさるな。
664 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 22:37:39.79 ID:tqQ+7tHt0
・・・長編の一話分が1000行超えそうとか俺は何をやっているんだ?
665 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 22:39:36.81 ID:gApb9eDl0
>>663 釣られて谷口書いてた俺は絶望して書いたの全部破棄した
吊ってくる
666 :
VIP村人u:2006/12/05(火) 22:39:41.50 ID:np0SpARJ0
667 :
VIP盗賊:2006/12/05(火) 22:40:20.97 ID:T/sojUbf0
>>664 すげえ……尊敬するわ。何文字くらいになるんだろう。
668 :
VIP足軽x:2006/12/05(火) 22:42:12.51 ID:zqSmNuq20
今北、sage進行だっけ。
もしかしてまた例の凸来てた?
669 :
VIP女神:2006/12/05(火) 22:43:30.20 ID:LdY7ABm40
>665
ごめん
670 :
VIP番長:2006/12/05(火) 22:43:59.17 ID:ohTnh8gRO
671 :
VIP番長:2006/12/05(火) 22:45:05.10 ID:ohTnh8gRO
ごめん。あげちまった
672 :
籠屋の銀二:2006/12/05(火) 22:48:21.86 ID:xVJyxeAS0
673 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 22:50:42.84 ID:M6aq2oJQO
もう今日は投下ないんかな?
>>667 横から失礼します。
何だか気がついたら2000行越えている私ですが、
ちょっと気になったので数えてみました……
うわ、78000文字越えている!
675 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 22:51:09.02 ID:tqQ+7tHt0
676 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 22:52:17.30 ID:tqQ+7tHt0
上には上がいるもんだ
677 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 22:52:59.54 ID:M6aq2oJQO
>>675 いえいえ。無いのなら寝ようかと思いまして
678 :
VIP盗賊:2006/12/05(火) 22:53:10.87 ID:T/sojUbf0
679 :
籠屋の銀二:2006/12/05(火) 22:53:59.40 ID:xVJyxeAS0
680 :
散髪とめきち:2006/12/05(火) 22:55:02.66 ID:7psLtbQi0
最近さー少し暇ができたからさー本でも読もうと思ってんだけどー
最初にさー文芸部室でさー長門が読んでた本ってさーハイペリオンでいいのー?
681 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 22:55:41.29 ID:tqQ+7tHt0
1000行ってぇとえー、なんだ?
約40レスか?
682 :
VIP足軽x:2006/12/05(火) 22:57:36.00 ID:zqSmNuq20
>>680 ハイペリオンをいきなりはキツいから星を継ぐものか鋼鉄都市でならしてからのがいいよ。
より長門に近づけるはず。
683 :
宿屋の女中:2006/12/05(火) 22:58:46.58 ID:tqQ+7tHt0
あー・・・編集中のが強制終了して編集分オシャカになった
だめだこれ
684 :
猿回しの勘三:2006/12/05(火) 22:59:25.63 ID:o/o6L84n0
>>674 10月8日 115000文字
時のパズル 115000文字
微笑 135000文字
まだまだ大丈夫さ!
長けりゃいいってもんでもないがw
685 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 22:59:56.41 ID:gApb9eDl0
>>684 そこまで到達すると新しい世界が見えてきそうです。
687 :
VIP奴隷:2006/12/05(火) 23:02:51.18 ID:T/sojUbf0
ハイペリオン?アセリアッスか?
689 :
VIP足軽y:2006/12/05(火) 23:06:45.81 ID:zqSmNuq20
690 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 23:13:17.50 ID:sJO3bXyl0
>>690 投下はもうしばらくお待ちを……orz
確実に0時はすぎるかと。
692 :
油売りの左暮:2006/12/05(火) 23:23:22.58 ID:DOh6DdP5O
冬企画って投下する時、トリはいるのかな?
693 :
VIP村人z:2006/12/05(火) 23:23:50.25 ID:d/T/ysh30
694 :
618HG:2006/12/05(火) 23:36:18.85 ID:HGwHqGwMO
今更ながらHG
とりあえずお題完成した
久々にこんなに短くまとめることが出来て自分で感動した
微妙に古泉暴走が出切れてない感じだが、そこは寛大な目でorz
んじゃ行きます以下7レス
695 :
VIP魔王:2006/12/05(火) 23:37:11.99 ID:/WJWymPi0
wktk
696 :
紅い日:2006/12/05(火) 23:37:46.77 ID:HGwHqGwMO
今日なんてものは事無く過ぎていく物だと思っていた。
普通に朝妹に起こされて準備。妹と家を出て、別れた後はもうすっかり慣れた道を行った。
キツい坂で更に朝からキツい谷口と会って、教室に入ってハルヒと適当に話してホームルーム。
元からあまり勉強する気のない俺は、ひたすら窓の外を眺めて授業をやりこなした。
それを三時間過ごした頃だ。なんて事無いはずの日常は、奇しくも非日常へと流れていた。
四時間目が始まる前の休み時間に、ハルヒは携帯を確認したと思えば、大きく目を見開いて、血相を変えて教室から飛び出した。
俺はどことなく危ない予感はしていたのだが、その時は深くは考えはしなかった。
四時間目が始まってもハルヒは教室に戻って来なかった。またよからぬ事を考えているのは間違えなさそうだ。
あまり俺の身に降り懸かってくるような事である事を願いつつも、まぁ無理だろうか、と諦めを付けていた。
697 :
紅い日:2006/12/05(火) 23:38:30.32 ID:HGwHqGwMO
何事も無く、授業が終わり、俺は谷口と国木田と飯を食うために、机を囲っていた時だった。
――ピンポンパンポーン――
その放送の始まる音が何故か俺の体を身震いさせるものだと感じていた。
「一年五組のキョンくん。一年五組のキョンくん。至急、放送室に来るように」
文章だけ見れば、なんて事は無いただの呼び出しだとは思う。だが、その声の主に、俺は物凄く心当たりが有った。
「あのバカ……今度は何しやがる気だ!」
俺は一目散に教室を出て、放送室に向かっていた。何故俺は律儀にもこの呼び出しに応じてしまったんだろう……
「遅い! 罰金!」
「罰金所ではない! これはどういうことだ! というより古泉! 居たんなら少しは止めろ!」
放送室に居たのはハルヒと古泉のみ。SOS団のメンバーが全員居ないのは何故だろうか。
「いえ、これは僕が頼んだことですから」
「なに?」
「時間が無いわ! 古泉君! 心の準備は出来てる!?」
「……はい。大丈夫です。なんとかやってみせます」
「よしっ! それでこそ男の子だわ! それじゃ、いくわよ!」
698 :
紅い日:2006/12/05(火) 23:39:11.27 ID:HGwHqGwMO
――ピンポンパンポーン――
「え〜、マイクテス、マイクテス。ゴホン。え〜、この放送室は我々SOS団が占拠いたしました!」
「なにぃ!?」
「バカキョン! うるさいわよ! え〜、失礼。我々SOS団は、この放送を通じて、ある人からある人へ伝えたい事があるわ!
古泉君! いいわよ!」
「はい。僕、古泉一樹がある人へ伝えたい事があります。」
「オイオイハルヒ、これは一体全体どういう事だ!」
「黙って聞いてなさいこのバカキョン!」
「僕は……長門有希さん。僕はあなたが……好きです!」
「えええええええぇ!!?」
「長門さんへの想いを気付いたのは先月の事でした。僕と二人で探索に行った時の事でした。
長門さんが図書館で目もくれずに本を読み続けるその表情はまさに神秘的でした。
僕がアイスを買ってあげたときの礼を言われた事や、愛くるしい食べ方などに……気づいたら僕の心はあなたで一杯でした。」
正直いっちゃ悪いが、古泉よ。これは暴走だ。長門に伝えるならもっと時と場合を考えるべきだろう。
「今まで我慢してきましたが、今、この場を借り、言います。長門さん、あなたが好きです。付き合ってください。」
「それじゃあ有希! 返事は放課後、図書室の中央テーブルで待ってるわ! それじゃあ、放送終わり!」
――ピンポンパンポーン――
699 :
紅い日:2006/12/05(火) 23:39:48.16 ID:HGwHqGwMO
「おい古泉……」
「僕の気持ちは本物ですよ。この方法だって、提供してくれた涼宮さんに感謝したいくらい素晴らしいものですし」
「そうでしょうそうでしょう! 古泉君、アンタやるわね! 見直したわ! これなら、有希の気持ちも、グッと鷲掴みね!」
オイオイ……いいのか? これで……
「おいハルヒ。これは一体どういうことだ」
「どうって……古泉君、前からあたしに相談していたのよね」
「長門の事か? なんでまたお前なんかに……」
「キョン、何か言った? それでね? 今まで何か切り出す事が出来なかったみたいなの。
だけど、今日になってやっと決心出来たみたいだから、あたしがその場を提供してあげったって訳よ!」
「なんでそれがあんな事になってんだよ」
「あら、あんな事やられたら、女の子としてはときめかないわけが無いじゃない!」
「それが長門でもか」
「あら? 有希だってれっきとした女の子よ。失礼ねぇ……」
はぁ。やれやれ、一体いつの時代の感性しているんだコイツは……
700 :
VIP魔王:2006/12/05(火) 23:39:56.41 ID:/WJWymPi0
紫煙
701 :
紅い日:2006/12/05(火) 23:40:28.34 ID:HGwHqGwMO
時は来たりて放課後。図書室の中には、野次馬(しかも女子が多いのがなんとも忌々しい)がごった返しになっていた。
その中心にいるのは古泉。いつものニヤケ面から笑顔が消え、明らかな緊張の面もちで一人待っている。
ハルヒと俺は一番状況を確認し易い位置にて待機。なんでこんなことやっているんだ。だが、長門の返事も確かに気になるが。
と、そこで図書室の扉が開かれ、張本人の長門がやってきた。古泉は息を飲む。俺達も同時に息を飲む。
「古泉一樹」
「……はい」
「さっきの言葉……あなたはわたしに好きと言った」
「はい。僕は長門さんが本当に好きです」
「……わたしには、好きという概念があまり理解出来ない」
「そういう事は概念とかいうことが存在するわけでは無いのです。ただ単純に、この人と一緒に居たいと思えば、それが好きということなんです。
少なくとも、僕は長門さんのことをそう考えています」
「………………」
少し長めの沈黙。そして、口を開いた。
「わたしも……」
「え?」
少し長い沈黙から急に喋りだしたことから、古泉は少し間抜けな声で聞き直した。
「わたしも……あなたと一緒にいたいと思う。これは……好き、という事?」
「……長門さんが思うがままです。それを僕は受け入れます」
「……わたしは……あなたが好き」
「長門さん……」
そう言ってコイツらは、沢山の野次馬共をもろともせず、キスをした。
全く思うが、告白の方法といい、この場でのキスといい、こいつは見られることで快楽を得る変態か。
……まぁたまには心から祝福してやることをしてやるよ。他の女子は知らないがな。
702 :
紅い日:2006/12/05(火) 23:41:00.36 ID:HGwHqGwMO
何故か長門をいわゆるお姫様抱っこで抱えて颯爽と出ていった古泉達を見送り、俺とハルヒは同じ帰路に着いていた。
「う〜ん! なんかいいもんね! こういうのも!」
「恋愛事には興味が無いように思っていたんだが」
「失礼ね。これでもうら若き乙女よ?」
ハルヒはイタズラな笑みを浮かべて俺の顔を伺った。
「つまりは普通に恋愛もすれば、普通に欲情することもあるってことか」
「エロキョン! なんであんたはいつもそういう方向に持っていくの!」
「あくまでも例えだ。深い意味は無いって」
「何か怪しいわねぇ……本当はこのあたしの事をエロい風に考えているんじゃないの?」
「まぁ、俺もうら若き男子だしな?」
「キョ〜ン? ちょっとあんたにはお仕置きが必要みたいねぇ〜?」
「冗談を本気にとるなって」
「あんたの場合、冗談に聞こえないのよ! 全くこのエロキョンは……」
何事かをブツブツ呟いているハルヒの顔は、夕焼けの日の赤さのせいで紅かった。
703 :
紅い日:2006/12/05(火) 23:42:05.25 ID:HGwHqGwMO
「やはりハルヒは告白されるのはああいうシチュエーションがお望みか?」
しばらく顎に手を当て、う〜んと唸りながら考える素振りを見せてから答えた。
「そうねぇ……やっぱり普通では無いのがいいとは思うわねぇ……でも、もしもよ?あくまでも例えなんだからね!」
「わかったから、例えば何なんだ?」
「もしも、本気であたしが惚れてる人なら、その告白だけで、もう飛びきりの特別って気がするのよねえ」
「……なかなかクサい事考えてる奴なんだなお前」
「もう! あ〜! キョンなんかにこんな話するんじゃなかったわ! 恥ずかしいったらないわ!」
「それじゃあ……俺が告白したらどうだ?」
「えっ……」
前を歩いていたハルヒが立ち止まり、こちらを振り返る。その顔は驚愕の相が一番よく出ていて、顔は日の紅さよりもさらに紅かった。
しばらくの沈黙。互いに互いの目を見合う。
「……冗談だ。やはり、冗談が冗談で聞こえなかったか?」
「えっ……こ〜の〜バカキョン!」
ハルヒの陸上選手真っ青な走りで追っかけてくるのを必死で逃げる。
さてはて、一体ハルヒにはどういう告白がお好みだろうかな?
今度古泉にでも聞いてみよう。あいつならレパートリーが沢山ありそうだ。
だが、それもこのとんでも速さのハルヒから逃げきってからではないとな。
真っ赤に燃える太陽を背に、俺はひたすら、坂道を下って走りつづけた。
紅い日
了
704 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 23:43:53.38 ID:gApb9eDl0
GJ!
705 :
VIP村人z:2006/12/05(火) 23:45:21.36 ID:d/T/ysh30
706 :
牛のふん:2006/12/05(火) 23:46:40.52 ID:HGwHqGwMO
いやはや、どうしても書くとなると長編にならざる負えない俺がこんなに短く書けるのはある意味新発見
お題ものはいいかもしれん。まぁそれも、華の続きを書いてからですが
んならノシ
707 :
油売りの左暮:2006/12/05(火) 23:46:58.39 ID:DOh6DdP5O
708 :
愛のVIP戦士:2006/12/05(火) 23:51:28.27 ID:gApb9eDl0
じゃあ
>>660で書くか。
誰も投下しなくなったときに投下しますよ、と。
なんかスレに張り付いてないと誰が何書いたのか分からない・・・
職人さん達SSある程度本数溜まってきたら
雑談所のスレにでも題名まとめたりしてくれないだろうか
とか勝手な要望を言ってみる
711 :
牛のふん:2006/12/05(火) 23:58:19.17 ID:tFcCmQrNO
この後、戦場の人が予約ずみ?
>>711 まだ大丈夫です。こっちはもうちょいかかるかと。
投下スピード遅くてけっこかかりそうだから予約あるんなら明日にします
714 :
籠屋の銀二:2006/12/06(水) 00:12:37.59 ID:4EJMY0hNO
昨日のフェルエリア・フォン・エターナリティだが、ミヨキチって皆の頭の中でどんなイメージなんだ?
715 :
籠屋の銀二:2006/12/06(水) 00:13:08.41 ID:4EJMY0hNO
ごめんなさい。ageちった。
716 :
VIP村人d:2006/12/06(水) 00:16:57.80 ID:KSJhYPUd0
717 :
VIP村人v:2006/12/06(水) 00:17:52.45 ID:iFS0Y9xgO
718 :
籠屋の銀二:2006/12/06(水) 00:20:55.85 ID:4EJMY0hNO
投稿しなくて良かった。印旛沼で首吊って夕張で書き直してくる
719 :
VIP足軽j:2006/12/06(水) 00:26:44.61 ID:tGiOSsHG0
720 :
VIP村人i:2006/12/06(水) 00:30:14.13 ID:AidSYoG80
●<…
721 :
VIP村人v:2006/12/06(水) 00:30:52.26 ID:iFS0Y9xgO
722 :
VIP村人d:2006/12/06(水) 00:34:15.06 ID:KSJhYPUd0
>>718 俺的には嫁だから黒ミヨキチでも一向に構わんが。
723 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 00:35:49.25 ID:WPxIrue30
>>718 ミヨキチはみくる氏と対照的なおしとやかな大人びた感じの子で
将来は朝比奈さんの対抗馬になる傑物らしい。
みくるは十分おしとやかだと思うけど……
725 :
VIP村人v:2006/12/06(水) 00:42:05.85 ID:iFS0Y9xgO
お待たせしてすみません。ようやく投下の準備が整いましたので、
投下したいと思います。
ちょっと眺めで20〜30レスぐらいになると思います。
アナルと原作では区別をつけないとね
729 :
愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 00:44:38.37 ID:t0N4QVwS0
730 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 00:44:52.30 ID:WPxIrue30
>>726 wktk
あ、黒みくると混同したかもしれんね。朝比奈さんは十分おしとやかです。
大人びた雰囲気がミヨキチ。
731 :
VIP村人d:2006/12/06(水) 00:44:57.93 ID:KSJhYPUd0
wktk
732 :
愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 00:45:45.60 ID:IACd8rhpO
追い付いたぜ!
GJ!
最近、古泉×長門多いなw
いや、素敵だから良いけど。
さて、静かな時間が進んだのは、翌日の朝までだ。どうやら嵐の前の静けさって奴だったらしい。
日が昇るぐらいの時刻、前線基地の北1キロの辺りを警戒中だった小隊が数十両に上る車両に乗った敵が
南下してきていたのを発見したのだ。ハルヒと一緒にいた俺は小隊を引き連れて迎撃に向かったのだが……
「おいドク――じゃなくて衛生兵! 負傷者だ来てくれ!」
俺は道の真ん中で鼻血を垂らしている生徒を抱えて叫ぶ。
だが、民家の路地で敵と撃ち合っていた彼には声は届かない。幸い、近くにいた別の生徒が俺の呼びかけに気がつき、
衛生兵の生徒をこっちによこさせる。
どこを撃たれたんだ!と叫ぶ彼に、俺は、
「足だ! それでもつれた拍子に頭から転んだ! 意識もなさそうだ!」
彼はわかったと言い、処置を始めようとするが、なにぶん道のど真ん中だ。そんなことを敵が許してくれるわけがない。
近くの民家の二階からシェルエット野郎がひょっこり姿を現すと、俺たちめがけて乱射を始める。
足下のアスファルトに数発が命中して道路の破片が飛び散り、俺の身体に振りかかった。
「邪魔すんな!」
俺はそいつめがけて撃ち返すと、あっさりと民家の中に引っ込んでしまう。
北山公園じゃ乱射して絶対に隠れたりしなかったくせに、ここに来てチョコマカと動くんじゃねえよ。
何はともあれ今の内に俺たちは負傷者を抱えて道路脇まで運ぶ。しかし、ここでも悠長に治療なんてやっていたら、
そこら中から銃撃を加えられるだろう。何せ、俺たちの周りに立ち並ぶ民家のどこに敵が潜んでいるのかわからないのだ。
とにかく、学校に負傷した生徒を戻すしかない。
俺は無線を持った生徒を呼びつけ、
「おいハルヒ! 負傷者だ! 数人つけてそっちに送り返すから、学校へ運んでくれ!」
『わかった! でも、さっき負傷者を満載したトラックを学校に返したばかりだから、
ちょっと時間がかかるわよ!』
身近にいた二人の生徒に負傷者を担ぐように指示し、ハルヒのいる前線基地へ走らせた。
仕方がない。それでもこんなところにおいておく訳にはいかないんだからな。
負傷者を送り出した後、今度は2軒先の民家の塀の上から銃撃を受けるが、国木田が見事な腕前でそいつに弾丸を命中させる。
今じゃ、俺の小隊じゃこいつが最強の位置にいるからな。頼りにしているぞ。
と、国木田が俺の方に振り返り、
「キョン。3人減ったから結構パワーが落ちるよ。どうする?」
ここは前線基地から数百メートル北に位置する、住宅の密集地帯だ。ここを通り抜けられるともう前線基地の目の前に出る。
敵の侵攻を事前に察知した俺たちは、この住宅地帯で防御線を築こうとしていたんだが、
敵の動きが昨日とはまるで違うために苦戦続きだ。突撃バカみたいだったのが嘘のようで、
あっちの路地陰から銃撃を受けたと思えば、民家の屋根から手榴弾を投げつけたりしやがる。
しかも、ちょっと攻撃したらとっとと民家の海の中に消えてしまうのだ。
浴びせられる銃弾の量は昨日よりも遙かに少ないが、これは精神的にかなりきつい。
おまけに民家から民家へ器用にすり抜けていっているらしく、ハルヒのいる前線基地へも攻撃が加えられている。
もはや俺の防御線の意味がなくなりつつあった。
俺は国木田の指摘に、しばらく頭の脳細胞の血流を加速させて、
「どのみち、ここで防御していても犠牲が増えるばかりだな。大体ハルヒの方も攻撃を受けているんじゃ、
ここにいる意味が全くない。防御線を下げてハルヒたちの方に戻るぞ」
「賛成。その方が良いと思うよ」
国木田もいつものマイペース口調で賛成する。
俺の小隊はじりじりと南側――前線基地へ移動させ始めるが、
「敵車両だよ!」
国木田の叫び声とともに、路地から一両の軽トラックが現れる。普段その辺りを走っているようなタイプだが、
後ろの荷台には12.7mm機関銃搭載という凶悪な代物だ。そこにシェルエット野郎が3人乗り、
一人が12.7mm機関銃の火を噴かせ、他の二人はそれを援護するようにAKを撃ちまくる。
「撃ち返せ!」
俺たちは一斉に民家の塀の陰に飛び込み、車両めがけて一斉に射撃を始めた。
12.7mmの銃弾が塀に直撃するたびに、コンクリートの破片が飛び散る。
こいつが人間の肌に直撃したらどうなるのか。怪我なんて言うレベルじゃねえぞ。もはや人体破裂といった方が良い。
もう3度それを目撃する羽目になったが、絶対に慣れることはないと断言する。
しばらく銃撃戦が続くが、一人の生徒が撃ちまくっていた5.56mm機関銃MINIMIが12,7mm機関銃を乱射していた
シェルエットマンに直撃。一番の脅威が消滅したと言うことで、俺たちは前に出て残り二人も射殺した。
だが、肝心の軽トラックはとっとと逃げ出した。あれだけ銃弾を撃ち込んでぼろぼろだってのにまだ動けるとは。
さすがは日本製とでも言っておこう。
敵が去ったのを確認すると、俺たちはまた前線基地へ向けて移動を開始した。
「キョン! こっちよこっち!」
前線基地前にたどり着くと、ハルヒが手を振っているのが目に入る。しかし、隣接している住宅地帯には
すでに敵が潜んでいるらしく、うかつに飛び出せば狙い撃ちされかねない状態だ。
案の定、俺たちの真上に位置する民家の窓から敵が飛び出してきて――
「やばい!」
てっきりいつものようにAKで銃撃してくるかと思いきや、シェルエット野郎の手にはRPG7が握られていた。
真上からあれを撃ち込まれれば、ひとたまりもない!
俺は無我夢中でM16を撃ちまくる。放った銃弾がどこかに当たったのか、発射寸前に手元が狂い
俺たちとはあさっての方向の民家の壁に直撃した。だが、やはりぶっ放した野郎はとっとと民家の中に引っ込んでしまう。
「キョン! 後ろから敵車両2! 近づいてくるよ!」
国木田の声で振り返ると、また武装軽トラックが背後から接近中だ。もちろん、12.7mm機関銃の銃口が向けられている。
ここからじゃ、狙い撃ちにされる!
――その瞬間、バタバタという轟音とともに、俺たちの頭上に一機のヘリコプターが出現した。
「ようやく来たか!」
俺の歓喜の声と同時に、UH−1からミニガンの攻撃が始まる。まず、俺たちに接近中だった車両2つが吹き飛び、
今度は住宅地帯の屋根に向かって撃ちまくった。俺たちの頭上を飛ぶたびに、ミニガンの薬莢が雨あられと降りかかり、
指先に当たったときは思わず「アチイ!」と叫んでしまう。
しばらく掃射が続いたが、やがてそれも収まり前線基地の上空あたりでホバリングを始める。
と、無線機を持った生徒から無線を渡された。古泉からの連絡らしい。
『やあ、どうも。敵は大体つぶしましたから、今の内に移動してください』
「恩に着るぜ。助かった」
古泉は今小隊の指揮官からはずれて、UH−1のパイロットなんてやっていたりする。
何でも本人曰く、
(何の訓練も免許もなくヘリの操縦ができるんですよ? せっかくだから操縦してみたいと思いませんか?)
と、いつものさわやか顔でUH−1に乗り込んだ。とはいっても、学校の校庭に置かれていたものは輸送用らしく、
武装が一切ついていなかったので、学校のどこからか持ってきたミニガンを両脇キャビンに装着してあり、
それをヘリに乗った生徒が撃ちまくっている。なんだかんだで器用な野郎だ。
まあ、今の状況を仕組んだ奴から頭の中にねじ込まれた知識だろうが。
しかし、あの学校は4次元ポケットか何かか? 昨日はカレーと米が出てきて長門カレーができたが、今度はミニガンかよ。
「よし、敵の攻撃が収まっている内に戻るぞ」
俺たちは一気に前線基地の建物内までに戻る。そこにハルヒが駆け寄ってきて、
「キョン、向こうの様子はどうだった?」
「ああ、すっかり民家に敵が入りこんじまっているな。あっちこっちで敵が飛び出してくるんで
まるでモグラ叩きだ。キリがねぇ」
「こっちもさっきから同じ状態よ。正面の民家から敵が出ては引っ込んでの繰り返し。むっかつくわ!
もっと潔く突撃してきなさいよ!」
「俺に言われても困る」
そんなやりとりをしている間に、またガガガガとAKの銃声音が鳴り響き始めた、
だが、てっきり前線基地に向けた銃撃と思いきや、こっちには一発も飛んできていない。
代わりに前線基地上空を旋回していたUH−1があわてたように高度を上げ始める。
どうやら、ヘリが攻撃を受けているようだ。
ハルヒは無線機を通信兵から受け取ると、
「古泉くん! 大丈夫!?」
『ええなんとか。あまり高度は下げない方が良いですね。ちょっと驚きました』
「無理しないで。有希の砲撃が使えない以上、古泉くんのヘリが頼みなんだから」
『わかりました』
言い忘れていたが、現在長門の砲撃は自粛中だ。敵車両部隊の南下を確認した時点で、
それを阻止すべくありったけの砲弾を南下ルートの道路に撃ち込んだんだが、
調子に乗ってやりすぎたため、砲弾の残りが見えつつあるようになってしまったからだ。
こいつに関してはハルヒの指示とはいえ、俺も砲弾が無限にあると勘違いしていたことを反省すべきだろう。
しかし、ミニガンとカレーが出てくるなら、砲弾も一時間ごとに2倍に分裂するとかサービスしてくれりゃいいのに。
と、古泉との通信を終えたハルヒが俺のヘルメットをぽかぽか叩きつつ、
「なにぼさっとしているのよ、キョン! 敵がどっかに隠れているんだから、怪しいものに向かってとにかく撃ちまくるのよ!」
「それをやったから砲弾の弾が尽きかけているんだろうが!」
そんなことをしている間に、前線基地正面の民家の窓からまた影野郎が出現だ。
しかも、狭い窓から3人が身を乗り出し、全員RPG7を構えて一斉発射だ。
「RPG! 隠れて!」
ハルヒの声が飛ぶと同時に、俺たちは物陰に隠れる、一発は前線基地前の道路に、2発はそれぞれ建物の壁に直撃する。
「みんな無事!? 怪我はない!?」
ハルヒの確認の声に、建物内の生徒たちが一斉に返事をする。どうやら、けが人はいないようだ。
俺がほっと無でをなで下ろしていると、またもやハルヒからの鉄拳パンチがヘルメットを揺るがし、
「だーかーらー! ぼさっとしていないでさっき出てきた奴に反撃しなさいよ!」
「さっきの仲間にかける優しさの1割で良いから、俺にもかけてくれよ」
ひどい扱いだぞ、まったく。
とはいっても腐っている場合ではない。第2射を撃とうと、同じ窓から出てきた敵めがけて撃ちまくる。
何とか、一発ぐらい当たったらしくいつものように敵がはじけ飛んで消滅した。主を失ったRPG7は、
そのまま窓から地面に落ちる。
「よくやったわキョン! ナイスショット! 学校に帰ったらみくるちゃんを――違う違う! ビールをおごってあげるわ!」
「未成年者に酒を勧めるなよ!」
こんなやりとりをしていると、つい俺の頬がゆるんでしまうのがわかる。
なんだかんだでハルヒの威勢の良い声が今はとても気持ちよく感じているからだ。
「また来た!」
今度は路地から2人の敵がそこら中に向けてAKを乱射し始める。それに対して、ハルヒは持っていたM14を構え、
2発発射。当然のようにシェルエット野郎2人に命中して飛散させる。大した奴だ。
「このくらいできないと指揮官は務まらないわ! 当然よ当然!」
得意げに笑うハルヒ。昨日ほど落ち込んではいないようだな。
ちなみに、ハルヒが持っているのは他の生徒が持っているM16A2ではなく、
どこからか引っ張り出してきたM14――しかも狙撃用にカスタマイズされたものだとか。
昨日北山公園に行ったときはM16A2だったが、途中でMINIMIに持ち替えて乱射していたらしい。
ところがこれがさっぱり敵に命中しないものだから、今では一発一発確実に命中させる方に転向している。
「下手な鉄砲も数撃ては当たる!なんて言うけどさ、あれって絶対に嘘よね。
昨日、あれだけ撃ちまくっても全然命中しなかったし。きっと弾を売っている商人が流したデマよ。
そういう連中にとってはいっぱい撃ってくれた方がどんどん売れて大もうけって寸法よ、きっと!」
根本的にお前の使い方が間違っているんだよ。とまあ指摘してやりたかったが、胸の内にしまう。
何でかというと、今度は前線基地前の民家の屋根上に10人くらいの敵が出現して、
こっちに銃撃を始めやがったからだ。
こっちも負けずに一斉射撃で反撃を開始するが、上からと下からでは差があるのは当然だ。
敵を一人やるまでにこっちは二人は負傷するという不利な状態だ。
「だったら、さらに上から撃てばいいのよ! 古泉くん! やっちゃってちょうだい!」
『了解しました』
ハルヒ指令の指示通り、古泉ヘリのミニガン掃射が始まる。もう敵どころか民家の屋根ごと吹き飛ばしている威力を見ると、
頼もしいような恐ろしいような。
740 :
VIP村人d:2006/12/06(水) 00:47:51.09 ID:KSJhYPUd0
支援
「敵車両がまた来たよ、キョン! 三両も!」
「しつけぇな!」
東側を見ていた国木田から声の声に、俺は思わず出る愚痴を吐き捨てながら敵の迎撃に向かう。
先頭に一両で背後に2両が併走していた。当然どれも12.7mm機関銃付きだ。
とにかく、先頭の車両の連中をつぶそうと銃を構えるが、突然、背後の車両に乗っていた数人が
RPG7を手に立ち上がった。前の車両はおとりかよ! やられた!
だが、向こうが発射する前に敵の先頭車両が吹っ飛ぶ。さらに、後続の一両も同じように爆発で破壊され、
残った一両だけはRPG7を発射することなく、路地に逃げ込んでいった。
「へへん、やったわ! 作戦通りね!」
ハルヒは笑顔を浮かべながら、周りの生徒たちに向けて親指を立てる。
どうやらこっちも迎撃のために携行型のロケット弾あたりをあらかじめ用意していたらしい。
放たれたのは俺たちの隣の建物らしいので、具体的はわからないが。
やがて、さっき逃げ出した最後の一両も古泉ヘリがとどめを刺す。この時点で敵からの攻撃は完全に収まっていた。
「……収まったのか?」
「さあ、どうかな……?」
さっきから出ては引っ込んでの繰り返しだからな、俺とハルヒもすっかり疑心暗鬼になっちまっている。
そのまま、1時間が過ぎたが結局なにも起きず。その間、神経張りつめっぱなしで銃を構えていたもんだから、
いい加減疲れたのかハルヒが座り込んで、
「ちょっと一休みするわ。あ、キョンはそのまま見張ってなさい」
鬼軍曹かお前は。そのうち、後ろから撃たれるぞ。
「あとで交代してあげるから。もうちょっとがんばりなさい。SOS団の一員でしょ」
「……SOS団であるかどうかは全く関係ないんだが」
結局、しぶしぶと俺は前方の民家に向けて警戒を続ける。しかし、敵は何でいきなり攻撃をやめたんだ?
このまま、延々と攻撃を続ければ俺たちもどんどん消耗していくだけなんだが。
「バッカバカバカね。こんなのゲリラ戦の基本じゃん。いつ攻撃を受けるかわからないあたしたちは
こうやってぴりぴりしていなきゃならないけど、向こうは数人こっちを見張っているだけで、
他はのんびり休息中ってわけよ。きっとホーチミンもそう教えていたに違いないわ」
わかるようなわからんような……そもそも常識はずれな連中だから、休息も必要ないだろうしな。
『涼宮さん、僕の方はどうしましょうか?』
無線で語りかけてきたのは古泉だ。そういや、さっきから延々と前線基地上空を飛んだままだったな。
ハルヒはしばらく考えてから、
「とりあえず、学校に戻って。ただし、すぐに飛べるようにしておいてね」
『了解しました』
そう言ってUH−1が学校に帰還する。一瞬、帰ったとたんに攻撃されるんじゃないかと緊張が走ったが、
敵は動こうとはしなかった。
それから数時間状況は動かず、俺たちは神経を張りつめながらひたすら警戒するだけの時間が続いた。
もう正午をすぎようとしている。そういや、このあり得ない世界に放り込まれてからようやく1日半か。
一年ぐらいいるようなくらいの疲労感だが。
この一応平穏な時間の間に、前線基地の南側に北高からトラック輸送部隊が来て弾薬やら食料を置いていった。
死者や負傷者と入れ替える予備兵も到着する。
ハルヒはせっせと指示を出していたが、戦死した生徒や重傷者を乗せて帰って行くトラックを見送ると、
おもむろにメモを取り出してなにやら書き込み始めた。
「……なにやってんだ?」
「…………」
俺の問いかけにも反応せずハルヒは一目散にボールペンを走らせ続ける。それも普段にないような真剣な目つきでだ。
ちらっとのぞいた限りでは名前が延々と列挙されていた。これってまさか……
「……ふう」
ハルヒは全部書き終えたのか、パタムとメモ帳を閉じた。
そこでようやくハルヒをのぞき込むように見ていた俺に気がついたのか、
「なっなによ! なんか用!?」
あからさまにびびったような声で抗議する。気がついたら俺とハルヒの顔の距離が30センチ未満だった。
俺もあわてて、ハルヒとの距離を取ると、
「いや……なにやってんだと聞いていたんだが」
さっきと同じことを聞く。するとハルヒはメモ帳をぴらぴらさせながら、
「死亡した生徒と負傷した生徒の名前を書いていたのよ。指揮官たるものそう言うのは逐一把握しておくもんでしょ?
って、なによその意外そうな目つきは!」
「何にも言ってねえだろうが」
変な疑いをかけるなよ。俺はただ単にハルヒがしっかりしているんだなと感心しただけであってだな――
744 :
愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 00:48:53.12 ID:IACd8rhpO
支援
と、ハルヒは俺の抗議を無視して目をそらすと、
「でも、そんな精神論だけの話じゃないわ。昨日と併せて、死者はすでに70人を越えているし、
負傷者も50人に達したのよ。しかも、ほとんど戦えるような状態じゃない生徒ばかり。
やっと1日半だけど、すでに生徒の半数近くが戦闘不能になっているじゃ、この先どうすればいいのか……」
そうあからさまに不安げな表情を浮かべた。ハルヒの言うとおり、確かに人員不足は否めない。
前線基地には常に50〜80人は詰めているので、相対的に北高の守備隊や長門の砲撃隊、
さらに朝比奈さんの輸送や医療のチームがどんどん削減されている状態だ。
後方支援を削って前線を守っているんだからほとんど共食いに等しい。
大体、敵とこっちじゃ条件があまりにも偏りすぎているってんだ。相手は戦車や爆撃機を使ってこないとはいえ、
シェルエット野郎は無限に出現してくるし、武装トラックもどこからともなく現れやがる。
あまりにフェアじゃねえ。一方的すぎる。もてあそばれている気分だ。
だがハルヒは首を振りながら、
「敵があたしたちの要望なんて聞いてくれる訳がないじゃない。あたしがうまくやっていないだけの話よ。
もっときちんとみんなを守っていれば……」
そう肩を落とすハルヒ。俺は何とか励ます言葉を考えるが、どうしてもいい励ましが思いつかない。
こんな俺に果てしなく憂鬱だ。
「あーやめやめ! お腹がすいているからこんな暗いことばっかり考えるんだわ。ご飯食べてくる!」
ハルヒは2・3回頭を振ってから、先ほど届いたばかりの缶詰の山をあさりだした。
まあ、確かに腹が減ってはなんとやらだしな。俺も食うか。
と、このタイミングで古泉からの連絡だ。
「何の用だ?」
『やあどうも。そちらはどうですか?』
「今飯を食おうとして、寸止めを食らったせいで大変不機嫌な気分だ」
古泉は無線機越しに苦笑しながら、
『それは失礼しました。なら後にしましょうか?』
俺はちらりと缶詰にがっつくハルヒを確認してから、
「いや、せっかくだから今の内に話せることは話しておこうか。またいつ敵が襲ってくるかわからんしな」
俺は飯を食うのはあきらめてハルヒの見えない位置に移動する。
「とりあえず、散々お前の援護には助けられたからな、礼を言っておくぞ」
『これはどうも。あなたから感謝の言葉をいただけるとは光栄ですね。今までの奉仕が実ったというものです』
気色悪い表現を使うな。
『しかし、ミニガンの威力はすごいですね。辺り一面を吹き飛ばす威力にはやっているこっちがぞっとしますよ。
しかし、実際に撃っている人は気分爽快らしく、フゥハハハーハァーとか笑いながらやっていますが』
「……その勢いで俺たちまで撃たないように注意しておいてくれ」
そんな笑い方をされると動くものすべてに撃ちまくるようになっちまいそうだ。
古泉は俺の言葉をジョークと受け取ったのか、苦笑しながら、
『それはさておき、そちらの状況はどうですか?』
「めっきり敵の攻撃が収まっているな。ただ大方その辺りの民家には敵が潜んでいそうだ。
こっちから仕掛けたりしたら返り討ちに遭うだろうよ。癪だが、今はここで粘るしかない」
『賢明な判断だと思います。今は現状維持に努めた方が良いでしょう。何せ敵はこっちが消耗するのを狙っているようですから』
――ハルヒが缶詰を生徒たちに配っているのが目に入る――
「学校の方はどうなんだ? いつ攻撃を仕掛けられてもおかしくない状況だが」
『北高への攻撃はまだないと思いますよ。少なくともあなたたち――涼宮さんが学校への籠城を指示するまではですが』
「そうか? 俺たちの消耗を狙うなら、学校を攻撃して武器弾薬を使えなくした方が効果があると思うんだが」
『お忘れですか? これを仕組んだ者は涼宮さんにできるだけの苦痛を与えることです。
通常の軍事作戦なら当然学校制圧を目指すでしょう。しかし、今学校を制圧されれば僕たちは降伏する以外の道はありません。
それでは意味がないんです。涼宮さんをほどほどに絶望させつつも、世界を改変するまでには絶望させない。
じりじりと追いつめていっているんです』
747 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 00:49:16.87 ID:WPxIrue30
弾幕がたりないぞ、そこ、なにやってんの支援
「……俺たちをこんなところに放り込んだ奴は相当陰険な野郎って事だな」
俺はいらつくながら頭をかく。
『全く同感です。しかし、学校制圧は当然この後のイベントとして考えているでしょうね。
ただ、今は前線基地で涼宮さんの精神の消耗に務めるはずです』
「イベントなんて言葉使うなよ。まるでこの戦争がただの催しみたいに聞こえるじゃねえか」
『戦争? あなたはこれが戦争だと思っているんですか?』
俺は珍しく語気を詰め読める古泉に少し驚いた。そのまま続ける。
『これは戦争なんて言える代物ではありません。戦争にはそれなりの理由があります。
民族とか資源とか国益とか、ある時は意地やプライドなどもあります。
しかし、それを実行するには大変な労力が必要な上、多くの人々の支持が必要です。
でも、今我々がいる世界はどれも当てはまりません。戦う理由もないというのに、
無理矢理知識とやる気を頭の中にねじ込まれ戦わされている。さらにその目的が一人の少女に精神的苦痛を与えるためだけ。
こんなものは戦争なんて呼べません。頭のおかしい者が仕組んだゲームにすぎないと思っています。
だからこそ、僕は腹立たしい。こんなばかげたゲームのためにこれだけ多くの人命を費やしているんですから。
成り行きで転校してきたとはいえ、9組にはそれなりに親しい人もいました。
ですが、その大半がすでに戦死しているんです。堪えるなんて言うものではありません』
口調だけ聞いても古泉のテンションがあがっていることがはっきりとわかった。あの全く表情を変えない古泉が。
一体、無線の向こう側ではどんな顔をしているんだろう。ふと、そんな考えが頭を過ぎる。
しばらく、古泉は黙りこくってしまうが、やがて大きくため息をつき、
『……すみません。こんな事を言うつもりではありませんでした。僕自身も相当追いつめられているようですね。
それが敵の狙いだというのに』
「構わねえよ。むしろ本音が聞けてほっとしているくらいだ。言葉は違ったが俺もお前と同じ考えさ」
古泉がこれだけ感情をあらわにするなんてことは今までに一度もなかった。
古泉の言うとおり、敵の狙いはそこにあるのだろう。だからこそ、たまにはガス抜きも必要だ。
俺は話題を変えて、
「で、長門からは何か進展があったとかいう話はないのか?」
『長門さんは喜緑さんとずっと学校の教室でこもりっきりです。僕らには想像を絶するような作業を行っているのかと』
そうか。長門はまだ突破口を見つけられていない。ならしばらくはこれが続くと見て良いだろう。
「そろそろ戻るぞ。あまり長話をしているとハルヒにどやされるからな」
『わかりました。では涼宮さんをよろしくお願いします。彼女も相当堪えているはずですから』
そう言い残して無線を閉じた。
「何やってたのよ。せっかくのご飯がなくなっちゃうわよ」
まだがつがつ缶詰の肉を食いあさっているハルヒ。なんつー食欲だ。どんな胃袋しているんだ?
「食べられるときに食べておかないとね。ほらキョンも食べなさい。食欲がないなんて許さないわよ。
無理にでもカロリーを蓄えておかないと後が厳しくなるんだからね」
ハルヒから放り投げられた缶詰を受け取ると、俺もそれを食い始めた。
冷たくて大した味もしないのにやたらと旨く感じる。
ハルヒは細目で俺の方をにらみつけ、
「で、誰と連絡していたのよ。有希? みくるちゃん?」
「古泉だよ。というか何であいつを選択肢からはずすんだ」
「へー古泉くんとね……へーえー」
なんだその疑惑の目つきは。言っておくが俺から連絡した訳じゃない。それに俺はれっきとしたノーマルだぞ。
朝比奈さんを見てほんわか気分になれるほどにな。
「はいはい、わかったわよ。早く食べちゃいなさい」
しかめっ面なハルヒだが、そんな事で言われるとお袋を思い出すからやめてくれ。
で、そのまましばらくむしゃむしゃと食べていた俺たちだが、ふとハルヒが手を止める。
「ん……どうした?」
俺の問いかけにも答えずにハルヒはじっと怖い目つきで――
次の瞬間、横に置いてあったM14をつかむと、前線基地前方の民家に向かって構える。
俺もあわててそれに続いてM16を取ったときにはすでにハルヒは発砲していた。
ようやく銃を構え終えたときには、シェルエット野郎がはじけ、手にしていたRPG7が地面に落ちる光景だった。
何で気がついたんだ?
「野生のカンってヤツよ! でも違うわ! あれじゃない! あと、古泉くんにヘリで援護してもらうように言って!」
訳のわからんことをわめくハルヒ。だが、同時に前方の民家の窓という窓から敵が飛び出して、
AKの乱射をはじめた。戦闘再開だ! まったく!
俺はひたすら窓めがけて撃ちまくったが、ハルヒはじっと構えたまま発砲しない。一体何を待っているんだ?
と思ったら、民家の木製の壁を突き破って一台の武装トラックが出現した。さらにハルヒが待ってましたと
M14で狙撃するが……
「ミスっちゃった!」
素っ頓狂な声を上げる。ハルヒの放った銃弾は、フロントガラスをぶち破り武装トラックに乗っていた運転手と
荷台に載っていたAKをもったシェルエット野郎一人をつぶしたが、肝心の12.7mm機関銃の射手は撃ち漏らしたからだ。
壁からド派手に登場したトラックは今までとちょっと違った。器用にトラックの荷台の両脇に
鉄板のようなものが張り巡らせサイドからの銃撃を受けないようにされていた。
前後から攻撃するしかないが、後ろは論外、なら前面ならってそりゃ12,7mmの銃口を向けられているって事だろうが!
ハルヒのミスったっていうのは、12.7mm射手を一番最初に仕留められなかったことを言っているのだろう。
ものすごい勢いで乱射され、こっちは建物の陰に隠れて身動きすらとれねえ。
こんなんじゃ、そのうち誰かに当たるぞ……と思った瞬間、移動しようとしていた生徒の脇腹を直撃――いや貫通した。
肉がさけるいやな音とともに、生徒の背後に血しぶきがぶちまけられる。くそ、この調子じゃ古泉が来る前に死者多数だ。
ハルヒは必死に地面にはいつくばりながら、撃たれた生徒に近づき、
「暴れないで! 傷口が広がるからじっとしてなさい! 衛生兵! 早く来て!」
何が起きたのかわからない状態になっている負傷した生徒を必死になだめる。
ちくしょう、このままじゃただ的にされるだけじゃねえか!
ハルヒはやっていた衛生兵に負傷者を任せると俺の元に戻ってきて、
「このままじゃらちがあかないわ! とにかく、向こうの弾に当たらないように、牽制するの!
あの車両のヤツの弾切れが狙い時だわ! あたしがきっちりと仕留めるから援護して!」
「わかった! てか、さっき使ったロケット弾みたいな奴はないのかよ! あれで吹っ飛ばした方が早いだろ!
ないのか!?」
「さっきので打ち止めよ! みくるちゃんたちに探させているけどまだ見つからないって!」
「肝心なときに役にたたねえ4次元ポケット学校だな。わかった援護する!」
752 :
VIP悪魔:2006/12/06(水) 00:50:19.32 ID:YdNMM8K30
支援だぜ
俺はハルヒとの意識あわせを終えると、近くにいた国木田を呼びつけ、
「あの野郎が弾切れを起こさせるように、牽制するぞ! 援護してくれ!」
「了解! 任せて!」
俺と国木田は交互に物陰から出ては、武装トラックに向けて発砲した。最初は狙い撃ってやろうかと思ったが、
目があったとたんに射殺されるシーンが脳裏に過ぎったので、とにかく何でも良いから乱射しまくった。
数分間この撃ち合いが続いたが、ようやく向こうが弾切れだ。給弾をはじめようとしたタイミングで、
ハルヒが身を乗り出して狙撃しようとしたが――
「うへっ!?」
ハルヒの素っ頓狂な声が上がる。俺もあげた。当然だ。突然あり得ない動きで荷台左側の鉄板がぐるっと回って、
12.7mmの射手を覆い隠したからだ。おいレフリー! 今のはどう見ても反則だろ!
「あたしが出て仕留める!」
俺が考えるよりも早くハルヒがM14を片手に飛び出した。おいバカやめろハルヒ!と口に出す暇もない。
ハルヒは鉄板がなくなった左側から回り込み、数発発射して12.7mmの射手を仕留めた。
早く戻ってこい――げ!
「ハルヒ! 東側からRPGだ! 伏せろ!」
いつのまにやら発射されていたRPGがハルヒめがけて飛んできた。ハルヒは飛び込むように地面に伏せる。
その瞬間、ハルヒのすぐ手前の地面にRPGが直撃。衝撃でハルヒの身体が俺たちの方に転がってきた。
俺は全身から血の気が引く音をはっきりと聞いてしまう。
「ハルヒっ!」
もう頭よりも身体が先に動いた、銃弾が飛び交っているのにも構わず、俺は路上に飛び出して
倒れて動かないハルヒを物陰に引きずり込もうとする。だが、敵もそれを阻止すべく、路地の陰、民家の屋根や窓から
俺たちに向け銃撃を開始する。しかし、ようやく到着した古泉のUH−1がミニガンの掃射を開始し、
何とか被弾せずにハルヒを物陰に引きずり込んだ。
754 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 00:50:37.04 ID:WPxIrue30
支援紫煙そして後方支援
原作スレに誤爆許してorz
「おおい! ハルヒ! しっかりしろよ! 目を開けろ!」
俺は自分でもわかるほどに泣き出しそうな声でハルヒに呼びかける。すると、ハルヒは突然ぱっちりと目を開けて、
「あーびっくりした!」
驚きの声を上げた。俺は安堵のあまり全身の力が抜け、
「よかった……無事なんだな。心配させやがって!」
「なに!? さっきから頭の中で除夜の鐘がぐわんぐわん鳴り響いて全然聞こえないんだけど!
もっとはっきり大声で言いなさいよ! 聞こえないじゃない!」
至近距離で爆音を浴びたせいだろうか、どうやら耳がおかしくなっているらしい。
俺はまた銃を握ると、
「そんだけ元気があれば十分だって言ったんだよ!」
「やっと聞こえてきた――ってあったりまえでしょ!」
怒鳴り返すハルヒを見る限り、全然無事だなこりゃ。
俺たちは国木田のいた位置まで戻り、また敵に向けて応戦を再開した。しかし、俺たちのちまちました援護なんかより、
古泉のミニガンの方が手っ取り早い。あっという間に民家を破壊しつくして敵を黙らせる。
「よっし、何とか押さえられそうね! 古泉くん様々だわ! これが終わったらSOS団団長代理にまで昇格させようっと」
こんな時までSOS団のことを考えてられるとは大した精神力だ。いや、ひょっとしたら今のハルヒにとって
この非常識世界で唯一現実とつなぎあわせを求めているのがSOS団なのかもしれないが。
だが、そんな俺たちの安心感も、前線基地とされるサンハイツの最西端の建物が吹っ飛ばされたと同時に消滅する。
かつてない大爆発で、大地震が起こったんじゃないかと思うほどに地面と建物を揺るがした。
「な、なによなになに!?」
驚きのあまり路上に飛び出しそうになるハルヒを俺が止める。しかし、何だってんだ今の爆発は!
今までの比じゃねえぞ!
古泉のUH−1が状況を確認しに西側に移動する。しばらくして無線連絡が入り、
『まずいですね。原因はわかりませんが西側が木っ端みじんです。かなりの負傷者も出ています。早く救出を』
手短に古泉からの報告を終える。俺はハルヒの元に駆け寄り、
「ハルヒ。とりあえず、俺が西側に行って防御に入る。何人か借りていくぞ、いいな?」
「…………」
ハルヒはしばらく口をへの字にしたまま黙って俺をにらみつけていたが、やがてそっぽを向いて、
「……わ、わかったわよ。でも無理はしないでよ! いいわね!」
ハルヒの許可が下りたので、周辺にいた生徒9名+国木田を集める。
「よし、今から西側に移動するぞ。前線基地の裏側を通ってな」
「了解」
国木田と他生徒の同意の下、俺たちは西側へ移動を開始した。
『気をつけてください。北側に広がる空き地には敵が多数潜んでいるようです』
「よし、すまんが空き地の敵を掃討してくれ。それが終わり次第、負傷者の救出に入る」
『わかりました。任せてください』
俺たちは今前線基地の西側にいる。ただし、正面――北側には敵方数潜んでいるので、
前線基地の裏である南側で待機中だ。
最西端の建物は木っ端みじんといっても良いほどに崩れていた。辺りにはここを守っていた生徒の破片――そうだ、
人間の破片ががれきに混じって散らばっている。あまりの凄惨さに吐き気を催しそうになった。
ドルルルルルと耳につく発射音なのか回転音なのかわからない騒音が辺りに響きはじめる。
古泉のミニガンが炸裂をはじめたようだ。
「よし、俺たちも表側に出るぞ」
俺の合図とともに、粉砕されたがれきを乗り越えつつ建物の残骸に身を潜める。
ハルヒのいた前線基地の中間付近とは違い、西側の正面には民家はなく空き地が広がっている。
起伏がそこそこあるために、その陰に敵が潜んでいるようだが、現在古泉がそれを掃討中だ。
起伏に隠れても真上からではいくら隠れても無駄だからな。
俺が残骸の陰から外をのぞこうとしたとき――目に入ったのは、空き地と民家の壁にぴたりと隠れるようにいた
武装トラックだ! しかも、こっちが来るのを待ちかまえていたように12.7mm機関銃を向けていやがる!
とっさに頭を引いたとたん、ドドドと12.7mmの乱射が始まった。民家の残骸をさらに細かく粉砕していく。
さらに間髪入れずにRPG7が発射され、残っていた壁の一部が吹っ飛ばされた。
幸いそこには味方の生徒はいなかったが。
「手榴弾だ! 国木田頼む!」
「任せて!」
国木田が思いっきり腕を振って武装トラックに手榴弾を投げつけ、俺もそれに合わせる。
距離が遠いため武装トラックまでは届かなかったが、近距離での爆発にとまどったのか、
一瞬12.7mmの銃口があさっての方に向いた。
「撃て撃て!」
俺の指示で、一斉射撃による反撃開始だ。M16やら5.56mm機関銃MINIMIが一斉に火を噴き、
武装トラックを穴だらけにする。しかし、肝心の12.7mmの射手には当たらずまた銃口がこっちに向けられようとした瞬間、
トラックごと粉砕された。古泉ヘリのミニガンが炸裂したのだ。
『すみません。死角になっていたので気がつきませんでした』
「頼むぜ。お前だけが頼りなんだからな」
古泉に無線で釘を刺すと、俺たちはそこら中に転がっている負傷者の救助を始めた。
しかし、あれだけミニガンで掃射したってのに、まだ空き地からちょろちょろと銃撃してくる奴がいやがるおかげで、
容易には行かない。
「国木田! あとそこの4人! 物陰に隠れながら、俺たちを援護しろ! 敵が見えたら遠慮なく撃ち返せ!
他は負傷者を救助するんだ!」
俺たち救助チームは路上にかけだして、負傷者の回収を開始する。しかし、人間としての原型をとどめている方が
少ない状態だ。しかし、それでも虫の息ながらまだ生存している生徒も何人かいた。
俺はそいつらを担ぎ上げて、民家の残骸の陰に引き込む。
そんな調子で息のある生徒を5人ほど救出できた――いや、まだ戦場のど真ん中だから救出という表現はおかしいか。
古泉ヘリがまたミニガンで掃射を開始した。見ると、空き地の向こう側から数十人の敵が接近しつつある。
それを迎え撃っているようだが……
「キョンあれ見て!」
国木田が俺の肩を叩き、近くの民家の屋根の上を指さす。そこには3人のシェルエット野郎が
UH−1に向けてRPGを構えるとしていた。あれでヘリを攻撃する気か!?
しかも古泉のヘリはそいつらに超ぞせを向けるような状態になっていて気がついてねえ!
俺は奴らに向けて銃撃を加えるように指示する一方、古泉に無線をつなぐ。
「おい古泉! 東側の民家の上でお前を狙っている奴がいるぞ!」
『む。それはまずいですね……』
こっちから必死に撃ちまくって阻止しようとするものの、距離が遠いために当たりそうにもない。
もう弾頭を空に向けて今にも発射しそうだ。どうする? 古泉に逃げろと言うか? いや、もう間に合わない……
「古泉! そこから90度左に旋回してミニガンで吹っ飛ばせ!」
『……そうしましょうか!』
古泉はくるっと機体を90度旋回させる。ちょうどミニガンの目の前に敵があわれる形になり、
一気に掃射を開始する。即座にシェルエット野郎3人を吹っ飛ばしたが、時すでに遅し。
三発のRPGが古泉ヘリに向かって発射された――が、奇跡的にといっても良いだろう。
かろうじて機体を外れてどこかに飛んでいった。
「ぎりぎりかよ……あれを連発されるとまずいんじゃないか?」
『ええ、これでは掃射を行うにも高度をあげる必要がありますね。当然、命中率も下がるので、
無駄弾が増えそうですよ』
古泉はそう言い終えると、UH−1の高度をぐっと上げていった。それで勢いづいたのか、
敵がまた空き地にどんどん入り込んで来やがった。
しばらく、空き地側の敵と俺たちで銃撃戦が続いたが、突然背後でまた大爆発の轟音が鳴り響く。
って、何で背後から聞こえてるんだ!? まさか、また北高へのロケット弾とかでの直接攻撃か!?
俺は無線で学校に連絡を取ろうとするが、向こうはパニックに出もなっているのか、誰も応答しようとしない。
迫る敵に反撃しつつ必死に呼びかけを続けたが、やがて無線機から聞き覚えのある声が流れてきた。
『聞こえる?』
「長門か!? 何かあったのか!?」
『……学校と前線基地をつないでいた橋が爆破された。現在、そっちとは断絶状態』
俺は長門からの報告に絶句する。北高と前線基地の間には一本の小さな川が流れている。
歩いてわたるにはどうって事ないものだが、荷物を持って移動するには一苦労するだろうし、
溝のような構造になっているため、トラックでわたるのは不可能だ。それを唯一つないでいた橋が爆破された。つまり――
『こちらから物資などの補給を送るのはほぼ無理になった。このままではそちらの弾薬が尽きるのを待つだけ』
「…………」
途方に暮れてしまう。他にルートはないのか? 光陽園学院前に川を渡る橋はあるが、
敵もわざわざ橋を爆破したぐらいだ。そっちからも通れないように何らかの手を打っているだろう。
どうすりゃいい? どうすりゃ――
『何とかしたい』
そう言い放ったのは長門だ。いつもなら、頼もしい言葉に聞こえるが今の状況じゃ……
『何とかする。約束する』
長門はそれだけ言い残すと無線を終了させた。ちっ、何だかわからんが、今は長門に期待するしかないのか!?
また空き地側からの銃撃が活発になる。俺も反撃に加わって近づく敵を片っ端から銃撃した。
だが、無駄弾は撃てない。何しろ今手持ちの弾がなくなれば、もう何もできなくなってしまうからだ。
敵が増えてきたタイミングで、古泉ヘリからの掃射が始まる。空から学校に戻れるUH−1ならいくら撃っても
補給に戻れるからな。ガンガン撃ち込んでくれ!
古泉ヘリの掃射の間、俺は周りの生徒に発砲を控えるように指示する。とにかく節約だ。
さっきまで遠慮なく撃ちまくっていたのが懐かしいぜ。
この間に国木田が近づいてきて、
「キョン。このままだといずれはやられるのが保証済みだよ」
「わかっているが……だからとって負傷者を見捨てるわけにもいかねえだろ」
俺はちらりと振り返ると、あの大爆発で虫の息にされた生徒たちの方を見る。
呼吸を続けているところを見るとまだまだ生きながらえるはずだ。何としても助けてやりたい。
だがどうする? どうすればいい?
「とにかく徹底抗戦。後は何かが起きるのを待つ。それで良いんじゃない?」
いつものマイペース口調で国木田が言う。全くのんきな奴だ。だが、それしかないか。
最西端の防御に入ってから1時間。俺たちはえんえんと北側の空き地から接近してくる敵を撃ち続けた。
その間、何も起きていない。長門からの連絡もない。たまに古泉ヘリが掃射で支援してくれるだけだ。
この間に生徒二人が射殺されていた。残りは9人。だんだん厳しくなりつつある。
「くそ、いつまでこれを続けてりゃいいだよ……」
「指揮官が弱音を吐くと周りに伝染するよ」
国木田はこんな状況でも自分のペースを崩さずに敵めがけて撃ち続けている。
だが、時間が過ぎたことによって一つの問題も発生していた。
『ちょっと悪い知らせです』
古泉から深刻な報告が来やがった。大体想像はつくが。
『ミニガンの残弾が10%を切りました。もう少ししたら学校に補給に戻らなければなりません』
今の状態では古泉の支援がなくなると言うことは、しゃれにならん。
俺は周りの生徒たちに残弾の報告をさせると、マガジン一つ分だけとか、今装填している分だけなんて返ってきているほどだ。
ヘリが去ったとたんに敵は一斉攻撃を仕掛けてくるだろうし、俺たちにそれを迎撃するだけの弾もない。
しかし、このまま上空を飛ばしているだけでは全く意味がないのだ。
『選択肢は二つあります。このまま支援を続けて、なくなり次第学校に補給に戻る。
これはタイミング次第では最悪な展開になるかもしれません。
逆に今の内に敵を徹底的にたたいてから補給に行き、すぐにこっちに戻るという方法もありますが……』
「補給に戻ったとして、何分で俺たちの支援に復帰できる?」
俺の問いかけに、古泉はしばし思案して、
『20分……いや、15分で戻ってみせます』
15分か。なら耐えられるかもしれないな。その後は、またそのときに考えればいい。
「よし、古泉。今あるだけの弾を敵にぶち込んでくれ。終わり次第、即刻補給して戻ってこい。
その間は何とか耐えてみせるさ」
『わかりました。健闘を祈ります』
古泉のUH−1が高度をやや下げ一気にミニガン掃射を開始する。俺たちは近づいてくる敵以外には
発砲を控え終わるのをじっと待った。
やがてミニガンを撃ち尽くした古泉ヘリは、学校側へ方向転換し、
『終わりです。すぐ戻りますので、その間はお願いします』
そう言い残して学校に戻った。俺は生徒全員を見回し、
「よし、古泉が戻るまで何としてでもここを守りきるぞ! 残弾には気をつけろよ!」
檄を飛ばしてまた――その瞬間、俺の右手にいた二人の生徒が崩れ落ちる。射殺されたのだ。
ヘリがいなくなったとたんに二人!? しかも、衛生兵と通信兵だ。よりによって……!
同時にこちら側に浴びせられる銃弾の量が突然増大した。民家の残骸の陰から空き地の様子をうかがうと、
まるでさっきのヘリからの掃射がなかったかのようにシェルエット野郎がこちらに向けて移動してきていた。
一番近い敵はすでに前線基地建物前の路上のすぐそばまで来ている。もうここから10メートルもない距離だ。
いつの間にここまで来やがったんだ!?
俺は必死に敵を追い払おうと撃ちまくったが、すぐに弾切れを起こしてしまう。
あわてて懐から新しいマガジンを取り出し銃に装填する――これが俺の最後の命綱だ。
かなり至近距離での撃ち合いになったおかげで、こっちは物陰から敵の様子をうかがうことすら
難しくなってきた。
ふっと、俺の目線に中を浮く黒い物体が目に入る。柄のついたそれは、俺から少し離れた残骸の陰で
敵と撃ち合っていた4人の生徒たちの足下に落ちた――手榴弾だ!
バァンと破裂音が響き、彼らが吹っ飛ぶ。ぼろぞうきんのようにされた彼らは力なくよろけ、地面に倒れ込んだ。
俺は唖然として腕時計で時刻を確認する。まだ古泉が補給に戻ってきてから1分半しか立っていない。
そのわずかな時間で6人がやられた。残りは俺と国木田と後一人――残りの生徒も今銃弾が頭に命中してやられちまった。
ついに俺と国木田の二人だけだ。
国木田はすぐに手榴弾で倒れた生徒たちを救助しようと――と思ったら、息も絶え絶えの彼らを放って、
マガジンやら銃を回収し始めた。俺は反発心と納得が両方とも頭に埋まり、複雑な気分になる。
支援
「ひどいことをしているように見えるかもしれないけど、今は生き残る方が重要だよ。
そのためには使えるものは徹底的に使わないとね」
いつもより少し真剣なまなざしを向ける国木田。そうだな、今俺たちが死んだら、負傷者生徒たちも死ぬことになるんだ。
善意だとか道徳心だとかは乗り切った後で考えればいい。
俺は国木田からマガジンを受け取り銃撃戦を続行する。国木田の的確な射撃のおかげか、
敵が路上を越えることだけは阻止続けた。
ふと、もう1時間は過ぎたんじゃないかと腕時計で時刻を確認すると、まだ古泉が戻ってから8分しか経っていない。
こんな時ばっかり時間が遅くなりやがって!
国木田がマガジンを交換しつつ叫ぶ。
「キョン! これで最後だよ!」
これが国木田の最期の言葉だった。ガガガガとAKが炸裂する音が響いたとたん国木田の身体が崩れ落ちる。
弾丸が顔面に命中したのだ。
「国木田っ!くそっ!」
俺は声をかけるものの、額を撃ち抜かれた国木田はぴくりとも動かない。完全に即死状態だった。
路上を越えようとしていたシェルエット野郎2人を撃ち殺し、すでに息絶えている通信兵から無線を取り出す。
「……ハルヒ聞こえるか?」
『どうしたの!? 何かあった!?』
――また接近してきた敵を撃ち殺し――
「国木田がやられた。もう残っているのは俺一人だ」
『……うそ』
唖然とした声を上げるハルヒ。
「何とかできるところまでは粘るつもりだ。もうすぐ古泉が戻ってくるだろうしな。それまではなんとか――」
『キョン!』
せっぱ詰まった声を上げるハルヒ。
『いい!? これは絶対命令よ。拒否なんて許さない。今すぐに川を渡って学校に戻りなさい。
そこをこれ以上守る必要なんてないわ。あの川なら徒歩でも何とか越えられる! だから戻りなさい!
そこで出た犠牲の責任は全部あたしが背負うから! だから逃げて! お願い!』
「できるわけねえだろうが、そんなことっ!」
思わず怒鳴りつけてしまう。俺は額を抑えて――また敵がやってきたので撃ち返して追い払う――
「ここには俺が行くって言ったんだ。それで仲間がついてきてくれた。なのに、その仲間がみんな死んでいるってのに、
俺だけおめおめと逃げ出すなんて絶対に拒否するぞ! 絶対にここから動かないからな!」
『キョン……キョン……!』
ハルヒは悲痛な声で俺のあだ名を呼び続けるだけ。見れば、数十人にふくれあがったシェルエット野郎が次々に
こちらに突撃を始めていた。
「ハルヒ。俺からの頼みだ、聞いてくれ」
俺は息を吸い込んでありったけの思いを込めて言う。
「死ぬな。絶対にだ!」
そして、ハルヒからの返答も聞かずに俺は無線機を投げ捨て、路上を越えて突撃してきたシェルエット野郎数人に向けて
乱射する。不意を食らったのか、あっさりと命中していつものようにはじけ飛んだ。だが、続々と後続が接近してくる。
俺はとにかく無我夢中に撃ち続けた。弾が尽きればマガジンを交換し、それもなくなれば別の生徒が持っていた
M16に持ち代える。路上を越えてくる敵は、昨日の北山公園の時と同じく突撃バカみたいにつっこんでくるだけだった。
残骸の破片が銃弾を受けて飛び散り、俺の頬を傷つけたがもはや痛みすら感じている暇もなかった。
乱戦の中、自分自身をほめてやりたくなるぐらいに粘っているが、弾は減る一方だ。
ついに今握っているM16が最後となる。これを撃ち尽くせば、俺も終わりだ。手を挙げて降伏しても、
助けてくれそうな敵でもないしな。
また一発また一発と撃ち、敵を打ち倒す。それがついに最後の一発となった瞬間――
「うっ!?」
最後の一発は発射されなかった。数え間違えていたらしい。敵を真正面にしながら残弾ゼロ。
もう敵はAKをこちらに向けて構えている……
……終わりか。また学校の部室でハルヒやSOS団の連中と会えれば良いんだが……
呆然と放心状態に陥りかけていた俺を現実に引き戻したのは、突然目の前に現れたトラックだ。
北高と前線基地に物資を輸送していた大型のトラック。だが――橋が爆破されたって言うのに、
どうしてここにいる?
荷台には武装した生徒たちが乗り込み、空き地から突撃してきていたシェルエット野郎に向けて一斉射撃を始めていた。
同時に上空に古泉ヘリが舞い戻りミニガンの掃射を開始する。
「……助かった……のか?」
「ええもちろん」
呆然とつぶやく俺に言葉を返したのは、トラックの運転席に座っていた喜緑さんだった。昨日見たときとは違い、
セーラー服ではなく、迷彩服に身を包んでいる。
「遅れてすみません。なかなか手こずりました」
「えと……あの、どうやってここに?」
死んだと思ったが、突然現世に復帰したもんだからどうも違和感が抜けない俺。言葉遣いもたどたどしくなっているのが、
自分でもよくわかった。
喜緑さんはいつものにこやかな笑顔を浮かべつつ、
「橋は修復しました。長門さんの努力のたまものです」
「長門が……ってまさか情報ナントカができるようになったのか!?」
俺は歓喜の声を上げそうになるが、残念ながら喜緑さんは否定するように首を振り、
「それはまだです。3つほどの突破口を見つけましたが、そのうち一つを犠牲にして、
橋の修復を行いました。貴重な手段なので、安易に使うのはどうかと思いましたけど、
長門さんにとってあなたを救出できるようにすることが最優先だったようですね」
そうにこやかに喜緑さん。長門……本当に何とかしちまいやがった。すごすぎるよ。
「さて、ここは学校からの予備人員で守ります。今の内に遺体と負傷者をトラックに乗せてください。
それとあなたも。総指揮官からの絶対命令のようですので」
さっきからトラック据え付けの無線機からキーキー聞こえてくるのはハルヒの声か。
どうやら俺に学校に帰れ!と叫んでいるらしい。
ふと、トラックの荷台に載っていた生徒たちの射撃が収まる。空き地方面を見てみると、
敵が後退していくのが見えた。なんだ? どうしてこのタイミングで逃げ出す?
「おそらく予期せぬ情報改変に敵が混乱しているのでしょう」
にこやかに喜緑さんが解説してくれる。何はともあれ、今がチャンスだろう。とっとと負傷者を回収しなけりゃな。
支援
「本当に戻るんですか? 命令違反ですが」
負傷者と遺体を載せたトラックが北高へ向けて戻っていく。喜緑さんは最後にそう言っていたが、
俺はハルヒの方に戻ると言って、学校への帰還を拒否した。なあに、命令違反なら今までも散々やっているいまさらだ。
大体、ハルヒも長門も古泉もたぶん朝比奈さんもみんな必死なのに、俺だけ学校に引っ込んでいられるわけもない。
で、ハルヒのところまで戻ると予想通りの反応を見せてくれた。
「あーんーたーはー! 一体どれだけ命令違反を犯せば気が済むわけ!? 逃げろって言っているのに拒否するわ、
学校の守備に行けって言ったらこっちに戻ってくるし! 総大将の命令をなんだと思っているのよ!」
とまあものすごい剣幕で胸ぐらをつかみあげられた。一体どんな腕力をしているんだこいつは。
俺はあたふたと説明しようとするが、胸ぐらをつかみあげられてまともに口がきけるわけもなく、
ただ口をぱくぱくされるぐらいしかできない。ハルヒはひたすらガミガミ怒鳴っていたが、
やがて言いたいことも尽きたのか、俺から手を離し、
「……とにかく! 今後はあたしの命令に従うこと良いわね! 仕方ないから、ここにいてもいいけどさ。
これからはあたしのサポートをしてもらうわよ。どんなときでもあたしのそばにいなさい! 絶対絶対命令だからね!」
そう言ってぷんぷんしながら去っていった――ってどこに行くんだあいつは。
しかし、よくもまあ乗り切ったものだと自分で自分に感心する。普段の俺なら絶対に精神的におかしくなっていただろうが、
これも仕組んだ奴が頭をいじくったせいということにしておこう。だが。
俺はふとハルヒの背中を見る。長門と古泉の予測ではハルヒは何の人格調整も受けていないと言っていた。
なら、あいつは普段の精神状態のままこの地獄のような世界で指揮官なんて言う役割を演じている。
その両肩にかかっている重圧や責任感はどれだけのものなのだろうか。
そして、ハルヒは一体どんな思いでそれを背負っているのだろう。俺はハルヒの背中を見ながらそんなことを思った。
つづく
今回の投下はこれで完了です。ありがとうございました。
一応、これで中盤まで終わって、次からは終盤に入ります。
771 :
愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 00:56:19.15 ID:IACd8rhpO
乙!
続きwktk
あと、
>>440さんが言われている地図ですが、
現在書くだけで精一杯な状況なので、他のものには手が回らない状況です。
すみません。
ど〜も。
wikiにおまけ投稿しようと思ったらPCのバッテリーが切れて、充電中に投稿されてた…
管理人さん乙ですorz
では、投下いいですか?
775 :
VIP村人e:2006/12/06(水) 01:05:25.73 ID:KSJhYPUd0
夢というものは、見るのが当然だそうだ。人間としては、それが正常。
夢も見ないでぐっすり眠ったという人も、目覚めたときに忘れているだけで、やはり見ているのだという。
もっとも、眠れればのことだけど………。
あたしが今こういうことを考えているのは、なぜか眠ることができないから。
ベッドの上で何度も寝返りを繰り返しても、いっこうに眠気というものはこない。
なぜだろうかと、あれこれ考えてみるが、これといって原因も思いつかなかった。
あたしは、何気なく今日の生活を思い出してみる。
今日も、いつもと同じく何も変わらない生活だった。あたしの一番嫌いな一日。
ましてや授業のことなんて、思い出す要素が何もない。授業で教わったことなら、ノートを見ればいいだけのこと。
放課後にも、不思議なことは何もなかった。時間がたつだけの、毎日だった。
あたしは、今日を振り返るのが憂鬱になり、ベッドに全身を包んだ。
777 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:09:30.20 ID:IACd8rhpO
支援
やっと追いついた支援
戦場の人乙
779 :
愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 01:10:31.45 ID:t0N4QVwS0
>>770 超乙
ヘリの古泉がバイオ4のマイクと重なって、撃ち落されるのかとヒヤヒヤしながら見てたwwwww
続きwktk!!
しかし、どんなことをしても眠くはならなかった。
夕方ごろから、昨日より急に暑くなり始めてたから、気候のせいにしたりもした。
しかし、冷房を入れるほどでもない、そんな中途半端な暑さだった。日本の初夏にありがちな天気ね。
だからあたしは、毛布をかけたり外したりした。
それでも、眠くはならない。あたしは、発想の転換をしてみる。
そうよ、無理に眠ろうとするからいけないのよ。明日、学校に早く来る理由は何もない。
たまには遅刻したって、どうということもない。それでいいじゃないの……。
気は楽になった気もした。しかし、眠くならないのはさっきと変わらなかった。
あたしはベッドから降り、両親を起こさないようにリビングへ行き、水を飲んだ。
そのままベッドに戻り、寝そべって漫画を読んでみる。しかし、眠気はこない。
無理にあくびをしてみても、同じことだった。
781 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:11:18.61 ID:IACd8rhpO
支援
782 :
はぐれVIPPER:2006/12/06(水) 01:12:00.07 ID:1nxmeSx/O
戦場乙支援
どうしてなの?どうして眠くならないの?この変な感じは何?
あたしがそう思っているそばで、時間は流れる。そして、朝が来てしまった。
太陽が昇り、やがては小鳥のさえずりが聞こえるだろう。ニワトリの鳴き声、とまではいかないけど。
仕方ないので、あたしはベッドから降りる。しかし、睡眠不足の疲労感という気分はなかった。
母さんに言われるがままに、朝食を食べ、学校へ行く。学校を休む理由は何もない。
あたしが来たときには、クラスの半分ぐらいの生徒は先に来ていた。
そして、あたしの席のひとつ前の、ある男子生徒も既にそこにいた。
「よおハルヒ。元気か?」
はぁーあ、元気なわけないじゃない。
「そうか?見たところ、お前の体にはどこにも変調がないように見えるが」
あたしね、昨日寝てないの。だから今日の授業、うっかりして寝ちゃったら……。
「なんだ。実は、俺も昨日は寝てないんだよ」
え、キョンも?そういう風にはぜんぜん見えないけど。
「谷口や国木田にも聞いたけど、あいつらも昨日寝てないって話だ」
まったく、どうなっちゃってるんだろ…………。
784 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:12:36.47 ID:IACd8rhpO
支援
結局あたしは、授業中一度も眠ることのないまま、放課後を迎えた。
あたしはいつものように、文芸部室のドアを開ける。SOS団の団員は、全員いた。
何もすることがないまま、昨日のことに話が進む。
ねえみくるちゃん。
「はい、なんでしょう」
みくるちゃんは昨日、眠れた?あたしはぜんぜん眠れなかったんだけど。
「わ、わたしも昨日は、ぜんぜん眠れなかったです」
そう。古泉君と有希は?
「僕も、涼宮さんや朝比奈さんと同じく、眠れなかったです」
「………同じく」
そう………どうして、みんな眠れなくなったと思う?
「「「「さあ………わかんねえな」わからないです」今日は眠れると思いますよ」……」
各人それぞれの話を聞いて、あたしは帰った。
786 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:13:31.84 ID:IACd8rhpO
支援
787 :
VIP村人e:2006/12/06(水) 01:13:41.55 ID:KSJhYPUd0
俺も眠れない支援
きっと今日は眠れるだろう。
あたしはそう確信していた。いや、そうとしか思えなかった。
何せ、昨日はまるで寝ていないのだ。これで今日も眠れなかったら、体のどこかがおかしいのだろう。
そう思いながら寝床に着いたが、あたしの意に反して今日もまったく眠れなかった。
眠りの精に見放されたかのようにあくびすら出ない。やれやれ、明日病院に行くことになりそうね。
思わずキョンの口癖をつぶやいたあたしに一人で苦笑しながらも、もちろん眠気はこなかった。
これはどういうことなのかと、考えてもわかるはずもなかった。
むしろ、そんなことを考えるからこそ眠れないんだとすら思えてきて、考えるのをやめてみる。
そのまま目をつぶって、ぼんやりとしてみる。しかし、やはり眠くならない。
目をつぶっているのが無意味に思えたあたしは、なんとなく目を開けてみる。すると………。
789 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:14:22.15 ID:IACd8rhpO
支援
そこには、キョンが立っていた。
あたしのそばで、ただ立っていた。かすかに微笑んでいる気もする。
あたしは、声をかけてみた。しかし、何も答えてはくれなかった。
なぜここに来たかなどの、いくつかの質問をしてみたが、キョンは返事をしてくれなかった。
あたしはいらいらして、キョンにビンタを喰らわそうとした。
しかし、それはうまくいかなかった。
なぜかというと、あたしが振り下ろした右手はそのままキョンの顔を通り抜けたからである。
あたしはベッドから降り、キョンにいくつかの蹴りや突きをしてみた。
しかし、それらのいずれもキョンの体をすり抜け、攻撃は不可能だった。
あたしは改めて、キョンらしきものを眺めなおす。いやにはっきりとしていた。
うす暗いところに現れる幽霊と違って、細部まではっきりとしていて、向こう側が透けて見えることもない。
手を伸ばすと、何の抵抗もなく、キョンの体を突き抜けて、入った部分は見えなくなってしまった。
791 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:16:48.21 ID:IACd8rhpO
支援
気体でできた、色つきの精巧な人形という感じを、あたしは受けた。なかなか芸術的な例えでしょ?
いらいらさせ、むなしくなるけど、面白いところもいろいろとあるわね。
少なくとも、今夜の眠れそうにない夜のひまつぶしには悪くないと思った。
そのとき、隣の部屋から、母さんと親父の悲鳴がした。
行ってみると、そこにはかなりの年を召した老人と、少し太った感じの男の人が、母さんや親父といた。
どうしたの、そんなに大きい声出して。
「ハ、ハルヒか。起こしてすまんかった」
いいわよ別に。あたしも眠れなかったし。…それで?何であんな大きな声出したの?
「母さんも父さんもなかなか眠れなくて、目を開けたら、こんなのがいて……」
あら、あたしもそうよ。これがそう。あたしのクラスメートよ。
「そ、そう。……こ、こちらは、あたしの父さんで、ハルヒにとってはおじいちゃん」
おじいちゃんって……確か三年前に死んじゃったあの……。
「そうよ。死んだはずのおじいちゃんが急に現れたから、つい…ごめんね」
ううん、こんなの見たらあたしでも大声を出しそうなもの。……それで、こちらの方は?
「こ、これはお父さんの会社の部長だ。いつも怒鳴られているから、突然出てきたときはびっくりしちゃってね」
793 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:18:35.61 ID:IACd8rhpO
支援
おじいちゃんも親父の上司も、あたしのキョンと同様だった。
……なんだか、「あたしのキョン」って言うと誤解が生じそうだわね。まあいいけど。
でも、なぜこんな幻のようなものが出現したかは、わからなかった。
テレビをつけても、それについての報道はされなかった。深夜だからだろう。
しかたなく、あたしたちはラジオを聴くことにした。ラジオからはこんな放送がされていた。
( ^ω^)<しばらく放送が中断してしまい、ごめんなさいだお。局の中で、何か混乱が起こり、電波が途切れたせいだお>
( ´_ゝ`)<あんた誰よ?何その由比正雪スタイル。勝手に入ってきちゃあ困るぜ。
……しかたない、いてもいいけど静かにしてろよ>
( ^ω^)<……とにかく、番組を続けるお。さて次のコーナーは、『DJブーンのお悩み相談室!』
このコーナーでは、はがき抽選で選ばれた方に、このDJブーンが電話で身上相談をするというものだお!それでは、最初の方はどうぞ…>
(*‘ω‘ *)<えーと、あたし本当はにきびの治療法を質問するつもりだったっぽ。でも、別なことにするっぽ>
( ^ω^)<産業でおk>
(*‘ω‘ *)<・あたしは中学三年生
・高校入試のために勉強していた
・すると、そばにあたし自身が立っていた>
795 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:19:58.69 ID:IACd8rhpO
支援
( ^ω^)<ちょwwwwww返答に困るお。ドッペルゲンガーかお?>
(*‘ω‘ *)<なんでその、ドッペル何たらというものが出てきたんですか?>
( ^ω^)<えー………>
その後も電話相談は数件あったが、その内容はどれも同じものだった。
( ^ω^)<理由はともかく、けっこうなことじゃないかお。好きにすればいいお。
しかし、なにやら大変なことになってるようだお。心理学の専門家に、ご相談願いたいお>
川 ゚ -゚)<何だね、こんな夜中に>
( ^ω^)<こちらはラジオの深夜番組だお。お休みのところですがサーセンwwww>
川 ゚ -゚)<いや、私もこのところ、眠れないのだよ。しかし、今ちょっと来客中でね……>
( ^ω^)<どんな来客だお?>
川 ゚ -゚)<聞いても笑わないでくれ。ヒットラーだ>
( ^ω^)<mjd?wwwwwww気は確かなのかお、先生?>
川 ゚ -゚)<私は、独裁者の心理学を専攻している。そこへの出現。どう見てもヒットラーなのだ本当にありが(ry
しかし、私がいくらヒットラーに質問しても、ちっとも答えてくれない。>
( ^ω^)<しかし、ヒットラーは死んだはずだお。そんなのが先生のところにくるわけないお>
川 ゚ -゚) <私もそう思い、自己精神診断をしてみたのだが、狂っている様子はない。不思議なことだ>
( ^ω^)<先生のところだけではないみたいだお。各所に、いろいろなものが出現しているみたいだお。
ちなみにブーンのところには、由比正雪がいるんだお。鮮明な幻影、といったところだお>
川 ゚ -゚) <幻影なのは、間違いないだろう。少し気が楽になった>
( ^ω^)<安心もいいけど、この現象の解説はないのかお?>
川 ゚ -゚) <そう急に言われても困るが、立体テレビの試験電波が流れているのかも…>
( ^ω^)<ねーよwwwwwwww>
川 ゚ -゚) <となると、宇宙人が円盤から…………>
( ^ω^)<ちょwwwwwwwwwwwwwww>
心理学者は、専門以外のことに関する無知をさらけ出した。まあしかたないことだわね。
弁護士に医学的見解を求めることと同じようなものよ。
脱走しかけるのをDJが引き止め、会話もやっとそれらしきものになってきた。
川 ゚ -゚) <…昨日の夜から、多くの人がずっと眠れなくなっている。それに関連があるようだ。
不眠の原因については、私からはなんともいえないが、皆が眠れないでいるのは事実だ。
それに基づいての仮定だが、このヒットラーや、そちらの由比正雪、これらは全て夢だ>
( ^ω^)<な、なんだってー(AA略>
川 ゚ -゚) <夢というものは、見るのが当然だそうだ。人間としては、それが正常。
夢も見ないでぐっすり眠ったという人も、目覚めたときに忘れているだけで、やはり見ているのだという>
( ^ω^)<その話は、聞いたことがあるお>
川 ゚ -゚) <人間の意志にかかわらず、夢は必需品。われわれは夢を見なければならない。
しかし、最近は人々が皆不眠状態になってしまった。そのため、夢のほうから出現してきた>
( ^ω^)<しかし、この夢は他人にも見えるらしいのですが、なぜですかお?>
川 ゚ -゚) <前例がないので断定はできないが、夢が体外に投影される形となってしまったのではないか。
本来は夢は脳内で見るものだが、それが不可能。レンズのような作用、とでも言うべきか>
( ^ω^)<わかったような、わからないような気分だお。それで、この現象はいつ終わるのですかお?>
川 ゚ -゚) <私の解説が正しければ、この不眠の流行がおさまれば、終わりの時なのだろう。まあ、気長に待つことにしよう>
( ^ω^)<貴重な意見thxだお………>
798 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:21:11.96 ID:IACd8rhpO
支援
「なんとなく、わかったような気分にさせられたな」
「電波媒体と解説の力は偉大なものだわね。……ハルヒ、もう怖くないわね?」
怖がってんのは、母さんたちのくせに………。
「しかし、ハルヒはなんでこんなクラスメートの夢を………」
「もしかしたら、その子が好きなんじゃないの?」
バ、バカッ!そんなわけないでしょっ!!あたし、もう寝るから!おやすみなさい!
「「眠れればね……おっと」あらやだ」
「寝る」といったものの、いっこうに眠くはならない。目を閉じても、あたしの隣のいるキョンの夢が気になるからだ。
そして、眠れないまままたも朝を迎えてしまった。
要するに、夢の出現のために、ますます眠れなくなってしまった。だれでもそうだろうけど。
しかし、あたしはこの現象について、少し心がときめいていた。
そうよ。これ以上の謎はないわ。これが、あたしが望んでいたものなのよ。
眠れなくたっていい。明日から、SOS団の本格的活動が始まるんだから!
………あたしの夢が、ヘッポコでバカでただの平凡な人間のキョンなのは気に食わないけど。
800 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:22:40.93 ID:IACd8rhpO
支援
支援
翌朝のテレビのニュースは見ものだった。どのテレビ局も、真っ先にこの問題を取り上げた。
そうよそうよ。それでなくっちゃ本物の謎とはいえないわ。
テレビの解説も、昨夜のラジオで話した学者の解説と大同小異だった。まあ、頭の固い大人の考える説なんて、大体そういうものよ。
そのニュースの終わりはどのテレビ局も、早く事態に慣れて事故に注意を、というものだった。
学校に来る途中で、あたしは苦労した。なぜなら、みくるちゃんがあちこちにいるんですもの。おかげで、夢のみくるちゃんに声をかけそうになったわ。
みくるちゃんの夢の持ち主は、大体が男子生徒だった。だから、夢の中のみくるちゃんが、
その人によって違って見えた。
女子生徒は、それぞれが思う学校のイケメンを連れてきていた。その中には古泉君もいっぱいいた。なんであたしはキョンなのよ。
珍しいのが、キョンだった。キョンが連れてきた夢は、男子生徒の中でただ一人、あたしの夢だった。
「よおキョン。涼宮の夢を連れてくるなんて、お前らしいぜ」
「うるさい谷口。俺が連れてきたくて連れてきたんじゃないんだ」
…あたしも、別にあんたを連れてきたかったわけじゃないんだから!
803 :
VIP村人e:2006/12/06(水) 01:23:22.27 ID:KSJhYPUd0
見えてきた支援
時間はいつもどおり流れ、一応ホームルームになった。
「席に座れー」と怒鳴る岡部の後ろには、水着姿の美女がいた。
しかし、いつものように連絡事項を話す岡部の話を、まじめに聞こうとする人はいなかった。
授業になっても、それは同じだった。先生さえも、授業をする集中力が失われていた。
あたしは暇なので、キョンに話しかけてみることにした。
とても授業にならないわね。
「まったくだ。何百種もの映画フィルムをバラバラにつなぎ合わせ、見せられているようなものだからなあ。
こんな生活を続けていると、神経のほうが参ってしまうぜ。やれやれ……」
でも、SOS団にとっては待ちかまえていた謎、研究してみる価値はあるわよ。そう思わない?
「はぁ〜?こんなわけわからんものをか?止めといたほうがいいと思うが」
なに言ってんのよキョン。この謎を突き止めることができたら、大手柄よ!
「はいはい、大手柄は分かったから、止めとけ。それだけは言っておこう」
むぅ〜、このバカキョン!ヘタレ!
「おいそこ、うるさいぞ。一応は授業中なんだから静かにしてろ」
「やれやれ…………」
805 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:24:24.70 ID:IACd8rhpO
支援
あたしは、この異変について徹底的に調べることにした。
でも今日は、この夢をじっくりと見物することにしよう。本格的な活動は後ででもいい。
SOS団のほかの団員の夢も、チェックしておきたいし。団長には、それだけの権限があるはずよ。
「涼宮さん、お茶です。どうぞ」
そういってお茶をあたしの前に置いた、メイド服の人の後ろには、変な人が立っていた。
現代にはないような道具を、いろいろ持っている人。例えるなら、未来人。
みくるちゃんも、未来人に興味があるのね。さすがはあたしが見込んだ団員だわ。
その隣で、あたしの夢を連れたキョンとチェスをやっている古泉君の隣には、森さんと新川さんが立っていた。
この二人といえば、思い出されるのがあの孤島の事件ね。あたしの名推理、いかがなものだったかしら?
隅っこで本を読んでいる有希は、朝倉と、もう一人の北高の人を連れていた。
えーと誰だったかな……そうだ、喜緑さんよ。コンピ研部長の彼女で、部長失踪の依頼に来た人よ。
そういえば、有希が死んでしまったとき、本で生き返らせたのも喜緑さんだったわね。
そんな人の顔を忘れてしまうなんて、あたしは何で恩知らずなんだろ。
それにしても、有希と朝倉と喜緑さんってどんな繋がりがあるのかしら……。
807 :
VIP足軽dca:2006/12/06(水) 01:24:51.40 ID:Fh/oVGpb0
支援支援
「おや、あなたの涼宮さんが寝ていますね」
「その言い方は止めろ。せめて、『夢の』という言葉を追加してもらいたいんだがね」
ふと現実のほうのキョンを見ると、確かにキョンの夢のあたしは寝ていた。
夢の持ち主が眠れずに、夢の中の人が眠るなんて……って、夢のあたしパンツ丸見えじゃない!
あたしは夢のあたしに駆け寄り、パンツが見えてる部分を隠そうと夢のあたしに覆い被ろうとした。
しかし、あたしの体は夢のあたしをすり抜け、あたしはそのまま地面に激突した。
「ん?なにやってるんだハルヒ?」
「見ないで!あたしを見ないで!」
「何言ってんだハルヒ。このハルヒは夢のハルヒだろ。お前が気にすることはない」
「ではあなたは、涼宮さんの夢のあなたが突然裸になってもいいというのですね?」
「い、いやそういうわけでは………」
そうよ。それとも、そんなにあたしのパンツが見たいわけ?このエロキョン!
「わーかったよ。……あ、お前の夢の俺も寝た」
それがきっかけとなり、夢たちは次々と眠り始めた。あたりの光景が、いくらか穏やかになる。
でも、眠っている夢たちを見てると、なんだか不思議な気分になる。
いったい、この奇妙な現象はいつまで続くのだろうか。ずっと続いたら、あたしたちはどうなるのか。
いっこうに眠くならないが、こないだからの肉体的、精神的な疲れはかなりのものだ。
このままだと、気が狂うかもしれない。なんともいえない不安が、あたしを襲う。
と、その時。
みくるちゃんの夢である未来人らしき人が、目を覚ました。
床から起き上がり、少し伸びをし、軽い声を出した。夢が初めて声を出したのだ。
ふと、みくるちゃんに視線を送ると、そこには異様な光景があった。
「あ……わたしの体が……消えてますぅ」
み、みくるちゃん!
「「朝比奈さん!」」
「ふぇぇえ、どうなっているんですかぁ」
あたしはみくるちゃんの腕を引っ張ろうとしたが、その腕も消えた。
「朝比奈さんが……」
「わたし、どうなっちゃうんですか?消えたくないですぅぅ………」
まもなく、みくるちゃんの姿は消えた。古泉君が焦るように語る。
「どうやら、僕たちが夢と化してしまったようです。いずれは、僕たちもああいう風に……」
そんな!あたし、まだ消えたくないわよ。どうすればいいの、キョン!
「俺に聞かれてもわかるはずないだろ。くそっ、長門!お前なら何とかできるだろ」
「………無理。今のわたしは何の力も持っていない」
「しかし長門………」
「古泉一樹の言うとおり、今のわたしたちはもはや夢。今のわたしが力を発揮しても、それはこの世界に何の影響力もない」
「ということは、俺らはこのまま消えるのを待つしか………」
まもなく、有希の夢である朝倉と喜緑さんが起きて、有希は消えた。
810 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:26:22.15 ID:IACd8rhpO
支援
ど、どうすればいいのよ。このままだとあたしたち……。
「まあ、要するに、世界は終わりを告げた。そういうことだろ、古泉」
「ええ。正確に言えば、僕らと夢が逆転しただけなんですけど」
そ、そんなのいやよ。あたし、キョンと離れたくないの!
「そんなこと言ったって、どうしようもないぜハルヒ。
それに、夢の世界でも俺らは一緒にいれるんだから、いいじゃないか」
なに言ってんのよキョン。夢の世界のあたしじゃ意味ないのよ。
この気持ちを持っているあたしじゃなきゃ……。
「……何が言いたいんだハルヒ」
つ、つまりは、あたしはキョンのことが好きなの。だから、この世界のキョンと離れたくないの!
「……………………」
あ、あれ?何であたし、こんなこと言って……。
「ハルヒ。俺が言おうとしてた言葉を、先に言うな」
え?な、何言って………。
「まあいいか。………俺も、お前のことが好きだぜ」
こんな世界の終わり方って、どの小説にもないんじゃないかしら。
まあ、こんなのもいいかもしれないわね。あたしは、キョンに体を預けた。
「おや、どうやら僕はお邪魔虫のようですね」
わざとらしい口調で話す古泉君の存在にあたしは気づき、キョンから体を離した。
「古泉、お前絶対にわざとだろ」
「いえいえ、僕はこの状況における自分の立場を確認しただけですが」
古泉君、もしかして、嫉妬してるの……?
「めっそうもない。僕にはその方向への興味はまったくありませんよ」
「嘘つけ古泉」
そうこうしている内に、あたしたちの夢が起きた。と同時に、あたしたちの姿もどんどん消えていく。
もうすぐこの世界とも、そしてキョンともさよならね。
「なあハルヒ。俺たちが、また会える日は来るのだろうか」
この世界のあたしたちのこと?さあ、さっぱり分からないわ。
「この世界の住民が、われわれの夢を見てくれればいいのですが、あまり期待はできませんね」
「そうか……」
キョンはそういうと、あたしの肩をつかみ、顔を近づけてきた。
そして、古泉君の存在などおかまいなしに、あたしの唇はキョンのそれと重なった。
それはあたしにとって最初の、そして最後の長い、長いキスだった……………。
813 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:28:13.47 ID:IACd8rhpO
支援
支援
815 :
愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 01:31:29.72 ID:41FJY8Qz0
追いついた支援
816 :
VIP村人w:2006/12/06(水) 01:31:29.49 ID:TZ6W//PN0
追いついた支援
817 :
愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 01:31:46.63 ID:41FJY8Qz0
818 :
はぐれVIPPER:2006/12/06(水) 01:32:03.31 ID:1nxmeSx/O
支援上げ
【涼宮ハルヒの憂鬱 meets 星新一 第十一部 「重なった情景」】
原作:星新一「ごたごた気流」に収録 「重なった情景」
あ、あれ……………
うそ……………な、なんで……………こんな展開に…………
そんな…………キャラが勝手に………動いてるのぉ……………
こんなの知らない…………知らないよぉっ………………………
ところどころ見にくい所あってすいませんorz
ところで、これ書いてる途中にひどい電波を二件ほど受信してしまったわけだがwwwwwwwwww
見るかい?
820 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:33:43.84 ID:IACd8rhpO
支援
821 :
VIP足軽e:2006/12/06(水) 01:34:15.89 ID:cM43DkLC0
mirumiru
822 :
VIP村人e:2006/12/06(水) 01:35:00.73 ID:KSJhYPUd0
>>819 乙 いつもながらGJ!
&wktk
俺ももうすぐミヨキチが起きるから消えるがw
見せて見せて
824 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:36:06.19 ID:IACd8rhpO
GJ!
そしてwktk
825 :
はぐれVIPPER:2006/12/06(水) 01:36:38.39 ID:1nxmeSx/O
乙GJ!
任せるww
じゃあ投下します
それほどwktkできるもんじゃないぜ
電波作品1
「今日はみんなで、鍋でもやらない!?」
妙に甲高い声が、文芸部室を貫いた。
今日は12月。去年は暖冬だったようだが、今年はもう冬真っ盛り。かじかむ手をカイロや暖房などで対処していた俺たちなのである。
当然、こんな日に鍋でもやったら最高なのだろう。
そんな考えも少しはあったが、あえて俺はこいつに反論する。
おいハルヒ、その鍋をやる費用はどこから持ってくるんだ?
「鍋の費用?何の費用なの?」
お前は何も考えていないんだな…いいか、鍋をやるにしても、食材がそろわなきゃ意味ないだろう。
「そんなの、一品持ち寄りでいいじゃない。ね、古泉君」
「仰せの通りで。なんなら、僕が食材を調達してきましょうか」
「それはいいわね。古泉君って、けっこう何でもできるし。それでこそ副団長よ古泉君!」
「涼宮さんからお褒めの言葉をいただき、まことに光栄でございます」
「くるしゅうないぞ、わっはっはー!」
……ちょっと待て。どこで鍋をやろうって言うんだ。まさかここじゃないだろうな。
「あんたの家に決まってるじゃない」
なんでそこで俺の家が出てくるんだ。
「そんなに心配しなくっていいって。妹ちゃんとはみくるちゃんが適当に遊んでおくからさ」
いや、そういう問題じゃなくてだな……。
「じゃあこれから、キョンの家にみんなで行くわよ!」
………あーやっぱり俺の話聞いちゃいねええええええ!
……というわけで、SOS団鍋パーティー・イン・俺の家が開催された。
親は、何の抵抗もなくハルヒたちを家に入れた。俺が友達を家に呼ぶことは今までなかったから、当然のことだろう。
古泉が持ってきた鍋の食材は、どうやらすき焼きのそれであるようだ。
ハルヒの独断と知ってはいながらも、俺はなぜか納得がいかなかった。
なぜなら、俺の中には鍋といえばおでんという固定概念があるからだ。
なぜおでんじゃないんだ。ハルヒと朝比奈さんが台所へ向かう様子を見ながら、そう思わざるにはいられなかった。
しかし、こうして鍋を囲むのもいいかもしれない。
なんと言っても、朝比奈さんの作る料理だ。食欲の沸かないほうがどうかしている。
笑顔でバッタの佃煮などを出されても、間違いなく完食できるだろう。
………その後姿に、エプロンでもあったら最高なのだがなあ………。
そして、いよいよすき焼きの食材が鍋に投下された。
牛、豚、鶏など少し肉の比率が多いようだが気にしないでおく。
しばらくは、平和的に食べていたのだが、全体の8割は食べかけた頃にハルヒが俺に話しかけてきた。
「ねえ、あんたはなんでしらたきと鶏肉を残しているわけ?」
ああ、このことか。大丈夫、いまから食べるから。
「あんたもしかして、しらたきと鶏肉が嫌いなの?食べ物の好き嫌いはしない!」
そうじゃない。むしろ、この二つは大好きなものだ。
「じゃあなんで……」
俺はな、おいしいものは先に食うが、好きなものは後に食う。鍋ではそういうことにしているんだ。
「わかんないわねその気持ち。もし横取りされちゃったら、どうすんのよ」
そのときは、死ぬ気でキープする、それだけだ。
「わたしも、好きなものは後で食べますね」
ほら、朝比奈さんはちゃんと分かってくれてる。
……恋愛だって同じだ。かわいい人には素直に「かわいい」と言えるが、好きな人には素直に「かわいい」とは言えない。そういうことさ。
「キョン君の恋愛観って、奥が深いんですね」
「そう?あたしには、意味不明でしかないんだけれど」
「おや、そうなると、あなたはいつも朝比奈さんには鼻の下を伸ばしておられるのに、涼宮さんにはいつもけんか腰ですよね」
「ということは、キョン君は涼宮さんのことが……」
そ、そんなわけないだろ。俺はこいつのことを好きでもないし、かわいいと思ったこともないぞ。
「なんですってキョン!あたしが、かわいくないとでも言うの!?」
すき焼きも思う存分食べつくした後。
天下の団長様にボコボコにされたこと以外は、この上なく穏やかな時間が流れていた。
そろそろお開きにしようと俺が提案した頃には、もう12時になっていた。
ハルヒがソファーで寝てしまったので、古泉が連れて帰ることになった。
830 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:41:51.99 ID:IACd8rhpO
支援
それから一週間後の土曜日。
俺たちは、不思議探索という名目で、街中を散歩する集いを開いていた。
午後からの集まりだったので、探索は午後だけとなった。
さて、今日の俺の組み合わせは……ハルヒとかよ。しかも二人っきり。
まったく、付き合いづらいやつと一緒になってしまったもんだ。
この組み合わせが俺の人生をぐるりと変えてしまうとは、そのときは知る由もなかった。
俺は思いたい。これが偶然であることを。
…………
ハルヒは、公園の方角に向けてずんずんと歩いてゆく。
あそこに、何か不思議でもあると察知したのだろうか、迷いなどなく突っ切ってゆく。
俺は、小走りであいつについていくのが精一杯だった。将来、いい陸上選手になれるだろう。
832 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:43:31.06 ID:IACd8rhpO
支援
833 :
VIP村人e:2006/12/06(水) 01:43:48.62 ID:KSJhYPUd0
支援
その公園は、あまり人気がなかった。しかしハルヒは、そこからさらに人気のなさそうな、大樹の木陰に俺を連れて行った。
そして、あいつが口を開く。
「ねえキョン。一週間前、あんたは好きな人にはどうこう言ってたわね」
ああ。どうせ、お前には分からない感情だろうがな。
「………ねえ。キョンは、あたしのことを、どう思ってる?」
は?お前は、SOS団の団長でありいつも俺たちを変なことに……。
「そういうことじゃないの!あたしが聞きたいのは…………一人の女として、どう思ってるのか、よ」
おいおい、やばい方向に話が進んでないか?そんな俺の思いに構わず、ハルヒは続ける。
「あたしは、キョンのことが………好き」
…………やっちゃったよ。言っちゃったよこいつは。とんでもない野郎だ。
おいハルヒ。今日のお前、なんだかおかしくないか?普段のお前はもっとツンツンしていて……。
「普段のあたしの解説なんかいらないわよ!あたしが今聞きたいのは、……あんたの気持ち」
835 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:44:51.82 ID:IACd8rhpO
支援
やれやれ。まったく厄介なことになったもんだ。
いいかハルヒ。俺は、お前のことをSOS団団長と思っている。それ以上やそれ以下でもない。
しかし、一番に言えることは、俺がお前に素直にかわいいと言えないことだ。
だから、『かわいい』の代わりにこの言葉を送る。『好きだ』、ハルヒ。
「キョン……」
ああ、俺もやっちゃったよ。まったく無茶しやがって。
するとハルヒは、突然俺のほうに向き直ると俺の胸に顔を埋めてきた。
なっ、おま………。
「キョン……しばらく、このままでいさせて」
やれやれ、好きにしろよ。
837 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:46:01.54 ID:IACd8rhpO
支援
838 :
愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 01:46:55.90 ID:41FJY8Qz0
支援
「よおキョン。愛しの涼宮は元気か?」
『愛しの』は余計だ、谷口。
それから俺は、涼宮ハルヒという彼女を持つようになってしまった。
あれから、俺はあいつと二人きりになるのがもっと苦手になった。
なぜなら、その時のあいつは、いつものそっけなさは何処へやらという感じで、俺に甘えてくるのであった。
俺にツンデレ属性はないはずなのだが、その時のハルヒは朝比奈さんを軽く超えるほどにかわいいと感じてしまう。
しかし俺は、ハルヒにかわいいと言うことは一生ないだろう。なぜなら、俺はハルヒを『好き』だからだ。
電波作品1 終
甘いの書こうとしたつもりだったが意味不明な感じに……orz
840 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 01:48:11.41 ID:IACd8rhpO
えらい甘い電波だ事w
GJ!
841 :
VIP村人w:2006/12/06(水) 01:48:20.49 ID:iFS0Y9xgO
明日テストだ。不本意だが最後支援
842 :
VIP村人e:2006/12/06(水) 01:48:45.69 ID:KSJhYPUd0
843 :
愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 01:49:27.36 ID:41FJY8Qz0
長門「このスレを統括する情報統合支援体によって作られた対SS職人コンタクト用ヒューマノイドインターフェース、それが私。」
キョン「支援体?」
長門「
>>839 のSSを支援する。」
844 :
VIP村人e:2006/12/06(水) 01:51:17.13 ID:KSJhYPUd0
保守代わりに調子乗ってもうひとつ投下
キョンがハルヒとかにあれやこれやするお話です
電波作品2
突然、ある疑念が頭をよぎる。
俺たちは、なぜこうもハルヒの思うがままに振り回されなければならないのか。
古泉に言わせれば、ハルヒの機嫌を損ねるイコール世界の終わりらしい。しかし、あいつにそんな力が本当にあるかと問われて、手放しでイエスとは言えるはずもない。
俺の平和な高校ライフが、突然一人の少女によってぶち壊しになる。こんなことが許されていいものか。
俺の疑念は、次第に憤りに変わる。
こうなったら、俺がちょっくらあいつに悪戯をして、一泡吹かせてやろうではないか。
つまり、ささやかな復讐というわけだ。なあに、考えはある、心配するな。
…………今、誰に向かって『心配するな』と言ったんだろう俺…………。
次の日の放課後。
あれがそのドアを開けた時点での文芸部室には、ハルヒしかいなかった。
「あれ?ほかのやつは来ていないのか」
「そうよ。あたしだけで悪い?」
「いや、むしろ都合がいいぜ。ハルヒ、お前にちょっとなぞなぞを出そう」
「はあ?」
〜キョンの悪戯・涼宮ハルヒの場合〜
「ではまず、第一問。<<数字の6>>を英語で言うと、なんと言うか?」
「そんなの簡単じゃない。シックスよ」
「正解だ。では第二問。<<靴下>>は?」
「ソックスね……って、あんたあたしをバカにしてるんじゃないでしょうね?」
「いいから質問に答えろ。では第三問。<<あれ>>は?」
「あ、<<あれ>>?あんた正気なの?そんな問題出して」
「俺は正常だ。それより、質問に答えろ。<<あれ>>を英語で言うと?」
「…そ、そんなの、あたしの口から言えるわけないじゃないエロキョン!」
そう言うとハルヒは部室を飛び出していった。
やれやれ、あいつはどんな妄想をその脳細胞の中に繰り広げているのだろうか。
それから間もなく、朝比奈さんが部室にやってきた。
「こんにちは……あれ?今日来てるのはわたしとキョン君だけですかぁ?」
ちょうどいい。朝比奈さんにも試してみよう。
〜キョンの悪戯・朝比奈みくるの場合〜
「朝比奈さん、なぞなぞを出します。第一問、<<数字の6>>は英語でなんと言うでしょうか?」
「えーと、シックスですかぁ?」
「正解です。第二問、では<<靴下>>は?」
「ソックス、ですね」
「そうです。ではこれで最後。<<あれ>>を英語で言うと?」
「<<あれ>>ですかぁ?それは…………………」
「……どうしました?」
「キョ、キョン君が………キョン君がそんな………」
彼女の顔は、困った顔を通り越して、涙目になってきている。
俺がもし答えを言ったら、この人はどんな顔をしてくれるだろうか。
848 :
VIP村人e:2006/12/06(水) 01:57:41.68 ID:KSJhYPUd0
>>839 ところでタイトルは「電波作品1」なの?
「好きなものは後に・・・」とか妄想してみたりした俺がいる。
と言う支援
しかし、さすがに目の前の美少女が俺のせいで涙ぐんでいる光景は、数秒と見るに耐えなかった。
俺は、朝比奈さんに答えを教えた後、いたたまれなくなり部室を出た。するとそこに古泉が立っていた。
「まったく、あなたも罪作りなお方だ。朝比奈さんに何を言ったかは分かりませんが……」
「落ち着け古泉、それは誤解だ。今からそれを証明しよう」
〜キョンの悪戯・古泉一樹の場合〜
「これからなぞなぞを出す。お前はそれに答えろ」
「その、これから出されるなぞなぞが、朝比奈さんを泣かせたんですね?」
あーなんか俺が悪者みたいだな……。
「ま、まあな。では第一問。<<数字の6>>を…………」
この間の経過は省略しておく。古泉は最初の二問を当然のごとく正解した。
「それで?こんな中学生でも分かる英語の問題が、なぜ朝比奈さんを泣かせたのですか?」
「まあ待て。これが最後の問題だ。<<あれ>>を英語で言うと?」
「<<あれ>>ですか…………」
「どうした?わからないのか?」
「…………なるほど、わかりました。あなたも、そんな性癖をお持ちのようでしたか。
何なら、僕がお相手にでも……」
「え?ちょっと待て古泉、なんでそういう……」
「逃げないでくださいよ、これはあなたが望んだことではないですか」
「なんでこうなるんだーーーーー」
古泉一樹という魔の手を逃れた俺に、更なる刺客が現れる。
「よおキョン。なんでお前さっき古泉と話していたんだ?」
「いや、いろいろ訳があって……」
「あんな体を近づけて話すなんて、お前らはホモか?」
「いやいや、ホモなのはあいつ……」
「お前古泉と何を話していたんだ?俺にも教えろ」
やれやれ、もはやノリでしかないか……。
〜キョンの悪戯・WAWAWA谷口の場合〜
「いいか?これから英語の問題を三問出す」
「はあ?本当にお前はそれを古泉にも………」
「つべこべ言うな。まず第一問……」
以下中略。どうやら谷口にも英語の一般常識はあるようだった。
「では第三問。<<あれ>>を英訳すると?」
「<<あれ>>か?それはもちろん、((禁則事項))さ!」
プリンスレでは載せられないようなとんでもないことを言い出しやがった。
おかげで谷口から半径3mの範囲に人が近寄らなくなってしまった。
俺も、こんな答えが出るとは予想外だ。早くこの変態男の下から立ち去ることにしよう。
最後に、長門にも聞いてみようと思った。
ここで本当の答えをはっきりさせなきゃ、谷口のふざけた解答が正解になってしまうからな。
「長門。ちょっと、俺の話に付き合ってもらってもいいかな?」
「………いい」
〜キョンの悪戯・長門有希の場合〜
「最初に聞きたいんだが、<<数字の6>>………」
後はデフォルトだ。同じものはできるだけ省いていったほうが、要領(容量)もいいだろう?
「じゃあ、これで最後だ。<<あれ>>は?」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………」
「……………………………………………………ザット」
カタカナでは分からない人もいることだろう。長門が言った英語は“that”だ。
「……正解だが、お前にしては考える時間が長すぎはしないか?」
「………このぐらいが適当」
「…まさかとは思うが、変な言葉を連想したわけじゃないだろうな?」
「………してない」
「そうか、ならいいんだ。じゃあな、長門」
「………さよなら」
852 :
VIP勇者:2006/12/06(水) 02:02:42.46 ID:IACd8rhpO
支援
数日後。
あれから俺は、さらにへんぴな生活に巻き込まれている。
ハルヒからは変態呼ばわりされて、朝比奈さんからはあれ以来少しどぎつい視線でいつも見られている。
谷口からは俺と古泉がデキてると思われ、その古泉からは尻を狙われるようになった。
まったく、なんでこんなことになっちゃったんだろうね?
「教訓、慣れないことはすべきではない。自己の社会的立場を十分把握するべき」
電波作品2 終
アナルスレでも良かったかもしれない
そして投下している途中にまた新たな電波を受信したwwwwwww
しかし国木田×朝倉って無理があるだろwwwwww
854 :
VIP足軽b:2006/12/06(水) 02:05:30.14 ID:jgynakyp0
電波作品乙!
笑わせてもらったよw
こっちは話に詰まったのでネタ募集
キャラ名無しで3題程度でお願いします。
ものによっては複数レスを混ぜます。
855 :
VIP勇者:2006/12/06(水) 02:05:56.18 ID:IACd8rhpO
GJ!
国木田×朝倉は「谷口×朝倉の恋愛革命」ぐらいの冒険だw
あの作品は好きだけどねw
856 :
VIP村人f:2006/12/06(水) 02:06:39.16 ID:KSJhYPUd0
>>853 電波乙
確かにアナルな匂いを感じるなw
あと、志村〜!!高1!高1!
しかしよく電波受信するなぁw
>>854 日曜 パフェ 雨
857 :
VIP勇者:2006/12/06(水) 02:10:10.92 ID:IACd8rhpO
858 :
VIP勇者:2006/12/06(水) 02:39:44.50 ID:IACd8rhpO
保守
859 :
VIP足軽b:2006/12/06(水) 02:49:50.93 ID:jgynakyp0
>>856-857 ネタ提供ありがとう。
もうちょっとしたら両方詰め込んだ話が出来そうです。
860 :
VIP村人f:2006/12/06(水) 02:52:42.78 ID:KSJhYPUd0
861 :
VIP足軽c:2006/12/06(水) 03:19:33.24 ID:jgynakyp0
投下しますね。6レスほどです。
「これ」
コンビニに辿り着き、冷蔵庫の前でさてデザートを選ぶかと思ったところで、俺が何か言
うよりも先に長門がパフェを手に取った。
コンビニでパフェか……、なんかまたえらく微妙な物だな。しかもコンビニで売っている
デザートにしちゃ高いし。
「へー、こんな物も売っているのね、じゃああたしもこれ」
「あ、わたしも」
「僕もそれでお願いします」
お前等、人の奢りだからって遠慮がなさ過ぎるぞ。
というか古泉まで食うのかよ……、いや、どうせ古泉と朝比奈さんは食べきれなくて、そ
の分をハルヒと長門が奪っていくって結果になるんだろうけどさ。
俺は仕方なくパフェを四つかごに放り込み、レジに向った。
金が惜しいので自分の分はプリンだ。
今日は長門の家で全員でお泊り。
晩御飯は鍋の予定だが、デザートだけはコンビニでってことになった。
最初は集合時間に遅れてきた俺が一人で行く予定だったんだが、俺に任せると安い物を買
ってきそうだとか自分で選びたいだとかいう団長の主張によって、結局全員で行くことにな
った。
コンビニの帰り、途中で雨が降ってきたので俺達は大急ぎで長門のマンションまで走った。
雨か、ついてないな。
「ああん、結構濡れちゃったわ。シャワー浴びましょシャワー」
「……お風呂はもう沸かしてある」
「へ、本当? じゃあ入っちゃいましょ」
というわけで、俺達は全員で順番に風呂に入ることになった。
女子達が先で俺達が後。
俺が入る直前くらいから鍋の準備を始めていたんで、最後に俺が風呂から上がる頃にはち
ょうど食べごろって感じになっていた。
ハルヒ、長門による激烈な具材争奪戦に俺が加わる中、古泉が隙をつく形で自分と朝比奈
さんの分を確保するという、まあ、日常的といえば日常的な光景が繰り広げられる。
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
台詞だけ抜き出すとどっちがどっちの台詞かわからんね。
いやまあそんなことはこの際どうでもいいのだが。
というか古泉、そんなことをするなら俺の分も確保してくれ。俺一人じゃハルヒと長門に
対抗しきれないぞ!
「この肉もらいっ」
「……わたしの」
って、そんなことを主張する間も惜しいかも知れないな。うかうかしているとこの二人に
全部食べられかねない。
「待てっ、これは俺のだ!」
俺はのんびりと食べる古泉と朝比奈さんを視界の外に追いやり、具材争奪戦に戻った。
鍋の跡はデザートだ。
デザートは全員分一括投入の鍋と違って一人一つだ。
しかし、
「古泉くん、もう良いの?」
「ええ、僕はこれでお腹一杯です」
「じゃあ残りはちょうだい!」
こういうやり取りが着いて来るのは最早当たり前の光景だな。
古泉や朝比奈さんが少食な割に少な目の物を頼まない、買わないのは、ハルヒや長門みた
いな奴がいるから何だろうか。
「そういやさ」
「何?」
「それって間接キスになるんじゃないか?」
なんとなく思いついたことを口にしてみる。
深い意味は無い、単なる思いつきだ。
「……」
ハルヒがスプーンを口に突っ込んだまま完全に止まってしまった。
何だ何だ、この反応は。
古泉は、と思ったら古泉の方は視線を逸らしている。
何だ何だ、お前の反応も意味不明だぞ。
誰か俺に分かるようにこの状況を解説してくれ!
「……ちょうだい」
そんな時、俺に疑問も場の空気も一茶無視するかのように、長門が俺に向ってそう言った。
長門が見ているのは俺の食べかけのプリンのことだった。
凄いな長門! こんな微妙すぎる空気と会話の途中でこんなことが言えるなんてさ!
いや、凄いとかそういう問題じゃ、
「ちょうだい」
「……分かった、食え」
……上目遣いで訴えかけるような長門には勝て無いよなあ。
間接キス云々で固まるハルヒとは対照的に、長門は俺が食べかけだったプリンを気にせず
食っている。
まあ、ハルヒはともかく長門に、男相手だから云々なんて感覚は無いと思うが……、そう
いうことだよな?
「食べないの?」
プリンを平らげ、古泉とハルヒを交互に見つつ目を白黒させていた朝比奈さんから貰った
パフェの残り(と言ってもまだ半分以上有ったが)も平らげた長門が、やっぱりどこまで空
気を読んでいるのかさっぱりな様子でハルヒに話し掛けた。
「……」
「食べないの?」
長門の手がパフェまで伸びそうになったところで、弾かれたように復活したハルヒがブロ
ックした。
おお、鍋の時と同じ攻防だな!
「食べるわ! 食べるわよ!!」
ハルヒは高らかにそう言い返すと、あっという間にパフェを完全に食べきった。
ちなみに古泉はまだ復活していない。
何だお前等そんな中学生みたいな……、と思ったが俺は指摘するのを辞めておいた。
よくよく考えてみれば、別にハルヒや古泉の精神年齢が中学生でも、不思議なことは何一
つ無いんだからな。
三年前、いや、もう五年近く前か。
……まあ、この辺りに着いての詳しい解説はいらないよな。
デザートを食べ終わったら、朝比奈さんが食後のお茶をいれてくれた。
最近じゃ皆でここに来る回数も増えたから、朝比奈印のお茶も常備済みだ。
「はい、どうぞ」
「あ、ありがとうございます」
鍋の時とは主体と客体が逆のやりとりを見る限り、古泉も一応復活してはいるらしい。
ハルヒとも俺ともちっとも目線を合わせないけどさ。
「……あら、雪ね」
何時ものようにお茶を一口で啜ったハルヒが、外を見て呟いた。
どうやら、雨は何時の間にか雪に変わっていたらしい。
まあ、12月だしな。そういうこともあるだろう。
「……」
長門が無言で雪を見ている。
そういや、こいつの名前はここから来ているんだったか。
「雪見大福が食べたくなるわね」
情緒もへったくれも無いことをハルヒが口にする。
お前、どういう精神構造しているんだよ。
「雪見大福なら、買い置きが、」
有るのかよ!
「何時もならある、でも今日は切らしている」
……そうか。
「何だ、無いのね」
「じゃあ、僕が買ってきますよ」
「あ、だったらあたしも行くわ。まだ食べたり無いし」
と言って、さっきの間接キスコンビは足早に部屋を出て行ってしまった。
「あ、お代は後で払ってよね!」
去り際の一言が余計すぎだぞ、ハルヒ。
ここは素直に古泉に奢られておけ。雪見大福なら間接キスはしなくても良さそうだしな。
自ら皿洗いを買って出た朝比奈さんに悪いとは思いつつも、俺は長門と二人のんびりと雪
を眺め続けていた。
「明日は日曜だな」
「……」
「明日の予定は無いみたいだし、どっか行くか?」
普段なら何かしらSOS団の予定が入る所なんだろうが、明日は何も無いらしい。
受験前の朝比奈さんの最後の模試の日だからな。……まあ、それだけが理由じゃないよう
な気もするんだが、それに着いては何も言わないでおこう。
ハルヒの個人的な予定に着いてごちゃごちゃツッコミを入れる必要は無いさ。
保護者役も、そう遠くないうちに卒業できそうだしな。
「どこへ? ……図書館は休みのはず」
「あー、そうだったな……。まあ、本屋とか……、他にも色々有るだろ」
こういう時に気の利いた事が言えない自分がちょっと恨めしいな。
もうちょっと何とかならんものだろうか。
「なあ、長門、行きたい場所は無いのか?」
「……電気街」
「分かった、じゃあ電気街に行こう」
高校生男女が向う場所としてはどうなんだと思うが、まあ良いか。
デートで人体の不思議展に行ってきたことを楽しげに話すハルヒよりはまだマシだ、多分。
「たっだいまー、買って来たわよ、雪見大福!」
ハルヒが戻ってきたから、俺と長門の会話とも呼べない会話は終了だ。
それから、壮絶な雪見大福争奪戦と共に、夜は更けていった。
――終わり
868 :
VIP村人g:2006/12/06(水) 03:29:00.34 ID:KSJhYPUd0
GJ!
電気街で何すんだ長門w
>>868 自作PCでそこらの鯖をクラッ(ry、、、じゃなくて情報収集だろ
実際には本格的な自作ゲーム作ってそうだけど
870 :
VIP村人xxx:2006/12/06(水) 03:47:47.72 ID:OM36f6Co0
ほんとの「おもちゃ」開発のための買いm(ry…という妄想
871 :
VIP足軽c:2006/12/06(水) 03:57:37.37 ID:jgynakyp0
電気街ネタも思いついたんで今度書いてみるよ。
多分このままの設定(ハル一、キョン長門)になるけど。
というかその前にそろそろ止まっているものの続きを書くか・・・。
872 :
VIP村人P:2006/12/06(水) 04:42:34.67 ID:sMoAsCIbO
練る前保守
873 :
VIP皇帝:2006/12/06(水) 04:43:16.89 ID:giQclG910
VIPでやんな
874 :
高校の女教師:2006/12/06(水) 05:06:49.64 ID:MiIddCmK0
出かける前に保守
875 :
牛のふん:2006/12/06(水) 05:22:07.75 ID:jsYUbCC70
うぜえ
876 :
VIP乙女:2006/12/06(水) 06:22:22.45 ID:L3CKshfwO
そろそろ学校に着く保守
877 :
VIP皇帝:2006/12/06(水) 06:23:23.16 ID:L3CKshfwO
あげるん
878 :
壷ふりお京:2006/12/06(水) 06:41:38.05 ID:py0Fw53U0
879 :
猿回しの勘三:2006/12/06(水) 07:23:39.64 ID:z8tE+6HG0
ぬふぅ、意外とかわいいんだな
880 :
VIP神:2006/12/06(水) 07:24:04.71 ID:Jwc/np2CO
ほ
881 :
牛のふん:2006/12/06(水) 07:36:58.80 ID:L3CKshfwO
882 :
内藤ホライゾン:2006/12/06(水) 07:49:43.05 ID:BsECt5hH0
今の今までキョン×ハルヒものばかりだった。それが嫌だったり、そうでないと嫌ってわけじゃないが
ある種の閉塞感はあった。しかし
>>862に古泉×ハルヒの未来を見た。そんな保守。
883 :
散髪とめきち:2006/12/06(水) 07:54:54.52 ID:IACd8rhpO
GJ!
長門が長門らしくて良いな。
884 :
VIP足軽p:2006/12/06(水) 07:57:33.49 ID:qAuCpG0N0
やっと書ける時間ができてきた。
ちゅうわけで途中までだが、投下する。
885 :
膨張拡大延長感情:2006/12/06(水) 07:59:01.97 ID:qAuCpG0N0
はてさて、この状況を適切に表す言葉は、何と言うのか。
二兎追う者は一兎も得ず?当たらずも遠からず、か。しかし追いかけているだけではない。
前門の虎、後門の狼?言葉的には合ってそうだが、意味的に言えば若干違う。
もしかしたらこの状況に適した言葉など元よりないのかもしれん。
いや、唯の知識不足が原因だろう。
しかし思い付かないなら造るしかない、所謂造語だ。
「もっと速く」
「これでも精一杯なんですけどね」
「待て、貴様等〜!!」
「待つのはアンタでしょうが!!」
『追うものあれば、追われるものあり』
何の捻りもありゃしない、古泉に負けず劣らずのボキャブラリーの無さにほとほと情けなさを禁じえないものだ。
それにしてもこの状況、ただでさえ有名な我が団の知名度が本人等の知らぬところで鰻登りになること請け合いである。
それは快晴時の本日に起きたわけである。最高気温は14℃、最低気温は±0、ほど良く冬の到来を感じる寒さだ。
事の発端は、学び舎である学校。と言うよりもハルヒと出会って起きた訳である。
それまでは何時も通り妹独特の起床方法で目を覚まし、顔を洗い、歯を磨き、朝食を取り、妹と共に家を出た。
何てことはない、平凡で詰まらない平和ないつもと同じ一日。
しかし、それは突如として起きたのだ。
大層な言い方だが、別に閉鎖空間や改変世界に飛び込んだわけじゃない。
勿論これら二つの世界に飛び込んだとなれば、それもまた一大事であり、前方で必死扱いて逃げる古泉とそれにおぶらされている長門の両名に相談することになっていただろう。
実際、自分にはそれしか手がないのだから。
だが今回はそれとは違う。
何てことはない、平凡な高校生の変化って奴だ。世界が気にするほどではない。
こんなことに世界が興味を惹かれるぐらいなら、平然と森林伐採を行う人類は当に滅亡していることだろう。
ではその平凡な高校生に、どんな詰まらない変化が訪れたと言うのか。
前置きではあるが言わせて貰おう。
原因は不明。寧ろそれを突き止める為に前方の二人を追っているわけだ、後方で追いかけてくるハルヒは不明だが今回ばかりは近付いて欲しくない。
そう、その変化とは俺の中でのハルヒに対するものだ。
今思い出してもぞっとする、いや、追いかけてくるハルヒに捕まれば嫌と言うほどその感覚を味わうことになる。
如何にして、ハルヒの追跡を免れ、長門、古泉の両名のお縄を頂戴するか、それが重要な課題だ。
良い加減『変化』の兆候を解説するのを先延ばしにするのは止めておこう。
すればするほど自分でそれを認めているのと同意義になってしまうしな。
なので今回のこれは俺の感情では一切無い、前方の二人が関与していることだ。逃げているのが良い証拠である。
ならば、こういうのはすっきりさっぱりと言ってしまうのが得策であろう。俺が生み出したものではないしな。
俺の中で起きた『変化』、それは
「ちょっとキョン、あんたねぇ、さっきからあたしの顔を見ないようにしていると思ったら何逃げてんのよ!?」
ハルヒに恋煩い、という感情を植え付けられたことだ。
教室での朝の風景もこれと言って変化は無い。
クラスメイトが各々の友人等などに「おはよー」と挨拶しているだけである。
義務だとかそういうことではない、本当に他愛の無い挨拶である。
何となしにする簡単な事でも、言わないままだと心に小さなしこりを残している感覚に陥るが、これは大袈裟な言い方だろうか。
ま、単純ながら奥が深いってことで自分を納得させ、俺もその流れに乗ってすれ違うクラスメイトに淡々と挨拶する。
当然ながら自分の後方の席に控える我等が団長にも変わらぬ挨拶―ハルヒに言わせれば不思議も無く詰まらない挨拶の言葉―を掛けるはずだったのだが、窓から外を眺める日常のハルヒの何ら変わらぬ姿を
見た時、どきん、と心が揺れるのを感じ取った。
はて?と何故そうなるのか理解出来ぬものの、気にするほどの事ではないとその時は無視していた。
自分の席に鞄を置き、どっこいしょ、と口から滑り出たおっさん臭い台詞に苦笑いしながら、ハルヒ、おはようさん、と改めて詰まらない挨拶だと実感しながら声を掛けた。
おはよ、とぶっきら棒に言い放つ。ハルヒの目線の先には何かおもしろいものが見えるのか、はたまた何かを想像しているのか、ハルヒのみがその答えを知っている。
だがそんなハルヒの横顔を見た瞬間、俺の心は悲鳴を上げるか如く、万力でゆっくりと押し潰されるように鈍痛を与えてくる。
流石にここまで来れば無視できる事柄でも無く、もしかしたら俺はあと数ヶ月の命なのかもしれないと面白くもなんとも無い冗談を己だけに聞かせ、左胸を摩りながら、取り合えず病院には行って見ることを視野に入れ
本日の部活は休みとさせて貰おうとハルヒに目を向ける。緊急事態と言えばそうなるわけである、こういう事情なら流石に目を瞑ってくれるだろう。
「何よ?」
人間、意外と視線を向けられると何となしに普段と違う感覚を感じてしまう。一種のテレパシーみたいなものだと俺は思っている。
それをハルヒも感じ取ったのだろう、俺の目線に気付き、眉を顰めながらもこちらに顔を向けている。
となれば、当然の如く俺とハルヒの視線はぶつかるわけであり、人との会話をする時の最低限のマナーをクリアーしていることになる。
まぁ、時と場合、おまけに相手によってはそれをクリアーしなくてもマナー違反に該当するわけではないだろう。
しかして今回の俺は完全なるマナー違反だ。高級レストランに行って、信じられないと言わんばかりの大袈裟なジェスチャーでノーネクタイを咎める店員に腹が立てど文句が言えないぐらいに。
そう目線を外してしまったわけだ、ハルヒの目から。
何故そうしたのかはこの際問題視するべきじゃない、発想の逆転だ。
そうせざるを得なかった理由の方が大問題なのである。
ここまでくれば先の胸の痛みも理解できるし説明もつく、だが、何故今更なのかということなのだ。
今の今までハルヒに見つめられていると知って高揚することなどあっただろうか、断じてない、今を除いては。
そこが疑問である、仮に後ろにいるハルヒがポニーテールだったとなれば百歩譲って高揚したとしても今日は退屈を貪る何時ものハルヒである。
総じて変わり映えしてないのだ。
しかして俺の胸の痛みが鎮まる気配も見せず、これはもう言い訳の効かないほど『ハルヒに恋している』ということを示す最大の証拠である。
だが納得はいかない、徐々に芽生えた恋心ならば否応なしに肯定するべきではあるが、今回は何度も述べるように今更突然にである。
そうなれば世界改変の可能性が示唆されるが、残念ながらそれを確認する術は良くて昼休み、遅ければ放課後になるだろう。
それまで俺は植え付けられた恋心と共に時間を共有するしかない可能性に心底呆れ、この感情を植え付けたであろうハルヒを心底呪った。
が、そんな呪いの感情とは別に、ああ、ハルヒは可愛いなぁ、とか、怒った顔も魅力的だなぁ、なんて惚けた想いをする自分がいるのも事実であった。
取り合えず任務を遂行させるその時までこのふざけた想いを持つ自分相手に心の中でスパーリングするしか手立てはない。
「何よ!?」
今度は顔を背けた俺に対する咎め。
俺の事を気にしてくれているのか、なんて想いたくも無い感情が止め処なく溢れてくるのに憤りを感じるが、ここはハルヒの相手をするのは得策ではない。これ以上何を考えてしまうか恐ろしい事この上ない。
冷静に且つ、何時も通りに、別に何もねぇよ、と素っ気無く返事をする事だけが今の俺に出来る唯一の対抗策である。但し、ハルヒの顔を一切見ない、というのが条件だが。
「何その態度? 顔をこっちに向けて話しなさいよ」
そんな事今まで何度かあったはずだ、どうしてこういう時にだけそれに対して突っかかってくるのか訳が解らない。
俺の周りに漂う不穏な空気を少しは汲んでくれても良いんではなかろうか。
「アンタ団長様を舐めてんの?」
ぐいっ、と襟首を捕まれ椅子ごとハルヒの机に力一杯引き込まれる。
何とも不安定な体勢である、斜めにバランスを保っている椅子が何時倒れるかと冷や冷やする反面、目の前に映る上下逆のハルヒの顔が近くに存在することに俺は顔が熱くなるのを感じられずにはいられなかった。
「いや、ほんと・・・・・・何でもない」
窓の縁に書かれた落書きに目線を泳がせ、出来るだけハルヒに焦点を合わせない様努力する。
だが、それでハルヒの束縛から放たれるわけもなく、ぺちん、と頬を叩かれ、こっちを見て言え、などと凄んで来る始末。
気が向いたらな、なんて強がってみるがもはやそれすらもハルヒの範囲の広い逆鱗に触れてしまうだけだった。
「目を見て話せ、って言ってんでしょ!」
怒号に身を任せるか如くハルヒはただでさえ近い顔を更にこちらに近付けて来る。おまけに顔はがっちり両手で挟まれ逃げ場無しと来たもんだ。
となればやはり俺の出来る精一杯は目線を出来る限り目線をハルヒから外す事なのだが、これが原因でハルヒがご機嫌斜めなら意味が無い。堂々巡りだ。
だが、救世主とはやはりピンチの時に現れるもので。
担任の岡部が、HR始めるぞー、なんて言いながら教室に参上し、流石にこれ以上俺を咎めるわけにもいかないと思ったのか、チッ、と舌打ちしてからやっとのことで解放される。
今ならハンドボールを大好きになれると思う瞬間であった。
誘われても断るが。
さて、授業中は何とかハルヒとの接点を強制的に少なくさせてもらえるので、両手を合わせ有り難や有り難や、と拝ませてもらったが、流石に休み時間となると修羅場である。
授業終了の鐘が鳴ると同時に、またもや襟首を捕まれ引きずり込まれそうになるが、俺だって馬鹿じゃない。こうなることは予想していたので力んでそれを拒否した。
むっ、なんて声が聞こえてくるがそんなものは無視して前方に視線を集中させる。
「何よ、あたしの顔見なさいよ!」
それが出来れば当にしている。
出来ないからこうやって抵抗しておるのではないか、とどれだけ主張したかったか。
こんな自己主張を唱えたいと思うことが来ようとは、まこと人生とは解らぬものである。
「何なのよ、もぉー!!」
ぐいぐいっ、と何度も襟首を引っ張るハルヒだったが、振り返るわけにはいかない。
ボタンが取れるのではないかと心配したが、さきほどの感情を思い出すと全部取れてしまっても構わないと感じる。
考えてみたんだ、日頃お世話になっている団長様に団員として俺は何をしてこれたと言うのだろう?
そう、何もしていない。してあげることさえ出来ない。
それを感じ取った瞬間、俺はお前と対等の立場にいることが出来ない人間だと悟り、お前に合わせる顔もないと理解した。
だからこうして、陰ながら応援する身として対等に渡り合えるようになるその時までお前と顔を合わせないようにしたわけだ。
なんて、即興で思い付いた言い訳をつらりつらりと述べてみるが、嘘ね、と一喝されてしまってはどうしようもないではないか。
「何よ、何よ、何よ、何よー!」
一言発するたびに襟首を引っ張る。カッターシャツと上着を同時にだ。
そりゃあもう首に絡み付いて苦しいったらありゃしないが、こっちだって必死である。何が何でも振り返るわけにはいかない。
こうして、こんな遣り取りをしながら各休み時間を消費したわけだが、疲労度が半端ではない。
まぁ、正直なところ上記のことだけで済めばまだマシなのだが、唯一の休息時間であったはずの授業中でさえ、シャーペンか何かで何度も何度も突付かれたり、何なのよ、説明しなさいよ、と凄んだメールを何通も送ってくるし、挙句の果てには
私が嫌いになったらならそう言いなさいよ、と寂しげに呟くハルヒの声を聞き、とんでもない、寧ろ大好きだ!なんて咄嗟に言いそうになったのを堪える始末だ。
情けないと言われようが知ったこっちゃない、助けて長門、朝比奈さん、ついでの古泉。
で、やっとのことで昼休み。
念願の時間がやってまいりましたということで、更なるハルヒの束縛を受けるわけにもいかず脱兎の如く飛び出した。
後方からハルヒの非難の声が聞こえるが、気にしていられない。気にしていられないぞ、俺。
後ろ髪引かれる思いになってんじゃねぇよ、俺。
とことんふざけた感情である、どうにもこうにもハルヒが気になって仕方ない。
原因は何なのか、そこに関してはハルヒ絡みであるのは間違いないだろう、それ以外の選択肢など考えられん。
となれば解決方法は宇宙人・超能力者。未来人の何れかである。
こういう時、決まって各々教室にはいない。
それが原因なら誰かが部室に留まっているはず、そういうわけで俺は部室の扉の前に立っている。
しかし、恐怖ではある。
この扉を開けて、誰もいなければそれはつまり俺の純粋なる感情というわけだ。
それだけは、それだけは有ってはならぬ可能性だ・・・・・・。
それは何故?と甘い少女の声で問われても実の所、俺にも良く解っていない。だから無粋な突っ込みはなしにしようじゃないか。
892 :
VIP村人P:2006/12/06(水) 08:04:53.44 ID:TZ6W//PN0
うはこんな時間に
支援支援
「こんにちは」
「・・・・・・」
天は我に味方せり。
武室内には宇宙人と超能力者がまるで俺が来ることが解っていた様に何時もとは違う、扉を眺められる位置に腰を据えていた。まぁ、宇宙人の方は相変わらず本に目線をやっているが。
この組み合わせも珍しい事も踏まえて、どうやらこの感情は造り込まれたもので間違いないだろう。
ふぅー、と安堵の溜め息を付き、梗概を省いて早速本題へと入らせてもらう。
「今回の原因は?」
「あ、それよりもこちらから先に質問させて貰っても宜しいですか?」
このパターンはあまり戴けない。
どうせこの先の質問も、昨日涼宮さんと何かありました?とか教科書通りの台詞が鬱陶しくも並ぶだけだ。
だが、今回だけは何もしていないし何も言っていないと断言できる。
ある意味万全の態勢だ、何時も通りの質問をぶつけるが良い、完膚無きまでに叩き潰してくれる。いや、灰燼に帰さしめてやろう。
「涼宮さんの事をどう思ってます?」
「愛している」
気の緩みと言うべきだろうか。
予想外の質問に、今まで堪えていた堤防が一気に決壊してしまった如くだ。
今回の場合、古泉の質問に驚くよりも即答でしかもきっぱりと言い放つ自分に呆然としてしまう。
そんな、正にカカシ状態の俺の横を、予想以上ですね、とか、これなら問題無い、とか言いながら素通りしていく二人。
ちょっと待て、何の嫌がらせだ?
「ああ、もう結構ですよ」
「後の事は任せて」
お前等、俺がどういう状態になっているのか知っていてその質問をしたのか?
普段のキャラとは似合わない俺の口から、それを聞いてギャップを楽しもうという魂胆か。忌々しいぞ。
「お前等のストレスを考慮して、鬱憤晴らしとして一度だけ許そう。次はないぞ」
慈悲深さには少々心得がある。ハルヒに付き合うぐらいだからな。
こいつらだってハルヒに関して色々と積もるものもあるだろう、それの憂さ晴らしであるならば、どうせ己の感情ではないし、今の発言を導き出させたことを咎めないでやる。
だから、さっさとこれの解決法を見出せ。
しかし、この慈悲を取って返して非情、または無情にもバタンと扉は閉められ、部室には俺だけが取り残される。
そうそう、ここは俺一人でじっくり解決法を考えるべきだな、ってなんでやねん!と乗り突っ込みでもするのが二人の求めた回答であったとしても無視である。
そう考えてはいるものの余りの理不尽さに扉を開ける時に、なんでやねん!と言ってしまうのはどこからか関西人の血でも受け継いでいるからだろうか。
さて、扉を開ければ、何時ものにこやかスマイルの青年と寡黙で内気に見える少女がそこに立っていて、冗談ですよ、なんて一言を述べる前にパンチを喰らわせる予定だったがどうも事が可笑しな方向に進んでいる。
すたこらさっさと言わんばかりに走って逃げる古泉に長門がおぶさり、どんどん豆粒のように小さくなっていく。
もしかしたらこの世界は改変世界なのかもしれないと考察したが、変化と言えば俺の感情に二人の怪行動のみ。それ以外は極めて正常で貧富な日常だ。
だったらなぜ二人は逃げるようにさっさと消えて行くのか。
どう考えてもある結論にしか至らないわけで、俺は全速力で二人を追いかけるわけである。
中途半端に続く。
久々だったから練習がてらだったが何でこうも長くくどくなるかな。
さっさ終わらせて書きかけのやつも終わらせたい。
895 :
VIP村人P:2006/12/06(水) 08:08:52.81 ID:TZ6W//PN0
乙!続きwktk
896 :
VIP魔法使い:2006/12/06(水) 08:11:45.23 ID:1nxmeSx/O
乙!
897 :
愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 08:15:57.33 ID:41FJY8Qz0
乙!
朝からニヤニヤ続きwktk
899 :
南蛮ムキトス:2006/12/06(水) 08:26:57.04 ID:IACd8rhpO
乙!
ニヤニヤが止まらない
続きwktk
900 :
VIP魔法使い:2006/12/06(水) 08:36:57.46 ID:idEdVbG1O
乙
そしてgsk
901 :
散髪とめきち:2006/12/06(水) 08:41:16.11 ID:3/MM4creO
学校行くまでにまたなんか書く
お題↓
902 :
VIP魔法使い:2006/12/06(水) 08:49:08.06 ID:9AWxzD+F0
けんか
903 :
VIP魔法使い:2006/12/06(水) 08:51:15.06 ID:idEdVbG1O
コントローラー争奪戦
土曜日、と言えば不思議探索の日である。
いつも通り俺が最後に到着し、喫茶店でみんなにジュースを奢って組み合わせを決めて外にでた。
「キョン! いい? デートじゃないのよ、遊んでたら殺すわよ!」
「はいはい。わかってますよ。」
「じゃあ12時にここに集合ね!」
やれやれ。組み合わせは俺と長門、ハルヒと朝比奈さんと古泉になった。長門は図書館に行く暗黙の了解のようなものがあって無言で図書館に向かう。
図書館に着くと長門はすぐにいなくなった。いつのもように俺は1人で軽くて細い小説を手に取りイスに腰掛け、今にも寝そうな状態だった。
「あの、お兄さん?」
ん? 俺の事か?
「ああ、よかった。お兄さんですね。」
ああ、俺の事を読んでたのか。誰も俺をお兄さんと呼ばないから気付かなかったよ。妹でさえキョンくんとか呼ぶしな。
「ミヨキチか、久しぶりだな。妹と一緒なのか?」
「今日は一緒じゃないです。お兄さんは何してるんですか?」
俺は何をしてるんだろう。それより実の妹にキョンくんと呼ばれてミヨキチにお兄さんと呼ばれるのはどうなんだろう。
「ちょっとね。ミヨキチこそ何してるんだ?」
「母に頼まれて本を借りに来ました。母が今日どうしても外せない用事がありまして、私にお使いを頼んだのです。でも高いところにあって取れなくて、しかたないから係りの人を呼ぼうと思って探してたらお兄さん見つけたんです。」
何てできたお嬢さんでしょう。妹の座を差し上げたいくらいだ。
「なら、俺が取ってあげるよ。」
「え? あっありがとうございます。」
「どういたしまして。で、どこにあるんだ?」
「あそこです。」
そうして指した本のある場所は、確かに高いところにある。真下まで行くと、手を伸ばして見る。
俺が背伸びしても届かないとは何たる不覚。と言うか一般男子高校生の背の届かないところにまで本をならべるなと言いたい。
「ダメだ、すまんが届きそうにない。あと20センチくらいなんだがなぁ。」
「あの、もしよければ、私に肩車してもらえませんか? ダメだったらいいんです。」
まあミヨキチは小学生だし、軽いだろうと二つ返事でOKした。
「本当にすみません。」
そういって担いだミヨキチは、なるほど小学生らしく非常に軽かった。ミヨキチは俺の肩の上で本を取って、…俺の頭の上に落とした。
「ぐおっ!!」
ドサドサっと音をたてて大量の本が落下してきた。俺は情けない声を出しながら本の下敷きになってミヨキチごと転倒した。
静寂だった図書館に本の落下する音と俺の情けない声の不協和音が響いた後、ミヨキチを本の中から掘り出した。
「大丈夫か? ミヨキチ!」
「大丈夫です。それより、本を落としてしまってすみません。」
本当に申し訳なさそうにしているミヨキチ。人の少ない図書館なので回りは誰もいない。よかった恥ずかしい所を誰にも見られなくて。
「気にしなくていい。転んだ俺が悪いんだしな。俺が転ばなければこんなに大惨事にはならなかった。」
「いえ、お兄さんが転んだのは私が本を落としたのが原因です。」
「じゃあ二人共悪いという事でチャラにしよう。それより怪我はないか?」
「あの、ちょっと足が痛いです。」
そう俺がミヨキチの足を見た時は赤く腫れていた。骨折や捻挫まではいかないだろうが、痛そうだった。
「これじゃあ歩けないな。家までおぶって行くから。」
よし、と構えようとしたタイミングで携帯が震えた。ハルヒだ。俺は小さい声で電話にでた。
「もしもし?」
「何やってるの? 時間よ! すぐ来なさい!」
ガチャ。ああ、何て人の話を聞かないやつだ。
「お兄さん忙しいんですか? 歩いて帰りますから平気ですよ。」
いや、このままミヨキチを放っておける訳がない。ハルヒももちろん放っておけない。 長門に治してもらうか? いや、それはムリだ。
「ミヨキチはこれから何か用事あるのかい?」
「用事はないですけどどうしたんですか?」
よかった。用事があると言われたらタクシー呼んで帰らせようと思ってたんだ。毎週みんなにたかられている俺にはタクシーの料金は高すぎだ。
「じゃあここで本読んで俺が戻ってくるのを待つか、それか 俺の用事に付き合ってもらってから送るけどどっちがいい?」
ミヨキチは少し悩んで、
「迷惑じゃなければ、お兄さんと一緒に居たいです。」
「そうかい、じゃあ背中に乗ってくれるかい?」
ミヨキチは「はい。」と恥ずかしそうに返事をして俺の背中におぶさった。
さて、長門を呼びに行くか。
長門はすぐに見つかって、そのまま出発した。ミヨキチには何もふれてこないし、いつにも増して無言だ。
「さて、ハルヒに起こられるから急ごう。」
長門は借りた本を抱え、ミヨキチを見た。
「そうだ、言うのを忘れてた。この子はミヨキチと言って妹の友達だ。」
「初めまして、吉村美代子と言います。」
長門はわずかに頭を下げた。
「こっちは長門だ。じゃあ急ごう。」
急ぐのは主に俺だが。
集合場所に着くと、唖然とした表情のままの3人が俺を見ていた。
予想されたハルヒの怒声はなく俺はほっとしていた。
「ちょっとキョン、その子どこで誘拐してきたの!??」
「するか! 妹の友達のミヨキチだ!」
そういって俺はみんなに紹介した。喫茶店に行くついでに経緯も話した。
「そうなんですかぁ。キョンくん優しいですね。」
いえいえ、俺が悪かったんですよ。それに、朝比奈さんが怪我をしたときには飛んでいってお姫様抱っこで送りますよ、と。
「キョンってロリコン?」
「断じて違う!」
ニヤケ面は長門とヒソヒソ話してる。こっちを見て話してるから俺の事だろうな。こいつら…。
「じゃあ午後の探索をするわよ!」
「ちょっと待て! だから俺はとりあえずミヨキチを家まで送っていかなきゃならないんだって!」
「あらいいじゃないおんぶしたままで。ミヨキチちゃん? 今日は用事はないんでしょ? それともキョンの背中は嫌?」
「えっと、お兄さんの背中は暖かくて、もう少しいたいです。」
俺の意見は関係なしか。歩くのも疲れるのもここの金払うのも俺なんだがな。
「じゃあ決まりね!」
午後は俺&ミヨキチと朝比奈さん、ハルヒと古泉と長門に別れた。
ミヨキチにまでくじ引きさせやがって、俺とじゃなかったらどうするつもりだったんだ?
「じゃあキョンくん、行きましょう?」
「すみませんお兄さん。歩き回るなんて知らなかったので。迷惑でしたらこのまま置いてってもらって結構です。」
「別にいいさ。ミヨキチは軽いから苦にはならん。帰りたいなら送るから、そうじゃないなら帰りたくなるまでは気にしないで俺の背中に乗っててくれ。」
「すみません。」
ミヨキチは恐縮そうに言った。
「ミヨキチちゃん?そういうときは『すみません』じゃなくて『ありがとう』って言うのよ? キョンくんはお兄さんだから頼られる事がうれしいの。」
「そうだぞ、ミヨキチ。俺に対しては何も遠慮する必要はない。まあハルヒみたいにまったく遠慮しないのは勘弁だけどな。」
そういうと、ミヨキチは朝比奈さんをなにやら尊敬の眼差しで見つめているようだった。
それからいつも通りに散歩に出発した。朝比奈さんとミヨキチの要望で、最初は朝比奈さんがおんぶすることになった。朝比奈さんの優しさが心に染みる。
しばらく歩くと公園が見えてきた。朝比奈さんとミヨキチは二人で話していたので、俺はジュースを3本買って来て朝比奈さんとミヨキチに渡した。
朝比奈さんとミヨキチが「ありがとう」とうれしそうに言った姿は姉妹のようだった。
少し休憩した後で今度は俺がミヨキチを背負う事になった。朝比奈さんに疲れが見えたため俺が無理やり交代したんだ。
そのときミヨキチが申し訳なさそうにしていた態度に対する朝比奈さんの言葉から雲行きが変わってきたんだ。
「うふ、いい子ですね。」
確かにミヨキチはいい子なんだ。礼儀正しくて会話だけ聞いてるとどっちが年上かわからなくなるときがある。
「そうですね。俺も本当にミヨキチはいい子だと思いますよ。」
「それにキョンくんに懐いてて、キョンくんは子どもに好かれますよね。」
「そうなんですか? 妹はともかく、俺は子どもに好かれた事なんてありませんよ?」
「ミヨキチちゃんがキョンくんの後ろで幸せそうにしてますよ?」
俺は後ろを見ようとしたが、ミヨキチは俺の背中で必死で顔を隠していたため全然わからなかった。
「ミヨキチちゃん、キョンくんの事好きよね?」
なんて事を聞くんだ朝比奈さん! あなたはハルヒがうつったんですか?
「…はい。私は、お兄さんの事が好きです。」
最後に、1人の男性として、と付け加えた。
ミヨキチ! なんて事を言うんだ! 冗談でも言っちゃいけません!
「ミヨキチ、気を使わなくてもいいんだぞ?」
「本気です。今日も図書館でお兄さんに会えたときからずっとドキドキしてました。」
「ねっ? キョンくんは子どもに好かれるんですよ?」
朝比奈さん、子ども心に敏感なのは結構ですけどこの空気をどうすればいいのだろう。これは告白なのだろうか。
いや、ここは大人の度量で乗り切ってあげよう。まだ高校生だが、ミヨキチよりは大人なはずだ。
「ミヨキチは俺の事を好きだったのか。ありがとう。」
ああ、情けないな俺は。
「じゃあわたしは気を利かせて涼宮さんのところへ行って状況を説明してきますね? キョンくんはそのままデートしてからちゃんと送ってってください。」
朝比奈さん、それは最悪の気の利かせ方ですよ。朝比奈さんはさっさと行ってしまったが、今の状況だとハルヒ達はきっと俺たちを探してストーキングするだろう。それだけは阻止しなければならない。
とりあえずミヨキチにどうしたいか聞いてみよう。
「どうする? 朝比奈さんの言った通りどっか行くか? それとも帰るか?」
「えっともう少し、お兄さんと居たいです。」
「じゃあどこか行きたいところあるか?」
「お兄さんの行きたいところに行きたいです。」
さて、どうしたものか。俺は正直帰りたい。だが雰囲気的にそれは許されなさそうだ。 …そうだ、妹を口実に使ったらどうだろう?
「じゃあ妹もうちでヒマしてると思うし、うちにくるか?」
「お兄さんと2人がいいんですけど、嫌ですか?」
玉砕した。どうしよう。何をしたら良いのかさっぱりわからん。
「嫌じゃあないさ。ただ、小学生をどこに連れて行ったらよろこぶのか、検討がつかないんだ。」
「じゃあ…小学生としてじゃなくて、私を1人の女だと思ってください。」
恥ずかしいのか、消え入りそうな声でそう言った。ミヨキチは本気なんだな。まいった。俺にはどうしようもない。
「じゃあ、いつも俺が朝比奈さんやハルヒといるときのように散歩でもするか。」
「はいっ」
ミヨキチはさっきより元気のある声で言った。さて、ミヨキチを背中に乗せて、ハルヒ達に見つからないように俺が限界を迎えるまで歩き続けるとするか。
もしハルヒ達に見つかった場合を考えてちょっと遠くまで散歩する決意を胸に秘めた。もし見つかったら明日から学校でロリコンの称号が与えられそうだしな。もう手遅れかもしれんが。
それから俺とミヨキチは妹の事、学校の事、SOS団の事をお互い話して夕暮れになるとミヨキチは何時の間にか寝息を立てていた。
「どうすっかな。」
起こすのも可哀想だし、起こさないと帰れないし。自宅方面に向かってトボトボ歩く俺は周りからみたらどんな人間なんだろうとか考えさせられた。
自宅に着くころ、妹に出くわした。
「キョンくんだぁ! 何してるの?」
我が妹がニコニコしながら擦り寄ってきた。
「ミヨキチを背負ってるんだ。ミヨキチんちは知ってるか?」
「なんでミヨキチ背負ってるのぉ?」
「帰ったら説明してやる。だからミヨキチんちを教えてくれ。」
「はぁ〜い。こっちだよ!」
このとき俺はミヨキチの親に何て説明すればいいのか考えていた。そして、妹が居たことに感謝した。
「ここだよ〜」
なるほど、妹と同じ小学校って事は必然的に家は近いのか。失念してた。
ミヨキチの家は中々古風で、しかし大きな家だった。両親の出来がいいからミヨキチの出来もいいのだろう。
うちとは比べ物にならないな。両親、俺、妹がそろっても何も太刀打ちできないだろう吉村家に着いた途端に妹がチャイムを押した。
「え?」
ちょっと待て! 俺は何にも心の準備ができていない! どうする? とりあえずミヨキチを起こすか!
「ミヨキチ! 着いたぞ! 起きなさい?」
「え? おはようございますお兄さん」
ダメだ、寝ぼけている。
「あれ?お兄さんが何で? ああ! すみません寝ぼけてたみたいです。」
「妹もいるぞ。家に着いたから家族に説明しといてくれ。」
「言ったと思いますが、今日誰もいないんですよ。」
ああ、そういえば図書館でそんなこと言ってたな。
「じゃあキョンくんもミヨキチの家で遊ぼっ!」
「残念だが、俺は今日は帰るよ。疲れてしまったんでね。」
さて帰ろう、と思ったら背中から降りたミヨキチが寂しそうな、申し訳なさそうな、それでいて恥ずかしそうな複雑な表情で言った。
「あの、お兄さんを疲れさせてしまったのは私ですし、お茶の一杯だけでもどうですか?」
「そうだよ〜キョンくん! それにね、ミヨキチはキョンくんの事好きなんだよ?」
こら、うれしそうにそんな恥ずかしい事を言うんじゃありません!ミヨキチが赤くなってるでしょう?
「あの、ダメ、ですか?」
消え入りそうな、消失世界の長門の様な声で言われると断れないじゃないか。
「じゃあ、悪いけどお茶を一杯だけいただこうかな。妹よ、長居はしないからな?」
「はぁ〜い!」
絶対わかってないだろ。
ミヨキチの家は中に入ってもやはり大きく、外から見ると大きく見えるようなギミックではなかった。
「じゃあそこに座って待っててください。」
やれやれ、やっと座れる。今日は歩き回って疲れたな何て考えてると妹が俺の膝の上に乗ってきた。
「なぜそこに座る? りっぱなソファーが泣いているぞ?」
そう、広い部屋に合った立派なフカフカのソファーなんだ。今さら周りを見渡しても家具は全て高級そうな物だった。
「ミヨキチだってキョンくんにおんぶしてもらってたじゃん」
妹は拗ねたように言う。そういえば最近おんぶだのしてないし、構ってもやれてなかったな。
「なら明日にでもおんぶくらいしてやる。だから今はゆっくりと俺を休ませてくれ。」
「しょうがないなぁキョンくんは。」
やっと離れたか。
「じゃあ明日はお父さんもお母さんもいないからどこか連れてってね!」
なに?初耳だぞ??
「さっきお父さんの親戚が亡くなって明日はお母さんと行ってくるからキョンくんとお留守番しててって頼まれたの。」
そんな不条理な約束をさせられそうになったところにミヨキチがレモンティーを持ってきた。
「お口に合うかわかりませんが、飲んでください。」
「ありがたくいただくよ。」
「ありがとー!」
ああ、妹も飲んでる間は静かになるんだな。それにしてもミヨキチは本当に大人びている。妹は自分でお茶を入れるという概念がないだろうから。
そうして飲み終わった俺たちが帰ろうとすると、玄関でミヨキチが言った。
「お兄さん、明日良かったらお礼にお兄さんの家に伺ってもよろしいでしょうか?」
もしかしたらさっきの会話聞かれてたのかもな。でもそんなに恥ずかしそうに聞かれると断りにくいじゃないか。
「いいよー! ミヨキチもキョンくんに乗ろう!」
ああ、妹のバカ。どうして空気を読めないんだ? お兄さんは疲れているんです。もちろんそんなこと今さら言えないが。
そうして俺は、今度は妹を背中に乗せて帰路についている。
妹はやはりミヨキチのように寝息を立てている。そんなに俺の背中は寝心地がいいのか? 自分の背中におんぶされて寝てみたいものだ。ムリだが。
家について妹を寝かしつけ、風呂に入って食事を取り、明日はどうしようなんて考えながらベッドにもぐりこむ。
そういえばハルヒ達はどうなったんだろう。あれから連絡が来ないという事は結局見つからなかったのか?
それとも逆に見つけたから連絡しなかったのか? もしかしたら俺の杞憂で探してすらなかったのかも知れん。
しかし全ては明日が終わってからだ。
日曜日が何のためにあるのか考えながら眠りに着いた。
おわれ
俺が書くのはいつも最後のほうがグダグダになるのは何でだろう。
初めてトリ付けた
920 :
VIP無職:2006/12/06(水) 09:04:23.74 ID:1nxmeSx/O
乙!GJ!
短編は難しいんだよな、締めが。 気持ちはわかるぜww
俺はロリコンじゃない筈なのにっ
GJ!
922 :
悲しい一人暮らし:2006/12/06(水) 09:24:00.71 ID:0Nr/Id/m0
ミヨキチの顔見てみたくなった
GJです
923 :
悲しい一人暮らし:2006/12/06(水) 09:43:00.99 ID:0Nr/Id/m0
ほ
924 :
愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 09:47:36.15 ID:41FJY8Qz0
トンクス&保守
925 :
VIP下手人:2006/12/06(水) 10:16:16.35 ID:mJWE++lfO
HOHOHO保守
926 :
VIP商人:2006/12/06(水) 10:31:27.27 ID:YdqFHF6Y0
wikiのトップページのずれ込みがなくなってるw
ヒマ潰しにまた投下するわ
保守代わりに昔かいたしょっぱいSS投下したら学校行ってくる。
俺は今SOS団にいる。団員は全員いる。
「じゃあ今日は解散!」というハルヒの一声によって本日の業務は終了した。
ハルヒは解散と同時に帰宅したようだ。古泉は爽やかに帰宅した。俺が帰り支度をしていると長門と目が合った。
「どうした?」
「あなたに聞きたい事がある。」
「なんだ?」
長門は手紙のような物を俺に差し出した。
「読んで。」
「わかった。」
簡単に説明すると、長門はラブレターと呼ばれる物をもらったようだ。
「わたしはどうすればいい?」
「お前はどうしたいんだ?」
「どうしたいとは?」
「その人と付き合ったりしたいかって事だ。」
「しない。」
「会って話したりは?」
「しない。」
「じゃあ何を聞きたいんだ?」
「彼が何を求めているか。」
「その人は長門と一緒に居たいんだろ。で、許可を求めてるんじゃないのか?」
「そう。」
「で、どうするんだ?」
「この場合に許可は与えられない。」
「そうか。じゃあそう伝えればいい。」
「そう。」
それにしても長門にラブレターとは。そういえばこいつは谷口評価でAマイナーだったか。
「どうしたんですかぁ?」とは朝比奈さん。
俺は長門を見て、長門がわずかにうなずいたので朝比奈さんに事情を説明した。
「そうなんですかぁ。いつ返事出すんですか?」
「ついてきて」
「ひぇ〜?」
もしかして今なのか?長門よ。
「あなたも」
俺もか!?
そして3人様々な事を考えてかデフォルトなのかは疑問だが、無言で長門についていった。
着いた場所は屋上。背の低い古泉のような、爽やかな好青年のような印象を受けた。
「俺たちは何のためにつれてこられたんだ? なんかしなきゃいけないのか?」
と俺は長門にこっそり聞いた。
「あなたたちはわたしの横に立ち、わたしに話を合わせていてくれればいい。」
そう言うと屋上の古泉似の彼の方へ歩いていった。
「行きましょう、朝比奈さん。長門がああ言うのは何か考えがあっての事ですよ。」
「はいっ」
朝比奈さんは興味津々といった表情をしている。それよりいったい長門は何をするつもりだろう。
「来てくれたんだね長門さん」
彼が口を開いた。俺と朝比奈さんには気付いてはいるが何も気にしていない様子。
無言で返す長門。俺しかわからない程度に頭が上下に動いた。
「手紙読んでくれた? 読んだからここにきてくれたんだよね。それで、うん、ちゃんと言います。
僕はあなたの事が好きです。あなたと一緒にいたいです。付き合ってもらえますか?」
こいつは俺と朝比奈さんの事置物程度にしか思ってないのかな?
まあ俺と朝比奈さんは置物のように黙っているんだが。
「そう。」
ようやく口を開いた長門はチラリとこちらを見て
「わたしは今、彼をめぐって彼女と三角関係にある。」と言った。
朝比奈さんは驚愕といった表情を見せている。俺は、正直意識がとんだ。
「よって、あなたの期待に添えられない。」
「そっか。でも彼は涼宮さんと付き合っているんじゃなかったかな?」
「断じて違う!」
と言い放ったこの言葉こそ、俺がこの人に発した最初の言葉だった。
「なんで俺とハルヒの事を知っているんだ?」
「君たちは有名だからね。それに、好きな人が所属する団体だし。」
ああ、なんとなくわかるわ。もちろん最後の発言だぞ?
長門はまた俺を見た。嫌な予感がする。
「訂正する。涼宮ハルヒを含めた私たち4名による四角関係。」
もういい。俺は何も言わない。朝比奈さんは最初から何も言える精神状態じゃなさそうだし。
「そっか。わかったよ。最後に彼に聞きたいことがあるんだ。」
「なんだ?」
「誰が本命なんだい?」
「知らん!」
「じゃあもう一つ。僕は遠回りに振られたんだよね。」
俺が何か言おうと考えてるうちに彼は「さよなら。」と言い帰ってしまった。
誰もいない様な静寂が屋上に佇む。
いろいろなことが頭の中を駆け巡ってる俺。最初からオーバーヒートしてる朝比奈さん。いつでも無口な長門。
「帰るか。」 帰って寝たい、と思った俺はそう言った。
「あなたに一つ言っておく。」
「なんだ?」
「四角関係なのは事実。私という個体は人間の感情で『好き』という感情を抱いている。朝比奈みくるも涼宮ハルヒも。」
「なななな長門さん! そそそれはそそそそんなこといいい言っていいんですか??」
「大丈夫、情報操作は得意。」
10年後に長門に聞かされた話だが、こういったことは結構あったらしい。
長門が俺に嫉妬を望んだが、一度も嫉妬しなかったためそのたびに情報操作してリセットしたらしい。
今俺は誰と暮らしているか。そんな事は問題じゃない。なんであの時長門は情報操作したんだろう。
情報操作しなければ俺の隣にいるやつはちがかったのかも知れないのに。
という保守代わりSS。学校行ってくるノシ
932 :
VIP村人P:2006/12/06(水) 10:45:21.13 ID:soeHPg0gO
原作自体既に四角関係だよなw
ラストがほんのり苦くてカラメルの味GJ
933 :
901HG:2006/12/06(水) 10:50:37.53 ID:3/MM4creO
学校行くからとりあえず途中までだけど行きますよ
お題はけんか
以下6レス↓
934 :
本音と建前:2006/12/06(水) 10:51:46.95 ID:3/MM4creO
――バチン
乾いた音が響いて、俺の右頬に段々と熱が帯びてきているのがわかる。
「何でいつもアンタは……!」
だがハルヒが怒る理由に、俺はどうしても納得がいかなかった。
「お前はいつも朝比奈さんに迷惑をかけすぎだ! 朝比奈さんがこんなにも困っているだろう!」
「いいのキョンくん! あたしが悪いの! だから……」
「お前には前にも同じ事を言っただろう! それでもまだわからないのか!? 自分勝手も大概にしろよ!」
「何よ何よ何よ! いつもいつもみくるちゃんみくるちゃんって! あたしの気も知らないで!」
「いくらお前がどう思おうと、人に迷惑をかけるのはやめろよ! 何でもかんでも自分の思うようにいくと思うな!」
「うるさいうるさいうるさ〜い! キョンはみくるちゃんが好きなんでしょう!? なら二人とも付き合ってとっととあたしの前から居なく……」
――バチン
また乾いた音が響く。喰らったハルヒはあっけに取られたようにしている。顔が赤くなっているのがわかる。
「いい加減にしろ! そういう事じゃないだろう! いい加減お前もわかれよ!」
「……ッ!」
ハルヒは三人の部室から出ていった。その走る姿には光るものが浮かんでいた。
しかし、これはハルヒが悪い。もう分からせなければならない。いずれ辛くなるのは自分なのだから。
「朝比奈さん、大丈夫ですか? すいません。こんな事になってしまって。」
そう……こんな事になってしまったのはなんでだろうか。
935 :
本音と建前:2006/12/06(水) 10:52:16.30 ID:3/MM4creO
何か特別な事も無く、退屈な授業も無事六限目まで終わり、俺は掃除当番のハルヒをおいて、一足先に部室へ向かっていた。
ノックを一回二回として返事を待つ。「はぁ〜い」と下の足りていないエンジェルボイスが聞こえて、部屋へ入る。
「ちわっ、って朝比奈さんだけですか?」
「はい、まだ長門さんも古泉君も来てないですねぇ〜」
「珍しいもんですね。まぁ後から来るでしょう。」
「そうですねぇ。あっ! 今お茶入れますね」
いや、和むものだ。うるさい団長様も、無意味に笑う事が何故か腹が立つ古泉もいない。長門は居ても居なくてもなんら支障は無いが。
こうして朝比奈さんの熱いお茶を飲みながら朝比奈さんの一挙手一投足を見ていると、何故か心が落ち着いてくる。
これがみくるビームか。この効力は、どこぞの核弾頭なんて目じゃないな。
何もやることが無いので、久しぶりにパソコンでもいじってみることにする。
朝比奈さんはもう冬本番なので、編み物を嗜んでいらっしゃる。その編み物、誰かにプレゼントする気なのだろうか。それは是非とも俺が……なんてな。
朝比奈さん……そういえば、mikuruフォルダでも久しぶりに確認しておこう。ハルヒがいると見れないからな。
うむ。今のような真冬にこれからなろうとしている季節、朝比奈さんの真夏の衣装を見ると心が暖かくなる。
936 :
本音と建前:2006/12/06(水) 10:52:59.13 ID:3/MM4creO
……変な意味ではない。誤解はしないように。この写真は俺の脳内mikuruフォルダに……
「なに笑っているんですかぁ? 面白いものでも見つけたんですかぁ?」
この時俺は、もう神速といえる早業でフォルダの画像を閉じ、デスクトップ画面にまで戻らせた。……間一髪だ。
「うん? このmikuruって何ですか? 前もありましたよね?」
迂闊だった! 隠しフォルダを表示したままだった!
「これずっと気になってたんですぅ。何なんですか? キョンくん、見せてください!」
「いやぁ〜、これは……何でもないと思いますよ? あははは……」
「ウソっぽいですぅ! ほら、大人しく見せなさい〜」
後ろから俺の持つマウスを奪おうとする朝比奈さん。なんともいえない朝比奈さんの特盛りの何かが……
というか、これ、デジャブ? この後の展開は……
「ゴッメーン! いやぁ〜掃除が手間取っちゃって……」
やっぱりか! 素晴らしいタイミングだなハルヒ。予知能力か、透視能力でも持っているんじゃないか?
「ふぁ! す、涼宮さん! これは違うんです! その……」
「何が? 何が違うって? ホラ、聞いててあげるから、何か言ってみなさいよ」
「だから……その……これは……」
「ふんっ! まぁいいけどね」
ハルヒは大股で歩を進めて、長門の定位置に音がするぐらい乱暴に座り、俺を殺さんとばかりの目で睨んできた。
頼むからこれが原因でまたあそこに連れて行かれるなんて事はよしてくれよ。
937 :
本音と建前:2006/12/06(水) 10:53:51.28 ID:3/MM4creO
そこから何分、いや何十分かもしれない。本当に物質的に重い空気の中、朝比奈さんはずっと唸っていて、ハルヒは貧乏揺すりで、
時々足で大きな音を出すと、朝比奈さんは「ひっ」と怯えと驚きが混ざり合ったような声をだす。
その間、俺は何もせず、ただこの状況行く末を見守っていた。
「キョン、どいて。邪魔」
と、簡単に、かつ冷酷な声で要件をいい、指定席についてパソコンをいじりだした。
「mikuru? 何これ?」
抜かった! 隠しフォルダに設定するのを忘れていた!
「……ふーん。こういう事。キョンはこれを見て喜んでいたって事?」
状況が泥沼と化した。これはとんだ失態だ。どう対処する。
「……みくるちゃん」
「は、はひぃ!」
「服、脱いで。写真とるから」
「え、え、でもここじゃ……」
「キョンはみくるちゃんの写真がご要望らしいわ。だからここで脱いでも問題ないてしょう」
「おいハルヒ。確かに隠していた事は悪かったが、何もそんな事を思っているわけではない」
「あら? キョンも見たいでしょう? みくるちゃんの胸がどうなっているか」
ハルヒは朝比奈さんにかかろうとする。
「やっ、やめてください〜」
「オイ! よせって! 朝比奈さんも嫌がっているだろう!」
「みくるちゃんなら大丈夫よ。キョンの為ならねぇ〜?」
――バチン
938 :
本音と建前:2006/12/06(水) 10:54:25.63 ID:3/MM4creO
「大丈夫です……けど、涼宮さんが……」
「悪いのはアイツです。いい加減気づかせなければいけません。いつまでもそれじゃ、苦労するのは自分なんですから」
「だけど……涼宮さん、泣いてました」
「………………」
しばらくして、扉が開き、古泉が入ってきた。
「あなたはまたやってしまったようですね」
「今回の件はアイツに非がある。反省すべき何だよ。自分で考えてな」
「……確かに、非があるのは涼宮さんです。そして、それを改めなければならない。
しかし、彼女一人ではこの事に答えを見いだすことは出来ないでしょう。その答えを導き出してあげるのがあなたの役目です」
「何でもかんでも俺に任せるなよ。しかも、俺は目一杯のヒントを与えたつもりだ。それで気づかなければ、アイツはいつまでたっても成長なんてしない。」
「確かにあなたが言っていることはなんら間違ってはいません。しかし、あなたはそれを果たさなければならない」
「何故俺なんだ? お前でいいだろ」
「いえ、僕ではその役割を果たすことも出来ず、悪化させるだけです。ですが、涼宮さんはあなたを待っています。あなたが自分の気持ちを理解してくれる筈と。」
939 :
本音と建前:2006/12/06(水) 10:54:58.92 ID:3/MM4creO
「俺はアイツの考えがわからない」
「涼宮さんは本当は自分が悪いとわかっています。あなたにあんな事を言ってしまって引き戻れない。意地との戦いです。
あなたは後押ししてあげなければいけません。そして自覚させてあげてください」
「キョンくん……」
「……」
「涼宮さんは待っているの。キョンくんが自分の想いに気づいてくれるのを。だから……行ってあげて」
なんでどいつもこいつもハルヒの事が大好きなんだよ……
「……行きますよ。行けばいいんでしょう」
「はいっ! 頑張ってください! あたしからも謝っていたと伝えてください!」
どうしても俺には腑に落ちなかった。だが、しょうがないのでハルヒを探しに部室を出た。
940 :
本音と建前:2006/12/06(水) 10:57:18.57 ID:3/MM4creO
とりあえずここまで
なんか展開がgdgdだし、なんか言ってる事もおかしいし、オチが固まっていないときた
きっと帰ってきたら続き書きます
だけど下手するとSEED買って続き遅くなるかもwww
んならノシ
941 :
散髪とめきち:2006/12/06(水) 11:02:22.19 ID:9AWxzD+F0
本当に書いてくれた、ありがとう!
942 :
ただの戦士:2006/12/06(水) 11:04:32.19 ID:0Nr/Id/m0
となきだんGJ
人がいないときの俺が途中まで書いたの投下しようか迷ってるがどうしたらいい?
最後まで書いてから投下すべき?
学校いかなければなんで誰もいなければ最後まで書いてから投下します
誰もいないんでまた違うときに投下します。ノシ
945 :
VIP魔王:2006/12/06(水) 11:35:48.66 ID:+VIcLoyAO
そろそろ
946 :
散髪とめきち:2006/12/06(水) 11:50:39.72 ID:idEdVbG1O
次スレまであと少し
947 :
VIP番長:2006/12/06(水) 11:59:05.42 ID:5cE/u9XbO
948 :
VIP下手人:2006/12/06(水) 12:08:14.85 ID:IACd8rhpO
949 :
VIP神父:2006/12/06(水) 12:10:03.34 ID:Y0qloU+8O
950 :
VIP村人f:2006/12/06(水) 12:10:07.54 ID:idEdVbG1O
>947
同
なんだこの既視感
951 :
VIP村人k:2006/12/06(水) 12:30:58.89 ID:AWtJTCPh0
>>56-6うわおまえなにをするやめろくぁwせdrftgyふじこlp;@:「」
952 :
VIP毒蛇:2006/12/06(水) 12:42:23.39 ID:sMoAsCIbO
>>878 水原ありさだな。
可愛いけど、この娘は決まった角度の写真しか撮ら無いわな
953 :
姫:2006/12/06(水) 13:05:52.79 ID:IACd8rhpO
保守
954 :
姫:2006/12/06(水) 13:33:41.06 ID:IACd8rhpO
保守
955 :
VIP悪魔:2006/12/06(水) 13:49:32.23 ID:MoULB5Z00
斗酒
956 :
VIP皇帝:2006/12/06(水) 13:50:07.65 ID:AWtJTCPh0
ほ
957 :
VIP村人xxx:2006/12/06(水) 13:58:23.42 ID:vztNwiRK0
HOP
958 :
VIP奴隷:2006/12/06(水) 13:59:59.66 ID:iFS0Y9xgO
step
959 :
VIP足軽neet:2006/12/06(水) 14:04:05.82 ID:jgynakyp0
飛翔(違
960 :
VIP足軽flash:2006/12/06(水) 14:04:14.81 ID:v696ZneW0
961 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 14:04:52.42 ID:AWtJTCPh0
まごう事なき次スレだ
962 :
VIP足軽x:2006/12/06(水) 14:26:09.86 ID:tGiOSsHG0
963 :
花魁:2006/12/06(水) 14:36:12.72 ID:IACd8rhpO
964 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 14:42:21.32 ID:AWtJTCPh0
埋めておきますね
965 :
棒またぎ姫:2006/12/06(水) 15:00:02.76 ID:IACd8rhpO
保守
966 :
VIP悪魔:2006/12/06(水) 15:13:55.91 ID:5TdM42Y1O
埋め
967 :
VIP村人n:2006/12/06(水) 15:14:54.30 ID:AWtJTCPh0
ウマー
968 :
棒またぎ姫:2006/12/06(水) 15:37:59.09 ID:IACd8rhpO
保守
969 :
一生足軽:2006/12/06(水) 15:50:47.87 ID:4Z1CKyb90
梅
970 :
一生足軽:2006/12/06(水) 15:51:09.23 ID:4Z1CKyb90
梅
971 :
一生足軽:2006/12/06(水) 15:51:26.46 ID:4Z1CKyb90
梅
972 :
VIP足軽q:2006/12/06(水) 15:51:46.00 ID:KHDmqzSJ0
973 :
一生足軽:2006/12/06(水) 15:55:55.51 ID:4Z1CKyb90
974 :
VIP足軽t:2006/12/06(水) 16:00:56.42 ID:cM43DkLC0
それでは梅幕李
975 :
だんご屋のはる:2006/12/06(水) 16:01:12.62 ID:IACd8rhpO
埋めますか?
976 :
油売りの左暮:2006/12/06(水) 16:07:10.84 ID:mJWE++lfO
梅マッカー
977 :
VIP毒蛇:2006/12/06(水) 16:07:55.18 ID:iFS0Y9xgO
だれかDAT頼んだぞ
978 :
VIP侍:2006/12/06(水) 16:08:03.74 ID:FVDuMbYkO
梅
979 :
VIP侍:2006/12/06(水) 16:09:12.96 ID:FVDuMbYkO
しまったあげちまった
まあいいか生め
980 :
北町奉行:2006/12/06(水) 16:12:20.47 ID:hS4dQvpeO
梅
981 :
だんご屋のはる:2006/12/06(水) 16:16:28.94 ID:IACd8rhpO
埋め
982 :
VIP足軽e:2006/12/06(水) 16:17:12.16 ID:6k3QM/9C0
宇目
983 :
VIP奴隷:2006/12/06(水) 16:17:58.57 ID:KZ8rpd2GO
梅
984 :
内藤ホライゾン:2006/12/06(水) 16:18:29.03 ID:Rmuzk4MW0
985 :
VIP村人m:2006/12/06(水) 16:19:09.98 ID:IPwbQGBP0
ume
986 :
VIP村人s:2006/12/06(水) 16:19:55.91 ID:6juKWgPc0
うめ
987 :
だんご屋のはる:2006/12/06(水) 16:21:07.17 ID:IACd8rhpO
うめぇ
988 :
VIP皇帝:2006/12/06(水) 16:22:39.76 ID:Y0qloU+8O
埋めます
989 :
油売りの左暮:2006/12/06(水) 16:26:01.97 ID:mJWE++lfO
うめぇwwww
990 :
VIP悪魔:2006/12/06(水) 16:26:50.27 ID:Y0qloU+8O
1000ならみくる死去
991 :
VIP村人p:2006/12/06(水) 16:27:21.92 ID:/MR7QLdt0
1000ならみくるはいらない子
992 :
VIP悪魔:2006/12/06(水) 16:27:30.89 ID:Y0qloU+8O
1000ならキョン×みくる
993 :
VIP村人p:2006/12/06(水) 16:28:00.02 ID:/MR7QLdt0
梅
994 :
愛のVIP戦士:2006/12/06(水) 16:28:14.32 ID:LZhzcR490
1000
995 :
油売りの左暮:2006/12/06(水) 16:28:18.67 ID:mJWE++lfO
1000ならインターフェース祭り!
996 :
VIP悪魔:2006/12/06(水) 16:28:24.54 ID:Y0qloU+8O
1000ならキョン×みくる、みくる寝取られ
997 :
VIP悪魔:2006/12/06(水) 16:29:02.75 ID:Y0qloU+8O
1000ならみくる祭り
998 :
VIP悪魔:2006/12/06(水) 16:29:33.16 ID:Y0qloU+8O
1000ならみくる祭り
999 :
油売りの左暮:2006/12/06(水) 16:29:33.89 ID:mJWE++lfO
1000なら冬企画テラ盛り上がり
1000
1001 :
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