【ポロリも】新ジャンル「ほのぼの純愛」【あるよ】

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542VIP村人r:2006/11/23(木) 08:34:10.14 ID:EwkHh7xzO
「あ、おかえりなさい男くん」

女さんに見つからないように駆け足で帰宅した俺を迎えたのは、女さんだった。

「な、なんでここに……?」
「なんでって……私がいちゃ駄目なんですか?」
「そりゃ駄目だろ?!鍵かけてたのになんで中に……」
「うふふ、愛のパワーです」

頭を抱えている俺の耳に、ぱさっ、という音が聞こえた。
「ぱさっ……てうわぁっ!?」
「どうですか?私意外にナイスバディでしょ?」
「何故服を……」
「愛し合うために決まってるじゃないですか」

目がマジだ。
あっという間に全ての衣類を脱ぎ捨てた女さんは、美しかった。
そして、その完成された美しさがとても怖かった。
543VIP村人r:2006/11/23(木) 08:36:05.10 ID:EwkHh7xzO

「さあ、ひとつになりましょう……」
「い、嫌に決まってるだろ!」
「……私の愛を、拒否するんですか?」
「え……いや、拒否っていうか」
「どうして私はこんなに男くんを愛していてなんで受けとめてくれないの
そうかあの泥棒猫あの女の仕業そうよそうに違いないわ殺す殺してやる
男くんを騙して自分の物にしようなんて甘いんだから男くんは私だけのもの
私だけのものそうよ男くんも私を愛してるの愛し合う二人は誰にも邪魔できない
男くんの目を覚まさせてあげないと可哀想よ優しく私の愛を伝えてあげなきゃ」

女さんは、突然うつ向いて呟きはじめた。
内容は聞き取れない。聞き取りたくない。
ただひとつ分かっているのは、このままでは危ない、ということ。
544VIP村人r:2006/11/23(木) 08:38:23.13 ID:EwkHh7xzO
「け、警察に……!」
俺は瞬時に受話器を取り、ダイヤルした。
「もしもし警察ですか?!早く来てください、大変なんです!」
「……詳しく説明してくれ」
「その、ええと……」

「……男くん?どこに連絡してるんですか?」
――――殺される!
「警察?なんで警察を呼ぶんですか?答えてください男くん」
「は、早く!とにかく早く来てくださいっ!」
545VIP村人r:2006/11/23(木) 08:41:00.00 ID:EwkHh7xzO


「……嫌だね」

――え?
俺は自分の耳を疑った。
今、この警官はなんと言ったのだ?
「嫌だ、って……?」

「彼女の愛を受け入れろ。そうすれば楽になる」
「わ、わけが分かんないですよ!愛って、そんな無茶苦茶な」
「現実を受け入れろ。じゃあ、末永くお幸せに」――ガチャリ、ツー、ツー、ツー……

「さあ男くん、目を覚まさせてあげます」
「なんで……なんで俺がこんな……」
「安心して下さい、すぐに私の虜になりますから……んっ」
「現実を……現実って……ははは……」
「はあっ、男くん、男くぅんっ!出てます、熱いのぉっ!」

☆HAPPY END☆
546VIP村人q:2006/11/23(木) 09:21:28.52 ID:X6S9JILeO
保守
547VIP足軽x:2006/11/23(木) 10:20:57.05 ID:ZO5AsqZqO
ちょwww警察までwww
548VIP村人q:2006/11/23(木) 10:35:57.46 ID:1z9GeqPsO
549勝手に掲示板を作った奴 ◆ZNs96fS3Bw :2006/11/23(木) 11:01:31.62 ID:OGHK6msz0
Wikiの短編と長編を更新しといたよ
550VIP足軽の子:2006/11/23(木) 11:08:42.73 ID:r1uxglDdO
女、心霊編を書きました。
投下してもいいですか?
551勝手に掲示板を作った奴 ◆ZNs96fS3Bw :2006/11/23(木) 11:10:54.19 ID:OGHK6msz0
>>550
むしろ歓迎


このスレって後数時間で落ちるんだよね?
次スレはどうするの?
552悲しい一人暮らし:2006/11/23(木) 11:15:54.06 ID:r1uxglDdO
では。
1
女が死んだ。
自殺だった。僕と幼は喜んだ。
「これで二人の邪魔をされない。彼女の嫌がらせを受けなくて済む。」と。
しかし、葬式が終わった後僕達は彼女の両親に呼び出された。
そして遺書を読んだ。
男さんと幼さんへ。
この手紙を読む頃、私はこの世に居ないと思います。私は、男さんに振り向いて欲しかった。私だけを愛してほしかった。
なのに、二人は私の見てる前(正確にはモニター越しである)で愛し合った。何度も。私は決めました。
死んで、あなたを幼の手から守ります。男さん、愛しています男さん、愛しています男さん、愛しています………
553VIP足軽の子:2006/11/23(木) 11:17:08.09 ID:r1uxglDdO
2
その後はもはや字になっていなかった。
辛うじて読めた部分はすべて、僕への告白と幼への恨み、つらみだった。最後にはきれいな字で
「男さん。待っていてください。幼を殺したら迎えに行きます☆」
と、書いてあった。僕は、恐怖で目眩がした。彼女は狂っている。いや、狂っていた。
僕達は凍り付いた。さっきまでの嬉しさ、解放感、1ミリの罪悪感はいつの間にか恐怖にすり替えられていた。
そして、夜が来た。
554VIP足軽の子:2006/11/23(木) 11:18:22.97 ID:r1uxglDdO
3
女は青白い顔で微笑みかけてきた。
僕は恐怖で失禁してしまった。叫ぼうにも声が出ない。やっとの思いで呟く。
「なんで…。死んだはず……。」
彼女は微笑みを崩さずに言う。
「手紙、読みました?あの通りです。幼さんを殺したら迎えに来ます。今日は挨拶に来ました。では☆」
そう言うと彼女は消えた。
555VIP足軽の子:2006/11/23(木) 11:19:37.64 ID:r1uxglDdO
4
その後数日は何事も無いように思えた。
そして、数日ぶりに幼に合った。幼はかなりやつれていた。
「どうしたんだ!?何があった?」
問う。
「女さんが…毎日来るの。」
幼によると、女は毎日幼の所に現われてこう言繰り返すらしい。
「男さんを返せ。殺してやる。殺してやる。」
そして、彼女の顔は赤黒く浮腫んでいるらしかった。
556悲しい一人暮らし:2006/11/23(木) 11:20:54.36 ID:r1uxglDdO
5
僕は、すぐに対策を取った。
部屋に札を張り、塩を撒いた。そこで幼と二人で寝ることにした。
その夜さっそく彼女は現われた。だか、僕には姿が見えずに声だけが聞こえた。
「男さん。無駄ですよ。私にはこんな物、意味がありません☆」
張ったはずの札が僕の方に飛んできた。そして、
「明日から妙な真似をしたらすぐに幼さんを殺します。ご家族も。」
そう言うと気配が消えた。
幼は泣いていた。
557悲しい一人暮らし:2006/11/23(木) 11:22:27.37 ID:r1uxglDdO
5
翌日。
幼が自殺した。
遺書等は見つからなかったそうだ。彼女だ。次は僕だ。
その夜、彼女はさっそく来た。
「約束です。行きましょう☆」
僕は静かにドアノブに掛けたタオルに首をくぐらせた。
幼の元へ、彼女ではなく幼の元へ行けるように。
「ようこそ☆待っていましたよ、男さん。これで邪魔な人は居なくなりました☆」
終わり。
558悲しい一人暮らし:2006/11/23(木) 11:24:03.23 ID:r1uxglDdO
>>557は6の間違いでした。失礼しました。
559勝手に掲示板を作った奴 ◆ZNs96fS3Bw :2006/11/23(木) 11:34:02.52 ID:OGHK6msz0
>>558
GJ!!
560高校の女教師:2006/11/23(木) 11:38:19.09 ID:ZO5AsqZqO
いいねー。ほのぼのだよ
561ドヴァ新兵 ◆6qpub79dnA :2006/11/23(木) 11:50:49.14 ID:L5+gSXYn0
ほのぼのしすぎ乙wwww
562VIP村人d:2006/11/23(木) 12:16:29.14 ID:fiH2Bfwl0
『ほのぼの純愛』を全部統合すれば、とんでもない純愛小説が誕生するんじゃね?
563VIP村人w:2006/11/23(木) 12:23:18.76 ID:UAczWIwaO
今日の六時までだ 気合いいれて書くから待っててくれ
564勝手に掲示板を作った奴 ◆ZNs96fS3Bw :2006/11/23(木) 12:44:58.93 ID:OGHK6msz0
>>563
このスレが落ちたら次スレは誰が立てるの?
565VIP足軽wktk:2006/11/23(木) 12:56:38.06 ID:H46R12Xb0
次スレについてはまた例の掲示板で話すればいいだろ?
566花魁:2006/11/23(木) 13:26:20.43 ID:n/tVFjdd0
カツどんうまかったぜ保守
567VIP村人v:2006/11/23(木) 13:35:03.54 ID:h/+suMlc0
568VIP村人v:2006/11/23(木) 13:54:30.97 ID:h/+suMlc0
569猿回しの勘三:2006/11/23(木) 13:57:06.00 ID:EhdfdkOoO
なあ、暇なら
14歳の♀に
って題名で
14歳の♀3人or2人にコスプレさせるとしたらオマエラ何させる?
本文をこれでスレ立ててくれまいか?
570VIP村人z:2006/11/23(木) 14:17:34.76 ID:CmUkrJwgO
571勝手に掲示板を作った奴 ◆ZNs96fS3Bw :2006/11/23(木) 14:38:36.80 ID:OGHK6msz0
保守
572VIP村人w:2006/11/23(木) 15:02:12.85 ID:X6S9JILeO
保守
573VIP村人z:2006/11/23(木) 15:08:48.03 ID:yC26dTsB0
>>569なんでお前が立てないんだよ
574ただの戦士:2006/11/23(木) 15:30:21.68 ID:imTY392zO
ネタ無し干す
575VIP村人y:2006/11/23(木) 15:56:17.42 ID:EwkHh7xzO
種なし干す
576勝手に掲示板を作った奴 ◆ZNs96fS3Bw :2006/11/23(木) 16:03:40.85 ID:OGHK6msz0
このスレも後2時間ほどで落ちるらしい・・・
577ただの戦士:2006/11/23(木) 16:05:58.34 ID:ZO5AsqZqO
残念なことにね
578VIP村人z:2006/11/23(木) 16:10:39.81 ID:EwkHh7xzO
女「あと二時間で男くんと私はひとつになる……うふふふふ」
男「……」ガクブル
579勝手に掲示板を作った奴 ◆ZNs96fS3Bw :2006/11/23(木) 16:12:27.61 ID:OGHK6msz0
⊂(゚Δ゜;)
580VIP村人o:2006/11/23(木) 16:21:14.79 ID:CLrHraTn0
ここのスレの方向性って

ttp://dorobouneko.web.fc2.com/index.html

こことかぶらね?
581VIP足軽zip:2006/11/23(木) 16:55:00.92 ID:hH/Saodj0
582ex17落とさないでね:2006/11/23(木) 16:59:42.32 ID:NchKGf0w0
>>581
これは・・・www
583勝手に掲示板を作った奴 ◆ZNs96fS3Bw :2006/11/23(木) 17:02:29.74 ID:OGHK6msz0
後1時間か・・・
584:2006/11/23(木) 17:12:13.29 ID:SIcSqwqe0
一応考えてるけどまとまらない・・・
とてもあと一時間ではむりぽorz
585勝手に掲示板を作った奴 ◆ZNs96fS3Bw :2006/11/23(木) 17:13:54.72 ID:OGHK6msz0
>>584
日曜日まで溜めておくといい
586VIP番長:2006/11/23(木) 17:16:44.50 ID:IfoqpWnc0
じゃあもう最後だし、良くわからん長編落としますね
587VIP番長:2006/11/23(木) 17:16:59.91 ID:IfoqpWnc0
「っちゃ……急に降り出しやがって……」
 僕は、冬の初め、突然夕方に降り始めた冷たい雨の中を走っていた。
 テストの成績が思いのほか悪く、職員室に呼び出されて長い事説教されてこのザマだ。
「おっ……あそこで雨宿りさせてもらおう……」
 立派なお屋敷の門の下に入る。別にこの程度なら文句は言われないだろう。金持ちは寛容であれ。
「……ううっ」
 しかし、随分と濡れてしまった。背筋にぞくぞくと悪寒が走る。
「風邪ひいちゃうよ……」
「あら……?」 
「え?」
 突然僕の目の前に現れたのは、クラスでも美人で有名な女さんだった。顔立ちも、おかっぱのような黒い髪も。全てが神様の緻密な作業によって作り上げられた芸術品のように美しい。
「男くんじゃありませんか、どうしましたこんな所で?」
「お、女さん!? い、いや、僕はただ、ここで雨宿りさせてもらってて……」
「……そうですか」
 女さんはそこで、顎に少し手を当てるようにして何かを考えるようにする。
 ……どんな仕草も絵になる人だ。
「では、中でお茶でもいかがですか?」
「え? え、中って……」
「ここは、私の家ですから」
「ええ!?」
 この広さどころか時代も錯誤したこの武家屋敷が!?
「驚かれましたか? 私も時代錯誤だとは思うんですけれど……こういうのも、割と風情があっていいものですよ?」
「あ、ああいや。どんなことは思ってないけど、それよりも、いいの? 僕なんか」
「あなたじゃなければ、ダメなんです」
 女さんは、眼を細めて、まるでモナリザのアルカイックスマイルの様に笑ってみせる。
「……それじゃ、遠慮なく……」
「はい」
588VIP番長:2006/11/23(木) 17:18:08.94 ID:IfoqpWnc0
「ただいま帰りました」
「お邪魔します……」
 女さんが、まるで江戸時代から直輸入しましたとでも言わんばかりの唐傘を閉じ、傘立てに入れる。
「はいはい、お帰りなさいませ」
 そして廊下の奥から、割烹着を着た少女……少女? が、とてとてと走りながらやってくる。
「お帰りなさいませ、お嬢様」
「ええ、ただいま。それと、挨拶もいいのだけれど、私とこの方の分のお茶を用意してくださるかしら?」
「え?」
 どうやら使用人のようなものらしい、そのやけに小さな女の子は、その言葉でやっと僕の存在に気づいたようで。
「――――」
 絶句、した。
 え? なんで? 俺何かした?
「は……はい。今すぐ用意いたします」
「後…………で、よろしくね」
 女さんが、何かを耳打ちする。
 それに、少女はびくっと震えたようにしたが、か細い声で「わかりました」と呟いた。
「それじゃ、こっちにどうぞ」
「あ、ああ」
 その妙な様子を少しいぶかしみはしたものの、ただそれだけで、僕は女さんの後をついていく。
「ねえ、あの子は……使用人みたいな人なの? 偉く小さいけど……」
「……そうね、そんなようなものよ」
「ふーん……」
 そこで、また、『ぞくっ』と悪寒がする。
 雨で冷えたせいでは、無い。
589VIP番長:2006/11/23(木) 17:18:57.75 ID:IfoqpWnc0
 女さんの、細められた眼が、こちらを向いていた。
「気になります?」
「……い、いや、ただ、偉く小さかったから。ただそれだけ」
「そうですか」
 ふっ、と、肩が軽くなった気がした。
 女さんもにっこりと笑う。
「……」
 武家屋敷のお嬢様ともなると、触れずして相手の動きを封じる術も学んでいるのかもしれなかった。
 しかし何故使用人さんのことを聞いただけで、にらまれなければいけないんだ……?

「ここです」
「……すげー……」
 まるで高級旅館だ。いや、きっとここは旅館なんかとは比べ物にならないほど凄い場所なのだと実感する。
 敷き詰められた畳、飾られた鎧に刀。高そうな壷、そして極めつけは、障子によって四角く区切られ――まるで絵画のような額縁に入れられた絵のように見える。庭だった。
「ここは、客間なんですよ」
「へえ……」
 感嘆の声しかでない。
「あ、あの。お茶をお持ちしました」
 襖を開けて、使用人の少女が入ってきた。
 お盆に置かれたお茶を、机の上に置く。
「……ごゆっくりどうぞ。男様……」
 え、なんで僕の名前を……と聞くまえに、使用人さんは出て行ってしまった。
「さあ、お茶をどうぞ? 冷えていらっしゃるでしょう?」
「あ、うん……」
 湯のみを手にとり、一口。
「おいしい……」
 きっと、一般市民は気楽に飲む事なんて到底出来ないような、高級なお茶なのだろう。
「そうですか、良かったです」
 女さんも、上品に湯のみに口をつける。
590VIP皇帝:2006/11/23(木) 17:19:43.80 ID:IfoqpWnc0
 そして数分、無言で茶を飲んでいたのだが、女さんが不思議そうに口を開いた。
「あの……。なんとも、ありませんか?」
「え? なにが?」
「……いえ」
 女さんの眼が、すっと細まる。――また、あの眼だ。
「私、ちょっと部屋に取りに行くものがありますから。少しだけここで待っていてくださいますか?」
「あ、ああ。うん」
「それでは」
 女さんは、二つの空になった湯のみを乗せたお盆を持って、足音も立てずに廊下に出て行った。
「……う」
 今度は尿意で、ぶるっと震える。こんな時にでも体は正直だ。
「ト、トイレ……どこだろ。女さんまだいるかな……」
 いや、厠とでも言うべきなのだろうか。まあどうでもいいけど。
「いないな……」
 少しだけ探検気分で、廊下を歩いてみる。
 すると……。
「ぁぅっ……ぁっつ……ぎぁっ……!」
 そんな、うめき声、いや苦痛に歪んだ声が、耳に届く。
「……!?」
 どうやら、台所らしき場所かららしい。少し隙間の開いた扉から、覗いてみる。
「……っ」

「この……愚図! 男さんの湯のみには薬を入れるよう、言ったでしょう!?」
「も……申し訳……げっ……ありません……!」
 女さんが、横たわる使用人の少女の体を、踏みつけにしていた。
「せっかくめぐってきたチャンス。あなたは台無しにするつもりかしら? 偶然から生じたたった一度しかありえないような奇跡を無にするつもりかしら?
この生ゴミにも劣るカスが! まだ生ごみのほうが肥料になるだけ使用価値がある! 聖書にあるわよね? 塵は塵に灰は灰にって、あなたも塵にしちゃおうかしら?」
 ドス、ドス、ドスと。まるで容赦なく少女を踏みつける。人ではない、物を扱うかのように、踏みつける。
591VIP番長
「……っ……っ」
 少女が、声を出さなくなる。踏まれるたびにびくびく震える体だけが、生きていることを告げていた。
「……ふん、そこで頭を冷やしてなさい」
 唾棄するかのように吐き捨て。女さんは湯のみを手にとる。
「男さんの、においがする……」
 そうして、僕が口をつけた箇所を、べろりと舐めまわした。
「ん……」
 そうして満足したのか。女さんは何故か勝手口から外に出て行ってしまった。
「………………」
 見てはいけないものを見た。今まで生きていた人生でこの言葉がもっとも似合うシチュエーションだった。
 今のが、女さんの本性だったのか? それに、チャンスって。
「後ろの正面だーぁれ?」
 突然、いた。
「!?」
 後ろから、肩を掴まれる。
「お、女さん……」
「あんまり見られたくないとこ、見られちゃいましたね。…でも、私の気持ち、わかってもらえたかしら」
「き、気持ち……?」
「あなたのことが、好きです」
「……」
 今のを見た後では、素直に喜ぶことなど出来ない。
「今まで、ずっと我慢してきたんですよ? 学校ではあまり話すこともできなくて……家も遠くて……私、奥手だったから……」
 でも――と、女さんが続ける。
「今日、あなたが私の家の前にいた時に、何かがね? ぷつんって、切れたの。私は思ったわ。これは神様がくれたチャンス。ここで男くんを物にしなければ後は無いって」
 肩に置かれた手が、段々と上に上がってくる。
「ね……? どうかしら? 私達、とっても素敵な夫婦に、なれると思うの」
 首にまで手がかかったところで、止まり。ぐっと、力が込められる。
「ぐっ……げあっ……!」
 どんな力してんだ……!?
「頷いて、くださいよ?」