◆<「中華の夢」の行方(6)>原発、2050年に400基分計画=地震帯にも建設
―シェールガスも米と開発
世界一の14億人近くの人口を抱え経済発展途上の中国にとってのアキレス腱はエネルギー。
経済の急拡大や生活レベルの向上に伴って電力需要が増大、供給不足も深刻化している。
総発電量のうち7割以上は石炭火力発電に依存しているが、石炭は大量の2酸化炭素を排出し、
PM2.5(微小粒子状物質)の元凶とされる。
このため石炭消費の大幅削減を迫られ、天然ガス、原油を使う火力発電や自然エネルギーに
力を入れているが、旺盛な電力需要に追い付かない。
こうした中、脱化石燃料の目玉として原子力発電への期待は大きい。
中国では今でも原発が15基稼働。建設中の原発は30基もあり、
2020年までに原子力発電量を現在の5倍の5800万キロワットへの拡大を計画。
30年までに2億キロワットを目指すことを検討している。
さらに2050年時点で原発の総出力4億キロワットと想定する構想まである。
出力100万キロワットの原発で計算すると実に400基分。
単純計算すれば今後40年足らずで原発を25倍に拡大することになる壮大なものだ。
■事故なら放射線物質が日本列島にも
怖いのは、稼働中や建設中の原発の大半が地震の発生しやすい地域に立地していること。
中国の沿海部は、北は遼寧省から南は海南島の昌江原発まで世界有数の原発集積地に
なりつつある。
特に山東省は栄成原発、海陽原発など3カ所の原発が沿岸部に集中。
津波の備えが不十分との指摘もある。
渤海湾に面する海岸地帯に位置する紅沿河原発(遼寧省)では、
108万キロワットの発電能力を持つ加圧水型軽水炉(PWR)1、2号基がほぼ完工済み。
3、4号基も建設が進んでおり、14年夏までに運転を開始する。
この原発の立地する渤海湾には中国でも最も地震を引き起こしやすいとされる地震帯があり、
地震帯のほぼ真上に建設中だ。
この地域はたびたび大きな地震に見舞われており、1976年には原発近くの唐山市で
直下型大地震「唐山地震」が発生、24万人を超す死者を出している。
広東省では既存の大亜湾、嶺湊の両原発に加え、建設中の陽江、台山など水流が途切れる
「断流」が発生する河川に冷却水を依存する原発も多い。
黄河は下流域で1990 年代に幾度も断流し、年間200日以上、干上がった年もあったほどだ。
もし原発に隣接した河川で原子炉稼働中に水流が減り、十分な冷却水を得られなくなれば、
福島第1原発事故の再来となる。
これら原発が事故を起こしたら、一体どうなるか。
中国から日本列島に向けて常時、偏西風が吹いており、酸性雨から黄砂まで
様々な大気汚染物質が中国から日本に運ばれてくる。
中国の原発で事故が起きれば、日本列島は放射性物質の影響を受けるのは必至とみられている。
中国側資料によると、中国の原発1基当たりのトラブル件数は05年2.6件(日本0.3件)、
07年2.1件(同0.4件)で、日本の5倍以上の割合で記録されている。
トラブルがあった場合、日本は原子炉を止めて安全を確認するが、
中国では稼働しながら故障を修理するという経済優先の対処法もみられるという。
中国では経済の急拡大や生活レベルの向上に伴って電力需要が増大、供給不足も深刻化。
原子力発電やシェールガスが「救世主エネルギー」として期待されている。
写真は吉林省の豊満水力発電所。
http://c3scs.jp.s-msn.com/article/images/20140102/75ea0264-c1ba-4d11-843e-30efbabb22f0_n.jpg Record China 2014年1月3日 08:40
http://topics.jp.msn.com/wadai/recordchina/article.aspx?articleid=2854149 ※
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