ドラゴンクエストIII 外伝 ピンクの冒険の書 PART 14
1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
2 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 00:11:59.26 ID:+HRSm1Ng0
今帰ってきた・・・
ちょっと息整えて投下する
しばしお時間を・・・
3 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 00:18:54.59 ID:+HRSm1Ng0
〜 竜女編 〜
光も影もテカリもくすみもない闇・闇・闇
俺…どうしたんだっけ?
パンッ!―
一寸の光が目の前で瞬き、横っ腹を通過するもののそこに痛みはない。
あぁ、そうか腹撃たれたんだった。
俺…死んだのか?死んだっぽいな。真っ暗だもんな。
何だか現実感がないのはそのせいか?どうもぼんやりしてるしな。
『ロマリア熱』で倒れた時は真っ白だったもんなぁ。
そうか、死ぬと真っ暗なのか…。地獄とかだったらイヤ過ぎるぞ。
控訴して再審を請求する。それで駄目なら上告までやるぞ。
いや、地獄は何審制だ?
4 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 00:20:13.94 ID:+HRSm1Ng0
どうも下らない側を熟考する癖は死んでも直らないらしい。
…っとなんだか遠くから大きな音がするんだが…
ん?…って何だこの地響きは???地震か?
ドシーン…ドシーン…って何だ!?うわっ!うわわっ!!
その音はが大きくなるにつれて地面の揺れも激しさをましてゆく。
突然、腹に響くほどの重低音が鳴り響いた。
まるででっかい野獣が咆哮したような、不安を感じさせる音だ。
…ってどっかでこのシチュエーションあったよーな???
ん?鳴り止んだ…ってうわぁぁーーーー!!!!!!!!!
不意に大きな何かが圧し掛かり俺は仰向けに潰された。
今さっき光に貫通された時とは違いやけにリアルな重量感で俺の腹が圧迫された。
目の前にはグルルルルと唸り声を響かせ、荒げた息をかける謎の生き物…いやドラゴンが…
なんか初期のころよりサイトが良くなってる。
6 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 00:21:54.70 ID:+HRSm1Ng0
ぎゃぁああああああああああああーーーーーーーーーーーーー!!!
「へ?え、え?そ、そ、そんなに重かった??」
暗闇から脱した俺は強い光で辺りがほとんど見えなかったが、
その声が一体どこのどいつで、どんな顔しているか大方というかほぼ正確に思い描いていた。
光に慣れ始めた俺の目にはハッキリクッキリとあのまぬけ面が輪郭を成していく。
…ビ、ビキニィ〜!!てめぇ!人の上で何をしていやがるっ!?
なぜだか知らんが看護婦の姿をしたビキニは俺の調度腹の上に腰を下ろして
あたふたと手を上下にふわふわさせている。
「ぇ、いや、そのあまりにも勢いよく反り返っていたもので…つい…」
その言葉で異変にハッと気付いた俺は腹の上にひざ立ちしているビキニの顔から
下へ下へと恐る恐る視線を移す…
あ”あ”ぁ”ーーーーー!!!脱がされてっ!?
ぉおい!まさかまさかー!?俺の純潔を!イノセンスを!?
7 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 00:26:12.66 ID:+HRSm1Ng0
「残念ながら未遂ですよ。彼女は今し方、貴方の上に乗りかかった所ですから。」
ワナワナと震える手をビキニの肩に乗せ掛けたところで若い男の声が隅から聞こえた。
誰?
「おっと失礼。私は貴方の担当医師ガルナと申します。
夜這い失敗残念でしたね。ビキニさん♪」
その声を聞いて今頃悪行に恥じたのか顔を赤らめいそいそと俺の上から降りそっぽを向く。
俺は肌蹴たパジャマからぴょこんと飛び出た息子をいの一番にしまいこむ。
って俺またオムツだったのかよっ!!えーい忌々しい。
それにしてもこの優男…こっち見てニタニタしてんじゃねーぞ、
ちくしょう。人のナニを見て楽しいか?そっち系なのかお前は?
この変態めという俺の眼差しに気が付いたのか医師ガルナはおっと唇だけ動かし視線を外す。
そうだ。ビキニの看護婦姿にでも見惚れとれ。
8 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 00:30:18.42 ID:+HRSm1Ng0
白衣に聴診器、そしてメガネとどこから見ても医者という恰好をした男がベッド脇のパイプ椅子に腰を下ろす。。
年齢は20代半ばぐらいで細身長身、学生時代はさぞモテたんだろうなという爽やか系好青年に見える。
「一部始終をモニターごしに拝見させて頂いてたのですが、
流石に起きて早々活発な運動は傷の再開になりかねませんので…
申し訳ないですがお控え願いますか?ビキニさん。」
「わかってるわよ。私もちょっとふざけただけだもん!」
仲良しこよしなのか随分と馴れ馴れしい口調でビキニはぷいっと窓の外を向く。
ちょっとふざけたぐらいでなぜ俺は下半身を晒さなくてはならないのか説明してもらいたいがな…
駄々を捏ねる子供たちをあしらうように白衣メガネはハイハイと聞き流し、
手に持つボールペンで診察内容を書き始める。
「まぁ、元気になったら幾らでも好きなだけズッコンバッコンやっちゃって下さい。」
堂々と恥ずかし味もなく言うなって…。
「おや?適度なセックスは男女共に健康にいいんですよ」
そういうこと言ってるんじゃねーっつーのっ!
9 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 00:33:29.68 ID:+HRSm1Ng0
この胡散臭い医者の話によると、
どうやら俺は出血によるショックで気を失った後、
あのロマリア熱のぶり返したために本気で死に掛けたらしい。
もしかしたらあの闇は本当に地獄への回廊だったのかもしれんな。
とすると俺はビキニの重みで助けられたってことになるのか?
そして今俺が寝ているこの部屋はダーマ神殿特別医療施設第二病棟らしい。
ダーマ神殿はエルフから古代医療技術を教授された世界的にも特別な場所で、
世界各国に医師を派遣するだけでなく、
市販される薬を通して最先端の医療技術を世界に送り届けているわけだ。
薬にダーマの名前が書かれていないものなぞないくらいだ。
「それにしても驚異的な回復力ですね。羨ましい限りです。」
昼ドラ好きの中年おばさん連中が黄色い声を出しそうなスマイルを振りかざす。
なんなんだそのいやらしい目つきは…。気色悪いぞ。
10 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 00:37:28.84 ID:+HRSm1Ng0
「まったくいい加減にして欲しいわ。勇者の癖に毎回バタバタと倒れるんだから!」
いや面目ない…が、銃だぞ!銃!てつはうを相手に倒れねー方が化け物だろ!!
「あの後だってすんごく大変だったのよ!敵の負傷者運んだり、車引き起こしたり…」
ビキニの話ではドーラたちは全員無事で、
SOS団の連中もあれほどの事態にも関わらず無事だったようだ。
まぁ、結局ライオンヘッド将軍以下全員はドーラの店に捕虜として集められ、
ヘリなどの兵器やSOS団の内情なんかを吐かされる羽目にあっているそうだ。
まぁ、あの一家のことだから命を取る事はしなさそうだが、
なんだか卑猥な拷問に苦しめられているSOS団を思い浮かべてしまう…。
憐れにも思えたが、腹を撃ちぬかれた俺はちょっとばかし苦しめと思ってしまった。
少しだけな。トラウマにならない程度に反省してほしい。人を撃ったら死に掛けるってことを。
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/10/08(日) 00:38:20.81 ID:AjXooZrh0
wktk
12 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 00:42:22.10 ID:+HRSm1Ng0
そもそもドーラ一家はテドン解放戦線として反SOS団活動を行っていたらしい。
表向き遊女屋、その実態はゲリラ兵。それで、村からの内通者が薬屋の店主。
俺が受け取った手紙はヘリの到着時間を電波傍受したもので、
ゲリラ活動開始を示唆するものだったという。
薬屋のおじさんが捕まりながらも余裕の表情でいたのはそのせいだったわけか。
だったら予め教えてくれても良かったんじゃないだろうかね。
「あー、いい気味!このあたしを縛り上げるなんて何十年いえ、何百年早いわ!」
大嫌いなM的扱いを思い出しては両手を交差しては
その手先にある肘を擦る。よほどトラウマになったのだろうか。
「まぁ、ビキニさん落ち着いて。これから診察をしなければならないので、
一時退出願えますか。一応、患者のプライバシーがありますのでね。
そうだ!ナースさんを呼ばれてきてはどうでしょう?彼女も相当心配していましたからね。」
ピンク看護婦姿のビキニはやけに丈の短いナース服をひらりとさせては
「はいはーい」と両手を後頭部に回して面倒臭そうに病室から出て行った。
割りと素直な態度…実に珍しいな…。
13 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 00:46:22.59 ID:+HRSm1Ng0
バタンと扉が閉まるのを確認した白衣メガネの甘いマスクが語り出す。
「さて、診察を…ということになっていますが、既にあなたの傷は完治しています。
ダーマ神殿特製の世界樹の葉のエキスでね。意識が戻ればほぼ問題ないです。
一応、様子見で数日入院してもらいますけどね。」
下がったメガネを元の位置に戻しながら
白衣メガネはサラサラとペンを走らせ、これでよしとペンノックを押し込む。
「実はビキニさんに出て行ってもらったのには訳がありまして。」
こいつの整った顔の皮を引ん剥いたら
物凄く悪人面が拝めるんじゃないかという意味深な笑顔が言葉を続ける。
「ビキニさんの真の姿について…お話しましょう」
右眉を吊り上げた俺は、中途半端な表情・体勢で固まった。
『ザ・ワールド』が発動したらきっとこんな感じだろうな。
作者乙!!!
wktkな展開にはならなかったかwwwwww。
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/10/08(日) 00:49:13.25 ID:gFQJ06Ia0
うぁギリギリで間に合った
16 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 00:51:27.33 ID:+HRSm1Ng0
ビキニの正体…
あの忘れもしないロマリアでの出来事で
俺がバニーから聞き出そうとして結局中々聞き出せないでいたことは山ほどある。
人間と竜人のハーフだというビキニが竜に変身し、俺を踏み殺しかけたあの日、
バニーがその竜を一撃で気絶させた後で言った言葉を思い出す。
「私の役目は彼女の竜化を阻止すること。」
結局、具体的な意味を聞く機会を得ることができず流れっぱなしになった件だ。
もちろんそれは是非とも聞きたいことだが、なぜこの若い医師がそんなことを知っているのだろうか。
「バニーから伺った限りでは、あなたはドラゴラム状態の彼女と接触をしており、
その正体及びバニー自体の使命を聞いているとのことです。」
淡々と業務をこなすような調子で美男子はプロローグを口にする。
「まずはなぜ我々が一連の竜騒動のことについて知っているか、そこから説明していきましょう。」
>>14 結婚式の2次会に5回ぐらい出てるが未だにwktkにはならんかった。
3次会行くかーな提案もあったみたいだが、
「用あるから帰る」っていって帰宅しちゃった。
18 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 00:57:28.53 ID:+HRSm1Ng0
「ここダーマ神殿が世界的な医療機関であることはご存知かと思います。」
あぁ、それは知っている。なんたって風邪薬から生理薬品までイヤというほど
『ダーマ』とデカデカ書かれているんだ。幼稚園児でも名前ぐらいは知ってるもんだ。
「どういたしまして。そのダーマでも僕は特殊な任務を委ねられた部署に所属しています。
ダーマ医療局特別機関、通称『ダ医特機』は竜女…ビキニさんの竜の力を抑制し、
最終的にはそれを封印することを任務として日夜監視と研究にあたっています。」
いきなりの今までの流れではないスケール感を感じた俺は自然と背筋を伸ばして聞き入る体勢をとっていた。
「竜化…我々がドラゴラムと呼んでいる現象はビキニさんが人間と竜人との混血児であるために、
その体に流れる竜人としての遺伝子が覚醒した際に、あの巨大な竜へと変身してしまうというものです。」
夢にまで出てきた小山の竜を思い浮かべてゾッとする。
その青ざめた俺を見た医師は分かったような素振りで軽く頷く。
「そうです。あの竜の力…目の当たりにしてあなたはどう思われましたか?
実にやっかい極まりなく危険だ。そう感じて頂いていれば甚だ幸いです。」
あぁ、忌々しいほどこの体が覚えているぞ。思い出したくもないほどにな。
19 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 01:00:00.77 ID:+HRSm1Ng0
「あの驚異的な破壊力…それでも全力の半分も力を出していないでしょうね。
まだ彼女は成熟した竜ではないと我々は推測しています。
もし仮に真の力を発揮でもされた日には世界は1週間と持たないんじゃないかとすら言われています。」
あの巨体の竜が半分以上の力を持て余しているなんて…悪夢なんて生ぬるいもんじゃなくなるぞ。
現時点ですらテドンで襲ってきたヘリコプターなんぞ軽くはじき返すだろうしな。
「心中察します。その力をなんとか発揮しないよう喰い止めるそれが我々の最初で最後の使命なわけです」
そんなことできるのか?
「えぇ、今のところ、力の抑制は可能です。知っているでしょう?夜な夜な2人の秘め事を。」
…邪悪な儀式のことか。
「そんなことおっしゃらないで下さい。あれは2人の信頼関係の上に成り立った…」
…知るか。第一あいつらのせいで俺の貞操はいつ無くなるか分かったもんじゃない。
「まぁあなたの性格ではそう思えるかも知れませんが、
あれでちゃんと竜因子の平行励起…失礼、竜化抑制に効果をしめしているのですよ。」
20 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 01:04:42.22 ID:+HRSm1Ng0
えっとつまりだ。お前らはビキニの竜変化を止めるべく、
バニーに『セックス』させているということなのか?
なんつー淫乱めいた機関だな、略語もいまいちよくないぞ『ダ医特機』。
「2人がそういう関係なのも一種の信頼上自然となったわけですから
我々が口出しするものじゃないと考えています。
まぁ、その際に竜化抑制剤というのを投与してはいるんですけどね。」
俺が思うにその薬は惚薬か媚薬なんじゃないかと思ったが、
それよりも気になること。聞きたかったことがある。
ビキニは自分の正体を知っているのか?
それとバニーは一体何者なんだ?あの力は常人じゃないぞ。
ガルナは右手で下がりかけたメガネを押さえながら、
真剣な顔つきを若干崩して微笑む。
「はい。それも今からきちんとお話させて頂きます。」
21 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 01:09:07.64 ID:+HRSm1Ng0
軽く釣りあがった口の端を元の位置に戻した白衣メガネは再び淡々と語り出す。
「では、我々がビキニさんといつ遭遇、いえ、いつ出会ったかから話すとしましょうか。」
…ちょうど20年前になります。
ビキニさんはダーマ北東に位置するムオル付近のある小屋で産声を上げました。
小屋の住人であった女性と天界からやってきた竜人との間の子として。
ビキニさんが産まれた時にはその父親こと竜人は既にそこで暮らしてはいなかったと聞いています。
一時のアバンチュールだったのでしょうかね。それとも竜人は甲斐性がないか、責任感がないのでしょうかね。
とにかく、ビキニさんはそんな母子家庭に悲しむことなく、母とそれなりに幸せに暮らしていたわけです。
22 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 01:11:41.00 ID:+HRSm1Ng0
そして、彼女が3歳を向かえた時、最初の竜化現象が突如起こりました。
体内の竜が目覚める時期だったのか、別に何かが起因したのか全くもって不明なのですが、
我々『ダ医特機』はこの時の急激な熱エネルギーを探知し、現地のエージェントをその小屋に送り込みました。
そのエージェントの大活躍のおかげで、最初の竜化は何とかその場で食い止めることができました。
これは彼女がまだ幼竜だったからからと結論付けています。
流石に超合金で作った檻をぶち破る力はまだ彼女にはなく、大きさも2m足らずでしたから。
一件落着と思われたのはその瞬間だけで、悲劇はここから始まります。
23 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 01:15:36.53 ID:+HRSm1Ng0
ビキニさんの母親が精神に異常を来たし、廃人状態になってしまいます。
愛しい我が娘が突如竜に変貌したことを目の当たりにしたのですからね。
その時のショックは計り知れなかったのでしょう。
この事態に対し、我々はビキニさんと母親の両名を保護下に置くことを決めました。
便宜上は保護ということになっていますが、機関が調べたかったのは竜因子の秘密です。
なぜ竜人というエルフやドワーフすらをも超越した存在がこの世に存在するのか。
そもそも本来この世に存在すべき者たちなのかを探求心に駆られた結果です。
詭弁というわけではありませんが、別の場所で他の竜化が起こった場合の対策なども
一応目的としてはあげれますが、数え上げたらキリがありませんね。
一応、僕は彼女が落ち着いて自分の力を制御できるようになるのを望んでいるんですがね。
なかなか、お偉方はそう思ってくれないようでして、やれ研究成果だ、やれレポートだって
…失礼話がそれてしまってますね。
とまぁ、こうして『ダ医特機』は本格的に竜因子研究プロジェクトに本腰を入れ、
研究に励む理由と予算を手に入れたわけです。
それまでは竜なんてまともに研究する素材が古文書ぐらいしかなかった訳ですから。
24 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 01:20:50.96 ID:+HRSm1Ng0
その研究の甲斐あって判明したのは彼女に必要なものは心の寄り所だということです。
当時、竜化を恐れた我々は檻の中に閉じ込めたまま彼女を生活させていました。
まるで実験体のような扱い、そして、当然ながら母親とは面会禁止となった彼女は
孤独感、疎外感に心を病ませていました。
元々、父のいない家庭のためか必然的に母親を最大の安らぎとしていたと思われます。
その安らぎが奪われた彼女は常に興奮状態で、眠るときとかお腹が減った時に戻ったり戻らなかったりと
身体・精神への負担、情緒不安定など色々ストレスが溜まっていく一方でした。
今考えると3歳児に対して、我々の対応は愚かだったとしか言いようがありません。
そのようなストレス環境では食事をろくに取るわけもなく、彼女はどんどん痩せ衰えていくばかりでした。
そんな彼女を救ったのが、当時研究員として『ダ医特機』に参加していたバニーです。
25 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 01:27:48.58 ID:+HRSm1Ng0
ある日、ビキニさんは竜の姿のままほとんど動かない状態となりました。
我々全員が、いえバニーさん以外がもうこれ以上は無理だろうと諦めた日です。
彼女は一糸しまとわぬ姿で檻の中に入っていきました。
これは誰の指示でもありません。突然彼女が行動をとったのです。
衰弱し暴れる恐れもないとは言え単身で檻に入り込んだ彼女は
寝たきり状態の竜に寄り添いずっと背中や頭を優しく撫で続けたのですよ。
1日、2日とバニーはずっと檻の中で暮らし続けました。
そうしたらビキニさんは安心したのか、竜化を解き元の姿に戻るや
水を一杯と僅かなパンを口にしました。
普段、無口で何も言わない、正直何を考えているのか分からない女性にだけ心を開くとは…。
誰しもがそう思ったはずです。それはもう奇跡と呼ぶべきことでした。
それから1年間2人は檻の中で生活を続けました。竜化は一度も起こることはありませんでした。
そんな中、バニーが珍しく提案をしたのです。「外で2人で暮らしをしたい」と。
26 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 01:36:29.16 ID:+HRSm1Ng0
この発言はかなり驚きました。呆気を取られるなんてそうあるもんじゃないですが、
こればっかりは口を間抜けなほど開けてしまいましたよ。
当然、部長をはじめ、機関はこの提案を却下しました。
貴重なサンプル体を手放すというよりもその危険性を重視したのでしょう。
しかし、それに対しバニーはテコでも動かんぞと猛反発をしました。
狙っていたのかどうかは不明ですが、その場に居合わせた医局長に向かって、
「私がいなければあなたたちは何も出来ない!」
なんて啖呵まで切ってしまうんですからね。それにしても素晴らしかった。
間抜けに開いた口が元に戻らないんじゃないかと心配するほどにね。
医局長なんかは脳溢血で逝ってしまうんじゃないかってぐらいピクピクしてましたよ。いい思い出です。
27 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 01:43:37.96 ID:+HRSm1Ng0
結局、ビキニさんのサンプルを怪我することなく採取できるバニーに医局側が根負けし、
条件付きですが2人は外で暮らす権利を勝ち取ったわけです。
こうして2人は必ず定期健診を受けるということ以外は自由気ままに暮らし、
たまに旅行といっては色々なところを回っていました。
実際は監視員が見守る形を取っていたのですが、
その心配は無用で竜化することなんかは1度もありませんでした。
僕はこのまま彼女が竜であることを忘れ、普通の女の子として大人になって欲しいとすら願っていました。
知ってますか?ビキニさんは物凄い内気でバニーよりも暗い子だったんですよ。
まぁ、その原因が我々の酷い仕打ちであることは確かなんですけどね…。
ただ、バニーと外で暮らすようになってからは彼女は見違えるくらい明るくなりました。
今の彼女がいるのもバニーのおかげと思っています。
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/10/08(日) 01:46:30.73 ID:gFQJ06Ia0
ビキニ(´;ω;`)
29 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 01:47:24.54 ID:+HRSm1Ng0
ただし、悲劇は終わることはありませんでした。
10年前になります。『ムオルの大火災』という事件ご存知ですか?
ムオル西の森林一帯を3日で焼け野原にした災害の原因が何かといいますと…察しがつきますね?
…そう、竜女…ビキニさんです。
〜 竜女編 完 〜
30 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/10/08(日) 01:47:35.40 ID:klqqKAOVO
>>17 そうか。まぁ女の子とのwktkより物語の投下を選んだあなたはいつの日か良い人が見つかるでしょう。
31 :
◆d/F.bTKJjA :2006/10/08(日) 01:54:02.41 ID:+HRSm1Ng0
ども〜◆d/F.bTKJjA です。
物語も真ん中あたりですかね?
いよいよもってビキニとバニーの関係をお話する機会となりました。
正直、最初はここまで設定考えていなかった・・・
とりあえず、ビキニとバニーの出会い編。
んで次回がまだ明かされていないバニーの力の秘密になります。
ではでは。
(ノアニール編とアッサラーム編を書かねばなぁ。どこで入れようか・・・)
>>30 ありがとお。まぁ、これはこれで楽しんでるから俺は違った意味で幸せ者さ。
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/10/08(日) 02:02:07.48 ID:gFQJ06Ia0
乙!!
今日も楽しかったんだぜ
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
乙かれ!!!
次回楽しみにしているぜ。