ケミカルタンカーのマリタイム・メイシー(載貨重量トン数4万4404トン)は12月29日に
韓国の釜山沖で自動車運搬船と衝突したのちに出火した。いまだ炎上しており、
以後日本の海域に向け漂流している。
サルバー(海難救助者)は鎮火することができず、この香港船籍の船を対馬島周辺
まで曳航している。一方これまで、日本の海上保安庁はこの船の運航者からの
避難港を求める要請を拒否した。避難港への入港は、消火にあたるサルバーが
推奨する方策である。
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1月7日、MSIは日本サルヴヱージ社を通じて、公式に第7管区海上保安本部に避難港
を申し出た。日本政府は現在に至るまで返答していない。海上保安庁は、記者会見
での再三の質問に回答しなかった。
日本サルヴヱージ社の広報は、進展中の事態は「非常に微妙」であり、情報を提供
すると所有会社への忠実義務に違反するとして、コメントを辞退した。
韓国政府に対しても、所有者の代わりにインタータンコを通じて避難港の要請がなされた。
韓国当局者は、鎮火がなされれば船に避難港を許可することを考慮しうると述べた。
この点は、1月12日の海事当局の記者会見でも繰り返された。
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マリタイム・メイシーは、12月29日に釜山から中国の寧波に向けて出港した。アクリロ
ニトリル、パラキシレン、スチレンを29,337トン、バンカーオイルを640トン積載していた。
現代尾浦造船から試験航海に出ていたグラビティ・ハイウェイとの衝突は、港からおよそ
9マイルのところで発生。この衝突でタンカー側に8メートルの穴が開いた。
その衝撃の結果、アクリロニトリルを積んだタンクからの漏洩により火災が発生した。
韓国海洋警察は、91人の乗員乗客を両船から救出。うち27名はマリタイム・メイシーの
乗員、64名は車両運搬船からである。
しかしそれはメイシーの奇妙かつ意図せぬ炎上航海の始まりにすぎなかった。
当初の報道では、火災は消化されたと伝えられた。しかし、火災は決して鎮火されては
いなかったし、炎は再び炎上したものでもなかった。
乗員の避難ののち、強い海流と6mに達する波で荒れた海面のため、メイシーは日本の
海域に押し流された。
MSIは、日本サルヴヱージと契約した。同社は、昨年インド洋で真っ二つに割れたMOL
コンフォートのサルベージに奮闘したチームの一員であった。
MSIはまた、オペレーションの支援のため、アメリカからは海洋化学の専門家であるNofa
& Marsac International、オランダからは消火に当たるFalck Nutec、ロンドンのTSMから
造船技師とアポイントを取った。
MSIによれば、これらの専門家とサルベージ会社は、対馬海峡にあり、日本の長崎県の
一部である対馬島の最寄のポイントに避難港を探すことが最善の手だとして一致した。
日本政府からの手助けの回答がなく、海上保安庁への口頭での要求が断られたため、
船は宙ぶらりんの状態になり、より穏やかな海域を探して対馬島の北へ南へとたった
一艘のタグボートによって曳航されている。
月曜、船の位置は対馬島の南東、対馬と韓国済州島とのおよそ中間にあった。
ロイズ・リスト(1月14日)
http://www.webmar.com/archives/8092