【台湾】 映画「KANO」と台湾アイデンティティ 「日本統治」と「中華意識」の狭間で [4/9]
1 :
オリエンタルな名無しさん@転載禁止:
前回に引き続き、 今回も台湾の話題になる。3月末に台北を訪れたときに、一部で大変話題となった映画「KANO」を 観てきた。
この映画は、このコラムでも以前取り上げた「セデック・バレ」を撮った魏徳聖がプロデューサー、監督はセデック族の血を引くイケメン俳優の馬志翔。
彼は「セデッ ク・バレ」でも、主人公と対立するセデック族の一部族の頭目役で出演していた。主演は日本人の永瀬正敏。
台湾映画であるが、 国境民族を超えた合作映画ともいえ、セリフの7割が日本語、2割が原住民の言葉、1割が台湾方言か客家方言。
おそらく中国人は字幕がなければほとんど理解できない。
映画の内容も民族を超えて1931年の甲子園準優勝を勝ち取った「嘉義農林学校野球部」を舞台にした青春ドラマで ある。
知り合いの台湾人たちが、「泣いた!」「2度観ても、また観たい」「少なくとも4度は泣く」と大絶賛だったこともあり、
来年まで待てば日本でも公開されるはずなのだが、待ちきれずに取材の合間に台北の映画館に足を運ん だ。
(略)
「日本統治」と「中華意識」の狭間で
台湾アイデンティティの中の日本の影響を一番肯定的にとらえているのは一般に民進党系、台湾独立派と呼ばれる人たちだ。
というのも台湾の民主化を進めたのは、 日本統治時代に基礎・高等教育を受けた若者たちだったからだ。 彼らの多くは
国民党の白色テロへの抵抗の中で目覚め、 1960年代の日本の学生運動に刺激を受けて学生運動を組織 し、米国の民主主義の影響を受けて、
90年代の台湾民主化へとつながる流れを作った。初の民進党政権が樹立したときにスローガンの一つとなった台湾アイデンティティとは、
良くも悪くも日本統治時代にルーツがさかのぼるもの で、中華意識との区別の意味で使われた。
中華意識を台湾アイデンティティの根っこととらえてい るのは、国民党独裁体制下での高度経済成長を肯定的に評価し、また近年の中台の
経済緊密化も肯定的に評価してい る人たちだ。蒋介石は孔子以降の中国伝統思想をもって求心力に利用してきた。
割合的には、体感として日本統治影響派が7なら、中華民族意識派が3ぐらいだろうか。だが、馬英九政権は昨今、台湾の教科書など
文化面での「脱日本化、 中国化」を急激に進めており、このままいけばこの割合は逆転していくだろう。
日本統治から国民党独裁時代の白色テロの記憶を持つ老人たちが徐々に減っていき、政策的に中華民族回帰が喧伝される中で、台湾アイデンティティの定義も揺らいでいる。
国際情勢から言っても、台湾の社会・経済の実態から 言っても、独立の目がなくなり、流れに身を任せていれ ば、ほぼ間違いなく
中国に併呑されると予測される中で、 台湾人がそれぞれ自分の立ち位置を確認したい気持ちが 募っているのではないかと思う。
それが、「KANO」など魏徳聖映画がヒットする背景であり、 またそのヒットを批判する論調の盛り上がりではないかと推測するのだが、どうだろう。
日経ビジネスオンライン
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20140407/262517/?P=1
2 :
オリエンタルな名無しさん@転載禁止:2014/04/09(水) 21:55:12.95 ID:h3MaLxyM
日本じゃ2015年公開なんでしょ?
なんでそんなに勿体ぶってるんだろ
1年もしたら熱も冷めちゃうよ
台湾に遊びに来なさいよってことか?
夏の甲子園前に観てみたい
3 :
オリエンタルな名無しさん@転載禁止:2014/04/09(水) 22:01:31.72 ID:nbIrfjrx
「客が観たい物を創る」
それがメディア
4 :
オリエンタルな名無しさん@転載禁止:2014/04/09(水) 22:03:41.68 ID:ys13zzly
.
台湾加油
5 :
オリエンタルな名無しさん@転載禁止:2014/04/09(水) 23:07:46.88 ID:SJlbHD3y
これ、推薦
台湾映画は日本時代を意図的に悪く描いたりしない。
21世紀枠みたいに、国外招待枠なるものを作ってだな(シナ本土・チョン除)・・・・・
7 :
オリエンタルな名無しさん@転載禁止:2014/04/09(水) 23:45:57.92 ID:CvJ99ApZ
この大ヒットと批判は、今の台湾の状況を反映しているのだと思う。今の台湾人の中でも、
自らのアイデンティティを原住民、漢人、そして日本統治時代の影響の融合によって
形成されてきたものであると考えるグループと、台湾人のアイデンティティの根っこは
中華民族意識にあるとするグループにおおむね分かれている。
「日本統治」と「中華意識」の狭間で
台湾アイデンティティの中の日本の影響を一番肯定的にとらえているのは一般に民進党系、
台湾独立派と呼ばれる人たちだ。
というのも台湾の民主化を進めたのは、日本統治時代に基礎・高等教育を受けた若者たちだったからだ。
彼らの多くは国民党の白色テロへの抵抗の中で目覚め、1960年代の日本の学生運動に刺激を受けて
学生運動を組織し、米国の民主主義の影響を受けて、90年代の台湾民主化へとつながる流れを作った。
初の民進党政権が樹立したときにスローガンの一つとなった台湾アイデンティティとは、
良くも悪くも日本統治時代にルーツがさかのぼるもので、中華意識との区別の意味で使われた。
中華意識を台湾アイデンティティの根っこととらえているのは、国民党独裁体制下での高度経済成長を
肯定的に評価し、また近年の中台の経済緊密化も肯定的に評価している人たちだ。
蒋介石は孔子以降の中国伝統思想をもって求心力に利用してきた。
割合的には、体感として日本統治影響派が7なら、中華民族意識派が3ぐらいだろうか。
だが、馬英九政権は昨今、台湾の教科書など文化面での「脱日本化、中国化」を急激に進めており、
このままいけばこの割合は逆転していくだろう。
日本統治から国民党独裁時代の白色テロの記憶を持つ老人たちが徐々に減っていき、
政策的に中華民族回帰が喧伝される中で、台湾アイデンティティの定義も揺らいでいる。
国際情勢から言っても、台湾の社会・経済の実態から言っても、独立の目がなくなり、
流れに身を任せていれば、ほぼ間違いなく中国に併呑されると予測される中で、
台湾人がそれぞれ自分の立ち位置を確認したい気持ちが募っているのではないかと思う。
それが、「KANO」など魏徳聖映画がヒットする背景であり、またそのヒットを批判する論調の
盛り上がりではないかと推測するのだが、どうだろう。
8 :
オリエンタルな名無しさん@転載禁止:2014/04/09(水) 23:48:42.56 ID:CvJ99ApZ
日本人は「KANO」を観た方がいい
「KANO」の中で「パパイヤは根っこに釘を打ち込むと、もう自分は死ぬと思って、
最後の力を振り絞って大きな甘い実をつける」という挿話が何度も出てくる。
もうだめだという危機感による必死さが大きな果実を実らせ、希望を次世代に託す、という例えだ。
この挿話がまさしく今の台湾の気持ちにあっている気がする。
台湾のアイデンティティの根っこに刺さり痛みを与えている釘が日本統治の過去なのか、
中国併呑の未来なのか。米国の影響も小さくないはずだが、米国をアイデンティティの要素として
強調する声があまりないのは、やはりアジア人という共通項が重要なのか。
いずれにしても、その痛みの危機感の中で、自力で民主化を遂げ小さくも豊かな「国」を
形成してきたのが台湾であり、これからもその苦悩が台湾らしさの本質かもしれない。
そうだとすると、映画や書籍やアニメ、あるいは有楽製菓のビッグサンダーチョコなどの
お菓子の流行一つにしても、台湾の各所で見られる「日本好き」現象に対して、
日本はもっと敏感に反応した方がいい。
植民統治の歴史というのは、その統治が終わったのちも、国とそこに住む人々の運命に
かくも影響を与える。
GHQ占領の歴史が今なお日本に与え続ける影響、韓国が日本に持ち続ける恨み、
台湾が日本に抱く親愛、そういうものの背景を読み解くことが、
「歴史を鑑にする」ということであり、今後の国際情勢の展望を見極めるヒントになるのではないか。
とりあえず、日本人は「KANO」を観た方がいい。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/world/20140407/262517/?P=5
9 :
オリエンタルな名無しさん@転載禁止:2014/04/10(木) 00:33:10.96 ID:x2TiWJCs
なんか長文乙だけど、
嘉義農林旋風時代の台湾は実に良い。
日本で言うと、NHK朝の連続劇「ごちそうさん」の時代。
同じ頃、霧社事件の大惨劇もあったにせよ、内地(日本)もあれこれ、きな臭っかた
10 :
オリエンタルな名無しさん@転載禁止:2014/04/10(木) 07:31:02.41 ID:x2TiWJCs
大沢たかお扮する八田與一もチラッと出るのも見どころ
台湾人なら誰もが知ってる偉人。
11 :
オリエンタルな名無しさん@転載禁止:2014/04/10(木) 09:41:51.92 ID:9Gwhcrcn
> 国際情勢から言っても、台湾の社会・経済の実態から 言っても、独立の目がなくなり、
> 流れに身を任せていれ ば、ほぼ間違いなく
> 中国に併呑されると予測される中で、 台湾人がそれぞれ自分の立ち位置を確認したい
> 気持ちが 募っているのではないかと思う。
> それが、「KANO」など魏徳聖映画がヒットする背景であり、 またそのヒットを批判する論調の
> 盛り上がりではないかと推測するのだが、どうだろう。
そうなんかね。
単純に、台灣は自分の歴史を取り戻したいだけだと思ったんだが。
蒋介石時代は、学校教育で支那の歴史を叩き込まれるばかりで、
台灣の歴史はなおざりにされたからな。
李登輝時代に出た認識台灣でようやくそれが修正されたが、
たった6年間の寿命だった認識台灣で学べた学生も少数派だろうし。
12 :
オリエンタルな名無しさん@転載禁止:
セデックバレがかなり面白かったから気になる
これまで映画ヲタを満足させたアジア映画監督と言えばジョニートーやポンジュノと
中韓ばかりだったが、台湾きそうだな。かつてはクーリンチェ少年殺人事件とか一凄い映画も作ったしな