なぜ韓国は中国についていくのか
韓国研究者の荒木信子氏に聞く(1)
鈴置 高史
2014年6月12日(木)
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140609/266488/ph01.jpg 荒木信子(あらき・のぶこ)
韓国研究者、翻訳者。『なぜ韓国は中国についていくのか――日本人が知らない中韓連携の深層』
(2014年、草思社刊)で、日本人の気がつかなかった微妙な中韓関係を掘り下げ、注目される。1963年生まれ。
1986年に横浜市立大学文理学部国際関係課程卒業、1992年、筑波大学大学院地域研究研究科東アジアコース修了。
修士論文のテーマは「韓国人の日本観」。訳書に『金大中 仮面の裏側』『「偉大なる将軍様」のつくり方』など。
『ある朝鮮総督府警察官僚の回想』『日本統治時代を肯定的に理解する』に編集協力した。
http://business.nikkeibp.co.jp/article/report/20140609/266488/ph04.jpg ・対日共闘は冷戦期に萌芽
-中国と韓国の「対日歴史共闘」は1980年代に萌芽がある、とのご指摘は新鮮でした。
荒木:第2章の「中韓関係の節目、国交正常化」のところですね(66ページ)。対日歴史共闘が芽生えたのは1982年の
いわゆる教科書問題からです。当時は冷戦真っ盛り。もちろん中韓両国の間に国交はなく、敵同士でした。
しかし韓国の国会議員の中には、中国と連携して日本に対抗しようとの発想が生まれていたのです。国交がなかったため、
現在のような明確な「反日共闘体制」には至りませんでしたが、この時に今の中韓連携の下地が準備されたといえます。
鈴置:韓国人の対中依存心の根深さを物語っていますね。
-荒木さんは豊富な資料を使って、韓国がどんどん中国に取り込まれている半面、日本とは疎遠になっている現実を
描き出しました。これも多くの日本人にとって驚きの話です。
荒木:李明博(イ・ミョンバク)大統領が竹島を訪問した後に「日本はもう昔の日本ではない」と語りました。
鈴置:「日本に昔のような力はない。もう、怖くないぞ。日本を怒らせても反撃してこないから大丈夫」との趣旨でした。
・日本を上から目線で見る韓国
荒木:ええ、それが本音でした。そして、その韓国人の心情の変化――上から目線で日本を見るようになっていることに、
日本人は気がついていませんでした。韓国もまた「昔の韓国ではなくなっていた」のです。
韓国にとって中国の存在は大きくなる一方です。韓国を訪れた外国人の数は、2013年に日本人を抜いて中国人が
1位になりました。
韓国に定住する登録外国人の数で見るともっとはっきりします。中国籍を持つ韓国系中国人である朝鮮族を含めると、
中国人の数は1995年に日本人を抜いて3位に。翌1996年には1位に躍り出ます。1992年の中韓国交正常化からわずか4年後です。
(
>>2以降へ続く)
日経ビジネス 2014年6月12日(木)
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