1 :
ミミ to I eva 聴音器官 ◆8VM5xLK5jw :
2006/05/18(木) 02:37:40.69 ID:pC8WRgKZ0 どうぞ
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 02:37:59.35 ID:39LlbA5S0
だが断る
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 02:37:59.80 ID:NELF+BW00
そうだねプロテインだね
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 02:40:19.06 ID:2DZbMpbGO
かしわんこwktkwww
5 :
保冷剤 ◆xl4B3i0CLs :2006/05/18(木) 02:41:28.73 ID:wV7DowqT0
ミミさん乱立スレ対策マニュアルより抜粋。適当に何とかしろ。ねたにできるものはネタのしろ。また新参を増やせそうなら何とかしろ。 という訳でスレ消費ガイドラインに沿って提案です。 提案:おまいらの家の犬の話しろ。 僕の家の犬は・・・・・・犬です。 柏氏が書くならwktk!
6 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 02:44:53.33 ID:O11oJEt30
なんじゃこりゃぁぁぁぁぁlwwwwww
7 :
保冷剤 ◆xl4B3i0CLs :2006/05/18(木) 02:45:38.34 ID:wV7DowqT0
とりあえず犬の話聞かせて
8 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 02:48:50.23 ID:O11oJEt30
じゃあ、暇つぶしに妄想をぐでぐで垂れ流してみるか。
9 :
ミミ to I eva 聴音器官 ◆8VM5xLK5jw :2006/05/18(木) 02:49:30.09 ID:pC8WRgKZ0
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 02:52:34.07 ID:2DZbMpbGO
wktk
11 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 02:59:54.42 ID:O11oJEt30
「ヴィクター? おーい、ヴィクター?」 御主人様が僕の名前をよんでいる。多分二階の自室にいるのだろう。 「ビビビのヴィクター? びっちゃーん。ヴィータやーい」 御主人様は僕の名前のことなんてどうでもよいらしい。かってにあだ名らしい呼び名で呼んでは、ときどき僕を混乱させる。 かしかしかし。 僕の爪が床にぶつかる。 僕は犬だ。名前はヴィクター。 『ヴィクターって名前だから、お前は犬なのよ』 って御主人様は言うけれど。正直なにを言っているか分らなかった。
12 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 03:02:04.70 ID:wV7DowqT0
wktk!
13 :
ミミ to I eva 聴音器官 ◆8VM5xLK5jw :2006/05/18(木) 03:03:54.99 ID:pC8WRgKZ0
wktkwktk
14 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 03:04:18.33 ID:z0METdBF0
wktk!! ヴィクターか……。泣ける話よ。・゚・(ノД`)・゚・。
15 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 03:06:22.65 ID:O11oJEt30
階段を駆け上がり、御主人様の部屋の扉の前まで来た。 (あけてくださーい) 扉をかしかしと軽く引っかいて、御主人様に自分が来たことを知らせる。がしかし、 「おー、入っておいでー」 (結局じぶんであけなきゃいけないんですね) 御主人様は、扉を開けてくれたためしがない。しょうがないから、頑張って自分で開ける。 (よいしょ) ガチャ。 とレバーを器用に引く。
16 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 03:18:00.45 ID:O11oJEt30
鼻先でドアをあけて滑り込むように中へ入る。 (あら?) 部屋に入ると机の椅子に座っている御主人様がいて、 (ふにゃ〜) と、その膝のうえで大あくびをかいているネコが一匹。 (散歩に行ったんじゃないの?) (んー? ああ。やっぱり止めたわ、お腹すいたし) 僕と同じく御主人様にお世話になっているネコの『ノーベンバー』だ。 『女の子なのに女の子らしく名前ね』と、常々御主人様が言っている。自分でつけたくせに。
17 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 03:29:10.03 ID:O11oJEt30
(なんですか? 御主人様) 僕は尻尾をふって御主人様の足元へすりよる。 「んー♪」 と僕の顔を両手で包み、耳の付け根をわしわしとなでつける。すこし煩いけれど、がまん。 「お仕事は片付いたし――」 お仕事! それを聞いたとたんに僕はがっかりする。毎日御主人様は『お仕事に行ってくるね。いい子で待っててね』と言ってどこかへ行ってしまう。 それから僕は一人で――ノーベンバーも居るけれど――さびしく御主人様の帰りを待っているのだ。 「お散歩にいこっか? お散歩」 散歩! 良かった! お仕事じゃなかったのか。お散歩だ! 僕の心は一気に晴れ晴れとて、尻尾がぶんぶんと弧を描いている。多分もう少し早く振れば鳥のように飛んでいけるだろう。 (わーい!)
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 03:30:19.22 ID:2tgVO4Sd0
ヴィクターかわええ(*´д`)
19 :
ミミ to I eva 聴音器官 ◆8VM5xLK5jw :2006/05/18(木) 03:46:23.21 ID:pC8WRgKZ0
保守
20 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 03:47:38.01 ID:O11oJEt30
「リード持っておいで」と御主人様は僕に言って、「GO!」と僕が開けっ放しにしていた扉を指差す。 (はい! いますぐに) 僕はその指に弾かれるように、部屋を飛び出す。 (元気ねぇ) と背後でノーベンバーが呟く声を聞いたが、無視。 かしかしかし。階段を勢い良く降りて、一回のリヴィングへ。 (よっ) 衣架にかかっている青色のリードに飛びついて、落とす。 落ちたリードをくわえて、また大急ぎで二階へ。 開けっ放しの扉をくぐって、 (もってきましたー!) 御主人様に飛びつく。心が躍ってしかたない。
21 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 04:02:24.39 ID:O11oJEt30
「はいはいはい、落ち着けってば」 嬉々として飛び掛る僕を、やんわりとなだめなて、引き剥がす。 (あ、すみません) そうだった。御主人様には『すぐに飛びついちゃだめだよ』っていつも言われてるのだった。 でも、御主人様は嫌がってないし他の人には飛びつかないから、許してもらえるかな? (あー、もう。うるさーい)ノーベンバーが至極うざったい、と言った風な目で僕を非難する。(犬って本当に能天気ね)
22 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 04:11:12.49 ID:O11oJEt30
(うるさいなぁ。ほうっておいてくれよ) 「よしよし。……じゃあ、かしてごらん」と言って御主人様は膝のノーベンバーを持ち上げ、「ののちんはお留守番ねー」と言って机に降ろした。 ノーベンバーもまた、御主人様のその時の気分で『ののちゃん』『十一月』『ネコ』と、適当な名前で呼ばれている。 僕の口からリードを取った御主人様は、慣れた手つきで僕の首輪にリードを取り付ける。 カチリ。 とリードがはまる音がする。 (ノーベンバー、どこに行くの?) 机から軽やかに飛びおりて部屋を後にするノーベンバー。 (ご飯食べてくるわ) (あそう) ネコは気楽でいいね。と、少しうらやましかった。
23 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 04:37:52.93 ID:O11oJEt30
リードを付けてもらった僕は、玄関の上がり框に腰掛けてクツを履く御主人様を待っている。 (早く行きましょうよ!) こういうとき、人間とお話ができないって言うのはもどかしい。でも、御主人様には言いたいことが伝わっているらしく。 「はいはい、ちょっと待ってねー」 といってお散歩用の道具を準備している。 御主人様の準備が終わり、玄関の扉を開けた時。 (いってらっしゃい) 口の周りをぺろぺろとなめながら、ノーベンバーが顔を出した。 「ノーベンバーのお出かけ?」 と御主人様が扉を開いたままにして、ノーベンバーに訊ねる。 (おひるねするわ) そう言ってノーベンバーは二階の方へ行ってしまった。 「あら、行っちゃった」 (あいつはずっと寝て食べてのくり返しですよ。避妊手術をしてから太りっぱなしなんです) 僕と御主人様はノーベンバーに留守番をさせて、お散歩に出かける。 九月に入ったばかりの陽光はとてもまぶしくて。気持ちが良かった。
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 04:57:08.39 ID:2tgVO4Sd0
保守
25 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 05:09:29.50 ID:O11oJEt30
それから僕は、御主人とぽかぽかのお日様の下、お散歩をした。 いつもの通りに、隣の街を抜けて、その向こうにある大きな公園まで行く。 「そぉれっ! Go ! victor !」 御主人様が投げたフリスビーを全力で追いかける。 御主人様はフリスビーを投げるのが上手なのだ。 まっすぐ、遠くまで飛んでいくそれを追いかけ、地面を蹴ってキャッチするとき、僕はとても清々しい気持ちになる。 (とぉっ!) 「よーし! ナイス!」 ナイスキャッチだ! 地面をけり、高く高くジャンプしてキャッチした青色のフリスビーを、儀主人様のところへ持っていく。 「うーし♪ Good boy♪」 フリスビーを受け取った御主人様は、僕を思いっきり撫でて、褒めてくれる。 フリスビー遊びは楽しいし、それにうまくキャッチすると御主人様がとても喜んでくれるのだ。 御主人様が喜ぶのは、僕も嬉しし、とても満たされた気持ちになる。 (もう一回投げてください! もう一回!)
26 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 05:27:47.62 ID:O11oJEt30
それからしばらくの間、僕は御主人様とフリスビーで遊んだ。 途中で仲良しのシエラちゃんと彼女の御主人様も来て、皆で楽しく遊んだ。 『犬はね、御主人様の為に幸せにならなきゃ行かないのよ?』 と前に御主人様が言っていた。僕の"役目"は御主人様の為に幸せになること。 僕は、御主人様に幸せになって欲しいし、僕の幸せが御主人様の幸せならば、僕は頑張って幸せにならなきゃならない。 息を切らせて、シエラちゃんとフリスビーを取り合っている今の僕は、とても楽しい気分だ。 心が躍って、尻尾も千切れんばかりにブンブンと振れている。 僕は今、とても幸せだ。 御主人様は今、幸せなのかな? 「あー、もう。またシエラちゃんに負けちゃったの? ヴィーは男の子なんだから、頑張りなさいよ?」 もし、僕が人間の言葉を話せたのなら、(御主人様は、幸せですか?)と訊いてみたい。 御主人様は、いつも僕のフリスビーを横取りするシエラちゃんを笑顔で撫でていた。 その声はとっても暖かくて、 晴れ渡る空のように澄んでいて、 お日様のように暖かくて、 草原を凪ぐ風のように、 僕を幸せにしてくれる。
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 05:41:28.06 ID:2tgVO4Sd0
保守
28 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 05:50:29.15 ID:O11oJEt30
(ねぇねぇ、シエラちゃん) (なに?) シエラちゃんはシェットランド・シープドッグで、ふわふわの毛並みと、途中で折れた耳が可愛い。 (シエラちゃんは、僕達犬の"役目"って何だと思う?) ("役目"?) (うん、"役目") 遊びつかれた僕らは、芝生に寝転んでおしゃべりをしていた。 (うーん)とシエラちゃんは少し考えて、(私は御主人様を守ること、だと思うな)尻尾をパタパタと上下させた。 (守ること?) (そう、守ること)可愛い耳をくりくりと動かす。(御主人様が、安心して暮らせるように、幸せで居られるように。私は御主人様を守らなくちゃならないの) (なにから守るの?) 僕は質問を重ねた。 (全ての悪いものからよ)
29 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 06:04:41.34 ID:2tgVO4Sd0
保守
30 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 06:14:27.65 ID:O11oJEt30
(全ての悪いものから御主人様を守れば、シエラちゃんの御主人様は幸せなの?) 僕はグッとのびをして、草の上で一回転した。 (そうよ)シエラちゃんは自慢げに言い出した(この前にね。夜中、家の中に、勝手に入ってきた人間を、追い払ったの) (うわぁ! お手柄だね!) (ふふーん♪)と得意顔になるシエラちゃん。(私の祖先はね牧場で働いていたんだってさ。だから、私はかかとに噛み付くのが上手なのよ) (ふうーん) と僕は頷く。シエラちゃんは物知りで、元気が良く――僕はいつも尻尾をかまれるけど――て、健康的で、とても魅力的だ。 (それでね、私の御主人様は、とっても私のことをほめてくれたの。今までもずっと可愛がってくれてたけれど、もっともっと可愛がってくれるようになったわ) と幸せそうな声を漏らすシエラちゃん。 (そう……じゃあ、シエラちゃんは今、幸せ?) 僕がそう訊ねると、シエラちゃんはとっても嬉しそうな顔になって、尻尾をぶんぶん振り回し、 (当たり前よ、私はいつでも幸せなのよ) と言った。 (そうか。じゃあ、シエラちゃんの御主人様も幸せなんだね) (うーん、そうなのかな? そうだと、いいな) 少し照れくさそうに、シエラちゃんは耳を動かした。
31 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 06:16:50.19 ID:wV7DowqT0
ひゃっほぉぉおおーーーーう!
32 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 06:32:00.92 ID:O11oJEt30
たっぷりと公園で遊んで、僕達はシエラちゃん達と別れ、家路に着く。 「ちょっと待っててね」そう言って、街中の小さなお店の表に僕をつないだ御主人様は、お店に入っていく「すぐ戻るからね」 僕は言われたとおりに、その場に座って大人しく待っている。途中で人間の子供が僕に近寄ってきたりしたけれど、僕は大人しく撫でられたりしていた。 昔の僕は、とても脅えていて。お散歩の途中で他の人間に噛み付こうとしたり、吠えたりして、御主人様にとても恥ずかしい思いをさせてしまって、よく怒られた。 家の中では、御主人様の手を咬んだり、家中を逃げ回ったり、不必要に吠えまわったりたりもしていた。 御主人様はそんな僕を、 『立派な犬にしてあげるんだから』 と言って。僕にやってはいけないことや、僕がしなければならないことを、根気良く教えてくれた。 一年たつと、僕は御主人様のことが好きになって。 もう一年たつと、御主人様のことが、もっと好きになった。 いっぱいいっぱい御主人様を泣かせてしまったから。 今度は、いっぱいいっぱい幸せにしてあげなくちゃね。 だから、僕は立派な犬になれるよう日々尽力しているのだ。
33 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 06:36:32.32 ID:wV7DowqT0
いぃやっほぉーーーーーぅ!!
34 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 06:53:56.13 ID:O11oJEt30
御主人様は、言ったとおりにすぐ戻ってきた。 「待たせたね」 と言って看板につないだリードを解く。全然待ってませんよ。御主人様のためなら、一日でも何年でも待ちます。 「じゃ、帰ろっか」 御主人様は嬉しそうに僕のリードを引いて歩き出した。僕はその横に並んで歩く。 空が夕焼けに染まり。道路には車が増えて、道行く人たちもどこか急ぎ足になっているようだった。 皆、これから家に帰るのだろうか? 「うんうん……買ったよー。予約していたんだー」 道すがら、御主人様は携帯電話で誰かと話をしていた。携帯電話というのは、離れたところにいるほかの人とお話ができる"機械"というものらしい。 その人に会いに行かなくても、その小さな"携帯電話"を指先で弄れば、会話ができるというのだ。 相手に会う必要が無いのだ。だから、人間は走るのが遅いんだな、と僕は思う。 赤い街の中。人ごみを縫うようにして僕達は家を目指す。
35 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 07:09:57.54 ID:O11oJEt30
どうやら、御主人様は音楽のCDを買ったらしく。 家に帰ると早速リヴィングにあるプレイヤーで、それを聴いていた。 僕は、ソファに座る御主人様の横で、一緒に音楽を聴いていた。 御主人様の好きなロックという音楽らしい。最初はガチャガチャとうるさい音楽だな、と思ったけれど、もう、なれた。 「I cannot live I can't breathe unless you do this with me ♪」 音楽に合わせて"歌詞カード"とやらを読みながら、歌を口ずさんでいる御主人様。 御主人様は、音楽が大好きなのだ。 こうして聴くだけじゃなく、時々、仲間人と演奏していたりもする。 今聴いているようなロックを、ピアノという楽器でアレンジするのが好きなようで。時々その演奏を録音しては、仲間の人と聴いている。 「よし、今度はコレを演ろう」 そういって楽しそうな御主人様の足元では、 (あははははー!) と御主人様が置いた袋で遊んでいるノーベンバーがいた。
36 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 07:23:42.24 ID:O11oJEt30
それから毎日変わり栄えの無い日々が続いた。 相変わらず御主人様は優しくて。毎日、「良い子で待っていてね」と僕に言って、お仕事に出かけ。 ノーベンバーはノーベンバーで(換毛期って面倒だわね)と毛づくろいに余念が無い。 僕は良く御主人様にブラシをかけて貰っていたので。抜け毛で家の中を汚すことはなかった。 そろそろ秋も終わりそうで、公園の木々の葉は鮮やかな暖色に染まり。地面にを埋め尽くす落ち葉に埋もれて遊ぶのが楽しくなった。 僕はたまに失敗したり、悪戯をしたりして、ちょっとだけ御主人様に怒られたりもしたが。基本的には毎日が楽しかった。 御主人様も今までと変わらず、厳しく、優しく、おかしく僕に接してくれた。 僕はとても幸せな毎日をすごしていた。 多分、御主人様も幸せだった。 こんな日が、ずっとずっと続いたら、それはとても素敵だな、と思った。
37 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 07:29:02.94 ID:O11oJEt30
だけど、 冬になって、雪が地面を真っ白に埋め尽くした頃。 冷たい空気の朝、 いつもと変わらずに、 「お仕事に行ってくるね。いい子で待っててね」 と言って家を出た御主人様は、 帰ってこなかった。 僕はいい子にして待っていたのに、 いつまでたっても、 帰ってこなかった。
38 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 07:32:38.50 ID:O11oJEt30
日が沈んで、 外が暗くなって、 いつも御主人様が帰ってくる時間になっても、 御主人様は帰ってこなかった。 僕もノーベンバーも、心配でたまらなかった。
39 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 07:34:33.80 ID:SyrE5i7J0
40 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 07:38:47.39 ID:O11oJEt30
それでも、 僕達は待った、 いい子で待ち続けた。 だけど、 夜があけて、 真っ白な朝が来て、 昼の太陽が屋根のツララを輝かせ、 また凍えるように冷たい夜がやって来ても、 御主人様は、帰ってこなかった。
41 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 07:51:38.86 ID:O11oJEt30
僕とノーベンバーは落ち着かなくなった。 とても寂しかったし、お腹も減ってきて、のどもからからだった。 御主人様が帰ってこないまま、また一夜が過ぎた次の日の夜。 ついに、玄関のドアが開いた。 だけど、 家に入ってきたのは御主人様じゃなかった。 御主人様のお父さんとお母さんだった。 二人はとても悲しい顔をしていた。 お母さんの目からは、涙がこぼれていた。
42 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 08:09:57.10 ID:O11oJEt30
僕とノーベンバーは、とても混乱――特にノーベンバーは――した。 (ねぇ、御主人様は? 御主人様はどこに行ったんですか? 何で帰ってこないんですか?) 僕は、何度も何度も尋ねたけれど、お父さんとお母さんには、僕の言葉が分らない。 二人とも、ただただ悲しい目を、僕に返してよこすだけだった。 僕は密かに狼狽した。二人の雰囲気が普通じゃないことは、明らかだった。 ついこの前、御主人様と一緒に、お父さんとお母さんの家に遊びに行った時は、笑顔で僕を撫でてくれて、一緒に遊んでくれたのに。 「かわいそうに……お腹がすいただろう?」 そう言って、お父さんが僕達にご飯と水を用意してくれた。 僕達は、二日ぶりのご飯にむしゃぶりついた。とりあえずは、空腹を満たさなければならなかった。 薄っぺらになった胃に食べ物を詰め込み終わると、僕はまた質問を繰り返した。 (御主人様はいつ帰ってくるんですか? 僕はいい子で待ってましたよ? ねぇ、なんであなた達はそんなに悲しそうなの?) ノーベンバーは窓際の本棚の上から、じっとこちらの様子を見ていた。 そして僕は、彼女の目にも明らかな悲しみが映っていることに気づいた。 (ねぇ! ノーベンバー! なんでキミまで、そんな悲しそうな目をするのさ? キミは何かを知っているの?)
43 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 08:39:14.62 ID:O11oJEt30
一時中断。 ちょっと出かけてきます。 11:00前には再開します。
44 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 09:16:32.01 ID:lGanJDPoO
保守
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 09:41:17.63 ID:lGanJDPoO
ほ
46 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 09:43:19.64 ID:SyrE5i7J0
47 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 10:05:41.37 ID:wV7DowqT0
ラスト保守
hos
49 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 10:31:33.93 ID:lGanJDPoO
ほ
50 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 10:53:46.98 ID:O11oJEt30
(ヴィクター……、あの、ね) 彼女は闃寂とした空気を壊すことためらうかのように、口ごもった。 (なんだよ! はっきり言ってくれないと分らないよ) 僕がノーベンバーに詰問していたところ。 「ヴィクター」お父さんが僕をを呼んだ。 お父さんは僕の前に膝を着き、真正面から見つめた僕の顔を、その大きな手で優しく包んだ。 その瞳にはやはり、悲しみがこびりついていて。湿った目頭からは、今にも涙がこぼれてきそうだった。 お父さんは、その凛とした声で、僕に告げた。 「×××はな……。お前の御主人様は、もう帰ってこないんだ。……遠くに。……とても遠いところに、行ってしまったんだ」
51 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 11:11:45.15 ID:O11oJEt30
その時、 ドタン! と大きな音を立てて、ノーベンバーが本棚から飛び降りた。彼女はこちらをちらりと窺って、一目散にリヴィングから出て行った。 (あ、ノーベンバー!) 俊敏な猫は、その長い尻尾の残像も残さずに、素早くその身を隠した。廊下の向こうから階段を上げる音が聞こえた。 「やっぱり、分るのかしらね……」 お母さんがそう呟いて、更に大粒の涙をこぼし。ズズ、と鼻をすすった。 僕はというと、お父さんが今言ったことを飲み込みはしたが、その"意味"を噛み砕けず、のどに詰まらせていた。 (御主人様は……、遠くに行ってしまった? 帰ってこられない。……なんで?) 僕は唖然とした。 人間は、僕達よりも走るのが遅いけれど、車や電車に乗ってどこまでも遠く、どこまでも早く移動できるんだ、ってシエラちゃんに教わったことがある。 それに、鳥のように空まで飛べるという話もきいたことがある。 それらを使って。道路を走り、山を貫き、"海"という大きな水溜りも飛び越えることができる。そう、聞いたことがある。
52 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 11:29:43.29 ID:O11oJEt30
(お父さん! ねぇ、御主人様はどこへ行ったの? とても遠いところって、どこ? おしえてよ! 僕、御主人様をお迎えに行かなきゃ!) 僕は必死に、お父さんに訴えた、 (おしえて! 御主人様はどこに"居る"の? 道路の果て? 山の向こう? それとも、"海の"向こう?) 当然のことながら、お父さんは答えてくれない。だって人間には、僕の声はきこえないから。 でも、御主人様は僕の声をきくことができた。"解る"ことができたのだ。 僕の声を"解る"ことができたのは、御主人様だけだ! だから、御主人様は御主人様なんだ! (早く迎えにいかなきゃ! きっと御主人様は"凍えて"いる。家に帰ってくると、真っ先にコタツにもぐってしまうほど寒がりなんだ! だからきっと"凍えて"いるんだ!) きゅう。きゅう。と"鳴く"僕の言葉を理解できないお父さんとお母さんは、顔を見合わせ。 「おまえも、"分って"くれたんだな」 と的外れなこと言った。 (ちがうよ! "解って"ないのはお父さんのほうだ! 僕は御主人様が"居る"ところを訊いているのに。凍えている御主人様を、迎えに行かなきゃならないのに!)
53 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 11:50:24.43 ID:O11oJEt30
痺れをきらした僕は、ノーベンバーを追いかけて二階へ行った。 ノーベンバーは、何かを"解って"いる。"解って"いるくせに、僕には言わなかったんだ。違う、言えなかったんだ。だから、きちんときかなきゃ。 僕は階段を駆け上がった。御主人様の部屋の扉は開けっ放しになっていて、そこから中へとノーベンバーの匂いが続いている。 (ノーベンバー!) 僕は部屋に入るなり、彼女に問いかけた。彼女は御主人様の椅子の上に座っていた。 (教えてよ、ノーベンバー。御主人様はどこへ"居る"のか。君は知っているんだろう?) ノーベンバーは、お父さん達と同じような悲しい目をしていて。その目で部屋をぐるり、と見回すと、 (あのね、ヴィクター。私達の御主人様は。……×××ちゃんは、もう帰ってこないの) とお父さんと同じようなことを言った。 (だからね。僕は、お迎えに行かなきゃならないだろう? 君は猫だから、遠くにはいけないけれど、僕は犬だ。この鼻と足でどこまでも行ける) (ああ、ヴィクター) ノーベンバーは立ち上がり、ひらりと本棚の上に飛び上がって、また部屋を見回し、 (×××ちゃんはね、もう帰って"こない"の。……×××ちゃんはね、××××××のよ。……だから、もう、帰って"こない"の)
54 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 12:02:45.29 ID:O11oJEt30
僕は彼女の言っていることが"解ら"なかった。 (ノーベンバー。君の言っていることが"解ら"ないよ。僕は、御主人様がどこにいるか知りたいだけなんだ。それだけなんだ) 僕は続けた、 (御主人様はどこ? 道路の果て? 山の向こう? それとも、"海"の向こう? 僕はお迎えに行かなきゃならないんだ) するとノーベンバーは僕から顔をそらして、言った。 (あなたって、本当に"悪い子"ね、ヴィクター。今の言葉を御主人様が聞いたら、きっと怒るわ) 僕は面食らった。御主人様を"迎えに行きたい"って言っただけなのに。それだけなのに、なんで僕が"悪い子"になるのか分らなかった。 (何でだよ! 僕はただ"お迎えに行きたい"って言っただけじゃないか!) 憤慨した僕に、心底あきれたといわんばかりに冷たくて、悲しい目を向けたノーベンバーは、 (それが"悪いこと"なのよ。もし、お迎えに行ってしまったら、きっと×××ちゃんは怒るわ。だって出かけるときに良い子で"待っててね"って言ったじゃない) (あ……) そうだった。御主人様は出かける前に『良い子で待っててね』と僕に言いつけて行ったんだ。言いつけを破る子は"悪い子"だ。
55 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 12:18:45.38 ID:O11oJEt30
僕は悩んだ。 僕の心の中では、1000匹の僕が、(お迎えに行かなきゃ!)と喚いていたが、御主人様の『待っててね』という声が響き渡り。1000匹の僕を抑ええつけていた。 そして僕は、観念した。 (待っているしか……ないのかな?) 僕がそう呟くと、 (そうね……。今は、そうしていても、良いかもね)振り絞るように呟いた。(そのうち、あなたも"解る"わ。いやでも"解って"しまうから……) そう言って。それっきり彼女は口を閉ざした。まるで僕と話しても、無駄だといわんばかりに。 僕が一回へ降りると、お父さん達は居なくなっていた。もう、帰ってしまったのだろう。 玄関の扉は硬く閉ざされ、家の中は、静謐な空気に支配された。 僕は玄関の上がり口に座り込み、御主人様が帰ってくるのを待った。 ずっとずっと。 いい子にして待っていた。
56 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 12:36:24.50 ID:O11oJEt30
それから毎日、僕は玄関で御主人様の帰りを待った。 だけど、その扉を開くのは、僕が待ち望んでいる御主人様ではなかった。 いつもその扉から顔を出すのは、お父さんかお母さんで、僕はそのたびにがっかりした。 お父さんとお母さんは交代で、一日二回。僕達にご飯を食べさせに来てくれた。 それは一週間ほど続いて、ある日突然、お父さんとお母さんは真っ黒な服で現れた。 「ゴメンね、犬猫は×××に連れて行けないの」 と訳の"解らない"ことを言って、 「コレも持って言ってあげよう」 と僕の散歩用のリードを取って、鞄に入れようとした。 (それは僕のリードだ!)僕は吠えた。(それを持っていかないで! それが無くなったら、御主人様が帰ってきたとき、お散歩に行けないじゃないか!) 「な、なに? なんなんだ?」 お父さんが驚愕する。 (返して! 僕のリードを持っていかないで! 返してよ!) その時、僕の背後から鋭い声が響いた。 (止めなさい! ヴィクター。いいからだまって、持っていかせてあげて) 僕はノーベンバーを睨み付けた。 (君も僕に意地悪をするのか、ノーベンバー! 今僕はとっても気が立っているんだ。君を噛み殺すぐらい、造作も無いことなんだぞ!)
57 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 12:36:25.79 ID:2tgVO4Sd0
保守
58 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 12:51:28.50 ID:O11oJEt30
ノーベンバーは悲しい顔をして、 (ちがうのよ、ヴィクター) 僕の足元へ擦り寄ってきた。 (違うの、ヴィクター。それはお父さんとお母さんが、御主人様のところへ持っていくのよ) (御主人様のところへ?)僕は尻尾のけを逆立てるのを止めて、(それはなぜ?)訊ねた。 (御主人様が遠くへ行ってしまっても、あなたの事を忘れないためよ) その言葉に僕は驚いた。 (御主人様が僕を忘れる? そんなことあるもんか! それに、御主人様が帰って来た時、お散歩の時のリードが無かったら、困るじゃないか) それを聞いたノーベンバーは全身の毛を逆立たせて、激昂した。 (ヴィクター! やっぱりあなたは"悪い子"だわ! そんなにまで、×××ちゃんを困らせたいの?! ×××ちゃんが今のあなたをみたら、きっと涙を流して怒るわ!) そう言って、矢のようなスピードで二階の御主人様の自室へ駆けていったノーベンバーを、僕は何も言えずに見送った。 (僕は、"悪い子"? 御主人様が、涙を流して、怒る?)
59 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 13:24:31.30 ID:O11oJEt30
その言葉がショックだった。 ノーベンバーは良く嘘をついたけれど、決して間違ったことは言わない。それに、今のノーベンバーの怒りようは、尋常じゃない。 (僕は"悪い子"なのかな?) 僕は急に悲しくなった。もし本当に僕が"悪い子"なら御主人様はとっても怒る。 "悪い子"の僕を叱るときの御主人様の声の裏がわにはいつも、深い悲しさが隠れているのを僕は知っていた。 御主人様を悲しませたくないから、いい子でいなければならないのに! もし、僕が留守番中"悪い子"だったことを、御主人様が知ってしまったら、きっと悲しむ!
60 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 13:28:40.78 ID:O11oJEt30
僕は"悪い子"になってしまった自分を悔いた。 悲しくて、 悲しくて、 仕方が無かった。 御主人様は僕を許してくれるだろうか? それだけが気がかりで、 お父さんが僕の首輪を、 御主人様が付けてくれた、 大事な首輪を、 おそるおそる外したことなんか、 どうでも良かった。
61 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 13:54:10.32 ID:O11oJEt30
その日、僕はとても空虚な心でリヴィングに佇んでいた。 陽光に照らされたツララの先から、ぽたぽたとこぼれる雫のように。僕の後悔と悲しみはとめどなく溢れた。 そうこうしているうちに、空が暗くなり、夜が世界を包み始めた頃に、お父さんとお母さんがやってきた。 お父さんとお母さんの真っ黒な服からは、鼻が曲がるような匂いが漂ってきた。 「ごめんね、お線香臭いでしょう?」 とお母さんは僕に謝った。謝るくらいなら、そんな臭いを付けてこないでほしいものだ。 「これ……お前の新しい首輪だ」 お父さんが鞄から出したのは、鮮やかな黄色の首輪だった。 「どうだ? 匂い、分るか?」 そう言って目の前に差し出された首輪に鼻を近づけ、匂いをかいでみる。 (……御主人様の匂いだ!)
62 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 14:13:14.84 ID:O11oJEt30
真新しい黄色の首輪からは、微かだけど、確かに御主人様の匂いがした。 (これは、御主人様が僕にくれたのだろうか? そういえば、『そろそろ首輪を新しいのにしてあげようかな』とかって言ってたっけ♪) ワゥ! と喜びを込めて一吠えすると、お父さんは笑顔になって、 「そうだぞ。コレは×××からのプレゼントだ」僕の首にそれを回し、「ほら、これで良し」パチンと首輪のバックルを閉めた。 首輪にはまだ新品の硬さが残っていたが、コットンでできているそれは、革のものよりしなやかで、付け心地が良かった。 僕は嬉しくなって、尻尾をぶんぶんと振り回した。 (どうかな? 似合ってるかな、この首輪。御主人様は可愛いって言ってくれるかな?) 「うん。よく似合ってるぞー」 お父さんは僕の言葉が"解った"ようで。よしよし、と頭を撫でてくれた。 とても嬉しかったけれど、この手が御主人様の手なら、それはどんなに嬉しいことか。 そう思ったとたんやはり、僕の心の奥からは言いようの無い寂しさが溢れて。 それは僕にとても孤独な気分をもたらしたのだった。
63 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 14:28:38.53 ID:2tgVO4Sd0
保守
64 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 15:08:30.27 ID:O11oJEt30
思ったより長くなったなぁー orz
65 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 15:08:33.55 ID:j785POSt0
66 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 15:14:50.90 ID:O11oJEt30
その時、お父さんの服から、けたたましいベルの音が鳴り響いた。 僕はびっくりしたけれど、お父さんは慣れた様子で服のポケットに手を突っ込み、小さな何かを取り出した。 お父さんは折りたたみ式のそれを素早く開くと、指先を動かして、ベルを止めた。 携帯電話だ! 僕は咄嗟にひらめいた。 携帯電話を使えば、御主人様とお話ができるかも! 僕はお父さんに飛びついて、携帯電話を貸してくれるように頼み込んだ。 (お父さん! それを貸して! ちょっとだけでいいんだ。それで御主人様とお話させて!) だけど、お父さんはびっくりして、 「あ、ちょっと、止めなさいヴィクター。……あ、すみません。ちょっと今、ウチの犬が……」 と逃げるように、家から出て行ってしまった。 (ねーえー。お父さんってばー。それ貸してよー)
67 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 15:24:30.75 ID:8VI+DqRkO
wktk
68 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 15:41:47.19 ID:qB2X3bLEO
保守
69 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 15:54:07.24 ID:O11oJEt30
(どうしたの? さわがしい) どこかで寝ていたのだろう。眠たげな眼差しのノーベンバーがやってきて、僕に怪訝な眼差しを向ける。 (あ、ノーベンバー。ちょっと聞いて! 僕ね、考えたんだ) (何をよ?) (携帯電話だよ)僕は得意げになる。(携帯電話を使えば、もしかしたら御主人様とも話せるかもしれない!) 彼女は首を捻る。 (けーたい、デン?) (携帯電話だよ。聞くところによると、直接会いに行かなくても、今ここに居ない人でも、あの携帯電話があれば、会話ができるんだってさ) (へぇ……ホントなの?) ノーベンバーは、な少し興味を持ったようすで、 (携帯電話、かぁ) と外から聞こえてくるお父さんの声に耳を澄ましているようだった。 (ノーベンバーは僕より耳が良いから、お父さんが何を話しているか聴こえるでしょ?) (……うん)耳をくりくりと動かして、尻尾をゆっくり左右に振る。(誰かと話してるみたい。だけど、相手の声が聴こえないわ) (でしょ! だからね、お父さんに携帯電話を貸してもらえれば――) (でもさぁ) 興奮した僕の言葉を、ナイフで切り取るように、遮る。 (ヴィクターは携帯電話の使い方、知ってるの?) そして僕は、自分の浅はかさと情けなさに凍りついた。 (……あ゙)
70 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 16:17:37.85 ID:O11oJEt30
結局、携帯電話がどういうものか"分って"いても。使い方を知らない、使えもしない僕達がそれを利用することはできなかった。 僕の尻尾はしょぼくれて、埃の浮いたソファを二度三度と軽く撫でた。 どうやったら、御主人様に会えるのかな? いつになったら、御主人様は帰ってくるのかな? それからまた、忍耐と翹望と寂寞の日々がやってきた。 僕は玄関で御主人様を待って、毎日落胆と決意を繰り返す。 リヴィングや御主人様の部屋には、埃が目立つようになってきて、 それを時々お母さんが掃除する。 お父さんは僕をお散歩に連れて行こうとしたけれど、僕は、 『いい子で待っててね』 っていう御主人様の言いつけどおり、 家からは一歩も出ずに、 毎日いい子で待ち続けた。 いい子で、待ち続けた。 いつまでも、待ち続けた。
71 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 16:38:32.23 ID:2tgVO4Sd0
保守
72 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 16:39:36.32 ID:O11oJEt30
どのくらい待ったのかは分らない。 でも、いつの間にか雪は融けて。 暖かい日差しが窓から差し込んで。 次第に昼の時間が長くなって。 かわりに、どんどん夜が短くなって。 それでも毎日変わらず、お父さんとお母さんは交代でやってきて、僕達にご飯をくれた。 だけど、良くご飯を食べているはずのノーベンバーは少し痩せて。 体格の良かった僕は、凄くやせっぽちになった。 何でだろう? お腹は減るのに。 そして、いっぱいご飯を食べているのに。 僕はやせっぽちになってしまった。 御主人様が帰ってきたら、 僕のこと分ってくれるのかな? ちゃんと僕だ、って分ってくれるのかな?
保守
74 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 17:01:29.34 ID:O11oJEt30
そして、ある日の閑散とした午後。お父さんとお母さんがやってきた。 二人はいくつかのダンボール箱を持ってきていた。 (何、それ? そのダンボールで何をするの?) ここのところ、僕はなかなか疲れガ取れなくて、少しだるかったせいもあり、控えめに尻尾をふって二人の後をついて回った。 二人は台所やリヴィング、御主人様の部屋でダンボールを組み立てた。 (あー、ナニコレナニコレー!) ノーベンバーが嬉々としてダンボール箱の中に入り込む。どうして猫って、こういう箱の中に入りたがるんだろう? 窮屈じゃないのかな? 「こらー、ののちゃん。遊んじゃダーメ」 そう言ってお母さんはノーベンバーを箱から引きずりだして、 「はい、ここで大人しくしていなさい」使っていない物置に閉じ込めた。いい気味だ。 (ねぇー。だーしてよーう! ちょっとぐらい遊ばせてくれてもイイジャンかー!) ドアを爪で引っかく、カシカシという音が聞こえてくるが、僕は無視する。 それよりも、 (何をしているの?) 食器棚から食器を取り出すお母さんや、 (ねぇ、それをどうするの?) リヴィングの本棚から本を抜き取っているお父さんたちが気になってしょうがない。
75 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 17:25:48.63 ID:O11oJEt30
(ねぇ! 何をしているのさ! だめだよ、それは御主人様の大切なものなんだ! 怒られちゃうよ!) 僕は二人に吠えてみたが、 きゅう、きゅう。 と力の無い声しか出なかった。 その声に気づかないのか、それとも気づかないふりをしているのか。二人は黙々と御主人様のモノをダンボール箱に詰めていく。 (ふん……もういいよ) 僕は疲れていたし、どうやっても二人の作業は止まりそうに無かった。だからソファに座って、じっと見守ることにした。 (あとで御主人様に怒られてもしらないからね) 二人は散発的に会話をはさみながら、ダンボールを埋めていった。 数時間ほど経ち、蓋をテープでとめられた箱がいくつか出来上がり、壁際に積んで置かれた。 僕はというと、程よく眠ってしまっていたし、二人の会話も覚えていない。 とても、眠かったから。 ノーベンバーは物置に閉じ込められたままで、時々扉を引っかいたが、出してもらえなかった。今は静かだ。 「これ……」 お父さんが何かを見つけた。 ……CDかな? その手には透明なケースがあって、その中に入っている円盤状のものが、夕暮れに染まる空の赤を反射して赤く燃えていた。
76 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 17:44:44.41 ID:O11oJEt30
お父さんとお母さんは、しばらく無言でそれを見つめていた。 「……聴いてみよう」 最初に沈黙を破ったのは「、お父さんだった。お母さんはそれに頷いて、それを確認したお父さんは、ケースからCDを取り出し、プレイヤの電源を入れた。 カシュ。 プレイヤのトレイが開く音。 ああ、懐かしい。この音は久しく聞いていなかった。御主人様が居た頃は、耳障りにさえ思っていたのに。それが今は酷く懐かしかった。 シュー。 トレイが閉まって、ディスクが読み取られる音が微かに空気を揺らす。お父さんがボタンを操作し、 (あ……) ピアノの音が、スピーカからこぼれ出た。 (御主人様の……、ピアノだ)
77 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 17:44:46.79 ID:fK+rAMBE0
78 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 17:56:28.70 ID:SmlMzZic0
おお、なにやら大作!
スロウで物悲しげな旋律が、赤い部屋に響く。 ウッドベースの深く豊かな低音と、遠くて唸る雷のようなドラムが、ピアノのメロディに輪郭と深みを与えていた。 『The ash set in then blew away......』 (御主人様の声だ!) 僕は思わず飛び上がった。 緩やかに、心地よく響くピアノの音に。優しく覆いかぶさるような御主人様の声がリヴィング全体に響き渡り、僕の鼓膜を揺らした。 僕はもっとよくその声を聞きたくなって、スピーカの前に座り込んだ。 「ヴィクター?」 お父さんとお母さんが、不思議そうな顔で僕を覗き込む。だけど僕の耳には、御主人様の声しか届かなかった。 『You know I won't say sorry, You know I won't say sorry......』 この曲は、聴いたことが無かった。ゆっくりと、確実にリズムを刻むバスドラムの低音が僕のお腹に響いた。 (……あれ?) 気がつくと、お父さんとお母さんは泣いていた。 なんで、泣いているんだろう? 御主人様が歌っているのに、なんで? 笑いこそすれ、泣くようなことは全然無いじゃないか。 ほら、ちゃんと聴いてよ。御主人様の優しいこの声を! 静かにしないと、聴こえないじゃないか。
これは泣くかもわからんね
聞き入りわんこ
82 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 18:26:14.78 ID:SmlMzZic0
安価上等
83 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 18:27:03.34 ID:OQSRtIfxO
かもん!
84 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 18:39:00.96 ID:wfWp1SzX0
スピーカの前に座って、身じろぎもせずにじっと耳を澄ます。 もう何年も聞いていないような気がする御主人様の声は、僕の記憶の中にあるものと全く同じだった。 いつものように、『どう? 上出来じゃない?』と優しく微笑む御主人様の声が、背後から聞こえてくるのではないかとも思えた。 だけど、曲が進んでいっても、お父さんとお母さんは涙を流し続けていた。 やっぱり、僕にはその涙の"意味"が分らなかった。 でも、そんなことはどうでも良い。とにかく僕は、御主人様の歌が聞きたかった。 『I cannot live I can't breathe unless you do this with me......』 御主人様の声が「はっきりと僕の心を振るわせる。 尻尾はメトロノームのように振れていた。 今、僕は御主人様をとても近くに感じている。 とても、近くだ。
85 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 18:46:46.39 ID:wfWp1SzX0
(御主人様!) 僕は力の限り吠えた。 (御主人様! どこに居るんですか?! 僕はこんなに御主人様を近くに感じているのに、姿さえ見えないなんて!) 急に吠え出した僕を見て、目を丸くするお父さんとお母さん。 (御主人様! どこに居るんですか?! 僕の声が聞えますか! 御主人様!) 「ヴィクター?」 二人は固まったまま動けないでいた。多分僕の言葉が"解った"のだろう。 (御主人様! 御主人様!)
86 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 18:51:10.90 ID:wfWp1SzX0
御主人様、聞えますか? 聞えているなら、今すぐ戻ってきてください。 みんな、待ってます。 御主人様、どこに"居る"んですか? 道路の果てですか? 山の向こうですか? それとも"海"の向こう? 一言でいいんです、僕に知らせて。 そうしたらすぐにでも、飛んでいきます。 どこまでも、迎えに行きます。
87 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 19:00:37.21 ID:wfWp1SzX0
御主人様、僕にはよくわかりません。 犬は、御主人様の為に幸せにならなければならない。 そう、言いましたよね? でも、僕はわからないんです。 僕は自分が幸せなのか、わからないんです。 だから、教えてください。 御主人様は今、幸せですか?
僕は今、思い出しました。
大切な、
本当に大切なことを、
思い出しました。
それは僕の心に深く刻まれていました、
思い出すのに、少し時間がかかったけれど、
御主人様。
あなたの為に、僕は――――
>>148 1:立派な犬になる為に、役目を果たします
2:あなたの言葉通り、いつまでも待ち続けます
3:今すぐ、迎えに行きます
89 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:11:41.79 ID:SmlMzZic0
おk、大遠投だな。
90 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:13:32.39 ID:OQSRtIfxO
ksk2
91 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:15:33.38 ID:buoFGRf40
大遠投きた ksk
92 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:15:39.40 ID:y8CZBsUj0
ksk
93 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:16:14.10 ID:buoFGRf40
ksk
94 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:16:32.35 ID:2tgVO4Sd0
まだ続いてた( ゚∀゚) よーし、ksk
95 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:16:36.26 ID:y8CZBsUj0
ksk
96 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:17:10.04 ID:2tgVO4Sd0
ksk
97 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:17:20.88 ID:buoFGRf40
ksk
98 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:17:28.04 ID:SmlMzZic0
さてみんな!みんなの考える立派な犬を教えてくれ! とりあえずお座り無視してチョコレート(!)略奪していくうちとこの犬なんかどうよ。 1
99 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:17:29.48 ID:y8CZBsUj0
ksk
100 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:17:43.99 ID:y8CZBsUj0
ksk
101 :
ミミ to I eva 聴音器官 ◆8VM5xLK5jw :2006/05/18(木) 19:18:14.23 ID:pC8WRgKZ0
ksk
102 :
悪のリッチャ ◆Yk9Pufb6Aw :2006/05/18(木) 19:18:20.37 ID:Q3B4+ducO
ksk
103 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:18:26.03 ID:buoFGRf40
ksk
104 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:18:28.22 ID:y8CZBsUj0
ksk
105 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:18:45.68 ID:OQSRtIfxO
ksk2
106 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:19:05.92 ID:2tgVO4Sd0
ksk
107 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:19:08.99 ID:SmlMzZic0
まずはksk
108 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:19:12.94 ID:Q3B4+ducO
コテ外し忘れてたorz ksk
109 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:19:17.83 ID:y8CZBsUj0
ksk
110 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:19:31.64 ID:2tgVO4Sd0
ksk
111 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:19:43.15 ID:buoFGRf40
ksk
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:19:50.83 ID:y8CZBsUj0
ksk
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:19:56.10 ID:Q3B4+ducO
ksk
114 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:19:59.14 ID:buoFGRf40
ksk
115 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:20:14.92 ID:buoFGRf40
ksk
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:20:46.36 ID:Q3B4+ducO
ksk
117 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:21:01.28 ID:SmlMzZic0
早ええなww ksksksksk
118 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:21:01.95 ID:buoFGRf40
ksk
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:21:09.66 ID:2tgVO4Sd0
ksk
120 :
取り逃し亜人 ◆c6bw2Zi7Iw :2006/05/18(木) 19:21:11.08 ID:tNyy3Izv0
加速してゆく
121 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:21:15.72 ID:OQSRtIfxO
ksk2
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:21:15.90 ID:Q3B4+ducO
ksk
123 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:21:31.90 ID:buoFGRf40
ksk
124 :
取り逃し亜人 ◆c6bw2Zi7Iw :2006/05/18(木) 19:21:48.98 ID:tNyy3Izv0
絶対間が悪いタイミングになる、それだけは間違いないんだ!
125 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:21:51.28 ID:y8CZBsUj0
ksk
126 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:21:53.07 ID:buoFGRf40
今なら空も飛べるはず ksk
127 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:21:55.12 ID:Q3B4+ducO
ksk
128 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:22:02.08 ID:OQSRtIfxO
ksk2
129 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:22:07.35 ID:2tgVO4Sd0
ksk
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:22:08.73 ID:buoFGRf40
ksk
131 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:22:26.29 ID:buoFGRf40
ksk
132 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:22:26.17 ID:Q3B4+ducO
ksk
133 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:22:30.36 ID:wfWp1SzX0
因みに正解は1つだけ
134 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:22:43.54 ID:buoFGRf40
ksk
135 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:22:45.81 ID:OQSRtIfxO
ksk
136 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:23:03.36 ID:Q3B4+ducO
ksk
137 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:23:11.76 ID:y8CZBsUj0
ksk
138 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:23:23.32 ID:buoFGRf40
ksk
139 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:23:28.17 ID:y8CZBsUj0
ksk
140 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:23:38.51 ID:OQSRtIfxO
ksk
141 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:23:38.76 ID:2tgVO4Sd0
あと少し!ksk
142 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:23:39.00 ID:buoFGRf40
ksk
143 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:23:54.56 ID:y8CZBsUj0
ksk
144 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:23:54.95 ID:buoFGRf40
ksk 1
145 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:24:01.58 ID:SmlMzZic0
ksk 1
146 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:24:05.94 ID:2tgVO4Sd0
ハチ公エンド希望 2
147 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:24:11.05 ID:y8CZBsUj0
ksk 1
148 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:24:07.02 ID:Q3B4+ducO
149 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:24:12.56 ID:OQSRtIfxO
ksk
150 :
取り逃し亜人 ◆c6bw2Zi7Iw :2006/05/18(木) 19:24:14.94 ID:tNyy3Izv0
2
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:24:17.48 ID:buoFGRf40
ksk 1
152 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:24:30.98 ID:2tgVO4Sd0
153 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:24:56.95 ID:y8CZBsUj0
154 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:25:01.41 ID:buoFGRf40
155 :
取り逃し亜人 ◆c6bw2Zi7Iw :2006/05/18(木) 19:25:38.21 ID:tNyy3Izv0
156 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 19:25:58.38 ID:wfWp1SzX0
157 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:26:07.40 ID:2tgVO4Sd0
ksk
158 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:26:08.82 ID:y8CZBsUj0
ksk
159 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:26:17.96 ID:Q3B4+ducO
160 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:26:37.69 ID:SmlMzZic0
おkww ksk
161 :
取り逃し亜人 ◆c6bw2Zi7Iw :2006/05/18(木) 19:26:49.81 ID:tNyy3Izv0
ネタ的には3で振りたいけど2がやっぱりいいや
162 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:26:51.86 ID:y8CZBsUj0
ksk
163 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:26:53.53 ID:buoFGRf40
ksk
164 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:27:06.63 ID:y8CZBsUj0
ksk
165 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:27:10.66 ID:buoFGRf40
ksk
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:27:16.67 ID:2tgVO4Sd0
167 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:27:32.80 ID:buoFGRf40
ksk
168 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:27:35.58 ID:OQSRtIfxO
ksk2
169 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:27:55.96 ID:buoFGRf40
ksk
170 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:28:02.72 ID:SmlMzZic0
ksk 1
171 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:28:07.31 ID:OQSRtIfxO
ksk2
172 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:28:08.11 ID:y8CZBsUj0
ksk
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:28:19.38 ID:Q3B4+ducO
ksk
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:28:22.27 ID:buoFGRf40
ksk 1
175 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:28:37.79 ID:buoFGRf40
ksk 1
176 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:28:41.60 ID:OQSRtIfxO
ksk2
177 :
取り逃し亜人 ◆c6bw2Zi7Iw :2006/05/18(木) 19:28:43.11 ID:tNyy3Izv0
絶対タダではすまないとおもう俺のレスタイミング 2でいくー
178 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:28:45.66 ID:2tgVO4Sd0
ご主人が死んでない可能性にかけてみたくなった 3
179 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:28:58.87 ID:Q3B4+ducO
ksk
180 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:29:16.85 ID:SmlMzZic0
おま・・・・ それもいいだろう
181 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:29:21.18 ID:OQSRtIfxO
182 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 19:29:50.22 ID:wfWp1SzX0
183 :
取り逃し亜人 ◆c6bw2Zi7Iw :2006/05/18(木) 19:30:33.75 ID:tNyy3Izv0
王大人死亡確認
184 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 19:34:43.56 ID:wfWp1SzX0
御主人様。 あなたの為に、 僕は、 今すぐ、迎えに行きます。
185 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 19:39:38.30 ID:wfWp1SzX0
そして僕は尻尾に火が点いたように走り出した。 「ヴィクター! どこいくんだ!」 お父さんとお母さんが僕を呼び止める。 ゴメンね、お父さんお母さん。 僕は、行かなきゃならないんだ。 今すぐ、御主人様を"お迎え"に行かなきゃならないんだ!
186 :
亜人マメシバ ◆c6bw2Zi7Iw :2006/05/18(木) 19:41:46.68 ID:tNyy3Izv0
昨日の雨は東の街に冷たい星を降らせた 悲しい君はひとりで静かに 私の大好きなうたを口ずさむ 行かなくちゃ 深い暗闇に迷いこんだ彼を 誰も助けてくれない 私なら愛しさだけでどんな場所へでも 迷わないで走ってゆける だから大きな声で何度も私の名前を呼んで
187 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 19:49:14.28 ID:wfWp1SzX0
リヴィングを飛び出し、玄関に向かって一直線。 (ねぇー! ちょっとー! 今のなんなのよ!) ヒステリックなノーベンバーの声が物置から響いた。 (ゴメン! ノーベンバー! 僕、お迎えに言ってくる!) 僕は短く答えて、玄関の扉に体当たりするようにとりつく。 (ヴィクター? ねぇ! ヴィクターってば!) 背後で叫ぶノーベンバーの声は無視して、ドアノブに前足をかけて、引く。 ずっと前に一回だけ、自分で扉を開けて外へ逃げた時があった。どうやってこの扉を開くかは、"解って"いる。 開いた! わずかに動いた扉の隙間に鼻先をもぐらせ、すり抜ける。 顔の毛が少し抜けたような気がしたが、そんなことはどうでもいい。
188 :
NASA ◆Ul0WcMmt2k :2006/05/18(木) 19:53:03.07 ID:y8CZBsUj0
189 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 19:59:53.67 ID:SmlMzZic0
びくたって小型犬だったっけ? ・・・・・ 弱るのも早いぞ
190 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 19:59:56.62 ID:wfWp1SzX0
空を燃やす夕焼けは、その勢力を失いかけていた。東の空から迫る濃密な群青に掻き消されるように、茜色の空は夜に侵食されている。 御主人様が"お仕事"に行く場所は知っている。 ここから西の方角。 隣町の向こう。 いつもの公園をちょっと過ぎたあたり。 前に一度だけ連れて行ってもらったことがある。 そこへ行けば、何かがわかるかも! "あの日"だって御主人様は、『お仕事に行ってくる』って言っていたんだ。 僕は地面を蹴って走り出す。 人間は、僕らより足が遅い。だから色々な乗り物に乗って移動する。だけどその乗り物が無かったらどうだ? どこにも行けやしないじゃないか! 僕には鍛え抜かれた四本の足がある。 鋭く、感覚を研ぎ澄まされた鼻がある。 どんな音でも聞き分ける耳がある。 僕は今、この地上にいるどんな人間よりも、どんな動物よりも、速く走れる!
191 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 20:07:07.66 ID:wfWp1SzX0
速く! 速く! 速く! 夜がやってこないうちに、御主人様のところへ行かなければ! 今の時期、夜はまだ寒い。きっと"凍えて"いるんだ。僕の御主人様はとっても寒がりだから。夜がきたら"凍えて"しまう。 僕が行って、暖めてあげなくちゃ! 速く! 速く! 速く! 夜よりも速く、太陽を追いかけなくちゃ。 御主人様も太陽を追いかけているに違いない。 きっとそうだ。 だって、僕の御主人様はとっても寒がりなんだから!
192 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 20:07:09.96 ID:+/M0NrBR0
193 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 20:19:01.04 ID:wfWp1SzX0
僕は走った。 決して勢いを弱めることはなく、全力で街を走り抜けた。 通り過ぎる人たちはみな、僕のことは見えていないらしい。 多分、僕があまりに速く走ったせいだ。 耳元で風邪が唸り。鼻先で空気を切り裂く。 あっというまに街を抜け、公園までやってきた。 公園の桜の木には淡い色の花が咲きほこっていたが、ひとたび風が吹くと、それらはいっせいに舞い始めた。 まるで雪のようだった。 僕はピンク色の雪の中を猛然と駆け抜ける。 口や耳の中に数枚の花びらが入り込んだが、気にして入られない。 この公園の桜は、御主人様が大好きだったはずだ。速く迎えに行かないと、桜の花が散ってしまう。 花が散ってしまった桜の木をみたら、御主人様はとても悲しむんだ! だから、速く! 柔らかい土が爪の間に食い込む。 地面を蹴る後ろ足が、 ズルリ、 とすべる。 走りにくいなぁ。 シエラちゃんに、土に上での走り方を教えてもらっていれば良かったかな。
194 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 20:24:12.66 ID:wfWp1SzX0
僕はまだまだ走った。 途中で御主人様が"お仕事"をするところに寄ったが、御主人様の姿はおろか、匂いさえなかった。 やはり、もっと西へ。 もっと、太陽のほうへ。 すでに天球の半分を染め上げつつある夜の藍が、僕を追い詰める。 いや、 僕と御主人様を、 だ。 僕はただひたすら、燃え尽きそうな紅い空めがけて走った。
195 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 20:32:15.21 ID:wfWp1SzX0
僕はぐいぐい走った。 いつのまにか、足の裏の肉球が裂けていた。 地面を蹴るごとに鋭い痛みが僕の足を突き刺した。 でも、勢いを弱めることはできない。 目の前で消えかかっている僅かな暖色を見失ってしまったら、もう二度と御主人様に会うことはできない。 だから、僕は走った。 だけど、そのスピードは明らかに落ちていた。 ここ最近は疲れていたし、なんだか今日はちょっと気だるかったのだ。 このやせっぽちの身体は羽のように軽いけれど、奥底にみなぎる力はもう、無かった。 御主人様! 御主人様! 僕はもう、 ただひたすら、 御主人様の匂いを求めて走り続けるしかなかった。
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 20:32:17.32 ID:crlMvtlp0
198 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 20:34:27.59 ID:wfWp1SzX0
そして夜が、一匹の犬を飲み込んだ。 .
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 20:50:24.66 ID:SmlMzZic0
おおう。
200 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 20:50:28.99 ID:wfWp1SzX0
真夜中、人気の無い街。 一匹の犬がさまよっていた。 その薄汚れたその姿と臭いは、どこからどうみても野良犬のそれだった。 何度も何度も、足をもつれさせ、地面を転がり、ドブにも落ちた。 しかしその首にはまる黄色い首輪だけは、新品のような明るさで……。 それが酷く不釣合いだった。 犬はよろよろと力なく歩を進める。 その肉球は、どうしようもないほど滅茶苦茶になっていて、そこからことごとく血がにじみ、コンクリートの地面に黒く湿った足跡を残した。 (……御主人様) 犬は弱弱しく呟いた。 (御主人様……、どこに居るんですか?) 乾ききった口からこぼれる、悲嘆とも落胆とも取れそうなその声のトーンは、"凍える"ように空っぽだった。
201 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 20:52:13.74 ID:OQSRtIfxO
(T-T
202 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 20:53:47.41 ID:SmlMzZic0
おおぅ・・・
203 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 20:58:10.10 ID:wfWp1SzX0
犬はもう限界に近づいていた。 やせっぽちな身体には、全くといっていいほど力は残されておらず。 四つの足は夜の寒さに"凍えて"いた。 (お迎えに……行かないと) 犬はその強靭で一徹な意志だけで、鼓動を続けていた。 (だって……夜はこんなにも寒くて……御主人様) もう鼻は利かなくなっていた。 大きな耳は、自分の弱弱しい吐息しか捉えていない。 その目には、もう、何も映らなくなっていた。
204 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 21:08:22.08 ID:wfWp1SzX0
ついに、犬は冷たいコンクリートに倒れこんだ。 体中が"凍えて"いた。 もう、一歩も進めない。 地面を踏みしめる力が、無い。 (……御主人様) それでもやはり、思い出すのは御主人様のこと。 真っ白な冬の日に、居なくなってしまったあの人の、優しい声。 (御主人様手……僕は――) 『×××××! やっぱりあなたは"悪い子"だわ! そんなにまで、×××ちゃんを困らせたいの?! ×××ちゃんが今のあなたをみたら、きっと涙を流して怒るわ!』 不意に、仲良しだった猫の言葉が頭の中に響いた。 犬は猫の名前を思い出そうとしてみたが、思いだせなかった。 確か"月"に関係する名前だということは覚えていた。十月だったか、それとも九月だったか。 それよりも、彼女が自分に言った言葉のほうが、今の犬には重要だった。
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 21:12:55.18 ID:9zjk7PeCO
フランダース思い出した
206 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 21:16:36.62 ID:wfWp1SzX0
(僕は……"悪い子"?) そうだ、犬は"解って"いた。 ただ"解りたくなかった"だけ。 御主人様はすでに遠くへ行ってしまった。 それは道の果てではなく。 山の向こうでもなく。 ましてや"海"の向こうでもない。 どんな道よりも険しく。どんな山よりも隔たっていて。海の底より深く、寂しいところ。 御主人様は死んだのだ。 ただそれを"解りたくなかった"だけ。
おぉぅ・・・
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 21:20:03.37 ID:y8CZBsUj0
ヴィクター。・゚(ノд`)゚・。
209 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 21:31:56.24 ID:wfWp1SzX0
(……僕は、悪い子なんだ) そうだった。 犬は"解って"いながら"解りたくない"と言い、"解らない"ふりをしていたのだ。 (悪い子) それは、御主人様が嫌うことの一つだった。御主人様はよく言った。 『聞き分けの悪い子は嫌いだからね?』 犬は、自分の御主人様が死んだという現実を受け入れることを拒み、自分の"役目"を忘れていた。 (僕は、幸せなんかじゃ、なかった) 『犬はね、御主人様の為に幸せにならなきゃいけないのよ?』 御主人様の優しい声が、どこからともなく聞えた。 犬は恐怖した。 (僕は幸せなんかじゃなかった! 御主人様がいなくなってからずっと! 幸せなんかじゃなかった!) 御主人様の教えに背いた。それが怖かった。 (僕が幸せじゃなければ、御主人様は幸せになれないんだ! 僕は悲しくて、不安で、とても不幸な気持ちだった!) 犬は悔いた。できることなら、自分で自分をかみ殺してしまいたかった。 (僕は御主人様を不幸せにした! 御主人様は今も、悲しくて、不安で、とても不幸なんだ! 僕は"悪い子"だ!)
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 21:41:51.85 ID:2DZbMpbGO
(´;ω;`)うっ・・・
211 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 21:44:29.24 ID:wfWp1SzX0
悲しみと恐怖と後悔とがない交ぜになって、犬に覆いかぶさってきた。 (ごめんなさい……悪い子で、ごめんなさい) そして犬の芯は"凍え"始めた。 もう感覚なんてものはないに等しく、ただただ不安で、怖くて、悲しかった。 『You know I won't say sorry, You know I won't say sorry.The pain has a bad reaction,』 大好きな御主人様の歌声が聞えた。 『A blend of fear and passion. You know what it's like to believe, It makes me wanna scream...』 全てがもう、ずっと前のことのように感じる。
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 21:45:27.23 ID:SmlMzZic0
ぉぉぅ
213 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 21:47:56.09 ID:wfWp1SzX0
悪い子で、 ごめんなさい。 でも、 御主人様。 あなたの飼い犬になれて、 僕は幸せでした。
214 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 21:55:32.74 ID:wfWp1SzX0
そして、一匹の薄汚れた犬の身体は、 生きることを諦めた。 全てか停止し、寂寞とした空気に満たされた夜の片隅で。 一つの悲しみが、消えた。 『僕が謝らないのはわかっているよね 僕が謝らないのはわかっているよね その痛みは酷い反応を伴うんだ 恐怖と情熱が混ざっている 君は、信じるべきものがどんなものか、解っているよね それは僕を叫びあがらせたがるんだ』 --END--
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 21:56:15.58 ID:y8CZBsUj0
乙!!! なける。・゚(ノд`)゚・。
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 21:58:21.97 ID:2tgVO4Sd0
……バッドエンド? 俺だな。すまない。orz
217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 22:00:34.86 ID:buoFGRf40
わんこ氏に敬礼 切ないわぁ……
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 22:02:20.71 ID:SmlMzZic0
乙でしたっ! いやぁ中々の大作になったね、GJ!
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 22:02:33.14 ID:z0METdBF0
乙でした。・゚・(ノД`)・゚・。 元ネタ知ってたけど、かえって泣けるわコレ……。゜゜(´□`。)°゜。 GJです。お疲れさまでした!。・゚・(ノД`)・゚・。
220 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 22:06:48.44 ID:wfWp1SzX0
名前が「ヴィクター」な時点でバレバレな件についてwwwwww 疑問・質問・感想等を受け付けています。 できる限り答えます。
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 22:09:06.97 ID:8VI+DqRkO
どうやったらわんこみたいなクオリティが出せるの?
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 22:09:40.81 ID:OArvbAzR0
無知な俺に元ネタを教えてください
223 :
ミミ to I eva 聴音器官 ◆8VM5xLK5jw :2006/05/18(木) 22:09:44.16 ID:pC8WRgKZ0
どうやったらわんこみたいなクオリティが出せるの?
224 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 22:10:35.20 ID:SmlMzZic0
どうやったらわんこみたいなクオリティが出せるの?
225 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 22:13:55.92 ID:buoFGRf40
どうやったらわんこみたいなクオリティが出せるの?
226 :
取り逃し亜人゙ ◆c6bw2Zi7Iw :2006/05/18(木) 22:14:05.09 ID:tNyy3Izv0
どうやったら核金で生命吸収できるの?
227 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 22:15:47.50 ID:wfWp1SzX0
>>221-225 ッ先ず、リポDでも飲みましょう。
そして常にいっぱいいっぱいの状況に自分を陥れましょう。
228 :
ミミ to I eva 聴音器官 ◆8VM5xLK5jw :2006/05/18(木) 22:16:09.82 ID:pC8WRgKZ0
皆でやりだすと、罪悪感が沸き始める私が居るorz 乙でしたよーw
229 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 22:16:38.29 ID:wfWp1SzX0
230 :
取り逃し亜人゙ ◆c6bw2Zi7Iw :2006/05/18(木) 22:18:26.56 ID:tNyy3Izv0
あはー☆ 乙です
231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 22:18:37.78 ID:8VI+DqRkO
232 :
ミミ to I eva 聴音器官 ◆8VM5xLK5jw :2006/05/18(木) 22:20:15.42 ID:pC8WRgKZ0
233 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 22:23:41.05 ID:8VI+DqRkO
>>232 ちょwwwwww把握すんのおれじゃねぇwwwwww
234 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします :2006/05/18(木) 22:24:17.48 ID:z0METdBF0
235 :
ミミ to I eva 聴音器官 ◆8VM5xLK5jw :2006/05/18(木) 22:24:35.74 ID:pC8WRgKZ0
236 :
ミミ to I eva 聴音器官 ◆8VM5xLK5jw :2006/05/18(木) 22:28:57.37 ID:pC8WRgKZ0
237 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :2006/05/18(木) 22:38:59.43 ID:wfWp1SzX0
本当はこの半分くらいで終わらせる予定だった。 なーんでか長引くんだよなあーorz
238 :
かしわんこ ◆WTJGtkvg02 :
2006/05/18(木) 22:56:14.24 ID:wfWp1SzX0 読み返してみて、泣いた 自分の文才のなさに orz