日本で働かず、即、海外へ飛び出す20代の心境
大学在学中にアジアで経営者になった小田川さん。いまどきの若者の仕事観とは?
アジアに活躍の場を求める日本人が増えているが、まだまだ女性、それも20代の若い女性というのは、なかなか聞かない。
ところが昨年、タイ・バンコクで開催された和僑世界大会の会場に、若干23歳の女性経営者がいた。小田川さりさん。
彼女は、大学4年時から東南アジアで経営者をしているという異色の経歴を持つ。タイで日本食レストランのCMに出演したこともある、
かわいらしい容姿の彼女。誰もが彼女に質問したくなるはずだ。「いったい、なぜタイにやって来たのか?」と。
ゼミの教授の一言で、いきなりバンコクへ
小田川さんが起業することを考え始めたのは、大学3年生になった頃だった。
「みんなが髪を染めて、リクルートスーツを買って、『就活どうする?』という話をしている。
でも、自分が日本で会社員をやる……というイメージがどうしても持てなくて。それで、起業することを考え始めたのです」
ゼミの先生に、海外で起業したいと思っていると打ち明けたところ、
「知り合いがタイ・バンコクで事業をしているので紹介しようか」と言われたのが、すべての始まりだった。
彼がちょうどその週末に新しい飲食店をオープン予定だと聞き、実際に見てみたいとの一心で、バンコクに飛んだ。
「来てみたら、バンコクには日本食レストランもたくさんあって、東京と変わらない生活ができる。
今ならビジネスチャンスもまだまだあるし、ここだ!と思いました。現地の経営者の方からもいろいろなお話を聞いて、
香港やシンガポール、バンコクを視野に入れて起業に向けて動くことにしたのです」
不況しか知らない20代の本音
そうはいっても、東南アジアのタイ・バンコクに、成人したばかりの女子大生が飛び込むのは簡単なことではない。
いったい何が小田川さんの原動力となったのか。そのひとつは、少子高齢化が進む日本で働き続けることに、
明るい将来が見えてこないことへの不安だと小田川さんは話す。
「今の日本の状況を見ていると、会社に入ってもいつクビになるかわからないし、年金を払い続けても、
私たち20代は払う額ほどもらえない試算になっている。国とか会社に依存しすぎない生き方をしたい、ということはつねに考えています。
自分の時間を切り売りして働いたおカネで年金を積み立てていて、いざ年金をもらおうとしたら
『少しだけしかもらえませんでした』というのでは、限りある時間がもったいない。海外の積み立て投資にしても、
若いときから始めることで時間を味方にできる。日本にいるとできないけど、海外に出たら挑戦できる投資もあります」
小田川さんたち20代前半は、バブル後に生まれた世代。景気がいいときを知らず、日本政府の莫大な借金を肌で感じながら育ってきた。
国の社会保障に対する信頼感は、30代、40代以上に薄い。
「情報は自分で取りに行かないと得られません。就職活動をする前に、自分のライフプランやマネープランを考えてから
選んだほうがいいと思っています。私は、日本には破綻してほしくないと強く思っていますが、もし破綻したとしても、
その影響をできるだけ受けない状態にしておきたいとは考えています」
http://tk.ismcdn.jp/mwimgs/f/7/570/img_f781d0803497d6aab8756eb73d84db6193247.jpg ソース:東洋経済
http://toyokeizai.net/articles/-/33321