【悲しみを】ローゼンメイデンが普通の女の子だったら【優しさに】
>>173 私は手元の電話の受話器を取る。
掛ける相手は――雪華綺晶。
彼女はいた。普段と変わらずマイペースな様子だった。
私は話した――蒼星石の件に関する真相を真紅に打ち明けたことを。
「そうですの。鉄は熱いうちに打てといいますからね。正しい判断だと思いますわ。
……そして、後はどう思うかは真紅の心次第。もっとも……成熟しきれていない
彼女にとって、その衝撃を受け入れるには少々難しい気はしますけど……。
心のケアの件ですね。任せて置いてください。
ネットを通じてという形にはなりますが、手は打ちますわ」
心強い返事をする彼女。
「ええ、是非お願いするわぁ」
「ただ、お姉さまにもお願いが二つあります。
一つは……今後もお姉さま自身が真紅に対して、その件で毅然と向かうこと。
決して話題をはぐらかしたり、逃げ出したりしないで下さいね。むしろ、臭い物
にフタをしてその事に触れないという下手な愛情もどきな行動は、かえって逆効果
になりますから……。もっとも、これまで真紅との関係が冷え切っていた分、それ
をやるのはかなり大変かと思いますけど……大丈夫ですか?」
「大丈夫よぉ」
その覚悟はすでに出来ている。でなければ真相を話す真似はしない。
これは、これまで真紅にあまりかまわず、仕事にかまけていた分の……罪滅ぼし。
>>174 「そして……もう一つは、翠星石さんの記憶の件です。お姉さま自身や、他の刑事
さんに担当医の話から総合すると……彼女は恐らく……」
「分かっているわよぉ」
私は雪華綺晶の言葉をぴしゃりと止めた。
彼女が言わんとしている事は……これに関してはある程度確証はある。
「とにかく、翠星石の口から真紅に話してもらった方が、納得しやすいと思うの。
ただ……問題は彼女の精神状態よぉ。それが事実と向き合った時に、支障を来た
さない状態であるのが必要条件ね。これに関しては……安定したのを確認した所で
私がやるわぁ」
「そうですの……ただ、慎重にやって下さいね」
「承知の上よ」
私はしばらく雪華綺晶と話を交わした後、電話を切った。
そして壁に掛かった時計を見上げる。21時を回ったところだった。
これからが正念場ねぇ……。
ふとそんな事を思いながら、私は手元にあった煙草に火をつけて、一気に吸い込んだ。
――それから、さらに2週間が経過した。
当初は真紅は部屋に閉じこもりきりで、学校も2日ほど休んだ。
しかし、くんくんに扮した雪華綺晶のネットでの会話と、私との話し合いなんかで、
なんとか立ち直りかけていた。
こっちに関しては、しばらく続けていれば問題ないだろう。
>>175 さて、問題はもう一つ……翠星石の件だ。
こちらに関しては数日前より担当医や看護師と連絡を行い、彼女の脳や精神状態を
確認させていた。
今日になって連絡した所、彼女の脳の状態は心理的なショックを受けても、自殺を
引き起こすような重大な問題を起こすのは考えにくいほど安定しているという、報告
を受けた。
やるなら――今ね。
私は早速、病院に向かった。
「ごきげんよう」
翠星石はなぜかセーラー服を着ていた。
今度はあの担当医は何を吹き込んだの……と思いつつ、尋ねてみる。
「今度はどんなシチュエーションなのぉ?」
「看護婦の人が教えてくれたんです。これが世間一般のやり方だって。
あいさつもごきげんようってのが正しいって……それを聞いたとき、目から鱗が落
ちましたわ」
彼女は落ち着いた様子で語る。
メイドの次は、どこぞの女子高の真似?
この病院の連中はどこか頭のネジが外れているわねぇ。ガサ入れしてやろうかしら。
>>176 それはともかく……こんなにコロコロと正しいことを変えられていても、興奮して
いない。私の考えが正しければ、恐らくそうなるはず!
「そういえば、妹は来ていなかった?」
「それは……あの男の子っぽい女の子の事ね。名前は妙な名前の……来ていないよ」
「そうなのぉ……」
これで、十分。
私は一呼吸置いてから――言った。
「翠星石ぃ……もうやめにしなぁい?記憶喪失の振りをするのは」
「え?」
翠星石は目を丸くして、私の顔を見る。そして言った。
「何の事を言っているのか……分からないけど」
「とぼけるのはやめよぉ。記憶はすでに戻っているわね。
さっきの発言がそれを裏付ける証拠よぉ」
「…………?」
やはりピンと来ない様子――いや、その振りをしている翠星石。
私は最後の一押しをしてやった。
「貴女、私が言った妹の事を誰って知っていたの?」
「?」
「もっと分かりやすくいうとねぇ……貴女の妹のことを貴女は忘れているはずなのに
、いつ『名前が妙な、男の子っぽい女の子』と知ったのぉ?」
>>177 「…………!」
途端に翠星石の表情が強張り出した。明らかに図星だ。
さらに私は続ける。
「貴女とその男の子っぽい女の子……すなわち貴女の妹ね……彼女が貴女に会いに来
たのは、あなたが入院した時に来た時の1度だけ。しかも、その時は蒼星石は自分の
事は名乗らず、ただ泣いていただけ。他に来ていた私の妹や友達の薔薇水晶も、担任
の梅岡もよぉ!それ以降は警官や看護師が見張っていたけど来た気配はない……いや、
来れるわけがないのよぉ!
だって、彼女はその日の夜に自分の部屋を爆破して、渋谷方面に逃走して、そこで
麻薬をやっている仲間にほぼ軟禁されて、次の日には名古屋に連れて行かれたのだか
らねぇ!
ついでにいうと、真紅らもそれ以降、蒼星石の事は話していない。なのに、貴女は
それを知っている……語るるに落ちるってやつねぇ……」
私は一気にまくし立てた。
その後はしばしの沈黙。何ともいえない緊迫した空気が私と彼女の周りを包む。
「あははははは!」
それを破るかのように笑い出した翠星石。
私はただ何も言わず、じっとそれを見守っていた。
「いつ……翠星石が……記憶喪失の振りをしているって分かったですか……」
翠星石は笑うのを止め、力なく言った。
>>178 「おかしいと思ったのは、2ヶ月半前に貴女と話した時よ。
貴女言ったよねぇ……私が妹の事を訊いた時に、男っぽい女の人と言ったのを。
あの妹って……私の妹の真紅のことを言ったつもりだったのだけどぉ。
ただ、私のことを忘れているのに、貴女は蒼星石の事だと思って答えた。
よっぽど、気にしていたのねぇ……」
自分でそう言いながらも思うのだが、実を言うと、さっきの啖呵は半分はハッタリ
だった。
というのも、蒼星石は病院に来た時に一度だけ自分は妹であると言っていたのだ。
ただ、何もかも忘れているはずなのに、それだけを覚えている……そこが何かおか
しいと思ったのだ。
「そうだったのですか。やっぱりあの時に言ったらよかったです。
水銀燈のことを思い出したって言いかけたときに……正直、記憶喪失の振りして、
周りを騙すのは疲れたです」
そう言って、一つため息を吐く翠星石。
だが、その表情は――肩の荷が一気に降りたかのように、すがすがしいものだった。
「話してくれるわねぇ。蒼星石が貴女を襲った経緯を」
「いいですよ……」
そして、彼女はゆっくりと語り出した。
>>179 彼女の話の内容は大体以下の通り。
仕事にかまけて、結菱氏が家を開け放しにしたのが遠因で、蒼星石と仲違いしだし
たことから、今回の一件は始まった。
外では仲良しの双子だというように見せかけていたが――家に帰ると、常時喧嘩が
絶えなかったという。
仕事なんで仕方がないということで、その状況を受け入れるしかないという翠星石。
一方で、こんな親の帰ってこない状況で、寂しさから、親に怒りをぶつける蒼星石。
姉妹の考えはまったくろ言っていいほど、逆転していた。
さらに、周囲から二人は一緒にいることから、二人で一人なんて言われていたのも、
蒼星石の苛立ちを増加させていた要因になっていた。
「僕は君じゃない!僕は僕なんだ!」
自我を形成する途上の思春期における、不安定な感情。
その為に彼女を心配する姉の言葉に耳を傾けないどころか、彼女自体を拒絶していた。
そんな中――蒼星石の不安定な心の隙を突く出来事が起こった。
麻薬をやっている校内の不良少年と付き合いだし――LSDの味を覚えてしまった。
普段の自分とは違うことをしたいという自意識からの欲求から――ドロ沼へと足を踏
み出してしまう。
>>180 「それが4ヶ月前あたりのことですぅ……。それからですよ、蒼星石が外泊をやりだし
たのは。で、おかしいと思って……蒼星石の部屋を掃除した時に見てしまったのです」
そのときに見てしまった。見てはいけないものを。
蒼星石の机の中にあった――アシッドシートを。
さらに……妊娠の検査結果の用紙も。
もっとも結果は……妊娠はなしという結果だが。
「そのことを問い詰めたら……蒼星石はキレちまって言ったです。
僕は君の思う僕じゃない!僕自身がしたいことをやって何が悪い。麻薬もやりたいし、
男とやりもしたさ、って……その時は本気でショックを受けたですよ。
それではいけないと思って、蒼星石を警察に連れて行こうとしたです。蒼星石があま
りに可哀想すぎたですから……」
翠星石がそれより先に言おうとしたことは想像がつく。
それを嫌がった蒼星石が……翠星石を鉄パイプで衝動的に殴ってしまった。
彼女は話した内容も――その通りだった。
「それから翠星石は蒼星石が殺そうとしたことを隠そうとして……だって、殺人未遂は
刑務所直行ですね」
ちょっと語弊がある。
厳密に言うと、未成年が殺人未遂を犯した場合は、家裁に送られず、検察に逆送致さ
れて、成人と同じ公開裁判をうけるというのが正しい。ただ、ドラマなんかで逆送致イ
コール刑務所というイメージがあるが、未成年の場合は少年刑務所という専門の施設で
矯正を受けることになる。(もっとも、少女の場合は専門の施設はなく、成人受刑者と
同じ刑務所行きになるケースが多いので、正しいといえば正しいが)
>>182(猿に引っ掛かり、繋ぎなおしたためIDが変わっております)
「だからぁ……そのことを語らないために記憶喪失の振りをしてたわけぇ?」
殺人未遂さえ立件されなければ、少年院行きで済むケースが多いからと、そのことを
必死になって隠そうとした。
妹に対する、姉としての……一つの愛情だろう。
でも、そんな愛情は甘やかしでしかない。単なる放置だ。
そして、放置された犯罪者がその先何をやるかといえば……罪を重ねてしまうケース
が多い。誰にも止められないまま。
そして取り返しのつかないところまできて、警察の世話になる。
結局、自分の身を滅ぼしてしまうという結果に終わる……そんな人間を仕事上、多く
見てきたからよく分かる。
「……でも……それはよくねえって気付いたですよ……。結局、蒼星石を止めずに、野
放しにしちまったですから……それを思ったとき後悔したですよ……。
今ごろどうなっているかと思うと……胸が張り裂けそうで仕方がなかったです……。
でも、それを打ち明けようにも、翠星石が記憶を無くしている振りしたせいで、捜査
が難航しているって聞いたですから……言い出すにも言い出せなくて……!」
一つの嘘がとんでもない自体を引き起こす典型的な例だ。
「蒼星石は今ごろとんでもねえ犯罪を犯しているにちげえねえです。そうしてしまった
のは翠星石のせいですぅ!」
確かに翠星石のやったことで難航していたが……結局の所、犯罪を犯したのは蒼星石
の心の弱さから。
>>182 「だから、お願いです!今、蒼星石はどうしているか……知っていたら教えて欲し
いです!」
私に掴みかかる勢いの翠星石。
彼女の瞳には涙が浮かんでいた。
どんなことを言われても……それを受け入れる覚悟はできているのだろう。
「分かったわぁ。ただ、聞いても後悔しないよねぇ?聞くのを拒む権利もあるのよぉ?」
「いいですぅ!」
彼女の確固たる意思が、目の輝きになって現れている。
「なら言うわね。結論から言うと、蒼星石は2ヶ月半前に名古屋で逮捕されたわぁ。
そのときの状態は……」
私は話した。
蒼星石が殺人未遂を認めたこと――麻薬関係の仲間に軟禁されてレイプされてい
たこと。
――そして麻薬で狂人のような状態になっていること。
翠星石はただ――黙って聞き入っていた。
-to be continiued-
185 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 04:14:38.47 ID:ByORgq3nO
>>184 解決編ktkr
しかし…レイプされてたなんて…
まぁ、蒼が何故LSDに手を出してしまったかわかったのでよしとしましょう。
ぶっちゃけ自業自得だしね。
186 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 04:41:23.09 ID:ByORgq3nO
任せた保守
187 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 04:54:06.84 ID:HbCFchARO
ほす
188 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 05:41:30.79 ID:hWm393Ku0
ほ
189 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 05:52:36.18 ID:Jhxz+p4V0
ぞ
190 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 06:55:17.08 ID:Zm7ejDMZO
保守
191 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 07:23:51.21 ID:9bdaTmxO0
「一つ屋根の下 第七十三話 JUMと長女」
何時もと全く代わり映えのしない目覚ましの音が響き渡る。朝、か……
「ふぁ……起きてるって…目覚まし黙ってろよ…」
僕は独り言のように呟いて枕に顔を埋めたまま目覚ましを手探りで探す。どこだ、どこだ……?
「あんっ…」
……?何今の?何か聞き覚えのある声…何か目覚ましやたらフニフニしてるし。ボタンは…これか?
「ひゃあん!!んっ…おにいちゃぁん…」
あれ?何かデジャブ。そう、2話くらいのデジャブ。僕は恐る恐る目を開けてみる。僕の手の伸びた先。
そこには、何故か僕のベッドで寝ている銀姉ちゃんがいた。ちなみに、僕の手は銀姉ちゃんの胸を鷲掴み
にしており、ボタンと思われた突起は……言うまでもない。寝るときはノーブラな御人だし。
「おはよう、おにいちゃぁん。朝から水銀燈感じちゃった♪えいっ!」
「ちょ、うわっ!銀姉ちゃん!?」
「もぉ、まだ姉萌えなのぉ?姉より妹の方が萌えるわよぉ?」
そうだった。そういえば、銀姉ちゃんは……というか、姉ちゃん達が何故か妹になってるんだった。
「分かったから。とりあえず離れような銀?」
192 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 07:24:26.06 ID:9bdaTmxO0
>>191 「やぁよ。折角お兄ちゃんがやる気になってくれたんだものぉ。このまま最後までいきましょぉ?」
いくら、夢か幻か。或いは平行世界か。どれか分からないが、そこまでは不味い。
何より、これが夢として起きたら……朝からトランクスを洗うのは御免だ。そんなの見られたら生きてかれない。
「さ、手早く済ましちゃいましょぉ?あ、銀これでも初めてだからぁ…優しくしてねぇおにいちゃぁん。」
銀姉ちゃんは僕のパジャマを手早く脱がす。手馴れすぎだ。そして、自分のネグリジェも脱ごうとする。
「お兄ちゃん?起きてる?入るわよ?」
「真紅ねえちゃ…真紅!?いや、今はまず…」
ああ、無常。僕の許可ある前に部屋に入るのは、僕の記憶の中の真紅姉ちゃんと同じだ。妹の癖に
兄を何だと思ってるんだろうか。ともかく…・真紅姉ちゃんの蒼い瞳が見開かれている。仕方がない。
何せ、僕は上のパジャマ脱いでるし、銀姉ちゃんのネグリジェも乱れまくってる。そして、僕のベッドで
抱き合ってるように見えるだろう。ああ、少し動いたから息も荒いし、汗も出てるな。大丈夫な要素が
何一つない。グッと真紅姉ちゃんが握り拳を握る。あ、何だかんだで結構久しぶりかも……
「お、お、お兄ちゃん!!貴方って人はああああああ!!!」
193 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 07:24:59.75 ID:9bdaTmxO0
>>192 さて、右の頬に何だかリアルな痛みを残して僕は食卓についていた。
「JUMにい、大丈夫ぅ?」
ヒナ姉ちゃんが心配そうにチラチラと僕を見ながら言う。ヒナ姉ちゃんはいい子だなぁ。
「私は悪くないわよ。大体、常日頃からお兄ちゃんは水銀燈にデレデレしすぎなのよ。」
真紅姉ちゃんが悪びれずに言う。どうやら、こっちでも僕は銀姉ちゃんにタジタジらしい。
「あらぁ、僻み?生憎、お兄ちゃんは喜んでくれてるわよぉ?今日だって、真紅のおばかさんが来なければ、
水銀燈はお兄ちゃんに大人にしてもらえたのにぃ。」
銀姉ちゃんの発言に、他の姉妹の視線が僕に突き刺さる。
「いや、そんな事するわけが……」
「だってぇ、お兄ちゃんたら朝一で私の胸を揉んでくれたしぃ。」
「それは目覚ましと勘違いしただけで……」
「いいのよぉ、恥かしがらなくてぇ。私ぃ、あそこ弱いから声大きく出ちゃったぁ。」
事態はどんどん悪化していく。さっきから不機嫌そうだった翠姉ちゃんが限界を超える。
「馬鹿おにいは今日はお弁当なしです。きらきー、食べちゃえですぅ。」
「そうですわね。私、お兄さまのお弁当でも食べなければ……お兄さまを食べてしまいそうですし。」
あれ?また何かデジャブ?しかも、キラ姉ちゃんは目がマジだ。拒否すれば本当に捕食されそうな
気がする。ここは我が家の良心に助けを求めておくべきだろう。
「蒼ね……蒼も何か言ってやってくれよ。僕はそんな事しない…」
「……そうだよね、兄さんだってやっぱり女の子ぽい子のほうがいいよね…僕なんて髪も短いし、色気ないし…」
唯一の良心は一人ネガティブにブツブツ言っている。応援は全く期待できそうになかった。
仕方がない。お昼は購買で何か買うことにしよう。背に腹は変えられないしね。
194 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 07:25:34.59 ID:9bdaTmxO0
>>193 「お兄ちゃん、怒ってるぅ?」
登校中。銀姉ちゃんは僕の機嫌を伺いながら僕と並んで歩いていた。
「別に。僕だって多少は悪かったかもしれないし。」
まぁ、きっちり目を覚まさなかった僕も悪いだろう。99%ぐらいは銀姉ちゃんに非があると思うけど。
「えへっ、お兄ちゃんは優しいから大好きぃ。」
銀姉ちゃんはそう言って僕の右腕にしがみ付いてくる。
「お、おい銀。もうじき学校なんだからやめろって。」
「やぁよ。水銀燈はお兄ちゃんの妹だものぉ。これ位甘えてもいいじゃなぁい。」
言っても聞くわけがない銀姉ちゃん。なんて言うかさ…妹の銀姉ちゃんはやけに甘えん坊だ。
「そぉだぁ。ね、お兄ちゃん。今日昼食水銀燈と一緒に屋上で食べましょぉ?」
「いや、僕はお弁当ないんだけど。」
そう、君のせいでね。しかし、銀姉ちゃんはさも当然のように言った。
「あるじゃなぁい。水銀燈のお弁当を半分コしましょ?ね?」
銀姉ちゃんが言う。拒否権などあるわけもなさそうだ。まぁ、購買で買うお金が浮くからいいかな。
そんな事を思ってると学校に着く。僕は銀姉ちゃんのクラスだったな。校内でもピッタリ引っ付いている
銀姉ちゃん。周りの視線を受けながら僕は3−Eの教室に入った。
195 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 07:26:08.77 ID:9bdaTmxO0
>>194 「あら、おはよう桜田君。水銀燈。相変わらずだね。」
教室に入ると、めぐ先輩が声をかけてきた。めぐ先輩の苗字は柿崎だったっけ。
「ん、おはよう柿崎。」
「めぐおはよぉ〜。相変わらずなのは当然よぉ。だって、今朝私お兄ちゃんに愛撫されたしぃ。」
一瞬でクラスの男子の目が僕を視線で殺そうかと言わんばかりに突き刺さる。マジで勘弁して下さい。
「桜田!お前……水銀燈さんに何をしたぁ!」
一人の男子が僕の目の前に立った。コイツ、誰だ?
「別に何も……てか、あんた誰だっけ。」
「な!?笹原だよ、笹原!ミスター廊下こと笹原!」
笹原?そんな奴僕知らないし。でもまぁ、こっちでのべジータ的ポジションの奴と思っておけば全く問題
ないだろう。成る程、どの世界でも代わりはいるものなんだろう。なのに…なのにどうして…
「おはよう、みんな!担任の梅岡だよ!!あ、笹原は廊下に立っててね!立たないと…僕のが立つよ?」
何で担任はこいつのままなんだろう……しかも僕のが立つってさ…いやまぁ、言及するのはやめて
おこう。言及したら負けだ。そうだ、そうに違いない。
196 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 07:27:09.66 ID:9bdaTmxO0
>>195 そして、お昼休み……僕は銀姉ちゃんと屋上にいた。
「はい、お兄ちゃん。あ〜〜〜ん♪」
上機嫌の銀姉ちゃんはお弁当を僕の口に運ぶ。何だかとても嬉しそうだ。
「嬉しそうだな、銀。」
「嬉しいわよぉ。だって、お兄ちゃんと二人っきりでお弁当食べれるんだものぉ。嬉しくないわけないじゃなぁい。」
ニッコリと笑う。やばい、僕の記憶の銀姉ちゃんみたいに、どこか黒さがある笑みじゃなく、真っ白な笑みだ。
「なぁ、銀。もしさ。もしだよ?僕が銀の兄じゃなくて…弟だったらこんな風に甘えてるか?」
「…そうねぇ。お兄ちゃんが弟だったら、きっとちゃんと長女らしくしてると思うわぁ。実際、お兄ちゃんが
薔薇しーと一緒のに我が家に来るまではそうだったしぃ。でも、お兄ちゃんが来てくれたから、私は長女
から解放されてるのぉ。お兄ちゃんが居なかったら、こんな甘えん坊になれないわぁ。」
そうか。この銀姉ちゃんは、長女の重圧と責任から解放された姿なんだ。きっとこれが銀姉ちゃんの本当の
姿なんだろう。甘えん坊で、愛らしくて。
「そうか。じゃあ、しょうがないな。僕にとことん甘えていいぞ。」
僕は銀姉ちゃんをギュッと抱きしめる。キョトンとしてから、銀姉ちゃんは嬉しそうに顔を緩ませた。
「えへへ〜、お兄ちゃん…大好き…」
END
行規制も入ってるのか。ばいさると相余って鬱陶しいなぁ。
197 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 07:35:17.80 ID:IvyDTMRJ0
>>196 ちょwwwwww乙です!
さて学校逝ってくるか
198 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 07:36:05.53 ID:gvUPSOoN0
おつかれ!
199 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 07:40:07.95 ID:Ro66QuPLO
妹銀ちゃんテラモエスwwww普段は姉として無理してるんですね。
200 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 07:53:24.98 ID:kEkHv8rEO
>>129 力みすぎw
>>139 ひんぬースクワットワロタwww
>>141 ひよこカワイソス
>>155 ジョジョビジュバwwwwww
>>163 1スレってすごい大作ですね
そして巴可愛いよトォモエー
>>185 翠の子は蒼い子を庇ってたのか…
しかし…ほんとに鬱だ( ;ω;)
麻薬なんて絶対やるもんじゃないね
>>199 梅岡はまったく変わってない件www
201 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 08:02:02.83 ID:npFFt9XZ0
雪「ヴァレーボォールだ」
薔「行くよーそーれ」
雪「えい!当たらないわね
それ薔薇ちゃん」
薔「えい!…当たらない…」
雪「やっぱり方目だけじゃ球技は難かしわね」
薔「…そう」
203 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 08:53:56.77 ID:09Ww4FHLO
保守
204 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 09:26:22.35 ID:MBy0RyW/O
ほ
205 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 09:27:00.51 ID:fkkqUDttO
ほ
206 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 09:53:45.41 ID:fkkqUDttO
ほ
207 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 10:13:45.77 ID:fkkqUDttO
ほ
208 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 10:40:25.43 ID:fkkqUDttO
ほ
209 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 11:21:57.57 ID:PAiMA2WZO
210 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 11:35:48.57 ID:QFP/RDyMO
保守
211 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 11:54:31.89 ID:dfJ95jqVO
翠星石カワイイ保守
212 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 11:56:17.98 ID:7tEkWcW90
ほ
213 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 12:26:33.53 ID:6iPQ57PpO
ほし
風呂上り保守
215 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 13:20:28.95 ID:Ro66QuPLO
保守
216 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 13:50:11.68 ID:fkkqUDttO
ほ
217 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 13:59:00.07 ID:MBy0RyW/O
ほ
218 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 14:25:42.78 ID:mLJt9iaX0
hosyu
219 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 14:50:09.19 ID:mLJt9iaX0
ho
220 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 14:58:30.96 ID:cJ0AJz630
★☆★裏2ちゃんねるへの入り方
1.まずこのスレに移動してください。
http://sakura01.bbspink.com/test/read.cgi/ascii/1159756255/ 2.書き込みの名前の欄に
http://fusianasan.2ch.net/ と入力します。
3.本文にパスワードの 乞食は消えろ!! を入れて、書込みボタンを押します。
4.メッセージが「確認終了いたしました。ありがとうございます。」に変わればばOK
5.サーバーが重いと2chに戻ってくるけど、まあ30分以内であれば何回かやれば大丈夫。
6.家庭の電話回線よりも、企業や学校の専用回線からの方がサーバートラフィックの
都合上つながる確立が高いです。
(注意!)全て半角で入力してください!!
http://fusianasan.2ch.net/←は、管理者専用の為「直リン」で飛んでも
「サーバーが見つかりません」になります。入り口は「表2ch」のCGIだけです。
つまり、この掲示板から上記の操作を実行してください。
7.裏2ちゃんねるの内容については違法性、反社会的な内容を多く含んでおりますので
ご自身で確認してください。サイトの内容についての質問はご遠慮願います。
8.裏はアクセス過多になりやすいので表から誘導すると向こうの住人が怒ります。
表から来た事は秘密。
221 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 15:41:57.08 ID:r1mBqA7N0
222 :
以下、佐賀県庁にかわりまして佐賀県民がお送りします:佐賀暦2006年,2006/10/23(佐賀県民) 16:07:34.73 ID:Ro66QuPLO
保守