ツンデレにこれって間接キスだよな?って言ったら222

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835以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 20:18:55.79 ID:XP1wWJlk0
5レス行きます
836神社のまーちゃん1/5:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 20:19:37.70 ID:XP1wWJlk0
ドスドスと、別府邸の階段を踏み鳴らす少女が一人。
凡そ殆どの人が日常生活で着る事は無いであろう紅白に身を包み、
少女は目的の部屋の前に至る。時刻は午前8時、陽光麗らかな日曜日の出来事である。

「…ふん、相も変らず馬鹿面さげおって」
刺々しい言葉とは裏腹に、少女の声は優しく包み込むような温かさに満ちていた。
はんっ、と肩をすくめつかつかと少年の眠るベッドへ歩を進める。
ジッと少年の顔を見つめた後、にへっと緩む頬を引き締め気合と共に
「早々と起きんかこのバカター―――れ………?」

引き剥がした布団の下から現れたのは勿論、先程少女が奪った温もりに包まれていた少年。
今朝は少し冷えるらしく、猫の様に丸くなった姿を少女は可愛いな、などと思った。
問題はそう、丸っこい物体は二つあると言う事。少年と――――小さな女の子。

人の気配に気付き少年の目蓋がゆっくりと開いていく。
それでも傍らで凍り付いている少女の異変には気付かないのか、満面の笑みで
「あれ? …おはよ、まーちゃん」
「こ、この幼女性犯罪者めがぁぁ!!!」
訂正、満面の笑み『に』叩き込まれるまーちゃんと呼ばれた少女の拳。

先程起き上がったばかりの寝床へと、強制的に叩き伏せられる少年。
ゆらりと、それこそ幽鬼の様に纏は一歩を踏み出す。
「立つがいい敬よ…儂が人の道という物を教えてくれる…この朝日、よく目に焼き付けておけ」
明日の朝日も拝めるといいのう、と頬を引きつらせて言い放った。
837神社のまーちゃん2/5:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 20:20:08.86 ID:XP1wWJlk0
「あの…なんで」
目を白黒させながらむくりと体を起こす敬。
殴るのさ、と言いかけた所で右腕に感じた違和感。見下ろせばそこには
「あむあむ」
自分の腕をかぷかぷと甘噛みする幼い女の子。数瞬の間を置いて

「………わぁーっ!? 誰っ!? この子!?」
「知らぬわぁぁーっ!!!」
再び敬の眉間目掛けて迫る拳。あわや撃滅と言う刹那に

「うるしゃい」
「「!?」」
眠たげに目を擦りつつ、この騒ぎの原因とも言える女の子が体を起こす。
避そうとするも、踏み込んだ勢いは最早止まらず、結果敬にてつざんこーをかました纏。
二人もつれてベッドから転がり落ち、傍から見れば敬が纏を押し倒した様な体勢になった。
見詰め合う瞳と瞳、高鳴る鼓動、敬の顔が纏のそれに近づいて
「な、ななっ!? ばばばかもの!! 何を考えておるかっ!!? は、離れろっ……」
離れろとジタバタするにはするが、その抵抗はやけに弱々しく、
かつ確りと両の目を閉じている纏。

「こ、婚前交渉は駄目じゃぞ…それに子供の前では…………ん?」
感じた視線、それは敬の物でなく、後ろから敬の首に抱きついた女の子から。
もっとも女の子は纏を見ている訳ではなく、視線の先に『あった』だけといった表情で
「たー、ごはん」
まるで匂い付けをする子猫のように、敬の首元にすり寄った。
これは自分のものだ、と言わんばかりに。
838神社のまーちゃん3/5:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 20:20:41.70 ID:XP1wWJlk0
ロリコン:幼女・少女に対する(主に成人)男性の性的または恋愛的関心・性嗜好をいう。
    :俺
「…何か言い残す事はあるかの」
ベッドの上に鎮座されるは、眼を瞑り眉間に皺を寄せたる纏様。ご立腹な御様子で。
「今気が付いたんだけど、その子まーちゃんにそっくりだね」
床の上に正座させられるは、起床後間も無く鉄拳を叩き込まれた敬君。何気なく呟く。

足をブラブラさせながら退屈そうな表情を浮かべる女の子。
そんな餌にこの儂が、と言いたげに横目で見やる纏。すると――――――――――――しっぽ。
尻尾、白と明るい茶色の尻尾。ふさふさのそれが、女の子の寝巻きの裾からはみ出している。
何所から調達したのか、寝巻きとして代用しているそれは敬のワイシャツ、裸Yです。
「き、きききき…貴様ぁぁぁ…」
「どうしたのまーちゃん?気分でも―――」
突然プルプルと震えだした纏に、心配そうに声を掛ける敬。
近づこうと片膝を立てた所を纏によって制された。
「待て…ちと、この童女と二人で話がしたい…席を…外してくれぬかのう?」
今ならその視線だけで人が殺せるほどの迫力で、にぃっと笑みを浮かべた彼女。
敬は嘆息しつつも 朝ご飯の用意してくる、と部屋を出て行った。
後できっちり説明してね。それから虐めちゃ駄目だよ? と付け足して。

「………」
「………」
後に残されたのは二人の少女。
一人は紅白に身を包み実にめでたきその色を、塗り潰さんとする程の”黒”を纏い。
一人は少女と呼ぶには些か幼く、金色が眩しきその尾と共に不敵な笑みを携えて。
相対するは二人の少女。黒髪つり目のよく似た少女。
839神社のまーちゃん4/5:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 20:21:13.33 ID:XP1wWJlk0
「…おい狐畜生。どういう心算じゃ?」
底冷えのする声で目の前の少女に向けて彼女は問いかけた。
声色口調表情、そのどれを取っても不機嫌だと一目で分かるほどに。
「ふん…呼ぶ時はさんを付けろ。祟るぞ」
およそ外見に似つかわしくない口調と態度で、少女は纏に言い放つ。
「随分とまぁ…ちんちくりんに成ったものじゃのう?『樹』から離れてはこんなものか、狐め」
暫くの睨み合いの後、少女の全身を眺めて纏は鼻で笑う。
「なに、参考にした素が貧相なのでな。それから…樹から離れたのはもう一週間も前になる」
この意味が分かるか、と挑む様に腕を組み、狐と呼ばれた少女も哂う。

双眸をつり上がらせ、おもむろに懐へと手を伸ばす纏。
「貴様……この場で祓ってくれる」
一方の少女はさして臆した様子も無く、組んだ腕を解きそのままベッドへ倒れこむ。
「死に逝く私の身を、血で汚れるのも厭わず抱き上げてくれた」
「助かる筈の無い命の為に、懸命に走ってくれた」
「私は…温もりの中で朽ちて行く事が出来た……その、恩を返したい」
誰に対する言葉だったのか、少女の独白は終わる。
この場には居ない敬に、己を滅さんとする纏に、或いは決意の証として、少女は一人言葉を閉じた。

「…はんっ…好きにせい」
今、纏にあるのは敵意でも憐憫でも無く、それは嫉妬にも似た感情だった。
想いの強さで負けたなどとは思わない。只、真っ直ぐに伝えられるその姿勢が素直に羨ましかった。
それに、そう言う者として憑くと言う事は………
「…おい狐、貴様よもやこの家に厄介になろう等とは考えておらんじゃろうな?」
「当然だ」
然もありなんと少女は言い放つ。
840神社のまーちゃん5/5:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 20:22:07.99 ID:XP1wWJlk0
「…まぁ敬の如きでは二度とその姿には成れんじゃろうから…問題は無いかのう」
ぼそぼそと自らを納得させる様に呟く纏。少女はすかさず反応する。
「聞こえているぞ……忘れたか、私は十年来霊地に葬られていたのだ」
なっ、と纏りが声を発したその瞬間、部屋の扉がトントンと乾いた音を立てる。

「ご飯出来たよ〜…えっと、入ってもいい?」
示し合せたかの様に顔を見合わせ、声を揃えて肯定の返事をする纏と狐。
一人はベッドの上に姿勢を正して正座をし、もう一人は足を投げ出しぐでーっと横になる。
年齢の差もあるだろうが、顔以外がここまで対照的なのも珍しい物だと敬は思った。

「それで…結局この子―――」
「たー、ご飯たべよう。話はそれからだ」
ベッドから跳ね起きその勢いのまま敬の体に抱きつく少女。
一瞬よろけたものの、しっかりと抱き留める。
「尊べ、敬え。そうすれば守ってやらないこともないぞ」
敬には見えていないのであろうが、尻尾をぱたぱた左右に振って、少女は敬にしがみ付く。

「難しい言葉を知ってるんだね。お嬢ちゃんお名前は?」
敬にそう聞かれ ふむ、と少しの思案の後に少女は胸を張ってこう応えた。
「尊と呼ぶがいい」

裸Yの幼女を駅弁状態の敬を取り敢えずぶん殴った後、
今日一日が何だかトンでもないものに成りそうだと、軽い頭痛に悩まされる纏なのであった。
841以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 20:25:50.22 ID:h0l0GyOH0
>>840
ちょwwww急展開っぽい展開ktkrwwwww


尊は養子にもらっていkあれお巡りさんPTA氏と何yアッー!!
842以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 20:26:48.72 ID:peIrhyBX0
>>840
これはwwwwwwwwwすっごく俺好みな展開になってきてるwwwwwwwwwwwww
843以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 20:36:44.24 ID:AyFb1olA0
>>840
幼女の裸Y…ぶはっ……ククク…想像しただけで鼻血が出てきうわなんだ警官
844以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 20:45:27.61 ID:AyFb1olA0
hoshu
845>>673:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 20:47:12.48 ID:A9/uq27b0
タ「Trick or Treat?」
ち「……………バカ?」
タ「……Trick or Treat?」
ち「……生きていることを……恥じろ…」
タ「……………Trick or Treat?」
ち「……………………ぇぃ」(ぽふっ)
タ「ちょ……何だよ、いきなり体当たりって…」
ち「……あげる………」
タ「え?……な、何を」
ち「…………………わ……………私(////////////////////////////////////)」
タ「ち……ちなみいいいいぃいぃいぃいいぃいいぃいっっ!!!!!!」
ち「ふぁ………タカシぃ……(/////////////////)」
846以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 20:53:12.45 ID:AyFb1olA0
>>845
これはいいハロウィンwwwww
847以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:03:47.06 ID:cwIrcJp30
保守〜
848以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:13:41.87 ID:h0l0GyOH0
ほし
849以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:24:33.61 ID:tb0MZvwU0
保守
850以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:27:43.46 ID:D60+Fzi1O
>>840
http://kjm.kir.jp/?p=65994

裸Yシャツと聞いて飛んできたのですが描いても構いませんねッ!
851以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:28:27.74 ID:tHHxFIRp0
>>850
これは!!
852以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:28:31.00 ID:ZrfROKiQ0
>>850
いいともっ!いいともさっ!!もっと書いてくれっ!!
853以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:28:56.77 ID:A9/uq27b0
パパ、さいきん『ほしゅ』ばっかり……

ちっともわたしとあそんでくれない……

いいもん……パパ……わたしのこと……きらいになったんだもん……


あやまってもゆるしてあげないもん



ゆるしてほしかったら……


だっこして(//////////)
854以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:32:45.33 ID:peIrhyBX0
>>850
その男は、何も言わずに保存をした。
つまりGJ!!!!!!!!!!!!!!wwwwwwwwwwwwwwwww
>>853
三億回抱っこしたwwwwwwwwww
855以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:33:30.30 ID:AyFb1olA0
>>850
超光速で保存して嫁にしても構いませんねッ!

>>853
抱っこしてベッドにうわなんだ佐賀県警
856以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:36:49.82 ID:+rLLfgUZ0
>>840

http://www.uploda.org/uporg563308.jpg.html

完全に>>850に先を越されましたが、うpしても構いませんねッ!

以下NGワード
・だが断る
・許可しないイィィィィ!!
857以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:37:46.64 ID:ZrfROKiQ0
>>856
最強にハイってやつだああああああ!!
858以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:38:29.20 ID:peIrhyBX0
>>856
君のその命がけの行動……僕は敬意を表するッ!!wwwwwwwwwwテラモエスwwwwwww
859以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:41:22.51 ID:AyFb1olA0
>>857
萌える!実に!萌えるぞ! フハハハハハハハハ!!!
860以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:48:04.57 ID:kN4qgtgcO
まったく殺人鬼が多いスレですね此処は
俺は何回萌え殺された事か…

つまりはオールGJ!!
861以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:50:15.63 ID:Y67N48Fs0
ちょっと8レスほど投下します。
8621/8:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:51:02.81 ID:Y67N48Fs0
 お昼休み。御飯時に女の子が集まって会話するとなると、決まって男の子の話がでる。
まあ、正直あたしからすればはた迷惑極まりない訳だが、ある意味逃れられない宿命と言うべきか。
『ねーねー。3組の荒巻君さー。聞いた? 渡辺さんと付き合い始めたって』
『うっそお? 何それー…… あたし、密かに狙ってたのにー』
『無理だって。アンタのルックスじゃあ、荒巻君の目にも留まらないよ。彼なんて今まで
も引く手数多だったろうし』
『でもさー。何で渡辺さん? 彼女、超が付くくらい奥手だし、可愛いっちゃ可愛いけど、
でも十人並みだと思うけど』
『それがさー。そういう所がいいらしいんだって。男の子って分かんないなあ。あーあ。
あたしも彼氏ほしーい』
『そういえば、山田君は10人目のアタックに失敗したって噂よ。あんた、付き合ってあげれば?』
『じょうだーん。一緒にブーンとかさせられそうだもん。やーよ、そんなの』
 友達同士が会話に花を咲かせる中、あたしはただ黙って御飯を口に運んでいた。こうい
う時に口を挟むと決まってロクでもない結果になる。
 と、その時、友人の一人である友香があたしの方を向いてニヤッと笑った。
『いいよねー、かなみは。別府君がいるんだしー』
『何でここでアイツの話題が出てくんのよ。関係ないでしょ、あんな奴』
 出来るだけ冷静に答えつつ、食事を続ける。ここでムキになったらお終いだ。けれど、
友香はそんな事お構い無しに話を続ける。
『またまたまた。あたし達の前だからって遠慮する事無いのに』
『遠慮なんてしてないっつーの。何でいつもいつもこういう話になると、タカシの話が出てくんのよ』
『だってねえ……付き合ってるんでしょ?』
 友香の隣りにいた眼鏡の子が聞いてくる。あたしは即座に大声で答えた。
『付き合ってない!!』
 あたしの返答に、みんなが一斉にあたしの方を見る。
8632/8:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:51:33.83 ID:Y67N48Fs0
『だって……ねえ? 朝は大抵一緒に来てるし……』
『帰りだって一緒に帰る日多いし……』
『よく、勉強とか一緒にしてるみたいだし……』
『そう言えば、こないだ偶然会ったよね。あれ、映画見に行くって言ってなかったっけ? 
どう考えてもデートだよね?』
 みんな、一様に顔を見合わせてうんうんと頷いてから、声を揃えて言った。
『『『『どう見ても恋人同士です。本当に有難うございました』』』』
『違うっちゅーのっっっっ!!!!』
 あたしは肩を怒らせ、髪の毛を逆立てて怒鳴った。
『家が近所だから、朝は大抵時間が一緒になるし、帰りだって方向同じだもん。あくまで
成り行きで一緒に行き帰りすることはあるけど、別に約束してる訳じゃないし、それに、
その……勉強だって家が近いから便利ってだけだし、映画はたまたまあたしがお母さんか
らタダ券2枚貰って、あたしはその……ていうか、最初は友香を誘おうかと思ったんだけ
ど、友香はホラー嫌いでしょ? で、他に誘える子もいないし、一人でホラーてのも何だ
し、で、タカシにあげようとしたんだけど、どうせ2枚なら一緒に行かないかって言われ
て、それで仕方なく……』
『どう聞いてものろけよね』
『うん。のろけだと思うよ』
『間違いなくのろけですね』
『まあ、同じく幼馴染のあたしから言わせて貰うけど、のろけてると思うわ』
『結論。今の言い訳は間違いなくのろけであると判断されました。よって二人は付き合っ
てると認定されます』
 ビシッと指差されて、あたしはキィッ!!と歯を剥き出した。
『もうっ!! 違うって言ってるでしょ!! 何であんな奴とあたしが付き合ってなきゃ
いけないのよ!! いい加減にしてよね!!』
 怒りに震えるあたしの肩を、宥めるように友香がポン、と軽く叩いた。
8643/8:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:53:39.34 ID:Y67N48Fs0
『諦めなさい、かなみ。あんたがどう言おうと、周りから見れば付き合ってるとしか見えないわよ』
『ああ、もう……友香までそんな事言って…… 何でみんな分かってくれないのよ』
 と、その時、胸ポケットの携帯がヴィーッ……ヴィーッ……と振動し始めた。
『何よ全く、こんな時に……って、メール?』
 折りたたみ式の携帯をパカッと開き、私はメールボックスを開く。
――タカシからだ……
 それだけ確認すると私は慌てて携帯を閉じた。誰かに見られたりしたら大変な事になる。
幸いにして、誰にも見られぬままに済んだと思い、私はホッとため息をついた。
 しかし、甘かった。
『別府君ね?』
 友香の鋭いツッコミに、私は心臓をドキッとさせると、ウッと少し体を引く。
『ち……違うわよっ!!何であたしがアイツと――』
 反論しかけた言葉は、一斉に湧き上がった黄色い声にかき消されてしまった。
『キャーッ!! かなみ、ホントに? 見せて見せてよ』
『やだ。男の子からのメールってどんな内容なの? 私、まだ付き合ったこと無いから分かんなくて』
『いいなあ〜。男の子からのメール。あたしも欲しいいいいっっっ!!!!』
『ほら、かなみ。みんなにも少し、幸せを見せてあげなって』
 ダメだ。この子達、あたしがどうこう言うより、既に理想の世界を築き上げてしまって
いる。とにかく、何とかして抑えないと、そのうち勝手に携帯を取り上げて中を見かねな
い。それだけは何としても避けないと。何故なら、メールの相手はほとんどがタカシだっ
たから。まあ、色気の無い、連絡メールばかりなんだけど、それでも誤解を呼ぶのには十分だ。
 私は、スーッと大きく息を吸い込むと、彼女達に負けないくらい大声で私は叫んだ。
『うるさいっっっっ!!!!』
 ピタッ、と一瞬騒ぎが収まる。それを確認してから、私は言い訳に入った。
『だっ……誰も、タカシからのメールだなんて一言も言ってないでしょっ!! か、勝手
に決め付けないでよねっっっ!!!!』
8654/8:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:55:34.77 ID:Y67N48Fs0
『じゃあ、誰からのメールだったの? それくらい教えてくれたっていいでしょ?』
 友香のツッコミに、私はピタッと動きを止めた。
『う……えっと、その……お、お母さんからだもん。夕御飯の材料に、豆腐とひき肉勝っ
てきてって……』
 しかし、友香はそんな事で引き下がらなかった。
『じゃあ、別に見せてくれたって構わないでしょ? 今ココで話せる程度のことだったら』
『べ……別に、普通そんな……メールの中身をいちいち見せたりしないでしょ?』
『じゃあさ。あたしの携帯のメールフォルダ、見てもいいよ。お互い交換こなら問題ないし』
『遠慮しとく。別に友香のメールなんて興味ないし』
 ヤバイ、と私は焦った。どう考えても、友香の方が二枚も三枚も上手っぽい。
『そこまでして隠すなんて、ますますもって怪しいわよね〜』
 友香の言葉に呼応するかの如く、他のみんなも頷く。
『だよねー。あー、羨ましいーっ!!』
『全く、ここまで来たら観念して認めちゃえばいいのにー。かなみったら強情だから』
『違うって言ってるでしょ!! しつこいな、もうっ!!』
 ニヤニヤ笑いながら追求してくるクラスメート達を睨みつけて怒鳴ると、私はガタン、
と音を立てて席を立った。
『あれ? かなみ、どこ行くの? もう授業始まっちゃうよ』
『トイレッ!!』
 大元の元凶である友香をキッと睨んで吐き捨てるように答えると、私はわざとダン、ダ
ン、と大きな音を立てて教室を出て行った。


『ふう……全くみんな、しつっこいんだから。特に友香。アイツの粘着っぷりと来たら、
もう……将来は絶対芸能リポーターね。間違いないわ、うん』
8665/9:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:56:43.53 ID:Y67N48Fs0
 独り言を言って私は個室のドアを閉めた。けれど、別に本当にトイレに行きたい訳じゃ
なくて、ただ皆から逃れる為の言い訳だったから、私は便座に腰掛けたりはせず、閉めた
ドアに背を預けると、ポケットから携帯を取り出してメールを確認する。
 タカシからのメールの中身は、今日、何時に家に来ていいかという確認のメールだった。
明日から中間テスト。定期考査の前は必ず、二人でどちらかの家に行って勉強するのは中
学の頃からの習慣で、今では当たり前になっている。内容を確認して、私は小さく呟いた。
『もうちょっと、書くことあってもいいのに…… 気が利かないんだから』
 あまりにも事務的な内容のメールにちょっと寂しさを感じる。もっとこう、何かあって
もいいのに。数学頼むな、とか、お前古文大丈夫か?とか。もっとも、タカシは必要の無
い限りメールなんてくれないし、くれてもホント、実務的な内容に終始するんだけど。
 私は、返信を打ち始める。
[帰ったらすぐ来なさいよ。アンタの為に裂ける時間なんて多くないんだから、さっさと
終わらせちゃうんだからね。あと、帰りに傍に寄って来るのは止めてね。お陰で皆から誤
解されちゃって大変なんだから。いいわねっ!!](女子高生らしく絵文字等が入っている
と脳内変換してください)
 送信ボタンを押そうとして一瞬躊躇う。何か、ちょっと物言いがキツイような…… け
れど思い直して私はそのまま送信ボタンを押した。
『【べ、別に嘘じゃないしね。それに、あたしがキツイこと言うのは今に始まった事じゃな
いもん。きっとタカシだって分かってくれるわよ】』
 携帯をポケットにしまう。私はフウ、とため息をついた。これでタカシを自分の部屋に
上げるのは何度目だろう? 一番最近から思い直して、私は考えるのを止めた。ビデオや
マンガ、CDなどの貸し借りだけを入れると、週に2日は来ていると思う。自分がタカシの
部屋に行った回数はもっと多い。なのに、未だにキスはおろか手を繋いだ事だって何かの
勢いで握手した時くらい。二人っきりでいる時間は多いのに、距離はちっとも縮まらなかった。
8676/9:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:57:56.29 ID:Y67N48Fs0
『やっぱ……あたしかな。原因は……』
 早い話が臆病なのだ、と思う。幼馴染から……先に進むのが怖くて……今の関係に安穏
としているから……前に進みそうな事が起きかけると、ワガママ言って話を逸らしたり先
延ばしにしたりしてしまう。
『今日も……ダメ、だろうな…… せっかくお母さん達……いないのに……』
 本当に本当の二人っきりという状況に、一瞬胸をときめかせる。しかし、すぐに諦めの
念がそれを否定した。どうせ自分の事だから、適当にごまかして、お茶を濁して、勉強が
終わったら、とっとと追い出しちゃうんだろう。
『このままじゃ……ダメ、なのにな……』
 自分でも分かってる。このままごまかしごまかし関係を続けていたら、いつか崩れちゃう事を。
 だけど……やっぱり、怖い。
 と、その時、お昼休み終了の予鈴が校内に鳴り響いた。
『いっけない。遅刻しちゃう』
 一応水を流し、手を洗って廊下に出る。と、そこに立っていた女子生徒の一人が待ち構
えていたように手を上げた。
『はあい、かなみ。長いトイレだったわね。そんなに太かったの?』
 ニコニコしながらサラリと下品な事を言う友香に、私は眉を逆立てて怒鳴った。
『違うわよっ!! 誤解を生むような表現は止めてよねっ!!』
『じゃあ便秘なんだ。もうちょっと野菜を摂らないと……』
『それも違うっ!!』
 私がいくら顔を真っ赤にして怒っても、彼女は平然として気にも留めない。仕方なく、
ウーッ……と涙目で睨みつけていると、彼女はケラケラと笑い出した。
『ゴメンゴメン…… 知ってるわよ。メールの確認でしょ? 別府君からの』
『だから、それは――』
 違う、と言いかけて、私は言葉を切った。友香の人差し指が、そっと私の唇に押し当て
られたからだ。
8687/9:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:58:53.40 ID:Y67N48Fs0
『あたしだってねえ。付き合い長いんだから分かるって。今日も一緒に勉強するんでしょ? 違う?』
 次から次へと言い当てられて、私は一瞬言葉を失った。しかし、親友の友香にすら素直
になれない私は、激しく首を振る。
『違うわよっ!! 中学の頃とは違うんだし、何でこの年になってまで、タカシなんかと
仲良くお勉強会を開かなきゃならないのよっ!!』
『違うんだ? じゃあ今日、他に予定あるの? 無いんならあたし、勉強しに行ってもいいかな?』
『――え?』
 突然の提案に、私は面食らった。拝み込むように、友香は私に頼み込む。
『いいでしょ〜。今回、数学ヤバイしさ。かなみ、得意じゃん。教えてくれたら今度お返
しにミスドでも――』
『ごめん』
 友香の言葉を遮って、私は謝罪の言葉を口にした。自分でも驚くくらい素早い、拒絶の
一言。その後のフォローの言葉が見つからず、私はオロオロしながら言い訳の言葉を探す。
『えっと……その……今日は、ちょっとその……家庭の事情がありまして……』
 しかし、友香は私の言葉にみるみる頬を緩め、やがて堪えきれずに吹き出した。
『プッ……あはっ……あははは……かなみ可愛い……』
『ちょっ……な、何がおかしいのよ!!』
 何故か気恥ずかしさを感じつつ、私は彼女を問い質した。まだ笑いが収まらず、ヒッ、
ヒッ、と呼吸音を鳴らしつつ、友香は両腕で腹を抱えた。
『だってさあ……かっ……かなみ……分かり易過ぎだって……ハハハ……そんなんじゃ……
ゴメ……ちょっと待って……』
 どうやら、今の彼女に何を言っても無駄なようなので、私は呆れて彼女が笑いを収めるのを待った。
『で……何なのよ?』
『ゴメンゴメン。あまりにもかなみが分かり易い嘘付くからおかしくってさあ』
『う……嘘じゃないわよっ!!』
8698/9:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 21:59:41.69 ID:Y67N48Fs0
 ムキになって否定するが、友香は一向に信じてくれないようだ。まあ、確かに無理があ
るのは私にも分からないでもなかったが。
『はいはい。分かったからもういいわ。で、そんな素直じゃないかなみちゃんに、あたし
からのプレゼントがありまーす』
『プレゼント?』
 訝しげに、私は聞き返した。友香は、ポケットをまさぐり、小さな小瓶を取り出すと、
私の目の前に突きつけた。
『じゃーん!! これよ、これ』
 友香が出したのは、薬のようだった。小瓶の中には、カプセルがゴロゴロと入っている。
『……何、これ……?』
 私が興味を持ったのが嬉しかったのか、友香は得意そうに胸を張った。
『これはね。素直になれる薬よ』
『はあ?』
 思わず私は呆れたように聞き返した。素直になれる薬? そんな物があれば確かにタカ
シにも積極的にアプローチ出来るだろうけど、そんな上手いこと出来るような薬はないか
ら苦労するんじゃない。それをいとも簡単に言われても、半信半疑にならざるを得ない。
『あ。かなみ、信じてないでしょ?』
 友香が口を尖らせて不満そうに言うので、私は素直に頷いた。
『当たり前でしょ? そんな薬あったら、誰だって苦労しないわよ』
 しかし、友香はニコニコしながら、私に薬を差し出した。
『はい。これあげるから試しに使ってみて。大丈夫。非合法なドラッグとかじゃないから』
 私は、押し付けられた小瓶を見た。見たところ、それは風邪薬とか、そういった類の薬
にしか見えない。
『ホントにこんなので素直になれるなんて信じられない。そ、それに……大体、あたし、
使う必要なんてないもん』
8709/9:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:01:09.66 ID:Y67N48Fs0
 途中で気が付いて私は慌てて付け足した。こんな物に興味を持っているなんて知られた
ら、それこそ彼女の思う壺かもしれない。が、友香は意外と執着せず、あっさりとこう言った。
『まあ信じる信じないとか使う使わないとかはかなみの自由だけど。とにかく貰っとくだ
け貰っといてよ。ね?』
 私は薬と彼女を代わる代わる見つめた。と、その時授業開始を告げるチャイムが鳴る。
『っと、かなみ。さっさと戻ろっ!! 授業、始まっちゃう』
『あ、ちょ、ちょっと待ってよ!!』
 駆け出した友香の後を慌てて追いつつ、私はポケットに小瓶を捻じ込んだのだった。


続く
26行ってやっぱキツイ。

あと、友達の女の子達は、いっぱいいると思ってくれればそれでいいと思うので、特にキャラ分けとか
してません。読みにくくてスマン。
871以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:02:50.83 ID:h0l0GyOH0
>>870
ツンの葛藤にモエスwwwww


なるほど、870だから出来は『ハナマル』か。
872以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:03:17.30 ID:tb0MZvwU0
>>870
GJ!!!
こういうの大好きだ俺は。

wktkして待ってる
873以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:06:11.37 ID:AyFb1olA0
>>870
これは期待せざるをえないwwwwwwwwww

>>871
うまいなw
874以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:07:01.93 ID:peIrhyBX0
>>870
続きを座して待つ。
>>871
誰がうm(ry
875以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:12:51.87 ID:v9UJGdUA0
ほしゅ
876以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:16:07.80 ID:D25Scd+u0
ツンktkrwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
877以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:22:49.16 ID:FBekRMERO
危ない
878以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:27:38.38 ID:v9UJGdUA0
俺みたいな保守しか出来ない人間がVIPを佐賀にしている保守
879以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:33:47.50 ID:v9UJGdUA0
保守
880以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:35:24.16 ID:muE9SarOO
保守
881以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:39:43.10 ID:v9UJGdUA0
 
882以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:41:36.43 ID:qMxJz0kl0
ホシュァーーーーッッ!!
883以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/28(佐賀県と談合) 22:46:02.79 ID:vpj7vWBZ0
保守
884以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします
べっ別に続きが気になるからするんじゃないからね!ただこのまま残って欲しいだけなんだから(/////)

な保守