1 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:
百物語(ひゃくものがたり)
締め切った部屋に複数の出席者が集まって車座になり、百本の蝋燭を灯して、順に怪談を語る。
一話を語り終わるごとに一本の蝋燭を吹き消していき、百本目の蝋燭が消される(百話の怪談が語られる)と、青行燈が現れ、実際に怪異が起こるとされる。
2 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 11:01:34.52 ID:CkdF97540
3 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 11:02:00.84 ID:LDWOD4Eh0
4 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 11:03:24.78 ID:gdo+DrQq0
わたしの弟から聞いた本当の話です。
弟の友達のA君の実体験だそうです。
A君が、子供の頃A君のお兄さんとお母さんの田舎へ遊びに 行きました。
外は、晴れていて田んぼが緑に生い茂っている頃でした。
せっかくの良い天気なのに、なぜか2人は外で遊ぶ気がしなくて、 家の中で遊んでいました。
ふと、お兄さんが立ち上がり窓のところへ行きました。
A君も続いて、窓へ進みました。
お兄さんの視線の方向を追いかけてみると、人が見えました。
真っ白な服を着た人、 (男なのか女なのか、その窓からの距離ではよく分からなかった そうです) が1人立っています。
(あんな所で何をしているのかな)と思い、続けて見るとその
白い服の人は、くねくねと動き始めました。
(踊りかな?)そう思ったのもつかの間、その白い人は不自然な 方向に体を曲げるのです。
とても、人間とは思えない間接の曲げ方をするそうです。
くねくねくねくねと。
A君は、気味が悪くなり、お兄さんに話しかけました。
「ねえ。あれ、何だろ?お兄ちゃん、見える?」
すると、お兄さんも「分からない。」と答えたそうです。
ですが、答えた直後、お兄さんはあの白い人が何なのか、 分かったようです。
「お兄ちゃん、分かったの?教えて?」とA君が、聞いたのですが、
お兄さんは「分かった。でも、分からない方がいい。」と、 答えてくれませんでした。
あれは、一体なんだったのでしょうか?
今でも、A君は、分からないそうです。
「お兄さんに、もう一度聞けばいいじゃない?」と、
私は弟に言ってみました。
これだけでは、私も何だか消化不良ですから。
すると、弟がこう言ったのです。
「A君のお兄さん、今、知的障害になっちゃってるんだよ。」
5 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 11:30:43.20 ID:52o64m6E0
もう4年くらい前だけどウチのばーちゃんがさぁ
洗面所や風呂場に行くと心臓が痛くなって倒れたりするんだって
まぁ歳もとれば体も弱くなってくるんだけど
病院へ行ってもちゃんとした原因がわからなかったらしい
で、年寄りだからばーちゃんは霊にとりつかれてるかもって考えたんだよ
普通に考えれば馬鹿らしいでしょ?霊なんているわきゃねーって、まぁ年寄りだからね
そんなわけでお払いやってくれる人のところへ行ったんだとさ、で
お払いやってくれる人はばーちゃんにこんな風なことを言ったらしい
あなたの家の近くにむかし井戸があってそこで自殺した人がいます、と
それで調べたらマジで井戸があったんだよ、今はもう埋まってるけど
おれはもちろんばーちゃんも井戸があったことなんて知らなかった
水のあるところに行くと倒れたりしてたのはそのせいだったみたい
お払いしてもらったあとは何ともなくなったって言ってたよ
そしてその人が言うにはばーちゃんは優しくて霊にとりつかれやすい人間なんだって
おれは霊なんてもんは信じないし、よくは知らないけど不思議に思ったね、気味悪い
2話終了
6 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 11:36:04.98 ID:52o64m6E0
まあくだらない話なんだけど実際に俺が体験した話を書く
あれは確か弟がまだ生きてるときだから3歳ぐらいの話だったかな
夜中に小便がしたくなって夜中に目が覚めたんだよ
そしたら髪の長い女が俺の足元にいるわけよ
まあその女は俺のほうなんか見ないで電話してるような感じでなんか喋ってるんだよ
まあそのまんま女をジーと見てたら俺に気づいたらしくこっちを見て笑いかけたんだよ俺に
そのまんま女はスーッと消えました
そして俺は気絶したのかそこからの記憶はないがおねしょをしてしまった
まあ何でこの話を書いたかという先月ぐらいに母親にこの話をしたら
母親がその人ってワンピース着てなかった?って言ったんですよ
どうやら母親が連れて行かれそうになった幽霊と俺の見た幽霊はとても似てるというか多分一緒だと思う
いやーこんなこともあるんですね
それともう1つ幽霊の声を撮れたやつがあるんですけどそっちのほうはその声を保存した
SDカードが見つかったら書きます
文章を書く能力なくてすいません
3話目終了
7 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 11:38:19.12 ID:52o64m6E0
とある雪国の話
その日、3日に一度の列車が出ていた
故郷に帰る者、都会に行く者
様々な人を乗せ列車は運行を続ける
一面銀世界の雪の草原
一線の線路が敷いてあり、そこを列車が轟音を鳴り響かせながら走っていく
キィィィー
列車はまるで大猿の断末魔のような高い音をあげとまった
乗客ははてなという顔をしながら外を見る
そこには中年の車掌さんが何かを探しているのかのような素振りで
あたりをフラフラしていた
なにかのトラブルであろうか?まあその内走り出すであろう
乗客はひとまず自席につく
それから三十分 小一時間
まだ列車は止まったまま動かない
流石に客を待たせている 私は早く目的地に行かなければ 俺は急いでいるのに
一部の客が立腹し不満を漏らしている
8 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 11:38:49.86 ID:52o64m6E0
客はまた窓を覗いてみた
そこにはまだフラフラしてる車掌さんがいた
何かを探しているのかな
客は窓越しから車掌を呼んでみた
すいません もう少し待ってください
車掌は手を振りながら合図した
客は不審に思い列車から外に出てみた
すいません 車掌さん 一体どうしたのでしょう?できることがあれば手伝いましょうか
客は車掌の元へと寄った
お客さん 待たせてもうしわけない 実はですね 先ほど何かをはねてしまったみたいなんです
車掌が困った顔でいうと客は驚いた顔をした
ほほぉ それはなんですか?動物かなにかですか?
車掌は少し間をためた
えぇ そのようです はねてしまったままでは申し訳ないので せめて亡骸を見つけて葬ってやろうと思いまして
客はあたりをチラチラ見渡す
そうなんですか それでは私も一緒に探しますが いいですね?
車掌は足元をみて言った
えぇ それがですね・・あなたの足元をみてください
客は自分足元 つまり列車の下を見た
客の顔は一気に青ざめた
こ これは・・・動物なんですか?
9 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 11:41:16.44 ID:52o64m6E0
そこにあったのは血だった
しかい量は半端が無く
犬や猫 兎や狐の類ではないであろう程の多量さ
真っ赤ではなくドス黒く まるでアメーバのようにドロッとしていた
そしてそれの主である亡骸は付近には見受けられない
一体どこに ・・・
客と車掌は残りの乗客に事情を話した
熊でもひいたのでは?
この辺りには狐と兎しかいない
それではなにをひいたのですか?
もしかしたら 人間かもしれないんだ
車掌の口からこの言葉が出た時点で客全員の顔は青ざめていた
乗客と車掌は手分けしてそのはねた人間であろう 亡骸を探し始めた
あ あ あったぞおおおお
中年男性の悲鳴に近い声が鳴り響いた
車掌及び乗客は囲むようにして集まった
そこには人間の腰から下があった
ジーパンを穿いていて大方男であろう
車掌乗客はふるえながらも慌てながら上半身の捜索を続けた
自責の念に押された車掌は 少し奥の林の方へと進んでいった
車掌はうしろからなにかの視線を感じた
うしろむくとそこには男性がいた
しかしおかしい その男性は子供の背丈よりも低い身の丈であった
10 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 11:42:09.94 ID:52o64m6E0
車掌はかたまっていた
その男性には下半身がなかったのだ 上半身だけ 腕で立つようにしていた
あの いま列車とぶつかってしまったようなのです それから痛みは感じないのですが どうも調子がおかしい
上半身だけの男性は普通に口を利いた
車掌はかちこちの石のようだったがとたんに狂った猿のようになった
林の奥へ 奥へ 奥へ 全速力で逃げた
車掌が後ろ向くと
まってくださいよ〜 なんでぼくの下半身がないのですか?ねぇ?
上半身の男が腕だけで車掌の足に追いつく程の速さで駆けてきた
うわぁぁぁぁ
車掌は走るのをやめ すぐ近くの樹に登った
するとその上半身も樹の枝をぐっとつかみながら登ってきた
うわぁぁぁぁ うわぁぁぁぁ
車掌はそのままショックで死んでしまった
その男性も 樹にぶら下がったまま出血多量で死んだ
液体も瞬時に凍る氷点下の世界
血が凍り 即死を免れたが それが招いた悲しい事件であった
4話目終了
11 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 11:46:25.93 ID:fSN6h4WfO
マジレスすると血はそうとう低い温度じゃないと凍らない
いつものように駅のホームで電車を待っていた。、
電車待ちの列に並んでいると、
後ろからトントンと肩を叩かれた。
振り返って見ると変な格好の人が
ニコニコしながらこっちを見てた。
その人、今時居ないような格好をしていた。
紳士服にシルクハット。見た感じは40〜50歳ぐらいの男性だったが
でも、どう見ても変人に見える。
映画とかならまだしも、日常でこんな格好の人がいるハズない。
ヤバイなぁ・・・朝から変な人に捕まっちまったか・・・と内心思いながら
『僕に何か用ですか?』
と言ってみた。
「これが落ちてたんですが、あなたのではないかと思って。」
と言いながら、その人は手をグーの格好にしながら前にだした。
えっ・・・?自分が何か落としたのか・・・と思い
『あっ、すいません・・・』
と恐縮しながら自分はその人の手の下に自分の手を出した。
「今度は落とさないように。」
といいながらその人は手を離した。
『はい、すいま・・・あれっ?』
自分の手の中には何もなかった・・・。
意味が分からず
『あのっ・・・』
と言いいながら目の前をみたら
その人は消えていた。
自分の目の前では小太りの中年男性が新聞を読んでいた。
??幽霊??朝から幽霊か?
キツネに抓まれたような感じだった。
何なんだ・・・と思い前を向き直した。
「ズキンッ」
急に頭が痛くなった。
頭痛か?割れそうに痛い。
吐き気も催してきた。
うっ・・・ダメだ・・・。
電車の列から抜け出して、駅のトイレに駆け込んだ。
嘔吐した。
何故か分からないが急に気持ち悪くなった。
それから、しばらくトイレの個室に入っていた。
1時間後、ようやく体調が回復した。
トイレから出てみると辺りがどよめいていた。
何かあったのか?
駅員さんに聞いてみると
電車が事故を起こしたらとのこと。
列車に人が轢かれたんだろうと
そのときは思っていた。
でも、実際はもっと重大な列車事故が起こっていた。
尼崎列車脱線事故。
自分が乗ろうとしていた電車だった。
今でも、あの人が自分に手渡してくれたモノは
『命』だったんじゃないか思う。
でも・・・何故自分が助かったかは未だに謎。
普通の一般人だし。
5話目終了
15 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 11:57:01.84 ID:lIFnYEDa0
実体験を書こうかと思ったが、
考えてみればそういう体験がほとんどない
16 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 12:03:48.23 ID:52o64m6E0
一家全員鬱の家族と付き合いがあったんだが、隔離されてないのって怖いな。
最初は普通の一家だったんだが、息子がおかしくなってから家族もだんだんおかしくなってったのよ。
で、ある日「おまえか!うちを呪ってるのは!」と息子にいきなりぶん殴られたね。
正直殺られるって思ったけど、俺の母親も殴られたんで死ぬ気で応戦したよ。
弟に警察に通報させて逮捕して貰ったが、相手は精神が病んでるのでムショにはぶち込めない。病院に入院させるぐらいしか出来ないって言われたのがショックだったよ。
まぁそれから何も起こらなかったが、流石に気持ち悪いから引っ越したけどね。
6話目終了
17 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 12:08:58.12 ID:xcNJTVDqO
怪談話せよwwwwwwwwww
18 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 12:14:16.94 ID:52o64m6E0
怪談は長い話が多いんだもの
19 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 12:17:10.02 ID:WeZfYkxC0
深夜バイトの帰りに公衆トイレに入ったんだ。
しょんべんしてスッキリして、手洗ってると、個室が使用中になってた。
誰かうんこしてるんだなーとか思って、その場を立ち去ったわけなんだが
翌日の新聞で、その個室で首吊りした死体があったらしい。
書いてから気が付いたが怪談じゃねえな
7話目終了
20 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 12:48:39.64 ID:52o64m6E0
友達の女の子が最近身の回りがおかしいと俺に相談して来た。
家に帰り部屋に入るとなぜか部屋に紫のもやがかかってたり、家族が入って来ると元の部屋に戻るらしい。街を歩いてても誰かに見られている感じがしたり、身体が妙に重くだるかったりと。
「何かに憑かれたんじゃね?」冗談半分に俺が言うと、霊感やらも全く無いし、身に覚えが無いそうだ。そこで俺は自称霊感が強い男友達を加え三人で話をしてみる事にした。
俺に話した話をその男友達に話している彼女。一度聞いた話だったので、俺は退屈そうに煙草をふかしてた。男友達はしきりに「俺の目を見て話せ」と、彼女に言っている。
その時気づいたが、彼女が俺にその話をしていた時も彼女はうわの空。どこか遠くを見る目で話をしていた。男友達が何度も目を見て話せと言うが、気づけば彼女はまた遠くを見ている。
話を聞き終わった後その男友達はどこかに電話をかけ、彼女に「今すぐここに行って来い」と地図を書いて渡した。
21 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 12:49:15.12 ID:52o64m6E0
男友達と二人きりになった俺は彼女をどこに向かわせたのか聞いた。知り合いの坊主にお祓いをしてもらう為、少し離れた寺だと言う。
怪訝そうな顔をして俺は男友達を見つめた。なぜ友達は彼女に何度も俺の目を見て話せと言っていたか。
彼女の視線の先には生首が浮いていて、彼女を見てケラケラ笑っていたそうだ。
8話目終了
22 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 13:03:49.43 ID:lIFnYEDa0
wktk
23 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 13:08:49.28 ID:52o64m6E0
俺が家を出て一人暮らしをしようと、不動産屋さんといろいろ家をみて回った日の事。
いろいろ見て回った何軒かめのアパート。
それまで気さくに話してた不動産屋さんが何やらぎこちない。
懐に手を入れて案内してくれた。なんかこう、外国の刑事が銃を抜くような感じで。
靴を脱いで上がり、二間だけどまあまあな部屋に入っていった。
習性でコンパスで確認すると窓は西。こりゃあ西日がきついなぁなんて思ってたよ。
押入れとかもまあまあ広くて意外といいけど・・惜しいなと。
その旨を不動産屋さんに話すと、引きつった顔で笑ってじゃあすぐ次に行きましょうって。
なんか怒るようなことしたのかなって玄関に戻ると、靴が六足ある。
男物、俺と不動産屋さんのもの。そして女性のとおぼしきもの。
そのときの声にならない不動産屋さんの悲鳴・・・
俺は靴履いて玄関閉めて・・・あれって気付いた。不動産屋さんはもう階段を走り降りていたw
ええ。俺も走りましたとも。響く音は三つ。俺の前と・・・後ろからも響きましたよ。
霊感はないけどああもはっきりと見たのも、聞いたのも初めてでした
24 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 13:09:25.40 ID:52o64m6E0
あ。書き忘れました。不動産屋さんが懐で握っていたのはお札でした。
車に乗り込むとお札を貼り、何か唱えてました。
・・・・てかそんな物件を紹介すんなよとw
違う不動産屋さんで今の部屋は決めました。終わりです
9話目終了
25 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 13:11:03.54 ID:V91IaiXB0
wktk
26 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 13:12:45.40 ID:52o64m6E0
俺の狂った瞬間でも書きましょか。
いろいろ切羽詰まってた高校の時のこと。
夜寝ようとしたけど眠れず、
やたらと考え事をしていた。
で、考えているのだけれどその内容が取り留めなくて
収拾がつかない。
こんな感じ、
「俺の人生はどうなるんだろう。今日は学校行ったけど
このまま行き続ければ時間が過ぎていく。
過ぎた時間はどこに行くんだろう。俺は覚えているけど
覚えていないことが世界のどこかにあって、
壁の向こうは見えないからそこは記憶にない。
でも壁のむこうは絶対あるはず。
壁は世の中にいっぱいあるから俺の覚えてないことは
いくらでもある。向こう側はほんとうは真っ赤で真っ青だ。
天井の向こうはなんだ、上には誰かいるのか。下には誰かいるのか。
上の人と下の人に挟まれて肉の感じがする。
気持ち良い。安心だ。あれ、この部屋にいるのは俺だけだぞ」
27 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 13:13:54.84 ID:52o64m6E0
で、時間がどんどん過ぎて行くんだけどその実感がない。
実感がないけど、意識の何処かが緊張していて目が冴える。
時計の秒針が確実に進むのが不思議で仕方がない。
そうこうしているうちに、だんだん明るくなってくる。
カーテンがほんのり明るくなって、
模様がハッキリしてくる。
太陽の光が舌でのびてきて世界をなめ回す。
なめられて世界は奇麗になる。消毒される。
太陽の舌は灼熱で、吸い付く汚れをすぐに燃やしてしまう。
で突然、世界が自分の中に飛び込んでくる。
凄く嬉しくなって、壁の向こう側もこっち側も全てが同じだと直感を感じて
体中が震えて力がみなぎってくる。
いてもたってもいられなくなって嬉しくしょうがなくて、
この感覚を誰かに伝えたい伝えなければ
と確信する。
俺は家の外に飛び出して、歓喜に震えて朝日を浴びる。
朝日は新しくて素晴らしい。
俺の体が全て洗浄されて奇麗だ。
心の底から嬉しく笑いがこみ上げてくる。
で、、、、
気がついたら病院のベッド。
その前に一瞬、注射の感覚だけがあった。
10話目終了
28 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 13:24:12.72 ID:V91IaiXB0
このスレだけ生き残るかも分からんねwww
親戚の叔母さんが体験した怖い話
ある日、叔母さんのうちに一本の電話がかかってきた
「こちら警察のものですが、お宅の息子さんが事故を起して通行人に怪我をさせてしまいまして、
被害者の方から示談で良いとのことで、至急こちらの口座に振り込んでいただきたいのです
ただいま、息子さんに代わりますね・・・」
叔母さんはすぐにそれが最近流行っているオレオレ詐欺だということに気が付いた。
なぜなら、息子は5年前に事故で亡くなっているからだ。
「母さん、俺だよ、事故起しちゃってさぁ、大変だよ。すぐに示談金振り込んでくれよ」
叔母さんはその声を聞いてハッとした。死んだ息子の声とそっくりだったからだ。
まるで死んだ息子が蘇り、そこにいるような気がした。
叔母さんは電話を切ることが出来ず、しばらく息子にそっくりなその電話の声に聞き入っていた。
そして再び警察官と名乗る男に代わった。
「そういうわけなので、どうかお母さん、示談金、お願いしますね・・・」
再び息子と名乗る男に代わった。
「母さん、ゴメンよ、助けてくれ」
そこで叔母さんはやっと真実を話した。
「あのね、私の息子は5年前に死んでるの。」
電話の声がパタリと止まった。気まずい空気が流れた。しばらくの沈黙の後、電話が切られる前におばさんは言った。
「ちょっと待って、あなたの声、息子とそっくりなの。電話切る前に、もう一言だけ、声を聞かせてもらえないかしら」
しばらくして、電話の主はこう言い、電話を切った。
「母さん」
11話目終了
11年前の2月、何も無い湖の駐車場でガリガリの猫が寄ってきた。
よろよろと俺たちの前に来るとペタンと腹をつけて座った。
動物に無関心だった俺は「キタねー猫だな」と思っただけで、他に何とも思わなかった。
猫を飼っていた彼女がその猫を撫でながら言った。
「こんな所にいたら病気で死んじゃうね」
単細胞の若者だった俺は頭にきた。
「何、こいつ病気なのか?死ぬと分かってて放っておくのは殺すのと一緒だろ!
何言ってんだオメー」
ドライブは中止。そのまま膝の上に乗っけて車を運転して帰った。
顔は目ヤニだらけ、鼻水で鼻はガビガビ、尻から出てきた回虫が俺のズボンの上を這っていた。
くしゃみで車のドアはベトベト、コホコホ咳をして、痰でゴロゴロいっていた。
「どうするの、その子?」
「治るまで俺が飼う」
「じゃあ名前は?」
「うーん…痰が詰まってるから…痰助」
「変な名前」
「うるせー」
獣医に寄って虫下しと風邪の薬などを貰って帰った
風呂場で綺麗に洗って、とりあえずシシャモとちくわを食べさせた、腹がカチカチになるまでがっついていた。
ペットは駄目なマンションだし、治って暖かくなったら逃がすつもりだったが、1週間で方針を変えた。
あっという間にまるまると太り、誰が見ても目を細めるような人懐っこい顔になり、夕方になると俺の帰りを玄関に座って待つようになった。
もともと飼い猫だったようで、トイレは最初からできた。車に乗るのが好きな変な猫だった。
人間も同じだろうが、食べ物で苦労したせいか、すごい食いしん坊だった。
冷蔵庫が開く度にダッシュで駆けつけ、何もくれないと分かると、わざと歩くのに邪魔な所に寝そべって俺に抗議した。
かつては歴戦のツワモノだったようで、耳は食いちぎられて欠け、しっぽは折れたまま曲がり、ケガの跡のハゲがあちこちにあった。
当時は分からなかったが、そうとう歳をとった猫だった
歯が何本も抜けていて、筋肉も細かった、一日中じっとしていた、食べる時以外に走ることはなかった。
ちょうど一年後、俺は痰助の誕生日を勝手に決め、仕事帰りに誕生日プレゼントとして一個千円のカニ缶を買って帰った。
普段は脇目も振らずに食べる痰助が、その日は一口食べるごとに俺の顔をじっと見ていた。
「なんだよ、俺でも食った事ないんだぞ。早く食わないと俺が食っちまうぞ」
いつもどおり缶の底がピカピカに光るまで食べたのだが、無理をして食べているように見えた。
誕生日の二,三日後、食欲が無く朝からぐったりしているので、いつもの獣医に連れて行った。
検査の結果、腎臓がかなり悪い事が分かり、即日入院となった。
先生が抱き上げようとすると、必死に俺の肩に登ろうとした。
先生に抱かれて診察室の奥の部屋に行くとき、ガラスのドア越しに見えなくなるまで俺をじっと見続けていた。
あのときの哀しい眼差しを、俺は生涯忘れる事はないだろう。
雪のちらつく朝、痩せた体に一輪の花を乗せて、痰助は大好きな車で俺と一緒にうちに帰った。
大工の弟に頼んで作った小さな棺に俺の写真と大好物だったちくわを入れて、痰助に出会った湖の桜の木の下に埋めた。
12話目終了
32 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 13:28:04.51 ID:D4DR68EP0
そして・・・20話、30話と話が過ぎてゆく・・・
↓95話から
俺が高校生だった頃、隣のクラスに目茶苦茶可愛い子がいて、俺は恋心を抱いていた。
一年ほど片想いをしていたが、体育祭の日、その子が俺に告白をしてきて付き合うことになった。
その子は高校でもかなりモテていたが、オレなんて全くモテないブ男と付き合うなんてどうかしてる!
と、周りの奴が噂するのを一時期学校ではよく耳にした。
俺も何度か『オレなんかのどこがいいの?』と尋ねた。
彼女は毎回ハニカミながら『笑顔が好きになった。周りが何を言おうが、私が好きなんだからいいぢゃん!』と言ってくれた。
すごく真っすぐな子だった。
俺は昔から自分自身にコンプレックスを持っていた。
『俺は不細工で頭も悪い』それがオレの口癖だった。
彼女はそんな俺に「でも私はそんな貴方が好きなんだから。自分で悪く言うのは辞めて。」と。
俺にはとても出来過ぎた子だった。
高校を卒業し、俺は町工場に就職、彼女は大学へ進学した。
彼女は大学の授業が終わるとしょっちゅう工場の前で俺の事を待ってくれていた。
19才のとき、彼女が妊娠した。俺達は周囲の反対(彼女が大学生だった為)を無視して結婚した。
彼女は当然、大学を中退、元気な女の子を産んでくれた。
俺に甲斐性がないので、彼女は半年後にはパートをして家計を助けてくれた。
金は無かったが毎日幸せだった。
娘が二歳になって間もなく、彼女は交通事故で他界した。パートの行きに車に跳ねられて
俺は葬式でも涙が出なかった。彼女の死を信じられなかった。
それから三年経った。
俺は今でも彼女の事を引きずっている。
オレなんかと出会わなければ彼女は・・
俺は彼女のお陰で幸せだったが彼女には俺のせいで幸せを掴みそこなったんじゃないのか・・とか
生活する為に工場と夜のウエイターのバイトで彼女の忘れ形見の娘との会話もあまり無かった。
そのせいか、娘はいつも一人で絵を描いている。
昨日、仕事から帰ると、また娘が何か描いていた。
「それなに?」
愛想なく聞くと娘は
「おかあさん」
と答え、絵を書き続けた。
一瞬、ドキッとした。
「え?おかあさん?・・・お母さん何してるの?」
と聞き直すと
「今日はオカーサンとお砂場で遊んだの。」
娘が言った。
俺は、娘に聞いた
「どこのお母さん?お友達の?」
娘ははっきりと
「違うよ、美優(娘)のお母さんだよ。昨日も遊んだの」
と。
娘は続けてこう言った
「美優おかーさん大好き、おかーさんもねぇ、美優とパパが大好きなんだよ。」
俺は娘を抱き上げ、すぐにその砂場に走った。
砂場に着くと、もちろん、そこに彼女はいなかった。
娘は「おかーさんはこの公園が大好きなんだって。いつも美優より先に着てるよ。」
その言葉を聞き俺は思い出した。この公園は高校時代、よく彼女と立ち寄り、始めてキスしたのもこの公園。
俺は、娘の前で号泣した。むせる様に泣いた。
娘はポカーンとしていた。
俺は娘を抱きしめ、謝った。「ごめんね。」と。
彼女が死んだ事を受け入れられず、多感な年頃の娘の相手もせず、毎日クヨクヨ生きていた自分自身が恥ずかしかった。
彼女は死んでも、娘の遊び相手になって。
俺は死んだ彼女にも苦労をかけていた。
13話目終了
うお、ラップ音みたいなのがした
去年のちょうど今頃の話なんだが。
仕事の関係で俺はほとんど日本にいなかった。
で、六ヶ月振りに日本に帰って来たんだよ。
帰ってきた港の直ぐ近くに祖母と叔父夫婦が住んでる家があったんで、土産持ってな。
んで、いつも通り「おいばばぁ!今年の夏は暑いけどくたばってへんやろなw」とか言いながら家に入った訳。
でも祖母の返事が返ってこない。いつもなら「お前こそ死んだと思ってたわwwww」とか笑いながら出てくるのに。
で、代わりに出てきたのが叔父。「ばあさん、3月に脳梗塞で・・・」って突然言われたんだよ。
慌てて祖父の仏壇のある仏間に行ったら、祖父の遺影の横に祖母の遺影が。
俺もう、大声出して泣いたのよ。祖母は大好きだったのに、その死に目にも会えなかったのかよってな。
そしたら、突然祖母の声が聞こえたんだよ。
「○○(俺の名前)、うちが死んだら笑ってやるって言ってたやないか!笑え!」
ってな。一緒にそこにいた叔父夫婦もしっかり聞こえたらしい。
もうそこからは俺も叔父夫婦も大笑いしながら大泣き。
滲んで良く見えない視界の隅で、祖母の遺影が笑ったような気がした。
14話目終了
私が妊娠7ヶ月ごろのこと。大阪で娘家族と暮らしていたダンナのおかあさんが突然
東京にいる私達と一緒に暮らしたいと言ってきた。
義姉は性格がかなりキツく、あきれるほどお金に汚い人で、きっといろいろあったのだろう。
義母は「我が子ながら・・・くたびれた」とつぶやいた。
疲れ果てた義母を快く迎えてあげたかったのだが、そのときの私にはかなりの覚悟が必要だった。
なぜなら、ダンナは全く働かず、大きなお腹の私の収入でカツカツの生活をしていたからだ。
生まれてくる赤ちゃんにかわいらしいベビー服を用意してやるどころか、
ダンナの借金もあり、赤ん坊を抱えて今後どうやって働いていくのか先が見えない状況だった。
が、義姉の「かあちゃんそっちに送るからな!」という一言で私の心は決まった。
母親をまるで荷物扱いの口調が許せなかった。
何不自由ない生活は無理っぽいけど、今より心穏やかな生活はさせてあげれる。
今だって苦労してるんだし、お義母さん一人増えたところで苦労ついでだわ・・・
そう決心すればあとはなにも躊躇する理由はない。
私は最大限の歓迎の気持ちをこめて、義母を迎えた。
小さなカバンひとつ持って、駅のホームに降り立った義母の姿を初めて見たとき(この時が初対面)
私は心の底から安心感を覚えた。
それは義母に対する同情ではなく、実の母に対する愛情と同じものだった。
初めて会う人にそんな感情を抱くのが不思議だったが
前世というものがあるのなら、義母と私はその昔、本当の親子だったのかもしれない。
実際、私と義母は本当の親子のように仲がよかった。
よく話し、そしてよく笑った。親子げんかもした。
仕事で遅く帰ってくる私を、義母は寝ないで待っていてくれた。
二人でホットミルクを飲みながら、寝るまでのわずかな時間、義母はアルバムを開いては
自分の半生を私に語った。
それはむすこであるダンナも知らない話ばかりで、語るというよりも私に伝える作業に似ていた。
私は女の子を出産した。
義母もとても喜んでくれた。そして私に、
「あんた、次もすぐだよ。次は男の子や。」そういった。
「ええっ!冗談じゃないですよぉ。これ以上はやってけないですよぉ。」
「いやいや。そうじゃない。これは決まりごとだからね。大丈夫。いい子に育つよ。宝物だよ。」
そう言って、義母はにっこり微笑み赤ちゃんにほおずりした。
出産したからといって休んでいる暇は私にはなかった。
なにせ食い扶持がまたひとり増えたのだから。飢えさせてなるものか。
退院するとすぐにまた働き出した。
そんな生活でも私は確かに幸せだった。
幸か不幸かは自分で決めるものだとつくづく思う。
義母も幸せであったと信じたい。
そんな中、義母が突然「大阪に帰りたい」と言い出した。
孫の顔も見せてもらった。あんたにも会えた。
次の孫の顔を見れないのが心残りだけどしょうがない。生まれ育った大阪で死にたい・・・・と。
とても元気な義母から「死ぬ」という言葉を聞き、不自然な不安を感じたのだが
引き止めてはいけないような気がした。
で、義母の気持ちに沿えるように、義母にはちょっと待っててもらって
お金の工面をしたり、義姉と交渉したりして、義姉の近所にアパートを借りることができた。
義母を送り出した日、手を振る義母の姿を最後にするつもりは毛頭なかったのに
三ヶ月ほど経った頃だろうか。
義姉から義母が亡くなったという連絡を受けた。
無意識に覚悟をしていたのか、その連絡を私は厳粛な気持ちで受け止めた。
しかし、お葬式に行き、義母の遺品整理のため義母のアパートを訪れた時は胸をかきむしられた。
広告の裏に几帳面な小さな文字で、ここに来てからの家計簿が記されていた。
わずかな年金と、わずかな私の仕送りを細々と書き記す義母の姿を思うといたたまれなかった。
何もしてあげられなかったと思う。
おいしいものをたくさん食べさせてあげたかったし、旅行にも一緒に行きたかった。
義母のために何かをプレゼントもしたかった。
結局なにもできずじまい。
心の中で義母に詫びた。
悲しみふさぐ気持ちを払拭してくれたのが義姉だった。
義姉も、義母が大阪に戻ってきた時に私と同じような予感を感じたらしい。
そして彼女は母親に生命保険をかけたのだ。
悲しみは義姉に対する怒りにかわった。
「この金はあんたにやる義理はないからな!」
「面倒みて何ももらえんとおあいにくさまやな。」
そんな下品な言葉を聞き、一発なぐってやろうかとさえ思った。
だが義母の霊前でその娘をなぐるわけにもいかず、どんな無神経な発言も耐えることにした。
義姉を憎む気持ちはお葬式から帰ってきてからも消えなかった。
深夜、ふと人の気配で目が覚めた。
見れば義母が正座して私を見つめている。
驚いて「お義母さん、どうしたの!?」と、飛び起きてたずねた。
すると頭の中に直接義母の声が響いた。
「あんたになにも残してあげれなくてごめんな。」そういって、義母は畳に手をついて頭を下げた。
いよいよ驚いて、私も布団の上に正座して
「そんなこと、なんにも思ってませんってば!!」
「○子(義姉の名前)のこと、許してやってね。あの子も今つらいんや。許したってね。」
母親の気持ちは母親になれば痛いほどわかる。
どんな子供であってもかわいいし、子供の欠点は自分のせいだと自分を責めるし、
ましてや子供が苦しんでいるのなら自分が死んでたって心配するものだ。
私も手をついて義母に頭を下げた。
「お義母さんごめんなさい。もうお義姉さんのこと許したから。もう悪く言いません。」
そういって頭を上げると、義母はすーっと消えていった。
私は布団の上に正座したまま、しばらく、義母と会話をした幸せな余韻を楽しんでいた。
義母とはその後、もう一度再会した。
義母の予言どおり、私はすぐに男の子をみごもり、そして出産。
ダンナの改心を願っての出産だった。
しかし願いは届かず、あいかわらず働かないのだ。二人の子供の父親なのに。
私は全てに失望しかけていた。生活に疲れすぎていたんだと思う。
ある朝、仕事に行く時間が迫っても私はがんばる気力が出なくて
「仕事行きたくない・・・」などとぼんやり考えながら椅子に座っていた。
私ばっかりなんでこんなにつらいんだろ・・・そう思うと涙がでそうになった。
その時だった。
「この甲斐性なしっっっ!!!!」
突然頭の中にとどろいた怒鳴り声。しかしそれはなつかしい、まぎれもなく義母の声だった。
びっくりして顔を上げると目の前に義母が立っていた。
義母は生まれたばかりの息子をだっこしている。
そして、「この子を飢えさせる気?」と言わんばかりの表情で、私に息子を突きつけてきた。
「あのぉ・・・甲斐性なしはあなたのむすこさんなんですけど・・・」
そうつぶやいてみたら、なぜだか急に笑えてきた。
きっと義母は何度もダンナの尻を叩きにきていたに違いない。
そのたびに「やれやれ・・」と消えては、また何度も出直す義母の姿を想像すると可笑しくて。
ひとしきり笑ったら元気がでた。
「そうだね、がんばらなくっちゃね。ありがとう、お義母さん。」
そういうと、義母はにっこり微笑み、「大丈夫だから。」と言い残して消えていった。
ふいに赤ん坊の泣き声が聞こえた。いつから泣いていたんだろう。
泣き声が耳に入らないほど、私はどうかしていた。
もしかしたらノイローゼの一歩手前だったのかも。
それを義母が叱って助けてくれたものだと思っている。
きっとずっと見守っていてくれたのだと思う。
自分の努力で切り開いて生きてきたと思っていたけど、
振り返れば、信じられないほどの幸運と転機がいくつもあった。
ダンナとはその後、離婚することになってしまったが。義母も理解してくれていると思う。
現在、子供ふたりとも高校生。あっというまです。
娘はますますきれいに、息子は私を見下ろすぐらいに大きくたくましい青年に。
ふたりとも大学へむけての勉強に忙しくしています。
でも、仕事で忙しい私を気遣って、家事を分担してやってくれるやさしい子供達です。
経営する会社も今のところ順調で、親孝行をする余裕もできました。
たくさん心配をかけた両親と、旅行に行ったり買い物をしたり。
そんなときには、心の中に必ず義母がいます。
義母との思い出をここに投稿させてもらったのは、先日義母と十数年ぶりに再会したからです。
その日は娘の誕生日でした。
夜中目を覚ますと、義母がまた正座して私を見ていました。
私もまた、義母と向かい合うようにベッドの上に正座しました。
義母は何も言いません。ただ微笑んで「うんうん。」とうなずいているだけでした。
やがて静かに立ち上がるとすーっと消えていきました。
きっと私が建てた家を見に来てくれたんだろうと思います。義母に見せたかったから。
そして大きくなった孫を見て、私を誉めてくれたんだと思います。
ここまでこれたのはあなたのおかげです。消えていく義母の後姿に手をついて頭を下げました。
その瞬間、義母と過ごした光景が鮮明に脳裏にうかびあがりました。
それは二人でよく行ったあの公園のベンチ。並んでアイスクリームを食べたあの日の光景。
義母は、娘としたかったことを全部私にしてくれたんだと・・・
私を嫁ではなく娘として愛してくれていたんだと、改めて気づきました。
そう思うと涙がぽろぽろこぼれて、頭を上げることができませんでした。
またいつか、義母に会いたい。
そして来世というものがあるのなら、また巡り会いたい。
私には母が二人います。
なんて幸せなことなんでしょう。
15話目終了
45 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 13:37:08.81 ID:TYeVMmjjO
wktk
6年前の阪神大震災のとき、ホストスナックで働いてた俺は、そのとき一緒に閉店作業を
してたカズってやつと二人で潰れたビルに閉じ込められた。閉じ込められたというより二人とも
気を失ってて、ふと気が付いたときには、カウンターにもたれかかるように倒れたボトルラック
の下の隙間に二人並んで寝てた。例えるなら形のいびつな二人用の棺おけみたいなもんかな。
俺はカズの「おい!起きろ!大丈夫か!?」の声で起きたんだけど、二人ともどうすることもできんので
「爆弾おちたんかなぁ」とか「みんな死んだんかな・・・」とか異常に落ち着いて話してました。
真っ暗で寒かったけど、全然怖くはなかった。アタマの中では「俺らが生き残った最後の人類」みたいに思って
たからかな。何分か何時間か、ず〜っと二人で話してると、ふいに頭の上でかすかに
「誰かおるかー!」って声が聞こえてきた。(助かる!!)急に元気になってここに閉じ込められてることを知らせようと
大声で叫ぶんやけど、どうやら気づいてくれない様子。
結局気づいてくれないままどっか行ってしまったんで、どうしようかと考えてると
横のカズが怪我をした足がひどく痛むと言い出した。最初は俺も「大丈夫か」とか
言ってたんやけど、よっぽど痛いらしく「イタイイタイイタイ!」とか叫び始めた。
俺は時間の感覚はなくなってるけど、少なくとも怪我してから数時間経つのに
なんで急に痛がるんやろうとか思いながら、「大丈夫大丈夫」とか言って励ましてた。
イタイイタイの叫び声がそのうちに「ギャア」とか「ウオォォ」とかになってきて
冷静だった俺もイライラして「こんな狭いとこでうるさいねん!お前は!もうすぐ助かる
からだまっとけや!」と怒鳴ると「んなもん痛いもんは痛いねん!お前にこの痛さがわかんのか!」
とかいいながら、全然叫ぶことを止めない。よっぽど痛いんだろうなとか思いながらも
俺のイライラも限界に達して「やかましいわ!」と言いながら、そいつの口を手でふさごうとして
(カズは俺の胸の横ぐらいに顔があった)口に手を当てた。でも動いていない・・・唇が動いていない。
声は聞こえる。全てを悟った俺はそのあと救助されるまでずっと泣きながら「大丈夫、大丈夫」と言い続けました。
3日後カズの実家の滋賀県より両親が遺体を引き取りに来たときに、さすがにその話はできなかった。
後日談
カズの両親から聞いたんやけど、カズは首の骨を折っていたそうです。(恐らくボトルラックがあたったのかも)
あと左足が電子レンジの下敷きになって骨が飛び出ていたそうです。両親曰く
「警察が言うには首折って即死やったから、苦しい想いはしてないみたい。それが救いやわ・・・」
何も言えませんでした・・・地震直後に即死してたというのを聞いてから
実は全く非科学的なことは信じない俺は、カズと話してたのもカズが叫んでたのも
俺の精神的な疲労による幻聴だろうと思っていました。
でも俺を助けてくれた人たち(警官一人、ビルの管理人、通りすがりの兄ちゃん二人)
によると、この下に人がいるって気づいたのは、カズの叫び声が聞こえたのだそうです。
もう一つあとから思い出して気になったのが、叫び始める前にカズと話してた内容。
やたらと昔話をしてました。そんときは「こいつこんなときになにをゆうとんねん・・・」
とか思ってましたが・・・
16話目終了
久しぶりに休みが取れた。たった2日だけど、携帯で探される事もたぶんないだろう。
ボーナスも出た事だし、母に何か旨いものでも食わせてやろう。そう思って京都・貴船の
旅館へ電話を掛けてみた。川床のシーズン中だが、平日だったから宿が取れた。
母に連絡を取ると大喜びで、鞍馬も歩いてみたいと言う。俺に異存はなかった。
京阪出町柳から叡山電鉄鞍馬駅まで約30分。その間に景色は碁盤の目のような街中から
里山を過ぎ、一気に山の中へと変化する。また、鞍馬から山越えで貴船へ抜けるコースは、
履き慣れた靴があればファミリーでも2時間前後で歩く事が出来るし、日帰りなら逆に、
貴船から鞍馬へ抜け、鞍馬温泉を使って帰る手もある。
その日もさわやかな好天だった。荷物を持って歩くのも面倒なので、宿に頼んで預かって
もらい、それから鞍馬山へ行った。堂々たる山門を潜った瞬間、いきなり強い風が吹き、
俺を目指して枯葉がザバザバ降って来る。落葉の季節ではないのだが、母とくれば必ず
こういう目に遭う。天狗の散華だ、と母は言う。迷惑な事だ。途中からロープウェイも
あるが、母は歩く方を好むので、ところどころ急な坂のある参道を歩いて本殿を目指す。
由岐神社を過ぎると、先々の大木の中程の高さの枝が、微妙にたわむ。毎度の事だが。
鞍馬寺金堂でお参りした後、奥の院へ向かって木の根道を歩く。
魔王殿の前で、一人の小柄で上品な感じの老人が、良い声で謡っていた。
“…花咲かば、告げんと言ひし山里の、使ひは来たり馬に鞍。鞍馬の山のうず桜…”
言霊が周囲の木立に広がって行くようで、思わず足を止め、聞き惚れた。
最後の一声が余韻を残して空に消えた時、同じように立ち止まっていた人たちの間から、
溜め息と拍手が湧き起こる。老人はにっこり笑って、大杉権現の方へ立ち去った。
鞍馬山を下り、貴船川に沿って歩く。真夏の昼日中だと言うのに、空気がひんやりして
気持ちがいい。流れの上には幾つもの川床。週末は人で溢れているのだろうが、今日は
そうでもない。少し離れると、清冽な流れの中、カワガラスが小魚を追って水を潜り、
アオサギがじっと獲物を待つ。もう備えの出来たススキが揺れる上を、トンボたちが
飛び回る。
貴船神社へお参りに行く人は多いが、奥宮へ参る人は少ない。その静けさを楽しみ
ながら、奥宮の船形石の横の小さな社に手を合わせる。弟たちも連れて来てやれれば
よかったが、何分にも平日の急な事。学生時分ならともかく、社会人がそうそう手前
勝手な事をする訳にはいかない。母とそんな話をしながら振り返ると、さっき魔王殿の
前で謡っていた老人がこっちへ歩いて来るところだった。軽く会釈すると、向こうも
にこっと笑って片手を挙げる。
「先程は、良いものを聞かせて頂いて、ありがとうございました」
「いやいや、お恥ずかしい」老人は首を横に振り、俺と母を見やりながら
「親子旅ですか、よろしいなぁ。ええ日にここへ来はった。今日は“山祭り”や」
「まあ、お祭りがあるんですか」祭りと聞いて、母の気持ちが弾むのがわかる。
老人が教えてくれる。
「今晩、川床の灯りが消えた時分から、この先の方でありますねん。“山祭り”は
時が合わなんだら成りませんし、ほんまの夜祭りやから、知らん人の方が多いんや。
もし、行かはるんやったら、浴衣着て行きはった方がよろし。その方が、踊りの
中へも入りやすいよって」
母は既に行きたくてワクワクしている。一時、『盆踊り命』だった人だから。
ま、いいか。俺は盆踊りは嫌いだが、仕方ない。付き合うか。
川筋の道沿いに、黄桃のような丸い灯りが、ぽつりぽつりと点いている。俺たちの
他に、歩いている人はほとんどない。
奥宮へ近づくにつれ、笛の音がどこからともなく風に乗って流れて来た。山祭りは
どうやら、思っていた盆踊りのようなものとは、全然違うものらしい。
奥貴船橋の袂をくっと左へ折れ、山の中へ入る細い道をたどると、笛の音はますます
はっきり聞こえる。曲目はわからないが、ゆったりとしたメロディを、複数本の笛で
吹いているようだ。
やがて、木立の間からたくさんの白い提灯と、その灯りが見えて来た。そこは体育館
程度の広さの空き地になっていて、笛の音に合わせて数十人の人たちが踊っていた。
衣装は白地に紺色の流水模様の浴衣。女は紅の帯、男は黒字に金の鱗模様の帯。
踊るというより、舞うと言った方がいいような優美な動きで、普通の踊りの時のような
賑わしさや、テンポあるいはノリは全く感じられない。
俺たちより先に来て、これを眺めていた隣の人がいきなり駆け出し、踊りの輪の中へ
入って中の人と手を取り合った。知り合いがいたらしい。
前の方から、あの老人が笑みを浮かべながら、静かに俺たち親子に近づいて来た。
「ああ、来はりましたんやな」
「こんばんは。不思議なお祭りですね」
老人は不思議な言葉を口にした。
「あの中に、逢いたい人がいたはりますやろ」
逢いたい人?訳がわからず、ぽかんとする俺。
母が突然駆け出した。
「母さん!?」
伸ばした手の先に、よく知ってる人がいた。
実家にいる頃いつも見ていた人。写真立ての中で笑っている、俺と面差しのよく似た
青年。俺が2歳の時亡くなった父だ。
まっしぐらに父に向かって進む母を、踊り手たちは空気のようにするりとかわし、
何事もなかったかのように踊り続ける。
一足ごとに母の時間が逆戻りする。わずか3年余りの妻としての日々と、その何倍もの
母としての時間。今、父の手を取りながら、母は堰を切ったようにしゃべり続け、
父は黙って微笑みながら、時折相槌を打っている。二人の間に涙はない。何を話して
いるか、俺には聞こえないが、きっと言葉で時間を溶かしているのだろう。
時を越え、両親は恋人同士に戻っている。初めて見る両親の姿。ああ、父はあんな風に
笑う人だったのか。母はあんな風にはにかむ人だったのか。これだけの歳月を隔て、
まだ惹かれ合う二人に、思わず胸が熱くなる。
父に誘われ、母が踊りに加わる。なかなか上手い。本当に楽しそうに踊っている。
俺の頭の中で太棹が鳴り、太夫の声が響く。
“…おのが妻恋、やさしやすしや。あちへ飛びつれ、こちへ飛びつれ、あちやこち風、
ひたひたひた。羽と羽とを合わせの袖の、染めた模様を花かとて…”
両親の番舞をぼーっと眺めていたら、ふと俺の事を思い出したらしい母が、父の手を
引いてこっちへやって来た。ほぼ初対面の人に等しい父親に、どう挨拶すべきか。
戸惑って言葉の出ない俺を、おっとりとした弟と雰囲気の良く似た父は、物も言わずに
抱きしめた。俺よりずいぶんほっそりしているけれど、強く、温かい身体。父親って
こんなにしっかりした存在感があるのか。
「大きくなった…」万感の思いのこもった父の言葉。
気持ちが胸で詰まって言葉にならない。ようやく絞り出せた言葉は「父さん…」
「うん」
優しい返事が返って来た。もう限界だった。俺は子供のように声を放って泣いた。
母の事を笑えない。気が付けば、俺は夢中で父に、友人の事、仕事の事を一生懸命
話していた。今までは、そんな事は自分の事だから、他人に話してもわかるまいと
思い込み、学校での出来事さえ、必要な事以外は母に話さなかったのに。
父の静かな返事や一言が嬉しかった。子供が親に日々の出来事を全部話したがる
気持ちが、初めてわかったような気がする。
俺の話が一段付いた時、父は少し寂しそうな顔をした。
「ごめん。もっと一緒にいたいけど、そろそろ時間みたいなんだ」
時は歩みを止めてくれなかった。でも、嫌だと駄々をこねたところで詮無い事。
大事な人に心配をかけるだけ。ああ、わかっている。笑って見送ろう。
「口惜しいよ、おまえたちの力になってやれなくて…」
「大丈夫、任せろよ。俺がいる。」
長男だもの。俺は親指を立て、父に向かって、偉そうに大見得を切った。
安心したように頷く父に、母がとても優しい眼差しを向け、父が最上級の笑顔を返す。
「…じゃあ、そろそろ行くよ」父は、踊りの輪の方を向いた。
「父さん」呼びかけずにはいられなかった。
父が振り返る。
「俺、二人の子供で良かった」本当に、そう思った。
父は嬉しそうに笑い、そのまま煙のようにすうっと姿を消した。
母はしばらく無言で父が姿を消した辺りを見つめていたが、やがて諦めたように
首を振り、「帰りましょう」と俺を促した。
翌朝、まだ眠っている母を部屋に置いて、奥貴船橋の袂まで行って見た。
昨夜の、橋の袂をくっと左へ折れ、山の中へ入る細い道は、やっぱりなかった。
あの老人が言っていた。“山祭り”は、時が合わねば成らないのだと。
それは俺たち親子が見た幻だったかもしれない。
でも、逢いたい人に会え、伝えたい事を伝えられた。幸せな旅だった。
17話目終了
私が飼っていた犬(やむこ、あだ名です)の話です。
中学生のころ、父の知り合いの家で生まれたのを見に行って、
とてもかわいく、即つれて帰りました。
学校から帰ると、毎日散歩に連れ出して、私が探してほしくて、
かくれんぼばかりして、犬を困らせていました。
次の年に、かわいい子犬を4匹産みました。
そのうちの一匹は、誰にももらわれず、うちで育てることになりました。
そんなこんなで大学卒業まで、すっと2匹といっしょにいました。
私が大学院に進学するために実家を離れ、家をでた一ヵ月後、やむこは
糖尿病で目が見えなくなりました。インシュリン注射をしてあげたかった
のですがなにせ学生で、生活費もなく、なけなしのバイト代をかき集めて
病院に連れて行ってもらう毎日でした。
私にできることは、ちょくちょく実家に帰って目が見えなくなったやむこ
の世話をすることぐらいでした。実家は、玄関までに、用水路がかかった橋があって、
やむこは、目が見えなくなってから、散歩のたびにそこを通るのがとても怖かったようです。
私がいるときは、いつも抱っこして通っていました。
その年の12月のある晩、私は実家に向かうフェリーの中でやむこの夢を見ました。
畳の部屋に、私のジャンパーが置いてあり、それをめくるとやむこがおすわりして
ニコニコしながら尻尾を振っているのです。若いころの、元気な姿で。
私が「どうしたのー?ここまで遠かったでしょ?」といって手を差しのべ、頭を
なでると、にこにこしていました。
その日の晩は、とても疲れていたのに寝苦しく、また冬だというのに体が熱く、
寝付いたのは明け方でした。
目がさめて、一日が何事もなく過ぎ、夜に実家に明日帰ると電話をすると、やむこ
が朝、起きたら冷たくなっていたと母から告げられました。
私は号泣しました。次の日、実家に帰り、やむこがいなくなった場所にぽつんと一匹残された
子供の犬をなでながら、あと2日がんばってくれたら・・・と、泣きに泣きました。
しかし、子供の犬をなでながら、やむこが、「私は子犬を残したわ。だから○○ちゃん泣かないで」
といっているような気がしてたまりませんでした。
実際、子犬の存在は私の大きな心の支えです。(もうばあちゃん犬ですが)
やむこは、最後に私にお別れを言いに着てくれたようなきがしてなりません。
やむこは12月生まれだったので、誕生日に、神様が糖尿病の苦しみから解放してくれたの
かもしれません。やむこ。いい思い出をありがとう。ずっと忘れないよ。
18話目終了
俺のじいちゃんの地方では、死んだ時にお棺に小銭を入れて、一緒に焼く
風習があるんだ。で、出棺の時に小銭を貰って、お守りとして身に着けるのね。
俺の親父も、亡きじいちゃんと焼いた小銭は今でも持ってる。
で、じいちゃんが死んで二週間くらいしてから、俺は海外に長期滞在が決まって
たわけ。「じいちゃんも連れて行ってやるからな」みたいな気持ちもあって、
焼いた50円玉に紐つけて、財布にくくってたのね。
シドニーに住んでたんだけど、楽しくて刺激の多い毎日だったよ。友達も彼女も
出来た。みんな俺の50円玉見て、で、話をすると気味悪がったり興味深々だったり、
まあ話のネタとしてはまあまあだったかな。
で、向こうで知り合った友達と、ある日買い物に行ったのさ。結構大きな買い物
する予定だったので、財布には1000オーストラリアドルくらい入れてたのよ。
ところがそいつを電車で落っことしたらしく、目的地に着いた時は一文無しだったわけ。
キャッシュカードや身分証明書も入ってたし、明日からどうすればいいかもわかんなく
なって、激鬱のまま電車賃借りて、一人でショボーンと帰ったわけよ。
当面の生命線として、友達から200ドルくらい借りたけど、それっぽっちじゃ
どうにもならんから、やけになってバーで深酒して、ゲロりながら深夜帰宅。
「あー、鬱だ」って思ったよ。金もそうだけど、じいちゃんとの最後のつながりが
消えたことが一層気分を悪くしたね。
もう寝ようかと思って電気を消したら、留守電にメッセージが入ってるランプが点滅
してたのね。メッセージの主は警察だったわけだけど、「お前の財布が届いてるから
明日取りに来い。」って入ってたのよ。狂喜乱舞したね。地獄に仏だったよ。
とりあえず出頭して、中身の改めも終わって、いざ財布を返してもらう段になって
気付いたんだけどさ、50円ねーのよ。紐ごと無くなってる。1000ドルも免許証も
カードも全部揃ってるのに、50円だけ無いの。警察に言っても「んなもん無かった」
って言われるだけ。帰り際に警察の人が
「届けてくれた人だけどな、お前の免許の写真見て、同じアジア人同士ほっとけ無かったんだろうな。
アジア系の爺さんが届けてくれたよ。言葉もわかんなかったけど、すぐに返してやれみたいな
事しつこく言ってたぞ。身元を聞いても、ノーイングリッシュとか言って教えてくれなかったがな。」
と、届出当時の状況を教えてくれた。
後日その事を友達に話したら「お前はシドニー1のラッキーガイだ。そんなジェントルマンは、俺も
お前もこの先二度とお目にかからんだろうよ。」って、感心しながらしきりに言ってた。
ちがう。アレはじいちゃんだ。
「お前は早速俺に仕事させやがって。もう今度は助けんからな!しっかりしろ!」とでも言いたくて
きっと50円とって帰ったんだと思う。身代わりになってくれたのかな?
今頃シドニーでノーブラ娘に鼻の下伸ばしてんだろうなぁ。また行くからな!
19話目終了
俺の妹さ、俺が17の時死んだのよ。今からもう8年前。
まだ6歳でさ。末っ子で、男兄弟ばっかだから、兄貴も弟も猫かわいがりしてたね。
でも、元々病弱でさ、ちっちゃくてさ。
でも、めちゃくちゃ可愛くてさ、ちょっとしたことでも、泣くんだよ。
「兄ちゃん、兄ちゃん」って。いっつも俺の後ついてくんの。
街にあるケーキ屋のショートケーキが大好きでさ、一週間に一回ぐらい、バイト代で買ってやってた。
食ってるとき「おいしいー」って笑う妹が、とっても可愛くてさ、すっげぇ可愛くて…
妹が発作で倒れたって聞いて、俺、学校からバイク飛ばして中学校で弟拾って即効病院に行った。
色んな機械つけて、妹は寝てた。
おかんとばあちゃんが「もうだめだぁ…」って、なんかじいちゃんに拝んでるし。
「シノを連れてかんといて!お願いや」って、じいちゃん、妹生まれてすぐに亡くなってる。
シノを抱くことなく逝ってしまったじいちゃんは、死ぬ間際まで「シノを抱っこしたいなぁ」って言ってた。
俺が行って「シノ!シノ!!」って呼ぶと、意識が戻った。
「にーやん、あんねー、シノ、ショートケーキ食べたいん」
「いっぱい買って来てやるから死ぬな!寝るな!おきてんだぞ!」
って、俺はケーキ屋からあるだけのショートケーキ全部買ってきた。
でも、妹死んじゃったよ。
俺がショートケーキ買って来て、病室のドア開けると、妹が笑ってて、
「買ってきたぞ!シノ、食って元気出せ!」
って、一口食わしたら、
「おいしいー…ありがと、にいや」
って、笑って目を閉じてソレっきり。
すぐに、ピー―――――って、機械が。電気ショックとかやっても無駄だった。
棺おけに入るときに、気に入ってた、おかんが作ってやった紺色の、フリルのいっぱいついたドレス着てた。
ばーちゃんが作ってやったお手玉もいれてやった。
お気に入りのテディベアも入れてやった。
俺、一年ぐらい立ち直れんかった。
壁にさ、誕生日に妹がくれた「にーやん達の顔」って絵があってさ。
まだ六歳だから下手糞でさ、でも、兄弟で笑ってんの。
俺と一番上の兄貴の間で、カチューシャ付けた妹が笑ってる絵。
もう、ソレ見るたびに泣けて来るんだよ。
でも、我が家でな、ちょっと不思議なことが起きるようになったのはそれからなんだ。
夜中に、ばーちゃんの部屋から声がすると思ったら、ばーちゃん(ボケてなくて、霊感あり)が、
「あぁ、じーさん、紫乃連れてきてくれたん。そう、その服気にいっとんのな、あぁ、そうかそうか、これて嬉しいか」
障子の隙間から見ると、ばーちゃんが笑ってんの。相槌まで打ってさ。
テーブルにお茶とジュースまで出してさ。
妹の好きな、地元の古い店が作ってる瓶のサイダー。
俺、ついついばーちゃんの部屋あけちゃった。
そしたら、ばーちゃん、慌てもせずにさ「ヒロトー、じいちゃんとシノがそこに来とる、挨拶せぇ」
って、俺にまでお茶出すし。
「これ飲んだら、かえるとこまで帰りんさい」
って、ばーちゃんは笑ってた。
まぁ、それくらいは序の口。
おかんが台所で、弟のおやつにホットケーキ作ってたら、作っといた一皿の、一枚の半分だけが無くなってんだって。
歯型ついてて。どう見てもシノの口の大きさでさ。
「あの子、ホットケーキも好きやったからなぁ」
って、ばーちゃんもおかんも涙してんの。
あとは、家に居るときに、シノの声を聞いたことは、全員ある。
おとんが、「きっと、この家が好きで出て行かないんだろう」って言ってたな。
で、就職するからって東京で一人暮らし始めた。
その頃、好きな女もできて、告白しようか迷ってた。
ある日、夢ん中、妹とよく行った公園で、二人でベンチに座ってた。
「にーやんは、あの人すきなの?」
おかんが作ってやったフランス人形みたいなドレス着てさ、妹が笑ってんの。
向こう側のベンチに、俺の好きな人が座って、本を読んでて、それを指差しながら。
「うん」
って、俺が答えると、
「大丈夫、シノが何とかしたげる」
って笑ってた。
んで、しばらく経ったある日さ、その女の人から告白されてしまった。
それから、そのまま今に至るってわけで。
結婚して、しばらく経って、実家に、シノとじーちゃんの墓参りに行った時、墓前でさ、俺の奥さんが言うんだよ。
「そういえばね、不思議な事があったの」
「なに」
「あなたに告白する前にね、不思議な子にあったの。
新宿で買い物してたら、ちっちゃい女の子に声をかけられてね、紺色に白いフリルのドレス着てて…
でね、『おねーさんは、にーやんのこと好きですか』って言われたの。
『にーやんってだれ?』って聞いたら、『大丈夫ー、おねーさんは、にーやんのお嫁さんになる、うちのにーやんもおねーさんの事好き』って
言って、どっかに消えちゃったの。でね、その子が居なくなった後、不思議なんだけど、あなたの顔が頭に浮かんだの」
「…シノ…」
しか、思い当たる所は無い。
そのことを、嫁に話すと、嫁は「まさかー」って笑ってたが、実家に戻って、茶の間に飾ってある、妹の写真見て、
「この子!!」って、驚いてた。
あぁ、シノがくっつけてくれたんだ。
で、またしばらくして、嫁が妊娠。
でも、ちょっと危なかった。
ある日、病院で、嫁の看護しながら、眠っちまった。
そしたら夢に、またシノが出てきた。
「にーや、おとーさんになるの」
「そうだね」
また、公園だった。今度は俺の横に、腹が大きい嫁が座ってた。たまごクラブ読みながら。
「シノ、にーやの子供、守る」
って言って、
嫁も、「お願いね」って言ったら嫁の腹の中に入ってっちまったよ。
むしろ、消えたの方が正しいのか。
目が覚めて、朝、嫁にその事を話したら、嫁も、同じ夢を見てたらしい。
で、嫁も「お願いっていったら、おなかン中入ってっちゃった」って笑ってて…
無事、生まれました、我が子。
健康な、女の子です。今年三歳になります。
しぐさが、妹に似てます。
笑い方とか、喋り方とかね。あと、性格とか、好きな物とか嫌いなものとか。
っていうか、妹の生まれ変わりだろうな。
っていうか、俺、親ばかになりました。
麻雀も、パチンコもやめたし、家にも早く帰るようになったし。
俺の実家に帰ると、もう、皆、猫っ可愛がり。
ばーちゃん大興奮。
おやじ、初孫の為にデジカメとデジタルビデオカメラ買いました。
おかん、連れてくと離しません。
とても元気で、いたずら盛りの我が娘、元気に育てよ。
まぁ、平和です、我が家。
20話目終了
僕はいつも学校に行くためにバスに乗ってるんですけど、
そのバスは右に曲がった
そのいつも乗ってるバスで、ある日おかしな事があったんです。
だって、いつものような、おばあさんもがいるから、
最後まで行ったんです。痛いから。
それで、そこまでは別に良かったんですけど、めちゃくちゃ
大きい紙袋の紙じゃない版みたいなのがあって、
ボールみたいなのもあって、シルクハットをかぶってる人も
いっぱいいたんです。
おかしいですよね?普通の道を通ってるのに。
それでもバスはずうっと普通に進んでたんですけど、
ある道を左に曲がった所で、いきなり急ブレーキをしたんですよ。
それで、本当に急にキー−−−って止まったんで、
中に乗ってた人が、バランスを崩してこけそうになったんです。
僕は席に座ってたんで大丈夫だったんですけど。
でも、本当におかしい事は、学校に行く直前に起こったんです。
そのバスはいつも、大きな公園の横を通って行くんですけど、
その頃、ちょうどそのいつもの道は工事してたんで、
ちょっと遠回りして、トンネルがある方の道から行ってたんです。
それで、そのトンネルのちょうど真中ぐらいまで通ったところで、
そのバスが”ガチャ”とか言いながら止まったんです。
僕はもちろんおかしいな、と思いました。
で、気づくと、バスは既に学校前のバス停に着いてました。
僕は、あれ?おかしいなぁ?とか思いながらバスを降りて、
その日も普通に学校に行きました。
そのバスに乗ってた人はもうみんな死んだんですけど。
66 :
続き:2006/03/04(土) 14:01:18.89 ID:52o64m6E0
友人から聞いた話です。
彼は神奈川のある高校にバスで通っていたんですけど、
そのバスによく乗ってくる奇妙なおばあさんがいたそうです。
別に見た目が奇妙とか、気が狂っているとか、そういう奇妙さじゃなくて
なんというか、不気味な気配が漂っているけど何が変なのかはわからない、
そんな感じのおばあさんだったそうです。見た目は良家の未亡人風というか
(「ジョジョの奇妙な冒険」という漫画の第二部に出てくるジョジョのばあちゃん
みたいな感じだといっていました)
毅然とした感じの寡黙なタイプで、でもこの世の人ではないような、そんな
おばあさんだったそうです。
彼は霊感があるわけでもなく、それまでに怪談めいた体験をしたわけでもない
のですが、このおばあさんがバスに乗ってくると、いつも
「これから何かあるんじゃないか」という言い知れぬ恐怖感に襲われたと
以前からよく言っていました。
冬のある日、いつものようにバスで高校に行く途中、おばあさんが乗ってくると
既にバスに乗っていた乗客の一人がおばあさんに話しかけました。
話しかけたのは帽子をかぶってシルバーシートに座った、老紳士といった感じの人で、
その人の連れらしい、同じような恰好の40代くらいの男性が二人
大きな鞄を持ってそばに立っていました。
老紳士とおばあさんが何を話したのかは
友人には聞こえませんでしたが、ふたことみこと会話を交わしていたようです。
そして突然老紳士のほうが「それだけはさせません!!」と
バスの中で大きな声をあげました。見ていた友人だけでなく、周りの人たちも
何があったのかとそっちを一斉に振り向きましたが
そのときには老紳士の連れの人が鞄から何か丸いボールのようなものを
取り出していました。それがなんなのかはわからなかったそうですが
とっさに友人は、自爆テロでバスが爆破されるというようなニュースを思い出し
まさかそういうような恐ろしいことが起きるのかと思いましたが
しばらくは何も起きず、老紳士とおばあさんはにらみ合いをしたまま
黙っていたそうです。
そのまま何分か何秒かはわかりませんが、バスの中で気まずい沈黙が流れていたところ
突然バスが急ブレーキをかけました。
運転手さんがアナウンスで「急ブレーキで大変ご迷惑様です。この先緊急工事ですので
迂回いたします」みたいなことを言って、いつもと違う道に入りました。
しばらく行くと急に外が暗くなって、「あれ、トンネルかな?」と思ったところで
ふと記憶が途切れ、気がつくと病院のベッドだったそうです。
実は友人は、道で倒れているのを通行人に通報され、友人は意識のないまま
病院に運ばれたようなのですが、友人が入院したのは小さな病院で
バスに乗っていたほかの客が入院したらしい様子もなく、結局バスは
どうなったのか、僕にも友人にもよくわからないままでした。
翌日の新聞でそれらしい事故が載っていないか探したのですが
とくに見当たらず、それっきりになってしまい、無理に探すのはあきらめました。
というのも、実は意識のもどった友人は脳に障害が残ったのか
ちょっと何を言ってるかわからないような感じになっていて
この事故のエピソードも二日に分けて根気よく聞きだして判ったものを
僕がまとめたもので、本人の口から聞いただけでは何がなんだかわからずじまいでした。
直後にいったんは退院して、あちこちにこの話をして彼なりに詳細を確かめようと
したみたいですが、「インターネットでも相手にされなかった」というようなことを言っていました。
(このとき彼と話をした人、この板にはいないかなぁ。交通関係の掲示板とかかな)
その後また日に日に具合は悪くなり、去年の夏くらいに亡くなりました。
僕が大学で、オカルト好きの別の友人にこの話をしたら
おばあさんが悪霊とかで老紳士のほうは
拝み屋の類だったんじゃないかと言ってましたが
それもまた考えすぎな気もします。
家族には当時にも状況を聞こうとしたよ。本人があの状態(何言ってるか不明)じゃ。
でもな、兄弟同然に育った幼馴染とか言うならともかく
高校になってから知り合った連れで、親の顔見たのはその病院で初めてだぜ?
それでしかも、今にも消え入りそうなちっこい弱そうなオバチャン(そいつの母親)が
泣きはらした真っ赤な目でオロオロしてるんだぜ?
さすがに根掘り葉掘りは聞けませんでしたよ、悪い気がして。
で、「警察にも連絡してるから、事件や事故だったらあとで何か学校に連絡が行くでしょう」って
話を聞くのが精一杯でしたよ。
学校に刑事が来たりした様子がないところを見ると、警察の出した結論は
「そいつが登校中に昏倒→意識錯乱、というだけで事件性はなし、
言ってることは全部でたらめで混乱してるだけ」ってあたりなんでしょう。
ま、俺が刑事でも普通はそう考えるな。
尚、この話は
>>65とリンクしています
21話目終了
5年前、私が中学だった頃、一人の友達を亡くしま
した。
表向きの原因は精神病でしたが、実際はある奴等に
憑依されたからです。
私にとっては忘れてしまいたい記憶の一つですが、
先日古い友人と話す機会があり、あのときのことを
まざまざと思い出してしまいました。
ここで、文章にすることで少し客観的になり恐怖を
忘れられると思いますので、綴ります。
私たち、(A・B・C・D・私)は、皆家業を継ぐ
ことになっていて、高校受験組を横目に暇を持て余
していました。
学校も、私たちがサボったりするのは、受験組の邪
魔にならなくていいと考えていたので、体育祭後は
朝学校に出て来さえすれば後は抜け出しても滅多に
怒られることはありませんでした。
ある日、友人A&Bが、近所の屋敷の話を聞いてき
ました。改築したばかりの家が、持ち主が首を吊っ
て自殺して一家は離散、空き家になってるというの
です。
サボった後のたまり場の確保に苦労していた私たち
は、そこなら酒タバコが思う存分できると考え、翌
日すぐに昼から学校を抜けて行きました。
外から様子のわからないような、とても立派なお屋
敷で、こんなところに入っていいのか、少しびびり
ましたが、ABは「大丈夫」を連発しながらどんど
ん中に入って行きます。
既に調べを付けていたのか、勝手口が空いていまし
た。書斎のような所に入り、窓から顔を出さないよ
うにして、こそこそ酒盛りを始めました。
でも大声が出せないのですぐに飽きてきて、5人で
家捜しを始めました。すぐCが「あれ何や」と、今
いる部屋の壁の上の方に気が付きました。
壁の上部に、学校の音楽室や体育館の放送室のよう
な感じの小さな窓が二つついているのです。「こっ
ちも部屋か」よく見ると壁のこちら側にはドアがあ
って、ドアは、こちら側からは本棚で塞がれていま
した。肩車すると、左上の方の窓は手で開きました。
今思うと、その窓から若干悪臭が漂っていることに
そのとき疑問を持つべきでした。
それでもそのときの、こっそり酒を飲みたいという
願望には勝てず、無理矢理窓から部屋に入りました。
部屋はカビホコリと饐えたような臭いが漂っていま
す。雨漏りしているのかじめっとしていました。
部屋は音楽室と言えるようなものではありませんで
したが、壁に手作りで防音材のようなものが貼って
あり、その上から壁紙が貼ってあることはわかりま
した。湿気で壁紙はカピカピになっていました。
部屋の中はとりたてて調度品もなく、質素なつくり
でしたが、小さな机が隅に置かれており、その上に、
真っ黒に塗りつぶされた写真が、大きな枠の写真入
れに入ってました。
「なんやこれ、気持ち悪い」と言って友人Aが写真
入れを手にとって、持ち上げた瞬間、額裏から一枚
の紙が落ち、その中から束になった髪の毛がバサバ
サ出てきました。紙は御札でした。
みんな、ヤバと思って声も出せませんでした。
顔面蒼白のAを見てBが急いで出ようと言い、逃げ
るようにBが窓によじ登ったとき、そっちの壁紙全
部がフワッとはがれました。
部屋は音楽室と言えるようなものではありませんで
したが、壁に手作りで防音材のようなものが貼って
あり、その上から壁紙が貼ってあることはわかりま
した。湿気で壁紙はカピカピになっていました。
部屋の中はとりたてて調度品もなく、質素なつくり
でしたが、小さな机が隅に置かれており、その上に、
真っ黒に塗りつぶされた写真が、大きな枠の写真入
れに入ってました。
「なんやこれ、気持ち悪い」と言って友人Aが写真
入れを手にとって、持ち上げた瞬間、額裏から一枚
の紙が落ち、その中から束になった髪の毛がバサバ
サ出てきました。紙は御札でした。
みんな、ヤバと思って声も出せませんでした。
顔面蒼白のAを見てBが急いで出ようと言い、逃げ
るようにBが窓によじ登ったとき、そっちの壁紙全
部がフワッとはがれました。
写真の裏から出てきたのと同じ御札が、壁一面に貼
ってありました。「何やこれ」酒に弱いCはその場
でウッと反吐しそうになりました。「やばいてやば
いて」「吐いてる場合か急げ」
よじのぼるBの尻を私とDでぐいぐい押し上げまし
た。何がなんだかわけがわかりませんでした。後ろ
ではだれかが「いーーー、いーーー」と声を出して
います。きっとAです。祟られたのです。恐ろしく
て振り返ることもできませんでした。無我夢中でよ
じのぼって、反対側の部屋に飛び降りました。
Dも出てきて、部屋側から鈍いCを引っ張り出そう
とすると、「イタイタ」Cが叫びます「引っ張んな
足!」部屋の向こうではAらしき声がわんわん変な
音で呻いています。Cはよほどすごい勢いでもがい
ているのか、Cの足がこっちの壁を蹴る音がずんず
んしました。
「B!かんぬっさん連れて来い!」後ろ向きにDが
叫びました。「なんかAに憑いとる、裏行って神社
のかんぬっさん連れて来いて!」
Bが縁側から裸足でダッシュしていき、私たちは窓
からCを引き抜きました。
「足!足!」「痛いか?」
「痛うはないけどなんか噛まれた」見るとCの靴下
のかかとの部分は丸ごと何かに食いつかれたように、
丸く歯形がついて唾液で濡れています。相変わらず
中からはAの声がしますが、怖くて私たちは窓から
中を見ることができませんでした。「あいつ俺に祟
らんかなぁ」「祟るてなんやAはまだ生きとるんぞ」
「出てくるときめちゃくちゃ蹴ってきた」
「しらー!」縁側からトレーナー姿の神主さんが真
青な顔して入ってきました。「ぬしら何か! 何しよ
るんか! 馬鹿者が!」一緒に入ってきたBはもう
涙と鼻水でぐじょぐじょの顔になっていました。
「ええからお前らは帰れ、こっちから出て神社の裏
から社務所入ってヨリエさんに見てもらえ、あとお
い!」といきなり私を捕まえ、後ろ手にひねり上げ
られました。後ろで何かザキっと音がしました。
「よし行け」そのままドンと背中を押されて私たち
は、わけのわからないまま走りました。
それから裏の山に上がって、神社の社務所に行くと、
中年の小さいおばさんが、白い服を着て待っていま
した。めちゃめちゃ怒られたような気もしますが、
それから後は逃げた安堵感でよく覚えていません。
それから、Aが学校に来なくなりました。私の家の
親が神社から呼ばれたことも何回かありましたが、
詳しい話は何もしてくれませんでした。ただ山の裏
には絶対行くなとは、言われました。
私たちも、あんな恐ろしい目に遭ったので、山など
行くはずもなく、学校の中でも小さくなって過ごし
ていました。期末試験が終わった日、生活指導の先
生から呼ばれました。今までの積み重ねまとめて大
目玉かな、殴られるなこら、と覚悟して進路室に行
くと、私の他にもBとDが座っています。神主さん
も来ていました。生活指導の先生などいません。私
が入ってくるなり神主さんが言いました。
「あんなぁ、Cが死んだんよ」
信じられませんでした。Cが昨日学校に来ていなか
ったこともそのとき知りました。「学校さぼって、
こっちに括っとるAの様子を見にきよったんよ。病
院の見舞いじゃないとやけん危ないってわかりそう
なもんやけどね。裏の格子から座敷のぞいた瞬間に
ものすごい声出して、倒れよった。駆けつけたとき
には白目むいて虫螺の息だった」
Cが死んだのにそんな言い方ないだろうと思ってち
ょっと口答えしそうになりましたが、神主さんは真
剣な目で私たちの方を見ていました。「ええか、A
はもうおらんと思え。Cのことも絶対今から忘れろ。
アレは目が見えんけん、自分の事を知らん奴の所に
は憑きには来ん。アレのことを覚えとる奴がおった
ら、何年かかってもアレはそいつのところに来る。
来たら憑かれて死ぬんぞ。
それと後ろ髪は伸ばすなよ。もしアレに会って逃げ
たとき、アレは最初に髪を引っ張るけんな」
それだけ聞かされると、私たちは重い気持ちで進路
室を出ました。
あのとき神主さんは私の伸ばしていた後ろ毛をハサ
ミで切ったのです。何かのまじない程度に思ってい
ましたが、まじないどころではありませんでした。
帰るその足で床屋に行き、丸坊主にしてもらいまし
た。
卒業して家業を継ぐという話は、その時から諦めな
ければいけませんでした。その後私たちはバラバラ
の県で進路につき、絶対に顔を合わせないようにし
よう、もし会っても他人のふりをすることにしなけ
ればなりませんでした。
私は、1年遅れて隣県の高校に入ることができ、過
去を忘れて自分の生活に没頭しました。髪は短く刈
りました。しかし、床屋で「坊主」を頼むたび、私
は神主さんの話を思い出していました。今日来るか、
明日来るか、と思いながら、長い3年が過ぎました。
その後、さらに浪人して、他県の大学に入ることが
できました。しかし、少し気を許して盆に帰省した
のがいけませんでした。もともと私はおじいちゃん
子で、祖父はその年の正月に亡くなっていました。
急のことだったのですが、せめて初盆くらいは帰っ
てこんか、と、電話で両親も言っていました。それ
がいけませんでした。
駅の売店で新聞を買おうと寄ったのですが、中学時
代の彼女が売り子でした。彼女は私を見るなりボロ
ボロと泣き出して、BとDがそれぞれ死んだことを
まくし立てました。
Bは卒業後まもなく、下宿の自室に閉じこもって首
をくくったそうです。部屋は雨戸とカーテンが閉め
られ、部屋じゅうの扉という扉を封印し、さらに自
分の髪の毛をその上から一本一本几帳面に張り付け
ていたということでした。鑞で自分の耳と瞼に封を
しようとした痕があったが、最後までそれをやらず
に自害したという話でした。
Dは17の夏に四国まで逃げたそうですが、松山の
近郊の町で、パンツ1枚でケタケタ笑いながら歩い
ているのを見つかったそうです。Dの後頭部は烏が
むしったように髪の毛が抜かれていました。Dの瞼
は、閉じるのではなく、絶対閉じないようにと自ら
ナイフで切り取ろうとした痕があったそうです。
このときほど中学時代の人間関係を呪ったことはあ
りません。
BとDの末路など、今の私にはどうでもいい話でし
た。つまり、アレを覚えているのは私一人しか残っ
ていないと、気づかされてしまったのです。
胸が強く締め付けられるような感覚で家に帰り着く
と、家には誰もいませんでした。後で知ったことで
すが、私の地方は忌廻しと云って、特に強い忌み事
のあった家は、本家であっても初盆を奈良の寺で行
うという風習があったのです。
私は連れてこられたのでした。
それから3日、私は9度以上の熱が続き、実家で寝
込まなければなりませんでした。このとき、私は死
を覚悟しました。仏間に布団を敷き、なるだけ白い
服を着て、水を飲みながら寝ていました。
3日目の夜明けの晩、夢にAが立ちました。Aは骨
と皮の姿になり、黒ずんで、白目でした。
「お前一人やな」「うん」
「お前もこっち来てくれよ」「いやじゃ」
「Cが会いたがっとるぞ」
「いやじゃ」
「おまえ来んとCは毎日リンチじゃ。逆さ吊りで口
に靴下詰めて蹴り上げられよるぞ、かわいそうやろ」
「うそつけ。地獄がそんな甘いわけないやろ」
「ははは地獄か地獄ちゅうのはなぁ」
そこで目を覚ましました。自分の息の音で喉がヒイ
ヒイ音を立てていました。枕元を見ると、祖父の位
牌にヒビが入っていました。
私は、考えました。アレの話を私と同じように多く
の人に話せば、アレが私を探し当て、私が憑依され
る確率は下がるのではないか。
ここまでの長文たいへん失礼しましたが、おおざっ
ぱな書き方では読んだ方の記憶に残らないと思った
のです。
読んだ方は、申し訳ないのですが犬に噛まれたとで
も思ってください。ご自分の生存確率を上げたけれ
ばこの文章を少しでも多くの方の目に晒すことをお
すすめします。
22話目終了
4年前? 先輩と彼女と、彼女の知り合いの男女と4人でデートすること
があった。で、帰りにメシ食ってたら、知り合いの女の子が
「ヤマニシさん見に行きたい」って言い出したんだって。
あ、先輩と、その男女ってのは面識なくて、
その日が初対面だった。先輩の彼女が、男女の男の方と同じ中学
だったとかの仲で、男の方は大人しい感じだったらしい。
もう夜も遅いし先輩も彼女もヘロヘロだったから帰りたかったし、
その女の子が勘違い爆発な奴で、途中から先輩もキレ気味だったんだけど、
その女の子がけっこう可愛くて、もう一人の男のほうがヘラヘラ機嫌
取ってるような感じだったんで、こいつらつきあってるわけじゃねー
のかよ、なんだかなー思ったんだけど、まこの場はこいつの
顔立ててやっとこか、みたいなノリで、
行くことにしたんだって。
そのゴキゲンくんと勘違い女って(気の毒なのでX男とY子にしとく)、
今珍しくないけど、ネットの掲示板か何かで知り合ったらしかったのね。
まぁようするに、ちょっとインドアーな感じのカップルだった、
ってことです。
そのころ地元でちょっと有名になった話で、ラブホ山の裏の廃屋に
「ヤマニシさん」がいて、こちらから「ヤマニシさんヤマニシさん」
て呼ぶと
「もーすもーす」とか何かいう声で応えるらしい。
Y子はその話をどっかから聞いてきたらしくって、車あるんなら
いきましょーよー、って言ってたそうな。
町中から車でちょっと行ったところに、ラブホがバンバン立ってる山が
あって、その裏の方にお屋敷通りがあるんだけど、そこは、
基本的に表から車でぐるっと上って、降りていかないとそっちに行けない
ようなふうになってるから、確かに車じゃないと、裏から歩いて
上るしかない。まぁ車があればこれ幸い、というのはわかるんだけど、
なんかとことんまで図々しい奴だなぁ、と先輩も思ったらしい。
でなんだかんだで行くことにした。
まぁ帰りに適当なこと言ってホテル行くか? とは先輩思ってたんだろうけど。(笑)
先輩の彼女は、相当嫌がってたんだけど、なんとか言い含めた。
Y子はそうとうはしゃいでいたらしい。だーれもオマエの話なんて聞きたくないっちゅうのに、自分の知ってる怪談話をペラペラしゃべりだしたりして、まぁ後になって考えるとおかしい状態に入ってたのかもしれんとは、先輩言っていた。
結局夜中だし、車で乗り付けるわけにもいかないので、
山頂から少し下った駐車場に車を止めて、Y子が教わったっ
ていう廃屋の場所まで歩いて行った。
その廃屋っていうのが、元華族の家だったのをバブルの時に全部つぶして
2件並びに家を建てたんだけど、持ち主が借金か何かでいな
くなったんで放置されてる家らしい。1件は貸家にするつもりだった
らしいけど、それもそのまま。
屠殺場とか、精肉工場とか、外から見えないようにやたら高い生け垣に
なってるでしょ。
あれに近いような感じの屋敷が、ちゃんと2件並んで建っている。
Y子は誰に聞いてたのか、どんどん歩いていって、一方の屋敷に入っていく。
先輩と彼女もだんだん、まずかったかな、という気になってきて、
一応年上だし(先輩は高校浪人かつ大学も浪人)
止めとこうかな、と思ったんだけど、Y子がどんどん歩いていくので、
仕方なかったらしい。Y子やたら髪が長かったんだけど、
もうそれが肩に付かないくらいの早足だったそうです。
表は草ぼうぼうなんだけど、屋敷そのものは案外きれいで、建物は
暗かったけど、街灯はけっこう明るかったらしい。
なんだか思ったほど凶悪な雰囲気でもなかったし、門扉も開いていたので、そのまま中に入っていった。
後ろからX男が黙って歩いてきているので、
先輩が「君大丈夫?」って聞くと、
「すいません、僕がこの話教えたんですよ…」って、
ものすごくすまなそうにしてる。
「ああ、別に暇だし、気にせんでね。ヤマニシさんの話ならけっこう知ってるし」
って先輩が言うと、X男がブルブル震えだして
「すいません、すいません、すいません」
なんでかやたら謝るんですよ。
で、そっからよくわからないんですけど、
(肝心なところなのにスマンけど先輩はその場面をよく見てなかった。
ここは先輩の彼女の記憶)
玄関先にいたY子が、いきなり庭の方にダーって走って回りこんで行って、
縁側のサッシを開けると、そっから顔だけ差し入れて
「おおねたたまつり、もーすもーす」(?)ってでかい声で
わめきはじめたらしいんです。
声が聞こえたんで先輩が血相変えて走って行って、Y子に追いついた時、
Y子は縁側から靴脱いで上がろうとしてたらしい。
こう、足を4の字にして右足のスニーカーを左手で脱がすためにつかんで、もう上がる寸前だったんです。
スニーカーの裏が妙に白かったんで覚えているらしい
(我ながらヘタな表現、どーゆー体勢だったか伝わるかな?)
これはヤバイ、って思って、慌ててX男と二人がかりで引き留めて
押さえたんですけど、けっこう強い力だったみたいです
(憑き物だったかどうかは不明)。
放っておくと何回も「もーすもーす」って言うので、
彼女にハンカチ借りて、自分のとあわせて、Y子の口の中に押し込んで、
両脇から抱えて連れて帰ったったらしいです。
その後は、特に事件も起きずに、なんとか車のところまでたどりつけたそうです。
Y子はばたばたしっぱなしでしたが、車に入ると落ち着きました。
反対側で抱えてるX男も、ぼろぼろ泣きながら「もうす…」って言ってたのが、なんか気味悪かったそうです。
それからすぐ、散会するのは気味が悪いので、4人で同じラブホに入ったそうですが、もちろんなんにもできなかったそうです(笑)。
X男とY子は、朝が来ても放心状態のままだったそうです
その後、X男とY子は別れたということでした(元からつきあってなかったという話もある)。
やっぱりY子はちょっとおかしくなったみたいで、半年大学を休学
したらしい。けっこう地元では通りのいい大学の、理系の学部に
入ってたんだけど、そのまま退学して、芸術系の専門学校に入り直した
そうな。先輩の彼女が会ったときには、髪はぐりぐりに短くしてたらしい
です。ちょっとお茶飲んだらしいのですが、やたら後ろ髪を気にして、
しゃべりながら自分の手で引っ張ってたのが怖かったとか。
その会ったっていうのも、これ見に行った翌年だったらしいから、
それからどうなったのかは先輩も知らないそうです。
X男とは全然会ってないそうです。
この話聞いたのは、先輩が部活の合宿に差入れに来た時で、
3こ上で直接面識もなかったし、うさんくーさい人だったし、
この人担いでるんやろと思ってたけど、免許取った後実際友達と行ったら、
それっぽい家はあった。
(「ヤマギシ」っていう表札じゃないからね、念のため。
廃墟つっても普通の家だしこの書き込みで荒れるのイヤだから
地元の人は行かないように)
確かに気味悪かったですが、友達が馬鹿だから、ダーって走って入って、玄関のベル押して戻ってきた。
俺はビビリなんで入ってないけど。
23話目終了
山の測量に行く時は、最低3人で行くようにしていたんですけど
行くハズだった奴がインフルエンザで倒れて、他に手の空いてる人も居なかったんで
しょうがなく2人で行くことになったわけです。
でもやっぱり不安だったんで、境界を案内してくれる地元のおっさんに
ついでに測量も手伝ってくれるように頼みました。
おっさんは賃金くれればOKという事で、俺たちは3人で山に入りました。
前日からの雪で山は真っ白でした。
でも、ポールがよく見えるので、測量は意外にサクサク進みました。
午前中一杯かかって尾根の所まで測ったところで、おっさんの携帯が鳴りました。
おっさんはしばらく話をしていましたが、通話を終えると、急に用事ができたので下りると言い出したのです。
おいおいって思ったんですけど、あとは小径に沿って土地の境界やから、そこを測っていけばイイからって言われて
小径沿いだったら大丈夫かもな、まぁしゃーないか
みたいなムードで、結局Aと俺の二人で続きをやることになりました。
ところがおっさんと別れてすぐ、急に空が曇ってきて天候が怪しくなってきました。
このまま雪になるとヤバイよな、なんて言いながら、Aと俺は早く済まそうと思ってペースを上げました。
ところで、俺らの会社では山の測量するのに
ポケットコンパスって呼ばれている器具を使っています。
方位磁石の上に小さな望遠鏡が付いていて、
それを向けた方向の方位や高低角が判るようになっています。
軽くて丈夫で扱いが簡単なので、山の測量にはもってこいなんです。
俺はコンパスを水平に据え、ポールを持って立っているAの方に望遠鏡を向けて覗きました。
雪に覆われた地面と枝葉に雪をかかえた木立が見えますが、ポールもAの姿も見えません。
少し望遠鏡を動かすと、ロン毛の頭が見えたので、
次に、ポールを探して目盛りを読むためにピントを合わせました。
(あれ?)
ピントが合うと、俺はおかしなことに気付きました。
俺たちはヘルメットを被って測量をしていたのですが、
Aはなぜかメットを脱いでいて、後ろを向いています。
それにAの髪の毛は茶髪だったはずなのに、今見えているのは真っ黒な髪です。
(おかしいな)
望遠鏡から目を上げると、Aがメットを被り、こっちを向いて立っているのが見えました。
が、そのすぐ後ろの木立の隙間に人の姿が見えます。
もう一度望遠鏡を覗いて少し動かしてみました。
女がいました。
立木に寄りかかるように後ろ向きで立っています。
白っぽい服を着ていて、黒い髪が肩を覆っていました。
(こんな雪山に・・・なんで女?)
俺はゾッとして望遠鏡から目を離しました。
「おーい!」
Aが俺の方に声を掛けてきました。
すると、それが合図だったかのように、女は斜面を下って木立の中に消えてしまいました。
「なにやってんスかー。はよして下さいよー。」
Aのその声で、俺はわれに返りました。
コンパスを読んで野帳に記入した後、俺は小走りでAのそばに行って尋ねました。
「今、お前の後ろに女立っとったぞ、気ぃついてたか?」
「またそんなこと言うて、止めてくださいよー。」
笑いながら、そんなことを言っていたAも、俺が真剣だとわかると
「・・・マジっすか?イヤ、全然わかりませんでしたわ。」
と、表情が強ばりました。
Aと俺は、あらためて木立の方を探りましたが、木と雪が見えるばかりで女の姿はありません。
「登山してるヤツとちゃうんですか?」
「いや、そんな風には見えんかった・・」
そこで俺は気付きました。
あの女は、この雪山で一人で荷物も持たず、おまけに半袖の服を着ていたんです。
「それ、ほんまにヤバイじゃないっスか。気狂い女とか・・・」
Aはかなり怯えてました。
俺もビビってしまい、居ても立ってもいられない心持ちでした。
そんなことをしているうちに、周囲はだんだん暗くなって、とうとう雪が降ってきました。
「はよ終わらして山下ろ。こらヤバイわ。」
俺たちは慌てて測量作業を再開しました。
天候はドンドン悪化して、吹雪のようになってきました。
ポールを持って立っているAの姿も見にくいし
アッという間に降り積もる雪で、小径もわかりづらくなってきました。
携帯も圏外になっていました。
俺は焦ってきて、一刻も早く山を下りたい一心でコンパスを据え付けました。
レベルもろくに取らずに、Aの方に望遠鏡を向けようとしてそっちを見ました。
すると、さっきの女がAのすぐ後ろに立っていました。
今度は前を向いているようですが、吹雪のせいで良く見えません。
Aは気付いていないのかじっと立っていました。
「おーい!」
俺が声をかけてもAは動こうとしません。
すると、女のほうが動くのが見えました。
慌てて望遠鏡をそっちに向けてビビリながら覗くと
女は目を閉じてAの後ろ髪を掴み、後ろから耳元に口を寄せていました。
何事か囁いているような感じです。
Aは逃げようともしないで、じっと俯いていました。
女は、そんなAに囁き続けています。
俺は恐ろしくなって、ガクガク震えながらその場に立ち尽くしていました。
やがて、女はAの側を離れ、雪の斜面を下り始めました。
すると、Aもその後を追うように立木の中へ入って行きます。
「おーい!A!何してるんや!戻れー!はよ戻ってこい!」
しかし、Aはそんな俺の声を無視して、吹雪の中、女の後を追いかけて行きました。
俺は、測量の道具を放り出して後を追いました。
Aはヨロヨロと木立の中を進んでいます。
「ヤバイって!マジで遭難するぞ!」
このままでは、自分もヤバイ。
本気でそう思いました。
逃げ出したいっていう気持ちが爆発しそうでした。
周囲は吹雪で真っ白です。
それでも、何とかAに近づきました。
「A!A!しっかりせえ!死んでまうぞ!」
すると、Aがこっちを振り向きました。
Aは虚ろな目で、あらぬ方向を見ていました。
そして、全く意味のわからない言葉で叫びました。
「*******!***!」
口が見たこともないくらい思いっきり開いていました。
ホンキで下あごが胸に付くくらい。
舌が垂れ下がり、口の端が裂けて血が出ていました。
あれは、完全にアゴが外れていたと思います。
そんな格好で、今度は俺の方に向かってきました。
「・・・****!***!」
それが限界でした。
俺は、Aも測量の道具も、何もかも放り出して、無我夢中で山を下りました。
車の所まで戻ると、携帯の電波が届く所まで走って、会社と警察に電話しました。
やがて、捜索隊が山に入り、俺は事情聴取されました。
最初は、あの女のことを、どう説明したらよいのか悩みましたが
結局見たままのことを話しました。
警察は淡々と調書を取っていました。
ただ、Aに女が何かを囁いていた、というところは繰り返し質問されました。
翌々日、遺体が一つ見つかりました。
白い夏服に黒髪。
俺が見た、あの女の特徴に一致していました。
俺は警察に呼ばれて、あの時の状況についてまた説明させられました。
その時に、警察の人から、その遺体についていろいろと聞かされました。
女の身元はすぐにわかったそうです。
去年の夏に、何十キロも離れた町で行方不明になっていた女の人でした。
ただ、なぜあんな山の中に居たのかはわからない、と言うことでした。
俺は、あの時のことはもう忘れたい、と思っていたので
そんなことはどうでもエエ、と思って聞いていました。
けれど、一つ気になることがありました。
女の遺体を調べたところ、両眼に酷い損傷があったそうです。
俺は、Aのヤツそんなことをしたのか、と思いましたが
どうも違ったみたいで、その傷は随分古いものだったようです。
「目はぜんぜん見えんかったはずや。」
警察の人はそう言いました。
結局、Aの行方は、今でもわかっていません。
残された家族のことを考えると、Aには生きていて欲しい、とは思いますが、
あの時のことを思い出すと、正直なところ、もう俺はAに会いたくありません。
ただ、何となく嫌な予感がするので、先週、髪を切って坊主にしました。
24話目終了
さーちゃんという友達がいます。このコが、
「最近夢の中で、無表情な細い目の男があたしの髪掴んで引きずろうとするの。
やめてって言うのにニヤニヤしてやめないの。もう3回もその夢見たんだけど、
どういう意味かなあ」と言ってました。
それからしばらくして、友達4人(さーちゃん含む)で1人暮らしの子のアパートで、鍋パーティしました。
焼酎やカシス割を飲んでダラダラしてるうちに、さーちゃんともう一人の友だちがこたつで寝てしまい、私は起きてる友達とTVを見ながらまだ飲んでいました。
するとさーちゃんがなにか寝言をごにょごにょ言い出しました。
最初は何を言ってるかよくわからなかったのですが、次第にはっきりとした声で、
「やめてください・・・・・本当にやめてください・・・・・」
と呟きながら自分で自分の髪を引っ張りだしたのです。
私と友達がびっくりしてさーちゃんの顔を覗きこむと、さーちゃんは眠ったまま、ニヤニヤと薄ら笑いを浮かべていました。
私たち2人は顔を見合わせたまま、呆然として、なぜかさーちゃんを起こせませんでした。
25話目終了
中学時代、怪談ゲームを通して怪談話が好きになり、よく自分に構ってくれる母方従兄弟に怪談をせびってました。
従兄弟は新しいもの好きで、ロンゲメッシュと当時では珍しい格好、友達も多く色々な話を聞かせてくれました。
そんな従兄弟も就職し、じいちゃんも祝いではしゃいでいました。じいちゃんは真っ白で背中の真中くらいまで伸ばした髪の毛を後ろで縛るという変わったファッション(?)をしていたのを良く覚えてします。
従兄弟が就職し、じいちゃんは釣り、ばあちゃんは畑仕事、伯母さんは仕事、従兄弟の姉は学校で、昼間誰もおらず遊びに行くことも減りました。
伯父はずっと前に火事で亡くなっていたそうです。
しばらくして、ポケベルを持つと従兄弟から連絡がありました。「お前怪談好きだっただろ?爺が釣り仲間に聞いた話があるから今度聞かせてやるぞ」
そんな内容だった気がします。
しかしそれからすぐにじいちゃんが亡くなり、聞く事をすっかり忘れてしまいました。
棺おけの中でじいちゃんは長かった髪の毛をすっかり無くし、坊主にしていました。
高校に入り、携帯電話を持つと従兄弟と電話する機会が増えました。某大手百貨店に就職した従兄弟の話は仕事の話が多く、面白かったです。
高校二年頃、学校から帰ると従兄弟が家に来てました。実際に会うのは葬儀以来ですっかり社会人らしく髪の毛を黒くし、短くなっていました。
丁度祖父の言っていたという怪談話を聞こうと思っていたので聞こうとしたのですが、母の制止に掛かり止められました。
その日の夜、今度ファミレスかどっかに行って話してくれるとメールが入り、楽しみにしてました。
が、数日後に従兄弟は心臓麻痺で亡くなりました。業務中にいきなりだったらしく大騒ぎだったらしいです、ストレスか何かでなったんではないかと言ってました。
葬儀には大手百貨店から大きな花が贈られており、大手会社から花を送られてくるほどの従兄弟を誇りに思ったのと同時に、その花が大好きな従兄弟の死を実感させてきて悲しくなりました。
母は実家で49日まで居るとのことでした。
従兄弟の仕事仲間とそこで知り合い、従兄弟の話を聞いてました。
「あいつ結構怪談とか好きでさ、こんな話をしてきたんだ」
「あいつの爺ちゃんが聞いた話らしいんだけど、戦時中の話だ」
「元華族、裕福な家で成績良く、運動も出来る、さぁこれから国のために戦うぞって時に、肺結核になって兵隊になれなかった男がおったらしい。」
「そいつは村に残った女子供に病気だと忌み嫌われ、果ては恋人や友人にまで見つかれば石を投げられる始末だった」
「怒ったそいつは村人を見返そうとするが、病気は一向に良くならず、体力がどんどん落ちていった」
「死期を知ったそいつは恋人だった女を山に誘って襲い、事が済むと女は逃げて、山に残されたそいつは体力衰弱とで降りることもままならなくなった。」
「翌日男がいない女は心配になり、襲われた現場に向かった。男は女を見ると追いかけた。なにやら恨み言を叫んびながらだったらしい」
「怖くなった女は再びそこから逃げようとするが、男に後ろ髪を掴まれ毟られたそうだ」
「それからその女は子供を産むが、狂い死にしたらしい。そしてこの話を聞いたヤツはそいつに呪われると」
「そこで終わりじゃない、呪いの内容はだ」
「夢の中で、真っ暗、多分部屋の中で朝を探すんだ。」
「待てば良いってもんじゃない、光を探してつかまなきゃいけない。」
「でもそれはあるモノから逃げながらやらないといけない。」
「逃げてると暗闇の中からグワっと音がして、頭を捕まれる。みしっと音がして髪の毛を毟られる」
「だいたいいつもそこでぎりぎり、光を掴んで目が覚める」
「そこでみんな髪の毛を毟られずに襲われたらどうなるかと怖くなって、髪の毛を短くするんだ。」
そのときは話を聞いて戦時中て怖いなぁくらいにしか考えなかった。
が、しばらくして、お骨を墓に入れるとかなんとかで再び母の実家へ。母は髪を短くしていました。
わたしは夢を見てません。母も健在です。が、日に日に母の髪が白くなって行きます。
怖くなり従兄弟の仕事仲間に聞くと、「大丈夫だろ、なんかその話ちゃんと神社で呪を封じてるとか聞いたし、俺そんな夢見てないから」とのこと。
それでも気になったわたしはどこの神社か調べようとしました。ですが話の元となる祖父に話した釣り仲間が見つかりません。
この話を学校の友人に相談すると、「なんつー話を言ってくるんだよ、それ知ってる」とのこと。
もうすぐ来る夏休みを利用して神社を尋ねることにしました。
神社へは交通の便が悪く(というか免許なかったので電車+タクシー+徒歩)つく頃には夕方になりました。
神社に着き、そこに居た神社の人らしいおっさんを訪ねると凄まじい勢いで追い返されました。「どうせまた噂を聞いて来たんだろ、帰れ」と
結局話をすることも出来ず、わたしと友人は今でもその夢を見ていません。
が、わたしの知る限り今までずっと長いままだった母の髪はあれから3年経っているのにまだ短いままです。
母から話を聞くと母があぶないような気がしてきて、聞けません。
従兄弟の仕事仲間と連絡がつかなくなり、手掛かりがなくなりました。
いつか自分も夢をみて頭を毟られるのかと思うと・・・
26話目終了
私は、夢をみていました。昔から私は夢をみている時に、たまに自分は今、夢を
みているんだと自覚する事がありました。この時もそうです。何故か私は薄暗い
無人駅に一人いました。ずいぶん陰気臭いを夢だなぁと思いました。
すると急に駅に精気の無い男の人の声でアナウンスが流れました。 それは
「 まもなく、電車が来ます。その電車に乗るとあなたは恐い目に遇いますよ〜」
と意味不明なものでした。 まもなく駅に電車が入ってきました。それは電車というより、
よく遊園地などにあるお猿さん電車のようなもので数人の顔色の悪い男女が一列に
座ってました。
私はどうも変な夢だなと思いつつも、自分の夢がどれだけ自分自身に恐怖心を与え
られるか試してみたくなりその電車に乗る事に決めました。本当に恐くて堪られなければ、
目を覚ませばいいと思ったからです。私は自分が夢をみていると自覚している時に限って、
自由に夢から覚める事が出来ました。
私は電車の後ろから3番目の席に座りました。辺りには生温かい空気が流れていて、
本当に夢なのかと疑うぐらいリアルな臨場感がありました。
「 出発します〜」とアナウンスが流れ、電車は動き始めました。これから何が起こるのだろ
うと私は不安と期待でどきどきしていました。電車は ホームを出るとすぐにトンネルに入りま
した。紫色ぽっい明かりがトンネルの中を怪しく照らしていました。
私は思いました。(このトンネルの景色は子供の頃に遊園地で乗った、スリラーカーの景色だ。
この電車だってお猿さん電車だし結局過去の私の記憶にある映像を持ってきているだけでちっとも
恐くなんかないな。)
とその時、またアナウンスが流れました。「 次は活けづくり〜活けづくりです。」
活けづくり?魚の?などと考えていると、急に後ろからけたたましい悲鳴が聞こえてきました。
振り向くと、電車の一番後ろに座っていた男の人の周りに四人のぼろきれのような物をまとった
小人がむらがっていました。よく見ると、男は刃物で体を裂かれ、本当に魚の活けづくりの様に
なっていました。強烈な臭気が辺りをつつみ、耳が痛くなるほどの大声で男は悲鳴をあげつづけました。
男の体からは次々と内臓がとり出され血まみれの臓器が散らばっています。
私のすぐ後ろには髪の長い顔色の悪い女性が座っていましたが、彼女はすぐ後で大騒ぎしてい
るのに黙って前をを向いたまま気にもとめていない様子でした。私はさすがに、想像を超える展開に
驚き、本当にこれは夢なのかと思いはじめ恐くなりもう少し様子をみてから目を覚まそうと思いました。
気が付くと、一番後ろの席の男はいなくなっていました。しかし赤黒い、血と肉の固まりのような
ものは残っていました。うしろの女性は相変わらず、無表情に一点をみつめていました。
「 次はえぐり出し〜えぐり出しです。」とアナウンスが流れました。
すると今度は二人の小人が現れ、ぎざぎざスプーンの様な物でうしろの女性の目をえぐり出し始めました。
さっきまで、無表情だった彼女の顔は、痛みの為ものすごい形相に変わり、私のすぐ後ろで鼓膜が
破れるぐらい大きな声で悲鳴をあげました。眼かから眼球が飛び出しています。血と汗の匂いがたまり
ません。私は恐くなり震えながら、前を向き体をかがめていました。ここらが潮時だと思いました。
これ以上付き合いきれません。しかも、順番からいくと次は3番目に座っている私の番です。私は夢から
覚めようとしましたが、自分には一体どんなアナウンスが流れるのだろうと思い、それを確認してからそ
の場から逃げる事にしました。
「次は挽肉〜挽肉です〜」とアナウンスが流れました。最悪です。どうなるか、容易に想像が出来た
ので神経を集中させ、夢から覚めようとしました。(夢よ覚めろ、覚めろ、覚めろ)いつもはこう強く念じる
事で成功します。急に「ウイーン」という機会の音が聞こえてきました。今度は小人が私の膝に乗り変な
機会みたいな物を近づけてきました。たぶん私をミンチにする道具だと思うと恐くなり、
(夢よ覚めろ、覚めろ、覚めろ)と目を固くつぶり一生懸命に念じました。
「 ウイーン 」という音がだんだんと大きくなってきて、顔に風圧を感じ、もうだめだと思った瞬間に静かに
なりました。
なんとか、悪夢から抜け出す事ができました。全身汗でびしょびしょになっていて、目からは涙が流れ
ていました。私は、寝床から台所に向、水を大量に飲んだところで、やっと落ち着いてきました。恐ろしく
リアルだったけど所詮は夢だったのだからと自分に言い聞かせました。
次の日、学校で会う友達全員にこの夢の話をしました。でも皆は面白がるだけでした。所詮は夢だからです。
それから4年間が過ぎました。大学生になった私はすっかりこの出来事を忘れバイトなんぞに勤しんでいました。
そしてある晩、急に始まったのです。
「 次はえぐり出し〜えぐり出しです。」あの場面からでした。私はあっ、あの夢だとすぐに思いだしました。
すると前回と全く同じで二人の小人があの女性の眼球をえぐり出しています。
やばいと思い (夢よ覚めろ、覚めろ、覚めろ)とすぐに念じ始めました。。。。。。
今回はなかなか目が覚めません。(夢よ覚めろ、覚めろ、覚めろ)。。。。。。。。
「次は挽肉〜挽肉です〜」
いよいよやばくなってきました。「 ウイーン 」と近づいてきます。(夢よ覚めろ、覚めろ、覚めろ、覚めてくれ)
ふっと静かになりました。どうやら何とか逃げられたと思い、目をあけようとしたその時
「 また逃げるんですか〜次に来た時は最後ですよ〜」とあのアナウンスの声がはっきりと聞こえました。
目を開けるとやはり、もう夢からは完全に覚めており自分の部屋にいました。最後に聞いたアナウンスは
絶対に夢ではありません。現実の世界で確かに聞きました。私がいったい何をしたと言うのでしょうか?
それから、現在までまだあの夢は見ていませんが次に見た時にはきっと心臓麻痺か何かで死ぬと覚悟しています。
こっちの世界では心臓麻痺でも、あっちの世界は挽肉です。。。。。。
27話目終了
昔、まだ学生だった頃、サークルの仲間と旅行に行った。
メンバーのほとんどが貧乏学生だったんで、
友達に聞いた、安い民宿で泊まることにした。
民宿のすぐ隣に、古そうな小屋みたいな家みたいな建物が建っていた。
ボロいんだけど、妙にでかい。
その建物を見て、メンバーの中の霊感強めの女の子が震えだした。
「2階がヤバイ。」「こっちを見てる。」みたいなことを言って、
「こんなところには泊まれない。」って、帰ってしまった。
夜、メシ喰って花火もして、何だか退屈になってきたんで、
隣のでかい建物に行ってみよーぜってハナシになった。
女の子のうちで2人は反対したんで、男5人、女2人。
いざ来てみると、けっこう雰囲気が怖い。
一階にでかい戸があって、開けてみると、
納屋っていうか、農機具とかが置いてある土間だった。
天井で、ゴトゴトと何かが動くような物音がしたと思うと、
外にいた奴らが「電気ついた、電気ついたよー。」と言いだした。
いったん外へ出てみると、上の方の窓から明かりが漏れている。
「やばいって。」「怒られるんじゃねー。」みたいなこと言ってると、
窓が開いて、にゅっ と首が出てきた。明かりが逆光になって顔が黒い。
俺はかなりびびっていた。すると、その首の持ち主が手招きした。
「おーう、そんなとこにいないで、上がってこいよ。」
意外に若そうな声だった。ちょっと安心した。
酒もあるし、という誘いにのって、じゃあ上がろうかってことになった。
一階の壁際に上にのぼる階段があった。初めは明かりが無くて暗かったけど、
途中の踊り場からは、上から照らされてほんのり明るくなっていた。
開けっ放しの扉から中にはいると、
30くらいの男が、テーブルの向こう側に座っていた。
テーブルの上には、料理とビールが置いてあった。
部屋の中は、インドっぽいというか、木彫りの置物や楽器が置かれていて、
極彩色の神様や映画のポスターなんかが貼られていた。
ムチャクチャ広い部屋なんだけど、そのわりに照明が小さくて、
隅の方にはほとんど光が届いていない。
「まービールでも飲んでくれ。」そう言って、ビールと料理を勧められ、
俺たちは、その男と酒を飲んだ。
男がインドへ旅行した話や、最近の音楽の話なんかをした。
CDがかなりのボリュームで鳴っていたので、気になった女の子が聞くと、
「大丈夫だ」と男は言って、更に音量を上げた。
ふと時計を見ると、もう遅かったので帰ることにした。
男は、倉庫の入り口まで見送ってくれた。
次の日の朝、朝飯を食っている最中に、民宿のおばちゃんが、
「昨晩あの建物に行ったのか?」と聞いてきた。
「行った。」と答えると、おばちゃんは
「何もなかったか?」と、しつこく聞いてきた。
帰りの車の中で、残っていた女の子に
「昨日はうるさかったんじゃねーの?」と聞くと、
「それほどでもかったけど・・」と言ってから、こんなことを言った。
「あの時、音楽が聞こえてきたんで、何やってるんだろう、って思って、
窓からあの建物をみていたら、明るい窓の下に小さく明かりが灯って。
で、また消えたと思ったら、一階の戸が開く音がしたんだ。」
すると、昨日行ったメンバーのうちでMって奴が、それを聞いて
「マジかよ・・」とつぶやき、話し出した。
「あの倉庫から階段上がった時に、踊り場あっただろう。
あそこの壁に、わかんにくかったんだけど扉があったんだよ。
その時は、なんだろうって思ったけど、別に気にしてなかった。
で、帰る時にその扉がほんの少し開いてたんだ。
俺、見間違えたのかな?って思ってたんだけど・・・」
「え?・・ってことは、俺らが飲んでたのって3階なの?」
俺は、ちょっとあせって聞いた。
「じゃあさ、1階に入った時、上で物音してたじゃん。あれって・・・」
思い出してみれば、おかしいところはいくつもあった。
俺らが1階の倉庫みたいなところに入るまで、3階?の窓は真っ暗だった。
あの階は一つの大きな部屋しかなかったはず。
じゃあ、あの男は、俺たちが来るまで、暗闇の中で何をしていたのか?
そして、あの料理。一人で食べるには多すぎる量、だけど温かかった。
誰かが来るのを待っていたのか?明かりを消して?俺たち以外の誰を?
そんなことを車の中で話すうちに、なんだか気味が悪くなってきた。
「イヤな感じだな。」「後味悪〜い。」なんて言いながら帰った。
帰ってみると、先に帰ったはずの女の子が失踪していた。
一緒のアパートに住んでる人に聞くと、あの晩、部屋には戻ったらしい。
が、いつの間にかいなくなっていた。
部屋は荒らされたり、片づけをした様子もなくて、
ただ、フツーに買い物に出たような感じだった。
彼女は、まだ見つかっていないそうだ。
一連の話をカキコしたあと、あの時のメンバーの一人(以下A)にtelした。別に何かを期
待してたワケじゃなくて、何となくケジメみたいな感じで。したら、Aが、ちょっと情報
持っててビクリ。先にtelしとくんだったなーって思いながら話を聞いた。
***************************** Aの話 ************************************
あの民宿を紹介してくれた奴(以下B)と、仕事上のつき合いで再会した時、あのでかい
建物の話をした。
あれは、地元の共同倉庫&集会所だったらしい。でも、新しい集会所ができて使われなく
なったんで、しばらく放っておいたのを、外の誰かが土地ごと買った。で、いつの間にか
あの男が住んでいた。あの男が、何をして暮らしているのかは誰も知らなかった。
「なんでそんなこと知ってんだ?」って聞いたら、Bが泊まった時、例の民宿のおばちゃ
んが話してくれたらしい。軽い感じで喋ってたけど、あそこにはあんまり近づかない方が
イイって言ったそうだ。なんでも、地元の人達ともめ事を起こしている最中だと。
でも、Bと友達は夕暮れ時にそこへ行った。そこでBは、倉庫の天井から魚が吊してあっ
たのを見た。スゴイ臭かったらしい。その後、天井の方から大きな音がしたので、Bたち
は、ヤバイと思って慌てて外に出た。で、その夜、あの建物の方から、数人の男が言い争
う声がしていたのが聞こえたそうだ。Bの話はこれで終わり。
もう一つ。あの時失踪した女の子(以下S)が見つかった。その辺の事情はCが詳しいん
で直接聞いた方がイイ。
112 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 14:51:56.63 ID:MWVk1UWy0
100超えたね
なにかおこった?
113 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 14:52:40.36 ID:mfsipdV1O
警告
男性諸君。突然だが君たちにある魔法をかけさせてもらった。勃起しても全く大き
くならないという死よりも恐ろしい魔法だ。
魔法を解く方法は一つしかない。
http://bbs7.cgiboy.com/6R3002656/ ここのBBSに
「ぼくたんのおちんちんをペロペロしてくだしゃい〜」
とカキコするんだ。運良く管理人様がレスを返してくれれば君の性器は元通りどこ
ろか誰もがうらやむ巨根に変貌するだろう。
カキコするだけでは魔法は解けない。レスしてくれるまで何度もカキコするのだ。
急ぐのだ諸君。
私は手後れでこうなってしまった。同じ目にあわせたくは無い!
http://n.pic.to/2ytst
***************************** Cの話 ************************************
Sが失踪してから1年ぐらい経ったある日、私の家にSの母親から電話があった。あの日
のことについて話が聞きたいという。で、近所の店で会って話をすることになった。
その時にS母が語ったことによると、実はSは失踪してから1ヶ月後には見つかっていた
らしい。場所は実家の近く(詳しいロケーションは聞いてない)。ただ精神に異常を来し
ていたので、学校や友達には失踪中ということにしておいたらしい。私も黙っているよう
に頼まれた。
なぜ失踪したのか?失踪中はどこで何をしていたのか?親や病院の人が聞いても何も答え
ない。ただ一言「ひさゆき」っていう名前を、一度だけつぶやいた。それで警察は、関係
者の中にそんな名前のヤツがいたかどうか、もう一度チェックしたらしい。でも、居なか
った。
Sはまだ病院に通っているけど、ずいぶん回復しているようだ。会ってないけどS母が電
話をくれた。だから私も、もう人に話してもイイかなって思った。ただ、あの日のことに
ついて、Sは覚えていないのか、口にすることはないそうだ。
警察は私らにも「ひさゆき」って名前の奴のこと聞いたのかな?どうだっけ?私には覚え
がない。
俺も、警察がそんな野郎の事について聞きに来たのかは覚えていない。Sが無事だった
のはよかったけど、なんだか後味が悪い。Aの話もいまいちつながらないし・・・
28話目終了
116 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 14:55:28.80 ID:x3EhYXUQ0
わたしの弟から聞いた本当の話です。 弟の友達のA君の実体験だそうです。 の検索結果のうち 日本語のページ 約 918 件中 1 - 10 件目 (1.15 秒)
今でもちょっと信じられない話なんだけど、もう5年くらい前、熱○へ遊びに行ってて、夜
に車でブラブラ流してたのね。そしたら、ちょっと外れた感じの道沿いに裸の女が座ってる
のが見えた。
停めろ停めろ!って車停めて見てたら、女の子が店の横の空き地みたいな所にこっちに尻向
ける格好でしゃがんでんの。もう全裸丸出しで。
うひょーと思ってウインドウ下げたらその音でこっち向いて なぜかこっちに向かって走っ
てくる!それで、目の前を横断して反対側の路地に入ってった時に、一瞬ライトで見えたん
だけど本気でマッパ。
ハタチ位の色白で細い感じの子でけっこう可愛かったんだけど、口の周りが何か黒く見えた
。あれ何だろうメイクか何かぁとか言ってちょっと追っかける気にならんかった。
で、女がしゃがんでたところに行ってみたんだ。小便とかウ○コなんかしてあるんじゃない
かって期待もあって。そしたら…
目に飛び込んできたのは犬の死骸!それも腹とかグッチャグチャになってんの!友達と一緒
に道端でゲロはいちゃったよ。
それにしてもあの女何やってたんだろ?もしかして狼少女ってヤツか?
29話目終了
>>20-30 夢は伝染する
悪夢は進化する
怪談はリンクする
30話目終了
119 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 14:58:09.27 ID:52o64m6E0
120 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 15:01:59.91 ID:52o64m6E0
誰も居ないしコトリバコでも持ってくるか・・・
121 :
よっぷ ◆VIPYOPorME :2006/03/04(土) 15:02:12.32 ID:2HxAp0TH0
今追いついた
いい話シリーズでディスプレイが見づらかったけど
普通の怖い話になって一気に見やすくなった
122 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 15:18:08.59 ID:m12TQB1L0
学校の7不思議にありがちなこと〜
徘徊する骨格標本や人体模型。
遊び相手を求める少女の霊。
立ち入り禁止の屋上。ご丁寧に鍵も壊されている。
取り外された鏡。
隠された図書室。
そして欠番。
遊び相手を求める少女についてお話しよう。
少女の霊は一人ぼっちでいつも鞠を持っている。
校舎の中を一人で歩き回り遊び相手を探している。
その霊は授業を見ながら自分を見れる相手を探しているらしい。
気がついたらいた感じで霊感の強い奴ならよく見るらしい。
髪は黒、服は赤い着物で蝶の刺繍がなされている。
見た相手によって多少の差異はあるようだが、変わらない見た目は
真紅の瞳らしい。
知り合いの女性はゴスロリ衣装だったそうだ。うそっぽいが。
その少女は遊び相手を見つけるとついて周り
「遊ぼ」と言った。声を聞けたのは私だけらしい他の誰もそんなことを言われたこともなかったと。
快く引き受けた私はしばらく遊んであげた。
いつの間にか少女は消えビー球が一つ残されていた。
しばらく遊んで上げると不意にいなくなる。いなくならないように注意しても必ずいなくなってしまう。
そのうち彼女も現れなくなって私が彼女と遊んでいたところには他の生徒がよく来るようになった。
あとで聞いて知ったことだが、そこは間引きされた娘が眠っている花壇の横。
僕がド田舎から某中規模都市の大学に入学した時。
とりあえず入ったサークルにとんでもない人がいた。
大学受験期にストレスからかやたら金縛りにあってて
色々怖い目にあったことから、オカルトへの興味が高まって
いた時期で、そんな話をしているとある先輩が
「キミィ。いいよ」と乗ってきてくれた。
その先輩は院生で仏教美術を専攻している人だった。
すっかり意気投合してしまい、見学にいったその日の夜ドライブ
に連れて行ってもらった。
夜食を食べに行こうと言って、えらい遠くのファミレスまで連れていか
れた。
そこは郊外のガストで、「なんでここなんですか?」って表情をしてたら
先輩曰く
「ここな、出るよ。俺のお気に入り」
アワアワ…
ファミレス自体始めての田舎者の僕は、それでさえ緊張してるのに
出るってアンタ。
「俺が合図したら俯けよ。足だけなら見えるはず」
そんなことを言われて飯が美味いはずがない。
もさもさ食ってると、急に耳鳴りが・・・・・
冷や汗が出始めて、手が止ると先輩が
「オイ。俯けよ」
慌ててテーブルに目を落した。
しばらくじっとしてると、ていうか動けないでいると
視線の右端、テーブルのすぐ脇を白い足がすーっと
通りすぎた。
いきなり肩を叩かれて我に返った。
「見たか?」
リングの公開前だったが、のちに見ると高山が街で女の足を見るシーン
がこれにそっくりだった。
僕が頷くと
「今のが店員の足が一人分多いっていう このガストの怪談の出所。
俺はまるまる見えるんだけどな。 顔は見ない方が幸せだ」
なんなんだ、この人。
「早く食べろ。俺嫌われてるから」
俺もわりに幽霊は見る方なんだが、こいつはとんでもない人だと
この時自覚した。
そのあと空港へ向う山道の謎の霧だとか、先輩お気に入りの
山寺巡りなどに連れまわされて、朝方ようやく解放された。
以来俺はその先輩を師匠と仰ぐことになった。
それは師匠の謎の失踪まで続く。
31話目終了
これは怪談じゃないが話しておかなくてならない。
僕のオカルト道の師匠が、急にサークルに顔を出さなくなった。
師匠の同期の先輩がいうには大学にも来てないとのこと。
心配になって僕は師匠の家に直接いってみた。
すると案の定鍵が開いていたのでノックして乗り込むと
ゲッソリした師匠が布団に寝ている。
話を聞いてみると
「食欲が無くてもう1週間そうめんしか食べてない」
そりゃやつれるわ。と思い
僕が「何か食うもんないんですか? 死にますよ」
といって部屋をあさったが何も出てこない。
「夏バテですか?」
と聞いたが答えない。何も答えてくれないので
もう知らんわい、と僕は薄情にも家を出た。
僕は師匠を恐れてはいたが、妙に彼は子供っぽいところが
あり、ある面僕はナメていた。その頃にはため口もきいたし。
二日後にまた行くと、同じ格好で寝ている。
部屋から一歩も出ずに1日中ゴロゴロしているそうだ。
「そうめんばっかりじゃもちませんよ」
と僕がいうと師匠は急に うっぷ と胸を押えて
トイレにかけこんだ。
背中をさすると、ゲロゲロと吐き始めた。
それを見ながら僕は
「白いそうめんしか食ってなくても、ゲロはしっかり茶色い
んだなぁ」と変なことを考えていたが
ふと気付いた。そういえば・・・
もう一度あさったがやはり何もない。
そうめんさえこの部屋にはないのだ。
「なに食ってるんスか先輩」
と詰め寄ったが答えてくれない。
なにかに憑かれてんじゃねーのかこの人?
と思ったが、僕にはどうしようもない。
取りあえずむりやり病院に連れて行くと、栄養失調で
即入院になった。
点滴打ってると治ったらしく4日後には退院してきたが
あの引きこもり中に何を食べていたのか、結局教えてくれなかった。
ただなぜかそれから口調が急に変わった。
「俺。オイコラ」から、大人しい「僕。〜だね。〜だよ」
になり、子供っぽさが加速した。
その一回生の夏、僕は師匠とオカルトスポットに行きまくった
のだが、おかげで頼りがいがなく色々ヤバイ目にあう。
32話目終了
130 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 16:48:31.41 ID:V91IaiXB0
SUGEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEEE
>>1
師匠との話をまだいくつか書くつもりだが、俺が途中で飽きるかも
しれんし、叩かれてへこんで止めるかもしれないので先に一連の
出来事の落ちである、師匠の失踪について書いておく。
俺が3回生(単位27。プw)の時、師匠はその大学の図書館司書の
職についていた。
そのころ師匠はかなり精神的に参ってて、よく
「そこに女がいる!」とか言っては何も無い空間にビクビクしていた。
俺は何も感じないが、俺は師匠より霊感がないので師匠には見える
んだと思って一緒にビビっていた。
変だと思いはじめたのは、3回生の秋頃。
師匠とはめったに会わなくなっていたが、あるとき学食で一緒にな
って同じテーブルについたとき
「後ろの席、何人見える?」と言いだした。
夜九時前で学食はガラガラ。後ろのテーブルにも誰も座っていなかった。
「何かみえるんすか?」というと
「いるだろう? 何人いる?」とガタガタ震えだした。
耳鳴りもないし、出る時独特の悪寒もない。
俺はその時思った。
憑かれてると思いこんでるのでは・・・・・
俺は思いついて
「大丈夫ですよ。なにもいませんよ」
というと
「そうか。そうだよね」
と安心したような顔をしたのだ。
確信した。
霊はここにいない。
師匠の頭に住みついてるのだ。
『発狂』という言葉が浮んで俺は悲しくなり、無性に泣きたかった。
百話物語りもしたし、肝試しもしまくった。
バチ当たりなこともいっぱいしたし、降霊実験までした。
いいかげん取り憑かれてもおかしくない。
でも多分師匠の発狂の理由は違う。
食事をした3日後に師匠は失踪した。
探すなという置手紙があったので、動けなかった。
師匠の家庭は複雑だったらしく、大学から連絡がいって叔母
とかいう人がアパートを整理しに来た。
すごい感じ悪いババアで、親友だったと言ってもすぐ追い出された。
師匠の失踪前の様子くらい聞くだろうに。
結局それっきり。
しかし俺なりに思うところがある。
俺が大学に入った頃、まことしやかに流れていた噂。
「あいつは人殺してる」
冗談めかして先輩たちが言っていたが、あれは多分真実だ。
師匠はよく酔うと言っていたことがある。
「死体をどこに埋めるか。それがすべてだ」
この手のジョークは突っ込まないという暗黙のルールがあったが
そんな話をするときの目がやたら怖かった。
そして今にして思い、ぞっとするのだが
師匠の車でめぐった数々の心霊スポット。
中でもある山(皆殺しの家という名所)に行ったときこんなこと
を言っていた。
「不特定多数の人間が深夜、人を忍んで行動する。
そして怪奇な噂。
怨恨でなければ、個人は特定できない」
聞いた時はなにをいっているのか分らなかったが、多分
師匠は心霊スポットを巡りながら埋める場所を探していた
のではないだろうか。
俺がなによりぞっとするのは、俺が助手席に乗っているとき
あの車のトランクのなかにそれがあったなら・・・・・・
今思うとあの人についてはわからないことだらけだ。
ただ「見える」人間でも心の中に巣食う闇には勝てなかった。
性格が変わった、あのそうめん事件のころから師匠は
徐々に狂いはじめていたのではないだろうか。
師匠の忘れられない言葉がある。
俺がはじめて本格的な心霊スポットに連れて行かれ、ビビリ
きっているとき師匠がこういった。
「こんな暗闇のどこが怖いんだ。目をつぶってみろ。
それがこの世で最も深い闇だ」
33話目終了
強烈な体験がある。
夏だからーという安直な理由でサークル仲間とオカルトスポットに
行くことになった。
東山峠にある東山ホテルという廃屋だ。
俺はネットで情報を集めたが、とにかく出るということなのでここに
きめた。
とにかく不特定多数の証言から
「ボイラー室に焼け跡があり、そこがヤバイ」
などの情報を得たが特に
「3階で人の声を聞いた」
「何も見つからないので帰ろうとすると3階の窓に人影が見えた」
と、3階に不気味な話が集中しているのが気に入った。
雰囲気を出すために俺の家でこっくりさんをやって楽しんだあと
12時くらいに現地へ向った。
男4女4の大所帯だったので、結構みんな余裕だったが東山ホテル
の不気味な大きい影が見えてくると空気が変わった。
隣接する墓場から裏口に侵入できると聞いていたので、動きやす
い服を来てこいとみんなに言っておいたが、肝心の墓場がない。
右側にそれらしいスペースがあるが広大な空き地になっている。
「墓なんてないぞ」
と言われたが、懐中電灯をかざして空き地の中に入ってみると
雛壇のようなものがあり、変な形の塔が立っていた。
「おい、こっち何か書いてある」
言われて記念碑のみたいなものを照らして見ると
「殉職者慰霊塔」
ヒィィー
昭和3×年 誰某 警部補
みたいなことが何十と列挙されていた。
もうその佇まいといい、横の廃屋といい、女の子の半分に泣きが
入った。
男まで「やばいっすよここ」と真剣な顔してい出だす始末。
俺もびびっていたが帰ってはサブすぎるので、なんとかなだめ
すかして奥にある沢を越えホテルの裏口に侵入した。
敷地から、1ヵ所開いていた窓を乗り越えて中に入ると部屋は
電話機やら空き缶やら様々なゴミが散乱していた。
風呂場やトイレなど、汚れてはいたが使っていたそのまま
の感じだ。
部屋から廊下にでると剥がれた壁や捲くれあがった絨毯で
いかにもな廃屋に仕上がっている。
懐中電灯が2個しかないのでなるべく離れない様にしながら
各個室やトイレなどの写真をとりまくった。
特に台所は用具がまるまる残っていて、帳簿とかもあった。
噂だがここはオーナーが気が狂って潰れたという。
1階を探索して少し気が大きくなったので2階へ続く階段を見つ
けて、のぼった。
2階のフロアについて、噂の3階へそのまま行こうかと話していた
時だ。
急に静寂のなかに電話のベルが鳴り響いた。
3階の方からだ。
女の子が悲鳴をあげてしまった。
連鎖するように動揺が広がって何人か下へ駆け降りた。
「落ちつけ。落ちつけって」
最悪だ。パニックはよけいな事故を起こす。
俺は上がろうか降りようか逡巡したが、ジリリリリリという
気味の悪い音は心臓に悪い。
「走るな。ゆっくり降りろよ」
と保護者の気分で言ったが、懐中電灯を持っている二人は
すでに駆け降りてしまっている。
暗闇がすうっと下りてきて、ぞっとしたので俺も慌てて走った。
広くなっている1階のロビーあたりで皆は固まっていた。
俺が着いたときに、ふっ、と電話は止った。
「もう帰る」
と泣いてる子がいて、気まずかった。
男たちも青い顔をしている。
その時一番年長の先輩が口を開いた。
俺のオカルト道の師匠だ。
「ゴメンゴメン。ほんとにゴメン」
そういいながらポケットから携帯電話を取り出した。
「こんなに驚くとは思わなかったから、ゴメンね」
曰く、驚かそうとして昼間に携帯を一台3階に仕込んでおいたらしい。
それで頃合をみはからってこっそりそっちの携帯に電話したと。
アフォか! やりすぎだっつーの。
もうしらけてしまったので、そこで撤退になった。
帰りしな師匠が言う。
「あそこ洒落にならないね」
洒落にならんのはアンタだと言いそうになったが師匠は続けた。
「僕たちが慰霊塔見てる時、ホテルの窓に人がいたでしょ」
見てない。あの時ホテルのほうを見るなんて考えもしない。
「夏だからDQNかと思ったけど、中に入ったら明らかに違った。
10人じゃきかないくらい居た。上の方の階」
「居たって・・・」
「ネタのためにケータイもう一個買うほどの金あると思う?」
そこで俺アワアワ状態。
「あれはホテルの電話。音聞いたでしょ。じりりりりり」
たしかに。
みんなを送って行ったあと、師匠がとんでもないことを言う。
「じゃ、戻ろうかホテル」
俺は勘弁してくれと泣きつき、解放された。
しかし師匠は結局一人でいったみたいだった。
後日どうなったか聞いてみると、ウソか本当かわからない表情で
「また電話が掛かってきてね。出ても受話器からジリリリリリリ。
根性なしが!! って一喝したらホテル中のが鳴り出した。
ヤバイと思って逃げた」
34話目終了
師匠には見えて、僕には見えないことがしばしばあった。
夏前ごろ、オカルト道の師匠に連れられてコジョウイケトンネルに
深夜ドライブを敢行した。
コジョウイケトンネルは隣のK市にある有名スポットで、近辺で5指に入る
名所だ。
K市にはなぜか異様に心霊スポットが多い。
道々師匠が見所を説明してくれた。
「コジョウイケトンネルはマジで出るぞ。手前の電話ボックスもヤバイが
トンネル内では入りこんでくるからな」
入りこんでくるという噂は聞いたことがあった。
「特に3人乗りが危ない。一つだけ座席をあけていると、そこに乗ってくる」
僕は猛烈に嫌な予感がした。
師匠の運転席の隣にはぬいぐるみが座っていた。
僕は後部座席で一人観念した。
「乗せる気ですね」
トンネルが見えてきた。
手前の電話ボックスとやらにはなにも見えなかったが、トンネル内に入ると
さすがに空気が違う。
思ったより暗くて僕はキョロキョロ周囲を見まわした。
少し進んだだけで、これは出る、と確信する。
耳鳴りがするのだ。
僕は右側に座ろうか左側に座ろうか迷って、真ん中あたりでもぞもぞし
ていた。
右側の対抗車線からくるか、左の壁側からくるのか。
ドキドキしていると、いきなり師匠が叫んだ。
「ぶっ殺すぞコラァッァ!!!」
僕が言われたのかと縮みあがった。
「頭下げろ、触られるな」
耳鳴りがすごい。しかし何も見えない。
慌てて頭を下げるが、見えない手がすり抜けたかと思うと心臓に悪い。
「逃げるなァ!! 逃げたらもう一回殺す!」
師匠が啖呵を切るのはなんどか見たが、これほど壮絶なのは初めて
だった。
「おい、逃がすな、はやく写真とれ」
心霊写真用に僕がカメラを預かっていたのだ。
しかし・・・
「どっちっスか」
「はやく、右の窓際」
「見えませんッ」
「タクシーの帽子! 見えるだろ。 逃げるなコラァ! 殺すぞ」
「見えません!」
ちっ、と師匠は舌打ちして前を向き直った。
ブレーキ掛ける気だ・・・
俺は真っ青になって、めったやたらにシャッターを切った。
トンネルを出た時には生きた心地がしなかった。
後日現像された写真を見せてもらうとそこには窓と、そのむこうのトン
ネル内壁のランプが写っていた。
師匠は不機嫌そうに言った。
「俺から見て右の窓だった」
よく見ると窓にうつるカメラを構えた僕の肩の後ろに、うっすらとタクシー
帽を被った初老の男の怯えた顔が写っていた。
35話目終了
俺にはオカルト道の師匠がいるのだが、やはり彼なりの霊の捉え方が
あってしばしば「霊とはこういうもの」と講釈をしてくれた。
師匠曰く、
ほとんどの霊体は自分が死んでいることをよくわかっていない。
事故現場などにとどまって未だに助けを求めているやつもいれば、
生前の生活行動を愚直に繰り返そうとするやつもいる。
そういうやつは普通の人間が怖がるものはやっぱり怖いのさ。
ヤクザも怖ければ獰猛な犬も怖い。キチガイも。
怒鳴ってやるだけで、可哀相なくらいびびるやつもいる。
問題は恫喝にもびびらないやつ。
自分が死んでいることを理解しているやつには関わらない方がいい。
といったことなどをよく言っていたが、これは納得できる話だしよく
聞く話だ。
しかし、ある時教えてくれたことは師匠以外の人から聞いたことがなく、
未だにそれに類する話も聞いたことがない。
俺の無知のせいかもしれないが、このスレの人たちはどう思うだろうか。
大学二年の夏ごろ、俺は変わったものを立て続けに見た。
最初ははじめて行ったパチンコ屋で、パチンココーナーをウロウロしていると
ある台に座るオッサンの異様に思わず立ち止まった。
下唇が異常なほど腫れあがって垂れ下がっている。
ほとんど胸に付くくらい、ボテっと。
そういう病気の人もいるんだなあと思い、立ち去ったがその次の日のこと。
街に出るのにバスに乗り、乗車口正面の席に座ってぼうっとしていると
前の席に座る人の手の指が多いことに気付いた。
肘掛に乗せている手の指がどう数えても6本あるのだ。
左端に親指があるのはいいのだが反対の端っこに大きな指がもう一本生
えている。
多指症というやつだろうか。
その人は俺よりさきに降りていったが、他の誰もジロジロみている気配は
なかった。
気付かないのか、と思ったがあとで自分の思慮のなさに思い至った。
そしてまた次の日、今度は小人を見た。
これもパチンコ屋だが、子供がチョロチョロしてるなあと思ったら顔を見ると
中年だった。
男か女かよくわからない独特の顔立ちで、甲高い声で「出ないぞ」みたいな
ことを言っていた。
足もまがってるせいか、かなり小さい。背の低い俺の胸までもないくらい。
こんどはあまりジロジロ見なかったが、奇形を見るのが立て続いたので
そういうこともあるんだなあと不思議な気持ちになった。
このことを師匠に話すと、喜ぶと思いきや難しい顔をした。
師匠は俺を怖がらせるのが好きなので「祟られてるぞ」とか
無責任なことを言いそうなものだったが。
暫く考えて師匠は両手を変な形に合わせてから口を開いた。
「一度見ると、しばらくはまた他人を注意して見るようになる。
そういうこともあるさ。蓋然性の問題だね。
ただ、さっきの話でひとつおかしいところがある。 」
「乗車口正面の席は右手側に窓があるね」
何を言い出すのかと思ったが頷いた。
「当然その前の席も同じだ。さて、君が見た肘掛に乗せた手は
右手でしょうか、左手でしょうか」
意味がわからなかったので、首を振った。
「窓際に肘掛があるバスもあるけど、君によく見え、また他の人が気づ
かないのを不思議に思うという状況からしてその肘掛は通路側だ。
ということは親指が左側にあってはよくないね」
あっ、と思った。
「左手が乗ってなきゃいけないのに、乗っていたのはまるで右手だね。
6本あったことだけじゃなく、そこにも気付くはずだ。聞いただけの
僕にもあった違和感が、ジロジロ見ていた君にないのはおかしい」
これから恐ろしいことを聞くような気がして、冷や汗が流れた。
「他の2つの話では、女なのか男なのか容姿に触れた部分があったけど
バスの話では無い。席を立ったのだから、見ているはずなのに。
見えているものの記憶がはっきりしない。君はあやふやな部分を無意識
に隠し、それをただの奇形だと思おうとしている。
もう一度聞くがそれをジロジロ見ていたのは君だけなんだね?」
師匠は組んだ手を掲げた。
「いいかい。利き腕を出して。君は右だね。掌を下にして。その手の上に
左の掌を下にしてかぶせて。 親指以外が重なるように。そうそう。
左の中指が右の薬指に重なるくらいの感じ。左が気持ち下目かな。
残りの指も長さが合わなくても重なるように。すると指は6本になるね」
これはやってみてほしい。
「親指が2本になり、左右対象になったわけだ。どんな感じ?」
不思議な感覚だ。落ち着くというか。安心するというか。
普通に両手を合わせるよりも一体感がある。
そのまま上下左右に動かすと特に感じる。
「これは人間が潜在意識のなかで望んでいる掌の形だよ。
左右対象で、両脇の親指が均等な力で物を掴む。
僕はこんな『親指が二本ある幽霊』を何度か見たことがある」
「あれは俺だけに見えていた霊だったと?」
「多分ね。 たまにいるんだよ。生前のそのままの姿でウロつく霊も
いれば、より落ちつくように、不安定な自分を保とうとするように、
両手とも利き腕になっていたり、左右対象の6本指になっていたり・・・
本人も無意識の内に変形しているヤツが。」
師匠はそう言って擬似6本指で俺にアイアンクローを掛けてきた。
不思議な話だった。
そんな話は寡聞にして聞いたことがない。
両手とも利き腕だとか・・・・
怪談本の類はかなり読んだけどそういうことに触れている本には
お目にかかったことが無い。
師匠のはったりなのか、それとも俺の知らない世界の道理なのか。
いまは知りようもない。
36話目終了
これは俺の体験の中でもっとも恐ろしかった話だ。
大学1年の秋頃、俺のオカルト道の師匠はスランプに陥っていた。
やる気がないというか、勘が冴えないというか。
俺が「心霊スポットでも連れて行ってくださいよ〜」
と言っても上の空で、たまにポケットから1円玉を4枚ほど出したかとおもうと
手の甲の上で振って、
「駄目。ケが悪い」
とかぶつぶつ言っては寝転がる始末だった。
それがある時急に「手相を見せろ」と手を掴んできた。
「こりゃ悪い。悪すぎて僕にはわかんない。気になるよね? ね?」
勝手なことを言えるものだ。
「じゃ、行こう行こう」
無理やりだったが師匠のやる気が出るのは嬉しかった。
どこに行くとは言ってくれなかったが、俺は師匠に付いて電車に乗った。
ついたのは隣の県の中核都市の駅だった。
駅を出て、駅前のアーケード街をずんずん歩いて行った。
商店街の一画に『手相』という手書きの紙を台の上に乗せて座っているおじ
さんがいた。
師匠は親しげに話しかけ、「僕の親戚」だという。
宗芳と名乗った手相見師は「あれを見に来たな」というと不機嫌そうな顔を
していた。
宗芳さんは地元では名の売れた人で、浅野八郎の系列ということだった。
俺はよくわからないままとりあえず手相を見てもらったが、女難の相が出てる
こと以外は特に悪いことも言われなかった。
金星環という人差し指と中指の間から小指まで伸びる半円が強く出ている
といわれたのが嬉しかった。芸術家の相だそうな。
先輩は見てもらわないんですか?と言うと、宗芳さんは師匠を睨んで
「見んでもわかる。死相がでとる」
師匠はへへへと笑うだけだった。
夜の店じまいまできっかり待たされて、宗芳さんの家に連れて行ってもらった。
大きな日本家屋だった。
手相見師は道楽らしかった。
晩御飯のご相伴にあずかり、泊まって行けというので俺は風呂を借りた。
風呂からでると、師匠がやってきて「一緒に来い」という。
敷地の裏手にあった土蔵に向うと、宗芳さんが待っていた。
「確かにお前には見る権利があるが、感心せんな」
師匠は硬いことを言うなよ、と土蔵の中へ入って行った。
土蔵の奥に下へ続く梯子のような階段があり、俺たちはそれを降りた。
今回の師匠の目的らしい。
俺はドキドキした。
師匠の目が輝いているからだ。
こういう時はヤバイものに必ず出会う。
151 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 17:24:14.64 ID:V91IaiXB0
ちょwwwwメアド今気づいたwwwwマメ杉wwwwwwwwwwwww
思ったより長く、まるまる地下二階くらいまで降りた先には、畳敷きの地下室
があった。
黄色いランプ灯が天井に掛かっている。
六畳ぐらいの広さに壁は土が剥き出しで、畳もすぐ下は土のようだった。
もともとは自家製の防空壕だったと、あとで教わった。
部屋の隅に異様なものがあった。
それは巨大な壷だった。
俺の胸ほどの高さに、抱えきれない横幅。
しかも見なれた磁器や陶器でなく、縄目がついた素焼きの壷だ。
「これって、縄文土器じゃないんスか?」
宗芳さんが首を振った。
「いや、弥生式だな。穀物を貯蔵するための器だ」
そんなものがなんでここにあるんだ? と当然思った。
師匠は壷に近づくとまじまじと眺めはじめた。
「これはあれの祖父がな、戦時中のどさくさでくすねてきたものだ」
宗芳さんは俺でも知っている遺跡の名前をあげた。
その時、師匠が口を開いた。
「これが穀物を貯蔵してたって?」
笑ってるようだ。
黄色い灯りの下でさえ、壷は生気がないような暗い色をしていた。
宗芳さんが唸った。
「あれの祖父はな、この壷は人骨を納めていたという」
名前:壷 5/6 投稿日:03/05/06 23:28
「見えると言うんだ。壷の口から覗くと、死者の顔が」
俺は震えた。
秋とはいえ、まだ初秋だ。肌寒さには遠いはずが、寒気に襲われた。
「ときに壷から死者が這い上がって来るという。死者は部屋に満ち、
土蔵に満ち、外から閂をかけると町中に響く声で泣くのだという」
俺は頭を殴られたような衝撃を受けた。
くらくらする。頭の中を蝿の群れが飛び回っているようだ。
鼻をつく饐えた匂いが漂い始めた。
まずい。この壷はまずい。
霊体験はこれでもかなりしてきた。
その経験がいう。
師匠は壷の口を覗き込んでいた。
「来たよ。這いあがって来てる。這いあがれ。這いあがれ」
目が爛々と輝いている。
耳鳴りだ。蝿の群れのような。
今までにないほどの凄まじい耳鳴りがしている。
バチンと音がして灯りが消えた。
消える瞬間に青白い燐が壷から立つのが確かに見えた。
「いかん、外に出るぞ」宗芳さんが慌てて言った。
「見ろよ! こいつらは2千年立ってもまだこの中にいるんだよ!」
宗芳さんは喚く師匠を抱えた。
「こいつら人を食ってやがったんだ! これが僕らの原罪だ!」
俺は腰が抜けたようだった。
「ここに来い。僕の弟子なら見ろ。覗き込め。この闇を見ろ。
此岸の闇は底無しだ。あの世なんて救いはないのさ。
食人の、共食いの業だ! 僕はこれを見るたびに確信する!
人間はその本質から生きる資格のないクソだと!」
俺はめったやたらに梯子を上り、逃げた。
宗芳さんは師匠を引っ張り出し、土蔵を締めると今日はもう寝て明日帰れと言った。
その夜、一晩中強い風が吹き俺は耳を塞いで眠った。
その事件のあと、師匠は元気を、やる気を取り戻したが俺は複雑な気持ちになった。
37話目終了
バチンと音がして灯りが消えた。
消える瞬間に青白い燐が壷から立つのが確かに見えた。
「いかん、外に出るぞ」宗芳さんが慌てて言った。
「見ろよ! こいつらは2千年立ってもまだこの中にいるんだよ!」
宗芳さんは喚く師匠を抱えた。
「こいつら人を食ってやがったんだ! これが僕らの原罪だ!」
俺は腰が抜けたようだった。
「ここに来い。僕の弟子なら見ろ。覗き込め。この闇を見ろ。
此岸の闇は底無しだ。あの世なんて救いはないのさ。
食人の、共食いの業だ! 僕はこれを見るたびに確信する!
人間はその本質から生きる資格のないクソだと!」
俺はめったやたらに梯子を上り、逃げた。
宗芳さんは師匠を引っ張り出し、土蔵を締めると今日はもう寝て明日帰れと言った。
その夜、一晩中強い風が吹き俺は耳を塞いで眠った。
その事件のあと、師匠は元気を、やる気を取り戻したが俺は複雑な気持ちになった。
156 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 17:30:22.71 ID:V91IaiXB0
大学一年目のGWごろから僕はあるネット上のフォーラムによく顔を出していた。
地元のオカルト好きが集まる所で、深夜でも常に人がいて結構盛況だった。
梅雨も半ばというころにそこで「降霊実験」をしようという話が持ち上がった。
常連の人たちはもう何度かやっているそうで、オフでの交流もあるらしかった。
オカルトにはまりつつあった僕はなんとか仲間に入りたくて
「入れて入れて。いつでもフリー。超ひま」とアピールしまくってokがでた。
中心になっていたkokoさんという女性が彼女曰く霊媒体質なのだそうで、
彼女が仲間を集めて降霊オフをよくやっていたそうである。
日にちが決まったが、都合がつく人が少なくて
koko みかっち 京介 僕
というメンバーになった。
人数は少ないが3人とも常連だったので、「いいっしょー?」
もちろん異存はなかったが、僕は新入りのくせにある人を連れて行きたくてうずうず
していた。
それは僕のサークルの先輩で僕のオカルト道の師匠であり、霊媒体質でこそないが
いわゆる「見える」人だった。
この人の凄さに心酔しつつあった僕はオフのメンバーに自慢したかったのだ。
しかし師匠に行こうと口説いても頑として首を縦に振らない。
めんどくさい。ばかばかしい。子守りなんぞできん。
僕はなんとか説得しようと詳しい説明をしていたら、kokoさんの名前を出した所で
師匠の態度が変わった。
「やめとけ」というのである。
なぜですか、と驚くと「怖い目にあうぞ」
口振りからすると知っている人のようだったが、こっちは怖い目にあいたくて参加する
のである。
「まあ、とにかく俺は行かん。何が起きてもしらんが、行きたきゃ行け」
師匠はそれ以上なにも教えてくれなかったが、師匠のお墨付きという、思わぬ所から
のオフの楽しみが出てきた。
当日市内のファミレスで待ち合わせをした。
そこで夕食を食べながらオカルト談義に花を咲かせ、いい時間になったら会場である
kokoさんのマンションに移動という段取りだった。
kokoさんは綺麗な人だったが、抑揚のないしゃべり方といい気味の悪い印象をうけた。
みかっちさんはよく喋る女性で、kokoさんは時々それに相槌をこっくり打つという感じだ。
驚いたことに2人とも僕の大学の先輩だった。
「キョースケはバイトあるから、あとで直接ウチにくるよ」とkokoさんがいった。
僕はなんとなく恋人どうしなのかなあ、と思った。
そして夜の11時を回るころみかっちさんの車で3人でマンションに向かった。
京介さんからさらに遅れるという連絡が入り、もう始めようということになった。
僕は俄然ドキドキしはじめた。
kokoさんはマンションの一室を完全に目張りし、一切の光が入らないようにしていた。
こっくりさんなら何度もやったけれど、こんな本格的なものははじめてだ。
交霊実験ともいうが、降霊実験とはつまり霊を人体に降ろすのである。
真っ暗な部屋にはいると、ポッと蝋燭の火が灯った。
「では始めます」
kokoさんの表情から一切の感情らしきものが消えた。
「今日は初めての人がいるので説明しておきますが、これから何が起こっても決して
騒がず、心を平静に保ってください。心の乱れは必ず良くない結果を招きます」
kokoさんは淡々と喋った。みかっちさんも押し黙っている。
僕は内心の不安を隠そうと、こっくりさんのノリで
「窓は開けなくてもいいんですか?」と言ってみた。
kokoさんは能面のような顔で僕を睨むと囁いた。
「窓は霊体にとって結界ではありません。通りぬけることを妨げることはないのです。
しかしこれから行なうことは私の体を檻にすること。うまく閉じこめられればいいの
ですが、万が一・・・・」
そこで口をつぐんだ。僕はやりかえされたわけだ。
逃げ出したくなるくらい心臓が鳴り出した。
しかしもう後戻りはできない。
降霊実験が始まった。
僕は言われるままに目を閉じた。
蝋燭の火が赤くぼんやりと瞼にうつっている。
どこからともなくkokoさんの声が聞こえる。
「・・・ここはあなたの部屋です。見覚えのある天井。窓の外の景色。
・・・さあ起き上がってみてください。伸びをして、立つ。
・・・すると視界が高くなりました。あたりを見まわします。
・・・扉が目に入りました。あなたは部屋の外に出ようとしています」
これは。
あれではないだろうか。目をつぶって頭の中で自分の家を巡るという。
そしてその途中でもしも・・・という心理ゲームだ。
始める直前にkokoさんがいった言葉が頭をかすめた。
『普通は霊媒に降りた後、残りの人が質問をするという形式です。
しかし私のやりかたでは、あなた方にも<直接>会ってもらいます』
僕は事態を飲みこめた。恐怖心は最高潮だったが、こんな機会はめったにない。
鎮まれ心臓。鎮まれ心臓。
僕はイメージの中へ没頭していった。
く。
という変な声がしてkokoさんが体を震わせる気配があった。
「手を繋いでください。輪に」
目を閉じたまま手探りで僕らは手を繋いだ。
フッという音とともに蝋燭の火照りが瞼から消え、完全な暗闇が降りてきた。
かすかな声がする。
「・・・あなたは部屋をでます。廊下でしょうか。キッチンでしょうか。
いつもと変わりない、見なれた光景です。あなたは十分見まわしたあと、
次の扉を探します・・・」
僕はイメージのなかで下宿ではなく、実家の自室にいた。
すべてがリアルに思い描ける。
廊下を進み、両親の寝室を開けた。
窓から光が射し込んでいる。畳に照り返して僕は目を細める。
僕は階段を降り始めた。キシキシ軋む音。手すりの感触。
すぐ左手に襖がある。客間だ。いつも雨戸を降ろし、昼間でも暗い。
僕は子供の頃ここが苦手だった。
かすかな声がする。
「・・・あなたは歩きながら探します。
・・・いつもと違うところはないか。
・・・いつもと違うところはないか」
いつもと違うところはないか。僕は客間の電気をつけた。
真ん中の畳の上に切り取られた手首がおちていた。
僕は息を飲んだ。
人間の右手首。切り口から血が滴って畳を黒く染めていた。
この部屋にいてはいけない。
僕は踵を返して部屋を飛び出した。
廊下を突っ切り、1階の居間に飛びこんだ。
ダイニングのテーブルの上に足首がころがっていた。
僕はあとずさる。
まずい。失敗だ。この霊は、やばい。
もう限界だ。僕は目を明けようとした。
開かなかった。僕は叫んだ。
「出してくれ!」
だがその声は誰もいない居間に響くだけだった。
僕は走った。家の勝手口に僕の靴があった。
履く余裕もなく、ドアをひねる。だが押そうが引こうが開かない。
「出してくれ!」
ドアを両手で激しく叩いた。
どこからともなくかすかな声がする。
しかしそれはもう聞き取れない。
僕は玄関の方へ走った。途中で何かにつまずいて転んだ。
痛い。痛い。本当に痛い。
つまづいたものをよく見ると、両手足のない人間の胴体だった。
玄関の扉の郵便受けがカタンと開いた。
何かが隙間からでてこようとしていた。
僕はここで死ぬ。そんな予感がした。
そのときチャイムの音が鳴った。
ピンポンピンポンピンポンピンポン
続いてガチャっという音とともに明るい声が聞こえた。
「おーっす! やってるか〜」
気がつくと僕は目を開いていた。
暗闇だ。だが、間違いなくここはkokoさんのマンションだ。
「おおい。ここか」
部屋のドアが開き、蛍光灯の眩しい光が射し込んできた。
kokoさんと、みかっちさんの顔も見えた。
「おっと邪魔したか〜? スマン、スマン」
助かった。安堵感で手が震えた。
光を背に扉の向こうにいる人が女神に見えた。
その時kokoさんが、邪魔したわと小さく呟いたのが聞こえた。
僕は慌ててkokoさんから手を離した。
僕は全身に嫌な汗をかいていた。
僕は後日、師匠の家で事の顛末を大いに語った。
しかしこの恐ろしい話を師匠はくすくす笑うのだ。
「そいつは見事にひっかかったな」
「なにがですか」僕はふくれた。
「それは催眠術さ」
「は?」
「その心理ゲームは本来そんな風に喋りつづけてイメージを誘導する
ことはない。いつもと違うところはないか。なんてな」
僕は納得がいかなかった。
しかし師匠は断言するのだ。
「タネをあかすと、俺が頼んだんだ。お前が最近調子に乗ってるんでな。
ちょっと脅かしてやれって」
「やっぱり知りあいだったんですか」
僕はゲンナリして臍のあたりから力が抜けた。
「しかしハンドルネーム『京介』で女の人だったとは。僕はてっきりkokoさん
の彼氏かと思いましたよ」
このつぶやきにも師匠は笑い出した。
「そりゃそうだ。kokoは俺の彼女だからな」
翌日サークルBOXに顔を出すと、師匠とkokoさんがいた。
「このあいだはごめんね。やりすぎた」
頭を下げるkokoさんの横で師匠はニヤニヤしていた。
「こいつ幽霊だからな。同じサークルでも初対面だったわけだ」
kokoさんは昼の陽の下にでてきても青白い顔をしていた。
「ま、お前も霊媒だの下らんこといって人をだますなよ。
俺が催眠術の触りを教えたのはそんなことのためじゃない」
kokoさんはへいへいと横柄に返事をして僕に向き直った。
「芳野 歩く といいます。よろしくね、後輩」
それ以来僕はこの人が苦手になった。
その後で師匠はこんなことをいった。
「しかし、手首だの胴体だのを見たってのはおかしいな。
いつもと違うところはないか、と言われてお前はそれを見たわけだ。
お前の中の幽霊のイメージはそれか?」
もちろんそんなことはない。
「なら、いずれそれを見るかもな」
「どういうことですか」
「ま、おいおい分るさ」
師匠は意味深に笑った。
38話目終了
166 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 17:35:55.79 ID:8OdfdPVr0
あんたたちね、このスレにブーンしてきなさい。いいわね?
http://game10.2ch.net/test/read.cgi/ff/1141449080/ ⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン⊂二二二( ^ω^)二二⊃ ブーン
大学1年の夏の始めごろ、当時俺の部屋にはクーラーはおろか扇風機もなくて
毎日が地獄だった。
そんな熱帯夜にある日電話が掛かった来た。
夜中の一時くらいで、誰だこんな時間に! と切れ気味で電話に出た。
すると電話口からはゴボゴボゴボ・・・という水のような音がする。
水の中で無理やりしゃべっているような感じだ。
混線かなにかで声が変になっているのかと思ったが、喋っているにしては間が
開きすぎているような気がする。
活字にしにくいが、あえて書くなら、
ゴボゴボ・・・ゴボ・・・シュー・・・・ゴボ・・・・シュー・・・シュー・・・ゴボ・・・・ゴボリ・・・
いつもならゾーっするところだが、その時は暑さでイライラしていて頭から湯気が出
ていたので
「うるせーな。誰じゃいコラ」と言ってしまった。
それでも電話は続き、ゴボゴボと気泡のような音が定期的に聞こえた。
俺も意地になって、「だれだだれだだれだだれだ」と繰り返していたが
10分ぐらい立っても一向に切れる気配がないので、いいかげん馬鹿らしくなって
こっちからぶち切った。
それから3ヶ月くらいたって、そんなことをすっかり忘れていたころに留守電に
あのゴボゴボゴボという音が入っていた。
録音時間いっぱいにゴボ・・・ゴボ・・・・シュー・・・・ゴボ・・・・
気味が悪かったので消そうかと思ったが、なんとなく友人たちの意見を聞きたくて
残していた。
それで3日くらいしてサークルの先輩が遊びに来ると言うので、そのゴボゴボ以外
の留守録を全部消して待っていた。
先輩は入ってくるなり、「スマン、このコーヒー飲んで」
自販機の缶コーヒーを買ってくるつもりが、なぜか『あったか〜い』の方を間違えて
買ってしまったらしい。まだ九月で残暑もきついころだ。
しかし例の留守電を聞かせると、先輩はホットコーヒーを握り締めてフーフー言いな
がら飲みはじめた。
先輩は異様に霊感が強く、俺が師匠と仰ぐ人なのだがその人がガタガタ震えている。
「もう一回まわしましょうか?」
と俺が電話に近づこうとすると「やめろ!」とすごまれた。
「これ、水の音に聞こえるのか?」
青い顔をしてそう聞かれた。
「え? 何か聞こえるんですか?」
「生霊だ。まとも聞いてると寿命縮むよ」
「今も来てる。首が」
俺には心当たりがあった。当時俺はある女性からストーキングまがいのことをされていて
相手にしないでいるとよく睡眠薬を飲んで死ぬ、みたいなこを言われていた。
「顔が見えるんですか?女じゃないですか?」
「そう。でも顔だけじゃない、首も。窓から首が伸びてる」
俺はぞっとした。
生霊は寝ている間本人も知らない内に首がのびて、愛憎募る相手の元へやってくると
聞いたことがあった。
「な、なんとかしてください」
俺が泣きつくと先輩は逃げ出しそうな引き腰でそわそわしながら
「とにかくあの電話は掛かってきてももう絶対に聞くな。本人が起きてる時にちゃんと話
しあうしかない」
そこまで言って天井あたりを見あげ、目を見張った。
「しかもただの眠りじゃない。これは・・・へたしたらこのまま死ぬぞ。見ろよ、首が
ちぎれそうだ」
俺には見えない。
引きとめたが先輩は帰ってしまったので、俺は泣く泣くストーキング女の家に向った。
以降のことはオカルトから逸脱するし、話したくないので割愛するが、結局俺は
それから丸二年ほどその女につきまとわれた。
正直ゴボゴボ電話より、睡眠薬自殺未遂の実況中継された時の電話ほうが怖かった。
39話目終了
ああ、夏が終わる前にすべての話を書いてしまいたい。
もう書かないといった気がするが、そうして終わりたい。
俺色々ヤバイことしたし、ヤバイ所にも行ったんだけど
幸い、とり憑かれるなんてことはなかった。
一度だけ除けば。
大学1年の秋ごろ、サークルの仲間とこっくりさんをやった。
俺の下宿で。それも本格的なやつ。
俺にはサークルの先輩でオカルト道の師匠がいたのだが、彼が知って
いたやり方で、半紙に墨であいうえおを書くんだけど、その墨に参加者
のツバをまぜる。
あと、鳥居のそばに置く酒も2日前から縄を張って清めたやつ。
いつもは軽い気持ちでやるんだけど、師匠が入るだけで雰囲気が
違ってみんな神妙になっていた。
始めて10分くらいしてなんの前触れもなく部屋の壁から白い服の男が
でてきた。
青白い顔をして無表情なんだけど、説明しにくいが「魚」のような
顔だった。
ああ、夏が終わる前にすべての話を書いてしまいたい。
もう書かないといった気がするが、そうして終わりたい。
俺色々ヤバイことしたし、ヤバイ所にも行ったんだけど
幸い、とり憑かれるなんてことはなかった。
一度だけ除けば。
大学1年の秋ごろ、サークルの仲間とこっくりさんをやった。
俺の下宿で。それも本格的なやつ。
俺にはサークルの先輩でオカルト道の師匠がいたのだが、彼が知って
いたやり方で、半紙に墨であいうえおを書くんだけど、その墨に参加者
のツバをまぜる。
あと、鳥居のそばに置く酒も2日前から縄を張って清めたやつ。
いつもは軽い気持ちでやるんだけど、師匠が入るだけで雰囲気が
違ってみんな神妙になっていた。
始めて10分くらいしてなんの前触れもなく部屋の壁から白い服の男が
でてきた。
青白い顔をして無表情なんだけど、説明しにくいが「魚」のような
顔だった。
見えるだけならまだいいが、毛布が実際に動いているのは精神的に
きつかった。
もうゲッソリして師匠に泣きついた。
しかし師匠がいうには、あれは人の霊じゃないと。
人の霊なら何がしたいのか、何を思っているのか大体わかるが
あれはわからない。
単純な動物霊とも違う。
一体なんなのか、正体というと変な感じだがとにかくまったく
何もわからないそうだ。
時々そういうものがいるそうだが、絶対に近寄りたくないという。
頼りにしている師匠がそう言うのである。
こっちは生きた心地がしなかった。
こっくりさんで呼んでしまったとしか考えられないから、またやれば
なんとかなるかと思ったけど、「それはやめとけ」と師匠。
結局半月ほど悩まされた。
時々見える魚男はうらめしい感じでもなく、しいて言えば興味
本意のような悪意を感じたが、それもどうだかわからない。
人型の毛布もきつかったが、夜締めたドアの鍵が朝になると開いて
いるのも勘弁して欲しかった。
173 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 17:45:30.19 ID:Ab1b5btq0
ひとりで100話やっても意味ないようなきがする
174 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 17:46:05.57 ID:tnfOSq8BO
ある有名なダム湖へ、深夜に車で行ってみたんですが。
その道中・・・
トンネルを抜けたその先のコーナーは、よくお化けが見えると有名な心霊スポットでもあった。
さっさと通り抜けようと、アクセルを踏んだその時、目の前にふっと女の人の白い影が。
あ! ぶつかる!と思って、慌ててブレーキを踏んで降りてみたところ、そこに人影はなく、目の前は崖。
その部分だけガードレールが壊れていて、ブレーキを踏んでなかったら落ちてしまっていたかもしれない。
「あの幽霊は助けてくれたんだ」
そう思って、そこで手を合わせお祈りしたあと、先を急ぎ予定より遅くダム湖に着いた。
有名なダム湖であったが、夜釣りにはもう季節が遅すぎたせいか、全くもって釣れなかった・・・。
その帰り道だった。
あのトンネルにさしかかったとき、ふとミラーを見ると、後部座席に来るとき目の前を横切った女の人の姿が……。
その女の人は、こう呟いた。
「死ねばよかったのに…」
「いや、でもホント助かったよ。ありがと」
「ば……ばかっ、あんたなんか死んじゃえばよかったのよ!」
「お礼しないとな。また来週きてもいいかな」
「ダ、ダメっ! また落ちそうになったら危ないわゎ!!!」
翌週、なんか弁当用意して待っててくれました。
作りすぎただけで、決して僕のために用意したんじゃないそうです。
夜中ふと目が覚めると、暗闇の中でドアノブを握っていたことがあった。
自分で開けていたらしい。
これはもうノイローゼだと思って、部屋を引っ越そうと考えてた
時、師匠がふらっとやってきた。
3日ほど泊めろという。
その間、なぜか一度も魚男は出ず怪現象もなかった。
帰るとき「たぶんもう出ない」といわれた。
そしてやたらと溜息をつく。体が重そうだった。
何がどうなってるんですか、と聞くとしぶしぶ教えてくれた。
「○○山の隠れ道祖神っての、あるだろ」
結構有名な心霊スポットだった。かなりヤバイところらしい。
うなずくと、
「あれ、ぶっこわしてきた」
絶句した。
もっとヤバイのが憑いてる人が来たから魚男は消えたらしい。
半分やけくそ気味でついでに俺の問題を解決してくれたという。
なんでそんなもの壊したのかは教えてくれなかった。
師匠は「まあこっちはなんとかする」と言って力なく笑った。
40話目終了
大学2年の夏休みに、知り合いの田舎へついて行った。
師匠と仰ぐオカルト好きの先輩のだ。
師匠はそこで何か薄気味の悪いものを探しているようだったが、俺は
特にすることがなくて、妙に居心地の悪い師匠の親戚の家にはあまり
居ず、毎日なにもない山の中でひたすら暇をつぶしていた。
4日目の夜は満月だった。
晩御飯を居候先で食べ終えた俺は、さっそくどこかに消えた師匠を
放っておいて、居づらいその家から散歩に出た。
特にあてもなく散策していると、ふと通りがかった場所でかすかな違
和感を覚えて立ち止まった。
やや奥まった山中とはいえ月明かりに照らされていて、昨日も一昨日
も通りがかった小さな沢なのだが・・・
枯れ沢だったはずが今は不思議なことにキラキラと光が揺れいてる。
近くに寄ってみると、確かに昨日まで枯れていた沢に水が湧いていて、
綺麗な月が水面に映っていた。
このところ雨も降っていないのになァ・・・と首をかしげながら居候先
の家に帰ると、師匠も帰ってきていた。
さっそくそのことを話すと、「それは月の湧く沢だよ」という。
どうやらこのあたりでは有名な沢で、普段は枯れているが満月の夜に
だけ、湧き水で溢れるのだという。
どうしてそんな不思議なことが起こるんだろうと思っていると、師匠は
あっさりといった。
「この村から標高で300メートルくらい下がったところにダム湖があ
るんだけど、たぶんそのせいだと思う。あれが出来てから、湧き水の
場所も随分変わったと年寄りはいってる。地下水脈の流れが変わった
んだよ」
しかし、湧いたり枯れたりというのは変な気がする。しかも満月の夜に
だけ湧くというのは出来すぎている。
ところが「潮汐力だよ」とまたも師匠はあっさりいった。
月の引力が地球に与える影響はわずかなものだが、液体である海などは
モロにその影響を受ける。潮の満ち干きがその代表で、その力を「潮汐
力」と呼ぶ。そして満月の日はその力が最大になり、大規模なダム湖も
またその影響を受けたのではないか、と師匠はいうのである。
「湖水のわずかな圧力の変化が、ダム湖に流れ込む地下水への圧力の変
化となり、湧き水に微妙な影響を与えたんじゃないかな」
「なるほど」
ひっかかるところもあったとはいえ、俺はその答えに素直に感心した。
「ただね、この村ではあの沢はあくまでも『月の湧く沢』であって、
そんな無粋な構造によるものじゃない。こんな言い伝えがあるんだ。
『あの沢に湧いた月を飲んだ者には霊力が宿る』」
ロマンティックな話だ。
でも、霊力、という響きに不吉なものを感じたのも確かだ。
案の定、師匠はいった。
「じゃ、行こうか」
暗がりの中を、懐中電灯をしぼって俺たちは進んだ。
沢はそんなに遠くない。よそ者の二人がこんな時間にこそこそ出歩いて
いるのを見られたらますます居づらくなりそうだったが、幸い誰とも
すれ違わなかった。
沢に着くと俺はほっとした。
ひょっとすると、幻のように水が消えているのではないかという気が
していたのだ。
山の斜面に寄り添うような水面に満月がゆらゆらと揺れている。
師匠は沢の淵に屈みこんで、目を爛々とさせながら眼下の月を見ている。
俺は「潮汐力だよ」といった師匠の答えに抱いた、ひっかかりのことを
考えていた。
理科は苦手だったが、たしかにそんな力が存在することは知っている。
しかし・・・
潮汐力が最大になるのは満月の日だけだっただろうか?
おぼろげな記憶ではあるが、確か月の消えた「新月」の日にも潮汐力は
最大になるのではなかったか。
では、満月の日にだけ湧くというこの沢はいったい何だ?
師匠の目が爛々としている。
なにより師匠の目が、「潮汐力」という答えを否定しているようだった。
俺は得体の知れない寒気に襲われた。
チャポ という音を立てて、師匠が沢の水を掬っている。
飲む気だ。
師匠は掬い取った手の平に満月を見ただろうか。
一心不乱に水を飲みはじめた。何度も何度も手を差し入れて。
俺は立ち尽くしたままそれを見ている。
やがて信じられないものを俺は見て、ヘタヘタと座り込んだ。
気がつくと師匠の手が止まっていて、その下には水面が揺れている。
月が、もう映っていなかった。
消えた。
俺は逃げ出したくなる気持ちを抑え、この出来事に合理的な解釈を与え
ようとしていた。
『潮汐力だよ』
というそんな力強い言葉のような。
動けないでいると師匠が何事もなかったかのように歩み寄ってきて、
「もう月も飲んだし、帰ろう」といった。
その瞬間わかった。
へたりこんだまま空を見上げて、俺はバカバカしくなって笑った。
いつのまにか空は曇って、月は隠れていたのだ。
本当にバカバカしかった。
新月の謎さえ忘れていれば。
41話目終了
大学時代、よく散歩をした公園にはハトがたくさんいた。
舗装された道に、一体なにがそんなに落ちているのか、
やたら歩き回っては地面をくちばしでつついて行く。
なかでも、よく俺が腰掛けてぼーっとしていたベンチの
近くに、いつもハトが群れをなしている一角があった。
何羽ものハトがしきりに地面をつついては、何かをつい
ばんでいる。
(このベンチに座って、弁当の残りカスでも投げている
人でもいるんだろう)
と思っていた。
2回生の春。
サークルの新入生歓迎コンパを兼ね、その公園の芝生に
陣取って花見をした。
綺麗な桜が咲いていた。
別に変なサークルではなかったが、ひとりオカルトの神の
ような先輩がいて、俺は師匠と呼んで慕ったり見下したり
していた。
その師匠がめずらしく酔っ払って、ダウンしていた。
誰かがビール片手に
「最初に桜の下には死体が埋まってるって言ったのは、
誰なんだろうなあ」
と言った。
すると師匠がムクっと起き上がって、
「桜の下に埋まってる幸せなヤツばかりとは限るまい」
と、ろれつの回らない舌でまくしたてた。
すぐに他の先輩たちが師匠を取り押さえた。
暴走させると、新入生がヒクからだ。
俺は少し残念だった。
「ちょっと休ませてきますよ」
と言って、いつも座っているベンチまで連れて行き、横に
ならせた。
しばらくしてから、水を持って隣に腰掛けた。
「さっきはなにを言おうとしたんです?」
師匠は荒い息を吐きながら、
「そこ、ハトがいるだろ」
と指をさした。
ふと見ると、すでに日が落ちて暗い公園の中にハトらしい
影がうごめいていた。
一斉にハトたちは顔を上げて、小さなふたつの光がたくさん
こちらを見た。
「おまえに大事なことを教えてやろう」
酔っているせいか、師匠がいつもと違う口調で俺に話しか
けた。
思わず身構える。
「いや、前にも言ったかな・・・人間が死んだらどこへ行く
と思う?」
「はぁ? あの世ですか」
師匠は深いため息をついた。
「どこにも行けないんだよ。無くなるか、そこに在るかだ」
よくわからない。
師匠はいろいろなことを教えてくれはするが、こんな哲学的
なというか、宗教がかったことをいうのは珍しかった。
「だから、隣にいるんだ」
人間にとっての幽霊とか、そういうもののことを言っている
のだと気づくまで少し時間がかかった。
「そこでハトに食われてるヤツだって、無くなるまで在って、
それで、終わりだ」
え?
目をこすったが、なにも見えない。
「すごく弱いやつだ。もう消えかかってる。ハトはなにを
食ってるか分かってないけど、食われてる方は『食われた
ら、無くなる』って思ってる。だから消える」
「わかりません」
たいていの鳥はふつうにヒトの霊魂が見えるんだぜ、
と師匠はつぶやいた。
いつもハトが集まっていたところで、むかし人が死んだと
言うんだろうか。
「ほんの少し離れてるだけなのになあ」
ハトに食われるより、桜に食われた方がマシだ。
酒くさいため息をつきながらそう言ったきり、師匠は黙った。
芝生の向こうではバカ騒ぎが続いている。
「師匠は自分が死ぬときのことを考えたことがありますか」
いつも聞きたくて、なんとなく聞けなかったことを口にした。
「おんなじさ。とんでもない悪霊になって、無くなるまで
在って、それで、終わり」
ワンステップ多かったが、俺は流した。
42話目終了
子どものころ、バッタの首をもいだことがある。
もがれた首はキョロキョロと触覚を動かしてい
たが、胴体のほうもピョンピョンと跳び回り続
けた。
怖くなった俺は首を放り出して逃げだしてしま
った。
その記憶がある種のトラウマになっていたが、
大学時代にそのことを思い出すような出来事が
あった。
怖がりのくせに怖いもの見たさが高じて、よく
心霊スポットに行った。
俺にオカルトを手ほどきした先輩がいて、俺は
師匠と呼び、尊敬したり貶したりしていた。
大学1回生の秋ごろ、その師匠と相当やばいと
いう噂の廃屋に忍び込んだ時のこと。
もとは病院だったというそこには、夜中に誰もい
ないはずの廊下で足音が聞こえる、という逸話
があった。
その話を仕込んできた俺は、師匠が満足するに
違いないと、楽しみだった。
しかし
「誰もいないはずはないよ。聞いてる人がいる
んだから」
そんな森の中で木を切り倒す話のような揚足取り
をされて、少しムッとした。
しかるにカツーン、カツーンという音がほんとに
響き始めた時には、怖いというより「やった」
という感じだった。
師匠の霊感の強さはハンパではないので、「出る」
という噂の場所ならまず確実に出る。
それどころか火のない所にまで煙が立つほどだ。
「しっ」
息を潜めて師匠と俺は、多床室と思しき病室に身
を隠した。
真っ暗な廊下の奥から足音が均一なリズムで近づ
いてくる。
「こどもだ」
と師匠が囁いた。
歩幅で分かる。
と続ける。
誰もいないのに足音が聞こえる、なんていう怪奇
現象に会って、その足音から足の持ち主を推測
するなんていう発想は、さすがというべきか。
やがて、二人が隠れている病室の前を足音が。
足音だけが、通り過ぎた。
もちろん動くものの影も、気配さえもなかった。
ほんとだった。
膝はガクガク震えているが、乗り気でなかった
師匠に勝ったような気になって、嬉しかった。
ところが微かな月明かりを頼りに師匠の顔を覗
き込むと、蒼白になっている。
「なに、あれ」
俺は心臓が止まりそうになった。
師匠がビビッている。
はじめてみた。
俺がどんなヤバイ心霊スポットにでも行けるのは
横で師匠が泰然としてるからだ。
どんだけやばいんだよ!
俺は泣いた。
「逃げよう」
というので、一も二もなく逃げた。
廃屋から出るまで、足音がついて来てるような
気がして、生きた心地がしなかった。
ようやく外にでて、師匠の愛車に乗り込む。
「一体なんですか」
「わからない」
曰く、足音しか聞こえなかったと。
いや、もともとそういうスポットだからと言った
が、「自分に見えないはずはない」と言い張る
のだ。
あれだけはっきりした音で人間の知覚に働きかける
霊が、ほんとうに音だけで存在してるはずはないと
いうのである。
俺は、
(この人そこまで自分の霊感を自負していたのか)
という驚きがあった。
「あの廃病院の足音、覚えてる?」
興奮しているようだ。
「謎が解けたよ。たぶん」
ずっと気になっていて、少しづつあの出来事の
背景を調べていたらしい。
「幻肢だと思う」と言う。
あの病院に昔、両足を切断するような事故にあ
った女の子が入院していたらしい。
その子は幻肢症状をずっと訴えていたそうだ。
なくなったはずの足が痒い、とかいうあれだ。
その幻の足が、今もあの病院にさまよっていると
いうのだ。
俺は首をもがれたバッタを思い出した。
「こんなの僕もはじめてだ。オカルトは奥が深い」
師匠はやけに嬉しそうだった。
俺は信じられない気分だったが、
「その子はその後どうなったんです?」と聞くと、
師匠は冗談のような口調で冗談としか思えないこと
を言った。
「昨日殺してきた」
43話目終了
大学2回生の夏休み。
オカルトマニアの先輩に
「面白いものがあるから、おいで」
といわれた。
師匠と仰ぐその人物にそんなことを言われたら
行かざるを得ない。
ノコノコと家に向かった。
師匠の下宿はぼろいアパートの一階で、あいかわ
らず鍵をかけていないドアをノックして入ると、
畳の上に座り込んでなにかをこねくり回している。
トイレットペーパーくらいの大きさの円筒形。
金属製の箱のようだ。表面に錆が浮いている。
「その箱が面白いんですか」
と聞くと、
「開けたら死ぬらしい」
この人はいっぺん死なないとわからないと思った。
「開けるんですか」
「開けたい。けど開かない」
見ると箱からは小さなボタンのようなでっぱりが全面
に出ていて、円筒の上部には鍵穴のようなものもある。
「ボタンを正しい順序で押し込まないとダメらしい」
師匠はそう言って夢中で箱と格闘していた
「開けたら、どうして死ぬんですか」
「さあ」
「どこで手に入れたんですか」
「××市の骨董品屋」
「開けたいんですか」
「開けたい。けど開かない」
死ぬトコ見てみてェ。
俺はパズルの類は好きなので、やってみたかったが我慢した。
「ボタンは50個ある。何個連続で正しく押さないといけな
いのかわからないけど、音聞いてる限りだいぶ正解に近づい
てる気がする」
「その鍵穴はなんですか」
「そこなんだよ」
師匠はため息をついた。
2重のロックになっていて、最終的には鍵がないと開かないらしい。
「ないんですか」
「いや。セットで手に入れたよ」
でも落とした。
と悲しそうに言う。
「どこに」
と聞くと
「部屋」
探せばいいでしょ。こんなクソ狭い部屋。
師匠は首を振った。
「拾っちゃったんだよ」
「ハァ?」
意味がわからない。
「だから、ポケットに入れてたのを部屋のどっかに落としてさ。
まあいいや、明日探そ、と寝たわけ。その夜、夢の中で玄関
に落ちてるのを見つけてさ、拾ったの」
バカかこの人は。
「それで目が覚めて、正夢かもと思うわけ。で、玄関を探した
けど、ない。あれー?と思って部屋中探したけど出てこない。
困ってたら、その日の晩、夢見てたら出てきたのよ。
ポケットの中から」
ちょっとゾクっとした。
なんだか方向性が怪しくなってきた。
「その次の朝、目が覚めてからポケットを探っても、もちろん鍵
なんか入ってない。そこで思った。
『夢の中で拾ってしまうんじゃなかった』」
やっぱこぇぇよこの人。
「それから、その鍵が僕の夢の中から出てきてくれない。いつも
夢のポケットの中に入ってる。夢の中で、鍵を机の引き出しに
しまっておいて、目が覚めてから机の引き出しを開けてみたこ
ともあるんだけど、やっぱり入ってない。どうしようもなくて、
ちょっと困ってる」
信じられない話をしている。
落とした鍵を夢の中で拾ってしまったから、現実から鍵が消滅して
夢の中にしか存在しなくなったというのか。
そして夢の中から現実へ鍵を戻す方法を、模索してると言うのだ。
どう考えても、キチ○ガイっぽい話だが、師匠が言うとあながち
そう思えないから怖い。
「あー! また失敗」
と言って師匠は箱を床に置いた。
いい感じだった音がもとに戻ったらしい。
「ボタンのパズルを解いても、鍵がないと開かないんでしょ」
と突っ込むと、師匠は気味悪く笑った。
「ところが、わざわざ今日呼んだのは、開ける気満々だからだよ」
なにやら悪寒がして、俺は少し後ずさった。
「どうしても鍵が夢から出てこないなら、思ったんだよ。
夢の中でコレ、開けちまえって」
なに?
なに?
なにを言ってるのこの人。
「でさ、あとはパズルさえ解ければ開くわけよ」
ちょっと、ちょっと待って。
青ざめる俺をよそに、師匠はジーパンのポケットを探り始めた。
そして・・・
「この、鍵があれば」
その手には錆ついた灰色の鍵が握られていた。
その瞬間、硬質な金属が砕けるような物凄い音がした。
床抜け、世界が暗転して、ワケがわからなくなった。
誰かに肩を揺すられて、光が戻った。
師匠だった。
「冗談、冗談」
俺はまだ頭がボーッとしていた。
師匠の手にはまだ鍵が握られている。
「今ので気を失うなんて・・・」
と、俺の脇を抱えて起こし、
「さすがだ」
と言った。
やたら嬉しそうだ。
「さっきの鍵の意味が一瞬でわかったんだから、凄いよ。
もっと暗示に掛かりやすい人なら、僕の目の前で消滅
してくれたかも知れない」
・・・
俺はなにも言えなかった。
鍵を夢で拾った云々はウソだったらしい。
その日は俺をからかっただけで、結局師匠は箱のパズルを
解けなかった。
その箱がどうなったか、その後は知らない。
44話目終了
不可解な記憶がある。
僕は小学生のころ団地に住んでいて、すぐ近くにあった田んぼが
休耕している季節にはそこでよく遊んでいた。
乾いてひび割れた地面からは雑草が顔を出していて、カエルを
を踏んづけてしまうこともあった。
独特の生臭いような空気を吸いながら駆けまわった。
僕の原風景だ。
仲良しだったケンちゃんと2人で、夕暮れのなか田んぼでボールを蹴り
あっていた時だった。
ケンちゃんがボールを蹴り返してこない。
おーい、ケンちゃん。
と呼んでもぼーとして突っ立っている。
「あれ」
ケンちゃんが僕の後ろを指差した。
ふり返ると真っ赤な夕焼けの向こうに巨大なキノコ曇が立っていた。
山のはるか彼方。けれど見上げるほど大きい。
僕は驚いてベソをかいた。ケンちゃんが言う。
「原爆がどこかに落ちたんだよ」
僕は逃げるように家に帰り、布団に頭を突っ込んで泣いた。
いま思い出すたび不思議な気持ちになる。
あれはなんだったのだろう。
45話目終了
194 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 18:16:51.57 ID:52o64m6E0
師匠シリーズ終了
疲れた
乙〜
196 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 18:48:26.51 ID:0gkBn4x70
100話まで見たみたい・・・
197 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 18:59:12.64 ID:8+tPOALx0
続き期待
198 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 19:19:29.90 ID:x3EhYXUQ0
まだやってたのか・・・
199 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 19:40:22.73 ID:8+tPOALx0
ほ
俺は窓を少しだけ開けておくのが好きでね、
寒さが厳しい季節以外はだいたい10センチくらい空けておく。
まあ単純に外の音とか臭いが好きだからなんだけど。
あのときも、いつも通り窓を少しだけ開けてテレビを見てた。
春先だったからときどき生温い風が入ってきた。カーテンがヒラヒラ揺れてね。
午前1時過ぎのこと。どこか遠くで猫が鳴き出した。春の風物詩。
発情期の猫は結構野太い声で鳴く。うなるように、絞り出すように。
当時、俺が住んでたのはワンルームマンションの2階で、
建物の向こうには小さな畑を挟んで深い森が広がっていた。
とは言っても、別に嫌な感じがするような森ではなくてね、
風に吹かれてゆっくりと揺れる木々を見ていると、不思議と心が落ち着いた
ふと気が付くと、猫の鳴き声が徐々に近づいてきていた。
よっぽど発情してるのか、かなりドスの利いた、低くて重たい鳴き声だった。
テレビの画面では見たことのない芸人が笑えないコントを続けていた。
まるで取って付けたような客の笑いが空々しく響き渡っていた。少し眠たくなる。
「あ゙あ゙あ゙あ゙ぁぁぅ・・・」
一瞬、身体がビクリと硬直した。猫だ。猫が、窓のすぐ外で、鳴いている。
いや、ちょっと待てよ。このマンションにはベランダがない。
窓の外にはアルミ製の手すりがあるだけだ。おまけにここは2階じゃないか。
「おあ゙あ゙あ゙あ゙ぁぉぉぉ・・・」
いや、これは、猫の声じゃない。人だ。人間の声だ。
そう思った瞬間、全身に鳥肌が立った。あまりの緊張感で身体が動かない。
俺はありったけの勇気を振り絞り、窓のほうに目をやった。誰かが、そこにいる。
カーテンは微動だにしていなかった。
テレビのスピーカーから空虚な笑い声が響いた。部屋の空気がピタリと動きを止めた。
「あ゙あ゙ぁ・・・」
「誰だ!」
とっさに俺は立ち上がって窓際に走り寄ると、力任せにカーテンを開けた。
目が合った。
窓のすぐ外にいたあいつと、わずか30センチの至近距離で目が合ってしまった。
それは生きた人間の目ではなかった。ライチのようなドロリとした質感をしていた。
「・・・ぃぃぃぁぁあああ」
俺は口を大きく開け、まるで猫のような甲高い声を上げていた。
そのあいだも目を逸らすことができなかった。身体は凍りつき、両手が大きく震えた。
恐いなんてものじゃない。あれは絶対に見てはいけないものだった。
数秒後、俺は腰から砕けるように後ろに倒れた。
硬直した右手で掴んでいたカーテンがバチバチと大きな音を立てて外れた。
目覚めると朝だった。窓の外には気持ちの良い青空が広がっていた。
俺の右手にはまだカーテンがしっかりと握り締められていて、
一方のカーテンの端がかろうじてカーテンレールに引っかかっていた。
後日談。
大家の話では、その数年前、マンションの前の森で首吊り自殺があったらしい。
首を吊ったのは20代の女性で、失恋を苦にしての自殺だったそうだ。
新聞にも載ったのだという。俺が引っ越してくる直前の出来事だったようだ。
なるほど。世の中いろんなことがある。時には想像を絶する恐怖も。
46話目終了
203 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 19:45:08.73 ID:0wqttzF50
もう2年以上前の話だけど当時自分は東京からアチコチの地方に出張に出かけて
ました。出張といっても、1〜2週間程度でビジネスホテルやら旅館を転々と
泊まり歩いてた頃の話です
東北のある地方都市の旅館に宿泊した時の体験ですが、それまで自分は、いわゆる
幽霊とかそういうものを全然信じたりするタイプの人間ではなかったのですが、
あの体験以来!少しですが、信じるようになりました。
最初に断っておきますが、あまり怖い話じゃないです。
その旅館に泊まったときは約2週間くらい仕事で滞在する予定で、出かけました
少し古いけど、中は新しく自分のような出張組みが何組か泊まっていました。
料金はすごく安かったけど家族の方がとても気さくで非常に良くしてくれたので
自分の中では「こういうアットホームな雰囲気の旅館もいいなぁ」とか
勝手に思ってしまった程です
まぁこれには訳があったのですが・・・・・・
そこの旅館の家族は、おじいちゃん おばあちゃん 旦那さん 奥さんと高校生
くらいの娘さんで経営してて泊まった一の日目から、ご家族の方々と挨拶をしました
。
一家全員で家業に専念してる訳ではなく、旦那さんはどこかに勤めてるようでした
が、何故か挨拶を交わせる常態でした
通常というか今まで宿泊した旅館では一家全員で経営してる旅館以外は、ご主人や
年頃の娘さんとかは、あまりお客の前に出て来るのって稀ですが、そこの旅館は
何故か自分の前に顔を出しますし、皆さんが気さくに声をかけてくるので
「これがこの旅館の営業スタイルなんだ」と勝手に納得してましたw
実際、小さいながらも宿泊客も多く繁盛しているようでした
205 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 19:48:00.18 ID:52o64m6E0
宿泊して1週間が過ぎた頃、1日だけどうしても違う部屋に泊まって欲しいと
懇願されて案内された部屋が仏間でした。
自分は前述したように、幽霊とかそういうの信じないタイプなので、
仏間でも全然、違和感とかもたない人間なんで普通に快諾しました
子供の頃、両親の実家に遊びに行ったときとかも普通に仏間に泊まりましたし
田舎のもてなしで通される部屋は仏間というのが小さい頃からむ意識の内に
あったのかも知れません
布団に入り電気を消して眠ろうとしても廊下の電気があってどうも寝付けません
自分の足の方に障子の扉があるのですが、一部、素ガラスなので廊下が見えます
寝付くまで色々なこと考えてました。仕事のこと、彼女のこと、これからの自分
ホント取り留めのないようなことを考えてたと思います
どれくらい時間が経ったでしょうか、ふと足元の廊下に目をやると、ガラスが微妙に
反射して、白い煙のようなものが動いてるような気がします
「えっ火事?」自分は反射の先が仏壇なので、線香とか消し忘れたのかと思い
振り向こうとしましたが、体が動きません
視線はガラスを直視したままです。その白い煙のようなものは、だんだん人の形になっていきます。映画のリングの貞子のように仏壇からゆっくりと這い出してきました
206 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 19:49:39.58 ID:52o64m6E0
「うわぁ〜〜〜〜」自分では絶叫したつもりでしたが、声になりません
視線は固定されたままですので女性の顔を見ることはできませんでしたが、顔に
長い髪の毛があたる感触がしました。
彼女はゆっくりと旋回しとうとう、自分の視界に顔が入ってきました。
「????あれこの人?」不思議と恐怖はありませんでした。
むしろ「どこかで会ったような?」という感情があり時間にして一分くらいは、こちらが金縛りにも関らず見つめてしまいました。(笑)その間、彼女はずーと微笑んでいました
が少し寂しそうな顔をするとまた煙のように消えてしまいました。
次の日、自分の疑問は旅館の娘さんを見て氷解しました。似ている!
女将さんに朝食のとき、なんとなく訊ねてみました。娘さんにお姉さんいますかってね
そしたら何かを悟ったらしく、逆に質問されたので夕べの出来事を全て話しました
そしたらボロボロと泣きながら6年前に事故で亡くした娘がいる事を話してくれました
なんでも娘さんは結婚が決まってた相手がいたらしく、それが俺にそっくりで俺が
泊まりに来たときは家族揃ってびっくりしたらしい
両家公認で家族ぐるみで付き合っていたらしいけど娘さんが不慮の交通事故で他界
フィアンセの落胆ぶりと家族の落胆は大きかったらしいがタマタマ俺が泊まりに来たら
一瞬だけど家族も姉さんが生きてた日々を思い出してすごく良かったと女将さんに
言われて俺も思わず貰い泣きしてしまった。あとで遺影の飾ってある部屋に案内され
たとき、そこには夕べと変わらない微笑のやさしい娘さんの写真があった。
また目頭が熱くなった。
47話目終了
207 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 19:50:34.03 ID:p65477UU0
(´・ω・`)コピペばっかじゃないか
(´・ω・`)そんなものでは、怪談を語ることを職業としている俺には勝てないぜ
208 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 19:51:02.55 ID:yexhBbSq0
稲川じゅんじキター
209 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 19:51:57.66 ID:52o64m6E0
210 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:12:46.14 ID:yexhBbSq0
つづきまだー?チンチン
211 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:14:42.36 ID:52o64m6E0
父親が入院をしていた。
かなり悪い状態なのは家族の誰もがわかっていた、そして真夜中の病院からの
電話、「呼吸がおかしいので早く来て下さい」最後には間に合って見届ける
事ができた。
葬儀には沢山の人がきてくれたし誰もが惜しんで泣いてくれた
家族も悲しみながらもなんとか立ち直って前向きに暮している。
父親が逝ってから5年、普段はなにもないが1つだけおかしな事がある。
命日となったあの日8月某日の真夜中看護婦が電話をくれたあの時間に
トゥルルル〜〜とコールがある。
今年もワンコールで切れた。何か言いたい事があるんだろうか?
48話目終了
212 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:16:26.30 ID:52o64m6E0
戦前のある村での話だそうです。
その村には森と川を挟んだところに隣村がありました。
(仮に「ある村」をA村、「隣村」をB村としておきます。)
B村はいわゆる部落差別を受けていた村で、A村の人間はB村を異常に忌み嫌っていました。
ある朝、A村で事件が起きました。
村の牛が1頭、死体で発見されたのですが、
その牛の死体がなんとも奇妙なもので、頭が切断され消えていたのです。
その切り口はズタズタで、しかし獣に食いちぎられたという感じでもなく、
切れ味の悪い刃物で何度も何度も切りつけ、引きちぎられたといった感じでした。
気味が悪いということでその牛の死体はすぐに焼かれました。
しかし、首のない牛の死体は
その1頭では終わりませんでした。
その後次々と村の牛が殺され、その死体はどれも頭がなかったのです。
普段からB村に不信感を抱いていたA村の人々はその奇妙な牛殺しを
「B村のやつらの仕業に違いない」とウワサし、
B村を責めたてました。
213 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:16:41.03 ID:52o64m6E0
しかし同じ頃、B村でも事件が起きていました。
村の若い女が次々と行方不明になっていたのです。
いつもA村の人々から酷い嫌がらせを受けていたB村の人々は、この謎の神隠しも
「A村のやつらがさらっていったのに違いない」とウワサし、
A村を憎みました。
そうしてお互い、村で起きた事件を相手の村のせいにして
ふたつの村はそれまで以上に疑い合い、にらみ合い、憎しみ合いました。
しかし、そのふたつの事件は実はひとつだったのです。
ある晩、村境の川にかかった橋でB村の村人たちが見張りをしていました。
こんな事件があったので4人づつ交代で見張りをつけることにしたのです。
夜も更けてきた頃、A村の方から誰かがふらふらと歩いてきます。
見張りの男たちは闇に目を凝らしました。
そして橋の向こう側まで来たその姿を見て腰を抜かしました。
それは全裸の男でした。その男は興奮した様子で性器を勃起させています。
しかしなにより驚いたのはその男の頭は人間のそれではなく、牛の頭だったのです。
牛頭の男は見張りに気付き、森の中へ逃げ込みました。
214 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:16:57.72 ID:52o64m6E0
牛頭の男はA村でも牛の番をしてた村人に目撃されていました。
その牛頭の男こそ、ふたつの事件の犯人に違いないと、
A村とB村の人々は牛頭の男を狩り出す為、森を探索しました。
結局牛頭の男は捕まりませんでした。
・・・いえ、実際には捕まっていました。
しかし、男を捕まえたA村の人々は彼を隠し、
みんな口を揃えて「そんな男は存在しなかった」と言い出したのです。
A村の人々のその奇妙な行動には理由がありました。
A村の人々は牛頭の男を捕まえました。
その男は実際に牛頭なのではなく、牛の頭の生皮を被った男でした。
A村の人々は男の頭から牛の皮を脱がせ、その男の顔を見て驚きました。
その男はA村の権力者の息子だったのです。この男は生まれつき、知的障害がありました。
歳ももぅ30歳ちかいのですが、毎日村をふらふらしてるだけの男でした。
村の権力者である父親がやってきて問い詰めましたが、
「さんこにしいな。ほたえるな。わえおとろしい。あたまあらうのおとろしい。いね。いね。」
と、ワケの分からないことばかり言って要領を得ません。
そこで男がよく遊んでいた、父親の所有している山を調べると、
女の死体と牛の首がいくつも見つかりました。
異常なのは女の死体の首は切り取られ、そこに牛の首がくっついていたのです。
男は、B村から女をさらい、女の首を切り取り牛の首とすげ替え、
その牛頭の女の死体と交わっていたのです。
215 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:17:39.88 ID:52o64m6E0
権力者である父親は息子がやったことが外に漏れるのを恐れ、
山で見つかった死体を燃やし、A村の村人に口封じをし、
村に駐在する警官にも金を渡して黙らせました。
そして息子を家の土蔵に閉じ込め、その存在を世間から消し去ったのです。
しかし、村の女たちが行方不明のままのB村の人々は黙っていません。
特に、あの夜実際に牛頭の男を見た見張りの4人は、
「牛頭の男など存在しなかった」と言われては納得いきません。
村人みんなで相談して、その4人が警察に抗議に行くことにしました。
次の日、川の橋に4人の生首と4頭の牛の生首が並べられました。
A村の人々は真実が暴露されるのを恐れ、B村を出た4人を捕らえ、
真実を知っているにも関わらず、B村の4人に全ての罪をかぶせ、私刑(リンチ)し、
見せしめに4人の首をはね、さらし首にしたのです。
一緒に牛の生首を並べたのには、
「4人が牛殺しの犯人である」という意味(もちろんデマカセではあるが)と、
「真実を口外すれば同じ目にあうぞ」という脅しの意味がありました。
この見せしめの効果は大きく、
B村の人々はもちろん、A村の人々自身も「この出来事を人に話せば殺される」と恐れ、
あまりの恐怖にこの事件については誰も一言も話そうとはしなくなりました。
ふたつの村の間で起きたこの出来事は全て村人たちの記憶の奥深くに隠され、故意に忘れさられ、
土蔵に閉じ込められた男と一緒にその存在自体を無にされたのです。
49話目終了
216 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:22:30.10 ID:52o64m6E0
風邪ひいてて寒気がするので、大久保にある病院に行くため西武新宿線のつり革につかまってた。
で、あたまがぐわんぐわんと痛くて、目を閉じて眉間にしわ寄せて耐えてた。
そこで記憶が途絶えて、気がついたら夕方で、あたりは見知らぬ景色。
買ったことない服着てて、髪染めたこともなかったのに茶髪になってた。
パニクって近くのラーメン屋に入って、ここどこと聞いた。大阪市の福島駅の近くで、時間が一年
近く経ってた。ケータイの種類が変わってた。アドレス帳には、「ま」とか「ひ」とか、一文字の
名前で電話番号が10程度あったけど、知り合いや実家の電話番号がない。
俺はなぜだか知らないがその知らない電話番号が恐ろしくて、川に捨てた。警察から実家に連絡した。
向こうもパニクってた。俺に捜索願が出てた。
とにかく、帰って、今もまだ月一で精神病院に通ってる。
仕事は元の会社には帰れないみたいだったので、今は派遣やってる。
50話目終了
217 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:23:34.43 ID:52o64m6E0
正月休みの時に先輩から聞いた話をさせて頂きたいと思います。
ただ、この話は当事者の家族がまだ生きている為、仮名と多少の脚色を交えて書き込みさせて頂きます。
また、「家に関する…」という主旨からは若干外れてしまうかも知れない
上、内容が内容だけに、特に女性の方はあまり読まない方が良いかも。
その先輩は、某地方の山奥に有る、小さな集落出身です。
私自身、学生の時に一度だけその場所に行った事がありますが、とても寂しい場所でした。
住んでいる人が温かい人達ばかりだった為、その集落の寂れ具合が余計目立っていました。
さて、久々にその先輩と会ったので、色々と昔話に花を咲かせていたのです
が、たまたま彼の実家が有る集落の話になりました。
私「実家には帰りました?」
先輩「うん、まあ…」
私「…どうしたんです?親御さんと喧嘩でもしたんですか?」
先輩「そうじゃなくてさ。一応帰ったんだけど、色々と考える事があった」
私「親御さんの跡を継ぐ話でも出たんですか?」
先輩「いいや、違う。もっと根本的な話だよ」
218 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:24:03.18 ID:52o64m6E0
そして、以下は彼が初めて私に打ち明けた話です。
彼が住んでいた集落には、昔で言うところの庄屋的立場の人が居ました。
家も大層立派で、すぐにこれだ、と分かるぐらいの大きな旧家です(私も集落に行った時、すぐに分かりました)。そして、結構な土地持ちでもあったようです。
が、土地持ちと言っても威張り散らす事も無く、近所の人達にはとても親切、村人の相談に乗ったり揉め事の仲介をしたり…と、人望も厚かったようです。
また、大の子供好きでも知られており、集落の子供を呼んで習字を教えたりご飯をご馳走したり(これが、本当に豪華だったらしい)もしていました。
そして、その家には息子さんと娘さんが居ました。息子さんは既に独立して家を出ていたそうですが、娘さんの方はまだ家に居て、先輩が3歳位の時には、既に中・高校生程の年齢であったと言います。
先輩は彼女の事を、とても鮮明に覚えていると言います。
女性の綺麗な黒髪を、「濡れた烏の羽の色」と言いますが、正しく彼女はそれでした。
真っ直ぐに伸びた黒髪を腰ぐらいまで伸ばし、それをいつも束ねていたそうです。
そして、肌も驚くほど白く、顔立ちも美人そのもの。
所謂、大和撫子でした。
219 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:24:32.93 ID:52o64m6E0
ただ、彼女には変わっている所がありました。まず、学校に行っている様子が無い。
どこか悪いようにも見えないし、中学か高校に行っていてもおかしくない年齢だというのに、朝も昼もずっと家に居る。
また、庄屋の家の家族は村人とよく接するのに、彼女だけは家に閉じこもって出てこない。
聞けば、「学校どころか、家からも出たがらない」との事でした。
でも、彼女も庄屋の両親同様、子供達に対してだけは非常に面倒見が良く、日頃遊ぶ相手が居ない為か、家に遊びに来る子供達の遊び相手をよくしていました。
その可愛がり様はまるで、我が子を相手にしているような感じであったそうです。
そして、遊び相手をする子供に、外の様子を頻繁に聞くそうです。それは本当に些細な質問で、テレビを観たりしていれば、すぐに分かりそうな内容でした。
「そんなに知りたければ、自分から外に出ればいいのに…」と先輩は思ったそうです。
さて、それから暫くして、子供の遊びに1つの変化がありました。TVゲームの登場です。
それと共に庄屋の家に遊びに行く子供達も減りました。
先輩も例に漏れず、 親に買って貰ってゲームをする毎日だったそうです。
庄屋の家でお絵描きや草笛、笹舟を作ったりお手玉で遊ぶよりも、TVゲームの方が遥かに刺激的でした。
それから数年が経過しました。先輩は相変わらずゲームや、友人と某カードの交 換などをして遊ぶ毎日だったのですが、たまたま学校で「自分の身近な歴史を知りましょう」といった主旨の宿題を出されました。
220 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:25:02.25 ID:52o64m6E0
最初は親に聞いたのですが「ずっと農業してた」程度しか答えてもらえず、悩んだ末に「庄屋の人なら家も古そうだし、何か知ってるかも知れない」と思い立って行ってみる事にしたそうです。
で、先輩はノートと筆記用具を抱えて庄屋の家に行きました。数年振りなので、
少し緊張したのですが、門をくぐって玄関へ。が、誰も出てきません。
『おかしいな、皆留守なのかな?』と思っていると、家の奥から怒鳴り声と泣き声が。
何事か、と思った先輩は縁側の方に廻りましたが、何も見えません。しかし、相変わらず怒鳴り声は聞こえます。
その声の元を確かめたい、という強い好奇心に駆られた先輩は、縁側から家に上がり込みました。
先輩は足音を忍ばせながらゆっくりと歩き、声を頼りに奥の間へ。
そして、とうとう声のする部屋にぶち当たりました。
少し躊躇いましたが、襖を少しだけ開けて中の様子を見た彼の目に、とんでもない光景が飛び込んできました。
部屋には布団が一枚敷かれていました。そして、その上には例の娘さんがペタリと座り込んでいます。
が、ひと目見て「様子がおかしい」事は、小学生の先輩にも分かりました。
目を大きく見開き、髪を掻き毟ってうなり声ともつかぬ声で喚いています。
そして、口から飛沫を飛ばしながら、「どこへやったぁ!出せぇ!」と、繰り返し叫んでいました。
昔、先輩に折り紙や草笛を教えてくれた娘さんの面影はありませんでした。
娘のすぐ脇には、泣いてオロオロする庄屋夫婦。部屋の隅には、何事かをつぶやく祖母が居ました。
221 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:25:49.66 ID:/ymmoPyZ0
おまいらVIPPERは産業(またはそれ以下)までしか読めないから
あんまり意味なくね?
222 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:26:35.55 ID:52o64m6E0
庄屋の泣き声であまり聞こえなかったのですが、祖母は「この家に生まれた娘なんだ。いずれはこうなるって分かってたんだ。しょうがねぇ事だ」という感じの事を呟いていたそうです。
この、尋常でない光景を見た先輩は兎に角逃げ出したそうです。走って家まで逃げ帰り、事の次第を大まかですが親に話しました。
すると、親の顔色が突然変わりました。そして「見た事は誰にも言っちゃいけない」
と、固く口止めされたそうです。
結局、何故娘さんがそうなったのか、どうして口止めをするのかは教えてくれませんでした。
それから10年以上の月日が流れました。いつしか庄屋の家は無人になり、先輩自身も
進学の関係で都会へ。そのまま就職し、毎年のお盆と年末には帰省していました。
そして、今年の冬の事です。
先輩は帰省して自分の父親と酒を飲んでいた時に、たまたま庄屋の話題になりました。
すると突然、「お前も大きくなったし…」と言って、父親は先輩に対して以下のような話をしてくれました。
その昔、庄屋の祖先(当時は地侍か何か)にとても女癖の悪い人が居たそうです。
気に入った女性はどんな手を使ってもモノにする。それに加えて、かなりの暴君でもあったようです。
さて、その暴君には何人かの息子と、1人の娘が居ました。
息子達は、父親に似て粗暴でありましたが、娘は優しい性格をしており、父や兄弟を嫌っていました。
その上、外見も綺麗な黒髪に白い肌、とても綺麗な顔立ち…との事で、周囲の人間で惚れる者も少なくなかったようです。
223 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:26:57.56 ID:Qz4Fsaz70
224 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:27:21.76 ID:52o64m6E0
娘は父親や兄弟の所業で被害を蒙った人々を助け、その度に父を諌めました。
が、父親はそんな娘の忠告に耳を貸すどころか、忌々しい奴だとさえ思っていました。
そして、ある日とうとう、娘は父親の逆鱗に触れてしまいます。
今となっては理由は分かりませんが、本当に些細な事だったと言います。
怒り狂った父親は自分の娘を、何と手篭めにしてしまいました。
しかし、それだけでは収まりませんでした。
娘は牢に入れられた上、食事もろくに与えられず毎日のように父親の相手をさせられました。
娘は満身創痍、体もすっかりやせ衰えて以前の美しさは見る影も無くなりました。
通常ならば、ここで発狂をしてしまうでしょう。が、彼女は驚くべき精神力で耐え抜きました。
そして、子供を身篭ります。
彼女自身、色々と悩む所はあったのでしょうが、結局その子供を産んだとの事です。
そしてその子供を「この子供だけでも助けてやって下さい」と、牢番を担当していた家来に託そうとします。
しかし、家来は父親からの報復を恐れる余り、それを拒否しました。
牢での苛酷な環境に耐えられなかった子供は、すぐに死んでしまいました。
そして、これを機に娘の精神も破綻をきたします。毎日のようにうわ言を呟き、突然ゲラゲラと笑い出します。
やせ衰え、糞尿まみれになった彼女の不気味な笑いは、とても正視できるものではありませんでした。
225 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:27:51.65 ID:52o64m6E0
そしてある日、とうとう彼女は死んでしまいました。
死ぬ直前に正気に戻ったのか、父親や兄弟、手を貸してくれなかった家来の名前一人一人を挙げ、「コイツの子孫は○○にしてやる」「コイツは○○で殺してくれる…」と言ったそうです。
死んだ娘さんは父親によって打ち捨てられ、野に晒されるままになっていました。
しかし、怨みを恐れ、更に不憫だと思った村の人間や家来達が、ねんごろに弔ったとの事です。
話を全て聞き終わった先輩は、父親に尋ねました。「何故、親父がそこまで細かく知ってるんだ?」と。
父親はこう返しました。
「その娘が託そうとした子供を拒否した牢番の家来というのは、
うちの先祖だからだ」と。
唖然とする先輩に、父親はこう続けました。「うちの先祖も加担した人間として、名指しで怨みを言われた。
けれど、子々孫々に渡ってこの話を受け継ぎ、決して同じ過ちは
繰り返さない、もしも同じような場面に遭遇したら、その時は必ず助ける。
毎日、そうやって祈っているお陰か、うちでは誰一人怨みで死んでいる人間は居ないようだ」
ちなみに、先輩の先祖が言われた内容は「お前は子供を助けてくれなかった。
お前の子供も、同じ目に遭わせてやる」といった内容だったそうです。
226 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:29:26.57 ID:52o64m6E0
先輩は気付きました。自分が小学生の頃に庄屋の家で見たあの光景。
庄屋の娘さんが「どこへやった」というのは、遥か昔に不幸な死を迎えた、先祖の子供の事ではなかったのかと。
祖母が呟いていた「しょうがねぇ事」というのは、この事だったのだ、と。
また、先輩が庄屋さんの家で遊んでいた頃、娘さんが「まるで我が子に接するような優しさで可愛がってくれた」事も思い出しました。
そして、頻繁に外の出来事を聞いてきた事も。
それはまるで、牢に閉じ込められた彼女の先祖の様ではないか…。
正しく農村の黒歴史、といったところでしょうか。ちなみに、この話は郷土史等には一切登場していないようです。
何故なら、この事件の関係者だった子孫はまだ数多く居ますし、
それを出すとなると何かと問題になるからだそうです。
1つ分かることは、庄屋の子孫だけは怨みを逃れることは出来なかったという事です。
噂によれば、庄屋の娘さんは精神病院へ、祖母は他界し、それをきっかけとして庄屋夫婦は遠くへ引っ越したとの事です。
ただ、庄屋さんには娘さんの他、息子さんが1人居ます。
出来ることなら、息子さんが「怨みの輪」を断ち切ってくれると良いのですが…。
51話目終了
227 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:30:29.66 ID:52o64m6E0
私が中学生のころのお話です。
当時、実家に住んでいた私は兄弟の部屋と離れ自分の部屋を好きに使っていました。
部屋を広く使おうと思い、隅に布団を敷き、枕元に自分で買ったはじめてのステレオを置いて普段は布団にねっころがりながら耳元のスピーカーから音楽を聴いていました。
あのころは携帯もなく、実家では流行のコードレスフォンを導入し、私は夜になると自分の電話のように部屋に持ち込み、一日中友達と電話で話していました。
ある日、部活の事情で家族の外出に同行できなかった私は家で一人、いつもと同じように布団に横になって友達と電話をしていました。
部活の疲れが出たのか、友達と電話で話していて眠くなったので電話を切り、部屋の電気を消して眠りにつきました。
夜中に目がさめました。
季節はいつだったか覚えてません。
決して寝苦しくて起きたわけではないのですが、起きた瞬間に体が動かないこと、頭が割れるほど痛かったことを憶えています。
暗闇の中、数秒で「金縛りかな」という判断はできました。
その瞬間までは別に怖くはありませんでした。
ふっと目の前のコードレス電話の緑色の通話ランプが光るのが見えました。
電話を切るのを忘れてた?
228 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:30:48.46 ID:52o64m6E0
違う、明らかについた瞬間を見た。
起きた拍子につけたわけでもなく、鳴ってないんですからかかってきた電話をとった訳でもない。
間もなく電話の発信音が聞こえてきました。
プゥーーーという音の中に何かボソボソという音が聞こえます。
耳からは少し遠いので聞き取れません。
「グズッ、グズッ、」
「…してやれ。」
声・・・?男の声…!そう思うといきなり背筋に悪寒が走りました。
その瞬間、後頭部の方に位置する大きなスピーカーからザザザザザザザザザザというノイズの轟音が堰を切ったように溢れ出してきました。
体は動かない。
全身に汗が噴きだし、頭の中で「嫌だ!嫌だ!」と叫び聞かないようにしても意識をそむけることができませんでした。
229 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:31:37.77 ID:52o64m6E0
だんだんとその中に少しづつ声らしきものが漏れてくるのを聞き取れるようになりました。
AMとFMの局の雑音が混じったような音。
今でいえばダイヤルアップ接続する時のようなあの音。
その中に大勢の人の声が耳に入りこんでくるのです。
かろうじて聞きとれたのは
「ころして」
「くらい」
「きたよ」
「でたい」
「つめたい」
などの単語。
あとは読経のような抑揚のあるリズムの声。
体はガタガタ震えながらも熱く、満足に呼吸もできない状態でした。
「嫌だ!やめろ!」頭の中でずっと叫びつづけていると、10秒ほどで雑音の中ではっきりと、一人の男の声が聞こえてきました。
230 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:31:41.34 ID:x3EhYXUQ0
231 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:34:50.51 ID:52o64m6E0
「このいえのしたにいるおんなのこをはなしてやれ」
「え?」
頭の中ではすぐに何を言いたいのかわからずただその言葉を反芻していました。
「このいえのしたにいるおんなのこをはなしてやれ」
「このいえのしたにいるおんなのこをはなしてやれ」
「このいえのしたにいるおんなのこをはなしてやれ」
男の声は何度も何度も繰り返され耳元で怒鳴られているかのように頭に響きました。
私は頭が割れそうな中、精一杯の声を振り絞り「やめてくれーーーー!」と叫びました。
232 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:35:31.04 ID:52o64m6E0
声になっていたかはわかりません。
が、その瞬間声は止み、体は動くようになりました。
急いで部屋の電気をつけようと体をゆすって起きようとするのですが頭の痛みが収まらず、なかなか立ち上がれませんでした。
思い出し、先程の言葉の意味を考えていると更に怖くなり涙が出てきました。
部屋に電気をつけ、カラダの震えがようやく収まってきた頃、
がたん。
部屋の階下で物音がしました。
家族が帰ってきたかも知れない。
夜中の話ではありましたが、期待感からそう思いました。
なんとか立ち上がり、重い木製の引き戸まで足を運びました。
不安と期待で迷いましたが確認するためには引き戸を開けるしかなかったんです。
恐怖で指先は震えていました。
ほんの少し、5ミリほど引き戸を開けると目の前の階段は電気がついており、安心感から更に引き戸を開け、様子をうかがいながら少しずつ扉の外に出て行きました。が。
がり。
部屋で聞くよりも少しだけ音がよくわかります。
やはり下の会から聞こえてくる音でした。
ただ、実家の床は木製タイル、歩くときしむ音のように思えました。
部屋から完全に抜け出し、階段の下をうかがいましたが下の階は暗くてよく見えません。
人の気配がしたので階段を中腹まで下りてみると、ガリ、ガリ、ガリ、ガリとはっきりした音が聞こえてきました。
233 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:36:27.52 ID:52o64m6E0
家族じゃないと気付いた時にはもう手遅れでした。
全身が再び神経剥き出しになるような感覚に襲われ、まだ終わってないんだということを強烈に思わされました。
そこには真っ黒な不透明(半透明?)の男が階段下の廊下に四つん這いになっている姿がありました。
がり。
がり。
がり。
がり。
真っ黒な男は両手の指で一心不乱に床を掻き毟っているのです。
真っ黒なのでどこを向いているのかわかりませんが、上体を起こした時の仕草は確実にこちらを見ていました。
とにかくヤバイ!
早く部屋に戻りたい一心で階段を駆け上ろうとするとバタバタとその男が階段に近づいてくる音がしました。
振り返りたくはなかったので部屋に飛び込み引き戸を精一杯閉め、カギを掛けました。
音は何も聞こえなくなり、追いかけてきた気配は気のせいだったかもしれないと思い一息つき、引き戸に耳をつけて向こうの様子を伺おうとしたその時、戸を隔てたすぐ向こう側、数センチのところから聞こえてきました。
「このいえのしたにいるおんなのこをはなしてやれ!」
泣いているような声でした。
もちろん返事などできません。
じっと黙っていると向こう側でガリガリと再びその音は始まり、今度はずるずると階段を下りていきながら何時間も床を引っ掻いていました。
私はというと布団を抱え耳をふさぎ、その日は朝まで震えていました。
その後、その家ではしばらく一人になるのを避けつづけていました。
52話目終了
235 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:37:48.62 ID:52o64m6E0
祖父が子供の頃の話。
祖父は子供の頃、T県の山深い村落で暮らしていた。
村の住人のほとんどが林業を営んでおり、山は彼らの親と同じであった。
そんな村にも地主が存在しており、村の外れにある大きな屋敷に住んでいた。
地主は林業を営むわけでもなく、毎日をのんびりと暮らしていた。
まさしく牧歌的な暮らしの村であるが、村特有のルールも存在していた。
そのルールというのが
「毎月3日は髪取り師以外は地主の家に近づいてはならない」
「屋敷に来る客人に声をかけてはならない」
というものだった。
毎月3日の朝に村外から数名の人間が訪れては、夕方には帰っていく。
物心付く前からそのルールを教え込まれていた祖父は、何の疑問ももたずに
ルールを守り続けていた。
ある日、村の外から一人の男が流れ着いてきた。その男をAとする。
男は村のはずれにある屋敷から、少し離れた場所に勝手に小屋を造り住み着いたそうだ。
村人たちは不審人物であるAに誰がこの村のルールを説明するのかを会議し、祖父の父親(B)がその役をする事になった。
Bは早速Aの小屋へ赴き、この村のルールを説明した。このルールを破れば、大変な事になるので必ず守って欲しいと念
をおした。
236 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:38:27.37 ID:52o64m6E0
「村の人間の半数が流れ者なので、追い出すという考えがなかった」
だそうだ。
話を戻す。
AはBの説明を聞き、ルールを守る事を了解した。
そしてAが訪れてから最初の3日が訪れた。
この日も20代の男女と40代の男一人が村へとやってきた。
3日にやってくる者はみな、身なりもよく良家の出である品をもっていたそうだ
この村に何故村外の者が訪れるのか。
その秘密は「髪寄りの法」にある。
この髪寄りの法とは、人間にかけられた呪いや付き物を落とす術であり
この村の地主がその術を代々受け継いでいたらしい。
術はその名の通り、髪の毛に邪念を寄せ取り除くというもの。
しかしその髪を取り出す場所は被術者の腹部から取り出される。
その髪を山へ封印にいくのが、地主から洗礼をうけた髪取り師である。
その日もいつもと同じように時間が流れ、屋敷の裏口にそっと置かれた包み紙を
髪取り師が持ち、山へと封印にいった。
だが、村に来て日の浅いAは村のルールは聞いていたがそれを無視し、屋敷の側の
雑木林からその様子をうかがっていた。
Aは髪取り師が持ち去った包み紙に、何かいいものが入っているものだと考え
髪取り師の後をつけた。
237 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:47:30.30 ID:52o64m6E0
髪の封印場所は山の中腹に建てられた祠であり、この祠の管理も髪取り師の仕事であった。
Aは髪取り師が祠の中に包み紙を入れ、山を下りたのを確認すると祠のなかからそれを
取り出した。中を確認すると血で濡れた一束の髪の毛。Aはその髪を放り出し逃げ出した。
その次の日、Aの小屋が燃えた。
Aは小屋から逃げ出し無事であったが、不審に思った地主がAを呼び出した。
Aは昨日の事を話さなかったらしいが、地主にはAについているモノが見えていた。
地主は、死にたく無ければ、お前が髪取り師を受け継げ。それを拒否すれば命はない。と
Aにすごむが、Aはそれを拒否。その日の内にAは村から追放された。
それから数日後、地主の屋敷が全焼し一家が死亡した。
その焼け跡からはAと見られる遺体も発見された。
村人はAが放火し、そのまま逃げ遅れたのだろうという結論になった。
さらに数日後、髪取り師が祠に行くと、祠は完全に破壊され中にあった髪も
すべて持ち去られていた。
真相は不明だが、村人たちの話ではAは祠を破壊し、髪をもって屋敷にいった。
髪の呪いや邪念が一気にたかまり、屋敷炎上を引き起こしたんじゃないかという事になった。
238 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:48:10.27 ID:52o64m6E0
それいらい祖父は髪の毛に対し強い恐怖を覚えるようになったと
ツルツルの頭を撫でながら話してくれた。
53話目終了
239 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:50:32.46 ID:52o64m6E0
木曜日、友人から電話があった。
「ねえ、伏見稲荷って行った事ある?」
快活な彼女らしくない、沈んだ小さな声だった。
「ええ?何いきなり?」
聞けば、1ヶ月前手術を受けた母親の回復が、余り思わしくないのだと言う。
どうして伏見稲荷なのか聞いてみると、雑誌に出てた写真に強く惹かれたのだと彼女は言った。
それまで、他人が勧めてくれた所は全部胡散臭く思えたのに、
何故かここなら大丈夫だと思えたらしい。
普段、非科学的な事はすっぱり切り捨てるひとなのに、よっぽど参っているのかと思い、
日曜日に会う約束をして受話器を置いた。
240 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:51:18.61 ID:52o64m6E0
京都・伏見稲荷大社は、東山三十六峰の最も南に位置する、古い神奈備山の麓にある。
本殿の裏は標高233メートルの稲荷山で、まだ夏の濃い緑色を残した山中に、
1万余基の朱塗の鳥居が連なって道を成す様は、ちょっと余所ではお目にかかれない。
「あっちね」人の流れに沿って、彼女は右側の千本鳥居の方へ行こうとする。
「こっちだよ」と左側を差すと、少し不審気な顔をし「何故?」と聞く。
「何でもない時なら左右どっちからでも構わないけど、今日みたいに再生・復活の願いを込めてお参りする時は、左側から時計回りに行かないとね。お百度も同じ」
途切れない程度に人が続く細い坂道を、彼女の手を引きながら登って行く。
この御山の特徴はもう一つ。神々の降臨跡に設けられた正規の御社の周囲に、御塚と呼ばれる、
人々が願いを込めたMy御社がぎっしりと建てられている事だ。
ここには願いの数だけ御社があり、神々がいる。
俺にとっては何ともない事だが、そう言った数多くの社の存在と、願い事が叶ったお礼に奉納される朱塗の30センチ程のミニチュア鳥居がうずたかく積まれている光景は、
彼女にとっては一種カルチャーショックだったようで、顔を強張らせたまま、しばらく口を利かなくなってしまった。
241 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:52:01.92 ID:52o64m6E0
稲荷山は3つの峰を持っている。
その最初の峰への道の中程に、俺たちが目指す薬力社があった。薬力さんはその名の通り、
薬石の効力を高め、疾病に悩む人々を救うとされているお稲荷さんだ。
お賽銭を上げ、両手を合わせて祈る。
ふと、何か見られているようで、気になってそちらへ顔を向けてみた。
まだ真剣に祈り続けている彼女の向こう、御塚の古びた石の台に山と積まれた朱塗のミニ鳥居の上に、
白銀色にお日様の金色を少し混ぜたような、輝く毛並みの小さな狐が
ちょこんと座ってこっちを見ていた。
大きさは生まれたての仔狐程だが、その思慮深げな顔付が自ずと歳経たものだと語っている。
なぜだか、白檀のようないい香りがした。
あんまり不思議で美しい狐だったので、目が離せなくなった。
そんな俺の傍らを、参詣の人たちが気にも留めずに通り過ぎて行く。
何秒くらいの事だったか。
瞬間、それがニコっと笑ってうなづいたような気がしたので、慌てて目礼する。
「どうしたの?」傍らで不思議そうな彼女の声がした。
目を開けると、狐は当然もういない。
「いや…」もう一度お賽銭を上げ、ポケットの中のチョコレートを供えた。
代わりに、先に供えられていたキャンディーをひとつ貰って彼女に渡す。
「え、良いの?」彼女は戸惑っていたが、
「お下がりだよ」そう言うと、頷いてバッグにそれをしまった。
242 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:52:43.03 ID:52o64m6E0
水曜日、また彼女から電話があった。母親が快方に向かっていると言う。
「退院したらお礼参りに行くつもり。また一緒に行ってね」
先日とは打って変わった弾んだ声だった。
あの小さな狐が薬力さんだったのか、その御眷属だったのか、俺には全くわからない。
でも、あの優しい微笑はこの事を示していてくれたような気がする。
妙なものに出会うのも、たまにはいいもんだと思った。
54話目終了
243 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:53:46.33 ID:52o64m6E0
「12月27日。カツオ10本つる」
「1月27日。外国船を発見。応答なし。雨が降るとオケに雨水をため、これを飲料水とした」
「2月17日。いよいよ食料少なし」
「3月6日。魚一匹もとれず。食料はひとつのこらず底をついた。恐ろしい飢えと死神がじょじょにやってきた」
「3月7日。最初の犠牲者がでた。機関長・細井伝次郎は、「ひとめ見たい…日本の土を一足ふみたい」とうめきながら死んでいった。全員で水葬にする」
「3月9日。サメの大きなやつが一本つれたが、直江常次は食べる気力もなく、やせおとろえて死亡。水葬に処す」
「3月15日。それまで航海日誌をつけていた井沢捨次が病死。かわって松本源之助が筆をとる。井沢の遺体を水葬にするのに、やっとのありさま。全員、顔は青白くヤマアラシのごとくヒゲがのび、ふらふらと亡霊そっくりの歩きざまは悲し」
「3月27日。寺田初造と横田良之助のふたりは、突然うわごとを発し、「おーい富士山だ。アメリカにつきやがった。ああ、にじが見える…。」などと狂気を発して、左舷の板にがりがりと歯をくいこませて悶死する。いよいよ地獄の底も近い」
「3月29日。メバチ一匹を吉田藤吉がつりあげたるを見て、三谷寅吉は突然として逆上し、オノを振りあげるや、吉田藤吉の頭をめった打ちにする。その恐ろしき光景にも、みな立ち上がる気力もなく、しばしぼう然。
のこる者は野菜の不足から、壊血病となりて歯という歯から血液したたるは、みな妖怪変化のすさまじき様相となる。ああ、仏様よ」
244 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:55:36.61 ID:0gkBn4x70
49話を見て牛の首を思い出した
245 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:56:26.68 ID:52o64m6E0
「4月4日。三鬼船長は甲板上を低く飛びかすめる大鳥を、ヘビのごとき速さで手づかみにとらえる。
全員、人食いアリのごとくむらがり、羽をむしりとって、生きたままの大鳥をむさぼる。血がしたたる生肉をくらうは、これほどの美味なるものはなしと心得たい。これもみな、餓鬼畜生となせる業か」
「4月6日。辻門良治、血へどを吐きて死亡」
「4月14日。沢山勘十郎、船室にて不意に狂暴と化して発狂し死骸を切り刻む姿は地獄か。人肉食べる気力あれば、まだ救いあり」
「4月19日。富山和男、沢村勘十郎の二名、料理室にて人肉を争う。地獄の鬼と化すも、ただ、ただ生きて日本に帰りたき一心のみなり。同夜、二名とも血だるまにて、ころげまわり死亡」
「5月6日。三鬼船長、ついに一歩も動けず。乗組員十二名のうち残るは船長と日記記録係の私のみ。ふたりとも重いカッケ病で小便、大便にも動けず、そのままたれ流すはしかたなし」
「5月11日。曇り。北西の風やや強し。南に西に、船はただ風のままに流れる。
山影も見えず、陸地も見えず。船影はなし。あまいサトウ粒ひとつなめて死にたし。友の死骸は肉がどろどろに腐り、溶けて流れた血肉の死臭のみがあり。白骨のぞきて、この世の終わりとするや…」
「とうさんのいうことを、ヨクヨク聞きなされ。もし、大きくなっても、ケッシテリョウシニナッテハナラヌ…。
私は、シアワセノワルイコトデス…ふたりの子どもたのみます。カナラズカナラズ、リョウシニダケハサセヌヨウニ、タノミマス。
いつまで書いてもおなじこと…でも私の好きなのは、ソウメンとモチガシでしたが…帰レナクナッテ、モウシワケナイ…ユルシテクダサイ…」
55話目終了
246 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:56:38.86 ID:VlNkiQBkO
>>243 これ貼ろうかと思ってたら先越されたwwwww
247 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:58:07.63 ID:52o64m6E0
このたび配属された医大はロビー脇に警備室があり、受付の窓口はそこに面している。
本館を東西に貫く廊下に面してドアがあり、そこから俺達は出入りしていた。
受付の窓とドアの間の角が壁になっており、そこが死角となる。
そこに配置された増設を重ね接続が複雑になったインターホンの操作や、並び順がめちゃくちゃなキーボックスの法則をどうにか掴み、受付などのさまざまな業務に慣れてきた頃、ソレは起こった。
日付が変わった頃、俺は単独で受付に座っていた。夜遅くでも研究員の出入りがあるため、常に誰かがここに就いていなくてはならない。
とはいえそんなに頻繁にあるわけではなく、当然ながら退屈であり眠くなってくる。
そして、うつらうつらとしていたが突如漂ってきた異臭によって覚醒した。
ベチャリ
ただならぬ気配に目を見開くと、泥の塊を引きずったような線が廊下に伸びていた。
ベチャリ
鼻腔をくすぐる、ドブと大便の臭いが混じったような異臭。
248 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:58:35.62 ID:52o64m6E0
ベチャリ
視界の片隅に見えた、ぼろ雑巾のような大きな塊。
ベチャリ
それは死角となる領域、キーボックスや各種インターホンが据えつけられた壁の向こう側へと入る。
ベチャリ
本能的な恐怖。風を通すために開けっ放しにしたドアが目に入る。
ベチャリ
タックルするようにドアに飛びつき、その勢いで締める。
ベチャリ
腰が抜けてしまい立てない。ドアにもたれかかり、ドアノブに手を伸ばすも、指先が震えていてサムターンがうまく回せない。
249 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:59:24.43 ID:VlNkiQBkO
250 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 20:59:40.74 ID:52o64m6E0
ベチャリ
接近しつつあった濡れ雑巾を床に落としたような音が、ついに俺の真後ろからドア越しに聞こえてきた。
ベチャリ
どうにか震える指がつまみを捕らえ、カチリと鍵がかかった音がした。
まさに、その瞬間。
ドアノブが左右にガタガタと回りだし、慌てて手を引っ込める。
誰だ!
みっともないくらいに震えているが、どうにか声をふりしぼる。
すると、ドアの向こうからはゴボゴボとうがいの様な音が聞こえてくる。
何か喋ってるようにそれは変化するが、言葉として聞き取ることはできなかった。
そして俺は、何を血迷ったのかノックの回数でドアの向こうにいる何かとの意思の疎通を試みてしまった。
251 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:00:15.19 ID:52o64m6E0
昔、怪談で聞いた話だ、何か質問をし、はいなら一回、いいえなら二回といった具合にノックさせるという。
その怪談の状況や結末は覚えていない、ただ、そのコミュニケーション方法だけが印象に残っていた。
何か用ですか
コン(……って、用があるから来たんだろうかボケ)
私にできることですか
……コン(少し迷った。悪かったな新米で)
近くに住む人ですか
コンコン
あなたは生きていますか
コンコン
といった具合に質問を重ねる。
ノックの音には、何か柔らかいものがドアにあたって潰れる音が混じっていた。
252 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:00:53.48 ID:52o64m6E0
そして、
あなたは男の人ですか
そう訊いてからは何の返答もなかった。
いつまでたってもノックの音も、足音もしない。
まだ、何かはそこにいるということか。
身動きが取れないまま、一瞬とも、何時間とも思える時間が過ぎる。
そのとき電話が鳴り飛び上がる。
徹底的に先輩にしごかれていたため、恐怖感を無視して反射的に電話に飛びついた。
ヘマしたときの叱責は、ある意味先ほどの未知なる存在との接触以上に怖かったのだ。
電話は職員からで、至急で法医解剖を行うことになったので、搬入ゲートの開放とストレッチャーの用意をしておいて欲しいとのこと。
マニュアルと格闘して通達すべき職員とそれぞれへの連絡事項を纏め上げ(通達は出勤してくる時間から行うことになっている)、仮眠を終えて起きてきた同僚に引継ぎを行い、
届いた朝刊をそれぞれの研究室や部署に配布し、朝早くから襲来する掃除のおばちゃんに担当場所の鍵を渡し……と、てんてこ舞いでありすっかり先ほどのドアの向こうの存在を忘れていた。
アレを思い出したのは、最後の新聞を渡し終えて警備室に戻ったときだった。
掃除のおばちゃんが、ドアノブを拭いていた。
普段は、そこまでしていなかったのに。
理由、訊くに訊けなかった。
253 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:01:33.93 ID:52o64m6E0
ふたたび窓口に着くと外線が鳴った。
至急で法医解剖を行うことになったので、搬入ゲートの開放とストレッチャーの用意をしておいて欲しいとのこと。
内容はあの時かかってきたものとまるっきり同じ。一体、これはどういうことなのか。
そして、もう一つのことを思い出した。
電話の呼び出し音、普通ではあった。ただ……内線とも、外線とも異なる呼び出し音だった。
退勤時刻まであと30分……というところでついに仏さんが来る。
搬入ゲートに入ってきたバンのハッチが開くと、消毒薬でも隠しきれないドブと大便の臭いが混じったような仏さんの匂いが漂う。
ストレッチャーを回し、積み込みを手伝う、シート越しに、仏さんのでっぷりと太った体型が伺える。
そのとき、振動によるものか仏さんの片腕がだらりとシートからはみ出した。
拳だけ、皮膚が裂け骨が出ていた。素人目にも、他の部分とは損傷の仕方が不釣合に見えた。
254 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:02:30.81 ID:0gkBn4x70
>>249 真・都市伝説101夜の方の、牛の首をね
255 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:02:47.85 ID:52o64m6E0
数日後、解剖担当の教授がお菓子を差し入れに持ってきた。そのときの雑談でこの前の仏さんの話を聞く。
でっぷりと太っているように見えたのは水死体……いわゆるドザえモンだったかららしい。
なんでも、性別もわからず手術跡もないため身元の特定は難しいという。
損傷はそんなに激しくはなかったと思ったが、そういう意味ではなかった。
世の中には、半陰陽といって男でも女でもない状態で生まれて来る人がいるという。
あの仏さんがそうであり、水死体であり水流にもまれて身に着けていたものをすっかり洗い流されてしまっているため、生前はどう過ごしていたかも特定は難しいという。
体のことを知られるのを恐れ、医者にかかってない可能性もあるからカルテなどないかもしれない。
残った要素から特定せにゃならんから警察の人は大変だと教授はこぼしていた。
仏さんが来る前夜の怪現象を思い出す。
ドア越しにノックでコミュニケーションを試みたアレがあの仏さんだったのだろうか。
だから、男の人かと聞いても答えられなかったのか。
仏さんが生前、どう生きていたのか、どう生きたかったのかはわからない。
それでも、あるがまま、本人の望む形で生きられたと願わずにはいられなかった。
56話目終了
256 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:07:33.85 ID:VlNkiQBkO
>>254 覚えてないなぁ
まだ全部読んでないからそれも読んでないのかも
ありがとう
257 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:14:34.37 ID:VlNkiQBkO
今日はろうそくないですね?
()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()
[][][][][][][][][][][][][][][][][][][][]
()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()
[][][][][][][][][][][][][][][][][][][][]
()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()
[][][][][][][][][][][][][][][][][][][][]
()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()
[][][][][][][][][][][][][][][][][][][][]
()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()
[][][][][][][][][][][][][][][][][][][][]
.↓
[][][][][][][][][][][][][][][][][][][][]
[][][][][][][][][][][][][][][][][][][][]
()()()()()()
[][][][][][][][][][][][][][][][][][][][]
()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()
[][][][][][][][][][][][][][][][][][][][]
()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()
[][][][][][][][][][][][][][][][][][][][]
258 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:17:09.18 ID:VlNkiQBkO
間違えた…
()() フッ…
[][]→[][]
259 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:32:51.00 ID:52o64m6E0
大学生活かなんかをきっかけに、ある男の人(K)が引越ししたときの話。
友達や彼女にも引越しを手伝ってもらい一段落。新生活にも徐々に
慣れてきた頃、不思議なことが起こりだした。
ドンドンドン!
夜7時頃、誰かがドアをたたく音がして(インターホンのない
アパートらしかった)、Kは「誰だろ?」と思いながらドア穴で確認した。
すると、頼んでもいないピザを届けに宅配人が立っている。
宅配人は「ピザをお届けにまいりました」と言うので
あれ?と思いドアを空け、「ウチは頼んでませんよ」というと
その宅配人はうつむき、無言のまま立ち尽くしている。
変な沈黙が10秒ぐらい続いた後、宅配人はそのまま去ってしまった。
「変な奴だなー」と思いながらその日は何事もなく過ぎた。
しかしそれから一週間ほど経った頃、また同じようなことが起こった。
ドンドンドン!
260 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:33:06.97 ID:52o64m6E0
同じような時間だったのでKはもしやまたピザ屋じゃ…と思ってドア穴から
見ると案の定、同じピザの宅配人だった。一体どこのピザ屋だよ!と思って
ドアを開けるとこの前と同じ様にうつむいたままピザを持って立っている。
Kは「だから、ウチは頼んでませんから!」と言いつつ宅配人の左胸のロゴを確認した。
すると、○○というよくあるチェーン店で、青いジャンパーを着た
その宅配人がYという名前だともわかった。「今度来たらクレー
ムつけてやる」と、とりあえずその場はやり過ごした。
しかし少し経った頃、また同じ宅配人がピザを届けにやって
きた。Kはたまらず「あんたの名前出して会社に電話するよ!」と
言うと宅配人はまた無言で立ち去っていった。
Kはさっそく番号を調べて電話した。
「ウチへよく間違って宅配されてものすごく迷惑してるんですけど!」
すると店長が出てきて「誠に申し訳ありません」と平謝り状態だった。
Kも拍子抜けして「Yって方は新人さんですか?」と何気なく
聞いてみると、
なかなか答えがないので聞こえてんのか?と思いながら
K「・・・もしもし?」というと、
店長は「Y、ですか…」と言う。
261 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:33:37.62 ID:52o64m6E0
K「え?はい、確かにYさんって名札がありましたけど。青いジャン
パーの胸の所に」
店長「青いジャンパー?ウチはつい最近全店舗で赤いジャンパー着用
に変えたはずです。青い方はもう古いんで処分しましたから」
K「でも」
そう言うと店長は「もしかすると」と震えた声で話してくれた。
「Yはたしかにウチのアルバイトでした。ちょうど4ヶ月前、配達中に
死んだんです」
「えっ」
ためらいもあったがKは全てを聞くことにした。
店長の話によれば、Yはとても熱心に仕事をこなしとても頼りに
していたという。4ヶ月前のあの日もあたたかいままお客さんにピザを
届けようと急ぐあまり、雨の道路でスリップ事故を起こしてしまった
という。
そしてその頃はまだ青いジャンパー着用だったという。
「もしかしてお客さんのアパートは○○の202号室ですか?」と店長が
聞いてきたので驚いて
「そうです。なんで・・・」
「お客さんの前にその部屋に住んでた人がウチのピザを注文してくれた
んです。そしてYが宅配中あの事故に…その注文をとったのが私でし
たからよく覚えています」
Kはそのアパートを出て行くことにした。
頑張り屋で真面目だったY
彼は今もそのアパートの202号室へピザを届けているという
57話目終了
262 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:39:42.12 ID:VlNkiQBkO
() フッ…
[]→[]
263 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:42:18.57 ID:yexhBbSq0
ガクガク(((( ;゚Д゚))))ピザピザ
数年前、京都から162号線を使って日本海に向かって1人で車を飛ばしていた。
時間は夏の真夜中の2時頃。
雨がしとしとと降っている状態。
道路には車が殆ど走っていない状態で、快適に飛ばしていた。
人が全然いない山道を走っていく。
左側の空き地に公衆電話のボックスが一つ明かりがついている。
電話ボックスの中で何かが動いている。
何か白い布のようなものがひらひらと舞っている感じ。
目をじっと凝らしてみると、白いワンピースを着た女性が
電話ボックスの中で、くるくると回転している。
「何 ?」
慌てて目をもう一度凝らしてみる。
今度はさっきよりもはっきりと、白いワンピースを着た女性が
電話ボックス内でくるくると舞っている。
それに下半身も無い。
265 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:45:20.97 ID:52o64m6E0
「あっ」
と思っている間に、車はその電話ボックスを通り過ぎた。
何でこんな山道に電話ボックスが ?
それも明かりがついて・・と疑問に挟む余地も無く、何故か周囲がザワザワとしてくる。
「何、何の気配 ?」
周りの様子が何故か変。
今まで聞こえていた夏の夜特有の虫の声がぴたりと止んだにも関わらず、
周囲にザワザワと音がする。
道路の左側に何かが動いている物がある。
「何 ?」
と見てみると、50cmぐらいの丸いものが何個も動めいている。
黒くて丸くて毛だらけの生き物 ?
今まで見た事も無い奇妙な生き物が、何匹も動めいている。
「何だ? あれ」
車を止めて見てみようかと思ったが、本能が車を止めてはいけないと告げている。
ふと頭上を見上げると、オレンジ色の丸いものが2つ輝いていた。
「何、標識 ?」
と思った瞬間、そのオレンジ色の丸いものに顔がある事が分かった。
オレンジ色の丸い顔が2つ、ゲタゲタ笑いながらこっちを見ている。
266 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:45:50.80 ID:52o64m6E0
「うわっ」と驚いて、そのまま夢中でスピードを出して、気が付いたら日本海の海沿いの道路に着いた。
車を夜通し運転して疲労が貯まると、こんなにもはっきりと幻覚を見るもんだと初めて悟った。
58話目終了
() フッ…
[]→[]
267 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:49:05.00 ID:52o64m6E0
頭がクラクラして視界がゆがむぐらい眠いんだがこれなんて心霊現象?
268 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:51:40.24 ID:VlNkiQBkO
>>264 いえいえ
一話も加えられなくて申し訳ない
269 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 21:52:32.41 ID:VlNkiQBkO
270 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 22:07:34.39 ID:52o64m6E0
小学6年の冬休みの時、親友と2人で大阪南港へ釣りに行った
その日はかなり冷え込んでた。
朝6時前に着いて早速準備にかかった時、
親友がリールのケースをテトラポッドの隙間へ落っことした。
親友は岸壁からテトラへ降り、水際まで行って
「うわ!海の中に落ちてる」と情けない声を出して腕を水中に突っ込んでた。
俺はもう準備完了してて、親友が戻るのを待つことにした。
けど親友はまだ右腕を水の中に入れたまま動かない。
「なにしてるねん!」って声かけたけど振り向きもしない。
「さっさと取れや〜」って言いながら俺は親友の傍まで降りていった。
親友は右腕を水の中に突っ込んだままピクリともしない。
「なにして・・」って言いかけて声が出なくなった。
271 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 22:08:23.04 ID:52o64m6E0
親友は海中に右腕を肘辺りまで突っ込んでいた。
その手の先のすぐ傍にリールケースがある。
そしてそのケースのすぐ横から顔がブヨブヨにふやけた青緑色の
男だか女だか分からない人間が親友の手首を掴んでた。
瞼の無いマグロみたいな目で水の中から親友を睨んでた。
記憶があるのはここまでで、なぜ全身水浸しになってたのか、
いつ救急車に乗せられてたのか思い出せない。
親友が水死したことも信じられなかった。
親友の葬式にも行かせて貰えなかった。
親友の両親もうちの両親も事故だったとしか言わない
上記の事を話しても誰も信じてくれない。
今年の冬、親友の17回忌の法要がある
59話目終了
() フッ…
[]→[] 。
272 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 22:14:53.09 ID:52o64m6E0
交通事故現場で両足ちぎれた男の子をお母さんがすごい笑いながら
「どうせ死にますから!殺しましょ!ね!それが正しいでしょ!ね!殺そ!ね!どうすんの!こんなん助かってどうすんの!」
って石で殴り殺そうとして、周りの人が止めてた。
「あんた親だろう!親は信じろよ!親は最後まで信じろよ!ダメだよ!」
て八百屋のお兄さんが泣きながら叫んでた。
神戸市北区、つくしが丘で三週間前に起きた事故です。
近隣住民、そして僕も見ていました。やるせなかった。
60話目終了
() .~ フッ…
[]→[]
273 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 22:17:52.15 ID:52o64m6E0
この前 ふと思いだしたんだが
たしか漏れが小4頃の話し
夕方に机で宿題をしていたとき
机上のノートの脇に小さな口が出てきて
何か喋り パッと消えてしまった
口のあった場所を撫でても何もない
それから 何も無く数日がすぎ
夜に6つ下の弟が寝てる部屋から
こっちに来て
「今 壁に口が出て何かしゃべってた。」
と言った
あれは 気のせいじゃないと確信し
でも不思議な体験
61話目終了
() .~ フッ…
[]→[]
274 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 22:20:02.17 ID:VlNkiQBkO
>>272の事故の内容の方がないな
足がちぎれたとかだったような
275 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 22:21:30.07 ID:VlNkiQBkO
このペースでは100行くだろうか
ていうか投下してるのが一人…
276 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 22:30:23.42 ID:VlNkiQBkO
よくある話ですが
友人のお母さんは多少なりとも霊感があるそうです。
ある夜、金縛りに遭い、何者かに足首を掴まれ、ものすごい力で引っ張られたそうです。
心の中で全力で抵抗するうち、意識を失いましたが、無事朝を迎え目を覚ますと、足の裏が壁にぴったりと着いていて、あのまま引きずられればどこへ連れて行かれたのかとゾッとしたとか。
僣越ながら62話とさせていただきます。
() フッ…
[]→[]
277 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 22:34:45.03 ID:LwVbXhXH0
小学校時代にあった話を一つ
クラスの一人が転校することになったんだ。
それでお別れ会をやるってんで、多目的室で椅子とりゲームをやったんだ。
んで適度に盛り上がってそのまま下校。
多目的室は三階にあって、俺のクラスは四階。忘れ物をしたから自分のクラスに取りに帰ったら、
何人かが集まって遊んでた。別に気にすることもなかったから忘れ物をとってさっさと帰ろうとしたらさ、そのうちの一人が
「○○、今一人だよね?」
って聞いてきたから「一人だけど。見ればわかんだろwwww」って返したんだよ。
「おかしいなぁ…後ろに誰かいた気がしたんだけど…」
「一人だってばwwww」
まぁ気にしなかったんだ、見間違いってこともあるだろうし、そいつもそれで納得したからな
で、階段下りて玄関まで行ったら、幼馴染が誰かと一緒に歩いてるんだよな。
一緒に帰る予定だったはずなんだけど、違う誰かと帰ってるから何か言ってやろうとおもって走って近づいたら、
そいつがふっと消えたんだよ。
幼馴染もビビッてその場で何があったのか分からないみたいでさ、
「今一緒にいたやつ誰よ?」って言ったら
「お前今一緒にいたやん、いきなりいなくなるからビビッたぞ」
…あれは俺だったのか。なぜか知らないけど納得できたから幼馴染にそのときは謝って一緒に帰ったんだけど。
なんで俺が二人いたのか分からないけど、まぁ不思議な程度だよな。
駄文スマソ
278 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 22:38:25.35 ID:VlNkiQBkO
ドッペルゲンガーかねぇ…
63話
() フッ…
[]→[]
279 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 22:46:31.59 ID:VlNkiQBkO
ID:52o64m6E0はネタ切れかねぇ
280 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 22:59:36.95 ID:52o64m6E0
眠くて意識とんでた
281 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 23:01:09.74 ID:hWFYYJNK0
まだあったのか
282 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 23:01:14.16 ID:VlNkiQBkO
>>280 ずっと頑張ってるもんねぇ
お疲れ
今夜も100いかないかぁ…
283 :
保守1:2006/03/04(土) 23:14:14.37 ID:hWFYYJNK0
小学校の頃の話です。
おいらが行ってた小学校の側に竹林があって、
そこには怪しい人が出るから行っちゃ駄目です って言われてたのね。
俺は結局行かずじまいやったんやけど 結構周りは行ってる人が多くて、
みんな 「変な小屋があって浮浪者が住んでる」とか 「小屋があって扉がどうしても開かない」とか
まあ要は木造の古い小屋が一つぽつんとあるって
みんな共通して言ってました。
何時の間にかその小屋に行った、という事実は 「勇気のある奴」のステータス。
みたいな感じになって、悪ガキ連中はみんな行こうとしてた記憶があるっす。
んである日、Oって奴とUって奴が二人で「行こう」って 話になったらしいのね。両方一応友達だったんだけど。
まあ行く奴はもうみんな行ってて、今更行くのは、言わば遅れ馳せながらって感じやったんやけど。
放課後やったかなぁ?記憶あいまいでスマン。
とにかく放課後二人して行ったらしいです。つーか行きました。
この辺は後で人づてに聞いた話と俺の想像。
とにかく小屋に向かった二人は、 深い竹林の中を例の小屋捜して歩きます。
遠目には小さい竹林やったのに、ちょっと入ったら すごい暗かった記憶があります。あれは不思議やった。
そんで二人、小屋は例のごとく発見したらしいです。
んですぐ入ってみようって話になったんやと。
木造の扉を開けて中に入ったんですが、
先に入ったUが「うわ、やべ!」って思ったらしいです。
中で人が首吊って死んでたんやと。
そんでどうしよとか思ってたら、突然後から入ってきたOがすごい声で叫び出したらしいです。
「お母さん!!」って。
284 :
保守2:2006/03/04(土) 23:18:01.37 ID:hWFYYJNK0
叫び続けるOを置いてUはダッシュで逃げたらしいです。
そん時俺は学校のグラウンドでみんなとドッチボールか 何かやってて、
そこへUがダッシュでやって来たんすよ。
グラウンド越しに見える竹林の方角から。めっちゃでかい声で
「Oのおかんが死んでる!」って言いながら。あん時は凍りました。
その日はすごい騒ぎになったと思いますがよく覚えてないっす。
とにかくOはその日から学校来なくなって、そんで結局一度も顔出さないまま転校していきました。
ここまでは記憶の限りマジ話。多少の間違いはあると思うけど。
問題はここから。
ありがちな話っす。「あの小屋に幽霊が出る」って話になるんすよ。
その自殺以来本当に行く奴はめっきり減って、
みんな行きもしないのにキャーキャー言ってました。
まあ俺もそうか…。当時物知りの方だった俺は首吊り死体が
すさまじい状態になるって何かで知ってたので
それを詳しくみんなに話してました。おもしろ半分に。
みんなまたそれを聞いて騒ぐわけですよ。
「首吊り女の霊が出る」って。
そんである日、また別の友人Sに誘われたんすよ。
「お前、そんなに霊に詳しいんやったら見に行かん?」て。
俺はビビリだったんで速攻断ったんですが、
後で話を聞かせてもらう約束はしました。
Sは結構仲間内でも悪い方で、奴なら本当に行くと思ったので。
そんで何人かで本当に放課後例の小屋を見に行ったらしいです。
285 :
保守3:2006/03/04(土) 23:20:15.27 ID:hWFYYJNK0
次の日
学校に行った頃には俺はもうそんな話すっかり忘れてたんですが、
Sがその日すんげー暗かったのね。いつも騒いでばかりの問題児が。
それで俺も昨日の事思い出して「本当に行ったの?」って
聞いたんすよ。そしたら「うん」ってそれだけ。
いつもなら自分から、がーって喋るはずのSがすごい大人しかったんで
「これはマジで出たか!?」って思ってその日一日Sにべったり
くっついて根掘り葉掘り聞いてたんですよ。「昨日小屋で何があったか」を。
ところが何聞いても教えてくれない。
「何か見たの?」には「うん」って言うけど
「何を見たの?」は答えてくれない。例えハッタリでも
「すごい顔した女の幽霊見た」とか言うじゃないですか?
俺はもう「Sは本当に幽霊を見たんだ」って思って興奮して
「どんな幽霊か、どんな感じしたのか」って結局放課後まで
ずっと聞いてました。そしたら遂にSが「誰にも言うなよ、そんであそこには絶対行くな」
って言い出しまして。
そん時俺がどんなに嬉しかったかはわかると思います。
Sが言ったのは一言だけです。
「扉開けたら中にすげー声で叫んでるOがいた」って。
オチらしいオチはありません。
Sはその後二度とその話はしてくれないし、
俺もおもしろ半分で人に怖い話をする事は減りました。
小屋のあった竹林は潰されて今は筆ペンを作る工場が建ってます。
転校していったOがその後どうしてるかは誰も知らないし、
俺は一回だけ見せてもらったOの妹の顔を時々思い出すだけです。
これが俺が小学校の時あった洒落にならない怖い話です。
多少脚色は入ってますが、大体事実です。
286 :
4:2006/03/04(土) 23:25:26.88 ID:hWFYYJNK0
「竹林で」を投稿した者です。随分お久しぶり…です。
あの話、大筋は実体験込みの実話であると述べましたが
今回ちょっとマジでシャレにならない経験をしたので
あわせて投稿します。誰か嘘だと突っ込んでくれ。
先々週末、お酒を随分飲んで帰る機会がありまして、
その日普段と違う帰り道を夜中べろんべろんに酔って
一人で歩いて帰ったんですよ。
あ、どっかで「竹林で」の話は読んでおいて下さい。これは後日談ですので…。
その道は僕が通っていた小学校の裏道に当たり、
もうかなり長い間使った事が無かったんですよ。
川を挟んだ向こうには工場が建っていました。
あの竹林の跡地に…。
工場が目に入った瞬間、ちょっとぶるっと来ました。
何しろあの忌まわしい事件の顛末を事もあろうに
2ちゃんねるに書き込んだという前科が自分にはあったので。
考えないようにしていたのですが何の気まぐれか
もう絶対通らないと決めていた道を通ってしまったんですよね。
もうすっかり暗くなって工場の外灯の薄暗い光しか見えない。
そこで僕は見てしまったんですよ、あの竹林が潰されずに残っているのを…。
十数年前のあの事件以来、友人の忠告通り竹林には行かず
傍を通る事すら無かったんですよ。それでどうやら記憶が
勝手にねじまげられていたようです。竹林は無くなってなどいなかった…。
普通の状態なら速攻ダッシュで逃げてたんでしょうけど
何しろ酔ってましたから。変な使命感もあったんでしょうなぁ、馬鹿だ。
向こう岸に渡れる古いコンクリートの橋があって
何を考えたか渡ってしまったんですよ、竹林に行くために。
287 :
5:2006/03/04(土) 23:26:55.66 ID:hWFYYJNK0
小学校のときみんなが肝試しに使っていた竹林。僕自身は初めて来ます。
あの事件の前にちょっと遠目に見た事があるくらいでした。
大人になった今、外から見ると随分小さく見えました。
竹林を囲むようにびっしりと緑色の壁が覆っているように見えていて、
近くまで寄ってそれが周囲に配置されたフェンスに群生するシダのような物だとわかりました。
足はふらふらでしたが、僕はフェンスをさっくり乗り越え竹林の中に入りました。
何かに魅入られていたとしか思えないっす。
やたら草が茂っていて中は真っ暗でした。それでとりあえず工場の外灯に向かって進みました。
するとすぐ傍に、小屋がありました。外からはまったく見えないのに…。
さすがに足は止まりました。本当にあるとは。そしてまだ残っているとは。
ここでOの母親が…。無意識のうちに手を合わせました。
そして止せばいいのに小屋に入ろうと思ってしまったのですよ。
あの話を不特定手数の人に話した(書いた?)、最早まったくの部外者とは言えない、
すっきりするためにも自分は中を確認する必要がある。
そう思って…多分。いや酔っ払いはそこまで考えないですか。
扉は横引きの木戸で、鍵はかかってない(そもそも本当に小屋がボロい)のに妙に重かったです。
一気に引いて中を覗き込みました。
288 :
6:2006/03/04(土) 23:27:30.54 ID:hWFYYJNK0
小屋の中は真っ暗で最初何も見えない。
僕は小屋の中に入り、すぐに何かにつまずきました。
倒れこそしなかったものの、よろよろとそのまま小屋の中奥深くにまで
進んでしまいました。あちこちで何か硬い物が足に当たります。
しばらく何も見えなかったんですが、目が慣れるに従って僕は…
小屋の中そこかしこにびっしりと林立する異常に大量の地蔵がある事に気がつきました。
地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵
地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵
地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵地蔵!!!
心臓が止まりそうになりました。一瞬地蔵が全部こちらを見ている!と
思って腰を抜かしそうになったのですが、彼らの視線は小屋の中の
違う一点で結ばれていました。何がある!?と思いそちらを見ましたが
その空間には何もありません。
ただその空間の上方。少し目を向けるとそこに小屋を貫くように
まっすぐの長い梁が存在し、それは人一人くらい簡単にぶら下げられそうなくらい
太く、僕はそこに「何があったのか」を容易に想像する事が出来て…!
289 :
終:2006/03/04(土) 23:27:58.35 ID:hWFYYJNK0
酔いと悪寒で吐き気が込み上げ、口元を抑える僕の耳に
はっきりと「おかあさん?」という小さな声が聞こえました。
思わず振り向くと小屋の入り口、入ってすぐの所に立っているのは
紛れも無く当時と変わらぬ姿のO、その人!!
Oはまん丸の目をキュッと音が聞こえそうなくらいはっきりと歪め、
そして…理解できたのです。彼が(「すげー声で叫んでるOが」)
次の瞬間に叫び出そうとしているのが!
竹林からどのように抜け出たかはよく覚えていません。
気がついたら吐きながらいつもの帰り道を全力で駆けていました。
それが二週間前?の事です。腕とか傷だらけっす。
だいぶ悩みましたが多分勘違いか夢だろうと思ったので
ここに投稿して全部無しって事にする事にしました。
南無…もう忘れます。誰か理性的な突っ込みを下さい。
本当泣きそうでした、ここ最近…。じゃ。
ごめんなさい、本当ごめんなさい。
290 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 23:28:17.18 ID:VlNkiQBkO
保守乙
64話
() フッ…
[]→[]
291 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 23:32:41.40 ID:QkxDDCP70
うはっwwwwwwほんとに週末の夜にスレたってるwww
292 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 23:36:00.55 ID:VlNkiQBkO
>>291 この間いた人か!
あと30分切ったから早く投下投下!!
293 :
1:2006/03/04(土) 23:39:16.12 ID:hWFYYJNK0
俺は、某所のある古いアパートで一人暮らしをしている。
このアパートは二階建てで、各階四号室までの、ごく普通のアパートだ。
ちなみに俺は104号室に住んでいる。
ある日、いつものスーパーに晩メシを買いに行こうと外に出たら、
アパートの前にはパトカーが数台止まっていた。
何だろうと思いながらも、そのままスーパーに足を進めた。
そして、そこでたまたま隣に住んでいるYさんに会った。
そして、Yさんは俺に何とも奇妙な事を聞いてきた。
『お宅の部屋、何ともない?』
『いや、別に今の所は…Yさんの部屋では何かあったのですか?』
俺は聞き返した。するとYさんは重々しい口を開き、しゃべり始めた。
『実は昨日の夜中、201号室の人と101号室の人が、ほぼ同じ時刻に
目玉と首を取られて死んでるんだって。それで、102号室の人が言ってたんだけど、
夜11時頃に、電話の鳴る音が聞こえたんだって。しばらく経ってその音が消えたと思ったら、
何て言ったか聞こえなかったけど、201号室から、数分後に101号室から、
決まった三文字の言葉が聞こえたんだって。それと同時に意味不明な叫び声が…
それで、102の人がすごいおびえてて、次は自分なんじゃないかって…
だから今日はうちに泊めてやる事にしたのさ。若い女性だから、一人じゃやっぱり不謹慎だろうからねぇ。
まあ空手五段のバリバリ主婦のあたしがついてればまず大丈夫だと思うけどね。
けどもし何かあったら助けに来るんだよ!一応隣さんなんだからさ!』
『は、はい…どうも…。』俺がそう言うと103の主婦は買い物を済ませ、部屋に戻って
いった。俺も、晩メシを買い、部屋に戻った。
しかし、いつの間にそんな事件が…俺昨日は早く寝たからな…よし、今日は念のため遅く
まで起きてるか。まあ、おそらく何かの偶然だと思うが…しかし、ほぼ同時に電話が来た
といい、三文字の言葉といい…何か不気味だな。これでYさんたちに何かあったら洒落に
ならないぞ…そう思いながら晩メシを食べ、それから黙々と雑誌を読んでいた。
…気付けばもう11時か。まあ30分ぐらい布団かぶって待って、何も無かったらそのまま寝るか…
つづく
294 :
取調べ:2006/03/04(土) 23:39:21.62 ID:QkxDDCP70
1/2
かなり前に、しかもラジオで聞いた話なのでうろ覚えの話ですが、
もし詳しく知っている方がいたら、追加で書き込みしていただけるとありがたいです。
大阪、西成で暴動があったときの話です。
暴動鎮圧で一人の男が逮捕されました。
連行され、取調べが行われたのですが、かなりひどい扱いを受けました。
脅迫、暴行、とにかくひどい扱いを受けたのです。
しかし、何の証拠もなく、警察はそのまま男を拘留することもできず、
すぐに釈放しました。
警察から開放された男は、すぐに隠し持っていたテープレコーダを取り出し、
取調べの内容一切を録音したテープを抜き取り、あるラジオ番組当てに送ります。
テープを受け取ったDJは真偽を疑いながらも興味を抱き、それを放送で流しました。
295 :
取調べ:2006/03/04(土) 23:39:41.34 ID:QkxDDCP70
2/2
その放送から数日後、テープを録音した男、暴動で取調べを受けた男が死体で発見されます。
誰も寄り付かない、建設半ばで放棄されたビルの屋上からの投身自殺、そう断定されました。
遺書も自殺を裏付けるような状況もなかったのですが・・・。
その一件がDJの耳にも入ってき、ひょっとしたらこれはマジでやばいものかもしれない、
そう考え、とりあえず百本のコピーを作って、知り合いやいろいろな方面に送りつけ、
自分のもっているオリジナルは捨ててしまいました。
それからそのコピーがどうなったのかは知りません、
それにそのDJに関しても誰とはわかりません。ほんと記憶があやふやで、
内容に関しても細かいところで違っているかもしれませんが、
誰かこのはなし知らないですかね?
296 :
2:2006/03/04(土) 23:39:45.87 ID:hWFYYJNK0
そしてしばらく待って、10分経ってから眠くなってきた。
もう良いだろうと思い、眠りに落ちようとした時、ある音によって一瞬で目が覚めた。
『プルルルル』
103からだ。そしてよく耳を澄ますと、斜め隣の203、その隣の202号室からも聞こえてくる。
おそらく102号室も鳴ってるであろう。
こんな事があろうか。同時に4つの部屋の電話が鳴るなんて…すると上の方の電話の音が消えた。
何も知らずに取ったのであろうか(まあ俺もあまり分からないのだが)そして上からかすかに声が聞こえた。
それは確かに三文字だったが、上の方だったため、よく聞き取れなかった。
しかし、それは確かにその声は三文字だった。しかも、何かボソッと呟くような…。
今まで半信半疑だった俺も、いよいよ怖くなってきた。Yさんの言ってた事が、今のところ現実に起きている。
…ところでYさんたちは?まだ電話は鳴っている。警戒して取っていないのか。その方がおそらく正解だ。
『上は死んだな』何故か俺はほぼ確信していた。しかし、まだ102と103はまだ電話が鳴っている。
俺は、二人がいる103号室に行くことにした。急いで靴を履き、外に出た。
まだ電話は鳴っている。お願いだ、取らないでくれ…取らないでくれ…そう思いなが ら103のドアを開けた。
『その電話を取るな!』
ところがもう遅かった。恐怖に耐えかねた主婦のYさんが、電話を取ってしまったのだ。
すると、はしばらく受話器に耳を当て、しばらくして、主婦は例の三文字の言葉を放った。
『はたよ』
………何て意味不明な言葉だ…何かかなり意味深いものを感じ、何故かものすごい寒気が してくる…。
そして、102の若い女性がいつの間にかいなくなっていた。102に戻ったのか?危ない!
102はまだ電話が鳴っている!取ったら…おそらく…!そう思ってた矢先、電話の音が消え、また聞こえた。
『はたよ』
…もう終わりだ。すると、俺の部屋からも電話の音が聞こえてきた。まさか、このアパート全体に…!?
まあいい、そんなの取らないに決まってる!まず女性の所に…!
そう思って102のドアを蹴飛ばした! つづく
297 :
3/3:2006/03/04(土) 23:40:18.59 ID:hWFYYJNK0
…女性は無事だった。電話を取った後、部屋の隅でうずくまっていた。
ひとまずホッとした。しかし、俺は忘れていた。あの主婦は…?
俺は急いで103に向かった。ドアを開けると、…驚いた。
主婦も無事だ。小刻みに震えながらやはり部屋の隅でうずくまっていた。僕は逆に不思議に思った。
何故電話を取った二人が助かったのか…?ただのイタズラだったのか?いや、それは無い。
実際にそれで101と201の人は目玉を取られて首を刈られ殺されている。
………待てよ?101と201の人は電話を取ったのか?
…もしかして、取ったから死んだんじゃなくて、『取らなかった』から死んだんじゃ…。
ものすごい寒気がした。まだ俺は電話を取っていない!まだ電話は鳴っている。
『急げ!』
俺はあせりながらも、急いで自分の部屋に戻った。
『プルルルル』
『プルルルル』
『プルルルル』
『プルルルル』
『プルルルル』
よかった、まだ電話は鳴っている!あれを取れば……助かる…助かるんだあ!俺は急いで電話を取った。
だが、それは自分が予想していた三文字とは全く違う言葉だった。
『おそい』
そしてノックの音がした。
END
298 :
戻れない肝試し:2006/03/04(土) 23:41:53.88 ID:QkxDDCP70
1/2
ある高校生の男女各4人が、一人の家に集まって怖い話をしていたそうです。
夜もふけてきた所で、肝試しに行くことになりました。
でも本当の目的はむしろ、男女ペアになって行くという事のほうが楽しみだったので、
場所は安直に彼らの通う高校に行くことにしたそうです。
しかしこの高校は築100年近くたっていたので、行って見ると思ったより迫力があります。
早速男女ペアになって、一組づつ学校の周りを一周することになりました。
構内には入れなかったので、周りを一周するだけならせいぜいかかる時間は20分ほどです。
まず最初の1組が出発しました。皆でひやかしたりしながら、にぎやかに去っていきました。
しかし、20分たっても30分たっても戻ってきません。
2人っきりで何をしてるんだろうかとひやかしながら、2組目が出発しました。
しかし、やはり彼らも帰ってきません。
3組目が出発することになりました。
このころにはさすがに深刻になってきていて、絶対周ったら戻ってくるし、
他のやつらも見つけたら連れてくると約束して出発しました。
そしてこの3組目も戻ってきません。
一組目が出発して、既に時間は2時間以上立っていました。
299 :
戻れない肝試し:2006/03/04(土) 23:42:12.33 ID:QkxDDCP70
2/2
とうとう女の子は泣き出しました。
残ったもう一人の男の子が、
「俺が行ってくる。もし30分たっても俺が戻ってこなかったら警察へいけ。
絶対待つなよ。」
と言い残して駆け出しました。
そしてその子も戻ってきませんでした。
残された女の子は泣きながら、それでも1時間待ったそうです。
そしてその足で、警察へと向かいました。
警察官が探しても見つかりません。
しかし夜もすっかり明けたころ、とうとう7人は見つかりました。
その高校にはグランドの端に、古くなった旧体育館があるそうです。
そこのトイレを開けると、7人全員が首をつっていたそうです。
女の子の証言から、自殺する理由がないと思われたのですが、結局他殺の痕跡はなく、
受験生の集団ヒステリーとして片付けられたそうです。
その学校には、これといった怪談話もなかったそうです。
300 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 23:44:59.92 ID:VlNkiQBkO
65話
() フッ…
[]→[]
301 :
サンドイッチ:2006/03/04(土) 23:47:02.22 ID:QkxDDCP70
1/2
高校生の頃、俺のクラスにいつもいじめられているオタク風の根暗なデブ男がいた。
実を言うと俺もいじめていた1人だった。
そんなある日の昼休み。俺はあるプリントを5時限までにやらなくてはならず、
昼食を食べる間も惜しんで書き進めていた。
ふと気がつくと教室には4、5人の生徒がいるだけで、ほかの奴らは学食や屋上や中庭へ出ていた。
教室に残っていた生徒の1人が、その問題のデブな奴で、
弁当をまるで隠すようにコソコソと食べていた。
それを見ていた俺は、急に腹が立ってきて、奴の席に近寄って
「○○くん、何をそんなにコソコソ食べてるのかな? 俺は忙しくて食事をする暇もないよ」
と言うと、奴はあわてて弁当に蓋をした。
「おいおい、何も隠す事はないだろ。俺は今日は弁当持ってないから、良かったら俺にも分けてくれないか?」
と俺は何気なく奴の弁当に手を出した。
すると、奴は弁当にサッと覆い被さって、俺を睨んできた。
それを見た俺はカッとなって、
「おい、なんだよ、その態度は? だいたい人に見せられない弁当なら持ってくるなよ」
と言うと、奴はニヤリとこれまでに見せた事もないような笑みを浮かべて
「そんなに見たれば、みせてあげてもいいよ」
と言って弁当の蓋を空けた。
302 :
サンドイッチ:2006/03/04(土) 23:47:17.55 ID:QkxDDCP70
2/2
俺は奴の態度にわずかな不審を抱きながらも、弁当の中を見た。
そこには何の変哲もないサンドイッチが入っていただけだった。
俺は安心して、
「なんだ、ただのサンドイッチじゃないか? 1つもらってもいいか?」
と返事も聞かずにサンドイッチを取って、奴がニヤニヤするのを横目に口にした。
すると、なんとも言えない味が口の中に広がり、俺はあわてて、トイレへ行き、口の中のものを吐き出した。
なんと、俺の吐き出したものの中には、もぞもぞと動く蛆虫がいたのだ。
俺がギョっとなって立ち尽くしていると、後ろから奴が近づいてきて、
「ほかの人たちには言わないほうがいいよ。どうせいつものいじめだと思われるから」
と嬉しそうに言いやがった。
その後俺はショックでしばらく学校を休んだが、ようやく出てきた時には、奴は一身上の都合とやらで転校した後だった。
果たしてあのサンドイッチを奴が食べていたのか、それともいつものいじめの仕返しだったのか、今だに判断がつかないでいる。
303 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 23:47:44.51 ID:VlNkiQBkO
66 67
()() フッ…
[][]→[][]
304 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 23:49:27.40 ID:VlNkiQBkO
305 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 23:50:45.53 ID:hWFYYJNK0
ある病院に残り三ヶ月の命と診断されている女の子がいました。
友達が二人お見舞いに来た時に、その子のお母さんはまだ、
その子の体がベットの上で起こせるうちに最後に写真を撮ろうとおもい、
病気の子を真ん中にして三人の写真を撮りました。
結局それから一週間ほどで急に容体が悪くなり、三ヶ月ともたずに
その子はなくなってしまいました。
葬式も終わり、多少落ち着きを取り戻したお母さんはある日、病院で撮った写真の事を思い出しました。
それを現像に出し取りにいって見てみると、その写真が見つかりません。
写真屋さんに聞いてみると、「いや、現像に失敗して、、、」というそうです。
不審に思ったお母さんは、娘の生前の最後の写真だからとしつこく写真屋さんに迫ったそうです。
写真屋さんもしぶしぶ写真をとりだし、「見ない方がいいと思いますけれど、驚かないで下さいね。」と写真を見せてくれました。
そこには、三人の女の子が写ってましたが、真ん中の亡くなった女の子だけが
ミイラのような状態で写っていたそうです。
それを見たお母さんはとても驚きましたが、供養してもらうといい写真を持ち帰りました。それにしても恐ろしい
写真だったため霊能者のところに供養してもらう時にこれは何かを暗示してしているのではないかとたずねました。
すると、霊能者は言いたがりません。やはり無理に頼み込んで話を聞ける事になりました。
その霊能者が言うには、
「残念ですが、あなたの娘さんは地獄に落ちました。」
306 :
タモリ人形:2006/03/04(土) 23:50:52.02 ID:QkxDDCP70
知り合いのおばさんの家のとなりに頭の可笑しい人が住んでて、庭に
5メートルぐらいの棒がさしてあってその先にたもりの人形がさしてある
んだって。手を前にだして手袋してる。あるひおばさんの家にそのひとが
きて、「おまえんちの換気扇がうちに向いてる!!!」とかいって怒って
きたんだって。そのひはなんとかなだめて帰って貰ったんだって。
次の日たもりがおばさんち向いてたって。
307 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/04(土) 23:59:04.96 ID:VlNkiQBkO
全然オカルト話ではありませんが
私は昨年11月に今のアパートに越してきました。
二階建てで6部屋あり、一部屋は大家さんが住んでいて、他に一部屋が空き部屋です。
私は引っ越してすぐ他の住人に挨拶しようとしましたが、一軒しか会えませんでした。
残りの二軒はカーテンなどがあるので空き部屋ではないようですが、夜に電気が付いてるのさえ見たことがありません。
生活時間帯が違うのかと思っていましたが、ポストから郵便物も取ってないようす。
あるひ、仕事が休みだった私は日中買い物に出て、帰りにふとアパートを見ると、まだ挨拶できていない家の窓から手が出て少し窓を開けました。
いる!挨拶のチャンスだと私はすぐに玄関に回りチャイムを押しましたが、壊れているのか鳴りません。
ノックしても声を掛けても返事なし。
見間違いかとそこは家に引っ込みました。
308 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 00:03:54.98 ID:bfI97wBL0
やっぱ百話やるの大変だな〜www
309 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 00:06:11.34 ID:50+yngpj0
日付変わる前に100話ってことなのか
310 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 00:07:08.03 ID:PEVa2/BMO
その夜、また何かで外に出ると、件の部屋に電気が点いている。
今度こそと勇んでチャイム・ノック・呼び掛けるもまたしても返事なし。
おかしいな、確かに電気が…と窓を確認すると、電気が消えている。
…ワケアリ?
以来この部屋に電気が点いているのは見たことがない。もう一軒も全く姿を見ない。
そうこうしていると雪のクリスマスイブ、何だか外が騒がしい。
出勤で家を出る時に見たのは唯一挨拶できた部屋の人が引っ越して行くところだった。
何もこんな日に。まさか夜逃げ?朝だけど。
年明けの家賃を手渡しする際に大家さんが言った一言「お宅は安心だ」
そして顔を見たことのない人達のドアの前の電球は切れっ放し。
大家さんはいい人なんですが…不安です
311 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 00:07:17.38 ID:Bu+9gZyN0
間に合わなかったか・・・
駄目だ
寝る
312 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 00:09:10.53 ID:PEVa2/BMO
313 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 00:09:25.05 ID:bfI97wBL0
おつ〜
314 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 00:09:42.99 ID:PEVa2/BMO
70話止まりか
残念だ…
315 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 00:12:48.25 ID:l/pm2x0t0
このスレは保存しとこう・・・
>>1&保守してた方々乙〜
316 :
1/3:2006/03/05(日) 00:14:59.36 ID:50+yngpj0
中1の夏でした。
私の祖母の一番上の兄、泰造さんが亡くなりました。
といっても、私は泰造さんとは殆ど面識がなかったのですが
夏休みということもあり、両親と共にお葬式に出掛ける事になり、
私はそのとき初めて泰造さんの屋敷を訪れたのでした。
そこは某県の山奥、大自然に囲まれた、まさしく田舎といった場所で、
屋敷と呼ぶにふさわしい、古いながらもとても大きな家構えでした。
敷地内には鶏小屋があり、たくさんの鶏が飼育されていました。
泰造さんの娘にあたるおばさんが、売りには出せない小さな卵を
私や親戚の子供達にくれたので、大人達が集まるまでの時間、
私は子供達と一緒にその卵を使って、おままごとなどをして過ごしました。
そのうちお葬式が始まり、私は足の痺れと眠気と闘いながら
あまり面識のない泰造さんの遺影を見つめていました。
そしてお葬式も滞りなく終わり、両親や親戚のおじさんおばさん達は
ビールや寿司を囲みながら、泰造さんの思い出話や子供たちの話、
世間話などで盛り上がり、私もおじさん達にビールを注いだりと愛想をふりまきながら、
やがて田舎の涼しく心地よい風を感じる夕暮れ時となっていました。
ふと尿意を感じた私は席を立ち、ひとり便所へと向かいました。
かなりの田舎ということもあり、便所は少し変わったつくりをしていました。
扉を開くと裸電球の下、まず男用の小便器があり、そこにまた扉があります。
それを開くといわゆる、ぼっとん便所が奥にあるのです。
ですが、電気は始めの個室の裸電球しかなく、私はふたつめの扉をあけたまま、
薄暗いぼっとん便所で用を足すことになりました。
317 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 00:15:06.52 ID:bClEegNp0
こ れ は 神 ス レ
318 :
2/3:2006/03/05(日) 00:15:16.54 ID:50+yngpj0
田舎の夏の夕暮れの独特な雰囲気と、慣れない木造の便所で少し気味が悪かったのですが、
鼻歌を歌い、気を紛らわしながら用を足し、服を整えて振り返りました。
それはいました。
ひとつめの個室の裸電球の下、白い服を着て、真っ黒な長い髪を無造作に束ねた女のうしろ姿。
私は恐怖で体が痺れたようになり、厭な汗が体中から噴き出しているのを感じました。
どれぐらいの時間でしょう。長いような短いような。女の頭から目を離せずにいた私の耳に
「コォォーーーーー……」
という、かすれた音のような声のようなものが聞こえてきました。
それと同時に私は少しずつ視線を下へとおとしていきました。
私の目に飛び込んできたものは、異様に爪の長いおんなの手の甲…そして足の…指…?
こっちを向いてる……!!
うしろ姿だとおもっていた女は、まぎれもなく正面を向いていました。
髪をすべて前へ下ろし、あごのあたりでひとつに束ねていたのです。
女の顔は全く見えない…見えないけれど見える…見えない…。
「ひぃぃ…ひぃぃ…」私はガタガタ震えながら、泣いていました。
そして女はゆっくりと両手をあげ、髪を束ねている紐に手をかけようとしました…。
そのとき「ガタッ」と扉の開く音と同時に、父の姿が見えました。
グルッ
女が扉のほうへ振り返り、そこで私は気を失いました。
319 :
3/3:2006/03/05(日) 00:15:32.36 ID:50+yngpj0
目を覚ますと、私は布団に寝かされていました。両親が心配そうに私の顔を覗き込んでいました。
「変な女がおったんよ!!怖かった…怖かった…。」
また泣きそうになる私を見て、二人はうんうんと頷いていました。父はあの女の姿を見てはいないようでした。
少し落ち着きを取り戻した私に、おばさんが一冊の古びた冊子を持ってきました。
それは亡くなった泰造さんの覚え書きのようなものでした。
そのうちの黄ばんだ1ページに墨で描かれていた絵は、私が便所で見た女そのものでした。
「うちのお父さんな、こんなおそろしいもん、よう見とったみたいなんよ。
この覚え書きはお父さんが死んでしもてから見つけたんやけど、なんやいつもえらい怯えとったんやわ。
それやのに全然気付いてあげれんかった…。」
そう言っておばさんは涙ぐんでいました。
その覚え書きを見せてもらうと、泰造さんはあの女のことを後女(うしろ女?)と呼んでいたようでした。
鶏の飼育についてや森での狩りなどの覚え書きの合間合間に、後女について記してありました。
今となってはあまり覚えていませんが、最後のページにはこう書いてあったと思います。
「後女の真の面、真の背、目にしたとき我は死すか」
私は後女が振り返ったあのとき、女の後頭部を見たような気もするし、見なかったような気もします。
320 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 00:47:52.13 ID:Bu+9gZyN0
今日の反省
・一人じゃつらい
・途中で怠けた
・眠い
321 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 00:50:25.16 ID:bClEegNp0
322 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 01:03:03.94 ID:ngpjefmF0
>>320 おつかれ。トイレにいけなくなったんだけどどうすればいい?
323 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 01:05:31.72 ID:Bu+9gZyN0
>>322 @歌を歌う(できればロック系を口ずさむ):幽霊は陽気な音が嫌いらすぃ
A何かお経を唱えたり真言を唱えたり:下手すると寄ってくる
B気配がしたら心の中で:もう一回ぶち殺すぞっ!!!!!と言う
324 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 01:08:54.37 ID:ngpjefmF0
>>323 とりあえず手元にお経があったから読んでみる
歌も歌う
何妙法蓮華京方便盆第二次性操縦三枚安住幹五社里歩つ小物知恵人人無料後知恵門何軒何(゚Д゚ )ムハァりゅーイヤダワァ*・゜゚・*:.。..。.:*・゜(n‘Д‘)η゚・*:.。. .。.:*・゜゚・* !!
!!!沼ちーふーのー承知所為所為処方如是処方如是印[ '_ゝ']共闘
かーわいーなんてそんなこと いいっちゃだーめーですー
ぶちころすぞ(´・ω・`)
今回の百物語も途中でおしまい
百話までいかなかったのも何かの因果かもしれない
またいずれどこかで不思議な話と共に
ごきげんよう
326 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 01:35:56.79 ID:ngpjefmF0
最後まで行かなくてよかったのかもしれない・・・・・・
327 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 02:15:42.31 ID:EIUwT4fz0
こんなスレあったんだ・・・・人いる?
328 :
3/3:2006/03/05(日) 02:17:33.57 ID:50+yngpj0
まだみてるよ
329 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 02:17:49.34 ID:50+yngpj0
名前消えてなかった
330 :
327:2006/03/05(日) 02:18:55.58 ID:EIUwT4fz0
語っていい?本で読んだことだけど・・・
331 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 02:21:57.85 ID:l/pm2x0t0
まだあったんだこれ・・・またやるのかい?
332 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 02:24:35.44 ID:50+yngpj0
もうおわったっみたいだし使っていいんじゃない?
百物語は本当は火を消すのではなく付けていくのが流儀なんじゃないかって唱える人がいるんだよ・・・
というのも語ってる間に時間が経って他の蝋燭が消えちゃって話した後に消せなくなっちゃうから・・・・
この逆の方法でやって最期の一話を話して蝋燭に火をつけて隣の部屋へもって行き、
戻ってきたら誰もいなかった・・・いた形跡もなかった・・・・なんて逸話が・・・・・・アッーーー!!!!
334 :
以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2006/03/05(日) 02:28:11.11 ID:50+yngpj0
>>334 オレはこのスレを知っててあっちのスレを立てたわけじゃない。
これは全くのミラクルです!