('A`)ドクオが約束を果たすようです。

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1以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
立ったら修正版の2章まで投下させてもらいます
2以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:28:19.82 ID:aoQyhL6e0
生まれ出でた時、人は迷い込む。
      
人生という、実に複雑で狭苦しい迷路に。
 
正しい道なんて誰も知らない。本当に、出口が存在するのかすら解らない。

一歩踏み出す度、不安に押しつぶされそうになりながらも人は歩みを進めてく。

日々差し迫る、様々な選択肢を選びながら進む旅。

たとえ順調に道を進めていたとしても、ふと曲がり角を過ぎれば、

そこは行き止まりだったりするかもしれない。

突如訪れた絶望に、そこで立ち止まってしまう人も居るかもしれない。

でもこれだけは覚えていて居て欲しい。

大きな壁が行く手を阻んだとしても・・・
 
その壁をぶち破やぶってやれば、それは新しい道になる事を。
3以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:28:44.76 ID:23D21qWe0
パンパンスパンスパンwwwwwwwwwwwwwwwwwwwwww
4以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:30:15.77 ID:aoQyhL6e0
―1章―
―――――――――

(´・ω・`)「やぁ、おはよう。早く起きないと朝食抜きになるよ」

(-A-)「解かった解かった。今起きるから・・・あと3分だけ目を閉じとかせてくれ」

(#´・ω・`)「・・・・・・君には二つの選択肢がある。
       @今すぐ起きて食堂へ向かう。
       Aこのまま眠りに落ち、僕のマグナムの餌食となる。 
       さ ぁ 選 べ ! !」

(;'A`)「ははは、はい!今日も清々しい朝ですね!食堂へ向かいましょう!」

―――――――――――――――
       
(´・ω・`)「まったく本当に君はビビりだね。
      剣もろくに振れない様じゃ偉くなれないよ」

('A`)b「大丈夫、俺だってやるときはやる男だぜ。」

(;´・ω・`)「そ、そうだったら良いよね」 

―――――――――
5以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:31:32.74 ID:aoQyhL6e0
(;´・ω・`)「聞くれ!!僕、上級学校へ進級が決まったんだ」

(;'A`)「中級一年で、もうお声が掛かるとは・・・やるな」

('A`)「時間は掛かりそうだが・・・絶対にお前の居る場所まで辿り着くから待ってろよ」

―――――――――――――――

(´・ω・`)「これで多分、君との手合わせも最後だ。
      戦績は僕の、96勝0敗3引き分けだね」

(´・ω・`)「丁度これで100戦ピッタリ。全力で頼むよ」

('A`)「へいへい。ご要望にお答えできるよう頑張ります」

―――――――――

(;メ´・ω・`)「うっ・・・あ、足が熱い・・・」

(;メ'A`)「おい!!しっかりしろ!!今、助けを呼んできてやるから!!」

(;メ´-ω-`)「ハァ・・ハァ・・寒い。
       最後になるかもしれないから聞いてくれ
       君には僕の分まで・・・・」

(;メ'A`)「おい!!なに言ってんだよ!!目閉じるな!!起きろ!!」

―――――――――――――――

(#´・ω・`)「おーいコラ!!目覚ませ!!もう朝だぞー」
6以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:33:01.37 ID:aoQyhL6e0
(;'A`)「うをしまった!!もう朝か!?
    マグナムだけはお許しを!!」

古ぼけた宿屋の一角、
勢い良く上体を起こしながら少年が大声を発する。

が、その問いに答える者は誰も居ない。
 
(;'A`)「・・・」
  
('A`)「・・・ああ」
     
少年は脈略の無さから、
先ほどまで目の前に広がっていた光景は夢だった事に気付く。
      
('A`)「あーあ、お決まりのあいつの夢か。焦って損した」

年は17.8辺りだろうか?
まだ顔には幼さが残るが、何か重たいふいんき(なぜryを感じさせる。
     
寝汗の為だろう、ラフなTシャツが、
引き締まった筋肉質な体にベットリと張り付いていた。
7以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:34:34.75 ID:aoQyhL6e0
少年はしばらくの間、もの鬱気に塞ぎ込む。
 
そして、枕元にあった皮水筒に手をを伸ばし
発汗により失われた水分を補給する為、中身を一気に飲み干した。

('A`)「ふぅ・・・ダルい」
 
まだ少し重いまぶたを擦りながら、少年は時計へ視線を移し時刻を確認する。

('A`)「午前3時半・・・3時間しか寝れてねぇのか。
    まぁ、もう眠くないから別にいいけど」
      
ショートスリーパーか不眠症か、
目の薄いクマから察するにおそらく後者だろう。

少年は、手馴れた手つきで枕元にある小箱から
煙草を取り出すとマッチで火をつける。

湿った口内から、抵抗なく体内に煙が吸収されいく。

('A`)「ハフゥ・・・旨い」

窓から差す僅かな光に紫煙が照らされ、天井へと吸い込まれていく。 
       
口に煙草を咥えたまま少年は、おもむろに立ち上がると、
あちこちに虫食いが目立つ宿屋の壁に掛けて置かれていた盾を手に取る。
8以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:35:55.01 ID:aoQyhL6e0
('A`)「日が上がるまで・・・大体3時間って所か。
    コイツの手入れでもしといてやるかな」

('A`)「よぉ相棒。もうすぐ終わらせてやるからな、待ってろよ」

相棒と呼ばれた盾はヒーターシールドと呼ばれる代物で、
盾の上面は水平、下面が丸みを帯びている一般的な形の盾だ。

が、一般的な盾と大きく変わるのは、
その大きさが人ひとりをすっぽり覆い隠せる程ある点と、
目線の高さが半透明な材質になって正面が見える点だろうか。

裏面にも、中央に一列4個、上下に2個取っ手と思われるものが付いてる。
普通の盾にしては多すぎる数だろう。

相当使い込まれているのだろう、全面鉛色の盾にはあちらこちらに傷が目立つ。
9以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:37:04.60 ID:aoQyhL6e0
少年はサンドバック型の鞄から布を取り出すと、盾の表面を丁寧に拭いていく。

('A`)「まったく・・・お前は太り過ぎなんだよ。
    手入れの度にオイル1缶食うってどんな大食漢だよ」

友人に話しかける様に、盾へ喋り続けながら少年は作業を進める。 

('A`)「ふぅ、大体の古い油と汚れは落とせたな。
    ほら次はメジの時間だぞ」
      
鞄から手のひら程のオイル缶を取り出し、再び盾へ姿勢を向けた。

('∀`)「ふっふっふ・・・」
 
少年が突然、不敵な笑みを浮かべた。

('A`)「この野郎、聞いて驚くなよ
    このオイル缶、魔道都市キタコレ産100%収納の超高級品だぜ」
      
('A`)「付属のマジッククロスも付いて・・・なんと一缶たったの2500リタ!!
    送料、金利はジャパンネッド鷹田負担の超目玉賞品だ」

少年はオイル缶について色々と説明を垂れながら、盾にオイルを馴染ませていく。

('A`)「いやー自分の買い物上手さに自画自賛しちゃうね。
    俺って意外と商売センスあるんじゃね?
    こりゃー商人になるって道も大丈夫だな・・・」
10以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:38:32.17 ID:aoQyhL6e0
そして一通り盾の手入れが終わった所で、再び時計へ目を向けた。  

('A`)「4時半か、まだお天道様は起きないな」

思いのほか時間が掛からなかった為、どの様にして日の出までの
余った時間を潰そうか悩みながら、少年は窓の外を覗く。

眼下には、街灯以外に全く光源が無い町並みが広がった。

('A`)「さ・・・流石は田舎、見事に開いてる店が無い」

人気の無い町並みにうな垂れながらも、少年は腰を上げる。

('A`)「まぁ、こんな時間でも・・・酒場なら開いてんだろ。」

少年は、鞄から新しいTシャツと財布を取り出すと、
着ていた汗ばんだTシャツを新しい物に変え町へと繰り出した。
11以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:39:27.49 ID:aoQyhL6e0
夏の時期も終わりに近づき、過ごしやすくなったとは言え・・・暑い物は暑い。

('A`)「うへ・・・最高に蒸し暑い。
    何で夏なんて季節があるかね」

時折、生温い風にじっとりと湿った体を撫でられながらも、
少年は町を探索していった。

まるで世界に自分しか存在してないかの様な
闇に包まれた町のふいんき(ryの中、
酒場を探しふらふらと歩き回るが、目当ての建物は見つからない。

('A`)「あれれー?まさかこの町酒場ないとか言うオチは無いよな」
  
他の町に比べると、
ここ『クワシク町』は町と言うより、広い村程度の広さだ。
『直ぐに酒場位見つかるだろう』と言う少年の思いは見事に裏切られた。
12以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:41:04.75 ID:aoQyhL6e0
('A`)「やれやれ・・・まいったね。」

目指す場所に中々たどり着けないフラストレーションを紛らわそうと、
空を見上げ星を眺める。

('A`)「ふぅ・・・」

夜空に幾つもの小さな光が広がる様は、
タールまみれの地面にダイヤモンドをばら撒いた様だ。

('A`)「そういや、今見える星の光は、
    『星が昔に放った光が、現在この瞬間に目に見える所まで来たから見える』
    ってどっかの学者が言ってたな」 
       
(-A-)「って事は、あの中に・・・あの時光った星もあったりしてな」

少年は自虐的に笑うと、そっと瞳を閉じた。
13以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:42:39.03 ID:aoQyhL6e0
―――――――――――――

(´・ω・`)「それを返してくれないか?
      父上の大切な物が入ってるんだ」

( ^ω^)「僕は自衛科で訓練受けてるお!!これからも宜しくだお」

(´・ω・`)「此処なんて良いんじゃないかな?
      緊張感があって、最後の手合わせには打って付けじゃないか」

ξ///)ξ「べ・・・別にあんた達のために教えてあげた訳じゃ無いわよ!!」 

川 ゚ -゚)「まったく、お前は相変わらずテンションが低いな。
     せっかくの男前が台無しだ」

(´・∀・`)「今日から君は、私達の息子だ。
      気兼ねなく暮らすといい」

(´・ω・`)「来月は武術大会だ。決勝で会えるといいね」

( ´ー`)「此処は今、上級訓練生が使用している。
     他を当たりなさい」

<#丶`∀´>「人殺しがウリに生意気な口叩くなニダ!!」」

(;´∀`)「すまない、私の力不足だ・・・
     君は放校処分になることになった。
      不甲斐ない私を恨んでくれても結構・・・だが、強く生きて欲しい。」

――――――
14以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:43:45.16 ID:aoQyhL6e0
天を仰ぎながら少年は昔を思い出す。

暗闇のみが広がる世界の中、時折聞こえる風の音がBGMのようだ。
 
時を経て色あせながらも、記憶の欠片は未だに心を強烈に締め付ける。

(-A-)「・・・すまない」

少年は一言だけ呟くと目を開けた。

('A`)「さーて星空も十分見たし、もう宿に帰ろうかな・・・」

町を軽く一周してみたが、酒場は見つからない。
『きっとこの町には酒場は無いのだろう』
そう思い、少年は宿屋に踵を返そうと進路を変える。
 
が、その時、視界の端の看板に「BAR」の文字を捕らえた。

('A`)「え?バー?どこよ?」

少年は慌てて360°見渡すが、明かりの付いている建物は見当たらない。

(#'A`)「やっぱり無いじゃねぇか。
虚偽広告で訴えるぞこの野郎」
15以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:44:36.38 ID:aoQyhL6e0
自分の目の錯覚で、何かの単語が『BAR』に見えたのではないか?
と思い直し、少年はもう一度、視界の端に捕らえた看板へ視線を移す。

       【B1−BAR Bourbon house】

('A`)「・・・」

(;'A`)「ち・・・地下ね・・・道理で見つからねぇ訳だ」

地下ならば光源が無い理由も解かる。

何か負けたような気持ちになりながら、少年が地面付近を見回していると、
酒場へと続くであろう段を遠目に見つけた。 
                 
(#'A`)「あの野郎・・・手こずらせやがって。
     今から踏みつけてカンカン言わせてやるからな後悔すんなよ」

少年が、金属製の螺旋階段を降りていくと、
この町を象徴する様な、古ぼけ色あせた木製の扉が目の前に立ちはだかる。  
    
('A`)「おうおう、良い感じ醸し出してるねぇ」
  
少年は扉に手を掛け、手前に引き込む。
案の定、扉は軋んだ音を立てながら開いた。

チリリーン♪鐘の音が静かに鳴り響く。
16以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:46:04.11 ID:aoQyhL6e0
(;'A`)「ああ・・・やっと辿り着けた」
       
少年が、四苦八苦しながら到着した店内を軽く見回すと、
照明が抑え目のクラシカルな造りが広がり、
カウンターの向こうではタキシードを来た男性がグラスを丁寧に磨いている。

そして少年は、ゆっくりとした足取りでカウンターへ向かい腰を下ろした。 
    
(`・ω・´)「やあ、ようこそ、バーボンハウスへ。
      このテキーラはサービスだから、まず飲んで落ち着いて欲しい。」
         
落ち着いた店内のふいんき(ryには似つかわしくない、
20代後半と思われる溌剌としたオーラを放つ、マスターと思しき男。

恐らくタキシードを着ていなければ、この店のマスターだと気付く者は居ないだろう。  

('A`)「・・・・・・」
      
('A`)「あー、6時半頃にはこの町から出るんで・・・
    あんまり振らない奴、適当にお願いします」

少年は差し出されたテキーラを断り注文を伝える。  

(`・ω・´)「ああ、旅人さんかい。これはすまないね。
      あまり旅に支障を出さないのを用意するよ」

('A`)「ども」
17以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:47:25.47 ID:aoQyhL6e0
マスターが、背後の戸棚に並べられている、
大小様々の色とりどりの瓶から少考後いくつかを手に取る。

そして手馴れた手つきで、使い込まれていそうな
銀色に煌めくシェイカーへとブレンドしていく。

('A`)「・・・・・・」
 
(`・ω・´)「ん?僕の顔に何か付いてるかい?」
 
席について以来、自分の顔をまじまじと見つめる少年に気付づき、  
マスターはシェーカーへ液体を注ぐ手を止め尋ねる。
  
('A`)「いや・・・ちょっと知り合いに似てたんで」

視線を下に落としながら少年は答える。

(`・ω・´)「まぁ、世の中には自分にそっくりな人が3人は居るみたいだからね。
      案外周りを見てみれば自分似てる人は居るものさ」

('A`)「でもまぁ・・・。
    そいつとマスターさんとは顔はそっくりだが、オーラが違うかな」

(`・ω・´)「オーラ?
      君のその知り合いの方はどんなオーラなんだい?」
      
(`・ω・´)「あ。あと、僕の事はマスターじゃなくシャキンって呼んでくれれば良いよ。
      ここではそれで揃えてるんだ」  
18以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:48:34.76 ID:aoQyhL6e0
('A`)「綺麗なグリーンですね。名前は?」  

カクテルを味わいながらドクオが尋ねる。

(`・ω・´)「オレンジグリーンだよ。
      女性向けの甘めカクテルだけどね。
      度数は抑え目だから後には引かないよと思うよ
      
('A`)「俺、甘党なんで・・・こいつ旨いですよ」

じっくりと味わいながらドクオはカクテルを眺める。

(`・ω・´)「ハーブにはリラックス効果もあるからね。
      夜明けまでゆっくりして行くと良い」

『こんな美しく旨い飲み物を、様々な材料から紡ぎ出していく・・・もはや芸術だな』
等と、ドクオが考えながら時は過ぎていった。
19以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:50:20.24 ID:aoQyhL6e0
ドクオがカクテルを半分程まで飲み終えると、シャキンが尋ねる

(`・ω・´)「ところで、ドクオ君は見たところ結構若い様に見えるが、
      何故その歳で旅なんてしてるんだい?」

人間は歳を重ねるごと、若者に対し野次馬根性が働くようになってくるものだ。
この質問は、シャキンが既に若者では無いことを表しているのだろう。 

('A`)「ん?俺は・・・神様に会いに向かってるんですよ」

ドクオの予想外のファンシーな回答に、シャキンがたじろぐ。

(;`・ω・´)「か・・・神様?
      君は神を信じているのかい?」

シャキンが驚くのも無理は無い。
今、ドクオ達が過ごしている『VIP大陸』は、機械と魔導・・・過去の栄華に支配された世界だ。

主要都市では絶えず蒸気が排出され、金属と金属がぶつかり合う音が響く。
自分達の生活を豊かにする為に機械の様に働き、日々新しい機器が開発される。

そんなこの世界に生きる人達には、神様なんて信じてる暇が無いのだろう。
何時からか『祈る』という言葉も無くなってしまった。   
20以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:52:17.27 ID:aoQyhL6e0
('A`)「まぁ、居るのか居ないのか確認したんです。知的好奇心って奴ですよ」          

(`・ω・´)「それはまた、随分と思い切った行動を取ったね」

(`・ω・´)「目的地は何処なんだい?」

('A`)「・・・聞きたいですか?」

(`・ω・´)「是が非でも」

('A`)「・・・・・・」

('A`)「霊峰カコログです」

―――霊峰カコログ

もはやこの大陸では、噂話程度でしか信じられて無いだろう。

過去の栄華が置き去りにされたと言われる場所。


(;`・ω・´)「・・・・・・」

('A`)「馬鹿にしますか?」
 
(;`・ω・´)「いやいや、雲を掴む様な話だったからね。
      スケールの大きさに圧倒されたんだよ」
21以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:53:34.37 ID:ECUhvJ8S0
期待

从゚∀从<さる回避アーッハッハッハ
22以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:53:43.12 ID:aoQyhL6e0
――――――
ここで一つ昔話をしよう。

150年前、世界が争った。

ニーソク大陸、VIP大陸、ラウンジ大陸、天国大陸、シベリア大陸 

5大陸魔導大戦として、今日に伝わっている。

人々は持てうる技術力を駆使し自分達が世界の頂点に立とうとした。

日々、相手を倒す為の魔道機械を作り出し、大陸全土が炎に包まれる。

が、戦火が大きくなるにつれ、世界で深刻なエネルギー不足が問題となった。

どんなに巨大な魔道兵器だろうが、エネルギーが無ければただの鉄塊。
  
各大陸では躍起になり新エネルギーの開発が行われた。

ここで、いち早くエネルギー問題を解消したのはラウンジ大陸。

それまでは、ウランを使用した原子力開発が主流だったが、

それに取って代わる発電方法が開発されたのだ。

発電方法自体はそのままだが、原料であるウランに特殊な処置を施すことにより

従来の何倍ものエネルギーを取り出すことに成功する。
 
その上放射線の放射量も減り、ラウンジ大陸各地でエネルギーが有り余る状態にまでなった。
23以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:55:06.61 ID:aoQyhL6e0
その後ラウンジの猛攻が始まり、他の4大陸は各様ダメージを負う。

そんな中、他の大陸に比べ傷が浅かったVIP大陸が、
ラウンジ大陸の新エネルギー精製方法を知り得る。

ここから、5大陸の中で魔導機械生産技術が最も高かったVIP大陸の巻き返しが始まった。

ラウンジ、VIPの二強大陸の猛攻により、
 
天国・ニーソク・シベリアの3大陸は戦争に参戦する自力さえ無くなった。       

ラウンジvsVIPの構図で、その後10年に及び魔導大戦は続く。

人々は疲弊し、度重なる攻防で地形まで変わる

『魔導大戦に終焉など無いのではないか?』

そんな考えが人々に浸透して行った・・・
24以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:57:38.14 ID:aoQyhL6e0
が、終焉は思わぬ形で突如迎えられる。

新エネルギーの精製方法を行っていた発電施設が、次々と原因不明の大爆発・・・

全国各地に発電所を配していたラウンジ、VIPは壊滅的な打撃を食らう。

空気中に放射能が広まり、人間にこそ害は無かったが、周りの動物達には影響を及ぼしていった。

その後、全ての国では戦争をする自力を奪われ・・・そのまま自然終戦。

太陽に近づき過ぎたイカロスが翼をもがれた様に、

神に近づき過ぎた人類もまた深手を負う。

150年の時を経た今でも、大戦前の文化には足元も及ばない水準なのが現状だ。

記録によれば、この大戦前後で世界の人口が2分の1に減少したとなっている。         
――――――
25以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 21:59:09.14 ID:aoQyhL6e0
(`・ω・´)「しかし何故、その若さでカコログなんて探しているんだい?」

(`・ω・´)「ドクオ君位の年頃なら、訓練学校で
       同年代の人達と競い合うのが普通じゃないのかい?」

(`・ω・´)「カコログが本当に存在すると思うのかい?」
          
同じ様なドクオの話を聞いた大方の人達が、一様に表す嘲りの様は無く、
シャキンの表情は真剣そのものである。

(;'A`)「そ・・・そんないっぺんに質問されても答えきれませんよ」

そしてしばらく間を置き、ドクオがシャキンの質問に答える。

('A`)「シャキンさんに似ている知り合いが居るって言いましたが」

(`・ω・´)「うん・・・」

('A`)「そいつをね・・・俺が殺したんですよ」

('A`)「その時あいつが言った最後の言葉が、
   『僕の分まで強く生きてくれ』 だったんです」
   
店内には、ドクオの声と壁掛け時計が時を刻む音だけが聞こえる。

('A`)「きっと志半ばで、未来を絶たれたのが悔しかったんでしょうね。
    まぁ、その夢を自分を殺した相手に託すのも変な話ですが」

('A`)「その後は、あいつのその言葉を実現する為。あいつの夢を叶える為。
    四六時中強くなる事だけを考えて過ごしました。」
26以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 22:01:12.10 ID:aoQyhL6e0
('A`)「そのお陰か、中級訓練学校の中では飛び抜けた実力を身につけましてね」

('A`)「そんな力を認められたのか、
    貧民街出身の俺に上級学校からお呼びが掛かりましてね。
    もう少しで・・・アイツの言葉を実現できる所まで行ったんですが」

―――上級学校
        
中級学校の中で選ばれた、ほんの一握りの者だけが進学できる学校。

ここへ進学できること即ち、
将来専攻した分野で上級の位置へ就けると同義語だろう。
 
しかし、上級学校の実状は、
権力者や金持ちの子供達に大多数の席を埋められて居る。

貧しい者や、後ろ盾が無い者には雲の上の世界だと言える場所だろう。
――――――――――――

('A`)「あともう少しだったんですがね」
27以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 22:02:03.50 ID:aoQyhL6e0
ドクオが物憂げに呟く。
 
('A`)「権力に全て奪われました」

('A`)「・・・」

('A`)「その時気付いたんです。
    俺一人の武力じゃ権力には勝てない。
かといって、後ろ盾も何も無い俺じゃ権力を得る術は無い」

('A`)「だから強くなるには、
    権力を超える武力を手に入れるしかないってね。
    カコログに行けばそれが叶う気がするんです。」
 
まるで自分に言い聞かせる様に、静かにドクオが言葉を重ねていった。
28以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 22:03:17.90 ID:aJg0KORm0
wktkが止まらない。
29以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 22:03:20.94 ID:aoQyhL6e0
(;`・ω・´)「もし・・・権力を超える武力とやらを得たら、
      ドクオ君はどうしたいんだい?」

そのシャキンの質問の後しばらくの間、店内には時計が時を刻む音だけが鳴る。

重苦しい空気の中ドクオが呟く。 

('A`)「それを手にした時点で、アイツの願いは叶えられたと思いますからね。
    あまり考えて無いですが・・・」 
    
('A`)「もしそれが叶うなら・・・・・・神様でも倒しましょうかね」

(;`・ω・´)「神?・・・倒す?」

('A`)「神様に勝てるなら、それに相応した力を
   持っているって事を証明できる訳でしょう?」 
      
筋が通るようで、矛盾している?
矛盾しているようで、筋が通る?

そんなドクオの話を聞きながら、シャキンが堰を切ったように話し出す。
30以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 22:04:03.74 ID:aoQyhL6e0
(;`・ω・´)「実はね・・・僕も若い頃、考古学者として
       大陸各地の5大陸魔導大戦前後の品を発掘、研究してたんだ」

(;`・ω・´)「今・・・この世界は、昔の栄華を取り戻そうと躍起になってるが、
       あの文明は人間の許容範囲を遥かに超えている」

(;`・ω・´)「発掘品の破片からですらも、テクノロジーの高さが解かる。
       魔導大戦時の文化は、人類に何時か必ず災いをもたらすだろう」

(;`・ω・´)「もし、完璧な状態の高度な魔導兵器が見つかれば・・・
      それとそれを扱う物は神となれるだろうね」
  
     『自分が世界を牛耳る支配者を生み出してしまうかもしれない』  

(;`・ω・´)「そんな思いが、日々押し寄せてきてね。
       ある日、とうとう僕は、怖くなって発掘研究施設から逃げ出したんだ。」
31以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 22:05:01.55 ID:aoQyhL6e0
(;`・ω・´)「・・・・・・」

(;`・ω・´)「神を作り出すような真似が・・・君にはできるのかい?
      そして君はそれを倒せると思っているのかい?」

(;`・ω・´)「カコログを探し当てるというのは、多分そういうことだよ?」        

シャキンはカウンターから前のめりになりドクオに詰め寄る。

('A`)「・・・」

('A`)「どんな犠牲を払うとしても、アイツとの約束を叶えたい。
    多分、俺が今生きてるのはその約束があるからですから」

('A`)「最後位は・・・自由に生きてみたいんですよ」
32以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 22:05:22.81 ID:g9dXpiwy0
支援させてくださいな
33以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 22:07:14.50 ID:aoQyhL6e0
(`・ω・´)「そうかい・・・」

ドクオの返答を聞き終えると、シャキンは暫し腕を組みながら考えむ。
そして一人で何度も頷きながら開口した。

(`・ω・´)「解かった!!
      誰かの夢を摘み取る権利は僕には無いからね。
      若い頃に、思いっきり無茶してみるのも良い思い出になるさ」

そこには先ほどまでの必死の形相は無く、元の温和なシャキンの表情があった。

(`・ω・´)「此処から北にある『ワクテカ都市』の『荒巻』って人を訪ねて見ると良い」
    
('A`)「その人がカコログについて何か?」

(`・ω・´)「少なくとも・・・この辺りではカコログについて、一番精通している人物だと思う。
      当ても無く探し歩くよりは良いと思うよ」

(`・ω・´)「ただし・・・自分のしていることへの
      自覚と覚悟だけは持ち続けて欲しい。
      これは君一人の問題じゃなくなるからね」

('A`)「はい・・・解かりました。
    どうもありがとうございます」
34以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 22:08:15.66 ID:aoQyhL6e0
若い頃にしか出来ない事は山ほど在る。
       
そして、それが出来なくなってから初めて、人はそれが出来ない事に気付くものだ。
         
もしかすると・・・シャキンは、
自分の果たせなかった夢をドクオへと託したのかもしれない。
           
(`・ω・´)「ん?空が明るんできたみたいだね。
       そろそろ出発の時間じゃないかな?」

時刻を確認するような素振りも見せず
シャキンが唐突に切り出す。

('A`)「え?ここ地下1階ですよ、なんで解かるんですか?」

(`・ω・´)「この店の閉店時間は空が明るくなった時間だからね。
      なーに、職業病って奴だよ。
      自慢じゃないが、これだけは外した事が無い」

('A`)「あーそうなんですか。
    どうも色々ありがとうございました」

ドクオは、閉店の時間が差し迫っていることを知ると、
グラスに残っていたカクテルを一気に飲み干した。
35以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 22:09:04.59 ID:aoQyhL6e0
(`・ω・´)「なーに、若いお客さんとこうして話せる機会なんて滅多に無いからね。
      僕も楽しかったよ。ありがとう」

二人は別れの挨拶を交わし、互いに頭を下げる。

('A`)「あ、ここ煙草置いてますか?」

席から腰を上げようとしたドクオが、思い出したように尋ねる。

(`・ω・´)「銘柄はないんだい?」

('A`) 「できればパーラメント。無ければ何でも良いですよ」 

(`・ω・´)「うーん・・・ちょっと待ってね」
  
シャキンは店の奥へと消えると、手に小箱を持ち、再び姿を見せる。

(`・ω・´)「すまない。3箱しかなかったが足りるかな?」

('A`)「十分ですよ。
    じゃ、カクテル代と煙草代ここに置いときますね」

(`・ω・´)「どうもありがとう。
      また何時でも来るといい」

('A`)「では、またいつか」

お互いが軽く手を振り終えるとドクオは扉を開け、
外の光へと吸い込まれた。       
36以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/09/04(月) 22:09:47.97 ID:aoQyhL6e0
('A`)「うぉ!!まぶし!!」

空から降り注ぐ光がドクオの両目を突く。
ドクオが空を見上げると、空は赤く色付き白んだ空と交わっていた。

ドクオは、再び天を仰ぎながら目を閉じる。

(-A-)「まってろよ・・もう直ぐ終わらせてやるからな」
 
誰に投げかけているのだろう・・・
その言葉は、ドクオの頬を撫でた朝の爽やかな風に乗り消えていった。

ドクオは、朝露を含んだ朝の空気を深呼吸し終えると、
目を開き両手で左右の頬を叩く。

('A`)「よっしゃ!!部屋戻って出発だ!!バッチコイ!!」
  
こうして、今日もドクオの旅が始まる。
37以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします
wktk