4月25日(ブルームバーグ)
20年前の4月、中国はインターネットにつながった77番目の国となった。遅くてささやかなスタートだったが、
その後の成長は驚異的で世界一のネット人口を抱えるまでになった。電子商取引で中国最大手のアリババは
今年最大規模となりそうな新規株式公開(IPO)を行おうとしている。
20周年は祝うべきことかもしれないが、その背後にあるのは表現の自由を制限し、世界中の独裁国家を
喜ばせる厳しい検閲だ。実際、政府系の新聞、上海デーリーが掲載した年表によれば、中国初の大規模な
ネット規制への取り組みはインターネットへの接続から4年たたずに実施された。
それから状況はあまり変わっていない。習近平国家主席が中国を率いるようになってから長くはないが、
胡錦濤前主席時代よりオンライン検閲は強化されている。インターネットが現代の戦いの新たな前線と
化したことも一因だ。中国共産党の機関紙、人民日報は21日の論説で「習主席が提唱したように、サイバー空間の
ガバナンスを向上させることなしにインターネット大国に進化することはできない」とコメントした。
中国国営の新華社通信は英文の論説(つまり外国人向け)で、「人口世界一の中国がインターネットへの
アクセスを得て20年がたち、中国は抜本的かつ徹底的に変わった。だが一部の欧米の預言者の言葉は外れた。
中国独自の管理手法にもかかわらず国内におけるインターネットは破綻する代わりに一段と商業的に堅実で
革新的になっている」と指摘。「インターネットを管理する中国の方法そのものが中国の技術革新であり、
一部が予想したような創造性の息の根を止める事態にはなっていない」と論じた。
・変更の考えなし
ここに議論の余地がある。ブルームバーグ・ニュースは1月、ネット検閲のない台湾が特許活動で世界1位とする
ランキングをまとめた。台湾を国土の一部だと主張する中国は4位だ。特許を生み出す要因がインターネットの自由という
枠に収まりきらないのは確かだが、自由なネット環境がもたらす全体的な知的自由が大きな役割を果たしているのは明らかだ。
悲しいかな、中国政府の観点からすれば台湾(もしくは米国)の成功は的外れということになる。オンライン検閲強化に向け
修辞で固めた基本路線を敷く中国が、祝うべき20周年においてもその政策を変更するつもりが一切ないことこそ問題なのだ。
(アダム・ミンター)
(上海を拠点に活動するミンター氏はブルームバーグ・ビューに定期的に寄稿しており、コラムの内容は同氏自身の見解です)
bloomberg 2014/04/25 08:59
http://www.bloomberg.co.jp/news/123-N4IV846S972D01.html