1 :
ミミ to I eva ほせんとわ ◆8VM5xLK5jw :
ひとつ、願いがかなうなら――私は何を望む?
向かい来る3000の敵、こちらにある手勢はわずかに600弱。
誰もが敗北を――死を意識しているであろう。
私すらもそうだ。
指揮官たるがこうであってはならないのであろうが――いや、すべてを計算しつくす知略家であることこそが望ましいのか?
なんにせよ、我々の敗北は決まったのだ。
敵軍の号令が発せられれば、この砦が落ちるまでいくばくもないであろう。
2 :
ワンコ星人 ◆DqQX6/Dldc :2006/06/23(金) 01:40:39.10 ID:eL7hdDLR0
支援
3 :
ミミ to I eva ほせんとわ ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 01:41:04.80 ID:857NRnDP0
――今しかあるまい……。
振り返るとそこにはたくさんの兵たち。
全員が、命を惜しまずに私の掲げる理想についてきてくれたものたちだ。
そらで全員の名前だって言える。
彼らの食事の好みだって分かる。
……これまでの戦いに散ったものたちも含めて、だ。
血は、十分すぎるほどに流れた。
私「皆、よくよく私についてきてくれた! 礼を言いたい!」
私の声が走ると、居並ぶものたちはいっせいに姿勢を正した。
私「傲慢なる王に民を知らせるだけでなく、多くの民衆が我らを見てくれた! ――示すことは出来たはずだ!」
しん、と静まり返る大広間。
全員が居るわけではないが、それでも100は下らぬ大勢の仲間たちがそこには居る。
その誰もが口を閉じ、動きを止めた。
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/06/23(金) 01:41:06.81 ID:IA3dIO6f0
5 :
ミミ to I eva ほせんとわ ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 01:41:38.32 ID:857NRnDP0
私「今この状況は、最悪のそれでしかない! 切り抜ける策はひとつとしてない!」
――ありがとう。
ついてきてくれて。
私「敵勢は我らの数倍の数、戦力比ならば25倍に相当する! つまり、待ち受けるものは『死』のみである!」
――ありがとう。
同じ理想を抱いてくれて。
私「皆がここで死することは、すべて無為である! よって、ここで君たちに――」
――ありがとう。
信じてくれて。
私「礼を言うと共に、解散を命じる」
なんとなくsage
怒号が起きた。
ああ、うらんでくれ。
好きなだけ、ののしってくれ。
それで、少しでも気が晴れるならば。
それで、君たちが生き残ってくれるのであれば。
「ふざけるな!」「馬鹿にするな!」「冗談はやめてくれ!」
私「すまなかった! 私がわびて納得がいくのなら、いや、首を取って敵に差し出して命乞いをしても――」
グシッ
殴られた。
ほおを、思いきりよく。
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/06/23(金) 01:43:34.63 ID:eL7hdDLR0
9 :
ミミ to I eva ほせんとわ ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 01:43:35.91 ID:857NRnDP0
私「副官……」
最も信頼を置き、最も多く助けてくれた彼すらも――いや、当然だ。
むしろ、そうであるから憎悪はより大きいのかもしれない。
私「すまなかっ――」
副「俺が、あなたの副官をつとめるようになって半年ほどですね」
私の言葉をさえぎるようにして、彼は口を開く。
副「元はと言えば、小さくとも領を持つお人だったあなたに――正直、最初は『お坊ちゃんの道楽か?』と思ってもいました」
私「……」
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/06/23(金) 01:44:11.36 ID:eL7hdDLR0
11 :
ミミ to I eva ほせんとわ ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 01:44:15.93 ID:857NRnDP0
私「すまなかっ――」
副「俺が、あなたの副官をつとめるようになって半年ほどですね」
私の言葉をさえぎるようにして、彼は口を開く。
副「元はと言えば、小さくとも領を持つお人だったあなたに――正直、最初は『お坊ちゃんの道楽か?』と思ってもいました」
私「……」
副「でも、そうじゃなかった。あなたは、誰よりも立派だった。信念を曲げず、でも、俺たち民を思う人間だった」
いつの間にか、他の皆の声はやんでいた。
副「俺は見たくなった。あなたが夢見て描いた新世界を。俺は知りたくなった。あなたと共に創る新時代を」
私「……」
副「――あなたは、いや、あんたは死ぬな。俺がぜってぇに守る! 守れないなら、今すぐ逃げろ! そして、もう一度挑戦してくれ!!!」
彼は、視線を皆へと向け――
副「野郎共! 敵をぶっ潰すぞ!!! コイツを逃がす時間稼ぎだ! 新世界のために、1秒もたせて死にやがれ!!!!!」
全員「「「把握した!!!!!!!!!!!!」」」
12 :
ミミ to I eva ほせんとわ ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 01:45:45.45 ID:857NRnDP0
私「違う!!! 私は君たちに死んでほしくないんだ!!!!! やめてくれ、私一人で十分なんだ!!!!!!!」
副「そいつぁきけねぇ話だな。俺らが望むのは、あんただけだ! 『願い事』は神様にでもやってくんな!」
あ、あ、ああ、ああああああああああ。
なんと言うことだ。
私一人が死ねば済むことなのに。
これでは全員を殺してしまう。
私「やめろ、やめろやめろ、やめてくれ!!!!! なんで聞いてくれないんだ!? め、命令だぞ!?」
13 :
ミミ to I eva ほせんとわ ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 01:46:37.24 ID:857NRnDP0
副「はっはっは、残念ながら、俺らは解散して――新しく結成された『人民解放軍パート2♪』なんで、あんたの命令はきけませんなぁ♪」
私「そんな……そんな……」
がくりとひざをつく。
副「おい! 『コイツ』を『俺たちの砦』から捨てて来い! ――出来るだけ、遠くて安全なところにしろよ♪」
兵「「ははっ! 把握しました!」」
じりじりと近づいてくる彼ら――
私「や、やめろ、やめてくれ。わ、私は――君たちのために死ななければならないんだあああああああ」
兵「んじゃ、悪いけれど運ばせてもらうわ」
暴れようとも、私の何倍も鍛え上げられた兵士の腕はピクリとも動かない。
副「すまんなぁ。でも、あんたに今任せられるのは、せいぜい俺らの無事を祈ってもらうくらいなんだわ♪」
無事を……祈る……?
14 :
ミミ to I eva ほせんとわ ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 01:47:10.94 ID:857NRnDP0
祈るだけで彼らが助かると言うのなら、神でも悪魔でもいい。私のすべてを差し出そう。
命でも、
財産でも、
この身体そのものでも――
?「あ、それなら、おkですよん♪」
15 :
ミミ to I eva ほせんとわ ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 01:47:39.98 ID:857NRnDP0
副「な、なんだ今の声は――?」
皆にも今の不思議な声が聞こえたのかざわめき出し――
ぼわんっ
私「ぶわっ!?」
め、目の前が真っ白にー!?
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/06/23(金) 01:47:46.66 ID:IA3dIO6f0
>>7,8
thx!!!!!
拝読させていただく。
17 :
ミミ to I eva ほせんとわ ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 01:48:14.38 ID:857NRnDP0
私「けほけほ。なんですかぁ、今のは……?」
白の煙の向こうに皆が見える――
ん?
副「あ、あんた……」
なんで皆、
兵「そ、その姿……」
変な顔を……?
私「姿?」
見た。
私「なんですか、これはぁああああああああああああ!?」
副「俺の方が知りたいわ!!!!!!!!!!!」
兵のひとりが持ってきてくれた大きな鏡に映るのは、変な耳の女の子。
私「どーいうことですか、どーいうことですかぁ、これはぁ!?」
副「だから、俺の方が知りたいっつてるでしょうに!!!!!」
私「いくら敵の目をごまかすって言ったって、やりすぎですよ、これは!!!!!!!!!!!」
副「だから、知らねーって言って――ぐぁ、ちょ、やめ、うぇ、お、わ、ぎゃが――」
10人がかりで止められて、彼を振り回していたことに気がついた。
19 :
ミミ to I eva ほせんとわ ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 01:49:44.34 ID:857NRnDP0
私、もしかして、えらいことになってる……?
※以上です。
ご読了ありがとうございました。
続き――?
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/06/23(金) 01:53:00.36 ID:IA3dIO6f0
22 :
ミミ to I eva ほせんとわ ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 01:54:11.16 ID:857NRnDP0
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/06/23(金) 01:59:53.88 ID:bkw3ygDP0
わっふるわっふる
24 :
ミミ to I eva 聴音器官 ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 02:00:21.87 ID:857NRnDP0
本日はお忙しい中、当スレへお目をお運びいただきまことにありがとうございます。
この早さなら言える――
25 :
ミミ to I eva 聴音器官 ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 02:05:26.07 ID:857NRnDP0
やあ、ようこそ『ほせんとわハウス』へ(´・ω・`)
このプロローグはサービスだから読ん(ry
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/06/23(金) 02:07:44.36 ID:bkw3ygDP0
27 :
ミミ to I eva 聴音器官 ◆8VM5xLK5jw :2006/06/23(金) 02:08:49.81 ID:857NRnDP0
>>26 (´・ω・`)<『とないぬ』を紹介しちゃうと、私が『偽者』のそしりを受けかねないのでw
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/06/23(金) 02:15:08.31 ID:bkw3ygDP0
29 :
ミミ to I eva 聴音器官? ◆qJJJJJJJk6 :2006/06/23(金) 02:21:53.04 ID:857NRnDP0
30 :
ワンコ星人 ◆Ou6ooooooo :2006/06/23(金) 02:24:26.12 ID:eL7hdDLR0
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/06/23(金) 02:25:23.70 ID:bkw3ygDP0
>>29 偽者ktkrwwwwwwwww
IDまで盗むとは、やるな。
32 :
ミミ to I eva 聴音器官? ◆qJJJJJJJk6 :2006/06/23(金) 02:25:45.45 ID:857NRnDP0
ここは共有トリの多いインターネッツでつね
33 :
ミミ to I eva 聴音器官? ◆qJJJJJJJk6 :2006/06/23(金) 03:02:58.66 ID:857NRnDP0
ほしゅ
蚊なんて嫌い保守
35 :
◆Ou6ooooooo :2006/06/23(金) 03:36:30.57 ID:eL7hdDLR0
ほせんとわー
36 :
ミミ to I eva 聴音器官? ◆qJJJJJJJk6 :2006/06/23(金) 04:03:30.27 ID:857NRnDP0
ほ
37 :
ミミ to I eva 聴音器官? ◆qJJJJJJJk6 :
セリフのみで真っ黒なお話を書いた。
……あれ? コミック版の1間しか読んでないけれど、これなんてひぐらし?www