【愛は】ローゼンメイデンが普通の女の子だったら【永遠の夢】
>>903 「JUM、しっかりするの!癒しの光よ・・・ヒール!」
雛苺がJUMに近寄ってヒールで手当てをする。火傷を負ったJUMの傷がみるみる癒えていく。
「ありがとう、雛苺。てめぇ……よくもやってくれたな。」
JUMが盾と剣を構える。
「貴方がエルダー?だとしたら、目的は?ここはいきなり他人を攻撃していい場所でもないでしょう?」
「くくっ、これはこれは……正当防衛のつもりだがねぇ……先ほど君らが言ったではないか。
バフォメットの封印を解くならば止めると。それは力ずくでだろう?なら、私も力ずくで排するまで!」
エルダーが言う。それに呼応し、真紅が叫ぶ。
「貴方!バフォメットの封印を解く事がどんな事か分かっているの!?あれは悪魔よ?」
「分かってるさ……何せ私はバフォメット様の下僕だからな……長かったぞ。あの方の封印を解ける段階
までくるのにな…だが!あと少しで封印は解ける。貴様らに私の邪魔はさせんぞ!!出でよ、僕よ!」
膨大な魔力が吹き荒れる。同時に、地面からエルダーの召還したスケルトンが現れる。
「ちぃ!真紅、戦うしかないぞ!バフォメットの封印を解かれたら・・・この島は!」
「分かってるのだわ!覚悟なさい、エルダー!JUM、巴、雛苺!いくのだわ!」
真紅とJUMが複数のスケルトンとエルダーと対峙する。
「いくよ、ヒナ。何としてでも止めなきゃ……もう自分の無力さを感じるのは沢山……」
「うよーい。悪い奴はやっつけるのよー!」
巴が鞘からカタナを抜く。狭いケイブで居合いは不利と踏んだのか、スケルトンに向けてその刃を向ける。
同じように雛苺が杖を構えて、精神を集中させ大気中のマナを集める。
ここに話せる島の命運を賭けた戦いが始まった。
To be continued
905 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 20:29:48.70 ID:7sBGlKloO
リネージュktkrwwwwww
エルダーめ…続きwktk
906 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 20:34:17.83 ID:qIe9ieX30
| / _,. -ー ' ´ ̄` ー 、 \ /
ヽ l / / \ ヽ /
', {/ / / :l ` 、 ! / Rozen Maiden ローゼンメイデン本スレが 555スレ目達成祭りですぅ
ヽ 〉.:.: / / .:/.: l.:. ヽ l|/l
Y .:.:. /.: / .:./,イ ハ.:. ...:| :|:.:.:|
| |.:.:. l.:.:. // , イ.:.//:.:/ \.:.:| ...:|:.:.:|
http://anime.2ch.net/test/read.cgi/anime2/1156153915/ | |.:.:. |`'lメ∠_////__, -ー'ヾ:|: :|:.:.:l
|、ヽ.:.:ヽィi圷ミ ィi圷ヾ.:.:.:|::.::l みんなも記念カキコですぅ
| lヽ\| 弋r:シ 弋r:シ |.:.:.:ノ:.:.:.',
/.:| \ヽ;:::::::: , ::::::::::::ノ_/ |.:.:.:.:':、
/.:.:.l | 弋 ,. _ フl /.:.:.:.:.:.:ヽ
. /.:.:.:.:ヽ ヽ __ >、___ `_,.ィ< / /.:.:_.:.:.:.:',
/:./:`∧ | |` ̄ \ヾ/ノ ̄ ∨ {'´: : : : :\.:.\
/.:/: 、 : : ', | | __,r<_< ヽ,.__| |.: : : : : : : :l.:.:. ヽ
. /.:/: : : \: : } |.  ̄/ \ヾ) \ | L、 : : : : : :}.:.:.:.:.:\
/ .:.{ :\: : :.}: : ! ト、/ ヽ }〈// ヾ一'|/:-ー' : : :/.:.:.:.:.:.::. ヽ
/ .:.:.:.ヽ: :ヽ,: : :r十</ゝ ,.メノv ヽ入 <\_ : : : :/.:.:.:.:.:.:.:.:.:. ',
/ .:.:.:f\_〉.: : : :/ ヽ/ ̄Zソ |人| ( >_「´ヽノ } : :〈,.ヘ.:.:.:.:.:.:.:.:.:..|
907 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 20:44:21.02 ID:uoZ4o5/w0
>>892 ktkr ジュンシスコンすぎるwそしてベジータにはこれを
つ[インスタント梅岡]お湯かけ3分
>>904 ktkr 刀はいいよねぇw 続きが楽しみですw
908 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 20:57:50.68 ID:PiMDKN1vO
ほ
909 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 21:13:34.20 ID:7sBGlKloO
保守
910 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 21:17:15.90 ID:/c4Ouq5A0
( 嫌 生 人 こ
) だ .き .を れ
( お て .疑 以
) ! い .い 上
( く .な
) .の .が
( .は .ら
〜、_ _
`,〜〜〜´
____
/ \
/ _ノ ヽ、_ \
/ o゚⌒ ⌒゚o \
| (__人__) |
\ ` ⌒´ /
冫 ̄ ー、, -──  ̄ ̄`ー
,/´ ヽ
/ ヽ
,レ' ´ i l
/ , ,l l
。'i ! r',ヽ l l l
,、r;, i'゙ ! ヾ'-' l. l l
_,r'´、l.レ'、 '、 , '、 ,/ l ,.!v-、,_
l L.., } ! ハ、 , ‐' ヽ、 ノ /! /`,/_,l L,
l゙l ヘ」/ l. / `''┬ ' ´ `'ー----- '´ ,/ l / !:イ、_ノ l、
くヽニ/ /__,. -─‐'ー 、 ハ / ,! , ‐''! '`ヽ:<ノ ,l
`T゙ l ! ' ! .! ,f´ ! l | ゙T´
ヽ.__ ,/ l l l
>>340むかしの人が「酒と友達は古いほどよし」って言葉を残した人がいたんだ。だからその友達を大切にしてやれ。
911 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 21:17:58.59 ID:/c4Ouq5A0
ごめん描くところ間違えた吊ってくる
912 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 21:26:53.95 ID:L0f1n/GUO
ファンタジーキター。次は戦闘ですなwktkしてます。
913 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 21:39:01.95 ID:h4I010XFO
翠ドリーム
914 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 21:48:52.75 ID:9D70TT3Q0
保守
915 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 21:54:22.64 ID:vw8PBsYw0
やっと読み終わった〜。今日は大漁(大量?)
>>727 幼い日の約束を、ずっと憶えている人って、この世に何人いるんでしょうね。
ちょっと切なくなりました。
重なり合う二人の間にハートを入れたくなるのは人情でしょうか。
>>743、
>>892 自分の不注意から、妹を事故によって死に追いやってしまったジュン。
周囲に撒き散らす憎しみは、本当のところ、自己に向けられているのかも。
雪華綺晶との交流で、彼の意識は、どう変わっていくのでしょうね。
しかし、許し難い下衆だなベジータ。
>>754 ゆったりとした時間の流れを感じさせますね〜。いいなぁ。(*゚∀゚)=3
ちなみに、私は温泉で桶にポン酒を入れて『樽酒』ならぬ『桶酒』やりました。
まかり間違うと、生と死の境目を見られますよ。
>>774 その発想は無かったわぁ。
>>782 もみもみ・・・・・・。なんか興奮してきた。
>>785、
>>860 J×金のダジャレ天国(勝手に命名)面白いな。不思議と気分が和む。
ヘタすると寒いオヤジギャグだが、それがいい!
コテコテでもなく、寒いわけでもなく・・・絶妙なバランスなんだよなぁ。
916 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 21:55:48.53 ID:vw8PBsYw0
おいおい、1レスじゃ書き切れないですよ。
>>802 ヤバイ! 七不思議おもしれー!!
矢部と石原の掛け合いも、いい味だしてる〜。
これからの急展開に、期待せずには居られませんって!
>>844 もうね、NGワードとタイトルで、元ネタ解りましたよ。
私も読みました。上遠野浩平の作品はブギーポップから全部ね。
しかし、読んでいて違和感が全くない。ローゼンメイデンと見事に融合してますよ。
GJです。楽しませて貰いましたっ!
>>871 ここまで行くとJUMに同情せざるを得ない。ナモナモ・・・
>>877 何匹うなぎ食わせたんだかぁ・・。
>>880 ベジだめじゃん。やっぱ、こうなるのねー。
>>887 死んだ筈だよ薔薇水晶っ!? ・・・って、割り込みですかい。ちょっとビビッた。
>>904 剣と魔法の織りなす世界。これぞ正統派ファンタジーですね。
これから、どれだけ熾烈な闘いが待ち受けているのか・・・・wktkです。
917 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 22:08:48.35 ID:mnp+zSQ90
保守
918 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 22:26:52.00 ID:nZgT5wJwO
ほ
919 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 22:27:05.93 ID:Opcdghs50
>>887 お取り込み中wwwwwwwwwwwwwwww
>>897 ベジヌッコロス
ジュンは過去と決別かとできるのかな・・・
それはそうとお嬢様なきらきーに萌えた
>>904 悪魔バフォメット・・・いったいどんな戦いが繰り広げられるのか
続きwktk
おしまいのはなしをしよう。それは、遠い昔の、未来の話。
1と0の違いを考える。在るか、無いか。存在しえる話は既に意味をなくし、存在し得ない話など、そもそも意味などない。
なら、1と、0は。そして、∞は。どこに向かい、どこに発散し、そしてどこに収束するのか。
因果の輪は永劫に回る。くるくるくるくる。ロンド。輪廻の、輪。
誰かはそれから逃れたくて、それを壊そうとして。そして絶望した。
……ああ、だから、自覚せよ。君たちの世界は、希望に満ち溢れている。
希望しかない、絶望の世界。絶望しかない、希望の世界。1と0。どちらも、たいして変わりは無く。
故に、夢は、未だ、覚めず――
∽
「朝だ」
普通の女の子は思った。空は広い。どこまでも続く、蒼空。
「……どうか、世界が幸せであるように」
それは、愛の夢。永遠の、愛の夢。決して目覚めることのない、愛の、夢。
∽
「忘れ物はありませんか?」
921 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 22:43:21.81 ID:7sBGlKloO
1と0と…なんだか不思議な話だ
922 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 22:50:19.33 ID:KZf1GqeJO
デモンベインの最初を思い出した
924 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:03:42.97 ID:7sBGlKloO
保守
925 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:14:37.84 ID:7sBGlKloO
保守
926 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:21:38.05 ID:vw8PBsYw0
>>920 『1』 と 『0』 というと、どうしてもディジタル的に考えてしまうのは悪い癖ですね。
理詰めでは計り知れない深遠も在る・・・・・・。
暫しの間、考えさせられました。
927 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:25:06.08 ID:vw8PBsYw0
ここで流れ度外視して、おバカな話を、ひとつ。
翠×雛の『マターリ歳時記』
―文月の頃 その3― 【7月20日 夏の土用入り】
いよいよ、待ちに待った夏休みが目前と迫ってきた、7月下旬の晴れた日。
多くの大学では、この時期に前期日程の期末試験が行われる。
講義の履修状況によっては、日に三つ四つと試験を受ける羽目になるのだが、
四年次ともなると必修科目も殆どなくなり、その数はグンと減る。
翠星石と雛苺も、十教科くらいしか履修しておらず、しかも、
その内の幾つかはレポート提出で単位が貰える講義だったから気楽なものだ。
今週の火曜日から試験が始まり、既に三教科を済ませているので、
今後のスケジュールは一日に一教科のペースとなっていた。
「お待たせ。遅くなって、すまねぇですぅ」
午前中の試験終了後、やや息を切らせ気味に学食へと駆け込んできた翠星石は、
既に顔を揃えていた親友に、片手をあげて挨拶した。
向かい合わせに座った翠星石に、雛苺は水を汲んだコップを差し出しながら、にこやかに訊ねた。
「随分と遅かったのねー。何か、急用でもあったの?」
「来る途中、みっちゃんに捕まって、長話に付き合わされたですよ」
「うよ……災難だったのね」
「気軽に、過去形に出来れば良いですけどね」
なにやら意味深長な翠星石の口振りに、雛苺が「?」マークを頭の上に浮かべて、
小首を傾げた。まるで、まだ災難は終わっていないとでも言いたげだ。
928 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:25:52.50 ID:vw8PBsYw0
>>927 雛苺が説明を求める前に、彼女の態度でそれと察したらしく、
コップの水を一息に呷った翠星石は、ノートで顔を扇ぎながら語り始めた。
「どこで聞きつけたんだか、夏休みの旅行の予定を訊いてきたですよ」
「……それで、どうだったの?」
「なし崩し的に参加することが決定したです。
ホントに、誰がペラペラと喋りやがったですかねぇ」
「…………」
一瞬の、気まずい沈黙。探るように、じっとりと雛苺を見つめる翠星石。
雛苺は引き攣った笑みを顔に張り付かせたまま、全ての動きを止めてしまった。
彼女の行動が意味するところは――
「やっぱり、おバカ苺が喋りやがったですね?」
「ごめんなさいなの。つい、口が滑ったのよー」
「……まあ、しゃーねぇです。それに、デメリットばかりでも、ねぇですからね。
みっちゃんも、車を出してくれるって話です」
予定では、参加人数に比して車の台数が確保できない問題があったため、
公共の交通手段で移動する事になっていたのだ。
その為、出費の中でも交通費の占める割合が、大きくなっていた。
無論、車の場合でもガソリン代が必要となるが、頭割りで換算すれば、
列車を使うより安上がりである。時間に縛られないという利点もある。
長時間のドライブで疲れる事さえ我慢すれば、予算的に得な方だろう。
「旅行の件は、蒼星石が帰ってきて、出発日が近付いたら話を纏めるとして……。
まずは昼食にするですよ。一科目だけとは言え、アタマ使ったら腹減ったですぅ」
「ういー!」
929 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:27:29.42 ID:vw8PBsYw0
>>928 今日は土用入り。丑の日は三日後なのだが、鰻の蒲焼きを宣伝する幟が、あちこちで風に翻っている。
気温が30度を超す中、暑気対策と称して激辛カレーを平らげた二人は、
汗を拭き拭き、帰宅途中に駅前の商店街を歩いていた。
珍しく、雛苺の方から誘ってきたのだ。なんでも、画材を買いたいとか……。
あまり芸術に興味のない翠星石にしてみれば、
雛苺が画材を買っている様子を隣で眺めているのは、面白みに欠けた。
なにか退屈しのぎになるモノを探して、きょろきょろしていると、
少し先に、並んで歩く水銀燈と真紅のサッパリした夏服姿が――
これ幸いと、翠星石は彼女たちに旅行の件で話をしてくると、雛苺に告げた。
雛苺としても、翠星石を付き合わせることに気が引けていたのだろう。
「じゃあ、ヒナは買い物してくるから、何処かで待ち合わせするの」
「私のケータイに電話してくれりゃいーですよ。それじゃ、また後で」
手を振り合って一時的に別行動に移ると、翠星石は真紅たちの元へ小走りに近寄った。
どうやら、彼女たちもショッピングの途中らしい。
「銀ちゃん、真紅〜、何を買ってやがるです?」
「あら、翠星石。こんな所で会うなんて、奇遇ね」
「今日は、真紅の旅行鞄を選ぶのに、付き合ってあげてるワケぇ」
今度の旅行に使う鞄だろうか?
しかし、彼女たちが見繕っているのは、どうみてもスーツケース。
海辺の温泉宿に持って行くにしては、大きすぎる。
翠星石が怪訝な表情を浮かべるのを見て、水銀燈は笑いながら、彼女に用途を教えた。
930 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:29:00.39 ID:vw8PBsYw0
>>929 「実はねぇ、真紅が就職内定もらったからぁ、お祝いに、カナダへ旅行するのよぅ」
「カナダですか。もしかして、オカナガン湖にオゴポゴを探しに行くです?」
「なによ、それぇ。オカナガンって、ブリティッシュコロンビア州でしょぉ?
私たちが行くのは、アルバータ州のカルガリーよぅ」
水銀燈の話によると、カルガリーまで飛行機で飛び、カナディアンロッキーや、
ジャスパー国立公園、バンフ国立公園を巡る予定らしい。
自然が豊かで、眺望も素晴らしい、世界的にも有名な観光地だ。
ここで一旦、水銀燈は話を区切って肩越しに振り返り、真紅の様子を窺った。
真紅は店員に説明を受けたりしていて、水銀燈と翠星石には注意を払っていない。
水銀燈は、鬼の居ぬ間に――とばかりに、コソコソっと翠星石に耳打ちした。
「なぁんて言うのは、表向きの理由よぉ。本当の目的はねぇ、カルガリーの西、
バンフの南に位置するアシニボイン山に登ることなのよぅ」
「あ、足に……ボイン?」
「アシニボイン山よ。標高3618mもあるんですってぇ。富士山なみよねぇ」
「……ははぁん、読めたですぅ。大方、銀ちゃんが調子に乗って、
『インディアンの伝説で、この山に登るとボインになれる』
とでも言ったですね。そんなウソを、真紅が真に受けたってトコですか?」
「そうなのよぅ。でも、良く分かったわねぇ」
「銀ちゃんの考えそうなことぐらい、察しがつくですぅ」
水銀燈は、素直に驚きの表情を見せたが、それも一時のこと。
すぐに、ニンマリと笑って、翠星石の肩に腕を回した。
「私たちって、意外に気が合うわねぇ。前世では、姉妹だったりしてぇ」
「それも、どーんと七人姉妹だったかも知れねぇですぅ」
「ふぅん? 面白いわね、それ。でもぉ、何人姉妹でも、やっぱり長女は私よねぇ♪」
「あるあるwwwですぅ。次女は、しっかり者の秀才と見せかけて、実はドジっ娘とかですね」
931 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:30:10.72 ID:vw8PBsYw0
>>930 「なにげに有り得そうだわぁ。だったら、三女は、どんなタイプぅ?」
「そりゃあモチロン、私みてぇな才色兼備のキャラですぅ。
四女は、寂しがりのクセに他人と打ち解けるのが苦手って、不器用なヤツですね。
五女くらいになると、生意気で高飛車なタイプが出てくるです」
「幾つか疑問点はあるけど、まあ……ありがちな設定かしらぁ。
そうなると――六女は、みんなのマスコット的な存在ぃ?」
「……と思わせておいて、実はエグいキャラだったりするですぅ。
で、七女ともなると、居るのか居ないのか分からねぇ、空気みたいなヤツになるですよ」
「あはははっ! 居るわねぇ、そういう存在感の薄い、お地蔵さんみたいなキャラ」
――その頃の雪華綺晶と、薔薇水晶。
「くちゅん! くちゅん! 嫌ですわ……風邪でしょうか」
「お姉ちゃん。くしゃみ二回だと、誰かに誹られてるんだよ?」
「え? 私、悪口を言われるような振る舞いなんて、してませんわ」
「……じゃあ、夏風邪。夏風邪はバカがひく」
「…………薔薇しぃちゃん、一週間のシュー禁ですわ」
「なにそれ?」
「シューマイ食べちゃダメ。食卓にも出させませんからね。
もし買い食いなんかしたら……うふふふ。解ってますわよね?」
「うぁ〜ん。お父さまぁ。お姉ちゃんがイジメるよぅ」
――そして、また水銀燈と翠星石。
「あら、真紅の買い物も終わったみたいねぇ」
「タイミングいいですね。私の方にも、雛苺から電話が掛かってきたですぅ」
932 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:31:53.90 ID:vw8PBsYw0
>>931 翠星石は携帯電話を取り出して、まだ水銀燈たちと一緒に居るところだと伝えた。
すると、雛苺が猛烈に水銀燈に会いたがったので、『これからお茶でもどう?』
という流れとなった。
高校時代から、雛苺は実の姉妹かと思えるほど、水銀燈にベッタリなところがある。
なぜ、そこまで懐いているのかは定かでないが、多分、どこかウマが合うのだろう。
袖振り合うも他生の縁……というやつかも知れない。
それが、違う大学に通うようになって、めっきり会う機会が減ってしまったので、
雛苺も寂しさを募らせていたのだろう。
五分と経たずに、雛苺は待っていた三人の元に駆け込んできた。
正確には、笑顔を輝かせながら両腕を広げて待つ、水銀燈の元へ――
「ヒナちゃぁーん。久しぶりねぇ」
「銀ちゃーんっ! ひっさしぶりなのーっ!!」
嬉々として飛び付いて行く様は、まさに飼い主にじゃれつく子犬状態。
真紅も、翠星石も、やれやれと肩を竦めて苦笑った。
――が、次に瞬間、その笑みは驚愕に凍り付く。
ズゴンッ!
「あぐぅっ!」
あまりに勢い良く抱き付いた為、雛苺の頭突きが水銀燈の顎にクリティカルヒット。
しかも、明らかに故意と解る右膝が、水銀燈の鳩尾にメリ込んでいた。
真紅と翠星石の頭から、音を立てて血が退いていった。
933 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:32:59.64 ID:vw8PBsYw0
>>932 「う、うよ〜。銀ちゃん、大丈夫なのー?」
しおらしく誤りながらも、雛苺は水銀燈の耳元で、ぼそりと……。
「真紅とばっかり仲良くしてちゃ、めー、なのよぉ?」
囁いて、微かに口の端を歪めた。先手を取られた挙げ句、文句を言う前に凄まれては、
流石の水銀燈といえども気勢を殺がれてしまった。
「銀ちゃん、お返事は?」
「…………はぁい」
「よく出来ましたなのっ。今度は、いっぱいヒナと遊んでなの」
「まったく……敵わないわねぇ。痛たたぁ」
「うふふっ。銀ちゃん、だぁい好きぃ〜」
全く悪びれた素振りも見せず、ニコニコと水銀燈に抱きつく雛苺。
水銀燈も、いつもみたいに激情を炸裂させたりせず、彼女の気の済むようにさせている。
そんな二人の様子を、少し離れた場所から眺めていた真紅と翠星石は――
「実は、雛苺こそ最恐最悪の存在に思えてきたですぅ」
「貴女と意見が合うのも、珍しいわね。私も、同感なのだわ」
「真紅……そのスーツケース、雛苺くらいなら押し込めれば入るんじゃねぇですか?」
「多分ね。まさか、カナダに捨ててこい、と? そんな事、出来っこな――」
「悪い話じゃねぇですよ? よぉーく考えてみるです。
雛苺が居なくなれば、次回から第2部、紅×翠の『マターリ歳時記』が始まるですぅ」
「……………………おいしい話ね、それ。ホントに殺っちゃうわよ、私」
夏休みが待ち遠しくて――――みんなの心は、ちょっとだけ暴走気味だったとさ。
934 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:35:15.99 ID:vw8PBsYw0
『保守がわり番外編 ヒロインになるもんっ』
紅「・・・・・・はふぅ」
翠「? どーしたです、真紅。大きな溜息なんか吐いて、変なヤツですぅ」
銀「優雅に午後のティータイムを楽しんでる時に、無粋な真似をするわねぇ。
真紅の物憂げな顔って、とぉってもブサイクだから見たくないわぁ」
紅「貴女たちって、いっつも一言、多いのだわ。まあ・・・今更だけれど」
銀「・・・・・・それ・・・だけぇ?」
翠「いつもなら即座に拳が飛んでくるのに・・・・・・やっぱり、今日の真紅はおかしいですっ!」
銀「よほど深刻な悩みを抱えてるみたいねぇ。私たちで良ければ相談に乗るわよ、真紅ぅ」
紅「じゃあ・・・ちょっとだけ、話を聞いてもらおうかしらね」
翠「ふむふむ。つまり、他の娘と比べると、真紅の影が薄いように思えて仕方ない・・・と」
紅「同人誌なんかを見ても、水銀燈や翠星石、蒼星石の人気は高いのに、私の扱いは――」
銀「そぅお? 同人では銀紅ネタも多いわよぉ?」
紅「あれじゃ満足できないのだわっ! どう見ても、水銀燈の付け足しよ。
私はカレーに添えられた福神漬けじゃないのだわっ!!」
翠「気難しいお年頃ですね。つまり、私や蒼星石、銀ちゃんに匹敵するヒロインになりたいです?」
銀「それなら、なんと言っても悲劇のヒロインに限るわよねぇ。同情票って凄いんだからぁ」
紅「悲劇の・・・・・・ヒロイン?」
翠「銀ちゃんも、私と蒼星石も、薔薇しぃも、悲劇のヒロインを演じて人気が出たですぅ」
紅「・・・試す価値はありそうね。ありがとう、二人とも。悲劇のヒロインに、私はなるっ!」
――数日後のニュースにて。
【アイルランドのダブリンから約50km北を流れるボイン川で、日本人旅行者の真紅さん(22)が
投身自殺を図る事件がありました。本人は無事救助されたとの事ですが、動機は不明――】
翠「真紅・・・お前こそ真の、悲劇のヒロインですぅ」。゚(゚´Д`゚)゚。
銀「ボイン川だなんて、必死すぎて哀愁を誘うわよぅ・・・真紅ぅ」・゚・(つД`)・゚・.
・・・実在する川なんです。(
>>933の『誤り』は『謝り』ですね。駄洒落のような誤字でした)orz
935 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:38:21.31 ID:/KkF0FQDO
>>933 アシニボインwwwwwバロスwwwwww
シュー禁・・・ばらしーカワイソス
紅×翠のマターリ・・・それはそれでうわなにする雛やm
>>934 全米が泣いた
936 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:39:43.54 ID:Opcdghs50
>>933 アシニボイン吹いたw
真紅、そこまでした・・・( ;∀;)
そして雛KOEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE!!
みんなはっちゃっけ過ぎwww
そしてボイン川wwwwwww実在するのかwwwwwwwwwwwww
937 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:42:05.38 ID:7sBGlKloO
>>934 皆暴走しすぎw
翠銀のサドコンビですね、ぜひ真紅じゃなくて俺を(ry
ボイン実在なんだ…w
まさしく悲劇のヒロインwww
938 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:50:36.88 ID:PiMDKN1vO
939 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:52:04.88 ID:PiMDKN1vO
安価ミスorz
940 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/21(月) 23:59:13.21 ID:9D70TT3Q0
日付が変わる前に保守
941 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/22(火) 00:02:54.64 ID:/e90hJh50
日付が変わった後で保守
942 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/22(火) 00:13:48.39 ID:ji0Y6As6O
ほし
943 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/22(火) 00:14:06.36 ID:7zwWWF6tO
保守
944 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/22(火) 00:17:14.08 ID:meVR8r1D0
保守代わりに投下
JUMと妹にくりそつキラキー(仮称)の続きです。
タイトルは最後に明かす予定なので…今は仮称で我慢して下さい。
今回のサブタイトルは『甘やかな苦しみの果実』です。
945 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/22(火) 00:19:37.42 ID:meVR8r1D0
>>944 夢…それは人が見るもの。故に果敢なく美しく歪んだ世界。
現…それは人が生きる場所。故に力強く醜くい箱庭の世界でしかない。
誰かが僕の名前を呼んでいる。その声は懐かしいようなそうでもないような…。
五月蝿い、五月蝿い、五月蝿い、うるさい、うるさい、ウルサい、ウルサい、ウルサイ…
このまま眠っていたい…眠って叶うことならばもはや得ることのできない君と永久に生きる夢を………。
偽りの世界は一体どちら?
朝、学校にはジュンの姿はなくその隣に座っている雪華綺晶の瞳は主のいない机に向けられていた。
ジュンが学校に来なくなってから4日は経つ。本当に消えるつもりなのだろうか?
何故かジュンのことを放っておけない雪華綺晶は決意を胸に学校を後にした。
946 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/22(火) 00:20:32.62 ID:meVR8r1D0
>>945 自宅でジュンはただただ虚ろな目で薔薇水晶と並んで写っている写真を眺めていた。
どうしてあの時に死んだのは僕じゃないんだ?どうして薔薇水晶なんだ?どうして…どうして…どうして…。
分からない。世の中には死んでも構わない屑で溢れかえっている。もしも何人かの人を殺せば薔薇水晶が帰って来ると言われれば僕は幾らでも人を殺せる。
けれどもそれすらも意味はない。もう僕が薔薇水晶にしてあげれることなんて何もない。
ただ…彼女を想い、もはやこの世に存在しない、それでも僕の中で存在し続ける最愛の人を一人にしないこと、忘れないことだけ。
それがとてももどかしくて…何も出来ない自分がとても憎らしい。
せめてと彼女の面影を持った少女を守ろうとするが…これはただの裏切りじゃないのか?
そうだ、僕の中にいる薔薇水晶こそが…彼女だけが…彼女でしかない。他の彼女はただの虚像。何の重みもない軽いただの埃…。
突然この思考は途切れさせられる。家のインターホンが鳴ったからだ。両親は共働きで夕方ぐらいにならないと帰らない。
仕方ないので僕が出た。
「はい?」
「私です…雪華綺晶です。」
「…帰ってくれ。」
「帰れと申されましても…もう中に入っちゃってますし。」
悪戯な笑みを浮かべた彼女が僕の背後に立っていた。一体何時の間に侵入して来たんだ!?
947 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/22(火) 00:21:26.00 ID:meVR8r1D0
>>946 「一体何しに来たんだ…。」
「気が付けば…まだ貴方にまともなお礼もしていないと思いまして。だって貴方ったらまともに聞いてくれないんですもの。」
「言った筈だぞ。もう僕の目の前には現れるなって…」
「そんなに妹さんのことを愛しているのですか?」
雪華綺晶の左目が僕を見据えた。薄暗い玄関の中のそれは一条の光のようだった。ただ、僕にはその光は眩しすぎる…。まともに直視できなかった。
暫くして僕の口は自然と開いていた。
「ああ、失って初めて気付いた。僕にとって薔薇水晶は何にも代え難い、唯一の存在だって…。」
そして自然と僕の手は雪華綺晶のか細い、白い果敢ない、焦がれるほど美しい首に手をかけていた。
「お前がいると邪魔なんだ。僕の中の唯一の存在が…薔薇水晶が霞んでしまう。消えてしまう!
お前さえ…お前さえいなければ僕の中で薔薇水晶は永遠に生き続けられるんだ!!
だから………ッ」
手に力を込める、指の一本一本がまるで埋もれて行くかのように柔らかい白い肌をした首を締め付けていた。
948 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/22(火) 00:22:17.29 ID:meVR8r1D0
>>947 雪華綺晶には抵抗する様子はなくただ僕のことをその瞳に宿る光が射抜いていた。
「あの時の『僕の前に現れるな』は忠告じゃない。警告だ!警告してやったのに…僕の前にのこのことやって来るからこうなるんだ!!」
壊れたスピーカーのように僕の声が大きくなっていくのがわかる。体の奥底から湧き上がる衝動が躍動に変わっていくのがわかる。
そうだ、いっそのこと…僕も壊れてしまえば、壊れて世界が見えなくなってしまえばずっと、ずっと、ずっと薔薇水晶と生きていられる。
雪華綺晶は自分の首にかけられているジュンの手に自分の手を重ねる。それはジュンの手を引き剥がそうとしているのではなく、まるで労わるように優しく重ねていた。
そして彼女は微笑んだ。壊れていく人形(ギニョル)に向けてただ微笑みかけていた。
その微笑が…壊れた人形の中にいる大事な人の無邪気な笑顔と、ちょうど自分達の手ように重なる。
思わずジュンは雪華綺晶の首から手を離した。雪華綺晶は首を絞められていたためにその場に座り込んでしまう。
「どうして………どうしてアンタはそうやって僕のことを笑うんだ!?可笑しいか!?もう誰も忘れていることをずっと引きずって、お前を殺そうとしてる僕が…可笑しいのか!?哀れだと思ってるのかよ!!」
「黙りなさい!!」
今まで聞いたことのない雪華綺晶の毅然とした、凛とした叱責に思わずジュンは叱られた子供のように黙り込んでしまう。
雪華綺晶の瞳の光は更に増したようにジュンには見えていた。
949 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/22(火) 00:23:26.39 ID:meVR8r1D0
>>948 「誰も貴方のことを哀れだなんて思いません。哀れなのは…妹さんのほうですわ。
貴方はただそうやって被害者面してればいい…大事な、大事な妹さんの虚像に縋りついていればいい。
けれども…貴方は貴方の中の妹さんしか見ていない!本当の妹さんを見ていない!
思い出に浸るのは…確かに気分はいいのかもしれませんわ。けれどもそれに捕らわれては何時か自分も思い出も殺してしまう。
貴方はもう空っぽです…。空っぽなのに虚ろな虚像でその中身を満たそうとしても意味がない…。
そんなのただ辛いだけですわよ!!」
「だ、黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、黙れぇぇぇぇぇえええええええええええええ!!
本当の薔薇水晶を見ていない?僕の中にいる薔薇水晶が本当の薔薇水晶だ!お前の言うような虚ろな偶像じゃない。
虚ろな偶像だったら………今まで、ずっとそれに縋りついていた僕は………僕は、僕はぁぁぁあああああああああ!!」
僕の中の薔薇水晶が脆くも崩れ去って行く。理想の妹という偶像は、思い出という幻想の天に届く塔が全部、全部壊れていく…。
950 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/22(火) 00:24:08.28 ID:Ifq+CoOo0
951 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/22(火) 00:24:12.80 ID:meVR8r1D0
>>949 「思い出して下さい。貴方の本当の妹さんは…どんな子だったのかを。貴方が大好きな妹さんは貴方がこんな一人で苦しむことを望む子だったのですか?
今の貴方を見て喜ぶような子だったのですか?
忘れることなんてしなくてもいいんです。ただ、失ってしまったものはもう帰らないのですから…何時までもそんな妄執に飲み込まれたままではいけません。
貴方は今を精一杯生きて下さい。貴方の中に新しく生まれた妹さんと一緒に………。」
瓦礫だけの世界に一条の光が差し込む。とても温かくて、揺り篭のように居心地のいい…。そして僕の中に新たな世界が生まれた。
空っぽだった僕の世界に、『過去』しかなかった僕の世界に『今』という世界が生まれその中に白い、白いあの子がいた。
うなだれている僕を雪華綺晶は優しく抱き締め子供をあやすように背中を撫で続けていた。撫でられる度に胸の中にあるドロドロとした何かが昇華されて行く。
堕落の女神のような微笑を彼女は浮かべ滴る僕の涙を純白のハンカチで拭い去る。
「…カッコ悪いところ見せたな………。」
「いいえ、涙は全てを洗い流してくれます。だから泣いていいんですよ。貴方は…今は泣いていいんです。」
最後に築き上げた壁を取っ払われた僕は赤子のように雪華綺晶の胸の中で泣き崩れていた。涙が全てを洗い流してくれるのを信じて。今はこの満たされた気持ちを信じて。
952 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/08/22(火) 00:25:07.20 ID:meVR8r1D0
>>951 妄想、それは人が一度は見る己の欲望の叶った世界の姿。
厳実、それは人が何度も見る己の欲望が打ち砕かれた夢の末期の姿。
人が生きるべきは一体どちら?人が一番人らしく生きられる、満たされた姿になれる世界はどちら?
空っぽになったその胸を慰めれるのは………いったいどこ?
今はもうどうでもいい、ただ今はこの甘くて苦しみを伴う果実を齧っていたい
953 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
投下終了です。
今回はやり過ぎた感もある気がします。
とりあえずJUMとキラキーはやっと心と心で触れ合えたということになります。
もう少しだけお話は続くのでお付き合い頂ければ…。