ダディ「これは僕の高校時代の話なんだけどね」

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1銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6
しかし俺も暇だなぁと思ったり。もう需要あるのか知らんけど語り部として最後まで使命を全うしようじゃないか。

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2以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:13:03.93 ID:uM+Da3NP0
 
3以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:13:26.80 ID:Ft+SU2Cz0
うるせー馬鹿
4銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:13:41.26 ID:r2vNtrtU0
過去スレ ダディ「これは僕の高校時代の話なんだけどね」
http://ex16.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1162652893/

過去スレ ダディ「これは僕の高校時代の話なんだけどね」
http://ex16.2ch.net/test/read.cgi/news4vip/1162569341/l50
5以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:13:43.98 ID:a4NhBYc90
      
























6以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:15:13.70 ID:roxsnFWP0
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7以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:15:36.10 ID:zL1U8A9d0
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8銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:15:59.01 ID:r2vNtrtU0
第一回全統私大模試 2004/07/04

英語 140/200/64.3
国語 084/100/68.9
世史 092/100/69.2
政経 094/100/76.1

私文 410/500/69.*

 誰がなんと言おうと僕は強い。でも、それが愉しかったと聞かれたら、
僕はどのように返答すればいいのか分からない。
確かに僕は全国レベルの中でもかなりの実力者になっていた。

しかし、どの道、僕は京大へは行けないらしかった。

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9銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:17:14.46 ID:r2vNtrtU0
それは数学の圧倒的な不利のため。
どんなに勉強しても京大レベルの数学は解けそうになかった。
センターレベルの数学ですら怪しかったのに、どうして京大の数学が解けたりするのだろうか?

 受験に運だの、奇跡だの、そんなものは一切作用しない。
偏差値70の段階に入ると如実に理解せざるを得なくなる。
日々の勉強が、鍛錬が、それらだけが模試の結果に反映するのだと知った僕らの寮の友達で
「天才」と呼ばれるような奴でも、その裏では日々もの凄い量の課題を淡々とこなしていたのだ。
「勉強は量じゃなくて質なんだ」という姿勢は、勉強(とりわけ大学受験)に対するものとしては全くの誤りであると痛感した。


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10銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:18:08.25 ID:r2vNtrtU0
 しかしそれは三流出身だろうが、超一流の名門私立出身だろうが、そんな事は関係がないっていうことの証明でもあった。
受験界で一般的に通用するのことわりであって、今思えば、そこが三流出身のボクの唯一の希望のようにも思えた。
でも僕にそんなことができるほどの根性はなかった。京大に行けないことが悟ると僕は受験から逃げるように、
京王井の頭線の下北沢や新宿の本屋やゲーセンに入り浸った。
ほとんど毎週、予備校の授業を抜け出しては、参考書漁りとゲームに興じていた。

そうするしか不安から逃げる方法はなかった。

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11銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:20:58.18 ID:r2vNtrtU0
 コピペもアレだから、テストも終わったことだしちょっとだけ記憶を起こして書き下ろすよ。

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12銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:22:48.04 ID:r2vNtrtU0
第一回京大即応オープン模試 2004/08/22

国語 041/150/39.4
数学 034/150/41.0
英語 054/150/50.0
世史 071/100/65.1

合計 全国偏差値/ 48.5 京大法 判定:D



 そして可能性は、ばっさりと。


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13銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:24:52.90 ID:r2vNtrtU0
 僕は夢を二度見た。悪夢も二度見た。
僕は京大には合格できない。しかし、ふと、こういう考えが思いついた。

 ――せめて彼女と一緒に京大に行こう。そして一矢報いて散ってやろう。

 …あのときの約束を果たすために。

 日に日に空気は冷たくなり、空は高くなる。
2度目の秋。寮の窓から眺めるその日の月も銀色だった。彼女は今どうしているんだろう。
まだ一途に京大を目指して勉強をしているのだろうか。
あの高校のときと同じように、たった一人で、勉強しているんだろうか。

 彼女もまた一人ぼっちだったのだ。


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14銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:30:10.71 ID:r2vNtrtU0

 センター試験が終わると、基本的に普通科の三年生は学校へはやってこなくなる。
もうほとんどが推薦やらで進学先や就職先が決まっているからだ。そうなったらもう学校で勉強する必要などない。

 僕は誰もいなくなったいつもの教室で、二次試験の勉強を一人で勉強していたのを覚えている。
それも途中でやめてしまった。どう考えてもセンターの点数を考えたらどこにも合格できるはずがない。

 実は僕はとんでもない失態を犯してしまったのだ。国語をIで受けたこと。それを誰にも話せずにいた。


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15銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:35:28.60 ID:r2vNtrtU0

 筑波大学は国語Iでも受験を認めてくれていた。三年間、死ぬ思いで苦労した僕は
とうとう静岡大学などに納まらないほどにプライドは肥大化していた。その時の僕は驚くほど醜悪だったと思う。

 「静大?何を今更・・・。僕は苦労してきたんだよ・・・。
  これは、大学受験は今まで散々コケにしやがった連中に対する復讐だ。」

 京都大学というブランドは、格好の復讐の材料だった。だがそれは愚か過ぎる約束と一緒に失われてしまった。
現役時代のセンター試験の前日の僕は、考えていた。どうにかして一矢報いたい。

 浪人を覚悟してでも、僕は復讐をしたかったのだ・・・。


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16銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:38:27.84 ID:r2vNtrtU0

 国語Iは170点前後。世界史は80点台前半、英語は160点台。理科IAは80点台。
ここまで僕のセンター試験軽量化作戦は、驚くべき成功を見せるるかに思えた。

 だが結局最後に、泣かされたのが数学だった。


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17以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:41:07.45 ID:DoYUUWzFO
>>1は理系?
18銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:41:58.05 ID:r2vNtrtU0
 数学Iで受験。それでも筑波は許してくれる。だが、数学の神様はやすやすと僕の進学を許してはくれなかった。
驚くほど解けなかった。数え上げはことごとく失敗して30点台をマーク。

 儚く、脆く、そして姑息な夢は、やっぱりついえた。


 数学の試験が終わった瞬間に、僕は浪人を決意していた。

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19銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:42:28.20 ID:r2vNtrtU0
>>17
文系です、今は文学部生です

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20銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:47:29.97 ID:r2vNtrtU0
http://www.imgup.org/iup283395.jpg.html

 センターが終わったその日から、普通科の人間たちは僕だけを残して例のごとく姿を消した。
残っているのはわずかに、理数科の人間だけ。彼女もその中にいた。

 ぼくはいつもの教室で、朝から出てきては、一人ぼっちで勉強をしていた。
生徒も、先生も、誰もいなかった。時計の音と小鳥の声、そしてシャーペンの音だけが聞こえた。

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21銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:54:30.82 ID:r2vNtrtU0
 結局その日は先生が二〜三人、様子を見に来ただけで特にアドバイスをしてくれることもなく
(レベルの低い教員たちなので、僕にアドバイスなど到底することなどできないのだが)
戸締りの注意だけをして去って行った。僕はそれらを無視して勉強を黙々と続けた。
続けた。

・・・続けた。

先生たちには気難しい、手の付けられない異端の生徒と目を付けられていたことだろうが
そんな事はどうでも良かった。僕は僕に出来るコトをただやるだけ、センター試験に失敗した僕だが
それでもバンザイシステムによると、僕を受け入れてくれるらしい大学があることが分かった。

大阪外国語大学。

「彼女」が行く関西である。

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22以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 18:59:48.45 ID:+E6dJNK7O
バンザイって河合だっけ?
23人生 ◆bpU2xn3npE :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 19:03:36.69 ID:KaRDc7nE0
ブログに転載してるやつがいるって通報しますね^^
24銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 19:08:14.75 ID:r2vNtrtU0
 その日は夜遅くまで勉強をした。空には銀色の月が煌々とその姿を見せていた。

 自転車通学の俺はいつまでもいつまでも学校に残ることが出来たのだが、
ちょうど彼女が帰ったかなぁなどと気になった俺は、いてもたってもいられず彼女の教室の前に立っていた。

 教室のドアの小窓から見えたのは、だだっ広い教室の中でたった一人、
席に座って勉強していた彼女の後ろ姿だった。もう夜の七時だ。理数科の連中もとっくに帰っちまったのか。
もともと小さな背中は、机に夢中で向かっていたせいで余計に小さく見えた。

 そのとき、彼女は寂しかったのだろうか。


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25銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 19:13:44.81 ID:r2vNtrtU0
 寂しかった。もしそうなら、それは僕も同じだ。
だから似たような境遇の僕に同情みたいなものを感じてくれたのか。
 つまり、三流高校にいながらにして超一流の連中と闘おうとする僕を気に入ってくれたのだろうか。
だからあんなに、そして今でも優しくもしてくれて。それが別に、好きだとか嫌いとか、
恋愛感情は全くの抜きの、そういったものとは別の感情を持って
接していてくれていたのだろうか。……僕は彼女の気持ちなどこれっぽっちも分からなかった。

 僕はそのまま、声を掛けるコトをやめにして立ち去った。
彼女は、まだ勉強を続けていたいらしかったのだ。

 「彼女」の優しさに甘えるのはやめにしよう・・・。
でも、そんなことは、完全に離れ離れになるまで、出来ない相談だった。

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26以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 19:16:59.76 ID:5/hUm7w/0
本物かよwwwwwwwwwwwww
27銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 19:20:49.20 ID:r2vNtrtU0

 大阪外語大学の話をしたのは結局、それから数日経ってのことだった。
僕は一緒に関西へ行けるよ、と。京大へは行けないけれど、一緒に関西へなら。

 そしたら「彼女」は言ってくれたんだ。何年も前のことだから性格には思い出せない。

「うん。そうなんだ・・・。」
全然、嬉しそうじゃないその表情は僕を困惑させた。
それから彼女は慎重に言葉を選び取るように。そして何かため息をついてから。

「…でも、その大学って○○君がやりたいことができるの?私は本当は京都大学には行かなくてもいいの。
 どこへ行っても出来ることなの。でも京大へ行けばきっと何かが待っているんだと思う。だから、私は京大へ行くの。」

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28銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 19:32:18.70 ID:r2vNtrtU0
 「京大はきっと違っているはずなの。それが私の理由。でも○○君が、どうして京大へ行こうと思っていたのか、
私は知らないし、そのことをどうこう言っても仕方がないよね。それから関西へこだわっているのかも分からない。」

 僕の目の前には、僕が初めて恋した女がいた。

「世の中って、上手く行かないことばかりだよね。
私も今年は京大受けるけれど、自分が合格できるかどうかなんて、正直言って分からない。
この前、先生に言われた。少しでも諦めの気持ちがあるならやめとけって。」

 勝手なことを言う先生だ。だが一理あることも否めない。

「でも・・・」

「私は自分のコトをもう少しだけ信じてみようと思っているんです。」

 彼女は勇敢な女性だった。

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29以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 19:33:53.17 ID:5/hUm7w/0
ひとだま
30銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 19:35:56.51 ID:r2vNtrtU0
 年は明けて2月25日。運命の日。国公立大の受験日。
 彼女は一人で京都へ行き、一人で京大に受験していた。
 そのとき僕は――寝ていた。文字通りに、自宅の布団で寝ていた。
 やっぱり泣いていたかもしれない。……僕は泣き虫だ。

 僕は約束を破った。彼女は一人で京都へ行き、一人で京大に受験した。

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31銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 19:38:26.37 ID:r2vNtrtU0
第三回全統記述模試 2004/11/21

国語 097/200/54.3 数学 074/200/48.0
英語 166/200/70.3 世史 079/100/73.6
政経 081/100/76.9

総合 ***/800/64.6 文系 ***/***/67.2


国公 判定
1 一橋大 社会学部 前期 E  2 大阪大 経済学部  前期  E
3 筑波大 社会学類 前期 A  4 大阪大 経済学部 後期 B
5 筑波大学 社会工学類 後期 *
私立
1 慶應義塾 経済 C  2 国際基督教大 教養 A
3 同志社大学 政策 A  4 早稲田大学 社会科学部 C

32銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 19:38:44.54 ID:r2vNtrtU0
最後の模試が返ってきた日は外は涼しいを通り越してとっくに寒くなっていた。冬。
また冬がやってきた。冬は嫌いだ。涙が出てくる季節だ。僕を痛めつける季節だ。

 慶応義塾文学部は、このとき理論上A判定。ICUもA判定。
私立はカネさえあれば受けることは自由だ。問題は国立だった。

 京大には合格できない。

 ・・・でも。

 それから僕は、彼女ともう一度だけ話がしたいと想った。

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33銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6 :佐賀暦2006年,2006/11/06(佐賀県民) 19:41:52.23 ID:r2vNtrtU0
メールで彼女と連絡を取ってみると「第二ラウンド」は、新宿ってことになった。
本当はもっと別の、板橋とかそっちまで行っても良かったのだけれどそれは頑に拒否られた。
このときの彼女のメールは妙にサバサバしていたのが印象的だった。
4月の頃のような、夏の頃のような、瑞々しさが失われているような、
……修羅に落ちているような。なんか突き放されているような。

 彼女も余裕が無いのだろうか・・・そういえばちょっと前のこと、
10月ごろの終わりに、こんな旨のメールが来ていたのを思い出した。


 ――京大即応オープン、よくなかったから、髪の毛、切る。


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34銀月(' x `) ◆bWmoonQUh6
 彼女も必死だったのだ。

僕が尊敬し、崇拝さえしあこがれていたあの女でさえ京大は最難関には変わりはないようだった。
そして京大へ行こうと彼女は想像を絶する苦しみに耐えていた。
僕があまりに苦しくて逃げ出してしまったそれに、彼女は全く恐れずに立ち向かい続けていた。
彼女は俺の短い人生の中で出会った女の中ではとても珍しい部類の女だった

……勇敢な女だった。



それに対して僕はあまりにダサかった。

そう、なんて、…・・・ダサい。僕は……

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